2022年8月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第46回) 議事録

日時

令和4年8月3日(水)14:50~17:16

場所

日比谷国際ビルCS 8D(8階)

出席者

今村主査、酒井構成員、関口構成員、土井構成員、三宅構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容

○事務局
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第46回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。
 まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、関口構成員、土井構成員、三宅構成員がオンラインでの御参加、志藤構成員、土橋構成員が御欠席です。また、先ほど第45回の労働WGで御説明させていただきましたが、大木構成員が退席しております。
 続いて、本日の議事について御説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧いただければと思います。なお、参考資料3、4にお示ししている本年3月2日付けで改訂された総務大臣決定の指針については、昨年秋のデジタル庁発足に伴う所要の改正がなされたものです。この場をお借りして、改めて事務局より御報告いたします。
 本会議の議題については、高齢・障害・求職者雇用支援機構の令和3年度の実績評価及び中期目標期間見込評価に係る意見聴取を行うこととなっております。法人から、各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いただいた後、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。議事の流れとしては、年度評価について一通り御意見を頂いた後、見込評価の御意見をお伺いいたしますので、見込評価における法人からの御説明については、年度評価との重複を極力避けていただきますようお願い申し上げます。
 3つ目の議題である業務・組織全般の見直しに関しては、独法通則法第35条の規定を根拠として、主務大臣が中期目標終了時までに、法人の業務の継続又は組織の存続の必要性、その他業務及び組織全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止、その他所要の措置を講ずるものでして、次期中期目標の内容に反映することを目的として実施するものです。これについても、本WGの御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 この後の進行は、本WGの主査でいらっしゃいます今村先生にお願いしたいと思います。それでは、今村先生お願いいたします。

