第7回 医療扶助に関する検討会 議事録

日時

令和4年7月22日(金) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門 会議室C+D(11階)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

議題

  1. (1)医療扶助の適性化に係る現状と課題について
  2. (2)医療扶助に関する都道府県による関与に係る現状と課題について
  3. (3)その他

議事

議事録
○吉川保護事業室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第7回「医療扶助に関する検討会」をオンライン会議で開催します。
 皆様方におかれましては、大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、前回の令和4年6月の第6回検討会の開催以降、委員がお一人交代になりましたので御紹介をさせていただきます。
 公益社団法人日本医師会常任理事、長島公之委員です。一言御挨拶いただければ幸いでございます。
○長島委員 日本医師会常任理事の長島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○吉川保護事業室長補佐 ありがとうございます。
 また、本日、横浜市の鈴木委員は御都合によりまして、途中御退席予定でございます。
 なお、事務局におきましては、6月の人事異動によりまして、社会・援護局長が交代しておりますので、一言御挨拶させていただきます。
○川又社会・援護局長 社会・援護局長の川又でございます。事務局からしゃべっておりますが、ちょっと映像が小さくて分からないかもしれませんが、失礼いたします。
 皆様方におかれましては、本検討会での諸課題について御議論いただいていること、改めて御礼を申し上げます。
 生活保護法については、生活困窮者自立支援法と一体的に見直すということで、今、検討作業を進めております。その中で、とりわけ医療扶助の問題、生活保護の半分を占めておりますので、大事な課題であると思っております。この検討会で課題など整理をいただいて、審議会における議論に合流をして、年末までに取りまとめていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
オンラインという形で、ちょっとコロナも、今、心配な状況でございますけれども、引き続き、よろしくお願いします。どうもありがとうございます。
○吉川保護事業室長補佐 ありがとうございます。
 また、保護事業室長も交代となっておりますが、事前に配付している座席表のとおりでございますので、紹介については省略をさせていただきたいと思います。
 それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りがございましたら、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以降の議事運営は尾形座長にお願いいたします。
〇尾形座長 こんにちは。それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 本日は、議題といたしまして「医療扶助の適正化に係る現状と課題について」、それから「医療扶助に関する都道府県による関与に係る現状と課題について」という2つを議題としております。
いずれも関連する内容でございますので、まずは、資料1及び資料2について事務局のほうからまとめて御説明をお願いしたいと思います。その後、各論点ごとに議論を進めていきたいと思います。
 それでは、資料1及び資料2について、事務局から説明をお願いいたします。
○河合保護事業室長 ありがとうございます。保護事業室長でございます。
 それでは、資料1から順を追って御説明差し上げたいと思いますので、お手元に御用意いただければと思います。
 まず、資料1は、医療扶助の適正化に係る現状と課題ということで、2つ切り口を分けて御説明をさせていただきます。
 まず、1つ目でございますが、頻回受診対策についてでございます。2ページをお開きいただければと思います。
 こちらは、昨年秋以降に開催した生活保護制度に関する国と地方の実務者協議におけるこれまでの議論の整理の経緯をまとめたものでございます。
 3ページと4ページでございますが、こちらは、今ほど御紹介した議論の整理のうち、頻回受診対策などに関する部分を抜粋したものでございます。
 3ページにつきましては、主に現状を振り返りつつ、今後の基本的な方向を記載しております。
 具体的な御議論の御紹介としては、4ページになります。
 こちらでございますけれども、まず、頻回受診者につきましては、精神疾患や依存症などを抱え、指導内容や効果が理解できない方々も見受けられると。
 あと、福祉事務所単独での指導には限界があり、保健師ですとか、精神保健福祉士の専門職、医療機関等との連携が欠かせないということ。
 また、受診状況把握対象者の基準につきましては、特段見直す必要はないという意見が多かったこと。
 頻回受診の背景として、健康不安や孤独があると考えられるという意見が多数あり、原因の解消に向けて、令和3年から施行されております、被保護者健康管理支援事業において、社会参加も含めた生活全般の支援を強化することが考えられること。
 また、現在進めておりますオンライン資格確認を導入するに当たっては、例えば、被保護者の受診状況について医療機関が即時に把握できるようにするなど、適正受診指導につなげていくような仕組みを構築することが考えられるなどといった御議論がございました。
 5ページをお願いいたします。
 医療扶助に関する、この当検討会における主な御意見の御紹介でございます。
 上のほうが第5回の検討会、下のほうが第3回の検討会の御意見です。
 第5回の検討会の主な御意見だけ御紹介いたしますと、まず、過度な受診を控える取組と必要な受診につなげる取組のバランスの取り方、重点をどこに置くか整理する必要があるといった御意見をいただきました。
 また、精神障害者の長期入院について、福祉事務所と精神障害担当の連携を深めてほしいといった御意見を賜っております。
 下のほうでございます。第3回の検討会における議論でございますけれども、頻回受診対策の対応について、これまでの取組による一定の成果の好事例を含めて積極的に周知すべきであるという御意見。
 頻回受診者に対する指導につきましては、対象者の個々の状況を丁寧にアセスメントした上で、適切に対応することが重要であるという御意見。
 また、受診状況対象者のうち、頻回受診と認められる方々は少数であると。さらに、その多くは精神障害や認知症を有しており、これ以上の効果が見込めないなどといった御意見を頂戴したところでございます。
 6ページでございます。こちらは、昨年12月にまとめられております、いわゆる改革工程表の抜粋でございます。
 さらなる適正化への取組について検討が求められておりまして、具体的には赤枠の部分になります。ちょっと細かくて恐縮ですけれども、読み上げますと、生活保護受給者の頻回受診対策についてはということで、現在、開催しているこの検討会の議論ですとか、2021年度までの実績などを踏まえ、該当要件についての検討を、22年度中に行うといったこと。
 また、その他、医療扶助における適正化について、医療費適正化計画の医療費に医療扶助も含まれることも踏まえた制度における取組事例も参考に推進しつつ、中期的に医療扶助のガバナンス強化に向け、EBPMの観点も踏まえて検討を行うといったことが指摘されております。
 7ページ以降につきましては、頻回受診対策への現状と課題といったものを整理しております。
 8ページをお開きいただきまして、こちらは、近年の取組について整理したものでございます。
 9ページにつきましては、頻回受診の適正化に関する概要をつけております。こちらは、頻回受診の指導対象者の定義、一番上に書いてございまして、「同一傷病について、同一月内に同一診療科目を15日以上受診しており、短期的・集中的な治療を行う者を除き、治療にあたった医師や嘱託医が必要以上の受診と認めた者」と定義されてございます。
 その上で、適正化のスキームが下に書いてございます。
 改善の状況ということを、その次の表に示しておりますが、頻回受診の改善の状況を経年で示したものとなっておりまして、赤枠で囲った改善者数割合を、左から順に御覧いただきますと、大体おおむね半数といったような形になってございます。
 10ページをお開きください。
 頻回受診の定義と特徴等を整理したスライドになります。
 先ほど申し上げた定義の15日につきましては、当時の老人保健法に基づく通知で、頻回受診適正化に関する補助事業を創設した際に、抽出の目安として定められたものを参考としたものということになってございます。
真ん中でございますが、こちらが今回初出しになる部分でございまして、自治体さんから聞き取りをさせていただいた部分になります。
 頻回受診者のうち指導を行っても改善に至らない方々については、精神障害等の影響から療養上の指示事項の理解が難しい方々が多いと。加えて、受診から数か月経ってからの指導になってしまうため、今までは受信できていたのに、どうして急にそんなこと言うのだといった反応をされてしまうことが多いと。
