第8回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会(議事録)

1 日時

令和4年8月18日(木)15時00分~16時39分

2 場所

厚生労働省 専用第21会議室
( 東京都千代田区霞が関1-2-2 17階)

3 出席委員

公益代表委員
立教大学経済学部教授 首藤若菜
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
労働者代表委員
全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
使用者代表委員
日本通運株式会社取締役執行役員 加藤憲治
公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題

  1. (1)改善基告示の見直しについて
  2. (2)その他

5 議事

議事内容
○副主任中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから第8回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を開催します。本日は御欠席の委員はおられません。定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして、前回から引き続き自動車局安全政策課の宮坂専門官、自動車局貨物課トラック事業適正化対策室の齋藤室長に御出席いただいています。よろしくお願いいたします。
 それでは、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は、藤村部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○藤村部会長 部会長の藤村でございます。今日は少し離れた所から出席をしておりますので、オンラインで失礼をいたします。では、本日の議題に入りたいと思います。議題1「改善基準告示の見直しについて」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 過重労働特別対策室長の岡田です。よろしくお願いいたします。それでは、事務局より本日の資料について御説明いたします。まずは、資料1「改善基準告示の見直しの方向性」についてです。1枚おめくりください。資料1の構成としては、前回同様、各項目ごとに現行の規定、前回までの主な御意見、最後に見直しに向けた考え方を記載しております。現行の規定についてはこれまでの説明と重複いたしますので割愛させていただき、主な御意見、考え方を中心に御説明いたします。
 まず、1ページ目の拘束時間を御覧ください。主な御意見として、○の2つ目と3つ目です。労側委員から、1か月の拘束時間は275時間とし、年3,300時間を超えない範囲で、年6回を限度に294時間まで延長するよう見直してはどうかという御意見がありました。一方、使側委員から、1か月の拘束時間は284時間とし、年3,408時間を超えない範囲で、年6回を限度に320時間まで延長するよう見直してはどうかという御意見がありました。
 新たに記載したものとして、○の4つ目と5つ目があります。使側委員から、拘束時間は320時間を上限とし、時間外・休日労働を100時間未満に抑える考え方もなくはないという御意見がありました。一方、労側委員からは、年3,300時間に時間外だけでなく休日労働も含むという考え方は示したいという御意見がありました。
 2ページ目の考え方を御覧ください。矢印の上の部分は前回と同様ですので省略させていただきまして、その下の部分からです。拘束時間は1か月について「274時間(※79時間)~284時間(※89時間)」を超えないものとする。この※の部分ですけれども、こちらは所定労働時間8時間、休憩1時間と仮定した場合の時間外・休日労働が可能な時間として試算した時間を示しております。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6か月までは、1年についての拘束時間が「3,300時間~3,408時間」を超えない範囲において、「294時間(※99時間)~310時間(※115時間)」まで延長することができるとし、次の括弧の中ですけれども、(特例上限が294時間を超える水準であれば、以下の内容を追加してはどうか)として、この場合において1か月の拘束時間が294時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとするとしております。
 3ページ目に、参考としてタクシー、バスの見直し内容を記載しております。
 次に、4ページ目の1か月の拘束時間、休息期間を御覧ください。主な御意見としては、○の1つ目と2つ目です。労側委員から、1日の休息期間は、バスやタクシーと同様に、11時間を中心に検討を行うべきではないか。拘束時間は13時間、最大拘束時間は15時間とすべき。14時間超の回数は1週間について2回以内が妥当という御意見がありました。一方、使側委員から、1日の休息期間は継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、1週間平均で9時間を下回らないものとしてはどうかという御意見がありました。
 5ページ目の考え方を御覧ください。考え方としては矢印の上の部分は前回同様ですので省略させていただき、矢印の下の部分ですが、タクシー、バスの見直しと同じ内容となっております。勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。1日についての拘束時間は13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は15時間とする。この場合において、1日についての拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるものとする。通達において、1週間について3回以内を目安として示すこととするというようにしております。
 6ページ目に参考として、タクシー、バスの見直し内容、ILO、EU規則の休息期間の基準を示しております。
 続いて、7ページの運転時間を御覧ください。主な御意見として、○の1つ目ですが、使側委員から、運転時間は拘束時間等の他の基準が細かく決まるのであれば、また、長距離と近・中距離で基準を分けることができないのであれば廃止してもらいたいという御意見がありました。一方、○の2つ目ですが、労側委員からは、運転時間は廃止できない。ただし、ILO条約を踏まえた見直しであれば、検討の余地はあるという御意見がありました。また○の3つ目ですが、公益委員からは、実態調査において運転時間を遵守している事業者が9割で、一部の守れない事業者のために基準を緩和する必要があるのかという御意見がありました。
 8ページ目の考え方を御覧ください。考え方としては、矢印の上の部分は前回同様ですので省略させていただき、矢印の下の部分ですが、現行どおりとしてはどうかとしております。参考として、ILO条約、EU規則の運転時間の基準を記載しているところです。
 次に、9ページ目の連続運転時間を御覧ください。主な御意見として、○の1つ目と4つ目ですけれども、使側委員から、連続運転時間は4時間を超えないよう努めることを基本とし、5時間は超えないものとしてはどうか。運転中断は10分以上は努力目標とし、5分以上、合計30分が妥当。休憩と改めて示さなくても、現状、運転の中断の最中に休憩させている例が多いのではないかという御意見がありました。一方、○の3つ目と5つ目ですけれども、労側委員から、労側としては休憩にこだわりたい。連続運転時間は4時間、休憩10分以上合計30分とし、SA・PAに入れないときは、それぞれ4時間30分、休憩45分としてはどうか。長距離は問題ないと思うが、問題は日勤。例えば、日勤で3か所を回るルートだと、荷積み・荷卸しで休憩が取れないという実態があるという御意見がありました。
 10ページ目の連続運転時間の考え方を御覧ください。矢印の上の部分は前回同様ですので省略させていただき、矢印の下の部分です。連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分~45分以上の原則休憩をすることなく連続して運転する時間をいう。)は4時間を超えないものとする。ただし、高速自動車国道のサービスエリア又はパーキングエリアに駐車できない場合には、4時間30分まで延長できるものとする。さらに、2つ目の矢印の下の部分ですが、なお、この場合、原則として休憩する時間は、1回連続10分以上とするか、10分に満たない時間をどのように考えるか、としております。参考として、改善基準告示、EU規則、ILO条約における運転の中断、休憩について記載しております。
