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第20回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)
健康局がん・疾病対策課
日時
令和4年8月5日(金)17:00~20:00
場所
オンライン開催
議題
- (1)全国がん登録及び院内がん登録における課題について【公開】
- (2)新規申出の全国がん登録情報の提供について【非公開】
議事
- 議事内容
- ○原澤推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第20回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課、原澤と申します。よろしくお願い申し上げます。
初めに、事務局である厚生労働省において人事異動がございましたので御紹介させていただきます。私、がん対策推進官の岩佐の後任で参りました原澤と申します。改めまして、よろしくお願い申し上げます。
本日の検討会につきましてはYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただきいただきますようよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にはマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手等をいただきまして、事務局もしくは部会長より御指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言等いただくようお願い申し上げます。
それでは、初めに事務局より委員の変更について御案内いたします。
本年6月まで公益社団法人日本医師会常任理事の羽鳥裕委員に御参加いただいておりましたところ、改めまして今回公益社団法人日本医師会の黒瀨巌様に委員として御参加いただくこととなりましたので、黒瀨委員から一言御挨拶をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
○黒瀨委員 皆様、こんばんは。日本医師会の黒瀨でございます。
このたび、羽鳥委員の後任として臨時委員として登録していただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○原澤推進官 黒瀨委員、ありがとうございました。
続いて、委員の出欠状況について御案内いたします。本日は、有賀悦子委員、中村康彦委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、本田麻由美委員より、途中からの参加との御連絡をいただいております。
本日のがん登録部会における委員及び議事に関係のある臨時委員定数14名に対しまして、現在14名が参加されています。がん登録部会における委員及び議事に関係のある臨時委員のうち過半数8名以上が出席しており、厚生科学審議会令にある議事運営に必要な「委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数」を満たしていることを御報告申し上げます。
また、本日2名の参考人に御出席をいただいております。国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターのセンター長、東尚弘参考人に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
○東参考人 よろしくお願いします。
○原澤推進官 また、もう一方、地方独立行政法人北九州市立病院機構の理事長、中西洋一参考人に御出席いただいております。
○中西参考人 よろしくお願いいたします。
○原澤推進官 よろしくお願いいたします。
また、健康局長は本日公務のため欠席とさせていただきます。
また、当課のがん疾病対策課長でございますが、公務のため遅参して参りますので、その点も御承知おき願います。
それでは、以後の進行は辻部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まずは、事務局から資料の御確認をお願いします。
○事務局 事務局でございます。それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料は委員の皆様方に事前にメールでお送りさせていただいておりますが、厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。
議事次第、資料1、資料2、資料3及び参考資料が1から12とございますので御確認ください。
なお、参考資料の9から12は非公開資料となっております。
資料の不足、落丁等がございましたら事務局までお申出ください。
それでは、辻部会長、議題をよろしくお願いします。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
皆様、資料等に問題ございませんか。よろしいですか。
では、議事に入りたいと思います。「全国がん登録及び院内がん登録における課題について」に入りたいと思います。
一応バックグラウンドをもう一度御確認いたしますと、令和3年7月7日の第16回厚生科学審議会がん登録部会におきまして、がん登録推進法の現状の課題と具体的な対応案につきまして報告が行われまして、そこで事務局で整理した課題のうち一部を令和3年12月9日の第18回厚生科学審議会がん登録部会において御議論いただいておりました。
本日は、第18回の厚生科学審議会がん登録部会に引き続きまして、特に御議論いただきたい課題につきまして、「検討に当たっての論点」と、今後さらなる議論が必要な事項として「検討のポイント」が示されております。それぞれの課題ごとに議論の時間を設けますので、検討に当たりましてまずは事務局から資料1について御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
まず、資料1「全国がん登録及び院内がん登録における課題について」、御説明いたします。
本日御議論いただく課題は「全国がん登録情報等の利用範囲、匿名化の定義等の明確化、特に、民間事業者の利用について」「院内がん登録全国集計情報の利活用」「技術的課題の進め方について」と、「法第20条に基づいて提供された情報の取扱い」の4課題でございます。
まず、「全国がん登録情報等の利用範囲、匿名化の定義等の明確化、特に民間事業者の利用について」、御議論いただきたいと思います。
御紹介します。資料の4枚目をお願いします。全国がん登録情報等の提供に係る規定のうち、第21条第3項、第4項、第8項及び第9項の利用目的につきましては、民間事業者による利用がどこまで認められるか等、利用範囲が不明瞭である点が課題とされています。
第18回厚生科学審議会がん登録部会において、全国がん登録情報等の提供に係る規定のうち、第21条第3項、第4項、第8項及び第9項の利用目的について、民間事業者による利用を認めてよいか、その際の基準についてどのように考えるべきか、検討していただきました。
資料5枚目は、厚生労働大臣による全国がん登録情報等の提供を利用目的の別で整理しています。その他の研究利用における利用者は、がんに係る調査研究を行う者とされていますが、ここに民間事業者が含まれるかが論点です。
なお、「がんに係る調査研究」は、がん登録法第2条第5項において「がん、がん医療等及びがんの予防に関する統計の作成その他の調査研究」と定義されています。
資料6、そしてこの後の7枚目はNDB、介護DBにおける民間事業者の規定をお示ししております。NDB、介護DBについては令和元年5月の法改正において、安全性の確保に配慮しつつ、幅広い主体による利活用を進め、学術研究、研究開発の発展等につなげていくため、相当の公益性を有する研究等を行う自治体・研究者・民間事業者等の幅広い主体に対して両データベースの情報を提供することができることを法律上、明確化しています。
資料6、7枚目に引用した「高齢者の医療の確保に関する法律施行規則」の抜粋部分のうち、下線部が該当箇所になります。
資料8枚目上段に、第18回厚生科学審議会がん登録部会における民間事業者の利活用に関する主な御意見を記載しています。民間事業者による利用は、利用目的や安全管理措置等が適切であれば認めるべきですが、海外の企業への情報提供の場合は国内より慎重に検討すべきであること、営利活動と研究活動は必ずしも明確に区別できないため、何らかのルール・基準が必要で、利用目的の判断に当たっては高齢者医療確保法等の規定に準ずるのが適当であること、そして、個人情報保護法の考え方に即して主たる目的が何かというところで判断してはどうか、御意見をいただきました。
この資料の8枚目下段に「対応方針」として、データベースに蓄積した情報の利活用をより広い主体に認めることはがん医療の向上のために必要であることから、民間事業者が除外されるものではないこと、一方で、健康関連情報という機微な情報を扱うものであること、公費を用いて収集したデータであり、提供の可否について一定の基準が必要であること、具体的には利用目的ががん登録推進法に定めるがんに係る調査研究であって、「がんの医療の質の向上等に資するもの」であることを前提に、かつそれが治療法や医薬品の開発等を通じ、広く一般国民の利益となることが期待できるか、特定の商品または役務の広告または宣伝に利用するために行うものでないか等を個別に審査し、「相当の公益性」が認められる場合には提供を可能とすること、今後、運用上の実績を蓄積していくことで基準の明確化を図ることを提案いたします。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました「1.全国がん登録惰報等の利用範囲、匿名化の定義等の明確化」ということにつきまして、委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。
どなたからでも結構ですけれども、時間は限られていますので、発言は簡潔にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
小俣委員、坂元委員、手が挙がっていますか。
まず、小俣先生からどうぞお願いします。
○小俣委員 ありがとうございます。小俣です。
