2022年7月27日 第69回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会・第51回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催) 議事録

日時

令和4年7月27日(水)15:00~17:00

場所

AP虎ノ門 Bルーム

議事

議事内容
○江崎難病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第69回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会と第51回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は一部の委員の方には、オンラインにて御参加いただいております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をユーチューブによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
以下、オンラインでの参加の方に向けたお願いがございます。
まず、ビデオカメラはオンにしていただき、マイクはミュートにしてください。
発言時には、マイクをオンにしていただき、お名前をおっしゃった上で御発言ください。発言が終わりましたら、マイクをミュートにお戻しください。よろしくお願いいたします。
本日の出席状況について御報告いたします。小幡委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、黒瀨委員、駒村委員、滝田委員、花島委員及び成田委員は少し遅れる旨、伺っております。
また、オブザーバーとして、職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室室長補佐の小森康正、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課課長補佐の米岡良晃が出席しております。
また、新たに御就任いただきました委員の先生方がいらっしゃいますので、御紹介申し上げます。
有機酸・脂肪酸代謝異常症の患者家族会ひだまりたんぽぽ代表、柏木明子委員。
公益社団法人日本医師会常任理事、黒瀨巌委員。
兵庫県赤十字血液センター所長、錦織千佳子委員。
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事、吉川祐一委員。
東京都福祉保健局技監、成田友代委員。
宮崎大学医学部看護学科教授、野間口千香穂委員でございます。
また、昨年6月30日の合同委員会より事務局の体制に変更がございましたので、御紹介させていただきます。
健康局長として、正林に替わり、佐原でございます。
難病対策課長として、尾崎に替わり、蓑原でございます。
難病対策課長総括補佐として、竹内に替わり、磯崎でございます。
難病対策課課長補佐として、領五に替わり、森でございます。
難病対策課課長補佐として、大塚に替わり、神田でございます。
続きまして、健康局長の佐原より御挨拶申し上げます。
○佐原健康局長 健康局長の佐原と申します。
委員の先生方におかれましては、日頃より難病対策及び小児慢性特定疾患対策はじめまして厚生労働行政全般にわたり御指導、御支援をいただきまして、ありがとうございます。まず、厚くお礼を申し上げたいと思います。
難病法と改正児童福祉法につきましては、令和元年5月からこの合同委員会及び2つのワーキンググループにおきまして見直しの御議論をいただきまして、昨年7月に見直しに関する意見書を取りまとめていただいたこと、心よりお礼を申し上げます。
取りまとめていただきました意見書の内容のうち、予算措置や運用の改善により対応可能である事項、例えば指定難病患者等データベースの整備、難病相談支援センターの運営に対する補助の充実、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の都道府県市に対する立ち上げ支援などは、順次取組を進めております。
また、このたび取りまとめていただいた意見書の内容のうち、医療費の助成について、助成開始の時期を申請時点から重症化時点に前倒しすることや、仮称でありますが登録者証の発行も含めて、より身近な地域で福祉・就労支援等を受けられるようにするべく体制を強化するといったことにつきましては、今後の法的措置に向けまして、残っていた検討課題について、事務局にて対応案を整理いたしました。
本日は、忌憚のない御意見を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○江崎難病対策課長補佐 以降の議事進行につきまして、千葉委員長にお願いしたいと思います。
千葉委員長、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 皆様、こんにちは。本当に久しぶりの開催でありまして、ウェブではありますが、皆さんとも久しぶりにお会いできるということで、うれしく思っております。今日もよろしくお願いいたします。
それでは、初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。
○江崎難病対策課長補佐 お手元の資料を御覧ください。
配付資料として、議事次第
資料1 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(令和3年7月)を踏まえた見直し(案)について
資料2 難病対策及び小児慢性特定疾病対策をめぐる最近の動向について
参考資料1 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(令和3年7月)を踏まえた見直し(案)について(参考資料)
参考資料2 難病対策及び小児慢性特定疾病対策をめぐる最近の動向について(参考資料)
参考資料3 令和4年度難病・小児慢性特定疾病対策関係の予算の概要
参考資料4 難病・小慢対策の見直しに関する意見書(令和3年7月)概要及び本文
を御用意しております。オンラインでの御参加の方も含め、資料の過不足等がございましたら、挙手または御発言をいただければと思います。
○千葉委員長 よろしいでしょうか。
それでは、議事を進めていきたいと思います。
本日の1つ目の議事は、「(1)難病・小慢対策の見直しに関する意見書(令和3年7月)を踏まえた見直し(案)について」ということで、前回の合同委員会で取りまとめました意見書を踏まえた制度の見直し(案)について議論をしていただきたいと思います。
それでは、まず事務局から説明をお願いします。
○森難病対策課長補佐 難病対策課の森と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私から、まず資料1に沿って御説明をさせていただきたいと思います。お手元に御用意いただけますでしょうか。
1ページ目でございますけれども、昨年7月にこの合同委員会でお取りまとめいただきました難病・小慢対策の見直しに関する意見書のポイントでございます。この意見書において引き続きの検討課題とされていたものにつきまして、本日、御議論をいただきたいと考えてございます。
具体的には赤枠で囲っております2か所でございまして、1つは「円滑に医療費助成が受けられる仕組みの導入」、2点目といたしまして「医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入」、これは福祉や就労支援のサービスの活用促進も含めてということでございます。これらの論点につきましては、意見書の本文5ページ~7ページにも載せています。それから、これらの論点全体につきましては参考資料4で意見書の全体をつけておりますので、それらも適宜御参照いただければと思います。
あと、本日、大きくこの2点を論点として議論いただくのですが、これ以外の論点については、基本的には昨年まとめていただいた意見書の内容に沿って見直しを行いたいと考えておりまして、昨年から少し時間が空いてしまいましたのと、また、委員の御交代もございましたので、意見書の内容についても御説明をさせていただきたいと思っております。
まず、1つ目の論点「円滑に医療費助成が受けられる仕組みの導入」について、2ページ目を御覧ください。
一番上に「基本的な考え方」ということで、こちらは意見書の中からエッセンスを抽出したような形でまとめているものでございます。まず、医療費助成の開始のタイミングなのですが、一番下の「医療費助成の見直しのイメージ」を見ていただきますと、現行は上のほうの矢印なのですけれども、指定難病の患者さんが重症化された段階で重症度分類を満たしているということで、医療費助成の対象になる状態になったときに、患者様のほうから御申請をいただいて、自治体のほうで認定をしていただく。このときに医療費助成の支給対象となるのが、申請日以降に受けた医療からというのが現行の仕組みでございます。
「基本的な考え方」の1つ目に記載させていただいておりますのは、この申請日から前倒しをしまして、重症化の時点に遡るということをまず基本的な方針としております。
考え方の2点目ですけれども、前倒しの対象は、軽症高額該当者も含め、全ての患者ということなのですが、「医療費助成の見直しのイメージ」の図の下のほうに簡単に軽症高額の説明を書いておりますが、症状の程度が一定以下ということで、重症度分類は満たしていないのですけれども、一方で医療費が高額だということで、具体的には月ごとの医療費総額が3万3330円を超える月が過去1年間で3回以上あるといった場合に医療費助成の対象となっておりまして、こういった患者さんにおかれましても、軽症高額の要件を満たした時点に遡るといった趣旨でございます。
