中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和4年度第1回、第2回

日時

第1回:令和4年4月19日(火)
第2回:令和4年4月26日(火)

場所

オンライン開催

出席者

<委員>
第1回
前田愼委員長、小方賴昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、
田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、
石原寿光専門委員、古田淳一専門委員、堀裕一専門委員、三澤園子専門委員、樅山幸彦専門委員、
山口正雄専門委員


第2回
前田愼委員長、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、
深山治久委員、眞野成康委員、諸井雅男委員
         
<事務局>
紀平薬剤管理官 他

議題

新薬の薬価改定について
市場拡大再算定の要件該当性等について

 

議事

 
ジスバルカプセル40 mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
ジスバルカプセル40mg、特に意見を伺う委員として、幸原先生、三澤先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
この最類似薬はコレアジンということ。それから、有用性加算の中で、これは新しい薬ということで③-bはいいと思うのですけれども、既存治療で効果不十分な治療患者を対象とした試験デザインになっていなかったこと。それから、安全性の理由で減量・中止ができないわけではないということ。これらのことから③-bには該当するけれども、③-aはもちろん、生命に関わるような重篤な状態ということはほとんどありませんから③-fも対象にはなりません。事務局の主張のように、③-bだけで十分と思います。
一点確認したいのは、よく米国との薬価の差で3倍ぐらいのことがよくあると思うのですが、本剤では約15倍差があるというのは随分違うので、算定の観点で一体どうなのだろうと思うのですが、そのあたりの事情を聞いてみたいと思いました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
事務局、今の質問には答えられますか。
○事務局
本剤、ジスバルカプセルは、外国価格を参考としてお示ししています。御指摘のとおり、米国のWAC及びAWPで高額な価格となっています。
米国における医薬品の価格については、市場戦略に基づいて製薬企業が自由裁量で決定している側面がございまして、製薬企業の卸売価格であるWAC、希望小売価格であるAWPについて、これらは当局との価格交渉を経たものではないようで、その結果、高額になっていると考えられます。これらの価格は参考としてお示ししておりまして、実際の算定には用いていない値です。
また、米国の薬局がどういった価格で医薬品を購入しているのかというのは、正確に把握することは難しいのですが、一般的には卸売価格WACを基準に数パーセントのディスカウントがなされた価格で購入されているようでございます。
○委員
それにしても、すごく差があるなという気がします。例えば日本でそれこそ患者さんが薬をネット販売するみたいなことが、これだけ差があったら本当に起こるのだろうと思うのですけれども、実勢価格として、こんなに高かったら海外では簡単に使えないと思うのですが、何か不思議な気がします。
○薬価算定組織委員長
日本から輸入したほうがいいということになりかねないのではないかという気がします。
よろしいでしょうか。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
本剤、遅発性ジスキネジアの初めての承認薬ということで、非常に難治性の疾患で、主に統合失調症の患者さんの社会復帰を妨げる一要因になっておりますので、非常に画期的な薬と考えます。
基本的には事務局案に賛成でございますが、有用性加算の③-aに該当しないのは、そのとおりではあるのですけれども、当該疾患には現在も一定の治療法が存在していると記載されていますが、ほとんどないに等しいのが臨床現場としての感覚でありまして、また、難治性の患者を対象とした治験をするのもなかなか難しいのであろうということもありまして、一言書かせていただいた状況です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
事務局、何かお答えはありますか。
○事務局
このような疾患領域の患者で、特に難治性の患者を集めて治験をするのは、御指摘のとおり難しいものと想像します。治療方法がほとんど存在しないのも御指摘のとおりと思いますが、まずは原因薬の減量・中止、また、変更といったところがガイドラインに書かれていることも踏まえまして、事務局といたしましては今回の案を作成したところでございます。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
基本的には賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
なかなか難しいと思います。
これは理由としてプラセボ対照になっているということだと思うのですけれども、先生の意見としてはしようがないかなというか、本当は事務局としては既存の治療を対象にすべきだということだとは思いますが、プラセボになっても仕方がないかなという面はあるということでしょうか。
○委員
そうです。あと、難治性になりますと、やはり症例数も減って限られてきますので、そういった集団を対象として有効性をしっかり検出するのにはかなりの困難さが臨床試験上はあるのではないかなとは思います。
賛成いたします。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員の先生から何か御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。
なかなか難しいところでありますけれども、ルール上というか、特に問題なさそうだということで理解いたしましたが、よろしいでしょうか。
特に意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
○事務局
事務局から補足させてください。
○薬価算定組織委員長
どうぞ。
○薬剤管理官
□□先生に御指摘いただいた点について、できれば御説明させていただきたいと思います。
米国ではこのような価格が高いケースがあるのですけれども、やはり先生方御承知のとおり、アメリカは民間保険で、保険者が処方医をかなり限定したりとか学会の専門医を求めたりとかというケースがあること、それが例えば臨床試験成績とかガイドラインの位置づけ等も踏まえてどれぐらい使われるかという見込みは保険者によるところもあって、使用見込みも考えて会社が価格設定をしていることもよくあると思います。
先ほど、これだったら例えば日本に買いに来るのではないかとの御意見もありましたが、例えば昔、他の領域の薬ですと、ナイアガラ近辺の住民が国境を渡ってカナダに処方薬を取りに行くといったことが問題になったこともありまして、米国内で処方薬が高いことはやはり時々、米国内でも問題になることがありますし、他の薬でもヨーロッパと比べたとき、米国だけ高いケースもあります。
今回のように10倍まで開くことはそんなにあるわけではないのですけれども、医療環境が違うところも企業の価格設定の戦略によるのかなと思います。
今後もこういった価格差がある場合については、いろいろなところで御指摘もいただきますので、それぞれ個別の状況もお聞きしながら御検討いただくものと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
これは、欧州では販売される予定なのでしょうか。
○事務局
米国以外では今のところ、販売はなされていません。欧州に進出するかどうかの情報は、持ち合わせておりません。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


