第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和4年8月4日(木) 10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○萩森室長補佐 それでは、定刻となりましたので、「第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事は、公開です。議事の様子はユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 続きまして、本日の出欠状況について御報告いたします。
 近藤委員から、御欠席の連絡を受けております。
 現在、委員7名の御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 続きまして、会議に先立ちまして、今回から本委員会の委員長に御就任の鈴木先生、委員に御就任の神谷先生より、簡単に御挨拶を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 このたび、本審議会の委員長を務めさせていただくことになりました、国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木基です。
 至らぬところはあるかと思いますが、精いっぱい務めさせていたただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○神谷委員 このたび、委員を拝命いたしました、国立感染症研究所感染症疫学センターの神谷です。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○萩森室長補佐 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認でございます。
 本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。
 資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号08の利益相反関係書類までを用意しております。
 資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局にお申し出ください。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森室長補佐 それでは、ここからの進行は鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から、審議参加に関する遵守事項等について、御説明をよろしくお願いいたします。
○萩森室長補佐 ありがとうございます。
 審議参加の取扱いについて、御報告いたします。
 本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について、申告をいただきました。
 各委員及び参考人からの申告内容については、資料番号08の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう御協力をお願いいたします。
 以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 続いて、議題に入っていきますが、その前に本審議会そのものの役割について、簡単に御説明をお願いできますでしょうか。
 事務局、よろしくお願いいたします。
○井本評価分析専門官 事務局から御説明申し上げます。
 今回より、鈴木委員長、神谷委員が新任となられましたので、事務局より、ワクチンの定期接種化のプロセスにおけます、本審議会、ワクチンの評価に関する小委員会の役割について、御説明申し上げます。
 本件資料といたしましては、この後御説明する資料1-1、9価HPVワクチンについての資料、右下のページ番号で17ページ目を御覧いただければと存じます。こちらは、本審議会の上位の部会となりますけれども、平成27年5月の第13回予防接種基本方針部会で示されたワクチンの定期接種化のプロセスに関する方針となってございます。この中で、それぞれこちらから申し上げますと、ワクチンが製造販売承認を得た後に、本審議会でございますけれども、ワクチン評価に関する小委員会において、予防接種法上の位置づけに関して審議を行うこと、広く接種を促進することの是非に関して検討を行うこととなった際には、評価・検討に必要な具体的な論点や科学的知見の収集方針について、この小委員会が可能な限り具体的な指示を行うこと、ファクトシートの作成については、国立感染症研究所で行い、作成後にはできるだけ速やかに小委員会を開催すること、小委員会は、報告されたファクトシートを基に、専門的知見を有する参考人の協力を得つつ、基本方針部会に提出する報告書の作成に必要な論点及び追加作業等を整理しながら作業を進めること、小委員会が評価に必要となる科学的知見、例としては、国内の臨床試験における有効性の評価、疾病負荷等の疫学状況等が不足していると判断した場合には、必要に応じて、必要となる科学的知見の収集を具体的に提案・指示すること、これらが示されております。
 この後の18ページ目は、ワクチン評価に関する小委員会、予防接種基本方針部会、及び、予防接種・ワクチン分科会での定期接種化の検討におけるそれぞれの役割がシェーマで示されております。
 また、その後、19ページは、よりマクロな視点で見ました定期接種化のプロセスが示されております。端的に申し上げますと、本審議会、ワクチン評価に関する小委員会におきましては、ワクチンの定期接種化のプロセスにおける厚生科学審議会のファーストステップとして国立感染症研究所に御作成いただくファクトシートに基づきまして、科学的知見を評価し、この上位となる基本方針部会に提出するための報告書の作成をすることが大きな役割とされております。
 本審議会の役割についての事務局からの説明は、以上となります。
○鈴木委員長 御説明をありがとうございました。
 本審議会に関しましては、基本的には、技術、エビデンス、ファクトベースで論点を整理していって、その次の意思決定につなげていく場であると理解いたしました。
 それでは、早速ですが、議題1に入っていきたいと思います。最初は、「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)について」となります。
 前回の本審議会ですが、ファクトシートに基づいて議論が行われております。定期接種化の是非について検討を要する論点については本審議会として結論が得られておりますが、残りの論点、つまり、定期接種の接種対象者、使用するワクチンの種類について、議論をしていくことになっております。
 それでは、事務局から、資料の御説明をよろしくお願いいたします。
○井本評価分析専門官 それでは、事務局から、9価のHPVワクチンについて、資料の御説明を申し上げます。
 資料1-1をまずは御覧いただければと存じます。
 右下のページ番号で1ページ目、まず、本資料の構成でございます。本ワクチンのこれまでの検討の経緯、次に、前回、第18回小委員会での議論のまとめ、そして、本日御議論いただきたい論点を3つ挙げております。
 3ページ目、これまでの経緯でございます。本ワクチンは、令和2年に薬事承認がされ、同年から本審議会での議論が開始されました。その後、令和3年1月に国立感染症研究所にファクトシートを御提出いただきまして、以降、論点を整理した上で、ファクトシートに基づく議論をメインに行ってまいりました。
 5ページ目でございます。前回、第18回小委員会の議論のまとめでございます。本ワクチンは、検討すべき論点として大きく2つに分けられておりました。前回の議論では、そのうちの1つ、定期接種化の是非について、ファクトシートに基づいて議論され、特に、既存の2価や4価と比較して9価がカバーできるHPVの遺伝子型が多いこと、9価で3回接種としても4価と比べて費用対効果が良好であること、安全性についても既存のものと比べて大きな懸念がないこと、これらのことなどから、技術的な観点から本ワクチンを定期化する上で問題はなく、9価のワクチンの定期接種化を前提として議論を進めていくことが了承されたところでございます。
 6ページ目、もう一つの大きな論点が定期接種化するとなった場合に検討が必要な項目でございます。この中には、先ほど委員長からもお話がありましたように、定期接種の対象者、定期接種に用いるワクチンの種類の検討が含まれておりました。これらについては、前回の本審議会においても先生方から御意見を承っておりまして、この下の枠内にまとめておりますけれども、こういった御意見を踏まえまして、次の7ページ目からの今回先生方に御議論いただきたい論点を整理したところでございます。
 8ページ目、残りの論点のうち、定期接種の対象年齢につきましては、現在の定期接種の対象年齢が小学校6年生から高校1年生相当の学年でございます。海外で広く実施されている2回接種の対象年齢が9~14歳とされておりまして、こういった年齢も念頭にこの定期の対象年齢をどう考えるのかという点がまず1つでございます。同時に、これまでの本審議会におきまして先生方から検討が必要であるという御意見を多々いただいておりました、海外で広く行われます2回接種も含めた接種回数の検討の2点について、ファクトシートには既にエビデンスの部分の記載がございますので、本審議会として整理が可能ではないか。もう1つの論点である定期接種で使用するワクチンの種類につきましては、前回の議論で御意見のあった、既存の2価や4価に比べて、有効性、費用対効果もよいことが期待される9価が定期接種化されたときに、既存の2価や4価の位置づけをどうするべきかという点について、国内外の使用状況を踏まえまして、本審議会としての検討が可能ではないか。このように整理させていただいた上で、この目次の3-1~3-3にありますように、3つの論点をお示しした次第でございます。
