第4回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年8月22日(火)14:30~17:00

場所

労働委員会会館講堂(7階)
東京都港区芝公園1-5-32

議題

  1. (1)業界団体等ヒアリング
    1. 全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会
    2. 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会
    3. 田久参集者(全国建設労働組合総連合労働対策部長)より報告
    4. 日本化学工業協会(ヒアリング結果を事務局から報告)
  2. (2)フリーディスカッション(論点1及び論点3関係)
  3. (3)その他

議事

議事内容
○船井安全課長補佐 皆様おそろいでございますので、定刻より少し早い時間ではございますが、始めさせていただきたいと思います。本日はお忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。第4回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催いたします。本検討会は、会議の資料及び議事録については原則公開とさせていただいておりますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。
 本日は、鹿野委員が御欠席、高山委員、出口委員、三柴委員、森委員の4名がオンラインでの参加となっております。
 それでは、以降の議事進行につきましては土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 皆様、よろしくお願いいたします。第2回の検討会での議論により、本検討会で御議論いただく論点について、大きく分けて3つに整理いたしました。今回は、前回に引き続き、業界団体の皆様からのヒアリングを行いながら、論点1と論点3について議論を深めていただくことを予定しております。論点2につきましては、論点1、3とは内容が大きく異なりますので、分けて議論させていただくこととし、次回以降改めて時間を設けさせていただきたいと思います。
 今回の業界団体ヒアリングですが、まず林業関係では全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会の中村様、それから運送業関係では全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会の嵯峨様及び赤帽首都圏協同組合の長谷川様、建築業関係では全建総連の田久様から、それぞれ業界の実情についてお伺いすることとしております。このほか、事務局から、一般社団法人日本化学工業協会にヒアリングをしてもらった結果について御報告いただくこととしております。
 短い時間ではありますが、効率的に議事を進めさせていただければと思いますので、御協力をお願いいたします。それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○船井安全課長補佐 資料につきましては、お手元に紙で配らせていただいております。1枚目に議事次第がございまして、その裏に配布資料として資料1~4、ヒアリング関係の資料をお配りしております。それに加えて、参考資料1として、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会開催要綱、参考資料2、3として、論点1と論点3の関係で前回配布させていただきました資料、この中に各論点の検討事項も含んでおりまして、これを再配布という形で参考資料としてお配りしております。これは、ヒアリングの後のフリーディスカッションの際に、こちらの資料も参考していただきながら御議論いただければと思います。以上です。
○土橋座長 それでは、議題(1)に入ります。まず、業界団体の皆様方からのヒアリングをさせていただきたいと思います。はじめに、全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会の中村様、御説明をよろしくお願いいたします。
○中村様 皆さん、大変お世話になります。全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会、通称は森林労連と申しますけども、中央執行委員長を務めております中村です。よろしくお願いいたします。私のほうからは、林業における個人事業者等についてということで、資料1になりますが、4点にわたって項目を整理してありまして、これに沿いまして概要について御説明をさせていただきたいと思います。
 1点目として、個人事業者の就労状況についてでございます。まず、林業における一人親方ですが、本人のみ又は家族などで、労働者を雇用せず、発注者からの作業の下請を主要な形態としている者としています。また、自ら所有している森林を整備している自伐林業と、森林所有者から依頼を受けて森林を整備する自伐型林業などがありまして、林野庁が委託調査を行っていますけれども、その就労状況を把握している都道府県は全体の2割程度というような状況でございます。
 資料の3枚目、国勢調査で行われました林業従事者の構成の推移ということでございますが、労働者と労働者以外ということで、労働者以外が26.4%というような状況であります。いずれにしても、その状況を把握している都道府県は全体の2割というようなところです。
 森林労連に加盟している個人事業者として働く組合員は約10名弱おります。組合員数の全体の0.2%程度というようなところでございます。森林労連の組合員の多くは、国内事業における造林・製品生産の請負事業を発注している事業体で働く労働者です。個人事業者でありますけれども、発注者と直接契約していることはなく、事業体や森林組合から仕事を受けている場合が多いというような状況です。
 また、作業ですが、単独や家族で作業を行う者、決まった仲間と作業をする者、個々の状況であると認識しております。なお、個人事業者は、長年農業との兼業で林業を営んできている者もいますが、昨今では請負事業者が独立して事業を立ち上げた若い個人事業者もいるというふうに聞いております。
 次に項目の2つ目、個人事業者等との連絡調整についてということで、主に作業状況における連絡調整について御報告いたします。国内事業の請負事業の場合について、発注者は国というふうになりますが、請負事業者とその下で働く個人事業者との関係は、契約上承知していないというふうにいっております。これは、請負事業者が下請に出す場合、元請である請負事業者が、下請に対して総合的な指導調整を行うというようになっているということで、国有林として管理・確認するのは、1つ目としては下請から元請の請負事業者に提出された見積書、2つ目としまして下請者が雇う労働者の労賃単価が最低賃金以上であること、3つ目として労働者災害補償保険に加入していることのみというふうになっています。
 作業中の連絡調整等についてですけども、決まった仲間と作業している場合というのは、携帯電話や無線で情報の共有等を図っているというように思われますが、伐倒作業等、離れた場所で単独で作業している場合もあるというふうに思っています。また、個人事業者が使用する機械等はチェーンソーや刈払機が主で、これらの機械はほとんどが自己所有だと思っております。また、これらのリースや購入補助について、約2割の都道府県が支援をしているというような状況であります。
 資料の2枚目に、都道府県が把握した個人事業者の災害状況一覧が付いております。これも林野庁が委託事業で聞き取りをしたものであります。災害の状況を見てみますと、「激突され」が16件で、主に伐倒作業によるものではないかと思います。また、「切れ、こすれ」が11件で、下刈りや除伐が主ではないかと思われます。そして、「転倒」や「墜落、転落」ですが、主に下刈りや除伐、間伐と考えられます。作業の内容自体については、集材作業以外の人力で行う作業がほとんどだというように読み取れると思います。また、この林野庁の聞き取りでは、把握できた個人事業者の半数が何かしらの災害に見舞われた経験を持っていると聞いているところでございます。
 続きまして、項目の3つ目、個人事業者等の安全衛生管理についてです。安全衛生管理について、請負事業者と一人親方の関係がどのようになっているのかというのは、個々であり一言では言えませんけれども、国内事業の発注では、一人親方が請負事業者の下請者となった場合、元請の請負事業者が安全衛生管理を含み総合的に指導を行う者というように林野庁としては認識しているところです。
 また、労働災害が発生したときには、直ちに発注者である国に報告をしなければならないということで、請負事業者が作業状況等を当然把握しているものだろうと認識しているのが林野庁であります。なお、個人事業者の健康診断の把握や支援については、実態上は余り行っていないのではないかというふうに思われます。このように、個人事業者の労働安全衛生管理がどのように行っているのか、実態はなかなかつかめていない状況であります。森林労連に加盟している組合員からは、組合から情報をもらうとか、林災防を通じて安全研修を受けているという事例も聞こえていますが、実際、現地でどれだけの安全対策が行われているかは個人まかせとなっているのではないかと認識しているところです。
 続きまして、項目の4つ目としまして、森林労連が考える個人事業者等に対する課題についてです。前述のとおり、林野庁の委託調査では、個人事業者を把握している都道府県は2割となっており、残りの8割の都道府県では実態がつかめていない状況であります。把握している個人事業者についても、森林組合の下請を行っていたり、労災保険に加入している者であるため、安全に対する意識が比較的高いのではないかと思われますけども、その他の実態は分からないといったところが今の状況であります。まずは国が主導をして、例えば都道府県林務部局や森林管理局、労働局、森林組合、林災防等が連携して、2割の都道府県が行っているような一人親方の実態を把握して、安全に対する啓発活動や支援等を行うことが必要ではないかと考えているところです。
 加えて、例えば国有林の請負事業の発注の際に、契約条項で一人親方に対する安全衛生管理の徹底のような、一定の契約上の縛りをかける必要もあるのではないかと思っています。
 資料の4枚目ですが、林野庁の一人親方に関する安全対策ということで、パンフレットを作成しております。ただ、これが先ほど申し上げましたとおり、なかなか実態が把握できていないというところで、このパンフレットについても活用しきれていないというのが実情であります。また、森林労連の組合員では、主に事業体に就労後、起業をしている例もあります。ただ、なかなか仲間が集まらず、その結果として個人事業としてやっているということで、そうなると森林の情報や安全に対する情報も集めにくいという声も聞こえております。いずれにしても、これらの情報を網羅的に発信するような手段の確立が具体的に必要ではないかと考えているところでございます。私のほうからの説明は以上であります。
○土橋座長 ありがとうございました。御都合により、中村様は15時には御退席されますので、その後のフリーディスカッションの際には質疑応答をしていただくことはできません。ただいま御説明いただいた内容につきましては、この後質問を頂きますが、その時間の中でお願いしたいと思います。それでは、質問等がございましたらお願いいたします。中村委員、お願いします。
○中村参集者 ありがとうございます。今の点で2つお聞きしたいと思います。1つは、労働者の災害の件数が出ているのですが、例えば度数率といったような数字に直すと、どれぐらいの数字になるのでしょうか。これが1点目です。
 それから2点目は、個人の実態が分からないと言いながらも、今そこに出ている資料の一番上を見ると、チームでやっても個人でやっても余り差がないように出ているのですが、個人事業主という見方で災害が多いのか、あるいはチームでやっている場合とで差があるのか、その辺を確認したいと思います。
○中村様 御質問ありがとうございます。まず、災害の度数率の関係ですが、すみません、今こちらについては詳しい数字が思い浮かないのですが、この林野庁が作った資料、パンフレット等についても、いずれにしても先ほど申し上げました都道府県2割で把握している状況の調査からのものということで、全体的にどれだけ個人事業者の災害が起きているのかというのは、なかなか把握しきれていないのではないかというのが実態であります。あくまでも、委託事業で都道府県で把握しているこの2割の部分を中心にして、災害の結果を出しているということが1つであります。
 それから、度数率についてですが、ちょっと数字自体は忘れましたが、全業種と比べても、やはり10倍近い度数率ではないかと思っているところでございます。
○中村参集者 分かりました。全体と比べるとどれくらいの、いわゆる危険度が大きいのかをお聞きしたかったのです。全体の10倍ぐらいですか。分かりました。
○中村様 個人と事業体の災害、どちらが多いのかという御質問でしょうか。これについても、先ほど申し上げたとおり、事業体については全て労基署等に報告がされてカウントされていますが、個人事業者については、あくまでも聞き取りということで、どこまで個人事業者の災害が起きているのかということがなかなか把握しきれていない状況なのだろうと思います。先ほど、一人親方の2人に1人は作業中にけがということで、この林野庁が聞き取った中でも書いていますが、恐らくこの2割の都道府県で把握している中でこのような結果が出たということでありますから、発生率でいうと、通常の労働者とほとんど変わらないのではないかと思っています。
 ただ、災害の発生ということで、この一人親方、個人事業者等の関係で危惧されるのが、やはり先ほど申し上げましたとおり、一人作業の割合が多いのではないかと思っております。ということで、労働者であれば当然チームで連携を組んでやっておりますので、例えば近くで災害が起きたらすぐ救援に向かうとか、救急の連絡体制が取れるのかというのがあると思いますが、個人事業者の場合、やはり一人作業になるパターンが多いのではないかと思っておりますので、そうなると、緊急連絡体制についても当然不備が多いのではないかと認識しているところです。
○中村参集者 どうもありがとうございました。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住団連の青木です。御説明ありがとうございました。質問なのですが、資料にもありますように、林業の作業現場が自然環境であると書いてありますが、例えばいわゆる元請が指定する範囲、作業範囲というのは、例えば何か目印のようなもので区分けされているものなのでしょうか。それとも、非常に広くて、この山のこの南面といったように非常に大雑把な形で規定されているものなのでしょうか。これによって、元請の指示というものがどの程度明確に下請に伝わっているのか、どういう状況なのかと疑問があったものですから、お聞きしたいと思います。
