第21回社会保障審議会人口部会 議事録

1.日時

令和4年6月23日(木)16:00~18:00

2.場所

オンライン開催(厚生労働省内会議室)

3.出席者

委員 ※50音順
石川委員、稲葉委員、小野委員、金子委員、川崎委員、黒須委員、小西委員、駒村委員、西郷委員、榊原委員、津谷委員、富田委員、山田委員

4.議題

  1. (1) 人口部会の今後の進め方について
  2. (2) 報告聴取
    • 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
    • 第23回生命表(完全生命表)の概況
    • 令和2年国勢調査人口等基本集計結果
  3. (3) 将来人口推計とは-その役割と仕組み-

5.議事

○和田政策企画官 それでは、定刻となりましたので、まだ数名いらっしゃっていない先生がいるようでございますけれども、順次、説明から進めさせていただきます。
 ただいまより、第21回「社会保障審議会人口部会」を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。審議までの間、昨年に引き続きまして、政策企画官の和田より進行を務めさせていただきます。
 開会に先立ちまして、事務的な御連絡を申し上げます。
 本日は、前回に引き続きまして、オンラインによる開催とさせていただいております。質疑に当たりましては、御不便があろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。まず、オンライン会議における発言方法について確認させていただきます。
 画面の下のほうにマイクのアイコンが出ております。発言まではミュートにしていただければと思います。また、会議の進行中は、委員の皆様のマイクをこちらからもミュートにさせていただきますが、御発言をされる際には「手を挙げる」ボタンをクリックしていただければと思います。部会長から指名させていただきますので、マイクのミュートを解除の上、御発言いただくようお願い申し上げます。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願い申し上げます。
 音声や画面表示等に不具合がございましたら、事務局宛てにチャットにてお知らせいただけますと幸いです。なお、会議は動画配信システムのライブ配信により一般公開する形としております。
 次に、本日の委員の出欠状況でございます。事前の連絡では、野口委員から欠席の御連絡をいただいております。また、金子委員につきましては遅れて参加されると承っております。
 また、本日は、国勢調査の結果の説明のため、総務省統計局統計調査部より国勢統計課の小松課長に御出席いただいております。
 さらに、幹事といたしまして関係省庁の方々にも御出席いただいております。
 続きまして、お手元の資料の確認に進めさせていただきます。事前に資料を送付させていただいておりますので、お手元に御準備いただければと思います。
 本日の資料は、議事次第のほか、
 資料1「人口部会の今後の進め方について」
 資料2-1「令和3年人口動態統計月報年計(概数)の概況」
 資料2-2「第23回生命表(完全生命表)の概況」
 資料2-3「令和2年国勢調査人口等基本集計公表資料」
 資料3「将来人口推計とは-その役割と仕組み-」
 となってございます。
 御不備等がございましたら、御連絡いただけますようお願いいたします。
 それでは、津谷部会長に以後の進行をお願いしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 部会長の津谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に移りたいと思います。
 まず、人口部会の今後の進め方の方向性などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○横幕大臣官房審議官 総合政策担当の審議官でございます。
 お手元の資料1を御覧いただきたいと思います。この人口部会の進め方でございます。
 1つ目のマルですが、昨年6月のこの部会でも御議論いただきました。※にございますけれども、将来推計人口の推計に当たり、その前提となる「出生動向基本調査」の実施が、新型コロナの影響で1年延期されたという状況がございまして、それに伴ってこの推計も通常よりおおむね1年遅れのスケジュールとされておりまして、今年の夏頃から、次期将来推計人口の考え方や推計前提についての議論を順次進めていくとされております。
 次のマルですが、その後、今に至るまでの間、その下の米印にございますような幾つかの関連する統計の調査結果などが公表されております。
 また、その米印の一番下にありますが、1年遅れとなっておりました出生動向基本調査の結果も、この夏頃に公表されるということになっておりますので、これらを踏まえまして、この人口部会での議論も再開をお願いしたいと考えております。
 最後のマルですけれども、この推計結果でございますが、今後、この部会で御議論いただきまして、令和5年、来年の時点を目途に取りまとめを行っていきたいと考えております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○津谷部会長 横幕審議官、ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました部会の今後の進め方について、いかがでございましょうか。御意見・御質問がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、今後の部会の進め方については御説明のとおりとしたいと思います。
 では次に、議事の2番目である報告聴取を行いたいと思います。
 まず、「令和3年人口動態統計月報年計(概数)の概況」と、「第23回生命表(完全生命表)の概況」について、鎌田統計管理官より御説明をお願いいたします。
○鎌田統計管理官 御紹介いただきました人口動態・保健社会統計室で統計管理官をしております鎌田と申します。
 私からは資料2-1と、続けて資料2-2を説明させていただきます。
 それでは最初に、資料2-1「令和3年人口動態統計月報年計(概算)の概況」について説明をいたします。
 説明は、紙のページのフッターのページで説明させていただきますが、PDFを御覧の方は2ページほどちょっと足していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、年計のほうから説明いたしますけれども、資料の1ページ目が調査の概要とございまして、これは令和3年のカレンダーイヤーでやったものです。人口動態で3本出しておりまして、速報、月報の年計、確定数と出しておりまして、今回説明いたしますのはこの真ん中のものとなっておりまして、日本における日本人のものを集計したということになってございます。9月にはこれの確定数を出す予定としております。
 次のページは結果の概要ですのでちょっと省略させていただいて、4ページ、出生になっております。
 出生については、令和3年の出生数は81万1604人となっておりまして、これは過去最少、過去というのは1899年、明治32年からですけれども、過去最少となってございます。前年より2万9231人減少とございまして、これは6年連続減少ということになってございます。
 隣の5ページを見ていただきますと、表2というものが上にございます。これは母の年齢・出生順位別に見たものなのですけれども、上から下に4つほどの塊がございまして、それぞれ総数、第1子、第2子、第3子以上とございます。
 一番上の総数の右上のところを見ていただきますと、右側が前年との増減を示したものですけれども、総数を見ていただきますと、令和3年は令和2年に比べて2万9000人ほど減っているということになってございます。
 あと、第1子、第2子、第3子を見ていただきますと、第1子が2万ちょっと、第2子が1万弱ですので、大体3分の2は第1子、3分の1が第2子の減少で占めているという感じになってございます。
 一番上のブロックを見ていただきますと、母の年齢で見て一番減っているのは、30~34歳のところが1万1000人ほど減っていて、減り幅が一番大きいとなってございますが、ただ、もともと出生数が令和2年でも30万人ほどございましたので、率的に一番減っているというのは19歳以下のところでして、ここは2割ぐらい減っていると。令和2年が7,000弱でしたが、3年-2年の減りが1,400ですので2割程度減っていると。次に大きいのが20~24歳のところでして、これも1割ぐらい減っているというところで、若年の出生数の減の率がちょっと大きいかと思っております。
 下の表3ですけれども、第1子出生時の母の平均年齢ですが、ここしばらくは不変でしたけれども、令和3年は6年ぶりに0.2歳ほど上がりまして30.9歳となってございます。
 次の6ページも出生に関するものですが、合計特殊出生率です。これも令和3年は1.30で前年の1.33より低下となっておりまして、これも6年連続ということになってございます。
 下の表4-1を見ていただきますと、合計特殊出生率を母の年齢別で見たものですけれども、一番減っているのが25~29歳、次いで減り幅が大きいのは20~24歳となってございます。
 その下は出生順位別ですけれども、一番減っているのは第1子、続いて第2子となってございます。
 次の7ページですが、これは都道府県別に見たらどうなのかということです。昨年の部会で、この図は面白いのだけれども婚姻との関係はどうなのかという御質問があったようですが、後でまた見ますが、この合計特殊出生率と夫の初婚年齢というのがどうも負の相関がありまして、相関係数でいうとマイナス0.7幾つということですので、半分ぐらいはそれで説明できるかと思っております。ただ、何で夫の初婚年齢なのだとか、何で西高東低なのかといったところは今のところ分からないという状況になってございます。
 次いでめくっていただきますと、8ページからが死亡になってございまして、令和3年の死亡数は143万9809人となってございます。
 「死亡数の年次推移をみると」というところでございますけれども、4行目ですが、「令和2年は11年ぶりに減少したが、令和3年は再度増加に転じ」ということでございます。ここはなぜかという質問もいただくのですけれども、基本的には人口の高齢化によって死亡数は増えるものだと思っております。それに加えてコロナの行動変容がございましたので、ここはエビデンスがないのでちょっと個人的な見解ということにはなるのですが、もともと人口の高齢化があるので死亡数は基本的には増える方向にありますと。ただ、令和元年と2年を比較して令和2年が減ったというのは、元年はマスクもせず手洗いもせず密も避けずということでしたけれども、2年はマスクを着用し手洗いを励行し密を避けるということをしましたので、多分その効果によって元年から2年にかけては死亡数が減ったのではなかろうかと。令和3年はまた再び増えているのですけれども、令和3年もマスクはやって手洗いもしているのですが、令和2年もやっていますので、そこの効果というのは打ち消されていると。キャンセルされていて、根っこの人口の高齢化による死亡数の増というのが出てきたのではなかろうかと思うのですが、繰り返しですがちょっとエビデンスがないので、そこは本当にそうなのか、それで全部説明できるのかというところはちょっと不明です。
 9ページを見ていただきますと、年齢階級別に見た死亡数・死亡率がありまして、令和2年から令和3年にかけて6万7000人ほど増えているのですが、その9割方は80歳以上のところで占めているという状況になってございます。若いほうではちょこちょこ死亡数が減ったりというところもありますが、これはもともと人口が減っているということもありますので、死亡率で見ると右側の表になっているということでございます。
