2022年8月5日 令和4年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

日時

令和4年8月5日(水)16:00~18:00

TKP新橋カンファレンスセンター16D

(東京都千代田区内幸町1-3-1)

議題

  1. 1.改正医薬品医療機器等法について
  2. 2.薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめについて
  3. 3.その他

議事

○衣笠総務課長 定刻になりましたので、ただいまから令和4年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに事務局から、連絡事項を申し上げます。本日は、新型コロナウイルス感染症対策のため、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、本部会を進めさせていただきます。本部会については公開とさせていただきますが、新型コロナウイルス感染症対策のため一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日、公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
 厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの制度部会開催とさせていただきますので、資料をお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。分量が多く、1ページずつ進めるのが大変な場合はお手元の操作説明書、表面の下から裏面にかけて、任意のページを指定して表示する方法が載っておりますので御活用ください。操作などで御不明な点がありましたら適時、事務局がサポートいたしますのでよろしくお願いします。
 最後に、審議中の御意見や御質問の方法についてお知らせします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員においては挙手をしていただき、部会長から指名されたら卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。またオンラインで御参加いただいている委員においては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZOOMの挙手ボタンを押していただき、その後に部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また御発言が終わりましたら、ミュートにしていただきますようお願いいたします。
 続いて、今年度に入り2名の委員の交代がありましたので御紹介をさせていただきます。日本医師会副会長の茂松茂人委員です。
○茂松委員 日本医師会副会長の茂松茂人と申します。この度、猪口副会長の代わりに参りました。国民の医療を守る立場から意見交換をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○衣笠総務課長 続いて、本日は欠席の御連絡を頂いておりますが、東京都福祉保健局健康安全部薬務課長の中島真弓委員が、今年度より委員に就任されております。そのほかの委員は、昨年度から変更はありません。本日は本田委員が急きょ、対面からオンラインに切り替えての出席を頂いております。また先ほど申し上げましたとおり、中島委員は欠席と御連絡を頂いております。事務局については、座席表に記載のとおりです。昨年度に引き続き、部会長は福井委員、副部会長は赤池委員です。それでは本部会の開会に当たり、厚生労働省医薬・生活衛生局長の八神から御挨拶を申し上げます。
○八神医薬・生活衛生局長 6月に着任をいたしました八神と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず、委員の皆様においては日頃より厚生労働行政、取り分け医薬行政に御尽力をいただきまして、御支援、御理解いただきまして誠にありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 また、本日、御多忙のところ会議に御参画いただきましたことを改めて御礼を申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。医薬・生活衛生局ということで、私どものミッションといいますのは、安全で有効な医薬品等の提供を通じて、国民の健康を守ることです。このミッションが十分達成できるように全力で取り組んでまいります。
 国民のニーズが多様化、複雑化をしている中で、医薬行政においても様々な課題に直面をしております。このため、この医薬品医療機器制度部会を、節目節目で開催して御議論をいただきたいと考えております。昨年11月から緊急承認制度について集中的に御議論をいただき、とりまとめをいただきました。それを踏まえて、本年5月に改正薬機法が成立し、公布をしております。改めて委員の皆様の御協力に感謝を申し上げます。本日は改正薬機法の概要のほか、本年2月より赤池委員を座長として開催した、薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループのとりまとめについて御報告をいたします。
 また、そのほかの議題として、本年3月に設置を御了承いただきまして合田委員に委員長を務めていただいている大麻規制検討小委員会の議論の状況について、御報告をいたします。本日の議論を今後の行政運営へいかしていく所存です。委員の皆様からは是非、忌憚のない御意見を頂戴できると幸いです。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠総務課長 間もなく議題に入りますので、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。それでは、以後の議事進行を福井部会長にお願いいたします。
○福井部会長 座ったまま失礼いたします、今回も部会長を仰せつかりました福井です。どうぞよろしくお願いいたします。前回は、緊急承認制度に関わる、法律の改正に至るまで何となくばたばたと会議を行ってきた気がしますけれども、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。緊急承認制度については、議題1のところで現状も含めてお話しいただけるものと思っております。それでは、議題に入ります。本日は3つの議題が用意されております。最初の議題1について、事務局から説明をお願いいたします。
○伊藤企画官 資料1、改正薬機法について御報告いたします。スライド2枚目です。冒頭、局長からも御説明しましたが、昨年末に制度部会において取りまとめいただいた報告書に基づき、改正薬機法が成立いたしました。大きく2つあります。1つ目が、緊急時の薬事承認制度を創設することです。②に記載の、安全性の確認を前提に、医薬品等の有効性が推定されたときに、薬事承認が与えることができる新たなスキームが創設されております。もう1つが、電子処方箋の仕組みの創設です。こちらは、来年1月の運用開始を目指しています。
 スライドの3です。電子処方箋に関する法改正事項について簡単に御紹介します。例えば、支払基金で、電子処方箋の管理業務を行うために必要な管理規定を置くことや、個人情報保護法との関係が今回整備されております。
 スライドの5枚目です。こちらも既に御紹介がありましたとおり、5月に成立し、既に公布しています。先月20日の薬食審におきまして、塩野義のゾコーバ錠といったコロナ治療薬については緊急承認制度の適用を含め審議が行われ、継続審議となっております。右下に、法案の国会審議の状況を参考までに付けておりますが、衆議院、参議院の参考人質疑においては、制度部会の委員の先生方にも意見陳述という形で御参加いただき、ありがとうございました。スライド6です。公布のタイミングで承認審査の考え方、ガイドラインを示しており有効性・安全性の評価、適用の要件等々について、お示ししています。先般のゾコーバ錠については、この有効性・安全性の評価、ガイドラインに基づいて審査を行い、審議の上、継続となっているのが今の状況です。
 続いてスライドの8枚目、電子処方箋についてです。来年1月の運用開始ということで、残り半年を切っておりますが、現状では各医療機関、薬局においての電子処方箋システムの改修のお願いをしている状況です。スライド9です。国からの補助が出る形になっており、令和4年度予算額383億円を用意しており、各施設規模に応じた補助が適用されるということです。
 スライド10枚目です。来年1月に先駆けて、日本国内の複数の地域で先行的に電子処方箋のシステムを実際に動かしてみることを予定しております。現状では、最終的な地域の選考プロセス中ですので、固まり次第、また対外的には発表したいと思っておりますが、複数の地域において問題なくシステムが稼働するかといったところを検証してまいりたいと考えております。
 最後は、スライド11枚目です。こちらは6月の成長戦略のフォローアップにおいて、電子処方箋の普及目標を閣議決定されております。具体的には2025年3月を目指して、オンライン資格確認を導入した概ね全ての医療機関、薬局での電子処方箋の導入を支援するということで決定をしております。また、段階的な普及拡大目標としましては、来年3月末までにオンライン資格確認の導入施設の7割程度、再来年3月末には9割程度という、段階的な目標を置いて、しっかりと普及、導入に努めてまいります。資料の説明は以上でございます。
○福井部会長 ただいまの事務局の説明につきまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。山口委員どうぞ。
