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第116回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)
日時
令和4年4月12日(火)16:00~18:00
場所
オンラインによる開催(厚生労働省 職業安定局第1会議室)
議事
○山川分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第116回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところをご参集いただきまして大変ありがとうございます。
本日は冨高委員、小西委員が御欠席です。倉知委員は途中から御参加予定と伺っております。また、影山委員におかれましては途中で御退席の予定と伺っております。
さらに、小西委員の代理として、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、事務局である職業安定局に異動がありましたので御紹介いたします。古田障害者雇用促進研究官が就任されておられます。
本日の分科会もZoomによるオンラインでの開催となります。開催に当たりまして事務局から説明をお願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただきまして、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号までご連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、あらかじめ御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上でございます。
○山川分科会長 それでは議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとなっております。
本日の議題は、(1)が障害者雇用率制度の在り方について、(2)がその他になっております。本日、議題1の関係で、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長の津曲課長に御出席を頂くこととしております。議題(1)につきましては、テーマが3つに分かれておりますので、各テーマについて事務局から御説明いただいたテーマごとに、質疑応答を行いたいと思います。
では、まず議題(1)の1つ目のテーマ、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。それでは資料1でございますが、2ページ目から御説明申し上げます。2ページ目に雇用率制度における短時間勤務者の取扱い等に関して、これまでいただきました御意見を主なものとして載せてございます。上の3つにつきましては、おおむね、20時間未満の就労について、まずは御本人の意向や症状等の安定などを踏まえた上で労働時間を引き上げていく取組、あるいは御本人の意向で労働時間をフレキシブルに決定できるということについて重要性の御指摘でございます。
残りの4つの御意見につきましては、方向性としては短時間労働者、20時間未満の方につきまして、雇用率の中においてカウントしていくという御意見であります。それぞれ少しずつ観点が違っておりますが、まず上から4つ目、それから下から2つ目につきましては、基本的には雇用した後に体調が不安定になったり、20時間以上働くことが難しくなった場合に、短時間勤務としてカウントをし続けるということが有効という御意見でございます。そのほか、例えばカウントの制度設計上の方策などについて御意見を賜っております。それから、一番下の御意見につきましては、精神障害者につきまして、その障害特性を踏まえて20時間未満の方について雇用率でカウントできるようにという御意見でございます。
3ページ以降、現状等を御説明申し上げます。まず3ページでございますが、所定労働時間20時間未満で実際に働いている方の増減傾向でございます。3障害につきまして、それぞれ30時間以上、それから20から30時間、20時間未満ということで区分して掲載しております。これは5年ごとに行われております障害者雇用実態調査のデータによります。身体、知的それぞれにつきましては20時間未満の割合には増減がございますけれども、下側の精神障害につきましては20年から25年、30年と増加を続けているというのが見て取れます。
次に4ページでございます。ハローワークにおける新規求職申込件数につきまして、希望就業時間別、障害の程度別、障害種別に整理をしております。まず左側でございます。20時間未満の就業を希望する新規求職申込件数、これは2020年度、単年度になりますけれども、身体、知的でも一定程度いますが、やはり精神障害の方でその数が多いというのが分かります。また一方で、右側ですが、この20時間未満で働きたいという方が多い精神障害につきまして、2010年から見ておりますけれども、年々増加を続けていますので、全体的な20時間未満の就業ニーズというのも高まっているのだろうと推察されます。
5ページでございますが、就職率、就職の状況につきましてまとめております。左側、3障害につきまして、やはり時間の区分に応じて就職率を比較しております。併せまして、身体と知的障害者につきましては、重度・重度以外でそれを比較してございます。全般的な傾向としては、労働時間が短いほど就職率が低くなっているという状況にございます。また重度・重度以外を比べると、重度のほうが重度以外に比べますと就職率が低くなっております。ただ、知的障害の30時間以上だけが、重度のほうが重度以外に比べて就職率が高いという状況にありますが、この点につきましては精緻に精査することは難しいのですが、重度の中には手帳で1級、2級と限定するのではなくて、就職に当たりまして職業センターにおいての重度判定を受けている方が入ってきておりますので、その辺りの影響もあると考えております。
一方、右側にはハローワークでの専用求人の数を載せてございます。やはり、ハローワークには、雇用率を達成するということで求人をお出しになる事業主の方も多くございますので、20時間以上の求人についてが多くなっておりまして、20時間未満の求人は全体の構成比で見ますと2割弱の状況にございます。就職に当たりまして20時間未満で就職をされる方については、求職者自身に就職の困難性というのがあるということも推察されますし、一方で求人数についても20時間未満の求人数が比較的少ないということもありまして、マッチングに対して困難な状況があると思っております。
続きまして6ページでございます。前回の元年改正の際に創設した特例給付金につきまして、改めて御紹介申し上げております。本制度につきましては、職業的自立、週20時間以上の労働者という考え方につきまして維持しつつも、短時間であれば就労可能な障害者等の皆様方に雇用機会を確保するというような目的で、下限を10時間といたしまして、20時間未満で雇用されている障害者に対しまして、調整金・報奨金それぞれの4分の1を月額7,000円、5,000円というような形で支給するということをもって、短時間の雇用機会の確保ということを図る制度でございます。令和2年の4月からスタートしておりますが、令和2年度分の支給につきまして令和3年度に上がってまいりますので、令和3年度の支給実績のところを御覧いただきますと、全体で約16億円の支給額、それから支給決定件数7,450件というような状況になってございます。
次に7ページ以降でございます。まず20時間未満で企業での就職を希望する方々の実態というものにつきまして、把握しようということでありますが、雇用状況報告につきましては20時間未満の雇用者について把握できませんので、今回はA型、B型事業所におきまして、一般の企業に対して就職を希望する方々であって、20時間未満で働きたいという方につきまして事例を把握してございます。その結果、A型事業所におきましては300事例、B型事業所におきましては2,242事例把握をしておりまして、両者につきまして7割弱、大変多く精神障害の方が希望しているということが分かっております。
次に8ページでございます。20時間未満での就職を希望する方の手帳等の所持状況でございます。先ほど御説明しましたように、全体の事例の中で7割弱が精神障害ということでありましたので、手帳の所持状況も精神の2級という手帳が最も多くなってございます。それに続いて療育手帳(重度以外)というような形、あるいは身体1級というような形になってございます。
それから、9ページには全体の調査で把握しておりますサンプルに基づきまして、手帳等の所持状況、それから全体の手帳別の交付数などを御参考に載せてございます。
次のページ、10ページでございます。20時間未満で就職を希望する事例の皆様方の希望理由といたしましては、身体・知的・精神いずれも「症状・障害の進行」、それから「体調の変動・維持」といったような理由が多数を占めてございます。特に精神障害につきましては「体調の変動・維持」の部分が75.7%と高くなってございます。
それから11ページ、20時間以上の就労が離職の要因であった事例につきまして、その理由を把握してございます。やはり、これも「症状・障害の進行」「体調の変動・維持」が高くなってございますが、身体・知的に比べますと精神のほうが割合としては高い状況にございます。
12ページ以降は、社会保障審議会障害者部会におきまして検討が進められております状況についてです。雇用・福祉連携強化検討会の中におきましても、企業に働いた後に障害福祉サービスを併用して使うということの論点が挙がっていたかと思いますが、その辺りが具体的な検討として進んでございます。
12ページの中ほどですが、一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時的な利用を可能とする方向性で検討が進められておりまして、働き始め、それから雇用後に休職から復職を目指す場合などにおきまして、法令上、こういった一時的な利用を可能とする方向で議論が進んでいるようです。
13ページにありますように、具体的には中ほど、3つ目の○、4つ目の○のような形で一時的な利用ということですので、一定の利用期間、制限を設けるというような方向で議論が進んでいると認識しております。
これらにつきましては御参考までに、15ページ、16ページに一時的な利用に対しての利用イメージを載せてございます。
1ページに戻っていただきまして、以上御説明した中身に基づきまして論点ということでお示しをしております。今、御説明申し上げましたように、週所定労働時間20時間未満の労働者につきましては、いずれの障害種別でも一定存在をしていると、特に精神障害者においてその割合が増加傾向にあるということでございます。また、週所定労働時間20時間未満で働きたいと希望されている新規求職者につきましても、いずれの障害種別でも一定存在しておりますが、特に精神障害者で多くなっておりますし、合わせて、近年、精神障害者自体の増加が著しいという状況になってございます。加えまして、症状の悪化等によって雇用後に一時的な不調に陥って週所定労働時間20時間以上働けなくなった状況に陥る障害者もございますが、御本人の希望等を踏まえまして雇用を継続していくことが望ましいと考えております。こうしたことから、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望される方々、あるいは20時間以上で働くことが困難であるという障害者につきまして、その雇用機会を確保するという方向性の下でどういった対応が考えられるか等、御意見として頂戴したいと思っております。
説明としては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者についての質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、こちらで指名させていただいた後に、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障の観点からお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。御質問、御意見等はございますか。竹下委員からどうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。2つお願いがあります。基本的には示されている方向に賛成でありますが、1つは短時間労働の障害者につきましては、そういう短時間で固定するということにならないようにしていただきたいということであります。すなわち、短時間労働で就労する方については、その病態や、その方の障害の内容にもよるでしょうけれども、一定期間、それが3か月か半年か1年か分かりませんが、一定期間経過後には、20時間以上、30時間以上へという形で、その方の就労がより長くなっていく形で対応できるシステムにしていただきたいということが1点であります。
もう一点は、合理的配慮との関係であります。合理的配慮の提供を加味してというのか、組み合わせた上でも、本当に短時間労働しかできないのか、合理的配慮を十分に考えることによって、20時間以上働けるということになる場合と、十分に障害の特性や程度に応じて検討していただくということが必要だろうと思っております。その意味では、合理的配慮の提供等を踏まえた上、それでも短時間労働に当分はならざるを得ないという方については、今、示されている方向での就労形態を考えていただきたいというように思っております。以上です。
○山川分科会長 続きまして、山口委員、お願いします。
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。私からの意見ですが、20時間以上30時間未満の短時間労働者と、10時間以上20時間未満の障害者の雇用については、労働時間がやや短いと言っても、労働環境や施設設備など、他の労働者への説明など、企業の受入体制、また特制や責任は重くて、それほど変わるものではありません。
中小企業においても障害者雇用を進めていく観点から、20時間未満の短時間労働者を活用していくことは有効であると思います。その際、自社の実雇用率を上昇させることができるよう、20時間以上30時間未満の短時間労働者と同様に、0.5などカウントとして反映していただければ、企業としても障害者雇用に対する意識が拡大していくのではないかと考えます。
それから、短時間労働者の受入れは自社の実雇用率にカウントされるのであって、法定雇用率の計算式に短時間労働者を含めることを意図するものではありません。つまり、法定雇用率は維持したままとしてアップすることはないという点は、改めて述べておきたいと思います。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 続きまして、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。私からは、これまでも発言させていただいている内容と重複いたしますが、改めて議題である週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いについて、意見を申し上げたいと思います。
今後、精神障害者の就労が増加していくことを踏まえれば、一時的な短時間勤務は、就労の確保あるいは維持に向けた柔軟な働き方の1つとして、非常に有効ではないかと考えているところです。
加えまして、企業では週20時間未満の短時間勤務は、障害者の方の体調不良の際に、一時的な対応として実施しているケースもあると承知しております。短時間勤務となっても、先ほど山口委員からも御発言がありましたけれども、マネジメントにおいて必要な配慮には変わりはございません。場合によっては、普段以上の配慮が必要になるケースもあり得ます。こうした企業における実態を踏まえまして、一時的に週20時間未満の短時間勤務になった場合でも、それまでと同じく雇用率のカウントができるように措置すべきと考えております。
また、先ほどの資料の中で、一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用について記載されておりました。そのうち、13ページの3つ目の○では、企業等での働き始めに週10時間~20時間未満程度から、段階的に勤務時間を増やしていくとした上で、利用期間は原則3か月~6か月以内、延長が必要な場合は合計1年までと提案されております。
先ほど申し上げたとおり、企業では週20時間未満の短時間労働については、特別な措置として実施しており、長期間にわたる実施は想定されていないと考えております。企業における雇用であるからには、可能な限り短期間としたうえで、週20時間以上の就労につなげていくことが望ましいと考えております。
そのためにも、同じく13ページの5つ目の○にあるとおり、関係機関の支援が極めて重要であると考えることから、連携の枠組みの御検討を頂きたいと考えております。私からは以上でございます。
○山川分科会長 東矢委員、どうぞ。
○東矢委員 労働者側の東矢でございます。障害特性により、長時間の労働が困難な場合や、一時的な心身の不調から短時間の勤務が必要とする場合など、週20時間未満の短時間勤務のニーズは一定の割合であると考えています。その上で、短時間であっても働きたいと希望される方が雇用され、就労できることは、障害者の社会参加促進の観点からも有用だと考えます。
一方、現行制度においても、特例給付金による雇用促進策はありますが、週20時間未満の短時間雇用の雇用率カウントなどの措置はなく、雇用する企業へのインセンティブが不十分だと思います。そのため、例えば、障害者短時間トライアルコースと同様に、週10時間以上を下限として、週20時間未満の雇用率カウントなども含めたインセンティブの付与を検討すべきと考えます。
また併せて、週20時間未満も含めた短時間労働が固定化するということがないように、フルタイムへスムーズに移行できる仕組みを設けることも重要だと考えております。以上です。
○山川分科会長 次に清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田でございます。意見として申し上げたいと思います。日商が昨年行った調査で、障害者雇用の課題について聞いたところ、自社の業務に合った障害者を採用できないという採用の問題と、受入れのノウハウが不足しているという回答が上位の2つで、3番目として、障害者が行う業務の切出し、設定が困難と回答する企業がそれぞれ約3割ほどあったという状況でございます。中小企業では少量多種にわたる業務が多いという現状を踏まえると、障害特性に応じた業務を切り出す、設定するということに難しさを感じている企業が多いことが分かります。
こうした中で、週20時間未満の短時間労働者の雇用というのは、中小企業が障害者雇用に取り組むための最初のステップとして、取り組みやすいものと思います。雇用ゼロ企業が多い中小企業に対して、取組のインセンティブとするためには、やはり法定雇用率のカウント対象とする措置を検討いただきたいと思っております。私からは以上です。 ○山川分科会長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私も週20時間未満の労働についても雇用率制度の対象としていくという方向性については賛成しています。ただ、週20時間未満を超短時間と言わせていただきますが、そういった超短時間と、今の短時間の20時間~30時間、そして30時間以上という形で、労働時間の区分が3つできてくると、雇用管理やロクイチ調査のときの報告など、そういったものがいろいろと複雑になっていくと考えますので、それらが余り複雑にならないような工夫が必要になってくると思います。
とは言え、20時間未満の場合に雇用率を幾つのカウントにするのかといったときに、今の20時間から30時間と同じように0.5にしてしまうと、特に超短時間でなければならない状態でもないのに、あるいは本人が特に望んでいないにもかかわらず、0.5カウントを稼げるのだったら超短時間にしておけばいいという形で、労働時間が短くなってしまう働かされ方をしてしまうと、それは問題だと思うので、カウントを幾つにするかというのは慎重に考える必要があるのではないかと思っています。
あと、これまで委員の方々の御意見を伺っていると、週20時間未満の超短時間労働者の取扱いについては、あくまでも一時的な、体調不良など、そういったときのためのものとして捉えている方が多いと思うのですが、そこはどのように考えていくべきなのか、もう少し意見を交換しておいたほうがいいと思いました。
と言うのも、2018年に今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会で出された報告書、特例給付金が導入されたときの前提となった研究会の報告書などを読みますと、必ずしも一時的な制度としては捉えていないようにも感じるのです。ICTの進展とか、多様な働き方の浸透等もあいまって、常時病院内で過ごす必要のある重度の身体障害者が、そういったICTスキルを活用して雇用されるケースとか、あるいは体力面とか介助等の制約があるために短時間勤務が必要な場合にも、対応する必要があるというようなことが書かれております。
そこで捉えられているのは、あくまで一時的な、慣れるまでなど、体調不良のときのためと言うよりも、恒常的に超短時間の形で働くという人たちも一定数いて、そういった人たちに対しても何らかの制度が必要だということが認識されていたと思いますので、そうだとすると、一時的な働き方として超短時間についての雇用率カウントを導入するのか、そうでないのかというのは、もう少し議論があってもいいと思いました。
もう一点ですが、特に精神障害者と知的障害者の団体の方々に、もしお分かりでしたらお聞きしたいと思ったのが、特に精神障害者の場合に、手帳の更新の際に、労働時間が一定数あるということで手帳の更新がされないという問題は認識されているのかと思って、お分かりになる範囲で教えていただければと思いました。なぜこのようなことを質問しているかと言うと、手帳の更新ができないことを恐れて、障害者本人が20時間未満の就労で構わないというように思ってしまったとすれば、それは余り望ましくないと思っていて、年金の話とはまた別ですが、年金の支給はされるのか、手帳の更新がどうなるのかということと、働ける働けない、あるいは働いていたとしても労働時間が何時間なのかということとの関係性みたいなものがあって、もし困っている方々がいるのだったら、それも把握しておきたいと思ったからです。以上です。
