第5回 医療扶助に関する検討会 議事録

日時

令和4年4月28日(月) 16:00~18:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14C(14階)
(東京都港区赤坂2丁目14-27 国際新赤坂ビル 東館)

出席者(五十音順)

議題

  1. (1) 医療扶助等の現状と課題について
  2. (2) 医療扶助のオンライン資格確認の導入方針について
  3. (3)その他

議事

(議事録)
○吉川保護事業室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第5回「医療扶助に関する検討会」をオンライン会議で開催いたします。
 皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、山本社会・援護局長は、公務の都合により、遅れての出席となる予定です。
 また、委員の出欠でございますが、都合により、日本医師会の松本委員が途中で退席をする予定になってございます。
 なお、本検討会の開催に当たりまして、前回の令和3年11月の第4回検討会の開催以降、委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 野田委員の異動に伴いまして、兵庫県地域福祉課長、藤本委員が任命されてございます。
 一言御挨拶をいただければ、幸いです。
○藤本委員 皆さん、はじめまして。兵庫県福祉部地域福祉課長に就任いたしました、藤本でございます。
 この4月からの就任となりますので、ただいま、いろいろと情報等を勉強しているところでございますけれども、地方の立場からいろいろと発言等をさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○吉川保護事業室長補佐 ありがとうございました。
 続いて、藤村委員の異動に伴いまして、高知市福祉管理課長、明坂委員が任命されております。
 一言御挨拶をいただければ、幸いでございます。
○明坂委員 皆さん、はじめまして。高知市役所福祉管理課の課長になりました、明坂と申します。
 藤村の後を継いでの参加になりますが、またこれからもよろしくお願いいたします。
○吉川保護事業室長補佐 ありがとうございました。
 会議冒頭のカメラの頭撮りがございましたら、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○吉川保護事業室長補佐 それでは、以降の議事運営に関しましては、尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 本日は、資料1、医療扶助等の現状と課題について、資料2、医療扶助のオンライン資格確認の導入方針を議題としております。また、議題ではございませんけれども、資料3として、被保護者健康管理支援事業における全国データ分析について、報告事項ということで事務局から事前に配付していただいております。
 まず、資料1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○進士保護事業室長 まず、資料1、医療扶助等に関する現状と課題について、資料を御用意いただければと思います。
 1ページ目ですけれども、「1 医療扶助等の現状について」。
 2ページ目を御覧ください。被保護人員、保護率、被保護世帯数の年次推移です。リード文を御覧いただければと思います。令和4年1月時点でございますが、具体的には下の表の青線になります。受給者数は約204万人、平成27年3月をピークに減少に転じている状況です。一方、世帯数につきましては、164万世帯になっております。
 続きまして、3ページでございます。世帯類型別の保護世帯数と構成割合の推移でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、世界金融危機後、オレンジの帯グラフになりますが、その他の世帯の割合が大きく減少し、今なおそれほど減少はしていない状況です。一方、青の帯グラフになりますが、高齢者世帯が増加傾向にあります。さらに左下のほうに米印がありますけれども、高齢者世帯の92.2%が単身世帯という状況でございます。
 4ページ目を御覧ください。生活保護受給者数の推移ということで直近の推移を見たものです。リード文を御覧いただければと思いますが、受給者数は令和4年1月現在で203万7886人です。グラフを見ていただければと思います。青線ですが、近年は減少傾向で推移をしております。一方、リード文の2つ目ですけれども、赤線のほうは対前年同月伸び率を見ているものですけれども、直近はマイナス0.6%でございまして、平成22年1月の12.9%をピークに低下傾向が継続しておりますし、過去10年間で見ても低い水準になっております。
 続きまして、6ページを御覧ください。年齢階級別被保護人員の年次推移でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、年齢階級別の被保護人員数の推移を見ますと、65歳以上の者の増加が続いております。そのウエートでございますけれども、その半数、52%が65歳以上の者になっている状況です。
 続きまして、7ページを御覧ください。年齢階級別の保護率の年次推移でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、この推移を見ますと、一番上の線でございますけれども、65歳以上は上昇傾向が続いてきましたが、近年は横ばいです。それ以外の年齢階級について見ますと、横ばいもしくは低下傾向でございます。
 続きまして、9ページを御覧ください。生活保護費負担金(事業費ベース)実績額の推移でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、令和4年度当初予算ベースで申し上げると、約3.7兆円です。この内訳を見られるのは下の表の令和2年度のところまでになりますが、医療扶助に占める割合が49.7%で約半分になっております。
 続きまして、10ページでございます。医療扶助費の動向でございます。医療扶助費の動向につきましては、リーマンショック後、被保護者数の増加に伴い増加をしている状況ですが、近年は高齢化の影響によりまして高齢者が占める割合の増加傾向が現状であります。
 続きまして、11ページを御覧ください。医療扶助の特性でございます。左上の表を御覧いただければと思いますが、年齢階級別の構成割合で総人口と比べております。顕著なのは、65歳以上が医療扶助の半数以上を占めているということです。左下でございますけれども、診療別の構成割合を見たものです。これも国民医療費と比べておりますけれども、医療扶助は約6割を入院が占めているという状況です。右上を御覧ください。傷病分類別のレセプト件数の構成割合でございます。上のほうが入院でございますが、これも医療保険に比べて精神・行動の障害の割合が高いという特徴が見られます。一方、その下の入院外でございますけれども、こちらは医療保険とほぼ同様の構成割合となってございます。
 次に、12ページを御覧ください。医療扶助費の伸びの要因分解でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、青線の医療扶助費の伸びは、平成25年頃までは被保護者の増加の影響が大きかったのですけれども、それ以降は、むしろ、年齢構成の変化、高齢化等の影響が大きいということです。リード文の2つ目ですけれども、その他影響を差し引きしたものですけれども、この伸びを医療費全体のそれと比較しますと、具体的には、下のグラフの青枠でくくっているものが医療扶助費で、紫の点線でくくってあるものが医療費全体におけるその他の影響になっていますけれども、近年は医療扶助費の伸びは医療費全体の伸びを下回っている状況が見てとれると思います。
 続きまして、15ページを御覧ください。年齢階級別の被保護者1人当たり医療扶助費で、ここから三要素について見たものを御紹介しておきます。まず、入院でございます。入院について見ますと、医療保険と比較いたしますと、受診率、1件当たりの日数の差は大きくなっております。ただ、一番右のグラフですけれども、1日当たりの医療費これを見ると医療扶助費のほうが低くなっている状況です。
 続きまして、16ページでございます。同じものを入院外について見たものでございます。入院外につきましても、医療保険と比較すると医療扶助のほうがやや高い傾向にあります。ただ、リード文の2つ目ですけれども、15歳未満、70歳以上の受診率等については、医療扶助のほうが低くなっている状況です。
 続きまして、同じものですが、歯科について見たものが17ページでございます。リード文を御覧いただければと思いますが、歯科についても医療補助のほうがやや高い傾向、2つ目ですけれども、15歳未満、70歳以上の受診率については、医療扶助のほうが低くなっている状況です。
 続きまして、18ページです。受診日数の分布状況の年次推移で、この分布を見ますと、リード文を御覧いただければと思いますが、外来受診者のうち、半数弱、令和元年に46%ですけれども、受診日数が1日でございます。また、この年次推移を見ますと、表の中ほどを見ていただければと思うのですが、受診日数の1日や2日の割合は増加している一方で、3日以上は減少傾向にあります。また、表でいう患者1人当たりの受診日数が一番下にございますけれども、これも令和元年は2.54日で減少傾向にあるということです。
