第6回効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループ議事録(2022年8月8日)

日時

令和4年8月8日(月)14:00~14:52

場所

Web会議
日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8階
東京都千代田区内幸町2-2-3

議題

  1. 1.特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)
  2. 2.その他

議事

議事内容
(事務局) それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループを開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、ご多忙のところご参加いただきまして、ありがとうございます。
出欠状況ですが、本日は、構成員全員にご出席いただいております。
本日もオンラインによる開催としておりますので、初めに発言の仕方などを説明させていただきます。会議中ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除してご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
また、議題に対してご賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
次に、資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料、参考資料になります。過不足等あれば、マイクもしくはコメントでお申し出ください。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、以降の進行を主査にお願いいたします。
(津下主査) それでは、皆様、今日もどうぞよろしくお願いいたします。第6回のワーキング会議を開催させていただきます。
本日の議事でございますけれども、議事次第をごらんください。本日の議題の1つ目が、特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)、2つ目がその他になっております。
それでは、資料、特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)につきまして、事務局よりご説明をお願いいたします。
(堤医療費適正化対策推進室長) 事務局でございます。
資料をご用意ください。特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)について、前回からの主な変更点をご紹介させていただこうと思います。まず、全体としてワーキングで取りまとめていただいたということで、主語や述語のところで、語尾の修正等をさせていただいています。
 新しい記載をつけたところですけれども、まず1ページの大きな3ポツ目、「また、2018年度から」というところですけれども、ここは前回の議論において、取りまとめにおいて、これまでの、第3期までの経緯を丁寧に説明すると。あと、腹囲2cm・体重2kg減に関しては、前回の取りまとめですと、急に、いきなり出てきた感があるということで、それの対応としまして、丁寧にこれまでの経緯を記載させていただきました。2018年度から2023年度までの第3期においては、モデル実施、初回面接の分割、動機付け支援相当、初回面接におけるICTを活用したグループ支援の実施等を導入したということを記載させていただいております。
おめくりいただきまして、2ページ目ですけれども、一番上のアウトカム評価の導入のところで、経緯を丁寧にということの流れを踏まえまして、これまでも何度かワーキングで取り上げさせていただいている「標準的な健診・保健指導プログラム」における保健指導の目的について記載をさせていただいたというところになります。
その下の「こうした保健指導の」というところですけれども、それのポツの1つ目、特定保健指導の実績評価におけるアウトカム評価については、モデル実施の結果(腹囲2cm・体重2kg減を達成した者には翌年の健診結果でも改善傾向が認められたこと等)を踏まえ、主要達成目標を腹囲2cm・体重2kg減とする。また、対象者自身の生活習慣を改善するための行動変容が特定保健指導の目的であることを踏まえ、行動変容を評価する。腹囲2cm・体重2kg減について、いきなり出てくるということではなくて、これまでのモデル実施の経緯などがあるということをご理解いただけるように、この部分を記載しております。
この段落の最後、これも前回の議論でご指摘いただいたところで、行動変容の例示に関して、運用方法の詳細等も必要ではないかということをいただきましたので、「『特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き』において運用の詳細を提示する」という文言を追加させていただいております。
