第119回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和4年5月25日(木)13:00~15:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省 職業安定局第1会議室)

議事

○山川分科会長 それでは、定刻となっておりますので、ただいまから第119回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして大変ありがとうございます。本日は、小原委員、中川委員が御欠席です。
本日の分科会も、Zoomでのオンライン開催となります。開催に当たり、事務局から説明があります。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。本日も、Zoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たり、簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。
本日、分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中にトラブルがありましたら、事前にメールでお送りしています電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 それでは議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。本日の議題は、(1)が「意見書(案)について」、(2)が「その他」となっております。では、議題(1)について、まず事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは、資料1に基づいて御説明申し上げます。「今後の障害者雇用施策の充実強化について(案)」というものです。2ページからです。2ページには、今回の検討に至った経緯を書いております。民間企業の皆様方の御努力により、障害者雇用は着実に進展していますが、一方で質の確保だったり、あるいは雇用・福祉連携だったり、多様な就業ニーズの高まりの中で課題が見えてきているということです。雇用施策、福祉施策の連携強化についての検討も進めてきました。また、前回改正の際に取りまとめられた意見書の中において取り扱っていたテーマについても、引き続き検討とされているものが多くありました。これらを踏まえて、前回改正施行後の3年をめどとした検討規定に基づき、今回、分科会において検討を進めてきていただいたということです。
以下、結論ということでまとめております。第1として、雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化です。先ほど申し上げたように、数としての進展というのは大きく進んできました。一方で、数の確保を優先するような動きというのもみられており、障害者が個々に能力を発揮していただけるような、いわゆる雇用の質を向上させる取組というのが求められているということです。
3ページです。今回、雇用後においても障害者の方の活躍を促進していくということに特に重点を置いて、キャリア形成の支援を含めて、適正な雇用管理をより一層積極的に行うことを求めることが適当であるとしています。このキャリア形成に当たっては、資格取得の促進あるいは職業訓練、研修機会を設けるといった能力開発を行うことの重要性や、こうした取組自体が障害者が働き続ける上でのモチベーションやエンゲージメントの向上に資するといった意見、また、特に合理的配慮は当然のことながら、持てる能力を発揮していただけるということで言えば、障害特性に応じた業務の選定や再構築ということを、採用時のみならず、雇用継続期間中を通じて適宜実施していただくことが望ましいという意見がありました。一方で、こうした企業等の取組に対して、ハローワークもマッチング支援等を強化していくことが適当としています。
加えて、障害者雇用の質を高めるといった観点からは、定着支援というのが重要であり、そういうことで、助成金支援の充実、特にジョブコーチの活用を促進することが適当といった意見、また、この際、特に視覚障害ということでの具体的な御意見もありましたが、障害種別に対応できるジョブコーチの育成が重要という意見がありました。また、少し将来的な観点ですが、こうした事業主の雇用の質の向上をということであれば、その評価の手法を検討するということが考えられるといった意見もありました。
第2としては、障害者雇用と障害者福祉の連携の促進ということです。本件については、雇用施策、福祉施策の連携強化に関する検討会報告書がまとめられ、そちらからお示しいただいた方向性を基に、当分科会でも議論をしていただいています。主に3つの観点です。
まず、第1点目がアセスメントの強化です。4ページ以降です。検討会報告書の方向性も踏まえて、当分科会において議論いただき、次のポツからですが、アセスメントの必要性を判断する考え方や実施方法、連携の必要な場合の考え方等について、改めて整理していくということ、それから、ハローワークから関係機関への誘導等の支援を行うに当たってのアセスメントの強化ということ、また、就職後も必要に応じて適時アセスメントを実施して、定着やキャリアアップに向けた障害者と事業主双方への支援に活用するということです。
併せて、今回、福祉サイドで就労アセスメントの手法を活用した新たなサービスを構築するという検討が行われていますが、こうしたサービスを受けて一般企業にチャレンジしていくということで、ハローワークを訪れた求職者等については、こうしたアセスメントの結果も参考としながら支援を行っていくということで連携を図っていくということです。こうした福祉サービスにおいて、障害者職業センターにおける知見が活かされるように連携を図っていくということを記載しております。それから、アセスメントを実施する人材育成という意味で言えば、ハローワークの職員の専門性の向上について重要であるというような御指摘を頂いています。加えて、企業でのアセスメント結果について、ハローワークにフィードバックをしてもらうことで、ハローワークにおけるマッチング精度を高めることが適当という意見も頂いています。
2つ目の点です。障害者就労を支える人材の育成・確保ということで、検討会報告書においては、基礎的研修の確立というのを1つの方向性としてお示しいただき、作業部会において具体的な検討が行われています。これを踏まえて、当分科会においては、まず1点目ですが、基礎的研修については一定レベルの習得を目指し、修了後には基本的な支援を開始できる人材像というものを設定しています。2つ目として、実施期間3日以内、概ね900分以内として、一部オンラインの活用も可能とするということです。それから、受講を必須とする方については、当面、移行支援事業所の就労支援員、就労定着支援事業の就労定着支援員、ナカポツセンターの就業、生活それぞれの担当者ということで、直接的に企業における就業あるいは定着に関わってくる方たち4者を設定しています。実施に当たっては高障求機構が実施するということに加えて、大臣指定のジョブコーチ養成研修実施機関を活用していくという方向性になっております。また、基礎的研修については、効果検証を行った上で効率的な運用と研修内容等を適時、適切に見直していくことが適当としています。
3つ目が、地域の就労支援機関の役割分担ということで、検討会報告書においては、主に地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターについて方向性が示されました。これを踏まえて、分科会においては、まず障害者職業総合センターについて、現在も中核機能を果たしていますが、地域障害者職業センターと連携して基礎的研修を実施するとともに、地域の就労支援機関等に関する助言・援助を強化するということです。また、地域障害者職業センターについては、基礎的研修を実施するとともに、個別のオーダーメイド型の人材育成の提案を行うなどして、地域の就労支援の基盤整備を図るということです。障害者就業・生活支援センターについては、基幹型の機能を位置付け直して、地域障害者センターとの連携を強化するといったことでまとめております。
第3としては、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進ということです。6ページに移ります。1点目としては、障害者雇用率制度における障害者の範囲ということで、(1)週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者の取扱いということです。雇用率制度においては、職業生活の自立という観点から、10時間以上20時間未満の方については、雇用率制度上の評価はされていません。そうした中で、現実的にはこういった働き方を希望される新規求職者、若しくは実際にそういった働き方をされている方々、特に精神障害者でそういった方が多くなっているという状況や、雇用後に一時不調等によって20時間以上働けなくなるという方に対しても雇用を継続していくことが望ましいという実態があります。こうしたことで、特にニーズの高い精神障害者、加えて、従来から雇用率制度上の適用上配慮している重度の身体、知的の方について、20時間未満での雇用を希望する障害者、若しくは20時間以上での雇用が困難である障害者ということで、雇用率制度上に特例を設けていくことが適当としています。
