37回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和4年6月29日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省職業安定局第一会議室(WEB会議併用)

議題

  1. (1)企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて
  2. (2) 2021年度の実績評価及び2022年度の年度目標について
  3. (3) その他

議事

議事内容
 
○武石分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第37回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本分科会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づき、一部オンライン会議の開催といたします。
 本日の出欠状況ですが、公益代表の海老原委員、労働者代表の小倉委員、岡野委員、使用者代表の増田委員が御欠席です。なお使用者代表の渡邉委員は、所用により途中退席される予定です。
 それから議事に入る前に、昨日付けで事務局に人事異動がありましたので、紹介いたします。奈尾人材開発統括官です。
○奈尾統括官 奈尾です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 原口大臣官房審議官です。
○原口審議官 原口です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 長良人材開発総務担当参事官です。
○長良参事官 長良です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 谷口若年者・キャリア形成支援担当参事官です。
○谷口参事官 谷口です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 安達能力評価担当参事官です。
○安達参事官 安達です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 それでは代表で、奈尾人材開発統括官に御挨拶をお願いいたします。
○奈尾統括官 改めまして人材開発統括官にまいりました奈尾です。どうぞよろしくお願い申し上げます。人材開発行政ですが主な課題だけ申し上げましても、人への投資、改正職業能力開発促進法の施行、それから若年者雇用、技能検定、技能実習と多岐に渡っております。最近の本分科会においても、本日も御審議いただきます職場における学び・学び直し促進ガイドラインについて、熱心に御審議いただいたと承知しております。人づくり、人材開発の重要性が一層増す中で、人材開発行政は大事な時期を迎えていると思います。委員の皆様方におかれましては、一層の御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは議事に入ります。議題(1)企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けてです。資料1、2について、政策企画室長より説明をお願いいたします。
○黒田室長 議題(1)企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けてについて、資料1-1、1-2及び資料2を用いて説明いたします。本日はガイドラインの案として、前回5月30日の分科会でお示ししましたガイドラインの骨子案に対して、委員の先生方から頂いた御意見、その後追加で頂いた御意見も含めて修正した資料を、見え消しで資料2として示しております。そのガイドラインの修正を溶け込ませたものについて資料1-1で示しており、更に今回公的な支援策と学び・学び直しに取り組む企業事例の2点について別冊として整理し、資料1-2として示しております。まずは資料2から説明いたします。
 資料2を御覧ください。前回からの修正点について説明いたします。まずタイトルです。資料2の表紙ですが、「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」とさせていただいております。1ページは目次を付けております。2ページ目からは、第1章、基本的な考え方です。「はじめに」と合わせ読んでいただきたいのが、7ページ目の中段に、「中小企業の強みを活かした人材開発」という項目があります。そこの1つ目の○を追加しておりますが、これは日商の増田委員からの御意見で、中小企業は多くの経営課題を抱えて対応に追われている中で、その経営課題を解決する、克服するためにも、人材開発が重要であることを再認識してほしいというメッセージを盛り込んでいただきたいという御意見がありました。それを踏まえてここに1つ○を追加するとともに、2ページ目の「はじめに」の所も、企業は新たな成長に向けた人材戦略とり分け人材開発における学び・学び直しの重要性を十分認識し、という形に修正させていただいて、増田委員からの修正の趣旨を踏まえさせていただきました。
 続いて5ページ目です。②教育訓練機会で追加しているのは、前回武石分科会長からの御意見を踏まえた修正です。その下、もともと第3章は「国等の支援策」としておりましたが、事務局で検討し、公的な支援策と表現させていただくことにいたしました。6ページ目は、ここも前回の武石分科会長からの御意見を踏まえ、「労働者の学び・学び直しの意欲や成果」と表現を修正させていただいております。
 7ページ目を御覧ください。エンゲージメントの所ですが、前回の平田委員の御意見を踏まえつつ注意書きを入れることで、以前滝澤委員から頂いた、分かりやすく、という御意見も両立できるような形で修正をいたしました。この※にある注意書きは、本年の骨太方針2022に、ちょうどエンゲージメントについての注意書きの表現がありましたので、それを使わせていただいております。
 続いて第2章、労使が取り組むべき事項についてです。8ページ目は、武石分科会長の御意見を踏まえた修正です。9ページ目は、前回の分科会の場で平田委員から、正規か非正規かの所に、その後全部雇用形態等にかかわらずという表現があるので、統一すべきではないかという話がありましたので、修正いたしました。その上で推奨される取組例についても、1つ目と2つ目と4つ目の○は分かりやすさの観点から、平田委員から頂いた御意見を踏まえて修正いたしました。3つ目の○については、前回の分科会において滝澤委員から「自社が学び・学び直しを重要視し、それを支援していくことを」を追記してほしいという御意見を頂きましたので、それを踏まえて修正したところです。
 10ページです。1つ目の○ですが、前回の海老原委員、冨髙委員、宮田委員の御意見を踏まえた修正として、1つ目の○を追加しております。2つ目と3つ目の○は、平田委員の御意見を踏まえた修正です。その下の③「自社における」を追記したのは、前回の滝澤委員の御意見を踏まえた修正です。更に「整理し」としたのは、平田委員から追加で頂いた御意見を踏まえた修正です。
