第1回第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会議事録(2022年8月1日)

日時

令和4年8月1日(月)15時00分~17時00分

場所

オンライン会議
厚生労働省 統総大会議室(11階) 千代田区霞ヶ関1-2-2

議題

  1. 1.開会挨拶
  2. 2.構成員紹介
  3. 3.データヘルス計画のこれまでの経緯と第3期に向けた課題等について
  4. 4.その他

議事

議事内容
○吉井保険課長補佐 本日はお忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので「第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための検討会 第1回検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。座長選任までの間、進行を務めさせていただきます事務局の吉井と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。まず初めに、発言の仕方などを御案内いたします。会議中の御発言は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくということで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
それでは、事務局を代表いたしまして保険局長の伊原より御挨拶を予定しておりましたけれども、恐縮ながら、急遽公務の都合により欠席となりましたため、代わりに課長の原田より御挨拶をいたします。
〇原田保険課長 保険課長の原田でございます。本日は、大変お忙しいところ、皆様には御参集いただき、誠にありがとうございます。また、日頃から健康保険の加入者の皆様方の予防・健康づくりの推進に御協力をいただいておりまして、改めてこの場で感謝申し上げたいと思います。
平成25年6月に閣議決定されたました「日本再興戦略」におきまして、レセプト等のデータの分析、それに基づきます加入者の健康保持増進のための事業計画といたしまして「データヘルス計画」が位置づけられました。その翌年に、「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」が改正されまして、それに基づき平成27年度からこの取組がスタートしているところでございます。現在では全健保組合の皆様と協会けんぽの各支部におきましてデータヘルス計画が策定されており、毎年度PDCAサイクルに沿った見直しを行っていただきながら、効率的・効果的な保健事業の実施に継続的に取り組んでいただいております中で、保健事業の取組、また、その内容が充実・深化してきたものと考えてございます。
こうした約8年間の取組を通じまして、様々なデータの蓄積が図られ、また、新たな知見も得られてきたと考えておりますことから、本検討会におきましては、令和6年度に第3期データヘルス計画が開始されることを見据えまして、制度スタート以来改正されていない同指針の見直し等につきましても御議論いただければというふうに考えてございます。
委員の皆様方には、忌憚のない御意見を賜りたいと思っております。活発な御議論をお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 ありがとうございました。
続きまして、構成員の御紹介をいたします。構成員名簿順にお名前をお呼びいたします。まず、学識経験者。横浜市立大学医学群准教授、五十嵐構成員。
〇五十嵐構成員 五十嵐でございます。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授、今村構成員。
〇今村構成員 今村です。よろしくお願いします。
〇吉井保険課長補佐 女子栄養大学特任教授、津下構成員。
〇津下構成員 津下です。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 京都大学大学院医学研究科教授、中山構成員。
〇中山構成員 中山です。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 東京大学未来ビジョン研究センター特任教授、古井構成員。
〇古井構成員 古井です。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 日本航空健康保険組合理事長、秋山構成員。
〇秋山構成員 秋山でございます。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 健康保険組合連合会専務理事、河本構成員。
〇河本構成員 河本です。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 東京実業健康保険組合常務理事、末原構成員。
〇末原構成員 末原でございます。よろしくお願いします。
〇吉井保険課長補佐 全国健康保険協会理事、中島構成員。
〇中島構成員 中島です。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 日本産業保健師会副理事長、冨山構成員。
〇冨山構成員 冨山でございます。よろしくお願いいたします。
〇吉井保険課長補佐 なお、オブザーバーとして、社会保険診療報酬支払基金にも御参加をいただいております。
それでは、開催要綱の3の(3)に基づきまして、座長の選任を行いたいと思います。構成員の先生方より互選で決定したいと存じますが、どなたか候補者について御推薦いただけますでしょうか。
〇中山構成員 中山です。よろしいでしょうか。
〇吉井保険課長補佐 お願いいたします。
〇中山構成員 それでは、データヘルス事業に御実績をお持ちの古井構成員にお願いできればと思います。
〇吉井保険課長補佐 ありがとうございます。ただいま中山構成員より古井構成員を御推薦いただきましたが、ほかにいかがでしょうか。
ほかにないようでしたら、古井構成員を座長として選任することについて、御異議のある方はいらっしゃいますでしょうか。
(全構成員から異議なしの確認)
〇吉井保険課長補佐 ありがとうございます。それでは、委員の互選により、古井構成員を座長に選任することについて御決定をいただきました。ここからは古井座長に議事進行をお願いしたいと思います。古井先生、どうぞよろしくお願いいたします。
〇古井座長 改めまして、東京大学の古井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
データヘルス計画が実効性のあるものとなりますように、今回はデータヘルス計画の実施主体、実務者の中核を担う方々、それから、この分野で御実績のある先生方においでいただきましたので、皆様の御知見を最大限生かせるように進行させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、開催要綱の3の(4)に基づきまして、本検討会の座長代理を指名させていただきたく存じます。座長代理には、本当にこの分野で大きな実績を残されていらっしゃいます津下先生にお願いできればと思いますが、津下先生、いかがでしょうか。
〇津下構成員 御指名いただきまして、どうもありがとうございます。古井先生をお支えして、少しでもお役に立てればと思います。皆様方の了解が得られましたら、座長代理を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
〇古井座長 ありがとうございます。それでは、津下先生に座長代理をお願いしたく存じます。ありがとうございます。津下先生、何か改めて一言ございますでしょうか。
〇津下構成員 ありがとうございます。第1期、第2期は手探りで始めた部分もあったんですけれども、データが集まり、そして、PDCAサイクルを回す実施方法もいろいろな実績が集まってきたところですので、第3期がますます良いデータヘルス計画になるよう皆様方と一緒に考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〇古井座長 ありがとうございました。
それでは、早速議事次第に従って進めたいと存じます。まず、データヘルス計画のこれまでの経緯につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
〇大山主査 はい、古井座長、ありがとうございます。それでは、早速でございますが、資料1を御覧ください。こちらの資料に沿って説明させていただきます。
資料1ページ目をめくっていただきまして、この資料の構造について説明いたします。まず、大きくアジェンダは3つに分かれております。1つ目で、データヘルス計画の経緯と現状について説明いたします。2つ目において、データヘルス計画に基づく効率的・効果的保健事業の実施に向けたこれまで行われてきた施策について説明をさせていただきます。その上で、3番目でございますが、現状の課題と今後の論点について例示をさせていただきたいと考えております。それでは、内容について説明いたします。
3ページ目を御覧ください。こちらは保険者データヘルスの背景でございます。保険者がデータヘルスの取組を実行するに当たって、健康日本21、特定健診・保健指導の義務化、レセプトの原則電子化等いろいろな大きな制度が背景にあるということをこちらの資料で説明をさせていただいております。
スライドの4ページ目を御覧ください。こちらは日本再興戦略におけるデータヘルス計画の位置づけと指針の改正について説明をさせていただいております。左側のところで日本再興戦略においてデータヘルス計画の作成・公表、事業実施、評価の取組を求められ、これを受け、右の部分でございますが、健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針の改正が行われたという経緯について説明しております。
資料の5ページ目を御覧ください。こちらは、参考資料の1で配布をさせていただいております「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」の概要を記載したものでございます。細かくは触れることはいたしませんが、こちらのとおり、5つの構成に分かれておりまして、本指針策定の背景と目的、保健事業の基本的な考え方、保健事業の内容、そして保健事業の実施計画―いわゆるデータヘルス計画の策定、実施及び評価、最後に事業運営上の留意事項を記載させていただいているということを説明しております。
