第152回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年8月19日(金)13:00~15:12

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.感染症法の改正について
  2. 2.オンライン資格確認等システムについて
  3. (報告事項)
  4. 1.医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について
  5. 2.「経済財政運営と改革の基本方針2022」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及び「規制改革実施計画」等について
  6. 3.出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について

議事

議事内容

○森課長 定刻になりましたので、ただいまより第152回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 まず、委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
 松原謙二委員が退任され、新たに、日本医師会副会長、猪口雄二委員が就任されております。後ほど御挨拶を賜れればと思っております。
 次に、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がございました。紹介させていただきます。まず、保険局長の伊原でございます。
 大臣官房審議官(医療保険担当)の日原でございます。
 大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)の森光でございます。
 保険課長の原田でございます。
 国民健康保険課長の高木でございます。
 高齢者医療課長の田中でございます。
 医療課長の眞鍋でございます。
 調査課長の鈴木でございます。
 医療課保険医療企画調査室長の荻原でございます。
 医療課薬剤管理官の安川でございます。
 調査課数理企画官の江郷でございます。
 最後に私、総務課長の森でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、菊池部会長代理、秋山委員、内堀委員、原委員、本多委員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、前葉委員より途中出席、村上委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
 本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただいております。
(冒頭カメラ撮り終了)
○森課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局からの御紹介のとおり、新たに猪口雄二委員が就任されておりますので、猪口委員から一言御挨拶を賜れればと存じます。では、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 日本医師会の猪口でございます。今回よりこの審議会に参加させていただくことになりました。医療の現場にいる者としてしっかりと議論に参加させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、欠席される委員の代わりに出席される方、前葉委員が出席されるまで代わりに出席される方についてお諮りいたします。
 まず、内堀委員の代理として熊耳参考人、原委員の代理として松岡参考人、本多委員の代理として酒向参考人、前葉委員の代理として鎌田参考人、以上4名の出席について御承認いただければと存じますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
(「異議なし」を確認)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は、「感染症法の改正について」、「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
 では、初めに、「感染症法の改正について」を議題といたします。
 早速ですけれども、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○原田課長 保険課長でございます。それでは、資料1について御説明いたします。
 感染症法の改正の関係でございますけれども、参考資料をつけておりますが、新型コロナウイルス感染症に関しましては本年6月に政府の対策本部におきまして、次の感染症危機に備えるための対応の方向性が決定されてございます。その内容につきまして、厚生科学審議会感染症部会等において、現行の感染症法等におけます課題と対応等が検討されているということでございます。
 1ページと2ページ、感染症法部会での資料の抜粋でございますけれども、その中身といたしまして、感染症に対応する医療機関の抜本的拡充に関しまして、1ページの課題でございます。感染症患者の専用病床を有する感染症指定医療機関だけではコロナの入院患者が受け切れなかったと。通常医療を制限してでも病床を確保する必要が生じたが、体制の立ち上げに時間がかかったという課題、また、2つ目にありますとおり、感染拡大初期におきまして、新型コロナの特性も明らかでない時期から対応する医療機関と後に対応する医療機関との役割が平時から明確ではなかったと、地域によって役割の調整が困難だったといった課題。また、感染拡大する中で、コロナの特性が明らかになった後においても、地域によっては病床確保や発熱外来等の医療体制が十分に確保できないことがあった等々の課題が指摘されているところでございます。
 こうした課題に対しまして、政府対策本部にて決定しました先ほどの対策の方向性ですけれども、2ページ目を御覧いただいて1つ目の丸でございます。平時において都道府県と医療機関との間で、新興感染症等に対応する病床等を提供する協定を結ぶ全体像の仕組みを法定化してはどうかと。そして、医療機関に対し、協定に沿って病床確保等を行うことについて、履行の確保を促す措置を設けるなど、より強い権限を持つことができるよう法律上の手当てを行うということが記載されてございます。
 その中の具体的な事項といたしまして、1つ目の丸にありますとおり、都道府県は、感染症蔓延時等におけます医療提供体制の確保に関して数値目標等を盛り込んだ計画を平時から策定するとか、あらかじめ医療機関との間で病床や外来医療の確保等の具体的な内容に関する協定を締結する仕組みを創設すると、そして、平時から必要な病床を確保できる体制を整備するといったことが書かれてございますけれども、3つ目の事項といたしまして、こうした協定に沿った履行を感染症蔓延時等において確保するための措置を具体的に検討してはどうかということが書かれております。そうした中身の中で、一定の医療機関に係る感染症流行初期におきます事業継続確保のための減収補償の仕組みを創設してはどうかという話が記載されているということでございます。
 こうした議論に関しまして、1ページおめくりいただきまして3ページでございます。一昨日開催されております医療部会において御意見が出ておりまして、1つ目は減収補償につきまして、感染症対応が不十分では社会経済が回らないこともあるかと思うので、これを全部公費で負担するよりも、広く国民で支えるという仕組みがよいのではないかと。公費、それから保険料を減収補償に投入できる仕組みをつくるのはどうかといったお話。
 また、諸外国の例を見ますと、どこの医療機関が何をやるか、どの医師・看護師が協力するのかといったことがあらかじめ計画をされており、有事にそれそれに基づいて、病床や人員の確保を行うと。また、カナダもそういったものがあり、保険医療機関が関与している。これらも参考に、感染症対応について保険医療機関が協力するということを健康保険法に明記すべきではないかといった御意見があったところでございます。
 4ページをおめくりいただきまして、先ほど御説明いたしました減収補償の仕組み、これはどういった仕組みを想定しているかというイメージをおつけしております。措置の目的・内容のところを御覧いただきますと、初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関につきまして、一般医療の提供ということで経営の自律性を制限して、経営上のリスクのある流行初期の感染症医療の提供をすることに対しては、減収補償を行ってはどうかという考えでございます。補償額につきましては、感染症医療の提供を行った月の診療報酬収入と、あと1年前の診療報酬収入を下回った場合にその差額を支払うという考えでございますけれども、補助金が出される場合には、減収補償の範囲内で補助金の額を返還、精算するといった考えでございます。
 事業の実施主体は都道府県を想定してございますけれども、その費用負担者について、1つは国・都道府県が考えられますけれども、医療部会での意見を踏まえますと、保険者の方々に一部負担をお願いすることをどのように考えるのかというのが論点かと考えてございます。
 この減収補償などの医療機関の経営支援に関しましては、さきの財政制度等審議会でも感染拡大前などと同水準の診療報酬を支払う方法が提案されてございますし、また、災害時の概算払いを参考に、感染拡大前の水準での診療報酬支払制度の創設といったものを全国知事会など関係団体から要望が出されておりまして、御参考までに5ページに災害時の診療報酬等の概算請求の支払いの仕組みを掲載させていただいてございます。
 説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 まず、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 すみません。オンライン参加の皆さまのほうから手が挙がるかと思ったのですけれども、順次挙がってくると思いますので、先に発言をお許しいただいてありがとうございます。
 実は私、コロナに感染しました。7月でしたけれども、その経験からいろいろなことを感じたりしたところでございます。このページで言いますと、2ページに書いてある課題はまさにそのとおりだなと思っていますし、細かいことを取りまとめて、概要としても整理されて書かれていますので、ぜひこれらの対応をよろしくお願いしたいと思います。特に国としてこの新型コロナウイルス感染症の経験を次に生かすことができなければ非常に、次なる感染症に危機意識が高まるばかりと思っています。例えば過去にSARSがございましたが、日本ではあまりひどくなかったのですけれども、感染が蔓延したアジア諸国において、特に韓国や台湾などでは、その経験を生かした次の対応を非常に意識されておりました。例えば台湾のケースですと、オードリー・タン大臣を中心に、IT技術を使っていち早くマスクの適切で効率的な配付を図るとか、いろいろな現状の情報をリアルタイムに分かるようにするなどをされています。そういったことにつながることもぜひ検討いただきたいと思っています。人の対応、ルールの創設、施設の改修・改善、そして医療資源の有効活用など、本当にいろいろなテーマがありますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 感染して分かったことを少しだけ申し上げます。いろいろな方々とお会いしましたけれども、個々人によって症状が本当に違うなと思いました。私はデルタ株ではなくてオミクロン株だったと思いますが、せきが出る人、出ない人がいますし、喉が痛い人、痛くない人がいます。また、嗅覚・臭覚がなくなる人とそうでない人がいて、本当に個々に違いました。
 そういった中でございますが、長引いた方、症状の悪化した方は、途中から入院というケースもあります。例えば、せきが苦しくて食事が摂れなくなる。あるいは、食事はもらうけれども食欲が全然湧かない。こういったことが続きますと、体で言いますと、傷んだところを修理しなくてはいけないのに、それに必要なたんぱく質などの栄養素という部品供給ができない状況になってしまいますから、体全体がフレイル化するおそれもあります。体も弱り、体力も弱り、その影響で気力も弱っていきますので、本当にこれは、仮にコロナの感染が明けても、体自体が弱体化していますので、次なる病気を招きかねない。免疫力の低下はもちろんですけれども、不調感がずっと残ってしまうということになるので、本当に個々の状況をよく把握した対応が必要だなと思いました。特に食事というのは、体の回復に不可欠ですし、各コロナ患者を受付していただいている病院も大変御苦労が多いわけですけれども、今後いろいろな工夫をする必要もあると思います。
 また、一方で思いましたのが、タミフルのような治療薬を早く作っていただくと、安心感も広がるし、今、2類、5類の議論がありますけれども、そういった上でも、そういうのがないと、入院した後は本人の自然治癒力に任せるだけではなかなか難しい現状があるなと思います。ぜひこういったことは世界が協力をしていただいて、薬剤の新たな開発や適切な活用ということもとても大切だなということを改めて思っているところです。
 また、何より基本的なことは、発熱がある場合は人に会わない、外に出ないということの確実な実行です。このことを政府でも呼びかけていただいているのですが、これは若干気が緩んだ場合は、「ちょっとならいいだろう」と思って出かけた方が、実はほかに感染を広げていくことになります。自覚症状がない人々が多様な人に出会って感染を広げていくという形で、今まさにそのような、非常に急増な状況の感染蔓延になっていると思います。行動制限等は出ていませんけれども、数値だけ見ると、いずれの都道府県においても過去最多の更新記録ばかり出ております。ぜひぜひ基本のところの徹底を、これは国民一人一人が自覚してやらなくてはいけないだろうと改めて思います。
