2022年7月20日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第44回) 議事録

日時

令和4年7月20日(水)15:50~17:41

場所

日比谷国際ビルCS 8D(8階)

出席者

今村主査、大木構成員、志藤構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容

○事務局
 ただいまから、「第44回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。本日の出席状況について御報告いたします。本日は、大木構成員、関口構成員、土井構成員がオンラインでの御参加、三宅構成員が御欠席でございます。また、先ほどの会議で御説明いたしましたとおり、酒井構成員については退席をしております。土井先生においては17時まで、大木先生においては所用により17時10分頃の退席予定でございます。
 なお、オンライン参加者に配慮いたしまして、スクリーンと全景及び発言者が分かるよう中央にカメラ、それから専門のスタッフを配置いたしましたので御報告申し上げます。
 本日の資料については、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。共通の資料は参考資料にまとめてございます。
 続いて、本日の議事について御説明をいたします。本日は、「労働政策研究・研修機構」について、「令和3年度業務実績評価」及び「中期目標期間実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。法人からの各評価項目における評定の根拠について重点的に説明しますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
 議事の流れといたしましては、年度評価について一通り御意見を頂いた後、中期目標期間実績評価についての御意見をお伺いしますので、中期目標期間実績評価における法人の説明については、年度評価との重複を極力避けていただきますようお願いいたします。
 ここで傍聴の方に御連絡です。本日の会議の撮影に関しては頭撮り可とさせていただいているところでございますが、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、第43回のワーキンググループに続いて、今村先生、議事の進行をお願いいたします。

○今村主査
 皆様、今日はどうも御参集ありがとうございます。一部の構成員の方は前回からの引き続きということで、どうぞよろしくお願いいたします。会議の予定としては、おおむね2時間を予定しております。円滑な議事運営に御協力くださいますようどうぞよろしくお願いいたします。ただいまの事務局の説明について御質問はありますか。オンラインの先生はいかがですか。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、労働政策研究・研修機構の令和3年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。はじめに、法人の業務概要と自己評価について、評価の要約の記載内容を中心に手短に御説明を頂きます。この2つの説明が終わってから質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人から御説明をよろしくお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構理事(志村) 
 それでは私の方から、令和3年度評価に係る資料2-1-1と補足資料の資料2-1-2、補足資料はカラーになっていて割と目で追いやすくなっておりますので、主にそちらの方が中心になるかと思いますが説明させていただきます。
 まず、補足資料の2-1-2の2ページを御覧ください。法人の業務の概要についてです。当機構は平成15年10月に、特殊法人の日本労働研究機構と厚生労働省の施設等機関であった労働研修所を整理・統合して発足いたしました。役員は5名、職員は100名余りの法人です。業務は大きく2つに分かれておりまして、1つは労働政策の総合的な調査研究であり、労働行政分野の政策課題について体系的・継続的な研究を実施し、政策の企画・立案に貢献しております。もう1つは、労働行政職員研修で、ハローワークや労働基準監督署等の第一線の労働行政職員を対象とした研修を実施しております。
 3ページ目です。中央部分の絵ですが、評価項目としては、1-1の労働政策研究、1-2の情報収集・整理、これは国内と海外とに分けて評価をしております。1-3の研究成果等の普及、1-4の労働行政職員研修のほか、一番下の部分ですが、2-1と3-1の組織運営他の7つに分けて設定しております。これらの令和3年度業務実績に関する法人としての自己評価は、重点化対象項目である1-1の労働政策研究に加え、1-4の労働行政職員研修の2項目をA、その他の項目をBとしており、本日は自己評価Aとしていた2項目を中心に説明をさせていただきます。
 補足資料では4ページ目、要約資料では2ページ目に評価がありますが、「労働政策研究の実施」についてです。補足資料の5ページ目の所で、労働政策研究は、政策立案の基礎となる幅広い分野について中長期的な視点に立ち体系的に研究を行うプロジェクト研究と、その時々の政策ニーズに応じ厚生労働省からの要請に基づく課題研究、緊急調査に分けられます。
 まずはプロジェクト研究です。令和3年度は第4期中期目標期間の最終年度に当たることから、プロジェクト研究の最終的な成果の取りまとめを進めました。研究の成果をより多くの方々に読みやすい形で提供するプロジェクト研究シリーズとして、高年齢者雇用、キャリア支援、ドイツ法の動向から我が国の課題を検討する第四次産業革命と労働法政策を刊行いたしました。
 3ページの所で、新型コロナウイルス感染症が雇用や労働に与える影響については、令和2年3月にPTを立ち上げて、個人、企業の連続パネル調査の実施と集計結果の公表をはじめ、調査研究に機構を挙げて取り組んでまいりました。このパネルデータについて、外部の研究者の参加を得て、企業行動と企業支援策の効果、テレワークの実施企業の特徴と労働者への影響といった様々な視点から二次分析を行っていただき、その結果に基づくオンラインでのワークショップを4月に開催し、外部出版社から書籍として11月に刊行しております。
 恐縮ですが、5ページに戻っていただき、このほか、プロジェクト研究の成果として、かいつまんでの紹介となりますが、2001年度から実施しており、今回5回目となる若者のワークスタイル調査の結果の取りまとめ、Ⅴの⑨の所や、諸外国における雇用型テレワークに関する法制度の調査研究結果の取りまとめ、Ⅳの⑥と、当機構の長年の豊富な研究蓄積や、専門家とのネットワークを活かした当機構ならではと言える成果を上げております。この評価項目については、5つの定量的な指標が設定されておりますが、そのうちの指標②、これらプロジェクト研究の14のサブテーマの全てについて、厚生労働省から「政策貢献が期待できる」との評価を受けております。
 次に、課題研究と緊急調査ですが、前者については、しごと価値観検査等の開発に係る研究等、後者については、諸外国におけるシフト制をめぐる法規制の状況等の調査研究等を行っております。
 指標③、個別の研究成果について、厚生労働省担当課から労働政策の企画立案及び実施等につながったと評価された割合は、実績は96.9%と、目標である85%以上を上回っており、参考資料にあるとおり、研究成果は審議会や検討会等の政府全体で多数活用され、多岐にわたる重要な労働政策の立案の検討と施策の推進に多大なる貢献を果たしております。
指標④、有識者アンケートによる労働政策研究成果についての有意義度評価についても、実績は2.52と、目標の2.0以上を上回っております。
 6ページに進んでいただき、厚生労働省との連携です。厚生労働省の幹部等との意見交換を行い、政策ニーズを把握し、研究への反映を図ったほか、厚労省でのEBPMを推進するための若手中堅職員によるプロジェクトチームの活動に対し、調査研究成果等を題材としたセミナーを開催する等の協力を行っております。また、厚労省をはじめとする政府の審議会や研究会等にも、研究員が参画し貢献しております。
 指標⑤です。厚生労働省の政策担当者向けに行った勉強会等の参加者数については、実績は284人となり、目標である225人を上回っております。外部研究機関との連携についても積極的に進め、また、当機構の研究についてもより幅広く先行研究や知見を活用するため、外部研究者の参画を得て推進しております。
また、学識者からの評価や助言等を得ながら研究を進めており、指標①の所ですが、外部の研究者から成るリサーチ・アドバイザー部会での研究成果の評価については難易度が高い目標とされておりますが、実績は2.0と、これを達成したところです。加えて、労使団体等との意見交換、要望把握を行うほか、海外研究機関や研究者等とのネットワークの形成についても、国際セミナーを開催し、新型コロナが労働市場に与えた影響と政策対応等をテーマに議論を深める等をいたしました。
 資料2-1-1の要約の2ページを御覧ください。まず、Ⅱの指標の達成状況について、以上の説明をまとめますと、①は難易度が高い指標とされておりますが、目標を達成しており、②~⑤についても、うち3項目の達成度が125%を超えているなど、定量的な評価指標については高い達成度となっているものと考えております。
 3ページのⅢの評定の根拠・理由の部分ですが、数値目標の達成は今申し上げたとおりですが、これまで説明してきたように、プロジェクト研究の最終的な取りまとめを進めるとともに、新型コロナの雇用・就業等への影響に関する調査研究にしっかりと取り組んだこと、次期中期計画期間に向け、意見・要望の的確な把握に努めたほか、研究成果が幅広く活用され、重要な労働政策の立案の検討、施策の推進に多大な貢献を果たしたことから、「労働政策研究の実施」の自己評価はAとしております。
 続いて、評価項目1-4「労働関係事務担当職員等に関する研修」で、要約資料については7ページ、補足資料については13ページを御覧ください。自己評価Aとしているもう1つの項目である労働行政職員研修について説明をさせていただきます。カラーの補足資料の14ページの所ですが、新型コロナの影響により集合での研修が困難となった中、労働大学校では、従前は言わば未知の領域であったオンラインを活用した研修の効果的な実施手法の確立に取り組み、3年度を赤囲みしておりますが、研修の受講者数は過去最大の5,370人となっております。具体的な手法としては、オンデマンド方式の導入のほか、Zoomによる双方向のグループワーク等を行っており、その際、Zoomのブレイクアウトルーム機能やチャット機能の活用等も図っております。
 指標①、②は、研修生及びその上司の85%以上から評価を得るという高い目標が設定されているところ、それを大きく上回る実績を上げており、研修生、上司から高い評価を受けております。これに加え、厚生労働省との連絡会議を設置し、厚生労働省との意見交換を密に行って、研修事業の運営や研修計画の策定を行うことにより、第一線機関における現場のニーズに的確に対応した研修効果の上がるものにすることができております。加えて、当機構としては研究と研修を共に実施していることのシナジー効果をどのように上げていくかが重要な課題となっております。この観点から、集合研修の受講生に対し、課外の夕刻の時間を利用して、機構の研究員が研究成果を活かした話題を提供し、受講生と意見交換を行うことで、研究成果を研修に活かすとともに、現場のニーズを把握して、研究に活かすイブニングセッションの取組を行い、それに着目した指標を設定したところです。しかしながら、コロナ禍で集合研修自体が困難となったため、イブニングセッションも実施できなくなりました。こうした中、令和4年度においては、集合研修の実施を前提とせず、ポストコロナにおいても継続して安定的に実施でき、かつ、より一層大きな事業効果の見込める新たな取組手法の確立を図りました。すなわち、研修に関わりのあるテーマについて、研究員が研究成果を踏まえた動画を作成、提供し、受講者が選択して受講し、受講者アンケートの結果を研究員にフィードバックする仕組みを試行的に実施しております。この試行に加え、講義動画のラインナップを拡充の上、令和4年度からオンライン公開講座としてスタートする準備を行いました。
 15ページの図を御覧ください。オンライン公開講座により、労働大学校の研修生のみならず、全ての地方労働行政職員が講座を受講することが可能となり、より広範囲の受講者から研究へのフィードバックが得られることとなりました。
要約資料の7ページを御覧いただきたいと思います。まとめますと、Ⅲの評定の根拠にあるとおり、受講者が過去最大規模となるとともに、高い目標値が設定されている中で、受講生及びその上司が研修を高く評価していること、また、オンラインの活用や新たなシナジーの取組の確立等、ビジネスモデルの革新とも言うべき取組を進めたことに鑑み、「労働関係事務担当職員等に関する研修」の自己評価はAとしております。
以上、今御説明した2項目以外の、自己評価をBとした項目について、ごく簡潔に要約資料を用いて説明をさせていただきたいと思います。4ページの「国内の労働事情、各種統計データの収集・整理」です。Ⅱの指標達成状況ですが、定量的指標として設定されている国内情報収集成果の提供件数については、目標140件以上に対して実績は146件となり、目標を達成しております。労使関係者等との間で長年にわたり構築されてきたネットワークを活用し、新型コロナが雇用・労働に与える影響を含め、労働現場における最新情報を収集・整理し、ニュースレターやホームページ、メールマガジンで提供したほか、最新の労働統計データを継続的に収集・整理し、グラフ等も活用して分かりやすく提供しております。
 5ページ目の所、評価項目1-2-(2)「海外の労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理」です。Ⅱの指標の達成状況ですが、定量的指標として設定されている海外情報収集成果の提供件数については、目標150件以上に対し実績は157件となっており、目標を達成しております。海外の研究者や研究機関等とのネットワークを活用して、主要国機関を対象に労働政策の企画・立案や政策研究に資する最新の情報を収集・整理して提供し、審議会資料、白書、主要紙等で幅広く引用、活用されております。新型コロナの感染拡大に関するものとしては、例えば、我が国における雇用調整助成金に相当する諸外国の雇用維持政策等の情報収集・整理を行い、厚生労働省や全国誌記者へのブリーフィング等も行っております。
 6ページ目です。評価項目1-3「労働政策研究等の成果及び政策提言の普及」です。Ⅱの指標の達成状況ですが、メールマガジン、労働政策フォーラムの回数及び有意義度評価に関し定量的指標が設定されているところ、いずれも目標を達成しております。メールマガジンでは、機構の調査研究成果のほか、行政・労使団体の動向等の最新ニュースを提供した令和3年度末の読者数は、これは補足資料12ページの方が少し分かりやすいかと思いますが、前年度から3,480人増加し、4万5,000人を超える読者に情報を発信しております。労働政策フォーラムについては、男性の育児休業や副業について考えるといった時宜に合った政策課題をテーマとして取り上げ、令和2年度に引き続きオンラインを活用して実施し、高い評価を得ております。
 要約資料の8ページ目、補足資料の16ページの評価項目2-1「業務運営の効率化に関する事項」です。内部統制、職員の採用等の人事管理、情報セキュリティの強化等の適切な実施に取り組んでおります。また、中期目標に定められた一般管理費及び業務経費の節減目標を達成しております。また、契約の適正化に取り組み、令和3年度の一者応札の件数は、第3期実績平均を下回っております。第4期の5年間の実績平均では、調達内容の特殊性や業者・業界の状況等により、第3期の実績平均を上回っておりますが、今後も一者応札を最小限に留めるための取組を継続してまいります。
 要約資料の9ページの評価項目3-1「財務内容の改善に関する事項」です。中期計画に基づく予算を作成し、予算の範囲内で適切に執行しております。また、自己収入についても、東京労働大学講座の受講生の増加等により、第3期中期目標期間平均を上回っております。
令和3年度の業務実績評価についての説明は以上です。よろしくお願い申し上げます。

