第6回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ (議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和4年7月8日(金)
15:00~17:00

場所

主婦会館プラザエフ クラルテ

議事

下記のとおり
2022-7-8 第6回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ

○西室長補佐 ただいまから、第6回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、構成員の交代がありましたので御紹介いたします。
日本医師会常任理事、長島公之構成員に代わりまして、日本医師会常任理事、細川秀一構成員でございます。
また、事務局にも人事異動があり、大臣官房、山田参事官が着任しております。
本来であれば、構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介にかえさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、今般の新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点を踏まえて、公開の検討会として実施。従前どおり、資料や議事録については厚労省のホームページで公開。ただし、傍聴については、事前に御希望があったマスコミの方については、体調不良がないことをあらかじめ御申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の傍聴者はなしという形での開催とさせていただくこととしております。構成員の皆様におかれては、あらかじめこの点について御了承ください。
また、今回は会場にお越しいただいた構成員の方と、ウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には遠藤構成員と加納構成員、坂本構成員が参加されており、その他の構成員の方にはウェブで御参加いただいております。
本日は、田中構成員から欠席との御連絡をいただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際は、Zoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。
「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどでの表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、構成員名簿のほか、資料1、参考資料1から3をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で、冒頭カメラ撮りをしている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○西室長補佐 それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 遠藤でございます。本日もよろしくお願いいたします。
それでは議事に入らせていただきます。本日の議題は「第8次医療計画策定に向けた災害医療について」でございます。
まず、資料について事務局より説明をお願いしたいと思います。
○西室長補佐 よろしくお願いします。「第8次医療計画策定に向けた災害医療について」でございます。
目次です。1.災害医療の体制構築に関する経緯、2.DMAT・DPAT、3.災害時に拠点となる病院、4.止水対策を含む浸水対策、5.医療コンテナの災害時等における活用となっております。
まず初めに、災害医療の体制構築に関する経緯を御説明させていただきます。3ページです。医療計画における災害医療提供体制です。被災地域内では、医療機関において地域の病院が役割を分担し、それぞれが連携し、医療提供を行います。また、救護所や避難所において様々なチームが連携して健康管理を行います。活動する医療チームに関しては、被災地域の都道府県の要請に基づき、まずは活動内のDMAT等医療チームが対応しますが、被害が拡大し、医療提供体制が維持できない場合 は、被災していない都道府県からDMAT等が派遣され、被災していない県に患者を広域医療搬送し、医療体制を維持しています。
続きまして、医療計画における災害医療の体制構築に関する経緯です。平成20年の第5次医療計画から災害が5事業に位置づけられております。その後、東日本大震災後の平成25年から第6次医療計画が始まり、災害拠点病院の耐震化率等を、国が推奨する指標例として提示しております。平成30年からは第7次医療計画が開始し、ここではロジスティック機能の強化や災害拠点精神科病院の整備が、そして令和2年に7次中間見直しが行われ、今に至っております。
おめくりいただいて、こちらは大規模地震と災害医療体制の経緯でございます。平成7年の阪神・淡路大震災を受けて、平成8年に「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療提供体制のあり方に関する研究会」が開かれ、ここで初めて災害時の医療提供体制の検討が行われ、災害拠点病院やEMISの運用が開始となりました。
平成13年、災害医療体制のあり方に関する検討会で、日本DMAT構想が議論され、平成17年、新潟中越地震の後、DMATの養成が開始となっております。その後、平成23年、東日本大震災が起き、さらなる災害体制の強化、精神科医療の重要性が課題となり、平成25年にDPAT、平成26年に災害医療コーディネーターの養成が開始となっております。
おめくりいただきまして、平成28年熊本地震の後、保健医療調整本部の設置や災害拠点病院の要件にBCPを追加、平成30年北海道胆振東部地震では、全道停電が問題となり、災害拠点病院の指定要件に、3日程度の水、電気、燃料の備蓄を追加しました。直近では、新型コロナウイルスの蔓延により、DMAT活動要領を改正し、感染症対応を通常の業務に位置づけております。
このように、我が国の災害医療体制は大きな災害ごとに課題を抽出し、対策を講じてまいりました。
続きまして、こちらは第7次医療計画における災害医療の見直しのポイントでございます。都道府県災害医療本部の機能向上を目的としたロジスティックチームの強化と、被災地域の医療ニーズ等の情報収集及び医療チームとの連絡調整等を行う災害医療コーディネート体制の整備や防災基本計画と整合性をとりつつ、広域医療搬送を想定した訓練を積極的に実施するなど、近隣都道府県との連携を強化すること。また、BCPの策定について、災害拠点病院だけでなく、地域の一般病院においても推進することを挙げております。
続きまして、こちらは、7次の中間見直し時の指標例です。黄色は追加、赤は変更点です。災害拠点病院におけるBCPの策定率は、令和元年の調査において100%であることが確認できたため、削除しております。また、平成31年に活動要領を策定したことから、災害医療コーディネーターの任命数や災害時小児周産期リエゾンの任命数を追加しております。
続きまして、2番目です。災害派遣医療チーム、災害派遣精神医療チーム。国が養成している医療チームであるDMAT、DPATです。
まずDMATは、災害時や新興感染症蔓延時に地域において医療提供体制を支援するチームで、平成17年から養成を開始しております。都道府県の要請に基づいて活動します。令和4年の4月の時点で、1万5,862名が研修修了済み、2,040チームが指定医療機関に登録されております。
続きまして、都道府県別のDMAT隊員数です。都道府県ごとにばらつきはありますが、都道府県の計画に基づいて養成されております。
次に、DMATの近年の主な活動実績です。熊本地震以降の激甚災害からコロナ対応までを記載しております。
続きまして、令和4年2月に改正しました日本DMAT活動要領についてです。改正の経緯としましては、DMATは地震災害を主な活動の場としてきましたが、近年は豪雨災害が頻発していることで、組織の立ち上げ方などにも違いが見られたこと、また新型コロナの蔓延により、調整本部や感染症の専門家とともにクラスター対応を行ったことを踏まえて活動要領を改正しております。
続きまして、こちらはDMATの派遣協定のイメージでございます。簡単に御説明差し上げますと、A県が被災地域といたします。A県知事とDMAT指定医療機関の病院長が事前協定を締結しており、協定に基づいてDMATの派遣を要請し、DMATが被災地域に派遣されます。そして、A県のDMATだけでは医療体制を維持できなくなった場合、こちらは③になりますけれども、A県知事がB県知事に対して応援を求めます。求められたB県知事は、事前協定に基づいて、管下のDMAT指定医療機関に派遣を要請。その後、DMATが被災地域であるA県に派遣されます。というのが一連の流れです。
