第153回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年9月8日(木)14:00~16:04

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F会場

議題

  1. 1.感染症法の改正について
  2. 2.今後のNDBについて
  3. (報告事項)
  4. 1.「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」の運用開始について
  5. 2.令和5年度予算概算要求(保険局関係)について
  6. 3.令和4年10月の制度改正施行に向けた周知・広報等について

議事

議事内容

○森課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第153回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認いただけたらと思っております。
前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。
医療介護連携政策課保険データ企画室長の中園でございます。
○中園室長 中園です。よろしくお願いいたします。
○森課長 次に、本日の委員の出欠状況について、申し上げます。
本日は、内堀委員、羽田委員、原委員、本多委員より、御欠席の連絡をいただいております。
また、袖井委員より、途中退席されるとの御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。
内堀委員の代理として菅野俊彦参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、本多委員の代理として井上隆参考人、以上、3名の出席につき、御承認いただければと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、早速でございますけれども、議事に入ってまいりたいと思います。
本日は、「感染症法の改正について」、「今後のNDBについて」を議題といたします。
初めに、「感染症法の改正について」を議題といたします。
事務局から、資料の説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
それでは、資料1を御覧いただければと思います。前回に引き続きまして、感染症法の改正の関係でございます。
1ページをおめくりいただければと思います。先週、政府の対策本部決定におきまして、対応の具体策を取りまとめてございますので、その内容について御説明いたします。この文書の位置づけでございますけれども、1つ目の丸にございますとおり、感染症法等の改正については以下の方向で検討し、次期臨時国会に必要な法案の提出を目指すということで記載されてございます。内容でございますが、我々に関係いたします部分といたしまして、<感染症発生・まん延時における確実な医療の提供>でございます。②でございますけれども、都道府県等と医療機関等は、感染症発生・まん延時の具体的な役割等についてあらかじめ協定を締結するということでございます。「あわせて」の部分でございます。前回もちょっと触れさせていただいておりますけれども、保険医療機関等は、感染所医療の実施について、国・地方公共団体が講ずる措置に協力するものとするという記載でございます。これにつきましては、感染症あるいは災害時といった場合の保険医療機関等の協力に関する規定についても検討しているところでございます。その後、「さらに」の部分でございます。都道府県等は、医療関係団体に対し協力要請できることとすると書かれておりまして、その後に今回議論になります流行初期医療確保措置でございますけれども、初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関に対して、都道府県は感染症流行初期において感染症流行前と同水準の医療の確保を可能とする措置を講ずることとされてございます。また、「あわせて」の部分でございます。こうした協定の履行を確保するという観点でございますが、都道府県等は協定の履行状況等の報告徴収・公表を行うとともに、協定に沿った対応をしない医療機関等に対する勧告・指示・公表を行うこととすることが記載されてございます。③の部分です。流行初期医療確保措置でございますけれども、当該感染症に対する診療報酬の上乗せや補助金による支援が充実するまでの暫定的な支援という位置づけとされてございまして、その措置額については、感染症発生・まん延時の初期に特別な協定に基づいて対応を行った月の診療報酬と、直近、前年同月の診療報酬の額等を勘案した額とされてございまして、その費用については、公費とともに保険としても負担することとするということが記載されているものでございます。
スライドの2枚目ですけれども、前回の部会で、この件に関して御議論いただきました。その際の主な御意見でございます。1つ目の丸にありますとおり、今回の減収補償の仕組みについては医療機関においても大変心強い視点だといった御意見。次にありますけれども、費用負担者に保険者も入っているが、承服できるものではない、基本的に公費によって賄われるべきといった御意見。3つ目ですけれども、減収補填は真に感染拡大防止に貢献する医療機関を対象に行われるべきという御意見をいただいてございます。4つ目ですけれども、保険者が費用負担をすることはおかしい、仮に保険者の負担を検討するとしても、例外的かつ限定的な取扱いとすべき、保険者の負担が過大にならないよう対応いただきたいといった御意見。次にありますとおり、費用は公費負担で行われることが原則ではないかといった御意見。医療機関の経営状況がどのようであったか、具体的な検証データを提示していただく必要があるのではないかといった御意見をいただいてございます。また、下から2つ目でございますけれども、補償が始まった後、どのような状態になった場合に補償を終えるのかという終わり方についても併せて議論しておくことが必要で、仮に減収補償の目的が流行初期の対応という部分に焦点を置くのであれば、そこに限定することも一つの考え方ではないかという御意見をいただいたかと思います。最後ですけれども、保険者の財政運営に支障が生じないよう十分な配慮をお願いしたいといった御意見をいただいたところでございます。
3ページのスライドを御覧いただければと思います。前回、その中で保険者負担の考え方についての御指摘もあったかと思いますので、今回、その考え方についても整理させていただいてございます。1つ目の丸ですけれども、感染症対策はまん延による健康被害の拡大の防止、公衆衛生の保持・増進を図る目的から、行政の責任において取り組むべき施策で、公費が中心となって支えてきたという状況でございます。コロナに関して見ますと、医薬品や個人防護具等のかかり増し経費、病床確保など、感染症医療の提供に当たって必要な体制確保に係る経費については、様々な補正等をやってきましたけれども、公費負担により賄いつつ、直接的な医療については、上乗せなど、数々の特例措置を設けた上で、診療報酬により賄ってきたことがこれまでの状況だったかと思います。今般、保険料負担をする考え方でございますけれども、感染症法の改正により、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある新たな感染症の危機が発生した時点におきまして、今回の流行初期医療確保措置により、協定締結機関が協定に従い必要な医療を迅速に提供する仕組みを講ずるということでございます。こうした仕組みを講ずることによりまして、被保険者でもある感染症患者が適切な医療提供を受けることができる。感染症患者以外の被保険者につきましても、通常の保険診療が中断されず、必要な医療が確保されるなど、広く被保険者が受益する面があるのではないか。経済活動の制限等の感染症対策を最小限にとどめることで、適切な社会・経済活動の維持につながり、必要な保険料の確保に資するのではないか。当該感染症に関する補助金による支援、また、診療報酬の上乗せ等が充実するまでの間の暫定的な支援である。この点に関しましては、もともとコロナの感染症対応におきましては、こうした補助金等、診療報酬の特例が整備されるまでに一定の期間がかかったことの反省も踏まえて、今回、本制度を設けるわけでございます。感染症の対応が明らかでない流行初期においては、迅速に診療報酬の特例を設けることは困難である中で、その間の財政支援として、今回の措置を、本来であれば、診療報酬の特例措置として対応すべき部分について、医療保険においても一定の負担をやることが考えられるのではないかといった趣旨でございます。こうしたことから、公費とともに保険としても負担することとすると考えてはどうかという話でございます。
4ページでございます。前回、イメージということでお示しさせていただいておりましたけれども、今回、整理させていただいております。今回の流行初期医療確保措置でございますけれども、1.にありますけれども、初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関について、協定に基づく対応により、経営の自立性を制限して、経営上のリスクのある流行初期の感染症医療の提供を行うものに対して、診療報酬の上乗せ、補助金が充実するまでの間の一定期間に限り、財政的な支援を行うという考えでございます。その額につきましては、感染症医療の提供を行った月の診療報酬と、前年になると思いますけれども、診療報酬を下回った場合、その差額をベースにしつつ、補助金等があれば精算を実施するという考えでございます。その際、※の1つ目にありますとおり、病床確保を行う医療機関には外来を含めた診療報酬全体を勘案いたしますけれども、発熱外来のみを行う医療機関については外来分の診療報酬のみを勘案する考え方と、自己負担分・公費負担医療分も補填するため、診療報酬収入の差額に10/8を乗じることを考えてございます。事業の実施主体ですけれども、都道府県でございます。費用の負担については、措置に関します費用については公費と保険者で負担するということでございます。支援額の負担につきましては、新型コロナウイルスへの対応を行った病院の収益構造を勘案いたしまして、公費と保険者の負担割合は1対1であり、保険者の負担でございますが、対象医療機関に対します直近の診療報酬支払実績に応じて按分するということでございまして、それぞれの保険者からの拠出金につきましては、財政調整を実施した上で、通常の医療と同様に公費負担を行うという考え方でございます。なお、事務費につきましては、都道府県と保険者で負担になりますけれども、内容については、今後、精査が必要と考えてございます。
5ページでございます。前回もお話がありましたけれども、実施期間の考え方でございます。1つ目の丸にありますとおり、厚生労働大臣が、新型インフルエンザ等感染症等が発生の公表がなされた場合に、感染症流行初期の期間といたしまして、この措置の実施期間を、月単位、全国一律で定めることを想定してございます。それに基づきまして、都道府県が、特別な協定に基づいて、個別の医療機関と病床の確保等の対応の要請を行い、当該期間内に医療機関が実際に対応を行った場合に、今回の措置を実施するという考え方でございます。また、実施期間でございますけれども、感染症のまん延状況がある程度判明し、診療報酬の特例措置、また、補助金等の財政支援が整備されるまでを想定してございまして、あくまで例外的な状況の下での措置であることを前提に、一定の期間を設定したい。なお、まん延状況等に鑑みて、前倒しして終了または延長することできることにしたいと考えてございます。
スライドの6ページでございます。コロナウイルス感染症への対応で、病院の経営状況がどうだったかということでございますけれども、病床数上位500病院について、対応が本格的に始まった令和2年度の前期におけます前年からの減収額を整理させていただいています。各月でこういう状況ですけれども、当時、緊急事態宣言が最初に発出されたのが4月から5月にかけてだったかと思いますけれども、そのタイミングで減収額が大きかった。それからだんだん減少している傾向が見てとれるかと思います。
説明については、以上でございます。
○田辺部会長 御説明をありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 横尾でございます。
意見を述べさせていただきます。