○山口委員 山口です。電子処方箋のことについてです。この電子処方箋についての検討会に参加しており、国民への周知が非常に大事ではないかと思っております。モデル事業が始まるのが今年10月で、1月に始まるに当たって間に合うのかなと心配をしております。特に電子処方箋の発行できる医療機関、受け取れる薬局がまだ全てではないことと、それからもし電子処方箋が発行されたとしても紙が渡されるわけですが、それは処方箋ではなく、番号が記された薬局で提示しないといけない用紙であること。それから同意した場合には、そこで処方されたときに、今回の処方薬の中に他の医療機関で処方された薬と重複投薬や併用禁忌がある場合にアラートが出ることになっています。もし同意していなくても、どの医療機関のどの薬かは分からないけれども、今日処方された中に併用禁忌か、重複投薬がありますというアラートは出ると聞いています。そうすると、私は同意していないのに何でそんなアラートが分かるんだという患者からの疑問が想定されることは容易に考えられることですので、これはあらかじめきちんと情報提供をしておかないと、現場で混乱を招くのではないかと思っています。
 ですので、一刻も早く周知を進めていただきたいと思っております。モデル事業の中で問題点が出てきて周知につなげるように聞いておりますが、今、国民への周知に対してどのような予定をされているのか、現時点での事務局からの御説明をいただきたいと思います。
○福井部会長 事務局からお願いします。
○伊藤企画官 山口委員には、常日頃から電子処方箋システムの御指導を頂いているところですが、国民向けの広報ということで現在予定をしておりますのは、動画やポスター、リーフレットなど分かりやすくまとめた資料を各医療機関、薬局に置いていただき、そこで国民の方々は医師や薬剤師を通じて説明を受けていただくことを、今、想定しております。
 委員から御指摘いただいたことが3点あります。1点目が、全ての医療機関、薬局ではないということは、これはおっしゃるとおりで、どこが対応しているのかは、リストとしてホームページで公表する予定ですし、紙の処方箋ではない場合は控えを出しますので、こちらについても混乱がないように、丁寧にパンフレット等々の中で御紹介していきたいと思っております。
 それから重複アラートのときの個人情報保護法と同意との関係ですが、こちらはまさに個人情報保護法との関係でそのような整理をしておりますが、現場で混乱を招いてはいけませんので、こちらも丁寧に説明をしてまいりたいと思いますし、モデル事業の中でも運用マニュアル等々をお示しして、説明をしていきたいと考えているところです。
○山口委員 是非、実施する医療機関や薬局が、何をポイントに伝えないといけないのかを分かりやすくお示しいただいて、確実に患者に届くようにしていただきたいと思います。
○福井部会長 それでは、オンラインで遠藤委員。
○遠藤委員 日本歯科医師会の遠藤です。ありがとうございます。電子処方箋につきまして、大変有用な制度で、我々としても推進に賛成したいと思っておりますが、歯科の現状からいいますと、この制度全ての医療機関、薬局が参加することが望ましいわけですが、なかなか処方箋自体が少ないこともあります。小規模の中で難しい点もあるということで、まず、これをやるためには電子カルテなり、レセプトカルテなりが対応していないといけないわけです。現状、診療所レベルのレセプトカルテにおいては、ほとんど対応できておりません。そうした中で、現在、オンライン資格確認についてはかなり普及させるべく対応していますが、そこのところで、もう既にぎりぎりの状況というのが現状で、電子処方箋に移行するためには、ハード面でも、もう既に対応が行き詰まっているというか、対応できない状況になっておりますので、これはベンダー対応を含めてやっていかなければいけないのではないかと思っております。
 また、処方箋が少ない中では、ランニングコストも医療機関にとってはなかなか馬鹿にならない話で、ネット自体はオンライン資格確認と重なるわけですが、ベンダーとの補修又はHPKIカードが必要ということになりますと、それなりの費用等も掛かります。そういったもののコスト面を含めても、なかなか歯科においては進みにくい現状がございます。そういった中で、こういったスケジュールは結構タイトなスケジュールが立っているのですが、期限の問題、また補助金の問題等も、なかなか速やかにスタートできない部分について御配慮いただきたいと思っております。その辺のところは、何かお考えがありますでしょうか。よろしくお願いします。
○福井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○伊藤企画官 スケジュールと費用についてのお尋ねだと理解をいたしました。遠藤委員が御案内のとおり、今まさにオンライン資格確認の義務化という方針が打ち出されておりますので、それに基づいて、今、ベンダーに改修工事が非常に殺到している状況だと認識しております。電子処方箋システム自体はオンライン資格確認の改修と併せて改修いただくこともできるということですので、こちらは各ベンダーごとに個別に相談を頂く必要があろうかと思っているところです。
 費用面やスケジュール的に間に合わないといったところは、個別にお問い合わせする窓口も先般の説明会でも御紹介しているところですので、このケースで困っているとの声をお寄せいただければ、我々でも何ができるかはしっかり検討したいと思っているところです。ありがとうございます。
○福井部会長 よろしいでしょうか。
○遠藤委員 よろしくお願いします。
○福井部会長 それでは茂松委員、その後、花井委員どうぞ、お願いします。
○茂松委員 今、歯科の先生からも言われたように、本当に医療機関側からすると、オンライン資格確認の対応が遅れていることがあります。そして、マイナンバーカードと保険証を連携させることがありますが、それが余り広がっていない、特に高齢者がそれを持つことが非常に、混乱を来すのではないかという不安もあります。そして先ほどのベンダーの問題、それから管理をする所の支払基金、国保連合会が管理システムを作っているのですが、まだ出来上がっていないことも聞いております。来年1月にスタートさせるのは非常に難しいのですが、これは国民にしっかりと周知をして安心を与えないといけないということで、事務局にはできるだけ対応することをしっかりとやっていただきたいと思うのですが、その辺の進み具合はいかがでしょうか。
○福井部会長 事務局からお願いします。
○伊藤企画官 まず茂松委員がおっしゃったとおり、この電子処方箋システムにつきましては、オンライン資格確認を前提とした仕組みになっております。手元に正確なデータはありませんが、今、3割弱ぐらいのオンライン資格確認の稼働状況と承知しております。こちらは、まさに政府一体となり稼働率を上げていくことで取り組んでいる状況です。
 それから、マイナ保険証の登録につきましては、これはマイナポイントの利用ということで今お願いをしているところですが、電子処方箋システムにおきましては健康保険証でも利用可能な仕組みとしておりますので、当面はそういった対応で柔軟に進めていければと考えているところです。
 支払基金の管理システムがきちんと間に合うかは、これはもう定期的に議論をしているところですので、スケジュールが間に合うようしっかりと行いますし、周知広報もしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
○福井部会長 花井委員どうぞ。
○花井委員 今の議論とも関係があるのですが、電子化が進んでいけば、現場の実務的負担が最終的には軽減される可能性もあるものの、逆に、今回の緊急承認制度、96年の特例承認制度、その他いろいろな承認制度があり、結局承認した医薬品を使う現場における説明、インフォームドコンセントのことですね、この前もコロナの治療薬でCYP3A拮抗なんというドーズ調整など、電子処方箋によりポリファーマシーを、全体を把握できればやりやすくなるのですが、事実上やりやすくなった、その仕事を誰がするかと、どんどん開業医の先生等々にも負担が掛かってくることになっているわけです。
 ですから同じ承認でも説明が難しかったり、そういうことに対して調剤薬局の薬剤師さんや先生方のエフォートがどんどんそこに、安全に医薬品を使うためのエフォートが増えていくところで、やはり現状ではそこが一番懸念されるところです。ですから、この場の議論とは別ですが、やはり現場で承認体制が、いろいろな承認が複雑な医薬品が出たときに、やはり医師や薬剤師のエフォートを十分確保できるような方策をどの場かで検討していてもらう必要があるのではないかという危機感を持っています。この薬事そのものの制度とは離れますが、薬事によって、いわゆる承認を緩めれば現場に負担が掛かるという構造をどこかの段階で見ていただきたいと思います。何かこれは、今後事務局でお考えはありますでしょうか。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○吉田医薬品審査管理課長 審査管理課長でございます。御指摘どうもありがとうございます。少し視点がずれるかもしれませんが、この緊急承認の議論をする際にも花井先生から御指摘があったかと思います。いろいろな制度、薬機法の世界でも通常承認に加え、例えば、いわゆる特例承認制度もあれば、今度は新しい緊急承認制度ということで、なかなか考え方、理解が難しいことがあります。これはほかの場でも御指摘いただきましたが、まずは、少なくとも今回新しくできました緊急承認制度については、広く一般の国民の皆様によく周知することで、今回の資料にも書いてありますが、分かりやすいリーフレットを取りあえず作成したいと思っております。8月中には完成する予定ですので、まずは個別の現場での周知にも資する、情報的にも資するように広く一般国民に対しても知らしめるリーフレットを作成したいと思っております。
 併せて特例承認や、そういったものについては、今回の一連のコロナの関係で議論が不十分ではないかという御指摘がありますので、そちらも別途対応しております。
 いずれにしましても、医薬品の承認制度の在り方について全体について、そういう理解の促進に向けた取組を進めていきたいと思っております。以上でございます。
○福井部会長 薬事企画官からどうぞ、お願いします。