○中村様 御質問ありがとうございます。森林の中での作業の範囲ということですが、例えば国有林で発注する場合については、当然その森林が何ヘクタールあって、その何ヘクタールの区域というのは、発注する側が区域等をペンキ等で塗って分かるようにして発注して、その中で作業を行ってくださいというのが通常であります。
 ただ、契約上で決められた範囲の中で、元請と下請、例えば個人事業者が元請の中の面積のうちのどれぐらいの割合をするのかというのは、正直それは区々であって、なかなか分からないのではないかと思っています。ただ、いずれにしても元請から下請になった場合、大まかな範囲でこの所をやってくださいという指示はあるとは思うのですが、どこまで、ここからここまでを区域としてやってくださいというような、明確な指示があるのかどうかというところまでは、なかなか把握しきれていないというのが実態だと思っております。
○青木参集者 ありがとうございました。そうすると、事故の起きた場所が範囲外ということもあり得るということなのでしょうか。
○中村様 最初の契約上の範囲というのは決まっていますので、作業自体はその範囲の中でやっているはずですから、それを外れてやっているというのはなかなか考えられないのかなと思っております。ただ、実態としては、その区域内にペンキを塗って、区域は分かるように、契約上発注はしているのですが、実態としてはそれを越えて、例えば木を切ってしまうといった、そうした契約違反に当たる行為が全くないことはないのだろうなとは思っているところです。
○青木参集者 ありがとうございました。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。では、私からお聞きしたいと思います。林野庁の一人親方向けのパンフレットがございますが、これはどうやって配布しているのかというか、何か大多数に配るようなルートがあるのでしょうか。
○中村様 御質問ありがとうございます。林野庁で作成したパンフレットですが、恐らく都道府県とか関係する林業団体といった所に配布をしているのだろうと思っています。ただ、先ほど申し上げましたとおり、全体でこの個人事業主の実態を把握しているのが都道府県の2割ということで、その都道府県の2割が独自に調査をしてやっているものですので、そういった団体や都道府県までには届いてはいると思うのですが、そこから先の現場段階、どこまで配布されているのかは把握しきれていない状況であります。
○土橋座長 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 日建連の本多と申します。1、2点お尋ねしたいことがあります。個人事業主の方が下請になった場合のことなのですが、その際先ほど2点質問があり、1つは機械、器具類は基本的には自己所有ということでしたが、元請が準備する機械や器具を使うということはあるのでしょうか。あくまでも、御本人が自己完結して作業をなされているのかということが1つです。
 それから、元請の関与の度合なのですが、元請が総合的な安全対策をやるというふうにはなっているということですが、御説明の中で、事実上はある程度の把握ぐらいということでしたので、元請が安全管理する関与は比較的薄いと認識していいのでしょうか。あるいは、行政等から元請に対する安全管理のガイドライン的なものは存在するのかどうかということはいかがでしょうか。
○中村様 御質問ありがとうございます。まず、個人事業者が下請になった場合の機械の自己所有ということで、その元請ものを使うかどうかというお話ですが、これもいろいろな実態があって一概には言えない部分なのですが、例えばチェーンソーや下刈りの刈払機については、自己所有でやっているのがまずほとんどではないかと思っています。ただ、作業の下請の中でも、例えば大型の林業機械を使うようなもの、集材作業や道の作設といったものは機械を使いますが、そういったことを下請でやる場合については、元請の機械を使っていることもあるのかなと思っているところです。
 林野庁がパンフレットで書いてあります一人作業の割合ですが、私としては下刈りや抜倒といったものは1人でやっているパターンが多いと思うのですが、ここの資料で見る限り作業道の作設といったものもありますので、そこは元請の機械を使っている例もあるかなと思っているところです。
 あと、元請の総合的な安全対策ですが、正に御意見のとおり、ここが森林労連としても大きな課題だと思っております。先ほど御説明いたしましたとおり、契約上、国のほうでは、元請から下請に作業をやらせるに当たっての安全衛生管理がどれだけやられているのかというのを把握していないのが実態だと思っております。当然、元請が行うべきガイドラインも、私の認識では恐らくないと思っていますし、例えば保険に入っているであるとか、あとは最低賃金以上であるかといったものでしか契約上確認はしていませんので、もう少し契約上で、元請から下請に移す場合の安全衛生管理がどのようになっているのかということは、きちんと書面で提出させるぐらいの契約上の縛りがあってもいいのかなと思っているところでございます。以上です。
○土橋座長 時間の関係もありますので、質疑はここまでとさせていただきます。もし追加の御質問がございましたら、事務局を通じて中村様に後日御確認いただくことといたします。中村様、どうもありがとうございました。
 続きまして、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会の嵯峨様、赤帽首都圏協同組合の長谷川様、よろしくお願いいたします。
○嵯峨様 全国赤帽連合会の事務局の嵯峨と申します。隣にいるのは赤帽連合会の理事であり、赤帽首都圏軽自動車者協同組合の理事長である長谷川でございます。冒頭、私のほうから、お配りさせていただいているレジュメに沿って説明させていただきながら、質疑応答については、赤帽首都圏の理事長ということで、より現場に近い長谷川のほうから回答させていただきますので、よろしくお願いします。
 まず、パワーポイントの資料の横書きのほうですが、1ページ目に簡単に私ども赤帽の簡単な紹介をさせていただきます。赤帽の車、赤白の車が走っているのを皆様御存じかと思いますが、全国で8,556台の車が走っております。
 主な業務として、巷の方には宅配便の下請をしているようなイメージで捉えられていますが、実は企業間の緊急輸送ですとか定期配送、お寿司屋さんを回って食材を配送するとか、個人の引越し、貸切便などを主な業務としております。特に最近増えているのが黒ポツの上から2番目なのですが、日本赤十字社様の血液配送、献血した血液の配送をやったり、その後に作られた血液製剤を病院に戻す仕事をやっていたり、昨今はコロナ禍において、自治体からPCR検体の配送やワクチンの配送であったり、また増加している自宅療養者への生活物資の配送なども全国的に広く承っております。
 また、最近は宅配業務で宅配会社さんが配送効率を高める上で、3片の合計が120cmを超えるような嵩物を運ばなくなってきておりまして、そういったものの配送を貸切便で引き受けるといったこともありますし、企業に納品するコピー機のような重量物の配送といった、多岐にわたった仕事をさせていただいております。
 2ページです。今回お話を頂いた際に、労働安全衛生について説明をしてほしいと承りまして、一番初めに思い付いたのが、こちらにある赤帽組合向けの労災保険の内容です。全てのドライバーが貨物軽自動車運送事業を営む個人事業主であり、その個人事業主に雇われている者も一部いるのですが、赤帽は、ほぼ個人事業主です。一般的に個人事業主は労災に入れないのですが、赤帽の場合は、厚労省様の一人親方労災制度の認可を受けていて、お手元の資料にあるとおり、労災保険に加入することができます。
 ただ、左上にあるとおり、給付基礎日額1万4,000円、1万円、5,000円のコースがあるのですが、右にあるとおり、年間費用がこれだけ掛かっております。我々サラリーマンからすれば、労災保険というのは会社が全て保険料を負担してくれますから、あって当たり前、入っていて当たり前、お金の負担はないという認識を持つのですが、個人事業主にとっては、これだけの費用を掛けて労災に入らなければなりません。特に一番安い5,000円のコースに入った場合、例えばけがをして働けなくなった際に、休業補償が出るのですが、給付基礎日額の80%の額が1日分として給付るので、5,000円コースですと1日4,000円が給付されます。単純計算で、30日休むと12万円ということになりますから、生活するのにカツカツの状況と言わざるを得ない水準となります。もちろん、1万4,000円コースに入れればそれなりの補償はあるのですが、年間費用が6万9,000円、約7万円近く掛かりますので、これは個人事業主にとっては重い負担になると言えます。
 詳細は資料の右側に書いてあります。今年の1月時点で赤帽の総組合数7,215名に対して、労災に加入している組合員が1,669名ですから、加入率は23.1%と余り高くなく、やはり負担が大きいのでこういった状況になっております。昨今、働き方改革がサラリーマンに対していろいろ言われてくるようになった中で、荷主であるお客様のほうから労災に入っている赤帽さんをよこしてほしいというリクエストが徐々に増えてきましたので、仕事を受けるために労災に入るという組合員も増えてきております。
 3ページ、労働災害の状況です。左に円グラフ、右に細かい内容がありますが、令和2年の4月から令和3年の3月までの労災事故になった件数は26件となっております。部位ごとに件数を取っていて、余り多くない数字なのですが、赤帽の労災の加入率が23%ちょっとで、今回1年間の件数は26件ですから、大体8,000人組合員がいたとすると、1年間で100件程度の労災事故は起こっているのではないかと想定され、労災事故の発生率は、全体的に見て1.25%程度ではないかと思われます。
 その中でも最も部位的に多いのは、左の円グラフになりますが、腰です。重い物を運ぶという運送事業者の宿命なのですが、重い物を持ったときに、ぎくっと腰をやってしまうという件数が非常に多くございます。それから上肢なのですが、特に手とか胸、頚部をけがするというのは、ほとんどのケースでは交通事故です。相手の車に後ろからぶつけられたとか、自分でぶつけたとか、そういったケースでけがをすることが多くなっています。下肢については、このケースは2点ありますが、両方とも転倒です。滑って転んだ、荷物を持ちながら歩いているときに車どめが近くにあって躓いて転んでしまったなど、そういった転倒が多いです。頭部についても荷物を手で持っていますから、転倒すると荷物を守るために手をつけずに、頭を地面にぶつけてしまうとか、そういったケースが多くございます。繰り返しになりますが、ケースとして一番多いのは重い物を持ったときの腰痛と、交通事故によるけがが多いと認識しております。労災に関しては以上の内容になります。
 4ページ、その他です。私ども赤帽の場合は、1つの協同組合連合会組織ですので、共済制度というのがあります。右側にその内容が記載されておりますが、簡単に説明しますと、祝金、傷病見舞金、団体傷害保険金、これは死亡と後遺障害に対する補償、それから災害見舞金として、大きな災害に被災したときに罹災証明書が自治体から発行された場合には、その記載されている範囲で補償があるというもので、さらには死亡、高度障害を受けたときの給付金もあります。一番下にあるのは、健康診断受診費用ということで、赤帽の組合員は高齢化が進んでおりますので、運転中に三大疾病のような、例えば心筋梗塞ですとか、脳に関する疾病とか、そういったもので交通事故につながるリスクが増えてきておりますから、そういったリスクを防ぐための健康診断費用、上限1人2,000円なのですが、全国の組合員に支給して、健康診断を極力受けてもらおうという施策を進めております。なお、共済会の健康診断受診費用2,000円に、各協同組合単位で数千円を上乗せして給付して、健康診断の受診率を更に上げようという取組を進めている協同組合もあります。
 また、今日同席させていただいている赤帽首都圏組合では、国土交通省の関連団体でNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)という団体があるのですが、そこでの新規加入者に対する運転適正テストをはじめ、高齢ドライバーに対する運転適正テスト受講費用の助成を行って、より赤帽組合員が安全に運転をできるような指導・教育を行っています。
 5ページです。私どもの組織は、全都道府県に赤帽の協同組合があり、その都道府県単位で研修会を行っています。特にこちらにあるとおり、年に1度必ず組合員研修会を開催し、交通法規やその他法令、顧客サービス、マナー等に関する研修、その他、交通事故撲滅のための研修、安全運転と健康をテーマにした研修などを実施しております。資料にあるとおり、ハインリッヒの法則で、300回のヒヤリハットがあったら1回の大きな事故につながるので、ヒヤリハットが増えてくるような方がいらっしゃったら気を付けてくださいといった研修もしています。交通事故の三大要素として、人、車、道路環境という要素がありながらも、一番大きいのは、人、ヒューマンエラー、その中でも認知ミスが多いので、見間違いや認知ミスをしないように、運転に注意をしてほしいというような研修も行われております。
 6ページになりますが、外部からいろいろな講師の方を招聘して研修することもあります。例えば赤帽群馬県では、群馬大学医学部の高山先生をお呼びして、この方は脳に関する権威の先生なのですが、ハンドルを握るだけで人の心拍数は90から120に上がるわけでして、トラブルが起こって心臓バクバクして140、150になってしまうと、そこで疾病のリスクが高まるので、ゆっくり運転してくださいという研修を行ったり、それから理学療法士の中村先生は、読売ジャイアンツのトレーナーなどもやっている方なのですが、肩甲骨が凝り固まりますよとか、長く運転していると股関節が動かないので、骨盤や背骨を支える筋力が劣化しますよというような座学をした後に、皆で立ってストレッチをしましょうみたいな形で、普段の運転中、休憩中にできるストレッチを組合員に指導して、それを日々やってもらうといったことも進めております。
 また、左下は、簡単にできるリラックス方法なのですが、本当に簡単なことなのですが、ガムを噛むとか、深呼吸をするとか、ダークチョコレートを食べるとか、そういった日常生活に落とし込んだ指導なども行っております。
