薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和3年度第5回安全技術調査会議事録

日時

令和4年1月12日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

 

出席委員:(10名)五十音順、敬称略



欠席委員:敬称略
 
  • 脇田 隆字



国立感染症研究所:敬称略
 
  • 水上 拓郎



日本赤十字社:敬称略
     
  • 佐竹 正博
  • 皆川 信也
  • 後藤 直子
   


事務局:
 
  • 渡辺 顕一郎  (血液対策課長)
  • 菅原 高志     (血液対策課長補佐)
  • 佐野 圭吾     (血液対策課長補佐)
  • 太田 一実   (主査)

 

議題

  1. 1.輸血後の感染事例を踏まえた新鮮凍結血漿の貯留保管を利用した暫定的な対応について
  2. 2.E型肝炎ウイルスに係る遡及調査について
  3. 3.輸血により抗新型コロナウイルス抗体が陽性となったことが疑われた症例について
  4. 4.その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

○佐野血液対策課長補佐 それでは、定刻を過ぎましたので「血液事業部会令和3年度第5回安全技術調査会」のWeb会議を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日の会議における委員の出席についてですが、脇田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、長村委員、天野委員におかれましては、遅れて参加する旨御連絡を頂いております。現時点で、安全技術調査会委員11名中8名の出席を頂いていることを御報告いたします。
 本日は参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部第1室水上拓郎室長に御出席いただいております。また、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博中央血液研究所所長、皆川信也経営企画部次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。また、薬事分科会審議参加規程に基づいて、各委員の利益相反の確認を行いましたところ、岡崎、岡田、両委員から、関連企業より一定額の寄附金、契約金などの受取の報告を頂きましたので御報告いたします。
 以上の委員におかれましては、議題1、2に関しては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決に加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄附金、契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから特段の措置はありません。これらの申告につきましては、ホームページで公開させていただきます。委員の皆様には会議の開催の都度、署名を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何卒よろしくお願いします。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明いたします。
 審議中に御意見、御質問された委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。
 その後、座長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上で御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は座長からお願いする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて、座長より発言者を御指名いただきます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。まもなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、以降の進行を濵口座長にお願いいたします。
○濵口座長 皆さん、こんにちは。今年もどうぞよろしくお願いします。これまでの御説明に御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがですか。特にないようでしたら、議事に入りたいと思います。まず、議題1「輸血後の感染事例を踏まえた新鮮凍結血漿の貯留保管を利用した暫定的な対応について」、事務局より御説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 よろしくお願いいたします。事務局です。昨年9月に「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」を改訂したこと等から、日本赤十字社では献血血液のスクリーニングにおいて、NATが要請した場合に、それより過去に採血された同一献血者由来の血漿について、原料血漿及び輸血用血液製剤としての供給を停止しているところです。本件につきまして、今般、日本赤十字社より説明があるとの報告を受けましたので、日本赤十字社よりお願いいたします。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 それでは日赤の後藤から御説明いたします。資料1を御覧ください。「輸血後の感染事例を踏まえた新鮮凍結血漿の貯留保管を利用した暫定的な対応について」というタイトルです。内容は原料血漿の取扱いについてです。スクリーニング個別NAT陰性の献血血液由来の血漿製剤には、新鮮凍結血漿及び分画用プラズマ、つまり原料血漿を含みますが、これについては、当該献血者がその後に血清学的検査やNATなどの感染症のスクリーニングに陽転が認められた場合においても、当該献血血液は個別NAT陰性であることから、血漿分画製剤の安全対策に鑑み、全て原料血漿として使用してきました。