○太田薬事企画官 総務課の太田でございます。薬剤師の関連で、正に花井先生の御指摘の点につきましては、議題2と絡みがありますが、現場の薬剤師の業務として、こういった医薬品の適正使用に関して、しっかりと現場で患者さんに説明、指導するといったところが今後求められてくると思いますので、こういったところの強化も実施していきたいと思います。
○花井委員 今、保険財源が厳しいところですが、やはり医薬品を安全に使う体制について、余り保険者の皆さんも評価していただけないのは懸念で、そういうところもまた総合的な議論をしていただけたらと期待しています。
○福井部会長 それでは、森委員どうぞ。
○森委員 日本薬剤師会の森です。何人かの先生から電子処方箋に関して発言があり、重複するところがありますが、薬局薬剤師の立場から一言、発言いたします。薬局では、医療DXの基盤となるオンライン資格確認を活用した電子処方箋を伝達する仕組みを適切に活用して、より安全で有効な薬物治療の提供に取り組んでいきたいと考えています。
 来年1月からの運用開始に向けて、10月からモデル事業を予定しているとありましたが、10ページに重複投与等のチェックなどのいわゆる機能面でのメリットの検証を行うと記載されています。機能面での検証はもちろん、運用面での検証、課題等の収集が重要となると考えています。
 山口委員からもありましたが、電子処方箋は患者国民にとっても仕組みが大きく変わることになり、特に高齢の患者等が戸惑うことが考えられ、幅広い年齢層の患者を対象に事業を行うなど、運用面での検証、課題の収集をしていただきたいと思っております。また、運用開始までの期間が短くてモデル事業で十分な検証ができなかった場合や、運用上、重大な課題が出たときには、運用開始時期を変更することも必要ではないかと考えております。それから、この機能を十分に発揮するためには、より多くの医療機関、薬局の参加を促すことが必要であるというのはそのとおりで、そのためには電子処方箋への財政支援はもちろん、今後の医療DXの基盤となるオンライン資格確認システムへの導入の支援をお願いしたいと思っています。
 また導入に関しての支援に関しては、先に導入した所が不利とならないように是非、お願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 何かコメントはございますか。
○伊藤企画官 正に森委員がおっしゃったとおり、システム運営に加えて運用面のところが非常に重要だと思っております。今回の電子処方箋システムも医療現場に過度な負担を掛けないコンセプトでシステムの仕様を組んでいるところですので、きちんとそうなっているかを、このモデル事業を通じて検証していきたいと思っておりますし、ここにも記載をしておりますが、課題につきましてもしっかりと収集していきたいと思っているところです。
 我々としては、来年1月を目指してスタートしていきたいということです。おっしゃるとおり、しっかりと検証が確認できていることが前提というふうには思っているところです。
○福井部会長 この電子処方箋に関わる医療機器や薬局の中で、今回、行動を変えたり機器を購入したり、いずれにしても行動を変えなくてはならない医療機関や薬局の数がどれぐらいあるのでしょうか。何万、何十万ですか。そういう所が、一斉に半年ぐらいの短期間で変わっていくことはなかなか大変ですね。
○伊藤企画官 スライドの11枚目にも示しておりますが、普及導入目標で、段階的に進めていくことを考えているところです。これは、オン資を導入した施設の例えば来年3月であれば7割程度ですので、足下でいえばオン資の稼働している施設は、全体でいうと3割弱程度ですので、その7割ぐらいを目指していくことです。もちろん3月末に目掛けてその分母のオン資の導入施設を増やしていけば、その7割の対象施設も増えていくといった形になっておりますので、なかなか野心的な目標だというのはおっしゃるとおりだと思っております。
○福井部会長 数が分かればと思った次第です。結構です。
○伊藤企画官 例えば薬局の施設数でいうと6万の施設ございますので、それが全てオンライン資格確認システムを導入した前提に立てば、それの7割程度ですので42,000施設程度です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題2に移ります。「薬局薬剤師の業務及び、薬局の機能に関するワーキングクループとりまとめ」について事務局から説明をお願いいたします。
○太田薬事企画官 それでは、資料2を御覧ください。薬局薬剤師ワーキングの取りまとめの概要版です。まず1ページにワーキングの概要とメンバーを示しております。本制度部会のメンバーとしては赤池先生がワーキングの主査を、山口先生には構成員として御参画いただいております。
 4ページを御覧ください。取りまとめの作成経緯です。背景として3つ挙げています。地域医療を担う一員としての薬剤師の役割の増大、ICT等の技術発展、最後に上位の検討会である薬剤師検討会の提言です。またその他の背景として、規制改革推進会議において薬局における対人業務を充実させるため、調剤業務の一部外部委託や処方箋の40枚規制の見直し等が必要との指摘があったことが挙げられます。
 続いて、5ページを御覧ください。現在の薬局や薬剤師の概況についてまとめたものです。現在、全国で約6万の薬局があり、そこに約19万人の薬剤師が従事しており、人口当たりの薬剤師数は、OECD加盟国の中で最も多い状況です。一方で、小規模な薬局や門前薬局が多く、さらには多店舗を経営する薬局の割合が増加傾向にあります。また「患者のための薬局ビジョン」への対応状況としては、「2025年までに全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指す。」という目標がありますが、かかりつけ薬局を持っている患者さんの割合は少ないことや、医療機関の数が増えれば、そこに通う薬局の数も増えるといったデータ等を鑑みますと、ビジョンで掲げられた目標を達成しているとは、現状では言い難いという段階にあります。さらに、薬局薬剤師のDX関連では、電子処方箋システムを始めとする医療情報基盤が整いつつあり、デジタル技術への対応が必須であることを挙げています。
 7ページを御覧ください。ここからが具体的な対応策になります。まず対人業務の充実に関する事項です。対人業務については基本的な考え方として、これまで処方箋応需時の対応が主体であったものを、フォローアップや健康相談等の処方箋受付時以外の業務の充実が求められていることを示した上で、推進すべき対人業務として、フォローアップの強化、医療計画における5疾病、薬剤レビュー、リフィル処方箋への対応等を挙げています。また対人業務に必要なスキル習得として、勉強会や症例検討会の開催・参加を挙げています。さらに、対人業務については、しっかり実施できている薬剤師がいる一方で、全体的に見ると十分とは言い難い状況であることから、均てん化が重要であり、これが進まない要因分析を実施すべきとしています。
 続いて、8ページを御覧ください。対物業務の効率化についてです。調剤業務の一部外部委託、処方箋の40枚規制のほか、その他の業務の効率化として、薬剤師以外の職員の活用、調剤機器の活用、院外処方箋における事前の取決めに基づく問合せの簡素化について議論を行いました。また薬歴等の作成についてもかなりの業務負担となっており、この効率化についてもDXの部分に記載をしております。
 調剤業務の一部外部委託については、資料の9ページを御覧ください。大前提として、患者の医療安全、医薬品の安全使用や医薬品のアクセスが脅かされてはならないとし、地域医療への影響が未知数であるため、効果等を検証するという観点から適切な範囲で開始し、実施後に検証、見直しを行うこととしています。対応方針については、緑の部分に記載した内容です。まず外部委託の対象となる業務については、当面の間、一包化とすることが適当であり、委託先については薬局とし、当面の間、同一の三次医療圏内としております。安全性については、海外のガイドラインなどを参考に基準を設ける必要があるといったこと、そのほか、委託先及び委託元における法的義務や責任の整理の必要性、患者に十分に説明して同意を得ること等も盛り込まれております。
 10ページは、委託した場合のプロセスのイメージ図です。現状は処方を受けてから患者さんにお渡しするまで、同一の薬局で一連の業務を実施していますが、一部業務を外部委託する場合には、委託元の薬局と委託先の薬局で、それぞれ実施する業務が出てきます。情報の伝達を含め、どう安全性を担保した上で工程管理していくのかについて、今後、詳細に検討していくことになります。
 続いて、11ページを御覧ください。処方箋の40枚規制についてです。現状の診療報酬の体系が処方箋受付時の評価が中心となっていますので、単純に40枚規制を撤廃、緩和すると、処方箋の応需枚数を増やすために対人業務が軽視される危険性があります。よってワーキングでは、見直しの検討を行う場合には診療報酬における評価等も含め、対人業務の充実に逆行しないように慎重に行うべきとされております。
 続いて12ページは、薬局薬剤師のDXについてです。DX化に当たっては電子処方箋の導入やデータヘルス改革等、周辺環境の変化が見込まれることから、薬局薬剤師もこうした環境変化に対応していくことが求められます。具体的な対応としては、先進的な取組等の活用事例の共有や薬局薬剤師が医療情報にアクセスできる仕組みの構築、連携基盤整備や情報の標準化を挙げております。またオンライン服薬指導について、今年度末に恒久化のルールも策定されたところですが、今般、働き方改革の関係で、薬剤師が自宅等の薬局以外の所からオンライン服薬指導を実施することについても認める方向としています。またその他としては、調剤後のフォローアップや薬歴の活用等にも積極的にデジタル技術を活用していくべきとされています。
