2022年7月1日 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和4年7月1日(金)14:00~16:00

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)
事務局(7月1日時点)
  • 佐々木 昌弘 (生活衛生・食品安全審議官)
  • 鳥井 陽一  (大臣官房審議官)
  • 成松 英範  (生活衛生・食品安全企画課長)
  • 小谷   聡司  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近藤   恵美子 (食品基準審査課長)
  • 小池 紘一郎 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今井 美津子 (食品基準審査課新開発食品保健対策室長)
  • 田中 里依  (食品基準審査課器具・容器包装基準審査室長)
  • 三木   朗   (食品監視安全課長)
  • 森田 剛史  (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 福島 和子  (HACCP推進室長、食中毒被害情報管理室長)

議題

  1. (1)審議事項
    1. 1.食品添加物の指定等について
  2. (2)報告事項
    1. 1.食品添加物の規格基準の改正について
    2. 2.食品中の農薬等の残留基準の設定について
    3. 3.組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準への適合確認について
  3. (3)文書による報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
    2. 2.遺伝子組換え食品等及びゲノム編集食品等の審査・届出の状況について
  4. (4)その他の報告事項
    1. 1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
    2. 2.令和3年食中毒発生状況について
    3. 3.「第1回食品安全制度懇談会」の開催状況について

議事

議事内容

○小谷補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。本日の司会をさせていただきます私、生活衛生・食品安全企画課長補佐の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 この度、新型コロナウイルスの感染防止拡大の観点から、Webでの審議とさせていただきます。何か不具合がありましたらお電話、若しくはチャット機能にて御連絡いただければ随時、対応いたします。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。
 はじめに、分科会委員の異動等について、御報告いたします。令和4年3月31日付け及び7月1日付けで佐藤委員、高橋委員、村松委員が御退任されました。令和4年7月1日付けで新たに本分科会委員に着任された、株式会社明治品質本部長の森信二委員です。簡単にお名前だけお伝えいただけますでしょうか。
○森委員 株式会社明治品質本部長の森です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷補佐 どうぞよろしくお願いいたします。同日付けで新たに本分科会委員に着任された、神戸市健康局保健所食肉衛生検査所所長の高田信子委員です。
○高田委員 神戸市食肉衛生検査所の高田と申します。よろしくお願いいたします。
○小谷補佐 よろしくお願いいたします。続きまして、本日の分科会委員の出席状況ですが、今村委員、木下委員、松本委員、脇田委員から御欠席との御連絡を頂いております。松嵜委員は、途中から御参加されるとの旨、御連絡を頂いております。また、参考人として、日本医師会常任理事であられる神村裕子氏を招致させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○神村参考人 神村です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷補佐 よろしくお願いいたします。現在の分科会委員総数21名のうち、現時点で16名の御出席を頂いており、出席議員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。なお、合田委員については、途中退席の旨を伺っております。
 次に、本年4月1日及び6月28日付けで事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。大臣官房生活衛生・食品安全審議官の佐々木です。
○佐々木審議官 佐々木です。よろしくお願いします。 
○小谷補佐 大臣官房審議官の鳥井です。
○鳥井審議官 鳥井です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 生活衛生・食品安全企画課長の成松です。
○成松課長 成松です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 食品基準審査課課長の近藤です。
○近藤課長 近藤です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 新開発食品保健対策室長の今井です。
○今井室長 今井です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 輸入食品安全対策室長の森田です。
○森田室長 森田です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長の福島です。
○福島室長 福島です。どうぞよろしくお願いします。
○小谷補佐 続きまして、事務局の職員を紹介いたします。三木食品監視安全課長です。
○三木課長 三木です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 小池残留農薬等基準審査室長です。
○小池室長 小池です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 田中器具・容器包装基準審査室長です。
○田中室長 田中です。よろしくお願いします。
○小谷補佐 それでは、開会に当たりまして、大臣官房生活衛生・食品安全審議官の佐々木より、御挨拶申し上げます。
○佐々木審議官 改めまして、本年6月28日付けで生活衛生・食品安全審議官を拝命いたしました佐々木昌弘と申します。どうぞよろしくお願いします。委員の皆様におかれましては、日頃から食品安全行政の推進に御支援、御尽力いただいておりますことを、この場を借りて、改めて厚く御礼を申し上げます。御承知のとおり、食品の安全に対する国民の関心は、非常に高いものがございます。厚生労働省といたしましても、食品の安全確保に関する諸課題について全力で取り組んでまいりたいと考えております。委員の先生、皆様におかれましても、一層のお力添えを賜りますよう改めてお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○小谷補佐 ありがとうございました。審議官等の事務局のメンバーについては、公務のため、適宜退出させていただく場合があります。どうぞ御了承ください。
