- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会) >
- 第16回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
第16回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
日時
令和4年7月8日(金) 14:30~17:00
場所
web会議
(AP虎ノ門:東京都港区西新橋1丁目6-15 NSC虎ノ門ビル11F)
(AP虎ノ門:東京都港区西新橋1丁目6-15 NSC虎ノ門ビル11F)
出席者(五十音順)
- 朝比奈 ミカ
- 池永 彰美
- 浦野 正男
- 大西 豊美
- 大森 雅夫
- 岡﨑 誠也
- 岡部 卓
- 奥田 知志
- 勝部 麗子
- 菊池 馨実
- 五石 敬路
- 駒村 康平
- 佐保 昌一
- 生水 裕美
- 新保 美香
- 竹田 匡
- 堀 有喜衣
- 長島 公之
- 宮本 太郎
- 宮脇 正道
- 和田 正孝(内堀委員代理)
- 渡辺 由美子
議題
- (1)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応について
- (2)就労支援のあり方について
- (3)家計改善支援等のあり方について
- (4)生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
議事
- 議事録
- ○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第16回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の皆様の御出席状況ですが、奥田委員、岡崎委員、宮本委員は遅れて出席される予定と伺っております。また、大森委員は途中退席の御予定と伺っております。
続きまして、委員の異動について御紹介をさせていただきます。
前回の部会以降、松本委員が御退任されて、新たに日本医師会常任理事 長島公之委員が任命されております。それでは、一言御挨拶をいただければ幸いです。今、いらっしゃらないですかね。後ほど御紹介させていただきます。
また、本日は、内堀委員の代理といたしまして、福島県保健福祉部生活福祉担当次長 和田参考人にお越しいただいております。
また、就労支援のあり方に関する議論の参考人として、ユニバーサル就労ネットワークちば事務局長 鈴木由美様、家計改善支援等のあり方に関する議論の参考人として、グリーンコープ生活協同組合連合会常務理事・生活再生事業推進室長 行岡みち子様、川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室担当課長 砂川康弘様にお越しいただいております。鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人の御出席につき、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(委員首肯)
○河合室長 ありがとうございます。
続きまして、出席委員につきましては22名となっておりまして、社会保障審議会令に定める定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしておりますことを御報告申し上げます。
次に、前回の部会以降、事務局に人事異動がございましたので、事務局から紹介させていただきます。
まず、社会・援護局長には、新たに川又が就任しております。
○川又局長 先週、社会・援護局長を拝命いたしました川又と申します。画面上では会場におりますので、小さくて分かりにくいかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
○河合室長 続きまして、生活困窮者自立支援室長には唐木が留任しておりますが、新たに後任として米田が着任しております。
そして、私、保護事業室長の河合と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。本部会の議事について御説明いたします。
本部会の議事については公開となってございますが、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにはYouTubeでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方々におかれましてはくれぐれも御注意のほどよろしくお願いいたします。
それでは、会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
長島委員が入られたということですので、できましたら一言御挨拶をお願いできますでしょうか。
○長島委員 遅れまして申し訳ございません。日本医師会の長島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○河合室長 ありがとうございました。
それでは、これからの議事の運営につきましては、菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、本日も大変お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
本日の議事は4つございます。1つ目が「「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応について」、2つ目が「就労支援のあり方について」、3つ目が「家計改善支援等のあり方について」、4つ目が「生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について」でございます。
進め方としましては、まず、事務局から議事(1)について資料に沿って御説明いただき、その後、議事(1)についての質疑及び意見交換の時間を設けます。続きまして、議事(2)~(4)について、まとめて事務局から資料に沿って御説明いただき、その後、鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人から、それぞれの取組について御発表いただきます。その後、参考人への質疑及び意見交換の時間を設け、最後に議事(2)~(4)についての質疑、意見交換の時間を設けたいと思います。非常に限られた時間で盛りだくさんの内容となってございます。御協力のほどお願い申し上げます。
なお、本日、朝比奈委員から資料の御提出がございましたので、資料8として配布させていただいております。
それでは、事務局から説明をお願いします。
○池上課長 それでは、私、保護課長のほうから資料1について御説明いたします。前回も御議論いただきましたけれども、「「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応について」ということでございました。前回御議論いただいた際には、取扱いの見直しに当たって留意すべき事項の御指摘なども頂戴したところでございます。今回、通知改正に際して自治体にお示しする留意事項の案を作成いたしましたので、御説明させていただこうと思います。
1ページ目、上のほうは前回の資料と同じ内容になってございますが、下のほうに臨時訪問等についてという欄を追加してございます。この訪問回数、訪問計画を設けるのですけれども、その後、機械的にその数字を当てはめるということではございませんので、念のため書かせていただきました。訪問計画は被保護者の状況の変化等に応じ見直すこととされており、世帯の状況に変化が認められる等の訪問計画外の訪問が必要である場合には、臨時に訪問を行うこととされていて、厚労省からも自治体にそのようにお願いさせていただいているところでございます。
2ページ、3ページが取扱いの見直しの内容となっておりますけれども、前回の資料だと少し御説明が足りなかったので、上のほうに見直しの趣旨をつけ加えてございます。2ページの上のほうですけれども、現行の取扱いがございますけれども、それと同様に、外部の専門機関と連携することにより、必要な状況が確認できる場合として、②、③の要件を追加し、家庭訪問とみなすことができる範囲の拡大を図るものでございます。
※印にあるとおり、必要に応じて随時に訪問を行う取扱いについて変更するものではございません。
表のところで見直しの具体的なものを入れております。前回から字句の修正が若干ありますけれども、趣旨としては同じ内容となってございます。
次に、3ページでございます。こちらも見直しの内容の2点目ということですけれども、全ての高齢者世帯が対象となるわけではなく、継続的に状況把握できる世帯が対象であることが分かるよう、前ページに掲載した文章を、このページにも確認の意味で小さい文字で入れております。その上で、生活状態が安定しており大きな変化が生じにくい世帯として想定される(ア)、または緊急時に関係者との連絡調整が可能な体制が整っている(イ)のいずれかの要件を満たす場合に家庭訪問とみなすことができるものとして取り扱うものでございます。
最後、4ページでございます。この取扱いの見直しに当たっては、留意事項を自治体の皆様にお示しする必要があるかと考えておりまして、それらについては、通知等で明示した上で実施したいと考えております。
まず、留意事項の3つあるうちの大きく1つ目、今回の見直しの趣旨について、しっかりお示ししたいと思っております。福祉事務所以外の他機関との連携によって、それらの機関が有する専門性を統合し支援に活用されることが望ましいということ。それによって、生活保護における支援の質を高めることができる。あとは、結果的にケースワーカーの業務負担軽減にもつながることが期待されるという趣旨を明記したいと考えております。
それから、これに該当したからといって、一律に家庭訪問とみなさなければならないものではないということを記載してございます。
それから、必要な訪問が行われなくなるとの懸念に関しましては、家庭訪問とみなすことができるのは、情報共有等により必要な状況確認ができる場合に限られるといたしたいと思います。
それから、必要な状況確認ができている状態であったとしても、その後、対面による助言・指導等のために家庭訪問が必要と判断した場合においては、適切に訪問を行っていただくようにお願いしたいと思っております。
それから、3点目、会議体における情報共有につきましては、会議体に参加することのみをもってするということではなくて、しっかり能動的に御参加いただいて、会議の複数の参加者から多角的な情報を共有することにより、被保護者の必要な状況確認ができる場合に家庭訪問とみなすという考え方をお示ししています。
その他、関係機関との連携の促進あるいは個人情報の取扱いについても、留意事項としてお示しする予定でございます。
今回の見直しは、ケースワーカーの業務を単純に外部委託できるようにするという見直しではございません。家庭訪問によらない状況把握も活用して、ケースワーカーの質の向上を目指したいと考えております。ここに挙げた留意事項をきちんと自治体にお示しし、適切な運用を図っていきたいと考えております。
御説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局説明に対する質問あるいは意見がございましたら、挙手ボタンでお知らせいただきたいと思います。前回のここでの議論を踏まえて、また自治体の御意見なども踏まえて慎重にお考えいただき、本日の資料をお出しいただいたということでございます。いかがでございましょうか。意見がおありの方は、この段階でできれば挙手をお願いできるとありがたいのですが。大森委員、佐保委員から手が挙がっておりますが、ほかにはよろしいですか。
それでは、大森委員、お願いいたします。
○大森委員 岡山市長の大森です。
私は、政令指定都市を代表して出席させていただいておりますが、こういう指摘に対しては、できるだけ指定都市の皆さん方から御意見をいただいて、お返しするようにしたいと思っております。前回の部会において意見をお伝えしたところであります。その意を酌んでいただきまして、2ページ目、3ページ目にあるように、訪問回数の取扱いにおいて、訪問とみなすことができる条件を、より分かりやすく、丁寧に記載していただきました。ありがとうございました。
留意事項も同じように取り扱っていただいたようでありますけれども、今後とも我々としては、できるだけ各都市に照会をかけながらやらせていただきたいと思いますので、前広に御指摘をいただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
留意事項の周知と、誤った運用がないことがまず必要であると考えております。その上で1点申し上げますが、留意事項の「今回の見直しの趣旨」にある、ケースワーカーの専門性を生かすという観点は重要であると考えております。厳しい業務内容や業務量、ジョブローテーションの中でも、ケースワーカーが専門性をより高めるための研修や、他自治体のケースワーカーとの意見交換の場など、財源確保を含めて国に支援を求めたいと考えております。
なお、自治体によっては、福祉関係にあまり詳しくない新規採用者や、経験年数が浅い職員をいきなりケースワーカーに配属するといった事例が散見されます。その後のほかの業務において、生活保護受給者に対して偏見を持つ職員もいることから、ケースワーカーになる前に制度を理解し、専門性を高める工夫も業務負担軽減につながるのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。岡部委員から、それは挙手でしょうか。賛成の意を表していただいたということでよろしいですか。もし御意見があるのでしたら、どうぞそのままお続けください。
○岡部委員 では、2点、意見です。
1点目。生活保護に関わることで、生活の実態把握に即して最低生活保障を行う法定受託事務に関わる内容も含めて、家庭訪問で実施します。この点どうかです。
2点目。生活保護の個人情報に関わることについてです。この点については、個人情報保護法による本人同意また会議体で個人情報保護条例等を踏まえたと記されておりますが、個人情報保護条例においては生活保護を外しているところもあります。この点についてどのように考えられているかを、現段階でお答えできる範囲で説明していただければと思います。
○菊池部会長 それでは、事務局からお願いします。
○池上課長 お答えいたします。
1つ目の御質問、もし趣旨が違えばおっしゃっていただけたらと思うのですけれども、法定受託事務、いわゆる指導・指示の関係が該当するかと思いますけれども、家庭訪問の中でそういうことが必要な場面というのもあろうかと思います。今回の留意事項の中でも、状況把握としては、会議体との情報共有で足りるケースがあったとしても、さらに個別に家庭訪問により指導・指示を行わなければいけないような場合については、訪問していただく必要があるのかなと考えてございます。
それから、個人情報については、厚労省としても法律上の取扱いなどを各自治体の皆様にお知らせしているところでございます。条例による差の部分については、今、こちらのほうでつぶさに把握しているわけではありませんけれども、一方で、政府全体の動きとしては、自治体単位で個人情報保護条例を定めていたのを一本化するような動きもありますので、そういった動向も注視しながら、さらに考えていきたいと思ってございます。
○岡部委員 岡部です。どうもありがとうございます。
1点目、見直しの留意事項について、対面による助言・指導等と記されていることに、さらに確認させていただきました。
2点目、法令等で全国的な統一を図り整理していただけると考えております。一応、確認させていただきました。
そこで、先ほどのお話で、1点は御返答いただいておりませんが、本人同意を取るのかどうかということです。いかがでしょうか。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○池上課長 本人同意を要する場合と要しない場合があろうかと思います。行政機関の保有する情報について、地方公共団体等が法令の定める事務または業務の遂行に必要な限度で提供にかかる個人情報を利用するというものについて、相当な理由がある場合にはこの限りではないとされているところもありますので、全ての場合に必ず本人同意が必要というものではないと認識してございます。
○岡部委員 どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
この研究報告書をまとめたときの座長でしたので、一言お話しさせていただきたいと思います。正直なところ、報告書のタイトルに「業務負担軽減」ということが書いてあるので、何か業務負担軽減が目的であるかのように捉えられてしまうのですけれども、先ほども事務局からありました本文中の説明、他の機関との連携によって、その専門性を生かしていくということで、保護のサービス、支援のクオリティーを上げるのだというのが、この検討会で議論した中核部分で、その結果的にケースワーカーの負担軽減につながる。それがまたサービスの質を上げればいいという発想です。