続きまして、都道府県とDMAT指定医療機関との協定書の一例です。こちらは沖縄県のものです。右のほうを御覧いただきますと、身分や費用負担、そして傷害保険の加入等を協定により規定しております。
次に、DPATです。DPATとは、災害時に地域の精神保健医療ニーズに対応する医療チームです。こちらは平成25年から養成を開始しております。DPATも都道府県の要請に基づき活動し、DPATのうち、発災48時間以内に活動するDPATをDPAT先遣隊と言い、国が養成・登録しております。先遣隊は、令和4年4月時点で810名が研修修了済み、255隊が指定機関に登録されております。
次に、都道府県別のDPAT先遣隊養成隊員数です。こちらはあくまで先遣隊の数でして、例えば東京都はゼロなのですけれども、DPATがいないわけではございません。DPATのうち、国が養成しているのがDPAT先遣隊です。都道府県独自に養成しているものがいわゆる都道府県のDPATということになっております。
続きまして、DPATの近年の主な活動実績です。こちらも、DMATと同様、熊本地震をはじめ、コロナ等、多くの実績がございます。
続きまして、DPATの新型コロナ感染症に対する活動の現状です。DPATは、自然災害を主な活動の場としてきました。しかし、新型コロナの拡大を受け、DMATと同様、都道府県調整本部において入院搬送調整の支援や、感染症の専門家と協力してクラスター対応を行ってきました。
他方、DMATと比較して、新興感染症蔓延時におけるDPATの活動が活動要領に記載されておらず、現場の隊員は感染症に対する十分な研修などが受けられない中で、個々の尽力により活動を維持している状態であります。
令和4年の1月から2月に都道府県を対象に行ったアンケート調査において、DPATの活動は2~3週から数か月、活動内容は、災害と同様に、調整本部やクラスター支援ということが分かっております。
続きまして、DMAT等に関する最近の動きを御説明させていただきます。本年の6月15日に、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議での新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題において、政府の取組から見える課題として、医療提供体制の強化に関する事項の中に、災害派遣医療チームは新型コロナ感染症対応でもクラスターの発生した医療機関への支援や入院調整等で活躍したが、そうした役割の法令上の位置づけがなく、事前の訓練もされていなかったため、都道府県が設置する入院調整本部において既存の都道府県DMAT調整本部の機能が十分に活用されないなど、非効率な対応がなされるケースがあったことが指摘されています。
また、右側ですが、6月17日、新型コロナウイルス感染症対策本部決定の新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の方向性の中で、医療提供体制の強化のうち、広域での医療人材の派遣などの調整権限創設等において、DMAT等の派遣活動の強化に取り組むとあり、具体的事項として、DMAT等の派遣や活動をより円滑に行えるようにすると記載しております。
次に、こちらは保健医療活動チームの連携についてでございます。災害時は様々な医療チームが集結し活動しますが、保健医療活動チームの連携について厚生労働省が発出した通知をお示しします。左は、熊本地震の課題を踏まえて、平成29年に発出した大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備についてです。保健所や様々な保健医療活動チームとの連携や、チームとの連絡や情報連携を行うための窓口として保健医療調整本部を設置すること。右は、医療計画の災害時における医療体制の構築に係る指針において、災害医療の現状として、災害が鎮静化した後も、様々な医療チームがDMATやDPATとも連携しつつ活動を行っていることを記載しております。
論点です。DMATは、災害を主な活動の場としてきたが、新型コロナ対応を踏まえて、令和4年2月に活動要領を改正し、新興感染症に係る活動をDMATの業務として位置づけたところであるが、今後、DMATの派遣や活動をより円滑に行えるようにするためには、有識者会議の指摘でもあったように、法令上の位置づけの必要性を含め、どのような対応が考えられるか。
DPATの新興感染症対応は、いまだにDPATの活動要領に明確化されていないところであり、今後の新興感染症の蔓延時に備えて、活動要領を改正するほか、DPATの派遣や活動をより円滑に行えるようにするためにはどのような対応が考えられるか。
DMAT・DPAT以外にも、各種職能団体等において災害時等に支援活動を行う人材の養成が行われていますが、今後の連携強化についてどのように考えるか。また、災害時等において特に課題となる看護師をより確実に派遣するため、DMATと同様、都道府県知事と医療機関との協定に改めていくことについてどのように考えるか。
続きまして、災害時に拠点となる病院です。災害拠点病院・災害拠点精神科病院でございます。
まずは、災害拠点病院です。平成8年に、災害時に医療提供体制の中心的な役割を担う病院として整備を開始しております。災害拠点病院には基幹災害拠点病院と地域災害拠点病院があります。災害拠点病院は、4月1日の時点で765病院が指定されております。
続きまして、災害拠点病院の指定要件の改正です。これまで大規模災害の課題を踏まえて、必要に応じて指定要件を改正してきました。熊本地震においては、災害拠点病院でもBCPの策定が不十分であったことから、平成29年にBCPの整備や訓練を要件に追加しております。また、北海道胆振東部地震においては、長期停電や断水が生じたため、令和元年に3日分程度の自家発電機の燃料や水の備蓄を追加しております。
続きまして、災害拠点病院の整備に対する財政支援の一覧でございます。耐震整備や備蓄倉庫、自家発電機設備等がございます。
続きまして、こちらは災害拠点精神科病院です。令和元年から、災害時における精神科医療提供の中心的な役割を担う病院として整備が開始されました。都道府県には最低1か所整備することを求めておりますが、令和4年4月の時点で21都府県、36病院の指定にとどまっております。
下段の右のグラフですけれども、こちらは都道府県内に指定病院が1か所以上ある都道府県の推移を示しています。令和元年には、県内に拠点病院が1か所以上ある都道府県は6、令和2年度には18と増加したものの、令和3年には21と伸び悩んでいる状況でございます。
続きまして、令和4年度以降の災害拠点精神科病院の指定の見直しについて。このような中、令和4年の4月に都道府県に対して拠点病院に対する意向調査を実施しております。令和4年4月時点では、26道府県が県内に1か所も拠点病院が整備されておらず、このうち9道府県は令和5年度までに整備が予定されております。10県は指定に向けて具体的な整備を進めていると回答しておりますが、残り7県については整備時期や指定候補の病院さえも決まっていない状況です。
(参考)の一番下ですけれども、残った7県についてヒアリングを行ったところ、設備の整備が不十分という回答が4県から得られており、残りの3県は、コロナが影響していると回答がありました。
続きまして、災害拠点精神科病院の指定要件です。多くは災害拠点病院と同様ですが、ヘリポートや患者搬送用の緊急車両は要件化されておりません。
続きまして、災害拠点精神科病院の整備に対する財政支援の一覧でございます。耐震整備、自家発電等がございます。
論点です。災害拠点精神科病院については、全ての都道府県において1か所以上の整備が進むよう、期限を区切って進めるべきであり、例えば、第8次医療計画が開始するまでの間に整備を求めることとしてはどうか。
次に、止水対策を含む浸水対策。近年の激甚災害の指定状況でございます。近年、我が国において激甚災害に指定されている豪雨災害が毎年発生し、各地で甚大な被害をもたらしております。
続きまして、医療施設浸水対策事業です。こうした近年の豪雨災害による被害を踏まえて、令和2年度から医療施設が行う浸水対策に対して財政支援を行っております。対象医療機関は、浸水想定区域や津波被害警戒区域に所在する政策医療機関を行っている医療施設で、事業内容としましては、止水板の設置や医療用施設や電気設備の移設、排水ポンプ等の設置がございます。
続きまして、災害拠点病院における浸水対策について、当課にて調査を行っております。結果として、災害拠点病院761か所のうち浸水想定区域に所在する病院が289施設、38%あり、このうち何らかの浸水対策が行われている病院は75%、216か所でございました。
続きまして、災害拠点病院の指定要件及び災害時における医療体制の構築に係る指針における浸水対策です。このような中、令和元年の会計検査により、適切に浸水・止水対策が行われていない災害拠点病院があることが明らかとなっております。令和3年の参議院決算委員会において、浸水対策としての自家発電機の設置場所のみならず、止水対策も要件に含めることを検討すべきとの措置要求決議がなされております。
