第35回全国健康保険協会業績評価に関する検討会 議事録

日時

令和4年9月16日(金)10:00~12:00

場所

全国都市会館

議題

全国健康保険協会の令和3年度事業実績報告及び自己評価に対するヒアリング
(質疑及び業績評価についての議論)
(1)基盤的保険者機能
(2)戦略的保険者機能

議事

 

○愛須室長 おはようございます。定刻には若干早いのですけれども、皆様おそろいになりましたので、ただいまより第35回「全国健康保険協会業績評価に関する検討会」を開催いたします。
 皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 事務局を務めます保険課の愛須でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
 会議中、御発言の際は、Zoomの「手を挙げる」機能を使用せず、カメラに向かって挙手いただきますようお願いいたします。挙手後は、座長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除の上御発言いただき、終了後は再度マイクをミュートにしていただきますようお願い申し上げます。
 また、議題等に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことをもって、異議なしの旨と確認させていただきます。御異議がある場合は、カメラに向かって挙手をお願いいたします。
 全国健康保険協会におかれましては、座席表のとおり、安藤理事長以下、オンラインでの御出席となっておりますが、1点お願いがございます。御出席者多数のため、複数の方で一つの画面を共有することから、質疑等の際、どなたが発言されているかが不明瞭となることが想定されます。
 つきましては、誠に御面倒ではございますが、御発言の都度、御自身のお名前をお伝えいただきますようお願いいたします。
 次に、本日の出席状況でございますが、本日は構成員の皆様は全員出席でございます。
 では、これより西村座長に進行をお願いいたします。
 恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでで退室をお願いいたします。
○西村座長 それでは、ここより私が進めてまいりますので、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議事の内容と資料について、事務局より説明をお願いいたします。愛須室長、お願いします。
○愛須室長 本日の議事でございますが、前回の検討会で決定いただいた進め方に従いまして、2回に分けて協会けんぽの令和3年度事業実績の説明と質疑を行っていただきます。
 1回目の本日は、健康保険事業について御審議をお願いいたします。
 次に、本日の資料ですが、議事次第、座席表、出席者名簿の次に、資料1として基盤的保険者機能関係に係る業績評価シート、資料2として戦略的保険者機能関係に係る業績評価シート、参考資料1として全国健康保険協会の令和3年度業務実績に関する評価の基準、参考資料2として健康保険事業に係る令和3年度事業報告書の以上でございます。
 不足等があれば事務局へお知らせください。
○西村座長 ありがとうございました。
 早速ではございますが、業績評価の議論に入りたいと思います。
 初めに、第1のテーマ「健康保険の基盤的保険者機能関係」について、全国健康保険協会から御説明をお願いいたします。
○松下業務部長 業務部の松下でございます。よろしくお願いいたします。基盤的保険者機能関係につきまして、資料1に基づきまして御説明させていただきます。
 表紙をおめくりいただいて目次にございますとおり、基盤的保険者機能関係の評価項目は11項目ございますが、私から項番2のサービス水準の向上など、業務部門関係の9項目を御説明させていただいた後、項番1の健全な財政運営と項番10のオンライン資格確認の円滑な実施を企画部長から御説明させていただきます。資料が一部前後いたしますが、御了承ください。
 なお、それぞれの評価項目を御説明するに当たりまして、業務部関係業務の動向等に関しまして御説明させていただきたいと思います。
 右下の資料ページで3ページ、4ページを御覧ください。基盤的保険者機能の具体的な業務といたしましては、保険証の発行・回収業務や現金給付の支給決定業務、レセプト点検業務、債権管理業務等がございますが、各支部では業務部を中心にこれらの業務に取り組んでいるところでございます。
 中段以下にサービスの提供の対象となる加入者や事業所等に関しまして、第3期保険者機能強化アクションプランの初年度であった2015年度からのそれぞれの推移をお示ししております。2016年度からの短時間労働者への適用拡大や日本年金機構における未適用事業所に対する適用促進対策などを背景といたしまして、特に都市部の大規模支部を中心に被保険者数と事業所数が大幅に増加しておりまして、資料では対前年度比をお示ししておりますが、2021年度を2015年度と比べますと、被保険者数が349万人増加して約1.2倍に、事業所数が63万事業所増加して約1.3倍になっております。
 また、現金給付の支給件数につきましては、全体で111万件増加して約1.5倍に、総件数の45%を占める傷病手当金では66万件増加して約1.7倍になっておりまして、現物給付としてのレセプト件数も被保険者の増加割合とほぼ同じ割合で増加しています。
 なお、これら加入者数や現金給付等の支給件数の大幅な増加はそのまま業務量の増加ということになりますが、4ページ中段にございますように、業務部の配置人員につきましては、1割ほど減少しているところでございます。後ほど項番11の業務改革の推進の中で御説明させていただきますが、業務部門では大幅な業務量の増加に対しまして、業務処理の標準化、効率化を推進するとともに、日々の業務量の多寡や優先度に対する柔軟かつ最適な事務処理体制の構築を図ることで対応しているところでございます。
 なお、新型コロナウイルス感染症への対応といたしましては、加入者、事業主、関係機関の方々及び協会職員への感染防止対策を講じながら業務を遂行してきました。3年度も緊急事態宣言下における職員の出勤削減等がございまして、業務部関係といたしましては特にレセプトの内容点検業務や保険証回収業務等への影響が大きかったところでございます。そのような状況下での3年度の業績及び評価につきまして、個別項目ごとに御説明させていただきます。
 11ページ、12ページを御覧ください。サービス水準の向上につきましては、サービススタンダードの達成状況、申請書の郵送化率をKPIに定めております。また、お客様満足度調査の活用について事業計画に掲げているところでございます。なお、サービススタンダードにつきましては、現金給付のうち傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料の請求につきまして、申請書の受付から10営業日以内に支払うというものでございますが、困難度が高いところでございます。その理由といたしましては、適正かつ迅速な現金給付の審査、支払いは保険者の責務であること。また、傷病手当金については生活保障の性格を有していることから、最高値の達成率100%をKPIとして、その達成に努めております。
また、傷病手当金等の支給件数は6年間で1.5倍と年々増加しているのに対して、職員数には限りがあり、サービススタンダードを遵守するためには事務処理体制の整備や事務処理方法の見直し、改善等を常に行っていく必要があります。
 加えて、3年度は第5波、第6波といった新型コロナウイルスの感染拡大後に当該感染症罹患による傷病手当金の申請件数が急増し、支部内の事務処理体制につきましても緊急的な対応が求められたところでございます。
 以上のことから、サービススタンダードを100%達成することは困難度が高いところでございます。
 実績といたしまして、サービススタンダードにつきましては、支給決定件数が189万件と前年度より19万件増加した中で、3件を除き達成いたしまして、達成率99.9%とKPIをほぼ達成いたしました。なお、当該達成率につきましては、最適かつ柔軟な事務処理体制の構築を図った上で、緊急事態宣言発令時をはじめといたしまして業務量が逼迫した際には業務部門を超えて支部全体で各業務の相互支援を行い、現金給付業務を最優先とした事務処理を進めた成果でございまして、未達成となった3件を容認するものではございませんが、一昨年度1,200件、昨年度8,000件あった未達成件数を最小限に抑え、達成率99.9998%を実現するとともに、申請書受付から支払いまでの平均所要日数も7.44日と前年度より0.03日短縮したところでございます。
 また、郵送化率は95.5%となったところでございまして、これまでもホームページや支部広報紙等において申請書の郵送提出の促進に係る周知を行ってきたところですが、2年度来、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛等の影響もございまして、郵送による申請等が増加しており、前年度をさらに0.4ポイント上回り、KPIを達成したところでございます。
 13ページでございますが、お客様満足度調査につきましては、毎年1月に支部窓口に来訪されたお客様に実施しております。なお、各支部ではその調査結果に基づき、支部ごとに作成しております支部別カルテから問題点・課題点を把握した上で、接遇研修等の取組を行い、さらなる加入者サービスの向上に取り組んでいるところでございます。
 3年度の満足度調査におきましても、窓口サービス全体の満足度98.7%と前年度に引き続き高い水準を維持したところでございます。
 また、右下の表にございますように、職員の応接態度に対する満足度や訪問目的の達成度につきましても、前年度を上回りました。
 このようにサービス水準は確実に向上しておりまして、サービススタンダード達成率、郵送化率ともに非常に高い水準に設定しているKPIを達成したことから、自己評価はAでございます。
 続きまして、15ページ、16ページを御覧ください。限度額適用認定証の利用促進につきましては、3年10月に導入されたオンライン資格確認が定着するまで利用促進のための周知広報を継続して行っていくこととしておりまして、ホームページによる制度周知のほかに、事業主や健康保険委員には納入告知書や保険料率改定のお知らせを送付する際のチラシ、リーフレットの同封、加入者には現金給付の支給決定通知書や任意継続保険料の改定通知書を送付する際に、利用案内を記載すること等により制度の周知を行ったところでございます。