タイトルが何か負担軽減が目的であるかのような感じなのですけれども、そういうわけではなくて、今、岡部先生からのお話の部分も含めて、かなり厳しめの議論、慎重な議論を行ったということで、議論の様子を一応御報告したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、宮脇委員、お願いします。
○宮脇委員 鳥取県の湯梨浜町長でございます。
基本的には、もちろん賛意を表したいと思っております。私ども、小さい自治体にとっては、こういう情報も的確に組み入れて判断していくことは非常に有益なことだと思っておりまして、留意事項として挙げてあるようなことをしっかりと守りながらやっていけば、とてもありがたい仕組みになると思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにございませんようでしたら、それでは、議事(1)につきましては、ただいまも委員の皆様から御意見いただきましたので、それも踏まえながら、事務局において通知等の改正を行っていただくようにしていただきたいと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○菊池部会長 御賛同いただいたものと了解いたしましたので、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
次に、議事(2)(3)(4)に入りたいと思います。まとめて、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○唐木室長 それでは、資料2「就労支援のあり方について」のうち、困窮部分についての御説明をさせていただきます。
2ページをお開きください。生活困窮者の就労支援の全体像を示したものになります。それぞれの支援対象者により、就労に向けた困難度が変わっておりますので、状態像に応じた支援を行っております。
続きまして、4ページですけれども、自立相談支援事業の就労支援については、直営方式との併用を含めますと、約7割の自治体が委託により実施しております。利用件数は約5万6000件になっておりまして、コロナの影響で大幅に増加しております。
続いて、5ページです。自立相談支援機関における無料職業紹介事業の実施状況についてですが、「実施中」等と回答した自治体は約3割、生活保護受給者等就労自立支援促進事業につきましては、約7割の自治体が実施していると回答してございます。
続きまして、8ページです。就労支援事業の実施状況についてですが、実施自治体数につきましては、令和3年度は69%ですが、令和4年度は8割を超える見込みです。利用件数についても、毎年増加してございます。
また、直営方式との併用を含めますと、9割以上の自治体が委託により実施しております。
続きまして、9ページ、事業を実施しない理由としまして、「予算を確保するのが難しい」「委託先となる事業者がいない・少ない」と回答する自治体がそれぞれ約3割となってございます。
広域実施につきましては、約4割の自治体が「想定している」「必要性を感じているが難しい」と回答してございます。
続いて、12ページですが、一体実施の状況について、令和2年度では3事業を実施している自治体のうち、約9割が一体実施をしてございます。就労準備・家計改善、両事業を実施している自治体のほうが、新規相談件数、プラン作成件数の平均が多くなってございます。
15ページが認定訓練事業の利用状況ですけれども、利用状況自体は547件となっておりまして、利用形態として「非雇用型のみ」が全体の約5割となってございます。
続きまして、16ページ、認定就労訓練の経済支援についての現状をまとめたものになっております。
続いて、17ページですけれども、認定就労訓練の実績が少ない理由につきましては、地域に事業所がない、少ないというのが約7割となっておりまして、事業拡大に向けては、金銭的なインセンティブや、専門人材の確保が必要という回答をいただいております。
続きまして、18ページですが、現状でも広域に経済団体との連携等を担う就労訓練アドバイザー、自治体単位で事業所の訪問支援等を行います就労訓練事業所育成員という制度がありますが、活用が進んでいないという課題がございます。
20ページですけれども、コロナ禍における就労訓練の支援ニーズとしましては、ハローワークとの連携が重要・必要と回答した自治体が約9割と、最も高くなってございます。
続きまして、21ページですが、こちらは令和4年5月30日から施行されております特定求職者雇用開発助成金の要件の一部緩和の資料になります。困窮法に基づく就労支援の一環として訓練や実習を受けた場合、その期間が3か月を超えていても新たに支給対象となるというものでございます。
続きまして、22ページですが、受講者の属性やニーズを踏まえた教育訓練を提供するために、労働政策審議会の人材開発分科会の報告を踏まえて、中央や地方において開催する協議会に、困窮の関係部署の参加を促すことが検討されています。
最後、24ページ、御議論いただきたい項目をまとめております。
就労全般につきましては、様々な状態の方が就労できる仕組みをつくっていくための方策や交通費を含む移動の支援について。
就労準備支援事業については、必須事業化や小規模自治体における実施方策について。
認定就労訓練につきましては、認定主体のあり方や、申請・認定手続のあり方などについて。
最後、他制度との連携につきましては、職業訓練の利用を促進するための方策といった点について御議論いただきたいと考えております。
以上です。
○河合室長 続きまして、保護の部分について御説明申し上げます。
まず、26ページでございますが、就労支援施策の全体の俯瞰図となっておりまして、就労に向けた困難度に応じ、就労までの段階的な施策を講じているところでございます。ケースワーカーによる支援を実施し、必要に応じて個々人に応じた支援につないでおります。
次に、すぐに就労が困難な方につきましては、就労準備支援事業において、日常生活習慣の改善として、例えば朝きちんと起きるといったことなど、生活リズムをつくるところから始めております。
就労に向けて、もう一歩進んだ方につきましては、就労支援事業といたしまして、就労に関する相談・助言、個別の求人開拓やハローワークへの同行などの支援を行っております。
さらには、ハローワークの事業として、生活保護受給者等就労自立促進事業といったものを実施しているところです。
27ページでございます。就労支援事業の概要となっておりまして、必須事業として、福祉事務所設置自治体で実施いただいております。
28ページは同事業の参加者数の推移を示しているところでございまして、近年は減少傾向にあるということでございます。
29ページは就労準備支援事業の概要で、こちらは任意事業となっております。
30ページは当該事業の実績を示しておりまして、参加者数について、令和2年度は前年度と比べて若干改善する一方、就労・増収率は低調となっております。
31ページは就労準備支援事業の実施自治体数を示しておりまして、こちらは上昇傾向にございます。
32ページは事例の紹介でございます。
33ページから35ページにかけましては、就労自立に向けたインセンティブに関する資料を用意しております。
まず、33ページは就労自立給付金の概要です。こちらは、保護脱却のためのインセンティブの強化と、保護脱却直後の不安定な生活を支えるために用意している給付金でございまして、保護受給中の就労収入のうち、一定割合を仮想的に積み立て、保護廃止に至ったときに支給するものでございます。
34ページは勤労控除の概要となります。こちらは、就労に伴い必要となる服とか身の回りのものなどの経費などを控除するものでございまして、例えば基礎控除では、就労収入1万5000円までは全額控除となり、それを超える場合は1万5000円に当該超える額の10%を合計した額が控除額となります。
続きまして、35ページは就労活動促進費の概要でございます。ハローワークにおける求職活動などを一定程度行っていることを条件として、月額5000円を支給するものでございます。
続きまして、36ページはこれまで申し上げた就労支援策について、令和2年度の実績値を示したものでございまして、就労・増収に一定数つながるなどの成果が見られるところでございます。
37ページは就労支援事業等におけるKPIの設定につきまして、事業の参加率の目標を定めているところでございまして、例えば就労支援事業等に参加可能な者の事業参加率というものは、令和3年度で65%とされておりますが、直近では50%程度となっております。
続きまして、38ページです。平成31年に取りまとめられた研究会の報告書の概要となっております。赤線部分のところがポイントでございまして、効果的な就労支援を行うためには、アセスメントの強化による個々人の課題や本人の意向の十分な把握が必要と整理されているところでございます。
40ページから42ページに移らせていただきます。こちらは、国と地方の実務者協議における、これまでの議論の整理の内容を示したものでございまして、このうち就労支援事業等につきましては、40ページ、4ポツの下線部でございますが、就労までに一定時間を要する者が少なくないことも踏まえ、利用者の状態像に応じたきめ細かな支援を行えるようにしていく必要があるといった基本的な方向性が示されております。
また、41、42ページの議論は御覧のとおりでございます。
最後の43ページでございます。特に御議論いただきたい事項につきまして、3点まとめております。
就労支援につきましては、就労意欲を失っている者や就労経験がない者等の就労自立に一定程度の時間を要する者もいることも含め、その推進を図るに当たっての課題をどのように考えるか。
また、就労支援に関する指標として、日常生活自立や社会生活自立の観点も踏まえ、どのような指標が必要と考えられるか。
次に、就労インセンティブにつきましては、就労・増収等を通じた自立への意欲を高めることができるよう、効果的な推進を図っていくための方策について、どのように考えるか。
アセスメントにつきましては、多様な課題を抱える者が少なくない中、その課題を踏まえた適切な支援を行っていくためには、その強化が必要と考えられるが、どのように考えるか。
また、その強化を図るための方策として、制度上どのようなことが考えられるかなどについて御議論いただきたいと考えております。
以下は参考資料となっておりますので、後ほど御覧いただければと思います。資料2の説明は以上です。
○唐木室長 続きまして、資料3「家計改善支援等のあり方について」のうち、困窮部分の御説明です。
4ページを御覧ください。家計改善支援事業の実施自治体数は毎年増加しておりまして、令和4年度には8割を超える見込みでございます。利用者数は、コロナ禍の影響によりまして、令和2年度は元年と比べまして約1.4倍に増加してございます。
直営方式との併用を含めると、約9割の自治体が委託で実施しております。
続いて、5ページです。支援員の配置状況ですけれども、令和2年度では平均約1.96名となっておりまして、約9割は事業所に常駐している配置型となっております。
利用者像としましては、「家計の収支バランスが悪い」「債務整理や滞納に課題を抱えている」というような相談者が多いという状況でございます。
続きまして、6ページ、自立相談支援事業における家計支援と比較いたしますと、家計改善支援事業を実施している自治体のほうが、未実施自治体に比べまして、いずれの支援内容においても「実施頻度は高い」と回答している割合が高くなっております。
続いて、7ページです。実施自治体の事業効果の例を見ますと、千葉市や熊本県の阿蘇市では、税・保険料の滞納が改善された効果というのが見られております。
続いて、8ページですけれども、事業を実施しない理由を見ますと、4割の自治体が自立で対応できている、予算確保が難しいと回答しております。
また、5割の自治体で、家計改善支援事業の利用ニーズを把握していないという回答をしております。
続いて、9ページです。広域実施の検討状況につきましては、約2割の自治体が「想定している」「必要性を感じているが実施は難しい」と回答しております。
続いて、12ページですが、社協の生活福祉資金貸付の本則のうち、生活費に相当します緊急小口資金・総合支援資金については、困窮制度と連携した貸付というものが行われております。
続いて、13ページですが、家計との連携状況を見ますと、家計改善支援事業で生活福祉資金の貸付あっせん書を作成した方の約9割が貸付決定されておりまして、また貸付利用希望者に対する支援といたしまして、「償還開始後も、一定期間、伴走を行っている」と回答した自治体は約4割となっております。
続いて、14ページですけれども、家計の活用事例を見ますと、特例貸付を利用された自営業者の方が、家計の見える化や家計表の作成などによりまして、生活費・事業費の区分けを行い、相談者自身で家計管理ができるようになった事例があります。
続いて、15ページですが、成年後見制度につきましては、今年3月に閣議決定されました第二期成年後見制度利用促進基本計画において、権利擁護の支援の考え方が位置づけられました。計画の柱であります総合的な権利擁護支援策の充実に向けまして、成年後見制度以外の権利擁護支援策の検討を始めるために、今年度よりモデル事業を開始しております。
続いて、16ページですが、そちらが今、申し上げましたモデル事業になります。特に、金銭管理に関するテーマといたしましては、既存の日常生活自立支援事業の支援に、市町村社協以外の法人や事業者が参画する取組。市町村単位の事業としまして、金銭管理や意思決定支援の組合せにより、新たな支援策が検討されているところでありまして、こうした取組との連携も重要であると考えております。
続いて、18ページは特に御議論いただきたい事項という形でまとめさせていただいております。
1点目、事業のあり方につきましては、家計改善支援事業の必須事業化や、小規模自治体における事業実施の方策について。また、効果的な支援に向けた支援手法の標準化や、効果検証のあり方について御議論いただきたいと考えております。
2点目として、他制度との連携につきましては、特例貸付を含めた貸付との連携方策や、日常生活自立支援事業や成年後見制度も含めた制度との連携方策について。また、関係部局との連携強化を進めるための方策について御議論をお願いしたいと思っております。
以上です。
○河合室長 続きまして、保護受給者に対する家計改善支援策について御説明申し上げます。
21ページでございますが、家計改善支援事業の概要となります。事業内容に書いてございますとおり、目的としては2つあると考えております。
続きまして、22ページはこの事業の実績でございまして、実施自治体数は年々増加しているものの、総自治体数に占める実施率というものは依然として低調となっているということでございます。
23ページは事例の御紹介でございまして、大学進学を検討している世帯へ支援している例ですとか、家計改善支援を金銭管理支援と併せて実施している例をお示ししております。
24ページ以降ですが、金銭管理支援について書いております。
25ページは導入までの経緯を示しております。平成25年に生活保護法が改正され、「収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない」とされたところ、その後、平成28年に発出された事務連絡におきまして、自立支援プログラムに位置づけて実施している例もあるので、積極的に取り組まれたいという旨、記載しております。
一方、26ページでございますが、ケースワーカーの金銭管理への関与として、過去に現業員等による詐取などの事態が発生したことを踏まえ、2つ目の○にあるとおり、生活保護費の窓口払いの必要性を検討し、可能な限り縮減することとされていることにも留意が必要でございます。
27ページですが、金銭管理支援が必要な者の状態像を示しておりまして、左下、赤囲みの部分でございますけれども、「支払いの滞納がある」「多重債務・過剰債務がある」「依存症がある」といったことが多いとされています。
28ページは社協が実施している日常生活自立支援事業の概要でございます。判断能力が不十分な者に対して、福祉サービスの利用に関する援助等を行い、地域で自立した生活が送れるよう支援することを目的としております。
この援助内容といたしましては、④に記載のとおり、①~③に伴う援助として「預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理」を実施しております。
この事業では、右下のグラフのとおり、被保護者が占める割合が例年40%以上となっております。
29ページを御覧ください。こちらは事例の御紹介でございます。複数の金銭管理方法を設定して支援している例ですとか、適切な金銭感覚の習得を支援している例を示しております。
続きまして、31ページ、32ページですが、国と地方の実務者協議における、これまでの議論の整理の内容を示したものとなってございます。
このうち、31ページの5つ目のポツにおいて、家計改善支援事業については、その実施率の向上を図っていく必要があるとされております。
その上で、33ページでございますけれども、特に御議論いただきたい事項として、大きく2つ御用意しております。
被保護者家計改善支援事業については、その実施率が低調にとどまっているという状況を踏まえ、そのニーズや実施に当たっての課題をどのように考えるか。また、その実施を推進していくために、効果的な方策をどのように考えるかといったこと。
