報道関係者 各位

【照会先】

健康局 難病対策課
課長   簑原 哲弘
課長補佐 神田 純    (内線2368)

(代表電話)03(5253)1111 
(直通電話)03(3595)2249

指定難病患者データの研究利用のための第三者提供における個人情報の流出及びその対応について

 厚生労働省が、収集する指定難病患者に関するデータ(診断書情報)について、研究者から、利用申出を受けて提供したデータファイルに、本来、削除されるべき個人情報(氏名・生年月日・住所等、延べ5,640名分)が含まれている旨、研究者からの報告で8月5日に判明しました。当該データファイルについては、8月9日までに、研究者(7施設に所属する代表7名)から全て回収をしており、研究者以外の者への流出はないことを確認しました(詳細は後述)。
 事案の概要その他今後の対応等について下記のとおりお知らせいたします。
 関係者の皆さまに多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫びしますとともに、再発防止のため、しっかりと取り組んでまいります。

1.事案の概要

 令和4年8月5日(金)に、同年6月27日(月)に厚生労働省より研究者に提供したデータに延べ5,640名分の患者の個人情報を含んだ情報(氏名・生年月日・住所等含む診断書の全情報)(注)が記載されたシートが含まれていたことが、提供を受けた研究者のうち1名からの報告により判明した。
今回の事案において指定難病患者に関するデータファイルが提供された研究者は、7施設に属している。そのうち、

● 実際に個人情報を含んだファイルが提供されたのは7施設中5施設のみであることが判明し、
● さらに、実際にデータファイルの閲覧をした者は、6名であることを確認した。  

(注)情報の詳細
● 対象疾病:【1】IgA腎症、【2】一次性膜性増殖性糸球体腎炎
● 情報の内容:当該臨床調査個人票の全情報一部DBに格納されていない情報を除く。
● 診断書(臨床調査個人票)が記載された時期/(対象延べ人数)
  【1】平成26年6月15日~平成30年11月12日/(延べ5,517人分)
  【2】平成28年1月18日~平成30年5月10日/(延べ123人分)
 
【参考:難病DBの第三者提供の業務フロー(別紙参照)】
 難病の医療費助成申請時に提出される診断書情報を指定難病患者データベースシステム(以下「難病DB」という。)に登録し、研究者から、研究に利用するための申出がされ、審査の結果承認された際には、当該診断書情報のうち個人情報を除いた情報を研究者に提供(第三者提供)することで、難病に関する研究の推進を図ることとしている。
指定難病患者データに関する第三者提供の申出があった場合の業務フローは以下のとおりである。
 ・ 厚生労働省から難病DBの管理運営を委託されている国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(以下「医薬健栄研」という。)において、対象データの抽出作業や、必要な匿名化作業等を実施し、抽出データを厚生労働省に送付
 ・上記データについて、厚生労働省から加工等業務を委託されている(株)日立製作所(以下「受託者」という。)が、厚生労働省内において提供用データとしての加工等作業を実施
 ・厚生労働省から研究者に提供
 

2.発生原因

医薬健栄研におけるデータ抽出作業の過程である、 
【1】難病DBに格納された元データをCSVデータに変換する(シートAを生成)
【2】変換されたCSVデータから必要なデータを抽出し直す(シートBを生成)
【3】シートAを削除する
の3つの手順のうち、医薬健栄研において、【3】の手順を失念し、その後の医薬健栄研内のダブルチェックが十分に行われなかったこと。
また、厚生労働省及び受託者においても、医薬健栄研から提出された提供用データの確認が不十分であったこと。
 

3.本事案に関する対応状況(データの回収状況等)

 データ提供を行った研究者に提供された当該データファイルを、研究者から全て回収している。また、各提供施設において、研究者以外の利用やそれ以外の媒体への複写等、利用規約に反する利用を行っていないことを確認しており、当該研究者以外への流出がないことを確認している。
 医薬健栄研の理事長から健康局長に対して、令和4年8月12日に本事案の経緯と再発防止に関する取組の報告を受け、関係者で協議し、再発防止を徹底することとした。
 

4.再発防止策

 本年8月中を目途に、医薬健栄研及び厚生労働省での複数の者によるダブルチェックの徹底などの基本的な対策に加え、作業手順等の見直しも含めた再発防止策を策定し、その徹底を図る。また、新たな再発防止策が実行されるまでの間、第三者提供を停止することとする。

5.関係者への説明

 今後、順次対象者を整理・確認した上で、患者本人への謝罪(お手紙)の送付と同時に、コールセンターを設置し、問い合わせへの対応体制を構築することを予定している。
 
以上

(別紙:難病DBの第三者提供の業務フロー図)