我々は今回の感染症とその対策を実際に体験している訳でございますが、その経験に基づいても、今回説明された内容は、今後の感染症に対する体制を法制度的にも、仕組みとしても、また財政的にも勘案しながら検討されたものと思います。特に、私自身も感染を経験しましたし、親しい方々や首長、議員の方、地域で活動している方なども感染され、それぞれの症状や経過を聞いておりますと、いかに医療を確保することが重要かということを改めて痛感しています。特に医療現場におかれては、ドクターやナースをはじめ、医療関係スタッフの皆さんは本当に献身的な御努力を日々なさっています。さらにそのご家族も含め、特にオミクロン株の場合は、症状の軽い方の介在もあり、保育園や学校から家庭、家庭から職場というように、ループ感染的に広がってきていますので、大変御苦心があると思います。医療を守るご尽力に対し、感謝に堪えません。
そういった中で、医療を確保するという観点から見るならば、当面の医療を整えることと持続可能な医療の体制や仕組みをつくることは不可欠だろうと感じています。特に、この医療の継続性・持続性には費用負担も当然必要なこととして出てくる訳ですので、今回の提示となっていますが、例えば、保険者としての負担につきましても、適切で妥当な線をいかに見つけるかということは非常に重要なことだと思っています。ご説明いただいた資料にもありますし、これまでの会議でもほかの委員の方もおっしゃっているように、その在り方については、「原則は基本的な公費負担」、「公費で何とか賄うこと」、「リスク管理としても重要ではないか」という意見が多々ございます。けれども、持続性を勘案した場合には、国を中心とした公費の負担と保険者の理解と協力を得ながら、妥当なある程度の負担をしながら、いかに全体の持続可能性を高めてキープするかということはとても重要だと思っているところです。その辺をしっかり認識し、お互いに知恵を出していかないといけないなということを改めて感じているところです。
また、病院に関しましても、今回は、単に病院だから、あるいはそういったことに参加しているから補填するではなく、現実的に対応された医療に関する尽力や経費がかかったところを中心に分析、評価し、妥当な補填をしようと緻密に分析されていると思います。こういった見方もとても大切です。ぜひ医療の確保ができるようなことをめざして、公的な支えもあるものの、一方では保険者による理解と協力も必要なのかなということを改めて感じます。そういった意味では、1対1という数字も出ています。これをベースに大いに関係の皆さんにご協議いただくとともに、特に厚生労働省におかれては、国民の生命、特に医療、福祉については、極めて重要な役割を担っておられますので、そういった観点と、当座の対応だけではなくて、今後続いていくだろう継続的な施策の安定性も含めて、しっかりと分析いただきつつ、総理を官邸含めてとなるかもしれませんが、大所高所からの判断も検討しながら、今後の対策の充実に当たっていただきたいということが1点目に申し上げたいことです。
もう一点、必ずしもメインの議題ではないのですが、我々保険者から見ますと、どうしても被保険者である国民の皆さんの実際の負担がどうなるのかということが非常に気になるところです。保険料の増や減はもちろん気になるところですが、一方で、窓口負担では、公的負担により、今はコロナ感染で入院した際には、多分退院のときに大きな負担はないままに自宅に帰ることができると思うのですけれども、この辺がどうなるのかということは多くの方々が心配されています。もし厚生労働省で今後そのたたき台みたいなことが出てくるのならば、適宜ご説明していただくとか、提起していただいて、よりよい制度にしていくことをぜひ尽くしていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上誠一参考人、よろしくお願いいたします。
○井上(誠)参考人 ありがとうございます。
流行初期医療確保措置について、国保制度や後期高齢者医療制度の運営に関わる立場として申し上げますと、新興感染症の流行初期段階において被保険者に対する感染症医療や通常の医療を適切に確保するという観点から、こうした措置は必要なものであると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
前回の医療保険部会において、減収補償の保険者負担が提示されて以降、私ども健保組合からは怒りの声が多く寄せられております。今回の案は、新たな感染症発生時の初期対応として、医療機関の減収が生じた場合に、診療実績がなくても、当該期間に得られたであろう診療報酬分を補償し、保険者にも負担を求めるものであると理解しております。一方で、実際に感染症が発生した場合には、当然それに伴う診療が発生して、その医療費については保険者も負担を行うことになります。例えば、新型コロナウイルス感染症についても、当然負担をしております。新型コロナウイルス感染症は、全額公費負担とみられて、全て公費で賄われていると誤解されている向きもございますけれども、実際に公費負担になっているのは自己負担部分だけでございますので、保険相当部分は、保険者、すなわち、加入者が負担しております。現役世代で申し上げるならば、通常、自己負担を除いた7割相当部分は保険者が負担しておりまして、昨年令和3年度1年間で見ても、被用者保険全体で4000億円を超える給付を行っております。新たな感染症が発生した段階においては、当然増加するであろう医療費の負担に加えて、発生初期とはいえ、診療実績がない部分にまで、保険者、すなわち、加入者が負担することはどう見てもおかしいと思っております。先ほど御説明のありました事務費の負担も含めて公費で賄うべきであると思っております。少なくとも、この2つを同列に扱うことはおかしい、納得できないと思っております。
仮に発生初期の緊急対応を行うとしても、次のことは明確にしていただきたいと思います。ポイントは、3点ございます。この3点を強く要望するとともに、後ほど厚労省の見解もお願いできればと思っております。
まず、1点目は、やはり発生初期の緊急対応として、対象期間についていいますとせいぜい数か月に限定していただきたい。また、対象となる医療機関についても限定をお願いしたいということが1点目でございます。
2点目は、あくまでも補助金等の公的制度が整うまでの暫定措置である、言わばそれまでの間の立替払いであることを明確にして、公的制度が整った段階においては補助金等を優先的に充当して保険者に返還するなど、実質的な負担が生じないような措置を講じていただきたいということでございます。
3点目でございます。今回の制度が前例となって、今後、安易に使われることがないように、減収補償の使用は例外的かつ限定的であることを明確にしていただきたいと思います。
以上、3点でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、3点ほど確認事項がございましたので、よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。
今、3点御指摘をいただいきました。
まず、1点目、対象期間の関係、流行初期医療確保措置でございますけれども、感染症のまん延状況がある程度判明し、診療報酬の特例措置や補助金等の財政支援が整備されるまでの例外的な状況の下での措置でありまして、実施期間については政省令等で規定することを想定してございますが、御指摘も踏まえまして、例えば、最初は3か月といった短期間を基本に、必要に応じて延長または前倒しで終了するなどの工夫ができないか、検討したいと考えてございます。
2点目、立替え払いと実質的な負担をどう考えるかというお話でございます。流行初期医療確保措置でございますけれども、診療報酬の上乗せや補助金等が充実するまでの一定期間に限り、財政的な支援を行うものでありまして、当該期間中に補助金が支給される場合には、補助金相当額を支援額から精算することとしておりまして、その点で言えば、いわゆる立替払いのような取扱いとなってございます。なお、精算分につきましては、各費用の負担者に対しまして、負担分に応じて返還することとしてございます。
3点目、例外的かつ限定的であることを明確にすることという御指摘についてでございます。新型コロナウイルス感染症のような国民の健康に重大な影響を及ぼすおそれのある感染症につきましては、流行初期の感染症医療の確保は保険者にとって受益する面がありますことから医療保険への負担を入れているものでございまして、これはあくまでも感染症医療の特殊性に合わせた特別な対応であり、例外的な措置と考えているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
佐野委員、いかがでございましょうか。
○佐野委員 ありがとうございます。
今回答いただいた中で、実施期間を短期間にすること、また、今回の措置はあくまでも例外的な措置と考えているということについては、ぜひともそういう扱いをお願いしたいと思います。
立替払いという我々の主張に対しては、補助金が支給される段階で精算・返還するものという御説明がございましたけれども、やはり保険者の負担が極力生じないような形での対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれのある新たな感染症のまん延に備え、発生初期の医療をめぐる混乱を避けつつ、適切な医療提供体制の維持に向け、都道府県と特定の医療機関が特別な協定を締結してその確保を図る措置に賛同いたします。なお、これに伴う減収補償に必要な費用としまして、国や都道府県に加え、保険者も負担する案が提示されておりますが、それにより、被保険者や事業者の負担が増えるかもしれないことを懸念しております。御説明にありましたように、今般のコロナ禍によります国民医療費の減少が医療機関の減収につながったわけですが、御提案のあった初期対応への減収補償措置が保険料負担にどのような影響を及ぼし得るのか、教えていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点、御質問がございましたので、回答をよろしくお願いいたします。
○原田課長 流行初期医療確保措置に関します保険者の拠出について、御指摘があったかと思います。これにつきましては、特別な協定を締結した限られた医療機関のみを対象に、流行前の診療報酬の支払額と比べ、下回った差額を基礎として算出し、公費負担を行った上で残りの部分について拠出をお願いするものでございまして、対象範囲や水準が限定されているものでございます。さらに、新型コロナウイルス感染症がまん延いたしました令和2年度の状況を見れば、全体として医療費が大きく落ち込んだことを考えますと、感染症発生前の平時の給付費をベースに保険料が設定されている中で、今回の措置を講ずることをもって、保険料全体の負担が増加することは考えにくいと思っているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 藤井委員、よろしゅうございますか。
○藤井委員 ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、井上隆参考人、よろしくお願いいたします。
○井上(隆)参考人 ありがとうございます。井上でございます。
先ほどの佐野委員からの質問と重なる部分がございますけれども、私から流行初期医療確保の仕組みにつきまして、3点、確認と意見を申し上げたいと思います。
1点目につきましては、協定の要件の規定でございます。この措置を講ずる初動対応等を含む特別な協定の要件は、法律や省令等によって規定されるものなのかどうか、確認をしたい。対象となる医療機関が野放図に拡大したり、例外を安易に認めたりするということではないということを確認させていただきたいと思います。
2点目でございます。協定の履行状況のレビュー機能についてでございます。この措置で支援を受けるに値する医療機関であるかを判断するための協定の履行状況の事後的な確認はどのように行われるのかということを伺いたいと思います。
3点目は、補助金と財政支援等々の関係についてでございます。この措置の創設を理由にして、本来、感染症の発生時に国が前面に立って講ずるべき財政支援の規模を少なく見積もる、あるいは、補助金等の財政支援の開始を遅らせるということがあってはならないと思います。この点に関して、政府の御見解を伺いたいと思います。
最後に、実施期間の規定につきまして、御意見を申し上げます。この実施期間はまん延状況を鑑みて、延長することもできるとされておりますけれども、延長する場合の判断基準をあらかじめ規定することを強く求めたいと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 3点ほど確認の御要望がございましたので、よろしくお願いいたします。
○原田課長 お答えいたします。保険課長でございます。
まず、1つ目は、特別な協定で法的な枠組みはどのようになっているのかという御指摘だったかと思います。流行初期医療確保措置でございますけれども、医療機関一般に対します経営補償ではなく、感染症流行初期に病床の確保等の感染症医療を確保するための措置でございます。このため、その対象ですが、初動対応から感染症医療を積極的に行うという特別な協定を締結した医療機関に限られてございまして、この特別な協定の内容につきましては、国において基準を定めることとしているため、感染症の流行により単に減収が生じただけというだけでこの措置の対象となるといったことは生じないものと考えているところでございます。
