第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和4年7月22日(金) 10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第33回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開でございます。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議の冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、本日の出欠状況について御報告いたします。
現在、委員17名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続いて、資料の確認でございます。
本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号09の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら事務局員にお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、これからの進行は脇田分科会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 委員の皆様、おはようございます。今日はよろしくお願いします。
それでは、まず事務局から審議参加に関する遵守事項についての確認、御報告をお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容については資料番号09の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も御確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、今日の議事に入っていきたいと思います。
資料1を御覧いただきまして、事務局から「新型コロナワクチン接種の現状」についての御説明、よろしくお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 資料1「新型コロナワクチン接種の現状」について説明させていただきます。資料1の2ページ以降を御覧ください。
3ページは、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向でございます。
4ページは、コロナウイルス感染症の国内発生動向(重症者割合)でございます。
5ページは、同じく国内発生動向(死亡者割合)。
6ページは、ワクチンの接種状況についてでございます。
7ページは、全国の新規陽性者数等及びワクチン接種率についての資料でございます。
8ページは、新しい資料ですけれども、2回目及び3回目の年齢別の接種率の差でございます。2回目接種率と3回目接種率の差を白で示しておりますけれども、年齢で開きがあるデータとなっております。
9ページは、日本での供給が予定されているワクチンについてでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今、説明がありましたけれども、何か御質問ございますか。
40代以下の接種率がやや低いということと、若い世代で3回目接種が進んでいないということがありました。
それでは、11ページを御覧いただきます。今日の議題は4つありまして、1番から4番ということですので、順番に進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
まず最初に「オミクロン株対応ワクチン」の接種について、事務局から資料についての御説明をお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
資料1の12ページ以降、「オミクロン株対応ワクチン」の接種についてということで説明させていただきます。
1つ目のオミクロン株対応ワクチンの開発状況についてでございます。
13ページは、我が国における新型コロナウイルスの系統の置き換わりについての資料でございます。こちらは、新型コロナウイルスゲノムサーベイランスによる系統別の検出状況でございますが、繰り返し、変異株に置き換わっているという状況がございます。
14ページは、我が国におけるオミクロン株亜系統の流行状況、これは最近のデータでございます。オミクロン株のBA.4、BA.5の増加が認められます。こちらは民間検査機関のデータに基づく全国の推定でございます。
15ページは、ファイザー社及びモデルナ社が開発中の「オミクロン株対応ワクチン」についてでございます。「オミクロン株対応ワクチン」は、オミクロン株のスパイクタンパクを成分として含んだワクチン、従来型ワクチンとの2価ワクチンを含むという形で、こちらの資料では「オミクロン株対応ワクチン」と呼ばせていただきますが、ファイザー社及びモデルナ社が開発中でありまして、先日6月28日にFDAの諮問委員会に臨床試験の結果を報告しております。
16ページ以降は、報告されている臨床試験の結果についての資料でございます。
16ページは、ファイザー社のデータで、18歳から55歳を対象にした臨床試験でございます。「オミクロン株(BA.1)対応ワクチン」でございますが、追加接種により、従来型ワクチンによる追加接種と比較し、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体の上昇が優越していたと報告されております。
17ページは、同じくファイザー社の56歳以上の臨床試験についてでございます。こちらも「オミクロン株対応ワクチン」の追加接種により、従来型ワクチンによる追加接種と比較し、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体の上昇が優越していたと報告されております。
18ページは、モデルナ社のデータでございます。モデルナ社のワクチンについては、第2期追加接種において武漢株とオミクロン株の2価ワクチンの中和抗体価についての臨床試験でございまして、武漢株対応ワクチンと比較し、オミクロン株に対して優越性、武漢株対して非劣性を示したと報告されております。
中和抗体価について様々なデータを資料にしておりますので、まとめたものを19ページに載せております。御参考として御覧ください。
20ページは、モデルナ社のみになりますが、臨床試験の中での安全性について確認されたものです。
21ページは、WHOによる2022年6月17日の暫定的な見解でございます。暫定的な声明において、改良型ワクチンにオミクロン株の成分を含むことが有益である可能性があるとしております。
22ページは、FDAの見解でございます。先ほど御説明した6月28日の諮問委員会を受けまして、6月30日にFDAが見解を示しております。内容につきましては、下線を引いたところを御覧いただければと思います。
大多数の委員が2022年秋に実施する追加接種に使用されるワクチンにオミクロン株の成分を含めることに賛成した。
FDAは、製造販売業者に対して、オミクロン株(BA.4、BA.5)の成分を含む2価の追加接種用ワクチンを開発するよう、改良することを検討するよう勧告した。
FDAは、既に承認されているワクチンが現在流行しているCOVID-19の株に対して基礎となる重症化予防効果を持っているため、製造販売業者に対して初回シリーズ用のワクチンを改良するようには勧告していない。
23ページは、FDAの見解の背景でございます。米国においては、この会議の時点でオミクロン株(BA.4、BA.5)の増加がかなり認められていたという状況でございます。
24ページは、ICMRAにおける議論でございます。ICMRAは、International Coalition of Medicines Regulatory Authoritiesというものですけれども、薬事規制当局による自発的、ハイレベルな支援組織でございます。こちらの組織が6月30日にワークショップを開いておりまして、そこでの議論の内容が公開されておりますので、資料として作成しております。
予防効果を増強するためには、現在認められているワクチンの改良版にはオミクロン株が含められるべきである。地域間で異なるタイプの株が流行する可能性は排除されていないため、ワクチンに組み入れられる変異株の選定に関し、一定の地域的な柔軟性を要する可能性があるとしております。
25ページは、2022年秋以降の新型コロナワクチン追加接種の諸外国の状況です。「オミクロン株対応ワクチン」についてということでそれぞれの国についてまとめております。米国、WHO、EMAから姿勢が表明されております。WHOと米国については先ほど御説明したとおりでございますけれども、EMAにおいては「9月のオミクロン株対応ワクチン承認の可能性に向けて取り組んでいる(7月11日付)」ということで姿勢が表明されております。
26ページは、(1)の「オミクロン株対応ワクチン」の開発状況についてのまとめでございます。
従来型ワクチンは、オミクロン株を含む全ての新型コロナウイルスの系統に対して高い重症化(入院または死亡)予防効果がある。
新型コロナウイルスは、発生時から継続的に変異し、今後も変異は継続していくと考えられる。
我が国でもBA.2亜系統からBA.4亜系統、BA.5亜系統への急速な移り変わりが見られる。
米国FDAは、2022年秋に「オミクロン株対応ワクチン」を追加接種で使用するワクチンに含めていくべきであると表明している。また、従来型ワクチンの成分とオミクロン株(BA.4、BA.5)のスパイクタンパクを含んだ2価ワクチンを開発するよう、製造販売企業に勧告しており、WHOも新型コロナワクチンの構成にオミクロン株の成分を含めていくことは有益である可能性を指摘している。
ファイザー社及びモデルナ社が、現在用いられているワクチンを改良したものとして「オミクロン株対応ワクチン」を開発中であり、FDA諮問委員会に報告されたデータによれば、「オミクロン株対応ワクチン」は、従来ワクチンと比較し、オミクロン株(BA.1)の中和抗体価の優越な上昇を示し、オミクロン株(BA.4、BA.5)に対しても一定の中和抗体価の上昇が見られた。
これを受けまして、事務局案でございます。
「オミクロン株対応ワクチン」が開発中であることや諸外国の動向等を踏まえ、我が国においても開発中の「オミクロン株対応ワクチン」を予防接種に導入していく方向で検討してはどうか。
「オミクロン株対応ワクチン」の構成については、専門的な場を設けて検討することとしてはどうか。
構成の検討に係る具体的なポイントとして2つ挙げています。
オミクロン株の成分のみを含んだ単価ワクチンまたは従来型ワクチンを含んだ2価ワクチン、このいずれにするか。
オミクロン株の構成亜系統、候補としてはBA.1またはBA.4、BA.5になろうかと思います。
27ページ以降は、(2)2022年秋以降における「オミクロン株対応ワクチン」による予防接種についてでございます。
28ページ、29ページは再掲の資料でございます。国内の新型コロナワクチンの接種状況について、全国の新規陽性者数等及びワクチン接種率についてです。
30ページ、31ページも再掲でございまして、系統の置き換わりについての資料でございます。
32ページは、2022年秋以降の新型コロナワクチン追加接種の諸外国の状況、接種対象者についてでございます。英国、カナダ、フランス、EUから、高齢者やハイリスク者等を対象として2022年秋の新型コロナワクチンの追加接種方針が発表されております。ただし、いずれの国におきましても、どんなワクチンを使うかについては明記されていない状況でございます。
33ページは、これを受けまして、まとめと事務局案でございます。
まとめです。
我が国では、人口の約8割が初回接種を、約6割が追加接種の1回目を行っており、追加接種の1回目は昨年12月1日より開始しているため、現在も引き続き3回目の接種を推進している。
4回目接種については、本年5月25日より開始され、60歳以上の約3割が接種を行ったところである。
英国、カナダ、フランスにおいて2022年秋冬の追加接種として重症化リスクの高い者を中心に接種が検討されているが、使用するワクチン等具体的にはまだ決まっていない。
米国FDAは、製造販売業者に対してオミクロン株(BA.4、BA.5)の成分を含む2価の追加接種用ワクチンを開発するよう、COVID-19ワクチンを改良することを検討するよう勧告した。これにより改良されたワクチンが2022年秋の初めから中頃に利用できるようになる可能性がある。