 めくっていただいて、10ページは死因ですけれども、これはあまり傾向は変わらずということで、悪性新生物<腫瘍>が大体4分の1ぐらいというこの辺の順番は変わってございません。
 あと、11ページを見ていただきますと、悪性新生物が一番多いのですけれども、老衰がここ15年ぐらいでぐっと増えてきているというところが見てとれるかと思っております。
 12ページは、年齢別に見たらどうなのかということですが、これはまた後でちょっと触れますけれども、年齢別に一番死因が多い順番というのが、10歳から30か40ぐらいまでで一番多いのは自殺となっていまして、次いで悪性新生物が90~95ぐらいまでで多くて、その先で一番多いのは老衰という状況になっています。男女でほぼ同じような傾向になってございます。
 めくっていただいて、14ページからは婚姻となってございまして、令和3年の婚姻件数は50万1116組ということで、これは戦後最少となってございます。
 15ページを見ていただきますと、左上に図10というのがございますけれども、これは初婚の妻の年齢の分布を見たものですが、ピークの高さはちょっと変わっていますけれども、2001年と比べてこのピークが若くなっているか年のほうに行っているのかというところは、左右の位置はあまり変わらないけれども高さがちょっと低くなっていると。その分、高齢のところの割合がちょっと増えているというところが見えるのかと思ってございます。
 めくっていただいて、16ページは離婚ですけれども、人口千対という表し方をしていますが、これで見ますと1000分の1.50ということになってございます。これはもともと、婚姻はともかく離婚はその組数で組数を割るのが普通ではないかという御意見もある、大体普通に考えるとそうなのですけれども、私どものほうで毎年の組数というのを持っておりません。後でまた総務省の方から補足していただければと思うのですが、有配偶人口とか夫婦の組数みたいなものは5年に1回の国勢調査しかちょっと、私が見た範囲ではありませんでしたので、ここでは人口でやってございます。これで見ると、2000年初頭のところをピークにして、ずっと離婚件数は減っているという状況になってございます。
 この先は統計表なので、後で時間のあるときにと思っておりますが、1か所だけ。インフルエンザが随分減ったとかちょっと面白いところがいろいろあるのですが、この部会に関係するところといたしまして、49ページに参考とございまして、合計特殊出生率についてというのがあります。
 ちなみに、48ページには新型コロナウイルス感染症の死亡数も載せています。
 期間合計特殊出生率、後で社人研の方から詳しく説明があるかと思いますので簡単にしますけれども、合計特殊出生率には2種類ありまして、期間合計特殊出生率というものとコーホートというものがあります。
 ということで、実際の数字が隣の50ページにございます。50ページのマル1とある一番上の表が期間合計特殊出生率でして、先ほど御説明しました令和3年の1.30というのが一番右端にありまして、令和3年のそれぞれの年齢階級別の出生率を全部縦に足すとこうなるよというものです。
 そして、グレーアウトしてあるものは、その世代別、各世代でどうなのかというものを見たものですので、ちょっと斜めのものを真っすぐにというか、世代別で整理し直したものがマル2の表になっていまして、令和3年で45~49歳の世代ということでまとめたのがマル2ということになってございます。これで見ますと1.45まで来ていると。それぞれ右に行くほど若い世代になるのですけれども、昭和52年生まれのところは1.49まで来ているという感じのものが見えるところでございます。
 それをさらにそれぞれの母の年齢まで累計したものがマル3の表になっています。これで見ますと、例えば、15~29歳、要は30になるまでにそれぞれの世代が何人産みましたかというものなのですけれども、これを見ますと、上から3行目のところになるのですが、45~49歳の世代から右に0.70からだんだん下がっているというところが見てとれます。ただし、15~39、40までの間に何人産みましたかというものにしてみますと1.39というのが一番左にありますが、2つ行くとちょっとずつ上がっているというところが見てとれます。ですので、この世代までは晩産化というものが見てとれるのかなと。30代のときに産まなかったのだけれども、この昭和57~61年生まれの方は30代の間に結構産んだということが見てとれるのかなと思っております。
 ですからこの先は、例えば、その隣に昭和62年生まれの方がいるのですけれども、この1.09の次の数字、1.09の下といいますか、1.45の右といいますか、この辺の数字にどんなものがやってくるのかなというのはちょっと注視しておきたいと思っているところです。
 以上が資料2-1でして、もう一つは資料2-2、第23回の生命表の概況について説明いたします。
 これもちょっと紙のページで指定しますけれども、1ページ目に生命表についてということで、私どもは完全生命表と簡易生命表というのを出しておりまして、完全生命表はそこにありますとおり、5年に1度、国勢調査人口を基に、死亡と出生についての確定数ということで作成しているものですと。それに対して簡易生命表というのは、そこにあるようなデータを用いて毎年作成してございます。
 めくっていただいて、第23回生命表についてということで、主な年齢の平均余命の年次推移が表2としてございます。一番下が直近の新しいもの、令和2年のものですけれども、これを見ていただきますと、男性の0歳のところにつきましては80.75が81.56ですので0.81年、女性は同じように5年前に86.99だったものが87.71ということで0.73年上回ったということですが、近年そんなに伸びは高くないかと思っております。5年前の比較で目立つとすれば、90歳のところの平均余命は少し伸びたかと思っていまして、女性は顕著なのですけれども、第20回、西暦でいいますと2005年の辺りから女性の90歳のところの平均余命が5.53辺りをうろちょろしていたのですけれども、2020年の第23回につきましては5.85ということでちょっと伸びが大きいのかなというところが特徴かと思ってございます。
 3ページはそんなに説明するところはないのでパスさせていただきます。
 4ページに死亡率の推移ということでグラフが載っております。通常は衛生状況とか医療の進歩とかもありますので、通常はこの死亡率というのはよくなる。つまり直近のものほど下になるのですけれども、男性はともかく女性を見ていただくと、20歳前後のところで前回の第22回を黒い実線が黒い太い点線を上回っているという状況になっています。通常は医学の進歩等によってここは下に行くはずなのですけれども、ここはちょっと上回っているということなのです。これは先ほど少しお話ししたかもしれませんが、ここはちょっと自殺が増えていまして、それがここに出ているということがちょっと目新しいのかなと思ってございます。
 あとは死亡数の推移とかのグラフになりますので、後でもしお時間、興味がありましたら見ていただければと思っております。
 説明は以上です。
○津谷部会長 鎌田管理官、御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明の内容につきまして、御質問・御意見等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。2021年の人口動態統計の月報について、ここに示されているのは概数ですが、9月に確定数が出るということです。そして、2020年の国勢調査の男女の各歳別の人口に基づいた完全生命表ですが、これは第23回で最も新しいものです。これらの要点について、先ほど、管理官から御説明いただきましたが、御意見・御質問ございませんでしょうか。
○津谷部会長 稲葉委員、どうぞお願いいたします。
○稲葉委員 稲葉です。よろしくお願いします。
 今、最後に死亡率の推移で、女性の20代のところの死亡率が上がってしまっているというお話があったのですけれども、とても重要な現象ではないかと思うのですが、これは恐らくコロナの影響の前ですよね。例えば、一般的に言えば経済環境の悪化とかをこの世代が集中的に受けたとかそのような、今、にわかには難しいと思うのですけれども、そうした何かがありましたらお教え願えればと思います。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 資料2-2の4ページの図1-2に示されている女性の死亡率の推移の第23回(令和2年)と第22回(平成27年)の完全生命表の若い年齢層についてですね。10代半ばから20代半ばが、通常であれば一番太い線が一番下にあるはずなのに、ひっくり返っているということで、それについてもしお考えや御説明がさらにあるようなら、お願いしたいということでございます。
 では、鎌田管理官、お願いいたします。
○鎌田統計管理官 管理官をしております鎌田です。御質問ありがとうございます。
 私どものこの調査では、理由とかまではちょっと把握できないので、これも憶測になってしまいますけれども、令和2年はコロナの死亡者数は少なかった、3,000人ほどお亡くなりになってはいますけれども、行動変容等はありましたので、そういったものも少しは影響しているかもしれません。ただ、それで全部説明できるかどうかはちょっと分かりませんけれども、コロナがはやったのは令和2年ですので、そういったものもひょっとしたらちょっと影響があるのかもしれません。
 あとは、死亡率のお話でいうと、ちょっとお待ちください。
 すみません。いい資料がちょっとないのですけれども、最初に説明した資料2-1の、例えば、40ページのところに死亡数・死亡率というのがございまして、これは令和3年の数字なのですけれども、20~24歳の自殺、女性を見ると464人お亡くなりになっているのですが、1年前の令和2年は410人程度でしたので50人ぐらい増えているということですので、これぐらいの増でも死亡率としては出てきてしまう。それは死亡率が一番低いところで、大体基本的に若い人の死亡率は低いので、ちょっとした人数の差でもちょっと出てくるのかなと思っております。
 あと、自殺の統計としましては警察のほうでも取っておりますので、そちらのほうが理由とかはひょっとしたら分かるのかなと思っておりますが、ちょっと私どものほうでは理由までは分からないというのが正直なところです。
 以上です。
○稲葉委員 どうもありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 稲葉委員、よろしいでしょうか。女性の10代後半から20代前半は、死亡率が最も低い年齢層であるが、自殺による死亡数が増えている。この増加がどこまでがコロナによるものなのか。これは2020年のデータであり、まだ時期的に少し早いので、それについてはっきりしたことは言えないという御説明であったかと思います。よろしいでしょうか。
○稲葉委員 はい。どうもありがとうございます。
○津谷部会長 稲葉委員、ありがとうございました。
 そのほか、御質問・御意見はございますか。
 黒須委員、どうぞお願いいたします。
○黒須委員 麗澤大学の黒須です。
 今の自殺の御指摘のところでちょっと確認ですけれども、資料2-1の図7-1のところで先ほど見せていただいた、やはりこの100%の内訳の中の死亡率、死亡の構成ですよね。それの20代のところが非常に、これが自殺の部分が多いというところがそれが関係しているというか、そこの部分が見えているということでよろしいのですよねというのが一点です。
○津谷部会長 黒須委員、すみません。確認ですが、御質問は資料2-1の11ページについてですか。
○黒須委員 図7-1です。
○津谷部会長 図7-1ですね。
○黒須委員 はい。
○津谷部会長 わかりました。12ページの図7-1についてですね。