ケレンディア錠10mg、ケレンディア錠20mg
日時:令和4年4月19日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
ケレンディア錠10mg、ケレンディア錠20mg、特に意見を伺う委員として、齋藤先生、諸井先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
最類似薬の選定は、大変な論点だと思います。3分の1ぐらい薬価が下がってくるような感じになるのですけれども、どちらも一理あると思います。そうした中で、事務局の御説明のもの、つまり、薬効の類似性に着目して、ミネブロを選ぶ点については、そちらが妥当ではないかと思います。それから、それを選んだことによって有用性加算が2ポイントつくのもそうだろうと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。
また後ほどお願いいたします。
それでは、企業からの意見を聴取したいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ケレンディア錠についての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
バイエル薬品でございます。これよりケレンディア錠の希望薬価算定案について説明さしあげます。
フォシーガ錠を最類似薬として、有用性加算の5%を希望いたします。
スライド3に移ります。比較薬の選定について説明いたします。
慢性腎臓病に適用されている既存薬はダバグリフロジンとロサルタンの2剤ですが、本剤の適応症の文言がダバグリフロジンに類似しています。本剤の適応は2型糖尿病患者に限定されていますが、ダバグリフロジンがもともと2型糖尿病の治療薬であるため、慢性腎臓病の対象患者が本剤とほぼ一致していると考えております。
スライド4に変わります。
薬理作用の観点ですが、類似薬効が存在しないと考えております。エプレレノンやエサキセレノンといった既存のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬はありますが、高血圧症の治療に用いられ、適応症、薬効分類が本剤と異なります。以上から、ダバグリフロジンが本剤の比較薬としてふさわしいと考えております。
スライド5でございます。
本剤は、腎疾患の進展及び心血管系リスクを有意に減少したことから、かつ安全の懸念から、SGLT2阻害薬を投与できない患者の新しい治療オプションとなることから5%の有用性加算を希望しております。
今から、□□□□□□□□□□□□□□□□先生より加算申請の根拠について御説明いただきます。先生、よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
□□□□□□□□□□□□□と申します。□□□□、糖尿病及び腎臓病に関して臨床と基礎研究を行ってまいりました。本日はフィネレノンの慢性腎臓病治療における意義に関してお話しさせていただきます。
スライド6をお願いします。
つい最近まで、腎臓病の治療薬はACE阻害薬かアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬しかありませんでした。ところが、2014年に上市されたSGLT2阻害薬に腎心保護作用があることが明らかとなってまいりました。スライドに示しております介入試験、上段のDAPA-CKD及び下段のCREDENCE研究において、プラセボと比べて腎心保護効果を発揮することが明らかとなりました。その結果、ダバグリフロジンはCKD治療薬として日本及び米国にて承認されています。
しかし、スライドにお示ししておりますように、ダバグリフロジンあるいはカナグリフロジン投与にて介入いたしましても、腎及び心イベントはそれぞれ9%及び11%に発症してしまいます。つまり、残存リスクがいまだあるアンメットニーズと言えるわけです。ちょうど同時期に行われたフィネレノンを投与されたFIDELIO及びFIGARO介入試験の成果が2020年、2021年に発表されました。それらの結果、さきにお話ししたアンメットニーズに対応できることが明らかとなってまいりました。
スライド7をお願いします。
本剤は、FIDELIO試験において、5,674例の2型糖尿病を合併する進行期糖尿病性腎臓病を対象として腎疾患の進展リスクを18%と有意に減少いたしました。対象患者はACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を最大忍容量で使用していました。特にそれら投与の患者のうち、4.6%の患者は先ほどお話ししたSGLT2阻害薬が併用されており、フィネレノン追加によって尿のアルブミン排せつ量のさらなる低下が示され、本剤とSGLT2阻害薬の相加効果が示唆されました。
スライド8をお願いします。
本剤は、FIGARO試験において7,352例の2型糖尿病を合併する早期糖尿病性腎臓病患者を対象として心血管系リスクを12%と有意に減少いたしました。FIGARO試験では8.4%の患者にはSGLT2阻害薬が併用されており、FIDELIO試験と同様、尿中アルブミン排せつ量のさらなる低下が示されました。
スライド9をお願いします。
補正加算の根拠として、SGLT2阻害薬の安全性の理由から投与できない患者に対して本剤を投与する意義が必須でございます。
スライド10をお願いします。
慢性腎臓病、CKDは年齢とともにそのステージが悪化することが多く、図に示しておりますように、一番左のBG薬と同様に、赤で囲んだSGLT2阻害薬の処方割合も加齢とともに低下していくことが報告されています。実臨床上もSGLT2阻害薬は低血糖、尿路感染や性器感染症、さらに脱水及び脳梗塞といった重篤な副作用を発症することがあり、投与には十分なる注意が必要であります。特に65歳以上の高齢者には導入しにくい薬剤と言えます。
次、スライド11をお願いします。
フィネレノンを実際に使用経験がある米国において、米国糖尿学会ガイドラインの2022年版をスライドにお示ししております。このように、心血管イベントまたはCKD進展リスクが高い、またはSGLT2阻害薬が使用できないCKD患者に推奨度Aとして推奨されています。このことから、本剤は心血管イベントまたはCKD進展リスクが高い患者のみならず、特にSGLT2阻害薬を安全性の懸念から導入できない高齢者において新しい治療オプションになると考えております。
○申請者
□□先生、ありがとうございました。
糖尿病を合併するCKD患者に対して、直接、腎臓に効果をもたらす画期的な薬剤として医療現場から待ち望まれています。そうしまして、ダバグリフロジンを最類似薬として有用性加算の5%を希望いたします。
御検討、どうぞよろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
薬理作用のところで類似薬がないとおっしゃったのですけれども、既存のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は類似薬ではないと考えるというところをもう少し詳しく教えてください。画期的な新薬であるのは何となく分かるのですが、どれぐらい画期的なのかというところを教えてください。
○申請者
御質問ありがとうございます。バイエル薬品の□□□□と申します。まず、プライシングの観点からお答えしたいと思います。その後はぜひ、□□先生に臨床の観点から追加の御回答をいただければと思います。
プライシングの観点なのですけれども、先ほど申し上げたとおり、まず、高血圧症に適応されているところで、効能・効果が本剤と全く異なります。そして、続きまして、薬効分類も根本的に異なるという点がございます。
あと、プライシングの観点から、やはりエサキセレノンは2019年に高血圧症から薬価がついたところも値頃感が、慢性腎臓病に対する値頃感ではなく、高血圧症に対する値頃感から薬価がついたと考えておりますので、比較薬としてふさわしくないと考えております。