○今村主査
 今村です。どうぞよろしくお願いいたします。外でちょっと雷が鳴っていて気になるところですが、本当にお暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の会議ですが、独法のやっておられる内容が非常に幅広くございますので、2時間半を予定しております。少々長丁場になりますが、どうか円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。ただいまの事務局の説明について、何か御質問がありましたらよろしくお願いいたします。よろしいですか。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、高齢・障害・求職者雇用支援機構の令和3年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。はじめに、法人から法人の業務概要及び自己評価について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、まず法人から、法人の業務概要及び自己評価について説明をお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 高齢・障害・求職者雇用支援機構の企画部長の飯田と申します。本日はよろしくお願いいたします。私からは、当機構の業務概要と令和3年度業務実績に基づく自己評価について御説明いたします。皆様、お手元のタブレットの資料2-1を御覧いただければと思います。令和3年度業務実績評価説明資料となっておりますが、まず1ページをお開きいただければと思います。
 1ページですが、私ども機構は、高年齢者雇用支援事業、障害者雇用支援事業、職業能力開発事業を実施しており、緑色の部分が高齢者の事業、オレンジ色の部分が障害者雇用支援の事業、紫色の部分が職業能力開発事業となっております。こちらに自己評価を記載しておりまして、全部で17ですけれども、令和3年度の自己評価はSが1、Aが6、Bが10としております。昨年度の大臣評価との比較をすると、Aが1つ多くて、Bが1つ減っているといった形です。
 それでは、重点化対象項目の8項目を中心に、具体的に御説明したいと思います。6ページを御覧ください。1-1-2です。こちらの業務は、65歳超雇用推進プランナー等の専門家が、企業に対して70歳までの継続雇用の延長や定年引上げといった制度改善の提案や、専門的な相談・援助を行うものです。また、高年齢者雇用に関する実践的な手法の開発・提供や、生涯現役社会の実現に向けた啓発活動も行っているものです。
 7ページを御覧ください。自己評価はSとしています。その下のⅠですが、指標は2つあります。①事業主に対する制度改善提案件数、②制度改善提案により見直しを進めた事業主の割合です。
 8ページを御覧ください。Ⅱですが、令和3年度の指標の達成度はいずれも令和2年度の実績を上回っており120%を超えています。令和3年4月の改正高齢法の施行に伴う事業主の関心の高まりもありますが、コロナ禍で訪問を断られることが多い中、オンラインも活用しつつ、制度改善提案等に積極的に取り組んだ私どもの努力も大きいかと考えております。
 9ページを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しております。まず、制度改善提案の実績確保に係る取組としては、長引くコロナ禍において積極的に事業主へアプローチを行った結果、前年度を上回る制度改善提案を実施し、改正高齢法施行に伴う事業主の関心の高まりに的確に応えることができたと考えております。また、改正高齢法に基づく70歳までの就業機会の確保に関する事業主の努力義務化の趣旨や内容の周知・広報を行いつつ、努力義務確保のための制度改善提案を行いました。
 提案内容の質の向上に向けた取組としては、コロナ禍で経営環境が厳しい事業主も多くみられる中、プランナー等による制度改善提案内容を都道府県支部において事前確認するとともに、機構本部においても事後確認し、プランナー等に対して個別に助言を行うなどきめ細かなフィードバックを行い、提案内容の質の向上に努めたところです。また、プランナー等に対して、企業訪問時におけるノウハウ等の助言・研修や好事例紹介等を行うほか、実践的ツールとして作成した自学自習用のテキストを配付することにより、プランナー等のスキルの向上に努めたという状況です。
 なお、こちらの資料で数字の右上に「*」が付いている所がありますが、これについては、私どものほうで令和3年度の業務実績評価に当たって数字を精査したところ、相談・助言件数や制度改善提案件数などのプランナー等業務に係る平成30年度から令和2年度までの3年分の公表済みの実績の一部について、計上誤りが判明したということです。この計上誤りによる指標の達成度への影響ですが、-0.2%から+0.2%ということでして、過去の評定に影響を与えるものではないと考えております。
 続いて、障害者関係の事業に移ります。14ページを御覧ください。1-2-1です。こちらの業務ですが、地域障害者職業センターが、他の機関では支援が困難な個別性の高い支援を必要とする障害者に対する専門的な職業リハビリテーションサービスや、事業主に対する障害者の雇用管理に関する専門的な支援を行うものです。
 15ページを御覧ください。自己評価はAとしております。その下のⅠですが、指標は4つあります。①精神、発達、高次脳機能障害者の支援対象者数、②障害者の雇用管理に係る支援実施事業所数、③職業準備支援の修了者のうち精神、発達、高次脳機能障害者の就職率、④ジョブコーチ支援終了者のうち精神、発達、高次脳機能障害者の支援終了後の職場定着率の4つです。
 16ページを御覧ください。指標の達成度ですが、いずれも令和2年度の実績を上回って、全て目標を達成している状況です。
 17ページを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しております。まず、障害者に対する専門的支援に係る取組としては、精神障害者等に対し、機構の研究部門が開発した評価ツールや、キャリア講習、職場対人技能トレーニング等を取り入れ、個々の特性やニーズに応じた個別性の高い支援を実施し、95%弱の利用者の方から効果があったといった高い成果が得られたと考えております。また、コロナ禍により施設への通所を制限せざるを得ない中、オンライン支援のガイドラインを整備し、利用者の同意を得た上で、オンラインによる相談を実施したほか、テレワークを想定した支援も実施しております。これらの取組の結果、令和2年度は目標が達成できませんでしたが、令和3年度は目標が達成できたということです。
 事業主のニーズを踏まえた専門的支援に係る取組としては、令和3年3月の法定雇用率0.1%の引上げを踏まえて、障害者雇用の取組が進んでいない事業主等に対して、他社の取組の情報の提供や障害者の職務創出など、地域センターが提供できる支援内容を提案しつつ相談・助言を行うという「提案型の事業主支援」の全国展開に向けて、提案書を提示する事業主像や効果的に提示するタイミングを整理し、全国の地域センターと共有しました。また、あらゆる機会を捉え、事業主への積極的な働きを通じて把握した事業主のニーズに基づき、具体的な支援につなげたほか、新たにオンラインによる支援も実施しました。さらに、コロナの影響で業務縮小等に直面する事業主への支援のために、在職障害者の方の新たな職務創出や、テレワークへの対応に係る報告書を作成・活用することにより、事業主のニーズに応じて的確に支援を実施しました。これらの取組の結果、令和2年度は目標を達成することができませんでしたが、令和3年度の達成度は過去最高となっております。
 次に、職業準備支援修了者に係る就職率、ジョブコーチ支援終了者の職場定着率の向上に係る取組についてです。まず、職業準備支援については、感染症対策としてストレスマネジメントの講座をオンライン配信するとともに、就職活動の支援では、オンライン面接を想定した支援を実施しました。ジョブコーチ支援については、コロナ禍により訪問による対面支援が制限されたため、訪問頻度や期間が空いても振り返りが可能となる体調チェックシートや業務日誌の活用に加えて、電話やメール、オンラインの相談を組み合わせた効果的な支援を実施しました。これらの取組の結果、ジョブコーチ支援終了者の職場定着率も過去最高となっております。
 続いて、25ページを御覧いただければと思います。1-2-2です。こちらの業務は、地域障害者職業センターが地域の関係機関に対して行う職リハの実施方法等に関する専門的・技術的な助言・援助等や、ジョブコーチの養成研修をはじめとした職リハの専門的な人材の育成を行うものです。
 26ページを御覧ください。自己評価はAとしています。下のⅠですが、指標は4つあります。①助言・援助等を実施した就労移行支援事業者等の設置総数に占める割合、②助言・援助等を受けた関係機関からの評価、③ジョブコーチ養成研修等の受講者数、④養成研修等の受講者の所属長からの評価となっております。
 27ページを御覧ください。Ⅱですが、指標の達成度は全て目標を達成しており、ジョブコーチの養成研修を除くと120%を超える高い達成状況となっております。
 28ページを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しています。まず、地域の関係機関に対する助言・援助等に係る取組としては、新しい生活様式への対応に加え、今後更に地域の関係機関に対する助言・援助等を幅広く展開することを見据え、新たにオンライン活用に関するガイドラインを定めて、オンラインによる助言・援助を一部実施した結果、感染症予防対策への安心感に加えて、地域の関係機関の体制上利用を躊躇していた機関においても、移動の負担等が軽減した結果、支援を希望する関係機関が増えているということもあり、令和2年度を大きく上回る実績となっております。
 ジョブコーチ養成研修等に係る取組としては、令和2年度はコロナ禍により目標が達成に至りませんでしたが、令和3年度はそれを見越して、新たに年度当初から養成研修の開催回数を例年より多く設定するとともに、複数の研修室をライブ映像でつなげる設備を昨年度から引き続き活用するなどの感染症対策を講じたほか、事業所実習の受入れ事業所を新たに依頼するなど、受講者ニーズに応えるべく工夫に努めた結果、達成度は令和2年度の61.0%から令和3年度は112.8%と、受講者数を大きく回復させたところです。また、長引くコロナ禍により、令和3年度も研修会場での定員制限や事業所実習の受入れ事業所の辞退等により、結果として受講者の受入れを制限せざるを得なかったという状況ですが、事前の申込状況からは、コロナ禍前の平成30年度の達成度は139.2%でしたけれども、それに迫る受講者が応募されていたということもあり、コロナ禍の影響がなければ達成度は120%を超えていたのではないかと考えております。
 質の面ですが、ジョブコーチ養成研修の受講者に対するアンケートでも、「普段、経験をもとに業務を行っているが、今回の研修でその理論がわかり、よかった」といったような質の高さを評価する回答を頂いたとともに、「感染防止対策を講じており、安心して受講することができた」といった研修における感染防止対策に対して評価する回答も得ております。
 最後に、政策提言に向けた取組としては、厚生労働省からの要請を受け、雇用施策と福祉施策の連携強化に関する国の施策検討の場に、当機構の職員が職リハ人材の育成に関する専門家として参画して、職リハ人材育成のために実施する研修の内容や方法について提案を行うなど、今後の方針の取りまとめに寄与したということです。
 続いて、32ページを御覧いただければと思います。1-2-3です。こちらの業務は、職リハに関する調査・研究及び新たな技法等の開発を行い、その成果の普及・活用を進めていくものです。
 33ページを御覧ください。自己評価はAとしています。指標は3つあります。①外部委員からの研究テーマに係る評価の平均点、②外部委員から評価を受ける研究テーマの数、③マニュアル、教材、ツール等の作成件数の3つです。下のⅡを御覧ください。指標の達成度ですが、令和3年度は全て目標を達成しております。
 34ページのⅢを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しています。まず、質の高い調査・研究の実現に向けた取組としては、職リハに関する施策の充実や就労支援機関における支援技術等の向上のために、最新の知見を集約した質の高い成果が得られるよう、各研究テーマにおいて研究委員会又は有識者のヒアリングの実施を必須としました。また、外部専門家の意見を踏まえて調査の内容・実施方法・分析の視点等を精査するとともに、厳格に進捗管理を行いました。また、研究計画の策定の際は、厚生労働省からの要望、地域センター等現場のニーズや要望を踏まえて、複数の研究員が部門横断的に意見交換を行い、研究の視点や手法についても議論を行っております。
 職リハ研究・実践発表会及び支援技法普及講習の実施などの普及活動の取組としては、職リハ研究・実践発表会は、令和2年度はオンラインの開催でしたが、令和3年度はハイブリッドの方式で、コロナ対策として参加人数を制限しつつ実開催するとともに、令和2年度と同様に、ホームページで動画及び発表資料を掲載したほか、新たに基礎講座の動画を掲載しました。また、地域センター等と共同で20地域の就労支援機関・事業主等を対象に、研究者自らが講師としてオンライン形式又は現地に赴き、研究成果を発表しました。広域・地域センター職員向けの支援技法普及講習については、大幅に数を拡充して実施したほか、関係機関職員向けの支援技法普及講習では対面及びオンラインによる講習の実施に加えて、対面による講習の内容を分かりやすく説明した音声付き動画をホームページに掲載しました。さらに、研究・技法成果周知のために、新たにリーフレットを作成しプレスリリースを行うとともに、障害のある学生に就職支援を行う大学のキャリアセンターに就職支援のリーフレットを送付する等、必要な情報を的確に届けられるよう工夫しながら広く周知に努めました。
 最後に、政策提言に向けた取組としては、労働政策審議会障害者雇用分科会において、今後の障害者雇用施策の検討が進められる中、機構から「障害者の週20時間未満の短時間雇用に関する調査研究」の結果を報告し、検討に当たっての有効な情報提供を行えたほか、「精神障害者である短時間労働者の雇用に関する実態調査」の分析結果も提供しました。加えて、厚生労働省の慢性特定疾患児への支援や難病対策に係る審議会の委員に、機構の研究員が難病について長年研究している研究者の立場から委員として参画し、職リハ推進の観点から発言を行いました。
 続いて、52ページを御覧いただければと思います。ここからは、職業能力開発関係についてです。まず、1-4-1です。こちらの業務については、雇用のセーフティネットとして離職者を対象に早期再就職に必要な技能、技術、関連知識を取得できるよう、全国のポリテクセンターにおいて標準6か月の職業訓練を実施するものです。
 53ページを御覧ください。自己評価はAとしています。指標は2つありまして、①離職者訓練の修了者の就職率、②第4次産業革命の進展に対応した訓練コースの受講者数の2つです。下のⅡを御覧ください。指標の達成状況ですが、令和3年度は全て目標を達成しております。
 54ページのⅢを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しております。まず、就職率向上に係る取組としては、人材育成ニーズに即したカリキュラムによる訓練実施に加え、Web会議システムを活用した企業説明会の開催や、オンライン面接を意識した面接指導、練習環境の提供等、訓練受講者への計画的かつきめ細かな就職支援に取り組んだ結果、86.8%と目標を上回る就職率を達成することができました。なお、積極的な求人開拓にも取り組んだ結果、就職者のうち正社員の割合は65%、正社員として就職を希望する者の正社員就職率は、サンプル調査なのですが83.4%と高い成果を挙げることができました。第4次産業革命の進展に対応した離職者訓練コースの実施に係る取組としては、新たにスマート生産サポート科については2施設、IoTシステム技術科については3施設増やすとともに、訓練内容の高度化や訓練実施の効率化を図るために、デジタル技術の進展に対応したICTを活用した新たな指導技法等の開発を進めております。さらに、コロナ禍の影響により広報、募集活動が制限されている中にありながら、目標を上回る受講者を確保することもできたという状況です。
 続いて、60ページを御覧いただければと思います。1-4-2です。こちらの業務は、産業の基盤となる高度なものづくりを支える人材を育成するための高度技能者養成訓練を、高校卒業者等を対象に各地のポリテクカレッジ等において実施しているものです。
 61ページを御覧ください。自己評価はAとしています。指標は3つです。①高度技能者養成訓練修了者のうち就職希望者の就職率、②生産ロボットシステムコースの実施校数、③生産ロボットシステムコースの修了者数です。下のⅡを御覧ください。指標の達成状況ですが、令和3年度の指標は全て目標を達成しております。
 62ページを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しています。まず、就職に資する訓練や支援に係る取組としては、オンライン訓練の配信など、コロナ禍において緊急事態宣言や自宅待機等で通学できない学生の方に対してもきめ細やかな学習支援を行ったことに加えて、即戦力となる実学融合の授業カリキュラムによる指導やきめ細かなキャリアコンサルティング、職業意識を高めるためのインターンシップ等を実施したほか、新しい生活様式を踏まえてオンライン面接に対応した就職支援、修了者の就職先企業への求人開拓、Web会議システムを活用した企業説明会や正社員としての就職のメリット等の周知に取り組んだ結果、99.2%と目標を上回る就職率を達成するとともに、正社員就職率も98.3%と高い実績を挙げることができました。
 また、生産ロボットシステムコースに係る取組としては、令和3年度は計画どおり新たに4校を追加した10校で実施しました。コースの運用状況等を把握し、ノウハウ共有を目的とした事例集の改訂や、産業動向を踏まえた訓練機器や標準カリキュラム、標準課題実習の見直し等に取り組むとともに、生産ロボットシステムコースの先行設置校と新たな設置校のテクノインストラクターへの研修を同時期に実施すること等により指導体制を構築したほか、Q&A集の改訂やロボット関連企業との勉強会も行っているところです。なお、コース修了者は目標の81人を上回る90人となり、就職率、正社員就職率ともに100%と高い実績を挙げているところです。
 その他、地域社会との連携等の取組としては、コロナ禍で対面の活動に制約があったものの、地域の中小企業等が抱える課題に対しポリテクカレッジが有する「ものづくりのノウハウ」、「第4次産業革命に対応した技術」等を活用することにより課題解決を図る共同・受託研究を実施しています。また、学生の訓練成果を広く発表するポリテックビジョンを実施するとともに、若者に対する実践的な技術訓練の充実を図るため、工業高校や高等専門学校、大学等との連携にも取り組んだという状況です。
 続いて、68ページを御覧ください。1-4-3の業務は、生産性向上人材育成支援センターを通じて職業能力の開発及び向上に関する相談、援助を実施するとともに、専門的知識及び技能、技術の向上を図るための在職者訓練等を行うものです。
 69ページを御覧いただければと思います。自己評価はAとしております。指標は3つです。①生産性向上人材育成支援センターの利用事業所数、②在職者訓練受講者数、③在職者訓練利用事業主からの評価です。下のⅡを御覧ください。指標の達成状況ですが、2つ目の在職者訓練受講者数を除き目標を達成している状況です。在職者訓練受講者数の目標が未達となった要因については、在職者訓練は、対面実習が不可欠な要素とならざるを得ない高度なものづくりの訓練でして、コロナ禍における厳しい経営環境や業務継続の観点から、訓練を躊躇する事業主の方がいらっしゃったということに加えて、1回当たりの訓練を受講させる社員の人数をコロナ禍前よりも少数にするといった事業主の方も多かったといったこともありましたが、私どもとしては感染防止対策の徹底や積極的な広報活動、座学等についてはオンライン訓練を組み合わせることにより、目標は下回ったものの、前年度を大幅に上回る受講者数となった状況です。
 続いて、70ページを御覧ください。Ⅲに評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しています。まず、生産性向上支援訓練に係る取組としては、コロナ対策をホームページ等で周知するとともに、オンラインによる訓練コースの実施、70歳までの就業機会の確保に資する中高年齢層向けの訓練コースを実施した結果、前年度以上の実績を挙げました。また、あらゆる産業分野の中小企業の人材育成課題に対応した訓練を開発・実施するとともに、事業主・受講者へのアンケート等により、訓練コースの改善を図りながら、事業主等から高い評価を得る訓練を実施できました。企業等の生産性向上に効果的な訓練を全国で均質に実施するためのカリキュラムモデルも、新たに9コース開発しております。また、令和2年度まで実施した「IT活用力セミナー」のノウハウを活かし、生産性向上支援訓練において、「事業主の生産性の向上に資するIT活用の知識や手法の習得」を目的とした新たな訓練分野を開発し、令和3年度から展開した結果、1万4,264人の受講実績を挙げたところです。
 在職者訓練に係る取組としては、依然としてコロナ禍における厳しい経営環境や業務継続の観点から、訓練を躊躇する事業主が多い中、事業主の不安を払拭するためのマニュアル整備等の感染防止対策の徹底や、ホームページ等による感染防止対策の周知徹底、訓練ニーズが集中する時期を捉えたコースの設定や、やむを得ず中止となったコースの再設定など、事業主のニーズを踏まえた訓練コースの設定、生産性向上支援訓練との一体的な広報などの積極的な広報活動に加えて、新たに生産性向上支援訓練の受講をきっかけとした在職者訓練受講への誘導、オンライン訓練の実施といった事業主を在職者訓練に呼び込む取組を強化した結果、前年度を大幅に上回る実績を挙げております。72ページの左側の上のほうの棒グラフですが、赤い部分が在職者訓練の令和3年度の実績、青色が令和2年度でして、かなり実績が上がっているといった状況です。
 戻っていただいて70ページです。第4次産業革命等に対応した在職者訓練コースに係る取組としては、人協働ロボット活用技術といったものづくり分野におけるIoT技術等に対応した在職者訓練コースを新たに20コース開発して、既に開発済みのコースと合わせて、計263コースを整備するとともに、受講者アンケート結果の訓練カルテによる分析、事業主等に対する受講者が習得した能力の現場での活用状況調査を行い、必要な改善を図ることで、訓練コースの品質を高める取組に努めました。その結果ですが、在職者訓練を利用した事業主のうち、目標の90%を大きく上回る93.8%の事業主の方から、生産性向上等につながった旨の評価を得ることができました。企業の経営環境が非常に厳しく、これまで以上の生産性向上が求められる中で、引き続き企業から高い評価を得たことも自己評価をAとした理由の1つとしております。
 以上のコロナ禍を踏まえた在職者訓練、生産性向上支援訓練の取組のほか、人材育成の総合窓口として、人材育成の相談、訓練コーディネートから実施に至るまでの一貫した支援等について、都道府県労働局や地方公共団体、商工関係団体、経済産業局等の関係機関と連携し、広く中小企業に向けて展開した結果、生産性向上人材育成支援センターの利用事業所数は4万7,074事業所と、目標の3万事業所を大幅に上回りました。71ページの右上に利用事業所数のグラフを書かせていただいておりますが、こちらも左側の青の令和2年度と比べると、赤の令和3年度が大幅に上昇しているということが御理解いただけるかと思います。
 続いて1-5です。81ページを御覧いただければと思います。障害者の職業能力開発業務ということで、私どもが運営する埼玉県所沢、岡山県吉備高原の2校の障害者職業能力開発校の業務についてです。
 82ページを御覧ください。自己評価はBとしています。下のⅠですが、指標は4つあります。①職業訓練上、特別な支援を要する障害者の定員に占める割合、②訓練終了後3か月時点の就職率、③指導技法等の提供に係る支援メニューの受講機関数、④支援メニューの利用機関からの評価の4つです。
 83ページを御覧ください。指標の達成状況ですが、特別支援障害者の定員に占める割合、一番上ですけれども、そちらを除いて目標を達成しております。特別支援障害者の定員に占める割合の目標が未達となった要因については、例年最も入校者の方が多い4月入校に向けた募集から入所決定の時期である令和3年1月から3月の期間にかけて、首都圏を中心に緊急事態宣言が発令されたということもあって、4月の入校者数が大きく落ち込んだということがあります。
 85ページを御覧ください。評定の根拠として、令和3年度の取組を記載しています。まず、特別支援障害者の受入れに係る取組としては、緊急事態宣言により4月入校者数が大きく落ち込んだことから、募集期間の延長や追加募集に取り組みました。年間を通じた計画的な広報活動を展開し、従来の全国の関係機関への訪問に加えて、オンラインによる説明会も実施しました。実施に当たっては、訓練の具体的なイメージが湧くよう、訓練内容等を紹介する動画を活用しました。また、所沢の中央校では、訓練体験を伴う見学説明会を定期開催し、吉備校では前年度は中止したオープンキャンパスを開催しました。これらの取組により、5月以降の入校者数は前年同期を上回る入校者となりました。特別支援障害者の定員に占める割合の影響を最小限にとどめ、入校者全体に占める特別支援障害者の割合は74.1%と高い水準を維持しております。
 就職への取組としては、施設内訓練で習得した技能を実際の職場で活かせるように行う特注型企業連携訓練の対象者を訓練期間の中盤から早期に選定し、事業所とのマッチングに役立てました。また、ハローワークのミニ面接会情報を定期的に収集し、訓練生に提供することに加えて、オンラインによる会社説明会の実施や障害者採用準備講座の実施、就職先の地域へ出向いた面接同行や、企業に対して訓練状況の説明等、コロナ禍においても一人一人に合わせた丁寧な就職活動支援を行い、昨年度と同程度の就職率を維持できました。
 交流プラザの開催や指導技法等体験プログラムの実施に係る取組としては、コロナ禍の影響により、交流プラザは集合形式から動画配信形式に変更しました。このため、本来の開催趣旨である障害者職業能力開発に携わる参加者相互の情報交換というものは十分には行えませんでしたが、参加機関数、参加者数ともに3年連続の過去最高となり、参加機関の裾野の拡大につながっています。また、指導技法等体験プログラムについては、緊急事態宣言の延長に備え、入門コースはオンラインによる実施をあらかじめ計画するなど、受講機会の確保に努めました。
以上が8項目の重点化対象項目についての説明ですが、その他の事業項目については、定量的指標の達成状況等を鑑み、自己評価は全てBとさせていただいています。
 最後に、令和3年度は、令和3年1月から3月の緊急事態宣言、その後のオミクロン株のまん延による第5波、第6波の到来を受けて、社会経済活動が大きな影響を受ける中、私ども機構としては、令和2年度の経験を踏まえ、高齢・障害・職業能力開発業務を共通して、オンライン支援の拡充など工夫を重ねながら業務を実施してきました。その結果、私ども機構の中期目標で設定された34個の定量的指標の達成状況ですが、令和2年度は残念ながら7個が未達成でしたが、令和3年度は未達成が2個まで減って、大きく改善しているところです。本日は、定量的指標の達成状況や各業務の取組状況のほか、コロナ禍の影響やその中での工夫、取組を通じた質的な成果についても、御議論、御評価いただければと考えております。当機構としては、本日の委員の皆様からの御指摘を踏まえ、引き続きサービスの質の維持・向上を図るべく、更なる創意工夫に努めていきたいと考えております。説明は以上です。

