第8回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和4年6月22日(水) 18:00~20:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)
  • (会議室)     ◎磯部哲
  • (テレビ会議)  伊豆津健一  泉祐子    内田信一  奥田真弘  ○佐藤嗣道
  •          花井十伍     森豊隆志
  •          ※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

 厚生労働省
 (会議室)
  浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
  大臣官房厚生科学課
    佐々木 昌弘(厚生科学課長)
    鷹合 一真(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
    藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
  医政局
    横関 雄司(研究開発振興課臨床研究安全性確保専門官)
    藤原 顕弘(研究開発振興課主査)
  健康局
    鶴田 真也(健康課予防接種室長)
    坪井 隆(健康課予防接種室長補佐)
    山口 敏弘(健康課予防接種室ワクチン対策専門官)
    飯田 龍洋(健康課予防接種室主査)
  医薬・生活衛生局
    柳沼 宏(医薬品審査管理課長補佐)
    高橋 暁子(医薬安全対策課安全使用推進室長)
    塩川 智規(医薬安全対策課長補佐)
    山本 剛(監視指導・麻薬対策課長補佐) 他
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
 (会議室)
    井口 豊崇(医薬品安全対策第二部長)
    宇山 佳明(医療情報活用部長)

議題

  1. 1.医薬品等行政評価・監視委員会の意見に係る実施状況の報告について
  2. 2.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について
  3. 3.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  4. 4.医薬品等行政評価・監視委員会における海外調査について
  5. 5.医薬品等行政評価・監視委員会の活動状況について
  6. 6.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 ただいまより「第8回医薬品等行政評価・監視委員会」を開催します。皆様には、お忙しい中、また、遅い時間にもかかわらず御出席いただき、ありがとうございます。
 本日の委員会は、対面ではなくウェブ開催としており、磯部委員長を除くほかの委員には厚生労働省外から参加いただいております。また、傍聴に関してはYouTubeでライブ配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくりはっきり御発言いただくようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投映を中断いたしますので、御了承ください。
 それでは、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 磯部です。本日はどうぞよろしくお願いします。
 最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。また、利益相反の取扱規定に基づいて、各委員の申告内容の御報告をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 まず、出席状況についてです。
 本日は戸部委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、9名中8名の委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを報告します。
 続いて、利益相反についてです。
 取扱規定に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告についてですが、本日は議事次第にありますとおり、議題及び資料の内容から、制度の運用状況をはじめとした全般的な議論が中心になり、特定の医薬品について議論を行うことは予定していないことから、個別医薬品に関する利益相反の申告はいただいておりませんので御報告いたします。
 なお、本委員会では、個別の医薬品の利益相反のほか「全般的な利益相反の定期的な開示」を行っており、各委員からの申告書につきましては、厚生労働省のホームページに掲載しておりますので、併せてお知らせいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の主な議題は、本委員会の意見に係る実施状況の報告、委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況として、MID-NETに関するこれまでの取組等と医薬品の条件付き早期承認制について。また、医薬・生活衛生局からの定期報告、海外調査に関する定期報告及び今年度の調査方針の報告、本委員会の活動状況等ということで、今回も議論の対象が非常に多くなっております。厚生労働省の関係の方には大変長い時間をお待たせして申し訳ないのですけれども、御説明の際には、効率的な議事進行に御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、議題に先立ちまして、前回の第7回委員会で泉委員より御質問があった事項について御回答いただけるとのことのです。「日本での査察結果の公表状況」及び「臨床試験の実施施設の情報公開」について。参考資料の2-1を御覧ください。その内容について、医薬・生活衛生局の監視指導・麻薬対策課から御説明をお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 監視指導・麻薬対策課より御説明いたします。
 今、御紹介いただきましたとおり、前回3月の本委員会におきまして、泉委員より、FDAでは製造所に対する査察結果を公開しているということですが、日本での取組はどうなっているかという御質問をいただいたところでございます。
 この御質問につきまして、まずFDAの状況について確認しましたところ、全ての査察結果というわけではございませんが、FDAのウェブサイト上で、各製造所へのGMP調査の結果などが閲覧できるようになっていることを確認いたしました。
 翻って、御質問の日本での取組はどうかという点につきましては、現在では製造業者に対して、業務停止などの行政処分を行った際には、併せて違反の内容について発表を行っておりますが、その他については、原則としてGMP調査の結果の公表は行っていないというのが実情でございます。
 一方で、昨今の品質問題を踏まえまして、今年度より新たに指摘事例を公表するという取組を開始しておりますので、本日はそちらの御紹介をさせていただきたいと思います。
 今表示しております参考資料2-1でございますが、今年度4月から、GMP調査における指摘事項のうち、業界への周知が特に有用と考えられる事例につきまして、注意喚起や技術的な参考情報として、PMDAウェブサイト上で公表を開始することを発表した資料でございます。
 2ページ目にまいりまして、こちらのページの下に記載をしておりますが、行政が行うGMP査察につきましては、これまでは製造業者側から見ますと、ほかの企業がどのような指摘を受けているかという部分については分からないという状況が続いておりました。この点について、指摘事項を積極的に公表していくことによって、発生しやすいミスや不備などの知識を共有して、医薬品製造業者全体の啓発、意識向上の機会とすることを目指して、このような取組を始めたところでございます。
 また、3ページ目にございますとおり、随時公表する情報、通称オレンジレターと呼んでおりますけれども、こちらのほかに、左側の青い部分のとおり、1年に1回定期的な報告書の公表も行うことを予定しております。
 また、この資料の最後のページでございますが、こちらにはオレンジレターの具体例としまして、本年4月に発行した第1号をおつけしております。指摘事例の背景とか、どのようなリスクがあるのか、この事例を踏まえて各製造所でチェックしてほしいポイント、PMDAからのメッセージなどを記載しております。
 また、本日の資料には間に合いませんでしたが、別の取組としまして、GMPラウンドテーブル会議というものも開催を予定しておりまして、第1回を9月に開催予定としております。先週から参加者の募集を開始しておりまして、こちらのラウンドテーブルでは、製薬企業、規制当局、アカデミアの担当者が参加しまして、GMP上の課題の共有や意見交換を実務レベルで行うことを目的としておりまして、今、御紹介しました指摘事例の公表と併せまして、GMP上の課題について、業界との情報共有、意見交換を促進していくことで、業界全体にも啓発、意識向上を通して医薬品の品質確保につなげていくこととしております。
 参考資料2-1に関する御説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、委員の皆さんからコメント等がありましたらお願いします。もうどんどんしゃべってください。泉さん、よろしいですか。
 どうぞ。
○泉委員 資料、ありがとうございました。
 まず、この資料に関して幾つかお伺いしたいと思います。
 今回、こういう形でGMP調査における指摘事例の公表の開始を始めたということはとても評価できると思っております。特に、原料についても、ロットごとの適正性を求めているということ、これがとても重要だということを、今まで皆さん気がついていても、なかなかそれがこういう表では見られることができなかったので、よかったと思います。
 しかし、これらの確認の重要性が各製造工場に根づくには、製造販売業者と販売業者の管理監督の強化は無論必要だと思います。そして、その強化にはどのような方法が用意されているのかを知りたい。これが1つです。
 続けて話してもよろしいでしょうか。
○磯部委員長 どうぞ。
○泉委員 2つ目は、長年見逃されてきたGMP違反があったという事実から、今後どのような査察をしていくのか、それらも指摘事例のホームページに公表していったらよいと思うが、それはどうお考えなのか。それが2つ目です。
 委員長、そのまま続けていってもいいですか。
○磯部委員長 どうぞ。手短に。
○泉委員 次に、長い年月、違反のまま製造を続けてきた現場も存在していたこと、とてもたくさんの違反が報告されたことに危機感を感じています。そして、指摘事例を活用しながら、実は指摘事例を活用するということも大事なのですが、PMDAのほうで事例の相談とか指導ができればよいと思いますが、こういった相談とか指導の窓口を用意する、あるいはそういう方法を用意できるのか、どうか、これを3つ目としてお伺いしたいと思っています。
 もう一つありますが、取りあえずここまでで。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 御質問、ありがとうございます。
 順番にお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、1つ目の御質問としまして、製造販売業者による管理監督の強化が必要ではないかという御指摘について、どういう取組をするのかという御質問でございます。
 まず、そもそも現在の薬機法では、御指摘いただいておりますとおり、製造販売業者がGQP省令に基づいて、各製造所の管理を行うということとなっておりますけれども、昨年、一連の後発医薬品を中心とした行政処分の事例を踏まえまして、その製造販売業者による各製造所の管理監督が不十分な点があったのではないかという御指摘があったことを踏まえまして、昨年度、厚生労働科学特別研究におきまして、製造販売業者によるGQP省令に基づく管理の課題の整理や、見直しの方向性について検討していただきました。
 そして、その結果を踏まえまして、本年4月に通知を発出しまして、具体的には製造販売業者と製造業者との間での取り決め事項の具体化とか、製造販売業者が製造業者に対して行う監査の強化、具体的なやり方などを指示する形で、製造販売業者による製造業者の指導の徹底をするように、通知で指導等をしたところでございます。
