2022年6月30日 第5回「精神障害の労災認定基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和4年6月30日(木) 17:00~19:00

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省専用第13会議室(21階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
厚生労働省:事務局

議題

  1. (1)精神障害の労災認定の基準について
  2. (2)その他

議事

議事録

○本間職業病認定対策室長補佐 定刻となりましたので、第5回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、会議に御出席をいただきありがとうございます。
 今回は、阿部先生、荒井先生、小山先生、田中先生、中野先生、中益先生、丸山先生、三柴先生の8名の方がオンラインでの参加となります。
 なお、中益先生、三柴先生は、少々遅れての御参加となりますので、お知らせいたします。
 事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 梶原輝昭大臣官房審議官です。
○梶原審議官 会の冒頭に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、大変お暑い中、本日も当会議に御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 私、先ほど御紹介いただきました、労災を担当します大臣官房審議官に6月28日付で着任いたしました梶原と申します。よろしくお願いします。
 本検討会は、社会的にも大変注目をされております精神障害に係る労災の認定基準について、最新の医学的知見等に基づきまして、専門的かつ高度な御検討をいただいている、私ども厚生労働省にとって大変重要な会議であると、そのように前任の小林より申し送りを受けております。
 今後とも、引き続きよろしく御指導のほどお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○本間職業病認定対策室長補佐 ありがとうございました。
 審議官は本日所用のため、これにて退席となります。御了承ください。
(梶原審議官退席)
○本間職業病認定対策室長補佐 オンラインで参加される方に、発言の際のお願いでございます。
 マイクのミュートを解除した上で、お名前と「発言があります」旨の発言をしていただくか、または、メッセージで「発言があります」と送信してください。その後、座長から「誰々さん、お願いします」と指名がございますので、その後に御発言をお願いいたします。
 また、大変申し訳ございませんが、通信が不安定になったりすることで、発言内容が聞き取りにくい場合があることにあらかじめ御了承をお願いいたします。
 検討会に先立ち、傍聴されている皆様にお願いがあります。
 携帯電話などは必ず電源を切るかマナーモードにしてください。そのほか、別途配布しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中はこれらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。
 また、傍聴されている方にも、会議室に入室する前、マスクの着用をお願いししておりますので、御協力をお願いいたします。
 万一、留意事項に反するような行為があった場合には、この会議室から退室をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。
 
 写真撮影等はここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願いいたします。
 次に、本日の資料の御確認をお願いいたします。
 本日の資料は、
 【資料1】第5回の論点
 【資料2】論点に関する労災補償状況
 【資料3】精神障害の労災認定に関する諸外国の状況等
 【資料4】第3回検討会の議論の概要
 【資料5】第4回検討会の議論の概要(第5回の論点に関する部分)
 【参考資料】団体からの意見要望
 以上となります。
 本検討会はペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、お手元のタブレットで資料の確認をお願いいたします。
 それでは、座長の黒木先生、以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○黒木座長 それでは、始めさせていただきます。
 前回は、非公開の場で個別事案を参照した上で、業務による心理的負荷の考え方について検討しました。今回は、前回の議論を踏まえつつ、引き続き心理的負荷評価表の検討と出来事が複数ある場合の全体評価に関して議論を進めていきたいと思います。
 それでは、初めに事務局から資料について説明をお願いいたします。
○西川中央職業病認定調査官 それでは、事務局から御説明をさせていただきます。
 本日の検討会におきましては、前回第4回で個別の支給決定事例を踏まえまして御議論をいただいたところでございますけれども、その際の御意見等を踏まえまして論点を設定させていただいているところでございます。
 なお、第4回検討会におきます御意見の概要につきましては、個別事案に直接関するもの、個人情報に関するものなどを除きまして、資料5でおまとめしてお示しをしてございます。
 また、その前の公開の第3回検討会の議論の概要については、資料4にまとめているところでございます。
 さらに、参考資料でございますけれども、4月28日、第3回の後、第4回の前ということになりますけれども、全国労働安全衛生センター連絡会議から申し入れ意見書をいただきました。これを機に、現行の精神障害の労災認定基準の策定以降、これまでに各団体から御提出がありました意見・要望につきまして、まとめて参考資料としてお示しをしてございます。内容の御紹介については割愛させていただきますけれども、今後の検討も含めて、適宜御参照いただければと思います。
 それでは、資料1に沿って、論点を御説明させていただきたいと思います。資料1を御覧いただきたいと思います。途中で、資料2についても説明の中で触れさせていただきたいと思ってございます。
 資料1ですけれども、いつもの形ですが、1ページ目には論点をまとめた形で記載をしています。これを少し細かくお示ししたものが2ページ以降のA4横の具体的な論点のたたき台となります。2ページ以降に沿って御説明をさせていただきます。
 2ページでございます。論点1「業務による心理的負荷評価表の検討」です。こちらが大きな論点の1つ目になります。第3回におきましては、現行の評価表の構成を基礎として内容を検討していくということで御了解を賜ったところでございまして、それを踏まえて、個別事案を見ながら第4回でも御検討をいただいたところです。この評価表について御検討をいただきたいという論点でございますけれども、この論点1につきましては、大きくAとBの論点をここでお示しをさせていただいています。そして、AをA1、A2と分けています。
 まずAでございますけれども、これは評価表に示しております「具体的出来事」についてということになります。修正・統合すべきものがあるか、また、ストレス調査を踏まえまして追加すべきものがあるかどうか、そういった論点でございます。
 そのうちA1ですけれども、現行の具体的出来事の修正・統合についてでございます。類似のものは統合してはどうか、内容や程度を限定しているものについては表記の一般化をしてはどうか。そして、職場環境の変化等に応じた表記の修正をしてはどうかということです。右側に、別紙のたたき台で検討してはどうかと示してございます。
 前回、事例を見ていろいろと御検討いただいたところですけれども、事例の数が少ないから統合するということは必ずしも適切ではないのではないか、件数が少なくても重要な出来事はあり、統合するしないはその内容についてよく検討する必要があるのではないかといった御指摘があったところでございます。
 そこで、内容が相当に限定されて当てはめがしにくいものとか、あるいは、類似性が高くて別々の出来事としておくことでかえって当てはめや評価がしにくいもの、混乱を招きかねないものについては類似項目と統合し、出来事の内容、総合評価の視点に特有の性質・他の出来事と質の違いがあるものについては、件数が少ないものも含めて統合はしないと、こういった観点で別紙のたたき台を作成してございます。別紙につきましては、A2やBの論点に関係してまいりますので、Bまで御説明した後、御説明をさせていただきます。
 A2でございます。こちらは具体的出来事の追加です。職場環境の変化に伴って多く生じている出来事は追加したい。一方で、類似項目がある場合はそちらで評価することとしてはどうかということを記載してございます。こちらは第3回でも御意見をいただいたところですけれども、別紙において、追加するものをたたき台として2点お示しをしております。
 また、そのほかいろいろと御指摘いただいたところで、既存の項目で評価できるものについてはこういったところで評価してはどうかということも別紙の中に含ませていただいてございます。
 なお、念のため、出来事の追加の検討の御参考として、第3回でもお示ししました2年度調査の調査事項について、次のページ、3ページに再掲をしているところです。
 続きまして、論点のBでございます。こちらは具体的出来事の平均的な心理的負荷の強度をどうするかということでございます。2年度の調査結果と現行の平均的な心理的負荷の強度ですね。おおむね傾向が同じものも多々ございますけれども、そういったものは据え置きになってくるかと思っておりますが、差異がある部分については、先ほどのAの統合や修正とも併せて、一部は変更すること、一部は据え置くことについてどのように考えるかということでございます。こちらも別紙のたたき台で検討してはどうかという論点とさせていただいてございます。
 そこで、別紙でございますけれども、1-6ページ、表題を出来事の追加・修正・削除の(たたき台)としてございますけれども、平均的な心理的負荷の強度についてもたたき台をお示ししたものとなってございます。
 少し時間を取らせていただいて、細かに御説明をさせていただきたいと思います。この表のつくりでございますけれども、一番左は現行の出来事の類型、そして、出来事、そして、平均的な心理的負荷の強度です。これはたたき台ということになりますけれども、その右側、その隣に改正案の欄を設けさせていただいておりまして、具体的出来事の変更については変更箇所に下線をしてございます。変更がなければ空欄のまま、空欄のところは、つまり、変えないというたたき台ということでございます。そして、たたき台としての負荷の強度の案、そして、考え方を備考欄に示しているというところでございます。さらに右は、参考資料としてのデータとなります。第3回でもお示ししました10年間の決定件数の合計とか、2年度のストレス調査の結果をお示ししてございます。