2点目、協定の履行状況のレビューをどのようにするのかという御指摘だったかと思います。流行初期医療確保措置の対象医療機関でございますけれども、先ほど御説明したとおり、国において基準を定める特別な協定によりまして、感染症有事の際にどのような対応を行うかあらかじめ明確になってございます。この措置ですけれども、特別な協定にのっとった対応を前提とした支援でございますため、都道府県は協定を締結した医療機関について、まずは協定の履行状況等の報告徴収、公表を行いますとともに、協定に沿った対応をしない医療機関に対する勧告、指示、公表を行うことができるということで考えてございます。その上で、正当な理由なく指示に従わなかったときには、既に交付した流行初期医療確保措置に要します費用の全部または一部の返還を命ずることができるといったことも検討しているところでございます。
3点目、補助金等財政支援が遅れることがないのかというご指摘でございますけれども、今回の措置でございます補助金や収入報酬の特例等の財政支援が整備されていない流行初期の暫定的な財政支援として設けるものでございます。このため、補助金や診療報酬の特例とは異なる制度でございまして、補助金や診療報酬の特例が整備される際には、流行初期医療確保措置の対象となる医療機関かどうかで差をつけるようなことは基本的にならないものと考えているところでございます。また、流行初期医療確保措置にかかわらず、感染症のまん延状況や医療提供体制の状況に応じて、補助金の整備など、医療機関に対する支援を迅速に行っていく必要があると考えてございまして、その対応が遅れるようなことにならないように努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○田辺部会長 井上隆参考人、いかがでございましょうか。
○井上(隆)参考人 ありがとうございます。
2点目の履行状況につきましては、ぜひ必要に応じて当部会にも御報告いただきたいと思います。
○田辺部会長 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 幾つか申し上げたい。1つ、保険者負担については、私は基本的に反対で、公費負担すべきだと思っていますが、仕方がないかなという感じです。これをきっかけに個人負担が膨らんでいかないということをあらかじめお願いしておきたいと思います。
2点目は、流行初期というのですが、いつが初期なのか分からないですね。今回のように何回も波が来て、今、第7波になっていますね。後になってみないと分からないみたいなところがありますので、この期間についてはあまり延びないようにということと、科学的な根拠に基づいて専門家の御意見を聞いてちゃんとしていただきたいということです。
3番目、ちょっと気になっているのですが、協定のイメージが私はまだ分からないのです。あらゆる医療機関が協定を結んでしまうのか、それとも、特定の機関だけが協定を結ぶのかよく分からないのですが、例えば、協定を結んでいないところでそういう感染症やコロナの患者さんが来てしまった場合はどうするのかということですね。私が気になっていることは、小規模の診療所などの扱いで、うちの近所で私が行っているクリニックなどでも、別に発熱外来は設けていないのですけれども、コロナの患者さんは来てしまう。だから、そういう小規模なクリニックをどのように考えるのかということがすごく気になるのです。もう一つ気になることは、協定を結んでいればいいのかというと、結んでいないところは、うちは協定を結んでいないから患者さんが来ても診ませんよと断ってしまうのか。その辺のことで、協定そのものの在り方や基準がよく分からないので、教えていただきたいと思います。
○田辺部会長 よろしくお願いいたします。
○古川企画官(医政局) お答え申し上げます。医政局の企画官でございます。
今回の協定は、全ての医療機関と結んでいただくわけではなくて、都道府県が都道府県内の医療審議会の意見を聞いた上で、医療計画をつくっていく段階で、どういった医療機関にどういう協定を結んでいただくことが適当なのかということをまずは事前に話し合っていただいて、医療計画上に数値目標として規定していただくところから始まります。協定の中身は、入院医療の提供のみならず、例えば、発熱外来や自宅療養者に対する医療の提供、医療人材の派遣等々、いろいろと種類が設けられることになるのではないかと考えております。例えば、今、先生から御発言があった発熱外来を例示で申し上げますけれども、まず、平時に、感染症有事にどういう医療機関が発熱外来を担うのかということについて、地域で十分に話し合っていただくということかと思います。実際に平時に結ばれた協定を、いわゆる結んだ結果として、都道府県が公表いたします。そういう意味では、住民の方々が次の新しい感染症の流行時に、例えば、発熱外来をやってくれる医療機関や診療所などは県内のどこなのかということは、平時から分かるような形になるということでございます。例えば、発熱外来が必要な方が、そういう対応する医療機関ではないところに行くようなことがあまり想定されない世界をつくっていきたいということが、今回の感染症法の改正の大きな趣旨になってございます。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
○袖井委員 分かりました。
でも、そうすると、あまり手を挙げるところがいなくなってしまうというおそれもある。そんな厄介なものは引き受けたくないところが出てこないかなと心配しております。
以上でございます。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
先ほど、各委員からも御発言がありましたように、感染初期に必要な医療提供体制を確保するためにこのような法改正を行うことにつきましては、賛成でございます。
しかし、流行初期の感染症医療に対する減収補償について、公費と保険財源で手当をすることにつきましては、前回もお伝えしましたとおり、保険財源は診療の対価として充当されるものであり、その原則を逸脱する今回の改正案につきましては、たとえ流行初期の臨時的な措置だとしても、慎重な検討が必要であると考えております。協会としましては、引き続き流行初期の感染症医療につきましては、こうした原則を崩さないよう、できるだけ早く、診療報酬の特例措置を講じていただくことが望ましいと考えております。それでもなお今回の改正案で検討を進めるのであれば、今回の対応が例外的かつ限定的な取扱いである旨を明確にしていただくとともに、現在の改正案では、次のような公平性や客観性が担保されるのかどうか判断ができず、保険料を負担する加入者の理解が得られにくいため、制度を運用する際には、先ほど佐野委員や井上参考人が申し上げた部分に重なる部分はありますが、次に申し上げる4点について御留意いただきたいと思います。
1点目です。特別な協定の策定に当たりましては、その内容や設定する基準についてのガイドラインを国で作成するなど、各都道府県によって特別な協定の内容が大きく異なることがないよう、公平性を担保していただくこと。
2点目、流行初期医療確保措置の実施期間について、客観的に指標に基づき、できるだけ短い期間に設定すること。
3点目、協定の履行状況等の公表や協定に沿った対応をしない医療機関等に対する勧告、指示、公表に当たって、具体的な医療機関名とその役割、病床使用率や減収補償の状況の公表を行うこと。
4点目、当該公表につきましては、ホームページなどで広く国民に公表するとともに、小まめな情報の更新を行うことが必要であると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。全国市長会の前葉泰幸です。
私は、この問題には2点の大きな観点があろうかと受け止めています。1点目は、医療・保険論ですね。2点目は、財政論だと思います。
医療と保険ということでいえば、申し上げるまでもなく、医療の確保が何よりも大切であります。その上で、保険者が負担していくとなれば、これは被保険者の理解が求められます。他の保険者代表委員がおっしゃっていることと全く同様に、それぞれ感染症にかかった人の医療を確保し、また、感染症にかかっていない人も医療にかかれるようにするという意味では、それぞれ一人一人で状況が違います。それをトータルで保険者としてぽんと負担していくということをどのように説明していくかというところが、非常に難しい課題だと思っております。
そのためには、恐らく2番目に申し上げる財政論の話をしなければいけないだろうと思います。税で負担をするか、保険料で負担をするかということになれば、当然税は国民全体で負担していることになりますし、保険者の負担が入ってくれば、これは被保険者、つまり、保険に加入している方の負担であります。どっちにしたって国民が負担しなければいけないものだと思いますので、これは事柄の意味をきちんと説明して、広く理解を求めていかなければ、筋論だけではなかなかいかない。どこかで、そういうことだよねという納得をしてもらうような、要は、丁寧な論理の説明が必要かと考えております。その上で、保険が負担することになるとしても、この期間についてはかなり慎重な検討が必要かと思います。今日、5ページで御説明いただいたように、診療報酬の特例措置や補助金等の財政支援が整備されるまでということなのですが、これはいつ整備されるのかということが明らかになっていない状況で、私どもも、それまでの間ならいいですよとは、正直、なかなか言いづらい。診療報酬の特例を決めるのも、財政支援を決めるのも、人なのですよね。ですから、今後どんな状況になるか分かりませんが、そのときの政府のさばき方あるいは役所同士の議論の進め方がどのぐらい速いのか遅いのかで左右されるとすれば、これはちょっと難しいと思います。もっと割り切って、これは危機管理みたいなものですから、未来に対する決め事ですので、あらかじめ極めて限定的な期間を決めておいたほうがいいのではないかと私は思います。
そのような意見を申し上げた上で、大きな医療・保険論、財政論はもう少し丁寧に議論を続けていただきたいというお願いを申し上げ、発言を終わります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
前回の部会で申し上げた意見を受け止め、具体的な案を御検討くださり、ありがとうございました。
今回の御提案につきまして、私から、質問を1点、コメントを1点、申し上げたいと思います。
1点目は、スライドの5ページ目、「流行初期医療確保措置の実施期間について」に関する質問です。今回の確保措置の実施期間に関しては、感染症のまん延状況がある程度判明し、診療報酬の特例措置や補助金等の財政支援が整備されるまでを想定と定められたことは、補助金の目的に鑑みて適切であると捉えています。実際の運用をされる場合の実施期間については、感染状況に応じて決定されることになるのではないかと思います。
この点に関して、スライドの4ページ目に記載されている目的について、当補助金は、協定に基づく対応により、経営の自律性を制限して、大きな経営上のリスクのある流行初期の感染症医療の提供をすることに対する財政支援という目的となっています。つまり、感染症対応を行うことにより生じる一般医療の制限に対する補償という位置づけかと思います。その上で、今回の新型コロナのケースを見ていますと、感染流行に伴う医療機関の経営リスクは、感染症患者の受入れによる一般医療の制限という医療機関側の要因による患者の減少だけではなくて、患者側の要因、つまり、感染を恐れることによって外出を自粛をしている患者さんの受診控えの影響が考えられると思います。本日御紹介いただきましたスライドの6ページ目、減収額については、この医療機関側・患者側、双方の要因によって起こっていると考えられます。もちろん厳密に医療機関の減収の要因を医療機関側の要因と患者側の要因に分解することはできないわけなのですけれども、これまでの本部会でもお示しいただきました新型コロナ禍での診療報酬の動向によると、受診の減少は診療科によってはかなり長期間にわたり持続していたと記憶しています。補助金の対象となる期間を考える際に、このような患者の受診控えに伴う減収が発生する期間は、今回の補助金の対象ではないという理解をしておりますが、この理解でよろしいのでしょうか。ほかの委員の方がおっしゃられたポイントとかぶっているものがありませんが、確認させていただきたいと思います。