○今村主査
 ありがとうございました。では、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いします。なお、法人から説明がなかったことについても御質問は可能ですので、どうぞよろしくお願いいたします。オンラインでの御参加の構成員の方々も御発言をお願いします。発言の際は、カメラをオンにしていただければ幸いです。ではよろしくお願いいたします。

○安井構成員
 御説明いただきましてどうもありがとうございました。少子高齢化や人口減少、デジタル化が急速に我が国で進んでいる中で、働きたい高齢者が働ける環境を維持されたり、在職者、離職者及び障害者の方も含めて新しい技術を獲得するためのリスキリングをやっていらっしゃるということで、大変重要な事業をなさっているのではないかなと思っております。
 そのように申し上げた上で御質問なのですが、幾つかございますので、1つ1つお伺いしたいのですが、まず1つが89ページの所でして、御説明はなかったのですが、求職者支援制度における雇用保険を支給されない方向けの訓練と、雇用保険を支給される方向けの公共職業訓練がございますが、もし双方の目的に違いがあるのであれば、教えていただきたいなと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 通常の離職者訓練のですか。

○安井構成員
 離職者訓練の場合と求職者支援訓練の場合で、目的又は理念に何か違いがあるのかどうかという点です。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 大きな違いといたしますと、通常の離職者訓練につきましては、雇用保険の支給対象になる方というのが大きなものかと思います。求職者支援訓練につきましては、そうしたものの対象にならない方という。

○安井構成員
 それは存じ上げておりまして、その上で提供する訓練内容や目的に何か違いがあるのでしょうか。それとも、訓練内容や目的は同じという理解でよろしいのでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 施設内で行う離職者訓練につきましては、主にものづくりを中心とした職業訓練となっておりまして、求職者支援訓練につきましては、そうしたものに関わらない、例えば分かりやすい例ですと、介護のような、そうしたものづくり以外の訓練も多く実施しているということで、多く違いがあるということになっています。

○安井構成員
 ということは、訓練を施したら、その方がうまく就職できるようになるという目的自体は変わらないので、それがものづくりに対応したものなのか、それともサービス系に特化したものなのかという違いがあるだけということですね。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 はい。

○安井委員
 分かりました。こちらのほうでハローワークインターネットサービスを基に、公共職業訓練と求職者支援訓練ごとに、訓練分野別のシェアを確認してみたのですが、結構大きな違いがあることが分かりました。例えば公共職業訓練ですと、今おっしゃっていただいたものづくりかもしれませんが、金属分野とか電気機器関連分野のシェアが非常に高いのですが、求職者支援関連の方は、基礎的な内容の訓練やデザイン分野、営業販売分野が突出して高くなっております。これが単にそれぞれの訓練を受ける方々のプリファレンスというか、希望を反映したことによるのであれば問題はないと思うのですが、そうではなくて、雇用保険の被保険者か否かで、訓練内容が変わってしまっているのであれば、訓練受講後の就職可能性が変わってしまうので、いかがなものかと思います。求職者支援訓練を受講した方がうまく就職できるように、今後、どのように訓練分野を見直していくべきかという点について何か取組があれば教えていただきたいです。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 今の御質問は制度の関係ですので、厚生労働省のほうからお答えさせていただきます。今、ちょっと機構のほうの立場から御説明させていただいているのですが、公共職業訓練、求職者支援訓練は対象者が異なるものとなっています。公共職業訓練自体は雇用保険の資格があった方で離職された方でございますので、主には働いていた方です。それに対しまして、求職者支援訓練のほうは雇用保険の被保険者でない方が対象になりますので、今まで例えば無業だったとか、ずっと働いていなかった期間が長かったとか、働いた経験がないとか、そういった方々が対象になっています。その両方の対象者の訓練内容の違いといたしまして、求職者支援訓練の特徴としては、普通の実践コースに加えまして、基礎コースという、まず働くとは何かとか、働くに当たっての姿勢とか、そういった基礎コースから始めるというような形でして、その辺の対象者の違いがあります。
 公共職業訓練はそういうものはございませんで、分野として再就職したい分野を選んでいただいて、訓練を受講できます。分野的には、実は公共職業訓練も求職者支援訓練も、我々としましては幅広く設定しております。機構が行っているのは、今御説明いただいたとおり、公共職業訓練につきましては施設内訓練のみですが、民間の委託訓練が別途ございまして、これは都道府県を通じて提供しています。受講者数としては、大体4分の3が民間の委託訓練、4分の1が施設内訓練という形になっていますので、そういう意味では、我々といたしましては、民間でできるようなものづくり以外の分野も、ハローワークインターネットシステムに掲載して、求職者支援訓練と同様に、ITや介護、ビジネス関係といった訓練を幅広く提供させていただいていると、そういう仕組みになっています。

○安井構成員
 分かりやすい御説明ありがとうございました。正に御指摘いただいた基礎分野、働いてなかった人に対して基礎を提供していくということなのですが、御案内のとおり、雇用保険に入っていない自営業の方が増えております。そういった方々は、求職者支援訓練で基礎分野を学んだところで、新たに企業に就職できるかというとそれはなかなか難しい面があると思います。この辺は実態を見て、求職者支援訓練の内容も変えていただけるといいかなと思っているところです。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 ありがとうございます。その辺りは個々の求職者の方々の属性に応じまして、ハローワークにおきまして、きめ細かく相談をしながら訓練の受講あっせんをさせていただきます。また、訓練コースにつきましても、今回職業能力開発促進法の改正で、都道府県単位の協議会を法定化しました。その中で、地域のニーズに合わせた形で訓練コースを見直していこうという形になっています。これは公共職業訓練、求職者支援訓練の両方に関わっていますので、先生から御指摘いただいた点も踏まえまして、就職困難者や自営業の方とか多様な方々がいらっしゃいますので、それに合わせた形での訓練コースをきめ細かに設定していきたいと思っています。

○安井構成員
 どうもありがとうございました。最後の質問なのですが、昨年度のこの会議で、今後訓練参加者の中に50歳以上の方々が増えてくると思われますので、そういった方々に、どういったサポートをすればスキルアップに効果的かという点も、引き続き考えていただきたいと申し上げました。その際、今後課題を検討してまいりますとおっしゃっていただいていたので、実際にご検討されて、今後どのように50歳以上の方々をサポートされていかれるのか教えていただければと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 機構の立場で話をさせていただきますと、確かに過去数年間にわたり統計を取ってみますと、私どもの施設内訓練でも、50歳以上の方々は確かに増えている傾向にあります。50歳以上の方々について、やはりちょっと難しいところというのは、就職率がなかなか思ったほど伸びないということもあるのですが、そちらにつきましては、今現在、企業さんのニーズに即した実習中心の訓練をやるということに加えまして、入所した当時からの、訓練の段階においての就職支援という形で、就職率が低下しないような対応を工夫しながら行っているという状況です。

○安井構成員
 分かりました。どうもありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございます。引き続きいかがでしょうか。オンラインの先生、いかがでしょうか。