おめくりいただきまして、3ページ目、一番上のところで1行目ですけれども、前回の議論において、ICTを活用した場合のポイント設定のこと、初回面接の時間等についてご議論いただいておりましたので、「また、多様な働き方の対象者も含め、広く介入することを支援するため、ICTを活用した場合も同水準の評価とする」という記載を追加しております。
このページの下から2個目のポツ、「『見える化』において」というところですけれども、これも前回の議論で、最後のところで、「見える化」の指標において、「複数年継続した健診結果の変化」という記載を追加させていただいております。こちらは、次年度の階層化だけではなくて、その後3年、4年と健診結果を追っていくことが必要というご意見をいただいておりましたので、こちらを追加しております。
おめくりいただきまして(3)の1つ目の○の最後でございますけれども、こちらは先ほどご紹介したICTに関連して、「初回面接の最低時間について、ICTを活用した場合も対面の場合と同様に設定するべきである」という文言を追加しております。
同じページの(4)の①の最後でございますけれども、初回面接の早期実施といいますか、保健指導を早く実施するためには、各者の連携が必要ということ、初回面接の分割実施以外でも取組が必要ではないかということの前回のご議論を踏まえまして、「保険者、特定健診実施機関及び保健指導の実施機関は互いに連携し、必要に応じて事業主等の協力を求めながら、受診者及び特定保健指導実施者が健診結果等をより早期に受け取れるようにすることで、特定保健指導を早期に実施できる体制の整備を進めていくことが期待される」という表現を追加させていただいております。
その次のページの④のところです。こちらは、前回の議論を踏まえて、服薬中の特定保健指導対象者に対する服薬状況の確認及び同意取得の手続きというところで、前回の議論を踏まえて追記いたしました。
同じページの一番下のところですけれども、実施率の向上策として、これまで取り組んでいただいているように、引き続き、特定保健指導を特定健診の当日に実施すること、特定健診の実施から特定保健指導の開始までの期間を短縮すること、個別の特定健診の実施に関しては、保健指導の利用勧奨、ICTを用いた保健指導の推進などについて、各者が連携して実施していくことが期待されるということを記載しております。
続いて、今後取り組むべき事項について、6ページ目でございますけれども、冒頭に前回の見直しの総括としまして、特定保健指導にアウトカム評価が導入されることで一定の成果が得られる限り、介入量の多寡は問われないこととなる。また、成果のデータが「見える化」されることで、特定健診・特定保健指導の効果が、終了後も含めてより明確に示されることとなる。こうしたことを踏まえて、国、保険者、保健指導実施者等は、第4期の計画期間においても、以下のような取組を行っていくことが必要であるというところを冒頭に加えさせていただいた上で、
①安定的運用をしていくために必要な取組として、1つ目のポツは、今後、新しい見直し後のデータを積み重ねることによって、保健指導が実際に効果があったのかどうかという検証は進めるべきであると。2つ目、行動変容等の評価に当たって、客観性の担保について、懸念は何度も指摘されてきました。なので、「国は、保険者、保健指導実施者等と連携して運用状況を把握し、課題が明確になった場合は、第4期計画期間中においても運用上の見直しを行うべきである」という記載を追加しております。
②質向上のための取組としまして、アウトカム評価の導入により、創意工夫やアプリケーションソフトウェア等を活用した効率的な介入の取組の重要性が高まっていくと。取り組むことに加えまして、好事例を収集し、保険者等で活用できるように横展開を行っていくことも併せて重要ではないかというところで、記載を追加しております。その次のポツ、こちらは、その分析や好事例の展開を踏まえて、「効果的な保健指導についての事例検討や研修を行うことで、専門職の資質向上や保健指導の質の向上につなげていくことが期待される」という記載を追加しております。
最後に③のその他のところですけれども、前回の議論を踏まえまして、「見える化」を推進するとともに、個別の保険者や、年齢、地域等に応じて、独自にアウトカムが出ているかなどの検証について、学識経験者や実施者等も検証に加わりながら個別のエビデンスを積み上げていくことが期待されるということで、最後の記載を追加しております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
(津下主査) ありがとうございました。
前回、7月26日に第5回のワーキングの折に、この取りまとめについて構成員の皆様からいろいろとご意見をいただきました。それを組み込んだ形で、このように整理されたものと思います。これについて、修正やご意見が適切に反映されていないなどのご指摘がございましたら、挙手をいただけますでしょうか。または、この部分がこういうふうに反映されているので、これでいいというご意見でも結構ですけれども、いかがでしょうか。安田構成員、お願いします。