 また、頻回受診者の中には、孤独感の解消のために頻回受診する方々もいると。実際、頻回受診の方々の話を傾聴することで、孤独感が解消され、そこから就労につながった方々もいるといったようなことをお伺いしております。
 11ページは、頻回受診者の特徴を示したものでございまして、その頻回受診の背景として、被保護者の孤独・孤立などがある可能性が見られます。
 12ページにつきましては、今年度の研究事業におきまして、頻回受診、そして重複受診に係る関連因子について、孤独・孤立状況も含めた頻回受診などに関連する被保護者の詳細な属性を十分明らかにすべく、実施している研究事業でございます。
 13ページと14ページにつきましては、こちらは、第5回の検討会でもお示しした、頻回受診の適正化に関するデータの御紹介となっております。
 13ページは、平成16年度以降の推移を示したものでございまして、適正受診指導対象者のうち、受診行動が改善した者の割合、黒い点線の部分ですが、上昇してきております。
 また、受信状況把握対象者、こちらは青い線でございますが、近年では、取組が全国に広がった平成16年度の半数程度まで減少してきているという状況です。
 14ページにつきましては、頻回受診者の推移について、他制度と比較したものでございます。
 国保や後期高齢者医療の制度におきましても、減少傾向にありますけれども、医療扶助における入院外の、つまり外来の月間受診日数の分布につきまして、16日以上の受診した者の割合を見ますと、平成23年度と比較して直近の令和元年度の割合は、半分以下となっております。
 15ページにつきましては、自治体の好事例をお示ししたものでございます。
 16ページ、こちらは、昨年度の生活保護担当指導職員ブロック会議におきまして、頻回受診の適正化に関する取組内容、効果、課題などについて、自治体にアンケートを行ったものでございます。
 アンケートにおきましては、頻回受診適正化の取組によって、一定の成果がある旨の回答を行った自治体が多く見られました。
一方、取組における課題として3つございまして、1つは、指導に従わない者への指導が難しいこと。2つ目が、精神疾患や認知症を有する患者などの理解を得ることが難しいといったこと。3つ目が、主治医・嘱託医・医療機関ごとに診療方針などが異なり頻回受診との判断がつきにくいといった御意見が多くあったことが特徴でございます。
 17ページは、令和3年から必須事業化された健康管理支援事業の概要となります。
 18ページ、そして19ページは、自治体の取組事例の御紹介となります。
 このうち18ページですけれども、健康管理支援事業での頻回受診対策の事例でございまして、19ページにつきましては、精神疾患や依存症の方への生活支援の取組事例となっております。
20ページでございますが、こちらは、オンライン資格確認の仕組みを活用した被保護者の受診状況の把握について御紹介しているものです。
 システムの導入によって福祉事務所では、頻回受診の傾向がある者に対して早期から状況把握ですとか、助言などを実施することが可能となります。
 このような点も踏まえた上で、22ページから24ページにかけましては、現状と課題と主な論点を整理しております。
 22ページのところですけれども、これまで進めてきた頻回受診対策の取組によって、一定の効果を上げているといったことでございますが、一方で、頻回受診指導を受けた方々のうち、改善に至らない方が約半数いらっしゃると。
 特に精神疾患ですとか認知症などの影響から、療養上の指示事項の理解が難しい場合は、取組による効果が出にくいといったこと。
 また、頻回受診指導につきましては、レセプトから対象者を抽出して実施しているといったことから、受診から実際の指導まで、2か月程度のタイムラグが生じているといった現状があること。
 これらの課題、現状を踏まえまして、頻回受診の改善に至らない方々に対し、実効性のある取組が必要であると考えているところ、23ページに移っておりますけれども、どのような取組や仕組みが考えられるかというのが、主な論点と考えております。
 例えばということで、具体的な形で論点を2つ小さくポツでお示ししております。
 まず、頻回受診の中には、社会的孤立ですとか、精神的不安に起因するものも多いと考えられることから、この健康管理支援事業の未改善者を健康管理支援事業における保健指導ですとか、生活支援の対象に位置づけた上で、より丁寧な支援を行うといったことが考えられます。
 頻回受診の改善につなげていくことについて、このようなことについて、どのように考えるかといった点が1つ目でございます。
 2つ目は、オンライン資格確認の導入後の話といたしまして、日次で被保護者の受診状況を確認可能になる予定であること、それを前提といたしまして、頻回受診の傾向がある方々に対して早期の状況把握助言などを行うことについて、どのように考えるかといった点があると考えております。
 24ページでございますが、こちらは、受診回数、それから基準の見直しについても、先ほど御紹介したとおり検討の対象となっているところ、その可否を含めて、どのように考えるかといった論点でございます。
視点としては、下に3つございまして、1つ目は、他制度との比較において、医療扶助における頻回受診に特異な状況が見られないこと。
 2つ目は、現在、他制度において、15日以上といった回数の基準によって対象者を抽出する形での頻回受診指導は実施されていないこと。
 3つ目ですけれども、自治体からは、頻回受診の基準そのものではなく、主治医・嘱託医・医療機関ごとに診療方針などが異なり、頻回受診との判断がつきにくい点に課題を感じるといった御意見もあること。
 このような論点をお示ししているところでございます。
 以上が頻回受診対策に関する御説明となります。
 それでは、その2つ目の切り口といたしまして、次に26ページ以降、重複投薬、そして、その他、適正化に係る取組を推進について、御説明をさせていただきます。
 26ページでございますが、医療扶助における重複処方の状況につきまして、同一月内に同一成分の薬剤を複数医療機関から投与されている患者につきましては、全国で薬剤を投与されている患者の約3%となっております。
 その下に参考として、薬効分類別、重複処方の発生状況につきましても、ランキングといいますか、数量と薬剤費のそれぞれで1位から3位を並べております。
 1番目の消炎剤とか鎮痛剤、これは塗り薬の類いということでございます。
 27ページでございます。
 65歳以上の高齢者のうち、同一月内に15種類以上処方されている患者は、薬剤を投与されている高齢者の10%程度となっております。
 これにつきまして、※の4で、ちょっと小さい字で恐縮ですが、記載しておりますとおり、少し古いデータとなりますけれども、医療全体で、平成25年10月時点で同じように抽出すると、5%程度であるといったことでございます。
 28ページでございます。
 向精神薬の重複投薬の適正化につきまして、平成22年に発生した事案を受けまして、各自治体に対し不適切な受診行動に対する適正受診指導の徹底を指示されたところでございます。
 これまでも適正化に向けた取組を進めてきているといった御紹介でございます。
 29ページは、薬局と連携した薬学的管理・指導の強化に関するモデル事業の御紹介でございます。
 30ページでございます。
 健康管理支援事業での医薬品適正使用に関する事例でございます。重複多剤投薬の適正化に関する取組ですとか、個別保健指導と 集団健康教育による医薬品の適正使用に関する取組が行われております。
 ポイントといたしましては、ケースワーカーと専門的な知識を持つ保健師などが連携して事業を実施しているところと思います。
 31、32ページにつきましては、達成度における適正化事業の取組事例の御紹介でございます。
 33ページからは、医療扶助における入院患者の特徴を示した資料となります。
 左側の診療種別医療扶助費の構成割合について、生活保護と国民医療費を示したものでございまして、医療扶助費の約6割を入院が占めている一方、国民医療費に占める入院の割合は約4割となっております。
 右側に移っていただいて、医療扶助における傷病分類別レセプト件数の構成割合について、生活保護と医療保険を比較したものでございまして、生活保護は医療保険に比べて「精神・行動の障害」の割合が高いとなっております。
 緑の枠のところを御覧ください。生活保護が約33%で、医療保険が約10%という部分でございます。
 34ページは、NDBを用いた医療扶助費の分析を示したものでございまして、地域差への寄与を診療報酬診療種別に見ますと、入院の寄与度が大きいと。また、入院では、下の図になりますが、「精神・行動の障害」の寄与度が大きいといったものを示してございます。
 35ページでございます。
 医療扶助における「精神・行動の障害による入院」の推移を示したものでございます。医療扶助受給者の「精神・行動の障害による入院」の件数は減少傾向にありまして、特にということで、入院期間が5年を超えるような長期入院者、一番濃いところでございますが、この数も減少してきているところでございます。
 36ページは、長期入院患者の実態を示したものでございます。