 11ページ目は、基本的には平田委員から頂いた御意見で、表現の適正化などを頂いておりますので、それを反映いたしました。一番下は、前回海老原委員と宮田委員から御意見を頂いたものを併せて、ここに表現させていただきました。両者の方向性・目標が乖離している場合に、十分なコミュニケーションをとった上で進めていくという形の表現を入れております。12ページ目の上から2つ目の○ですが、ここは前回の宮田委員、そして前回は御欠席でしたが、事前レクで玄田委員からも同じような意見があり、管理職が学びの当事者になるときに、そのすり合わせの一方当事者は誰になるのか、更に職階の上の者がなるのでしょうということを追記するということで、表現を追加いたしました。中ほどの、推奨される取組例の所の修正は、平田委員から追加で頂いた御意見を踏まえての修正です。一番下の教育訓練機会の所の修正は、武石分科会長からの前回の御意見を踏まえた修正です。
 13ページ目です。3つの○を追加しておりますが、これはもともと⑩に整理していたものを⑤にということで、武石分科会長から御意見がありましたので、それを踏まえた場所の移動と表現を適正化した部分です。推奨される取組例の所ですが、基本的には平田委員からの追加の御意見を踏まえて分かりやすくしたということと、下から3つ目のテレワークの所ですが、前回滝澤委員から頂いた御意見を踏まえて修正したものです。14ページ目の2つ目、3つ目の○も、武石分科会長の御意見を踏まえて、⑩から⑤に移動したものです。2つ目の○ですが、前回田村委員から副業・兼業について本業を抱えながらやるので、長時間労働を招かないようにということを心配される御意見が出ましたので、2つ目の○の4行目に「長時間労働を招かないように留意しつつ」という表現を追記しております。上から4つ目の○、外国人という所については、前回の早川委員からの御意見を踏まえて追記させていただき、その下の修正「学び・学び直しの促進に関して」と追加しているのは、平田委員から頂いた御意見を踏まえたものです。⑥の修正についても、平田委員から追加で頂いた御意見を踏まえたものです。
 16ページ目ですが、ここはいずれも平田委員から頂いた御意見を踏まえた修正です。17ページ目を御覧ください。中ほどに、「企業と労働者の双方が」と追記したのは、これは平田委員から頂いた御意見を踏まえた修正です。18ページ目の1行目までを含めて見え消しになっている所は、先ほど申し上げた武石分科会長が前回の分科会でおっしゃった、副業・兼業などを⑩ではなくて⑤に整理するという御意見を頂いたので、そこに移したということで、ここから削除しております。18ページ目を御覧ください。2つ目の○「復帰する」という所や、⑪に幾つかの修正がありますが、これは表現の適正化や分かりやすくする観点からということで、平田委員から御意見を頂きましたので、修正いたしました。なお、中ほどの消してある○も含めて5つ目の○で、「学び・学び直しを職場においてスタートさせ普及させていく」と「職場において」と直しているのは事務局です。タイトルを直しましたので、それに合わせてここは直しております。
 続いて19ページを御覧ください。冒頭の「企業内での」を「職場における」に直しているのは、先ほど同様表題の変更に合わせた修正です。それ以外のこのページの修正については、平田委員から頂いた御意見を踏まえて分かりやすくいたしました。20ページ目の1つ目の○ですが、これまで現場のリーダーへしわ寄せがいかないようにという意見をいろいろ頂いて、前回もたくさん現場のリーダーの支援策は書かせていただいたのですが、前回も海老原委員や宮田委員の御意見もありましたので、事務局で「現場のリーダーが、経営者と現場の労働者の間で板挟みになり孤立することが無いよう、十分な配慮や支援を行う」ということを追記いたしました。推奨される取組例の1つ目と3つ目の○は、海老原委員、冨髙委員、宮田委員に前回の分科会で御意見を頂いたところ、管理職の能力、スキルを明確化した上で、ロードマップを会社が示してその習得を支援するとか、その具体的な内容を追記させていただいたものです。
 21ページ目です。前回は項目例を示しておりましたが、今回はきちんと外に出せる形ということで公的な支援策とした上で、前回の冨髙委員の御意見も踏まえつつリード文を書かせていただきました。多くの職場において労使が協働して、学び・学び直しに取り組むことを促進する観点から、国などにおいて各種の支援策を講じている。こうした公的支援策の内容とその利用方法について、別冊において紹介する。支援策の紹介に当たっては、学び・学び直しを実施する過程で、必要な支援が講じられるよう、第2章の労使が取り組むべき事項のそれぞれの項目に対する形で整理している。人への投資の重要性を踏まえて、公的な支援策の充実が図られつつある。こうした支援策を効果的に活用することで、あらゆる職場において、労働者の能力・スキル、キャリアの向上を実現することが期待される。令和4年6月現在。ということで、今後の支援策の充実度に応じて更新予定としております。そこから先は、第2章の①~⑬のどこに対応するのかということで、項目を並べております。これで本体編の追記や修正は終わりです。
 続いて、同時に別冊について説明いたします。資料1-2を御覧ください。この別冊には、公的な支援策が2~34ページ目までと、企業の取組事例が35~42ページ目で紹介されています。その上で別冊になりましたので、改めて1ページ目にガイドライン本体の第2章、労使が取り組むべき事項について、⑪~⑬まで、こういうことがあったということを書かせていただきました。2ページ目からは、公的な支援策です。2、3ページ目は目次を付けております。これが第2章の労使が取り組むべき事項に対応した形で、ページ番号も振って書かせていただいております。
 4ページ目からが個別の支援策の紹介です。各支援策の4ページ目を御覧いただくと、職業能力評価基準のタイトルの左方に、企業向けと書いておりますが、ここに例えば企業向け、個人向け、管理職向けという形で、どのような方々が対象になるかを分かりやすくしました。右方には、第2章の○何番に対応するのかを分かりやすくしております。支援内容のほか、紹介先や、申請するもの、例えば助成金などの場合は申請手続が分かるような形で、URLやQRコードからそのやり方をたどれるようにしていると。紙で見る人はQRコードをスマホで撮ってもらえばいいですし、スマホやネットで見る人はURLを踏んでもらえれば、そこのページに飛ぶということで、いろいろな所にそのようなものを載せました。ポイントとしては、厚生労働省の施策だけではなく、経済産業省や中小企業庁、文部科学省の施策も掲載いたしました。他省庁の皆さんも快く今回協力いただいたということで、体系的にまとめることができました。