(安田構成員) ありがとうございます。協会けんぽの安田でございます。
協会としては、特定健診・特定保健指導の制度が発足してから10年以上が経過し、実施率のみに着目するのではなく、効果が上がったのかどうか、すなわち質に着目すべきだということは、開始当初から申し上げたことでございます。腹囲2cm・体重2kg減というアウトカム指標を取り入れたことは、効果がある保健指導という点では、まず一歩進めたのかなと考えています。
この取りまとめ(案)には、協会のこれまでの発言に配慮していただき、改めて感謝を申し上げたいと思います。その上で、なお私どもとして申し上げてきたことが必ずしも反映されていないのではないかと感じるところについて、ご意見を申し上げたいと思います。いくつかございますけれども、よろしいでしょうか。
(津下主査) はい、お願いいたします。
(安田構成員) 1点目でございます。協会けんぽは、当初よりマクロ的なアウトカムということを申し上げておりました。今回のワーキングでは、個々の保健指導の成果としてのアウトカム指標を議論してきたと承知しております。私どもとしては、事業評価としてのアウトカム指標にもこだわってきました。いわゆるマクロの視点としてのアウトカム評価でございます。今後、国全体としてアウトカムの達成状況については把握することとなると思いますが、保険者ごとのアウトカムの達成状況や、その達成状況が健保組合でいくと加・減算制度、協会でいけばインセンティブ制度などに加味されることが将来的にあるのかどうか、また、保健指導機関におけるアウトカムの達成状況については開示されることになるのかを、確認させていただきたいと思います。
2点目でございます。常々申し上げておりましたが、個別支援とグループ支援については同一のポイントが設定されております。協会としては、以前から発言をさせていただきましたが、個々人にどれだけ寄り添えるかという労力という点で考えると、同一ポイントというのは反対でございます。
3点目でございます。ICTの利用の課題としてICTリテラシーのことを挙げられておりますが、留意点のくだりの前に、まず、ICTリテラシーの課題のほかに、個人情報の保護をいかに確保するかとともに、保健指導の質を担保することが重要であるということをしっかりと書き加えることが必要ではないかと考えております。
4点目でございます。行動変容につきましては、「標準的な健診・保健指導プログラム」において、評価者への判断を支援する具体例を示し、「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」において運用の判断を提示するとなっております。前回も質問させていただきましたが、その具体例の検討については、どのような場で行われるか、また保険者の意見というのは、そこに反映されるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
5点目でございます。質の向上のための取組は重要であるとか、あるいは期待されるとなっておりますが、認識の表明にとどまっていると感じます。これらを実現するために、具体的な方法をどうするのかについて、記載がございません。もう1つ項目を設けて、例えば「国として具体的な方策を保険者と連携しつつ講じる」などと追記することが必要ではないかと考えます。
6点目でございます。安定的な運用の取組において、第4期期間中においても運用の見直しを行うとなっております。少なくとも本計画の中間年には検証の評価を行うと、明記すべきではないかと考えております。
また、関連して4ページの看護師の暫定期間の延長となっているところについて、この効果検証も一緒に行うべきではないかと考えております。
最後になりますが、服薬の事実の判断の記載がございますが、これについてはルールを決めるべきではないかと感じましたので、記載するかどうかは別として、意見として申し上げたいと思います。
私からは、以上でございます。
(津下主査) ありがとうございました。安田構成員のご意見の中に、この取りまとめに反映すべきことと、今後の「標準的な健診・保健指導プログラム」、「手引き」に掲載すべきことがあったかと思いますが、事務局としては、このご発言に対するご見解はいかがでしょうか。
(堤医療費適正化対策推進室長)事務局でございます。ありがとうございました。
個別の記載に関しては、これまでご議論いただいて反映できていないというところがどれに当たるのか、すぐに把握できていないのですけれども、1つずつ見解といいますか現状をご説明させていただければと思います。
マクロについてということに関しては、前回もご議論いただいた上で回答させていただいたと思っているのですけれども、全体として「見える化」をするということで、その中で、例えば保険者ごとのアウトカムの実施状況みたいなことも今後指標として見えることになっていて、それが事業評価になるのではないかということだと思っています。また、保険者インセンティブ制度等に関しては、このワーキングのフォーカスを外れるところになりますので、この場で取りまとめとしてどうかというところは違うと思っております。