現在、災害拠点病院は、浸水対策として「自家発電機等の設置場所については、地域のハザードマップ等を参考にして検討することが望ましい」との記載にとどまっており、医療計画の指針には浸水対策の記載がありません。
論点です。豪雨災害の被害を軽減するために、災害拠点病院等に対して、電気設備などの高所移設や止水板等の設置による浸水対策の実施など、より具体的な対応を求めていくべきではないか。
最後に、医療コンテナの災害時等における活用です。医療コンテナは、2018年の「国土強靱化基本計画」において、「総合的な防災拠点施設にて医療コンテナをはじめとする診療ユニットについて平時活用を含め検討する」と記載されたほか、2022年の骨太の方針においても、「医療コンテナの活用を通じた医療体制の強化等の地域防災力の向上や事前防災に資する取組を推進する」と記載され、災害時等の活用が期待されております。
厚生労働省は、令和3年度に医療コンテナ調査分析事業を行い、災害時・新型コロナ対応での活用事例を調査・分析しております。
医療コンテナは、テントと比べて、清潔性、堅牢性、耐候性に優れていること、水や電気の供給設備の配備やCT等の大型の医療機器を搭載できること、プレハブと比べて医療機器を登載した状態で運搬が可能であり、災害時に被災地に運搬し医療提供が可能なことなど、災害時等の活用における利点があります。
過去の事例としては、災害時に、被災した病院の診察室、CT等検査機能の保管や避難所の巡回診療等に活用。今般の新型コロナ対応では、発熱外来やPCR検査室としての活用、長崎港においてクルーズ船で感染した乗客の重症度判定のためにCT搭載の医療コンテナを活用したという事例がございました。
こちらは過去の大規模災害の活用例を示しておりますが、日本赤十字社や陸上自衛隊等のコンテナが仮設診療所として活用されております。また、過去のサミット開催時にも要人の治療目的でコンテナが設置されております。
論点です。災害時等における医療コンテナの活用についてさらなる普及を図るためには、どのような方策が考えられるか。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
本日は、猪口構成員、井本構成員、細川構成員より参考資料が提出されておりますので、引き続き御説明をお願いしたいと思います。それでは、猪口構成員、よろしくお願いいたします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口でございます。
資料、これはAMATと言いますけれども、全日本病院協会がつくりました災害時医療支援活動班のこと、All Japan Hospital Medical Assistance Teamということであります。これは、東日本大震災のときに、当時の話ですけれども、あれだけ広域災害で、地域の災害医療計画に基づきますと、災害拠点病院を中心とした計画が起きまして、そういう計画に余り載っていない、例えば療養型の病院であったり、それから回復期を中心としているような病院には、我々、全日病の会員が多くいたわけですけれども、災害支援が余り、すぐには届かなかった。1週間ぐらい何の支援もなかったということが経験で、互助的に始まったところであります。
ここに書いてありますように、医師1名、看護師1名、業務調整員1名の3名を基本としながら、必要があれば、セラピストであったり薬剤師であったりというところを加えながら活動するわけなのですが、現実的にこの活動をしてまいりますと、公的セクターだけで行われるというものと比べて、公的な視点にとらわれないでいろんな場所に行く、そして、DMATと比べますとはるかに長期間行くこともできますし、それから、JMAT、日本医師会のチームの皆さんと同じように、避難所等の支援なんかもできる。それから、ロジスティックチームが最初に行くのですけれども、そのときには、自分たちも病院の救急車などを利用して非常に機動的に行きますので、被災地において搬送業務を行ったりということで、気づいてみますと、やってきますと、DMATと、それからJMATとも違う、医療者を補完するような活動を行えるということに発展してきております。
2つ目ですけれども、全日本病院協会と医療法人協会が中心となっておりますので、さらに四病協の仲間として日病のほうにも参加を呼びかけて、参加できるところはしていただくという形で行っておりまして、各県単位で動いております。各県に活動本部を置いて動きますが、必ず、ここに書いてあるとおり、県の調整本部と連携をとってやる。連携本部のほうに要請が受けられれば、日本全国のほうに派遣を要請して、場合によってはその調整本部の協力を行えますし、我々の会員病院から、これは医療法人協会、全日病、そして日病のほうからも依頼があれば、この依頼の内容は、DMATだとか調整本部に依頼しづらいような内容、例えば支援物資の調達だとかそういうことも含めて、そういうものがあれば互助的に活動を行います。なるべく両者両立させるように行っているのがポイントであります。
これはこれまでの実績ですけれども、先ほど来話があるとおり、熊本地震以来、ほとんどの災害に出ています。そして、今書いてあるとおりですね。DMATが災害拠点病院中心に動くならば、災害拠点病院ではないような病院の支援を行ったり、そのような搬送を行ったり、医療救護所の支援を行うということを行ってまいりました。
それから、ダイヤモンドプリンセス号においても同様に乗り込んで、延べ13人も送り込んで支援しております。
これは救急車を用いたものですね。
これは台風15号で房総半島に出かけたものですが、これぐらい長期にわたって行くことも、全国組織ですから、局地災害の場合にはこういうことになります。DMATがなかなか長期にわたって行えないようなところ、それから、きめ細かい医療救護所のようなところ、それから搬送業務といった、そうした業務を補完するような形で今まで活動してまいりました。研修事業においては、厚生労働省から補助金をいただくようになりましたので、今現在、1,284名が研修を修了しておりますけれども、今後この研修を拡充して、会員を増やしていきたいと考えております。
これは例えば台風15号のときの、組織上いろいろ派遣した中においては、全日病の活動が長いこと多くの活動を行ったというようなデータであります。
以上であります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、2つ目につきまして、井本構成員から御説明をお願いできればと思います。
○井本構成員 このような機会をありがとうございます。参考資料2を御覧いただきたいと思います。画面にて共有させていただきます。
本会が都道府県看護協会と運用しております災害支援ナースについて御説明を差し上げたいと思っております。
次のスライド1になります。「災害支援ナースとは」ということで定義をしておりますけれども、看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるように努める、また被災者が健康レベルを維持できるように被災地で適切な医療・看護を提供する、そういった役割を担う看護職のことであり、これは歴史的には阪神・淡路大震災以降、任意のネットワークから始まり、現在、災害支援ナースとして運用している経緯があります。現在、災害支援ナースの登録者は全国で、昨年の3月の時点でのデータが最新ですけれども、1万人以上になっております。
この登録については、所属施設長の了解を得た看護職が都道府県看護協会に登録するという形で制度を持っております。また、災害発生時の対応としては、レベル1からレベル3に分けて運用しておりまして、単独の支援は、県内で被災県看護協会が派遣調整をしている、そして、広域になればレベル2、3というふうに展開していって、日本看護協会が派遣調整をしているということになります。
先ほど猪口委員の御説明にもありましたが、DMAT、DPAT等々との差については、活動のタイミングが発災後数日から1か月程度の長期になるということ、また、先ほど少し役割としてお示ししましたが、被災した看護職がなかなか出勤できないこと等があるので医療機関へ支援に入るということと、避難所で活動するといったことが特徴かと思っております。
次のスライド2になります。現在、このような活動を続けてきてかなり歴史はたつのですけれども、参考2のほうに活動の実績を示しておりますが、災害支援ナースが活動する機会が増えてきていることで、どうしてもボランティアベースの位置づけですとこの指揮系統というところで責任の所在が不明確になっていること、あともう一つ重要なこととしては事故補償ですね。個人が休暇を所属長に願い出て活動するというような形態をとっていることから、活動中の事故については労災保険の対象とならないということがあります。
また、ほかの補償については、賠責保険ですとか傷害保険については本会で仕組みを持っているところです。また、活動の対価についても課題として持っております。
このようなことから、新たな枠組みの構築ということでいろいろ議論しておりまして、基本的な考え方としては都道府県の派遣要請に基づく活動になり、なおかつ、休暇の取得を前提としていない派遣形態、そして所属施設ごとに登録ができると、より派遣要請に対してスムーズに活動できるのではないかと考えているところです。