資料の6ページ目を御覧ください。左側の四角の中でございますが、レセプトデータや健診情報等のデータの分析に基づく効率的・効果的な保健事業をPDCAサイクルで実施していただくための事業計画そのものでございます。狙いとしては、健康事業の延伸と医療費適正化を同時に図るものでございます。下の矢羽根に記載がございますが、平成27年から第1期計画がスタートしておりまして、第1期計画は試行的な実施でございましたので、3年間の期間実施しております。その上で、平成30年から第2期計画が実行されまして、途中の2020年においては中間見直しを実施しているところでございます。この右側の令和6年の矢羽根でございますが、第3期計画が2024年から始まることを見据えまして、令和5年にはデータヘルス計画第3期を作成いただくために、今年度令和4年においてこの検討会を実行し、指針の見直し等議論いただきたいものでございます。
資料の7ページ目を御覧ください。データヘルス計画の構造でございます。簡単に触れさせていただきますが、STEPの1つ目として現状を構造的に把握し、STEPの2つ目で健康課題の優先順位づけを行い、その上でSTEP3として事業の選定、目標・評価指標の設定を行っていただき、その上で事業の実施をしていただきます。その事業の実施を受けて、事業評価・見直しを行いまして、そしてまたSTEPの1に戻っていくようなこのPDCAサイクルというものを推奨しているところでございます。
スライドの8ページ目を御覧ください。こちらは健康保険組合がデータヘルス計画の作成を行うに当たって使用しておりますデータヘルス・ポータルサイトの入力項目のイメージ図でございます。こういった様々な項目を全健保に御入力をいただくことによって、保健事業を標準様式で実施計画の策定を行っていただいているところでございます。
資料の9ページ目を御覧ください。「データヘルス計画作成の手引き」でございます。第1期計画の計画に向けて平成26年度に初版を発刊いたしました。また、第2期データヘルス計画に向けて平成29年度に改訂版を発刊しておりまして、その3年後には中間見直し・中間評価を受けまして追補版を発刊しているところでございます。
スライドの10ページ目を御覧ください。こちらは新経済・財政再生計画、いわゆる骨太の方針の改革工程表2018でございます。こちらの2018の中の2019年度の項目でございますが、こちらにおいて初めて効率的・効果的なデータヘルスの普及に向け、評価指標や保健事業の標準化を検討することを掲げられた次第でございます。
資料の11ページ目を御覧ください。今ほど申し上げました評価指標の標準化と保健事業のパターン化でございますが、こちらの左側の図で説明させていただきます。
➀評価指標の標準化でございますが、こちらは健保組合共通の評価指標を2021年度から試行的に導入しております。データヘルス計画の中間評価・見直しに際して、特定健診・特定保健指導の実施率等を中心に、健保組合の共通評価指標を検討した次第でございます。
また、➁の保健事業のパターン化でございますが、2020~2022年度までの間、これまでの蓄積されたデータからアウトカム指標・アウトプット指標による保健事業の評価を行い、事業成果の高い保健事業のパターンを抽出しております。また、各パターンにおいても、評価指標の改善度合いは、データ分析だけでは抽出が困難な事業ごとの細かい違いによる影響が大きいと考えられるため、各事業のパターンにおける成功のための調査・研究を厚労省にて実施しているところでございます。
スライドの12ページ目を御覧ください。先ほど説明申し上げました共通の評価指標でございますが、下段の青い四角の中の真ん中の青枠で囲ったところにございますとおり、内臓脂肪症候群該当者割合をはじめ5つの評価指標が2021年から試行的に導入されたところでございます。
その次のスライドでございますが、この5つの評価指標を受け、2022年度からは共通の評価指標は既存のものと合わせて23指標に現在増えているところでございまして、アウトプット指標よりもアウトカム指標をより重視している構成としているところでございます。
以上、データヘルス計画の経緯と現状でございました。
それでは、2ポツ目のデータヘルス計画に基づく効率的・効果的な保健事業の実施に向けたこれまでの施策について、4つの切り口から説明を差し上げます。
資料15ページ目を御覧ください。こちら、保健事業の効率的・効果的な実施の体制整備としてコラボヘルスについて説明させていただきます。コラボヘルスとは、健康保険組合等の保険者と事業主が積極的に連携し、明確な役割分担と良好な職場環境の下、加入者の予防・健康づくりを効果的・効率的に実行することでございまして、被用者保険者である健保組合や協会けんぽにおいて有用な取組だと考えられております。こういったことを受けまして、コラボヘルスガイドラインの策定、また、次のスライドでございますが、健康スコアリングレポートという加入者の健康状態や医療費、予防・健康づくりの取組状況等をスコア化したものを配布させていただいて、厚労省としてコラボヘルスを推進しているところでございます。
17ページ目でございますが、こちらは協会けんぽの健康宣言事業の概要でございます。健康宣言事業でございますが、事業所全体で健康づくりに取り組むことを事業主に宣言いただき、その宣言内容に応じた取組を協会けんぽがサポート、フォローアップする仕組みとなっております。協会けんぽにおいても、事業主と協働・連携してコラボヘルスをすることによって、加入者の健康の保持増進を図っていく取組の御紹介でございます。
また、その健康宣言事業の策定に当たって事業所カルテというものをつくっていただいておりますが、そちらにつきましては、18ページ目から御参考に掲載をさせていただいております。
18~21ページ目でございますが、各支部において特定健診実施率、保健指導実施率、また、生活習慣病保有者のリスクの割合など、そういったものを記載していただいたものを発行していただいているところでございます。
22ページ目には、その事業所カルテの使用状況について御紹介させていただいております。
続いて、23ページ目でございますが、こちらは経産省の取組になりますが、健康経営に係る表彰制度について説明させていただきます。健康経営に係る各種顕彰制度を通じて、優良な健康経営に取り組む法人を見える化し、社会的な評価を受けることができる環境を経産省にて整備していただいているところでございます。
こういった予防・健康づくりに関する効率的・効果的な実施を支援する策として、コラボヘルスや健康経営の推進というものが体制として挙げられるところでございます。
それでは、次の項目について説明させていただきます。これは事業実施の促進という観点で、保険者インセンティブ制度の説明でございます。
25ページ目を御覧ください。後期高齢者支援金の加算・減算制度でございます。こちらは健保・共済のインセンティブ制度でございまして、各保険者の特定健診実施率等によって、当該保険者の後期高齢者支援金の額について一定程度加算または減算を行う制度でございます。支援金の加算につきましては、中段に記載があるとおり、法定義務である特定健診・保健指導の実施率が一定割合に満たない場合には加算対象となるような構成になっている一方で、支援金の減算につきましては、特定健診・保健指導の実施率に加え、特定保健指導の対象者割合の減少幅や、がん検診・歯科検診、事業主との連携等の複数の指標で総合評価をするような制度となっております。
また、26ページ目にございますが、協会けんぽのインセンティブ制度についても説明させていただきます。こちらも同じようにインセンティブを行うものでございまして、協会けんぽの場合、全支部からインセンティブ保険料率を広くいただくことによってインセンティブ原資を確保し、それを上位数10%の支部にインセンティブとして振り直すというような制度になっております。こちらにつきましても、先ほどの後期高齢者支援金の加算・減算制度の減算の指標と同じように、特定健診実施率や特定保健指導実施率等だけでなく、特定保健指導対象者の減少率や、医療機関への受診勧奨基準において速やかに受診を要する者の医療機関受診率等、そういった総合評価をしているところでございます。
また、27ページのスライドでございますが、協会けんぽインセンティブ制度につきましては、令和2年に閣議決定されました成長戦略フォローアップにおいて、インセンティブ措置について成果指標の拡大や配分基準のめり張り強化等を検討するよう掲げられており、2021年度中に一定の結論を得るよう掲げられているところでございます。これを受け、協会けんぽの検討体である運営委員会のほうでも検討させていただきまして、特定健診の対前年上昇幅、特定保健指導の対前年上昇幅等、成果指標の拡大や、配分をメリハリを強化する等の見直しを行いまして、親会である保険者による健診・保健指導等に関する検討会への報告を経て、健保法の規則が改正されたところでございます。
それでは、次の項目について説明させていただきます。事業アプローチについての説明でございます。
29ページ目を御覧ください。保険者が共同で実施する保健事業の推進について説明いたします。中段のオレンジ色の部分でございますが、中小規模(加入者1万人未満)の保険者の主な課題として、健保組合の半数以上を占めているものの、その多くが保健事業を十分に行えていない、また、コストや事業規模の観点で、民間のヘルスケア事業者を活用した保健事業が難しいケースがあるという課題を確認しております。
これを受け、平成29年(2017年度)から保険者が共同で実施する保健事業のモデル事業整備として、厚労省にて補助事業を実行したところでございます。その後、3年間の補助事業を経まして、2020年度にはそういったノウハウ、ナレッジをまとめましたガイドラインの作成を行っております。そして、このガイドラインの作成までこぎ着けましたが、なかなかまだ普及が十分にされていないという課題を受けまして、2021年度から普及支援事業を行っているところでございます。
30ページ・31ページ目には、このレセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業としての共同事業に関する補助事業の一覧を載せさせていただいているところでございます。
32ページ目を御覧ください。こちら成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success)の頭文字を取ってPFSと呼ばれている手法による保健事業の推進について説明させていただきます。右下の図のとおり、健保組合が民間ヘルスケア事業者と成果に応じた支払いを行うような成果連動型支払契約を結び、ヘルスケア事業者が対象者に対する保健事業の介入の成果に応じて健保組合が事業者へ報酬をお支払いするようなPFS方式というものを推進させていただくべく、厚労省がそのスキームそのものに対して補助を行っているところでございます。
スライド33ページ目でございますが、令和3年度から新たに取り組みまして、この年におきましては14の事業が採択されているところでございまして、現在、その報告書を取りまとめているところでございます。