 続きまして、19ページ、制度別の受診日数の分布状況でございます。こちらにつきましては、リード文の1つ目ですが、受診した人の割合、患者割合につきましては、医療扶助は65.3%となっておりまして、国民健康保険が50.8%、高齢者医療が80.3%なので、国保よりも高く、高齢者医療よりは低くなっているという状況です。一方、受診日数の分布を見ますと、これも同じ傾向が見られるということです。3つ目の○ですけれども、医療扶助を75歳以上と74歳以下に分解しております。この75歳以上と高齢者医療を比較いたしますと、1人当たりの受診平均受診日数は医療扶助が高齢者医療よりも少なくなっている状況です。
 20ページを御覧ください。制度別の受診医療機関別患者割合でございます。リード文を御覧いただければと思いますが、医療扶助は受診日数が1件である方の割合が67.4%でございまして、他制度と比べて高い状況にあるということです。
 21ページを御覧ください。県別の年齢調整後被保護者1人当たり医療扶助費を国民医療費と比較したものでございます。相関関係を具体的に見たものですけれども、まず、入院外について見ますと、相関係数が0.74で正の相関関係になっております。
 22ページでございます。同じことを今度は入院についてやっておりますけれども、こちらも相関係数0.69で正の相関関係になっている状況でございます。
 次に、23ページでございます。ここからが少し新しいデータでございますけれども、ナショナルデータベースを用いた医療扶助費の分析で、まず、1人当たり年齢調整後の医療扶助費を見たものです。こちらを県別に見たものが23ページになっておりますけれども、鹿児島県と岩手県、最も高い県と低い県の差が1.5倍でございます。
 24ページでございます。地域差への寄与度をいろいろな視点で見たものが次から続きます。まず、診療種別に見たものが上のグラフでございますけれども、こちらを見ると入院の寄与度が大きい。下のグラフ、年齢階級別になると、70歳以上の寄与度が比較的多いという状況です。
 次のスライドの25ページでございます。今度は疾病分類別に見たものが上のグラフでございますけれども、こちらで顕著なものは精神・行動の障害の寄与度が大きいということでございます。下のグラフが三要素別に寄与度を見たものですが、こちらは入院の受診率の寄与度が大きいということでございます。
 26ページでございます。糖尿病の有病状況等でリード文を御覧いただければと思いますが、1人当たりの医療費を年齢階級別に見ますと、年齢とともに増加をし、70歳代前半をピークに減少しています。国保・高齢者医療と比較をしておりますけれども、全ての年齢階級で医療扶助が高いということでございます。
 続きまして、27ページでございます。「2 平成30年生活保護法改正等について」。
 28ページを御覧ください。こちらの資料につきましては、平成30年改正の概要でございますけれども、赤枠を御覧いただければと思いますが、生活保護の関係につきましては、マル1のところですけれども、まずは健康管理支援事業を創設しました。マル2のところですけれども、後発医薬品の使用の原則化をしましたということでございます。
 30ページを御覧ください。健康保険法等の一部を改正する法律の概要ということで、昨年の通常国会で可決・成立をしたものですけれども、ここの赤枠を御覧いただければと思いますが、医療扶助においてオンライン資格を導入することが盛り込まれております。施行期日の一番下の赤枠のところを御覧いただければと思いますが、公布の日から起算して3年を超えない範囲内の政令で定める日とされております。
 32ページを御覧ください。新経済・財政再生計画改革工程表2021の抜粋でございます。赤枠のところを御覧いただければと思うのですが、aの2行目辺りからですが、また、生活保護受給者の頻回受診対策については、医療扶助に関する検討会の議論や2021年度までの実績等を踏まえ、該当要件についての検討を2020年度中に行う。また、その他医療扶助における適正化について、医療費適正化計画の医療費に医療扶助も含まれることを踏まえ他制度における取組事例も参考に推進しつつ、中期的に医療扶助のガバナンス強化に向け、EBPMの観点も踏まえて検討を行うことが指摘されています。もう一つの赤枠ですけれども、eのところですが、中長期的課題として、都道府県のガバナンスを強化する観点から、医療扶助の在り方の検討を深めるということが指摘されております。
 続きまして「3 現行の各種取組について」。
 35ページを御覧ください。先ほども御紹介しました後発医薬品の使用原則化が平成30年10月1日に施行されております。右のグラフを御覧いただきたいのですけれども、後発医薬品の使用割合を見たものですが、生保につきましては、直近の令和3年で87.7%、政府目標は80%というものがありまして、これは達成している状況です。中ほどの3つ目のリード文を御覧いただければと思うのですけれども、伸び率については、原則化前の平成30年で10.1%増だったのですけれども、この原則化をした効果が一定程度はあったのではないかと我々としては考えております。
36ページを御覧ください。医療扶助における後発医薬品の使用状況の地域差で、県別に平成29年の審査分と令和3年の審査分を、最も高い県と低い県でどれぐらいポイントの差があったのかを見ているのですけれども、リード文を御覧いただければと思いますが、平成29年6月審査分では約22%ポイントの差であったものが、直近の令和3年6月であると約12%の差に縮減をされている状況です。
 次に、健康管理支援事業についてでございます。
 38ページを御覧ください。健康管理支援事業につきましては、リード文の3つ目にありますが、令和3年1月から必須事業化され、全福祉事務所で取り組むことになっております。具体的な内容につきましては、中ほど、マル2の事業企画を御覧いただければと思うのですが、オの頻回受診指導を基本的には必須の取組として、そこにア~エとありますが、健診受診勧奨、医療機関受診勧奨、保健指導・生活支援、重症化予防を選択していくという格好で進めております。
 39~41ページは、自治体の取組事例になりますので、御参照いただければと思います。
 続きまして、子供の医療についてでございます。
 43ページを御覧ください。子供の医療に関しましては、ここに記載のモデル事業の実施を平成30年度からしております。こちらにつきましては、基本的にはモデル事業として10分の10の助成をさせていただく中で、好事例を国として収集し、標準化あるいは将来の全国展開を目指すということでやっております。
 44ページを御覧いただきますと、この関係で令和2年度に調査研究を行っておりまして、今申し上げたモデル事業の実態把握をするとともに、効果的な支援事例を収集するといったことを行っております。
 次のスライド、45ページが収集した好事例でございまして、リード文の2つ目を御覧いただければと思いますが、マル1、教育委員会から学校検診に係る情報入手をする取組、マル2、学習支援事業と連携した取組、マル3、専門職を活用した取組といった事例を横展開させていただいております。
 続きまして、頻回受診対策についてでございます。
 47ページを御覧ください。一番上の頻回受診の指導対象者の定義でございます。先ほど改革工程表で指摘を受けているということの関連でもございますが、同一疾病について同一月内に同一診療科目を15日以上受診しており、短期的・集中的な治療を行う者を除き、治療に当たった医師や嘱託医が必要以上の受診と認めた者という定義でございます。この対応については、下に矢印で書いてありますけれども、まずは頻回受診の可能性のある方をレセプトで確認し、次に、主治医さんに訪問あるいは嘱託医さんに協議、その上で指導を福祉事務所として実施していき、改善状況の確認を行っていくというスタイルで行っています。その下に、改善の状況で表がついていると思いますが、この一番下の改善者数割合を御覧ください。平成27年度から徐々に改善者の割合は増えてきている状況ではありますが、令和2年度は48.97%でございます。ただ、後ほど指摘もさせていただきますが、この48.97%の裏側、約5割は改善がされていないことが見てとれます。
 続きまして、48ページでございます。こちらも頻回受診の適正化の推移を見ているものですけれども、リード文を御覧いただければと思うのですが、この下の表のグラフ、黒の点線のところが改善率になりますけれども、この改善率は徐々に上昇してきている状況です。また、青線が受診状況把握対象者の母数になりますけれども、近年では事業開始時点の半数程度まで減ってきている状況です。
 続きまして、49ページを御覧ください。こちらも頻回受診に係る好事例で、リード文の2つ目を御覧いただければと思いますが、対象者に早期にアプローチしている事例、専門職を配置し、ケースワーカーと連携して対応している事例、対象者の日常生活の改善につながる指導を行うといった事例を横展開させていただいております。
 続きまして、薬剤対策についてでございます。
 52ページを御覧ください。向精神薬の重複投薬の適正化について、一番上のリード文の1つ目ですけれども、適正化への取組で、平成22年4月にここに記載の事案がございまして、これを受けて各自治体に対して不適切な受診行動者に対する適切な受診指導、レセプト点検の徹底を指示しているということでございます。
 続きまして、53ページでございます。薬局と連携した薬学的管理・指導の強化等ということで、御覧いただきたいのは、左のほう、真ん中と下のところに、まず、薬局を1か所にする事業の実施方法という形で実施しております。もう一つが、左下ですけれども、お薬手帳を活用した事業の実施方法でやらせていただいています。ただ、いずれも、46自治体、4自治体ということで、実施箇所数が低調にとどまっている状況です。
 続きまして、長期入院患者への対応についてです。