○今村主査
 ありがとうございます。それでは、ただいまの実績評価について、御意見や御質問等がありましたらお願いいたします。なお、ただいまの法人からの説明以外の事項についてでも結構でございます。オンラインで参加の構成員も適宜御発言いただきたいと思います。できれば発言の際は、カメラをオンにしていただければ幸いです。いかがでしょうか。

○安井構成員
 御説明いただきましてありがとうございました。労働大学校の研修について、上司の評価がとても良いことが挙げられておりましたけれども、その上司の評価というのは、研修から戻って来た後にどのようなタイミングでどのような項目をチェックされているのでしょうか。そして、上司とはその研修を受けた人の直属の、例えば係長であれば課長、課長であれば部長が評価者なのでしょうか。基本的なことで恐縮ですけれども、教えていただけませんでしょうか。

○労働政策研究・研修機構労働大学校長
 御質問ありがとうございます。労働大学校でございます。上司による事後調査ですけれども、タイミングとしては評価シート1-4、補足資料の13ページの②にも書いてありますように、修了後の半年から1年経過したところで、その効果を判断してもらうという形を取っております。この場合、上司というのは基本的に所属長でございます。それから、特にどの項目ということではなくて、総合的に見てどうだったかということを、どの程度の効果があったかということを総合的に見て判断するという形を取ってございます。

○安井構成員
 その総合的に見てどうだったのかというのは、なかなか指標として十分なものなのかどうかというのは難しいところなのですけれども、基本的には、これしか聞きようがないということなのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構労働大学校長
 もちろん評価の仕方について、細かくするということは不可能ではないと思いますけれども、トータルに見て、仕事にどのようなプラスの効果が出たかということを見るということで、その研修自体が特別、個別の能力を高めるというよりは、その職務全体についての研修であるという、そういう性格付けからして、トータルに見て、上司がこの研修によって効果があったというように判断できれば足りるのではないかという考え方に立っているところです。

