第8回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年7月29日(金)14:00~17:00

場所

AP新橋 (オンライン開催)
 

議題

1 開会

2 循環器病対策の取組について

3 厚生労働科学研究班からの報告

4 その他

議事

2022-7-29 第8回循環器病対策推進協議会
 
○岩佐課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第8回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、協議会委員の交代について、御説明させていただきます。
 日本医師会の役員の改選に伴いまして、羽鳥委員から、公益社団法人日本医師会常任理事の今村英仁参考人に御交代の予定としてございます。手続の都合上、本日は参考人としての御出席ではございますが、実質的には委員の交代ということで御承知おきいただければと思います。
 また、本日、令和3年度の治療と仕事の両立支援モデル事業の成果について、北里大学の早坂由美子参考人、また、東京湾岸リハビリテーション病院の伊藤真梨参考人から、御発表いただく予定としてございます。
 さらに、厚生労働科学研究の報告としまして、神戸大学の平田健一参考人、国立循環器病研究センターの宮本恵宏参考人に御発言いただく予定としてございますので、よろしくお願いいたします。
 また、委員の出欠状況でございますが、安藤委員、羽鳥委員、堀場委員、山本委員、横山委員から、御欠席の御連絡をいただいております。
 また、美原委員から、協議会途中より御参加いただける旨の御連絡をいただいているところでございます。
 その他の委員の皆様方につきましては、御出席の御予定ということで、名簿をもって代えさせていただきます。
 また、本日、委員20名のうち15名の方に御出席いただいておりまして、定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第、座席表、名簿、資料1、資料2、資料3-1~3-3、資料4、資料5、参考資料1~4となってございます。お手元で御確認いただければと思います。
 続きまして、本日の会議の進め方についてでございます。御発言は、オンラインの先生方につきましては、Zoomの「手を挙げる」機能を御活用いただければと思います。また、会場の先生方につきましては、手を挙げていただき、座長から指示があった際に御発言いただければと思います。カメラは常に映る状態としておき、発言しない際にはミュートにしておいていただければと思います。
 事務局からは、以上でございます。
 以降の進行につきまして、永井会長から、お願いいたします。
○永井会長 よろしくお願いいたします。
 まず、議事2「循環器病対策の取組について」を御検討いただきます。
 資料1「循環器病対策の取組について」の説明を、事務局から、お願いいたします。
○藤田課長補佐 事務局でございます。
 資料1「循環器病対策の取組について」を御覧ください。
 2ページは、令和4年度の循環器病対策の概要についてお示ししたものとなっております。前回の協議会でもお示ししたものでございますけれども、今年度から開始している脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業等を含め、以下のような事業を進めております。各事業を具体的に説明していきたいと思います。
 3ページ目になります。循環器病特別対策事業では、昨年度に引き続き、各都道府県に2分の1助成の形で地域施策の支援を行っております。具体的には、会議体の運営、人材育成、普及啓発、相談支援、多職種連携体制の構築など、基本計画の内容に沿った形で幅広い施策を対象としております。
 次のページを御覧ください。本年度より、脳卒中・心臓病等総合支援センターのモデル事業を開始しております。本モデル事業では、地域の情報提供等の中心的な役割を担う医療機関に総合支援センターを配置し、都道府県と連携を取りながら、地域の医療機関と勉強会を開催したり、支援方法などの情報提供を行うなど、協力体制を強化することで、包括的な支援体制を構築し、地域全体の患者支援体制の充実を図るべく、まず、モデル的に全国10都道府県程度において先行的に実施し検証を行う事業となっております。
 5ページを御覧ください。こちらが、脳卒中・心臓病等総合支援センターのモデル事業、本年度の選定結果でございます。公募に基づき、28の自治体、32の医療機関から応募があり、総合支援委員会において、事業実施計画書等の書類審査を行い、最終的に記載の10の自治体と12の医療機関を選定し、先月、通知いたしました。本年度は、記載の医療機関においてモデル事業を実施していく予定となっております。
 6ページを御覧ください。循環器病に関する緩和ケア研修推進事業についての説明となっております。本事業では、高齢化に伴い増加している心不全診療の向上を目指し、心不全緩和ケア研修の推進を行っております。
 7ページを御覧ください。具体的には、日本心不全学会により開催される基本的心不全緩和ケアトレーニングコース、通称「HEPT」を推進しております。HEPTは、循環器病に関する緩和ケア研修推進事業として、厚生労働省より委託され、日本心不全学会が実施する基本的心不全緩和ケアトレーニングコースとなっております。本研修は、心不全診療に関わる全ての者を対象にしており、循環器内科的な治療介入後も残る呼吸困難等への介入方法、アドバンス・ケア・プランニング、臨床倫理、精神症状への介入方法等を学ぶことができます。昨年度、eラーニングで学ぶプログラムを構築し、完全オンラインのコースとなっております。現在までに、全国47都道府県から計1,051人が受講しております。
 8ページ目を御覧ください。循環器病に関する普及啓発事業です。本事業では、循環器病がそもそもどういった疾患であるのか、循環器病の中には生活習慣などとの関わり合いが大きいものが多いこと、発症時の症状やその対応方法など、正しい知識の普及啓発を行っていただく事業となっております。日本脳卒中協会、日本脳卒中学会、日本循環器協会、日本循環器学会に、互いに連携していただく形で普及啓発を行っていただいております。
 最後、9ページを御覧ください。本年度の厚生労働科学研究の内容となっております。こちらも前回の協議会でお示ししたものとなりますけれども、令和2年度からの継続が2件、令和3年度からの継続が4件、令和4年度の新規の研究が7件、合わせて13件の研究を進めております。
 以上になります。
○永井会長 ありがとうございました。
 今の事務局からの説明に、質問、御意見等はいかがでしょうか。
 大津委員、どうぞ。
○大津委員 大津でございます。
 質問があるのですけれども、1つは、登録事業に関して、去年の末に国立循環器病研究センターがそれを担うことになったのですが、春の時点で、国のデジタルヘルスの中の踏襲もあったからということを言っていますが、これからの段取りを教えていただくことはできますでしょうか。
○永井会長 事務局、いかがでしょうか。
○藤田課長補佐 御質問をありがとうございます。
 御指摘のとおり、データヘルス改革が本格化しておりまして、その仕組みを活用することで診療情報支援を行う合理的な事業を計画しております。委託先の国立循環器病研究センター等と協議を進めている段階で、その都度、今後の協議会等で御報告できればと考えております。
○大津委員 ありがとうございます。
 もう一点だけ、支援センターは書類審査で決まったということですが、リストを見ていると、東京、大阪、神奈川など、人口の多い8つの都道府県が入っていないということで、非常にアンバランスな感じがするのです。かつ、京都、栃木とか、余り特徴があるとは言えない都道府県から2つ入っている気がします。何かいびつに感じるのですが、その辺の選考はどのような感じで行われたのでしょうか。
○永井会長 事務局、お願いします。
○藤田課長補佐 御質問をありがとうございます。
 各都道府県からいただいた事業計画書に基づいて、総合支援委員会が開かれておりますので、そこで評価を行いました。各委員の下で採点等を実施して、その採点結果を基に今回の事業実施先を選定した結果でございます。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 横田委員。
○横田委員 横田でございます。
 今の質問とも関連するのですが、総合支援センターは先行的に実施すると書いてあるのですけれども、今後の中長期的な予定はどのようになりますか。取りあえず10施設で始めて、それで検証すると思うのですが、その検証はどのぐらいの期間の検証でしょうか。次のステップとしては恐らく各都道府県での設置を想定していると思うのですが、そのプロセスはまだ明らかにはなっていないのでしょうか。
○藤田課長補佐 御質問をありがとうございます。
 来年度以降の進め方については、現時点では確定しない状況でございます。まずは、本年度、10の都道府県でモデル的に実施しまして、もちろん将来的には全国的に広めていくことが目標にはなりますけれども、まだ来年度以降の具体的なことについては現時点では決まってございません。
○横田委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 どうぞ。磯部委員。
○磯部委員 磯部でございます。
 同じ点ですけれども、大津先生がおっしゃられたように、地域的な偏りを感じるのですね。前回の協議会のときには1都道府県当たり1つのセンターを設置するという御予定を伺っておりますけれども、センターの役割は非常に広範かつ複雑で、大きな都道府県で本当に1つで済むか、検討が必要だと思うのです。今、横田委員の御質問もありましたけれども、今後、ロードマップの中でモデル事業の施設なり地域を少し追加されたらいかがかと思います。
 以上です。
○峰松委員 峰松です。
 私も、同じような意見です。厳密な評価基準で決定されたと聞いてますが、蓋を開けてみると、私はそれぞれのところの特徴をある程度知っているつもりですが、結局、現時点でかなりうまくいっているところが選ばれているような気がします。こうしたところの評価点は高くなる。逆に、問題の多いところが選ばれずに残されてしまっている。先ほど質問が出ていた患者登録をどうするのか、総合支援センターモデルの次のステップをどうするのかなどはきちんと決めておかないと、第2期計画策定に大きな影響を与えると思います。お互いに意見をやり取りしながら決めていくことになると思いますが、そのような問題認識をしています。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 今の点は、十分事務局で御勘案いただきたいと思います。
 続いて、議事3「治療と仕事の両立支援モデル事業 事業成果報告」に参ります。
 本日は、伊藤参考人、早坂参考人から、2件、御報告をいただきます。初めに、事務局よりモデル事業の概要の説明をいただいた後、2件、続けて御報告いただくことになります。その後に、質疑応答の時間を設けております。
 よろしくお願いします。
○藤田課長補佐 事務局でございます。
 資料2「循環器病の患者に対する治療と仕事の両立支援モデル事業~事業成果のまとめ~」を御覧ください。こちらは、令和3年度で終了しました両立支援モデル事業の事業成果の発表となっております。
 本事業は、循環器病の患者さんが安心して仕事継続や復職に臨めるよう、両立支援コーディネーターを配置して、各個人の状況に応じた治療と仕事が両立できるよう、就労支援を行うモデル事業となっております。令和元年度から令和3年度にかけて、記載の12か所の医療機関で実施しました。本事業で作成された支援ツールとして、脳卒中及び心疾患、それぞれの治療と仕事の両立お役立ちツールが作成されました。本資料は、厚労省のホームページでもダウンロード可能となっております。
 本日は、実際に事業が行われた病院から取組事例の発表をお願いしております。一つは、心疾患で2年間事業を実施していただいた、北里大学病院。
 もう一つは、脳卒中で実施していただいた東京湾岸リハビリテーション病院です。
 早坂参考人、伊藤参考人より、御発表をお願いいたします。
○永井会長 早坂参考人から、お願いします。
○早坂参考人 北里大学病院の早坂と申します。よろしくお願いいたします。
 2020年度と2021年度、この事業に取り組ませていただきました。概要は、2020年度は、循環器内科の医師、入院・外来の看護師、就労支援医師は産業衛生の専門の医師、それとソーシャルワーカーによる、心疾患両立支援チームを立ち上げました。この就労支援医師を中心とした就労支援外来と連携しながら、就労支援セミナーを開催し、患者さんは、当時はコロナであまり広くはできなかったのですが、限られた範囲で、開催しました。昨年度は、そのメンバーに心臓リハビリの担当医師や理学療法士を加え、月1回の支援会議を開催しました。スクリーニングは、入院・外来看護師が、就労支援ポスターという真ん中のものを使って、患者への声かけやヒアリングを行い、ソーシャルワーク面接につなぎました。ソーシャルワーカーは、全対象患者を面接し、それぞれのニーズや課題を把握し、必要に応じて、就労支援外来、産業保健総合支援センター、社会保険労務士、ハローワークと連携しました。対象患者は、2020年度は15名、2021年度は35名でした。疾患特性では、成人先天性心疾患が多かったです。2021年度に、心臓リハビリ担当医師や理学療法士が介入し、運動耐容能や身体活動量等の評価を行い、それに基づいた指導を行いました。2021年度は、埋め込み型補助人工心臓を使用している患者が就労できた事例を含めて、オリイ研究所を招いて職員向けで講演会を開催しました。真ん中のところの一番左が、チームの組織図です。ソーシャルワーカーは、両立支援コーディネーターの資格を取った者、約3名が中心となって、それ以外の者は兼務で実施しました。真ん中が先ほど申し上げた就労支援に関するポスターで、これを各外来に全部貼りました。このようなことがあったらまずはソーシャルワーカーに御連絡くださいということと、詳細について説明したものを貼りました。一番右が、一昨年度と昨年度の数なのですけれども、一番多かったものが成人先天性心疾患です。そこの右に書いてあるものが、それぞれの患者さんの活用した資源ですね。このように、就労支援外来、社労士、ハローワークを使いました。2番目に多かったものが虚血性心疾患で、3番目が不整脈に対してデバイスを挿入した方、4番目は大動脈疾患になっています。今回この取組をさせていただいて得られた成果は、ソーシャルワーカーが就労支援の相談窓口を担うことで、チーム支援のマネジメントができます。患者さんは、就労したいという方と併せて、退職したいという方やまずは経済的な問題を解決したいう方もいらっしゃるので、その窓口として1つが決まっていることで、マネジメントができました。それと、スクリーニングは医師や看護師からの声かけが何といっても重要であること分かりました。紙、ポスターを貼っても、それだけで来られる方は少なかったです。潜在的なニーズを把握するためには、声かけが重要でした。2年目に心臓リハビリの医師や理学療法士が連携したことで、とても見えてくるものがありました。専門的知見に加えて、運動耐容能や筋力では、運動負荷試験により、御自分の心臓の状態とか、自分自身が視覚的に御自分の状態像を把握できることで、どういう仕事をどのぐらいしたらいいかということがはかれるということが、この心臓の場合には一つの特徴的な効果かと思いました。講演会を通して、職員の意識を高められたことと、どんな状態の方でも働くことが可能だということを示すことができました。今後の課題としては、この事業の課題というか、基本的に、相談に来られる方はもともと重労働されている方で、荷揚げ、運転、介護、極端な冷所という作業が多くて、心臓の状態自体で継続することが難しい方かつパソコンの経験とかがあまりない方が多くて、なかなか新たな就労機会を提供することが困難であったことが1つです。それと、院内への普及啓発がまだ不十分であることが、今回の事業を通して分かったことです。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 続いて、伊藤参考人から、お願いいたします。