 しかしながら、9月15日の「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の改正において、感染症スクリーニング陽転献血者由来の過去の献血時の血漿製剤については、個別NAT陰性であっても原料血漿として使用できないと読み取れること、また、9月22日開催の運営委員会で、スクリーニング陽転献血者由来の過去の血液の利用に関する疑義を呈する御意見を頂いたことから、現在、暫定的に該当する血漿製剤の原料血漿としての使用を停止している状況です。スクリーニング陽転時の遡及調査と原料血漿について、図を用いて御説明いたします。
 スクリーニング陽転が認められ、これは図の中の右の黒丸で示しておりますが、認められた場合、ウインドウ期に基づくリスク評価により定められた遡及調査期間内の過去の献血血液については、個別NAT陰性であっても受血者の感染状況を調査いたします。
 それより前の遡及調査期間を外れた血液、これは有効期間から血漿製剤が該当しますが、これらは以前はFFPとして使用していましたが、現在は追加の安全対策として、輸血用血液として使用しないこととしております。なお、スクリーニング陽転以前の個別NAT陰性の血漿製剤については、遡及調査ガイドラインに従いFFPを転用することも含めて原料血漿として利用してきました。
 血漿分画製剤は、病原体の不活化や除去の工程を経て製造され、安全性は担保されております。現在は先ほどお話したとおり、暫定的にこれらの血漿製剤の原料血漿としての使用を停止しております。
 日本赤十字社としては、血漿分画製剤の安全対策に係るエビデンスに基づき、今まで有効利用できた血漿の廃棄により、献血者の思いが無駄になることは回避したいと考えております。
 血漿分画製剤の安全対策については、感染症のスクリーニングに加え、病原体の除去・不活化工程により、当該ウイルスが十分に除去・不活化されるということは確認されております。また、平成15年11月7日付の4課長通知「血漿分画製剤のウイルス安全対策について」の中には、「混入したウイルスの量が、日本赤十字社が平成15年当時実施していた50プールNATにより陰性が確認されるレベルであって、当該ウイルスに係るウイルスクリアランス指数が9以上である製剤については、当該ウイルスが十分に除去・不活化されていると平成15年度第3回血液事業部会において判断された」と記載されております。
 一方、輸血用血液製剤の安全対策は少し異なり、感染症スクリーニングに加え、遡及調査により安全性を確保しています。
 スクリーニングが陽転した献血者については、過去の遡及調査期間内の献血血液由来の輸血用血液の受血者の感染状況を調査しています。さらに、遡及調査期間を外れる過去の献血血液のうち有効期間内にある製剤については、追加の安全対策として供給を停止し、供給済みである場合は使用状況を確認し、未使用の場合は回収をしているところです。
 原料血漿として使用するのを停止しているのは、血清学的検査又はNAT、いずれかの感染症関連検査が陽性となった献血者の過去の献血時の血漿製剤、これは先ほどもお話したとおり、新鮮凍結血漿と原料血漿である分画用プラズマを含みますが、これらに当たりまして、その下の図の中のオレンジの矢印の範囲に該当します。
 9月22日開催の運営委員会の中では、血清学的検査陰性のオカルトHBV感染の話題の中で、献血者がHBV-NAT陽転し、遡及期間を超えているが貯留保管中の新鮮凍結血漿が原料血漿に転用されて使用される対象がどれぐらいありますかという御質問がありました。それに対して、日赤からHBV-NATのみ陽転した献血者だけを対象とした場合は、年間に10数本とお答えをしております。
 これは図の中の赤い細い矢印で示している所です。現在はオレンジの矢印でお示しした所が(輸血用のFFPや分画用プラズマである)血漿製剤として使わない措置を取っている量になります。
 最後に参考として、現在の暫定的な対応により、使用していない血漿製剤の数についてお示しします。HBV、HCV及びHIVの血清学的検査若しくはスクリーニングNAT陽性又はスクリーニングHEV-NAT陽性献血者由来の、過去の献血時のスクリーニングNAT陰性の血漿製剤の本数を試算した結果、年間で最大献血者約3万2,000人分の血漿が利用できなくなるという結果になりました。この試算については、2021年9月6日から11月5日の2か月間に感染症スクリーニング陽性が認められた献血者に由来する過去の献血時のスクリーニングNAT陰性の血漿製剤の本数から算出しました。
 この資料の中で、PFCとお示ししているのは、原料血漿である分画用プラズマの中で凝固因子製剤の原料として用いるもの。PFNとお示ししているのは、アルブミン・グロブリン製剤用の原料血漿となります。これが2か月で5,400本ほどになりました。これを年換算にしますと、年間で約3万2,000人分ということになります。なお、この対象となる血漿製剤の本数は、今後実施した場合の最大値となります。原料血漿の貯留保管は2か月になっておりますので、献血者の陽転が判明した時点で、血漿分画製剤の製造販売業者への送付済みになっているものがあり、これらは原料血漿として利用されております。日赤からの御説明は以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して、委員の先生方から御意見、御質問を賜りたいと思います。いかがですか。確認ですが、一応、試算をしたところ、3万2,000人分の血漿が利用できなくなると書いてある、利用できないというところは、血漿の原料として利用できなくなるということでよろしいですか。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 はい、そのようになります。