 続いて、13ページです。地域における薬局の役割を推進するための対策について検討したものです。具体的な対策としては、まず他職種との連携について、退院時カンファレンスへの参加の促進のための病院の地域連携室との連絡体制の構築や、薬局間の調整の実施。在宅医療については、他職種や患者からどの薬局がどういった在宅医療をしているのか分かりづらいという御意見が多数あったことを踏まえて、薬局が対応可能な在宅業務を明瞭化する仕組みの構築が挙げられています。2つ目は、健康サポート機能についてです。健康サポート薬局の届出制度がありますが、まだ認知度も低く、届出の件数も少ないといった状態です。こうした背景も踏まえて、まずは、健康サポート機能が、患者さんや住民にとってどのような意義、メリットがあるのかを明確にしてそれを発信すること。さらに、こうした健康サポート機能、地域全体への均てん化という意味でも、この健康サポートの取組は個々の薬局が実施するだけでなく、自治体や保険者の活動と連携した取組を行うべきとしています。
 続いて、地域の全体で薬剤師サービスを効果的に提供するという観点からは、薬局間の連携の必要性が提示されました。連携に当たっては、連携することによって各薬局のリソースを効果的に活用できるので、各薬局の業務の充実にもつながる可能性があり、薬局についても、こうした連携が進むことで、効果的、効率的に業務が実施できると考えられます。この薬局間連携については、現在でも個々の取組で実施されている所がありますが、薬局間の円滑な連携を調整するため、まとめ役となる薬局が必要です。また有事対応やへき地対策については、地域における自治体や関連団体等の連携の必要性が挙げられています。
 以上が、とりまとめ本体の内容ですが、そのほか事項として14ページを御覧ください。敷地内薬局についてです。敷地内薬局については薬局の機能、病院との関係性に関する論点整理を行ったところです。かかりつけ機能という点で、本来あるべき機能を敷地内薬局が有しているとは考えにくいという御意見が多数寄せられたものの、一方で高度薬学管理という点では、希少疾病やがんなど、高度な薬学管理や高価な薬剤の在庫維持という観点から、地域の薬局では果たせない役割を持つ場合があるのではないかといった御意見も頂いたところです。こちらについては、今後、敷地内薬局の機能も含めた実態調査を実施して、調査結果に基づき改めて議論を行うべきとされています。
 最後に、15ページを御覧ください。地域の薬剤師会の活動についてです。取りまとめの内容のうち、多くは地域薬剤師会の活動が関連している一方で、地域薬剤師会の活動には地域ごとに差があり、本とりまとめの内容の実効性等に疑問があるといった御指摘がありました。地域の薬剤師会の活動は、基本的には地域における活動の主体となることが想定されるので、厚生労働省は、日本薬剤師会やその他関係者と連携して現状の状況を調査して、うまく回っていない所があれば、その原因分析や解決策の検討を行うべきとされたところです。
 以上が、とりまとめの概要と説明となります。今後、とりまとめの内容を踏まえて調査、検討を進めていく予定です。また報告書本体については参考資料としてお付けしています。説明は以上です。
○福井部会長 ただいまの事務局の説明につきまして御意見、御質問等がありましたらお願いします。森委員、どうぞ。
○森委員 日本薬剤師会の森です。まずは多岐にわたる課題について、大変な議論を踏まえてアクションプランをまとめられたワーキンググループの先生、それから事務局に感謝申し上げます。薬局薬剤師が国民のためにより職能、専門性を発揮していけるよう、課題についてはしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
 その上でここは制度部会ですので、今後の薬事制度に関わる3点、調剤業務の一部外部委託、敷地内薬局、40枚規制について意見を述べさせていただきます。まずは調剤業務の一部委託、9ページ目になるのでしょうか。調剤業務の一部外部委託についてですけれども、調剤業務は処方箋の受付、処方監査、薬剤の調製、調剤薬鑑査、服薬指導、投与後の管理まで、一連の行為で成り立っており、薬剤師自らが一連の行為を実施することで医療安全、医療の質が担保され、責任が果たせると考えています。
 一部外部委託に関しては、まずは医療安全が確実に確保できることを前提に、医療の質向上に結び付くのか。薬局の機能強化、薬剤師サービスの向上に結び付くのかということが重要だと考えています。また調剤業務の外部委託は患者、国民にとっても大きな仕組みの変化となり、患者、国民の視点に立った検討も必要だと考えます。
 地域完結型医療において、地域包括ケアシステムの中での医薬品提供体制の強化が求められており、外部委託が進んだときに地域の薬局の機能を維持できるのか、機能低下とならないのか、災害時や新興感染症まん延時など有事に対応できるのかという視点での検討も不可欠だと考えます。今後の議論に当たっては医療安全の確保、医療の質の確保を大前提として、国民のためになるかという視点で慎重に議論をしていただくようにお願いいたします。地域医療は地域の医療リソースによって行うことが基本であり、決して地域医療が壊れることがないようにしなくてはいけないと考えています。
 次に40枚規制です。医療の高度化、調剤業務の複雑化、対人業務の充実により薬剤師1人当たりの処方箋受付枚数は年々減少傾向にあり、現在11ページにありますように平均して薬剤師1人当たり16~20枚となっていますけれども、現場の実感としても1人当たり1日約20枚の調剤が精一杯ではないかと感じています。今後、更なる対人業務の充実を目指す中で、薬局業務の質を担保する規制は必要であり、40枚規制の見直しの必要性は理解ができません。
 最後に敷地内薬局です。これはワーキンググループでもほとんどの委員の先生から否定的な意見があったと思っています。敷地内薬局は医薬分業の本旨はもちろん、患者のための薬局ビジョンに全く反することとなります。先ほど事務局からも説明がありましたけれども、患者のための薬局ビジョンでは門前から地域へ、ばらばらから一つへの方針の下、全ての薬局がかかりつけ薬局となるようにビジョンが示されており、門前から敷地内へなど全く想定していません。どのような機能、役割を持っていようが、敷地内である理由にはなりませんし、敷地内でないと果たせない役割があるとは考えられません。ワーキンググループのみならず、昨年の診療報酬改定の議論では、中医協、社保審の中でも敷地内薬局に関して厳しい指摘がされています。医療保険制度の中で公費を国の方針、保険医療として適切でないものに使うことは不適切です。これだけ関係者から否定的な厳しい意見がされています。日本の医療のためにどうすべきか、行政も考えていただきたいと思います。日本の医療のために薬事制度としても決断の時期だと思います。私のほうからは以上です。
○福井部会長 茂松委員どうぞ。
○茂松委員 今、薬剤師さんのことで問題になっているのは、地域偏在と、病院薬剤師の不足が非常に問題であると考えています。また、敷地内薬局というのも、これはどういうつながりがあるのかなと、ちょっと深く考えさせられるなと思うのです。
 薬剤師の地域偏在があるということを、管理薬剤師が非常に多いということになるわけで、その辺を薬剤師さんの間でどのように考えられているのかなということを少し思うのと、また、管理薬剤師さんがその病院薬剤師不足とか偏在のことについて、どのように思われているのか。やはりそういう調整を薬剤師会の中で取られているのかどうか、これを薬剤師会の方に聞きたいと思いましてお聞きしました、また、偏在についての取組を、厚生労働省としてもどういうふうに考えているかということを、お聞きしたいと思います。
○福井部会長 森委員よろしいですか。
○森委員 まず、病院の薬剤師の偏在、不足の問題は喫緊の課題だと思います。同様に薬局薬剤師に関しても不足する地域や偏在している実態があります。これは非常に困っていまして、医療計画の中で医療従事者の確保ということがありますが、これは川上先生に補足していただければと思いますけれども、病院薬剤師に関してのことが規定されていないのではないかと思います。今後は、そういう中で明確に位置付けた上で、偏在や不足に対応していくべきだと考えます。
 また、医療介護総合確保基金の中でも、薬剤師の確保に関しての支援というものがありますので、そういうものを積極的に使った中で、対応していくべきではないかと思っています。あとは川上先生のほうから、病院薬剤師に関しては。
○福井部会長 川上委員どうぞ。
○川上委員 病院薬剤師の立場としてお話しますと、確かに地域の医療計画の中で確保は規定されていなかったということも1つの課題かと思います。あとは、以前に比べて医療機関の中における薬剤師や薬剤部門の機能が、今は大変高まっていて、そのニーズが高いのですが、それに実情として雇用が追い付いていないこともあるのではないかと理解しています。以上です。
○福井部会長 赤池委員どうぞ。
○赤池部会長代理 私、厚生労働省の委託事業の薬剤師の確保検討会の座長を務めていますので、偏在についても少し意見を述べさせていただきたいと思います。アンケート調査により薬剤師の偏在の実態を検討しましたが、実際、御指摘のとおり薬局の薬剤師というものが病院の薬剤師よりも多いという実態はあります。
 ただ、病院にもかなりの、特に若い方、大学を出て勤務される方が多いのですが、やはり経済的な問題ですとか勤務の内容等の関係で、特に薬剤師の場合、男女の差を言うのは余りよくないのかもしれませんが、女性が多い点があるということもありまして、特に病院で離職率が比較的高いということがあります。そういった方が復職する場合に、病院に戻りにくいということがあって、薬局のほうに勤務されるというようなことが、特に病院と薬局の偏在の1つの要因になっているという解析結果も出てきています。経済的な理由、例えば、薬学部は6年制になっていますけれども、奨学金を取られる方が非常に多い。そういった返済という形の経済的な問題で、やはり報酬の高い所を選ばれるといったような傾向も見て取れるとか、いろいろな要因があるという解析結果が出ています。
○福井部会長 ありがとうございます。
○赤池部会長代理 続きまして、もしよろしければ、このワーキンググループの主査を務めていましたので、一言そちらのほうも申し上げてよろしいでしょうか。
○福井部会長 はい、どうぞお願いします。