○伊藤参考人 東京湾岸リハビリテーション病院のリハビリ科の医師をしております、伊藤と申します。よろしくお願いします。
 当院は、合計160床を有する回リハ病院となります。本モデル事業の取組の紹介として、今回、主なものを3つ、対象者のスクリーニングのフローの作成、支援チーム・運転チームによる支援体制の構築、教育・啓発活動について記載させていただきました。まず、順番が前後してしまうのですが、右上の2、支援体制の構築の項を御覧ください。回リハ病院では、麻痺や高次脳機能障害を抱えた脳卒中患者様に対して、もともと、主治医、セラピスト、ソーシャルワーカーなどが、チームで定期カンファを行いつつ、入院から在宅復帰までをサポートしていく既存の体制がございます。また、外来に引き継がれ、外来担当チームが継続介入することも多く、時には、事業所の方に来ていただいて、復職に向けた会議の場を持つといったことも従来行っておりました。ここにあります薄緑の枠と黄色の枠から青の流れが、もともとあった流れになります。ただ、担当スタッフの経験年数や就労サポートへの意識の差も存在しまして、就労支援そのものの質にばらつきがあるといった実情がございました。また、高次脳機能障害の方に自動車運転再開判断を体系立てて行える仕組みがなかったこと、障害者職業センターなど支援機関の紹介事例も少なく、事例の蓄積が不十分な実情がございました。そこで、担当チームとは別に、就労支援チーム、自動車運転チームを今回は立ち上げまして、担当チームをサポートする仕組みを構築しております。具体的には、ここに示したように、各病棟、外来に、PT、OT、STといったリハ専門職による就労支援コーディネーターを配置し、このコーディネーターと、就労支援担当医師は私になるのですけれども、それとソーシャルワーカーで就労支援チームを構成しております。チームの主なミッションとしては、支援対象者のリハの進捗モニタリング、職業評価訓練導入のタイミング、支援方法の助言、また、退院が近い場合は支援機関紹介の提言などを行うこととしております。また、各チーム間の情報共有のツールとして、病前の勤務内容、患者や家族の希望、経済基盤などの情報を盛り込んだ職業情報収集表と、職業準備性も踏まえた復職に必要な能力を評価する機能・能力評価表を作成しまして、チーム間の情報共有ツールとして使用を開始しました。自動車運転チームのミッションとしては、外来担当チームより依頼があった場合に、神経心理学的検査や本モデル事業で導入しておりますドライビングシミュレーターを用いた評価を行いまして、運転再開可否をコメントするといった形をとっております。もう一つの取組として、戻ってしまいますが、左上の1、支援対象者のスクリーニングと介入フローの作成を御覧ください。各チームがこの方はどの程度復職の可能性があるのかといったことを共通認識として初期段階から意識して介入していくためのスクリーニングツールといった形で導入しております。これは、本モデル事業で実施したデータ分析を基にしておりまして、病前就労者120名を対象とした退院後アンケート調査によって、就労を達成することに関連するファクターを分析し、ROC曲線から算出したカットオフを採用して作成したスクリーニングになります。具体的には、FIMの運動項目が50件、失語症の有無、FIM認知項目25点に基づいて、病前就労者を区分A~Cに分類しまして、これらの区分を支援チームと担当チームが双方に共有し、介入の重みづけとして利用する仕組みになります。最後に、右下の3、医療者向けの教育・啓発活動も御覧ください。最初に申し上げましたとおり、若手からベテランまで存在する回リハ病院における就労支援の質の担保という点が課題でございました。そのため、支援チームによるサポートと併せて、職員全体の教育・啓発活動も開始しております。具体的には、就労支援ガイド、また、少し難しい高次脳機能障害患者の職業リハビリテーションのガイドなどの手引きを作成し、職員向けの研修会なども行って、病院全体における就労支援の意識づけや支援の質向上を図っております。これらの取組の成果として、下にお示ししましたスクリーニング区分の導入で、各チームが共通認識を持って支援候補者を把握できるようになったこと。また、支援チームによる定期的な対象者モニタリングと担当チームへの助言、情報共有のツールの導入によって、復職へ向けた課題を整理し、適切なタイミングで職業能力の評価を行うシームレスな外来への情報伝達が可能となっておりますことで、担当チームの支援の質向上が得られたこと。高次脳障害患者で非常に難しいケースや中長期的な視点での支援を要するケースもいらっしゃるのですが、そういった方は、病院で抱え過ぎずに、障害者職業センターなどの支援施設へ適切なタイミングで紹介を検討するといった事例も増加したと考えております。教育・啓発活動によって、病院全体の支援の意識向上が得られ、ワークサンプル幕張版という高次脳の方の職業能力を評価するものがあるのですが、そういったツールやドライビングシミュレーターを活用した運転評価を積極的に行うという風土形成につながったと考えております。今後の課題としては、事業所の情報収集をすることは連携の在り方としてどのぐらい積極的に行っていくのかというところでまだまだ難しいこと、高次脳機能障害患者様への対応ができる移行支援事業所との連携事例がまだ少ないことで、かなり開拓地の余地があると考えております。
 以上、取組事例の御紹介となります。ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御報告に何か御質問や御意見はございますでしょうか。
 磯部委員。
○磯部委員 磯部でございます。
 私どもも、心疾患中心ですけれども、モデル事業に参加させていただきまして、2か年ほど経験させていただきました。80例以上の患者で支援事業を致しました。早坂参考人が述べられたことと大体同じような体験をしておりますけれども、1点だけコメントいたします。
 現場で困っていることは、診療報酬の話です。この4月から心臓も就労支援に関して診療報酬をつけていただきましたので、請求をしているのですけれども、結局、産業医や事業所から意見書をいただく、それに対して返書を書くことで初めて診療報酬が得られるシステムになっています。現状、心疾患以外、がんや脳卒中では、以前から診療報酬システムができていたと思うのですが、心臓につきましてはこの4月からでこれからだと思うのですけれども、事業所あるいは産業医がそのことを御存じなくて、ほとんど先方からのアプローチがなく、結局、その辺りのやり取りをしないと診療報酬が得られません。事業所あるいは産業医の方は傷病手当金についてはよく御存じで、心臓の手術をした後に傷病手当金についてのやり取りはあります。今後、事業所や産業医や会社に対して啓発活動をしていただきたいと思います。結局、こういったシステムは診療報酬が得られませんと普及しないと思いますので、ぜひそういった行政的なアプローチをしていただきたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 早坂参考人に聞きたいのですけれども、早坂参考人のところ、全て自分の施設の患者さんですか。
○早坂参考人 今回、循環器は全部自分の施設の患者さんです。
○小笠原委員 そうですよね。
 さっきも総合支援センターの議論がありましたが、最終的にはほかの施設の患者さんも受けなければいけないと私は思うのですが、それで、マンパワーとか、いろいろな設備とか、これで可能ですか。それをやらないと、さっきの総合支援センターの議論がありましたが、結局、最終的には、支援センターが、自分のところだけではなくて、いろいろなところを受ける必要があるのです。それは可能ですか。そうなったときに、さっきのスキームでいけますか。
○早坂参考人 マンパワー的には、難しいと思います。今回、この就労支援セミナーを各地域にということで、各病院に配ったのですけれども、まず、来たのは職員でした。その病院のソーシャルワーカーや看護師さんが、まず、どういうことを就労支援セミナーとしてやっているのか聞きたいと言ってきたので、マンパワーの問題もありますし、その連携、おのおのの地域病院のモチベーションの問題、多々まだ課題はあると思います。
○小笠原委員 そうですよね。そうすると、多分今の話は啓発から始めていかないとということですよね。要するに、ゼロからのスタートが啓発ということですよね。
○早坂参考人 はい。
○小笠原委員 分かりました。
 伊藤参考人に聞きたいのですけれども、伊藤参考人の話は、あくまでも施設の中ではすごくよくできていると私は思うのですが、問題は、そうではなくて、患者は増えますので、ずっと見ているわけにいかないわけですが、維持期にどうやって移行させるかという話。
 もう一個は、その患者さんはそのまま急性期で治療されていますので、急性期病院とどうやって連絡を取っているのか。本当にその患者さんは就労支援のときに回復期リハだけの情報だけでいいのか。急性期と連携を取る必要があると私は思うのですが、その急性期への情報のフィードバックと維持期への移行はどうなっていますか、すごく大事なところだと思うのです。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 先に、急性期からの情報に関しては、現状では、いただけていない、紙ベースの情報に時々書いてある程度にはなるのですけれども、今当院でやっている職業情報収集票に当たるものの一部を連携パスのようなものに乗せる形でバトンタッチをしていくことは一つのアイデアかと思います。維持期への移行なのですけれども、脳卒中の患者様の場合は、就労支援で問題になってくるのは高次脳機能障害の方がメインになります。現状、障害施策や雇用施策で様々な支援機関を整えようという動きが活発になってきつつある状況かと思うのですけれども(就労継続支援A,B型、移行支援事業所など)、先ほどお話し申し上げたように、その場合、2年間の期間で行える移行支援事業所がかなり包括されるかと思うのですが、実際は、発達障害、鬱、統合失調症で、脳卒中の高次脳機能障害を見られる移行支援事業所がまだ乏しいということが実情になります。その辺りが整ってくることと、そういった支援施設があるということで医療機関がしっかりと事例を蓄積しまして、いい段階でバトンタッチをしていったり、ある程度シームレスに時期をかぶりながら支援していく体制ができれば、回復期だけで抱える形にはならないかと考えております。
○小笠原委員 ありがとうございました。
 最後に話したことが恐らく一番大事で、こういう患者さんを支援する連携がまだちゃんとできていないのですね。ぜひ行政にそういう仕組みをきちんとつくっていただきたい。私は脳卒中の現場で働いていますので、ぜひこれをお願いしたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 安保委員、どうぞ。
○安保委員 伊藤参考人に、質問というか、今、御回答いただいたような感じなのですけれども、失語症をはじめとする高次脳機能障害があると、麻痺が割と軽くても、復職に非常に難渋するということだと理解してよろしいでしょうか。そうかといって、失語症があるだけで復職率がもう極端に下がりますので、それに伴うシステムを広くやらなければいけない、対応すべき箇所をかなり積極的につくらなければいけないという理解でよろしいでしょうか。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、1点だけ私が気になっていることとしては、高次脳の方は、失語症も含め、就労支援といいましても、その手前に生活訓練として職業準備性を整える手前の段階があります。例えば、服薬管理、スケジュール管理、金銭管理ができるかというところのサポートです。しかし現実には回復期でなかなか全てを行うことは難しく、この就労手前の生活訓練、職業準備性を支援する支援機関の整備やそことの連携も重要です。高次脳機能のモデル事業から来る流れの支援体制も福祉の現場には構築されつつあると思うのですけれども、そこと両立支援という視点とで、医療機関がどのような機関にどのタイミングでバトンタッチするのかなど個別性や、地域による資源の差もあって、考え方が錯綜している状態です。そこをどう整えていくかということが課題かと、やりながら感じております。
○安保委員 どうもありがとうございます。
○永井会長 大津委員、どうぞ。
○大津委員 早坂参考人にお聞きしたいのですけれども、成人先天性心疾患の患者は、親、特に母親に対する依存や父に対する依存、精神的依存性が非常に高い、ある意味、普通の心疾患の患者さんとは違うグループに属するかと思っているのですけれども、その患者さんに対して、1つの支援チームでいけるものなのですか。それとも、ある意味ACHDに特化したようなチームをつくるべきなのでしょうか。その辺はどうお考えになりますか。