○黒須委員 はい。稲葉委員の御指摘のあった20代前後の変化というのが、コロナにかかわらず常にやはり20~24歳のところの自殺率が非常に大きいという、これはでも、男女一緒だとは思うのですけれども、そこにつながることですよねという確認の意見でした。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 2点目の御質問もあるということですので、お願いいたします。
○黒須委員 すみません。
 2点目は、先ほどの御説明の中で出生の西高東低の図について、前回の私の地域差の質問を取り上げていただきましてありがとうございました。西高東低で男性の初婚年齢と関係があるというお話でしたが、すみません、今回のこの目的には地域差は関わらないということで、ただ一言、やはり歴史人口学のほうから見ると、西高東低の家族制度とか結婚の人口、家族システムのすごく違いが現代にも表れているということで、非常に面白く興味深く拝見させていただきました。ありがとうございました。
○津谷部会長 黒須委員、ありがとうございます。
 2つ目はコメントということです。ありがとうございます。
 では、最初の確認点について、鎌田管理官、お答えをお願いいたします。
○鎌田統計管理官 管理官をしております鎌田です。
 最初の図7-1で女性で特に自殺が多いよねというお話ということの御理解でよろしいですか。
○黒須委員 はい。つまりコロナに関係なく常にこの年齢というのは非常に自殺が多いところで、やはり先ほどのようなコロナの影響かどうかというのはまだ分からないということですよねという確認です。
○鎌田統計管理官 そのとおりです。これは自殺の理由までは取っておりませんので分かりませんということで正しいです。
○黒須委員 ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 とはいえ、この年齢層の男性の自殺も多いのに、どうして女性だけひっくり返ったのかなという疑問は残ります。これは将来人口推計には直接関係はありませんが、大変重要な点かと思います。ありがとうございます。
 続いて、川崎委員からも御質問・御意見がおありとのことです。川崎委員、お願いいたします。
○川崎委員 川崎です。御説明ありがとうございました。
 私は、資料2-1の15ページ、図10の関係で御質問あるいは感想を申し上げたいと思います。これは初婚の妻の年齢のグラフですね。各歳別で、これは人口比で表したものでしょうか、それとも、総数、実数ですか。パーセントと書いてありますが、100は何を100としたパーセントなのでしたか。
○鎌田統計管理官 初婚の妻の件数に占めるその年齢という割合です。
○川崎委員 分かりました。
 私はこのグラフの意味をちょっと勘違いしていましたが、対人口比の出生率のような意味での率のグラフではなくて、これは構成比のグラフということなのですね。分かりました。納得しましたが、実はこのグラフを見て、ちょっと出生率と同様な意味で解釈しようとすると、令和3年の太線のグラフのピークが25歳の辺りに出てきて、平成23年と比べるとピークが25歳辺りで高くなっているものですから、もしかしたら、晩婚化と言われている割には案外25歳で結婚が増えたのかと思ったのですが、これはトータルの初婚数が減っているために相対的に25の構成比が高くなったと解釈するのが正しいというふうに思いますが、それでよろしいですか。
○津谷部会長 鎌田管理官、お願いいたします。
○鎌田統計管理官 鎌田です。
 そういう解釈で正しいかと思います。婚姻件数を100としたときのそれぞれの年齢の割合ということになります。
○津谷部会長 これはこの年に入籍された初めての結婚であり、この年に結婚生活に入られた妻全体を100として、妻の年齢別の割合分布を示したものだと思いますので、川崎委員の御解釈でよろしいかと思います。
○川崎委員 分かりました。
 その上で感想を1点申し上げさせていただきますと、実は私は、婚姻数は出生数の先行指標であると考えているわけなのですが、その意味で考えますと、初婚の年齢別のこのグラフは、もしかしたら、例えば、年齢別の出生率と同様に分母人口で割ったようなもので時系列比較をしていただいて、要はそういった動向をもう少し分析していくということが必要ではないかということを思いましたので、もし今後そういう視点も可能であれば検討していただけたらと思いました。
 以上です。ありがとうございました。
○津谷部会長 管理官、どうぞ。
○鎌田統計管理官 管理官の鎌田です。貴重な御意見をありがとうございます。今後検討させていただければと思います。
 あと、すみません。ちょっと戻ってしまいますけれども、31ページに年齢階級別の、あと、死亡率の年次推移がございます。これが先ほどちょっと探していたものなのですけれども、20~24歳のところにつきまして、2015年ぐらいまでは20.4でしたけれども、その後少しずつ上がっているというところは見てとれるかと思います。さっき見つけられなくてすみませんでした。
○津谷部会長 2つのことについてお答えがあったかと思います。
 まず、図10についてですが、これは初婚についてなので、これを分子として、分母は全人口ではなく未婚者人口、つまり初婚を経験する可能性のあるリスク人口を分母として見たほうがよいのではないか。いずれにしても、何らかの分母を用いたほうがよいのではないか。そうすれば、もっとしっかりとしたトレンドを見ることができるのではないかという川崎委員からの御意見であったと思います。
 もう一つの点は、管理官、稲葉委員からの御質問へのお答えということでございますか。
○鎌田統計管理官 31ページは女性の死亡率がちょっと高いというところを時系列で示したものがありましたので、一応御参考ということで御披露したという次第です。
○津谷部会長 分かりました。
 資料2-1の31ページの第5表には、時系列の値が示されております。ありがとうございました。
 川崎委員、よろしいでしょうか。
○川崎委員 結構です。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、小西委員から御質問・御意見が出ております。小西委員、お願いいたします。
○小西委員 小西でございます。
 資料2-1の15ページについてお伺いしたいのですが、結婚生活に入るというのはどのように定義されているかを教えていただけますでしょうか。
○津谷部会長 ただ今、管理官に定義を確認していただいております。少しお待ちください。
○鎌田統計管理官 統計管理官をしております鎌田です。御質問ありがとうございます。
 これは婚姻票、調査票ですね。そこに同居を始めたときというのを取るようになってございますので、それを基に算出したものでございます。お答えになっておりますでしょうか。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。婚姻届を提出した年次と、その婚姻届にある同居を開始した年次が同じである妻について分析されているということでございます。同居を先に始めてしまい、後で婚姻届を提出する場合もあるようですので、そうなると少し状況が変わってまいります。ここでは、届出年次に結婚生活、つまり同居を始めた者が対象になっているということです。よろしいでしょうか。
○小西委員 はい。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 富田委員からも御意見・御質問がございます。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 まず、遅れて参加になりまして大変失礼いたしました。
 私が会議に参加する前に実は説明にあったのかもしれませんけれども、資料2-1の出生について、ページでいいますと4ページから6ページにかけて、出生数の推移について確認させてください。ここで示されているのは2021年の出生数ということですので、子供を産むか産まないかの意思決定は2020年、つまりもう既にコロナが世の中に蔓延した中での出生の決意になると思うのですけれども、コロナの蔓延が出生行動にどれだけ影響を及ぼしたのかという観点からこの資料を拝見させていただいておりまして、全体的に出生数は減少傾向が続いていると。その中でも若い方、出生順位でいうと第1子、第2子においては前年度より減少していますが、第3子以降は増加しているということ。
 それから、6ページの合計特殊出生率の中の年齢別の出生率の変移を見ましても、若い年齢では産み控え、むしろ高齢においての出生は上昇している。つまりこういうふうに理解してよろしいのでしょうか。コロナ禍でいろいろありますが、そういった社会的な不安要因で産み控えたのは、まだまだ子供を産むということに関して余力のある若い世代であって、高齢で出生を考えている人にとってはあまりコロナに左右されずに子供をもうけるというメカニズムが働いたのではないかと理解してよろしいでしょうか。
○鎌田統計管理官 統計管理官をしております鎌田です。御質問ありがとうございます。
 私どもの調査では理由まではちょっと分からないですね。コロナがあったかもしれませんけれども、そのせいでこうなったとまで言うほどのエビデンスはちょっと持ち合わせておりません。すみません。
○津谷部会長 富田委員、ありがとうございました。
 2021年には、その前年からコロナ禍は始まっておりますので、影響がないとは言い切れないと思いますが、出生数はずっと減少傾向にあります。ただ、これがこの年に一時的に出産を控えたことによるものなのか、コロナ禍を契機に全面的に産むことをやめてしまったのかについては、もっとデータがないと確かなことは言えません。人口動態統計では理由は聞いていませんので、別のエビデンスが必要になると個人的には思います。ただ、これは大変重要な事柄であると思います。ありがとうございます。
○鎌田統計管理官 すみません。若干補足いたします。
 2万9000人ほど減っておりますけれども、これを減少率にしますと3.5%ぐらいの減少になっています。そして、女子人口ですね。分母は、この資料でいいますと52ページに載せておりまして、前年に比べて44万人弱減っておりまして、これは率にしますと1.5%ぐらい、もうちょっとあるかもしれませんけれども、要は出生数の減少率の半分ぐらいは、適齢期の女性の人口の減少で半分ぐらいは説明できるという感じにはなっておりますので、ちょっと補足させていただければと思います。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 この合計特殊出生率は期間率ですので、どれぐらいの水準で女性がお子さんを産んでいらっしゃるのか、そしていつ産むのかという2つの要因、つまり出生のレベルとタイミングで変化します。これは2021年のTFRですので、もう少し状況を見ないと確かなことは言えないという御説明であったかと思います。
 富田委員、よろしいでしょうか。
○富田委員 はい。ありがとうございました。
○津谷部会長 榊原委員からも、御意見・御質問があるとのことでございます。榊原委員、お願いいたします。
○榊原委員 ありがとうございます。榊原です。
 私からも簡単に感想というかコメントなのですけれども、何人かの委員の方が御指摘されていたように、私も若年層の自殺の多さに着目しました。特に資料2-1の12ページのところです。コロナの前から日本は、子供の自殺、若者の自殺が多いということが、国際比較の中でも指摘されていたと思います。その自殺が直接に出生動向に関わるというものではないのかもしれないですけれども、今年の2月までずっと取材する立場でいろいろな世代の方に接してきていて、特にこの1~2年、大学生の人たちとのグループディスカッションも行ってきて、少子化とか子育てについての意見交換をした中で非常に印象的だったのが、自分たちの将来にあまり希望が持てない。なので、子育てもしないほうがいいのかもしれないと思うという意見がかつてなく増えているということにびっくりしまして、これは決して統計的なデータではないのですけれども、そのような動向がもしコロナで一層広がっているのだとしたら、それは回り回って出生動向にも影響するのかもしれないという意味で、やはり若い人たちの自殺の動向、つまり将来の希望の持てなさというところは丁寧に分析する必要があるのかもしれないと感じました。