 9ページ目、10ページ目は、対象者の年齢についてでございます。10ページ目に、ファクトシートに記載の国内を含めた臨床試験や海外の対象年齢の状況を抜粋してまとめたものを記載してございます。現在の日本の対象年齢よりも低い年齢の9歳から高い年齢の最大26歳までのエビデンスがファクトシートには示されているところでございます。ちなみに、この後、12ページ目の接種回数のエビデンスの整理におきましても、対象年齢を広めに取ってある研究を記載しておりますので、論点の関係上、スライドを分けておりますが、こちらも併せて対象年齢の議論に御活用いただけるのではないかと考えております。
 11ページ目、12ページ目は、接種回数についてでございます。12ページ目は、同じくファクトシートからの接種回数、基本的には、3回と2回接種の比較のエビデンス、2回接種の導入状況の抜粋でございます。
 13ページ目から15ページ目は、最後の論点でございます定期接種に使用するワクチンの種類についてでございます。14ページ目は、国内の各種ワクチンの対象疾患、薬事承認の状況、及び、使用状況についてまとめてございます。15ページ目は、国外の主要先進国を中心とした各種ワクチンの使用状況をまとめております。このような客観的なデータをお示しした上で、9価の定期化以降のワクチンの使用について御議論いただければと考えております。
 この資料1-1の説明は以上でございますけれども、今回は、本議題において資料1-2を御用意しております。こちらは、御覧のとおり、これまでの本審議会での議論の内容をまとめた文書形式の資料となっております。先ほどの資料1-1の説明の中で、これまでの議論の経緯や、前回、第18回の議論の内容について簡単に申し上げましたけれども、それらの内容について比較的詳細にまとめております。今回の御議論の際に御参照いただけると幸いでございます。なお、本資料につきましては、今後、本審議会として議論が取りまとめられた際に作成される基本方針部会への報告書の原案とすることを目的としておりますので、そういった目でも御覧いただきまして、記載内容について、御確認、御了承いただけると幸いでございます。
 事務局からの本議題における資料の説明は、簡単でございますけれども、以上でございます。
○鈴木委員長 御説明をありがとうございました。
 9価のワクチンについて、今回議論すべき残りの論点として3つを挙げてもらっております。接種の対象年齢、接種の回数、定期接種で使用するワクチンの種類についてになります。これらの論点は、基本方針部会あるいは分科会でも取り扱うことになる論点と考えられます。この場では、よりテクニカルな部分あるいはエビデンスの部分について議論ができればと思っております。
 それでは、各論点について順番に議論を進めていければと思います。委員の皆様から御自由な議論をいただければと思います。御質問、御意見はございますでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。国立国際医療研究センターの氏家です。
 それぞれの議論の論点に関して、次の議論に挙がっている男性への接種にも関わってくる問題であることと、それぞれが関係するものですので、独立した議論は難しいかもしれませんが、全般的な意見を述べさせていただきたいと思います。
 対象年齢に関しては、接種回数との関連で、14歳以下であれば国際的に2回接種が標準的であるということに際して、現在、小6から高1までを定期接種の対象としている中で、年齢によって回数が変わるということが、プログラム上、実効性の点で分かりにくいのではないかという議論があったと理解しています。もう1点が、より低い年齢で接種を開始することによって、機能性身体障害の報告が減るのではないかということで、ドイツなどでは9歳からの接種を始めているところで、日本でも承認が9歳からありますので、9~14歳を軸に定期接種の対象となる年齢の変更を議論してはいかがかという話であったと思います。接種回数のところは添付文書に従うような形になろうかと思いますので、現在、国内での開発、添付文書の改訂のための作業が進められているところだと、前回の議論でも説明があったところですので、それに合わせて9~14歳に変えていくことは妥当な判断ではないかとは思います。
 回数に関しても少しコメントをさせていただきますと、WHOのデータを見ますと、HPVのワクチンを定期接種に使用している国が120か国ありますが、日本のように3回接種で定期接種を行っている国は3か国のみです。ほかの117か国については、一部データがないものもありますけれども、2回以下の接種でプログラムを行っていますので、できるだけ早くそういった2回接種を実現していくことが重要だろうと考えています。また、ファクトシートの中にはまだデータが更新されていませんが、今年の4月にWHO SAGEでは1回接種の有効性が取りまとめられていて、まだポジションペーパーには反映されていませんが、先月はアメリカでもACIPでHPVワクチンの1回接種の導入について議論が開始されているところです。日本はまだ3回接種ですけれども、できるだけ早くそういった議論にキャッチアップができるような対策が重要だろうと思います。
 最後、接種の切替えに関して、前回の議論では、4価と9価を比べた際に、費用対効果でも9価が望ましいとされているところですので、効果は当然9価のほうがカバー範囲は広いですので有効と考えられることに鑑みると、9価が使用できるようになった際に、4価を使用するメリットが公衆衛生上はなくなってくるのではないかとは思います。ただ、これは男性の接種適応も関わってくる問題かと思いますし、4価でしか男性での接種が承認されていないところもありますので、そういったことも踏まえて検討を進める必要があります。今年度からキャッチアップ接種を行っていますので、今年度に25歳になる人までだったかと思いますけれども、そこで9価を使用できるのかどうかという問題もあると同時に、9価が定期接種化される方針になったときに、現在、4価を接種すべき人が接種控えをしないようにしっかりと働きかけていくことも併せて重要だろうと考えています。ワクチンを接種してからでないと予防ができませんので、特に接種の機会を逃しているようなキャッチアップ接種の対象者の方には、できるだけ早く接種をキャッチアップしていただくという観点も重要だろうと考えています。
 すみません。長くなりましたが、私からは以上です。
○鈴木委員長 氏家先生、どうもありがとうございました。
 そのほかの委員の皆様からは、御意見はいかがでしょうか。
 大藤先生。
○大藤委員 ありがとうございます。
 私も、氏家先生の意見と同じなのですけれども、対象者を何歳からとするかという点につきまして、若い年齢で打ったほうが免疫原性もいいというデータもございますし、また、安全性の面で見ましても、諸外国で9~14歳で広く行われていて特に大きな懸念もございませんので、9~14歳が妥当かと思っているところです。
 接種回数とかにつきましても、2回が広く行われているところでございますので、将来的に添付文書とかも含めてそういった方向かと考えています。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 そのほかの委員の皆様はいかがでしょうか。
 原先生。
○原委員 私も、先生方と同じく、接種年齢については、9~14歳の若い世代にすることで回数も減らせるということであれば、よりよいと思います。
 今後のキャッチアップ接種の方たちのこともありますので、接種回数や使用できるワクチンについていつのタイミングで切替えをしていくのかというところも重要になってくると思いますけれども、取りあえず9価に関してということであれば、まずは9~14歳の2回接種で、添付文書の改訂が行われた時点で定期接種化ができればいいのではないかと考えました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 委員長、事務局から確認が1点ございます。
 今、先生方に9~14歳が望ましいという御意見をいただきましたけれども、これは9価で2回を考えたときの年齢ということで、最後の海外の接種のところにも書いてあるとおり、海外では15歳からは3回という形になっております。日本が、今、年齢でいうと大体12~16歳という年齢となってございますので、9~14歳を2回接種として切りとるというよりは、15~16歳も3回接種として残すようなイメージという理解でよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 委員の先生方、いかがでしょうか。
 原先生、いかがでしょうか。