前回の12月の9日で申し上げたかとは思うのですが、希少がんの場合に民間事業者に情報提供する際、相当の審査が必要なのではないかと危惧しております。
匿名化されたとしても、非識別加工情報に加工されたとしても、情報が漏れてしまうということを患者としては心配しておりますので、匿名性が担保できるようしっかりとルールに位置づけていただきたいと考えております。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、坂元委員お願いします。
○坂元委員 私は以前も申し上げましたが、具体的に例えば製薬企業が医薬品の開発のためにこの情報を使いたいといったときに、当然、医薬品の開発はその企業の利益のためであり、いい医薬品ができれば国民のためにもなるということで、例えばそういう具体的な場合に認められるのかどうかということです。
これから見ると、それが治療法や医薬品の開発を通じてという期待ができるかということなんですが、企業としてはそれが宣伝になるかどうかというのは別として、やはり大きなメリットがあるということなのですが、それはやはり個々審査をしていく中で判断して一律には決めないという考え方でよろしいでしょうか。
以上です。
○辻部会長 取りあえず、今の2点につきまして事務局からお答えはございますか。
○原澤推進官 事務局でございます。
まず、小俣委員から希少がんに特に言及していただきつつ、匿名性の担保について配慮が必要ではないかということをコメントいただきました。いただいた御意見を踏まえて、運用について検討をしっかりしていきたいと思います。
また、坂元委員より御指摘いただきました、医薬品の開発等を念頭に置いた今後の審査についてということでございますが、個別の審査をしっかりしていくということでまずは運用してまいりたいと考えてございます。
事務局としては以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、石井委員と松本委員から手が挙がっていますので、まず石井委員、その後に松本委員お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
今お示しいただいている対応方針案で方向性としてはよろしいのかなと考えますけれども、相当の公益性という文言が、相当広い解釈の余地のある文言になっていまして、こちらは運用上の実績を蓄積していくことで基準の明確化を図るとなっていますが、現状ある程度これまでの事例を踏まえて、考え方は整理して公表できるぐらいのレベルのものだと理解してよろしいですか。
ある程度、知見がたまっているかということについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○辻部会長 これにつきまして、事務局いかがでしょうか。
○原澤推進官 事務局でございます。すみません。お待たせしました。
石井委員より御質問いただきました、事例の蓄積は既にあるのかという点についてでございますが、事例の蓄積はいまだなく、これから運用していく中で個別に見ていくということだと認識してございますので、今後運用していく中でしっかり蓄積して、考え方ですとか、相当の公益性というものはどのように提示され得るのかというところについても、今後しっかり検討してまいりたいと考えてございます。
事務局からは以上でございます。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。
今はゼロということなんですか。例えば、ほかの法解釈などを踏まえて、一定程度考え方を示すことができるかどうかというと、またそこまでじゃないという理解ですか。
○原澤推進官 事務局でございます。
少なくとも厚生労働省のほうで、民間事業者に対して提供したというような事例はございませんというのが回答となります。それで、今後の運用ということになります。
○石井委員 分かりました。
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、松本委員お願いします。
○松本委員 ありがとうございます。
患者の立場からも、全国がん登録情報が利活用されるということが大変重要であるということをまず大前提として申し上げた上で、先ほどの小俣委員からの御指摘は大変重要な点だということを申し上げておきます。
その上で、この利活用ですけれども、例えば先ほど坂元委員からもありましたように、製薬メーカーなどが利用することを考えた場合、研究者に少しお話を伺いましたところ、例えば臨床試験後の長期間のフォローアップが必要な疾患などもあり、そのような場合にはやはりがん登録の予後情報というのが役に立つのではないかという御助言をいただいております。こういった点から考えますと、相当の公益性というのを判断していくということは重要になってくると思います。
ただ、今の石井委員からの御質問に対して、今は全くゼロベースであってこれからということでした。そこについては、相当の議論をしていかなければ全く基準がないというところで動かしていくという、もちろん事務局はそういうつもりではないということは承知しておりますけれども、そのことは重要だろうなということを思いました。
以上です。ありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、黒瀨委員お願いします。
○黒瀨委員 よろしくお願いします。
まず、この対応方針の方向性に関しては、私どもも賛成するところでございます。
ただ、個別に審査しながらということでありますし、また、その基準の明確化というのは本当に重要な点だと思います。その点に関しまして、例えばある程度いつまでをめどにとか、ある程度どれぐらいの運用の実績が蓄積したところでとか、何かそういう目途というか、目安を決めておく必要があるのではないかなというふうに感じました。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、天野委員までいってから事務局から答えてください。
天野委員、お願いします。
○天野委員 ありがとうございます。
細かいテクニカルなことになるかと思うのですけれども、いわゆる民間事業者に対して行政から委託等が行われた場合、民間事業者はさらに再委託、再々委託などを行う場合がほかの領域ではあるかと思うんですけれども、今回のこのお話ではそういった再委託等はどのようにお考えでしょうか。そこだけです。
○辻部会長 では、以上3名の委員から御質問、御意見をいただきましたけれども、これにつきまして事務局からお答えございます。
○原澤推進官 事務局でございます。
まず、松本委員からいただいた御意見は、御指摘を踏まえて今後の運用をしっかりやっていきたいと思います。
続いて、黒瀨委員から御指摘いただいた点について、一定の件数なり期間の目安を置いて評価をしていくべきじゃないかといった御指摘だと思っております。こちらについては、この方向性についてお認めいただいたという前提で、民間事業者からどの程度こういった利用の要望がくるかというところが今のところ明らかではないため、その件数ですとか、そういった実態も踏まえて、事務局のほうで抱え過ぎることのないように、状況を見て検討していただけるように考えてまいりたいと思いますが、具体的に今の時点で何件来たら開始するといったところがお示しできないというのが事務局での現時点での整理でございます。御承知おきいただければと思います。
最後に、天野委員から頂戴いたしました委託に関するところでございますが、ここで民間事業者がさらに再委託するとか、そういったところの回数等についての規制を設けるということは、現在念頭に置いていないという状況でございます。
以上でございます。
○辻部会長 天野委員、いかがでしょうか。
○天野委員 再委託については、御承知のとおりほかの領域ではございますが、個人情報等の漏えいであるとか、不適切な取扱いが時々見受けられる領域なので、もし再委託等がなされる場合には慎重に検討されることが必要かと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、山本委員と家原委員から手が挙がっていますが、このお二方から御意見いただいてからこの議論を閉じたいと思いますので、よろしくお願いします。
○山本(隆)委員 私は事務局の案に特にコメントがあるわけではなくて、NDB、介護DB及びNDBと介護DBの連結データに関しましては、民間への提供というのは始まっていて、既に多分10例以上経験をしています。
それで、公益性はもちろん重要なんですけれども、公益性の判断というのは意外と難しくはなくて、これは基本的には医学研究の話ですので、公益性の判断というのはそれほど難しくないんですけれども、むしろ公益性の衣をかぶった私益といいますか、企業の独自の利益といいますか、マーケティングとか、あるいは排他的な目的があるということを十分チェックするということが多分非常に重要で、そういうことがなければ比較的容易に判断できると思っています。
あとは、再委託は当然ながらNDB,介護DBの場合もあります。それで、再委託は注意しなければいけないというのは天野委員の御指摘のとおりで、判断の中で再委託を全てリストアップされた上で、なおかつ再委託先の事業者の状況も審査をしているというのが現状であります。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、家原委員お願いします。
○家原委員 ありがとうございます。
今お答えいただいた内容は、ちょうどお尋ねしたかった内容だったのですが、NDB、介護データベースについて既に民間での活用があるのかどうかが知りたかったのですが、今ちょうどお教えいただいたとおりだと理解いたしました。
あとは、その審査の中でNDB、介護データベースにおいては一定の基準があるようでございますが、その利活用をしていく中で何かトラブルが起こったりとか、審査上難しかったことがあってさらなる改定が必要であったかについてお教えいただければと思います。
○辻部会長 山本委員、お願いします。
○山本(隆)委員 問題が生じたことはございません。
ただ、審査の中で、やはりこれが本当に公益目的でやられた申請なのか、そうではなくて公益性を一応表には出しているけれども、企業利益を優先しているのかという判断が審査委員会の中で問題になったことは幾つかございます。
それはほとんど提供していないというのが現状で、確実に国民のためであるということが明確なものにだけ提供しているというのが現状でございます。