 56ページを御覧ください。先ほどの医療扶助につきましては、精神・行動の障害による入院の占めるウエートが大きいという話はしていますが、これを経年的に追ったものでございます。トータルとしては、減少傾向にある状況でございます。さらに、このグラフの濃い部分が5年以上になるのですけれども、この長期入院患者も、見ていただければ明らかだと思いますが、減少しているという状況です。
 続きまして、長期入院患者の実態把握について、57ページでございます。福祉事務所においては、入院期間が180日を超える方の実態調査を行っています。見ていただきたいのは右のほうの表ですけれども、まず、一番上の180日を超える方が、平成30年度で5万5000人ぐらいだったものが、令和2年度においては5万3571人。その2つ下ですけれども、主治医との意見調整を行った結果、入院の必要性がないとされた方につきましては、平成30年が4,173人、令和2年が3,805人で減少。その2つ下ですけれども、そのうち未対応の患者数ですが、こちらの平成30年は1,201人、令和2年が891人で減少しております。さらに、一番下になりますけれども、入院の必要性がない方のうち未措置の割合は、平成30年が28.8%、令和2年度は23.4%という状況になっております。
 続きまして、59ページを御覧ください。長期入院患者の地域移行の好事例集ということで、リード文面の2つ目を御覧いただければと思うのですが、予算事業による専門性のある主体への外部委託、障害福祉担当部局との連携、マル3、救護施設等の活用といった事例を横展開させていただいております。
 60ページを御覧ください。予算措置として、平成17年度から行っておりますけれども、精神障害者等の退院促進事業を進めており、67自治体が実施している状況です。
 続きまして、「4 今後の課題等について」。
 63ページを御覧いただければと思います。次期法改正に向けた検討スケジュールということでお示ししていますが、そこの上の見直し規定のところを御覧ください。先ほど申し上げた平成30年改正の附則第8条に基づく検討で、具体的に米印でまさに検討規定を書いていますけれども、政府は、この法律の施行後5年を目途として、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするということです。これを受けまして、下に検討の場とありますけれども、生活困窮は論点整理検討会、生活保護については国と地方の実務者協議で議論を進めてまいりました。令和4年4月の取りまとめ予定となっておりますが、昨日、公表をそれぞれさせていただいているということでございます。その取りまとめを受けて、一番下でございますけれども、5月以降、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会における議論を進めていくことにしております。
 64ページを御覧ください。この医療扶助に係る今後の課題を少し整理させていただいております。まず、健康管理支援事業について、施行間もないのですけれども、1つ目のマルですが、保健師等の専門職の確保が困難であるなどの体制面の課題あるいは取り組むべき指標や評価手法の確立に苦労しているなどの声があり、十分になかなか取組が進んでいない状況、ただ、次にありますように、一方で、先進的な取組を行っている自治体が一定数はありますので、取組事例の横展開を図ることが重要ですと。次の○ですけれども、今度は、子供について、一般世帯と比較して慢性疾患等の有病率が高いこと、受診率が低いことなどが課題なので、どうやって子供へ関与していくかということが課題ですと。次に、頻回受診対策について、2つ目の丸を御覧いただければと思いますが、これまでの取組により受診行動が改善した方の割合は上昇しておりまして、あるいは、その受診状況把握対象者についても、先ほど御紹介しましたけれども、事業開始時点の半数程度まで減ってきています。ただ、一方で、毎年の指導対象者の半数程度が指導後も未改善の状況でございます。次の丸ですけれども、こうした頻回受診者の多くは、精神疾患や認知症等、指導になかなか応じていただけない方だという報告もあるので、取組による効果が出にくい。一番下の丸ですけれども、頻回受診指導につきましては、レセプトから対象者を抽出していますので、指導まで、要するに、2か月のタイムラグがあって、なかなか効果的な取組が難しくて、むしろ頻回受診の傾向がある方に対する早期からのアプローチが求められているのではないかということです。
 次に、65ページです。投薬に着目した対策について、重複投薬等に着目した取組については、これまでは先ほど御紹介した向精神薬の重複投薬の適正化、薬局と連携した薬学的管理指導・強化ということで進めてまいりました。ただ、2つ目の丸ですけれども、これらの取組等については、1ポツですが、調剤費に関するレセプト点検については通知で診療内容と処方薬の整合性のチェックは行うことにしているものの、重複投薬等に特化したチェックは必須としていない。2ポツ目ですけれども、薬局と連携した薬学的管理・指導の強化、2つの事業については、実施箇所数が低調にとどまっており、広く重複投薬等に着目した取組については実施できていない状況です。次の○ですけれども、一方で、多剤投薬で、特に高齢者の世界においてポリファーマシーに着目した対策の必要性が指摘されておりまして、患者の薬物有害事象のリスク増加等につながるということが言われております。最後の丸ですけれども、生活保護においても、被養護者の医薬品の適正利用を推進していくことにより、被保護者のQOLの維持・向上等を図っていく必要があるのではないかということです。
 次に、66ページです。長期入院患者への対応について、1つ目の丸ですが、先ほど御紹介したとおり、特性として、医療扶助費の6割が入院を占めており、そのうち精神・行動の障害の割合が35%といったことがあります。2つ目の丸ですが、精神疾患で入院されるような方はなかなか安定した職業に就くことも難しくて、生活保護を受給せざる得なくなる、多くなるという傾向にありますので、なかなか構造上で避けられない面もあります。一方で、次の丸ですけれども、受給者の精神・行動の障害による入院の件数は減少傾向にありますし、特に5年を超えるような長期入院の方は減少しています。さらに、医療扶助による入院患者であって、その入院期間が180日を超える方の数、あるいは、入院の必要性がないとされた者の数、そのうち未対応の患者数、これらはいずれも減少傾向にあります。ただ、一番下の「令和2年度においては」というところですが、医療扶助による入院の必要性がないと判断された患者のうち23%程度の者は退院等の措置がなされていないというデータもあります。最後ですけれども、その他、医療扶助全般ということで、諮問会議における改革工程表において、中長期的な課題として、医療扶助のガバナンス強化に向けた検討が認められている状況です。
 最後に、主な検討事項案で、67ページ以降、まとめています。現時点でということでございますけれども、上からいきますと、健康管理支援事業の効果的・効率的な実施体制の構築で、着実な実施を図っていく観点から、保健部局との連携につきまして、その効果的・効率的な実施方策をどう考えるか。次に、EBPMの観点からの健康管理支援事業の推進ということで、レセプトデータ等を用いたPDCAサイクルに基づく取組という観点から、事業の実施に係る指標の設定・評価、各種データの効率的な収集・活用等に係る手法について、どう考えるか。次に、健康管理支援事業の機能ということでまとめていますけれども、この事業の対象になる者は、必ずしも生活習慣病の方だけではなくて、精神疾患あるいは依存症などを抱える方も含まれることも踏まえ、生活面に着目したアプローチの推進方策について、どう考えるか。最後に、子供の事業利用の推進方策についてどう考えるかということでございます。
 次に、68ページでございます。頻回受診対策等でございますけれども、1つ目の矢印は、改革工程表でも指摘されている頻回受診者の該当要件についてどのように考えるか。次ですけれども、頻回受診指導の結果、未改善者が5割弱存在する状況を踏まえ、効果的な頻回受診対策をどう考えるか。「また」以下ですけれども、頻回受診対策のみならず、重複投薬、多剤投与等に着目した方策についてどう考えるか。次の矢印ですが、長期入院患者の退院促進について、退院後の地域定着支援も含めてさらなる実効的な取組をどう考えるか。最後に、医療扶助に関する県による関与ということで、医療扶助に関してはガバナンスの強化の必要性が指摘されていることも踏まえまして、都道府県によるデータに基づく適正化方策の推進についてどう考えるか、その際、県によるデータに基づく管内の自治体や指定医療機関に対する助言・指導等の効果的な実施方策など、県による実効的な支援方策についてどう考えるかということで挙げさせていただいております。
 最後、69ページ、スケジュールでございますけれども、今日を含めて計4回開催させていただきたいと考えておりまして、2回目、3回目は、今申し上げた検討事項案を各論的に少し議論させていただくということを考えています。最後の4回目で一定の取りまとめをお願いしたいということで考えています。米印に少しありますけれども、2回目、3回目で、少し外部の方にも入ってもらって、その方にヒアリングを行うことについても検討しております。今申し上げた4回で取りまとめをお願いして、その取りまとめられたものをベースに、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び   生活保護部会においても議論をしていくということで考えております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 なお、発言を希望される際には、カメラに向かって挙手をお願いいたします。指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員 松本です。委員長、ありがとうございます。