個別の面接とグループの面接ということで、そこはもとより必要な時間等が変わっていますので別質のものだと理解しておりますけれども、こちらに関しては、今後も「見える化」等、データを積み重ねていくことで検討されていくものかと思っています。
ICTの留意点に関しては、「手引き」というものがありますので、もうそういったものを遵守するというのが、ここに記載するまでもなく、最低限行われていくことかと理解しております。
行動変容については、具体例において保険者が関与することになるかということですけれども、こちらは、どちらかというとエビデンスベースドで厚労科研のほうでアカデミアにつくっていただくというのが基本的な方向性になると思っています。「手引き」をつくっていく段階で、これまでと同様、先生方のご意見というのは、適宜、ご意見を伺っていくことにはなると思いますけれども、具体例、行動変容のアカデミアのエビデンスベースドの部分にまで広く保険者の皆さんのご意見を聞くということは、あまり想定をしておりませんでした。
あとは、看護師の経過措置の効果検証ということもいただいたと思うのですけれども、こちらに関して、特定の職種に限って効果検証するということが必ずしも推奨されるべきことなのかどうかというのは、まだ議論が必要かなと思っておりますけれども、全体として第5期に向けてどうするかということは、取りまとめの中でもデータを積み重ねて今後検証するということで書かせていただいているので、対応はしていくことかとは思っております。
以上です。
(津下主査) ありがとうございました。安田構成員、納得される部分と、まだというところもあるかと思いますけれども、今回は、特に特定保健指導の実施方法にフォーカスを当てた取りまとめになっていますので、その点についてはご了解いただきたいと思います。あと、個人とグループとではどちらが効果があるかということについては、いろいろな方法論によって結果に違いがあり、エビデンスとして個人のほうがいいと出ているわけではないというものもあります。また、先ほどの看護師の話も、保健師、看護師だけではなくて、管理栄養士、医師、さまざまな方が参加しているわけで、もしそのような分析を行うとしたら看護師だけではない対応も必要になってくるかもしれないと思います。
今後の課題として検討すべき点もあり、今すぐ入らないものも入っているのかなと受けとめてはおります。今のご意見の中で反映できるものを事務局で検討していただきたいと思います。これはほかの会議体の対象、これは、「手引き」やそれぞれの作成段階でさらに深掘りして議論すべきところという形で整理させていただくのがいいのかなと思いました。
では、小松原構成員、お願いいたします。
(小松原構成員) 事務局の皆様、お疲れさまでした。取りまとめ、ありがとうございます。
安田構成員がおっしゃりたかったことは、健保連としても重複する部分があります。このワーキングが実施方法にフォーカスを置いていると理解はしています。しかし、第4期が終了すると、20年を経過し、いくら質の高い保健指導を提供していたとしても、参加者がほとんどいない保健指導であれば意味がないので、マクロ的な事業評価も視点に入れていただきたいとおっしゃっているのではないかと、理解をしています。健保連もそういう主張です。質の高い保健指導でも、参加者が一握りであれば施策としてはいいものではないと判断されると思います。
また、この中には、細かいルール等は記載がされていないという事務局からのご説明もありましたとおり、今後「手引き」に落ちていくものと認識しています。その「手引き」の作成においても、保険者から発言をさせてもらえるのか、あわせて確認をとりたいと思います。
(津下主査) ありがとうございます。「手引き」の作成プロセスについての話と、それから、安田構成員、小松原構成員ともに、ご発言のあったこととして、マクロ的な評価を文言として加えるということについてのご提案と受けとめましたけれども、いかがでしょうか。事務局よりご意見ありましたら、お願いいたします。
(堤医療費適正化対策推進室長) ありがとうございます。
小松原構成員のご発言が、この取りまとめに記載すべきというご意見と私は受け取っていなかったのですけれども、マクロ的な評価については、恐らく小松原構成員がおっしゃっていたのは、いくらこの保健指導をやった方がどれぐらいやせたかみたいなアウトカムが出たところで、そもそも実施率が少なかったら、保健指導を受ける方が少なかったら、それというのは問題だよねということをご趣旨として受けとめております。それに関しては、実施率の向上策であるとか、「見える化」として必ずしも保健指導のみに限ったものを我々は想定してこれを記載しておりませんので、ご趣旨は、現在の取りまとめでも受けとめられているのかなと、私自身は理解をしております。