 また、マイナンバーカードの取得及び保険証利用登録を勧奨・周知する際には、オンライン資格確認が導入された医療機関では、本人の同意により、オンライン資格確認システムから限度額情報を確認できることも周知しております。
 実績でございますが、3年度の限度額適用認定証の発行件数は139万件、高額療養費に占める限度額適用認定証の使用割合は81.5%となっております。
 以上により、限度額適用認定証の使用割合が前年度を1.9ポイント、一昨年度を0.3ポイント増加したことから、自己評価はBでございます。
 なお、高額療養費の支給総件数に対する限度額適用認定証の使用割合は81.5%でございますが、限度額適用認定証につきましては、いわゆる個人単位、レセプト単位での高額療養費の現物給付化を可能とするものでございまして、制度上、世帯合算方式の場合は限度額適用認定証を使用した場合であっても別途現金給付の高額療養費の申請が必要となるところでございます。
 16ページの下段の表の3行目に参考としてお示ししておりますように、世帯合算分を除いた限度額適用認定証の利用が可能な支給件数に対する使用割合は、元年度93.7%、2年度93.8%、3年度95%と年々確実に利用促進が図られてきたとともに、実質的に高い使用割合となっております。
 続いて、17ページ、18ページを御覧ください。現金給付の適正化の推進といたしまして、傷病手当金と障害年金等との併給調整と不正請求防止について、でございます。併給調整につきましては、異なる制度で有している所得保障という共通する目的を持った給付を決められたルールに則って調整してお支払いするプロセスが重要となってくるところでございます。傷病手当金と障害年金等との併給調整につきましては、手順書に基づく事務処理の徹底と加入者への周知を行いました。また、傷病手当金の支給後に障害年金等が遡って裁定されることも多く、それらにも対応するため、日本年金機構と連携して過去に遡った傷病手当金支給データと年金支給データとの突合の徹底を図っております。3年度は約7万3000件の併給調整を行っておりますが、年金機構とのデータ突合によりまして、ほぼ漏れなく併給調整ができているものと認識しております。
 また、傷病手当金と労災保険の休業補償給付との調整につきましては、原則3か月置きに労働基準監督署に支給状況を確認し、休業補償給付の支給状況を厳格に管理して、適切な調整を行いまして、2年度は875件の調整を行ったところです。
 18ページでございますが、不正請求の防止に当たりましては、事務処理手順書に不正受給対策の観点も明記しておりまして、特に傷病手当金や出産手当金の支給額の基礎となります標準報酬月額等に着目した重点的な審査等を行っております。
 なお、審査を行う中で不正の疑いがある場合などは立入検査等により確認しておりますが、3年度はコロナ禍のため、書面等による確認へ切り替えるなどいたしまして、立入検査の実施件数といたしましては4件となっております。
 また、支給決定後の事後調査として資格喪失後に継続して給付されている傷病手当金、出産手当金の中から新たに就職が疑われる事案、また、60日以上遡及して資格取得処理が行われ、遡及期間中に傷病手当金等の支給がある事案をそれぞれ抽出して労務の可否等についての確認調査を行ったところでございます。前者につきましては、161件の確認調査を実施した結果、61件の不適切な申請について返還請求を行いました。後者は858件について調査を行いましたが、不正な請求はございませんでした。
 海外療養費につきましては、27年度から神奈川支部内の海外療養費審査部門に審査を集約・統合し、審査の強化及び業務の効率化を図っております。なお、2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症による渡航者の減少等もございまして、実績といたしましてはほぼ2年度と同じでございました。
 このように障害年金等との併給調整を適切に行ったほか、現金給付の適正化に努めたことから、自己評価はBでございます。
 次に、効果的なレセプト点検の推進について、21ページ、22ページを御覧ください。こちらにつきましては、レセプト点検の査定率及び再審査レセプト1件当たりの査定額をKPIとしております。なお、レセプト点検の査定率は既に非常に高い水準に達しておりまして、前年度以上とすることの困難度が高いところでございます。その背景といたしまして、電子レセプトの普及がございます。電子レセプトの普及率は2年度時点で98.8%となっておりまして、ほぼ全てのレセプトについてコンピュータチェックによる審査等が行われております。また、支払基金が使用しておりますコンピュータチェックルールにつきましては、保険医療機関等が保険診療ルールに則した適正なレセプトを作成できるように、範囲を拡大して公開されているところでございます。
 これらのコンピュータチェックルールが保険医療機関等のレセプトを作成するレセプトコンピュータに取り込まれていることで、査定の必要のないレセプトでの請求割合が増加しておりまして、全レセプトの請求総額である医療費総額を分母とする査定率を前年度以上とすることは困難度が高いところでございます。
 22ページが3年度の実績等でございますが、内容点件につきましては、本部から示したレセプト点検業務に係る重点施策に基づき各支部でレセプト内容点検行動計画を策定して実施しております。なお、内容点検はまだまだ人の目による審査が査定の大きなウエイトを占めているところでございまして、レセプト点検員のスキルアップやその前段にあるコンピュータチェックの効果を高めるために査定事例等の共有化を図ったところでございます。
 また、3年度も新型コロナウイルス拡大による緊急事態宣言下でのレセプト点検員の出勤調整等により、内容点検に従事した延べ人数、延べ時間が例年に比べて大幅に減少いたしました。ちなみに、緊急事態宣言が出されていた期間といたしましては、2年度が128日間、3年度は138日間、まん延防止等重点措置期間を含みますと180日間でございまして、3年度は2年度以上にレセプト点検員の従事時間が減少したところでございますが、減少分をカバーするよう高点数レセプトや高額査定事例を中心とした点検を優先的に行ったところでございます。
 これらによりまして、社会保険診療報酬支払基金と合算したレセプト点検の査定率は、0.332%と前年度を0.014ポイント上回り、KPIを達成いたしました。また、協会の1件当たりの査定額は6,330円であり、対前年度プラス953円と大きく増加し、こちらもKPIを達成いたしました。
 資格点検につきましては、保険医療機関等へ受診時の保険証確認状況等を照会・確認して、喪失後受診に係るレセプトの返戻または受診者に協会が負担している医療費の返還請求を適切に行いまして、加入者一人当たりの資格点検効果額は1,314円となっております。
 23ページでございますが、外傷点検につきましては、被保険者に負傷した原因を照会・確認して、労働災害や第三者行為に係るレセプトの返戻、また、労災の場合は受診者に対する医療費の返還請求、第三者行為の場合は加害者、損害保険会社等に対する損害賠償請求を行いまして、加入者一人当たりの外傷点検効果額は291円となっております。
 自己評価といたしまして、レセプト点検員のスキルアップ等を図るとともに、効果的な内容点検を実施したことで、困難度が高い目標値に対しまして、査定率、査定額ともKPIを達成したことから、Aでございます。
 続いて、27ページを御覧ください。柔道整復施術療養費等の照会業務の強化につきましては、いわゆる多部位、頻回の施術の申請割合についてKPIを設定しております。3年度の実績ですが、3部位以上かつ月15日以上受診している申請を中心に加入者への文書照会を約37万件行ったところでして、文書照会を行う際には適正受診行動に関するリーフレットを同封し、加入者への適正受診行動の啓発等に努めております。3年度の柔道整復施術療養費の申請件数は1500万件と前年度に比べて85万件増加しましたが、施術箇所3部位以上、かつ月15日以上の施術の申請件数は17万件減少しまして、その割合は0.95%と前年度から0.17ポイント減少し、KPIを達成しております。
 このようにKPIを達成するとともに、文書照会や広報が適正受診につながっていることから、自己評価はBでございます。
 1枚おめくりいただいて、29ページを御覧ください。あんまマッサージ指圧・はりきゅう施術療養費に関しましては、平成31年1月に受領委任制度が導入されてから3年が経過したところですが、受領委任制度が導入された際に医師の同意について、それまでの口頭によるものに加えて文書による同意が必須とされたところでございまして、この同意書による医師の同意、再同意の確認を確実に実施しております。また、傷病名や施術内容など申請内容に疑義のあるものにつきましては、患者照会を行うなど厳格な審査を行っているところでございます。
 なお、地方厚生局との連携に関しましては、2年度は不正が疑われた案件1件について情報提供等を行い、当該案件につきましては、往療料が査定されたところでございます。
 以上より、自己評価はBでございます。
 続いて、返納金債権発生防止のための保険証回収強化、債権回収業務の推進について、31ページ、32ページを御覧ください。こちらにつきましては、保険証回収率、返納金債権の回収率に関しましてKPIを定めております。なお、保険証回収業務に関しましては、困難度が高く、その理由といたしまして、資格喪失時の保険証の返納については事業主が資格喪失届に添付して日本年金機構へ返納することが原則とされており、保険証の早期回収には日本年金機構と連携した取組の強化が不可欠でございます。
 また、社会保険関連手続の電子化が推進されており、保険証を添付できない電子申請による届出の場合の保険証の返納方法、郵送時期等について事業主の事務負担の軽減等を図る電子申請によるメリットを享受できるよう配慮する必要がございます。
 そのような中で、電子申請による届出の場合の保険証の協会への到着は資格喪失後1か月を超える傾向にあり、今後、電子申請による届出がさらに増加することが見込まれることから、資格喪失後1か月以内の回収率を前年度以上としたKPIの達成は困難度が高いところでございます。