事務局案でございます。
3回目接種開始から一定の期間が経過することを踏まえ、現時点における開発中の「オミクロン株対応ワクチン」の情報や諸外国の動向等を踏まえ、2022年秋以降、初回接種を終了した者を対象に「オミクロン株対応ワクチン」による追加接種を実施することを想定した準備を開始してはどうか。
現在示されている「オミクロン株対応ワクチン」の有効性に係るデータは中和抗体価の上昇のみであるものの、既存ワクチンの4回目接種に重症化予防効果が一定期間継続して認められることを踏まえれば、「オミクロン株対応ワクチン」による追加接種には少なくとも重症化予防効果を期待できると考えられるのではないか。その際、重症化予防効果を期待するのであれば、少なくとも重症化しやすい高齢者等を中心にすることが考えられるのではないか。
その他の接種対象者については、臨床試験において有効性、安全性が確認された年齢、国内の流行状況等、今後得られるデータや諸外国の動向等を基に検討することとしてはどうか。
接種間隔等接種方法については、臨床試験において有効性、安全性が確認された方法等、今後得られるデータや諸外国の動向等を基に検討することとしてはどうか。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ただいまの(1)の「オミクロン株対応ワクチン」の接種についてですけれども、論点としては、26ページの「オミクロン株対応ワクチン」を導入していくかどうかということで、ただ、中に含める株についてというところは専門的な場といいますか、ワーキンググループ、そういったところで検討してはどうかということですね。
もう一つ、秋以降の接種、今、4回目が始まっていますけれども、4回目が終わった方にとっては5回目、3回目までという方にとっては4回目になるのですが、追加接種の考え方についての説明がございました。
この論点につきまして、皆様から御意見を頂きたいと思います。坂元先生、伊藤先生、順番にお願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほどのFDAの考え方を見ていますと、BA.1と従来の野生株で2価ワクチンをつくって、それがBA.4、BA.5には効果がちょっと劣るので、推奨としてBA.4、BA.5を入れてくださいというのが出たと思いますが、その中でよく見ると、FDAは、BA.4、BA.5を入れた新たな臨床試験は求めないというようなことを言っているのは、恐らくBA.1、プロトタイプで認めていくという考え方だと思います。最初に日本でワクチンが導入されたとき、第1相、第2相試験をやって、その解析等で数か月を要して、その分が遅れたということがありますけれども、これは予防接種・ワクチン分科会での決め事ではないと思うのですが、日本では1相、2相のブリッジング試験をやらないという方向でないと、それをやっていたら次の変異株が出てしまうので、そういう方向性を持っているのかというのが第1点の質問です。
それから、秋口に開始するというのは、今まで4回目までは予防接種法の臨時接種の特例という法的措置でやっていて、その期限が9月30日ということなのですが、そうすると、この延長と臨時接種の特例という項立ては、つまり、この秋口にやる新しいものも変えないか、なぜかというと、費用負担という観点が出てくるので、我々市町村としては非常に関心があるところなので、もしその辺が今の段階でお答えできるようだったらよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
変異株が3か月ごとにくるくる変わる中で、先の見通しを立てたり開発するのは大変だろうと思っているのですが、今回、2価の話が出ておりますが、ワクチンの安全性を見ていくときに、接種量と安全性の部分はかなり密接に関係があると理解しております。2価ワクチンにすると接種量が増えるのですが、今回提示されている資料の中には安全性についてのデータが示されていないので、安全性のデータについてもしお持ちだったら教えていただきたいのと、今後は資料に入れていただきたいと思ったので、発言いたしました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
先に御意見を頂きたいと思いますので、森尾先生、釜萢先生、順番にお願いします。
○森尾委員 ありがとうございます。
1つは伊藤委員と同じ2価ワクチンの安全性のことでした。
もう一点が接種間隔についての選択基準ですけれども、モデルナのワクチンについては20ページに書いてありますように3か月以上という記載がございます。ファイザーのワクチンについても選択基準として3か月以上というような形で臨床試験が行われたかどうか、お伺いしたいと思います。32ページだったでしょうか、カナダの秋の追加接種に関する方針で、通常6か月の間隔を空けていたけれども、最短3か月まで短縮し得るという記載がありましたので、お伺いさせていただきました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 重ならないように伺います。先ほど脇田先生が最後に整理していただいたところで「4回目を接種した人は新たなオミクロン対応のものは5回目という位置づけになる。3回まで受けている人は4回目という位置づけになる」と整理していただいたのですが、事務局の見解はそれでよいのかどうか。というのは、前に受けている回数があるわけなので、それに応じてオミクロン対応のワクチンの使い方としては、最終の接種から一定期間空いた段階で、過去の接種歴をあまり考えなくてもこれを打つという方向でよいのかどうか確認したいと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、ここで事務局から、委員の先生方から頂いた御質問、御意見に対してのコメントがあればお願いしたいと思います。
坂元先生からはフェーズ2、3、ブリッジング試験みたいなものを日本でまたやるのかということ、それから、特例臨時接種の枠組みをどうするのか、費用負担の問題もある。あと、安全性の観点から、伊藤先生、森尾先生から御質問がございました。釜萢先生から、接種間隔が、今、4回目は5か月以上となっていたと思いますけれども、そういうものが来れば3回目の後でもオミクロン株のワクチンを打つという方向性でよいのか、そういった趣旨だと思います。その点、お願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 まず、坂元先生の御質問ですけれども、BA.4、BA.5に対して臨床試験を求めないということはFDAの見解の中には書いてありませんので、その点、まず指摘させていただきたいと思います。開発するよう勧告したということと、初回シリーズ用のワクチンを改良するようには勧告していないというところがFDAの見解でございます。それを踏まえて、国内の薬事審査についてでございますが、どういったデータを基に承認していくかということは、提出されたデータを見ながら薬事当局において判断されていくということになろうかと思います。
もう一つ坂元先生から頂いた特例臨時接種の延長についてでございますけれども、今回の御提案については、諸外国動向とか科学的知見に基づいてどういう方針かということを御議論いただいているものでございまして、今後については、今回の御議論を踏まえまして検討ということになろうかと思います。
伊藤先生から頂きました安全性についてでございますけれども、モデルナ社のみについて論文の中で示されたデータをお示ししております。ファイザー社については、FDAの諮問委員会に報告されたデータの中にはそういったデータはございませんでしたので、お示しできておりませんが、今後、当然、薬事審査の過程などでデータが出てくると思いますので、情報収集してお示ししていくということにさせていただきたいと思います。
森尾先生から頂きましたモデルナ社の接種間隔についてでございますが、18ページを見ていただきまして、研究内容の2行目でございますけれども、「3か月以上前までにmRNA-1273の」、これは従来型ワクチンですけれども、「初回接種、第1期追加接種を行った18歳以上の者を対象とした」という記載がございますので、追加接種間隔についてはこちらの記載が公表されているというところでございます。
釜萢先生から頂きました5回目、4回目というところですけれども、仮にということになろうかと思いますが、当然、薬事審査の中で安全性が確認された接種方法でということになろうかと思いますが、4回目接種を行った方に対しても5回目は排除されないと考えているところでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今の確認ですけれども、33ページには「2022年秋以降、初回接種を終了した者を対象に『オミクロン株対応ワクチン』による追加接種」ということなので、これは3回目から入るという理解でよろしいですか。
○大坪大臣官房審議官 よろしいでしょうか。事務局です。
○脇田分科会長 お願いします。
○大坪大臣官房審議官 今、座長からおまとめいただきましたように、21ページにWHOの見解をお示ししております。ここでは、改良型のワクチンにつきましては、初回接種が終了した方を対象とすることが有益であるという御示唆があるところでございまして、少なくとも従来株での初回免疫というものは必要であろうと、その上であれば、座長御指摘のとおり、どなたでも改良型ワクチンの対象者になるというふうに現時点では考えております。したがいまして、釜萢先生がおっしゃいましたように、4回目が終わられた方にとっては5回目になりますし、3回目が終わられた方にとっては4回目、こういった場合があり得るのだろうと考えております。
また、冒頭、坂元先生から頂きました御質問につきまして補足させていただきたいと思っております。特例臨時接種の期限でございますけれども、9月30日までとなっております。この秋を目途にオミクロン株でのワクチン接種を検討いただいているわけですが、この延長につきましては、既に財政当局等と調整しておりまして、調整がなされると見込んでおります。確定的になりましたら、改めて自治体の皆様に対してお知らせをさせていただきたいと思っております。
以上、補足です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
予算のことがあるので確定的にはということですが、延長の方向性で検討していただいているということです。
森尾先生、坂元先生、追加の御発言があればお願いいたします。
○森尾委員 森尾です。
事務局、お答えありがとうございました。
モデルナ社は3か月と明示的に書かれているのですが、ファイザー社のほうが3か月からとなっているかどうか、もし分かりましたら教えてください。四分位で3.3か月と記載がございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 自治体にとって関心があるのは剤形なのです。今のワクチンがかなり低い温度で管理するという形なのですが、もしお分かりになれば、秋口に新しく出てくるかもしれないワクチンの剤形に関して、やはり従来どおりかなり低い温度での保管管理を要するのか、それとも、いろいろな情報によるとフリーズドライだとか、いろんな話が出ているのですが、その辺、何か情報が得られたらお教えいただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、追加の御質問です。森尾先生のファイザーはどうかというところと、坂元先生から剤形といいますか、保存、輸送、そういったことですかね。ファイザー、モデルナ、自治体の方々はこれまで大変御苦労されてきたと思いますが、事務局からございますか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 まず、森尾先生から頂きましたファイザー社の接種間隔、最低がどうだったかというところですけれども、公開された資料の中では、こうした資料でお示ししている四分位範囲という示し方になっておりまして、最低の接種期間は現時点では情報が得られていないところでございます。
剤形についてでございますが、これはいずれも改良型ワクチンですので、恐らく既存のものをベースに検討されるのではないかと思いますけれども、最終的にどういった仕様になるか、現時点では分からないというところだと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 分かりました。ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。大体よろしいですか。