○原委員 それに関しても、実際に15歳以上だと3回のほうが好ましいのでしょうけれども、年齢や学年によって接種回数が変わっていくことは、とても複雑になっていくという議論もあったと思うので、15歳では打てないとなってしまうとまた問題かもしれませんが、定期接種化するに当たって望ましい接種期間みたいなものをきちんと示していくことがいいと思いました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 接種期間が短くなるというか、上限が14歳までになることに関してデメリットのように感じる方も多いかもしれませんけれども、適切な年齢で接種率を上げることも非常に重要だろうと思います。今、標準的接種年齢として、中1で通知が送られてくるところかと思いますけれども、例えば、MRワクチンの第1期と第2期などは接種できる時期が1年間と限定されている中で95%を目指す形で、だらだらしないでその期間にしっかり接種するといった考え方もできるかと思います。私も、原先生と同意見で、上限が短くなって2回接種、14歳は一つの方法かと考えています。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 神谷先生、お願いします。
○神谷委員 これまでの議論にライブで参加していたわけではないのですけれども、こういった定期接種で入ってくるワクチンが増えてきている中で、これまでずっとできていなかった同時接種がかなり普及してきました。せっかくワクチンが導入されるのに接種率が上がらないということがないように、1回の受診でいろいろなワクチンを同時に打てるような環境をつくることもこれから考えていかなければいけないことだと思います。そういった意味で、9歳からに延びるということは、日本脳炎やDTといったワクチンを打つときに一緒にHPVも受けるプラットフォームができるという意味で、非常にいいことだと考えております。
 以上です。
○鈴木委員長 神谷先生、ありがとうございます。
 菅沼先生。
○菅沼委員 基本的には皆様と同じ意見で、9~14歳での接種が、ある意味では、今までの大きな枠を変えずに2回接種ができるというところでは、やりやすいかと。どうしても15歳からの壁のところを超えるといろいろと煩雑なことが起こるので、そういった対象年齢に変えることはよいのではないかという皆さんと同じ意見です。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
○井本評価分析専門官 委員長、事務局でございます。先生方、本当にありがとうございます。
 ちなみに、今回、ファクトシートに基づいたもので、9歳からということでお話しいただいているのですけれども、例えば、今、キャッチアップが行われている中で、その上の年齢にという話になる可能性もゼロではないと思っております。そのための材料として、このファクトシートベースでいうと、3回になりますけれども、エビデンスとしては26歳までという形で示されている中で、こちらについても特に技術的に問題はないという形でよろしいでしょうか。一応その確認だけさせていただければと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 この審議会の位置づけは、最初にお話がありましたように、この場で決めるわけではなくて、技術的にこのようなオプションは可能なのか、あるいは、エビデンスがあるのかといったところを確認する場だと思います。そうした意味では、今ここまでに挙がった論点としては、9~14歳で接種することが望ましいという論点が挙がったわけですが、エビデンスベースドでいった場合、年齢を今よりも下げる、9歳からにすることに問題がないことと同じように、高校1年生以上に接種を広げること自体にも、エビデンスという観点から、問題がないかどうかということをこの場で確認できればと思います。
 氏家先生、御意見はありますでしょうか。
○氏家委員 ありがとうございます。
 日本だと、承認に上限年齢の制限がないので、何歳であってもHPVを接種できることになっていますし、実際のエビデンスで見ると大体45歳くらいまで子宮頸がんでの予防効果が報告されていて、アメリカですと27歳までは男女とも全て接種をキャッチアップすべきという推奨になっているところです。当然15歳以上であっても接種の医学的な推奨はされるところだろうと思います。併せて検討しておいたほうがいいことは、接種回数だと思います。先ほど申し上げたように、1回接種という議論が国際的には始まっていますので、その中ですと、20歳以下であれば1回接種でも可能という議論になっています。また、男性は、エビデンスが足りていないという議論があります。今回、定期接種ですので、製薬会社が申請する接種回数の変更に依存してしまう部分だろうと思いますけれども、その申請があった後のさらなるキャッチアップについても、製薬会社と協力の上で、更に接種回数を減らすという議論についていけるデータの収集を今から依頼していくことは重要な観点だろうと思います。
○鈴木委員長 氏家先生、どうもありがとうございました。
 ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。
 池田先生。
○池田委員 池田でございます。
 すみません。聞き逃したかもしれないのですが、接種年齢を早めるとしたとき、このワクチンの長期的な有効性がどこまで確認できているのでしょうか。単純に言えば、3年早く打てば3年早く効果が減るのではないかとか、そういうことがあると、接種年齢を早める方向だけでは有効性なり費用対効果の観点からは課題があるような気もいたします。そこは、聞き逃していたかもしれませんが、いかがでしょうか。
○鈴木委員長 氏家先生、御意見、コメントはありますでしょうか。
○氏家委員 ありがとうございます。
 ACIPの資料を見る限り、1回接種にするという議論の根拠は、1回接種しただけでも10年間は免疫原性が保たれるというデータに基づいて議論がされていると理解しています。何歳で接種するかという問題もありますが、少なくとも2回接種で10年以下での免疫原性は問題がないと考えられますし、1回接種でも、ある程度、同等の免疫が保たれるというエビデンスになっていると理解しています。
 以上です。
○鈴木委員長 池田先生。
○池田委員 長期的な有効性に関して回数によっての差異がないことは分かりましたが、年齢を早めに打つことによりいわゆるセクシュアリーアクティブな年代をカバーするという、何歳に打つことが適当なのかということです。イギリスなどだと、費用対効果の分析のときにそうした情報も使いながらその年齢を決めていっていると認識しております。要するに、接種年齢はそういったものとの関連も考えていく必要があるかと思いまして、発言させていただきました。
○鈴木委員長 氏家先生。
○氏家委員 何度も、すみません。
 仮に接種の対象上限が14歳になった場合であっても、現在の標準的な接種年齢が、中1、13歳ですから、現在と同じやり方であっても13~14歳にかけて2回接種をしていただくという形で、現在、定期接種となっている水痘などでも1~2歳にかけて2回接種という形で問題なく接種ができている状況ですので、大きく接種年齢の開始時期を下げるというよりは、標準的な接種年齢をどこに置くかという問題もあるかもしれませんが、現行のままであっても、2回接種に移行すること自体は可能かと考えた次第です。
 以上です。
○鈴木委員長 氏家先生、どうもありがとうございました。
 そのほか、今回の論点につきまして、御意見はございますでしょうか。
 原先生。
○原委員 ちょっと出てきましたけれども、初交年齢より前に接種することで有効性も高い状態を保てると思いますので、期間はもちろんあるかもしれませんが、1回でも10年の免疫原性が保たれているということであれば、早い年齢に設定しておいて初交開始より前に確実に1回は接種できる仕組みになっているほうが望ましいのではないかと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 原先生、ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 おおむね論点はそろったかと思います。
 神谷先生。
○神谷委員 スタートが早まることに関しては、9価になってカバーする方が増えるので、そこはいいと思うのですけれども、上に関して、多価のワクチンで議論になる、1回罹患しても打ったほうがいい、ほかの成分や遺伝子型のものをカバーするということで打ったほうがいいという話がよく出てくると思うのです。自分の調べ不足で、すみません。26歳以降で、外国のいろいろなレコメンデーションを見ると、既にその時点では感染しているからあまり打つ意義がないみたいな書き方をされていますけれども、15価に入っているものの日本の年齢分布、日本のデータがどこまであるのかを存じ上げないのですけれども、外国の年齢と合わせるというだけでいいのかということだけ、今、自分で判断しかねるので、皆さんの御意見を聞けたらと思いました。
○鈴木委員長 神谷先生、ありがとうございます。
 委員の皆様、事務局でも、何か情報をお持ちでしょうか。
 データを確認する必要があるかと思いますので、そちらは引き取って確認ということにさせていただきたいと思います。
 今回、論点は3つございます。対象年齢と接種回数については随分と御意見をいただいておりますが、3つ目、ワクチンの9価を使うことになったときに現行の2価及び4価の取扱いをどのようにしていくのかについて、最初に氏家委員からはコメントをいただきましたが、そのほかの委員の先生方から御意見はございますでしょうか。つまり、2価、4価の扱いについてということです。
 大藤先生。
○大藤委員 ありがとうございます。
 将来的に9価を軸にというところでいいかと思うのですけれども、選択肢としては2価と4価に関しても置いておいたほうがいいのではないかと思っております。安全性の面で、全身的にはあまり変わりはないということですけれども、ほかのワクチン、4価や2価を希望される方もいらっしゃるかもしれませんし、有効性とかを考えると9価がいいのでしょうけれども、いろいろと情報を見ながら選べる選択肢があってもいいと思っています。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。