具体的には、週10時間以上20時間未満の精神、重度身・知的、これらの方については、障害によって特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にあると認め、実雇用率の算定に加えていくことが適当としています。なお、A型の利用者については、支援の在り方等も踏まえて、今回の取扱いについては適用しないことが適当としています。また、算定に当たっては、1人をもって0.5カウントということで、本取扱いについては一律に適用期限を区切ることはしないことが適当としています。「ただし」として最後の所ですが、職業的自立を促進するという観点から、雇用義務の対象は週20時間以上の障害者としているという、この取扱いについては変更しないということです。
7ページです。こういったことで、少なくとも20時間以上の雇用に向けて、障害者本人、事業主、関係機関が努力をしていくということです。安易に週20時間未満の雇用が増えることのないように、障害者御本人の希望を前提としますが、ハローワークのアセスメントや医師等専門家の意見も踏まえた上で、20時間以上の就労の実現に向けて、各立場において努力していくと、そこを前提とした取扱いとするということです。また、20時間未満の雇用に留め置かれることがないように、法律上、努力義務を課し、御本人からの御相談等も含め広く相談に乗った上で、不適切な事例を把握した場合には、ハローワークがしっかりと雇用を指導していくことが適当ということです。今回の取扱いによって、直接的に就業機会の拡大を図っていくことができますので、特例給付金については廃止することが適当としています。
続いて、(2)障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の取扱いです。雇用義務制度においては、その前提として、まるいち 事業主がその対象者を雇用できる一定の環境が整っていること、まるに 対象範囲が明確であって、公正、一律性が担保されていることを前提としていますので、現在の制度において対象障害者の範囲は、身体、知的、精神ということです。また、取扱いに当たっては、原則手帳の所持者ということに限って運用されております。まず、手帳を所持していない精神障害者については、分科会においても自立支援医療受給者証をもって対象にすべきという意見があった一方で、その目的の違いということもあって、手帳と同一に取り扱うべきではないといった意見や、こういった受給者証についても、事業主への提出に抵抗を感じる障害者もいるのではないかといった意見もありました。また、医療受給者証のうち「重度かつ継続」を対象にしてはどうかといった意見や、個別の就労困難性を判断することが重要といった様々な意見があったところです。
発達障害については、比較的早期に診断を受けて手帳を取得する方も多いということですし、就職の支援に当たっては手帳の取得を促す支援が重要という意見もありました。他方で、そういった診断等あるいは本人の御認識が十分でないままに、就職後に様々な課題が生じるといった事例もありました。こうした場合であっても、障害者御本人の特性によって生じる課題は個別性が高いということ、一方で、適切なマッチングや雇用管理等により、活躍できる事例もみられたところです。
8ページです。難病患者については、一定の共通する点もありますが、その症状等によって個別性が高く、個人差も大変大きいということです。他方で、適切なマッチング、雇用管理等により、活躍できる事例もみられたところです。こうしたことで、手帳を所持していない発達障害者及び難病について、一律に困難性を認めることは難しいということです。
こうした全体を踏まえて、今回、手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の方については、就労の困難性の判断の在り方に関わる調査・研究等を進めて、引き続きその取扱いを検討していくことが適当としています。ただ、こうした検討が行われる間においても、個別性に応じた様々な配慮が活躍に必要ですので、ハローワークにおける専門的支援など、就労支援の強化を図ることが適当としています。
(3)就労継続支援A型事業所の利用者の取扱いです。A型の利用者については、当分科会において雇用率・納付金・調整金等の対象から外すべきという意見が多数あったところです。ただ、一方でA型の利用者に与える影響も考慮しながら慎重に議論すべきという意見もありました。また、福祉サイドでも実態等を踏まえて整理が進められているということですので、当分科会としては、雇用率制度からの除外の可能性も視野に入れながら、一方で様々な影響も考慮しつつ、引き続き検討することが適当としています。
9ページです。2として、精神障害者に対する障害者雇用率等の算定についてです。(1)精神障害者の算定特例の延長についてです。本特例については、平成30年4月から精神障害者の雇用が義務化されるとともに、令和4年度末までの措置として、短時間労働者を1カウントとする措置を設けてきたところです。この取扱いについては、特例を継続することが適当としています。また、継続に当たっては、新規雇入れ又は手帳取得から3年間という要件を外すことが適当としています。ただし、30時間以上の勤務を希望する障害者が短時間勤務のまま留め置かれることがないように、やはりハローワークといった行政機関が一定程度関わることが適当としています。この特例の期間については、当分の間、継続としていますが、重度に係る検討について一定の整理がなされた際に、改めて検討することが適当としています。
(2)精神障害者に係る重度の取扱いです。現在、身体・知的障害と異なり、「重度」という取扱いがないということで、本件についても様々な御意見があったことを踏まえて、直ちにこれを設けるということではなく、調査・研究等を進めながら、それらの結果等も参考にしつつ、引き続き検討とすることが適当としています。
3点目、長期継続雇用の評価です。当分科会においては、中高年齢者等、長期継続雇用に対して、事業主の取組について雇用率制度における評価を求める意見がありました。10ページですが、一方で年齢や勤続年数で一律に困難性を判断するということは適当でないという意見もあったことに加えて、障害者権利条約を批准している現状において、ダブルカウントという措置自体を継続すべきかどうかという議論が必要という意見もあったところです。これらを踏まえて、今回は中高年齢者等、長期継続雇用について、一律に就労困難性が高いとみなした上での雇用率制度での評価ということは適当ではないとしています。他方で、こうした継続雇用において、障害者に活躍していただくための様々な措置、事業主が実施する取組について支援する方向が適当としています。また、継続雇用に際して生じる課題に対して相談窓口を求める声もありましたので、障害者就業・生活支援センターの相談機能を強化することが適当としています。
第4は、障害者雇用の質の向上の推進です。本件については、納付金制度を中心に御議論いただいています。障害者雇用が大変大きく進展してきた結果として、現状においてはその数を評価する調整金や報奨金の支出が大半を占めており、障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組を評価する助成・援助が不十分になっているということが大きな課題となっております。障害者雇用について、その質の向上を図っていく上では、納付金制度の財政の安定的な運営に立って、限られた財源を事業主への具体的な取組に対して支援を充実していく方向で見直していってはどうかということです。
まず1点目は、障害者雇用調整金、報奨金による対応です。前提としては、高障求機構の事務の効率化や、助成金の精査等を含めて対応した上で、調整金、報奨金について、一定の場合に減額等を行うことが適当としています。具体的には、調整金については、その支給状況、財政削減の効果等を踏まえて、支給対象人数が10人を超える場合について、この超過分についての支給額を50%にすることが適当としています。一方で、報奨金については、調整金、報奨金の受給企業の実態の違いを踏まえて、35人超というところで一旦線を引いて、報奨金自体の納付の義務がない事業主に対して、奨励を目的として支給しているといったことも踏まえて、当該超過人数分に対しては支給しないことが適当としています。今回の措置で調整金が減額される企業については、実際にはこの調整金を定着支援や訓練等に活用している現状があるという意見を頂いたところです。そうしたことで、財政削減の今回の効果については、こうした個々の事業主の取組状況やニーズ等を踏まえて、支援策の強化に積極的に充てていく必要があると記載しています。
2点目、障害者雇用納付金の適用範囲の拡大についてです。納付金制度については、原則として、雇用義務のかかる全ての事業主に適用されるものと認識していますが、現状においては、常用労働者100人超の事業主にまで対象が拡大されている状況です。こうした中で、100人以下の事業主に対しての納付の適用範囲の拡大について御議論いただきましたが、今回、適用範囲ということについて、当該規模の事業主における障害者雇用が進展した上で実施することが適当としています。そのため、常用労働者100人以下の事業主における障害者雇用が進むように、ノウハウ不足の課題に対して支援をすることが適当としています。
