第172回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和4年6月21日(火) 13:00~15:00
 

場所

 厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階公園側)
 

議事

議事内容
○守島部会長 ただいまより、第172回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
本日の出欠状況ですけれども、公益委員の小畑委員、使用者委員の柴田委員が御欠席となっております。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日の議題は、1つは「新型コロナ感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」でございます。もう一つは「雇用保険制度研究会の設置について(報告)」となっております。
まず、事務局から資料について御説明いただいて、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○山口調査官 まず、休業支援金の省令改正の関係について御説明さしあげます。資料1-2を御覧いただければと思います。
おめくりいただきまして、2枚目に横置きのポンチ絵を入れております。こちらは、先般5月31日に安定分科会と雇用保険部会の合同会議において、中身について御議論いただき、御了承いただいたものであります。6月までの雇調金、休業支援金の助成内容を、そのまま7月から9月まで3か月間延長するという中身になっております。
休業支援金につきましては、7月から9月の原則的な措置というところで、※5、※6という注記がございます。
※5を御覧いただきますと、8265円という上限額についてですけれども、こちらは雇用保険の基本手当の日額上限とのバランスを考慮して設定している金額でございます。
※6にございますが、この基本手当の日額上限といいますのが、毎年8月に自動的に改定を行っております。したがいまして、8月1日にこの改定が行われた場合は、その金額が上限額になるという形になっております。10月以降の特例内容につきましては、8月末までに公表するという予定にしてございます。
それから、1枚おめくりいただきまして、支給実績の資料というものがついてございます。こちらは、休業支援金・給付金の支給実績になっておりますが、雇調金のほうは直近で5.8兆円、雇調金が5.4兆円で、緊安金が0.4兆円という内訳になっております。一方、休業支援金につきましては、支援金・給付金、合わせまして約3000億円、休業支援金が約1000億円で、休業給付金が2000億円となっております。
左側の支給申請件数の欄を御覧いただきますと、トレンドといたしましては、少しずつ申請件数が下がってきているという状況が御覧いただけるかと思います。
それから、資料1-1を御覧ください。こちらが省令案諮問要綱ということになっております。
おめくりいただきまして、省令案要綱の第一というところでございますけれども、まず、一というところを御覧いただければと思います。休業支援金の支給対象となる休業の期間を令和4年9月30日まで延長するということと、休業支援金の日額上限を基本手当日額の上限に合わせるということの記載がございます。
それから、二のところでございますが、こちらはまん延防止の対象地域における地域特例について定めたものでございまして、1枚おめくりいただきまして、一番最後の辺りですけれども、この場合の日額上限を1万1000円とする特例内容、特例の対象となる休業期間を9月30日まで延長するということにしております。
また、三のところでございますが、こちらは緊急事態宣言の対象となる地域における地域特例について定めたものでございます。
1枚おめくりいただきまして、こちらにつきましても日額の上限を1万1000円とするという特例対象となる休業の期間を9月30日まで延長するということにしております。
施行期日につきましては、この省令の公布の日から施行ということにしております。
御説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
では、冨髙委員。
○冨髙委員 ありがとうございます。
先月の合同会議でも申し上げましたが、依然としてコロナ禍の影響の残る産業・地域が存在しております。雇用情勢、感染拡大の状況、産業ごとの状況の違いに注視していただき、産雇金の活用も含めて、必要な産業や地域に適切な支援が行われることが重要だと考えております。
一方で雇用保険の財政状況につきましては、本部会としては注視していくことが重要というのは今までも申し上げてきたところでございまして、年度予算の進捗だけではなく、弾力倍率の見通し、基本手当の受給者実人員なども定期的に報告頂くようお願いします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか御意見、御質問等ありますでしょうか。
平田委員。
○平田委員 ありがとうございます。先月、職業安定分科会との合同会議で議論しましたが、その内容が適切に反映されていますので、諮問のあった改正案は妥当だと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見がないようですので、これで質疑は終わりにしたいと思います。
それでは、当部会といたしましては、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、おおむね妥当と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告いたしたいと思います。それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の報告文案を画面に表示いたしますので、御確認いただければと思います。
(報告文案表示)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、この報告文案で職業安定分科会に報告いたしたいと思います。ありがとうございました。
本件に関しまして、ほかに何か御意見等ございますでしょうか。
それでは、資料2について御説明をお願いいたしたいと思います。
○山口調査官 それでは、「雇用保険制度研究会について」、資料2を用いて御説明さしあげます。
1枚おめくりいただきまして、開催要綱というものをつけてございます。
まず、本研究会の趣旨・目的でございますけれども、先般、令和4年の雇用保険法改正の際の審議会の議論の過程や法案の国会審議において、様々な課題が指摘されたところでございます。このため、雇用保険の給付と負担の在り方などについて、学識経験者の方々に集まっていただいて論点整理等を行う場として立ち上げたものでございます。
論点といたしましては、(1)から(5)の記載がございますけれども、部会でも指摘されております基本手当の効果検証とその運用も含めた在り方。教育訓練給付、求職者支援制度の効果検証とその在り方。また、非正規雇用労働者に対する支援策の在り方。育児休業給付とその財源の在り方等について御議論いただくということを予定しております。