○赤池部会長代理 本ワーキンググループですけれども、親委員会という言い方が妥当なのかどうか分かりませんけれども、厚生労働省におきまして薬剤師の需給ですとか、薬剤師の資質向上について検討することを目的としまして、薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会というものが開催されています。そこで昨年、検討会でこのワーキンググループで検討したような内容を、ワーキンググループを開いて検討するようにということが決まりまして、ワーキンググループが合計7回、山口先生も御参加いただいて、大変熱心に議論をいただきましたが、毎回、3時間以上にわたる検討を行いましてとりまとめを行ったということです。
 実は最終的に副題として、「薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン」という形の副題がとりまとめの中で付けられています。これはとりまとめの中にも記載されていますけれども、平成27年に厚生労働省が作成しました、患者のための薬局ビジョンに関係します。その次の年に、これも山口先生も参加していただいて私が委員長を務めましたけれども、その薬局ビジョンの推進のためのアクションプラン検討会で検討を行いまして、そのとき、検討された内容がまさに今回のワーキンググループの取りまとめでも中心となっています、対人業務の充実。その対人業務の充実を進めるための対物業務の効率化といったようなことが検討されたということです。これが確か7年前ぐらいで、平成28年のことでした。
 それを受けてというわけではないですけれども、今回検討しまして、事務局から説明していただいたとおりですが、この取りまとめの資料の2ページ目にありますけれども、具体的なアクションプランとして、4つの項目が取りまとめられたということです。
 あとは私の個人的な印象ということになるのかもしれませんけれども、やはり7、8年前にこういった薬局ビジョンといったものが立てられて、対人業務を充実させようということで活動してこられたわけですけれども、残念ながらという言い方がいいのかどうか分かりませんが、全ての薬局がどんどん進んでいるという状況ではないという分析というか意見がかなり出されたと理解しています。
 ただ一方で好事例といいますか、推進されている薬局もあるということで、極端な言い方をしますと、非常に薬局間の差が大きくなってきていて、対人業務を充実させている薬局もあれば、なかなか進んでいない薬局もあります。今後、対物業務の効率化ということも含めまして、対人業務をどんどん充実させていくためには、2ページのとりまとめにも書かれていますけれども、好事例を均てん化するための方策ですとか、課題の収集分析といったことを今後も是非行っていただきたいと考えています。そういったことが進んでいって、極端な言い方をしますと、特に患者の皆様に薬局というものの価値をもっと認識していただくこと、また、役に立つということが極めて重要だろうと考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。特に偏在につきましては、茂松先生から、厚生労働省として何かお考えがあるかということでした。よろしくお願いします。
○太田薬事企画官 薬剤師の偏在につきましては、厚生労働省としても喫緊の課題と認識しておりまして、昨年度から予算事業のほうでも対応をしております。現在は全国的な偏在の状況について調査を実施した上で、その対応策について今年度も引き続き検討をしているところです。また、結果のほうが上がってきましたら、フィードバックさせていただければと思いますし、それに基づき対応も進めていきたいと思います。以上です。
○福井部会長 是非よろしくお願いします。山口委員どうぞ。
○山口委員 先ほど赤池委員からお話がありましたように、私は親会とワーキンググループと両方に入っていて、本当に長時間の議論に参加させていただきました。その中で今もお話がありましたけれども、健康サポート薬局の話合いのところから課題になっていた内容、それが薬局ビジョンの中にも盛り込まれて、今回のワーキンググループでも、またほぼ同じような課題が7割ぐらい入っていたのではないかと思っています。DXとか電子処方箋は最近になって出てきた内容ですけれども、それ以外、対人業務というところにおいては、ほとんど私も発言内容がずっと変わらないのではないかと思うぐらい、同じことを言い続けてきています。
 恐らく今日もこういったこと、国の動きはどうなのだろうと関心を持っている方はYouTubeで御覧になっていると思うのですけれども、そういったことに全く関心を持っていない薬局薬剤師の方々に、このアクションプランをどう届けていくのか、実行していくのかということが、私はもう本当に最後の期待と思っていますが、是非とも、国、厚生労働省と職能団体の皆さんには、なかなか気付いていない薬局や薬剤師の方はまだまだいらっしゃると実感しますので、是非きちんと、今、何が必要とされているのか、何をしないといけないのか、危機感を持ってやっていただきたいというのが一番の思いです。
 もう1つには、この14ページの敷地内薬局のことですけれども、私も敷地内薬局は森委員と同じで、ずっとこれはおかしいと思っていました。政策と逆行しているということも申し上げてきましたが、それと併せてここには書かれていないのですが、門前薬局ということも、今一度見直さないといけないのではないか。なくせと乱暴なことを言うつもりはありませんけれども、今、複数の医療機関に掛かっている高齢の方を中心にして、そういう方々の行動がどうなっているかというと、その門前にある薬局に行くので、複数の医療機関に掛かって複数の薬局に行って、複数のお薬手帳を持っている。その結果、確か私の記憶では、処方箋の集中率が90%を超えている薬局が、薬局全体の35%ぐらいというデータが議論の中に出てきました。それをもってしても、なかなかかかりつけ薬局、薬剤師が進まない原因が、その門前薬局にもあるのではないかと思っています。
 ですので、門前薬局をもし維持させるとしたら、それをしつつ、どうやって一元管理をしていくのかというようなことも併せて考えていかないといけないのではないかということで、敷地内薬局だけが今回注目されていますけれども、門前薬局の在り方についても考える必要があるのではないかと思いましたので、併せてここで述べておきたいと思います。以上です。
○福井部会長 川上委員どうぞ。
○川上委員 このワーキンググループの取りまとめを拝見しまして、少しコメントさせていただきたいと思います。もちろん構成員の方々には敬意を表しますし、特に副題の「薬剤師が地域で活躍するため」には賛同するのですが、疑問に思ったところも2点あるので、あえて申し上げたいと思いました。
 1点目は2ページ目の下、「具体的な対策」の所で、「1.対人業務の充実」「2.対物業務の効率化」のように、両業務を切り分けて、片方は充実、もう片方は軽減との論理構成にあります。確かに、こういった議論のスタート点は前の1ページ目にもあります「患者のための薬局ビジョン」の中で、②「対物業務から対人業務へ」との基本的な考え方が示されたことがあるのは理解しています。その当時は、今後の薬局の方向性を説明するフレーズとして一定の意義はあったとは思うのですけれども、一方で、患者のための薬局ビジョン公表後に、C型肝炎治療薬の偽薬問題なども生じて、対物業務の軽視を招きかねない表現に一部反省もあったように覚えています。
 私が申し上げたいのは、薬剤師業務のみならず、医師の診療も同様かと思いますが、医療における様々な業務には「患者さんに寄り添う対人間的な側面」と、冷静かつ客観的な観察とか医療機器や医薬品の取扱いも含めて「対物質的な側面」がありまして、その両者が一体的に提供されていると思います。その中で、世の中の進歩に合わせて、充実すべきものは充実させ、効率化できることは効率化していけば良いと思うので、こういった「対人業務は充実」「対物業務は効率化」という固定化した見方はどうかと思いました。
 2点目は、この資料の9ページ目、「調剤業務の一部外部委託」についてです。先ほど1点目で述べたように、医療の業務では、医療機関の中にいる実感としても、対人間的なものと対物質的なものと一体的に提供していますので、調剤を委託することには、自身は反対の考えを持っています。資料の「基本的な考え方」にもあるのですけれども、「外部委託の目的は、対物業務の効率化を図り、対人業務に注力できるようにすること」とあるのですが、規制改革会議のワーキングにおけるこの議論の発端は、治療を受けられる患者さんとか、調剤を行っている薬剤師ではなかったので、その真の意図が理解しづらいように感じています。
 その上で、次の10ページ目の上、丸の2つ目「外部委託時の安全性上のリスク」には、「処方情報の伝達ミスや入力ミス」があげられ、あとは資料中には機械的な作業のミスが記されているのですけれども、本当の意味で、こういった外部委託をする意義がどこにあるのか。目指すのは医療の質とか安全性の向上だと思うので、例えば外部委託をしてしまうことで、処方に変更があった時に、調剤する薬剤の変更に対応しづらくなるのではないかとか、不必要な一包化が増えていくことで、患者さんの薬へ理解や自己管理が難しくなるのではないかとかの、治療管理上のリスクなど、いろいろなことが付随して考えられるので、議論が機械的な内容や時間効率を目指すといったところに陥ってしまう危険性があるかと感じました。以上コメントです。
○福井部会長 茂松委員どうぞ。
○茂松委員 今のことに関わるのですが、どうしても今の日本というのは、医療DXがあたかもすごくいい医療になるというような考え方があって、だけど日本の歴史を見たときに、やはり医師・看護師・薬剤師が患者さんに寄り添って治療を行ってきたわけですよね。その中でどうしてもコンピュータを使った方がいいですよということで、それであたかも良くなるということなのですが、日本の医療というのは患者さんにしっかり寄り添っていくという中では、薬剤師もしっかり患者さんと話をしながらそのために薬を調剤していくのだという気持ちが大事なことであって、そういうことを切り分けてやるからミスが起こってくるということもあるのかなと思います。