 まず、それが1点目でございまして、続いて2点目の質問が、長年見逃されてきたGMP違反があったということで、都道府県を含めた査察の強化をどうしていくのかという御指摘と理解をしています。昨年行政処分が行われました小林化工の一連の事例などでは、製造記録の隠蔽、改ざんなど、意図的なものが行われていたということが判明しておりますけれども、そういった事例も含めて、製造上の不備を発見しやすくするための措置として、以前から御紹介させていただいております無通報での査察の実施の強化、それから、無通告査察を実施する際の留意事項などをまとめた無通告立入検査のガイドラインなどを作成しまして、昨年12月に都道府県と共有して、無通告査察の実効性を高めているところでございます。
 また、さらに、今年度からPMDA内にGMP教育支援課という部署を新設いたしまして、都道府県職員も含めて、GMPの教育研修を充実させて、国内全体の査察体制の強化を図ることとしております。
 それでは、2点目の御質問に対するお答えでございますが、2点目については、査察事例の公表、共有などもしたらどうかという御指摘をいただいたかと思いますけれども、具体的な査察の中身というのでしょうか、どのように行政側が査察をやっているかというところにつきましては、そちらを公表等してしまいますと、行政側の手のうちを明かすような形になってしまいますので、公表については慎重に検討させていただきたいと考えております。
 3番目が、たくさんの違反事例、指摘事例に対して、PMDA側で事前の相談などの仕組みがないかという御指摘だと思います。こちらにつきましては、御紹介ができておりませんでしたが、従来からPMDAのほうで、個別企業からの品質や製造方法に関する相談を受け付ける相談制度がございまして、そちらで個別企業からどのように製造管理をすべきか、どのような製造が望ましいかといったような相談を受け付ける仕組みがございます。
 これに加えまして、先ほど御紹介しましたとおり、本年度からGMPラウンドテーブルという、企業側と規制当局側で様々な意見交換をする仕組みを設けて円滑なコミュニケーションを図るということとしておりまして、引き続き行政に相談しやすい体制づくりに努めていくこととしています。
 駆け足でございますが、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
○泉委員 はい。
 次にもう一つだけお願いしたいのですが。
○磯部委員長 どうぞ。
○泉委員 安全性の意識の欠落が長いことあって、GMP違反が見逃されて、結果、会社経営そのものも変革してしまったような製造者もいたと思うのです。それで、内部告発とか死亡事例とか、あるいは抜き打ち工場査察で多くの違反が見つかってきたことは本当に驚くことなのですけれども、今回、指摘事例の公表を、定期公表だけではなくて臨時公表も公表すると出ていますよね。これはとてもいいことなので、ぜひこれを有益に使ってもらいたいということと、もう一つ、最後に、GMP査察あるいは調査は、今後どのような計画で調査を行っていくのかということを簡単に教えてください。
 以上です。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 ありがとうございます。
 PMDAや都道府県による製造所への査察でございますけれども、法令上は少なくとも5年1回、実態としてはおよそ3年に1回程度の頻度で実施をすることにしておりまして、さらに先行している品目とか過去の査察結果などの情報を踏まえて、リスクが高い製造所に対してはさらに優先的に査察を行うといったような形で、実効的な観察を行うこととしております。
 ただ、それぞれの工場にどれぐらいとか、より具体的にどのように査察の計画を立てているかという点につきましては、先ほどの繰り返しになってしまって恐縮なのですけれども、公表することによって行政側の手のうちを明かすようなお話にもなってしまうことから、大変申し訳ございませんけれども、詳細については説明は控えさせていただければと思います。
○泉委員 分かりました。
○磯部委員長 もちろん、手のうちを明かすような公表をしてくれと泉さんも言うわけもないわけで、しかし、いかに広く共有できるかということの知恵を絞るということでお願いしたいという趣旨だと思います。
 宿題返しであまり時間を使うのもあれなので、急ぎましょう。参考資料2-2のほうについてです。
○伊豆津委員 すみません。1つだけよろしいでしょうか。
○磯部委員長 どうぞ。
○伊豆津委員 今回作っていただいている資料は、業界向けに関しては非常にいいものだと思います。医療機関であったり、例えば薬局で患者さんに、心配されている患者さんに説明するような資料もぜひ作っていただければなと思っています。こういう取組をしていますといったこと。それだけよろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、御指摘だと思いますので。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 すみません。今、すぐお答えできる答えを持ち合わせていないのですけれども、恐らく私ども行政の中でも、他の部局も含めて検討すべき課題かなと認識しておりますので、いただいた御意見は内部で共有させていただいて、引き続き検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 花井さん、おありですか。
○花井委員 すみません。形式なところなのですが、この一番最初のペーパーに、いわゆるPMDAが調査権限を行使して実施したGMP調査となっていて、基本的には、これは、細かい条文は忘れましたけれども、薬機法の23条関係で、厚生労働大臣が機構に行うことができるというのがこの権限の源泉だと思うのですけれども、基本的には、この権限については、普通、監麻課との共同でやっているようなイメージだったのですけれども、これは全面的にPMDAだけしか出てきていないのですけれども、監視指導・麻薬対策課と共同でやっているのではなくて、これは完全PMDAに移管していて、監麻課自体は、現場は関係なくなっているというイメージなのですか。都道府県も行っているとすると、PMDAが権限を行使していると限定して大丈夫かというのをちょっと思ったので、その、いわゆる薬機法上の権限の委託関係とこのペーパーの主体が、完全PMDAオンリーになっているところの整合性というのはどのような説明になるのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長補佐 御質問、ありがとうございます。
 昨年の委員会で簡単に御紹介させていただいたのですが、まず、GMP調査の権限としましてが、外国製造所、それから、国内ですと、生物製剤等の特殊な医薬品と新薬については、PMDAが原則して調査を行う。それ以外の国内の製造所については、都道府県が調査を行う、それが通常の調査の分担となっています。
 一方で、必要な場合には、必要な製造所に査察に入ることができるという規定がございまして、その規定につきましては、PMDAが、それぞれの製造所に立ち入りすることが可能となっておりましで、必要な製造所への調査はPMDAで可能といいますか、PMDAが調査ができない製造所があって、そこが抜け落ちてしまうというようなものではないということでございます。うまく説明できずに申し訳ありません。
○花井委員 形式なことなので、後でまた確認しますので。失礼します。
○磯部委員長 そうしてください。ありがとうございました。
 次に行きましょう。お願いします。
 医政局研究開発振興課から、参考資料2-2について、お願いします。
○研究開発振興課治験推進室長補佐 失礼いたします。医政局研究開発振興課の横関と申します。
 前回の委員会で、アメリカは臨床試験の治験実施の施設に関する情報も公開しているということであるけれども、日本も同様にする考えはあるのかといった宿題をいただいたと思っておりまして、そちらに関して回答させていただきます。
 今、投映させていただいている資料2-2を御覧いただければと思います。
 jRCTという臨床研究の公開システムがございまして、こちらで、今回、治験に関して、責任医師が所属する機関の公表がございます。例えば、ほかにも多施設共同治験であった場合に、その多施設共同治験の医師の所属機関に関しても、こちらに関しては公開しているというのが、日本の現状でございますので、そちらでお答えとさせていただきたいと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今の御説明についてはよろしいでしょうか。
 手が挙がっていないと、私はやはり見えないということが分かりまして、もし、しゃべりたければ手を挙げていただくのですが、よろしければ、これで先に進めていきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、第7回の前回の委員会で宿題になっていた事項への回答はここまでとしたいと思います。ようやく本日の議題にこれから入りたいと思いますが、まず、令和3年12月に当委員会から発出した意見に係る施策の実施状況についての御報告をいただきます。資料1について健康局から御説明をお願いします。
○予防接種室長 健康局予防接種室です。
 資料1について御説明をさせていただきます。
 お配りの資料でいきますと、参考資料1-1でつけさせていただいておりますが、2021年12月4日に、本委員会において新型コロナワクチンの安全性評価に関する意見を取りまとめていただいております。この意見に対する現在の検討状況について、資料1で、6月14日付で報告を発出させていただいておりますので、この内容について簡単に御紹介させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、別紙と書かれている部分ですけれども、四角の枠囲みのところは、先ほど御紹介した意見の中に記載されている該当部分を抜粋してきたものになります。これに対する取組状況、検討状況を下の部分で書かせていただいております。
 簡単に読み上げさせていただきますが、予防接種の有効性、安全性に係る評価については、例えば、平成25年9月の厚生科学審議会において、副反応として報告された症状の発現状況に関して、予防接種歴とレセプト情報を活用したワクチン接種者とワクチン非接種者との比較の重要性が指摘されており、厚生労働省としても、従来から、予防接種の有効性、安全性を評価するためのデータベースの構築が必要と認識したところであります。これについても本委員会において御指摘をいただいたところです。
 おめくりいただきまして、これまで実施してきた取組としましては、令和元年度より、予防接種の有効性、安全性を迅速に評価するモデル事業として、自治体が保有する予防接種台帳のデータを、国民健康保険のレセプトデータを連結して評価する、こういった取組を行っているところであります。
 また、令和2年1月の同審議会においても、引き続き同様の指摘がされているところであり、前述の事業の実施状況なども踏まえ、現在、予防接種の有効性、安全性に関する調査をより的確に行う観点から、予防接種の実施状況、副反応等に係る匿名データベースを整理し、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)などとの連結解析を可能とすることに向けて具体的な検討を進めているところです。
 また、これらの提示させていただいた内容につきまして、審議会でどのような議論があったのか、モデル事業の概要をというお話もあると思われますので、本日の資料でいきますと、参考資料1-2で、厚生科学審議会の該当部分の抜粋をつけさせていただいているのと、参考資料1-3でモデル事業の概要をお示しさせていただいております。
 また、この中で具体的な検討を進めているということを書かせていただいているわけですけれども、具体的とは一体どういう内容なのかというお話もあるかと思います。
 これらの情報を集めるためには、電子化されている情報が標準化され、それをどのように集めるのかということを検討する必要がありますし、集めたデータをどう突合するのかというところも詰めていく必要があります。こういったことを詰めるに当たって、関係者が非常に多くなっておりますので、まさに関係者と相談しながら調整を行っているところです。こういった関係者の調整がある程度整った段階で、もう少し具体的に御説明できるようになると思っておりますが、現時点では何とかして実現するべく、今、汗をかいている最中ということで、御理解を賜りたいと思っております。
 私からは以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 この点についてはそういうことで、データベースの構築の必要性は認識されていて、今後具体的に進めるということでありました。いろいろ御意見などはあろうかと思うのですが、今、最後に言っていただいた、関係者でいろいろ汗をかいているというのがあったのですけれども、これは戸部委員からも質問があった、スケジュールの具体性といいますか、どのぐらい明確に考えているのか。要するに、いつ頃までに、少なくとも何かをここまでやりたいというような目途がないのか。言えることがあれば。