 最後に35ページ目からですが、企業事例を7つ紹介しております。35ページ目が目次になっております。これまで分科会の場において幾つかの企業の事例を紹介いたしましたが、その中から7社選んでおり、特に中小企業について5社事例を載せております。前回、日商のキヨタ代理から頂いた御意見も踏まえて、中小企業の皆様に学び・学び直しが事業経営に具体的な効果があり、優先すべき取組であるということを認識していただく観点も、何らか盛り込めないかと話がありました。例えば38ページのC社や、40ページ目のE社などについては、学び・学び直しの取組に積極的に取り組んだ結果として、売り上げが伸びているとか、経営上のメリットが出ているということを、定量的な数字も交えながら紹介することができております。こうした中小企業でも工夫しながら取り組むことで、第2章の労使が取り組むべき事項に関して、やっていくことができるということが少しでも分かるように、元気づけられるようにという形で、現場においても参考になることを期待しております。以上、資料1-1、1-2、及び資料2の説明でした。御審議をよろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。これまで委員の皆様から大変貴重な御意見を頂くとともに、事務局でここまでまとめていただいたことに感謝を申し上げたいというように思います。今の別冊も、非常に有益な情報が盛りだくさんだなと思いながら、私も勉強させていただきたいと思いました。
 それでは、ただいまの御説明に対する御質問や御意見がありましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
○橋本委員 橋本です。前回は欠席させていただいたので、議論が進んでしまったところ恐縮ですが、ちょっと気になった点を確認させていただければと思います。ガイドラインの13ページの最後と14ページ最初の○で、副業・兼業と在籍出向のことが書かれていますが、私にはこの2つはちょっと唐突な感じがしました。
今まで、学び直しは、OJT、OFF-JT、そして自己啓発の問題として議論されていたと理解していたからです。確かに、副業・兼業、在籍出向によって、新しい仕事に従事して学び直しをすることも可能だと思いますが、他社での就労という、労働者にとって大きく就労環境の変わる問題になります。ガイドラインには、副業・兼業に当たり、労使で十分なコミュニケーションを取ること、そして、在籍出向を公募制にすると書かれていて、本人の意思に反して出向等が命じられないよう留意した記述になっていると思いますが、望まない労働者に対して、副業・兼業や出向が強制されることのないよう確認をさせていただければと思います。以上です。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。
○黒田室長 政策企画室長の黒田でございます。橋本先生ありがとうございました。ここの点については、前回、前々回も御議論いただいて、表現は一部修正していて、例えば、資料2で御説明しますと、資料2の13ページ目の所で、⑤の中の取組の考え方、留意点の所の整理の最後で、13ページ目で言うと、上から3つ目の○ですが、裸で副業・兼業、在籍出向という形ではなくて、「自社で得ることのできない能力・スキルや経験の獲得・実践の場として、副業・兼業や在籍型出向を活用し、本業に活かすことが期待される」という形で書かせていただいています。必ず、その兼業・副業を強制するみたいなことは一切ないということが1つです。
 その上で、取組例の所で橋本先生が御指摘いただいた所にも書いてあるとおり、資料2の14ページ目の2つ目の○では、おっしゃるとおり、労使と企業双方が納得感を持って進めることができるよう、企業と労働者との間で十分にコミュニケーションを取るということで、副業・兼業ガイドラインに書かれていることを書かせていただいた上で、要は、ここは取組例なので、こういう副業・兼業ということを使うことで、学びを得て、本業に役立てることも考えられますよねということを、1例として挙げさせていただいていると。
 在籍型出向も、例えば、公募制にするということもあり得るだろうということで、これは、このガイドラインに通底することですが、大企業から中小企業まで、幅広い方々に届くようにということなので、一つ一つの事例が全ての企業にマッチするとか、琴線に触れるわけではないのですが、どこか、何らかの形で、どこかの企業、どこかの企業規模とか産業とかの別々の中で、どこか1つでも触れればいいということで、幅広めに取組例について書かせていただいているということは、これまで申し上げてきたところなので、そういった中で書かせていただいていると。ですので、副業・兼業と言いながら、学びに役立つような形の副業・兼業ということで、そこで学んだものは本業にいかされるという趣旨で書かせていただいているので、橋本委員が確認を求められた所についての御懸念はないのかなということです。強制をするようなことは一切考えていないということでございます。説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。橋本委員、いかがでしょうか。
○橋本委員 ありがとうございました。結構です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 今ほど御説明いただいたガイドライン(案)につきまして、前回までの労働側の意見も含めた分科会での議論内容を、一定、反映していただいている点について、御礼を申し上げたいと思います。
 これまでも重ねて申し上げてきておりますが、学び・学び直しは、企業の責任を前提としつつ、各企業の人材ビジョンに即した育成に関して、労使で十分に協議を尽くしていただき、全ての労働者に対して、自ら学び直しを行いたいと思えるような、労働条件も含めた環境整備を進めることが重要です。今後、ガイドラインを公表していく際には、そういった点も誤解が生じないように、趣旨を理解いただけるような周知をお願いしたいと思います。
 また、先ほど申し上げたように、雇用形態にかかわらず、全ての労働者の雇用の安定に資するキャリアの向上につなげていくことが重要です。非正規で働く労働者や中小企業などに対して、国が労使の協働の取組をサポートするために、今後、適宜、実態やニーズを把握しながら、省庁横断的な連携の下で支援策やプログラムの充実を図っていただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。基本的に御意見と御要望ということで承りたいと思いますし、周知に関しては、この後、資料3でも御説明を頂くことになりますので、ありがとうございました。
 ほかに、御意見や御質問を。では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 細かな意見まで丁寧に反映していただき、まずは御礼を申し上げます。資料1-2の別冊についても、非常に網羅的で全体を見渡せることができ、大変有益なガイドラインになったと思っています。
 後ほど資料3で御説明があるのだと思いますが、あらかじめ申し上げておきますと、今回とりまとめるガイドラインが活用されることが非常に大事だと思っております。今後は普及に向けた取組に期待したいと思います。我々としても、周知に協力してまいりたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに、御意見や御質問はありますか。特にないようであれば、職場における学び・学び直し促進ガイドラインについての議論はここまでとさせていただき、取りまとめとさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