先ほども申し上げましたとおり、できれば□□先生からエサキセレノンとフィネレノンの臨床上の使い分けですとか臨床的な違いとかについて何か補足のコメントがございましたら、ぜひコメントを頂戴したいと考えております。
○申請者(専門家)
今、委員の先生から御質問がありましたように、同じMR拮抗薬でございますけれども、一方、エサキセレノンをはじめとするアルドステロン拮抗薬はやはり降圧薬として使用されている状況でございます。
ところが、フィネレノンに関しては、まず、効果はほとんどなくて、腎あるいは心保護効果は発揮するというエビデンスが明らかになっています。実際に他のMR拮抗薬も大規模研究を行うと同様の結果を期待できるかもしれませんが、実際にはそのような研究は行われていませんので、唯一、フィネレノンだけ他のMRAと違う結果をもたらしている可能性はあることを御承知いただければと考えている次第です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
質問させていただきたいのですけれども、今回の試験については2型糖尿病を合併する形で行われています。これは2型糖尿病に対して直接作用する薬ではないので、今後の展開と、現在臨床試験が行われているかということ、慢性腎臓病を対象とすれば2型糖尿病である必要はないと思うのですけれども、現在の考え方はどのようになっているかについて、教えていただいてよろしいですか。
○申請者
今後、2型糖尿病の有無を問わず、慢性腎臓病に適応されることが想定されるかどうかという質問だと思います。
弊社□□□□□□□□□□から御回答いただければと思います。□□さん、よろしくお願いいたします。
○申請者
バイエル薬品□□□□□□□□□□と申します。御質問いただきましてありがとうございます。
糖尿病を合併しない慢性腎臓病の患者さんに対する第Ⅲ相試験は、昨年9月より国際共同第Ⅲ相試験を実施しておりますので、そちらにて有効性・安全性を評価させていただく予定になっております。
簡単でございますが、御回答させていただきます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そうすると、今のところ、2型糖尿病というものでエビデンスが得られたということで最初に出されているのですけれども、あえてそうすると、この薬は糖尿病に効くわけではないので、この薬剤を用いたとしても糖尿病に対するお薬は用いられると思うのです。その辺、例えば最類似薬として選ばれたフォシーガの場合は、そちらの作用もあるので、フォシーガを投与すれば糖尿病と慢性腎臓病、1つの薬剤である程度の効果が望めると思うのですけれども、本剤の使い方については、例えばこの薬剤を用いる場合は糖尿病に対しても普通にフォシーガにプラスする、というような使い方をしていくのでしょうか。これも専門の先生にお聞きしたいのです。
○申請者(専門家)
分かりました。では、□□が答えさせていただきます。
今、御質問いただいたフォシーガと例えばフィネレノンを併用することによって、さらなる腎あるいは心保護効果が期待できると考えております。と申しますのも、フォシーガあるいは他のSGLT2阻害薬の腎保護効果のモード・オブ・アクション、作用機構と、もちろん、今日お話ししたフィネレノンの腎心の保護作用が全く別のメカニズムである観点から考えますと、今日も途中で尿のアルブミン量の低下に関してSGLT2阻害薬と相加作用があるというお話をいたしましたとおり、それぞれの作用機構が異なります。ただ、フィネレノンは残念ながら血糖低下作用はございませんけれども、既往のMRアンタゴニストによるインシュリン抵抗性改善という作用も数多く報告されていますから、直接的な血糖降下作用はありませんが、心腎保護作用もフォシーガあるいは血糖降下作用は恐らくインシュリン抵抗性を改善すると思いますから、血糖に関しても悪くはならない、よくなる可能性があるという機構も全くモード・オブ・アクションが違うようにお考えいただいていいかと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の先生からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、いかがですか。特に何かございませんでしょうか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、企業意見の聴取を終了いたします。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
まず、□□先生、お願いいたします。
○委員
作用点が違うとか、薬理学的な説明がなされると思ったら、値頃感とかプライシングとかというお話に終始して、要は片方は血圧の薬なので、それぐらいの値段がついているのだけれども、同じ値段にされたら困るので、腎保護薬としてのものと比べてほしいというような、気持ちは分かるのですが、説得力が弱かったかなという感じを受けました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、委員の先生からいかがでしょうか。
私の質問には、フォシーガとは完全に作用機序が違うとおっしゃっていましたので、何となくフォシーガを類似薬にするのはちょっと無理があるのではないかという気がしました。
今回、2型糖尿病で最初に承認されたから糖尿薬を表に出してきていますけれども、やはり今後、恐らく糖尿病も消えた状態で慢性腎臓病ということで通してくると思うので、あえてここで抗糖尿病薬を最類似薬にする必要というか、もちろん高いので、それを持ってきているのだと思うのですが、いかがなものかという気がしましたけれども、どうでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、いかがですか。特に何かございませんでしょうか。
○事務局
事務局としても難しいと考えています。類似薬効比較方式でやるならばどちらかが候補になるだろうといったときに、効能は違うけれども、薬理作用が類似しているものがミネブロです。効能は一緒だけれども薬理作用が違うのがフォシーガですが、効能が同じといっても、もともとのフォシーガの値段は糖尿病薬として算定されたものですので、最類似薬としては、ミネブロが適当と考えました。
○薬価算定組織委員長
確かに、このミネブロに関しては安過ぎるというか、何となく感覚もございますので、なかなか企業としての折り合いの点も難しいのかなというのは理解できると思います。
今回は、事務局案で特に反対はないということだと思いますが、あえて事務局案に異を唱えるというか、何か御意見はございますか。
○委員
こういうときに、例えば原価計算方式でやったらどのぐらいになるかというのは一つの目安にはなるのではないかと思うのですけれども、僕もこれはどう見ても両方とも、どっちにするにしても無理があると思ったのですが、そういう考えはないのですか。
○薬価算定組織委員長
そのとおりだと思います。
事務局、いかがですか。
○事務局
仮にミネブロを比較薬にした事務局案で、先生方からもこれが妥当ではないかということであれば、その結果を企業に御連絡をした際に、恐らく不服を申し立ててくるのではないかと思います。その場合は来週、もう一回、薬価算定組織がございますので、そこで改めて原価計算ができるかということも確認した上で御議論いただくことになると考えております。
○薬価算定組織委員長
現時点では事務局の見解が妥当かどうかというところの判断にさせていただいて、申請者が不服を申し立てた場合には、事務局で再考していただいて来週の会議にかける。その場合には原価計算に関しましても恐らく計算されてくるだろうということで、事務局、それでよろしいですか。
○事務局
承知いたしました。
○薬価算定組織委員長
それでは、御意見がないようでしたら、今回、この時点では事務局の見解でいきたいと思いますが、特に今の時点でよろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