 池田先生。
○池田委員 9価の供給の状況にもよると思いますので、当面はほかのものも選択肢として残すことが適当ではないかと考えます。
 御意見を伺って感じたのですが、接種を受ける方は何価のワクチンと選べる状態になるのですかね。今、コロナのワクチンの場合は選べるのです。以前は、2価か4価か、病院に行ってみないとどちらだか分からなかったし、両方はなかったのですよね。行ったら2価だったとか、そういうことなので、そこが選択できるような状況になるのかどうかということも一つあるかとは思います。
 いずれにしましても、将来的には、有効性・安全性、費用対効果の観点で、9価が最も望ましいということであれば、そちらに標準的なものを設定していくことが妥当だとは考えております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 池田先生の御指摘のとおり、例えば、当院では、2価を受ける方がほとんどいないので、在庫として院内に2価のワクチンを用意していないです。本当に必要な方は、事前に予約していただいて、院内採用はあるので、受診の前に卸業者から納入して接種する形になるかと思います。安定供給という観点では、複数の種類のワクチンを使用できるようにしておくという考え方もあると思いますが、流通量に異存する部分もあるだろうと思います。2価と4価と9価を比べてみると、4価と9価が同じメーカーなのですね。つまり、製造方法が同様になります。2価は、アジュバントが違いますし、差別化し得るかと思いますけれども、4価と9価の違いは男性の接種適応があるかどうかというところだけなので、次の議論でもありますけれども、男性の接種を今後はどうしていくのかということにも関係してくるかと思います。
 もう1つだけコメントをさせていただくと、過去には、小児肺炎球菌ワクチンの定期接種化の議論で、最初にPCV7が2013年に定期接種化されて、翌年には13価に変わっているのですけれども、そのときには完全に7価の流通を中止して13価に切り替えています。それは、安定供給ができるという前提で、異なる有効性のワクチンが同時に流通することでの市場の混乱を防ぐということもありました。その後、PCVの10価のものが開発されたのですけれども、その定期接種化をするかという議論の中で、13価があるから10価は、定期接種プログラムには不要という結論だったので、そういった選択肢を与えることによるデメリット、医学的な有効性と費用対効果という観点でも、被接種者の費用負担が同じで費用対効果が高いのであれば、9価ワクチンが接種の主体になってくるだろうとは思っています。
 以上です。
○鈴木委員長 氏家先生、ありがとうございました。
○井本評価分析専門官 委員長、事務局から、2点でございます。
 1点目は、今、池田先生、氏家先生からお話のありました、2価と4価と9価で選べるようにするかというところなのですが、一つの考え方としては、この小委での話というよりはおそらくこの後の基本方針部会での議論になると思うのですが、現状、キャッチアップ接種において、過去に積極的勧奨を差し控えられていたのは8年ぐらいですので、当時打ったけれどもしばらく止めていた、キャッチアップで残りの回数をしたいという方に示しているものは、原則、同じタイプのワクチンでやっていただく、ただ、どうしても過去に接種したものが分からない場合については、担当医と相談の上で、2価と4価のどちらを打つか決めていただく形にしています。その議論は、基本方針部会で、キャッチアップにおける交互接種の可能性のエビデンスの整理をした経緯がございます。今後、どういう議論になるかということはこの後になると思うのですが、そういった前例も含めて、恐らくそれが踏襲される形になるかと思うのですが、先ほど御意見がありましたように、供給量という問題もございますので、総合的に勘案して今後決めていただくことが想定されるということは、事務局からお伝えいたします。
 もう1点、先ほど神谷先生から御意見をいただきました確認なのですが、年齢に関して、上限という意味で、海外と合わせるような形についての情報が何かあるかという御指摘だったと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○神谷委員 私への質問に関しては、そうです。いろいろなエビデンスというか、国によって違うところもあると思いますので、そこを確認した上で、合わせていいのか、それとも日本独自の使用年齢を考えるべきなのかというところは、何か判断材料があったほうがいいのかなという考えで質問をしました。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。
 恐らく、上限についても、この後、どういう論点になるかということはありますけれども、過去にキャッチアップ接種の議論をした場である基本方針部会や予防接種・ワクチン分科会でどうするかという話になる可能性が高いという中で、一度小委員会の意見としてそういった御意見があったという形でまとめさせていただいて、この後の上限の議論について、改めてそこの場で検討させていただくような形で引き取らせていただければと思っております。
 以上です。
○鈴木委員長 神谷先生、よろしいでしょうか。
○神谷委員 承知しました。ありがとうございます。
○鈴木委員長 そのほかはいかがでしょうか。
 おおむね委員の皆様から御意見をいただいたかと思います。本当に具体的で活発な御意見をいただいたかと思いますが、本審議会の役割として今回挙げられております3つの議題について、まとめていきたいと思います。
 まず、1つ目の接種の対象年齢についてです。今の定期接種の対象年齢である小学校6年生から高校1年生相当ですが、具体的な年齢の数値はありませんけれども、仮に現行よりも前倒しになった場合もしくは後ろ倒しになった場合でも、技術的に懸念があるわけではないといった結論をこちらとして決めてよいかということですが、いかがでしょうか。
 委員の皆様、御首肯いただいているかと思います。それでは、そのようにさせていただきます。
 2つ目です。接種の回数ですが、仮に2回接種となった場合でも技術的に特段の懸念はないという結論でよろしいでしょうか。
 御首肯いただいているかと思います。
 3つ目です。9価のワクチンが定期接種化された場合、2価及び4価ワクチンの取扱いにつきまして、当面の間は全てのワクチンを使用可能な状況にしておくことが望ましいということでよろしいでしょうか。
 御首肯いただいているかと思います。
 それでは、こちらの3つの論点については、そのように今回の審議会でまとめさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局におかれましては、今回の結論を踏まえた上で、今回御提示いただいておりますまとめ案を最終的に基本方針部会への報告書としてまとめていただくということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の2つ目の論点に移りたいと思います。次は、HPVワクチンの男性への接種になります。
 こちらは今回の審議会で始めての議論となりますが、事務局から、御説明いただけますでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局から、資料を御説明申し上げます。
 本議題につきましては、資料2に記載してございます。
 右下のページ番号で2ページ目、HPVワクチンの男性への接種に関する経緯と本審議会で定期接種化のプロセスに入る目的を記載してございます。まず、令和2年に4価のHPVワクチンにつきまして、それまでは女性の子宮頸がん等への適応だったものが、男女の肛門がん及び男性の尖圭コンジローマに対しても適応が拡大されたところでございます。今般のHPVワクチンをめぐる動きの中で、女性の子宮頸がん予防を主目的として、今年度から、積極的勧奨の再開、キャッチアップ接種が実施されているところでございます。また、本審議会におきましても、女性に対する9価ワクチンの議論を先ほど進めていただきましたけれども、それらの議論の中で、男性への接種につきましても、国外で定期接種プログラムで接種されている国があることから、この審議会だけでなく、副反応検討部会を含めまして、ワクチンに関する審議会において、これまでに様々な委員の先生方からその検討の必要性について言及されてきたところでございます。こうした背景もございまして、HPVワクチンの男性への接種につきましては、既に薬事承認されているワクチンとして予防接種法上の定期接種に位置づけるかどうかの議論を開始することにつきまして、本審議会でお諮りしたいと考えております。
 3ページ目は、本審議会の冒頭でも御説明したとおりでございます。こちらの資料でも5ページ目に記載しておりますが、既にファクトシートが作成されているものにつきましては、最新の知見についての情報収集を行い、既存のファクトシートに追加することが示されているところでございます。HPVワクチンについては、平成22年、令和3年に、国立感染症研究所にファクトシートを御作成いただいております。そのため、男性のHPV関連がんについての最新の知見を中心に、こちらに記載の追加をお願いすることとしてはどうかということについて、先生方の御意見を承りたいと存じます。なお、HPVワクチンにつきましては、ほかのワクチンと異なりまして、がん予防という観点が大きいものでございます。その点を考慮し、可能であれば、国立がん研究センターなどの御協力も得つつファクトシートを作成いただくことを御提案申し上げたいと存じます。厚労省としては、国立感染症研究所は、現在、コロナウイルス感染症対策の対応等で、過去にファクトシートの御作成を依頼したときよりも業務負荷が大きいと考えております。その負担軽減を図る意味で、通常は6か月程度としておりますファクトシート作成期間の目安につきましては、厳密にその期限を設定することとせず、おおむね今年度中をめどにという形で御作成いただくこととしてはどうかということも、御了承いただければ幸いでございます。
