第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和4年9月2日(金) 16:00~18:00

場所

WEB会議にて開催
(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E:東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)

議事

議事内容
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、時間が過ぎてしまいましたけれども、第36回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開です。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 続きまして、本日の出欠状況でございます。
 現在、委員17名のうち16名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認でございます。
 本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元にお配りしている資料を閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号12の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら事務局員にお申し出ください。
 それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行は脇田分科会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 それでは、皆さん、今日もよろしくお願いいたします。
 まず、事務局のほうから、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
 本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取り状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、資料番号12の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類を御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいりますけれども、今日もたくさん議事がありますので、円滑な進行に御協力いただければと思います。よろしくお願いします。
 まず事務局から、新型コロナワクチン接種の現状についての説明をお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 「新型コロナワクチンの接種の現状」ということで説明させていただきます。
 3ページ、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向、それ以降、変異株の状況とか、重症者割合、コロナワクチンの接種の状況について、定例の資料をつけさせていただいております。11ページまででございます。
 説明は以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、13ページを御覧ください。今日の議論すべき事項です。主には、オミクロン株対応ワクチンの接種、小児の接種となっていますので、この順番に進めてまいります。
 最初に、「オミクロン株対応ワクチンの接種について」です。オミクロン株対応ワクチンにつきましては、情勢の変化等がありまして、「新型コロナワクチンの製造株に関する検討会」において改めて議論して、考え方を整理しております。
 つきましては、まず検討会の取りまとめについて、検討会の構成員である高橋先生に御報告していただきます。
 高橋先生、よろしくお願いします。
○高橋参考人 それでは、資料3を御覧ください。私のほうから、検討会での第二次取りまとめについて御報告させていただきます。
 まず、こちらの取りまとめを読み上げさせていただきます。
 1ページ目、「1.オミクロン株対応ワクチンの導入について」です。本分科会了承の下で設置された新型コロナワクチンの製造株に関する検討会では、今秋のオミクロン株対応ワクチンの導入の考え方について、「従来の武漢株とオミクロン株との間の抗原性の差と比較すれば、オミクロン株の中での亜系統間での抗原性の差は大きくないため、株の種類にかかわらず、わが国で利用可能となるオミクロン株の成分を含むワクチンへなるべく早く切り替えることが妥当である」とされました。
 ワクチン製造販売業者等からの情報を踏まえた結果、我が国でいち早く利用可能となる武漢株とオミクロン株を含む2価のワクチン、以下「2価のオミクロン株対応ワクチン」と呼ばせていただきますが、そのうちBA.1対応型で開始することが提案されました。
 第34回の本分科会におきまして、2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の導入は、令和4年10月半ば以降となることを見込んで、初回接種を終了した全ての者に対する接種の準備を進めることとされました。
 その後、企業との調整を進める中で、2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の輸入が前倒しされる等、薬事承認を前提に、令和4年9月半ばには当該ワクチンから順次国内配送が見込まれることとなりました。
 こうした事情を受けまして、検討会ではオミクロン株対応ワクチンの導入方針を以下のとおり修正し、本分科会へ提案させていただきます。
 まず1つ目は、初回接種を終了した全ての者に対する2価のオミクロン株対応ワクチンの接種について、国と自治体は、接種の準備を引き続き行い、令和4年10月半ばをめどとしつつ、準備でき次第開始する。
 2つ目は、それまでの間、重症化リスクが高い等の理由で現在接種が行われている4回目接種の対象者に対して使用が認められているワクチンを、これまでの1価の従来型ワクチン(武漢株)から、同年9月半ばから順次配送され、我が国でいち早く利用可能となる2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)へ早期に切り替えることを提案させていただきます。
 次のページを御覧ください。「2.オミクロン株対応ワクチンの効果に関する考え方」です。
 (1)確認されている事実です。1つ目は、1価の従来型ワクチンの3回目接種には、オミクロン株に対して高い重症化予防効果に加えて、一定の感染予防効果及び発症予防効果があり、初回接種(1、2回目接種)の後、経時的に低下する各種予防効果を回復させることが報告されています。
 1価の従来型ワクチンの4回目接種には、オミクロン株に対して一定期間継続する重症化予防効果が報告されています。
 さらに、2価のオミクロン株対応ワクチンについては、現時点で得られる臨床、非臨床データからは、1価の従来型ワクチンに対する中和抗体の優越性が報告されています。
 (2)海外の状況であります。米国FDAは、令和4年6月30日に、2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.4/5対応型)のワクチンの開発を要請する声明を発表しております。
 英国JCVIは、令和4年8月15日に、「BA.4/5対応型ワクチンが潜在的に利用可能になる可能性があるからといって、今秋の追加接種を遅らせるべきではない」とし、BA.1対応型ワクチンを秋の追加接種プログラムで使用するように勧告しております。
 ここから、(3)考察となります。現時点の医学的知見に基づき、1価の従来型ワクチンと2価のオミクロン株対応ワクチンの免疫原性を比較すると、以下のように考えられます。
 マル1、オミクロン株の成分を含むことから考えられること。重症化予防効果に関しまして、追加接種後に測定した血中の中和抗体価が短期間で低下するにもかかわらず、1価の従来型ワクチンの追加接種により、オミクロン株に対する重症化予防効果が一定期間継続する事実は、重症化予防効果の維持に、ウイルス曝露前に存在する抗体価以外の免疫も寄与していることを示唆します。
 抗体価以外の免疫機能としては、記憶Tリンパ球が関与する細胞性免疫、記憶Bリンパ球やTリンパ球が関与する感染後に新たに作られる抗体によるウイルスの排除等が考えられます。記憶リンパ球は、血中の抗体価よりも持続性に優れていることが確認されています。しかし、これら記憶リンパ球を評価するためのコマーシャルベースの一般的な測定方法は確立しておらず、重症化予防効果の免疫機能を直接測定することは一般的には困難です。
 オミクロン株の成分を含むワクチンは、1価の従来型ワクチンと比較し、オミクロン株に反応する記憶リンパ球をより強く誘導することが期待されます。これにより、例えばオミクロン株対応ワクチンを接種した後にオミクロン株に感染した場合、中和抗体が減衰した場合でも記憶Bリンパ球やTリンパ球が反応して、オミクロン株に対する抗体がより早く、より多く作られることが期待されます。
 1価の従来型ワクチンの3、4回目接種でも、オミクロン株に対して一定期間(数か月程度)継続する重症化予防効果が示されており、2価のオミクロン株対応ワクチンによる追加接種は、ワクチンの亜系統の違いにかかわらず、オミクロン株に対してこうした1価の従来型ワクチンを上回る重症化予防効果があることが期待されます。
 続きまして、感染・発症予防効果に関してです。オミクロン株の成分を含むワクチンによるオミクロン株に対する中和抗体価の上昇は、気道粘膜における免疫応答の増強や、ウイルスが体内に侵入した際の初期応答に有益であると考えられ、短期間である可能性はありますが、オミクロン株に対する感染予防効果や発症予防効果も期待されます。
 感染予防効果及び発症予防効果に関連すると考えられる抗体価で示された抗原性につきましては、従来の武漢株と現在流行しているオミクロン株との間の抗原性を比較しますと、亜系統間の差は大きくないことが示唆されています。そのため、オミクロン株に対する感染予防効果や発症予防効果は、ワクチンに含まれる亜系統によって大きな影響を受ける可能性は低いと考えられます。
 最後、マル2、オミクロン株と武漢株の2つの成分を含むことから考えられることです。2価のオミクロン株対応ワクチンは、1価の従来型ワクチンに比較し、抗原性の異なる2種類の抗原が提示されることになりますので、誘導される免疫、こちらはマル1に記載した重症化予防効果や感染・発症予防効果に寄与するそれぞれの免疫を指しますが、これらの免疫も、より多様な新型コロナウイルスに反応することが期待されます。そのため、今後の変異株に対しても、重症化予防効果及び感染・発症予防効果において、より有効である可能性が1価のワクチンよりも高いということが期待されます。
 2.(3)で記載したワクチンの有効性につきましては、現時点で得られる科学的知見に基づいた専門的な検討によるものでありますので、今後、新たに得られる知見等に基づき継続的な検討が必要であることに留意が必要となります。
 次のページ以降は、本取りまとめの参考資料をつけさせていただいています。2~3ページ目がワクチン製造販売業者の開発状況、4~7ページ目が関連する免疫学的試験、8~9ページ目に海外の状況となっています。
 また、資料4にも免疫学的試験に関する補足資料を私からつけさせていただいています。
 私からの御報告は以上となります。
○脇田分科会長 高橋先生、どうもありがとうございました。
 製造株の検討会で議論をしておりまして、それの取りまとめであります。
 まだデータが十分ないところもありますので、それに関しては今後得られる知見を継続的に検討するべきといったところでありました。
 次に事務局からの説明をお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 14ページから、「オミクロン株対応ワクチンの接種について」の資料でございますので、説明させていただきます。
 15~18ページが諸外国の状況でございます。
 16ページがやや新しい資料になりますので、少し説明させていただきます。まず、8月15日の英国JCVIのステートメントです。ここで、3つ目のポツですけれども、適切なタイミングでワクチン接種を行うことは、使用するワクチンの種類よりも重要であるといったことが記載されております。
 それから、直近、9月1日、ACIPにおける議論ですけれども、一番下でございます。2価ワクチン(起源株/BA.4/5)の単回の追加接種について、ファイザー社製ワクチンを12歳以上、モデルナ社製ワクチンを18歳以上に対して推奨することを賛成多数で可決されてございます。
 17、18ページについては、諸外国の状況を国別に一覧でお示ししております。
 19ページに関しては、4回目接種の接種率の推移をお示ししております。4回目接種対象者のうち60歳以上の者に対する4回目接種の接種率でございます。4回目については、現在46.4%というところでございまして、半数程度の接種が進んでいる状況でございます。
 20ページ、事務局案でございます。接種の目的でございます。先ほど高橋先生に御説明いただきました「新型コロナワクチンの製造株に関する検討会」での議論を踏まえ、事務局案としまして、重症化予防効果はもとより感染予防・発症予防を目的に接種を行うこととしてはどうか。また、期待される効果及び目的について国民に情報提供していくことが必要ではないか。
 対象者でございます。目的に照らしまして、初回接種を終了した接種可能な年齢の全ての者を接種対象者とすることとしてはどうか。それから、「接種可能な年齢の全て」というところでございますけれども、企業からの聞き取り状況としまして、ファイザー社製ワクチンについては12歳以上、モデルナ社製ワクチンについては18歳以上として申請がなされておりますので、記載をさせていただいております。
 次の○でございます。こちらも、株の検討会での御議論を踏まえて記載させていただいております。初回接種を終了した全ての12歳以上の者に対する2価のオミクロン株対応ワクチンの接種については、国と自治体は引き続き10月半ばをめどに準備をすることとする。
 また、重症化リスクが高い等により現在接種が行われている4回目接種の対象者に対して使用するワクチンを、1価の従来型ワクチン(武漢株)から2価のオミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)へ切り替えることとしてはどうか。
 最後でございますけれども、4回目接種対象者への接種に一定の完了が見込まれた自治体においては、配送ワクチンの範囲内で、その他の初回接種が終了した者の接種への移行を行うこととしてはどうかとさせていただいております。
 21ページにつきましては、今、御説明した事務局案について、自治体への周知のイメージということで記載させていただいています。