続いて、「基本的な考え方」の3点目でございます。この前倒しの期間は、原則は重症化時点に遡るということでございますが、医療費助成は本来的には患者様の経済的負担の軽減に資することが目的になってございますので、そういった観点からもできる限り早期に申請していただくことが望ましいということで、一定の上限を設けるということ。そのときには、下記の点を考慮して上限を設定してはどうかということでございます。
1点目が、約99%の医師が今、1か月で臨床調査個人票や医療意見書、いわゆる診断書の作成を完了していること。
2点目としまして、患者の病状によっては、臨個票等の作成完了後に、直ちに申請することが難しい場合もあるということ。
それから、遡って支給することになりますと、前倒し分は現物給付ではなく償還払いとなりますので、そういった観点で自治体のほうの事務負担も考慮する必要があるだろうということでございます。
最後、その他ですけれども、実際にこの見直しをさせていただく場合には、十分な周知期間を設けた上でスタートしたいというところでございます。
具体的に本日御議論いただきたい論点と見直し(案)がその下にございます。
まず、前倒し期間の上限なのですけれども、先ほど考慮要素として御説明をいたしました臨個票等の作成は、今はおおむね1か月あれば大体作成ができているということで、基本的にはまず1か月ということでどうかということでございます。
ただし、その枠の中の※で書いておりますが、入院その他緊急の治療が必要な場合には、診断書を作成いただいてすぐに出せないといったケースもあるのではないかということです。ただ、こういったケースを個々に見ていくと、恐らくその経過は個々の状況でかなり様々だろうということがございまして、なかなか一律の客観的な基準を設けるというのは難しいところではあるのですけれども、先ほど申し上げたように1か月ぐらいで大体診断書ができているということで、これにプラス申請までの期間ということで、3か月という期間で設定してはどうかということを考えてございます。
次の論点としまして、軽症高額対象者の遡りの時点でございますけれども、軽症高額の要件を満たした日の翌日以降にかかった医療費を助成対象としてはどうかということでございます。
1点目の論点は以上でございまして、続いて2点目の論点でございます。3ページ目を御覧ください。「医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入及び『登録者証』(仮称)の発行について」ということで、「基本的な考え方」は2つに分けて書いておりますが、まず「医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入」でございます。
医療費助成の申請をしない者についても、今後はデータ登録をできる仕組みとするということで、軽症の段階からどういった経過をたどって重症化していくのかといったところの分析も今後必要になってくるであろうということで、現行、医療費助成を受けている方が基本、データ登録の対象になっておりますが、これを医療費助成の申請をしない者についても対象とするということでございます。
また、登録項目でございますけれども、軽症の方も今、申し上げたように将来的に重症化する可能性がございますので、そういったときにデータの経年比較を確実にできるように、軽症者の方につきましても医療費助成を受ける患者と同様のタイミングということにしたいと思っているところでございます。
登録頻度につきましては、患者の経済的負担、あるいは治療困難な疾病であるということも考慮して設定するということ。
4点目としまして、小児慢性特定疾病のデータ登録につきましては、意見書にも書かれておりますが、既に軽症者のデータが一定程度収集されているということ、あるいは自治体の事務負担も考慮いたしまして、見直しのスタート時点では医療費助成を受けている者のみを対象にするということで、この見直し後に、軽症の方も含めて登録者証のニーズがあるのかどうかといったことも踏まえまして、引き続き対象者の検討は継続的に続けていくというのが基本的な考え方でございます。
続いて、「『登録者証』(仮称)の発行」の考え方でございますけれども、登録者証の目的ということで2つありますが、まずマル2ですけれども、基本的には登録者証を御活用いただいて、地域の各種支援を円滑に利用できるようにというのが一番の目的でございます。また、こういったメリットを感じていただくことで、データ登録のほうにも結びついていくということで、治療研究の推進、あるいはデータ登録のほうにもつながっていくというような目的ということでございます。
2点目としまして、こちら登録者証の発行対象ですけれども、こちらは基本的に先ほど申し上げたデータ登録の範囲と同様ということで、具体的には難病については医療費助成を受けている者、重症度分類に関して医療費助成の不支給決定を受けた者、それから軽症のため医療費助成の申請に至らない者ということでございます。小慢については、医療費助成を受けている者ということでございます。
また、様式や記載内容、活用方法につきましては、自治体の事務負担、あるいは各種支援を受けやすくするためにどうすればいいかということで、検討する必要があろうというところでございます。
具体的な見直しが4ページ目でございます。
論点に入る前に、まず下のほうに「見直し後の登録者証発行事業のイメージ」が記載されております。まずここでイメージの共有でございますが、難病患者さんあるいは小慢の患者さんでありますが、基本的にはまずデータ登録と登録者証の申請を自治体にしていただく。自治体のほうでデータ登録をさせていただいて、その際に登録者証を発行させていただく。この登録者証の各種支援の利用促進ということで、障害福祉サービスやハローワークにおける様々なサービスでの活用ということで、そのイメージを左下のクリーム色のところに書いております。障害福祉サービスの受給申請時に、今までは診断書を提出いただいていることが多かったかと思いますが、指定難病の病名を確認するための書類として、代わりに登録者証を使えるようにということでございます。また、ハローワークにおいても同じように難病患者であることの証明として提出するということでございます。
また、こういったサービスが十分に活用いただけるように、登録者証の発行をする際に、個々の地域における各種支援サービスの情報を提供していただくということを想定している事業でございます。
その上で、上の「論点と見直し(案)」についてでございますけれども、論点は4つございます。上の2つがデータ登録、その下が登録者証の発行に関してという形になります。
まず、データ登録の1点目、登録項目でございますが、先ほどの基本的な考え方にもございましたが、臨個票等の全ての記載項目ということでございます。
続いて登録頻度でございますけれども、まず難病の患者さんのです。マル1医療費助成を受けている方々につきましては、分析研究を進める観点から、毎年新しいデータに更新していく意義が十分にあるかと思いますので、ここは受給者証の更新に合わせて更新をしていただくようなイメージではどうかと思っております。
マル2、マル3、重症度分類に関して不支給決定を受けた、あるいは軽症のため医療費助成の申請をしなかった方なのですが、そもそも難病の患者さんは治療方法が確立していないということや長期の療養が必要ということが前提になっております。あるいは自治体の事務負担も考慮いたしますと、基本的には一度登録していただければ再登録は不要ではないかと考えているところでございます。
続いて小慢です。こちらは医療費助成を受けている者だけですけれども、こちらについては難病の医療費助成を受けている者と同様の取扱いということで考えてございます。
それから、様式・記載内容ですけれども、まず、マル1、マル2ということで、医療費助成を受けている方や重症度分類に関して不支給決定を受けた者につきましては、今もう既に既存の受給者証や不支給決定の通知書がございますので、自治体の事務負担も考慮いたしまして、こういった既存の書類と一体で発行することも可能にしてはどうかということでございます。
マル3の軽症のため申請に至らない者につきましては、既存の様式は特にございませんので、新規の様式でということになろうかと思います。
その下ですけれども、様式は今、申し上げたとおりですが、記載内容としましては、基本的には発行日、疾病名、証明者等を記載することを考えております。
先ほどイメージのところでも申し上げましたが、登録者証の目的であります各種支援の利用促進を図るという観点から、登録者証の発行と併せまして、地域で活用可能な障害福祉・就労支援サービスの情報を提供してはどうかということでございます。
また、その下の活用方法のところでございますけれども、こういったサービスを十分に使っていただけるように、自治体やハローワーク等の関係機関にも併せてしっかり周知をしていくということを考えているところでございます。
本日、特に御議論いただきたいのはこちらの論点2点でございますが、続きまして10ページ目から御覧いただきまして、今、申し上げた以外の改正内容ということで、これらは意見書の内容どおりに見直す事項ということでございますけれども、改めて、去年取りまとめていただいた意見書の内容について御説明させていただきたいと思います。
まず、10ページ目の「データベースの充実と利活用」でございます。
「現状と課題」ですけれども、現行は予算事業として難病・小慢データベースの運営をしている。ただ、法律上の規定はなく、予算事業としてやっているということです。
2点目としまして、医療費助成の申請時に提出する診断書情報を登録しておりますので、医療費助成に至らない軽症者のデータ収集が進んでいない。これは先ほどの論点とも関わってくるところかと思います。