○予防接種室長 本当に、これはある程度具体的に申し上げられれば一番いいわけですけれども、我々としては、この問題は非常に重要だと思っておりますので、できる限り速やかに取り組んでいきたいと思っているところでありますが、現時点では、目途については、まだ関係者の調整も整っているわけではありませんので、なかなか具体的な目途をお伝えできないことに関しては申し訳ないということをお伝えしたいと思います。
○磯部委員長 あわせて1つ、戸部さんは、消費者や患者も含めた関係者への課題やスケジュールの明確化ということも必要ではないかということをおっしゃっているのですが、何かそういうアイデアは。
○予防接種室長 まずは、恐らくデータベースをつくっていて、どう分析するかというところでの、そういった御意見を伺うということは今後あり得るのだと思っております。ただ、まずは、今、枠組みをつくっていくに当たっては、要はデータを所有している方、電子化された自治体とか、その情報、背景のデータを集める段階でもありますので、まずは、そういったところの調整をし、枠組みをつくるところからやっていきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、佐藤さん、花井さんの順でお願いします。
○佐藤委員 この委員会として、初めて大臣に意見を申し上げたことに対して、6か月以内に御回答いただくということで、一応やろうとしていますという御回答なのですが、一つ、死亡のリスクに関しては、レセプトのデータよりも、むしろ自治体の人口動態統計のデータ、あるいは住民基本台帳のデータなどと結びつけるほうが確実なわけですけれども、それとの連結については、具体的な検討がされていますでしょうか。
○予防接種室長 御質問、ありがとうございます。
 今回のデータベースは、予防接種の記録と、レセプトのデータを個人単位で紐づけることを検討しているところでありますけれども、これについて、その死亡の情報も紐づけて分析するようにしたらどうかという御提案と受け止めております。
 6月7日の閣議決定された規制改革実施計画というのがあるのですが、そこでは、厚労省と総務省は、ナショナルデータベース、これはレセプトのデータベースですけれども、NDBについて、統計法との関係について整理した上で、死亡の時期や原因など、死者に関する情報との連結が可能となるよう、令和4年度上期に検討を開始すると、そういった文言が盛り込まれています。ですので、NDBのほうで、仮に死亡情報が中に入るということが実現すれば、NDBと予防接種の台帳の情報を紐づけることによって、死亡も含めて分析が可能になると考えています。まず、そちらの検討状況も我々はしっかりと注視しながら検討を進めていきたいと考えております。
○佐藤委員 レセプトのデータでは、死亡は捉えられないというのは、もう論文として出ていまして、半分ぐらいしか捉えられないということが分かっていますし、それではかなり不十分であるということが、もうやる前から分かっているのです。ですから、レセプトでは、恐らく十分なことができないのではないかと危惧いたしますので、やはり自治体が保有する死亡統計のデータと連結させるということが重要だということを意見として申し上げておきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、続いて、花井さん、お願いします。
○花井委員 ありがとうございます。
 進めてはいただいているということで承知はしていたのですけれども、私どもとしては、今回も薬機法改正において、緊急承認制度も導入されているわけですよね。御案内のとおり、条件付き承認等々は少数の患者からだんだん使っていく話なので、一定程度市販後に見ていくということなのですけれども、この緊急承認とか今回の特例承認的なものは、1000万人規模で、割とクライテリアを下げた形で承認された薬品を使う話であるし、メーカーに対しても強く言えないことから、国がちゃんとそれは安全性を評価する、もしくは有効性を評価する道具立てをもっと持たなければ、片方の制度だけ進んでいるようになるでしょうという問題意識から出しているわけです。そういう意味においては、やはり時計の針が、スピードが遅いという気がするのですね。
 つまり、今度、新しく国内開発で、例えば緊急承認品目が出てきたときに、承認にしますよと。1000万人、2000万人使って、接種者、被接種者の死亡数の対照比較もできないとか、逆に今までのものはヨーロッパから教えてもらったりしているのです。だから、そういうことで、この緊急承認制度だけ前に進んでいるというのは、これは医薬担当としてとても容認しがたい状況だと思います。行政官としてもそう思っているのではないかと推察するのですけれども。
 なので、やはりスピード感ですね。今いろいろ言っても、ここで急いでくださいということ自体で何が変わるか分かりませんけれども、やはり待ったなしのことだということは御理解いただきたいというのが1点目です。
 それから、もう一点は、やはり規模感です。一定程度ロードマップが示せないとは言っているのですけれども、例えばこのぐらいの時期に、何人程度の比較検討ができるような状態になっていることを目指しているかということぐらいないと、今回の御説明だけでは、委員会としてとは言ってはいけないけれども、私としては必ずしも納得し切れないものがあるかなと思います。その辺どうですか。どのぐらいの規模のものがどのぐらいで稼動できそうぐらいは言えますか。
○予防接種室長 現在、考えているのは、予防接種の台帳、これは全ての市町村が何らかの形で保管をし、一部の自治体においては電子化されるところもあると承知をしているところです。各自治体において電子化の取組が、政府全体で進んでおりますので、基本的には全ての自治体から予防接種の台帳情報を集める思想で検討を進めているところです。
 また、その情報とナショナルデータベースの情報をどう突合するのか、個人単位で突合するのか、これはキーとなる番号をどう決めるのかというところが非常に大事なポイントになります。ここについても詰めさせていただいているところです。
 ですので、規模観としては、オールジャパンでデータを集めることが重要だと考えておりますので、そういったことで検討を進めているということで御理解を賜りたいと思っています。
○花井委員 ということは、現時点で言いにくいのは、いつ頃できそうだけが言えないとかですね。
○予防接種室長 そういうことです。
 時期に関しては、関係者との調整が整った上で言わないと、私の勝手な思いでしゃべるわけにもいきませんので、その辺、御理解を賜りたいと思っております。
○花井委員 一応了解いたしました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、泉さん。
○泉委員 参考資料1-2の令和2年1月27日の意見ですけれども、この中に、4行目のところに「アメリカで言うVSDの仕組みを、もし日本に導入すれば」云々と出ていますが、CDCの予防接種安全性モニタリングシステム、ワクチン・セーフティー・データリンクというのですか、これは、このときにこういう話を聞いて、厚生労働省は動かれたのか、全く動いていないのか。動かれたと思うのですが、その状況はいかにということ。
 それから参考資料1-3を出していただけますか。このところに、事業名として、予防接種の有効性云々と書いてあって、経費は令和元年が6500万円と書いてありますよね。その前の年がたしか3300万円で、令和元年が6500万円で、その次の年は経費は計上されていないのですが、これはどう見たらいいのか、ここの表には載っていませんが、ちょっと調べたところ、そのように書いてあって、4年たっていますが、これはどのようになっているのか、途中経過の報告もいただくことは不可能なのか、その2点をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○予防接種室長 御質問、ありがとうございます。
 まず1つは、令和2年1月27日に、基本方針部会でVSDの指摘をいただいているところです。こういった御指摘を踏まえ、データベースについて、モデル事業研究といったものでの取組を進めているところではあります。
 こういった取組を進める中で、研究の枠組みで情報を集めるというのは、どうしても自治体とのどういった関係で情報を集めるかとか、いろいろ詰めなくてはいけないところがありまして、なかなか情報が集まらないという、そういった課題も見えてきているところです。
 自治体からすれば、国がしっかりと責任を持って取り組めば情報が渡せるけれども、いわゆる一民間団体に対して情報を渡すということになると、かなり抵抗感があるところですので、やはり大きな枠組みで情報を集めることを考えないと、これはなかなか進まないということだと我々は認識しておりますので、それを今まさに調整をさせていただいているところであります。
 2点目のモデル事業は、費用がどうなっているかというところについての御質問だったと思いますが、事実関係としては、予算額ベースになりますので、執行額ではないですけれども、予算額ベースで手元にあるデータでいきますと、令和元年は6500万、令和2年度が6460万、令和3年度が6450万、令和4年度が2700万ということになっております。すみません、手持ちに執行の額がないので、執行ベースの金額についてはこの場では申し上げられませんが、予算ベースではそのような推移をたどっております。
○泉委員 途中経過も報告してもらうことは難しいのですよね。これは事業期間としては、2018年から終了予定なしで始まっているではないですか。
○予防接種室長 現時点で、いつ終了するかというものが決まっているわけではありませんけれども、いずれにしても、今まさにオールジャパンベースでデータをどう集めるかということを検討させていただいておりますので、そちらのほうでしっかりと枠組みをつくって実現を目指していきたいと考えております。
○泉委員 分かりました。
 やはり、厚生労働省のだけの枠では、非常にデータが集めにくいということは、現実にはおありなのですよね。
○予防接種室長 もう一回、質問を言っていただいてよろしいですか。
○泉委員 先ほど花井さんのときに、それに近い御回答されていらっしゃいますので、これで私の質問は終わりです。結構です。ありがとうございました。
○磯部委員長 それでは、佐藤さん。
○佐藤委員 先ほどの意見の補足なのですが、なぜレセプトのデータだけで死亡を見ることが不十分かというのは、単に半分ぐらいしか捉えられないというだけではなくて、レセプトで捉えられる死亡に偏りがあるということなのです。
 レセプトには、積極的に死亡を記載する欄というのは、転帰欄というのがあるのですけれども、これは病院の先生のほうがよく御存じかと思いますが、レセプトの転帰欄に死亡と記載されるというのは、比較的長期間入院した患者さんがお亡くなりなった場合とか、そういう場合が多いということがあって、例えば救急車で突然死のような形で運ばれて、病院に来たときには死亡していたような場合は、そもそもレセプトが発生しませんから、当然そういう死亡というのはレセプトには載ってこないということなのです。
 ですから、ワクチン接種後、翌日にお亡くなりになられたような場合というのは、恐らくレセプトでは捉えられないだろうと思うのです。だから、そういうことも考えなければいけないということで、やはりレセプトで捉えられる死亡と捉えられない死亡の間にかなりの偏りがあるということを厚労省の方は認識していただいて、自治体の人口動態統計と結びつけるということを御検討いただきたいということでございます。
○磯部委員長 補足まで御説明いただきまして、ありがとうございます。何かありますか。参考にしてくださいということです。
 時間もありますが、しかし、初めて出した意見についての回答ということで、非常に重要な機会だと思います。とにかく6か月ということで御回答いただいたことについては、感謝申し上げたいと思います。
 花井さんがおっしゃったように、あの意見を踏まえてどうなったのでしょうかというのを伺いたかったのですけれども、10年前の審議会で指摘されて、必要性は認識していましたというところから始まって、今検討中ですという、随分のんびりしているなという感覚を持ってしまったのは事実でありまして、ただ、今、オールジャパンでというようなことで考えてくださっていることですので、ぜひ検討結果を期待したいと引き続き思っているところです。