                                (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして、取りまとめとさせていただきます。委員の皆様におかれましては、これまで精力的に御議論を頂き、本当にありがとうございました。
 続いて資料3、本ガイドラインの普及促進に向けた方策に関して、政策企画室長より御説明いたします。
○黒田室長 政策企画室長の黒田です。引き続き、議題(1)に関連して御説明いたします。今ほどお取りまとめいただいた、ガイドラインの普及促進に向けた方策について御意見を伺いたいと存じます。事務局で資料3を準備しておりますので、御覧いただければと思います。
 事務局で普及促進に向けた方策(アイディア例)を作成しました。そこにある1枚紙ですが、この中で大きく2つありまして、1つ目が労使関係者等を通じた普及促進として、経済団体や業界団体、労働組合が開催する会議等に、私どもが参加をさせていただいて周知等を行うということ。それが1つ目と2つ目の○です。
 3つ目が、先般、建議も年末に皆様にお取りまとめいただいたことも踏まえて、能開法の改正をさせていただきましたが、先般法定化された都道府県単位の協議会における周知ということを挙げさせていただいております。
 2つ目の大きな柱は、学び・学び直しの気運の醸成ということで、1つ目は、例えば、分かりやすいリーフレットを作成する。2つ目は、分かりやすいリーフレットについて、当然、電子データにしてホームページに掲載して、全国どこからでもダウンロードできるようにして活用していただくということ。
 3つ目の○は、どこのターゲット層に訴求するかにもよると思うのですが、例えば、インターネット記事広告を掲載するとか、あとは、個別の労働者であれば、SNSだったりするのかもしれませんし、ここには書いてありませんが、中小企業の社長さんとかだったら、業界団体誌だったりするのかもしれませんが、そういったアイディアがあるのかなと。
 4つ目の○は、せっかく皆様でお取りまとめいただいたので、公益の有識者の方々や労使関係者の皆様、あとは我々行政が出席をした形で、ガイドラインの概要説明や、その後、パネルディスカッションなどをさせていただきながら、学び・学び直しについての意義、あとは具体的に労使でどう取り組むべきかということを、シンポジウムを開催して議論していくと、それを録画してずっと残して、それを誰でも見れるように、例えば、厚労省のYouTubeで公開するなどということも、1つ案があるのではないかということで書かせていただいております。ここで事務局が挙げたアイディアに限らず、ガイドラインの普及促進のために、どのようなことを行っていくことが考えられるのかということを、公労使の先生方の高い見識から、御助言や御意見を頂ければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問や御意見がありましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。先ほど、冨髙委員と平田委員から関連する御意見がありましたので、それは承ったということでありがとうございました。
 では、いかがでしょうか。
○宮田委員 ANAの宮田でございます。資料ガイドラインは先ほど御意見ありましたとおり、本当によくまとめていただいていて、本当に使い勝手のいいものになっていると思っていますので、いかに周知をしていくことが大事かなというように思っています。その中で、ちょっとアイディアということなので、個人的な思い付きも含めてですが、今回、学び・学び直しということが、やはり労使共通の認識で重要なものであるという議論が、かなりされてきたと思っていますので、今後、もし外で周知していく中では、可能であれば、労使一緒にということで周知をするような仕組みを作れないのかなというのが1点。
 もう一点は、事務局がすごく苦労されて、各社の、特に中小を含めた事例も拾っていただいています。先ほど、有識者によるパネルディスカッションなどもあったのですが、是非、そこで取組をされている企業の御担当の方々などに出ていただいて、苦労も含めて、ベストプラクティスとして伝えていただくということなども、すごく重要かと思っておりますので、そのようなアイディアも御検討いただければと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、早川委員、お願いします。
○早川委員 早川です。このガイドラインの周知がとても大切だと思っています。その際に、ガイドラインに沿った実践をしているという会社に自社のホームページに、人材育成の取組を書いていただいて、その情報と厚生労働省のホームページとをリンクさせるようなことができればと思います。例えば、そのサイトを通じて、会社は、人材育成・能力開発をする会社だということをPRできるし、応募する側の、たとえば学生も、自分の能力を上げてくれる会社に就職したいと思う人が多いと思いますので、そいうった企業の人材獲得が容易になるのではないでしょうか。企業が自ら外側に能力開発の情報提供をする際に、例えば、ガイドラインの何番に該当する取組を行っていますという感じで、ガイドラインとリンクするような公表を、企業自らに取り組んでいただいた上で、そういった取組事例を厚生労働省として広く周知するような方法を取れるとよいと思いました。単なるアイディアですが、よろしくお願いします。
○武石分科会長 貴重な御意見をありがとうございます。宮田委員も同様ですが、やはり企業の事例というのは、非常に他社さんにも参考になると思いますし、同時に、そういうことをやっている企業さんにとってはPR効果になるということで、大変貴重な御意見だと思います。事務局からは何かありますか。
○黒田室長 はい。今、頂いたいずれの意見も、私どもにとっては非常に参考になる御意見だったと思います。労使が一緒になって周知をするというのは、是非、個別の会社の中でもそういう機会があれば、労使合わせて、その説明をされる場に我々も出張っていきたいと思いますし、あとは、各社の事例とかについても、シンポジウムでそういうことをできる企業があればお声掛けできればと思います。そこは検討させていただきたいと思います。
 あとは、各社の取組例をどのように紹介していくかということも、いろいろな制約がある中で何ができるかということは考えさせていただきたいと思いますので、貴重な御意見をありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに、いかがでしょうか。特にないようであれば、貴重な御意見をありがとうございました。この議題についてはここまでといたします。
 次に、議題(2)2021年度の実績評価及び2022年度の年度設定についてです。人材開発総務担当参事官より、資料の御説明をお願いいたします。