 これは全体を考える中で、落ち着いて考えておかねばならないのではないかと思います。やはり医療というのは国民のためにあるわけですから、国民にマイナスになってはいけないわけで、外部委託をしてミスが出てくるようなことはあってはならないと思います。だから検証もしっかりしなければいけないし、それが本当にいいのかどうかというのはやはり見直さないといけないと思います。
 やはり医療DXが、どこの部分に一番働いて国民の医療に良くなるのかというのを考えていかなければならないと思うのです。
○福井部会長 山口委員どうぞ。
○山口委員 今の関連ですけれども、実際にワーキンググループの中では薬剤師の多くはどちらかというと後ろ向きの発言が多かったです。その中で、仕方がないから一包化だけは認めようかというような感じで収まったという現状がありますので、ワーキンググループが諸手を挙げてみんなでこれは必要だと言っていたわけではなくて、どうしても規制改革しなければいけないという声があり、全く進まないというわけにいかないので、一回やってみて、もしここでどんな問題点があるかということを検証しましょうと。
 実はもう少し広げる必要があるというような御意見も、一部の方から大きい声であったのですけれども、ここで踏みとどまったというのが正直なところではないかと私は思います。
○福井部会長 赤池委員どうぞ。
○赤池部会長代理 今、山口先生がおっしゃったとおりですけれども、外部委託については一部外部委託ということですけれども、非常に幅広い意見がありました。その中で、一応の取りまとめとしてここに落ち着いたということです。今後更に検討していただくということの1つのまとめという御理解をいただいたと思います。
 それからもう1つ、対人業務の充実と対物業務の効率化という2つの項目に分かれているというお話がありましたけれども、別にこれは2つに切り離して考えたというわけではなくて、検討をずっと進めていった中でこういった項目立てになったということです。当然のことですけれども、対物業務の効率化と書かれている中で、対物業務を軽視するということではもちろんありません。安全性も含めて、対物業務といいますか、きちんと調剤につきまして行っていただく。
 ただ現状を考えますと、最初に申し上げたとおりですが、もちろん全ての薬局とかそういう意味ではなくて、一部の薬局という表現が妥当かどうか分かりませんが、ある薬局においてはということになるかもしれませんけれども、やはり処方箋を受け取って調剤を行い、患者さんに渡すということはきちんとされているとしても、それ以上のことがあまりできていないという例も多いように伺っています。
 もちろん、そうでない薬局もたくさんあるとしましても、そういった中で患者さんにきちんと向き合って、例えば調剤後のフォローアップですとか、もちろん調剤をしっかりしていただくということは当然のことですけれども、その上で、例えばここに書かれていますように医療計画におけるがん等の5疾病等についても行うとか、それから処方医へのフィードバック等、そういったことを充実していただくという意味で、こういった書き方になっているということで、決してそれぞれをばらばらに検討し、別々の業務として捉えているわけではないということは申し上げたいと思います。
○福井部会長 花井委員どうぞ。
○花井委員 大変広範な範囲が取りまとめられているなと思うのですが、山口委員が先ほど似たようなことをおっしゃっていたのですけれども、既読感があるというか、かなりこういう問題だよねと。これまでの議論はいろいろ細かい論点で、敷地内がどうかとか、リフィルがどうかとか、いろいろなことをこの制度改正で必要なことがあるのですけれども、やはり教育の部分では最初4年制が6年制になって、モノからヒトへみたいなところは教育の現場でもあって。今回、コアカリにプロフェッショナルイズムというのを明確に打ち出されていて、薬剤師のプロフェッショナルイズムをアカデミアの観点で学生さんたちはそういう感じ、しかもヨーロッパとかアメリカの薬剤師とかを見て、プロフェッショナルの薬剤師はこんなのだよという感じはあるのですけれども、現場が全然違うわけです。
 これがずっとそうで、日本の医療は歴史があるのでそれがこう来ているので、やはり機能として患者が求める機能が提供されているかどうかという問題で、例えば先ほどの話でいうと、門前は問題だと思うのです。でも例えば、今、法人化していたら、門前を経営しつつ地域医療もやっている、一法人下のたくさんの薬剤師を抱えている法人もあったりするのではないか。それから、病院薬剤部が足りないから、門前の薬剤師が逆に病院業務の一部、病院ですべき業務を担ったりとかいろいろな形態があって、今、患者に必要な機能がどのように実態として供給されているのかという実態調査がまず必要かなと思います。
 それと、これは私の個人的な経験で全てがそうとは言いませんけれども、先ほどのいわゆる拮抗構想によるドーズ調整などということもできていないわけです。それから私どもだったらテーラーメイドでPKを測って、テーラーメイドのレジメにするのですけれども、そういうのができる所はほとんどなくて、だから本当に必要な機能が提供されていないというところもあると思うので、必要な機能が提供されているのか。あと、されている場合に、どんな形式でどこが供給しているのかという現状の実態からスタートして。あとは、医療政策論的なものになるので、それは日本の歴史的背景とか制度の設計というのもあるので、そういう形にしないと、このような理想的なとりまとめが何回も何回も同じものを見るという感覚が否めないと思いました。感想だとは思うのですけれども。
 ただし調査はしてほしいですね。例えば、大規模法人薬局がどういう機能を持っているか。それはいいことばかりではないこともあるし、問題もあると思うのですけれども、実態からスタートするというのが一つ重要かと思いました。以上です。
○福井部会長 この議題2につきましては、本田委員から御意見を伺って、次の議題に移りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○本田委員 すみません、本田です。私も感想というか意見なのですけれども、先ほど花井委員もおっしゃっていて山口委員がおっしゃったように、私もかなり前のビジョンを作成する際に関わっていたときと大変既読感があって、余り変わっていないのかなという気持ちがしていました。
 例えば、対人業務の充実化というところでも、いろいろな理想的なプランとか理想的なことが書かれているのですけれども、それも以前言っていたなということで、実際これを打ち出して、その後どう変わってきたのか、現状ではどうなのかというのを、ワーキングとかではきちんと議論されているのだとは思うのですけれども、親会にも背景がこうだからこうなのだというのをもうちょっと説明いただけたら、もう少し分かったかなという気持ちがします。
 実際、余り進んでいないから同じことが書いてあるのか、更に充実してこういうことをやりたいのかというのが、もう一つ見えなかったというのが私の感想です。例えば、健康サポート薬局ということも結構前から言われていたのですけれども、これはどれぐらい、進んでいないという意見も先ほどあったように思ったのですけれども、これをやっている薬局はどれぐらいあるのでしょうか。やれていない理由は何なのでしょうかという実態をきっちりもう少し見せていただければ、全体像が見えたかなと思いました。感想です。
○福井部会長 森委員、最後に簡潔にお願いします。
○森委員 はい、では簡潔に。薬剤師の取組をなかなか実感しにくいという指摘には、心しなければいけないと思っています。私も山口委員と健サポの検討会に出たメンバーなのですけれども、あの検討会以降、日薬が健康サポートの研修を実施しているのですけれども、そこには25,000人以上の薬剤師が受講しており、かかりつけ薬局、健康サポート機能を発揮できる薬剤師は増えてきており、着実に地域住民の健康サポート等は進んでいると考えています。
 ただ、なかなか実感として感じにくいという御指摘を受けています。そのためには一部の薬局、一部の薬剤師が頑張っても駄目で、全ての薬局・薬剤師がきちんと機能を果たしていくことで、患者、国民に実感してもらえるのではないかと思っています。今回、均てん化の話がありました。質の向上を果たして均てん化するためには、日本薬剤師会、都道府県薬剤師会、地域薬剤師会が積極的に取り組んでいき、地域の薬局が連携して力を発揮していくためには、地域の薬剤師会がその役割を果たしていくことが必要で、日薬としてもしっかりと支援していきたいと考えています。以上です。
○福井部会長 議論がずっと続きそうですが、確かに以前もずいぶん話し合ったように思います。最後に、このテーマにつきまして、今後の進め方は決まっているのでしょうか。
○太田薬事企画官 この標題がアクションプランというのにもありますように、様々な課題が取りまとめの中に盛り込まれています。その中には厚生労働省が、日本薬剤師会が、こういった調査をすべき、こういった取組を実施すべきという形で書かれていますので、それぞれ一つ一つについて確実に進めていけるよう、スケジュール等を立てて検討を進めていきたいと考えています。もちろん、今日、頂いた御意見も踏まえて進めさせていただきます。
○福井部会長 薬学部には、文部科学省のほうでもいろいろ議論があり、問題が山積しているようですので、是非よろしくお願いします。
 それでは議題3に入ります。「その他」ということになっていますが、事務局から説明をお願いします。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課長の佐藤です。議題3の「その他」です。資料3、「大麻取締法等の改正に向けた検討状況について」を御覧ください。本年3月に、当部会において大麻規制検討小委員会の設置をお許しいただき、合田委員が委員長ということで、この小委員会の検討を進めさせていただいております。都合3回開催し、本日はその議論の経過について、簡潔に御報告させていただきたいと思っております。