 以上です。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 多くの有用な御意見・御質問をいただき、ありがとうございました。
 まだ議題がございますので、先に進みたいと思います。それでは続きまして、「令和2年国勢調査人口等基本集計公表資料」について、総務省統計局の小松課長より御説明をお願いいたします。
○小松総務省国勢統計課長 それでは、御説明させていただきます。御紹介にあずかりました総務省統計局国勢統計課長の小松でございます。
 本日は、令和2年国勢調査人口等基本集計結果を説明する機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 説明に入ります前に、国勢調査について簡単に御説明さしあげたいと思います。
 御存じのとおり、国勢調査は、我が国の人口、世帯、産業構造等の実態を明らかにしまして、各種行政施策、その他の基礎資料を得ることを目的に行っております全数調査ということで、こちらで議論されております将来人口推計、また、今話題となっております選挙区の区割り等々いろいろなところで活用されているということになってございます。
 令和2年の調査は、大正9年の第1回から数えて21回目、実施100年目という非常に大きな区切りの調査となったわけでございますが、一方で、折からの新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、非接触の調査方法の導入、それから、一部地域で調査期間を延長ということをしながら調査を行ってございます。
 結果といたしまして、先ほども御紹介いただきましたが、令和3年6月に速報、それから、同年の11月には最初の確報となります人口等基本集計を公表してございます。また、その後も順次結果を公表しておりまして、本年5月には就業状態等基本集計を公表しております。また、7月には、昼間人口などが分かる従業地・通学地による人口・就業状態等集計を公表するということで、今後も公表が続いていくという形になってございます。
 それでは、資料の中身の御説明をさせていただきたいと思います。幸いにして頭からページ数が打ってございますので、当分はこのままのページ数で見ていただければと思います。
 まず1ページ目でございますが、我が国の人口は1億2614万6千人という形になってございまして、2015年と比較いたしますと人口は94万9千人の減少と。これはほぼ香川県並みの減少という形になってございます。2015年から比べると0.7%の減という形になります。
 また、総人口を男女別に見ますと、男性が6135万人、女性が6479万7千人。女性が男性よりも344万7千人多く、人口性比94.7という形になってございます。
 グラフ及び下の表などを御覧いただければと思いますが、国勢調査の上では2010年をピークに、2015年、2020年と減少を続けているという状況になってございまして、後で御余裕のあるときに後ろを見ていただければと思うのですが、人口の世界のベスト20を集めていくと、人口がプラスではなくてマイナスになっているのは日本だけという形になっている状況も見てとれます。
 引き続きまして、1ページおめくりいただきまして2ページ目、都道府県別の状況について御説明さしあげます。
 都道府県別の人口が最も多いのは東京都で1404万8千人。人口上位の8都道府県を合わせると6398万4千人で、全国の5割以上(50.7%)を占めてございます。この8都道府県は、図2のところにございますように、東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉、兵庫、北海道という感じになってございますが、こちらで5割を占めているという状況でございます。
 また、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の人口は3691万4千人ということで、全国の約3割を占めてございます。平成27年の調査結果では大体4分の1以上という感じでしたので、やはりちょっと増えてきているという状況になります。
 また、都道府県別の人口増加率が最も高いのはこれも東京都で3.9%、次いで沖縄県2.4%、神奈川県1.2%ということで、8都県で人口が増加。一方で、39道府県で人口が減少しまして、33道府県では減少幅が拡大しているという形になってございます。
 私どものやっております住民基本台帳人口移動報告などで毎年ベースで見ておりますと、やはりコロナの影響で東京から人が出ていって、最近はちょっと回復してきましたがということがあるのですが、こちらは国勢調査では比較が5年前でございまして、やはり2020年よりもその前の4年間の影響が非常に強く出ているところがあって、まだまだ東京への人口集中という形が見えてきているような結果になってございます。
 続きまして、1ページおめくりいただきまして、今度は市町村の状況という形になります。
 人口が減少いたしましたのは1,419市町村ということで、全体の82.5%を占めてございます。特に5%以上人口が減少した市町村は51.3%と半数を超えていますという形になってございます。
 また、人口増加数が最も大きいのは東京都特別区部で46万1千人、次いで福岡県福岡市、神奈川県川崎市などという形になってございまして、人口減少数が最も大きいのは福岡県北九州市、次いで新潟県新潟市、長崎県長崎市という形になっているところでございます。これは見てのとおりという感じになってございます。
 さらに1ページめくっていただきまして、世帯のほうに目を向けてまいります。4ページでございますが、一般世帯の数は5570万5千世帯で、2015年と比べますと237万3千世帯の増加ということで、人口は減っていますが世帯数は増えているという形になってございます。
 一般世帯人員は1億2316万3千人で、1世帯当たり人員は2.21人ということで、2015年に引き続き減少という形になっています。
 なお、1世帯当たりの人員については、山形県が2.61人と最も多く、一方で、東京都が1.92人ということで最も少なく、全ての都道府県で減少しているという形になってございます。
 一般世帯を何の説明もなく使ってしまいましたが、社会施設とか自衛隊の宿舎とかちょっと特殊なものは一応その他の世帯という形で抜いてございまして、要は普通の世帯のことだと考えていただければよろしいかと思います。
 5ページ目に移りますが、5ページ目は年齢別、それから、6ページ目は日本人、外国人の別を見ていくわけでございますが、ここで表の注に不詳補完値という言葉がございます。後でちょっと細かく説明しますが、ここでも簡単に説明します。令和2年国勢調査では集計区分ごとに主要項目の不詳をあん分等によって補完した不詳補完値を出しているということで、この人口等基本集計では年齢、それから日本人、外国人の別、それから配偶関係、こちらを補完した上で参考表を出しているということで、この5ページと6ページは不詳補完値を使った数字となってございます。細かいことはちょっと後でまた御説明いたします。
 5ページ目、年齢別のところでございますが、15歳未満、要は年齢の3区分を見たところが図5でございます。15歳未満人口は1503万2千人ということで11.9%、15~64歳が7508万8千人ということで59.5%、65歳以上人口は3602万7千人で28.6%ということで、図5を御覧いただきますとおり、15歳未満人口は最低のパーセンテージ、それから65歳以上人口は最高のパーセンテージという形になってございます。
 国際比較を図6でしてございますが、これもいつも同じようなことを御説明する感じの図になっているのですが、15歳未満人口、それから65歳以上人口ともに、諸外国と比べまして極めて低い、逆に極めて高いという意味でちょっと突出したような位置づけが日本にはあるという形になってございます。
 引き続きまして、1ページめくっていただきまして6ページを御覧いただければと思います。日本人人口と外国人人口の別という形になってございます。日本人人口は1億2339万9千人、総人口の97.8%となりまして、2015年と比べると178万3千人の減少という形になってございます。
 一方で、外国人人口については274万7千人、総人口の2.2%ということで、これも2015年と比べますと83万5千人の増加という形になってございます。
 下の図7及び図8を御覧いただきますとお分かりのとおり、国勢調査の全体の人口、これは2010年をピークに減ってきているわけでございますが、減っている主要因は日本人の人口がどんどん減っているということにあるという感じになります。
 一方で、最初の1ページの人口増減率のところなのですが、実は2015年がマイナス0.8%だったのがマイナス0.7%ということでちょっとだけ改善しているように見えるような数字になってございますが、この一因を担っているのは外国人人口の大きな増加という形になってございまして、2015年から2020年までに関してはそれなりにやはり外国人がかなり入ってきていたという状況でございます。コロナ禍でまたちょっと流れが変わっていますので、今後の話はさておき、5年間の比較ではこのような見え方になるということでございます。
 ということで、一応要約ベースの話はこれで終わりなのですが、その他、概要が次から続いてございまして、こちらは必要に応じて御質問にお答えする形にしたいと思います。ただ、先ほど管理官から御紹介のありました配偶関係のところだけちょっと御説明さしあげられればと思います。
 概要に入りましてからページ数が28ページ、PDFで御覧になっている方はこれにプラス8ほど足していただければと思いますが、そちらに配偶関係別の人口がございます。こちらも先ほど御紹介したとおり不詳補完値の値という形になってございます。
 こちらを御説明いたしますと、15歳以上人口を配偶関係別に見た場合には、男性は、「未婚」が1854万4千人ということで34.6%、「有配偶」が57.4%、「死別」が3.3%、「離別」が4.7%。
 一方で、女性に関しては、「未婚」が1424万6千人ということで24.8%、「有配偶」が54.0%、「死別」が14.4%、「離別」が6.8%という形になってございます。
 未婚の上昇みたいな感じのところでいきますと、2015年と2020年ともに不詳補完値を作ってございますので表III-1で御覧いただければと思いますが、未婚に関しては、総数ベースでは2015年は28.6%だったのが2020年は29.5%ということで1.0ポイント増加してございます。男女別に見ても男性が1.2ポイントの増加、女性が0.7ポイントの増加ということで、未婚のほうはちょっと進んでいるという形になってございます。
 内容についてはこんなところなのですが、最後に、不詳補完値の算出方法について簡単に触れさせていただきたいと思います。
 すみません、最後から数えたほうが早いのですが、54ページになります。これを簡単に御説明さしあげたいと思います。
 令和2年の国勢調査の集計に当たりまして、利便性向上ということで「不詳」をあん分した結果を作ってございます。「不詳補完値」の作成方法につきましては、あん分と、「人口等基本集計」のみあん分の前の処理というのを行っておりまして、単なる不詳を答えていただいたものであん分するよりもちょっと精度の高いものを目指して作っているという関係になってございます。
 このうち、あん分の対象となっているものなのですが、55ページの「表 クロス集計表の分類項目」と書いてあるところで、集計区分ごとに下線の引いてある部分、これが一応、不詳を補完した対象の項目になってございます。人口等基本集計では、先ほど御説明したとおり、年齢、それから日本人・外国人の別の国籍、配偶関係の3つという形になってございます。
 具体的にどのように作ったのかという話に関しましては、54ページに戻っていただければと思います。
