令和4年度第1回社会復帰促進等事業に関する検討会(議事要旨)

 

 

1.日時 令和4年7月5日(火) 14:00~15:38
 
2.場所  TKP新橋カンファレンスセンター ホール15D
 
3.出席者
○日本商工会議所産業政策第二部部長 大下 英和
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身
○全国中小企業団体中央会事務局次長 佐久間 一浩
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 本荘 太郎
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎

4.議題
(1)社会復帰促進等事業に関する令和3年度成果目標の実績評価及び令和4年度成果目標について
 
5.議事<主な指摘事項と対応>
<総論>
○ 個別の事業について評価を行って次年度の目標や予算の設定をするという、PDCAを回す取組を進めていることは非常に適切。他方で、社会復帰促進等事業でカバーをすべき事業なのかなど、全体のバランスを見て今後の予算配分あるいは目標設定の見直しを行うという視点も押さえていただきたい。
 
○ 前年の予算との比較で見て、着実に削減をしている努力には感謝したいが、前年比で5%の削減では不十分であり、平成25年の水準へ向けてできる限り早く削減していくべき。また、外国人技能実習機構、労働政策研究・研修機構、中小企業退職金共済に関する交付金など、機構や組織の経費について、本当に必要なものなのかどうかを見ていただきたい。
 
○ 事業主が支払っている保険料は、そもそも労働者に対する災害補償を目的としているもので、社会復帰促進等事業はそれに付随する位置付けであり、原点に立ち返って、そもそもの予算規模について改めて議論を行う必要がある。この数年間、予算を縮減していることはよく理解しているが、かつての金額とはかなりかけ離れているので、かつての金額が適切かどうかも含めて、縮減に向けた検討をしていただきたい。
 
○ 個々の事業については、適切に評価し、管理されているが、毎年継続して実施されている事業については、単年度の評価だけではなく、中期的な視点に立った評価・検討が必要である。さらに、現在は数値目標を掲げて達成率などを評価しているが、事業内容によっては達成率だけでは評価が難しいものもあり、評価の在り方の見直しを含めた検討をしていただきたい。
 
<個別事業について>
○ No.7 労災疾病臨床研究事業費補助金
 
・ 公募に応募してくる団体が多様となり、研究もよいものとなるよう、引き続き推進してほしい。
 
○ No.13 労災特別介護施設運営費・設置経費
 
・ 全国8箇所に固定費が掛かる施設を建てても、なかなかベッド数が埋まらず、定員を減らすという話が出ているが、医療施設や介護施設、有料老人ホームなど民間の施設でのケアに1人幾らという方式でお金を出すような形も作れるのではないかと考えており、単価や職員の配置体制の見える化をしつつ、検討をしていただきたい。
 
○ No.16 安全衛生啓発指導等経費
 
・ 厚生労働省が千葉県に設置した「建設業安全衛生教育センター」の老朽化が進み、運営に携わる人的資源も不足していると聞いている。建物、機材類の補修や修繕の助成規模の拡大や、機械類が故障した際などのタイムリーな支出、コロナの影響もあって本年度大幅に引き上げられた受講料や教材作成などへの助成、運営に伴う人件費などについての検討をお願いしたい。
 
○ No.17 職業病予防対策の推進
 
・ 放射線被爆管理に関する労働安全衛生マネジメントシステムの導入支援を受けた事業場の好事例の選定の実績の目標が20事例であるところ、結果としては11事例となったとのことだが、この事例が取り上げられなかったのは、かなり厳しい条件で事業環境が置かれているため、それだけの選定ができなかったものか。
 
○ No.20 職場における化学物質管理促進のための総合対策
 
・ 目標となっているホームページアクセス数について、過去の実績も含めて詳細に解析する中で不適切と思われるものが判明したので、今後、不適切と思われるアクセスについては排除するという厚生労働省の説明については理解した。
 
・ ホームページアクセス数が事業の評価指標としてふさわしいかというところもあるので、見直しを含めて検討いただきたい。
 
○ No.30 自動車運転者の労働時間等の改善のための環境整備等
 
・ 自動車運転業務の時間外労働時間の上限規制は中小の運送業界、物流業界にとっては非常に大きな課題となっている。アウトカム指標は、周知に取り組んだ中身の度合いではなく、運送業者あるいは荷主等の認知度とすることを検討いただきたい。
 
○ No.31 家内労働安全衛生管理費
 
・ 家内労働の衛生指導員が訪問をするとなっているが、10万人位の家内労働者に対して、何年に一回ぐらい全部を回ろうとしているのかという目標設定の在り方や、家内労働者が少なくなる中での今後の政策的な方向性を知りたい。
 
○ No.32 女性就業支援・母性健康管理等対策費
 
・ ホームページアクセス数が事業の評価指標としてふさわしいかというところもあるので、見直しを含めて検討いただきたい。
 
・ 相談者へのアンケートについてはサンプル数が少ないので、見直しを図っていただきたい。
 
○ No.35 産業医学振興経費
 
・ 産業医科大学の卒業生の方で新たに産業医として就業する方の増加に努めて欲しい。
 
・ 事業自体の安定運営は不可欠だが、例えば補助費自体を、何人ぐらい産業医になったかということで増減させるような大胆な変更も、場合によっては検討してよいのではないか。産業医が見付かりにくいことで苦労している企業が多々あるので、そういうことまで踏み込むぐらい検討いただいてもよいのではないか。
 
・ 医学部卒業後に確実に産業医として従事するよう支援するためのキャリア形成プログラムをスタートしているとのことだが、より多くの学生が加入する促進策を講じるよう、厚生労働省から産業医科大学に働きかけるとともに、このキャリア形成プログラムから離脱する方について、専門医に認定しないような仕組みづくりも検討していただきたい。
 
○ No.36 未払賃金立替払事務実施費
 
・ 令和3年度の決算額は過去3年に比べて3分の1以下に減っているが、民間の調査会社のデータによると、倒産件数は2割ぐらいしか減っていないので、それに比してかなり決算額の減り方が大きいが、何か背景があれば教えていただきたい。
 
○ No.37 過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直し
 
・ 人手不足の状況は相当深刻になってきている。人手を確保しようと思うと、賃金を上げたり、働き方改革を推進したりすることによって、多くの人に働いてもらうという取組が中小企業の中でも必要になるので、しっかり御支援をいただきたいと考えている。
 
・ 働き方改革支援センター関係の予算が減少すると、中小企業の方はここに相談するということで頼りにしているので、不足しないように御配慮いただきたい。
 
・ 令和3年度に労働時間短縮・年休促進支援コースに想定以上の申請があり、予算の関係で全コースの申請を打ち切っているが、令和4年度ではこの経緯を踏まえての予算配分、目標設定になっているのか。
 
・ 過労死等の防止のための対策に関する大綱において、勤務間インターバル制度の導入企業の割合を令和7年度までに15%以上にしようというかなり高い目標が設定されているので勤務間インターバル導入コースの助成金の普及に力を入れていただきたい。
 
○ No.42 個別労働紛争対策費・多言語相談支援事業
 
・ 都道府県労働局長の助言・指導の実施による個別労働紛争の改善率を60%としている理由はなにか。