2022年7月27日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第9回) 議事録

日時

令和4年7月27日(水) 10:28~12:08

場所

労働委員会会館講堂(7階)

出席者

松尾主査、亀岡構成員、河村構成員、斎藤構成員、田極構成員、富田構成員、本田構成員、山口構成員

議事

議事内容

○事務局  ただいまから、「第9回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WG」を開催いたします。私は事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の工藤と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。
構成員の皆様におかれましては、暑い中、また、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。まず、本WGの新任の構成員を御紹介いたします。読売新聞東京本社医療部編集委員の本田麻由美先生に構成員に御就任いただいております。一言御挨拶を頂きたいと思います。

○本田構成員
 本田でございます。よろしくお願いします。ずっと最近はコロナの担当デスクばっかりやっていて、ちょっと不勉強なことも多いかと思うのですけれども、勉強して何かお役に立てるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局
 ありがとうございました。次に本日の出席状況について御報告申し上げます。本日は本WGの主査でいらっしゃいます松尾主査がオンラインでの御参加、大西構成員が御欠席でございます。事務局といたしましてはオンラインの回線の安定に努力いたしますが、万が一不安定となったりした場合に備え、主査代理として富田構成員を選出して、お願いをしておりますので御報告申し上げます。
 本日の会議、参加人数が多いことから、会場に御参集の方で御発言をなさる場合は挙手をお願いいたします。事務局がワイヤレスマイクを渡しにまいります。なお、マイクは先ほど私も主査より注意を受けましたが、顔に対して90度になるようにして発言いただきますと、集音の関係上非常に助かります。
ここで、参事官の山田より御挨拶を申し上げます。

○政策立案・評価担当参事室参事官
 参事官の山田でございます。昨年9月に着任をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、厚生労働省の独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WGに、御多忙のところお集まりいただきありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しましては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。なお参考資料3、4にお示ししている本年3月2日付けで改定されました総務大臣決定の指針については、昨年秋にデジタル庁の発足に伴う所要の改正がなされたものです。改めてこの場をお借りして事務局より御報告申し上げます。
 本日の議題は「国立病院機構」の「令和3年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明をいたしますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
 ここで傍聴の方に御連絡です。本日の会議の撮影に関しましては「頭取り可」とさせていただいているところですが、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
この後の進行は、当WGの主査でいらっしゃいます松尾先生にお願いしたいと思いますが、オンラインでの御参加のため、会議室での発言・挙手等については事務局で調整して松尾先生に報告する形で進めたいと思いますので、少々御不便をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。それでは松尾先生、よろしくお願いいたします。

○松尾主査
 皆様こんにちは。本日はオンライン参加で大変御不便をおかけしますが、御容赦いただけますようお願いいたします。改めまして、主査の東海国立大学機構長の松尾清一です。今日の会議はおおむね1時間半ぐらいを予定しておりますけれども、円滑な議事運営に皆様御協力いただけますよう、よろしくお願いします。また、とは言っても、しっかりした議論をしていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 まず、今日の進め方について、ただいまの事務局の説明について、何か御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。ございますでしょうか。画像が小さくて余りよく見えませんけれども、一応ないようですので、それでは、早速議事に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 「令和3年度業務実績評価に係る意見について」、まず、法人のほうから説明を頂いた後、縷々御意見を頂きたいと思います。それでは、はじめに法人のほうから「法人の業務概要」及び「自己評価」について説明を頂きます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という形で進めていきますので、よろしくお願いします。それでは、まず法人のほうから業務概要及び自己評価について説明をお願いいたします。

○国立病院機構企画役
 では、資料2-1で御説明します。2ページを御覧ください。令和3年度は新型コロナの全国的な流行が続く中、地域から求められている診療機能をできる限り維持しつつ、国や自治体からの要請に応え、積極的にコロナの患者を受け入れるなど、コロナ対応に貢献する一方で、コロナ後も見据えた経営改善を進め成果を上げています。
 自己評価に当たっては、これらを踏まえまして、1-1医療の提供からその他の個別事項の評価を行って、各評定をこの2ページの下の所にある数式で換算しまして、右下総合的な評価としてはAと自己評価をしています。
 では、以下個別事項ごとの評価のポイントについて御説明します。

○国立病院機構医療部長
 それでは診療事業につきまして、医療部長から説明します。診療事業につきましては、医療の提供、地域医療への貢献、国の医療政策への貢献の3つの評価の項目がありますので、順に説明します。
 まず、医療の提供について4ページを御覧ください。定量的指標である専門看護師の配置数及び認定看護師の配置数については、コロナの影響に伴う教育課程の遅延や外部研修への参加見送りなどにより目標値を達成できなかったものの、特定行為を実施できる看護師の配置数については達成度123.9%となりました。
 また、評定の根拠の理由欄に記載のように、積極的な新型コロナ対応と一般医療及びセーフティネット系医療の両立を実現したこと、そして、患者が安心して質の高い医療を受けられる体制の構築を進めたことを質的に顕著な成果とし、自己評価をAとしています。
 5ページの左上を御覧ください。新型コロナへの対応について、NHOはワンチームとして積極的に取り組むという方針の下、発生初期から、国や自治体からのさまざまな依頼に対し協力をしています。令和3年度においても、コロナ対応と地域から求められる救急医療、産科・小児科、及び重症心身障害や筋ジストロフィー等のセーフティネット系医療などの一般医療の維持、両立を果たしました。加えまして、セーフティネット系医療を中心に提供する病院においても、地域の要請に応え、昨年度の2倍以上である延べ4万4,828人日のコロナ患者を受け入れました。
 右側を御覧ください。できる限り多くの患者さんが、可能な限り対面による面会ができるように、地域の感染状況にも留意し感染防止対策を講じつつ、対面面会の制限の緩和、例えばワクチン接種完了者や近親者に限り対面可とする、入退院日や手術日、終末期などは対面可とするといった工夫をしています。また、面会を制限せざるを得ない状況にあっても、患者と御家族の不安を軽減できるように、97病院で3万8,000人以上のオンライン面会を実施しました。
 次に、診療事業(地域医療への貢献)についてです。7ページを御覧ください。自己評定はSとしています。その根拠としましては、指標の達成状況のうち、短期入所及び通所事業においては、第5波、第6波の時期に入院患者の安全のため中止せざるを得なかったこと等から評価対象から除外することとし、その他の指標についてはおおむね目標を達成することができたこと、そしてコロナ対応のために体制を割かれる中でも、NHOネットワークを生かした工夫を重ね、救急車の受入れは令和2年度よりも11%以上増加するなど、地域医療への貢献も果たす等、質的に顕著な成果を上げ、かつ難易度「高」であることも踏まえた上で、自己評定をSとしています。
 8ページを御覧ください。左上です。地域医療における新型コロナへの対応としては、都道府県からの要請に積極的に応じ、重点医療機関として89病院、協力医療機関として13病院が指定されています。また、自院での受入れにとどまらず、クラスターが発生した病院や施設への看護師派遣も積極的に実施しました。具体的には左下です。札幌市での感染拡大に伴う病床の逼迫への対応に当たり、入院待機ステーションを立ち上げる市の要請を受け、道内4病院のスタッフ等が開設準備や運営に協力し、感染拡大の中での地域のコロナ医療の提供体制維持に貢献しました。
 また、右側中段です。沖縄県で急激な感染拡大が起こった昨年の夏には、国及び県から要請を受け看護職員を派遣しました。派遣先の精神科病院では、患者・職員合わせて200人規模の大規模クラスターが発生しており、現地では極めて厳しい状況であった中、コロナ対応の経験と精神科看護の能力を併せ持つNHOの特性を生かし、懸命な看護を延べ116人日にわたり実施しました。
 11ページを御覧ください。ここからは診療事業(国の医療政策への貢献)について説明します。指標の達成状況としましては、特に令和3年度より新規に定量的指標に加えられました、地域の実情に応じた感染症対応にかかる研修の実施件数は、目標を大きく上回り達成度は142%でした。その他の指標についても達成度100%を上回るとともに、質的に顕著な成果を上げ、かつ難易度「高」であることから、自己評定をSとしています。
 12ページを御覧ください。左側です。コロナ病床の確保に当たっては、他疾患病床より多くのマンパワーやスペースを必要としますが、感染拡大に伴う病床確保の要請の高まりに応えるため、セーフティネット医療や行政から継続が求められる救急救命センターなどの機能は維持しつつ、他疾患病床の活用やNHO病院間の職員派遣など工夫を凝らすことで、都道府県の新型コロナの病床確保計画策定に当たり、どこよりも多くの病床を確保するなど自治体や国からの要請にも応え続けてきました。
 具体的には右側です。昨年8月のいわゆる第5波の時期には、感染拡大が深刻となっていた東京都において、感染症法に基づく厚生労働省及び東京都からの要請に応え、東京都下の3病院において、一般医療を更に制限するなどした上で、コロナ病床を76床増床し、合計209床まで拡大しました。これは、500床程度の病院をコロナ専門病院化した場合と同程度の規模感の病床数です。なお、この8月における病床数は、都全体の増床数の11%を占めています。この後説明する、本年3月に開始しました臨時医療施設等を含む令和3年の夏以降の都の増床数は、令和4年3月末における都の増床数の12.8%を占めており、都のコロナ病床確保に貢献できたものと考えています。スライド右側の2ポツ目に戻りますが、昨年10月に厚生労働大臣から当機構に対してなされた、機構法第21条に基づくコロナ病床確保の要求では、夏のピーク時から更に2割以上の増床となる462床の確保とされていたところ、目標を大きく超える547床を増床し、目標の118.4%となる2,857床を確保しました。さらに、今年3月には東京都の委託を受けて、東京都臨時医療施設の運営を開始しました。臨時医療施設にはセーフティネット系医療を中心に行っている病院からも看護師を派遣しており、これにより特に認知症や知的障害を有する患者、要介護度の高い患者を多く受け入れることが可能となるなど、NHOネットワークを生かすことで、ニーズに対応した医療を提供しています。
 次に、13ページ左上を御覧ください。多くのコロナ患者を受け入れるために構築しましたNHO間の看護師職員派遣の仕組みについては、昨年度の約2倍となる2,163人日の派遣を実施しました。さらには、国や自治体の要請に応じ、NHO外への派遣も実施しました。今年2月の機構法第21条要求では、東京都及び大阪府に新たに増設される臨時医療施設への派遣要求に応えました。また、先ほどの札幌市や沖縄県の事例のように、自治体からの要請にも積極的に応え、各病院とも決して余力があるわけではない中、令和2年度の約2.5倍となる4,895人日もの派遣を行いました。
 このほか医師やメディカルスタッフの派遣も実施しており、NHOの特徴、つまり多様な内容の医療を全国規模のネットワークで提供していることで病院の枠を超えた支え合いが可能であるということによりNHO内だけでなく、他の設置主体を含む地域医療を支えることに貢献できたと考えています。
 右側の感染症対応にかかる研修の詳細については、評価項目教育研修事業において後ほど御説明します。