○山川分科会長 御質問ということで、これは事務局にというよりも、委員の皆様で手帳の更新と就労時間の関係の実情について、もし御存じであればということでしたけれども、委員の皆様方の中で御知見はありますでしょうか。下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。今の長谷川委員からの質問に対してだけではなくて、他の意見も言いたかったのですが。
年金の申請や何かのときに、そういう懸念の声は確かに聞こえます。でも、基本的には就労の関係と症状の疾患というのは、就労したから障害が軽くなったなど、あるいは医療のほうでそういう雇用をするというのは、全く関係ない話だと当然認識しています。
精神障害者の方々の意向把握のデータが余りないのです。何となくですよ。だから、ちまたでは長谷川委員がおっしゃったような声はあるのですが、客観的なデータとしてどうかというのはあります。そこら辺は、これからやっていかないといけないと思っています。私はそう思っています。
○山川分科会長 もともと御発言予定だったことについては、また後でお伺いいたします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。はい。
○山川分科会長 長谷川委員、よろしいでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。そういった実態がどうなのかと把握していただくのに際して、例えばなのですけれども、今回、資料で配っていただいた資料1の10ページ、週20時間未満で就労を希望する利用者の状況、希望理由というのがありますが、そういった希望理由の所に、例えば、年金の支給とか手帳の更新について懸念があるからといった選択肢を入れていただければ、もう少し実態が把握できるようになると思いますので、そこは事務局に是非お願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 使用者側の塩野です。この件につきましては、これまでの分科会でもいろいろ申し上げてきましたけれども、企業の立場から改めて意見を述べたいと思います。
今後、精神障害のある方の雇用が増えていく中、障害特性から職場に慣れるまでの期間、あるいは体調が不安定な期間などの対応として、短時間勤務はとても有効な施策だと考えています。弊社でも精神障害に限らず、何かをきっかけに体調を崩す社員がいます。現在では、一定期間休んだ後、出勤とか勤務の訓練などを個別に行っていますけれども、個々人によって症状等も異なることから、体調が悪い期間の働き方の選択肢として、週20時間未満の短時間勤務があってもいいのではないかと思っています。その際に企業としては、雇用率も引き続きカウントできるようにしていただけると、大変有り難く、是非お願いしたいと思っています。ただ、業務の切出し、あるいは一緒に働く社員との連携など、現場の実態を考えると、恒常的な短時間勤務はまだまだ課題が多いと考えています。私からは以上です。
○山川分科会長 続きまして、中川委員、お願いいたします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。最初に、長谷川委員の御質問に答えたいと思います。基本的には、手帳の診断書というのは労働能力を問いませんので、これは関係ないわけです。ただし、仕事に就いて日常生活能力が改善することがありますので、それで手帳の等級が1ランク下がるとかはあります。また、そのときに判断する人によっても全然違いますし、自治体だとか、時代の流れでも変わってきます。例えば、これは言っていいのか分からないのですが、私が全く同じ診断書を出しても、2級から3級になってしまうというようなこともあります。ということで、むしろ、そういう時の要素が大きいのかなというように考えます。
本題のほうですが、基本的には週20時間未満の就労に関しても雇用率にカウントすることに賛成させていただきます。20時間未満の就労というのは、精神障害者が対象になりますので、精神障害者についてそのメリットが2つあると思うのです。
1つ目としては、20時間未満の勤務形態であれば、現在雇用されていない方の中でも、勤務が可能な方が一定程度はいらっしゃるということです。基本的には精神障害者の方が可能な労働時間、希望する労働時間というのは、どちらかと言うと二峰性なのです。確かに40時間フルタイムで働ける方もいらっしゃいます。しかし一方で、週3日、4日ぐらい、しかも半日であれば就労可能な方もおりますが、それだと20時間に満たないので、実際に職場がなくて就労できないという方も結構いらっしゃるのです。ということで、こういう方々へ門戸を開くという意味で、20時間未満の就労に対してカウントするということは賛成です。
先ほどから意見が出ていますけれども、付け加えますと、20時間未満でスタートした人が30時間にステップアップできるかということです。これは、できる方もいればできない方もいる、人それぞれだというのが正解です。これはJEEDの研究結果でも明らかになっているわけです。それは人それぞれですのでケースバイケースで、それぞれの事案を検討して、それぞれの人に合った、延ばすか20時間未満のままでいいかということを決めなければいけないと考えます。
2つ目として、病状の悪化です。悪化時のサインが出たとき、又は実際に病状が悪化したときに、一時的に20時間未満にして何とか乗り越えるというのは、非常に有効な方法だと思います。これは、保健では一次予防とか二次予防という概念になるわけですが、一時的に超短時間にして雇用の継続を図るというメリットがあると思います。
それから、先ほど東矢委員等からも意見が出ていますように、現在は雇用の特例給付金制度があるわけですが、これは制度発足当時から、余り有効ではないのではないかという御指摘がこの委員会でもあったと思います。雇用創出のインパクトは非常に小さいと言わざるを得ないと思います。そういうことで、20時間未満の方に門戸を開き、また雇用継続のためにも、20時間未満にも雇用率をカウントをする方向で検討してはいかがかというのが私の意見です。以上です。
○山川分科会長 続きまして、影山委員、お願いいたします。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、雇用率にカウントすることについては賛成いたします。特に精神の方の場合、短い時間からのほうが就労に入りやすかったり、継続しやすいという話もお聞きします。ただ、お仕事に慣れてきて、もう少し時間を延ばしてもいいという場合でも、あなたは短時間で、ということにならないように。また、就労環境に問題があって短くしか働けないのかどうかということ、そういう場合は企業には御対応していただきたいのですが、できるような場合でも、対応しないことが原因でそうなってしまわないように、就労支援機関など、そういう組織と企業との連携が必要なのではないかと思います。
ちなみに下限の10時間なのですが、ときどき週2、3時間ぐらいからのほうが働きやすい、慣れやすいという方がいるのですが、そういう場合は、移行支援や継続支援などで慣れてから、お考えになっていただいてもよいと思います。
また、就労移行支援では全然大丈夫だったのですが、一般就労ではハードルが高くなるという方もいるのですが、そういう場合にはお試し実習などを何度かやっていただくということもあり得ると思いますので、10時間でよろしいのではないかと思います。
実雇用率へのカウントなのですが、短時間は短時間で全部まとめてしまったほうが簡便なような気がいたします。ただ、30時間未満と20時間未満で、企業が感じる対応の負担感や、事務処理の煩雑さというのを私は分かっていないのですが、場合によっては、30時間未満と20時間未満を分けるということもあり得るのではないかという気がいたします。以上でございます。
○山川分科会長 下屋敷委員、お待たせいたしました。どうぞお願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。20時間未満の対象にするというのは、みんなねっととして、全国精神保健福祉会連合会として、是非お願いしたいと思っています。と言いますのは、御存じのとおり、病院の退院促進が全国的に掛かっていまして、病床使用率もここ10年ぐらいで、恐らく9割ぐらいから70%台まで落ちてきています。それだけ地域で就職したり、地域で生活するという時代になっていますので、雇用創出の観点からも、是非ここは前向きに取り組んでいただきたいと思います。
それから、後の話になってくると思うのですけれども、例えば福祉のサイドではピアサポーターと言いますか、御本人が御本人の生活、あるいは仕事の相談相手になるというような役割が非常に精神の場合は強いのです。例えば精神保健福祉士の資格を取るとか、そういう方も結構多く出てまいりました。ですから、言ってみれば心の相談役と言いますか、そういう形での雇用とか、それも非常に有効ではないかと思っているところです。
それから、ITにつきましても、障害等級に関係なく、結構な方が情報技術をお持ちなのです。ですから、そういうことを是非短時間勤務のところも拡充して、社会的に受入れを是非推進していただきたいと願っています。以上でございます。
○山川分科会長 大谷委員、お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。20時間、精神障害の方がお話の中で多く出ておりますが、知的障害も一般就労した場合に、中には1日を過ごすことが難しいという方もおられますので、そこはカウントしていただくのは有り難いと思います。
ただ、知的障害の場合は、どうしても1年でそれがという形にはなりにくいので。時間を増やすということがなかなか難しい部分がありますので、そこのところの観点も、障害特性に応じた部分で、時間的なものや、年数も配慮していただければ、もっといいということで、雇用率も知的の方も上がりますので、是非ともそういうことも検討の中に付け加えていただければいいと思います。
それから、長谷川委員から問合せがあった件につきましてお話させてもらいますと、療育手帳等の場合は、成人をした段階で等級の変更はございませんので、知的障害というのは成人するまでに発生したということで括り付けがございますので、成人すれば手帳の変更はありません。取られていない方が成人してから、以前はこうでしたということで取られる場合がございますけれども、基本的には成人するまでに起きたことで取ることになっています。
もう一点、年金のほうにつきましては、正直に言います。一般就労の場合、年金は出ない場合があります。これは働けているということもあるのかも分からないのですが、昨年の暮れに特別支援学校の3年生のお母さんから相談があった中に、学校の先生から「一般就労が決まったので年金は出ませんよ」と言われたというのです。これはおかしな話で、お母さんのほうに「申請できますよ」と言うことで、ただし、一般就労されている場所の指導者の方に文書を作っていただかなければ駄目だということで、まず、こういうことが伝わってきていないという大きな問題点があります。
それに、2級から3級に変わるということがかなり多くあります。なぜこういうことが起こるかと言うと、うちの子は34歳になりますが、うちの子は重たいものですから審査はございませんけれども、3年に1回、5年に1回、中には2年に1回の更新があります。A判定をもらっている方にも更新がいまだにあるのです。これが現状ですので、そうしますと、2級の場合に、一般就労をされている方がぎりぎりの生活をされている中で、更新月に、また3年後に更新ということで、そのときに診断書を出すわけですけれども、そうすると3級になってしまうということがあり得るのです。これが本当に正しいのか。ここが議論ではないのですが、実情として、育成会としてもものすごく苦慮していて、いろいろな意味で困った状況が発生しておりますので、長谷川委員にも是非とも協力していただきたいと思っています。御報告までにお伝えしておきます。以上です。
○山川分科会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。ございませんでしたら、本日御欠席の倉知委員から書面で御意見を頂いております。現在、御議論いただいているテーマ、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いにつきまして、私のほうで代読をさせていただきます。
週20時間未満の短時間労働者について、法定雇用率にカウントすることについて賛成である。また、週20時間以上の短時間労働者については特例を継続することとする。カウント方法については、以下のとおりとすることを提案する。まるいち 短時間勤務を本人が希望して選択していることを条件とする。まるに まるいちの短時間労働者の週所定労働時間を合算し、40で除した数をカウントする。なお、重度障害者の場合は2倍にカウントする。まるさん あくまでも障害者のみ特例としてカウントすることとし、障害のない労働者についてはカウントしない。この3点がカウント方法についての提案でございます。以上が、この点についての倉知委員の御意見になります。
ほかによろしいでしょうか。非常に有益な御意見をありがとうございました。基本的には、この週20時間未満の障害者の方について、雇用機会を更に増進するために実雇用率にカウントするという方向への賛成の御意見が多かったように思います。なお、観点といいますか、変数がいろいろと提起された感じがありまして、御本人側の事情として、永続的な状況を想定するのか、それとも一時的な状況を想定しているのかという点、それから、障害の特性ないし種別をどう考えるのかという点が1つございます。また、制度の側では、雇用率についてはカウントの方法をどうするかという具体的なお話、さらに合理的配慮との関係、また、支援制度との関係がありまして、支援制度についても様々な支援、ステップアップのための支援、福祉と就労支援との連携のお話もございますし、仕事の切出し方等、企業の側への対応の支援、支援だけを取りましても様々な御意見が出されたものと考えております。
これらの点については、事務局で御意見を踏まえて、更に御検討いただくということでよろしいでしょうか。事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 おっしゃるとおりの理解で結構でございます。
○山川分科会長 よろしいでしょうか、お願いします。続いて、議題(1)の2番目のテーマ「難病患者・発達障害者」の方々についてというトピックでありますが、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。本件については、17ページ以降になります。まず18ページ以降から先に御説明申し上げます。18ページについては、これまでに頂いた主な意見をお載せしています。特に難病に関しての取扱いについての御意見が多いのですが、上から2つ目は、まとめまして、障害者手帳所持者に限定した取扱いを維持すべきという御意見です。3つ目ですが、難病患者については特定医療費受給者証をもってカウントするという御意見がありました。そのほか、難病・発達について、それぞれ一律に取り扱うということではなくて、個別に就労の困難性を評価していくという方向性についての御意見、最後は、発達についての御意見ですが、発達障害の方については、精神保健福祉手帳が取得可能ということですので、手帳の取得を促した上で、これをもって雇用率制度の中で一本化して対応するという御意見でした。
19ページです。関係団体からのヒアリングにおいて、一般社団法人の日本難病・疾病団体協議会から頂いた意見書をお載せしております。当日の団体からの御意見としては、障害者雇用率に反映されないということであると、障害者を雇用する意味合いが企業のほうで見いだせないということから、手帳を所持しない方を含めて、難病の方を一律に法定雇用率の中で対象障害者に加えることについて切望するという御意見がありました。
20ページです。難病患者の障害者手帳の取得状況について御紹介しております。本調査においては、手帳所持割合が56.3%となっております。患者団体等の調査では3割という数字があったり、疾患別に見ますと9割以上が取得しているという状況もあります。特徴的なのは、患者さん、それから手帳所持者を含めて、高齢者に非常にボリュームゾーンがあるということです。
21ページです。難病における就労困難性についてです。1つは、全身的な体調の崩れやすさ、あるいは、体力が非常に落ちやすいといったこと、疲れやすさということが共通性としてあります。一方でどの難病疾患かということ、あるいは、機能障害がどこにあるのかということに、それぞれ多様性があるということ、併せて、その上で疾病のコントロール、あるいは治療を安定的にされているのかなど、治療の状況なども踏まえると、極めて個別性が高いことが特徴になっています。
22ページ、ハローワークにおける実績の御紹介です。令和2年1月にハローワークシステムの刷新があり、多少このデータのぶれがありますが、新規求職申込数について、右肩上がりで増加をしている状況です。
こうした難病患者の皆さんに対しては、23ページに掲載しておりますが、「難病患者就職サポーター」を配置しており、難病センターなどとも連携しながら支援を進めております。難病患者就職サポーターの支援状況は、24ページに掲載しております。配置人数は51人ですが、勤務日数を10日から15日にするなど、支援機能の強化を図っております。直近の就職率は67.0%です。
25ページには、難病患者就職サポーターによる支援事例を3つ載せております。左からの2つ目までは、就労継続の支援に関する例です。一番左の事例まるいちについては、疾病が非常に安定せずに症状が悪化したりということで、入退院を繰り返している状況の中において、就労の継続について御相談があり、難病サポーターが、体調管理シートなどを活用して年間の体調変動サイクルなどを把握した上で、課題への対処方針を立てたということで、継続的な雇用につなげたという例です。
真ん中の例についても、御本人が病気を発症して入院して、休職した上での復職に向けての難病サポーターへの相談という事例です。本件についても、まず病状等についてしっかりと理解をするということで、主治医と連携をして、主治医からの意見書などに基づき配慮事項をきちんと事業主にお伝えして、事務職への配置転換などもしながら、フォロー体制を構築して、就労の継続につなげた例になっております。
一番右側は、就職時点での難病サポーターによる支援の例です。難病相談支援センターから誘導されてきた方ですが、採用面接に難病サポーターが同行して、事業所内での作業環境なども確認しながら、御本人の不安を解消し、マッチングしていったという例になっております。
いずれにしても、御本人の疾病の状況あるいは治療の状況だったり、安定的な状態なのかという状況を確認した上で、あるいは職場での環境なども踏まえ、企業と障害者の間に立って、様々な支援を展開しているという例です。
最後ですが、難病については、26ページ、難病患者の就労の困難性に関して調査研究を行っております。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対する要請研究として令和3年度から3か年計画で行っております。難病患者の就労の状況あるいは就労の困難性について、患者御本人や事業主の皆様に調査させていただき、最新の状況を把握して、それぞれの就労の困難性の評価に向けての検討の材料にしてまいりたいと考えております。
27ページ以降、発達障害に関するテーマに移ります。27ページは、同じく関係団体ヒアリングの際に、一般社団法人日本発達障害ネットワークから御提出いただいたものです。団体側の御意見といたしましては、左側の一番下のほうに書いてありますが、まず、発達障害の皆様については、基本的に手帳が取れるということですので、団体としては、まず手帳取得に向けてその理解の促進、あるいは発達障害の皆さんの障害の受容に対して配慮をということでの御要望でした。
29ページに、発達障害者の障害者手帳所持割合を載せております。本調査により、手帳の所持割合は84.4%ということで、難病よりも高い数字になっております。また、特徴的なのが、比較的若い層にボリュームゾーンがあるということです。
30ページです。発達障害者の就労上の困難ということで整理をしております。社会性の問題、コミュニケーションの問題、こだわりの問題というように、発達障害のメインとなってくる特性について類型化されておりますが、これらに対しても、様々な作業指示のやり方だったり、支援体制の組み方だったりで、その困難性を解消して活躍される例もあるということで、極めて個別性が高いかと考えております。
31ページ、ハローワークにおける就労支援の実績です。これも、システムの刷新の影響があり、少し数字がぶれておりますが、全体として右肩上がりということです。なお、ハローワークにおける発達障害という数字については、手帳を所持していない、診断だけの方という捉え方になっております。
こうした方たちに対して、32ページ、発達障害者雇用トータルサポーターが、PSWなどの資格を持った有識者ですが、支援を行っております。33ページには、その実績を載せております。配置人数については47名とありますが、令和3年度からは71名に増員をしており、直近で把握しております令和2年度の就職率は84.4%と高い数値になっております。
34ページです。発達障害者雇用トータルサポーターの支援事例を2つ載せております。いずれの場合も、仕事をした中でトラブルだったり不適応が起きて、その結果、心療内科等につながって、発達障害であるという診断をお受けになったという例です。まずハローワークとしては、障害の特性を整理して、御自身にも障害の特性を理解していただいてということでありますし、その上で、発達障害者の診断の下に手帳を取っていただくという方向で支援が進むわけですが、この2事例とも手帳をお取りになっていないという例です。その上で、次のステージとしては、就職マッチングに際して、企業に対して御本人の特性をしっかり伝える、あるいは発達障害であることをオープンにして就職活動をしていただくという対応となってきますが、この2つの例について、それぞれ御自身の特性や発達障害という障害名を開示した上で、最終的に就職しているという例になります。こういった形になりますと、定着に向けての配慮事項なども具体的にお伝えすることができるので、支援としては、今申し上げたプロセスで、最終的にはマッチング及び定着に向けてということで進んでいくのが理想的かと考えております。
35ページです。発達障害であることを認知する、その端緒についてお書きしております。作業遂行上のトラブル、コミュニケーション上のトラブル、あるいは感覚・認知特性に関する自覚症状ということになっておりますが、今の2つの事例でもお示ししましたように、御自身がお気付きになるタイミングが、生活力などは当然備えていらっしゃる方が多いため、仕事をして初めて様々な不適応、困難性に当たることになる例が多いかと思っています。