 また、首長として自治体病院を経営している開設者の立場から申し上げますと、今回のコロナ感染症から分かることは、発熱外来が本当にパニクっている状況になってきています。沖縄をはじめ、幾つかの県においては本当に進退窮まる状況とも聞いていますし、私どもの病院でも、急増してきます。もう月曜の朝などはあっという間に一日の発熱外来予約が埋まってしまうというのはどこでもあったと思います。ぜひこういったことも想定して、こういった経験を生かす対策を検討していただきたいと思います。
 あわせて、最近になって認められました抗原検査簡易キットは感染の判定に有効だと思いますし、ぜひ簡易キットも有効に活用できるような新しいルール化をされると、発熱外来対応での負担が減るし、全体でも自分で自覚して行動制限自粛もするといったことも併せてやってほしいと思います。特にこの課題のページで書かれていることはぜひお願いしたいと思います。また、今回は減収補償の仕組みまで検討いただいています。このことは医療機関においても大変心強い視点だと思いますので、今後いろいろな意味でブラッシュアップしていかれると思いますから、特に医師会の皆さん等の現場の意見も聞きながら、よりよいものになるように御尽力をぜひお願いしたいと思っているとこです。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、途中退席されるということで、次に村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 初めに御指名いただきましてありがとうございます。途中退席いたしますので、資料1と、まだ御説明いただいておりませんが、資料5についても意見を申し上げたいと思います。
 まず資料1についてです。こちらは4ページで、今ほどもありました「事業継続確保のための減収補償の仕組みのイメージ(案)」が示されております。この中では費用負担者に保険者も入っております。保険料から拠出するという考え方については、保険者、被保険者の納得性という観点から、到底承服できるものではありません。医療供給体制の確保は大変重要でありますが、感染症蔓延時に必要な医療機能や保険診療体制を維持するための費用については、基本的に公費によって賄われるべきと考えます。
 感染症法改正では、新興感染症に備えて、都道府県と医療機関が結ぶ病床提供等の協定を法定化する方向とされておりますが、一度締結された協定は見直されるのか、診療報酬がマイナス改定となったときの補償額をどのように考えるのか、疑問は尽きません。そもそも社会保険になじむのかという根本的な疑問もございます。唐突な御提案で、議論の進め方としても丁寧さに欠けており、事務局案での検討には納得することはできないということを申し上げておきたいと思います。
 次に資料5についてでございます。この間、出産育児一時金については、出産費用の明確化と透明性の確保の必要性について発言してまいりました。今回の調査研究結果から、出産費用が年間平均1%程度上昇していることなどは見てとれたものの、なぜ費用が上昇していくのかといった実態は明らかになったとは言いがたいと考えます。費用の見える化に向け、さらなる深掘りが必要と思います。
 また、妊娠、出産にかかる費用については、希望する人が安心して子供を産み育てることができる環境整備に向けて、正常分娩も含めて全て健康保険の適用としていくこと。そして、窓口自己負担が増加することのないよう、別途負担軽減措置を講じていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。資料に記載されております、課題・対応の方向性につきましては、おおむね賛同できると考えます。新たな感染症がいつ発生するのか、予測することは不可能でございますので、できるだけ早く、速やかに検討を進めていただきたいと思います。
 その上で1点質問させてください。具体的な論点としまして、資料4ページに、都道府県と協定を締結して初動対応を行った医療機関に対し、減収補填する仕組みのイメージが掲載されております。補償額の一定割合は保険者が負担する案となっており、仮にこのような仕組みとなった場合、保険者負担額の原資は、被保険者が支払う保険料になると思います。公費の投入も想定されていることを踏まえますと、減収補填は、真に、感染拡大防止に貢献する医療機関を対象に行われることとすべきであります。このような視点を念頭に置いた運用が必要と思いますが、これをどのような形で担保するのか、厚生労働省のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 それでは、よろしくお願いいたします。
○古川企画官(医政局) お答え申し上げます。医政局の医療政策企画官でございます。御質問ありがとうございます。事業継続確保のための減収補償ということでございますが、特に感染症の感染の特性が分からない感染初期につきまして、地域で中核的に感染医療に当たっていただくような医療機関を限定して、一方で、そういったことに対応いただくことによって通常医療を一定程度制限いただくということになると思いますので、当然こちらの対象については、感染初期に地域で中核的に対応いただく、その一般医療、通常医療を止めて御対応いただくようなところに限定して、対象としたいと考えているところでございます。
○田辺部会長 藤井委員、よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、次に佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。全体としては、感染症対策の一環として、医療インフラ維持の観点から、新たな感染症発生時に必要な医療を提供する医療機関に対して支援をするということについては、総論としては賛成でございます。ただ、先ほども御意見がありましたが、新たな感染症発生時における医療インフラの維持、これはやはり本来は全額公費で賄うべきと考えます。
 資料の4ページに減収補償の仕組みが入っておりますけれども、たとえコロナ禍に匹敵するような事態であったとしても、診療行為がないにもかかわらず、保険者が費用負担をする、これはやはりおかしいのではないかと思います。本件への負担を行うことは、保険者である健保組合、また加入者の理解は得られにくいものだと考えております。
 そういった中で、仮に保険者の負担を検討するとしても、まさに緊急時の対応として、対象期間も含め、例外的かつ限定的な取扱いとすべきだと思います。保険者の負担が過大にならないように、ぜひ対応いただきたいと考えます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。今回、事務局より御提案がございました、感染症蔓延時等において都道府県における医療提供体制確保に関する協定を締結する仕組みを創設し、また、それを法定化することについては賛成でございます。しかしながら、流行初期における特別な協定の医療機関に対する減収補償について、保険者も費用を負担することが検討されておりますが、今回の法改正案は、感染症危機発生時に備えて平時において都道府県と医療機関との間で病床提供に関する協定を結ぶこととするものであり、その目的は、危機発生時に感染症が蔓延することを防止することでございます。このような目的で行われる感染症対策は、行政の責任において、費用は公費負担で行われることが原則であると考えております。今回の法改正案によって、国民への蔓延防止を目的とする感染症対策に保険者負担が入ることになり、これまでの原則が崩れてしまうこととなるので、協会けんぽとしましては、本件については慎重を期すべきであると考えております。
 また、このような案をお示しいただく前提として、今般の新型コロナウイルス感染症におきまして、平時、流行初期、それ以降の医療機関の経営状況がどのようなものであったのか、具体的な検証データをまずは御提示いただく必要があると考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、次に井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。感染症蔓延時の医療提供体制の確保について、平時から制度化しておくという取組は必須であり、現行の外来での出来高払いを基本とした支払い制度の下では、感染症患者受入れに伴う医療機関の経営リスクを緩和するために減収を補償する取組が必要であるという趣旨には共感いたします。
 このスキームは今後細部を詰めていかれることになるのではないかと思いますが、このような新しいスキームを検討する際には、運用開始の議論とともに、一旦補償が始まった後、どのような状態になった場合に補償を終えるのかという終わり方についても併せて議論しておく必要があるのではないかと考えます。
 これは補償の目的とも関係するわけですが、仮に減収補償の目的が流行初期の対応という部分に焦点を置くのであれば、そこに限定するというのも1つの考え方ではないかと思います。
 あるいは現在描かれているスキームにあるように、流行初期だけではなく、流行初期以降、補助金、診療報酬上乗せが充実した後にも減収補償を併用するスキームを行うということであれば、補助金、診療補償上乗せ、減収補償、それぞれが別の目的を持って運用されるわけですけれども、それらが感染症医療に果たす役割と、またその上での財源との対応について、あらかじめ整理しておく必要があるのではないかと考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 2つばかり申し上げたいと思います。1つは感染症に対応した医療機関の連携、協定を図っていくというのは大変結構ですが、これは感染症に限ったもので、それに限定されるのかということです。というのは、もちろん感染症も大変ですが、やはり災害時の医療ということを考えると、あらゆる場面を想定した医療機関の連携を考えておく必要があると思うのです。実際に東日本大震災のときにも大変な混乱状態が起こって、たくさんの命が失われたわけですね。日本は災害大国と言われるように次々と災害が襲ってきますし、最近は異常気象ということで、とんでもないときに大雨が降ったりするわけです。ですから、これは何も感染症だけの問題ではなくて、やはり災害とか予期せぬ出来事、この頃は予期しないことが多過ぎますが、そういうことでもっと広げていくべきではないかということでございます。
 もう一点は、ほかの委員もおっしゃったように、減収補償というのはどうしても納得できないというか、先ほどの説明にも、全額公費負担はなじまないという説明がありましたが、なぜ全額公費負担してはいけないのか、その辺がよく分からないし、保険者が負担する場合、どういう割合でやるのかとか、どういうスキームでやるのかとか、その辺は非常に問題が多い。こういうパンデミックのような問題については一種の国難みたいなものなので、私は全部公費負担でいくべきだと個人的には考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、羽田委員、よろしくお願いいたします。
○羽田委員 ありがとうございます。感染症まん延時等における医療提供体制の確保に向けた対応について説明がございました。今般、新型コロナまん延を経験する中で生じた課題への対応ということで、大変重要であると考えております。その中で事業継続確保のための減収補償の仕組みについても説明がございましたけれども、本日お示しをいただきました案の中で実施主体とされている都道府県や、費用負担者とされている我々保険者等とも十分に調整をしながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、熊耳参考人、よろしくお願いいたします。
○熊耳参考人 ありがとうございます。御説明のありました都道府県と初動対応等を含む特別な協定を締結した医療機関に対する事業継続確保のための減収補償につきましては、詳細な制度設計に当たり、各都道府県と丁寧に協議をいただくとともに、国の責任において十分な財政支援をお願いいたします。
 また、各保険者についても費用の一部を負担するとしておりますが、保険者の財政運営に支障が生じないよう、十分な配慮をお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。新型コロナウイルスへの薬局での対応として、各地域の感染状況に応じて、医師や看護師、さらには各自治体とも連携して、自宅宿泊療養者への医療提供体制をしっかりと確保するという強い覚悟を持って取り組んでいます。まずワクチン接種への協力、それから、先ほど横尾委員のほうから簡易抗原検査キットというお話がありましたけれども、抗原検査キットの確実な提供と使用方法、そして、結果に応じた適切な対応というのが非常に重要になってきます。それらの丁寧な説明、ワクチン検査パッケージに基づく無料検査事業への参画、医師との連携によるコロナ治療薬や解熱鎮痛薬などの提供、居宅への訪問など様々なことに取り組んでまいりました。
 現場の薬局は医療提供施設として、薬剤師は医療の担い手として、医師などと協力連携して、最前線でコロナ対応の役割を果たしてきています。有事に備えて平時から計画を策定していくことは必要と考えますが、資料1や参考資料の中に、感染治療薬を含めた医薬品の提供、薬局・薬剤師に関する記載が見当たりません。現場の薬局・薬剤師は最前線でコロナ対応を行っています。他部局のことで御存じないのかもしれませんが、薬局・薬剤師なしではコロナ対応や地域医療は回りません。先ほど新しい治療薬というお話がありましたけれども、幾らよい薬ができても、必要なところに届かなかったり、適切に使用されなければ効果を発揮することができません。薬局が記載されていないということはあり得ないことです。当然記載されていると思っておりましたが、この点、事務局はどのように考えているのか御説明いただきたいと思います。