○安井構成員
 ありがとうございました。

○今村主査
 いかがでしょうか。

○土橋構成員
 土橋です。プロジェクト研究ということをやっていらっしゃって、多分、これはテーマ設定というのが非常に重要になってくると思いますけれども、どのようにテーマ設定をされているのかということと、これは機構独自に決められるものなのか、その辺りを教えてください。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 プロジェクト研究という大きな枠組みは、厚生労働大臣から指示を頂くという形で、それを更にブレイクダウンしたものについては、我々の方でそれを受けた形で、より細かいテーマ設定をしていくという形になっております。とはいえ、厚生労働大臣から頂くテーマ設定自体についても、正に第3期、第4期、第5期というその期の前の段階で、非常に密接に厚生労働省とで話し合いをしながら、今までの流れと、それから、今日本の労働社会が直面しているいろいろな課題に対応するにはどういう大枠のテーマ設定がいいかということで議論した上で、厚生労働大臣からこういった形で指示を頂く、それを受けて我々が更に細かくブレイクダウンしていく。大まかに言いますと、そのような形になっております。
 例えばここに載っているテーマは、第4期のものですが、雇用システムに関する研究を1つの柱といたしました。今期、今年度から新たな期になっておりますが、この雇用システムは一旦終了し、新たな形でプロジェクトの項目を立てるという形にしております。

○土橋構成員
 多分、時流に即したもので、労働政策にも有用なものを選ぶのかと思いますけれども、それは機構の中ではいろいろなそういう話合いとか、データを見たりとか、そういうことをなさっているのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 当然そういうことでございます。こういったプロジェクトの枠組みを作る際には、JILPTを挙げて、中でいろいろ検討し、それを厚生労働省に投げて、お互いに打ち返しをしながら決めていくということをやっております。

○今村主査
 いかがですか。オンラインの先生はいかがでしょうか。

○宮崎構成員
 御説明ありがとうございます。メインの評価の所ではないのですが、その他も対象ということでしたので、資料2-3の財務諸表を拝見していますと、今年は中期目標期間最終年度ということで、運営費交付金を精算収益化として、臨時利益で1億9,700万円ほどの利益が上がっていますので、恐らく使わなかった交付金が2億円近くあったのかなと見ているところでございます。1月ぐらいでしょうか、中期計画のほうの審議も参加させていただきましたが、労働大学校なども予算がなくてなかなか設備の更新なども止めているようなお話がありましたので、この辺、財務の改善という観点から、もうちょっと工夫の余地もあったのではないかとも思われるのですが、実際のところ、この交付金が2億円ぐらい余った要因ですとか、もうちょっと活用の余地があったのかどうかというところに関してコメントを頂ければと思います。

○労働政策研究・研修機構理事(志村)
 コロナ禍ということでありますので、労働政策研究のところは、いろいろ調査ですとか、入札をかけていたときとの実際との乖離、予算見込みのところの乖離もありますし、労働大学校については、実際に対面研修が遮られる、途絶するというようなことになってきますと、やはり、ずれが大きくなるという側面は否めないところです。
見込んだコストとの乖離もあって、結果として1億9,000万円というところはあるのですけれども、適宜、そういったコロナ禍という事情も、今期に向けてはしっかり織り込んで対応を進めていきたいと考えております。
 
○今村主査
 よろしいですか。いかがでしょうか。オンラインの先生はいかがですか。

○関口構成員
 関口です。よろしくお願いいたします。2点あるのですが、1点目が要約の資料の4ページ目の所で、国内の労働事情ですが、以前も御説明を多分いただいていると思いますけれども、Ⅱの一番下の参考指標の所なのですけれども、図書資料の収集・整理、活用実績というところで、特にレファレンス件数の伸びが一定程度見られるのですが、コロナ禍の要因で、一時、少し落ち込んでいると思いますけれども、このレファレンスというのは、具体的にどういったところを指すのかということに、興味、関心がございます。
 どういうことかと言いますと、ゼミの学生とか院生にもJILPTさんのデータベースをきちんと活用するようにと伝えている部分はあるのですが、なかなか現地までは行けないということもありまして、データベースの活用というところにはなっているのですけれども、その辺りがどういった形でここに反映されているのかということを1点目としてお聞きしたい部分になります。
 2点目は、補足資料の14枚目ですけれども、非常にいろいろな取組をなされているというところで、そこはいいなと思っているのですけれども、14枚目の左下ですが、厚労省との連絡会議を通じたというところの一番下の所で、例えば、③働き方改革に関する企業指導力強化のための講義ということがあるのですけれども、内容的に他の機構でいろいろ取り組まれていることとコラボされる、連携されるといったことで、より面白いものができるのではないかなと考えているのですが、この辺り、機構の御判断だけではできない部分ではあるかと思いますけれども、将来的にその辺りについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。以上、2点でございます。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 御質問ありがとうございます。資料2-1-1のお尋ねがありました国内労働情報のレファレンス件数の所を御説明したいと思います。レファレンス件数というのは参考指標で、左にございますように図書資料の収集・整理・活用実績ということで、簡単に申し上げますと、私どもが持っております労働図書館のレファレンスということでございます。
 少し御説明を申し上げますと、この982件のうち、どのような形でお尋ねいただいているかということで、来訪が710件、電話が204件、あとはファックスとか手紙やメール、そのほかホームページのレファレンスのフォームなどからお尋ねいただいて、お答えを申し上げるものです。先ほど委員の方からお尋ねのありましたデータベースのレファレンスの対応は図書館の所蔵しております図書、資料などを中心にした蔵書データベースについてのレファレンスでございます。私どもがホームページ等で一般に提供しております研究成果や労働情報などにつきましては、適宜、レファレンスの対応の担当の職員から所管の部署に回ってくるという形で対応させていただいております。以上でございます。

○労働政策研究・研修機構労働大学校長
 2点目の御質問について、大学校から御説明申し上げます。14ページにあります、現場のニーズに的確に対応した研修内容にする、そこで働き方改革に関する企業指導力強化のための講義の新設ということを具体的に例示してあるわけですけれども、例えば生産性向上とか産業医学といった項目について、生産性向上であれば、恐らくJEED、産業医学であれば労働者健康福祉機構といった所が一番いろいろな知識を持っているところではないかと思います。
 例えばJEEDについては、長年私どもがやっている障害者関連の実務に携わる職員に対する研修の中で、JEEDのいろいろな施設の専門家の例えばカウンセラーの人たちとか、そういった人たちを呼んで演習や講義をしていただくとか、いろいろな形でこれまでもコラボをしておりますが、新たに設けましたこのコースにつきましても、今後、今申し上げましたような2つの独法等を中心に、どういった形でコラボできるか、積極的に検討してまいりたいと思っております。

○関口構成員
 ありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございます。省は違いますけれども、経産省の「未来人材ビジョン」でもあるように、横に広がるネットワークというのは重要だと思います。是非、今後とも人材育成のつながりをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 つなぎで、私から細かなデータに関する質問になるのですけれども、自己評価Aとされているリサーチ・アドバイザー部会の外部評価による研究成果の評価、重要度「高」、難易度「高」なのですが、確かに令和3年度は目標を達成して100%なのですが、トレンドを見ますと、令和元年が2.67、令和2年が2.33、それで2.0と、若干、下降トレンドと読み取れるところなのですが、これについては機構としては何かお考えはありますでしょうか。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 ありがとうございます。数字につきましては、その年に出た本数にもよるのかと思っております。やはり少ないときは、評価が分かれてしまいますと少し下にいってしまったりすることはございます。ただ、第2期、第3期、第4期と、少しずつ厳しくなっております。以前ですと、余り細かく先生方もおっしゃっていなかったのが、やはり研究手法とかも複雑になっておりますし、私どもも理事長の指導によりまして、かなり手法等とか、ファインディングスを先に出して、分かりやすくということはやっておりますけれども、例えばこの最終年度である令和3年度は、やはり最終的な取りまとめということで、全体を並べてみると、平均がA評価で、2.0で終わりましたが、1点の成果が、B評価というのを頂いております。こちらにつきましては、私どももかなり反省する部分はございました。まず、誤字脱字を防ぐ編集がうまくいっていないのではないかという御指摘を受けて、研究機関としてはとても恥ずかしい思いをいたしました。もう1点は、外部の若手の研究員が書いた章ですが、ちょっと先行研究が不十分ではないかという御指摘を受けました。
 もう1点大きな指摘が、分析対象の定義が少し甘いのではないかという御指摘がございました。そうしたことにつきましては、この度、所内に持ち帰りまして、ここを整理いたしまして、今後、こうした指摘を受けないように、更に細かく取り組んでいこうということです。ただ、先生が御指摘のとおり、トレンドとしては本当に下がっているというのは、研究機関としてはきちんとやらなければいけないということと、あと、リサーチ・アドバイザー部会に加えまして、先ほど少し御説明があったと思いますが、実は地方も含めました有識者のアンケートというのをしております。そこにも、研究成果につきましては、公的な研究機関として大体水準は保っているのですけれども、ばらつきがあるという指摘を受けております。そういうところは、やはり任期付研究員とか、先行研究が甘い研究員とかにつきましては、もう少し細かく対応していきたいと思っております。