○濵口座長 輸血用の血液製剤に使うということではないということですね。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 そうです。輸血用の血液製剤、陽転が認められた場合の過去の個別NAT陰性の血液になりますので、輸血用血液の場合は、遡及調査を実施しているということになります。血漿製剤については、貯留保管の期間もありますので、献血者の陽転が認められて、遡及調査対象、又は遡及調査の期間は過ぎますが陽転した献血者由来が判明した時点で止める、ということが可能なので、止められるものということでこのようにお示ししております。
○濵口座長 ありがとうございます。いかがですか。御意見をお願いします。
○熊川委員 福岡大学病院の熊川と申します。資料1の1枚目の図の下の所に献血者の思いが無駄になるということが書かれていて、そういう意味ではドナーさんの数、試算で言えば最大3万2,000人分の思いが無駄になるというのは大きなことだなと思うのですが、あとそれ以外で、実質的に献血で皆さん来ていただいているので、このFFPというのは、おそらく全血からの片割れの血漿かと思います。その分で、例えば成分献血の血漿の採血のほうで頑張って取らないといけなくなるので、血小板の成分献血の供給などに実質的に影響が出る可能性などについて少し危惧しております。と言いますのも、現在大学病院の輸血部におりますが、血小板の供給が福岡県は厳しい状況がありまして、例えば、先日もありましたが、B型の血小板は午前中に4人の患者さんで輸血を受けたいという希望を出しても、午前中に供給できる分が2本なので、残り2本は午後からということで、特にB型は切迫している状況が現在でも起こっております。今後3万2,000人の方の思いだけではなくて、供給状態に影響を与えることなども危惧されるのかなと思いました。その辺りの可能性についてお考えを示していただければという質問です。以上です。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 御質問ありがとうございます。FFPには、全血由来のFFPと成分採血由来のFFPと両方含みます。ですので、これが全て全血由来の数ではありません。
 それと、血小板と一緒に採血される血漿成分というのは、表で言いますと、PFNとして製造されているものがほとんどで原料血漿となります。ですから、こちらが使えないということと、血小板製剤の供給に支障が出るということは、少し別のお話かと思います。血小板製剤の供給については、御要望に応えられるようにきちんと進めていけると思っております。
○熊川委員 ありがとうございます。
○濵口座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。現在、個別のNATになっておりますが、そのときの感度が4とか3IUになっていると思いますが、50人プールの時代のB型とかC型の感度はどの程度だったのですか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 日本赤十字社の佐竹です。現在は確かにシングルNATでやっておりますと、50%のLODではBCI、それらは全て10IU/mL以下、1桁の高感度になっておりますが、前にロシュのものを使っていた頃は、これはシングルで言いますと、HBVが3.2IU、HCVが12.4IU、HIVが約40IUですので、これが20プールであればこれを20倍したものがその感度ということになります。これが現在と過去の感度比較です。
○岡田委員 そうしますと、平成15年の50人プールのときに9Log、製造工程でリダクションされていればいいということでしたが、現在の個別NATで考えますと、個別になったのが影響が大きいと思いますが、感度が非常に良くなったので、陰性であっても混入する最大のウイルスの量も以前、平成15年に比べれば大分減ったという理解でよろしいのですか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 おっしゃるとおりです。2Log、3Logぐらいは、プールからシングルになったことで、また試薬の感度そのものが良くなったことで、正確には今言えませんが、2Logぐらいは確実にリダクションは起きていると思います。