○家原委員 ありがとうございました。
非常によく分かりました。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、取りあえず課題1について簡潔に今日の御議論をまとめさせていただきたいと思いますけれども、基本的には事務局提案ですね。今日の資料の8ページの対応方針案をお認めするということが1つ。
その上ですが、最初は始まったばかりですので慎重にいろいろなものを動かさなければいけないということで、特に希少がんの取扱いについてはやはり個人情報が出ないように慎重にすべきでありますし、また、公益性と企業の利益との関わり合いにつきましては、これについてもやはり個別にきっちりと議論をすべきだろうということと、再委託、再々委託が起こる場合はまずきちんとそれを言っていただく。そして、委託、再委託、再々委託先についてはリストアップをきちんと全部出していただく。そういった状況がなされなければいけないのかなということであります。
それで、最終的にはその原則となるような基準を明確にしていきたいと思うのですが、これにつきましては取りあえず現状ではまだゼロベースですので、基準は出すわけにいきませんので、当面は個別に慎重に議論していただきながら、その都度どのような理由でこのように判断したかという、その理由を明示しておく。内部かとは思いますけれども。そういったことを基に判断基準というものを積み上げて広くオープンにしていけるのかなと、そういった段階を踏んで進めていきたいということでまとめさせていただきますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
では、課題1についてはこれでまとめさせていただきます。
続きまして、「院内がん登録全国収集データの利活用」に移ります。事務局から資料の御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。「院内がん登録全国収集データの利活用」について御説明します。
スライド10枚目をお願いします。院内がん登録は、専門的ながん医療の提供を行う病院等においてがん登録推進法の施行前から実施されており、国立がん研究センターによる全国収集が2007年より実施されてきました。
その後、2013年のがん登録推進法の制定により、専門的ながん医療の提供を行う病院その他の地域におけるがん医療の確保について重要な役割を担う病院における努力義務という形で法的に位置づけられ、実際の運用については「院内がん登録の実施に係る指針」が定められています。
これについては、法制定後に国立がん研究センターによる院内がん登録の全国収集の法的位置づけや利用範囲、利用手続等が明確に整理されてこなかったため、院内がん登録全国収集データの利活用が進んでいないことが課題とされています。
検討に当たっては、院内がん登録全国収集データの利活用に当たって、がん登録推進法上に規定がないことから、当面の運用として法的整理及び具体的な提供ルールをどのように考えるべきか、全国収集データのさらなる利活用を促進するため、今後どのような提供体制とすべきか、院内がん登録制度の位置づけについて今後の在り方をどのように考えるべきかが論点です。
資料11枚目は、がん登録推進法において、院内がん登録全国収集データについて詳細な規定がないことを示しています。
資料12枚目は、「院内がん登録の実施に係る指針」において、院内がん登録全国収集データの利用・提供に係るルールが不明確となっています。
資料13枚目は、第18回厚生科学審議会がん登録部会における院内がん登録全国収集データ利活用と今後の在り方に関する主な御意見を記載しています。院内がん登録全国集計の利活用は、拠点病院連絡恊議会がん登録部会において運用し、当面は一般法である個人情報保護法の規定に従って運用していくこととするのが適当であること、個人情報保護法の規定との整理が必要であること、院内がん登録全国収集データの利活用を進めていくに当たっては、がん登録推進法の中でも一定のルールを定めておくことが必要ではないか、御意見をいただきました。
資料14枚目に、「対応方針」として院内がん登録全国収集データの利活用については、当面の間、院内がん登録の全国収集の実施主体である国立がん研究センターが、個人情報保護法第27条第1項第4号、第6号及び7号に基づき、全国がん登録情報等の提供と同様の基準でその利用・提供を進めること、一方で、院内がん登録全国収集データのさらなる利活用を促進するため、がん登録推進法等の規定の整備を含め、対応を検討することを提案いたします。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました、院内がん登録全国集計情報の利活用につきまして東参考人のほうから、院内がん登録全国収集データの具体的な運用について御説明いただきたいと思います。
それでは、東先生お願いします。
○東参考人 国立がん研究センターがん登録センターの東です。
私からは、こちらで整理させていただきました全国収集データの活用体制についての案を御報告したいと思います。
資料2を御覧ください。これまでの経緯ということに関しましては、先ほど事務局から既に御説明をさしあげたので割愛させていただきます。今回、2022年の4月に少し再整理をして御提示をする次第です。
がん登録推進法の条文に関しましても、先ほど事務局から提示がございましたので、これは繰り返しになります。基本的には、今のところ全国収集データの利活用に関する規定がないというのが問題となっております。
「院内がん登録の実施にかかる指針」というものについても繰り返しになりますが、こちらのほうは国立がん研究センターで集計をして実態把握をするとか、適切に公表するということによって患者及びその家族の医療機関の選択に資する。そういったことの期待される効果はあるんですけれども、では実際にどのような二次利用が可能かといったことについては記載がないという状態です。
そういうことで、現状の全国がん登録の運用と、以前の院内がん登録の運用、そしてこの法律及び指針に書いてある理念等を総合しまして、利用と提供の想定を整理いたしました。
大きく分けて2つあるというふうにまず整理をしておりまして、1つは院内がん登録の実施に係る指針に既に記載をされている「期待される効果」に沿った利用方法であります。これは、先ほど申し上げたような4つが書かれています。それで、それ以外にがん登録推進法等で定められた目的及び理念等に沿った利用というものが考えられるということです。
その分類に従って具体的に活用を分類いたしますと、1つはその定型利用ということで、前のスライドの1番、つまりは院内がん登録の実施に係る指針に既に書かれている「期待される効果」に該当する利用方法ということで、これは具体的には厚生労働省からの委託事業、補助事業、もしくはほかの省庁からの事業といったことが考えられると思いますし、現在これに沿っては国立がん研究センターのほうで活用の推進をしている、実施をしているという形になっております。
それで、今回問題となるのは、恐らくこれ以外の定型利用以外というところでありまして、今回特別利用という名前を仮につけさせていただきましたけれども、それを手続を定めて利活用を進めていくということが必要になるかと思います。これは、前のスライドの2に該当するというものになるかと思います。
それで、もう少し分類といたしまして、提供するデータの種類としては以下の3つが想定されるかというふうに整理をいたしました。1つは施設名の提供、2つ目は集計の提供、3つ目は個票データの提供ということになります。
それで、最初の2つについてこのスライドでまとめておりますけれども、施設名の提供というのはどういったものかといいますと、一定の条件に合う施設名を提供するというものです。これは、施設名を提供するということで事前に施設の同意を得ていることが必要ではないかとは思いますけれども、例えば研究者が骨肉腫の臨床研究をしたい。そのために施設に対して協力依頼を送付したいといったニーズがあった場合、骨肉腫の診療実績がある施設というのがどこかというのが院内がん登録を解析すれば分かりますので、その施設名だけを欲しいというところでありますので、こちらの事務局のほうでそれを整備して提供する。そんなことを考えている次第です。
2つ目の集計の提供というものに関しましては、これは一定の条件の集計を提供するというもので、細かい問題に移りますが、例えば全体でメルケル細胞がんの数を知りたい、もしくは施設ごとの分布が知りたいといったようなニーズがあった場合に、事務局のほうでこの集計をして、その集計結果を提供するという想定であります。
希少がん等ですと、どうしてもその数が少なくなってしまうということはありますので、10例未満の表示というものに関しては院内がん登録の現在出している報告書では1-3、4-6、7-9といったような丸めた数値を出しておりますので、これに準じて集計を提供するというようなことを考えております。
このマル1、マル2を2つ取り上げて申し上げたのは、この2つというのは個人が識別できない集計データを提供するということでありまして、個人情報保護法は適用外という形になりますので、後に述べますデータ利用審査委員会で審査をして、その承認を得られれば提供して何ら問題ないのではないかと考えられます。また、提供先についても特に制限を設けなくてもいいのではないかと考えられます。
3つ目の個票提供に関しては少し慎重な扱いが必要かと思いますが、これは利用目的において必要な範囲でその個票データを抽出して提供するというものです。ここでは個人情報というのが非常に重要なファクターになりますので、匿名化を確保するために加工基準というものを考えさせていただいております。例えば、治療日等の日付データは日付ではなくて年までにするであるとか、日のデータが必要という場合にはある診断日等を起算日として、そこから何日目なのかといった匿名性を担保した上での情報の粒度は保つと、そんな工夫ができるかと思います。
あとは、原則としては施設名は提供しないということを考えておりますし、部位、組織型に関してもコードはついておりますので、テキスト情報などは削除をして提供するというようなことも必要かと思います。
地理情報に関しても、都道府県までの提供というのが安全なのではないかと考えております。
