2022年8月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第45回) 議事録

日時

令和4年8月3日(水)13:00~14:31

場所

日比谷国際ビルCS 8D(8階)

出席者

今村主査、大木構成員、酒井構成員、関口構成員、土井構成員、三宅構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容

○事務局
 定刻になりましたので、ただいまから「第45回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。事務局の政策立案評価担当参事官室長補佐の工藤です。本日はよろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、お暑い中、またお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の出席者状況について御報告いたします。本日は、大木構成員、関口構成員、土井構成員、三宅構成員がオンラインでの御参加です。志藤構成員と土橋構成員が御欠席です。なお、関口構成員は、若干遅れての御参加となります。
 続きまして、本日の議事について御説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納しておりますので、そちらを御覧いただければと思います。なお、参考資料3、参考資料4にお示ししている本年3月2日付けで改定された総務大臣決定の指針については、昨年の秋にデジタル庁の発足に伴う所要の改正がなされたものです。改めて、この場をお借りして事務局より御報告申し上げます。
 本日の議題は「労働者健康安全機構」の「令和3年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。法人からの各評価項目における評定の根拠について重点的に説明した後、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。ここで傍聴の方に御連絡を申し上げます。本日の会議については、撮影、頭撮りを「可」とさせていただいておりますが、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いします。
 この後の進行は、当WGの主査でおられる今村先生にお願いしたいと思います。それでは今村先生、よろしくお願いします。

○今村主査
 皆様、今日は本当に暑い中を御苦労さまです。できるだけ円滑に議事進行をしていきたいと思いますので、どうぞ御協力をよろしくお願いします。大体1時間半を予定しております。ただいまの事務局からの説明について、何か御質問等がありましたらどうぞお願いいたします。いかがですか。それでは、ないようですので、労働者健康安全機構の令和3年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。
 はじめに、法人から「法人の業務概要」及び「自己評価」について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。まず、法人から、法人の業務概要及び自己評価について説明をお願いします。