代表的なものを説明させていただきますと、34ページ目のスライドでございますが、例えば上段のセルフメディケーション推進事業としては、レセプトデータに基づくスイッチOTCの活用に適した対象者の抽出を行い、ナッジ理論等を活用した個別対象者への個別通知や、健保薬剤師への相談窓口、OTC医薬品のオンライン購入とヘルスケアポイント等の付与を行っております。
こちらの事業の介入結果につきましては、右側の成果指標のとおり、どの程度行動変容があったか、どの程度加入者の意識の変化があったか、また、セルフケアの実践へどの程度影響があったかというものを、あらかじめ決めた成果指標に応じて定量的に評価をし、その評価に応じた報酬がお支払いされているものでございます。
それ以外には、中段の卒煙指導事業、下段の包括型事業など、様々な事業を採択させていただき、その知見につきましては、現在報告されているところでございます。
それでは、35ページ目、最後のインフラ、データヘルス・ポータルサイトの開発・機能追加について説明させていただきます。
36ページ目のスライドを御覧ください。こちら、冒頭にも少し申し上げました、健保組合がデータヘルス計画を標準様式で作成するためのプラットフォームサイトであるデータヘルス・ポータルサイトがございます。平成27年度に東京大学が厚労省補助事業で開発をしたところでございまして、今年の7月より更なる保健事業の推進ということを目指し社会保険診療報酬支払基金に移管をしたところでございます。
こちらの機能の一部について説明をさせていただきます。37ページ目のスライドを御覧ください。数ある機能の中の1つでございますが、データヘルス・ポータルサイトを通じた保健事業において共同事業の推進をするべくマッチング機能を実装しております。こちらは全国の各地域でどのような共同事業が行われているかというのを登録していただき、興味のある健保組合がそれを確認した上で、もし自組合も参画されたい場合には御連絡をしていただくような動線の確保をしておりまして、こういった機能を実装することで保険者の効率的・効果的な保健事業の実施を推進しているところでございます。
以上、駆け足になりましたが、2ポツ目のこれまでの施策について説明申し上げました。
それでは、最後に、現状の課題と今後の論点について説明をさせていただきます。
現状の課題の例として、39ページ目のスライドに載せさせていただいております。大きく分けて6つの項目があろうかと考えております。
まず1つ目、計画策定・公表。こちらは小規模保険者においては、計画策定を行う職員のマンパワーの観点でも、事業実施対象の加入者の規模の観点でも、データヘルスのPDCAの効率性が上がりづらい状況を確認しているところでございます。また、公表において、制度上はデータヘルス計画の公表が求められている一方で、企業ブランドを背負った健保組合で健康課題をつまびらかにすることへの懸念などから、公表状況が低調であるということも確認しております。
次に、事業メニューでございます。被用者保険の保健事業はメタボ対策に注力している一方で、高齢加入者の増加や女性のやせへの対策に取り組む保険者が増加していることを確認しております。また、一部の保険者で後発医薬品の使用率上昇が飽和しつつある状況を確認しており、それを受け、重複・多剤対策やセルフメディケーション事業への取組についてコストを投じるような保険者の取組も確認しております。
また、下3つのポツでございますが、全ての保健事業について、予防・健康づくりの費用対効果を一律に比較して優先順位をつけることは困難であります。ただ、完璧なエビデンスがない中でも、足元の取組の幅の拡大を図る保険者においては、参考となるデータへのニーズが一定あることも確認しております。これを受け、一部の保健事業については、大規模実証事業やPFS補助事業を通じて、その費用対効果の可視化が進展する見込みでございます。
次に、事業アプローチでございます。こちらは、共同事業・PFS事業について触れさせていただいております。共同事業につきましては、その手法においては一定の有用性が確認されているものの、まだまだその実践が普及していないことも事実でございます。また、PFS事業につきましても、同様にその手法においては一定の有用性が確認・期待されるものではございますが、現状はそのモデル事業を構築している段階というところでございます。
次に、事業実施方法でございます。健保組合のデータヘルス計画は、ほぼ全ての組合が第2期の当初からデータヘルス・ポータルサイトを通じて標準仕様で計画及び実績報告を作成していただいております。これを受け、標準仕様における各事業のプロセス及びストラクチャー要素を説明変数として、各事業の効果を高める実施方法を定量・定性の両面で現在分析を進めているところでございます。
次に、評価指標でございます。こちらの現状につきましては、骨太の方針等政府方針に掲げられているところでございますので、第2期の計画の中間見直しにおいて5つの共通指標を導入し、今年においては23指標まで拡大しております。ただし、共通評価指標の実績値や目標値の入力というのは、健保による任意入力の項目が大きいので、その入力状況については低調な状況でございます。これを受け、我々厚労省といたしましては、NDBを用いた国によるプリセットを検討しているところでございます。
また、共通評価指標に対する目標値の設定も任意でございまして、この目標値の推奨される値等も何もまだお示しができていない状況でございます。
最後に、保険者間連携でございます。中間サーバーを用いた全保険者間のデータ連携が行われるようになったことから、レセプト及び特定健診・保健指導のデータに関する問題は一定解消しております。また、一部の保険者で、被用者保険から新たに市町村国保等に加入する者に対し、加入後の健診の受診方法や地域の自治体の保健事業を周知するような連携取組がされていることを一定確認しているところでございます。
それでは、40ページ目のスライドを御覧ください。本日の論点を例示させていただきます。第2期データヘルス計画の作成とそのPDCAに基づく保健事業の実施の現状と課題について、39ページ目のスライドで例示されたものに加えて、本検討会で議論すべきものがほかにあるか。また、前ページで例示された課題に対して、以下のような打ち手が考えられると考えておりますが、それぞれどのような方向性で議論をするべきか。その方向性につきましては、まず1つ目が、指針の改訂でございます。どの課題を告示改訂として扱っていくべきか。また、「データヘルス計画作成の手引き」の改訂という手法もあろうかと考えております。どの課題に対してどのような内容を盛り込んでいくべきか。そして、データヘルス・ポータルサイトの機能改修・機能実装というものも考えられると思っております。どのような機能の拡充・追加を検討するべきかという観点でございます。そして、第3期に向けてどのような取組をすべきか。こういった論点があろうかと事務局より例示しているところでございます。
駆け足となりましたが、説明につきましては以上となります。
〇古井座長 御丁寧にありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御説明を踏まえまして、構成員の先生方から御質問、それからコメントをぜひいただきたいと思います。今回はこの10人の先生方からたくさん知見をいただいて、これからの検討会で検討すべきことや、今後の指針の見直し等に生かすということで、ヒアリングというふうに書いてありますけれども、ぜひ先生方一人一人からご意見を吸い上げるように伺いたいと思いますので、もしよろしければ名簿順で大変恐縮ですけれども、五十嵐先生から順番に、大体5分程度時間を取っているようですので、コメント、あるいは、御質問があれば御質問含めて、いただきたいと存じます。それでは、五十嵐先生、よろしいでしょうか。
〇五十嵐構成員 ありがとうございます。少し五月雨式になってしまいますけれども、最初はやや雲をつかむようなところから申し上げますと、PFS事業や大規模実証事業などでも費用対効果の可視化が進展する見込みであること、プロセス指標よりもある程度アウトカム指標を大事にしていくことなどを拝聴しておりました。総花的にいろいろなプロジェクトをただやりましたということではなくて、プロジェクトの成果を費用対効果という軸でみる枠組みが出来つつあることは、非常にありがたいことと思います。
そして欲を言えば、私自身が「費用対効果屋さん」として講演する際に、自治体や健保の中でとてもアグレッシブな方に出会うことがあるんですね。さすがに医療費などの費用の増減までは取らないにしても、ちゃんとしたアウトカム指標を取ろう。あるいは、アプリなどを使って参加者や住民にフィードバックをしたいですなど、割と先進的なことをやろうと思っている人は少なからずおられます。そうした先進的な方が肩身の狭い思いをしないために、指針であれ施行令であれ運用ガイドラインであれ、「アウトカム評価・コスト評価・結果のフィードバックなどの先進的なこともやれるとよいですね」のような話がどこかに書いてあると、やる気のある方々の後押しができるのでは?と思いました。「ココにも書いてありますよ」と主張ができると、より通りやすくなるのではという意図です。もう一点、今インセンティブの話が途中で出てきました。全員にそれを要求するのは不可能でしょうけれど、もし追加的にきっちりしたアウトカムを取ったり、医療費への影響を評価する…などの取り組みを行ったら、優良銘柄のように褒めてあげるなのか、あるいは小さいながらも金銭的インセンティブを与えるなど、なんらかの形で報奨を作れると、自分たちはもう少しやれるんだ!という動きをさらに後押しできる形にはなるかなというふうには思いました。
ここまでは、より進歩的な取り組みを支援する形でした。逆に小さいところで何をやっていいか分からないようなところに関しては、今いろいろと共同実施のような座組があるという話は御紹介いただきました。ただ、すべての枠を固めてしまった段階で「興味ある人この指止まれ」とやっても、特に小さいところなどは入っていきづらいのでは?と感じております。システムをあまり理解していない状態で発言するのは申し訳ないんですが、ある程度基礎的な枠組みづくりの段階から、小さなグループだけでは不可能だけれども、みんなで集まれば実施できるのでは?のようなプラン策定段階からの共同作業を促進できるシステムができれば望ましいのでは?と考えております。
先進的なほうに関しては、みんなに課すわけではないけれども、長期的にはこういうのを目指してほしいことをどこかに明示して、意欲のある人が回りを説得しやすい環境を作って欲しいというのが私のわがままな提案です。逆の小さいところに対しては、ある程度モデルケースなものを示して、草案段階から一枚かんでいけるようにしておくと、最低限こういうことをやればいいんだ、あるいは、分からないけれどもこの山に入っておけば一応できそうだなというふうにインセンティブになり得るかなというふうには思いました。以上です。
〇古井座長 五十嵐先生、ありがとうございます。小規模な健保も含めて、少し座組や技術的な支援なども必要だということでしょうか。