○酒井構成員
 酒井です。御説明ありがとうございました。私のほうから2点質問がありまして、安井先生のほうから求職者支援制度について御質問が出たので、そちらから質問させていただきたいと思います。
 求職者支援制度、支援訓練の認定業務に関しては特に御説明はありませんでしたが、1点聞きたいのは、このコロナ禍で短期短時間の特例コースというのが認められるようになっているということで、それらの認定も増えているというようなことを伺っているのですが、この前の雇用保険制度研究会という厚労省のほうの研究会でも、そういった議論が出たのですが、短期短時間にすることによって、訓練の質が落ちてしまうと本末転倒ではないかと。求職者支援制度の支援訓練の受講者というのは、いろいろな意味で就業に困難を抱えている方が含まれると思いますので、こういった短期短時間のコースにして、参加しやすくするということは私も非常に重要なことだと認識しております。一方で、質のほうの担保はどうなるかという議論がありますので、機構で何らかのフィードバックを確認されているのかという点に関して伺わせていただければと思います。
 もう1点は、求職者支援訓練とは関係なく、6ページ、高年齢者の雇用確保に関するアドバイス業務に関してなのですが、資料の8ページの指標の達成状況の中で、2つ目に制度改善提案により見直しを進めた事業主の割合というのが、実績値で64%ということが書かれているかと思います。単純な質問なのですが、制度改善提案により見直しを進めた事業主というのは、要は何らかの制度改善をしたという事業主の割合ということなのかということを伺いたいと思います。といいますのも、一部の報道によれば、この2年前に施行された70歳までの雇用確保措置ということに関して、意外と実施が進んでいないといった報道を見たことがありまして、64%というのは、提案した事業所における見直しを進めた事業主の割合ということで、結構高いのではないかなと思った次第なのですが、今後例えばどんどん更に業務を広げていったときに、同じようにこの見直しを進めた事業主というのがこのように達成できるのかというところを疑問に思いましたので伺わせていただく存じます。以上の2点、よろしくお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部長
 1点目、求職者支援訓練の質の担保について、機構として回答させていただきます。私どもといたしますと、確かに特例コースは短くて、質の担保をどうするんだということで、まずモデルコースを作成し、カリキュラム作成ナビという形で公開いたしました。カリキュラムとするとこのようなもので、こうした訓練というのはいかがですかということで、モデルコースを公開しました。そして、始まってから、全てのコースに確認に行きまして、申請どおりの訓練ができているかどうかというものを、現地に行って確認をしました。さらに、オンラインやオンデマンドという形で、訓練を受けやすいという環境もある程度始まっておりますので、そうしたものにつきましては、確認テストをどうやっているかということで、習得度合いをどうやってチェックしているかということを確認しているところです。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 制度面についてですが、先生が仰ったとおり、求職者支援制度は特例措置を行いまして、これは今年度限りとなっていますが、これを今後どうしていくのかというのがあります。先生御案内のとおり、これまでやってきた実績をきちんと精査して、それを評価した上でどうしていくかということを検討していきたいと思っています。その際には、参加を促すというのは当然必要なのですが、きちんと最終的に就職に結び付いているのかという部分も含めて、今後検証してチェックした上で、また制度改善するかしないかを吟味していきたいと思っています。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事
 2点目の御質問について、担当理事の三富から御説明いたします。御質問の制度改善提案の64%の内訳ですが、具体的に御説明いたしますと、まず何らかの制度改善をしたものが約1割でして、具体的には65歳以上に定年を引き上げたのが2.3%、継続雇用年齢を65歳以上に引き上げたのが2.8%、定年延長、継続雇用延長をすることを決定したのが5.8%で、これら合計が10.9%となっております。さらに、組織として検討を進めた企業が13.8%、制度改善に向け経営層と検討を行ったのが39.3%ということで、先生の御指摘の趣旨からいたしますと、まだ制度改善には至っておらず検討途上であるというものが5割程度あるということでございます。
 組織として検討を進めているという事業主について、どうして入れたかという点については、もともとこの目標設定をするときに、有識者会議でも見直しを進めた事業主の中身をよく精査するようにという御意見もありましたので、どこまで入れるかというのはしっかり検討を行いましたが、制度改善に向けて経営層と話し合ったという企業については、65歳を超えた継続雇用延長や定年引上げというのは、人件費の増加等を含む企業にとって重大な決定ですので、なかなか軽々には進まないであろうということで、少なくともそうした話合いが経営層となされるという段階まで至ったものであれば、制度改善に向けて見直しを行っているものに含めてもいいのではないかということで、それらも計上した数字となっております。
 今後につきましてですが、この取組は今中期計画からの取組ですので、アドバイザーは高齢者層が多い所であるとか、人手不足でなかなか若年層が取れない所といった受け入れやすい企業から開拓して提案を行ってきたという側面もございます。今後は、まだ若年層が足りている状況なので制度改善はまだよろしいというような企業も割合として高まっていきますので、より質の高い提案と中長期的な先を見通した説得力のある提案をする必要があると考えています。以上でございます。

○酒井構成員
 ありがとうございます。

○今村主査
 オンラインの土井先生、よろしくお願いいたします。

○土井構成員
 御説明ありがとうございます。細かい質問で恐縮なのですが、8ページでS評価になっている所なのです。ちょっと気になりますのが、ずっと100%以上ということでS評価が続いているのですが、数字を追ってみますと、ある意味下がっているのです。平成30年度から少しずつ下がっているということもあります。なので、こんなにS評価が続くということは、本当にこの目標の指標が適切であったのかということも考えないといけないと思うのですが、その辺りに関して指標の見直しなどを検討されるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうかというのが1点目でございます。
 もう1つは34ページです。指標で政策提言が入ってきますとそれをどう評価するのかということは、毎回どこの法人でも悩ましいのですが、この評定の根拠という所に書かれている2つ目で、委員会に機関から委員が出ていましたということなのですが、関係する省庁のこのような委員会に、それぞれの独法から委員が出て、研究されていることを専門知識などを述べることによって政策に貢献されるということは、多くの法人で行われていると思います。それに対して、この政策提言に向けた取組ということを指標として挙げられているのであれば、更に何を行ったのかといった辺りを明確にしていただく必要があるかと思います。そこに関して、この法人でないとできないような、どのような貢献をされたのかということを教えていただけると有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事
 それでは、まず最初1点目の御質問について御説明させていただきます。御指摘のように、平成30年度以降、制度改善提案の件数については一貫してSの達成度となっておりますけれども、ずっと楽に達成できたわけではございませんで、当初平成30年度の立ち上がりについては非常に苦戦をして、なかなか企業のニーズに合った提案ができず、それをてこ入れするために本部の研修の強化、企業の実情に応じた提案、スキルの向上といった取組を行いました。それから中小企業が多いということで、親会社の人事制度を受け入れているというようなお話があった所には、厚労省と連携いたしまして、その親会社にも働き掛けを行うなどの努力を行い、平成30年度は後半から持ち直して、149.5%という数字を達成したというところでございます。
 令和元年度につきましても、そういうノウハウが少しずつ蓄積されて、この年は非常に好調だったのですけれども、令和2年度になりまして第1四半期はコロナの影響を非常に受けて、アドバイザー活動もほぼストップに近いような地域もございましたので、一旦低くなりましたけれども、令和2年の後半からは高年齢者雇用安定法の改正の方向性が見えてきたということで、令和2年10月からは、令和3年4月からの施行に先がけて、法改正の趣旨や内容についての説明も含めた制度改善提案を行うという方針の下、アドバイザー活動に取り組むことによりまして、前半はコロナの影響はかなり受けましたけれども、なんとか131.7%を達成したというところでございます。
 ということで、それぞれの年でかなり苦労しながら取り組んできたつもりでございますけれども、今後は指標の設定の在り方について見直す必要があるのではないかという御指摘に関しましては、新しい現在の高齢法を踏まえたアドバイザー活動の目標設定を検討しているところでございます。65歳超の雇用継続制度や定年制延長ではなく、70歳までを視野に入れた定年制延長、雇用継続制度といった制度改善提案を行うということで、先ほども酒井委員からの御質問のときに少し御説明いたしましたけれども、今まで取り組まなかったところに対して、より強固なアプローチを行っていく必要があるということに加えまして、厚生労働省で行われている高年齢者の雇用状況等報告についてもこれまで31人以上の企業が対象だったところ、令和3年から企業規模が変わりまして、常用労働者21人以上の企業が対象となっておりますので、次期中期計画におきましては、こうしたより小さい企業規模の所に対してもアプローチを働き掛けて、制度改善提案を受け入れていただくことも踏まえまして、厚生労働省とよく相談して、適切な指標の設定に努めたいと考えております。以上でございます。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構研究企画部長
 それでは、2点目の34ページの所に係る御質問につきましては、研究企画部の外山と申しますが、答えさせていただきたいと思います。32ページに、職リハに関する調査研究に係る重点項目ということで、真ん中にある職リハに関する調査研究の実施の1~4の中に、国の政策立案に関する研究というものがございまして、一応調査研究の目的としまして、国の政策立案に関する研究も大きな柱の1つと捉えさせていただいております。また、それ以外にも、現場の解決に資する研究をやるということで、当機構では地域の職業センターも持っておりますので、現場と連携しながら研究をやっているという状況でございます。
 先ほどの34ページの所、まず1つ目のポツにおきましては、今後の障害者施策の検討が厚労省の障害者雇用分科会で議論されていたのですが、その中で障害者雇用率の制度における障害者の範囲や短時間雇用について、どうするかといったところが大きな論点となっておりまして、こちらのJEEDの研究成果の調査結果が、その検討の中でまとめられました提言、意見書に調査研究の成果が盛り込まれたという状況でございます。ですので、委員として参画したというだけではなく、今後の障害者雇用施策の方向性を決めるような意見書の中に研究の成果が盛り込まれたということでございます。後段の厚労省からの要請を受け、委員としての発言を行ったという点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、現場と連携しながら研究を進めているということで、現場をよく知っていて、研究分野についてもよく知っている委員という立場で参画させていただいたということでございます。以上です。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総括審議役
 ちょっと補足をさせていただいてよろしいでしょうか。総括審議役の奥村でございます。御質問ありがとうございます。高齢者施策については、私どもが驚くぐらい毎年のように大きな制度改正があると実感をしております。1つとして厚労省がされた高齢法の改正という大改正があったほかに、例えば、同一労働同一賃金、無期転換雇用など、労働法制改正の正に節目の年々であって、大企業があった後に中小企業が1年遅れとか、また、年金制度も改正があるということで、毎年のように制度改正がありました。さらには、今、高齢者の就業がいろいろな形で進んでいるという中で、安全衛生が非常に問題になっていることがあって、それで安全衛生面での大きな取組もしなければいけないなどという国の方針が毎年のように示されている中で、こういう継続雇用なりの取組も進めていかなければいけないわけです。そういう意味で、いわば現場に発破をかけ続けていったというのが、この数値につながったものだと受け止めております。
 2点目については、今研究部門から説明があったと思うのですが、この有識者会議の先生方に御議論していただく前に、私どもが自己評価をする中でも、私どもを御指導いただいている外部の先生に自己評価のための機構の評価委員会で御議論いただいているのですが、そこの国の審議会の中で御参加いただいている先生から、審議会で労使が対立するような、最終的に公益委員が判断するような場面で、地に足の着いたエビデンスをこういった機構の研究活動により提供してくれているので自信を持って判断ができるというようなお言葉を頂いております。研究成果がどう使われるかというのは、私どもとしては、こうした研究だけではなくて、実際に地域センターという現場で落とし込んでいくという一連のプロセスの中で、他の研究機関とは違ったような形で世の中に貢献できるのではないかと思っています。補足としては以上です。

○土井構成員
 御説明ありがとうございます。そういう意味では、1つ目の高齢者雇用に関しましては、やはり数値目標を出されていて、それを超えているからS評価なんだというのではなく、今の御説明だと質的な話もあるということであれば、やはり是非そういうことがきちんと出てくるような数値目標を立てていただく、誤解を招かないような数値目標を立てていただくことが、機構への高い評価につながると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 2点目の政策への貢献なのですが、障害者の短時間雇用に関して、私は別の関係でムーンショットという所に関わっていて、障害を持っている方がロボットを使っていろいろな、レストランなどでサーブされるという、そのためにも是非、労働法制を変えていただきたいと思っていたので、それが実現されたということはすごくいいと思います。
 一方で2ポツ目は、そういう意味ではそれと並ぶ根拠かといわれると、ちょっと違うと思うのです。折角いいものを出されているのに、何か違うものが根拠として出てきているというのは、やはり誤解を招くと思いますので、もう一度検討していただくことも大事なのかなと思います。いいものはいいときちんと分かっていただくということは大事だと思いますので、引き続き検討をよろしくお願いいたします。