 この内容につきまして、最後のページ、9ページは、先ほど御説明した論点の順番に考え方をまとめておりますけれども、ここの御説明においては、項目1から順に出来事の修正の話とか、あるいは、平均的負荷の強度の話とか、そういったものが混ざって御説明をしていくことになりますけれども、項目1から順に備考欄にも記載をしておりますけれども、修正の話と平均的な強度の話を併せて御説明していきたいと考えてございます。
 なお、全体に共通しまして、括弧書きの表記が何箇所かございます。現行の基準にも括弧書きはございまして、この括弧書きの状況に至らない場合にもここに当てはめるという趣旨で、括弧書き、「重度の」とか、「大きな」とかいうものをつけているところでございますが、第4回でも御指摘がありました、これでいいのかどうか、これが分かりやすいのかどうかということが論点になり得るかと考えてございます。
 また、表現ぶりとしまして、価値判断を含む表現が幾つか入っているという御指摘をいただいておりまして、できるだけこれを含まない形にできるのであれば、そういう方向も検討すべきではないかという趣旨の御指摘があったかと存じます。今ここでお示しをしておりますたたき台としては、ある程度はそういった表現がないとかえって分かりにくいのではないかということで案を御用意しておりますけれども、この点も御議論いただければありがたいと思ってございます。
 それでは、具体的な項目になります。まず、類型の1ですけれども、項目は1と2がございます。項目1ですけれども、出来事それ自体の修正はしないたたき台としてございますが、負荷の強度について少し御検討が必要かなと思ってございます。平均点が2年度調査ではあまり高くなかったというところです。ただ、IRT分析の結果はⅡ~Ⅲということと、「重度の」ということが回答者の方々に十分理解されていないのではないかということを考えますと、「重度の」ということを前提にしますと、Ⅲで据え置くという形でどうかという案にしてございます。
 続いて3番目でございます。「人身事故・重大事故を起こした」ということですが、起こしたということなので、これはミスによるものとも言えるわけですけれども、4との統合も考えられるところではございますが、生命・身体に影響を与えるものとして、ほかのミス、金銭的な関係のミスとか、あるいは人間関係に関するミスといったものとは質的に異なる面があるのではなかろうかと。そういった意味で件数にかかわらず残しておくのでどうかという形で案をお示しさせていただいております。また、こちらの項目も、先ほどの項目1と同じで、平均点等があまり高くなかったところですけれども、やはり「重大な」ということを想定いたしますと、平均的強度はⅢに据え置いてはどうかというたたき台でございます。
 項目の4です。こちらは仕事上のミスに関するもので、こちらも2年度調査では平均点が高くなかったところでございます。こちらは事案を見ましても、経営に影響するなどの重大なミスの事案よりも、これに至らないミスの事案が多いということもございまして、調査結果も踏まえまして、イメージされやすいように具体的出来事として示す例は、誤発注とか損失の発生とか、そういった必ずしも経営に影響するほどの重大なミスではないミスをお示しした上で、調査結果も踏まえて、平均的強度はⅡに変更するというようなことでどうかというたたき台とさせていただいてございます。
 この関係で6番もございます。6番は、自分の関係する仕事で多額の損失が生じたという出来事でございますけれども、これはもともと4番と区分が分かりにくいということで、現行の評価表でも、これはわざわざ「本人が関与していない損失」ですよというような注を設けてございます。「本人が関与する損失」であれば4番で評価しますということですけれども、それ自体がこの表のつくりとして少し分かりにくいのではないか。また、この注を前提としますと、損失それ自体のショック、ストレスというものは、自分では責任がないものということになるので、それが大きいというよりは、そういった外部要因が発生していろいろ対応することが大変だったという仕事量の変化に着目したというような形になってくるのではないかとも考えられますので、項目15、仕事内容・仕事量の大きな変化があったとの質的な違いがあまりないのではないかというようなこともありまして、本人が関与した損失については項目4の例示に示して、それ以外の損失への対応については項目15で評価するという形で評価をしてはどうかというたたき台とさせていただいてございます。
 7番でございますけれども、違法行為が少し限定し過ぎではないかということもあって、表記の適正化をしてはどうかという案でございます。
 8番、9番は、ノルマの関係です。ノルマの関係については、ノルマが課されたということがまずストレスになり得る。そして、今の評価表ではあまりはっきりしていないのですけれども、課されたがゆえに、それに向かって、それを達成するための対応を試行錯誤も含めていろいろやっていかなければいけないこともストレスになり得る。そして、結果として達成できなかったという一連の過程があり得るところでございます。こういった一連のものが2つに分かれている。入り口と途中と最後という3段階のところが2つの出来事に分かれているということで、かえって評価が行いにくいのではないかという趣旨で統合してはどうかというたたき台とさせていただいてございます。
 また、その上で、項目8の調査結果はちょっと高めですけれども、9はそこまでではないこともありまして、調査結果を踏まえて、「強」の具体例は少し拡充する必要があるかなと思ってございますけれども、平均的強度はⅡに据え置いてはどうかというたたき台とさせていただいています。
 表現ぶりについては、あまり練れていないような感じもしてございますので、いろいろと御指摘をいただきたいと思っています。
 項目の10番、新規事業の担当になった、会社の建て直しの担当になった、でございます。こういったものも、仕事内容・仕事量の変化に当たるところではございますけれども、新規事業の担当ははっきりとした出来事でございますので、日常業務の延長でいろいろな状況があり得る項目15とは少し質の差があるのではないかという形で、統合はしないたたき台とさせていただいてございます。
 一方で、「会社の建て直し」は平成11年以来の表記でございますけれども、その当時の職場環境を反映した表現かなと思ってございますので、事例としては、現時点では大型プロジェクトとかシステム導入とかそういったものの方が現行の状況に合っているのではないかというたたき台とさせていただいてございます。ただ、あまり一般的なものが入り過ぎると、そこは項目15との違いが分かりにくくなるということで、「システム導入」という表現など、少し様々なものが含まれ過ぎるかもしれないということがありますが、どういった表記がいいかということも含めて御議論いただければと思います。
 11と12、顧客や取引先との関係でございます。まず12番のクレームですが、妥当な要求、指摘から著しい迷惑行為となるようなクレームまで、言葉からイメージされる幅が広いのかなと思っています。迷惑行為に至らないようなクレームについて、無理な注文と質的に異なるところはないような面もあるのではないかということもありまして、後ほど追加項目のところで、顧客からの著しい迷惑行為を追加するかどうかということの御議論もございますけれども、これとの関係を整理するに当たっても、11と12は整理をして、クレームという言葉を要求というような形に変えて統合してはどうかというたたき台とさせていただいてございます。
 13と14でございます。こちらは第3回にも、ちょっと限定され過ぎているのではないかという御指摘をいただいたところです。そのため、統合とか表記の修正をすることによってより幅広いものを評価できるような出来事としてはどうかということで、14の表現の修正をしているところです。
 15から19にかけては、類型の3、仕事の量・質の関係です。第3回におきましては、ここで勤務間インターバルなどについて評価できるようにするべきではないかという御指摘があったところでございます。新しい項目でというよりは、こういった仕事の量・質に関する視点の1つとして、勤務間インターバルを盛り込んではどうかということで、15、16、17の備考欄に記載してございます。また、16についてですけれども、80時間以上の時間外労働を行った。今はほかの項目で評価するときには、ここの項目を評価しないということが注記されていますけれども、そういったほかの出来事との関係についても、改めて整理することが必要ではなかろうかと書かせていただいています。また、16や17ですけれども、長時間労働あるいは連続勤務というところですけれども、これについて、今、80時間以上、2週間以上に限るような例になっておりますけれども、それに至らないものを「弱」として評価する場合もあり得るところですので、そういった部分をどう表現していくかということで、括弧書きがいいかどうかも含めて御議論いただければと思ってございます。
 18と19は、勤務形態の変化、それから、仕事のペース、活動の変化ということがございます。また、2年度調査では、作業環境・作業管理の状況の変化についての調査をいただいたところでございます。こういったものは全般に仕事のやり方という趣旨で、質的に  共通するようなものではないかということで、統合をしてはどうかというたたき台とさせていただいています。また、その中でインターバルとの関係もございますけれども、不規則な勤務など、そういった人間の生理に影響するようなものについてどういった評価をしていくかということも含めて、ここで盛り込んではどうかというたたき台になってございます。検討会での御指摘で、テレワークについても御指摘があったかと思っております。そういったものも仕事のやり方の変化ということで、ここで併せて評価していくことを明確にしてはどうかというたたき台になっています。
 項目21と22、配置転換と転勤です。これについて、特に勤務場所の変更を伴う配置転換と転勤との関係がなかなか定義をしにくいかなと思っております。勤務場所の変更を伴う配置転換について、現行では、自分が引っ越すかどうか、転居をする場合には転勤にします。転居をしないで勤め先の場所が変わる、どこどこ支店からどこどこ支店に異動しますということについては配置転換という当てはめにしています。この2つについては、検討の視点が極めて似てくることもございますので、もちろん同じ場所の隣の係に異動しましたという配置転換と比べますと、場所が変わることによる検討の視点はいろいろございますので、そういったものは明示していく必要はあると思っておりますけれども、21と22については統合するほうが分かりやすいのではないかというたたき台とさせていただいています。
 項目23ですけれども、複数名で担当していた業務を一人で担当するようになった。担当者が減少して仕事量が増えるというのは、一人で担当する例に限るものではないことであるとか、人の減少は仕事の減少を伴ったり、あるいは、仕事の割り振り、再配分を伴ったりということで、日常的にいろいろな調整が職場ではなされ得るということで、項目15が仕事内容・仕事量の変化と質的に異なるとはなかなか言いにくいのではないかという趣旨でのたたき台とさせていただいておりますが、いろいろ御指摘はあろうかと思っておりますので、御議論いただければと思います。