ケレンディア錠10mg、ケレンディア錠20mg
日時:令和4年4月26日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
ケレンディア錠10mg、ケレンディア錠20mg、特に意見を伺う委員として、齋藤先生、諸井先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
まず、最初の論点ですが、前回、企業はSGLT2で、事務局は高血圧の薬から出たアルドステロン拮抗薬みたいなものでしたけれども、どちらも帯に短したすきに長しという感じはしていました。強いて言えば、やはり薬効ということで前回はそっちを取ったということですけれども、バランスを考えて、類似薬がないと判断するかどうかは別ですが、類似薬効比較方式よりは、この原価計算方式で算定するほうがより妥当ではないかと考えました。
それから、新薬創出等加算につきましては、申請時にないものを持ってきているのと、日本人集団に腎不全が多く出ているということを考えても該当しないと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
まず、算定方式ですが、これも事務局案のとおりでよろしいかと思います。類似薬効比較方式ということで、ミネブロ、エサキセレノンを当初の案では用いていたわけでございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、類似薬がないかどうかはさておきまして、原価計算方式がより妥当ではないかというところは納得がいくところではないかと思います。
それから、新薬創出等加算についてですが、これも前回と同様でございます。特段、今回新しい資料が出るかどうかは分かりませんが、事務局案のとおりで、この新薬創出等加算を設けるにはエビデンスが少し弱いと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ケレンディア錠についての御意見を10分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
ありがとうございます。バイエル薬品でございます。これより本日御検討いただきたい不服意見について説明を差し上げます。
弊社はもともと、ダパグリフロジンを比較薬として類似薬効比較方式による算定を申請しておりました。しかし、ダパグリフロジンは比較薬として適切ではないと評価されました。
一方で、当局から比較薬として示されましたエサキセレノンは同様に比較薬として適切ではないと考えております。したがいまして、弊社は原価計算方式による算定を希望いたします。併せて、別表10に基づく新薬創出加算の適用を希望いたします。
スライド2に移ります。効能・効果、薬理作用、総合的な観点から、本剤に適切な最類似薬は存在しないと考えております。今からその理由について説明を差し上げます。
スライド3に移ります。効能及び効果の観点について説明いたします。
ダパグリフロジンは、適応症の文言及び対象患者が本剤に類似しております。しかし、ダパグリフロジンは2型糖尿病の治療薬として薬価がつけられ、主たる効能・効果は2型糖尿病である点が本剤と異なります。
一方、エサキセレノンを含む既存のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は慢性腎臓病の適応を持っていないこと、かつ降圧薬として薬価がついたことから、本剤の比較薬として適切ではないと考えております。
スライド4でございます。ロの観点について説明いたします。
エサキセレノンは本剤と同じ、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であり、薬理作用が類似しております。ただし、薬効分類が本剤と異なります。
また、ダパグリフロジンはSGLT2阻害薬であるため、本剤の薬理作用と異なります。
スライド5に移ります。まとめになります。
ダパグリフロジンは薬理作用の観点から本剤と異なり、かつ主たる効能・効果が2型糖尿病であることから、比較薬として適切ではないと評価されました。
一方で、エサキセレノンは薬理作用が本剤に類似していますが、慢性腎臓病に適応されていないことから、同様に比較薬として適切ではないと考えております。
以上の理由から、原価計算方式による算定が適切だと考えております。
では、スライド6になります。希望薬価算定案を御紹介いたします。
原価計算方式の算定により、20mg1錠□□□円、10mg1錠□□□円を申請いたします。
算定方式に関する説明はこれで以上になります。
続きまして、スライド7をお願いいたします。別表10に基づく新薬創出加算の根拠について説明を差し上げます。
FIDELIO試験とFIGARO試験の統合解析である「FIDELITY」の結果に基づいて、新薬創出加算を希望いたします。
スライド8をお願いいたします。本剤は「FIDELITY」において、新規作用機序により既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示したものであると考えております。
まず、既存治療で効果不十分な患者集団について説明いたします。2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者において、2型糖尿病のみの患者と比較して、心血管イベントによる死亡リスクが3倍高いことが知られています。2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)が加わると全死亡のリスクが最も高くなり、非常にアンメットニーズが高い患者集団であると考えております。こういったASCVD合併患者はSGLT2阻害薬を含む既存治療を受けていることにもかかわらずイベントリスクが高いまま既存治療から十分な効果を得られていないと考えております。
続きまして、スライド9でございます。
「FIDELITY」の解析対象1万3000人のうち約46%がベースライン時にASCVDの既往がありました。「FIDELITY」のサブグループ分析の結果として、ASCVDの既往の有無にかかわらず本剤を標準治療に上乗せした場合、プラセボと比較して心血管系及び腎臓の複合評価項目の発現リスクを一貫して低減したことが示されました。
ASCVD患者のアンメットニーズとして特に問題視されている心血管イベントに関連するアウトカムはスライド10に詳しく示されております。
では、最後に、スライド11に移ります。
「FIDELITY」には、SGLT2阻害薬を併用している患者に対する本剤の上乗せ効果も検討されましたが、腎疾患の進展及び心血管系リスクに関して減少する傾向が見られました。
以上から、SGLT2阻害薬を含む既存治療を受けているにもかかわらず心血管イベント発生リスクが高いASCVD合併患者に対して新規作用機序を有する本剤を投与することで腎疾患の進展抑制及び生命を脅かす心血管イベントの発症予防という有効性が示されております。
このことから、新薬創出加算の別表10の要件1を満たしていると考えております。
御検討よろしくお願いいたします。
○申請者
最後に、本日説明しました背景には原価計算方式にて算定を受けることが妥当であると弊社としても考えております。また、SGLT2を含む既存の治療で効果不十分な疾患に対して効果を示した画期的な薬剤であることから、新薬創出加算等が適用されると考えております。
御検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
委員の先生方から御意見、御質問があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