「見直し内容」ですけれども、まず難病・小慢データベースの法的根拠を新設するということでございます。これは先行してNDBや介護DBなども既に法的根拠を置いてやっていただいていると思いますが、そういったものと同じような形で、国による情報収集や都道府県等の国への情報提供、それから安全管理措置とか第三者提供ルールをしっかりと決めるということと、今、申し上げたNDBや介護DBといった他の公的データベースとの連結解析も可能とするということでございます。
また、先ほどの論点にもございましたが、難病の患者については軽症のデータ登録も可能とするということでございます。
具体的なイメージでございますが、下の図にございます。基本的には、まず患者さんのほうで指定医におかかりいただいて、診断書を取得していただく。これを自治体に提出して、医療費助成の申請をしていただくことになりますが、このときに併せて国のデータベースへの登録の同意も取らせていただく。同意いただいた方については、国のデータベースに登録をするということでございます。
ここは医療費助成の申請をしない軽症者の方も診断書を提出いただいて、データ登録にも同意をいただいて登録をするということで、同じ流れでございます。
また、難病の推進に資する調査分析や研究を行う自治体、大学等の研究機関、民間事業者といった方々から研究の利用申請も受け付けまして、これに対してデータ提供できるような仕組みも設けることにしてございます。
現行は、このデータ提供に当たっては有識者による審査会を設けておりますが、法制度に位置づける場合には、難病については厚生労働省の厚生科学審議会、小慢については厚生労働省の社会保障審議会に意見をお聴きするということでございます。
それから、厚生労働省が運営主体ではありますが、実際には業務委託をして行うことを想定しておりまして、現行の予算事業と同様になりますが、難病については、下に※で書いていますが医薬基盤・健康・栄養研究所、小慢については国立成育医療研究センターに委託をして実施するということを考えているところでございます。
続けて11ページ目の「地域における支援体制の強化」でございます。
まず「現状と課題」ですけれども、難病・小慢の患者さんにおかれては、支援ニーズが医療だけではなく福祉や就労といったことで多岐にわたりますので、そうしたニーズに適切に対応する観点から、福祉や就労支援など医療以外の関係者とも一層関係強化を図っていく必要があろうということでございます。
また、小慢児童等の成人期に向けた支援を一層促進するということと、成人後の各種支援との連携強化にも取り組む必要があるというのが課題でございます。
「見直し内容」は下のイメージのところでございますが、青い枠の中の右下のほうに難病相談支援センターがございます。ここは難病患者の相談支援の中核をなす機関になりますが、ここが今、法律上連携先として指定医療機関だけが規定されている状態になってございますので、新しい連携主体として就労に関する支援を行う者、福祉に関する支援を行う者ということで、明示するということをしたいと思っているところでございます。
右側の黄色い枠の中、現行、難病対策地域協議会ということで、難病については法定化済みの協議会が置かれております。都道府県等に設置いただいております。
一方で小慢の協議会は、現行、通知で設置いただいておりますが、この設置を促進していくという観点で、こちらも法定化するということ。あわせまして、先ほど課題にありましたが、成人後の各種支援との連携強化を図るということで、小慢と難病対策地域協議会の連携努力義務も法律上明記してはどうかということでございます。
続いて12ページ「小慢児童等の自立支援の強化」ということで、小慢児童に関しては、今、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業ということで、右下に任意事業ということで書いていますが、レスパイト等の療養生活支援、患児同士の交流支援、就職支援といった事業をやっていただいているところなのですけれども、「現状と課題」に書いておりますとおり、任意事業の実施率が低いということが課題になっているところでございます。
「見直し内容」につきましては、まずイメージの左側のほうを見ていただきまして、任意事業の実施率が低い要因としましては、支援ニーズがそもそも把握できていない、あるいは実施方法が分からないということを自治体の皆様から御指摘いただいておりますので、そういう意味で、現行の相談支援事業に加えまして、実態把握事業を必須事業として新設をしてはどうかというところでございます。
2点目としましては、右側ですけれども、先ほどの任意事業につきまして、実施を努力義務化することを考えているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございました。懸案の事項につきまして、かなり具体的なところまで御提示いただいたと思います。
それでは、資料1について、「円滑に医療費助成が受けられる仕組みについて」、そして「医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入及び『登録者証』(仮称)の発行について」、それからその他の改正内容の3つにつきまして、時間を区切って議論をしていきたいと思います。
まず、最初に「円滑に医療費助成が受けられる仕組みについて」の箇所につきまして、御議論をお願いしたいと思います。
1ページ目の上の赤で囲った部分につきまして、御意見、コメントをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
吉川先生、お願いします。
○吉川委員 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の吉川と申します。
森前代表に替わって、今日から吉川が務めております。よろしくお願いいたします。
医療費助成の前倒しの件で意見を述べさせていただきます。
まず、大前提として重症化時点まで前倒しするという法制化であれば、遡りも期限を設けないでいただきたいというのが素直な要望でございます。
なぜかといいますと、まず原則1か月にはとても無理があるということなのです。先生方が臨個票を書き上げるのに、99%の方が1か月で完了しているというデータは事実だと思います。ただ、先生から病院に渡って、病院から患者自身が臨個票を受け取るまでに結構かかります。患者さんによっては、次の通院まで、遠方や混雑して予約が2~3か月取れないといったことも間々あるのです。そうなると、先生が1か月で書き上げても、患者の手に渡るまでに2~3か月の期間を要するというのが現実ということで、できましたら期限を設けずに、重症化時点まで遡れると。もちろん自治体の御負担もあるでしょうから、その辺のところが許される限り御検討をお願いしたいと考えております。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
今の御意見に対して、厚労省のほうで何かコメントはありますでしょうか。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
御意見ありがとうございます。難病患者さん、小慢の患者さんとしては非常に切実な状況があることは日々お聞きしておりますし、そういった御希望は非常に強いところかと思っているところでございます。
一方で、先ほど少し御説明を申し上げましたが、償還払いになってくるというところ等もございまして、自治体の事務といったものにも十分配慮していかないと、制度としてなかなかフィージビリティーがないといったところも現実問題としてあるということも、我々が制度をつくっていくときには十分考慮しなければいけないと考えているところでございまして、今般、1か月と個別の事情のある方は3か月という形で事務局としては御提案させていただいているところでございますが、先ほどおっしゃっていただいたような個別の事情のところで3か月の上限は設けさせていただくところではございますけれども、できるだけ患者さんのほうで簡易に、非常に厳格な証拠等を何か出して3か月の上限の適用といったことがないように、できるだけ現場で円滑に医療費助成のほうは、個別の事情のある方はそういった形で申請ができるような工夫というか対応もしっかりと考えさせていただきたいと思いますけれども、制度に落とし込んでいくときの現状といたしましては、先ほど事務局のほうから少し御説明したような償還払いといった現実の問題もございますので、その辺りも考慮させていただいて、今回の事務局の案とさせていただいているところでございます。
また法律を提出していくところになりましたら、一旦制度を施行させていただいた上で、また施行状況もしっかりと勘案して見させていただきたいと思いますけれども、現状として、一定程度の事務局案としては、こういった形でぜひ御理解をいただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○千葉委員長 私も実際に発行することがあるのですが、遅れる場合があります。ただし、厚労省のほうもおっしゃったように、制度として運用するときの問題点もありますので、そこのところはまた御検討をお願いしたいと思います。
ほかに御意見、コメントはございますでしょうか。
中澤先生、お願いします。
○中澤委員 神奈川県の中澤です。
すみません、カメラの調子が悪くて、映像が映らなくて申し訳ございません。
今、お話があった3か月ということなのですけれども、私たち事務を受け付ける地方自治体としては、なるべく多くの患者さん、多くの御事情をすくい上げるというのは言い方が悪いですけれども、なるべく多くの方を受け付けるような方向でいきたいなとは思うのですが、様々な御事情は本当に今おっしゃったように、病院でなかなか臨個票がもらえないとか、あと体調を崩してしまって来られないとか、説明では災害があったりとか、いろいろな御事情があると思うのです。
受け付ける側の自治体の事務のほうとしましては、それがどこまで3か月でいいのかというのを事例で示していただいても構わないのですけれども、事務を担う事務職のほうが分かりやすいような形で厚労省からお示しいただきたいと思います。