これは、もちろん詳細な情報が必要という場合もありますので、そういった場合には代替情報を提供することが可能なのか、もしくはどうしてもそれが必要だということであればデータ利用審査委員会で何を提供しても大丈夫かといったことも審査をすればいいかというような形を考えている次第です。
さらに、個票データの提供の考え方については、少し個人情報保護法との整理をさせていただいたわけでありますが、提供先によって適用される条文が少し違うかと思われます。提供先が学術研究機関の場合は、個人情報保護法の27条1項第7号ということで提供が可能というふうに考えられますし、学術研究機関以外の主に院内がん登録実施施設は病院ということが提供先になると思いますが、そういう場合には同項の第6号に基づいて国立がん研究センターが共同して学術研究を行うといった形を取れればと思います。
また、都道府県等の地方公共団体が利用するといった事例が過去に法施行前にありましたけれども、これも同法同項の第4号に基づいて「法令の定める事務」に利用目的が該当するという場合には提供ができるかというふうに考えて、それを審査する、個別に判断するということになろうかと思います。
先ほどちらっとデータ利用審査ということを申し上げましたけれども、こちらのほうは「データ利用審査委員会」といったものを国立がん研究センターで設けまして、その個別の審査を行うということを考えています。
それで、データ利用審査委員会について、まず委員の構成でありますが、これはそもそも院内がん登録を全国データとして検討する場として都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会という、拠点病院の協議会のがん登録部会というのがありますので、そちらのほうから各地方で区切りまして、各地方での県単位で委員を出していただいて持ち回りをしてはどうかと考えております。それで、公平にこれが回るように1年ごとに交代するのがいいのではと考えております。
これに加えまして、患者さんの代表の委員、または厚生科学審議会がん登録部会の委員の方々も入っていただいて多角的に議論ができればと考えている次第です。こちらのほうで、この委員の構成で利用目的と解析の適切性による提供可否というようなことを判断して意見を述べていただくということで、安全性への配慮等は別途国立がん研究センターのほうで考えて指示を出すというようなことを考えている次第です。
こちらのスライドは、各地方での委員ということで少し詳細を述べたものですけれども、各地方からという色分けで見ていただければと思います。
申請事項に関しましては、基本的に常識的な範囲と思いますが、全国がん登録の申出に倣って事項を考えているということになります。
「審査事項」の内容でありますが、利用申請、変更申請、安全管理の要求水準等についての意見を述べていただく。
また、結果の公表に関しましても特に少数例の公表に関しましては少し判断をいただくというようなことも考えております。
また、不適切利用事例というものが生じた場合には、それをどうするかというようなことも意見を述べていただきたいと考えている次第です。
「審査基準」についてはちょっと細かくはなりますけれども、適切な利用方法かということを全般に調査研究の目的等々を鑑み見ていくというようなことになるかと思います。
「安全管理」に関しましては、基本的には全国がん登録の基準に特に匿名化情報の管理の基準によるということになるかと思います。
また、公表確認前のものは集計物を国内には持ち出さないというようなことも必要かと思いますし、必要な場合には安全管理の要求水準を厳格化するというようなことも考えられると思います。
当然、安全管理や申請の誓約書といったようなことも出していただくと考えております。
「審査方法」については少しアレンジをしようと思っておりますが、審査会を恐らく年4回程度想定しておりますが、原則から逸脱しない非常にベーシックなものについてはメール審査というようなことも組み合わせていくことを考えております。
ただ、メール審議すると全てが通っていくというのは少しまずいと思いますので、反対がゼロではあるということをメール審議には要求しようと思っておりまして、一人でも審査会をするべきだと、メール審議で認めることに異議があれば審査会に付議するということを考えておりますし、また、研究計画によって当該年全部のデータを欲しいという申請であるとか、全項目が欲しいという申請に関しては、全て審査会ということにしたいと思います。細かいことになりますが、審査会はいろんな意見が出ることが考えられますので、申請者は一応待機をしていただいて適宜質問に回答していただくこともできるようにしたいと思っている次第です。
提供に関しては、委員総数の3分の2の賛成を要求しよう。その他の議決に関しては過半数でいいかなと、そんなことも考えている次第です。
その他ですけれども、倫理審査に関しては提供前には承認は必須でありますけれども、この審査によって研究計画が変わったりするかもしれませんので、特に承認を必ず入れていないと審査が開始できないということにはならないと考えている次第です。
「その他」はいろんな細かいことがありますが、保有期間は全国がん登録に準じますし、事務手数料等も集計に係る手間は徴収しようというふうに思っております。
公表に関しましても、基本的には全国がん登録と同じような感じで公表前確認というものを事務局で行うというようなことも考えておりますし、終了時には廃棄報告をいただく。そんなことを考えている次第です。
院内がん登録の提供に関しては以上になりますが、少し付加的に全国がん登録、院内がん登録の連携強化に向けた提案を数枚のスライドを準備させていただきました。これはなぜかといいますと、院内がん登録と全国がん登録、2つ独立して今、運用がなされておりますが、これは歴史的な経緯といいますか、そこからは独立しているというのは当然なところはあるのですけれども、やはり今後は効果を最大化して業務を効率化するということからは何か連携が必要なのではないかと考えている次第です。
ですので、今はまだ連携をするという段階にはないと考えますが、そのための準備として院内がん登録で管理をしている、過去のレコードを管理している匿名管理番号である連番ですね。これは1、2、3という連番をつけておりますので、連番というふうに呼んでおりますけれども、実態は匿名管理番号ということで、これを全国がん登録のほうで保持をしておいて、後々連結をするというようなことができるようになった、許されるようになった段階でこの連結をできるようにするというようなことをしてはどうかと考えております。
こうすることによって、全国がん登録から院内がん登録の情報を利用して、TNMの情報であるとか、そういった詳細情報を一部の症例についてですけれども使うこともできるようになりますし、院内がん登録で出している施設別の予後のデータ、5年生存率といったものも、今は個別の施設から集めているというのを全国がん登録から一括して移行することも可能になるのではないかと思います。
今は連結ができるのかということは未整理ではありますが、これができるようになってから連結というふうに考えると遡って附番するというのは無理ですので、それは今のうちに集めておくというのはどうかというふうに考えた次第です。
集めるということに関しては、法的な根拠というものが必要になるだろうということで少し整理をしていただきましたけれども、その整理によれば、恐らくその病院等ががんに罹患したものの診療録に付した番号に準ずる形で、この連番というのが扱えるのではないかということで、一応根拠はあるというふうにこちらのほうでは整理をしている次第です。
少し長くなってしまいましたけれども、私からの報告は以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました院内がん登録全国集計情報の利活用につきまして、委員の皆様から御質問、御意見等がありましたらお願いしたいと思います。
まず祖父江委員、その後、天野委員ですね。
○祖父江委員 祖父江です。私は今がんセンターの副所長という立場もあるのですけれども、長らく古くからがん登録に携わってきた者として発言したいと思います。
全国がん登録ができる前に地域がん登録というものがあって、ずっと日本では運用されていたんですけれども、県単位でやっている。それで、全国集計をするときに匿名化した形で研究班が集めて私たちで全国集計をして、全国値を推計していました。
その形よりも、全国がん登録という形で、個人情報を含めた形で全国規模で集めるというのが今の全国がん登録の仕組みなんですけれども、それと並行して院内がん登録のデータを匿名化した形で名寄せはせずに全国集計して、これは全国調査、全国集計であって、それを今でも続けています。ですから、全国がん登録のほうは個人情報を集める。それで、院内がん登録のほうは匿名化した情報を集めるという理解でずっと進んできていたんです。
ただ、それが2017年の健康局長通知というものが出ていまして、その局長通知によって院内がん登録が法律に基づく行為であり、顕名のデータを集めるということが可能になったという通知が出ています。このことはがん登録に関係する人もあまり周知されていないですし、恐らくここの委員の方々もそういう変化があるということをあまり認識されていないのではないかと思います。
ですから、今の状態は実は院内がん登録を匿名化された情報で集めてはいるのだけれども、顕名で集めることも可能だということです。ですから、東参考人のような全国がん登録と院内がん登録の連番をつけるということも可能なんですけれども、今はというか、今までのがん登録、地域がん登録、全国がん登録と院内がん登録のすみ分けということを理解してきた者にとっては物すごく大きな変化に当たります。そのことを、まず御理解していただきたい。
ですから、この対応方針のところで院内がん登録の全国集計について「全国がん登録情報等の提供と同様の基準で」と言われると、何か顕名のデータを前提としているような感じがして、やや厳しい基準になるのではないかと思われるので、少なくとも全国がん登録の匿名化データの提供に対しての同様の基準でというふうに言っていただいたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○辻部会長 今のお話は資料1の14ページ対応方針(案)のところで、「全国がん登録情報等の提供と同様の基準で」というところを、全国がん登録情報等の匿名情報の提供というふうに足せばいいということですか。