そうしましたら、今、2つの事務局案がありました。
まず、オミクロン株のほうです。これに関しては、今、BA.1でデータが出てきていますけれども、FDAの勧告といいますか、意見としては、BA.4、BA.5のものをつくるべきという話がございます。それから、単価ワクチン、2価ワクチンというところがありますので、株の何を使うかは専門的な場をつくって検討するという御提案です。
それから、33ページに「オミクロン株対応ワクチン」による追加接種の実施に向けて準備を進めるというところがまとめてありますが、その対象者をどうするかというところも検討を進めるということだと思います。
これについては、このように進めていただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆様首肯していただいたと思います。では、専門的な場での検討については、次回以降、分科会に報告していただくということで進めていただければと思います。「オミクロン株対応ワクチン」による追加接種の準備を進めていただくということで、お願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次に進みます。議題2「新型コロナワクチンと他のワクチンとの同時接種について」であります。まず、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 資料1の34ページから、新型コロナワクチンと他のワクチンとの同時接種について説明させていただきます。
35ページを御覧ください。まず、現状の取扱いです。前後に他の予防接種を行う場合においては、原則として13日以上の間隔を置くこととし、他の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行わないこと、こういった規定になっております。
36ページは、これも含めまして、現状の定期接種も含めた規定の整理をお示しさせていただいています。
37ページは、昨年の議論になりますけれども、過去に行われた議論について整理しています。このときには、事務局案にございますが、「安全性に関する十分な知見が得られていないことから、現時点では原則として13日以上空けることとする」とされております。このときには、さらなる科学的知見を収集し、一定の接種間隔を置くか否か、引き続き検討するとされております。
38ページ以降、今回蓄積された知見について説明させていただきます。
まず、38ページは、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチンとインフルエンザワクチン同時接種の有効性でございます。新型コロナワクチン2回目接種において、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチン単独接種と比べ、インフルエンザワクチンとの同時接種では、新型コロナウイルス抗スパイクIgG抗体価は有意差がなかった。さらにファイザー社ワクチンとの同時接種においてインフルエンザの一部の株に対するHI抗体価の上昇が見られた。
39ページは、モデルナ社ワクチンとインフルエンザワクチン同時接種の有効性でございます。こちらも抗体価のデータですけれども、免疫干渉はないと報告されております。
40ページは、武田社ワクチン(ノババックス)とインフルエンザワクチン同時接種の有効性でございます。こちらについては、抗体価は同程度に上昇したということに加えて、両ワクチンの同時接種による新型コロナウイルス感染症発症予防効果は87.5%と、武田社ワクチン(ノババックス)単独接種の89.8%と同程度であったというものでございます。
41ページ以降、安全性でございます。
41ページは、ファイザー社またはアストラゼネカ社ワクチンとインフルエンザワクチン同時接種の安全性でございます。データにおいては安全性の懸念は認められなかったと報告されております。
42ページは、モデルナ社ワクチンとインフルエンザワクチン同時接種の安全性でございます。こちらにおいても同時接種について安全性の懸念は見られなかったと報告されております。
43ページは、武田社ワクチン(ノババックス)とインフルエンザワクチン同時接種の安全性についてでございます。こちらについても、両ワクチンの同時接種により安全性の懸念が増すことはなかったと報告されております。
44ページは、ファイザー社またはモデルナ社ワクチンの追加接種とインフルエンザワクチンの同時接種の安全性でございます。こちらについては、単独接種と比較し、同時接種で全身反応の調整オッズ比は1.08、モデルナ社ワクチンとの同時接種で1.11であったと報告されております。
補足としまして44ページの左下でございます。著者らは、mRNAワクチンの追加接種の単独接種またはインフルエンザワクチンとの同時接種後の反応は大抵軽度であり、同時接種後の入院が報告されることはまれであったと述べております。
45ページは、新型コロナワクチン以外のワクチンとの同時接種に関する諸外国の推奨状況でございます。諸外国においては、新型コロナワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種をおおむね認める一方で、他疾病に対するワクチンとの同時接種には対応に違いがある、こういった現状でございます。
46ページは、まとめと事務局案でございます。
まず、まとめです。
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種については、単独で接種した場合と比較して有効性及び安全性が劣らないとの報告がなされています。
諸外国においては、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種をおおむね認める一方で、他疾病に対するワクチンとの同時接種には対応に違いがある。
事務局案でございます。
知見の蓄積と諸外国の対応状況等を踏まえ、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンについては間隔の規定を廃止し、同時接種を認めることとしてはどうか。
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン以外のワクチンとの同時接種については、引き続き13日以上の間隔を空けることとし、引き続きエビデンスを収集しながら検討することとしてはどうか。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
多分、この冬に向けて新型コロナワクチンの追加接種、それからインフルエンザのワクチン接種があるというところで、ワクチンの重要性といいますか、なるべく両方受けていただけるような体制を構築していくことが必要なところかと思っておりますが、インフルエンザワクチンとコロナワクチンの同時接種による有効性、安全性の文献的なデータもかなり出てきているということで御紹介がありました。
事務局案としては、今まで、新型コロナワクチンと他のワクチンについては2週間空けるということになっていますけれども、今般、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンについては間隔の規定を廃止して同時接種してもよいのではないか、他のワクチンとの同時接種については引き続きこれまでの対応を続けるという御提案であります。
それでは、今の事務局の御説明、御提案ですけれども、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。御説明どうもありがとうございました。
御存じのようにインフルエンザワクチンは10月1日から開始されるということで、ただいま厚生労働省から、コロナワクチンの特例の臨時接種に関して折衝中で、延長の方向に向けて努力されているということも伺いました。という形で我々市町村としては10月1日に同時接種が可能になるということは非常にありがたいことだと思っております。この考え方にまず賛成したいということです。
それから、副反応に関しましては、従来もワクチンの同時接種をやっている場合の副反応の上げ方というのはあるのですけれども、今回もインフルエンザワクチンとコロナワクチンを同時に打って、いろいろなものが出たときには、同時接種という形で別建てのいわゆる副反応の項目をつくるのか、その辺のところだけお伺いしたいと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、中山先生、伊藤先生、森尾先生、順番にお願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
私も同時接種についてはいい試みだと思います。質問は、あくまでも同時接種というのは、新型コロナ用のとインフルエンザのを別々に2本打つという理解でいいと思うのですけれども、この先、いわゆる混合型みたいなことを考えていらっしゃるのかどうか、それは将来的ですし、新型コロナがこれだけいろいろと変異株が出てくるので、どうなるかよく分からないでしょうけれども、混合型も考えられるのかどうかという質問です。
それから、今回の新型コロナワクチンによって国民のワクチンに対する意識が相当高まったと思います。特に高齢者の命を守るというところでは、高齢者になるべく受けてもらいたいということで今までもずっとやってきたので、せっかくの機会なので、インフルエンザだけではなくて特に高齢者が打ったほうがいいとされている、例えは肺炎球菌とか、帯状疱疹、そういうワクチンも一緒にキャンペーンといいますか、改めて打ったほうがいいワクチンはこういうものがありますというようなアピールをされていくのがいいのではないかと素人ながら思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
同時接種は大変いい試みだと思う反面、同じサイドに打つと副反応が強くなったり、ワクチンの効果が強くなったりする可能性があります。特に動物実験で新型インフルエンザワクチンはアジュバントを使われているものがあるのですけれども、アジュバントを片側に打って、反対側に抗原を打つとアジュバントの効果が全くないというデータがあります。そういう意味で、接種サイドと同じサイドに打たないほうがいいのではないかと思っているのですが、質問としては、今回の治験に関しては、接種側に関して何らかの記載があったのかどうなのか、それと、今後、同時接種をするに当たって、接種側について、右側と左側と別々に打つとかの何らかのアドバイスされるのかどうか、教えていただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 ありがとうございます。
坂元先生と非常に近い質問なのですけれども、副反応のモニタリング上ということもありますが、特例臨時接種であるコロナウイルスワクチンと任意接種であるインフルエンザワクチンを同時接種された方を捕捉する方法、あるいは区別する方法という方策があるのかどうか、お伺いできればと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
同時接種について有効性も安全性も問題がないということについては了解いたしました。受ける側にとっても医療現場にとっても負担軽減になる試みだと思います。その上で、これは同時接種をお勧めするものなのか、あるいは同時ではなくて別々に打ちたいという人については今までどおり2週間の間隔で受けられるのか、教えてください。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、ここでまた事務局からコメントを伺いたいと思いますが、副反応のモニタリングの方法という御質問が坂元先生、森尾先生からございました。
中山先生からは、混合型が今後あり得るのかという開発の問題ですかね。それから、高齢者のワクチン、ほかの肺炎球菌ワクチンを含めて、この際、接種のキャンペーンといいますか、推奨というか、そういうことも行っていくべきではないかということ。
伊藤先生からは打ち方の問題ですね。同じ側に打つのか、反対側に打つのか、そういうものを規定といいますか、つくっていくということがあるのか、そういった御質問だったですね。
それでは、お願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。