○長良参事官 総務担当参事官の長良です。よろしくお願いいたします。資料4-1、資料4-2に、人材開発分科会における2021年度実績評価及び2022年度の目標設定についての案の資料を提示しております。人材開発行政において、幾つかの指標を基に目標管理を行い、その結果、それを踏まえた次年度の目標設定をPDCAサイクルの充実強化を図るという観点で、従来からやってきているものです。本日は、昨年2021年度の実績評価と2022年度、本年度の目標設定について御説明させていただき、御意見を賜れればと存じます。
 資料4-1は一覧でまとめたものでして、詳細は資料4-2を御覧ください。個別の項目についてそれぞれ実績、目標、その考え方などをまとめております。①ですが、地域若者サポートステーションの就職等の率というものです。2021年度の実績、目標60%に対して実績は68.8%となって、目標を達成しております。昨年度もコロナ禍の影響で、対面支援などがなかなか困難な状況でしたが、オンラインなどの工夫が一定程度実施できたということで、目標は達成したものということです。2022年度の目標については65.8%ということで、近年の実績を踏まえたものとなるよう、過去3年間平均で設定したいと考えております。
 2つ目です。わかものハローワーク等を利用して就職したフリーターのうちの正社員就職率です。こちらは目標64%に対して、実績は63.5%となって、未達成ということです。主な要因ですが、一部の事業所の採用の中止・遅延など、あるいは求職者自身の求職活動の手控えというケースが見られる中で、特にコミュニケーションなどに課題が見られる支援対象者において、正社員就職を途中で諦めて、非正規で就職した者があったことなどによるものではないかという分析をしております。2022年度の目標ですが、同様の指標で64%以上と設定しております。こちらは過去3年間、コロナ禍の影響も含めたものですが、この実績平均なども踏まえながら前年度と同じ値で設定したいと思っております。
 ③です。いわゆる学卒支援の関係ですが、就職支援ナビゲーターの正社員就職者数を目標で掲げております。2021年度は目標17.2万人に対して、実績は約16.3万人ということで、目標未達成となっております。こちらは、コロナ禍の影響で、昨年度も来所者数がそもそもコロナ禍前の水準に至っていないということ、あるいは一部の業種、観光などにおける、求人の厳しさなどが影響しているのではないかと分析しております。2022年度ですが、15万7,000人という目標値を立てたいと考えております。こちらは、支援対象者となるいわゆる卒業予定の学生数、生徒数、あるいは2021年度の未内定卒業者などを踏まえて、労働局がそのような数字を把握するわけですが、それぞれの目標値を積み上げたものとして設定したいというものです。
 ④は、ジョブ・カード作成者数です。目標27.1万人に対し、29.2万人、速報値ですが、目標達成となっております。こちらは、キャリア形成サポートセンターによる作成者数が、増加したなどの原因であったのではないかと分析しております。2022年度目標ですが、3か年実績などの平均に基づき、28.2万人と設定したいと考えております。
 ⑤は公共職業訓練、いわゆる離職者訓練の就職率です。2021年度の目標、施設内訓練80%、委託訓練75%の目標に対して、施設内訓練86.8%、委託訓練69.7%となっており、施設内訓練は目標を達成したものの、委託訓練は未達成となる見込みです。なお、委託訓練については、コロナ禍においても2021年度、昨年度の訓練受講者数が増加しているところでして、制度の活用自身は進んでいるということです。2022年度の目標ですが、コロナ前の2017年、2018年、2019年の実績を勘案して、委託訓練については引き続き75%と設定したいと考えております。施設内訓練に関しては、いわゆる事業の中期目標の80%を踏襲したいと考えております。
 ⑥は求職者支援制度、いわゆる求職者支援訓練の雇用保険適用就職率です。基礎コース58%、実践コース63%の目標に対して、それぞれ53.2%、60.5%といずれも未達成となる見込みです。こちらも訓練修了者が求職活動を控える動きがあったことなどが要因として考えられると受け止めております。目標には届きませんでしたが、同じくコロナ禍にあった2020年度実績に比べると、それぞれの就職率は改善しているという状況です。また、昨年度は※にありますように、訓練コースの設定を期間あるいは時間の短いものなどを認めるという効果もあり、受講者数が大幅に増加しているところです。2022年度目標は、基礎コース58%、実践コース63%で前年同様としたいと考えております。こちらは過去5年間の就職率実績など、そちらに記載しておりますが、こういったものも踏まえて設定したものです。
 ⑦は、技能検定の受検合格者数です。2021年度実績は、目標33万人に対し36万8,034人となっており、目標を達成しております。2022年度目標ですが、令和元年度から令和3年度までの過去3か年平均で設定することを考えておりますけれども、内訳にあります技能実習生については、特にコロナの影響で入国制限があって、ちょうどこの検定を受ける受検の対象となる方が少なくなっているということで、平時よりも合格者数が少なくなることを考慮して、数字を設定したいというものです。御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方は、Zoom機能のリアクションから「手を挙げる」を押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。松浦委員、お願いいたします。
○松浦委員 コロナ禍の影響から目標未達成の項目が幾つかございますが、感染状況も徐々に落ち着き始める中、新規求人数や訓練受講者数は回復基調にあり、引き続き、感染状況を注視しながら、これまでの課題や実態を踏まえつつ、今後の取組につなげていただきたいと思います。その上で、2点意見を述べたいと思います。まず、②のわかものハローワークにつきまして、実績の部分で、コミュニケーションに課題が見られる支援対象者が、就職に至るまで長期間を要し、途中で正社員就職を諦めてしまうという記載がございました。一方、次年度の目標には、その課題に対応する記載がありませんので、課題を踏まえた支援をどのように行うのかなど検討されている支援策があれば、目標設定の補足として記載していただいてはどうかと思います。
 また、2点目ですが、その他の各項目で、実績と分析を踏まえた目標が記載されておりますが、項目によっては経年実績のみの記載にとどまり、やや抽象的な分析も見受けられます。ついては、目標設定に至った経緯や分析状況をより分かりやすくするために、例えば、参考指標として地域若者サポートステーションや、わかものハローワークの利用者数などを記載いただくなど、必要に応じて、補足的に追記いただければと思います。以上、よろしくお願い申し上げます。
○武石分科会長 では、事務局からいかがでしょうか。