2点目に関しては、スライドの3ページ目、「保険者負担の考え方について」のコメントです。現在、財源として公費と保険料が考えられているわけなのですけれども、それぞれがどのような目的で使用されるのかということに関しての考えを申し上げたいと思います。感染症は、人から人へ伝播するという特徴があって、これが非感染性の疾病と異なる特徴です。この感染症のように、人の行動の結果が他者に影響を与えるような状態のことを、経済学の分野では「外部性」と呼ぶわけなのですけれども、この外部性がある場合には公的部門の介入が必要であるという理論的な考えがあります。この考えはちょっと抽象的ではあるのですけれども、一般的な通念とも合致するものがあるのではないかと思います。この観点から考えると、今回の負担の考え方に関しては、外部性があるかどうか、つまり、補助金が感染拡大の防止に寄与しているのかどうかという点が一つのポイントとして考えられるのではないかと思います。今回の流行初期医療確保措置の最大の目的は、初期の感染症患者の治療を円滑に進めることにあるわけなのですけれども、感染症患者の治療とは、患者の入院による感染拡大防止と患者本人の治療の円滑な推進という2つの側面があると考えられるかと思います。そこで、感染拡大防止の観点から公費、感染症患者の治療の観点から保険料という整理も可能なのではないかと考えます。
これは、あくまでも一つの意見であって、また、私見ではございますが、以上、申し上げたいと思います。
○田辺部会長 1点、御確認をお願いいたします。
○原田課長 今、今回の対象について、受診控えの影響はどうなのかというお話があったかと思います。今回設ける制度の趣旨でございますけれども、基本的には、今回のコロナの対応におきまして、結局、診療報酬の特例措置、また、補助金等の財政措置を整備するまでの間、一定の期間がかかったこともあって、感染症医療の提供体制に混乱が生じたという状況への対応をもとに検討してございます。こうした混乱につきましては、一つ、そういう対象となるような医療機関を定めていなかった、十分に整備されていなかったのではないかといった点もございますし、また、協力をしていただくに当たって、患者さんに感染症対応をやっていることが分かってしまうと患者さんが集まらないのではないかという懸念等々もあった上で、なかなか体制が整わなかったといった側面があったかと考えてございます。
そうした反省を踏まえまして、今回の措置では、感染症流行初期の対応をしっかりと行うことによって、感染症医療のそうした体制を確保していくという観点かと思っております。そういう意味で見ますと、さっきの6ページの減収額で入っている部分については、一つは一般医療を制限して、感染症対応をしたことによる減収の部分と、一定程度、受診控えがあったところによって減少していた部分も含まれるかと思いますけれども、そういう意味で、今回、措置を講ずる中については、基本的には経営上のリスクという観点でございますけれども、仮に受診控えが生じたのであれば、そこの部分も、そういう意味では、前回コロナでの対応を踏まえ、協力を進めていく観点からすれば、入らざるを得ないのかなと思っているところでございます。
ただ、一方で、先ほども申しましたけれども、今回のこの措置自体、基本的には対象の医療機関をどうするかといったところも限定的な形、すなわち特別な協定を結んだ医療機関を今回は対象にしているということでございますので、単に感染症の流行によって減収が生じていることだけをもって今回の措置の対象にすることは想定していないところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 井深委員、よろしゅうございますか。
○井深委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、お待たせいたしました。猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いします。猪口です。
今回の資料で、6ページにちょうどコロナの始まった頃の減収の様子が出ております。当時のことを思い出すと、本当にこういう状態でした。コロナの患者さんだと分かっていても、検査もできない、PPEもない、実際に一般の患者さんが全然来なくなって、本当にどうしようかということが何か月か続いたわけですね。病院というところは、2か月前の診療の報酬が入ってくるということで、2か月は何とかなると思っていましたけれども、その後は本当に当てもなくいたということを思い出しました。そういうことからいっても、この流行初期の医療確保措置は確実に進めていただきたいと思っております。これがあることによって、ある程度、対応する病院の医療が継続できるということだと思いますので、ぜひこの措置を実現していただきたいと思っております。
ただ、1つ、懸念いたしますのは、どうしても今はコロナのことを考えるのでこのような規則になるわけですけれども、実際はどのような感染症が来るか、この先は分からないので、そこは物によってはさらに柔軟な対応が必要かとも思いますので、そういうこともどこかに書き込んでいっていただけたらと思っております。
この6ページを見て、当時のことを少し思い出しまして、意見をさせていただきました。どうもありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅野参考人、よろしくお願いいたします。
○菅野参考人 ありがとうございます。
流行初期医療確保措置に要する経費でございますが、まず、公費の負担については、法制化に伴って、仮に地方負担を求められる場合、枠組みの前提が、国全体での大規模感染症対策となることから、災害時と同様の措置が必要であり、地方財政に配慮し、国庫のさらなるかさ上げなど、負担の極小化を図っていただくよう求めます。
次に、保険者の費用負担については、保険者の財政運営に支障が生じないよう十分に配慮いただくとともに、被保険者の理解が得られるよう、国において丁寧な説明をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
ほかの委員の方と重なる部分はございますが、申し上げます。
まず、今回の案につきましては、前回も申し上げましたように、診療行為がないにもかかわらず保険者に費用負担を求めるものでございます。基本的にその費用は公費によって賄われるべきと考えております。また、初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関に対する流行初期医療確保措置ですが、まるで保険者が診療行為を伴わない病床確保の責務を負い、費用負担することに対し、被保険者の理解を得られるのかという疑問は残ります。
また、先ほど来議論があります「流行初期」については、例えば、3か月といったお答えもあったところではございますが、「初期」というのは物事の初めの時期、始まって間もない頃を意味しておりますので、それは延長があったとしてもさほど長くない期間だと思います。あらかじめ上限的なものも定めておくことが必要ではないかと考えます。
前回と今回と御説明いただいているのですが、被保険者としてなかなか納得できるものではございませんが、緊急時の対応として、今回、こうした措置を設けることとしても、それは、先ほど来も発言がございますように、あくまでも例外的・特例的な制度であること、そして、診療行為がないにもかかわらず、保険者に費用負担を求めることの前例とならないように、そのことも明確にしていただきたいと考えます。
最後に、前回、今回といろいろと議論させていただいておりまして、そういう中で、保険者負担に対しても、どのぐらいのことが対象となる措置なのかということに対しても、様々な疑問の声が相次いで、そのことに対しては御回答もいただいているのですが、そのことは議事録を確認しないとその詳細が分からないということになってしまわないかという懸念を持っております。保険者、被保険者、国民全体の理解と協力が必要だということであれば、議論のプロセスだけではなくて、関係者のコンセンサスをどのように得ているのかということも、もう少し丁寧に行っていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
私は、意見を通じて、質問を1つさせていただきたいと思います。
まず、1ページの②にありますように、感染症発生・まん延時の具体的な役割・対応等について、あらかじめ医療機関の機能を踏まえた協定の締結の「あらかじめ」ということで、恐らくこの改正の趣旨としては、平時においてこういう協定を結ぶ医療機関を選定していくということだと思います。これについて、例えば、先ほど猪口委員もおっしゃったように、これからどういうパンデミックを起こす新興感染症が出るか分からない状況で、その時点で、各都道府県で必要十分な病床確保等をこの締結の病院だけでできていればいいのですけれども、例えば、急速なまん延によってその締結された病院だけでも追いつかないときで、しかも、必要な補助金や診療報酬とかの対応ができていない時期、これが初期に当たると思いますが、その時期にもし(必要病床数が)足りなかったら、そこで追加でこの新たな協定を緊急に結んでそこの医療機関に入っていただく立てつけも必要ではないかと思っています。その辺について、この改正によってそれも認められるのか、あるいは、あくまでも平時においての締結のみを想定しているのか、その辺をお聞きしたいと思います。私は、そういう意味では、これから本当に想定できない新興感染症も考えれば、この辺はある程度柔軟な対応が必要ではないかと思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点、御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○古川企画官(医政局) お答え申し上げます。
今、御質問があったように、今回、感染症法の改正で、今回の新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえてある程度の財産を法律上の根拠を位置づけて平時から協定を結ぶというスキームを改めてつくっていきたいと考えているところではございますが、猪口先生、池端先生におっしゃっていただいたように、当然、新型コロナウイルス感染症と類似の感染症で次に流行があれば、こういったもので十分に対応できるとは思いますが、一方で、全く違うような感染症が発生する場合も当然あり得ると思っておりますので、その辺りは非常に柔軟な対応していきたいと考えているところでございます。
○池端委員 ありがとうございます。
私も、それについて、(私の)経験を生かすと、今回、第1波のときに感染症指定病院が既にその時点でありましたけれども、そこにどんどん入院を押しつけてしまい、それ以外の病院が受入を拒否する行動もありますので、もしこの協定を結んだ病院ができても、そこでやればいいではないかと、病院と病院との間で変に押しつけ合いになってしまわないようにと、そういうことを憂いたので、御質問させていただきました。柔軟な対応ということで、よく理解できました。
○田辺部会長 それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
1つは、この協定病院の問題なのですけれども、感染症病床を持つ医療機関あるいは今回のコロナの経験で診療に対応できるような医療機関について、要項の形でその条件を明確にして、施設整備や設備の対応をできるようにするということが必要だと思います。条件が不十分というだけで、押しつけるとか、そういうことにならないかとか、議論がありましたが、そういう意味では、国と都道府県が協力して、対応できる医療機関をコロナの体験からその条件等の要項を明確にし、整備していくことが必要ではないかと思いました。それが1点です。
初期対応のことで、損失補償の問題ですけれども、私の場合は、利用者、被保険者という立場になるわけですけれども、どうしても医療保険という制度の上から考えると疑問が残りますので、前回も基本的に賛成できないと申し上げましたけれども、そこは同じと申し上げるところでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、2回目でございますけれども、井上誠一参考人、お手が挙がっていますので、よろしくお願いいたします。
○井上(誠)参考人 先ほどの意見に追加して、コメントをしたいと思います。
流行初期医療確保措置における保険者負担の件でございますけれども、保険者負担を求める意義、保険者に過度の負担を生じさせるものではないこと、また、この措置が例外的・特例的な措置であるといったことなどについて、保険者の関係者に丁寧に説明を行っていただき、納得いただいた上で進めていただくことが大事だと思いますので、その点について、よろしくお願いしたいと思います。