 医療扶助による入院患者でありまして、その入院期間が180日を超える方々の実態調査を行っております。
 令和2年度におきましては、医療扶助による入院の必要がないと判断された患者のうち、23%程度は、一番下のところでございますが、退院などの措置がなされていない状況になっております。
 37ページは、もう少し長いスパンで推移を追っているものでございまして、入院期間が180日を超える者の数、また、入院の必要がないとされた者のうち、未対応の患者数は、いずれも減少傾向となってございます。
 38ページは、長期入院患者の地域移行の好事例を集めたものとなっております。
 それと39ページ、40ページにつきましては、御参考として国の予算事業と自治体における取組状況の御紹介となっております。
 これらを踏まえた上でということで、42ページから44ページに移らせていただきますが、こちらも先ほどと同様に、現状、課題と、主な論点を整理してございます。
 42ページのところでございますが、まず、重複多剤対策でございます。
 重複多剤投薬に着目した取組につきましては、これまでも実施してきているものの、広く重複投薬などに着目した取組について実施できていない状況にあります。
 一方、これまで御紹介してきたとおり、医療扶助につきましては65歳以上高齢者のうち、同一月内に15種類以上の薬剤の処方を受けている患者の割合が、医療全体と比較しても高い傾向にあるといったこと。
 また、その多剤投薬につきましては、特に高齢者においてポリファーマシーに着目した対策の必要性が指摘されておりまして、生活保護制度においても被保護者の医薬品の適正利用を推進していくことによって、被保護者のQOLの維持ですとか、向上を図っていく必要があると、このように考えてございます。
 また、43ページの精神障害者などの長期入院につきましては、これまで御紹介したデータのとおり、医療扶助費の6割が入院を占めており、そのうち35%が「精神・行動の障害」を抱えている状況です。
 一方、この件数につきましては減少傾向にあり、特に入院期間5年を超えるような長期入院の数も減少してきているような状況となっております。
 こういった現状、課題を踏まえまして、44ページの部分で重複投薬と、その他の取組に関する論点を掲げております。
 こちら記載している点としては、まず1つ目が重複多剤投与の改善支援と適正化でございます。
 こちらにつきましては、今後、電子処方箋の活用によって、医療機関ですとか、薬局間の情報共有の環境が整備されていくことが期待されておりまして、そのような状況の中で福祉事務所としてどのような取組ですとか、仕組みがさらに必要と考えるかということでございます。
 例えばということで、具体的な形での論点を下に2つ御用意いたしております。
 1つ目は、健康管理支援事業の一環として、医薬品の適正利用を支援する必要がある方々に対し、薬剤師など医療機関関係者による訪問支援ですとか、病院への同行、また、福祉事務所への専門的助言及び協力援助を行うことについて、どのように考えるかというのが1つ。
 もう一つは、重複多剤投与に関する改善支援に応じなかった場合ですとか、処方薬剤種類が一定以上の方々に対して、薬剤師等医療機関との連携の上で、適正な服薬に向けた指導を行うなど、適正化の観点から取組を行うことについて、どのように考えるかといったことでございます。
 次に、精神障害者などの長期入院につきましては、精神障害者などの長期入院患者の退院促進の実効性を確保するため、どのような取組ですとか、仕組みがさらに必要と考えられるかということで、こちらにつきましても、例えばということで、下にポツで示しておりますが、嘱託医協議の検討状況を基に、福祉事務所自らが長期入院患者の特徴ですとか、退院の阻害となっている要因等を分析し、その結果に基づき、退院促進に向けた福祉事務所と精神障害担当部局との連携を深めていくことが重要と考えるが、その効果的な方策について、どのように考えるかということでございます。
 以上が重複投薬、そして、その他適正化に関する取組の推進についてでございまして、医療扶助の適正化に係る現状と課題に関する資料の御説明でございました。
 続きまして、資料2に移らせていただきます。
 資料2につきましては、医療扶助に関する都道府県による関与に係る現状と課題について御説明いたします。
 2ページと3ページ、こちらは、国と地方の実務者協議における、これまでの議論の整理を記載しているものでございます。
具体的な議論としては、3ページにございます。
 まず、都道府県により、管内市町村の医療扶助に関するデータ分析ですとか、指定医療機関に対する指導の実施などの後方支援を行うことが必要であるという御意見。
 具体的には、医療扶助の適正な実施とか、被保護者の健康管理支援を計画的に推進するために、取組指標の設定などによる見える化を行うとともに、それを基に都道府県が管内市町村の取組状況を把握し、助言などを行うことが考えられるといった御意見。
 自治体や医療関係者などから構成される第三者機関を都道府県などに設置し、専門的・技術的なサポートを行う体制が有効と考えられるとの御意見。
 指定医療機関に対する指導については、より効果的な指導権限が必要である一方、指定医療機関との協力関係に支障が生じることで、被保護者の受診の機会が損なわれることがないように注意する必要があるといった御意見といった御意見ございます。バランスを考慮する必要があるといった御意見でございました。
 4ページにつきましては、第5回の検討会における主な御意見を抜粋したものでございます。
 5ページ以降は、現状と課題のスライドを用意しております。
 6ページは、先ほども出てまいりました改革工程表でございまして、医療扶助における適正化については、医療費適正化計画の医療費に、医療扶助も含まれているといったことを踏まえ、他制度における取組事例も参考に推進しつつ、中期的に医療扶助のガバナンス強化に向け、EBPMの観点も踏まえて検討を行うといったこと。
もう一つ、その下の赤枠でございますけれども、中長期的な課題として都道府県のガバナンスを強化する観点から、生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入を含めた医療扶助の在り方の検討を進めるといった指摘がなされているところでございます。
 7ページにつきましては、都道府県等による市区町村への支援に関する現行法令の御紹介となっております。
 生活保護法上、都道府県知事は市町村長に対して、保護の実施などのため、必要な助言その他の援助を行うことができることとされております。
 一方、現状といたしましては、都道府県は市町村に対して、医療扶助の運用などに係る疑義照会があった際の回答対応にとどまっているとの声が聞かれているところでございます。
 8ページでございます。
 こちらは都道府県等による医療機関への関与についての規定を整理したものでございます。
 生活保護法による指定等、指導、検査、指定取消・効力停止といった規定がございます。
 9ページでございますが、こちらは、医療機関に対して個別指導を実施する際に用いる運営要領の抜粋となります。通知となります。
 御紹介といたしましては、まず、指定医療機関に対する個別指導等につきましては、関係機関からの情報提供ですとか、支払基金から提供される診療報酬請求データなどの分析結果などから得られる指定医療機関の特徴などを総合的に勘案し、個別に内容を審査した上で、対象医療機関を選定することとしております。
 このうち、診療報酬請求データにつきましては、請求全体に占める被保護者に関する請求割合が高いことですとか、被保護者以外と比較して被保護者の診療報酬明細書等の1件当たりの平均請求点数が高いことなどを例示しているところでございます。
 下は、その要領の抜粋となります。
 10ページでございます。
 こちらは、都道府県等による指定医療機関に対する指導件数や、指定取消・効力停止件数について、5年間の推移を示したものでございます。
 上の大きい表を御覧ください。
 指導件数は年間700件程度、検査は数件から数十件程度、指定取消・効力停止につきましては、それぞれ年に数件程度実施されているとこでございます。
 これを下の医療保険における保険医療機関等への指導・監査等の実施状況と比較していただきますと、大きな差があるということが分かるかと思います。
 11ページ、こちらは、平成25年改正におきまして、指定要件と取消要件の明確化ですとか、指定の更新制の導入などの見直しを行ったことを示した概要でございます。
 12ページは御参考といたしまして、医療法の条文の抜粋を掲載しております。
 医療法においては、地域医療計画における病床の整備に関して都道府県知事が命令、命令は公的医療機関です。要請は民間医療機関に対するものでございます。それと勧告、公表といった行政措置を行うことが可能となっております。こちらは御参考でございます。
 13ページは、医療扶助審議会の設置・運営状況をお示ししたものでございます。
 先ほども御紹介したとおり、運営要領におきましては、医療扶助審議会を設置することを望ましいというような規定をしております。
 設置・運営状況につきまして、我々のほうでサンプル的に抽出をして調べたところ、設置している自治体数は3つでございました。直近1年間に開催実績がある自治体は1つという状況でございまして、2割弱といったところだと思います。