○祖父江委員 そうですね。少なくともその状況が院内がん登録で集めているデータの状況だと、今現在はそうだと理解しています。
○辻部会長 ただ、東先生がおっしゃっているように、顕名でも連番してという話にそれは対応できますか。
○祖父江委員 東先生に質問していただいたらいいですけれども、現状としては匿名データしか集めていないはずです。
○東参考人 そのとおりです。匿名データしかないので、ここの情報で書いてある「全国がん登録情報等の提供と同様の基準」というのは、匿名データの提供の基準ということと読み替えられるとは思うのですが、明確化するという意味では匿名と書いたほうが明確かとは思います。
○辻部会長 了解しました。では、それでよろしいかと思います。
次に天野委員、それから大木委員からお願いします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
質問でございます。先ほど来あるように、当然希少がん、小児がんも含めてですが、患者さんのプライバシーの保護は非常に重要なのですが、一方で、同じく希少がんや小児がんの患者さんにとって治療選択に資するようなデータ、医療機関の選択に資するようなデータというのも非常に重要な役割を果たしていると思います。
ただ、現状は例えば医療機関ごとの症例数、がん種ごとの症例数を知るということに関しても、正直患者の立場からすると非常にハードルが高くて、素直にデータを得ることは難しいような状況にあるのではないかと思っています。
例えばですが、いわゆる希少がんの患者さんの症例数等に関しては、以前の話では研修を受けたがん相談支援センター相談員を通じて情報を知るという話があったり、最近ではがん対策情報センターが公開しているがん情報サービスというのは、以前は医療機関、がん診療連携拠点病院ごとのがん種ごとの詳細な症例数が掲載されていたように記憶しているんですけれども、最近は掲載がなくなっているようです。
それも、最近では個人情報保護の観点から公開が難しくなったらしいという話も聞き及んでおりまして、東参考人に1つ御質問したいのは、現時点ではこういったがん診療連携拠点病院等の症例数の公開というのはどういう状態になっているのか。そして、今後はどういった方針になっているのかということについて改めて確認させてください。
以上です。
○辻部会長 東参考人、お願いします。
○東参考人 ありがとうございます。
症例数の公開という意味では、院内がん登録の集計結果を出すサイトががん情報サービスの一部としてありますので、そちらのほうで割と詳細に公開はされていると思います。
ただ、希少がんに関しては、ちょっと希少がんの分類というものがなかなか一定しない、難しいところがありますので、実際にコードを集計する方法も少し粒度の問題があって難しいというところもありますので、希少がんに関してはまだ進んでいないというのが実際のところかと思います。
それで、がん情報サービスに前は公表されていたものが個人情報で公表されていないということはなくて、公表の仕方が少し変わったので少し見づらくなったのかと思います。それをどういうふうに解決するかということについては、今後また検討していきたいと思います。できるだけ分かりやすくしたいというふうには考えている次第です。
○辻部会長 天野委員、いかがでしょうか。
○天野委員 そうなると、現時点では症例数は、実は希少がんも含めてですけれども、何かそれを公開するに当たって個人情報保護等の観点から問題、障壁はないという理解でよろしいのでしょうか。
○東参考人 希少がんに関しては、少ないがん種に関しては個人情報が問題になってくることはあると思いますけれども。
○天野委員 丸みをすれば問題ないという理解でいいですか。
○東参考人 そこは、丸めれば問題ないはずです。
○天野委員 丸みに関しては大丈夫ということですね。
○東参考人 それは大丈夫です。
それで、ほかの技術的な問題が希少がんではいっぱいあるというのはあります。
○天野委員 分かりました。ありがとうございます。
○辻部会長 では、大木委員お願いします。
○大木委員 大木です。
東先生に御質問したいのです。私も祖父江委員と同様、院内がん登録は名寄せをしないので個人情報、住所とか氏名とか、そういったものを集めないという理解でしたので全国がんと全く一緒とも少し違うと思っております。
スライドの8枚目、必要に応じて個票データを提供のところなのですが、この場合、治療日等のデータや日付までとあります。年齢とか性別とかはもちろん必要ですけれども、これについて例えば生年月日や診断時の年齢といったことを渡さないのかどうかというのをお尋ねしたいと思います。
それから、施設名を出さないというのは個人を同定するからなのかという点を御質問したいのと、都道府県までの地理情報ですけれども、院内がん登録はもともと都道府県までしか届けていないと思うので、これ以上細かくすること自体も難しいのではないかと考えたので、これらについて教えてください。
○東参考人 全部記憶できているかはあれなのですけれども、まず個人情報を集めないということについては最後の私の提案が混乱を招いているのかもしれませんが、今のところ個人識別情報は特にその氏名等を集める予定はありません。
それで、今後全国がん登録のほうに情報が連結できるような形を考えるために連番を出してはどうか。連番を全国がん登録側に持っておいてはどうかということを考えている次第です。院内がん登録の内容としては、今もまだ個人識別情報を集めるということは考えておりません。
それで、今スライドで出ている8枚目ということなのですが、「治療日等の日付データは年まで」ということについては、年齢とか生年月日、集めているのは生年月日でありますけれども、生年月日もやはりそのまま出すということではなくて、年まで、もしくは年齢まで、診断時年齢までということを考えている次第ですし、ここに書いていない事項については普通に加工は考えていませんので、性別はそのまま出すというのが妥当なのではないかと考えている次第でございます。
あとは、何でしたか。
○大木委員 住所です。
○東参考人 住所に関しては、郵便番号があります。
ただ、これはかなり機微な情報だと思いますので、原則これを出すということは考えておりません。
ただ、やはり地理情報で何とかいろいろ検討したいというのは、実は全国がん登録の匿名化情報の審査会を運営していてもかなり要望としてあるというのは理解しております。ですので、ここでは「代替情報を作成」というふうに書きましたけれども、そのものの地理情報を細かく出すのではなくて、それを独立させた形で必要な部分に必要な情報に加工して、その加工されたものを連携して提供するというようなことを考えている次第です。
それくらいでよろしいでしょうか。
○辻部会長 大木委員、いかがですか。
○大木委員 ありがとうございます。
まず個人情報の件については私も混乱しているのかもしれないですが、集めないで名寄せはしていないということで確認したと思います。
それと、連携のところは年齢については5歳刻みとかではなくて年単位、性別とかはそのままということで理解できました。ありがとうございます。
あともう一点だけ、すみません。追加なのですが。
○辻部会長 手短にお願いします。
○大木委員 組織情報とかは細かくデータを取るためにすごく実務の人が細かく入力しているのですが、それについてはそういったことで使う予定はないということでよろしいですか。
○東参考人 ここで、テキストを削除というふうに書いてあるのはそういう意味です。
ただ、やはりいろいろな使い方が想定されると思うんです。ですから、そこに関してはちょっとデータ利用審査委員会で個別に判断ということを考えています。ここに加工基準が原則と書いてあるのは本当に原則でありますので、特に必要でこうやってやれば安全だという提案をいただければ、もしくはこちらで考えられればデータ利用審査委員会にそれを考えて、それを提案してお認めいただけるかどうかを考えるということになると思います。
○大木委員 ありがとうございます。
○辻部会長 では、石井委員、それから坂元委員、時間が過ぎていますので手短にお願いします。
○石井委員 ありがとうございます。石井です。
伺っていて、どこまでついていっているのか自信がないところでありますけれども、もう一度確認させていただきたいのですが、院内がん登録を取り扱っている病院においては特定の個人を識別しようと思えばできる形で情報は管理されているのかどうかですね。容易照合性があるかどうかというところも含めて、この点をまず1点確認させていただきたいのですけれども。
○東参考人 容易照合性ということは私はあまり細かくわからないですが、病院の中から出てくるデータですので、病院の中では個人情報つきでデータベースは作っています。それで、国立がん研究センターで出すときにそれを番号、連番に置き換えて出しているというのが現状ですので、国立がん研究センターもしくはその先においてはデータが個人に識別されるということは非常に考えにくいという形です。
○石井委員 分かりました。
そうしたら、三者関係になるというか、まず病院からその情報が提供されるときに適切な法的な根拠があるかということと、がんセンターさんから情報を提供するときにそれが個人情報なのかどうかという問題があるという理解でよろしいのですか。
○東参考人 病院から提供されるところというのは、法律に基づいてという解釈が確定しております。それに基づいて健康局長通知が以前に出ているというところです。
それで、整備ができていないのが、がんセンターからさらにほかのところにデータが提供できるのかというところで、今回その方法について御提案をさしあげているという形です。
○石井委員 そうしたら、今回の対応方針案で示されている、がんセンターが主体となる提供について、個人情報保護法が出てくること自体がどうかという問題があるんですか。
○東参考人 がん登録推進法の中での提供というものが規定されていないということなので、それは一般法である個人情報保護法に戻るしかないだろうというところで、そちらのほうの整合性というか、そちらに従おうという整理をしたという次第です。
○石井委員 そうしたら、個人情報ではないのではないかと言われているのは、個人情報保護法の提供の規定を持ち出してしまっているという話はあるわけですよね。
○東参考人 なるほど。そこはそうかもしれないです。少し安全面を取って個人情報とした場合は、でも大丈夫なようにということをしたいというのは希望としてはあります。