○岡田委員 そう考えますと、混入しうるウイルスの量も現在は大分減っているということと、あとは血漿分画製剤による感染というのは15年とか20年ぐらい1例も報告されていないということでは、当時の混入したウイルスの量であっても感染が起こらなかったということで、現状ではさらにそれよりも2Log、3Log、ウイルスが混入する量が減っているということを考えますと、製造工程が変わらないと考えても、安全性は非常に高くなっているのかと考えます。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。御意見はありませんか。今まで御意見いただいたことを考えますと、日赤から御提案の暫定的な対応の継続を一応不要と考えるということになると思いますが、皆様、そういう形でよろしいですか。それでは、結論として、安全技術調査会としては、輸血後の感染事例を踏まえた新鮮凍結血漿の貯留保管を利用した暫定的な対応の継続を不要とするということにしたいと思います。日本赤十字社においては社内での対応を適切に行っていただきたいと思います。今回の審議を踏まえ、事務局においては「血液製剤に係る遡及調査ガイドライン」の改正に係る対応等をお願いしたいと思います。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 議事の議事録等のことがありますので、正確に言わないといけないかと思いますので、先ほどの数字等については、手元の資料を見て大雑把な数だけ言いましたが、そのように受け止めていただければと思います。実際には、BやCやI、それぞれによって全然感度は違いますので、それぞれのリダクションのファクターとなりますので、正確を期すためには、後ほどそれぞれについては、事務局を通じて新たに各委員の先生方にお渡ししたいと思います。先ほど言ったのは大雑把な数ですので、よろしくお願いします。
○濵口座長 了解しました。そこの修正を加えた形で議事録を作るということで了解したいと思います。次は議題2「E型肝炎ウイルスに係る遡及調査について」に移ります。事務局より御説明をお願いします。
○佐野血液対策課長補佐 事務局です。昨年12月に開催されました令和3年度第3回運営委員会の議題「その他」において、日本赤十字社よりE型肝炎ウイルスの遡及調査について報告がなされました。その結果、安全技術調査会において、より詳細な議論が必要とされましたので、今般、日本赤十字社よりE型肝炎ウイルスの遡及調査に係る方針が示されました。日本赤十字社より説明をお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 では、続いて、また日赤の後藤から御説明します。資料2を御覧ください。まず、12月の運営委員会で御報告しました、以前のHEV遡及調査の手順を簡単に御説明します。HEV-NAT陽性が認められた場合、その献血から過去6か月を遡及調査対象とし、保管検体で個別NATを実施する、又はスクリーニングHEV-NAT検査済みであればその結果を参照します。、個別HEV-NAT陽性の血液の受血者について感染状況を調査していました。遡及調査対象となり、出庫保留とした同時製造品のFFPや原料血漿は、HEV-NATが陽性の場合は調査に利用し、陰性の場合は原料血漿として送付していました。こちらは先ほどお話ししたとおり、暫定的に原料血漿への転用、それから送付を停止しているところです。対象製剤が供給済みの場合は医療機関に使用状況を確認し、未使用であれば回収を行っておりました。
 先月の12月の運営委員会で、HEVの遡及調査においては、HEVが陽転した場合、遡及調査対象の血液は、HEVの個別NATが陰性であっても受血者の感染状況を調査するべきであるという御意見を頂き、手順を変更することにしました。今後のHEVの遡及調査手順を御説明します。HEV-NAT陽転の過去6か月を遡及調査対象とし、保管検体で個別HEV-NATを実施、又はスクリーニングHEV-NAT検査済みであれば、その結果を参照します。遡及調査対象の血液、HEV-NAT陽性及び陰性の受血者について感染状況を調査します。個別NAT陰性であっても受血者の調査を実施する、と変更しました。遡及調査対象となり出庫保留とした同時製造品のFFPや原料血漿は、HEV陽性の場合は調査に利用し、陰性の場合は原料血漿として送付します。対象製剤が供給済みの場合は、医療機関に使用状況を確認し、未使用であれば回収をします。
 この手順の変更により追加するHEV-NAT陰性血液の受血者の調査については、まず調査項目として、年齢性別、輸血日、原疾患、輸血前後の肝機能、HEV-IgA抗体、保険適用外とはなりますが、HEV-NAT、その他、HBVやHCVのウイルスマーカー等を考えております。医療機関では、HEV-NATが保険適用外であるため、輸血後に肝機能異常を認めた場合や主治医が検査を必要と判断した場合は、輸血前後の受血者検体の提供を医療機関に依頼し、日本赤十字社でHEV-NATを実施することを考えております。陽転が認められた場合は、献血者陽転時及び受血者の血液から検出されたHEVの塩基配列の相同性を調査します。
 次に、調査の実施順についてです。このHEV調査、遡及調査の手順の変更を適用して以降のものについては、陽転が判明したものについて、速やかに情報提供を行い受血者の調査を依頼します。こちらは、既に12月中に開始をしました。また、HEV-NAT開始時、2020年8月5日採血分に遡って受血者調査を実施する分については、供給先医療機関ごとに対象血液を取りまとめ、受血者の調査を依頼する準備を現在進めております。下の図には、スクリーニング開始前後の血液についてどのような対応をするかというのをお示ししております。左が古い時期、スクリーニング開始を経て、右が新しい時期となります。日赤からの御説明は以上となります。
○濵口座長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、コメントがありましたらお願いします。それでは、私から少しお聞きしたいのですが、これは、陰性の血液の受血者についてもこれから調査を行うということですが、調査項目というのは、ほぼ陽性の方と同じような内容ということで理解してよろしいですか。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 そのようにしております。