 それでは、議事に移ります。本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、審議事項として、1つ目は食品添加物の指定等について、2つ目は食品中の農薬等の残留基準の設定について御審議いただいた後、何点か事務局から御報告を申し上げたいと考えております。
 この分科会は原則、公開とさせていただいていることから、一般聴講についてもWeb会議システムによる音声のみでの傍聴とさせていただいております。なお、一般傍聴者の方については、事前に御連絡しているところですが、厚生労働省ホームページに分科会の資料を公開しておりますので、各自、御確認をお願いいたします。また、本日の審議事項に関して、食品衛生分科会審議参加規定に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、利益相反に該当する委員はいらっしゃいませんでしたので、お知らせいたします。
 続きまして、審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、カメラがオンになっていることを御確認の上、挙手をしていただきますようお願いします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混線した場合には、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはメッセージに記入していただくよう事務局、又は分科会長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、分科会長より御発言者を御指名いただきます。それでは、村田分科会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○村田分科会長 村田です。委員の皆様におかれましては、北東北及び北海道を除く各地で猛暑が続く中での御参集となりました。節電も叫ばれている中での開催ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、(1)審議事項の①食品添加物の指定等について審議を行います。事務局から御説明願います。
○田中室長 では、資料1の御用意をお願いいたします。資料1の3ページ目から、L-酒石酸カルシウムに関する資料が入っておりますので、御説明させていただきます。こちらは、添加物としての新規指定の可否及び規格基準の設定に関する御審議です。経緯といたしまして、本年3月の添加物部会において御審議を頂き、指定等を行うものです。構造式は、記載のとおりのものです。用途としましては、製造用剤としておりますが、ぶどう酒に用いる酒質安定剤、酸度調整剤です。本品を種晶としてぶどう酒に添加されることにより、ぶどう酒中にもともとあった酒石酸とカルシウムの結晶、酒石酸カルシウムの生成を促進いたします。これをろ過等の工程によって除去することによって、ぶどう酒中の酒石の発生を防止し、酒質が安定するものです。ぶどう酒中のもともとありました酒石酸を減少させることによって、ぶどう酒の酸度の調整の効果を期待して使用されるものです。
 諸外国の状況ですが、EUでワインに使用することが認められております。その上限値に関しては、国際ブドウ・ワイン機構に定められている200mg/hLが規定されて適用されております。ワインのほかに、乳幼児向けのビスケットなどへの使用が認められております。米国では、L-酒石酸カルシウムで処理したワインをEUから輸入し、国内流通させることが認められております。また、オーストラリアでは、加工助剤としてワインに使用することが可能となっております。
 食品安全委員会における御評価の結果ですが、L-酒石酸カリウムとメタ酒石酸、これらは過去にワイン添加物として御評価が既にあったものです。それに加えて、今回のL-酒石酸カルシウムを1つのグループとして、これらに関する許容一日摂取量が24mg/kg体重/日と設定されております。
 次のページにまいりまして、摂取量の推計です。使用基準を策定したあとのL-酒石酸としての摂取量が4.3mg/kgとなっております。こちらの内容は先ほどのグループ評価の対象の品目と、それ以外にも酒石酸摂取がございますので、それらを合計した値となっております。なお、本品に関しては、ぶどう酒に添加をしますと、ぶどう酒中の酒石酸が添加の前より減るものですので、実質的には酒石酸の摂取量を増やさないものとなっております。同じく本品のうちのカルシウムの部分に関してですが、13mg/kgと推定されます。こちらも今回の品目と、それより前からあります添加物の合計の値となっております。カルシウムイオンに関しては、ULSと比較しますと、この36%であることを考慮しまして、添加物として適切に使用される場合に、本品は安全性に懸念がないとの御評価となっております。
 使用基準等が次のページにございます。使用基準の欄ですが、本品L-酒石酸カルシウムは、ぶどう酒以外の食品に使用してはならない。その使用量はL-酒石酸カルシウムとして、ぶどう酒1Lにつき2.0g以下でなければならないとしております。成分規格(案)に関しては、こちらに記載のとおりです。事前に合田委員より御指摘を頂きましたため、本品の英語名に関して修正をして、お示ししております。御説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。議論に入る前に、部会での審議の状況について御報告いただけますでしょうか。
○田中室長 本日、杉本添加物部会長代理が御欠席ですので、コメントをお預かりしております。読み上げます。「L-酒石酸カルシウムをぶどう酒に添加されることにより、酒石酸カルシウムの結晶生成を促進し、これをろ過工程で除去することによって、酒質を安定化させるものです。成分規格については、類似品目及び他国の規格を参考に設定してあります。また、使用基準については、諸外国の使用状況、摂取量推計を踏まえて、L-酒石酸カルシウムは、ぶどう酒以外の食品に使用してはならない、L-酒石酸カルシウムの使用量は、L-酒石酸カルシウムとして、ぶどう酒1Lにつき2.0g以下でなければならないとしておりますし、摂取量が増えることのないような規定とされています」。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問はございますでしょうか。どうぞお願いします。
○藤原委員 藤原です。L-酒石酸カルシウムについて、ぶどう酒に添加すると、添加前よりは減少するという記述があったのですが、本来ぶどう酒に含まれていたとしても、添加した分に関しては、消費者はその添加の有無を確認できるものなのでしょうか。もちろん、表示に関しては消費者庁所管であることは承知しておりますが、前から添加していたもの、製品に残存しない成分全般について、消費者は認識できる手立てとかは確保されているのかという趣旨で聞いております。