また、金銭管理支援につきましては、支払いの滞納や多重債務等のある者に加えて、依存症の者などが少なくないことですとか、日常生活自立支援事業の対象にまで至らない者もいることを踏まえ、そのニーズをどのように考え、どのような対応が必要と考えるか。
その際、金銭管理支援について、他制度につなぐことができず、「福祉事務所等で対応」や「適切な支援を行うことができなかった」という福祉事務所が少ない状況において、現行、自立支援プログラムの中で実施している自治体の存在や関係施策との関係性も踏まえ、どのように考えるかという点について御議論を賜りたいと考えております。
以下は参考資料となっておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
資料3の説明は以上でございます。
○唐木室長 続きまして、資料4の御説明に移らせていただきます。
1ページ目を御覧ください。こちら、困窮法と保護法について、目的、対象者の規定ぶりや事務の性質についての整理でございますが、異なる法体系となってございます。
続きまして、2ページですが、生活保護の自立の概念には、経済的自立、日常生活自立、社会生活自立が含まれております。自立支援プログラムの導入によりまして、福祉事務所が組織的に被保護者の自立支援を行うような制度に転換いたしました。この3つの自立の概念については、困窮制度における自立の概念に受け継がれており、また困窮法・保護法に基づく支援は、本人の自立に向けた支援といった共通の基盤を有してございます。
3ページを御覧ください。生活保護制度では、保護の実施に際し、自立に向けた課題を分析しまして援助方針を策定いたします。その後、保護費の支給と自立の助長に即した相談援助・自立支援を一体的に実施しております。
4ページ、5ページはケースワーカーの業務のあり方についての過去の文献の記述を記載しております。
6ページを御覧ください。困窮制度では、アセスメントを行い、策定したプランに基づきまして、本人に必要な支援を行います。支援に当たっては、地域住民を含めた地域の多様な社会資源と連携することが重要と考えております。
続いて、7ページです。本人が必要とする支援の内容を起点に、自立に向けた生活全般の支援を、困窮者・被保護者、それぞれの対象別に整理した表となってございます。
続きまして、8ページですが、両制度の連携につきましては、もともと基本的な考え方や具体的な運営方法が通知で示されておりましたが、連携をより実効的なものにするために、平成30年の改正時に両法に両制度の連携に関する条文を新設して、法律上の明確化を図りました。
続きまして、9ページですが、自立相談支援機関、福祉事務所でも、利用者の状況に応じて情報共有やフォローアップ、同行支援を行うこととなってございます。
続きまして、10ページです。相談受付窓口については、約65%の自治体が別々に設置しております。連携状況につきましては、約92%の自治体が「よく連携している」と回答しております。
続きまして、11ページですが、福祉事務所の約半数の現業員が、困窮者の自立支援事務所と連携したことがあると回答してございます。
続きまして、12ページでございます。令和2年度中に生活保護を廃止したケースから困窮制度に移行されたケースが、ある自治体は約33%でございまして、平均のケース数は4.7件でございました。移行に当たっての課題は、「特に課題はない」と回答した自治体が4割近くある一方で、約19%の自治体が「移行後の本人との関係性の構築が難しい」という課題を挙げております。
続きまして、13ページですが、連携強化に必要な取組については、「両制度の担当者の相互の制度理解の深化」「個別支援のケースの共有」の順に多くなっております。次いで、就労や家計の一体的実施についても4割近い回答がございました。
14ページです。就労・家計につきましては、全自治体ベースで見れば、未実施自治体が約3分の1を占めるものの、両事業を実施している自治体では、大半の自治体で事業を一体的に実施しております。
実施形態については、被保護者向け事業を直営で実施している自治体も存在いたします。
15ページは居住支援の事業、16ページは自治体の先進事例をおつけしておりますので、御参照ください。
続いて、17ページですが、困窮・保護の連携上の課題を挙げております。
課題1ですけれども、困窮の就労準備支援等を利用する者が生活保護に移行したものの、被保護者向けの事業の実施主体が異なる場合等がありまして、連続した支援が困難となるケースがございます。
また、課題例の2ですけれども、自立の支援を受ける方が生活保護に移行した場合、支援者が自立相談支援機関の担当者からケースワーカーへ変更になるため、うまく支援がつながらず、円滑な引継ぎに支障が生じる場合がございます。
今までの資料を踏まえまして、19ページは御議論いただきたい内容になります。
1つ目が、困窮制度と保護法の連携につきまして、現状の評価・課題をどう考えるか。
2点目は、いわゆる「重なり合う支援」のあり方や範囲の方法、留意点についてどう考えるか。
3点目は、支援制度が切り替わった後も連続的に支援を受けられるようにするための就労・家計等の連携についてどう考えるか。
4点目は、支援制度が切り替わる場合でも、支援担当者同士が円滑な引継ぎを可能とするような方策。
5点目は、生活保護のケースワーク業務の公的責任の支援や、困窮制度の理念に基づく支援が引き続き実施されるよう留意する必要性。
最後ですけれども、両制度の関係者同士での相互理解を深めた上で支援を実施することが重要であることについて御議論いただきたいと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。大変盛りだくさんの資料、かつ、いずれも大変重要な課題であると思います。
続きまして、議事の特に(2)と(3)に関しまして、お三方の参考人の御発表をいただきたいと存じます。鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人、それぞれ10分程度で取組をお話しいただきたいと思います。最初に、鈴木参考人、ユニバーサル就労ネットワークちばにおいて、中間的就労の創出や事業所支援等に取り組まれておられます。その次、行岡参考人、グリーンコープ生活協同組合連合会において、生活困窮者の家計改善支援事業等に取り組まれております。そして、3人目、砂川参考人、川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室において、生活保護受給者への金銭管理支援に取り組まれております。
それでは、まず鈴木参考人からお願いできますでしょうか。
○鈴木参考人 NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちばの鈴木と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、画面共有をさせていただければと思いますけれども、発表時間は10分ということで、資料を飛ばしながらお話しをしたいと思いますので、よろしければ画面のほうを見ていただければと思います。
今日は、ちばの実践から、就労支援について幾つかの御提案ができればと思っております。主に3点、私のほうから御提案したいなと思っています。
1点目は、就労準備支援事業と就労訓練事業の必須化と、就労支援事業全体の一体実施というのが必要ではないかということ。
2番目としては、幅広い支援領域に対応できる就労支援員の育成が急がれるということ。
そして、3番目は、多様な働き方を創造する支援が必要だということ。3番目については、少し回りくどい言い方になりましたが、困窮の事業においては中間的就労の促進というところをやっていくべきかなと思っています。
私どもNPOでは、もともと社会福祉法人生活クラブというところで、ユニバーサル就労という中間的就労の取組を今から15~16年前に始めまして、それを社会化していこうということでNPO法人化して今に至るということになっています。NPOでは、千葉市のほうで生活困窮者の事業、子供のためのひきこもり支援、中間的就労の直接支援、自治体や会社さんへの支援、ネットワーク活動や研修事業、調査研究事業なども行っています。特にユニバーサル就労は、就労率ではなくて、そのプロセスをどう評価したり、彼らにとってのゴールは一体何なのかというところを研究者の皆さんと一緒に評価づくりをしているという団体になっております。
千葉市が行っている就労準備支援事業ですけれども、細かい概要は省かせていただきますが、私どもの法人で千葉市の就労準備支援事業というのを一括して受託しておりまして、現在6名の支援員が日々、支援活動をしておりますが、千葉市は大変広いので、全域を支援員がアウトリーチしながら訪問したり、面談を行ったりという形で行っています。
私たちの支援の特徴としては、先ほど申し上げたように社会福祉法人で培ってきた中間的就労の現場を利用した職場実践型のトレーニングと、それを補完する座学通所型のトレーニングを組み合わせて、社会参加から就労自立、就職活動まで総合的な就労支援をしているというのが特徴かなと思いますし、今いる6名の相談員が全員、このプログラムを実施できるように育成しているということ。
そして、グループワークに参加できない方でも、ここに書いてあるグループワークを個別ワークとして展開できる。一人一人の相談員がそうしたスキルを持っているというところが特徴かなと思っていますので、何か決められたプログラムがあるというよりかは、その人に合わせたプログラムを相談員と当事者と一緒に立てていくというところが大きな特徴かなと思います。
もう一つは、企業開拓だけではなく、本人の支援だけではなく、両方をバランスよくやっていこうというところが特徴かなと思います。
具体的な支援フローですとか職業適性検査等については、資料を参考にしていただければと思いますが、適性検査については、就労準備を利用される方、ほぼ全員がやりたいということでやられています。非常に意欲が高いけれども、どうしていいか分からないと困っている方が非常に多いのだなといつも思っています。初めは1種類、2種類から始めましたが、当事者の状況に合わせて、今、比較的たくさんの検査をやりながら自己理解を深めていくといった取組をしています。
企業開拓については、千葉市でもう7年ぐらい実践していますので、現状では人づての紹介とか口コミで、コロナのときは年間2社ぐらいでしたけれども、コロナ前だと20~30社ぐらいずつ開拓しておりました。初期の段階では、大規模にセミナーを開催したり、企業団体さんと連携して企業開拓をしたりという動き方をしておりましたので、年数に従って企業開拓の方法というのも変わってくるのかなと思っています。
あと、地域の中で様々なネットワークをつくる活動というのを行っています。
それから、就労した後の定着支援、本人が一番不安定になるところですので、こういった活動もしております。
それから、議論の中でも話題になっておりましたが、就労支援を受けるための交通費が出ない、あるいは就職活動の経費が出ないという方々もたくさんいらっしゃいますので、法人独自でチャンス創造ファンドという給付制度を使いまして、一番多くリクエストが来るのが交通費を支給してほしいということで交通費。それから、毎年数件出てくるのが、障害者手帳を取得するための診断書の費用が出ないという方々のために給付を行っています。特にこれでないと駄目だという科目はありませんので、本人が、これが必要ですというものに対して、当日お金を出す場合もありますし、2~3日以内にお金を渡してスピーディーな対応ができるようにしております。ちなみに、これは就労準備支援事業を利用している方に使ってもらっている独自のファンドになっています。
それから、うちはとにかく幅広く就労支援をやっているので、その人の状況というのも刻一刻と変わっていきますので、その人の状態像に合わせて支援者の役割も日々変わっていかないといけないという、職員研修で使っている図になりますので、参考にしていただければと思います。
1点目の提案としては、就労準備支援事業から就職活動の支援、就労自立の支援まで一体的に実施しないと、就労支援の効果は上がりにくいということが言えるかなと思いますので、ぜひ必須化していただきたいなと思っています。
スライドの左側に吹き出しで対象像を少し書かせていただきましたが、働きづらさを抱えている方々に、生活から、社会参加から支えていくような支援というものがどうしても必要なのですけれども、就労準備や就労訓練をやっていない自治体に行くと、いきなり就職活動の話になっていくので、支援が途切れがちになったり、行かなくなってしまうといったケースも少なくないです。
それから、実施率が上がってきているという説明もありましたが、取りあえずやってはみたものの、何をやっていいか分からないという自治体さんがたくさんいらっしゃいまして、よく問合せをいただいていますので、実施した後、どういうふうに展開していくのかというところもすごく大事だなと思っています。
次のスライドは、キャリアコンサルティングの流れから見ても、就労準備や就労訓練事業はとても大切で、一般的な就職活動においても、いきなり活動を始めていくのではなくて、自己理解や職業理解や体験的なものがあって初めて意思決定ができるというのは、理論的にも体系化されているので、就労準備や就労訓練の必要性といったことは、こういったところからも分かるかなと思っています。
そして、こういった幅広い支援領域に対応できる就労支援員というのも育成が必要かなと思っています。今、研修ですと、先進事例の紹介とか、どういう自治体でどういうことをやっているのかという紹介がすごくたくさん出てくるのですけれども、どう持って返って、どう自分の地域で展開していくかというのは、それなりの知識とかスキルとか考えが必要なのですけれども、そこの土台が全然育っていないので、研修をやっても、それを自分たちのところに持ち帰って、どう生かしていくのかというところがなかなか育っていかないという意味では、もう少し就労支援に特化した人材育成のあり方を検討したほうがいいのかなと思いますし、特に基本的なところを固めていくというところは重要視したほうがいいのではないか。
そして、スライドの下のほうに入れさせてもらいましたけれども、研修だけではなくて、定期的に外部のスーパーバイザーやコンサルが入るような中間的支援のようなものが、小規模な自治体の就労準備事業を支えていくとか、広域実施の調整役をしていくとか、そういった機能が必要なのではないかなと思っています。
これは厚労省の資料に入っていたのですけれども、就労準備の利用につながらなかったケースの理由が「本人が希望しない」というのがすごく多かったのです。もちろん経済的な事情で参加できない方もいらっしゃるのですが、上の「必要性を理解しない」とか「新しい環境に拒否感」があるというのがすごく多いのですけれども、そもそもこれをどうにかして支援につなげていくことが就労準備支援員の仕事なので、ここがしっかりとコミュニケーションできているのかなという振り返りというのが、1つ必要なのだろうなと思っています。
今、就労準備のお話しをしましたけれども、私たち、中間的就労をもともとメインにやっていまして、全部説明すると時間が押してしまうのですけれども、非雇用型から雇用型にゆっくりとステップアップしながら雇用に向かっていく、あるいは一般雇用できない場合は、御本人が望む働き方の中で選んでいけるような中間的就労の仕組みというのをつくっています。これは、千葉ではユニバーサル就労と言っていまして、今までで200人ぐらい、これで働いていて、現状では120~130人は働いているのかなと思います。
この中間的就労がなかなか全国的に広がっていかない、特に制度で言うと就労訓練事業が広がっていかないというのは非常に問題だと思いますし、働きづらさを抱えた方がいきなり一般就労につながっていく、あるいは一般就労だけの支援に偏っていくというのは、どうしても限界があって、現場でも葛藤がある部分だと思いますので、この就労訓練事業の普及促進というところもぜひ御検討いただけないかなと思っています。
ここまで就労支援の支援領域が広いと、自立相談支援員さんと就労支援員の兼務というのが難しいと思うので、就労支援員は専任で置いていただきたいなと思いますし、この就労訓練も今、自主事業の扱いになっていますけれども、事業化していただきたいなと思っています。そして、中間的就労で一番大事なのは、当事者支援もそうなのですけれども、企業の支援というのもすごく大事で、ユニバーサル就労だったり、中間的就労を始められた会社さんは意外と困っていらっしゃるのですね。
なので、当事者支援だけに偏るのではなくて、そういった会社の困り事も聞いて、間に入って調整できるような人材を育成していかないといけないですし、会社さんが必要なのは、インセンティブなんかもあったらいいと思うのですけれども、協力してくれる外部の支援者が必要だというお話もよく聞きますので、ここは中間的就労をきちんとやる人材というものを位置づけたり、育成したりというところが必要なのかなと思います。
一方で、最後になりますけれども、先ほど事務局から説明があった5月30日付の特開金の要件を緩和したのは、私たちにとって、すごく企業開拓の後押しになるもので、これまでこの要件があるために、本当に何のお土産もなく、会社さんを訪問しなければいけなかったのですけれども、自立支援とか就労準備、就労訓練を受けた方でも特開金の活用ができるというところは、この中間的就労の普及促進の後押しになるかと思いますので、今、この就労訓練事業の位置づけがちょっと曖昧な感じになっているので、きちんと事業化して、さらにこれが全国に広がっていけるように御検討いただければなと思います。