○田辺部会長 御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○古川企画官(医政局) 医政局の医療政策企画官でございます。今回お手元に提示させていただきました資料は、あくまでこの6月17日に政府対策本部決定ということで、次の感染危機に備えるための方向性がまとめられたものでございまして、こちらを踏まえまして、今後、詳細を検討した上で必要な法律等々を提案していくというプロセスで考えているものでございます。今、森委員のほうからもお話がありましたように、現在の新型コロナウイルス感染症対応におきまして、薬局の方々、薬剤師の方々に多大なる御協力をいただいていることは、もちろん十分に承知しているところでございます。感染危機に備えるための平時からの協定の仕組みといったものにつきまして、今後具体的な検討を進めていく中で、当然に薬局薬剤師の皆様にも積極的に御協力いただきたいと考えているということでございます。
○森委員 今、方向性というお話がありましたけれども、医療提供体制に関する議論をする際に、このようなことが多過ぎるように思っています。薬局・薬剤師のことを視野に入れていないようにしか思えません。これは現場の薬局・薬剤師のモチベーションの低下にもつながりますし、大変残念に思っています。感染症を治療する上では治療薬の提供は不可欠です。また、今回の新型コロナウイルスでも経験したことですが、感染症が蔓延し医療機関へのアクセスに支障を来したときに、慢性疾患で継続して服用している治療薬の提供をどうするのかという課題もありました。感染症の対応には薬局も含めた中での計画が不可欠で、今回の対応全体の中で、医薬品の提供、薬局薬剤師ということが抜けないように、薬局・薬剤師の担当部局ともしっかり連携しながら御検討をお願いします。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、酒向参考人、よろしくお願いいたします。
○酒向参考人 ありがとうございます。資料1の4ページの事業継続確保のための減収補償の仕組みについて2点申し上げたいと思います。
 1点目、費用負担の在り方についてでございます。現行イメージ案で費用負担者に保険者を想定しているという御説明があったところでございます。この点でございますが、新たな感染症発生時に、協定に基づいて必要な医療を提供する医療機関に対して支援を行うということは大変重要な課題だと思っております。他方、保険料は診療行為の対価として診療報酬に充当すべきものでございますし、先ほど佐野委員、安藤委員からもございましたけれども、減収補償につきましては、全額公費によって対応すべきものではないかと考えております。
 2点目でございます。4ページ資料のイメージ図にありますけれど、この仕組みが適用される期間、すなわち流行初期はどういった位置づけになるかといったところでございます。流行初期の明確な位置づけがこれでは分からないなと思っております。先ほどこの点、井深委員からも御指摘があったところでございます。どこから始め、どこで終わるのかといったところについて、関係者間の明確な共通認識を持てるよう、今後、具体の議論が必要であると考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私は、資料1の2ページの対応の方向性について幾つかお話をさせていただきたいと思います。まず方向性について、しっかりした都道府県ごとの取組を計画的にやることとして、契約すること、そして減収補償という大きな具体的内容については賛同できることかと思いますけれども、もう一度原点に返って、特に第1波、第2波のとき、こういうパンデミックの初期のときにどうだったかというと、あのときにお金がないから病床が動かなかったわけでは決していないですね。人です。医師・看護師、特に看護師の人材が足りなくて、病床を動かしたくても動かせなかったということが大きかったかと思います。今回の過程では、お金さえ出せばいいのではないかということではなくて、いかに医療機関が有事に備えてある程度の(人的な)余裕を持てるか、特に高度急性期は余裕を持てるかということが非常に重要ではないかと。その視点が今回、その方向性には入っていないような気がします。
 今回、令和4年度の改定で、ごく一部ですけれども、ICUに少し余剰人員を配置することによって加算がつきましたけれども、感染流行期の初期の段階では、到底それでは賄えないと思います。ここは医療保険部会ですから、大きなくくりとして高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床稼働率はどれくらいが適正なのか、有事に備えてどれくらい余裕を見なくてはいけないのか、その辺を原点に返って考えなくてはいけない。特に人が非常に重要であることは、第7波になっても、医療機関でかなりの医療従事者が感染症に実際にかかってしまって、補充できなくて病床が止まってしまっているということが今でも続いていることをもう一度よく考えて、その余裕をどう見るか。人材として、人の立場でその余裕をどう見るかということの視点も非常に重要ではないかと思いますが、それについて事務局のお考えがあればお聞かせいただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 では、よろしくお願いいたします。
○古川企画官(医政局) 医療政策企画官でございます。本日提出させていただいた資料の中には、あまり細かく人材の話が記載されていないわけでございますけれども、お手元の資料1の2ページ目に、いわゆる協定の中身としまして、もちろん病床の確保ですとか発熱外来の対応に並びまして、人材派遣ということを書かせていただいております。各都道府県と医療機関の間でどのぐらい医療人材を派遣できるかといったことについても、平時から話し合っていただく、この協定のスキームの中に入れさせていただくということを考えておりまして、当然それを有事にワークさせなければいけませんので、そういった人材を養成していくことも含めて検討していきたいと思っているのが1点。あともう1点、こちらの資料の中には出てこないのですけれども、参考資料の対応の方向性の中にあるように、いわゆる広域での人材調整といったことも今回検討しているところでございまして、現在DMAT等々で広域人材派遣を行っていただいているところでございますが、国が総合調整する仕組みですとか、都道府県間でやり取りする仕組みといったものを併せて検討していきたいと考えているところでございます。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますか。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 では、次は鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。資料の4ページの減収補償について発言させていただきます。減収補償につきましては、保険者も応分の負担をする仕組みとなっておりますが、各保険者の財政運営が厳しい折、保険者にとって過度な負担が生じないよう、
適切な算出案分となる方法をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。今回、感染症法を改正するということですので、平時において協定を結ぶというのも分かるのですが、今までこの2年半、コロナというのに対応してきた中でいろいろな対応策が行われてきたわけで、今後のことを考えますと、どのような感染症が来るかというのは分かりませんので、もちろんコロナを参考にしてこのようなことを決めるということはそれでいいと思うのですが、実際に何か新たな感染症が起きたときには、それに対してどのように対応するかというのは物によって変わってくるはずなのですね。ですから、そこら辺は少し柔軟な対応が必要であると思いますし、また、それをどれだけ新たな知見、そういうものを集めて国としての方針を出していくか、そこをきちんと書き込むことがすごく重要なのではないかなと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。私も4月末に陽性になりまして、軽い風邪のような症状だったのですけれども、今もちょっと声が、時たまたんが絡んだり、発言している時に声がかすれるとか、そういう状態が続いておりますので、聞きにくいかと思いますが、お許しいただきたいと思います。
 一般市民の立場で少し感じたことも含めて発言をさせていただければと思いますが、私の場合、どこで感染したのかはっきりしないというか、4月末に幾つか、私は地域の老人クラブですので、老人クラブの会員、あるいは近隣の市町村の老人クラブの会長等の会合があって、保健所の聞き取りでは、そういう機会にうつったのではないか。要するに言いたいことは、市中感染が広がって、どのような形で感染するか分からない。これについては前から発言もしておりますが、やはり検査について、かなりしっかりとした検査体制と、基本的には陽性になった場合に隔離できる、要するに隔離というのは患者を保護することであり、また感染した人から一般市民に感染が広がるのを保護するという役割ですので、その辺の強化が必要ではないかと感じたことが一つです。
 それからあと、高齢者のところについて、重症化とか亡くなる方が多い。感染者の率で言いますと、今は40代、30代、20代、高齢者よりも若い世代の方が感染の数が多いわけですけれども、高齢者に重症化とか死者が多いのは、やはり年金生活で、医療の負担の問題で、残念ながらこの10月から後期高齢者の一部が2割負担になりますけれども、窓口負担によってアクセスをためらう。こういった感染症のときにそのことはより大きく国民の生命、それから医療の負担の問題等にも影響すると思いますので、今後の議論の中で、こういった窓口負担、私は保険料として応能負担の強化を図っていくことで、窓口負担はむしろ軽減していくほうが医療の在り方として望ましいことではないかと思っていますので、この機会に改めて発言させていただきました。
 それから、減収補償の問題ですけれども、多数の方から発言がございました。やはり保険者の負担については、特にコロナの場合は海外から持ち込まれたり、それから今後の感染症の問題も、国内だけの問題ではなくて世界的にいろいろな問題が起きていますので、保険者の負担については無理があるのかなと思っております。
 それから、減収補償の在り方として、私自身は、歯科のほうには通っておりましたけれども、コロナ感染が広がる中で、どうしても最初は、デルタ型などは肺炎等のことがいろいろ言われておりましたので、ある意味では歯科通院などはむしろ自主規制してしまってしばらく通わなかった。ですから、医療機関の問題も、コロナ以外の患者の減少による減収補償だけでいいのかどうか。この辺については、ぜひ専門の方たちから御意見をいただいて、医療の在り方ということで、町の小さな医療機関でも、地域の住民の健康を支えるということですので、コロナ以外の患者の減少による減収補償についても検討する必要があるのではないかと思っております。
 それからあと、これも御発言がありましたけれども、救急体制の崩壊とか、あるいは病院の受入れに当たって、ベッドがあっても対応できる看護師等がいない。あるいは医師の方が本当に寝食を忘れて対応しなければならないということがいろいろな形で報道されましたけれども、それを見ていて、今は具体的に、私はどういうことかよく分かりませんけれども、本当に医師の数、看護師の数というものが十分なのか。この機会にこの辺についても深めていただいて、前にも言いましたけれども、今の医療従事者の中では過労死になるような時間外労働も医師の場合はまだ認められるような状態がありますけれども、こういったことも早急に改めるような形で、医師・看護師等、医療従事者の数の確保、在り方について十分検討いただく必要があるのではないかと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見もないようでございますので、本議題につきましては、これまでとさせていただきます。
 次に「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。資料2「オンライン資格確認等システムについて」に基づいて御説明申し上げます。
 1ページ以降、オンライン資格確認の導入状況・利用状況でございますが、2ページにお進みいただきまして、8月14日時点で顔認証付きカードリーダーの申込みの割合が62.8%、院内システムの改修など準備が完了している施設が31.7%、実際に運用を開始していただいている施設が26.8%となってございます。医療機関等の種別別の内訳を御覧いただきますと、病院、薬局は45%前後となっておりまして、医科、歯科の診療所は18%台、こうした状況でございます。
 また、下の点線囲みのところでございますが、右下、マイナンバーカードの交付実施済み数、人口比で46.6%となっておりまして、このうち29%に当たります約1700万件の方に健康保険証の利用登録をしていただいているということで、マイナポイント第2弾の実施以降、この割合も急速に伸びてきているところでございます。
 3ページでございますが、かつてこの審議会でお示しいたしましたオンライン資格確認の中間到達目標、9月末時点でおおむね5割というのをお示しさせていただいてございます。現時点ではこの目標には至らないペースにとどまっている状況でございます。
 4ページでございます。都道府県別の運用開始状況を、病院、医科診療所、歯科診療所、薬局の施設類型別に上位5つ、下位5つをお示ししてございます。後ろの参考には全体の数字をおつけしてございますが、御覧いただきますとおり、非常に大きな差があるという状況でございます。