○国立病院機構理事(医務担当)(前田)
 続いて、臨床研究事業について説明いたします。14ページからです。定量的指標であります英語論文数については、15ページの上の段にありますが、実績値2,765本と目標を達成し、質的に顕著な成果を上げたことから、難易度「高」であることも踏まえ、自己評価はSとしております。
16ページ左上ですが、令和3年度は「新型コロナワクチン追加接種並びに適用拡大にかかわる免疫持続性及び安全性調査」に参加いたしました。追加接種として7病院で2,480人がワクチンを接種し、健康日誌の記載及び副作用情報の報告などを行い、ワクチンの安全性や接種状況などの国民への情報発信に貢献しました。
 次にNCDAの活用については、COVID-19の新規入院患者数や在院患者数等を評価し、厚生労働省に提供しております。令和3年度はNCDA参加67病院の入院患者1,500人程度、外来患者1万6,000人程度の各種情報を週単位で厚労省に提供しました。具体的には変異株ごとに軽症、重症などの症状の構成、患者の年齢の構成の割合が変化いたしましたが、足下のデータを把握してタイムリーに提供いたしました。その中で、オミクロン感染者の急増を踏まえた、入院から宿泊・自宅療養への移行の迅速化に対し、4日目以降に「中等症Ⅱ」以上となった患者が少ないということを厚労省のアドバイザリーボードに報告しました。この資料が根拠の1つとなり、国が入院から宿泊・自宅療養への移行や後方支援病院への転院について目安を設け、全国の病床逼迫の改善につながりました。
 次に、次世代医療基盤法に基づき、日本医師会医療情報管理機構へ、NCDA参加67病院のうち48病院からデータを提供いたしました。NHOといたしましては、国が進める政策の実現に向け、今後も取組を進めていくこととしております。以上です。

○国立病院機構医療部長
 続いて、教育研修事業です。17ページを御覧ください。自己評価はAとしております。その根拠としましては、指標の達成状況のうち、令和2年度においては、コロナの影響により地域の研修会の実施や実習生の受入れが困難でありましたが、令和3年度においてコロナ禍が続く中にあっても実績値が前年度を大きく上回り、達成度120%を超える指標が複数ありました。
 18ページを御覧ください。定量的指標の達成に加え、評定の根拠として、国から求められた地域の医療機関等に対する感染症対策に係る研修を目標件数の40%以上となる392件実施したこと、またポータルサイトを立ち上げ、NHO各病院の研修の取組を外部へ積極的に発信したこと等から、自己評価はAとしております。
19ページの左上を御覧ください。感染症対応にかかる研修については、NHOに蓄積された知見を活用し、臨床検査、放射線などの職種ごとに研修を開催し、外部から多数の受講者が参加されました。また、地域の障害者施設や高齢者施設への出張講座を開催するなど、令和3年度も、引き続きコロナ禍にあった中でも、地域との関わりを維持し、地域全体での感染拡大防止に貢献する取組を実施しました。
 左下を御覧ください。外部と連携した研修としては、全国ビルメンテナンス協会と協力し、全国の医療機関や清掃業者に対し、コロナ患者が入院する病棟の清掃体制に係る研修や、右上になりますが、WHOが推奨する「WHO手指衛生多角的戦略に基づく手指衛生指導者育成セミナー」を日本集中治療医学会及び日本環境感染学会と連携し、運営に携わりました。また、研修内容を外部へ積極的に発信するため、外部ポータルサイトを立ち上げました。今後もその内容の充実に取り組んでいきます。
 20ページを御覧ください。職員だけでなく、広く国民が感染対策に係る研修や講座を聴講できるよう、eラーニングシステムを導入しました。また、従来の集合研修の実施が困難な中、テレビ会議システムを活用したオンライン研修を実施し、223コース、12,212人が参加し、コロナ流行前に近い水準の研修を実施することができました。