 まず、あん分の前の処理ということで、処理の対象ということで記載がございますが、「一般世帯のうち、全ての世帯員の年齢、世帯主との続き柄」云々というふうに細々と一応書いてありまして、「基本項目不詳世帯」と書いてございますが、要はほとんど中身が書いていない調査票を一応ターゲットにしているというイメージになってまいります。もちろん聞き取り調査等を行った上で、人口のそのものと男女の別ぐらいは当然聞いているわけなのですが、ほかのところがほとんど埋まっていないようなものをまずターゲットに置いた上で、3つの観点で処理を行ってございます。
 まず、二人以上の世帯についてですが、小地域別はともかくとして世帯人員の構成、住宅の建て方、こちらに一応着目いたしまして、それ以外の世帯をドナーとしたホットデック法による補完を行ってございます。かなりこの辺、要は世帯人員の構成とか住宅の建て方によって中にいる人たちの属性がかなり変わってくるというところがございまして、これをまず行っているというところでございます。
 その次に、単身世帯に関しましては、マル2-1とマル2-2という形で二段階の処理を行ってございます。
 まず、マル2-1のほうで、国籍が不詳の方に関して、在留外国人統計のデータを使いまして、要は在留外国人統計ベースで分かっている数字と比べて足りていない部分に関して不詳の分のみ、元のデータを変えるような、答えていただいたデータを変えるようなことを私たちはしてございませんので、不詳の分についてその足りていない分を参照しつつドナーを引っ張ってきたという形になってございます。
 また、残る単身世帯のうち、なかなか接触が難しい、要は民間の賃貸共同住宅に住んでいる方々に関して、人口を推計した上でやはり足りていない部分に関して確率的に補完を行ったという形になります。
 要は、この処理の概要のところに書いてある部分は、普通に回答を答えのあるような方々の区分で分けるとちょっとずれると。未回答の方に若干くせがあるようなところに関して、若干前もって処理を行ったという形になってございます。
 その上であん分処理ということで、先ほど表のところで示しました下線部も除いたものも含めたこれらの項目全てについて、市区町村別のクロス集計表を作って不詳を埋めていったというやり方になってございます。
 以上、このようなやり方で、ほかの集計区分についてもこれらの下線部分を目指してほかのもので埋めていくというやり方を取ってございます。本当は全部が全部のクロスを作って全部埋め切れば一番よかったのですけれども、計算上のさすがに限界というところもございまして、取りあえずここのところでやっていったという形になってございます。
 私からの説明は以上でございます。何か質問があればよろしくお願いします。
○津谷部会長 小松課長、ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明のありました内容について、御質問・御意見がございましたらお願いいたします。
 黒須委員から御質問が出ております。お願いいたします。
○黒須委員 とても分かりやすい説明をありがとうございました。
 今の説明の中の外国人というところでもう少しお伺いできればと思いまして、今、御説明の中では示されなかったのですけれども、人口等基本集計の中の48ページから49ページに、外国人のその内訳みたいなものがまとめられておりますよね。図VII-1と図VII-2になります。この後の推計のところでかなり外国人という、どのぐらいというのが重要なところになると理解しておりますので、この辺は今、これはどこの国からどのぐらい来ているというのは分かるのですけれども、例えば、年齢構成的なものとか、彼らがどういう、これは3か月以上日本にいるということだと思うのですけれども、どのような、永住するのかどうかとかちょっとそこまでは分からないと思いますけれども、せめて年齢構成とかみたいのは分かるのでしょうか。
 以上です。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 小松課長、いかがでございましょうか。
○小松総務省国勢統計課長 御質問ありがとうございます。
 さすがにここではそこまで細かいものは載ってございませんが、年齢構成別の表を別途準備してございますので御覧いただければと思います。通例、中国とか韓国、朝鮮辺りはかなり幅広いところにいるのですが、ほかの方々は働きに来ているのでかなり若いみたいなざっくりした構成はもともと分かっているわけですが、あと細かくは集計表のほうで見ていただければと思います。
 以上です。
○黒須委員 ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、西郷委員からも御質問・御意見が出ております。西郷委員、お願いいたします。
○西郷委員 ありがとうございます。早稲田大学の西郷です。私の声は聞こえるでしょうか。
○津谷部会長 はい。よく聞こえております。
○西郷委員 御説明どうもありがとうございます。
 今回から不詳補完データというのが適用されるようになって、かなり評判がいいようでいろいろと使っている方が多いという話も聞くのですけれども、今、御説明の中でホットデック法が使われているということだったのです。そうしますと、ランダムに確率的な割当てというのが行われている部分なのですよね。そうすると、厳密に言うと、同じやり方でもう一回やったとすると、今度は若干違った結果が出てくるということになるので、ホットデックに伴う最終的な結果の振れというのがどうしても出てきてしまうような気がします。どれぐらいの部分がホットデックで処理されているのかということによるとは思うのですけれども、例えば、これが将来推計人口に使われたり、不詳補完データがいろいろなところで使われることを想定したとすると、ホットデック法に伴うランダムな揺れというか結果の相違というのが何か悪影響を及ぼさないかなということを少し心配しております。ですので、恐らくは今回の集計に当たっては試験的な計算であるとかそういったことをなさっていると思いますので、もしホットデック法に伴う確率的な揺れに関して何か検証した結果があれば教えていただきたいという質問です。
○津谷部会長 西郷委員、ありがとうございます。
 二人以上世帯の基本項目が不詳の場合のホットデック法について、これはどれぐらい不詳補完されているのかというお尋ねかと思います。それによるゆがみ、およびその他の振れがないのかという御質問ですが、もし統計局でこれについて何か検証をなさっておられれば、そのような情報があればお教えいただけると幸いです。
 小松課長、いかがでございましょうか。
○小松総務省国勢統計課長 御質問ありがとうございます。
 さすがにやはり確率的に動かしている部分に関しては、西郷委員のおっしゃるとおり、若干そういうところが出る可能性は確かにあるとは思います。私どもはこれを、過去から学会とかいろいろなところに出しているときには、原則、例えば、住民基本台帳の集計結果とか、要は既存の結果と比べて変なずれ方をしていないかどうかというチェックは正直かなりしてございまして、その関係で大体大丈夫だろうという見方はしているところでございますが、一方で、例えば、繰り返し何回かやってどのぐらいずれていくかみたいな検証まではちょっとそこまでを行っている余裕がございませんでというところで、そこに関しては今後、実はこの方法をこのままで進めるかどうかという話も含めていろいろちょっと検証しなければいけないところもございますので、そういうところも踏まえながら諸外国の状況もちょっと見ながら検討することになってございますので、検討してまいりたいと思ってございます。
○西郷委員 どうもありがとうございました。
○小松総務省国勢統計課長 ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、石川委員からも御質問・御意見が出ております。石川委員、お願いいたします。
○石川委員 聞こえますでしょうか。
○津谷部会長 はい。聞こえております。
○石川委員 大変興味深く伺いました。
 特に、6ページにあります図8で外国人の人口の全体数の増加と伸び率が書いてありますね。この中で2015年から2020年の増え方が非常にきつくてちょっとびっくりしているのです。2015年から2020年の間の増え方です。これがちょっと大きくて、従来は5年間隔のデータでいうと、その増え方が大体同じようなペースで来ているのですけれども、2015年から2020年の増え方が大きくて、これはどう考えたらよろしいでしょうか。本当に実際に外国人人口が増えているからそれを反映しているものなのか、それとも、従来は国勢調査の外国人人口は在留外国人統計で出ている外国人の数と大きな食い違いがありまして、国調のほうのデータが少なかったのです。しかし、今回、不詳あん分という処置を取ったことによって、国勢調査による外国人人口の捕捉率が高まった結果、外国人人口の数と増加率が2015年から2020年にぐっと増えたのでしょうか。詳しい経緯がよく分からないので、ちょっと教えていただくと大変助かります。
○津谷部会長 石川委員、ありがとうございます。
 委員の御質問は、結果の要約の6ページの図8について、ということでよろしいのでしょうか。
○石川委員 はい。
○津谷部会長 では、小松課長、お願いいたします。
○小松総務省国勢統計課長 御質問ありがとうございます。
 実際に在留外国人統計なんかを見ていてもここは非常に大きく増えているという結果が出てございまして、実際の動きということで間違いないと思ってございます。特徴的に、これは国籍別には実は不詳補完をしていないので、実際に答えのされた人口ベースでしかやはり見ていないところはあるのですけれども、国籍別に眺めていくと、やはりベトナム人とかそういうことがむちゃくちゃ増えているというところがあったりいたしまして、やはりそういう動きの変化が非常に出てきているところなのかなというふうには思うところではございます。
 ちょっと拙い説明ではございますが。
○石川委員 ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、駒村委員から御質問・御意見が出ております。駒村委員、お願いいたします。
○駒村委員 聞こえますでしょうか。
○津谷部会長 はい。聞こえております。
○駒村委員 よろしくお願いします。
 お聞きして本当に面白いというか非常に興味深いものだったのですけれども、29ページの図III-1です。この「有配偶」と「未婚」が逆転する年齢、男性35、女性30ということで、これはだんだんそのタイミングが遅くなってきているのだということだと思いますけれども、都道府県別のデータというのはこれは載っていて、何か極端なパターンみたいなところがこの年齢、男女でこのパターン、組合せが見られるのかどうかというのはちょっと教えてもらいたいと思いました。
 以上です。
○津谷部会長 駒村委員、御質問は結果概要の29ページの図III-1についてですね。
○駒村委員 そうです。
○津谷部会長 分かりました。
 小松課長、お願いいたします。
○小松総務省国勢統計課長 御質問ありがとうございます。
 当然、数字は全部ここに載せ切れないところではあるのですが、御所望のようなデータも一応集計表としてはございますので、分からないことがあればぜひ御相談いただければと思います。よろしくお願いします。
○駒村委員 何かその極端なエリアというのはありましたか。逆転をする年齢で非常に遅いような、あるいは急激に遅くなっているような都道府県というのはあるのでしょうか。前年調査から比べてということで。
○小松総務省国勢統計課長 恐縮ですが、すみません。そこまではちょっと分析が届いてございませんで知見がございません。申し訳ございません。
○駒村委員 分かりました。自分で確認してみます。ありがとうございます。
○小松総務省国勢統計課長 よろしくお願いいたします。
○津谷部会長 よろしいでしょうか。
○駒村委員 結構です。
○津谷部会長 それでは、富田委員からも御質問・御意見が出ております。富田委員、お願いいたします。
○富田委員 よろしくお願いいたします。大変興味深い発表をありがとうございます。