 こうした状況を踏まえまして、5ページでございますが、私どもとして、各地域別にオンライン資格確認の推進を図っていきたいということで、厚生労働省本省に各都道府県担当を置くほか、各地方厚生局、それから支払基金の支部、国保連、こうした方々をメンバーに、都道府県ごとにオンライン資格確認の普及に向けた連携会議を設置していただきまして、都道府県の保険者協議会等の場で御議論いただく。具体的には下のところに書いてございますが、当該都道府県下での導入状況の確認、関係団体等への働きかけ、本省主催説明会等への関係者への周知、また、実際に都道府県等で説明会を行っていただく。こうしたことでオンライン資格確認の導入を強力に推進していきたいと考えてございます。
 6ページでございますが、こちらは都道府県別ではなく、さらに市区町村別で顔認証付きカードリーダーの申込率、運用開始率について整理をいたしまして、厚生労働省ホームページ上で公表いたしております。7月31日時点の数字ということで、こちらも参考に全体の状況をおつけしてございます。
 市町村別に分類する関係で作業の手間等もかかりますが、随時更新をしてまいりたいと考えてございます。
 7ページでございますが、公的医療機関等における導入状況でございます。
黄色で塗ってあるところが現時点での運用開始状況ということでございまして、さらに今後の導入予定につきましても、その表でお示しをしているとおり聴取してございます。私どもとして、省内の関係部署、あるいは関係省庁と連携をしながら、引き続き導入を推進してまいりたいと考えてございます。
 8ページでございます。オンライン資格確認の利用状況ということで、7月末までの期間でオンライン資格確認等システムを活用した資格確認は累計で3.1億件行われてございます。直近の7月を御覧いただきますと、約5793万件の資格確認が行われておりまして、表の中では、このうちマイナンバーカードによるもの、保険証によるもの、一括照会によるものの内訳を示してございます。
 9ページでございます。上の表は、患者の同意をいただいた上で、医療機関・薬局において特定健診・薬剤情報を閲覧いただいた件数ということになります。直近の6月、7月を見ていただきますと、特定健診等情報が5万件弱、薬剤情報が13万件程度ということで、そうした閲覧の状況になってございます。下のほうは、マイナポータルにおきまして御本人が特定健診・薬剤情報を閲覧いただいた件数になります。
 10ページ以降、オンライン資格確認の導入の原則義務化等につきましてでございます。
 11ページでございますが、去る5月25日の医療保険部会におきまして、オンライン資格確認の導入のための更なる対策として、3つのことをお示しして御議論をいただきました。1つ目が、令和5年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化をするということ。2つ目が、医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する財政措置を見直す。診療報酬上の加算の取扱いについては中医協で検討。3つ目が、令和6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す。さらに、上記以外で保険証を利用している機関(訪問看護、柔整あはき等)のオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。この場合でも加入者から申請があれば保険証は交付される仕組みとすることを大前提とするということでございました。
 12ページにお進みいただきますと、こうしたことにつきまして、6月7日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針におきまして、今私が申し上げた内容が盛り込まれておりまして、政府の方針として閣議決定をされたということでございます。
 また、この閣議決定の中では、真ん中辺りでございますが、全国医療情報プラットフォームの創設ということが盛り込まれてございます。注143を御覧いただきますと、オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームをいう。こうした方向性も盛り込まれているわけでございます。
 こうした中、13ページにお進みいただきまして、8月10日の中医協におきまして、今申し上げる3つの点につきまして、答申・公表をいただいたところでございます。1つ目が、保険医療機関・薬局にオンライン資格確認の導入を原則義務化するということ。2つ目が、医療情報化支援基金による医療機関・薬局向け補助を拡充するということ。3つ目が、診療報酬上の加算の取扱いの見直しを行い、令和4年10月から施行するということでございます。それぞれにつきまして御説明を申し上げます。
 14ページでございます。オンライン資格確認につきましては、患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるものである。そうした認識の下、療養担当規則等を改正いたしまして、保険医療機関・薬局にオンライン資格確認の導入を原則義務化する。これを令和5年4月、来年4月施行とするということでございます。その際、現在、紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関・薬局は、具体的には※のところに書いてございますが、電子請求の義務化がなされた時点で65歳以上の医師等ということになりますので、現時点で申し上げますと75歳以上程度ということになりますが、そうしたところ。それから、レセプトコンピューターを導入していない等の理由により手書き請求をしているところ。そうしたところにつきましては、院内等の電子化が進んでない現状に鑑み、オンライン資格確認導入の義務化の例外とするということでございます。
 15ページにお進みいただきますと、現在の電子請求の状況について整理をした資料でございます。全ての医療機関・薬局のうち、約66%がオンラインでの請求、約30%が光ディスクでの請求、約4%が紙での請求ということになってございますが、今回、オンライン資格確認の義務化の例外となるのはこの緑の紙での請求をしているところ、そうしたことをお決めいただいたわけでございます。
 16ページでございますが、医療情報化支援基金による医療機関・薬局への補助の見直しでございます。現行の補助の仕組みは、この表の①の部分でございますが、病院、大型チェーン薬局、診療所・大型チェーン薬局以外の薬局、そうした類型ごとにそれぞれ一定の上限額に対する2分の1、または4分の3の補助をする、そうした仕組みを取っているわけでございますが、これにつきまして、2つ目の丸のところでございます。病院向けに補助上限の引上げ、診療所等向けに定額補助の実施ということでございます。
 下の表の②を御覧いただきますと、病院につきましては、2分の1の補助率を維持したまま補助上限をこのように引き上げする。診療所等につきましては、上限額に対する実費補助、いわゆる10分の10の補助を行うということでございます。この②の補助の仕組みでございますが、※1のところに書いてございますが、先ほど申し上げた骨太方針の閣議決定が行われた本年6月7日から令和4年12月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込む。そして、来年2月末までにシステム事業者との契約を結ぶ。そうした医療機関が令和5年3月末までに事業完了し、6月末までに交付申請をいただいたときに、そうした補助を実施させていただくということでございます。ただ、私が申し上げた今のスケジュールは最も遅いスケジュールということでございまして、私どもとしてこれは医療機関等に対して、より早期の顔認証付きカードリーダーの申し込み、あるいはシステム事業者との契約、こうしたことをお願いしてまいりたいと考えてございます。
 それから、下から2つ目の※のところでございますが、①令和3年4月から令和4年6月6日までの期間でカードリーダーをお申し込みいただいた施設につきましても、6月7日から来年1月末までに運用開始した施設については、①と②の差額につきまして、補助金交付済みの施設を除きまして、そうしたものを補助させていただく仕組みも併せて創設することとしてございます。
 17ページでございます。診療報酬の見直しということで、現行の電子的保健医療情報活用加算の仕組みにつきましては、今私が申し上げましたオンライン資格確認システムの導入が原則義務化されるということを踏まえまして、廃止をいたしまして、新しい評価ということで、この下のところに(新)と書いてございます、医療情報・システム基盤体制充実加算というものを設けることとされました。1と書いてあるのが施設基準を満たす医療機関で初診を行った場合。その施設基準でございますが、下に書いてございます。医療機関・薬局の見やすい場所、ホームページ等にオンライン資格確認を行う体制を有していること、また患者に対して薬剤情報・特定健診情報、その他必要な情報を取得・活用して診療を行うこと、こうしたことを掲示していただく。そして、必要に応じて患者に対してそうしたことを説明すること。そうした医療機関において初診を行った場合に4点ということでございます。
 この特定健診・薬剤情報、その他必要な情報を取得・活用するということにつきましては、右に問診票の標準的項目のイメージを書いてございますが、初診時の問診票の標準的項目を新たに定めることとしてございます。
 そして、加算の2のところでございますが、こうした医療機関でマイナ保険証をお持ちいただいて、オンライン資格確認等により情報を取得等した場合の情報の取得の効率性等を勘案いたしまして、こうした場合には加算の点数を2点とするということが決められたわけでございます。調剤につきましても同様な考え方に基づきまして、6月に1回、3点、1点をそれぞれ算定する、こうした加算を本年10月から設けることが決定をされたところでございます。
 18ページから20ページまでは、こうしたことを中医協で御議論いただく際に、私ども事務局のほうで、システムを導入している医療機関・薬局にヒアリングを行った結果、そうしたものをお示しさせていただきながら御議論をいただきました。また、21ページにはオンライン資格確認のメリットとして、患者の視点、医療機関・薬局の視点、保険者の視点、それぞれで整理した資料をお示しさせていただいて、御議論をいただきました。
 そうしたことを決定いただくに当たって、22ページでございますが、8月10日の中医協におきまして、以下の3点について附帯意見をいただいてございます。関係者それぞれが令和5年4月からのオンライン資格確認の導入の原則義務化に向けて取組を加速させること、その上で令和4年末頃の導入の状況について点検を行い、地域医療に支障を生じる等、やむを得ない場合の必要な対応について、その期限も含め検討を行うこと。今回新設された医療情報・システム基盤整備体制充実加算に関し、その評価の在り方について、算定状況や導入状況も踏まえつつ、患者・国民の声をよく聴き、取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況について調査検証を行うとともに、課題が把握された場合には速やかに対応を検討すること。オンライン資格確認を医療DXの基盤として、今後患者の同意の下でいかすことができる患者の健康・医療情報が拡大し、さらに安心・安全でより良い医療が受けられる環境が整備されていくということが患者・国民に広く浸透するよう、関係者が連携して周知を図っていくこと。こうした附帯意見をいただいているところでございます。
 23ページにお進みいただきますと、私どもとしてこうした決定いただいた内容について、医療機関・薬局等の現場にいち早く周知を図っていきたいと思っております。具体的には日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会により、オンライン資格確認推進協議会というのを設置いただいてございますが、その推進協議会と私ども厚生労働省合同で、来週24日水曜日18時半から、オンラインでライブ配信の形で、こうした内容について御説明をする機会を設けたいと考えてございます。8月10日の中医協で答申・公表された内容について御説明をするほか、医療機関・薬局の目線に立った具体的な申込手続、また、顔認証付きカードリーダーはどういうものなのかということのデモンストレーションも含めまして、私ども、情報発信に努めていきたいと考えてございます。
 24ページは、三師会によるこの推進協議会の設置の趣旨紙でございます。
 話題は変わりまして、3番目、オンライン資格確認の用途拡大についてということでございます。26ページでございますが、今まで外来診療等を行う保険医療機関薬局につきましてオンライン資格確認の導入の話をさせていただいてまいりましたが、従来の保険証が利用されている機関・業態はそのほかにもございます。
 3つ目の丸でございますが、本年度においてシステム開発予算を確保しているものが以下の2類型ございますので、そうしたものについて、システムの開発に着手しております。1つ目が、居宅同意取得型と書いてございますが、訪問看護等でございまして、医療機関等の外部、患者の自宅等で資格確認、薬剤情報等の提供に関する同意を取得し、医療機関等でオンライン資格確認等システムを利用する仕組みでございます。また、既存型、これは職域診療所等につきましては、今現在、医療機関等コードが振られておりませんので、その代替となるコードを付番するための仕組みを開発して、既存のオンライン資格確認等システムを導入できるようにするというものでございます。
 なお、※1のところに書いてございますが、このほかにも柔整あはきの施術所、健診実施機関などで健康保険証の利用がなされております。引き続き仕組みの検討を行ってまいります。
