2022年4月11日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和4年4月11日(月)15:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 

欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  関野秀人(医療機器審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻の15時になりましたので、これより本日の医療機器・体外診断薬部会を始めさせていただきます。
 医療機器審査管理課長の関野です。本日は週の初めのお忙しいところかと思いますが、御出席賜りましてありがとうございます。特にオンサイトで御出席の先生方におかれましては、御足労いただき感謝申し上げるとともに、またリモートで入られている先生方におかれましても、御多用のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず初めに、委員の異動等がありましたので紹介いたします。これまでお世話になっておりました蓜島由二委員が御退任されたことを報告申し上げます。そして今年度、今回の部会からになりますが、新たに委員に御就任された先生の紹介をいたします。国立医薬品食品衛生研究所の医療機器部性能評価室の室長でおられる岡本吉弘先生です。岡本委員におかれましてはオンサイトで御出席していただいておりますので、一言御挨拶いただければと思います。
○岡本委員 御紹介ありがとうございます。国立衛研医療機器部の岡本と申します。まだ慣れないことばかりですが、しっかりやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。事務局におきましても、4月1日付けの人事異動等に伴う動きがありましたので紹介いたします。いずれも機構の方でして、審査センター長に鈴木洋史センター長が着任しております。
○審査センター長 4月より着任いたしました鈴木と申します。よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 そのほか紹介にとどめさせていただきます。医療機器審査第二部長として矢花直幸部長が着任しております。後任という形になると思いますが、体外診断薬審査室長に福田英理子室長が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、本日の部会の委員の出欠状況について御報告いたします。医療機器・体外診断薬部会委員は23名で構成しておりますが、現在のところ、オンサイトで11名の先生に出席いただいており、リモートで出席いただいている先生が6名ですので、合計17名が現時点で出席ということで、本日の会議が成立していることを御報告いたします。本日は議決いただくものはありませんが、会議としても成立しているということです。
 次に、部会を開始する前に、事務局から所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、これも報告させていただきます。毎回のことですが、委員の皆様におかれましては、会議開催の都度書面の御提出を頂いておりまして御負担をお掛けいたしますが、引き続きの御理解と御協力を賜りますよう何卒よろしくお願いします。
 続けて、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて事務局から説明いたします。
○事務局 本日の議題の公開、非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の議題1については会議を公開で行い、議題2については医療機器の承認審査等に関するものであり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をいたします。会場の皆様のお手元には資料が格納されたタブレットのほか、議事次第、座席表及び委員名簿を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1-1~2-2をお手元に御用意ください。タブレットの操作について御不明な点等ありましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ注意事項の御説明をいたします。審議中はマイクをミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手を頂き、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りした事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からの説明は以上です。先ほど一つ言い忘れましたが、会場の方には三村委員が後ほどお見えになると思います。また、リモートでは北澤委員が15分程度遅れるということですので、後ほど入室いただけると思います。松宮委員におかれましても、リモートにはなりますが、前の御用務が終わり次第参加される可能性があるという旨の御連絡を頂いております。事務局からは以上です。以後の進行については荒井部会長にお願いいたします。
○荒井部会長 それではよろしくお願いします。ここまでの事務局の説明について、何か御質問、御意見はありますか。よろしいですか。
 それでは議題に入らせていただきます。議題1「一般用検査薬の一般原則について」です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料1-1、1ページを御覧ください。一般用検査薬の導入に関する一般原則について説明いたします。一般用検査薬については、部会でとりまとめられた「一般用検査薬の導入に関する一般原則の見直しに関する骨子」に基づいて改正された「一般用検査薬の導入に関する一般原則について」で取りまとめられており、平成26年12月25日付けの医薬食品局長通知で公表されております。
 「一般原則」では、「一般用検査薬を正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資するよう、様々な課題を踏まえ」とした上で、当面の対象範囲を、検体、検査項目、方法、性能の四つの観点から記しております。
 「検体」では、検査結果の臨床的意義が確立されていること、検査に必要な量を十分に容易に採取できて使用者の負担が少ないこと、特別な器具や処理を必要としないこと、これら三つの要件が課されております。具体的に言いますと、尿や糞便、鼻汁、唾液、涙液など採取に際して侵襲のないものが検体として適当とされております。また、検体採取に穿刺や採血を伴う行為は侵襲性があると考えられ、具体的には、穿刺血、咽頭拭い液、口腔内擦過検体が挙げられております。
 「検査項目」では、学術的な評価が確立し、正しい判定ができるもの。健康状態を把握し受診につなげていけるもの。ただし、悪性腫瘍、心筋梗塞、遺伝的疾病など重大な疾病の診断に係るものは除く、とされております。また、感染症に関する検査は個別の検査項目ごとに販売方法を含め慎重に検討を行うとされております。また、情報の提供により結果に対する適切な対応ができるもの、とされております。
 また「方法」では、検査手順が簡便であること、判定に際して特別な器具機械を用いず容易にできること、短時間に情報が得られるものであること、とされております。
 「性能」についても、適正な性能を有し、特に感度については、製品間の差による混乱を生じないよう配慮することが必要、とされております。
 続いて、2ページをお開きください。医療機器・体外診断薬部会での議論について説明いたします。一般用検査薬については、令和3年6月1日の規制改革推進会議における「規制改革推進に関する答申」において、引き続き検討することとされております。資料1-2には、その該当する記載部分を抜粋して記載しております。
 令和3年2月12日と令和3年8月4日に開催した部会で経緯を報告し、資料1-3に示した御意見を頂きました。
 一般原則で「侵襲がある」とされ、一般用検査薬とすることは難しいとされた血液を検体とする検査に関して、日本臨床検査薬協会と日本OTC医薬品協会から、資料1-4の御意見を示され、両団体から資料1-5のとおり意見聴取を行いました。
 本日の部会では、これまでの議論を踏まえて、大きく三つの点について御意見を頂きたいと考えております。
 1点目は、一般用検査薬の意義・取扱い・影響等についてです。まず、一般原則に記載されているように、「正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資するもの」と考えることで差し支えないか御意見を頂きたいと思います。
 次に、資料1-6を参照いただきながら、現に体外診断用医薬品として薬事承認されている品目において、採取する「検体」及びその検体を用いて測定する「検査項目」を具体例とした場合、これらの組合せの中で一般用検査薬として考え得るものがあるか、御意見を頂きたいと考えております。