 項目24でございます。項目24は第4回の検討会でいろいろと御指摘があったところでございます。決定事例も踏まえつつ、同一労働同一賃金に関する最高裁の判決等の現在の職場環境をめぐる状況等を踏まえると、いろいろな差別や不利益取扱いの問題がある中で、ここで非正規雇用を特出しして示すことがよいのかどうかということについて御指摘があったところです。様々な事情で差別、不利益取扱いなどの問題はある得るところではございますので、そういったことを明確にするため、現行の表記を一部削除したたたき台とさせていただきました。
 また、対人関係の中で行われる差別、誰かが、上司であれ同僚であれ個人として行う差別については、対人関係のところ、パワーハラスメントのところで評価することとなるところでございまして、こちらの項目24では、現行でも対会社との関係、処遇などの関係で問題として生ずるもの評価しているところでございますが、その旨を明らかにするということのために、「不利益な処遇等」という表記の修正をしてございます。こういった形でどうかというようなことで御議論いただければと思います。
 また、その上で、2年度調査では、差別、不利益な取扱いを受けたという表記を基に調査をいただいて、平均点が少し高めになっているところでございますけれども、差別的な取扱いは、基本的に「強」の具体例になってくるかと思ってございますが、いろいろな処遇の問題があることを考えると、平均的強度については、表記の修正をした上で、Ⅱに据え置いてはどうかというような案のたたき台とさせていただいております。IRTの分析結果からⅡ-Ⅲということで、必ずしもⅢということでもないということも踏まえてのたたき台でございます。
 さらに、対会社との関係、処遇等の問題を評価する項目であるということになりますので、2年度調査で対象とした項目の中で、「会社とのトラブル」とか、「退職させてもらえなかった」とか、こういったものをここで評価することを明確にしてはどうかというたたき台となっています。
 25番です。自分の昇格・昇進があったということですけれども、こちらについては、不利益ではない労働条件の変更を幅広く評価して、項目27等も含めて、いろいろな労働条件の変更を評価する形としてはどうかというたたき台ですけれども、24との関係もございますし、もとの出来事より幅広ではないかということもあろうかと思います。御議論をいただければと思ってございます。
 26につきましては、23と同様に、統合してはどうかということでございます。
 27は、先ほど25のところでお話ししました。
 28は、24の御議論が前回あったときに、非正規雇用労働者であることを特有の事情としては、この契約の内容というような関係があるのではないかという御指摘いただいたところでございまして、特有の、質が違うものということで、件数は少ないけれども、統合をしないというたたき台とさせていただいてございます。
 パワーハラスメントのところは修正をしない案となってございまして、対人関係のところでございますけれども、31、32、上司とのトラブル、同僚とのトラブルについて、強度のところが検討事項になろうかと思ってございます。これは、第3回にも御指摘があったところですけれども、調査結果は高く出ているところでございますが、調査結果のうち、高い回答をされた方は、例えば上司とのトラブルであればパワーハラスメント関係のもの、あるいは、同僚とのトラブルについても、ひどいいじめやそれに関するもの、こういったものを念頭におかれていることも十分考えられるところでございまして、そういったものはそちらの項目で評価するということの前提で、この項目についてはそういったものに当たらないということであれば、平均はⅡでどうかというたたき台となってございます。
 34、35についても、これも非常に限定され過ぎているのではないかということで、統合して、少し幅広く評価するとしてはどうか、36については、社内での処遇に関するものですので、先ほどの24の関係になってくるのではないかということでございます。
 最後に、追加項目案2件お示しをさせていただいてございます。第3回までの御議論を踏まえて記載をしてございますけれども、感染症等の病気や事故の危険性の高い業務に従事者したとか、取引先などから著しい迷惑行為を受けたというようなことなどを追加してはどうかという案とさせていただいております。
 また、ハイリスクの業務につきましては、備考のところでございますけれども、予定されたものに予定されたようについたのか、そうではなかったのかということがストレスの強さに影響してこようかというところで、そういったものを総合評価の視点に含めるべきではないかという御指摘を踏まえて、そういったことを盛り込ませていただいてございます。
 別紙についての御説明は以上となります。
 論点1のA、Bそれぞれ併せて、このたたき台で御議論いただければと思ってございます。出来事が多数ございますので、類型ごとに御議論いただけるとありがたいと思ってございます。
 続きまして、論点の2でございます。資料1の4ページに戻っていただければと思います。論点の2は、「出来事が複数ある場合の全体評価」です。前回の検討会で、こういった場合の事例をお示ししまして、先生方にいろいろ御指摘をいただいたところでございますけれども、事例についての御意見の中で、出来事が関連して生じている場合と、それから、関連していない場合、この部分は重要だという御意見が多数あったかと事務局では考えているところでございます。
 こういった御議論を踏まえまして、A1につきましては、判断枠組みの論点となります。まず、前回の御指摘がございましたけれども、現行認定基準では、関連している場合と関連していない場合で違うやり方で判断しますということを示しておりますけれども、どういう場合が関連している場合で、どういう場合が関連していない場合なのかについての記載はないところでございます。これについて常識的な範囲のことではありますけれども、少しでも明確化できないかというのが1つ目のポツでございまして、アスタリスクのところですけれども、こういったものは関連しているというようなことを示してはどうかという論点でございます。
 同一時点で生じた事象を異なる視点から検討している場合とは、例えば爆発災害などが起こって自分もけがをして、同僚が悲惨なけがをするのも見たということですと、この場合項目1と項目2の複数の出来事を評価することになりますが、そういった場合は関連している例になるのかなと思ってございます。その後ろの同一の原因により複数の出来事が起こっている。あるいは、前の出来事の結果出来事が起こっている。こういった場合は当然関連するというようなことになろうかなと思います。ほかにもあるかもしれませんが、こういった考え方を示すことができるかというのがこの論点になります。
 その上で、関連して生じている場合については、その全体を一つの出来事として評価することとしまして、最初の出来事に当てはめて関連して生じたいろいろな出来事は、その出来事の出来事後の状況とみなして全体結果を示すということ。それから、関連しないものが複数生じた場合は、「中」が複数だと全体として「中」あるいは「強」、「中」が1つだと、あとは「弱」があっても全体としては「中」、「弱」が幾つかあっても、全体としては「弱」、こういった考え方を示しておりますが、こういったものについて現時点でも妥当と考えてよいかどうかという論点でございます。
 続きまして、5ページのA2、A1は枠組みの話でございましたけれども、その中でA2は、さらにそこで判断をしていくに当たって、明確化・具体化ができないかという論点でございます。関連しない出来事が複数生じた場合の考え方ですけれども、「中」が複数あるときに「中」または「強」、どういうときに「中」または「強」なのかということは、こうだと示すのはなかなか難しいところではありますが、現行の認定基準では、それらの出来事の数・内容、そして、その時間的な近接の程度、こういったものを基に全体的な心理的負荷を評価するというふうにしてございます。これについて、この記載のままでいいのか、何か追加してこういったことも考慮してはどうかということを示せないかどうかということで、アスタリスクのほうですけれども、出来事の継続時間。最初の出来事だけではなくて、時間的に続く出来事もございますので、そういったものも考慮して検討する必要があるのではないか。
 また、発病との時間的関係については現在示しておりませんので、こういったものを考慮事項として示すことがよいのかどうか。こういったことについても御議論をいただければと思います。
 さらに、関連しない「中」の出来事が複数ある場合の判断が難しいところでございますけれども、例えば、ある段階で「中」の出来事が起こって、そして、完結して落ち着いた。落ち着いてしばらくたってから、また、次の「中」の出来事が起こって、また、完結したということですと、それぞれに順番に対処できるということですね。ストレスの全体の大きさとしては、それぞれの出来事と同じ、「中」のままということになるのではないかということであるとか、一方で前回も御指摘ありましたけれども、そういった出来事が時間的に近接している、あるいは重なり合って生じるという場合には、1個よりも強くなっていくのではないか。ただ、「強」の水準に至るかどうかということとは、また、ケース・バイ・ケースで事案によるということになろうかと思いますけれども、ばらばらの一個一個よりも全体として見たときに少し強いということになる場合があるのではないか、そういったことを示せるかどうかということでございます。
 さらに、関連して生じている場合でございますけれども、今の認定基準では、関連して生じている場合には、最終的には一個の出来事として見るというやり方が示されているわけですけれども、そこに至るまでにはばらばらの出来事に当てはめて、実際には「中」が幾つありますというような状況にもなっているところでございます。この関連した各出来事を一個の出来事としてほかの出来事や最初の出来事後の状況として評価する場合の全体評価のやり方については、今、具体的なことは示していないところでございますが、関連していない出来事を評価する際の考え方について、関連している場合にも参考とすることについてどう考えるか。参考とするということでしたら、それを示せないかというような論点でございます。
 いろいろ書かせていただきましたけれども、こういう基準だというふうにはっきりお示しすることは、これまでの御議論を踏まえましても、事例を見てもなかなか難しいのではないかというところもございまして、事例を1つでも2つでも幾つか示すことで明確化を図ることができないかというのが最後の論点でございます。事例については、公開の検討会の場でお示しできるような形のものは事務局でまだ用意できておりませんけれども、この論点の方向でよろしければ、追って、御用意をさせていただきたいと考えてございます。
 資料1についての説明は以上となりまして、資料2が複数の出来事の関係の資料となります。資料2を御覧いただければと思います。
 資料2につきましては、令和2年度の支給決定、不支給決定の状況につきまして、出来事の数などの状況を分析してお示ししたものになります。
 支給決定事例には、特別な出来事によるものとか、「強」の出来事があったものなど、いろいろございますけれども、今回の論点に関するのは3の部分でございますが、「中」と判断した出来事が2つ以上あって、全体評価を「強」としたもの、これが66件ございます。