〇五十嵐構成員 そうですね。全部でき上った後に「入りますかと」言われても、なかなか入りづらいところはあるのかなというふうに何となく思っております。
〇古井座長 分かりました。あと、データヘルスで目指すことを明示するというのも重要かもしれないですね。
〇五十嵐構成員 やはりどこにも頼りになれるような文言などがないと、かなり熱い人がどこかに出てきても、結局周りの賛同を得られずに終わってしまうパターンは多いのではないかなと。いい案だと思って話してみたけれども、なかなかほかの人を説得し切れませんでしたというようなケースは結構出てくると思います。そのときにやはりどこかしら何か努力目標として書いてあるだけでも結構違うのかなと思いました。
〇古井座長 ありがとうございました。それでは、続きまして、今村構成員、お願いいたします。
〇今村構成員 4つほどピックアップしました。私は、いろいろなところがデータヘルス計画をつくるのを手伝っていて、その経験からということで、まず1つ目は、確認ですけれども、このデータヘルス計画の銘打つアウトカムというのは国民の健康ですよねということです。データヘルス計画を保険者がつくるとなると、医療費の削減ということにすごく引っ張られてしまって、本当に医療費の削減ができるかどうかというのを検証することは極めて困難という状況だと思うんです。それよりはまだ病気が減ったというほうが分かりやすいし、リスクが減ったというほうが分かりやすいので、基本的には健康を目指すものというふうに理解して今は進めておりますけれども、それの理解でよいかというのが1つです。これは確認と、それでもしよいのだったらそれをちゃんとPRしていかないと、医療費削減の効果という話に引っ張られれば引っ張られるほど、どんなふうに評価するかが難しいですから、そこをちゃんと分けたほうがいいというのが1つ目です。
2つ目は、人材育成をやはり頑張ってやらないと、データヘルス計画をつくるのも難しいと思います。国が医療計画をつくってPDCAサイクルを回したときも、3日間の講習会というのを各都道府県向けにがんがんやって、何とか周知をしていったという経緯があります。
ただ、そうはいっても、やはり異動があって、大規模な健保になればなるほど恐らく3~4年で異動されるので、技術が失われるという問題があります。小規模なところはやる人がいないというような問題があって、この人材育成というのは非常に難しいです。
実際に自分たちの実体験で言うと、例えばたばこを吸っている人と吸っていない人、どちらが健康ですかというのを見たら、どう見てもたばこを吸っている人のほうが健康なんですよね。それは病気の人はみんな現時点でたばこを吸わないからで、それは言ってあげないと分からない。でも、これは疫学をしている人は誰でも知っていることで、そこに至るまでだけでも1年ぐらいかかるというような状況なので、人材育成というのがこのデータヘルス計画をつくっていくときには極めて重要だというふうに思っています。
3つ目、データを読んでいって思うんですけれども、今回2020年と21年のデータを使っているケースが結構あるんですけれども、コロナで随分医療状況が変わっています。患者さんがやはり減っていますし、例えば2020年なら死亡者数は減っているんですね。2021年は増えていますから、そのどちらの数字を使ってもやはりぶれています。ですから、2020年・21年の数字を使わないほうがいいと思うので、今多くの検討会でも2019年の数字を使って考えましょうということを言っています。この2020年・21年の数字の使い方については相当留意するようにちゃんと注意喚起していく必要があるというふうに思っています。
4つ目、データヘルス計画をつくっていくときに、私が実際にいろいろな計画を進行管理していて、実際効果があるなと思ったのは歯科ですね。歯科保健関係と精神保健だと思います。歯科の場合は口腔ケアも含めて、口腔ケアと歯科の管理をしてあげると、確実に病気が減るんですね。誤嚥性肺炎も減っていきますから、これは確かに病気も減るし医療費も減るということがあります。精神の場合は、精神の疾患になることを予防できるので、生涯にわたっての疾病を発生率を落とすことができるので、これは最初の初期介入が極めて効果的だと思います。ですから、歯科と精神についてはデータヘルスというか保険者が力を入れていくのに割とはっきりとした成果が見えやすいものだというふうに思いますので、こういった点でPRをしていってもらえばいいかなと思います。
ただ、この2つはすぐに保険者の医療費が減るという話ではないので、長い目で見たら非常に大きな効果があって、健康日本の立場から見ても効果的だというふうに思えるということであります。
今のところは以上です。
〇古井座長 ありがとうございました。今村先生から1つ御質問というか確認で、データヘルスで目指すのは、医療費というよりは健康増進なのかということ、これは何か事務局のほうでコメントはございますか。
〇吉井保険課長補佐 御質問どうもありがとうございます。先ほど大山のほうから説明させていただいた資料で言いますと6ページの「データヘルス計画とは」というところで、狙いに関して、健康寿命の延伸―すなわち健康増進に関することと医療費適正化、両方というふうに説明をいたしました。若干その意味では曖昧なお答えになってしまうかもしれませんけれども、健康増進と医療費適正化、その両方を目的とするというふうに我々のほうでは考えております。
一義的には参考資料1のほうにございます「保健事業の実施等に関する指針」の中では、一番最初の第一の本指針策定の背景と目的のところで、中心的には健康増進に関することが書かれておりますので、この部分は今村先生御指摘のとおり、健康増進というものが一義的な目的になろうかというふうに考えております。
他方で、同じ参考資料1の9ページ目になりますけれども、9ページ目の一番上のパラグラフにございますとおり、例えば後発医薬品の使用促進に関する事業もデータヘルス計画の中では扱っておりまして、そこではここの第1パラグラフにございますとおり、「医療費の適正化等の観点から有効であることも多いと考えられるため」というふうに記載もあるとおり、医療費の適正化ということも副次的な目的として我々のほうでは念頭に置いてデータヘルス計画のほうを理解をしております。
〇古井座長 ありがとうございます。今村先生、例えばですけれども、保健事業をやったことでちゃんと医療機関に行くようになって、入院よりも外来の割合が高まるなど、そういう構造変化のようなものは捉えられるのでしょうか。
〇今村構成員 多分そこまでは捉えられるんです。ただ、総じて言えるのは、健診を受けて異常値が出たら、皆さん病院にかかるから、次の年は医療費上がりますよね。治ったら医療費がクロスして低くなるんです。でも、フォローしていない人は、病気になって死んでしまうので、そこで死んでしまうから医療費がかからないとか、その後、長生きをされると医療費がかかるんです。だから、生涯医療費で考えると、どうしても多くなる。その計算の仕方でどうにでも変わるという問題があって、そこをどう取りますかというのは、医療費削減というような言葉でくくると難しいということになると思います。
今の御説明にあったような、適正な医療を行うべきということはそのとおりだと思うんですけれども、それを医療費が下がるべきというふうに捉えているのとは随分意味が違うと思うんですね。だから、医療費さえ下がればいいんだという話には多分ならないのではないかと思うので、医療費を下げようと思ったら、やはりたばこと酒をがんがんやってもらって、50代半ばで脳卒中で死んでもらうのが一番安いと思うので、そういうふうにならないようにちゃんと誘導するべきではないかというふうに思っているということです。
〇古井座長 ありがとうございます。医療費の構造や定義をしっかりするということはすごく大事だということですね。
あと、すみません、1つ確認ですが、先ほど先生がおっしゃった医療計画のときに3日間研修をするというのは、これは毎年なのか、あるいは、計画をつくる年だけですか。
〇今村構成員 第6次医療計画のときは6年間続けてやっていたんです。3日間の勉強会だったんですね。第7次のときに1日になって、コロナになって中止になって、だんだん勢いがなくなっていっている。それに伴って専門的な人も減っていっているという、少し困った状況が起こっています。
〇古井座長 分かりました。重要なところの問題提起ありがとうございました。
それでは、続きまして、津下構成員、お願いいたします。
〇津下構成員 はい、ありがとうございます。今の今村先生の話に関連してですが、最近仕事と治療の両立支援ということで、がんになっても脳卒中になっても仕事を続けられるように、また糖尿病であればきちんとした治療を続けられるよう調整することなど、両立支援が奨められています。そうしますと、結果として医療費的には上がるんですけれども、貴重な労働力を確保している、それから、働くことでその人の人生を守っているという、そういう面があります。そういう観点から、両立支援をしていることがきちんと把握をされた上で医療費を捉えていくということは重要ではないかなと思いました。
あと、幾つか気づいた点をお話ししたいと思うんですけれども。
まず、共通評価指標というのを第2期から定められた。これは非常に重要なことだと思うんですが、残念ながら入力が少ないということなんですけれども、健康スコアリングレポートで重要な関連項目については個々の保険者に結果を返していますし、健保全体や業態平均とも比較も出ているので、そういう情報がプリセットされていれば分かりやすいかなというふうに思いました。自分のところの加入者のデータだけを見ていても、それがいいか悪いか基準が分からないということがあるので、ほかと比べてどうかという視点も重要であり、スコアリングレポートが参考になるのかなというふうに思いまして、こことの連動がなされるといいのかなと思いました。
2点目ですけれども、健康経営、あるいは、中小企業健康宣言などが行われています。ある保険者さんは、健康宣言事業所の数やカバー率を増やすのだというような目標を立てていらっしゃったりします。そういうことで、健康経営に取り組む事業所を増やすなどコラボヘルスをどう指標化するかという観点も必要と思いました。
それから、3点目ですけれども、労働基準局の検討会で転倒や骨折、腰痛など行動災害の労災が増えていると報告されています。高齢労働者が増えていることや中高年女性など、介護や小売り等の職場で転倒し骨折することで労災になるという方が増えているということが挙げられていました。そういう労働災害のリスクとなること、医療費増大にもつながること、そして、予防可能性など健康づくりの動きに連動しやすいということで、そのような課題についても注目度が上がるようにしたらどうかというふうに思いました。
女性の健康課題を考えた場合、高齢者の場合は転倒、骨折などが多いことがありますし、生活習慣病も増えてきますが、若い女性の場合は妊娠・出産にまつわるトラブルなど、そこは守っていかなければいけない部分だろうと。幾つかそういう事例もあるということなんですけれども、社会全体、保険者、会社とともに守っていかなければいけない存在と思うので、そこに着目するような指標や事例も示していく必要があると思いました。