 事務局からの説明は以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここからまた委員の先生方から御意見をいただいていこうと思います。今、高橋先生からは株検討会議のまとめを説明していただきました。その次に、事務局からは事務局案です。オミクロン株対応ワクチンをどのように使っていくかという御提案がありました。接種の目的、対象者、どのようなタイミングでこれを使っていくか。資料1の20ページの主に太字で書かれているところが御提案ということだと思いますので、そこら辺を中心に議論していただくということだと思います。
 それでは、よろしくお願いします。
 まず、坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 高橋先生にお聞きしたいのですが、御説明どうもありがとうございました。今回、日本はBA.1と従来株の2価ワクチンを導入するということですが、国民の方は、次にはBA.4/5の2価ワクチンが入ってくるのではないかということで、心情として待とうかということが起こると思います。ただ、今の高橋先生の御説明によると、待つほどの差はない、つまり、接種間隔が来て打てるようになったら、今すぐ打てるワクチンを打ったほうがメリットが高いということでしょうか。まずそれが1点。
 あと、事務局への質問ですが、9月の半ばに新しいBA.1の2価ワクチンが搬入されるということと、前倒しが行われるかもしれないというニュースが流れていて、我々市町村としてはその準備を進めていかなければいけないということです。
 まだ、薬事審議会が通っていないし、予防接種委員会でこれが予防接種法のワクチンとして認められていない中で、今の段階で事務局はお答えづらいとは思うのですが、ワクチンの配送が間に合えば、かつ、薬事審議会が通れば、また予防接種委員会で認められれば、つまり、BA.1の一般市民への接種を10月半ばから早めるつもりがあるのかどうかです。
 やはり我々市町村として非常に関心が高いのは、どれぐらい早まるかということ。つまり、準備しなければいけないということがありますので、その辺の見通し等が分かりましたらお教えいただければと思います。
 以上2点でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 次に、伊藤町長、お願いいたします。
○伊藤(定)委員 どうもありがとうございます。
 今、川崎市の坂元委員がおっしゃったように、当初はオミクロン株対応ワクチンが10月の中頃から接種開始でしたが、1か月前倒しになるということについて、過去にワクチン接種に関しては国からの通知等が市町村に届く前にマスコミ報道が流布することで、住民の方から役場の窓口に質問やら要望が殺到するなど、円滑な接種に支障が生じたことがあります。今回のオミクロン株対応ワクチンの切替えについても、報道が先行したため、8月の中旬から下旬に4回目接種をした住民の皆さんから怒りの声や、問い合わせが届いております。また、これから4回目接種をされる方が、オミクロン株対応ワクチンの接種開始まで待つという状況が出てきているところです。
 住民に直接対応する私たち自治体の現場ですので、国からの広報等には正確性も含め、住民への影響に十分配慮していただくことや、マスコミ報道の在り方についても改善していただく点がないか、誤解が生まれないよう、検討をお願いしたい。
 特にオミクロン株対応ワクチンについては住民の関心が大変高く、私たち町村の現場においても重要な課題でありますので、以上申し上げた点について御理解と御配慮をいただければありがたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 これまでも、何かが変わるときにこういった問題が出るということですね。オミクロン株が導入されるといった情報が入った時点で、住民の方々に周知する方法をどうするのか。もちろん、4回目接種の順番が来れば、従来株のものでもなるべく4回目接種をしてくださいと我々もいろいろなところで言うわけですけれども、それでも住民の方々は、よりよいものがあれば、しばらく待ったら来るというときに、待ったほうがいいのか、それよりも早く打ったほうがいいのか、非常に迷われるということなので、そういったコミュニケーションの方法は非常に重要なポイントになるということは確かに理解できるということですが、非常に難しいこともあるということだと思います。
 まだ手が挙がっていないうちに、先に坂元先生の、これも同じような話になりますけれども、BA.4/5を待つか、メリットはどうなのか、ここは高橋先生にまず確認させていただきまして、前倒しのところに関して、それから、伊藤町長からあった御意見のところを事務局からお答えいただくということで、まず高橋先生、いかがでしょうか。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
 まず、御質問いただいたBA.5を待つ、あるいはという点につきましては、今回、第二次取りまとめの1ページ目の最初の1ポツのところに記載させていただきましたが、ワクチンの本検討会でも議論させていただき、特に今回、2価ワクチンに含まれるBA.1と今流行しているBA.5の抗原性の違い等をいろいろデータを比較させていただいた上で、ここの上から4行目に記載してあるようなことを提案させていただいたということになります。従来の武漢株とオミクロン株との抗原性の差と比較すれば、オミクロン株の中での亜系統間のBA.1とBA.5との抗原性の差は大きくないために、株の種類にかかわらず、我が国で利用可能となるオミクロン株の成分を含むワクチンへなるべく早く切り替えることが妥当ということが検討会での結論となります。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 その点は、ACIPでの議論でも、アメリカはBA.5導入ということになりましたけれども、BA.5がまだ臨床試験の結果が出ていない状況で決断をするみたいなこともあって、あと、動物試験等で見ても本当にそこまで差が大きいのかという議論があったと私も記憶をしているところですので、やはり今利用できるオミクロン株のワクチンを接種していくことが妥当な結論ではないかと私も感じております。
 事務局からお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 まず、坂元先生からいただいた9月半ばに搬入されるワクチンについてどう取り扱っていくかというところでございます。御指摘いただいたように、薬事承認が前提ではございますけれども、入手できたワクチン、使えるワクチンについては速やかに接種体制を整えていく必要があると考えておりまして、それに伴う御議論とか各種事務手続も含めて速やかに対応していきたいと考えております。9月半ばの搬入と、接種体制を整えていくところは速やかにしていきたいというところでございます。
 伊藤先生の御指摘でございますけれども、メディアの報道の在り方は我々がお答えするのは難しいところもありますが、国民への情報提供、市町村への準備の情報提供についてはしっかりやっていきたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
○脇田分科会長 1点目のところで、一般への接種を前倒しで早めるのかというところで、21ページ目の自治体への周知のイメージとしては、接種対象者は初回接種を完了した全ての住民を対象に行うことを想定して進めるということでいいのですよね。そういうことになっていますから。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 全ての者の接種の準備は10月半ば、そして4回目接種の対象者に対するワクチンの切替えは9月半ばということで準備を進めさせていただければと考えているところでございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 釜萢先生、お願いいたします。
○釜萢委員 今、事務局から説明がありましたが、切替えということについては少し分けて考えなければならないと思います。と申しますのは、現在は武漢株に対する1価のワクチンが流通していて、それを使っているわけです。そこにBA.1対応の2価のワクチンが入ってくるという時期があって、その後もBA.1からBA.4/5に替わるかもしれませんが、それはそれほど効果の差がないという認識も示されているので、まず、単価の武漢株に対するワクチンから2価のワクチンにするという変更が大きな点です。
 もう一つは、接種対象が現在は60歳以上や基礎疾患がある方、あるいは医療従事・介護従事者に絞っている対象者を幅広くするというところの大きな変更があります。これは説明の中にもありましたけれども、分けて考えなければいけないので、そこを混同しないことが非常に重要だと思います。
 接種対象を大幅に広げるという変更については、今日は自治体の代表の方もたくさんおられますが、自治体の準備が整って、予診票の発送やいろいろな手続が十分整うというところで、初めて対象者が大幅に広げられるということなので、そういう準備が必要です。
 一方で、武漢株単独の1価のワクチンから2価のワクチンに移る、そこは2価のワクチンが入ってくる時期はまだ公表はされていないし、薬事承認等の手続が必要だということなので、ぜひそこは分けて考える必要があると思います。
 このことを前提に大きな課題というか、きちんと合意を形成しておく必要があることは、現在、決められた対象者に武漢の単独ワクチン、1価のワクチンを打っているという状態をこのまま継続して打っていく必要があると思いますが、一方で、2価のワクチンが供給されるのが見えている中では、ワクチンの接種を待つという選択をなさる方も当然出てくるので、その方々に対して、予防接種ワクチン分科会としてはどういうふうな対応がお勧めできるのかということについてはぜひ今日の議論の中である程度明らかにしておく必要があると思います。
 私自身の意見としては、武漢株の1価のワクチンを接種できる方は接種を進めていくというのでよいのではないかと思っていますが、一方で、接種を受けた場合には5か月間は次のワクチンが受けられないということがあるので、その情報もしっかりお伝えした中で接種が行われる必要があると思います。
 それから、繰り返しになりますが、接種対象者を大幅に拡大するというのは自治体の準備が整った段階ということで、今の事務局からの御説明ですと、それは10月の半ば以降になるのだろうと思いますから、そこのところが間違いなく正確にきちっと情報が発信されることが極めて大事だろうと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 森尾委員、お願いします。
○森尾委員 ありがとうございます。
 まず、高橋先生、第二次取りまとめをありがとうございました。
 ここに記載されていることは非常に重要だと思っておりまして、今回の2価ワクチンの導入の検討に当たっては、科学的な考察、その妥当性というのを、接種を受けられる国民の方々によいコミュニケーションを取ることが非常に重要ではないかと私は思っております。
 その点で、今回の重症化予防というところで、記憶B細胞、T細胞(CD4、CD8)とまとめていただいていますけれども、それが感染を起こしたときにすばやく免疫応答するのだという記載があるのですけれども、これは資料4でまとめていただいている図を含めて非常に分かりやすいので、こういう効果があるのだよ、こういうことが重要なのだということをいま一度皆さんに情報共有するいい機会ではないかなと個人的に考えております。なので、これは何かいいコミュニケーションの手段を厚労省を含めて考えていただけるとありがたいなと思っています。これは、発症、感染予防に関しても考え方は同じだと思っております。
 2点目は、厚労省の方に質問ですけれども、資料の17ページとかに、秋の追加接種ということで、諸外国が最後の接種から2か月以上空けてとか、3か月以上空けてとか、割と短い期間の設定で記載されているのですが、これに関する背景がもし分かりましたら教えていただけたらと思います。
 この2点です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 2点目は欧米の接種間隔が短いのはどういう背景かというところですね。ありがとうございました。
 川俣市長、お願いします。
○川俣委員 自治体の関係の意見で言えば、1回目、2回目は初回なので、2価のBA.1のほうは使わないという話になっていますが、今、3回目と4回目の方も同時に打たせていただいています。そうすると、3回目はオーケーということなのかなと思うと、4回目の人が、言われているように、9月のどのくらいから打つのかというのは、市町村からすると、お薬が届けばそこで替えればいいだけなので、今のところは何とかなるのかなと思っています。
 接種券は割と配布しているので、今さら薬が替わりましたというのは報告しなくてもいいのかもしれませんが、先ほど伊藤町長とかがおっしゃっていたように、どこで替わるのかと言われると私たちも答えられないので、その辺のことが市民、町民は一番知りたい。密かではなくて、普通の人が思うことだと思うのですよ。先生方の効果とかそんなので効果がありますと言われたら、効果があるほうを打ちたいというのが人間の心理なので、その辺をどのように伝えていくか。
 もしかしたら、3回目、4回目は2週間か1か月遅らせてお願いできますかと急にキャンセルが出てしまうとか、逆に、効果はさほどありませんと言われても、では何のために替わるのか。また、今ちょっと言われているのは、いつまでもオミクロンなの、これを打っても打ち終わった頃には違う株が出ているのではないかといろいろな議論があるので、その辺のところを明確化していただけるのと、実際にはいつ頃市町村には来るのかというのも教えていただけると対応がしやすいのかなと思います。
 個人的ではないけれども、自治体的な悩みなので、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 最後のいつまでオミクロン株が流行しているのかという問いはすごく難しくて、今のところはオミクロン株の亜系統といってBA.1からBA.2、今、BA.5が来ているというところです。昨年はデルタ株が流行していたのは御記憶だと思うのですけれども、そこから大きくオミクロン株に切り替わったというところで、そういったことが再び起こる可能性があるのかというと、可能性はあるのですけれども、いつそれが起こるのかというのはウイルス学者も誰も分からないところなので、今のところはオミクロン株が続いていく。
 ただ、武漢とオミクロン、この2つを打っていくと、従来株でもオミクロン株である程度対応できるということは分かっていたわけなので、より幅広く対応できるような免疫がつくのではないかということは言えると思います。
 私のほうでそこだけはお答えさせていただきましたけれども、もし何かその点で高橋先生とか鈴木先生から追加があれば。あとは、また事務局にお尋ねします。
○高橋参考人 脇田先生が説明いただいたとおりです。ありがとうございます。
○脇田分科会長 基先生も同じでいらっしゃるのでいいですかね。