そういったことで、我々としては、まず、社会に出て就職するというタイミングまでに、できれば障害の認識をお持ちいただいて、専門的な支援につなげていくことが望ましいということで、36ページにありますように、大学と連携し、特別支援チームにより専門的な支援につなげていく取組を開始しております。
この大学と連携いたしました雇用トータルサポーターの支援事例について、37ページに載せております。Aさん、Bさん、それぞれ2事例については、相談に見えた段階においては手帳を持っていらっしゃらなかったわけですが、幼少期などに、やはり不適応だったり障害の疑いを指摘されながら大学生になっていらっしゃると。その上で、実際に就職活動などにお入りなる不安だったり、面接官とのやり取りがうまくいかないということで、支援につながってきた例です。いずれのケースも、相談を重ねる中で、まずはご自身の障害特性の認識をしっかりと持っていただいて、その上で、手帳の申請に向けてアドバイスをいたしまして、両者とも手帳の申請という形に結び付いております。その上で、職業センターなどでの職業評価なども踏まえ、最終的に採用された、あるいは、目下、就職支援の活動中であるという例です。
一番右の例については、既に福祉手帳を持っておられて、障害の枠でのインターンシップを希望ということでの御相談です。インターンシップを経て、さらに障害者職業センターでの職業評価も行った上で、同行紹介という形で、パート採用予定だったものを、細かい点に気付くという御本人の特性を活かした上で、検品作業で正社員内定ということです。特性を活かして就職を実現した好事例と捉えております。いずれにしても、このような形で、まずは御本人での障害の認識、それを踏まえた上でのオープン、あるいは手帳を取得した上でのマッチングと、その上での定着という形が支援のプロセスになっています。
最後ですが、38ページ、発達障害の方々について残されている課題に焦点を当て、要請研究をお願いしているところです。特に、今申し上げた形での相談を経てもなお、御自身が発達障害であるという認識がなかなか深まらないという方、あるいは、そこが分かった上で就職時点において障害を開示せずに就職される方、このような方については、最終的に就職して以降、事業主がかなりの困難性に直面するというような事態が生じていると認識しておりますので、こういった事例をターゲットにいたしまして、採用後の就労上の困難性の評価などに向けての検討に資する材料として、調査研究をしてまいりたいと思っております。
説明としては以上ですが、17ページに戻っていただければと思います。今、御説明したような状況を踏まえ、難病・発達障害、それぞれ手帳をお持ちでない方については、何かをもって一律に対象にするということは、直ちには難しいと考えております。先ほど御紹介したように、調査研究などを継続的に行いながら、障害者雇用率制度上における一律の範囲に加えるということではなくて、手帳を所持していない方の就労の困難性の判断について、どういったやり方があるのかということの引き続きの検討とさせていただきたいと考えております。その上で、こうした検討を進める中においても、先ほど御紹介したような特性を踏まえた専門的な支援が効果的でありますので、個人の特性に合わせた配慮の下で活躍できるような就労支援機能の強化を図ってまいりたいと考えております。説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 それでは、こちらのテーマについての質疑応答に入りたいと思います。先ほどと同じような形で御発言をお願いいたします。御質問や御意見等はありますか。内田委員、どうぞ。
○内田委員 御説明ありがとうございました。労働側の内田です。いくつか意見、要望等について発言させていただきます。現在の雇用率制度上の対象障害者は、手帳を所持する身体障害者、知的障害者又は精神障害者とされております。一方、難病患者や発達障害者の就労については、ハローワークの専門サポーターによる症状や特性を踏まえた就労支援が行われておりますが、手帳の所持を望まない者も含め、手帳を所持していないことで雇用における必要な支援や配慮が受けられず、就労に結び付かない場合や、長期の安定した雇用が難しい場合も一定程度あると考えております。そのことを踏まえれば、雇用率の対象を手帳所持者とする現行の枠組みは維持しつつも、手帳を取得していないが就労を希望する障害者についても、本人の希望と産業医の助言や指導に基づき、個別に就労困難性を判断した上で、法定雇用率の対象として、合理的な配慮を含む更なる支援の対象とすべきと考えます。また、その際には、カウントを目的とした事業者による当該障害者の掘り起こしなどが行われないように留意する必要があります。
最後に、今回は手帳を所持しない難病患者及び発達障害者について、直ちに雇用率制度の対象範囲に含めず、調査研究を踏まえ、引き続き取扱いを検討するとの方向性が、厚労省事務局から示されましたが、現状においても、就労を希望しても就職することができない障害者が一定数いることから、早期の調査研究実施と併せて、専門的な就職支援を行うサポーター等の支援人材配置の強化や、就労支援の充実は必須だと考えますので、併せて対応をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 では、次に中川委員、お願いします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。難病と発達障害に共通する特徴として、1つは、今お話があった多様性、個別性が高いということ、もう1つは、やはり手帳で捉えきれない就労困難性があるということがあると思います。その中で発達障害について、これは意見というよりも私の経験ですが、ちょっと提示させていただきたいと思います。
現在、私は職場のメンタルヘルスの仕事をしておりますが、最近、よく上司からこういう相談があります。「難関大学を卒業をした非常に優秀な方であるはずなんだけど、全然仕事ができない。何か根底にあるのではないか」ということで、相談される方が結構いらっしゃいます。そういう方に対して、御本人を面接したり、上司から職場の様子とか仕事ぶりを尋ねて、これは先ほどお話があったASDやADHD、またはその合併が非常に強く疑われる場合があります。その場合、御本人の了承を得て、発達の検査ができるようなクリニックに紹介するわけです。そういう事案が最近は結構多いわけですが、そこで診断が付く場合もありますが、様々な検査をしていただいて、やはりグレーゾーンだと、疑い病名しか付かないよということもケースとして結構あります。
つまり、職場では明らかな職業困難性があるわけです。しかし、医療機関では確定診断に至らないということです。疑い病名ですと、当然、手帳の診断書を書いてもらえません。何でこういう乖離が起きてくるかと言うと、やはり発達障害というのは生活障害なのです。生活の場、特に職場でこの特性が顕著に表われる、そういう障害だからということになります。
よく職場で表われる特徴としては、先ほどあったように、社会性の障害とかコミュニケーションの障害というものがありますが、加えて、計画を立てて仕事ができない、優先順位が付けられないなど、臨機応変ができないのです。ですから、マニュアルを見ても、ちょっと違った事態があると、マニュアルを応用することができないのです。こういう遂行能力の障害というのは比較的目立つ方が多く見られます。こういう方も比較的優秀な方が多いので、一旦仕事場を離れると、それなりにお友達がいたりとか、結構豊かな趣味を持っていたりということがあります。先ほど手帳の判定の話がありましたが、手帳というのは、基本的には日常生活能力で判断するのです。例えば、金銭管理ができるとか、身辺の身の安全を図れるとか、趣味や娯楽に関心がありますかと。こういうのはあるわけです。ですから、障害がないか、あっても非常に軽度ということになってしまいます。
このような事情がありますので、やはり個々に就労の困難性をちゃんと判定するという必要性を日々強く感じております。以上です。
○山川分科会長 次に影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、難病や発達障害の方からは就労における困難性がうかがえるという点で、雇用率制度での対応いかんを検討するということでよいのではないかと思います。ただ、慎重な議論が必要であるように思います。理由は2つあります。難病の方については既に困難性の調査をされておりますし、今、御説明があったように、支援の仕組みもお考えなのでよいと思うのですが、難病の方も発達障害の方も多様性が高いので、そのような場合、コンセンサスが得られる困難性の基準を考えていく必要があるように思います。ただ、困難性に関わる独自の基準を作るということもありますが、DSMだとかICDなどのように、他の評価ツールを用いるといったことも視野に入れて、議論をしていく必要があるように思います。
もう一点なのですが、今、正に中川委員から事例が出されておりました。私も、ここのところ企業の方といろいろ雑談をしていると、手帳はもちろんないのだけれども、非常に手を焼く人が増えているという話をお聞きしたりいたします。要するに、グレーゾーンが増えてきて、割と深刻な状況も見られるということかと思います。生産年齢人口もずっと減ってきているのですが、女性の労働力化を促す政策によって、労働力人口は増えてきたのです。ただ、ここ数年は頭打ちと言うか、ちょっと減少傾向も見せるようになってきています。その中で、いろいろな方を採用しないといけなくなってきていて、その中にグレーゾーンの方もいらっしゃる可能性があります。手帳がないけれども困難性を抱えている、今回の難病の方や発達障害の方は、グレーゾーンに入ってくるかと思います。この機にグレーゾーンの方に着目をしたということで、今後、企業の現場を見ていると、このグレーゾーンの方がより広がってくる可能性もあるかと思います。したがって、そういったことも視野に入れて、慎重に議論をしていったほうがよろしいのではないかなと思います。以上です。
○山川分科会長 では、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。資料の御説明をありがとうございました。企業実務の観点からは、雇用率制度の対象障害者は手帳を所持している方とする現行の枠組みを維持すべきと考えております。その上で、この資料にもあるように、近年、難病患者あるいは発達障害者の就職件数は増加傾向にあります。こうした方々の円滑な就労・定着の促進が、非常に大きな課題になっていると認識しています。企業の受入れ環境の整備が不可欠であり、そのためには、手帳を取得していない難病患者あるいは発達障害者の方については、今回、事務局から御提案いただいているように、直ちに雇用率制度の対象障害者とするのではなく、その就職困難性の判断の在り方に関して調査研究を深めつつ、必要な支援策などについて引き続き検討をしていくことが望ましいのではないかと考えているところです。
加えて、資料27ページにおいて、日本発達障害ネットワークからの御意見として、手帳の取得促進を求める内容がありました。これは非常に重要な指摘であると考えております。発達障害に対する社会的な偏見などから、手帳の取得を躊躇するといった方がいらっしゃるということも聞いております。厚生労働省におかれましては、手帳を取得すべき方が取得を前向きに考えられるように、発達障害の理解促進を図りながら、環境整備の一層の促進を図っていただきたいと考えております。また、医師の判断によって手帳が更新されなかったといったケースも聞かれるところです。そういった場合における雇用率のカウントの取扱いについて、手帳を失っても就労に当たって必要な配慮はほとんど変わらないケースには、引き続きカウントできるように検討していくべきではないかと考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 では、長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。まず、今回の方向性については、私も賛成はします。発達障害や難病の方々は非常に多様な症状をお持ちですから、一律に扱うことは難しいと思いますので、今後、どういった就労の困難性を抱えていらっしゃるのかというのをしっかり検討していった上で、将来的には、手帳の有無ということではなく、そういった就労困難性を個別に測って、それによって雇用率のカウントの対象にするかどうかといったことを検討していくべきだろうというように思いました。
2点目は、事務局に質問なのですが、資料24ページの※3の所で、難病患者就職サポーターの方々の人数を増やしたり、あるいは勤務日数を増加したということが書いてあるのです。こういった支援を強化していくということは非常に重要だと思うのですが、勤務日数が月10日から15日ということは、このサポーターの方々というのが非正規雇用の人たちなのかなというように思います。こういった支援をされる方には、様々な資格を持ってらっしゃる方などもいらっしゃって、なかなか正規雇用というのが難しいのかもしれないのですが、支援をしっかりしていくためには、支援者の側の労働条件といったものも十分に保障されていなければ安心して支援もできないと思いますので、人数を増やすとともに労働条件などの確保も是非お願いしたいなというように感じました。
3点目は、先ほどの私の質問に対して皆さんにお答えいただいてありがとうございました。大谷委員がおっしゃっていた、療育手帳というのは基本的にはもう成人前に取得して、そのままずっとキープするのだということだったのですが、都道府県によっては更新制度を導入している所もあるというように私は聞いたことがあって、それがある都道府県もあるのかしらという確認をさせていただければ有り難いなと思いました。すみません。以上です。
○山川分科会長 今の更新制度を採っている自治体があるかどうかという点、委員の皆様方への御質問ということでしたが、どなたか、何かありますか。大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 全国のほうで、そういうことがあるのかということで、ちょっと調査をかけてみます。そうすれば各県の状況は分かりますので、ちょっと日にちは掛かりますが、必ず返答をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○山川分科会長 長谷川委員、先ほどの事務局への質問ですが、お伺いしていると要望というようなことでよろしいですか。
○長谷川委員 はい、要望です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、山内委員、どうぞ。
○山内委員 使用者側の山内です。既に何名かの方がお話されたのですが、私は企業の立場で1つお話させていただきます。難病患者と発達障害を分けてお話しますが、厚生労働省のほうから提示がありましたように、年齢分布に違いが見受けられるのは、そのとおりかなと思っています。後発的な理由で難病に指定される方も出てくるでしょうし。企業側から見ると、実は、これは障害者に限った話ではなくて、年を取れば効率が悪くなったり、今までしていた仕事がかなわなくなるので、配置を考えたりなど、新たな仕事に就くという教育をするということです。
企業側から非常に有り難いと思っているのが、先ほど説明のありましたサポーターの存在です。企業内におりましても、ここら辺をうまく説明ができない、あるいは人を求める側と職を求める側、これのマッチングというのは非常に難しい中で、ましてや、ある程度年齢がいった中での就労・就職というのは非常にハードルが高いと思います。ですので、先ほど配置人数51名というようになっていましたが、このサポーターを是非強化していただくことを1つ検討いただければなというように思っております。これが難病の患者さんに対する考えです。
一方、発達障害です。これは、先ほど中川委員のほうからお話がありましたが、正に企業側で起きている生々しいお話をそのまま頂きました。私も年に1、2度こういう状況に遭遇します。産業医の先生からそういうお話を聞きます。これも同じようにサポーターの存在がありますが、事前に分かっていることとそうでない状況で、企業側の対応に大きな違いが出てきます。先ほど小野寺課長から説明を頂いた大学との連携というのは非常に有り難い話でして、就職の際にそのことを把握していれば、配置、配属のときにそれを踏まえた対応が取れるということと、ここでもやはりサポーターの存在は非常に有り難いです。後から分かるケースが多いのですが、なかなかコミュニケーション能力が他の人と比べてということが時にあります。ですので、同じく、発達障害の方々の就労支援に関しても、このサポーターの方々の強化は、企業側も非常に望むところですので、是非この2点、精神障害者の就労の増加というのが見込まれる中で、少しでも障害者の方々の採用の裾野を広げていきたいという気持ちがありますので、そこら辺のところを御検討いただくことをお願いしたいという思いです。山内からは以上です。
○山川分科会長 では、山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体中央会の山口です。障害者の雇用やカウントの増加を図るという観点からは、特定医療費受給者証の保持者への拡大を図っていくということが考えられますが、難病の種類も多く、働く環境や状況により症状の程度も異なり、個人差が大きいのではないかと思います。そのため、現状では障害者手帳を取得している者を対象とするという従来からの枠組みをそのままとして、先ほど事務局から説明がありました資料の38ページの説明のとおり、難病患者や発達障害者に関する調査研究の結果と、個人の就労困難性の評価などの取りまとめを待って、引き続き検討をしていくことが必要だと考えます。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 では、倉知委員、お願いします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。途中から参加しまして申し訳なかったと思います。まず、難病患者の件からいきたいと思います。難病患者の方であっても、障害者手帳を取得可能な人というのは一定数いるかと思います。ただ、そういう障害者手帳に該当しないけれども職業生活上は支障になる点というのは、痛みであったり、疲れやすさや倦怠感、体調変動の3点かなというように思います。これは、障害者手帳に反映されない項目となっています。だから、これらの評価スケールや診断基準というものを新たに開発して、就労困難性を評価した上で、その結果を障害者手帳に代わるものとして雇用率制度に活用をしていくということは、これから必要ではないかなというように思っています。
また、発達障害についてですが、職業生活上に支障となる程度の障害があるという方は、かなりの方が精神障害者保健福祉手帳を取得できて、雇用率制度の対象になるという仕組みになっているのではないかなと思いますが、先ほど中川委員がおっしゃっていたことも、私は一定数感じていて、でも、私はどちらかと言うと、発達障害についての診断技術の問題もかなり大きいのではないかなと思っています。つまり、症状はしっかり診るけれども生活のことを余り見ないために、発達障害のことを余り診断してもらえないという経験も結構あるのです。この辺りのところをまず修正していくことが大事ではないかなというように思います。私としては、手帳制度ということでいっていいのかなというように思っています。私からは以上です。
○山川分科会長 ほかに御意見や御質問等はありますか。下屋敷委員、どうぞ。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。ちょっと個人的な話なのですが、発達障害について家族相談などを長くやっていると、何と言うのですかね、生きづらさやコミュニケーションが取りにくいというようなことがあるのです。その方々が就労をする際には、例えば、職場に合わないからと一方的に、前の上司だと良かったけれども、上司が代わった途端に辞めさせられたとかというケースとか、いろいろあるのです。先ほど精神障害者の方々のお話の中でちょっと触れましたが、今、厚生労働省の福祉のほうでは、ピアサポーターというか、御本人たちの社会資源というのが出ているわけです。家族と本人なのですね。精神障害者の方々で発達障害をお持ちの方、あるいは、そういう勉強をしている方御本人が、自分の生き方、リカバリーの1つとする、そういう方が結構多いのです。だから、そういう方々が一緒に相談に乗るとかという形で、専門機関もそうなのですが、実際に地域の中で御本人同士で支え合うというような、何かそういうような要素、あくまでもこれは感想ですが、そういうのも社会的には必要になっていくのではないか、これは私の感想です。以上です。
○山川分科会長 ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。将来的な方向性について、いろいろ御意見を頂きました。多様性があるということについては、ほぼ共通の認識だと思いますが、その多様性の意味につき、発達障害の方の場合と難病の方の場合で、ちょっと違いがあるような感じもいたします。将来的に就労困難性というものをそもそもどういうように考えていくかということとも関連するような感じがいたしますが、いずれにしても、早期の調査研究を進める、あるいは適切な支援を充実させていくということについては、おおむね御議論、御意見は一致していたのではないかという印象を抱いたところです。
時間の関係がありますので、3つ目のテーマについて入っていきたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。3つ目のテーマは39ページ以降になります。
まず、40ページ以降から御説明を申し上げます。これまでの主な意見として載せております。主な意見といたしましては、A型の利用者自体を雇用率制度・納付金制度から外すといったような御意見があったわけでございます。その中でのそれぞれの意味合いは少しずつ違っておりますが、例えば、一般企業で雇用をするということと同列で議論するのは、やはり適切ではないのではないかというような御意見。あるいは、A型自体が、地域の中小企業の障害者雇用の代替をしている、中小企業で障害者の雇用が進まない一因ではないかといったような御指摘も頂いております。一方で、A型の評価として、障害を持った高齢者が働く場として有効といったような御意見も頂いております。