 7ページですが、労働安全で、ドライバーがなかなか認識しにくい改善基準の啓蒙について、研修会や、私ども月に1回「あかぼう新聞」という新聞を発行しており、その中で例えばトラックドライバーの労働時間のルール、これは今までは雇われているトラックドライバーにしか適用されず、例えば運送会社の役員や個人事業主には適用されないといった認識があったのですが、そうではなくて、今は国土交通省さんからも指導を受けており、拘束時間や休憩、運転時間も制限がありますという、1か月最大293時間、労使交渉があった中では320時間という制限がありますよというような説明を、きちんと個人事業主であっても理解してもらうといった啓蒙を進めております。
 なかなか難しいのが、貨物軽自動車運送事業者は運行管理者の設定はありません。なぜなら1人で仕事をやっているからです。届出をするときに、届出書の様式の中に運行管理の責任者名を書く所があるのですが、そこには全員が自分の名前を書きます。ですから、自己責任、自己管理でしてくださいねということになっております。
 このレジュメの説明は以上なのですが、最後にいろいろとお願いしたいことがありまして、東日本大震災があったときに、一番赤帽にリクエストがあったのがガソリンを運んでほしいという要望でした。ガソリンを運べるか運べないかというのは、私どものようなスタッフがいればすぐ調べて回答ができるのですが、今、例えばアマゾンの配送の下請とか、そういった形で1人で個人事業で貨物軽自動車運送業を始める人が増えてきています。そういった方々は、リテラシー、危険物等について何をどのぐらい運んでいいかについて、ほぼ分からないと思います。ともすれば指定数量以上のものを運んでしまって、事故を起こして、甚大な災害を引き起こすようなリスクを抱えているのではないかと思います。そういったことが起こらないように、何らかの対策を取る必要があるのではないかと、業界的には考えております。
 ちなみにガソリンは200Lまで荷物として運ぶことができるのですが、自分の車のガソリンタンクの容量も含みます。ですから、大体軽自動車のガソリンタンクは40Lなので、160Lまでは荷物として運送できますが、1個辺り22L以下の消防法の認可を受けたガソリン携行缶で運ばなければいけないので、そういった形で赤帽の場合は運んでおります。
 次にヒアリングにてお伺いしたい事項ということで、事前に船井様のほうから質問を承っているのですが、こちらは詳しく説明しますとかなり時間が掛かってしまいますので、省略はさせていただきますが、先ほど説明したとおり、赤帽の場合は健康診断の助成金などを組織で対応しておりますし、仕事も極力、我々組合で管理しながら組合員に働いてもらえるように、配慮をしながら事業を進めておりますが、どうしても得意先から直接仕事を受けるような組合員がいた場合には、なかなか目が行き届かないという現状もあります。
 このワードの資料の最後のページの「課題等」という所なのですが、課題等はありますかという質問を頂きましたので、個人事業主の安全衛生管理について、個人事業主が加入できる一人親方労災制度の保険料が高額なため、加入率が上がりません。サラリーマンなどの被用者が自己負担なく労災保険に加入できているのに比べて、個人事業主にとっての労災保険は、費用負担が大きすぎると感じております。国庫からの保険料一部補填や、個人事業主が加入できる労災保険を広くアピールしていただいて、加入者を増やすことで、保険料を下げるようにするなど、国策によるバックアップを期待したいと思いますし、(2)のその他個人事業者に関連した課題と感じていることにつきましては、業界内ではいまだダンピングが横行し、十分な売上げを確保できない状況にあり、荷主による下請法違反があっても、仕事を確保するために泣き寝入りするケースもあります。また、運送業の安全衛生管理において、1人で持ち運ぶ際の荷物の重量制限が曖昧であるため、これを明確化、一本化した上で広く周知していただければ、重い荷物を運ぶケースが減って、腰を痛めるようなことがなくなるかと思いますので、その点の今後の議論を期待させていただきたいと思います。私のほうからの説明は以上です。
○土橋座長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して御質問ございますでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野参集者 御説明ありがとうございます。運輸・物流研究室の小野と申します。私はトラック運送業界は随分と研究しているのですが、軽貨物運送事業については余り勉強したことがありません。是非この機会を通じて教えてください。
 先ほど、この業界の大きさということに対して、1つの赤帽連については組織の大きさが書いてありました。基本的には個人事業者だと思いますが、7,215人の方が入られていて、その支配下車両数が8,556台ということでした。これは国交省統計等を見ますと、令和2年度でおおむね営業用貨物の軽に絞りますと約27万6,000台あるのです。今は令和4年ですから、約28万台弱あると思います。ある意味、この支配下車両数で単純に見ると、大きさとして全体の約3%が赤帽の組織率だと思います。そういうことですが、この赤帽連には、基本的には個人事業者は入れないということでよろしいのですよね。そのときに、個人事業者で作っている協同組合が加入しているものが赤帽連と理解しているのですが、もし分かったらということで、その約28万台の車両の方たちのうち、地域の中で、あるいはそういった協同組合の中に入っている率というのは結構高いのかどうかということ、そして全国にある協同組合が赤帽連に入っている率はどの程度なのかについて、分かるようであれば、この辺のところを教えてほしいです。
 もう1つは、一応確認までなのですが、改善基準告示についてはやはり個人事業者ということで、家族経営の場合には今のところ直接対象にはなく、国交省又は厚労省でそのような実態があったときに、行政間通報で一般貨物の運送事業者の場合は日車停止処分まで入っていってしまうのですが、赤帽の場合にはないと聞いておりますので、そのような点で見ると罰則なしということでよろしいのかという再確認です。これが2点目です。
 もう1つは、トラック運送事業者の1つの特徴として、災害や交通事故を減らす最大の毎日の目標、努力というものが当然義務付けられておりまして、通常のトラックの場合には運行管理者あるいは整備管理者が指定されていて、必ず点呼点検をやらなければいけない。簡単にいうとアルコールチェック、運転免許証チェック、健康管理、そして今日の仕事の指導、今日の天候、運転環境についての指示、情報提供等をやることにより、事故・災害を防止することを、毎日仕事の開始時点での始業時、終業時点でも乗務後にということで、始業時点呼、乗務後点呼をやらなければいけないのですが、この場合は一人親方になりますので、先ほどおっしゃっていましたように、運行管理者がいないという状況の中で、例えば車の整備、点検、あるいはアルコールチェックも含む点呼、こういったものはセルフでやっていらっしゃるものなのか、そのようなものを日報等で記録する義務、やっていることを記録して、後で再確認できることが必要なのかどうか、不必要なのかといった辺りのところも3点目として教えていただければと思います。以上です。
○嵯峨様 ありがとうございます。まず、赤帽の事業者の割合ですが、平成15年、平成18年ぐらいまでは私どもも統計を取っておりまして、買っている車が富士重工の車だったものですから、そのデータを取りながら全国の登録台数と比較してまして、一番割合が多かったときには大体20数%が赤帽でした。ただ、、段々そこから割合が減って、最後の平成20年頃は、大体20%を切った割合になったと思います。
 それから、多分御存じだと思いますが、大手のヤマトさんや佐川さんが軽で営業するようになったので、爆発的に営業ナンバーの軽自動車が増えてしまって、個人事業主の分母に対して赤帽の分子がどれだけあるかという統計が取れなくなってしまったのです。それに加えて、貨物軽自動者の事業が届出になったものですから、どんどん1人で、一匹狼とよく我々は呼んでいますが、そういった事業者も増えてきたので、正直申し上げて今はどのぐらいの割合の人間が赤帽なのかという、その辺の統計は実際取れなくなってしまっています。
 なので、国土交通省さんとも何度か話合いはしているのですが、セーフティネットなどは業界団体ごとに対象になるのですが、それが軽の事業者、軽の業界団体はないので、私どもの数字を国交省さんに報告しながら、今は全体の10%ぐらいが赤帽なのではないかという想定に基づいて数字を出しております。
 改善基準については、おっしゃるとおり、特に具体的な罰則等はないのですが、平成22年、もっと後だったか、そのぐらいに国交省さんから呼ばれて、今後、改善基準は当然個人事業主等には適用はしないのだけども、そうは言っても、働き方改革が進む中で個人事業主の方々にも必ず意識してもらわなければいけないものなので、赤帽の組織としてきちんと研修をして啓蒙を深めてくださいという指導があったものですから、それを私どもも自発的にやっております。それを受けて、例えばある組合では、長距離の仕事を配送して戻って来た組合員には、戻って来てから8時間は配車しないとか、そういった独自ルールを設けて、各組合員の労働安全を考えながら仕事を進めている所もございます。
 それから、点呼関係ですが、アルコールチェックは当然、貨物軽自動車運送事業者にも課せられている義務ですから必ずやっています。特に、組合が配車をする場合はマストです。組合の事務所にアルコール検知器は必ずあります。中には、本格的な機器を設けて、ストローをその都度替えながら、毎朝来る組合員にチェックをしている所もあります。
 具体的には申し上げられませんが、ある組合でアルコール関係の交通トラブルがあった際に、県警から「赤帽さんではアルコールチェックをやっているのですか」という問合せがありました。そのときに、その組合は全組合員からアルコールのチェックリストを提出させていましたし、提出していない者には、理事長がメールを流して「早く出しなさい」と催促していたことをエビデンスとして出すことができたので、あなたの組合ではきちんとやっていたので、組合にアルコールで交通トラブルがあっても責任はなかったのですねみたいなことを言われたこともありました。ですから、その事例を踏まえて、今ほとんどの組合でアルコールチェックはしていますし、仕事を始める際の点検もしています。ただ、終了点検をやっているかというと、そこはまだ曖昧なところがありますので、今後の課題にしたいと思います。
○小野参集者 ありがとうございました。
○土橋座長 ほかにいかがですか。中村委員。
○中村参集者 東京工業大学の中村でございます。よろしくお願いいたします。お話を伺って分かったのですが、ほとんどが個人事業主で、自分が自分で安全の面倒を見るというか、管理しなければいけないという実態なわけですね。確認したかったのは、そうであっても組合的なものがあって、そのような所から何らかの個人事業主に対する指導等がきちんとできるのか、あるいはできずに、今の状況だと全く個人に任されてしまうのかということです。例えば、就業時間の問題にしてもそうですが、災害事例から見ても腰痛が非常に多いですよね。そういう意味では、本当は重量制限等の問題もあるはずなのですが、その辺も個人任せになってしまうのか、ある程度の指導があってそれに合致しなければ作業してはいけないとか、そのようなことができるのだろうかというのが1点目です。
 2点目は、本日のヒアリングの資料を見て分かったのですが、そこで作業する場合に、いろいろな装備を付けないと従事できない会社があると思うのです。例えばヘルメットを絶対自分で持てとか、そのようなものは基本的に雇用主側がきちんと付けるという指導をしているのですか。それとも、やはり赤帽さんが自分で確保しなければいけないことになるのでしょうか。以上です。
○長谷川様 御質問ありがとうございます。確かに、組合員は個人事業主ですから、組合本部としても命令等はできないのですが、とは言っても、いろいろな場面において指導は、赤帽は当然、定款規約、基準規定、いろいろ規則がありますので、それに抵触するような組合員、要は協同組合の基本的な理念は相互扶助ですから、自分だけよければいいという組合員がいらっしゃっては困るわけで、そういった場合の指導は当然、組合本部がいたします。ただ、なかなか除名というのは難しいのです。総会や総代会で、3分の2以上の方に除名への賛成を頂かないと除名することはできないのですが、指導はもちろんしております。
 それから、時間に関してですが、確かに指導はしています。24時間寝ないで仕事をしても、個人事業主、経営者ですからできますが、自己管理、事故を起こしては元も子もないですから、きちんと健康管理の下に就業時間も考えなさいというのは、これも指導というレベルです。
 重量物に関しては、基本的に1人で持てない物は持たない。お客様にも、2人あるいはフォークリフトを使うといった、そのような要望をしております。労働基準法では、18歳以上だと55kg以下という、これも曖昧なようなのですが、あと、厚労省さんでは、18歳以上の男性に関しては体重の40%、女性に関しては男性の60%までの断続的なあるいは継続的な、その辺は組合員にも十分に指導している状況です。
 2つ目の御質問、ヘルメット等は個人所有ということです。台車や毛布等、物を運ぶために必要な養生資材等に関しては、個人事業主の所有ということでやっております。そういったことでよろしいですか。
○中村参集者 今のお話ですが、赤帽さんが全部個人事業主だから自分の負担ではなく、本来ならば、発注者側である程度は面倒を見てあげなければいけないような気もするのですが、そのようなことはないのですか。発注者側で準備してということ。
○長谷川様 発注者側、お客様、荷主様ですね。荷主様に用意をしてくださいというのはほとんどないです。そんなに金額的に高いものは軽トラックで運ぶようなことはないのです。
○中村参集者 分かりました。今度は最初の質問に返って、時間や重量管理等のいろいろな指導はされているのだけれども、実際はどのように行われているかという確認はされているのですか。というのは、そこの部分を正してあげないと、この労働災害で出てくる数字は変わっていかないと思うのです。例えば、ヨーロッパなどでは時間管理は結構厳しいですよね。そのようなことを含めて、実際に指導していることと、実態がどうなっているのかというのは、どのようになっていますか。
○長谷川様 確かに、指導という言葉を使いましたが、組合員の仕事のパターンとして2通りあります。1つは、自分が顧客を持って、直接その顧客からの発注に対して運送している場合、これに関してはなかなか組合本部は把握できていないのです。もう1つは、組合が仕事を受注して、それで自分のお客様がまだいない組合員に対して業務委託をするという、そのような場合は、配車表というものがあるのですが、配車事業という中でやっておりますので、ある程度は把握できております。ですから、そこで先ほど嵯峨が申しましたように、連続して長距離をやらせないとか、業務時間が朝8時から7時までなので、その間、運送に関しては指導はほぼできるのかなということです。