 保険証回収強化の取組でございますが、事業主及び加入者の方々に対してホームページやメールマガジンをはじめ、様々な場で退職時の保険証の返却義務等についての周知を行っております。また、未返納の方に対して文書や電話による返納催告を行っております。加えて保険証の未返納が多い事業所には、保険証を早期に回収することの重要性等を御説明し、確実な保険証の返却を依頼したところでございます。
 実績といたしまして、資格喪失後1か月以内の保険証回収率は前年度から8.29ポイント低下し、84.11%でございまして、KPIは未達成となりました。なお、資格喪失届の電子申請による届出の増加やコロナ禍でテレワークを実施した事業者があったこと、協会においても通常、資格喪失後2週間以内を目途に行っている未返納者への催告がコロナ禍で遅くなった時期があったこと等が保険者の返納時期を遅らせたと考えられるところでございまして、1か月経過後に返納されたものが1割強あり、3年度末時点における3年度中に資格を喪失した方の保険証回収率は95.25%と最終的にはおおむね回収しております。
 33ページを御覧いただきまして、債権管理回収の取組でございますが、債権回収は債権発生から回収までの期間が長期化するほど回収率が低下する傾向があることから、アウトソースを活用いたしまして、返納案内通知や催告を早期に実施しております。また、納付拒否者等に対しましては、費用対効果も踏まえた上で支払督促や訴訟等の法的手続を実施しております。なお、保険者間調整、こちらは資格喪失後受診により協会で発生した返納金債権を御本人からの申出に基づき、本来の医療費の請求先となる国民健康保険等との間でいわゆる相殺を行うものですが、債務者の負担軽減にもつながることから、積極的に取り組んだこと等によりまして、保険者間調整による回収額は19億9000万円と前年度より1億9000万円増加いたしました。その結果、返納金債権回収率は55.48%と前年度を2.08ポイント上回り、KPIを達成いたしました。
 以上より、保険証の回収につきましては、コロナ禍の影響等もあり一部保険証の回収遅延によりKPIの達成には至らなかったところでございますが、最終的にはおおむね回収していること、返納金債権の回収につきましてはKPIを達成したことから、自己評価はBでございます。
 なお、昨年度の業績評価検討会で返納金債権の経年的な回収状況について御質問をいただいたところでございまして、33ページ、中段の表の一番下の行に参考値としてそれぞれの年度に発生した返納金債権の3年度末時点での回収率をお示しさせていただいております。2017年度発生分を見ていただきますと、資格喪失後受診による返納金債権36億5000万円について、2017年度中に57.6%を回収し、その後4年経過した3年度末時点で92.7%まで回収しております。未済となっている7.3%につきましては、分割等で納付いただいている方などがございまして、債務承認による時効の中断等を適切に行いながら、引き続き未返納分の回収に努めてまいります。
 続いて、35ページ、36ページを御覧ください。被扶養者資格の再確認の徹底につきましては、確認書の提出率についてKPIを定めております。被扶養者資格再確認につきましては、日本年金機構と連携して毎年度実施しているところでございまして、3年度は135万事業所へ被扶養者リストを送付し、5つ目の○でございますが、被扶養者資格確認リストが未送達となった4,600事業所につきまして、改めて送付先を確認した結果、3,600事業所への送達につながったところでございます。
 また、当初の回答期限までに提出がなかった26万事業者に対しましては、本部から文書による一次勧奨、支部から文書や電話等による二次勧奨を行いまして、このうち14万事業所からの提出につながったところでございます。結果は3年度末までに約123万事業所から提出を受けたところでございまして、回収率は昨年度と同率の91.3%でございます。
 3年度の扶養者資格の再確認により、6万8000人の資格の適正化が図られるとともに、被扶養者資格の削除に伴い、前期高齢者納付金の負担額が約9億円軽減されたところでございますが、KPIは未達成となったことから、自己評価はCといたしました。
 続きまして、39ページ、40ページを御覧ください。業務改革の推進を一言で申し上げますと、業務の生産性の向上を図るということでございますが、その達成・定着は困難度が高いものと考えております。その理由といたしまして、業務改革の推進につきましては、基盤的保険者機能を盤石なものとするための最重要項目の一つでございまして、生産性の向上を図るためには、職員一人一人のスキルの向上及び多能化はもとより、意識改革が重要な要素であるとともに、不可欠でございます。これまで以上にコストパフォーマンスやアウトプットを意識した業務の在り方について、全職員に浸透、定着させるためにはステップを踏みながら確実に進める必要があり、多くの時間を要することから困難度が高いところでございます。
 取組でございますが、業務の生産性向上の重要な要素は、業務処理の標準化・効率化・簡素化の推進、また、業務量の多寡や優先度に対応する柔軟かつ最適な事務処理体制の構築、管理者のマネジメント力の向上、職員のスキル向上・多能化・意識改革と考えておりまして、職員の多能化を主とした人材育成と柔軟な事務処理体制の構築、また、それらを統括する管理者のマネジメント能力の向上を図るため、本部による支部管理者へのコーチング等を実施しております。
 その成果といたしまして、40ページに記載しておりますとおり、1日の一人当たり平均審査件数がサービススタンダード関連申請書で16.3%、高額療養費で9.8%、療養費で8.3%、それぞれ増加しております。また、サービススタンダード関連申請書の支給決定件数が19万件増加した中で受付から支払いまでの平均所要日数は0.03日短縮し、業務部の平均超過勤務時間も0.8時間減少したところでございます。
 また、業務改革の定着度合いを確認するために実施している業務部の全職員を対象とした意識調査アンケートの結果も0.16ポイント上昇したところでございまして、これらが日々の業務のマネジメントの下で、先ほどのサービススタンダードの達成に結びついているところでございます。
 このように個人及び組織としての生産性の向上及び意識改革が着実に図られてきており、その効果が現有人員体制下でのサービススタンダードの維持や支払日数の短縮化等に表れていること、ひいては基盤的保険者機能の盤石化に結びついていることから、A評価でございます。
 なお、業務改革を推進するための取組の概要、使用しております各種推進ツールを41ページ、42ページにまとめております。これらの取組によりまして、業務の生産性を向上させることを通じて、協会全体といたしましては保険者の基本的な役割である基盤的保険者機能をさらに盤石なものとした上で、より発展的な機能である戦略的保険者機能を今まで以上に発揮することで本格的な保険者機能の強化に取り組んでいるところでございます。
 私からの説明は以上でございます。説明者を交代させていただきます。
○増井企画部長 企画部長の増井でございます。私からは、資料1の項番1と項番10について御説明させていただきます。
 まず5ページの項番1、健全な財政運営でございます。健全な財政運営については、自己評価Aとしております。
 これにつきましては、困難度は高としております。困難度の理由でございますが、協会けんぽの財政につきましては、医療費の伸びが賃金の伸びを上回るという財政の赤字構造が解消されていないことに加えて、高齢化の進展によって後期高齢者支援金の大幅な増加が見込まれており、そもそも安定的に財政運営をしていくことが困難であるということでございます。
 その上で、運営委員会等で十分な議論を重ねて、保険料を拠出いただいている加入者、事業主の理解や協力を得て、平均保険料率を決定していくことについては困難度が高いということでございます。
 自己評価の理由でございます。自己評価の理由の下から3行目のところでございますが、楽観視できない協会けんぽの財政を踏まえまして、中長期的な視点で保険料率を考えていくということについて、本部・支部の事務局から丁寧に説明を行っております。その結果、平均保険料率10%を維持したものであって、財政運営主体としての責任を明確に果たしているということでございます。
 その次の6ページにつきましては、厚生労働大臣等に対して、診療報酬を上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべきという要請書を提出しております。また、中医協、医療保険部会等でも積極的に協会の意見を発信しているところでございます。
 一番下の○でございますが、このようにコロナの影響で財政の見通しが不透明でございましたが、運営委員会等の場で十分に議論を尽くした上で、将来に向かって安定した財政運営を図る観点から保険料率を決定したということと、財政基盤強化のために意見発信を積極的に行ったということで、自己評価Aでございます。
 その次は37ページ、オンライン資格確認の円滑な実施でございまして、KPIにつきましては、加入者のマイナンバー収録率、協会においてマイナンバーが収録されている割合ですが、これを対前年度以上とするということでございます。
 自己評価については、Bでございます。
 数字としては、加入者のマイナンバー収録率が98.9%ということで、前年度を上回っております。
 具体的には2つ目の○ですが、事業主に関してマイナンバーが未収録になっている被扶養者と70歳以上被保険者のマイナンバーについて照会を行ったところでございます。
 これらの取組によって収録率が対前年度以上となり、自己評価はBでございます。
 以上になります。
○西村座長 ありがとうございました。
 では、今、お二人の部長から説明していただきました資料の内容について、御意見、御質問などがございましたら、お願いいたします。
 森下先生、お願いします。
○森下構成員 森下でございます。日頃、協会けんぽの皆様は日々努力をされていて、全体的に数値がよくなっているというのは、この数年見させていただいて理解をしているところでございます。