41ページですが、A型のプレゼンスを労働市場上で見ております。全国とそれぞれの都道府県ということで載せておりますが、障害者専用求人に占めるA型求人の割合は、直近のもので約3割、就職に占めますA型就職の割合が約2割ということです。下のほうを御覧いただくと、各都道府県におきまして、数パーセントの所もあれば5割を超えている所もあるということで、かなり地域によってのばらつきがございます。
42ページです。改めまして、A型の制度趣旨につきまして載せております。A型については、一般の企業で雇用されることが難しい障害者に対して、生産活動の場として提供されている場でありまして、必要な訓練を行っているというような立て付けになっております。
43ページに、A型の概要を載せております。現状においては基本報酬もスコア方式というものが導入されておりまして、それに基づいて基本報酬が決まり、主な加算というものがプラスされるという形になっております。
44ページには、利用者数と事業所数の推移を載せております。平成28年度までは、いずれも大きく増加して以降、伸びが鈍化しているというような状況で、令和2年度、直近で7万6,726人という利用者数、事業所数が3,956ということでございます。
45ページが、これまでのA型に係る見直し等の経過です。例えば、平成29年4月に総量規制の導入がなされて、先ほどのような伸びの鈍化ということが生じたのかなということ。あるいは、平成30年には平均労働時間に応じた基本報酬を導入して、さらに、令和3年の直近の報酬改定で、平均労働時間に加えまして、「生産活動」など5つの評価項目の総合評価で実績とするスコア方式が導入されているということでございます。
46ページ、障害者部会の方での議論の御紹介でございます。当分科会におきまして、A型事業所について雇用率制度・納付金制度の対象から外すことを考えるべきといった意見があることも紹介いただいておりますが、現状の検討の状況としては、A型の支援の質の向上や生産活動の活性化を促すという観点を、指定基準や報酬等によって検討していくこととしてはどうかというような検討がなされているようであります。
47ページです。A型が生産活動によって得た収益で最低賃金以上の賃金を払うというような立て付けになっておりますが、それが実現できていない事業所が58.3%あるというような状況を御紹介しています。
48ページ、「本来の姿」という所に、黄色い網掛けがしてあります。本来であれば、報酬に応じた適切な支援を行って生産活動が行われて、そこから得た収益で賃金を払うというような立て付け、これが本来の姿でありますし、通常の企業で雇用されることが難しい方が生産活動をしているという場になっているわけでありますけれども、現状は報酬に応じた適切な支援がなされていないと。つまりは、最低賃金の支払に報酬を充ててしまっている事業所があったり、あるいは、一般の企業で働くことが可能な方と見込まれる方であっても、引き続きA型に留め置かれているというような状況があるということで、課題が生じているということ。先ほど来のような検討の中で、本来の姿に寄せていくということなのかなと認識しております。
49ページ以降に、現在行われているA型の利用者等の実態調査をお載せしております。49ページの右側の上でございますが、一般就労を希望する利用者の割合がゼロという所が約15%、2割以下と合わせると約半数というような状況です。それから50ページ、一般就労の移行の実績ということで見ますと、2年間で一般就労に移行した方がゼロであった事業所が約35%、2人以下の事業所で75%超という状況でございます。
最後のページですけれども、例えば一般就労に向けて積極的にいろいろな訓練をおやりになっている事業所もあれば、働きがいの充実ということで、いわゆる居場所的な形になっている事業所もあると。多様な経営主体が利用者の多様なニーズに応えようとする実態がうかがわれるというような状況ということで、御紹介申し上げました。
39ページに戻っていただきまして、A型につきましては福祉サービスに位置付けられているため、先ほど分科会意見としても御紹介しましたように、障害者雇用率制度の対象にするべきではないという意見がございます。他方で、A型の利用者は雇用労働者でありますし、制度発足以来、雇用率制度の中で対象としてきたという経緯がございます。また、雇用・福祉連携の強化を進めていく中においても、その在り方や役割について課題の提起もされております。そういったことで、それに対応するために、利用者や支援内容の実態等を踏まえて整理を進めることとしておりまして、福祉課のほうでは実態把握なども取り組んでいるところであると認識しております。
このような状況も踏まえまして、就労継続支援A型の利用者の取扱いにつきましてどうお考えになるかということで、御意見を頂戴したいと思っております。説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは3番目の点につきまして、質疑応答をお願いいたします。御質問、御意見がありましたら同じような方法でお願いします。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。意見でございます。A型を雇用率制度から外すことには賛成です。A型については調整金も福祉のお金ももらえる、それはおかしいとの批判を、よく企業や福祉関係からも聞くことがあります。数がかなり増えてきておりますが、一般就労可能な方がA型に留め置かれるといった数の増加や、そういったことの背景にも、両方のお金がもらえるからということがあるのかもしれないなと思っております。
その際、A型というのは設置の趣旨からして、福祉の制度と考えるべきかと思います。A型の利用者というのは、就労の困難性が比較的低い障害者の方、手帳をお持ちの方だけではなくて、先ほど触れたグレーゾーンの方や社会復帰を期すひきこもりの方、それからグレーゾーンではなくて、地域の国立大学は出ているのだけれども、お仕事がうまくいかなくて結局A型を利用しているという方もいらっしゃいます。そういった方たちの受皿にもなるので、福祉の制度として維持していくということがよろしいのではないかと思います。ちょっと授業がありますので、これで抜けさせていただきます。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、続きまして門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。意見を申し上げたいと思います。A型事業所については、令和2年度で利用者76,000人強となっており、一般就労が困難な障害者の雇用の場として、又は知能や能力向上の訓練の場として、重要な就労の受皿になっております。
一方、A型は障害福祉サービス等の報酬の対象となっておりますが、納付金財政の影響を鑑みれば、調整金等の支給制限は妥当だと考えます。しかしながら、経営改善が必要な経営が厳しい事業所の多いA型事業所が雇用率制度から除外となった場合に、事業の継続や、事業所に通う利用者の雇用に影響が及ばないようにすることにも留意する必要があると思います。
併せて、本来、一般就労で働くことができる障害者が、何らかの理由で一般就労に移行できず、A型事業所に留め置かれてしまうような実態があれば、その課題を把握・解決し、本人の意向を尊重した上で、一般就労にスムーズに移行すべきと考えます。以上です。
本日は冨高委員、小西委員が御欠席です。倉知委員は途中から御参加予定と伺っております。また、影山委員におかれましては途中で御退席の予定と伺っております。
さらに、小西委員の代理として、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、事務局である職業安定局に異動がありましたので御紹介いたします。古田障害者雇用促進研究官が就任されておられます。
本日の分科会もZoomによるオンラインでの開催となります。開催に当たりまして事務局から説明をお願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。本日もZoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについて操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただきまして、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしております電話番号までご連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともございますので、あらかじめ御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上でございます。
○山川分科会長 それでは議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとなっております。
本日の議題は、(1)が障害者雇用率制度の在り方について、(2)がその他になっております。本日、議題1の関係で、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長の津曲課長に御出席を頂くこととしております。議題(1)につきましては、テーマが3つに分かれておりますので、各テーマについて事務局から御説明いただいたテーマごとに、質疑応答を行いたいと思います。
では、まず議題(1)の1つ目のテーマ、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。それでは資料1でございますが、2ページ目から御説明申し上げます。2ページ目に雇用率制度における短時間勤務者の取扱い等に関して、これまでいただきました御意見を主なものとして載せてございます。上の3つにつきましては、おおむね、20時間未満の就労について、まずは御本人の意向や症状等の安定などを踏まえた上で労働時間を引き上げていく取組、あるいは御本人の意向で労働時間をフレキシブルに決定できるということについて重要性の御指摘でございます。
残りの4つの御意見につきましては、方向性としては短時間労働者、20時間未満の方につきまして、雇用率の中においてカウントしていくという御意見であります。それぞれ少しずつ観点が違っておりますが、まず上から4つ目、それから下から2つ目につきましては、基本的には雇用した後に体調が不安定になったり、20時間以上働くことが難しくなった場合に、短時間勤務としてカウントをし続けるということが有効という御意見でございます。そのほか、例えばカウントの制度設計上の方策などについて御意見を賜っております。それから、一番下の御意見につきましては、精神障害者につきまして、その障害特性を踏まえて20時間未満の方について雇用率でカウントできるようにという御意見でございます。
3ページ以降、現状等を御説明申し上げます。まず3ページでございますが、所定労働時間20時間未満で実際に働いている方の増減傾向でございます。3障害につきまして、それぞれ30時間以上、それから20から30時間、20時間未満ということで区分して掲載しております。これは5年ごとに行われております障害者雇用実態調査のデータによります。身体、知的それぞれにつきましては20時間未満の割合には増減がございますけれども、下側の精神障害につきましては20年から25年、30年と増加を続けているというのが見て取れます。
次に4ページでございます。ハローワークにおける新規求職申込件数につきまして、希望就業時間別、障害の程度別、障害種別に整理をしております。まず左側でございます。20時間未満の就業を希望する新規求職申込件数、これは2020年度、単年度になりますけれども、身体、知的でも一定程度いますが、やはり精神障害の方でその数が多いというのが分かります。また一方で、右側ですが、この20時間未満で働きたいという方が多い精神障害につきまして、2010年から見ておりますけれども、年々増加を続けていますので、全体的な20時間未満の就業ニーズというのも高まっているのだろうと推察されます。
5ページでございますが、就職率、就職の状況につきましてまとめております。左側、3障害につきまして、やはり時間の区分に応じて就職率を比較しております。併せまして、身体と知的障害者につきましては、重度・重度以外でそれを比較してございます。全般的な傾向としては、労働時間が短いほど就職率が低くなっているという状況にございます。また重度・重度以外を比べると、重度のほうが重度以外に比べますと就職率が低くなっております。ただ、知的障害の30時間以上だけが、重度のほうが重度以外に比べて就職率が高いという状況にありますが、この点につきましては精緻に精査することは難しいのですが、重度の中には手帳で1級、2級と限定するのではなくて、就職に当たりまして職業センターにおいての重度判定を受けている方が入ってきておりますので、その辺りの影響もあると考えております。
一方、右側にはハローワークでの専用求人の数を載せてございます。やはり、ハローワークには、雇用率を達成するということで求人をお出しになる事業主の方も多くございますので、20時間以上の求人についてが多くなっておりまして、20時間未満の求人は全体の構成比で見ますと2割弱の状況にございます。就職に当たりまして20時間未満で就職をされる方については、求職者自身に就職の困難性というのがあるということも推察されますし、一方で求人数についても20時間未満の求人数が比較的少ないということもありまして、マッチングに対して困難な状況があると思っております。
続きまして6ページでございます。前回の元年改正の際に創設した特例給付金につきまして、改めて御紹介申し上げております。本制度につきましては、職業的自立、週20時間以上の労働者という考え方につきまして維持しつつも、短時間であれば就労可能な障害者等の皆様方に雇用機会を確保するというような目的で、下限を10時間といたしまして、20時間未満で雇用されている障害者に対しまして、調整金・報奨金それぞれの4分の1を月額7,000円、5,000円というような形で支給するということをもって、短時間の雇用機会の確保ということを図る制度でございます。令和2年の4月からスタートしておりますが、令和2年度分の支給につきまして令和3年度に上がってまいりますので、令和3年度の支給実績のところを御覧いただきますと、全体で約16億円の支給額、それから支給決定件数7,450件というような状況になってございます。
次に7ページ以降でございます。まず20時間未満で企業での就職を希望する方々の実態というものにつきまして、把握しようということでありますが、雇用状況報告につきましては20時間未満の雇用者について把握できませんので、今回はA型、B型事業所におきまして、一般の企業に対して就職を希望する方々であって、20時間未満で働きたいという方につきまして事例を把握してございます。その結果、A型事業所におきましては300事例、B型事業所におきましては2,242事例把握をしておりまして、両者につきまして7割弱、大変多く精神障害の方が希望しているということが分かっております。
次に8ページでございます。20時間未満での就職を希望する方の手帳等の所持状況でございます。先ほど御説明しましたように、全体の事例の中で7割弱が精神障害ということでありましたので、手帳の所持状況も精神の2級という手帳が最も多くなってございます。それに続いて療育手帳(重度以外)というような形、あるいは身体1級というような形になってございます。
それから、9ページには全体の調査で把握しておりますサンプルに基づきまして、手帳等の所持状況、それから全体の手帳別の交付数などを御参考に載せてございます。
次のページ、10ページでございます。20時間未満で就職を希望する事例の皆様方の希望理由といたしましては、身体・知的・精神いずれも「症状・障害の進行」、それから「体調の変動・維持」といったような理由が多数を占めてございます。特に精神障害につきましては「体調の変動・維持」の部分が75.7%と高くなってございます。
それから11ページ、20時間以上の就労が離職の要因であった事例につきまして、その理由を把握してございます。やはり、これも「症状・障害の進行」「体調の変動・維持」が高くなってございますが、身体・知的に比べますと精神のほうが割合としては高い状況にございます。
12ページ以降は、社会保障審議会障害者部会におきまして検討が進められております状況についてです。雇用・福祉連携強化検討会の中におきましても、企業に働いた後に障害福祉サービスを併用して使うということの論点が挙がっていたかと思いますが、その辺りが具体的な検討として進んでございます。
12ページの中ほどですが、一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時的な利用を可能とする方向性で検討が進められておりまして、働き始め、それから雇用後に休職から復職を目指す場合などにおきまして、法令上、こういった一時的な利用を可能とする方向で議論が進んでいるようです。
13ページにありますように、具体的には中ほど、3つ目の○、4つ目の○のような形で一時的な利用ということですので、一定の利用期間、制限を設けるというような方向で議論が進んでいると認識しております。
これらにつきましては御参考までに、15ページ、16ページに一時的な利用に対しての利用イメージを載せてございます。
1ページに戻っていただきまして、以上御説明した中身に基づきまして論点ということでお示しをしております。今、御説明申し上げましたように、週所定労働時間20時間未満の労働者につきましては、いずれの障害種別でも一定存在をしていると、特に精神障害者においてその割合が増加傾向にあるということでございます。また、週所定労働時間20時間未満で働きたいと希望されている新規求職者につきましても、いずれの障害種別でも一定存在しておりますが、特に精神障害者で多くなっておりますし、合わせて、近年、精神障害者自体の増加が著しいという状況になってございます。加えまして、症状の悪化等によって雇用後に一時的な不調に陥って週所定労働時間20時間以上働けなくなった状況に陥る障害者もございますが、御本人の希望等を踏まえまして雇用を継続していくことが望ましいと考えております。こうしたことから、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望される方々、あるいは20時間以上で働くことが困難であるという障害者につきまして、その雇用機会を確保するという方向性の下でどういった対応が考えられるか等、御意見として頂戴したいと思っております。
説明としては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者についての質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、こちらで指名させていただいた後に、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障の観点からお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。御質問、御意見等はございますか。竹下委員からどうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。2つお願いがあります。基本的には示されている方向に賛成でありますが、1つは短時間労働の障害者につきましては、そういう短時間で固定するということにならないようにしていただきたいということであります。すなわち、短時間労働で就労する方については、その病態や、その方の障害の内容にもよるでしょうけれども、一定期間、それが3か月か半年か1年か分かりませんが、一定期間経過後には、20時間以上、30時間以上へという形で、その方の就労がより長くなっていく形で対応できるシステムにしていただきたいということが1点であります。
もう一点は、合理的配慮との関係であります。合理的配慮の提供を加味してというのか、組み合わせた上でも、本当に短時間労働しかできないのか、合理的配慮を十分に考えることによって、20時間以上働けるということになる場合と、十分に障害の特性や程度に応じて検討していただくということが必要だろうと思っております。その意味では、合理的配慮の提供等を踏まえた上、それでも短時間労働に当分はならざるを得ないという方については、今、示されている方向での就労形態を考えていただきたいというように思っております。以上です。
○山川分科会長 続きまして、山口委員、お願いします。
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。私からの意見ですが、20時間以上30時間未満の短時間労働者と、10時間以上20時間未満の障害者の雇用については、労働時間がやや短いと言っても、労働環境や施設設備など、他の労働者への説明など、企業の受入体制、また特制や責任は重くて、それほど変わるものではありません。
中小企業においても障害者雇用を進めていく観点から、20時間未満の短時間労働者を活用していくことは有効であると思います。その際、自社の実雇用率を上昇させることができるよう、20時間以上30時間未満の短時間労働者と同様に、0.5などカウントとして反映していただければ、企業としても障害者雇用に対する意識が拡大していくのではないかと考えます。
それから、短時間労働者の受入れは自社の実雇用率にカウントされるのであって、法定雇用率の計算式に短時間労働者を含めることを意図するものではありません。つまり、法定雇用率は維持したままとしてアップすることはないという点は、改めて述べておきたいと思います。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 続きまして、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田でございます。私からは、これまでも発言させていただいている内容と重複いたしますが、改めて議題である週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いについて、意見を申し上げたいと思います。
今後、精神障害者の就労が増加していくことを踏まえれば、一時的な短時間勤務は、就労の確保あるいは維持に向けた柔軟な働き方の1つとして、非常に有効ではないかと考えているところです。
加えまして、企業では週20時間未満の短時間勤務は、障害者の方の体調不良の際に、一時的な対応として実施しているケースもあると承知しております。短時間勤務となっても、先ほど山口委員からも御発言がありましたけれども、マネジメントにおいて必要な配慮には変わりはございません。場合によっては、普段以上の配慮が必要になるケースもあり得ます。こうした企業における実態を踏まえまして、一時的に週20時間未満の短時間勤務になった場合でも、それまでと同じく雇用率のカウントができるように措置すべきと考えております。