○鈴木委員 私から追加はありません。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかの点はまた事務局からお答えいただくということで、もう少し進めます。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 先ほど、前倒しの件に関して、9月半ばにワクチンが搬入される予定、速やかに接種体制を整えるということと、現在4回目の接種券を持っている方を先に考えていくことについて、実は、これは国がやった調査ですが、4回目の接種券の配布の仕方に関して、全年齢に配った市町村が25%、75%は60歳以上に限って、それ以下の年齢に関しては自己申告制となっております。
 市町村の準備の中で特に大変なのは、全部接種券を配っているところはいいのですけれども、これから配るところは印刷業者とのやり取りなどが場合によると4週間とか3週間かかるのです。なぜ市町村が前倒しの時期にこだわるのかというのは、接種券が間に合わない可能性があるということが1点です。
 ただし、例えば国のほうで4回目の接種券を持っている方、9月の半ばに仮に前倒しになったとしたときに、その接種券を持っていけばオミクロン対応ワクチンが打てる、つまり、接種券のみなしです。本来、4回目の接種券は従来のワクチンのための4回目の接種券なので、そういうみなしをできるかということです。
 それから、3回目の接種券を持っている人は、本来は従来のワクチンの接種券なので、みなしでオミクロン対応ワクチンを打つことができるか、国からそういうことをちゃんとアナウンスをしていただけるのかということが1点です。
 それから、従来のワクチンの市町村の在庫が恐らくそんなに長続きしないだろうということがあります。これは市町村によって違いがあって、早いところでは9月の半ばぐらいに在庫が切れてくるところもあると思います。そうなると、従来のワクチンの次は入ってくるのか、それともそこでオミクロン対応ワクチンに切り替えるのかということが一つの点なので、市町村の持っているワクチンの在庫と次のオミクロン対応ワクチンを考えていかなければいけないということを十分御配慮いただきたい。つまり、今の従来のワクチンは米国がもう4/5に切り替えた段階で製造はしないと思われるので、FDAの中でも従来株の延長はもう認めないということになると、もうこれは時限性のものだろうということが1点です。
 あと、初回シリーズを打っていないと、オミクロン対応ワクチンというか、このワクチンの追加が打っていけないということになりますと、現在、十数%が初回シリーズを打っていないということで、自分は絶対にワクチンを打たないという確信的な人はいいのですけれども、ちょっと待とうかなという人は従来のワクチンの供給がなくなってしまうこともありますので、その辺の周知をしっかりされていただきたい。
 以上、3点のお願いと御質問でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、中野先生、お願いします。ここで一旦区切らせていただきます。
○中野委員 ありがとうございます。川崎医大の中野です。
 川俣委員、坂元委員がおっしゃったことと共通する点もあるかと思いますが、予防接種の基本として、打たれる国民の皆様にも、打つ医療者のほうにも分かりやすい制度であることがとても大切ではないかと思っています。
 そして、自分が県の大規模接種会場をお手伝いしているから、そう感じるのかもしれないのですが、アレルギーの素因がある方とか、1回目・2回目で気になる副反応があった方に対応しておりますと、現在でも1回目接種の方、2回目接種の方、3回目接種の方、4回目接種の方、いろいろな方がいらっしゃいます。
 ですから、私たちは今ここで1回目・2回目とか、3回目、4回目とか、数ですごく分かったようなお話をしていますが、国民の皆様はいろいろな接種歴のある方とか、いろいろな背景をお持ちの方がいらっしゃるわけで、そういった方々に本当に正しい方法でワクチンをきちんと普及させることが最も大切であると考えています。
 先ほどの整理をお聞きいたしますと、前倒しの分は4回目の接種対象者の方に対してオミクロン株対応ワクチンが打てるのだと。それ以外の方々に関しては、10月の中旬以降だということで、それに異論はもちろんないのですけれども、3回目接種の方と4回目接種の方を区別するのはそれなりに大変ではないかなと思っています。
 きっとこれからの位置づけは、オミクロン株対応ワクチン、2価のワクチンは、3回目の追加接種以降に使えるワクチンであって、1回目と2回目についてはこれまでのワクチンを使うという位置づけかと思います。
 そして、2回の接種が完了していない方々でも、もう絶対に打たないよという方ではなくて、いろいろ考えて悩んでいらっしゃる方も見えるので、そういった方々に今度の2価のワクチンは追加接種用のワクチンであって、従来株のワクチン、1回目・2回目接種用のワクチンはいついつまで供給されるから、その方々はいついつまでに1回目・2回目の接種を終えてくださいねと。そういうメッセージも予防接種ワクチン分科会としてはしっかり発するということを肝に銘じて、いろいろなことを発信できればなと思っています。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、今、釜萢先生から以降いただいた御意見に対して、事務局のほうでお答えいただける点についてお願いしていいですか。
○大坪大臣官房審議官 事務局でございます。
 釜萢先生以降いただいたことにつきまして、順次お答えしたいと思います。様々な御意見をありがとうございます。
 まず、釜萢先生がおまとめいただいたとおりの整理でございます。大変分かりやすい説明、コメントをありがとうございます。
 その上で、釜萢先生からいただいた御指摘としましては、今まさに4回目、3回目を打っていただいている方が、今日の報道以降、こういったオミクロンのワクチンが来るということで打ち控えられる方がいらっしゃるかもしれないと。その方に対して、従来株のワクチンの立ち位置、これをお勧めしていくことかどうかをこの分科会として御意見をおまとめいただいてはどうかという御示唆をいただきました。
 厚生労働省の立場で申し上げますと、4回目の接種の対象者は重症化リスクの高い方でありまして、5か月たったところで直ちに打っていただきたい方を定めておりますので、お待ちになるのではなく、可能な限り打っていただきたいと思っておりますが、ここは先生方の御意見を頂戴したいと思っております。
 森尾先生からも、今日の高橋先生のリンパ球の排除機構について、これは以前も免疫学の講義をいただいたところでございまして、大変分かりやすい資料をありがとうございます。特にこの中で抗体産生細胞からの供給、抗体という一番上のところは、コマーシャルベースで測定ができますので、とかく数字として出回ってしまうところではありまして、これで有効性の持続というものが語られがちではありますが、本来、人体の免疫排除としては、メモリーBとかTといったところも有効に応答しているということを広く国民の皆様に今回のような資料を使って広報してまいりたいと思っております。その際にはまた確認等をいただければと思っております。
 また、川俣先生からいただきました自治体のお話もそのとおりだと思っております。これは坂元先生からもいただきましたけれども、9月のいつなのだということにつきましては、これも坂元先生からおまとめいただきましたように、今、薬事の審査中でございます。
 私どもといたしましては、薬事の審査はある日承認というのがぱっと出るわけですけれども、そのときに慌てるのではなくて、なるべく時間をもって接種体制をお知らせしたいということで、このように分科会で、小刻みで恐縮ですけれども、都度分かった情報をお諮りしているところでございます。
 ですので、まだ薬事の状況は見えませんけれども、少なくともこちらとしましてはメーカーとなるべく早く確実な数字を欲しいという調整をしている中で、9月の半ばには国内に配送できる準備が整うのではないかと、まず今日第一報を申し上げたところです。
 これをお配りした後に、薬事、また、予防接種法の位置づけの手続が済めば、すぐにお使いいただけるような準備を国のほうもしてまいりたいと思いますし、自治体の皆様におかれましては、最速で9月の中旬以降という可能性があるということを御承知いただければと思っております。
 接種券の話は、既に前回の分科会の後にも事務連絡をお出ししておりますが、3回目の接種券、今回は御案内のとおり、初回接種を終わっている方全てを対象とすることにしております。極めてシンプルな制度にしたいと思っております。その中で、3回目の接種券、4回目の接種券をお持ちの方がいらっしゃるかと思いますが、これは全てお使いいただけますという御案内はもう既に差し上げておりますので、重複でお持ちになる方があった場合には、そこの御注意が必要かと思っておりますが、基本的には今お持ちの接種券を使っていただくという形を取りたいと思っております。
 また、従来のワクチンの市中在庫の廃棄でございます。有効期限が順次参るわけでございますが、これも中野先生からいただきましたように、初回接種が済んでいない方は現在においては今回の新しいワクチンの対象にならない。今後、知見が集まると変わることがあるのかもしれませんが、ただいまはそういうことになっておりますので、まず初回接種を打っていただきたいという広報はしっかりやっていきたいと思いますし、その後、有効期限が接到したものにつきましては順次廃棄いただくことになろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、今回、4番とか、5番とか、ワクチンの番号をつけておりませんで、オミクロン株対応ワクチンという言葉でずっと通させていただいております。カウントではなく、今回は初回接種が終わった方全てということで、間違いのないように御案内をしていきたいと思いますので、よろしく御指導をいただければと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 あとは、釜萢先生から、2価のワクチンを待っている人たちに対して、3回目、4回目の対象者の人たちに分科会としてどういった意見を言っていくべきかという御質問がございましたが、今、事務局のほうからも御意見がありましたが、構成員の先生方からももしそこについて御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 今、大坪審議官のほうからぎりぎりの御回答をいただいて、我々市町村では非常に感謝しております。9月の半ばぐらいというのが、言うのが難しい中で結構踏み込んで言っていただいた点は非常に感謝しております。我々としても一つの見通しがついたことと、従来の接種券も使えることを改めてお認めいただいたということで、我々市町村としては一日も早く準備体制を整えていきたいと思います。御回答、どうもありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞、佐藤です。
 ちょっと整理して発言できるか自信がないのですけれども、まず、前回の会議で、従来型の接種対象になっている方が、従来型を打たずにオミクロン対応型を待つのは適切ではないということは、ご専門の先生方から情報発信されたものと理解しています。
 今日の会議では、先ほど高橋先生から、BA.1対応のものが出てくるわけで、BA.4/5対応を待つよりもBA.1対応を打ったほうがよいという御意見だったと思います。
 いずれの点でも、今あるものを早く打つことが大事だということは明確に情報発信されたものと理解しており、この点については、先ほどからやや誤解があるような気がしますが、報道と広報は違いますので、きちんと広報をしていただくことが大事だと思います。
 その上で、新しいBA.1対応のオミクロン対応ワクチンが出てきたときにどのように使っていくかという部分ですけれども、事務局の案では、現在4回目の追加接種をしている方たちのワクチンから順次切り替えていってはどうかという提案がされたものと理解しています。
 現在、ワクチンを接種している方たちは重症化リスクの高い人であり、この人たちのワクチンを従来型のワクチンからオミクロン対応型のワクチンに替えていくことは適切な判断と思います。
 一つ分からなかったのは、4回目の方に対しては切り替えるけれども、3回目の方に関しては切り替えないということを言っているのかどうかという点です。3回目の方は従来型でというのは、実務がなかなか大変なのではないかと思いました。
 また、新しいワクチンはあくまでも初回シリーズに加えてするものである以上、私自身は初回シリーズのワクチンが何らかの形で残るものと理解していたのですけれども、これは残らないという認識でいらっしゃるのでしょうか。教えてください。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 伊藤先生、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 今日の副反応検討部会でも報告させていただいたのですけれども、3回目接種から6か月たつと3割ぐらいに抗体価が落ちるという状況から考えますと、やはり待つということを前提にしての議論はあまりしないほうがいいのではないかと、今の佐藤先生の意見とほぼ一緒です。3回目接種の人が2価のワクチンを待つということは避けるべきではないか。
 そういう意味で、4回目接種の重症化予防のための人を優先してというメッセージがあまり強く出ないほうがいいのではないかという気がします。違いがあるといっても1・何倍ぐらいの違いですので、それを考えますと、今あるワクチンを遅れのない形で打つような接種の方法を考えるというのを第一のメッセージにすべきではないかなと思いました。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤委員、伊藤委員のほうからは、今あるものを遅れずに打っていくべき、つまり、打ち控えはするべきではないというメッセージを出していくべきということだったと思います。
 佐藤委員からの御意見は、前倒しのときに、4回目は切り替えるという提案だったのだけれども、3回目はどうなりますかというところですね。それから、初回シリーズのワクチンはもう残らないのかという御質問でした。
 事務局のほうからいかがでしょうか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 前倒し、9月半ばから始める4回目接種の切替え、こういった時期に3回目を切り替えるかということに関しては、こういった事務局案におきましてはその時点では3回目は切り替えないということかと思います。初回接種が終了した者全員に打つというところは10月半ばで、可能な自治体はそれより前にというところでして、その時点で切り替わっていくというふうに承知をしております。
 初回シリーズ用のワクチンが残らないかということでございますけれども、これはやや不透明なところはございますが、現時点では初回シリーズ用の承認申請はなされていないところでございますので、従来株のワクチンでの初回シリーズ接種が必要になる。
 一方で、今後については初回シリーズ接種のためのオミクロン株対応ワクチンの開発も進めるような動きもございますので、初回シリーズワクチンが今後全くなくなるというところは違うのかなと思います。