○中村参集者 今のお話を逆に取った場合に、個人事業主で働いている方の安全を守る立場から見た場合、例えば組合が全国一律にこのような基準で仕事を受けるとか、そのような取組はできるのでしょうか。そうしていかないと、立場の弱い個人事業主はどこまでいっても弱いままでいってしまうと思うのです。
○長谷川様 それに関しては、赤帽というのは協同組合で独禁法の適用除外になっていて、全国統一運賃料金を持つことができますので、運賃・料金に関しては、ダンピングをしないでやらせていただいております。ですから、収入に関しては全国で組合が組合員を守れるということではあると思います。ただ、作業に関しては、これはなかなかなところがあります。
○中村参集者 今の安全上のところで何らかのガイド的なものを示してあげないと、これはいくら言っても、この事業主は危険な目に遭っても仕事をすると思ったので、そのような質問をいたしました。
○長谷川様 そうですね。それは本当におっしゃるとおりだと思いますので、今後の課題とさせていただきます。もちろん今、検討はしております。
○土橋座長 次にオンラインのほうから、三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 三柴です。今の中村委員からの御質問とも一部重なると思うのですが、赤帽の連合会は中小企業協同組合法が適用される協同組合ということで、協同組合化したことの、特に安全衛生面でのメリットについて伺いたいと思います。たとえば、取引相手との安全面を含めた勤務条件についての協議を行われたり、あるいはその協定を結ばれたことはあるかということです。さらには、法律上は協議ができない場合や整わない場合に行政に入ってもらうことができる枠組みがありますが、実際にそれをしていただいたことがあるかということを伺いたいと思います。
 その他にも協同組合化したことのメリットについて何かお感じかを伺いたいと思います。相互扶助も確かに中協法上のメリットではありますが、それが一番強いのか、その他、仕事を取りやすいとか、ブランド化が図れるなとか、そのような面があるのかを教えていただければと思います。以上です。
○嵯峨様 御質問ありがとうございます。まず、中協法上の協同組合としてのメリット、特に安全衛生に関するメリットなのですが、正直申し上げて、協同組合ができる団体協約であったり、お客様に対する団体交渉のような形、さらには行政に入っていただいて間を取り持っていただくような行為というのは、ほとんど事例がないという答えになろうかと思います。
 協同組合としてのメリットというのは、やはり小さい事業者が協同組合としてまとまることで、大きな仕事ができるということでして、具体的な事例を申し上げますと、血液輸送業務を、中国、四国地方で年間売上3億円弱の規模でやっていまして、1日60台ぐらいの赤帽が原血液、血液製剤を運んでおります。1人ではできない仕事を、組合でまとまることでできるようになるという、大手の運送会社に太刀打ちすることができるという営業上のメリットが、協同組合化の一番のメリットだと考えております。また、赤帽というブランドを使いますので、1人の組合員が赤帽に加入して、次の日から営業に行って赤帽ですと言うと、すぐに運送業者だと認識してもらえるメリットもあろうかと思います。
 ただ、安全衛生に関して、先ほどのワードの資料の3ページ目の(11)ですが、連合会として再発防止対策の検討や留意事項について会員に対して周知しているかという質問がありまして、次のページに、「また昨今、自動車会社の工場内に納品をするような場合に、ヘルメット、安全反射ベルト、安全靴の安全装備を義務付けられることが多いため、こうした装備を用意できないと配送の仕事をいただけない」という状況があります。これはトヨタ自動車の関連工場で集荷する際のルールなのですが、こうしたことに関する情報発信を積極的に行って、きちんと用意してくださいという情報を発信して、それを装備させることによって、組合員が仕事を受注しやすい環境を作るということも協同組合のメリットではないかということで進めております。また、赤帽の制服があるのですが、夜間の交通事故を防ぐために発光素材を、車にひかれないように光を反射する素材を使用していますので、この辺が安全衛生面での協同組合のメリットではないかと考えております。以上です。
○三柴参集者 ありがとうございます。よく分かりました。そうすると、取引相手との強制的な協議や協定まではしていないが、結局、仕事の取りやすさやブランド化は図れるし、相互扶助、教育研修というようなところでの協同組合のメリットはあるという理解でよろしいですか。
○嵯峨様 はい、おっしゃるとおりです。
○三柴参集者 よく分かりました。ありがとうございました。
○土橋座長 もうお一方、オンラインから出口委員、お願いします。
○出口参集者 出口です。よろしくお願いします。資料の御説明ありがとうございました。少し気になる点を2点ほど確認させてください。
 資料2に赤帽組合向け労災保険と書かれた資料がございます。詳細の部分で、給付基礎日額14,000円、10,000円、5,000円の3コースが記載されていますが、例えば建設業であれば3,500円から2万5,000円等、給付基礎日額の種類があるのですが、赤帽さんでこの3コースに限定されたのは、何か特別な意味があるのでしょうか。
 また、保険料が高額なため加入に躊躇する組合員が少なくないということなので、例えば給付基礎日額を3,000円、5,000円、7,000円と自由に変えることによって、保険料も下がってくるとは思うのですが、その辺の連合さんのお考えなどをお聞かせください。以上です。
○嵯峨様 ありがとうございます。まず、赤帽の労災保険が松竹梅の3コースに分かれている理由なのですが、申し訳ございません、これは昔からこのようなものが設定されているということで、今御質問を頂いてなぜだろうと私も思ったところがありまして、昔から労災を担当している職員が1人おりますので、その者に確認してお答えしたいと思います。
 もう1つ、安いコースを作ってはどうかという御質問なのですが、3,000円コースを作った場合には、1日の休業補償が2,400円になり、この金額だと生活をしていくには足りないので、ぎりぎり5,000円コース、この5,000円コースに対する3万300円も、私は高いとお話させていただいたのですが、これは年間の金額ですから、12で割ると月額2,500円ちょっとになります。なので、私は労災保険を加入させる別の立場としては、月に2,500円なのだから払ってくださいと申し上げて、組合員に極力加入を励行している状況もありますので、この5,000円コースの3万300円が、保険料としても補償としても最低限の水準なのではと思っておりますので、ここを限度に今後も展開を進めていきたいと考えております。以上です。
○出口参集者 ありがとうございます。
○土橋座長 時間の関係もございますので、追加の質問がございましたら後ほどのフリーディスカッションの中でお願いいたします。嵯峨様、長谷川様、ありがとうございました。続いて、全建総連の説明に移ります。説明は田久委員からお願いいたします。
○田久参集者 全国建設労働組合総連合から報告をさせていただきます。最初に、厚労省のほうからこういった質問というものがかなり細かいものでしたので、それ全ては対応しきれないなと思いまして、この間、少し条件が似たようなところで、全建総連としてのアンケート、集計を取ったり、ヒアリングも行ってきましたので、その生の声をちょっと伝えられればと思いましたので、前提としてはそういう構成とさせていただいたということです。
 最初にですが、全国建設労働組合総連合、略して全建総連と呼んでいますが、昭和35年に結成をされて、今現在、令和3年で、後々に出てくるのは6月の数字と3月の数字ですが、資料としては62万を超える組織があります。大工、左官を含めた建設業で従事する人、労働者だけではなく、一人親方や中小零細の事業主も入っています。また当初、中小零細の事業主だった人たちが、仕事が大きくなって法人化しているような、こういった方も入っていらっしゃいます。なお、全建総連としては、国保組合としても22の建設国保を持っていまして、約103万人の被保険者がいます。職業訓練校も82校を持っています。現在は72校で、在籍しているのは788人ということで、そういったような取組もしているところです。
 主な取組としては、やはり建設技能者の処遇改善をしていくといったことと同時に、もう1つ、地域との密着も図っていくという、こういうことで全建総連としては取組をしています。右の写真にありますように、木工教室などもやっていますし、応急仮設の建設、これは東日本大震災から始まったのですが、熊本地震、熊本の水害、こういったところでも木造の応急木造仮設住宅を建設して、被災者の救済をしてきています。さらには若い人たちの技術の向上にということで、一番上の写真にありますように、毎年、全国青年技能競技大会といったものも開催させていただきました。国交省、厚労省、あとは日建連さんにも後援を頂いて、表彰も含めて作っていただいているということで、今、若者が入ってこないという現状が業界全体の問題になっているのですが、これが7年ぐらい前からそういうことが言われまして、その取組を国、業界を挙げて進めています。特に賃金と単価の引上げと、法定福利費と言われている社会保険、皆さんサラリーマンにとっては当たり前なこれがなかなか入っていなかったので、これを促進していくといった取組をここ数年、特に強めてきたところです。
 次のページが全建総連の組織推移ですが、下には就労者数が出ています。464万人で、6月末現在で62万1,935人ということです。その構成比を見ていただくと、全建総連の中でも大体40代、50代がメインで、下の国勢調査での組織率で見ますと、70以上が多いということもあるのですが、全建総連の割合としては40代、50代が今一番多い組織なのですが、見ていただきますと10代、20代の割合が少なく、全体としても少ないということがはっきり分かるかなと思っています。平均年齢の推移としては、ここ数年は51歳を行ったり来たりということで、若い人を入れていこうというような取組も強まってはいますので、数字の変化というのは大きな変化はありませんが、その以前までは毎年0.2歳から0.3歳上がってきていたかなというふうに思います。
 下の就業形態という所ですが、事業者数というものを調べています。今回ですと、約13万ぐらいが事業所と言われていて、その中で、法人が幾つ、一人法人が幾つということが記載されています。ですから、一人法人と言われている方もいまして、今回はそれが9,665人です。個人事業所と言われている5人未満の所が5万3,686です。一人親方として入っている方が13万7,000人ということが報告として上がっています。ただし、組合からの回答として、54の県連・組合というものがあるのですが、そのうちの38県連・組合でして、割合としては全てからの調査はできていないということがありますが、数字としては把握しているのはこういう状況であるということです。
 さらに、特別加入の推移を掲載させていただきました。緑の棒が、国が調べた数字です。2020年で64万1,496人、全建総連の組合は、労働保険事務組合や特別加入団体というものが400を超えるものを全国で持っていますので、そこから加入しているのが18万4,560人いるということで、なおかつ雇用保険というものも増えてきているというところですが、その一方で、国交省のほうでも問題になっている一人親方化、こういったものも問題となっていまして、二極化がそういったところでは課題になっています。片やきちっと雇用をする、片や雇用できないから一人親方にする、こういった動きが実際にあって、本来であれば雇用が進めば一人親方労災加入者は減るかなということがあったのですが、そんなに変わらずいるというのが現状です。国全体の数字でいうと、64万人という数が異常に多いなというふうに思っています。国勢調査ですと、雇用者がいない一人事業主と言われているのが建設業では53万から57万というのが、この間、国交省も含めた説明でありましたから、それを考えるとはるかに多くなってきているこの数字は何かということで、やはり一人親方が偽装的なものもあるのではないかということが問題になってきているところです。
 次のページが、全建総連として調査した災害発生の状況です。これが死亡の数です。2021年、昨年ですが、28人ということで、見ていただきますと事業主が今回増えてきています。一人親方と言われている方は7人、労働者が7人という数字になりました。年々の数字では、減ったり増えたりということを繰り返しているなということがあります。数十年前から比べれば減ってはきていますが、それは国の動向と同じかなというふうに思っています。ただし、こういうふうに3つの形態で聞いているのは多分、国としてはないと思うので、この数字を全建総連の中での形態別として載せているというところですが、事例としては、これは両方とも昨年のものです。70代の板金工の方、トラックから屋根材を運んでいるときにトラックから墜転落をしてしまって亡くなったということです。これは足場などがないですから、こういった所の事故というのは結構多いです。2つ目は40代の塗装工です。両方とも一人親方さんですが、6mの高さから地面に落下して亡くなりました。墜落制止用器具、フルハーネスは着けていなかったということもあり、1人での作業ということだったので、「ドン」という音が聞こえて、現場にいた近くの仲間が気付いて落ちたことが分かったということですから、もしいなければ、一人であれば気付かないまま、若しくは助かった命も助からないような状況ということもあり得るのかなというのがあります。そういった事故で、この方は亡くなってしまったということです。
 次のページでは、2016年からの死傷者の数字を掲載をしています。これは建設業と書いてありますが、全建総連の調査の数字です。ここも労働者、事業主、そして一人親方ということで、分けて掲載をしています。調査もさせていただいているということで、2021年度ですと全体では7,867人ということですが、見ていただくとやはり一人親方、事業主が多い、割合的にも多くなってきているということで、一人親方が多く入っているという組織的な性格はありますが、例年、一人親方や中小事業主の割合が事故としては7割を占めています。特に気になるのが、一人親方がその全体の半分ですから、全建総連としても一人親方の安全対策というものは大きな課題になっているような数字です。
 また、事故別で見てみますと、実は国の調査とはちょっと違いまして、上位3つは変わらないのですが、次の所では「動作の反動・無理な動作」と、無理な体勢とかそういうことです。それと電動工具でのけがなどか多いです。やはり一人親方が多いので、その辺の教育が徹底されていないのではないかという全建総連としての分析もさせていただいています。