資料の4ページ、右下のイメージ図でございますけれども、「審査支払機関」という記載がございます。この流行初期医療確保措置が御提案のとおり実施される前提でということでございますけれども、そうなった場合の費用請求支払いにおきまして、国保連合会や国保中央会にも一定の役割を担うことが期待されているということではないかと、この「審査支払機関」という記述から考えるところでございます。国保連合会や国保中央会がその役割を果たしていくとすれば、システム改修のための開発期間の確保と改修費用等について、厚生労働省において必要な支援をお願いしたいと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。菅原でございます。
既に多くの委員の方々から御意見が出ておりますので、私からは手短に御意見させていただきたいと思います。
感染初期において感染患者の受入医療機関においては、当然、通常体制から急変ということが起こります。急変に伴って、非常に大きな職場内での様々なストレスや影響が発生しますので、特に経営面の影響をどのように対応・支援していくかということは、社会全体の共通の問題意識として重要だと考えております。既に井深委員からもございましたけれども、学術的な一般論からすれば、感染症における感染者の隔離・治療は、罹患者本人だけでなく社会全体に非常に大きな便益が及ぶ外部性がありますので、一義的にはその社会的負担は広く国民全体、すなわち、公費で行うことが筋だと言えるかと思います。一方で、今般も実際に観察されたように、感染を避けるために不急の受診を控えてくださいと保険医療機関が自ら患者さんに呼びかけるなど、初動期における対応医療機関の減収には、患者自身のそもそもの受診控えのほか、保険診療患者の安全な療養確保のために真にやむを得ない措置・事情によるところもあるかと思います。また、適切な医療提供体制確保のための保険者の一定の貢献は、結果として、地域医療機関の健全な機能維持と存続が、この初動期が終わった後に、感染初期対応後の感染症患者並びにそれ以外の保険診療患者の安定的な療養環境確保にも結局は貢献するのだと解釈ができるのではないかと思います。そこで、今回の減収補償の中に公費と保険料をどのように組み合わせるかという問題はあるわけですけれども、以上の観点からすると、一定の保険者の減収補償に対する貢献・負担には、一定の理があると私自身は考えております。
しかしながら、他の委員からも御意見がありましたけれども、負担と給付の関係性が曖昧なものについて、今後、保険者に一層の負担が求められることになるとするならば、この医療保険部会の中で最も大事にしなければいけない公費と保険料のそもそもの目的や性格の相違がなくなってしまって、負担の在り方の議論そのものが形骸化してしまう可能性があります。これについては、非常に大きな懸念材料がありますので、注意しなければいけません。仮に今般の保険料の投入を考慮するとしても、真にその対象と期間を明確にした上で、厳格にこれを運用し、財源のつじつま合わせのために取りやすいところから取るといった安易な前例とならないように留意が必要と考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
様々な御意見を拝聴しておりましたが、今回の減収補償の仕組みについては、大変難しい問題であると承知しております。前回、私は欠席いたしましたので、各委員の皆様の生の御意見を今日初めて伺わせていただきました。そうした中で、社会保障、社会保険の原則からいえば、診療報酬を通じて保険料財源を投入することの適否が問われる面は否定できないように思われます。診療報酬は、本来的には保険医療機関等の指定を契機として、保険者と保険医療機関との間に設定される公法上の準委任契約に伴い、保険診療の対価として支払われるものであり、日本の保険診療の原則的形態である出来高払いを想定した場合、個別具体的な診療行為が存在しない中での保険料財源の投入は、直ちには正当化することが難しいと思われるからです。こうした原理・原則からすれば、保険料を負担する被保険者の理解を得ることが難しいという御意見があることも理解できるところでございます。
ただ、今回検討されている仕組みは、我が国の医療保険制度の基盤となる医療提供体制そのものが崩壊の危機に瀕することを避けるための言わば緊急避難的に講じる予防的・限定的な措置であると考えられます。今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、とりわけ感染拡大の初期において、保険医療機関の多くは大幅な減収という状況に陥り、福祉医療機構の貸付事業に殺到し、その緊急対応に追われる中、機構の業務が混乱に陥るほどの逼迫した状況であったと聞いております。事後的に診療報酬に係る特例措置の導入や公費を投入しての緊急的な補助金の対応がなされるとしても、そこには当然国家的な政策判断・政治判断が介在せざるを得ないことから、その間、どうしてもタイムラグが発生せざるを得ません。また、そもそも医療機関の自主的な判断で施設を建て替えるといった資金需要ではなく、国家全体としての対応が求められる未曾有の事態の発生に際し、保険医療機関等の収入減少、特に感染症治療に従事している医療機関の収入減少を仮に個別の貸付で解消している部分があるとすれば、そうしたスキーム自体が適切と言えるのかも問われているのかもしれません。
今回の仕組みは、事務局の説明と資料によれば、将来的に何らかの新興感染症が発生し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある場合という限定が付されている点、また、その対象を緊急時における初動的な感染症医療の一端を担う保険医療機関に限定し、期間的にも、感染症発生・まん延時の初期に限定している点を勘案すれば、社会保険医療の基盤となる医療供給体制を守るため、ひいては積極的な感染症対応を講じることで、医療機関のみならず、保険者、被保険者の社会・経済活動を守るために講じられる緊急避難的な措置として、その正当性、必要性を求められるのではないかと考えております。
法律論になるので、これ以上の詳細は述べませんが、ぜひとも当局には協定という法的手法を採用するに当たって、この協定による措置をめぐる法律関係がどのようなものか、またそれが保険診療の審査支払をめぐる基本的な法律関係にどう関係するのかといった点に留意していただきたい。先ほども御発言がございましたが、この点は、例えば、協定の履行状況を見て、場合によって、補償分の返済を求める必要性が生じた場合の法的処理の仕方などにも関連してきますので、こういった点に留意しながら制度設計を行っていただきたいと思います。
また、資料の2ページ、最後の丸にありますように、具体的な制度設計に当たっては、この仕組みの当事者となる都道府県との十分な御協議をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
一通り御意見をいただきました。ほかに御意見がなければ、本議題については、これまでとさせていただきたいと存じます。
本日、委員の皆様方からいただいた実に貴重な意見を踏まえまして、感染症法の改正に向けて、政府として適切に対応していただけたらと期待するものでございます。
次に、「今後のNDBについて」を議題といたします。
事務局から、資料の説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2「今後のNDBについて」に沿って、御説明申し上げます。
この内容は、去る8月31日、この審議会の下の匿名医療情報等の提供に関する専門委員会にて御議論いただきまして、おおむね御了承いただいている内容でございます。
2ページでございます。NDBのこれまでの歩みを振り返っているものでございます。平成18年の法改正におきまして、レセプト情報等をNDBに収載する根拠規定が創設され、令和元年度の法改正におきまして、第三者提供の制度が法定化され、利用のルールを厳格にする中で、民間事業者の利用も可能にしてございます。また、このとき、介護データベースとの連結、他のデータベースとの連携に係る規定も整備してございました。また、令和2年の法改正では、被保険者番号の履歴を利用した連結の仕組みも創設されてございます。
3ページにお進みいただきますと、こうした中で、審査を適切に行いつつ、NDBの利便性、価値を向上する、こうしたことで様々な取組を行ってまいりました。例えば、審査方法等の見直しでは、対面、ウェブでの審査を導入したり、左下の収載・提供情報の拡充では、医療機関の属性等の情報、医療扶助レセプトの情報、居住地情報、所得階層情報、こうした情報も新たに提供・収載する内容として拡充してまいりました。また、右下、利便性の向上では、手続の簡素化として、提出書類の統合や公表物確認の重点化、こうしたことを行ってまいったわけでございます。
4ページにお進みいただきますと、今後のNDBにつきまして、私どもは大きく2つの視点があると考えてございます。1つ目は、クラウドベースで、医療・介護データ等の解析の基盤を整備していくということで、私どもは「HIC」と呼んでございますが、こうしたものを構築していくこと。2つ目が、本日御議論いただく内容でございますが、他の公的データベースとの連結を進めていくことでございます。
5ページにお進みいただきますと、NDBと他の公的データベースとの連結について、現時点の状況を整理しているものでございます。まず、一番下を御覧いただきますと、平成30年の有識者会議の報告書におきまして、連結に当たっての視点が大きく4つ整理されてございます。NDB、介護DBとの連結解析の具体的なニーズについて、関係者間で共有されること、収集・利用目的が法令等で明確に定められ、連携解析の根拠についても位置づけることが可能であること、第三者提供の枠組みが法令等で定められ、連携解析に係る第三者提供の根拠についても位置づけることが可能であること、NDB、介護DBとの匿名での連結解析が技術的に可能であること、こうしたことが視点として提示されているわけでございます。他の公的データベースとの連結は、こうした視点に沿って検討を進めているところでございます。上の表を御覧いただきますと、上の2つ、介護データベースとDPCデータベースにつきましては、既にNDBとの連結が開始されてございます。その他の公的データベースとして、障害福祉データベース、これは給付費と明細書の情報や障害支援区分認定情報が収載されているもの、予防接種データベースは予防接種記録、感染症データベースは発生届情報。難病データベース、小児慢性特定疾病のデータベースは、病名や臨床試験が掲載されるデータベースでございます。こうしたデータベースにつきまして、右のところを御覧いただきますと、それぞれ関係審議会において意見が取りまとめられておりまして、そうしたものを踏まえて、現在、担当部局において、法制化に向けて検討が行われているところでございます。また、一番下、全国がん登録データベースにつきましては、引き続き関係審議会で御議論いただいている状況でございます。公的データベースのほかに、民間のデータベースではございますが、次世代医療基盤法に基づくデータベースは、全ての医療機関ではございませんが、医療機関の診療情報、レセプトや電子カルテや健診情報を民間の認定事業者において個別にデータベースとして持っていただいているものでございますが、それも、右のところを御覧いただきますと、6月に、次世代医療基盤法検討ワーキンググループの中間まとめにおきまして、連結について検討することが盛り込まれてございまして、現在、これは内閣府が所管しておりますが、連結する方向で検討が行われている状況でございます。
6ページにお進みいただきますと、今後の進め方でございます。こうしたデータベースとの連結につきまして、これは法制化というステップが必要になります。各データベースについて法制化をする。既に存在してあるものもございますし、これから新しく構築するという意味での根拠、あるいは、連結することの根拠、そうしたことも含めまして、法制化をした上で、システム開発・改修、あるいは、被保険者番号の収集を開始して、連携を解析していく。こうしたステップを取っていくわけでございまして、実際の連結の方法、連結して提供する情報の範囲等については、こうした詳細が確定した後に検討することとしていきたいと考えてございます。
7ページ以降は、NDBと各種データベースとの連結のイメージでございます。上の段がNDBでございまして、保険者等から顕名で提出されたレセプト情報を履歴照会・回答システムに当てまして、被保険者番号に基づきまして、最古の個人単位の被保険者番号を基にしたハッシュ値、ID5を付与した形で匿名化をしてNDBに収載されます。NDBに収載されるに当たっても、実際、このハッシュ化は複数回実施されてございます。下の段が、介護データベース、今後、これは障害福祉や予防接種のデータベースと連結する場合も同様と考えてございますが、同じように、顕名で提出されたデータを履歴照会・回答システムに当てて、ID5をつけた形で匿名化してデータベースに収載する。そうした同じようなプロセスを取ったものにつきまして、研究者等から申請がありましたら、その都度、さらにハッシュ化した形、このハッシュのアルゴリズムをそろえた形で提供することによって、研究者等に提供された段階でID5で連結できる仕組みになるわけでございます。