 資料1ですけれども、11ページ目の医療補助の特性から、その後、12ページから14ページ目の伸びの要因分解、26ページにかけて医療扶助費の各種データが提示されておられます。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大前の数字となっています。例えば、御存じのとおり、令和2年度の医療費はコロナによって大きく落ち込んでいますことから、現状把握をするためには令和2年以降のコロナ禍の各種データが必要なことは言うまでもないことだと思っております。次期法改正に向けた検討についての御説明は、理解いたしました。また、64~66ページに今後の課題等が記載されておりますけれども、これにもコロナについての記載が全くありません。今後の課題ということであるならば、コロナ禍の影響を加味した上で検討していくべきと考えております。
 もう一つ、38ページ目の被保護者健康管理支援事業について、事業概要の2つ目の○に、生活習慣病の発症予防や重症化予防の推進のために、スライド39以降の支援事業の取組を、医師会、当会議等を通じて、どの程度共有しているのか。あるいは、その把握がされていらっしゃるのでしょうか。地域の医師会に対しては積極的に連携体制に参画していただきたいと考えていますので、教えていければと思います。被保護者健康管理支援事業の手引きでは、連携体制として、重症化予防における連携等について、医療機関のみならず、医師会も連携体制の一端を担っているわけです。そのため、福祉事務所による事業報告における連携体制として、外部の連携先についても記載することとされております。
 そういったことから、ぜひ先ほどのことを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 被保護者健康管理支援事業についての御質問と、コロナ禍の影響をどう考えるかという御指摘があったので、その点も含めて御回答をお願いします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、健康管理支援事業についてでございます。まさに松本委員のおっしゃるように、この事業を進めるに当たっては、医師会さんとの連携が大変重要だと思っております。それで、今回掲載させていただいた39ページから41ページに3つ事例をつけておりますけれども、ここには直接的に記載は出てこないのですけれども、いろいろと自治体の方々と話をする中で、医師会さんとの連携をやられているとは聞いております。今後、いろいろと事業実績報告などを取りまとめていくことになりますので、そういった今御指摘いただいた点も含めて、そういった部分をまとめていって、我々としてはそういった公表もしていくことを考えたいと思っています。
 今後の検討課題について我々はお示ししましたけれども、今の御指摘で、コロナについての影響を加味した話がないではないかという御指摘だったと思います。直接的には書いていないところがあるのですけれども、1つ、申し上げると、特に67ページの健康管理支援事業の効果的・効率的な実施体制の構築という部分で、なかなかこれがうまくいっていないという話をしましたが、保健師さんの確保みたいなことを言うと、まさにコロナ対応に追われてしまって、なかなかうまく実施体制を構築できていないという部分はありますので、明示はしませんでしたけれども、そういった文脈は念頭に置いておりました。ただ、検討事項案を、今後、2回目、3回目でいろいろとお示ししていく中で、そのコロナの部分についても少し検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○尾形座長 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員 コロナの影響については、またぜひお示しいただいて教えていただければと思いますし、その後の健康管理支援事業についても、各医師会あるいは地域医師会の取組の好事例がございましたらぜひ掲載していただいて共有させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。今日は1回目で、膨大な資料ですが、どこからでも結構ですので、お気づきの点があれば。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 どうもありがとうございます。
 事前に御説明いただいたときにも少し言ったことの繰り返しにはなってしまうのですけれども、かつ、今後の具体的な論点をやる中で議論すればいいことだとも思いますが、現時点で問題思える部分を指摘し、今後検討するに当たって資料とかがあれば出していただきたいので、そのこともあって、ここで申し上げたいと思います。まず、健康管理支援事業の問題でございますが、これを議論するのはそのとおりだろうと思うのですが、同時に、その内容を見ますと、38ページですが、頻回受診指導が言わば必須になっていて、ほかのものをさらにメニューとして付け加えるというつくりになっております。ただ、その前の医療扶助の特性などの資料、例えば、17ページなど、15歳未満や70歳以上の受診率を見ると、医療扶助だと低い、つまり、どうも頑張って医者に行かなさ過ぎなのではないかと思われるデータもあって、ここら辺は行き過ぎるなということと必要があるのだったら行きなさいということとの両方をバランスよくやる必要があろうと思います。これを1個の事業でやることは、それはそれでケースワークとの関連でも分かりやすいとは思うのですけれども、ここら辺のバランスの取り方や類型に応じた重点の置き方を考えていただけるように、後で資料を出していただければと思います。
 それとの関連で、頻回受診指導は医療扶助で結構な問題になって官邸からも言われているようではございますが、今日お示しいただいた相関係数とかを見ますと、医療保険に比べてそう悪いわけではない。事前にチェックをするためか、そうおかしなことになっているわけではないような気がいたします。このため、いつまで生活保護固有の問題として頑張り続けるかということが1個の論点にはなるだろうと思います。他方で、ポリファーマシーのような問題を考えますと、これはもちろん高齢者全体に関わることであろうと思いますので、もう一つの問題として、医療政策全体との関係でこの問題を位置づける、その中で生活保護における医療扶助をどう考えるかという形で、少し問題の構造を重層化していただければと思います。そういう形で検討していただきたいと思います。
 3番目に、精神障害者の地域移行の件でございます。資料においても、障害福祉担当との連携が必要であることは書かれていて、そのとおりだと思います。他方において、私は厚生労働省の精神障害者系の検討会にも参加させていただいているわけでございますが、そちらでは、今後、精神障害者にも対応した地域包括ケアということで、市町村にもう少し大きく役割を担っていただく方向になっております。そういたしますと、福祉事務所あるいは精神障害福祉との関係づけはもっと大きくなるでしょうし、他方で、あちらの検討会に行きますと、どうも精神障害の問題は医療・保健サイドが強くて、福祉と連携しているのかどうか怪しいなと思わされるときもございますので、生活保護からも、入院してしまったら、あとは費用を持つだけということではなくて、十分に意識されているということではありましたけれども、地域移行につき、その際にも仕事は増えることになると思いますが、障害福祉担当と福祉事務所との連携なども深めて、生活保護を受けているがゆえに地域移行に余計遅れが出ることはないような工夫を議論していただければと思います。そういったことを考えるための素材を提供していただければ議論したいと思っております。
 差し当たりは、以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 何点かの御指摘と資料の用意ということでしたけれども、事務局、いかがでしょうか。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、今後、2回目、3回目のいろいろ個別議論をいただく検討会で、今の御指摘を受けてどのような形で対応できるのかということは、少し検討させていただきたいと思います。
 少し精神障害の文脈のところだけ触れさせていただくと、福祉事務所と精神保健との連携がどうなのか、あるいは、もっと言えば障害福祉との連携も含めてということでございます。なかなか我々も障害保健福祉部とよく連携をしていく必要があるかと思っています。例えば、紹介なのですけれども、ギャンブル依存症対策みたいなことが進められております。その中で、生保受給者の中にも、パチンコ、ギャンブル依存症の方も一定程度はいて、例えば、我々は都道府県の課長会議みたいなことを毎年やっておりますけれども、その中でも、福祉事務所と精神保健福祉センターとの連携、要するに、福祉事務所からそういった方を精神保健福祉センターにつないでいくみたいなことは少し取組をさせていただいているところでございまして、太田委員のおっしゃる退院促進あるいは地域移行の場面での連携みたいなものについても、どのようなことができるのかということは関係局と少し議論をしていきたいと思っております。
 以上です。
○尾形座長 太田委員、いかがでしょうか。
○太田委員 差し当たりは結構です。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 今日も非常に詳細な御報告をどうもありがとうございました。