 今度は不支給事例のほうでございますけれども、「弱」の出来事しかなかったものが575件という状況でございますが、「中」の出来事1つが524件、そして、「中」の出来事2つが55件、3つの事例が9件、「中」4つ以上の事例はなかったという状況でございまして、すなわち、業務外となった事案に「中」の出来事が複数あった事例は合計で64件でございます。先ほどの業務上のほうの「中」の複数66件と比べましても、大体業務上になっている事例と業務外になっている事例はおおむね1:1という状況でございます。ここでいう複数の出来事には、出来事が相互に関連しているものも関連していないものも両方が含まれているところですが、こういった状況になっていることを、実態の資料としてお示しをさせていただきます。
 資料3につきましては、第3回検討会の御議論を踏まえて御用意したものでございまして、必ずしも本日の論点だけに関するものではなくて、この先の検討の参考にしていただければという趣旨で御用意をしたものでございます。諸外国の状況について参考としてはどうかという御指摘いただいたものと、それから、2004年のヨーロッパの職業性ストレスについての枠組み合意、そして、これを受けて、2008年の心理社会的リスクマネジメント欧州枠組み、これらについて第3回で御指摘をいただいているところでございます。
 簡単に御説明をさせていただきますけれども、1が諸外国の状況ということで、2ページから5ページにかけてでございますけれども、2020年の労働政策研究・研修機構の報告書がございますけれども、こちらから精神障害に関する部分を抜き出して取りまとめたものでございまして、令和2年の私どもの委託事業で医学的知見の収集をお願いした際に、併せて、その報告書の中で取りまとめていただいたものですので、孫引きのような形で恐縮でございますが、そのページをお示ししているものでございます。
 2番目は、第3回におきまして中益先生から御指摘をいただきました、2004年に欧州の労使団体が結びました、職業性ストレスについての枠組み合意でございます。6ページからでございますけれども、7ページの3に定義がございまして、ここで職業性ストレスの定義が示されているという形になります。
 3番目の資料でございますが、この2の枠組み合意を受けて、10ページからですけれども、第3回において吉川先生から御指摘いただきました、2008年にWHOが示したヨーロッパのリスクマネジメントの枠組みということになります。通称PRIMA-EFと呼ばれているものでございますけれども、34ページを見ていただければと思いますけれども、こちらのモデルについて第3回で先生から御指摘いただきまして、左側にストレス要因が示されています。ストレスを受けて、そして、反応があるということでございますけれども、この右側のストレス反応が、また、ストレス要因に影響を与えていくといった相互関係があるというモデルになってございます。
 これらの文献でございますが、今日の論点に直ちにということではないかもしれませんけれども、今後の認定基準全般の御議論について、広い意味で御参考にしていただければということで御用意したものとなります。
 長くなりましたけれども、資料の説明は以上でございます。説明中に申し上げましたとおり、資料1については、類型ごとに区切って御議論を賜れれば、その後、論点2について御議論を賜れればありがたいと考えてございます。
 駆け足で恐縮でございましたが、説明は以上です。御議論のほどよろしくお願いいたします。
○黒木座長 ありがとうございました。
 本当に膨大な資料を簡潔に分かりやすく説明していただきました。議論の進め方ですけれども、初めに、資料1-2ページの「認定基準の検証に係る具体的な論点」の「1 業務による心理的負荷評価表の検討」について検討しますが、「A 評価表において、修正・統合すべき具体的な出来事があるか。また、追加すべき出来事、追加すべきでない出来事はどのようなものか」と、「B 既存の具体的出来事も含め、それぞれの出来事の平均的な心理的負荷の強度をどのように定めるか」といった大きく2つの論点を踏まえながら、資料1-6ページの別紙の出来事の類型ごとに検討を進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 非常にたくさんの出来事があるので、出来事を一つずつ見ていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○黒木座長 それでは、早速ですが、出来事の類型「1 事故や災害の体験」について、項目名、平均的な心理的負荷の強度も変更しないたたき台が示されています。これについて御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。
 何か御意見ございますか。
○黒木座長 田中先生、何かございますか。
○田中委員 1については、これでいいと思います。
○黒木座長 ほかの先生方。丸山先生いかがでしょう。
○丸山委員 いいのですけれども、また、後で議論があるかもしれませんが、現行で括弧づけが3個ありますよね。今回、新たに4個括弧づけが増えるのですけれども、そうすると7個ですよね。全体が、37が27に減って、27項目中7個が括弧づけになっているのですよね。この括弧をつけるかどうかということですけれども、負荷強度Ⅲが、要は、「重度の」というのがついている場合の強度ですよね。
○黒木座長 はい。
○丸山委員 そのあたりが少し明確にしていたほうがいいかなと思うのですね。前回、重大な事故とかいうところには括弧はついてなかったですよね。それでⅢになっていたわけですかね。だから、前回あまり一貫性がなかったかなと思うのですけれども、同じ改訂をするならば、そのあたり、一貫した形にしておいたほうがいいと思うのですね。
 だから、そもそもが括弧づけの意味をきちんと決めておいて、括弧がないときにその強度が当てはまるのだという理解。つまり、括弧しておかないと当てはめにくいということとかいろいろ配慮があってそうなっているのだろうと思いますけれども、しかし、括弧がなくても別に類推になるわけではないと思うのですね。それを当てはめて中・弱に変更するというだけのことだと思うのですけれども、括弧をつけてもいいのですけれども、そこらへんを、この項目のところで議論しなくてもいいのですけれども、後できちんと議論しておいたほうがいいと思います。
 以上です。
○黒木座長 前は、たしか大きな類型だけでしたか。
○西川中央職業病認定調査官 丸山先生がおっしゃっているのは、現行の項目3の「業務に関連して重大な人身事故・重大事故を起こした」の「重大な」には括弧がついてないという御指摘ですよね。今、項目1は括弧がついていて、ここが、ちょっと整合性が取れてないのではないか。もう少し議論して整理してはどうかという御指摘だと思います。
○丸山委員 そうです。
○黒木座長 先生方、いかがでしょうか。「重度の」、それから、3番目は「重大な人身事故」こういった修飾語をつけることで、例えば当てはめをする場合に、これがどういうふうに取られるか、あるいは、当てはめしやすいかどうかということも含めて、この括弧を省くと、例えば病気やけがをしたという単発になるのですけれども、これが平均的な強度としては、病気やけがをしたということだけを取ると非常に低くなるわけですよね。Ⅲという最も高い強度にするとなると、何か評価が必要かなという気がしますけれども、このへんをどう持っていくかというところだと思いますが、いかがでしょうか。
 小山先生、いかがでしょう。
○小山委員 具体的なところで例外を入れるので、その中で弱・中・強というのが分かるのではないですかね。そういうことを書けば、別に「重度の」とか、「重要な」とかという言葉は要らなくてもいいかなと思うのですけれども、重度の病気をしたというそれに意味を持たせるのだったら、括弧づけなり、括弧なしで「重要な」という言葉をつけないといけないでしょうけれども、病気をしたならば、どんな病気の程度であったか、経過はどうであったかということで、強弱をつけられるだろうと思います。具体例を挙げていくので、それで分かるような具体例を挙げれば、別にいいのではないかな。
○黒木座長 そうすると、先生、例えば平均的な強度はⅢになっているのです。病気やけがをした、それが強度はⅢというと、イメージとしては、どんな病気でもⅢになるというふうに捉えられないですかね。
 丸山先生、このへんは、もしつけないとするとどういうふうに。
○丸山委員 括弧を単につけないだけで、「重大な」は抜かさないのです。僕は、「重度の」をつけた状態も言っているのですよ。だから、重度の病気やけがでⅢでいいと思うのですよね。
ほかも同じです。括弧を外すだけであって、その修飾語をつけないという意味ではありません。
○黒木座長 分かりました。
 要するに、この括弧をつける必要はないということですよね。そうすればⅢでいいわけですね。
○丸山委員 はい。括弧をつけないほうがすっきりするかなと僕は思っていますけれども、特に、当てはめは括弧があったほうがしやすいとか、そのほうがいいのだということであれば、そのことをきちんと統一して了解しておく必要があると思います。
○黒木座長 分かりました。
 ほかの先生方、いかがでしょうか。
○小山委員 「重度の」という括弧づけをしなくてもⅢになっているのですから、確かに括弧は要らないかなと思います。
○黒木座長 田中先生、どうですか。
○田中委員 認定基準を適用するときに、軽度なものとか、出来事があったときに、いちいちこれを使ってIにする、「弱」にするというのは、少し抵抗があるから括弧をつけてないのかなと思って、僕は解釈していたのですけれども。そうですね。総合評価のところ、具体例のところで説明して、そういったところもスムーズにIとかⅡとかつけられるようにすれば、Ⅲ基準の「重度の」を括弧なしで示してもいいのかもしれませんね。特に調査のときは、さらに注意書きとして、括弧をなくして、「重度の病気やけがをした」という形にしていけば、「2か月以上の入院をする」みたいなところの注意書きをしておいたらいいと思います。それでも、少しこういった結果でしたし、Ⅲを明確にするのであれば、「重度の」というのを括弧なしで明確にすべきかもしれませんね。
○黒木座長 ほかにはいかがでしょうか。
 後にも括弧は出てくるのですけれども、括弧は別になくてもいいわけですよね。
○西川中央職業病認定調査官 事務局から、今なぜこの括弧がついているかという趣旨について御説明をさせていただきたいと思います。
 今、先生方の御議論の中でも出てきましたように、重度でない病気やけがも項目1に当てはめるのですね。実際には重度でないと判断した場合には、個別の事案の心理的負荷の強度が「中」であったり、「弱」であったりと判断されるわけでございますけれども、最終的にそういった判断を終えた後に、請求人の方などに御説明をする場合に、担当の職員としては、「あなたの体験したこの病気あるいはこのけがについては、この項目1に当てはめました」。そこで、括弧の「(重度の)病気やけがをした」に当てはめましたと言うのか、括弧がついてない、あなたの経験した出来事は、「重度の病気やけがをした」という出来事に当てはめましたという説明をするのか、ということの問題になろうかなと思ってございます。御説明をする際に、書いてあるものに当てはめたということになってくるので、それは「重度の」と認定されたのではないですかというようなところを、どのようにうまく説明していくかという問題は生じてくるのかなと。そのために、23年のときには、括弧がつけられたと理解をしているところでございます。