○今村主査
 ありがとうございます。今のお話ですと、個人の要素が非常に強くて、それを事前にチェックができなかったというか、そういうことだと思うのですが、その辺の対策として、細かく検討をするというのと、プラス何か組織的にお考えになっていることはあるのですか。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 実は、6月にありました監事監査でも指摘を受けておりまして、こちらにつきましては、事前に評価表を頂きますので、それを読みまして、理事長と相談をして、リサーチ・アドバイザー部会に臨みました。その中で理事長から指示があったのが、やはりチームワークの力が少し足りなかったのではないかと、これは法人の責任だと。一人一人が底上げというか、指摘されることは分かっているのだから、ちょっと準備が足りなかったというのも含めて、先ほど土橋委員からございましたが、これからは、プロジェクトのテーマをどう設定するのかもあるのですけれども、プロジェクトをどう進めていくかも、チームをはっきりさせるということで、理事長からは細かく指摘されているのですが、チームワークということを全面に出してということと、あとは、統括研究員をプロパー職員の研究員から登用しつつ、チームをまとめていくということかなと思っております。

○今村主査
 ありがとうございます。

○労働政策研究・研修機構理事長
 私の責任でもあるのですが、アンケート調査をメインに想定した場合に、従来、アンケート調査委員会という、我々を含めた各者が委員となり、提出された調査を、質問項目、そういったところも含めてチェックをしていくという委員会があります。実際に、従来ネットでそれをやっていたのですが、やはり対面でやる必要があるということで、それを通過しないと調査してはいけないというルールを設けるということを行ったところです。その中で、こういう2.0というぎりぎりの数字だったわけですが、ここは、明らかに令和3年度は本数が非常に多いということで、令和2年度までの数に比べて圧倒的に審査の対象となる研究成果は増えた。増えて、平均的に全部質が上がっていれば、この2.33というのが維持されるわけですが、必ずしもそうではないという面があって、底上げをどう図っていくのかという課題を我々は突きつけられているということはあるかと思います。
 そのアンケート調査の中で、質問項目と同時に、今、重要になってきておりますのが調査方法についての議論ということで、よく多くのシンクタンクがやっておりますリモート調査といったものが、果たしてランダムサンプリングになっているのかどうかという疑問が、これは学術会議からも提起されておりますが、そういったものについてやはり検討していく必要があるだろうと。調査方法についても、郵送調査にするのか、調査員調査にするのか、それともレジスターによるリモート調査にしていくのかというような、それぞれのメリット、デメリットがありますので、それぞれのアンケート調査に応じて、それがちゃんと検討されているのかどうか、あるいは前もってテストを行っているのかどうかということまで見るようになってきており、その点ではJILPTが行う調査というのは、大分質が上がってきていると思います。ほかの機関がやっている調査で、なぜこれでランダムサンプリングなのかと、調査結果で、これでいいのかということを逆に疑問に思うことが出てきておりますので、その点は質が上がったと思うのですが、さらに推定方法や研究手法、成果についての改善が、求められるのが今回の事由ではないかと思っております。

○今村主査
 ありがとうございます。統計調査は、樋口理事長が、自家薬籠中のところかと思いますので、御努力を引き続き継続されたらと思います。外部評価委員、リサーチ・アドバイザー部会評価委員の目が厳しくなったということが先ほど来おっしゃっています。これは逆にいい傾向だと思いますので、是非、御利用いただければと思います。個人の研究員の話で、先ほどの部会でも少し出た話で、「独立の気力なき者は国を思うこと深切ならず」という福沢諭吉の言葉があるのですが、やはり個人の研究員の独立を、是非、積極的に支援されて、質を高めていただければということを大いに期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。

○安井構成員
 アンケート調査の厳密性とか、政策効果の識別方法などの扱いをより丁寧にやっていく話とか、私もエコノミストとして身につまされる思いでして、本当におっしゃるとおりだと思うわけです。内田理事が「Bを取ったのはリタラチャーレビューが不十分だったから」とご説明されました。リタラチャーレビューについてですが、新しい分野を研究するときには、結構労力が必要なわけです。様々なジャーナルのサイトにアクセスして、多くの論文に目を通しつつ、自分でリタラチャーを整理していく必要があるので、すごく大変だと思うのですが、JILPTでは研究者のリタラチャーレビューを何かサポートする仕組みがおありになるのかをお伺いできればと思います。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 ありがとうございます。物理的なサポートといたしましては、世界各国、諸外国も含めて、日本も含めて、研究員が、先ほどの図書館の話ですが、どういう本が読みたいか、どういう雑誌が読みたいか、どういう洋書が欲しいかなどは、図書館で一般に公開するに合わせて収集をさせていただいております。それから、この会議でもいろいろ御議論いただいておりますが、E-journalとか学術論文データベース、それについても一般に公開するものに加え、私どもは、経済学、社会学、教育学、法学、あと心理学ですが、そうしたものを研究員の要望で年間契約をして、大体使えるようにということで提供しているところです。

○安井構成員
 素晴らしいですね。有料ジャーナルにはちゃんとアクセスできるようになっているということですね。その上で、この前面白い話を聞いたのでお伝えしたいと思います。先日、国際コンファレンスに行ったときに、ADBのチーフエコノミストとお話する機会がありました。ADBでは、附属の図書館がリタラチャーレビューのサポートをやってくれるそうです。例えば、職業訓練の効果に関するリタラチャーレビューをやってくださいと言ったら、図書館の職員が全部調べて、主要な論文を出してくれるそうです。もちろん、研究者本人が専門性の観点から、各論文に目を通す必要はあると思いますが、これだけ論文が増えていますから、それをサポートしてくれる専門人材をJILPTで育成するというのも、手ではないかと思いました。そうしたら、リタラチャーレビューについて、人によって質が低い、高いというのは少なくなるのではないかなという気がしました。

○労働政策研究・研修機構理事長
 どうもありがとうございました。ライブラリアンの最近の業務という形で、そこに質の向上で、今おっしゃったようなことを、これは研究に限らずいろいろな分野で、こういったことを知りたいということについて調べてほしい、ライブラリアンがそれを果たす所も増えていることは聞いております。そういうことも今後考慮に入れなくてはいけないと思いますが、うちの場合、これはどこの学会でもそうだと思うのですが、一般に独自性がないということで、サーベイベーパーが余り評価されない。本当は一番読まれているのはサーベイベーパーなのです。一番我々にとって有益なのはサーベイベーパーだと思うのですが、それについての評価が非常に厳しいといいますか、なかなか論文として認めてもらえないということもあり、いかにサーベイベーパーを考えるか。
 今回、今期を取りまとめるについては、各成果や書籍の最初にサーベイベーパーを書いてくれと。それについては、例えばそれぞれのグループでPTを用意しておりますが、例えばこの間も、賃上げ、賃金の引上げについての日本におけるサーベイを過去何年間についてやってほしいということが出て、それについてはPTの中で報告していただいて、こういう論文があるのではないか、こういう見方があるのでないかとかを、他の研究員や我々からサゼスチョンして、そして完成させていくというやり方をやっているかと思います。
 例えば、賃金の硬直性についても最近サーベイベーパーが提出されましたが、労使関係の視点からとか、春闘の関係とか、あるいは国際化の影響であるとか、グローバリゼーションの競争の問題であるとか、そういったものについて、長すぎるのではないかと思うのですが、ディープインをしておりますので、そういう形でまとめていくことを、取りあえず我々は試行しているというところです。