そうしないと、私たちもなるべく広く受け付けようと思うと、割と際限がなくなってしまう。1か月も3か月も同じではないかみたいになってしまいますので、3か月というのはどういう方々をなるべく広く救うようにというように示していただいたほうが、事務的な煩雑さとか間違いや公平性の観点からもいいかと思います。そこは厚労省のほうで善処していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○千葉委員長 御意見ありがとうございます。
事務サイドからすれば、事例を示していただきたいという御意見であったと思います。これについても御検討をよろしくお願いしたいと思います。
ほかに御意見はございますでしょうか。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
申請日から遡及をして医療費の助成が受けられることはとても画期的で、本当にありがたいと思っております。
時期については先ほど吉川さんからもお話がありましたけれども、もちろん長いほうが、多くの患者を救うという意味では大変助かるわけですが、事務負担との関係もあると思うので、原則1か月、最大3か月はおおむね常識的な範囲だと思います。ただ、そこにどうしても引っかかってこない人については、何らかの救済ができる仕組みを導入していただきたいと思います。
親の会の皆さんからは、3か月という特段の事由は一体誰が判断するのかという辺りに少し不安があるということ、制度の周知を徹底していただきたいということ、先ほどと同じ話になりますけれども、期間については柔軟に幅広く考慮していただきたいといった意見がございました。
今回、重症化時点という言葉があるのですけれども、例えば寛解から再発されたようなケースにおいては、重症化時点というのはとても分かりやすいケースだと思うのですが、新規の指定を受ける場合には、対象疾病であるとの医学的な確定診断を受けて、かつ、その状態が認定基準を満たす状態となった日と私は理解しているのですけれども、その辺りで現場の混乱が生じないのか、少し心配しているということを申し添えておきます。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございました。
貴重な御意見だと思いますが、私もいつからということについては今のお話のように理解しておりました。この点について、厚労省のほうでどうでしょうか。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
資料1の2ページ目でございますが、一番上の重症化時点のところに括弧で「認定基準を満たすことについて指定医が診断した日」としておりますので、指定医の方が診断日として、具体的には臨個票等に記載をした日、日付を書く欄もございますので、そこまで遡ることを原則と考えているところでございます。
一方で、今、患者会等、また自治体の代表から御意見もございましたが、制度が分かりやすく、混乱がないようにしなければいけませんし、事例として地域間で格差がないようにしなければいけませんので、患者会さんや自治体のほうから意見を十分に丁寧にお聴きした上で、こういう事例があるとか、こういう想定される事例があるけれどもどうしたらいいのかということも事前に十分お聴きさせていただいた上で、Q&Aであるとか、申請書の書き方の様式等についてもしっかりと工夫をさせていただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
いずれにしても制度の周知徹底が重要です。現場も混乱しないようにという皆さんの共通した認識であったと思います。
ほかはいかがでしょうか。御意見がおありの方はいらっしゃいますでしょうか。
どうぞ。
○井田委員 慈恵の井田です。今、難病のこども支援全国ネットワークの福島さんがおっしゃった前倒し期限の上限に関することは現場で結構トラブルになると思うのです。例外を認めるか、認めないか、その事由が妥当かどうかをどこで判断するのかを決めておかないと現場で問題になると思います。例外を認めるか否かを評価/判断する制度というかシステムをつくっていただくと良いのではないかと感じました。
○千葉委員長 皆さんが懸念するところです。そこをできるだけきちんとしていただいておくというのが重要かと思います。
吉川さん、手を挙げておられましたか。
○吉川委員 井田さんがおっしゃったことと同じで、原則で運用したときに、過去に地域格差が非常に発生したケースがあって、泣き寝入りではないのですが、患者さんから困ったという声を聞いているのです。原則以外認めないみたいなかたくなな自治体担当者もいらっしゃったということなので、その辺の運用についてはぜひ地域格差が生じないように、あと、原則1か月の線引きが短くないかなというところをもう一回御検討いただければありがたいなと思います。
以上です。
○千葉委員長 先ほどの井田先生、吉川さんの懸念につきましては、具体例を幾つか出していただいて、それに沿ってというか、もちろん規則としてはあるわけですけれども、具体例も出していただいてというのがいいのかなと私も感じました。
おっしゃったように、都道府県によってかなり違いが出てくる可能性がありますので、そこも考慮していただいてということになろうかと思います。よろしくお願いします。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、2つ目に移らせていただきたいと思います。「医療費助成の申請をしない患者の登録の仕組みの導入及び『登録者証』(仮称)の発行について」につきまして、御議論いただきたいと思います。1ページの赤枠の2つ目について御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
錦織先生、どうぞ。
○錦織委員 錦織です。
1つは、具体的に登録者証を発行する場合に、基本的に臨個票と同じ項目を記入していただくということなので、医者が指定難病と診断した場合に、臨個票を新規という形で作成して、それを持っていって、登録が完了して、患者登録証みたいなものをもらうと。それについては有効期限はないということなので、一旦もらって、いろいろ地域での障害者支援や生活支援などを受けられるというメリットはあると思われます。一方で、データベースとの絡みで言えば、軽症のところから重症化するところまでもある程度継続的に見ていきたいということもあってこれを発行するとすれば、臨個票を一旦新規だけで出して、その後はしばらく重症化するまでは医療費助成を申請せずに、重症化してから申請して、1か月遡って助成は受けられるということですから、助成に関しては問題ないのですけれども、症状がどのように変わっていくかというところは、結局、軽症と重症化のところがかなり段階的になっているというか、あまり継続的な経過としては追えないのかなというところが少し気になりますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
もう一つは言葉の問題なのですけれども、重症化基準や重症度分類というのが、今回、助成を対象とした形での分類になっているので、いわゆる医学的な観点からのいろいろな範囲の重症度分類とまた違っていて、そこはいろいろ検討していくのだろうと思うのですけれども、小慢のほうは認定基準で、指定難病のほうは重症度基準、そうするとややこしいので、助成基準とか医療費助成基準という言葉で統一したほうが、こういう制度的なものとしては分かりやすいかなと思っています。
以上、2点です。
○千葉委員長 2点御指摘いただきましたけれども、重症でない方の場合、申請時点での臨個票、重症化したときの臨個票、恐らく2回になるということです。それでいいのかという御意見だったと思います。
これについては恐らく専門家の先生方もいろいろな御意見があると思うのですけれども、何か厚労省のほうでございますか。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
スライドの4ページ目を共有いただければと思います。
先ほど御説明したように、医療費助成を受けている方に関しましては更新がございますので、受給者証の更新時点で登録者証を発行するというのが実務的にも可能というところがございます。
一方で、重症度分類に関して、医療費助成の支給決定を受けた方とか医療費助成の申請に至らない方に関しまして、例えば登録者証の有効期限を設けて、医療費助成にはなかなか至らない一方で、診断書等をまた提出いただいて登録をいただくということについて、事務局のほうでもるる検討させていただきましたが、それに関しましては患者さんの御負担が非常に重いだろうということを鑑みまして、不支給決定の方とか申請に至らない方に関しては再登録不要ということで、有効期限はなしとさせていただいたところでございます。
先ほどの軽症から重症化への過程というところでございますけれども、データベースに登録をさせていただきます臨個票ベースの細かいデータというわけにはいきませんが、データベースといたしましては、法律に位置づけさせていただいた後には、他の公的なデータベースと連結の解析が可能になるというところがございまして、他のNDB等と連結解析ができるようになるというところがございますので、日々のレセプトデータとの突合が可能になるというところがございますので、こういったデータベースとの突合をすることによって、この方々がどういう治療等経過を追っているか分析は可能になるというところがございますので、こういったことも考慮いたしまして、不支給決定なり申請に至らない方に関しましては有効期限なしとさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○千葉委員長 この点につきましては、事務の煩雑化といいますか事務の仕事が増えるといったことと患者さんの負担をてんびんにかけてということになろうかと思います。御検討いただいたらと思います。