○早坂参考人 今回、このチームの一番中心になった医師がACHDを診ている医師でしたので、ある意味、すごくやりやすかったことと、先生がおっしゃるように、親御さんとの関係が、どちらかで、非常に依存性が高い方もいらっしゃるし、一方で、すごく御自分の病気を分かりながら中学・高校・大学と進んできている方で結構自分なりの考えをきちんと持っている方と、本当に分かれているところがありました。依存的な方は、この先は、親子でなく横のつながりでいろいろと考えていこうということで、その辺りは就労支援外来の医師が会ってくれたりすることで、少し第三者や他人とともに話し合う環境の提案はできるのですが、ただ、実際に、職業選択や継続とかについて、結果としてはなかなか難しいところがありました。一方で、逆にすごく御自分のことが分かっている方がこんな多いんだということを私自身としては感じるところではありました。その上で選択をしようとしている方が結構多くいらっしゃったと思いました。
 以上です。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、先へ進ませていただきます。議事4「厚生労働科学研究班からの報告」でございます。本日は、平田参考人、宮本参考人、小室委員から、3件、御報告いただきます。
 まず、資料3-1の説明を、平田参考人から、お願いいたします。
○平田参考人 よろしくお願いいたします。
 厚生労働科研のタイトルが「循環器病対策推進基本計画に基づいた、都道府県の有用な目標指標の設定のための研究」で、この研究班に求められた成果は、まず、各都道府県において策定された循環器病対策推進計画をレビューして、その全体像をまとめるということにあります。その中から重要性が高いと考えられる個別施策及び指標を抽出しまとめることが求められています。
 次のスライドをお願いいたします。この研究体制ですけれども、私が代表者を務め、日本循環器学会、日本脳卒中学会と緊密に連携し、それぞれ、心血管疾患分野の専門家、脳卒中分野の専門家に加わっていただき、公衆衛生分野の専門家、医療政策分野の専門家からも御意見を伺いながら、研究を進めてまいりました。研究班に求められた都道府県の計画のレビューなのですが、COVID-19の感染拡大のために、各都道府県における推進計画の策定がかなり遅れていました。
 本研究班では、各都道府県に日本循環器学会と日本脳卒中学会の推進委員を置き、都道府県と協力して各都道府県の計画策定に向けた作業を進めました。脳卒中サブワーキンググループと心血管疾患サブワーキンググループは、各都道府県における推進計画を比較し、個別施策を比較するために、都道府県の推進委員に対して一つの手段としてロジックモデル案を提案しました。それが、2021年8月になりました。
 これは、脳卒中学会が提案しロジックモデル案ですが、分野アウトカム、中間アウトカムは全国共通にしました。分野アウトカムとして、脳卒中発症の減少、年齢調整死亡率の減少、脳卒中後の生活の質向上の3つを分野アウトカムとしました。中間アウトカムに関しては、予防、救護、急性期、回復期、維持期と、それぞれのところでアウトカムを設定いただきまして、初期アウトカムは代表例のものを挙げています。
 脳卒中学会のロジックモデルは、地域医療計画評価ネットワークのロジックモデルを改訂して策定されました。第7次医療計画で提案された脳卒中指標の継続活用を行い、将来的な実現可能性を想定し、医療従事者と都道府県の負担を最小限にすることを考慮して、ロジックモデル案が策定されました。分野アウトカムと中間アウトカムは全国共通にし、初期アウトカムと個別施策に関しましては、地域の実情がかなり反映されますので、都道府県別で決めていただくことが良いのではないかと考えました。脳卒中学会は認定のPrimary Stroke Centerの年次報告データがありますので、それを活用することで悉皆性の高い指標が取れるのではないか、また、将来的な二次モデルでは地域連携クリティカルパスを活用することが重要ではないかという考え方で策定されました。
 日本循環器学会のロジックモデル案です。分野アウトカムとして、心血管疾患による死亡の減少と心血管疾患患者の生活の質向上の2つを挙げております。中間アウトカムとしては、それぞれ、予防、救護、急性期、回復期、慢性期のところで項目を挙げています。
 両方の学会のロジックモデル共通のコンセプトは、分野アウトカムと中間アウトカムは全国共通にして、そのデータを比較することで均てん化が図れると考えています。初期アウトカムに関しては、地域の実情を反映し、各都道府県で決めることがいいのではないかと考えました。また、医療従事者や都道府県の負担を最小限にすることを考慮し、既存の調査や資料などから抽出可能な指標を中心に作成し、第7次医療計画の指標との一貫性も重視いたしました。分野・中間アウトカムに記載されている一部の独自調査が必要な指標は、設定する努力を始めていただきたいという趣旨で記載しています。
 以上の結果で、ホームページに公開されました44都道府県の推進計画をレビューいたしまして、その44都道府県中、ロジックモデルが含まれている都道府県は28、そのうち脳卒中学会案を一部でも参考にしたと思われるものは12都道府県、日本循環器学会案を一部でも参考にしたと思われるものは8都道府県でした。これは兵庫県の心血管疾患のロジックモデルです。ここの黄色い網かけになっていますデータが、重要だとは思われますが、今の指標では取れないものになります。そういったところは、ブランクにして、今後必要なデータであると考えています。分野アウトカムで、患者の質をどう評価するか、その指標が非常に難しいという意見になりました。
 続きまして、実際に全体の推進計画をレビューして、代表的・興味深い指標の抽出を行いました。
 まず、指標などを抽出するに当たり、各都道府県計画における個別施策の項目立ての全体像を確認いたしました。ここにありますように、国の基本計画では、(1)、(2)、(3)と分けて記載されているわけですけれども、この項目立てをどのぐらい基本として各都道府県の計画が記載されているか、調査いたしました。
 ここにありますように、パターンで分けますと、44都道府県中27都道府県が、パターン2、パターン4となっていました。このパターン1は、循環器病の予防や正しい知識の普及啓発、及び、保健・医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実という2つにまとめて記載されているものです。パターン2は、それに加えまして、循環器病の研究推進、都道府県の診療情報の収集・提供体制の整備を加えて記載されています。パターン3、4は、それに加えて、多職種連携や地域連携という項目を切り出して記載されているパターンでした。多職種連携による循環器病対策や循環器病患者等を支える環境づくりという項目立てをして記載している都道府県が44都道府県中19都道府県でしたので、ここの注目度が高いのではないかと思います。一方で、研究面に関して記載されている都道府県は少ない傾向でありました。
 「多職種連携(地域連携)による循環器病対策・循環器病患者等を支える環境づくり」の項目に含まれる内容といたしまして、項目立ては10までありますけれども、ここの社会連携と患者等支援で、4番、10番、6番、8番、9番、それぞれでこの程度の記載がありました。すなわち、患者支援、情報提供、相談支援、後遺症を有する者に対する支援、治療と仕事の両立支援・就労支援などの記載が目立ちました。
 これらの調査結果を踏まえまして、予防、救護、急性期、回復期、慢性期・維持期、再発予防に加え、社会連携、患者等支援、研究・基盤整備を分類に加えまして、各手法などを抽出し、代表的・興味深い手法について深掘りしました。抽出した個別施策につきましては、時間が限られますので、この資料の最後のほうにまとめて参考資料としてつけさせています。また御参考にしていただけたらと思います。
 その中で、特に研究班として代表的・興味深い手法について御説明させていただきます。まず、脳卒中の領域ですけれども、脳卒中患者さんの退院時または90日のモディファイドランキンスケールが急性期・回復期のアウトカム指標になりますが、これは脳卒中発症後の生活自立度の尺度でもあり、グローバルで最も使用されている指標です。医療従事者に負担の少ない情報収集方法の検討が必要ではありますが、非常に重要な指標ではないかと注目いたしました。学会データを用いることで、ある程度は悉皆性を保った情報収集が可能となると考えられています。年次推移で脳卒中発症後の機能転帰が改善しているかどうかの評価が可能になると考えました。
 続きまして、脳卒中領域で、もう一つ、興味深い指標といたしまして、遠隔診断補助及び搬送の連携体制構築数がありました。島嶼、僻地の対策が必要である都道府県などにおいては、非常に有力な候補と考えられます。脳卒中の治療が24時間速やかに実施できる連携体制の整備、脳卒中に精通した医師による遠隔診療を用いた診療補助の実施などが挙げられました。
 心血管疾患領域に関しましては、非常に疾患が多岐にわたりますので、数多くあるのですけれども、その中で、心不全に注目したときに、ある都道府県では、心不全に対して正しい知識を持つ人の割合、すなわち、予防、普及啓発の成果と言えるのですが、予防、啓発活動を行ったときの受け手側の評価方法や調査方法をどのように行うかについて記載されていました。つまり、産官学連携協定を用いまして、県民の意識調査を実施されるということでした。心不全の定義は非常に難しいのですが、「ポンプ機能が弱くなりだんだんと」云々といった項目を挙げて、1つ以上に回答できた人の割合という形で、指標として使えるのではと記載されていました。この啓発活動は、テレビやほかのマスメディアを使うことで啓発を行うのですけれども、予算などのいろいろと課題はあり、地域によって差がある可能性があるのではないかと考えられます。
 もう一つ、代表的な疾患として急性大動脈解離があります。この急性大動脈解離のデータを収集することが重要ではないかと考えます。患者数は日本循環器学会のJROADのデータが用いられるのですけれども、将来的には登録事業の対象疾患に含まれると思われますので、それまでは悉皆性に関して一部懸念はありますけれども、地域の状況を考慮しますと、多くの患者さんは学会関連施設に搬送されますので、許容範囲ではないかと考えています。ただ、患者数が増減したときに一体それがどういうことを反映しているかの判断が重要だと思われます。つまり、実態把握、定点観測をするということなのですが、患者さんが増えたときに、いわゆる高血圧などの危険因子の管理が悪くなって増えたのか、逆に、アクセスがよくなって病院に到達される方が増加したのか、診断が向上して増えたのか、その意義については考察する必要がありますが、少なくとも定点観測による実態を把握することが重要ではないかと考えています。その中で、アウトカムに関係ない指標に関しては、特に初期アウトカムでが、次期計画では指標から外すなど、検討したいと考えています。
 全体としての結果なのですが、回復期以降に脳卒中・心臓病などに特異的ではない指標が数多くあります。すなわち、訪問リハビリ、訪問看護ステーションの数、在宅療養支援診療所数といった数は確かに取れるとは思うのですが、それが脳卒中・心臓病にどの程度特異的かということは難しいと思います。もう一つは、緩和ケアは非常に重要な点だと考えられますが、定義が曖昧であって、各都道府県に共通の定義がないことが大きな課題だと考えました。先ほど心不全で申し上げました受け手側の変化の評価方法は非常に重要な点だと思われるのですが、どうやって評価するかということが重要だと思います。個別施策と記載されている内容は幾つか結構興味深いものがあるのですが、その指標をどうやって取るのか。例えば、かかりつけ医と専門医の連携、情報提供、相談支援、先ほどのACHD、成人先天性心疾患患者さんの両立支援がどの程度数値で出せるかといったところは非常に重要な課題だと思います。
 次のスライドをお願いします。この研究班では、本年度からこの失語を含む後遺症に対する対策の課題が加わりましたので、小笠原委員から、最後の2枚のスライドについて御説明いただいてもよろしいでしょうか。
○小笠原委員 分かりました。
 昨年末に、厚労省から、ここだけ抽出していただきたいと。失語を含む高次脳機能障害対策に対する好事例ですが、この左側を見ていただくと、当然ですけれども、外見から分かりにくい障害がかなり残りますので、これはどちらかというと周囲の理解や配慮を要するということでございます。当然社会の支援や理解が必要で、さらに、高次脳機能障害は、先ほどもありましたが、回復に非常に長い時間を要しますので、長期的なサポートあるいはリハビリテーションを受けられる場が必要だと。これは当然のことで、どうするのかという施策が右側にありますが、リハビリテーションの専門医療スタッフがなかなかいないので、人材育成と体制整備、こういった方々のリハビリテーションをできるようなスタッフの養成をしていただきたいということです。医療・介護による適切なリハビリテーションを受ける体制もきちんとしていただきたい。そもそもどのぐらい数がいるのかということをまだ把握されていないこともあるということでございます。右側には、どこの県が書いているかということを括弧で書いています。3番目、特徴的だったものは、言語障害、失語症の患者さんに、意思疎通支援者というものを養成しましょうということで、これは非常に現場の我々とっても大事なことで、STが主になっていただければいいのですが、こういう支援者を養成していただくという施策が結構ありました。問題は、社会生活です。先ほど、両立支援の例がありましたが、社会生活を営むために、障害を持った患者さんがアクセスできる環境、先ほどあった就労や就学支援、あるいは、治療と仕事の両立支援の体制がまだできていない。先ほど伊藤参考人からありましたが、ああいうモデル事業をやれればいいのですが、それがなかなかできていないという自覚をみんなはされているのではないかと思っています。3番目は、こういう障害を持っている患者さんあるいは家族の交流、社会参加をすることを支援していただきたい。特に、ピアサポート、お互いに見守りつつ、お互いに助け合うという支援をぜひ行いたい、行いますということです。最後に、今、脳卒中学会でやっています相談窓口をこういうものの中心に開設するということを既に出していただいている都道府県もございました。
 次に行ってください。今年度、新たに予算をつけていただきました。これは全部ではありませんので、全都道府県の今言ったような好事例をさらに集めて、もともとの目的、第2期の基本計画に必要な指標を選択して提案すると。ただ、先ほどもありましたが、現時点では評価を集めることができないものもたくさんありますので、そういうことを集めるため、先ほど私から言いましたが、急性期、回復期、維持期との間の連携をつくらないと、その指標は取れない、ただ、まだこれができていない、これを提案させていただこうと。さらに、必要時にさらなる検討に使用できるように、現在、脳卒中学会内に医療介護連携ワーキングで、回復期から維持期の方々の現場の問題をまとめております。2番は、特に回復期から維持期のリハビリテーションの2つの厚生労働科研の中で、今、失語症を含む高次脳機能障害の頻度の調査を各施設にしておりますので、このデータも一緒にまとめて集約し、最終的な班会議への報告とさせていただこうかと思っております。