少し駆け足になりましたが、細かいところは資料を御覧いただければと思います。以上で私からの発表を終わります。最後まで聞いていただいて、ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、行岡参考人からの御発表をお願いいたします。
○行岡参考人 こんにちは、行岡でございます。画面の共有から入ります。本日は参考人として発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
家計改善支援の始まりは、多重債務対策にありました。借金を踏み倒すことなく返済しようと必死になったがために、多重債務に陥った人たちの生活再生が課題でした。今の時代、就業はとても不安定になっていますし、カードローンやクレジット払いが多くて、支出の状況が本人にもなかなか見えにくくなっているという状態です。多重債務や生活困窮に陥りやすくなっていると思っています。そういう意味で、生活再生は重要な課題になると思います。
この生活再生のノウハウを生かした家計改善支援とは、相談者とともに家計の状況を明らかにして生活の再生に向けた意欲を引き出していく支援となっております。面談の中で、相談者とともに家計表を作成し、家計の見える化を図っていきます。見える化というのは、本人が家計簿をつけるということではなくて、面談の中で相談者と相談員が一緒に家計表を作成していくものです。家計の立て直しは、相談者自身の力で解決できるようになることがとても大切だと考えています。相談員がいきなり家計簿をつけることを求めたり、金銭管理や生活習慣や節約に関して指導する支援ではありません。相談者本人が家計の現状に気づいて、解決に向けた意欲が持てるように、まずはしっかり寄り添いながら相談者の話を聞くことで、信頼関係を築くことを第一にしてきました。
なぜなら、節約するにも、ぎりぎりの収入で生活している相談者がほとんどですから、財政的には全く余力がないというところで、本人が課題の解決に向けて何を大切にしたいのかを自分で意識して決めないと、何も実現できないと思っております。本人が現状の家計の様子について気づいて、どうしたいかというのがないと、指導や指摘では反発されるだけだと思っています。そういう意味で、家計改善支援においては、生活指導ではなくて、相談者主体の尊重がとても大事だと、この間、考えてきました。
相談者は、今日、明日の支払いができないために相談に見えますが、1か月の生活資金が幾ら不足しているかということは、ほとんどの方が分からない状態でお見えになります。したがって、私どもは、まず家計の管理は誰がしているのかというのをお聞きすることから始まり、家計収入の状態をお聞きし、借金や支出の背景をお聞きしながら、家計表を一緒につくっていく。そして、家計全体の収支が分かるという形で、1か月の赤字額が分かるように持ち込んでおります。
そういうふうにすることで、どのような効果が発生するかですが、1つは、生活の現状を本人自身が把握できるようになります。
2つ目には、ほかの支援者からも相談者の状況が理解できて、支援が多様化し、進めやすくなります。
3つ目に、おおむね1か月で幾ら不足するかが、初回から2回目の面談ぐらいで分かりますので、就労での増収目標が立てやすくなります。それと、家族の協力にもつながっていくところです。
4つ目は、収入が増やせない場合は、どの費目を見直して節約するべきかを本人に考えてもらうというふうにしています。もちろんアドバイスもしますが、まず本人が考えて一緒に目標を立てるというふうにしております。
5つ目に、滞納金の返済などは、相談員がキャッシュフロー表をつくることで見通しが立って、生活への不安が将来への希望につながっていくという効果があります。
次に、支援が入る効果的なタイミングですが、この表の縦軸は資産や収入の状況の変化ということです。横軸は時間の経過を表しています。この表の横軸のところ、時間がたてばたつほど発生する家計の課題というのは、こういう順番で増えていくという様子になります。したがいまして、税や公共料金などの滞納は、庁内で把握しやすい困窮の初期症状だと思っております。滞納が発生し始めた初期の段階で支援が入るのが、生活困窮予防策として一番効果的だと思います。早期発見、早期のつなぎ、早期対処が解決の早道だと思いますので、そういう意味で庁内連携は強力に推し進めていただきたいと思います。
事例2つは、御覧いただければと思います。
次に、私どもの独自事業のかさじぞう基金です。緊急対応のための貸付けは、昨年、従来の2倍に膨れ上がったところです。返済率は、特に請求しなくても、例年70%近くあったのですが、コロナ禍の中で50%台に落ちているという様子になっております。このかさじぞう基金というのは、生活再生相談室の生活再生貸付とは別物で、相談員が即決でその場で1万円以内をお貸しするという仕組みなのですが、これの利用の事例としては、これも見ておいていただきたいのですが、大体、つなぎの資金として食料支援と一緒に活用されているというところです。
ここからは、本日、一番皆様に申し上げたかったことなのですが、1つは、家計改善の事業を必須化にしていただきたいと思っております。生活再建に向けた抜本的な家計の見直しが必要な方が多くなっていくと思います。必須事業にして、誰もが、どこでも安心して的確な家計改善支援を受けることができるようにしていただきたいなと思います。
2つ目に、家計改善支援員の適切な人員配置と専任化が必要だと思っております。自治体からは、家計改善支援ができる体制がないというお話を聞きます。スペシャリストがいないということです。しかし、家計改善支援員に必要な力は、高度な専門知識というより、傾聴し、受容・共感する力と、生きていく上での生活実感です。気持ちがあれば誰にでもできる支援だと思っています。さらに、相談員も専任化し、経験を重ねることで、スキルは間違いなく身についていきます。家計改善支援員を育てるためにも、専任化をお願いしたいと思います。
3つ目は、自立相談支援との役割分担と連携のあり方です。相談にお金の問題が必ずまつわっているということがありますので、基本的に自立相談の初回面談から家計改善支援員の同席相談を実施してほしいと思っております。各自治体の規模や財政等の現状もあり、難しい点があるかもしれませんが、効果的な基本形として示した上で、そこそこ運用すべきではないかと思っております。
4つ目は、庁内連携です。自治体によって収納課の壁がとても高くて厚いところがあります。国レベルでの指針を示していただきたいなと思います。
5つ目は、特例貸付償還免除対象外の人への柔軟な対応と支援体制の強化です。まず、免除枠の拡大が重要だと思っております。併せて、たくさんの人の相談に応じるためには、生活福祉資金の担当部署との協力関係や連携の強化が必要だと思っております。協力し、連携する枠組みをつくっていただけたらと思います。
6つ目は、小口緊急貸付の創設です。2009年に、私ども、このかさじぞう基金を創設しましたが、その意図は相談員のメンタルヘルスケアでした。これにより、相談者のことが心配で夜、眠れないということがなくなりました。もちろん、相談者にとっても、瀬戸際の状態を持ちこたえて、信頼関係の構築に役立ったと思っております。
次は、私どもで開発した社会福祉推進事業の家計改善支援の学習教材です。YouTubeでアップしております。基礎編と実務編、キャッシュフロー表までちゃんと自分でつくれるようになっているサイトですから、ぜひこれを活用して相談員を増やしていくことができたらいいなと思っております。
最後ですが、これは私のお願いです。生活保護の家計改善支援も、困窮者支援と同じく、生活保護受給者の生きる意欲をエンパワーメントする方向で進めていただきたいと思います。困窮の家計改善支援においても、高齢者の入院等で金銭管理をお願いされることがあります。しかし、それは本当に自分で管理できなくなった方の最後の手段だと思っております。本人の残っている能力をどのように生かしていくのかも含めて、金銭管理については考えていただきたいと思います。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、砂川参考人からの御発表をお願いいたします。
○砂川参考人 川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室担当課長の砂川と申します。川崎市の金銭管理等支援事業について御説明いたします。
初めに、資料の2ページから4ページは、本市における生活保護の動向でございます。
2ページでございますが、本市は神奈川県の東部に位置し、横浜市と東京都にはさまれた細長い地形となっておりまして、市内に7つの区、9か所の福祉事務所が設置されております。令和4年5月現在の被保護人員、被保護世帯数、保護率は、被保護人員が約2万8900人、被保護世帯数は約2万3500世帯、保護率は1.87となっております。また、保護率に関しましては、度重なる宅地開発により、中原区以北では全国平均と同水準か平均以下となっているものの、工場建設が相次ぐ幸区以南は、全国平均を上回る高い保護率となっており、細長い立地の中で、区によって性格が大きく異なる面を持っていると言えます。
次に、3ページでございますが、被保護人員等の年次推移は、平成20年の世界金融危機、いわゆるリーマンショック以降は急増したものの、雇用環境の改善等により、被保護人員は平成25年、被保護世帯数は平成27年をピークに減少傾向で推移しております。
次に、4ページでございますが、世帯類型別の被保護世帯数と構成割合の推移についても、世界金融危機以降に変化が見られ、急速な景気悪化の影響を受け、失業等により生活に困窮した、いわゆる稼働年齢層である「その他世帯」の割合が大きく上昇しております。また、この家族制度を含めた社会構造の変化等により、高齢者世帯についても継続的に増加傾向となっております。
次に、5ページと6ページは事業開始の背景と経緯でございます。これまで金銭管理等の支援を必要とする高齢者、障害者、被保護者等に対しては、市の社会福祉協議会が設置する「あんしんセンター」において、「日常生活自立支援事業」による支援を実施してきたところでございます。
5ページの下段にある日常生活自立支援事業の利用実績を御覧いただくと、被保護者の割合が近年75%以上となっており、6ページにありますように、審査基準が厳格であるため、迅速な支援開始が困難など、様々な課題から、利用者や福祉事務所にとっては使いづらい制度となっている一方で、令和3年7月に成年後見制度の利用促進を目的とした成年後見支援センターを新たに設置する市社会福祉協議会にとっても、人員体制等の確保を含め、業務負担が過大となっており、事業の見直しが必要となりました。
このような経緯から、市社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業からは被保護者を対象外とし、令和3年4月、新たに被保護者を対象とする金銭管理等支援事業を創設したところでございます。
次に、7ページから10ページは金銭管理等支援事業の概要でございまして、事業の目的、対象者、利用定員、支援内容、支援開始までの一連の流れ。最後に、日常生活自立支援事業との比較となっております。時間の関係で一部の説明は割愛いたしますが、8ページの支援概要を御覧ください。支援の特徴としましては、(3)の①家計簿管理方法の提案や実施支援、②家電製品の買替え等に備えるための貯蓄支援といった生活安定支援が挙げられます。
10ページでございますが、日常生活自立支援事業との比較になりますが、金銭管理等支援事業は、生活保護自立支援プログラムに基づく金銭管理支援プログラムとして位置づけており、福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かり以外に、家計簿管理方法の提案や実施支援、貯蓄支援など、経済的自立や社会生活の自立を含めた支援を実施しているところでございます。
次に、11ページと12ページは東京都及び本市の支援事例になります。時間の関係で詳細については割愛いたしますので、後ほど御確認をお願いいたします。
最後に、13ページは課題と今後の取組でございます。本事業の対象者は、契約締結能力は有しているものの、心身の理由により、適切な金銭管理等を行うことができず、支援を受けなければ生活に支障が生じると福祉事務所長が認める被保護者となります。そのため、対象者の理解が得られず、利用につながらないケース、支援開始に向け、準備を進めるも、支援内容に関してトラブルとなるケース、支援開始後に新たに債務整理の支援が必要となり、金銭管理支援の範囲を超えた対応を求められるケースなど、様々な課題が挙げられます。
課題解決に向けた取組としまして、対象者へのアプローチなど効果的な手法の検討、組織的な対応を図るため、関係機関との連携強化、支援範囲の整備等を進めながら本事業を被保護者の自立に向けた効果的な取組として位置づけていきたいと考えております。
また、令和4年度の利用定員は年間450人程度を見込んでおりますが、現在、対象者の待機が発生している状態であり、潜在的には利用定員以上のニーズがあるものと推測しております。多々ある課題の整理と並行して事業効果を検証する必要はありますが、潜在ニーズへの対応として定員枠の増も視野に入れた取組が必要と考えておりまして、財源確保のため、財政的課題を解消すべく、国庫補助率の見直しなどを求めるとともに、次のステップとしまして、家計改善支援事業との一体的な実施の可能性について検証してまいりたいと考えております。
説明は以上になります。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。お三方から、それぞれの御専門の分野につきまして、非常に参考になる御知見を頂戴できたと思います。
それでは、せっかくの機会でございますので、鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人の御発表に対する御質問の時間を設けさせていただきます。委員の皆様の御意見については、後ほどお伺いする時間を設けますので、ここでは参考人の皆様への質問という形でさせていただきます。できましたら簡潔におまとめいただければ幸いでございます。御質問を一通り伺った後で、最後に参考人の皆様からまとめて御回答いただくという形にさせていただきます。ただいま5名の委員からお手が挙がっておりますが、よろしいですか。あと、勝部委員ですか。佐保委員からも挙がっています。一応、この7名の方ということで締め切らせていただきます。
それでは、駒村委員からお願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人、いずれも大変興味深いお話しいただきまして、どうもありがとうございます。それぞれに1つずつ教えていただきたいなと思いました。
鈴木参考人の資料の中で15ページ辺りだったと思いますけれども、本人の心理的な部分でしょうか、内的な部分でしょうか、について着目した支援をしているという趣旨の資料があったと思いますが、これは把握するためのツールとかを何か開発されているのかどうかというのを教えていただきたいと思いました。
行岡さんのお話についてなのですけれども、厚労省側からギャンブル、アルコール等と書いてある依存症に対しての問いかけがあるのですけれども、行岡さんの資料の中には依存症に関わることがなかったので、依存症の方に対するサポートというのはどういう特性があるのかというのを教えていただきたいと思います。
川崎の砂川さんについては、詳細な説明はなかったのですけれども、12ページでしたでしょうか、K・Kさんの事例が出ていたと思います。暗証番号等、分からなくなってしまっていくようなケースだと思いますけれども、こういうときに銀行側はどういうふうに協力したのか、あるいは協力的ではなかったのか、どう銀行側とやり取りしたのか、少し教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、長島委員、お願いします。
○長島委員 日常生活、社会生活、就労の自立には、体と心の健康状態が大きく影響すると考えられます。明らかな病気がなくても、特に高齢者では、フレイルやロコモといった状態は自立の大きな妨げとなり得ます。したがいまして、アセスメントが重要になりますが、その際に、医療・介護の視点からも、お一人お一人の心身の状態を丁寧に評価し、それに適した対応をする必要があるかと思います。これは、まさに地域包括ケアシステムそのものでもありますので、自立支援とケアシステムの連携を推進する必要があるかと思います。また、その実現のためには地域の医療・介護の専門職、例えばかかりつけ医や地域医師会がしっかりと関わりを持つということが重要だと思います。
以上述べましたように、地域包括ケアシステムや医療者の関わりというのはどのようにされているのか、教えていただければ幸いです。以上です。
○菊池部会長 すみません、最初がちょっとミュートになっていて聞こえなかったのですが、どなたに対する御質問でしょうか。
○長島委員 3名の方にそれぞれ教えていただければと思います。