コロナや災害などに対する保険者としての対応は、ある意味BCPになると思うんですけれども、この保健事業が持続可能かという観点で見ていく必要もあります。コロナがあったから健診・保健指導はできませんでしたということが今回は起こったわけですし、医療の受診控えということもありました。今回いつまで続くか分かりませんし、また、災害などのいろいろな事態があっても、またはあったからこそ、健康を守る仕組みが必要と思います。企業が事業の持続計画を立てるのと同じように、保険者としてもそういう保健事業をどのように続けていくか、または、取捨選択していくか、または、ICT等の手段を活用した手法を積極的に取り入れていくかというような観点も考えていくべきかなと思いました。
それから、40歳未満の方々のデータが事業主から保険者に提供されるというか、保険者さんは40歳未満の労働安全衛生法のデータも取得できることになってきました。その活用というのもこれからの1つの重要なポイントになると思います。活用事例なども示したらいいのかなというふうに思いました。
最後ですけれども、補助事業がいろいろ組まれていますが、いつも気になるのは、この補助事業は、金の切れ目が事業の切れ目ではないだろうかということで、補助事業からどう進展していくのか。この事業を受託したときだけで終わってしまうのか、その次からさらに自前で発展的に行われているのか、そういう評価をしないと報告を書いておしまいになってしまいます。本当に役に立つ、保険者として必要な事業であるかどうかの評価をして、それをまた次期に盛り込んでいったらいいのではないかということを考えました。以上です。
〇古井座長 津下先生、ありがとうございました。津下先生から御指摘のあった、例えば両立支援や女性の妊娠・出産や労災など、この辺は保健事業の評価指標として入れていくと注目が集まるというか、そういう指標をつくっていくのも1つの手なのでしょうか。
〇津下構成員 そこに何か書くなど、そういう視点でデータを見ると、それぞれ今まで気がつかなかった事業の必要性も認識される可能性があるかなと思うんです。健康経営度調査に項目があると、そこを経営者の方々などがチェックされるので、いや応なしに見ていき、これができている、これができていない、これはやらないなど、そういう判断をすることで振り返りができると思います。項目として保険者が保険者としてできることということにしていく必要があるので、だから、先ほどの話では、両立支援などは事業所の話ですから、それは事業所にそういう情報が行っているかどうかなど、コラボヘルスの中で整理するものと、それから、直接保険者が働きかけるものと2点あるかなと思います。
両立支援のほうはやはり医療費に跳ねる話なので、そういう動きを熱心にやっているかどうか、そこの会社は少し医療費高いよねという話ではなくて、医療費評価をするときにその辺りをちゃんと見ながら評価をしていく必要があるというふうに思いました。
〇古井座長 分かりました。どうもありがとうございました。それでは、続きまして中山構成員、お願いいたします。
○中山構成員 どうもありがとうございます。私自身はデータヘルスやコラボヘルスで具体的に事業所と連携した経験がありませんので、私が関わっている中からで何かお役に立てることがあればということで、少し気づいた点をお話しさせていただきます。
今回、こちらでお声がけいただいたのは、1つは特定健診の第4期に向けた健診・保健指導の見直し在り方検討会を担当させていただいているということかと思います。その中で、特に研究班として担当している部分では特定健診の見直し、当初、特定健診の特に問診項目の見直しということが主眼でした。その中では、先ほどまさに今村先生がおっしゃったたばこやアルコールの問題について、今まではなかった項目で、ちゃんとやめたと。昔は吸っていたんだけれども、やめたという項目がようやく入るようなことで、本当にまさに今村先生がおっしゃった、疫学をやっている人間からするとあれなんですけれども、普通の一般の方にとってすごく大きなミスリーディングになってしまうので、例えばそういったことが今議論されております。
あとは特定健診・保健指導、それから研究班では特定保健指導の、これは実質化というのか見える化というのか、健診を受けました、保健指導の対象になりました、でも、残念ながら十分効果が出ていませんということが、幾つかの報告で出ているのは御存じのとおりかと思います。なので、今までは特定保健指導がされているか、されていないか、180ポイントあるか、ないかだけでしか示されていなかったわけですけれども、もう少し中身を見える化するような指標を、医療の質の指標、クオリティーインジケーターの考え方に基づいて、プロセスを評価できるようなことを今議論しております。
これは津下先生がワーキンググループの御担当ということで、いろいろ御検討いただいているところかと思います。いろいろ課題は難しいところだと思いますけれども、いい保健指導をしたらちゃんと効果がある、残念ながらあまり十分やっていなかったところは効果がなかったと。だから、改善の余地がきちんと分かるような指標化を目指していきたいと検討しているところです。
それから、2番目がこれとも関係しますけれども、健康づくりに関する大規模実証事業の検討会、有識者会議も担当させていただいています。こちらは御存じのように個別実証事業として、厚労省は個別実証事業は健康局になりますか。あとは経産省が個別に実証事業を研究者に委託して進められています。この成果が、まさにこの2年くらいでいろいろ出てくると思いますので、この成果は今回のデータヘルス計画作成のタイミングにどうなるか分からないんですけれども、この大規模実証の成果は、ぜひ何らかの形で参照すべきなのではないかなと思います。うまくいく話であれ、うまくいかなかった話であれ、参照すべき必要があるかなと思います。
それから3点目なんですけれども、AMEDと経産省のほうの事業で、予防・健康づくりのヘルスケア社会実装事業というものが今年からスタートしています。これは生活習慣病や高齢者や、女性の健康やメンタルというところに特に焦点を当てて、関連する学会を主体として、健康づくりや予防のためのエビデンスのレビューや指針づくりということを採択して、まさに今月、採択が決定するところです。ここも3年の話で、2020年から24年にかけてです。この成果もぜひ参照していただく必要があるかなと思います。
特に経産省は産業化ということもかなり考えられていて、今のアプリを使った様々な生活習慣の改善やメンタル系のアプローチがあるかと思います。このアプリを使ったデジタルヘルスについての適切な方向づけということも、今回の事業でやるというふうになっております。ぜひ情報共有していただければと思います。
最後ですけれども指標についてで、今回は保険局で特に保険者の方々が多いので、やはりワークプロダクティビティー、労働生産性について何かアプローチできないかなということも思いました。これは、最近はよくアブセンティーイズム、プレゼンティーイズムという話も出てきているかと思います。特にプレゼンティーイズム、両方ともそうですけれども、メンタル不調や不眠、睡眠障害ですね。メンタル不調や睡眠障害。睡眠については、特定健診の問診項目の中の1つだけですけれども、睡眠の話が1つだけは入っています。十分活用されていないのではないかなと思うので、もう少し見ていったほうがいいかなと思っております。
それと、あとはプレゼンティーイズム、アブセンティーイズムは、女性の健康ということが非常に強くリンクしてくるのかなと思っております。ということは、いろいろなところが縦割りにいくのではなくて、うまく連携していければいいなと感じました。まずは以上です。
○古井座長 ありがとうございます。今、中山先生がおっしゃった、例えば大規模実証の成果やアウトカムの見える化は、多分、保険者さんが外部委託を使うときにもすごく参考になる、ぜひ活用できると良いですね。
○中山構成員 ありがとうございます。今回、成果自体が、保険者さんがどんな企業、どんなところに発注したらいいかという目利きをするときのチェックポイント、こういったことをやっている業者だったら発注してもいいという、そんな手がかりにもできるのではないかなと考えています。
○古井座長 すごくいいですね。ありがとうございます。本当にいろいろな情報をいただきましてありがとうございます。あとはやはり被用者保険におけるワークプロダクティビティーのところは、例えば先ほど津下先生がおっしゃったコラボヘルスとか、事業主にとってもいい指標かもしれないですね。
○中山構成員 そうですね。
○古井座長 分かりました。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして秋山構成員、よろしくお願いいたします。
○秋山構成員 健保という立場から現実に健保はデータヘルスをどう回しているのか、そこからの問題点などをお話しさせていただきたいと思います。
先ほど、趣旨として説明のあった、健康寿命の延伸、医療費の適正化は本当に大事なことだと思います。健保において、それらの目標に対して保健事業を検討していくとき、現実として、大きな2つのことがあります。1つは課題の一番上にあるようにマンパワーの問題。2つ目は健保の財政状況の問題。やはり保健事業を行う場合、財政状況に見合わない保健事業はできないという制約があり、この2つの問題が現実としてある中で、いかに有効な保健事業、データヘルスをどうやっていくかを考えます。
最初の計画策定・公表のところに、「小規模においてはマンパワーの観点で」という課題認識がありますが、ある程度の規模の健保でも、マンパワーの課題はあると思います。健保では、電子化やマイナンバーのことなど事務的に推進していかなくてはならない、色々なものがありますが、そういった状況下で決してマンパワーに余裕があるということはなく、また、人を増やせばいいではないかという問題でもありません。財政状況は組合の皆さんに明示しており、どうにか人のやり繰りをしています。
それと財政状況の観点で言うと、予算の中で保健事業費も毎年組んでいますが、企業や国の仕組みと同じように思います。その予算を組むときに、現状では、保健事業の中で一番予算を充てなくてはならないかというと、それはご承知のとおり特定健診・特定保健指導です。これは、単価が高いということもあって、全員に保健指導をやりますとなると、結構大きな予算を充てなければなりません。まず特定健診・特定保健指導を引き当てた後で、現実、どれぐらいの保健事業費を確保できるか考えます。データで分析して、何がやらなければいけない事業であるか、そういうことを考えてやっていきます。次に、具体的にこれをやりましょうといったときに、健保から該当する事業者を見つけることはなかなか難しく、紹介による場合も多くなります。お話を聞いて内容が我々の目指すものに合っているかどうかなどを見極めながらやっていますす。