 私からの質問はかなりちょっと個人的な関心に基づくものなのですが、不詳について御説明がありました。配偶関係とか国籍に関してどういうふうに補完処理をなさったかという御説明をいただきました。これに加えて、例えば、男女の性別に関してのどの程度の不詳があったのか、その不詳の割合が過去と比べて増えているのかどうか。今日の発表外であることは重々承知しておりますが、もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。
 どうしてこれを質問するかと申しますと、世界的に見てもやはり性のアイデンティティーというのは非常にセンシティブな問題になっておりまして、諸外国の例を見ても、国勢調査の調査項目の中の性別に2者選択として男性と女性でいいのか。国によっては第3項目を加える国もございます。2者選択の場合は、経年で見るとノンレスポンス、答えない割合というのが年々増えているという国も多うございます。そういったことから見て日本ではどうなっているのかなとちょっと個人的に知りたいと思いましたので、分かる範囲でお答えいただければと思います。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 では、小松課長、お願いいたします。
○小松総務省国勢統計課長 御質問ありがとうございます。
 国勢調査に関しましては、一応回答がたとえなくても聞き取り調査ということをやることで、人口自体、性別に関しては確実に埋めるというやり方でやってございます。万が一何らかの形で御回答がない場合に関しては、場合によってはちょっと周りの人からの聞き取り調査ですとか、場合によっては所在を確認した上で行政記録を参照してつけるとかという形の補完を現在行うというやり方になってございまして、そういう意味合いでは、男女に関しては、今のやり方ですと不詳はないという形になってございます。将来的な話に関しましては、例えば、法制度上の動きとかそういうことを見受けながら、多分、7年とかその後とかに向けてはいろいろと議論するところもあるかと思いますが、現状の国勢調査ではそのようなやり方になっているということでございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 富田委員、よろしいでしょうか。
○富田委員 よく分かりました。ありがとうございます。
 私はたしかウェブを通して国勢調査に返答させていただいたのですが、たしかその質問項目を飛ばすと先に進めないような工夫になっていたかと思いますが、そういうことなのですね。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、山田委員から御質問・御意見が出ております。山田委員、お願いいたします。
○山田委員 山田です。詳細な御説明をありがとうございます。
 私からは、ほかの委員からも出ておりましたとおり、前回の国勢調査についても不詳の扱いの割合が増えてきて、非常にそこに苦慮されているということで、今回、新しい推計方法が、あん分方法が試みられたというのは非常に重要な進展だと思います。
 一方で、ほかの委員からもございましたように、これは釈迦に説法でございますが、人口推計に当たっては幾つか重要なパラメータがあるかと存じます。まだアカデミアで、学会等で御報告されて、また様々な検討の余地が今後出てきた場合に、今回の現段階でも構わないのですけれども、どれくらい重要なパラメータに振れが出てくる可能性があるのかということについては、引き続き情報共有をしていただけたらと思います。
 私からは以上になります。ありがとうございます。
○津谷部会長 山田委員、ありがとうございます。
 小松課長、何かお答えはございますか。情報共有を密にして継続してほしいという御示唆、御指示でございます。よろしいでしょうか。
○小松総務省国勢統計課長 ありがとうございます。
 基本的に国勢調査に関しては前回比較というのもそれなりに重視してございますので、当然、新しい方法を取ればそれなりの、前回比較できるような方法というのをきっちりやることで情報のほうは絶えず提供さしあげたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○津谷部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、若干時間が押しておりますので、次の議事に移らせていただきたいと思います。議事の3番目にあります「将来人口推計とは-その役割と仕組み-」につきまして、国立社会保障・人口問題研究所の岩澤部長より御説明をお願いいたします。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) では、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここでは将来人口推計について説明させていただきます。
 ポイントとして今回は3つありまして、まず、将来推計人口とは、ということです。これは、毎回この推計を始めるときに説明する内容で、それまでと変わらないものになります。続いて、前回設計から5年、実績が出ておりますので、そことの比較を行って、最後に、それを踏まえて、今回の推計ではどのような仮定値の見直しになるかということについて、ポイントを説明させていただきます。
 将来人口推計で、今回この会議をやる目的でもあるのですけれども、どういうことに我々は注意をしてやっているかというところを御説明いたします。
 この将来人口推計というのは、本当に数々の施策や、開発計画、経済見通しというものに幅広く使われておりますので、やはりその客観性、その中立性ということが大変重要になっておりまして、そのためには正確なデータ、客観的な手法が必要だということで研究が進んでおります。
 一方で、その将来には大変不確定な部分がございますので、その不確実性というのが何から来ているかというと、一つは、現代科学においても測定、手法というものが不完全であるというところです。今、国勢調査の話がありましたけれども、実態を把握することでさえ不確実なところがあるという現実からまだ我々は逃れられないということがあります。もう一つは、その将来という出来事について、やはり全て把握することができません。
 そこで、我々としては、その最良のデータ、そして、今ある最良の手法というのを組み合わせて、何とか客観的な推計を行うのですけれども、やはりそのときに重要なのが専門性と説明責任だと考えております。
 ここで、その「予測」というものについて我々の考え方を説明したいのですけれども、科学の世界でお仕事をされている方は統計的推定という言葉をよく使われるかと思います。統計的推定の場合は、やはり事実というか実態があって母数があるものについて推定するのですけれども、未来について、我々が将来の推計を行う未来については、これは「わからない」のではなくて事実が「存在しない」という状況になりますので、そういう意味では、通常の統計的推定というものとは一線を画しているということになります。
 それから、そういう場合に科学的予測というのは何かといいますと、母数の「推定」ではなくて、我々はこれがシミュレーションだと考えております。シミュレーションというのは、初期値を与え、因果モデルというものを作っておいて計算させる、そして、その結果を見るというものです。これをもって科学的、我々のいう人口推計という科学的予測ということが得られています。
 それからもう一つ、この科学的予測にも実は2種類あると考えられまして、ここでは天気予報というものと将来推計人口というものを考えてみます。実は天気予報、あしたの天気というのは我々が操作することが不可能になります。ただ、毎日、我々は天気予報というものを見るのですけれども、これは、もしあした雨天だったとしたら、その雨を降らさないことはできませんけれども、傘を持っていく準備はできるということで、そういうふうに活用するわけです。
 ただ、我々が行う将来推計人口というのは実は操作が可能で、例えば、1960年代、世界の人口爆発が起きる、このままでは人口が爆発するという予測が、推計が出たわけです。これに対してやはり各国が協力し、実際にはそういうふうにならない未来というのを我々は得ることができました。
 今の日本の少子化ということに対しても、このまま出生数が減るということが分かるのと同時に、このまま行かずに何とか対策を打ってその環境を変えることができるのではないかということで、我々はその行動を変えられるかもしれないわけです。こういうその働きかけ、どういう働きかけをすればよいかということを知るための将来推計でもあるというところがあります。
 ある意味、これまで5年ごとに我々の将来推計人口が、推計の見直しをしているのですけれども、なぜ見直しをして結果が変わってくるのかといいますと、ある部分はやはり当時その将来推計を見た人々、我々が行動を変えた結果、その予測どおりというか推計どおりの結果にならなかったことが含まれていると考えられます。
 ということで、我々のこの集計というのは、予報とか予測というよりは、やはり今の状態がこのまま続いたらどういう未来が来るか、その場合、我々が今、何をするべきか、ということを考える、そういう目的の将来推計人口でもあるということになります。
 それから、「人口投影(population projection)」という考え方を説明したいと思いますけれども、この人口投影というのは、出生・死亡・人口移動など、これに一定の仮定を置きまして、それに従って進んだ場合に時間とともに将来の人口がどうなるかというのを計算したものです。
 国などの公的機関が行う将来人口推計では、客観性・中立性というものを確保するために、出生・死亡・人口移動などの仮定値を、過去から現在に至るまでの傾向・趨勢というものを将来に投影して設定します。
 すなわち、将来人口推計というのは、少子化等の人口動向について、観測された人口学的データの過去から現在に至る傾向・趨勢を将来に投影して、その帰結として人口の姿を科学的に描くというものです。
 具体的にどのように将来人口推計を行うかというのは、幾つか方法がございまして、ここで3つ御紹介いたします。
 1つ目は関数あてはめ法というもので、過去の人口の趨勢に数学的な関数を当てはめて将来の人口を投影する方法です。これの場合に必要となるデータは過去の総人口でして、指数関数やロジスティック曲線を当てはめます。
 もう一つはコーホート変化率法というのがありまして、こちらは同一コーホート。コーホートというのが重要な用語ですのでここで改めて説明しますけれども、人口観察の単位集団で、通常は「出生コーホート」、つまり出生年が同じ人口集団のことをコーホートといいます。このコーホート変化率法の場合に必要となるデータというのは2時点における国勢調査のデータです。人口動態統計が安定的ではないような小地域などではこの方法が用いられます。
 3番目のコーホート要因法というのが、出生、死亡、移動等の人口の変動要因の動向を仮定してコーホートごとに将来人口を推計する方法ですけれども、我が国の全国推計のように詳細な人口統計データが得られる場合には、このコーホート要因法が最も信頼できる方法と考えます。必要となるデータは基準人口と、出生・死亡の人口動態統計及び人口移動の統計です。国などの公的機関が行う将来人口推計の標準的な方法ですので、各国、多くの国ではほぼこのコーホート要因法を使って推計を行っております。
 具体的なこの推計の手順なのですけれども、まずこちらは、今回のコーホート要因法の手順ですが、一番左に出発点である当年の人口があります。これが基準人口となります。X歳の集団というのは、翌年、X+1歳になります。このときにこの矢印で示したように、X歳の人口は仮定された生残率、すなわち死亡の起きやすさ、仮定に従って、死亡者が除かれます。同時に、国際人口移動の仮定によって、外国に出たりあるいは外国から日本に戻ってきたりという方が出入りすることによって、その結果としてX+1歳の人口が決まります。