 以上です。
○平田参考人 ありがとうございました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
 続いて、資料3-2の説明を、宮本参考人から、お願いいたします。
○宮本参考人 よろしくお願いいたします。
 厚生労働科学研究費補助金研究事業「循環器病に係る急性期から回復期・慢性期へのシームレスな医療提供体制の構築のための研究」について、御報告いたします。
 本研究班には、心血管及び脳卒中の急性期、回復期、リハビリ、慢性期、介護に関わる学会、地域包括ケア診療情報提供ネットワークに取り組んでおられる医療機関の代表でデータベース研究を行うことができる研究者に班員として参加いただいております。
 次のスライドをお願いいたします。本研究班では、循環器に係るシームレスな医療提供体制の検討を行い、その提言を行うことが求められております。そこで、マル1、循環器病の急性期から回復期・慢性期の医療提供体制に対する実態調査と課題の抽出、マル2、地域の特性に応じた診療提供体制と地域包括ケアに対する実態調査と課題の抽出、マル3、循環器病患者の医療・ケアの全軌跡の可視化及び方策立案基盤の構築、マル4、地域特性にのっとったシームレスな診療提供体制構築及び地域包括ケア推進のための方策の提言の4つの課題に取り組んでおります。
 次のスライドをお願いいたします。本日は、このマル1とマル2につきまして、リアルワールドデータベースからの実態可視化と施設アンケート調査の結果、マル2につきまして、地域医療ネットワークの現状と課題のヒアリング結果を御報告いたします。
 次のスライドをお願いいたします。まず、脳卒中、心血管疾患、それぞれにつきまして、急性期から回復期、慢性期へとつながる医療提供体制について、データベース研究と施設アンケート調査を行いました。
 次のスライドをお願いいたします。リアルワールドデータベースといたしまして、JROAD-DPCデータを用いて、急性期入院及び外来におけます心大血管リハビリテーションの実態を解析いたしました。心大血管リハビリテーションは、エビデンスのある非常に有用な治療ではありますが、外来におけるリハビリテーションの実施割合は低いことが示されております。経年的には外来におけるリハビリテーションも増加傾向にありますけれども、なかなか入院のリハビリテーションのような増加は見られておりません。そこで、これらを増加させる要因の方策を検討する必要があると考えております。外来心大血管リハビリテーションを行うことはシームレスな医療提供体制のかなめであると考えられますが、その普及によりシームレスな医療提供体制構築につなげていくことが重要であると考えております。なお、この結果につきましては、日本循環器学会の学術誌である「Circulation Journal」に、最近、掲載されました。
 次のスライドをお願いいたします。日本脳卒中データバンクの年次報告から、脳卒中の急性期から回復期への移行がどのように推移しているかを調査いたしました。脳卒中では機能回復が重要でありますが、自宅退院までにリハビリができる回復期病院などで治療を受けることが重要とされております。脳卒中・TIA患者では、この薄い青色で示します回復期病院などへの移行が、ここにありますように、徐々に増加していることは間違いありません。2020年度には、34%に達しております。しかしながら、濃い青い色及び黄土色で示します自宅退院の患者さんが半数近くあることも分かります。これらの患者さんが本当にリハビリを必要としない患者さんであるのかどうかも含めて調査し、強化を考える必要があると考えております。
 次のスライドをお願いいたします。高齢者を対象といたしまして、心臓病及び脳卒中に罹患した方における地域での社会参加及び閉じ籠もりの状況、及び、それらと死亡までの身体機能の推移の仕方について、検討いたしました。これは日本老年学的評価研究、いわゆるJAGES研究というもので、2010年に調査を行い、そこに参加された方で2016年までに要介護認定データを収集できた19市町村に在住の方、期間中に死亡かつ死亡時点から3年前まで遡って追跡が可能な方、5,382名の方のデータを使用したものです。心臓病及び脳卒中の罹患歴のある方は、そうでない方に比べて、地域活動参加割合が低く、閉じ籠もりが多く、比較的早期から、日常生活動作、いわゆるADLが低下して、死に至る割合が高いことが示されました。また、心臓病及び脳卒中の罹患歴があっても、活動への参加や適度な外出をしている場合には、死亡まで自立を維持する経過を取りやすいことも示されました。死亡前3年間の身体活動の推移は、マル1で示しますように持続的な重度障害、マル2の持続的な軽度障害、マル3の徐々に悪化していく、マル4の急速に悪化する、マル5の最後まで自立維持が図られるというパターンに分けられておりますけれども、心臓病及び脳卒中の既往のある患者さんでは、マル2及びマル3の割合が高い傾向があることが分かりました。
 次のスライドをお願いいたします。これは自治体の国保・後期高齢者医療制度のレセプトデータ、介護保険のレセプトデータを利用して、急性期脳梗塞症例について入院から退院後を含めた解析を行ったものであります。急性期脳梗塞入院後、1か月から3か月の間に、回復期病棟、地域包括病棟に転院する方がやや多いことが分かりました。3か月後の転帰で見ますと、施設入院をしている方と死亡している方がそれぞれ10%あることが分かります。これは一つのリアルワールドの可視化で、今後、こういったデータがいろいろな評価に使われる可能性があると思います。右に示しますものは、医療機関が構成するコミュニティーの中で機能分担が行われていることを示しております。経年的な変化では、急性期脳梗塞入院数に比べて転院数が増加していることが分かりました。医療機関の連携が促進されているのではないかと考えております。
 次のスライドをお願いいたします。心疾患のアンケート調査を、急性期病院において行いました。日本循環器学会の専門医認定施設の約半数を超える760施設により回答を得たアンケートでございます。
 次のスライドをお願いいたします。一番上にありますように、多くの施設では地域医療連携の取組が行われておりましたが、地域連携パスの運用率は低く有用性も低いと担当者は考えていることが、アンケートの結果、出てまいりました。一方、患者教育資材の共有は、十分に運用されていないものの、有用性は高いという評価がありました。また、診療情報の共有は通常の診療情報提供書により主に行われていること、退院調整カンファは多職種で心不全患者を中心に行われておりますけれども、連携の手段としては外来心大血管リハビリテーションの活用は実際の割合が2割未満の施設が大半であることが示されました。
 次のスライドをお願いいたします。今まとめました内容につきまして、地域連携の取組、パスの運用、患者教育資材、退院後の情報共有、退院支援、心リハ、心不全の緩和ケアにつきまして、この研究班の報告書は詳細を既に報告させていただいておりますけれども、その中でまとめたものを示しておりますので、御覧いただければと思います。
 次のスライドをお願いいたします。脳卒中診療につきましては、日本脳卒中学会、回復期リハビリテーション病棟協会の協力の下で、全国のPrimary Stroke Centerの961施設と回復期リハビリテーション病棟の1,237施設にアンケートを行い、それぞれ、421施設、225施設より回答をいただくことができました。
 次のスライドをお願いいたします。これはそのアンケート結果の要約でございますけれども、脳卒中地域連携パスは、多くの急性期病院で使用され、満足度も高い。一方、回復期病院では、活用度、満足度、ともに十分ではないという結果でありました。また、急性期、回復期、ともに退院カンファレンスがほとんどの病院で行われていて、退院後、施設との情報共有に努めています。キャリアパスを運用し退院調整カンファレンスで活用することが、シームレスな情報共有を高める一つの方法ではないかとも考えられます。
 次のスライドをお願いいたします。これは、研究班の報告書は既に挙げておりますけれども、その中から要約したものでございますので、御覧いただければと思います。
 次のスライドをお願いいたします。さらに、本研究班の分担研究者、協力者となっていただいている、脳卒中・心血管の主要関連学会のメンバー、地域医療において中核的な役割を持つ研究分担者、協力者において、急性期から回復期、慢性期へつながる医療提供体制について、現状のヒアリングをまとめました。この結果に示していますように、急性期・回復期・慢性期と3期に分けて、それぞれのステージに対する全国実態調査による可視化が必要ではないかという意見が出ました。現状の可視化が必要でありますけれども、特に慢性期につきましては、その施設が多岐にわたるということで、困難ではないかという意見がございました。地域間あるいは都市部と地方間による構築の差が大きいのではないか、脳卒中と心臓疾患あるいは心不全と心筋梗塞のように疾患間による構築の現状は大きく異なる可能性があるという意見も出ました。その課題といたしましては、下にありますように、各学会との協力体制が必要である、地域連携パスを用いた統一したパスの項目が必要ではないか、医療計画策定の際のアウトカム指標にもそれらを用いることがいいのではないかという意見が出ております。こちらも御覧いただければと思います。
 次のスライドをお願いいたします。最後に、地域医療ネットワークの現状について、2つの地域についてヒアリングを行いましたので、それについて御報告いたします。
 次のスライドをお願いいたします。現在、熊本県においては、約5万人、600施設が参加するくまもとメディカルネットワークが実施されております。そこで、運用責任者の方にヒアリングを行いました。利用施設は、病院、診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業施設、地域包括支援センターなどの7類型があるということで、これらの利用施設間での情報連携はSS-MIXを利用して行っている、診療情報提供書などの文書の作成もネットワーク上で行えるようになっているということでございました。診療情報などの文書及び添付資料を送受信できるビューワや介護情報の連携を行う介護情報ビューワが備わっており、利用者が職種ごとに必要に応じて利用できる仕組みを構築しているということでありました。地域での医療介護体制にこれを活用していくことが今後の課題であるということでございました。
 次のスライドをお願いいたします。宮城県では、約10万人、877施設が参加するみやぎ医療福祉情報ネットワークが開始されております。そのヒアリングを行いました。急性期と慢性期病院の施設間で転院前の紹介がネットワークを介して行われていますが、介護施設についてはまだ活用には至っていないということで、今後の課題ということでありました。現在、透析データを、病院、クリニック、介護施設で共有し、透析患者さんを地域全体でケアしていく仕組みを新たに実証しているということでありました。また、パーソナルヘルスレコードの介護施設との共有を、今後、実臨床に応用することを検討していきたいということでございました。先ほどの熊本、この宮城、いずれにおきましても、これを継続するための人的・財政的基盤の確保が一番大きな課題であると言っておられました。
 次のスライドをお願いいたします。最後のスライドでございます。本日は、途中経過ということで、昨年度の達成成果を中心に報告させていただきました。本年度は、地域における医療包括ケアの現状と課題について整理するとともに、昨年度の成果も含めて、全体の提言を行いたいと考えております。
 以上、私からの説明を終わらせていただきます。
○永井会長 ありがとうございました。
 続きまして、小室委員から、資料3-3でございます。
 よろしくお願いいたします。
○小室委員 私からは、今年度に始まりました厚生労働科学研究費補助金の「循環器病におけるゲノム・オミックス研究の有用性・必要性の評価のための研究」についてお話しさせていただきます。
 この研究班のメンバーは、循環器及び脳卒中においてゲノム・オミックス研究をしている人たちであります。今まで、計2回の班会議を行いました。主に文献をレビューして、今回、中間報告という形で報告させていただきたいと思っています。事前に資料を送っておりますけれども、より分かりやすくしようと思い、マイナーチェンジしていますので、画面を見ていただければと思います。
この研究班ですが、超高齢化で心血管病の患者数・死亡者数が非常に増えている一方で、心血管病、脳卒中の発症機序が不明なために、予防法・治療法が未確立であるということが前提であります。基本法第19条に、研究を促進しましょう、基本計画の3項目のところでは、循環器病の研究推進として病態解明等が書いてあります。循環器病の研究の中でゲノム・オミックス研究は重要な一つのテーマであるということで、お話ししたいと思います。疾患の発症にゲノムの異常は大変重要なのですけれども、今盛んに行われているがんと循環器疾患では意味が異なるということをまずは強調しておきたいと思います。がんは、がん組織に新たに発生した遺伝子異常によって細胞が非常に増殖する病気です。そこで今、盛んにがん患者のがんの組織を取ってきて、ゲノムの異常を調べて、それに対する分子標的治療が行われているわけです。それでは、心血管病、脳卒中はどうかというと、これはかなり異なり、生まれつきの遺伝子異常が疾患に関係しているということです。したがいまして、発症前から予防や診断に役立つ、また、発症した後にも治療に役立つということであります。つまり、がんと同じかそれ以上に循環器疾患のゲノムを調べる意義があると考えています。具体的に言いますと、脳卒中も入っていますけれども、心血管病の中には単一遺伝子異常により発症するものがあります。例えば、心血管疾患でいえば、心筋症や家族性大動脈解離や遺伝性の不整脈は、生まれつき、遺伝子の異常によって発症します。遺伝子の異常を知ることによって、診断もできますし、最適な治療も選ぶことができるということであります。しかし、これはかなり一部の疾患に限られています。心筋梗塞、心房細動、心不全、脳卒中といった多くの疾患は、コモンディジーズと言われています。これらは、環境要因であるコレステロールや血圧や糖尿病といったものが大きく関係してまいります。しかし、遺伝要因も大きく関係しており、双子の研究によると、2つの要因の関与は半々ではないかということが分かってきています。このようにありふれた循環器疾患においても、やはり遺伝要因は重要ということであります。