 そういった中で、2018年に厚労省さんのほうで建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本法というものができまして、この計画に基づいて初めて全国規模での一人親方の実態アンケートを取らせていただきました。その中身は、こういった危険なことだから労災に入りなさいねというチラシと同時に、ここの10ページにありますように、一人親方実態アンケートということで、こういった内容で調べてきました。厚労省の一人親方アンケートの中には、都道府県を書く欄がありませんでした。そういった点では、私たち自身も第2種特別加入労災保険加入者の加入の実態把握をしたいということで、都道府県単位で組織的に配布をして、組織的に回収を進めました。そのことによって、都道府県単位で把握まではできているのですが、実際に集められないといった県連・組合もありましたので、分け方としては、私たちは10個の地協で分けていまして、北東と書いてあるのは北海道と東北でして、北関東、東京、南関東、北陸、東海、関西と、こういう形で分けて集計を取ったものです。厚労省さんからは、単純な集計としては報告されていると思いますが、私たち自身は地域別に分けてということで、この組織的な経路を使ったことによって把握することができたということです。53のうち43県連・組合から、3万9,718枚を集めるということで、全体の24%、これは一人親方加入者のうち24%を、全国から集めることができたということで、本当に大きな取組にもなりました。
 その結果としては、やはり大工が単純に見ますと多くて、次に電気、内装です。また、平均年齢で見ますと54.7歳です。ただし、左官が59.9歳、約60歳ということで、高年齢化が目立ちました。大工と左官では高年齢化が目立ってきているということが特徴にも出てきています。
 地域ごとに見てみますと、場所によって少し構成は違いますが、北陸は組合で大工さんの加入が多いということもありますが、そういった特徴も現れてきたのかなということです。首都圏を見ていただくと、様々な業種がかなりの割合として加入しているということが分かるかなと、大工が突出しているということはないのがよく分かるかなと思います。
 主な働き方としては、一人親方さんの関係ではやはり地元の工務店が多いのですが、特に首都圏、北関東、東京、南関東を見ますと、工務店などよりも住宅メーカーや、不動産というのはパワービルダーと言われているような、そういった所が仕事先ということがよく分かるかなというふうに思っています。
 その受注の仕方というか、方法としては、厚労省のアンケートの中にもありましたが、出来高が全体として45.6%です。出来高ですから、こういう中には実質は労働者であったとしても出来高として1日幾らとか、こういう人たちも含まれています。材工込みの人というのは、真ん中にある数字ですから、そういう人たちが本来の一人親方のスタイルではないのかなというふうにも全建総連としては考えているところです。
 年齢と職種で見ますと、先ほど言いましたように、左官のほうが高くなっています。これも数字を見ていただければと思いますが、上位10種類の年齢別ということで掲載をさせていただいています。「空調・配管・衛生設備」では年齢が低くなっているというのが、左官とは逆で、こういったところが加入している人たちの全建総連傘下の一人親方労災加入者の中での数字になっています。
 働き先と安全経費の関係を見ますと、書面で契約をしてないというのは、工務店などでは多いということがはっきりしました。ゼネコン、住宅メーカーと比べても5ポイント高いということになりますから、この辺に関しては、書面での契約、安全経費、契約をしていないというものが全体では34.6%になっていますから、特に地元工務店やパワービルダーと言われているところが、書面なしという契約で仕事をしているということが明らかになったのかなと思っています。
 職種と安全経費の関係ですと、実は設備屋さんが書面での契約が少ないです。余り変化はなかったかなというふうには思いますが、全体としても34.6%が書面として契約はしていないということが明らかにもなっていますし、年齢で見ますと、書面で契約をしないというのは30代が頂点でして、そこから年代が高くなるとどんどん減ってきています。若ければ若いほど、書面で契約をしていない。書面で契約をしていないということは、そういった意味では偽装の形もあり得るのではないか、労働者ではないのかなということが読み取れるかなというふうにも思っています。
 さらに年齢別にここも見ますと、安全の関係の質問で、年齢と安全衛生対策ということでは、自ら進んで提案をしたことがあるかということですが、提案したことがあるというのは意外と多くて、全体でも54.6%ありましたから、そういった点では意識的にこういった声掛けもしていただいているということが調査の中でも分かりましたが、それでも半数で、特に40代をピークにして変化があるという、ちょっと山のようになっていますので、若い人たちはやはり知識がない、年配の人たちはなかなか言わなくなってきているということが、傾向としてはあるのかなというふうに思いました。
 職種で見てみますと、特に取り組んでいないというのが、左官と大工と板金で構成率が高くなっているということが、結果として分かりました。何もしていないという答えを出した割合が高かったのがこの3業種ということで、ここに対しての対策というのが特に求められるかなというふうにも思っています。また、働き先を見てみますと、特に取り組んでいないとふうに報告をされたのは地元工務店と不動産会社、これはパワービルダーとも言われている所ですが、こういう所での構成率が高くなっているという結果が出ています。ゼネコンや住宅メーカーさんは、かなり高い構成比になっていますので、やはり安全対策として何かに取り組むというところでは、地元の工務店、町場と言われている所の対策というものが重要ではないかということが明らかにはなりました。
 そういったアンケートを2018年に取って、全体の資料としては、全建総連でまとめたもっと細かいものもありますので、是非言っていただければお渡しはできると思いますが、そうしたことを経て、国交省のほうで2019年に現場で働く一人親方へのヒアリングということで、目的としては安全経費やその実態などということで調査をしていただきました。これは国交省さんがまとめていただいたものでもあるのですが、令和元年9月に2回に分けて約20人ということで、中身は1~7ということで、こういったことを聞いたということです。
 その中で、特に書面の関係でヒアリングをした結果でもありますが、書面による契約はないと、金額についても口頭だけだと、こういった意見も多かったのもありますし、大手に限っては工事請負基本契約を交わして2年で自動更新ということもありました。報酬の面で見ますと、坪単価あるいは一式幾らということで、坪単価も1.9万円ほど、1棟で60万に届かない。工期が遅れると応援が入ってしまうから、実際は30万にも満たない。こういった意見も出されたということです。
 また、安全衛生経費に関して言いますと、安全衛生経費として請求したが支払われたことはないと、そういった意見もありました。さらには下請条件では請求しにくいといった意見、浸透するのは町場が一番遅いという、やはりゼネコンさんや住宅メーカーさんと比べると遅いということが町場の方からの意見としても上がってきています。
 26ページですが、災害防止に向けた取組としては、専属的に働いているので先の取組は何もないという意見や、ゼネコンさんでは近年、「労災隠しは犯罪」という意識が浸透して、どんな小さいけがでも報告するように指導しているといった意見も出されていました。後でも報告をしますが、ゼネコンや住宅メーカーの安全意識のほうが高いということがヒアリングの中でも報告はされているところです。安全衛生に対するに器具・費用に関してはどうなっているのかということを聞いてみますと、今はヘルメットを皆さん現場でもしますが、自分持ちですから、使用期限があるのは分かっているが使い続けているということで、安全装備としては全く機能しないのではないかなというふうには思いますが、そういった意見、特にフルハーネスの義務化が始まりまして、このフルハーネスが本当に高くて大変だと、無料で貸してほしいといった意見や、一番下にありますように、本人は望まないのだけれども、会社に言われて一人親方になった場合は、安全経費等は会社が出してほしいと、これ自体はちょっと怪しいのですが、こういったような意見も出されているところです。
 さらに元方の関係の状況を聞いてみますと、その責任の感覚はどうなっているということですが、いまだに建設業ではけがは自分持ちという認識も強いということもありますし、やはり町場での事故は多いという報告が何人からも出されていたところです。また、安さを追求するパワービルダーが安全管理を徹底していないということで、安全性を損ねているという意見が何人かから出されたということもあります。工期の圧力によって、安全が犠牲になっているといった意見も出されたところです。
 最後のほうにありますように、町場の方ですなのが、建築はかつて神事で、大工が尊敬される存在だったが、その風習がなくなったことで、ひいては安全経費を払わない傾向につながっているのではないかという御意見も頂いたところです。
 行政に対しての要請ということで、やはり国、契約書のひな型や義務化をしてほしい、守らなければ罰則を課してほしい、こういった意見も出されました。真ん中のほうにありますが、安全衛生経費に関しては、建設関係者だけではなく、やはり一般消費者への啓発も必要、国がより積極的に広報してほしいといった御意見が出ています。特にこれは町場からは多いです。やはり直接、一般消費者に対応をしている皆さんの中からの意見が一番多かったかなというふうに思っています。
 このお話を頂いて、緊急に全建総連として7月25日、ちょうど約4年後ですが、全国的なところではなく、人数的にも少なかったのですが、9人に集まっていただいて御意見を頂くことにしました。その中でどういう変化があったのかということでしたが、余り変化がなかったというのが大枠のところです。
 30ページにありますように、安全衛生対策の状況についてでは、安全衛生対策の問題としては、出来上がっている住宅の場合は、周りが狭くて足場をきちんと作れないということで、これは町場の方の御意見でありましたが、ゼネコンの現場では、安全対策も熱中症対策もほぼされている、クーラーの聞いた事務所もあるし、最近ではトイレにもクーラーが付いている、こういった御意見は出ています。ただ、町場の現場にいると、脚立をまたいで使用してはいけないのに、またいで使用しているという。木造の町場の現場の安全衛生意識が本当に低いというような御意見ももらっていますし、一番下にありますが、危険な作業の関係ですと、アスベスト含有建材の除去の最中、防じんマスクを正しく使用していない人が多くいるという、法律が改正された内容が下まで伝わってきていないといった御意見も頂いたところです。
 31ページ、安全衛生に対する経費についてです。お客さんから足場の設置について、新築は問題ないのだけど、リフォームなどだと足場を設置して本当はちゃんと安全対策をやりたいのに、そんなにお金掛かるのだったらやめますと言われたということですから、やはり消費者が理解をしていない、理解してほしい、そういったことを啓発してほしいということを言っていました。一般消費者の安全対策がやはり本当に難しいと。大手ゼネコンの場合は安全対策の費用は当たり前に出ているが、それを一般消費者に求めていくのは本当に大変だというのが、リフォームなどをやっている方からの御意見でしたし、一番下にありますように、アスベストの説明を施主にすると、消費者の理解というのはかなり町場では難しい、アスベストの問題だけでもそういうふうなことを感じたという御意見を頂いています。
 32ページ、仕事の受注の関係や契約関係を見てみますと、これは町場の一人親方の方からですが、3日来てもらったら3人工分を幾らと言って払うと。もともと私たちは安い賃金の関係であったので、自分たちが3日手伝って、その現場が終わったら、今度は自分がその入った現場に3日その人に来てもらって、手間の貸し借りをやっているということが現状だということで、そういうときは契約というものも何もなく、ただ、お話を聞いていく上で、労災の関係も含めて何かあったときは、手間返しだとちょっと心配だといった意見がありました。また、契約の仕方ですが、電話や、今はLINEで行うということも報告をされています。さらに、平米で幾らという業種があるし、電気工だと120日手形で支払う場合もあるので、本当に支払われるまで金銭的に厳しい人もいるというような報告を受けたところでもあります。
 33ページ、働き方改革の関係と個人事業主のメリットということで、個人事業主のメリットについては2番目にありますように、束縛されない、休みの管理は自分でできるから時間も作りやすいといった面もあるのですが、若い職人からすると、その次にありますが、本当は社員として雇ってもらいたいのだが、会社の都合で暇なときなどを考えてしまって、一人親方にされてしまっているような現状があるというような報告があったということです。
 最後のページですが、最近の資材の高騰という関係も含めると、町場では資材の単価が上がっていると消費者に説明することができなくて、安くやってしまっていることもあるというような報告や、アスベストの事前調査が義務化になったけど、全く知られていなくて、このことに対して消費者に説明してもなかなか理解をしてもらえないということ、これは一般消費者だけではなく、元請にもなかなか難しいというような意見ももらったところです。
 その他ですが、キャリアアップシステムの関係、国が率先してやってほしいということや、工期の問題では現場での働き方、労働時間だけみたいになってしまっているが、そういうことではなくて、工期なども含めたものをしっかり考えてほしい。さらには、コロナに感染して、自宅待機というふうに会社から言われたと。いわゆるパワービルダーという方ですが、応援を入れて現場を終わらせたみたいな話をよく聞くということで、休んでいたその人は仕事ができないのだけども、勝手に応援を入れられて、仕事が終わってしまって、自分の手取りが下がっていた、そういった話も報告されました。