前回、高血圧の降圧剤をベースにしたものから来たものと糖尿病の治療から来たもので値頃感というお話もありましたが、そのあたりも原価計算方式だとうまく評価できるのかなと思って聞いておりました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、何かございますか。
○委員
算定方式についてですが、今、聞かせていただいたところでは最類似薬に適切なものがないということですが、類似薬効比較方式よりも原価計算方式のほうがより妥当であるのかなという感じで聞かせていただきました。
それから、新薬創出等加算を提出されているわけでございますが、これについて質問させていただきます。今回、この薬は糖尿病患者さんの慢性腎臓病に対する効能・効果ということで薬価を算定することになっているわけですが、今、お示しになられたArteriosclerotic cardiovascular disease(ASCVD)に関する適応は審査報告書の中ではあまり述べられていないということでしょうか。この動脈硬化性心血管疾患に対する適応症ではないというところで今、お話が出てきたので、その辺について、どのように考えられているのですか。
○申請者
ありがとうございます。
おっしゃるとおり、審査報告書にはASCVD患者については特に触れていなくて、かつそのときは「FIDELITY」のサブグループデータ解析もまだ発表もなかったので、それも含めて審査報告書にはないのですけれども、現場の声からは心血管系リスク、ASCVD患者が非常にアンメットニーズが高く、やはり命に関わるようなアンメットニーズなので、そういうところが本剤フィネレノンの評価すべきところなのではないかという声をいただきましたので、それを踏まえて本日主張させていただきました。
○申請者
さらに、糖尿病合併の慢性腎臓病患者さんの中で、この試験の中でも約半数の方が動脈硬化性心血管疾患を合併していたということで、非常にハイリスクのこのポピュレーションに対して約半数の患者さんで評価ができ、その中で有効性が一貫して示せたことは臨床上の価値が高いというふうにアカデミアでも評価されているということで、今回、その点について主張させていただきました。
○委員
「FIDELITY」の解析結果がごく最近に出てきたということでよろしいですか。
○申請者
はい。
○委員
そして、もう一つ質問させていただきたいのですけれども、新薬創出等加算に関しましては、既存薬に比べて、これを加えたことによる有用性といいますか、そういうことが問題になると思うのですが、最後のスライドに示されておりましたけれども、SGLT2阻害薬が現在、この慢性腎臓病に対して使われているわけでございますが、それの併用有無で、併用例数が極端に少なくなっていて、ちょうど、このハザード比が1にぎりぎりかかっています。しかも、表の上はArteriosclerotic cardiovascular disease、あるいは心不全ということでございますが、この表の下の薄く記載されている本剤の腎のイベントに関して、SGLT2併用になりますとさらに例数は少なくなりまして、このハザード比が、このバーが1より超えてしまっている点からは、少しエビデンスが弱いのかなと感じますが、いかがでしょうか。
○申請者
ありがとうございます。
おっしゃるとおり「FIDELITY」、FIGARO試験とFIDELIO試験にはそれぞれ約4%、約8%のSGLT2患者が含まれておりまして、数字としては少ないのが事実だと思います。
その背景がございまして、統計的に優越性は示されていないものの、SGLT2併用の有無にかかわらず改善の傾向が見られました。言えることはそこまでとなります。
○委員
分かりました。
以上で私の質問を終わらせていただきます。
○申請者
臨床試験を実施していたときに、このSGLT2の慢性腎臓の承認はまだだったという時間的背景もございまして、症例数が非常に限定されていることにもなります。
○委員
分かりました。
○薬価算定組織委員長
その他の委員からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、いかがでしょう。特にありませんでしょうか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、これで企業意見の聴取を終了といたします。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、ただいまの企業意見に対して何かございますか。
□□先生、何か追加でございますか。
○委員
新薬創出等加算につきましてもそれぐらいの根拠かなということで納得できました。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
算定方式は事務局案でいいと思うのです。それで、前回も出されておりました新薬創出等加算に関してですが、やはり、今、聞いたところでもエビデンスが少し弱いかなというところで、これは難しいかなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
これは事務局に伺いたいのですけれども、例えば審査報告書に明らかにない今回の「FIDELITY」の結果を出されてきたのですが、これは完全に審査報告書にないからなきものとしていいのか、それとも、エビデンスのレベルの高さによっては多少考慮すべきものなのかというのはいかがなのでしょう。
○事務局
御指摘いただいたとおり、審査報告書での評価が基本になると思います。ただ、おっしゃっていただいたように、エビデンスの強い周辺の根拠がございましたら御考慮いただくことも可能と考えております。
○薬価算定組織委員長
あと、類似薬効比較だった案が原価計算になったというのは、例えば企業が今回、類似薬効比較方式で企業が申請してきたから事務局もそのようにしたのか。それとも、企業案とは関係なく、原価ではなくやはり類似薬効がいいのではないかと事務局側でも考えたから、そのようにしたのか。事務局が最初から原価でいかなかった理由は何かあるのですか。企業に多少影響されるのかどうかというところを聞きたいのです。
○事務局
考える基準として、どういう申請がなされてきたかというところをまず検討することになると思います。今回の剤でいえば類似薬効比較方式で申請がされておりますので、まずはそれが妥当かどうか検討して、違う比較薬があるのではないかという提案で事務局案は作成されております。もちろん、どう考えても原価計算方式しかないようなものであれば、企業の申請が類似薬効比較方式であったとしても、事務局から原価計算方式を提案させていただくことはあります。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員から御意見、御質問等はよろしいでしょうか。
○委員
1点確認させてほしいのですけれども、先ほど「FIDELITY」試験の結果は審査報告書にないということでしたが、審査報告書を提出する時点でエビデンスがまだ出ていなかったが、その後に出てきて、この薬価算定が行われる前に出てきたものをどのように扱うかという点について、先ほど事務局がおっしゃっていましたけれども、それなりのエビデンスがあればそれを薬価算定の時点で考慮することはかまわないということでよろしいでしょうか。
○事務局
時期的な問題もございますので、審査報告書が作成される時点では存在しなかったものであっても、先ほど申し上げたエビデンスの強さによっては御考慮いただいて評価いただくことは可能と考えています。
○委員
分かりました。
○薬価算定組織委員長
その他、よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