○菊池部会長 分かりました。それでは、3名の方ということで、可能な範囲で後ほどお願いできればと思います。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。皆様、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
私からは、鈴木さんと行岡さんに御質問したいと思います。
まず、鈴木さんにはチャンス創造ファンドについて、交通費、診断書の給付ということをされていることを伺ったのですが、必須化におきまして、こうした経費について必要だとお考えかどうかということが1点と。
次に、行岡さんには、家計改善支援事業の必須化において、相談支援つきの緊急小口貸付は必要だと思われるかということと、もう一点は、人材育成につきまして、支援員が困ったときに相談できるサポート体制について、どのような体制があればいいのかお考えを聞かせていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
結構たくさん出ておりますので、参考人の皆様には大変恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。
五石委員、お願いいたします。
○五石委員 ありがとうございます。
行岡さんに御意見を伺いたいのですけれども、適切な人員配置ということをおっしゃっていたことに関連してです。特例貸付の返還が始まった場合、昨年、論点整理で厚労省のほうから出していただいた総合支援資金の再貸付の件数は53万件ということでした。例えば、償還免除が3割ぐらいじゃないかという話をどこかで聞いたことがあるのですが、仮に3割として、長期滞納がこれまでの実績からして7割と考えると、約25万人の長期滞納で出てくるのではないか。本日の資料3で家計改善支援員が1311人ということだったのですが、そうすると1人当たり190人という数字になるのですが、適切な人員配置ということを考えて、これをどういうふうに見ていらっしゃるかというのを伺えればと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。皆様、貴重なお話、どうもありがとうございました。
時間もないので、鈴木参考人に教えていただきたいのですけれども、就労支援をする方、支援者の研修につきまして教えていただけないでしょうか。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 3人の参考人の皆さん、どうもありがとうございます。
私からお三方に1点だけお聞きしたいのですが、この後の議論の中にもありますが、生活困窮のほうから見た生活保護の福祉事務所との連携、福祉事務所のほうから見た生活困窮の実施機関との連携について、皆さん方のお取組には大変すばらしいものがあるので、日頃からどういった連携をされているかということについて、特色があるものがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、お願いします。
私は、砂川参考人にお聞きしたいのですけれども、金銭管理等の支援事業については、川崎市が委託事業ということなのですが、どういうところに委託されているのかということと、それから、人員体制として、何人に対して何人ぐらいの配置になっているのかということをお聞きしたいと思っています。
これに関連しまして、先ほどどなたかがおっしゃっていたと思うのですけれども、就労にしても、家計にしても、前段のところで福祉事務所の軽減の話があったのですけれども、それぞれについてどのぐらいの人数が妥当だと思われるかということについても、ちょっと教えてください。お願いします。
○菊池部会長 最後、お手が挙がっています浦野委員、お願いします。
○浦野委員 恐れ入ります。
鈴木参考人に1点だけお聞きします。ユニバーサル就労支援事業、実は私の法人でもやっていまして、うちの職員が弟子としてそちらにお邪魔して鍛えていただいたという経緯がございます。もう数年、この事業をささやかながら続けておるのですけれども、この事業をうちでやっていて、いわゆる認定就労訓練の事業としてオフィシャルに依頼されてきているケースというものは、実は延べ300件ぐらいあるうちの0件なのです。ほとんどダイレクトにクライアントですとか御家族から御相談いただいて、じゃ、やってみましょうという形でお受けしているのですが、オフィシャルな形での依頼はほとんどないということですけれども、その辺はそちら様ではどんな状況なのかなということを1つだけ伺いたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
非常に多くの御質問をいただくことができまして、お答えするのに大変かと思うのですが、可能な範囲で結構でございます。鈴木参考人からお願いできますでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
では、順番にお答えできればと思いますけれども、15ページ目の内面の変化に合わせて相談員の役割も変えていくというところでは、アセスメントシートというものをうちでは利用しているのと同時に、京都の自立サポートセンターさんが開発したKPSのビジュアライズツールというものも併せて利用させていただいて、本人の状態像の変化というものをまず客観的に見ていくということが1点と。
それから、毎朝、朝礼の中で、ケース検討とか、もちろん毎月、定期的に時間をかけてのケース会議というものがありまして、外部の相談員から見て、今の御本人の状態と、担当者の相談員が見ている本人の状態像がずれていないかというところでは、外部が中へ入って、主観的にその人の状態を把握している。客観性と主観性で、この人、ステップがちょっと上がってきているのではないのみたいな話で、こういう基軸で支援を変えていくのもいいのではないかという話し合いをしているというのが1点目です。
それから、2点目の医療・医師、地元のお医者さんとの関わりはどうかというところですけれども、高齢者の場合は、私たちは地域包括センターさんからお話をいただくことが多いですので、既に包括さんのほうで医療と関わっている場合が多いので、包括の御担当の方と一緒に受診同行に行かせていただいたり、病院で開催されている関係者会議のほうに同席させていただくというのが多いのですが、圧倒的に多いのが精神科受診の同行支援かなと思います。
私、この仕事を始めて20年ぐらいたつのですけれども、以前に比べれば診察室に入る垣根が大分下りたというか、以前は頼んでも、親御さんがいいと言っても絶対に診察室に支援者が入るということはなかったのですけれども、今は御本人が診察室に入りたいとか、この場面では同席してほしいということの同意が取れていれば、ほとんど断られることなく一緒に受診できますし、意見交換もお互いにできるという意味では、医療の部分と社会生活の部分とをちゃんと分けて意見交換できるという、私が見えている範囲ではそういう状況かなと思っています。
それから、チャンス創造ファンドですけれども、必須化に向かって、実は前回の改正のときも、ぜひこれを制度化してほしいというお願いをしていたのですけれども、かなわず、もしこれが制度化されるようであれば、利用できる方の裾野というのはもっと広がるのではないかなと思っています。先ほどのパワーポイントで説明はしなかったのですけれども、マックス1人15万とつけているのですけれども、今までで一番多かったのが4万円の給付で、大体1万円あれば支援の中の交通費というのが賄えている状況です。
もちろん、スーツとか、その辺が別途必要な方はレンタルとか、地域のネットワークを活用していただいたりしているのですけれども、そんなに高額なものがなくても行けるということです。当初始めたときは、寄附集めが大変なのではないかと言っていたのですけれども、意外と原資は少なくて済んだので、本当に交通費程度でも構わないと思うので、始めていただけたら、御本人たちは本当に助かるのではないかなと思います。
それから、研修についてということで、漠とした質問だったのですけれども、うちの法人の研修ということで大丈夫なのでしょうか。どの辺りの。
○堀委員 ありがとうございます。こういった就労支援を行える方というのは、なかなかすぐには育たないというお話がありましたので、お尋ねいたしました。
○鈴木参考人 私たちの法人の中での研修なのですけれども、表面上の就労支援のスキルだけでは何ともならない。特に困窮の場合は、事情を抱えた方とか対応が難しい方が多いので、少しカウンセリング的な勉強とか自分自身を知るとか、相談員の内面から探っていくような研修から始めていって、支援の土台となるのは私たち相談員の人間性だったりするので、まず、自分自身を問うみたいな研修から実は始めていって、徐々に対支援のほうになっていくというところです。
なので、支援の価値とか人の尊厳といったところからスタートしていって、先ほど御紹介した状態像に合わせて支援を変えていくというところも、相手をどう見立てていくのかとか、自分は今どういう状況で相手を支援しているのかというのをかなり客観的に見ていかないといけないので、そういった形で、割とテクニック的なというよりかは、どう相手を観察し、どう自分を観察するのかみたいなところを結構力を入れてやっているかなと思います。
正直、スキル的なところは、どうとでもなるという言い方は変ですけれども、自己学習でできるところでもあるので、ロールプレイとかフィールドワークとかナラティブ・アプローチのような語り合いみたいなところで、支援者のスキル、土台を整えていくというところは重要視しています。今、コロナでなかなか集合研修はできないのですけれども、ちょっと独特な研修はしているかなと思っています。
それから、福祉事務所との連携の特色ですけれども、事務局が説明されていたように、私たちも非常に課題を感じているところで、生活困窮者の支援の特徴として人的支援がすごくメインになってくるので、生活保護に移行した瞬間に人との縁が全部切れるというところでは、御本人が、もうここ、使えないのみたいな感じで、受給した後もふらっとやってきて、しゃべる人が全然いないんだよとか、無低に行ったはいいけれども、苦しいというところがあって、こっちとしても積極的に支援できないというところでは、とてもジレンマを感じています。
私たちのところでは、ワーカーさんとの情報交換が比較的できる。すぐお隣が保護の担当者がいる場所なので、例えば生活保護を受けられた方が私たちの窓口に来たら、御本人がお帰りになった後にそのまま窓口に行って、御担当の人に、今日来て、こんなことを言っていましたみたいな感じで情報交換ができているというのは、1ついいことかなと思いますけれども、もうちょっと支援できたらしたいなと思う場面は多々あります。
特に就労準備は、千葉市では生活保護に入ると、手厚さが、急に受託事業者が変わるので、やり方が突然変わるので、どうしてもそこで準備が切れるというところでは非常に課題を感じているところです。とは言いつつも、何やかんや充実して支援を数か月ぐらいしています。じゃないと、本当に孤独になってしまうので、やっているような実情です。
それから、浦野さんからの御質問で、実は私たち、先週、あすなら苑さんにお伺いさせていただいて、奈良の地域密着の取組というのを教えていただいたところですけれども、自立相談とかから1件も来ていないというのはちょっと驚きだったのですけれどもね。実は、千葉のほうでは、当事者からのお問合せというのはほとんどなくて、ほとんどが自立相談支援機関からとか就労準備の御担当からつながってくるというのが実情になっていて、ユニバーサル就労と自立相談者、生活支援してくれる方々と三位一体で支援するという形が少しずつでき上がっているので、あすなら苑さんのところの自立相談支援機関があまり地域に出られていないのかもしれないなと思いましたので、ちょっと連絡を取ってみようかなと思いますが。
御本人が直接事業者さんに問合せをしてユニバーサル就労を始めていくとなると、御本人さんと事業所だけの関係性になっていて、事業所の担当者の方の負担というものがとても重くなっていったり、職場でその方の生活支援を見ているという法人さんもあったりするので、外部の生活を見てくれる支援員さんとかを巻き込んで支援するというのは、すごい大事な視点なのかなと思いますので、個別に御担当の方にメールを入れさせていただきたいと思います。
6点、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、行岡参考人、お願いしてよろしいでしょうか。
○行岡参考人 御質問ありがとうございます。
まず、駒村先生の御質問です。ギャンブル、アルコール依存症の方たちへの支援はどうなっているかということで、このギャンブル、アルコールの方というのは、自分で幾ら家計のことが理解できても、重たい方の場合は病気ということもあって、なかなかコントロールができないということがあるので、そういう意味では支援団体と連携したり、それから病院との連携というのは、多重債務のところも病院のほうに同行していくということを他市さんの時代からやっていまして、そういう意味で、今は自立相談支援員のほうが一緒に行くみたいな感じで対応しております。
家計改善支援員という、この仕組みで、いわばギャンブル、アルコールの方に対応するというのはなかなか難しいかな。したがって、支援団体とか病院とか自立相談支援員と一緒に伴走していくみたいな取り組み方をしています。実は、昨日も覚醒剤で刑務所に入っていた刑余者の方なのですが、この方、パチンコのこともあって、よく電話してこられる。そして、生活保護を受けられているのですが、お金がなくなった、食べ物もないという際に、自立相談支援員と一緒に食料を持って、お話を聞いてという形で対応していて、金銭管理で何かできるというのはなかなかに難しいのかなと思ったりしております。
それから、生水さんのほうからお尋ねいただいた支援つきの小口というのは、私はとても大事だと思っています。説明の中で申しましたように、家計改善支援、財布の中まで、私たち、見せてもらったりするから、そのときに本当に小さいお子さんを連れていらっしゃるのに、財布の中に1000円以下、100円玉しかないのを見ると、そのまま帰すというのは本当に心配で、JRの鹿児島本線、飛び込みの情報がよく入ったりするのです。そういう場合に、あの人じゃないかとか、港の埠頭から車ごと飛び込んだというのを聞くと、あの人じゃないかということを心配して、夜、眠れないみたいなこともあるので、それで1万円以内の本当に小口なのですが、これが結構効き目があって、コロナが入る前は、7割は請求しなくても返しに持ってこられていたのですね。
それは、貸付の証書を発行するわけでもなし、受け取りましたという領収書だけなのです。だけれども、それはあのときにあなたに助けてもらって、本当に頑張ろうと思ったということでお持ちになるわけで、そういう小口の貸付を現場の人たち、支援員がその場で出せるという仕組みというのは大きいと思っています。それがあるからといって、いろいろな人が私にも出して、私にも出してとお見えになるわけではないわけで、もちろん中には、貸しては返し、返しては借りとされているお年寄りの方もいらっしゃるのですけれども、それ自身はつながっているということなので、食料支援と小口の貸付というのはとても意味があると思っています。
これは大きい必要はないのです。例えば、1万円丸ごと出すわけじゃなくて、携帯がつながらなくて、バイトのところに電話ができないということだったら5000円とか、金額もそのときに御本人と話をして、どっちかというと即決で出すお金だから、これを絶対返してね。返してもらえないと次の人につながらないからという説明もしながら出している小口というのは、大事なのではないかなと思います。
もう一つ御質問のあった人材育成の件なのですが、現場の家計改善支援員と就労支援員さんもそうでしょうけれども、大変な人を目の前にして、どうしたらいいか分からないということも含めて、でも、相談しながら抱えていっているというか。例えば、昨年度の集計が出ているのを見たら、私たちの家計改善支援、6000人が初回面談を受けて、継続面談8000人だったのです。それだけの人たちを含めて何人でやっているのかということもあるのですけれども、それだけ受けているつらさみたいなことも含めて、見えるような場が必要と思っているのです。
ですので、実は生活困窮者自立支援全国ネットワークの中に家計部会というのを立ち上げて、全国の支援員さんが横につながったり、できたら北海道から沖縄までブロックごとにまとまって、そこで人材育成と併せて、いろいろなサポートができるような仕組みがつくれないかということで、全国ネットワークでは相談されていて、何人かで呼びかけをして、今回、ここにいらっしゃる委員の皆さんにもぜひ御協力いただきたいと思っているのですが、そういう組織をつくって対応していくというふうにしないといけないだろうなと思っています。
五石先生の適切な人材配置は、自立相談支援員と同数ぐらい置かないと多分無理だと思います。社協さんの貸付を受けている人というのは、必ず消費者金融さんとか銀行からもお金を借りていらっしゃいます。両方なので、私たちのところに相談に来られた方は、社協さんの分を含めて自己破産に持っていくとか、個人再生に持っていくとか、そういう相談になるのだろうなと思うのですね。それが本当にいいのかどうかとか、そういうこともあって、本人にとっては、後のことも考えて、ちゃんと返せるものを返したいとか、払うべきものを払いたいという方たちもいらっしゃって、家計を見ても、今後の予定を見ても、全く無理という場合は、そういう債務整理という形で進んでいくわけです。