 それから、森尾先生からいただいた接種間隔、2か月と3か月の根拠というところでございます。結論から申し上げますと、理由は明らかになってございません。基本的に、薬事承認のところで2か月と3か月の接種間隔というところが承認されておりますので、それに準じた対応を米国と欧州でされているというものでございます。接種間隔を短くしたほうがいいという議論があったというよりは、臨床試験のデータに基づいてこうした接種間隔が設定されているものでございます。
 以上でございます。
○大坪大臣官房審議官 少し補足をさせていただきます。
 佐藤先生からいただきました3回目を対象にしないのかというところも、いろいろと検討はいたしたところでございます。ただ、4回目の接種の方は重症化リスクが高い者でありまして、まず優先されるべき方々であろうかと考えております。
 この方々が今、計算上は60歳以上の方から接種された方を引きますと、1500万人ぐらいの方が未接種の状況でございます。したがいまして、まずこの方をというメッセージが必要なのかなと思いつつ、資料の中でも20ページのところに事務局案で記載をさせていただいております対象者の一番下の○でございます。必ずしも4回目の接種の方のみではなく、これらの接種に一定の完了が見込まれました自治体におかれましては、次のフェーズの方々に順次移行していただけたらと思っております。その中で、ただいま接種券をお持ちの方は3回目接種の方であろうと思います。
 また、坂元先生がおっしゃいますように、4回目接種をお配りになってしまった自治体ももちろんおありですので、そういった自治体が御負担のない形で、接種券をお持ちの方たちに順次進めていただければと考えております。
 また、初回の接種のワクチン、今、事務局の渡邊が申し上げましたのは新しいワクチンが初回接種用になるかどうか。その話は将来的にはあろうかと思っておりますが、現在、従来株のワクチンを持つのか持たないのかということに関しましては、市中にお配りしたものは順次有効期限が接到するのだろうと思っております。それとは別に政府のほうで持っておりますものが、初回用として数種類ございます。mRNAに限らずございますので、そういった中でお使いいただくように、リクエストがあればお配りできる準備はしております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 坂元先生、また手が挙がっていますか。お願いします。
○坂元委員 お答えいただきましてありがとうございます。重要なのは、初回シリーズを打っていない人に早く打ったほうがいいよと言うのか、今後まだ供給がありますからもうちょっと考えて打ってもいいとか、そういうメッセージの伝え方があって、常識的に考えると、製薬会社は新しいワクチンをつくっているのに古いワクチンをつくり続けることはないだろうということで、いずれこれは時間が来てなくなってしまうということなのだと思います。やはりそこら辺のメッセージをしっかり伝えていく中での今後の供給というのは非常に大事なポイントではないかと、今お答えいただいたと思います。
 それから、もしかしてオミクロンのワクチンでの初回シリーズの臨床試験をやって、そういうデータも出てくるかもしれないということも一つはいいニュースかなと思いますので、その辺のところもできましたら積極的に国として進めていただいて、情報提供いただければと思います。お答え、どうもありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
 4回目の対象者の方はもう広げていないということですから、順次、今あるワクチンを打っていただくということを明確にする必要があるかなと思います。
 また、今後、前倒しと言われましたけれども、オミクロン株対応の分については、初回接種が終わった方全てということなので、対象者が違うと思うのですね。だから、違うということで、待つということではなく、また、オミクロン型ができたときに4回目に当たる人はそれを使ってくださいということになると思いますけれども、その辺の広報を、言葉だけではなくて、図示していただくとか、ポンチ絵であるとか、今まで子供さん用にチラシをつくっていただいたような形で、誰もが分かるようなスケジュール感を示していただく。あなたはこのときにオミクロンがあったら、4回目の方でもそうですよということとか、全ての方についてはそれぞれ準備ができたら、自治体からオミクロン型の新しいワクチンを打っていただくという準備ができましたということになるかなと思いますので、供給量がどれくらいか分かりませんけれども、待っていても自治体ごとにばらつきがあると思うのですね。ですから、対象者が違いますよということと、今あるワクチンをきちっと順番に受けてくださいということをぜひ分かりやすく広報していただくようにお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 川俣市長、お願いします。
○川俣委員 坂元先生がおっしゃったように、初回の方々がもうそろそろ打ちたいと思っている方を背中を押すような広報をしてあげて、打ってくれるならありがたいですけれども、勘違いをして、全員打てと言っているのかと取られると大変だと思うので、広報の仕方は慎重にしていただけるとありがたいと思っています。
 あと、4回目接種というので始まっている方々はもう2か月以上前から打ち始めているのに、年齢が上の方は実は打ち終わっています。今はきっと60代前半の方々が残っているか、あとは打つのを躊躇されていた方が打つような形なので、ちょっと違うのかなと思うので、自治体のほうでは、逆に言ったら、今日からがBA.1ですという発言を改めてしなければ特にトラブルが起こらないのか、その辺はどういう対応をしたほうがいいのか。改めて、今日からBA.1のワクチンに変わりましたと言ったほうがいいのか。そこは、私の中では広報の仕方はどうなのかなと。
 要するに、昨日までのはあったので、届いていなかったからそうでしたというのか、何月何日からなりましたと改めて言わなくてもいいのだったら、何の躊躇もなく打てるのかなと思ったりするので、その辺はどうなのかなと。
 今までだと、薬が全く変わった場合は報告していますけれども、改めて言わなくていいのかをお聞きしたいというのがあります。初歩的なことですみません。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 今、坂元先生、白井先生、川俣先生から御意見、御質問がありました。初回シリーズのワクチンが再びなくなるかどうか。もしなくなるのであれば、そういった広報をして後押しをするようなことが必要か。ただ、川俣市長のほうからは、あまり無理強いをするようなことになると、また少しそこで混乱が生じるかもしれないと。
 mRNAの今のワクチンについては、初回シリーズが在庫がなくなった時点でということはあるかもしれませんが、ほかの組換えタンパクのワクチンは初回シリーズのものも残っているというところですね。
 あと、4回目接種についての広報の仕方については、分かりやすいパンフレット、チラシ等で示してほしいという意見もございますが、川俣市長からは、今日から変わりますという広報の仕方のほうがいいのか。そこは難しい点だと思います。
 今3名の委員の先生から意見をいただきましたが、事務局から何かございますか。
○大坪大臣官房審議官 ありがとうございます。
 広報はすごく重要だと思っておりまして、1回目、2回目、3回目と複雑になってきていますので、毎回対象者が違ったり、年齢が違ったり、それは大変御迷惑をおかけするといいますか、ここの先生方はお詳しいですけれども、一般の方がどこまでということで、非常に広報に力を入れて考えたいと思っております。また、次回以降、分科会でもそういったリーフレットを確認いただければありがたいと思っております。
 また、川俣先生からいただきました、今日からということに関しましては、最終的には新しいワクチンを予防接種法に位置づけまして、その施行日ということが参ります。ですので、そこについては本日からこれは予防接種法のワクチンとして使うことができますということは広報をしっかりしていく必要があるだろうと思っておりますので、それはある意味では今日からですというアナウンスになると思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 大分時間が押していますのでそろそろまとめたいと思うのですけれども、これで最後ぐらいにしたいかなと思いますが、さらに御意見はいかがですか。
 坂元先生、手が挙がっています。
○坂元委員 そうすると、我々市町村側のイメージとしては、従来のワクチン、例えば集合接種会場を考えたときに、集合接種会場で従来のワクチンも扱うし、同時にオミクロン対応型ワクチンも扱うという時期が一定期間生ずるだろうと思います。それから、例えば診療所の先生方のところでも、もしかすると従来のワクチンとオミクロン対応型ワクチンが、期間の長短はあると思うのですけれども、一定期間続くだろうと思います。そういう理解でよろしいのでしょうか。もちろんそこは打ち間違いがないようにしっかりしなければいけないのですが、多分そういうイメージかなと我々市町村としては想像してます。あるとき、接種会場から、もう従来のワクチンはありません、オミクロンだけですということは現実的には難しい。なぜかというと、初回接種で打ちに来られる方もいらっしゃるので、しばらくは混在するだろうというイメージでよろしいでしょうか。その点だけお聞きしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほかに追加の御発言はありますか。そろそろここら辺でまとめたいと思います。
 では、今の坂元先生の御意見にレスポンスをお願いします。
○大坪大臣官房審議官 ありがとうございます。
 坂元先生がおまとめになったとおりでございまして、初回用の従来株ワクチンが共存することになろうかと思います。
 最初の頃は、1つの会場はワクチン1種類というふうにやってまいりましたけれども、もう十分皆様慣れていらっしゃいますので、今は複数のワクチンをお使いいただいております。そういった観点では殊更心配することはございませんので、複数のワクチンになりますが、お取り扱いいただければと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、議論をまとめたいと思います。
 20ページの事務局案を御覧いただきまして、接種の目的は、重症化予防効果に加えて感染予防・発症予防を目的に行う。
 対象者については、この目的に照らしますと、初回接種を完了した接種可能な年齢の全ての者を対象とする。
 時期のところで、10月半ばを目標にして12歳以上全ての方に接種をする準備を進めるということと、9月半ばから前倒しをして、配送可能なワクチンについては4回目接種の対象者に対して1価の従来のものから2価のオミクロン株対応に順次切り替える。
 そういった方向性が示されたところで、大きな異論はなかったと思いますが、これで委員の先生方、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局におかれましては、この方向性でオミクロン株対応ワクチンの接種に向けた準備、それから円滑な接種のための自治体への情報提供ですね。特に、その点、今日もいろいろと御意見があったと思いますので、情報提供についてはよろしくお願いいたします。それから、国民へのワクチンの目的、有効性の説明についても情報提供をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 次に議題の2に参ります。「小児に対する接種について」です。
 小児に関する接種に関しましては、小児の感染の状況について、疫学、臨床の情報ということで御報告をいただきたいと考えておりまして、今日、国立国際医療研究センターから大曲先生、日本小児科学会からは齋藤先生に参考人として参加していただいています。どうもありがとうございます。
 もう一つ、鈴木先生からも情報をいただけるということですので、まず鈴木先生のほうから、感染症サーベイランスの観点から小児の感染についての御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
 それでは、資料5を御覧ください。こちらは、HER-SYSのデータに基づいて小児の新型コロナの発生動向について定期的にお出ししておりますが、今回アップデートになります。
 2ページ目を御覧ください。こちらは、HER-SYSの届出票の記載に基づく集計となっております。既に報道等がありますように、急激な流行拡大に伴って報告の遅れが発生していますので、特に8月、直近のデータについては過小評価になっている可能性があるということは御留意いただきたいと思います。
 3ページを飛ばして、4ページを御覧ください。小児の年齢群別の人口10万対1週間累積報告数をグラフにしています。これは直近の7月からのいわゆる第7波に当たるものです。一番上にあります黄色い線が5-11歳、小学生に相当いたします。7月24日頃にピークに到達して、その後、少しずつ減少している線が御覧いただけるかと思います。
 その下にあります濃い茶色い線が12-17歳で、中学生、高校生世代になります。小学生よりも少し下回っていますが、おおむね同じように推移しています。これは小学生、中学生、高校生、いずれも夏休みまで急激に上昇していましたが、その後、夏休みに入ってから行動パターンが変化したことで、なだらかな減少傾向になっていることが見てとれます。
 その下の世代ですが、緑の線が4歳です。その下にある濃い赤い線が3歳です。このように、未就学児、5歳未満ですが、この世代は小学生以上と違って夏休み以降もなだらかに上昇傾向を続けて、8月の初めを少し過ぎたところでピークを打って、その後、なだらかに下がっているというパターンを呈しております。直近で一番上にあるのが緑、赤ですので、やはりこの夏休みの間では一番感染リスクが高いのが未就学児の世代であることがお分かりかと思います。
 ちなみに、直近8月20日頃に小さい山がどの世代においてもできていますが、こちらはお盆の影響であると考えられます。
 5ページ目を御覧ください。各年齢別の中等症以上及び重症者の数です。表の左から0歳、1歳となっていて、一番右側が5-11歳です。例えば表の一番上の段が8月ですが、0歳の総数が4万200、うち中等症以上が24例、重症が21例と表示されております。重症例の割合は、括弧の中にあるように0.05%となっています。確かに重症例の割合は非常に低いのですけれども、分母が大きくなれば当然一定の重症例が発生することがお分かりかと思います。
 もう一つ注目すべきところが、この括弧の中の重症化の割合がどの世代においても今年の1月以降全く変化をしていないということです。今日はこちらに資料を出しておりませんが、成人世代においては1月以降、重症化率が低下してきています。これはオミクロン株に変わったこと、それからワクチンの効果があるわけですが、小学生の世代、さらに未就学児の世代はワクチンが十分接種されていないこともあって、重症化リスクは低いとはいえ、全く変化していないということを知っておく必要があります。
 私からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。質疑は後ほどまとめてということにさせていただきます。