 その上で、直近1年間に審議会の開催実績がある自治体における審議内容につきましては、精神疾患の入院ですとか、訪問看護の要否判定に係る諮問であったというような回答をいただいているところでございます。
 それで、14ページと15ページは、医療法に基づく審議会の設置に関する法令ですとか、実際の運用を示した資料になります。
 16ページ以降でございますが、こちらのほうは現状と課題、そして主な論点を整理してございます。
 17ページをお開きください。
 こちらのほうでは、都道府県などによる市区町村への支援と、医療機関への関与に関する現状と課題をお示ししてございます。
 まず、都道府県等による市区町村への支援につきましては、生活保護法では必要な助言や援助を行うことができると、都道府県のほうの規定になっておりますけれども、現状は、市町村から寄せられる個別事案の照会の回答にとどまっているということが多いという実態があるということ。
 次に、都道府県等による医療機関への関与でございますけれども、医療扶助を実施する医療機関については、生活保護法に基づく指定を行うこととされております。
平成25年改正でも、先ほど御紹介したとおり、指定の更新制の導入とかといったもののアップデートが図られているところでございます。
 また、都道府県等は指定医療機関に対して、医療扶助制度の趣旨ですとか、事務取扱などの周知徹底をもっと図るための指導、また、診療内容、診療報酬請求の適否を調査し、診療方針を徹底させる検査をそれぞれ行うこととしております。
 一方、都道府県等の状況でございますけれども、医系職員の配置ですとか、医療扶助審議会の設置などが十分に行えておらず、医療の専門的な見地からの効果的な指導、検査などの実施及び診療内容などに係る指摘が困難な実態にあるといったようなことがあろうかと思います。
 また、医療機関への関与の手法といたしまして、現行にある指導の実施の後でございますけれども、不正または不当な診療もしくは診療報酬の請求が疑われる場合に検査を行うといったような立てつけになってございまして、その間の段階的な簡易な手法を求める声があるといった状況にあります。
 18ページにつきましては、医療扶助審議会につきまして、その措置を望ましいと規定されている一方、設置運用している都道府県は多くなく、市町村から寄せられる照会への回答にとどまっているという実態があるという御紹介です。
 その上でということで、19ページ以降は、主な論点を載せております。
 主に大きくは3つあると思っております。1点目は、都道府県における管内自治体などへの関与の強化に関しまして、都道府県等によるデータに基づく適正化方策の推進をはじめ、実効的な支援方策をどのように考えるか。
 具体的にはということでございまして、こちらは、前回の検討会で提示している論点とお伺いしておりますけれども、市町村における医療扶助と健康管理支援事業の取組に係る指標、数値目標につきましては、国による参酌基準として設定する方向で検討しているものでございますけれども、その際、市区町村は、当該取組指標に対する取組状況を都道府県に報告するとか、報告を受けた都道府県が、その報告内容を集計・分析することによって、市町村ごとの取組状況を把握するとともに、集計結果を市町村に共有することについてどのように考えますかということ。
 もう一つは、生活保護の規定におきまして、都道府県は市町村に対し、必要な助言、その他の援助を行うことができるとされております。効率的、効果的に取組を進めていくための方策をどのように考えるか。
 さらにということで、都道府県などにおける設置を推奨している医療扶助審議会、こちらにつきまして、機能を強化した上で制度上位置づけることについて、どのように考えるかということでございます。
 2点目につきましては、ガバナンス強化を図る観点から、より効果的な都道府県の医療機関への関与についてどのように考えるかということでございます。
 具体的に、例えばということで、下に2つございます。
 1点目ですけれども、例えば、現行、都道府県等が法における指導を行う対象医療機関を選定する際、総合的に勘案する項目として例示しているものの1つに、被保護者の診療報酬明細書の1件当たりの平均請求点数が高いとありますが、留意する観点をより明確化するため、そのうち、頻回受診が多いことですとか、多種類医薬品の投与を受けている者が多いことなどを示すことについて、どのように考えるかといった点。
 2点目は、現行法上、指導に従わずに、不正・不当な診療行為などが疑われる場合に検査して取消効力停止が行えることになっておりますが、その検査の前段階といたしまして、頻回受診への恣意的な誘導等が行われ、指導によってもその改善が見られない場合に、適正な対応を求めるための新たな措置を設けることについて、どのように考えるかといった点があろうかと思います。
最後、3点目でございますけれども、こちらは、改革工程表において指摘されている点について、どのように考えるかという点でございます。
 医療扶助のガバナンス強化を進めていくに当たっては、まず、健康管理支援事業における取組の強化ですとか、都道府県等による市区町村・指定医療機関への関与の強化を図っていくことも重要と考えますが、その点について、どのように考えるかということでございます。
 長くなりましたが、事務局からの説明は、以上となります。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ここから意見交換に移りたいと思います。発言を希望される際には、カメラに向かって挙手をお願いいたします。指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言をいただき、御発言終了後は、再度マイクのミュートをお願いいたします。
 それでは、まず、資料1の主な論点でございます。
 資料1では、頻回受診対策のさらなる推進について及び重複投薬及びその他適正化に係る取組の推進について、この2つの観点から主な論点が整理されております。
まずは。この丸1の頻回受診対策のさらなる推進について、この部分につきまして、御質問、御意見等を承りたいと思います。
 長島委員どうぞ。
○長島委員 日本医師会の長島でございます。
 頻回受診と医薬品両方に共通することで申し上げます。
 まず、適正な受診、適正な診療とは何かというと、これは、医学的に有効性と安全性の観点から、必要な内容と、これが適正です。
 したがいまして、医学的な適正であるにもかかわらず、医療扶助という制度であるという理由でもって、必要な受診回数、必要な診療内容、必要な医薬品の数が制限されたり、抑制されるということはあってはならないことです。必要な医療が制限されることは、患者さんにとって、病状の悪化等、不利益になるからです。
 しかし、一方、例えば、頻回受診の患者さんの背景として、例えば、精神疾患や認知症、依存症あるいは孤立などの家庭環境や社会背景など、行政的な支援が必要な患者さんが多いという実態もあるということであれば、そのような行政的な支援が必要な患者さんのスクリーニングを見つけ出すというのに大いに有効だと思います。
 そのような形で、まずはスクリーニングを行って、その中で、この患者さんの治療内容が適正であるかどうかという判断は、これは、行政ではできませんので、必ず医療機関、医師に、いろいろ御相談、連携していただくことが必要かと思います。
 一方、例えば、精神疾患あるいは依存症あるいは社会的背景、家庭環境などという情報もしっかりと医師のほうに伝えていただくという形で情報共有をしっかりして、その結果、いろいろな、例えば健康管理支援など、生活支援をしっかり行うということ、あるいは、例えば地域包括ケアシステムなどを活用するということで、患者さんの様々な悪い状況が改善する、その結果として、例えば受診回数が減るというようなこと、あるいは薬剤の数が減るということ、ここに結びつくということが重要です。
 したがって、頻回を、あるいは多剤を単に制度だから抑制することがあってはならないと、適正なものは絶対に守るべきだけれども、患者さんの支援に結びつくものとしてしっかり行う、そこでは、行政と医療機関、医師の協力、連携というのが必須です。また、観点として、あくまでも患者さんの支援に結びつけるという観点でやっていただく。
 そうしていただければ、行政と医療機関、医師の間の信頼関係が損なわれるということもない、あるいは、医療機関、医師と患者さんの信頼関係が損なわれるということもないと思います。そういう観点で進めていただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 新保委員、どうぞ。
○新保委員 ありがとうございます。
 23ページの頻回受診対策の主な論点の2つ目の丸のところです。この未改善者を健康管理支援事業による保健指導・生活支援の対象に位置づけ、より丁寧な支援を行うことで頻回受診の改善につなげていくことについて、どのように考えるかということなのですけれども、15ページや18ページの好事例、実践事例ということを拝見いたしましても、丁寧な支援をしていくことによる改善効果というものがあるように受け止められます。