○労働者健康安全機構総務部長
 総務部長をしております松永と申します。私のほうから、資料2-1に沿って、当機構の概要と自己評価について御説明いたします。まず、概要についてです。資料の1ページを御覧ください。なお、私が説明で申しますページ数は、スライドの右下に数字を書いておりますが、その数字で申し上げます。
 当機構は、2つの独立行政法人が統合し、平成28年4月に設立されております。主な事業については、中段以降にお示ししておりますが、労働安全衛生総合研究所、日本バイオアッセイ研究センター、労災病院、産業保健総合支援センター、治療就労両立支援センター等の施設を運営することにより、労働者の健康、安全、福祉の増進に取り組んでおります。
 3ページを御覧ください。評価項目は全部で14項目となっております。昨年度から1項目追加しており、1-10「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支払」が、追加となっております。今日の御説明では、赤字で記載している重点化対象項目と、自己評価でA以上の項目に絞って御説明をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 4ページを御覧ください。「労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進」については、自己評価はAとしております。評定の根拠については、5ページの下段に記載しております。厚生労働省等が開催する検討会への参加や資料提供等、労働衛生施策の策定に貢献したほか、機構内の複数の施設が持っている機能等を連携させて、昨年度から新たに協働研究を開始しております。6ページに、各研究の一例をお示ししております。
まず、左側が「プロジェクト研究」です。労働安全衛生総合研究所において、重点的・計画的に研究を行うもので、昨年度は、15の課題について実施しております。具体例の1つとして、陸上貨物運送従事者の勤務体制と疲労リスク管理に関する研究を挙げております。本研究は、食品等の地場配送ドライバーに着目したもので、独特の勤務体制や分割睡眠などの特徴を解明し、地場配送に適切な休み方の最適化を提案するなど、今後、配送運転者の安全衛生の充実や過重労働対策等の施策につながる研究だと思っております。
 真ん中が「協働研究」です。これは機構内の複数の施設が有する機能を連携させて行うもので、昨年度は6つの課題で実施しております。具体例としては、せき損等職業性外傷の予防と生活支援に関する総合的研究を挙げております。これは労働安全衛生総合研究所と労災病院がコラボして、歩行支援機器の安全チェックリストの改訂、歩行支援機器の開発などを行っております。研究成果としては、リハビリ現場での歩行支援機器の安全性の向上や、医療従事者の負担軽減などにつながることを期待しております。なお、協働研究には、日本バイオアッセイ研究センターも参画しております。
 右側が「行政要請研究」です。これは厚生労働省からの要請に応じて、比較的短期に研究成果を出すもので、昨年度は8つの課題で実施しております。具体例として、ロールボックスパレットの研究を挙げております。これは一般に「かご台車」と呼ばれているもので、運送業や卸・小売業などで広く使用されておりますが、ロールボックスパレットの下敷になる、足を引かれる、手を挟まれるといった災害が多発しており、日本パレット協会とともに、工学的な改良点や適切な使用方法などを明らかにいたしました。研究成果はリーフレットとして広く周知されるとともに、行政や業界団体の要請文書の中にも活用されております。
 さらに、左下にあるように昨年度から、産業現場における労働災害防止の観点から、IoT、AIなどの新技術の活用及び安全面の問題について、新しいグループを立ち上げて研究に取り組んでいるところです。これらのように、労働安全衛生総合研究所ならではの知見や、労災病院をはじめとする機構内の施設との協働により、相乗効果を発揮して成果を上げているところです。また、研究の評価については、厚生労働省からの評価とともに、外部有識者からの評価も受けております。「職場環境の改善に有益な研究成果が得られている」、「今後の研究の発展に期待できる」などの高い評価をいただいております。
 7ページを御覧ください。「労災疾病等に係る研究開発の推進」ですが、自己評価はAとしております。下段の評定の根拠に3点挙げております。主な取組については8ページを御覧ください。左上、じん肺における膿性痰の鑑別測定方法の開発です。じん肺の合併症である続発性気管支炎の労災認定基準におきましては、痰の量や性状などが1つの基準とされているところですが、その判定は目視によることから、客観性に乏しく定量性に欠けるということが学会などで長年にわたり指摘されておりました。この点について、労災病院において長年蓄積してきたじん肺診断等の実績を活かし、291の症例から数値として判断ができないか研究を実施し、痰に含まれる好中球エラスターゼという蛋白分解酵素が膿性痰の鑑別に当たり客観的指標となり得るという結果が得られました。
 これにより得られた医学的知見は、じん肺の合併症診断の客観的指標となり得るというもので、被災労働者の迅速・適正な労災保険給付につながるものであることから、本研究成果を厚生労働省に報告し、認定基準や「じん肺診査ハンドブック」の更新などに活用していただくよう、引き続き働きかけを行うところです。
 次に、左下の「アスベスト疾患の鑑別診断に有効な診断マーカーの開発」です。労災認定の疾病である良性石綿胸水の診断は、石綿以外の胸水の原因を全て除外するという必要があり、労災認定までに時間を要しているという現状があります。本研究では、胸水に含まれる特定の物質を診断マーカーとして用いますと、初期の悪性胸膜中皮腫、他疾患による胸水と有意に違う結果が得られました。この点については、『Scientific Reports』に論文掲載されるなど、学術的にも認められております。これにより、初期悪性胸膜中皮腫と良性石綿胸水の鑑別が容易となり、その後の迅速な治療、労災認定にかかる時間短縮につながることが期待できるものです。
 最後に右側です。労災病院グループでは、入院患者に対して、病歴と職業歴などを併せて調査した、我が国唯一の大規模なデータベースを運用しております。今回、このデータベースを用いて、職業分類をターゲットとして疾患リスクとの関連を性別で検討し、職業特異的な潜在的リスクの検出を試みたところ、特に男性においては一般事務員に比較して、自動車運転従事者、飲食調理従業員や漁業従事者などで、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などのリスクが高いという結果が得られました。これらの研究結果についても、『Scientific Reports』に論文掲載された後、ネットニュースなどでも取り上げられるなど、予防プログラムの作成や保健指導に活用できる有用な情報として、労働者や産業保健関係者などに情報を発信できたと思っております。
 このように、機構で着実に研究を実施し、得られた研究成果を厚生労働省に報告することはもとより、ホームページや学会発表、論文掲載などで普及活動を行い、多くの医師、産業保健関係者、勤労者に活用いただいていると思っております。
 9ページを御覧ください。「労働災害調査事業」です。自己評価についてはAとしております。災害調査では、労働基準監督署では原因が特定できない事案について、労働安全衛生総合研究所がこれまでの災害調査で培った高度な科学的・専門的知見に基づき、現地調査、再現実験、数値解析等を行うことによって原因の究明を図っております。要因分析にも記載しておりますが、一例として、ビル建設現場で発生した吊荷の落下災害において、労働安全衛生総合研究所が事故現場での調査や事故を再現した実験を行った結果、吊荷を不安定な状態で吊り上げたことにより重心がずれ、荷崩れ、落下に至ったということが分かりました。調査結果と再発防止を取りまとめて労働基準監督署に報告したところ、「科学的見解や根拠が分かり当該災害への理解が深まった。再発防止の指導に利用できる」という高い評価を得ております。
 11ページの左下に、災害調査の実績として、直近で公開した一例をお示ししております。また、右側に記載しておりますが、災害調査を契機に開始する研究の一例として、令和2年度から高純度結晶性シリカに係る協働研究を実施しております。昨年度の外部評価においては、成果が期待できるとの高い評価を得ております。右下の労働安全衛生施策等への貢献として、吸入性粉じんのばく露について労働安全衛生総合研究所で行った災害調査に基づき、厚生労働省から通達が既に発出されておりますが、災害原因となった有機粉じんの毒性評価に係る研究を今年度から開始しております。
 12ページを御覧ください。「化学物質の有害性調査事業」です。自己評価はCとしております。下段の評定の根拠にも書いておりますが、昨年、日本バイオアッセイ研究センターにおきまして、試験方法に関する手順書からの逸脱行為が発覚し、厚生労働省から一部の継続試験を除いて発がん性試験等の中断が指示され、中期目標に示された長期吸入試験が実施できないということによるものです。その後、厚生労働省から、昨年7月に改善指導を受け、指導事項に対する改善に取り組んでいるところです。
 13ページを御覧ください。こちらには厚生労働省からの改善指導に対する対応状況をお示ししております。1~3にあるとおり、標準操作手順書の改正、自己点検の実施、研究者倫理研修の実施など、再発防止に向けた整備を行っております。これらについては、今後も継続的に実施いたします。また、4番の人的交流の促進については、協働研究の実施により、機構内の他施設との人的交流を図っているところです。
昨年度は、これら様々な対応を実施してきたところですが、今年度以降の見込みについて御説明します。昨年7月に、厚生労働省から報告書が公表され、その中で今後の職場における化学物質等の管理のあり方が示されました。この新しい化学物質等の管理の対象となる物質を、国が調査して指定するに当たっては、従来は発がん性に着目していましたが、今後は化学物質の危険有害性全般について検討するという方式に変わります。
これにより、事業者にとっては、リスクアセスメントなどの措置義務がかかる対象物質が大きく広がるわけです。一方で、市場にある化学物質の全ての危険有害性が判明しているというわけではありません。流通しているものでも、危険有害性の一部が分かっていないものがあります。労働者が吸ったり、浴びたりするおそれのある化学物質の危険有害性を正しく把握することが事業者に求められております。その事業者への支援として、きちんと検証された危険有害性情報を提供していくということが今後求められます。日本バイオアッセイ研究センターにおける有害性調査においては、政策転換を踏まえて試験を実施するということですが、その対象範囲や優先順位などについては、現在、厚生労働省、当機構、日本バイオアッセイ研究センター、労働安全衛生総合研究所などで調整しております。なお、中期目標に掲げている「試験法の開発」や「研究成果の情報発信」については、引き続き取り組んでいるところです。
 14ページを御覧ください。「労災病院事業」です。自己評価についてはA評価としております。評定の根拠は、次の15ページを御覧ください。まず、新型コロナウイルス感染症対応を含む大規模労働災害の対応として、各労災病院において、自治体からの病床確保要請等を踏まえ、コロナ専用病床の確保、コロナ陽性患者の受入れ、PCR検査の実施などに積極的に取り組んできたところです。詳しくは、16ページを御覧ください。
 左上の棒グラフですが、昨年度はコロナ対応のため、平均で年間427床の専用病床を確保し、休床の病床等を合わせますと、1,232床の病床を確保しました。これは29の労災病院の総稼働病床約1万800床の11.4%をコロナ対応に当てたということです。また、昨年10月には、厚生労働省から第6波に向けた確保病床数について、1割以上増やしてほしい旨の協力依頼があったことから、各労災病院に指示し、最大で677床まで専用病床として提供できる体制を確保しております。依頼前は555床でしたので、22%増やしたという状況です。その右のグラフですが、陽性入院患者の受入れについては27の労災病院で実施し、令和2年度の約2倍の5万9,377人の入院患者を受け入れました。その下のグラフですが、東京、関東、大阪の各労災病院における受入可能病床数と、受入患者数の推移を一例としてお示ししております。感染が拡大して第5波となった8月、9月、第6波となった2月、3月の時期には、自治体からの要請に応じて、確保した専用病床の上限一杯に達する患者を受け入れ、地域のコロナ医療体制確保に貢献したと思っております。
 15ページに戻ります。その他、コロナの対応としては、患者の受入れに加え、各病院でコロナ対応により業務が逼迫している中ではありましたが、政府等からの要請を受け、感染拡大地域である沖縄県、大阪府、東京都の医療施設へ看護師30名を、派遣延べ日数で544日派遣しております。
 また、評定の根拠の2項目以降については、指標の「紹介率・逆紹介率」及び「治験症例数」については計画を達成し、昨年度、計画未達であった「症例検討会・講習会開催回数」についても、Web会議システムを活用した形式や、密を避けた集合形式による開催等により計画を達成しております。新規となる「北海道中央労災病院の統合」については、地元の地域医療構想調整会議等の議論を経て、統合に係る基本合意書を締結しております。
このように、公的医療機関として、新型コロナウイルス感染症に積極的な対応をするなど、地域医療に貢献したと思っております。
 17ページを御覧ください。「産業保健活動総合支援事業」です。自己評価はAとしております。評定の根拠は、18ページを御覧ください。医師会等関係機関との連携強化として、東電福島第一原発の健康支援相談窓口を、医師会、東北地域の自治体等、関係機関と連携して運営いたしました。また、MSW等の両立支援関係者間の連携強化としては、両立支援に係る事例検討会を全都道府県で開催するとともに、厚生労働省主催の両立支援コーディネーター交流会に産業保健総合支援センター所属の保健師5名がファシリテーターとして協力するなど、関係者の資質向上、ネットワーク構築に努めました。
 次に、専門的研修への対応ですが、19ページの左上を御覧ください。年度当初、年度末のコロナ禍の影響による、集合研修の中止により、目標の件数には届きませんでしたが、受講者からのアンケート結果を踏まえて研究テーマを設定、Webを活用した研修の実施、年度後半からはオンデマンド研修の開始など、利用者のニーズに可能な限り対応したことで、同じく、19ページの左下にあるとおり、利用者からは前年度を上回るくらい有益であったという旨の評価を受けております。なお、緊急事態宣言等が発令された期間を除けば、計画を上回る回数を実施しております。
 また、18ページに戻ります。評定の根拠の3項目ですが、産業保健総合支援センター利用者を対象としたアウトカム調査結果によりますと、利用者のリピート率はコロナ禍以前よりも増加しており、その結果として、専門的相談の件数はコロナ禍以前を上回る数値を達成しました。その上で、研修や相談に対する効果や評価について、前年度を上回る結果となったことは、事業場から常に求められる要望に対して適切かつ質の高いサービスを提供した結果と考えております。
 さらに、下段の参考指標のとおり、事業場に直接出向く実地相談、メンタルヘルスに係る個別訪問支援、メールマガジンによる事業場等への情報発信等、定量的指標以外の産業保健サービスの提供にも積極的に取り組んでおります。
 また、19ページの右上にお示ししているように、テレビ会議システムやドローンを用いた地域の産業医活動に対するサポート体制の整備、右下の事業場の体制整備に対する助成金の支給にも対応しております。このように、コロナの影響により、実施が制限された事業についても可能な限り実施に向けて取り組み、難易度が高い事業を着実に実施し、目標を上回る成果を上げたと思っております。
 20ページを御覧ください。「治療就労両立支援事業」についてです。自己評価は目標を上回る顕著な成果を上げているとして、Sとしております。昨年度の取組については、22ページの中央に、「企業に対する支援」とありますが、中小企業等への両立支援を促進するために、両立支援啓発セミナーを169回開催したほか、事業場を直接訪問して行う個別訪問支援も1,819回、労働者と事業場との間の個別調整支援を599件など、前年度を大きく上回る支援を行いました。
 その下の「両立支援コーディネーターの養成」については、コロナへの対応として、基礎研修を集合形式から、オンデマンド配信とライブ研修の複合形式に変更しており、昨年度は前年度を大きく上回る4,556人を養成いたしました。オンデマンド配信にすることで、受講者の都合の良い時間に受講できる、繰り返し視聴できるなどの利便性が向上し、さらに、昨年度からオンデマンドの講義途中で確認テストを実施する、ライブ研修の中で各自の端末からその場で回答してもらい、すぐに集計ができるシステムであるアンサーパッドを導入して双方向性を高めるなど、人数のみならず、質の向上にも取り組みました。受講者からのアンケート結果でも、有用度、理解度は前年度を上回っており、コーディネーターのスキルアップにつながったと考えております。
 政府では、両立支援コーディネーターを2020年度までに2,000人養成という目標を掲げてやってきましたが、現時点では目標を大きく上回る1万2,087人のコーディネーターを養成しております。このうち、企業の労務担当者の数も、令和2年度以降から集計を開始したものですが、1,690人の方を養成しており、中期目標における重要度「高」の理由にもなっている、会社の意識改革と受入体制の整備にも大きく貢献したと思っております。
 加えて、基礎研修修了者を対象とした事例検討会を、昨年度は全都道府県で合計63回実施し、コーディネーター間の情報共有や地域におけるネットワーク構築に取り組みました。事例検討会には、労災病院や両立支援センターのコーディネーターをファシリテーターとして参加させ、機構で培ったノウハウを提供、活用すると同時に、ファシリテーターとして参加したコーディネーター自身の自主的な業務改善を促すことで、参加したコーディネーター全体の質の向上につながっております。さらに、厚生労働省主催のシンポジウムや交流会に機構のコーディネーターが参加するなど、機構が培ったノウハウの普及にも取り組んでおります。これらの取組により、指標である支援した罹患者の有用度において97.5%という高い評価を得たことのみならず、両立支援コーディネーターの質の向上においても、様々な取組を行い、難易度、重要度が高い事業を着実に実施したと思っております。次の1-7の事業についてはB評価ですので、説明は割愛させていただきます。
 26ページを御覧ください。「未払賃金立替払事業」です。自己評価はAとしております。評定の根拠については、27ページを御覧ください。コロナ禍においても審査手続をより迅速化するために、破産管財人等に向けて、Web会議システムを活用した日弁連との会合、弁護士向け研修会を行いました。また、破産管財業務に精通した弁護士等との委員会の開催、地裁への訪問等により、司法関係者への周知を着実に行いました。請求者に向けては、新型コロナの影響で労働基準監督署に来署できない請求者向けに記載方法等をまとめたリーフレットを追加で作成しました。さらに、迅速化と利用者の利便性の向上のためにシステムの抜本的な見直し及びマイナポータルと連携した立替払請求の電子申請化等の検討も行っております。
 立替払により代位取得した賃金債権については、適切な債権管理及び求償を行い、弁済可能な債権を確実に回収するとともに、立替払額や回収金額については、年度ごとの実績のみならず、速報値もホームページで公開して、情報開示の充実にも努めております。
 29ページを御覧ください。「納骨堂の運営事業」です。自己評価はBとしております。評定の根拠については、31ページを御覧ください。この「高尾みころも霊堂」は、労災保険法施行20周年記念事業として、産業災害により殉職された方々の尊い御霊をお慰めするため、昭和47年に建立されたものです。開堂以来、毎年秋に遺族をはじめ厚生労働大臣、労使団体ほか、多数の方々をお招きして、労働災害により不幸にして亡くなられた方々の御霊を奉安し、労働災害の根絶に向けて努力するということを御霊の前で誓う式典を開催しております。
 左上になりますが、昨年度の式典の開催に当たっては、コロナの感染拡大防止のため規模を縮小して、慰霊式に係る新型コロナウイルス感染拡大防止のために策定したガイドラインに基づき、参列者全員にマスク、手指消毒ボトルを配布するなどの対策を講じました。
 右上ですが、霊堂改修工事により、霊堂外壁の剥離、汚れ等の解消、来堂者が歩きやすいバリアフリーの広場で慰霊式を実施いたしました。この結果、満足度調査結果の全体的評価においては、「非常に満足」「満足」を合わせると97%を達成しております。さらに、左下ですが、改修工事による休館中も遺族の方が参拝可能な仮祭壇を設置して、霊堂の改修工事中においても参拝できるよう取り組み、日々の来堂者が快適に利用できるように環境整備に努めたほか、右下にお示ししているように、慰霊式に参列できない御遺族等の気持に寄り沿い、一緒に参列した気持になっていただけるようにYouTubeによるライブ配信を行うなどの取組も高い評価につながったと考えております。
以下、1-10以降の項目については、説明を割愛させていただきます。私からの説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。