あとの問題につきましても、重症度分類を医療費助成基準とかに変えてはどうかという意見は、たくさんの方々からも出ていたと思います。これもいろいろ問題があって、今後御検討いただいたらいいと思います。
今、出ました2つの点、あるいはそれ以外でも結構ですので、ほかに何か御意見の御追加はありますでしょうか。
○吉川委員 日本難病・疾病団体協議会の吉川です。
制度設計自体は、異議はありません。とてもよいと思っています。
様式・記載内容の区分のところで、要望ということで述べさせてください。
今度、受給者、不支給決定通知者、あとは申請に至らない新規ということで、それぞれ発行されるという運びになった場合に、証明書自体を使い勝手のよいものにしてほしいという要望なのです。
今、受給者証ははがきサイズということで、持ち運び、提示にもとても使いやすいということですが、例えば不支給決定通知書が過去においてはA4サイズの紙1枚であったとか、そういったものになってしまうと、福祉サービス受給者証として使う場合に、患者側として非常に使い勝手が悪くなりそうだなと。もちろん事務の方の負担も発生するでしょうから、その辺のバランスも取りながら、使い勝手のよいものを御検討いただければと思います。
以上です。
○千葉委員長 今の点につきまして。
○蓑原難病対策課長 支給決定通知と一体型も可とさせていただきたいと思いますが、実際に今、吉川委員からおっしゃっていただいたように、現場で患者さんがお使いになるとき、また、それを実際に確認する側の市町村やハローワークとしても確認できるようにする、両方を兼ね備えなければいけないと思っていますので、実務としてしっかりと検討させていただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。
柏木さん、よろしくお願いします。
○柏木委員 柏木です。
今、使い勝手というお話がございましたので、それに近いことなのですけれども、小児慢性から指定難病にトランジションする患者さんの中には、全く病名が変わってしまう方がおるかと思うのです。なので、福祉とか就労支援のニーズとしてこの証明書を利用する際に、がらりと病名が変わってしまうといろいろ戸惑う方もおられるかと思うので、もし本人の希望があれば、登録証に小慢時代のこれまで慣れ親しんできた病名も備考として記載されるといった御配慮もいただけるといいのかなと思っております。いかがでしょうか。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
重要なポイントだと思いますが、この点は恐らく可能でしょうね。
○蓑原難病対策課長 成人になったときに、難病患者さんになられたときに、例えば疾病が障害者総合支援法で規定されていたりします。そういった意味で申しますと、ハローワークや総合支援法の窓口等で難病患者さんとしての疾患がしっかり分かったほうがサービスにつなぎやすいといった観点もあろうかと思います。
一方で、今、柏木委員がおっしゃった従前の小慢の慣れ親しんだ疾患についてということはあろうかと思いますが、そこら辺が実際にあったほうがサービスを使うときに円滑に利用につながるのかどうかは、引き続き実務的に調整をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 これは小慢と難病の突合の点でも問題かなと思うのです。私は内科なものですから小児のことはちょっとよく分からなくて、病名が変わるというのがどの程度あるのかよく分からないのですけれども、井田先生、あるいは岡先生、そういうことはあるのでしょうか。
○井田委員 慈恵の井田です。
柏木さん、病名が変わるというのは具体的にはどういうことでしょうか。
○柏木委員 例えばメチルマロン酸血症のコバラミンC型は、指定難病になるとホモシスチン尿症のカテゴリーに入ります。そういったことです。
○井田委員 病気としては医学的には同じなのですけれども、登録病名が変わってしまうということですね。
○柏木委員 そういうことです。
○井田委員 疾患自体は変わらないので大きな問題にはならないと思いますが、、。同じような例があるか調べてみる必要はありますね。
○柏木委員 ありがとうございます。
○千葉委員長 これは小児科の専門の先生方にまた御検討いただいたらいいかなと思うのですけれども、確かにデータベースとして継続させていくためには、そこら辺のことは問題になりそうです。
○井田委員 柏木さんがあげた例は先天代謝異常症なので私の担当です。不備があり申し訳ありません。
○千葉委員長 この点については、厚労省から何かありますか。もしそういう事例が幾つかあるのであれば、確かにきちんと押さえておく必要はあると思います。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
データベース上の突合というか、きちんと個人の方で追えるようにしておくという問題と、あと登録者証にその疾患名を書くかどうかというのは、しっかり分けて議論をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 確かにそのとおりです。2つの問題があると思います。
○井田委員 疾患名のチェックは専門家による調査が必要です。
○千葉委員長 そうですね。また先生のお仕事が増えるかもしれませんが、そのときにはよろしくお願いいたします。
○井田委員 少し余裕がでてきましたので頑張ります。
あと、登録者証の発行は従来からずっと大きなテーマになっていました。軽症者の把握は難病の実態を把握するのに非常に重要だと思います。全体像を把握する上でできるだけ多くの方に登録していただくのがポイントだと思います。そこで患者さんの目線から見て、支援の内容が十分かどうかよくチェックしてもらう必要があります。できるだけ多くの方に登録していただかなければこのシステムは機能不全になってしまいます。とにかく患者会の方々からどのようなサポートが有用でみんなが登録したいと思う制度設計が重要だと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
この点につきましては。
○蓑原難病対策課長 その点に関しましては重要な点だと思います。患者会の方々の御意見も十分にお聴きしながら、現状、障害者総合支援法のサービスやハローワークの利用が想定されておりますが、またいろいろと御意見をお聴きしながら調整をさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 小児慢性につきましてはもともと申請されていないケースも結構あると聞いておりますので、そこら辺は非常に重要かと思います。
ほかにございますでしょうか。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
千葉委員長から御指摘いただいた件なのですが、小慢については今後の検討事項ということで、今回は改正をしないというお話と理解しておりますけれども、子供のケースの留意事項として、申請手続の煩雑さとか、いつもこの委員会でも話が出ていますように意見書の文書料といった問題があるため、どうしても自治体による乳幼児・子ども医療費助成などの小慢以外の公費負担医療を実際に利用されている方がかなりの数、存在していると思っております。
また、小慢自立支援事業についても、魅力ある自立支援事業が立ち上がるのと表裏一体ということになると思うのですけれども、小慢自立支援事業の対象者の明確化という観点からは、医療費の助成を受けなくても登録者証が必要という人は一定数存在しているのではないかと考えております。
さらに、地域の福祉サービスを受けやすくすることのみならず、学校や幼稚園、保育所など、疾病に対する配慮を求めるときのエビデンスとして必要という声も親の会から届いております。これについては例えば小慢手帳を有効に活用する方法などもあり得るのかなと考えておりますので、そういったものを含めて今後、小慢についても検討していただきたいと思います。
以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
小慢のほうからの御意見ですが、よろしいですか。
○蓑原難病対策課長 小児医療費の実態、実情も日頃からお聞きしているところでございますので、その辺りも資料のほうに書かせていただいておりますが、登録者証のニーズ調査をしっかりさせていただきたいと思います。これは制度的に把握するのがなかなか難しいところがございますが、患者会様の御協力もいただきながら、しっかりとニーズ調査を図っていって、今いただいたような御意見も含めてしっかりと対応させていただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
春名先生が手を挙げておられます。
○春名委員 ありがとうございます。春名です。
登録者証(仮称)の目的の2つ目として「療養生活の環境整備のために福祉サービスやハローワークを円滑に受けられるためのツールとして活用する」となっていることを踏まえた名称についてです。今は仮称となっていますけれども、第1の目的の「データ登録を促進」という意味では「登録者証」ということでよいと思いますが、第2の目的の実際の活用イメージは障害者福祉・就労支援などと近いので、以前にも議論があったような「難病手帳」など、関係者がイメージしやすく活用促進に資するような名称についても検討する必要があるかなと思います。
○千葉委員長 名称を変えるとなると、ある意味大きな話になるとは思いますが、今の趣旨は私も分かりますので、そこも含めて御検討いただいてということだと思います。よろしくお願いします。
ほかによろしいでしょうか。
黒瀨先生、お願いします。