○職業安定局障害者雇用対策課長
 ただいま御指摘いただきました点で、34ページの2ポツ目の研究会への参画という所で、同等ではないのではないかというようなお話を頂きまして、私ども障対課として、この研究会への参画を依頼申し上げておりますので、一言申し添えさせていただきたいと思います。
 もともと難病法に関しての議論につきましても、障害者雇用促進法とかなりリンケージした議論でございます。という意味で申し上げますと、もともとのこの難病に係る研究につきましても、長年にわたりまして高障求機構に、私どもからの要請研究も含めまして様々な検証をしていただいているところでありますし、職業リハビリテーションという観点から難病を捉えて研究を進めている研究者は日本に非常に少ないですし、そういった意味では高障求機構にこういった形で御協力いただいていることというのが、政策立案に直接関連しているような動きと認識をしております。という意味で、もちろん分科会の議論にも同等に政策立案ということでダイレクトに御協力いただいているところでございますが、位置付けとしては、所管課といたしましては同等ではないかと認識しているところでございます。以上でございます。

○今村主査
 よろしいですか。機構に関しましては、特に高齢者、障害者に関する支援の研究というのは非常に素晴らしい高いレベル、訪問させていただいたこともありまして、非常に高いレベルを是非政策に向けて関わっていただきたいというのが期待するところであります。
 機構がいかに頑張っているかということを、もう1回確かめたいと思いまして、ちょっと触れられていなかった10ページの所で、プランナーとかアドバイザーというのは、ほとんどが社会保険労務士とか中小企業診断士とかで、外部の方ですよね。プランナー、アドバイザーというようにランクがあって、その方々がいると。先ほどいろいろな労働法制、改革がありますということと、つまり通常業務で社会保険労務士が企業からお金を取って受け取る部分というのもあるわけですが、つまりこの制度というのは、そこを無料というか、こちらから発見するという形で促進するという効果があって、たまたまそれと相乗効果で相談ケースが増えているというような理解でよろしいのかなということと、それからどこで把握されているのかということで、機構のほうでコーディネーターというのがございまして、ここで依頼をしてそこに社会保険労務士から報告が上がってきて、件数として把握するという、そんな理解で全体的にはよろしいのですか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事
 ありがとうございます。今の御指摘ですけれども、先生から御指摘いただきましたとおり、ここのプランナー、アドバイザーの8割程度が社労士さん、その他に中小企業診断士さん、経営コンサルタントといった専門的な知識をお持ちの専門家に就任いただいております。したがいまして、企業を訪問し制度改善する過程では、高齢者の雇用制度だけではなく人事労務制度を中心に、本当に幅広い企業へのアドバイスが含まれています。例えば中高年齢社員の活性化に向けた研修も依頼されたりというように、発展した活動にもつながっており、波及効果として高年齢者の制度改善の成果につながっている面が確かにあるかと考えております。
 コーディネーターの役割についてなのですが、コーディネーターというのは各都道府県支部に置かれておりまして、各都道府県ごとの訪問企業数は本部で策定いたしますが、具体的にどういったところを戦略的にアプローチを掛けるかという計画は、各都道府県支部のコーディネーターが行い、プランナーに示します。プランナーが相談援助を行い、その相談援助の内容を相談援助記録票という形で支部に提出いたしますと、もう一度コーディネーターと支部職員が、制度改善提案につなげることが可能かどうか検討を行いまして、そういった判断をもとにプランナーが制度改善提案に向けた作業に進みます。
 コーディネーターのもう1つの役割がフォローアップでございまして、制度改善提案を行った後、どういった取組を企業で実際にされたかということを、4か月から6か月ぐらい後に企業に訪問若しくは電話で聞取りを行います。今はコロナで電話が中心になっておりますが、基本的には訪問して、制度提案がどういった改善につながったかというような聞取りを行うことをしております。
 それから、質の担保という意味では、プランナーさんの制度改善提案が必ずしも満足いくものではない場合に、コーディネーターが意見出しをしたり、場合によっては本部にゼネラルアドバイザーとしてそうしたアドバイザーの更に質の担保を行う専門家がおりますので、そういったところにつなげて質の担保を図るといったような役割をコーディネーターが行っているところです。

○今村主査
 ありがとうございます。単なる数字の向上ではなく、システムも含めたマネジメントの努力をされているということで、よく分かりました。
 もう1つお伺いしたいのは、33ページで、3番目のマニュアル、教材、ツールの所が、平成30年度から150%、116%、150%、100%なので、これは今度はBでもいいのかなと、流れからして、数字からそう印象を受けているのですけれども、それは入口の話として、先ほど来、ビデオ教材やオンライン教材とかいろいろ努力していらっしゃるという話を聞きながら、38ページでは6件の100%というのは整合的ではないなという印象を受けたので、Aの根拠も含めてですけれども説明いただければと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構研究企画部長
 研究企画部の外山です。職リハに関する調査、研究、新たな技法につきましては、難易度「高」という設定の中で、全ての指標について100%以上となったということがあります。その上で、その3つの指標のうち研究の外部評価につきましては、1人の委員を除いて全ての委員に満点を頂いたということで、達成度が今期の中で最高の116%となったということがあります。御指摘のマニュアルにつきましては、その時々の研究テーマによりまして、より見やすい、分かりやすいものをということで、テーマによっては1つのテーマで複数のマニュアルを作るといったことがありますが、今回につきましては、1つのテーマについて1つないし2つということで、必ずしもマニュアルの本数が150%にはいっていないのですけれども、それ以外の面で、なるべく分かりやすいようにホームページで研究委員の解説によるページを設けたり、調査研究報告書を配るときに分かりやすいようなリーフレットを各機関に配ったりといった形で、普及の活動も進めてきたという状況です。

○今村主査
 ありがとうございます。ただ、形式的な質問をしているだけで、Aを取るためには数値目標を一応120%達成しなければいけないという前提でして、100%では足りないので、それにプラスアルファ何か質的な御説明をということで、一応共通の理解として提案したということです。それについて納得されるかどうかは、委員の皆様、あるいは評価担当の方々の御判断だと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総括審議役
 補足をさせていただきます。ここの事業項目では難易度が付いており、まず、ここの難易度の捉え方からすると、研究の成果は一定程度重きが置かれているところがあるということで、この資料では、この期間を通じても、かなりパフォーマンスの高いところがあるのではないかと思っています。
 マニュアルについては、例えば、そのときの国からの普及の要請や、私どもとしてもマニュアルをもう少し分かりやすく分割したほうがいいのではないかと、いろいろな理由があると思われ、結果として、それが何%かになるということで、特に我々が何かやらないから下がっているというわけではありません。例えば、ここでいうと、マニュアルという紙媒体も大切だけれども、インターネットとか、資料の38ページにあるような情報発信であるとか、また、研究発表会については、コロナ禍でなかなか開催できないけれども、各地の研究者が是非発表したいということもあり、こういうのも思い切ってやってみようということで、様々な発信の努力はしているのです。紙面上の数値としては反映できていなくても、質的な取組、結果として普及活動なり研究成果で得られたことをより実効ならしめているという意味では、事業項目上の評価として考えられるのではないかということで補足させていただきます。

○今村主査
 ありがとうございます。機構は、高齢者や障害者に関して大変な研究業績を持っているし、大変な設備や経験を持っていらっしゃるので、それを活かしていただきたいということだけで、委員の皆さんの話を聞いて、それから土井委員からの数値目標の設定の仕方についてもありましたので、一応の経緯といいますか、評価の基準としては参考にしなければいけないということで、一応申し上げたところです。ほかに何か御意見、御議論がありましたらお願いします。

○安井構成員
 すみません。2問目で恐縮なのですが、JEEDさんが頑張っていらっしゃるということに関連してお伺いさせていただければと存じます。62ページのⅢの上から2番目、下線が引いてある所なのですけれども、ロボット関連企業との勉強会を行ったとあります。今、リスキリング、リカレント教育と言葉ばかりが盛り上がっているようにみえますけれども、実際に日本人でリスキリングをやっている人というのは、諸外国対比で非常に低水準になっているのは御案内のとおりだと思います。その理由の1つが、産業界、企業のニーズを捉えないような講座の提供にあると私は思っております。そういった中で、ロボット関連企業との勉強会を行い、これを訓練内容に活かしていくというのは、とても重要なことではないかと思っているところです。
 そこで、お伺いしたいのですけれども、ロボット関連企業との勉強会を行った経緯、それをやったことによって何か気付きが得られたのであれば、それを教えていただければと思います。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構公共職業訓練部長
 公共職業訓練部の山谷と申します。よろしくお願いいたします。今の御質問についてお答えしたいと思います。もともとチェルシーさんとのお付き合いといいますか、支援を受けた経緯は、日本機械工業連合会と協定を結んでおりまして、高度ポリテクセンターのロボット関係のセミナーを立ち上げるときに、そういったノウハウが私ども機構に余りなかったものですから、連合会を通して経産省さんに当たっていただきまして、それからチェルシーさんとの連携が始まりました。チェルシーさん自体は、工業高校あるいは高専に対しての支援ということで進められていたのですが、そこに私どもの機構も含めていただいた中で、いろいろ御指導いただいているということになります。
 御意見がありましたロボットコースにつきましては、第4期中期の中でも、高度技能者養成訓練の中でも目玉となるシステムとなっておりましたので、そこを成功させるという意味でも、チェルシーさんの力をお借りしまして、ロボット関係の担当者に対する研修会、いわゆる勉強会といったものであるとか、機器を導入するに当たっての知識を入れたり、あるいは実際に高度ポリテクセンターの中でも外部講師としてロボット関係のセミナーにも当たっていただいています。そういった中で、幅広くロボット業界の情報もお聞かせいただきながら、私どもの応用課程や能力開発セミナーといったところにノウハウを入れ込んでいただきながら展開しているという状況です。以上です。

○安井構成員
 今後が期待できる内容ですね。どうもありがとうございました。

○今村主査
 オンラインで関口委員が手を挙げていらっしゃるようです。よろしくお願いいたします。

○関口構成員
 関口です。大きく分けて2点お伺いしたいです。1つは、先ほど来話題になっています高齢者雇用の制度改善提案件数に関する部分です。こちらについては例年、非常にアプローチをされていて、その中で64%という成果が出ているところは非常に頑張っていらっしゃるとは思うのですけれども、一方で、制度改善提案に結び付いていない訪問先企業や対象企業があるというところが1つと、それから制度改善提案をしても、それは先方の問題であるとは思うのですけれども、実際の成果に結び付いていないという企業が、積み残しの状態であるのではないかというところで、若干心配をしております。今、とりあえずはアプローチを12万社にしていくという中で、更にそこまで深追いをすることは、マンパワー的にもできないかもしれないですけれども、何かその辺りについて、今後の展開としてどのようにお考えなのか、お話いただけることがあればお伺いしたいというのが1点目になります。
 もう1点目です。機構の人材確保というお話があったかと思うのですけれども、非常に幅広いものを御担当されていて、なかなか人材の確保では御苦労されている部分もあるのかなと推察しております。そういう中で、一緒になって20年ぐらいたって、先ほど主査からもありましたように、非常に専門性が高く、しっかりと研究されている方が多々いる中で、その辺りの交流とか、コラボをして何か成果を発表するとか、そういった事例があるのかどうかもお伺いしたいと思います。
 それに絡んでなのですが、機構の場合は国に倣ってということにはなると思うのですけども、高年齢者雇用安定法に対して機構としてどのような対応をされているのかもお伺いできたらと考えております。以上2点になります。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事
 最初の御質問について、御説明します。制度改善を働き掛けたけれども、制度改善をすることができなかった企業に対する対応についてですけれども、例えばコロナ禍が始まって以降、コロナを理由にお断りされたような企業も結構ありまして、令和3年度はアポイントが取れなかった件数が過去最多、約1万弱の件数ということもありますので、そういったところをはじめ理由に応じて、改めてのアプローチをするという対応を行うということ、それから成果に結び付いていない企業については、フォローアップのときに、なぜ見直しを進められなかったかという理由については聞取り調査を行っております。事業主から再訪問の要請を受けた場合には、迅速に訪問して引き続き支援を行えるような体制を組むということで、事業所のデータベースという形で記録を残しておりますので、そうした企業もフォローアップして、きちんと対応できるように努めたいと考えております。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 御質問ありがとうございます。高齢、障害、求職者とある中で、どのようなシナジー効果があったかということ、交流の関係、改正高齢法を踏まえた機構の中の人事の対応ですが、最初に私からシナジーのことだけお答えしたいと思います。私どもですが、高齢、障害、求職者が一体となって運営しているという中で、例えばですが、ポリテクセンターやポリテクカレッジの学生さん、あるいは訓練受講者の方で、もしかすると障害があるかもというような方、特別な配慮が必要な方がいらっしゃるわけですが、地域センターにこういった方へのノウハウがありますので、そういったノウハウを活用しながら円滑に訓練が進むように取り組んでいます。また、御案内のとおり、機構は高齢者、障害者、そして職業訓練と合わせて事業主支援についても取り組んでおりますが、1つの部門が事業主支援でいったときには、ほかの2つの部門の取組についても紹介してサービスを受けてもらえるような、横断的な事業主支援も取組を進めているところでして、そういった取組を深めていきたいと考えております。