「手引き」に関しては、先ほども発言させていただきましたけれども、この作成段階において、保険者のご意見を聞く段階というのはあると理解しておりますので、その際はご協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
(津下主査) ありがとうございます。今の話でいうと、5ページの2のところのメタボリックシンドローム該当者予備群減少率の目標のところが、まさにマクロ的な評価ということになっていくと思うのですけれども、このような実施率向上の取組も行い、そして、この集団全体としてメタボリックシンドローム該当者予備群の減少率という大きなマクロ的な指標を評価していくという、ここにかかってくるのかなと思います。記載を丁寧にされるかどうするか、ご検討いただければと思います。
河原構成員、お願いいたします。
(河原構成員) 保健指導協会、河原です。
安田構成員と小松原構成員がおっしゃっていたことと多少重複する部分、マクロの評価のところに関連するところなのですが、このワーキングで特定保健指導の実施率45%以上という目標を掲げたということは記載されているかと思います。第3期を見ると、そこの途中の管理みたいなものがなくて、蓋をあけてみたら、毎年1%ぐらいしか上がっていなく、最終的には22%~23%で終わってしまったと思っております。
第4期に向けては、この3の①のアウトカムの評価体系については、第4期の途中においても運用の見直しを行うべきであると書いてありまして、これは評価体系自体の見直しを指していると思いますが、実施率45%以上という目標に対しての進捗がどうなっているのか、これは先ほど安田構成員が中間で検討を行って出すというお話もありましたが、その辺をここに書き込むかどうかは別ですが、ぜひ、実施率45%以上という目標の進捗に対して期の途中でもモニタリングして、改善案があれば、それをつくっていくということを進めていただきたいと思っております。
以上です。
(津下主査) ありがとうございます。これまでも、保健指導実施率については、毎年度、厚生労働省で資料を公開されておりまして、データをモニタリングしているということがあります。単に目標を掲げるだけではなく、それについて、国としても、保険者としても、進捗管理をしていくということですけれども、既になされていることでもあるようにも思いますがいかがでしょうか。
田中構成員、お願いいたします。
(田中構成員) 田中です。よろしくお願いいたします。
これまでの経緯等を丁寧に記載していただきましてありがとうございました。モデル実施した結果の改善の成果も入れていただいたので、腹囲2cm・体重2kg減の唐突感もなくなりまして、非常にわかりやすくて、よかったなと思いました。
先ほどから保健指導の実施率が論点になっていますように、私もそれを感じております。全国で23%の実施率、長野県でも被用者保険で25%、市町村では6割という状況なのですが、保健指導を拒否する方たちが大勢いらっしゃって、保健指導が必要な方たちが受けない状況が続くという事は、国全体でメタボを改善していくという目標を持ってもできない現状になっているというのがまず根底にあると思います。このような現状については、今回の論点ではないのですが、これからも考えていくべきだと思っております。
また、この中の記載内容を直すということではないのですが、「手引き」等を作成されるのであればその際に関連するかもしれませんが、評価の点でお願いします。評価の見直しにより、指導者側も、対象者側も、モチベーションが上がって生活習慣の改善への実践に向かうとよいと思っております。今回、指導していく上の評価で行動変容が入ったのですが、行動変容を目指していてもできない場合に対して、未達成でも追加の指導により評価を行うというアウトカム評価を原則としてプロセス評価も併用となっているということで、指導者側も苦しさを緩和する点が入っていてよいと思います。しかし、逆に、結果として行動変容できる保健指導と、できない保健指導の差が出てしまうのではないかということも考えております。
成果を出すというアウトカムですが、逆に、指導者側が実績を出すために、対象者に対して腹囲2cm・体重2kg減ということで、とにかく減らすという結果だけを指導するなど、行動変容だけを求める指導にならないようにするということが、重要だと思っています。本来の保健指導の目的であります対象者自身が健診結果を理解して、体の変化に気づいて、生活習慣を振り返ってセルフケアができるということがまず重要で、対象者自身が納得して選択ができる保健指導でなければならないので、今まで以上に保健指導の質が問われると感じています。
先ほどから保健指導の質ということも出ておりますけれども、質の分析というのは難しいですが、事例検討とか、成果を上げている指導方法とか、教材など様々な視点があります。そのようなものを蓄積して情報交換や検討ができるとよいと思っています。国レベルでも必要ですが、地域においても、保険者の壁を取って、例えば保険者協議会なども活用していくべきだと考えております。本県でも、今研修をやっておりますけれども、地域の課題とか保健指導の実践について一緒に考えていくということが必要ではないかと感じており進めているところです。