 27ページは、居宅同意取得型の訪問看護の場合の仕組みの概念図でございます。この資格確認、薬剤情報等の提供に関する同意は、医療関係者が持参したモバイル端末等を用いて実施をすることになりまして、紫の線が既存のオンライン資格確認の仕組みの中で、情報のやり取りが行われるラインになりますが、新たに水色の線、患者の自宅等におきまして、こうした同意を取るための仕組み、そうしたものを安全に構築するための水色の矢印の仕組みを構築する、そうした考え方になります。
 28ページはオンライン診療等の場合でございまして、資格確認や薬剤情報等の提供に関する同意。この場合には、患者本人のモバイル端末またはPCを用いて実施される、そうしたことになるわけでございます。
 29ページは既存型ということで、職域診療所等の場合、先ほど申し上げたとおり医療機関等コードの代替となるコードを付番するためのシステムの開発を進めてまいります。
 30ページは全体のスケジュールでございますが、私どもとして訪問看護におけるオンライン請求、これを令和6年4月診療分、令和6年5月から開始予定として、今開発を進めてございます。訪問看護のこうしたオンライン請求の開始時期も踏まえて、居宅同意取得型のオンライン資格確認、令和6年4月の開始を目途として開発を行うということで、そうした前提の下、今年度、来年度にかけた開発スケジュールをこのようにお示ししているところでございます。
 続きまして、医療情報化支援基金、いわゆるICT基金の執行状況でございます。32ページを御覧いただきますと、オンライン資格確認の関係でこれまで1270億円をICT基金に積んでございます。令和3年度末までの状況でございますが、顔認証付きカードリーダーの申込みがございました約13万機関について、カードリーダーの提供、それから一部医療機関について補助金の交付がなされて、基金の残高は650億円となってございます。
 令和4年度以降につきましても1002億円を執行予定となってございますが、先ほどICT基金による補助金の見直し、中医協で8月10日に公表させていただいた内容を御説明させていただきました。これを踏まえて今後見直しを行ってまいります。
○伊藤企画官(医薬・生活衛生局) 続きまして、スライド33以降、電子処方箋でございます。電子処方箋につきましては、オンライン資格確認を基盤としたシステムであり、本年1月、本部会におきまして、電子処方箋に係る法改正事項、それから、費用負担について御議論をいただいたということです。来年1月の運用開始に向けて現在準備を進めている段階ということでして、本日はその進捗について御報告をさせていただきます。
 スライド34です。数値目標というものを本年6月、新しい資本主義実現本部のフォローアップということで閣議決定したということでございます。来年1月の運用開始ということですが、2025年3月を目指して、オンライン資格確認を導入した概ね全ての医療機関及び薬局での電子処方箋の導入を支援するということで位置づけられているということでございます。それから、段階的に普及を進めていくということで、現場の事情も加味しながら、来年3月末の段階でオンライン資格確認を導入した施設の7割程度、2024年3月末にはその9割ということで、普及拡大に取り組んでいくということでございます。
 続いて、スライド35です。来年1月に先駆けまして、本年10月末から先行的に電子処方箋についてモデル事業という形で実施をしていくということで、今般、この4つの地域について選定を行ったということでございます。こちらは現在開発を進めております電子処方箋サービスのシステムがしっかり動くかどうかといったような最終的な検証、それから、運用面についての取組、課題についてチェックを行う目的で実施をするということで、10月末に向けて、今後準備を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、まず、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。導入目標の達成に向けて、引き続き、マイナンバーカード自体の普及促進や、保険証利用の普及・促進に御尽力いただければと思います。
 その上で、提案を2点申し述べたいと思います。1つ目は、オンライン資格確認等システムにOTC医薬品、市販薬の購入あるいは取得情報も登録できるようにしてはどうかという点でございます。セルフメディケーションの実践には、市販薬、OTC医薬品の有効活用が不可欠であるのみならず、コロナ禍での在宅療養やオンライン診療におきましても、一部の医療用医薬品の代替としてOTC医薬品が活用されるケースが増えておりまして、患者の服薬情報全般を医療機関が参照できるようになれば、より適切かつ無駄のない医療提供が可能になるのではないかと考えます。
 2点目でございます。以前も申し上げましたが、患者さんの医療情報を共有する機能に重複・過剰投与の可能性があることを、処方する前に医師へ知らせるアラート機能が追加されれば、医療の安全性の向上や医療費削減の効果が期待できるのではないかと考えます。
 以上2点について、厚生労働省の考えをお聞かせ願えればと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、回答をお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。1点目、OTC医薬品に係る情報もオンライン資格確認で見られるようにという御提案を頂戴いたしました。今現在、オンライン資格確認のシステムはレセプト上の情報、こうしたものは既に医療機関・薬局から審査支払機関のほうに提出をされている、そうした情報の中から必要な情報を取り出して閲覧できるようにする。そうした発想で進められているわけでございます。OTC医薬品の情報は、今現在そうした情報の中にはございませんし、まさに今、お薬手帳などもございますが、そうしたお薬全般にわたる情報をどういう形で把握していくべきか、そうした議論の中で議論されていくべきものと考えます。
 それから、2点目の重複投薬の前に医師に知らせる機能ということがございました。今現在オンライン資格確認等システム上で見られる情報はレセプトベースの薬剤情報ということで、2か月程度前の情報になりますが、来年1月から電子処方箋が導入されますと、まさにリアルタイムでの薬剤情報が見られるようになります。そうした中、医師が処方をする前に、そうしたリアルタイムの薬剤情報をベースに、重複投薬等について一定のアラートが提示されるような機能も備え付けられることになりますので、今、藤井委員がおっしゃられた機能は、電子処方箋が普及していくことで相当程度活用されていくことになるのではないかと考えております。
 医薬局のほうから補足があれば、よろしくお願いします。いいですか。
 では、以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
 それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。先般の中医協のほうでも健保連として申し上げましたけれども、オンライン資格確認等システムを含めた医療DXの推進については当然賛成でございます。その前提で、中医協で支払い側の総意として申し上げた意見も踏まえつつ、本日の資料構成に沿って幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 まず1番目のオンライン資格確認の導入状況・利用状況についてでございますけれども、厚生労働省のほうとしても、様々な取組を通じて推進されているということはもちろん理解をしておりますけれども、やはりまだまだ順調に進んでいるとはとても言えないと感じております。そういう意味で、さらなる強力な推進が必要であると考えております。特に本日の資料に示されているように、やはり地域間の格差が大変大きいと感じています。特に首都圏、関西圏等の大都市部において、病院、医科診療所、歯科診療所の全てで導入が遅れているという点は非常に気になる部分でございます。やはり各地域の状況に応じた推進体制の強化に期待したいと思っております。
 次に、2番目のオンライン資格確認導入の原則義務化、また関連する財政措置見直しについて、中医協における答申書の附帯意見も踏まえてコメントしたいと思います。まず、我々のほうは、中医協で原則義務化が決定されたことは高く評価をしております。義務化の対象となる全ての医療機関・薬局において、来年4月までに運用が開始されるよう、医療現場の積極的な取組と国による進捗管理・支援をくれぐれもお願いしたいと思います。
 また、資料の22ページでございますけれども、答申書の附帯意見の1番では、令和4年末の導入の状況について点検を行い、地域医療に支障を生じる等、やむを得ない場合の必要な対応について検討することとありますけれども、真にやむを得ない場合に限って、かつ期限を設けるなど、特に慎重に検討をお願いしたいと思います。
 また、診療報酬上の措置につきましては、国民・患者に医療の質が向上するというメリットが、やはり理解、納得されていないということで大きな批判が上がり、今回の見直しに至ったのではないかと考えております。
 見直しに当たって、我々支払い側は、診療報酬上の措置を一旦凍結することも含め、国民・患者の声をよく聴き、丁寧に議論すべきであること、さらには、国民・患者に負担をお願いする以上は、オンライン資格確認等システムを通じた医療の質の向上について理解・納得していただくことが大変重要であるということを主張してまいりました。こうした我々の主張が、答申書の附帯意見の2において、国民・患者の声をよく聴き、課題が把握された場合には速やかに対応を検討するという形で組み込まれたことは大変大きな意義があると考えております。
 一方、まだ懸念事項が残っていると思っておりまして、これは点数設定において、現時点では、オンライン資格確認システムを導入していない医療機関を受診した患者の負担が最も低くなるケースが存在してしまうということであります。そのため、やはり来年3月までに対象医療機関・薬局の全てでシステムを実装して、運用開始をしていただくということが、国民・患者の納得・理解には必須であると考えております。さらに、国民・患者がマイナ保険証の利用を通じて医療の質の向上を実感してもらって、マイナ保険証の利用を健全な形で普及させていくことが何よりも大切だと思っております。
 答申書の附帯意見3で、安心・安全でよりよい医療が受けられる環境が整備されていくということが患者・国民に広く浸透するよう、関係者が連携して周知を図っていくこととあることから、これに対しても、支援は当然ですが、関係者が共通の認識の下で周知をしっかり行うための広報ツールの作成・提供など、ぜひとも適切な支援をお願いしたいと思っております。
 次に、大きな3番目のオンライン資格確認の用途拡大についてございますけれども、29ページにおいて職域診療所等への対応が示されております。この中には企業内、また健保組合立の診療所等が想定されますけれども、対象患者や運営状況は様々でございますし、また、保険医療機関でない場合もございますので、十分に実態、意向も踏まえた柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 また、今回の資料では詳細の記載はございませんけれども、柔整あはきの施術者の対応についても、保険証の廃止を今後検討していく中においては大きなネックになる可能性がございますので、ぜひともスケジュールの具体化を含めて早急に対応をお願いしたいと思います。
 5番目の電子処方箋導入の数値目標とモデル事業の実施についてございますけれども、まさに国民・患者にとって、医療の質の向上を実感でき、適正な医療の実施を担保する極めて重要なシステムだと認識をしております。そういう意味で健保組合からの期待も大変高い部分でございます。そういう意味で資料34ページにおいて、2025年3月末までにおおむね全ての医療機関・薬局で導入するという数値目標を掲げておられますけれども、国としてぜひ積極的に推進して、できる限り前倒しで実現していただくとともに、今後行われるところのモデル事業、ここから得られた知見を、重複投薬の防止等の効果にしっかりとつなげていただきたいと思います。
 最後に、常々申し上げておりますけれども、一定の効果が発揮されるまでの間は、この運営費用については、ぜひとも公費のほうで負担をしていただきたいと思っています。
 長くなりましたが、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 今後、オンライン資格確認が整備され、そして、電子処方箋がだんだん行われるようになると理解しておりますけれども、今、そうすると各医療機関はどのようにそれをつないでいくかということなのですね。例えば光回線が単独で引けるような場合にはいいのですけれども、地方によっては光回線がまだ引けないようなところもございます。そのような場合にセキュリティーが一体どうなるのか。特にランサムウェア等のサイバー攻撃は今もう医療機関にもかなりやられてくるようになっておりますので、電子カルテと外とをつなぐというようなことが常時行われると、危険性がかなり高くなると思います。そのセキュリティーに関して現状どのように対策を考えておられるか、お話しいただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御質問がございました。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。まず、オンライン資格確認等システム自体、そこにおけるセキュリティーの考え方でございますが、悪意のある第三者からの攻撃による情報漏えい、こうしたことがないようにするために、オンライン資格確認で用いる医療機関等のネットワーク回線、これは基本的にはIP-VPN方式、すなわち通信事業者が独自に保有する閉域のネットワークを原則といたしまして、それが難しい場合には、IPsec/IKE、すなわちインターネット上に暗号化した通信経路を構築して、機密性の高いデータ通信を可能にする技術、それとインターネット標準の電子鍵の交換技術、これを組み合わせたインターネット回線。そうしたものを使用することとしてセキュリティーを確保しているわけでございます。