○今村主査
 どうもありがとうございました。よろしいですか。それでは、ただいまの説明に対して御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。なお、法人からの説明以外の、説明されなかった項目についても、どうぞ御自由に御質問いただきたいと思います。あと、オンラインで御参加の委員も適宜御発言いただきたいと思います。発言の際にはカメラをオンにしていただければと存じます。いかがでしょうか。
 質問が出てくる前にちょっと、まず私が簡単な質問だけ。スライドの6枚目の研究の内容で、下の本文のところに新技術安全研究グループとか、社会労働衛生研究グループとか、これまでどちらかというと製造業あるいは急性期治療など、現場に特化しておられた機構が、こういう新しい技術、AI、IoT等も、産業面、産業環境、企業環境面での影響とか、それからちょっと分からないのですが「過労死等の労働・社会分野の調査・分析に取り組む」という一行が書いてありますけれど、この辺を簡単で結構ですので、どんな取組なのか、もう少し説明していただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問ありがとうございました。今お話のあった新技術安全研究グループ、それと社会労働衛生研究グループをそれぞれ2つ立ち上げたところでございます。従来の土木、建築、電気などの労働安全に関する研究のほかに、先ほどの説明にもありましたとおり、今後、IoTやAI等を活用した場面がいろいろ出てくるだろうということで、逆に新技術を導入することによって新たな労働災害ということも起こり得る可能性があるということで、そういうものへの対応というのも考える上で、新しいグループを立ち上げたところです。
 そして、もう1つ、社会労働衛生研究グループというのも立ち上げました。ここも説明にありますとおり、今後新たな対象になり得るフリーランスなども対象に抽出しまして新たな研究に取り組んでいます。その中で、過労死の部分も一部取り入れてやっていくということにしているところです。雑ぱくな説明ですが、以上でございます。