 ぜひ、これは、より丁寧な支援を、先ほど長島委員もおっしゃっていましたけれども、医師、看護師、保健師、場合によっては、他の福祉サービスを実施している機関とも連携をしながら丁寧に行っていくということが必要ではないかと思います。これは、ぜひ進めていただきたいと思うところです。
 あとは、12ページの厚労科研の推進事業も実施されるということですので、このような調査の知見なども、ぜひ共有していただきながら、どんな支援が効果的なのかという取組事例は、ぜひ福祉事務所やケースワーカーさんたちに伝わるようにしていただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 明坂委員、どうぞ。
○明坂委員 高知市の明坂です。
 24ページの受診回数に係る基準の見直しについて、ちょっと意見を述べさせていただきます。
 高知市といたしましては、受診回数に係る基準の見直しについては、現状、できれば維持してもらいたいというのが意見になります。
 受診回数の基準を見直すことについては、回数の基準を緩和するであったりとか、より厳しくするであったりとか、あるいは、もうそれをなくしてしまうというようなことが考えられるとは思うのですけれども、厳しくなった場合、頻回受診の対象者が増えることになろうかなと思います。
 そうなると、受給者の方々から、今までこれでよかったのに、また急に何でこんなふうになったのだろうというような意見や、問い合わせ等が多数増えることが予想されます。
 また、先ほどありました病状調査ということの件数もかなり増加するのではないかなということが予想されます。
 この受給者への対応、また、病状調査件数への対応、これに費やす時間が増えることは、現状、ケースワーカーさんの業務量が非常に多いということがございまして、また、ケースワーカーの負担がさらに増えてしまうのではないかと、このようなことは、あまり望ましくはないのかなと考えております。
 あと、回数の基準がなくなった場合には、では何をもって頻回受診の対象者とするのかという、選定の段階でちょっと混乱が生じるのではないかなと考えております。
 また、各福祉事務所によって、対象者の選定に、また、ばらつきが出てくるのではないかなということも考えております。
 最後になりますが、基準を緩和する場合、今よりも緩い状況でやるとなると、そもそも頻回受診の指導自体が必要ではないのではないかというような意見も出てくるのではないかと考えております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 どうもありがとうございました。
 頻回受診に関してのみということで、少し考えたところをお話したいと思います。
 多分に医師会の中島委員がおっしゃったところともかぶるのですが、お話を聞いていると、精神疾患を中心に、やはり何か問題を抱えていて、その解消、例えば精神疾患によるある種の不安というようなことから、その問題の解消のためにお医者さんのところへ行くというのであれば、それは、やはりどちらかというと、医学的な需要があり、それを解消するべくお医者さんのところに行っているので、本来なら、正当な受診行為なのではないかという気がいたします。
 ただ、他方で、ちょっとここの資料には出ておらず、事前説明のときに質問して、いただいた資料を見ていると、すなわち、どの科に頻回受診者が多いのか、どういう問題を抱えている人が多いのかという質問に対していただいたデータをちょっと見ていると、確かに精神障害の方が精神科通院中であるとか、やはり精神上の問題を抱えておられる方が多いと出てくる一方で、その受診、受療科の一番多いのは整形外科だというデータが出ていて、抱えている問題と行っている箇所が、素人からは、ちょっと一致しない感じがするのですね。
 そういうところは、独自の問題として、やはり考える必要があるのではないかというのが1点。つまり、そういった分析を通して、頻回受診の人が抱えている問題にふさわしいところに行っていないとすれば、それ自体は、やはり頻回の対策として考える必要があるのではないかというのが1点目です。
 それから、2点目に、ちょっと私も分かりかねるのですが、問題を抱えているということで、お医者さんのところに行くにしても、例えば、どうしても長期精神科に行くようなことを考えますと、長期的なおつき合いが要るので、昨日不安で、今日も不安であるといったところで、毎日行っても、医学的にもあまり意味がないと、どちらかというと、むしろ、そんなお医者さんのようなハイスペックのところに行くのではなくて、日常的なつき合い、あるいは誰が一番ふさわしいのか分かりませんが、例えば、コメディカル、精神保健福祉士の人などのカウンセリングを受ければ十分であるという場合も考えられないか。
 つまり、医者以外のところに行っても、その問題は解消されるであろうということがあるのであれば、そちらのほうへ誘導するというのは、これは、全員のためになるのではないかというように素人ながらに思えたりもします。だから、その部分についての考え、検討を深めるということは、法学者として外野から見ていると、その必要があるのではないかというのが第2点目です。
 第3点目は、基準の問題でございますが、24ページの説明によると、ほかの制度にはないということなのですが、他方において、老人保健法に基づく保健事業としてやっていたときの制度を引っ張ってきているというのが、事前の説明でも、今日の資料でも出ていて、それとの関連で教えていただいたのですが、何でなくなったかというと、各保険者の事業になったからない、要するに統一の制度がないというだけであって、各保険者が自分で設定するというときに、昔の15日基準を引っ張っている可能性は、もちろんあるわけですね。
 他方において、生活保護という制度からすると、地方差があることは、ナショナルミニマムの議論と衝突するだろうということを考えますと、高知市の方がおっしゃったように、簡単になくすとか、地方ごとに頻回の基準を勝手に考えろというのが、ふさわしいところか、そこは、地方分権とはいえ、やはり限界はあるのではないか。だから、ほかの基準を明確に示せないのであれば、とりあえずのスクリーニングとして機能するのであれば、今のままでいいのではないかという気がいたしました。
 これが3点目で、以上になります。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。
 日本歯科医師会の林でございます。20ページのオンライン資格確認の仕組みを活用した、被保険者の受診状況の把握というところでございますが、これは、非常に期待しているところでございます。
 歯科におきましても、通院されている被保護者の方々が、急激に口腔内環境が悪くなるということがございます。
 それの要因として、初期の認知症等が発症し出したりとか、生活環境で抑うつ状態がきつくなっている方とかがいらっしゃいまして、医療連携でしっかりと対応したいと思っております。そういう受診の回数のサインとかで早期に把握できれば、我々も気づきの概念につながっていくと思っております。これから、そういった方々への早期の介入ということで推進していっていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 横浜市の鈴木ですが、まず、1点目として9ページにもあるように、頻回受診の実施結果として、やはり一定程度の改善が見られたものというのがありますので、高知市の方なども言っておりましたが、私は、現状の取組をまずきちんと行うというのが、実施機関として大事なのかなと思っています。
 ただ、現場のほうの苦労としては、精神疾患の話なども出ておりまして、太田委員の意見などもございましたが、やはり健康不安とかを抱えている方が、いろいろな体調の訴えとかを、いろいろな医療機関に受診してしまうというような課題があるのは事実です。そういった方に、きちんと通院を促すというのは、非常に現場は苦労しているところです。
 そういう中で、現在、生活保護法の改正論議などがされておりますけれども、生活保護においても、生活困窮者自立支援法と同じように、関係機関等の会議体など、連携の仕組みづくりなどというのも議論されておりますので、先ほど長島委員が、地域包括ケアの話もありましたが、そういった地域で生活をどう支えていくのかというような視点で、生活保護で丸抱えするのではなくて、生活保護のケースワーカーがハブとなって、関係機関と連携しながら生活の支援を行えるような体制を作っていた方がいいのではないかと私は思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 ありがとうございます。
 私もほかの委員の先生方と同じような意見を持っております。
 14ページに16回以上受診した人の割合を各制度で調べています。それで、ここで見ると、医療扶助が特に変わった動きを示しているわけではないですし、割合についても、一番右端を見ても、どこも1%を切っているという状況ですね。
 ですから、頻回受診の問題は、確かに重要ではあるのですけれども、全体から見ると、それほど大きなボリューム感のあるイシューではないような気がしてなりません。
 ですから、この問題を解決するためには、大がかりな制度の改定は特に必要ではなくて、むしろ、頻回受診をしている人たちの属性を丁寧にチェックし、できるだけ頻回受診にならないようなサポートをするということで、かなり効果があるのではないかという印象を受けます。それが1つです。