また、先ほどの資料の中で、一般就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用について記載されておりました。そのうち、13ページの3つ目の○では、企業等での働き始めに週10時間~20時間未満程度から、段階的に勤務時間を増やしていくとした上で、利用期間は原則3か月~6か月以内、延長が必要な場合は合計1年までと提案されております。
先ほど申し上げたとおり、企業では週20時間未満の短時間労働については、特別な措置として実施しており、長期間にわたる実施は想定されていないと考えております。企業における雇用であるからには、可能な限り短期間としたうえで、週20時間以上の就労につなげていくことが望ましいと考えております。
そのためにも、同じく13ページの5つ目の○にあるとおり、関係機関の支援が極めて重要であると考えることから、連携の枠組みの御検討を頂きたいと考えております。私からは以上でございます。
○山川分科会長 東矢委員、どうぞ。
○東矢委員 労働者側の東矢でございます。障害特性により、長時間の労働が困難な場合や、一時的な心身の不調から短時間の勤務が必要とする場合など、週20時間未満の短時間勤務のニーズは一定の割合であると考えています。その上で、短時間であっても働きたいと希望される方が雇用され、就労できることは、障害者の社会参加促進の観点からも有用だと考えます。
一方、現行制度においても、特例給付金による雇用促進策はありますが、週20時間未満の短時間雇用の雇用率カウントなどの措置はなく、雇用する企業へのインセンティブが不十分だと思います。そのため、例えば、障害者短時間トライアルコースと同様に、週10時間以上を下限として、週20時間未満の雇用率カウントなども含めたインセンティブの付与を検討すべきと考えます。
また併せて、週20時間未満も含めた短時間労働が固定化するということがないように、フルタイムへスムーズに移行できる仕組みを設けることも重要だと考えております。以上です。
○山川分科会長 次に清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田でございます。意見として申し上げたいと思います。日商が昨年行った調査で、障害者雇用の課題について聞いたところ、自社の業務に合った障害者を採用できないという採用の問題と、受入れのノウハウが不足しているという回答が上位の2つで、3番目として、障害者が行う業務の切出し、設定が困難と回答する企業がそれぞれ約3割ほどあったという状況でございます。中小企業では少量多種にわたる業務が多いという現状を踏まえると、障害特性に応じた業務を切り出す、設定するということに難しさを感じている企業が多いことが分かります。
こうした中で、週20時間未満の短時間労働者の雇用というのは、中小企業が障害者雇用に取り組むための最初のステップとして、取り組みやすいものと思います。雇用ゼロ企業が多い中小企業に対して、取組のインセンティブとするためには、やはり法定雇用率のカウント対象とする措置を検討いただきたいと思っております。私からは以上です。 ○山川分科会長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。私も週20時間未満の労働についても雇用率制度の対象としていくという方向性については賛成しています。ただ、週20時間未満を超短時間と言わせていただきますが、そういった超短時間と、今の短時間の20時間~30時間、そして30時間以上という形で、労働時間の区分が3つできてくると、雇用管理やロクイチ調査のときの報告など、そういったものがいろいろと複雑になっていくと考えますので、それらが余り複雑にならないような工夫が必要になってくると思います。
とは言え、20時間未満の場合に雇用率を幾つのカウントにするのかといったときに、今の20時間から30時間と同じように0.5にしてしまうと、特に超短時間でなければならない状態でもないのに、あるいは本人が特に望んでいないにもかかわらず、0.5カウントを稼げるのだったら超短時間にしておけばいいという形で、労働時間が短くなってしまう働かされ方をしてしまうと、それは問題だと思うので、カウントを幾つにするかというのは慎重に考える必要があるのではないかと思っています。
あと、これまで委員の方々の御意見を伺っていると、週20時間未満の超短時間労働者の取扱いについては、あくまでも一時的な、体調不良など、そういったときのためのものとして捉えている方が多いと思うのですが、そこはどのように考えていくべきなのか、もう少し意見を交換しておいたほうがいいと思いました。
と言うのも、2018年に今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会で出された報告書、特例給付金が導入されたときの前提となった研究会の報告書などを読みますと、必ずしも一時的な制度としては捉えていないようにも感じるのです。ICTの進展とか、多様な働き方の浸透等もあいまって、常時病院内で過ごす必要のある重度の身体障害者が、そういったICTスキルを活用して雇用されるケースとか、あるいは体力面とか介助等の制約があるために短時間勤務が必要な場合にも、対応する必要があるというようなことが書かれております。
そこで捉えられているのは、あくまで一時的な、慣れるまでなど、体調不良のときのためと言うよりも、恒常的に超短時間の形で働くという人たちも一定数いて、そういった人たちに対しても何らかの制度が必要だということが認識されていたと思いますので、そうだとすると、一時的な働き方として超短時間についての雇用率カウントを導入するのか、そうでないのかというのは、もう少し議論があってもいいと思いました。
もう一点ですが、特に精神障害者と知的障害者の団体の方々に、もしお分かりでしたらお聞きしたいと思ったのが、特に精神障害者の場合に、手帳の更新の際に、労働時間が一定数あるということで手帳の更新がされないという問題は認識されているのかと思って、お分かりになる範囲で教えていただければと思いました。なぜこのようなことを質問しているかと言うと、手帳の更新ができないことを恐れて、障害者本人が20時間未満の就労で構わないというように思ってしまったとすれば、それは余り望ましくないと思っていて、年金の話とはまた別ですが、年金の支給はされるのか、手帳の更新がどうなるのかということと、働ける働けない、あるいは働いていたとしても労働時間が何時間なのかということとの関係性みたいなものがあって、もし困っている方々がいるのだったら、それも把握しておきたいと思ったからです。以上です。
○山川分科会長 御質問ということで、これは事務局にというよりも、委員の皆様で手帳の更新と就労時間の関係の実情について、もし御存じであればということでしたけれども、委員の皆様方の中で御知見はありますでしょうか。下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。今の長谷川委員からの質問に対してだけではなくて、他の意見も言いたかったのですが。
年金の申請や何かのときに、そういう懸念の声は確かに聞こえます。でも、基本的には就労の関係と症状の疾患というのは、就労したから障害が軽くなったなど、あるいは医療のほうでそういう雇用をするというのは、全く関係ない話だと当然認識しています。
精神障害者の方々の意向把握のデータが余りないのです。何となくですよ。だから、ちまたでは長谷川委員がおっしゃったような声はあるのですが、客観的なデータとしてどうかというのはあります。そこら辺は、これからやっていかないといけないと思っています。私はそう思っています。
○山川分科会長 もともと御発言予定だったことについては、また後でお伺いいたします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。はい。
○山川分科会長 長谷川委員、よろしいでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。そういった実態がどうなのかと把握していただくのに際して、例えばなのですけれども、今回、資料で配っていただいた資料1の10ページ、週20時間未満で就労を希望する利用者の状況、希望理由というのがありますが、そういった希望理由の所に、例えば、年金の支給とか手帳の更新について懸念があるからといった選択肢を入れていただければ、もう少し実態が把握できるようになると思いますので、そこは事務局に是非お願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 使用者側の塩野です。この件につきましては、これまでの分科会でもいろいろ申し上げてきましたけれども、企業の立場から改めて意見を述べたいと思います。
今後、精神障害のある方の雇用が増えていく中、障害特性から職場に慣れるまでの期間、あるいは体調が不安定な期間などの対応として、短時間勤務はとても有効な施策だと考えています。弊社でも精神障害に限らず、何かをきっかけに体調を崩す社員がいます。現在では、一定期間休んだ後、出勤とか勤務の訓練などを個別に行っていますけれども、個々人によって症状等も異なることから、体調が悪い期間の働き方の選択肢として、週20時間未満の短時間勤務があってもいいのではないかと思っています。その際に企業としては、雇用率も引き続きカウントできるようにしていただけると、大変有り難く、是非お願いしたいと思っています。ただ、業務の切出し、あるいは一緒に働く社員との連携など、現場の実態を考えると、恒常的な短時間勤務はまだまだ課題が多いと考えています。私からは以上です。
○山川分科会長 続きまして、中川委員、お願いいたします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。最初に、長谷川委員の御質問に答えたいと思います。基本的には、手帳の診断書というのは労働能力を問いませんので、これは関係ないわけです。ただし、仕事に就いて日常生活能力が改善することがありますので、それで手帳の等級が1ランク下がるとかはあります。また、そのときに判断する人によっても全然違いますし、自治体だとか、時代の流れでも変わってきます。例えば、これは言っていいのか分からないのですが、私が全く同じ診断書を出しても、2級から3級になってしまうというようなこともあります。ということで、むしろ、そういう時の要素が大きいのかなというように考えます。
本題のほうですが、基本的には週20時間未満の就労に関しても雇用率にカウントすることに賛成させていただきます。20時間未満の就労というのは、精神障害者が対象になりますので、精神障害者についてそのメリットが2つあると思うのです。
1つ目としては、20時間未満の勤務形態であれば、現在雇用されていない方の中でも、勤務が可能な方が一定程度はいらっしゃるということです。基本的には精神障害者の方が可能な労働時間、希望する労働時間というのは、どちらかと言うと二峰性なのです。確かに40時間フルタイムで働ける方もいらっしゃいます。しかし一方で、週3日、4日ぐらい、しかも半日であれば就労可能な方もおりますが、それだと20時間に満たないので、実際に職場がなくて就労できないという方も結構いらっしゃるのです。ということで、こういう方々へ門戸を開くという意味で、20時間未満の就労に対してカウントするということは賛成です。
先ほどから意見が出ていますけれども、付け加えますと、20時間未満でスタートした人が30時間にステップアップできるかということです。これは、できる方もいればできない方もいる、人それぞれだというのが正解です。これはJEEDの研究結果でも明らかになっているわけです。それは人それぞれですのでケースバイケースで、それぞれの事案を検討して、それぞれの人に合った、延ばすか20時間未満のままでいいかということを決めなければいけないと考えます。
2つ目として、病状の悪化です。悪化時のサインが出たとき、又は実際に病状が悪化したときに、一時的に20時間未満にして何とか乗り越えるというのは、非常に有効な方法だと思います。これは、保健では一次予防とか二次予防という概念になるわけですが、一時的に超短時間にして雇用の継続を図るというメリットがあると思います。
それから、先ほど東矢委員等からも意見が出ていますように、現在は雇用の特例給付金制度があるわけですが、これは制度発足当時から、余り有効ではないのではないかという御指摘がこの委員会でもあったと思います。雇用創出のインパクトは非常に小さいと言わざるを得ないと思います。そういうことで、20時間未満の方に門戸を開き、また雇用継続のためにも、20時間未満にも雇用率をカウントをする方向で検討してはいかがかというのが私の意見です。以上です。
○山川分科会長 続きまして、影山委員、お願いいたします。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、雇用率にカウントすることについては賛成いたします。特に精神の方の場合、短い時間からのほうが就労に入りやすかったり、継続しやすいという話もお聞きします。ただ、お仕事に慣れてきて、もう少し時間を延ばしてもいいという場合でも、あなたは短時間で、ということにならないように。また、就労環境に問題があって短くしか働けないのかどうかということ、そういう場合は企業には御対応していただきたいのですが、できるような場合でも、対応しないことが原因でそうなってしまわないように、就労支援機関など、そういう組織と企業との連携が必要なのではないかと思います。
ちなみに下限の10時間なのですが、ときどき週2、3時間ぐらいからのほうが働きやすい、慣れやすいという方がいるのですが、そういう場合は、移行支援や継続支援などで慣れてから、お考えになっていただいてもよいと思います。
また、就労移行支援では全然大丈夫だったのですが、一般就労ではハードルが高くなるという方もいるのですが、そういう場合にはお試し実習などを何度かやっていただくということもあり得ると思いますので、10時間でよろしいのではないかと思います。
実雇用率へのカウントなのですが、短時間は短時間で全部まとめてしまったほうが簡便なような気がいたします。ただ、30時間未満と20時間未満で、企業が感じる対応の負担感や、事務処理の煩雑さというのを私は分かっていないのですが、場合によっては、30時間未満と20時間未満を分けるということもあり得るのではないかという気がいたします。以上でございます。
○山川分科会長 下屋敷委員、お待たせいたしました。どうぞお願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。20時間未満の対象にするというのは、みんなねっととして、全国精神保健福祉会連合会として、是非お願いしたいと思っています。と言いますのは、御存じのとおり、病院の退院促進が全国的に掛かっていまして、病床使用率もここ10年ぐらいで、恐らく9割ぐらいから70%台まで落ちてきています。それだけ地域で就職したり、地域で生活するという時代になっていますので、雇用創出の観点からも、是非ここは前向きに取り組んでいただきたいと思います。
それから、後の話になってくると思うのですけれども、例えば福祉のサイドではピアサポーターと言いますか、御本人が御本人の生活、あるいは仕事の相談相手になるというような役割が非常に精神の場合は強いのです。例えば精神保健福祉士の資格を取るとか、そういう方も結構多く出てまいりました。ですから、言ってみれば心の相談役と言いますか、そういう形での雇用とか、それも非常に有効ではないかと思っているところです。
それから、ITにつきましても、障害等級に関係なく、結構な方が情報技術をお持ちなのです。ですから、そういうことを是非短時間勤務のところも拡充して、社会的に受入れを是非推進していただきたいと願っています。以上でございます。
○山川分科会長 大谷委員、お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。20時間、精神障害の方がお話の中で多く出ておりますが、知的障害も一般就労した場合に、中には1日を過ごすことが難しいという方もおられますので、そこはカウントしていただくのは有り難いと思います。
ただ、知的障害の場合は、どうしても1年でそれがという形にはなりにくいので。時間を増やすということがなかなか難しい部分がありますので、そこのところの観点も、障害特性に応じた部分で、時間的なものや、年数も配慮していただければ、もっといいということで、雇用率も知的の方も上がりますので、是非ともそういうことも検討の中に付け加えていただければいいと思います。
それから、長谷川委員から問合せがあった件につきましてお話させてもらいますと、療育手帳等の場合は、成人をした段階で等級の変更はございませんので、知的障害というのは成人するまでに発生したということで括り付けがございますので、成人すれば手帳の変更はありません。取られていない方が成人してから、以前はこうでしたということで取られる場合がございますけれども、基本的には成人するまでに起きたことで取ることになっています。
もう一点、年金のほうにつきましては、正直に言います。一般就労の場合、年金は出ない場合があります。これは働けているということもあるのかも分からないのですが、昨年の暮れに特別支援学校の3年生のお母さんから相談があった中に、学校の先生から「一般就労が決まったので年金は出ませんよ」と言われたというのです。これはおかしな話で、お母さんのほうに「申請できますよ」と言うことで、ただし、一般就労されている場所の指導者の方に文書を作っていただかなければ駄目だということで、まず、こういうことが伝わってきていないという大きな問題点があります。
それに、2級から3級に変わるということがかなり多くあります。なぜこういうことが起こるかと言うと、うちの子は34歳になりますが、うちの子は重たいものですから審査はございませんけれども、3年に1回、5年に1回、中には2年に1回の更新があります。A判定をもらっている方にも更新がいまだにあるのです。これが現状ですので、そうしますと、2級の場合に、一般就労をされている方がぎりぎりの生活をされている中で、更新月に、また3年後に更新ということで、そのときに診断書を出すわけですけれども、そうすると3級になってしまうということがあり得るのです。これが本当に正しいのか。ここが議論ではないのですが、実情として、育成会としてもものすごく苦慮していて、いろいろな意味で困った状況が発生しておりますので、長谷川委員にも是非とも協力していただきたいと思っています。御報告までにお伝えしておきます。以上です。
○山川分科会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。ございませんでしたら、本日御欠席の倉知委員から書面で御意見を頂いております。現在、御議論いただいているテーマ、週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱いにつきまして、私のほうで代読をさせていただきます。
週20時間未満の短時間労働者について、法定雇用率にカウントすることについて賛成である。また、週20時間以上の短時間労働者については特例を継続することとする。カウント方法については、以下のとおりとすることを提案する。まるいち 短時間勤務を本人が希望して選択していることを条件とする。まるに まるいちの短時間労働者の週所定労働時間を合算し、40で除した数をカウントする。なお、重度障害者の場合は2倍にカウントする。まるさん あくまでも障害者のみ特例としてカウントすることとし、障害のない労働者についてはカウントしない。この3点がカウント方法についての提案でございます。以上が、この点についての倉知委員の御意見になります。
ほかによろしいでしょうか。非常に有益な御意見をありがとうございました。基本的には、この週20時間未満の障害者の方について、雇用機会を更に増進するために実雇用率にカウントするという方向への賛成の御意見が多かったように思います。なお、観点といいますか、変数がいろいろと提起された感じがありまして、御本人側の事情として、永続的な状況を想定するのか、それとも一時的な状況を想定しているのかという点、それから、障害の特性ないし種別をどう考えるのかという点が1つございます。また、制度の側では、雇用率についてはカウントの方法をどうするかという具体的なお話、さらに合理的配慮との関係、また、支援制度との関係がありまして、支援制度についても様々な支援、ステップアップのための支援、福祉と就労支援との連携のお話もございますし、仕事の切出し方等、企業の側への対応の支援、支援だけを取りましても様々な御意見が出されたものと考えております。
これらの点については、事務局で御意見を踏まえて、更に御検討いただくということでよろしいでしょうか。事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 おっしゃるとおりの理解で結構でございます。
○山川分科会長 よろしいでしょうか、お願いします。続いて、議題(1)の2番目のテーマ「難病患者・発達障害者」の方々についてというトピックでありますが、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。本件については、17ページ以降になります。まず18ページ以降から先に御説明申し上げます。18ページについては、これまでに頂いた主な意見をお載せしています。特に難病に関しての取扱いについての御意見が多いのですが、上から2つ目は、まとめまして、障害者手帳所持者に限定した取扱いを維持すべきという御意見です。3つ目ですが、難病患者については特定医療費受給者証をもってカウントするという御意見がありました。そのほか、難病・発達について、それぞれ一律に取り扱うということではなくて、個別に就労の困難性を評価していくという方向性についての御意見、最後は、発達についての御意見ですが、発達障害の方については、精神保健福祉手帳が取得可能ということですので、手帳の取得を促した上で、これをもって雇用率制度の中で一本化して対応するという御意見でした。
19ページです。関係団体からのヒアリングにおいて、一般社団法人の日本難病・疾病団体協議会から頂いた意見書をお載せしております。当日の団体からの御意見としては、障害者雇用率に反映されないということであると、障害者を雇用する意味合いが企業のほうで見いだせないということから、手帳を所持しない方を含めて、難病の方を一律に法定雇用率の中で対象障害者に加えることについて切望するという御意見がありました。