カログラ錠120mg
日時:令和4年4月19日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
カログラ錠120mg、特に意見を伺う委員として、森山先生、小方先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
○委員
□□先生も書かれていたのですけれども、原価計算方式が妥当だということは類似薬としては同じものがないということでしょうか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがでしょうか。
○事務局
本剤、原価計算とした理由については、御説明のとおり、最類似薬の判断のところが理由となっておりまして、比較薬、最類似薬の候補として潰瘍性大腸炎の治療薬が多くあるところではございます。本剤が中等症の潰瘍性大腸炎で5-アミノサリチル酸製剤による治療で効果不十分な場合に限るものということで、企業からの申請によりましても、もともと中等症に適応できる治療薬が少ない中でアンメットニーズへの治療を目指したものということを伺っておりまして、全く同じ位置づけで使える薬がありません。メサラジンについてはあくまで軽症に用いるものであって、本剤の前に使用されるもの。その他の製剤についても、薬理作用や、重症に対して投与できる点を踏まえますと、本剤の比較薬とすることは難しいと判断しております。
○委員
分かりました。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員から御意見はいかがでしょうか。
○委員
1点お伺いしたい点が、事務局案にございます。有用性加算の「イ 臨床上有用な新規の作用機序について」の部分でございます。今回、ナタリズマブが既に承認されていて、本疾患ではなくて多発性硬化症で適応症を取っている抗体製剤。こちらが同じような部分に対して作用する薬というところが一つございまして、もう一つはベドリズマブのほうもあるということで、複数はあるのですけれども、今回、この多発性硬化症とか、ほかの疾患に適応症があることがこういう当該疾患における新規の作用機序の薬に該当しないと判断することの妥当性はあるのでしょうか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがですか。
○事務局
本要件につきましては、これまでも使う分野の違うお薬であっても同じ薬理作用であれば新規作用機序かどうかの検討に用いておりまして、該当しないと判断する材料としてこれまでも使っているところでございます。
○委員
そうすると、このベドリズマブ及びナタリズマブも、作用機序は一緒ですけれども、類似しているというか、作用の部位が類似はしていますが、類似薬としては適していないということですね。
○事務局
はい。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
○委員
今の話と関係しますけれども、□□□□□□□□□のときには、効能・効果のところではなくて、薬理作用が同じだから、効能・効果が違ってもそちらを類似薬にする流れで話があったと思うのですが、逆に今のケースでいうと、薬理作用で見たときにはナタリズマブが似ているということなのですが、ただ、事務局の案では低分子ではないから存在しないと言ってしまっているのですが、何となく聞いていると、2つの話は、ある意味、矛盾しているのかな、考え方がころころ変わっている感じがすると思うのですけれども、どう考えたらいいのだろうと、今、混乱しているところなのですが、薬理作用という観点でいえば、先ほどの話は納得して聞いていたのですけれども、今の話はあまり納得性がないと思ってしまいましたが、この辺、どう考えたらいいのですか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがでしょうか。
抗体製剤と低分子化合物というところで、もちろん違うのですね。ベドリズマブは抗体製剤なので、今回は低分子化合物で、恐らくこちらが何となく作るのが安いかなとかと思ってしまいますけれども、ただ、薬理作用という点においてはかなり類似していることは言えるかなとは思いますが、事務局、その辺はいかがでしょうか。
○薬剤管理官
基本的には□□□□□□□□□□と思っています。この類似薬の選定の要件としては効能・効果とか作用機序とか4項目ほど挙げられていますが、どれを優先するというものはなくて、□□□□□□□□□□□□□□と考えています。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
企業の陳述を聞いて、また議論したいと思いますので、それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、カログラ錠についての御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
本日はありがとうございます。
潰瘍性大腸炎新規治療薬カログラ錠は有用性加算の適用が妥当と弊社では考えております。その根拠となる治療方法の改善について、□□□□□□□□□□□□□□□先生から御説明いただきます。それでは、□□□先生、どうかよろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
□□□□□□□□□□□です。このカログラ錠の臨床試験の□□□□□を務めさせていただいております。
次をお願いします。
この薬は世界初の経口のインテグリン阻害剤でございますけれども、これまでにない大きな3つの特徴があります。その一つは日本オリジンの、日本で作られた炎症性腸疾患治療薬ということです。実は私、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を務めていました時期に開発されていて、これは日本から新しい薬を出さなければいけないということでハッパをかけて作られたものでありまして、最初に炎症性腸疾患をターゲットとして開発された、日本で初めて作られた薬剤であることが1つ目の大きな特徴であります。
次をお願いします。
2つ目で、この薬は現状の治療空白域を埋める新しい経口剤であるということでございます。今の潰瘍性大腸炎の治療は基本治療の5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドが効かないと、次にバイオ製剤、非常に強い薬に、重症に使われるような薬に行ってしまうことが大きな特徴でありまして、その中間の薬がないのが非常に世界中で困っておりまして、やむを得ずバイオ製剤を使う。その結果として、医療費が非常に高騰する。特に日本は難病指定されておりますので、非常に気軽というか、簡単にバイオ製剤を使ってしまうために医療費が高騰していくということがございました。本剤は、治療空白域を満たして中断できる経口薬であり、潰瘍性大腸炎治療にパラダイムシフトを起こす可能性があるポテンシャルを秘めていることが2つ目でございます。
3つ目で、これは一度中断しても再投与が可能であること。これまでの多くの薬剤は一度始めるとやめられないことが、特にバイオ製剤等々はやめられないことがあったかと思います。しかも、ここを比べてみて分かりますように、有効性・安全性に影響を与えず再投与が可能であることが前向きで分かりまして、これは昨年度のヨーロッパの潰瘍性大腸炎、クローン病の大きな学会で発表させていただいたのですけれども、発表された直後に『The Lancet』の関連誌、『The Lancet Gastroenterology and Hepatology』のエディターチーフから私のところに次の週にメールがあって、ぜひインバイトしたいということで異例の高評価を得て掲載されたということを含んでおります。