 0歳以上の人口は今の方法で決まるのですけれども、新たな0歳人口というものは、以下のように決まります。まず、この右側にありますように、子供を産む年齢層の女性と年齢別出生率の仮定に基づいて出生が発生します。これが今度は出生性比の仮定によって男女別に分けられる、男の子と女の子に分けられます。その後、この生まれた子供が生残率による死亡と、それから、国際人口移動仮定によって出入りというものが計算されて、最終的に0歳の男女別人口ということになります。
 具体的な仮定値ですけれども、この出生、死亡、国際人口移動のそれぞれが用意されます。
 出生に関しては、女性の年齢別出生率と、生まれた子供を男女に分ける出生性比という仮定が置かれます。
 死亡については、男女・年齢別の生残率、翌年までに亡くならずに生き残るというものです。これを切ります。
 そして、国際人口移動については、日本人、外国人それぞれについて、男女・年齢別に国際人口移動の仮定というものを置きます。
 先ほど、仮定設定は過去から現在に至る傾向・趨勢を将来に投影するというふうに説明しましたけれども、そのイメージを右側に示しました。人口変動要因は時間的変化を表す何らかのパラメータですね。過去から現在まで観察して、その趨勢を将来に投影することになります。
 出生仮定については、コーホート年齢別出生率が安定的なパターンを示すことから、コーホート別の出生動向に着目して投影することになります。特に、推計時点で15歳、女性の世代なのですけれども、つまり、これから子供を産み始める世代、したがって、実績データが全くない世代なのですが、我々がこれを参照コーホートと呼んでいまして、この世代の子供の産み方をどう設定するかが、ある種、推計の水準を決める重要な参照点となります。次回推計では、2005年に生まれた女性というのがこの参照コーホートになるということになります。
 ちなみに、出生率は先ほど人口動態のほうで説明がありましたが、毎年発表される期間出生率と言われるものと、それから、コーホート出生率というものがあるのですけれども、将来推計ですとコーホート出生率を主に使います。ここに期間合計特殊出生率、それから、コーホート合計特殊出生率というのを示しましたけれども、この期間出生率のほうはかなり年次の変化が激しい。それに対して、コーホートのほうは変化が緩やかといいますか、短期的な変動がないというのが分かるかと思います。期間の変動で有名なものが、1966年の「ひのえうま」ですけれども、このように期間では大変大きな動きがありましたけれども、コーホートでこの頃にちょうど子供を産んだような世代の出生率を見ると、特にその前後と比べて何か違ったということはなく安定していたということが分かっています。
 このようなこともあり、将来推計の投影についてはコーホート合計出生率のほうを用いることになるわけです。
 こちらは年齢別死亡率で、これは特異値分解というのを用いて表現するリー・カーターモデルというのがあるのですけれども、社人研では修正して使っていますので修正リー・カーターモデルになりまして、これのイメージです。
 左側にありますのが、死亡の水準の年次変化を表すことというパラメータなのですけれども、2010年というところまで実績が得られているとすると、この先を投影するという形で将来に投影されています。
 この将来の投影値に基づいて、実際にはこの右側にある年齢別死亡率のパターンというものを作ることになります。
 こちらは、外国人の国際人口移動の投影のものですけれども、これは実績のこの動きというものを重視しまして、やはり短期的に、例えば、前回ですと東日本大震災とかリーマンショックとかそういうことがある場合は、それはちょっと外して、比較的通常の動きだと思えるところを使って将来を投影するという形を取ります。
 ここまでは人口の変動要因の投影によって推計をするという説明をしました。恐らく皆さんの中には、人口動態、あるいは人口というものが社会経済のいろいろな環境と密接な関係があるわけで、この社会経済の変化が全く将来推計人口に反映されていないのではないかと御懸念を抱く方があるかもしれないと思います。
 結論から申しますと、この将来人口推計というのは、社会経済環境の影響というものもある程度反映して将来に投影されていると考えることができると思います。
 これはすなわち、この右に示した社会・経済環境とか、あるいは政策効果というものの過去の趨勢は既に、左に示された人口学的データに反映されていると考えるからです。将来人口推計というのはこうした人口学的データに指標を投影するわけですけれども、そこに実はそこまでの社会経済環境や政策効果の影響というものが反映されていて、それも含めて将来に投影するということです。
 一方で、基準時点以後に起こり得る社会経済の変化とか新たな政策の導入の効果といったものは全く織り込まれないことになるのですけれども、こちらを含めて将来の姿を描くというのが、残念ながら今の科学的な方法としてそれを定量的に正確に描くことはできないことになります。
 ここでは、出生に関する人口学的変数で出生の将来の動向というものを見通すわけですけれども、ここで、例えば、50歳時の結婚している人の割合とか夫婦の子供数、離婚や再婚の効果というのを使うわけですけれども、実はこれに既に、例えば、この下にありますように、社会経済要因の例として、進学率の変化ですとか就業の変化ですとか、あるいは結婚観や家族観といった意識の変化、就業環境、そして、子育ての環境、家族観であるとかその意識というものが既にそれぞれのパラメータに影響を与えていて、そちらを含めたものが将来に投影されていると考えられます。
 このように社会経済の見通しというものが人口動態の各変数に反映されていると考え、それをもって社会経済の影響が将来に投影されると考えます。
 これはまとめですけれども、まず、将来人口推計の目的としては、人口推計というのが広範な分野で使われておりますので、客観性・中立性が求められること。
 それから、将来人口推計は、人口動向に対して一定の仮定を置いて、それを将来に投影する「人口投影」という考え方で行われるということ。
 それから、「コーホート要因法」というものがあります。
 そして、コーホート要因法は、先ほど示したように、将来の出生動向、将来の死亡動向、将来の国際人口移動というのを仮定して用いるわけです。
 こういう人口変動の要因を使うのですけれども、そこには既に社会経済の影響というものが組み込まれていると考えております。
 こちらは参考までに、各国の公的推計がどのような推計を行っているかを出しているのですけれども、基本的にコーホート要因法で行っています。それから、人口の出生、死亡、国際人口移動という人口学的変数を用いて投影するという方法を取っていることが分かります。
 推計結果の評価ですけれども、これから総務省の実体の人口と比較するのですけれども、一応実体の人口といいましても3種類ございますので簡単に説明します。国勢調査という5年に1度実際にやって実測している人口のほかに、総務省の人口推計という、国勢調査から今度はその後に起きた人口変動を使って、毎月1日の人口を推計しているものがあります。さらに、補間補正人口というのがありまして、これは推計人口で平成27年から令和2年まで積み上げていったものと、それから、実際の令和2年の国勢調査の結果というのが必ずしも一致しませんので、この差分を各2019年以前に振り分けるという補間補正人口というのがあります。
 こちらが、この黒い線が総務省の実体人口で、青い線が平成29年推計、中位推計になっていますけれども、御覧のように中位推計よりも実体の人口のほうが上回っているという状況になっています。
 もう少し細かく見ますと、社人研の推計というのは、死亡の水準と出生の水準、3仮定を置いていますので、組合せによって幅をつけた推計結果を出しているのですけれども、ここでお示ししたように、最も人口が多いと見込む、死亡が低位で出生が高位という緑の細かい破線の部分があるのですけれども、これよりも実は2020年のほうが、総務省の実体人口のほうが多いという状況になっています。
 これを、青い社人研の中位推計と、それから、総務省の人口推計ですね。これは実は基準人口が共通で、そこから出生と死亡と人口の動態が、総務省の人口推計は実体を使っていて、社人研のほうは仮定値を使っておりますので、この違いは、実は死亡数の違いなのか出生数の違いなのか国際人口移動の違いなのかというのを評価できるわけです。
 それを実際にやってみたのがこちらの表なのですけれども、この上のパネルが実数とついていますけれども、中位推計から実績値を引いた差分がこの紫のところになりまして、その差の内訳というのを、出生率によるのか生残率の違いによるのか国際人口移動によって違ったのかというのを出してみますと、社人研推計では総務省の人口推計よりも結果的に39万4000人少なかったわけですけれども、出生率の仮定では逆に3万8000人過大であると推計していました。それから、死亡率の仮定でも1万1000人過大であると仮定していたのですけれども、国際人口移動については44万4000人過小だったと。結果的に将来推計人口のほうが実体よりも少なかったということが分かります。
 この中位推計の評価という意味では、2019年時点の評価によれば、中位推計については、出生率と死亡率による影響というのは総体的には僅少でして、この間に進められた外国人労働者政策とか経済活動の急激な変化、こうしたことによる国際人口移動の影響というものが相対的に大きいと考えることができます。
 出生率により仮定が過大であった割合というのは0.03%、死亡率により過大であったのは0.01%、国際人口移動というのが0.35%ですので、全体としての過小幅は0.31%程度で、これは2019年の人口は中位推計よりも0.31%多かったということです。
 年齢構造に関しても65歳以上人口割合で見ますと、実績の28.4%に対して、推計は28.6%と僅かに過大であったことが分かりました。
 参考までに、左が総人口なのですけれども、右側の日本人人口に限定した場合、やはり実体と推計を比較したのですが、こちらで見ましても、こちらは中位推計に大分近いですが、やはり中位推計よりも実体人数が多かったという結果になっております。
 そして、変動要因です。
 これは、そのずれをもう少し細かく見ていくのですけれども、出生に関しては、このように出生数で見ますと、2020年、それから、2021年は概数ですけれども、中位推計と低位推計の間にあるということが分かります。
 これを率にしたものでも同じように間にというか、どちらかというと2021年は低位仮定に近い状況になっています。
 それから、これを出生順位別で見ますと、1子に少し遅れて2子が落ちていくことが分かりますので、今後、3子が落ちていくという可能性があるのではないかと見ています。
 こちらは年齢別出生率なのですけれども、赤いラインが中位仮定値です。黒のドットがついているのが実績値となります。これは、コロナの影響が出る前の2020年の値です。コロナの影響は2021年から出ておりますので、2020年はまだコロナは関係ないのですけれども、それでも中位仮定値よりも実体が下になっております。どこが違うかといいますと、1子は30代前半ぐらいのところが全体的に過大、推計の仮定値が過大でしたし、2子も30代前半のところが仮定値が過大であったことが分かります。
 こちらは、コーホートで見たその各年齢までの累積の出生率なのですけれども、前半でも申しましたように、コーホートで見るとかなり年次の突発的な変化というのが表されているところがありまして、変化が緩やかになるのですけれども、それでも25歳時点、あるいは30歳時点で見ますと、この足元のところですね、一番新しいところは少し仮定値よりも下振れしている状況が見えております。
 そして、死亡のほうは平均寿命で評価しますと、女性はおおむね合っているようなところがありますが、男性の場合はちょっと仮定値が過小だったということがあります。