 先ほど私が御説明申し上げました、ICT基金による院内のシステムの改修、これはまさにそうしたオンライン資格確認のシステムで情報確認端末まで来た情報を院内のシステムとつなげる、改修する、そうしたことについてお話をさせていただきました。そうしたものは基本的に今申し上げたオンライン資格確認のシステムから院内の電子カルテ等のシステムに、いわば一方通行の情報とすることを基本として整備をされているものでございます。したがって、今申し上げたセキュアにオンライン資格確認システムのネットワークを通じて提供された情報が一方通行で院内の電子カルテ等のシステムでも見られるようにする。こうしたことが今回のシステムの基本になっているわけでございます。
 一方で、今、猪口委員から御指摘がございました医療機関におけるサイバー攻撃への対応ということ。これはせんだっての病院におけるそうした事例もございまして、担当の医政局におきまして、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにつきまして、3月末に改定を行って、医療機関のサイバー攻撃への多様化、巧妙化等への対応の対策が盛り込まれているところでございます。私どもとして、オンライン資格確認等システムのセキュリティー対策、そしてもう一つ、医療機関におけるサイバー攻撃等も踏まえたセキュリティー対策、こうしたことをしっかりと講じていくことによって、安全な形でこのシステムを運営してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○田辺部会長 猪口委員、よろしゅうございますか。
○猪口委員 ありがとうございます。かなり速いスピードでこれから導入が行われていくということになりますと、十分にそこのセキュリティーについても同時に確実なものにしてやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。先ほど佐野委員からもお話がありましたが、今後、オンライン資格確認等システムを基盤として、様々な情報と連携し、医療DXを推進していくということにつきましては賛成でございます。
 しかしながら、これまでも申し上げてきましたとおり、追加される情報、利活用方法によって、その受益者は異なるものと認識しております。この基盤システムを稼働させ続けるためには、その保守・運用にかかるコストが発生いたしますので、その費用につきましては、保険者のみならず、受益者との間で応分に負担すべきであると考えており、その点を踏まえた十分な検討を尽くしていただくように、よろしくお願いいたします。
 また、資料2の19ページから20ページにありますシステムを導入した医療機関等からのヒアリング結果では、事務処理が効率化された、返戻による事務負担が軽減した等のコメントが多数記載されております。これらは明らかに医療機関側のメリットであるにもかかわらず、いまだに申込みは62%台にとどまっております。これにつきましては本当に残念でございますが、来年3月末までに全ての機関において導入されるように、さらなる促進をしていただければと思います。
 オンライン資格確認等システムという日本の医療DXの基盤となる仕組みが国民に活用され、認めてもらうためには、マイナ保険証をもって、患者が新たな診療を体験し、そのメリットを感じてもらうことが非常に重要であると考えております。患者が自分の最寄りの導入医療機関・薬局を探しやすくするために、また、関係者が一丸となって導入促進に向けて取り組むためにも、厚労省のホームページにあります運用開始施設名一覧について、もっと国民にとって分かりやすい、そして、活用しやすい形で示していただくとともに、その情報を毎週アップデートしていただきたいと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。オンライン資格確認システムについて、電子処方箋について、それから最後に、先ほど藤井委員からOTC薬の情報の共有という話がありましたので、3点お話をさせていただきます。
 まず、オンライン資格確認の推進につきましては、先ほど事務局からも御紹介がありましたけども、日本医師会、そして日本歯科医師会と一緒に設置したオンライン資格推進協議会などを通じて、三師会や厚生労働省と引き続き連携をして、これまで以上に進められるように対応していきたいと思っております。
 原則義務化については、対応が難しく、取り残される医療機関及び薬局が出てこないよう、引き続き導入状況や稼働状況などを見つつ、導入が困難な事情などを把握しつつ、現場の実情を踏まえ、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 電子処方箋の運用に関しては、来年1月から予定されていますけれども、患者さんにとっても新しい仕組みとなることから、モデル事業では機能面での検証のみならず、患者さんを含めた運用面での検証が必要だと考えます。モデル事業を通じて確認された課題などについて、それらへの対応策をしっかり検討し、運用上の課題などは運用開始までに解決すべきであると考えています。それでも解決し切れない重大な課題が見つかったときには、導入目標や運用開始時期の再検討も念頭に置いておく必要もあるのではないかと思っています。
 最後に、先ほど藤井委員のほうからOTC薬の情報ということがありましたけれども、医療機関で服薬している薬との重複投与、相互作用のみならず、治療中の疾患へ影響することがあり、現在は医師への情報提供文書であったり、また、お薬手帳への記載ということで対応しています。今回の用途拡大という話の中に入れていいのかどうか分かりませんけれども、現在、オンライン資格確認システムを利用した中で医療機関間、医療機関・薬局での情報共有の在り方の検討が進められています。今後は、それらを積極的に活用しながら情報の共有を図っていきたいと考えています。
 私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。これまでの発言の繰り返しになりますけれども、日本歯科医師会といたしましても、医療の質の向上や効率化といった、国民にとってもメリットがある今回の医療DXを推進する立場には変わりはございません。今後もしっかりと取り組んでいきたく思っております。
 具体的に円滑な推進を図る上で様々な問題点を検討し、日本歯科医師会も取り組んでまいりたいと思いますが、現行の電子レセプト請求についても、唐突な制度の見直しがあるのではないか。そういったことを懸念する声もあり、小規模、高齢管理者の多い歯科医療機関では、様々な課題や現状があるのも事実でございます。今後、ユースケースが増える中、このような制度の拙速な推進によって、地域医療を担う医療現場が混乱を招かないよう、十分な配慮を引き続きお願いしたく、要望いたしたく思っております。また、何よりも資格確認についての国民への丁寧な周知を併せてお願いいたしたく、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、羽田委員、よろしくお願いいたします。
○羽田委員 ありがとうございます。オンライン資格確認等システムにつきましては、昨年10月に本格導入をされて以来、特定健診情報や薬剤情報の閲覧に加えまして、全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大や電子処方箋の仕組みの運用開始が予定され、今後もさらなる機能追加等が検討されております。このように、オンライン資格確認に機能が追加されますと、開発経費のほか、新たな運用経費が生ずることとなりますが、その費用負担の在り方につきましては、機能追加等によって誰がメリットを受けるかということも踏まえながら、保険者とも十分に協議の上、決定いただくようお願いしたいと存じます。
 また、本日の資料の13ページに、オンライン資格確認に関する取組として、診療報酬上の加算の取扱いの見直しについて記載がございましたが、10月からの新たな仕組みについては、マイナンバーカードの保険証を利用する人も、また、しない人も、全ての人の理解が十分得られるよう、その趣旨を丁寧に広報していただき、国民の不信感につながらないようにしていただきたいと存じます。特にこれまでは、「より良い医療を受けることができる」としか説明がないように思いますので、もっと利用者一人一人が具体的なメリットをイメージできるような説明をしていただきたいと存じます。それがマイナンバーカードの取得率の向上にもつながっていきますので、ぜひともお願い申し上げたいと存じます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。全国市長会の前葉です。
 私のほうで11ページでございますが、オンライン資格確認のさらなる対策を進めていただく中で、保険者による保険証発行の選択制の導入が令和6年度中と掲げられておりますので、現時点での保険者としての考え方を申し述べておきたいと思います。
 被保険の便宜が当然十分に図られている、そういう環境を令和6年度中につくっていただくということかと思います。被保険者、つまりマイナンバーカードを持っている人たちが保険証として使うときにストレスフリーに使える状況にあることが最低限必要であろうかと思っております。保険者がマイナンバーカードを保険証として選択する、つまり別の保険証を発行しないという選択をすることが原因で被保険者の混乱や戸惑いが生じる、それは保険者が保険証を発行しないからだと言われるようなことは万が一にもあってはならない。そういうことがあると立つ瀬がないわけでありますので、その環境整備について、引き続き、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 各かく申し上げた上で、これは自治体の立場でありますが、マイナンバーカードを普及していく、その利用促進を図っていくということは何としても必要なことでございますので、厚労省においてオンライン資格確認の推進、ぜひとも引き続き、大変だと思いますが、しっかりとお取り組みいただくよう、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、松岡参考人、よろしくお願いいたします。
○松岡参考人 ありがとうございます。国保中央会におきましては、社会保険診療報酬支払基金とともにオンライン資格確認等システムの管理運営を行っておりまして、御協力をさせていただいております。オンライン資格確認につきましては、5ページにございますように都道府県単位での働きかけというのは大変重要でございまして、厚生労働省からは国保中央会、国保連合会の協力の御要請もいただいておりまして、これにお応えして協力していく必要があると考えております。
 その中で、厚生労働省の地方厚生局は各都道府県にも事務所がございまして、保険医療機関等を指導するお立場でもございます。オンライン資格確認を国のプロジェクトとして進める上でも、地方厚生局がリードして国保連合会、支払基金支部と協力をして、都道府県とも意思疎通をよくして進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、熊耳参考人、よろしくお願いいたします。
○熊耳参考人 ありがとうございます。オンライン資格確認導入目標を達成するためのさらなる対策として、診療報酬上の加算の見直しが8月10日の中央社会保険医療協議会において答申、公表されたところです。今回の見直しでは、システム導入済み医療機関等においてマイナ保険証を利用した場合の初診時の患者負担が小さくなる一方、従来の保険証を利用した場合の患者負担のほうが大きくなりますので、被保険者に対する丁寧な説明と周知をお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、酒向参考人、よろしくお願いいたします。
○酒向参考人 ありがとうございます。オンライン資格確認等システムにつきましては、全国で医療情報を確認できる仕組みを構築するという点、医療情報の標準化を通じたデータヘルス改革を行う点、ひいては医療全体のDXを進めるに当たっての基盤として不可欠なものと考えております。
 こうした認識の下、先般の診療報酬上の加算について議論された中医協の場で、医療側からも、来年4月のオンライン資格確認の原則義務化に向けて、ギアを一気に切り換えて取り組むとの強い決意が示されたと伺っております。補助金の大幅な拡充ですとか診療報酬上の手当が決まり、オンライン資格確認の導入促進に向けた必要な環境が整備されているという中で、例えば次回の導入状況の報告の際には、現在62.8%の申込み状況でございましたが、ここで一気に100%に近い状態まで大きく変化するところを見せていただきたいなと思っております。そういった大きな変化が生まれるということが患者さんの信頼にもつながっていくと考えておりまして、大いに期待しております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私もオンライン資格確認について少しお話をさせていただきます。意見が1つと質問を1つだけさせていただきます。
 まず2ページを御覧いただきますと、今まで医療機関側にメリットがあるのに診療報酬で加算するのはいかがなものかという御意見もありましたが、このメリットということに関しては、私は中医協でも発言させてだきましたけれども、支払い側である保険者も、(提供側である)我々医療機関も、そして(受給者側である)患者さんも、みんなにメリットがあるものであるからこそ、医療DXの基盤であり、その一丁目一番地だということに対しては、多分、どのステークホルダーも反対はないところではないかと思います。