構成員につきましては、次のページに記載がございますけれども、安定分科会の分科会長でもあります山川先生に座長になっていただきまして、また雇用保険部会からは酒井先生、水島先生に御参画いただいております。それから、労働経済の関係で佐々木先生、労働法の関係で土岐先生、社会保障法の関係で渡邊絹子先生に御参加いただいているところでございます。
1枚飛ばしまして、これまでの議題という資料でございます。5月30日に本研究会キックオフという形になっておりまして、制度全般的なことについて、まずはフリートーキングということをお願いしたところでございます。
第2回は、昨日6月20日に開催してございます。特に議題といたしまして、基本手当(効果的・効率的な再就職支援の在り方)ということで、基本手当の給付設計とか、給付期間中にどの程度就職しているかというデータですとか。また、具体的な失業認定の在り方について、オンライン技術の活用も含めて、いかにあるべきかという点について御議論いただいたところでございます。
1枚おめくりいただきまして、第1回でどのような議論がなされたかということについて御紹介させていただければと思います。
幾つかカテゴリー分けをしておりますけれども、まず、制度全体に関わることといたしましては、雇用保険制度の中でいろいろな制度があるけれども、その制度間の代替性・補完性という関係性の視点も大事であるという御指摘ですとか、雇用保険制度はそもそも生計維持者ということを対象にしておりますが、それ自体を検証しなければ、週20時間以上という適用要件についての妥当性も評価できないのではないかという御指摘。
また、適用要件と受給資格要件のずれという点についての御指摘や、制度が複雑で理解しにくいというお話もございました。
また、保険制度であるので、掛け捨てを前提とした上で、なるべく労働者のカバレッジを高めていくということも選択肢ではないかという御意見ですとか、雇用保険の保険としての特性といたしまして、モラルハザードや逆選択が常に入ってくるという点に留意が必要であるという御指摘がございました。
それから、1枚おめくりいただきまして、次に多く御指摘がありましたのが、他の社会保障制度との関係性という御指摘であります。雇用保険制度で仮に足りない部分があるとして、それを雇用保険制度で救済すべきなのか、それとも、それ以外の制度で対応すべきなのかという視点も持つべきだという御意見が何点かございました。
また、イギリス、ドイツ、フランスにつきましては、失業保険制度のほかに、一般財源によって運営される失業扶助制度というものが存在しています。ここも併せて検討することが必要ではないかという御指摘を受けているところでございます。
また、多様な働き方への対応といたしまして、マルチジョブホルダー、シフト制労働者、労働者類似の働き方の方々に対する対応ですとか、また、現在、適用基準が労働時間ということになっておりますが、これを仮に所得要件と置き換えた場合、本当に効果的なのか、現状よりも効果的な要件設定になるのかという視点も重要であるという御指摘をいただいております。
1枚おめくりいただきまして、次は制度の各論に関わる御指摘でございます。
まず、基本手当につきましては、運用上、失業認定がどのように行われているのかということも見ていく必要がある。現行の失業認定は、ハローワークへの出頭を前提としたものでございますが、そぐわない事例もあるのではないかという御指摘がございました。
また、委員の中には、過去、公的統計を使用して調査したことがあるけれども、ある程度じっくり仕事を探す期間を設けることで定着率が上がることが分かったという御指摘もございました。
それから、育児休業給付についてでございますけれども、こちらは当初は雇用継続の機能が専らだったけれども、少子化対策、男性の育休促進として用いられているという経緯を考えると、そろそろ雇用保険の役割が終わっているのではと個人的に感じるという御指摘ですとか、現行、育休は非正規の方はなかなか受けられていないのではないかという問題意識があり、雇用保険の中でやるべきかどうか。必ずしも、雇用保険制度から切り離すべきという単一の答えだけではないと思うけれども、議論が必要であるという御指摘。
また、関連して、財源の在り方ですとか、介護休業給付とこれまでセットで給付率を上げてきたという点の御指摘などがございました。
御説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたらお受けしたいと思います。
では、佐藤委員。
○佐藤委員 ありがとうございます。労働側の佐藤でございます。
今ほど調査官から御報告がありました研究会の内容の最後のページに関連して、2点、労働側から申し上げます。
1点目が上の枠についてですが、ハローワークでは、求職登録や職業紹介においてオンラインが活用されておりますけれども、ハローワークの窓口での就職に関する相談も引き続き、その重要性が変わるものではないと思っております。したがいまして、オンラインの活用に伴って、窓口での相談が縮小されることのないよう、ハローワークの活用方法の選択肢を拡充する視点でぜひ御検討いただきたいと思っております。
それから、記載のある失業認定は、労働者が決まった日に決まったハローワークに出向いて受けていると思いますが、こちらも似たような話かと思います。選択肢を広げることは重要であると思いますが、急なオンラインによる一本化によって、情報弱者の方が取り残されるようなことがないように、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
それから、2点目が下の枠の育児休業給付の内容に関してですが、従来から労働側も申し上げておりますとおり、子を養育するための給付に伴う給付については、子育て支援として、政府の責任により一般会計で実施するなど、育児休業給付の制度に関する議論を速やかに開始するべきと考えております。併せて、雇用類似で働いている方を育児休業給付の対象に含めるのか、それ以外の形で検討していくのかなどについても、ぜひ御議論いただきたいと思っております。
以上2点、労働側の意見として申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
では、平田委員。
○平田委員 ありがとうございます。
研究会に対する期待を1つだけ申し上げておきます。今後、円滑な労働移動の促進が重要な政策課題になってくる中、ある特定の国・地域を念頭に、そういう国・地域の制度を目指すべきだという非常に単純な議論も目立つような気がします。第1回の研究会で山川先生が、海外との比較も勉強になるとおっしゃっていたと思いますので、他国との比較も適切に行いながら、冷静な議論を進めていただきたいと思っています。以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
ないようでしたら、これで予定されている議題は以上ですので、本日の部会を終了いたしたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、どうもありがとうございました。これで終了させていただきます。