8ページにお進みいただきますと、NDBと難病データベースあるいは小児慢性特定疾病データベースとの連結のイメージでございます。下の段を御覧いただきますと、先ほどとの違いは、顕名のデータにつきまして、履歴照会・回答システムに当ててID5を付与した後、データベースに収載される段階では顕名のデータとして収載されているわけでございます。しかし、もちろん、研究者等から申請があった場合に提供されるデータは当然匿名のデータになりますので、同様にハッシュのアルゴリズムをそろえてID5を付与した形で、匿名のデータとして提供されることになるわけでございます。
9ページにお進みいただきますと、NDBと感染症データベースとの連結のイメージでございます。下の段を御覧いただきますと、感染症データベースは感染症の発生届をイメージしているものでございますので、医療機関等から自治体を経由して、厚生労働大臣に対して、まさに顕名の届出として提出されるものでございます。これにつきまして、履歴照会・回答システムに当ててID5を付与した上で、匿名のデータベースとして構築する。これが感染症データベースでございます。いずれにいたしましても、研究者等に対してハッシュのアルゴリズムをそろえてID5を付与して提供するプロセスは同じでございます。
10ページでございますが、次世代データベースとの連結のイメージでございます。次世代医療機関データベースは、次世代医療基盤法に基づく認定事業者、民間の事業者が保有しているところに違いがございます。データベースとしてはそうした事業者が持っているわけでございますが、提供するに当たって、厚生労働大臣以外の主体がお持ちの情報で、ハッシュ化のアルゴリズムをそろえることができないということがございます。したがって、もし研究者等からお申出をいただいた場合、申出の都度、連結するのに必要なIDの提供をNDB側に求めて、NDBから必要なIDを付与する形で、結果的にハッシュのアルゴリズムがそろう形、これで研究者等に提供することをイメージしてございます。
続きまして、NDBと死亡情報の連結でございます。12ページにお進みいただきます。死亡情報は、大きく、死亡の事実、死因の情報と分けることができると考えてございますが、正確な転帰が把握できるということで、発症から死亡に至るまでの治療実態が把握できる。こうしたことは、様々な介入の効果・必要性の検討の幅を広げることにつながるかと考えてございます。また、死因の情報もより正確な治療介入効果の検証につながるものと考えてございます。また、NDBは、医療費適正化計画の作成等のために収集しているものという位置づけでございまして、エビデンスに基づいた医療費適正化計画の政策立案にも資するものと考えてございます。
13ページでございますが、現在、統計法に基づきまして、人口動態調査の死亡票として、市町村から、死亡届出情報、死亡診断書情報を収集して、そのうち統計に必要な項目が収集されているわけでございます。これは、統計法に基づく手続により、統計の作成等を目的とすることで利用が限定され、また、逆に、そうした目的の範囲内であれば、顕名で研究者等に提供される場合もある。こうしたものが現在のスキームでございます。以上のようなシステムを前提としまして、下の方向性でございますが、今回、NDBと死亡情報とを連結する場合に、この統計法と高齢者医療確保法、それぞれの枠組みの中で第三者提供して連結するというスキームではなくて、高齢者医療確保法におきまして、市町村に対して死亡情報の提供を求め、すなわち、NDBとして直接死亡情報を収集する形で対応してはどうかと考えてございます。具体的には、NDBの収集情報は省令事項となってございますが、ここに、死亡の事実、死因等を規定し、市町村に提供を求める。ただ、実際にこの収集のルートは、市町村から、保健所、都道府県を経由して厚生労働省とする、すなわち、人口動態調査票の収集ルートと同一とすることによって、実質的な事務負担をなくすことを考えてございます。これを匿名化した上でNDBに収載し、氏名、性別、生年月日の3情報の識別子で連結することを考えてございます。こうした枠組みは、一番下のところに書いてございますが、がん登録のデータベースでも同様のアプローチが取られているところでございます。
14ページでございますが、収載する死亡情報の範囲でございます。個人を特定できる可能性を極力排除していく観点から、必要最小限に絞り、上のところに、死亡届、死亡診断書に書かれている情報がございますが、そのうち、赤字で記してあるもの、漢字氏名、生年月、死亡年月日、性別、死亡したところの種別、死亡の原因、死亡の種類、外因死の追加事項、こうしたものについて匿名化した上でNDBに収載することで、いつ、誰が、どのようにお亡くなりになったか、そうした情報と連結できるようにしたいと考えてございます。
15ページでございますが、こうしたことにつきまして御了承いただきますれば、今年度中、パブリックコメントを経まして、省令・通知等の改正を行って、令和5年度分、来年度分から市町村に対して死亡情報の提供を求め、令和6年度から、令和5年度分の死亡情報をNDBに収載していくこととしてはどうかと考えてございます。
16ページでございますが、これは、規制改革実施計画、6月7日に閣議決定されたものでございますが、そこにおきましても、NDBにつきまして、死亡の時期や原因など、死亡した者に関する情報との連結が可能となるよう検討を行うとされているところでございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明をありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、資料の5ページ目です。NDBとその他のデータベースを連結させる意義・必要性が整理されております。ここにまとめられていることが実現できれば、その成果は、EBPMや研究利用にとどまらず、セルフメディケーションの実践やPHRの普及促進を後押しする新たなヘルスケアサービス、及び新薬開発等につながることが期待できるのではないかと考えます。そうした中長期的な視点も踏まえて、各種DBの法制化やデータ連結等を進めていただければと思います。
1点、質問がございます。資料の6ページについて、今後のスケジュール案を見ますと、各プロセスがいつ開始されて、いつ完了するのかということがよく分からないものですから、見込みで結構ですので、どのようなスケジュール感で検討を進めるか、教えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 回答をよろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
御質問をありがとうございます。
6ページにお示ししてございますとおり、各種データベースとの連結を進めるに当たっては、まず、最初のステップとして、各データベースの法制化が必要になってまいります。これはどうしても法律を国会に提出するというプロセスが関わってまいりますので、私どもが現時点で今このデータベースについて具体的にいつということを申し上げられる状況にはございませんが、先ほど申し上げたとおり、関係審議会で意見が取りまとまっているものにつきましては、私どもとして、出来る限り速やかにこうしたものについて受け止めてしっかり対応していく、そうした方針で臨んでいくこととしてございます。
以上です。
○田辺部会長 藤井委員、よろしゅうございますか。
それでは、井上隆参考人、よろしくお願いいたします。
○井上(隆)参考人 ありがとうございます。
現在、政府の政策全般でEBPMやDXが求められるところでございまして、今回のNDBと他の公的データベースとの連結に賛同いたします。また、死亡情報との連結につきましても、NDBの目的であります医療費の適正化計画の作成に向けて必要な情報でございますので、連結に賛同でございます。また、死亡情報の匿名化は、目的外利用等々、プライバシーや情報漏えい、セキュリティーの問題等々に懸念が生じるところでございますので、丁寧な説明と検討を行いつつ、ぜひ活用の方向で進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
現在、オンライン資格確認を通じて、薬剤情報や特定健診情報の取得、資料3の全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大など、個々人の医療に関わる情報や健康に関するデータの活用が進められておりますが、医療分野のみで完結してしまっている印象を受けます。包括ケアシステムの理念のさらなる進化のためには、介護分野においてもこうした情報やデータの活用を進めていくべきであり、今回御説明がありましたNDBと介護DBを活用しての医療・介護データ等の解析基盤、HICの構築につきましては、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
なお、NDBと死亡情報を連結することによって、エビデンスに基づいた医療費適正化計画の政策立案が可能であるとの御説明がありましたが、この連結につきましては賛成でございますが、医療費適正化計画については、昨年の7月に見直しに向けた議論のキックオフが行われてから今日まで続く議論が行われていない状況でございます。今後、この医療費適正化計画につきまして、どのようなスケジュールで第4期の医療費適正化計画の策定に向けた議論を行っていくのか、事務局の見解をお伺いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
御質問をどうもありがとうございます。
医療費適正化計画につきましては、令和6年度から新たな計画期間になりまして、当然、新たな計画の内容、また、計画の実施に当たっての実効性の確保策が議論になるわけでございます。これは、昨年度の骨太方針2021におきましても、医療費の見込みを医療費が著しく上回る場合の対応の在り方など、都道府県の役割や責務の明確化を行う、また、都道府県計画において、医療の効率的な提供の推進に係る目標や病床の機能の分化及び連携の推進を必須事項とすること、併せて、保険者協議会を必置とするとともに、都道府県計画への関与を強化し、国による運営支援を行うこと、こうしたことが決められているわけでございます。
医療費適正化計画以外にも様々な課題がございます。昨日、全世代型社会保障構築本部が開催され、この中でも議論が行われておりますが、今後、政府における全世代型の社会保障の構築等に向けた検討状況も踏まえながら、医療保険制度における対応についても御議論いただくこととしております。そうした中で、この医療費適正化計画についても速やかに御議論いただきたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 安藤委員、よろしゅうございますか。
○安藤委員 ありがとうございました。
そんなに時間はないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○田辺部会長 村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
今回御提案いただいている内容に特段異論はございませんが、要望だけ、申し上げたいと思います。今後、ほかの公的データベースとの連携を進めていくということですが、データベースが大きくなればなるほどセキュリティー対策が不可欠となってまいります。既に様々な対策が講じられていると思いますが、機微な情報を扱っているということですので、より一層の対策強化をお願いしたいと思います。
先月には、指定難病のデータベースで、第三者提供で個人情報の5,640人分が流出しているということがございます。今後の利活用に際しましては、個人情報保護の観点に十分に御留意いただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
NDBが適切に利用されることは、データに基づく政策の立案や評価に必要不可欠であり、今回の御提案にある重要な医療情報を持つ他の公的データベースや死亡情報との連結は、実態がこれまで把握されにくかった部分も含めて、分析対象の拡充と分析精度の向上として、医療・介護に関わる研究の進展とエビデンスに基づいた政策形成に寄与するものと期待しております。
この点から、2点、コメントをさせていただきたいと思います。
1点目は、将来的な話なのですけれども、将来的には社会・経済的な情報を持つ調査等のデータとの連結についても引き続き進展することを期待したいと思います。令和4年4月から始まったレセプトの所得階層情報は大変貴重な情報の提供であり、大きな進展であると受け止めております。同時に、社会的に重要な課題であり、また、医療保険制度の設計にも関わりがあると考えられる問題の一つとして、例えば、健康の格差という問題があると思います。この問題の格差の解消への取組を考える場合、所得の情報だけでなく、教育水準など、多面的な社会・経済的な状況把握が不可欠になると思います。