○長良参事官 2点の御指摘のうち、まず後者です。おっしゃる趣旨ですが、恐らく数値目標のみの記載になると、その背景等がなかなか分かりにくいということで、いろいろ多面的な資料の作り方というか、事業の考え方等に関して、もう少し補足的な情報が必要なのではないかという御趣旨かと思われます。わかものハローワーク等についても同じようなことが言えるのかなと思っております。したがって、本日の資料はこれで出しているところですが、今後どのような形でそれぞれの事業、特に目標設定をしている事業について、背景等をお示しするかというのは、検討課題として受け止めさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 前半のコミュニケーションの課題に関しては、目標設定の所にどのように反映されているかというのは何かありますか。
○谷口参事官 若年者・キャリア形成支援担当参事官です。コミュニケーションに課題が見られる支援対象者ということですが、そういった方においては支援期間が長期化するという中で、途中で正社員就職を諦めてしまう方も多く見られたということです。そういった正社員就職に向けて課題を持っている方に関しては、一般の求職者よりも更に一人一人の事情に合わせたきめ細かな支援が必要であると考えているところです。このことを踏まえて、まずは従前の取組を着実に実施していくことが重要だと考えております。例えば、専門の相談員によるマンツーマンでの個別支援とか、セミナーとかグループワークといったきめ細かな取組を着実に実施していくということです。ですので、目標値という形で何らか数値化するということは、なかなか難しいところですが、こういった取組を着実に実施していきたいと考えているところです。以上です。
○武石分科会長 事務局から御説明いただいたところですが、松浦委員、いかがでしょうか。
○松浦委員 ありがとうございます。承知いたしました。
○武石分科会長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員 全国中央会の滝澤です。御指名ありがとうございます。私からは、⑦の技能検定の受検合格者数の目標値の設定について、意見を申し述べさせていただきたいと思います。御説明では2022年度の目標は、過去3年間の平均で設定し、技能実習生の入国制限により、平時よりも少なくなるのではないかということを考慮されたという御説明がありましたが、技能検定は御承知のように、数多くの職種において行われており、それぞれ労働者のスキルアップに大いに役に立っている制度だと認識しております。2020年度においては、コロナ禍によって多くの技能検定が中止になりました。伺うところ46職種76作業が、2020年の前期試験は中止になったと伺っております。うち、幾つかの職種は、同年度の後期に時期をずらして実施されたということを伺っているわけですが、2020年度は、そもそも多くの技能検定が中止になり、受検の機会が失われたということもあって、大きく合格者が落ち込んだという現象があると思っており、そこを含めて、ただ機械的に3か年の平均で目標を設定するのはいかがかなと感じております。
 コロナ禍も回復し、おっしゃるとおり外国人の入国制限というのは引き続き続いているわけですが、目標値の設定としては、本来は前年、2021年度比を増加させるような目標値の設定が望ましいのではないかなと思うところです。あくまでも意見ということで申し述べさせていただきます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。もしかすると、早川委員も技能検定の関連でしょうか。もしそうであれば、一緒にお聞きしてもよろしいかと思いますので。
○早川委員 私も技能検定の絡みで、水際対策があって技能実習生の入国減少の影響を受けて、技能検定の受検者数が減っているということは、実態としてはそうなのだろうなと思っております。一方で、特定技能の外国人が最近急に増えていて、3月時点で6万4,000人と数が増えております。特定技能のほうは、1号の場合、技能実習経由でない場合は技能の試験を受けていますが、しかし、特定技能1号の期間中に能力開発の視点とかは、制度的には設定していなくて、特定技能2号になる場合に、ある一定の技能等が要求されるというのがあるのですけれども、1号から2号への能力開発のはしごというか、階段が設定されていないまま、2号はそれより高度なレベルが要求されるというのが制度の実情です。建設分野で技能検定1級に合格した人が特定技能2号に移行できたという事例なども聞いています。現在、政府では技能実習、特定技能ともに制度の見直しの検討を進めていると思いますけれども、特定技能の外国人に対して、能力開発の可能性として技能検定などの受検を奨励していただけないかと思います。特定技能制度の制度的枠組みに能力開発が入っていないのですが、技能実習とある程度対比しつつ、そういった受検奨励がなされるといいのかと思っております。
○武石分科会長 技能検定の件で、もし玄田委員も⑦であれば一緒にお聞きいたしますが、玄田委員は。
○玄田委員 違います。
○武石分科会長 分かりました。ありがとうございます。では、技能検定についてお願いいたします。
○安達参事官 担当参事官の安達です。まず、技能検定の合格者数の目標設定の在り方ですが、おっしゃるとおり2020年については、特殊事情があってそもそも受検の機会がなかったということもあり、そういうことも踏まえて、単純に1年間の実績ではなくて3か年平均という形で目標を設定させていただいているところです。ただ、いずれにせよ受検の機会の確保なり、合格者数の確保に向けた様々な取組の努力というのは重要だと思っておりますので、そういう形での努力は引き続き行わせていただきたいと考えているところです。2点目の特定技能の部分については、どういう形で対応が可能かどうかというところの実態も含めて、中で一度考えさせていただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 滝澤委員は、数値がちょっと遠慮しすぎなのではないかという御意見だったと思うのですが、今の御説明で取りあえず、この数値で今回はよろしいでしょうか。
○滝澤委員 分かりました。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。早川委員の貴重な御意見は、今後の御検討ということでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、玄田委員、お願いいたします。
○玄田委員 玄田です。よろしくお願いいたします。⑥の求職者支援制度について、若干、質問と意見を申し上げたいと思います。2011年の支援制度実施以来、非常に多くの実績を上げてきたと思うのですが、一方で求職者支援制度最大の課題は、やはり利用実績の伸び悩みだと認識しております。その最大の理由は、やはり利用条件の厳しさだということで、ちゃんと受講までたどり着くのは、なかなか難しいということで伸び悩んでいたと認識しています。利用条件が厳しいのは、もともと前身の基金訓練以来、いわゆる不適切な受給に対して社会の非常に厳しい目があったということもあって、非常に厳しめに運用してきたのではないかと認識しています。それで、今回のコロナのことがあって、記載にあるとおり、かなり条件緩和をすることにせざるを得なかった結果、この表に示されているように、ある意味では驚くべき受講者数の増加があったわけで、このことについてはより詳細に分析していかなければいけないのではないかと。