 事務局からは、以上でございます。
○鈴木委員長 御説明をありがとうございました。
 今、事務局から論点を挙げてもらっております既に薬事承認されておりますHPVワクチンの男性への適応拡大を踏まえて、男性に対する接種の定期化の是非について本審議会で議論すること、議論の前提となるファクトシート作成については既存のファクトシートに最新の知見を追加することについて、委員からの御意見をということになっております。委員の皆様、御意見あるいは御質問はございますでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 何度も、すみません。
 男性への接種に関しては、もちろん賛成です。先ほどWHOの定期接種の状況ということでお伝えしましたけれども、WHOのデータだと男性に接種している国が39か国あるとされています。男性に接種する意義としましては、当然、感染症は女性だけの問題ではありませんので、男性から女性、女性から男性、同性間でも感染し得るものですので、男性にも接種していく意義はあるだろうと考えています。また、欧米などでは、HPVで、頭頸部がん、咽頭がん、喉頭がんが増えている状況です。以前から長期に渡り、女性を中心にHPVを高い接種率で実施している国ですと、子宮頸がん以上に頭頸部がんが増えている状況もあります。一部、既に独自の助成制度の中で男性へのHPV接種を開始している国内の自治体もある状況ですので、こういった流れに合わせて、男性への接種を推進していくことは重要な観点だろうと思います。
 今後、感染研でファクトシートを作成するに当たって、半年、6か月をめどに作成という規定があるところです。こういった状況ですので、お忙しいところだとは思いますけれども、早期に対応を進めていくことが望ましいのではないかと考えているところです。
 私からは、以上です。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
 池田先生、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
 これについて、特に海外だと思いますけれども、国内外の情報のアップデート、それに基づく意思決定を進めていければと思います。男性への接種については、確かに行っている国は多いようなのですが、費用対効果の観点を考えますと、同じお金をかけるなら女性の接種率を上げたほうが費用対効果の観点からは望ましいとか、あるいは、今後、9価も男性への適応があるとすれば、そういったことが日本でも可能になった場合の将来的な状況とか、様々な点からの検討が必要であるので、ファクトシートについてもその部分も含めて情報などをいただけるといいと思いました。費用対効果の観点だけからいくと、海外の論文などを見ると、男性の方でハイリスクの方に限定することが費用対効果はいいのですが、倫理的・社会的にそれが実現可能かどうかということもいろいろと議論があるようでございます。そうした観点なども、もし情報があれば、その意思決定の際に参考になるのではないかと思います。
 以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 原先生。
○原委員 ありがとうございます。
 ファクトシートの作成は大変かと思いますけれども、男性への接種が進んだ国で女性に対する集団免疫効果のようなものが見られているのかといった観点の情報もあると、費用対効果を設定する際に、例えば、ワクチンの価格が下がる等、男性とともにすることでよりよくなるといった検討が可能になるかと思いますので、そういった情報もあれば、収集できたらありがたいと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 菅沼先生、お願いします。
○菅沼委員 女性の接種、9価の話と関係するかとは思うのですけれども、議論の時間の流れがどうなっていくかですね。ファクトシートができて男性についての議論に時間がかかっていくと、9価が入ってくる形になったときに、供給の問題とかがあるので、4価よりも9価に変えることがよりクローズアップされてくる可能性はあるかと。子宮頸がん以外に、肛門がん等々については、4価でカバーできない部分がより大きな問題になってくるかと思いますので、そういった意味で、9価の適応がより考慮される、時間がたてばたつほどそういった形になっていくかもしれないと考えています。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 ほかに、委員の先生方、いかがでしょうか。
 おおむね、委員の先生方の御意見は、まず、男性接種については前向きな御意見が大半であったかと思います。加えて、男性接種を前提として本審議会での議論を進めていくことについても、恐らく異論はないかと承知いたしました。具体的には、既存のファクトシートに男性に関するファクトを追加していく形でということになっておりますが、ここの部分について、特段、追加の御意見はございますでしょうか。
 神谷先生、特にこのファクトシートの部分について、何か御見解はございますでしょうか。
○神谷委員 ファクトシートをつくるということで、コメントがしづらいなと思って伺っていたのですけれども、いろいろ時期についても御考慮いただいたのですけれども、年度末でも、6か月から7か月に延びるだけであまり変わらないのです。
 1つ、ファクトシートをつくる上で気になることは、ある程度、どのように接種していくかというか、9価なのか4価なのかでも多分調べる内容とかが大分変わってくると思うので、4価と9価で、4価は男性で9価は取りあえず男性を承認しないでといくのか、一気に男性でもいくのか、その辺で大分調べるファクトが変わってくるとこちらでも考えていたところです。その辺で、何か見通しみたいなものはあるのでしょうか。
○鈴木委員長 恐らく今はなかなか明確ではないと思いますが、あくまでも御意見のお伺いということで、委員の先生方から何か御見解はございますでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 恐らく、池田先生がおっしゃられたように、費用対効果の観点が非常に大きいだろうと思うことと、定期接種ですので、どうしても承認を得ること自体が前提になってくると思います。メーカーと、予防接種室ではなくて審査課だと思いますけれども、男性の適応については、そういったところとの関係が大きいと思いました。一方で、各国を見ますと、4価から男性の接種は始まっていますし、現在ある承認状況を踏まえての評価が前提になるかと考えました。もちろん、今後のことを見据えれば、国際的なトレンドにキャッチアップをしていくという観点では、9価を使った評価も当然必要になってこようかと思います。また、作成するのはファクトシートですので客観的なデータであれば国内承認の有無に関わらず男性への評価に9価が入っていても問題はないとは思うのですけれども、評価の中心としては、日本の現状の制度の位置づけがメインになってくるかと、個人的には、考えました。
 以上です。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 それでは、おおむね御意見をいただいたかと思います。
 本審議会としましては、HPVワクチンの男性への接種について引き続き議論を続けていくこと、その前提となりますファクトシートについては国立感染症研究所で準備を進めていくことをまとめさせていただきたいと思います。その点はよろしいでしょうか。
 御首肯いただいているかと思います。それでは、感染研でのファクトシートの作成をお願いしますといいますか、私も感染研の立場ですけれども、進めていくということでいきたいと思います。
 ただ、事務局からも御説明いただきましたように、通常は6か月程度となっておりますが、作成の期間については御配慮いただきたいということで、よろしくお願いいたします。
 続きまして、3つ目の議題に移りたいと思います。百日せきワクチンを含む混合ワクチンについてです。こちらは、本審議会で既に議論いただいているところです。
 事務局から、今回、まとめ案を作成いただいておりますが、説明をよろしくお願いいたします。
○井本評価分析専門官 事務局から、御説明申し上げます。
 本議題に関連する資料は、資料3でございます。
 ただいま、委員長からお話しいただきましたように、本件につきましては、前回、第18回の審議におきまして先生方に既に御了承いただいた点につきまして、今後、基本方針部会に報告するための取りまとめ案についての御了承を目的としております。