 私のほうから質問が1つ、2つありますが、1つは協会の財政運営についてでございますけれども、今年は収入が11兆1000億円くらい、支出が10兆8200億円くらいということで、黒字体質を維持ができているというような御報告が別紙でありますけれども、実際、先ほどから何回も御説明の中で出てきました、楽観視できない今後の運営というお言葉が2つほど出ています。具体的に言いますと、まず心配なのが、加入者の減少。事業所数は増えていても、加入者数が減っているという現状をどのように捉えられているか。また、これから数年後、2025年危機というようなお話がございますけれども、それに対応するために様々な努力を重ねているとは存じますが、事業主の立場としては、10%という平均保険料率は何とか維持をしていただきたい。場合によっては、地域によってはもうちょっとこの数値を少なくしてほしいという切実な願いがあるところでございますので、その辺について、今、努力を積み重ねていると思いますけれども、これ以上の努力、どのような方法で行っておられるのか、御説明をいただければと思います。
○西村座長 ありがとうございます。
 保険の財政運営について、今後の見通しなどについて御質問がありました。
○増井企画部長 ありがとうございます。先日運営委員会がございましたが、そこでいただいた御意見と全く同じ御意見をいただきました。協会の財政でございますが、こちらに書いておりますとおり、支出については、高齢化の進展によって後期高齢者支援金の大幅な増加が見込まれ、拠出する高齢者の医療費は今後急増することが見込まれるということです。収入面でも、先ほど御指摘がありましたとおり、人口構成の中の生産年齢人口が減ってきており、加入者数、被保険者数について、将来推計人口を下に推計すると減少していくことから、財政的にかなり厳しい状況であると見込んでおります。
 協会としてどのような対応を行っているかということでございますが、まず、保健事業を充実するということで、健診をより多くの方に受診していただき、また、自ら健康づくりをしていただく方を増やすことによって、将来的には医療費を適正化につなげていくための様々な取組をしております。
 引き続きこれらに取り組んでいき、できる限り長く平均保険料率10%を超えることのないよう努力してまいりたいと考えております。
○西村座長 ありがとうございました。難しいかじ取りになってくる状況にあると思います。
 森下先生、よろしいでしょうか。
○森下構成員 そうですね。協会が努力しているのはよく分かるので、私もこの何年か見させていただいて、この数値がよくなるべきものはよくなっているし、非常に今皆様の御努力でコラボヘルスに関するいろいろな取組も理解しているつもりです。ただ、やはり切実な問題として、保険料の値上げというものは数年後に予測されるような悪い予感がしているものですから、やはりこれをどうやって避けていくか、早急な今以上の対策が必要になっているのかなと思っています。
 理事長をはじめ様々な取組をされているとは思いますけれども、今後の協会けんぽの努力に今期待をしているところでございます。ひとまずはここまでで。
○西村座長 ありがとうございました。では、今の財政の問題、非常に難しい問題ですので、現在の取組以上のものが必要になってくるということで、よろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。
 平川先生、お願いします。
○平川構成員 最初に「➀健全な財政運営」のところです。この間、保険料率の決定に対していろいろ御努力されたということについて敬意を表させていただきたいと思います。
 都道府県単位の保険料率に関してですけれども、例えば2012年と2022年の都道府県ごとの保険料率の推移を見ると、拡大傾向にあることが明らかでした。支部ごとに保険料率を決定する仕組みには様々な議論があって、そういうふうになってきたわけでありますけれども、県ごとの保険料率の格差の拡大があまりにも大きくなり過ぎると、協会けんぽの保険料に対しての疑問や、信頼性というのが低くなりかねないと思っております。これは事業計画の中身の話に関わってしまいますけれども、その辺、今後どのようにしていこうとしているのか、例えば支部に対しての取組に対してアドバイスをさらに強化していくとかを含めて対応していく必要があるかと思うので、少し考え方があればお聞かせ願いたいということです。
 それから、17ページの「➃現金給付の適正化の推進」です。障害年金との併給調整は年金機構のデータとの突合を行っているということでございます。7万3000件ということでありますけれども、一方で労災保険の休業補償給付との調整についてでありますけれども、これが875件ということで、少しこの規模感がよく分からなくて、例えば労災保険の休業補償給付、それから障害年金の件数、これが極端に多いのか少ないのか、その規模感が分かれば教えていただきたいと思います。
 労災保険とのデータの突合は、そもそも労災保険、データそのものの内容が必ずしも全く同じような内容になっていないという課題もありますけれども、今後とも突合の調整がしやすいような実務的な仕組みというのは、引き続き厚労省に要請をしていくことが重要かと思っております。
 それから、33ページ、「債権管理回収業務の推進」です。単年度では債権回収率60%ではありますけれども、経年的には90%台をおそらく2018年以降も確保していくだろうと思います。そういう地道な努力が大変重要だとこの数字を見て思いましたが、やはり納付拒否者に対してどういう対応をしていくのか、「債権額に対する費用対効果も踏まえ」と書いてはありますけれども、場合によっては、費用対効果だけではなくて、牽制機能を強化するということからも、費用対効果を超えた対応というのも一部考える必要があるかなと思っております。
 取りあえず以上です。
○西村座長 ただいま3点御質問がございました。財政と併給調整、それから債権回収の件について回答をお願いいたします。
○増井企画部長 企画部長の増井でございます。先ほど平川構成員がおっしゃった点については、まさに協会としても同様の問題意識を持っているところでございます。都道府県単位保険料率については、令和4年度については最大と最小で1.49ポイントの差が生じているという状況で、増加傾向にあるということでございます。
 これを受けまして、協会では都道府県単位保険料率が高い水準で推移している3支部を対象として、本年度からではございますが、保険料率上昇の抑制が期待できる事業の実施に向けてプロジェクトを開始するということでございます。具体的に何をするかということでございますが、実際にデータを見て当該支部でどういう課題があるかということを抽出し、それに基づいて具体的な事業を企画し、その効果を測定し、事業改善に生かすという形で、何とか保険料率の上昇が抑制できるような事業を実施してまいりたいと考えております。
 データ分析や事業実施については、外部の有識者の先生方の御助言も得ながら実施していき、かついろいろな地方自治体等とも連携して行います。実際に得られた成果については、逐次全支部に横展開していくという取組を行うことを考えております。
 以上になります。
○西村座長 ありがとうございます。
○松下業務部長 業務部の松下でございます。障害年金と傷病手当金との併給調整について御質問いただいたところでございます。傷病手当金と厚生年金の障害年金等との併給調整でございますが、こちらにつきましては支給事由を同一とするもので、初診日から一定期間経過後に障害年金が支給されることになり、傷病手当金と支給期間が重複した場合であって、年金額のほうが傷病手当金の支給金額よりも低い場合にその差額をお支払いさせていただくという併給調整になっております。
 また、傷病手当金と労災保険の休業補償との併給調整につきましては、傷病手当金につきましては健康保険ということで職務外の事由による疾病等によりお支払いしているものでございますが、労災保険につきましては、職務上の事由によるものに対してお支払いするということで、傷病等の原因によって支給機関が違ってくる中で、労災保険の裁定等に時間を要するといったことがございまして、傷病手当金で一時的にお支払いした上で、それが労災ということになれば、返納金としてお返しいただくことになりますので、併給調整という形で同時に一部分をお支払いするということが基本的にないところでございまして、3年度は875件ということで、件数に大きな差が発生しているところでございます。
 ちなみに、2021年度の傷病手当金と労災給付との調整による返納金の発生件数といたしましては、6,808件、14億4000万円だったところでございます。
 続いて、債権回収について、費用対効果を超えてやるべきこともあるのではないかという御指摘でございますが、構成員の御指摘のとおりかと思います。特に悪質な納付拒否、悪質な不正請求といったものに対しては、費用対効果を超えても法的手続で支払督促または訴訟等で対応しなければいけない事案が出てくると考えております。
 なお、こちらの資格喪失後受診による債権につきましては、資格喪失した後に保険証を持っていって受診してしまったというものが大半でございまして、繰り返しになりますが、その中で特に悪質なもの等があれば、対応していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○西村座長 ありがとうございます。
 平川構成員、追加はございますか。
○平川構成員 ありがとうございます。最初の都道府県の保険料率の差ですけれども、グラフに落としてみたのですが、やはり分散の度合いがかなり高くなっているのと、東日本の一部では保険料率が下がっているところがある一方、西日本はどんどん高くなる傾向があるのかなと思いましたので、引き続き分析をしていただいて、効果ある対策が各支部で提案できるようにお願いできればなと思いました。ありがとうございます。
○西村座長 ありがとうございます。格差の問題はそれぞれの地域の要因、医療体制などの影響や受診の行動の違いもあるのかもしれないので、分析していただいた結果、ここでも御報告いただけたらと思います。
 ほかにございますでしょうか。ほかの先生はよろしいでしょうか。
 では、森下構成員、先にお願いいたします。
○森下構成員 今、平川構成員のお話の中にもありましたけれども、回収については対コストという問題があるかとは思います。ただ、全体的には少しずつ下がってきていると。ただ、これについては、実はマイナンバーカードの普及と同時に、やはり健康保健証をその中にインプットして対応するというのは、後からも出てくるかもしれませんが、やはりこれとあと事業主の回収責任といいますか、法律的には事業主が立て替えろということはちょっともう難しいかとは思いますが、やはり事業主の協力によってマイナンバーカードへの保険証の登録、これは早急に何らかの形でお願いをしていく必要があるのではないでしょうか。事業主もそういうものについては、特に中小零細の会社ではそういう対応がしやすいと思いますので、そういうお願いを積極的に協会けんぽの側から発信をしていくと。