 資料1-6の見方について説明いたします。資料1-6では、体外診断用医薬品として承認されている「検体」と「検査項目」を、一般原則において採取における侵襲性に基づき、1ページの中段からの侵襲がないものとされている検体と、3ページの中段からの侵襲があるとされている検体ごとに表としてまとめております。各表は、左から「検体」、「検査項目」、「領域」を記載しております。既に一般用検査薬で認められている検査項目は網掛けにしております。具体的には、1ページの尿検体にあるグルコース、2ページの黄体形成ホルモン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、蛋白分画、の四つです。
 資料1-1の2ページを御覧ください。本日御意見いただきたい2点目は、血液検体等の侵襲性についてです。血液をはじめ、一般原則にて「侵襲がある」とされている検体の採取に関しては、平成26年12月の部会にて「一般原則」を取りまとめた際の整理として、継続的に医療従事者からの指導や管理を受けていない人であっても安全に、検査に必要な量かつ検査の質に適した検体を採取できる必要があるなどの課題が示されております。これらの課題への対応として、具体的にどのようなことが考えられるのか、御意見を頂きたいと考えております。
 最後の3点目は、一般用検査薬の使用者の行動についてです。一般用検査薬を使用するに当たり、製品の特性及び検体の検査結果に関する理解を醸成するための方策として、具体的にどのようなことが考えられるのか。一般用検査薬の使用者を医療機関の受診につなげる方策として、具体的にどのようなことが考えられるのか。この2点について御意見を頂きたいと考えております。
 事務局からの説明は以上です。
○荒井部会長 今、御説明がありましたように、項目を三つに分けて御意見を頂きたいということですので、ひとまず、(1)、(2)、(3)という形で御意見を伺いたいと思います。いつも申しておりますが、後で何か気付かれた場合に戻ることはこの部会では許容しておりますので、そのときは遠慮なくおっしゃっていただければと思います。
 まず、(1)一般用検査薬の意義・取扱い・影響等について、委員の方々から御意見、御質問等いかがですか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 (1)ですが、一般用検査薬と書いてありまして、何をもって「検査」と言うかということが問題です。診断ということではないはずなのです。そこはしっかりと区別を付けなければいけないはずです。診断というのは、やはり疾病という概念がその先に存在します。どのようなことがあって、将来どのようなことが起こり得る可能性があるから、どのようにしなければいけないかということが出てきます。そうした概念の先に診断という言葉が出てくるわけですが、その気付きのところまで導いていくのが検査薬なのかと思いますので、そこはしっかりと線を引いていくということが非常に重要なことではないかとは思います。そのような理解が大切で、「検査」という言葉が、どこまで物事を規定しているのか、議論していかなければならないところではないかと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 今の御意見をなぞるならば、資料1-1の2ページの2ポツの(1)、今日御意見いただきたいこととして書いてある部分にも記しておりますが、今現在の一般原則の中で示されている表現が、(1)マル1に書いてあるような、「正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資する」という意味合いのものとして、一般原則の中では表現されております。
 今、宮川委員がおっしゃったような気付きのところまでかどうかという、正に診断ではないはずですが、その辺りのこの表現が、今もってしても適切かどうかということについても御確認いただきたいと思う次第です。
○荒井部会長 宮川委員、この書き方、文章については、先生はどういう御理解をしておられますか。
○宮川委員 今、部会長がおっしゃったように、書き方は非常に難しいのです。私も外来を持っておりますのでそういう言い回しは余り好きではないのですが、リテラシーという言葉をよく使います。それをただ「理解」ということだけで表現される方が多くいらっしゃいます。本来からすると、正しく理解して活用できる能力というのがリテラシーなのです。リテラシーというのは、プロフェッショナルの中に存在しているということで、そこはプロでなければとならないということです。いろいろなことを何年もかけて勉強して、例えば大学であれば卒後にも勉強するという形で、常に研修して新しい情報が入って、そこで最終的に活用できる能力として、いろいろな判断ができているのです。その判断をどこまでどのように簡便にするということで、それがどこまで許されるのかということだと思います。
 例えば、プロの方がF1であればスピードを200キロ300キロ出ても大丈夫ですが、一般の方はそうでは駄目です。高速道路で制限速度が定められておりますが、そこで暴走する方もおりますし、ルールを守らない方もおります。それはごく少数だから問題ない、大多数の人がこうなのだといって許されるのかどうかといったら、そこには当然の規則が存在するというところをしっかりと踏まえていかないといけません。
 ただただ言葉の字面のことだけで、正しく用いてというのは、どうやって正しく用いるのかということです。健康状態を把握するというのは、誰がどのように把握するのか、どこまで把握するのかです。速やかな受診といっても、速やかというのがどのぐらいの時間的な経過なのか。数時間なのか、1日なのか、1か月なのか。大きな病気の中には2週間でも速やかというかもしれないけども、いろいろな感染症であれば本当に1時間から、心疾患であれば数分を争うこともあります。
 そういうようなことで、「疾病の早期発見に資する」と書いてありますが、どのような疾病なのかということで、全てが変わっていきます。全部ここに制限が掛かっている言葉がずっと並んでいるわけです。それを積み重ねていくとどうなのか。その制限をどのようにきちんと私たちが理解し、その言葉をきちんと活用できるのか、ということが非常に重要なのでしょう。言葉を並べれば並べるだけ、より不明確になっていくという典型的な例です。
 つまり、99.9×99.9、その掛け算を繰り返し行えば、おのずと精度は下がっていくわけです。それと同じような言葉がここに並んでいるなと私は思っています。一つ一つの言葉は非常にありきたりの言葉で、誰もが理解できる言葉ですが、それを並べていくと、より不明確な言葉になっていく典型例がこのような言葉だろうと私は思っております。
○荒井部会長 今、宮川委員から御指摘があったように、この文書は普通にすらっと読めば、上っ面だけでいってしまう話ですが、実はこの辺になってきますと、対象がヘテロな集団というか、そういうことをパッと読んで分かってくださる方もおられれば、そうではない方も国民の中には少なくない頻度でおられるわけです。そういった中で、きちんと示して、もちろんそれが長文になってしまったり、全てのリミテーションを書き連ねるわけにはいきませんが、そういった現実的な背景も踏まえた上で、どのぐらいの文章にまとめたらよいかという話です。今、宮川委員から御指摘を頂いたような懸念、これは常につきまとうと思います。
 今日この部会では、「こういうふうに考えてよいでしょうか」ということについて、具体的には、原則としての考え方が一般用検査薬の項で挙げられています。健康状態を把握して受診につなげる、早期発見に資するものということで挙げられているわけですが、今の御指摘の点も踏まえて、委員の方々から何か、もう少しここはこう書いたほうがいいのではないかとか、あるいは文言を追加すべきではないかなど、具体的な御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがですか。
○医療機器審査管理課長 御意見を頂く前に、もう1点だけ資料の見方という意味で補足させていただきます。今お話いただいた点は、恐らく同じ2ページの(3)マル1「使用するにあたり、製品の特性及び検査結果に関する理解を醸成するための方策」、この辺りの「製品の特性」ということが、個別に見たときにどの程度のレベルが妥当かという、先ほどの議論につながってくると思います。これは、後ほど(3)で、個別品目ごとに応じて、正しい使い方がどの程度なのか、あるいは健康状態の把握というのはどのレベルかとか、そういったものが個々に変わってくるのではないかと思いますので、(3)のマル1の辺りと連動する話かと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。御意見はいかがですか。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。私もこの議論を当初からいろいろ聞いていて、現状を見て懸念することもたくさんあります。ただ、現在国が進めている健康寿命の延伸、セルフケア、そういう意識は高めていくべきではあろうとは思います。ということは、やはりそれなりにそういうことを自分で意識して検査をして、健康状態を確認したいというものは必要だとは思うのですが、技術の開発というのはどんどん進んでいくので、私たちが考えるのはとにかく適正で安全にできること、それを目指していただかないといけないのかなと思います。