○品田委員 その後の問題はどうでしょう。「重大な」とか。
○西川中央職業病認定調査官 項目3の「重大な」に括弧がなぜついていなかったかについては判然としませんで、今回のたたき台では「(重大な)」とつけたのですが、2か所に分かれて括弧がついて、美しくないというご指摘は当然あろうかなと思っております。
 丸山先生がおっしゃるように、あまり整合がついてないということは確かで、この「重度の病気やけがをした」というのは、先ほど申し上げたような話が分かりやすいところではあるのですけれども、前回、御指摘のありました、いわゆる価値判断の入るような場合には、全部その問題は入ってくるところではありまして、では、全部に括弧をつけられるのかというと、それはそれで非常に難しい問題があるというところで、大変悩ましいと思いますけれども、いろいろと御指摘いただいて、また、後ほど整理させていただければなと思います。
○黒木座長 まだいろいろ出てきますよね。
○西川中央職業病認定調査官 はい。いろいろ出てきます。
○黒木座長 これは最後にまた御意見をお伺いするということでよろしいでしょうか。
 ほかに御意見ございますか。
 もしなければ、次の出来事ですね。「仕事の失敗、過重な責任の発生等」について、項目の統合や、項目への修正またはそれに伴う心理的負荷の平均的な強度の変更などがたたき台として示されています。これについて、何か御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。
 品田先生、どうぞ。
○品田委員 小さいことですけれども、項目8の「達成困難なノルマが課された」はそのまま踏襲される表現になっているのですが、これは現実には、本人が達成困難だと思って訴えても、達成している人もいるのではないかというようなことを会社側から言うような例もありまして、そうした人がいるとなると、達成困難ではなかったのではないかというような議論を持ち込ませてしまうので、むしろ、私は、ここは「達成不可能な」というような表現を用いることで、およそ現実的ではないようなノルマを課したことに対して、本人がどのようにストレスを感じたかという評価にしたほうがいいのではないかという気がしております。しかし、ここはほかの意見があってもおかしくないなと思いますので、必ずしも強い意見ではありません。
 もう一つ、項目14ですけれども、会社では、上司や担当者の不在等により予定された範囲を超えた業務という表現になっているのですが、予定された範囲を超えた業務といいますと、これは量の話をしているので、次の3の仕事の量の話にちょっとなっていくのかな。したがって、もし、上司や担当者の不在等によって仕事の質が変わってしまうというようなことであれば、むしろ、担当外の仕事もしくは想定外のというような形で表現を用いたほうがいいのではないかという気がします。
 以上です。
○黒木座長 御指摘ありがとうございます。
 これはいかがでしょうか。今の品田先生のお話は、具体的には、例えばどんな。
○品田委員 上司や担当者の不在等により担当外のもしくは想定外の業務を行った、責任を負ったというような形にしてみてはいかがかと思います。
○黒木座長 ありがとうございました。
 8番はどうでしょうか。
○品田委員 8番は、「達成困難」ではなく、「達成不可能なノルマが課された」という表現にしてはどうかと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかには、先生方いかがでしょうか。
 類型2の出来事で、何か御意見がございましたら、よろしくお願いします。
○田中委員 田中ですが、よろしいでしょうか。
○黒木座長 はい。
○田中委員 今、品田先生から御提案いただいた8番の「達成不可能な」という、不可能か困難かというのは、若干主観的なところもあって、「不可能」にしてしまうと、ⅡではなくてⅢに近いイメージになってしまうのかなという思いもあり、これは「困難」でもいいかなと思ったりしています。
 また、14については、私も同じように思います。
 10番ですけれども、これは15番に吸収されないよう独立した出来事として、統合しない案であるわけですけれども、新規事業、大型プロジェクトは確かに15番とはちょっと質的に違って独立した出来事として扱えるような意味ではあるのですけれども、単純なシステム導入というと、今現在、DX化が示されるところでも、通常業務の中にシステムの変更が日常的にあるものですから、これを含めてⅡというのは少しどうかなという思いがあり、このシステムの表現についても、新規事業や大型プロジェクトでシステムが新たに変わるわけなので、システムという言葉自体が、コンピュータシステム以外にも様々なシステムが広い意味で使われることもあるわけですけれども、そういったものと広く扱われないように、システムの前に、大型のシステム変更とか、新規のシステム導入とかという形で、少しⅡに相当するような感じで記述できるといいのではないかと思っております。
○黒木座長 ありがとうございます。
 先生、システム導入というのは、むしろ、システムをもうちょっと広く捉えたほうがいいということですかね。
○田中委員 いや、会社での新しい変化は大体システムが、何らかの形で広い意味でのシステムが変わるわけですので、ここではどちらかというと15とあえて離して独立してというのであれば、個人的には、システム導入というのはなしで、新規事業とか大型プロジェクトというようなものだけでもいいのかなという考えもありますし、システムを入れる場合は、大きなシステムだとか、新規のシステム導入みたいな形で、少し修飾をつけて、通常起こり得る15番で拾えるようなものとはちょっと質的に違うのだというところを明確にしたほうがいいのかなと思います。
○黒木座長 むしろ、ストレスの質の問題ですかね。
 ここは、もう一回事務局で検討してもらってよろしいでしょうか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 丸山先生、いかがですか。
○丸山委員 さっきの8番のノルマのところですけれども、多分、事務局は8、9を一つにまとめたいという意向があったのだろうと思います。であれば、「達成困難」にとどめておかないと、もし、「達成不可能」とするのであれば、分けないとなかなか難しいかなと思うのですね。以前のように、達成不可能なノルマ、それから、ノルマに対応した、達成できなかったという、その2つの項目にしないと、ちょっと評価も変わってくるので難しいかなと思いますね。
 だから、僕は、ここは一つにまとめたほうが案外すっきりするように思っているので、今、言葉としてはちょっとなじまない表現になっていますけれども、「達成困難」で始めて、それで、「対応した」「達成できなかった」という、一連の形でまとめられたらいいな、使いやすいかなと思います。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょう。
○品田委員 私も8番にそんなにこだわりませんので、「達成困難」の方が皆さんがいいと言うのであれば、それでよいと考えています。
○黒木座長 ありがとうございます。
 小山先生、類型2で何かございますか。
○小山委員 今、先生方がおっしゃったとおりに、項目8と9と一緒にするならば、「達成困難なノルマ」、それが課されたか、できなかったかということで、一つにまとめてもいいかなと思っています。
 新規事業のところですけれども、さっきの田中先生の説明から受けて、「新規事業、大型プロジェクト・システム導入」という、そうすれば、大型プロジェクト、それのシステムの導入という形に取られるかなと思うので、ナカマル(・)にして、大型プロジェクトとシステム導入を一緒にすればどうでしょうか。
○黒木座長 このへんは、事務局でどういった表現が一番捉えやすいか検討していただければと思います。
○西川中央職業病認定調査官 はい。
○黒木座長 それでは、時間の関係もあるので、次に類型3に行きます。「仕事の量・質」ということですけれども、この中では何か御意見ございますでしょうか。
 ここの統合は18と19ですかね。
 何か御意見ありますか。
○田中委員 田中ですが、よろしいでしょうか。
○黒木座長 はい。
○田中委員 18番ですけれども、ここで、「仕事のペース」が出されていますけれども、仕事のペースは15番にかなり近いような形で、残業時間等に重なるところなので、これは要らないかなと思います。
 逆に、ストレスモデルとして有名なDemand-Control Modelなどでは、裁量権がどうかということが非常にストレスに大きな影響を与えることが示されていますので、ここでは、仕事のペース以外に裁量権とかといったところを追加してはどうかなと考えます。
 以上です。
○黒木座長 具体的には、先生、どういうふうに表現するのがいいですか。
○田中委員 具体的には、18番では、勤務形態、裁量権、仕事、作業環境等の変化という形がいいのかもしれません。
○黒木座長 裁量権を入れるということですね。
○田中委員 仕事のペースが必要かどうかというと、また、検討いただければと思います。個人的には、ちょっと要らないかなと思っております。その代わりに裁量権を入れるという提案です。
○黒木座長 裁量権を入れるとなると、分かりづらくないですかね。
○田中委員 裁量度でもいいと思います。
○黒木座長 ほかの先生方、いかがでしょうか。法律家の先生方、いかがでしょうか。阿部先生、何か御意見ございますか。
 中野先生、よろしければ御意見お願いします。
○中野委員 名古屋大学の中野です。
 項目の16と17に、先ほどから議論になっております括弧書きが用いられているのですけれども、こちらの括弧書きの「など」という言葉の使い方がこれでよいのかという点に疑問があります。前に出てきました項目4は、ほかにも平均的強度として評価されることの例があるという、まさに「など」なのですけれども、もし私の理解が間違っていれば御指摘いただきたいのですが、こちらの16、17は、平均的強度であるⅡに該当するための最低基準を括弧書きで示しているのではないか。
 そうしますと、項目1や3と同じように、「など」は要らないのではないか。(1か月に80時間以上)だけを括弧書きにする。あるいは、(2週間以上にわたる)だけでよいのではないかという指摘になります。お願いします。
○黒木座長 ありがとうございます。
 このへんは、事務局はいかがでしょう。