○村田分科会長 田中室長、いかがでしょうか。
○田中室長 御質問ありがとうございます。藤原先生の御指摘のとおり、表示に関しては消費者庁で制度を運営している状況にございます。我々としましては、この添加物が指定される仕組みの中で、薬事食品衛生審議会の添加物部会に入るよりも前の段階から、あとはその審議が終わりまして、結果の御報告の段になりましても、消費者庁と情報共有を図るようにしております。この法令上でも指定をするような際、関係省庁間で連携を図る形にされておりまして、今回に関しても添加物の用途をお示ししておりますし、今後も消費者庁に対して協議をすることでやっております。ですので、協議内容に基づきまして、適切にどのように表示をするかということに関しては、消費者庁において検討されているものと承知しております。以上となります。
○藤原委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいですか。ほかに御意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告してください。
 次に、審議事項②食品中の農薬等の残留基準の設定について審議を行います。事務局から御説明願います。
○小池室長 残留農薬について御説明いたします。同じ資料の7ページを御覧ください。今回御審議いただく品目は、今年3月及び4月に開催されました農薬・動物用医薬品部会で御審議いただいた品目です。農薬1品目及び動物用医薬品1品目について、いずれもADIの範囲内という御評価を頂いているものです。まず、7ページの1品目目、フロラスラムです。インポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請を受け、今般、残留基準を設定するものです。用途は農薬、除草剤で、我が国では農薬としては登録されておりません。食品安全委員会の食品健康影響評価ですが、7ページの真ん中の辺り、ADIが0.049という評価を頂いております。今回の基準値に基づいて、ばく露評価の結果に関してADIの範囲内ということで、特段問題はないものと評価を頂いております。
 基準値については9ページを御覧ください。記載していますとおり、小麦、大麦、ライ麦、その他の穀類について、作物残留試験の成績等に基づいてデータが提出されており、これに基づき、左から2列目の基準値案に記載されている数字で残留農薬基準を設定したいと考えております。以上が1品目目です。
 続きまして、11ページを御覧ください。2品目目、ルバベグロンです。これも同様にインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請を受け、残留基準を設定するものです。用途としては、動物用医薬品、アンモニアガス排泄の抑制です。国内においては動物用医薬品として我が国は承認をしておりません。食品安全委員会における食品健康影響評価ですが、ADIが0.0032の数値で評価を頂いております。これについても今回の基準値に基づくばく露評価の結果に関し、ADIの範囲内で問題がないという評価を頂いております。
 基準値については13ページを御覧ください。牛の筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、その他の食用部分について、動物残留試験等のデータに基づいて基準値案に設定している数値に従って基準値を設定したいと考えております。審議品目2品目についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 御説明どうもありがとうございました。議論に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長から御報告を頂くことはございませんでしょうか。
○穐山委員 穐山です。繰り返しになるかもしれませんが、私からも少しコメントをさせていただきます。これは両品目ともインポートトレランス申請で、これは外国からの申請の依頼です。まず、フロラスラムは農薬の除草剤です。ルバベグロンは動物用医薬品で、アンモニアガス排泄の抑制医薬品です。これらの食品残留基準の設定をするものですが、本年3月と4月のオンライン会議による部会において審議を行いました。幾つか報告書の記載の整備がありましたが、食品安全委員会の評価の結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められていないことから、閾値を設定できると評価されております。また、作物残留試験あるいは家畜残留試験等及び代謝試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質及びばく露評価対象物質の選定に特段問題はなかったこと、また、作物残留試験あるいは家畜残留試験の分析法、作物残留試験のデータ、ばく露評価等の情報により、残留基準値は適切であり、特段問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。本件について、何か御意見、御質問はございますでしょうか。皆さんよろしいですか。はい、御意見がないようです。分科会としてはこれで承認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○合田委員 はい、結構です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告してください。
 次に、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規程に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、報告事項の①食品添加物の規格基準の改正について、事務局から御報告ください。
○田中室長 資料2の3ページを御覧ください。フェロシアン化カリウムの基準の改正に関する報告です。経緯としましては、本年3月の添加物部会において審議いただき、基準の改正を行うものです。構造式はこちらに記載のとおりです。用途に関しては、ぶどう酒の製造用剤、具体的には清澄剤です。この添加物フェロシアン化カリウムはぶどう酒に添加されることにより、フェロシアン化物イオンとカリウムイオンに分かれます。フェロシアン化物イオンがぶどう酒中の鉄イオンと反応して、フェロシアン化鉄となって沈殿いたします。この沈殿したフェロシアン化鉄を滓引き、ろ過などによって除去することにより、ぶどう酒の混濁の原因になる鉄イオンを取り除く効果があるとされております。
 諸外国の状況ですが、まず、JECFAにおいてフェロシアン化物グループとして、本品を含めてカルシウム塩、ナトリウム塩を含めたグループとしてADIが0~0.025mg/kgと評価されております。欧州においてワインへの加工助剤として使用することが認められております。その上限は定められていないのですが、使用する際にはフェロシアン化カリウムで処理した後に、ワインには微量の鉄が含まれていなければならないという規定です。