以上です。
(津下主査) ありがとうございます。貴重なご意見をいただきました。今回の改正が、保健指導がよりよいもの、対象者にとってもよりよいもの、参加したくなるものになっていかなければいけないと思います。腹囲2cm・体重2kg減とかアウトカムというのはやっぱり大事なのですけれども、それだけを目指す保健指導にならないような留意点というのは、もう本当に重要なことだと思いました。ありがとうございます。
古井構成員、お願いいたします。
(古井構成員) ありがとうございます。
今の田中構成員がおっしゃったお話は、大事だと思いました。今回の取りまとめで、特定保健指導が目指すアウトカムとその世界観が丁寧に述べられていて、そこは今回の改定点として、よかったと思います。
それからもう1つは、資料の5ページ目のところなのですが、特定健診・特定保健指導の実施率と、それからメタボの該当者割合というアウトカムがばらばらになっていますが、保健事業の実施率を上げながら質を上げる合わせ技で、全体の成果が出ることを記載するといいと感じたところです。
以上です。
(津下主査) ありがとうございます。おっしゃることがすっきりとよくわかります。2のところですね、1はアウトカム評価で保健指導の質を上げること。けれども、いくらいい保健指導でも、実施率が低かったらどうしようもないということで、2のところが出てくるのですけれども、実施率をそこで高めていく。そういうことによって、全体としても、その効果が可視化できるというか、期待できる。いわゆるマクロ的な評価にもつながっていく。すなわち、1と2がばらばらにならないような、もう1つ○があるといいかなと、そのようなご意見ということでよろしいですか。ありがとうございます。
中西構成員、お願いいたします。
(中西構成員) 先ほど田中構成員から保健指導の質というところもお話に出ておりましたけれども、実施率もアウトカム評価であると考えております。そして、私ども多くの特定保健指導を受託して実施する機関としましては、2008年の当初から、アウトカム評価、翌年の階層化の改善というところにこだわって実施していたという経緯がございます。確かに特定健診は内臓脂肪に着目した制度ではありますけれども、内臓脂肪だけでなく全人的に相手を見て支援していくということが、結果を出す保健指導につながるのではないかと考えております。
今回まとめていただきました第4期の指標を押さえつつ、それを超えたアウトカム評価が出せるように、現場では頑張っていけるといいかと思っております。プロセス評価だけでなく、アウトカム評価を重点的にというところの大きな分岐点だったかと思います。多くの意見がある中、ここまでまとめていただきました事務局の方には感謝申し上げます。
以上です。
(津下主査) ありがとうございます。
三好構成員、お願いいたします。
(三好構成員) いろいろな議論を、取りまとめいただきまして、ありがとうございます。それから、国保保険者を支援する立場として、いろいろ発言したものを反映いただき、わかりやすくなっているのが、例えば2ページの、翌年の健診結果でも改善傾向が認められたので、腹囲2cm・体重2kg減をあえてここで整理したと、地域保健健で頑張っている保健師にも納得感があって、読んでもらえればと思いました。ありがとうございました。
あわせて、先ほどからマクロ評価の話が出ていたのですけれども、国の制度として全体の事業評価という大きな視点で、日本国民としてメタボが減ったかどうかというのは重要な視点だと思います。あわせて保険者として実施の責任主体として取り組む上で、これをきちんと見るためには、ここで得られた健診結果や保健指導の達成状況として得られた結果を、特定健診等の実施計画に反映すること。それを踏まえて、特定健診・特定保健指導の単体レベルではなくて、保健事業全体のデータヘルス計画に連動していますので、そのデータヘルス計画の中で見ると、ほかにポピュレーションアプローチや、他の課題である重症化予防などと組み合わせて、つなげて考えることができますので、継続的に、計画的に保険者が取り組むという視点を追加できるところがあれば、そのあたりを保険者に認識していただくことが重要ではないかと思いました。
これが全体的な意見です。
細かな話で1つだけこれはどうかと思うのが、6ページのところになります。6ページの3の項目の今後取り組むべき事項の②のところに、「アプリケーションソフトウェア等を活用した効率的な介入の取組の重要性が」というのがございますが、これは②の質向上のための取組のところに書かれているので、確かにアプリで効率化はするのですけれども、これは「効率的・効果的」でもいいのではないかと思ったところです。
以上です。
(津下主査) ありがとうございました。今の三好構成員のご意見は2の項に関連して、保険者として評価をするということを書き加えたらということでしょうか。
(三好構成員) ありがとうございます。ちょっと場所は迷っています。