○高齢・障害者・求職者雇用支援機構総務部長
 続きまして、総務部長の小林と申します。統合に伴う交流ということで、研究というお話だったのですけれども、それ以外で統合に伴う交流ということで申し上げますと、例えば所沢の国リハや吉備リハで訓練を教えている人は、基本的に障訓職という特別な職種ですけれども、そちらにポリテクとかカレッジで教えている能開職という、旧能開機構系の訓練職の人を送ったり、その逆をしたりというような人事交流をしたりですとか、旧能開機構採用の人であっても旧高障機構の業務に就いてもらったりとか、そういった形で統合に伴う人事交流があります。
 それから、2点目の機構における改正高齢法なりを踏まえた対応ですけれども、昨年度からになりますが、当機構にはパートナー職員という、いわゆる非正規職員の方がおりまして、その方たちは65歳定年ということでやっていたのですけれども、御本人の御希望を聞きながら65歳超、70歳まで雇用していくという制度を導入しております。それから、定年につきましては、今は正規職員は60歳定年ということでやっているのですけれども、国家公務員のほうも令和5年度から定年延長を始めると聞いておりますので、そういう国家公務員の流れも参考にして、当機構においても定年延長の検討を進めている最中になります。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。追加説明はありませんか。次がありますので、もし見込評価のほうで何か関連する質問がありましたら、そちらで是非お願いしたいと思います。
 そうしましたら、中期目標見込評価について引き続き御議論を頂ければと思います。内容はかなり重複するところがありますので、年度評価と異なる部分のみ、評価の要約の記載内容を中心に簡潔に御説明をお願いいたします。その後、再び御意見を頂戴いたしますので、よろしくお願いします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 企画部長でございます。引き続き、当機構の中期期間の見込評価について御説明します。資料3-1を御覧ください。業務実績見込評価の説明資料ですが、1ページを御覧ください。こちらが中期の見込評価となっております。令和3年度実績の私どもの自己評定との違いを申し上げますと、1-2-2「地域の関係機関に対する助言・援助等及び職業リハビリテーションの専門的な人材の育成」が、見込評価のほうではBとなっておりますが、令和3年度業績の自己評定ではAとなっておりますので、そこだけが違いということになります。ですので、見込評価については、Sが1個、Aが5個、Bは11個という形です。Bにした理由については、18ページを御覧ください。1-2-2のほうで、これまでの自己評価、大臣評価の経緯をまとめております。こちらの1-2-2の項目については、平成30年度、令和元年度、令和2年度と、大臣評価がBとなっているので、そちらの経緯も踏まえましてBとしているところです。簡潔ですが、説明は以上です。

○今村主査
 ほかには何か説明する所はないですか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構企画部長
 こちらの見込評価ですが、平成30年度から令和3年度までの実績と、令和4年度の足下の実績を踏まえて行っております。今のところ、令和4年度の足下ですが、前年度と比べると、ほぼ同じか、それ以上という形の実績を挙げており、そういったことも加味してこのようにまとめておりますので、結果としては、見込評価は、私どもの令和3年度業績の自己評価と比べると余り大きな違いがなかったといったような状況です。以上です。

○今村主査
 令和4年度の見込みも入れた見込評価ということです。ありがとうございます。それでは、委員の皆様の御意見を頂戴したいと思います。どうぞ御自由にお願いいたします。

○宮崎構成員
 こちらの資料の16ページになりますが、「障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」とありまして、質問というよりは、要望というか意見なのですが、これは私個人の感想かもしれませんが、最近コロナ禍でメンタル不調とか、やはりどうしてもコロナもあって離職されたり、精神的な疾患を患う方が増えていると思うのです。ここで言っている精神障害者というものと括りが同じなのかは、個人的には判別が難しいところではないかなと思っていますし、環境への適応障害とか躁鬱とかいろいろなものがあると思うのですが、非常に社会的な問題にもなっていて、もともと健康だった方が、こういった不調で復職に苦労されている方もきっと増えているのだろうなと思っております。
 そういう意味で、地域センターといった所の専門相談支援というのも非常に重要だと思っているのですが、実際の成功事例ですとか、このようなことで復職できましたですとか、そういった情報発信や成功事例といったものを、もう少し広く、センターに通われた方だけではなくて、広く周知していただいて、一般のサラリーマンというか、普通に勤務していてメンタル不調になった方とかも、こういったものをきっかけにして、こんなメンタル不調の方がこうやって職場復帰されたのだという事例などが分かって、励みになるようなものを発信していただけるように取り組んでもらえると非常に有り難いなと思いますので、是非よろしくお願いします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部長
 職業リハビリテーション部の竹中でございます。ただいま御指摘いただきましたメンタル不調などで休職された方に対する支援については、資料2-1の24ページの「精神障害者の総合雇用支援の推進」というシートにあるリワーク支援というものをやっております。体調を崩されてお休みになられた方が、職場に復帰するために、事業主と主治医と地域センターの三者で合意を形成しながら支援を進めていくというものですが、こちらは非常に御好評を得ておりまして、多くの企業に御利用いただいております。こういった事例というものを、御指摘いただいたとおり広く世の中に発信していきたい、事業主支援という個別に事業主にアプローチする機会なども捉えて、周知をしていきたいと考えております。以上です。

○宮崎構成員
 ありがとうございます。

○今村主査
 いかがでしょうか。どうぞ御自由にお願いいたします。今、見込評価の話なので、次の目標設定に向けて関わる問題だと思うのですが、どうも分かりにくいなと思うのは、事業主支援と個人支援というのがあるのですが、もともと機構というのは、まずは事業主に関わっていって個人にという発想だったのですが、時代の流れで、それからもう1つは真にものづくりの貢献ということをずっとやっていた時代があったと思うのですが、流れとして、やはりかなりソフトというか、サービス産業といったところ、あるいは製造業の現場でもメンタルな部分に関わってくると思います。そんな中で、ニーズというか、期待される活動領域がかなり変わっているわけで、目標設定そのものが、先ほど目標設定の議論が出ていますが、これで十分なのかなと思います。何と言いますか、この報告を聞いていると、ちょっと悩んでいらっしゃると言うと変ですが、どうやって時代に応えていったらいいかというところが、少しはっきり仕分けできていないような印象を受けるのです。
 今後、見込評価を受けてどうするかという方向性みたいなもの、世の中の流れに対応するということについては、機構の中で、もう少しこのように評価を変えてほしいとか、もしあればそういうこと、こちらのほうにもっと我々は必要とされているのだみたいな話があればと思ったのです。
 とにかく、私のそもそもの疑問、不安は、事業者支援と対象者支援・個人支援との仕分けがよく分からないということと、それから産業の変化に対して、機構が民業を圧迫しないということで真にものづくりといってやってこられたところが、どうもロボットの話も含めて対象領域を自己規制しているような印象があるのですが、その2つについていかがでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総括審議役
 総論的なことですので、私の立場から、今の御質問に幾ばくか答えられればということで申し上げます。総括審議役の奥村です。まず、ターゲットグループという意味では、国の労働法制が事業主を通じて労働者の保護を図りつつとか、その能力の有効発揮を図るという体制になって、どうしても事業主支援というのは1つの基軸にはなるだろうと思っています。一方で、機構のエンドユーザーという点で考えると、離職者訓練ということは直接向き合っています。これはセーフティネットということで非常に大きな柱になっています。障害者部門ということであれば、正に障害者個々の利用者の方、更に支援者の方ということ、更には就労支援のネットワークということで、事業主支援とは違った形でアプローチと正に接していることで、様々ないわゆるルートがあるという、ここのルートの活用の仕方とか、その重みの付け具合は、今後、厚労省と相談しながら判断していきたいと思っております。
 あと、真にものづくりという点については、かなり一枚看板的なところはありますが、よくDX、GXを語る中では、正にものづくりというのは何なのかというのがよく問われるところでして、DX、GXのトランスフォーメーションという変わるという契機がそれらの概念にあるのですが、変わるという中で、概念の中に世の中的に受け入れられる軸とかコアという部分は必要なのだろうと思っています。
 そういう中では、機構のものづくり、ものづくりの定義の仕方はいろいろあると思うのですが、やはりものづくりを中心として世の中が変わっていくのだよということについて説明するほうがいいのかと。つまり、DXは何だろうというのが恐らく企業現場の感覚かもしれませんので、ものづくりという中にもう既にDXが内在して入っていると、それが変わっていくための支援をしていくというアプローチのほうがいいのかと。というのは、今朝日経新聞の朝刊を読んでいたら、中小企業の方に請求書をこれからクラウドで送りますと言ったら、そんなの駄目だよという話もあるようなので、やはり我々のメインターゲットの中小企業の方が腑に落ちるような、そういった意味でDXやGXを進めるのであれば、やはりものづくりでやりますよという、既存のコアの部分を正にエンジンとしてDXを進めていくことが考えられるのではないかということで、先生の問題意識に沿った回答かどうかは別にして、そのように思った次第でございます。

○今村主査
 ちょうど時間があったので伺ったのですが、大変クリアな分かりやすい、しっかりと辻褄の合った説明をありがとうございます。いかがでしょうか。特になければいいですが、オンラインの方はいかがでしょうか。安井先生、いかがでしょうか。

○安井構成員
 1つだけよろしいでしょうか。いろいろな法改正に適切に対応されているということで、大変重要なことをなさっているということなのですが、同一労働同一賃金については本当に難しく、なかなか状況が改善しないなと見ていて思っております。もちろん、日本型雇用制度というか、メンバーシップ型雇用制度の中で、どうやってこの同一労働同一賃金として仕事を区分けしていくのかという問題もありますので、やはりJEEDのような公的な機関からまず範を示していく必要があるのではないかと思っております。
 そこで、厚労省の賃金構造基本調査で、雑駁なのですが、民営事業所と公営事業所で分けると、非正規と正規の間の賃金格差、給料格差というのは公営事業所のほうが多くなっているのです。御案内のとおり、非正規公務員の方々の処遇というのは大変厳しいものがあるというのはよく言われているところですので、まずは隗より始めよということで、JEEDで正規の方と非正規の方の処遇の違いというものを正していくと。そして、私たちはもうここまでやったぞと、民営事業所もちゃんとやっていきなさいというぐらい、指導的にやっていただけるといいのではないかなと思うのですが、その点いかがでしょうか。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長
 総務部長の小林です。御指摘いただいた点なのですが、働き方改革法案が成立しまして、当機構でも、その中に含まれる同一労働同一賃金についても取組をしております。そういう中で、令和2年度なのですが、当機構では昔、嘱託職員といっていたいわゆる非正規職員の方をパートナー職員ということで位置付けを変えるとともに、処遇も見直しまして、従前は個々に賃金、処遇が決まっていたのを、正社員の俸給表に当てはめて決める形にしました。
 考え方としては、実際パートナー職員さんにやっていただく職務の内容を、正職員だったらどのくらいのレベルに当たるかという形で位置付けをしてやっております。これが本俸のほうなのですが、それと合わせて手当のほうも、正規職員に出ている地域手当を支給し、昇給についても、全く正社員と同じ仕組みではないのですが、パートナー職員についても経験に応じて一定の昇給を入れていくという形で、当機構なりの同一労働同一賃金の取組を進めているところです。以上になります。