 百日せきワクチンを含む混合ワクチンにつきましては、百日せきによる乳児の重症化予防の観点から、これまで本審議会で複数回にわたり御議論いただいておりますが、6つの案が示されておりました。こちらは、資料3でいいますと2ページ目の上のほうに記載しているマル1からマル6でございます。これらのうち、検討可能なものから検討していくという方向性の下、現在開発中で、前回の審議の後に薬事申請がされましたが、国内2企業から申請が行われております5種混合ワクチンの開発が、Hibワクチンの追加の観点から、もともと生後2か月からの接種を想定して開発されていること、その治験データの中で百日せきワクチンを含む混合ワクチンの生後2か月からの接種と生後3か月からの接種における各含有ワクチンのデータが示されていること、これらのことから、前回、マル3の接種開始月齢を現行の生後3か月から2か月に前倒しという点について議論を行っていただき、有効性・安全性、また、費用対効果の観点からも、技術的には問題がないという御結論をいただきました。
 この資料におきましては、この議論の経緯を含めまして、報告書案として記載しております。こちらの資料を基本方針部会への報告書とすることについて御了承いただきたく存じます。
 事務局からは、以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 今回、基本方針部会に報告するための議論のまとめ案を御提示いただいております。
 ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。
 原先生。
○原委員 すみません。「てにをは」的なことで申し訳ないのですけれども、2ページ目のさっき読み上げていただいた「検討可能なものから検討を実施していく方向性の下」が、検討していないものもあるような感じがしたので、「対応可能なものから検討した」とか、そういう書き方のほうがいいのかなと思いました。本質的なものではないのですけれども、「検討」という言葉がいっぱい出てきて、きちんと評価できていないようなイメージを持たれるかと思ったので、コメントです。
 以上です。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
 原先生、御指摘をありがとうございます。
 まさに御指摘どおりだと思いますので、こちらの部分は記載を修正させていただきたいと思いますし、こういう御意見は大歓迎でございますので、ぜひこの場でいただければと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 この百日せきの接種開始年齢で、その議論の目的が、できるだけ接種を早く開始することによって、百日せきにかかる乳児を減らす、乳児死亡を減らすということが目的だと理解しています。そういう観点では、今、実施可能なものから対応するという方針に私としては全く異存がないところですけれども、海外での対策状況を見ますと、百日せきワクチンでの免疫原性が大体3~5年ぐらいで低下してきてしまうというところが問題になっていて、日本でもパンデミック前には学童を中心に1万6000人ぐらいの百日せきが全数把握になって報告されていたところだと思います。そういう意味で、乳児の死亡対策は妊婦への接種に国際的には戦略が移っていますので、現行、承認状況といった観点で実施できないということは同意するのですけれども、妊婦への接種による安全性と有効性のデータについてしっかりと評価していく必要があることについてはコメントをさせていただきたいと思います。
 併せて、次の議題にも関わってくるかもしれませんけれども、追加接種を就学前に接種すべきという議論もDTの議論の中であったところだと思いますので、DTをずらすのか、DPTだけにするのかとか、接種スケジュールで、3+1になっていて、0歳で3回、1歳で1回接種しているところ、肺炎球菌なども同じような議論がありますけれども、WHO等に合わせて、2+1+1のような形で、0歳で2回、1歳で1回、就学前にもう1回接種を行うという選択肢も、現行上はできるのですけれども、そういった議論もあるかと思います。データで安全性と有効性を確認して判断していますので、この方針については問題がないのですけれども、接種間隔のところについて、前回も少し議論させていただきましたけれども、接種間隔をある程度空けることで免疫原性が改善するという議論もあって、2+1などでやっている国では、現行の日本でやっている3週間隔とかではなくて、2か月は空けるという形が取られています。もしそういったプライマリーの接種回数を検討する必要がある場合には、接種間隔についても同時に議論していくべきかと思いました。
 私からは、以上です。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。
 神谷先生。
○神谷委員 ありがとうございます。
 2か月に前倒しするということですけれども、先ほどのHPVのときにも少しお話ししたのですけれども、スケジュールが複雑化している中で、Hibや肺炎球菌と一緒に接種できることが非常に大事だと思います。そういった意味で、まず、1つ、2か月という選択肢ができることはいいことだと思います。
 この資料の4ページ目にある年齢分布は、多分私の研究班でDPTと一緒にやっている結果だと思うのですが、ワクチンを打てば打つほど発症する人が少なくなるということで、3回を早く受けることが大事だと私は思っています。ジフテリアと破傷風のことも含めて、私個人としては、2+1はあまり賛成していないのです。
 もう一つ、このグラフに入っていないものは、報告書には書いてあると思うのですけれども、ワクチンの接種回数が少ない、かつ、小さいお子さんのほうが重症化しやすいというところもあります。数だけではなくて重症度という点からも、早めに小さいお子さんがワクチンを打って抗体を持つことは、小さいお子さんの重症化を防ぐという意味で、有効な手段だと思います。いろいろな意味で、この2か月への前倒しは理にかなっているものではないかと考えます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。こちらのまとめ案に関して、何かここを変更したほうがいいとかはございますでしょうか。
 原先生。
○原委員 氏家先生もおっしゃっていたように、6つ案があった中の1つがまずは対応できるということで、今回、実施しましょうと提案することになったと思うのですけれども、ほかの案についても、追加接種の件とか、検討する課題が残っているので、そういったところも少し記載しておいたほうがいいかと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 原先生、ありがとうございます。
 前倒しについては記載されておりますが、そのほかの議題についても引き続き議論が必要であるといった記載を追加してはどうかということです。多分ほかの委員の先生方も異論はないのではないかと思いますが、事務局、それは可能でしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
 ありがとうございます。
 5ページ目の「5.その他」の2つ目は、本日御参加できなかったのですけれども、岡田参考人から御指摘を承りまして、この2つ目のポツでほかの5つの案についてもこの小委員会において実施していくことが望ましいという文言をつけさせていただいております。この場で先生方にもうちょっと記載を膨らませたほうがいいみたいな御意見があれば、そういう形で対応させていただきたいと考えております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 一応こちらのまとめ案にはその点が記載されているということです。
 氏家先生、どうぞ。
○氏家委員 ありがとうございます。
 定期接種の議論なので、データがあるとか、承認されているといったことを前提に議論が進んでいくだろうとは思うのですが、現在分かっている課題について、データを取っていくとか、関係者に働きかけていくことも併せて重要だろうと思いますので、ただ待っていて検討できるようになったらやろうという待ちの姿勢だけではなくて、国からそういった必要な研究データについて関係者に働きかけて、今後の施策に必要なデータを取得していくという前向きな姿勢が記載されていると、より良いように思いました。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
 氏家先生、ありがとうございます。
 大変貴重な御意見かと思います。この後の議題にも少し絡んできますけれども、データの取得が望まれるというところはほかの5つの論点で必要なところでございますので、そこをこちらの案にしっかり記載した上で、意思を示す形が望ましいかと思っております。そのような形で記載させていただきます。
 こちらの修正案につきましては、また先生方に事前にお諮りした上で報告書という形にするイメージでおりますけれども、そちらでよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 委員の先生方、いかがでしょうか。恐らく内容そのものについては委員の先生方はお目通しされていると思いますので、今後の検討の部分についての記載内容については、メール等でのやり取りでよいかと感じております。
 御首肯いただいているかと思います。
 神谷先生、いかがでしょうか。
○神谷委員 前回までの議論に私は参加していないので、もしかすると蒸し返す形になるかもしれないのですけれども、4番の接種スケジュール全体の変更に関して、百日せきだけを見たらそういう話も分かるのですけれども、4混で、例えば、IPVを、2か月、3か月、1歳半まで打たないということは、個人的にちょっとどうかと思うのですが、この辺も含めた議論の上でこういった提案をされてきていたのでしょうか。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 この点に関しまして、予防接種室、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