 なお、資料にはありませんけれども、前回の作業部会において、馬渡委員より運転の中断について、なぜ休憩ではなくて中断になったのかというお尋ねがありました。この点について事務局で確認いたしましたところ、昭和14年のILO第67号条約において、連続して操縦することができる時間として5時間が定められており、その和訳で中断の語が用いられております。こうした条約等を参考に、過去の労働省の通達が策定されましたが、連続運転時間に相当する概念が用いられたのは、確認した限りでは昭和50年の行政指導に関する通達が初出でした。休憩ではなく中断とされた明確な理由というものは残っておりませんけれども、当時の実態等を踏まえて中断の語が用いられたものというように考えているところです。
 続いて、11ページ目の特例(休息期間の分割)を御覧ください。主な御意見として、○の1つ目ですが、労側委員から、分割休息特例は、バスと同様に見直しを行うべきではないかという御意見がありました。一方、○の2つ目ですが、使側委員からは、分割休息特例は、分割する休息の単位を4時間以上を基本とし3時間を下回らない、合計11時間としてはどうか。また、全勤務回数の2分の1を限度とするという制限は外して緩和し、分割は3分割を維持してもらいたいという御意見がありました。
 12ページ目の考え方を御覧ください。考え方としては、矢印の上の部分は前回同様ですので省略させていただき、矢印の下の部分ですが、基本的には現行の基準としつつ、休息期間の見直し内容に応じて《》で示している部分のみを見直す案を記載しております。さらに、2つ目の矢印の下のところですけれども、なお、継続3時間を認める場合、3分割とするときは合計12時間以上としてはどうか。例として、3分割の場合は3時間+4時間+5時間、2分割の場合は3時間+7時間としております。こちらも参考としてILO条約、EU規則の基準について記載しております。
 次に13ページ目の特例(2人乗務)を御覧ください。主な御意見として、1つ目の○ですが、使側委員から、2人乗務特例は基本的に現行どおりと考えるが、馬匹輸送に限らず、走行中に車両内ベッドで休んでいる時間も休息期間として取り扱うなど緩和してもらいたいという御意見がありました。一方、○の2つ目ですが、労側委員から、2人乗務特例は馬匹に限らず、全体の見直しを検討する中で議論していきたいという御意見がありました。
 14ページ目の考え方を御覧ください。考え方として、矢印の上の部分は前回同様ですので省略させていただき、矢印の下の部分です。1つ目の部分は現行の規定です。これに加えて、ただし、当該設備が次のいずれにも該当する車両内ベッドであるときは、拘束時間を24時間まで延長することができる。また、当該車両内ベッドにおいて8時間以上仮眠する場合には、当該拘束時間を28時間まで延長することができる。この場合において、勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるものとする。アとして、車両内ベッドは、長さ198cm以上、かつ幅80cm以上の連続した平面であること、イとして、車両内ベッドは、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであることとしております。こちらも参考として、ILO条約、EU規則の基準について記載しております。
 次に、15ページ目の特例(フェリー)を御覧ください。フェリー特例については、前回の作業部会において労使に合意いただいて、現行どおりとされたところです。
 最後に、16ページ目の予期しえない事象を御覧ください。主な御意見として、○の1つ目ですが、使側委員から、例外的な取扱いについては、災害や事故と同様、荷主都合による遅延や、SA・PAに入れない場合も予期しえない事象に含めてもらいたい。ただし、SA・PAに入れない問題は、連続運転時間か予期しえない事象のいずれかで解消できればよいと考えているという御意見がありました。これに対し、○の2つ目ですが、労側委員からは、荷主都合による遅延を例外的な取扱いとすることは、全ての規制が骨抜きとなってしまうので賛成できない。また、SA・PAに入れない問題は連続運転時間の論点で解消すべき課題。予期しえない事象に含めるべきではないという御意見がありました。
 17ページ目の考え方を御覧ください。考え方としては、矢印の上の部分は前回同様ですので省略し、矢印の下の部分にバスと同様の内容を記載しております。資料1は以上です。資料2、参考資料については説明を省略させていただきます。事務局からの説明は以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございました。残された時間がだんだん少なくなってきておりますので、是非、労使の間で望ましい形での合意というのをお願いしたいと思います。では、資料1を基にして、項目ごとに検討していきたいと思います。まずは、拘束時間についてです。1~3ページです。ここで、それぞれの意見、それからどういう考え方でいくかということが表示されておりますが、まずは使用者側から御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○馬渡委員 では、私のほうからよろしいでしょうか。
○藤村部会長 馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 この間も少しお話をさせていただきましたが、バスの規定もありますので、書き込むとしたら、「年間の総拘束時間を3,300時間とし、かつ、1か月の拘束時間が284時間を超えないものとする」と。そして、延長特例がバスのほうもありますが、「労使協定によって、年間6か月までは、年間の総拘束時間が3,408時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができるものとする」というふうにしていただきたいと思っています。また、それに加えまして、320時間というのは、所定労働時間を超える時間外労働の間にも休憩時間が含まれるということも実態としてありますので、時間外労働100時間未満にしなければいけないよというキャップを掛けて、過労死認定基準を下回るようにしてほしいと思っています。
 今日のところというか、320時間は、いろいろな長距離も含めて、不測の事態に備えるためにも維持をしてほしいという意見は多いのですが、これは荷主対策の問題とものすごく絡んでいますので、荷主さんにお行儀がよくなっていただけるという期待も込めたら、もう少し柔軟に考えることができるのかなとも思っていますので、今日の時点では、320時間を認めていただきたいなと。ただし、脳・心臓疾患の労災認定基準を下回るようにはしましょうよということは言わせていただきたいと思っています。以上です。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。では、労働側委員、お願いします。
○世永委員 よろしくお願いします。1年、1か月の拘束時間の関係です。この間、労側として主張してきました脳・心臓疾患のいわゆる職種別支給決定件数の実態からも、年間の3,300時間は譲れないということと、バス、タクシーとの決定件数の対比から見ても、2モードより大幅に縮減するべきという主張を繰り返しさせていただきます。
 この間、労側の3,300時間でさえ、月平均すると275時間ということで、時間外労働80時間が12か月連続で可能ではないかという指摘も受けていることについても発言させていただきたいと思っています。また、月の特例で320時間という発言がありましたが、この脳・心臓疾患の労災認定基準を大幅に上回る数値だと思っています。国が決めた基準を大幅に上回る数値を、この3者構成の会議の場で決めていくことについては、理屈が付かないということについて申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 使用者側から、320時間にしたとしても、実際には休憩時間が拘束時間の中には入っているから何とか認めてほしいのだということですが、そこは労働側委員、いかがですか。世永さん、どうですか。
○世永委員 なかなかそこはカウントを取りづらいのだろうと思います。日報上の管理でそこを取れるのかどうかということもあると思うのですが、基本的には大枠で決めていって、やはり長時間労働が出来ないように縛っていくというのが筋道かなと思っています。
○藤村部会長 労働側の主張としては、1か月の拘束時間は275時間で、年間は3,300時間ということ、年6回を限度に294時間まで延長は認めましょうと、その辺は変わらないということですか。
○世永委員 原則的にはそのように思っています。バスと同様に、もし仮に一時的な需要に応じて追加的な幅を持たせるということであれば、1か月の拘束時間の上限というのは、過労死認定基準の100時間未満、いわゆる294時間が上限で限度だということです。
○藤村部会長 分かりました。使用者側委員にもう一度お伺いしたいのですが、今の労働側委員の発言を受けまして、この辺までなら譲れるかなという、そこはいかがですか、馬渡さん。