より内容が合う業者者も他にいるのではないかということもありますが、残念ながらそう時間とマンパワーも制約されているとそこまでできないということがあります。共同事業などで多くの健保で取り組んでいくのもひとつの有効な手段と思います。どういう保健事業があり、どういう効果を出しているのかという情報基盤あればより有効な保健事業というものがつくれていくのではないのかなと思います。
もう1つは、やはり保健事業によっては意外と単価が高いということが時々あります。そうしたときに費用対効果が課題をなりますが、どこの健保も保健事業の費用対効果をどうやって見極めるかという悩みがあると思います。そういう中では、ある程度、定性的なものでも、どういう実績を上げているか情報もあればと思います。先行的な取組は、今からそういうものが出てきますということもあり、マッチした保健事業に出合うということが、難しいということもあります。
コラボヘルスということでは、色々な取り組みがありますが、企業側の理解が重要になります。例えばこういう保健事業に取り組みとしたときに、人を募集するとき、健保だけの募集能力だと、残念ながらそんなに人が集まらない場合があります。コラボヘルスで、企業が理解して積極的に推奨してくれる仕組みが必要となります。保健事業をやるときには、そういう仕組みも結構大事になってくるのではないかなと思います。
データヘルス計画を検討する中で、あまり複雑なものになると、現実的には一健保で行うわけですから、実務面で重荷になることがあります。先ほど言ったマンパワー以外に、小さな3人ぐらいでやっている健保などではとてもとても吸収できないということに成り兼ねません。マンパワーが小さなところでもやれるような仕組みを、ぜひ考えていただければなと思っています。
私からは今のところこんな感じです。
○古井座長 ありがとうございます。本当に健保さんの現状で、職員は3人とか4人が一番多いと伺っていますので、実行性のある、受入れ性のあるプログラムでないといけないのかなと改めて思います。ありがとうございました。
それでは河本構成員様、よろしくお願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。本日の論点に挙がっている指針の改定について若干申し上げます。前回、平成28年に指針が改正されたときは医療保険制度改革関連法の成立によって、保険者が実施する保健事業に健康管理や疾病予防、それに向けた加入者の自助努力への支援が健保法に明記されたということを受けた指針改正と認識しております。そういったことから、今回は指針の改正自体をどうするかというか、改正が必要かどうかという点で言うと、既に健保組合は健保法の150条に基づいて、個々の組合で加入者の特性に応じた健康増進や疾病予防といった取組を展開しておりますので、そういうことを踏まえると、指針の改正は法改正等による変更の反映程度にとどめてもいいのではないかなと考えております。
具体的には、今年1月の全世代対応型の社会保障制度を構築するための健保法の一部改正において、40歳未満の被保険者の健診情報を求めることが可能になったということがございますので、こういったことが指針の改定に入ってくるのかなと考えているということです。
それから、第3期に向けて、データヘルス計画の作成の手引において、先ほど先生方のお話にもありましたが、女性や高齢者の活躍など社会情勢の変化を踏まえた新たな健康課題として女性の健康問題やロコモなどの対策が社会的にも極めて重要なになってくると認識しております。私ども健保連でも今後取り組むべき課題と提言しておりますし、健保組合にもそういう方向での取り組みを推進するよう申し上げております。そういったところも今後データヘルス計画の作成の手引などに盛り込まれていく必要があるのと考えております。
これとは別に、データヘルス計画は今年で8年目になりますが、個々の保険者はそれぞれでデータヘルスの評価を行っていますけれども、国全体としてもデータヘルス計画を推進する観点から政策評価を可能な範囲で示すことも必要と思っております。そこでの検証により、政策全体としての効果もさらに高まるといったことになると思いますので、国としての政策評価もお願いしたいと思っております。
○古井座長 ありがとうございました。指針の見直しや手引にそれを盛り込むかとか、位置づけのところもアドバイスいただきまして、どうもありがとうございました。
それでは末原構成員様、よろしくお願いいたします。
○末原構成員 東京実業の末原でございます。
まず、東京実業健保組合は総合健保組合といいまして、同種同業の事業所が集まって健保組合を構成しています。今、被保険者数が30万人、被扶養者が15万人、加入者数でいくと45万人の、ある程度、大きな健保組合で、事業所も北海道から沖縄まで点在している状況でございます。また、全国の総合組合の現状でございますが、直近では令和3年度の決算の状況ですが242組合のうち、約6割の145組合が赤字という状況になっております。
データヘルス計画の本来の目的は、医療や介護の質を向上していくために出てきたものであって、厚労省さんが言われた医療費適正化までは、保険者としてはそこまで考えられない。先般来、話が出ておりますように、医療費という財源論で話をすると、保健事業には経費がかかるわけです。やればやるほど経費がかかるので財源が必要だということになっているのが、今の事業の実態ではないかと思っております。
もう1つ挙げますと、特定健診・特定保健指導でございますが、今はインセンティブということで後期高齢者支援金の加算・減算制度があって、これは健保組合では大変評判の悪い制度でございまして、加算したものを減算するところの原資にして帳尻を合わすというか、言い方は変ですけれども、人のふんどしで相撲を取っているような感じも見受けられるのではないかなと思っている次第でございます。
加算制度も1つの制度ですので、今どういう状況になっているかというと、そういう実施率のボーダーが今後上昇していくということになろうかと思いますけれども、今、コロナの関係もあって、なかなかそういう健診、特に被扶養者の健診が上がっていない。あとは特定保健指導の実施率が低迷しているという中で、ボーダーがどんどん上昇していくのに対して、保険者がそのようについていけるかという問題も出てきている。
また、加算の対象にならないために、総合評価指標にある取り組みによって加算対象から免れるという、そういう1つの手法になっているところで、今後いろいろな事業を考えるのはいいんですが、保険者としてどんどん事業が増えていくことで、先ほど言ったように経費、財源の問題も懸念している。また、今後の事業がどうなっていくかという、財政運営にも関わってきますので、ある程度の保険者の規模もそうでしょうけれども、考え方が反映されるようなものをやっていただければなと思います。
もう1つは、コラボヘルスが推奨されているわけですけれども、先ほど言ったように当健保組合は事業所数も3,000事業所と相当数にのぼることから、データヘルス計画を実施していく上で、事業所の協力はどうしても必要だと思っております。どういった形で事業所に勧奨していくとか、そういうものをある程度、具体的に示していかないといけないのではないか。
ある意味では各事業所の事業主の方に膝を詰めてというか、直に出向いてそういう状況を説明して今後の保健事業をお願いするなど、そういった具体的な活動を明記していければ、我々保険者としても汗をかいてやっていく価値があるのではないかと考えます。
○古井座長 ありがとうございます。総合健保さんの実情も踏まえて、課題の提起をありがとうございました。最後におっしゃった事業所との連携も、スコアリングレポートなども普及し、何か具体的な方策を手引などに書き込むというのは、あり得るかもしれないですね。
○末原構成員 そうですね。
○古井座長 分かりました。どうもありがとうございました。
それでは、続きまして中島構成員様、よろしくお願いいたします。
○中島構成員 協会けんぽの中島でございます。よろしくお願いいたします。
○古井座長 よろしくお願いいたします。
○中島構成員 協会けんぽで保健事業をやっている中で感じたことも含めまして、まさにこれは協会けんぽに対する宿題を自ら言っているような感じになるかもしれませんが、4点ほど申し上げられればと思います。
1点目は、まずこのデータヘルス計画における保健事業の指針の見直し等については、今後、来年度、各都道府県において作られていくであろう医療費適正化計画に盛り込まれる保健事業の内容、それから中山構成員に座長を務めていただいている健診・保健指導の見直しに関する検討会での取りまとめの結果、ここでは、私もメンバーに入らせていただいており、2センチ2キロという結果を出す保健指導という、そういう指標を入れようではないかという方向になっていますが、そうした医療費適正化計画の策定、健診・保健指導の見直しに関する検討会での取りまとめ等との整合性を取った形で、保健事業の指針を見直していく必要があるということだと思います。保険課も御認識されていると思いますが、そういうことが1つあります。
それから、2点目、3点目ですが、健診・保健指導の見直しに関する検討会でも出ていますが、すなわちアウトカム指標、結果を出せているかというところ、そこをそろそろ保健事業においても考えていくべきではないのかと思っています。すなわち、こういう保健事業はやっていますか、そしてどれだけの方がそういう保健事業を受けられましたかという、いわゆる量的なカバーや事業のメニューの多様化という形で、これまで保健事業をやってきて、それなりの成果が上がってきているわけですが、保険者に特定健診・特定保健指導の実施が義務づけられて10年以上でございます。本当に成果が上がっているのかどうかということを、改めて考える必要があるのではないか。
その意味では、2点目に申し上げたいことは、保健指導は効果が上がっているのかどうかということを、しっかり見ていく必要があるであろうということです。まさに保険者として、保健指導に対して事業コストを払っていますので、それがどこまで結果を出せているのか、行動変容を促せているのか、翌年の健診結果を見て、保健指導対象者から無事卒業されているのかどうか。結果を出せる保健指導になっているのかというところに力点を移していくことが、大切なのではないかと思っております。
そういう方向で健診・保健指導の見直しに関する検討会でも御検討いただいているわけですが、その場でも申し上げていますけれども、そうであるならば、効果を上げている保健指導というのは、どういう保健指導なのか。どういう教材、そしてどういうロジックで、どういうコミュニケーション、指導手法を使って、保健指導を受けている人の腹落ちするような、そしてそれが行動変容につながるような、先進的、効果的な保健指導の事例を収集して、そこで共通要素みたいなものを抽出して、それを横展開していくという取組も重要ではと思っております。それが2点目です。