 ありがとうございます。
 IPVに関しましては、この後の議題でも事務局からいろいろと提案させていただく予定なのですが、基本的に今この委員会で審議されているものは就学前に追加が必要ではないかという観点で議論されているところでございます。今回、この百日せきに関しては、あくまでも百日せきの乳児の重症化予防という観点で議論がされてきて、このような形で一つ取りまとめたという経緯がございます。今後の議論において、この後に御提案する予定だったのですが、IPVは、当然4混と今承認申請が進んでおります5混にも含まれているところから、一緒に議論する形で今後のこの審議会の中で対応することが非常に合理的かと考えているところでございます。
○神谷委員 ありがとうございます。
 混合ワクチンが増えてきて、1つの疾患だけでいろいろと議論できなくなってきている状況があると思います。また、ポリオの場合は、イスラエルやニューヨークとかでもポリオワクチン由来のポリオの報告が近年でもされていて、その辺も含めてトータルに判断していただいたほうがいいのではないかと懸念するところです。
○鈴木委員長 御意見をありがとうございました。
 それでは、大体こちらのまとめ案に関しては御意見をいただいたかと思います。
 おおむね内容については、委員の先生方も御同意なさっていただいているかと思います。細かい文言について事務局で少し修正いただいた上で、一応メール等の持ち回りで確認の上、最終的には、私、委員長のほうで了承するという形を取らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 御首肯いただいたかと思います。その方向で、事務局もよろしくお願いいたします。
 それでは、議題4に移ります。定期接種化を検討中のワクチンについてです。こちらは、今回、何かを決めるということよりも、本審議会で検討中のワクチンについて、改めて、委員の皆様、事務局とで状況を共有するということになります。
 それでは、事務局から、説明をよろしくお願いいたします。
○井本評価分析専門官 事務局から、本議題につきまして、資料4を基に、御議論いただきたい点について、御説明申し上げます。
 この資料の右下のページ番号で2ページ目でございます。本審議会において現在定期接種化を検討しているワクチンの一覧と前回終了時点までの議論の状況をまとめたものでございます。新たな対象疾患に関して検討しているものが2種類、既に対象疾患となっているもので接種の方法やワクチンの種類について検討しているものが4種類となっております。
 続いて、3ページ目は、今回の本議題の目的でございます。先ほど委員長からお話しいただきましたとおり、2ページ目に記載の検討中のワクチンにつきまして、今回、委員長を含めまして、委員の先生方の構成が変更となったタイミングということもありまして、改めて審議会として共有していただくこと、また、このように検討ワクチンが複数ございますけれども、この全てで同時に検討を進めていくことが難しい中で、審議会としてある程度検討の方向性として共通の認識を整理すること、これらを本議題の目的としております。このページの下の枠内に、検討の方向性についての考え方案をお示ししております。各ワクチンでそれぞれ検討すべき項目がいろいろとある中で、対象疾患の重要性は疾病負荷や致命率になるかと思います。予防接種法に基づく接種の基本理念であります広く蔓延を予防する必要性、検討の前提となるデータがあるかどうか。最後のところは、事務局から次のスライドを含めて御提案したいところですけれども、論点が共通するものがあれば議論をまとめることで合理化する。このような方向性を共通認識として、今後の各ワクチンの検討で判断していくことを御提案する次第でございます。
 4ページ目でございます。こういった観点も踏まえて、各ワクチンを改めて整理しております。整理の方法としましては、本審議会でこれまで定期化を検討してきた中で基本的な考え方とされてきました、接種の目的、疾病負荷、国民の免疫保有状況、費用対効果、これらを横軸としてまとめております。本日は、この表も参考としていただきまして、先ほど3ページ目でお示しした考え方も含めて、先生方の御意見をいただきたいと存じております。この中で、例示的な意味も込めまして、先ほどの議論でもありましたが、事務局として御提案させていただきたいものが、1点、ございます。それが、この表の上から3つ目、不活化ポリオワクチン、IPVについてでございます。こちらの検討の目的が、就学前児童への追加接種をするかどうかということで、これまでの議論では、大まかに申しますと、まず、国内での発生がない中で、1例の発生を防ぐための費用対効果が算出できない、その一方で、1例でも発生すれば社会的インパクトが非常に大きいという形で、ある意味、議論が止まってしまっているような状況でございます。ただ、視点を変えますと、本日も議題となっておりました百日せきを含む混合ワクチンは不活化ポリオワクチンが当然4種混合として入っておりまして、先ほどお示ししました百日せきの乳児の重症化予防という観点で整理された6つの案の中でも、就学前児童への追加接種という形で同じ論点として議論されてきたところでございます。さらに、先ほども申しました現在薬事申請中である5種混合ワクチンにつきまして、来年度以降、本審議会で取り扱われる可能性が高い状況の中で、それを見据えた形でこれらの議論をまとめることが非常に合理的ではないかと考えております。これはあくまでも考え方の一つとして申し上げますけれども、例えば、不活化ポリオワクチンの追加接種につきましては、費用対効果の観点からはなかなか結論が出にくいとしたとしても、百日せきと同じ議論の中で考えると、むしろ同時に一石二鳥みたいな形で検討ができて望ましいのではないかという議論も可能となるかと思います。ちなみに、実際に過去の審議会におきましても両者を一緒の議題としていたことがございますので、それを今の5種混合ワクチンも見据えて定常化していくような形でどうかという提案でございます。
 この資料でいいますと5ページ目からは、参考資料としておつけしております。
 本日の議論の参考となりそうなものとして、例えば、6ページ目、平成25年の予防接種法改正の議論の際に当時の予防接種部会でまとめられた部会としての提言でございますけれども、赤枠で示したところに、当時、世界とのワクチンギャップを埋めるために定期化の検討で重要とされました、いわゆる7つのワクチンについての言及がございます。このうち、おたふくかぜワクチン以外は現在までに定期化されているところでございます。
 最後になりますが、7ページ目は現在の予防接種法に基づく定期接種対象ワクチンの一覧を記載しております。
 本日、事務局としては、まずは、このような考え方を例として、先生方に様々な御意見をいただく場としたいと考えているところでございます。活発な御意見、御議論をよろしくお願い申し上げます。
 事務局からは、以上でございます。
○鈴木委員長 御説明をありがとうございました。
 活発な御意見をということですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 委員の先生方、いかがでしょうか。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 幾つか、上からいきますと、おたふくかぜワクチンについては、この定期接種化改正の議論が始まったときから、7ワクと言われていたワクチンギャップの中で、新たなJeryl Lynn株を使ったMMRワクチンの開発が望ましいという形で、企業に開発を依頼して10年近くがたとうというところです。一部企業がそういう開発に着手して実施しているというところは存じ上げているのですけれども、かなり年数がたっていますので、現状についてヒアリングを行うとか、最後のワクチンギャップを埋めるワクチンがおたふくかぜだと私個人としては考えていますので、そういったところをしっかりと定期的に評価していくことは大切なことかと思っています。
 事務局から提案があった百日せきとポリオの議論を一緒にというところは、合理的かとは思います。ただ、現状の承認状況ですと、3+1の後の追加接種について、4混、5混に関して、データがないのではないかと思いますので、この定期接種化をするに当たって、これも先ほどの議論と同じかもしれませんけれども、これが就学前なのか、DTを打つ年齢なのかというところはあるかもしれません。医学的には就学のところで接種することが妥当なのだろうとは思いますが、そういったデータをしっかり取りにいくことも大事かと思います。
 それに関連して言うと、ここには載っていないのですけれども、パンデミックが始まる前にはPCVの乳児での接種回数も議論に上がっていたと理解しています。神谷先生がおっしゃられたように、百日せきの観点ではなかなか2+1のデータはないので、そこは回数を少なしにくい部分もあると私も感じていますが、肺炎球菌に関しては、2+1もしくは1+1などでもある程度効果が維持できる、高齢者にも接種して集団免疫も期待できるというところもありますので、定期接種化ではありませんが、引き続き、そういった乳児での肺炎球菌ワクチンの接種回数の検討は、一度この審議会でも検討したように、議論をしていってもいいところではないかと思います。