 これは昨年「Nature」に出た論文では、がんだけではなくて循環器疾患も含めて遺伝子解析をして、それを診療に生かすことが重要だということを示しているものです。
 少し具体的にお話ししたいと思います。今もお話ししましたように、難治性の疾患、例えば、Marfan症候群、致死性の不整脈が出るQT延長症候群、心臓にアミロイドタンパクがたまるアミロイドーシス、糖脂質が蓄積するようなFabry病、脳血管障害のCADASIL/CARASILの5疾患については、保険に収載されています。一方、米国を見ると、調べて告知すべき遺伝子として73遺伝子が挙がっていて、そのうち心血管病で33遺伝子が挙がっているのですね。がんが28遺伝子ですので、心血管病のほうが調べる必要のある遺伝子数は多いということであります。調べて何がよいのかということでありますが、最近、治療が大変進んできて、循環器病であっても、その原因遺伝子が分かることによって、siRNA治療や新しい治療薬の使用が可能になっています。死亡率が10%だったものが1%以下に改善するものもあります。さらに、もやもや病という脳の血管の病気がありますけれども、このRNF213という遺伝子の異常であることが分かれば、スタチンを使うと非常に効いて予後がよくなることも分かっています。つまり、循環器疾患も、遺伝子の変異を同定することによって、治療法が変わってくる、よい治療法を選べる時代になったということです。例えば、これは拡張型心筋症ですけれども、ラミンという分子の異常だと、致死性の不整脈が出るので、ヨーロッパのガイドラインでは、ラミン異常の人は、除細動器の植え込みが推奨されています。一見健常に見えても、遺伝子変異を持っている人は、ちょっとしたリスクによって心不全になりやすいことも分かってきました。例えば、お酒の飲み過ぎ、抗がん剤、出産の後に心不全になる方がいるのですけれども、そういう方は実はタイチンという心筋症の原因でもある遺伝子の変異を持っているのですね。これらのリスクがないと一見健常なのですけれども、これらの遺伝的な背景を持っている人はリスクによって心不全になりやすいことが分かっています。またがんと大きく違う点は、多くのがんは遺伝することはありませんが、循環器疾患は遺伝しますので、家族の中のある方が遺伝病であった場合に、特に子供の遺伝子を調べる意義は非常に大きい。同じ遺伝子変異を持っていたら非常に注意しなければいけないし、逆に、その変異がないのであればその子供はあまり注意しなくてもよいということになります。そこで、今後注力すべき課題ですけれども、遺伝性疾患の原因遺伝子変異を同定する。遺伝性なので、遺伝子変異があるはずなのに、まだごく一部しか分かっていません。新しい遺伝子異常を見つける必要がある。また遺伝子検査の意義を明らかにする。遺伝子を調べるとどれほどいいことがあるのかということがまだ分かっていない遺伝子が多いです。あとは、今言いました患者家族の遺伝子解析ですね。
 これは、今言いましたCADASILの例です。この遺伝子変異を見つけることによって、治療法が変わっていく。何と、日本の一般ラクナ梗塞の3.5%がCADASILという病気で、そこに対してこのような新しい治療法によってよくなる可能性があるということで2つの臨床試験が走っています。
 遺伝子を調べる意味として他には、よい疾患モデルを作ることができるということです。人と同じ変異を持ったマウスを作ることは、今では比較的容易です。そうしますと、そのマウスを使って、どうして病気になるのか、どういった薬が効くのかという研究ができます。しかしそのマウスを作るには、その遺伝子の異常が分からないと作れませんので、遺伝子解析が必要になってまいります。このようなマウスを使って、大きな発見が幾つもされています。今、PCSK9阻害薬というコレステロールを強力に下げる薬が出ていますけれども、それも、ゲノム研究から始まって、マウス研究を経て、薬になっているのです。また、心筋症の中に収縮が非常に強くて壁が厚くなる病気がありますけれども、それも遺伝子がミオシンであることが分かって、マウスを作って、今、mavacamtenという薬が開発中であります。さらに最近大変大きな効果を発揮したものが、SGLT2阻害薬です。腎性糖尿病といって、尿に糖がいっぱい出る人がいるのですね。その原因遺伝子を突き止めたところ、腎臓の尿細管にあるSGLT2という一種のポンプみたいなものの異常であることがわかりました。そこで、最近SGLT2を阻害することによって尿に糖をいっぱい出すことによって糖尿病を治療する薬ができたのですね。そうしたところ、それが心不全にも腎臓病にも効くことが分かって、今、世界中で非常に広く使われています。生命予後、寿命をも延ばすといった臨床試験の結果が報告されています。
 ゲノム研究ですけれども、先ほど言いましたように、一般的な循環器病は、環境因子が強く働くのですが、遺伝要因も同じぐらい働いていることが分かっています。体の中には、数百万から1000万近くの多型というものがあります。我々も心筋梗塞に関係する多型を150ぐらい見つけていますが、その遺伝子はいろいろに分類できます。例えば、コレステロールに関係する分子、糖尿病に関係する分子といろいろあるのですけれども、その人によって違うのですね。心筋梗塞を発症する人でも、人によっては、コレステロールが非常に効いている人、血圧が効いている人、中には炎症が効いている人がいる。そうすると、予防法や治療法が違ってくるということです。今、数百万のそういう多型をスーパーコンピューターで計算して、生まれつきあなたはどのぐらい心筋梗塞になりやすいか計算できる時代になっています。なりやすい人はなりにくい人の5倍ぐらいなりやすいことが分かっているので、そういう人は子供の頃から非常に生活習慣に気を付ける必要があるということです。最近は、ゲノム創薬が非常に盛んに行われています。コンピューターの中に膨大な情報があるので、ゲノムが分かれば、そこから、疾患発症の分子機序や重要な分子が分かって、薬まで分かるということになっています。治験も、今、ゲノムを調べてやる時代になってきています。今まで、薬の治験というと、漏れなく誰でも対象にしていたわけですね。そうすると、効かない人もいて、有意差が出ない結果、多くの治験が失敗に終わることがあったのですけれども、あらかじめ遺伝子を調べて効きそうな人だけを選んで治験をすれば、失敗が少なくなるということが言われています。このようにゲノム研究は世界中で非常によく行われていて、特に欧米・中国で大きな組織をつくってやっています。このことは、最後にお話ししたいと思います。
 これは薬に関するものですけれども、ゲノムを調べることによって、薬が効く人・効かない人・非常に効く人・あまり効かない人、そういうものが分かってまいりますので、薬剤の適正使用、コスト削減につながることが分かってきています。これに関しても、欧米を中心に盛んに研究が行われています。
 医療コストに関しても、昔は1人のゲノムを調べるのに10億円がかかったのですけれども、今は10万円なのですね。ムーアの法則というものがあって、このように減ってくると予想されたのですがそれよりも、はるかに安くなっている。その結果、解析コストが低いので、費用対効果も大変よくなっています。多くの費用対効果に優れるというレポートが最近は非常に増えてきています
 オミックスの研究を簡単に話します。オミックスとは何かといいますと、ゲノムと患者の間をつなぐ、このようなトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームをいいます。ゲノムは、何の影響も受けない遺伝子の異常ですので、非常に頑健で強固なのですけれども、欠点は患者までの距離があるということですね。そこで、ここを埋めるものがオミックスです。ゲノムは、人の血液を採って調べれば分かります。しかし、その遺伝子異常がどの細胞やどの組織で影響を発揮しているかはこれだけだと分からないので、どうしても組織を用いた解析が必要になってきます。しかし、人の心臓や血管を取ってくることは大変難しいわけですね。また、人の心臓の中にはいろいろな細胞があって、どの細胞の異常で心不全や心筋梗塞になっているのかは分からない。そこで、最近盛んに行われているものがシングルセル解析です。1つの細胞が発現している遺伝子を全て解析することによって膨大な情報を得ようというものです。我々も、世界で初めて心筋細胞でシングルセル解析をやって、心不全のメカニズムを発表しています。動脈硬化のプラークなどのシングルセル解析も行われています。脳の細胞を使ったシングルセル解析もヒトで行われています。
 これが、最後です。先ほど来、お話ししていますように、欧米・中国で盛んにゲノム研究がされています。イギリスでは、50万人の遺伝子を調べています。中国も、10万人の全てのゲノムを調べています。このように多くの研究が走っている中で、日本は残念ながら非常に遅れています。それでは日本は、どうしたらよいのか。ここには循環器病だけのゲノム・オミックス研究を挙げていますが、世界的にはこれだけされている。そこで、私が御提案したいことは、我々と欧米人ではゲノムはかなり違うと考えられていますので、日本のデータを出すべきであると。オミックス研究・ゲノム研究によって、病態を解明して、それに対する新しい治療法を確立する必要がある。また、どういう患者か、層別化することによって、どういう薬が効くのか知ることが可能です。治療法・予防法もゲノム研究によって変わってきます。それに当たって、イギリスや中国はバイオバンクをつくっているのですね。このバイオバンクをつくるのに、何百億円かかるか分かりませんし、また、何年かかるか分かりません。そこで、欧米で最近行われていることは、バイオバンクをつくるのではなくて、既存のリソースを利活用する。みんなが持っているデータをお互いにシェアして、協力して、膨大なデータにしています。例えば、eMERGEというものです。我が国でも、この手法を使うことによって、全国でやっている研究をまとめてやることによって、我が国独自の研究成果を出せるのではないかと考えています。
 私からは、以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告を踏まえまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 峰松です。
 最初の平田先生の話は、非常に興味深く聞かせていただきました。特にコロナ禍の中でかなり短期間に都道府県計画が作られており、それぞれで非常に苦労されたと思います。厚生労働省は最初から、ロジックモデルを使ってほしいと言っていたのですが、実際にはなかなかそうはいっていないし、使ってあってもかなりばらばら感があったので、一体どうなっているのだろうかと思っていました。今日、いろいろなデータを出していただいて、有難かったです。その結果、ロジックモデル自体は半分ちょっとで使われていて、いわゆる学会の出しているモデルに準じたものは残念ながら十数か所ということが理解できました。このデータを出していただければ、次の改定のときにかなり役立つのではないかと思います。聞いたところでは、ロジックモデルを使おうと思ったのだけれども、とてもではないけれども時間がなかったとか、次はそのようにしたいというところも多い。次の改定は、例の第8次医療計画などとの整合性も取らなければいけないので、各都道府県にとって相当な大仕事になると言われています。先生の研究データは全国に公表して都道府県にも利用してもらうことになると思うのですが、このロジックモデルの適用率とか、次の改定のときの応用とか、そこら辺の方向性はどうなっていますか。
○平田参考人 重要な御指摘をありがとうございました。
 先生のおっしゃるとおりで、今回、まず、各都道府県が推進計画を立てるに当たりましてかなりスケジュールが遅れていましたので、早く始まった都道府県もあれば、何も手をつけていなかったところもありました。両学会からロジックモデルの案を出したのは、脳卒中学会は少し早かったのですけれども、8月でしたので、つくり終わっていた都道府県もありましたし、それを使って参考にされた都道府県もありますので、今ぐらいの利用率になったと思います。一方で、基本計画に基づいて各都道府県がつくるときに、ロジックモデルの案があったおかげで、指標とかを記載する上で、非常に役に立った、有用だったという御意見もいろいろと聞いています。したがって、次期の基本計画、各都道府県の推進計画の中で、それをどのように使っていただくかは、都道府県によって実情が大分異なるのではないかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、分野アウトカムのところは全国共通でないと均てん化ができませんので、そういったところはしっかり学会の案を使っていただければ非常にありがたいと思っています。また、先生のおっしゃるように、いろいろなことが全部重なってきますので、各都道府県の担当の方も、取れる指標、取れない指標、これは書いていいのかどうかということがすごくばらついていますので、その辺りを整理する必要があるのではないかと思っています。
 以上です。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 横田委員。
○横田委員 横田です。
 平田参考人、どうもありがとうございます。
 私も、このロジックモデルについて質問させていただきます。今、お話のあったように、中間アウトカムあるいは分野アウトカムは全国共通が好ましい、一方で、初期アウトカムは都道府県の地域性に合わせてということだったのですけれども、先生からお示しいただいた資料にパターン1からパターン4がございます。これでいうと、中間アウトカムあるいは分野アウトカムを全国共通で評価するにはパターン4でないとなかなか難しいのではないかと感じたのですけれども、その辺は先生としてはどのようにお考えでしょうか。