○馬渡委員 何度も申し上げますが、管理とか監査の場合もきちっと見られますので、時間外労働100時間未満のキャップを掛けるというのは可能だと思います。それこそ、DXでも管理できますし、厚労省さんのほうでもデジタコで見られることが多いので、そこはきっちり管理ができると思います。
 我々も、過労死認定基準を上回るのを認めてくださいという話ではなくて、結局、同じような繰り返しになりますが、拘束時間が延びるのは、使用者の、経営者のみの事情で延びるわけではないという部分が徐々には解消されていくと思いますが、その部分が残る間は、やはり320時間というのは維持をしてほしいなと思っています。ただ、これから労働者側とも、それから先生方ともいろいろなお話をしていく中で、キャップを掛ける前提で、もう少し短められないかというような話があれば、きちっと我々も対応していこうかなとは思っています。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。こういう会議の場で、ある時間が決まると、いろいろな制約を付けていたとしても、時間がまず注目されるというところがあります。それゆえ、我々は慎重に検討していかなければいけないと思います。首藤委員はいかがでしょうか。
○首藤委員 そうですね、先ほど馬渡委員が荷主対策との関係でとおっしゃっていましたが、この間、厚労省側からも荷主対策の新しい動きなども示されたわけですが、確かに荷主との関係で拘束時間を長く取っておきたいという気持ちもよく分かるのですが、今回この厚労省の案を踏まえた上で、320時間ということに対して、何らかの動きというか変動の幅というものがあり得るのかどうか、その辺の感覚はどうなのでしょうか。
○馬渡委員 今日きちっと御議論をした上で、労働者側からも公益の先生方からもこういう御意見がありますということを、我々の内部ではお話をした上できちんと決めていきたいかなと。ただ、今のところ、320時間がなぜ下りないのだという話になりがちなのですが、経営者側から言うと、経営者でしたら例えば世永さんが言われたように、294時間で決めてこうしましょうと言っても、我々が本当にどうしようもない拘束の延長みたいなものは除外してくれるのかというとそういうことはないのです。ですからやはり、決めるに当たっては、そこは慎重に決めたいなと。やはり、皆さん決まったら守ろうという方が多いから、きちっとその辺のアローワンスはあるけれども、先ほど申し上げたように、過労死の認定基準を下回ろうというのは、メッセージも含めて、このようにやりましょうという部分はキャップをかければいいのかなと思っているということで、今日は御回答したいと思います。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。労働側委員からも、もう一言お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○世永委員 中小・零細まで全て遵守させていくことが必要です。そうとなると、320時間ですとどうしても時間いっぱい働かせてしまうのかなということに対して危惧しています。やはり入口の段階で締めていくということで、320時間というのは議論の俎上には載らないということだけ申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 分かりました。1か月並びに1年の拘束時間については、今のところ平行線ということで、次の項目に行きたいと思います。
 次は1日の拘束時間、休息期間についてです。この点についても労使の隔たりはまだまだ大きいわけですが、使用者側として、今日の資料1の4、5、6ページ辺りを見ていただいて、今までの主張を繰り返さざるを得ないというか、そういうことでしょうか。あるいは、もう少し何か新しい意見というのはございますでしょうか。
○藤村部会長 加藤さん、どうぞ。
○加藤委員 加藤でございます。この内容をいろいろ検討してみたのですが、やはり週平均という概念を入れていただきたいというのが我々の思いです。それぞれ、継続で平均9時間、あるいは15時間についても週平均といったようなことについて、週平均という考えを入れていただくと、もう少し柔軟に対応できるかなと思います。やはり、何が問題かというと、例えば長距離です。長距離ですと、これは労働側委員からもお話があったとは思うのですが、我々の立場からしても、出先で休息するよりも自宅で休みたいというドライバーの思いは非常に強いと思っておりますので、そうであれば平均という概念を使わせていただいて、例えば出先では8時間だけれども、自宅では12時間休めるというような運用ができる、そういった観点からも、そこについては柔軟に週平均という考えをそれぞれ入れていただくというのは非常に有り難いなと思っています。
 それから、あるいは近・中距離と長距離という考えでやるのか、それとも厚生労働省の皆さんからすると、この区分けは非常に難しいということであれば、例えば日帰り運行と泊を伴う運行に分けていただくといったアイデアもあるのかなとは考えております。もし、最終的に、後ほども出てきますが、分割休息との関係で、休息期間が継続9時間を下回るのはあまりではないかというようなお話があるのであれば、分割休息の回数制限を入れていただくというアイデアもあるのかなと考えております。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。実は私が事務局からのメッセージを見逃しておりまして、1か月並びに1年の拘束時間について、監督課長から発言の希望が出ておりますので、監督課長、お願いします。
○監督課長 すみません、監督課長でございます。事務局から、ちょっと考え方を補足させていただきたいと思って発言を希望しました。まず、月の特例について、今回事務局から310時間という形でお示しをしておりますが、これについては、使側から原則284時間との御意見を頂きましたので、その1.1倍ということでお示ししております。これは、現行の基準の原則が293時間で、その特例が320時間となっておりますが、これが原則の1.1倍ということですので、それと同じ水準で示しているということでございます。
 それからもう1点、1か月の拘束時間について、使用者側から320時間とした上で、過労死基準を下回るようにというような御指摘を頂きましたが、やはり自動者運転者の時間規制については、その特性を踏まえて、休憩時間を踏まえた拘束時間による基準が定められているということですし、ILO条約でもそのようになっているということですので、時間外・休日労働時間を分けて基準を設けて管理することは難しいと考えております。
 それから、労働側から、過労死基準を超えるということについてはどうかという御指摘でした。これは先ほど来、御議論がありましたが、拘束時間には休憩時間が含まれるというように事務局としても考えておりまして、拘束時間99時間をもって、直ちに時間外・休日が99時間を超えるということではないと考えております。
 また、月294時間を超えた場合でも、年の拘束時間の範囲で運用されるということですし、また、今回の案では、そのような月が3か月超えて連続しないようにするということを示しておりますので、そういったことも踏まえて御議論いただければということでお示ししたものです。事務局からは以上でございます。
○藤村部会長 ありがとうございます。ちょっと議論が前後してしまいましたが、310時間という数字も出てきております。この辺りは、労使それぞれに言い分はあるかと思うのですが、事務局としてもいろいろな考え方を基に労使双方が合意できるような水準、なおかつ、世の中に対してもきちんと説明ができる、そういう水準ということで、今後引き続き議論をしていただきたいと思います。310時間について、何か追加でございますでしょうか。使用者側、労働者側、もしあればお願いします。
○馬渡委員 では、私のほうで一言。
○藤村部会長 どうぞ。
○馬渡委員 厚労省さんの案で、特例に関して、目安でしょうが、310時間という数字を出していただいたのは非常に我々としては評価したいなと思います。たった10時間ではないかという御議論はあるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、我々でコントロールできるのでしたら、もう今日、310時間でいいですよという話をしてもいいのでしょうが、そうではない要素が大きすぎて、我々の会員さんも含めて、脳・心臓疾患の部分というのはきちっとやはり守らなければいけないよねと、過労死の認定基準を下回るという部分はきちっと守らなければいけないけれども、総拘束はどうにかならないかという御意見のほうが多いものですから、そこら辺は、310時間という案を出していただいたのは我々としても内部で検討したいなと思います。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。労働側委員はいかがですか。
○世永委員 意見としては繰り返しになります。確かに、馬渡委員が言うように、実際は休ませているのだというようなことは行政のほうからも言われましたが、そこの担保というのは企業個々で全然違ってくるのだろうと思っていますので、この会議の場で310時間というのを決めていくには、先ほど実態ベースという話をされましたが、なかなか理屈を付けていくにしても難しいと労側としては思っています。