 次のページ、米国においては、GRASとしてワインへの使用が認められております。最終製品に残存する量の基準がありまして、フェロシアン化物の合計量が1ppmを超えないという規定になっております。オーストラリアにおいては、ワインの加工助剤として0.1mg/kgを超えない範囲で使用が認められております。我が国においては、平成14年に指定をされており、食塩のみに使用することが可能となっております。
 食品安全委員会における御評価ですが、フェロシアン化カリウムが添加物として適切に使用される場合、安全性には懸念がないという御評価です。摂取量の推計ですが、食塩とぶどう酒からの合計をしますと、最大で1.5×10-mg/kgです。ただ、このフェロシアン化物イオンは鉄イオンとワインの中で結合して除去されるものですので、適切に処理されたぶどう酒には、フェロシアン化物イオンはほとんど含まれていないと要請者が説明していることを踏まえ、実際の摂取量はこれよりも少ないと考えられます。無水フェロシアン化カリウムのNOAELが5.3mg/kgと特定されていますが、この値と十分なマージンが存在するとされております。本品のうち、本品に由来するカリウムの一日摂取量は1.97×10-mg/人で、現在の食品からのカリウム摂取量が2,000mgを超えていることと比較して、非常に少ないと考えられます。フェロシアン化カリウムに由来しますシアン化物イオンに関しては、使用基準における最大の残存量は全てシアン化物イオンに分解すると仮定すると、0.358μg/kgと計算されます。この値は、シアン化物イオンのTDIの8.0%に当たるということです。これらを踏まえ、食品添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないとされております。
 使用基準案ですが、従来からあります食塩に加え、ぶどう酒以外の食品に使用してはならないということ。その基準値は下線部にありますように、無水フェロシアン化カリウムとして、ぶどう酒1Lにつき0.001gを超えて残存しないようにという基準となっております。
 こちらに関しても杉本部会長代理からコメントをお預かりしておりますので、御紹介させていただきます。「これは、規格に変更はありません。使用基準のほうは、改正前、食塩以外の食品に使用してはならない、固結防止剤としての目的となっていましたが、ここにぶどう酒を追加する形となりますが、フェロシアン化カリウムをぶどう酒に使用する場合には、1Lにつき0.001gを超えて残存しないように使用しなければならない、という規定を追加することとなります。摂取量が増えることのないような規制とされています。使用基準改正の根拠として、EUの基準やアメリカでの残存量の規定などを総合的に検討されております」。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの報告について、委員から何か御意見、御質問はございますでしょうか。
○合田委員 合田です。つまらないことかもしれないですけれども、5ページの最後の使用基準案で、フェロシアン化ナトリウム換算というのが出てきますよね。1種又は2種と併用する場合にあっては、ナトリウムとしてというのは、要するにこれは、フェロシアンイオンは同じであって、そこにナトリウムが付いている場合で、重量がナトリウムの、要するに、塩が何であったとしてもナトリウムであるという、そういう意味ですね。
○田中室長 ありがとうございます。はい、そのとおりです。食塩に関しては、ナトリウムに換算というか、ナトリウム塩の量として算出して比較することになります。
○合田委員 はい、分かりました。大丈夫です。了解です。
○村田分科会長 ほかにございませんでしょうか。
○穐山委員 すみません、穐山です。実際、このフェロシアン化カリウムがシアン化物イオンに分解するものなのでしょうか。
○合田委員 強くしたら壊れるけれど、化学的に考えたら、普通は大丈夫だと思います。
○田中室長 最大値まで仮に残存して、更に仮に全部分解した場合の数字を出しています。
○穐山委員 そのエビデンスはないということですね。つまり、分解するという事実は余りないということですか。
○田中室長 はい、分解するということをもって計算したわけではございません。
○穐山委員 はい、ありがとうございます。
○合田委員 食品の何かの条件では、多分壊れることはないとは思います。
○穐山委員 はい、ありがとうございます。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。はい、どうもありがとうございました。
 次に、②食品中の農薬等の残留基準の設定について、事務局から御報告願います。
○小池室長 7ページを御覧ください。今回御報告する品目は、本年3月及び4月に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議いただいた品目です。農薬3品目、動物用医薬品等1品目について、いずれもADI又はARfDの範囲内ということで御評価いただいたものです。
 8ページを御覧ください。1品目目です。フルフェノクスロンです。農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定の要請を受け、基準値設定するものです。用途は農薬、殺虫剤です。我が国では、リンゴ、ナシ等を対象に、農薬登録がされているものです。食品安全委員会における食品健康影響評価としては、ADIが0.037と評価いただいております。今回の基準値に基づくばく露評価の結果に関しては、ADIの範囲内ということで、問題ない旨御評価いただいております。
 基準値については、10ページ以降を御覧ください。10ページ以降の基準値のうち、左から4列目の登録の有無という欄のたまねぎ、にら、オクラといった「申請」の「申」が書いてあるものが、今般、新しく追加されたものです。また、11ページの下段のほうにも「申」が並んでいますが、これは併せて肉類に関しての残存の基準値についても設定したというものです。これらについて、作物残留試験、動物残留試験のデータに基づいて、適切に基準値を設定させていただいたというものです。
 続いて2品目目です。17ページを御覧ください。ペンシクロンです。畜産物の基準設定の要請を受け、基準値を設定するものです。用途は農薬、殺菌剤です。我が国では、ばれいしょ、てんさい等が対象作物に登録されています。食安委における食品健康影響評価結果については、ADIとして0.053という評価を頂いております。19ページを御覧ください。実際の基準値ですが、「申」があるような牛肉、豚等の食肉について、動物残留等のデータに基づいて、ここに記載のとおり基準値を新たに設定させていただくものです。