 全建総連としては、この間も一人親方の支援事業というものが厚労省でもありまして、安全パトロールも2019年から回っていまして、毎年2,000現場くらいを訪問して、アンケートなどを取っています。若い人たち、20代後半から30代前半の人たちは、その現場に行ったときには、そういう指導を受けたことがない、本当に来てくれてありがとうということも言われて、回った指導員も含めて、回ってよかったと、全体の安全対策として意識を高めるために役立っているのだったら、私たちとしてもやりがいがあるといったこともありましたので、今年度もそういった事業も含めて、全建総連としても取り組みたいところですが、ただ、やはり実態を見ていただくと、4年前と現在と余り変わらないということも含めて、コロナもありましたが、これが現状かなということで報告をさせていただきたいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問はございますでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 詳細な御説明ありがとうございました。私から質問というよりも、どちらかというと補足的な感じになるのですが、まずはこれだけの組合員の方々、莫大な人数がいらっしゃる中で、ここまで調査、分析されていること、それからきめ細かい取組、対策をなされていることに関して、本当に心から敬意を表したいと思います。建設業界としましては、これらの調査結果等に基づきまして、国交省、厚労省さんの行政、あるいは全建総連さん、あるいはその他の組合の方々、そして業界団体が一体となって、いろいろな取組をやっているということを、皆さんにもある程度御理解いただいたと思いまして、こういう機会を作っていただき、ありがとうございました。
 そういう意味では、論点1、2、3の中の2に関わる話になってきますけれども、少なくとも建設業界におきましては、法規制を強化することなく、行政のガイドライン、自主的な対策によって、ここまでやれていることを1つ申し上げたいと思います。もちろん、建設業固有の問題としましては、先ほど御説明がありました幾つかの業種、左官、大工、板金等の安全対策、あるいはリフォーム、小規模工事などの対策についての課題もありますし、個々人の危険感受性を向上しなくてはいけないという課題、あるいは発注者等への要請とか、諸々の課題はございますけれども、ここで申し上げたいのは、繰り返しになりますけれども、行政の御指導の下で自主的な対応でここまでやれていることを改めて表明させていただきます。以上です。
○土橋座長 コメントということでよろしいですね。それでは、中村委員。
○中村参集者 どうも御説明ありがとうございました。2つ確認したいのですが、1つは今のお話をお聞きして分かったのですが、安全経費とかの部分は、例えば国が発注してくる需要とか、大手ゼネコンとか、そういう所ではかなり認められるけれども、そうでない部分はなかなか認められないと、まずはそういう理解でよろしいのですか。
○田久参集者 そういう理解でいいと思います。特にトイレの工事やお風呂、水回りといった所の工事など、皆さんやると思うのですが、そういった辺りの理解はかなり薄いと思います。
○中村参集者 今、田久さんがおっしゃったとおりで、そういう構造がある場合に、どうしたら正していけるかというときに、今お聞きしながら、時々出たのは、先ほどの国のような基準のガイドとか、あるいは大手ゼネコンでガイドを作ったとしても、抜け駆け的にそうではない価格でやってしまうような人がいるとか、そういうような部分に対する規制とか、そういう考え方はどうやっていくのでしょうか。
○田久参集者 そこは、やはりそうやってしまっていることが問題であって、特に今で言うとアスベストの事前調査が義務化されていまして、この中ですと、私たち自身は組合としては、アスベスト被害者を救済するという動きと同時に、もう出さないためにも法律をきちっと遵守してやるべきだということで、その取組を進めて、そういった資格を取ったりして調査することを進めていますから、ここは国だけでは大変であれば、私たち労働組合とかで活動した安全パトロールをさせてもらったりして、チェックをしていく体制などを取っていかなければいけないのではないかなという気がしています。
○中村参集者 そういう意味では、1つは、大きくは国とかそういう所のガイドライン的なものが要るのだけれども、それとは別に、個々の組合員としても、もう一度その部分をどうするかと考えないと、今の安全対策だといつまでたっても変わらないということですね。分かりました。
 今の消費者の問題でお聞きしたいのですが、消費者の理解がかなり問題だということはお聞きして分かりましたけれども、ただし、消費者に訴えていくには、これは建設のこの業界では難しいような気がするので、具体的にどんなことを考えていらっしゃるのか、あるいは、その面で国へのお願いがあるのか、どのように考えているのかお聞かせください。
○田久参集者 今、一番でいきますと、安全経費の問題もそうですが、先ほど言ったようにとにかく新しい法に変わったアスベストのこともでして、僕はずっと言い続けているのは、どの検討会でも言っているのは、広報、政府広報ですね。ああいったものとか、アイドルを使ってもいいですから、やはりそういったコマーシャル的なことをやらない限りは、なかなか広がらないかなと。
 それから、同じようにキャリアアップシステムを作ったとしても、この理解も進んでいないので、この人たちの給料が高くなる、技能がある人が高いのは当たり前なのですが、こんな高いのだったらやらないよみたいなことも消費者としてあるので、今すぐにとはなかなか難しいと思うのですが、やはり継続的にやっていく必要があるのではないかなと思います。そういう意味ではコマーシャルですよね。様々な媒体を使ったコマーシャル、広報活動というのが私は重要だと思っていますし、もちろん、毎年必ず組合の中ではお知らせをするような資料を配布する作業もさせていただいています。大体、一人親方さんと中小零細事業主合わせて20万人ぐらいいますので、その人に対しては必ず毎年1回か2回、そういった安全対策と安全経費というような問題の資料というものを配布させていただいている状況です。
○中村参集者 追加質問ですが、例えば個人事業主に対して、ある程度セーフティーネット的な、最低ガイドライン的なものがあったほうがいいとか、そういうことはお考えですか。
○田久参集者 それは必要だとは思っています。最低限でも。でも、建設業法の中にはあるので、やはり町場がそこを守るということもあるので、そこをより徹底することが必要かなと思っています。
○中村参集者 そういう意味では、セーフティーネットはあるけれども、それは必ずしも守られない状況があるので、むしろそれをきちんと指導とか何かやっていただきたいということですか。
○田久参集者 そのとおりです。
○中村参集者 ありがとうございました。
○土橋座長 ちょっと時間も押しておりますので、追加の御質問がございましたら、次のフリーディスカッションの所でお願いしたいと思います。田久委員、ありがとうございました。
 続きまして、事務局より別途事前に実施した日本化学工業協会へのヒアリング結果の概要について御報告いただきます。お願いします。
○船井安全課長補佐 よろしくお願いいたします。それでは、資料4を御覧ください。1枚めくって、ヒアリング概要ですが、このヒアリングにつきましては、7月6日にオンライン方式で、事務局のほうから一般社団法人日本化学工業協会様のほうに、会員企業4社を集めていただいて実施したものです。主なヒアリング項目については、下のほうに1~4までありますが、資料の中にも出てきますので御紹介したいと思います。
 スライドの3枚目ですが、個人事業者の就労状況です。(1)ですが、工場内で個人事業者、いわゆる一人親方がどの程度働いているかをお伺いしました。それに対する回答につきましては、下にあるように、工場内で定常作業で働いているケースは少ない、若しくはないという状況ですが、工事とかスポット的な業務ということで、工事を請け負った元請さんの下請として入っているというような形では、割と頻繁にあるとのことでした。したがいまして、化学工業の、いわゆる本業の中での一人親方というのは、ほとんどいない状況です。
 (2)で、どのような業務を担っているかという部分については、今のと重複しますが、大工仕事だとか足場の設置、電気工事とか、いわゆる工事の下請として入っているケースが多いということでした。
 次のページ、契約の状況です。直接契約か、それとも下請が契約しているかということですが、やはり工事の下請で入ることが多いので、直接の契約はないとのことです。ただ、工事が大きくなってしまうと、一人親方なのかどうかがなかなか把握できていないことがあるようでして、ある工事では災害が起きて初めて、隣の県から来られた一人親方であることが分かったというような事案もあったということです。
 (4)個人事業者のニーズですが、ニーズがある、ないという部分については、各社でお考えが少し違ったような感じを受けました。いずれにしろ、工場の現場においても、技能労働者の不足は顕在化しているようでした。これは建設業界でも同じようなことが言えるのではないかという感触です。
 (5)ですが、請負以外の形態、例えば委任とか、売買契約の一貫としてその場で何か作業をするというような方はいますかと聞いたところ、コンサル業務などでは一部あるのですが、労務提供という形は請負以外はないというのが各社の御回答でした。
 続きまして、2番目、個人事業者との連絡調整です。(1)にありますが、個人事業者が行う作業について、工場側としてどの程度把握しているかということです。こちらにつきましては、全般的にちゃんと把握できていると。当日の作業開始前のミーティングなどで作業内容を確認するとか、そういった形でちゃんと把握できていると、入場者もちゃんとリストアップしている、教育状況なども入構者教育を徹底しているということで、しっかり把握できているということですが、ボリュームが非常に少ないスポット作業だとなかなか把握できない部分もあるという御回答でした。
 あと、製造委託とか工事ではない部分です。構内下請といった場合の作業の状況の把握についてですが、製造委託の場合は、委託先の会社でしっかり管理しているという状況です。親会社、工場側としては、協議会とかパトロールや監査という場面で、委託先の会社がしっかり管理している状況を間接的に確認するという形でやられているということでした。
 続きまして、次のページの(2)です。労働者、下請事業者の労働者の方、個人事業者、いろいろな作業を行っていると思いますが、情報共有や連絡調整をどの程度しているか、また、それは誰が行っているかという部分です。こちらにつきましては、工場側の工事の担当の責任者が窓口になって、いろいろなミーティング、個別ミーティングや合同ミーティングを1日に朝夕2回という形で行っているという回答がありました。ほかの会社さんも、形とか頻度にばらつきがあると思いますが、いずれにしろ連絡調整の責任者を決めて、担当者、責任者を決めて、そういった方が窓口になって、しっかりコミュニケーションを取っているという状況が確認できました。
 (3)ですが、下請事業者の労働者とか個人事業者が行う作業について、調整が必要だというとき、どういう方法で調整しているかについて確認したところ、各社とも、自社の工場側の責任者と下請事業者の責任者との間でコミュニケーションを取って、依頼を指示することが基本であると、関係者が複数に及ぶ場合には連絡協議会などで実施することもあるということでした。
 今、申し上げたのは連絡調整の具体例でして、お話を聞いたものを幾つか挙げております。お話をお伺いする中で、化学工業ならではという、非常に特色があると感じたものを2つほど御紹介させていただきます。下から3つ目のポツを見ていただくと、個々の作業者まで安全な方法で工事を行っているか、特にリスクのある作業を適切に行っているかといったことを確認するということで、これはなぜかというと、化学プラントで火気を使って溶断作業を行う場合は、常に爆発火災と隣合せで、非常にリスクが高いわけです。したがいまして、間違った箇所を溶断してしまうととんでもないことになることもあるので、溶断箇所にシールを貼ると、シールを貼ってここを溶断するのだと、作業者とか工事責任者、工場側のプラントの担当者が集まって、3人で確認した上で、ここは大丈夫ということで溶断作業をするということでした。これは連絡調整の具体例ですが、ここまで徹底してやられている例もありました。
 あと、一番最後のポツにあるように、化学工業の工場における工事は、通常の建設工事とは違って危険源がある中で工事を行いますので、工場側の人は単なる発注者という意識ではなくて、自社であろうが工事関係者であろうが、厳しい管理の下で安全管理を徹底しているというお話がありました。
 続きまして、2の(4)です。下請事業者や個人事業者に対して直接業務上の指示をすることはあるかという問いについては、直接の指示は原則禁止でして、管理責任者を通じて指示をしているということです。後ほど出てきますが、偽装請負という観点を非常に気にされておりまして、やり方については注意を払っているということでした。
 (5)です。これはちょっと趣が変わりまして、工場側の労働者の方がいない状況で作業をすることはあるのかと、誰がどう管理しているかですが、各社ともそういう作業はあるとのことでした。ただ、どうやって管理しているかはケースバイケースで、下請事業者の安全管理の下で実施する方法、若しくは下請事業者が管理したものを、工場側はチェックリストみたいなもので管理状況を確認するという、パトロールなどもして確認するといったやり方、あと、定常作業をやっている際に、自社のラインと下請のライン、業務委託したラインが同じような形で並行してやられている場合には、お隣のラインを自社のラインの工場側のリーダーがまとめて見るというような形もあるとのことでした。これは複数のラインが同時に動いている工場ならではの管理かなと感じました。
 2の(6)です。今、申し上げた際に、工場側所有の機械設備を稼動することがあるかということです。これは、稼動することはあるという回答もありました。いずれにしても、稼動を認める場合はあるのですが、メンテナンスとか故障対応といったものについて、機械は使っていただいているのですが、機械自体の所有権が工場側にありますので、そこは線引きをして、メンテナンスとか故障対応は自社で全部やるということ、生産委託をしている場合であっても、委託先に日常的な管理はしていただきますが、不具合があれば自社で対応しているというお答えでした。
 続きまして、3の個人事業者の安全衛生管理についてです。(1)として、工場の安全衛生管理、巡視も含めた管理について、下請とか個人事業者も対象に含めているかという問いについては、各社とも対象に含めているし、むしろパトロールの際の確認のポイントにもしているとのことでした。作業に関する教育については、各社とも何らかの形でやっているということでした。その関与の度合として、元請さんにお任せするような場合もあれば、入構時に教育対象者も含めてその都度実施しているような場合もあるということです。これは工事の規模によって、誰にメインでやっていただくかというのは結構ばらつきがあるようです。あと、資格の所持状況とか保護具の状況についても、資格確認を徹底しているとのことです。それから、保護具については、確認する場合もあれば、必要なものを工場側で直接支給しているようなケースもあるということでして、いずれにしろ、保護具についてはしっかり確認がなされているとのことでした。