 資料の1ページです。大麻取締法等の改正に向けた主な論点では、ここにお示ししているような4つの論点があります。まず、医薬品ニーズへの対応、2番目が大麻をめぐる薬物乱用への対応という部分です。3番目が適切な利用の推進ということで、近年、様々な大麻由来成分等の製品が出てきておりますので、そういったものに対する対応です。4番目が栽培に関する対応です。
 2ページを御覧ください。論点の1つ目、医療ニーズへの対応です。まず3ページを御覧いただいて、大麻取締法の概要ということで、前提のお話をさせていただきます。大麻取締法は、昭和23年に制定された法律です。麻薬の関係だと麻薬取締法、覚醒剤取締法等がありますが、大麻取締法の特徴は、麻薬取締法等では成分規制という形で、麻薬の成分ごとに規制をしているのですけれども、大麻取締法では成分ではなく、植物の部位による規制を行っているという点です。通常、繊維等の栽培を行うという観点から、成熟した茎や種子については、規制の対象外としておりますが、花や葉や根といった部分はこの法律の規制の対象にしております。
 ただ、一方で黄色い枠で囲っておりますように、現状はTHC(テトラヒドロカンナビオール)、いわゆる幻覚等の精神作用を有する成分という麻薬成分が、規制の取締りの対象となっております。そういった実態と現状の法律の取締体系とが、ずれてきているという状況があります。あと、上に4つのマルがありますけれども、この4つ目に書いてありますように、この法律では大麻から製造された医薬品を、施用禁止にしております。施用というのは、ヒトに投与するということですが、それは禁止されているということです。こういったところも、ほかの法律とは異なる状況になっております。5ページをお願いします。そういう状況の中で、近年、諸外国においては大麻から製造された医薬品というものが、米国FDA等でも承認されています。また、欧州委員会でも承認されています。ここに示しているEpidiolex(エピディオレックス)という薬は、海外では重度のてんかん症候群であるレノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群の治療に用いられておりますが、G7の国の中で本薬を承認していないのは、現状では日本だけという状況になっております。6ページですが、麻薬の国際条約上のカテゴリーも変わっております。以前は大麻由来の医薬品というのは、医療上有用性がない物質ということでしたが、現在は他の麻薬と同じような位置付けに変更されているという状況です。
 そういう中で8ページです。国際的な整合性を図り、医療ニーズに対応するという観点から、現状では大麻から製造された医薬品の施用、交付、受施用を禁止しているというような法律上の条文がありますけれども、こういった部分については見直しを行う必要があるのではないかと。また、大麻及び大麻成分についても、麻薬取締法等と同じような形で、製造、流通等の管理の仕組みを導入してはどうかといった議論を進めているところです。
 次に、9ページをお願いいたします。薬物乱用への対応ということで、いわゆる乱用大麻に関する部分です。11ページには、大麻事犯における検挙人員の推移があります。いわゆる大麻の乱用という観点ではここ8年間、連続して検挙者が増えているという状況で、覚醒剤による検挙者に追い付こうとするばかりの増え方といった状況です。その中で非常に危惧しておりますのは、30歳未満の検挙者の数がほぼ70%に近づいてきているということです。若年者において大麻の乱用が浸透しているという状況に対して、非常に危機感を持っているというのが現状です。
 そういう中で14ページを御覧ください。日本の麻薬を含めた違法薬物に関する法律として、麻向法、あへん法、覚醒剤取締法、薬機法等があります。この中で通常だと所持と施用、人に使用するという部分のそれぞれに罪があり、罰則が設定されているところですが、大麻取締法については昭和23年の制定時から、施用、使用という部分に対する罪、罰則等が設定されていないということで、ここだけ穴が空いているという状況になっております。このことが、大麻を使ってもいいといった間違ったイメージを与えているという御指摘もあり、こういう部分について、これからどのように見直していくべきかということで、議論が進められているところです。続いて18ページをお願いします。その議論の中で、やはり大麻使用罪が存在しないことのみをもって、大麻を使用してもいいというメッセージに受け止められかねない、誤った認識を助長しているという観点で、大麻の使用禁止を法律上明確にする必要があるのではないかと。大麻の使用を禁止する「使用罪」を創設する方向で検討してはどうかといった御議論を頂いております。
 19ページをお願いします。一方で、薬物を使用したことで刑罰を課すという観点においては、それが社会復帰を困難にするスティグマを助長するおそれもあるといった御意見もあり、薬物乱用者、いわゆる薬物依存の治療を含めた方々の社会復帰の支援も、併せてきちんと充実した議論をすべきではないかということで議論を進めているところです。続いて21ページです。こういう形で成分に着目した規制を導入していき、大麻についても麻向法と同様に、THCという有害成分を中心とした規制にしていく中で、「使用罪」を作っていくということですけれども、例えば尿で実際の使用を問う部分、使用の立証を尿でやっていく場合に、大麻における受動喫煙の方とか、製品中からTHCが混入するようなケースなども含めて、きちんと考慮した形での検査体制ができるように、検討すべきではないかといった御意見も頂いております。
 22ページです。現行は麻薬中毒者制度というものがあり、いわゆる措置入院等があります。しかし、そういう制度については、実務上も機能していないという状況もあり、同制度を廃止する方向で検討してはどうかといった議論もされております。
 続いて23ページです。大麻の適切な利用の推進ということですが、24ページを御覧いただきますと、大麻草という草から様々な製品や用途に活用されていることがお分かりいただけるかと思います。25ページです。近年、特にアメリカ等々ではCBD(カンナビジオール)という、大麻由来の成分を含有した製品が流通しているということで、近年、我が国でも食品、化粧品等として輸入され、流通しているという実態があります。
 26ページをお願いします。ただ、一方でこういったCBD製品から大麻成分であるTHCが検出され、大麻である疑いが生じて回収されるといった事例も報告されております。31ページをお願いします。そういう中で、大麻製品についても安心して国民の皆さんに使っていただく等々の観点も必要です。こういう大麻由来製品に対して、THC有害成分の残留限度値等の設定をしてはどうかといった議論も進められてきているところです。その際は、保健衛生上の観点から安全性を見込んだ上で、一方で大麻使用の立証・捜査等に混乱を生じさせないような形で、適切に設定すべきではないかということで議論が進められております。
 32ページです。今度は栽培の関係です。34ページを御覧ください。大麻の栽培ということで、違法薬物とはまた違った側面になります。国内でも大麻の栽培・生産がされておりますけれども、昭和30年代の最盛期以降、化学繊維に追いやられる形で年々、栽培面積も栽培者の数も減ってきています。35ページにありますように、こういったものの繊維は、神事や祭事のしめ縄を作るといった目的で現在は使われているものがメインです。実際に国内で栽培されている農家の方も27名ということで、国内の大麻生産自身が伝統文化等を守るという観点でも、危機に瀕しているという状況になっております。そういう中で大麻の生産、伝統文化を守るという観点から見ていったときに、大麻栽培に関する規制の合理化というのも、もう1つの規制の論点になっております。
 40ページをお願いします。大麻草の適切な栽培管理の徹底です。現状は神事・祭事に使用する繊維を採取する目的を中心に、栽培免許等を与えておりますけれども、新たな産業利用やCBD等々においての使用用途についても広げていく必要があるのではないかと。また、医薬品の原料用途としての栽培も認めていく必要があるのではないかといった議論があります。いわゆる栽培規制の合理化という観点では、THCの含有量に応じた栽培規制の在り方ということで、外国の事例として2つ目のマルにありますように、0.2%といった大麻草に関するTHCの濃度規制を敷いて、そういうところを上限にしながら栽培規制の合理化を図った事例があり、そういうものを参考に、対応ができないかという議論をしております。
 41ページをお願いします。そういう中で、THC含有量に関する上限の検討と栽培管理の在り方ということで、栽培管理の在り方についても一定程度明確化をするとか、低THCの大麻草の栽培については、一定の規制の合理化を図っていってはどうかということを議論しております。42ページです。THCが少ない含量の大麻草の品種をいかに管理していくかという部分で、今、様々な議論をしているところです。THC含有量の少ない品種については、現行でもより栽培しやすい環境を整備すべき、またTHCが多い品種については、特に医薬品原料等を採取するための栽培ということになりますけれども、厳格な管理を求めるべきではないかという議論をしております。43ページが、そういった植物体の大麻草のTHC含有量を、継続的にきちんとしたレベルに保っていくという中で、どのような検査体制等ができるかということについて、現在議論を進めているところです。
 44ページをお願いします。そういうことで都合3回ほど議論をさせていただいて、秋の小委員会での議論の取りまとめに向けて議論を進めているところです。またとりまとめが出来上がったところで、本部会に改めて報告をさせていただきたいと思っております。今日は議論の進捗状況について報告をさせていただきました。以上です。
○福井部会長 ただいまの事務局の説明について御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いします。三村委員。