2点目は、死亡情報との連携に関してです。このような情報利用は、公共の利益に資するものに限られることが大前提でありますが、その上でも死亡情報は機微な情報でもあるため、データ提供に当たり個人が特定される可能性を限りなくゼロに近づける努力の必要性は理解できます。同時に、科学的研究において、一見重要性が低そうに見える死亡に関する詳細な情報が重要な意味を持つ場合も多くあるのではないかと思います。この観点から、スライド14の情報提供の範囲に関して、個人が特定できない情報に関しては、収載するという観点、そういう方向性の検討もお願いできないかと考えています。やや細かい話になるのですけれども、具体的に申し上げると、例えば、スライド14の上の囲みの中で、死亡年月日の情報について、現在、提供範囲として、死亡年月日までの提供が検討されており、時間の情報に関しては、提供の対象外となっているかと思います。時間や分といった細かい情報なのですけれども、これが個人特定につながることは考えにくいのではないかと思います。この死亡時間のような細かい情報は、一見重要性は低いように見えるかもしれないのですが、例えば、みとりの体制等の医療提供体制の在り方の検討とも関わる部分であり、また、詳細な情報がなければ取り組むことのできない重要課題はほかにも多くあるのではないかと思います。その観点から、御検討のほど、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
私も、NDBと他の公的データベースの連結については、医療関係のDXを進める意味でも、ぜひ進めていただければと思いますし、全く異論がないところでございます。
それと関連して、NDBとは離れて申し訳ないのですが、一方で、もう一つ大きな公的な医療的なデータベースとして、国保データベース、いわゆるKDBがあるかと思います。この利活用も、特に高齢者医療や在宅医療等々で、各都道府県のいろいろな医療計画を立てる意味でも、そのアウトカム評価をするためにも、非常にこの利活用が有用かと思います。一方で、匿名性を担保することが難しいこともお聞きしていますし、困難なことは重々理解していますが、数年前ですか、以前、この会でもその話をしたときに、国保中央会の原委員からも、幾つか困難なこともあるけれども、前向きに検討していきたいといただいておりますので、もし、現状、その方向性あるいは進捗状況等があれば、教えていただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
この点をよろしくお願いいたします。
○高木課長 国保課長でございます。
おっしゃるとおり、国保データベースにつきましては、今、この資料で御説明した匿名化したデータとは異なり、被保険者と1対1で健診・医療・介護のデータを取り扱っているデータベースでございます。そういう意味では、今日御説明したデータベースはもともと個人の名前をハッシュ化して匿名化して医療費適正化計画や地域の資源分析に用いるものでございますけれども、KDBについては、1対1の情報でございまして、高齢者の保険事業、介護予防の一体実施といったところでの活用をいただいております。後の資料の説明になりますけれども、令和5年度の概算要求につきましても、クラウド化によってさらにそのデータの拡張性を確保しまして、利便性の向上を図っていきたいと思っております。今後もそうした形で生涯を通じた健康づくり・重症化予防の取組に資するよう、先生がおっしゃったとおり、国保・介護・医療関係者の協力を得ながら、活用に取り組んでまいりたいと思っております。
○池端委員 よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。発言させていただきます。
NDBについては、ぜひ利便性や正確性、データの蓄積ストックという意味からしても、連結ができるようにしていただきたいと思います。他国の例ですが、デジタルガバナンスでトップを走るエストニアなどでは全ての公的データをX-Roadで連結してスムーズに活用し、行政の効率化によるデジタルトランスフォーメーションを実行されています。また、デジタルトランスフォーメーションやデジタル化の大事なことの一つは、データを正確に蓄積し、いかに活用するかということがあると思います。そういう意味では、NDBは大変貴重な情報とストックになっていきますので、対応をお願いしたいと思います。国連電子政府ランキングでトップグループに入る韓国の例を実際に調べましたが、韓国では数十万から数百万の医療健康に関するデータベースを活用して疾病予測もされています。人間ドックや健診の血液検査などのデータがございますが、それに基づいてAIを活用し、その方が4~5年後にどんな疾病になる可能性があるかということも予測して警鐘を鳴らすのです。これにより、健康改善をしてくださいということまで繋げているそうです。そういったことも、将来、日本もできるようにしたほうがいいなと思いますので、そういった連携、連結、特に公的データは重要だと思います。
また、死亡に関しても、同じような位置づけだと思います。機微な部分もありますので、匿名性の工夫とかをしてくださるとの説明でしたが、ぜひそういった方向で進めていただくことがとても大切だと思います。従来から申し上げていますように、健康保険証の利用をマイナンバーカードでやることは、それを入り口にデータのトランスフォーメーションがよりよく進んでいくきっかけになると思います。そういった意味では、全ての国民に関係しますし、日々に関係している健康・医療・福祉に関する情報を未来のために使っていくことが大事だと思います。こういったデータベースは、将来は本人が自分の健康をチェックする意味でも使えると思いますし、さらに関連していくと、創薬あるいは健康指導などにも生かせる時代になってきていると思いますので、ぜひ推進をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
様々なデータを連結して有効に使うということはそのとおりで、積極的に使っていくべきだと思っています。そのときに、事務局からもありましたように、セキュリティーの問題、匿名化に関して、しっかりと行うことももちろんですが、データを連結することによって、個人が特定されやすくなります。そのことでどう配慮するかということと、そうした連結したデータを研究者等に提供して使ったときに、個人情報に配慮した公表の在り方も検討しておくべきだと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題については、これまでとさせていただきます。
次に、事務局から別途報告事項があるということでございますので、説明を簡単によろしくお願いいたします。
○田中参事官(医政局) よろしくお願いいたします。医政局参事官でございます。
資料3「「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」の運用開始について」、御説明をさせていただきます。
現在、医療機関、薬局においては、オンライン資格確認の仕組みを活用し、本人同意を得て、特定健診情報や薬剤情報の閲覧が可能でございますが、これに加え、新たに診療情報の閲覧が可能になるよう準備を進めてまいりました。現在、令和4年6月からのレセプトデータの蓄積を開始し、医療機関・薬局からのテスト状況を注視し、運用・保守体制の整備を進めているところでございます。これを受け、診療情報の閲覧開始を令和4年9月11日から開始させていただきたいと思います。マイナポータルについても、同様の9月11日から閲覧が可能となります。
1枚おめくりいただきまして、医療機関・薬局で閲覧可能な追加項目は、医療機関名、受診歴、診療年月日、入外等区分、診療識別、診療行為名、薬剤情報として、医療機関名、薬局名という形で追加の項目になっております。また、右側には、マイナポータルで閲覧可能な追加項目が記載してあるところでございます。もともと夏頃を目途にということでデータヘルス改革工程表に基づき準備をしてまいりましたが、9月11日ということで御報告させていただきます。
以上でございます。
○森課長 続いて、資料4について説明させていただきます。総務課長でございます。
厚生労働省では、先月末に約33兆円に上る概算要求を財務省に対してさせていただいております。そのうち、保険局関係の概算要求の内容について、駆け足で御説明させていただきます。
まず、1ページ目でございますけれども、各医療保険制度に対する国庫負担で約10兆1,700億円、国民健康保険への財政支援を3,000億円、被用者保険への財政支援を830億円という要求をしております。
次にページに参りまして、医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進という関係でございますけれども、オンライン資格確認の用途拡大、診療報酬改定に関するDXの取組の推進等、右側に事項要求と書いてございます。これは、具体的な額を入れずに、予算編成過程で具体的な数字を決めて要求していくという内容で、DX関係のものを幾つか事項要求をさせていただいております。
3ページ、4ページ、5ページが、予防・重症化予防・健康づくりでございます。例えば、①にございます保険者のインセンティブ強化は、国保の保険者努力支援制度の関係が1,400億円、③の糖尿病性腎症の重症化予防事業の関係の予算要求が5,200万円程度としております。4ページ、例えば、⑤ですけれども、レセプト・健診情報等の分析に基づいた保険事業の推進が7.8億円。5ページに参りまして、⑧40歳未満の事業主健診情報の活用に向けたシステム改修等の要求を行っております。
最後の6ページでございますけれども、この10月から、診療報酬で看護職員の処遇改善を行うことにしております。それの来年度分の予算、その次が、被災地における医療保険制度における支援策という関係の予算の要求を行っているところでございます。
資料4は、以上でございます。
○田中課長 続きまして、資料5について御説明いたします。
高齢者医療課長でございます。
令和4年10月に、保険局関係で制度改正の施行が2点ございます。その周知・広報について、御報告を申し上げます。
まず、1番、後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しでございます。一部の一定以上の所得のある後期高齢者医療の被保険者の方の負担割合が2割に上がるということでございます。2割負担となる方に対しましては、被保険者証の送付が今月中に行われますけれども、それに同封する形で見直しや配慮措置の内容に関するお知らせを実施しておりますほか、右側に例がございますけれども、政府公報による新聞広告、また、公的機関・医療機関等に掲示するポスター等を国で作成・印刷してございます。また、国でコールセンターも設置しておりまして、国民の皆様からの御質問に対応してまいりたいと考えております。また、2つ目のポツでございますけれども、窓口負担割合が2割となる方につきましては、配慮措置ということで、外来の負担増加額を月3000円までに抑えるという措置でございます。この払戻し先口座が登録されていない方に対しましては、プッシュ型で、各都道府県広域連合や市区町村から申請書を郵送してございます。周知・広報におきましては、口座登録に当たって消費者被害が生じないよう、関係省庁とも連携しまして、詐欺への注意喚起も実施してございます。続いて、2番、紹介状なしで受診する場合等の定額負担の見直しについてでございます。10月より紹介状なしで受診する場合等の定額負担の料金や対象医療機関の範囲の見直しが行われることになってございます。これに向けまして、国でリーフレットを作成いたしますとともに、そのリーフレットを、都道府県、医療関係団体、保険者に広く提供させていただきまして、リーフレットの院内掲示、また、全国健康保険協会様に御協力いただきまして、日本年金機構を通じて加入事業所への送付される年金保険料の納入通知への同封、また、機関ホームページ等への掲載などを通じまして、患者の方などへ幅広く周知を行ってまいりたいと考えてございます。
2ページに、参考までに、ポスターやリーフレットの絵を載せさせていただいております。
説明は、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問等があれば、よろしくお願いいたします。