○国立病院機構企画役
 21、22ページです。業務運営等の効率化という項目です。22ページの2番目の所で、定量的指標である経常収支率については、目標値100%のところ実績値108.6%ということで目標値を達成し、難易度「高」であることを踏まえ、Aとしております。
23ページです。左上の所の1行目です。令和3年度は、コロナ禍において、一般診療の制限等により法人全体の患者数は、令和2年度に比べ引き続き大幅に減少しております。しかしながら、地域から求められている診療機能をできる限り維持したことで、先ほどの診療項目のところでも申し上げましたけれども、救急車の受入件数は、令和元年度比98%で191,392件、手術件数についても197,495件ということで、令和元年度比95%と、コロナ流行前の令和元年度並みにまで増加をしております。また、国や自治体からの要請に応え、積極的にコロナ患者の受入れに取り組んでおります。そして更なる費用削減を含めた様々な取組や基礎年金に係る公経済負担の廃止等により、経常収支は黒字となっております。
 棒グラフの下に幾つか数字が並んでおりますけれども、例えばポツの下から2つ目を御覧いただきますと、コロナ患者の延べ入院患者数ということで、令和2年度に比べて令和3年度はコロナ患者の入院患者数が倍増しているというところです。
 それから24ページに飛んでいただきまして、左側です。コロナ対応従事者への手当、全ての職員に対する臨時特別賞与及び臨時特別一時金の支給等により、職員のモチベーション向上にも注力しております。また、資料には記載しておりませんが、閣議決定に基づき、国において看護職員の収入の引上げを行うための措置を行うことを踏まえ、2月から看護職員の処遇改善を講じております。
 資料に戻って、24ページの左下です。人員配置に関し、病院ごとに定める職員定数については、コロナ対応の状況も踏まえつつ、各病院の医療機能や患者数等に応じた効率的・効果的な人員配置による病棟運営を実現するための病棟集約など、地域医療構想の趣旨等を踏まえながら費用構造改善の取組を続けた結果、令和4年度の診療定数については、機能強化のために必要な増員を行いながらも、法人発足後初となる対前年度の職員定数からの減少となっております。
 次に、右の中段です。働き方改革への対応としては、長時間労働削減の取組として、まず、医師を除く職員については、当該職員、該当する職員及びその職場長を対象に、業務内容等の把握や、特定の職員に業務集中している要因に応じて、病院内での応援体制の構築・勤務体制の見直しを行っております。次に第2段落の所です。医師については、当該医師の在籍する病院の幹部職員を対象に、長時間労働の要因を把握する等により、結果として医師以外、医師ともに、令和2年度の長時間労働職員の令和3年度の平均時間外労働時間は、1人当たり100時間以上の大幅な減少となっております。
 25ページの左側です。投資については法人全体の資金状況を踏まえ、医療機能を維持するための投資を計画的にしつつ、地域医療構想への対応に必要な投資、それから短期間での投資回収が可能な整備へ投資をしております。また、医療機能の向上を念頭に各病院の自主性・裁量性に配慮し新たにチャレンジできる枠組みなどを、令和4年度に新設し、令和3年度は具体的な取扱いを検討しております。
 25ページの左側真ん中です。本部出資金の運用については、コロナ後も見据えながら、セーフティネット系の病院等を中心として積極的に外来等の感染防止対策や老朽化対策のための改修整備を進める方針の下で、「本部出資金」という仕組みを設けて、107病院に63.2億円の投資を決めております。右上に移り、IT化の推進も引き続き取り組み、95病院でオンライン資格確認システムを導入しております。右下における一般管理費の節減については、平成30年度と比較して20.6%節減をしております。
 26ページです。予算、収支計画及び資金計画という項目です。定量的指標はありませんが、質的に顕著な成果があったということで、自己評価はAとしております。
27ページの左上です。令和3年度においては、病院経営の主軸となる医業収支はマイナス354億円ということで、令和2年度から引き続き赤字となりましたけれども、行政からの要請に応じて積極的なコロナ患者の受入れ等もあり、令和2年度に39.7億円あった繰越欠損金は令和3年度末で解消しております。また、長期債務の償還については、長期借入金の償還を約定どおり行い、令和3年度は新たな借入れを行わなかったため、長期借入金の残高は大きく減少しております。
 28ページに図示をしております。令和2年度の経常収支は576億円を基点として、下の令和3年度の経常収支908億円に至るまでのそれぞれの収益、費用の増減がどのように推移しているかということを図示しております。

○国立病院機構理事(雇用管理担当)(樋口)
 続いて29ページです。その他主務省令で定める業務運営に関する事項について説明いたします。自己評価はBとしております。Ⅱの評定根拠のうち、2段目の内部統制の充実・強化について御説明いたします。詳細については30ページの右側を御覧ください。
当機構では透明性の高い組織運営を方針の一つとして掲げ、内部通報について、信憑性が定かでないなどの場合であっても全て正式な通報として受け付けて対応しております。
 こうした中で、令和3年2月、当機構本部に対し、千葉県内の機構3病院に所属する係員4名が、特定の取引業者社長と不適切な関係にあるとの匿名の内部通報があったところです。匿名かつ信憑性に疑問がある情報ではありましたが、この通報内容の重要性に鑑み、本部において徹底した調査を行うこととし、関東信越管内の全32病院の契約事務担当者を対象に聞き取り調査を延べ792名について実施した結果、倫理規程等に違反する行為が確認されたところです。
本事案は、取引業者との接し方に関する基本認識の欠如や、複数の者による確認が徹底されていなかったことなどが要因と考えられたことから、取引業者との接し方に関する基本ルールの徹底などの再発防止策を講じることといたしました。また、厚生労働大臣から倫理保持の徹底等について要請されたことから、外部調査委員会による全国調査を実施するとともに、倫理規程の見直しも実施したところです。
 このような事案がありながらも、項目別評定の自己評価をBとしております。その理由について説明いたします。まず、本事案そのものの評価についてですが、当機構として本事案が生じたことは厳粛に受け止めており、このようなことを二度と繰り返さないよう、内部統制の充実強化に一層取り組んでまいります。
一方で、現在、弁護士や公認会計士による外部調査委員会において全国調査を実施し、調査報告書をまとめていただいているところですが、当該委員会から理事長、副理事長がヒアリングを受けた際の委員からの発言として、組織的な不正行為は確認されず、圧倒的多数の職員においては、高い倫理観とモラルを持って透明、公正かつ適正に業務を実施していたとの話を頂いているところです。
 また、本事案そのものの評価以外にも他の評価項目がありますが、それらの項目において、令和3年度に初めて成果を上げたものもあります。具体的には、病院ごとに定める職員定数について、各病院におけるコロナ対応の状況を踏まえつつ、医療機能や患者数等に応じた人員配置により、効率的、効果的な病棟運営を実現するための病棟集約を行うなど、地域医療構想の趣旨等を踏まえた費用構造改善の取組を継続した結果、令和4年度の職員定数は機能強化を図るために必要な増員を行いながらも、法人発足後初となる対前年度の職員定数から減少となりました。
さらに、30ページの左下の障害者雇用については、積極的な雇用促進に取り組んだ結果、令和3年度の障害者雇用率は2.72%となり、法定雇用率は2.6%ですが、これを上回るなど、他の項目では年度計画を十分に達成しております。
 以上のことを踏まえ、自己評価はBと判断させていただいたところです。なお、先ほど説明した不適切事案については、当機構の内部通報制度において全ての通報を丁寧に受け止めるという方針の下、当機構自ら徹底した調査を行い、職員の処分や再発防止等を講じたものです。これは、当機構は内部通報制度が有効に機能して、問題事案を自主的に根本から見直すことができるといった組織であることの証左でもあるのではないかと考えているところです。説明は以上です。

○松尾主査
 ありがとうございました。全体時間をオーバー気味ですが、説明頂きました。ここからは大体35分ぐらいとなりますが、WGの構成員の皆様から御質問や御意見を頂きたいと思います。ただいまの法人からの説明以外の事項についてでも結構なので、よろしくお願いいたします。それでは、御質問をよろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか、こちらからどなたが手を挙げているか、委員が重なっていて分からないので、ちょっと事務局のほうで御発言のコントロールをよろしくお願いします。