 それから、2つ目は質問なのですけれども、6ページに工程表の御紹介がありました。そこで、この赤のところで、下から2行目に、この頻回受診の問題について、中期的に医療扶助のガバナンス強化に向けて、EBPMの関係も踏まえて検討を行うという指摘があったのですが、具体的にEBPMの観点というのは、どういうことを想定して作業を進めようと、事務局の方は考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
 以上です。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いいたします。
○河合保護事業室長 事務局でございますが、データに基づく分析等を進めていくということでございます。現行、NDBデータを自治体と共有させていただきながら分析等々を進めていただいているところもありますので、そういった部分を活かしながらやっていくということが1つあろうかと思っております。
 すみません、以上になります。
○尾形座長 小塩委員、いかがでしょうか。
○小塩委員 ありがとうございます。
 これから具体的に進められるということだろうと思うのですが、今日も幾つか御指摘ありましたけれども、好事例が幾つか挙がっていますね。こういうことをやったらいい成果が出てきたという事例があったと思うのですが、もしできれば、こういう取組をすればこういう効果があったという事例を集めて、こういうことをやったらこれだけ成果が上がるよというのを統計的に見せることができれば、EBPMの観点からも、いろいろな意味のある政策論議ができるのではないかなと思います。
以上です。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○河合保護事業室長 追加というか、補足でございますけれども、先ほど申し上げたようなNDBを使った分析もそうなのですけれども、結局、先生もおっしゃっていただいたように、好事例のところを御覧いただいてもそうなのですが、いろいろな自治体が、それぞれ課題を抱えている中で、工夫をしていただきながらやっていただいているという部分は、当然あろうかと思いますので、例えば、A県であったら、こういうそれぞれの管内の自治体において、特徴を持っているとか、そういったことがデータから、あぶり出していくことができれば、そういったことを、仮に都道府県が、その役割を担っていただくとか、そういったことをしながら、各管内の自治体の分析をして、その必要な支援をしていく。
 もしかすると、資料の2のほうの議論につながっているかと思いますけれども、そういったことも併せて考えたいと考えております。
以上です。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
 それでは、長島委員、どうぞ。
○長島委員 先ほど、例えば、ほかの医療機関の受診を勧めるとか、ほかの職種の利用を勧めるというお話がありましたが、それが、現在治療中の医療機関を抜きに、関係なく行われてしまうと、これは医療の継続性ということ、あるいは総合性ということで大きな支障を来して、治療上、患者さんにとって極めて不利益になりますので、やはり、まずは現在治療中の医療機関、医師に、行政からしっかり相談とか、情報共有をしていただいて、その上で、きちんと地域医療連携あるいは多職種連携という形で、あるいは様々な行政サービスの活用ということ、これを相談しながら進めていただくということが極めて重要かと思っております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 どうもありがとうございます。
 長島委員が御指摘の点は、そのとおりであって、それはそうだと思っておりますが、ただ、せっかくなのでお伺いしたいことがあります。問題状況として、福祉事務所が医師抜きに何かを決めたら、それは大いに問題だと思うのですが、患者のほうが、主治医のあずかり知らぬところで、主治医からしても行く必要のない医者に勝手に行ってしまうというときをどうするかという問題のほうが、結構あるのではないかと思うのですが、そこら辺は、どうしたらいいとお考えになりますか。
○尾形座長 長島委員、どうぞ。
○長島委員 日本の国民皆保険の優れたところに、フリーアクセスと、どの医療機関でも、御自身の選択で受診できるということは極めて優れたところですが、やはり医師の間の連携ができていないというのは、患者さんの治療上、大変困ったことですので、そういう意味でも、やはり、かかりつけというのがしっかりと全体の状態を把握して、連携の舵取りができるというような状況に進むのが望ましいかと思いますので、やはりそういう形で医師がきちんと、患者さんが、今、どのようなほかの医療機関を受診していますかということは、しっかりと聞いていただいて、その中で全体を考えていただくということが現実的ではないかなと思っております。
○尾形座長 太田委員、よろしいですか。
○太田委員 お話は分かりますが、そうすると、フリーアクセスのことを考えたとしても、医療扶助はフリーアクセスではないので、制度化はやりやすいかと思うのですが、ある疾病について福祉事務所から委託を受けた指定医療機関が、いわば連携の中心を担って、事実上のかかりつけ医機能を引き受けてくださると、そういう構想であって、委託を受けた指定医療機関が、ほかの医者に対して働きかける、勝手に診るなよと言ったら、かなり語弊がありますけれども、そこら辺のことをやるという制度は、これは現実的なのでしょうかね。せっかくなので、教えていただければ幸いです。
○尾形座長 長島委員、どうぞ。
○長島委員 日本の医療の特徴としては、例えば、耳鼻科、眼科、皮膚科など、かなり専門性の高い診療所がたくさんある、あるいは内科においても、それぞれの循環器とかという形で様々な専門性を持っているところもあるというところで、1つの医療機関だけで、特に高齢者などは、様々な疾患を持っていますので、いろいろなところに受診するという可能性は十分あるだろうと思います。
それを抑制するのではなくて、そこのところを上手に、みんなでやってくということが必要なのだろうと思います。
 そういう意味で、やはりかかりつけ医というのが、ただし、耳鼻科のかかりつけ医とか、眼科のかかりつけ医というのも当然あっていいので、ただし、そこが横の連携、地域連携をしっかりやっていくということが重要なのだろうと思っています。
 そういう意味では、現在、オンライン資格確認というのは、資格確認というよりは、医療情報の共有の基盤となるということで、ほかの医療機関の医療情報も閲覧可能な基盤になりつつあるので、そういうものを活用していくというのが、今後の方向ではないかと思っております。
 以上です。
○尾形座長 太田委員、よろしいですか。
○太田委員 はい、差し当たりはありがとうございました。そうなることを、とりあえずは祈りたいと思います。
○尾形座長 ほかは、いかがでしょう。
 よろしいですか。
 それでは、特にほかに御意見等がないようですので、先に進みたいと思います。
 2つ目、丸2ですが、重複投薬及びその他適正化に係る取組の推進について、資料で言いますと、資料1の25ページ以降ですが、この部分につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
 豊見委員、どうぞ。
○豊見委員 薬剤師会の豊見でございます。
 この重複投薬の件につきましては、幾つかの自治体で取組が行われているという紹介もございましたけれども、適切に薬剤師が、それと地域の薬剤師会も関わることによって、改善を見込めるというところがあるかと思いますので、ぜひ今後も、その取組について進めていただきたいと思います。
 その観点から、先ほどのグラフにもありましたけれども、たとえ薬価コードの上7桁が重複しているからといって、それが、よろしくない重複投薬なのかという判断ができるわけでもございませんし、それぞれの患者さんの、それぞれの治療の中で何が必要なのかというのを、かかりつけの医師と、かかりつけの薬剤師と協力しながら判断する必要があるかと思いますので、一概に、種類数ですとか、コードが同じといった観点で判断するものではなくて、それぞれ個々の事例で、1つずつ判断をしていくというような取組が必要ではないかなと思っております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 長島委員、どうぞ。
○長島委員 1つは、オンライン資格確認システムを使って、レセプトから出る薬剤情報というのは、ほかの医療機関から処方された薬でも一応確認ができるという仕組みは、もう既にできておりますが、今度、来年1月から運用が予定されている電子処方箋では、今度はリアルタイムで薬剤情報が把握できるということ、さらにもっと重要なのが、重複投薬あるいは併用禁忌の投薬があった場合に、そこのところの情報を知らせてくれると。
 それで、それを見て処方する医師が、例えば処方を変えるとか、あるいは、これは必要なものだから出すとかという判断ができるということになります。
 ただし、そのためには、できるだけ多くの医療機関や調剤薬局が、この電子処方箋のシステムを導入していただく必要がありますけれども、このことで大きな貢献が可能ではないかと期待しております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 ありがとうございます。