 今日伺った説明はかなりの部分が内閣府で行っているEBPMのアドバイザリーボードでも御報告があった件で、非常にありがたく思っております。特に26ページ近辺で、NDBを使った非常に詳細な検討をされています。これは参考資料1でさらに詳しく報告をされているのですが、データに基づいて政策を評価するという面から見ると、非常にすばらしいことだと思います。このNDBを使ってさらに研究して分析していただきたいと思うのですが、そこのところで、1点だけ、コメントさせていただきます。26ページが特徴的なところなのですが、ここでは医療扶助と国保・後期高齢者の比較をされていますね。どちらが大きいという比較はできるのですが、見せ方に注意しないとミスリーディングになります。これはレセプトに基づいており、所得名等の社会経済的な要因がコントロールされていないので、例えば、生活保護受給者のほうが、パフォーマンスが悪くなっているのですが、それが生活保護に問題があると受け止められる可能性がなきにしもあらずということですので、ぜひそこは注意していただきたいと思います。できれば、こういうデータを使う場合も、社会経済的な要因のコントロールは将来的にぜひ考えていただきたいと思います。これが1つです。
 もう一つは、68ページに今後の検討課題をまとめていらっしゃいまして、その下のほうで医療扶助に関する都道府県の関与という指摘がございます。これをデータに基づいて分析するという方針なので、これはこれから具体的に検討されると思うのですが、これは非常に重要な点だと思います。今日も御紹介がありましたけれども、都道府県ごとの非常に詳細なデータが既に入手されています。頻回受診につきましては49ページ、子供の医療に関する支援については45ページで、いわゆる好事例の御紹介がありました。私は経済学のバックグラウンドを持っているからこういう言い方をするかもしれないのですが、好事例を紹介するだけではなくて、どういう取組をしている自治体だったらどういう効果があるのかということを、統計を用いて具体的に紹介していただくと政策の効果がよく分かるし、こういう政策はこっちでもやりましょうという議論のきっかけにもなると思いますので、そういうデータに基づいた各都道府県の取組を評価していただくこともぜひ考えていただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 データの扱いについての御指摘ですが、事務局、何かありますか。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 小塩委員、御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、1つ目は糖尿病の資料を今回初めて出させていただきましたけれども、御指摘のとおり、そもそもナショナルデータベースがそういう所得とかの経済的要因というデータと連結していないので、なかなか現時点においてそれをコントロールすることは難しいのですが、ただ、少なくともこの説明をする中で、今おっしゃっていたことに留意しながら説明をしていくことには気をつけたいと思っております。
 もう一つ、好事例の関係で、単に紹介というだけではなくて、例えば、どういう取組でどういう効果が出ているのかみたいなことを示していくといいのではないかという御指摘だったと思います。こちらにつきましては、我々も、自治体さんにいろいろと取り組んでもらうためにはそういったことをしっかり見せていくということが重要だと考えております。今後どこまでできるかということはあるのですけれども、少し研究事業みたいなことも活用しながら、そういった個々の取組に関する効果についてどういったことが示せるのかということは少し検討させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○尾形座長 小塩委員、よろしいでしょうか。
○小塩委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
○尾形座長 好事例ということですが、数年前に出されたOECDのパブリックヘルスについての報告書がありまして、日本のパブリックヘルスについての評価の中で、好事例をいろいろ見いだしていることは大変いい、一方で、底上げというのでしょうか、ボトムアップのところは十分でないのではないかという指摘がありましたけれども、今の小塩委員の意見とも多少関わることかと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、私から1つ。
 68ページの主な検討事項案について、今、小塩委員からもお話があった最後の医療扶助に関する都道府県による関与というところですが、2点、確認させていただきたいのです。
 1点目は、これは前にも問題になった点かもしれませんが、ガバナンスの強化の必要性で、これは改革工程表の表現でそういう言われ方をしているわけですが、一体医療扶助のどこがガバナンスが弱いと考えているのか、これはむしろ改革工程表のほう話かもしれませんが、どんな指摘なのかということが1点です。
 もう一つは、都道府県による関与ですが、都道府県が関与することの理屈はどう考えているのか。医療保険サイドでいうと、医療計画や地域医療構想をはじめとして都道府県が医療提供体制を所管しているので、医療提供体制と組み合わせた形でないとなかなか適正化等もできないことから都道府県の関与が言われているのですが、それと同じ理屈と考えていいのかどうか。
この2点をお願いいたします。
○進士保護事業室長 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、今座長からいただいた1点目のガバナンスということで、医療扶助についてはどこが弱いのかという御指摘でございますけれども、もともと改革工程表を受けていろいろ我々としても検討させていただいているということでございます。我々としては、いろいろな取組によって、例えば、頻回受診指導や長期入院対策みたいなことをこれまでも徐々にやってきて、先ほど御紹介したとおり、データ的には低減傾向にあるみたいなことで、そういった部分で各取組については効果が一定程度はあるのではないかと考えておりますけれども、全体として、医療扶助の占める割合が、先ほどは約5割みたいなこと言いましたけれども、なかなかここであまりその動きがない中で、個々の施策に関する取組でガバナンスを効かせていくということではなくて、どちらかというと、先ほど小塩先生も言われていたように、例えば、福祉事務所単位でデータ的にどういう状況にあるのかというものをしっかり見た上で、それに対してどういうアプローチをしていくのか、個々に見れば福祉事務所単位のガバナンスという話があると思いますし、もっと言うと、先ほどの座長からの2つ目の御指摘にも関わりますけれども、もう少し広い視点で、まさに広域行政を担う都道府県、医療提供体制を担う都道府県の担当部局との連携という意味も含めて、もう少し都道府県単位での底上げみたいな、個々の福祉部署がいろいろと頑張るのですけれども、それでもなお足りないという部分に対して都道府県が支援をしていくという格好をもって、ガバナンスというか、そういったことを効かせていくことができないかという問題意識から、このような検討事項案をお示しさせていただいているということでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 今日は1回目ということで幅広く資料を出していただいたわけですが、先ほど事務局からの説明がありましたように、2回目以降、もう少し具体的な問題についてまた議論を深めてまいりますので、またその際には皆様から御意見を頂戴できればと思います。
ほかに御意見がなければ、本件はこの辺にしたいと思います。
 事務局におかれましては、今日出ました御意見や御指摘等を踏まえて、医療扶助の制度見直しに係る具体的な議論に向けた作業を進めていただければと思います。
 それでは、次の議題に移らせていただく前に、山本社会・援護局長が会場に到着されておりますので、ここで一言御挨拶をお願いいたします。
○山本社会・援護局長 厚生労働省社会・援護局長の山本でございます。
 医療扶助に関する検討会の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げたいと思います。
 今回、新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインで開催をさせていただきましたけれども、皆様方には、御多用中にもかかわらず、御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、尾形座長をはじめ、各委員の皆様におかれましては、本検討会においてこれまで医療扶助のオンライン資格確認の導入の議論をはじめ、医療扶助に係る諸課題について御議論をいただいてきたところであります。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます。
医療扶助につきましては、御案内のとおり、生活保護費負担金の約半分を占めておりますけれども、これまで、後発医薬品の使用促進、頻回受診対策等、様々な取組を進めてきております。
 後発医薬品については、平成30年改正により、その使用の原則化が図られ、そうした取組も相まって、その使用割合は直近の令和3年には87.7%と政府目標の80%を達しております。