○安井構成員
 ありがとうございました。私も勉強させていただきます。

○今村主査
 どうもありがとうございました。それに関しですが、ちょうど私、今年3月にストラスブールのモバイルテクノロジーをテーマにした博士論文の審査に関わったのですが、AIでほとんど全部の文献を網羅して、こちらからパラメーターを与えるのですが、コンテクストを作ってしまう、そういうサーベイをやったのがあります。それこそコスト的な問題があるかと思いますが、是非、そうやってパワーアップをしていただければと、大いに期待しております。
 ほかにはいかがでしょうか。土井先生、お願いします。

○土井構成員
 細かい質問で恐縮ですが、資料2-1-2の4ページで、改めて疑問になったので教えていただきたいのですが、指標の②と③の具体的な違いがよく分からなくなったのですが、②は成果が期待できるということで、まだ政策には貢献していないもの、③は実際に活用されたものということなのですが、これは年度が違っているものに対してということなのですよね。だから、令和3年度に出したものは②になって、それよりも前に出したものが③になると、そういう認識でよろしいとすると、③は何年前まで遡って成果総数をカウントされているのか、それが分からないので教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 ありがとうございます。まず、指標②ですが、厚生労働省より「政策貢献が期待できる」との行政評価を受けたプロジェクト研究サブテーマということで、対象については、5ページを見ていただけますか。②についてはテーマ評価です。このテーマで研究を進めて政策貢献に期待できるかということで、14本のサブテーマを設けております。プロジェクト研究という左の枠の中に、7本のプロジェクト研究が、Ⅰから、最後のⅦの労使関係を中心とした⑭集団的及び個別労使関係の実態に関する研究ということで、こちらからどういう研究を進めて、どういう成果を出したか、どう使われたかを御説明するペーパーを作り、厚生労働省から評価を頂くものです。これはテーマに関する評価です。
 指標③については、このペーパーでいきますと、令和3年度中に出た個別の研究成果、取りまとめたものですが、いろいろな形で、報告書とか、ディスカッションペーパー等で取りまとめておりますが、こちらについて具体的に政策の企画立案や実施等に活用した研究成果の割合ということで、数値目標を立てております。以上です。

○土井構成員
 どうもありがとうございます。私が何か勘違いをしていたように思うのですが、だとすると、逆に言うと、テーマと、テーマから出てきた個別の報告書なりということで、何かダブルカウントしているようなイメージもあるのですが、何というか、テーマがいいということの話と、そのテーマを基にして成果を出しましたと言っているのは、内容的にはすごく大きな違いがあるようには思えないので、なぜこの指標が2つあるのかというのが気になるのです。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 指標③は、いいか悪いかということではなくて、実際に審議会にこの研究成果を出しましたと、それで議論いただきましたと、そういうものです。ですから、研究テーマとしては良い研究テーマなのだけれども、たまたま今年度のこの成果はどこでも使わなかったというのが、実はあります。なので、これは100%にならないのです。使わなかったというのは、若干あります。基本的には、その時代、時々の課題に対してテーマ設定をし、研究していくので、全部使われればいいのですが、今年度のこの成果の中で言うと、幾つか、1本とか、2本とかは、使うことがありませんでしたというのが毎年度出てまいりますので、そこは100%ではなくて、90何パーセントとなるというのはあります。テーマについては、逆に言うと、だから、ある意味、毎年100%になっている、そういう関係はあります。

○土井構成員
 そういう意味では、違いがあるのは分かったのですが、もう少し労働政策の立案にどう寄与しているかが分かりやすい形にするという意味では、③だけでもいいような気もするのですが、②の必然性が、今の御説明を聞いてもよく分からなかったというのが正直なところです。この最終年度になって今更、誤解していたので申し訳ないのですが、すみません。

○今村主査
 ありがとうございます。まだ少し時間が残っていますが、私から1つ、前回も議論になったことについて質問させていただきたいのです。対面とオンラインの分担のことですが、資料を見ていると、12ページには、オンラインに関してです。労働政策フォーラムに関してはオンライン開催、労働大学校についてはオンライン実施、専門講座は緊急事態宣言期間中はオンラインで、解除後は移行期間を設けた上で会場実施としたとあって、その後、職員研修に関してはオンラインを積極的に活用し、教材開発をするということです。これだけ見ていると、方針がどうなっているのかが読めないのですが、どうなのかということ。なぜ、そういうことを申し上げるかというと、対面とオンラインというのは、それぞれメリット、デメリットがあって、どちらを採用するか。というのは、機構の場合は、研修機構ですので、そういう役割でどうやって伝えるかということは非常に重要な要素なので、どうお考えになっているかを聞きたい。
 実は5月にNatureで「Virtual communication curbs creative idea generation」という論文が出ていて、これは実験をやっているのですが、実はタイトルのとおり、バーチャルコミュニケーションがクリエイティブなアイディア、創造を抑制するという研究結果が出ています。では、やはり対面で、つまり簡単に言うと、対面だと、顔だけではなくて、いろいろな情報を見ているからクリエイティブだと。そのような話がいろいろ載っているのですが、機構として、もともとの機構は心理学の専門家が非常に多い所だったのですが、そういうことについて、どういうふうにバックグラウンドを持って、オンラインと対面の今後の方針をお考えになっているかを教えていただければと思います。

○労働政策研究・研修機構理事(内田)
 ありがとうございます。先ほどお尋ねのありました労働政策フォーラムと東京労働大学講座の専門講座、総合講座については、一般の方々を対象にしたものです。労働大学校については、行政職員研修ということで、こちらは少し分けて考えているのかと思っております。
 労働政策フォーラムについては、コロナの拡大により、令和2年度の最初から、もう対面では難しいということで、令和2年度は6回中1回だけ対面で開催いたしました。その後は、オンラインしかないということでオンラインを採用したところです。こちらについては、対面と比べ参加者が3倍から4倍くらいに増えたことと、もう1つが、これまでほとんど東京でやっておりまして、地方に展開できないかというので、この会議でも御要望はあったと思いますが、その中で、テーマとか開催内容についてアンケートを取ると同時に、オンラインの是非について、運営の是非についても参加者の皆様に御意見を頂き開催しております。1部を事前の1週間くらい流して見ていただいて、勉強した後に、2部のパネルティスカッション等をライブで配信するという形で、非常に好評を得ております。地方から東京に来なくていいということと、あと、1部については、御自身の御都合に合わせて24時間いつでも見ていただけるということで、こちらについては、今後もこのオンラインの開催が理にかなっているのではないかと思っております。
 東京労働大学講座の専門講座については、緊急事態宣言期間中はオンラインで、解除後、移行期間を設けた上で会場実施としました。専門講座については、これまでもゼミナール形式でやっておりまして、その中でグループセッションやグループワーク、また最後に修了のレポートを書いていただきますが、それの総括指導なども個別にやっておりますので、どうしても対面のほうがメリットが大きいということと、あと、参加者からも対面でやってほしいという声が多かったので、対面開催の方法をとっております。
 
○労働政策研究・研修機構労働大学校長
 労働大学校ですが、研究部門も研修も樋口理事長の下におりますので、樋口理事長のお考え、哲学がまずあって、その上でオンラインと集合研修のハイブリッドを考えていると。そういう意味では、実は研究部門と大元は変わりません。
 ただ、実際に研修については、研修の送り出し元である厚生労働省の各局のお考えもあります。例えば、特に労働基準局などは、非常に集合研修に対する強いこだわりがあります。労働基準監督官の行う司法処理の実務に関する実習とか、あるいは労働安全衛生関係とかは機械とかの現場を見なければなかなかできないと。そういったオンラインで代替困難な臨場感を旨とするようなタイプの現場を持っている所、そういう臨場感を非常に大事にする研修については、厚生労働省から強く集合研修の実施を求められたりすることもありますので、そういったいわゆる本省側の要望も踏まえて、個々に考えると。ただ、基本的には、仮に今後コロナが正常化した場合であっても、オンラインにはメリットが多々ありますので、そのメリットをいかすという前提で、基本的には、オンラインを中心にしつつ、集合研修も加えたハイブリッドにしていくという方針を考えているところです。