そのPhase Ⅱでも、実はGastroenterology誌に載っておりますが、これも異例でして、全米消化器病学会のPresidential Sessionという一番大きな3,000人のセッションのトップバッターとして発表させていただいたのは記憶しておりますけれども、そのぐらいポジショニングは期待されるということでありまして、日本で作られていることと、ポジショニングは非常に変わっている。空白域を埋めるものであることと、中断ができて再投与が可能であるという、これまでの薬にはない大きな特徴を持っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
この3つが大きな特徴でありますが、まとめますと、このカログラは潰瘍性大腸炎の治療空白域を満たす画期的な治療薬であって、今後の治療に改革をもたらすポテンシャルを持っている、ガイドラインを書き換えるポテンシャルを持っている薬であるということで、炎症性腸疾患の専門医が待ち望んでいた薬剤でありますので、お願いしたいと考えております。
実は私、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を務めさせていただいて、先生方の御苦労もよく分かっておりますけれども、ぜひ、この薬に関しては非常に特殊な薬であることを御勘案の上、算定いただきたいと心から願っております。
○申請者
□□先生、どうもありがとうございました。
本剤に関しては、□□先生からの御説明に加え、弊社といたしましても安定供給の観点から、有用性加算あるいは新薬創出加算等の対象としていただきたいと考えてございます。どうか、安定供給可能な薬価算定をお願いしたいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から何か御質問があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
作用機序とあるのですけれども、α4β7とα4β1に両方結合するということなのですが、2種類の成分が入っているのでしょうか。
○申請者
α4β1とα4β7、両方を阻害するけれども、2種類の成分が入っているかという御質問だと理解しました。
成分につきましては、カロテグラストメチルという成分、1成分でございます。この成分が2つのターゲットを阻害するということでございます。
○委員
この図ですと、VCAM-1とMAdCAM-1が結合している。その両方が結合するものがあるのですね。
分かりました。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
○委員
臨床上の位置づけに関してお伺いしたいと思います。
今回のような軽症もしくは中等症のような方で、5-ASA製剤の効果が不十分な方ですと、ほかの標準的な治療と申しますか、一般的に使われる治療薬としてステロイド免疫抑制剤、ほかにも今回、バイオ製剤を含めたお話があったのですが、ほかの薬剤を使わずに本品を使ったほうがいいと位置づけられる、今回はあくまでプラセボ対照の試験結果だけということと思っておりますので、専門家の先生方の間ではほかの薬よりこちらを優先したほうがいいという位置づけの何か理由はございますでしょうか。
○申請者(専門家)
ありがとうございます。□□からお話しさせていただきます。
先生がお話しになったように、ステロイドとチオプリン製剤が我々の領域では扱われております。これはまず、副作用がアジア人に起きて、脱毛、白血球減少等の副作用があって、なかなか使いにくい薬で、使用量がだんだん世界中でも減っています。それから、ステロイドは、御存じのように、いい薬ではあるのですけれども、使われ方が非常にまずいということで多くの副作用を生んでいるのも世界中で事実であります。
このカログラという薬は、もしかしたら5-ASA製剤という基本薬の次に使えるかもしれないという期待を持って我々は開発してきたところでございまして、そういう薬剤は非常に臨床試験が難しいのでなかなか行われてこなかったので、この薬剤は臨床試験をクリアしたということになります。
○薬価算定組織委員長
□□先生、JAK阻害剤、同じ経口剤だとIBDで使われる経口剤として非常に似たというか、投与形態が似ているということだと思うのですけれども、JAK阻害剤との立ち位置はどのようになっているか、教えていただきたいのです。
○申請者(専門家)
それに関しては、まだデータがありませんので、推測の域を出ませんけれども、我々が考えておりますのは、このJAK阻害剤はやはり少し中等症でも後ろのほう、この薬は比較的、5-ASAとか免疫調整薬を使って、もう一歩という、一時的に使うことで寛解に導く薬に位置づけられていて、私は□□□□□□□□□□□もしているのですが、もう一つのJAK阻害剤に関してはもう少し重症寄りの薬になるのではないかと思っておりますけれども、これはこれからの実臨床で証明していくことになっています。
○薬価算定組織委員長
そうすると、その2剤はオーバーラップするというか、同じ立ち位置で使われることもあるということなのでしょうか。
○申請者(専門家)
それはあるかと思います。どちらかが使われることがあると思いますけれども、もちろん、経口剤で、副作用がどうしても気になりますので、例えばJAK阻害剤はアジア人だとヘルペスが問題となるかもしれないというデータはまだ、長いデータがアジア人に出ていないので分かりませんが、そういう懸念もありますので、同じかぶるところはあると思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
これは企業の方に聞きたいのですけれども、今の話を聞くと、市場規模予測がピーク時で約9,000人となっているのですが、この数は合っているのですか。もう少し使われてもおかしくないのではないかなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○申請者(専門家)
そのとおりだと思います。先ほど申しましたように、この薬のターゲットは、安定はしているけれども、寛解に入らないのは当然、バイオ製剤を使うまでもない、使うほどでもないので、そういう患者さんが一定の割合で重症化することはあるわけなので、それに対して使うことによって完全な寛解に、今、内視鏡的、病理学的な寛解まで導くといいますか、完全に寛解することができるのではないかと考えていますので、バイオまでいかなくても、途中で使う選択肢が一番多いのではないかと思われますので、実はもっと多くの患者さんに使える可能性もあるのですが、日本の場合、76~79%が軽症ですので、大体5,000人まで使われないのではないかと思います。ただ、バイオは結構使われていて、海外にお金がどんどん流れていっているのは事実なので、これはそういう意味で非常に期待したいと思っています。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、特によろしいですか。
○事務局
はい。
○薬価算定組織委員長
それでは、企業意見の聴取を終了したいと思います。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょう。
○委員
類似薬が抗体製剤ということで、原価計算方式で、事務局案でよろしいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
○委員
お伺いした限りですと、今の時点ではほかの選択肢との使い分けの中では、こちらの治療薬を優先するところまではなかなかエビデンス上はいけず、経口薬であるとか日本発だとか今の期待感といったものから市場で自然と使われるようになるというところで、有用性加算までは至らないかなと思いました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
事務局、特によろしいですか。
○事務局
はい。
○薬価算定組織委員長
なかなか立ち位置の話はよく分かって、□□先生が言われたように、恐らく現場ではかなり使われるのではないかと思いますので、プラセボ対照ということでまだ既存薬と比較されていないので、これからの薬だとは思いますけれども、現時点では、この原価計算方式でよろしいかなと思います。特に御意見はございませんでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