○石井委員 その辺りは、もしかしたら個人情報かもしれないのでということで、個人情報保護法の適用が前提になってしまうと少し行き過ぎる可能性がありますので、今の議論も含めて個人情報保護委員会に十分御相談いただく必要があるかなと思いますので、厚生労働省を含めてきちんと論点整理して聞いていただくということが必要かと思います。
それで、法令の解釈もちょっと気になるところがあるのですけれども、時間の関係があるということですので、私からは以上で結構です。
○辻部会長 坂元委員、お願いします。
○坂本委員 私の質問は簡単なので、全国がん登録は市町村の死亡個票で転帰の突合をするというふうになっていますが、この院内がん登録の場合は多分その適用ではないので、最終情報で見ると、指針のほうには転帰とか、その辺をしっかり保存するというふうになっているのですが、その辺の最終的な情報の確認というのはどのようにされているのでしょうか。
○東参考人 すみません。その最終的な情報の確認というのはどういう意味ですか。
○坂元委員 どこかで退院して、例えば在宅医療を受けている中で死亡してしまった場合に、全国がん登録だと市町村の死亡個票との突合をやるので、その転帰が明確になるのですけれども、院内がん登録の場合はその辺のところはどうなっているのでしょうか。
○東参考人 分かりました。
死亡情報をどのように手に入れるかということかと理解しましたが、これはがん登録推進法の20条で全国がん登録情報を使って病院に対して、届出病院に対しては情報を返す。予後情報を返すということが規定されております。それで、予後を知るという形になっております。
それで、全国収集データについてはこれからではありますが、返ってきたものをさらに全国の病院から国立がん研究センターが再度集めるということは(院内がん登録の実施にかかる指針によって)予定されています。
○坂元委員 そうすると、病院が把握しない場合は転帰は分からないということですね。全国がん登録は市町村の死亡個票と突合するので全数が拾えるのですけれども、では病院が把握していない場合はその転帰が分からなくなる場合があり得るということですね。
○東参考人 そうです。そのとおりです。それで、そういうものはちょっとよくないと思うので、最後におつけした直接連携するようなところができたらいいんじゃないかということを考えている次第です。
○坂元委員 私もそれが必要だと思います。やはりがんは死亡というのが重要な情報なので、その連携があって初めてかなり価値の高いものになるので、私はその辺は積極的に進めていくべきだと思っています。
以上でございます。
○辻部会長 では、最後に祖父江先生お願いします。
○祖父江委員 今の院内がん登録に関しての転帰は、がんセンターから住民票照会しているんじゃないですか。
○東参考人 それは昔のデータについてです。2015年以前のデータです。
○祖父江委員 以前ですか。今はやっていないんですか。
○東参考人 2016年以降はやらないです。
○祖父江委員 分かりました。
○東参考人 だから、2016年診断よりも後の診断症例についてはやらないです。それ以前の症例についての追跡は今もやっています。
○辻部会長 それは分かりました。大体分かっていると思います。
それでは、今いろいろ御議論いただきましたけれども、基本的には院内がん登録というのは匿名データでいっているという取りあえずの前提があるということですので、資料1の14ページをもう一度先生方に御覧いただきたいのですが、対応方針(案)の中で3行目の真ん中辺り、「全国がん登録情報等の提供と同様の基準で」というところが、顕名データ等を思い起こして混乱する方もいらっしゃるかもしれませんので、この「全国がん登録情報等の」と「提供」の間に、匿名データの、という形で一言追加するということでお認めするということでよろしいでしょうか。
○石井委員 すみません。石井ですけれども、個人情報保護法27条1項4号、6号、7号に基づきというのは、個人情報であることが前提になっていて、個人データであることが前提になっているので、これでいいかという問題があると思うんです。
○辻部会長 そうしますと、先ほど石井委員がおっしゃったみたいに、今日は決めることなく個情法との関連等々について個人情報保護委員会との協議等も事務局のほうでやっていただきたいということで。
○石井委員 そうですね。ここでやっている議論が伝わっていないと問題があるかもしれないので。
○辻部会長 その辺は確かに大事だと思いますので、分かりました。そういうことで、これについては今回は保留ということで、事務局のほうで個情法、それから個人情報保護委員会との話合いで法令の整理をした上でもう一度出していただきたいということをお願いしたいと思います。
それから、議論が実は予定の時間よりも大幅に過ぎているのですが、これは基本的に委員に対する情報不足のために、あるいは誤解のために質疑が長くなっているのではないかという気がしますので、次回は事務局におかれましては事前に委員の先生方に御説明されていると思うんですけれども、もっと丁寧にその辺をきちんと説明していただかないと、円滑な議事の進行に支障を来しますので、よろしくお願いしたいと思います。
○原澤推進官 事務局でございます。
最後の御指摘の点は留意したいと思います。
そして、今、石井委員から御指摘いただいておりました個人情報に該当するかどうかという点につきまして、事務局から補足を1点よろしいでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○原澤推進官 こちらは、検討に当たって個情委に確認をしておりました。それで、その検討の中で、本データについては個人情報に該当し得るということで、このような形で個人情報保護法に照らして整理をさせていただいたというところでございます。
ですから、石井先生から御指摘いただいておりました個人情報にそもそも該当しないのではないかといったところについては、たどっていくと個人情報に戻り得るデータであるということから、個人情報に該当するものとしてこの基準の中で整理していくのが妥当であろうということで事務局として整理を進めてまいりましたものでございます。
補足が遅れまして申し訳ございませんでした。
○辻部会長 そうしますと、そのところは既にクリアしていて、個情委もこれを認めているという解釈ですか。
○原澤推進官 おっしゃるとおりです。
○辻部会長 そういうことでしたら、石井委員どうでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。
もしそういうことであれば、事前にちゃんと資料を作って出していただかないと、論議も無駄になってしまいますので、そこのところは事務局のほうで留意していただかないといけないと思います。
そういうことであれば、個人情報保護法27条1項4号、6号、7号が関係してくるところでありまして、文言の解釈とかお聞きしたい点もありましたので、今後十分注意して議論の進め方を検討していただければと思いました。
以上になります。
○辻部会長 今回の説明につきましては、事務局サイドの御説明、とくに今、最後にいただいた話と、東参考人の御説明とが矛盾しているというか、齟齬がありますので、それがさらに混乱を招いてしまっていると思います。以後、気をつけてください。
では、続きまして技術的な課題についてに移ります。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、技術的課題について御説明します。資料の16枚目をお願いします。
資料の16枚目に記載しておりますが、技術的課題という本課題は提供マニュアルにおける安全管理措置基準の見直しと、全国がん登録情報等の情報提供におけるリモートアクセスの体制整備に集約されます。安全管理措置基準に関して、がん登録法第33条、がん登録情報の受領者等に係る全国がん登録情報の取扱いの事務等に従事する者等の秘密保持義務は、情報の提供を受けた者に対し、その漏えい、滅失及び毀損の防止、その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないとしており、その具体的な安全管理措置等が提供マニュアルにおいて定められています。
提供マニュアルでは、非匿名化情報と匿名化情報で異なる安全管理措置基準を設けていますが、その安全管理措置基準の厳しさから自治体、医療機関、研究機関等において全国がん登録情報等の利用が制限されていること、また、現在の情報セキュリティーの在り方に沿った見直しが必要であること等が指摘されており、その見直しが課題とされています。
全国がん登録情報等の提供におけるリモートアクセスの体制整備に関しては、全国がん登録情報等の提供におけるリモートアクセスとは、例えば全国がん登録情報等を提供された研究者のコンピューター等に別の研究者が遠隔でインターネット回線を通じてアクセスすることや、共通クラウドでの全国がん登録情報等の提供・利用を言いますが、新型コロナウイルス感染症の影響下でリモートでの作業のニーズが高まったことや利便性向上の観点等から、リモートアクセスの可否及びその安全管理措置等の検討が課題とされています。
技術的課題について、専門家の見地から検証いただくことが望まれますので、対応方針として、いずれも令和5年度において調査研究事業を行い、検討結果を踏まえ、マニュアルの見直し等を行うことを提案いたします。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明のありました3.技術的課題について、委員の皆様から御質問、御意見をお願いしたいと思います。
山本先生、どうぞ。
○山本(隆)委員 これは必要なことだと思うんですけれども、厚生労働省が提供しているデータベースだけでもかなりの数に上ってきて、それぞれのデータベースのマニュアルについて全部個別に検討すると、これはマニュアル間のそごも当然生じる可能性があるので、これだけデータ提供が一般的になってきた状態では、少なくとも医療情報を扱う厚生労働省としてはレベル書きをきちんとして基準をつくって、がん登録はそれを参照するという形のほうが多分いいと思うんです。
それで、これはサイバーセキュリティーのことを考えると非常に変化が早いので、そういう意味ではそれぞれのデータベースで全部検討しているとものすごく時間の無駄が多分生じてきますので、方針に別に異存はありませんけれども、厚労省として統一した基準づくりみたいなことに取り組まれてはいかがでしょうか。