○濵口座長 あと、日本赤十字社のほうで、もしそうなった場合に、陰性血液の受血者の概算、概数というか見積りは大体どのくらいになるとお考えでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 年間で1,000何百と出ておりまして、現在、準備を進めているところになりますが、数千本になったかと思います。ちょっと今、細かい数字がなくて申し訳ないのですが、対象血液としては、数千本、4,000とかそのぐらいになったかと思います。後ほど、数値については御連絡します。
○濵口座長 ありがとうございます。いかがでしょうか、委員の先生方。
○大隈委員 すみません。
○濵口座長 では、大隈先生、お願いします。
○大隈委員 関西医大の大隈です。すみません、基本的なところを少し教えていただきたいのです。現行でも今後もですが、遡及調査において、スクリーニングのHEV-NATの検査済みであればその結果を参照するとあるのですが、これについては、基本的に個別NATということでよろしかったですか。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 日赤で実施しているHEVの個別NATの結果を参照するという意味です。
○大隈委員 個別でよろしいですよね。
○日本赤十字社血液事業本部技術部後藤安全管理課長 はい。
○大隈委員 それと、検出されたHEVの塩基配列を調べられるということなので、一応、こういったことからも、ジェノタイプ等も分かるということでよろしいですか。これは、どういった塩基配列を調べる、全ゲノム、全長を調べられるのか一部なのか、こういうところはいかがでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央研究所佐竹所長 佐竹ですが、これは、遡及調査の話ですよね。
○大隈委員 そうです。
○日本赤十字社血液事業本部中央研究所佐竹所長 陰性血のことを調べますので、50IU以上の濃度がないとシーケンスはできませんので、陰性血が入った場合の、入った血液の一部のシーケンスも、濃度もジェノタイプも調べることは、これはできません。ただ、その人が後で陽転したときの、そのときの血液が手に入った場合には、そこが、先ほどの感度以上があれば、当然そことシーケンス等、それからジェノタイプ等は調べることができますので、患者さんの検体も同様な情報が得られれば、そこで比較検討はすることができます。
○大隈委員 ありがとうございました。陽転が認められた場合のことでしたので、そちらでは、調べられるということですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央研究所佐竹所長 そうです。
○大隈委員 分かりました。ありがとうございました。
○濵口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、私から委員の先生にお聞きしたいのです。岡田先生、急にすみませんが、遡及期間6か月という形が設定されています。参考資料には、6か月の根拠が少し書いてあったかなと思うのですが、改めて、この6か月というのが妥当かどうかということについてのコメントを頂けませんでしょうか。
○岡田委員 これは、オランダからの報告だと、ウイルスが80日間ぐらい続いたという報告があります。あと違う報告だと、やはり100日ぐらい続いたという報告もありますので、まずは半年ぐらいは必要かなと思います。今までの遡及期間ですと、ウインドウ期というか、発症するまでの期間の倍ぐらい取ってありますので、E型肝炎は実際、感染してから発症するのに8週とか10週とかが報告されていますので、それが全てウインドウ期とは限りませんが、その倍というとやはり6か月ぐらいになってしまうのかなと思います。ただ、これは今、分からないので6か月ですが、この後、調査が進むにつれて、そんな6か月も必要ないことが分かれば短縮してもいいと思います。以上です。
○濵口座長 了解しました。日赤においても、一応、今の6か月ということで対応していただけるということでよろしいですか。それでは、今後の課題ということで、また情報を収集して、この遡及期間についても検討を別途、行いたいと思います。ほかは御意見いかがでしょうか、この件に関して。よろしいでしょうか。それでは、日本赤十字社から御提案の「E型肝炎ウイルスに係る遡及調査について」、陰性の血液についての受血者についても、調査を行うことについての皆さんの了解を得られたと受け取ってよろしいでしょうか。御異議がない、あればお願いします。ないようですので、そういう形で了承を頂けたということにしたいと思います。ありがとうございます。日本赤十字社におかれましては、適切に対応していただくようにお願いします。
 それでは、議題3に移りたいと思います。「輸血により抗新型コロナウイルス抗体が陽性となったことが疑われた症例について」について移りたいと思います。日本赤十字社より資料の御説明をお願いします。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 資料3に沿って御説明いたします。輸血により抗新型コロナウイルス抗体が陽性となったことが疑われた症例です。日本赤十字社血液センターでは、献血後にCOVID-19と診断された、又は濃厚接触者となった場合には、血液センターに連絡するように全献血者にお願いしています。今般、そのような献血後情報に端を発して、輸血によりSARS-CoV-2に対する抗体が陽性となったことが疑われた症例が見いだされたので報告いたします。
 献血者は血小板献血後6日目に、保健所より、この献血者が新型コロナウイルスに感染し、献血履歴があったとの連絡が血液センターに入りました。輸血を受けた患者は、成人の男性です。白血病に対して化学療法施行後、副作用である血球減少に対し頻回の輸血を行っていたところです。