○黒瀨委員 記者会見に出ていまして後で参加になってしまったので、もしかするともう既に議論にあったのかもしれませんけれども、この登録者証なのですが、利便性を高めるという意味で言うと、紙ベースだけで考えているのではなくて、スマホ等を使ったデジタル化されたもので証明できるようにすると、より利用者様の利便性が上がるのではないかと思うのですが、その点、すぐにというのはなかなか難しいでしょうけれども、セキュリティーの面等もクリアしながら今後検討されたらいかがかなと思いましてお話をさせていただきました。
○千葉委員長 ありがとうございます。これも非常に良いアイデアであったと思いますが、今後の検討ということです。
○蓑原難病対策課長 引き続き検討させていただきたいと思います。
○千葉委員長 よろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
そうしたら、最後のところに移らせていただきたいと思います。「その他の改正内容」の箇所につきまして御議論をいただきたいと思います。10ページの「データベースの充実と利活用」以降ですが、いかがでしょうか。御意見等がございましたらお願いします。
吉川さん、どうぞ。
○吉川委員 日本難病・疾病団体協議会の吉川です。
10ページの「データベースの充実と利活用」のところで要望があります。
何度も要望していることなのですが、安全管理措置というところです。大事な貴重な研究データである反面、我々当事者の不利益につながりかねない個人情報でもあるといった観点から、外部漏えいが絶対に起こらないようにしてほしい。そういう中で、1つの提案としてデータ取扱者のアクセス履歴を記録・保管するとか、抑止力につながるような措置をお考えいただければと要望いたします。
以上です。
○千葉委員長 これも前から議論されているところでありますが、この点につきましては。
○蓑原難病対策課長 ほかのNDBや介護DB等でも安全管理措置を講じておりますので、そういったものもしっかりと参考にさせていただきながら、対応させていきたいと思います。
○千葉委員長 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。
五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。成育医療研究センターの五十嵐です。
今の御質問と多少関係があるのですけれども、ナショナルデータベースの場合に利用者の制限がかなり厳しくて、例えば公的研究費を獲得した方でないと申請できないことになっているのです。難病・小慢データベースの場合には、これからの検討課題だとは思うのですが、現時点では何か申請者に対する縛りのようなものは想定されているのでしょうか。
○千葉委員長 これは以前ありましたね。
○蓑原難病対策課長 基本的にはNDB並びでと考えておりますので、そこまできつい縛りは想定していないところでございます。
○五十嵐委員長 分かりました。
○千葉委員長 ほかはいかがでしょうか。御意見、コメント等がありましたらお願いしたいと思います。
○吉川委員 もう一点よろしいでしょうか。日本難病・疾病団体協議会の吉川です。
「地域における支援体制の強化」というところで、要望が1点あります。現状、難病対策地域協議会、法定化済みということなのですが、地域格差が非常に大きいのです。県によっては保健所管轄で行われているところもあれば、1か所1回だけといったところもあります。全く活動ができていない自治体もあるというところなのです。地域連携の要であるという観点から、もう少し強制力のある御指導などを出していただければありがたいなと考えております。
以上です。
○千葉委員長 これも前から問題になっているところでありますが、いい意味で厚労省が指導力を発揮していただいて、各都道府県で円滑に行われるようにということでお願いしたいと思います。御意見として承りました。
ほかはいかがでしょうか。
竹内先生、どうぞ。
○竹内委員 ありがとうございます。
このデータベースに関して、患者さんの個人情報保護は第一義的に重要だと思います。ただ一方で、そのデータを活用して患者さんに還元するという形では、データの積極利活用も非常に重要なテーマかなと思いました。
現状では、厚生労働省の委託業務先として、厚生労働省と非常に関係の深い基盤研あるいは成育医療センター等になっていまして、今、私は学会の立場から言いますと、学会と厚生労働省の研究班あるいは厚生労働省の研究施設との間の関係が必ずしも明確でないという課題があります。将来的にはぜひ関係学会との関連も重視していただいて、関連学会の研究の利活用への道を開いていただけるとありがたいなと思います。
以上でございます。
○千葉委員長 この点につきましては。
○蓑原難病対策課長 データの提供についてはスライドの10ページで書かせていただいておりますが、厚生労働省の厚生科学審議会なり社会保障審議会の下のほうに審査をする委員会を設けるような形になって、今、NDB等でも利活用のデータ提供の申請があったときには、そういった形で審査をした上で御提供するという形にさせていただいておりますので、そういった形で安全管理をしながら、一方で、今、竹内先生から御指摘がありましたように、患者さんの御協力の下でいただいたデータが利活用され、研究に活用され、かつ、患者さんに還元される体制をしっかりとつくっていくことが重要だと思っておりますので、そういった形で運用させていただきたいと思っております。
○千葉委員長 この点につきましてはこの間の班会議でも話が出ましたが、江崎さん、何か追加はありますでしょうか。
○江崎難病対策課長補佐 竹内先生から今、学会との連携というのもありました。学会でいろいろなテーマで研究がなされているところだと思いますけれども、今は厚生労働科学研究などの枠組みの中で、法律には位置づけられておりませんけれども、データの利活用が進んでいるところです。そのときに学会などの意見もいろいろ聴きながら研究が進められていると思います。学会全体としての研究などの方向性、それから各研究班での研究の方向性がより緊密にしっかりと進められることが大事だということだと認識しておりますので、厚労省としてもそういうところを緊密に、学会の先生方、それから研究班の先生方、両方の先生方の御意見をしっかり踏まえて、円滑な研究が進められていくようにしていきたいと考えております。
○千葉委員長 この問題は前から言われておりますけれども、難病制度そのものが難病研究の発展に資するといいますか、そこに協力するということが一つの大きなポイントになっておりますので、両方をしっかり考えて前向きに話を進めることが非常に重要ではないかなと。だから制限するというよりも、しっかりベースを整えてできるだけ利活用していくという方向性が最初から求められていると私も理解しております。
ここら辺、駒村先生、何かコメントはございますか。よろしいですか。
そうしたら、ほかに何かございますか。
渡辺先生、よろしくお願いします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。
1つ、10ページのデータベースのイメージの図の確認をさせていただきたいのですが、指定医がデータを入力するということは、しばらくは考えていないということなのでしょうか。以前議論になっていたのは将来像という形ではあるかもしれないですけれども、指定医がデータベースの入力をしてということで、データの入力の仕方に関してどのように啓発していくかという議論があったと思うのですけれども、今回の10ページの図は、指定医は患者さんに診断書を書いて、自治体がデータベースに登録するという図になっているのですけれども、しばらくはこの流れでいくと考えたらよろしいですか。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
今回は制度の見直しの図としてお示ししておりますので、現状、今、先生におっしゃっていただいた診断の臨個票のオンラインでの入力も並行して進めておりますので、本日はそこと併せた図にできておりませんが、オンラインでの入力ができるように、併せて今、やっているという状況でございます。
○千葉委員長 今、御指摘いただいた点については、その方向性で話が進んでいるという理解でよろしいですね。
○蓑原難病対策課長 結構でございます。
○千葉委員長 今のところ道半ばだと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかに何かございますか。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
資料の11ページ、12ページ辺りの小慢自立支援事業の特に任意事業の実施率が低いので、これを何とかしたいということで、今回、小慢の協議会を法定化すること。それから、もう一つ任意事業を努力義務化するということをお示しいただいているわけですけれども、後者の努力義務化が実際どの程度の影響というか、実施主体から見ると、実施に向けてどの程度のインセンティブになるのかが私はよく分からないのですけれども、分かる範囲で御説明いただけたらありがたいです。
○千葉委員長 よろしくお願いします。
○蓑原難病対策課長 自治体のほうで実施いただくときに、任意でやるのか、努力義務でやるのか。自治体によって受け止め方が様々変わってくる部分はあろうかと思いますけれども、当然、自治体で事業を実施するときには予算を確保しながら財政当局と調整をしていただくということがありますが、努力義務になったことによって、自治体としてしっかりやらなければいけないというところのマインドが出てくる部分があるのではないかと思っております。
一方で、単純に法律に努力義務として書いたから、すぐに円滑に進むというところだけではないかと思いますので、小慢自立支援の立ち上げ支援事業も今年度やらせていただいておりますが、そういった別の制度以外のところも含めて、合わせ技でしっかりと対応していきたいと思っております。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。