 続きまして、大曲先生、よろしくお願いします。
○大曲参考人 よろしくお願いいたします。国際医療研究センターの大曲です。
 以前も御紹介しましたCOVID-19の入院患者さんのレジストリのデータに基づきまして、小児の入院患者さんにおける症状、バックグラウンド、重症度がどう変わってきているのかという点を御紹介いたします。
 2枚目をおめくりください。こちらには、厚生労働省のデータセットが公開されておりますが、それを基にして1週間ごとの日本全国での小児の新規陽性登録者数の推移を見ております。要は、波を繰り返すごとにそのピークは著しく高くなってきているところを、まずはイメージとしておつかみいただきたいと思って出しました。このうちのごくごく一部の患者さんが入院されるというところです。ですので、そのごく一部とされる、病院の中で診る子供の患者さんの様子はどうなのかというところを私はお話しいたします。
 3枚目に移ります。これはレジストリ研究で、現在、全体としては成人も含めて7万920例の登録があります。全数調査ではありません。入院、重点の医療機関の一部からのデータであるという限界がございます。
 4枚目でございます。今回、2021年8~12月をデルタ株の流行期と名づけまして、2022年1~3月をオミクロン株の流行期と定めました。それぞれの期間に登録されました18歳未満の患者さん、デルタが458人、オミクロン株の流行期が389人を対象としています。ただ、便宜上、時期に名前をつけましたが、一人一人の患者さんにおいて検出されたウイルスの株のタイプまで情報が得られているわけではありません。あくまで時期で分けているという点を御了解いただければと思います。
 5枚目に移ってまいります。ちょっと症状が先に出て申し訳ございませんが、出してまいります。一番上のところに、3か月未満、3-<24か月、2-6<歳、6-<13歳ということで年齢別の区分を設けまして、縦に人数、熱といった症状を並べてあります。
 まず、「38℃以上の発熱」というところを見ていただければと思います。数字が上下2段に並べて書いてありますが、上がデルタ株の流行期の数値で、下がオミクロン株の流行期の数値であります。赤で示した目立つところが2-6<歳と6-<13歳のところでして、38℃以上の発熱患者さんの比率はオミクロン株の流行期のほうが高かったというところがあります。
 咽頭痛に関してはまた違う傾向がありまして、特に13歳以上で見ますと、オミクロン株流行期のほうが咽頭痛を訴える方が60.2%と、比率としては高かった。
 また、一つ目立ってきたのはけいれんであります。特に2-6<歳、6-<13歳のところですが、デルタの流行期よりもオミクロン株の流行期のほうが熱性けいれんで入院された方の比率が高くなっているところであります。
 味覚障害に関しては、一般的には年齢が高くなれば出現頻度が高くなるというところがあったわけですが、6-<13歳、13歳以上のところでお分かりいただけるように、オミクロン株の流行期には味覚障害の発生率は低くなってきております。
 6枚目にお移りください。こちらを先に示すべきでした。患者背景のデータであります。デルタとオミクロン株の流行期、それぞれ年齢の中央値は8歳と6歳であります。基礎疾患の有病率でございますが、デルタの流行期は11.6%、オミクロン株のときには16.7%であります。一般的に患者さんが増えてくるとリスクの高い方が入院の対象になると思いますので、その反映かと思っています。
 また、入院前2週間以内の接触歴でありますけれども、目立った違いとしては、デルタの流行期よりもオミクロン株の流行期のほうが教育関連施設での接触歴を有する比率が高かったという点でございます。
 7枚目にお移りください。最終的な重症度を、必要とした医療のレベルで区分をしてございます。まず、我々の調査の中では死亡例はなかったことを申し上げておきます。ただ、全体としては別だというところです。デルタの流行期とオミクロン株の流行期で酸素が必要だった方の比率は変わっていまして、デルタの際が3.7%、オミクロン株の流行期は7.2%と上がってきております。より程度の重い方が入院していたということがお分かりいただけると思います。入院期間に関しましては、デルタ期が7日、オミクロン株の流行期は5日でございました。
 その次の8枚目でありますけれども、実際にそれをグラフで示しますと、必要とした医療の中身はこのような形であります。オミクロン期では酸素が必要だった方が7.7%であったというところです。一方で、侵襲的機械換気が必要だった方は0.9%だったというところでございます。
 9枚目にまとめを示しました。過去の流行期、いわゆるデルタまでの流行期と比較して、今年以降は発熱、けいれんを来す患者割合が増加していた。そして、酸素が必要だった方の比率も高くなっていたというところでございます。基礎疾患がある患者さんの感染が増加したことが、酸素投与患者さんが多かった一因と推測しております。ただ、入院患者数がこれだけ変わってきていますので、そもそも入院基準が根本的に変わってきていると思います。だからこそ、入院患者さんの臨床像が違って見えてきているところがあると思いますので、その点は申し添えます。
 私からは以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、齋藤先生にお願いします。
○齋藤参考人 皆さん、こんにちは。新潟大学小児科の齋藤と申します。日本小児科学会の予防接種感染対策委員会の担当理事をしております。
 本日は、子供のCOVID-19の現状とワクチン接種ということで、主に重症・中等症例の情報を中心にお話しさせていただきます。資料7を御覧ください。
 2枚目に、今日お話しする内容で、特に第7波における国内の小児重症・中等症例が増加していること、その精細をお話しさせていただきます。あと、御存じの方も多いと思いますが、8月10日に日本小児科学会からワクチンに関する声明を発表しておりますので、それを簡単にサマリーさせていただきます。
 あと、5-11歳の3回目ワクチンの有効性と安全性、それから6か月-5歳の小児におけるワクチンの有効性・安全性に関しては、後で事務局のほうから御説明があるということですので割愛させていただきます。
 3枚目です。これは、日本集中治療医学会がPICUや大人ICUに入院した小児症例などを集めているレジストリの報告です。横軸が今年の1月から、いわゆる第6波から第7波の症例数になりますが、赤枠で囲っているとおり、第7波、7月になってから症例数が増えていることがお分かりになるかと思います。最後のところは、決して報告が下がっているのではなくて、登録に時間がかかるため、8月もかなり多くの症例が報告されておりますので、この患者数はさらに増える予定です。
 4枚目になりますと、重症者数、死亡者数が7月になって急に増えていることがお分かりになるかと思います。
 先ほどの300例以上の重症例並びに中等症例の中で、特に第7波、7月に入ってからの131名の年齢分布になります。ここに示しますとおり、5歳未満が60%、5-11歳が30%ということで、小学生以下が全体の90%を占めております。
 入院の理由ですが、特に第7波になってから神経合併症、すなわちけいれん、急性脳症などの報告が多くなっております。この円グラフからも分かるとおり、40%程度がけいれんと急性脳症です。肺炎の症例、クループの症例なども見られます。
 7番目のスライドは、どこに入院したのか、どのような治療を受けたのかという資料になります。約7割がPICUを含む集中治療室に入院していること、3割に人工呼吸が行われていること、以上より重症例が増えているという報告です。
 そして、次のスライドは、基礎疾患の有無を3月から8月にかけて情報を追加して収集したまとめになりますが、この220例においては約3分の2が基礎疾患のない小児です。
 基礎疾患があるから重症化するのではないかという印象を持たれている一般の方々は多いと思うのですが、実際の臨床の現場にいて脳症の症例とか心筋炎の症例などを見ますと、ワクチン未接種、基礎疾患のない方が多いという印象を持ちます。
 あと、先ほどの重症例、中等症例のワクチン接種歴については、多分皆様が一番知りたいところだと思いますが、残念ながらこのデータがないのです。ワクチン接種歴のデータを追加でとるようにお願いしています。現場の医師からの印象は、ほとんどは未接種である。そういうところからも、ワクチンをしていたら救えたかもしれない命、合併症があり、特にこのような重症・中等症例でのワクチン接種歴の収集が必要であると強く感じております。
 最後に、日本小児科学会からの声明で、「日本小児科学会は、5-17歳の全ての小児に対して新型コロナワクチン接種を推奨します」という考え方を示しております。
 なぜここで声明を変更したかといいますと、今お話しさせていただいたとおり、また大曲先生からのお話もありましたが、小児の患者数が増え、全体の絶対数が増えることによって重症化する患者が増えている。一方で、最初に声明を出したのが昨年の11月ですが、このときと比べますと、かなり国内でのワクチンに関する有効性・安全性のデータがそろってきたというところから、「意義がある」という表現から「推奨します」という表現に変えています。
 13ページ以降は、先ほどお話しした具体的なワクチンのデータになりますので、割愛させていただきます。
 最後にまとめのスライドがありますので、御覧いただけたらと思います。
 以上になります。御清聴ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 鈴木先生、大曲先生、齋藤先生から、それぞれの立場からデータを示していただきました。ありがとうございます。
 続きまして、事務局からの資料について説明をお願いします。
○和泉ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
 資料1にお戻りいただきまして、22ページ目以降で、小児に対する新型コロナワクチンの接種について御説明させていただきます。
 23ページ目をおめくりいただきますと、今般、我が国で薬事承認をされました5-11歳に対する追加接種につきまして、特にファイザー社製のワクチンになりますけれども、薬事審査で確認された有効性をまとめております。中和抗体価の上昇といった免疫原性の試験、あるいは他の年齢層での有効性を踏まえて、PMDAにおいてワクチンの有効性が期待できるという判断がなされております。
 24ページ目、同様に審査における安全性の評価について、結論といたしましては安全性上の新たな懸念はなかったということで示されているところでございます。
 25ページ目にお進みいただきますと、リアルワールドにおける有効性の報告に関しまして1枚スライドを御用意しております。小児に対する初回接種の有効性は、こちらの図にあるとおり、時間の経過とともに低減していくということですけれども、12-15歳に対する追加接種、3回目接種を行うと、左下の下線部のとおり、発症予防効果が70%強まで回復することをリアルワールドで示した報告がございましたので、こちらを御案内させていただきました。
 26ページ目は、小児に対する追加接種の安全性に関するアメリカからの報告でございます。こちらは、3回目接種が2回目接種と比較しまして局所反応の出現頻度には有意な差はなかったという御報告がございましたので御案内いたします。
 27ページから30ページまでは参考と記載させていただいておりますが、初回接種に関する報告を再掲等で載せさせていただいております。
 特に安全性に関しましては、同じ製剤の使用実績という観点で、30ページ目のところは国内の報告でございますけれども、先ほど開催されました副反応部会におきまして報告がなされたものを収載させていただいております。
 続きまして、31ページ目と32ページ目にお進みいただけますでしょうか。諸外国の状況として、31ページ目が主に初回接種の関係、32ページ目が追加接種の関係で情報をおまとめしております。
 32ページ目を見ていただきますと、追加接種に関する推奨については、認可等がなされている国におきましては一定の推奨がなされていることが見てとれるかと思っております。
 33ページ目、これまでのまとめを記載させていただいておりまして、上半分は、今、参考人の先生方も含めまして御説明いただいたこと、あるいは有効性・安全性のことをおまとめさせていただいております。リアルワールドで、12-15歳で追加接種で発症予防効果が回復したというところが3個目の○に記載をさせていただいております。
 下側の事務局案でございますが、今般、薬事承認がなされたファイザー社製のワクチンによる5-11歳に対する追加接種について、有効性及び安全性に関する知見を踏まえまして、特例臨時接種に位置づけることとしてはどうかという事務局案でございます。
 引き続きまして、34ページ目以降で、接種対象者と接種の間隔についても併せて御説明させていただければと思います。
 35ページ目までお進みください。上側に審査の報告書、下側に添付文書の記載をしておりまして、添付文書上は5歳以上11歳以下ということで審査が通っている、接種時期につきましては、記載のとおり少なくとも5か月経過した後に3回目の接種を行うことができる、こういった記載がございます。
 36ページ目に移っていただきますと、まとめと事務局案を記載してございます。上半分のところは今御説明したことと同じでございまして、下側の事務局案を御覧いただきますと、接種対象者につきましては、先ほど御案内したリアルワールドのデータを見ますと、追加接種によって低減した発症予防効果が回復することが確認されているところで、5-11歳の小児においても同様の効果が期待できると考えられることから、5-11歳の小児に対する追加接種の対象者は、2回目接種を終了した全ての児としてはどうかというのが事務局案の対象者でございます。
 間隔につきましては、添付文書と同様でございますけれども、2回目の接種から少なくとも5か月が経過した後としてはどうかというのが事務局案でございます。
 事務局の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 2番目の議題ということで小児の接種ですけれども、まず5-11歳の追加接種についての御説明がありました。それから、参考人の先生方から状況についての御報告がありましたので、そちらも併せて委員の先生方から御質問、御意見等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 沼尾先生、お願いします。
○沼尾委員 御説明ありがとうございました。
 今回のお話を伺って、今、小児の感染が非常に拡大しているということと、それに対してワクチンを打っておけば重症化が防げたのではないかということも考えられると。そういう意味で、ワクチンを打つ機会を拡大するという観点から今回の案が出されたものと理解をしております。そういう意味で、選択肢を増やすことはとても重要だというところはよく分かるのですが、今回いただいた資料で一つ教えていただきたいのは、31ページ、32ページのところで諸外国の推奨状況のものが挙がっているのですけれども、32ページを見ますと、5-11歳の小児を対象とした追加接種3回目に対する基本方針として、米国とイスラエルについては全ての小児となっているのですが、それ以外のところに関しては記載がない。カナダについては、重症化リスクが高い基礎疾患を持つ小児ということで限定をしている。