 これが年齢別の死亡率なのですけれども、これのどこがずれているかというと、よくはっきり見えるのが、男性のほうの20代から60歳ぐらいまでのところの仮定値のほうが少し死亡率が高過ぎたという状況になっています。女性のほうは実はあまり分からないのですけれども、高齢のほうが90歳以上のところで若干過小であったということがあります。ただ、ここで見るとあまり分からないのですが、その結果が死亡数のずれに出ていたということになります。
 そして、国際人口移動です。
 これは、横軸が年齢別なのですけれども、日本人の国際人口移動の入国超過率です。この0のラインですと、入ってきた人と出た人が同じような数だったということになりますので、これがプラスになっていると入国の超過があった、それから、マイナスのほうに出ているものが日本から出ていく人のほうが多かったということになります。赤いラインが仮定値です。青のドットが2016年から2020年までの実績値の平均値なのですけれども、おおむね傾向としてはそんなに変わっていないということが分かります。
 ただ、国際人口移動の外国人の入国超過ですね。先ほども話がありましたけれども、これは横軸が年次になりまして、入国超過数なので、0の場合は日本に入ってきた外国人と日本から出ていった外国人がちょうど均衡していた部分になりますし、これがプラスになっているということは出ていった人よりも入ってくる人のほうが多かったということになります。2015年の前回の推計のところは、ちょうどリーマンショックや震災の影響から脱して戻ってきたところで推計をしていたのですけれども、その後の2015年からの入国超過数というのがかなりの勢いで、これまでの今までになかった未曽有のレベルで増加していました。これが先ほどの国勢調査でも多かったということになっていると思うのですけれども、ただ、その後、2020年、2021年とコロナで今度は激減という形になりまして、その後はやはり水際対策が強化されたり緩んだりという部分にある程度反応しながら推移しているということです。
 このように前回推計と実体というものを見ていったわけなのですけれども、こういうことを踏まえまして、今回の推計の中長期仮定の見直しのポイントというのをまとめてみるとしますと、出生については、若年層の低出生率ということが少し見えていますので、これを踏まえて出生率の仮定水準というのを見直していく必要があると思います。それから、年齢パターンがやはり最近ほど複雑な形になってきているという事情がありますので、複雑な形を表現できるようなモデルというものを今、開発しているところで、こちらは秋以降の部会で説明したいと思っております。
 死亡については、おおむねあまり乖離がないといいますか、仮定どおりの実績なのですけれども、若干男性の平均寿命が過小推計だったということがありましたので、こうしたことを踏まえて長期動向を見直すことになると思います。
 国際人口移動は先ほど見ましたが、外国人の流入規模というものがまさに新潮流という、そういう時代を迎えておりますので、入国超過の水準を見直していく必要があるのではないかと思います。
 こうした中長期仮定とは別に、やはり2020年、2021年というのはこれまでに経験していないコロナ禍というものを我々は経験しまして、やはり人口動態にも影響が出ております。こういった短期的影響というのは、上で設けた中長期的見通しとは別途加味する必要があるのではないかと思います。
 説明は以上でございます。
○津谷部会長 岩澤部長、御説明ありがとうございました。
 将来人口推計についての審議が本部会のミッションですので、これは中心的な議事と言えると思います。
 ただいまの御説明の内容について、御意見・御質問がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。内容と要点を大変簡潔に御説明いただき、いろいろな図なども出されております。
 小西委員より御質問・御意見がおありとのことです。お願いいたします。
○小西委員 御説明ありがとうございました。小西でございます。
 スライドの31枚目についてお伺いいたします。
 第1子、第2子の出生率が下がってきまして、これから第3子、第4子も減るように思われますとおっしゃったと思うのですが、それはどういうことなのでしょう。2子を産む人が減ったらやはり3子を産む人が減っていくということですか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) そうですね。今までの傾向を見ても、まず1子が上がり始めると次に2子が上がって、2子はやはり1子を産んだ人から生まれますので、時間差があって影響が出るということがありますので、そういうふうに見込んでいるということです。
○小西委員 分かりました。ありがとうございます。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、小野委員からも御質問・御意見がございます。お願いいたします。
○小野委員 御説明ありがとうございます。
 私は、資料3の3ページにあるように、社会科学における推計では将来は不確定であり不確実であるということとか、あるいは科学的に将来の社会を定量的に正確に描く方法は存在しないという認識、これが非常に重要だと思っております。ですので、人口推計というのは、観測された人口データの過去から現在に至る傾向とか趨勢を将来に投影するという人口投影であり、未来を当てるための予言、予測を目的としたものではないという指摘は非常に共感するところであります。
 しかしながら、石井先生とか岩澤先生が共同執筆されている論文でも、国連の欧州委員会の勧告が公的な将来人口推計の作成とその利用者との間の相互理解というのが必ずしも十分ではないという認識があるというふうに拝見しました。私は、将来人口推計というのは科学的な投影であり、それをそしゃくするのは、政策の検討、立案をする方とかそれを判断する方とかそれを報道する方といった利用者の役割だということが正確に伝わることが必要だと思っています。
 そこで、相互理解を促進するためには、公的年金の財政検証でも取り入れられておりますけれども、複数ある推計結果を並列的かつ濃淡をつけずに示すことが有効ではないかと思っております。その際に、人は大体その真ん中に注目しやすいというのがありますので、推計結果というのは偶数として、かつ、高位とか中位とか低位とかよりも、単純にそのケース1、2といった無味乾燥な名前をつけることにすれば、人口推計が予測を提供しているわけではないという理解に役立つのではないかと思いました。ちょっと突拍子もない話かもしれませんけれども、その辺りの御見解をお伺いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○津谷部会長 小野委員、ありがとうございます。
 岩澤部長、御説明やコメントはございますか。御意見でも結構です。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 実際のところ、各国を見て必ず中位があるということで、その偶数であるところがないということがあるのですけれども、その理由としまして、やはりユーザーがそれぞれ考えるという使い方の一方で、国で何か政策をやるときには統一的に同じ人口を使ってやっているということでやらなければいけない部分というのがあります。そのときに標準として使うものという意味でやはり、もし仮に4本だとしてもこの3本目が標準ですという言い方はせざるを得ないのではないかと思っております。なので、偶数かどうかというよりはやはり、もちろんどれを使うかというのをユーザーが考えて使っていただくというのは大変重要なのですけれども、一方で、みんなで共通で使うというものが必要だということで、現在、それが結果的に中位になっているということで理解しております。
 以上です。
○小野委員 承知しました。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 次に、富田委員から御質問・御意見がおありとのことです。お願いいたします。
○富田委員 ありがとうございます。時間が押しているということで、私はコメントだけに控えさせていただきます。
 大変簡潔な説明をありがとうございました。将来人口推計に当たって予測が一番難しいのが国際人口移動というパラメータでして、日本もいよいよ国際人口移動が拡大するにつれて、この推計に当たってはそれをどう読むかというチャレンジに苦労するようになったのかなとちょっと感慨深く伺っておりました。外国人人口の件ですが、先ほどの国勢調査の結果によると、ストックで2.2%とまだ少ない割合ではございますが、やはり急増する傾向にあるということを加味しますと、今後、外国人人口にどういう仮説を立てて推計に組んでいくかということもやはり大事になるのかと思います。日本人人口と外国人人口では、年齢構造、出生、死亡パターンというのもかなり違います。これがストックとして拡大していくのならば、その辺も別々に、例えば、仮説なりシナリオを立てる必要も出てくるのかなということを考えながら、今日の非常に簡潔な説明をうかがわせていただきました。ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、石川委員からも御質問・御意見が出ております。石川委員、お願いいたします。
○石川委員 簡潔に申し上げます。
 結局、一番難しいのが国際人口移動をどう読むかということですね。ですので、御苦労は大変よく分かるのですが、今日配付いただいた資料の17ページ目、18ページ目に、諸外国の国際人口移動の取扱いの事例が紹介されていて、大変参考になりました。私としては個人的には、国際移動の数は非常に激しく動くので、なかなか先を読めないから、やはり高位、中位、低位という形のシナリオを3つ用意するのがより現実的で、多くの人が今後どうなるかを考えるときの手だてとなるのではないかと思います。高位、中位、低位というシナリオを設けていただくのがいいのではないでしょうかと思いました。単なるコメントです。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 岩澤部長、コメントはございませんでしょうか。
○岩澤人口動向研究部長(社人研) 一応、今までにもそういう御意見がございまして、対応策としては条件付推計という形で、かなり水準を変えたものを出しているのです。ですから、それとの使い方の関係などを少し検討していくというふうになるかと思います。
 以上でございます。
○石川委員 ありがとうございました。
○津谷部会長 ありがとうございます。
 大変活発な御議論や御質問・御意見をいただきまして、ありがとうございました。予定の時間を若干オーバーいたしておりますが、大変有用な御意見をたくさんいただきましたので、これらの御意見を参考にしつつ、岩澤部長をはじめ、社人研のスタッフの皆様方に御尽力いただき、次回以降の部会での審議や議論に反映させていきたいと思います。エビデンス・ベースド・デシジョン・メイキングという言葉がございますが、そのエビデンスを科学的かつ客観的な観点から作成・提供していく。そして、それを分かりやすく社会の皆様方にコミュニケートしていくということを本部会のミッションとして委員の皆様と御一緒に頑張りたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、本日の審議はこれで終了いたします。次回の開催につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。
○和田政策企画官 次回の日程につきましては改めて調整をさせていただき、連絡させていただきたいと思います。
○津谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の部会審議はこれで終了となります。御多忙の折、御出席いただき、活発な御審議をいただき、また多くの有用な御意見をいただき、本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。