○藤村部会長 分かりました。では、先ほど入りました1日の拘束時間、休息期間についてのところで、使用者側の御意見は先ほど加藤委員から頂きましたので、労働側委員の御意見をここで聞きたいと思います。いかがでしょうか。
○世永委員 現行でも、拘束時間15時間超えは週に2回までとなっています。つまり、原則13時間拘束で休息期間は11時間が基本だということで、週に2回まで休息期間9時間が許されているという内容から、やはり9時間を下回る休息期間の緩和というのは認められないことを改めて申し上げさせていただきます。
 それと、バスで労使が決めていただいた拘束時間の関係等々を見ても、やはり14時間59分の連続が可能だというような指摘も、実は労側に来ています。そういう意味から、トラックの場合はバスよりも強めた取り決め、指導というのが必要だということと、使用者側の加藤委員が主張していました平均については、管理上の問題があるということと、やはり長時間労働を誘発するおそれもありますので、導入することはできないということについて申し上げさせていただきます。
○藤村部会長 分かりました。いわゆる脳・心臓疾患との関係で、連続して長く運転することは、やはり避けなければいけない。そこで、ある一定の時間を決めていくわけですが、使用者側委員が平均を主張されておりますが、それだと結局、何かきちんと管理ができるのかという、管理ができている会社はあると思うのですが、そうではない会社もだいぶあって、その辺は大丈夫かという労働側の意見だと思うのですが、使用者側、いかがでしょうか。
○加藤委員 先ほども馬渡委員から話があったとおり、デジタコもかなり入ってきておりますし、当然、運転日報等々、正確に記載されているかどうかは別にして、資料としては全部そろえるわけですから、平均が絶対にできないのかというと、それはないと思いますし、「難しいと言えば難しい」のでしょうが、「難しくないと言えば難しくない」といったような私としては印象を持っています。
○馬渡委員 私も発言していいですか。
○藤村部会長 どうぞ、馬渡さん。
○馬渡委員 平均が難しいか難しくないかは、先ほど話に出たとおりだと思います。これからDXになるので、その辺はいろいろなアプリも出てきますし、そこは可能だと思うのですが、どうしてもという話が出るのでしたら、やはり長距離を切り分けてほしいなと思います。長距離だった場合はなるべく休息の時間、インターバルとか考えなくていいようにということです。そこで宿泊して8時間休んだらもう出発すると。6時間以上寝る時間も十分に確保されるし、何かお風呂に入ったりとかいろいろな時間が2時間あれば、8時間で出発して、なるべく自分の所に早く帰ろうということも可能になると思いますので、長距離、泊を伴う場合はこうしようとかいう考えを入れられないのかなというのが残ります。以上です。
○藤村部会長 分かりました。労働側委員はいかがですか。今、使用者側から出てきた長距離と近・中距離というように分ける、あるいは日帰りと宿泊の場合を分けるとか、そういった形での設定の仕方については、労働側はどのようにお考えですか。
○貫委員 よろしいでしょうか。貫です。
○藤村部会長 貫さん、どうぞ。
○貫委員 ありがとうございます。馬渡委員が言われたような長距離と近距離を分けるという部分について、当初私もそのような思いを少し持っておりました。分かります。ただ、いろいろな所で意見を聞いたときに、長距離運転と近距離の運転が混在している企業が多いということで、泊を伴う運行だったらこうだ、近距離だったらこうだというのが、実際の労務管理の中で分けることができるのかと、それが混在したときに管理の面がすごく難しくならないかなと感じる部分があります。そういうことが可能であるとするならば、いろいろな議論の余地はあるのかなと思いますが、その切り分けをどのように見るのか、大手であってもやはりそこが難しいという意見も聞いたりしておりますので、どうなのかなと少し思っております。
 あと、先ほど言っておりました使用者側が主張しています平均の管理、ここはやはり難しいと思います。いろいろな所で、平均の方法にしたら管理できますかというようなことを聞いて回りましたが、やはりそれはちょっと難しいかなという意見はかなり聞いておりますので、我々労働側からすると、長時間労働を誘発する危険性もあるというようなことから考えると、なかなか同意はできないなというところです。以上です。
○藤村部会長 分かりました。使用者側にお伺いしたいのですが、今、労働側から出ましたが、1人のドライバーがずっと長距離、あるいはずっと近距離ということでは必ずしもなく、両方またがってやっている場合もあるのではないか、その場合はどういうふうに整理をしていくのかということについて、いかがでしょう。
○加藤委員 確かに長距離ばかりやっているドライバーがいる一方で、両方掛け持ちしているというか、日帰りと長距離を組み合わせてやっているドライバーがいるのは事実だと思いますが、そのときにも、やはり運行というものはどこかで切れているわけです。日帰りであればその日のうちに運行は終わってますし、長距離であれば2泊3日、あるいは3泊4日の1運行というのは決まってますから、その期間を平均することについては、作業としては別にそれほど難しいことではないと感じています。
○藤村部会長 分かりました。この点、事務局はどのようにお考えですか。長距離と近距離を分けてということですが。
○監督課長 監督課長でございます。長距離と近・中距離について基準を分けるということで御指摘を頂いております。それから、宿泊を伴う運行の場合の取扱いについても御指摘を頂いております。これについては、運用が複雑になる懸念というのは確かにあるのですが、決してできないことではないと思いますし、あと、国会の附帯決議において、勤務の実態を踏まえた基準を定めるということも指摘されておりますので、そうした考え方には沿っているかと考えております。以上です。
○藤村部会長 ありがとうございます。これからの議論において、長距離と近・中距離を、あるいは日帰りと宿泊、これを分けて基準を設定するということはあり得ない話ではないということかと思います。この点について、首藤委員はいかがでしょうか。
○首藤委員 ありがとうございます。2点お伺いしたいことがあります。まず1点、労働側の委員にお伺いしたいのですが、週平均などにすると把握が難しいのではないかと一貫してそうおっしゃっていて、使用者側はデジタコ等においてデジタル化されていて、全部ドライバーは管理できているので把握はできるはずだということで、真っ向から意見が違うわけですが、デジタコ等で管理ができているけれども平均での管理が難しい理由というのはどこら辺にあると考えていらっしゃるのですか。それとも、デジタコ等での管理もきちんとできてないということなのでしょうか。
○藤村部会長 労働側、お願いします。
○世永委員 平均でいくと、やはり濃淡が出てくると思うのです。長時間運転が連続する日と、そうではない運転時間の日もあります。当たり前のことなのですが、トラックというのは公道を使って仕事をしているので、不安全運行やそれを誘発するような取決めは労働側としては受入れられません。公道を使って仕事をしているということの社会に対するアピールは必要だろうと思います。
○首藤委員 ありがとうございます。ということは結局、把握はできるけれども、週平均9時間は可能かもしれないけれども、やはり長い労働時間の日がどうしても出てくるので、そこで労災や交通事故の発生というものがあると考えてらっしゃるということですよね。
 では、使用者側にもお伺いしたいのですが、そもそも1日の拘束というものが定められているわけですよね。これを週平均にしてしまうと、1週間当たりの1日の拘束のような形で、そもそものこの規定自体が揺らぐような意味合いを持つのではないかと思うのです。なぜ1日の拘束や休息というものが定められるのかというところだと思うのですが、1つは睡眠時間との関係だと思うのです。今回の調査でも繰り返し議論になっていますが、やはり9時間を下回ってくると、睡眠が6時間取れない労働者がすごく増えるわけです。そこはどう考えられますか。
○加藤委員 今、お話があったように、拘束時間の問題を平均にするとおかしくなるという話もありますが、一方で、この次の議論で、今度は運転時間のキャップがかけられているのです。ですから、原理原則で行けば、例えば1日9時間だとか、今は2日平均で9時間という規制になっていますが、9時間を超えて拘束するということは、2泊をやっているか、休憩しているか、ほかの作業をやっているかということのなのですけれども、結局そこで9時間なら9時間というキャップが掛けられている以上、長時間運転をして事故を誘発するということにはならない。それに、逆にキャップが掛けられているとすれば、そのほかの作業で拘束されているとすると、ではそれが本当に過重労働になるのかというと、それはそうではないのだろうと思っています。