 今、当社でもコラボヘルスに関する1年に1回の健康診断、これはほとんど社員に対して強制的にやるように事業主から言っておりますので、うちの場合では全員が受診をしております。その結果、やはり何%かはそういう意味で実際に再検診とか注意対象になっている人が出てきます。そういう意味でも、後ほどお話が出るかと思いますけれども、事業主の協力、ここをもう少し強力に進めていくような施策を出すことが必要かなと思います。
 それと、電子レセプト、電子カルテの推進というのも今大分進んでいるようでございますけれども、ここについてはやはり一定の、今、免除機関というか免除医療機関というのがあるようですけれども、これも国の施策の中で何とか義務化できるような方向を取っていただくといろいろな面で協会けんぽとしての節約の要素になるかと思いますので、その辺もぜひ要望として協会けんぽ側から各医療審議会とか厚生労働省への要望として出していただければと思います。ありがとうございます。
○西村座長 ありがとうございました。
 ほかに先生方、御質問ありますか。古井先生、お願いします。
○古井構成員 ありがとうございます。御丁寧に御説明いただきました。
 私から4点ほどコメントいたします。説明いただいた順番で、まず全体として困難度を示していただいていますので、協会けんぽとして構造的に難しいとか業務が難しい要素や、どの辺が難しい事業なのかなということはよく分かりました。また、困難度が高いものは比較的評価Aが多かったかなという印象を受けまして、これは重要で困難だからすごく力を入れて成果が上がっているのか、その辺はどういう構造なのかをまたコメントいただければと思っています。
 2点目は評価の在り方に関わるのですが、今後中期的に見直していく点があるのではないかと思いました。例えば水準がかなり高いレベルを達成し、たとえばサービススタンダードはかなり上のほうに安定している中で、まだタイトルとしては向上となっていて、どこまでこれを突き詰めて上げていくのかとか、レセプト点検のところも御説明があったように、KPIでは確かに前年度以上とはありますが、支払基金の環境も変わってきていて、こういった目標値やKPIの設定自体が合わないところも出ているのではないかと感じました。
 3つ目は、39ページ目の業務改革のところなのですが、タイトルの下に標準化とか生産性というのがあります。40ページ目に取組の結果として定量的に表せるものが工夫して挙げられていて、1日当たりの審査件数とかですね。この項目自体が業務改革の達成度を測っているかということを今後も検証していただきたいと思います。これが一番フィットする定量的な指標なのか、あるいはほかの指標がより支部の皆さんの頑張りを評価できるのかという視点での確認です。
 最後が5ページ目に戻りますが、財政運営のところです。これは本当にほかの先生からも御指摘いただいたようにすごく大事なところだと思っていまして、一番上の欄の中に議論を行うとか情報発信、意見発信というのがあるのですが、もう既に協会けんぽさん、例えば資源の最適化ということに向けて協会の中の資源、人員の最適配置ですとか、後で出てくると思いますが、戦略的な保険者機能ということで医療資源をむしろ最適配分、最適化していくみたいな、財政運営という非常に重要な重いテーマの中で議論とか情報発信以外の本質のもう既にやられていることがここに書かれると、よりいいのではないかなと感じたところです。
 以上でございます。
○西村座長 ありがとうございました。
 では、4点いただきましたけれども、質問の部分について最初の3点ですね。最後は御意見でしたので、御質問の部分について御説明をお願いしたいと思います。
○松下業務部長 業務部の松下でございます。ありがとうございます。
 まず、困難度の高いものについて自己評価Aが多いのではないか、といったところがございましたけれども、構成員の御指摘のとおり、困難度が高いから頑張っているというところはあると考えております。
 また、困難度の設定が昨年度から始まっておりますけれども、困難度が高くて目標水準を満たしている場合にはA評価にするという基準が設けられておりまして、困難度を設定していないものについては水準を満たしてもB評価が基準となります。困難度を設定していないものをA評価とする場合の基準が、目標水準を大幅に超えた場合とされていることとの関連もございまして、我々としても困難度の高いものについて水準を超えて頑張っているというところでA評価とさせていただいております。
 続いて、サービススタンダードやレセプト点検などの目標が高水準に達しているものについて、サービススタンダードにつきましては御説明の中でも触れておりますけれども、正確、迅速な現金給付の支払いが保険者の責務でございまして、100%というKPIを設定しているところで、これを維持していくことは、基盤的保険者機能の盤石化の一つだと考えているところでございます。
 これ以上に設定の指標値がないという中で、いかに維持していくかというところで今後も努めていきたいと考えております。
 なお、レセプト点検のKPIが高水準になっているというところにつきましては、構成員の御指摘のとおりでございまして、特に電子レセプトの普及等により、査定する必要のない適正なレセプトが多くなっている中で、医療費総額を分母としてKPIを定めているといったところは、今後検討していかなければいけないと考えています。支払基金のほうでAIを活用した審査支払新システムが導入されまして、職員等が重点的に審査するもの、また、コンピュータチェックで完結するものといった分類を行っていく、そこが一次審査としてある中で、再審査である協会のレセプト点検業務をどのようにしていくかといった検討の中でKPIの定め方等についても検討していきたいと考えているところでございます。
 最後に、業務改革の推進のところで一人当たりの処理件数がこれに合っているのかといった御指摘があったかと思いますけれども、これにつきましても構成員がおっしゃるとおりかと思います。特に業務改革の推進につきましては、基盤的保険者機能を盤石化するための基盤づくりと申しますか、業務部門での体制づくり、人材育成の土台となるところでございまして、これらの体制が整った上で各施策をいかに推進させていくかといったものがございますので、いわゆる業務部の総合評価といった位置づけであると考えています。その中で、どういったものを成果として評価していくのかといったところにつきましては、引き続き検討していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○西村座長 ありがとうございました。
 それでは、尾関先生が挙手されていました。お願いいたします。
○尾関構成員 尾関でございます。御説明ありがとうございました。
 なかなかコロナ禍の中、あるいはいろいろ環境が厳しい中、皆さんが鋭意業務改善の努力をされまして、その結果、総じて令和3年度の業務内容については所期の目的を達成されているという印象を持っております。まずそれをお伝えいたします。
 その上で何点かお聞きしたいのですけれども、まず1点目、組織の永続的な発展のためには、やはりトップのマネジメント能力も必要ですし、あと若手の独創的なアイデアも必要なのですけれども、一番重要なのは管理職の方の意識改革だろうと思っております。それが支部によって違ってきますと、組織として同じベクトルに向かっていかないということがありますので、各支部間のマネジメントの意識、管理者の意識改革を行っていく必要がありますというところで、業務改革の推進のところでコーチングプログラムというのが41ページにございます。これに関しては昨年もちょっとお聞きしたことがありまして、お答えいただいた内容は、コーチングの指導者を4名置いておられて、それを伝道師という呼び方をして、支部に直接訪問して、支部の業務改革の改善を図っているということを去年お聞きしておったのですけれども、それが今回は7支部ということで、昨年の3支部と合わせて計10支部という進捗状況なのですね。
 コーチングは重要視されていると思うのですけれども、コロナ禍ということもあって、なかなかスピード感を持って進められていないような印象を持っておりますので、この辺をもう少しスピード感を持った形で進めていただいて、管理職の方の意識改革ですとか、あるいは支部間の均衡化、業務の統一化等を、本部から出向いて指導していただくということをもう少しスピード感を持ってやっていただいたほうがいいという感想を持ちました。まず第1点目です。
 第2点目は、先ほど古川構成員からもお話がございましたけれども、債権回収に関しまして、33ページに経年の数字の変化、回収率の変化を入れていただきまして、4、5年たてば9割ぐらい回収できているということはこれでよく分かりました。ただ、債権の発生件数が年々増えていくような傾向にありますので、これを何年もかけて回収しますとやはり費用対効果という面ではコストがかかります。そういう意味では、やはり発生した年度内になるべく回収率を高める。この5年間ですと50%台の年度内回収率なのですけれども、これを少し高めていただくことが必要なのではないかなと思っておりまして、鉄は熱いうちに打てではないですけれども、その辺の早期回収を行っていただいて、なるべく9割に達するのを5年ではなくて4年、3年という形で回収期間を早めていただくということが費用対効果の観点から必要かなという気がしております。
 3点目は、被扶養者資格の再確認の徹底ということで、35ページ、36ページ辺りですけれども、被扶養者の調査に関しまして、134万6000事業所に確認リストを送付したということで、毎年130万ぐらい送られているのですけれども、これを発送されている基準があるのかどうかというところと、35ページの下にありますように、7万3000人ぐらいの資格を削除したということなのですけれども、これによって前期高齢者納付金負担額が約9億円減ったと書いていただいているのですが、9億円を試算された根拠はどういったものなのか、その辺を教えていただけますでしょうか。
 以上3点になります。よろしくお願いいたします。
○西村座長 ただいまの3点について御説明をお願いします。