坂元先生、森尾先生から頂いた同時接種についての副反応の情報でございますけれども、今後得られる情報の中でどういった資料をお示しできるか、検討させていただきたいと思います。ただ、同時接種について、インフルエンザワクチンと同時接種を可能とした場合、インフルエンザワクチンは任意接種でされているところで、そこの情報の分母情報として同時接種がどれだけ行われているかということについては情報の把握に課題というか、限界があると考えているところでございます。いずれにしろ、どういった情報をお示しできるかということについては検討させていただきたいと思います。
中山先生から頂いた混合ワクチンについて、今後の開発でどうかというところでお答えするのは難しいですが、それから、改めて打ったほうがよいというキャンペーンをするかどうかというところですけれども、ワクチンの周知啓発については引き続き検討していきたいと考えています。
伊藤先生から頂いた接種側をどうするかというところですけれども、今、論文について確認しておりますが、アジュバントについての治験をどの程度活用できるかというのは一つあると思います。一方で、間違い接種防止の観点で対側に打つということは一つ考えられるのではないかと思いますが、どういった根拠があるのかということを含めて検討させていただきたいと思います。
佐藤先生から頂いた同時接種をお勧めするのかというところでございますが、こちらとしては、同時接種について、原則、しないという規定を廃止するということでございまして、同時接種を積極的にしていくべきとは特段考えておりません。一つの選択肢として同時接種もあるという取扱いになると考えているところでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
中山先生の混合型ワクチンの開発ということは今後あり得るのだろうと、そういった話を伺うこともありますけれども、今時点でそれが俎上にのってきているということではないのだろうと思います。
高齢者のワクチンの接種勧奨については関心が高まっているところでもあり、様々なワクチンについて行っていくべきということは当然するべきだろうと思いました。
ほかにありますか。よろしいでしょうか。インフルエンザワクチンに限って同時接種できるようにしておくということです。
川俣市長、どうぞ。
○川俣委員 同時接種というのをあまり大きく出すと、その日に打ちたいという方がいっぱい来る可能性もあるのですが、うちの市だと、特定のところでしか接種会場を設けていないので、その日にもう一軒の病院に行くというパターンになると思うのです。そうすると、どっちの腕に打ったかも分かっていなくて、微妙な方がいるので、1日ぐらい空くとかいうのも、決して同時が一番いいのだというのでなければ、安全なのかなという感じがします。人によってはお休みできないので、一日でやりたいという方も実際出てくると思います。効果に関して同日のほうがいいみたいな意見もこの間ちょっと聞いたので、その辺のアピールの仕方はどのようにするのか、大きいのかなと思っているので、その辺の表現の仕方、PRの仕方を検討していただけるとありがたいと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
まず、前提として同時接種というふうに言っていますけれども、同じ会場、同じ場所、あるいは同じクリニック、同じ病院で打つことを想定しているのか、それとも、今、川俣委員がおっしゃったように、同じ日に別々の場所で打つということも想定しているのか、一応確認ですね。事務局、いかがでしょうか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
予防接種法の通知などを含めて、同時接種というのは基本的に一連の診療行為の中で2つ以上のワクチンを打つと整理されております。一方で、今回の御提案としましては、最初に説明が漏れておりましたが、47ページを見ていただきますと、規定の変更のイメージとしておりますが、同時接種も可能になりますし、間隔に関する規定もなくなるということです。間隔は数時間でもよいということになりますので、どこかの会場で受けた後に別の医院で受けることも可能になるという運用の御提案でございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そうしますと、別々の場所で接種が行われることも十分にあり得るということですので、先ほど伊藤委員から御指摘があった接種側、同じ側に打ってもよいのかどうかというところも事務局のほうでしっかり検討していただいて、周知していただくということが必要かと私も思いました。
ほかに御意見ございますか。大きな反対意見はないと受け止めますが。
(首肯する委員あり)
〇脇田分科会長 ありがとうございました。
そうしましたら、事務局におかれましては、新型コロナワクチン、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能となるように実施要領の改正をお願いするということで進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次に進みます。議題の3番目「武田社ワクチン(ノババックス)の接種について」の議論です。資料1の48ページ以降です。説明をよろしくお願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 資料1の48ページ以降、武田社ワクチン(ノババックス)の接種についてでございます。
49ページと50ページについては、以前もお示しした資料でございまして、武田社ワクチン(ノババックス)の特徴について御説明した資料です。組換えタンパクワクチンであるということでございます。
51ページ、52ページにつきましては、前回4月27日の予防接種・ワクチン分科会でのまとめになっております。この際には、18歳以上の成人に対して、武田社ワクチン(ノババックス)の1回目から3回目について特例臨時接種として位置づけると御議論いただいたものでございます。
53ページ以降、(1)の12歳から17歳における武田社ワクチン(ノババックス)の有効性、安全性でございます。
54ページ以降で、薬事・食品衛生審議会での提出資料をお示ししております。
54ページ、まず、有効性でございまして、武田社ワクチン(ノババックス)の12歳から17歳の初回シリーズ接種により、成人(18~25歳)に対する免疫原性の非劣性及び発症予防効果が示されたと報告されております。
55ページは、武田社ワクチン(ノババックス)の安全性でございます。有害事象については、ここでお示ししたとおりでございます。一つ御説明しておきたいのが左下のところでございまして、クロスオーバー期間ではあるものの、初回評価期間にプラセボ、クロスオーバー期間に本剤を接種された1例(10代男性)において心筋炎が認められております。
56ページは、これを受けまして、7月21日付で武田社ワクチン(ノババックス)の添付文書が改訂されております。12歳から17歳については1・2回目、初回シリーズの改訂ということで、やや複雑な新旧対照表になっておりますけれども、基本的には12歳以上の初回シリーズ用に対して、既存添付文書が改訂され、接種が可能になったというものでございます。
57ページは、武田社ワクチン(ノババックス)の心筋炎、心膜炎についてでございます。7月8日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討分科会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催になりますが、こちらの議論を踏まえまして、添付文書が改訂され、心筋炎及び心膜炎に係る注意喚起がなされております。添付文書改訂に係る経緯については記載のとおりでございますけれども、海外当局等の動向を踏まえまして、添付文書上で心筋炎、心膜炎について注意喚起を行っているという取扱いでございます。
58ページから諸外国の対応状況でございます。
59ページは、各国の接種方針についてお示ししております。前回4月27日からの変更点としましては、米国CDCにおいて、18歳以上の者に対する初回シリーズの選択肢として使用を推奨ということが7月19日付で付け加わっております。EMAは、6月13日付で12歳以上の者に対して初回シリーズとして接種し得るということで取扱いが変更になっております。
これを受けまして、事務局のまとめと事務局案でございます。
まず、60ページのまとめです。
武田社ワクチン(ノババックス)は、特例臨時接種として、成人(18歳以上)に1・2回目接種及び3回目接種を行う場合に使用するワクチンとして位置づけられています。
武田社ワクチン(ノババックス)の海外国際共同第3相試験において、12歳から17歳の者に対する初回シリーズ接種の有効性については、発症予防効果約80%と報告されております。免疫原性については、成人を対象としたメインスタディの18歳から25歳の被験者の同成績に対する非劣性が報告されています。
武田社ワクチン(ノババックス)の海外国際共同第3相試験における安全性に関する主な報告は以下のとおりで、記載のとおりでございます。
国内において、薬事・食品衛生審議会で有効性・安全性を検討した結果、7月21日に武田社ワクチン(ノババックス)の添付文書が改訂され、12歳から17歳の初回シリーズ接種に使用することができるようになっております。
海外においては、EMAが12歳から17歳の初回シリーズ接種に対してノババックス社製ワクチンを接種し得るとしています。
これを受けまして、事務局の提案として61ページでございます。
有効性や安全性、諸外国の対応状況等を踏まえ、武田社ワクチン(ノババックス)を特例臨時接種として12歳から17歳に対して初回シリーズ接種(1・2回目接種)を行う場合に使用するワクチンとして位置づけてはどうか。
その際の接種間隔については、添付文書の内容を踏まえ、1回目から2回目までの間隔は原則3週間空けることとし、3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施することとしてはどうか。
武田社ワクチン(ノババックス)を用いて12歳から17歳に対して1・2回目の接種を行う際は、他のワクチンと同様に、1回目と2回目は同一のワクチンを接種することを原則としつつ、以下のような場合には、1・2回目接種において交互接種を行うことができることとしてはどうか。
武田社ワクチン(ノババックス)の国内の流通の減少や転居等により同ワクチンで2回接種を行うことが困難である場合。
医師が、医学的知見から、1回目と2回目に同一のワクチンの接種を受けることが困難であると判断した場合。
以上でございます。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
現在、ノババックスのワクチンは、18歳以上に、初回、そして3回目接種が可能とされているところですけれども、今回の御提案は12歳から17歳で初回接種を可能とするということですが、今の御説明、御提案に関しての御質問、御意見がございましたらお願いいたします。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
基本的には賛成でございます。市町村としては、例えば今日のこの委員会で認められたら、いつから始まるのかというところが最大の関心事です。つまり準備とか市民の方への周知とか、そういうこともありますので、もしそういう見通しがお分かりになればお教えいただきたいということと、ノババックスが出たので、ついでにお聞きしたいのが、先ほど秋口に向けた新しいワクチンでモデルナとファイザーの説明があったと思うのですが、たしかノババックスも2価ワクチンとオミクロンとの同じような形で、今、臨床試験をやっていると思います。そうすると、このノババックスのものがもし間に合えば、さっき言ったファイザー、モデルナ、ノババックスというのも一つのライン上に上がってくるということを当然考えているのか、この拡大の話とはちょっと違うのですが、ついでにお分かりになればお教えいただきたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
ノババックスのワクチンは、mRNAワクチンに加えてワクチンの選択の幅が広がるという意味で、こちらを選ぶ方もいるということですので、12歳から17歳、一番最初に御説明がありましたけれども、初回の接種の割合もほかの年代に比べると低いわけですから、そういった意味ではいいかなと思います。
それでは、今、坂元先生からの御質問に事務局から御回答といいますか、ありますでしょうか。オミクロン株対応のものというのはちょっと難しいかもしれませんが、何か情報があればお願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 いつから始めるかでございますけれども、本審議会で御議論いただいたものを踏まえまして、通知を速やかに改正ということかと考えています。