この3つの考え方をもとに、本会では、次のスライド3に示したようなスキーム案を提案しているところでございます。これにより、国と県が連携をし、各県協会と日本看護協会が連携するような形をとれば、大規模災害時に保健医療調整本部との連携のもと、看護師の派遣や活動をより円滑に効果的に行うことが可能になるのではないかと考えております。
この運用については、長年の本会を含む都道府県看護協会で活動を積み重ねてきての実績と運用から考えたものでございます。ですので、このような実態として運用している仕組みについて、ぜひとも御活用いただきたいと考えております。
参考資料として、全国の登録者数ですとか、先ほど申し上げました実績について添付しておりますので、御参照いただければと思います。
ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは引き続きまして、細川構成員より御説明をお願いいたします。
○細川構成員 日本医師会常任理事の細川でございます。このたび職務変更がありまして、私がこのワーキンググループに加えていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。本日は、日本医師会災害医療チーム(JMAT)について簡単に御紹介申し上げます。
1ページをお願いします。日本医師会は、平成26年に災害対策基本法上の指定公共機関となっております。防災業務計画の中でJMAT要綱を定めております。JMATの目的は、被災地の生命及び健康を守り、被災地の公衆衛生を回復し、地域医療の再生を支援することでございます。
一番下でございますけれども、日本医師会の災害支援の最終目標というのが「被災地に、地域医療を取り戻す」ということになっております。
2ページをお願いします。そのために、JMATが担う役割として、スライド2は(1)から(7)までございますが、災害急性期以降の中長期にわたって、被災地の地域医療が取り戻されるまで、多様かつ広範囲に及ぶ活動を行います。
3ページをお願いします。医師会という組織は、まず郡市区医師会があり、都道府県医師会があり、そして日本医師会という3層構造になっております。JMATの強みとしては、ふだんは地域住民のかかりつけ医として診療を行っている地域医師会の先生方や医療従事者を連携して組織されるという点が挙げられます。
4ページをお願いします。これらは災害時の医療体制を書いてございますが、右側、都道府県に設置される保健医療調整本部には、通常、被災地の都道府県医師会も密接に関わることになりますので、日本医師会と情報共有、連携を行うことで適切な支援が可能になるかと存じ上げております。
5ページをお願いします。現在、JMATのコンセプトとしてですけれども、一番左側ですが、被災地の医師会で組織される被災地JMAT、それから、被災地外からの地域支援を行う支援JMATの2つがあります。この2つの協働によってJMAT活動を行います。
6ページを御覧ください。こちらは時系列で見た支援体制イメージとなります。災害発生直後は、被災地JMAT、それから、被災地外から支援JMATが入って、その後はJMATⅡという、被災地の医師不足やニーズに応じた専門外来等の継続的な支援を行うこととなっております。
7ページを御覧ください。こちらは大規模災害の例でございますけれども、時間的経過、それから医療需要量のどのような医療支援ができるかの概念図でございます。下軸の(0)は事前準備。(1)で発災して、まず赤のラインで表された被災地の医療ががくんと下がります。そこで黄色の被災地JMATが活動開始しますが、それも疲弊してまいります。(2)でDMATが対応されているのと同時に、被災地に入った先遣JMATが被災地外から支援JMATの要否、必要量等を判断します。その判断に基づいて、(3)辺りから支援JMATが入り込んで継続的な支援を行います。
このときに、統括JMATが現地の情報や把握、日本医師会の情報発信等で派遣先の絞り込みなどを行ってきます。徐々に被災地の医療が回復してきて、地元へ引き継ぎながら、撤退・撤収を行いますが、被災地のニーズに応じて、JMATⅡとしてさらなる継続的な支援を行います。
8ページ、9ページに関しては後ほど御覧になってください。
10ページ、「JMATのチームの編成・例」がございますが、これはあくまでも例でございまして、医師は必ず必要になりますが、被災地のニーズによってチーム編成が可能となっております。
11ページ目、これは近年の災害医療の派遣実績でございます。派遣人数は延べ人数になっております。
12ページ目。JMATの枠組みを用いながら、今回、COVID-19 JMATとして、宿泊療養施設、地域外来・検査センター等に医師や医療従事者を3月末までに10万人以上派遣しております。地域医師会では、地域の実情に応じて行政との契約など別の枠組みで取り組んでいる場合も多いので、実際はさらに多くの方々が従事していただいております。
13ページ目、これはJMAT研修ですが、平成30年から開始して、令和4年度末までに1,493名の方に受講していただき、各地域の災害対応力の充実を図ってきております。コロナ禍になってからはなかなか実習ができておりませんが、JMAT研修の教材をベースに独自の研修を行う都道府県医師会もございます。また、日本医師会が研修を始める前から盛んに研修を行っている医師会もございますが、その辺は人数に含めておりません。
14ページ、JMAT研修は、御覧のとおり、4つのプログラムがあります。
15ページ目をお願いします。最後は日本医師会で作成している「新型コロナウイルス感染症時代の避難所マニュアル」でございます。杏林大学の山口教授が委員長で、災害時から持ち運びやすいB6サイズへ、日本医師会のホームページからも無料でPDFとしてダウンロードもできますので、今後御利用いただくようよろしくお願いします。また、今後これをテキストにしたJMAT研修も行います。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま、事務局及び構成員の皆様から資料の説明がありました。これから議論に移りたいと思いますけれども、事務局が提出されております資料の中には、論点というものがございます。ページ数で言えば22ページ、31ページ、37ページ、41ページの4つでございますけれども、これ一つ一つやるということよりも、これら総合的に御議論いただきたいなと思いますので、ただいま、構成員の皆様から御説明のあった内容も含めまして、全体として御議論いただければなと思います。御意見、御質問等おありになる方、いかがでございましょう。
それでは、野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 ありがとうございます。今、厚労省のほうからDPATについていろいろ御説明いただき感謝します。日精協はDPATを受託しており私はDPATの事務局長をやっておりますので、要望という形にはなると思うのですけれども、ちょっと意見を言わせていただきたいと思います。
まず、それぞれの団体がいろんな活動をされて、救急の現場でもいろんな活動をしているわけですけれども、よく公的な部分ということで、DMAT、それからDPATという形で活動しているわけですけれども、実は、御存じのとおり、DMATはいわゆる診療報酬上で派遣元の病院に金銭的補償がある形になるのですけれども、DPATについては、日精協は事務局としては委託事業として予算をいただいているのですけれども、派遣元の病院等には何の補償もないという形になるわけですね。だから、派遣元病院にとって全くのボランティアになります。DPATで出動するチームも一定の現場経費はいただいていますけれども、DMATの待遇と異なり研修会や更新研修などは個人ないし病院が支出するという全部ボランティアという形になっている現状があるのですね。
基本的にはやはり平時に準備するとかいろんな行動をするわけですけれども、この平時の行動について、診療報酬上とか、何も補償されていませんので、御存じのとおり、精神科病院、9割以上が民間病院という中で、全然増えないという理由はやはりそういういわゆる支弁上の問題がほとんど補償されていないというのが大きくて、人数が増えていかないということにはなってくると思います。
それから、災害時におきましても、例えばダイヤモンド・プリンセス号が一つの例になりますが、出動時において個人の補償が全く決まっていなかった。出ていけとは言われる。出ていけということで出ていくのです、私たちは。やはり出ていかないといけないので。その中で、個人の補償はどうなるのですかというのを一生懸命厚労省に尋ねさせていただきましたけれども、活動終了まで回答がありませんでした。そんな状態でずうっと活動してきた。