そうしたら、御意見をいただいたと思いますが、大幅な変更についての御要望はなかったように理解しております。
本案につきまして、基本的に御了承いただいたものと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○安達委員 本日の論点とはずれますが、意見書のポイントの1ページ目の「基本的な考え方」のところで、難病法の基本理念にのっとりということが書いてあります。難病ということで受け止められがちだと思うのです。昨年度、令和3年7月の30ページの「第5 おわりに」の上から4つ目の○の最後のところに「今回の見直しは、これらの基本理念を堅持し」と書いてあります。これらの基本理念というのは、難病と小慢と捉えているわけなのですけれども、その辺ところはいかがでしょうか。
以上です。
○千葉委員長 これは当然、難病と小慢の合同会議であって、基本的には統一した考えということでしょう。
○蓑原難病対策課長 はい。難病だけではなくて小慢としても「これらの基本理念を」というところは入っているところでございます。
○千葉委員長 法律ということになりますと、難病法と記載しないと仕方がないということですね。この一番上の行のところを御指摘いただいたと思います。
○蓑原難病対策課長 すみません、意見書のポイントで記載させていただくときに難病法と、意見書を書くときにもそのようになっておりますが、基本的な考え方といたしましては、今、御指摘いただいたように、もともとの意見書の30ページでおまとめいただいたように、難病法、また小慢の対策についての基本理念はしっかりと堅持する、そういったところは変わらないということでございます。
○千葉委員長 ありがとうございました。
そうしたら、本案につきまして基本的に御了承いただけますでしょうか。よろしいですか。
○吉川委員 最後に一言言わせてください。日本難病・疾病団体協議会の吉川です。
今回、重症化時点まで遡るという画期的な改正がなされるということで、非常にうれしく思っております。ただ、この画期的な法改正が手続上の不備で不利益を被る患者さんが出ないように、万全な運用をお願いしたいと申し上げておきます。
以上です。
○千葉委員長 運用のほうをきっちりやってほしいという御意見であったと思います。ありがとうございます。
それでは、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○千葉委員長 ありがとうございます。
それでは、いただいた意見を踏まえまして、修正につきましては、私、座長に一任させていただくという形でお願いしたいと思いますが、これもよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○千葉委員長 ありがとうございます。
それでは、厚生労働省におかれましては、この意見書の内容をしっかりと受け止めていただきまして、所要の法的な手続きを行うようにお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
それでは、続いて2つ目の議事ですが、「(2)難病対策及び小児慢性特定疾病対策をめぐる最近の動向について」ということで、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○森難病対策課長補佐 難病対策課の森でございます。
資料2に沿って、難病・小慢対策をめぐる最近の動向について御報告をさせていただきたいと思います。
おめくりいただきまして、2ページ目が目次でございまして、報告事項は4点ございます。
まず、1点目の高額かつ長期の制度の見直しにつきまして、4ページ目を御覧ください。
今、難病法の中で、特定医療費の受給者のうち所得の階層区分が一般所得I以上の方ということで、市町村民税の課税の対象の方となります。非課税の方より自己負担の限度額が大きくなっているということでございますけれども、こうした方におかれましては、支給認定を受けた指定難病に係る医療費の総額が5万円を超える月が年間6回以上ある場合には、もともとの自己負担額がさらに軽減されるという形になっているところでございます。
具体的なイメージが、下の図の現行を見ていただきますと、このケースでいきますと、まず最初に1月から特定医療費助成を受けているのですが、○がついているところが月ごとに5万円を超えたところになりまして、1、2、3、4、5、6と振っていますが、具体的には1月、2月、3月、7月、8月、9月ということで、過去1年で6回、高額な医療費を要した月があるということです。その後、10月からは高額かつ長期の適用ということで、自己負担額が軽減されるということで、現行はこういった形で難病の医療費助成に関してのみカウントしまして、6か月以上あった場合には軽減するという仕組みでございます。
「改正概要」の2点目に記載させていただいておりますが、今後は難病だけではなくて、小慢から難病に移行される方がいらっしゃいますので、年6回以上というカウントの中に、小慢のときに受けていた医療費助成もカウントできるようにということでございます。
具体的には改正後の図を御覧いただければと思いますが、こちらの図のピンクの部分が小慢のときの医療費助成の期間、青いところが、その後、難病に移行されて、難病患者さんとして医療費助成を受けている期間ということでございます。
この図でいきますと、今、同じように5万円を超えた月を○にしておりますが、12月、2月、3月、7月、8月、9月ということで、ピンクの小慢のときに過去6回5万円を超えた月があるということで、次の10月から難病に移行するときには、既に小慢のときに5万円以上の月が6回あるということで、このケースでいけば、難病の10月以降については高額かつ長期ということで認定をさせていただきまして、自己負担額を低くさせていただくという見直しをするものでございます。
1点目は以上でございます。
2点目は8ページ目を御覧いただきまして、指定難病の診断基準等のアップデートでございます。
「概要」ですけれども、令和元年3月に指定難病検討委員会におきまして、指定難病に係る診断基準等を最新の医学的知見を踏まえてアップデートすることとされたところでございます。
これを受けまして、研究班の先生方から診断基準等のアップデートの提案があった189疾病につきまして、「疾病の概要」「診断基準」「治療法」「用語の整理」等に関しまして、最新の医学的知見を踏まえたアップデートを検討し、今年5月に難病検討委員会で結果を取りまとめていただいたところでございます。
具体的な例としては下の表に記載させていただいておりますが、例えば「1 疾患の概要」でありますけれども、専門用語を分かりやすくするための記載の追記とか、「2 診断基準」でいきますと、診断のカテゴリーに、新たに確立された類型を追加するとか、あるいは「3 治療法」でいきますと、新たに承認された薬剤を記載するといった見直しをする内容になってございます。
「概要」にお戻りいただきまして3つ目ですけれども、こうした診断基準等の具体的な内容につきましては、現行、健康局長通知においてお示しさせていただいているところですけれども、この見直しを行うに当たりましては、臨床個人調査票の見直し、あるいはシステム改修といったことを行った上でとなりますので、この通知については来年度、改正をさせていただく予定としてございます。
この指定難病の診断基準等につきましては、難病医療に従事するお医者さんだけではなくて、患者や家族の方が日常的に参照いただいているところでございますので、難病患者さんに対する医療等の質の向上につながることを期待しているところでございます。
2点目は以上でございます。
3点目でございます。10ページを御覧ください。難病等制度推進事業ということで、予算事業に関する資料となってございます。
まず「事業目的」でございますが、先ほどの意見書を取りまとめていただく議論の中で、今後、小慢自立支援事業あるいは移行期医療支援体制といったことの整備状況の把握や課題の分析、あるいは実態把握の調査研究みたいなことを行って、その成果を政策立案等に活用するということになっていたところでございます。
これを具体化した事業ということになりまして、「事業内容」を中ほどの左の箱の中に記載をしております。上下2段ございまして、上の段が小慢自立支援事業の立ち上げ支援ということで、令和3年度から実施をしておりまして、今年で2年度目でございます。
その下の移行期医療支援体制実態調査については令和4年度からの事業でございます。
簡単な事業内容の御紹介ですけれども、1点目の自立支援事業の立ち上げ支援に関しましては、2つ目のパラグラフですけれども、支援を希望する自治体に対しまして、事業の立ち上げ等に関する専門的知識を有する者の派遣とか、令和3年度に作成した自立支援事業の立ち上げ支援マニュアルを活用しながら事業の立ち上げを支援していくというものでございます。
移行期医療支援の実態調査のほうにつきましては、こちらも2つ目のパラグラフですが、特に支援が必要な疾患群や医療資源が十分でない地域における実現可能な体制整備等について調査を行うことにしているものでございます。
現行の実施状況でございますが、ここには令和3年度から開始しております自立支援事業の立ち上げ支援について記載しております。令和3年度におきましては、まず、先ほど小慢自立支援事業の必須事業として実態把握事業を新設すると御説明申し上げましたが、それと同様の話でございまして、そういったニーズの把握をしっかりやっていくということで、実態把握のための手引書の作成を行ったところでございます。
令和4年度におきましては、この手引書も踏まえまして、複数の自治体におきましてニーズ調査の実施や結果の分析をして、実際の事業の立ち上げ支援みたいなところまでやっていく。そうした結果をほかの自治体の皆様にも共有する、あるいは国のほうでもしっかりとそれを分析するということで、国、それから自治体における政策立案につなげていくというものでございます。