具体的には、ハローワークにおいてのチーム支援の積極的な実施と、それに加えて、特に困難な障害者雇用ゼロ企業については、雇入れから雇用管理まで一体的な伴走型の支援を、障害者雇用に関する相談事業等、実績のある事業者に対してこれを措置し、その相談支援を受けることに対しての支援に当てていくということが適当としています。併せて、この場合、地域における身近な支援者としての訪問型ジョブコーチの活用が適当であるという意見がありました。
3つ目です。障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援として、各事業主の個々の取組を支援できるように、事業主のニーズを踏まえる形で助成金を充実させることが適当としています。具体的には、これまで御説明したように、中高年齢者の雇用継続に係る事業主の実施する取組についての助成や、特にゼロ企業等、障害者雇用が困難な中小企業等を中心にして、コンサルティングを行う事業者からの相談支援を受けることに対する助成といったことを行うのが適当としています。加えて、既存の助成金についても、事業主のニーズ、多様な障害特性の実態等を踏まえて充実させることが適当としています。
第5、その他の諸課題です。1点目、在宅就業障害者支援制度の活用促進です。通勤等に困難を抱える障害者の方の就労機会の確保ということと、そこから雇用への円滑な移行を進めていくということが重要という中で、在宅就業支援団体を増やしていくことが重要としています。今回、在宅就業支援団体の実態や本制度の運用状況等を踏まえて、団体としての一定規模の業務を継続的に受注できること、また、在宅就業障害者に対して支援等が適切に実施できる範囲ということを踏まえた上で、登録要件の緩和と申請手続の簡素化を通じて、団体の新規登録の促進を図ることが適当としています。
具体的には、団体の登録において、在宅就業障害者の人数の下限を10人としていますが、5人に引き下げるということと、これに伴って従事経験者を2人以上配置という要件を1名に引き下げることが適当ということと、管理者の要件について専任以外でも認めることが適当としています。加えて、登録申請に必要な書類を一部簡素化するということ、それから、雇用への円滑な移行を図るということで、ハローワーク等において障害者の雇用への移行ニーズを把握した上で、ここを積極的に支援していくことが適当としています。また、コロナ禍において特にニーズが高まっているテレワークについても、環境整備等必要な支援策を積極的に進めていくことが適当としています。障害特性にかかわらず、こうしたテレワーク等においてしっかりとアクセスできる環境整備を行うことが望ましいという意見がありましたので、記載しています。
2つ目としては、有限責任事業組合の算定特例の全国展開についてです。本件については、個々の中小企業では取組がなかなか難しい場合において、事業協同組合等を活用した算定特例の制度がありますが、これについて、より効果的な活用を図っていく必要があるとしています。この点、現在LLPについては、国家戦略特区において特例的に対象とされていますが、異業種の企業の参画がより期待できる、あるいは設立の手続が簡便であるといったことで、より一層、活用されていくことを期待するという中で、この取組について全国においてもその対象とすることが適当としています。LLPの全国展開に当たっては、改めてこの算定特例についての周知を徹底していくということと、現在は発注のみとしている算定特例の要件である「営業上の関係」の範囲を実態も踏まえて、共同販売や購入、運送も含めより活用しやすくすることが適当としています。
併せて、こうした要件緩和の一方で実効ある取組としていくために、労働局が雇用促進事業の具体的な内容を踏まえた上で、目標達成に向けて積極的な支援を行っていくことが適当としています。また、実施計画の終了時点において、取組の状況が余り振るわないという場合においては、次期計画期間において、きちんと目標を達成できるような形での支援を行っていくということ、併せて、そういったことを経ても目標達成が見込まれない場合には、算定特例の認定を取り消すことが適当としています。こうした運用の強化を図っていくということです。14ページ、「なお」として、この議論の中において、A型を特定事業主の対象外とするべきという意見がありましたので、記載しています。
3点目、除外率の引下げによる障害者雇用の促進です。除外率制度については、平成14年の法改正において廃止となっていますが、平成16年、平成22年それぞれ一律に10ポイントの引下げが実施されて以後10年以上、引下げが行われていないことが重大な問題であるという指摘や、廃止に向けてピッチを上げていくべきという意見があったところです。また、一方でこういった除外率設定業種での実雇用率においても着実な上昇がみられるといった状況も踏まえて、今般、除外率については一律に10ポイント引き下げることが適当としています。ただし、引下げに当たっては一定の準備期間を設けること、あるいは、当該業種における雇用の実態を踏まえて、障害者雇用の困難性が高い職種や中小企業に配慮したような支援が必要という意見がありました。
また、今般このような形で10ポイント引き下げるに当たって、一定の準備期間を設けて対応していきますが、当該引下げ後も、5年ごととされている雇用率の設定のタイミングにおいて、除外率についても段階的見直しをしていくことが適当としています。その見直しに当たっては、除外率設定業種の状況等も踏まえて、10ポイント以上引き下げることも含めて検討することが必要という意見がありましたので、記載しています。
最後、その他です。1点目、重度障害者等就労支援特別事業について引き続き実施状況を踏まえながら、より活用が図られるよう取組を進めることが適当ということ、併せて、もにす認定制度について一層のアピールをしていくという中で、認定企業を増やしていくこと、インセンティブを増やすこと、それから周知を強化していくことが適当ということで記載しています。意見書(案)については以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。進め方としては、はじめに意見書(案)全体に対する総論的な御意見を伺いたいと思います。その後に、各項目についての御質問や御意見を伺いたいと思います。この各項目につきましては、まず意見書(案)の第1及び第2を取り扱いまして、次に第3について質疑応答をしていただきます。その後は第4について、最後に第5についてというように、項目ごとに4回に分けて質疑応答をお願いしたいと思います。このような形で、まずは意見書(案)全体についての総論としての御意見がございましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、こちらで指名させていただいた後に、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
それでは、全体に対する総論的な御意見等はございますでしょうか。総論的な点はよろしいでしょうか。
本日御欠席の小原委員、中川委員から意見書が提出されております。小原委員からは、総論的な御意見ですので、こちらで代読させていただきます。「事務局からの御説明、御提案について、反対するところや修正を要求するところはございません。意見書に異議はありません。今後の議論のために、1点だけ感じているところを述べておきます。障害者の雇用機会の拡大と雇用の継続は、長期的な視点で、持続可能な制度によって達成しなければならないと思います。そのためには、障害を持つ労働者、持たない労働者、使用者という異なる立場から議論することが大切ですが、これに加えて、複雑すぎる条件を付けた制度や、労働者や企業、行政の手続負担が大きすぎる制度は避けるべきだと感じています」。以上が小原委員の意見書でございます。
次に、中川委員からは2つありまして、まず総論部分についての御意見を代読させていただきます。「取りまとめられた意見書(案)については、総対的に賛成いたします」。こちらが中川委員の意見書の総論的な部分についてです。その他については、また御紹介いたします。大谷委員、どうぞお願いします。
○大谷委員 ありがとうございます。育成会の大谷です。お世話になります。全体的に、正直なところを言いますと、少し前に進んでくれたかなという思いです。全体的に良い具合にはしていただいているのかと思うのですが、私たちの知的の面から考えた場合に、どうしても就業率というのが低いという問題があるので、重たい人たちも本来であれば働けるという環境が整えばいいというのが一番の眼目ではあります。この度の全体を含めた中で、やはり少しずつですが進んできていると感じています。一度に物事が進むとは思っておりませんので、またこれが次へのステップへとなってくれればいいのかなとは思います。アセスメントやいろいろ難しい面もあるとは思うのですが、取りあえず現段階においては賛成をいたします。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに総論的に御意見等はございますでしょうか。では、次に各項目についての質疑応答に移っていきたいと思います。
まず、意見書(案)の第1、雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化、それから第2、障害者雇用と障害者福祉の連携の促進、この2つの項目についてまとめて質疑応答をお願いしたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。意見書の第1については、基本的には賛成ですが、1か所だけ、4つ目のマルの所ですが、少し言葉を追加していただけないかなという思いがあります。すなわち、中途障害者に対する支援が重要だと思っています。これは身体障害と精神障害の2類型においては、中途障害者は相当数が存在あるいは発生するわけでありますが、その場合のキャリア形成や研修は極めて重要であると思います。そのまま離脱することなく、就労を継続するという面からも重要ですので、そのことを意識したところを入れようとすると、ずっと見ていて、ここしかないのかなと思った次第です。