○平田参考人 おっしゃるとおり、そこは非常に難しいところだと思います。今回、いわゆる基本計画の分類に基づいてパターン化をしていますので、どの都道府県がどこを中心に記載されているかということはこれである程度の分類ができます。ただ、ロジックモデルのような形でつくられたときに、どのパターンでないといけないかということは非常に難しいことになります。この多職種連携や地域連携の項目について、環境づくりとか、切り分けて書いておられるところはパターン3・4なのですけれども、実はパターン1・2でも、記載の中にこういった記載がないわけではなくて、きっちり記載された場合もあります。そこは各都道府県で工夫されていますので、このパターンで策定してくださいというところまで言うことは難しいかと思っています。しかし、初期アウトカムのところは各都道府県で工夫していただいて、分野アウトカムのところでうまく整合性を取ってロジックモデルに落とし込んでいただけたら、このパターンはどれであっても、ある程度は共通のものが見えてくるのではないかと考えています。
○横田委員 分かりました。私は、パターン1よりは、例えば、パターン3・4のほうが好ましいという感じで捉えたのですけれども、そうではないということですね。
○平田参考人 どのパターンが好ましいと決めることは難しいです。多職種連携とか、いわゆる患者等を支える環境づくりが強調されている推進計画がパターン3・4という意味で、パターン3・4が望ましいと結論しているわけではありません。
○横田委員 ありがとうございます。
○永井会長 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 宮本参考人にお聞きしたいのですけれども、先生のお話だと、急性期から回復期はよく連携パスが使われてうまくいっているけれども、例えば、熊本と宮城の例でも、回復期から、維持期、生活期はまだ駄目だという理解でいいですか。要するに、先端的なところでさえ、まだきちんといっていないと。
○宮本参考人 先端的なところについてはその一部なので、そこを取り上げた調査はしておりません。
○小笠原委員 回復期から、維持期、生活期の情報伝達ができていないことが一番で、先ほど平田先生の話にありましたように、ロジックモデルをつくるときにも、回復期から維持期の情報伝達ができていないために情報が集まらないのですね。
○宮本参考人 そのとおりだと思います。
○小笠原委員 多分そこが一番の問題だと思うので、そこをどうやるか。連携パスは、急性期から回復期はいいのですけれども、回復期から、維持期、生活期、開業医の先生方までどうやってパスをつなぐか、情報をそろえるか、収集するかというところを、ぜひ先生の班からも強調していただきたいと思います。私たちも、それで苦労しています。
 以上です。
○宮本参考人 先生、私は2つあると思います。
 1つは、急性期から見ますと回復期は明確なのですけれども、回復期病院においては必ずしも患者さんは急性期だけからは来ないので、そこのところではいわゆるパスがなく回復期に来ている症例がかなりあって、それでも回復期はやっているというところがあります。さらに、維持期あるいは慢性期に行きますと、そこは本当に学会でもいろいろな啓発ができないところになります。つまり、そこをどうコントロールするかというところが非常に難しいと思います。
○小笠原委員 我々は急性期を診ていますから疾患は我々について回るのですが、回復期から、維持期、特に生活期の人は、疾患はどうでもよくなって、その患者さんの状態がどうなのかが、興味といいますか、ポイントになるのですよね。そこら辺の共通言語、共通認識も、我々急性期も分かっていないし、回復期とこういう言語の議論ができていないところからそういうことになっているのかなと私はいつも思っているのです。
○宮本参考人 先生のおっしゃるように、機能に関する言語が重要であるという指摘が班の委員の先生からもありまして、その候補も挙げていただいております。ただ、それが実際に回復期あるいは維持期の先生のところで本当に使っていただけるようなものなのか、使っていただけるのかというところもあって、無理なことをお願いするわけにはいきませんので、その検討をしたいと考えております。
○小笠原委員 ありがとうございました。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
 宮本参考人、どうぞ。
○宮本参考人 せっかく機会をいただきましたので、1つだけ、少し述べさせていただきますと、先ほどロジックモデルで地域での初期の設定が難しいというお話がありましたが、分析をする立場でまいりますと、まとめたところだけのデータでそれを分解することはなかなか難しいということがございますので、基本的なエレメントについてはある程度共通化するということもあってもいいのかなと思いました。平田先生の御発表について、少しコメントをさせていただきました。
○永井会長 よろしいでしょうか。
 私から、小室委員に、データシェアリングをどのように進めたらよいのか、あるいは、大津委員に、イギリスはどうしているかとか、その辺りで、小室委員、大津委員、御意見をいただけますでしょうか。
 どうぞ。
○小室委員 小室です。
 イギリスも幾つもやっており、国によってそれぞれ違うのですけれども、ゲノムの領域では数が物を言うので、結構以前からいろいろなバンクごとにデータをシェアしています。データがコンピューター上に入れてあるので、それを使ってもよいということを了承すると、自分は何万しか持っていないけれども、それが何十万の解析になるということは今までも行われていたのです。それをさらに広げて、臨床情報等もお互いにシェアすることがだんだん行われるようになっています。その臨床情報のシェアは、日本でずっとなかなか進まなくて問題なのですけれども、国によってはみんな同じようなクラウドに入れてしまって使えるようになっているところが出ています。日本もHL7 FHIR等でこれから多分シェアリングが行われるようになると思うのですけれども、そのように、クラウド上に、電子カルテ情報から、臨床検査情報、ゲノム情報、などさまざまな情報を入れて解析するという方法を取っていますし、我が国もそうすべきだと思います。
○永井会長 大津委員、イギリスが何で先行しているか、お話しいただけますか。
○大津委員 何でということは、非常に難しい。イギリスは、御存じのように、UKバイオバンクがあって、非常にその分野では先進的な役割をしていますが、1つは、NHSで医療が国家事業で行われており、全ての情報が1か所に集まるところからだと思っています。しかしながら、今、小室先生がおっしゃったように、そこに詳細な医療情報が結びついているかと言われると、それはないので、日本は、より進んだ、医療情報と完全に結びついた、そういう情報を誰もが共有できるようなシステムをこれからつくれば、今からでも追いつけるのではないかと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 議論をどうもありがとうございました。
 続いて、議事5「コロナ禍での循環器病診療の逼迫について」で、前回協議会で坂井班からCOVID-19の急性期脳卒中診療への影響調査を発表いただきました。
 今回は、循環器内科領域の診療に関して、資料4に基づいて、磯部委員から説明をお願いいたします。
○磯部委員 よろしくお願いします。榊原記念病院の磯部でございます。発表の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。
 次のスライドをお願いいたします。心臓の救急疾患は多岐にわたります。これは厚生労働省の前の検討会のときにJROADで集められたDPCデータです。大きく3つの疾患群に分かれます。それぞれ、治療法が大きく異なり、患者数が非常に異なっております。心不全は、非常に数が多くて、ただ、特別な設備や、治療の手だてが必要なく、内科的な治療が主である。急性心筋梗塞は、急性期、特に理想的には発症から3時間以内のカテーテル治療が行われる必要がある。大動脈解離という疾患は、緊急の手術が必要な疾患であります。下の数字を御覧いただきますと、12万人、5万人、1万人と数が圧倒的に違って、現状では、この3群の疾患が、分け隔てなくというか、脈絡なく全ての救急病院に分類されることなく搬送されてくることが、一つの大きな問題でございます。
 次をお願いします。後でCCUネットワークのことを御説明しますけれども、東京都のデータでも、人数でいきますと約3分の1が急性心筋梗塞と狭心症で、死亡率は5%程度、心不全がやはり3分の1くらいで、死亡率は6.3%です。比較的数は少ないのですが、大動脈解離は死亡率が非常に高いといったデータが出ております。
 次をお願いします。大動脈の「緊急症」といってまとめていますけれども、大動脈解離、大動脈瘤の破裂、この疾患は非常に死亡率の高い疾患でございます。急性に発症いたします。スライド左側の解離は、全体の死亡率が約4分の1ですけれども、緊急の手術を行うと死亡率が10%、行わないと55%、発症後1時間ごとに約1%の患者さんが亡くなるという疾患であります。右側の大動脈瘤はもっと死亡率が高くて、こちらも、手術をしないと約3分の2が亡くなるけれども、緊急手術をすると2割程度に収まるという疾患でございます。
 次をお願いします。もう一つ、循環器救急の大きな特徴は季節変動が非常に大きいことでございます。これも東京都のデータですが、夏場、6月から9月は2,000人前半なのですけれども、ピークになります1月には、3,500人、約40-50%、患者数が増えまして、季節変動が非常に大きいことが今回のコロナの救急診療の逼迫状況にも密接に関係してまいりました。
 次をお願いします。こういった循環器救急の状況を踏まえまして、循環器病対策推進基本計画には、一番下の赤いところでございますけれども、コロナ感染症に対する医療と循環器病の医療を両立して確保する医療提供体制の整備を進めるとうたわれておりますが、現状では残念ながらそれがうまくいっていないということをこれから御説明したいと思います。
 次をお願いします。これは、2020年、パンデミックが起きて早々、社会的にも大きな混乱を来している時期の東京都CCUネットワークの状況です。東京都のCCUネットワークには73病院がございます。病院によって、コロナ専用の病院になったり、クラスターが起きたり、様々な要因でCCUネットワークから離脱した病院がこの赤いところでありまして、17病院、19%の病院が診療不能になった時期がございます。2020年5月、連休明けぐらいの状況です。地域的な偏りもありました。特に、都心部、「区中央部」とございますけれども、45%のCCUが受入不能になった状況で、大きな混乱が生じました。
 スライドの次をお願いします。これは私ども循環器専門病院である榊原記念病院の病床の稼働状況を示しております。縦軸は、その日の入院患者数の平均です。ブルーの点々の線が、2019年ですから、パンデミックの前の平均的な状況とお考え下さい。赤が2020年の第1波から第3波までの状況であります。私どもは大体240床で満床状況ですけれども、特に第3波がおきた冬場、季節的に患者数が増えるときになりまして、それを超えて急増して、年末年始、本当に津波のように循環器の救急が押し寄せてきて、対処に非常に苦労いたしました。その後、グリーンの線が2021年度になりますけれども、第4波、第5波とコロナの感染の状況が悪くなりますと患者数が増えてまいります。特に、今年の1~2月、第6波の辺りですと、満床ラインを超えて急増いたしました。今年の2月は私どもの病院のCCUでクラスターが発生いたしまして救急を閉じましたので急減しておりますけれども、こういった状況でコロナの急増する時期に循環器救急が逼迫して病棟が回らなくなるという状況が発生してきております。
 スライドの次をお願いします。これは森山記念病院といって東京都江戸川区にある脳卒中を中心に救急をしている二次救急病院からいただいたデータであります。救急隊から連絡があって受け入れる割合を応需率といいますけれども、こちらの病院も、第5波、第6波に伴って、応需率が20~30%程度まで急減して、多くの患者さんをお断りしたということです。この病院は、約300床の病院で、50床ぐらいまでコロナの患者さんを診ているという病院で、ストロークケアユニットを持つこの地域の脳卒中の中心的なセンターであります。この病院においても、パンデミックの患者さんの増加に伴って患者さんの受入れが非常に困難を極めたということが示されております。
 次をお願いします。実際に私どもが経験したことは、最大70病院ぐらいに受入れを断られてうちに搬送された患者さんがいらっしゃいますし、50病院や30病院と受入れを拒否されて私どものところに到達した患者さんは珍しくございません。町田で心筋梗塞になって救急車に乗ったけれども、病院が見つからずに救急車で3時間待ってようやく当院に来られたと、治療のタイミングを失した患者さんもいらっしゃいますし、他県から足の血管が詰まって来られた患者さんもいらっしゃいますし、逆に、当院は呼吸器外科がございませんので、肺出血の患者さんがたまたま病院に運ばれてきまして、その患者さんを別の病院の呼吸器外科に搬送しようと救命センター等に受入れを依頼しましたけれども、ほぼ全て断られたということもございました。消化管出血の患者さんの受入れも断られておりますし、そういったことが頻発いたしております。病床の患者数が増える理由の一つは、私どもの病院は高度急性期病院ですので、ある程度軽快した患者さんは回復期や慢性期の病院に転院するわけですけれども、その調整に非常に困難を来して、どこも受け入れてくれず、患者さんがたまり続けたといった要因もございます。
 次をお願いします。第3波と第6波は今年と去年の冬場の話でありますけれども、消防庁の応需率が非常に低下して、公表されていないデータですけれども、東京都の循環器救急の応需率が、通常は70~80%で応需されるのですけれども、悪い時期には46%まで落ちたという事実がございます。総合病院では、コロナ患者うけいれで次々とCCUを閉じる、あるいは、院内クラスターが発生して受け入れが困難になるという事情です。今の第7波はまた少し状況が違っておりますので、後でお話しします。もう一つは、先ほど申し上げた転院調整が非常に困難になったという状況で、東京は、病院がたくさんございますので、うまく融通し合って、今年になってからはうまく回っておりますけれども、医療資源の少ない地域においてはより深刻な状況が起きていたということをいろいろ伺っております。
 次をお願いします。実際にコロナのパンデミックに伴って循環器救急の発生はどういう状況で推移したかということです。上段が宮城県の安田教授からいただいたデータですけれども、2020年4~5月のときに、心筋梗塞の入院数、発症数が減っております。下の東京都CCUネットワークでも、同様に同じ時期に心筋梗塞の収容数が減っております。同様のデータがイギリスからもアメリカからも当時に出ておりまして、「JAMA」等に発表されております。原因はよく分かりませんが、発症数が減ったのではなくて収容されなかったのではないかということが分析されておりますし、日本でも恐らくそうなのではないかと推測しております。