○松下業務部長 業務部の松下でございます。まず、業務改革推進のコーチングプログラムについてでございますけれども、コーチングにつきましては3か月間に8回程度のコーチングを基本的なプログラムとして、必要に応じて延長等を行いながら管理者のマネジメント能力の向上等を中心に支部との連携を図っているところでございまして、その中で今まで業務部長または企画総務部長等、そういったマネジメント部門を経験した方々に伝道師としてコーチングのプログラム等を担っていただいているところでございます。
 当然、我々本部の職員も同行した上でプログラムを実施しているところでございまして、3年度、7支部というのが少ないのではないかといったようなところでございますが、そこにつきましては、各支部の状況や必要性等も含めまして、今後もできる限り支部との連携という趣旨で実施していければと考えているところでございます。
 続いて、33ページの債権回収の早期化といったところでございますが、ここにつきましては御指摘のとおりでございまして、我々といたしましても、債権回収というのは早期に回収していくべきものとした考えで取り組んでいるところでございます。ただ、返納金が発生したときに一時的に納付が困難な方等につきまして、そういった方も多々いらっしゃる中で、分割等も承認しながら、確実に返納いただくといったところで取り組んでいるところでございます。
 また、年度内での回収率、2021年度でしたら55.48%となっておりますが、これは3月31日時点での収納率ということになりますので、2月、3月に発生したものについては返納期間が1か月または2か月に満たないといったところで、過年度ということでの収納となっているところも多いところでございます。構成員御指摘の早期回収、また債権を発生させないといった意味での保険証の回収業務に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 また、被扶養者の再確認でございますが、発送の基準としては18歳以上の被扶養者について収入の確認等をさせていただくのが基本的な基準でございまして、そういった扶養者を有する被保険者がお勤めの事業所に対してお送りさせていただいているところでございます。
 また、9億円の削減に関して、前期高齢者の拠出金につきましては、加入者の中での前期高齢者の割合で全保険者での配分が決まってくるところでございまして、被扶養者の再確認で協会の分母の部分、加入者数等が削減されたことで拠出金の金額が削減されたところでございます。ただ、この7万3000件につきましては、多くはお子様たちが就職されて、被保険者としての保険証を持っているけれども、手続されていなかったものが、被扶養者の再確認で手続が行われたところでございまして、そういった意味での資格の適正化ということで、不正な喪失後受診等にはほとんどつながっていないところでございます。
 以上でございます。
○西村座長 ありがとうございました。
○𠮷森理事 業務担当理事の𠮷森でございます。先ほど尾関先生のほうから御質問があった業務改革の推進の中で、管理者のマネジメントの伝道師を使ったコーチングについて、スピード感がやや欠けるのではないかというお話と、本部・支部の連携で本部の在り方がどうだということについて若干補足させていただければと思います。41ページをお開きいただきまして、(1)の中に本部・支部連携(管理者のマネジメント能力の向上)があります。今、我々業務部門がやっておりますコーチングプログラムの中で一番上に書いておりますのは先ほど話があったコーチングですけれども、2番目の週次ヒアリング、3番目の個別会議、規模別状況、これは全て山崩しと我々は呼称していますけれども、柔軟な事務処理体制、管理者のマネジメント、こういうものを推進して、本部の在り方、支部の在り方についてのプログラムでございまして、2番目のところについては、先ほど古井先生からも御指摘がありましたけれども、定量的に我々が推進している改革プロジェクトがどうであるかというのを週次でモニタリングしております。その中で管理部門の在り方についての検討を定例的に行っているというのが2番目でございます。
 3番目は、コーチングの実施にも優先順位があります。週次のヒアリングの中で、もう少し管理者がマネジメントについて意見交換をしたほうがいい、アドバイスをしたほうがいいという会議を昨年度20支部実施しており、全体の半分の27支部はそういう対象でお話をしております。
 もう一つは、それぞれの支部の規模の大きさに応じてそれぞれ課題があります。マネジメントについて、やはり大規模は大規模のマネジメントの在り方、小規模のマネジメントの在り方、そういうものについてお互いに意見交換して、好事例的な在り方を横展開で共有するための会議を半期に1回、昨年度は9月と3月に実施しており、こういうことでフォローしているということで御理解賜れればと思います。
 以上です。
○西村座長 ありがとうございました。コーチングプログラムを通じて本部と支部の連携がかなり図られるというようなことは期待できているのかと思います。
 尾関先生、よろしいでしょうか。
○尾関構成員 了解しました。いろいろとコーチングプログラム以外にも施策をやっていらっしゃるということは今お聞きして分かりました。
 あと、被扶養者の件も、資格喪失者が自己の保険に加入しているということで、ここからの返納金債権の発生額はそんなに多くはないということも理解しましたので、ありがとうございました。
○西村座長 ありがとうございました。
 では、今までのところにつきましては質疑を終えたいと思います。
 続きまして、「健康保険の戦略的保険者機能関係」について御説明をお願いいたします。
○安田保健部長 保健部の安田でございます。私から戦略的保険者機能関係の保健部門について御説明をさせていただきたいと思います。
 めくっていただきまして1ページでございます。戦略的保険者機能関係につきましては、このように分かれております。私から説明させていただくのは1の項目でございます。2以降は企画部長のほうから説明をさせていただきたいと思います。
 では、早速説明をさせていただきます。2ページでございます。第2期保健事業実施計画の着実な実施でございます。事業計画には特定健診・保健指導の推進、コラボヘルスの取組、重症化予防の対策を基本的な実施事項とする第2期保健事業実施計画、いわゆるデータヘルス計画に基づく取組を着実かつ効率的・効果的に実施すると定めております。
 もう一つ、その下でございますが、この計画につきましては、分析ツールを用いて着実にPDCAサイクルを効果的・効率的に回して取組の実効性を高めております。
 これにつきましては、自己評価をBとさせていただいておりますが、その理由でございます。1つ目でございますが、第2期保健事業実施計画、いわゆるデータヘルス計画というものは、平成30年度から令和5年度までの6年計画でございます。これの取組を着実に実施いたしました。
 2行目でございますけれども、ちょうど3年度というのが中間評価を実施する年度でございまして、こちらにつきましても、中間評価による改善が不十分と思われる支部と意見交換をしております。
 その下でございますけれども、成功要因及び阻害要因を振り返り、PDCAサイクルを回すというデータ分析に基づいた取組を各支部において行っております。
 2つ目でございますけれども、データの提供、分析ツールでございます。このようなデータをこちらのほうから提供させていただいて、一番下のところでございますけれども、支部の各種保健事業の計画策定や実施結果の検証にも活用したということでございます。このデータにつきましては、医療費のデータあるいは健診結果のデータ、問診結果のデータなど、各支部との比較または業態の中の評価ができるようなものでございます。
 3番目でございますけれども、これに加えて、昨年度より本部から四半期ごとの健診・保健指導の実績に関する資料を改めて各支部に提供しております。もう一つは、事業所規模別、業態別の実績を分析した資料をお渡ししております。
 次のページでございますけれども、このように各種の分析ツールを用いてPDCAサイクルを回した、あるいは第2期保健事業実施計画の取組を着実に実施したということで、自己評価はBとさせていただいております。
 次の項目でございます。5ページ、6ページになります。特定健診実施率・事業者健診データ取得率の向上でございます。こちらにつきましてはKPIが設定されております。
 6ページでございます。KPI、生活習慣病予防健診の実施率58.5%、事業者健診データ取得率8.5%、被扶養者の特定健診実施率31.3%。1の生活習慣病予防健診については協会が被保険者向けとして独自に行う健診でございます。2の事業者健診は労働安全衛生法に基づく健診データを私どもにいただいて、それを保健事業等に生かすということでございますが、これに対するKPI達成状況は下でございます。生活習慣が53.6%、事業者健診が8.5%、被扶養者が26.2%。事業者健診は目標値を達成しましたが、あとのものは目標値を達成していないという形になります。
 2つ目でございます。加入者全体で見させていただきますと、59.1%以上を目標値としておりますけれども、実績は54.8%、対計画値は92.7%で目標は達成いたしませんでした。しかしながら、ここにつきましては、次の項目でございますけれども、日本年金機構の適用拡大等による加入者数の増加等によって、対象者数が第三期特定健康診査等実施計画の当初見込みから11.9%ポイント増加し、目標の達成は困難であるということで、これを困難度としております。
 なお、特定健診・事業者健診データの取組につきましては、下のポツにございますように、生活習慣病であれば文書を送るだけではなくて、訪問や電話を行います。あるいは新規適用事業所、新規加入者については随時案内を行います。環境整備のために健診機関の拡充を行います。事業主健診データにつきましては、労働局との連名等によって効果を高めるというような取組をしておりまして、自己評価はBとさせていただいております。
 次は特定保健指導の実施率及び質の向上でございます。こちらにつきましてもKPIが設定されております。こちらについては自己評価をCとさせていただきました。KPIは被保険者につきましては25%、被扶養者につきましては8.0%と設定いたしました。これにつきましては、次のところにございますとおり、それぞれ目標値が被保険者につきましては72.8%の達成率であり、被扶養者につきましては160%の達成率ということで、被扶養者については目標を達成いたしました。