 また、今回、御報告をさせていただきましたけれども、新たな取組としてNDBを活用した全国データ分析を行っております。これにつきましては、追って都道府県に送付することとしておりますが、各自治体におけるデータに基づく課題分析を踏まえた取組の推進につなげていきたいと考えております。
 そうした取組を進めているさなかではありますけれども、経済財政諮問会議における改革工程表等において、適正受診指導の徹底等による医療扶助の適正化の推進、中長期的な課題として、医療扶助のガバナンス強化に向けた検討を行うことが指摘されています。また、令和3年1月に施行されました被保護者健康管理支援事業について、施行間もないこともあり、福祉事務所も試行錯誤しているところもある中で、より効果的・効率的な実施が求められております。
 そうした中で、生活保護法につきましては、平成30年改正法附則の検討規定に基づき、その見直しの検討を行う時期を迎えております。今後、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会において、生活困窮者自立支援法と一体的に見直しの議論を行っていくこととしています。
 医療扶助及び健康管理支援事業については、様々な御指摘や固有の課題も少なくないことから、その見直しに向けた議論を、本検討会において集中的に御議論いただき、夏頃までに一定の取りまとめをお願いしたいと考えております。
委員の皆様には、本制度をよりよいものとする観点から、忌憚のない御意見を引き続き賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。資料2及び資料3につきまして、まず、まとめて事務局から説明をお願いいたします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 続きまして、資料2を御覧ください。医療扶助のオンライン資格確認について、現時点での我々の取組状況を御説明させていただくものでございます。
 1ページ目を御覧いただきまして、基本的な今回の導入方針ということで少し書かせていただいていますが、リード文の1つ目のポツを御覧いただければと思います。医療扶助のオンライン資格確認におきましては、基本的に医療保険におけるオンライン資格確認の仕組みを最大限活用する。次の「-」にありますけれども、医療機関等では、医療保険同様、顔認証付きカードリーダー等を使用した資格確認を行うということですし、そのために必要な事務につきましては、福祉事務所が支払基金に委託していくことになります。もう一つのポツでございますけれども、現行の制度設計として、受診する医療機関等に個別に福祉事務所が委託をする格好を取っておりますけれども、これを維持するということです。「-」にありますけれども、オンライン資格確認のシステムにつきましては、福祉事務所から委託を受けた医療機関等の情報も登録し、その当該医療機関等に医療扶助の実施が委託されている旨が伝わり、請求、審査支払等が行われる仕組みとしていくことを方針としております。
 2ページ目でございます。オンライン資格確認導入前後の業務の流れで、こちらのスライドについては、保護の決定の場面でございます。上のほうが現状になっておりまして、下のほうがオンライン資格確認導入後になっておりますけれども、流れとしては、上を御覧いただきますと、保護の決定の場面は、保護の申請、申請内容の審査、保護の決定、資格情報登録、保護決定通知書の発行という流れになっているところでございます。これがオンライン資格確認の導入後にどうなるかということが下でございますけれども、特に青のところを御覧いただければと思うのですが、マル1、保護の申請の場面では、まさに申請時に個人番号を取得していくということが1つの変化になりますし、もう一つは、マル3、資格情報の登録という場面で、これまでも福祉事務所は保護の決定の際に生活保護システムに資格情報を登録していたところでございますけれども、今回のオンライン資格確認の仕組みの一つである医療保険者等中間サーバー等にもこの資格情報を登録していくことになります。
 続きまして、次のスライドを御覧いただきまして、3ページございます。今度は医療扶助の決定の場面でございます。これも同様の格好で書いておりますけれども、上のほうを御覧いただければと思うのですが、流れとしては、要否意見書を被保護者福祉事務所にまずは提示して、それを受けて福祉事務所は要否判定をし、マル3、医療扶助の決定をし、医療券や調剤券情報を登録していくことになります。マル4は、今度は医療機関になりますけれども、資格確認をするということです。これがオンライン資格確認導入後にどうなるかということが下にあるわけですけれども、まずはマル3のところを御覧いただければと思うのですが、これは先ほどと少し同じですけれども、医療券や調剤券情報の登録というところで、これまでも生活保護システムに登録をしていましたけれども、下に下線で引いてありますが、併せて医療保険者等中間サーバー等に対しても登録をしていくことになります。マル4の医療機関等の資格確認のところでございますけれども、これまでは基本的に医療機関の職員は紙の医療券等を確認して受給者番号等を手入力していたということなのですが、オンライン資格確認が導入されますと、マイナンバーカードによって自動的に医療券や調剤券情報が取り込まれることになります。
 4ページは、主な業務をオン資導入前後で主体ごとに比較をしておりますので、御参照いただければと思います。
 続きまして、5ページでございます。オンライン資格確認の導入で実装する主な機能ということで、具体的には、主体別に書いていますが、基本機能と医療扶助独自機能を考えておりまして、今回は今申し上げた医療扶助独自機能について少し御説明をしたいと思います。3つ、あります。
1つ目は、6ページでございます。資格確認実績、いわゆるログ情報の取得によって、福祉事務所が被保護者の受診状況を把握するような仕組みを少し検討しているということです。具体的には、左のほうの上に頻回受診の傾向がある者等の把握とありますけれども、まず、右に行っていただくと、課題とありますが、頻回受診指導は、今、レセプト情報を活用して、先ほど申し上げましたけれども、対象者を特定しているので、指導までに数か月のタイムラグがあるという状況です。それを、今回のログ情報を活用して、あくまで頻回受診の傾向がある方になりますけれども、効果としては、ここに記載がありますように、2か月がかかったものが、前日分の実績を日次で取得可能になりますので、早期に、そういった方の把握、必要に応じて助言等を行うことができるようになるということです。もう一つは、下のほうですけれども、未委託の医療機関等で資格確認を行った被保護者の特定で、課題のところを御覧いただくと、レセプト審査のときに初めて未委託の医療機関で受診してしまったという被保護者の存在を把握することがある、それを今回の資格確認ログ情報によって特定していくことを考えているわけですけれども、効果としては、未委託の医療機関等で資格確認を行った被保護者を早期に特定することができますので、未委託の医療機関等での受診件数の削減に資することができるのではないかということです。1点目です。
 続きまして、7ページでございます。独自機能の2つ目ですけれども、未委託の視覚情報及び医療券や調剤券情報の特定機能等ということで、具体的にはその下にある背景のところを少し御覧いただければと思うのですが、基本のことを書いてあります。ポツのところです。非保護者が医療扶助を利用する場合、要否意見書の手続を経た上で、医療券や調剤券の発行後に福祉事務所が指定した医療機関等で受診することが原則です。今回、機能の2つ目として、その下に未委託の資格確認である旨の表示があると思うのですけれども、これは何かという話です。そこは概要のところに書いてありますけれども、未委託の医療機関で被保護者の資格確認が行われた場合に、資格情報等に表示する画面において、未委託ですよ、未委託の資格確認ですよという旨を表示をするということを検討をしております。それによる効果が右にありますけれども、医療機関等の職員さんが、これまでも福祉事務所にそういったケースがあった場合は電話連絡をいただいていたわけですけれども、今回、この機能を盛り込むことによって、未委託であることを容易に確認できるため、医療機関から福祉事務所に対する電話連絡が確実に行えるようになります。もう一つ、下のほうに受給者番号等の閲覧制限ということで、これは何かという話が概要に書いてありますけれども、未委託の医療機関で被養護者の資格確認が行われた場合に、公費負担者番号と受給者番号を非表示とする機能を設けたいと。右の効果というところに何でそういうことをやるのかということを書いていますけれども、要は、この2つの番号は報酬の請求に必要なものでございまして、この閲覧に制限を加えることで未委託の状態での診療報酬請求を防止できるのではないかということです。
 その具体的なイメージが8ページにありまして、左が委託先の医療機関での表示画面でして、右が未委託の医療機関での非表示画面になっていますけれども、右を御覧いただくと、オレンジのところにありますけれども、「<要確認>未委託の資格確認です。」ということでアラートが立つような感じになっていますし、さらには公費負担者番号や受給者番号のところも非表示にしていくといった、画面上はこういうイメージになります。