それから3点目でございますが、これも同じ方向性の中でのお話ですが、いわゆる保健事業のメニューの多様化、カバー率の追求ということですが、そういう観点も引き続きやりつつも、やはり結果を出せるという意味では、あれもやっています、これもやっていますという総花主義から脱却して、各保険者がデータをしっかり分析して、何が最も優先的に取り組むべき重点課題なのかということを明確にして、そこに重点的に資源を投入していくというやり方も、あってしかるべきなのではないかと思います。
この1年間、2年間、これだけは確実にやり遂げるという形でのデータに基づいた重点課題の抽出と、その克服に向けた施策の徹底といったものも、これからは重要になっていくと思っております。総花主義的にあれもやっています、これもやっていますと、ところが、なかなか結果が出ないんですよねと言い続ける時代からそろそろ脱却して、これだけは見事に成功しましたという成功体験というものを、各保険者が自信を持って言えるような、そういう時代に来ているのではないかと思っております。
しかし、そのためには本日も御議論が出ていますが、ノウハウの蓄積、人材育成というものが大変重要ですので、そういう意味では国としてもそうしたノウハウ、さらには保健師、管理栄養士の人材育成に向けて、より汗をかいていただくことも必要ではないかと思っています。それが3点目。
最後に4点目、これは少し趣の違う話です。健保連の河本構成員から、40歳未満の健診データも保険者がいただくことになったという話がありましたが、改めてお願いは、事業者健診のデータを保険者が容易に入手できる環境をつくっていただきたいということです。一昨年末、保険局長と労働基準局長の連名通知で、事業者健診の健診機関と事業者の間の契約書のひな形が提示されて、この契約書に基づいて健診契約を結んでくださいと。そして、そのひな形の中には健診結果を保険者の求めに応じ健診機関が提供する、そういう条項を入れたということになっていますが、必ずしもこのひな形の契約書は普及していません。
これも何度も申し上げていますが、通知を出して終わりということではなく、それが実際に現場において浸透しているのか検証していただきたい。そうしないと、40歳未満の健診データを保険者が持てと言われましても、事業者から健診データをいただかないことには無理なわけです。しっかりいただける体制になっているということが、40歳未満のデータを保険者が持つ第一歩ですので、そこは改めて厚労省労働基準局が中心となって、本当にあの通知が現場で徹底しているのかどうかを検証していただいて、より普及するように、もう一汗かいていただければありがたいと思っています。
私からは4点でございます。以上です。
○古井座長 ありがとうございました。とても重要な視点で、データヘルス計画が進化していく必要な要素をお示しいただいたのかなと思います。特にアウトカムのところを当然見ていくという話と、それから重点的な、優先的な課題をきちんと絞るという考え方は資源の最適配分にも大事かと思いました。どうもありがとうございました。
それでは、最後になりましたが冨山構成員様、よろしくお願いいたします。
○冨山構成員 はい。よろしくお願いいたします。大局の部分は先生方や各健保の常務さん、専務さんがお話しされていたので、私は実務者という立場で少し細かいところをお話しさせていただきたいと思います。
39ページの項目に沿ってお話しさせていただければと思います。1つ目の計画策定・公表の部分です。1点目の計画策定を行うマンパワーの観点でということで、秋山さんからもマンパワーは非常に大事だとお話を伺いましたが、まず計画策定の一部には入りますが、計画立案以前の棚卸しがうまくできていないという現状がございます。実際の計画策定には人材教育が必要であること、また、今日は私が保健師としても出席させて頂いていますが、産業保健師のようなスタッフはもちろん必要だと思いますし、また、コロナ禍で、ICTの専門家というのも非常に重要だと思っています。産業保健スタッフやICTの専門家が健保内にいること、もしくは非常に近い外部にいることというのが、健保の今の保健事業をうまく進めることと、非常に関係があると強く感じます。
2つ目の事業メニューの部分は、40歳未満のデータの吸い上げが法的に決まりましたが、私どもの健保も協会けんぽさんと一緒で、データをなかなかいただけないような状態です。2008年、特定保健指導が始まる前は全ての年代のデータをいただいていましたが、そこを境にシステム上40歳以上のデータしか入手できなくなりました。この十何年間、手に入っていなかったのですが、これを機会にいただきやすくなったというのが現状です。女性や高齢者へのアプローチも大切ですが、40歳未満の若者者へのアプローチというのが、今後、再検討していけるいい機会かなと思っていますので、好事例を拝見しながら計画出来たらなと思うということが1つです。
あとは2点目のところで、後発医薬品の使用率のことが書いてありますが、今後も8割以上を目指すよりは、私どもは重複・多剤対策とセルメ対策が課題だと思っています。特に重複・多剤に関しては、案内や注意喚起をするに当たって、少し特徴的な方が多いという実情もあり、アプローチに多少躊躇することもあります。そのような場合にリスクヘッジしながら、いい事例を提示していただけるというのは非常にプラスかなと思っています。
事業アプローチの部分ですが、実は今回、共同事業に私の所属するデパート健保も手を挙げさせていただきました。これは希望ですが、主幹事として、できれば少し手間が減る、主幹事のメリットがもう少し見えてくると、非常に取り組みやすくなるかとも思っております。
飛ばして評価指標の部分です。共通の評価指標を導入していただいて、今年から23指標ということで、データヘルス・ポータルサイト内にデータを入れよう数字をつくってみました。結果、手元でやるには手間がかかることから、アウトソーシングの業者さんと一緒にデータをつくったというのが現状です。これが先ほどおっしゃっていたNDBからセットされて出てくるような形であれば、自健保だけではなくて、ほかの健保とも比較できるかと思い、非常に期待しているところではあります。
最後の連携の部分です。中間サーバが入ってデータ連携が行われるようになったとありますが、現場の感覚としては思ったより利用されていない感覚があります。連携はされているんだけれども、そのデータを利用できるかというと、実際、利用できているとは言い難い状態だとお伝えしておきます。
最後になります。データヘルス計画を回すにはコラボヘルスが基本と私は思います。また、健康経営を推進するにもコラボヘルスが基本にあることが望ましく、加入事業者のメリットにもなると思っています。ただ、健康経営をフォローしていこうと思うと様々な打合せや細かい業務の調整等が増えるのですが、これに関しては実は予算計上がなかなかされにくいため、内外からなかなか評価されにくいという部分があります。この点、コラボヘルスに対しての評価指標がどちらかに上がるようになると、非常にありがたいなと思っています。
すみません。細かいことをたくさんお話ししてしまいましたが、現場の現状としてはこんな感じです。今後ともよろしくお願いいたします。
○古井座長 ありがとうございます。実務的な視点で大事なことをたくさん教えていただきました。今、一通り先生方から御意見をいただきまして、私のほうでも最後にコメントさせていただきます。
1つ目は、今村先生や津下先生からもお話があったんですが、データヘルス計画で目指す世界観のようなものを改めて、これは手引なのかもしれませんけれども、明記していくといいのかなと思いました。最初の制度設計から関わられた中島構成員からお話がありましたが、制度が大分進化していますので、アウトカムである国民の幸せのためにというところを明示していくのと、評価指標をそれに応じて導入していくということだと思いました。
2つ目は津下先生からもお話があって、その後、健保連の河本専務からもありましたが、女性の活躍や高齢化、両立支援など、健保を取り巻く職場の状況を踏まえた指標化というか、単に血圧が下がるだけではなくて、今の社会課題に応じたアウトカム指標の検討というのは必要かもしれません。また、冨山構成員からもありましたが、できればNDB等から、毎年、自然に効果検証ができるような、データのプリセットをできる項目が多いとよろしいのかなと思いました。
それから今村先生、その他、多くの方からもありましたが、人員が健保さん、協会さんとも、それほど潤沢なわけではなく、むしろ不足されているという中で、外部委託をうまく使うとか、あるいは共同事業化で小さなところをサポートしていくときに、人材の育成のところと、それから知見のノウハウの共有というのは、恐らくセットでやらないといけないと思います。やはり人材育成のところは限界があると思いますので、なるべく簡潔で分かりやすい知見の見せ方や、中山先生の委員会でやられている大規模実証の成果をこれからビルトインされていくと思うんですが、そういうことをなるべく分かりやすく健保の皆さんにも提供していくことが大事かなと思います。
それから、今日は細かい議論にはなりませんでしたがポータルサイトの中身、特に効果が出ている保険者さんの内容を共有化していく。これはいろいろ御意見を聞くとお金のところや、あとは社員の健康状況なのでなかなか共有化しづらいという健保さんもありますし、一方でどんなやり方をやっているのか、ぜひ共有化したいという御意見もありますので、今後、データヘルス計画のどこまでを共有化していくかというのも、1つ重要な課題かと思っています。
そのほかに、コラボヘルスというものが次の時代を迎えているので、具体的な協創のやり方を手引などに入れたらいいのではないか。被扶養者の保健事業の難しいところについても。それから、今日議論には挙がりませんでしたが、健保や協会けんぽから、退職して国保に移るときのバトンタッチや情報共有をどうするか、その辺もこれからの時代、重要かと思いました。
今日の1時間で、世の中でデータヘルス計画周辺で起きていることが分かって、大体の課題も見えてきたところなんですが、まだ少し時間がございますので、何か最後に御意見そのほかがあればと思いますが、何かございますでしょうか。
今、事務局から確認で、末原構成員から赤字の年度が何年かというのがあったんですが、平成何年とおっしゃいましたか。
○末原構成員 令和3年度です。令和3年度の決算状況です。
○古井座長 ありがとうございます。では、お手を挙げていただいて、五十嵐先生、お願いいたします。
○五十嵐構成員 何人かの先生方から費用対効果のところについていろいろとお伺いしました。中山先生から、いわゆる労働生産性までを含めた見方とか、あるいはほかのプロジェクトとの横並びの評価という話を頂きました。また今村先生から、我々の論点の分け方からすると、関連医療費と非関連医療費のような、「予防によって延命した結果、別の病気の医療費がかかる」問題も提起頂いています。データヘルスでどこまでできるのかどうか分かりませんが、あるグループはかなりお手盛りの推計を実施して、医療費は1000億円削減されますのようなデータを持ってきた。別のグループは、きちんと推計した上で、医療費が50億円増加するというデータを持ってきた…のような時に、臨床試験と違って研究そのものの質を評価しづらい分野ですので、前者の「お手盛りで1,000億円削減」がよい評価を受けてしまう可能性は高いです。