○事務局
 承知いたしました。

○松尾主査
 すみません。発言の際にはお名前を頂ければ大変有り難いと思います。

○山口構成員
 山口でございます。幾つか意見と質問を述べたいと思います。まず、このコロナ禍の中で、本当に多くのスタッフの方をいろいろな所に派遣したり、多くのコロナ患者さんを引き受け、なおかつ一般診療も十分にこなしておられるということに本当に敬意を表したいと思いますし、職員の皆さんに、是非とも御苦労をねぎらう声を掛けていただきたいと思います。
 まず、5ページの所で、入院患者への面会制限がある中でオンライン面会を取り入れたり、終末期は面会可能にするといった臨機応変な柔軟な対応をされていると先ほど伺いました。実は、このコロナが始まって以来、私どもの所に相談が届いている中で、一番多いのが入院患者に対する面会制限による不満であったり、不安であったり、そして説明不足。そういったことが結構寄せられています。その中で、いろいろな工夫をされているということは、家族にとっても非常に安心につながるのではないかと思っているのですが、1つ、オンライン面会でちょっとマイナスのことがあるとしたら、どうしてもその機器を接続するのにスタッフの方が傍にいないといけないことで、家族間の率直なやり取りがなかなかできないでいるという悩みが寄せられたりいたします。そういったことについて、もし安全が確保できるのであれば、一定時間は家族だけの場にしてあげるなど工夫が必要ではないかと思っているのですが、現場でどういった工夫をされているのかをお聞きしたいということが1点目です。
 資料16ページの所で、右側の下に、次世代医療基盤法に基づく情報提供をされているとあります。今、次世代医療基盤法の認定事業者、3事業者が認定されておりますが、この日本医師会以外の2か所に私は関わっているのですが、次世代医療基盤法のことを理解している国民がほとんどない中で、どのように患者さんにこういった情報提供をされているのですかということをお聞きしたら、チラシを配っているというお話を事前の説明で伺いましたので、見せていただきたいと送っていただきました。これを読ませていただいたのですが、そもそも次世代医療基盤法を理解している方でないと内容が分からない内容になっています。そもそも次世代医療基盤法とは何かをもう少し分かりやすく、患者さんに説明できるような情報提供をしていただく必要があるのではないかと思いましたので、もう一工夫していただきたいなということのお願いです。
 17ページの所で、地域医療の質の向上に貢献ということで、医療従事者の方を対象とした研修会は、もう2年、3年たって、オンラインでの実施は働いている方は割と慣れてきていますので、対面よりも件数が増えるということも当然かと思うのですが、地域住民の方にも100%達成されている。これはなかなかできない。実際にコロナ患者さんを診て、職員を外に派遣して、一般診療をしつつ、住民の方への研修も100%達成しているというのはすごいことではないかと私は思いました。というのも、やはり一般の方は、オンラインが整っていなかったり、慣れていなかったり、あるいは集まることが怖いからやめてくれという理由で、ほかの医療機関ではなかなかこれが達成できていないと聞いております。ですので、どのような工夫でこういう達成ができたのかということをお聞かせいただきたいと思っております。
 あと2つですが、25ページの所に、95の病院でオンライン資格確認システムを導入したとありますが、まだまだマイナンバーカードの取得率が40%台の中で、どれぐらいマイナンバーカードを保険証代わりに利用している方がいらっしゃるのかということと、3年分の医薬品と5年分の特定健診の情報の共有ということができるようになったと思いますが、これは95の病院全てで患者に同意を求めて情報共有していらっしゃるのかどうか。ちょっと私の知ったところでは、本人確認したらもう終わりというような、一部情報共有ができていない病院があったことを存じ上げておりますので、この95全ての病院で情報共有ができているのか。そして患者さんの同意率、どれぐらいの人が同意しているのかというようなことが分かれば教えていただきたいと思います。
 長くなりますが、最後の30ページの所で御説明いただきましたが、確かに、最初に内部通報があって、問題が発覚して、実際に不適切な業者との関わりがあったということは、これはマイナスのことではあると思っております。しかし、そもそも内部通報がきちんと機能していたということは評価されることではないかと思います。私は以前、特定機能病院の集中立入り調査に関わったことがあるのですが、大きな病院であっても、内部通報の窓口は設置している。ところが、職員に対してその周知ができていない医療機関がほとんどでした。でも、これは内部通報の機能がしっかりと働いたということと、この問題によって、内部通報ということが国立病院機構職員の方の理解に大きくつながるきっかけになったのではないかと思っています。
 そして、更に外部調査委員会を設置されたことで、先ほど御説明があったような組織的な不正がないということと、ほとんどの職員の方が倫理観とモラルを持っていることを確認することにつながったとことも、私はある程度前向きに受け止めていく必要があるのではないかと思っております。
 ですので、今回のことは、確かに1つはマイナスですが、これをもって、更にプラスに働くように、職員全員の方に注意喚起していただくと。そういう機会に是非ともしていただきたいと思います。以上です。

○松尾主査
 ありがとうございました。それで、これを一つ一つ答えていただいてもいいのですが、そうすると、恐らく構成員の皆様、発言できない方が出てくると思います。今日のやり方としては、まず、構成員の皆さんに意見を伺った上で、後で整理をして、法人のほうからお答え頂くというようにさせていただきたいと思います。ただし、忘れてしまうといけないので、特にここだけ簡潔に一言だけ言っておきたいということは発言していただいて結構ですので、そのときには、その旨をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

○事務局
 事務局です。河村先生から御意見があります。

○松尾主査
 河村構成員、よろしくお願いします。

○河村構成員
 進め方について、松尾先生、恐れ入ります。私、いろいろな項目でいろいろとお尋ねしたい所がありますので、できれば1問1答で簡単にやっていただきたいのです。全部まとめてとなると、かえって議論しにくくなると思うのですが、そういうやり方もちょっと御検討いただけないでしょうか。

○松尾主査
 分かりました。それでは、今の山口委員の質問は5つあったのですが、このうち、1つはコロナの診療の工夫をどうされているのか。それから、次世代医療基盤法について、情報共有、内部通報、大体大きく4つあったと思うのですが、それに関連する質問はありますか。

○亀岡構成員
 ありますが、若干角度がそれぞれ違うとは思うのですが、同じ項目についての質問はあると思います。

○松尾主査
 進め方は、時間が限られているのでなかなか難しいのですが、質問と回答のほうは是非簡潔にお願いしたいというように思います。多分そうしないと全部回らないと思うのです。それでは、まず機構のほうから、今の山口委員の質問について、それぞれごく簡潔に説明をお願いします。

○国立病院機構医療部長
 それでは、山口委員から頂いたオンライン面会の工夫と地域住民への研修の参加の促進という2点について私から答えさせていただきます。
 オンライン診療については、原則対面を進めるということでやっているのですが、対面がかなわない場合には、スライドの写真にあるように、職員が面会用のタブレットを設定後に席を一旦外す、タブレットをベッドサイドに固定するなど、職員が同席せずに、患者と家族のみの空間となるように配慮するといったことを実施しています。また、状態によって面会が難しい患者さんについては、患者の院内における様子、入院生活の風景等を動画や写真として撮影した上で患者家族へ送信する。退院や転院される場合には、介助の仕方などを動画として録画し、動画を活用しながら患者やケアマネージャー等に分かりやすく説明するといった工夫をしている病院もあり、御家族から喜びの声を頂いているところです。
 2点目の地域住民の研修参加への促進の工夫ですが、地域の感染状況に波がありますので、その波に合わせて実地でやる場合、YouTube等で配信する場合、そのハイブリッドといったものを工夫して組み合わせております。

○国立病院機構理事(医務担当)(前田)
 続いて、次世代医療基盤法に基づく啓発と普及についての御指摘です。次世代医療基盤法については、データの利活用を行うと患者の体質や既往歴等を踏まえた最適な医療の提供につながり、そういったことについて分かりやすく情報提供をするように工夫していきたいと思います。どうもありがとうございました。

○国立病院機構企画役
 オンライン資格確認の関係で、マイナンバーカードによる保険証の利用についてお尋ねがありましたが、御案内のとおり、今、政府を挙げて国民にPRをして取得を進めているところです。また、特定健診、特定保健指導の結果の閲覧といったところも周知をしているところですが、ちょっと今、手元にNHOの関係のデータはありませんので、確認をして、また御連絡申し上げたいと思います。

○国立病院機構理事(雇用管理担当)(樋口)
 内部統制のことについて御意見を頂戴しました。正に委員のおっしゃるとおり、そういったことも糧にしながら、今後とも十分、内部統制機能が発揮できるようにしていきたいと思っております。
 これまで職員の倫理観に頼ることをベースにして内部統制を機能させてきたのではないかという反省点も今回の事案から分かりましたので、今後は、そういった不正の機会をなくすという形の組織的な対応に重点を置くことも含めて、見直しを行っていきたいと考えているところです。

○松尾主査
 ありがとうございました。それでは山口委員、よろしいですか。またありましたら、後で、追加でお願いします。
 続いて、河村委員、よろしくお願いします。

○河村構成員
 御説明くださりありがとうございます。最初に、本当にコロナ禍の下で大変な医療、機構の病院だけではなく、ほかの医療機関に対しても大変な貢献をされたということを本当に国民もよく分かっておりますし、極めて高く評価できると思っております。最初にまず意見の所だけ。
 評価項目1-1-3の国の医療政策への貢献はSですよね。その下、1-2の臨床研究もS。そしてその下、教育研修事業は昨年度のBからAに上げられていると思いますが、この3つの評価は妥当だと思います。教育研修もコロナ禍にありながら、いろいろ制約はおありになったと思うのですが、高い実績を残されたと思います。
 ほかのところで幾つか確認していきたいのですが、まず1-1-1、医療の提供の所です。見る限り、ちょっと昨年と比べてどこがどう改善したのかなというところがよく分からない所があって、そこを簡潔に、評価が上げられている理由を御説明いただけないでしょうか。