 最後に、肺炎球菌の観点でいいますと、海外などではPCVの15価や20価が既に実用化されてきているところで、日本でもそういった開発が進んでいるところだと思います。近い将来に承認に至った際には、この13価の肺炎球菌と高齢者に対する23価の肺炎球菌の位置づけはまたその条件ががらっと変わってくると思います。逆に言うと、優先順位としては、より効果の高い結合型肺炎球菌ワクチンの開発が見込まれている状況ですので、それで解決してしまうかもしれないという見方もできるかとは思いました。
 多岐にわたりますけれども、私からは以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 ほかに、委員の先生方、いかがでしょうか。
 菅沼先生。
○菅沼委員 先ほどお話がありましたけれども、おたふくかぜワクチンはかなり長い間議論されている状況で、氏家先生がおっしゃったとおり、海外でのジェリル-リン株を使った副作用の少ないものを選ぶというところで、それを待っていたという状況があったと思います。そこが今はどうなっているか、現状の開発等の状況を知ることは重要かと思います。実際として、それがなかなか遅々として進まないというところで単味ワクチンの話があったと思うのですが、ある程度はそこら辺のデータがまとまったと思いますので、現実的に新しいジェリル-リン株を含んだMMRを待つよりはそっちのほうが現実的ということであれば、そちらにかじを切った議論が必要になってくるかと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほかに御意見はいかがでしょうか。
 神谷先生。
○神谷委員 ありがとうございます。
 さっきの不活化ポリオのところで、事務局からあったところですけれども、費用対効果はもちろん大事なことで、予算の確保についても、検討する上で非常に大事なデータだと思うのです。一方で、世界が根絶しようとしている病気、ポリオ、麻疹といったものは、当然最後のほうは患者さんが減ってくるわけで、そこをほかのワクチンやほかの疾患と同じような観点で評価することはちょっと違うのではないかと私は思います。今回のコロナもそうですけれども、世界全体で何とかしなければといったときには、そういった予算とかを度外視してしっかり対応していくことが、日本として、世界の中の国としての責任だと思います。そういった意味で、必ずしも費用対効果が議論できないから止まるということがないようにするべきではないかと思います。一方で、先ほど池田先生がおっしゃったように、HPVの4価と9価で同じようなワクチンがあって男性も受ける・受けないといったことを考える上でとか、氏家先生がおっしゃったような肺炎球菌の2+1に減らすといったときに、この費用対効果は非常に重要な判断材料になると思います。必ずしも全部がそろっていないと議論が進まないということではないことは、共通認識として挙げていただければと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 神谷先生、ありがとうございました。
 大変重要な御指摘かと思います。
 ほかに、先生方、いかがでしょうか。
 原先生。
○原委員 ありがとうございます。
 この委員会は承認された後のワクチンの定期接種化について議論するということは重々承知しているのですけれども、もし疾病ごとに議論していくのであれば、今、氏家先生も海外の状況などをお話しくださいましたけれども、開発中のワクチンなどにつきましても、そういう情報を少し加えて、今後日本でも承認されていく可能性があるものとして認識しながら議論していくことも大事かと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 おっしゃるとおりで、次々と新しいワクチンが開発されていく状況ですので、目前にあるものではなく、近未来に使えるようになるワクチンも想定した上で考えていく必要があるかと思いました。御指摘をありがとうございます。
 ほかに、先生方、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 委員長、事務局から、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 原先生から御指摘いただきました開発中のものという観点からいいますと、これは非常に重要と考えているところでございます。最近、例えば、9価のHPVワクチンでいいますと、2回接種については、これまでも、企業から説明があったように、申請はこれから、という話があったかと思います。それはそれとして、2回接種はファクトシートでしっかりとエビデンスを記載していただいているので、この場で議論ができるという形でございます。百日せきについても、前回、5種混合の開発中のデータを企業から御説明いただいて、5種混合という開発中のものを皆様に共有させていただいて、先ほども御説明させていただいたように、来年度、また議論される可能性があるという形にしております。こういう流れはすごく大事かと考えております。今後も、今回の御意見を踏まえまして、そういったことをどういう形でできるかということは、先生方と相談させていただきながら扱っていきたいと考えているところでございます。
 もう1点、神谷先生から先ほど御指摘がございました不活化ポリオのお話なのですが、先生の御指摘はまさにこれまでの議論の中で言われてきたところで、先ほどちらっとお話しさせていただいたとおりで、現状は日本で発生がないという中で、1例の発生を防ぐために、例えば、追加接種で何十億もとはどうなのかということはあるのですが、当時、先生方からの意見で結構多くあったものが、それはそれとして、つい最近もニューヨークで発生したという話もありますけれども、1例発生したときのインパクトはすごく大きい、それはやはり考えなければいけないと、この両論が出された中で、その後は本件の審議がされていない状況であります。今後、もちろん百日せきに合わせるという形は合理化を図るという意味ではあるのですけれども、そこは改めてそういった議論が必要かと思っておりますし、そこは百日せきだからというわけではなくポリオとして御議論いただく、また、議論としては同じような枠の中で一緒に議論して合理化を図っていくという形の提案でございます。
 事務局からは、以上でございます。
○鈴木委員長 御説明をありがとうございます。
 氏家先生。
○氏家委員 ありがとうございます。
 今後の、承認されていないワクチンの議論に関して言えば、新型コロナの分科会での議論などを見ていますと、日本で特例承認が既にされているもの以外のデータについても示されて議論が行われているところですので、適切なタイミングで適切なワクチンが必要な人に届くような形での柔軟な議論は大切な観点だろうと思います。また、今回の議題にもなっています5種混合ワクチンの生後2か月からの接種開始につきましては、研究開発及び生産・流通部会で日本での開発の在り方自体を審議して、2か月からの開始が望ましいという結論に基づいて開発が行われたワクチンであると理解しています。日本でのワクチンを製薬企業がどのように開発していくのかということについて、完全に独立して企業のプランに基づいて出たものだけを評価するよりは、できるだけ事前に情報を共有しながら、お互いにとって開発すべき日本のワクチンプログラムの方向性を議論できる環境が望ましいのではないかと考えています。
 私からは、以上です。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
 恐らく、事務局から議論いただきたいということで挙がっておりました、5混ワクチンを見据えて不活化ポリオに関する議論と百日せきワクチンに関する議論を同じ場で議論すること自体には、異論はないのかなと思います。ただ、複数の委員から御指摘があったように、そもそもの性質あるいは公衆衛生的な目的も異なる2つの疾患ですので、同じ場で議論すること自体は異論がないけれども、その場での議論は区別して行っていく必要があるだろうといった御意見かと理解しております。この件も含めて、そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今ここで何かを決めようというわけではなくて、まずは、今後の定期接種化を検討しているワクチンについての情報共有、認識の共有の場であると理解しております。引き続き、これらについては次回以降で議論を進めていくことになろうかと思います。
 事務局から、そのほかに確認事項はございますでしょうか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。
 1点だけ、確認でございます。
 9価のHPVワクチンの取りまとめ文書案、資料1-2は、最後のところが抜けておりまして、今回の議論を踏まえて追記する形になっております。先ほどの百日せきの取りまとめ案も先生方にメールベースで御確認いただいて最終的に委員長に御判断いただくという形を取らせていただく予定なのですが、先生方もお忙しい中ですので、恐らくこれも併せて同時のほうがいいかと思いますので、事務局でまとめさせていただいたものを百日せきと一緒に御確認いただく形でよろしいか、それだけ、確認でございます。
○鈴木委員長 委員の先生方、いかがでしょうか。
 特段異論はないかと思いますので、今の事務局の御提案どおりでよろしくお願いいたします。
 それでは、議事は以上となると思いますので、事務局にお返しいたします。
○萩森室長補佐 本日は、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
 事務局からは、以上でございます。
○鈴木委員長 それでは、皆様、今日はどうもありがとうございました。お疲れさまでした。