 時系列をまとめてお話しします。輸血の7日前のサンプルがありまして、これはPCRは陰性、抗体も陰性ということです。Day0にこの献血者からの血小板輸血がされています。17日目のサンプルが手に入りまして、これはSARS-CoV-2のPCRは陰性で、特異的なIgGは陽性と判定されました。21日目も同様のデータであります。Day-7からDay+17の間に、この血小板製剤以外にも合計7本の輸血が実施されており、全部で8本になります。輸血後は、自覚・他覚症状は全くございませんで、種々の血液検査でも、検査をした限りでは変化は全く認められませんでした。
 受血者は当該血小板製剤を含め、合計8本の輸血を受けています。受血者の輸血後の検査結果や臨床経過が示すとおり、輸血によりSARS-CoV-2ウイルスが体内で増殖したり、感染したとは考えられませんが、日本赤十字社としましては、血液製剤中に存在していたIgG抗体が受血者に移行した、すなわち移行抗体が検出された可能性が大きいと考えています。一方、当該血小板製剤に含まれたウイルスに対して、受血者が体内で抗体を産生した可能性も残ります。この後もウイルス学的な検索を進めることとしております。今後も、献血血液に対する安全対策を堅持するように努めてまいりたいと思います。以上です。
○濵口座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、委員の先生方から御意見、コメントがございましたらお願いします。
○長村委員 東大医科研の長村です。これは保健所から血液センターに連絡があったということなのですが、基本的には献血者にお願いしているということなのですが、ルートとしてはどちらもあり得るということなのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 このルートは特に定めたものではありませんけれども、保健所の方が大変熱心なのか、サービスとして我々のほうに連絡をくれたということです。こういったことは今回に限らず、献血ではしばしば起こることで、献血をした後、その方が病院にかかって、そこで調べてみたら重大な薬を飲んでいたと。同時に献血をしていたということで、その主治医の先生から「献血の履歴のある人が、このようなものを飲んでいましたよ」、あるいは「直後に、このような病気でうちに入院しましたよ」といった献血の情報というのは、結構我々は受けますので、大事な情報源として頂いています。この基になるのは、献血された後に渡しているシートに「献血の後に体調に異常があったり、何か感じることがありましたらすぐに御連絡ください」といったシートを献血者全員に渡しております。そういったことで、これらの情報を得られたということです。
○長村委員 これは、厚労省から保健所にこういった通達を出すべきか否かという判断をしたほうがいいのかなと思いました。つまり、保健所の方に献血をしたかと聞いてもらうことで、これは性善説で全ていっているので、もし献血者がコロナになって、それどころではないというときには漏れてしまうのかなと。目的は、献血者のクラスター対策とか、患者への遡及に役立てるということではあるのですが、その辺りは厚労省としてもどのように考えられますでしょうか。
○佐野血液対策課長補佐 頂いた意見を踏まえまして、課内で検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○長村委員 よろしくお願いします。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。この血小板が輸血された時期は昨年でしょうか。何が言いたいかと言うと、ワクチンの接種が進んだ状態での献血なのか、それともほとんどワクチンが投与されていない時期の血小板製剤なのかというのは重要な点なので、その辺を教えていただけると助かります。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 昨年の中頃のことで、日赤はワクチンを接種した後の献血を慎重に見極めておりましたが、この事例が起きたのは、ワクチン接種が開始されてから、ワクチン接種した方の献血が始まってから1か月ぐらいたってのところです。高齢者のワクチン接種はかなり進んでいて、若い人はほとんど進んでいないといったちょうど境目の時期のことでした。
○岡田委員 合計8本の輸血がされましたが、移行抗体を考えると、血小板製剤とか新鮮凍結血漿が考えられるのですが、この8本の中で、何本ぐらい血漿を含むような輸血がされたのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 全てデータがあるのですが、今はちょっとあれですが。大雑把に言って、大容量血漿を含む製剤が半分、赤血球製剤が半分ぐらいだと記憶しています。
○岡田委員 分かりました。
 あと、「特異的IgG陽性」という表現がされているのですが、これはS抗原に対する抗体とか、Nタンパクに対する抗体というのは今は区別できると思うのですが、この場合のIgGは何に対する抗体かというのは解析されているのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 このIgGはAnti-S、スパイクタンパクに対するもので、Nタンパクに対する抗体は陰性です。ですから、Sタンパクの抗体だけが陽性という状況です。抗体価は非常に低い状況です。