 つまり、こういった形で、世界的に必ずしも3回というところに広がっていないというのは、3回目の接種に対して慎重に判断をしていこうという各国の対応があるのかなと、分からないなり疑問を持つのですけれども、これはどういう理由によるものなのかというところについて御説明をいただけないでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 これは諸外国の感染状況の違いもあるかもしれませんけれども、事務局のほうから今の沼尾先生の御質問に関してレスポンスはありますか。
○和泉ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。お答えさせていただきます。
 こちらはどういった判断でというところは、記載があればお答えできるところですが、ないところは推測になるところですけれども、御指摘いただいた32ページ目のカナダの推奨ですけれども、より重点的に重症化リスクの高い児が対象になると書かれていまして、そのほかの小児も「し得る」というような推奨になってございます。先生がまさに御指摘いただいた選択肢という観点でいいますと、その他のお子さんも全く否定をしないという記載ぶりだと認識しておりまして、より重症化リスクの高い人は推奨するというような、強弱があったのかなと理解をしております。
 記載のない国々につきましては、お薬自体もまだ承認されていないと承知しております。我が国に関しましても、今回、8月30日に薬事承認されて有効性と安全性が確認されたというところも契機としまして、今回、資料を御提示しているところでございますので、そういった各国の状況もあるのかなと考えております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 続きまして、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 世界中のそれぞれの国において推奨の仕方が違うということは一つあるかなと思いますが、先ほどの齋藤先生のデータを見ても、必ずしも基礎疾患がある人が重症化するわけではない。ない人も重症化しているということから考えると、恐らくそれぞれの国がしっかりそれを分けて判断しているとはとても思えないので、少なくともあるデータから判断すると、やはり全小児に推奨するというのが、今の先生方のデータから見ると妥当ではないかと思います。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 阿真参考人、お願いいたします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
 事務局案に賛成します。
 前回、前々回で議論したときに、接種を勧奨して努力義務をつけないということは、国内の知見がそろってくるのを待つということに関して妥当な判断だったのではないかと私は思っていました。その後も様々な方から御意見をいただいていまして、元気な人が打てないものを基礎疾患がある人が望んで打つわけはないという声を一般の小児科の先生方からいただきました。接種を希望する方の体制を整えることが大切ではないかと思って、そのように意見を入れていたのですけれども、基礎疾患がある方が打てていないということを複数の方から聞きました。一般小児科では、基礎疾患がある人だけを集めて接種するというのも現実的ではないというお話も伺いました。
 私の周りということでいうと、データがそろったから安全性に心配な要素が取れたので、接種という流れになっていたのですけれども、全体としてはもっと広い意見を聞いてみると、データが出たから、ではというふうにはなっておらず、不要であるという刷り込みを先にしてしまったのではないかという意見をいただきました。
 そういう様々な意見をいただいた結果、こうして重症化の子供たちが増えてしまったということに対しては申し訳ない気持ちも持っていますし、事務局案に賛同して、これから積極的に接種をしていきたいと考えております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 鈴木先生のデータにもありましたけれども、直接のエビデンスはないわけですが、大人の接種が進んでいるオミクロン株の流行期において重症化率は下がってきている。一方で、小児の重症化率は下がっていないという現実があって、感染者数が爆発的に増えているオミクロン株の流行において重症の子供たちが増えてしまっているという現実を考えると、今のワクチンの有効性・安全性は一定程度きちんと担保されている状況と考える必要があると私としても考えています。
 森尾先生、お願いします。
○森尾委員 ありがとうございます。
 私も事務局案に賛成です。
 大人の重症例のクライテリアと違う子供の重症者がいて、これは現場でも急性脳症とかけいれんの重積が多いという話になっているので、数字に表れない重症者はかなりいらっしゃると私は思っております。
 一方で、安全性についても大分データが集まってきておりまして、一番懸念される心筋炎とか心膜炎の頻度は上の年齢層に比べるとかなり低い。これは諸外国も全く同じデータなので、私はいろいろなエビデンスも十分そろった状況ではないかと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。参考人の先生方に対する御質問等でも構いませんので、ぜひよろしくお願いいたします。
 福島先生、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
 鈴木先生、大曲先生、齋藤先生、本当に貴重なデータの御提示をありがとうございました。それぞれのデータソースは異なるけれども、同じ傾向が見られているということも、大変重要なエビデンスではないかと思います。
 小児のワクチンについては、重症化率は低いのに、というような考えも一定程度ありまして、なかなか接種が進んでいない状況もあるのではないかと思うのですけれども、このようなデータをこの分科会から適切に発信し、ワクチン接種を受ける意義はあるということをきちんと伝えていきたいなと思います。その点では、特例臨時接種に位置づけないというのはあり得ないと思いますので、やはり無料で皆さんに接種していただける機会を確保してあげたいと思いました。
 沼尾先生から、諸外国の状況で、全ての小児に対して接種しているところがまだ少ないのではないかということでありました。その点については私も気になるところではあるのですけれども、最終更新日付が数か月前というところもございますし、重症化リスクが高い小児にというような方針を出している国の中には、全ての方が接種できるぐらい潤沢なワクチンを供給できないという状況もあった上での基本方針ということもあるかと思います。私は全ての国の状況は存じ上げないのですが、恐らく早晩アップデートされてくると思いますので、日本が我が国の疫学データに基づいて判断を行うという点が重要なのではないかなと思いました。
 以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 さらに御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがですか。
 中野先生、佐藤先生、齋藤先生です。
 中野先生、お願いします。
○中野委員 これまで委員、参考人の方々がおっしゃったことに全く反対ではなくて、同じ意見で、私も事務局案に賛成です。
 つけ加えるとしたら、感染症に対するワクチンで予防するという基本に関しては、きっとmRNAワクチンでも2回の接種プラス1回の追加接種でいい免疫がつくというのはもう分かっていることであって、なおかつ2回の接種では十分ではないということは大人の例を見ても分かっているのではないかと思います。
 なおかつ、安全性のデータが何十万人、何百万人あるかというと、これは前回私も同じ発言をいたしましたが、現状では私は安全上の問題は特段ないと考えていますが、このモニタリングはもちろん継続しないといけないですけれども、安全性に関しても懸念事項がなくて、これだけ感染が拡大しているのであれば、ワクチンの基本にのっとって予防すべき疾患であるので、当然3回目の追加接種は特例臨時接種として位置づけるべきであるという案に賛成でございます。
 以上でございます。
○脇田分科会長 中野先生、ありがとうございます。
 佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
 5-11歳の追加接種については、薬食審で認められており、効果と副反応についてもベネフィットが上回るという結論が得られたものと理解しております。そういったワクチンを特例臨時接種に置くことは合理的だと思います。
 とりわけ、早くに子供さんにワクチンを打たれた方は重症化リスクのある方たちが多かったと考えており、そういう方たちにタイミングよく3回目のワクチンが打てる環境を整えることが極めて重要だと考えます。
 そのこととは別に、冒頭、沼尾先生から御指摘のあった諸外国での追加接種に関するデータが十分でないことについては気がかりだと考える方も多いだろうと思います。
 それについては、子供さんの接種がなかなかスピードが上がってこなかったところもあり、すぐに3回目を皆さんが受ける状況ではないと思いますので、引き続きしっかり情報収集をして、適宜情報を出していくことが大事ではないかと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 ここは1回目、2回目の接種に関しても情報提供をしっかり進めていく。まだ子供たちは接種率が上がっていないということですので、そこはよろしくお願いしたいと思っております。
 齋藤先生、お願いします。
○齋藤参考人
 各国の状況というところで、3回目の接種とはちょっと離れますが、実は日本においては、例えば一般的に熱性けいれんの頻度とか、脳症、これはインフルエンザなどでも問題になりますが、ウイルス感染症における神経合併症というのは人種差があって、諸外国に比べると日本人、アジア人は頻度が高いことが知られています。同じような状況がアジアの小児感染症専門医の間でも言われていまして、韓国の専門家からも同じような脳症、熱性けいれんの合併の症例が多い印象があると、話を聞いています。
 ですから、人種差なども、ワクチンの今後の在り方を考える上で、日本においては考えておかなければいけない一つの重要な因子と思いました。
 以上です。
○脇田分科会長 齋藤先生、貴重な情報をどうもありがとうございます。
 鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 5-11歳に対する追加接種を臨時接種に位置づけるということに賛成します。
 先ほど、阿真参考人からの御意見も伺いながらのコメントです。
 今、新型コロナの流行の中で、流行の状況、変異株の状況もどんどん変わっていっています。ワクチンも次々と新しいものが開発されて、また回数が増える中で、有効性・安全性についても、もう日進月歩で新しいエビデンスが更新されているという中で、判断をするのがとても難しい状況に迫られています。ここに参加されている方々は共有されていると思います。
 急激に状況が変わる中で、安全サイドを取るというのは一つのセオリーだと思っています。それでも、常に遅れなく状況を見ながら、新しいデータが出てくれば、それに基づいて判断を更新していくというのが大事なのだと思います。
 そうした意味で、小児に対するワクチン、まさに前回の努力義務の議論とか、あるいは今日お話のあったように小児科学会から接種推奨という声明が出されたということは非常に心強く思っています。こうした方針が少しずつ改良されていく中で、小児に対するワクチンの接種率も上がっていくことを期待しています。
 以上、コメントです。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 川俣市長、お願いします。
○川俣委員 私も事務局案に賛成です。
 ただ、これだけ打たない方たちのほうが重症化になる、子供のほうがひどいということが分かってくると、もうちょっと変わってくるのかなと思っています。今、打とうか、打つまいかと迷っている人たち、初回もまだ打っていない方も結構いるので、そういう意味での後押しにもなるのではないかなと思います。躊躇していた方が多いと思いますので、それに3回目というのが出てくると、打ったほうがいいのかなというのは推奨されるのかなと思います。
 ただ、努力義務という言葉だけで走られるのが心配なだけで、小児学会からのお墨付きをいただいたような形になるのが行政側としては安心感があるのかなと思っています。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 今岡参考人、お願いいたします。
○今岡参考人 やはり迷われている保護者の方がすごく多いように感じます。効果とか安全性が認められていることですので、その情報が正しく伝わるように提供するということをお願いして、私も賛成したいと思います。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 大体よろしいですか。
 それでは、5-11歳の追加接種のところは、皆さんの御意見をまとめますと、多くの方が事務局案に賛成をするということで、5-11歳の小児に対しての追加接種を特例臨時接種に位置づけることに賛成をするという意見だったと思います。
 ただし、一つは諸外国の状況がまだ不透明なところがあるということですので、それに関しても様々御意見がございました。アジア、日本での特徴ということもあるし、ワクチンの供給状況はどうなのだろうか、そういったところもございました。
 それから、追加接種の重要性は成人でも明らかなように、初回接種プラス、ブースターでよい免疫がつくといったところが中野先生からもお話がありました。安全性も問題ないと。
 こういったワクチンの効果、有効性・安全性をしっかりと広報して周知をする。それから、小児学会のお墨付きということがありましたけれども、そういったところで周知をして、小児のワクチンは1回目・2回目がまだ進んでいないですから、3回目といっても初回が終わった方に適切な時期に打っていただくことも重要なのですけれども、まずは1回目・2回目もしっかりと進めていただくことが重要なのだろうと思います。
 まとめさせていただきましたけれども、事務局、これは諮問事項ということでお答えするということでよろしいですね。
○和泉ワクチン情報分析専門官 よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 分かりました。
 それでは、33ページのところを御覧ください。これは、5-11歳に対する追加接種については、特例臨時接種として実施をするということを諮問されておりますので、そのようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆様、ありがとうございました。