これは私の提案でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
全く先生のおっしゃるとおりだと私も思います。取りあえずそういう方向に進むとして、現時点では提案に御賛成いただいているということでよろしゅうございますか。
ほかの先生方、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、基本的にはこの16ページの対応方針(案)、「いずれも令和5年度において調査研究事業を行い、検討結果を踏まえ、マニュアルの見直し等を行う」ということに基本的には賛同するということですけれども、この部会だけではなくて省全体として考えると、もう少し統一的な考え方、そしてレベルに応じたマニュアルを統一してやったほうがいいんじゃないかという山本委員からの御提案があったということを付記させていただくということでいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○辻部会長 ありがとうございます。
では、続きまして法第20条に基づいて提供された情報の取扱いに移ります。事務局から、資料の説明をお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、「法第20条に基づいて提供された情報の取扱い」について御説明します。スライドの18枚目をお願いします。
全国の病院等から収集された全国がん登録情報は、がん登録法第20条に基づき、国立がん研究センター、都道府県がん登録室から届出施設の院内がん登録を取り扱う管理室に還元されています。
法第20条に基づいて各病院に提供される情報は、第30条から第34条に基づく管理が求められることから、目的外利用となる診療録への転記が許されていません。
一方で、生存確認情報は病院等で生存確認調査を行うことが難しく、また、死亡情報の有無は治療法の評価に直結するなど、医学研究において重要なデータであり、実務上、診療録への転記に係るニーズが大きいことから、20条に基づいて提供された情報の取扱いが課題とされています。
特に、がん登録情報の保有期間については法第32条の規定による制限を受けるため、最長で15年間とされており、院内がん登録に還元した場合等における当該保有期間の考え方についても見直しが課題とされています。
資料19枚目、そしてこの次の20枚目では、第12回厚生科学審議会がん登録部会において、がん登録法第20条に基づいて提供された情報は、法第30条から34条までの規定の適用を受けること、特に第32条により保有期間の制限を受けること、保有期間を遵守するためにはその適切な管理や利用、保有等に当たっては院内がん登録データベース以外への転記や第三者提供は不可と整理すべきであることが示されました。
資料21枚目の左側に、法第20条の概要を示しています。資料21枚目の右側に、本課題として診療録や診療記録への転記、その他のデータベースへの転記を行いたいものの、第30条から第34条までの規定に基づいた管理、特に保有期間の遵守の観点から認められていないこと。
院内がん登録データベースへの転記に当たっては保有期間の制限を受けることになりますが、この必要性について疑義があること。
法第20条に基づき提供された情報に求められる安全管理措置基準は、マニュアル上明確でないこと。
法第20条により提供される生存確認情報には生存する個人に関する情報と死者の情報の両方が含まれるところ、特に後者の研究利用等に当たって同様の基準の安全管理措置を求めることについて疑義があることを挙げています。
資料23枚目には「検討に当たっての論点」として、特に生存確認情報といった法第20条に基づいて提供された情報を診療録へ転記できる体制の整備についてどのように考えるべきか。特に、転記された情報について、がん登録推進法との関係をどのように考えるべきか。
また、院内がん登録への情報の還元及び診療録への転記において、還元または転記後の情報に保有期間を設けることの実務上の必要性や適正についてどのように考えるべきか、挙げております。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明のありました「4.法第20条に基づいて提供された情報の取扱い」につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますが、1つ御留意いただきたいのは、今回4つの議題を出させていただいていますけれども、既に終わりました1番目から3番目につきましてはこの紙のように対応方針(案)というものが事務局から出されまして、それについての議論をさせていただいたわけですけれども、この4番目につきましては検討に当たっての論点ということで提示しておりますので、今回は何かをまとめる、何かを決定するというよりは、むしろ委員の皆様から様々なお立場でフリートークをしていただいて、これについての論点を明らかにしていきたい。その下に、今後何度かまた時間をかけて今後の方向性を考えていきたいと考えておりますので、そのような形で忌憚のない御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。どなたからでも結構でございます。
松本委員からお願いします。
○松本委員 ありがとうございます。
この20条問題というのは、研究者の方々から何度も繰り返し問題が提起されてきたことだと思います。そこで、委員の中でこの20条問題について教えていただきたいと思いますけれども、特に予後ですが、これについて研究機関などによっては自前で調査をしているところもごく一部ではあるけれども、あるというふうに聞いたことがございます。この点について、何か御存じの方がいらっしゃいましたら教えていただけないでしょうか。
以上です。
○辻部会長 これにつきましては、臨床の先生からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、どなたかお答えいただけますでしょうか。
家原委員、お願いします。
○家原委員 家原でございます。
学会等では、やはり予後調査ということは非常に苦労しているところでございます。特に臓器別のがん登録というのは、学会ごとにデータベース化しているところが多く、がん登録が始まったときに突合ができるのではないかという期待がありました。それができないということで、次は病院カルテからその予後が分かるのではないかと期待されましたが、この20条の問題でがん登録の予後情報をカルテに記載することができず、正確な予後の把握が困難であることがわかりました。学会での登録では、病院からの報告のみに頼っているために正確な予後が転居等によって把握しにくく、公的登録の力を借りない中で苦労しているということが現状ではないかと思っております。
今回このような議論がなされたことによって、診療録への生存の有無が明確化することによって、学会登録等への予後調査が明確になるのではないかということで、私自身は期待しているところでございます。
○辻部会長 中西参考人、お願いします。
○中西参考人 今、家原委員がおっしゃったことにも関わりますけれども、やはり学会にしても病院にしてもがんの患者さんの最終的な予後情報というのは極めて重要だと思っております。そういう意味で、全国がん登録の制度ができたときに、院内がん登録を扱う立場としては、これで正確な予後情報がちゃんと取れるということで非常に喜んだ記憶がありますが、カルテに転記できないということが非常に問題になった。
それで、なぜカルテに転記できないかということを考えますと、やはり機微情報が漏えいすることに対するリスクではないかと思っておりますが、実際に院内がん登録においても、あるいは多くの学会が実施しているいわゆるレジストリースタディー等につきましても予後調査はきちんとやっておりますし、また、私が以前所属した九州大学でも、できるだけそのデータはカルテに転記いたしましょうということでやってきておりました。
そうしておかないと、カルテ上いつまでも生存しているという状況そのものは非常に問題がある。また、カルテに対する記載が果たしてどれくらいのリスクがあるかということでありますが、確かにカルテというのは個人情報の塊でありますし、機微情報の塊ではありますが、ただ、唯一、死亡情報だけがいわゆる漏えい対象として特段厳しく守らねばならないというものではないと思いますし、実際問題、若干のセキュリティーの問題点は時々出ておりますけれども、実はこのカルテのシステムというのは最も情報漏えいに対して厳しい対応をしているものであります。
そういうことから申し上げますと、やはりこの予後情報というのがカルテのほうに連携する。そのことによって、より正しいがん情報、あるいはそれに基づいた様々な治療措置、あるいは予防措置が講じられることのほうがはるかにメリットが大きいと思っております。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、石井委員お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
この議論というのは以前からずっとなされているものだと、ずっとといいますか、私の知る限りでは数年前から行われていると思いますけれども、課題として現行法では認められないという整理になってしまうのであれば、その法律を見直してカルテに転記できるようにするとか、そういう方向性で御検討いただくとよろしいのではないかと思っていますが、この点はどうなのでしょうかということです。
「検討に当たっての論点」のところで「がん登録推進法との関係」と書いてありますけれども、関係性をいつまでも議論しても仕方ないような気がしますので、見直す必要があるところはちゃんと見直していけばいいのではないかというのが今ちょっと感じたところではあります。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
いろんな御質問とかあろうかと思いますけれども、事務局に一問一答という形ではなくて、全部御意見とか御質問をいただいた上で最後に事務局からフィードバックいただくという形にしますので、そういうことで御了承ください。
では、次に山本委員お願いします。
○山本(秀)委員 日本歯科医師会の山本です。