 最終的にこの2つを合わせた実施率でございますが、次の下のところでございます。トータルとして24.1%で目標値達成となりますが、実績は18%であり、対計画値としては74.7%で目標は達成できませんでした。しかしながら、その下のところでございますけれども、こちらも先ほどの健診と同様の理由になりますが、日本年金機構の適用拡大等による加入者数の増加等によって対象者が第三期特定健康診査等実施計画の当初見込みから4.4%増加する中での目標達成は困難であったということで、自己評価はBとさせていただいております。
 なお、特定保健指導につきましては、下のところに書いてございますとおり、中段のところにありますけれども、これには一つの大きな有力なツールとして外部委託がございます。外部委託をさらに推進する。もう一つは、コロナ禍を機会に広がったということもございますけれども、情報通信技術、ICTを使った遠隔面談の実施等、特定保健指導の質を拡充しております。
 その下でございますけれども、特に特定保健指導について、時間や場所に制約の多い業態であります運送業、職業紹介あるいは労働派遣のところにつきましては、業界団体のほうに依頼をしております。このようなことを取組として行っております。
 次に24ページ、重症化予防対策の推進でございます。こちらのほうもKPIの設定をしております。受診勧奨後3か月以内に医療機関を受診した者の割合を11.8%としております。こちらにつきましては、自己評価の下のところの1つ目の○のKPI及び実績値及び達成状況でございますけれども、11.8%以上としたことに対し、受診勧奨後3か月以内に医療機関を受診した者の割合は10.5%であり、対計画値としては89.0%で、目標値に対して達成いたしませんでした。こちらについては困難度がございませんので、達成状況は判定基準に照らし合わせて自己評価もCとさせていただいております。
 なお、1点だけでございますけれども、協会といたしましては、一次勧奨を本部から行い、支部からは二次勧奨を行っております。
 もう一つでございます。31ページ、32ページ、コラボヘルスの推進でございます。こちらのほうにつきましてもKPIの設定をしております。
 自己評価Aのところを見ていただけますでしょうか。KPIにつきましては、健康宣言事業所数を5万7000事業所以上とするというところでございます。実績値及び達成状況につきましては6万8992事業所、対計画値が121%となっております。達成状況を判定基準に照らし合わせて自己評価はAとさせていただいております。
 現在、コラボヘルスでは次のような取組を1点だけ御紹介させていただきたいと思います。健康宣言からフォローアップまでプロセス及びコンテンツの観点から、宣言項目として必ず盛り込む内容について、全支部の健康宣言に共通する取組を取りまとめた基本モデルというものを令和3年1月に作成いたしまして、これを健康宣言における健康づくりの取組の質の向上として図ることといたして、現在進行中でございます。
 保健部の説明は以上でございます。
○増井企画部長 企画部長の増井です。私からは、37ページの2から御説明させていただきます。
 2、広報活動と健康保険委員を通じた加入者等の理解促進でございます。事業計画上のKPIでございますが、全被保険者数に占める健康保険委員が委嘱されている事業所の被保険者数の割合を46%以上とする。健康保険委員につきましては、協会と事業所の橋渡し的な役割を担っていただいておりますが、その委嘱されている事業所数の割合ということでございます。
 これにつきましては、自己評価はBということでございます。
 その理由は2つ目の○でございますが、広報活動として全国統一的な広報資材としてパンフレットを作成して、ホームページ掲載、健康保険委員への配布を行っております。次のページが実際のパンフレットの例で、「協会けんぽの概要」と「健康保険制度の申請書の書き方」の二種類をお示ししております。
 37ページの自己評価の理由の3つ目の○ですが、健康保険委員の委嘱拡大については、電話や文書による依頼によって委嘱を推進したということでございます。この結果、カバーされる人数は、前年度末より3万5000人増加したということで、カバー率は47.63%となりKPIを達成したということでございます。以上、全国統一的な広報資材としてパンフレットを作成したこと、支部から健康保険委員を中心に幅広く情報発信を行って、大中規模事業所で重点的に健康保険委員の拡充を図り、KPIを達成したということで、自己評価をBとしております。
 その次は43ページ、ジェネリック医薬品の使用促進でございます。こちらのKPIにつきましては、ジェネリック医薬品使用割合80%という目標に向けて年度末の目標値を支部ごとに設定する。ただし、ジェネリック医薬品使用割合が80%以上の支部については年度末時点で対前年度以上ということでございます。
 これにつきましては、自己評価はBでございます。
 こちらの困難度は高をつけさせていただいております。44ページの困難度の理由でございますが、新型コロナウイルス感染症でジェネリック医薬品の使用促進のための医療機関及び薬局への訪問説明が困難な状況が続いたということでございます。
 もう一つ大きな要因としてございましたのが、ジェネリック医薬品の安全性に関する重大事案、不祥事が立て続けに発生したということでございます。これで安全性に対する不信感が高まり、また、一部の医薬品の供給不足が常態化しております。このように、コロナ禍や医薬品業界の不祥事など、協会の努力だけでは対応できない事柄の影響を受けることになったことで、困難度が高いということでございます。
 45ページが自己評価の理由でございます。全体として2022年3月時点の協会全体でのジェネリック医薬品使用割合は80.4%でございます。
 3つ目の○ですが、ジェネリック医薬品の安全性に関する重大事案が立て続けに発生しました。また、不信感も高まって供給不安が常態化したということでございまして、非常に環境が厳しく、支部間でかなり成績に差が出たという状況でございます。
 協会からは、理事長から日本ジェネリック製薬協会に対して安全性と安定供給を確保してほしいということを要請したということでございます。
 なお、加入者への働きかけとして、先発医薬品をジェネリックに切り替えた場合にどれだけ負担が軽くなるかということをお示しするような軽減額通知というものを通知しておりまして、その効果も上がっているということでございます。
 最後の○ですが、以上よりジェネリック医薬品を取り巻く環境が非常に厳しい中、協会としてできる限りの使用促進の取組を行って、協会全体での使用割合が8割を超えたということでございまして、自己評価はBでございます。
次は52ページのインセンティブ制度の着実な実施でございます。インセンティブ制度につきまして、事業計画は、成長戦略フォローアップを踏まえて成果指標拡大や配分基準のメリハリ強化等を検討して、令和3年度中に一定の結論を得るということと、周知広報を行うこととなっております。
 これにつきましては、自己評価Aでございます。
 困難度を高とさせていただいておりますが、その理由でございます。1つ目の○ですが、成長戦略フォローアップに基づく検討事項として、協会において2021年度中に支部や運営委員会等の意見を取りまとめ、制度見直しを行う必要があったところでございます。
 2つ目の○ですが、インセンティブ制度の見直しについては、都道府県単位保険料率に直接影響するということでございます。このため、支部間の合意を得ることがそもそも困難な事項でございます。そこで、協会内でインセンティブ制度見直しに関する検討会を開催して、代表6支部と本部との間で丁寧に議論を重ねて、最終的には全支部に意見を聞いて、その上で合意形成を図っていったということでございます。
 そして、その合意した内容につきましても、厚生労働省の保険者による健診・保健指導等に関する検討会に諮って、異議なく了承されたところでございます。このように合意形成困難なものであったので、困難度は高で整理しております。
 次は53ページでございます。先ほど申し上げましたとおり、本部と代表6支部で検討会を開催して意見を取りまとめていったということでございます。
 下から2つ目の○でございますが、インセンティブ制度の仕組みについても本部、支部において幅広く周知広報を行ったところでございます。
 最後の○ですが、まず、成長戦略フォローアップに基づくインセンティブ制度の見直しについて検討会を開催して、困難な支部間の合意形成を図りました。そして、3回にわたって運営委員会に説明して期限内に成案を取りまとめました。この結果については厚労省の検討会に報告して、異議なく了承されました。さらに、制度の実効性を高めるため、加入者や事業主に対する周知広報を積極的に実施したということで、自己評価Aということでございます。
 その次が60ページのパイロット事業についてでございます。パイロット事業は自己評価Bでございます。自己評価の理由を御覧いただきますと、1つ目の○ですが、富山支部の実施したパイロット事業につきまして全国展開を行ったということでございます。また、京都支部で実施した取組については継続して検証するということで整理したところでございます。
 3つ目の○ですが、令和5年度からのパイロット事業について、本部においてテーマを設定する本部主導型の仕組みへと見直して、採用の段階から事業実施、実施後の効果検証まで本部が支部をサポートする仕組みとして見直したということでございます。
 その理由でございますが、なかなかパイロット事業として支部から全国展開するような取組がなくなってきたということで、本部が積極的に関与してテーマを設定して、本部・支部一体となってパイロット事業を実施するという仕組みに改めることとしたものでございます。
 最後の○ですけれども、以上より、2020年度のパイロット事業1事業を全国展開し、1事業については継続検証とし、また、次年度以降のパイロット事業の新たな枠組みを構築したということで、自己評価はBとしております。
その次が63ページでございます。地域の医療提供体制等への働きかけや医療保険制度に係る意見発信でございます。こちらの事業計画の中のKPIにつきましては、効率的・効果的な医療提供体制の構築に向けて地域医療構想調整会議や医療審議会等の場において医療データを活用した効果的な意見発信を全支部で実施するということでございます。
 64ページになりますが、自己評価はBとしております。