したがって、この4つ目のマルの所、例えば「キャリア形成の支援に際しては」の後に、「中途障害者を含め」という言葉を入れていただくと、そのことは十分に意識していただけるのかなと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、内田委員からお願いします。
○内田委員 労働側の内田です。御説明ありがとうございました。雇用の質の向上と合理的配慮に関して、意見を述べたいと思います。
障害者雇用の促進や職場定着を図る上で、合理的配慮の提供は特に重要だと考えており、今回の法改正事項の雇用の質の向上の実現に向けて、各項目も含め、合理的配慮の提供の意義や必要性を記載すべきと考えます。特に、週20時間未満の短時間雇用や精神障害者の短時間特例の延長、除外率の引下げなど、今後就労を希望する障害者の就労の在り方や、新たに障害者雇用に取り組む企業にも関わることから、個別論点においても、合理的配慮の提供に関して記載すべきと考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では次に、長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 ありがとうございます。福島大学の長谷川です。私からは、第2の雇用と福祉の連携の促進の所、特にその中の2の人材の育成・確保について、意見を述べます。新たに基礎的研修を設けて、それに対して受講を必須とすべきものについて書かれていて、必須とすべきものについては意見書に書かれているとおりで、これまでも議論されてきたところなので、それで問題ないと思います。一方、就労継続支援のA型やB型の職業指導員や、障害者部会で議論をされているような新たにサービスとしてできるであろう就労選択支援の担当者の方の受講も認めていく必要があると考えています。必須ではないけれども、希望があれば対象になるのだというようなことも明記していただけるといいのかなと思います。始まったばかりだと、受講できる人の数も限られてくるので、最初の必須対象はこれで仕方ないとは思うのですが、将来的には必須受講の対象者も増やしていく、広げていくというようなことが書かれているべきではないのかなと思いました。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。私の意見としては、この意見書(案)の全体的な方向性については、おおむねこれでよろしいと思います。賛成でございます。それで、第1の雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化という部分で、2ページの35行目、事業主には「障害者雇用の質を向上させる取組が求められる」とありますが、意見書(案)の後半でも記載されているように、障害者の方自身も就業前能力の向上に努めていただきたいと思っております。これについては以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに、こちらの第1と第2の項目については、御意見、御質問等はございますでしょうか。
それでは、こちらについては特に御意見がございませんでしたら、次に意見書(案)第3、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進の部分についての質疑応答に移っていきたいと思います。こちらについても御質問、御意見等がありましたら、同様の方法で御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。まずは、御説明とこの意見書(案)として、これまでの議論の内容を踏まえて取りまとめいただいたことに感謝申し上げたいと思います。前々回の会合だったと思いますが、事務局からの提案に対して、企業の実務への影響が懸念されることから、検討したうえで後日見解を述べさせていただきたいと申し上げたところです。今回示されているこの意見書(案)には、事務局の提案内容も盛り込まれておりますので、この意見書(案)に対する見解をもって、前々回の回答とさせていただきます。
今回のこの第3の部分に関し、私から2点申し上げたいと思います。まず1点が、8ページ、1の(3)、A型事業所の利用者の取扱いです。A型事業所の利用者の取扱いにつきましては、雇用率制度、納付金制度の対象から外すべきとの方向性は共有できていると認識をしているところです。そこで、その趣旨をより明確にするために、8ページの最後のマルの部分にある「様々な影響も考慮しつつ」の後に、「見直しに向けて引き続き検討していくことが適当」という文言の追加を御検討いただきたいと思います。
また、今後A型事業所の在り方の整理とともに、雇用と福祉の連携強化が進められていくと認識しております。こうした動きをフォローアップする観点から、A型事業所の在り方に関する整理の進捗状況並びにA型事業所と一般雇用との間における障害者の移行状況について、是非本分科会で定期的に共有していただきたいと考えております。
2点目は、9ページから10ページにかけて記載のある長期継続雇用の評価についてです。10ページ、1つ目のマルの部分、「中高年齢者等、長期継続雇用をされている障害者について、一律に就労困難性が高いとみなして雇用率制度で評価することは適当ではない」とされています。以前から、この分科会において、長期継続雇用についての評価に関する意見を申し上げてまいりました。企業としては、長期継続雇用をされている中高年齢者の障害者がいることのみをもって、一律に雇用率制度において評価をしてほしいという趣旨で申し上げてきたわけではありません。雇用継続のために、事業者が取り組んでいる施策等について、客観的な指標を設定し、それを評価して雇用率にカウントできるように検討していただきたいという趣旨で申し上げたということです。
また、本日の意見書の中では、助成金による企業への支援が提案されております。具体的な要件あるいは内容が不明確であり、その是非についてコメントすることは非常に難しいと考えております。したがいまして、雇用の質の向上に向けた事業主の取組を雇用率制度で評価する指標については、引き続きの検討課題であると明記していただきたいと思います。第3について、私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。内田委員、お願いします。
○内田委員 労働側の内田です。1の(1)週所定労働時間10時間以上20時間未満の障害者の取扱いに関して、意見を述べたいと思います。今回、障害特性による長時間の労働が困難で、週20時間未満の短時間でも働きたいと希望する障害者のニーズを踏まえ、企業にインセンティブを付与し、週20時間未満を希望する障害者の就労機会の拡大が図られたことは、障害者の社会参画促進の観点からも重要だと考えます。一方、今回の措置はあくまでも特例的な取扱いであり、意見書(案)にも記載されている制度の趣旨や運用上の留意点に関して、企業や障害者、関係機関にしっかりと周知していただきたいと思います。
また、障害者自身の希望や障害特性を踏まえつつ、週20時間以上に移行できる可能性を踏まえ、企業や関係機関、障害者本人も含めて取り組むことが重要であるため、その支援の充実をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。山口委員、お願いします。
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。私からは、この第3の部分で2つあります。まず1つ目が、6ページの24行目にある障害者雇用率制度における障害者の範囲の4つ目のマルです。障害者雇用の範囲については、中小企業においても障害者雇用を進めていく観点から、20時間未満の短時間労働者を活用していくことは有効であると思います。その際、自社の雇用率を上昇することができるよう、20時間以上30時間未満の短時間労働者と同様に、0.5などをカウントしていただければ、企業としても障害者雇用に対する意識が拡大していくのではないかと考えます。ただし、短時間労働者の受入れは自社の実雇用率にカウントされるのであって、法定雇用率の計算式に短時間労働者を含めることを意図するものではありません。つまり、法定雇用率は維持したままとして、アップすることではないという点は、必ず明記していただきたいと思います。
次に2点目です。8ページの21行目です。就労支援A型事業所の利用者の取扱いの部分です。前々回の分科会でも私が発言いたしましたが、私自身もA型事業所を運営しておりまして、A型事業所は、高齢者の就業機会の確保や雇用環境の整備が進められる中で、障害を持った高齢者が働く場として一般企業で働く力が落ちた障害者の雇用の受皿として担ってきた役割や社会的貢献度は大きいものがあります。