 3品目目、21ページを御覧ください。シフルトリンです。平成18年のポジティブリスト制度の導入時に、暫定的な基準値を設定しておりました。今般、最新のデータに基づいて改めて基準値の見直しを行って、基準値を設定するというものです。シフルトリンについては、8種の光学異性体から構成されており、それぞれ存在する存在比率が農薬によって異なるというものです。22ページを御覧ください。用途は農薬及び動物用医薬品として、殺虫剤です。我が国の登録状況としては、キャベツ、はくさい等が対象作物で、動物用医薬品として牛を対象動物に、鶏舎等に対象を承認されております。食品安全委員会における食品健康影響評価ですが、先ほどの異性体の中で一番毒性が高い比率のbeta-シフルトリンという存在比の物質をワーストケースとしてデータを評価していて、それぞれADIが0.023、ARfDも0.023という値で設定されております。実際の基準値は24ページを御覧ください。左から3列目が基準値の現行バージョン、左から2列目が今般新しく改正した基準値案です。それぞれ、提出された作物残留試験等に基づいて、基準値が厳しくなっているもの、緩くなっているものがありますが、データに基づいて、最新情報に基づいた基準値案を設定させていただいているものです。
 4品目目、33ページを御覧ください。ナイカルバジンです。インポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請を受けたものと併せて、2018年のポジティブリスト制度導入時の暫定基準の見直しに基づいて、基準値を策定したものです。用途は動物用医薬品及び飼料添加物ということで、抗原虫剤、合成抗菌剤等で使われています。動物用医薬品、飼料添加物ともに、鶏を対象に承認又は指定されているものです。食品安全委員会における食品健康影響評価ですが、ADIは0.2という値の設定を頂いています。実際の基準値は35ページを御覧ください。ここにある、鶏の筋肉、脂肪等のそれぞれの食品について、左から2列目の基準値案に従った値で、新しく基準値を設定したいというものです。残留基準に関する説明は以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、まず、穐山部会長からございませんか。
○穐山委員 事務局の御説明のとおり、であります。
○村田分科会長 それでは、委員の方から御意見、御質問はございますでしょうか。
○合田委員 農薬については特にないのですが、今、気付いたのですが、フェロシアン化カリウムの所です。正名と言うのですかね、ここで言っている名前はフェロシアン化カリウムとなっています。それで、文章中に無水物換算というのが出ていまして、調べましたら、フェロシアン化カリウムは無水物も存在するのです。それで、化学の一般的なルールからいったら、フェロシアン化カリウムと言うと無水物のほうを表して、これはフェロシアン化カリウムの三水和物と言うのが一般的ではあるのです。ただ、存在として多くあるのは三水和物で、ここに書かれている構造式なので、これをフェロシアン化カリウムという形で認めていると、これをフェロシアン化カリウムで、無水物のほうは「無水」という形で表現することになろうかと思うのですけれども、これはほかのところの法律に、どこかに指定されているところに引っ張られて、フェロシアン化カリウム三水和物をフェロシアン化カリウムとするというのが、一番影響が少ないということですか。もし、そうでなければ、今は一般的なルールに従われて、正名を付けられたほうがよいかもしれないです。これは報告事項なので、ここで議論することではないかもしれませんが。
○田中室長 フェロシアン化カリウムに関しては既に指定をされているものですが、その名前がフェロシアン化カリウムですけれども、成分規格も既に設定されています。その中で、トリハイドレートという名前を付けています。
○合田委員 要するに、トリハイドレートというものが、日本語のフェロシアン化カリウムであるという定義が既にされているということですね。
○田中室長 はい。食衛法の中ではしています。
○合田委員 分かりました。既に決まっているので、これをこうするというのであれば、特に問題はないと思います。何か新しい状態で作られるのであれば、化学に合わせたより適切な名前にされたほうがいいと思ったので、発言したまでです。
○村田分科会長 ほかにございませんでしょうか。ありがとうございました。
 次に移ります。③組換えDNA技術応用食品及び添加物の製造基準への適合確認についてです。事務局から御報告ください。
○今井室長 資料2の37ページを御覧ください。今般、遺伝子組換え微生物を利用して製造する添加物の製造所について、製造基準への適合確認の申請があり、本年3月に新開発食品調査部会において御審議いただきました。資料はその報告書です。製造しようとする品目は、2.の審議結果にある2品目です。1品目目が、Escherichia coli K-12 W3110(pWKLP)株を用いて生産されたプシコースエピメラーゼです。2品目目が、BR151(pUAQ2)株を利用して生産された6-α-グルカノトランスフェラーゼです。
 これらの2品目の安全性審査については、既に食品安全委員会の食品健康影響評価が実施されており、人の健康を損なうおそれはないと厚生労働省に評価結果の答申がなされております。今回は、これらの品目を国内で製造するというもので、製造所が製造基準に適合する旨の確認を行うものです。製造基準の内容としては、遺伝子組換え微生物の衛生的な管理や、製品の製造に当たっての衛生的な管理、製造従事者への教育訓練などに関する基準が定められております。
 今般、ナガセケムテックス株式会社より、製造しようとする2品目の製造所として、京都府の福知山事業所福知山第一工場について、製造基準への適合確認の申請がございました。このため、本年3月に、まず遺伝子組換え食品等調査会にて御審議いただき、製造基準への適合確認が行われました。その結果を踏まえ、新開発食品調査部会において御審議いただき、2.の審議結果にあるとおり、製造基準に適合していることが確認されております。以上、食品衛生分科会に御報告いたします。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの御報告について、委員の方から御意見、御質問はございますでしょうか。
○曽根委員 ただいま事務局から報告があったとおりなのですが、本案件については、1つの工場内で、時期をずらして2種類の添加物の製造を行っているという点も含めて、その上で、この遺伝子組換え微生物の外部漏出がないように講じられているかどうか、当該製品が衛生的な環境で製造されていることなどを含めて、製造方法に関わる議論や確認が行われたのですが、その後、部会でも審議しまして、若干の確認事項はありましたが、最終的に部会として特段の問題はないことを確認しております。以上、追加で報告します。
○村田分科会長 ほかにございませんでしょうか。
○穐山委員 この酵素の規格というのは、既にあるという理解でいいのでしょうか。
○今井室長 6-α-グルカノトランスフェラーゼは既存添加物でして、成分規格が設定されております。プシコースエピメラーゼは指定添加物でございまして、成分規格が設定されております。
○穐山委員 エピメラーゼは既存添加物ですか。
○今井室長 6-α-グルカノトランスフェラーゼが既存添加物です。プシコースエピメラーゼが指定添加物です。
○穐山委員 これは両方とも遺伝子組換えですよね。
○今井室長 はい。
○穐山委員 株限定の規格ではないかと思うのですが。