 次のページ、(4)の健康診断、特殊健診の関係ですが、各社とも製造で常駐している委託関係の方については、自社の労働者の方と一緒に実施している状況です。ただ、工事の関係の方については、元請にお任せしているとのことでした。あと、工場の安全確保のためのルールの遵守とか作業方法について、それをどう周知しているかです。こちらにつきましては、作業開始前に教育を徹底していると、そういったルールの徹底も図っているという会社もありました。中には、年に何度か共同で教育を実施している所もありましたし、委託先の責任者に教育や周知を行って、そこから伝達という形でやっていただいているようなケースもありました。下から2ポツ目にあるように、例えば、有害ガスが漏出するタンクなどについては、責任者にやるだけではなくて、その旨を工場側から直接教育するというお話がありました。
 次のページ、下請事業者や個人事業者に対する作業の安全管理はどう行っているかです。安全上問題がある場合は、その場で直接指導することもあると。(7)ですが、災害の状況です。こちらにつきましては、構内で発生したものについては、労働者であろうが個人事業者であろうが、各社とも全て確実に把握しているというお答えでした。
 次のページ、3の(8)ですが、何かトラブルが発生していると。そこは大きなトラブルはないが、もしあれば真摯に対応すると。あと、災害の傾向については、個人事業者であることによる違いは、大きなものはないとのことでした。それから、災害の原因究明は、各社とも、敷地内で起こったものについてはしっかりやっているということでした。また、補償の観点で、工場で作業をする場合、保険加入しているかという部分について、3社については、特に加入していないとのことでしたが、1社は、保険未加入者は社内規程で入場制限をかけるような取組もやられているとのことでした。
 最後、4の課題ですが、個人事業者も含めた混在作業の安全管理について、どういう課題があるかです。一人親方の方は、なかなか把握しきれないケースもあるという、要は工事の規模が大きくなると、二次下請以下になるとなかなか分からない部分もあるというお話でした。あと、大きなゼネコンが管理している場合は安心なのだけど、小さい工事とか、規模が小さい元請の場合、下請まで安全管理が行き届いているか不安だというケースもあるということです。先ほども少し出てきましたが、下請の労働者の方に対する安全指示、直接指示という観点で、こういったのをやるとコミュニケーションが良好になって、安全管理がやりやすくなるという点もあるのですが、やり過ぎてしまうと偽装請負になってしまうことに注意しなければいけないので難しいという話です。それから、棒芯と書いてありますが、いわゆる安全関係の親方のような立場の方なのですが、こういった方の負担は大きいけど、この人がしっかりしていると現場の安全意識が大きく変わるのだということ、ただ、そういった現場をしっかり指導できるような人が少なくなってしまっていることも課題であるということです。
 最後ですが、一人親方の方に現場で仕事をしていただくことについては、安全に関する知識とか、作業の力量を見極める必要があるとか、組織として回しているルールや基準などについて理解度をしっかり高めていただくことも重要でしょうと。あと、個人事業者の方はスポット的な仕事をうまくつないで、やりくりしながら仕事をされている方も多いので、安全衛生に関する詳細な情報がアップデートされていないケースもあるのではないかということが課題として挙げられておりました。以上、ヒアリングを通じて把握したものを御紹介させていただきました。私からは以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。本日は、日本化学工業協会の方には出席いただいておりませんので、ただいまの説明に関する質問は、別途事務局から協会に確認していただくことになります。基本的には、次のフリーディスカッションの中でお願いしたいと思いますが、特にここで質問しておきたいということがあればお受けしますが、よろしいですか。では、中村委員、お願いします。
○中村参集者 今日の報告の中で、特に個人事業主と一般の下請と区分する形での労働災害のデータの報告がなかったように思うのですけれども、個人事業主は労働災害が多いという感じですか。それともあまり差はなかったという感じですか。
○船井安全課長補佐 件数自体まではお伺いしなかったのですが、何か違いはありますかといった聞き方をしたところ、この紙にもありましたように、あまり違いはないというお話ではありました。ただ、入る仕事自体が建設工事の諸々の作業なので、例えば墜落、転落が多いだとか、そういったような傾向の話は少し頂きました。
○中村参集者 私も大体そういう認識で合っているのですけど、もう1点確認ですが、今回調査されたA、B、C、Dという4社は、いずれも化学業界としては大手だと思うのです。それで、それ故に結構下請の個人事業主に対しても、かなりの指導が行われていると思うのですが、もうちょっと小さい規模についての、そういう話はあったでしょうか。
○船井安全課長補佐 今回ヒアリングさせていただきましたが、日化協さんを通じて会員の企業様、メーカー様にお集まりいただいてお話を聞きましたので、どうしてもその範囲ということになってしまいまして、個社の状況というのを、こういう形で並べさせていただいたというのが状況でございます。
○中村参集者 私は大体この会社だろうと思って聞いていたのですけど、ほぼよく管理やっている会社だと思います。その中で1点、やはり言ってきたなと思って聞いていたのは、偽装請負の話でして、そこはかなり各社とも心配されてましたでしょうか。
○船井安全課長補佐 各社とも、定修工事みたいなことで入られる場合においても、単なる発注者ということではなくて、工場という中で作業が行われるので、かなり踏み込んだ管理をされているなというように、お話を聞いていて感じました。そうした踏み込んだ管理をされる中で、本当はもっと具体的に作業している人にいろいろ話ができたら、もっと工場全体の安全管理がうまく回るのだけれども、という話がありました。ただ、あまりやり過ぎると直接の指揮命令みたいな形になって、逆に偽装請負になってしまうということもあるので、そこを注意しなければいけないところに、私の主観ですがちょっともどかしさを感じておられるのかなと感じました。
○中村参集者 今の点について各会社からよく言われるのは、偽装請負と、いわゆる安全指導との兼ね合いに対して何らかのガイドライン的なものがあればいいなということを結構お聞きするので、その辺も考えていただければと思います。
○土橋座長 よろしいでしょうか。ほかの質問がございましたら、フリーディスカッションのほうでお願いいたします。
 それでは、議題2に入らせていただきます。ここまで御説明いただいた内容を踏まえて、フリーディスカッションの時間とさせていただきます。ヒアリングで御説明いただいた内容についての追加の御質問についても御発言いただいて結構でございます。最初に申し上げたように、ここでは論点1及び論点3に関してもディスカッションの対象となります。論点1及び論点3については、今日の参考資料2と3に説明がございますので、必要に応じて御参照ください。それでは、御発言があればお願いいたします。森委員、お願いいたします。
○森参集者 ありがとうございます。先ほどの化学工業のお話の中で、最後にディスカッションの話がとても大事だといました。偽装請負の話というのは、場合によっては安全衛生対策をちゃんとやらない言い訳に使われたり、逆にしっかりやろうとすると、それが躊躇をしたりするところがあって、指揮命令と安全衛生ルールをきちんと守らせるところの線引きを明確にしないと、どちらの立場にとってもいいことはないのではないかと、本日の話を聞いてても思いました。やはり踏み込んだ、どういう状態が望ましいのかを明確にすることが大事ではないかと思いました。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。偽装請負について御意見いただきました。ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 ありがとうございます。森委員の意見に関連して、情報共有と確認をさせていただきたいと思います。
 私の手元に「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集(第2集)」というものがございます。その問5では、「労働安全衛生法第29条では、元請事業者が講ずべき措置として、関係請負人及び関係請負人の労働者が、労働安全衛生法令の規定に違反しないように必要な指導や指示を行うことが同法の義務として定められています。これらの指導や指示は、安全確保のために必要なものであり、元請事業者から下請事業者の労働者に対して直接行われたとしても、業務の遂行に関する指示等には該当しません」と明記されています。この内容は委員の皆様には御案内のとおりで、頭の整理としてご紹介したものですが、中村委員や森委員の御指摘を踏まえると、安衛法第29条に基づく指導や指示が偽装請負に該当しないことはクリアになっているけれども、それ以外の安全指導についてどのように明確化すべきかの議論を、現場の実態も踏まえて是非行っていただけるとよろしいのかと思います。意見というよりも、議論を整理するための発言としてお聞きいただければと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。日下部委員、お願いします。
○日下部参集者 日下部でございます。たくさんの業種のお話を伺わせていただきまして、大変勉強になりました。私の印象では、業種ごとに課題はかなり多様だなというのが、まず1つあります。一方で、実態把握というのは必ずしも十分でない業種が多かったかと思います。それから、論点の1と論点の3というまとめ方は、基本的に3回のヒアリングを聞いてみると、大体そこに当てはまるのかなと思いました。ただ、支援という言葉がございましたが、前回の芸能者のお話と今回の全建総連のお話を伺いますと、全体業種のある意味のスケールメリットと、それから業種の経験の度合、こういうものによって随分違うと思いました。そうすると、支援という言葉が、この論点1、論点2の中にどう位置付けをするかということをもう少し明確にすると同時に、労働組合そのものの支援というのもどこかに含めた議論が必要なのかなというのが、私の3回のヒアリングのお話を伺っての現在の頭の中の整理でございます。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。いろいろ掘り下げるべき課題も出していただいているかと思いますが、まずは、今日はフリーディスカッションということでお願いしたいと思います。三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 御指名ありがとうございます。1つは安全対策をちゃんとやることで、指揮命令関係を認められてしまうのではないかという議論について、先ほど29条との関係では解釈例規があるということで、安心して安全対策をやってもらって構わないというお話がありましたが、平成22年4月13日にの内閣衆質174第347号、要するに国会での答弁において、安全対策をちゃんとやったからといって派遣先と見られることはない、だから、安心して安全対策をやってくださいというようなことが述べられています。しかし、先ほどもおっしゃられたように、もう少し行政のほうでその内容を一般的に通用する原理なのだということ、安全対策はちゃんとやってもらって構わないのだと、それで雇用責任に関する不利益は被らないことをお示しいただくことは必要ではないかと思っているというのが1つです。
 もう1つは、全建総連さんに伺いたいのですが、今日お話いただいた中で、赤帽連合会さんは協同組合で、全建総連さんは労働組合ですよね。労働組合として一人親方について、発注者等に対して何か交渉を持ちかけられることがあったでしょうか。協同組合さんでも、契約条件の適正化ということには相応の役割を果たしておられるのかなと感じたのですけれども、本来、労働組合であればその役割機能が更に強くないとおかしいということも言えるわけです。その点、全建総連さんはどのような取組をされてきたかということを教えていただければと思いました。以上です。
○土橋座長 それでは、田久委員のほうからお願いいたします。
○田久参集者 御質問ありがとうございます。組合として、発注者としての交渉の部分でいうと、実は今日参加していただいています日建連さんや住団連さんも含めたところでは、年に2回企業交渉というものを行って、労働条件のことをやっています。最近は、さっき言ったいわゆるパービルダーと言われている所に対しても交渉を始めて、意見交換も含めたことをやっています。そうでないと、業界全体でとにかく若い人を入れていかないと、本当に10年後の仕事をこなせる人たちがいなくなるという危機感の下でもありますので、20年ぐらい企業交渉は年に2回やっておりますので、そういったところで、こうした中身の報告や全建総連で調べられた賃金実態や労働条件などを交渉していて、現場の声なども、現場の人を交渉の中に連れていってお話をしていただいたりという、こうした現状であります。
○三柴参集者 ありがとうございました。
○土橋座長 ほかに御発言ございますか。清水委員、お願いします。
○清水参集者 ありがとうございます。赤帽組合さんの話の中でもありましたように、納品先で付帯作業があることは、事務所では分からないということ、積み先でも同じだと思うのですが、積み待ちであったり、降ろし待ちということも当然あると思うのです。労災のことについて、体の部位で書いてあったのですが、事故の原因としては転落とか転倒というものが多いという認識でよろしいでしょうか。陸災防の関係で統計を取っていると、転落や墜落が多かったと思いましたので、トラック事業と赤帽さんの組合とも、事故の要因としては一緒なのかなと。お客様に受け渡す現場で事故が起きている。そこは、受け渡し方を統一されてないというか、いろいろな受け渡しの仕方があって、そして事故が起きている。それに対しての訓練や装備なども、その場に行ってみないと分からないことがあって、それは法人であっても、個人事業主であっても同じなのかなというのを再認識いたしました。
 それと、中村先生もお話されていたのですが、やはり連絡だとかというのも、降ろし先に行ってみたり、積み先に行ってみないと分からないことが多いので、細かい連絡だとかができないというのも確かにあるのだなと。それは発注者側次第であったり、発注者側というのは企業側の話もあるし、赤帽さんの組合だと個人の問題もあるわけです。そういう問題もあるのだなというのを再認識いたしました。