 次をお願いします。治療の内容ですけれども、これは国立循環器病研究センターのデータをいただいたものです。Primary PCIの施行率は急性期の心筋梗塞の治療が適切に行われたかどうかということですが、2020年春先の感染者増加のときにはPrimary PCIの施行率が減少している。右側の棒グラフは、機械的合併症、つまり心臓に穴が開いたり、破れたり、弁が機能しなくなったり、そういった機械的合併症が増えたというデータをいただいております。
 次をお願いします。東京都のCCUのデータですけれども、東京都では、2020年のパンデミックのときに心筋梗塞の死亡率は変化してございませんが、下から2段目にAADとございます大動脈解離の死亡数が増加しております。原因はよく分かりませんが、推測するに、恐らく治療の遅れがあったのではないかということが考えられます。
 スライドをお願いします。東京都は以前からCCUネットワークが非常によく機能しております。こういった2020年と2021年の経験もございまして、特に73病院のCCUネットワークとその中の25病院の大動脈スーパーネットワークが適切に稼働したことをご説明します。
 スライドの次をお願いします。患者さんは、胸が痛い、背中が痛いという状況で、まず、救急車をコールいたしますと、その段階でCCUネットワークに乗ってこのネットワーク病院から選定されることになりますし、それ以外の形で別の医療機関を受診した方で大動脈あるいは心臓の疾患であることが診断されますと、このCCUネットワークと大動脈スーパーネットワークに乗って患者が搬送されるというシステムが稼働しております。
 次のスライドをお願いします。これは、今年1~2月の第6波、非常に患者数が増えて循環器救急で多くの病院が閉鎖した時期の流れなのですけれども、それぞれの行が各病院であります。赤い矢印と黄色い矢印で、CCUを止めた期間が示されています。様々な理由があります。クラスターが発生したり、病院がコロナで逼迫するなかで循環器の救急を停止した病院も幾つか出てまいりました。最大8病院のCCUが閉鎖した期間がありますけれども、幸いにして、いろいろなノウハウが積み重なりまして、各病院が約1週間から10日程度の閉鎖で回復して参ります。また病院同士がカバーをし合って、大きな混乱なく今年の春先のパンデミックは乗り切ったということがございました。一つの好事例と言えるのではないかと思います。ネットワークがうまく稼動した状況でございました。
 次をお願いします。現在の第7波は状況がまた違います。これはマスコミ等で大きく毎日のように報道されておりますけれども、職員が次々と感染していく。これは先週金曜日の当院の状況ですけれども、2週間の間に40名の職員、今朝の段階で53名になっておりますが、陽性あるいは濃厚接触で就業できないということです。私どもの病院の職員800名のうち、約40名でございます。濃厚接触、家族のお子さんの感染とかで出勤ができない、また、家族が熱発しても発熱外来も見つからないしPCRの結果が出るまで4日かかるといった状況で、病院機能が著しく低下しました。結局、私どもの病院もこの理由でCCUネットワークからは10日間受入れの制限をいたしましたし、待機手術を8例ですが、患者さんにお願いして延期させていただいております。また、私どもの病院では内科の医師3名が毎日当直しておりますけれども、現在、医師が突然いなくなることで連日の当直とか、また外来の臨時代理などもお願いして、非常に過重な負担が在勤の職員にかかっている状況が起きております。これは現在進行形の大問題でございます。
 スライドの次をお願いします。これも基本計画に書いてございますが、救急体制につきましては、より広域の連携体制を取る、地域の実情に応じて基準を見直していく、複数の医療機関が連携して24時間体制で医療機能を分担していくといったことがうたわれております。これを実現していかないと、今後、パンデミックのときに特に十分な機能を発揮できないということになってまいります。
 スライドの次をお願いします。パンデミックとは直接関係はございませんけれども、特に大動脈緊急症は緊急手術が必要であります。昨年、2021年に、私どもは186件の大動脈緊急症で125例の緊急手術をしておりますが、私どもの病院に直接来られた患者さんは約16%でございまして、ほとんどは他病院から搬送されてまいります。特に救命救急センターから搬送されてくるのですね。大動脈スーパーネットワークに乗って救命救急センターに収容されて診断されたけれども、そこで手術が緊急にできないという事態が非常に多く発生します。理由はいろいろですけれども、昼間は手術室がいっぱいである、夜中になりますと外科医やその他の要因で手術の体制が整わないということで、私どものところは二次救急ですけれども、救命救急センターから送られてきます。患者さんは2度救急車に乗って救急コールから数時間かけて手術に来られるわけですけれども、残念ながら搬送中に亡くなる方が少なくございません。システムがうまく機能できていません。病院情報や患者情報共有ができていないということで、東京都においてもこういう状況でございます。
 最後のスライドになりますけれども、今後のパンデミックで、循環器の救急機能が損なわれない体制や機能分担をしていくことが必須だと思います。特に、今週、来週、これから非常に厳しい状況を迎えるのではないかと思います。それから、転院ですね。一旦よくなったら高度急性期病院から回復期の病院へ転院を促していただかないと、患者さんがたまっていって、救急の診療機能が損なわれます。中長期的には、情報共有のシステムを確立していただく。大動脈解離の情報、CTの情報共有は、県によってはうまくいっているのかもしれませんが、いまだにCD-ROMです。患者さんが救急車に乗って持ってこられたCD-ROMを見て初めて手術適応を決めるという形になっておりまして、なかなか遠隔診断の情報の共有化がうまく進んでおりません。そういったことを改善していただきたい。さらに地域における循環器救急患者受入状況の情報共有といったことを改善していくことが必要ではないかと思います。
 以上でございます。
○永井会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。
 お願いします。
○峰松委員 峰松です。
 どうもありがとうございました。
 先生は新聞その他にも出られてこの状況をよく訴えられているし、今日も聞いていて、事態は本当に深刻だと思いました。東京ですらこの状況なので、医療資源の乏しい地域ではもっと悲惨なことになっていると推察します。もともときちんとしたネットワーク等々がなく、県をまたいで患者さんを移送しなければいけない場合がコロナ禍の前からあったものが、さらに深刻になっている。解決を諦めてしまっているような状況もあると思います。状況がひどいということは十分に理解されているので、今後のことを考えると、本当に急いでいろいろなことを整えないといけない。特に最後のほうの情報の共有をより迅速にすることは本当に大事なことだと思います。半年後に間に合わなくても、多分その次のいろいろな危機的な状況にこれは非常に意味があるので、基本計画の中でも具体化をより急ぐべき課題として私は理解しております。
 今の第7波は、夏場なのでまだ収まっている。私が一番心配していることは、冬の第8波がもしかしたら起こるかもしれないし、その場合は、今のオミクロンの3倍ぐらいの感染力のあるケンタウロスが主体になるかもしれないし、インフルエンザ感染と重なるかもしれない。脳卒中や心臓病は冬場に非常に重症例が多くて、平時でもあっぷあっぷしている。何とか体制作りを急がなければならない。厚生労働省でタスクフォースをつくって、コロナ禍に付随した循環器疾患の危機をどう乗り越えるかというアプローチをしなくてはいけない。多分これは学会レベルでも相当話題になっているのではないかと思うのですが、何か御存じのことがあれば、補足いただきたいのです。
○磯部委員 先生のおっしゃるとおりで、全く同感でございますし、正直に言うと、医療資源の少ないところあるいは広域にわたって救急搬送をしなければいけないところの状況がまだ見えてこないのですね。今後、そこも含め検討していかないといけないと思います。かなり喫緊の課題だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○永井会長 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 今の峰松先生の質問ですけれども、今、脳卒中学会でアンケートをやっている最中で、多分まともに動いている都道府県はないということが結論です。ほぼ全てのところで、脳卒中の制限がかかっている。4割ぐらいまで落ちているところが平均ぐらいではないかと思います。まだ全部は集まっていませんが、今、坂井班で緊急のアンケートを取っていて、つい昨日かおとといの数字ということです。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 横田委員。
○横田委員 横田です。
 ありがとうございます。
 磯部委員のスライドの7番目のところで、パンデミック下の心臓救急の受入状況でかなり受入れが制限されています。新型コロナウイルス感染症を治療する医療機関と心臓も含めた救急の医療機関が重複しているのでこういうことが起こると思うのですが、最後にお示しいただいたように、医療スタッフが感染するがために受入れができなかったのか、病棟がコロナの患者さんでいっぱいになってしまって受け入れられなかったのか、あるいは、両方なのか、その辺はいかがなのでしょうか。
○磯部委員 第7波、現時点のオンゴーイングの状況は、報道されていますように、医師・看護師等の職員が出勤できないということで制限になっておりますけれども、2020年と2021年は、大病院、要するに、地域の基幹病院がコロナと救急と両方を担当していますので、コロナがどんどん押し寄せてくると、循環器なり救急のほうにしわ寄せが来る、あるいは、閉めてしまうということが、この2年間の状況だったと思います。病院ごとにこの病院はコロナでこの病院は救急ということは東京でも無理だと思いますけれども、循環器救急、特に急性期の内科救急あるいは外傷救急といったものをきちんと守った上でコロナを診るという体制にしていただかないと、失われる命が出てくると思います。
○横田委員 私もそう思います。ありがとうございます。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間が押していますので、先へ進めさせていただきます。議事6「循環器病対策推進基本計画の見直しについて」です。
 資料5の説明を、事務局から、お願いいたします。
○藤田課長補佐 事務局でございます。
 資料5「循環器病対策推進基本計画の見直しについて」を御覧ください。
 2ページ目に移ります。まず、こちらは、人口動態統計を基にした我が国の年齢調整死亡率の推移でございます。循環器病対策推進基本計画では、年齢調整死亡率の減少を全体目標として掲げておりますが、お示しのとおり、2020年まで、心血管、脳血管疾患とも、男女ともに、年齢調整死亡率は減少傾向となっております。
 次のスライドをお願いいたします。第2期循環器病対策推進基本計画の方向性(案)についての説明に移ります。
 次のページをお願いいたします。循環器病対策基本法、循環器病対策推進基本計画において、都道府県循環器病対策推進計画は関係する諸計画との調和が保たれるものでなければならないとされておりまして、令和6年度からの新たな医療計画等との調和を図ることができるよう、基本計画の第1期の実行期間は令和2年度から令和4年度までの3年程度を一つの目安としており、今年度に変更の方針としております。一方で、多くの都道府県では第1期の都道府県循環器病対策推進計画が策定されてまだ間もないといった状況もございますので、第2期の基本計画は第1期の基本計画の大枠を維持しつつ、現下の状況を踏まえ、必要な修正を加える方針にしてはどうかと考えております。
 次のページをお願いいたします。その修正を加える点、方向性について、3つの観点から考えております。1点目は、循環器病に係る指標の更新です。循環器病に係る指標については、厚生労働科学研究を行っており、この結果等を踏まえ、評価指標の更新を行ってはどうかと検討しております。2点目は、関係する諸計画との連携を図ることでございます。令和6年度より、第8次医療計画、第9期介護保険事業計画が開始予定です。本計画においても、これらの計画と連携した内容となるよう調整していく必要があると考えております。3点目は、感染症拡大時でも機能を維持できる医療体制を整備することでございます。新型コロナウイルスの感染拡大により、CCU受入病院の救急患者の応需率の低下や定員調整が困難だったことなど、循環器病診療に逼迫が生じました。そのため、将来の感染症の到来に備え、感染症拡大時でも救急患者を受け入れる機能が維持できるよう、各地域における医療体制の整備が必要であると考えております。また、今後、地域における医療機能の分化・連携に向けた取組を進めていく上で、平時においても急性期病院のみに患者が集中しないよう、回復期や慢性期の病院との循環器病の特徴を踏まえた効率的な役割分担の在り方について検討していくことが重要であると考えております。
 最後、6ページをお願いいたします。今後のスケジュールとなっております。来年度に循環器病対策推進基本計画の改定、その1年後の2024年度から、関係する諸計画と同じタイミングで都道府県循環器病対策推進計画の改定を予定しております。
 以上が、資料5の説明となります。
 今後ですけれども、ただいま御説明いたしました第2期循環器病対策推進基本計画の変更の方向性、3つの観点に沿った形で、今後、書面による団体ヒアリングを実施したいと考えております。ヒアリングの結果を事務局で集約し、改めて9月頃に協議会を開催の上、委員の皆様より御意見を頂戴し、計画案に落とし込んでまいりたいと考えております。
 本日は、先ほど御提示しました見直しの3つの観点について、各委員の方々より御意見を伺えればと考えております。