そうじゃない場合は、しっかりサポートしながら、本人が自分の誇りを持って生きたいと、人間、みんな思っていますから、そういうところでのサポートという意味で体制が必要かな。その場合に、私たちのところでは、自立と家計が一緒に入って、家計改善支援員というのは、1週間から2週間のうちに滞納の窓口を全部一緒に回ってしまうのです。自立は、ほかの病院の関係とか、一緒に同行していくべきところにサポートして、家計改善支援員は、こと滞納とかお金に関する、急がないといけないことについて、とにかく急ぎますから、1人の方に早期解決という形でやるというのと併せて伴走していくみたいな、両方でいくので、本当だったら自立と家庭は同数ぐらいにしてほしいなと思っています。
私どものところで自立相談支援員さんが3人で、家計が1人ということは、家計は本当にてんてこ舞い。朝入って、昼入って、帳票をつけて、家計表をつけてとなるので。あと、家計表とか計画表とかキャッシュフロー表がつくれたら、あとは自立の方にお願いしてみたいな感じで連携してやったりしているのです。そういう意味では、家計改善支援員のほうが自立の相談員よりも忙しい。目が回るように走り回っているという現状で、適切な人員配置というところは、25万人も対応するのはとても難しいと思うのですが、できるだけのことをしたいというのがあるので、予算等々を含めて、許す範囲で必須事業にして体制を取っていただきたいなと思っております。
その次、福祉事務所との連携のところで、ここで言われている福祉事務所は、生活保護というところのことかなと思っているのですが、自立相談支援自身は福祉事務所から委託を受けているので、支援助成管理とか何かをしているし、保護世帯の家計改善支援という立場で言うと、本人が保護を受けたくないというので、私たちのところに御相談にお見えになって、家計表をつくって、キャッシュフロー表をつくって、これで生きていくのは無理ねというところから保護につながったりという形もあるところです。
一応、全体をお話しできたかなと思いますので、以上でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、砂川参考人、お願いいたします。
○砂川参考人 まず、支援事例のことですけれども、こちらについては、金銭管理を行っている事業者には事前に話をさせていただいて、金融機関には顔が見える関係を先につくっていただくというところで、全て挨拶に回っていただいたというところがございます。その上で、ケースワーカーと同行訪問いたしまして、こういった暗証番号等を思い出せないといった方に対して支援を行っていただくという流れになります。
2つ目につきましては、地域包括ケアと医療関係ということですけれども、金銭管理の事業自体は特にこちらの地ケアとの関係はないのですが、利用者の方は当然地域にお住まいということがございますので、そちらでの関係づくりというところから、川崎市は各区のほうに地ケア推進課というものがございますので、ケースワークの一環として、そういった連携を図りながら、例えば利用者の方の処遇方針を決定する際、ケース診断会議をもって、そういった形で反映させているところでございます。
次に、生活保護、福祉事務所と生活困窮という形の連携というお話なのですが、川崎市は、生活保護自立支援室でホームレスの方、生活保護受給者の方、あとは生活困窮者という形で一体的に行っておりますので、そういった中で情報共有しながら対応しているところでございます。
最後に、金銭管理支援事業を行っている事業所ということですけれども、こちらは金銭管理、福祉でも実施している事業支援でありまして、そういったノウハウはございますので、プロポーザルで決定しまして、事業所の名前は中高年事業団やまて企業組合になります。
また、人員体制ということですけれども、現在、40人程度にお一人という形で支援を実施しているところです。
すみません、説明は以上になります。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
今、皆様から、さらに重ねて質疑したい、あるいは質問の意図がちょっとうまく伝わっていないので、もう一度聞きたいという方がおられるかもしれないのですが、時間の都合もございまして、そういったさらにお聞きしたいことがございましたら、事務局を通じてやり取りをさせていただく、あるいは直接やり取りをしていただくといった形で、何かそこで御知見をいただけるようであれば、次回にでも各委員にも共有していただくという形にさせていただければ幸いでございます。
それでは、鈴木参考人、行岡参考人、砂川参考人におかれましては、大変貴重なお話を頂戴しまして、本当にありがとうございました。会場であれば大拍手で感謝の意をお示しできるのですが、本当に貴重なお話、伺うことができたかと思っております。
それでは、これより委員の皆様からの質疑、御意見をいただくこととさせていただきます。時間がかなり押してございます。5時までということで御案内申し上げておりますが、ちょっと難しい状況かなと思ってございます。ただ、2分というのは大変難しいので、2分半、3分辺りでおまとめいただけますと大変ありがたく存じます。今日は5時までということで、早めに御退席、御予定いただいている方がございましたら、先に御発言お願いできればと思いますが、岡崎委員、宮本委員、ほかに先に御発言、希望される方はお手をお挙げください。
まず、岡崎委員からお願いいたします。
○岡崎委員 それでは、高知市長の岡崎でございます。
今日、盛りだくさんなので、頭が混乱してきましたけれども、私のほうで2点。
1つは、今日の資料の中でもありますし、これまでの発言の中でもあったように、資料3の50ページで、小口資金の貸付状況。それと、今日のメンバーの中にも市社協の方がそれぞれおられるので、ここにみんな危機感を持っていると思うのです。今のところ償還免除は、そこにあるように住民税非課税世帯だけなので、もう少しボーダーラインを上げてあげないと、一定の貸し倒れというのは想定の中に入っているのかもしれませんけれどもね。
多分非課税の部分だけでは無理なので、ボーダーラインをどのくらい引き上げるかというのは政治的な判断になるかもしれませんけれども、この辺の対応を考えておかないと、さっきの行岡さんの話ではないですけれども、自己破産になったりするので、この辺りは政治的にもう少し引き上げて支援したほうがいいのではないかというのはずっと思っていますし、多分、全国の社協の方々もそう思っていると思います。
それから、奥田さんからまた話が出るかと思いますが、生活保護になった瞬間にいろいろな支援の関わりが切れてしまうというのは、奥田さんがずっと前からおっしゃっていた内容なので、そこは今日の資料の論点の中に出てきていますけれども、生活保護になった瞬間に支援の様々な人間関係が切れてしまうのは非常にもったいないですし、御本人も孤立してしまうので、そこは一定の期間、継続して支援できるようにしてあげたほうがいいと思います。
あと、今回、生活困窮の自立支援の法律の立ち上げのときからずっと関わっていますので、厚労省の方々には、今日の委員の方々は実践者なので、それぞれ実践されている方々の意見を踏まえて、かなり柔軟な対応をしていただいておりまして、そのことに感謝申し上げますとともに、まだまだ制度上、安定していない部分がそれぞれ部分的にもあるので、また現場の意見を十分尊重していただいて、今後ともいろいろな制度の落とし込みには柔軟な対応をお願いしておきたいと思います。
今日、盛りだくさんなので、どこがということではないですけれども、その辺りが一番大事なのかなと思いますので、以上3点になりました。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、宮本委員、お願いします。
○宮本委員 ありがとうございます。長年、司会進行役をやっていた習性で、時間が押していると私まで落ち着かなくなって、どきどきしている感じで、菊池先生の御苦労やいかにというところであります。そんなことを言いながら、引っ張らないように手短に就労支援に関して3点申し上げたい、あるいはお伺いしたいと思います。
1つは、就労準備支援についてなのですけれども、この必須化、基本的に賛成でございます。ただ、必須化か任意かというよりも、いかなる必須化かということが非常に重要であって、これは論点整理検討会から制度化の逆説、パラドックス。制度化することによって、現場で裏技、荒技を含めて創造的に取り組まれていること、あるいは経済部局が牽引役になって、福祉部局を巻き込みながら、一般企業を巻き込みながらやっているということが小さくまとめられてしまって、縮小再生産になってしまうという可能性を本当に心配するわけであります。
例えば、豊中市などは経済部局が中心になっているわけですけれども、必須化によって、そこが排除されるようなことになってはまかり間違ってもいけないと。むしろ、今、雇用というのは、ジョブ型かメンバーシップ型かという議論があるわけですけれども、それに並んで第3の道として、訳ありの人たちに合わせたオーダーメイド型の雇用をつくり出すかのようなモチベーション、努力になるような必須化をぜひ実施要領の段階で設計していただきたい。そこに皆さんの知恵を出し合うべきだと思います。
2番目に認定就労訓練事業についてで、特に雇用型が広がっていくということも非常に重要なのだけれども、現状では伸び悩んでいるということですね。これについて2つのアプローチが必要だろうと思っています。
1つは、障害者雇用制度、なかんずく就労継続支援のA・Bのように、事業者に対する直接の補助ですけれども、これについては、障害者雇用の先行事例からいろいろ学ぶことが非常に重要だと思います。現実には、障害者雇用の制度、短期的な雇用とかIPSといった取組と困窮者の就労支援というのは非常に重なるわけですけれども、であるがゆえに非常に重要なのは、さきの制度化の逆説に関わってきますが、障害者雇用の制度は、この事業者に対する補助が制度化されているがゆえに、結局、補助を目当てとする事業者が動くということにもなってくるわけです。
もちろん補助金が駄目だということではないのだけれども、障害者雇用の先行事例からいかに学ぶか、さらに言えば、そことどう連携していくかということを考える。これが1つです。
もう一つ、補助金を出すということに加えて、認定就労訓練事業を広げていくもう一つの要因・方法というのは、行政の公共調達や公契約における優先発注の仕組みだろうと思います。優先発注で大阪のハートフル条例が有名ですけれども、総合評価で福祉的観点からの就労を進める事業者に高い点をつけるということが非常に重要であろうかと思います。論点整理検討会の段階で調査したら、2%ぐらいの自治体しか優先発注をやっていなかったということが一旦報告されたというか、調べられたのですけれども、実態としてはもっと優先発注の事業が行われていたのだけれども、福祉の部局がそれを認知していないところがある。
ここでも福祉の部局と財政の部局の断絶というのがあって、ここをつなげていくような形をさらに追求しつつ、この優先発注の仕組みを定着させていく必要があろうかと思います。
最後、生活保護受給世帯への就労支援ですけれども、これを進めることは非常に重要なのですが、このことによって生活保護受給世帯が受けている誤解です。つまり、生活保護というのは、働けるのに働いていない人たちがいっぱいいるのだという誤解を広げることになってはいけないということです。高齢世帯や傷病・障害世帯、そして母子世帯、働こうにも働けない人たちがたくさんいるのだ。これまで、それに対して、その他世帯が増えているということを、就労支援に効果がある1つの根拠にしてきたのですけれども、そう単純な話じゃないと思うのです。
その他世帯もいろいろな世帯がいるということで、そういう意味では、受給世帯で就労支援が有効な範囲というのをどうやって見繕うかということについて、少し皆さんで知恵を出し合う必要があろうかと思います。そして、この支援が生活保護に対する誤解を強めるのじゃなくて、むしろ解いていくような支援につながることが重要ではないかと思います。
3分超えてしまったと思います。失礼いたしました。どうもありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 朝比奈です。
私からは、別紙で意見も出させていただきましたが、大きく2点申し上げたいと思います。
論点整理でも、それから先ほどの鈴木さんからの御意見でもありましたが、広く就労支援ということをどうのように構築していくのか。それから、併せて、これはもしかしたら生活困窮者とは一体誰のことなのかということになるかと思うのですけれども、生活困窮者支援法、生活保護法にとどまらず、幅広く働きづらさを抱えた方々の仕事をつくり出していく役割を見出していくということは、先ほど医師会の長島委員のほうから地域包括ケアのお話が出ましたけれども、地域共生社会の文脈からも、今後、より重要になってくると思われます。
そういう意味では、ネットワークづくり、体制づくりというところにつきましては、生活困窮者の枠組みを超えた様々な分野との連携・協働のプラットフォームなどについて、自治体に先導的な役割を求めていきたい。これは大阪の先例なども参考にさせていただきながら、そのようにイメージさせていただきました。
それから、なかなか担い手がいないということにつきましては、例えば障害者総合支援法上の就労移行支援事業所とか就労継続事業所などを巻き込みながら、基準該当サービスのような形で、そこの協力を得てプログラムなどに参加していくような、場合によっては1件幾らという委託の報酬の出し方も含めて、政策を相互に乗り入れていくようなことを意図的に検討していただければ、そういう余地を考えていただければと思っているのが1点です。
それから、2点目は金銭管理支援についてです。判断能力不十分というと、どちらかというと医学モデルの捉え方になるかと思いますけれども、こうした定義にはなかなか当てはまらない。先ほどギャンブル依存のお話もありましたが、様々な要因から日常的な金銭管理がうまくいかないために困窮状態に陥る方にたくさん出会ってきていて、専ら必要性の観点から、一時的ですけれども、一時生活支援事業や私どもの「家計再生支援」となっていますが、すみません、「家計改善支援事業」です。家計改善を扱っている方々の御希望を受けて、事務的に預からせていただくということも、必要に迫られてやっております。
これは、恐らくこれまで身近な親族などによって担われてきた部分かなと思われ、今後、身寄りのない人が増えていく状況の中では、こうしたニーズは一層大きくなっていくと考えています。今回、事務局から提供していただいた成年後見制度に関わる資料については、大変参考になり、興味深く拝見させていただきました。家計改善支援についての資料3の後ろのほう、参考資料の58ページ。まさに私がイメージしているようなモデル事業が既に取組が始まっているということも伺いました。簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組は、本当に権利擁護支援の一環として、判断能力の有無に関わらず、地域の中でこうした関わりをバックアップしていくような、公共性の高い基盤づくりが求められていると思っております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
時間がありませんので、手短にお話ししたいと思います。先ほどの川崎市の課長さんのお話でもあったのですが、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携というところで一言お話ししたいと思います。川崎市では大変うまく連携しているようなお話でしたが、いかがでしょうか、それぞれの現場において、実際のところ連携がしっくりいっているのかなという疑問を早くから持っております。そのため、私ども大阪市で3つの相談事業をやっているわけですが、そういったことを考えて、社協とジョイントと組んで共同体で相談事業を請け負っております。
ケースワーカーの個人差によって、その連携が難しいときがあるのではないかという生の声が上がってきております。連携や個別支援を大変意識している、意識の高いケースワーカー。一方で、多くのケースを抱えて事務作業に忙殺されているケースワーカー。この2通りがあるかと思うのですが、そのような場合に連携が必ずしもうまくいくとは限らないのではないかという思いを持っています。
前からお話ししているのですが、困窮者制度と生活保護をはっきり線引きすることは絶対に難しいことなので、どうしても重なり合うところが出てくるかと思います。そこで提案なのですが、ケースワーカーの質の向上、支援員の質の向上がしっかりできるまで、それぞれの機関に整理ができるようなスーパーバイザーを配置するようなことも考えて、この連携について関係機関でしっかりとこなしていけるような形を考えてはいかがかなと思っていますので、参考までにお話ししました。
ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、宮脇委員、お願いします。