 それから、36ページを御覧ください。こちらも、接種対象者は5-11歳の2回目接種を終了した全ての児、接種の間隔については2回目接種から少なくとも5か月を経過した後というところでありますけれども、これでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 その次は6か月-4歳に小児に対する追加接種に関してということで、諮問事項はこれで終わりですけれども、事務局から引き続き説明をお願いいたします。
○和泉ワクチン情報分析専門官 事務局でございます。
 では、37ページ以降で御説明させていただきます。
 こちらにつきましては、まだお薬のほうが薬事承認をされていないという状況でございますので、あくまで海外の議論の御紹介というところで簡単に御案内させていただければと思います。
 38ページ目から、モデルナ社のワクチンの海外における議論、試験の結果等を御案内しております。
 39ページ目にお進みいただきまして、このワクチンの有効性の知見の結果で、VEが一定程度確認されているというところを御案内しております。
 40ページには、安全性の報告として海外におけるデータを御案内しているところでございます。
 41ページ目以降がファイザー社のワクチンでございます。こちらは、海外の情報によりますと、3回接種で初回のシリーズと聞いておりますけれども、こちらの免疫原性、そして42ページ目はワクチンの有効性、発症予防効果というところで、80%くらいの有効性等が確認されているといった情報が海外からございましたので、御案内でございます。
 43ページ目は、ファイザー社製のワクチンの安全性について、どのような症状が起こったかというところを海外の議論で紹介されておりましたので、御案内でございます。
 44ページ目にお進みいただきますと、諸外国の状況を同様のフォーマットでまとめております。乳幼児の年代の接種はそれほど多くの国々でやられているという状況ではないようですが、アメリカ、カナダ、イスラエルなどで接種されているということをお調べいたしましたので、まとめておるところでございます。
 45ページ目、最後の○にございますけれども、我が国におきましては現時点では薬事承認されておりません。先ほどの御議論でもいただいたとおり、海外の情報、あるいは国内でも今後薬事承認されましたら情報が出てくるかと思っておりますので、引き続きしっかりと情報収集を進めていきたいというところで結論させていただいております。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 「生後6か月~4歳の小児に対する初回接種について」ということで、今日は情報提供ということでありますけれども、先生方から御質問、御意見等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、前に進めさせていただいてもよろしいですかね。
 続けて、事務局から御説明をお願いできますか。
○和泉ワクチン情報分析専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
 46ページ目以降、「小児に対する公的関与の規定の適用」について御説明させていただきます。
 47ページ目は制度の御説明でして、こちらは繰り返しお示ししておりますので、説明を割愛させていただきます。
 48ページも、5-11歳の小児に対する追加接種の場合の公的関与の規定、すなわち接種勧奨及び努力義務の規定の適用をいかに考えるかというところで、現状をマル1、マル2のように表としておまとめしております。これまで御案内してきたことと重複しますので、内容の説明は割愛させていただきます。
 49ページ目にお進みいただけますでしょうか。1つ目の○は、感染状況のことを記載しております。本日、参考人の先生方にも詳細に御案内いただきましたが、小児における感染の動向について記載させていただいております。
 2つ目の○が有効性に関することでございまして、先ほど御案内したとおり、5-11歳の追加接種は我が国において薬事承認をされましたが、リアルワールドのデータにおきましても近接した年齢区分で感染予防効果が追加接種によって回復することが確認されておりまして、オミクロン株流行下における一定の有効性を示唆する報告があるという認識をしております。
 安全性につきましても薬事の審査において大きな懸念はないと評価されておりますし、海外におきましても追加接種による局所及び全身反応の頻度は、こちらは先ほど御案内したとおり、2回目接種と比較して有意な差はないという御報告があったかと思います。
 以上を踏まえまして、事務局案でございますが、5-11歳の小児に対する追加接種につきまして、オミクロン株流行下での小児における感染動向、追加接種のオミクロン株流行下における有効性及び安全性に関する知見等を踏まえまして、これに対する努力義務の規定の適用についてどう考えるか、御議論いただければと思います。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 これまでも特例臨時接種における公的関与の規定の適用については、妊婦さんや小児の接種のところで議論を進めてきたところです。少し前に小児の初回接種について努力義務を適用するという結論を出して、それで今回は追加接種のところでありまして、今日お示しいただいた有効性・安全性、それから蔓延の状況というところでどう考えるかというところですけれども、これまでの議論を踏まえれば、努力義務を適用しないとするような理由はあるかどうかというところに論点が絞られるかなと思いますが、その点、皆様から御意見があればいただければと思います。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 以前から何度も申し上げておりますが、接種主体の市町村として、努力義務があるからということで接種される方に強制することは一切ございません。皆さんも御存じのように、もともと努力義務という概念がちょっと古いのかなというところです。将来、この法律条項は考えなければいけないということはさておいて、1回目・2回目に努力義務があって、3回目は努力義務を外すというのは整合性が取れないということと、やはり努力義務を外すという議論は、それ以上に一般の国民にこのワクチンは安全なのかなという不安のインパクトを与えてしまうというマイナス面が、私は前回の議論の中で非常に大きかったと思います。
 自治体としては接種勧奨のほうが重要で、接種勧奨というのは、このワクチンはいいワクチンだからぜひ打ってくださいと自治体が勧める行為が接種勧奨なので、本来そっちが論議になるのは分かるのですけれども、この努力義務に関して私はあまり論議する内容ではないなということだと思います。それを踏まえて1回目・2回目同様、この努力義務というのはつける必要があると私は考えております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 沼尾先生、お願いします。
○沼尾委員 基本的なところを1点御教示いただければと思います。
 今回、いろいろエビデンスも示していただいていて、これまでの議論の流れからいくと努力義務の規定をつけるという話になると思うのですけれども、エビデンスの解釈の仕方で御教示いただきたいのは、これに関して近接した年齢区分、つまり12歳以上のところでの有効性が確認されているというところに対して、それを5-11歳に当てはめて問題ないと考えてよろしいのかどうかというところについてだけ御説明をいただけないでしょうか。
 やはり皆さん、安心して接種したいというところもあると思いますし、エビデンスに対して理解をしたいところもあると思うので、お一人お一人がエビデンスに基づいてどうするかを判断にするに当たって、これは12歳以上だけれども大丈夫なのかなということではないのであれば、そのようなことだということでぜひ御説明いただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほかにはいかがですか。
 それでは、まず事務局に御説明をいただいてよろしいですか。
○和泉ワクチン情報分析専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
 では、専門の先生方がおられる中で恐縮ですけれども、事務局から御説明させていただきます。
 薬事のほうで有効性の評価をされていると承知しておりまして、まず、免疫の抗体価が上がるという話は御案内したかと思います。薬事上、基準を設けて抗体価がしっかり上がるかどうかというところをチェックしたのかなと理解していまして、こちらは基準をクリアしているというのが一つあるかと思います。
 加えまして、ほかの年代でリアルワールドのデータがどうかということだったかと思うのですけれども、12-15以外の大人も含めて様々な年代の3回目接種の有効性はこれまで分科会でも御議論いただいたのかなと思っていて、ほぼあらゆる年代において3回目の有効性は論文上も確認できてきたのかなと理解している中で、事務局としては5-11歳の年代においても、これが同じように考えられない理由は現時点ではないのかな、この年代にも同じような効果が期待できるのではないかと理解しております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 先ほど中野先生も追加接種、ブースターによってより免疫がつくといったコメントがございました。
 中野先生、何か追加のコメントはございますか。
○中野委員 先ほど沼尾委員が御指摘いただいたのは、12歳以上のところで追加接種が有効だということを5-11歳に適用していいのかという趣旨の御質問かなと思ったのですけれども、私の観点で申し上げれば、それはmRNAワクチンを人体に接種するにおいて、2回の接種と3回目の接種の位置づけという点で、抗原量が5-11歳は3分の1で、量が少ないわけでございますけれども、同じように追加免疫効果があるという意味で、確かに年齢対象は違うわけでございますけれども、接種回数と有効性という観点からは問題ないと私自身は考えております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局から補足でございます。
 中和抗体価についてですけれども、23ページのファイザー社試験のところを見ていただきますと、中和抗体価が上がったということだけではなくて、2回目接種のときに比べて、それよりも中和抗体価が3回目接種のほうが高かったといった結果でございます。つまり、2回目接種のときにはVEが確認されているわけで、そのときよりも中和抗体価が高いということを一つの材料にしているものでございます。それと、今御議論いただいたような接する年代というところがある。こういった総合判断としてということでございます。
 以上です。
○脇田分科会長 23ページ目の2回目接種と比較して3回目接種後の中和抗体価の比が上昇しているということですね。ありがとうございます。
 そのほか、いかがですか。大体よろしいでしょうか。
 今、沼尾先生から御質問がありましたが、事務局や専門家の先生からもコメントをいただきました。
 それで、事務局の提案というか、どう考えるかということですけれども、我々としては、この分科会として新型コロナワクチンの5-11歳に対する追加接種については、努力義務の規定を適用しないこととする特段の理由は認められないと考えるという形で結論したいと思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 次が、議題の2です。関係法令の改正について、事務局から説明をお願いいたします。
○原田予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 関係法令等の改正イメージ、マル1、50ページを御覧ください。
 初めに、予防接種実施規則、省令について、新型コロナウイルス感染症の予防接種の第1期追加接種を規定する第8条第1項第3号において、3回目接種でございますが、ファイザー社の小児ワクチンの初回接種を終了後5か月以上の間隔を置いて1回筋肉内に注射する等の実施方法を追記させていただきたいと存じます。
 次の51ページでございますが、こちらは大臣指示でございます。同じく、第1期追加接種、3回目接種のワクチンの種類及び対象者を規定する、3の(2)において御議論いただいたファイザー社のワクチン小児用について追記するとともに、その対象者を5歳以上12歳未満の者と追記いたしたいと思っております。
 52ページでございますけれども、こちらは省令改正、大臣指示の改正をお認めいただいた際に行う予防接種実施要領の改正イメージでございます。5-11歳用のファイザー社製ワクチンについて、対象者を5-11歳の者とするほか、接種量や接種間隔等に関して詳細な規定を設けさせていただくということで考えております。
 本日は、この省令改正と大臣指示の改正につきまして、委員の皆様にそれぞれの要綱をお諮り申し上げます。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 先ほど結論させていただいた5-11歳への追加接種に関する諮問事項であります。これで諮問された原案どおりにお認めいただけるかどうかということですが、先ほどと内容は同じでありますので、この原案どおりにお認めいただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。大きな反対意見はないと考えさせていただきました。ありがとうございました。
 それでは、事務局におかれましては必要な手続を進めていただくようにお願いします。
 少し駆け足になっていますけれども、議題の3、「予防接種法の改正案について」に移りたいと思います。こちらは報告ですね。事務局から資料2について御説明をお願いいたします。
○原田予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、資料2に移る前に、本日開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、次の感染症の危機に備えるために、感染症法などの改正について速やかな必要な法律案の提出を図ることとされたところでございます。予防接種法の改正についても、その一部として必要な改正を行うことと考えているものでございます。その上で、本日は予防接種法の改正案の概要について、資料2を用いて事務局より御説明申し上げます。
 まず、2ページ目から4ページ目においては、予防接種に関する政府決定文書等をお示ししております。
 初めに、2ページ目に記載の本年6月の新型コロナウイルス感染症対策本部決定において、予防接種については、今後の感染症危機に備えるため、体系的な接種類型の整備、デジタル化の推進、接種記録等のデータベースの整備等によりまして、効率的にワクチンの接種を進める仕組みを構築するとされております。
 次に3ページ目でございますが、特にデジタル化については、本年6月に閣議決定されました「令和4年デジタル社会の実現に向けた重点計画」というものがございまして、その中で予防接種事務全体のデジタル化に取り組むこと、予防接種の実施状況、副反応疑いの報告に関する匿名データベースの整備等を行うこととされておりまして、この取組について、総務省などが行っている地方公共団体の基幹業務などのシステムの統一化が令和7年度までに行われるということになっておりますので、それを目途にこちらの環境も整備していきたいと考えているところでございます。