○松尾主査
 では、法人のほうからよろしくお願いします。

○国立病院機構医療部長
 医療の提供については、4ページの定量的指標については、特定行為を実施できる看護師の配置数について123.9%を達成していること、また、コロナ全般への対応として、質的に卓越したものがあるということで評価をしております。コロナの対応については、先ほども説明しましたが、一般医療とコロナ医療の両立と維持について実施をしました。また、手術件数についても令和元年度までは回復しておりませんが、令和2年度の18万5,000件を上回る19万7,000件と増加をさせていること。また、PCR検査は令和2年4月には195件でしたが、その後の令和4年1月には4万5,900件と増加を見せている等を踏まえ、自己評価をAとしております。

○河村構成員
 微妙なところですが、ギリギリAに上げられるかなぐらいのところだと思います。次の1-1-2の地域医療への貢献の所はいかがでしょうか。これは評価項目から除外するのがおありになるのですよね。紹介率の所でしょうか。それは昨年に続いて除外ですか、それで、除外するということを資料に書いてくださっていますか。先ほど口頭では御説明くださったのですが。

○国立病院機構企画役
 資料7ページの所ですが、この除外していることについては、短期入所や通所事業については除外をしているということです。

○河村構成員
 そうですか。

○国立病院機構企画役
 短期入所、通所事業、それぞれ達成度が低かったわけですが、ここに書いてあるとおり、入所、入院患者の安全のために、これはやむを得なかったということで評価から除外をしております。

○河村構成員
 分かりました。失礼しました。それで、除外したということを何で書かれないのですか。

○国立病院機構企画役
 この7ページの真ん中に、記載をしております。

○河村構成員
 書いてある。すみません。私が頂いている資料が古くて、ごめんなさい。

○国立病院機構企画役
 御指摘を頂いて、記載をいたしております。

○河村構成員
 分かりました。こちらで見ます。すみません。それで、ちょっとお尋ねしたいのは、S評価に上げていらっしゃいますよね、これは政策評価官室のほうにお尋ねしたほうがいいのかもしれませんが、こういった事情があるのは分かるのですが、2年とか連続で評価対象から除外したものがあったときに、それでもS評価を付けて、それは総務省でいろいろ決めている国としての考え方があるとは思いますが、差し支えないのでしょうか。

○松尾主査
 これは国のほうで答えていただけますか。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 御質問ありがとうございます。政策評価・立案評価担当参事官でございます。簡潔にお答え申し上げます。一言で申し上げると、あり得るということです。2年連続という御指摘がありましたが、毎年度、毎年度、そのときの情勢に対応して、国立病院機構に限らないお話ですが、取組をされていると。それでの業務実績で今回が3年度ということですので、それの中で、御指摘の総務大臣のこの指針という中でも量的、質的に上回る顕著な成果が得られているかどうか、Sと。こういったところを鑑みて自己評価もされてきていると承知していますが、その点についても、構成員の皆様から忌憚のない御意見を頂戴できればと考えております。

○松尾主査
 河村委員、いかがですか。

○河村構成員
 ありがとうございます。今の点については了解いたしました。そうしたら次のところです。2-1の業務運営の効率化の所でお尋ねしたいと思います。23ページの所です。自己評価Aにしていらして、この経常収益がどう推移したのかということは、例の国から補助金が出た話も含めて、いろいろグラフ等でもお書きくださっていて、この補助金のことは、国の方針ではあるのですが、やはり国民のほうから非常に厳しい目線があるということを、どうか御理解いただきたいと思います。私は財政審の仕事もしていますが、財政審のほうのメンバーでも同じ意見ですし、やはりコロナの影響で赤字が出たのは、国として補填して埋めるということには異論はないのですが、これだけ大幅なことまでする必要があったのかとか、NHOさんがそんなことはないと思いますが、本当に病床の確保に使われていたのかというような問題意識があったのも事実ですので、そこを是非、しっかりと受け止めていただきたいと思うのです。
 それに関係して、次の3-1の所に予算、収支計画及び資金計画が出てくると思うのですが、これもB評価からAに上げられていると思うのです。それで繰越欠損金が解消できたと。いや本当によかったと思います。NHOさんが独法化されたときに、すごく不利なというか、厳しい条件を国に課せられた中でやっていらして、解消できてよかったと思うのです。長期債務も償還できていると。よかったと思うのですが、ただ、これ一体何で償還できたのかなということを考えると、お金に色はありませんので、医療収支が裸の状態でやっていたときにこれができたのかというと、そうではなかったのではないのかなという気がいたします。ですから、私はちょっと、ここの評価は微妙かなと、Bかなというような感じがいたします。これは意見です。
 最後に、4-1の業務運営に関する事項で、例のいろいろ問題が出たところについて申し上げたいのですが、この点、私は仕事柄いろいろな新聞に毎日全部目を通すのですが、今回、報道は極めて多かったと思います。国立病院機構さんは、過去にもいろいろちょっと問題になる事例があったり、この場で議論になったこともありますが、そういうときに比較して、すごく増えた。今回すごく報道が多かった。本当に各紙、主要紙、ほとんど全部取り上げたし、1回ではないですよ。つい最近も出てますよね、たくさん記事が出てますよね。これ何でだと思いますか。これは私の考えなのですが、今まで国立病院機構に対する国民の名称としての認知度は余り高くなかったのですよ、ああ、うちの近くに何とか医療センターという大きな国立の病院か何かあるなと思っているけど分かっていない。だけどコロナで、これだけ御尽力くださったことがすごく国民によく分かった。すごい立派な国の病院があるんだなということが分かったのですよ。ある意味知名度が上がったというか、当然なのですが。だけど、そこにもってきて、この事件が表に出てしまった。何でこんなに報道が出たか、国民はがっかりしたのですよ。すごい立派な病院だなと、本当に医療関係者の方々、自分たちの身の危険だってありますよね、感染リスクだってあるのに、あんなにやってくださって、身を粉にしてやってくださって、すごい立派な病院だと思ったのに、がっかりした。役得みたいなことを、自分の懐に入れるようなことをやっているようなところだったのか。そこが出ている。やはりそこは正直申し上げて、謙虚に受け止めていただきたいと思うのです。先ほど、何でB評価になったのかという理由の中で、弁護士の先生とかで委員会を作って調査をされていると。まだ報告書は出ていないけれども、理事長先生とかにお話があったと。そのときに、大多数の職員はやっていないということが分かったと。何で調査中なのに、もうそういう結論じみたことを理事長先生にお話するのですかね、その委員会の方。そんな話を伺っていると、私が聞くと、その調査委員会は、本当に独立しているのかな、中立性が担保されているのかな、お手盛になっていないかなという気がしますよね。非常にそういうように思います。内部統制が機能していたからいいということには、私はちょっとならないと思います。
これは意見として申し上げますが、本当に、国で最大の独立行政法人ですよね、5万人ぐらい職員がいらして、全国に200も病院があるわけですよね。すごく大変だと思います。でも、やはり今のやり方だと、ガバナンスが回りきらなくなってきていませんか。少しそこを抜本的にお考え直しいただかないと。多分、今は地域ごとに御担当の役員を決めてやっていらっしゃると思うのですが、ちょっと目が行き届かなくなりつつあるというか、やり方をもう少し抜本的に考えていただいたほうがいいのではないかということ。
 あともう1つ、何でこうやって続いてしまうのかなと思うのです。こんなに立派な病院なのに。1つの原因は、私がちょっと申し上げにくいのですが、経営陣の方々の意識だと思います。でも、今回の評価がBと出てくるということは、多分そんなに大事だと思っていらっしゃらないことの表れだと思います。その経営陣の姿勢を職員の方たち皆さん全国で見ているのではないですか。私たちはすごく立派な仕事をしている、医療の立派な仕事をしているから、別にこんなの大したお金が動いているわけでもないしというように思ってしまわれていませんか。私はそんな感じがいたします。御検討をお願いしたいと思います。すみません。以上です。