○宮脇委員 湯梨浜町の宮脇でございます。
町村では生活困窮の相談件数がそれほど多くないという実態がございまして、就労準備支援事業あるいは家計改善支援事業の対象者もいないところもあったり、少ないところが多いかと思っております。そのような町村では、資料2の9ページや資料3の8ページの調査結果にもありますように、自立相談支援事業の範囲内で対応している場合が多いと思っております。サービス提供という面からいえば、ある意味ワンストップといいますか、1人の方をお相手して相談できるというのは、いい面もあろうかなと思っているところでございます。
このような実情を踏まえますと、改善支援あるいは準備支援の担当者がスキルを高めていくことはとても大切なことですけれども、いきなり必須事業化ということにつきましては、ちょっと慎重な御検討をお願いできればと思っているところでございます。
次に、生活保護受給期間が長い方への就労支援についてでございますけれども、現場では大変苦慮しております。就労意欲が増すようなインセンティブ強化などについて、ぜひとも御検討いただければと思っております。併せて、前回の部会で御紹介がございました釧路市のように、被保護者の方へ多様な働き方を提供できるような取組を、小さい自治体であっても、人材や財源が限られた町村でも、NPOや民間企業と連携し、行うことができるよう、国からの支援をお願いいたしたく存じます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。生水です。4点、意見を述べさせていただきます。
1点目は、就労準備支援事業についてですが、野洲市においても就労継続支援A型・B型事業所につながるケースが多くて、この事業の必須化につきましては、雇用と福祉のさらなる連携強化が重要だと思っております。
また、他制度との連携では、母子・父子自立支援プログラム策定員との連携強化です。例えば、償還免除つきのひとり親家庭住宅支援金貸付というのがあるのですが、この支援金貸付を申請するには、母子・父子自立支援プログラム策定員によるプラン策定が必須なのです。この策定員が設置されていない自治体も多くあるところから、支援実績に地域格差が生じています。自立相談支援事業の就労支援との連携の枠組みで効果的な連携が図れれば、もっといい結果になるかと思いますので、検討が必要ではないかと考えます。あと、現場のニーズに即した訓練を考えれば、地域訓練協議会への生活困窮者支援担当者の参画による連携強化が必要だと考えます。
2点目は、資料3の家計改善支援事業について、行岡さんと同じく必須化を求めます。特例貸付につきまして、野洲市の相談データにおいて精査しましたところ、令和2年10月から令和4年3月末の18か月間で初回の総合支援資金貸付決定件数が233件、そのうち債務あり115件、そして税金等の滞納ありが82件となっております。これは初回の貸付決定数の約半数の方に債務がある中で、返済ができず、家計が破綻する危惧がデータとしても示されております。だからこそ、全国どこの地域でも家計相談の支援が受けられる体制が必要であって、早急に税務部局、社会福祉協議会との連携の枠組みを具体的に検討することが重要です。
特に、償還免除に関する非課税証明書、収入申告、扶養控除の手続、また、税金滞納からのアウトリーチ、こうした税務部局との連携強化は必須なので、個人情報の取扱いを含めまして、市役所内における生活困窮と税務のスムーズな連携が図れる方策が必要だと思います。ただ、留意点としましては、家計改善支援事業の中で目的が異なる金銭管理支援を含めて行うのではなくて、別の事業として整備することが必要だと考えます。
それと、先ほど朝比奈さんからも御意見ございましたが、資料の58ページにあります簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組。これは身寄りの問題を考えても、必要となる仕組みだと思いますので、全国においてモデル事業を積極的に推進することが必要ではないかと思います。
3点目は実施体制ですが、こうした事業の必須化に当たりまして、国庫負担率を自立相談支援事業と同じく4分の3にするなどの財源措置を図ることと、効果的に実施する方策としては、支援員の適切な配置。そして、これが重要なのですが、政策立案、そして庁内連携強化のための専従職員の配置を法律に規定することが必要だと考えます。
最後、4点目です。資料4の19ページの支援担当者同士で円滑な引継ぎが可能となる方策についてですが、例えば今は生活保護だけれども、自立の見込みがある場合において、自立相談支援機関と生活保護のケースワーカーがともに支援会議において情報共有や、支援の方針を協議することで円滑な引継ぎが可能となります。平成30年10月1日に発出されました支援会議に関するガイドラインの事務連絡では、生活保護受給世帯の世帯員であっても、支援会議で情報共有することは可能であるとの運用を示されております。それならば、法において、支援会議の対象者に被保護者も対象と規定することが必要であって、この支援会議の活用が困窮と生活保護の重なり合う支援の重要な役割を担うのではないかと思います。
以上、ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 資料2につきまして2点です。
1点目。37ページに記されておりますKPIの達成率は高過ぎると考えております。これは、以前にもKPIの話が出ましたので、この部会で判断するということではないと承知していますが、あえて述べさせていただきます。
2点目。資料2の38ページです。先ほど就労ネットワークちばの鈴木さんが述べられたように、就労支援の考え方は、多様な働き方ということを前提に考えるべきであると思います。プロセスで記されている就労のアセスメントとエバリュエーションと再アセスメントを柔軟に考えていくべきであると考えます。これは、就労自立だけではなく、社会生活自立、日常生活自立に振り分けをすることを考えていく必要があると思います。
この関連で、障害者総合支援法や障害者雇用促進法の中で、いろいろな取組がされています。この点について、生活保護の就労支援は制度が違いますが、大いに参考になると考えます。
資料3につきまして、12ページ、13ページに関わる事項です。今回の新型コロナに関連して、コロナ特例で総合支援資金と緊急小口の相談・貸付数が非常に多くなっています。これは、自立相談支援機関から社会福祉協議会また福祉事務所から社会福祉協議会の生活資金の相談・貸付という紹介・連絡の流れがあり、それにより貸付件数と併せて貸付額が膨らんでいることがあります。これには逆の流れもあります。そこで課題となるのはその人たちの中に返済が難しい人も相当数いらっしゃることです。これは、ある意味では、生活困窮者自立支援法と生活保護法と、生活資金の相談・貸付を担当する社会福祉協議会とウイングを広げ総合調整することを考えていく必要があるのではないかと考えます。
資料4については、連携は必要と考えています。相談支援は同一機関内で完結することがほとんどありませんので、連携は切り離せません。ここでは、個別事例の連携を念頭に記されていきますが、そもそも前回の部会のときも意見を述べましたように、人員体制そのものが違います。生活保護制度は、実施機関の地域担当者が行います。生活困窮者自立支援制度は、機関またはサービス事業者の担当者が、個別の事例の連携や組織的連携を図っています。個別的な事例の関わり方と組織的な連携の関わり方はどのようにするかを、今後検討が必要であると考えております。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、和田参考人、お願いいたします。
○和田参考人 ありがとうございます。今回、発言するに当たりまして、全国知事会の社会保障常任委員会構成県に意見の照会をさせていただきました。
まず、議事(2)につきまして、認定職業訓練事業につきましては、限られた社会資源の中で取組を推進していくために、受入先に加え、要支援者本人に対して、さらなる経済的な支援、インセンティブが必要と考えます。
次に、就労準備支援事業において、より高い事業効果を発揮させるためには、就労支援と一体的に検討することが望ましいと考えております。さらなる実施率の向上のためには、就労準備支援対象者を受け入れる企業、社会福祉法人等に対する支援やインセンティブが必要であると考えます。また、広域的な実施の検討を図るために、連携実施による国庫補助率の引上げの面での支援も必要であると考えております。
次に、自立支援制度における支援対象者に対して、生活保護制度と同様に、求職活動や技能習得等、就労支度金を給付するなど、より実効性のある支援を行い、自立を後押しすることも検討する必要があると考えております。
次に、議事(3)についてでございます。自立支援事業における家計改善支援事業については、家計改善の必要性を理解してもらうことが難しいという現場の声を聞いております。支援員に対する研修、サポートを実施するとともに、ファイナンシャルプランナーや弁護士等の専門家に相談を委託するということが効果的であると考えております。
次に、議事(4)についてでございます。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の支援策の連携につきましては、各事業内容・支援内容を明確にして、協議・連携のあり方を整理した上で、重なり合う支援の実施を検討すべきであると考えます。両制度の特性・優位性をしっかりと生かせるよう議論を深めていくことが重要であって、一体的な支援・連携強化を図る上で、自立相談支援機関と生活保護の実施機関の体制の強化の取組が必要であると考えます。人員体制の強化とともに、両制度を実施する実施機関がお互いの制度を理解するための研修制度の確立が必要であると考えます。
また、支援対象者と支援実施者との間で、両制度をまたいだ支援を実施することに係る合意形成に加え、生活困窮者自立支援制度における個人情報や支援内容を生活保護制度においても共有できるような法的な仕組みを設けることで、連続的な支援を実施することができるのではないかという意見もありました。
さらに、両制度をまたいで支援対象者と接する役割・機能についても、多角的な検討が必要であると考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 今日は本当に盛りだくさんで、たくさんのことをお伝えしたいですけれども、3点だけお話ししたいと思います。
就労準備・就労移行、いろいろお話がありましたけれども、基本的にオーダーメイド型であるべきであるということと、そもそも就労という考え方が、賃金を得ることのみが就労なのかどうなのか、働き方ということをもっと多様にしていく必要があるなと思います。先ほどの中間的就労なども、非常に多様なメニューができているというのはとても重要で、そこをもっと開発していくことが大切なのではないかと思います。
私たち、今、支援している人の中では、携帯電話を持ったらすぐなくしてしまう。そして、職場に着くことができない。いつも道に迷ってしまう。でも、彼は我々の公共施設の水やりは必ず来てくれるのです。そういうことを一日も絶やすことなくできるという能力があって、これは賃金を得る仕事ではないとしても、働くこととしては、彼はとても活躍されている部分があるわけで、全てそこだけで議論していくと、きっと難しい人たちがたくさん出てきて、当てはめる就労にしてしまうことは、本来の考え方とは違っていくのかなと思います。
2点目ですが、先ほど来、コロナの特例の貸付のことに関しては、今、返せませんということについてや、非課税であることの証明を一緒に取りに行くような手続の支援なども相当数やっておりますけれども、そもそも貸付の最初の段階で、世帯収入を全体聞いて対応していたかとか、世帯主が減収したことを中心にやっていたわけでもないわけで、そもそもボリュームがあった御家庭でも、コロナで苦しくなった人たちもいるわけです。そういう意味で言いますと、今回の非課税というのはとてもつら過ぎますし、これで住宅を失ったり、家族がいる方々にとってはとても厳しい選択を余儀なくされる人たちを目の前にしていて、本当に厳しいお話を今、受けておりますので、ここはまた御議論いただきたいなと思います。
それから、3点目ですけれども、日常生活自立支援事業。私どものところでも、現在、金銭管理をさせていただいていますが、実のところ、約8割から8割ちょっと、9割近い年度もありますけれども、生活保護の対象の方になっています。本当に厳しい人たちがたくさんいる中で、今、待機もたくさん出ておりますし、ここに対する補助の体制が不十分であると思っていまして、成年後見に移しても、待機者を減らすために相当な努力をしても相談がどんどん増えている。
ということで、先ほど来、川崎の事例もありましたが、管理する金銭管理なのか、エンパワーメントしていく金銭管理なのかということも非常に重要な視点かなと思いますので、お金を使わないようにとか、お金を全面的に取り上げてしまって管理していくという方向ではなく、本人がよりよい人生を歩めるような応援ができるような金銭管理はどうあるべきかということを、もう少し検討していく必要があるのかなと思いました。
ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
堀委員、お願いします。
○堀委員 どうもありがとうございます。
私からは3点申し上げたいと思います。
まず、1点目、困窮者に対する就労準備支援ですけれども、必須化を目指すという方向に賛成なのですけれども、その際には広域連携が大変重要になってくるのではないかと推測しております。自治体と労働市場圏というのは必ずしも重なっていないので、より広く地域を広げることで様々な社会的資源が共有できるのではないかと考えておる次第です。その際には、交通費というのがネックになってくると思いますので、格段の御配慮をお願いできればと思っております。
第2点目ですけれども、生活保護の人々に対する就労準備支援なのですけれども、すぐに有償労働は難しいという方々も多いと思いますので、まず社会とつながるようなことを目的にしながら、一歩一歩ステップを踏んでいけるような、そうしたアセスメントを期待したいと思います。
そして、3点目、困窮と保護との制度的な関係ということですけれども、当事者にとっては、1つのプロセスとして認識できるような形の運用を期待したいと思います。また、重なり合う支援というのは大変重要だと思っているのですけれども、うまく事例を積み重ねることによって、将来的には困窮と保護の制度が一体となるということを期待したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
浦野委員、お願いします。
○浦野委員 ありがとうございます。
そんなに時間もないので、今日は異なる制度をどうつなぐかという話で、こんなことを私が今さら言わなくても、皆さん、お分かりになっているのですけれども、制度がもともと別になっていることに問題があるということだろうと思います。これは歴史的な経緯があるので、今すぐどうこうということは言えないと思うのですけれども、生活困窮者自立支援法と生活保護法、クライアントはそこを行ったり来たりする人もあれば、AからBに行き、BからAに行くということがあるのだろうと思います。それは、一々制度が違うからといって、事業者側に負担を強いるとか、その連携のためのいろいろなコストを逆にかけるというのは、本来はおかしな話なのだろうなと思っています。
ただ、今すぐはできないということであれば、例えば支援者側の人的な行き来をもっと活発にする。出向という形も含めてやっていく。将来は、生活保護法には確かに保護費の扶助料の支給ということがある。自立支援法はそれがない。しかしながら、ソーシャルワークという観点で言えば両方は通底している。そういう観点で、ソーシャルワーカーの専門家というものを中心にして、この事業をやっていくということが私は必要なのだろうと思います。
その際に、広域連携ということが当然出てくるわけですけれども、広域連携をしていくということは、公務員の世界だけに立てこもらせるのではなくて、民間の資源、社会福祉協議会などをはじめとして、民間のソーシャルワークを志して働こうと思っている人々の集団を積極的に活用していくのであって、行政職ですというアイデンティティーだけでは、組織にこの仕事をやってもらうというのはなかなか難しいのではないかなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、お願いします。
○奥田委員 ありがとうございます。
今日は御発表ありがとうございました。私は、今回の改正の議論というのは、重なり合うというのがテーマになるかなと。これは、生活保護と生活困窮だけじゃなくて、もともと生活困窮者自立支援制度の理念というか、包括的、個別的、早期的、継続的あるいは分権的、創造的という5つはとても大事な概念で、特に最初の包括的というのは、今の生活困窮状態にある人たちが複合的で多様な困窮を抱えているということから始まるのですね。ですから、包括的な支援が必要だということになれば、私は基本的にはメニューは多いほうがいいと。
それで、まず第1に、重なり合うということで言うと、私は家計と就労準備は必須化したらいいと。そこは重なり合っていく。選択肢が増えていく。これは多様で複合的な課題に対応していくには、そういう体系が必要だろうというのが1つですね。