もっと極端なことを言いますと、ダイヤモンド・プリンセス号では、感染してしまった先生がおられるのですけれども、その先生が病院のもとに帰っても隔離があるのですぐ出勤できなかった。当然のごとく10日間ぐらい病院を休むということになるのです。この先生は民間病院から出動された先生だったのですけれども、ボランティアというか、自分の意思で出られた先生ですけれども、その派遣元の院長はもう大怒りで、出動要請を受けて出動していくわ、補償はないわで、どうなっているのだということで、もう二度とDPAT活動には参加したくないということを言われた覚えがあります。この辺りは派遣元の病院のほうに何らかの補償はしていただかないと、今後、民間病院が多い我々、精神科病院ではなかなか成立しないというところがあります。
それからもう一点、よくあるのは、研修会等で、DPAT先遣隊をどんどん養成しているわけですけれども、都道府県の職員さんが結構占めるのですね。それは構わないのですけれども、例えば都道府県の職員さんが先遣隊の派遣を受けます。それで、絶対受けさせてくれというか、これは都道府県が決めますので、自分たちが優先して受けてこられるのですけれども、2年ぐらいしたらみんな部署が替られるのですね。部署が替ると自分たちは関係ないという形で、部署が替ったので次の人たちを研修会に出させてくれという形になってきて、一般の民間病院の先生方に研修会が全然回らない。同じ県で2年か3年ごとに新しい人たちが受けていて、かつ、その方たちは、移れば、災害とは私たちは全然関係ないからという形で、もう災害には全然関係してこないという、非常に大きなこの辺りの問題点があると思います。
それから、災害拠点精神科病院が増えないという理由の1つは、これも診療報酬上の手当がないので民間病院はほとんど手を挙げないのです。こういう意味では、社会医療法人等に少し挙げていただいたらありがたいのですけれども、でも、実際問題、社会医療法人の認定要件の中には、DPATという言葉は一つも出てこないのですね。DMATという言葉はいっぱい出てきて、DMATを持っているとか、いろんな形は出てくるのですけれども、DPATを保持しているとか、全くそういう言葉が出てこない。これはちょっと問題であって、やはり何らかそういう部分をもう少し精神科のほうにも目を向けていただきたいという気がしますのでお願いします。
それから補助金等もそうですけれども、都道府県から言わせますと、補助金をお願いしてもなかなか補助金がおりない。だから、実際問題としては、補助金の予算が出ていてもなかなかおりないのでこれを取れないというような形も大きいのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。御要望、あるいは問題提起であったと思いますが、もし何か関連で事務局としてコメントがあればお願いできればと思いますが、いかがでございましょう。
○中村室長 野木先生、ありがとうございます。いただいた御意見など、大事なポイントが含まれていたと思いますので、事務局としてもそういったことを踏まえて、今後のDPATの活動、災害拠点精神科病院についてなどを検討させていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、お待たせしました。猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。
先ほど、AMATのプレゼンをさせていただきましてどうもありがとうございます。災害があったときに、都道府県に、以前でしたら災害本部というのができて、今だったら保健医療調整本部ですけれども、そこに入りますと、地元のDMATの先生が保健医療調整本部の中心となる形で入ります。地元の災害医療計画では、日赤さんとDMATさんと、そして日本医師会の地元の医師会、県医師会のチームが認識はされているのですけれども、それ以外のチームに関してはなかなか計画の中に入っていかないというか、登録をして、災害の被災県に入りますと、その本部に行って、様々な医療チームは登録しに行くのですけれども、なかなか認識されないのですね。地元の医師会のチームであったとしても、DMAT中心に考えられている。
広域支援のDMAT、例えば大学のDMATのようなチームの方たちは広域支援でたくさんいろんなところに行きますから、そういう方たちが本部長をなさっているようなときには、我々のようなチームもすぐ認識していただけるのですけれども、地元の先生方がなさると、やはり計画の中にいろいろな、我々のようなAMATであったりJMATであったとしても、なかなか最初からイメージがわいていないところがあります。
そこで要望なのですけれども、この保健医療調整本部の訓練の中に様々なチームが入ってくるような、そういういろんなチームが入ってくるのだということ。そして、特には、今日私たちのほかにも、JMATであったり、そういったいろんなチームが入ることを前提とした計画であり訓練をぜひしてもらいたいと思ってお話をさせていただきました。これは22ページの論点の3つ目の丸のところの、各種職能団体がいろいろ派遣するに当たってというところで、ふだんからの訓練が必要ではないかなと考えております。
それから、看護師の看護協会が派遣する災害ナースの話なのですけれども、これは非常に重要な話だと思いますけれども、これも出していく病院にとっての補償というものが必ずしもはっきりしていない。先ほどのお話と近いところがありますけれども、派遣する側の病院の補償というものもしっかり分かるようにしていただきたいと思っています。
2点です。以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。こちらも御要望として承りました。事務局、今後の議論の中でいろいろと考えていただければと思います。猪口構成員、よろしゅうございますか、そういう対応で。
○猪口構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、本多構成員、よろしくお願いいたします。
○本多構成員 ありがとうございます。埼玉県、本多でございます。
資料の22ページの3つの論点について、幾つか御質問とコメントをさせていただきたいと思います。
まず、1点目の法令上のDMATの派遣や活動をより円滑に行えるようにするためには、法令上の位置づけの必要性を含めどのような対応が考えられるかについてでございます。御案内のとおり、第2回目のこのワーキンググループで日本DMATの活動要領の改定について御報告いただきまして、その際、出動する人たちの身分保障とか保険も含めて改善されるので、今後は出動しやすくなるのではないかというようなお話があったように記憶しているのですけれども、今回、法制化というキーワードが出てきているのですけれども、活動要領の改正だけでは、そもそもどういうところが不十分な可能性があるのかという辺りのイメージが分からないので、今回の論点の趣旨がちょっと分かりにくいので、その辺、私だけなのかもしれませんけれども、御説明いただいた方がいいのかなというのが1点ございます。
それから、より派遣しやすくなるという観点でお話させていただきますと、例えば埼玉県で言えば、クラスターを支援するためのチーム編成としては、医師、看護師、保健師、業務調整員、これらの方々4人を一つの単位としたチームに編成して派遣しています。実際、結果的に、DMATの方がこのチームの中にどれぐらい入っているかというと、医師、看護師合わせて35人が支援チームにご協力いただいていますが、このうち、DMAT隊員の方は6人で約6分の1程度になっています。これは感染制御を中心に指導が必要な場合ですとか、あるいは重症化も含めた医療についてのアドバイスの支援だとか、いろいろケースによっても違うので、人選して進める必要があるためです。結果的にこのような状況になっていますが、やはり今後DMATの活動として新興感染症を位置づけるのであれば、従来のほかの災害対策のスキームとは感染症対策のスキームは違うと思いますし、今回、新型コロナですけれども、どういう新興感染症が起こるかにもよると思いますので、少しそういった観点での柔軟な見直しが必要ではないかと考えます。
例えば施設等でのクラスター発生に伴う感染症の蔓延防止のために感染制御を主な目的として支援チームを派遣する場合には、従来のDMATチームの形だけではなく、たとえば、必ず感染症管理認定看護師の方をチームに入れる、できれば感染症管理を専門とする経験豊富な医師をチームに入れるとか、そういった視点も必要ではないかと考えます。
また、前回の会議でも出ていましたけれども、やはりDMAT隊員の方々に対する感染症という側面での基礎的な研修ですとか、あるいは、先ほど申したような感染症制御を専門とする感染症の専門スタッフとどのようにコミュニケーションとっていくのかという辺りも含め、今後、どのように感染症や感染症制御に関する専門教育体制を強化し、育成していくかということがポイントではないかと思います。
それから、同じくDMATを派遣しやすくすることについてですけれども、都道府県の入院調整本部においては、感染症の発生状況等によりどういう患者さんの入院需要がより優先されるべきかなど、その時々、また、ケースによってどういう先生がより能力を発揮されるか、状況や事例によっても違うところがございます。資料の方では45都道府県でDMAT関係者が入っているという書き方になっていましたけれども、引き続き柔軟な対応をお願いできればと思います。