 私たち薬局としては、高度管理医療機器の販売業の許可を取っている薬局であれば、SMBG関連機器や器具とかの取扱いもしておりますので、その辺の扱いについては毎年研修を受けながらやっているという現状があります。そういう面では、国民のニーズに対しての協力ができるのかなと思うのですが、宮川先生がおっしゃったみたいに、目的、何のために検査をするのか、それが必要な検査なのか、その結果に対してどういうアドバイス、支援ができるか。そして、必要によってはきちんと受診勧奨につなげられるか。そういう形ができていないと、健康食品の今の販売の仕方を見てみると、健康という名に乗ってとにかく販売する側のアピールがすごいのです。スマホとか見ていても、ちょっと見ただけで同じような広告がずっと入ってきます。こういう姿になってしまうのは、私たちが望むべき姿ではないと思います。
 ですので、管理がきちんとできて、地域連携ができて、地域のお医者さんの誰に照会すればいいかとか、そういう相談ができる体制をこれからも整備していきながら、適正に安全に提供する、そして国民が自分の意思で健康に関する意識を高めていく、そのような方策が大事かなと考えております。
○荒井部会長 ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。この部会で私どもが先生方を含めて「この辺を落とし所ということにしましょう」としたところで、本当にそれが一般の国民が理解できる表現なのかは吟味が必要そうです。検査薬その他のものが、入手でき使うことができるとなったときに、それが一体何なのかについて、教育というよりも啓蒙といった方が適切かもしれませんが、その辺の情報提供、要するに正しく使ってもらうために外堀を埋めていくような作業、情報提供が並行して行われないとまずそうです。ポンと新たに承認されて、説明はここに書いてあるでは、いかにもよろしくない。
 ただ、一方で、理解する人によって内容の理解や対応が大きく違いますよね。先ほど御指摘を頂いたように、実際には異常値が出ても受診も何もしないこともあるでしょうし、一人で心配してしまうこともあると思います。この辺の外堀を埋める作業について、行政側としてのアクションはいかがなのでしょうか。
○医療機器審査管理課長 関野でございます。この辺りはちょっと先ほども触れたのですけれども、(3)のマル1、マル2とかなり連動してくると思っていまして、一律にこうやれば教育だとか啓発につながるというのが難しくて、選ばれるかどうか分からないのですが、具体にこういった検査項目であればここまでの水準がとか、こういうやり方がとかという点が結構変わってくるのではないかと思っていますので、今のところこの辺りは全く、我々としては必要性という意味では情報提供とか理解を醸成することが必要というのは訴えてきていますが、その具体的な方策については正にまだこれからということでございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。今日は、最後にしゃんしゃんで議決しますというテーマではありませんから、言い放しといっては言葉が悪いのですが、いろいろと御議論を頂いて、今後の検討の参考にするという形で進めていきたいと思います。この(1)については、ほかに御意見いかがでしょうか。Webの先生方も、御意見がありましたら挙手していただければと思います。
○医療機器審査管理課長 マル2なのですが、先ほどの資料1-6で表になっていることに関して、個別にちょっと眺めていただいての感想や気付き、思うところがあれば頂いていたほうがいいかなと思っております。もちろん、後ほど全体が終わって戻ってからでも構わないのですが、その辺はお願いしたいと思っております。
○荒井部会長 寄り道というか追加です。資料1-6は臨床をやっていらっしゃる先生方が御覧になるので、ちょっと不思議な、最近余り目にしたことがないような項目が幾つか挙がっているように思いますが、個別に最近はもう使っていないよとか、そういった指摘でもいいのですよね。
○医療機器審査管理課長 はい、正に気付いたことで。
○荒井部会長 いかがでしょうか。一色先生、どうぞ。
○一色部会長代理 先ほどのこの資料を見ると、この体外診断薬が認められたのが平成26年ですから、約10年たっているのですね。10年たつと、いろいろな指標が新たに加わってはいるし、逆に使われなくなっているものもたくさんあって、例えばという言い方をすれば、私は心臓なので、心臓の領域だとミオグロビンというのが最初に出てくるのですが、ちょっともうほとんどこれは実質的には使っていない検査項目ですし、それを一般的に当てはめるという目的の中でこの表から選ぶという話になってくると、やはりそういう臨床的意義が広く認識されるようなものでないといけないかなと思うので、この中から選べと言われるとなかなか難しいところがあるなというのが率直な感想です。もう10年もたっているので、体外診断薬の表を見直すことも一つの方向性があるのかなと感じておりました。
○荒井部会長 ありがとうございます。これは多分、臨床系の方、宮川委員なんかも幾つかお気付きの点があるかと思いますけれども。
○宮川委員 ありがとうございます。今、一色部会長代理がおっしゃったように、一つ一つのことを検証していって、これは何が当てはまるのか、これはもうほとんど使われないのか、特殊なときに使われるのかということをしっかり見ていくことが必要だと考えます。それから血液というものは、即感染につながってしまうこともあります。検体を採取した方が感染症にかかっていて、その検体そのものが感染性を有するか有しないかということは非常に重要になるわけです。それは誰もが事前には分からないわけで、それに触れてしまったことによって感染症になるという場合があるわけです。
 そうすると、知識を持っていない人であれば、安易に触れることもあると感染という形になってしまう。唾液であっても同じことかもしれない。ですから、それがどのような時期に使われるものなのか、例えば1日放っておけば感染性がなくなるという形もあるかもしれないわけで、その検体というものがどのような性質を持っているのかということを知らなければならないのです。感染性を有するのかどうかによって、ほかの人を傷付けてしまうということがあります。その可能性を知らない検査をする人間、それを補助する人間、それも正しい知識がなければ自分も感染してしまうわけです。そういうものがあるのかどうかということは、私たちがきちんと把握していなければなりません。
 医療者というのはすべからく、それを守るためにやっているので、いろいろな病院でクラスターとかが起こるけれども、知識をもって検査をやっている人にはほとんど起きないという状況なわけです。その検体を扱っている人たちというのは、すごく怖いことを知っているからです。それがリテラシーとして知識として、その人が救われるリテラシーを持っているという形なのです。ですから、個々のそういう項目と個々の検体というものは、どのように扱われるかということも同時に語られなければいけないはずです。項目というのはこれから一つ一つ丁寧に吟味しなければならないだろうと私も思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。今回のこの議論でもう1回これを見直しなさいということではありませんが、私もこの体外診断薬の部会長をずっとやらせていただいていますが、この一覧を見て意外と数が少ないなと思ったのが正直なところです。ただ、御指摘のように、今はもう使われていない、ほとんどやられていない、概念が変わったなどといったものもありますので、少なくとも今回の議論に概当するものは素通りせずにチェックしていただく。医学的な意義がどうなっているのか、実際にどういう使われ方をしていて、どういう概念が変わっているのかなどを必ずチェックをするということで進めていただきたいと思います。殊更に委員の方々からこの項目はどうということを全部挙げていただく必要はないと思いますが、全体の進め方としてはそういう理解でよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 部会長のおっしゃるとおりで、本日はいろいろ気付いた点を、我々の今後の参考というか、仕事に役立てるために御意見を頂くということだと思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。直接ものを言えるこの場は貴重ですので、何かここで言っておきたいこと、あるいは、全く変わっているといったものがあれば。久保庭委員、どうぞ。
○久保庭委員 大阪大歯学部の久保庭と申します。こちらを拝見しましたが、歯科の領域で唾液や歯垢を検体とした検査というものもあります。そういう項目が取り扱われていないというか、このリストにないというのも非常に気になりました。特に歯垢に関しては糞便と似たような扱いになるのか、その辺り、今後も恐らく歯周病の検査に用いるというようなことも出てきますので、同じ表の上で御検討いただければと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 関野です。御意見ありがとうございます。先ほど部会長からも、この表に挙がっている品目というか検査項目数が意外に少ないというお話があったと思いますが、その事情をちょっと説明させていただきますと、今の歯垢もそうなのですけれども、一般用の検査薬として認められている範囲というのが、この資料1-6の冒頭に書いてあります一般原則、これは平成26年に出されていますが、この範囲内でこの資料を構成しています。