○安井構成員
 どうもありがとうございました。そんな先進的な取組をなさっているというのは存じ上げなかったので、是非そういった御経験を、他の公営事業所の方々にモデルケースとして広めていただけるといいかなと思っております。
 もう少しだけよろしいですか。リスキリング、リカレントということに大変私は興味を持って調査・研究しているのですが、諸外国を見ますと、それぞれの職業に対してどういったスキルが必要なのかというのを整理したサイト等があります。さらに、そのスキルを学ぶのにどのような教育訓練機関があるのかについても整理しています。
 その上で申し上げたいのは、私はニュージーランドが結構進んでいるのではないかと思っています。それぞれのスキルごとに教育訓練があるのですが、その教育訓練の難易度が1から10までランク分けされているのです。全ての職業教育訓練についてランク分けができているようです。JEEDではたくさんの職業教育訓練を提供されていますが、それらについてもレベル分けをしていくとよいのではないでしょうか。例えば離職者の人がネイルに関するレベル4の資格を取りましたということになれば、その人を採用する企業の側でも、レベル4の人だったらこれぐらいの仕事はできるよねとか、これぐらいの賃金水準に対応するよねという形で、求職・採用活動を円滑化できるのではないかと思っています。このように、何かレベル分けなり、職業と職業教育訓練の講座の訓練内容の結び付きなりを強化していくことをお考えになるというのはいかがでしょうかというコメントです。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 多分恐らく、機構というよりは厚生労働省のほうで答えたほうがよろしいかと思いますので、私のほうから答えさせていただきます。今、先生がおっしゃったように、スキルと仕事が結び付いている、これは諸外国では一般的ですが、日本の場合ですと、御案内のとおり、必ずしもスキルが明確化ではないというのがあります。その中でも、なるべくその辺りのスキルを仕事との関係で明らかにするために、今、jobtagという日本版O-NETというのを、職業安定局、厚生労働省のほうでやっております。そういったものと、我々としましては、訓練や賃金情報といったものを結び付けていきたいと思っております。そのjobtagというものをキーとして、厚生労働省と機構と、あとは機構以外の訓練もありますので、そういったものは今後、連携を進めていきたいと思います。
 それから、訓練というか教育も含めますと、これは職業訓練を伴わず、例えば大学における社会人教育といったものもあります。これは、省ですと文部科学省さんになってきますし、あとは業所管でいろいろな訓練もやっています。特にIT系、デジタル系ですと、経済産業省のほうがマナビDXサイトという、これはDXの講座をオンラインで提供しているようなサイトになっています。こういったものとjobtagを連携する方向で、文部科学省さんがやっている大学とか短大とかで提供しているものについては、これはマナパスというサイトがありまして、マナパスとで連携を進めています。そういったもので、先生がおっしゃっているようなところまで、100%まで達成しているかどうかは別として、全体としては一歩一歩、省を越えて、社会人の学びや学び直しに向けた各省連携というのは進めさせていただいているところです。不十分な点がありましたら、またそこは御指導いただければと思っております。

○安井構成員
 ありがとうございました。米国の「O*NET OnLine」は1,000ぐらいの職業を整理している一方、jobtagは500ぐらいの職業しか整理しておりません。賃金情報についても、例えば研究員であれば、自然科学系の研究員も、私のようなエコノミストも全部同じ賃金データを使ってしまっております。このように「O*NET OnLine」に対してjobtagは利便性が低い状況です。したがって、今後、是非改善していただきたいと思っています。また、マナパスはjobtagと連携されているということですが、jobtagにただマナパスへのリンクが貼り付けてあるだけで、jobtagの職業とそれに関連する教育訓練講座が紐づいているわけではありません。つまり、jobtagである職業を検索した後、マナパスのリンクをクリックしても、また1からマナパスで教育訓練講座を検索していかなくてはなりません。加えて、「O*NET OnLine」では居住地域の近くにどういった職業教育訓練機関があるかというのが分かるのに、マナパスでは分かりません。改善に向けた課題は非常に大きいと思いますので、職業情報の見える化を急いで進めて頂きたいと思っておりいす。見える化が進展すれば、JEEDの提供する訓練内容も、分野別にとかスキル別に把握できるようになってくると思います。

○今村主査
 ありがとうございました。先ほどちょっと省庁を越えてという発言が出ました。この前の経済産業省の未来人材ビジョンでのショッキングなデータの発表もありますので、それの解消に向けて、是非御検討をお願いしたいと思います。そろそろ終盤に差し掛からせていただきたいと思います。最後、法人の監事及び理事長から、年度目標、中期目標期間における達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構監事
 監事の中山でございます。資料のほうは2-4になります。この資料の中の特に大事な部分は後半のⅡ以下でございます。私ども監事としては、適切に全てのものが実施されているということで報告をさせていただいております。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。続きまして、理事長よりよろしくお願いいたします。

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長
 理事長の湯浅でございます。本日は皆様から多くの貴重な意見、御指摘を頂きまして、本当にありがとうございます。議論の中にもありましたように、当機構は全国において、高齢、障害、求職者、事業主等に総合的な雇用支援をしている我が国唯一の組織です。御承知のとおり、我が国は少子高齢化で人口の減少下にありますので、こうした状況の中で、今後とも経済活動の活力を維持するためには、高齢者、障害者も含め、働く意欲と能力のある全ての方が、生涯にわたってその能力を発揮していくということが重要ではないかなと思っております。
 当機構ではこういう課題に対応すべく高齢、障害、求職者、事業主といった利用者の皆様の立場に立ったサービス、それからPDCAサイクルによる業務運営を絶え間なく改善をしていくこと、それから高齢者支援、障害者支援、職業能力開発の業務の、先ほどもありましたが、シナジー効果の発揮、それから業務効率化、生産性向上といった点に留意して、当機構の全国組織のスケールメリットを最大限に活かしつつ、第4期の中期目標の達成に向けて役職員が全力で取り組んでおります。
 令和3年度もコロナ禍により人の移動が制限され、日常生活が停滞して業務継続が懸念されるなど、通常どおりの業務実施が困難な状況となりました。しかしながら、令和2年度の経験も踏まえ、先ほど御覧いただきましたように、各施設とも感染防止対策を徹底して、オンラインを積極的に活用しながら利用者のニーズに応えつつ、創意工夫を重ねて積極的に業務運営を行ったところです。コロナ禍で利用者と接するという業務を私どもの職員はやっています。そのリスクを抱えながら、本当に熱心に頑張っていたということで、その点はお認めいただけると助かります。そして、オンラインによる支援については、支援対象者によってはコロナ対策だけではなくて、これから将来の有効な支援の1つとなるというような新しい価値観も生まれつつあるのではないかと感じています。本有識者会議の構成員の方々には、是非とも当機構のこうした職員のコロナ禍における取組も評価していただければと思っています。
 さて、我が国においてはデジタルトランスフォーメーションの進展等により、労働者の働き方や企業、労働者の求める能力も変化していくことが見込まれます。こうした変化に合わせて、当機構の支援対象者である高齢、障害、求職者、事業主が有する様々なニーズに応えていくためには、当機構自ら利用者等に接して得られるニーズを把握分析して、調査、研究、開発から支援につなげるというPDCAサイクルを回していくことが重要で、当機構の財産である高い専門性を持った職員、またその質の一層の向上を図るための企業努力、これが重要であろうと思っています。
 次期中期に向けた具体的な課題ですが、高齢者雇用支援関係では改正高齢法に基づく一層の取組というのが求められますので、70歳までの継続雇用や定年引上げに対しての企業支援の充実強化が求められています。また、障害者雇用支援ですと、労政審の雇用分科会のほうで今後の障害者の施策の充実強化についてという意見書を取りまとめていただきました。機構に対しての様々な役割がこの中に盛り込まれていまして、期待される中で、特に働く障害者を支える地域の就労支援人材の育成ということが、新たにというか、今までもありましたけれども、更に重要な課題として飛び込んできています。職業能力開発関係ですと、企業を取り巻く環境として、デジタルトランスフォーメーションとかグリーントランスフォーメーションという大きな変革の波が世の中に来ていまして、政府の進める人への投資という形で、人材育成部門が大きく注目されています。安井先生も御指摘いただいたように、職業訓練の充実強化というのはこれから課題ですので、取り組んでまいります。
 こうした重要な課題がある中、今後当機構の果たすべき役割はますます重いものと認識していますが、当機構としてはこれまで培ってきたノウハウや専門性を更に発展させ、国から示されたミッションを的確に実現できるよう取り組んでまいります。引き続き、本有識者会議の構成員の皆様方の御指導をよろしくお願いするとともに、更にいろいろな御指摘も頂ければ幸いです。本日はどうもありがとうございました。以上です。

○今村主査
 どうもありがとうございました。それでは今の監事、理事長の御発言内容について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。大丈夫ですか。
 それでは、最後に1つ仕事が残っていますが、そちらに移りたいと思います。続いて、高齢・障害・求職者雇用支援機構の業務・組織全般の見直しについて、議論をしていきたいと思います。初めに、見直し内容について、法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただきまして、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

○職業安定局雇用開発企画課長
 職業安定局雇用開発企画課長でございます。私から資料4によりまして御説明します。当機構におきましては3つの大きな柱があります。1つ目は高齢者の雇用支援です。高齢者雇用につきましては、成長戦略におきまして、高年齢者の就業率の目標の達成というのが求められています。また、改正高年法の施行によりまして、70歳までの就業確保というのが努力義務になっています。これが大きなポイントになっていますので、それに向けての充実強化ということになっていきます。
 具体的には、給付金の支給ですとか、高年齢者の雇用就業に関する技術的事項に関する相談、援助を行うといったことによって、65歳以上の継続雇用や定年引上げに取り組む事業主を支援していくというのが重要になっています。また、70歳までの高年齢者の就業確保が企業において適切に講じられますように、今時点の企業においての取組の実態把握を行いまして、個々の企業のニーズに応じた人事管理制度の改善提案ですとか、参考となる好事例の収集提供などを行う必要があるだろうと。そういったことを通じて、事業主への専門的支援の充実強化というのを図っていく必要があるのではないかと考えています。
 2つ目の柱の障害者の雇用支援です。障害者雇用につきましては、支援対象者となる方々の障害特性や働き方の多様化、それから働くに当たってのいろいろな技術革新によるサポートもありますので、障害者の就労意欲がそういった技術革新などにより、障害者の就労を取り巻く環境が変化しているといったことを踏まえていく必要があるのだろうということ、そういった中で障害者の希望や適性に合わせた働き方の実現のための専門的な支援を実施していく必要があるのだろうという認識です。
 それから、審議会におきましても、地域で就労支援をされている方への支援というのが必要ではないかというような議論がされています。こういったことを踏まえまして、1つは、機構におきまして雇用と福祉の連携を推進していく中で重要な役割を果たすというのが期待されているのだろうということです。具体的には、地域の就労支援に関わる雇用、福祉の面からの関わり方というのもあると思いますけれども、その両面で関わっていただいている方々に対して、両分野横断的な知識を習得していただくという支援が大事なのだろうということです。もう1つは、先ほど申しましたように、多様なニーズ、個々の希望、適性、IT機器の発達といったいろいろな状況の中で、個々の方の希望などに応じた働き方ができるように、職業リハビリテーション計画に基づく専門的な支援を実施するということ、それから訓練におきましても、障害種別によらない職業訓練をしていくということ、そういったことが重要になってくるのだろうと考えています。
 それから、3つ目の職業訓練関係ですが、いわゆる骨太の方針におきましてデジタル人材の確保、育成というのが求められています。また、2050年カーボンニュートラル宣言などにおきまして、グリーントランスフォーメーションの推進に資する人材の育成と、そのために公共職業訓練を実施するという方向性が示されています。また、産業構造の変化や働き方の多様化の中で、地域のニーズを踏まえた訓練コースの設定というのが必要になっています。こういったことで、引き続き雇用のセーフティネットとしての職業訓練の機会を提供するというのが求められているのだろうと思います。
 具体的には、DX人材の育成に取り組む事業主に対して、DXにつながるデジタル技術を活用した在職者訓練や生産性向上訓練といったもの、それから離職者や高度技能者養成訓練においても、やはりDXにつながるようなデジタル技術に対応した訓練を実施していくというのが求められているのだろうと思います。また、そういったDXにつながるようなカリキュラムの開発や指導員の育成というのも重要になってくるのだろうと考えています。GXの推進に関しましては、人材育成の中においても省エネ、再生エネルギー、木材の利活用、脱炭素、こういった技術技能が習得できるようなコースの開発というのが必要になっていくのだろうと考えています。こういったことが実践されるような方向性での見直しというのが重要になってくるのだろうと考えております。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明内容について、御意見、御質問等がありましたらどうぞお願いします。大分既に議論をしている部分もありまして、ちょうどいい入りかたかなと思うのですが、いかがでしょうか。オンラインの土井先生、お願いします。