次に、論点の2つ目のDPATの関係でございます。先ほど野木構成員の方からお話があり、参考になりました。私は自治体の立場ですので、DPATの先遣隊についてお話しますが、先遣隊の関係の先生方の御意見をお聞きしますと、要領の改定だけでうまく機能するのかといったあたりをとても心配されている声が聞かれます。
また、先ほどダイヤモンド・プリンセスの話題が出ましたけれども、埼玉県で言えば、第一波の頃に中国の武漢からチャーター便で帰ってこられた方々が国立保健医療科学院や税務大学校の方に一時的に多く滞在された際、職員の方が自殺されるといった事件がありまして、そのときにDPAT先遣隊が出動しております。ですので、感染症に関連してDPATの出動機会はあると思うのですがどういうフェーズとか、どういう場面でDPATが特に必要なのかという辺りについては整理をした方がよろしいように思います。
例えば一般の精神科病院で、新型コロナの蔓延期になってからクラスターが出たという事例の支援については、特に閉鎖病棟だからといって、DPATでなければ支援が難しいという事例は、私は個人的には余り聞いていないのです。聞いていないだけなのかもしれませんが、むしろ求められているのは、日頃の院内感染対策も含めてどのように対応したらいいのかといった辺りをお聞きしたいというケースが多い状況でし。そういう場合には、むしろ先ほど出ました感染症制御に詳しい先生方や感染管理認定看護師の方とか、そういった方々が出動して効果的な支援が行われたというようなケースが多い印象がありますので、その辺も含め、円滑にDPATの活動・派遣ができるという観点では、DPATがどういう場面で一番求められるのかという辺りについて少し実情を踏まえた検討が必要なのではないかという印象を持っています。
次に、都道府県と医療機関の協定についてでございますけれども、これについてはもっと詳しい先生方がいらっしゃると思うので簡単に申し上げますが、まず、基本的には各団体と都道府県、看護職の方については都道府県の看護協会と都道府県が協定を結んでいるところが多いのではないかと思います。例えば埼玉県の協定では、看護職について事前の救護計画を策定していただいて、速やかに救護班を派遣いただくこととか、訓練などについても協定の中に含まれている状況でございますので、都道府県が個別に、これとは別に個々の医療機関と協定を結ぶのだとすればどういうところを狙ってどういうメリットを期待するのかという辺りの整理が必要ではないかと考えます。
このほか、看護職の方に限らず、医師会、歯科医師会、日本赤十字、助産師会、薬剤師会、それぞれの団体と協定を結んでいる状況もあるのではないかと思いますので、医療機関ごとの協定とのすみ分けをどうするかが課題ではないかと思います。
すみません、長くなって申し訳ないのですけれども、次に災害拠点精神科病院の関係でございます。先ほど野木構成員からもお話ありましたけれども、資金の問題とか施設の老朽化ということが非常にネックとして大きいとも聞いております。まだできていない自治体は限られているというようなお話も資料説明でありましたけれども、残ったところはなかなか厳しい状況をきっと抱えていらっしゃるのかなと想像するところもあります。特に地方公共団体立の病院、地方独立行政法人立の病院については、厚労省の交付金の対象にはならないといった話もお聞きしており、やはり財政的なところが1つネックになってしまっているというような話もあるので、論点案にあったような時期に決めるのであれば、その辺も含めて現実的な検討が必要ではないかと考えます。
次の論点の災害拠点病院の浸水対策でございますけれども、こちらも大事な問題で必要なことであり、方向性としては当然その方向に向かっていくべきと考えますが、やはりこちらのほうも、経費の問題ですとか経済的な問題が現実の現場ではいろいろ問題となっている部分があるようでございます。
長くなりまして恐縮です。以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほとんどが御意見、御要望だったと思いますけれども、冒頭、事務局への質問がありましたので、事務局の対応をお願いします。
○中村室長 御質問いただきましてありがとうございます。
DMATの活動要領を改正したことで解決できなかったのかどうかというような御指摘がございましたけれども、こちらについては、今、先生がDPATのところでおっしゃったように、まさに新型コロナウイルスなどの関係もございまして、要領を改正しただけで本当に円滑にうまくいくようになるのかというような懸念というものを言われているところがございまして、それもありまして、この有識者会議のところで役割の法令上の位置づけなどと御指摘されているのかと承知しております。
ですので、今どこまでいけばそれがいいのかと、いろんな御意見あると思いますけれども、そういったことを含めまして、先生方の御意見もいただきながら、今後どのようにするかということを検討していくものとこちらは考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、先ほどお手を挙げていなかったお二人いらっしゃいますが、今の話に関連するのであれば優先いたしますが。
よろしゅうございますか。
では、まずお二人、お手を挙げている方が終わりましたら、指させていただきます。それでは、溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 大阪公立大学、溝端でございます。
私のほうからは3点申し上げたいと思います。まず1つ目は、3名の構成員から御報告がありましたように、AMAT、JMAT、そして災害支援ナースといった活動が全国規模で行われています。大変すばらしい活動だと思うのですけれども、いまだ都道府県、特に大阪もですけれども、保健医療調整本部等を定めた災害対応計画にこういったチームが明確に記載されていないという状況がございます。猪口構成員がおっしゃられたように、実際の訓練で、そのような各チームと協力した訓練を行っていくためには、明確に災害対応計画等に組み入れていくことも必要ではないかと思います。
その際には、全国規模で活動しているということや、それぞれ指揮命令系統が明確に確立できているといった基準を設けて、一定の活動ができるチームを国のほうである程度選別、整理していただき、都道府県に下ろしながら、そのようなチームを災害対応計画に組み入れ、一緒に訓練していくということを進める必要があるのではないかと思っています。それが1点目です。
2点目ですけれども、論点2、災害拠点精神科病院の整備が進んでいない道府県が26あるということです。そして、そのうちの17県については、候補病院が決まっているところとまだ決まっていないところがあるということでした。候補病院が決まっていない7県につきましても、内容をよく見ますと、ほぼ決まっているところが6県あるということで、この17県のうちの16県は候補になる病院というものがほぼ決まっているようです。しかしながら、その指定が進まない背景としては、設備の整備が進まないとか、コロナでの打合せが進まないといった理由があるようです。そのような整備を進めるためには予算等が必要だと思いますので、災害拠点精神科病院になるために、指定を前提にその予算補填を行うことを前向きに御検討いただきたいと思います。
今回のコロナ禍におきましても、精神科病院に入院しているコロナ患者さんの転院は大変難しいものがございましたので、精神科疾患を背景とする患者さんの転院がスムーズに進むような体制整備を進めていただきたいと思っています。
最後に、コンテナの活用です。G20のときに陸上自衛隊のシステムや、日赤のdERUのシステムを、大阪で拝見しました。大変すばらしいシステムで、これをぜひ活用できるようにしていくべきだろうと思います。
ただ、日常の診療状況では、病院での設備に比べますと、こういった一時的なコンテナは実用面で劣るもの、難しいものがあるかと思います。G20あるいはG7といった特殊な状況や、また今回のコロナ禍におきましても、大阪ではコロナ重症センターというものを大阪急性期総合医療センターの中に設置いたしましたが、そこでの重症者の判断等にCTコンテナ等が活用できれば、院内まで患者を運ばずとも患者の重症度判定等ができたのではないかと思います。今後も、大阪関西万博を含め、イベントがたくさんございますので、そのようなところにコンテナを設置していただき、また厚生労働省が進めております外傷外科医養成研修で育ってきた外科医、看護師がおりますので、手術のできるコンテナと一緒にそのようなスタッフを派遣していくということで活用していただければと願っています。
以上3点、御意見を申し上げさせていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございます。貴重な御意見として承らせていただきました。
それでは、お待たせしました。大友構成員、よろしくお願いいたします。