 特に、こういう緩和をすることによって、利用者ないし委託先に何か不適切な事例というものがあったならば、緩和ということについて今後も慎重に考えなければならないと思うのですが、それほど大きな不適切な利用状況でなかったとするならば、今は緩和が2022年度限りということで記載されておりますけれども、2022年度の状況を踏まえながら、緩和については半恒久的な取扱いなども念頭に置きながら、今年度の目標数値の達成だけではなく、その背後にある適正な利用状況を鑑みつつ、緩和の在り方について是非検討いただきたいと。ですので、この緩和効果に対して一定の効果があるという記載だけですが、ネガティブな影響がなかったかどうかということの確認と、将来的な緩和の恒久化についての検討の必要があるのではないかという意見でした。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、お願いします。
○宇野参事官 人材政策担当参事官の宇野です。お世話になっております。ただいま御質問を頂いた件、御意見を頂いた件ですが、先生が御案内のとおり、この緩和措置自体は2022年度、今年度末までとなっていまして、では、これをどうしていくのかというときに、先生はじめ労使等様々な方々から自作の緩和措置がどういう効果があるとか、逆に言うと、デメリットですとか、そこを含めて検証するようにというのは、前々から宿題として頂いております。ですので、実際この措置をどうするかに当たっては、当然その検証結果を踏まえて、またこの分科会におきましてお諮りしたいと思っております。
 今のところ、我々が検証している段階では、いわゆる不正事案というのは、特段、明確にあるということは聞いておりませんけれども、やはり短時間に伴って、いろいろ就職率の影響ですとか、就職支援の在り方とか、いろいろな多面的な影響はありますので、そういったものをきちんと細かに検証しまして、ここの緩和措置をどうしていくのかというのは引き続き検討して、またお諮りいただきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。玄田委員、いかがでしょうか。
○玄田委員 了解しました。是非、引き続きの検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○武石分科会長 貴重な御意見をありがとうございました。では、平田委員、お願いします。
○平田委員 今後の検討に資するために、3つのことを申し上げたいと思います。まず1つ目が、目標設定の考え方についてです。2022年度の目標について、過去3年間の平均に基づいて設定している項目が多いのですが、過去3年間を見ると、すなわち2020、2021年度はコロナ禍で少し状況が違うと思っております。このため、目標が低くなりすぎるのではないかというおそれがありますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 2つ目は、若年者の就職支援についてですが、資料4-1の②と③は目標を未達ということです。他方、①についてはオンラインの活用で、一定の効果を上げているということですので、こうしたことを参考にして、②③も改善を検討していくべきなのではないかと思っております。
 最後に、公的職業訓練の就職率についてですが、目標未達のものもあります。コロナ禍で雇用情勢が厳しいことも大きな要因であると思いますが、訓練の質や就職支援の体制にも問題がなかったかどうかということも、検証が必要なのではないかと思っております。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。3点、御意見と御質問ですが、いかがでしょうか。
○長良参事官 1点目の目標設定の過去3年平均でやっているものが多いわけですけれども、これは実は、コロナ禍の影響で就職活動を手控えるというのが、本日お示ししたものだけでなく、例えば職業安定行政などの分野においても、るる見られるところでございます。したがいまして、2021年度では、時期によってはそれほど影響ない時期もありましたが、やはり一旦、緊急事態宣言や、まん延防止などの措置が出ると、かなり現場に影響があるやに伺っているところです。したがいまして2022年度は、その意味で、実はコロナの感染状況がどうなるかが読めない中で、どうしても設定しなければならないということで、目標値に関しては委員の皆様からの御指摘もありましたように、かなり控えめであろうということかと思いますが、今し方、各事業の所管のほうからも御説明いたしたとおり、それ以上の目標に向けて努力を進めていくということに関しては、全ての事業において共通した考え方として捉えていきたいと思っております。
○宇野参事官 先に、順番が変わりまして、3点目のほうの公共職業訓練についてお答えさせていただきます。公共職業訓練につきましては、目標設定に当たっては、今回、求人数の回復等を見まして、就職率は高めに目標設定をさせていただいていますが、今、平田委員から御指摘いただいたとおり、訓練の質ですとか、訓練内容の適切性、こういったものにつきましては、今般、当分科会で建議いただきまして、それを踏まえました職業能力開発促進法の改正で、新たに地域、都道府県単位で協議会ができますので、そういった制度ですとか、前回、御紹介いただきました訓練効果の分析などといったものも活用しながら、より適切な訓練コースの設定に努力してまいりたいと思っております。以上です。
○谷口参事官 引き続きまして、若年者支援の担当ですけれども、先ほど御指摘いただきましたとおり、サポートステーションのほうでのオンライン活用ということで、目標の達成に貢献したということであります。こういった取組につきましては、わかものハローワーク等のほうでも、オンラインを活用した、ICTを活用した支援の在り方についても、今後検討を進めてまいりたいと考えているところです。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。事務局から御説明いただきましたが、平田委員、いかがでしょうか。
○平田委員 ありがとうございます。
○武石分科会長 よろしいですか。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。大丈夫ですね。それでは、特に御意見等ないようなので、頂いた御意見、それから、事務局からの回答も踏まえまして、当分科会としては、2021年度の実績評価及び2022年度の年度目標については、案のとおり了承したいと思います。よろしいでしょうか。
                                 (異議なし)
○武石分科会長 皆様からいろいろ御意見を頂きましたのは、また今後に反映させていただくとともに、目標を上回る方向で是非御努力いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、この議題はこれまでといたします。