 ただ、やはり具体的なスケジュールとか方法といったことについては、まだよく見えない、それはまさに検討中だということなので、やむを得ないのですけれども、例えば、私もコロナの分科会にいますけれども、今回、衛生上の危機にあったにも関わらず、自治体の感染者のデータをいかに集めて分析するかという、国のシステムがうまく機能しなかったと思っています。患者の情報を迅速に収集して十分に利活用するというのは、およそあらゆる場面でうまくいっていないというのは、感染症に限らず日本の長年抱える課題であるような気がして、ここでまたオールジャパンでやるのだけれども、しかし、様々な部署がいろいろばらばらに扱うというので、うまくないわけで、一番うまくやるためにどうしたらいいかということで、ぜひ、報告書に書いていただきたいと思っているのです。
 なので、今、佐藤さんがおっしゃったようにも、自治体との協働といったことも、いろいろな場面で問題になると思うので、今きちんとやらないとかなりまずいと思うので、ぜひしっかり検討していただきたいなと。お願いしたいと思います。
 この成果についてなのですが、今後の進め方で、今回、立派な判子もあって御報告いただいたのですけれども、どうしましょうか、今後、その報告をさらに求めるかどうかというようなこと。そうならば、それはどのような方式あるいは時期でやるかいうことについても、御意見があれば伺っていきたいなと思っているのです。
○花井委員 いいですか。
 今の委員長のお言葉のように、立派な判子を押していただいて、これで回答ですと言われてしまえば、こちらとしては、これは満足はいっていないことは事実なので、そうなると、こちらとしても、一応、取組は前向きにやられていることは評価しつつも、これを踏まえて、今後のこういうことについては正式にちゃんと報告してほしいとか、あと、先ほど、佐藤委員が何回もおっしゃっていますけれども、今日はちょうどMID-NETの説明もやるから分かると思うのですけれども、NDB、もちろん例のDPCの部分をいろいろデータベースを使っていろいろやっているのですけれども、そんなものでいいのかという問題意識は拭い切れないので、そういうことも、ちゃんとこの委員会としての方向性を踏まえて、再質問するようなペーパーをつくったほうがよいかなと。この判子を押されてしまうと、一応聞きましたという形で、委員会がこの回答で納得したということにもなりかねないので、そこは皆さん、委員の先生がどうお考えかをお聞きしたいのです。
 やはり、これに対する反論ではなくて、不十分な点、この辺、この辺、この辺とか、あと、この点はやはり検討すべきということは、こことしても正式に何か言う必要があるかなと思いました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○泉委員 回答にはなっていないでしょう。
○磯部委員長 泉さん。
○泉委員 よろしいですか。これで質問の回答ですというので、「えっ」という感じで、現在進行中だったら、その進行の様子もまた聞きたいですし、引き続き、これがどこのほうに向いていくのか、医療機関へのガバナンスの話とか、それから、国としての協力体制とか、危機管理庁ができるというような話も聞くので、まだまだ形は変わってくるかもしれませんが、しっかりと、こういった副作用のパンデミックの場合は、どういうところをカバーできるのかというのは聞きたいですから、花井さんがおっしゃるように、質問書、意見書を出すのもよしとして、あるいは、今もって、12月に出した意見書に対して、もう少し詳しく分かることができてきたら、次回にまた報告してもらうというような、そのどちらでもいいですから、これで終わりにはならないです。
○磯部委員長 ありがとうございました。そういうお気持ちであるということはよく理解しました。
 どうしますかね。データベースをつくると、いろいろな目的でこれは使いたくなるわけですよね。研究目的もあるでしょうし、それぞれ役立てるものもあるでしょうし、やはりこの委員会は、薬機法で、法律でつくられているものですから、そういう観点から、医薬品の安全ということで、出来上がるデータベースのよりよい活用の方法といったことで、様子を聴きたければ意見も言いたいというものだと思うのです。
 ですので、今回は6か月ということで、時期を切ったので、こういう御報告だったのでいいのですけれども、ぜひ、今後も要所要所で、こちらの、いわば求めに応じる形で御回答していただくとか、さらに、こちらも意見なり再質問をさせていただく機会もあるかもしれないし、そのときにはまたよろしくお願いしますみたいなことをお願いするということで、今後も必要に応じて議論するということでよろしいですか。
 事務局のほうからうなずいていただいたので、それでは、今後も、こういう公文による報告とか、形ではなくて、もっと実質的な中身で、豊かなやり取りができるほうが重要だと思いますので、そういうことで引き続きよろしくということでお願いいたします。
 それでは、これで、委員会意見に係る実施状況の報告に関する議論はここで一旦終了したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、10分ほど押していますが、気にしないで資料2に行きましょう。
 「MID-NET等を活用した医薬品安全対策」ということで、資料2について御説明いただくことといたします。
 こちらは、戸部委員や佐藤委員をはじめ、各委員から御要望のございましたテーマを踏まえた内容になっていると理解していますので、それでは、PMDAの医療情報活用部から御説明をお願いします。
○PMDA医療情報活用部長 本日はこのような時間をいただきまして、ありがとうございます。PMDA医療情報活用部から説明させていただきたいと思います。
 まずは「MID-NET成立の経緯と薬剤疫学」というところで、簡単に経緯をご説明させていただければと思います。
 関係している先生方もいらっしゃいますので、既に御存じの内容かとは思いますけれども、平成22年に「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」から提言をいただいておりまして、その御提言の中では、個人情報に配慮しながら、電子レセプト等の医療情報を活用して、安全対策措置につなげていくべきだ、こういう情報基盤の整備を進めるべきであるといった御意見、それから、また、組織体制を整備して、医療情報を活用できるような薬剤疫学的評価基盤というものを構築、整備すべきであるといった御意見をいただいたところでございます。
 その次のページでは、簡単ですけれども、薬剤疫学とはそもそも何なのかということで、佐藤委員もいらっしゃいますので、釈迦に説法の部分もございますけれども、薬剤疫学ということであれば、こういった人という集団を対象にして、医薬品の使用とその効果、影響というものを研究していく学問領域であると考えており、ここに幾つかの定義を参考までにお示しさせていただいております。
 こういった観点を下に、厚生労働省とPMDAで協力をしながら構築を進めてきたデータベースというのがMID-NETというものでございます。
 簡単ですけれども、MID-NETとはどういうものなのかということを御紹介させていただきます。
 MID-NETにつきましては、現在10拠点、23病院に御協力をいただきながら運用を開始していているデータベースでございまして、その中にはレセプト、DPCといった保険診療に関するデータと、各病院が有する電子カルテの情報、それから、臨床検査結果、そういったデータというものが活用可能な状況になったネットワークでございまして、ネットワーク化された医療情報データベースにより、利活用者がデータの統合解析が可能となるような仕組みを構築しております。
 MID-NETについては、平成30年4月から実際の運用を開始させていただいておりまして、これは医薬品医療機器総合機構法の安全対策業務の一環として運用をさせていただいております。
 2021年12月末現在でございますけれども、約570万人を超えるような患者規模のデータが集積されておりまして、薬機法に基づく信頼性基準がございますので、そういった信頼性基準が満たされるように、品質管理、信頼性確保に努めているところであります。
 MID-NETの一番の特徴は、やはり、病名、処方等といったレセプト情報にはない臨床検査結果が利用できるというところが挙げられまして、現在は347項目の臨床検査結果が利用可能となります。詳細についてはホームページ等で具体的な事項を公表させていただいてございます。
 これも既に御存じの内容かと思いますけれども、我々は、医薬品の安全対策を進めていく上では、そもそも、信頼性の高いデータというもの、それと、適切な解析計画、この両方がそろって初めて評価可能な結果になると考えておりまして、解析計画が幾ら適切であったとしても、もとのデータの信頼性が十分に確保されていなければ、やはりその結果については十分評価ができないと考えております。そのため、このMID-NETの構築に当たっては、こういったデータの信頼性確保ということについても検討を進めてきたところです。
 MID-NETのデータの信頼性を確保する仕組みとして、ここに「MID-NET Real-time Data-quality Assurance」と書かせていただいていますが、我々は通称MRDA(マルダ)と呼んでいる仕組みを構築させていただいております。
 これは、簡単に申し上げると、何か問題が起これば、当然ですけれども、原因究明をして、それに対しての再発防止策を講じ、そういったサイクルを回しながら、そこでの経験を、日常での品質管理計画や手順書に反映して管理を進めていく。そういったことで、その定常的、かつ、安定的な品質管理の確保ができるような仕組み、そういうものをつくり上げているということでございます。これによりまして、MID-NETに集積されているデータというのは、医療機関が有するデータとほぼ100%一致しているということを確認しております。
 具体的に、実際、どういった事例についてこれまで検討を進めてきたかということを簡単に御紹介させていただければと思います。
 ここには、MID-NETを活用した安全性の調査事例というものが記載されておりまして、先ほど御紹介したように、MID-NETは臨床検査結果というものを有しているのが特徴ですので、血液凝固能、血小板減少、腎機能異常、肝機能異常、顆粒球減少、そういったものを中心にこれまで検討を進めてきております。
 その中でも、1つ、事例としても御紹介をしたいと思っておりますのが、ここに書かせていただいております「がん患者におけるペグフィルグラスチム投与と血小板減少との関連」です。
 この調査を実施した背景でございますけれども、抗がん剤治療中の患者さんで、G-CSF製剤が投与された患者さん、そういった方で、血小板減少に関する副作用報告というのが一定程度集積をしてきておりました。しかしながら、抗がん剤そのものの影響というものも考えられて、このG-CSF製剤と血小板減少との関連性というものを、副作用報告だけから評価していくというのはなかなか難しいということで、こういったデータベースを活用した調査を進めたわけでございます。
 時間の関係もありますので、詳細な御説明は割愛しますが、結果だけ簡単に申し上げますと、血小板減少を起こした2から7日前に、ペグフィルグラスチムという医薬品を処方されている患者さんは、そういった処方がなかった患者さんと比較して、オッズ比が7.4倍高かったということで、統計的に有意な結果が得られております。
 他のG-CSF製剤についても同様の調査をしておりますが、こういった関係が認められたのはペグフィルグラスチムだけでございまして、我々としては、こういった結果から、ペグフィルグラスチムと血小板減少の間には一定の因果関係があると評価しております。
 こういった結果を基に、添付文書、現在の注意事項等情報ですが、そういった中で、ペグフィルグラスチムというお薬には、血小板減少のリスク増加が考えられるということで、記載を追記させていただきました。
 それから、もう一つの事例としては、安全対策措置の効果を見るということもMID-NETで検討しております。
 これはランマークという骨病変のお薬ですけれども、ランマークを投与中に重篤な低カルシウム血症が起こるということで、これも副作用報告が集積されておりました。
 もともとこれは添付文書上でも検査を実施するように注意喚起をして、低カルシウム血症の発現も考えられていたところなのですけれども、やはり販売初期には、低カルシウム血症というのが非常に高い確率で起こっていたということが再確認できております。
 左側の図は検査の実施割合ですが、こちらについては販売当初から高い割合で検査が実施されているということが確認できております。
 右側の図は、低カルシウム血症の発現割合を示しており、販売当初は高かったのですが、その後、恐らく医療現場でもこういった状況が認識され、注意をされたことによって減少はしていますが、その後、ブルーレター、安全性速報を出した後は、類薬とほぼ同様の発現割合となり、リスクが管理できているということが確認できております。