20ページです。難病患者の障害者手帳の取得状況について御紹介しております。本調査においては、手帳所持割合が56.3%となっております。患者団体等の調査では3割という数字があったり、疾患別に見ますと9割以上が取得しているという状況もあります。特徴的なのは、患者さん、それから手帳所持者を含めて、高齢者に非常にボリュームゾーンがあるということです。
21ページです。難病における就労困難性についてです。1つは、全身的な体調の崩れやすさ、あるいは、体力が非常に落ちやすいといったこと、疲れやすさということが共通性としてあります。一方でどの難病疾患かということ、あるいは、機能障害がどこにあるのかということに、それぞれ多様性があるということ、併せて、その上で疾病のコントロール、あるいは治療を安定的にされているのかなど、治療の状況なども踏まえると、極めて個別性が高いことが特徴になっています。
22ページ、ハローワークにおける実績の御紹介です。令和2年1月にハローワークシステムの刷新があり、多少このデータのぶれがありますが、新規求職申込数について、右肩上がりで増加をしている状況です。
こうした難病患者の皆さんに対しては、23ページに掲載しておりますが、「難病患者就職サポーター」を配置しており、難病センターなどとも連携しながら支援を進めております。難病患者就職サポーターの支援状況は、24ページに掲載しております。配置人数は51人ですが、勤務日数を10日から15日にするなど、支援機能の強化を図っております。直近の就職率は67.0%です。
25ページには、難病患者就職サポーターによる支援事例を3つ載せております。左からの2つ目までは、就労継続の支援に関する例です。一番左の事例まるいちについては、疾病が非常に安定せずに症状が悪化したりということで、入退院を繰り返している状況の中において、就労の継続について御相談があり、難病サポーターが、体調管理シートなどを活用して年間の体調変動サイクルなどを把握した上で、課題への対処方針を立てたということで、継続的な雇用につなげたという例です。
真ん中の例についても、御本人が病気を発症して入院して、休職した上での復職に向けての難病サポーターへの相談という事例です。本件についても、まず病状等についてしっかりと理解をするということで、主治医と連携をして、主治医からの意見書などに基づき配慮事項をきちんと事業主にお伝えして、事務職への配置転換などもしながら、フォロー体制を構築して、就労の継続につなげた例になっております。
一番右側は、就職時点での難病サポーターによる支援の例です。難病相談支援センターから誘導されてきた方ですが、採用面接に難病サポーターが同行して、事業所内での作業環境なども確認しながら、御本人の不安を解消し、マッチングしていったという例になっております。
いずれにしても、御本人の疾病の状況あるいは治療の状況だったり、安定的な状態なのかという状況を確認した上で、あるいは職場での環境なども踏まえ、企業と障害者の間に立って、様々な支援を展開しているという例です。
最後ですが、難病については、26ページ、難病患者の就労の困難性に関して調査研究を行っております。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対する要請研究として令和3年度から3か年計画で行っております。難病患者の就労の状況あるいは就労の困難性について、患者御本人や事業主の皆様に調査させていただき、最新の状況を把握して、それぞれの就労の困難性の評価に向けての検討の材料にしてまいりたいと考えております。
27ページ以降、発達障害に関するテーマに移ります。27ページは、同じく関係団体ヒアリングの際に、一般社団法人日本発達障害ネットワークから御提出いただいたものです。団体側の御意見といたしましては、左側の一番下のほうに書いてありますが、まず、発達障害の皆様については、基本的に手帳が取れるということですので、団体としては、まず手帳取得に向けてその理解の促進、あるいは発達障害の皆さんの障害の受容に対して配慮をということでの御要望でした。
29ページに、発達障害者の障害者手帳所持割合を載せております。本調査により、手帳の所持割合は84.4%ということで、難病よりも高い数字になっております。また、特徴的なのが、比較的若い層にボリュームゾーンがあるということです。
30ページです。発達障害者の就労上の困難ということで整理をしております。社会性の問題、コミュニケーションの問題、こだわりの問題というように、発達障害のメインとなってくる特性について類型化されておりますが、これらに対しても、様々な作業指示のやり方だったり、支援体制の組み方だったりで、その困難性を解消して活躍される例もあるということで、極めて個別性が高いかと考えております。
31ページ、ハローワークにおける就労支援の実績です。これも、システムの刷新の影響があり、少し数字がぶれておりますが、全体として右肩上がりということです。なお、ハローワークにおける発達障害という数字については、手帳を所持していない、診断だけの方という捉え方になっております。
こうした方たちに対して、32ページ、発達障害者雇用トータルサポーターが、PSWなどの資格を持った有識者ですが、支援を行っております。33ページには、その実績を載せております。配置人数については47名とありますが、令和3年度からは71名に増員をしており、直近で把握しております令和2年度の就職率は84.4%と高い数値になっております。
34ページです。発達障害者雇用トータルサポーターの支援事例を2つ載せております。いずれの場合も、仕事をした中でトラブルだったり不適応が起きて、その結果、心療内科等につながって、発達障害であるという診断をお受けになったという例です。まずハローワークとしては、障害の特性を整理して、御自身にも障害の特性を理解していただいてということでありますし、その上で、発達障害者の診断の下に手帳を取っていただくという方向で支援が進むわけですが、この2事例とも手帳をお取りになっていないという例です。その上で、次のステージとしては、就職マッチングに際して、企業に対して御本人の特性をしっかり伝える、あるいは発達障害であることをオープンにして就職活動をしていただくという対応となってきますが、この2つの例について、それぞれ御自身の特性や発達障害という障害名を開示した上で、最終的に就職しているという例になります。こういった形になりますと、定着に向けての配慮事項なども具体的にお伝えすることができるので、支援としては、今申し上げたプロセスで、最終的にはマッチング及び定着に向けてということで進んでいくのが理想的かと考えております。
35ページです。発達障害であることを認知する、その端緒についてお書きしております。作業遂行上のトラブル、コミュニケーション上のトラブル、あるいは感覚・認知特性に関する自覚症状ということになっておりますが、今の2つの事例でもお示ししましたように、御自身がお気付きになるタイミングが、生活力などは当然備えていらっしゃる方が多いため、仕事をして初めて様々な不適応、困難性に当たることになる例が多いかと思っています。
そういったことで、我々としては、まず、社会に出て就職するというタイミングまでに、できれば障害の認識をお持ちいただいて、専門的な支援につなげていくことが望ましいということで、36ページにありますように、大学と連携し、特別支援チームにより専門的な支援につなげていく取組を開始しております。
この大学と連携いたしました雇用トータルサポーターの支援事例について、37ページに載せております。Aさん、Bさん、それぞれ2事例については、相談に見えた段階においては手帳を持っていらっしゃらなかったわけですが、幼少期などに、やはり不適応だったり障害の疑いを指摘されながら大学生になっていらっしゃると。その上で、実際に就職活動などにお入りなる不安だったり、面接官とのやり取りがうまくいかないということで、支援につながってきた例です。いずれのケースも、相談を重ねる中で、まずはご自身の障害特性の認識をしっかりと持っていただいて、その上で、手帳の申請に向けてアドバイスをいたしまして、両者とも手帳の申請という形に結び付いております。その上で、職業センターなどでの職業評価なども踏まえ、最終的に採用された、あるいは、目下、就職支援の活動中であるという例です。
一番右の例については、既に福祉手帳を持っておられて、障害の枠でのインターンシップを希望ということでの御相談です。インターンシップを経て、さらに障害者職業センターでの職業評価も行った上で、同行紹介という形で、パート採用予定だったものを、細かい点に気付くという御本人の特性を活かした上で、検品作業で正社員内定ということです。特性を活かして就職を実現した好事例と捉えております。いずれにしても、このような形で、まずは御本人での障害の認識、それを踏まえた上でのオープン、あるいは手帳を取得した上でのマッチングと、その上での定着という形が支援のプロセスになっています。
最後ですが、38ページ、発達障害の方々について残されている課題に焦点を当て、要請研究をお願いしているところです。特に、今申し上げた形での相談を経てもなお、御自身が発達障害であるという認識がなかなか深まらないという方、あるいは、そこが分かった上で就職時点において障害を開示せずに就職される方、このような方については、最終的に就職して以降、事業主がかなりの困難性に直面するというような事態が生じていると認識しておりますので、こういった事例をターゲットにいたしまして、採用後の就労上の困難性の評価などに向けての検討に資する材料として、調査研究をしてまいりたいと思っております。
説明としては以上ですが、17ページに戻っていただければと思います。今、御説明したような状況を踏まえ、難病・発達障害、それぞれ手帳をお持ちでない方については、何かをもって一律に対象にするということは、直ちには難しいと考えております。先ほど御紹介したように、調査研究などを継続的に行いながら、障害者雇用率制度上における一律の範囲に加えるということではなくて、手帳を所持していない方の就労の困難性の判断について、どういったやり方があるのかということの引き続きの検討とさせていただきたいと考えております。その上で、こうした検討を進める中においても、先ほど御紹介したような特性を踏まえた専門的な支援が効果的でありますので、個人の特性に合わせた配慮の下で活躍できるような就労支援機能の強化を図ってまいりたいと考えております。説明としては以上です。よろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 それでは、こちらのテーマについての質疑応答に入りたいと思います。先ほどと同じような形で御発言をお願いいたします。御質問や御意見等はありますか。内田委員、どうぞ。
○内田委員 御説明ありがとうございました。労働側の内田です。いくつか意見、要望等について発言させていただきます。現在の雇用率制度上の対象障害者は、手帳を所持する身体障害者、知的障害者又は精神障害者とされております。一方、難病患者や発達障害者の就労については、ハローワークの専門サポーターによる症状や特性を踏まえた就労支援が行われておりますが、手帳の所持を望まない者も含め、手帳を所持していないことで雇用における必要な支援や配慮が受けられず、就労に結び付かない場合や、長期の安定した雇用が難しい場合も一定程度あると考えております。そのことを踏まえれば、雇用率の対象を手帳所持者とする現行の枠組みは維持しつつも、手帳を取得していないが就労を希望する障害者についても、本人の希望と産業医の助言や指導に基づき、個別に就労困難性を判断した上で、法定雇用率の対象として、合理的な配慮を含む更なる支援の対象とすべきと考えます。また、その際には、カウントを目的とした事業者による当該障害者の掘り起こしなどが行われないように留意する必要があります。
最後に、今回は手帳を所持しない難病患者及び発達障害者について、直ちに雇用率制度の対象範囲に含めず、調査研究を踏まえ、引き続き取扱いを検討するとの方向性が、厚労省事務局から示されましたが、現状においても、就労を希望しても就職することができない障害者が一定数いることから、早期の調査研究実施と併せて、専門的な就職支援を行うサポーター等の支援人材配置の強化や、就労支援の充実は必須だと考えますので、併せて対応をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 では、次に中川委員、お願いします。
○中川委員 田園調布学園大学の中川です。難病と発達障害に共通する特徴として、1つは、今お話があった多様性、個別性が高いということ、もう1つは、やはり手帳で捉えきれない就労困難性があるということがあると思います。その中で発達障害について、これは意見というよりも私の経験ですが、ちょっと提示させていただきたいと思います。
現在、私は職場のメンタルヘルスの仕事をしておりますが、最近、よく上司からこういう相談があります。「難関大学を卒業をした非常に優秀な方であるはずなんだけど、全然仕事ができない。何か根底にあるのではないか」ということで、相談される方が結構いらっしゃいます。そういう方に対して、御本人を面接したり、上司から職場の様子とか仕事ぶりを尋ねて、これは先ほどお話があったASDやADHD、またはその合併が非常に強く疑われる場合があります。その場合、御本人の了承を得て、発達の検査ができるようなクリニックに紹介するわけです。そういう事案が最近は結構多いわけですが、そこで診断が付く場合もありますが、様々な検査をしていただいて、やはりグレーゾーンだと、疑い病名しか付かないよということもケースとして結構あります。
つまり、職場では明らかな職業困難性があるわけです。しかし、医療機関では確定診断に至らないということです。疑い病名ですと、当然、手帳の診断書を書いてもらえません。何でこういう乖離が起きてくるかと言うと、やはり発達障害というのは生活障害なのです。生活の場、特に職場でこの特性が顕著に表われる、そういう障害だからということになります。
よく職場で表われる特徴としては、先ほどあったように、社会性の障害とかコミュニケーションの障害というものがありますが、加えて、計画を立てて仕事ができない、優先順位が付けられないなど、臨機応変ができないのです。ですから、マニュアルを見ても、ちょっと違った事態があると、マニュアルを応用することができないのです。こういう遂行能力の障害というのは比較的目立つ方が多く見られます。こういう方も比較的優秀な方が多いので、一旦仕事場を離れると、それなりにお友達がいたりとか、結構豊かな趣味を持っていたりということがあります。先ほど手帳の判定の話がありましたが、手帳というのは、基本的には日常生活能力で判断するのです。例えば、金銭管理ができるとか、身辺の身の安全を図れるとか、趣味や娯楽に関心がありますかと。こういうのはあるわけです。ですから、障害がないか、あっても非常に軽度ということになってしまいます。
このような事情がありますので、やはり個々に就労の困難性をちゃんと判定するという必要性を日々強く感じております。以上です。
○山川分科会長 次に影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。まず、難病や発達障害の方からは就労における困難性がうかがえるという点で、雇用率制度での対応いかんを検討するということでよいのではないかと思います。ただ、慎重な議論が必要であるように思います。理由は2つあります。難病の方については既に困難性の調査をされておりますし、今、御説明があったように、支援の仕組みもお考えなのでよいと思うのですが、難病の方も発達障害の方も多様性が高いので、そのような場合、コンセンサスが得られる困難性の基準を考えていく必要があるように思います。ただ、困難性に関わる独自の基準を作るということもありますが、DSMだとかICDなどのように、他の評価ツールを用いるといったことも視野に入れて、議論をしていく必要があるように思います。
もう一点なのですが、今、正に中川委員から事例が出されておりました。私も、ここのところ企業の方といろいろ雑談をしていると、手帳はもちろんないのだけれども、非常に手を焼く人が増えているという話をお聞きしたりいたします。要するに、グレーゾーンが増えてきて、割と深刻な状況も見られるということかと思います。生産年齢人口もずっと減ってきているのですが、女性の労働力化を促す政策によって、労働力人口は増えてきたのです。ただ、ここ数年は頭打ちと言うか、ちょっと減少傾向も見せるようになってきています。その中で、いろいろな方を採用しないといけなくなってきていて、その中にグレーゾーンの方もいらっしゃる可能性があります。手帳がないけれども困難性を抱えている、今回の難病の方や発達障害の方は、グレーゾーンに入ってくるかと思います。この機にグレーゾーンの方に着目をしたということで、今後、企業の現場を見ていると、このグレーゾーンの方がより広がってくる可能性もあるかと思います。したがって、そういったことも視野に入れて、慎重に議論をしていったほうがよろしいのではないかなと思います。以上です。
○山川分科会長 では、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。資料の御説明をありがとうございました。企業実務の観点からは、雇用率制度の対象障害者は手帳を所持している方とする現行の枠組みを維持すべきと考えております。その上で、この資料にもあるように、近年、難病患者あるいは発達障害者の就職件数は増加傾向にあります。こうした方々の円滑な就労・定着の促進が、非常に大きな課題になっていると認識しています。企業の受入れ環境の整備が不可欠であり、そのためには、手帳を取得していない難病患者あるいは発達障害者の方については、今回、事務局から御提案いただいているように、直ちに雇用率制度の対象障害者とするのではなく、その就職困難性の判断の在り方に関して調査研究を深めつつ、必要な支援策などについて引き続き検討をしていくことが望ましいのではないかと考えているところです。
加えて、資料27ページにおいて、日本発達障害ネットワークからの御意見として、手帳の取得促進を求める内容がありました。これは非常に重要な指摘であると考えております。発達障害に対する社会的な偏見などから、手帳の取得を躊躇するといった方がいらっしゃるということも聞いております。厚生労働省におかれましては、手帳を取得すべき方が取得を前向きに考えられるように、発達障害の理解促進を図りながら、環境整備の一層の促進を図っていただきたいと考えております。また、医師の判断によって手帳が更新されなかったといったケースも聞かれるところです。そういった場合における雇用率のカウントの取扱いについて、手帳を失っても就労に当たって必要な配慮はほとんど変わらないケースには、引き続きカウントできるように検討していくべきではないかと考えております。私からは以上です。
○山川分科会長 では、長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。まず、今回の方向性については、私も賛成はします。発達障害や難病の方々は非常に多様な症状をお持ちですから、一律に扱うことは難しいと思いますので、今後、どういった就労の困難性を抱えていらっしゃるのかというのをしっかり検討していった上で、将来的には、手帳の有無ということではなく、そういった就労困難性を個別に測って、それによって雇用率のカウントの対象にするかどうかといったことを検討していくべきだろうというように思いました。
2点目は、事務局に質問なのですが、資料24ページの※3の所で、難病患者就職サポーターの方々の人数を増やしたり、あるいは勤務日数を増加したということが書いてあるのです。こういった支援を強化していくということは非常に重要だと思うのですが、勤務日数が月10日から15日ということは、このサポーターの方々というのが非正規雇用の人たちなのかなというように思います。こういった支援をされる方には、様々な資格を持ってらっしゃる方などもいらっしゃって、なかなか正規雇用というのが難しいのかもしれないのですが、支援をしっかりしていくためには、支援者の側の労働条件といったものも十分に保障されていなければ安心して支援もできないと思いますので、人数を増やすとともに労働条件などの確保も是非お願いしたいなというように感じました。
3点目は、先ほどの私の質問に対して皆さんにお答えいただいてありがとうございました。大谷委員がおっしゃっていた、療育手帳というのは基本的にはもう成人前に取得して、そのままずっとキープするのだということだったのですが、都道府県によっては更新制度を導入している所もあるというように私は聞いたことがあって、それがある都道府県もあるのかしらという確認をさせていただければ有り難いなと思いました。すみません。以上です。
○山川分科会長 今の更新制度を採っている自治体があるかどうかという点、委員の皆様方への御質問ということでしたが、どなたか、何かありますか。大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 全国のほうで、そういうことがあるのかということで、ちょっと調査をかけてみます。そうすれば各県の状況は分かりますので、ちょっと日にちは掛かりますが、必ず返答をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○山川分科会長 長谷川委員、先ほどの事務局への質問ですが、お伺いしていると要望というようなことでよろしいですか。
○長谷川委員 はい、要望です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、山内委員、どうぞ。
○山内委員 使用者側の山内です。既に何名かの方がお話されたのですが、私は企業の立場で1つお話させていただきます。難病患者と発達障害を分けてお話しますが、厚生労働省のほうから提示がありましたように、年齢分布に違いが見受けられるのは、そのとおりかなと思っています。後発的な理由で難病に指定される方も出てくるでしょうし。企業側から見ると、実は、これは障害者に限った話ではなくて、年を取れば効率が悪くなったり、今までしていた仕事がかなわなくなるので、配置を考えたりなど、新たな仕事に就くという教育をするということです。
企業側から非常に有り難いと思っているのが、先ほど説明のありましたサポーターの存在です。企業内におりましても、ここら辺をうまく説明ができない、あるいは人を求める側と職を求める側、これのマッチングというのは非常に難しい中で、ましてや、ある程度年齢がいった中での就労・就職というのは非常にハードルが高いと思います。ですので、先ほど配置人数51名というようになっていましたが、このサポーターを是非強化していただくことを1つ検討いただければなというように思っております。これが難病の患者さんに対する考えです。