(津下主査) 今回の効率的・効果的な実施方法の中にも、保険者としてというところが必要となりますでしょうか。取りまとめには、事業評価の連動型のPFSとかSIBのことが出ておりまして、ここも若干唐突感があるかもしれないので、保険者としてはそういう実施率とか効果をしっかり検証していくと。そういう中で、こんな方法も、というような流れでもいいかもしれないと今思いました。
(三好構成員) ありがとうございます。そこは、検討いただいて。お任せしたいと思います。
(津下主査) ありがとうございます。
 それでは、初めての発言の構成員を先にということで、鈴木構成員、お願いいたします。
(鈴木構成員) ありがとうございます。
いろいろ意見を述べさせていただきまして、おまとめいただいて、ありがとうございます。さまざま反映されていまして、アウトカム評価に関しましても、管理栄養士はしっかりと受けとめていかなくてはいけないと認識しました。
もう1つ、効率的・効果的な保健指導を実施するためには、評価して人材育成をしなくてはいけないということも明確になりましたので、日本栄養士会としては、しっかりと人材育成のほうをやっていきたいと思います。
もう1つ、「見える化」が進みましたら、管理栄養士、保健師がどのように保健指導しているかということが明確になり、エビデンスとしても出てくることになりますので、その点もしっかり踏まえた上で、効果的に成果を上げる保健指導を目指して活動してまいります。本当にありがとうございました。
(津下主査) どうもありがとうございます。現場で保健指導を実施する方のスキルやモチベーションは重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
田口構成員、お願いいたします。
(田口構成員) ありがとうございます。
お示しいただいたものに対して同意いたしますという意見なのですけれども、今回アウトカム指標を示していただいて、その背景というところも、保険者の立場でも、被保険者の立場でも、幅が広がったことを示すものでもありますので、いい表現になっているのではないかと思いました。この制度の活性化につながればよいと思っております。
もう1つ、「見える化」に関しても、先ほど保健指導の質がより問われるようになるという話も出ていましたが、重要な点としては、これによって保健指導のどの内容が成果につながっているかを明確化しやすくなるという点ではないかと考えています。これは第5期の改定につながるような有益な変更だと思っておりますので、私自身も、そのエビデンス構築できないか、検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
(津下主査) どうもありがとうございます。
河原構成員、お願いいたします。
(河原構成員) お伝えしたいことがうまくお話しできなかったので。実施率の話でありますが、毎年厚労省から出されているというのは、よく見させていただいております。私が思ったのは、例えば今22%のものを45%にしていくという流れの中で、毎年実施率があまり上がらない。おそらく毎年3%以上、上げていかないと45%に達成しないと思うのですが、あまり上がっていかないとか、むしろ下がってしまっているということも、今後考えられると思います。そういったことを踏まえて、モニタリングするだけではなくて、実施率が上がらない、また目標どおりいかないというときに、その原因とか課題を明確にして対策を立てるような機会を、ぜひ途中で持っていただきたいということをお伝えしたかったということであります。
(津下主査) ありがとうございました。
ということで、構成員の皆様方の全体のご意見を伺ったところでございますけれども、これまでのところで、事務局よりコメント等をいただけますでしょうか。
(堤医療費適正化対策推進室長) ご議論いただきまして、ありがとうございます。
今いただいたご意見は、いくつか文言を追加、「効果的な」というところの追加とか、古井先生からいただいた、量と質、両輪が大事だというような趣旨の話。質と実施率、どれも大事だというお話を追加するということは、対応させていただこうと思います。
(津下主査) ありがとうございます。
いくつかの点について修正をお願いし、今回この取りまとめの中で反映しきれなかったことについては、さらに大きな視点であったり、このスコープを超えた話であったり、今後より深めていく段階で具体化すべき内容なども含まれていたかと思います。本日いただいたご意見を踏まえて、私、主査と事務局とで相談の上、最終版とさせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」の確認あり)
(津下主査) 今回、このような6回にわたる議論の中で、これまでの特定保健指導を振り返って、何が足りなかったのかということを検討しました。例えば180ポイントをこなすところに寄りかかってしまって、ともすればそれをこなして実施率を上げればいいのではないかみたいになってしまっていたりとか、本当に行動変容が起きているのか、そこを評価できていなかったりという課題のご指摘がありました。その上で、よりアウトカムを重視して効果を出していかないと、特定保健指導として、社会的に重要な事業として認めていただいているだけに、効果を上げていかないといけないと強く思います。