 したがって、このブルーレターを出したことによって、発現割合が減ったということではなかったのですけれども、我々としてはこういったブルーレターを出すことによって、医療現場への注意喚起、周知徹底が図れたのではないかと、そういった意義があったのではないかと考えております。
 それからもう一つ、NDB、ナショナルレセプトのデータベースを活用した調査もPMDAは進めておりますので、それについても簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 ここに書かせていただいたように、やはりナショナルレセプトというのは、日本全体の患者さん、かなり悉皆性の高いデータベースということでございますので、処方実態を確認するといったようなケース、それから、長い追跡期間が必要な心血管系イベントの検討等でNDBを活用しながら安全性評価を進めております。
 1つの事例は、高尿酸血症治療薬と心血管系リスクの事例でございます。
 これについては、海外市販後臨床試験でフェブキソスタットというお薬を投与中に心血管系リスクが上昇するという結果が得られ、アメリカでは添付文書が改訂されたということです。
 しかしながら、日本人では、そもそも心血管系イベントの発現リスクが欧米人に比べると低いといったことが知られておりまして、こういった結果を日本の中に外挿するということについてはやはり限界があるということで、日本の医療現場での状況というものを確認すべきということで実施した調査でございます。
 海外市販後臨床試験では、フェブキソスタットとアロプリノールというお薬を比較して、フェブキソスタットのリスクが高いという結果が得られていたのですが、日本では類薬として、トピロキソスタットという薬がございますので、こういった薬を検討対象とし、アロプリノールと比較をしたということです。
 その結果、アロプリノールと比較して、リスク上昇は認められなかったという結果になっておりまして、この結果からは追加の安全対策措置は、その時点では必要ないということで判断をさせていただいております。
 それから、もう一つ、バルサルタン錠の累積処方量の確認ということでございます。
 委員の先生方も御承知かと思いますが、バルサルタン錠の原薬で、発がん性物質のN-ニトロソジメチルアミンが混合して自主回収がされたといった事例がございました。その際に、健康影響評価で使用されているバルサルタン錠の累積処方量が、一定の仮定の下、算出されておりますが、こういったNDBを活用した調査からも、日本の実際の医療現場における処方実態を確認しておくということで実施をした調査でございます。
 その結果、こちらの右側の分布図を御覧いただければと思いますが、この赤い線を引いておりますところが、添付文書に基づいて想定される1日最大累積処方例というものでございます。
 そうしますと、このNDBから想定された患者さんの累積処方量について、98%の患者さんは、添付文書上の最大累積処方量の範囲内ということでございまして、健康影響評価で使用された累積処方量というものが、実臨床においても妥当だということを確認したという結果になっております。
 話をMID-NETに戻させていただきますが、MID-NETについては、さらなる活用、促進に向けての取組も進めていますので、それについて簡単に御紹介させていただきます。
 MID-NETの一つの現状での課題は、先ほど570万人規模と申し上げましたが、やはり、その規模拡大というのがございます。そのため、MID-NET協力医療機関の追加ということで、現在御協力いただいております徳洲会グループから新たに10病院を追加しまして、現在、10拠点23病院ですが、それを33病院体制にするという取組を進めております。これについては2024年度から実際の利用が可能になるように検討を進めているところでございます。この規模拡大によりまして、およそ700万人を超えることになるだろうと見込んでいるところでございます。
 それから、もう一つは、MID-NETとそれ以外のデータベースの連携ということも考えておりまして、現在、具体的に進めておりますが、NCDAという、国立病院機構が有しているデータベースでございます。
 これはシステム連携ではなく、分析のためのデータセットフォーマットというものの統一化によりまして、データ連携を進めるというものでございます。
 こちらについては2023年度から、一部のデータですけれども、レセプト・DPCについては利用可能になるよう、現在、鋭意検討を進めている状況でございます。
 それから、MID-NETの臨床検査結果が活用できるという特徴を生かしまして、さらに安全対策に利用できないかということで、早期安全性シグナルモニタリングという取組を始めております。
 これは今までと何が違うのかということですが、今までの行政利活用は、ある一定の仮説なり情報が収集されている時点で、リサーチクエスチョンに基づき検証的なプログラムを作成し、患者集団の背景等を調整した上で調査するということを主体的に進めてきました。しかし、もっと早い段階、まだ情報が十分集積されていないような状況で、安全性に関するシグナルがあるかないかといった検討にも活用できるのではないかということで、シグナル検出あるいはシグナル強化と言われるような段階での活用を進めております。
 右に示しましたように、肝機能、腎機能、血球系、その他、例えばKL-6のバイオマーカーですが、そういった安全性に関係するようなものをあらかじめプログラムとして構築しておくことで、迅速にその結果が得られるような仕組みを作り上げております。
 これにつきましては、今年から開始をさせていただいたところでございまして、現在、鋭意検討している状況でございます。
 PMDAでは、市販後の医薬品安全性評価に医療情報データベース等を活用しながら進めておりまして、今後も具体的な事例を集積しつつ、データベースの特徴を理解して、適切な調査をし、そして、その結果を具体的な安全対策につなげていきたいと考えておりますので、引き続き御理解いただければと思います。
 私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 御質問、御意見があれば挙手してください。
 森豊先生、お願いします。
○森豊委員 MID-NETに関して利活用した結果をお示していただき、大変勉強になりました。また、有効に活用されていることがよく分かり、ありがとうございました。
 一方、御説明の中にもありましたけれども、MID-NETが真のリアルワールドを反映したものになるためには、やはり規模拡大ということは重要ではないかと思います。臨床研究中核病院でもリアルワールドデータの利活用という取組をしている中で、なかなか規模が拡大しにくいというところがあります。MID-NETの規模拡大にとって大きな障害になっている点、特にこの委員会と関連しますけれども、何らかの制度改革等で進められるところはないかという点をお聞きしたいです。また、報道もされましたが、6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022について」の中で、「電子カルテ情報の標準化等」の取組を進めるために、「医療デジタルトランスフォーメーション推進本部(仮称)」の設置が盛り込まれました。日本の電子カルテは、かなり多様であるというところで、標準化するのに苦労されていると思うのですけれども、こうした政府の取組によって、日本の中でのリアルワールドデータ利活用がより一層進むのかどうか、その点を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 お願いします。
○PMDA医療情報活用部長 森豊委員、ありがとうございます。
 御質問は主に2つかと考えております。
 MID-NETの現在の課題、それから、もう一つは、日本全体のDXの推進との関連と理解しております。
 1つ目のMID-NETの課題ということで、MID-NETだけではないのですが、先生方、既に御承知のとおり、やはり日本の医療データということに関しますと、電子カルテには様々なものがあると。それをできるだけ標準化を進めながら解析できるような形にしていくことが必要でございまして、我々、MID-NETを構築している経験からも、やはり質の高いデータを得るためには、そういった電子カルテの入力段階での標準化を進めていくことが必要だと考えておりまして、こういったものについては、PMDAだけで対応できる問題ではございませんので、関係各所と相談しながら、できる限りMID-NETでも活用できるような対応を進めていきたいと考えておるところでございます。
 DXの推進に関しては、こちらも我々としては動きを注視しておりまして、日本全体の医療情報の質が高まっていくことに関しては、我々としても非常に好ましいと考えておりますし、そういったところでの促進がされることによって、活用できる医療情報というのは増えていくと思っておりますので、DX推進の動向を注視しながら、MID-NET自身の成長、活用促進にもつながるよう、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○森豊委員 ありがとうございます。
 MID-NETは、リアルワールドデータを利活用する取組の中では先導的なものとしてすばらしいので、ぜひ発展していくように、引き続きお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 佐藤さん、お願いします。
○佐藤委員 薬剤疫学を専門とする立場からすると、実は日本薬剤疫学会の重立ったメンバーの共通の認識だと思いますけれども、MID-NETをそれほど積極的に評価は皆さんしていないわけです。なぜかというと、MID-NETの拠点病院のデータは分かるのですが、先ほどの例のように、ある一定の病気の患者さんが、その病院に比較的通い続ける中での出来事というのは捉えられると思うのですけれども、MID-NETの一番の問題点は、ほかの医療機関ですね。その拠点病院に入っていないほかの医療機関で処方された医薬品の使用の状況が全くデータとして入ってこない。それと同時に、その医療機関以外、それ以外の医療機関で診断された病名等についても情報がないというところでは、疫学的な観点からいうと、極めて不十分なデータベースであると言わざるを得ないです。
 それから、規模の拡大のことをおっしゃっていましたけれども、規模だけを言えば、MID-NETと同じような病院ベースのデータベースで、民間の商業的なデータベースで、2倍、3倍の規模を誇るデータベースが既にあるのです。私は製薬会社の肩を持つ立場にはないのですけれども、製薬会社で市販後の安全性の評価を担当している方たちといろいろお話しする機会があるわけですけれども、そういうところでも、MID-NETを使うよりも、民間の商業的なデータベースを使ったほうが規模が大きいから、そちらを使いたい、だけれども、MID-NETをなぜ使わないのかとPMDAから言われると、そういう状況があるわけです。
 PMDAとして、MID-NETを一生懸命推進したいお気持ちは私もよく理解できますし、別にそのことを否定しているわけではないのですけれども、その限界を踏まえるということが必要です。そういう意味では、ナショナルレセプトデータベースのほうが、御説明の中にもありましたように悉皆性が高い、少なくとも保険診療である限りは、その患者さんがどの医療機関に行っても、その情報は全て網羅されるわけですから、疫学調査という観点からいうと、ナショナルレセプトデータベースのほうが遥かに使い出があるというか、意味のある調査が可能であるということです。
 実は、この問題点は、もう10年以上前ですか、私も委員として入らせていただいていたいわゆる日本版センチネルの構想を検討する厚労省の検討会がありまして、そこでも指摘されていたのですけれども、MID-NETの検査値が分かるという利点を生かすためにも、MID-NETのデータとナショナルレセプトデータベースのデータを結びつけること、連結することができれば、これはまさに世界に誇るべき非常にいいデータベースがつくれるということを、ずっと前から我々は指摘してきたわけです。そうすれば、本当にすばらしいデータの活用につながると思うのですけれども、そのことがずっと10年以上前から指摘がされ続けてはいたわけですけれども、今後のMID-NETとナショナルレセプトデータベースの連結の可能性についてお伺いしたいというのが質問です。
○磯部委員長 では、最後のところは質問ですね。お願いします。
○PMDA医療情報活用部長 御質問、ありがとうございます。