もちろんこの検討会は費用対効果だけをみるものではありませんが、何らかの取り組みを実施して、費用対効果「のようなもの」を見るとしたら、お金の変化だけでなくて効き目の変化もちゃんと見ましょうとか、全く同じことを大規模実証の検討会で1年半ぐらい前に言っていたかもしれませんが、最低限「費用」と「効果」にどんな要素を組み入れるべきか?あたりはルールを明示しておかないと、先ほどのような正直者がばかを見る事態、すなわちいい加減に推計した方が良い結果が出て、高い評価を受けるような事態が生まれてしまうかなと思いました。
そして、例えば生産性損失なんかに関しては、やはり結構、どんな指標を使うかによって値が変わってきたりするので、その辺りは、先ほど私はちょうどモデルケースみたいな話をしましたけれども、例えばもし取るとしたら、やり方の例を1つ提示してもいいのかなとは思いました。
○古井座長 ありがとうございます。国全体の検証も大事ですけれども、保険者単位で検証する場合の何か設計のヒントとか、そういうマニュアルなんかもあるといいのかもしれないですね。
○五十嵐構成員 はい。例えば小さいところが全然慣れていないコンサルさんに丸投げすると、そういうところは何億削減みたいなデータだけがぽんと出てきて、真面目にやったところはあまり削減されないとなると、やはり横並び比較ができなくなってしまうリスクがあります。ですので、やるんだったらこういうことはちゃんとやろうねというのが、あってもいいかなと思います。
○古井座長 分かりました。どうもありがとうございます。それでは今村先生、お願いいたします。
○今村構成員 今の五十嵐先生の意見に全く賛成で、言おうとしている意見もほぼオーバーラップしました。ぜひ言いたいのは効果検証の話は出ていますけれども、やった後で効果検証しようとしても難しいんです。ですから、やる前からちゃんとフレームを決めて、効果検証できるようにデータを取ってやってほしいというのが心の叫びのようなものです。
実際にNDBや特定健診のデータをもらっていますけれども、取ったデータの中から検証するのは、目的が違うからなかなか難しいんです。ですから、効果検証するんだったらこういうデータを集めて、こういうアウトカムだったら効果検証ができるだろうということを前提に、前向きに、だからコホート的に追いかけていただくということがとても重要なんです。
保険者の中で熱心な方は頑張って追跡してくれるんですけれども、どうしても人が替わると、追跡して3年後の結果を見るということに対して、あまり興味を持ってもらえなくて、今分かる範囲でやってくださいということが多いんです。でも、実際には追跡調査ですからフレームを決めて、これとこれのデータを取ったら、こういう結果が分かるはずだということを、最初に決めて追いかけてもらうということが必要なので、ぜひフレームを提示する。効果検証を後からするのではなくて、こういう効果検証をするということを、先に向けて前向きにやってもらうということが、とても大切だと思いますので、ぜひお願いしたいなと。
実際データを扱っていて、データは大概匿名化されていますので、匿名化された情報をもらって追跡してくださいと言われるんですけれども、わざわざ個人が特定できないように匿名にしているやつを名寄せするという、全く本末転倒なことをやっているんです。それは間違っていますので、ぜひ最初からフレームを組んでやってほしいと思っています。今村からは以上です。
○古井座長 評価者からの叫びのような課題提起を、本当にありがとうございます。保険者さんがなるべく簡潔に使えるような、そういったものができるといいのかなと思いました。ありがとうございます。それでは冨山構成員、お願いいたします。
○冨山構成員 ありがとうございます。今、今村先生の話を伺っていて、私も現場で研究など、いろいろ振り返りをするのですが、とにかくほとんどが後ろ向き研究になります。あれもない、これも足りないといって、できるところはここまでで、いつも研究限界として提示してしまうという現状です。最初からフレームがあればいいと言っていただけると、共通したデータが取れて非常にありがたいなと思いました。
別件ですが、共通の評価指標のところで23項目ございますが、当健保では5がんの部分のデータ取得が非常に困難です。まず受診率というところで、ここはJAL健保さんとかだと、しっかりやっていらっしゃるとは思うのですが、当健保ですと、まずは検査実施、そして精密検査の受診フラグ立てるところから始めなければいけない。真っさらなデータからつくり始めるという状態です。
もう1つは、歯科です。歯科はどちらの健保さんでも医療費が高い状態だと思うのですが、ここに関しては、一律、取得可能な指標がないために今回は設定されていません。ここに関しては何かしら指標をつくるべきだなと強く思っています。難しいところではありますけれども、医療費の適正化に非常に関与する部分かなと思っています。ありがとうございました。
○古井座長 ありがとうございました。
それでは津下構成員、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。事業評価の指標として、短期的に動く指標と、長期的評価の整理が必要です。例えば、保険者異動してもデータをつなげて追跡しないと、透析医療費への影響を見出すことは難しいと思います。なぜかというと、就職先の異動や退職にともなって、健保から協会へさらに国保、後期高齢、ある場合には生保になってというふうに動いていきます。保険者から退出された後の追跡までやらないと長期的には観察できないものもありますから、データヘルス計画という6年間でどういうアウトカムを見るのが、どういう指標で見ていくのが適切なのかということをしっかり示していくことが必要と思います。一方で研究的には、ずっと保険者をつないで見ていかなければならないと思います。
国保で言うと国保と後期高齢とKDB上でデータの突合が可能となったので、ようやく国保の事業のアウトカムを追いかけられるようになってきたと思います。そういう意味では大きな医療費が発生する事象が起こるのが結構後になってきます。後期高齢者の加算・減算は、後期高齢者の医療費支援をどうしようという話でもありますので、それは研究的にちゃんとやらなければいけないことだと思います。しかし、データヘルス計画で押しなべて全ての保険者にやってもらうには厳しい状況もありますので、短期的にきちんと事業評価できる指標を設定していくのが大事かなというのが1点目です。
2点目は事業の効果を見たときに、マクロ的な指標で効果があったとします。それが本当に事業に参加したこのの結果なのかどうかを見ていくことは大切と思います。事業に参加した人、参加しない人かのフラグがついていないと、評価が難しい。例えば特定保健指導はした・しないが分かるので、事業実施の効果がなんとか評価できます。事業の参加履歴の情報がない限り、評価できないのではないかなと思います。これは全ての事業を対象にするのではなくていいと思いますけれども。ハイリスクアプローチ的なもので、例えば受診勧奨事業とか、そういうものであれば誰に対して行って、行った人の受療がどうなった、行っていない人はどうなったというふうにして、働きかけの有無がちゃんと把握できることが必要です。働きかけの有無が分からない限り、幾ら実施率が高くても、必要な人にアプローチできたかというのは分からないと思いますので、参加・非参加のものを考えるということを考える必要があります。
一方、加入者全体にカバーするような、ポピュレーションアプローチ的なものについては個人を追跡するという発想よりも、集団全体が移動したかという指標でいいですよと。なので、運動のプログラムに参加したかどうかのフラグをつけましょうと、いうと、粗pコマでする必要がないかもしれないと思います。ポピュレーションアプローチ的なものは、ポピュレーション全体がどちらに動いているかという評価を、例えば性・年代別に分けて見ていくとか、事業所別にみていくとか、そんな感じでいいのではないでしょうか。コストをかけて行うハイリスクアプローチについては、そのコストが見合っているかを確認する。介入・非介入でどんな差があるのかというのは、それは保険者さん自身のデータで見られることではないかなと思います。保健事業費的に一人当たり高額な介入や検査をした対象者が、本当に治療につながってコントロールが改善したのかというところまでは、保険者の中で追いかけられると思います。ということで、事業評価については、一律の方法ではなく、その事業の性格やコストからグループ化して、評価指標を示していくのがいいのかなと思いました。
○古井座長 津下先生、ありがとうございます。今回、アウトカムを重視するという流れだと思うんですが、その中でも評価指標の設定が、目指す像そのものを示していると思います。それから、先生から今いただいたナショナルデータベース等で国全体で見る効果検証と、個別の健保さんで見る実証とで、要素を分けて見てもいいということでしょうか。
○津下構成員 はい、そうですね。だから、こういう事業において本当に効果があるかというのは、きちんとデザインを組まないといけない。追跡の脱落者が多いデータでは物が言えないという。それは冨山さんがおっしゃったんですけれども前提条件になってしまうので、その中で何ができるかという評価、保険者が手応えを感じるような指標立てをしていくのが必要かなと思いました。あまり大きな人生をかけた目標というのは、なかなか短期に結果を出すのは難しい部分があるのかなと。
○古井座長 ありがとうございました。
それでは、大体御意見をいただいたところで、中山先生からのコメントをチャットにいただきました。ありがとうございます。五十嵐先生、今村先生の御指摘の点についてということで、大規模実証でも必要とした経費の記録をということで、すばらしいことかなと思います。ぜひうまくいくといいなと思います。
○中山構成員 ありがとうございます。正しくは五十嵐先生からコメントをいただきまして、介入のコストの部分ということになります。これ自体も実験的な取組ですので、またぜひ共有させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○古井座長 ありがとうございました。
それでは、事務局にお戻ししたいと思います。
○吉井保険課長補佐 ありがとうございます。本日は貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。いただいた御意見、御助言を踏まえまして、第3期に向けた見直しの方向性の検討を進めてまいりたいと思います。引き続き御指導をお願いいたします。
それでは、特にございませんようであれば、「第3期データヘルス計画に向けた方針見直しのための第1回検討会」を閉会したいと思います。誠にありがとうございました。
(了)