 それから、全建総連さんの話の中で、トラックの荷台から墜転落してお亡くなりになった方の話が出ていたのですが、建材とかを運ぶ事業者も手伝いをさせられたりというのが、その現場に行ってみないと分からないというのがあって、これはたまたま大工の方がお亡くなりになっているのですが、実際はもしかしたらドライバーだったかもしれないということも思った次第です。運送約款などの中では、大型車はヘルメットを装備するとか、法律の中でもあるのですが、小型車はヘルメットを装備しなくてもいいんですよね。そういう安全対策の費用もお客さん側からもらえてないのだろうし、安全靴や何かについても多分自腹を切っているのか、会社側が払っているのかということでやっているのだろうということは、今日のお話を聞いてよく分かりました。ありがとうございました。
○土橋座長 一部、赤帽協同組合さんへの質問もございましたが、何か御回答があればお願いします。
○嵯峨様 労災の原因はおっしゃるとおりですけれども、やはり交通事故も多いです。長距離配送して帰るのに、また、次の仕事があるから急いで休憩を取らずに、深夜ちょっとスピード出して運転して、眠気に襲われて事故をしてしまうこともあります。あと、腰を痛めるということもあったのですが、この間の北海道の組合のほうで、パワースーツというのがあって、何か装着して機械の力をうまく活用して重い物を運ぶ、引越し作業に応用できないかとか、そういったことを独自の組合で試験的にやっている所もありますので、もしも、国策などでそういう試験をやれるというような機会がありましたら、我々にお声掛けいただければ御協力させていただきたいと思います。
○土橋座長 ありがとうございます。
○清水参集者 パワースーツはJALや何かで、荷役をやるのに既に試験導入されているそうです。ただ、これもやはり荷主さん側に安全対策費用というのを出していただかないと、なかなかできない話だと思っています。
○土橋座長 ほかに御発言ございませんか。中村委員、お願いします。
○中村参集者 今回いろいろな業種からの話をお聞きしていて、やはり業種によってかなり考え方が違うことが分かってきました。それで、1つの考え方として思ったのは、いわゆる発注側というか元方側が、その下請がやっている業務の中身をどこまでコントロールできているかどうか。例えば、最後にあった化学業界なら、結構自社の中の仕事なので、個人事業をやっているとしても、大体こういう仕事だということを分かってやっていると思うのです。ところが、例えば森林とか何かで、行ってみなければどんな仕事か分からないというところもあるし、そういう意味ではなかなか把握できない部分があるので、発注側の責任ということで論点1に書いているのだけど、どの程度かの中身を知るかによって、どういうデューティを課しているかとかを考えなければいけない。逆に、そこが把握できない部分に関しては、国がある程度ガイドライン的に作ってあげないと、なかなか難しいかということを感じておりました。それから、一口で個人事業主と言っていたけれど、本当に個人事業主という方と、どちらかというと下請の一部が個人事業になっている形もあるので、その辺の雇用のことも考えて議論をまとめていく必要があるかと思って聞いておりました。私の感想でございます。
○土橋座長 そのほかにございますか。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住団連の青木です。安全経費に関しまして、住宅の場合とかリフォームの場合、先ほどもお話ありましたように、ほとんど一般のお客様が発注者ということになります。その際に、補足になりますが、例えばお客様に見積りを出したときに、「経費です」と言うと、そんな経費に乗っかっているもの、例えば足場、そんな足場なんていうのは注文してないんだということで、その部分を値引きしろと言われるケースが結構あります。そういった意味合いでも、啓蒙活動的なことはやはり重要なのかなと思います。
 もう1つは、リフォームなどでたまに問題になるのが、ダイレクトメールとかで入ってくる屋根や外壁の再塗装をやりますというのありますが、ものすごく安いのです。実際、そういった工事を見てみると、足場も非常に簡素というか、やってなかったりとかなのです。真面目に足場、安全対策をやっている業者さんは、当たり前ですが金額も高くなるわけです。ただ、一般のお客様は安いほうがいいということで、先ほどと同じように、足場なんか頼んでないんだと。やってもらうこと、例えば再塗装だとかそういったものがきちんと終わっていればいいんだというような形で、真面目にやっている業者さんが損してしまうというようなことですね。そういった形で、いかに安全に関して経費を重視しているかが、会社の信頼性に直結するのだというような、そういった意識をやはり一般の方々に浸透していくという事が非常に重要ではないのかと思いました。以上です。
○土橋座長 ほかに御発言ございますか。田久委員。
○田久参集者 すみません。今日報告もさせていただいた中にもありますが、災害の発生状況、何度も意見をさせていただいていますが、状況の確認の意味では、改めて今日御報告をさせていただいた中でも感じたのは、組織的な配布回収ということも含めて、細かな数字を取ることができたということであれば、この実態を把握していくところに、その特別加入団体の活用ということ、もちろんその特別加入団体自体が安全措置をしなくてはならないとなっていますから、そういったところで、今ある特別加入団体を活用した一人親方等の災害の把握をするようなことは、是非今後進めていく必要があるかなというのを感じているところでもあります。
 先ほども言われたように、一般消費者に対する啓発というものが、正直言って、町場では重要というか、こんなに法律だけ厳しくなっても耐えられないという声が本当に出てきています。真面目にやればやるほど仕事が取れないということになっているのが現状で、そこはきちん、国若しくは業界も含めてバックアップ支援をしていく必要があるのではないかと改めて思っています。それはどの産業も一緒だと思います。赤帽さんの所も含めて、安全経費を乗せた経費を、団体にもこれだけ必要だとしっかり明示をしていくということ、それは台車が1台安いからというものではなくて、それも1年かければ、ヘルメットも1年で変えないといけないしというトータル的経費も含めた安全経費という考え方も含めてやっていかなければ、お金をもらわなければやらないと思いますので、そこをきちん、それから並行して考えないといけないのかと思います。対策だけ組んで、あとお金は知りませんというのはなかなか難しいかなと、聞いていても、報告しながらも思っておったので、是非その辺も含めて検討していただければと思います。
○土橋座長 そのほかに御発言はございますか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 私からは、感想と赤帽連合会さんへの質問でございます。まず、感想ですが、これまでの議論の中で各業界からいろいろなお話を頂きました。芸能従事者、イラストレーター、それから本日と、いろいろな業界の話をお聞きしましたけれども、やはり感じますのは、皆さんがおっしゃっていますように、それぞれで就労環境が本当にかなり違う、被災の内容も違う、実態把握とか取組の内容もかなり違うというのが、改めて私自身認識できた次第であります。そういう意味では、対策は非常に重要なのですが、もう少しそれぞれの中で実態把握というのがないと、本来の対策、本質的な対策はなかなか難しいのかと、実態把握ありきというような気もしないでもありません。それから、同じく対策を取るに当たりましても、一括りで議論して、ある方向で決めるというのは非常に難しいと思います。共通な課題もたくさんありますが、固有の課題も相当ありますので、そういうところも認識しながらやっていくことがとても必要かなというのが感想でございます。
 もう1点、赤帽連合会さんへの質問でして、私は運送関係が全く分かりませんので素人の質問で恐縮ですが、3点ございまして、1つは、先ほどのA4の資料の最後の課題にあります特別加入の話です。国庫からの保険料一部補填とか、個人事業主が加入できる労災保険を広くアピールして加入者を増やすことで保険料を下げるという話がございまして、もちろん個人事業主ですので事実上の社長ですから、国庫の補填というのは非常に難しいのでしょうけれども、この特別加入をアピールして加入を増やすということは非常に大事だと思うのですが、これは主体としては、誰が一番やれば効果的なのでしょうかというのが1点です。
 それから、2点目は同じく課題の中で、荷主による下請法違反行為があっても泣き寝入りするケースがあるとございます。この下請法違反の内容なのですが、恐らくダンピングということでテーブルに乗せるのはなかなか難しいと思うのですが、例えば内容としては未契約だったりとか、あるいは費用の不払いとか、そういうものなのかどうかというのが2点目です。
 3点目は各論で恐縮なのですが、赤帽連合会さんは協同組合でありますので、連合会、それから、それぞれの単位組合も協同組合ですから、いろいろな補助金、助成金が出ると思うのですが、資料の中にあります研修会などは、その助成金などは活用されているのかどうかということです。以上です。
○土橋座長 質問事項につきましては、赤帽協同組合さんから御回答いただけますか。
○長谷川様 お答えさせていただきます。御質問ありがとうございます。まず、1番の一人親方労災保険です。今、組合に加入する新人さんに対しては、私が直接、首都圏に関して、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏に関しては、1人1人にこういった労災保険に入れます、ありますよと、これは赤帽に入るメリットなのですと伝えています。一人親方、我々は本来労働者ではないので労災保険には入れないのだけど、それでは困るでしょうということで、国が一人親方労災保険という制度を作ってくれているのですよと。ただし、条件があって、組織を通じていないと、これには入れなくて、赤帽というのは労災防止組合というのが全国にあって、赤帽になれば簡単に労災保険に入れますという説明をしております。以前、厚労省さんとお話をする機会があったときにお願いしたのですが、これが意外と知られてないのです。今、街中を走っている軽トラック、営業ナンバーを付けた軽トラックが結構います。主に宅配をやっている軽貨物運送業者が多いのですけれども、そういう方は、ほとんど労災保険に入っていないのです。入れるということを知らない、御存じないのです。だから、1つは国が、厚労省さんがもう少しPRをしてほしいといつも思っているのです。
 もう1つは、実際には企業さんがそういった個人の貨物軽自動車運送業者を使うわけですが、企業さんもそういった労災保険に入れるという制度があるので、そこで認識をしていただいて、できるだけ労災保険に入るようにというようなことを勧めてほしいと、そう思っています。結局、加入者が多くなれば、それだけ加入しやすくなるという、これは3年に1度見直しされるということを聞いているのですが、最近全然下がってないのかなとも思うのですが、何か下げられるのでしょうか、そうすると当然加入しやすくなるということで、どこが主体というと、国と、それから企業さんですね。その辺でやっていただければと思っております。
 それから下請法ですが、これはやはり60日以内に払わなければいけないというのがあるのですが、これはうちのやり方だというような立派な企業さんもおられますので、分かっているけれども、実際に60日よりも延びた支払いになるとか、値段を下げるといったことは余り経験しませんが、主にあるのは支払いの期間ですね。
 それから助成金ですが、これは確かにございます。研修は、例えば東京だと、東京都中央会さんに助成を申し込むと、30万円ぐらいまでは研修の費用、講師の費用とかを補助していただけるような制度もあります。それから、IT関係の、DX関係の補助金、最大2,000万円までとか、そういった補助金もありますので、首都圏の協同組合はそういった助成金を頂いて、IT関係のものを作っております。一番難しいのは個々の組合さんです。個人でやっている人に、いかにお知らせするかなのです。それから、実態把握をするか、ここは正に皆さんおっしゃるように難しいので、システムもまだまだ不十分ですから、例えば携帯電話で簡単にアンケートなどを取れるようなアプリを作ったり、それから病気になってしまったとか、事故を起こしてしまったとか、緊急のヘルプ機能と言っていますが、携帯電話で発信することによって2,400人の全組合員さんにプッシュ通信で連絡が届いて、近くにいる人が助ける、あるいは本部が助けるといったこともシステムとして作り上げています。これはかなり助成金を頂いたお陰というのもあると思います。
○土橋座長 どうもありがとうございました。ほかに御発言ございますか。それでは、大木委員。
○大木参集者 論点整理のところで実態把握が深掘りされてないということなのですが、先ほど、全建総連さんのほうで特別加入比率と全建総連さんの中の比率、その辺を参考にしながら、労働者に対する災害あるいは労働者の人数は把握できるのです。それ以外の人たちが一人親方、個人事業主、母数も分からない。死亡者数は分かりますけれども、けがした人の数も分からない。その辺を深掘りするための手段として、先ほど言った全建総連さんのデーターなども類推して、掛ける何倍になるとか、その辺を参考にするのがいいのかなと思いました。
○土橋座長 御意見いただきました。ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日は多方面から様々な御意見を頂きありがとうございました。本日の議論につきましては、事務局において、前回の結果と併せて取りまとめいただくようにお願いいたします。
 最後になりますが、その他として事務局から何かございますか。
○船井安全課長補佐 連絡事項といたしまして、正式には後日改めて御案内させていただきますが、次回は9月26日の月曜日に開催させていただくことを予定しております。現在調整中ですが、次回についても、建設業関係の団体の皆様や陸上貨物運送事業関係の団体の方からヒアリングを追加で頂くほか、今後各論点について議論を深めていくのに先立ちまして、三柴委員のほうから以前も御発言いただきました諸外国における個人事業者を取り巻く規制の状況について御紹介を頂きたいということで、調整をさせていただいております。また、本日の議事録については、委員の皆様に御確認いただいた上で、いつものように公表をすることとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○土橋座長 本日は、長時間にわたりまして活発な御議論を頂きありがとうございました。また、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会の嵯峨様及び赤帽首都圏協同組合の長谷川様、全建総連の田久委員におかれましては、御説明、質疑対応、ありがとうございました。
 それでは、以上で第4回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。ありがとうございました。