○松尾主査
 ありがとうございました。今の河村構成員の意見は2つあったと思います。1つは、病院の収支と補助金との関係です。もう1つは、今回の不祥事に関係して、ガバナンス、内部統制に対する機構の執行部の考え方。この2つの質問があったと思います。
 それでは、法人のほうから意見をお願いします。

○国立病院機構企画役
 簡潔に申し上げたいと思います。経常収支の黒字の点でございますが、我々として、要因については大きく3点ぐらいあるかなと思っています。1つはコロナ患者の受入数が、令和2年度に比べて、ほぼ倍増の24万人ということが1点です。2点目としては、一般診療、セーフティネット系の医療をしっかり頑張って、例えば救急車の受入件数、手術件数、これは令和元年度並みまで増加してきたといったところが2点目です。3点目で、コロナ禍の対応に従事する職員への手当、一時金の支給などが相まった結果だと考えております。

○松尾主査
 今の回答では河村構成員の質問への回答にはなっていないのではないかと思うのですが。

○国立病院機構副理事長
 松尾先生、古川でございます。補足させていただいてよろしいでしょうか。

○松尾主査
 はい。

○国立病院機構副理事長
 まず、収支と補助金の関係ですが、確かに補助金は頂戴いたしました。また、Aではないというコメントを頂きました。病床の受入体制が整っていなかったのではないかという御指摘については、我々としては、正に、いざと言うときにきちんと受け入れられる体制を作っておくということで、人員も体制を整えまして、準備をしていたということですので、適正に対応していたと考えているところです。
 また、今、西川企画役が説明申し上げましたが、通常のコロナ以外の診療と両立したことによりまして、例えば入院収益であれば昨年度より300億円、外来収益で150億円増の他、いわゆる公経済負担の見直しや、計画的に施設整備をコントロールしてきた分の減価償却費が40億円ぐらい減っているということを合わせますと、コロナ補助金と関係ないこうした部分の取組だけでも600億円以上に達するということです。補助金を頂いて、確かに経常収益にプラスに寄与したけれども、見合うだけの取組は誠実にさせていただきましたし、それとは別に、今申し上げただけでも600億円程度の規模感の実質的な取組などが功を奏しているということであり、それらと相まってということでございます。
 また、外部調査委員会につきまして、なぜそのような情報が公表されていないのに持ち合わせているのかということですが、今日、こういう御指摘があろうということは当然想定されました。そこで全く分からないままでは議論が進まないので、可能な範囲で教えてほしいということを申し上げたところ、非公式の形で先ほどのような情報を頂いたということです。調査は、本当にフェアに独立体として実施していただいておりまして、決して不適切な関係で調査が行われているわけではないということです。

○松尾主査
 ありがとうございました。今の2つの件については、まだ、これから質問とか意見があるかもしれませんので、先に構成員の皆さんの御意見を伺いたいと思います。

○河村構成員
 すみません、一言だけ言わせていただいてよろしいでしょうか。

○松尾主査
 はい。

○河村構成員
 今の4-1の所ですが、御回答を伺ったのですが、私はここの項目はC評価が妥当だと思います。

○松尾主査
 それでは亀岡構成員、どうぞ。

○亀岡構成員
 重なっているところは省略します。私からは4点ございます。簡潔に説明をします。まず、8ページ目の所で、地域貢献ということで、非常にすばらしい内容だと思います。確認させていただきたいのは、地域貢献ということでは、JCHOも同じような地域貢献をされていたかと思います。JCHOとの作業等の区分けはどのようにされているのかについて、お聞きしたいのが1つです。
 次に、先ほど話がありましたが、23ページです。先ほど補助金という話がありましたが、この中で、「特に貸借対照表の固定資産として計上される額は含まない」と書かれています。つまり、施設整備等の分だとは思うのですが、この金額を実質的にどのぐらい頂いているのかということを教えていただければと思っています。これが2点目です。
 3点目は、25ページです。本部出資金の運用というのがあります。この本部出資金の運用というのは、国等からの補助金に頼らない本部出資金を令和3年度に創設し、運用を開始したということで、ここでは63.2億の投資が決定したということなのですが、貸借対照表を見ても、どこにも具体的な数字は出てきていないので、幾らぐらいの資金を集めて、どのように管理をしていて、使って、幾らぐらい残っているかということが分かれば、教えていただければと思います。規模感が見えません。
 最後ですが、30ページの先ほどのコンプライアンスの徹底への取組ということで、1つは見付かった後の情報公開、また調査をしているということに関しては、私個人としては非常に評価しております。ただし、どうかなと思うのは、「内部通報について信憑性が定かでないなどの場合であっても、全て正式な通報として受け付けて対応している。」の部分です。これは一般の企業では当たり前のことです。事実としてあるかどうかを確認するのは当たり前であって、それをあたかもやっていますよと思われる表現のようで、そうすると、普段はしていないのですかと思われかねません。こういうことをあえて言わなくてはいけないということ自体が、申し訳ないですけれども、コンプライアンスに対する意識が低いのかなと私は思います。一般企業では、もっと小さなこと、ちょっとした使い込みでも、全部、受け付け調査をします。もっと言えば小さな声を拾い上げることが通報制度の重要な役割であって、通報内容が重要なことだから調査をやるということではないと思います。私はこのスタンスが気にはなっております。こういう書き方をすると、信憑性が確かでない場合、それでも今回あえてやってみたら、このようなことがあったのだというようなことでは、本来の通報制度の役割が果たせないと思いますが、いかがでしょうか。

○松尾主査
 ありがとうございます。今の2つの業務名と、コンプライアンス、内部統制に関するところで、構成員の皆様から関連した御質問、御意見はございますか。それをお聞きしてから、まとめてお答えしていただこうかと思います。いかがでしょうか。

○田極構成員
 今回、本当にコロナの中で、多分現場の方たちは相当疲弊している中で一生懸命取り組まれた成果を御発表してくださったと思っております。確かに看護師の方も、コロナ対応をされている方も含め、またそれ以外の方も、人材が不足していく中で通常の医療も回していかなければいけないという中で、これだけ立派な実績を上げられたことについては、非常に高く評価したいと思います。
 今のコンプラのところなのですが、ここに関連してということなので、ここについて述べさせていただきます。亀岡構成員がおっしゃったように、上の3行については当たり前だということは、確かにそうかと思います。ただ、こういう内部通報の結果、調査をして、その結果を公表しているということについては、これを隠してしまうということで、別の所から指摘をされたり、そういったことではなくて、自らの手で調べて、不適切だったということを公表して、全部聞き取り調査などを進めたことについては、正しいことを行ったという点で、ガバナンスは正しく行われていたと評価できるのではないかと思います。
 非常に残念なことではあります。ただ、これがよくニュースで出てくるものというのは、外部から指摘されて問題になってニュースになっているものが多い中で、自らちゃんと公表して取り組んだというところについては、そこを軽く評価してはいけないのではないかと思っております。
 今後、こういったことが厳しく評価されてしまうと、潜ってしまう、隠してしまうということが決してないようにお願いしたいと思いますが、これからも透明性高く運営していただきたいと思いますし、1人の方が勇気を奮って内部通報制度を使って告発されたということだと思いますので、こういったところをこれからもきちんと汲み取って、事実関係を、外部の有識者なども使いながら、ちゃんと調べて適切な対応をお願いしたいと思います。
 1点、簡単に「再発防止」とおっしゃっていましたが、再発防止というのは具体的にどのようにされているのかというのを、簡単に教えていただければと思います。

○松尾主査
 ありがとうございます。関連した御意見、御質問はございますか。

○本田構成員
 コンプライアンスの部分について関連のということでしたので、私も意見を表明させていただきたいと思っています。私は報道機関に籍を置く者でして、先ほども御指摘があったように、大変多くの報道機関で報道されたということについて、国民はこういうことがあったのは残念に思っているということが、1つはあると思います。ただ、一方で、こういうことをきっちり出したということを、報道機関の人間として、こういうことは出していくことが重要なのだということを表明しているというように、私個人としては考えています。
 ともすると、コロナの中で、皆さんが大変御苦労されて尽力されていることをみんな実感していますし、だんだん分かってきた。初めは混乱している中でよく分からない、どうなっているのだということがだんだん分かってきた。皆さんも、いろいろなことをどんどん力を入れて、強化されてきたことを我々も評価していると、私自身は評価していると思うのですけれども、その中で、こういうことを、つい潜ってしまうことが今まで多かったと感じています。それは事実として分からないのですけれども、そうではないかというような意識を持っています。それを自ら出してきたということを評価して、これからもその方向性をちゃんと持っていってもらいたい。それを評価する国、そういうことを出していくことが大事なのだと。それを、再発を防止していくことが大事であって、ないことが当然であってほしいのですが、どこにでも問題、課題はあると思いますので、それを改めていくという姿勢を出していくということで、私は評価したいと思っています。このコンプラのところについては、そのことを申し上げたかったので、意見として申し上げました。私も再発防止のことについては、これからどうしていくのかしっかりと示していただきたいと思っています。