 患者追跡性の限界というのは、御指摘のとおりだと、我々も認識をしております。その患者追跡性の限界というのは、MID-NETだけではなくて、先ほど御提示いただきました、他のデータベースも含めて、やはり病院ベースのデータベースについては、その病院の情報しか追跡できないという限界が、共通の課題としてあると考えております。したがって、その解決のためには、御指摘いただいたような、ナショナルレセプトデータベースとの連結というようなことも最も重要な課題であると認識しておりますが、やはり法的あるいは技術的な課題、患者リンケージのために、どういったものを活用するのかも含めて検討をしなければいけないと思って、これについてもPMDAだけで対応できる課題ではありませんので、関係部署と相談しながら、その対応については検討してまいりたいと考えています。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○磯部委員長 手短にお願いします。
○佐藤委員 そういうPMDAだけで解決できないことについても、この委員会は、積極的に意見を言うことができるわけですよね。ですから、MID-NETだけで何とかするんだというような今の説明の仕方ではなくて、むしろこういう限界があるので、ナショナルレセプトデータベースと連結すれば、もっとこういうすばらしいことができるという課題を示していただくことで、むしろこの委員会がそれを後押しするということができるのではないかと思うのです。これも意見として申し上げておきます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今のは重要な御指摘だと思いますので、制度の改革につながるような話題も、ぜひこの中で取り上げられたらと思います。
 泉委員、どうぞ。
○泉委員 今、佐藤先生がお話しされたのと、内容的にはほとんど一緒なのですけれども、結局はMID-NETだけの中で利活用を広めようとしても、アカデミアも販売した製薬企業も、なかなかこれは利活用できにくいものだということで、1つは、情報内容が非常に少ないということ。今、570万人で、それプラス病院が参加してくれてとおっしゃっていましたけれども、これを1000万人規模もしくはそれ以上にするにはどうしたらいいかというような計画性を持たないと、利活用してもらうには難しいのではないか。
 つまり、行政だけが使っていてもしようがないわけで、やはり患者集団の方向性も、大学病院に特化するような中身ではなくて、クリニックに連結するような内容になるということは、先生がおっしゃったように、ナショナルデータベースとリンクするような形がないと、本当のデータ活用ができていかないのではないかと思います。ぜひ検討をしてみてください。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今のコメントに何か。
○PMDA医療情報活用部長 ありがとうございます。
 1000万人規模の目標については、先ほど、一部、説明が不足していたかもしれませんが、徳洲会病院との連携以外に御説明したNCDA、つまり国立病院機構との連携、そういったことが達成できれば、1000万人規模にはなるのだろうと考えておりますで、まずそういった1000万人規模というものが達成できるように計画的に進めてまいりたいと考えております。御指摘、ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、MID-NET等、診療情報を活用した医薬品安全対策向上に向けた取組ということで、一応、質疑をここまでにしたいのですが、何かこの際、佐藤さんなり泉さんなり、薬剤疫学関連で今後取り上げるべきテーマ、さらに深掘りするテーマなど、何か思いつくことがありますか。もし何かあれば後で教えていただくのでもいいのですけれども。
 泉さん、どうぞ。
○泉委員 被保険者番号に紐づけたデータベース、何かもうちょっと規模の大きい形でできれば、それには、やはり技術的にも法律的にも問題はいろいろとあると思うのですが、そういう提携先も含めた考え方をぜひ推進できるような形に持っていってもらいたいなということです。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そういうのを参考にさせていただきながらということで、今なければ、順次具体的な手がかりや、何せ分野が広くて抽象的になりがちなので、いろいろとポイントを教えていただければと思います。ありがとうございました。
 では、次の議題に行きたいと思います。
 続いて、資料3です。
 森豊委員から御要望のございました「医薬品の条件付き承認制度」に関して、施策の実施状況等の御説明をいただくことにしています。
 資料3については、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課からの説明をお願いいたします。○医薬品審査管理課長補佐 御説明差し上げます。
 資料の3を御覧ください。医薬品の条件付き承認制度というものです。
 1枚めくっていただきまして、こちらが制度の概要になります。
 中央の通常の承認というところを御覧いただければと思うのですけれども、通常、医薬品の開発では、探索的な臨床試験が行われ、さらに検証的な臨床試験が行われるというステップで開発が行われます。その後、承認審査、承認、その後市販後と流れていくわけですけれども、オーファン医薬品とか特定用途医薬品のような、医療上の必要性が高い医薬品の中で、患者数が極めて乏しいというようなケースにおいては、この検証的臨床試験の実施が困難とか、その実施に非常に時間がかかるといったような問題がございます。これに対応するためのものが条件付き承認制度です。下の条件付き承認制度というところを御覧ください。
 この制度では、検証的臨床試験の実施が難しいようなケースにおいて、承認の条件などを付すこと等を前提として、探索的臨床試験の結果に基づいて審査を行うものになります。
 この承認に当たっては、承認時に得られているデータを踏まえて条件を付すということになりますけれども、市販後のデータの収集、もしくは、承認審査時点で臨床試験、例えば第Ⅲ相試験が継続しているということであれば、それの結果などを踏まえて、通常、再審査期間というものが設定されますけれども、その再審査期間の前に評価をするタイミングを設けて、ここでデータを踏まえて評価を行い、必要に応じてさらなる安全対策などを講じるというような制度でございます。
 その次のページですけれども、実際にどのような製品が対象になったのかというのを示してございます。
 この制度は、令和2年に法制化されたのですけれども、その前から通知による運用で実施されておりました。その当時からの条件付き承認の対象品目をこちらのほうに記載をしております。
 御覧になってお分かりになるように、抗がん剤の類いの品目が多くなっております。
 「主な申請データ」という欄を御覧ください。
 第Ⅰ/Ⅱ相、第Ⅱ相という段階で、奏効率のデータによって、安全性、有効性を確認して承認を行っているものが多くございます。
 その右手「条件付き承認に関する承認条件」というところがありますけれども、ここでは、その承認条件として、例えば第Ⅲ相を実施中である場合、その結果を報告する、医療現場に提供するといったような内容がございます。
 下から2番目ですけれども、ビルテプソ、こちらのほうは難病のお薬でございますけれども、申請時のデータとしては、第Ⅰ/Ⅱ相試験でのジストロフィンタンパクの発現という、代替エンドポイントに相当するようなデータで審査を行っておりまして、その承認の条件としましては、こちらのトゥルーエンドポイントに近い、実際、臨床上の指標、そちらのデータをもって、市販後に安全性、有効性の再確認をするというような流れになっております。
 抗がん剤の類いですと、承認時点では奏効率を見ており、承認条件では生存関係ですね。そういったデータをもって確認をするということにしておるものでございます。もし、審査を第Ⅱ相の段階でしてしまうと、その後、第Ⅲ相をやるといった場合に、患者の組入れが難しくなるのではないかというようなお話もいただいています。こちら、ほかの、この承認制度以外の議論でも同様の議論がございまして、確かにそういったことがあると考えております。このために、可能な限り、承認時点において第Ⅲ相の組入れが終わっているとか、第Ⅲ相の実施がそこそこ進んでいるといった状態が望ましいとは考えておりますけれども、患者の組入れが難しくなるという現実に応じて対応していくということになると考えております。
 資料の説明、少し長くなりましたが以上でございます。
○磯部委員長 御説明、ありがとうございました。
 それでは、委員から、質問、御意見があればお願いします。
 森豊先生、どうぞ。
○森豊委員 ありがとうございます。
 既にご説明いただいているのですけれども、やはり承認されてしまうと、特にコントロールが入っているような治験の場合、それに新たな患者さんが組み入れられるのはなかなか難しくなるのではないかと。
 新型コロナウイルス感染症に対しては、コンパッショネート・ユース的な診療が拡がったこともあり、その結果、臨床試験や治験への組入れが迅速に進みませんでした。世界に向けて、日本から明確な科学的なエビデンスをなかなか発信できなかったということが現実的にあって、日本における臨床試験の実施力といったものが問われているということもあります。患者さんが困難な病気と闘っている中で、できるだけ早くいい薬にアクセスできるようにするという制度ももちろん重要なのですけれども、しっかりとしたエビデンスを創出できるような仕組み、制度を構築することも重要ではないかと思っているところです。
 そこで、1点質問ですが、製造販売承認を得る前の、このポンチ絵で言うと探索的な臨床試験の段階でのエビデンスレベルに対して、承認後に再審査をするまでの間に、どの程度のエビデンスがあれば、承認取消しとか、そういうことにはならず継続できるのか、エビデンスレベルでどういうレベルを求めるのか、その点を教えていただければと思います。
○医薬品審査管理課長補佐 御質問、ありがとうございます。
 実際、これまでに承認された事例などを見てみますと、承認段階におきましては、抗がん剤の場合ですと、臨床試験で奏効率などを見ているというようなケースで条件付き承認を受けております。一方で、その試験を継続して、市販後に生存まで見るというようなケースとか、別途第Ⅲ相試験を走らせて、そこで奏効率ではなくて生存で判断するということで、見るポイントが少し違うということは、これまでもございました。
 そういった面で、エビデンスレベルという見方、切り方もありますけれども、見ているものが少し変わってくると。少し長期で見ていくような指標で判断をするような、そういう結果が出てくるというようなことがあるのではないかなと思っております。
 以上ですけれども、答えになっておりますでしょうか。
○森豊委員 そういう観点も重要だと思うのですけれども、本当に探索的な段階のエビデンスが十分であるかということを考えますと、承認後にどういったレベルを求めるのかという点は個別の品目ごとに異なるのかもしれないですが、検討していくべき課題ではないかと感じているところです。この点はコメントですけれども、また引き続き検討していただければと思います。よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございました。今後の検討の課題を御指摘いただきました。
 花井委員、どうぞ。
○花井委員 今出た論点に近いのですけれども、結局、RCTをしないで承認をしたときに、再審査まで中間評価とかもするのですけれども、では、RCTにおけるエビデンスレベル、どの辺までと。これは緊急承認のEUAとの比較で、EUAは比較的、駄目と思ったら取り消すじゃないかと。日本の場合は、承認してしまうともうだらだらと、もしかしたらこれはあまり効かないんじゃないという薬が永遠に市場にあると。これは安全対策面で言えば、安全性、安全性に懸念がそんなに問題なくとも、保険財源からいえば、何かよく分からない、本当は効いていないかもしれない薬が上市され続けるということもあって、やはりこれはよくないことなので、しかも、今回いろいろな承認制度、条件付き承認とか先駆けとか緊急とか特例とかが出てきたときに、逆に全部承認してしまうと、メーカーからすれば、どの制度で承認するかというメニューが増えた構造にもなっていると思うのです。
 そのときに、ユーザー側、国民側からすれば、この制度で承認されたものは、この辺でこう確認されているとか、そういうある程度のクライテリアがないと、緊急承認のもの、条件付き承認のもの、特例承認のもの、先駆け承認のものというのが、市場ではフラットに患者の前に置かれるということになっているので、規制当局としても、それぞれの承認条件には、ものによるようにはなっていますけれども、やはり承認条件に、ある程度こういう基準を設けて、ここでこう見ているということが明示的な制度となるべきではないかとは思います。なので、そこのところをもし整理できるようだったら今後整理していただきたいし、場合によっては、そこは整理する、制度的設計を見直す必要があるかなと。