○今村主査
 ありがとうございます。機構の既存の資源や知見を生かすような新しい分野のチャレンジということで、まだ始まったばかりですけど、期待申し上げております。はい、どうぞ。

○酒井構成員
 酒井です。御説明ありがとうございました。私のほうからは、細かい質問になるのですけれども、8ページに「病職歴データベース等を活用した基本解析及び研究」ということで、大変関心を持ちました。私は専門が経済学ですけれども、こういう研究が今後も進められるといいなというふうに思いながら、非常に興味をもって聞かせていただきました。それで、その病職歴データベースというものをお持ちで、正にそちらですべき研究というように認識しておりますが、私の認識ではマクロ的に見たときに、労災というのは、少しずつ減ってはいるかと思いますけれども、結構下げ止まってきているのではないかなという認識を持っている中で、こういう研究の大切さということを認識しております。できれば教えてほしいのですけど、例えば本研究は職種別に見て、脳心血管疾患リスクが高い職業群を特定できたということですけれども、例えば自動車運転従事者と、飲食調理従業員といったものは、以前から脳卒中リスクが高いというようなことも指摘されていたかと思うのですけれども、今後もこういう研究を進められる御予定があるのかという点と、特に、何でそういうことが起きているのかというような理由の解明ということが必要かと思うのですけれども、現時点でそのような知見がありましたら、私の後学のためという面もあるので教えていただきたいというのがあります。それが1点目の質問になります。
 もう1点ですが、「未払賃金立替払事業」について、ちょっとお伺いしたいと思います。説明ではそのスライドは確か飛ばされていたように思うのですが、28ページの下の枠の中に、令和3年度は、コロナ禍の様々な緊急対策により大幅な倒産抑制効果があったけれども、今後に関しては懸念するところであるということです。資料としては3月までということで、3月から4、5、6、7月ぐらいまでで、更新されていれば、正にそういう懸念するような状況の兆しがあるのかという点を教えていただきたいと思います。特に、未払賃金立替払事業って、経緯を存じてなくて申し訳ないのですけれども、この機構の中では、やや異質な事業なのかなと思っておりますけれども、一方で、労働者のセーフティーネットとしては非常に重要な事業というふうに認識しておりますので、正に、この事業をしっかりとすべきだというふうに思っております。その懸念というか、今後の展望について、御考えを教えていただけたらと思います。以上2点、よろしくお願いいたします。

○労働者健康安全機構理事(中岡)
 勤労者医療・産業保健担当の中岡と申します。まず、頂きました御質問の中の第1点目の病職歴データベースに関して、私のほうから説明させていただきます。この病職歴データベースというのは、いろんな病院がありますけれど、労災病院だけが有する大規模なデータベースであります。ですから、これをいろんな事業所、その事業に対して活用していくというのが非常に大事だと思っています。それで脳心血管系で脳卒中のサブタイプについて、自動車運転従事者、飲食調理従業員、漁業従事者、貨物作業員、土木作業員等で多いということが一応データとして出てきたのですが、その理由については、まだ今のところは分かっておりません。ただ、こういう脳卒中のリスクとして生活習慣病等が言われていますし、例えば食事の摂り方とかですね、睡眠とかも関係してくると思いますので、これについての因果関係については、これから調べていく必要があると思います。
 そのほかに、化学物質について法令が改正されております。これに関しましても現在の病職歴データベースだと不十分な点もありますので、これについても少し見直しをしながらやっていきたいと思っております。以上です。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 賃金援護担当です。研究試験の担当でもありますので、先ほどもお答えさせていただきましたが、未払賃金立替払の御質問がございました。御質問ありがとうございます。28ページの資料ですが、今回は令和3年度の事業の評価ということで、データは3月までのものを付けさせていただいたところです。御指摘のとおり、今年度に入ってから増加基調にあるのかと言われると、低かった令和3年度に比べて、件数、金額ともに増加基調です。まだ途中段階ですが、数字的には令和3年度に比べて、対前年同期で比べると増加傾向にあるということです。ただ、今後はコロナ禍における影響がどうなっていくか。円安とか物価高とか、ウクライナ等いろんな状況がありますので、今後については倒産件数の増加が懸念されるところもあるということで、請求件数の増加もあるのではないかということで注視していきたいと思っているところです。以上です。

○酒井構成員
 ありがとうございました。

○今村主査
 ちょっとお待ちください。土井委員から手が挙がっているようですので、オンラインの土井先生、お願いいたします。

○土井構成員
 どうも御説明ありがとうございます。2点です。1点目は19ページの産業医のところで、ドローンを使って何か研修の教材を作られるというお話があり、すごく画期的なことをされているなと思ったのですが、実際に今後は研修だけではなく、産業医の方が職場を巡視するのにこういうドローンを使っていくとか、もっと積極的な支援をされるのか、そういうことを教えていただければと思います。1点目はそれです。
 2点目は、その次の両立支援のところで教えていただきたいのですけれども、21ページですね。21ページに、支援事例の件数が令和3年度は、1,369件ということで令和元年度よりは増えているんですけれども、それに対してコーディネーターの養成が令和元年度に対して2.5倍ぐらいになっていて、実際に支援事例に対してどれくらいの人数のコーディネーターを養成されれば、その需要が満たされるのか。その辺りのゴールっていうんですか、その辺りの感覚などを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○労働者健康安全機構理事(中岡)
 中岡です。まず第1点目のドローンに関しては私どももびっくりしているのですが、これは、ある特定の産業保健センターでやられたことで、その産業保健センターと事業場との信頼関係というのが、まず基礎になっていると思います。これは一応、いろんな教育の一環として、例えば、上のほうから見るとどう見えるかとか、普通に歩いていてチェックするのとは、その見え方も違いますし、そういう意味で教育的な意味がすごく大きいだろうということで、こういうことをなされたものです。ただ、ほかの事業場でもこういうことはできるかというと、やっぱり安全面とか、それぞれの事業場の広さとか、いろんなものがありますので、それについてはなかなか難しいのだと思います。
 2点目の両立支援の件に関してですが、一応その両立支援コーディネーターの養成については、着実に進んでいっていると思います。まず、そのコーディネーターの養成を先行させてやってこられたんですが、実際に事例が増えていく上で、病院と患者さんと事業場とのトライアングルですので、それをちゃんと結び付けていくことが必要だと思います。病院側に関しては、そのコーディネーターの養成等も含めて比較的着実に進めていくことができるようにはなってきたと思われるのですが、問題は、事業場の理解や協力です。それに関しては、今年度は特に啓発セミナーを169回とか、あとは実際に個別訪問をして事業場の理解を得ようとするような努力に力を入れてきたということです。それでコーディネーターの数に関しては当面2,000人以上を目標にするということで、令和4年度も一応6,000人を目標にやっていくということです。以上です。

○土井構成員
 どうもありがとうございます。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 昨年まで勤労者医療の担当理事をしておりまして、今は総括研究ディレクターの大西と申します。よろしくお願いします。両立支援について、中岡理事からの御説明に少し説明を加えさせていただきます。今、委員からの御質問で、支援事例の収集件数とコーディネーター養成者数の変化という御指摘を頂いたのですが、1つ御理解いただきたいのは、支援事例収集件数は、あくまでも労災病院だけで行ったものでございます。

○土井構成員
 そうですか。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 両立支援は全国津々浦々の病院で行わなければいけませんし、行えるようになってきております。ですからこそ、診療報酬にも加えられてきているわけですので、もっともっとなされていると思います。ただ、全国で何例なされたのか分かりません。これは労災病院だけでやっているという数字であることを御理解いただきたいと思います。
 2点目は、中岡理事からお話がありましたが、両立支援コーディネーターが何人いるかという御質問については、これは昨年も私が答えさせていただきましたが、今、約12,000人ですが、ようやく会社側の方も受けてくださっています。ただ、まだまだ医療側にも必要です。ですから、やはり全国津々浦々に両立支援コーディネーターを配備するには、まだまだ数万人は足りないと思っておりますので、今年は6,000人、来年はもっと増やしていき、どんどん増やして着実に日本のすみずみに配備したいと思っているところでございます。以上でございます。