○松尾主査
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。時間が過ぎているので、簡潔にお願いいたします。

○山口構成員
 先ほどの河村構成員の御意見に対して、一言申し上げたいと思います。先ほど河村構成員が、「報道件数が増えたのは、国民ががっかりした結果だ」というようにおっしゃいましたが、横に本田さんがいらっしゃるので非常に言いにくいので、どうしようかと思っていたのですが、32年にわたって患者家族からの電話相談を聞いている立場から言いますと、報道が世論を作ると私は思っています。がっかりした結果が報道の件数に表れるということはまずないです。ですので、今回は自主的にこういうことが分かったということを発表されて、それが非常に大きな法人であったということで報道が増えたのではないかと思っていますので、その辺りは認識を変えていただけたらと思います。
 それから、補助金のことについてもそうですけれども、国立病院機構が、特別何か手を挙げてしたわけではなくて、国が決めた方針に従って、しっかりとコロナを受け入れた病院の全てが補助金の対象になっていますので、あたかも国立病院機構やJCHO、そういった所だけが特段取り上げられることについては、私はおかしいのではないかと思っていますので、国の決めた方針に従って診療した結果の補助金であるという、正当なものだというように思っております。

○松尾主査
 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。特になければ、まとめて法人から簡潔にコメントいただきたいと思います。

○国立病院機構医療部長
 それでは、JCHOとの地域医療に対する対応の組合せですが、これについてはJCHOの本部とこちらで直接やり取りすることはなく、都道府県や国の要請に基づき、地域での役割に応じて対応しているものでございます。

○国立病院機構企画役
亀岡構成員から、23ページに記載しているコロナ関係の補助金収益の1,196億円の所に括弧書きで、「貸借対照表に固定資産として計上される額は含まない」と書いていますが、これを含んだらどうなるのかというお尋ねがございました。
 27ページの決算書の注記に、結構細かく補助金について1つずつ全部記載しております。その中に、「資産見返補助金等」という項目があり、206億円余りの数字を記載しております。ただ、これの上のほうを見ていただければ分かりますが、コロナ以外のものも入っておりますので、今ここは計算できませんので、かなりの割合がコロナ関係です。それが1点です。
 もちろん、御案内のとおりと思いますけれども、この206億円の数字というのは耐用年数がありますので、単年度だけで全部見るというものではないのかなと思っています。
 もう1つは、本部出資金が財務諸表上見えないということでしたが、これも御案内だと思いますけれども、本部と病院の間の資金のやり取りは内部取引ですので、決算書上は見えてこないということです。

○亀岡構成員
 私が知りたいのは、「本部出資金」の総額と言いますが全体の規模です。「本部出資金」を創設していると書いているわけですから、幾ら集めて、そのうちの60何億を使用し、そして、年度末には幾ら残っているのか。内部取引だから消えているとか、そういうことを聞いているのではありません。内部取引であろうがなかろうが、当たり前かもしれませんけれども、特定資産としての○○積立資産のように、法人の中の資金をこういうものに使うのですよと貸借対照表に出てもおかしくないはずなのです。内部取引だから出ませんというのは、当たり前といえば当たり前のようだけれども、例えば、1つの法人の中で、一病院しかなかったとしても、その病院の中にあるお金を施設整備の積立資産として積み立てていると言えば、通常、貸借対照表に「施設整備積立資産」等として表示されます。だから、内部取引だから貸借対照表に表示されませんというのは、ちょっと回答としていかがなものでしょうか。例えば現預金の中に○○円含まれていますとか、そういうことであれば分かりますけれども。

○松尾主査
 ありがとうございました。もう一点、コンプライアンス、内部統制、ガバナンスについて、先ほど答えていただきましたが、更に追加のコメントがあれば法人のほうからお願いします。

○国立病院機構理事(雇用管理担当)(樋口)
 コンプライアンス関係について答えさせていただきます。まず内部通報、こういった情報が不十分でも取り扱うのは当たり前ではないかという御指摘を頂きました。正にそのとおりでございまして、むしろ我々本部側といいますか、経営陣の腹積もりとして、こういうのも包み隠さず調べますというのを意思表明させていただいているところでして、それが徐々に浸透してきた結果ではないかと考えているところです。もちろん、当たり前と言われれば当たり前のことではございますが、これは今後とも徹底してまいりたいという決意表明でもございます。
 それから再発防止策ですが、先ほども申し上げましたが、これまでは職員個々の倫理観に頼るところが多々あったのではないかというところもございましたので、当然、職員の倫理観を今後とも高めていくという努力はするのですが、併せて環境、例えば不正ができるような環境をできるだけなくすということでして、例えば取引業者との間で、メールでやり取りをする場合に、個人メールアドレスでのやり取りは禁止するということと、その代わり、係共有のメールアドレスを使って、係内で情報が全部共有される、それから、業者と相対でやり取りするような場合でも、開けた場所、他の職員にも聞こえるような場所といった所で、不正を行おうとしてもできないような環境を構築することに重点を置いて、再発防止策に取り組んでまいりたいと考えております。ほかに何か回答に漏れがありましたら、御指摘いただければと思います。

○松尾主査
 ありがとうございます。もう時間を大分過ぎておりますので。このワーキングは結論を出す所ではございません。以前は結論を出していたのですが、今はそういう場ではないので、構成員の皆さんの様々な立場から御意見を頂きましたので、これをもとに、国のほうで最終的に評価がなされるということです。

○国立病院機構財務部長
 1点だけ補足させていただいてよろしいでしょうか。

○松尾主査
 どうぞ。

○国立病院機構財務部長
 先ほどの本部出資金の件として集めた金はどれぐらいかという御質問についてです。感染防止対策整備で29億円、老朽化対策整備で41億円ということで、約70億円を本部に集めております。63.2億を使っていますので、今現在は7億ほど管理しているものがある状況です。

○松尾主査
 ありがとうございました。これはコロナ関係の補助金による収益、これをどのように考えるのかというのは非常に難しいところではあると思うのですが、是非、そこのところはきちんと予算にも反映していただいて、例えば、感染症はコロナだけではなくて、いろいろなものが次々起こってくるとは思うのですが、そういったところに対する設備投資などは、日本の病院は、まだまだ全然足りないと思うのです。そういったものに役立てるなり、もうちょっと国民の目線において納得できるようなものになる。これは国立病院機構だけではないのですが、そのような形で有効に使っていただくといいのではないかなと思っております。
 まだまだ御意見はあるかと思うのですが、今日は時間をオーバーして申し訳ありません。

○斎藤構成員
 まだ発言のチャンスを頂いていないのですが、一言よろしいでしょうか。

○松尾主査
 申し訳ないです。お願いします。

○斎藤構成員
 全体の評価をAとしていらっしゃいますが、私はSに値すると思っております。いろいろなところを細かく見ると、それは経営には当然要求されることですが経営のアプローチとして非常に柔軟に、危機時においても努力をしていらっしゃるという経営努力をまず評価したいと思います。これだけ大変なときに、人手が足りなければ、人をどうにかして雇いたいというようにしか普通は思わないところを、残業の分析をして、それを、柔軟に人振りをするという経営的な柔軟性、これはなかなかないことだと思います。
 それと、医療を提供するのは当然のミッションではありますけれども、病気を見ているのではなくて人を見ている、その病気を持っている人を助けるために努力をしていらっしゃる。それは面会時の工夫でも明らかです。いろいろな資料を拝見して、それが随所から私には感じられました。ですから、医療だけを提供しているのではなくて、人間を見て医療を提供しているということ、それが組織のカルチャーになっていることを、この何年か拝見していて思っておりました。それは経営陣の努力が反映されているのだと思います。
 ですので、コンプライアンスの問題などはあるかもしれませんが、全体的に見て国の一大危機のときに立派にやっていらっしゃる、それはSに値すると思っております。