横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今ほど説明がありました後期高齢者医療については、特に2割負担の方が一部発生するということでは、広く注目もされていると思います。このことはいろいろな報道で伝わっています。ぜひ政府広報の総力を挙げて、丁寧な説明により、理解がスムーズに進むようにお願いしたいと思います。先日、事務的な説明を受けた際に、厚生労働省の記者クラブ等への丁寧な記者レクもしていると聞きましたので、心強く思いました。そういった細かな説明や対応をしながら、要点を分かりやすく、国民の皆さん、つまり特に被保険者の方々に伝わるようにお願いしたいと思います。分けても後期高齢の方々には、高齢ですから配慮も大切ですし、理解が難しくないようにすることが必要です。また、2割に向かいつつも緩和措置等も実施されますが、ここが必ずしも十分に伝わっていない面もあると思います。本人の窓口負担が2割になるということが連続して発せられると正しく伝わらなくなり、必要な医療を受けることから遠のいてもいけません。「十分に広報をしていきたい」ということでしたので、十分な広報の推進をよろしくお願いします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の部分でございますけれども、今日の説明とは直接ではないのですが、9月5日の医療部会において、今回の医療情報だけでなく、薬剤情報や特定健診情報について、医療機関の側で閲覧しないという選択ができ、マイナンバーカードでの受診時に、患者本人の同意画面すら出ないようにできる仕組みになっているというやり取りがあったと聞いております。これまで、当然、保険者はこれに関するいろいろな運営費用も負担しておりますし、また、診療報酬においても加算がつけられているという中で、次の2点の確認をしたいと思います。
まず、1点目は、本来は医療の質向上のための仕組みであるにもかかわらず、初めから医療機関側の判断で閲覧しないようにできるということは事実なのかどうか。もし事実であれば、どういう理由によるものなのか、お伺いしたいということが1点でございます。
2点目は、そのような設定になった場合に、診療報酬の加算の取扱いはどうなるのか。マイナ保険証を持っていて本人が同意しない場合は4点の加算になると聞いておりますけれども、今回のケースにおいてはどうなるのか。
この2点について、回答をお願いしたいと思います
もう一点は、予算概算要求の部分でございます。この中で、いわゆる出産育児一時金の引上げについては、今日の資料を拝見しても、事項要求になっておりますけれども、前々から申し上げていますとおり、少子化対策は全世代で支えていくことが極めて重要であると考えております。仮に、今後、出産育児一時金を引き上げる場合においては、公費負担も含めて、ぜひとも全世代で支え合う仕組みを考えていただきたいと思います。また、予算的にいいますと、健保組合の負担緩和に必要な財政支援については、ぜひ確保をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
1点目、オンライン資格確認につきましては、健康保険法におきまして、電子資格確認という用語が定義されてございますが、これにつきまして、来年4月から療担規則等におきまして、保険医療機関・薬局にその導入を義務づけることになっているわけでございます。こうした電子資格確認の仕組みに合わせて患者本人の同意を電子的に得ることができる仕組みを整備することで、医療機関・薬局において、特定健診情報あるいは薬剤情報、さらに今回は診療情報の一部が追加されますが、こうしたものを電子的に閲覧できる仕組みを構築しているわけでございます。厚生労働省といたしましては、オンライン資格確認の導入のための補助の中で、電子カルテシステム等の既存システムの改修経費等も補助対象としてございます。また、診療報酬上の加算の中で、初診時等における診療情報の取得・活用体制の充実についても、評価を行う。こうした取組を通じまして、医療機関・薬局における診療情報の取得・活用を促しているということでございます。医療機関・薬局によっては、この電子資格確認の仕組みを導入したが、電子カルテシステム等の改修は次の段階で対応することにして、診療情報の閲覧を開始していないところもあると承知しています。この場合、医師等が診療等を行う際に使用する端末では、言わばまだ閉じられた状態で診療情報の閲覧ができないため、そうした医療機関・薬局の資格確認端末では、電子資格確認のみが行われているということになります。今回、療担規則で保険医療機関・薬局における導入を原則義務化する、そうした議論を中医協で御議論いただいた際にも、基本的な考え方として、オンライン資格確認は患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全によりよい医療を提供していくための医療DXの基盤となるものである、こうした基本的な考え方を共有した上で、この原則義務化という議論がなされたということでございます。厚生労働省としては、こうしたよりよい医療の提供のために、電子資格確認に併せて、診療情報の取得・活用を推進していきたいと考えてございます。システム改修経費の補助、診療報酬上の加算の周知、こうしたことを通じまして、医療機関・薬局の取組を促していきたいと思います。
○田辺部会長 佐野委員、よろしゅうございますか。
○佐野委員 2点目のほうは。
○眞鍋課長 医療課長でございます。
2点目について、御回答させていただきます。
言及いただきました加算につきましては、8月10日の中医協で答申いただきました医療情報・システム基盤整備体制充実加算でございますけれども、これはオン資を導入している保険医療機関の外来におきまして、初診時に患者さんの薬剤情報、また、特定健診情報等の診療情報を活用して、質の高い診療を実施する体制を評価しているということでございます。詳細は省きますけれども、施設基準等々がございますが、主なものを申し上げると、マイナ保険証の利用や問診票等を通じて患者さんの診療情報の取得・活用するということで、質の高い医療の提供に努めている、そういうことを掲示することを求めるとともに、そういった記載を診療録等にも問診票にも含めることを規定しているところでございます。御指摘のような場合に関しましては、こういった基準を満たしているとは考えられないということでございますので、本加算の算定は行えないものと考えます。
以上です。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○佐野委員 ありがとうございました。
今も御説明がありましたけれども、このオンライン資格確認等のシステムの利用が、資格確認だけにとどまっているということは、どういう理由があるにせよ、患者の希望を確認する機会を奪ってしまっているということになると思いますので、全ての医療機関が対応できるように、期限を切って、ぜひともこの改修を実行していただきたいと思います。また、今般、10月からの加算ができないことは理解いたしましたけれども、やはりこの部分も含めて国民に対して周知・広報を含めた明示を速やかにお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
資料4で、国保の総合システムへの改修費用への支援を事項要求していただいております。ありがとうございます。全国市長会として強く要望しておることでございます。ぜひこの年末の予算に向けて、DXということでの事項要求と理解しておりますが、事柄は非常にはっきりしておりますので、しっかりと財政措置を講じていただくようお願い申し上げるところでございます。
もう一点、資料5でございました後期高齢者医療の窓口負担の引上げでございますが、施行までに1か月を切りましたが、年末に向けてまた別のところでいろいろと国民負担の引上げについての議論が始まりつつあるようでございますので、そういう中での施行となりますので、施行直前はもちろん、施行後も含めて、ぜひこの配慮措置、アップ額3,000円までときちんと配慮措置を講じてありますので、この辺りを、我々もPRさせていただきますが、政府においても引き続きしっかりとPRをよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上誠一参考人、よろしくお願いいたします。
○井上(誠)参考人 資料4の令和5年度予算概算要求について、コメントを申し上げます。
まず、今回の概算要求におきまして、国保保険者に対する財政支援でありますとか、国保連合会や国保中央会向けの予算である次期KDB更改のための改修経費、国保標準事務システムの改修経費等について必要な予算要求を行っていただいていることに対しまして、感謝を申し上げます。今後とも、国保制度改革が実効あるものとなるよう、毎年3,400億円の公費投入の確保を確実に実施するなど、保険者に対する財政支援の充実を図っていただくとともに、国保連合会や国保中央会の業務が実施に必要な財政支援を行っていただくようお願いしたいと思います。
資料4の2ページの「医療分野におけるDXの推進」において③として「整合的かつ効率的な審査支払機能の運用に向けた国保総合システムの整備に係る経費」が事項要求とされているところでございます。この国保総合システムは、国保制度等の基盤を支える極めて公共性の高い重要なインフラであり、国の意向を踏まえ実施するシステム更改に必要な経費であることから、年末までの予算編成過程において、必要な額が措置されるよう、財務省等の関係者と適切な調整を行っていただくよう強くお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
質問が1点と、要望が1点です。
まず、医療情報の閲覧可能な追加項目に関して、これは単純に質問です。今回も含めて、今後、どんどんこの(閲覧可能な)情報が増えていくと思いますけれども、これに対する同意について、それぞれの項目ごとに同意を求めていくことになるのか、一括してある程度認める形になるのか、それについて、現状と今後の見込みについてお知らせいただければと思います。
もう一点は、中央会が出した受診の定額負担の見直し、特に大病院に関する見直しに関して、こういうスキームが始まることは重々理解していますが、今でも私自身は個人的には納得していないところもありますが、選定療養で2,000円以上を患者さんからさらに請求して、それが(診療報酬から)控除されることについては、まだ患者さんに御理解いただけないことだと思います。いろいろなパンフレット等を用意していただいているようですので、ぜひそれを使っていきたいと思いますけれども、今後、それで混乱しないかどうか注意深く見て、必要なときには、さらに第2、第3の説明等をしっかりやっていただければと思います。医療機関も頑張りますけれども、よろしくお願いします。これは、要望です。
以上です。
○田辺部会長 1点、御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○田中参事官(医政局) 医政局でございます。
同意について御質問いただきましたが、今回の診療情報の拡充に当たりましては、一つ一つではなく、手術以外については一括の同意となっております。今、医療DXの中でも電子カルテ情報の共有なども議論されている中においては、どのような情報の同意を取るべきか、本当に同意が必要なのかということは、ほかの検討会でも御指摘いただいているところでございます。今まではレセプトで御本人にお返しする情報を基本的には閲覧可能としていましたが、それを超えて、今まで御本人に返していないような情報も閲覧の対象となる。その時点で、同意の在り方については再度の検討が必要であるという御指摘をいただいているところでございます。その共有の際には、御指摘いただいた同意についての議論を行う方向で、今、検討しております。
以上でございます。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料3の「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」について、意見を述べさせていただきます。
御説明がありました診療情報も含めまして、オンライン資格確認等システムを基盤として様々な情報を連携しようとすることにつきましては賛成でございますが、前回の医療保険部会でもお伝えしましたとおり、オンライン資格確認等システムという日本の医療DXの基盤となる仕組みが国民に活用され、認めてもらうためには、患者が新たな診療を体験し、そのメリットを感じてもらうことが重要であると考えております。引き続き、関係者一丸となって導入促進に取り組んでいただきたいということを改めて申し上げさせていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見等もないようでございますので、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきまして、追って事務局より御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、散会いたします。