○西川中央職業病認定調査官 確かにおっしゃるとおりでございまして、「重大な」ということと同じようなつもりで括弧をつけたわけですが、80時間に満たない場合もここに当てはめる必要があり得るかなということで、括弧もつけたし、「など」もつけたということですけれども、御指摘のとおり、4は確かに「など」で誤発注や損失発生のほかにも、いろいろなミスが当然あり得るわけで、そういったものがⅡになる、「中」になることがあり得る前提ですけれども、今、中野先生御指摘のとおり、80時間以上ということで、そちらに幅はあるのですけれども、ここに至らないものが「中」になるということは現行でも想定しておりませんし、そういったつもりでたたき台を作成したものでもございませんので、括弧がいけないのか、「など」がいけないのかということも含めてですね。先ほどの丸山先生の御指摘のように括弧を外すところのほうで解決ができるのか。あるいは、そうではなくて、「など」を消して、括弧がつくのかということで、ほかの先生方とも少し御相談させていただきながら検討してまいりたいと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 それでは、事務局のほうでここは検討していただくということで、よろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。
○三柴委員 黒木先生、ちょっとよろしいですか、三柴です。
○黒木座長 はい、どうぞ。
○三柴委員 今の点についてちょっと教えていただきたいのですけれども、事務局としては、ここでは、80時間はあくまでミニマムであって、仕事の質が非常に高い場合に、そのミニマムを下回る場合を取り込むということは全く考えていないということでよろしいですか。ここはあくまで労働時間で切るという発想でよろしいですか。そこだけ教えてください。
○黒木座長 いかがですか。
○西川中央職業病認定調査官 お答えいたします。
 現行の運用でございますけれども、時間はそこに至らない、あるいは連続勤務はそこに至らないけれども、質は非常に高くてということであれば、項目15の仕事内容の大きな変化とか、事案によっては項目4のミスであるかもしれないし、項目8、9のノルマになるのかもしれないし、そういったところの別の出来事で評価することになろうと考えてございまして、項目16や17につきましては、時間数などを基本的には考えており、逆に、80時間以上やっているけれども、非常に密度が薄い場合に、それが本当に「中」になるのかというお話はあるとしても、45時間、60時間のときに、それが非常にきつい仕事であるから、16の項目で「中」になるのかということで言えば、この項目でということは正直想定していないというのが現行でございます。
○三柴委員 分かりました。ありがとうございます。
○黒木座長 ほかはよろしいでしょうか。
○吉川委員 吉川ですけれども、今、先生からいろいろ御指摘いただいた内容は非常に重要かなと思いながら聞いておりました。
 今回、15のところに、6、13、23、26という内容を盛り込むことで、仕事内容の変化というのが非常に重要だというところに集約されてくるのは、少し散逸をしていた情報が取り込まれる形になってよかったのではないかなという印象を持っています。
 その意味で、15と16、17は測定の仕方が結構違っていると思っていて、16、17は数値がある程度出ますので、認定というか、その場合にも評価をしやすいような項目としてあるので、これはこのままでいいと思います。特に17については、今まで休日の評価ということについて明確に言葉が少なかったようなところに、ここに「休日がない労働」という形で明確に出る形になったので、これは連続勤務で休日がないことが非常に負担になるということが明確になってよかったと思います。
 少し気になっているのは18のところです。勤務形態の変化の中に、例示の中に少し具体的なものを盛り込んでいくのがいいと思います。具体的には、今、IT業務などで、常駐として自分たちの職場ではないところで他社の会社に行って仕事をしていて、そういうところで仕事をしなくてはいけなくて、リモートで相談をしてもなかなかサポートがないとか、そういう形で精神的に追い込まれているITの方がおられます。あるいは、自分のホーム、自分の土俵でないところで仕事をしなければいけないような場合とか、勤務形態の多様化が進んでいる中で、非常に苦労して働いて精神障害になっている方がおられます。18のところに18、19を統合する場合、働く場所のこと、時間的な拘束の程度というか、そういうような勤務形態についての事例などが入ってくると、より重要なポイントになるかなと思いました。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 確かに現行は、12日間連続勤務ということで「中」程度ということですけれども、今回、休日はないということが入ったので2週間ということになって、これも明確化されたと。
 それから、18番には出向したり、あるいは職場でいろいろな形態で働いている人もいるので、ここももうちょっと工夫していただけると、認定する側としては分かりやすいかなと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 中益先生、いかがですか。
○中益委員 類型3については、特にございません。
○黒木座長 ありがとうございます。
 それでは、次に行ってよろしいですか。
 次は類型4の「役割・地位の変化等」ですけれども、20番から28番までで何かありますでしょうか。
○品田委員 品田です。
 ここは幾つか問題があるような感じがしております。先ほど「出向」という言葉を言われましたけれども、21番には、「転勤・配置転換」は「等」が入っていませんので、ここに「出向」もしくは「等」を入れる必要はあるのかなと思います。
 24番はいろいろ検討が必要だと思うので、ちょっと後に回したいと思います。
 25番、「自分の昇格・昇進等の労働条件の変更」ですが、これは通常、昇格・昇進を労働条件とは言いませんので、「身分・立場の変更」があったというふうに変えたほうがよいかと思います。
 そして、28番もちょっと問題ですが、非正規雇用を捉えることは悪いとは言いませんが、契約期間が満了するのは必ずしも非正規雇用の人だけではなくて、例えば、定年前の方もあれば、派遣の方も常用型の派遣であれば、自ら気に入った職場であるにもかかわらず契約期間が満了するというようなことで離れなければならないということがストレスになったりすることがあろうかと思います。そう考えますと、ここは非正規雇用ということに限ることではなく、当該事業場での雇用期間の期限・満了が迫ったということで包括的に捉えるような形にしたほうがいいのではないかという気がします。
 戻りますが、24番については、これも確かに、前回中野先生がおっしゃられましたように、非正規社員であるということを特化して書くことは何か分かりにくいと私も思います。しかし、この改訂の案では、「業務に関連し、不利益な処遇等を受けた」と、これだけではあまりにも広過ぎて、また、包括条項をつくったような感じで受けとめられる可能性もあろうかと思います。ここでは、一体何を捉えてこの不利益な処遇等を受けたことに対してストレス要因と考えるのか。その前提となる理由がどうしても必要なのではないかと思います。そうしますと、例えば、雇用上の身分や立場もしくは個性、特性といったようなことを理由として差別もしくは不利益な処遇を受けたというような形にすべきかと考える。この点の表現方法はもう少し考えなければいけないと思いますが、例えば、人種、性別、さらには性的指向、いろいろなことにおいて不利益な取扱いが行われることに対する基準だと考えるべきかと私は思っております。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。非常に貴重な御指摘だったと思いますけれども、品田先生の御意見について、ほかに御意見があれば、お願いできますでしょうか。
 阿部先生、どうぞ。
○阿部委員 阿部です。
 私も、24と25の表現ぶりについて気になりました。まず24については、前回かなり議論になった「非正規」という言葉を取った都合上、広くなり過ぎていて、それこそ先ほど来議論のある括弧をつけて、例示的な事例を示したほうがいいのかなと思いました。そもそも「不利益な処遇」は、備考欄のところに、「会社とのトラブルについても本項目で評価する」と書かれているので、むしろ対人関係のほうに整理したほうがいいのかなという気もしました。
 25については、品田先生から御指摘もありました、労働条件の変更は、これもちょっと広すぎているのかなと。どういう表現がいいのか、今は思い浮かばないのですけれども、表現方法をもう少し変更したほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 事務局から、これに関して何か御意見はありますか。今、品田先生がおっしゃったこととかですね。
○西川中央職業病認定調査官 前回の御議論を受けて、「非正規社員であることの理由等により」ということを削ったことにより、今度は広くなり過ぎてかえって分かりにくいのではないかという御指摘が、今、先生方共通して御指摘をいただいたものと思っておりますので、どういった形でやることが分かりやすいのかどうか。平均的強度との関係もあろうかなと思ってございますけれども、ひどい差別の例を書けば、それは分かりやすいのでしょうけれども、それはそれでちょっと極端な事例になってしまうのかなとも思っておりまして、どういったものが分かりやすくかつ運用もしていきやすいのかということについて、引き続き、御相談しながら検討をさせていただきたいと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかに、この項目で何か御意見ございますか。小山先生、何かございますか。
○小山委員 特にないです。
○黒木座長 田中先生は、何かありますか。
○田中委員 私も24番は本当に随分広いことになって、少し運用しにくいかなと考えるところがあります。
○黒木座長 ほかにはございませんか。
 それでは、ここは、先ほど調査官がおっしゃったように、また、少し検討していただくということでよろしくお願いします。
 次に、「パワーハラスメント」「対人関係」について、何か御意見はございますか。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 すみません。追加項目案で、対人関係に分類されているものについても発言してよろしいでしょうか。
○黒木座長 どうぞ。
○中野委員 2点確認させていただきたいのですけれども、まず1つは、本日、参考資料としていただいております団体からの意見書の中に、性的指向や性自認に係るハラスメントを評価項目に加えるべきだとの要望があり、これは絶対対応すべき事柄であると思うのですけれども、これは項目29や30、パワーハラスメントやいじめとして評価を行う、あるいは既に評価をしているということでよかったかということを確認させてくださいというのが1点目です。
 もう一点、追加項目で挙げていただいておりますカスタマーハラスメントについては、社会的にも問題として認知されるようになってきていることで、項目を追加すること自体には私も賛成しております。ただ、本項目の顧客や取引先からの迷惑行為の中に著しく不当な要求が入っておりまして、先に出てきました項目11や12の顧客や取引先からの無理な要求とこれをどう区別するのかというのが難しいように思われます。
 また、類型として、対人関係に入れることが提案されているのですけれども、項目11や12が、仕事の失敗、過重な責任等に分類されていることとのバランスが取れているのかという点に若干違和感を抱きました。ただ、パワーハラスメントという文言からすると、嫌がらせに近い対人関係のトラブルだということで対人関係に入れるのだということでも一応説明はつくのかなと思います。