よって、32行目からの最後のマルの文末、「一方で様々な影響も考慮しつつ引き続き検討していく」と記載されている部分は、「一方で様々な影響もしつつ」の後に、「雇用率制度における取扱いや調整金、報奨金等の対象から外すことの是非や、金額の上限設定について」という文言を加えていただけないでしょうか。障害者の一般企業への就業等を促進し適正な運営をしているA型事業所と、そうでない事業所を区分して検討していただきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では続きまして、長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私からは質問があります。意見書の7ページ、8行目の辺りで、今回、週20時間未満の場合であっても雇用率カウントをしていこうということで、この方向性は賛成なのですが、ただ、そういった20時間未満の雇用に留め置かれることがないように、ハローワーク等が適切に事業主に対して指導していくということが7ページの所には書かれています。
また、精神障害者の20時間から30時間の短時間雇用についても、9ページの18行目の辺りに、週30時間以上の勤務を希望する障害者が短時間に留め置かれることがないように、ハローワークが事業主に対して指導していくということが書かれていると思います。それもとても大事なことだと思いつつ、ただ、現在、2018年から精神障害者の短時間雇用が1カウントになってから一定程度の期間がたっているわけですが、実際にこういった扱いをなされている精神障害者の方が、本当は30時間以上働きたいにもかかわらず30時間未満に留め置かれてしまっていて、それに対してハローワークが何らかの関与をしたというような事例があったのかどうかというのを伺いたく質問させていただきます。よろしくお願いします。
○山川分科会長 御質問ですので、事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今の長谷川委員の御指摘のような形での、意に反して取り扱われ、それに対してハローワークが相談に応じている事例があるかどうかということについてですが、本省として網羅的に把握している状況にございませんので、頂きました御指摘を踏まえて、現場のほうにも状況等について確認し、共有させていただければというように思います。
実際には、ハローワークが職業紹介をして就職していただいた方については、定着についても様々なフォローアップもしておりますし、かつ、就職後もご本人とのつながりが比較的継続されているケースも多いというように聞いておりますので、そのような中で適切に対応されているのではないかというようには認識しているところであります。
○山川分科会長 長谷川委員、何かございますか。
○長谷川委員 ありがとうございます。この質問をさせていただいた趣旨は、結局このようにハローワークが指導できることが適当だというように言ったところで、実際にその指導がなされなかったら、短時間に留め置かれてしまう障害者が出てきてしまうおそれもあると思ったので、質問させていただきました。既にある制度で、適切に運用が回っているのであれば、今回超短時間を導入して雇用率カウントするというときも、しっかりと適切に対応していただけることから、安心してこの制度を導入できると思ったので、実際に現場でどうなのかなと思って質問しました。
あと、不適切な事例かどうかの判断が、現場ではなかなか難しく、結局指導ができていないというような実情があるのであれば、そこの不適切な事例というのはこういうことですということを、もう少し現場の担当者の方に分かるように伝えていくということも必要なのではないかなと思いました。お調べいただけるということなので、是非よろしくお願いします。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。ハローワークでフォローアップ的に、継続的に対応がなされているということですので、情報は比較的つかみやすいのではないかと思います。何かありましたら、情報提供をよろしくお願いします。塩野委員、お願いします。
○塩野委員 使用者側の塩野です。私からは、7ページから8ページに記載がある手帳を所持しない障害者等の取扱いについて、意見を述べたいと思います。第116回会合において、手帳を所持していたにもかかわらず、医師の判断によって手帳が更新されなかったケースについて、就労に当たっての配慮がほとんど変わらなければ、一定期間は雇用率カウントを維持できる取扱いとすべきということを、使用者側から問題提起をさせていただきました。今後、精神障害者の就労が増えていけば、こういったケースは増加すると考えられることから、企業における実態の把握など、引き続き検討課題とすることについて、追記をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。山内委員、お願いします。
○山内委員 使用者側委員の山内です。私からは意見を述べさせていただきます。まず、これまでの長きに渡る議論をこのようにまとめていただきまして、ありがとうございました。私からは、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進の部分について、意見を述べさせていただきます。
まず、9ページの2の(1)精神障害の算定特例の延長について適当であるという判断を頂きました。これは非常に有り難いというように考えております。企業側の雇用実態としましては、多くが身体障害の方が中心になります。ただし、この方々が年齢的には40歳、50歳が多くを占めておりまして、今後新たに雇用していく場合、多く希望していただいている精神障害の方々の雇用というように切り替えていかなければいけないという、そういう中で、職務開発等の様々な取組を企業の中で進めるに当たって、このような取扱いをしていただけるのは非常に有り難いというように評価させていただきたいと思います。
一方で、10ページの3の長期継続雇用の評価について、雇用率制度で評価することは適当でないという御判断を頂いております。これについては、少し残念な気持ちを感じております。項目の第1の雇用の質の向上に向けた事業主の責務の所で、定着支援について一定の評価をしていただいたかと思います。資格制度取得であるとか、職業訓練とか、様々なサポートをしていただけるというように書いていただきました。これはひとえに、雇用された従業員の方が働き続けることでモチベーションを向上、エンゲージメントを維持していくことにつながるという、これはそのとおりかと実感しております。そういう中で、長期雇用に関して、同じように企業側の努力というものが当然ながら必要になるわけなのですが、ここについての一定の理解を得られなかったというのは非常に残念かというように感じております。今後、検討を進める中において、この長期継続雇用に対する評価について、引き続きお考えいただければというように考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますでしょうか。第3についてですが、よろしいでしょうか。この点につきまして、先ほど一部御紹介しましたけれども、御欠席の中川委員から、こちらの第3の項目についても御意見を頂いております。代読いたします。先ほど紹介した部分に続けて、第3について、ただしということですが、「手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病の取扱い並びに精神障害者に係る重度の取扱いに関し、引き続き検討とありますが、先延ばしとの誤解を与えるおそれが否定できません。そのため、期限を区切り結論を出すことや、重点課題として優先的に検討を行うことなどを表記する必要があると考えます」。以上が中川委員からのこの部分に関する御意見でございます。ほかに第3についてはよろしいでしょうか。
では、続きまして意見書(案)の第4、障害者雇用の質の向上の推進、10ページからです。この部分の質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で御発言をお願いいたします。新田委員、お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田でございます。第4の内容に関して、私からは10ページの1の障害者雇用調整金、報奨金による対応の部分について、意見を申し上げたいと思います。
10ページ、第4の2つ目のマルにおいて、上限を設定するという御提案があります。その理由として、企業における障害者雇用が進展した結果、今後の納付金財政の見通しが厳しくなっていると指摘をされております。ただ、この問題はそもそも雇用率制度、納付金制度が内包する制度設計上の課題であると認識しております。これに対して、今回の意見書案においては、これまで障害者雇用に懸命に取り組んできた企業の調整金等を減らすという形で、この課題に対応しようとしていると受け止めております。こうした措置により、企業によっては、安定的な経営基盤の毀損や障害のある社員の就労環境の質の低下等が懸念されるところです。加えて、これまで積極的に障害者雇用に取り組んできた企業のほうが、一層影響を受けやすいという部分についても非常に懸念をしているところでございます。
これまでの議論において、使用者側からは、3年連続で障害者雇用がゼロとなるなど、一定の場合は納付金を増額する措置などを提案してきたところです。障害者雇用に懸命に取り組んでいる企業に負担を課すのではなく、より広く負担を分かち合うような措置を検討すべきではないかと考えております。こうした状況を総合的に勘案し、この意見書(案)にもありますように、JEEDの業務経費の削減、あるいは人件費の見直し等の状況を検証した上で、上限を設定することについては引き続きの検討課題とすべきと考えます。