 ですので、特に検体の方を中心に、侵襲性がないとしていいとされている尿・糞便・鼻汁・唾液・涙液という、ここに明示されているものをまず並べまして、それに関係する医科向けの臨床検査に用いている体外診断用医薬品として、測定している検査項目を紐付けているということなので、尿とか糞便とか鼻汁が磁石の代わりになって、そこから吸い付いてきたものがこの表になっているということになります。ですので、今申し上げていますようなもの以外の検体で測定するようなものは、実はこの表には出てきていないということです。そういう意味で、歯垢はここから除かれているという事情があります。
 あと、現在認められていない方は3ページ以降の表で血液とかが含まれていますので、これを見ただけでも、血液で取るものは検査項目としては多いはずだけれども、これを見ても意外と少ないという捉え方もあるのだろうと思います。こちらはそういった資料の作りになっているということで、歯垢については御理解いただければと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。小西先生、どうぞ。
○小西委員 一言お願いします。一覧表についてさっき少し言及されましたけれども、産婦人科領域の黄体形成ホルモンというのが入っているのですけれども、これは一応認められているということでよろしいのですよね。
○事務局 はい、そのとおりでございます。
○小西委員 その黄体形成ホルモンは、不妊治療されている方が今日排卵日かどうかというのを特定するための検査でありまして、非常に便利なので一般検査薬としてとても便利に使われているわけで、このままでいいと思うのですけれども、必ずしも疾病の早期発見につながるわけではないので、今後そういったことで非常に便利なものがどんどん入ってきて、必ずしも疾病の早期診断、早期発見につながるというものだけではないものがいっぱい入ってくるのではないかと思うのです。
 ですから、具体的に便利だからこれにしようじゃないかというものが入ってきたときに、柔軟に定義を変えられるようにしておいたほうがよろしいのではないかと思います。今、黄体形成ホルモンが入っているだけでも、この定義には入らないわけで、その点はどういうふうに考えておられるかということと、今後余り縛られないということが大事だとも思っています。以上です。
○荒井部会長 小西先生、ありがとうございます。ここは関野課長からお答えいただいたほうがいいかと思います。いかがですか。
○医療機器審査管理課長 関野でございます。御意見ありがとうございます。この黄体形成ホルモンについては、実は一般原則が平成26年にできた後の平成28年に一般用検査薬として議論を経て認められたものになるわけですが、確かに先ほど少し意見を頂いている定義というほどではないのですが、一般検査薬とはといったところの書きぶりとなじむかどうかと言われれば、受診につながるという意味では関係はするのですけれども、この辺の難しさが、恐らく個別に見ていかないといけないのだろうということになってくるのだろうと思っています。
 そういう意味では、総論的な一般用検査薬とはということでの話がきちんと整理できた上での個別の問題なのかと言われれば、むしろ今、小西先生から頂いたように、個別にこういったものがもしかしたらふさわしいのではないかということを発端にして、それに応じてそれが読めるような定義として妥当かどうかということの、両サイドからの意見を勘案しながらこの問題というのは考えていくべきものではないかと思った次第です。
○荒井部会長 ありがとうございます。課長からかなり柔軟な御返事を頂きました。実際に「こういう文言」と決めてしまうと、お役所仕事という表現は適切ではないかもしれませんが、得てして「それは該当しない」と門前払いされてしまう可能性があります。小西先生が御指摘のように、先ほどの「正しく用いて健康状態」うんぬんから「早期発見に資する」という文言だけになると外れるものが確かに出てきそうです。あるいは、これから出てくる可能性もありますので、その辺に関して柔軟に対応できるようにしたいわけですが、広げすぎると今度は冒頭で宮川先生から御指摘があったような、何がなんだか分からない、リミテーションがどこも掛かっていないではないかというような話になってしまうところもあります。とても難しいですが、大変貴重な御意見を頂いたと思います。
 ただし、このまま「きっちり枠を決めてしまって後は駄目」という話にはしたくないということが、この部会の意見として出たということで、まとめさせていただきたいと思います。永井先生、どうぞ。
○永井委員 今まで出た先生方の意見とほぼ同じなのでごく簡単に申しますと、例えば尿検体のように臨床的意味が余りないのではないかというものが、幾つか入っているように思いまして、先ほど来出ています「正しく用いて」うんぬんという文言と、やはり齟齬があるのではないかと私も感じました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。河野委員、どうぞ。
○河野委員 私は会議もまだ経験が少ないのですけれども、この最初の総論的なものがそもそもの根拠になるというお話を伺っていて、ここの一般用検査薬というものが、一般の人の速やかな受診につなげるという、こちら側の医療にどんどん引っ張ってくるということが目的と書いてあることに非常に違和感がありまして、これは必要がないという、自分で受診しなくていいということは助けないというふうに読めてしまうような気がします。ですので、受診の要否の補助につながるとか、そんな形で、ここの一般用検査薬を使うことが医療サイドへの速やかな受診につなげるという、誘導するように読めてしまうので、ここの書き方は今、部会長がおっしゃったように非常に大事な文言であるならば、受診誘導に結び付けているものではないと読めるような記載の方が適切ではないかと感じました。
 それから、宮川委員がおっしゃった診断というのは非常にいろいろな総合的判断が必要で、診断という言葉が使えないというのは非常によく理解できまして、だから診断という言葉が使えないので、これも「健康状態を把握し」というのが何を意味しているのか言葉が難しいので、補助とかそういう言葉で濁すとか、判断の要否の材料となるとか、何となくこれだけを読むと、いろいろな人に使わせて診療誘導するために一般の人にばらまくのだみたいに見えてしまうので、そう取られない記載が重要ではないかと感じました。以上です。
○荒井部会長 河野先生、ありがとうございました。かなり微妙なところですよね。要するに、この検査を自分でやって異常がないから病院に行く必要がないのだという判断をされてしまうことを、実は宮川委員が一番懸念しておられると思いますし、余り露骨に誘導するのもまずいのではないだろうかという御意見もあるわけです。いかがでしょう。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。検査項目の中でも、一般の方々が気になる項目というのは生活習慣に関わるような検査項目がいいのかなという気がします。やはり自分で検査してみた結果で、受診すべきときにはちゃんと受診勧奨を我々の方でサポートするのですが、これは数値がまた上がってきた、この辺は注意しなければいけないなというような気付きをこの検査で得られればいいのであれば、最初は生活習慣に関わるような検査項目から始めていって、精度が求められたり、重篤な疾患等の診断についてはそういう状況が備わっていないと無理かなという気がします。
○荒井部会長 ありがとうございます。Webの方から小西委員も手を挙げていましたでしょうか。
○小西委員 ありがとうございます。もうかなり時間が掛かっているので一言だけなのですけれども、セルフメディケアの時代になりますと様々な検査が出てくると思うのです。しかし、できるだけこの部会で広く見ておくのも大事なので、必ずしも早期発見につながらないような様々な、一般的なQOLの向上とか健康の増進とか、そういったものに関わるような検査もこれから広く入ってくるのではないかと思いまして、余り狭い定義にしておかないほうが方向性としてはいいのではないかと思っています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。では、一色委員どうぞ。
○一色部会長代理 ちょっと視点が変わるのですが、医療制度が違うので一概に言うのは難しいと思うのですけれども、米国等ではかなり多くの項目が認可されていると聞いております。米国での定義はどういう表現になっているか、もし御存じでしたら教えていただきたいのですが。
○医療機器審査管理課長 関野です。今、直ちにはお答えできるほど正確な情報を持っておりません。申し訳ございません。
○荒井部会長 ここについては、宮川委員が発言の機会を待っていらっしゃると思いますが、要はアメリカと比べた場合、医療制度が全然違うものですから、全く変わってきますね。