 ただ、ではなぜメリットを感じられないかということになると、やはり普及率。普及が80、90、100に近くなれば、大きなメリットをそれぞれのステークホルダーが共有できる。今はそこに行くための過程だと考えていただきたい。医療機関側が、今これを導入したら事務手続が簡単になるので、なぜそれなのに加算があるのということがありました。これについては2ページ見ていただきますと、マイナンバーカードの普及が約5割、そして、その中で健康保健証の利用の登録がその3割ということは、今、15%なのですね。全国民の15%しか健康保健証をマイナンバーカードで持っていないということ。この状況で、例えば当県もいろいろ診療所等で導入したところもありますけれども、結局、普通の保険証を持ってきたものとマイナンバーカードで持ってきたものと両方に対応しなくてはいけない。決して手間が楽になっているわけではない現状がある。
 ただ、それだからといって反対するわけではなくて、であるけれども、我々も一生懸命ギアを上げて頑張りましょうということを言っていますので、ぜひその辺の御理解もいただければなと思っています。鶏が先か卵が先か、普及率のためにはみんなが少し痛み分けをして頑張っていこうという現時点での取組だと思いますので、ぜひその辺を御理解いただきたいと思います。
 そして、一昨日も病院団体の会議がありましたけれども、そこでもやはりランニングコストの問題とか、先ほど猪口先生からも話がありましたように、セキュリティーの問題とか、まだまだ不安材料がいっぱいあることも確かなので、その辺を1つずつ潰していきながら、できるだけ普及率を早く上げるように我々も努力していきたいと思います。
 そこで、1点だけ質問なのですが、その病院団体の会議の中で質問が出たのが、今、セキュリティーの関係もあるせいか、インターネット回線について、東日本、西日本で違うという声もお聞きしたので、定かではないのですけれども、回線がNTT等に制限されている地域があるということをちょっとお伺いしましたが、本当にそういう事実があるのかどうか、もし事務局でお分かりになれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、よろしくお願いします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。今、池端委員がおっしゃられた状況は、具体の事例を承知していないので、またちょっと個別に御相談いただければと思いますが、一般的なこととして申し上げれば、先ほど猪口委員からの御質問に対して、私、IP-VPN方式とIPsec/IKE方式と2つの方式を御説明申し上げました。IP-VPN接続方式を提供している事業者は、NTT東日本、西日本が代表的なところになりますが、それ以外にも提供している会社はございます。それから、光コラボレーション事業者というのがございまして、NTT東日本、西日本そのものではございませんが、そうした回線を活用して事業を提供している事業者もございます。いずれにいたしましても、今、個別の事例まで承知してございませんので、またそうした具体の例がありましたら、私ども事務局まで御照会いただければ、きちんと対応させていただきたいと思います。
 以上です。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 では、横井委員、お願いいたします。
○横尾委員 4点意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目ですけれども、16ページを拝見すると、カードリーダーの普及について無償の提供ですとか、その他の費用についても補助の拡充等が書かれていますので、よいことだと思います。こういった条件を整えていただきましたので、関係機関におかれましては、迅速かつ広く早く普及できるようにお力添えをお願いしたいなと思うところです。なぜならば、前からも申し上げていますが、これは単に医療関係のみならず、全てのデジタル行政サービスの入り口になるものだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 2点目は4ページでございます。4ページを見ると運用開始の状況が出ています。それぞれ比率が違うのですけれども、人口が多いからなかなか難しいのかなと思うと、逆に薬局関係は人口が少なくても率が高かったり少なかったりというデータなのですね。これは医師会・歯科医師会・薬剤師会の三師会にはそれぞれの事情があるかもしれませんけれども、もし各都道府県単位の三師会の執行部の熱意が強いところは急速に進んでいるのなら、ぜひ多くの皆さんのためにも、執行部のほうで各都道府県で熱意を持っていただいて、この普及についてアクセルを踏んでいただければなと強く期待し、お願いをしたいなと思っているところです。実際どうなのでしょうね。この辺は分かりませんけれども、
 続いて3点目は、先ほども何人かの意見が出ましたが、マイナンバーカードを健康保険証代わりに使うと割高になるという状況はぜひ避けていただきたいと思います。これだと諸物価高騰の折、少しでも経費節減を思う人たちは、「だったらやはり前の保険証でいいわ」、「診察券でいいわ」となってしまいますので、ぜひそこはうまく整えるように、ソフトランディングできるようにお願いしたいと思います。
 4点目ですけれども、これも過去に申し上げていますが、今後、全てのことが整っていって、よりよいプッシュ型行政サービスになるまでにいろいろな時間がかかると思っています。そのときに過去に見逃しが4回から5回行われているのですが、それは給付金などがもし今後に施策として発生した場合は、マイナンバーカードをもって、マイナンバーによって給付を受けるということをぜひ条件につけてほしいと思っています。可能ならばそれと銀行口座をリンクしていただくと、1740ぐらいあります市町村の自治体行政の現場では極めて作業量が減りますし、迅速かつ正確に行うことができます。これまでも子供や低所得者やコロナなどの給付金につきましては、全てこれが使われていません。何ともったいないことかと思うのですね。マイナンバーカード普及のチャンスであった訳です。今後、もしやるならば、厚生労働省から問題提起をいただいて、デジタル庁とも連携して、官邸主導の下にこれをやっていただくようにすることも普及率向上になりますし、なるほどこうやって便利だな、正確に分かるなというふうになっていくと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 それでは、意見もないようでございますので、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。
 次に、事務局から別途報告事項があるということでございますので、説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○鈴木課長 調査課長でございます。資料3の「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化」について御説明をさせていただきます。
 こちらの事項について、そもそもどういった経緯でこのようなものを始めたのかといったものが1ページ目でございます。従来、医療保険制度におきましては、医療費の動向などを定期的に公表していましたり、また、制度改正等の財政影響についてその都度公表して御説明したりといったことをしているわけではございますけれども、広く国民の皆様に対して医療保険の財政、特に保険料・公費、患者負担のバランスを分かりやすくお示しする必要があるということで、そういったものを公表することによって、国民の皆様に医療保険制度をより理解していただき、安心して利用していただくということで、一昨年よりこの医療保険部会の場で御説明をさせていただいた上で、毎年厚生労働省ホームページ上で公表させていただいているところでございます。
 2ページ目は一昨年の医療保険部会で整理いただきました対応方針でございまして、マルイチからマルヨン、ここにお示ししている内容について年1回、医療保険部会において御報告するとともに、ホームページ上で公開する。資料については分かりやすさを重視するというところになっております。
 次ページ以降が今回用意させていただいた資料となっております。まず4ページ目は医療費の財源構成となっております。こちらは令和元年度となっておりますけれども、現在確定値ベースの医療費が出ているのは令和元年度が最新いうことで、今回の資料は全て令和元年度の数字ということで御理解いただければと思います。
 こちらの図の一番上が医療保険全体、41.5兆円と左のほうに書いておりますけれども、その中で自己負担が約15%、医療保険から支払われる額、こちらは実効給付率と申しておりますけれども、約85%となっております。この85%のうち、公費が約33%、保険料が約52%という形になっております。
 こちらを後期高齢者とそれ以外の方で分けたものがその下の図になっております。自己負担の割合を見ますと、後期高齢者の方で約8%、それ以外の方で約19%となっておりまして、これはいわゆる法定給付率、1割とか3割とか、それより少し低い水準になっているのですけれども、これは高額療養費制度等があって、実際にはこのような割合となっております。
 続きまして、5ページですけれども、こちらについては制度別に財政の構造を見たものになっております。医療保険制度では、制度別に年齢構成による医療費の違いなどがありますので、まずその前期調整という形で制度間での財政調整を行っておりましたり、また後期高齢者に係る給付金の一部は支援金という形で他制度が負担をしているわけですけれども、こちらはそういった各制度間の調整の状況等を表したものになっております。
紫色で示したものが前期調整の流れ、緑色で表しているものが後期支援金の流れという形になってございます。
 続きまして、6ページは、先ほど少し御説明しました実効給付率を年次推移で見たときの図となっております。基本的に医療保険全体としての実効給付率は緑色の線でお示ししておりますけれども、高齢化の進展等に伴って基本的には上昇傾向にある。その中で制度改正等によって若干上下しているというような形となってございます。
 続きまして、7ページでございます。今見ていただいた実効給付率について、保険料と公費がどのように影響しているのかを見ているものでございます。全体としては上昇傾向と申し上げましたけれども、保険料と公費とそれぞれの動きがあるわけでございますが、こういった動きについては、例えば高齢化によって後期高齢者が増加をすることによる公費の増であったりとか、逆に被用者化が進んで国保加入者が減少していくと公費が減ったり、その他にも様々な制度改正等が影響してこういった動きをしているという形になってございます。
 続きまして、8ページは少し目線が変わりまして、年齢別で医療費がどのように違うかを示したものになっております。上の青い部分が年齢別の医療費で、下に出ている赤斜線の部分や緑の部分が負担の部分。これは自己負担や保険料ということになっております。保険料はもちろん現役世代の間が比較的高くなるわけでございますけれども、医療費については高齢になるほど高くなるというのがこの図で分かるかと思います。
 続きまして、9ページですけれども、こちらは生涯医療費という概念を説明したものになっております。生涯医療費というのは、ゼロ歳の人が平均的に生涯でどの程度医療費が必要になるかという金額を表したものになっております。人によって長生きする方、早く亡くなられる方、様々でありますけれども、それを平均的に見たときに、どれぐらい生涯で医療費がかかるかを示したものになっております。
 次の10ページがその実際の生涯医療費の数値を表したものになりまして、直近では生涯医療費は約2700万円となっておりまして、そのうち約85%に当たる2300万円は医療保険から賄われるという形になっております。
 最後に11ページは、生涯医療費はゼロ歳の方が生涯で平均的にかかる医療費ですけれども、それを特定の年齢でスタートしたときに見たときにどうなるかというのがこちらの資料になります。例えば、今、50歳の方がいたとして、その方が今後平均的にどれぐらい医療費がかかるかというふうに見たい場合には、このグラフの50歳のところを見ていただきますと、例えば2067万円とあるわけでして、そのうち、保険給付分が1808万円という形で、平均的に今後これぐらいの医療費がかかるというところをお示ししたものになっております。こちらも生涯医療費と同様、実際の死亡の状況は様々でありますけれども、平均的に見たときにこのような形になるというところで御理解をいただければと思います。
 以上、こちらの資料について、昨年同様、厚生労働省のホームページにも掲載させていただければと思っております。
 御説明は以上でございます。
○森課長 続いて、資料4を説明させていただきます。この5月、6月に政府において閣議決定等された事項について、ちょっと大量にございますので、駆け足で説明させていただきます。
 まず1ページでございますけれども、経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の基本方針ということで今年6月7日に閣議決定されております。例えば少子化対策のところに下線を引いておりますけれども、結婚・出産支援として出産育児一時金の増額をはじめとして、経済的負担の軽減についても議論を進めると記載されております。
 次のページに参りまして、持続可能な社会保障制度の構築ということで全世代型社会保障の構築のところ、上から5行目のところでございますが、それぞれの人生のステージにおいて必要な保障をバランスよく確保する。その際、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等、各種保険制度における負担能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討を進める。それから、勤労者皆保険の実現に向けてというところでは、被用者保険の適用拡大の着実な推進や、フリーランス・ギグワーカーの社会保険適用について被用者性の捉え方等の検討を進める。それから一番下のところ、医療費適正化計画の在り方の見直しや、都道府県のガバナンス強化等を進めるということが書かれております。