仮にこの上限設定の措置が必要な場合には、可能な限り企業の負担を小さくすることが不可欠だと思っております。少なくとも、今回の提案については是非見直しをお願いしたいと思っております。具体的には、例えば調整金の要件については、支給対象人数が10人を超える場合となっておりますが、その人数設定をより高くしたり、あるいは減額率の50%を縮小すること、また報奨金の要件は支給対象人数が35人となっておりますが、その人数をより低くすること、あるいは施行時期について、企業の準備が必要ですので、少なくとも数年の期間を置くこと、減額率について50%から段階的に下げていくといったことも、是非御検討いただいた上で進めてはどうかと考えております。
加えて、厚生労働省の事務局におかれましては、仮にこの上限の設定を実施した場合の実務への影響等について、影響を受けることが見込まれる企業等にヒアリングするなど、実態に基づいて再度御検討いただくことをお願いを申し上げ、私からの発言とさせていただきます。
○山川分科会長 ありがとうございます。山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体中央会の山口です。私は第4の12ページの3の障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援について、2つ目のマルの所、「障害者雇用に関するコンサルティングを行う事業者から相談支援を受ける」うんぬんと書いてありますが、社労士等の民間コンサルタントによる相談支援は費用が高額になることもあるため、ジョブコーチやハローワークによる支援を中心に推進することが適切であると思います。民間事業者に限定する記載には違和感があり、この部分を修正していただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 労働側・連合の冨高です。障害者雇用納付金制度に関して、今回示された意見書案の内容については、障害者雇用の促進や職場定着の取組を支援する上で、納付金財政の安定は欠かせないものであり、今回の調整金等の上限設定は妥当と考えます。一方、いまだ数多いゼロ企業への対応に関しては、これまで以上に充実させなければ解消は難しいと思いますので、この点につきましては、是非きめ細やかな支援と助成金の充実をセットに取り組んでいただきたいと考えております。
また、今後、障害者雇用施策の助成金などの充実により、障害者雇用者数が進展していくことで、納付金が減少し、財政ひっ迫することも想定されるため、財源が枯渇する可能性がある場合でも、障害者雇用の施策が後退することがないように、中長期的な検討事項として、緊急的な公的資金の投入も含めた財源の在り方などを検討する必要があると考えておりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
また、納付金の適用範囲の拡大に関して、障害者雇用ゼロ企業や中小企業への障害者雇用のノウハウの共有や環境整備が進み、今後100人以下企業における雇用率の達成企業が、例えば6割程度など一定の割合に達した時点で、納付金適用拡大に向けた検討が必要だと考えておりますので、中長期的な課題にはなりますが、今後の議論を見据えた意見として、意見書に追記をしていただきたいと考えおります。
○山川分科会長 ありがとうございます。塩野委員、お願いします。
○塩野委員 使用者側の塩野です。私からは、10ページから11ページに記載がある障害者雇用調整金、報奨金による対応について、企業の立場から意見を述べさせていただきます。
企業においては、様々な場面で障害のある方への活躍支援や職場環境改善のために配慮を行っています。その中には、例えばオフィスのバリアフリー化や聴覚障害の方向けの音声テキスト化ツール、あるいは視覚障害の方向けの音声読上げソフトなど費用の掛かるものも多くあり、こういったものについては調整金を活用しています。今回の意見書(案)では、限られた財源の中で助成金を充実するための施策として、調整金等の上限設定が提案されていますが、その内容は、これまで積極的に障害者雇用を行ってきた企業ほど大きな影響を受け、厳しいものとなっています。財源を確保するための施策については、是非様々な視点から慎重な検討をお願いしたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございました。清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田でございます。意見として、1点申し上げたいと思います。障害者雇用納付金の適用範囲の拡大についてです。今回、中小企業を取り巻く経営環境、ノウハウの不足といった実情を踏まえた検討を行っていただきまして、今回は100人以下の対象拡大を見送るという方針を示していただいたことは、大変妥当と思います。また感謝を申し上げたいと思っております。
併せて今回、雇用ゼロ企業に対する雇用から雇用管理までの伴走型支援を行うということも記載いただいております。是非、意欲ある中小企業に対して積極的に支援を行っていただきまして、いわゆる実効性ある支援という形で、成果を発揮するような運用をお願いしたいと思っております。
○山川分科会長 ありがとうございました。影山委員、お願いします。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。調整金の問題で意見を申し上げたいと思います。先ほど、制度設計上の問題があるという御指摘がございました。私も同意見でございます。したがって、この調整金というのは早急にやめていくべきであろうと思っております。ただ、急にやめてしまうと問題が生じますので、段階的にということで、今の御提案でよろしいと思います。
なぜこのような意見を持っているかと申しますと、まずインセンティブメカニズムとして駄目です。それから不公平も呼んでいます。人権論の観点からも、この制度は駄目だと思っております。
こう申しますのは、まずインセンティブメカニズムの側面があるだろうと思うのですが、インセンティブメカニズムが機能するためには機能要件が必要です。それは、例えば障害者の方を雇用したらもらえるという、そういう制度の基準があります。若しくは、納付金の場合も基準を満たしていなければ選択しなければならないという面があるのですが、どうやったらその基準を達成できるかが周知されている、若しくは比較的容易に手に入るものでないと、インセンティブメカニズムというのは機能しなくなります。ところが、障害者の方というのは多様性が高くて、就労していただくためのノウハウというのは簡単ではないのです。したがって、負担感にもつながってしまっております。だから、負担の低減という話にもなってくると思うのです。ですから、ノウハウを把握できたら頑張ってねみたいなことではなくて、やろうとしている企業さんをサポートしていくような制度を作って、その助成にお金を当てていったほうがいいと思います。
また、今の話との関わり合いで言うと、障害者の方を雇用して戦力にしていたり、シナジー効果をちゃんと生み出している企業があります。そうすると、経営効果も得られて、しかも調整金ももらえるという二重取りになってしまうのです。一方、ノウハウを開拓できない企業さんにとっては、要するに不公平が生じてしまうということです。
更に申しますと、この制度というのは、就労まで、余り働けない方を雇用するから負担があるでしょうと、こういう前提の基に、負担の調整とかインセンティブメカニズムというの発想で設置されたのだと思うのですが、今申しましたように、戦力にしたり、シナジー効果を生み出して、しかもそれをちゃんと認識して雇用されている企業さんもいらっしゃるわけです。そういたしますと、この制度をこのまま運用していくと、厚労省が、障害者の方というのは役に立たない人たちだから負担軽減しないといけないということを大前提に制度運用していくことになってしまいます。これは人権論の面でも課題があるような気がいたします。
そういう意味で、ノウハウというのは開拓できると思いますので、企業さんが雇用して、そういうノウハウを開発している企業というのは、障害者の方も非常にやりがいを持って就労されています。企業にとっても、就労する障害者の方にとっても、ウィンウィンの関係になるように、そういった制度を構築して助成していくというように当てていったほうがよろしいのではないかと思います。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。私は、2の障害者納付金の適用範囲の拡大の中小企業に対する支援について意見を述べたいと思います。ページ数で言えば、11ページの37行目から12ページの3行目の所になります。先ほど山口委員もおっしゃったかと思いますが、ここではコンサルティングを行う事業者から支援を受けられるようにするということ、それからその場合にジョブコーチの活用が適当というように記載されています。中小企業は多くは地方の所が中心的に多くなっていて、そこでコンサルティングを行う事業者はそんなにたくさんないのではないかなという気がしていますので、ここには「コンサルティングを行う事業者」だけではなく、「及び就労支援機関等」と入れたほうがいいのではないかと思っています。
それから、コンサルティングを行う事業者が、訪問型のジョブコーチを活用することも、そうはあり得ないことだと思いますので、この文言を入れていただければ、後は修正しなくてもいいのかなと思っています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、下屋敷委員、お待たせしました。お願いします。