それから、ノババックスの「オミクロン株対応ワクチン」についてでございますが、先ほど説明しましたFDAの諮問委員会の中で、ノババックス社においても確かに「オミクロン株対応ワクチン」を開発しているという発言があったことは承知しておりますが、先ほどの論点の中でお示ししていないのは、「オミクロン株対応ワクチン」について具体的なデータがFDAの諮問委員会で示されていない、データについてもまだ得られていないということでお示ししていないものです。今後の開発状況によりますが、ノババックス社ワクチンの「オミクロン株対応ワクチン」が開発されたときには同じような検討の俎上にのってくるのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 坂元先生の川崎市みたいに大きいところではないので、うちでたくさんの種類のお薬を用意するというのも大変なのと、ノババックスまでのルートをつくるとなると、ドクターを同時にするのか、曜日を変更するのか、いろんな弊害が出てくるのもあるのです。ただ、今回のノババックスを待っている方もいると思うので、どういうふうに取り入れるかは私たちも考えようかなと思っています。
最初、モデルナは栃木県の場合は県だけでやっていたのです。そういうシステムなどもできるのか、要するに、全国統一ではなく市町村とか県単位でも検討できるような方策にしていただけると、小さなところの対応はしやすいと思います。お薬3種を見ると、例えば開業医の方に届けるとなると、先生ごとに違う説明をし、保管状況も説明していかなければいけないので、できましたらそういうことも県単位とか市町村単位でもできるということを言っていただけるとありがたいと思いました。お願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
今のお話にも通じるかなと思うのですけれども、ノババックスの管理ができるだけ個別の医療機関でもできるようなタイプになってきていると思いますので、もし今、導入しているところがあるとすると、どういう管理方法が可能なのか、必ずしも集団接種でやらなくてもいいと思いますし、むしろ若い年齢の方々への接種については、提供方法というか、そういうことも検討していただいて、希望のある方にはできるだけ個別にも接種できるような形にしていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、川俣委員、白井委員からは、市民にとっては選択肢が増えるということは喜ばしいことだと思いますが、一方で、それを届ける自治体、医療機関にとってはなかなか難しい悩みが増えるみたいなところもどうしても出てきてしまうので、そこのところの整理をぜひお願いしますということですが、管理方法について、今、ノババックスがどうなっているのか、これはたしか4℃だったか、保管方法についても御説明していただくといいと思いますが、集団接種ではなく個別の接種でも使えるのか、その辺の情報を頂けますでしょうか。事務局、お願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
まず、前提として、こちらの添付文書の改訂については、18歳以上で利用していたワクチンの対象年齢が引き下がるというものでございまして、ワクチン自体は同じものになります。ですので、供給についても既存のノババックスについての供給と同じルートで行われると思いますけれども、対象年齢が広がったというところでどういった対応ができるかはそれぞれの実情に応じて検討ということになるのかと思います。
それから、保管についてですけれども、先ほど申し上げましたとおり、成人と同じということですので、2~8℃での保存になっております。
以上でございます。
○大坪大臣官房審議官 追加で申し上げます。事務局でございます。
ノババックスにつきましては、これまで500万回分を自治体に対してお示ししている中で、40万回分のリクエストがございましたので、既に40万回分についてはそれぞれの地域にお配り済みであります。
今回、年齢引下げに伴いまして、本日付で適用が開始されるという手続を取ってまいりたいと思っておりますので、今、自治体でお持ちのワクチンを使って、本日午後以降使用が可能ということを補足させていただきます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 先ほどノババックスは個別の診療機関とありましたが、川崎市ではかなりの診療機関、かなりといっても20以下だと思いますが、15~16の個別の診療機関では既にノババックスの接種を行っております。現場の人間に聞くと、特に不都合はないということです。それから、神奈川県が大きな接種会場を設けてやっているので、多分いろいろなやり方をしていますが、個別接種においても全く問題ないと聞いております。
以上でございます。
〇脇田分科会長 坂元先生、追加の情報をありがとうございました。
ほかに御意見、御質問ございますか。特にノババックスのワクチンを12歳から17歳に対して、初回の接種、1回目、2回目を行う場合に使うということに関する反対の意見はなかったと理解しました。
それでは、武田社ワクチン(ノババックス)につきましては、事務局の御提案どおりに特例臨時接種として12歳から17歳に対して初回接種を行う場合に使用するワクチンとして位置づけるということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
〇脇田部会長 皆さん首肯していただきました。ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、必要な事務手続を進めていただくようにお願いいたします。
先ほど本日午後からというお話もありましたので、ありがとうございます。よろしくお願いします。
それでは、次の議題、今日の最後と思いますが、議題の4に移らせていただきます。新型コロナワクチン4回目接種の対象者についてです。これに関連しまして、鈴木委員から国内における現在の新型コロナウイルス感染症の流行状況等について御説明を頂きます。鈴木先生、資料の2に基づきまして、御説明をお願いいたします。
○鈴木委員 感染研感染症疫学センターの鈴木です。
資料2を御覧ください。
2ページ目です。直近の全国の流行状況です。下のグラフを御覧いただきたいと思いますが、水色の棒グラフが推定感染日ごとの症例数、赤い線が1日平均何人に二次感染を起こしているのかを表す実行再生産数です。
赤い線は、1月の第6波以降、おおむね1を下回った状態が続いておりましたが、5月後半から上昇傾向となって、6月に入ってから1を上回って、さらに上昇傾向が続いている状況です。実行再生産数が1を上回っているということ自体が症例数の増加を意味していますので、その数字がさらに増加していることは加速度的に流行が拡大しているということを表しています。
3ページを御覧ください。人口10万人当たりの1週間累積報告数を年齢群別に表しています。直近で一番高いのが黄色い線の5~9歳、続いて赤い線の10~14歳です。実は感染リスクという点でいえば、小学生・中学生の世代のリスクが最も高いことを表しています。この世代のワクチン接種率が高くないということが影響していると考えられます。
4ページを御覧ください。医療・介護施設関係の感染に関するデータをまとめております。HER-SYSのデータを使って発生届・職業欄から御覧いただいている定義で、医療専門職、医療関係者、介護職等、分類設定しております。
結果は5ページ目を御覧ください。上の棒グラフは、濃い緑が専門職、薄い緑が医療関係者、紫が介護職です。御覧のように、グラフの左側の山、つまり今年初めの第6波に合わせて医療・介護職の関係者が増加し、その後、流行に合わせてなだらかに減少傾向となっておりましたが、直近の流行拡大に伴ってこのグループの再度の感染増加が見られております。
下の棒グラフは、同じデータを全体の割合で表しています。縦軸の上限は10%ですので、御注意いただきたいですが、おおむね全感染者の2~3%ぐらいが医療・介護職であるということがお分かりかと思います。
6ページを御覧ください。自治体が公表して報道されている医療・介護関連のクラスターの数です。あくまで公表されて報道されている件数ですので、積極的疫学調査の重点化、簡略が行われていたり、あるいは報道されたりされなかったりという影響もありますので、正確な数というよりもおおむね大きな傾向として捉えていただきたいと思います。
結果は7ページを御覧ください。そういった注意を踏まえた上でグラフを見ていただきますと、赤色の医療関係のクラスター、下の青い色の高齢者福祉関連施設のクラスター、いずれも直近に増えてきていることがお分かりかと思います。特に医療関係の赤い線、クラスターは既に第6波のピークに迫る勢いとなっております。
飛んで11ページを御覧ください。これは、先ほど事務局からも紹介がありましたが、民間検査会社のサンプルを用いたゲノムサーベイランスの結果です。このデータを用いて変異ウイルスの置き換わり状況をモニタリングしております。結論だけ申し上げますけれども、現在の時点でBA.5が全体に占める割合は既に9割を超えている状況になっています。
16ページを御覧ください。これも先ほど事務局からありましたが、今の推定に基づいて週ごとの症例数を推定して色分けしています。オレンジ色がこれまでの主体であったオミクロン株のBA.2ですが、直近では急速に黄色のBA.5に置き換わって、現在の流行の主体がこのBA.5に占められていることがお分かりだと思います。
17ページです。京都大学の西浦博教授より御提供いただきました4回目接種によるBA.5に対する発病阻止効果の推定資料です。
18ページは、今回の推定の方法がまとめられております。これは「The New England Journal of Medicine」に掲載された論文です。4回目接種後の中和抗体価のデータを使った推定値です。
19ページは、2つの方法で4回目接種の発病阻止効果を推定したものです。結論だけ申し上げますと、1つ目の方法で4回目接種の発病阻止効果が58%、2つ目の方法で45%ということで、おおむね中程度の効果が期待できることが分かります。ただ、その効果がどの程度の期間持続するのかについてはまだ十分なデータがない状況です。
最後、21ページを御覧ください。ここまでのまとめです。
現在の流行の主体はBA.5となっています。流行拡大に伴って医療・介護職の感染者、医療・介護関連のクラスターの発生が増加している状況です。
一方、ワクチンの4回目接種の発病阻止効果は中程度であると期待されます。ただ、その効果の持続期間についてはまだ十分なデータがない状況です。
以上を踏まえますと、現在の流行状況、そして医療・介護施設の機能維持を目的として、医療・介護従事者を対象とした4回目接種については一定の意義はあるだろうと考えているところです。
私からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
事務局からの説明の前に、鈴木先生の資料の御説明についての質疑を行いますが、1点、私から補足させていただきますと、昨日も厚生労働省の新型コロナウイルス感染症アドバイザリーボードが開催されました。現在の感染状況におけるリスクの評価、分析を行ったわけですけれども、病床使用率に関しては多くの地域で30%を超えて、幾つかの地域では5割を超えるというような状況なのですが、それに加えて、医療従事者、介護従事者の感染あるいは濃厚接触者になったことによる離職が増えてきている。それによって医療提供体制の維持が非常に難しくなる可能性が高いのではないかといったことがアドバイザリーボードのメンバー、特に病院の関係者の方々からはそういう意見があったということで、アドバイザリーボードのメンバーからも4回目の接種を医療従事者、介護従事者に進めるべきではないかといった意見があったということだけ補足させていただいておきます。
それでは、鈴木先生の御説明に対しての御意見、御質問があればお願いしたいと思います。坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。鈴木先生、貴重な情報をありがとうございました。