 先ほどからの議論もそうです。こういう承認制度をつくっているから、逆にそれを評価するのは、MID-NETで、リアルデータという話が出ていますけれども、リアルワールドデータになってしまうのです。市販されると。そのときに、むしろ、MID-NETがそれで、エビデンスレベルの高い、リアルワールドデータのいわゆる有効性確認ができるのであれば、それは1つの基準になるわけですけれども、現状はそうではなくて、リアルワールドデータというけれども、その言っているリアルワールドデータは存在していません。だけれども、制度だけは、この条件付き承認とか緊急承認だったら、どんどん承認制度のバリエーションが増えていくということになると、底が抜けたような制度設計なりつつあるような懸念があるのです。
 だから、これはもちろん、患者のために早期承認はいいことなので、ここで立ち止まって、この委員会もそうですし、そちらのほうでも、条件付き承認等々の評価が、通常の承認とどのくらい差があるかとか、どの部分は確認しにくいかということについて整理をしていただきたいなと思うのですが、そういうことは可能ですか。
○医薬品審査管理課長補佐 御指摘、ありがとうございます。
 幾つかの承認制度が並び立っている状況で、少し分かりにくくなっているかも知れませんけれども、まず、今回のコロナのような緊急事態への対応としては、別途、特例承認制度というものと緊急承認制度というのがあります。この2つの制度は緊急時であることを要件の一つにしておるわけですけれども、一方で、条件付き承認というのは、緊急時に扱うというよりは、平時に、オーファンなど、患者数が極めて少なくて、第Ⅲ相試験の実施が難しい、もしくは長期に時間がかかるといったものを扱う制度でございまして、実際承認された品目などを見ていましても、場合によっては比較臨床試験が組めなくて単群の試験をしているような、非常に患者数が限られている疾患を対象にしているお薬、そういったものが並んでおるわけでございます。
 そういった観点で、オーファン医薬品、極めて患者数が少ないもの、こういったものをどのように早く患者へアクセスするか、早く実用化するか、そういう観点で、今回ご説明しているのがこちらの条件付き承認制度になります。
 こちらの制度は、探索的とは言え、限られたデータで、その安全性、有効性について確認をして、その時点で承認を与えるという制度でございますので、昨今、議論がございました緊急承認制度は、安全性は確認した上で、有効性が推定というレベルであれば条件・期限を付して承認を行うものでしたけれども、そちらとは少し位置づけが異なる制度ということになります。
○花井委員 それは承知しています。完全に承知しているのですけれども、例えば、このビルテプソなどは、いわゆるレジストリがあるのです。これは非常に少数のデュシェンヌの筋ジス症で、あれはRemudyというレジストリが存在していて、これを使ってちゃんと確認してくださいねと、割と明示的ではないですか。ところが、ものによって、それが、例えば第Ⅲ相をやっている途中だか組入れが終わっているといっても、いつでも患者はやめられるわけで、承認されているのに、もしかしてプラセボかもしれないと思ってやめたとなるのも普通の反応なので、やはりRCTに匹敵することは承認は難しいことは明らかだから、その確認法については、もちろんそれぞれの薬に違いはあれど、やはり市販されて、同じように承認されたとなる限りは、もうちょっと明示的な基準が欲しいなということを申し上げました。御説明は十分理解した上での発言です。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そういう御指摘だったということで、参考にしていただければと思います。
 それでは、医薬品の条件付き承認制度に関する議題はここまでということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、次、資料4の定期報告、資料5-1の海外調査というところで、続いて、医薬・生活衛生局からの定期報告と個別医薬品の海外調査について、事務局から説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 よろしくお願いします。
 それでは、事務局から資料4の定期報告と、資料5-1の海外調査についてまとめて御説明をいたします。
 まず、資料4の「医薬・生活衛生局からの定期報告」を御覧ください。
 表紙を御覧いただきますと、3つある項目のうち、まず、承認審査関係の報告として「製造販売承認された医薬品の情報」とあります。それから、2、3の2つにつきましてですが、こちらは市販後安全対策に関する報告となっておりまして、2は「国内における市販後安全対策の措置状況」、そして3が「外国での新たな措置の報告状況」となってございます。いわゆる外国措置状況です。
 今回は、緊急安全性情報や安全性速報、いわゆるブルーレターやイエローレター、そういったものにつきましては、3月の第7回監視委員会以降、これまでに新たな発出はされておりません。このため、今回の定期報告の資料の中に含まれておりませんので、あらかじめ御報告いたします。
 それでは、2ページ「1 製造販売承認された医薬品の情報」というところになりますけれども、前回となります3月の会議で御報告した後、新たに承認されたもののうち、3ページの表の外、※の1で、マル1からマル4、この要件に該当するものが、この監視委員会の定期報告の対象となってございます。今回は5品目が報告対象となっておりますので、それらの情報が記載されている状況でございます。いずれの品目も、海外で未承認の品目という要件に該当します。本年3月末に承認されたものになります。
 こちらの報告は以上となります。
 続いて、4ページの医薬品の使用上の注意の改訂についてを御覧ください。
 こちらは本年3月18日に開催されました「薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)」で報告された内容の御報告になります。
 昨年の11月20日から本年の3月10日まで、約4か月間で、ナンバーの21-28から21-40まで、計13項目について添付文書の改訂を実施しております。
 左から、番号、一般名、薬効分類、次に添付文書の改訂内容が新旧対照法形式で掲載されております。続いて、改訂理由、そして、直近3年度の国内副作用症例数となっております。
 右から2番目の列で、添付文書の改訂に至った理由ですが、例えば、最初の21-28、コミナティにつきましては、副反応検討部会、安全対策部会の合同部会の審議結果によるものとなっております。
 こちらは、昨年12月に添付文書が改訂されたものとなっておりますけれども、当時の合同部会の資料を確認いたしますと、国内の副反応疑い事例の報告状況や、海外の措置状況等を受けて、心筋炎、心膜炎について、それまで因果関係は不明と記載されていたところ、こちらが、因果関係不明と書かれた部分が削除される等の対応が行われております。
 以降、12項目続きますけれども、個別の状況につきましては、恐縮ですが後ほど御確認いただけますと幸いでございます。
 このパートでは最後になりますけれども、14ページまでまいります。
 こちらは「外国での新たな措置の報告状況」になります。
 先ほどと同様に、薬食審の安全対策部会で報告されました326報の内容のうち、販売中止、回収など、監視委員会の報告要件に該当するものを抜粋して資料としております。
 今回は、全部で13報が報告対象となっております。個別の品目の御説明を今回は割愛させていただきますけれども、表の見方といたしましては、左から番号、外国で新たな措置がなされた医薬品の一般名、外国での措置の内容、その措置を行った国、そして、外国での措置の内容の区分、国内での措置の状況の順となっております。
 例えば、一番上の1、ノルエチステロン・エチニルエストラジオールにつきましては、欧州で医療従事者向けに情報提供が行われておりますけれども、一番右の国内の状況は「注目」、つまり、引き続きさらなる情報を収集して対応するとなっております。
 これはPMDAにおいて、国内の副作用症例の集積状況、それから、現時点の添付文書の記載状況等を確認した上で判断されております。
 なお、28ページまで下がっていただいたところにも記載はございますけれども、本邦での措置状況というところでございますが「対応済」になっているものは、既に添付文書に記載があり、注意喚起が完了しているもの。「対応不要」のものにつきましては、我が国の状況から対応する必要がないもの、「対応中」というものは、現在、安全対策措置を検討中のものとなっております。
 こちらが資料4の御説明になります。
 そして、資料5-1にまいります。
 こちらは、新たに承認された医薬品で、国内承認時に海外の承認がなかったものや、特定承認等の対象品目について、欧米での承認状況等を調査した結果をお示しするものになります。
 調査対象品目は、資料の2ページから4ページに一覧としてお示しをしておりますけれども、本年3月の第7回の会議で調査結果を報告しました43品目に加えまして、今回新たに5品目を加えて、計48品目を対象としております。
 なお今回から、一番左の通し番号のところですけれども、これまでの全体を通しての番号から、医薬品が日本で承認された年度ごとに通し番号を振る形に改めておりますので、併せて御報告いたします。
 4ページ、通し番号の19から23につきましては、販売名を薄い黄色で塗っておりますけれども、この品目が今回から新たに調査する品目となります。残りは前回からの継続調査品目で、情報の更新があった場合につきましては、5ページ以降の個別シートに情報を上書きしております。
 前回となります3月から更新があったものにつきましては、例えば7ページのデエビゴ錠というものをはじめとして、全部で8品目ございます。
 更新があった箇所の個別の御説明は割愛させていただきますけれども、該当する欄を薄い黄色に塗って視認性を高めております。
 おおまかに申し上げますと、今回、更新された品目を含めて、いずれも安全性に多く影響する内容はございませんでした。
 御報告としては以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 以上、資料4と5-1についての御報告に対して、何か委員の皆様から御意見、御質問などはございますでしょうか。とりわけ、伊豆津委員、奥田委員、何かお気づきのことなどあれば頂戴できればと思うのですか。
○伊豆津委員 私のほうからは今回は特にありません。
○磯部委員長 ありがとうございます。
○奥田委員 奥田です。
 私も特にこれということはないのですが、この委員会の役割としては、安全対策の仕組みとして、日本の仕組みがどれだけ有効に機能しているかということを、海外の事例と比較することで確認しようということが目的だと認識しています。
 今回、こういう形で情報等も追加していただいている最中ということになるかと思いますけど、これを今後、今のところ決定的に安全性に問題があったというような事例が発見されているわけではない状況だと思いますけれども、今後の安全対策、こういうアプローチでの検証といいますか、どこかの段階でこれを振り返ってまとめるというような形も必要になってくるのかなと、聞かせていただきながら感じたところです。どのようにお考えか、もし御意見があったら伺えればと思います。よろしくお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 申し訳ございません。最後のほう、奥田先生の一番の御質問のポイントのところが聞き取れておりません、大変申し訳ありません、もう一度いただけますでしょうか。
○磯部委員長 マイクをちょっと近づけてという感じになります。
○奥田委員 失礼いたしました。
 このような形で、データをどんどん追加していただいている状況かと思いますが、最終的に、このデータをあるところで振り返って、安全対策に関する施策が十分かどうかということの結論をどこかで振り返らす必要があるのかなと考えたのですが、その辺りについて御意見といいますか、ありましたら教えていただければなと思います。
○磯部委員長 毎回、定期報告でいただいているけれども、それをやりっ放しでいるのではなくて、どこかのタイミングで振り返って、安全対策としてどのように有効だったのか、そういうのをやることがあるかということですね。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 今、初めて御提案いただいたところで、今後、どのようにしていくのかというところはありますけれども、一方で、こういった形で、まず定期的には御報告させていただいて、特に注意をしないといけないものというのは、この場で御説明させていただくということになると思いますし、特に、今まで、幸運にしてというと語弊があるかもしれませんけれども、イエローレターあるいはブルーレターといったような、速やかな対応が必要なものというものはありませんが、特にそういったものが、特に注意をしていかないといけないところだと思っております。