○宮川委員 部会長がおっしゃったように、アクセスの問題があると思います。私も健康相談をずっとメールで受け取っていたのですが、アメリカの医療制度をすごく褒める人がたくさんいるのですが、アリゾナとかテキサスだと、医療にかかるのに1時間50分とか2時間近く掛かったりします。それも、きちっとした所にはなかなか行けない状況や、そこで門前払いされて、結局診てもらえないというような所がたくさんあるわけです。メキシコなんかは、本当に半日がかりで行くということで、こちらがどきどきしながら相談に乗っていくというのを私は随分と経験しました。
 つまり、国によってかなり医療状況が違う、制度だけではなくて状況も違うのです。だから、海外のことはどうなっているのかといっても、海外の一部の話で、表面上のことを持ってきてしまうと大変なことになります。もちろん日本でも離島とか僻地とかがありますから、そこはオンラインも含めて適切に是認すべきだろうと考えます。
 ですから、医療の状況というのがどうなのか、諸外国例として、米国、英国、ドイツ、フランスと、ただ言葉を並べても仕方がないのです。日本の中でどのような形を作り上げていくのかということであって、それはあくまでも認識として持っているのが大事です。日本においてどのように構築していくのかは、私たちが責任を持って考えていくことが必要だろうと思います。日本の中でのいろいろな会議の中で、諸外国のことをとうとうと述べられる方がいらっしゃるのですが、日本の中でどのように語るべきかをしっかりと論議していくことが重要だろうと思っています。
○荒井部会長 ありがとうございます。事務局、先ほど一色委員から質問いたただいた中身は回答できますか。
○事務局 米国では、疾病の診断以外にも健康状態を把握するものもIVDとして承認されています。海外の状況ですが、資料1-5の日本OTC医薬品協会と日本臨床検査薬協会の資料の7ページに一般用検査薬に関する各国の制度比較が示されています。米国では約73項目が一般用検査薬として認められており、OTC-IVDでは血液検体も使用されています。
○荒井部会長 ありがとうございます。結構、詳しく書いてありますね。
○一色部会長代理 私の質問の意図は定義としてどう表現されているかが知りたかったのですが。
○荒井部会長 表現ですか。
○一色部会長代理 一体、何が許可されているかの話とか。今日は表現の話だったと思い確認させていただきました。
○荒井部会長 定義については余り書いてない、分からないですかね。すぐ答えられないのですね。では、北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。私は先ほどの御意見に賛成だと思ったので発言させていただきます。資料1に「健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資する」と書いてあるのですが、これだと、速やかに受診をして病気を見付けてもらうのが前提のように受け止められ、言葉は悪いかもしれませんが、どんどん病気が診断されてしまう、病人にされてしまう、そのような印象を受けましたので、この部分には違和感がありました。
 それともう一つ、侵襲性について、現在は、採血をすることは侵襲があると考えられていて、それは適当ではないという整理がされていると理解したのですが、この侵襲性自体、技術の発展や時代によっても変わっていく可能性もあるのではないかと思います。この点についても、最新の技術ではどの程度侵襲性なく患者の検体を取ることができるのかも併せて議論いただきたいと思っています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。森田先生、お願いいたします。
○森田委員 日本医大の森田です。脳神経外科医でして、私はアメリカでも臨床をやっていました。先ほど、医療制度が違うという話が出ていましたが、確かにそのとおりで、一番の問題は米国ではものすごく医療が高額なことなのです。検査するのでも、ものすごくお金を取られるわけです。アクセスのよい都市内でも非常に高いので、それで医療を受けないこともあります。日本みたいに、こういうふうに医療が安くて、病院がたくさんあって、どこでも採血してもらえるような施設があるのであれば、わざわざ自分で、若しくは薬局で採血して、アメリカのように70項目も認める必要はないし、何でこのような議論が出てきたのかよく分からない面もあります。必要最低限のもので広くと言われた方もいらっしゃいましたが、日本の医療体制はちゃんとした医者がいて、ドックも発達していますし、日本のドックのシステムは世界的にもすごく認められているので、こういうもので日本人の健康が上がるのかという疑問があります。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。どちらかというと意見が二つあるような、分かれているわけではないのですが、皆さん考えてらっしゃることは近いのですが、文言に落とし込もうとすると、結構認識が変わってきてしまう。やはり、先ほど御意見を頂いたような、今、北澤委員からもお話がありましたが、「疾病の早期発見」というのは、要するにどちらかというと医療に引き込むことが前面に出てしまうと、当然今のような御意見もあるわけで、本当に悩ましいところです。すみません、関野課長どうぞ。
○医療機器審査管理課長 様々な御意見をありがとうございます。まとめるつもりはないのですが、ここの辺りで一言申し上げておきますと、それぞれ御意見を頂いた内容は総論的な部分も含めて、やはり我々がこれから考えていく上での一つの検討対象となるテーマだと思っています。
 侵襲性についての御意見も、資料1-1のメインの資料の3ページに、参考として、御意見を頂きたいことに続けて、これまでこの部会で御議論いただいた内容をまとめた内容として、侵襲性についても様々な課題があるということで、具体的にボックスの形で書いて下線も引いてポイントが分かるようにしているページがあります。ある程度この辺りの課題について、科学の水準とかに照らしてどうやって克服していくかということについて、かなりの課題は既に抽出されていると思っていますので、これらについてどういう対処の仕方があるかを、今後具体的に、場合によっては産業界とも相談して、こういうやり方があるけどこれならどうかということもお示ししながら、更に議論を進めていくことが必要になってくるのではないかと思っています。
 そして、そもそもの定義めいた部分についても、本日頂いた意見というのは、それぞれのお立場を含めての御意見ということで我々も尊重したいと思いますので、そういった中で、先ほども少し触れましたが、それぞれがそういう考えの下で、では具体的にどういうものだったらというところが少しでも見えてくれば、それと並行して両サイドからの議論としてふさわしい言い方、定義みたいなものも、もう少し全体をカバーできるものとして書き上げていけるのではないかと思っています。本日はなかなか難しいと思っていますが、もう少し個別に、こういう検査項目だったらとか、こういう検体の採り方だったらとかいうお話を深めていくための一つのきっかけに今日はさせていただければと思った次第です。一応、事務局はそう思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 関野さん、ありがとうございます。一般検査薬への転用の必要性はそもそもあるのかという話です。アクセスが悪い所ならともかく、これだけいろいろな設備が個々の医療機関にそろっているのですから、そこに行って検査をすればよいことです。それなのに、自分の家で不確かなやり方をして、それでいいのですかということになります。
 ですから、転用というものがそもそも日本において必要なのかどうかということを議論しなければいけないのです。医療機関や薬局で相談することで済んでしまうのだったら、そもそも要らない概念です。それをなぜ規制改革という言葉で推し進めるのか、私は理解できないのです。しっかりとした規制の中で、私たちが安心して安全でやっているのであれば、それでいいのではないのかと思うのです。それは諸外国とも違うし、日本の医療の体制の中でしっかりと考えていくべきことではないかと思います。そういうことで、一般検査薬の転用そのものの必要性がどうなのかが問われているのだと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今の宮川委員の御意見については、恐らくどなたも反対されない、皆さん同じ認識をお持ちだと思います。ただ、全部まとめて十把一絡げに要らないという話ではなくて、離島の話もありましたし、それぞれの項目によって手軽にというか、医療機関に行かなくても測定できる、かなり意義があるものに関しては生かしていかなくてはいけないと。だから、そこの大元に立ち戻っての議論は、常に認識して進めなければいけないと、そういう貴重な御意見として伺っておきたいと思います。
 先ほど関野課長からお話がありましたが、一応検討いただくという御意見を頂きましたので、部会長としては先に進めなくてはいけません。先ほど出ました、次の(2)の血液検体の侵襲性のところについては、これらの課題の対応として具体的にどのようなことが考えられるかという、これは具体的に何をお答えすればいいのですか。