○土井構成員
 丁寧な御説明をありがとうございます。

○今村主査
 よろしいですか。では、どうぞお願いします。

○安井構成員
 御説明いただきましてありがとうございました。2点質問がございます。1つ目はホームページアクセス数という指標に関してです。評価項目の1-1-1と1-1-2ですが、4ページと7ページで同じ指標を評価に使っているという問題を、昨年度の会議で指摘させていただきました。そして今回は、それに対応していただいたのか、7ページ目のホームページアクセス数の実績値を拝見いたしますと、「うち労災疾病等に係る数 90万回」と、全250万回のアクセスのうち、労災疾病に係るアクセスを明示してくださっています。このように出せるということですので、今後は指標についてホームページアクセス数を機構全体のアクセス数ではなくて、それぞれのページに関するアクセス数を使っていただきたいと思っております。ところで、令和3年度の「労災疾病等に係るアクセス数」は90万回ですけれども、これが令和2年度、元年度に比べて着実に増えてきているのかどうかを教えてください。
 もう1点目が、36ページの御説明がなかった所ですけれども、業務運営の効率化に関する重要事項の「業務の合理化・効率化」について、「業務の合理化においては、繰り返し長時間労働を行っている部門・職員に対しては、所属長等を通じてヒアリング等を行い、長時間労働の原因究明、抑制に努めた」とあります。労働者の健康保持、増進を目的としていらっしゃいますJOHASにおいては、是非この辺をしっかりと取り組んでいただかないといけないということだと思うのですけれども、この長時間労働の原因は何だったのか、そして長時間労働は実際に抑制できたのかについて教えてください。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 よろしいでしょうか。御質問ありがとうございました。ホームページにつきましては、アクセス件数について去年も御質問頂きましてありがとうございました。今回、1-1-1と1-1-2に係る部分について、そのうちの案件ということで出させていただいているところですが、今の御質問は、令和2年度と元年度を分けた上で、それに比べて増加しているか、着実に増えているかという御質問かと思うのですが、ちょっと今確認したのですが、申し訳ございません、令和2年度と令和元年度の部分の件数のうち、労災疾病に係るものが何件かと分けられていないので、比べられないということです。ですので、来年度の評価については、今回は分けて、そのうちの案件を出しましたので、令和4年度の評価のときには、それぞれ分けたものがそれぞれ順調に増えているかどうかを比較させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○安井構成員
 ありがとうございました。

○労働者健康安全機構総務部長
 総務部長の松永です。2点目の長時間労働の関係ですけれども、こちらは毎月の労働時間、時間外労働が職員で何時間かというのを把握して、それを理事会に報告して、役員の方を含めて問題意識を共有する形でやっています。その時々によって、それぞれ45時間を超えたかどうかというところを1つの目安としてやっており、超えた月については、どういう原因で超えたのかを報告してもらい、それを次に何か活かせることができないかということがあります。多くは、その時々にスポット的な対応が必要になってきます。すると、オーバーしてしまいましたという場合がありますけれども、オーバーするにしてもそれほど大きくならないようにとか、36協定等がありますので、当然その範囲の中でということでやっています。今、手元にはないのですが、毎月、オーバーしたときにその原因はどういう理由で超えたのかというところを報告してもらい、それで改善できるものについては改善していくというような取組を今はしているところです。ちなみに、令和2年と令和3年では、これは少しコロナの対応とかもあったので、一概にこの取組の成果とは言えないのですが、これは課ごとに超えているかどうかを見ていますが、超えた数が大体半分になったというところです。こういうチェックをしながら進めていくことは、1つの成果としてはあったのかなと思っております。

○安井構成員
 では原因は、基本的にはスポット的なもので、構造的なものではなかったと理解してよろしいですか。

○労働者健康安全機構総務部長
 そうですね、構造的なところも、毎年の決算の業務とか、団体交渉の準備とか、そういう季節的なところはあって、そういったところはありますけれども、それ以外のところでは、それほどなかったのかなと思っております。

○安井構成員
 分かりました。ありがとうございました。

○宮崎構成員
 御説明をありがとうございます。資料の37~38ページに掛けて、財務内容の改善の所で、労災病院の稼働率に関して記載があります。令和2年度と令和3年度はコロナがありましたので、病床利用率として、37ページの脚注に、コロナ病床を除く病床利用率という注意書きの記載がありますし、38ページには、コロナ病床の定義かと思われるのですが、コロナ専用病床が427床で、コロナ病床に伴って休床にしたものが805床あると書いてあります。
 1点目の質問ですが、37ページの病床稼働率を出す際のコロナ病床を除く病床利用率というものの定義ですけれども、これには休床になった病床の稼働率も除外した病床利用率を記載されているという理解でよろしいでしょうか。これが質問の1点目です。
 もう1点は、参考までに、コロナ病床を含めた病床利用率が、もし分かればお教えいただければと思います。以上です。

○労働者健康安全機構理事(永江) 
 御質問ありがとうございます。コロナ病床のところですけれども、専用病床と休床病床を、その病床数から除いたものを分母として、それから入院患者数からコロナの患者数を除いたものを分子として計算したものが、実績値の78.9%となっております。
 ちなみに、コロナ病床の病床数、休床病床数を含め、また分子のほうにコロナ患者数を含めて計算した場合は、71.4%となっております。

○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。コロナという特殊要因ですので、なかなか評価が難しいところだというのはよく理解しているところですが、この中期目標を立てたときの令和元年度以前は、コロナがある前提ではなかったと思いますので、一般の病床の平均値、全国平均76.5%以上を稼働目標しましょうということを定められていて、直近は実績もまだ取れてないからだと思いますが、コロナ除外の病床利用率で、良い・悪いと言っているわけですけれども、来年度ぐらいになってくると全国平均でコロナも含めた病床もおそらく取れるかと思いますので、今後もコロナ病床を除外したしたこの稼働率で評価するのか、あるいは複数出して、コロナも含めた全国平均との対比も行うのかというのは、評価の仕方は、検討の余地があるのではないかと思っています。
逆に表現しますと、コロナ病床用に確保した病床がしっかり稼働しているのかというのが、今のやり方だと評価に入らない形になりますので、それはそれで適切かどうかはちょっと議論の余地があるところかなと思います。次年度以降、コロナ病床の稼働率を含めた全国平均が指標として取れるようになるのであれば、両方見ていただくとか、今のやり方でやるにしても、コロナ病床の稼働率はどうなのかというのも考慮していただくとか、検討の余地があるのではないかと思いますので、少し御検討いただければと思います。

○労働者健康安全機構理事(藤枝)
 総務担当の藤枝と申します。よろしくお願いいたします。ちょっと補足させていただきますと、御案内のとおりコロナ病床の確保に当たっては、病棟単位で対応しなければいけないということで、当然、一定数のコロナ病床を確保するために、それに対応した休床(休ませるベッド)が必要だということで、こういう状況になっております。御指摘のとおり、コロナ病床を除いたもの、それから全体のもの、この両方の数字は今後も分析する必要があると思いますし、また、これは当機構だけではなくて病院全体の問題だと思いますので、その数字を厚生労働省とも調整させていただいて、どう評価していくかということだと思います。
 それからコロナ病床の確保については先ほど資料で御説明したとおりであり、それに対する受入れ人数もお示ししたところです。令和3年度は、やはり第5波や6波があって、当初確保した数をかなり上回る受入れをせざるを得なくなっている状況も、先ほど示したとおりでございます。今年度も第7波で今、各病院が苦労しているところでございます。その辺もしっかりと、対応しつつ評価もしていかなければいけないと考えております。