移行期医療支援については今年度からでございますので、今、事業の実施に向けて準備をしているところでございます。
最後、4点目ですけれども、12ページ目を御覧いただければと思います。こちらは令和3年の地方からの提案に関する見直しとなりまして、去年12月に閣議決定されました「令和3年の地方からの提案等に関する対応方針」に基づきまして、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」ということで、いわゆる地方分権一括法と呼ばれているものですけれども、この中で難病法の見直しを行わせていただいております。
実際には、今年5月に法案成立いたしまして、同じ5月20日から施行しているということでございます。
具体的な中身でございますけれども、まず下の改正前を御覧いただきまして、左側の箱ですが、現行、都道府県におかれましては特定医療費の支給認定を行う際に、認定を受けた患者が医療を受ける指定医療機関を定めることになってございます。また、法律上、指定医療機関の個別の名称を記載した医療費受給者証を交付しなければならないと受け取られるような規定をしていたというところがございまして、右側の支障のところを御覧いただければと思いますが、そうなった場合、個別に医療機関名を書いておりますので、利用する指定医療機関が変わった場合とかにその都度変更しなければいけないということで、患者様と都道府県双方の負担が大きいということの御指摘をいただいたということです。
左下でございますけれども、その法律を改正いたしまして、医療受給者証の記載事項の例示から指定医療機関の名称を削除したということで、これによって医療受給者証に包括的な記載ができるということです。具体的には○○県の指定医療機関といった記載ができるようにすることで、利用する医療機関が変わった都度、申請をしなくていいということで、患者、それから自治体の負担軽減を図るということの改正を行ったものでございます。
事務局からは以上でございます。
○千葉委員長 ありがとうございました。
2ページにあります4点につきまして、最近の動向ということで御説明いただきました。これは議事ではなくて報告内容になりますけれども、何か御質問、コメント等はございますでしょうか。
賀藤先生、どうぞ。
○賀藤委員 賀藤でございます。
私は小児科学会の移行支援委員会のほうの責任者もやっているので、お願い事で発言させていただきます。
今、御説明がございました「(3)移行期医療支援体制実態調査について」です。1つ小慢自立支援事業について、就学・就労支援とかいろいろあると思うのですが、ぜひとも今までよりも力を入れていただきたいことは教育です。いわゆる慢性疾患を持ったお子さんたちの教育が思っていた以上に厳しい状態にあるのではないかと考えています。病院に入院して、院内学級とかに入っている子はまだいいのですが、退院した後、きちんと教育できていないお子さんが多いというのはデータがあると思いますけれども、今まで以上に教育というものをきちんとやっていただければと思っています。
あと、移行期医療支援体制実態調査ですが、難病対策課のほうから大分前に移行期医療支援センターを各自治体でつくってくださいというような努力目標の通知も出たはずなのですが、現在、7都府県だけです。それも小児病院が設置されている都府県だけです。これは小児病院の先生方が移行に関して大変な危機感を持っていること、また、小児病院はほとんどが都府県立ですから県庁や都庁と相談できた結果と思います。それ以外の小児病院のない道府県にとっては、どのような形で移行期医療支援センターを立ち上げるのか、多分、キーマンになるドクターを探すのが一番だろうと思いますが、そこら辺も併せて今後力を入れていただければと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
2点、小慢の患者さんの教育が極めて重要であって、そこの問題点のお話と、あとは移行期医療について、具体的に話を進めていくときに、特に小児科病院がない都道府県についての問題点などを御指摘いただいたと思います。この点につきましては。
○蓑原難病対策課長 難病対策課長でございます。
1点目の学習支援のほう、小慢の患者さんにおかれましては当然症状が重い方と症状が一定程度安定している方様々おられて、学習の支援の在り方はいろいろあろうかと思いますので、その辺りは文部科学省さんとも連携をさせていただきながら、しっかりとやっていきたいと思います。
2点目は、移行期医療支援センターは7か所ではございますが、先ほどの実態調査等も踏まえながら、成人側の先生にもしっかりと御理解いただきながら、小児科の先生と成人側の先生が連携をしていただけるような地域ごとの体制をつくることが重要だと考えておりますので、今いただいた御指摘も踏まえまして、しっかりと対応していきたいと思います。
○千葉委員長 どちらも非常に重要な問題を御指摘いただいたと思います。よろしくお願いします。
ほかに何かございますでしょうか。
吉川さん、どうぞ。
○吉川委員 日本難病・疾病団体協議会の吉川です。
先ほど指定難病検討委員会の御説明をいただきました。我々当事者からすると、この合同委員会もそうなのですが、指定難病検討委員会の動向は非常に関心が高くて、皆、注視しているところです。このように情報開示、共有がなされていることを非常にうれしく思っておりますので、さらなる情報開示というところで1点要望があります。
患者会によっては、指定難病に認定してもらいたいということで、学会の先生、専門医の先生方とも協力しながら申請活動を行っていると。ただ、却下された理由が分からないということで、非常に困惑されているという声を聞くのです。そのようなところで、支障のない範囲でさらなる情報開示をいただければというところで御要望を申し上げます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
この点につきまして、江崎さん、何かあります。
○江崎難病対策課長補佐 吉川さん、ありがとうございます。
指定難病検討委員会の個別の疾病の議論については、現在、議事概要をお示しして、なぜその病気が指定難病となることができなかったのかという概要をお示ししております。
他方、今、御指摘いただいたように、さらに詳しくどうして医学的にそうだったのかということも知りたいという話をいただいておりますので、公表の仕方とか、議論の実際の中身をどのような形で分かりやすくお伝えしていくのかということはしっかりと検討して、今後の開催の方針に生かしていきたいと思っております。
○吉川委員 ぜひよろしくお願いいたします。
○千葉委員長 よろしくお願いします。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○福島委員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
1点目の高額かつ長期の見直し、小慢から難病へ移行するケースは、うかつにもこういう問題があったというのは最近初めて知りました。こういった形で改正していただいて、本当にありがとうございます。
ただ、先ほど柏木さんからも御指摘いただいたように、小慢と指定難病で病名が必ずしも一致していないケースがあるので、丁寧に引き継げるようにしていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
○千葉委員長 この点はよろしいですね。
○蓑原難病対策課長 制度としては、疾病名の一致等は特に関係なく小慢時代の医療費をカウントできるとするということでございますので、その点の御心配がないようにさせていただきたいと思います。
○千葉委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。
今日の厚労省の御説明、助成の前倒し、それから軽症者の登録という非常に懸案であったものを大きく進めていただいたように思います。これは皆さんにいろいろな御意見を出していただいて、それに基づいて厚労省のほうでいろいろ御検討いただいたということで、かなりの進展を見たと私自身も思っております。
しかしながら、今日も御指摘いただいたように、まだまだいっぱい問題が残っておりますので、今後さらなる充実が必要かなと思っている次第であります。今後も建設的な御意見をいただけましたらと思います。
本日は本当にありがとうございました。
最後に、厚労省のほうで何か御追加等はございますか。
○蓑原難病対策課長 御議論、誠にありがとうございました。また、案について御了承いただきまして、誠にありがとうございます。
今後、法制化ということでございますが、我々としては法制化に向けてしっかりと頑張りたいと思っています。
一方で、省全体としていつ法案を出していくかという全体的な御判断もありますので、それについては引き続き省内でしっかりと調整をさせていただきたいと思います。来年1月を迎えますと施行から8年となってまいりますので、しっかりとそういったことを頭に置きながら、できるだけ早急に法制化ということで努力をさせていただきたいと思っております。
ありがとうございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
難病法は私も始まったときから関わっていますけれども、最初の1~2年は本当に突貫工事で、とにかく制度を間に合わせるということで皆さん努力されたと思うのです。したがって、いろいろな問題点を残したまま来たわけですけれども、ここで5年後見直しということで、先ほどの診断基準の見直し等も含めて今回かなり改善されたように思います。ということで、皆様方の御努力に感謝して終わりたいと思います。
患者さんもそうでありますが、皆さんもコロナに気をつけていただくようにお願いしまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。