○医療機器審査管理課長 関野です。いくつか御意見は既に頂いていると思います。先ほどの同じ資料の3ページに、検査項目に関する、特に侵襲性に絡んだところでの課題について、当時まとめていただいている部分を抜粋しております。中ほどに「現状の課題」とあって、「特に血液は」という所です。血液を取り扱うことのリスクや器具等の衛生管理、廃棄に至るまでの安全管理などの理解とか、適切な管理等を実施する必要性、止血困難等により対処が必要となることがあるとか、この辺りは当時、既に課題を抽出していただいていると思いますので、これらが確かにそのとおりだといったような御意見や、あるいはこれらを克服するにはどういったアプローチが必要かなど、そういったことで思うところがありましたらお願いできればと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。ですから、ここは先ほど御指摘のあった、「本当に必要か」も常に考えなければならないといった御意見はもちろんなのですが、血液検体に関してここに書いてある内容について、全体としては比較的妥当な内容かなと私自身は勝手に解釈したのですが、ここはいかがでしょう。ちょっとこれはおかしいというようなことがあればお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。それと、北澤委員から御指摘いただいたような、今後形が変わってくると、血液検体の採取の方法などに関しても状況が変わってくる可能性はあると思いますので、それはそのときの状況の変化によって対応を考えなくてはいけませんが、この項目に関して何か御意見はありますか。
 それでは、冒頭に申しましたように、後戻りはありということで進めさせていただきます。(3)の使用者の行動について、御意見を伺いたいと思います。ここでは、二つのことを今日の議題として欲しいということで、既に資料になっています。「理解を醸成するための方策として、具体的にどのようなことが考えられるか」、これも冒頭に議論が出ましたが、その具体的な方法です。また、マル2は医療機関へつなげる方法ですが、ちょっとこちらに引っ張り過ぎではないかという御意見もあるかと思います。この辺について具体的な例でもよいとのことですので、「こんなことを考えておかなくてはまずいのではないか」などといった御意見があれば伺いたいと思います。どうぞ。
○福山委員 国民生活センターの福山です。やはり、一般消費者が使うとなりますと、消費者心理としては、こういったものはいずれにしても、医療につなげるというよりは、多分安心をするために使うということが多いので、使って陰性だったからこれはもう検査に行かなくてもいいとか、出てもこれぐらいだったら診察に行かなくていいと取ってしまうということが多分起きると思います。資料の方には、検査結果を医療機関の受診につながる方策として書いてありますけれども、なかなかそのような方向にはつながらないのではないかというような懸念を私は持っております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。「数値が正常値に近い」とか、「ちょっと超えているくらいだからまあいいか」ということになってしまうリスクもあるでしょうから、今の御意見もごもっともだと思います。そのほか御意見いかがでしょうか。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。使用者の方々が検査をする目的、意図をしっかり確認した上で、その検査結果に基づいてきちんとアドバイスをすることは必要だと思います。ですので、売っておしまいというやり方になってしまいますと、先ほどおっしゃったみたいに購入者自身の判断のみで使用されるおそれがあるので、そこに対してのアドバイスという形の関わり方を何らか残しておいたほうがいいと思いますし、販売する場合にもチェックシートなどを用いて、購入希望者への販売の可否を確認するといった方策も必要かと思います。
 あとは、検体など、先ほどの血液の話に戻りますが、感染とかのおそれがあるものについては、しっかり回収し、適正な廃棄ができるような体制を整えたところでやるというようなことも重要かと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。具体的な御意見を頂きました。外堀を埋めるということですが、こういう検査をしない人もいっぱいいるわけですので、みんながみんなにやることはないですが、少なくとも個別にある程度きちんと情報を提供できるシステムを作らないと、「よかれと思ってやったのに、結果的には凶器になってしまう」などという可能性もあるものですから、今の御意見は大変貴重な具体的な御意見かと思います。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 部会長が一番最初にお話になったようなことなのですが、一般検査薬というのが、どこまでの精度と特異性を持ったものが認められるかということが問題なのです。つまりプロフェッショナルであれば、病態を直接見てお話も聞いて、この検査をして、こういうふうに判断をしていくという道筋が立てることが出来ます。そういうことなしに、自己判断も含めて用いることは問題です。一般検査薬であれば精度も特異性もなくても大体が分かればいいじゃないかというのはとんでもない話です。安全安心の使い方をするのであれば、より精度と特異性を高めたものが一般検査薬になるべきです。現状は非常に曖昧で、認可に関しても非常に甘いです。それでは、国民に対して失礼な形になるのではないかと思います。一般検査薬に対して私たちはより厳しい目で、国民の方々を守るという意味であれば、福山委員のおっしゃったような仕方をしていかなければならないのではないかなと思っています。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員の方々、御意見いかがでしょうか。
○齋藤委員 国衛研の齋藤と申します。今の高松先生の御意見なのですが、例えば医療用医薬品を一般薬にするときは、1類にまず指定して対面で販売するとかいうことがありますが、この一般用検査薬についても同じような方策を取り得るのか御検討いただければと思います。
○荒井部会長 ここは何かそこの議論は進んでいるのですか。
○事務局 事務局です。黄体形成ホルモンの一般用医薬品は第1類医薬品に指定されて薬剤師が販売しますが、尿タンパク、尿糖、hCDは第2類医薬品として指定されて薬剤師又は登録販売者が販売できます。第1類医薬品にするのかは薬剤師が説明して販売する必要があるのかということになります。
○荒井部会長 よろしいですか。永井委員、手を挙げていただいていると思います。永井委員、御意見いかがでしょうか。
○永井委員 それぞれの項目が、宮川委員がおっしゃったような感度や特異度の問題もそうなのですが、そもそも何のための検査かはっきりしないものが入っているように思うのです。例えば尿中のマグネシウム、カリウムとか、pH、食塩とか。これらを測ることで何がどこまで分かるのかが分かるサイト、国が認めているのだったらどこかで一元的に分かるサイト、検査の限界と意味合いなどの情報のサイトがあるといいように思いました。逆にメーカー任せにしてしまうと、過剰診断あるいは過剰誘導みたいなことにもなりかねないように思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。消費者が購入できるものという前提で考えますと、今まで先生方が言われたように、いろいろな情報が提供されないといけないと思います。その一方で、昨今の健康食品の広告を見ていると、何か将来起こるかもしれないリスクを煽って消費者にいろいろ買わせたいという、そういう広告が散見されます。検査薬に関しても、何かちょっとでも値が高いと、「これは何々かもしれない」などと、一般の方の不安を余計に煽ることにつながらないかが非常に心配です。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。議論が煮詰まったというよりは、傾向が結構はっきりしてきたように私は感じて伺っておりました。まず大前提として、本当に日本のこの医療環境の中で、それが必要かどうかということを吟味しなくてはいけない。それから、実際に診断薬あるいは検査薬としての価値、精度と申しますか、そこのところです。そして、実際に一般の方々がそれを購入したときに、正しく使い、正しく判断できるようにするためのきちっとした情報提供が大前提。さらにそれがどういう結果につながるとかいうところまで、ある程度きちんと予測を立てられるべきであり、余りに安直にいろいろなものを一般の方々が手に入れることができる環境は好ましくない。このようなところが、この部会の委員の先生方の意見としては多いのではないかと思います。私はここで無理に部会の意見としてまとめるつもりはありませんが、そのような御意見が多かったと理解いたしましたが、よろしいでしょうか。森田先生、どうぞ。