 もう1つは、多分労働側委員と根本的に違うのは、アプローチの仕方が違っていて、我々はなるべく自宅でお休みいただきたいということでずっと話をしている。ですから、先ほどの例外規定で馬渡委員も話をされてましたが、最終的に、では日勤はいいと、我々は長距離や泊を伴う運行で、なるべく出先ではなくて自宅で休む時間を多くするにはどうしたらいいかと、そうすると平均という概念は使えませんかと話をしているのです。例えば極端なことを言えば、通常ホテルで泊まるという手もあるのですが、そういう所がないときには、トラックの荷台で寝なければいけないのです。そこで9時間寝るのがいいのか、それともそこは8時間で我慢して、家で12時間寝るのがいいのかという議論だと思っていますので、そこについて、もう一度主張しておきたいと思います。以上です。
○藤村部会長 分かりました。どうもありがとうございます。確かに、自宅に帰って休みたいという気持ちはよく分かります。ただ、それによって運転時間があまりにも長時間になってしまうと、もちろん事故の問題、あるいは脳・心臓疾患などとの関係が出てくるので、どういう形で基準として収めていくかというのは、これからもう少し詰めていく必要があるかと思います。それでは、1日の拘束時間、休息期間については以上でよろしいでしょうか。
 では、次に運転時間について、資料の7、8ページになります。使用者側としては廃止をしてもらいたいということ、労働側は廃止はできない、廃止はまずいだろうということで、この規定についての考え方は8ページ、現行どおりとしてはどうかというのが今のところの考え方になります。使用者側委員からお伺いをしますが、この点はいかがですか。
○馬渡委員 私のほうで発言をさせていただきます。もともと拘束時間等も短めにしていこうと、それから先ほど申し上げたように、脳疾患・心疾患にならないような、過労死を防止するような時間を守っていこうよと、そういう話のほうがきちんとされるというキャップがはまるのであれば、もともと運転時間の規定は必要がないというのは、いまだに思っているのです。
 ただ、どうしても、どうしてもそれは必要だということであれば、我々もバスの決定事項等も見させていただいたのですが、バスのほうも4週平均でという概念を取られてますので、我々はそのいいとこ取りかもしれませんが、ILO条約も参考にさせていただくと。どうしても運転時間の規定が必要であれば、4週平均で1週48時間という考え方はできないのかなと。理由は、先ほどから申し上げているとおり、我々でバチッと決めたら、やれる数字であればバチッと決めていいと思うのですが、不確定要素が多くて、なおかつ、それを基に、我々も罰則等もありますので、4週平均で1週48時間ということを入れられるのであれば、入れさせてもらおうかなと思っております。
○藤村部会長 分かりました。では、労働側委員はどのようにお考えですか。
○世永委員 現行どおりということについては申し上げさせていただきます。特に、月の拘束時間の担保といいますか、先ほど来主張しているとおり294時間の上限が実現できないというのであれば、現行どおりということでお願いしたいと思います。
○藤村部会長 今の使用者側委員の馬渡さんがおっしゃった4週平均でという点はいかがですか。
○貫委員 よろしいでしょうか。貫です。
○藤村部会長 どうぞ、貫さん。
○貫委員 4週平均で48時間ということですが、週当たりに概算しますと、4時間緩和をすることになってしまうことになりますので、先ほどから世永さんが言われてますとおり、294時間、月の拘束時間の担保の部分が取れないということであれば、ここの部分を緩和するべきではないと考えています。現行どおりの基準でいくべきだということを労働側の意見とさせていただきます。以上です。
○藤村部会長 分かりました。使用者側としては、そのほかの労働時間のところである程度の制限がされているので、現実的には現行と同じようなところで収まるのではないかという御主張で、だから廃止してもいいのではないかという話ですが、廃止してしまうと、すごく緩和されたような印象を世の中に対して与えてしまうように思います。本来、長時間労働でいろいろな問題が発生しているから、そこは制限を掛けていかなければいけないという議論と逆行しているように見えてしまうという、そこを私たちは気にしなければいけないのかと思います。使用者側委員の方は、そこの辺りいかがですか。
○馬渡委員 一般の方に向けてのメッセージがそういうふうに見えるというのは、ひょっとしたらあるのかもしれませんが、我々は今回、改善基準告示を見直しましょうと、それで見直すに当たっては当然、脳疾患や心疾患の話は念頭に置いて、何度も申し上げますが、従業員が病気になっていいと思っている使用者は1人もいないと思いますので、そこはきちんと担保したいところです。
 ただ、そのほかの部分を細かく切り分けるのではなくて、年間の960時間の上限も法律で決められましたよと、これを超えたら法律違反ですよということがはっきりしたので、その部分がはっきりするのであれば、ある程度アローワンスを持ってやりたいというお話をずっとしてまして、現行より緩和になるから、見えるから駄目だと言われると、その辺の使い勝手の問題や、我々が自分たちで決められない部分というのを今まで四苦八苦してきているのですが、そういう部分というのは、ここの部分は現行に合わせていただいて、キャップの全体の部分はガチッと守りましょうというふうに、我々としては言わせていただきたいですし、ここもやはり、近・中距離と長距離は分けていただけるのであれば、長距離の部分だけでも4週平均で週48時間というのを入れていただけないかというふうに思っております。
○藤村部会長 分かりました。長距離と近・中距離を分けるという話、事務局はどのように整理されていますか。
○監督課長 監督課長です。この点に関して事務局としては、やはり使用者側の提案は相当な規制緩和を求める御意見だと受け止めておりまして、相当合理的な理由がない限り、緩和をすることは難しいのかと考えております。以上です。
○藤村部会長 分かりました。首藤委員はいかがですか。
○首藤委員 長距離で4週平均48時間が必要であることの根拠といいますか、その辺はどこにあるのでしょうか。使用者側にお伺いします。
○馬渡委員 根拠というのは、実態を見てて、ある日はきちんと配車をしたとおりに運行ができれば、その日はちゃんと守れる状況なのですが、長距離の場合、別の所に行ったときに長く待機をさせられたとか、そういうことが発生すると、いきなりその後の話はどうするかという問題が出てくるので、そういう面も考えると、週平均の部分は入れていただきたいのです。近・中距離だとか1日で帰ってくるような場合ですと、次の日の運行でその運転手さんをこちらの荷主さんのところに回そうとか、そういうことも可能なのですが、長距離の場合、1回出てしまうと、帰ってくるまではそれが難しいものですから、そういうふうに運用しやすくなると嬉しいなというところです。実態としては、それで違反が出ている部分もあるのですが、はみ出た場合というのは、使用者側が命令して長く働いてこいという場合よりは、荷主さんのところで待機したりといったほうが圧倒的に多いのかなと思うので、そういう主張をさせていただいているということです。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。ここも、ぎりぎり現行どおりというところが落としどころなのかと私は思っているのですが、まだ議論を続けていくべきかと思います。
 次に、連続運転時間についてです。問題になっているのは、5分の中断で良いのではないかという御意見と、5分では無理だろうという御意見があることです。また、いわゆる運転離脱、中断と、それから休憩の扱いです。労使それぞれに御意見があるところですが、まず使用者側委員からお伺いしたいと思います。今回、資料1としてまとめていただいている9ページの主な御意見というところになりますが、改めて主張しておきたいところを使用者側からお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○加藤委員 今回、4時間半まで延長できるものとするというふうになっていたところについては、非常に有り難いということで、評価をさせていただきたいと思うのですけれども、一方で、現在中断となっているところを原則休憩としていることについてはちょっと引っ掛かりがあるということです。これは前にもお話をしたとおり、長距離運行という場合については、当然SA・PAで休憩ということになる可能性がありますので、これは原則休憩でも構わないと思いますが、近距離、中距離の場合には必ずしも休憩とはなっていないと。一方で、貫委員がおっしゃったように、その間も仕事をされて、それで休憩が取れていないということもあるのでしょうけれども、それは私が前にもお話したとおり、今度はこれは労働基準法の問題で、8時間以上であれば1時間、8時間未満であれば45分という休憩を与えなければならないということで、労働基準法に規定があるわけで、使用者がそれに対して違反した場合については、労働基準法違反ということになるわけですから、ここを全部一律に原則休憩ということについてはちょっと無理があるのかなと思います。