○永井会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの事務局の説明を踏まえて、次期計画の進め方、盛り込むべき内容について、委員お一人お一人より御意見をいただければと思います。時間も限られておりますので、2分程度でお願いいたします。挙手の上、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 第2期の基本的考え方の1番、指標の更新に異存はないのですが、指標の更新よりも、要するに、今集めることができない指標をつくるためにどうすればいいかという具体的な計画をつくっていただきたいということが一つ。2番の介護保険事業計画や医療計画がありますので、そこに盛り込んでいただかないと、基本計画だけでは無理だと思うので、第8次医療計画と第9次介護保険のところに、先ほど言った回復期・維持期・生活期で指標が取れるような国の統一の連携パスというものをつくっていただかないと、結局、第3期も指標はできなかったということになりますので、そこをぜひ加えていただきたいという意見でございます。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 中澤委員、どうぞ。
○中澤委員 ありがとうございます。
 地方自治体側としては、内容的に特にどうということはないのですけれども、毎回計画をつくる際にお願いしているのですが、国の計画と整合性を取って自治体側の計画もつくっていくということで、今回は医療計画やほかの計画の策定も全部重なってまいりますので、たくさん情報を出していただき、早めにいろいろな通知なども行っていただけると、都道府県の計画を策定する際に大変助かりますので、そこのところはどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 美原委員でしょうか。
○美原委員 遅れまして、申し訳ございません。
 3の感染拡大時の機能維持でできることについて、2点、お話ししたいと思います。
 1点は、先ほどお話がありましたように、コロナがはやっているときの機能分化です。私どもの病院は脳卒中の専門病院なのですが、コロナがはやっているときに、行政から急性期のコロナ患者を受け入れてくれというお話がありました。しかしながら、当院は、この地域において脳卒中のセンター的な役割をしておりますので、あえて断ったのです。その結果、どういうことになったかというと、過去最高の救急患者さんの搬送があって、地域の中でコロナ禍であっても循環器病をしっかりやっていかなくてはいけない病院はあるのだなということを実感した次第です。すなわち、全ての病院でコロナ患者を診なさいということではなくて、その中に機能分化をしっかりしていくことが重要だろうと考えました。その結果、どんなことがあったかというと、当院はケアミックスなのですが、回復期病棟の患者さんがどこにも行く場所がなくてスタグネーションをしてしまって、結局、急性期病棟から回復期に動けなくなって、急性期の病棟で救急の患者さんを制限せざるを得ないということになりました。そのようなこともあって、地域の中での機能分化は、急性期、回復期、慢性期だけではなくて、疾患別のことも考えなくてはいけないと思われました。
 第2点です。今、このコロナ禍において公立病院が公立病院としてのその役割を果たしたことが報告され、公立病院経営強化ガイドラインというものが出ています。これを見ますと、公立病院の果たす役割は非常に大きいから、公立病院に急性期機能を集約して云々と、記載されています。ただ、これは地域医療構想と話が違うのではないかと。地域医療構想においては、それぞれの病院がそれぞれの役割を分担して、公的・公立病院は民間病院にできないことを担うと認識しているのですが、公立病院のガイドラインにおいては、急性期は公立病院に、回復期や慢性期は民間に持ってくるという記載があります。この辺も考慮し、循環器病対策においても地域医療構想の在り方を鑑みながら進めていってほしいと考えております。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 おおむね皆さんの意見と同じなのですが、次の基本計画は、第8次医療計画や介護保険事業計画との整合性、先ほど言われていましたけれども、地域医療構想との整合性と、外的要因のことをたくさん考えながら進めなければいけません。1回目の基本計画作りは比較的単純な作業だったと思うのですが、今回はいろいろなことを考え、いろいろなところの意見も聞いた上で計画を修正するといったプロセスを取らないといけない。脳卒中や循環器病の観点だけで議論していてもしようがなくて、急性期医療の中での役割分担や慢性期と急性期との役割分担といったところまで踏み込んでいかなければならない。仕事としてはかなり重いものになると考えます。厚生労働省でいろいろなデータを集めていただければありがたいと思っています。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 感染症のほうでも連携をこれから考えるわけですね。それとの連携をどうするかということにもなると思うのですが、ぜひよく考えて対応いただければと思います。
 磯部委員。
○磯部委員 今までの計画を立てるときは、がん対策基本法が下敷きにあって、それに準じたというわけではないと思いますけれども、参考にしてずっと進んできた部分があると思います。支援センター構想、両立支援、緩和もそうだと思います。それはそれで大変結構ですし、ぜひこのまま進めていただきたいのですけれども、循環器疾患としての救急もそうですし、疾患の特殊性、循環器疾患の中でも心臓と脳卒中には、似た面もありますけれども、違う面もありますので、今後は、特殊な部分といいますか、循環器に特化した部分、心臓に特化した部分、脳卒中に特化した部分についても、この次の計画の中には織り込んでいっていただきたいと私は思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 川勝です。
 今回私が思ったことは、これをやる、あれをやると第1期の基本計画でいろいろなことを掲げましたよね。それの進捗状況の把握をした上で次のステップを考えるべきではないかと思うのですね。特に総合支援センターも動き出しました。たしか患者のデータの蓄積という企業もあったと思うのですけれども、それらについて、本当にどこまでできたのか、続けていいのかということも検討した上で、次の計画を立てないと、いろいろなことを掲げるだけで、本当に進むのかなという心配をしています。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 大津委員、その後に安保委員、お願いします。
○大津委員 ありがとうございます。
 最後の御発表、年齢調整死亡率の推移に関して、厚労省の統計では、心不全に限って見ると、特に男性で、10万人当たりの死亡率が増えていたと思っています。死亡率で見たら全疾患が減っていますけれども、これから高齢者が増えていくことや有病率が増えることを考えると、ベイズ統計で我々はやり直したのですけれども、いわゆる患者数はこれから減っていくのではなくて増加していくということがありますので、このグラフだけを基にして考えると、間違いが起こるかと。特に心不全に関しては、そう思っています。
○永井会長 ありがとうございます。
 安保委員、どうぞ。
○安保委員 皆さんがおっしゃっているように、急性期・回復期・維持期の連携が必要ですけれども、特に脳卒中の場合、パスがとても大事だと思います。東京都の場合は、13のパスがあって、一度統一したパスをつくったのですけれども、診療報酬が外されてうまくいかなくなったという現状があります。できれば、国としてちゃんとデータの取れるパスを示していただきたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 小室委員、どうぞ。
○小室委員 通常は6年で改定のところを3年なのでマイナーチェンジということはよく分かるのですけれども、診療体制、予防、啓発、さらに研究も待ったなしだと思うのですね。この3年間を大急ぎで振り返っていただいて、少しでも前に進めるようにしていただきたい。特に私は研究について今日はお話ししましたけれども、循環器、脳卒中の研究に関しては、特に日本は低迷しているのではないかと思います。ここで新しい体制をつくって動き出さないと、欧米・中国との差は広がるばかりだと思いますので、ぜひ一歩大きく踏み出していただきたいと思います。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 参考人の方々も御発言いただいて結構ですので、お願いいたします。いかがでしょうか。
 木幡委員、お願いします。
○木幡委員 フジテレビの木幡です。
 今日はいろいろとお話を伺わせていただいて、問題はたくさんあるのだなということを認識いたしました。スピードアップしていくこと、できることからどんどんやっていって国民の健康を守っていってほしいなと思いました。
 もう一つ思ったことは、私も含めて、一般の我々は、体のシステムについて、各臓器がどういう働きをしていて人間の体がどうなっているのかとか、日本の医療システムについても、正しい知識が明らかに足りていないのではないかと思いました。本来はもっと生活の質が上がるのに情報が共有されていないがために知らずに苦しんでいる人がいるとか、ゲノムや遺伝子情報を用いた医療があるならばそれを選択できるようになればいいと思いますし、コロナに関しましてもルールで縛りつけるのではなくて一人一人がその都度状況に応じて判断できるようになっていくといいと思っています。そのためにも、正しい知識がすごく大事だと思いました。マスコミの一員としても、そういった情報を伝えていく責務があると感じましたし、どうやったらみんなでそういう正しい知識を国民に提供することができるのか、特にこの循環器は健康な体を維持するために本当に必要な部分だということは私自身も認識しておりますので、そういった国民全体の医療に対する知識の底上げみたいなことも同時にやっていけたらいいと感じました。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 平田参考人、どうぞ。
○平田参考人 参考人の立場で発言させていただきまして、ありがとうございます。
 今、議論もありましたように、今回、見直すにも時間が非常に短期間で、振り返るのも厳しいですが、定義がはっきりしていないものに対して各都道府県がその指標をとっていくか分かりにくいことがあります。例えば、緩和ケアといったところの定義が分かりやすくなる形で進めていただけたらありがたいと思います。
 それと、小笠原委員がおっしゃっていたように、本当に、回復期、維持期のところのデータをいかに取っていけるかということを基本計画の中で触れていただけたら、各都道府県もそれに対してやりやすいのではないかと思いました。
 また、先ほど小室委員からもありましたけれども、都道府県は、データの収集とかは記載されている研究に関して、特に基礎研究などに関しては、これは都道府県のやることではないということで、記載されていないところがほとんどでした。こういう基礎研究の発展に関しては、国で記載し、推進していただければありがたいと思っています。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 伊藤参考人、どうぞ。
○伊藤参考人 参考人の立場で発言させていただきます。伊藤と申します。
 先ほどからありました、回復期、維持期の点なのですけれども、介護保険がかなり進んでいることで、回復期で介護保険の枠組みの施設への連携はそれなりにノウハウが蓄積されていると思うのですけれども、両立支援という観点で見ますと、介護保険で整備している施設はあまり利用ができず、どちらかというと身体障害者手帳や精神保健福祉手帳を取得して障害施策のサービスを利用していく形や雇用施策の支援機関(障害者職業センター)を利用することが多くなると思うのですが、どのように使いわけるかが整理されていない、医療機関との連携も進んでいないという点があります。様々な指標を取得するという意味では、そういった事業所とのつながりというところでも検討いただければと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 今村参考人、どうぞ。
○今村参考人 今日から参加ということで、今までの議論を少し聞かせていただいた感想という部分が入ってくるかとは思います。
 先ほど、第2期循環器病対策推進基本計画策定の基本的な考え方ということで、3つ、出されておりました。当然3番目の感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備はすごく大事だとは思うのですけれども、今回、平時と有事の際に、医療資源が幾らでもあるということではなくて限られている中で、あっちもこっちも取るというか、全部を満たすことは非常に困難ではないかと。そこを前提に医療資源の配分を考えていかないといけないでしょうし、もし本当に有事を前提にいろいろと考えると、平時においてかなり余裕を持った医療資源がないといけないのかなと。これは循環器病の部分だけではなくて全体の医療計画のことにもなるかと思うのですけれども、少し感じたところです。
 以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、活発な御議論をありがとうございました。
 この後の進め方について、事務局から、説明いただけますか。
○岩佐課長補佐 事務局でございます。
 今、様々な御意見を頂戴いたしました。それらを踏まえまして、各団体からの御意見を聴取できるような形で、基本的には書面で出していただくような形を考えておりますけれど、そういった手はずを整えていきたいと思ってございます。
 なお、この協議会における議論が、次期医療計画における、心筋梗塞等の心血管系の疾患、脳卒中の取組の内容になってくるというところもございますので、まさに何人かの先生方から御指摘いただきましたけれども、医療計画等々との整合性を持った形での進め方という中において本当に重要な検討になってくると考えております。そういった観点から、事務局として、資料等を整理しながら、改めて次回以降の検討の機会を設ける形にさせていただければと考えております。
 次回以降の日程等々につきましては、改めて調整の上、御連絡を差し上げることとなりますので、決まりました際にはまた御協力のほどお願いできればと考えております。
 事務局からは、以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
 基本計画について気がついたあるいは思いついたことは、後で事務局にメール等でお知らせするということでよろしいですね。
○岩佐課長補佐 今日は十分に意見が言えなかった方々もいらっしゃるかもしれませんので、メール等で随時お送りいただければ、ぜひともそういったことも踏まえて検討を進めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれまでといたします。
 長時間にわたりまして、御議論をありがとうございました。