○大友構成員 よろしくお願いいたします。
近年、地球の温暖化に伴いまして、風水害が毎年激甚化してきております。毎年のように非常に甚大な被害が発生しております。その中で、参議院の決算委員会の措置要求等々、非常に適切な指摘だと思っておりますが、35ページの浸水想定区域に設置されている災害拠点病院において、何らかの浸水対策が行われている病院が75%ということで、パーセントとしてはまあまあの数字ですけれども、これはやはり、現状の水害の激甚化を考えますと100%に上げていく必要があるのとともに、実は均一な対応等では不十分であると考えます。近年の気象災害の被害想定というのは、日本気象学会とか、それから土木学会等々の研究の成果の進歩により、かなり被害想定の精度が上がってきております。ですので、その病院の設置場所に応じてどういう浸水がどれ位の確立であるかというのはかなり分かってきております。ですので、それに合わせて適切な浸水対策というのをやるべきだと思いますので、この75%の浸水対策の具体的内容を確認して、想定されている被害の程度に応じて適切に措置が行われているかどうかというのを確認するべきだと私は思います。
実は現在、BCPの策定が災害拠点病院の要件となっておりますが、災害拠点病院以外も同様に浸水対策を打っていないと、病院が被害に遭いますとその対応は非常に大変になってまいります。実際に、まび記念病院、こちらは災害拠点病院ではありません。浸水状況から見て全病院避難はやむを得なかったと思いますが、配電設備が1階に設置されており、この被害の復旧に9ヶ月を要し病院の診療機能が長期にわたり制限されたままでした。それから世田谷記念病院、こちらも電源喪失により全病院避難を余儀なくされました。災害拠点病院以外でも、ひとたび病院が被害を受けるとその対応自体が非常に大変なので、浸水想定区域にある医療機関全てに何らかの対策を打っておく必要があるのではないかと思います。
あと、DMATの法制上の位置づけ、これはぜひお願いしたいと思います。それと、先ほど溝端構成員からも言及がありましたけれども、厚生労働省が外科学会に委託して実施しております外傷外科医等養成研修、これは銃創、爆症の被害に遭った患者さんに対する外科治療の研修会でございます。前首相も銃で撃たれ、不幸な結果となりましたので、そういう能力を持っている外科医を増やすというのも非常に重要だと認識しております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。大変重要な御指摘をしていただいたと思います。今後の議論の中で反映できるものは議論していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お待たせいたしました。坂本構成員、よろしくお願いします。
○坂本構成員 坂本です。
既にほかの構成員から同じような意見が出ていますので、1点だけ、法令上の位置づけの必要性というところについて私見を述べさせていただきます。
DMATの制度ができるまでは純粋にボランティアとして、災害の現場に医療従事者が駆けつけていたわけですけれども、DMATができて、活動の要綱ができて、このような協定書が結ばれて、大分整理されてきたと思います。ただ、今日の15ページの協定書の中でも、この協定書自体は、知事とDMAT隊員との間の協定書ではなくて、知事と病院の管理者の間での協定書となっています。現場に行くDMATの隊員の身分は所属する病院の職員のままであり、DMATの現場活動は「所属する病院の業務」として行うということが第6条で書いてあります。
一方で第5条では、その業務の指揮命令は都道府県が指定するものが行うということになっており、身分上の自分の上司と、現場での指揮命令にまだ少し食い違いが残っています。さらに補償という点に関しても、DMAT隊員は公的な業務をしていますけれども、あくまでも病院と都道府県の間の協定書であるということになります。例えば、災害医療コーディネーターなどと同じように、DMATの活動中は一時的に地方公務員として活動し、公務災害もそれによって賄い、指揮命令系統もすっきりさせるというような検討が今後必要ではないかと思います。法的位置づけということを検討する際にそういうことも含めて検討していただければと思いました。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、加納構成員、お待たせしました。どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
先ほどからの議論の続きになってしまうのですが、今、坂本構成員もおっしゃっていただいたように、例えばAMATをつくって今一番の課題が、先ほどからの議論にあります都道府県との協定を結ばなければ身分保障ができないということで、これは非常に大事なことだと認識しております。そういう意味で、22ページの一番下の丸のところ、その点を明記していただいたことだと思うのですが、文章の始めには、DMAT・DPAT以外にも、各種職能団体となっております。これは先ほどからの議論にあったように、溝端構成員がおっしゃったと思いますが、各チームを含めて明記したらどうかなと思います。現在、JMAT、AMATにはある程度教育に関しての国の補助が出ておりますし、そういう意味からも明確なはっきりとした教育的なシステムもでき上がり、また、きっちりと災害時の経験もあるということが確認されたチームは明記していただいたほうが、我々側からすると、都道府県には非常に伝えやすいのではないかと考えます。
例えば先ほどから出ています災害支援ナースもそういう形であれば、ここに明記して、災害支援ナース以外にも、災害支援ナース、JMAT、AMAT、順番をどうするかということは全く問題なくて、その次に、日赤も書かなければいけないのかどうか分かりませんが、各種職能団体として、後段に、「災害時等において特に課題となる看護師を、より確実に派遣するため」ということは明記されていますが、こう書いてあると、何か看護師だけの話になってしまうところもありますので、その点をもう一回整理していただき、最後の「DMATと同様、都道府県知事と医療機関との協定に改めていくことについてどう考えるか」という、そこはちょっと勘違いしないような内容で誘導していただきたいかなと思います。
それともう一つ、これは野木構成員もおっしゃっていたのですが、先ほどから坂本構成員がおっしゃったように、公務員としてという保障があれば、災害時いろいろな保障がつくのですが、民間病院から派遣しているそれぞれのナースにしろ、AMAT隊員は、いろいろな意味での病院の負担もかかっているということが現実的にあります。そういう面では、DMATに関して、DPC上ではこれは保険局マターになるのですが、地域医療係数・体制評価指数にポイントがついているかなと思います。その項目に、先ほどからのはっきりとした、認められたチームは順次それに入れていただけるようにある程度していただくと、派遣するほうの病院にとってもそういった対応がしやすくなるのではないかと思っております。そういうこともぜひとも医政局のほうから考えていただいて、保険局へ出していただくのかどうか分からないですが、そういう議論もしていただきたいかなと思います。
次に、もう一つ気になるのが、災害拠点病院と今回議題になる拠点となる病院という議論についてです。大友構成員が最後におっしゃっていたかと思いますが、大阪においても、災害拠点病院以外に災害医療協力病院という形で、二次救急病院のほとんどを網羅して入れております。これはどういうことかといいますと、東日本の大震災等では、拠点的に活動できる病院が、ふだんからオンリーワンのところが多くあったかと思いますが、大都会においては点で受ける体制でなくて、やはり面で受ける体制をしないとだめだということでそういう形になっているわけであります。
これは私自身が阪神大震災で経験したことですが、あのときは神戸中央市民病院は全然動かなくて、本当に被災してつぶれていた二次救急病院、民間の病院の多くが真っ先にそういう対応をしたのを現場で見ておりましたし、実際に救急車が運べるような道路環境でなかったこともありまして、近くの二次救急病院が本当に非常に頼りにされて、実際に動いたというのが実態であります。
これを考えますと、都会においてはやはり面で受ける体制づくりを考えていないと、現実的に大きな問題が起こるのではないかなと思います。東京もしかりだと私は認識しておりますので、ずっと議論では、災害拠点病院、災害拠点精神科病院もそうですが、拠点病院だけでなくて、先ほど言わせていただきました、災害医療協力病院という名称を大阪は使っておりますが、そういったものの構築をぜひともぼつぼつ始めるべきではないかな、第8次医療計画等にも具体的に入れていただくべきでないかなとお願いしたいと思います。