○今村主査
 よろしいですか。今の質問に関連して、確認したいことがありまして、38、39ページで、今、宮崎委員が御質問された、コロナ病床室の休床というのは、これはコロナに当てた病床のうちで使われていない病床数ということでよろしいでしょうか。39ページに、病床利用率(%)の所に、令和2年度が76.6%、令和3年度が78.9%とあって、コロナ病床を含むと下がるのですね。それで前年度比で、今回はマイナス1.4ポイントと書いてあります。そういう理解でよろしいのでしょうか。コロナ病床の稼働率が低いので全体として、こういう稼働率で、令和3年度は71.4%という数字になるという理解でよろしいでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(永江)
 コロナ専用病床というのは大体、病棟単位で持っていまして、ほとんどの労災病院が重点医療機関になっていますので、積極的に入院患者を受け入れています。それで1病棟に大体50床ぐらいある中で、コロナ専用病床を20とか30とか、その中で作るのですけれども、当然、通常の看護単位よりも少し手厚く体制を整えて、その少ない病床数で患者さんを診ているのですね。そうすると残った30床とか20床というのが、もうどうしても使えない休床病床になってしまうのです。ですので、休床病床もコロナ専用病床と一体として考えないといけないというのが実情です。

○今村主査
 はい、よく分かりました。ありがとうございます。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 よろしいですか、追加させてください。総括研究ディレクターの大西です。今村主査からの御質問の、「休床病床はコロナの病床だが、入院してない病床ですか」は少し違います。永江理事からも話があったように、休床病床には2つの目的があって、1つは永江理事がおっしゃったように、患者さん7人に対して看護師1人というのが一般のこういう病院の看護師配置なのですが、コロナ患者にはもっと手が掛かり、患者さん1人に対して更に多くの看護師による手厚い看護が必要ですので、その分をほかの病棟から看護師を持ってこないといけないのです。ですから1病棟単位の看護師を全部コロナに回すとどうしてもその病棟を回せなくなるので休床となります。しかし、その休床は遊ばせているのではありません。コロナの患者さんが入っている部屋はレッドゾーンと言って、普通の状態では入れない所です。容易にコロナに感染してしまいますので、コロナに感染していない普通の患者さんはグリーンゾーンと言って、ウイルスが存在しない所に居ていただくのです。その間にイエローゾーンがあるのです。つまり、そこはイエローゾーンとして、看護師がウイルスの付いた服を着替えたり、又はそこで物の受渡しをしたりして、コロナ患者さんがいない病棟を守るために、どうしても病棟を空けて休床した所をイエローゾーンとしないといけないのです。人を確保するため、看護師を確保するため、並びにそういうイエローゾーンのスペースを確保するために休床が必要ですので、ここはあえてベッドだけど入っていないということではないと、是非とも御理解いただければと思います。

○今村主査
 分かりました。この800床の中にはイエローも入っているということですね。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 イエローも入っています。

○今村主査
 了解しました。なぜこういう質問したかというと、宮崎委員の質問の本意で、財務内容を見ると、経常収益が令和3年度は増えているのですね。そういうコロナの厳しい中でも収益は増えていると、そういう数字が見えるのは、やはりこなしてこられたというような理解でよろしいのでしょうか。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 おっしゃるとおりだと思います。コロナで頑張っているので、その分やっている。多分、宮崎委員や皆さんの御懸念は、世に言う幽霊病床があるのではないかというのが一時ありました、コロナ病床で。それは労災病院では一切ございませんので、御安心いただければと思います。

○今村主査
 ありがとうございます。大木委員は何か御質問はありますでしょうか。ないですか。何か御質問があれば。では三宅委員、よろしくお願いいたします。

○三宅構成員
 御説明いろいろとどうもありがとうございました。私からは簡単な質問を幾つかさせていただきたいと思います。まず、労働安全衛生総合研究所のところで新技術に関する研究グループが発足したということですけれども、新しく研究員を採用して設置したのか、それとも従来の研究グループの中から再構成をすることでグループに関わってくれているのか、そこら辺が、もし新しく採用されたのであれば非常に素晴らしいことですけれども、なかなか難しいのかなと思って。もし他のグループから研究員を配置換えということになると、もともとのグループに所属していた場合の研究成果が少し手薄になるのではないかと、そんな危惧が少しありましたので、その点を1つ質問させていただきました。この新しい研究に関して、分野の横断型の取組でありますし、時代のニーズにも合っていると思いますので非常に頑張っていただきたいのですけれども、それによって、当初のあるいは他のグループに何らかの影響がないかなというところが心配でした。
 それから、もう1点は災害調査に関することですけれども、災害のこうした調査は常にいろいろな、正に災害とかリスクが顕在化した後の調査で原因究明になると思うのですけれども、そして再発防止のためにいろいろ調査研究をするということです。少し難しいとは思うのですけれども、その調査をして、いろいろな情報を公表することによって、あるいはしたことによって、潜在的なリスクが顕在化する前にうまく抑え込めたような成功事例があれば、少し教えていただきたいと思いました。そこら辺、もし事前に何か手を打つことができて、事故や災害の防止に本当に役立ったということになると、非常にもっともっとアピールしていいのではないかと思った次第です。全く同じ事例として、事故や災害というのはあまり起きないと思うのですけれども、やはり似たような事例が繰り返し起きてしまうところから、何らかの形でこの成果が生かされたことのエビデンスがあれば教えていただきたいと思いました。以上2点、何かコメントがあればお願いします。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 はい、お答えします。研究試験の担当でございます。御質問ありがとうございました。1点目の新技術グループですが、新たにグループができたことによって新たに採用した職員もおります。例えば部長級は新たに採用しております。ただ、全員がそういうわけにはいきませんので、一部は他のグループから兼務というか、兼職というか、そういう形を組み合わせながら新しいグループを運営するところです。今後は、そのグループの研究内容に応じて、できれば研究員の増員なども図っていければと思っているところです。
 2点目の災害調査ですが、御指摘のとおり、実際に全国各地で建設現場なり、工場なり、いろいろな事業所がありますが、そこで実際労働災害が起きたことを契機に、労働基準監督署が調査をやったりするときに際して、高度な技術的な知見を活用して、その原因等を解明するために労働安全衛生総合研究所への災害調査の依頼がきまして、私どもとしましては、そのオーダーを受けて労働安全衛生総合研究所の研究員が現場に行き、調査をしてきたところです。受身ということがあるのですが、労働基準監督署からの要請とかを受けまして、例えばトンネル建設工事現場、リニア中央新幹線の建設工事現場でも崩落が起こったりしていますが、実際そういう崩落が起こったときには調査の依頼がありまして、研究員が行って調査をして原因と対策等をまとめました。それは全て行政のほうにフィードバックしておりますので、後は行政のほうで、どのような活用をされるかということになるかと思うのですが、いろいろな活用の仕方がこれまでされてまいりました。ものによっては、労働安全衛生規則の改正につながったものとか、規則改正までにはいかずとも、ガイドラインの策定に至ったものとかもあります。そのような規則やガイドラインに結び付かなくても、その災害調査をしたことを受けて、労働基準監督署では、その原因とか再発防止対策が書かれていますので、それをもって具体的に事業場に指導するような形で活用されているということです。
 ですので、成果としては、できれば私どもとしましては、せっかくした調査ですので、行政のほうでどんどん活用していただいて、できれば規則改正とかガイドラインになれば、それもまた一つの労働安全衛生総合研究所の成果ですので、そうした形が望ましいのですが、そこまで至らなくてもいろいろな指導に使っていただければと、これまでどおり今後も引き続きやってまいりたいと思っております。