一方、発達障害です。これは、先ほど中川委員のほうからお話がありましたが、正に企業側で起きている生々しいお話をそのまま頂きました。私も年に1、2度こういう状況に遭遇します。産業医の先生からそういうお話を聞きます。これも同じようにサポーターの存在がありますが、事前に分かっていることとそうでない状況で、企業側の対応に大きな違いが出てきます。先ほど小野寺課長から説明を頂いた大学との連携というのは非常に有り難い話でして、就職の際にそのことを把握していれば、配置、配属のときにそれを踏まえた対応が取れるということと、ここでもやはりサポーターの存在は非常に有り難いです。後から分かるケースが多いのですが、なかなかコミュニケーション能力が他の人と比べてということが時にあります。ですので、同じく、発達障害の方々の就労支援に関しても、このサポーターの方々の強化は、企業側も非常に望むところですので、是非この2点、精神障害者の就労の増加というのが見込まれる中で、少しでも障害者の方々の採用の裾野を広げていきたいという気持ちがありますので、そこら辺のところを御検討いただくことをお願いしたいという思いです。山内からは以上です。
○山川分科会長 では、山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体中央会の山口です。障害者の雇用やカウントの増加を図るという観点からは、特定医療費受給者証の保持者への拡大を図っていくということが考えられますが、難病の種類も多く、働く環境や状況により症状の程度も異なり、個人差が大きいのではないかと思います。そのため、現状では障害者手帳を取得している者を対象とするという従来からの枠組みをそのままとして、先ほど事務局から説明がありました資料の38ページの説明のとおり、難病患者や発達障害者に関する調査研究の結果と、個人の就労困難性の評価などの取りまとめを待って、引き続き検討をしていくことが必要だと考えます。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 では、倉知委員、お願いします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。途中から参加しまして申し訳なかったと思います。まず、難病患者の件からいきたいと思います。難病患者の方であっても、障害者手帳を取得可能な人というのは一定数いるかと思います。ただ、そういう障害者手帳に該当しないけれども職業生活上は支障になる点というのは、痛みであったり、疲れやすさや倦怠感、体調変動の3点かなというように思います。これは、障害者手帳に反映されない項目となっています。だから、これらの評価スケールや診断基準というものを新たに開発して、就労困難性を評価した上で、その結果を障害者手帳に代わるものとして雇用率制度に活用をしていくということは、これから必要ではないかなというように思っています。
また、発達障害についてですが、職業生活上に支障となる程度の障害があるという方は、かなりの方が精神障害者保健福祉手帳を取得できて、雇用率制度の対象になるという仕組みになっているのではないかなと思いますが、先ほど中川委員がおっしゃっていたことも、私は一定数感じていて、でも、私はどちらかと言うと、発達障害についての診断技術の問題もかなり大きいのではないかなと思っています。つまり、症状はしっかり診るけれども生活のことを余り見ないために、発達障害のことを余り診断してもらえないという経験も結構あるのです。この辺りのところをまず修正していくことが大事ではないかなというように思います。私としては、手帳制度ということでいっていいのかなというように思っています。私からは以上です。
○山川分科会長 ほかに御意見や御質問等はありますか。下屋敷委員、どうぞ。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。ちょっと個人的な話なのですが、発達障害について家族相談などを長くやっていると、何と言うのですかね、生きづらさやコミュニケーションが取りにくいというようなことがあるのです。その方々が就労をする際には、例えば、職場に合わないからと一方的に、前の上司だと良かったけれども、上司が代わった途端に辞めさせられたとかというケースとか、いろいろあるのです。先ほど精神障害者の方々のお話の中でちょっと触れましたが、今、厚生労働省の福祉のほうでは、ピアサポーターというか、御本人たちの社会資源というのが出ているわけです。家族と本人なのですね。精神障害者の方々で発達障害をお持ちの方、あるいは、そういう勉強をしている方御本人が、自分の生き方、リカバリーの1つとする、そういう方が結構多いのです。だから、そういう方々が一緒に相談に乗るとかという形で、専門機関もそうなのですが、実際に地域の中で御本人同士で支え合うというような、何かそういうような要素、あくまでもこれは感想ですが、そういうのも社会的には必要になっていくのではないか、これは私の感想です。以上です。
○山川分科会長 ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。将来的な方向性について、いろいろ御意見を頂きました。多様性があるということについては、ほぼ共通の認識だと思いますが、その多様性の意味につき、発達障害の方の場合と難病の方の場合で、ちょっと違いがあるような感じもいたします。将来的に就労困難性というものをそもそもどういうように考えていくかということとも関連するような感じがいたしますが、いずれにしても、早期の調査研究を進める、あるいは適切な支援を充実させていくということについては、おおむね御議論、御意見は一致していたのではないかという印象を抱いたところです。
時間の関係がありますので、3つ目のテーマについて入っていきたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。3つ目のテーマは39ページ以降になります。
まず、40ページ以降から御説明を申し上げます。これまでの主な意見として載せております。主な意見といたしましては、A型の利用者自体を雇用率制度・納付金制度から外すといったような御意見があったわけでございます。その中でのそれぞれの意味合いは少しずつ違っておりますが、例えば、一般企業で雇用をするということと同列で議論するのは、やはり適切ではないのではないかというような御意見。あるいは、A型自体が、地域の中小企業の障害者雇用の代替をしている、中小企業で障害者の雇用が進まない一因ではないかといったような御指摘も頂いております。一方で、A型の評価として、障害を持った高齢者が働く場として有効といったような御意見も頂いております。
41ページですが、A型のプレゼンスを労働市場上で見ております。全国とそれぞれの都道府県ということで載せておりますが、障害者専用求人に占めるA型求人の割合は、直近のもので約3割、就職に占めますA型就職の割合が約2割ということです。下のほうを御覧いただくと、各都道府県におきまして、数パーセントの所もあれば5割を超えている所もあるということで、かなり地域によってのばらつきがございます。
42ページです。改めまして、A型の制度趣旨につきまして載せております。A型については、一般の企業で雇用されることが難しい障害者に対して、生産活動の場として提供されている場でありまして、必要な訓練を行っているというような立て付けになっております。
43ページに、A型の概要を載せております。現状においては基本報酬もスコア方式というものが導入されておりまして、それに基づいて基本報酬が決まり、主な加算というものがプラスされるという形になっております。
44ページには、利用者数と事業所数の推移を載せております。平成28年度までは、いずれも大きく増加して以降、伸びが鈍化しているというような状況で、令和2年度、直近で7万6,726人という利用者数、事業所数が3,956ということでございます。
45ページが、これまでのA型に係る見直し等の経過です。例えば、平成29年4月に総量規制の導入がなされて、先ほどのような伸びの鈍化ということが生じたのかなということ。あるいは、平成30年には平均労働時間に応じた基本報酬を導入して、さらに、令和3年の直近の報酬改定で、平均労働時間に加えまして、「生産活動」など5つの評価項目の総合評価で実績とするスコア方式が導入されているということでございます。
46ページ、障害者部会の方での議論の御紹介でございます。当分科会におきまして、A型事業所について雇用率制度・納付金制度の対象から外すことを考えるべきといった意見があることも紹介いただいておりますが、現状の検討の状況としては、A型の支援の質の向上や生産活動の活性化を促すという観点を、指定基準や報酬等によって検討していくこととしてはどうかというような検討がなされているようであります。
47ページです。A型が生産活動によって得た収益で最低賃金以上の賃金を払うというような立て付けになっておりますが、それが実現できていない事業所が58.3%あるというような状況を御紹介しています。
48ページ、「本来の姿」という所に、黄色い網掛けがしてあります。本来であれば、報酬に応じた適切な支援を行って生産活動が行われて、そこから得た収益で賃金を払うというような立て付け、これが本来の姿でありますし、通常の企業で雇用されることが難しい方が生産活動をしているという場になっているわけでありますけれども、現状は報酬に応じた適切な支援がなされていないと。つまりは、最低賃金の支払に報酬を充ててしまっている事業所があったり、あるいは、一般の企業で働くことが可能な方と見込まれる方であっても、引き続きA型に留め置かれているというような状況があるということで、課題が生じているということ。先ほど来のような検討の中で、本来の姿に寄せていくということなのかなと認識しております。
49ページ以降に、現在行われているA型の利用者等の実態調査をお載せしております。49ページの右側の上でございますが、一般就労を希望する利用者の割合がゼロという所が約15%、2割以下と合わせると約半数というような状況です。それから50ページ、一般就労の移行の実績ということで見ますと、2年間で一般就労に移行した方がゼロであった事業所が約35%、2人以下の事業所で75%超という状況でございます。
最後のページですけれども、例えば一般就労に向けて積極的にいろいろな訓練をおやりになっている事業所もあれば、働きがいの充実ということで、いわゆる居場所的な形になっている事業所もあると。多様な経営主体が利用者の多様なニーズに応えようとする実態がうかがわれるというような状況ということで、御紹介申し上げました。
39ページに戻っていただきまして、A型につきましては福祉サービスに位置付けられているため、先ほど分科会意見としても御紹介しましたように、障害者雇用率制度の対象にするべきではないという意見がございます。他方で、A型の利用者は雇用労働者でありますし、制度発足以来、雇用率制度の中で対象としてきたという経緯がございます。また、雇用・福祉連携の強化を進めていく中においても、その在り方や役割について課題の提起もされております。そういったことで、それに対応するために、利用者や支援内容の実態等を踏まえて整理を進めることとしておりまして、福祉課のほうでは実態把握なども取り組んでいるところであると認識しております。
このような状況も踏まえまして、就労継続支援A型の利用者の取扱いにつきましてどうお考えになるかということで、御意見を頂戴したいと思っております。説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは3番目の点につきまして、質疑応答をお願いいたします。御質問、御意見がありましたら同じような方法でお願いします。影山委員、どうぞ。
○影山委員 横浜市大の影山でございます。意見でございます。A型を雇用率制度から外すことには賛成です。A型については調整金も福祉のお金ももらえる、それはおかしいとの批判を、よく企業や福祉関係からも聞くことがあります。数がかなり増えてきておりますが、一般就労可能な方がA型に留め置かれるといった数の増加や、そういったことの背景にも、両方のお金がもらえるからということがあるのかもしれないなと思っております。
その際、A型というのは設置の趣旨からして、福祉の制度と考えるべきかと思います。A型の利用者というのは、就労の困難性が比較的低い障害者の方、手帳をお持ちの方だけではなくて、先ほど触れたグレーゾーンの方や社会復帰を期すひきこもりの方、それからグレーゾーンではなくて、地域の国立大学は出ているのだけれども、お仕事がうまくいかなくて結局A型を利用しているという方もいらっしゃいます。そういった方たちの受皿にもなるので、福祉の制度として維持していくということがよろしいのではないかと思います。ちょっと授業がありますので、これで抜けさせていただきます。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、続きまして門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。意見を申し上げたいと思います。A型事業所については、令和2年度で利用者76,000人強となっており、一般就労が困難な障害者の雇用の場として、又は知能や能力向上の訓練の場として、重要な就労の受皿になっております。
一方、A型は障害福祉サービス等の報酬の対象となっておりますが、納付金財政の影響を鑑みれば、調整金等の支給制限は妥当だと考えます。しかしながら、経営改善が必要な経営が厳しい事業所の多いA型事業所が雇用率制度から除外となった場合に、事業の継続や、事業所に通う利用者の雇用に影響が及ばないようにすることにも留意する必要があると思います。
併せて、本来、一般就労で働くことができる障害者が、何らかの理由で一般就労に移行できず、A型事業所に留め置かれてしまうような実態があれば、その課題を把握・解決し、本人の意向を尊重した上で、一般就労にスムーズに移行すべきと考えます。以上です。
○山川分科会長 次に清田委員、お願いします。
○清田委員 日商の清田でございます。意見として申し上げたいと思います。そもそも障害者雇用率の制度が、一般の労働者と同じ水準において常用雇用者となり得る機会を与えることという目的であることを踏まえますと、雇用率の算定式を考えるに当たって、A型事業者と通常の企業を同様に考えるということは適当ではないかと考えます。
A型事業者が障害者雇用に重要な役割を果たしているということは十分理解するのですけれども、雇用率制度の枠組みにおいては、ほかと切り離して、算定式や調整金等の対象から外すことが望ましいと思います。ただ、その場合、今の門﨑委員のお話にございましたけれども、A型事業者に対する激変緩和の対応というのも検討をする必要があるかと思います。また、障害者の受入れに支障を来さないように、企業とのマッチング支援なども強化していくことが重要ではないかと思っております。以上です。
○清田委員 日商の清田でございます。意見として申し上げたいと思います。そもそも障害者雇用率の制度が、一般の労働者と同じ水準において常用雇用者となり得る機会を与えることという目的であることを踏まえますと、雇用率の算定式を考えるに当たって、A型事業者と通常の企業を同様に考えるということは適当ではないかと考えます。
A型事業者が障害者雇用に重要な役割を果たしているということは十分理解するのですけれども、雇用率制度の枠組みにおいては、ほかと切り離して、算定式や調整金等の対象から外すことが望ましいと思います。ただ、その場合、今の門﨑委員のお話にございましたけれども、A型事業者に対する激変緩和の対応というのも検討をする必要があるかと思います。また、障害者の受入れに支障を来さないように、企業とのマッチング支援なども強化していくことが重要ではないかと思っております。以上です。
○山川分科会長 次に新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。私からは意見を申し上げたいと思います。まず、A型事業所が担っている社会的な役割は非常に重要だと認識しているところでございます。その上で、A型事業所の障害福祉サービスとしての位置付けあるいは現状等を踏まえますれば、雇用率制度あるいは納付金制度におけるA型事業所の利用者の取扱いを見直すことは不可避ではないかと考えております。
また、先ほど資料の中で、A型事業所の利用者数の推移が示されており、伸びが鈍化しているという御紹介がございましたが、伸びが鈍化しているとは言え、増加傾向であることに変わりはございません。A型事業所の利用者の増加は、将来の法定雇用率にも影響を及ぼすと考えております。
また、先ほどの資料の中で、A型事業所の役割についての整理があり、本来あるべき姿も示されておりました。あるべき姿の実現を促していくためにも、A型事業所の利用者数は障害者雇用率の算定式から除外するとともに、調整金あるいは報奨金、納付金の対象からは外すべきと考えております。私からは以上でございます。○山川分科会長 では長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明ありがとうございました。私も、他の委員の方々がおっしゃっていらっしゃったように、A型の存在意義というか社会的意義は非常に重要だと思っております。また、A型で働く障害者の方々が労働法上の労働者であるということには変わりなく、各種の労働関係法令の適用を当然受けることになると思います。ただし、A型を今回議論になっている雇用義務制度上の対象としていくべきかと言うと、またそれは別な議論ができると思っております。
雇用義務制度は、社会連帯の理念に基づいて、各事業主が共同の責務を負っていると、だから、障害者を雇用するのだ、雇用義務制度の対象ともなるのだというふうに、法律上も定められていると思うのですけれども、A型事業所がその共同の責務を負う事業所とは必ずしも言い切れないのではないかと。そこは福祉的な報酬も様々な形で得ているということからも、共同責務を負う事業主とは異なるものとして扱って、雇用義務制度の対象からは外していくということも、法制度上も可能なのではないかと思っています。以上です。
○山川分科会長 次に大谷委員、お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。私の記憶の中なのですけれども、平成30年だったかな、改革があったときにA型をやめた事業所がかなり多くあったのです。そのときに、変更してB型へ移行された事業所とかがあったのですけれども、その中で一番困ったのは、そこで働いていた利用者です。何を言いたいかと言いますと、A型ということで最低賃金を頂いているわけなのですけれども、そうした場合に、そこがなくなったときに何が起こったかと言うと、B型に行こうと思っても賃金が全く違うわけですね。そうすると、なかなか次の仕事が決まらないという、かなり大きな部分がここで発生したということがありました。確かに日雇いの部分もA型の場合はかなりあって、そこで仕事のできる人は一般就労のほう、よそ様に行かせたくなくて、そこで仕事をしていただくということを念頭に、かなり多くあったということもあります。
それから、もう1つ、賃金に見合わないと言うか、半数が運営ができていないという状況の中で考えられるのは、仕事がどの程度取れてきているか、金額はどの程度頂けているのか、1人当たりの単価ですね。ですから、事業所数はあっても、地方などは特に、働く場所よりも仕事を取ってくる場所がないということが考えられるわけですので、そういうことも少し、この数字だけで考えずに見ていただきたいなということです。そこで働いている人たちのことも考えると、やはり、そういうこともあり得るということ。
ただし、気を付けないといけないのは、いろいろな企業から1か所に、ノーブレンジではないですが、A型の人が集まって、そこに何名分、何名分というようなことになっているということもありますので、そういうこととのいろいろな面を、もう少し精査していただいて、次へ進むステップとしては、こういう問題をやはりもう少し議論していただきたいなというのが、私たち育成会としての考えの中ではあります。やはり、行き場がなくなるということも大きな課題だということも考えていただきたいなと思います。以上です。
○山川分科会長 では倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。私も意見を申し上げたいと思います。就労継続支援は、A型の利用者ですけれども、障害福祉サービスの利用者であるわけで、やはり一般事業所で雇用されることが困難な人が対象者となっていると思います。障害福祉サービス事業所というのは、何人かの委員もおっしゃられたように、利用者が利用することにより事業所に報酬が支払われるというものです。だけれども、障害者を雇用している一般企業には、そういう報酬が一切支払われていないわけです。こういうことから、特例子会社を含む一般事業所と就労継続支援A型事業所を同等に扱うというのは、かなり不平等感があるなと思っています。
現に、先ほどの説明もあったように、本来の就労継続支援A型事業所としての在り方から逸脱している、そういうA型事業所が多いということから、特に中小企業の障害者雇用の促進を圧迫しているということは考えられると思います。また、現状の障害福祉サービスや障害者雇用の制度設計を見ると、A型事業所から一般事業所への雇用の促進を阻む要素というのは非常に大きいなと思っています。
また、障害者雇用状況調査や障害者職業紹介状況の結果の中に、A型事業所の利用者が含まれていることから、一般事業者に就職又は雇用されている障害者の数と乖離しているということが考えられて、一般事業所の正しい数値が分からなくなってきているのです。A型事業所の利用と一般事業所への就職というのは、その困難さに大きな違いがあることから、同等に考えるべきではないのではないかと思っています。
これらのことから、A型事業所の利用者を、障害者職業紹介状況、障害者雇用納付金制度、障害者雇用率制度、この対象から外すということを、私は提案したいと思います。ただ、急に変更することによって、障害福祉サービスや障害者雇用統計にも大きな影響を及ぼすということが考えられますので、例えば、障害者職業紹介状況の対象外にする、障害者雇用率制度の対象外にする、障害者雇用納付金制度の対象外にする、それから雇用保険特別会計による各種助成金制度の対象外にするということを、段階的に1つずつ進めていって、大きな影響が、急激な影響がないようにするということも大事かなと。
そして、A型事業所が多分縮小していくと思いますので、雇用のほうでしっかりと受皿として移行を進めていくということを同時にしなければならないのではないかなと思います。私は以上です。