 それから、やはり原則10分以上の中断時間ということで書かれておりますけれども、原則10分は納得性があるのでこれは理解しますけれども、できれば5分以上10分未満の場合も、この中断時間の中に算入していただければ有り難いなと思っておりますのでよろしくお願いします。以上です。
○藤村部会長 分かりました。では、労働側委員はどのようにお考えですか。
○世永委員 主張としましては、今までのとおりです。運転の中断ではなく、休憩の概念が必要だということです。確かに、労基法の第40条、労基則第32条で乗務員の休憩時間は適用除外というのがありますけれども、そもそもここではそういった議論はちょっと避けるべきかなと考えつつも、やはり休憩の概念というのは必要だということです。
 それを前提として、SA・PAに入れない場合、この場合はやはりしょうがないなと思いますので、4時間半を認めるということです。特にEUでは4時間半の運転の場合、45分のいわゆる休憩(Break)があるということについても留意していくべきだろうと思っています。運転の中断における作業の実態については、この間何回も貫さんなり私のほうから申し上げたとおりですので、やはり休憩の概念ということを第一に考えていきたいと思います。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。この連続運転時間について、事務局としてはどのようにお考えでしょうか。
○監督課長 監督課長です。これまでの労使の御意見も踏まえまして、原則4時間という中でSA・PAに駐車できない場合には4時間30分まで延長できるということについては、こういう形でまとめることはあり得るのかなと思いまして、今回資料の10ページのほうで御提案をさせていただいたということです。
 中断を休憩に切り替えるかどうかということについては、労使の意見がまだ隔たっていると認識しておりまして、この資料の中では「原則休憩」という形で入れさせていただいておりますけれども、これをベースに引き続き御議論を頂ければとに考えています。以上です。
○藤村部会長 分かりました。馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 前も申し上げたのですけれども、5分というのは、あくまで原則10分以上でやりましょうねと、ただし5分を下回らないものとしますよという意味合いの5分ですので、5分は短すぎるじゃないかみたいな話ではなくて、6分でも7分でも8分でも9分でもいいのですけれども、今、10分というふうになっているのが、デジタコになったがゆえに、9分59秒でもバツと解析ソフトがはじくのです。ですから、そういうことはないようにしていただきたいなと、早く出たければ早く出たいと、それでも最低5分ぐらいは休むのか中断をするのか、そういうのは必要ではないかなと言っているだけです。
 ですから、原則10分以上でいいのですけれども、5分を下回らないようにするというふうに決めてさえいただければ、6分でも7分でも別段、中断に算入していきますよというお話であれば、うちの運転手とかに聞いても、5分はとにかく自分でちゃんと見るけれども、5分を超えていくのであれば、運転手のリズムからしたら、10分をじりじり待っているよりは精神衛生上いいという意見のほうが多かったので、そういうふうに決めてあげたほうがいいのかなというふうに考えています。
 それで、本人にもよるのですけれども、5分ぐらいを繰り返しながらやって、それでちゃんと到着した所で長めに休みたい、10分ではなくて、15分とか20分とか。前も言いましたけれども、場合によってはお風呂に入ろうと決めている運転手もいますので、長く休みたいという人もいるので、それはそれで運行の配車をするときに、ここで休んでいいよと認めてあげればいいので、途中の所は絶対10分休まなければ駄目だと言う必要はないのかなと、改めて主張させていただきます。
○藤村部会長 分かりました。4時間を超えた場合に45分以上という、この点は使用者側はいかがですか。
○馬渡委員 もし、その45分というのをどうしても概念として入れるとしたら、アローワンスを30分取っていただいたら、例えば4時間30分を超えたら45分休みを与えなさいというような話であれば、受け入れることは可能なのかなと。配車をする場合に、4時間半以内になんとかしようとみんな思うと思うのですけれども、場合によって4時間31分になってしまったという場合には45分間取らなければ駄目だと言っておけば、それは取らせるべき話かなと感じますけれども、4時間を超えたら45分休みを与えなさいというような話になると、現行より15分増えてしまう、それから休憩にしなければいけないというのが、ダブルパンチではないですけれども、それは荷種によると思うのです。やっている荷種によっては中断のところもあれば休憩をきちんと取らせるところもありますから。
 配送をされているところ、宅配なんかが前はひどかったと思うのですけれども、宅配もやはり、ヤマトさんたちも12時から14時までは休み時間と決められたから、大分そこは改善されていると思うのです。普通にミルクランされているようなところが、中断しながら後で決まった休憩を取りなさいという会社もあると思います。それは本当にいろいろ聞いても、荷種による状況なので、一律にここでパッと全部休憩ですよというのはなかなか決め難いと思います。
○藤村部会長 分かりました。首藤委員はいかがでしょうか。
○首藤委員 労側と使側それぞれに質問があるのですけれども、まず労側に対して、今使側がおっしゃっていた最低5分、原則としては10分以上ということについては、どのようにお考えですか。
○世永委員 全てが休憩という概念で、Breakで統一されているのであれば、上に丸めるのか下に丸めるのか、先ほど馬渡さんが言われたように、では9分だったときどうするのだということについては、検討したいと思いますけれども、第一は休憩ということで中断ではないということですね。そこを確認してからでないと次の議論には入れないということです。
○首藤委員 使側のほうにも1つお伺いしたいのですけれども、休憩にしたいということですね。多分休憩させている例が多いだろうということも、使側の意見として出ているわけですけれども、例えば原則として休憩とするとかいうような書き方はどうなのですか。
○馬渡委員 それはありだと思うのです。例えば、原則休憩なのだけれども、中断の荷種もあるよというのがはっきりしていれば、ありだと思います。我々がこの時間は休憩に当てたいと思っていても、運行上そういうふうに指示を出していても、荷主さんの所で休憩が取れないという場合も当然出てきますので、それを一律に全部休憩というふうに決めると、結果として守れなかったという会社がどんどん増えるだけかなと思っています。しかし、そこもやはり、ひょっとしたら会社は拒否できるかもしれないです。休憩ですから。でも、ヤマト運輸さんの例を挙げて申し訳ないのですけれども、これだけ置き配とか再配達の問題が大きくなって、やっと12時から14時という配達の時間を外された。やはりそういう世間的にきちんと認められた部分というのが増えてこないと、なかなか全部休憩ですよという話にはならないと思いますので、今、首藤先生がおっしゃったように、原則休憩ですよと、我々も長距離の場合はもう休憩しなさいよと言いますので、原則休憩だというのは賛成ですけれども、ただし中断は絶対駄目と言われると困る仕事が出てくるのかなということ、そちらのほうを危惧しています。
○首藤委員 分かりました。だから、やはり休憩させている例が多いけれども、休憩できていないケースも確実にあるということですね。
○馬渡委員 その場合は、まとめて取らせなければいけないともうなっていますので、まとめて取らせないような悪い使用者の方は、どんどん取り締まっていただきたいと思うのです。中断の間も、ずっと働かせっぱなしで、1時間の休みをやらない、若しくは45分もやらないというような経営者がいれば、それは監督官庁さんにどんどん取り締まってくださいと。基準法違反を平気でやるような方もゼロとは言えないですからね。労働者の組合の方々が危惧されるというのはよく分かるのですけれども、でも組合があるような会社でそんなことを繰り返している会社はまずないと思うのです。
○首藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤村部会長 運行計画をお作りになるときに、中断の間も荷物の積み下ろしを求められることがわかっていると、そこは正に働いているわけですから、それを見越した上で、ちゃんと休憩時間をこの時間帯に取ってくれというような管理を本来はしていらっしゃるわけですよね。それが荷主の都合で、その時間が短くなったり、場合によっては取れなくなったりということで、荷主との関係というのをおっしゃっているというのは、それは理解いたします。
 では、次は特例についてですが、休息期間の分割、11、12ページということで、考え方のところに示していただいていますけれども、ここについて2分割に限らず、3分割も認められるものとするということも案として出てきています。労働側にまずお伺いしたいのですが、ここはいかがですか。3分割も認められるというのは。