 以上です。
○黒木座長 現在の運用について、少しお話ししていただいてよろしいですか。
○西川中央職業病認定調査官 今、中野先生から御質問いただきました、性的指向・性自認などを理由とする差別とか嫌がらせとかということでございますけれども、こちらにつきましては、上司のような職場において優越的な立場にある者からそれがなされた場合には、これはパワーハラスメントに当たると。精神的攻撃であったり、あるいはアウティングのようなものは個の侵害であったり、そういったパワーハラスメントの類型に当たるということで、これは「パワハラ防止指針」にも明記をされておりますし、私どもの運用においても、そういったことを心理的負荷として御主張される場合には、どなたがなさったかということによって、優越的立場の方であればパワーハラスメントに当てはめるということになりますし、そうでない方からということであれば、項目30のひどいいじめ・嫌がらせだということに当てはめて評価していくことになりますし、現にそれをやっているということでございます。
○黒木座長 よろしいでしょうか。
 先ほど、項目11とハラスメント、対人関係のところの話もありましたけれども、これに関しては、顧客とか、施設などでもかなりの暴力を振るわれるとかいったこともあるので、ここは別個でもいいような気もしますけれども、先生方、いかがでしょうか。
 丸山先生、何か御意見ございますか。
○丸山委員 対人関係のところに入れておくといいかなと思います。というのは、実態として、顧客との関係で迷惑行為を受けたり、かなり実務の中で数字や経験が、案外、商取引だけでないところでもありますから、これを入れておくと、ある意味の注意喚起になりますし、対人関係に入れるのが僕はいいかなと思っています。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかには、追加項目も含めて御意見はございますでしょうか。
○吉川委員 吉川です。
 いじめのところで事務局に確認と、先ほどの括弧の話があったのですけれども、前回のときに、「ひどいいじめ」の「ひどい」に括弧をつけたというのはかなりいろいろ議論があったのだろうと思うのですが、最近、職場でのからかいみたいなのが普通に行われて、それがいいみたいな雰囲気があるような職場があるようです。からかっている本人は悪くないと思っていても、からかいみたいなのはいじめの一つとして本人は非常に傷つくような場合があると。そう考えると、ここの最初のところで、いじめをどういうふうに定義していくのか。ひどくないいじめならいいのかみたいな議論にもなるかもしれないのですが、括弧がついた経緯を御存じでしたら、教えていただければと思います。最後のところで、括弧をつけるかつけないかという話の中にもかかわるかなと思います。
○黒木座長 事務局、いかがでしょう。
○西川中央職業病認定調査官 この括弧でございますけれども、まず、パワーハラスメントの話を切り分ける前は、少し表現ぶりが違っていたところでございまして、ただ、そのときから、ひどいいじめ・嫌がらせは、「ひどい」に括弧はついていたところでございます。これも趣旨としましては、重度の病気やけがをしたというものと同じでありまして、いじめ・嫌がらせに当たるもの、暴行に当たるものも含めてでございますけれども、それについて全てを「強」と評価するかということについては、前回、パワーハラスメントのほうの検討会において、「中」になる例のほうも示していただいたということもございますけれども、一回きりのものであるとか、程度がひどくないというようなものについては、確かに一回そういったような言動があったけれども、「強」とは判断していないという事例があるということによるかと考えております。一方、ひどいものについては、先ほどのように1つだけ取り上げて、一回的な行為だけを取り上げればささいなからかいと言えるかもしれないものであっても、それがずっと続いて非常に不快な状態である、程度としてもよろしくないということであれば、それは全体として見たときにひどいいじめ・嫌がらせになり得るということもあろうかなと思ってございます。いずれにしても、「ひどい」ものが具体的な当てはめにおいては「強」である。あるいは、平均的なものとしても、「ひどい」ということを想定してⅢであるということで、ただ、それに至らない場合もこの項目に当てはめるということで、括弧をつけているところではございますが、先生先ほどからの御指摘のように、括弧のつけ方がよいかどうかについては議論が必要かなと思います。
○吉川委員 ありがとうございます。
○黒木座長 ほかに、御意見ございますでしょうか。
 中益先生、お願いします。
○中益委員 パワーハラスメントの29項目に関してコメントさせていただきます。
 御提案では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等」となっていますので、いわゆるパワーハラスメントの6類型全て入ると読めるものになっており、十分と思うのですけれども、現状の具体例などを見ますと、いわゆる過剰な要求のようなものが明示はされておらず、仕事を干されて、仕事をさせてもらえないという感じのことなどが入るのだろうとは思いますけれども、あったほうがより親切かなと思いますので、具体例の段階で何かちょっと入れていただくとより分かりやすいのかなと考えております。御検討いただければと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 確かに、仕事をやらせないとか、仕事を与えないといった事例も臨床上は結構あることはあるので、ただ、そこの調査がなかなか難しいということがあるので、ここは、また、事務局で検討させていただきたいと思います。
 阿部先生、何かございますか。
○阿部委員 阿部です。
 先ほどの追加項目の対人関係のところについてです。中野先生からも御指摘があり、私もその説明を聞いていて対人関係のところにカスタマーハラスメントを入れることについては賛成ですが、項目の11や12との違いが分かりづらいと思うので、それらとの違いをもう少し書き込んだほうがいいのではと思いました。
 以上です。
○黒木座長 先生、何と何の違いを書き込むのですか。
○阿部委員 例えば、迷惑行為の中に、不当な要求というのも対人関係のところに入ってくるとなると、11や12で読み込んでいる「顧客からのクレーム」とかぶってくると思います。どちらで読んでもいいという見方もあるのかもしれないですが、重複するところがあるのかなと考えましたので、発言させていただきました。
○黒木座長 事務局、何かありますか。
○西川中央職業病認定調査官 具体例のところで整理をさせていただくか、今、項目11のたたき台としては、無理な注文や要求を受けたと書いてございますけれども、この範囲はどこまでであるかと。著しく不当な要求については迷惑行為に入れていくことにはなろうかなと思ってございますので、そこの区分けが分かりやすいように、注で示すのがいいのか、具体例で示すのがいいのか、あるいは、11の見出しを変えたほうがいいのかということも含めて、引き続き御相談させていただきたいと思います。
○黒木座長 よろしいでしょうか。
○品田委員 先ほど中野先生がおっしゃっていた性的指向の問題等も配慮すべきという点ですけれども、私も全くそう思うのですが、そうした中で、項目24にこだわって検討すべきという主張になってしまうのですが、必ずしも性的指向の問題等がパワハラや同僚からのいじめという形で問題になるわけではなくて、例えばトイレの使用をどうするのかとか、そうした労働環境の配慮不足がストレスになることも考えられるわけで、また、外国人労働者が多くなってきている現在、通訳がいないなど、配慮がなされないことがストレスとなるような場合も考えられ、24の書きぶりは、もう少し視座を広くする方向で検討していく必要があるのかなと思っております。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
○品田委員 簡単ではないですね。
○黒木座長 これも検討をお願いします。
 ほかには、何か御意見ございますでしょうか。
○田中委員 田中ですが、ちょっとよろしいでしょうか。
○黒木座長 どうぞ。
○田中委員 上司、同僚、部下とのトラブルがIRT分析がⅢになっているのですけれども、実際の調査においては、パワーハラスメント6類型も含めて同じような質問を何度もしたのですけれども、上司、同僚、部下とのトラブルとパワハラとは同じ回答分布になっていて、事務局が書いてあるような形で、実際同じようなイメージで回答されたのではないかなという考えを持っていますので、これはこうやって提案のとおりにこういう評価でいいのではないかなと考えております。
○黒木座長 先生、調査結果の結果というのも、この案との比較ですね。中等度というところでいいということでよろしいですね。
○田中委員 そうですね。パワーハラスメントと同じような形で解釈して回答されていると思われます。
○黒木座長 IRTのケースと、それから、実際には中等度ということでよろしいですね。
○田中委員 回答分布がほとんど一緒でしたので。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 荒井先生、いかがでしょうか。
○荒井委員 皆さんのおっしゃるところと同じですが、対人関係の問題の中では、上司が替わると職場の人間関係に変化があったというところは、ストレスチェック等の所見を見ましても、相当精神健康に影響を与えている項目でございますので、人間関係の変化としてはIでいいかというところがちょっと疑問でございますので、Iでいいのかということをちょっと御検討いただけたらと思っています。
○黒木座長 35の項目でしょうか。
○荒井委員 そうですね。35に、職場の人間関係に変化があったという新しい項目がつくられていますが、この心理的な負荷がIでいいのかということでございます。
○黒木座長 これは上司によりますね。
 いかがですか。荒井先生の強度に関しての御意見に何かありますでしょうか。
 田中先生、ここはどうでしょう。
○田中委員 調査では、上司が替わったというところでの質問になったのですけれども、それはまさにIでも低く、IRT分析もまさにIに該当するような結果でしたので、質問票の表現とはちょっと文言が変わっていますけれども、これはやはりIでよいのではないかと考えております。
○黒木座長 ほかには、何か御意見ございますか。
 吉川先生ありますか。
○吉川委員 大丈夫です。
○黒木座長 ここは、事務局で検討していただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、追加項目に関してもよろしいでしょうか。
 全体を通して、最後に括弧に関して、説明の仕方とか、括弧がないほうが当てはめやすいとかということがあると思うのですけれども、ここは最終的にどうするのがいいかというのは、結論はなかなか出ないと思いますけれども、丸山先生、もう一回説明していただいてよろしいですか。