○三宅構成員
 はい、どうもありがとうございました。今御質問させていただいた2点は関連のある事項なのですね。というのは新しい技術に対していろいろな懸念事項とか、事前にそのリスクを評価していこうということですので、こういう新しい技術の活用によって、新たに生まれてくるリスクというのは、当然今までは実績がないわけです。ですから、これから新しくいろいろなシステムや技術を使っていくに当たっての懸念事項というのは、何も実績のないところからスタートしなければいけないことになりますので、その辺りがこれまでのいろいろな災害調査の事例を含めて、何某かこうした新しい研究グループでの取組に生かせればと思った次第です。期待しておりますので、是非いい成果を上げていただければと思います。どうもありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございました。最後に、念のためにお伺いしたいのですが、去年も議論した記憶があるのですが、数値の評価のことなのですが、問題は1-5と1-6なのですが、1-5の指標の達成度を見ると、大体、軒並み120%は超えていないのです。Aを取るためには、達成度が120%を超えないといけないということですから、つまり、数値で達成されていない部分で大変な成果があったというような御説明かなと思って、私は聞いていたのですが。
 もう1つは、両立支援の所、これは大変すばらしいことをやってらっしゃると思うのですが、達成度が121%ということで、一応、達成度は120%を超えていて、それにプラスαの貢献があったということで、Sという自己評価をされていると思うのですが、その辺のプラスαの部分を、もう少し細部に御説明いただければと思います。例えば、有用度が何パーセントであったとか、研修を行ったとか、コーディネーターを予定以上に育成したのはすばらしい成果だと思うのですが、特にお聞きしたいのは、政策のアウトカムというのですか、これはどのように達成された、その効果みたいなところを、もう少し印象的に御説明いただけたら我々も納得できるのかなと思って、ちょっとお伺いさせていただきます。1-5と1-6です。

○労働者健康安全機構理事(中岡)
 勤労者医療・産業保健担当の中岡です。よろしくお願いします。1-5については、実際に研修などで数が足りていないと思うのですが、これはどうしても、産業医の育成に関しては集合の研修ということを言われていまして、それについてはできなかったと。それに代わる形で、なるべくオンラインやオンデマンドでやるような形でやったのですが、そういう意味で数は足りていないのですが、実際的な取組として、コロナ禍でありながらもやっているという評価をしています。
 1-6に関しては、数はさりとて、まずコーディネーターをある程度養成した次のステップに進んでいけているのではないかということで、実際に困っている方の両立支援の事例を増やすということが目標ですので、そういったことが増えていると、そのためには、どうしても事業場に対する働き掛けというのが大切で、なかなか理解や協力が得られないということも現実にありますし、今それを何とかしていこうということで、いろいろなアプローチについて、この令和3年度で新たに始めて、実際にそれが事例の増加につながっているということで、中では高い評価をしているところです。以上です。

○労働者健康安全機構総括研究ディレクター
 度々すみません。大西です。追加させてください。昨年度、まず両立支援のほうは、我々はSだったのですが残念ながら、委員長や委員の皆様方からは、Aということで、「数は養成しているけれど質的なものがね」という御指摘を受けました。我々も、それを真摯に受け止めました。ですから、まず両立支援コーディネーターを育てるとともに、その方々の働きぶり、質をブラッシュアップして質的向上を図るという目的で、昨年度から全国の産業保健総合支援センターにおいて、基礎研修を修了なさり、実際に両立支援をなさっている両立支援コーディネーターを集めて、全国で事例検討会をして、具体的に、こういう事例はどう処理しますかというブラッシュアップ研修を全国で行いました。さらに、両立支援というのは御存じのとおり、中岡理事からお話があったように、医療側、事業場側、支援機関の3つが合体して頑張るのですが、各々で悩みが違うので、そういう両立支援に携わっているコーディネーターの交流会も、産業保健総合支援センターで実施しまして、お互いが、「ああ、こういうことで悩んでいるんだ。事業場によっても違うよね」というようなことで、質的向上に努めましたので、その満足度というか、参加者からは90%以上の非常に大きな満足度を得ておりますので、御指摘の質的向上には努めております。
 もう一点は、社会へのインパクト、これはおっしゃるとおりで、ここにも記載させていただいていますが、さらにもう1つ、医療側で特に医師研修について述べさせていただきます。数年前には医学部のコア・カリキュラムで両立支援を医学生に教えるというのは我々の取組で認めていただきましたが、あとは現在のドクター、既に医者として働いている方々へのインパクトとしては、先生方は日本専門医機構という組織を御存じかと思いますが、日本専門医機構は全国ほぼ全員の医師の専門医としての資質向上を目指すものですが、今回、その更新の研修に、今年から「治療と仕事の両立支援」が必修講習になっております。昨年度(令和3年度)は、そのためのeラーニング作成及び様々なところに我々が協力をしておりましたので、これが国の取組である専門医機構へのインパクトとなって、それも1つの社会的インパクトとして認められたのではないかと思っております。専門医、両立支援については以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。何より経営指標が悪化しないで向上しているというのは努力の裏付けだと思うのですが、要は、謙虚にプレゼンをされているような感じがして、本当はものすごく努力しているんだというところを伝えていただくということで、ちょっとこういう質問をさせていただきました。昨年もコロナの中で、本当に大変な中で頑張っておられた様子を大変印象的にお伺いしたので、その点は全く同じだと思います。そして更に、今年は浸透するように努力されたというように理解しております。どうもありがとうございます。
 ほかに、何かありますか。もし、なければ大体ちょうどいい時間ですが、よろしいでしょうか。そうしたら、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間において、目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。まず、法人の監事から、続いて、法人の理事長よりお願いいたします。

○労働者健康安全機構監事(遠藤)
 常勤監事の遠藤でございます。資料2-5になりますが、監査報告を御覧ください。この監査報告については、令和4年6月27日付けで当機構の理事長宛てに提出したものです。ページ番号がないもので大変申し訳ございませんが、適宜スクロールして御覧いただければと思います。
 Ⅰには監査の具体的な方法と内容について記載しております。例年どおり、全国に展開する労災病院等への施設往査を行いました。令和3年度の対象は23施設となりました。当初の計画では27施設を予定しておりましたが、新型コロナ感染症の影響で一部に延期や中止となりました。実地監査を基本としつつも、6施設はリモート監査という形で行った次第です。
 Ⅱは監査の結果について記載したものであり、法人の業務執行の適法性、有効性、効率性をはじめ、1~5まで個別に意見を述べております。昨年度は、日本バイオアッセイ研究センターにおける試験方法に関する手順書からの逸脱行為について、別紙という形で意見を添付しましたが、令和3年度は、いずれの場合も監査報告において指摘すべき事項は見受けられなかったという結論に至っております。
 監査報告としては以上となりますが、口頭で補足させていただきます。
 はじめに、日本バイオアッセイ研究センターについてです。本日の業務実績説明資料にもありましたが、昨年の報告書を踏まえ、厚生労働省の改善指導に対しては真摯に取り組んでおります。監事監査の一環として、現地で説明聴取や個別面談を行い、また、提出された関係資料を調べることによって、再発防止への取組はもちろんのこと、機構本部と連携し、組織一体となってガバナンスの強化を図りながら、組織の再生に向けた継続的な取組がなされております。また、不正防止に係る手順変更や記録方法の追加などについては、再発防止に効果があるものと理解しています。
 次に、中期目標や年度計画についてです。本日、様々な御指摘や御議論を頂きましたが、監事としては、重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても、本機構は真摯に取り組んでおり、コロナ禍の状況下でも、おおむね期待に応える成果を上げているという印象を持っております。また、労働時間管理については御質問を頂き、やり取りがありましたが、本部の職員については月次の動向チェックを行っておりますが、本部の職員以外についても、私ども監事として施設往査をしており、病院は病院ごとに積極的な取組を行っているという実態も確認しているところです。職員全体の意識改革を図りながら継続的に進めているというように感じております。
 最後に、機構にとっての喫緊の課題は、毎回言及しておりますが、労災病院を取り巻く経営状況の改善です。超高齢社会の到来や人口減少の急速な進行に加えて、継続するコロナ禍では、患者の受診抑制など先行きの不透明感が強くなっており、病院経営に、より深刻な影響を及ぼしております。地域の医療ニーズを踏まえつつ、効率的な病床運用に取り組んではおりますが、一部に病棟、病床の削減や機能の見直しなど、戦略的な取組が求められております。地域医療を支えていくためには、経営状況の改善が重要です。本機構は、勤労者の人生を支えるという大変大きな役割を担っておりますので、労災病院全体の経営改善及び魅力的な将来展望に向けた取組については、加速化を図りながら、引き続き尽力されることを期待しております。以上です。