○世永委員 ここはこの間ずっと発言しているとおり、2分割までということで、バスと同様に、分割があれば4時間プラス7時間の合計11時間ということについては、改めて主張させていただきたいと思います。
○藤村部会長 そのほかはいかがですか。この12ページの考え方というところですけれども。
○世永委員 一定期間についてはやはり1か月だということと、分割は2分割までということについては、改めて話をさせていただきたいと思います。
○藤村部会長 分かりました。では、使用者側はいかがでしょう。
○馬渡委員 我々は、ここ12ページに書いてある厚労省案で、分割は2分割に限らず3分割も認められるものとする、ただし継続3時間というのを認める場合は、3分割のときは合計12時間、2時間多く休息を取るという案は受け入れたいと思います。
○藤村部会長 これは労働実態としては、労働側はこれはまずいのではないかと、こういうお考えでしょうか。
○貫委員 3分割にしたときの12時間以上という部分の中で、3分割で3時間、4時間、5時間となったときに、この時間の中で睡眠時間の確保がきちんとできるのかどうかというところです。やはり休息を取る上で疲れが、5時間だとか4時間、3時間では、まず確実な睡眠を取ることというのは難しいのではないか、本当に休憩のようなものではないかと感じますし、一番長い5時間であったとしても、やはり6時間以上の睡眠の必要性というようなことをデータ上で出ている中において、この5時間も認めるというようなことをこの場でやってもいいのかどうなのかというところについてはちょっと疑問があります。
○藤村部会長 分かりました。ありがとうございます。この辺り、事務局はいかがですか。
○監督課長 監督課長です。この点につきましては、現行で、分割された休息期間は1日において1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上という基準が定まっていまして、継続4時間以上ということで3分割をすると、必然的に10時間以上とするためには4、4、4の3分割になって、結果的に12時間ということになります。ただ、その12時間という数字は現行では書いていませんので、これを明記した上で継続3時間以上という提案をさせていただいております。以上です。
○藤村部会長 労働側委員から出た3時間で本当にちゃんと休息ができるのかという、この辺はいかがですか。使用者側にお伺いしましょうか。
○馬渡委員 荷主さんに言われたり、どうしてもインターバルで休まなければいけない場合に、業務の必要上分割して与えることになるのですが、やはり長距離で出た場合に、こういうふうな休み方をしながら運行していくということも結構ありますね。最終の所で3時間で休んだら、もう帰れるという部分を残してほしいというのも含めて、そういう観点からいうと東北の方とかは、ちょっと距離が短いので2時間というのを認めてほしいという御意見も多いのです。実態に合わせてですね。ですけれども、2時間というと、極端に言えば何分割しても足りないような時間が出てきますので、3時間を最低にして3分割を認めていただいて、ただし3分割になるのであれば、合計で12時間を取るようにしようと。それが、荷主さんというか使用者側としてちょっと無理という場合は、2分割にして3時間と7時間、合計で10時間というふうな取らせ方もあるのかなと。4と6という場合も、5と5という場合もあるのでしょうけれども、3時間を認めていただいて、3分割を認めていただきたいなと思います。その場合は、12時間合計になっても、先ほど課長が言われたような4×3の部分は今でも可能ですから、そういう部分を維持するという観点からも、そういうふうにしていただきたいと思います。
○藤村部会長 分かりました。首藤委員はこの点についていかがでしょう。
○首藤委員 今の馬渡委員の御説明なのですけれども、先ほどの労働側の委員の睡眠が取れないのではないかということについてはどうなのでしょうか。
○馬渡委員 きちんとした睡眠とか休息は別途取らせる形になりますね。こういうふうに3分割してしかやれないような仕事というのはありますから。分割がなければ、ぼーっと待っている時間が、我々の感覚からすると荷主さんのところでじっと待っているような感覚があるのですけれども、就業中だったら決して寝られませんから、やはりそういう実態に合せるためにも、休息をちゃんと取れる実態のほうがいいのかなと思います。
○首藤委員 ごめんなさい、もう一度。というのは、例えば3時間4時間ではちゃんと寝られるわけではもちろんなくて、別途休息の期間を設けるという考えですか。
○馬渡委員 仮眠になりますよね。
○首藤委員 仮眠は取れるという。
○馬渡委員 仮眠は取れますね。通常3の倍数じゃないですか。ある程度こくっと寝てパッと起きる、バイオリズムの話からいうと3の倍数ですから。
○首藤委員 3時間でも仮眠は取れるということで考えられているということですね。
○藤村部会長 分かりました。ここも労使で詰めていくべきところと思います。続きまして2人乗務の特例です。13、14ページで、特に14ページの考え方のところを中心に議論をしていきたいと思いますが、労働側から、2人乗務の特例は馬匹輸送に限らず全体の見直しをする中で議論をしていくという御発言がありました。今回のこの点については、労働側としてはどのようにお考えでしょうか。
○世永委員 今日の段階では行政の提案に対しては判断しないということで、あくまで馬匹に限定ということで承りたいと思っています。
○藤村部会長 分かりました。使用者側はいかがですか。
○加藤委員 今回の御提案については、馬匹輸送を含めた2人乗務の特例ということについてですが、実態を踏まえて御配慮いただいた結果と受け止めていますので、この案で受け入れたいと思います。
○藤村部会長 28時間という、これは実態がそうだということで、事務局のほうもそこに配慮して、こうした考え方を示してくださっているわけですが、事務局からこの点について何かありますか。
○監督課長 2人乗務の特例は現行でも設けられておりまして、今回更にベッドの基準を設けて、ベッドの中で仮眠を取ることができる場合にはその特例を延長するという考え方で、今回お示ししたということです。
○藤村部会長 分かりました。この点はまだもう少し議論をしていくということですね。では次、フェリーの特例、これは一応決着をしたということでよろしいですね。
 次は、予期しえない事象についてですが、17ページになります。ここで、使用者側は最初から荷主の問題をおっしゃっていて、そこが解決しない限りなかなか難しいという主張でした。予期しえない事象の中に荷主を含めてほしいということですが、それはちょっと無理なのではないかということで、ここまで議論が来ています。17ページの考え方について、使用者側から御意見を伺いましょうか。いかがですか。
○馬渡委員 先ほど連続運転のところで、4時間半とか5時間とかいう議論をしていますので、それで収まってくれると期待して、そういうふうに延長が認められるのであれば、予期しえない事象にどうしても加えてくださいというのは取り下げたいと思いますけれども、まだ、先ほどの連続運転時間の話もなかなか合意ができないという部分もありますし、もう1つ高速道路に限ってではなくて、道の駅とか一般道を走っているときも、特に一般道の場合は尚更なのですけれども、大型の車両を運行して道路の片隅に寄せても邪魔でしょうがないわけですね。ですから、運転手はやっぱり置ける場所を探しているのです。休める場所をです。
 ですから、それで時間に追われてというのは本当に大変なことだなと思いますので、先ほど言ったように、連続運転時間の緩和の問題とこの部分というのは、荷主さんのいろいろな不測のことを考えると5時間と言いたいのですけれども、先ほど4時間半の議論も出ましたけれども、その辺を見ながらそちらのほうで対処するのか、こちらで予期しえない事象でこういう場合であればこうしてくださいとするのか、それはもう一度持ち帰って、議論の推移を見ながら考えさせていただきたいと思います。
○藤村部会長 分かりました。労働側委員はいかがでしょうか。
○世永委員 今回申し上げているとおり、荷主都合による遅延等を含めた場合は、やはり告示そのものが形骸化してしまうということで、骨抜きになってしまうので、これはバスと同じような取扱いで十分だろうと思っています。
○藤村部会長 分かりました。ここで、使用者側委員からダブルカウントについて資料を示して説明をしたいという要望が出ていると、事務局から伺っています。これを、今ここで御説明いただいて、どういうお考えかというのをお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤委員 ありがとうございます。藤村部会長からお許しいただきましたので、今資料をお配りしています。この話自体は告示自体の話ではありませんので、必ず部会で全部結論を出す話ではないのかもしれません。これは告示というよりは、行政指導の中での話なのですけれども、拘束時間によるダブルカウントというのがありまして、非常に分かりにくいのです。