最初の説明で小さなお子さんの感染が非常に増えているということで、例えば5歳から11歳のワクチン接種に関して努力義務をつける、外す、かなり真剣な議論が逆に市民の方にワクチンに対してネガティブなインプレッションを与えてしまった可能性があります。専門家があれだけ議論するのだから何かあるのではないかと。自治体としては努力義務がついたからといって市民の方に何ら強制するわけでもないということですが、5歳から11歳の努力義務をわざわざつけなかったということをもう一度考え直して、普通どおり努力義務をつけるということに関して鈴木先生はどのようにお考えになるでしょうか。よろしければお教えください。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、よろしいですか。
それでは、坂元先生の御質問に鈴木先生、お答えがあればお願いしたいと思います。
○鈴木委員 坂元先生、ありがとうございます。
改めて、流行状況をずっとモニタリングしている者からしますと、グラフを御覧いただいてお分かりのように、実は第6波の立ち上がりの時点では20代以上の世代が引っ張って流行を拡大していたのですが、第6波のピークが過ぎた辺りから、それより下の世代、まさに中学生・高校生の世代が、感染者の数では別ですけれども、人口で割ったときの感染リスクという意味では中学生・高校生世代の一番リスクの高い状態が現在に至るまで続いているという状況です。これについては、この世代においてワクチンが使えるにもかかわらず接種率が十分上がっていないことが影響していることは確かだと思います。この世代においては、確かに重症度はほかの世代に比べれば高くないということはありますが、現在の流行においてリスクが高いということで、当然ながら、たとえ軽症であっても、やはり教育等への影響もあることを考えると、この世代における接種率はもう少し上げていく、あるいはもうちょっと積極的に上げていく必要があると私も考えております。
そうした意味で、努力義務云々の議論がどこまで接種率を上げるところに貢献するのかということは別の議論が必要だと思いますが、いずれにせよ、いわゆる子供世代の接種についてはもう少し強めのメッセージを出していく必要があるのではないかと考えているところです。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
最近、様々な情報によっても、小児科の先生方もワクチン接種の推奨を言っておられることが耳に入ってきます。小児科医会のほうもそういった提言を出しているということだと思います。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 5歳から11歳はワクチン接種をしていないということで、うちのほうだと、今、小学生がすごく感染しているのです。大人が感染した場合は、その家族だけ隔離できるのですけれども、お子さんが感染した場合、大体家族にそっくりうつるのです。だから、余計爆発的に増えているのかという感覚もあります。
そういう意味での増え方を抑えるためにも、5歳から11歳にもう少し受けることを、また努力義務を入れたときのように大変な反発が来るのもあると思うのですが、受けたい人も受けなかったというのもあるのかと思うので、その辺の表現の仕方というか、アピールの仕方も考えてもいいのかなと、若い人にも打ったほうがいいと言える、ある意味ではチャンスをどのようにするか、私の中でも難しくて市民に言いにくいので、その辺のことを上手に言えるようにしていただけるとありがたいと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
私も前回の議論のときに、5歳から11歳の子供さんのことのときには割と慎重にというような意見を言っていたと思います。副反応のことなどもほかの年代に比べてかなり低いこととか、そういったことが数字としてかなり出てきているというのもあるので、また、打ってきた親御さんたちの意見、これから打とうという親御さんたちの意見なども聞いてきまして、私、時期尚早という言葉を使って意見を述べてきたと思いますが、時期が整ってきた、そんなふうに思っているので、努力義務をつける、つけないというのはまた議論が必要かと思うのですけれども、もう一歩踏み込んだ形で積極的な勧奨といいますか、言葉としては難しいのですが、もう一歩踏み込んだメッセージを伝えることが国としてできるといいのではないかと思っております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、5歳から11歳の接種のところに議論が固まってきていますけれども、医療従事者の感染状況といったところもありますので。
では、釜萢先生、お願いいたします。
○釜萢委員 私は小児科医で、ワクチンを小児にも積極的に打ったほうがいいとずっと思ってはきているのですが、その中で、小児は新型コロナに罹患しても軽症ではないか、重くなることはないから別にそんなにワクチンで予防する必要がないのだという意見がかなり寄せられていたように思います。阿真先生から、先ほど大分機が熟してきたというお話を伺って、とてもうれしい、ありがたい御発言だと思って聞きました。
罹患した子供にとっても、罹患しないでいろいろな社会活動が円滑に行われるというのは本人にとってもとても大事なよいことなので、ほかの人のため、あるいは家族のために接種するということではなくて、対象の5歳から年齢の低い人たちにとっても自分がかからないで済むことによって円滑に日常生活が送れる利点をしっかりお示しするというのは、今やるべきことではないかと感じます。今日の議論のテーマからちょっと外れましたけれども、発言させていただきました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
阿真参考人、今岡参考人、お願いします。
○阿真参考人 医療と介護に携わる方々の接種に関しましては、今、本当に逼迫していて大変だというふうに医療従事者の皆さんとか介護の方々もおっしゃっていますし、そこに関しては完全に賛成しているということをお伝えし忘れましたので、付け加えさせていただきます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今岡参考人、お願いします。
○今岡参考人 私は全般的にワクチンへの関心がすごく上がっていると思います。この時期に皆さんが言っているようにコロナワクチンの正しい知識を得られるPR的なところがやはり必要だと思います。働いているお母さんも多く、保育園、小学校、中学校のお母さんたちは、ワクチン接種を受けていいか、正しい知識を求めているような状態だと思います。接種する選択ができて親も子も幸せになるといいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
今、鈴木先生からのプレゼンテーションがあったわけですけれども、現在の流行状況で若い世代の感染がかなり目立つというところで、その世代のワクチン接種率が低いということがあって、先ほどのノババックスのワクチンが12歳から17歳に使えるようになるということも一つの選択肢として、そこはしっかりPRしていただくということだと思います。
それから、5歳から11歳のところの初回接種の割合もまだ非常に低いということですので、今後、コロナの流行がすぐに終わるということではなくて、まだしばらく続くことが予想されるわけです。そのときに大人のほうは4回目、5回目と言っているのだけれども、子供のほうはワクチンによる免疫が非常に低い状況で、本当にこのままでいいのかということはやはり考えるべきで、ワクチンによる基礎的な免疫をしっかりつけておいて感染したときにも重症化しないことがみんなでちゃんと担保できるような、そういった体制が重要と私としても考えています。前回の議論のときは、感染予防効果が低いので、自分を守るためにはなかなか難しいのではないかというような話があり、努力義務を外したわけですけれども、議論の論点がそちらのほうに行ってしまいましたが、事務局のほうにもぜひ、委員の皆様からそういった意見が多かったということは考えていただいて、今後の議論の俎上にあげていただいて速やかにまた検討したいという意見だったと思いますので、事務局のほうにもお願いしたいと思います。
そのほかに鈴木先生のプレゼンテーションに対してはよろしいですか。
それでは、事務局からの説明に移りたいと思います。資料1に戻りまして、62ページかた御説明をお願いいたします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 62ページから、4回目接種の対象者について御説明いたします。
63ページは再掲の資料になりますけれども、我が国においては、先ほど鈴木先生からのプレゼンでも御説明いただきましたが、直近、新型コロナウイルス感染者数の増加が見られております。
64ページ以降、諸外国の動向及び知見についてでございます。
65ページは、再掲で、前回もお示しした論文ですが、イスラエルのデータで説明させていただきます。3回目接種から4か月以上経過した60歳以上の者において、オミクロン株流行期におけるファイザー社ワクチン4回目接種による感染予防効果は、4回目接種後22~28日後には約50%でありましたが、50~56日後には約9%である。一方で、重症化予防効果は4回目接種後36~42日後においても77%であったと報告されております。
66ページについても再掲ですけれども、ワクチン4回目接種の予防効果についての論文でございます。
67ページは、新たな論文ですが、介護施設入居者に対するファイザー社ワクチンによる4回目接種についてでございます。新型コロナワクチン3回目接種者と比べ、7日以降の予防効果(観察期間中央値73日)は、感染予防効果が34%、入院(軽症から中等症)の予防効果が64%、入院(重症)の予防効果が67%、死亡の予防効果が72%、こういったデータでございまして、大宗としては以前から御報告されている内容とそんなに変わりはないものになっております。
68ページは、諸外国の4回目接種の対応状況についてでございます。前回御議論したところからの変更点としまして、WHOは、現状のエビデンスから医療・介護従事者、60歳以上の者、免疫不全者へのmRNAワクチンの投与は短期的な利点が示されていると言及しております。5月17日付でございます。EUのEMAは、7月11日付で、60歳以上の者及び全ての年齢のハイリスク者は、追加接種から4か月以上の間隔を空けて接種の検討を推奨とされております。こちらについては、以前お示ししたときには80歳以上となっていたところが60歳以上に年齢が引き下がったというものでございます。
69ページは、4回目接種に係る米国及び欧州の規制当局等の動向でございます。米国と欧州について細かな情報を記載しております。
米国は、7月13日、報道ベースでございますが、バイデン政権が4回目接種の対象拡大を検討していると報じられています。50歳未満の成人に拡大することを協議している。ホワイトハウス担当官が記者会見で「対象拡大について以前より議論が行われているが、最終的な決定はFDAとCDCが判断する」、こういったことが報じられております。
欧州当局は、先ほども説明したところでございますけれども、7月11日のステートメントの中で60歳未満や医療従事者への接種に関してはエビデンスがないと明記されております。
70ページ以降につきましては、未査読の論文ですので、説明は割愛させていただきますけれども、医療従事者についても報告があるというものでございます。
73ページは再掲でございますが、我が国において、最近、新型コロナウイルス感染者数の増加が見られるということを再度載せております。
74ページは、これを受けまして、事務局からのまとめと事務局案でございます。
まず、まとめです。
4月27日の検討においては、4回目接種の感染予防効果は限定的であるというエビデンス、諸外国状況等を踏まえ、4回目接種の対象者は60歳以上の者及び18歳以上で基礎疾患を有する者、その他重症化リスクが高いと認める者とされた。
7月初め頃から、新規感染者が急速に増加している。
4回目接種を開始して以来、新たにWHOから医療・介護従事者へのmRNAワクチンによる4回目接種は短期的な利点が示されているとの見解が示されている。
4回目接種について、未査読のものを含め、新たな知見があるものの、4回目接種の感染予防効果は限定的とのエビデンスに特段変わりはない。
事務局案でございます。
新規感染者が急速な増加傾向にあることから、重症化リスクの高い者が多数集まる医療機関・高齢者施設等において従事者を通じた集団感染が生じ、重症者が発生することや、医療提供体制に影響が生じることが懸念される。
このため、4回目接種の感染予防効果は限定的とのエビデンスに特段変わりはないものの、医療機関・高齢者施設等の従事者であって、60歳未満の者に対する4回目接種を予防接種法に基づく予防接種として位置づけることとしてはどうか。