○下屋敷委員 みんなねっとの下屋敷です。12ページの助成金、3の所なのですが、今般、精神障害者に限っていろいろな改善をしていただいて有り難いと思っているのですが、助成金の所にインセンティブな文言として、例えば特にいろいろ議論があって、これから課題となっている精神障害者の職場定着の向上を図るというような文言を、できれば入れていただきたいのです。ハードだけではなくて、いろいろなソフト、それから前から私が何回か言っていますが、交通機関の割引き、これは社会環境の問題でもあるのですが、それが進んでいないという状況の中で、先ほどどなたかの委員がおっしゃっていましたが、精神障害者は中途障害ゆえに難しさもあるのですが、そこを社会参加あるいは労働力としてこれからしていかなくてはいけないわけで、特にこの職場定着ということが課題になっているわけですので、精神障害者の職場定着の向上を図るというような、そういう観点からという文言を是非入れていただければ、私としては有り難いなと思っております。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。こちらにつきましては、特に調整金、報奨金について、新田委員からいろいろ御議論していただきたいというような御要望があって、その後様々な御意見を頂いたところであります。今日は幅広に御意見を伺おうということですが、何か追加的に、この点について御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうかね。
では、特にございませんでしたら、最後の意見書(案)の第5、その他の諸課題の部分について質疑応答に入りたいと思います。それでは、こちらの第5、その他の諸課題につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。第5の3の除外率の制度についての部分です。基本的にはこの内容で賛成なのですが、最後のマルの所で、この書きぶりで仕方がないのかなと考えながら、何度も読み返していたのですが、これを読んでいると、「設定業種の障害者雇用の状況等を踏まえ」という、いわば引用句があって、その後に「10ポイント以上引き下げることを含めて検討することが必要」であると、そうすると、今後5年ごとの法定雇用率の見直しの段階で10ポイント以上見直すということが、その前の挿入句によってどういう影響を受けるのかよく分からないなと思って読んでいたわけで、この書きぶりを、10ポイント以上縮小することを確実にやるための、そのことが担保されるような書きぶりを少し工夫できないのかなということが希望です。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体中央会の山口です。私のほうからは2点ございます。まず、第1点目が13ページの14行目、2の有限責任事業組合の算定特例の全国展開について、事業協同組合の算定特例をLLPに対し展開するとのことですが、現状では算定特例は非常に少ない件数となっています。認知度の低さに加え、制度の内容や仕組みが利用しづらいことが要因であると思います。したがって、13ページの下から2つ目のマルの34行目の「具体的な内容を踏まえた上で」の後に、「目標や要件の緩和を図り」を加えてもらい、35行目の「特定事業主に対する助言」の後に、「公的発注を優先的に行う」を加えていただきたいと思います。
それからもう1つですが、14ページの9行目、3の除外率の引下げによる障害者雇用の促進の部分ですが、除外率制度については、障害者の就業は業種特有の現業は難しくても、多くの事業所において一般事務、IT活用に伴うシステム関連業務など、障害者の就業は可能な業務は存在すると思います。その一方で、障害者が就業すると、どうしても居づらくなる、適合できない業種があることも事実だと思います。例外的に除外率を設けなければならない業種は、数値的にも明確であれば、早急に再確認、整理していくことが必要です。その上で、経過措置の縮小と除外率の数年以内の廃止に向け、今後のタイムテーブル、必要な助成措置の在り方について協議していく必要があると思います。
したがいまして、先ほど竹下委員からもありました14ページの31行目、「除外率設定業種の障害者雇用の状況を踏まえ」の後に、「例外的に除外率を設けなければならない業種を整理、再確認した上で」と記載を加えていただきたいと思います。私からの意見は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の自治労の門﨑です。在宅就業障害者支援制度の活用促進に関連して、障害者のテレワークについて、意見を述べたいと思います。
通勤等に困難を抱える場合や、地域内に就労先が少ない場合を踏まえ、テレワーク等が就労機会の選択肢の1つとして活用されることは有用であり、雇用保険や労災保険等が適用される雇用を前提とした在宅就労を進めることが重要だと考えます。その上で、雇用を前提とした在宅就労を進めるに当たっては、障害の程度や特性を踏まえた合理的配慮や生活支援はもとより、現在のIoTや先進技術等を活用した業務支援機器の開発、活用や労働時間管理、労災認定の在り方の検討、在宅で孤立化を深めないための職場内のコミュニケーションを促進等に留意して進める必要があり、併せて意見書(案)に追記していただきたいと思います。
最後に、在宅就業障害者支援制度に関して、支援団体の支援を受けて就業する障害者の雇用への移行ニーズを適宜把握して、障害者が希望する就職につながるよう、適切なアセスメントとともに、企業のマッチングを充実させ、一般就労の促進をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、新田委員、お願いします。
○新田委員 使用者側、経団連の新田でございます。第5について、14ページの3の除外率の引下げによる障害者雇用の促進に関して、意見を申し上げたいと思います。
前回の会合におきまして、除外率の引下げに関する事務局からの御提案がございました。それに対して、慎重な検討をお願いしたところでございますが、今回示されたこの意見書(案)では、その点は配慮されていないことについて、非常に残念に感じています。
前回も申し上げたとおり、除外率制度がすでに廃止されていることについては重く受け止めているところでございます。他方で、除外率が設定されていることには理由が当然あるわけでして、安全配慮の観点や、障害者の就労が難しい職種があるといったことをやはり考慮するべきではないかと思います。
加えまして、除外率が設定されている航空運輸業や鉄道業などは、コロナ禍によって未だ影響を大きく受けている業種や、雇調金などを受給している企業が多い業種でもあるということに十分配慮する必要があるだろうと考えます。
また、前回の会合で示された資料では、除外設定業種の雇用者数の推移が示されておりました。その中で、除外率を考慮しない場合には、その資料で示されていたいずれの業種においても、法定雇用率の達成が全体平均を下回っているデータが示されたところでございます。したがいまして、こういった状況を踏まえれば、一律に10ポイント引き下げることについては、やはり慎重に判断すべきではないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。
それから、この14ページの4つ目のマルにおいて、一定の準備期間を設けることが必要という意見があったと記載されております。ただ、企業、現場の混乱を回避するという観点からは、やはり準備期間が必要であり、これはもうマストであると考えているところでございます。したがって、「意見があった」ではなく、「設けることが必要である」と、是非修文していただきたいと思います。
その上で、除外率引下げについては、きちんと企業に対して周知を行い、認知度を高めた上で対応を促していくことが肝要と考えております。そこで一定の期間、具体的には2028年度以降を一つの案として考えていくべきではないかと思っております。
また、この14ページ27行目からの6つ目のマルでは、「5年ごととされている雇用率の設定のタイミングにおいて、除外率についても段階的に見直していくことが適当」とされております。以前のリーマンショックですとか、あるいは今回のコロナ禍のように、雇用情勢に影響の非常に大きい事象が発生した場合には、引下げの見送りということも当然あり得るべきと考えます。法定雇用率設定のタイミングで除外率を引き下げることを自動的に決めるのではなく、そのタイミングにおいて、除外率の取扱いについても検討していくことが適当であると文言を修正していただき、雇用情勢や雇用率設定業種の状況を踏まえた柔軟で現実的な対応を可能とする余地を是非残していただきたいと思います。私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。では次に、東矢委員、どうぞ。
○東矢委員 労働者代表・連合の東矢です。私からは13ページの2の所の事業協同組合と算定特例におけるLLPに関して、意見を述べたいと思います。LLPを活用した算定特例の全国拡大や認定要件の緩和につきましては、企業単体では障害者雇用に取り組むことが難しい中小企業が、協同して障害者雇用促進を図る1つの手法だと認識しております。しかし、本来であれば、個々の企業において、ノーマライゼーションの実現として、障害者雇用に向き合い、取り組むことが重要だと考えております。