○岡田委員 そうしますと、受血者が感染していれば、当然、Nタンパクに対する抗体もできることを考えると、移行抗体という可能性のほうが高いのでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 文献によりますけれども、Anti-Nの抗体とAnti-Sの抗体だと、Anti-Nの抗体のほうが抗体価としては、先に低くなってくる傾向を示す文献があります。そういう意味で言えば、どちらの可能性もあるかなという感じがいたします。そのほかの状況からすると、移行抗体の可能性はかなりあるかなという感じはいたします。
○岡田委員 分かりました。
 あと当然、供血者の保存検体が残っているはずですので、その保存検体を使って、陽性だったかどうかで、移行抗体かどうかは推定できるのではないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 この7人のうちのかなりの部分は、同時採血の血漿本体を我々のほうで押さえております。ですから、その抗体を調べていこうと考えています。
 それから、ドナーの方へ直接問合せをして、いつワクチンを打ったのか、あるいは感染したことはなかったか。当時は、感染既往の方の献血を受けていませんので、そういうことはないと思うのですが、いつ頃ワクチンを打ったかの情報を集めたいと思っています。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。
○朝比奈委員 医科歯科大学の朝比奈です。先ほど御質問されていたことに関して、私も事前レクチャーのときに同じような御質問させていただいたのですが、他の7本の血漿製剤の種類についてお伺いしたところ、事務局からは赤血球製剤が4本、PCが3本という御回答を頂きましたので、情報を共有させていただきます。
 それから、これからウイルス学的検索を進めていくということですが、今おっしゃったように、抗体とウイルス血症があったかどうかということも調べられるという理解でよろしいのでしょうか。あと、ドナーの方への調査もできる限りするということでよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 輸血された当日、2、3日ぐらいの血液サンプルがあれば、この方が本当にRNA陽性の血液が入って、それが体内で増殖したかどうかの証拠が得られるとは思うのですが、残念ながら、それらの検体は得られておりません。一番新しくて、17日目のものでした。ですから、抗体の評価しかできていないことが大変残念であります。
 ドナーについては、ウイルスの濃度、遺伝子のタイプなどは全て測定・同定が終わっております。
 それから、その同時採血の血漿を用いた、ヴェロ細胞を用いた感染性も、感染症研究所の先生にしていただいたのですが、それは陰性ということで、少なくともそのシステムでは感染を証明することはできていないということで、世界で言われていることと同じデータ、海外でも同様のデータが出ていますので、同じデータであるというところです。
○朝比奈委員 承知しました。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。
○大隈委員 関西医大の大隈です。受血者のPCR検査をされておりますが、これは全て検体としては、咽頭のぬぐい液とか、そういったことでよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 我々は全て血液です。
○大隈委員 血液で陰性ということですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 そうです。
○大隈委員 特にほかの検体で調べた結果とか、そういったPCRの結果というものはないということでよろしいですか。自覚症状、他覚症状はないということなので、感染症は受血後に起こっていない可能性は高いかなとは思うのですが、血液だけではなくて、ほかの検体におけるPCR検査の結果も分かると、よりはっきりするかと思ったのですが、特にないですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。血液だけです。患者が無事、何事もなく退院してしまっていまして。スワブでみることもできなかった状況です。
○大隈委員 分かりました。
 あと、こういった事例というのは今後も十分に起こり得るかと思うのですが、それに対して今後、何か新たな対策と言いますか、何かお考えになっていることがあれば教えていただければと思います。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 先ほどの資料の一番最初に書いてありましたように、我々としましてはスクリーニングをしているわけではありませんので、このような献血後に余り時間を置かずにCOVID-19と診断された、あるいは症状を呈した方、そういった情報が得られたら、その血液が輸血されていた患者については、できるだけ早く、こちらでPCRをやって、それが陽性か陰性かを探るといった手立てを講じております。それが、ここ2年間でPCRを行ったものが800本ぐらいございます。それは、こちらに献血の情報が入りまして、その入ってくる情報はまちまちですので、2週間たってから、4週間たってからといろいろとございます。翌日に連絡をくれる方もいらっしゃいます。いずれにしても、こちらでは疑いのあったものについて、血液は止めています。運悪く輸血されていた場合には、その血液をPCRをして、陽性か陰性かを確認するといったことを行ってきましたが、それをこれからも続けていく予定です。
○大隈委員 承知しました。ありがとうございました。
○濵口座長 ほかはいかがでしょうか。