○丸山委員 丸山ですが、先ほど事務局から、それぞれの申請者に対して結果を伝える場合に説明が必要だということですね。そのときにいろいろ悩ましいことが起きるということがある程度聞いて知っているのですが、そういう意味での括弧づけということでさっき説明されたと思いますけれども、そこらあたりは事務局のほうで、経験上、そのほうが運用といいますか、実際納得してもらえる形が取りやすいとかいろいろ事情があると思うので、そこも含めて検討してもらえればいいと思います。ただ、この字面だけ見ると、括弧なしが該当するので、ないほうがすっきりはしますけれどもね。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 それでは、括弧のあるなしに関しては、いろいろなことがあったり、実務上あるので、今後、事務局で検討していただきたいと思います。
 それでは、「認定基準の検証に係る具体的な論点」の「1 業務による心理的負荷評価表の検討」をこれでひとまず終えることにしたいと思います。
 次に資料1-4ページ、2の「出来事が複数ある場合の全体評価」について検討します。
 ここでは、出来事が複数ある場合の全体評価について、決定事例等を踏まえ、どのように考えるべきか、一層の明確化、具体化を図れないか、という問題意識となります。
 A1は、出来事が複数ある場合の全体評価について、複数の出来事が関連して生じた場合と関連しない出来事が複数生じた場合の考え方について、より具体的に示すことができないか。
 A2は、それを踏まえて全体評価について、全体評価が「強」となる事例や「中」となる事例を示すことにより、明確化を図ることができないかという論点です。これについて、御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 ありがとうございます。中野です。
 現在の認定基準について確認させていただきたいのですけれども、「中」である出来事が複数ある場合に、それが関連しているのか関連していないかによって、全体評価をどうするかの書きぶりが若干違うのですね。「中」である出来事が複数あって、それらが関連している場合には、全体評価として「強」または「中」とするとあり、関連していない出来事が複数ある場合には、全体評価を「中」または「強」となるとあって、「強」と「中」のどちらが先に来るのかというのが文言の上では異なっています。ここに何か意図があるのか。つまり、複数の出来事が関連している場合には、全体的評価として「強」の評価が優先され、関連しない出来事が複数ある場合には、全体評価として「中」が原則となるといったような違いがあるということなのかどうかということを教えていただきたく思います。お願いします。
○黒木座長 事務局、いかがでしょうか。
○西川中央職業病認定調査官 お答えさせていただきます。今、中野先生御指摘のとおり、今の認定基準は、確かに「強」と「中」の順番が関連して生じている場合と関連しないで生じている場合とで異なっているのですけれども、実際に運用上、それを意識して何かやっているかといいますと、そういった実態にはございません。最初はとにかくばらばらの出来事にまず当てはめてみて、関連している場合には全体を一つの出来事として考えるということは示してございますけれども、その際に、報告の第一段階で当てはめた「中」が複数のときに、「中」にしようか「強」にしようかということは職員も考えておりますし、部会の先生方にも考えていただいておりますが、関連しているから「強」原則でとか、関連してないから「中」原則でという形でやっているかというと、そういうわけではございません。前回の御議論でもあったように、関連している場合に、強めに取る事案が比較的多めにある可能性はあるかもしれませんが、そこについてもやはりケース・バイ・ケースになろうかなと思います。先生方に関連の有無と結論がどちらになるかということについて、たくさん事例を見ていただいている中、あるいは精神医学的にどうかということで、御知見があれば、ぜひ賜りたいと思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 実務的にはいかがでしょうか。荒井先生いかがですか。
○荒井委員 基本的には、今、御説明あったように、内部的につながりのある「中」が幾つかある場合には、それを総合して検討するということが必要だと思います。
 それから、類型の違う出来事が「中」で起こってきたときには、この前少し述べましたように、一つの出来事とその次の出来事、あるいは2つ3つある出来事の近接性等を考慮して、その影響の強さを考えているのが現状です。
 慣れ、馴化ということも一つ要素として判断の中に含めていることもあるかと思います。
 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 確かに、関連している出来事、関連してない出来事、しかし、その近接性によって非常にダメージが大きくなるとか、これは本当に事例によって違うので、ケース・バイ・ケースで検討していくということになるしかないかなという気もいたします。
 先生、どうぞ。
○品田委員 先ほどの統計の中で、複数の「中」によって66件「強」となったという例が示されましたけれども、正直言って、私の経験からはかなり衝撃的で、現実にそんなことがたくさん起こるかという点に驚いています。それはどういうことかというと、複数の「中」を総合的に「強」にするという理由は、いってみれば、不幸にして様々な出来事が労働者を悩ます結果になったという場合に起こることでありまして、例えば、上司とのトラブルが起こっている最中に、決算時期が到来してしまって業務量が増加した。また、まさにその時期に取引先からクレームを受けた。これはどれも全く別々の事象で起こったこと、しかしながら、全体として当該労働者を悩ませたということにより、「強」と考えられるという評価に至るものでありまして。
 逆に言えば、関連して生じたものについて、仮に時間軸で見て一定程度の間があったとしても、それぞれに「中」と評価して、全体を「強」と評価するような事態になると、おかしな結果をもたらす。例えば、上司とのトラブルが起こった、その後、実現できないようなノルマを課された、さらにその後、配置転換をされたといったようなことが起こったとすると、あたかも異なる出来事が複数生じたように見えるが、実際には当初における上司とのトラブルがその後の出来事を招来せしめたといった場合が少なくない。本来は、上司とのトラブルの程度・経緯について検討し、その後の経過も含めて、強いストレスをもたらすものであったのであれば、それ自体において「強」と評価すべきものであろう。一連の出来事を分断して、それぞれに「中」と評価し、総合評価を「強」とするような例が横行すると、負荷評価表の本来の意味が歪められるものとなってしまう。 以上です。
○黒木座長 ありがとうございます。非常に貴重な御意見というか、本当に出来事的にどういうふうに、例えば精神疾患が発症していくのかというその過程を重視するということは非常に大事なことだと思います。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 小山先生、この件について何か御意見ございますか。
○小山委員 今、荒井先生が言われたように、現実問題は関連のある出来事が複数あれば、それによってもともとの「中」のものが強く本人にストレスになっているかどうかと、総括的に判断しています。
 また、関連のないものが複数ある場合は、本当に関係がないかどうかというのは、これはきちんと見てみたら、結構何のことはない、一つのことからやはり発生してきているなというようなこともあるので、そういう意味ではケース・バイ・ケースで判断しておりますので、「中」が2つあれば必ず「強」だとか「中」だとかということではないというのが現実です。
○黒木座長 ありがとうございます。
 丸山先生、何かございますか。
○丸山委員 先ほど品田先生も言われたとおり、「中」が2つ以上あって「強」になったものが66あるというのは意外に多いなと。実務経験からは異なる印象があります。都道府県別の分布がわかるデータを提供していただけますと参考になりますが、可能でしょうか。
 というのは、先ほどから、関連性があるから強いという話がありますけれども、それでもなくて、関連性があるから、平均的強度としては「中」かもしれないけれども、「弱」に落としたほうがいいという項目もありますので、それはかなり近接しているから、あるいは関連性があるというのが、本当にその起因としてそれほど重いのかどうかというのは議論する必要があって。実態としては、総合的に、それを一つ一つ丁寧に評価して判断するということだと思います。だから、単純に近いから遠いから、あるいは独立しているから、関連性があるからという話で区分けするのはちょっとどうかなというところはあると思います。
○黒木座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 三柴先生、何かありますか。
○三柴委員 複数の出来事をどう評価するかというのは本当に難しいと思うのです。毎回、評価のたびに迷うということになりやすいと思うので、質的な評価にならざるを得ないということ、分かりにくい問題だということを書いておいたほうがいいのかなという気はしております。
 不適当な例えとは思うのですけれども、ある人が暴行を受けたというときに、同じ箇所をねじったりたたいたりされたという場合と、複数の人が違う角度からいろいろな凶器でたたいたというのを考え分けられるかといったときに、要は、同じ箇所を複数回やられると、しかも、違った攻撃のされ方をすると余計に痛いかもしれないけれども、他方で、パターン認識ができるからある程度耐えやすくなるかもしれないということも言えるので、評価の仕方によるかなと思うのですよね。
 あと、確かに、出来事の間にインターバルがあると、ちょっと休みがあると少し回復するから耐えやすくなるかなとは思いますけれども、そうではないケースもあるだろうと。法律論では、アナロジーとして、犯罪の罪数の数え方があって、これも単純に足し合わせるべきだとか、あるいは、つながりがあれば同じものとしてカウントすべきだとか、あるいは、幾つか犯罪行為があれば、その中で重いものを捉えるべきだとか、そこは価値判断でいろいろ考え方があるのですけれども、一概にいかないし、結局は価値判断になってくる、質的な評価にならざるを得ないのだということを、毎回もめるのを避けるためにちょっと書き足してもいいのかなというところです。アイデアがなくて、すみません。
 以上です。
○黒木座長 貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、時間になりましたので、本日の議論はここまでにしたいと思います。
 委員の皆様、様々な御意見ありがとうございました。いただいた御意見は事務局で整理していただいて、また、再度検討するということにさせていただければと思います。
 本日の議論の全体を通じて、何かあれば御発言をお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで検討会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
○本間職業病認定対策室長補佐 長時間の御議論ありがとうございました。
 次回の検討会の日時、開催場所につきましては、後日改めてお知らせさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。