○山川分科会長 では小原委員、どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原です。意見を述べます。A型の事業所を計算から外すとか、納付金や助成金の対象から外すという議論は、理念などから述べるのはいいと思うのですけれども、1つだけ懸念があります。一般事業所との関係が代替的にあるといのは実態だと思うのですけれども、代替的であることを因果関係だと考えるのは、怖い議論だと思っています。
すなわち、A型がこうしているから一般企業がこういう行動を取るかどうかは分からないと思うのです。単に相関関係であって、どちらが原因でどういう結果になるのかは全く分からない。どちらが先で、A型がこうあるから、途中で中小企業という言葉も入っていましたが、中小企業がこういう行動を取るというのはよく分かっていないと思うのです。このときに、もしA型を今から外しましょうとすると、障害者雇用のパイ自体が減ってしまう、働ける場所自体が減ってしまうと思うのです。最終的に、もしかすると障害者雇用が減るという状況にもなりかねないわけです。
ですので、それを狙って、つまり一般事業所での雇用を促すことを狙って、A型の事業所の在り方を考えましょうという議論の仕方は、とても危険だと思って聞いていました。理念で考えるのはもちろん当然のことだと思います。それからA型事業所の質の改善を促す必要性は本当にそのとおりだと思います。以上です。
○山川分科会長 ほかに何かございますでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体の山口です。実は私自身もA型事業所をうちの会社でやっております。事業としては、貸しおしぼりだとかレンタルタオル、リネン屋さんがやっているような、あとは紙おしぼりの販売などをやっています。就労支援A型の事業所とNPO法人で、うちの会社では2か所あるのですけれども、あとは各工場に就労支援A型の会社に入っていない所もあるのです。それを作った理由としては、やはり障害者の子たちの将来性のことを考えたときに、昔はサービス管理責任者というきちんとした専門の面倒を見る人がいなかったので、この就労支援A型ができたときに、障害者の子たちのことを考えたら良い制度ができたということで、申し込んでやり出したのです。
実際に皆さんが反対されるというのは、結構グレーな人たちが多いのです。それで私たちも本当に被害を被っているというか、良いイメージがないものですから、やはり私たちでもきちんとやろうということで、実際にうちの事業所から一般就労に数名の者が就職しているのです。ですから、そうやって真面目にやっている会社もあるものですから、やはり就労支援A型の調整金だとか補償金だとか、そういったいろいろなことの見直しというのはしてもらうべきだと思います。きちんとやっている事業所が本当につらい思いをするという、そのようなイメージがずっとあるものですから、その辺を委員の皆さんで検討して、いろいろ意見を出して、やはり良い就労支援A型事業所ができればいいかなと私は思っております。私の意見は以上です。
○山川分科会長 では下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。先ほどの話を整理と言いますか、福祉型のものを雇用率とか調整金から外すという方向は、何となく分からないわけではないのですが、ただ一方、先ほど大谷委員が言ったとおり、これは福祉の領域になると思うのですけれども、工賃の倍増というのをどのように図っていくかというのは、これは福祉制度が考えられることなのですけれども、事業所の方々にも考えていただきたいなというのが私の意見なのです。
というのは、岩手で北上市というのがあるのですけれども、そこでは郊外型のショッピングセンターの中に事業協同組合が売場のスペースを持っています。そこは共同で製品を販売しているスペースなのですが、そのテナント料というのが1%なのです。多分全国的にもテナント料というのは10%とか20%ですよね、百貨店とか大きい所で取るのですけれども、そこでは地元の資本の人たちが参加して、1%だけというような形で就労支援の事業所をバックアップしている。これは、事業所側も地元の商工会の出身の人たちがそういう取組をしているということなので、そのようなものも絡めて議論していったらいいのではないかなと、これはあくまでも私の感想です。以上です。
○山川分科会長 ほかに委員の皆様方から御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
これまでの議論ですと、資料の48ページにありますような役割分担については、おおむね共通の理解ができていたと思いますし、また、このような姿を実現するために、雇用率制度とか調整金の制度から外したほうがいいという御意見が比較的多かったかと思います。ただ一方で、この問題自体が福祉施策に関わることでもありますし、また、現実的なインパクトと言いますか、この48ページの図の本来の姿が実現した場合に、小原委員からの御指摘がそうだったかと思いますが、一般就労にその分が直ちに移行するとも限らないという別途の政策課題があるということを、いろいろ考慮すべきこととして、幾つか御指摘いただいたところであります。先ほど福祉施策との関わりと申しましたが、事務局サイドで津曲課長から何かございますか。
○津曲障害福祉課長 障害福祉課長の津曲でございます。今、様々な御指摘を頂きましたが、雇用率制度であるとか、雇用の制度に関しましては、雇用分科会で御議論いただくことと思っておりますけれども、4月8日に社会保障審議会の障害者部会がございまして、そちらでも委員から、このA型の雇用分科会における議論に関しまして御意見がありましたので、それを紹介させていただきたいと思います。
おそらく、今までのヒアリングの中でも、団体様のほうから御意見等があったと思うのですが、福祉の関係者からは、このA型事業所をこれらの制度から除外するということに関しまして、慎重論が多々あるのだということ、又は、A型事業所は、障害者の稼得能力だけではなくて、特性等も含めまして、一般就労が困難な方に対する支援に強みを持った働く場であるというような点も踏まえて、御議論をお願いしたいというような意見もございましたので、御紹介をさせていただきます。以上でございます。
○山川分科会長 委員の皆様方から何か追加でございますでしょうか。よろしいでしょうか。いずれにいたしましても、制度的な連携のみならず、政策形成に当たっても、雇用分野と福祉分野で連携を図っていくことは必要ではないかと考えておりますので、今日の御意見を踏まえて、また事務局で検討を進めていただきたいと思います。
では、特段ございませんようでしたら、議題(2)について何か事務局からございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。「その他」といたしまして、一言お礼を申し上げたいと思います。4月6日に既に実施させていただいておりますが、山内委員の御協力、御配慮を多大に頂きまして、当分科会からも有志を募りまして、日立製作所に見学に行かせていただきました。併せまして、また明日、同社水戸事業所のほうに伺わせていただくことになっております。いずれも分科会の委員5名ずつの御参加、事務局も含めますと更に多くの見学者の受入れをしていただきまして、当課も併せまして大変勉強させていただいております。一言御礼でございます。ありがとうございました。
○山川分科会長 私からも、貴重な機会を頂きまして大変ありがとうございました。
それでは、ほかにございませんようでしたら、本日の議論は終了となります。本日の分科会はこれで終了させていただきたいと思います。事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。次回の日程につきましては、4月下旬の開催を予定しております。詳細は追って事務局より御連絡をさせていただきます。以上です。
○山川分科会長 それでは、本日も大変有益な議論を頂きまして、大変ありがとうございました。終了いたします。
○新田委員 経団連の新田でございます。御説明ありがとうございました。私からは意見を申し上げたいと思います。まず、A型事業所が担っている社会的な役割は非常に重要だと認識しているところでございます。その上で、A型事業所の障害福祉サービスとしての位置付けあるいは現状等を踏まえますれば、雇用率制度あるいは納付金制度におけるA型事業所の利用者の取扱いを見直すことは不可避ではないかと考えております。
また、先ほど資料の中で、A型事業所の利用者数の推移が示されており、伸びが鈍化しているという御紹介がございましたが、伸びが鈍化しているとは言え、増加傾向であることに変わりはございません。A型事業所の利用者の増加は、将来の法定雇用率にも影響を及ぼすと考えております。
また、先ほどの資料の中で、A型事業所の役割についての整理があり、本来あるべき姿も示されておりました。あるべき姿の実現を促していくためにも、A型事業所の利用者数は障害者雇用率の算定式から除外するとともに、調整金あるいは報奨金、納付金の対象からは外すべきと考えております。私からは以上でございます。○山川分科会長 では長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明ありがとうございました。私も、他の委員の方々がおっしゃっていらっしゃったように、A型の存在意義というか社会的意義は非常に重要だと思っております。また、A型で働く障害者の方々が労働法上の労働者であるということには変わりなく、各種の労働関係法令の適用を当然受けることになると思います。ただし、A型を今回議論になっている雇用義務制度上の対象としていくべきかと言うと、またそれは別な議論ができると思っております。
雇用義務制度は、社会連帯の理念に基づいて、各事業主が共同の責務を負っていると、だから、障害者を雇用するのだ、雇用義務制度の対象ともなるのだというふうに、法律上も定められていると思うのですけれども、A型事業所がその共同の責務を負う事業所とは必ずしも言い切れないのではないかと。そこは福祉的な報酬も様々な形で得ているということからも、共同責務を負う事業主とは異なるものとして扱って、雇用義務制度の対象からは外していくということも、法制度上も可能なのではないかと思っています。以上です。
○山川分科会長 次に大谷委員、お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。私の記憶の中なのですけれども、平成30年だったかな、改革があったときにA型をやめた事業所がかなり多くあったのです。そのときに、変更してB型へ移行された事業所とかがあったのですけれども、その中で一番困ったのは、そこで働いていた利用者です。何を言いたいかと言いますと、A型ということで最低賃金を頂いているわけなのですけれども、そうした場合に、そこがなくなったときに何が起こったかと言うと、B型に行こうと思っても賃金が全く違うわけですね。そうすると、なかなか次の仕事が決まらないという、かなり大きな部分がここで発生したということがありました。確かに日雇いの部分もA型の場合はかなりあって、そこで仕事のできる人は一般就労のほう、よそ様に行かせたくなくて、そこで仕事をしていただくということを念頭に、かなり多くあったということもあります。
それから、もう1つ、賃金に見合わないと言うか、半数が運営ができていないという状況の中で考えられるのは、仕事がどの程度取れてきているか、金額はどの程度頂けているのか、1人当たりの単価ですね。ですから、事業所数はあっても、地方などは特に、働く場所よりも仕事を取ってくる場所がないということが考えられるわけですので、そういうことも少し、この数字だけで考えずに見ていただきたいなということです。そこで働いている人たちのことも考えると、やはり、そういうこともあり得るということ。
ただし、気を付けないといけないのは、いろいろな企業から1か所に、ノーブレンジではないですが、A型の人が集まって、そこに何名分、何名分というようなことになっているということもありますので、そういうこととのいろいろな面を、もう少し精査していただいて、次へ進むステップとしては、こういう問題をやはりもう少し議論していただきたいなというのが、私たち育成会としての考えの中ではあります。やはり、行き場がなくなるということも大きな課題だということも考えていただきたいなと思います。以上です。
○山川分科会長 では倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。私も意見を申し上げたいと思います。就労継続支援は、A型の利用者ですけれども、障害福祉サービスの利用者であるわけで、やはり一般事業所で雇用されることが困難な人が対象者となっていると思います。障害福祉サービス事業所というのは、何人かの委員もおっしゃられたように、利用者が利用することにより事業所に報酬が支払われるというものです。だけれども、障害者を雇用している一般企業には、そういう報酬が一切支払われていないわけです。こういうことから、特例子会社を含む一般事業所と就労継続支援A型事業所を同等に扱うというのは、かなり不平等感があるなと思っています。
現に、先ほどの説明もあったように、本来の就労継続支援A型事業所としての在り方から逸脱している、そういうA型事業所が多いということから、特に中小企業の障害者雇用の促進を圧迫しているということは考えられると思います。また、現状の障害福祉サービスや障害者雇用の制度設計を見ると、A型事業所から一般事業所への雇用の促進を阻む要素というのは非常に大きいなと思っています。
また、障害者雇用状況調査や障害者職業紹介状況の結果の中に、A型事業所の利用者が含まれていることから、一般事業者に就職又は雇用されている障害者の数と乖離しているということが考えられて、一般事業所の正しい数値が分からなくなってきているのです。A型事業所の利用と一般事業所への就職というのは、その困難さに大きな違いがあることから、同等に考えるべきではないのではないかと思っています。
これらのことから、A型事業所の利用者を、障害者職業紹介状況、障害者雇用納付金制度、障害者雇用率制度、この対象から外すということを、私は提案したいと思います。ただ、急に変更することによって、障害福祉サービスや障害者雇用統計にも大きな影響を及ぼすということが考えられますので、例えば、障害者職業紹介状況の対象外にする、障害者雇用率制度の対象外にする、障害者雇用納付金制度の対象外にする、それから雇用保険特別会計による各種助成金制度の対象外にするということを、段階的に1つずつ進めていって、大きな影響が、急激な影響がないようにするということも大事かなと。
そして、A型事業所が多分縮小していくと思いますので、雇用のほうでしっかりと受皿として移行を進めていくということを同時にしなければならないのではないかなと思います。私は以上です。
○山川分科会長 では小原委員、どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原です。意見を述べます。A型の事業所を計算から外すとか、納付金や助成金の対象から外すという議論は、理念などから述べるのはいいと思うのですけれども、1つだけ懸念があります。一般事業所との関係が代替的にあるといのは実態だと思うのですけれども、代替的であることを因果関係だと考えるのは、怖い議論だと思っています。
すなわち、A型がこうしているから一般企業がこういう行動を取るかどうかは分からないと思うのです。単に相関関係であって、どちらが原因でどういう結果になるのかは全く分からない。どちらが先で、A型がこうあるから、途中で中小企業という言葉も入っていましたが、中小企業がこういう行動を取るというのはよく分かっていないと思うのです。このときに、もしA型を今から外しましょうとすると、障害者雇用のパイ自体が減ってしまう、働ける場所自体が減ってしまうと思うのです。最終的に、もしかすると障害者雇用が減るという状況にもなりかねないわけです。
ですので、それを狙って、つまり一般事業所での雇用を促すことを狙って、A型の事業所の在り方を考えましょうという議論の仕方は、とても危険だと思って聞いていました。理念で考えるのはもちろん当然のことだと思います。それからA型事業所の質の改善を促す必要性は本当にそのとおりだと思います。以上です。
○山川分科会長 ほかに何かございますでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 使用者代表の愛知県中小企業団体の山口です。実は私自身もA型事業所をうちの会社でやっております。事業としては、貸しおしぼりだとかレンタルタオル、リネン屋さんがやっているような、あとは紙おしぼりの販売などをやっています。就労支援A型の事業所とNPO法人で、うちの会社では2か所あるのですけれども、あとは各工場に就労支援A型の会社に入っていない所もあるのです。それを作った理由としては、やはり障害者の子たちの将来性のことを考えたときに、昔はサービス管理責任者というきちんとした専門の面倒を見る人がいなかったので、この就労支援A型ができたときに、障害者の子たちのことを考えたら良い制度ができたということで、申し込んでやり出したのです。
実際に皆さんが反対されるというのは、結構グレーな人たちが多いのです。それで私たちも本当に被害を被っているというか、良いイメージがないものですから、やはり私たちでもきちんとやろうということで、実際にうちの事業所から一般就労に数名の者が就職しているのです。ですから、そうやって真面目にやっている会社もあるものですから、やはり就労支援A型の調整金だとか補償金だとか、そういったいろいろなことの見直しというのはしてもらうべきだと思います。きちんとやっている事業所が本当につらい思いをするという、そのようなイメージがずっとあるものですから、その辺を委員の皆さんで検討して、いろいろ意見を出して、やはり良い就労支援A型事業所ができればいいかなと私は思っております。私の意見は以上です。
○山川分科会長 では下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。先ほどの話を整理と言いますか、福祉型のものを雇用率とか調整金から外すという方向は、何となく分からないわけではないのですが、ただ一方、先ほど大谷委員が言ったとおり、これは福祉の領域になると思うのですけれども、工賃の倍増というのをどのように図っていくかというのは、これは福祉制度が考えられることなのですけれども、事業所の方々にも考えていただきたいなというのが私の意見なのです。
というのは、岩手で北上市というのがあるのですけれども、そこでは郊外型のショッピングセンターの中に事業協同組合が売場のスペースを持っています。そこは共同で製品を販売しているスペースなのですが、そのテナント料というのが1%なのです。多分全国的にもテナント料というのは10%とか20%ですよね、百貨店とか大きい所で取るのですけれども、そこでは地元の資本の人たちが参加して、1%だけというような形で就労支援の事業所をバックアップしている。これは、事業所側も地元の商工会の出身の人たちがそういう取組をしているということなので、そのようなものも絡めて議論していったらいいのではないかなと、これはあくまでも私の感想です。以上です。
○山川分科会長 ほかに委員の皆様方から御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
これまでの議論ですと、資料の48ページにありますような役割分担については、おおむね共通の理解ができていたと思いますし、また、このような姿を実現するために、雇用率制度とか調整金の制度から外したほうがいいという御意見が比較的多かったかと思います。ただ一方で、この問題自体が福祉施策に関わることでもありますし、また、現実的なインパクトと言いますか、この48ページの図の本来の姿が実現した場合に、小原委員からの御指摘がそうだったかと思いますが、一般就労にその分が直ちに移行するとも限らないという別途の政策課題があるということを、いろいろ考慮すべきこととして、幾つか御指摘いただいたところであります。先ほど福祉施策との関わりと申しましたが、事務局サイドで津曲課長から何かございますか。
○津曲障害福祉課長 障害福祉課長の津曲でございます。今、様々な御指摘を頂きましたが、雇用率制度であるとか、雇用の制度に関しましては、雇用分科会で御議論いただくことと思っておりますけれども、4月8日に社会保障審議会の障害者部会がございまして、そちらでも委員から、このA型の雇用分科会における議論に関しまして御意見がありましたので、それを紹介させていただきたいと思います。
おそらく、今までのヒアリングの中でも、団体様のほうから御意見等があったと思うのですが、福祉の関係者からは、このA型事業所をこれらの制度から除外するということに関しまして、慎重論が多々あるのだということ、又は、A型事業所は、障害者の稼得能力だけではなくて、特性等も含めまして、一般就労が困難な方に対する支援に強みを持った働く場であるというような点も踏まえて、御議論をお願いしたいというような意見もございましたので、御紹介をさせていただきます。以上でございます。
○山川分科会長 委員の皆様方から何か追加でございますでしょうか。よろしいでしょうか。いずれにいたしましても、制度的な連携のみならず、政策形成に当たっても、雇用分野と福祉分野で連携を図っていくことは必要ではないかと考えておりますので、今日の御意見を踏まえて、また事務局で検討を進めていただきたいと思います。
では、特段ございませんようでしたら、議題(2)について何か事務局からございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。「その他」といたしまして、一言お礼を申し上げたいと思います。4月6日に既に実施させていただいておりますが、山内委員の御協力、御配慮を多大に頂きまして、当分科会からも有志を募りまして、日立製作所に見学に行かせていただきました。併せまして、また明日、同社水戸事業所のほうに伺わせていただくことになっております。いずれも分科会の委員5名ずつの御参加、事務局も含めますと更に多くの見学者の受入れをしていただきまして、当課も併せまして大変勉強させていただいております。一言御礼でございます。ありがとうございました。
○山川分科会長 私からも、貴重な機会を頂きまして大変ありがとうございました。
それでは、ほかにございませんようでしたら、本日の議論は終了となります。本日の分科会はこれで終了させていただきたいと思います。事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林でございます。次回の日程につきましては、4月下旬の開催を予定しております。詳細は追って事務局より御連絡をさせていただきます。以上です。
○山川分科会長 それでは、本日も大変有益な議論を頂きまして、大変ありがとうございました。終了いたします。