 困難度は高をつけております。その困難度の理由でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、そもそも調整会議の開催回数が減少しているということでございます。また、開催された場合でも議題がコロナウイルス感染症に関する事項が多かったということで、データに基づく意見発信を行う機会自体が減少しているということでございます。このことから、困難度は高と整理しております。
 意見発信等についてですが、自己評価の理由のⅰ)からありますとおり、医療計画及び医療費適正化計画に関する意見発信については本部で主に行っております。ⅱ)の医療提供体制に係る意見発信については支部が行っております。ⅲ)の医療保険制度の持続可能性の確保等に向けた意見発信については本部が行うこととしております。
 具体的にどういう発言をしておるかということですが、69ページが本部において発言した内容で、中医協あるいは医療保険部会、介護保険部会、第8次医療計画等に関する検討会等で、医療提供体制についてどうすべきかという協会の立場について、積極的に発言しているということでございます。
 その次の71ページが、地域の医療提供体制や地域医療構想について、各支部においてデータに基づいて発信している例でございます。
 65ページにお戻りいただきまして、一番下の○ですが、以上より、第1に、コロナの影響で各構想区域の調整会議の開催回数が減少して、地域医療構想の議論を行う機会が少なくなった中でデータ発信に基づく意見発信を27支部が行っております。第2に、第8次医療計画等に関する検討会等において、かかりつけ医、あるいは地域医療構想について積極的に発言を行いました。第3に、医療保険制度自体の見直しに関する意見発信も行っているということでございます。これらから、自己評価についてはBということでございます。
 最後に、79ページの調査研究についてでございます。調査研究の推進ということで、事業計画においては、ⅰ)本部、支部による医療費分析、ⅱ)外部有識者を活用した調査研究の実施、ⅲ)調査研究の推進並びに研究成果の社会的還元に向けた各種施策の検討及び実施としております。
 これについては自己評価Aとしております。
 80ページにおいて、困難度高としております。その理由としては、4つ目の○ですが、外部有識者を活用した調査研究については、医師の先生を中心として応募をいただくということでございます。そのような応募をされた研究提案を評価して、適切に採択していくということは様々な知見が必要です。さらに、研究を開始した各研究班の進捗状況を管理していくことは高度な医学的知識を要する困難な業務です。また、コロナが2021年春に急激に拡大したということがあって、直前でそういうことがあったのでフォーラムについて開催することが難しかったということです。このため、困難度高という整理をしております。
 自己評価の理由でございます。本部・支部による医療費分析の2つ目の○、支部における医療費分析でございますが、加入者の居住地や業態等の協会保有データの特徴を生かしたレセプトデータや健診データの分析を行っているということでございます。
 その次の81ページのところが外部有識者を活用した調査研究でございますが、これにつきましては第2期の募集を行ったということでございます。第2期の募集については、外部評価者の研究提案内容の事前評価をしていただいて、その評価結果を踏まえて協会の役職員による審議を行って、5件の採択を決定したということでございます。
 第1期目として、2020年度に採択した4件につきましても、きちんと中間報告を受けたということでございまして、これにつきましては2022年6月に開催した調査研究フォーラムで発表を行っていただいたものでございます。フォーラムでは参加者の先生方からは非常に高い評価を受けたということでございました。中間報告の内容、先生方の研究の内容につきましては88ページ以下に載っておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 その下の○ですけれども、医療費適正化計画を都道府県で立てるということで、それに対して策定プロセスの段階から関与していくためには保険者協議会等との連携が重要となります。このことから、新たに保険者協議会や都道府県、市町村等と連携した協働分析、協働事業を推進していく取組を進めるということにいたしました。
 また、ⅲ)の2つ目の○でございますが、統計分析業務を担う人材を育成するために、スタッフ及び主任の階層別研修において新たに統計分析研修を開始することとしたということでございます。
 最後の○ですが、1として、本部・支部において分析を行ったということ、2として、外部有識者を活用した委託研究で、様々な分野からの提案を受けた中で外部有識者による評価を踏まえ、5件を採択したということでございます。3として、新たに保険者協議会等と連携した共同分析、共同研究の取組を進めるようにしました。4としては、新たな統計分析研修を2022年度から開始することとしたということでございます。以上から、自己評価はAということでございます。
 私からの説明については以上となります。
○西村座長 ありがとうございました。
 御説明をしていただいたところですが、どういたしましょうか。予定の時間がほぼ12時近くなってまいりました。これから質疑はどういたしますか。
 では、少しだけ質疑をしまして、残りは後でメールでお出しいただくような形にしたいと思います。では、御質問、御意見がおありの方は挙手をお願いいたします。
 平川先生、お願いいたします。
○平川構成員 すみません。これは今日発言しなければ、後でメールで質問するという形ですか。
○西村座長 はい。後ほど御説明しようと思いますけれども、時間が押してしまいましたので、そうしたいと思います。
○平川構成員 ちょっと説明が長いので、今度からもう少し簡潔に説明していただきたいというのが1つあります。
 それと、インセンティブのところですけれども、私は運営委員会の委員のときからずっと疑問に思っておりました。この制度で保険料率が10%を超えます。これは法律的に大丈夫なのかというのがあります。
 あともう一つ、制度を導入するときに薄く広く導入するとのことでしたが、今回は逆にメリハリを強化するという形になっています。これは、これまでのインセンティブ制度の導入によってどういう課題があったからメリハリを強化したのかというのを教えていただきたいと思います。
 簡単ですが、以上です。
○西村座長 では、今のインセンティブのところですね。ご回答をお願いします。
○中島理事 企画担当理事の中島でございます。
 平川構成員からはいつも御指摘をいただいている話でございます。そもそもこのインセンティブ制度は、基本的には健康保険組合と共済組合を対象に、後期高齢者支援金を算定するに当たって各保険者がどれだけ健診・保健指導等の保健事業を頑張っているのかということを見て、後期高齢者支援金に加減算を設けようという仕組みです。いろいろな議論も踏まえて、協会けんぽでも同様の仕組みが導入できないか、ということで、協会けんぽにとっては、ある意味、宿題を課されたような制度と言えます。
 そして、制度の導入については、協会けんぽの本部を中心に支部と相談をしながら検討を進めました。その仕組みは、各支部の保険料率から0.01%を薄く剝いで、保健事業をより頑張っている支部に付け直すというものとなっています。保健事業にあまり成果を上げられなかった支部は、0.01%の拠出金が返ってこないという仕組みになっています。
 このインセンティブ制度については、協会けんぽという一つの保険者の中でこのような形で取り組むのがいいのかどうか、というご指摘はかねてよりございますが、52ページにあるように閣議決定された成長戦略フォローアップの中で、成果指標の拡大を行い、配分基準のメリハリを強化していくと決まったもので、これは極めて困難度が高い業務です。
 そういう中で、何とか合意を見いだして、成果指標の拡大という点では、なかなか進捗が芳しくない保健指導について、支部の努力をより評価していくよう見直しました。メリハリ強化という点では、0.01%を拡大することはなかなか支部の理解は得られないので、配分に当たっては、これまで薄く剝いだ分を半分の支部に戻していましたが、3分の1の支部にだけ戻すよう見直し、その点において配分のメリハリをつけることにより、どうにか合意に至ったということでございます。協会けんぽとしては、最大限閣議決定の宿題を果たさせていただいたというところでございます。
 以上です。
○西村座長 御説明ありがとうございました。いろいろ工夫されて合意に至ったというところ、よく分かりました。
 平川先生、よろしいでしょうか。
○平川構成員 協会けんぽの努力はよく分かりました。今日はもうこれ以上言いませんけれども、これは厚労省側の問題だというふうに根本的には思っていますので、以上、またメールか何かで意見させていただきます。
○西村座長 本日これから質疑応答をしたいところでございますけれども、時間が参りましたので、本日の議論はここで終了させていただいて、質問の部分につきましては、次回に持ち越して議論を行っていきたいと思います。本日質問を出していただくはずのところにつきましては、事務局宛てにメール等で送付していただきまして、次回3回目の冒頭に協会けんぽの御担当者の方からまず御回答いただくという形で進めてまいりたいと思います。
 構成員の先生方におかれましては、お手数をおかけすることになりますが、御質問をまとめていただいて、メール等で事務局のほうにお出しいただきたいと思います。議事進行に少し時間がかかってしまいまして、お手数をおかけすることになりましたけれども、よろしくお願いいたします。
 では、事務局から次回の予定をお願いいたします。
○愛須室長 御審議ありがとうございました。
 次回の検討会は、9月22日木曜日の14時から開催いたします。今、西村座長からお話がありましたけれども、冒頭、本日の戦略的保険者機能関係に係る御質問への回答を協会様からいただいた上で、続きまして、船員保険、それから組織・運営体制の2つのテーマについて御審議いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○西村座長 それでは、以上をもちまして、本日の検討会は閉会といたします。時間が超過いたしまして申し訳ありませんでした。皆様お疲れさまでした。次回またよろしくお願いします。