 始業時刻から24時間以内に次の勤務が開始される場合については、その重複する時間を前の時間に算入するということになっています。今お手元にある資料でいきますと、まず月曜日、朝の10時始業で24時終業ということで、拘束時間は本来であれば14時間になるわけですけれども、実はその次の日、休息期間を8時間を経て、朝の8時に出勤して24時まで拘束したというと、この火曜日の朝の8時の始業時刻と、前日月曜日の始業時刻の10時の間に2時間の差が出ていますので、この2時間が実は火曜日のみならず月曜日にも加算されるという取扱いになっています。
 また、同じように、水曜日については9時始業で24時終業ですけれども、翌木曜日についてはまた繰り上がって8時始業の23時終業。この場合も、この木曜日の朝の8時の始業と、前の日の水曜日の始業時刻の9時の差の1時間、これが前の日の水曜日にダブルカウントされるということです。
 本来であれば、月曜日は14時間、水曜日は15時間にもかかわらず、月曜日は次の日の2時間が加算されて16時間。また、水曜日についても、木曜日の1時間の分が加算されて16時間となり、これは現行の資料1の4ページにありますように、1日について拘束時間が15時間を超える回数は1週間につき2回以内という、これは現行の基準に基づいてですけれども、これでいくと2回以内という15時間を超える期間が3日になってしまって、これは告示違反になるというような矛盾が、実は今生じています。
 これこそ、先ほどから何度も出ている管理が非常に難しい部分でございます。ですから、これは今後1日の拘束時間、休息期間の議論があって、1日の拘束時間の上限あるいは回数等が変わってくる可能性もありますけれども、このダブルカウントについてはそれこそ管理が非常に困難ですので、この機会に是非見直しを図っていただきたい。できれば廃止いただきたいという御提案です。以上です。
○藤村部会長 分かりました。これは事務局としてはどのように整理していますか。
○監督課長 監督課長です。このダブルカウントにつきましては、今、使側から御説明があったとおりですけれども、その趣旨は、始業時刻から起算して24時間以内に8時間の休息期間を確実に取得させる趣旨であると考えています。これを仮にダブルカウントしないこととした場合には、現行で分割休息の特例が認められていますので、分割休息の特例との関係でも整合性を図っていく必要があると考えています。
 なお、補足的に申し上げますと、ダブルカウントについては1日の拘束時間について行われるものでありまして、月や年の拘束時間の基準がまた別途定められていますけれども、それに関しては始業から終業までの時間ということで、そこはダブルカウントされないことになっているということも踏まえて御議論いただきたいと思っています。
○藤村部会長 分かりました。労働側委員はどうお考えですか。
○世永委員 今、資料を拝見して思ったのですが、非常にイレギュラーな取扱いだなと感じておりますので、今、課長から言われた内容のとおり、現行どおりでと思っています。
○藤村部会長 分かりました。首藤委員はこの点どうお考えですか。
○首藤委員 確かにこの問題はあるのですが、まず、これはトラックだけの話ではないですよね。バスを含めて、ほかもそうだと思うのですが、もし廃止を提案される場合、トラックだけ廃止しなければいけない合理的な理由というものをどのようにお考えであるのかということと、もう1つ、これまでの議論が、やはりこの話というのは1日の拘束・休息と関わってくるわけですから、1日の拘束・休息のこれまでの議論がこの現行制度を前提にして議論をしてきていますので、もしこれを廃止という形になりますと、また議論の前提が変わってきてしまう点を非常に懸念するわけですけれども、限られた時間の中で再度、議論し直すようなことを前提に御提案されているのかどうかをお伺いしたいなと思います。
○加藤委員 全体の議論をもう一回巻き戻そうという意思はなくて、結局これについて触れる時間がなくて今日になったことについては申し訳ないと思っていますが、もともと我々としては問題意識を持っていた内容ですし、当然この後の議論の中で、1日の拘束時間、あるいは休息期間が決まってくれば、逆に言うとこれは不要な議論になる可能性があるのです。というのは、我々としては今、平均という概念を主張しておりますが、仮にこの今日頂いた資料1の考え方に基づいて、1日の最大拘束時間は15時間となった場合については、そもそもこの16時間ということ自体がもう拘束時間オーバーで、この議論は全く無意味になります。ただ、仮に我々の主張が通って、平均という概念が採用されるとすると、この問題が絡んできますので、そこについては具体的に議論を頂きたいというのが私どもの考えです。
○藤村部会長 いろいろなところと関係してくる話ですね。分かりました。一応、我々もこれを念頭に置きながら、議論していこうと思います。
 資料1に基づきまして17ページまでまいりましたが、改めてこの場で主張しておきたい点について労使双方からお伺いしたいと思いますが、まず使用者側の委員の方はいかがでしょうか。
○馬渡委員 荷主の自由でいろいろ認めると、いろいろな悪い事業者さんがいらっしゃるので、なかなか認められないというふうに労働組合のほうはおっしゃっているのですが、片や監督署さんのほうで見られた場合、今回荷主さんのほうに要請をすることができるという形で新たに提案を頂いて、本当に我々としてはそういう話が出てきてから、みんな少し胸をなで下ろしているというか、今まであまりにも荷主さんのいいように言われてやられてきた部分というのは、あまりにもひどければ要請をしていただけるのかなという期待をみんな持っているのです。
 ただ、片や、やはり違反は違反だと言われると、荷主さんがこんなにひどいという実態がお分かりになっていて、やはり経営者の違反なのですかという部分は今後の話でしょうけれども、事業者を指導する場合に御配慮はお願いしたいなと思います。荷主さんが、これはいかんよねということがあれば、しっかり荷主さんに御指導いただいて、我々経営者もこうならないように、荷主さんともよく話し合いなさいという指導を頂ければなと思っております。その辺は今すぐ、夏までに決めなければいけない話ではないかもしれませんが、そういう部分も含めて、荷主さん都合で別途にできないのであれば、その辺のこともしっかりやっていただければなと思っています。以上です。
○藤村部会長 分かりました。では、労働側委員はいかがでしょうか。
○世永委員 馬渡委員が言われた監督指導を緩めることはここでは議論できないだろうし、やはり荷主対策について対応していただくことで、まとめていくべきだろうと思っています。労働側としては、この間ずっと主張してきているとおり、年・1か月の拘束期間の関係とインターバル、さらには休憩の概念について、こだわって議論していきたいと思っています。
○藤村部会長 分かりました。首藤委員からはいかがでしょうか。
○首藤委員 まず、時間がもう限られてきていることを非常に懸念しております。ですので、何らかの形で建設的な議論を進めていただきたいなと思うのと同時に、やはり個別に議論してきていますが、何度もここがどうなったらここもというような形で、相互に関連している部分が多いのかなと思いますので、パッケージのような形で示しながら、議論を前に進めていければというふうにも思っているところではあります。引き続きよろしくお願いします。以上です。
○藤村部会長 どうもありがとうございます。私からも一言申し上げておきたいと思います。荷主の問題というのが確かに非常に大きいと思います。ただ、今回の資料4と5に、この間の荷主対策というのがまとめられておりまして、改めて見ると、相当いろいろなことができるのではないかと思います。それで、こういう仕組み、制度を生かすも殺すも当事者次第という気がします。やはり、毅然たる態度で荷主に対して対峙していただきたいと思います。トラック事業者としてできないものはできないという主張、法律違反までしてやれというのかということも言っていいと思います。この制度を是非生かしていただきたいという感想を持ちました。荷主との関係で難しいというのは分かりつつ、これだけの制度ができているのだから、これをどう使うかという点が非常に大事だと思っております。
 私からは以上でございます。予定の時間よりも早いですが、一応議論としては今日は出尽くしたと思います。今日の議論は以上といたしまして、次回の議論までに、より現実的な歩み寄りを是非お願いしたいと思います。最後に、事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。
○副主任中央労働基準監察監督官 ありがとうございます。次回の作業部会の日時、場所については、調整の上、追って御連絡させていただきます。
○藤村部会長 ありがとうございます。では、これをもちまして、第8回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。