 次に、その他として、事務局から御報告があります。資料5の各種閣議決定文書についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○長良参事官 資料5を御覧ください。各種閣議決定の中で、人材開発施策のくだりを抜粋したものです。1ページ目が、いわゆる骨太の方針ですけれども、ここの第2章の1の(1)人への投資ということです。傍線部にありますように、人への投資を抜本的に強化するため、3年間に4,000億円規模の予算を投入する施策パッケージが記載されているところです。また、多様な働き方の推進という項目の中で、専門知識、技能を持った新卒、既卒の若者について、就職採用方法の検討といったことが示されております。2番の包摂社会のくだりの中で、就職氷河期世代支援とあります。今年度まで3年間の集中取組期間ですが、2023年度からの2年間を第2ステージと位置付け、効果検証の上、支援を継続することが記載されております。また、デジタル田園都市国家構想、これは後の資料にも出てまいりますが、デジタル推進人材を2026年末までに、230万人を育成する取組を進める旨が記載されております。
 続きまして、2ページです。対外経済連携の項目の中で、技能実習制度の運用の適正化、制度の在り方に関する見直しの検討が記載されております。経済財政運営の中で、投資促進の中で人への投資、科学技術、スタートアップなど、重点投資分野の位置付けというのが記載されておりまして、人への投資がこういった全体の中で位置付けられているということです。
 3ページ、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画です。実行計画の中に先ほどあった、いわゆる人への投資の3年間、4,000億円規模の施策パッケージなどが記載されております。また、③と書いてありますデジタル人材育成のところで、現在の100万人から2026年度までに、合計330万人を確保する旨が記載されております。
 フォローアップと書いてある所のリカレントの推進ですが、こちらは個別の事業についてです。教育訓練給付のデジタル分野講座の充実のために講座指定手続の簡素化、職業訓練のデジタル関連分野の重点化などが記載されております。
 同様に2つ目のポツですが、教育訓練給付制度におけるオンライン、土日・夜間の講座を増やすとともに、対象講座の情報発信を強化する旨が記載されております。また、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを、労働者が利用しやすい環境整備を行う。ジョブ・カードのオンライン上で作成、登録できるサイトを構築し、今年度中に運用を開始する旨が記載されております。また、公的職業訓練について、デジタル等の人材ニーズに即した訓練コースの設定などが記載されております。3ページの一番下ですが、今年10月の技能五輪国際大会に参加する中核技能人材の海外訓練や、国内合同訓練を支援するなどが記載されております。
 続きまして、4ページです。こちらは規制改革実施計画ですが、人への投資の項目の中に、いわゆるキャリア形成に向けた能力開発支援で幾つかの御指摘があります。1つは、aと書かれている所は、これは正に本日御審議いただきました、学び・学び直しのガイドラインの策定が記載されております。また、bは個人が長期的なキャリアパスについてのビジョンを持てるような、キャリアコンサルティングが着実に実施され、企業における活用が普及するよう必要な措置を講ずる旨が記載されております。また、dは雇用保険制度におけるキャリア形成支援施策が、多様な働き方が普及する中で、この既存制度の利用を促進するとともに、この支援の在り方について検討を行う旨が記載されております。
 №10のaですが、厚生労働省、文部科学省、経済産業省がリカレント教育の推進に当たって、関連施策が産業界のニーズを踏まえて、より実効性のあるものとなるような連携強化というものが記載されております。また、bは職業能力開発促進法におきまして、今般、都道府県単位の協議会の設置について定めたところですが、この実効的な職業訓練の実現を図るため、訓練内容について効果検証及び見直しを継続的に行う旨が記載されております。
 5ページ、デジタル田園都市国家構想基本方針です。こちらにデジタル人材の育成・確保の方針、いわゆる専門的なデジタル知識・能力を有し、デジタル実装による地域の社会課題解決を牽引する人材を「デジタル推進人材」と位置付け、育成・確保するという方針が示されているところです。
 この育成・確保の数値目標としまして、4行目にあります230万人を育成・確保するために2024年度末までに年間45万人、2026年度末までに230万人の育成を目指す旨の記載がされておりまして、これらの取組を進めるに当たって、各省の施策の中で②職業訓練のデジタル分野の重点化の重点領域として位置付けられているところです。その下ですが、職業訓練のデジタル分野の重点化の具体的な取組としまして、(a)人材開発支援助成金等によるデジタル人材の育成、(b)離職者等向けの支援によるデジタル人材の育成、(c)地域のニーズに合った訓練コースの設定の促進、(d)民間からの提案を踏まえたデジタル人材育成の強化などが、それぞれ各論として示されているところです。御報告は以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」を押していただき、指名された方はマイクをオンにして、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
○平田委員 御説明ありがとうございました。人への投資の重要性が高まっている中で、3年間で4,000億円というパッケージが用意されたのだと思います。施策として用意しただけではなく、活用されることが重要だと思っています。人材開発支援助成金がパッケージの1つの柱でありますが、利用実績が低調であったと理解しています。使い勝手の改善や周知の強化などを御検討をお願いします。また、御案内のとおり、雇用保険財政は非常に厳しい状況ですので、限られた財源を効率的に活用することも重要だと考えています。最後に職業訓練についても、今、資料4ページにもある通り、今般の法改正によって位置付けが明確にされた訓練協議会を通じて、職業訓練の効果検証をきちんと行った上で、ニーズの高い訓練に重点化することも不可欠だと考えています。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。御意見でしたけれども、事務局から何かありますか。御意見として承るということで、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。御意見はございませんでしょうか。特にないようであれば、この案件については、これまでといたします。議題については以上となりますが、全体を通して、委員の皆様から何かございますでしょうか。特にないようであれば、本日は以上といたします。次回の開催日程につきましては、決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。それでは、以上をもちまして、第37回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。