この辺のことについて、私は詳しいわけではないのですが、少なくとも診療録というものはいわゆる診療をしたときにその内容を書きなさいというふうに私どもは教わっているので、例えば死亡しているデータということについては、文書をカルテそのものに転記をするということではなくて、添付するという形にすることは不可能なのでしょうか。よろしくお願いします。
○辻部会長 すみません。添付するというのはどういう意味でしょうか。
○山本(秀)委員 つまり、通常であればカルテ自体に書くのではなくて、いろいろな様々ないわゆる文書を作ったりすることがあるわけですよね。そういったような文書をカルテに挟み込むといいますか、要するに転記することではなくて挟み込む。文書を一緒に保存をしておくというふうな考え方ではだめなのかということです。
○辻部会長 分かりました。またほかの先生方の御意見もいただきながら議論したいと思います。
では、坂元委員お願いします。
○坂元委員 これは記載されたカルテ側からの問題、つまり診療録の問題から言うと、今の段階では転記できないとあるのですが、そうするとこの患者さんの情報がカルテ上残るというのは、診療が完結しないとカルテの5年保存という規則が生きてしまう。つまり、死亡した場合はそこで一応診療が完結したということで、そこから起点として5年間カルテは保存義務があるということなので、逆にその人の情報がずっと残ってしまうという課題もあるので、その辺の問題も考えなければいけないと思うんです。
逆に、これを転記しても、転記した段階で仮に3年前に死亡したと分かった場合、3年前に完結していることですから保存期間は残り2年ということなので、その辺の医師法カルテの保存ということと併せてこの問題を考えていかないといけないのかなという気がします。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。
亀井委員、お願いします。
○亀井委員 亀井でございます。
まず、カルテに転記できないといった議論が当初ありましたときには、カルテに転記することでそれが二次利用といったリスクだとか、そんなことも議論されたのではないかと思います。
ただ、それ以降もずっとそういう意味で転記されないことによるデメリットのほうがかなり大きいということであれば、やはり見直しが必要かと思いますので、意見として申し上げておきます。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、大木委員お願いします。
○大木委員 がん登録を行う立場からも、死亡日を別に保存するというのは非常に煩雑で、正しい情報をきちんと記録するということは重要だと思っています。
それで、がん登録の立場から、死亡情報というのは死亡日と、死亡したかということと、死因の3つだと思っています。それらについて転記するかどうかを議論していただければと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにはいらっしゃらないでしょうか。よろしいですか。
祖父江委員、何かございますか。
○祖父江委員 石井委員と同じで、法律を変えてできるだけ転記できるように方向性として考えたらいいんじゃないかと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
東参考人から手が挙がっていますか。
○東参考人 ありがとうございます。
私が話をするのが適切かは分からないですけれども、カルテに転記できないということは特に法律上は何も書いていないと思いますが、これはなぜできないのか、しないほうがいいのかというと、管理が難しくなるからということで、その前でストップさせているということです。その管理とはというのは、保存期間の問題と、第三者提供の問題ということで、この2つの制限があるがゆえに、その制限を守るためにカルテには転記しないほうがいいだろうという判断というふうに伺っています。
ただ、本当にそれが第三者提供したらいけないようなものなのか。例えば、匿名化した後でも第三者提供してはいけないようなものなのか、もしくは5年または15年以上持っていてはいけないものなのかということは議論の余地があるとは思います。それを絶対しないということを確保した上で転記をするというのは、またこれは解釈の問題なので、そこだけ許すということはあり得るというふうに私は考えていますが、ちょっとそこは個人的な意見で何とも言えないかと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
今の東先生の御説明のところで、私も明確に理解できているような気がしないんですけれども、資料によると、がん登録推進法の30条から34条までの規定に基づいて、特に保存期間のところから転記が認められていないというふうに書いてある。それは、法律の解釈を見直せばできるものなのか、法律の解釈によってもやはり現行はできないという整理になっているのであれば見直す必要があるということになるかと思いますけれども、その辺は厚生労働省さんの事務局のほうで少し法律の解釈でいけるのかどうかというところも見通しを示していただく必要があるかと思いました。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、その辺、今日の全体の議論も踏まえまして、今の石井委員の御質問も踏まえまして、事務局から何かございますか。
○原澤推進官 事務局でございます。
様々な御指摘、御意見、御質問等をいただきましてありがとうございます。この場で一つ一つの御質問に回答し切るのは難しいので、いただいた御意見を改めて整理し直した上で引き続き御議論いただけるように事務局のほうで準備してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
簡単でございますが、事務局からは以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
最後に私から一言申し上げるとすれば、がん登録における個人情報保護と、その貴重なデータの利活用と2つがあって、そのバランスを取らなければいけないという話なのですが、特に情報の利活用ということでいうと、主治医サイドあるいはカルテの整合性という議論が1つ。もう一つは臓器別がん登録の予後情報がなかなか手に入らないという現状の問題に対して、この予後情報が利活用できれば非常に正確かつ効率的に研究が進むのではないかという議論です。
これは特に日本の臨床研究にとっても非常に重要な話になると思いますので、主治医サイドの話と、臓器別がん登録も含めた臨床研究への活用という2点を別々に考えながら、メリット、デメリット、そしてこのカルテに書かれた情報の第三者提供をどこまでできるのかということも含めたところで、だんだん論点が見えてきましたので、必要に応じてはこれから第三者の方、外部の方から参考人として御説明なり御要望なりいただくということも含めて議論していただければと思います。
さらには、最終的には必要であれば法改正というところになると思いますし、その辺の議論も含めてこれから進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今の私の話でおまとめして、皆さんよろしいでしょうか。
よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、この議論につきましてはこれくらいにさせていただきまして、続きまして全国がん登録情報の提供マニュアルと全国がん登録届出マニュアルの改訂につきまして、事務局から御報告いたします。
では、よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。
まず資料3「全国がん登録 情報の提供マニュアル第2版の改訂について」を御報告いたします。
先ほどの資料1の課題3で取り上げた技術的課題につきましては、専門家の見地からの改訂が必要ですけれども、それ以外の改訂が必要な部分について、文言修正ですとか、前回12月のところで議論いただいた申請者の立会い等、審査の簡素化というところに関して、それらの改訂を反映しておりますので、そちらを御報告します。
2ページ目のところには全体像として大きなところを書いておりますけれども、こちらは内閣府の示す押印廃止の考え方にのっとって提供依頼申出者等の押印を不要とする形で内容、様式を変更しています。
そのほか、同意について等に関しては「当該情報のオプトアウトによる第三者提供を認めていない」ことを追記したというところでしたり、先ほど申し上げた審議会等への立会いについて、新たに審議会長が必要と判断した場合には提供依頼申出者を参考人として出席させる等の対応を行うことを追記しております。
また、「情報の提供マニュアル、別添」や、安全管理措置、審査の方向性等ございますけれども、その提供マニュアル別添のところで日本語申出文書、その他資料は日本語を正文とすることを改めて明記しているというところで、あとは安全管理措置のところでは「生体認証と他の方法との組み合わせによる多要素認証とする」等、少し分かりにくい表現とのころを明確に微修正しております。こちらが提供マニュアルの改訂についてです。
次に参考資料の7になりますけれども、こちらは届け出るときのマニュアルでございます。全国がん登録届出マニュアルにつきまして、令和4年度からの全国がん登録システムの変更に伴って、システムがクラウド移行したこと、ICD-O 3.2を全国がんにおいて採用したこと、院内がん登録施設の院内全国がん登録情報を同時提出、登録できるようになったことから、それらを反映しまして全国がん登録届出マニュアルを改訂しています。こちらは自治体に既に連絡しておりまして、6月30日付で公表しております。
事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
全国がん登録情報の提供マニュアル、それから全国がん登録届出マニュアル、それぞれ改訂について御説明いただきました。委員の皆様、いかがでしょうか。何か御質問、御意見ございますでしょうか。
ございませんか。
では、これでよろしいということでよろしゅうございますね。
(首肯する委員あり)
○辻部会長 それでは、以上で公開の議事が終わりましたので、次の議題に入る前に10分間休憩をいただきたいと思います。
これより非公開の議事となりますので、YouTubeの切断をお願いしたいと思います。
(YouTube切断)
(以下、非公開)
照会先
健康局がん・疾病対策課
代表03-5253-1111(内線 3825原澤、2150渭原)