具体的には、重症化リスクが高い多くの方々に対してサービスを提供する医療機関や高齢者施設・障害者施設等の従事者を対象とすることとしてはどうか。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
最後のまとめのところに書いていただいたとおり、4月27日の分科会の検討において、4回目接種のエビデンスについては重症化予防効果について重視して対象者を決めたというところですけれども、もちろん感染予防効果がないわけではなくて、そこは少し限定的になってくるということで、今日も資料、データをお示しいただきました文献、未査読の論文等も見ていきますと、劇的によくなっているということは出てくるわけもなく、ただ、感染予防効果、発症予防効果についても、ある程度、3回目から4回目で増加するということが示されていて、それが一定の期間しか続かないというようなことも示されていますけれども、そういったことがあるというところです。
それから、医療機関、介護施設でのクラスターが今後発生するとやはり医療提供体制が非常に厳しい状況になっていくことも予測されるというところで今回の御提案ということと思います。
それでは、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
川俣委員、坂元委員、白井委員の順番でお願いします。
○川俣委員 私の場合、全国の市長会からも御意見を頂きまして、5月20日に4回目接種の対象者に医療従事者と高齢者施設従事者を追加していただいたことは本当にありがたいことだという意見を頂いております。ですが、この拡大が起きてからの対応ではなく、もうちょっと前からしていただけるとありがたかったというのが本音であります。
また、市長会のほうから出ているのが、医療従事者と高齢者施設従事者は入りましたが、消防士や警察官、学校の教員、保育士などのエッセンシャルワーカーの方も感染してしまうと大きくなってしまうので、社会生活への影響を軽減するために4回目接種の対象とすべきという意見です。それをお願いしたいのと、5回目接種の話も出ていますので、そのときにも同じように加えていただきますとありがたいと思っています。エビデンスが少ないと言われて抜けましたけれども、一番肝心の患者さんにお会いしたり、子供たちに対応するので、できましたらそのほうが多くなっていただけるといいなと、また、医療機関の中で使用期限が迫っているワクチンがあるというのも聞いていますので、廃棄するよりはエッセンシャルワーカーのほうに接種を活用させていただけるといいと思いますので、ぜひともお願いしたいと思っています。
以上です。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川俣委員からございましたように、市町村としては対象者に非常に関心が高い。なぜならば、あちこちの団体から、やってくれという声が出るのです。確認なのですが、医療関係者、高齢者、介護従事者には5月25日から、国から出されております、いわゆる予防接種の手引に事細かく対象者が書かれている。今まで市町村がそういう形で医療関係者、介護関係者とやってきたのですが、ここは崩さない、この基準どおりに対象者はやっていくということなのか、お伺いします。
それから、先ほど川俣委員からありましたように、その中には保育関係者が入っていない。今後その辺が市町村としては要望がでるだろうということなので、この拡大に関して、ここで固定ではなくて、また議論があれば拡大していくという、ある程度柔軟性を持っているのかということです。
現実に接種券の配送が間に合わないということがあるので、接種券がなくてもある程度施設で接種状況が管理できる、つまり3回目から5か月たったということがちゃんと管理できるならば、接種券がなくても市町村としては始めてもいいのかもあります。
それから、5か月というのですが、こういう感染が急上昇しているという中で、先ほど鈴木先生の説明でも、結論から言ってしまえば、打てば打つほど抗体価は上がるので、期間は不明だけれども、効果がないということは理論的には言えない。そうすると、5か月というのがさらに堅持されるのか、緩和されるのか。
それから、先ほどノババックスのワクチンに関しては今日の午後からという話があったのですが、これも今日の午後からなのか、その辺もしお分かりになれば、お教えいただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
鈴木先生のお話のときに確認したかったというのもあるのですけれども、事務局にも含めてなのですが、今回、重症化予防というよりも、感染予防、発症予防というところに期待をしてというか、中等度ぐらいというような発表があったと思います。今回、感染予防と言ったほうがいいのか、両方かもしれませんけれども、発症予防と言ったほうがいいのか、重症化予防だけではなく、期待する効果としては何の効果で進めたほうがいいのか、御意見を頂きたいと思っていました。
また、医療関係者や介護従事者、やはり社会的活動を進めていく中で、職域で積極的にやっていただきたいと思います。市町村としても、接種券なしにやっているところもありますし、今、4回目はかなりすいていますので、そういう部分については余裕ができるのではないかと思いつつ、今、感染拡大が毎日、2倍、3倍と増えていますので、これを抑えるということになると早急にやらないといけない部分があると思います。そういったことを考えると、職域でまとめてやっていただくほうが効率がいいかと思いますし、都市部においては、従業員の方々、医療従事者もそうですけれども、住居と職場が接近はしていますけれども、同じではないところがありますので、そういったところで職場の中での職域の接種ができるような形にしていただきたいと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤委員、お願いします。そこまでで事務局からお返事を頂こうと思います。
○伊藤(定)委員 どうもありがとうございます。町村会の代表の伊藤です。
ただいま皆さん方がおっしゃったとおり、4回目の接種の対象としては感染リスクの高い医療機関・高齢者施設等の従事者とすることには賛成です。先ほどおっしゃっておりますように、特に学校の先生方と保育士、そして学童の感染者が相当出ておりますので、学校を閉鎖しなければならないということで大変な状況でございますので、その点も含めていただければありがたいという思いでございます。
それに伴い、ワクチンの安定供給はもとより、小さな町では事務処理等で大変混乱が生じることがございますので、4回目接種について丁寧な情報共有と早期に情報提供いただきたいと思います。
また、今般の感染爆発により、60歳未満で4回目接種を希望される町民の皆さんの声が増えた場合、電話対応が困難になることがございます。このような現場の実情に配慮して、接種を希望される方々にも情報提供をしていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
一旦ここで区切らせていただいて、事務局からのレスポンスを頂きたいと思いますが、医療従事者、介護従事者に対する4回目接種の拡大に関しては、皆さんそれほど異論はないというところですけれども、それに加えて、エッセンシャルワーカー、特に学校の先生や保育士の方というようなところの今後の拡大についても議論を柔軟にやっていただけるかという意見が多かったと思います。あとは接種券であったり5か月という縛りであったり、今日の午後なのかという話もありました。市町村の縛りではなくて職域で進めるべきではないか、あるいは情報提供をしっかりやってほしい、そのような御意見がございました。
事務局からレスポンスを頂けますでしょうか。
○大坪大臣官房審議官 事務局からお答え申し上げます。
前回までの分科会の中でも様々、このワクチンの4回目の目的につきまして、科学的知見に基づいた御議論をしていただいたと承知しております。私どもといたしましては、諸外国の様々なレポートからどういったことに目的を置くかということは極めて重要であり、また国民の皆様にもそこをお伝えする義務があるのだろうと考えております。
そういった意味では、重症化予防効果ということでこれまでうたってきておりまして、本日の74ページのまとめにもございますように、感染予防効果というものが重症化予防効果に比べますと限定的であり、短い期間であったということから、対象者をこのように定めているというところでございます。
ただ、先ほど来、事務局からも鈴木先生からもお話がありましたように、こういった感染状況になってまいりますと、重症化予防効果を守っていくためにも、高齢者の方々のような重症化リスクの高い方等が多く集まる場所や、接する機会の多い方々に関しましては、万が一にも感染がそこを介在して広がっていく、こういった可能性は防いでいくことに意味があるのではないかという観点で今回御提案させていただいております。したがいまして、そういった事務局の提案とこれまでの御議論、それから今日もお示しさせていただきました知見、こういったことを踏まえて御議論を頂ければ、御示唆を頂ければと思っております。
そのほか、坂元先生からたくさん頂きましたところにお答えをしてまいりたいと思っております。手引書にはこれまで医療従事者等という範囲もお示ししていますし、高齢者施設の従事者もお示ししております。今回の御議論を踏まえまして、必要な見直しは手引のほうでも改訂してまいりたいと思っております。
それと、今回の事務局提案とは別に、60歳未満の方に対してどう拡大していくか、これは私たちのミッションだと思っております。例えば諸外国でも、我が国よりも若年に対して行っている米国の50歳以上ですとか、リアルワールドデータは、やっている国が少ないものですから、限られてまいりますけれども、そういったところのデータは注視して、引き続き議論させていただきたいと思っております。対象者をこれで拡大する、そういったことではなく、データを踏まえて議論を続けたいと思っております。
また、接種券あるなしにつきましては、初回接種のときにも、医療従事者等に関しましては、接種券なしで都道府県に大変な御協力を頂いて進めさせていただいております。そういった御知見も自治体にたくさん集まっています。この何年間か長い期間行っておりますワクチンの御知見を生かして、接種券なしでもできる体制を御案内してまいりたいと思っております。
それから、接種間隔5か月につきましては、どうしても薬事のほうの添付文書、承認の条件というのがただいま5か月でございます。したがいまして、そこの中でということになろうかとは思っております。健康局サイドのほうでそれよりも短くするということは困難ではないかと思っております。
また、今般、医療従事者等に対して対象者を広げることに関しましては、本日の分科会の中で御了解いただけましたら、対象者につきましては、大臣の通知の中での改正事項になりますので、直ちにそういった作業を速やかに行いまして、本日以降で可能なように手続を取ってまいりたいと思っております。
漏れているかもしれませんが、私からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
あと、白井先生から鈴木先生にコメントということだったので、そちらにコメントいただけますか。
○鈴木委員 そこについて、もともとコメントしようかと思っていたところですが、先ほど事務局の資料でも、特に感染あるいは発症予防効果が限定的であるといったような資料もありましたけれども、そこのところの言葉については注意が必要と思っているところです。新型コロナワクチンは、当初のmRNAワクチンが特に武漢株あるいはアルファ株に対して90%以上の感染・発症予防効果があるというデータの印象が非常に強く残っていて、30%とか40%だと限定的というイメージになってしまっているところがあって、そこのところは注意が必要だろうと思っているところです。
もともと季節性インフルエンザワクチンの発症予防効果も流行株とのマッチ次第ですが、例年、30~50%程度であったということが分かっています。あるいは高齢者に対して接種する23価の肺炎球菌ワクチンの肺炎予防効果も30~40%程度なわけです。それでもこれまで積極的に接種を進めてきているわけで、中程度の効果であるから導入しないのかといえば、そういうことではなくて、その感染に伴って失われる社会的なコストあるいは医療コストが高い場合には、たとえ減らすのが30%であれ、40%であれ、減らすことの意義は非常にあるということは我々もしっかりと認識しておく必要があると思っているところです。そうした意味で、今、この流行状況、特に医療・介護提供体制を維持するという目的のためには、たとえ中程度の効果であっても、それを導入することの社会的な意義は十分にあるのではないかと考えているところです。