 幸いにして、今までは安全対策をきちんとされていっているというところではあると思うのですけれども、いずれにしても、これから、この運用をしていきながら、気がつく点については事務局からも報告させていただきますし、また、先生方からも、そういった特に気をつけないといけないポイントのようなものをいただきながら、さらに発展させていくことができればと事務局としては考えております。御回答になっているか分かりませんけれども、引き続き先生方に御指導いただきながら、こういった運用を続けてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○奥田委員 ありがとうございます。
 今後もそういう観点について共有していければなと思います。
○磯部委員長 また今後、工夫して、どのぐらいのコストなりをかけて、何か報告書というようなことになってもあまりうまくないし、そこら辺をちょっと見直して、効率よくうまくやるということを工夫していきたいなということは、頭の片隅にいつも入れておいたほうがいいだろうと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、次の議題に行くのでよろしいですか。
 資料の5-2になります。
 令和4年度の海外調査方針ということで、前回の委員会開催後、委員で意見交換した内容を事務局に反映していただいているという資料が5-2です。前回から変更点の説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 それでは、資料5-2でございます。
 医薬品等行政評価・監視委員会で行います、令和4年度、今年度の海外調査の方針について御説明をいたします。
 今年度の海外調査の実施方針につきましては、先ほど、磯部委員長からもお話がありましたけれども、3月18日の第7回監視委員会の際に大筋で御了承いただいておりますけれども、その後、委員間の意見交換を経て、前回の監視委員会から変更のあった箇所について説明をさせていただきます。
 変更箇所につきましては、灰色の網掛けにいたしておりますけれども、実際には前回の内容から削除したところはありませんで、内容の追加のみを行っております。全部で大きく3か所となります。
 まず、2の(1)のマル2になりますけれども、欧米の薬事制度に関する調査として、本年度の調査内容を1つ追加いたしております。
 これまで、ローマ数字の1から3で記載しました3つのテーマに加えまして、今回、ローマ数字の4といたしまして、こちらは特定承認制度、条件付き承認制度に相当する制度の状況を追加しております。この追加したテーマと併せて、今年度末までの監視委員会で調査結果を報告することを目指しております。
 次に、2ページ目の真ん中辺りになります。
 2の(2)になりますけれども、個別の医薬品の欧米での承認状況に関する調査内容について、調査の完了時期を明確にさせていただきました。
 これは先ほどの資料5-1の説明の際に、調査対象が今回から5品目増えて48品目になりましたということについて御説明いたしましたけれども、現状の運用ですと、調査品目は回を重ねるごとに増え続けまして、注目すべき箇所も不明確になりますので、調査を完了する時期を明確にして、今後、メリハリをつけて調査を行うというものになります。
 この調査は、日本で承認された品目について、欧米での審査状況を踏まえて、安全性の面で留意すべき情報がないか、確認するために実施しているものになりますので、その点を鑑みますと、先駆け審査指定制度の対象品目とか、それから欧米で未承認の品目につきましては、国内でも通常の承認と同様に、承認審査に必要なデータが全て提出されて、その評価を完了しております。ですので、欧米でも同様にデータの評価が終了して、承認され、そして、その結果を確認した時点で、海外の状況を重点的に調査するという目的を達成し、欧米で先に承認された品目と同様の状況になると考えられますから、その時点で調査完了とするものです。
 一方で、条件付き承認制度の対象品目、bの部分と、それから、特例承認を受けた品目、dの部分につきましては、海外も限られたデータで早期に使用を認めていることがありますが、その後通常の承認を受けた段階又は追加的なデータがそろって、その内容が評価されて、いわば通常の承認と同様になった段階で調査完了とするという整理にしております。
 イメージとしては、特定承認や条件付き承認の品目については、先ほどの先駆け審査とか、欧米未承認の品目に比べて、一般的に調査の期間は長くなるということが予想されますので申し添えます。
 そして、最後です。4のその他のところを御覧ください。
 薬事制度に関して、令和5年度の調査テーマの候補となる内容を記載しております。
 一部、先ほど御紹介させていただきました、個別医薬品の欧米での承認状況のように、既に今年度の調査を始めているものもございますけれども、この内容について問題がございませんでしたら、この委員会が終わりました後、調査実施に向けた手続等を速やかに進めてまいりたいと考えます。
 資料5-2、来年度の調査内容の実施方針の御説明につきましては、以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 これはみんなで相談したことでもあり、御報告に近いかと思いますが、令和4年の調査方針、具体的にこういう内容で進めていくということで、お認めいただけますでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、そういうことで進めさせていただきます。
 それでは、資料6に行きたいと思います。
 最後に、当委員会が設立してもうすぐ2年ということで、これまでの活動状況についての振り返りというのを、うんと手短に御説明いたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 急いで御説明いたします。
 資料6のこれまでの活動について御説明いたします。
 医薬品等行政評価・監視委員会につきましては、令和4年9月に第1回の会議を開催いたしまして、もうすぐ2年ということになります。そこで、監視委員会と同様に、いわゆる八条委員会で設置されております他の委員会の取組を参考に、これまでの監視委員会の活動の実績を整理いたしましたので、御報告いたします。
 まず、開催実績、1番目のところでございます。こちらは事実関係等の記載になりますけれども、2ページ目にかけて、今回、第8回の会議まで記載をいたしています。
 そして、2ページの下半分、意見・勧告部分ですけれども、これは昨年の12月24日に、この委員会から意見を発出したということ。それから、その意見の要旨について箇条書きで記載をいたしております。本日の監視委員会では、その意見の実施状況の報告がありましたというところでございます。
 続いて、3ページの最初「定期報告、海外調査」というところになります。
 定期報告、(1)につきましては、今回の資料4で御報告させていただきましたけれども、製造販売承認された新医薬品の情報、こちらは昨年9月の第5回の委員会から報告させていただいています。
 そして、マル2、マル3の安全対策関係の調査状況につきましても、昨年12月の第6回の委員会から報告をさせていただいております。
 続いて、(2)の海外調査につきましては、昨年度に定めていただきました調査実施方針、それから、今年度は、先ほどの資料5-2で御報告させていただきましたけれども、も、それらの調査方針に沿って調査を進めていくことになるということになります。
 調査内容のマル1のところにありますとおり、個別医薬品の欧米での承認状況につきましては、品目を絞って、昨年の9月の第5回の委員会から調査結果を報告いたしております。
 また、マル2の欧米での薬事制度につきましては、3月の第7回監視委員会で、昨年度の3つの調査テーマについて調査結果を取りまとめております。
 最後に、4の委員会決定についてですけれども、一昨年9月にこの委員会が発足しました後、必要な規程を定めていただきました。運営規程をはじめ、制定いただいた3つの規程について掲載させていただきました。
 以上、簡単でございますが、これまでの活動状況の御報告となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何かありますか。いろいろ規程をつくるとか、立ち上げに伴う作業に時間がかかりましたけれども、どのぐらい検討どおりやってきているのか、そうでないのか、感想はいろいろおありだと思います。
 泉さん、どうぞ。
○泉委員 資料5-2の2ページ目の一番下「4 その他」これは、今、海外調査のときにやるということでよろしいのでしょうか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 こちらは、来年度の調査内容の候補ということで挙げさせていただいております。前回、第7回の委員会のときも、花井先生からお話があった内容です。そういったものを書き留めているということでございます。
○泉委員 分かりました。結構です。ありがとうございました。
○磯部委員長 そのほかはいかがでしょうか。
 よろしいですか。
 YouTubeを御覧の皆さんも、委員会、もっとこうしろとかあるかもしれませんけれども、いろいろ御意見はお寄せいただければと思いますし、委員の皆様にも、ぜひ今後、もっとこういうこと議論したいとかあれば、随時、事務局に言ってくださいねということを改めて私から申し上げます。
 それでは、今日はこれで終わりになりますが、今回の会議、全体を通して何かコメント等はございますか。
 よろしいでしょうか。
 では、事務局から。室長、お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 事務局です。
 事務局から2点ございます。
 1点目は、次回の委員会になりますけれども、こちらは開催日時を調整の上、御連絡いたします。また、議題については、別途、委員の皆様からの御意見を基に御相談させていただきます。
 2点目は、委員の任期についてです。
 委員の任期は2年となっておりまして、改選の時期が近づいてまいりました。私ども事務局といたしましては、この委員会は既存の枠組みとは異なる新たな委員会と認識しております。これまでも様々な内容を滞りなく議論していただきましたが、本日も初めて薬事制度について御議論していただいたほか、意見書への実施状況の報告の議論もありましたが、新たなカテゴリーの議論が開始されたところですので、少なくとも、運営方針が一定程度固まるまでは、円滑な審議を進めていくためにも、過去の経緯を含めて十分把握していらっしゃる委員の皆様と相談しながら進めていくことが必要と考えております。
 このため、今回の委員の改選に当たっては、原則として、現在御協力いただいている委員の皆様に引き続き留任いただきたく、まずは御意見を伺うことが基本になるのではないかと考えております。その上で、委員の皆様の御事情もおありと思いますので、その結果、今回限りで御退任される委員の方がいらっしゃった場合には、2年前の委員選考時に推薦をいただいた学会、団体に候補者をお一方推薦いただき、その方を委員候補者とすることでどうかとは考えております。
 そして、今回の委員の交代が多くならないことも前提になりますけれども、委員の交代がある場合にあっても、現在の委員構成、選出方法、2年前の委員の選考時に開催した選考委員会での留意点等を踏襲して、設立当時の考え方を維持し、委員の委嘱手続を進めることでどうかとは考えております。
 なお、現在の委員の皆様の選任理由が厚生労働省のホームページに掲載されておりますのと同様に、委員の交代が生じ、新任の委員に着任していただく場合には、透明性の確保の観点から、任命後にその選任理由を掲載したいと思います。
 このような考え方を基に、委員の皆様の御意見を伺いながら、関係者との調整を進めて、監視委員会の第2期への移行が可能な限り円滑に進むように努めたいと事務局としては考えておりますので、お伝え申し上げます。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 最後に大事な話がありましたけれども、透明性の確保ということで重要だと思います。
 それでは、これらを含めてよろしいでしょうか。それでは、本日の委員会はこれで終了いたします。ちょっと時間が過ぎてしまいましたが、長時間にわたりありがとうございました。