○田中室長 指定添加物として、全くないものを遺伝子組換えで開発されて、添加物に新たに日本で使いたいということになれば、規格そのものが遺伝子組換えの形で設定されますが、従来の成分規格に書かれている、ただ起源が違う、要は組み換えましたというものでしたら、従来の規格を用いる形になります。
○穐山委員 分かりました。既存添加物のほうは、まだ規格がないという理解でよろしいですか。
○今井室長 2品目とも成分規格があると認識しておりますが、確認しまして、間違っておりましたら個別に先生に報告させていただきたいと思います。
○穐山委員 はい。よろしくお願いします。
○村田分科会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次は、(3)文書配布による報告事項に移ります。食品衛生分科会における確認事項において、特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問などはございますでしょうか。特にないようですので、次に移ります。
 続いて、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から御報告ください。
○小池室長 資料4の3ページを御覧ください。毎回、分科会のタイミングで進捗を御報告している資料です。前々回の昨年12月、前回が今年の3月で、審議と御報告をさせていただいた農薬及び添加物について、その後の進捗を記載した表です。いずれも、パブコメ又はWTО通報の手続について、順次進めているところです。全て順調に進んでおりまして、特に問題となるような案件はございません。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問をお願いいたします。よろしいでしょうか。特にないようですので、次に移ります。
 次に、令和3年食中毒発生状況についてです。事務局から御報告ください。
○福島室長 それでは、資料5ページ目からの令和3年食中毒の発生状況について、概要を御報告させていただきます。資料6ページを御覧ください。上段のほうですけれども、令和3年に発生した食中毒の事件数と患者数ですが、事件数が717件、患者数が1万1,080人、死亡された方が2名いらっしゃいます。下のほうにグラフで示しておりますけれども、こちらが過去20年間の食中毒事件数と患者数の推移を示したものになります。赤いバーが事件数で、青い折れ線が患者数となります。近年は事件数が大体1,000件ぐらい、患者数が2万人ぐらいでずっと推移してきたのですけれども、令和2年、令和3年と減少傾向にありまして、令和3年が過去20年間で最少レベルということになっております。ただ、令和2年、令和3年のデータだけを見て、これが着実に減ってきていると解釈できるかどうか難しいところでして、やはり新型コロナウイルス感染症の影響で皆さん手指消毒など一生懸命やってくださって、そういった効果もあるかと思いますし、また、緊急事態宣言ですとか、まん防による措置等で飲食店が時短営業されていたりとか、そういった影響もあろうかと考えられますので、今後どのように推移するかについては注意深く見ていきたいと考えております。
 続きまして、資料8ページ目を御覧ください。上段が患者数500人以上の大規模な食中毒事例でして、令和3年は2件ありました。1件目は富山市で発生した、小学校・中学校・保育所等で提供された牛乳を原因とする食中毒の事例です。こちらの患者数が1,896名となっています。病因物質については病原大腸菌OUT(血清型不明)H18となっておりますが、こちらの大腸菌からは、これまでに知られている既知の主要な病原因子というのは見付かっていないのですけれども、こちらの菌が患者さんの便や牛乳から優勢に検出されていることから、病因物質疑いとなっております。こちらの原因については、保健所の監視員のほうが立入りに入ってくださって、製造機械、設備等の洗浄ですとか、消毒等に不十分なところがあったのではないかということで、必要な指導が取られているところです。
 
 2例目は、倉敷市で発生した、仕出屋で提供されたお弁当を原因とするノロウイルスの食中毒です。患者数は2,545名となっていますが、こちらも従業員の方の便からもノロウイルスが検出されておりまして、また、調査によって、少し体調が悪いのに調理に従事されていた方もいたということが判明しまして、そういった調理従事者からノロウイルスが食品に汚染したのではないかと考えられております。こちらもこういった調理従事者の方の日々の健康管理の重要性というのが、再確認されるような事例となっています。
 下段のほうに死亡者が発生した食中毒事例をまとめております。こちらも2件ありまして、1例目は、小樽市で、イヌサフランを恐らく行者ニンニクと間違えて採取されて、それを喫食されたことによる食中毒事例が1例発生しております。2例目は、沖縄県の老人ホームで提供された食事を原因とするサルモネラの食中毒が起きておりまして、こちらも1名の方が亡くなられた事例となっております。
 資料を少し飛ばしまして、21ページを御覧いただきたいのですが、こちらが病因物質別の事件数の推移になっております。1位がアニサキス、2位がカンピロバクターによる食中毒、3位がノロウイルスによる食中毒ということで、近年はこの3つがトップ3を占めるという状況がずっと続いているところです。一方、次のページは病因物質別の患者数の推移になります。先ほど1位でしたアニサキスについては、患者が1名の食中毒事件が大半ですので、アニサキスが低くなって、こちらのほうの1位はノロウイルスによる食中毒、2位が病原大腸菌による食中毒、3位がウエルシュ菌による食中毒ということで、この3つも大体同じような傾向が続いているところです。
 こちらの対策については、昨年、食品衛生法の改正によりましてHACCPに沿った衛生管理が義務化されたところですので、食品事業者に対しては、引き続き衛生管理の向上に努めていただくように自治体を通じて呼び掛けてまいりたいと思いますし、消費者の方にも消費者サイドで予防できる食中毒も多くありますので、そういった注意喚起、予防啓発も引き続き行ってまいりたいと考えております。私からの説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。個々の食品を見ていますと、アニサキスがかなり増えているようにも思えますが、日本海では、サバだけではなくて、イワシ、アジ、トビウオなどにもアニサキスがいるという報告をテレビで言っておりましたけれども、その影響なのでしょうか。ただいまの事務局からの報告について、御意見、御質問をお願いいたします。
○津金委員 質問させていただきます。津金と申します。年齢階級別の食中毒の患者数のグラフで、20歳以上は着実に患者数が減っているみたいなのですけれども、それよりも若い年齢で少し増えているような感じで、そこら辺の違いというのは、例えば成人が外食が減って、若い人たちが給食とかそういう所ではなくなってきたとか、家で食べる機会が減ったとか、何かそういう分析はあるのでしょうか、教えていただければと思います。それから、ついでに、今、村田分科会長が質問されたアニサキスがどうして急に増えてきているのかということを、もう少し御説明いただけると有り難いと思います。以上です。