 確認ですけれども、供血者の血液の中に、感染性のあるようなウイルスが存在していることはない、確認できていないということでよろしいですよね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 それは前々回の話でしょうか。我々は、これまで数件のウイルスの培養を行っていますが、これまでに培養に成功した例は1例もありませんし、海外でも同じような例が起きたときには、アドバンストラボを持っているところですが、そういう所でウイルスをin vitroで感染させたものは、陽性になった例は1例もございませんので、血中にある我々が捕まえているRNAというのは、ディフェクティブな断片かなというイメージを持っております。
○濵口座長 今、確認を取らせていただいたのは、実は幾つかの医療機関からも、感染した後に血液の中からPCR検査で陽性ということが、ある頻度であるということなのですが、それについてのウイルス分離を行ったところ、そこから分離されたものはない。すなわち、感染性を持っているだろうと思われるウイルス粒子が血中には存在していないという状況だと理解しました。ということでよろしいでしょうか。
○佐野血液対策課長補佐 議論がいろいろありましたので、まとめさせていただきます。
 私の理解としては、今回のことは、輸血の中に、確かにSARS-CoV-2のウイルスのRNAが検出されたものの、それが実際に感染したわけではなくて、なぜ抗体が陽性になったのかというところは、入ったウイルスに対して異物として反応したのか、それとも、ほかに輸血された血液製剤中に存在していたIgGが移って、それが検出されたのかというところだと理解しました。これで、まとめとしてよろしいでしょうか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 おっしゃるとおりです。
○濵口座長 確認ありがとうございました。
 それでは、引き続き日本赤十字社におきましては、血液安全監視の一環として、新型コロナウイルス等、新興・再興感染症の情報収集をお願いするとともに、輸血用血液製剤の安全対策を講じていただきますように、よろしくお願いいたします。
 最後に議題4の「その他」です。事務局から何かございますでしょうか。
○佐野血液対策課長補佐 特にございません。
○濵口座長 本日の議題は以上となります。ほかに何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。委員の先生方から何かございますでしょうか。
○天野委員 東京医大の天野です。先ほどの話で、新型コロナウイルスの、今回抗体が陽性となった症例が初めて1例出たということなのですよね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。
○天野委員 濃厚接触者まで連絡してくださいねという話になって、その人たちの献血したものが輸血されたというところまで、それぞれの病院の所で、その輸血された患者の採血をして、PCRをやっているという理解でいいのですよね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 患者のことでしょうか。
○天野委員 いや、濃厚接触者とか、感染しましたという人が、血液センターに連絡してくるわけですよね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。
○天野委員 連絡があると、その連絡があった人の献血した血液が輸血された人の血液を、病院に連絡をして遡及調査のような感じで、採血をするという概念ですよね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 こちらでPCRが陽性だった場合ですね。
○天野委員 PCRが陽性だった場合ですか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。
○天野委員 献血者のPCRが陽性だった場合ということですか。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。医療機関までいくのは、こちらで持っている検体で、血液がPCR。
○天野委員 献血者の血液のPCRが陽性だった場合ということなのですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 はい。
○天野委員 勘違いしていました。では、今回のこの血小板輸血のドナーというのは、血液のPCRが陽性だったということなのですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 そうです。
○天野委員 分かりました。濃厚接触者と感染者に関しては、その確認をするということなのですね。
○日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所佐竹所長 そうです。献血後に、濃厚接触者であっても日にちが献血のときに近ければ疑いがありますので、PCRをやって、陰性であればそれで終わりですが、陽性だった場合には、もし患者に輸血されていれば、患者のほうに向かいます。
○天野委員 理解できました。ありがとうございます。
 でも、本日も東京は2,000人を超えそうだという話の中で、これで濃厚接触者まで全部やるとなったら、かなり大変ですね。ありがとうございました。
○濵口座長 御意見がまだの方がございましたらお願いしますが、よろしいでしょうか。
 特にないようでしたら、本日の議事はこれで終了させていただきます。事務局に戻したいと思います。
○佐野血液対策課長補佐 濵口座長、ありがとうございました。次回の安全技術調査会の日程は、別途御連絡させていただきます。これにて「血液事業部会令和3年度第5回安全技術調査会」を終了いたします。ありがとうございました。
(了)