○森田委員 さっきの話とちょっと違うのですが、今、技術がすごく進んでいますよね。例えば糖尿病ですごく血糖の不安定な糖尿病の人などは、血液1滴で血糖が分かりますし、将来的には多分血液1滴でいろいろなことが分かるのだと思います。例えば、キャンサーのマーカーも分かるというようなことになる可能性もある。そういうときは多分採血までは必要ないし、本当に針でピッと刺して、血液1滴を垂らすだけで全部診断できるという段階になれば、こういうことはすごく意義があるのかなと思うのですが、採血をしっかりと取ってというのは、今の時点では余り好ましくないのではないかなと思うのです。多分ものすごく進歩しますよね、そのうち。それこそ、病気診断までできるような時代になってしまうかもしれない。どこかに持っていってこれを出せば、1滴出せばできるというような時代になるかもしれない。そうなると全く話は別になってくるので、そういうところまでこれはお預けしたほうがいいのではないかという気もするのです。すみません、以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。血液に関しては侵襲性の点から既に現時点でもある程度門戸は狭められているという認識ですが、今、御指摘いただいたように、将来的には逆にテクニカルな面でそこにゆとりが出てくる可能性があるということですね。ありがとうございます。
 さて、2番目の議論についてもいろいろ御意見を頂きました。私は先ほどネガティブとは言わないまでも、比較的制限を付ける方向の御意見をたくさん頂きましたというようにまとめさせていただきましたが、今日の部会における議論としてはこんなところでよろしいでしょうか。小西先生、御意見をどうぞ。
○小西委員 申し訳ありません。一言だけ付け加えますと、保険診療で行う、何て言いましょうか、健康保険の財政的なこともあって、できるだけ自分でセルフメディケアしてくれよという流れもあると思うのです。そういう流れの中で、外堀の議論になりましたが、国民1人1人がきちんと正しい健康情報を得て、自分でできることは自分でしてくれと、そういう流れに沿ったものではないかと思います。ある程度、1人1人がきちんと判断できるようなことを前提にしながら、できるだけたくさん広く認めていくという方向ではないかなと私は思っております。認めていって、そしてこの部会がきちんと管理していくよということも必要なので、そういう流れの中で、先ほど先生が言われましたように、非常に大きく変わってくる、たくさんのものができるようになるという時代を迎えようとしておりますので、私は今の医療精度でちゃんとやっているからいいというのとちょっと違う流れになってこようとしているのではないかなということを言っておきたいなと思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今の小西委員の御意見も踏まえてお願いします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。多くの御意見を頂いて、本日はよかったと思っております。意見の方向性としては何通りかあったかと思うのですが、我々としては、今日の御意見を踏まえ、あるいは参考にさせていただいて、今後このテーマについて引き続き議論を続けていかなければいけないと思っていますので、その際どのような御提案ができるのかとか、何ができるのかといったことについて、少し今日の御意見を踏まえての具体化のようなことができればいいなと思っています。ただ、そのタイミング等も含め、我々一旦今日の意見をまた改めておさらいさせていただいて、今後考えていきたいと思っています。ありがとうございました。
○荒井部会長 ありがとうございました。関野課長がソフトにですが、大変な宿題を負ってしまったのかなと正直少し心配しておりますが、ありがとうございます。
 それでは、議題2に進ませていただきます。よろしいでしょうか。
○医療機器審査管理課長 ここからは、公開、非公開の扱いが変わりますので、傍聴の方におかれましては御退室いただきたいと思います。その上で、準備が整い次第、議題2に入りたいと思います。しばらくお待ちいただければと思います。
 非公開案件を取り扱う準備が整いましたので、再開したいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、議題2「新型コロナウイルス感染症に係る体外診断用医薬品の承認条件への対応状況について」です。説明をお願いします。
○事務局 事務局から説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。令和2年にSARS-CoV-2を検出するための体外診断医薬品を承認してから、核酸増幅法、抗原定量検査法、抗原定性検査を合わせて、本年3月末までに46社、87品目が製造販売承認を取得しています。
 表には、核酸増幅法、抗原検査法の定量と定性の製品区分ごとに、承認を取得した会社数、承認品目数、承認条件を付与した品目数を承認条件ごとに記載しております。
 これらの承認に当たっては、製造販売後に製品性能を評価するための試験を行うよう、承認条件を付した製品があります。まず、限られた検体数の臨床性能評価に基づき承認し、市販後にデータ収集を行うこと。抗原検査については、臨床的ニーズに基づき「鼻腔」が検査対象として追加され、「鼻咽頭」での臨床性能は確認されているものの、疑似検体の評価に基づき追加された検体種については、市販後に引き続きデータ収集を行うこと。こういった承認条件が付されております。
 承認条件は、品目ごとに、申請時に提出された試験成績に応じて、承認時のデータが極めて限られるため、製販後に臨床性能を評価可能な適切な試験を実施すること、製販後に実保存条件での安定性試験を実施すること、この二つがあります。
 まず、令和4年3月末までに承認された87品目のうち、承認時に承認条件が付与された品目を対象に、3月18日時点での試験実施状況を各製販業者に照会し回答を得た後、当課にて個別に入手した情報に基づいて、表に整理しました。2ページを御覧ください。
 「(1)臨床性能に係る試験の実施状況」の表には、製品分類ごとに、承認条件が付与された品目、製造販売が終了した品目、臨床性能試験の承認条件の解除、終了、試験継続中、の状況を整理しております。なお、本日配付した資料の表中の数字については、事前に皆様にお送りした資料から一部訂正しております。すみませんでした。抗原簡易検査の試験継続中の19品目(13社)、これを19品目(14社)に修正しております。今、皆様のお手元にあるのは新しい数字でございます。
 臨床性能に関する試験の実施が求められている72品目のうち、機構に試験結果を提出し承認条件の解除に至った品目は13品目です。この13品目は、製造販売終了品目を除く70品目中の約19%でした。また、機構に試験結果を提出していないけれども、試験が終了した7品目があります。これを加えると20品目、約29%で承認条件解除のめどが立っております。残る50品目、約71%は、現在も試験継続中です。承認条件解除に至った13品目の試験成績は資料2-2に詳細が記載されております。これらは、速やかに添付文書などを通じて情報提供されることと考えております。また、承認取得後1年以上は経過している40品目のうち、11品目で承認条件が解除されております。製品分類ごとの内訳を表にしておりますが、試験終了5品目を加えると16品目となっております。
 続いて、「(2)安定性試験の実施状況」の表です。こちらも、先ほどと同じように状況を整理しております。この表も一部訂正させていたただきました。まず、抗原簡易検査の所です。1品目を数えるべきところを、誤って核酸増幅法の1品目としてカウントしておりました。核酸増幅法の承認条件が付与された38品目を37品目に訂正します。また、試験継続中24品目(20社)を、23品目(19社)に修正しております。また、抗原定性検査の承認条件が付与された37品目を38品目、25品目(16社)を26品目(17社)に修正しております。
 実保存条件下での安定性試験の実施が求められている82品目のうち、機構に試験結果を提出し承認条件解除に至った品目は28品目、全体の80品目中35%でした。残る52品目は試験継続中です。承認取得後1年以上は経過している44品目のうち、18品目で承認条件が解除されております。
 なお、承認時において、実保存条件よりも厳しい保存条件下での加速試験、製造業者が有する同一試験原理の類似品目の実保存条件での安定性試験結果をもって有効期間を設定して承認した品目については、承認条件に基づいて、実保存条件での安定性試験が得られた後に、機構においてデータを評価することで、承認時に記載した有効期間の適切性を確認し、承認条件を解除しております。
 「3.今後の方針」として、各社から回答を得た後に、承認条件に係る試験が実施中とされた品目に関する製造販売業者44社に対して、試験の速やかな完了を求めております。また、改めてこの部会での意見を踏まえて、文章で速やかな完了を求めたいと考えております。また、複数の製品を供給する製造販売業者21社に当たっては、製造及び供給の実態を聞き取るなど、それらの実態を踏まえつつ、承認条件に関する試験の実施状況を点検し、速やかな試験完了を求めたいと考えております。事務局からの説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。お聞きのとおりで、承認から1年以上たったもので、本来でしたら、もう終わっているような有効性、安全性の項目についての収集が、どちらも半分にもなっていないということですよね。それで今、それに対する指導というのか、対応をしていただいているという理解でよいのかと思っています。コロナという特殊な状況があったことは、これはもう明らかに大前提なのですが、この部会の委員としての御発言があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。あるいは、こういうちょっと厳しい状況について、何か課長から意見がありますか。