○福島室長 どうもありがとうございます。御質問は2つあったかと思いますが、1つは年齢階級別の食中毒の患者数の発生状況、資料で言いますと9ページかと思いますけれども、増えているところは、例えば先ほど御紹介したような病原大腸菌の食中毒というのが、1件当たりの患者数が2,000名近くあったりするものがありましたので、そちらに引っ張られて、グラフが飛び出ている所があります。ですので、これだけをもって、年齢別でこういった傾向があるというような解析はしていないところです。
 もう1つの御質問のアニサキスですが、例年のデータを見ていますと、今、何かアニサキスの食中毒の事件数が急に増えているといったようなことはありませんけれども、ただ、いろいろニュース等でも報道していただいて、皆さん注意していただいているということではないかなと考えております。
○津金委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 ほかによろしいでしょうか。
○二村委員 私からは、事例の中で出ていました富山県の牛乳の食中毒の件についてお伺いしたいと思います。詳細は今日は分からないかもしれないのですけれども。食品衛生研究の2022年1月号に、この事件の詳細のレポートが出ていたので、それを読ませていただきました。富山保健所から出ているレポートです。製造所に原因があって、しかも、素人目に読んでも、基本的な計測機器がきちんと動作していない、手袋などを交換していない、従業員の方への教育がきちんとされていない、消毒液が日光の当たる場所で保管されていたなど、基本的な従業員の方の教育も含めて体制ができていない中での食中毒だったのではないかと思いました。牛乳は保育園や小中学校のお子さん方が学校で飲んでいて、ある種、消費者としては防ぎようがないという食中毒でもありますし、起きた事例としては本当によくないというか、きちんと教訓として対策を強化していただきたいと思います。この件を受けて、何か今後に向けた対策ですとか、こういう点がやはり課題だと思っているとか、この事件そのものについての受止めみたいなことを、少しお話いただければと思いました。よろしくお願いいたします。
○福島室長 御質問どうもありがとうございます。今、委員にまとめていただいたとおりでございまして、今回の食中毒事例は、いろいろな一般的な衛生管理の不備といったところが原因となったのではないかと考えられているところでして、この件を受けて、私どもでも今一度、乳処理施設での衛生管理の監視指導を徹底してくださいということで、全国の衛生主管部局に通知を出してお願いしているところです。
 また、先ほどHACCPの話をしましたけれども、HACCPに沿った衛生管理をしっかりやっていただけるようにということで、業界団体が策定した手引書を通知しておりますが、こちらも今回の件を受けて、更に内容を補強すべく、今、修正について業界団体と検討しているところですので、そちらも固まりましたら、また皆さんに周知を図っていきたいと考えております。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。このほか、ございますでしょうか。
○穐山委員 8ページの食中毒事例の中で、沖縄県の給食施設の老人ホームでお一人亡くなられています。これはサルモネラ属という記載で、これは春雨に付いていたのか、ちょっとよく原因が分からないのですが、平成28年に老人ホーム向けに次亜塩素酸の処理の徹底ということで、一応、多分通知か何か注意喚起を出されていたのですけれども、それは守られていないということなのでしょうか。
○村田分科会長 事務局、分かりますでしょうか。
○福島室長 事務局です。今回の事例は、使用していた原材料の複数の野菜から原因菌が検出されておりまして、具体的にどの食材がということまでは分かりませんでした。それから、その施設における消毒状況も、今、すぐには分かりませんけれども、確かに先生が御指摘のとおり、こういったリスクの高い方がいらっしゃる老人ホーム等の施設で野菜を使用する場合には、しっかり消毒してくださいということで通知を出して、注意喚起しているところでして、今後も引き続き、そういった注意喚起を徹底してまいりたいと考えております。
○穐山委員 ありがとうございました。確か、そのときは腸管出血性大腸菌だったと思いますが、今回はサルモネラが原因というような理解でよろしいのでしょうか。
○福島室長 そうです。サルモネラ属菌のパラチフスBになります。
○穐山委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 ほかにございますでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、次の③第1回食品安全制度懇談会の開催状況について事務局から御報告願います。
○小谷補佐 事務局です。お手元の資料、通し番号34~36番に関連する資料を用意させていただいておりますので御覧ください。前回、こちらの場でも御報告をさせていただきましたが、令和4年3月30日に第1回食品安全制度懇談会を開催いたしました。当懇談会は、食品衛生を取り巻く環境が今後大きく変化していくことが見込まれることを踏まえて、食品衛生を取り巻く環境変化への総合的な対応に資するよう、食品安全等に係る制度の在り方に関して関係者に幅広く御意見を聴く場として開催したものです。座長については、当分科会の委員でもあられる合田幸広先生にお願いさせていただきました。第1回については、食品安全等に係る施策の実施状況や制度の在り方等について、構成員の方々から幅広く御意見を頂きました。現在、第1回における御意見等を踏まえて、引き続き議論を進めてまいりたいと考えているところです。この懇談会における議論については、適宜御報告させていただく予定です。1回目の議論の大枠については、36番に書いてありますけれども、こういった中身について議論いただきました。簡単ではございますが、第1回食品安全制度懇談会の開催状況に係る御報告については以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。以上で、審議事項と報告事項の議事は終わりました。今回、新たに着任されました森信二委員と高田信子委員が今日は出席されておられますので、それぞれの方に何か一言御発言がございましたらお願いしたいと思います。まず、森信二委員、どうぞ。
○森委員 森です。本日初めて参加させていただきました。事前に説明等も受けまして、そのときに質問等についてはさせていただいておりますので、申し上げることは特段ございません。ありがとうございました。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○森委員 よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 高田信子委員、どうぞ。
○高田委員 神戸市の高田と申します。よろしくお願いいたします。私も名古屋市食肉衛生検査所の村松所長の後任ということで、5月にお話を頂きまして、各方面の有識者の方々といろいろと良い意見交換ができましたら、諸々の業務にいかしてまいりたいと考えておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、最後に事務局から何か御連絡はありますか。