先ほどのお二方と、あまり違うことはないのですが、事務局にちょっとお願いしておくという形で発言させていただきたいと思います。最初の頻回受診対策のほうは、まずは、何ともあれ、被保護者に働きかけると、働きかける主体が医師なのか、福祉事務所なのか、両者連携してということになれば、そこは大きな差はありませんが、働きかけの対象は、多分、被保護者にならざるをえないと思います。
 これに対して、他方で薬のほうは、やはり先ほど薬剤師会も医師会も、そのことは十分言われましたが、結局のところ、患者、被保護者が薬をもっとほしいと言っても、ブロックしてくれる専門家がいるわけですね。したがって、ここは、むしろ働きかけの対象は、医師、薬剤師という方々になる。多重防御といいますか、そっちのほうで、きちんと専門家としてブロックする、必要なものは出すし、必要ないものは出さないという形でブロックする任務をきちんと果たしていただくと、こういう形の方向性になるのではないかと思います。
 先ほど専門職の2人も、やはり基盤がしっかりしてきたので、これを使ってくれればできるという発言をしてくださったものですから、私としても、その方向で進めていくのが穏当ではないかと思う次第でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。ほかに御意見等がないようでしたら、本件はこの辺にしたいと思います。
 次に、資料の2のほうに移っていただきまして、医療扶助に関する都道府県による関与の問題でございますが、この資料2につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。
藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 兵庫県の藤本でございます。
 こちらについて少し御意見のほうを述べたいと思います。
 こちらのほうで見させていただきますと、国において、今後、参酌標準として設定されていくと記載があるのですけれども、現状と、それからお願いということでお伝えさせていただきますけれども、現状を見ますと、各自治体が評価指標を設定されている、場合によっては、設定されていない場合もございます。
 仮に設定されていても、それぞれが、ばらばらであったりとか、あるいは実施期間の設定についても、ばらばらであるということで、現時点の評価というのは、非常に難しい状況にございます。
 一方で、例えば、兵庫県の事例を考えますと、実は医療資源の現在の状況を踏まえましても、例えば、都市部と郡部の大きな違いがあったりということで、なかなか一律で分析するということは、難しいのではないかなと、今、考えております。
 こういったことを踏まえますと、現在、国のほうで指標の統一をお考えいただいているのですけれども、ぜひその中で、実施期間の設定等も踏まえて検討いただけたらなと思っています。
 また一方で、市町へのフィードバックなのですけれども、結果の利用方法とか、一般の公開の方法について、これは、ある程度一定のルールを設けないと、自分のところに対して有利な情報だけが出ていくとか、あるいは逆に言うと、他市を、進んでいないというような評価を与えるようなことになってまいりますので、その辺りも一定の統一のルールを考えていただけたらなと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 この現状と課題を踏まえた論点の丸5のところでございます。ガバナンス強化における都道府県が、医療機関に対して講ずる指導について、その対象を選定する際に、頻回受診者が多いということや、後発医薬品の処方割合が低いということについても、考慮してはどうかという意見でございますが、歯科におきましては、受診患者の疾患の状態で頻回受診につながっているということ、また、処方に関しましては、比較的少ないわけではございますが、患者さんの要望によっては、後発医薬品を避けられているケースというものも、まだまだございます。
 医療機関の特性というよりは、その地域における患者さんの特性というものが、過分に影響しているということもございまして、その選定基準に関しての指標というものに加えていくということは、慎重に判断していただきたく思っております。
こういったものに関しましては、被保護者の健康管理事業のさらなる推進と、そういったところへの専門職の関わりというものを強化して対応していただきたく、要望したく思っております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょう。
長島委員、どうぞ。
○長島委員 今の御意見と同じようなものですけれども、やはり、医学的に必要な受診は、これは適正な受診なので、決して頻回ではないと。ただし、そこがどうかというのは、単なる数字では分からないので、最初に申したように、患者さんの状況をよく見て、生活支援とかに結びつけるという意味で、様々な形で状況を把握して、あるいは医療機関と連携するという中で判断できるものなので、単純な数字で、多いからと、引っかけるというようなことはすべきではないと考えます。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 今、都道府県の現状ということで、お話をさせていただきたいのですけれども、やはり先ほどから長島委員とか、その他委員も御意見をされているのですが、頻回受診というのは、実は都道府県の立場においても非常に扱いが難しいといったような現状がございます。
 例えば、我々のほうに嘱託医のほうが設置されておりまして、指定医療機関との間で御意見を交わすことがあるのですけれども、先ほど来出ていますように、なかなか何をもって頻回受診とするのかという部分の判断が非常に難しい。単純に、受診頻度等で線引きをしていくようなことが起きた場合、やはり主治医の診療方針等につきまして、それを否定していくとか、あるいはそれを超えたようなことを御指導していくようなことになりますので、この辺りについては、非常に慎重に扱わないといけないのではないかなと考えております。
 それから、国のほうの文書の中に、頻回受診への恣意的な誘導等と判断する場合にはというような文言があるのですけれども、これは、もしもそのような形で判断していくということであるのであれば、これは、もう一定の指標がないと、なかなか、そういったものに該当するということを、都道府県の立場であっても、なかなかそれをお伝えできないですし、判断もできないのではないかなと考えております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 ありがとうございます。
 私も前提は先生方と、あるいは都道府県、地方公共団体と共有するものではございますが、若干もう少しそれもありかなと思う側面と、やはりちょっとやめておいたらという側面とがありますので、何点か、これは随分、法律制度にも関わるものですから、意見を申し上げたいと思います。
 まず、第一に、現状、都道府県の関与という形でまとめられているわけでございますが、関与の中にも、技術的助言と言われるレベルから、違法行政の是正という、昔の表現を使いますと、自治監督と言われているものまで、多岐にわたってしまっております。今議論している問題については、やはり基本は、市町村がよりよい行政を行うための政策決定を行っていくための、データ分析等の支援を中心とするべきものであろうと思います。そういうことを、まず前提に、難しいものではございますが、そういうことを前提に、やはり制度化を考えていただきたいと思います。
 そういうことになりますと、やはり市町村が分析しようとするところを助ける、ほかとの比較は見える化のためにあってもいいのですが、これを順位づけしてどうこうするということに転用されないような工夫が、まず前提になる。
 それから、市町村が抱えている問題意識に、やはり沿うような形でのデータ分析を都道府県が行うというようなことにならざるを得ない、助力をするということになるのではないかと思います。その点において、定期的な報告というものはいいのですが、職権的に市町村の評価を都道府県がさらに評価するというようなことは、やはりちょっと避けたほうがいいのではないかというのが1点です。
 それから、第2点に審議会の問題でございます。
 専門的知識のバックアップのために、やはり今の医療扶助審議会を改組、拡充できないかという問題意識をお持ちでございますが、現在やっているところの任務からいたしますと、これは、都道府県がまれに町村部に自分の福祉事務所を置き、これを動かして生活保護をやっておりますので、それの適正化のために置かれている審議会のように思えます。
 もちろん、これを拡充して、市町村に都道府県が関与していくときの、それを適正ならしめるための審議会という形にもするということは、もちろんアイデアとしては考えられるところではございますが、データ分析のようなことになりますと、これは、例えば、我々の委員会がそうであるように、検討会・審議会そのものの拡充というよりもやはり事務局機能の拡充の方が決定的な問題になろうと思います。