○松尾主査
 斎藤さん、どうもありがとうございました。富田さん、まだ発言がありませんけれども、よろしいですか。

○富田構成員
 私の意見は皆さんが言ってくださったと思うのですが、1つだけ触れていないところをお話をしたいのが13ページの所です。DMAT体制です。DMAT事務局の本部は、国立病院機構がしっかりとケアしてくださって、運営してくださっています。
 このコロナ禍においてDMATが果たした役割は、革命的なものだと思います。DMATは災害対応だったのです。感染に対応することは想定していなかったのですが、DMATは感染症へのトレーニングを受けていないにもかかわらず、今般国からの要請に応じてコロナ感染症に対して活動し、クルーズ船へ果敢に出動し、最初から最前線に出て行ったのです。去年、令和3年度は様々な施設、老人施設のクラスターで悲劇が起こりそうな所にDMATが入っていって、その多くを制御して、悲劇を未然に防いでいます。このことを余り新聞などは報道しませんけれども、コロナ感染症のパンデミックを災害と捉え、DMATが組織的に対応する体制ができたことは、日本に革命を起こしたと思っています。これは大変に大きな貢献で、国は随分助けられていると思うのですが、そういう意味でも、私も令和3年度のNHOの活動実績については全体でSというのには大賛成です。

○松尾主査
 ありがとうございました。お待たせしました。法人の監事の方から発言をお願いします。

○国立病院機構監事
 監事でございます。よろしくお願いいたします。監査の結果についてです。令和3年度の監査結果についてはお手元の監査報告のとおりであり、特に問題はございません。
 法人の業務運営の状況や今後の課題についてです。令和3年度においては新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況の中、国から負託を受けた公的医療機関として理事長の強力なリーダーシップの下、新型コロナウイルス感染症への対応はもちろんのこと、地域医療、セーフティネット医療の維持に、職員全員がワンチームとなって取り組んだことを高く評価したいと思います。コロナ対応に当たっては、国、自治体からの要請に応え、通常診療を制限してまでも病床確保、医療従事者確保を行い、コロナ患者の受入れに、積極的に取り組みました。
患者数の縮小により2期連続の医療収支赤字を余儀なくされましたが、病院職員が自らの感染リスクと戦いながらも懸命に診療に当たったことや、本部主導による様々な経費節減努力、公経済負担の廃止などにより、経常収支が黒字となり繰越欠損金を解消したことは、国、自治体の期待に応えることができた証左であり、自収自弁の法人運営が果たせたものと評価しております。なお、先ほどからございましたとおり、本年3月に公表した取引業者との癒着に関する不祥事事案につきましては、誠に遺憾な事案であり、監事としても外部調査委員会の調査結果報告や再発防止策の徹底状況等を注意深くフォローしていく所存でございます。
今後の課題です。足許のコロナ感染症再拡大により、コロナ患者の受入数は再び増加している一方で、入院・外来とも患者数の減少傾向は継続しており、昨年度と同様に不安定な経営を強いられているという状況にあります。
係る状況下にあっても、自収自弁の経営を果たしていくこと、公的医療機関として2040年を見据え、地域医療構想の中で国及び地域から求められる医療の提供をしっかりと継続していくこと、職員が安全・安心に働くことができる働き方改革に取り組むことなど、様々な課題に同時平行で取り組んでいかなければならないものと認識しております。これらの課題を乗り越え、中期目標を達成していくためにも、業務運営に係る改善の取組に不断の努力を継続し、安定的な法人運営を行っていくことが重要であると考えております。

○国立病院機構理事長
 引き続きまして、理事長の楠岡から発言させていただきます。当機構の業務実績について説明の時間を頂戴し、また、御質問、御意見を頂き、ありがとうございます。
令和3年度は、引き続き新型コロナウイルス感染症への対応に、当機構がワンチームとなって積極的に取り組むという大方針の下、コロナ病床の確保や医療従事者の派遣等、国や自治体からの様々な要請に応え続けてまいりました。公的医療機関を経営する法人として、広範囲かつ質的に重要な役割を果たすことができたものと考えており、これらの取組は、国や地方自治体等の関係者から高く評価されております。
 コロナ流行以前に設定した定量的評価指標については、コロナ禍にあっては一部達成できない項目もございましたが、他方、コロナ禍以後に関する国等からの多くの要請に対して、国立病院機構として優先的に注力し、最優先課題として全力で取り組んでまいりました。急性期の一般病院だけでなく、セーフティネット系の病院を含めた140病院の全てが、各々できる限りの取組を行い、コロナ対応に貢献した点は、御理解いただきますようお願い申し上げます。
 経営面では、令和3年度の経常収支は黒字となりました。これはコロナ禍における治療行動の変化等により、コロナ前と比べて患者数が大幅に減少する中で、セーフティネット医療の分野や、地域から特に継続を求められる救急医療や周産期医療などの機能を維持しながら、国等からの要請に応えて、可能な限り多くのコロナ患者を受け入れたことに加え、コロナ禍においても各病院が費用削減につながる取組を進め、収支改善に努めたこと等によるものと御理解いただければと存じます。
 また、今後の法人経営がこれまで以上に厳しくなることを見据え、コロナ対応と並行して、引き続き、着実な費用削減、医療機能の維持・向上を図りつつ、中長期的に安定した投資を継続するための投資枠の設定等の取組を継続してまいります。
 令和4年3月には、当機構職員による倫理規程等に違反する行為が確認されたため懲戒処分等を実施いたしましたが、本事案につきましては当機構として大変重く受け止めており、引き続き再発防止策の徹底に全力で取り組み、患者及び国民の方々の信頼回復に努めてまいります。
 今後はコロナ後を見据えた経営体力の強化に加えて、第8次医療計画への対応、2040年に向けた地域医療構想への対応等、病院経営を取り巻く大きな環境の変化の中で、各病院が引き続き地域から求められる医療を安定的かつ継続的に提供していくことが重要となります。将来を見据え、職員一同努力を重ね、厚生労働大臣から示されている中期目標の内容を達成してまいります。
 また、働き方改革の観点から、職員の長時間労働の削減を最優先課題として、引き続き全ての職員が安全・安心に働ける職場作りに努めてまいります。これらに加え、良質な医療やよりよい患者サービスを継続的に提供していくためのNHO診療系新システムのプラットフォームの構築やセーフティネット分野の医療、新興感染症への取組、地震等の災害対応などを進めることで、今、必要とされる地域医療に貢献するための更なる一歩を踏み出したいと考えております。
 終わりに、今般のコロナ禍が及ぼす法人経営への影響は予断を許さない状況でございますが、我々は今後とも国立病院機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修を継続的に的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献してまいります。引き続き、本有識者会議の皆様の御指導、御弁撻をよろしくお願い申し上げます。

○松尾主査
 監事並びに理事長、どうもありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がございましたら、構成員のほうからよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本日は私の不手際で、時間を大変超過してしまいましたが、診療事業、教育研修事業並びに研究事業といったものについて、コロナ禍の中で大変よくやっておられるという皆様の御意見だったかと思います。
 一方で、収支等々、特に医療運営の中でのコンプライアンス、ガバナンスといったところについても、社会の非常に厳しい目もあることから、しっかりと説明責任を果たしていっていただくというのが皆様の意見だったかと思っております。
 以上で、本日の議事は全て終了いたしました。どうもありがとうございました。
 最後に事務局からアナウンスをお願いします。

○事務局
 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた国立病院機構の令和3年度業務実績評価については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定して、法人及び総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表させていただきます。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 松尾先生、オンラインで非常に不慣れな中、ご苦労されたと思います。どうもありがとうございました。

○松尾主査
 大変至らない司会で申し訳ございませんでした。次回からは、なるべく対面で参加したいと思っています。
 本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。長時間にわたり大変熱心な御議論を頂きまして、ありがとうございました。これで本日の会議を終了したいと思います。今後ともよろしくお願いします。  

(了)