その上で、LLPに参画する特定事業主の間で取組の濃淡が生じないように、事前に掲げた実施計画の達成と、そこで働く障害者が安心して安全に職場定着を図れるよう、丁寧な支援とフォローアップなどの対応をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私も、13ページの有限責任事業組合の算定特例について意見を述べさせていただきます。この件については、私はこれまでの分科会の中でも、これまで実施されている例が1例しかないということで、それがたとえうまくいったからといって、これを本当に全国的に広げていいのかどうか、もう少し慎重に検討すべきではないかという意見を述べさせていただいておりました。ですので、できれば13ページの2の3つ目のマルの辺りで、「全国においてもその対象とすることが適当である」と書かれておりますが、それに対しては慎重に検討していくといった意見もあったというふうに加えていただけると有り難いなと思います。
特に、私がこれまでの分科会で懸念していたのが、A型の事業所が入っているということで、A型事業所で障害者雇用の雇用率を稼いで、ほかの事業主が障害者雇用をしなくなるおそれがあるのではないかという点です。さらに今、問題になっているいわゆる雇用率ビジネスというような、そういった会社が、この有限責任事業組合の制度に入ってくる余地がないのかどうかというのを考えていて、もし入ってくるような余地があるのであれば非常に怖いなというふうに感じております。要件的に雇用率ビジネスの参入はできないと整理できるのでしょうか。自分で考えても分からなかったので、事務局から説明を聞きたいと思っています。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御質問の趣旨があろうかと思いますが、今の段階で何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございます。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。今の御指摘ですけれども、雇用率ビジネスを運営する法人が、このLLPなどを使った算定特例ということで、取組が可能かどうかということで言えば、一般の民間法人に変わりはありませんので、それ自体を排除するものではないのかなと思っています。
ただ、今おっしゃっていた雇用率ビジネスで指摘をされている課題について、それがダイレクトに、この枠組みの中においてどのように機能していくかということは、我々も精査し切れておりませんが、いずれにしても、現在実態把握をしっかり進めておりまして、どういったケースがどういった課題を生みやすいのかといったことも含めて、整理していこうと思っておりますので、今の長谷川委員の御懸念なども併せて検証はしていきたいと思います。今のところ以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、よろしいでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。私ももう少し、まだ次回もありますので、それまでに考えておきたいと思います。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。清田委員、お願いします。
○清田委員 使用者側の日商の清田でございます。私からは、除外率の引下げによる障害者雇用の促進について、意見を申し上げたいと思います。除外率制度は、既に廃止が決まっている制度であることから、段階的に引き下げることが適当ということが示されております。一方で、該当職種の中には、先ほど新田委員からもございましたが、コロナで強い影響を受けた、例えば海外からの渡航制限ですとか、人流の抑制ですとか、そういったものからの回復がいまだ遅れている企業ですとか、今般のウクライナ危機の長期化ですとか、原材料や資源価格の高騰、円安が今後も進行が懸念されていると、こういった影響を強く受ける企業も、この業種の中にはあるかなと想定しております。
こうした厳しい環境で生き残りを懸けた事業の見直しを行っている企業に対しては、今回の除外率の引下げというのは、大変厳しい措置になるものではないかと受け止めております。引下げのタイミングについては、是非慎重に検討していただくようお願いしたいと思います。前回、私が申し上げたのですけれども、いわゆる職種による困難性というのをしっかりと把握していくということが重要かと思っております。こうした職種の従業員を多数抱える企業に対して、どのような特例措置が設けられるのか、具体的にどうした支援ができるのか、そういうことを検討するということも必要だと思っております。
併せて、こちらは平成14年に廃止された制度ということでございますが、それが平成14年以降これまでの間に、この対象業種に対してどういった支援が行われてきて、その成果がどういったものだったのかということ、加えまして現在の雇用環境というものも見直した上で、対策を講じていくということが重要だと思っております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側・連合の冨高です。14ページの3の除外率の引下げについて意見を述べたいと思います。除外率が廃止されて以降、これまで2度にわたる引下げが実施されており、今後も企業の準備期間を設けつつ、段階的に引き下げられることは決まっておりますので、今回の意見書(案)で示された10ポイントの引下げの方向性については妥当だと考えております。既に除外率制度は廃止されていることを踏まえれば、除外率適用業種の実態を適宜把握しつつ、例えば5年ごとの雇用率設定時において、10ポイント以上の割合で除外率を確実に引き下げていくことが必要だと考えております。
また、除外率引下げに当たり、適用される企業において、特に中小企業への影響は考慮する必要があり、今後雇用される障害者が必要な合理的配慮を受けて、安心して働き続けられる環境整備が重要であるため、障害者雇用の促進にむけた助成金の活用や、環境整備に向けた必要な支援策を是非講じていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、亀田委員、お願いします。
○亀田委員 労働者側の亀田です。本日はありがとうございます。資料14ページ、一番下の部分の通勤支援に関して発言したいと思います。前回の分科会でも発言し、重度障害者等に対する通勤支援に関して意見書に記載いただきましたが、就労を希望しつつも、通勤等が困難で、就労が難しい障害者の就労を促進するためにも、現在行われている事業の実施状況を踏まえながら、国は自治体と連携して、活用を推進していただきたいと思います。
また、重度に該当しない程度、あるいは障害特性、症状によって通勤が困難であって支援が必要な場合も想定されることから、実態把握を行いつつ、拡充等の検討に関しても、意見書(案)のその他の部分に追記していただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。先ほど、下屋敷委員のお手が挙がったと思いますけれども、お願いいたします。
○下屋敷委員 下屋敷です。除外率について、前に頂いた資料を見ると、障害者の方の就業が一般的に困難であるとみられる業種ということで、非常に抽象的な規定をしているのだと思うのです。先ほど、どなたかがおっしゃいましたけれども、職種の中で障害者の方が働く職場というのがあるわけですので、そういうものが増えている状況なので、廃止となってから何年もたって、それでもまだロードマップも示されないというのはどうなのかなと思って、先ほどから聞いていました。
事業者側の方々の経営にいろいろな面があるとなれば、そちらの面でどういう支援をするかということで、法のシステムを構築すべきであって、ロードマップを示して、原則廃止となってというのだったらそれに向かっての取組というものをすべきではないのかなと、これは一般的な意見でございます。そんなことを感じました。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。そのほかにございませんでしょうか。追加的に御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、今回は非常に有益で様々な御意見を頂きまして、また、具体的な御提案も頂きまして大変ありがとうございました。本日頂いた御意見、それから議論の状況を踏まえまして、事務局には改めて意見書(案)の整理をお願いしたいと思います。
それでは、議題(2)について事務局から何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。議題(2)その他につきましては、特にございません。
○山川分科会長 それでは、特にほかにございませんでしたら、本日の議題はこれで終了となります。本日の障害者雇用分科会はこれで終了させていただきたいと思います。事務局から何か連絡事項はございますか。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。次回の日程につきましては、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡をさせていただきます。以上でございます。
○山川分科会長 皆様、本日は大変お忙しい中ありがとうございました。これで終了いたします。