 現に我々も、特に私などは、自分でデータ分析をする能力はありませんので、ここは恥ずかしながら、事務局が提出してくださっているデータを見て、議論に追いついていっているというのが現状でございます。そうなりますと、ここは、やはり審議会を1個、拡充、改組したからどうにかなるというものではないのではないかなという気がしております。
では、都道府県なら十分できるのかということになりますが、都道府県の上は国になってしまいますので、これは、やはり、こういう形でやったらという参酌基準を示す以上の関与は、また別の意味でちょっと避けたほうが、今の時点では避けたほうがいいのではないかと直感的に思う次第でございます。
 それから、20ページで問題になっている指定基準に頻回受診者が多いことや、多種類の医薬品の投与を受けている者が多いということを考慮するべきかという部分については、確かに患者が適正な医療を受けている以上は、これは考慮するべきでないという立場からの御意見が出るのは分かりますが、他方において、診療報酬基準によって良くも悪くも、ある程度医療の標準化は進められているはずですし、やはり今後も進められていくべきであろうと思います。これは患者のためにも、みんなに説明ができる医療であるということが必要で、説明できないような医療をするのであれば、それはそれなりの特色があるからやるのであるという説明を求める形で、やはり、ある程度医療の標準化というのは行われていくものであろうと思います。
 そういたしますと、周りのお医者さんの行動等から見て、ある種、悪目立ちをしている人に対しては、それなりの対応がされるという制度は、やはりあっていいのではないかという気がいたします。これは、基準の作り方によるところが大きいのでございますが、こういう考慮点を取り込むということは、一定程度はあり得るのではないかと、私は逆に思う次第でございます。
 その際に、昔ちょっとドイツの制度を勉強していたこともあるのですが、定期的な検査のほかに、やはり診療報酬データをきちんと洗って、バーンと突出しているような人には検査が入っていくということは、むしろ制度化されている。それは、ある意味、何で自分が検査の対象にされるのかということの予測可能性も含めて考えると、決して医療機関にとって不公平なものではないと思いますので、そういうことは、基準に明示し、その後の指導基準としても使うということはあっていいのではないかと思います。
 もう一つ、その際に、指導・監督の在り方、20ページの次のポツですが、検査の前段階として、指導と検査の前段階の間に何か置くということを考えておられるということがございます。
 私が考えましても、検査というのは、これは法律上の立てつけからいたしますと、調査して、次の指定停止、指定取消等々をやるための情報を最終的に集めるためのものになりますので、検査それ自体が警告になるというのは、やはり望ましい使い方ではない。
 したがって、指導と検査の間に、なかなか指導しても、どうもおかしいなと思う場合に、行政がより本腰を入れて、あなたを見ていますよということを伝えるサインとして、例えば法制上は、しばしば指導の後、勧告という表現が取られますが、そういう勧告とか、より強く見ているのですよというサインを送る行政指導のちょっと強いやつがあってもいいかとは思います。
 他方で、これは医療法の制度を使って、事務局がちょっと言われたのですが、公表というのもあります。これは、指導とか勧告に従わない場合に公表するというもので、これは変なお医者さんですよという情報提供機能があるのですが、あからさまに言いますと、これは、要するに曝し者にするという、事実上のサンクションを加えるという仕組みでもございます。
 これは、厚生労働省の法令には、しばしば見られるところですが、やはり使い方は注意する必要があるだろうと思います。保険医指定登録などとのバランスを考えますと、これは保険医の指定が取り消された後に公表されるわけで、その前段階に公表することはございません。ということで、この生活保護に限って、公表をこの段階、検査の前段階で入れるというのは、これは、いかにもバランスを欠いておりますので、これはやめたほうがいいと法学者としては思います。きちんとした議論は、先ほどの説明では、そこまでの説明はされませんでしたが、事前説明も踏まえて、公の場で発言しておきたいと思います。
 私からは、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 都道府県の関与のところで、審議会の設置が、機能強化をした上で、制度上位置づけるのはどうかというような記載があるのですが、なかなか機能的に運用するとなると、非常に難しい。何か審議会を設置することが逆に目的になってしまう、形骸化の話など、現状と課題でも出ていますけれども、さらに強まるのではないかと思っています。
 逆に、法改正で地方厚生局の関与などが含まれることになったことと、あと、今回、現状、課題などでも、先ほど太田委員のほうからも、指導と検査の間の中間がというようなこともありましたし、こちらのほうにも、その間の段階的な関与の執行も求められているというような部分で、何か地方厚生局がもう少し自治体側の意見を聞いて、一緒になって取り組めるような形が取れないかなと思います。
 そういった部分で、もっと地方厚生局の関与などについて、自治体側からの意見などを諮ってもいいのではないかと、ちょっと思うところです。
 私からは、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょう。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 資料2は、全体として拝見すると、都道府県のガバナンスを強化するということが大きなテーマになっているかと思います。
 その前提にあるのは、恐らく改革工程表で、場合によっては、医療扶助は、生活保護から切り離して、医療保険のほうに持っていくということも考えるべきだという提案があったので、それに対応した事務局サイドの検討の結果だろうと、私は推察いたします。
 私個人は、医療扶助の在り方については、もう少し慎重に議論して、どっちに置くかというのは議論する必要があると思うのですが、少なくともガバナンスについては、医療扶助も、ほかの保険制度と同じような仕組みになっていないと、やはりまずいのではないかなと思います。
 そういう点を考えると、やはり、都道府県による医療扶助に対するコミットメントの在り方がちょっと弱い。それから、医療扶助審議会の在り方も、ちょっとふわっとしたところがあって、もう少ししっかりと機能させる必要があるという問題意識は、私も正しいと思います。
 もちろん審議会を作ってオーケー、それでおしまいというわけではなくて、それを支える事務体制を強化する必要があるというのは、そのとおりなのですが、ただ、いずれにしても、資料2で議論されていることを実際に行おうとすると、結構大きな制度改正が必要になると思います。そこで事務局の方にお聞きしたいのですが、今、我々が議論をしている今回の医療扶助の見直しにおいて、そういうガバナンスを強化するような法改正は、具体的に狙っていらっしゃるというか、射程に入っていると認識してよろしいのでしょうか。
○尾形座長 これは、ちょっとどうかと思いますが、事務局、何かあれば。
○河合保護事業室長 この関与をどうしていくかというのは、都道府県による市町村への支援というものと、医療機関への関与というものが今回のテーマになっていますので、そういった部分については、何かしら答えを出していくということを、我々としては考えております。
○尾形座長 よろしいですか。
○小塩委員 非常に重いテーマですので、ぜひ慎重な議論をお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、一通り皆様から御意見、御質問等をいただきましたので、本日の議題については、以上としたいと思います。
 今日は、様々な観点から、いろいろな御意見を頂戴いたしました。
 事務局におかれましては、これまでの各委員から出された意見等を踏まえて、次回の検討会までに、被保護者健康管理支援事業及び医療扶助に関する見直しの方向性につきまして、取りまとめ案の作成作業を進めていただきたいと思います。
 それでは、事務局から今後の予定につきまして連絡をお願いいたします。
○吉川保護事業室長補佐 事務局でございます。
 次回の第8回検討会につきましては、8月下旬を予定しております。日程、会場、開催方法等の詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 なお、来週の7月29日に、第17回「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」が開催されまして、その中に、健康管理支援事業と医療扶助が議題の1つとなっております。
 部会のほうでは、本検討会での議論の進捗等を報告する予定としておりますので、その点、御承知おきただければと思います。
 なお、部会でいただいた御意見等は、次回の検討会において、必要に応じて御報告をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。皆さん、御多用の中、長時間にわたりまして、大変熱心な御議論をどうもありがとうございました。