○浦郷委員 すみません、発言したいことがあります。
○村田分科会長 浦郷委員、どうぞ。
○浦郷委員 今回の議事と全く関係のないところなのですけれども、直近で起こっているダイエット食品や健康食品の健康被害について感じるところと確認したいことがありますので、発言させていただきます。ダイエット食品のチョコとかゼリーで健康被害が出ているということで、被害を受けた自治体で検査したところ、未承認の医薬品成分シブトラミンというのと、フェノールフタレインというのが検出されたということです。
 これに関して厚労省さんのホームページなどを見させていただいたのですけれども、6月の初めの頃ですが、7日にまず西宮市と千葉市からそういう報告があったということで、厚労省のホームページで報道各位へという情報提供とか注意喚起がされていました。ただ、これで報道の方々が、全国的に報道したというわけではなかったようなので、私が知ったのは6月18日ぐらい、まずヤフーの記事の配信で見ました。その間も相模原とか千葉などいろいろな所でこの事例が出て、それぞれの自治体では注意喚起はされていたようです。ただ、今回、ダイエット食品を皆さんはネットで買って被害に遭っているということが多いので、やはりネットを利用する方々にはネットでの情報提供というのが重要なのではないかと思います。
 Twitterのほうでは、国立健康・栄養研究所の健康食品の安全性・有効性情報というところで、最初の西宮と千葉の事例から、その都度きちんと情報発信されていますが、こちらのフォロワー数が8,000ぐらいで、なかなか広まらなかったのでしょうか。それよりも、厚労省のフォロワーは96万もあるのですから、何かそちらのほうで注意喚起ができなかったのかなと思います。今回、死亡が出たりとか、重篤ということではないのですけれども、やはり未承認の医薬品が出ていると、原因がはっきりしていますし、健康被害も出ているということなので、やはり少しでも早く消費者にこういう情報が届くと、その後の被害が減ってきたのではないかなということを感じました。
 やはり、今、ネットでいろいろなものを購入する人が増えています。ネット販売が広がっているということで、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法というのが新しく立法されています。ここでは、デジタルプラットフォーマーに対して危険商品の出品停止まで言えるのですが、今回は出品停止までということではないと思いますけれども、やはりデジタルプラットフォーマーへこういう情報提供とか注意喚起ができるのではないかなと思いますので、ここら辺は消費者庁とも是非連携して進めていただきたいなと思いました。
 1つ確認したいのですけれども、今回、これは個人輸入した方がネットで販売されたようなのですが、その販売者が特定できているのかもよく分からないのですけれども、個人輸入ということで厚労省では輸入食品について監視をしっかりやっていらっしゃると思いますけれども、やはり個人輸入に関しては、なかなか対応が難しいということで考えていいのかどうなのか。そこら辺を確認させてください。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ダイエット食品について、事務局でどなたかお答えできる方はいらっしゃいますでしょうか。
○森田室長 個人輸入のお話がありましたので、個人輸入に関して少し御説明いたします。食品衛生法の輸入食品の届出に関しては、販売の用に供する食品について届出を必ずしていただくという仕組みになっております。個人輸入は、正に個人が自己の使用の目的で輸入するものとなりますので、これは届出の対象外となりますが、では、個人輸入したものを販売してよいかと言うと、それはまた違ったことになります。実際上そういうことがありましたら、それは本来届出されなければいけないものが販売されたという形になるということです。以上です。
○村田分科会長 ということですが、浦郷委員、どうですか。
○浦郷委員 分かりました。
○村田分科会長 何かほかにございますでしょうか、付け加えたいこととか。ないようでしたら、最後、事務局にいきますが、今の情報提供についてでも結構ですが、いかがですか。
○合田委員 合田ですが、今紹介されたタイプの事件が、今、中核市で分析をするということになりやすいのですね。今、中核市の問題というのは、保健所はありますけれども、衛生研究所がない中核市が多いので、では、具体的にどこでどういう形で対応するのかということが、余りうまく整理されていないのかなと感じています。これは先ほど出ました制度の懇談会のような所もありますので、何かうまくその話を進められたらいいかなと思っております。中核市の制度そのものと、それから、何かトラブルが起こったときにどういう形で対応するのかというのが、まだうまく線引きされていないように感じています。その結果、今回のところは、かなり国立衛研の分析が回ってきたのですけれども、ちょっとそこら辺がどういう形で処理していくのかなと思います。従来でしたら、多分、それは県に行く形だったのですね。県の方がいろいろなことを慣れていらっしゃっていて、そういうシステムがあるのですけれども、どの場所で事件が起きているかというのがかなり影響するのかと個人的には思いました。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ほかに、今のについてでも結構ですけれども、ございますでしょうか。
○津金委員 国立健康・栄養研究所ですが、健康食品の安全性・有効性情報、HFnetというサイトを運営していまして、御指摘のようにTwitterや何かでもいろいろ発信はしているのですけれども、フォロワー数が十分でないということで、いろいろな外部の評価委員の方たちと、もう少し何とかこれを、せっかくいいことをやっているのだから、もうちょっと広めるようにしろという御指摘を受けていて、何らか認知度を高めるように今後、厚生労働省様とかいろいろな所と連携しながら、あるいは国立医薬品食品衛生研究所もある程度同様な情報を出していますので、うまく連携しながら、良い情報発信ができればなと考えています。どうも御指摘ありがとうございました。
○村田分科会長 どうぞよろしくお願いいたします。ほかにございますか。よろしいでしょうか。では、最後に事務局から何か御連絡すべきことがありましたらお願いいたします。
○小谷補佐 本日は、長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は、9月を予定しておりますが、詳しい日時等は、追って御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○村田分科会長 それでは、長時間の御審議、ありがとうございました。これをもちまして閉会いたします。暑さ厳しき折です。皆様におかれましては、御自愛くださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。