○労働政策研究・研修機構理事長
 私の基準としては、例えば労働政策フォーラムといっても、幾つかの聞く側のタイプがある。中でも労使を対象に聞くのが非常に多くて、その場合には、1,500人とか1,800人といった非常に多くの人がレジスターしてくるということで、これは、一定の会場に集まってというのは難しいということです。この間やりましたのは、日本学術会議等との共催ということで、ワーク・ライフ・バランスの研究についての政策フォーラムと。これは研究者が対象ですので、それほど来ないのです。大体800人ぐらい、800人も研究者はいるのかと思いましたが、800人くらいの方がレジスターしてくると。これは対面でやろうかという話もあったのですが、現状を考えて、コロナの状況を考えると、当面、リモートでやっていくしかないのかというところで、今それを実際にしています。
 今後についても、今考えているのは、政策フォーラムはリモートでというような形でやりたい。例えば、OECDと共催で、向こうの人にしゃべってもらうことになると、わざわざ来てもらってというより、リモートだと全く違和感なしにそれができるというところで、今のところはそういった形をとっているということです。

○今村主査
 ありがとうございます。正に機構に期待申し上げたのは、教育学、心理学の専門家も多いし、おっしゃるように、目的によって、聴衆によって、手段を使い分けることは大変重要だと思います。是非、それを、知見を広めていただけるような、そういう情報も頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。時間も大分超過しておりますが、もしなければ。オンラインがとどまっているので、申し訳ございません。一応、議事は進めさせていただきます。
 続いて、「中期目標期間実績評価」についての議論となります。法人より、見込評価と比べて実績等に変化があった項目のみを優先的に説明していただき、「評価の要約」の記載内容を中心に、簡潔に御説明いただければと思います。では、よろしくお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構理事(志村) 
 それでは、厚生労働省から配布されている資料1を御覧ください。昨年度第4期中期目標期間の見込評価として、平成29年度から令和2年度までの4年間の実績に基づき、「労働政策研究の実施」についてはA、その他の事業についてはBで大臣評価がなされております。
 先ほど御説明しました第4期の最終年度である令和3年度の業務実績及び法人としての自己評価を踏まえると、見込評価の見直しを要するような大きな事情の変化はないものと考えており、第4期の5年間を通じた期間評価は、見込評価と同様、「労働政策研究の実施」についてはA、その他の事業についてはBを自己評価としております。
 総じて、定量的目標の達成状況は良好なものと考えております。また、特に第4期の後半期におきましては、コロナ禍の中でオンラインの活用など様々な工夫をしながら業務を進めるとともに、新型コロナの雇用・労働面への影響について、調査研究とその成果の提供に使命感を持って取り組むことができたと考えております。
 以下、資料3系統の資料を2つ用意しております。資料3-1-1の要約を用いて、第3年度評価との重複を避け、ごく簡潔に説明させていただきます。資料3-1-1です。2、3ページ、「労働政策研究の実施」です。Ⅲの評定の根拠・理由に記載しておりますとおり、5つの定量的指標については、各年度とも全ての指標について、数値目標比100%以上を達成しております。そのうち3つにつきましては、全ての年度において達成度120%以上であり、難易度が高い目標として設定をされていますリサーチ・アドバイザー部会の外部評価についても、目標水準を満たしており、全体に高い達成度となっております。
 第4期におきましては、7つのプロジェクト研究テーマにつき計166本の成果を取りまとめ、厚生労働省からの要請に基づき15件の課題研究、24件の緊急調査を実施しております。また、新型コロナが発生した令和元年度末から、いち早く研究プロジェクトを立ち上げ、コロナ禍における個人の生活・就業の実態や企業行動の変化等を把握するため、個人と企業のパネル調査を継続的に実施しております。その一次集計結果を迅速に公表するとともに、外部の研究者も含めた二次分析を行う等、機構を挙げた取組を行っております。こうした研究の成果は厚労省の審議会等を始め、政府全体で広く活用されております。
 4、5ページ、「国内の労働事情、各種統計データの収集・整理」及び「海外の労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理」です。情報収集成果の提供件数に関する定量的指標は達成しております。新型コロナに関わる動向等を含め、当機構が築いてきたネットワークを最大限に活用し的確に実施できております。
 6ページ、「労働政策研究等の成果及び政策提言の普及」です。メールマガジン、労働政策フォーラムの回数及び有意義度評価に関し、設定されている定量的指標について各年度とも目標を達成しております。労働政策フォーラムにつきましては、喫緊の政策課題等に関するテーマを取り上げ、企業の先進事例の報告等を行うなどの工夫により、高い評価を得ております。令和2年度以降は、会場に集まる方式での開催は難しくなりましたが、オンラインを活用し、第1部の研究報告・事例報告は事前に一定期間オンデマンド配信し、2部のパネル討論はライブ配信する等の形式で実施し、参加者からの好評を得ております。
 7ページ、「労働関係事務担当職員等に関する研修」です。定量的指標のうち、研修生及びその上司のそれぞれ85%以上から評価を得るという指標について、各年度これを上回る実績を上げております。令和2年度及び3年度は新型コロナの影響を踏まえ、オンラインによる研修環境の構築を図り、研修の質の維持に努めております。研究と研修の連携につきましては、イブニングセッションの開催等の指標を、集合研修を実施していた令和元年度まで達成しているほか、令和3年度において集合研修の実施を前提としない新たな取組手法の確立を図っております。
 8、9ページ、「業務運営の効率化に関する事項」及び「財務内容の改善に関する事項」につきましては、令和3年度の業務実績に関する説明に特に付け加えることはございません。
第4期中期目標期間の実績評価についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○今村主査
 ありがとうございました。それでは、実績評価について御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。基本的には大きな違いがなかったということで、これまでに基づいて冒頭のような評価ということです。いかがでしょうか。
 オンラインの先生、中断してしまい申し訳ありません。関口先生しか残っていないでしょうか。今、申し上げたとおりです。中期目標期間の実績評価については、これまでの各年度ごとの評価と大きな違いはないということで、冒頭にありましたように、評価項目の1-1のみA、それ以外はBという御提案を頂いています。いかがでしょうか。