○医療機器審査管理課長 今回、いろいろな実態を改めて把握させていただいた結果、今、部会長がおっしゃられたように、特に臨床性能の方は、これだけの感染の状況で、検体数はさほど集めにくくはないはずということを考えた場合には、もう少し早く終わって然るべきという思いがありますのでしっかりと今後対応させていただきたいと思います。
 そうは言いながらも、承認時に何か特別なことをしているかと申し上げるならば、確かに評価対象となる検体数は限られてはいたのですが、相当程度の感度と特異度、こちらの方は確認させていただいているので、臨床上使うに当たっては許容できる範囲だということも、機構共々確認させていただいた上で世に出しているということも御理解いただければと思います。むしろ、承認条件を付けることによって、性能にせよ安定性にせよ、それを裏付けるための標準的な検体数、データを集めて、それの裏付けをしっかり取っておくという意味合いですが、これだけの時間を要していることに対しての問題意識は持っておりますので、しっかり対応させていただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。委員の方々から御意見は特にございませんでしょうか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 これは本当に由々しき問題で、然るべき対応を取ってくださいという形で要望を出すしか方法はないだろうと思います。
 それから、製品間のばらつきが非常に多いだけではなく、メーカー別でのばらつきが非常に多いということです。実際にいろいろなデータを調べてみたのですが、非常に各社間でのばらつきが多いことは明白です。さらにその適切でない製品がどのくらい出荷されているか、市場の中で使われているのかというのは全く分からないのです。
 陽性なのに安心してしまって出歩いてしまったことによって、いろいろな所で感染の状況を広げてしまうということもあるわけですから問題です。しっかりとした検証を行っていただいて、ある程度のレベルに達したものでなければ認可を取り消すなどのしっかりとした対応が必要ですので、その辺の情報を教えていただければと思います。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。ひとまず、今まで承認してきた80数品目に関しての性能のばらつきについては、添付文書上も、数字だけ見るとかなりの幅がある記載をしているものもあります。この背景ですが、一応我々としても懸念点でしたので確認をしましたが、現在流通している品目に関して、特に抗原の定性検査の関係ではないかと思うのですが、こちらについては、我々が機構共々見ているラインというのが、ウイルスのコピー数でいうと、大体10から10辺りできちんとそれなりの性能、7割以上の感度と、特異度は100に近い辺りといったことは確認していました。
 ただ、添付文書によりますと、開発の途中で行った試験が、これはvitroの試験と臨床検体の試験、両方書いてあるケースなのですが、特に初期の頃の品目に関しては、なかなか感染というかウイルスのコピー数が多くない検体を使った試験が結構行われていますので、その関係で10に至らないと当然感度は下がるということもあるので、恐らくその辺りの成績が記載されている部分への御指摘ではないかという確認はしています。
 一方で、先生の御指摘のように、現場でばらつきがあるとお考えで、そのような実態が事実としてあるのであれば、個別に詳しく教えていただければ、個別に対処したいと思います。
○宮川委員 ありがとうございます。最初は鼻咽頭でやって、それが鼻腔になって、そこから唾液にという、そうすると、どんどん検出率が悪くなってくるにもかかわらず、認めてしまっているのが現状です。これは医療というものでなく、国民に対して失礼な話になっているので、今後もしっかりと検証していただきたいと願います。是非よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ、大隈委員。
○大隈委員 少し教えていただきたいことがあります。ちょっと資料からは読み取れない気がしたのですが、製品の中に抗体検査法の製品の分類がないのですが、これがあるのかないのかということと、試験の終了に対しては、何と言うか、ワクチン接種が進むことで何かしらの影響を及ぼしていないのかということを、もし分かっていれば教えていただけないでしょうか。
○事務局 1点目の抗体検査については、米国でIVDとして承認されているものはありますが、日本では薬事承認されている品目はございません。抗体検査は、現時点で、臨床的意義が確立していないことがその理由です。
○医療機器審査管理課長 2点目のワクチン接種との関係ですが、検査を受けるか受けないかといったところに関しては、恐らく個々の方が一定程度の症状を見て受診するかどうか、あるいは検査を受けるかどうかというところに関わってくる部分がありますので、ワクチンを接種されている方であれば、症状に現れにくければ、その部分が検体と言いましょうか、検査をする例数、件数として多少なりとも関係してくる部分はあるのではないかとは思います。ただ、検査を受けた場合にその精度ということに関しては、きちんとウイルスの必要部分をディテクトするような原理になっていますので、そこへの影響はないと思っております。
○大隈委員 ありがとうございます。ワクチン接種ということで、抗原がワクチンによって、体の中でできて、それに対する免疫応答がワクチン接種によって誘導されると思うのですが、そうしたワクチンによる抗原量の変化とか、そういったところで、その試験のやりにくさというか、そういうのがメーカーにあって、試験を実施しづらい状況も発生しているのではないかということを少し考えるのです。検査を受ける方がどう考えられるかということに加えて、メーカーとしても、ある意味検体がちょっと集まりにくいというか、ワクチン接種の状況によってそういう状況も生まれているのではないかと懸念しましたので御質問しました。
○医療機器審査管理課長 関野です。ありがとうございました。ちょっとそういった観点での話は、各社からは今のところ聞いていませんが、我々もそういった観点が抜け落ちていた部分もありますので、そういった御意見があったということも踏まえてディスカッションをしてみたいと思います。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。福山委員、どうぞ。
○福山委員 国民生活センターの福山です。我々の方にも、体外診断用医薬品ではないのですが、こういった抗原キットを使って陰性だったのに、いざ病院に行ってPCRを受けてみたら陽性だったというような相談は当センターにも結構寄せられておりまして、昨年にも注意喚起するというか、消費者庁、厚労省と連名で、こういったものを使うときは体外診断用医薬品のキットを使ってくださいという通知というか、そういったチラシ等も出していたかと思います。やはり、こういった体外診断用医薬品というのは、そういった研究用のキットなどとは一線を画すような商品であってほしいということはありますので、その辺の検証等についてはしっかりとしていただきたいという思いもあります。よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。臨床現場的には、抗原はマイナスで、PCRを後にやったら陽性というのは、時間的なラグもあるのでなかなか難しいところかと思います。ありがとうございます。そのほか、委員の方、あるいはWebで御参加いただいている委員の方々、御意見ありますか。よろしいでしょうか。よろしいですかね。
 もしございませんでしたら、本日の議題は以上になりますが、事務局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 関野です。本日も御議論いただきありがとうございました。事務局からは、本日の議題に関しては特段ございませんで、次回の日程の案内のみさせていただきます。次回は、今のところ5月23日(月)18時からを予定しております。次回は医療機器の審議品目等もございます。詳細については、後日メールで御案内させていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。長らくやっていますが、今日は議決はありませんでしたが、なかなか辛い会議でした。たくさん関野課長に振ってしまったようで申し訳ありません。お陰さまで、終了いたしましたので、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。Webの先生方もありがとうございました。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)