 最後に、4ページ目については、本年改正された医薬品医療機器等法の附帯決議をお示ししおります。同じく安全性等に関する調査を的確に行うため、データベースを整備することとされてございます。こうした決定を踏まえて、今般、予防接種法の改正案の速やかな提出を目指しているところでございます。
 次に5ページを御覧ください。予防接種法の改正概要を御説明する資料でございます。まず、臨時接種類型の見直し等でございます。疾病の蔓延予防上の緊急の必要がある場合に、厚生労働大臣が都道府県知事または市町村長に指示をして、臨時接種を行う類型を設けさせていただきたいということと、国民の生命・健康に重大な影響を与える疾病に係る臨時接種については全額国の負担とさせていただくことについて法律改正を行います。
 そのほか、円滑な接種の実施、ワクチンの確保等のための所要の規定を設けることを考えておりまして、この部分については市町村への情報提供や損失補償契約の枠組みの整備などを検討中でございます。
 次に、予防接種事務のデジタル化等でございます。こちらは大きく2つありまして、医療保険と同様のオンライン対象者確認の導入と、予防接種データベースの整備を行うため、法令上の環境を整える改正を行いたいと考えております。
 6ページについては、接種類型の見直しの詳細です。詳しく説明させていただきますと、新型コロナワクチンは現在特例臨時接種として予防接種法の附則7条に位置づけられてございます。こちらは全額国費で行われているところでございますが、接種主体は市町村長ということだけになっております。
 先ほど申し上げたように、今後の感染症の危機に備えて、特例となっている臨時接種を本則のほうに移しまして、新型コロナウイルス感染症のみならず、全国的かつ急速な蔓延により国民の生命・健康に重大な影響を与える疾病というものが蔓延予防上の緊急の必要がある場合についても、全額国費で臨時接種を行うという仕組みを手当ていたします。
 また、次の感染症の危機に備えるため、臨時接種全体の中で、都道府県知事なのか、あるいは市町村長なのかというところで、厚生労働大臣から指示ができるという形で見直しも行います。
 最後に、7ページ、8ページでございます。こちらがデジタル化の法律改正の詳細でございます。
 現状は、自治体が予診票、接種券、費用請求などについて、全て紙で行っていただいているところでございますが、こちらを効率化するということで、個人番号カードを用いたオンライン資格確認を導入したいと考えておりまして、費用請求も含めて事務の効率化を図りたいと考えてございます。
 2番でございますけれども、有効性・安全性に関する調査については、厚生労働大臣が現在自治体から予防接種の実施状況を把握していないということと、情報の基盤がないということでございますので、これを改正しまして、まず自治体は予防接種の実施状況について厚生労働大臣に報告をするという義務を設けます。その上で、先ほど申し上げたデータベースを整備しまして、NDBなどのデータベースとも連結を可能にしまして、有効性・安全性に関する調査・研究を充実させたいと考えてございます。
 8ページは、これを模式化した形の図となっております。こちらの支払基金のオンライン資格確認システムとか、新たにつくる予定の予防接種記録・予診情報管理システム、あるいは予防接種データベースを用いまして、先ほど申し上げたような仕組みを構築したいと考えております。
 こちらに書いてあるシステムの構成等については、今後変更があり得るところでございますが、法律上はこういった形でデジタル化を進められるような整備を考えております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 予防接種法の改正の案についての報告ということですけれども、第一には臨時接種類型の見直し、2番目には予防接種事務のデジタル化ですね。
 コロナの流行を踏まえて特に進めなければいけないところについて、今般、改正案を出していくということだと思うのですけれども、実はコロナの流行前に、基本方針部会やワクチン分科会で定期的な5年ごとの見直しに向けての様々な論点というところで議論を我々もしてきたところです。そういったところに、デジタル化やNDBとの連結というところは常に俎上に上がってきた論点だったと思います。
 ですから、今回これが重要なので進めますよということは確かにそうなのですけれども、そのほかにも様々な論点があるところだと承知しています。その議論が今、コロナで全く止まっているということなので、そういったこともこれから進めていく必要があるということでありますので、もちろん厚労省予防接種室の皆さんは大変お忙しいし、我々もそうなのですけれども、予防接種の政策を前に進めるためにそういった論点の見直しも進めていく必要があると思いますので、ぜひよろしくお願いしますというのが座長としての私の意見ですということをまず申し上げておいて、構成員の先生からも御意見をいただければと思います。
 磯部先生、お願いします。
○磯部委員 ありがとうございます。
 脇田先生がおっしゃったことと同じようなことを繰り返すので恐縮ですが、法改正の話なので一言。
 今回の予防接種法の改正について、どこまで事前に審議会は関わるのかというと、諮問・答申という形を取らないので、専門家による調査・審議のプロセスが必ずしも重視されていないという印象は否めません。例えば、臨床研究法の改正などと比べれば違いは顕著で、それでいいのだろうかということなどは疑問はなしとしませんが、それは感想にとどめます。
 今回の改正も、内容自体に大きな異論があるわけではないし、むしろ賛成の部分も多いのですね。自治体から情報を国に集められるようにするというのは、本当に一番大事なところだと思いますが、2点だけ手短に。
 今、脇田先生がおっしゃったように、平成25年の改正法のときに検討を加えて所要の措置を講ずるという話があり、それが2018年から基本方針部会では、接種類型もそうですけれども、定期接種下のプロセスだったり、熊本の地震もあったのでワクチンの安定供給をどうするか、多様なテーマが挙げられていた。今回、データベースの構築の話も出てきますけれども、当時も接種記録の位置づけとかその利活用といったことは議論があった。
 先ほど記録を見たら2019年10月の分科会でしたが、それらを受けて、今後学会や関係団体や自治体にヒアリングを行って、論点整理から提言につなげるというイメージでいた。それを今回全部すっ飛ばしてこの2つだけが取り上げられているということで、おいおい大丈夫かという気になったというところが多分脇田先生と同じなのだと思っています。
 なので、1点目は確認ですけれども、そもそも法改正はこうやって場当たり的に、部分的に、突貫工事的に急に始まって急に終わるというやり方でいいかといえば、私はやはり否定的に考えております。少なくとも今回は必要に迫られてやることになったことをやっているのであって、本来、そのほか幅広く見直す必要な作業は別途きちんとやるということでよろしいですねということの確認をしたいというのが1点目です。
 2点目は、後半のデジタル化の件ですけれども、これまでも既にV-SYSやVRSなど複数のシステムが乱立して、種々の不具合があっただけではなくて、システムの連携も十分ではなく現場の負担が増しているとか、効率化のためのはずが現場の使い勝手が重視されていない、入力作業が増えて本末転倒ではないかといった批判は様々聞かれてきたところであります。
 今回は取りあえず法律上の情報の融通をする裏づけを与えるということであるのだろうと思うのですけれども、今回、これが致命的に拙速な進め方であったと後悔しないように、どういうふうなデータベースの在り方が本当にいいのかを多様な意見を聞きながら考えていくプロセスはしっかり進めていただきたいということを申し上げておきたいということです。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 デジタル化の点で1つお聞きしたいのです。まず最初に、デジタル化というのは我々市町村にとっても非常に歓迎すべきだと思います。接種券を配ったり、いろいろなシステムを使ってやったり、紙ベースでやったりと、正直言ってすごく後進国レベルにあるのではないかというのはどなたも感じていると思うのですね。日本なのに後進国性が非常に強かった。それを今回デジタル化でちゃんとしていこうというところで、一つ質問は、例えば予防接種を受けた方が副反応等で医療機関を受診したときに、その人は予防接種を受けてこういう症状が出たというデータの集約はこのシステムで可能なのですか。
 そうすると、予防接種という報告と、もう一つは医療機関受診ということから、予防接種の副反応という情報も取れるので、そういうシステムとしてつくられるのかという点を1点お聞きしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 福島先生、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
 磯部先生から非常に厳しい御意見をいただいて、本当にそのとおりだとは思うのですけれども、私自身は今回この分科会で8枚目のデジタル化イメージを出していただいたことについては大変感謝を申し上げております。
 2013年にこの分科会が設置されたと思うのですけれども、私はその当時からメンバーに入れていただいておりまして、その1年後ぐらいに予防接種基本計画を策定したと思うのですね。そのときに、予防接種台帳のデータ管理の在り方とか、当時はマイナンバーとは明記されていませんでしたけれども、それをもちろん念頭に置いたような文言もあり、国が保有するレセプトデータの活用等も記載されております。そこから不定期に分科会あるいは基本方針部会等で議論されてきたところ、実質進んでいなかったわけです。また、私自身、HPVワクチンの安全性調査に携わって、2年ぐらい、ほかの仕事ができないぐらいの労力を費やして調査を行いました。その中で、このような仕組みが絶対必要だということで本省にも申し上げてきたのですけれども、厚生労働省だけではなかなか実現できない。これは省庁横断的にやっていかなければいけない大きなことなので、難しいですねという回答でした。
 ところが、今般のコロナという病気は、やはりここにも大きな意識変革をもたらしてくれたのだなと。きっかけとして私は歓迎したいと思います。もちろん、このポンチ絵どおりにいくとは限りませんし、これが実現したからといって全てが解決するわけではない。本当にみんなが望んでいたシステムなのかというのはきちんと議論して検証していかなければならないのですけれども、まずこの図を提示していただいたということに、私は今日感謝申し上げるともに、これをアカデミアの一研究者として応援していきたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 厳しい意見もあり、温かい励ましもありというところだと思います。
 追加の御意見はございますか。
 それでは、御報告ということですけれども、今、委員の先生方からの御意見や御質問がありましたので、事務局からレスポンスをいただければと思いますが、いかがですか。
○原田予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 まず、磯部先生の御批判については、我々も真摯に受け止めたいと考えております。
 脇田先生からも御説明がありましたけれども、予防接種法の一部改正をする法律というのが平成25年にありました。そのときに、伝染病のおそれがある疾病の発生とかそういったものについて検討を加えることとされておりまして、その中で基本方針部会で御議論いただいていたと承知をしております。
 一方で、まさに福島先生もおっしゃっていただいたと思うのですけれども、今回、新型コロナウイルスの蔓延がありまして、この間様々な状況変化があったところでございます。もろもろ議論が滞っているというのは我々も承知しておりますが、今後の感染症危機に備えるため、こうした改正については急務であると考えたところでございまして、円滑なワクチンの接種の実現のため、このような改正案を考えさせていただいたところでございます。
 御批判については真摯に受け止めて、実際にシステム等の調整については今後様々な関係者とともに構築をしていきたいと考えておりますので、決して変なシステムができないように、あるいはユーザーが使いにくいシステムにならないように、そこの辺りは令和7年度まで時間がありますから、しっかり調整をさせていただきたいと考えております。
 デジタル化のデータ集約について坂元先生から御質問がございました。説明を省いてしまって恐縮ですけれども、8ページを改めて御覧いただきまして、8ページの赤い線の右側の一番上に「予防接種データベース」というものを書かせていただいております。こちらのほうに接種記録とか副反応疑い報告の情報、さらにはNDBと連結することによりまして、保険診療情報を突合する形で、匿名データベースとして構築するということでございます。
 したがいまして、システムがうまく稼働すれば、予防接種を打った方がどのような副反応があり、あるいはどのような保険診療を受けたかというような情報をこちらのほうにプールをして、それを研究等に活用できるようなシステムを考えてございます。
 こうしたシステムについては、改めて調整した上で、デジタル化というところが政府としても目指すところでございますので、予防接種事務全体のデジタル化に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 こういったデータベースが確立、構築され、運営されることは非常に重要だと思いますが、もちろんこういった箱物といいますか、システムをつくるだけではなくて、これの運用とか分析といったところを、今、鈴木先生がうんうんと言っておりますけれども、他国の状況を見ますと、つくるだけではなくて、運用、分析に非常に多くのマンパワーが必要なのですね。ですから、そういったところもしっかりと準備といいますか、計画をして、人員配置も適切にしっかりやっていかないと、ちゃんと運用はできないのだろうなと思っておりますので、そこも手当てをよろしくお願いしたいと思います。
 ほかにございますか。よろしいですかね。
 ありがとうございます。
 それでは、事務局におかれましては、今回いただいた意見について留意して検討を進めていただけるようにお願いしたいと思います。
 私の不手際で時間が過ぎてしまっておりますが、議事は以上となります。
 そのほか、事務局から何かございますか。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
 本日も長時間にわたり活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては追って御連絡させていただきます。
 事務局からは以上でございます。ありがとうございます。
○脇田分科会長 構成員の皆様、遅くまでありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。