○今村主査
 ありがとうございました。引き続き理事長から、どうぞよろしくお願いいたします。

○労働者健康安全機構理事長
 当機構は平成28年度の統合以来、勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化の3つの柱を理念として、私たちの国の産業や経済の礎を維持発展させると同時に、勤労者一人一人の人生を支えるという大きな役割を担っているところです。
 昨年度は、第4期の中期目標期間のちょうど中間点でしたが、令和元年度の末から始まった新型コロナウイルス感染症の影響が続き、今は第7波と言われていますが、第4波~第6波の感染拡大がありました。当機構の事業においても、前年度に引き続いて大変大きな影響を受けた年となっております。新型コロナウイルス感染症への対応としては、本日、御説明しましたとおり、労災病院において、各自治体などと連携しながら、前年度にも増して新型コロナウイルス感染症患者の受入れなどを積極的に行って、公的病院として地域医療の体制確保に努めてきたところです。各病院では、積極的に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる中で、残念なことに、病院の中での感染が発生した事例もあって大変でありました。しかし、そのような危機的状況においても、職員が一丸となって、被害を最小限に抑えながら、そして、始めはどのようなウイルスか分からなかったのですが段々分かってきていますので、そのような経験を糧にして感染対策をより向上させてコロナ対策に取り組んできました。
 一例ですが、和歌山労災病院においては、当初、新型コロナウイルス感染症患者さんの入院患者に対応するため、6床をコロナ病床としてスタートしたところですが、その後、院内に対策チーム、その他いろいろな工夫を立ち上げまして、職員の感染対策の質を高めながら、現在は6病棟で7診療科の医師や看護師などが協力して、70床までコロナ病床を増やしております。血液内科の病棟については、コロナの患者さんを入れるわけにはいきませんので、その他の病棟については、感染管理を上手にしながら血液内科以外の全ての病棟でコロナの入院患者さんに対応しているという話です。そういう意味では、1つの病棟で、先ほど来、いろいろな意見もありましたが、病棟で限られた職員がコロナの患者さんを診るというのではなくて、病院全体で新型コロナウイルス感染症に立ち向かったという事例でございます。実は、東京都看護協会の会長と、この話をする機会があったのですが、この対応は、正に我が国の範たる水準の病院の管理体制というような評価を得ております。
 ということで、病院は様々ですが一生懸命やってきたという話で、現在も感染が急拡大しているところではあるのですが、労災病院では、このように各病院で、職員が一丸となって協力し合って様々な困難を克服しながら今現在も対応しているところであります。
 他の事業についても、前年度までの経験を踏まえて、感染防止対策に様々な工夫をこらしながら、先ほど来の議論にありますように、業務をしっかりと進めてきました。産業保健総合支援センターや治療就労両立支援センターにおいては、各種研修会や相談を、Web、メールや電話などを最大限に活用して行っておりますし、コロナ感染症がきっかけとなって、言わば利用者の利便性が増し、業務が効率化した面も認められますので、これらの点については、今後も利用者の満足度などを検証しながら、一層の改善を図りつつ、取り組んでいきたいと考えております。
 昨今においては、コロナのお陰で生活様式と働き方が大きく変化しております。オンラインの会議やテレワークなど、業務のデジタル化が進んでおります。効率化が図られた面もある一方で、外出制限などによる、言わばメンタルヘルスの不調や運動不足、食生活の乱れ、持病の悪化など、健康面での悪影響も懸念されております。このように、コロナ禍の影響によって働く人々の健康を取り巻く環境が大きく変化する中にあっては、従前にも増して働く人々の職業生活を医療や健康の面から支えるという私たちの役割が一層重要になっていると考えております。したがって、働く人々の病気の治療はもとより、その後の職場への復帰、復帰後の治療と仕事の両立について、労災病院をはじめ、治療就労両立支援センター、産業保健総合支援センターなどが連携して、引き続き全力で頑張っていきたいと思っております。
 当機構においては、理学、工学、医学、健康科学、その他、諸々な学問が、総合的、専門的に展開しております。労働災害や、職業に起因するがんなどを予防するための研究や調査を行っておりますので、労災病院を含めた複数の施設が協働することによって、言わば相乗効果を発揮しながら成果を出していきたいと思っております。
 働く人々と、その御家族の生活の安定を図るためのセーフティーネットとしての未払賃金立替払事業や、不幸にして労働災害でお亡くなりになった方々の御霊をお慰めするための産業殉職者慰霊事業、また、昨年度から新たに加わった建設アスベスト給付金の支払業務などについても、感染防止対策を徹底しながら着実に進めていきたいというように思っているところでございます。
 ということで、本日は、たくさんの私たちの事業について、有識者の先生方から大変貴重な御意見をたくさん賜りました。心から御礼を申し上げたく思います。どうもありがとうございます。働く人々の健康・安全・安心を守り続けるという大きな目的に向かって、皆々様から賜りました貴重な御意見と御指摘、御助言を、今後の私たちの事業の運営にしっかりと反映させていただきたいと思っております。繰り返しになりますが、本日は誠にありがとうございました。引き続き、御指導のほどをお願い申し上げます。ありがとうございます。

○今村主査
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの監事と理事長の御発言について、御意見や御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか、大丈夫ですか。この労働部会が抱える機構の中では、唯一、病院の事業部門を抱えておられて、働く人たちへの健康よりも、病院の勤労者の方々自身の健康や管理が大変だと思います。それはもう十分にお察し申し上げて、そういう中で、引き続き高い成果を達成されればと思います。
 それから、昨日たまたま聞いたのですが、フランスでコロナ患者をTGVに乗せて、どこか別の所へ移動したという映像を私はよく覚えていますが、何かフランスは国が病床数を全部管理していて、どこが空いているから、どこそこに移動しろというのを完全にトップダウンで平準化するようにやっておられて、やはり日本という中で独自性が非常に要求される。そういう中で、こちらの機構が労災病院を中心にして自発的にいろいろな努力をされて、コロナ禍の対策に努力されている姿は十分に受け止めさせていただきました。どうもありがとうございます。特になければ、次にいきたいと思います。オンラインの先生方から何かありますか、特にないですか。以上で、よろしいですか。
 それでは、これで本日の議事を終了させていただきます。最後に、事務局からお願いいたします。

○事務局
 事務局でございます。今後の流れについて御連絡を申し上げます。本日、御議論いただきました労働者健康安全機構の令和3年度業務実績評価については、今後、本ワーキンググループにおける御意見や、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣より評価を決定して、法人及び総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表をさせていただきます。決定したそれぞれの内容について、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 また、この後、高齢・障害・求職者雇用支援機構の有識者会議が開催されますが、大木構成員におかれましては、同機構が開催する調査研究委員会の座長に就いておられる関係から、次の有識者会議には出席をされず、本会議が終了いたしましたら退席をされます。大木先生、どうもありがとうございました。事務局からは以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。それでは、労働者健康安全機構に係る意見聴取はこれで終了とさせていただきます。皆様、円滑な議事運営に御協力いただきましてありがとうございます。帰りは暑いですので、これからお帰りになる方は、どうぞお気を付けてお帰りになっていただければと思います。
 引き続き、20分休憩といたしまして、14時50分から、高齢・障害・求職者雇用支援機構からの意見聴取となります第46回ワーキンググループを開催いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。お疲れさまでした。ありがとうございました。

(了)