前回も経済産業省の「健康投資ワーキンググループ」でも、健康経営のためには特定健診・特定保健指導の実施率を上げることがまず大事でしょうということを経済界の方がおっしゃっていました。私たちが言うのではなくて、経済界の方が、ご発言をいただいたということに感銘を受けました。この制度が15年かかってかなり認知されてきましたし、行動変容を促す仕組みとしても基盤となってきたことだと思います。今回の改正で、保健指導現場としてはルールが変わるというか、180ポイントは堅持しつつも、行動変容とかアウトカム重視に移るということで、鈴木構成員も言われましたけれども、指導者のマインドとか、スキルとか、またはいろいろな工夫とかが、さらに求められることになります。また、データ収集の精緻化も進みますから、田口構成員のおっしゃったように、より分析が進んでいくし、また、データヘルス計画とか、いろいろなことにつながっていくのかなと思いました。
今回の取りまとめは、私がザッと見ただけでは、うまくまとめていただいたかなと思っていたのですけれども、構成員の皆様のご意見で、若干のブラッシュアップが必要とも感じましたので、事務局とご相談しながら、最終案を通して整理をしていきたいと思います。これまでいろいろとご意見をいただきまして、ありがとうございました。
本日の議事は、これにて終了ということでよろしいでしょうか。今後、今日いただいたご意見を踏まえて、より伝わりやすい取りまとめ、次の「手引き」、「標準的な健診・保健指導プログラム」の議論につながるものにしていただきたいと考えております。
本日の議論、議事については、以上をもちまして終了させていただきたいと思います。ワーキング・グループは、6回にわたり本当にお世話になりましたけれども、本日で終了となります。
最後に、水谷課長より一言お願いいたしたいと思います。
(水谷医療介護連携政策課長) 医療介護連携政策課長の水谷です。
第4期に向けた特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について、これまで6回にわたり精力的にご議論いただき、本日、主査に一任という形で取りまとめをいただきました。主査の津下先生はじめ、構成員の皆様、本当にどうもありがとうございました。
受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価するアウトカム評価の導入、特定保健指導の「見える化」の推進、あるいはICTの活用の推進など、いわば保健指導のあるべき姿に立ち返りながら、見直しについておまとめをいただいたものと受けとめてございます。
今後、親会となる特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会に、この取りまとめいただいた内容を報告し、ご議論をいただくこととなりますが、この特定健診・特定保健指導の現場にとっても、今回取りまとめいただいた内容というのは大きな見直しになるということが見込まれると思ってございます。
厚生労働省といたしましては、今回、議論の中でさまざまなご懸念も示されたと受けとめております。「手引き」とか、「標準的な健診・保健指導プログラム」、こうしたものの中で対応するなど、まず制度的な枠組みをしっかりと整えていくということ。その際には、今もお話がございましたが、保険者はじめ関係者の皆様に、よくご意見をお伺いしながら進めていきたいと思っております。
また、アウトカム評価導入ということになりますので、保健指導実施者による創意工夫等の好事例、こうしたものを収集して横展開を図っていく。また、そうした中で運用状況を適切に把握し、課題が明確になった場合には、この第4期の計画期間中においても運用上の見直しを行う。さらに、今回推進する「見える化」の指標等のデータに基づきまして、保険者の皆様など、関係者と連携しながら、その効果分析を積み上げていく、こうした姿勢で臨んでいきたいと考えてございます。
改めまして、構成員の皆様には、精力的なご議論、そして本日の取りまとめ、どうもありがとうございました。
(津下主査) どうもありがとうございました。
課長のご挨拶にもありますように、本当に大きな転換点になりそうなワーキングだったと思います。引き続き、これからのよりよい制度のために、関係者の皆様、ご尽力いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
6回にわたり、活発なご意見、ご議論をいただきまして、ありがとうございました。まだ若干修正が残りましたけれども、各構成員がこの制度に向けて、大変熱心に、また熱意を持ってご意見をいただけたことに、主査としても本当に感謝申し上げます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これにて本日閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
〔了〕