○三村委員 御説明ありがとうございました。正直言って大変よく整理されて、論点が大変分かりやすいと拝見しました。基本的には大麻草の成分を基準とした規制に移行し、非常に有効な医薬品を国内でも使えるようにするということは、私も大賛成です。私は改正を進めていただきたいと思います。
 しかし1つ問題なのは、先ほども御指摘がありましたように、大麻は若い人たちの使用の広がりが相当深刻であるということです。どういう所で広がっているかというと、例えばネット空間やスマホを通して情報が入手しやすいし、ネットを通じて販売者と接触し使用していく。そして、依存性を高めていくという健康被害が広がっていく懸念があるという御指摘がありました。実は、私自身も大麻草について、しっかり理解していなかったこともよく分かったのですが、例えば、大麻が医薬品に使えます、医療用に使えますといった情報がネットに出ただけで、歪んだ情報がスマホやネット空間で広がる可能性があります。これは医薬品ですから、やはり非常に有効性の高い成分が製品化され、きちんとした形の中で基本的に医師の診断と処方のもとで使われていくということ、そうでない一般的使用に関しては、これまで以上に、きちんと厳しく対応するという両方のアナウスメントを出していかないと、ちょっと危険ではないかという感じがあります。法改正されたときに、どういうように広報し正確に情報を伝えていくか、どういうようにアナウスメントするかということが、大変重要であると感じました。
 18、19ページでは大変よく整理されていて、いい議論をされていると思います。使用罪というものを設定することで、私も1つのアナウスメント効果があると思います。それと同時に、いわゆる覚醒剤やあへんの使用の現場というか、使用の背景が違うということを考えれば、例えば、大学生を含めて若い人たちが、もしそういうことに関わるようになったときに逃げ込める場とか、サポートできる場とかを用意する、こういった形でちゃんと支援できますよということを、併せて一緒に示していただく。そうすることで、若い方達の健康被害とか、人生を狂わせるというようなことが抑えられるのではないかと思いますので、非常にいい議論をしていただいていると思います。引き続き議論を深めていただければと思います。以上です。
○福井部会長 ほかにいかがでしょうか。山家委員、お願いします。
○山家委員 私は、街の支援をしている方々からお話を聞くことが度々あります。この記録の中に、刑罰そのものがスティグマの助長になるというお話が記載されていました。検挙者の発言から確認するというデータも記載されていたのですけれども、これがイコール犯罪抑止になるというのは、犯罪や刑罰の事情を考えると、それを検証することはなかなかできないかなと、これを拝見して感じました。大きな理由としては、適切にCBD成分を使っていきたいとか、使用罪の規定のメリットも強く感じるところではありますので、支援対策の具体的な目標も併せて、若しくは使用罪の導入前に先に支援策を強く広めていく必要性を感じたので、その辺りを御検討いただきたいと思います。もし、これを導入した後、振り返り検証をするようなことを前提にということも必要かと感じました。また、先ほども話が出ていましたけれども、やはりCBDの成分とTHC成分の違いがあるという辺りを、国民に広く知らせる制度が必要かと感じました。
 それから、残留検査の件に関してです。資料では、CBDが、特に食品のようなものにすごく多く含まれているという印象を受けました。もしうっかり、きちんと管理されていない製品をとったときに、THCが含有しているということが発生するとしたら、特に食品においてどの程度、こういったものをきちんと検査していただけるのか。規制のこういった食品を摂取して大丈夫かどうか。特に輸入品などを考えると、その辺りをどういった形でどういった数値、若しくは制度で想定されているかというのを、この先の議論として入れていっていただきたいと感じます。以上です。
○福井部会長 ただいまの御意見に対して、事務局から何かありますか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 先生、貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。まさにいわゆる薬物犯罪を犯した方々の社会復帰の支援等々については、政府の薬物対策五か年戦略の中で、厚生労働省だけではなく、各省庁が連携して取り組まなければならない課題です。そういう部分は、やはり報告書の中にもより強く打ち出していけるように、我々のほうでも検討を進めさせていただきたいと思っております。
 また、CBD等については、食品等の分野で使っていくものに対する検査体制を、どのように構築していくかといったところも、まさに先生から御指摘いただいた課題ですので、その辺りも含めて引き続き検討を深めていきたいと思っております。またよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○福井部会長 花井委員、どうぞ。
○花井委員 この薬事の部会としては、非常に論点が整理された取りまとめだと思って理解しています。ただ、こういうドラッグ規制というのは、統治の話でもあるのです。全部犯罪化することについて、例えばマリファナの場合と覚醒剤の場合とあへんの場合と、いわゆるLSDのようなものとでは根本的にというか、みんな有害には違いないのでしょうけれども、やはりそれぞれ違うものなのです。想像ですが、もちろん覚醒剤でも、犯罪としてそうなのかもしれませんが、確信犯的ユーザーという人たちがいると思います。そういう人たちは、もちろん法律で有罪になれば規制することになりますし、先ほどから言っている支援体制ということでもあると思うのです。ですから、その辺のところの実態ですね。
 例えば、逆に有罪化すると地下に潜るという話もありますので、マリファナ自体の使用罪ということが、本当に統治としてうまくいくかというのは、論点としてあるのかなとは思います。ただし薬事から考えれば、もうああいう整理しかないと思うのですが、厳罰化によりむしろ別の、いわゆるアンダーグラウンドにおけるビジネスが地下でできてしまうということもあるので、そこは、厚生労働省以外のところだとは思うのですけれども、統治としてどうするのかということをやはり十分議論した上で、薬事としては、今、課長が説明されたような形で整理していくことが大事かと思いました。その意味ではユーザー支援というと変ですけれども、触法の話と支援の話というのは、常に問題が起こっています。HIVのときもドラッグユースで回し打ちを。で、ディスポを渡したら、それはドラッグを使うディスポを配るのかという議論があったのです。そこのところは、全てメディカリゼーションをして是非を決めるのではなく、統治システムとして日本に合う形を議論した上で検討していただきたいと思いました。以上です。
○福井部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 医療ニーズへの対応と、薬物乱用への対応という2点の意見を申し上げたいと思います。事務局からも説明がありましたように、現在、日本では大麻由来成分から製造された医薬品の使用は認められていません。しかし、適正に使用、管理することで、安全で有用に使用することができるものは医療ニーズに対応し、国民がアクセスできるようにすることは必要だと考えます。ただし、乱用のリスク、不正流通等のリスクがあることを踏まえると、生産から流通、使用まで、一貫した流通管理、使用管理が必要になると考えます。一定の規制をする必要があるとは思いますけれども、現場の過度な負担とならないようにするとともに、患者の医薬品へのアクセスが阻害されないようにしていただきたいと思っております。医療用麻薬などと同様に、薬剤師としっかりと流通管理、適正使用、残薬管理等に取り組んでいきたいと思います。
 2点目の薬物乱用への対応という点では、まさに1ページの論点に書いてあるとおりだと思います。若い頃からの啓発活動が非常に重要で、小中学生からの薬物乱用防止教育を初めとする一次予防を、更に充実していく必要があると思います。また、使用罪についてですけれども、尿検査等で大麻を使用していることが明らかになっても、所持していなければ罪に問われないということが要因で、大麻の乱用の拡大につながっているのであれば、使用罪についても検討する必要があるのではないかと考えます。以上です。
○福井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。合田先生、何か付け加えることはありますでしょうか。
○合田委員 特にありません。十分に説明していただいています。
○福井部会長 ありがとうございます。これはまだ検討を続けるのでしょうか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 事務局です。合田先生が委員長ですけれども、秋までこの小委員会を開催して、取りまとめをさせていただく議論を続けるということです。
○福井部会長 本日もいろいろな御意見がありましたので、参考にしていただければと思います。委員の皆様、ありがとうございました。時間の関係上、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。事務局におかれましては本日の議論を踏まえ、今後の取組を進めていただければと思います。最後に事務局から、連絡事項がありましたらお願いします。
○衣笠総務課長 事務局です。次回以降の制度部会については日程等が正式に決まり次第、事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして令和4年度第1回医薬品医療機器制度部会を閉会といたします。御協力、ありがとうございました。以上でございます。
 
※なお、当日欠席の中島委員より、「薬局薬剤師ワーキンググループがとりまとめた具体的な対策(アクションプラン)や、大麻取締法等の改正について、いずれも自治体の監視指導や免許事務等に関わりがあります。詳細を詰めるにあたり、自治体に早めに情報提供いただくとともに、意見を反映していただくよう、お願いしたい。」との意見を別途頂戴した。