○土井構成員
 土井です。御説明ありがとうございます。今の見直しを伺っていて、今すぐということではないのですが、1つ将来に向けて新しい視点で考えていただきたいと思っていることがありますので、少しコメントをさせていただきます。
 今、高齢者、障害者、地方ということで大きく分けて考えていただいていますが、高齢者の方の就業に関しても、今までの職業をそのまま続けてという話と、今のDX人材という中で新しい職業を得るという、そういう人材の方もいらっしゃると思います。一方で、障害者の方も、今まで働いたことはないのだけど、ロボットとかDXをうまく活用することで、短時間かもしれませんが雇用される機会というのはどんどん増えていくと思います。
 そういう意味で、今の分け方は今までのレガシーがあるので、これはこれでいいと思いますが、それを支えるDXとかそういうインフラは共通のものがありますので、是非そこのところは効率的にサポートができるような体制ということで、次の中期を考えていただくことが重要と感じています。
 一方で、地方という話も、企業によってはもう既に、地方にいてリモートで働くというのを、それを前提に雇用するということが進んでいます。あるいは、性別もなしで就職活動のときにはそこも書かないという話もありますし、メタバースに代表されるようなところでは、自分が物理的には女性かもしれないけれども、そのメタバースのサイバーの世界の中では男性であるとか、どちらの性も名乗らないとか、そういう働き方も出てきていますので、私たちの言葉でいうと、サイバーフィジカルシステムというのを前提として考えると、地域であるとか性別であるとか、そういうものに縛られない働き方というのがこれからどんどん当たり前になっていくと思いますので、そういうものに対してDX、GXを使ってどのように支援をしていくかという、そういう観点でも是非考えていただければと思います。よろしくお願いします。

○今村主査
 機構あるいは厚労省のほうから、何かコメントなり反応はいかがでしょうか。

○職業安定局雇用開発企画課長
 正にこれから検討を深めていくところですので、御指摘の点を踏まえて検討していきたいと思います。

○今村主査
 ありがとうございます。宮崎先生、どうぞ。

○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。今後の組織見直し、次期中期目標の策定に向けてということですので、先ほどの質問というより要望としてお伝えした内容とほぼ同じになるのですが、新しい見直しの方向性、業務組織の構成を見ますと、従来の高齢者、求職者、障害者向けの支援中心のような位置付けになっているように拝見しています。先ほどお伝えしたようにメンタル不調ですとか、いわゆる障害者といっても、もともと健常だった方で職場復帰できない方とかが増えているかと思いますので、そういった方向けに、なってからの支援というのも当然重要なのですけれども、そうならないようにということ、表現が難しいのですが例えば医療でいうと、なった後の治療と、ならないようにという予防と両方あると思うのです。そういう意味で、障害者支援なのかはちょっと分からないのですが、そういうメンタル不調が増えているという認識がありますので、そうならないような注意点の普及や広報周知というのも是非取り組む内容に入れていただければと思います。
 見方を変えると、そういうのが新しい環境、コロナ禍での職業スキル、職業能力開発の一部だとも言えるかと思いますので、最終的には理事長がおっしゃったように労働力をしっかり確保するという観点からは、なった後の支援も当然非常に重要なのですが、そうならないような予防するという取組が含まれてもいいのではないかと思いますので、是非そういった視点でも検討いただければと思います。

○職業安定局雇用開発企画課課長
 独法は、業務の範囲が法律で決まっているので、健康づくりというようなところまで業務の範囲かというと、なかなか難しいのかなと思います。ただ、業務で蓄積されたものが様々な場面で活用できることはあるかと思いますので、様々な場面での活用という御指摘と捉えて検討していければと思います。

○安井構成員
 これからのことに関してですが、今年度の骨太の方針に「スタートアップ(新規創業)への投資」が掲げられました。御案内のとおりだと思いますけれども、5年で10倍増を視野に、「スタートアップ育成5か年計画」を本年末に策定するというものです。しっかりサポートしていかないと、スタートアップは育っていかないと思うのですけれども、他方でOECDの統計によりますと、日本は起業に向けた訓練機会があるかどうかという点について、日本の24%に対して、OECD平均は48%と2倍もあります。つまり、起業に向けた訓練が受けられる機会が非常に少ないという問題があります。JEEDはものづくりとか求職者向けの訓練だけではなくて、こういうスタートアップに向けた訓練を提供してみてはいかがでしょうかというのが御提案です。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 人材開発統括官人材開発政策担当参事官です。まず、御提案ありがとうございます。スタートアップの重要性は十分認識しています。ただ、先ほど雇用開発企画課長が申し上げたとおり、独法ですので法律の制約、もっと言いますと厚生労働省の所管というところの制約もあります。そういったものを踏まえまして、今のお話についてどこまで機構としてできるのか、我々でできるのか、あとは各省連携という形でより適切な所で実現していくのか、そこは引き続き検討をしながら進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございます。安井委員のバックアップをするわけではないのですが、やはり省庁を越えてとか法律の立て付けとかいろいろあって難しいと思うのですけれども、実は私どもの大学の総長、前の理事長が通産次官で、大平さんの秘書官などをやっていた者で、日本がナンバーワンだった頃なのです。だから、30何位とかそういう今の日本の経済の状況を非常に憂いておられて、何が足りないかというと、やはり失敗を恐れない気持ち、エンプロイーでいると、雇われていればその中でこなしていれば何とか食べていけるという枠組みだと。
 今ようやく、ジョブとかスキルとかそういう話にだんだん移ってきました。その先は多分、やはりスタートアップとか、アントレプレナーシップとかというところになるのだと思うのです。だから、これは省庁の枠組みとか立て付けの問題ではなくて、日本が沈没するかどうかという非常に重大事のところですので、是非こちらから発信するとかしながら、経産省からついこの間スタートアップの話も出たし、経団連からも出ていますので、就労者支援とか事業主支援ということを越えて、是非日本のこれからのことを考えてやっていただければ、安井委員の提案は非常に貴重な提案だと思いますので、是非よろしくお願いします。
 ちなみに、私どもは英語で全部教育をして、留学生が約3割ぐらいという中で教育するのですけれども、やはり留学生からも日本人は引っ込み思案だねと言われます。そこのメンタリティの問題というのは、日本の中で雇用をどう拡大していくか、将来どういうふうに産業、経済に貢献していくかというところで、そのメンタルの問題というのは非常に重要だと思うのです。是非、幅広く御検討をよろしくお願いします。すみません、便乗して言ってしまいました。何かほかにありますか。

○酒井構成員
 ちょっと1点だけ、非常に抽象的なことで恐縮ですけれども、今後の職業能力開発業務についてということで、DX、GXに対応するといったこと、あるいは地域の人材ニーズを踏まえた職業訓練等の実施ということで、非常に重要なことだと思います。私も常々そのような問題意識を持っていましたので、例えばこの地域の人材ニーズを踏まえた職業訓練を、是非そういったコースの開発を進めていただきたいと願う次第です。ただ、こういった職業訓練という話になると、常に目の前のニーズに応えますという話になりがちかと思うのですけれども、同時に職業訓練を機に、安定した就業、長期的な就業といったものにつながるような職業訓練プログラムを開発するということをお願いしたいと思います。
 私の個人的な見解ですけれども、職業訓練というのは、それをきっかけにして個々人が更にスキルの開発を自分で行っていける、そういうことができるようになることが職業訓練の本来的な意義だと思っていますので、是非長期的な視点でも労働者のためになるような職業訓練プログラムの開発、そういったことにつながるような業務を進めていっていただければと思います。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。

○人材開発統括官人材開発政策担当参事官
 ありがとうございます。人材開発政策担当参事官です。今、酒井先生から非常に重要な点を御指摘いただき、ありがとうございました。我々は、目の前のニーズではなくて、長期的なというところでは、今回ここで示しています地域における協議会で把握する訓練ニーズ自体は、目の前の求人だけではなくて、その地域においてもっと先々を見た訓練ニーズを把握すべきだということを、今回の法改正の主眼としています。
 ただ、酒井先生がおっしゃった点は、むしろカリキュラムに落とし込んだときに、学ぶ内容がその人にとって長期的に役立つものにすべきだという、新しい視点を頂いたと思います。今、我々のほうとしましては、自立的、主体的な学びというのが重要なのではないかと思っています。つまり、これがどんな労働者においても、今後こういう時代の変化の中、職業人生の長期化の中で、自らが学びをしていく。それによって更なる学びを進めていく。それを企業もそうですし、公的機関も含めてバックアップするというのが重要だと思っています。
 そういう意味では、離職者訓練というのもそういう意識が必要でしょうし、あとは在職者や生産性向上人材育成支援センターがそういったものも支援していくという複層的なものが必要かと思いました。そういった視点がどこまでこの表現に入れるかは別として、そういった視点を踏まえまして今後とも施策を進めていきたいと思っていますし、機構にもお願いしていきたいと思っております。ありがとうございます。

○今村主査
 ありがとうございます。また我田引水ですが、酒井委員の自分で学びを選択するというのはすごく大事なことだと思うのです。それはアントレプレナーシップだと思うのです。つまり、ビジネスモデルを人のために書くのではなくて、自分のビジネスモデルをどう作っていくかということがこれからますます職業訓練の上でも重要だと思いますので、是非御検討をお願いします。
 ほかに何かありますか。大丈夫ですか。ありがとうございます。特になければこの辺でまとめていこうと思います。
 それでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構の業務全般の見直しについての議論を終了します。法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日頂きました御意見を踏まえて、見直し内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をどうぞよろしくお願いいたします。以上で本日の議事を終了いたします。最後に事務局からよろしくお願いします。

○事務局
 事務局です。今後の流れにつきまして御連絡いたします。本日、御議論いただきました高齢・障害・求職者雇用支援機構の令和3年度業務実績評価並びに中期目標期間見込評価につきましては、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定いたしまして、法人及び総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表をさせていただきます。
 また、業務組織全般の見直し内容につきましても、同様に、本WGにおける御意見等を踏まえまして、厚生労働大臣が決定して、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表をいたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日構成員の皆様にもお送りしますので、よろしくお願いいたします。
 なお、中期目標期間見込評価及び業務組織全般の見直し内容につきましては、独立行政法人評価制度委員会へ通知後、同委員会において点検が行われまして、その点検結果に基づきまして出される意見を踏まえまして、厚生労働省において次期の中期目標案を作成することとなります。そして、その次期中期目標案につきまして、来年1月以降、独立行政法人評価制度委員会の審議に付されることが予定されておりますので、次期中期目標案等につきましても来年1月頃に本WGでの意見聴取を予定しています。その際はよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。皆様、本当に熱心な御議論、専門の真摯な御議論を頂きまして、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。これで終了とさせていただきます。どうもお疲れさまでした

(了)