それと、さらに重なり合うということ、あるいは包括的ということで言うと、重層で議論されている参加支援の部分で、障害者総合支援法を一部活用するという話で、これはなかなかうまくいっていない様子を聞いていますけれども、障害者の総合支援法で使っている移行支援事業とか就労継続支援のA型とかB型というところと、この生活困窮の就労部門というのをどう重ねるかという。私は、分野を超えた大きな視点で議論すべきだろうと思うのです。ただ、重層の参加支援を見ていると謝金みたいな形なので、本当の意味での制度を重ねているわけではなくて、隙間を重ねたというか、隙間に入れ込んだみたいな感じなので、ちょっと思い切った議論をしてほしいなというのが2点目です。
3点目、本ちゃんの生活困窮と生保の重なり合いのところなのですが、私は重なり合っていくというのが大事だと思うのですね。これは、例えば早期的なものというのが生困の理念の中にありますけれども、生活保護が最後のネットと言い過ぎてきたわけだから、早期に保護を使って、早期にそこから出て、その前後にちゃんと生活困窮がいて、間もちゃんと生活困窮もいるという風景が私は必要なのではないか。これは、生活保護法の自立支援という観点においても、それはとても大事な話なのではないかと思います。
ただ、両制度の違いは、いい違いとして僕は持ってほしい。例えば、生困の弱みであり、強みであると言ったほうがいいかもしれませんけれども、給付を中心としていない、相談支援事業を中心としたという、これは生困の強み、最大のよさだったと思うのですね。一方で生活保護のほうは、ケースワークをしながら給付がちゃんとあったという。今回のコロナのことで、給付も一部ないと困るねという声もいっぱい聞いたわけです。
一方で、それを生困でやることに関しては、私は一貫して反対しているのです。これは生困のよさがなくなる。それはいけない。だから、両制度が重なり合うという前に、両制度のいいところを一体化してしまうのではなくて、変なあれですけれども、区分がある上での重なり合いというのが大事なのではないか。
最後に、そうなると、今日の生活保護との関係の資料の1ページ目にあった、生活保護法第6条の規定と生活困窮者自立支援法第3条の対象者は誰かという、この法文をめぐる議論をちゃんとやらないと、運用のところだけの議論で本当にうまくいくのだろうかというのは、ちょっと私、どうかなと思うのですね。特に「要保護者」という概念と「おそれのある者」という概念について、どれだけウイングを広げられるかということが、重なり合いというのを幾ら現場で会議を一緒にしましょうといっても、法文上、対象者になっていないという話になると、自治体によってばらばら感が出てしまうと思うのですね。そうなると、生活保護法第6条の法文と生活困窮者自立支援法第3条の法文をどう今回、見るのかという、ちょっと踏み込んだ議論を今後していただきたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
私のほうからは4点、なるべく簡潔に述べたいと思います。
今、ほかの委員からも出ていますが、議論されている就労準備支援事業と家計改善支援事業については、改正法の附帯決議を踏まえて、自治体間の格差を是正し、全国どこでも必要な支援を受けられるよう、さらなる国庫補助による財政措置とともに、広域実施を行う場合であっても支援の質を確保すること前提に必須事業化して、一体的な実施を図るべきと考えています。
2点目です。就労準備支援事業、認定就労訓練事業における職場体験の際などの移動に伴う交通費等について、事業の実施率向上や認定就労訓練事業所の負担を軽減する視点から、支給について検討すべきと考えます。
3点目、以前にもお話ししましたが、生活福祉資金の貸付の償還によって、さらに生活が困窮するおそれがあります。連携はもちろん必要ですが、生活保護を拒む方もいらっしゃるため、第2のセーフティーネットを充実させて、生活に必要な費用を給付するメニューを検討する、もしくは小口資金等の給付を検討すべきと考えています。
最後、4点目です。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携はされていると思いますが、連携の度合いは自治体や地域によってばらつきがあるのではないかと考えています。先ほど3人の参考人からお話しいただいた状況は、良い連携事例だと考えております。定期的な意見交換の場や共同の研修会、さらには人事交流など、各地で連携強化の取組があると思いますので、さらに好事例を紹介して連携促進を後押しするなどの取組が必要ではないかと考えております。
さらに、制度間の支援が途切れることのないよう、必要に応じて、重なり合う、継続的な支援が必要と考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
五石委員、お願いします。
○五石委員 簡単に2点ほど申し上げたいと思います。
1点目は就労訓練について、中間的就労後と言うと、訓練にどこかで働くというイメージがどうしてもあると思います。しかし、そもそもそうではなくて、就労訓練あるいは中間的就労で、そこでずっと働き続けることができる場があってもいいのではないかと思うのです。そうすると、就労訓練自体の概念を練り直すことになると思うのですが、多様な働き方を実現するためにも、就労訓練の今のあり方というものをもう一度練り直したほうがいいのではないかというのが私の意見です。
それから、もう一点が、資料2の51ページで、本日、KPSビジュアライズツールを掲載していただいているのですけれども、誰が作ったかということが書いてありません。京都自立就労サポートセンターが作りましたということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 では、手短に2点ほど述べさせていただきたいと思います。
1点目が被保護者に対する家計改善というところで、先ほどから出ておりますけれども、生活保護を受給した後に滞納すると、保護費の中から返済していくというのが実質難しいというところもあってり、金銭管理をどうするかというところで悩んでいる現場の方も少なくないかなと思っております。実際、本人に渡してしまうと、そのまま全部使ってしまってヒヤヒヤするということで、やむを得ず預かったりといった実態もあるのかなと理解しています。
ですので、そういった意思決定支援に基づく金銭管理という部分と、滞納するとお家に住めなくなるとか、水道光熱費が支払えなくなるという、保護的に金銭管理をしないといけないという側面があるので、そういったところで、倫理的なジレンマを抱えながら、実際に支援に当たっているケースワーカーを含めていると思いますので、その辺りの金銭管理というところをもう少し細かく手当てしていく必要があるのかなと思って聞いておりました。
2点目でございます。生活困窮者自立支援制度と生活保護の連携ですけれども、先ほど来、重なり合う支援と言われていて、ここの連携をどうするかというのを、今日のお話も含めていろいろと聞かせていただいた上で、1つの御提案というか、考え方として、例えば一般的なリレーのように、バトンを渡すときに渡す範囲、いわゆるバトンゾーンというのを明確に決めた上で、ここからここはお互いに行ったり来たりしていいよというところを決めた上でバトンを受け渡ししているわけですけれども、生活保護と生活困窮者自立支援制度の間で、そういった一定程度のゾーンを明確にした上で、お互いにきちんとバトンを渡して制度を利用する。
または、生活保護開始の段階でも相互に連携しやすいというところを明確にしたほうが、重なり合うというところがより明確になって、支援しやすくなるのではないかなと考えております。
以上2点です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員は退席されましたか。先ほど手を挙げておられたのですが。
○事務局 退席されました。
○菊池部会長 そうですか。失礼しました。ちょっと時間がオーバーしましたので。
それでは、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
私のほうからも手短に3点ほど。
まず、皆さんおっしゃっていますが、償還免除に関しては、本当に子育て家庭、非常に厳しい状況でございまして、物価高騰で御飯も満足に食べられないという中で、これを返さなければいけないのかというのは、お母さんたちにとってはストレス以外の何物でもないですし、返してもらっても何もいいことがないのではないかと思いますので、ここに関しては、ラインの引上げ、子育て家庭だけでも配慮いただいて、貧困の連鎖がないようにしていただければと思っております。
2点目が小口資金の貸付とか交通費の支給というような、本当に小さいお金をスピーディーに必要なときに提供するということは非常に重要だと思いますので、ぜひこれはどんどん促進するようにしていただければと思います。私たちがやっている学習支援でも、交通費を出さないと学習支援の現場に来られない子が、東京だと交通機関で来るのですけれども、そういう子にはお金を出して勉強する場を与えたりということもしていますし、体験活動に連れていくときも、そこの場所までの交通費や実費を出すということをしております。
目的としてちゃんと就労を受けてもらうとか、その人たちがステップアップするためにかかるコストとして考えて、これは提供するということをしていくのがいいと思います。今、お金がないという人に対しての1万円というのが、本当に命を救うことにつながると思いますので、こういったことは非常に重要だと思います。
3点目が保護と困窮のつながりといいますか、早期に保護に入って、早期に出るようなことが、特にその他世帯では重要かなと思っておりまして、今、物価高騰でいろいろなものが上がって、電気代も上がって、食品も上がって、夏休みが来る前に大変ですかということを、私たちが緊急で困窮子育て家庭にアンケートを行いましたところ、物すごく大変ですという人が4割で、大変ですという人が4割で、8割の方が大変で、給食がなくなる夏休みを乗り越えられないのではないかという不安を抱えていらっしゃいます。
クーラーをつけるか、御飯を買うか、熱中症になるか、栄養失調になるかということで、子供たちへの食の心配を聞いても、保護者自体は1日1食みたいな人がすごく多いのですけれども、いよいよ子供も1日3食食べさせられない可能性があるとか、肉や魚は買えていないとか、卵が唯一の非常に貴重なたんぱく源だったのに、卵が値上がりして大変ですみたいな声が聞こえて、こういう人たちはいっとき生活保護に入っていただいて、生活をちょっと安定させて、落ち着いたら出ていくということをしていただければいいなと思うのですけれども、皆さん、生活保護に対して受けたくないという思いがすごく強くて、結果、体を壊されてとか、働けない状態になってから受けるものというイメージがすごく強いので、そこは何とかしたいと思います。
例えば、家計改善支援、すごくいいと思うのです。子育て家庭の方たちは、自分は子供に望むべき学歴をちゃんとつけてあげられるのかというのを心配されているので、生活保護を受けて家計改善の支援を受けて、こういうところでやっていけば、お子さんを大学に行かせられるねということが見えてくれば、すごくいいですし、そこのインセンティブとして、就労自立給付金の積み増しとか、子供がいる家庭に関しては家計改善を受けて、例えば10万円とか15万円じゃなくて、もうちょっと何かのために積み増しで20万円出しましょうみたいなことができれば、働きながら生活を落ち着けて生活保護に出て、その後の生活も安定して子供も安定できるということになると思います。
ですので、本当にうまく連携しながら、新しく出てきた困窮層、働きたいし、働ける能力もある若い方たちとか家庭を持っている方たちをどうしていくのかというのを、保護と困窮の自立支援、困窮制度をうまく組み合わせていくことが非常に重要だと思っております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
池永委員、お願いします。
○池永委員 いろいろ皆様のお話とか伺っておりまして、私自身、専門的にいろいろ分からないところもあったりして、すごく刺激を受けております。ただ、すごく単純に考えまして、体制とか、いろいろ違うからでしょうけれども、生活困窮者と生活保護者の方のいろいろな支援というのが、どうして一緒にできていないのかなと思ったりするところはあります。特に、地方は行政とか、私、高知市社協で、市長もいらっしゃいますけれども、働いている方とか職員の人数とかも少ないと思うのです。そうしたところでは、一緒にできることは一緒にしていったらいいのではないかなとすごく思います。
それで、私のところも、民生委員ですけれども、生活保護の方でも就労支援をして働けるかなと思われる方は少ないのではないか。むしろ、コロナなんかの関係で仕事ができていないような方は、これから困窮になっても就労支援とか、もともとの生活ができるようなお仕事があるのかも分かりませんけれども、そういうことを考えましても、一緒にできることは一緒にしてくださいと思っております。
まとまりませんけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、会場から部会長代理 新保委員、お願いできますでしょうか。
○新保委員 新保です。
本日は、参考人の方々より、就労準備支援事業と家計改善支援事業の意義について御報告いただいたと思います。これらの2事業の必須化というものは、ぜひ期待したいと思います。
また、被保護世帯に対するこれらの事業については、生活困窮者自立支援制度における事業との一体的実施ということがこれまでも推奨されてきております。この両事業の必須事業化とともに、2つの制度で別々に事業を実施するのではなく、子どもの学習・生活支援事業と同様に、両制度の利用者が1つの事業を利用できるようにすることも、ぜひ御検討いただきたいと思います。このことが重なり合う支援の一つの土台になっていくのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
一通り御意見を賜ることができたかと思います。自主的に言いたいことを制限していただきながら御発言いただきまして、どうもすみませんでした。
様々な御意見いただきましたが、重なり合う支援というのを非常に多くの委員の皆様から出していただいたと思います。私の立場からすると、法的には生活保護法というのは憲法25条1項を具現化した法律で、まさに国の義務と、それに対して国民の権利を保障した法律ですので、その中で公権力の行使を背景とした給付事務を担っていくという、それがケースワーカーの任務の一端でもあるということではあるのですが、奥田委員が区分のある重なり合いという、さすがネーミングがうまいなといつも思うのですが、まさに区分のある重なり合いをどうつくっていくかというのを、皆さんでさらに議論していくということなのだろうと思った次第でございます。
また、朝比奈委員からは施策の相互乗り入れというお話があったり、岡部委員からも他分野の取組を参考にしながらというお話がございました。ほかの委員からもそういったお話がございましたけれども、例えば障害者の分野では、ここ1~2年、雇用と福祉の連携ということで検討会等を設けて駒村座長の下で議論を進めて、障害者部会と障害者雇用分科会でそれぞれ報告書をまとめて、法律改正に向けて、秋の臨時国会で法案が出るかなと思うのですが、総合支援法の中で就労準備支援、就労移行支援にアセスメントを入れるという方向性も決まりましたので、そういったものを、こちらの分野ではどうなのだという議論があるのかもしれませんし、そういった他分野の取組を見ながら、どうするかという議論も参考になるのではないかと思いました。
一方で、まさに縦割りじゃないですが、各分野、それぞれに議論がなされていかざるを得ない面がありますので、場合によっては、これからの私たちの議論の進行にもよりますけれども、必要であれば、他部局、障害者福祉あるいは雇用といった担当者も来ていただいて、議論に加わっていただくということがあってもいいのかなと思った次第でございます。どうもありがとうございます。
宮本前部会長の下で、いつ当てられるかと冷や冷やして、それを逃れることができてほっとしていたのですが、今はあの日に帰りたいというか、あのときはよかったという思いでいっぱいなのですけれども、とにかく皆様の議論の機会を少しでも十分につくれるように事務局とも話し合っていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
すみません、予定の時間を大分過ぎておりますので、本日はこの辺で終了させていただきます。
最後に、次回の開催予定について事務局からお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
次回につきましては、7月下旬にオンラインでの開催を予定しております。正式な開催通知につきましては、別途御案内させていただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、本日の議事、終了いたしましたので、ここで閉会させていただきます。皆様、お忙しい中、長時間、議事進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。