もう一つ大きなお願いがありまして、先ほども出ましたように、拠点病院には、確かに今回いろんな形で水の確保、電気の確保等で補助金が出ておるわけですが、そういった支援病院は、大阪でも協力している病院には一切ないというのが現実であります。これをやはり構築していかないことには現実的に災害に対応できないのではないかということです。ぼつぼつ、そういった拠点病院だけの考えでなくて、特に大都会でもし災害が起こったことを想定して、災害協力病院等の支援病院、これはどういう名称にするかきっちりと決めていただいて、そういったものの構築をぼつぼつやっていただかなければいけないのではないかなと思っております。それらを含めるとこれは医政局マターだと思いますので、ぜひとも御考慮いただきたいかなと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。現状の課題と御要望ということで受け止めさせていただきます。今後の議論の中で議論の対象とされるものはしていきたいと考えております。
それでは、猪口構成員、お待たせいたしました。どうぞ。
○猪口構成員 すみません。先ほどちょっと話し忘れたところもあるのですが、今の加納構成員のお話をちょっと受ける部分で話をさせていただきますと、東京も、おっしゃるとおり、全ての病院を災害計画の中に組み入れております。災害拠点連携病院と支援病院という形で、療養型の病院まで全て含んで災害医療計画を立てております。22ページの、様々な医療チームを組み入れるというような精神と、それから、あらゆる医療機関、医療資源を利用するという発想は同じだと思いますので、地域の防災計画ではそのようにどんどんなってきております。ぜひ国のほうも全ての医療資源を活用できるような発想になっていただけたらと思います。要望です。
もう一つ、止水などの水害の話なのですけれども、私の病院は、東京の江東地区といって、240万人ぐらいが水害で水没するような地域に病院があるわけですが、ここを水害から守るためにどのようにしたらいいのかということを建設会社とかといろいろ話をしますと、分からなくなってしまうのですね。自家発電の機械は屋上にあります。それから、電化なんかも大事な機械は上に上げてあるのですけれども、重油なんか、動かすためのオイルは地下にあるわけですが、それを吸い上げていく電気の部分はうまくいかないのではないかとか。
それから、東京の場合にはほとんどの電線が道路の下に埋められておりまして、上がってくるところでその電気自体が全部止まってしまう可能性が高い。ですから、この水害のときにどのような計画を立てて、そして浸水対策を行えばいいかというのは、病院単位ではなかなか分からないのです。病院診断というのでしょうかね、防災計画、どの程度の浸水が起きるかというものに併せて、この病院にはこのような計画を立てたほうがいいという診断チームというのでしょうか、建設会社だとかそういう専門家たちがそれぞれの病院に合わせた計画を立てていただかないとなかなか分からない。専門家が集まらないとその病院にふさわしいことが考えられないということが分かってきています。
それから、240万人も避難しなくてはいけないようなところというのは、広域に避難しなくてはいけないなんて言われていますが、病院がどのように籠城しながら何日間もつかとか、どこに避難するかということは地域の災害計画なんかにもよるところが非常に大きいのです。病院単位では、災害拠点病院であったとしても計画をなかなか立てられませんので、地域地域においてそういう病院を支援するその計画を立てる、震災ではなくて水害なんかのBCPを立てることを支援するチームをぜひ立ち上げてもらいたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。何か事務局、コメントありますか。非常に重要な御指摘をされていると思いますが。
○中村室長 ありがとうございます。大変大事なポイントが多く含まれていると思いますけれども、まさにおっしゃるとおり、病院ごとに状況が違いますので、水害の際にどれぐらい被害が生じるか、そういったものも個別に考えながら対策というものをつくらなければいけないということだと思っております。
今、厚生労働省では、BCPをつくる際に、各病院の状況を踏まえながらそれぞれの病院がBCPをつくるということを支援するようなBCPの策定の支援事業というものを行っておりまして、毎年、各病院の先生方2名ずつというような形で募集してやっております。今年度は800病院の方を想定して研修というものをやろうとしておりまして、各病院の状況を踏まえながら、テーラーメードというか、それぞれの病院の実情に合ったBCPの策定の支援をしております。そういった取組だとか、今の先生からいただいた意見を踏まえて、また今後どういうことができるかということを考えていきたいと思っております。
 
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、野木構成員、お待たせしました。
○野木構成員 ありがとうございます。先ほど本多構成員がちょっと言われていたので、DPATとして、事務局長として少しお答えしたいと思います。
活動要領に関しましては、新興感染の活動要領、変更していますので、このDPATは変更予定ですので、これは入ります。ただ、おっしゃるとおり、何でDPAT、精神科のあれに活動要領、新興感染を入れるのだという議論はやはりあるのですね。これはあるのです。それで、今の中でも反対派の先生方もおられます。ただ、我々、DMATさんと少し違うところは、DMATさんは基本的にはプッシュ型といいますか、自分は災害があったらすぐ飛んでいかれるというところになると思いますけれども、DPATは、基本的には要請があったら出ていくという形になりますので、精神保健上の問題があるときに出ていくという形になっております。ダイヤモンド・プリンセスなんか見ていただいたら分かったと思うのですけれども、乗務員の方、乗客の方の不安感とかがすごく強くなって、抑うつ状態をつくられる方が非常に、連鎖と言ったら変ですけれども、やはりああいう状況になるとすごく増えたというのは事実なのですね。
そういう中で、新興感染ということで、出たくないという方も非常に多かったのですけれども、ボランティアというか、出ていただける方はいないかということで出ていただいたということになると思います。
何度も言うようですけれども、DPATは、南海トラフを想定した場合は、現状、10分の1なのですね。まだ会員数は。これをどうするかというのは、しつこいようですけれども、派遣元の病院に何らかの支援をしていただかないとこれはやはり増えないというところになりますので、派遣元の病院を大切にしていただきたいと考えていますので、厚労省の人に再度お願いしたい。DPATのことを言わせれば多分1時間ぐらいかかりますので余り長いこと話せませんけれども、そこは本当に重視していただきたい。
それから、災害拠点精神科病院については、本多構成員も言われましたけれども、まだできていない都道府県が多いのですね。皆さん、都道府県で様子見されているのですよね。多分、みんなが取られると自分のところだけしかないとなると急いで取られると思います。これは一応1か所となっていますので、大阪なんかは民間が2か所入っていますけれども、やはり公的病院がやって、とにかく1か所やっていただくということを要請していただきたいというのが私の気持ちになります。そうするとどんどん増えていきますし、加納先生がおっしゃったような協力病院も増えていくと思いますので、災害に対してその協力病院も増えていくと充実したことになると思います。現状では、災害が起こったら、特に南海トラフなんか起こったらもうとんでもないことになると思っていますので、よろしくお願いいたします。すみません。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問等ございますか。
よろしゅうございますか。
どうもありがとうございました。本日、アジェンダそのものは非常に幅広い話だったのですけれども、非常にいろいろな御意見を頂戴いたしました。今後それらの御意見を踏まえまして丁寧な議論をしていければなと思いますので、事務局におかれましては、様々な御意見が出ましたので、整理をされまして、今後の方針等を明確にして議論を進めていきたいと思いますので、準備のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、事務局におかれまして何か連絡事項ありますか。
○西室長補佐 本日は、一部傍聴の制限をしていることから、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。構成員の皆様におかれましても、御多忙中とは存じますが、御協力いただけますようお願いいたします。
次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第お知らせいたします。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして、本日のワーキンググループは終了したいと思います。長時間、本当に積極的な御審議をいただきまして、どうもありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
室長補佐 西(4209)