○安井構成員
 2点ございます。1点目は、去年も申し上げたのですが、コロナ禍におけるパネル調査をやられて、それはすばらしい御実績だと思うものの、外部の人による二次分析を許可するまでのタイミングが大分長いと思います。民間企業や大学が自 分たちの資金でアンケート調査をして、自分たちでしっかり分析した後に調査データを一般公開するというのであれば理解できます。他方、JILPTのパネル調査は、雇用保険料でやっているものですから、パネル調査をやったのであれば、それを外部の人もすぐに利用できるようにするのが筋ではないかと思います。
 恐らく、パネル調査のデータを解析する先生方にとっては、一定の期間、独占的に保有しないと付加価値のある分析が出しにくいですとか、ミクロデータを公表した途端、私が所属するような民間シンクタンクや証券会社が、簡単な分析結果を公開してしまい、JILPTが分析する価値が落ちてしまうなどの御懸念があるのかもしれません。しかし、新型コロナ感染症という大きなショックが起きたときに、誰でもJILPTのパネルデータにアクセスできるようにして、多くの人ができるだけ現状を把握できるようにすることが重要ではないかと思います。今後、もしまた同じようなショックが起きたときにパネル調査を実施されるのであれば、誰でもよーいドンで使えるようにしていただきたいと思います。
 2点目は、業務運営の効率化に関する事項の8ページで、一般管理費、業務経費を大分削減していらっしゃると思います。他方で、先ほど人材育成の観点から、今後、任期付研究員を雇われるということですが、任期付は、こういう厳しい財政事情の中で仕方なく任期付になってしまっているのだと思われます。本来であれば、若い研究者は任期付の2、3年ではなく、もう少し安定的に落ち着いて研究に専念できるような環境を作ってあげるのがいいのではないかと思います。この点、このように一律に5年間、経費節減率15%や5%などという目標を立ててどんどん切り詰めていくのはいかがなものかと思うのですがいかがでしょうか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 ありがとうございました。JILPTが実施した調査の個票データについて利用の即時性、可能性ということだと思います。1つは一次利用という形で、集計したサンプルについては、ほぼ2か月後に研究員、調査員の取りまとめという形で発表しています。それは、ホームページを御覧いただくとすぐに分かるというような形を取っております。マスコミ等が利用するのは、この一次集計の結果というようなことです。
 今度は、それを二次集計というか、より詳細な分析・研究に当てるというときに、私どももお声掛けをする先生方はいろいろいらっしゃいますが、基本的にはそうではない先生も、自分はやりたいというようなお申出があれば、研究会の中に参加していただいてやっていくことも可能なスタイルをとっています。
 今、委員から御指摘のように、この調査表を作成するのは確かに公的な資金を使うと同時に、研究員、調査員の相当の努力、尽力があり初めてできる。この人たちのモチベーションを維持するときには、ほかの所でもそうだと思いますけれども、ある意味、調査についての利用権ではないのですが特権を与えないとできない。そのタイミングをどれだけ設ければいいのかということで、通常、大学においては3年、科研費などでは3、4年が多いと思います。JILPTについては研究の結果の公表後3年以内ということで今、そこについてもっと短くならないかという御指摘かと思います。
 ここについては、研究員のほうから、それぐらい大目に見ていただきたいということ。ただし、二次利用についても、ディスカッションペーパーが書籍になる前に出ております。各研究者が、このデータを使った分析結果、そして、書籍に載せるであろう原稿、元のものは二次利用という形で出ているということです。
 なるべく早くということを、多分、私が外にいたら同じようなことを言うと思いますが、逆に、研究員のインセンティブを高めるというようなことを含めて考えていくと、パネル調査の場合、大体、3か月ないし4か月に一回やりますので、質問票の作成、調査の実施、一次集計結果の公表というローテーションを考えますと、公表した途端にまた次の調査がくるというようなことになっております。今年の2、3月にやった調査で一応パネルのシリーズは終わりというようなことを考えておりますので、その辺りもどうしたらいいのかと今思っているところです。

○安井構成員
 少しだけよろしいでしょうか。他方で、アンケートを作られる研究者の方々のモチベーションを維持するとか、特権を確保しないと研究が取られてしまうということまでは御懸念されなくてもいいのかと思うところもあります。と申しますのも、証券会社や民間シンクタンクで短期間で行う分析では、クロス集計をして、こういう特徴があるということを示すことぐらいです。JILPTで研究をされている方々は、深い識別方法の知見があるほか、構造分析面で優れていらっしゃると思いますので、証券会社や民間シンクタンクとは十分にすみ分けできるのではないかと思っています。
 しかも、今回は新型コロナがイシューでしたよね。もう少し長期的なイシュー、例えば、年制度の変更などにより就業率がどう変わっていくかみたいな問題に関するミクロ調査でしたら待てるのですが、今、コロナで景気や雇用動向がどうなっているかをすぐに把握しなくてはいけないときに、せっかくいいミクロデータがあるのに使えないということになってしまったのは残念だったというところはあります。

○労働政策研究・研修機構理事長
 どうもありがとうございます。実は、そういう問合せはマスコミからかなり来ます。それについては個別対応をしていくということで、こういう集計はできないか、こういう表はできないかというような問合せ、質問が出てきたりする場合は、なるべく、それに対応していこうというようなことで、お声掛けいただければ対応していこうというような形を、今、考えているところです。
 実は、新規の中期計画が、この4月から始まっております。その中において、パネル調査を実施しております。1つは、企業のパネル調査です。これは非常に珍しい。もちろん、上場企業については有価証券報告書などでできると思うのですが、そこについて中小企業までを含めた形で、特に労働時間と健康の問題を中心にというようなことで進めていく、これは、当面、年に1回という形でパネル調査をやろうと。
 もう1つは、個人についてのパネル調査です。これは、幾つかの大学や研究機関で実施されておりますので、ユニークさを出すために、例えば、四半期は非常に難しいと思うので半年に一遍という形で、ここについても個人についての健康度、最近の心理学や疫学を含めた就業条件の関係について、あるいは、ウェルビーイングなどを中心にやっていくというようなことで、これを発表するタイミングをどうするかは、また相談させていただきたいと思っています。どうもありがとうございました。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 2点目のお話ですが、任期付というのは経費節減のためではなく、正に、テニュアトラックとして、研究員としての資質を確認する期間という意味で付けている。これはJILPTが出来たときから、研究員の新規採用は全て3年の任期付で過去数十人採ってまいりました。残念ながら3年の期間で採用できない人が何人かおりましたが、基本的には多くの方が3年の任期終了後、期間の定めのない形で採用しております。経費節減は、いろいろなところで節約しなければいけないのでなかなかつらいところもあるのですが、ここの採用についてはそういう趣旨ではございません。正に、資質を見極める期間として付けています。

○安井構成員
 失礼いたしました。

○今村主査
 ありがとうございます。予定時間が若干残っているのですが、先ほど理事長がおっしゃった、コロナが終わると思ったらポストコロナではなかったという話ですが、それと同じように研究は何が起こるか分からないし、先ほど濱口先生がおっしゃったように、予算の中でやり繰りをしてという話がいつも出てきます。
 むしろ、これは所管課にお伺いしたほうがいいと思うのですが、柔軟に研究するためには、支出の変動というのが起こり得ると思いますが、例えば、競争的資金を獲得するなど、機構に余り予算で枠をはめないように、期待に応えるものをもっとできるようにという工夫ができないかと、前回のこの会議でもそういう話が少し出ていたと思います。やはり、これはある程度決まった予算の中でやるというのが、現行、JILPTの性格としてはそれが求められているということでよろしいのでしょうか。

○政策統括官付政策統括室参事官
 今年度から中期計画が始まっておりますので、5年間の中でどうやり繰りしていくかということだと思います。競争的資金に関しては、この場で確定的なことは申し上げられませんが、研究成果が評価されていれば、応募・獲得も可能なのではないかと思います。

○今村主査
 機構側から何か御要望があればと思います。濱口さんのお話を聞いていても、枠組みの中でやり繰りするという発想が出てきて、すごく窮屈だなという印象がするのですが、お考えとして、もう少し成果が発展するような方策はあるのでしょうか。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 そういうふうに聞こえたとすると、少し言い方が悪かったかもしれません。確かに特にコロナ以降、財源が雇用保険会計であることもあり、かなり厳しくなっていることもあるのですが、そこまでの状況で言うと、厳しいということはなくて、ある意味、むしろ、我々の研究に潤沢に使わせていただいていたというふうに考えております。
 ただ、確かに、今、コロナの中で親元の雇用保険財政が大変厳しい中で、いろいろ考えていかなければいけない。例えば、今までは報告書の類いは基本的に全部冊子の形でも提供していたのですが、これも原則的に全部PDFファイルにしてホームページにアップして、多くの方はそれで見ていますので、今年度以降は、基本的に全部ペーパーベースではなくてPDFファイルで御覧いただき、必要に応じてダウンロードしていただく形にしております。
 あるいは、研究について、全てそうできるわけではないのですが、例えば、新たにアンケート調査をやるとなれば、当然、いろいろコストが掛かります。それこそ行政は行政の中で蓄積したいろいろなデータを持っております。恐らく、行政の方々は大変忙しく、それをじっくりきちんと分析することはなかなかできないこともあります。実は、既に雇調金の分析ではそういうことを始めておりますが、行政が既に保有しているデータをきちんと整理して、それを我々の方が分析して、それをまた政策に活用していく。データそのものは無償、費用は掛けずに手間を掛けようという形で、そういう試みも始めております。コロナもいつまでも続くわけではないと思いますので、当面はそういう形で対応しております。決して、予算がギチギチで大変苦しいという苦情を申し上げているわけではございません。

○今村主査
 すみません。私の誤解で申し訳ありませんでした。むしろ、関心としてはDXです。先ほどのオンライン等の活用で設備的に厳しい時期があったのかなと思いながら、むしろ、これからDXは間違いなく進んでいくわけで、メタバースまでどのようにいくかは当面分かりませんが、そういう方向で考えると、いろいろな資金的なめども必要なのかと思い、こういう質問をさせていただきました。どうも失礼いたしました。いかがでしょうか。