 次に、9ページでございます。独自機能のマル3でございます。資格情報及び医療券や調剤券情報の一括での連携機能ということで、医療機関等が事後的に登録された医療券や調剤券情報を閲覧する仕組みということで、背景の2つ目のポツのところを御覧いただければと思うのですけれども、今の医療券や調剤券の発行フローにおいて、福祉事務所から医療機関に対して月末までに一括で医療券や調剤券を送付する運用も複数の福祉事務所で行われているため、福祉事務所と医療機関がこの運用方法を一定程度柔軟に採択できるような仕組みがいいのではないかということです。そのために何をやるかということが左下に少し書いてありますけれども、医療機関コードによる医療券や調剤県情報の一括取得ということで、概要にありますが、自機関が委託先医療機関等として登録されている医療券や調剤券情報については、医療機関コードをキーとして一括で取得できるような、つまり、先ほど申し上げた月末に一括で医療券や調剤券を送付するような運用をこれによって柔軟に対応できるようにしていくということです。右のほうに効果とありますけれども、1つ目のポツですが、これによって、福祉務所側の情報登録の遅延あるいは未委託による受診等の場合でも、被保護者の再来院は不要とした上で、必要な医療券や調剤券情報を取得できるようになります。2つ目のポツですけれども、福祉事務所から医療機関等に対して月末に未委託分の医療券や調剤券を郵送していましたけれども、この業務負荷を軽減できますということです。
 10ページは、今申し上げたことのイメージになりますので、御参照いただければと思います。
 続きまして、11ページでございます。導入に係るシステム改修経費等について、令和4年度予算においてこれを計上しているということなのですけれども、具体的には左下を御覧いただければと思うのですが、事業概要が2つありまして、1つは社会保険診療報酬支払基金への補助、2つ目でございますけれども、自治体への補助の予算措置をさせていただいているということです。
 次に、12ページ御覧ください。導入に伴う運用費用について、要は、ランニングコストのことを言っています。基本的には医療保険の話を書いていますけれども、1つ目の丸を御覧いただければと思うのですが、医療扶助におけるオンライン資格の実施に当たっては、医療保険同様、支払基金のオンライン資格確認等システムの基盤を活用して、その必要な事務は保護の実施機関が委託することに法律上はなっています。2つ目の丸ですけれども、現行は支払基金等における中間サーバーあるいはオンライン資格確認等の運営にかかる費用は、各医療保険者との契約に基づき請求されておりまして、年度の必要額は、制度ごとにシステムの使用状況あるいはその加入者数なども踏まえて、加入者1人当たりの月額担当を算出して毎年国から通知をされていると承知をしております。一番下の丸ですけれども、医療扶助のオンライン資格確認についても、この流れと同様になると見込んでおりますので、今後導入に向けたシステムの詳細が固まり次第、その内容に応じて算出し、各自治体に対し通知をしていくことにしております。
 続きまして、13ページでございます。参考でございますが、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要で、薬機法の改正案が今国会において審議をされている状況でございますが、この御紹介でございます。具体的には赤枠のところを御覧いただければと思うのですが、電子処方箋の仕組みの創設ということで盛り込まれているということです。
 次のスライド、14ページを御覧いただきまして、今申し上げた電子処方箋に係る法改正事項で、4つほど並べておりますけれども、法律上は特に明示されておりませんけれども、医療扶助に関しても電子処方箋を使っていくという方向で検討しておりまして、この法案が成立した後に生活保護においてもそういったことを医療保険同様の対応が求められてくることになりますので、あらかじめ御案内をさせていただきたいと思います。
最後、15ページになりますけれども、オンライン資格確認の導入に向けたスケジュールということで、上に令和4年度とありますけれども、令和3年度の調査研究をやっていまして、そこでシステムの要件定義をしましたと。それを受けて、今年度は福祉事務所等のシステム改修に必要な技術解説書を早急につくっていきたいと考えております。それをベースに、いろいろな説明会あるいはそのポータルサイトなども設置いたしまして、照会対応ですね。福祉事務所等においてシステム改修に着手をしていただくことを考えております。この資料の一番下にございますが、米印で書かせていただいていますが、医療機関あるいは薬局に係る影響や必要な対応等については引き続き別途検討するということでございまして、必要な対応を行っていくと考えております。
 資料3についても、こちらは簡単に御報告をしたいと思います。
 先ほど局長からも御指摘いただきましたけれども、今回、ナショナルデータベースを活用した全国データ分析を初めて行っております。その結果を取りまとめましたので、この機会に公表させていただきたいと思います。
 1ページ目を御覧ください。分析の概要でございまして、目的の1ポツ目を御覧いただきますと、今回のこの分析につきましては、平成30年改正により健康管理支援事業がつくられていますけれども、この中で国は健康管理支援事業を実施に資するための調査分析を行って、保護の実施機関に対して結果を提供することが定められたことに基づいて、今回、これを行ったものでございます。分析内容というところがありますけれども、具体的には大まかにいうと、4つがありまして、1つは年齢階級別に見た医療扶助費の状況、2つ目として地域別に見た医療扶助費の状況、具体的には、先ほど御紹介したとおり、地域差分析などをしております。3つ目として、公的医療保険加入者との比較もしております。4つ目は全く新しい取組ですけれども、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の有病状況等について分析をしたものでございます。その関係資料が今見ていただいているスライドの後ろのほうにそれぞれついておりますので、後ほど御参照いただければよいかと思います。こちらにつきましては、今回、公表させていただいて、実際には都道府県ごとあるいは福祉事務所ごとのデータということで整理いたしましたので、追って都道府県にこのデータを提供させていただいて、それぞれの福祉事務所等において、データに基づく取組の推進をしていただく一つの示唆にしていただこうと考えております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。
藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 資料の15ページ、実施導入に向けたスケジュールにつきまして、お伺いをさせていただきます。
 現状ですと、いただきました情報に基づきまして、我々は、例えば、都道府県の関係事業者に確認いたしましたところ、概算では見積りもなかなか作成できないと聞いております。その中で、県の予算の状況につきましても、現時点ではそちらに関する予算がまだ措置できていないといった状況でございます。我々はこうした形でこちらの委員会に参加させていただいておりますので、情報としては、県内でも早い段階になっているのですけれども、恐らく、関係の市につきましても、今後、情報が出ていく中で、予算措置に時間が非常にかかるのではないかと思っております。これらの状況を踏まえますと、早くとも3月上旬等の当初予算のタイミングあるいは2月補正のタイミングのときの予算措置となりまして、改修につきましては、実質的には令和4年度末から令和5年度にかけてとなるのではないかと思っております。この辺りも踏まえまして、例えば、令和5年度中の運用開始の時期、具体的な現段階での時期とか、あるいは、それに対しまして、各自治体の予算措置について、今、厚生労働省さんでお考えのところを聞かせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、1点目の、オンライン資格確認の施工時期ということなのですけれども、15ページでは令和5年度のお尻のほうをイメージするような図表になっておりますけれども、ここについてはまさに途上でございますので、今、いろいろなシステムの関係等でいろいろな関係者といろいろな協議を行っているところでございますので、こちらについては、今、明示することはなかなかできないのですけれども、資料1の改革工程表にも少し記載がありましたけれども、あるいは、デジタル・ガバメント実行計画という政府の決定がございまして、両方で令和5年度中にこれを開始するということが言われておりますので、我々としては、それも踏まえて令和5年度中のどこかのタイミングで開始するような段取りで進めていくということで考えております。
 予算措置の話なのですけれども、令和4年度予算につきましては、先ほど御説明したとおり、国として自治体に対する経費を積んでいるということでございますけれども、恐らく御指摘は令和5年度以降ということが少し念頭にあるのかなと思っています。これについては、我々としては、今、関係機関といろいろなシステム等に関して協議等をしていますけれども、なるべく早くいろいろな情報を整理して自治体さんに見積りができるよう情報をお伝えしていきたいとまずは思っています。その上で、自治体さんに、予算要求というか、議会に対する予算要求等に対応していただくことになりますけれども、実際に今年度の取組状況などもある程度は見据えながら、令和5年度の対応については、考えていく必要があるのかなと考えております。
 以上です。
○尾形座長 藤本委員、いかがでしょうか。
○藤本委員 どうもありがとうございました。
 課内でも検討していく中で、恐らくシステムの部分と改正に係る部分の改修が必要になってこようかと思っております。こちらを令和4年度に一括でできるのか、令和4~5年度と施工していくのか、あるいは、場合によると令和5年度で一度にやっていくのかということがございますので、その辺りにつきまして、また今後も検討を引き続きしていきたいと考えておりますので、また情報提供等をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、どうぞ。