ついでにコメントさせていただきますが、一方で、既に論点に上がって事務局からもコメントがありましたけれども、ではなぜ医療・介護従事者だけなのか、ほかの職業に就いている方々、エッセンシャルワーカー、教育職、さらに広げていけば、どんな仕事をされている成人の人たちも対象にすべきではないかということも当然考えていく必要があるわけであって、そこのところは決して見過ごしてはならないと考えているところです。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
まさに、今、言われたように、これまでは日本の感染状況は欧米から遅れてやってくる。ワクチンの接種状況も日本は少し遅れてきたということなので、欧米の状況を見て、そのデータを見て判断していけば、それなりにうまくいってきたというところなのですけれども、現状は欧米とほぼ同時に流行が拡大するような状況になってきて、そういったデータを見ながら行うということでは追いつかないという状況が現在も起きてきているということです。今、使えるワクチンがどういうものがあって、その有効性は推定でもこの程度だということもありながら、それをどう使っていくのか、どう判断していくかということが今後非常に重要になってくるだろうと思いますので、論文データだけをしっかり見ていくということではなくて、ワクチンをどうやって使ってこの流行を制御していくのかということが求められるということで、このワクチン分科会の役割も非常に重要になってくるということですので、事務局にはしっかりと情報収集もしていただきながら、我々としても判断していく必要があるだろうと思います。個人的な意見を言いましたけれども、私としてはそんなふうに考えているところです。
それでは、また委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。磯部先生、佐藤先生、釜萢先生の順番でお願いします。
○磯部委員 ありがとうございます。
私からは、前に話題になった対象の拡大というところに関心がありましたというか、今回、重症化リスクが高い方が集まる病院や高齢者施設などの従事者、職員に限って対象を広げるということで、結論は賛成するのですけれども、この方針決定自体は15日に発表されていて、一部の自治体では既にあらかじめ詳細未定のまま接種券の発送、受付に取り組んでいるという例もあり、話はどんどん進んでいるのだと思います。川俣委員が先ほど、もうちょっと早ければよかったとほのめかされましたけれども、それからほぼ1週間後の本日付で諮問があり、医療従事者等に限定した対象拡大の諮問があったということになります。これを受けて本日の分科会で何が審議できるのかということなのです。
一方で、欧州では医療従事者への接種に関してエビデンスがないと言われている中でも、感染予防効果がないではない、短期的な利点というのはWHOを参照しながら、今回の決定に全く不合理なわけではないということを言わば確認的に検討するしかないようにも映るのです。それでは狭過ぎるのではないかという声が今あったわけです。例えば、この間、後藤大臣はテレビの番組で、医療従事者以外のさらなる対象拡大を否定するというような発言をされたということで、したがって、それは今回の議題には入っていないわけです。では、改めてこれから議論するというこのスケジュール感で大丈夫なのかということが心配であります。
事務局からは先ほど、これまでの議論の経緯や知見からして医療従事者に限定したという御説明がありましたが、例えば資料の68ページを見れば、イスラエルではハイリスク者の介護者は対象たり得ている。在宅でそういう方を見ている方が個別にワクチンを打ちたいといったときに、それを排除する理由があるのかというふうなことも立ちどころに問題になるだろうという気がいたします。
政府がもろもろ検討すること自体もちろん必要で適切なのですけれども、いろいろ検討されているのであれば、その際の方針決定に際して専門的・科学的な知見を反映させるという諮問手続がどういう順序なりタイミングなり、あるいはその間、情報共有はこのプロセスでいいのかということは疑問なしとしません。もう少し適時適切な情報共有と透明性を持った政策決定というのがもっとうまくできるのではないか、そういう感想を持ったということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今の磯部先生の意見には、ここに参加していらっしゃる委員の皆様は多分同意していただけることだろうと思います。我々は、ただ結論があって、そこに判こを押すだけの立場の者が集まっているわけではないですから、きっちりと議論して必要な結論を導くという役割のはずですから、そこのプロセスに関しては事務局にも再検討していただくということだろうと思います。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
お聞きしたかったことは、全て今までの話で出ましたので、手短に申し上げます。
医療・介護の方たちへの4回目のワクチン接種については賛成です。とりわけ早くにワクチンを打っていらっしゃる方たちですので、急ぎ行うことが必要だと思います。
その上でお聞きしたかったのは、60歳から下への年齢の拡大について、厚労省の御意見と先ほど鈴木先生の御発表を聞いた後で鈴木先生の御意見をお聞きしたいと思っていました。いずれも今、お答えいただいたように思います。限定的であるにせよ、発症予防効果があることをどう考えるかということですけれども、専門家の間からも60歳未満の希望者には打つことも検討してはどうかという意見が出ており、そのことについて考えていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 先ほどの磯部先生の御指摘については私も全く同感でありまして、賛同させていただきたいと思っておりました。
鈴木基先生が大変分かりやすく現状を御説明いただきましたので、そのことに尽きると思うのですが、伊藤町長さんからお話がありまして、私どもにもたくさん要望が寄せられてくる中で、やはり医療従事者、介護従事者に限定するのでなくて、少なくともエッセンシャルワーカーもそうですし、希望される幅広い年代にワクチンを打ってもよいのではないかという御意見が非常に多いです。今回の検討の経緯の中でこういうふうになってきたことは、大坪審議官の先ほどの御説明、整理でよく分かるのですけれども、脇田先生が言われたように、欧米のいろいろな文献も踏まえてというよりも、我が国においてどういう決断をするのかということが強く問われているように思っております。
私の意見としては、これだけ感染の拡大がひどい状況の中で、やはり幅広い年代に4回目の接種を可能にする、希望される方については可能にするということを早急に決断すべきではないかと感じております。完全ではないにしても、その方向を目指すべきではないかと感じます。特に自治体等の準備は大変ですし、容易ではないと思いますが、何とかその方向を考えて、接種券なしでしっかり処理ができるという対応をなるべく広げていくということが大事ではないかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 先ほど市町村の川俣委員、伊藤委員、今、釜萢先生から、できるだけ多くの人にチャンスを与えるべきだというのは、多分、市町村の基本的な考えです。我々としては、いろんな方から打ちたいという希望があったときに、こう決まっていますからといって簡単に排除できるものではない。みんな現場で苦労されているということを考えると、釜萢先生がまとめていただいたのですが、今後、拡大方向というのは市町村としては真剣に議論していただきたい。市町村も拡大していけば業務が大変なのですが、苦情を言われるよりは楽だと思っています。むしろこの委員会がイニシアチブを取ってやってもいい。政治家が先に言ってしまって後で委員会が追認するという、先ほど磯部先生が言いたかったのはそういうようなことだと思うのです。むしろここがイニシアチブを取って、拡大していったらどうかということを当委員会としても要求項目として出していけたらと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今、坂元先生からも非常に強い意見がございました。この予防接種・ワクチン分科会というのは事務局からの諮問事項に対して我々が答えるという形を取っていますけれども、委員の皆様の御意見、今日の議論を聞いていますと、非常に強い意見として、さらに4回目の接種対象を拡大していくべきではないかという意見が多かったように思いますので、そこは検討を進めていただくように、我々委員会からの強い要望として事務局に申し述べるということにここでさせていただきたいと思います。
そのほか、磯部先生、佐藤先生、釜萢先生、坂元先生からありましたが、事務局から何かそこに関してはコメントがございますか。
○佐原健康局長 事務局、健康局長です。
今日は、先生方にいろいろと御議論いただきまして、ありがとうございます。
まず、磯部先生からの御指摘ですけれども、御指摘は我々としても真摯に受け止めたいと思います。一方で、今、感染が急拡大しておりまして、総理からもそういったことはどうかという御発言がありまして、我々としては、予防接種法上もしっかりこの分科会の御意見を聞くということになっておりますので、御意見をしっかり聞いた上で、今日諮問させていただいた事項については、もし御了解いただければ進めさせていただきたいと思います。
また、さらなる対象者の拡大ということについても、今日たくさん御意見を頂きましたので、それを改めて事務局としても考えさせていただきまして、御意見を十分尊重した形でどのような形として実施できるのかということはよく考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様、さらに追加の御意見ございますか。よろしいですか。
それでは、新型コロナワクチンの4回目接種につきましては、事務局の御提案どおりに、これまでの対象者に加えまして、重症化リスクの高い者が集まる医療機関・高齢者施設等の従事者も対象として特例臨時接種として実施することにしたいと思います。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆様首肯していただきました。ありがとうございます。
それでは、これに関連しまして、資料5について本分科会への諮問が行われていますが、議題3のものと併せて行うこととします。
それでは、議題3、4に関連して、関連法令の改正につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○佐藤予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
関係法令等の改正イメージ、マル1、75ページを御覧いただければと思います。
まず、大臣指示の改正でございまして、使用するワクチンのところ、武田社のノババックスワクチンの初回接種でございますけれども、対象者を18歳以上だったところを12歳以上の者にさせていただく。
76ページの(3)の第二期追加接種、4回目接種でございますけれども、ここに「医療従事者等及び高齢者施設等の従事者」を追記させていただくという改正を考えております。
77ページは、同時接種の件でございますけれども、臨時の予防接種実施要領のところに「インフルエンザの予防接種を除く」という注書きをつけさせていただいて、これをもって同時接種が可能になるというような改正を予定しております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ただいま諮問された原案どおりに委員の皆様お認めいただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、必要な事務手続を進めていただくようによろしくお願いいたします。
用意された議事は以上ですけれども、委員の皆様は何か御意見よろしいですか。
事務局からほかに何かございますか。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 本日も長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 それでは、本日も長時間にわたって活発な御議論をどうもありがとうございました。
これで、今日の分科会は終了したいと思います。ありがとうございます。