○労働政策研究・研修機構理事長
 今、濱口所長が申し上げたことの続きということになります。統計委員会でも、例えば、公的統計というのは、そのために調査すると、そして、それを公的にということもありますが、やはり、行政記録を活用しろというような要請が統計委員会からも出ております。行政記録の活用がなかなか進まないということがありまして、厚労省についても、やはり、相当の行政記録を持っている。その行政記録をまとめてデータ化する作業が実はできていない。
 これは私どもだけが使うのではなく、やはり公にしていくということから、今、その研究を始めております。全てというわけにはいきませんので、幾つかの行政記録、雇用保険データなどについてまとめていくということです。これは、お金は掛からないけれども大変な作業だということで、JILPTの役割、使命かなと思いながら、今、進めております。
 もう1つは、研究の柔軟性の話です。お金の面の柔軟性というのもあるのですが、何を研究するかということについての柔軟性、これは正に、私どもが今回のコロナの下において、従来想定していなかったような調査研究をするということで進めることができるということです。
 ただ、これに関して個人的に思っていることは、今日も数値目標が評価されておりますが、数値目標は、その期が始まる最初のときにもう数値が決まってくる。これについては柔軟性がないわけです。今回についても、コロナについての評価は、基本的に数値目標の中には入ってこない、プラスアルファでやっている研究というような形でして、私どもとしては、こういうものも柔軟に対応しているのだから評価してよというようなところがあります。

○今村主査
 これは私の理解ですが、数値目標はあくまでも限界があるので、それ以外の定性的な要素でしっかりとエビデンスというか記述をしていただければ評価するという姿勢でやっております。実はこの前の部会も、そういう定性的な、指標以外のところですごく努力しているということで議論をしたところですので、引き続き、御努力をどうぞよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。大体、予定の時間になっております。
 最後になりますが、続いて、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。まず、法人の監事から、続いて、法人の理事長よりお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構監事
 監事の寺尾と申します。東ヶ崎監事の後任として7月1日付けで着任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 当機構の令和3事業年度に係る監査報告は、お手元の資料2-4のとおり、6月15日付けにて理事長宛てに報告いたしました。当機構の監査結果を御報告いたします。お手元の資料、監査報告Ⅰに記載のとおり、監査計画に基づき、業務監査にあっては、役職員からその職務の執行状況について聴取するとともに、全ての理事長決裁書類の内容確認を行ったほか、経営会議等重要な会議への出席などを通じて、当機構の意思決定過程や業務活動状況を監査いたしました。
 さらに、会計監査に対しては、当機構の契約した監査法人の監査結果を聴取し、会計に関する帳簿及び各種証憑書類を閲覧、点検、資産の実地監査を行うとともに、会計責任者から聴取を行いました。その結果ですが、監査報告Ⅱに記載のとおり、法人の業務は、法令等に従い適正に実施され、中期計画の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認めます。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反の有無、財務諸表等の内容、事業報告書の内容についても、詳細は割愛いたしますが、いずれも適正に行われており、指摘すべき事項及び特段の意見はございません。監査は、前任の東ヶ崎監事と非常勤の小林監事の2名で実施しておりますが、両監事間での意見相違はございません。
 監査の報告は以上ですが、今後の更なる効果的かつ効率的な業務運営の遂行に当たり、気付いた点を少し述べさせていただきます。新型コロナウイルス感染症拡大を防止するための措置が発出されて以降、様々な社会活動の有り様が変化いたしました。当機構の業務運営にも少なからずその影響が及び、第4期中期計画最終事業年度に当たる当事業年度においても、研究調査、情報収集及び成果普及の諸活動で、オンライン化を中心とした業務が推進されました。このような業務改革は大いに評価すべきですが、非対面化することで円滑なコミュニケーションが難しくなり、意思疎通が図りにくくなっていないか等を、細部にわたって検証していくことも重要であると思います。組織やチームの業務の質に応じた出勤とテレワークのベストミックスを構築することにより、第5期中期計画の実効性を高めていただくことをお願いいたします。
 また、研修事業では、従前のような集合研修主体のやり方から、オンラインも取り入れた研修方法への移行を余儀なくされましたが、場所と時間の制約を極力取り除くことで、より多くの研修希望者の参加が可能となりました。新型コロナウイルス感染症を契機として、労働大学校の各職員が、こうしたプログラムの再構築に積極的に取り組み、前向きに改革を行った点は評価に値すると思います。今後の更なる高度化に向けて取り組んでいただくことを期待いたします。以上で、監事からの報告を終わります。

○今村主査
 ありがとうございます。引き続き、法人の理事長よりお願いいたします。

○労働政策研究・研修機構理事長
 本日はお忙しい中、御参会いただき誠にありがとうございました。貴重な御意見を頂いておりますので、是非、参考にさせていただき、今後も改善を続けていきたいと思っております。
 平成29年度から今年の3月までの第4期中期目標期間を振り返ると、正に、新型コロナに追いまくられてきたことが事実であると思っております。JILPTの業務についても、対面での実施ができないという制約の下で、オンラインの活用などによる工夫を重ねてまいりました。総じて、目標を上回る成果を上げることができたのではないかと思っており、労働大学校における研究と研修のシナジーについても、大きく前進したのではないかと思っています。
 言うなれば、コロナという人類にとって非常に厳しい出来事が、逆に、JILPTとしましては試行錯誤を通じて、プラスになるようなことも引き出すことができました。今後、コロナが落ち着いた後も、このメリットをいかしていきたいと思っております。
 また、100年に1度の脅威というコロナですが、研究においても、先ほど申し上げたように、より柔軟な対応が求められることがあったのだろうと思っております。パネル調査を行わせていただき、個人調査については過去7回ほど、そして企業調査については6回ほど実施させていただきました。一応これは前期で終わりました。今、先ほどから出ているように二次利用について書籍の刊行を予定しております。今、まさに、我々はコロナから何を学んだか、というタイトルの書籍を書かせていただきたいというふうに思っております。今まで経験してこなかったことを、正にという人類が経験している中において、新しいものも導入していかなければならない。特に働き方の改革についてはこういったものが求められるというような趣旨ですが、そういうことについて考えていきたいと思っております。
 この調査研究の成果は、厚労省はもちろんのこと、内閣府、内閣官房、あるいは、国会やマスコミでも広く活用されております。労働政策に関する議論の活性化や、政策の立案・推進に、多少なりとも貢献できたのではないかと思っております。
 令和4年1月のこの会議においても御報告、御議論していただきましたが、新たな第5期の中期目標計画がスタートしております。我が国の労働市場の環境が非常に大きく変化しており、労働法制においても改正を重ねるということがございます。また、労働政策自身の幅が非常に広くなってきているということで、従来の雇用政策に比べて、税制や補助金といったところまで含めて、非常に幅の広い政策が求められます。私どもの研究も、前期に比べて、幅広く、多様な人、多様な企業、多様な取組をテーマに調査を進めさせていただくということで、その成果は、国民の暮らしを改善することに大きく貢献できればと思っているところです。
 今後、第4期における調査研究等の成果、あるいは、効果的な事業推進に向けた取組の到達点に立脚し、働き方や働き手の多様性等に十分留意しながら研究を進めていく。また、財政事情が非常に厳しい現状でありまして、その範囲の中において、ここは柔軟に対応していきたいと考えております。
 労働政策の企画立案、推進に貢献するという当機構におけるミッションを最大限重視した取組を進めていきたいと思っておりますので、今後とも、御指導のほどどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、以上で、本日の議事を終了させていただきます。最後に事務局からお願いいたします。

○事務局
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました労働政策研究・研修機構の令和3年度業務実績評価及び中期目標期間実績評価については、この後、本WGにおける御意見や、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表させていただきます。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは、以上です。

○今村主査
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。皆様におかれましては、猛暑の中、長時間にわたり非常に熱心な御議論を本当にありがとうございました。また、1時から御参加の方々はこれで解放ですので、どうもお疲れさまでした。今後とも、どうぞよろしくお願いします。今回は、御協力を本当にありがとうございました。どうもお疲れさまでした。

 
(了)