○松本委員 先ほどのシステム改修等にも関係することですけれども、私ども医療機関側でということになりますと、どのような対応が必要になるかは現在検討中とのことでございますけれども、オンライン資格確認そのものの導入や電子処方箋への対応、医療扶助への対応と、レセコンや電子カルテの改修がその都度求められるということはなかなか非効率的ではないかと思っております。医療情報化支援資金の拡充も含めて、対応する医療機関のコストと労力の双方の負担が極力小さくなりますように御配慮いただきたいと思います。
 また、これを国策として進めるものであれば、これらの対応は必須の機能として、メーカー側にデフォルトで実装させるべきであると考えております。そうした働きかけを業界に対して行っていただくように思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○尾形座長 これは答えられますか。
○進士保護事業室長 御指摘いただき、ありがとうございます。
 今最後におっしゃった必須の機能としてメーカー等にも働きかけをということでございます。御存じのとおり、オンライン資格確認につきましては、先ほど冒頭で御説明したとおり、医療保険のオンライン資格確認をベースに行っていくことになりますので、御指摘受けて、どのようなことができるのかということについては、本体の医療保険の担当部署とも少し相談をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○尾形座長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 医療保険におけるオンライン資格確認ですけれども、現在、進行中でございます。大分広がってきましたけれども、ベンダー側の対応がなかなか進まなかったこともあって、実際に機器が入ってもそれが実際に稼働するまでには相当な時間を有したということもございますので、こういったことを踏まえながら、今回の医療扶助のオンライン資格確認についてもぜひスムーズな導入ができますようよろしくお願いいたします。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ちょっと参加が遅くなりまして、申し訳ございませんでした。
 私からは、先ほど、システムの件は兵庫県の藤本委員から話がありましたので、運用の話をさせていただければと思います。このオンライン資格確認が入った際、2ページ、現行の流れと導入後の流れが出ているかと思うのです。要否意見書自体がどういう扱いになるのか、紙のまま残るのか、電子になるのかということはかなり違うのかなと思っています。また、要否意見書を基に、この内容の審査で済まされていますけれども、我々は嘱託医に内容審査などをいただくのですけれども、嘱託医の先生も実際に自分の診療所等の診察の合間に来ていただいておりますので、多くても週1回等になりますから、そういう部分でのタイムラグがどうしても出てきます。そうすると、この入力までの間のロスがありますので、オンライン資格確認の利便性と相反するところがどうしても出てきてしまうというところなどを整理していただけたらと思っています。
 また、委託する中で、単純に、この受診の委託だけではなくて、診療見込み期間の委託も、何か月ぐらいがこの傷病で必要かという形で委託契約をさせていただいていますので、その期間が終わるときに改めてまたこの方がかかる必要があるのかどうか、医療機関に聞かせていただいて、それで必要があればまた診療期間を延ばすということをやっております。先ほどの要否意見書の部分では、新規に受診するだけではなくて継続でかかる場合などの扱いについても少し御検討いただかないと、運用上はかなり大変になるかなと思っています。そこら辺の部分については、ランニング経費などでシステムで楽になる部分と、逆に、運用上、そういった対応をする会計年度任用職員などが必要になってしまうのではないかとか、逆の経費などもかかるのではないかという気がしますので、自治体の意見などを聞いて、実情に合った対応を御検討いただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 何点か運用上の御指摘がありましたが、事務局、いかがでしょうか。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。まず、要否意見書についての御指摘なのですけれども、昨年度、要否意見書について、オン資同様、こういったことができないのかということの視点も含めて調査研究事業をまずは行わせていただいたという状況でございます。あくまでも今回の取組は医療扶助のオンライン資格確認ということで、その中で要否意見書についての対応は特段入っていないということなのですけれども、少し今申し上げた調査研究を昨年行っておりますので、そういうことも踏まえてどういうことができるのかということは少し研究する必要があるのかなと思っています。
 もう一つ、運用の話と診療見込み等の話がございましたけれども、15ページのスライドに少し書かせていただいているのですけれども、直接的な話ではないのですが、まず、国としては、今年度の技術解説書をつくっていくということを申し上げましたけれども、まだその途上なので、いろいろな運用にかかる課題が出てくるのかなと思っています。昨年度もそういった課題に関する調査研究事業みたいなことで要件定義をしてきたわけですけれども、引き続き同じような医療関係者あるいは自治体さんの参画も得て、いろいろな御意見をいただきながら、各種、今後出てくる運用課題に関するいろいろ対応も踏まえて、いろいろと進めていきたいと考えておりますので、引き続き自治体さんからの御意見等もいただければと思っています。
 以上です。
○尾形座長 鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ほかの委員の方、いかがでしょうか。
 林委員。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 同じく、運用上の問題で質問したいのですけれども、この基盤になるのはマイナンバーカードになってくると思うのです。被保護者に関しましては、マイナンバーカードの普及率が一番の課題になってくると思いますので、医療機関も推進していきたいと思っております。被保護者の推進も含めて全体的に双方で推進し、すべてが運用できるまでの移行期間については混乱のないように御対応いただきたいということは、常々、以前からも要望しておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思ってございます。
 以上です。
○尾形座長 ごもっともな御指摘かと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 ありがとうございます。
 資料3としてお示しいただいたナショナルデータベースの取扱いについて、お願いしたいことがございます。その分析内容についてなどということは到底私のような者が何か言えるものでありませんので、そこではなくて、都道府県にデータをお渡しになるということに関し、申し上げたいことがございます。事前の御説明の際にも申し上げましたが、例えば、都道府県が福祉事務所の名前を出して、さも医療扶助費がかかっている福祉事務所だ、けしからぬ福祉事務所であるなどという形で、昔全国学力テストのデータについてどこぞの都道府県がやったような使い方をしないようにしていただきたいと思います。情報ですから、そういうことをされてからでは遅いので、そういうことができないような形にしてお渡しいただくとか、もちろんそのデータを使って行政を進めていただきたいと思いますが、そのデータの使われ方については十分な注意の下でお渡しいただければと思います。
 以上です。
○尾形座長 この点はどうでしょうかね。事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。
 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まさに御指摘のとおり、今回、ナショナルデータベースの分析をさせていただいて、都道府県別あるいは福祉事務所別のデータを今後提供していくことになりますけれども、このデータの扱いにちゃんと留意をしていくということが必要だと考えておりますし、さらには、医療扶助はセンシティブな情報になりますので、今御指摘いただいたことも踏まえまして、個人情報保護の観点だけではないと思いますけれども、例えば、マスキング対応する等、必要な対応を行っていきたいと考えております。
 以上です。
○尾形座長 太田委員、よろしいでしょうか。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、特段、御意見、御質問もないようですので、本日の検討会はこの辺りまでとさせていただきたいと思います。
 事務局から、今後の予定についての連絡をお願いいたします。
○吉川保護事業室長補佐 事務局でございます。
 次回、第6回検討会につきましては、6月上旬を予定しております。日程、会場、開催方法等の詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
○尾形座長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
 長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。