 次のページに参りまして、こちらは先ほど資料2で説明させていただきましたので、割愛させていただきます。
 次に5ページに参りまして、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画、こちらのほうもいろいろな記載がございまして、例えば一番下の(5)のところ、こちらも被用者保険の適用拡大、フリーランス・ギグワーカーの社会保険適用等について記載があります。
 次のページは、デジタルヘルスの普及、マイナンバーカードの普及、医療DXの推進といった事項について記載がございます。
 次のページ、規制改革実施計画でございます。こちらは一番左の事項名のところをざっと御覧いただければと思いますが、下の段の11番、いわゆる審査・支払業務の円滑化、その次のページに参りまして、医療現場の負担軽減のための手続のデジタル化等の指摘がございます。それから、その次のページ、デジタル社会の実現に向けた重点計画でございます。こちらも6月7日に閣議決定されておりますが、こちらもマイナンバーカードの健康保険証としての利用促進についての記載がございます。
 次のページに参りまして、そのほか黒いポツの一番上のところ、例えばマイナポータルを活用した自身の保健医療情報を閲覧できる仕組み、それから、下から2つ目の黒ポツのところです。例えばNDB、介護データベース、それからDPCデータとの連結解析等をやっていくといった事項について記載がございます。
 それから、1ページ飛びまして12ページでございます。全世代型社会保障構築会議におきまして、議論の中間整理というのが5月17日に取りまとめられております。この中間取りまとめの中で、子育て支援のところ、上の箱の一番下の黒ポツです。1つは4月から保険適用された不妊治療について、実態の調査検証をきちんと行っていくこと。それから、出産支援として出産育児一時金の対応をはじめとして、経済負担の軽減についても議論を進めるということが書かれております。それから、下の箱は勤労者皆保険の実現の関係についての記載がございます。
 次のページに参りまして、こちらも医療・介護・福祉サービスというところで、一番上の○のところは地域完結型の医療・介護提供体制の構築に向けて都道府県のガバナンス強化などの指摘がなされておりますし、さらに真ん中のところはオンライン資格確認等の環境整備、それから一番下のところは、看護、介護の現場で働く人の処遇改善を進めるための費用の見える化を促進していくべきだということが記載されております。
 以上でございます。
○原田課長 引き続き、資料5を御覧ください。出産育児一時金の見直しの関係で、昨年度の調査研究事業といたしまして、東大の田倉特任教授に出産費用の実態把握に関する調査研究をお願いしておりましたけれども、先月その結果等が公表されましたので、その内容等について、ポイントについて御報告いたします。
 この調査研究でございますけれども、2年前の医療保険部会における議論の中で、費用増加要因の調査等を通じて、費用を詳細に把握した上で検討するとされてございまして、こうした点を踏まえて調査を実施したものでありまして、大きく出産費用の増加要因と地域差の分析、妊婦へのアンケート調査を行ってございます。
 3ページですけれども、出産費用の推移ですが、年間平均で1%増加しており、令和2年度の室料差額を除きました公的病院の平均出産費用は45.2万円、全施設は46.7万円となってございます。
 4ページです。施設特性別に見た傾向といたしまして、左図ですけれども、公的病院は私的病院や診療所よりも平均出産費用が低い傾向にございます。一方で、細い線が標準偏差でばらつきとなってございますけれども、私的病院は高額帯にばらついておりまして、平均出産費用を引き上げているという状況でございます。
 5ページです。6ページに都道府県別の平均出産費用を示してございますけれども、こうした地域差を分析していただいているのが5ページのスライドでございまして、こうした地域差について影響を与えている要因ですとか地域の所得水準、医療費の水準、物価水準等々が増加要因とか地域差の要因となっているということでございますけれども、所得水準が最も影響が大きかったというところでございます。
 続いて7ページ、妊婦へのアンケート調査の主な結果でございます。出産場所を選んだ理由といたしましては、施設までの距離、施設の知名度等々でございました。また、出産場所の決定時にもっと欲しかった情報といたしましては、費用や医療体制、附帯サービス等であったという結果でございます。
 8ページですが、サービスに対する満足度について、「とても満足した」といった割合が高いものは、特別職、アロマケア、新生児預かり、出産時の医療的措置などであったということでございます。
 すみません。2ページにお戻りいただいて、2年前の議論の整理では、出産費用の把握とともに、多様な出産形態や費用、サービスを踏まえて医療機関の選択をできるよう、医療機関において選択肢の明示を促すことも検討することとされてございます。今回の妊婦のアンケート調査でございますけれども、約350人に対する調査となってございまして、現在、今年度の研究といたしまして、妊婦が医療機関に求める情報について、より詳細な調査研究を行うとともに、医療機関が提供してございます情報や発信方法等について調査を行っているところでございます。出産育児一時金の見直しに関しましては、こうした結果も踏まえて、今後、医療保険部会で御議論いただきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 どうも御説明ありがとうございました。
 報告事項ではございますけれども、御意見、御質問等ございましたら、手短にお願いいたします。
 では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。1点お願いがございまして、資料3の4ページに記載されています実効給付率につきまして、医療費窓口負担の割合から見て高くなっている部分の理由の1つが、高額療養費制度によるものだということで、先ほど御説明いただきましたので、その旨を記載していただければなと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。資料5の出産費用の関係でございますけれども、出産費用が年間平均1%程度上昇していること、また、私的病院での費用のばらつきや地域差の現状、これについては理解をしましたけれども、これまで私どもが求めてまいりました実態把握、またその増加要因の分析については、今回の調査研究結果では、その実態や構造が明らかになったとは思えない部分がございます。そういう面でさらなる分析、また情報の見える化が重要だと考えておりますので、適正な費用の在り方を含めた検討が必要ではないかと考えております。
 また、これまでも主張してまいりましたけれども、政府が進める少子化対策、これはもちろん賛成でございますけれども、出産育児一時金については、現役世代が支払う保険料だけを原資とする仕組みではなくて、全世代で支えていくということが重要だと思っておりますので、その点も申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。まず資料3についてですが、先ほど藤井委員からも御指摘がありました、資料3の4ページにあります実効給付率が85%と高い理由について、この高額療養費制度のメリットについて、また、その果たしている役割についても、国民に分かりやすいような説明をぜひしていただくということが大事かなと思っております。
 また、乳幼児等に係る医療費につきましては、各都道府県並びに市区町村におきまして、自己負担分に対する援助制度が設けられており、医療費が無料の自治体も存在いたします。しかし、国民には自己負担分以外の部分が保険料により賄われているという認識が浸透していないと感じております。今後、乳幼児等医療につきましても、その財源の構造をきちんと明示していくべきであると考えております。ぜひ国民が分かりやすいスライドも追加していただければと思います。
 あと1点、資料5の出産費用の実態把握に関する調査研究ですが、出産育児一時金につきましては、引き上げの根拠となるデータの提示を協会としても重ねて求めてきたところでありまして、今回このような形で実態把握を行っていただけたことにつきましては、一歩前進したものであると考えております。今後は出産費用の具体的内容についての調査方法を確立し、医療保険の給付である出産育児一時金の額の設定方法、並びにその原資についてもきちんとルール化する方向で検討していただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 では、酒向参考人、よろしくお願いいたします。
○酒向参考人 ありがとうございます。出産費用の実態把握に関する調査研究について1点質問でございます。今、追加的に調査されてらっしゃるという御説明があったところでございますが、この調査内容におきまして、費用項目ごとの分析なども入っていると理解してよろしいでしょうか。一体何が原因で全体の費用を押し上げているのか、その地域ごとの分析なども含めて提示していただかないと、なかなか議論は難しいのではないかなと思って質問させていただきます。
 以上です。
○田辺部会長 この点、いかがでございましょう。
○原田課長 出産費用の推移のところでございます。スライドの3ページで年間平均1%前後で増加しているところでございますけれども、地域ごとの違いというのは所得等の水準であるという話でございますけれども、年々の推移というのは、物価等々の動きもあろうかと思います。また、3ページの下の脚注の※のところでございますけれども、平成24年以降、出生数は年間平均で2.5%減少傾向という状況もございまして、1%増加はしているのですけれども、お子さんの数は2.5%減っているということもございますので、そうしたところも、収入の確保とかそういう観点での増加という側面もあろうかと考えてございます。
 以上でございます。
○酒向参考人 すみません。質問を重ねて申し訳ないのですけれども、どういう費用項目が上がっているといった費用項目ごとの分析は、あるのですか。ないのですか。
○原田課長 この調査の中で、過去分と比較して、内訳としてどういうものが上がっているかというのはたしかあったと思いますので、今後御議論していただくタイミングでは、そういったものを御用意させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○酒向参考人 ありがとうございます。
○田辺部会長 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 お願いでございますが、資料3で生涯医療費とか、余命にかかる医療費というのは大変貴重なデータで、今までこういうのはなかったので、すごくいいと思うのですが、できましたら男女別も出してほしいと思うのです。国の方針としてジェンダー統計を充実するということがもう何年も前から言われているのですが、なかなか進んでおりません。どうせデータはあると思いますので、ぜひ次回から男女別もお願いしたいという、これはお願いでございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 菅原でございます。手短に発言させていただきます。先ほども既にオンライン資格確認とかマイナ保険証を用いた様々な施策について御説明があったのですけれども、今回の資料4の9ページの中にも、デジタル社会の実現に向けた重点計画で、マイナンバーカードの普及促進について施策を見直すということが書かれております。先ほどの説明では医療提供側の体制づくりについて進捗状況だとかこれからのやり方が説明されました。
 それと同時にやはり大事なのは、マイナンバーカードを持っていただくというとろだと思います。マイナンバーカードを持つメリットがないことと、取得をするときに非常に機会費用が大きいということで皆さんためらわれているということが多分これまで言われていると思います。医療機関の前で様々な申請サポートをやっている自治体を幾つか、私が知っている中にあるのですけれども、最近では、大規模な商業施設だとかそういうところでも申請サポートやっているようです。特に高齢者にとっては医療機関にかかった際に、ついでに申請サポートを受けられるというのは非常に普及促進についてメリットがあると思いますので、その辺り、国としても、行政としても一体となってそういう体制づくりをやっていただくと、マイナンバーカードの普及と利用促進に資するのではないかなと思いました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。資料4の骨太の方針でございますが、生活保護受給者の医療扶助の在り方、普通調整交付金の配分の在り方、後期高齢者医療制度の在り方が取り上げられておりますけれども、いずれも国保制度等の運営に大きな影響が生じる事項でございますので、これらの事項につきましては、引き続き国保基盤強化協議会の事務レベルワーキンググループにおいて御協議いただきますようにお願いをしたいと思います。
 それから、資料5にあります出産育児一時金につきましては、今回の調査研究結果を踏まえまして、実態に見合った額にしていただきますようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 それでは、御意見等ないようでございますので、本日はこれまでとさせていただきます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
 本日は御多忙の折、御参集いただきましてありがとうございました。それでは、散会いたします。