カログラ錠120mg
日時:令和4年4月26日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
カログラ錠120mg、特に意見を伺う委員としては、森山先生、小方先生にお願いしておりますが、両名とも本日は欠席となっております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、まず、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
○委員
PMLのリスクがあるということなのだけれども、多発性硬化症の薬でたくさん、PMLのリスクのある薬はあるのですね。そういうものは特別に薬局で何かしているということはあるのでしょうか。
○事務局
申し訳ございません。ほかの剤でPMLについてこういった活動が取られているかという情報は持ち合わせておりません。
○委員
多分、そういう話は聞いたことがない。神経の世界では多発性硬化症に対して使う薬が本当にPMLを起こすことはすごくMRの人もちゃんと言っているわけだし、僕らもよく知っているわけだけれども、特別、薬局で何かしているという話は聞いたことがないので、そういうことがされているのかどうか。しかも、薬価にそれが反映されているとしたらこういうものにも認めなくてはいけないでしょうけれども、多分、そうではないのではないかと思うのですが、その辺を確認していただきたいかなと思うのです。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがでしょうか。
○事務局
PMLのリスクのある他のお薬の例としては、エンタイビオの点滴静注がございまして、点滴静注であることを踏まえると、恐らく薬局でというシチュエーションがないものなのかなと思います。今回の製剤は経口の錠剤ですので、薬局への情報提供活動が生じると思われます。
○委員
いや、経口剤でも結構あります。最近出たものはみんな、PMLのリスクがありますから、ないことはないと思うのです。
○薬価算定組織委員長
調べるのに時間がかかりそうですか。
○事務局
少々調べさせていただければと思います。後ほど御報告させていただきます。
○薬価算定組織委員長
企業の陳述の間に調べがつけばとは思います。
その他、いかがでしょうか。
事務局、かなり前回の企業の主張からトーンダウンしたというか、前回、有用性加算とか新薬創出等加算を主張されていたと思うのですけれども、今回その主張は全く省かれてしまっているのですが、それはそれでよろしいのですね。
○事務局
御指摘のとおり、今回、企業から出された資料を拝見しますと、企業が求めているのは薬局への情報提供活動費用に絞っているようです。
○薬価算定組織委員長
分かりました。
よろしいでしょうか。またお話を聞いてということにしたいと思います。
それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、カログラ錠についての御意見を10分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
本日はお忙しい中、どうもありがとうございます。
日本で開発された潰瘍性大腸炎の新しい治療薬、カログラ錠の薬価算定に関してお願いしたい点がございます。
次をお願いいたします。
こちらはいただいた算定案でございます。算定方式は原価算定方式で、実際の薬価は四角い表の一番下のところ、算定薬価は1錠当たり200円という内示をいただいておりますが、この中には薬局への適正使用情報の提供活動に関する費用が認められていない状況にございます。
次をお願いします。
本日は、本剤に関して、潜在的ではございますが、致死的なPML、いわゆる進行性多巣性白質脳症の発症リスクがある点と、その発症リスクの最小化に向けて薬局への適正使用情報の提供活動が必要と考えておりまして、その費用をぜひ認めていただきたいと考えております。その根拠について、担当から御紹介させていただきます。
○申請者
カログラ錠の責任者をしております□□です。よろしくお願いします。
まず、先生方御存じのように、PMLは本当に希少な疾患でございます。ただ、致死性の疾患でございます。ただ、この同じα4インテグリン阻害の抗体でありますタイサブリのこれまでのデータのおかげでタイサブリは8か月未満は一切PMLは出ておりません。そういった情報を基に、これまで治験で6か月の投与期間を最大、そして、8週間を休薬ということで、これまでの治験では一例もPMLは出ておりません。
次をお願いします。
ただ、審査段階でもやはりPMLに対するリスクに対しては御懸念のお言葉をいただいているのが御承知のとおりかと思います。
次をお願いします。
我々はそういった意味で、特に経口剤であります、このカログラは注射剤であるナタリズマブ、タイサブリと違いまして、やはり薬局での処方が非常に多い。そういったところで、いかにそのリスクを下げるかを検討してまいりました。
次をお願いします。
そういった中で、経口剤では多分、リスクマネジメントの中で義務化されていない薬剤では初めてだと思っております。やはり先生方に御登録いただいて、メールアドレスをいただき、そこにアラートメールを発信できないかということを踏まえ、システムを作成してまいりました。
次をお願いします。
ただし、システムはつくっても、やはり皆さん御存じのとおり、それを利用してもらわないと全然意味がないと我々は思っております。さらに、登録していただいて、そして、このシステムが本当に役に立つのだといったところを御理解いただく必要が絶対あると思っております。そのためには継続的に、この登録をいただいた先生方、薬剤師の先生方に常に情報を伝えなければいけない。さらに、アラートメールが出た際に、それをしっかりと先生方にお気づきいただく。そういう活動が必要だと思っております。
次をお願いします。
実は先生方、特にIBDの班会議の先生方、□□先生を含めてアドバイザリーミーティングをさせていただきました。どういうふうにこの薬剤を使うのかといったときに、私たちはびっくりしたことがありました。これは残薬をどうするのか。実は、コロナの中で6か月、診療に来なかった患者さんがいました。それはどうしていたのかと患者さんに聞いたら、患者さんは、いや、薬がありましたからと。先生方は驚いたようです。実は、このカログラは1回8錠、3回投与があります。ということは、もし服薬がされなければその残薬が残ってきてしまう。やはり、そこをしっかりと患者さんに伝えなければいけない。そのために薬剤師さんの協力が不可欠です。
次をお願いします。
この前の消化器病学会で□□先生から逆に要望を受けました。モーニングセミナーでこのカログラをやった際に先生方が、本当にこれはどうするのか。しっかりと管理しなければいけないねということをいただきました。これが意見書です。これは□□先生だけではございません。本当にこのカログラの開発に御協力いただいた先生方の総意でございます。ぜひ、この□□先生を含めて、消化器病でIBDを診療される先生方、そして、この治験に参加いただいた患者さんのためにもPMLは一例も出してはいけない。そういうことを□□先生からも伺っております。ぜひ、薬局での活動をしっかりできるように御判断いただければと思っております。
以上でございます。
○申請者
それでは、最後に私から。
次のページをお願いいたします。
こちらは最後のスライドでございます。本剤に関しては発症の報告はされておりませんが、作用機序からしてPMLの発症の潜在リスクがございます。ほかのα4インテグリン阻害剤、ナタリズマブのエビデンスを踏まえて適切な服薬期間、休薬期間を設定することにより、PML発症のリスクを極小化できると考えてございます。服薬期間、休薬期間の管理のために、私どもは国内初の投与期間管理支援システムを作成、導入し、アラート発生時は弊社MRが状況確認を行い、また、必要な情報提供を行う体勢を展開してまいります。
□□先生からも御指摘のとおり、服薬期間、休薬期間が遵守されない可能性が想定されます。こういった場合に備えて、私どもは医師あるいは薬剤師の先生方に注意喚起できることがとても重要と考えてございます。よって、以上、医師及び薬剤師の先生方に対して処方期間中には継続したMRからの情報提供が必要と考えますので、どうか、薬局を含めた先生方への適正使用情報の提供活動に関する費用を認めていただきたく、再度お願い申し上げます。
私どもからは以上でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問があればお願いいたします。
○委員
御説明ありがとうございました。
今回の御説明、大変よく理解できまして、PMLの発症を抑えるためにも薬剤師からの調剤薬局等での御指導が大事ということ。そして、その御指導に際してMRのサポートは大事ということで、それはこれまでの医薬品でも十分言えることかと思いますし、様々な経口薬もしくは抗体医薬品でもPMLのリスクは言われておりますので、そういった医薬品において活動されている範疇の話かなとお見受けいたしました。
一方で、今回新たなシステム導入によって、よりそれを高めていきたいというお話であったわけですので、そのシステムを導入することによって、実際、どのぐらい、患者のアドヒアランスと申しますか、コンコーダンスと申しますか、お薬の実際の適切な処方が高まるのか。さらには、調剤薬局さんの指導のクオリティーが上がるのか。そこに関して根拠を教えていただけませんでしょうか。
○申請者
残念ながら、その根拠は正直、本当にございません。ただ、事前に薬剤師さんとかの意見、それから、先生方の意見をお聞きしております。やはり残念ながら、電子カルテ内と連動したシステムは現時点でつくれませんので、そういった意味で、より先生方がどうすればいいかといったところで、メールで発信できる。ここであれば、ある程度、先生方も対応可能だと。そこまではいただいております。
あとは、我々がさらに服薬指導等の冊子等も当然つくらなければいけないと思っていますし、今、それも準備中でございます。現時点、ここまでしか言えません。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
○委員
質問があるのですけれども、具体的には患者の全例登録をするわけですか。全例登録をして、その期間の開始日を聞いて、それに合わせてメールをただ送る。それを薬局にも送る。そういう方式を考えられているのですか。
○申請者
はい。いろいろ先生方からお聞きしますと、どちらかというと最初の登録は多分、薬局なのではないかと思っております。当然、先生方にお願いするわけですけれども、薬局でしっかりと聞いていただき、そして、先生方にはメールアドレス等でこのシステムに登録いただければ、薬局で処方医の名前とかが分かりますので、そういった先生方にうまくメールを発信して、処方の前に、特に半年を超える前、20週ぐらいでアラートメールが出せるようにする。
ただ、先生方もお忙しいので、メールだけ行っても気づかない場合がありますので、当然、MRからも注意喚起させていただくということでございます。
○委員
薬剤師が、処方があったらその先生に問い合わせて、メールアドレスを聞くということなのですか。
○申請者
いえ、事前にシステムに先生方は極力登録いただいて、こういうメールが届くので、先生方、登録をお願いしますと。さらに、先生方から指導いただいて、患者登録、もしくは薬局の方からも登録という、両方でできればと考えております。
○委員
その登録をした人しか処方はできないということなのですか。
○申請者
それは今、このシステムが義務化にはなっておりませんので、そこは我々、コントロールはできません。ただし、我々としては極力、先生方に、処方いただける先生、採用いただける先生には、このシステムに登録いただけるよう活動していくということでございます。
○委員
なかなか現実にはうまいこといかないのではないかと思いますけれども、やるのであれば、やはり全員登録、処方医の登録制にするとかにしないと、メールアドレスとか、そういう問題が生ずるのではないかという気がしますが、実際に可能でしょうか。
また、PMLについて、私は神経内科医なのでよく知っているわけですけれども、臨床症状もとても大切ですから、そのあたりも、単に期間だけの問題ではないと思いますので、その辺も考慮していただけたらいいかなとは思います。
○申請者
御助言ありがとうございます。
そういった症状を早めに見つけるように、そういった資材も準備はさせていただいております。本当に貴重な御助言ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
服薬、休薬、残薬の管理は非常に重要で、特に炎症性腸疾患の領域は、患者の調子がよくなると、飲まないで薬が余っているのは結構、皆、経験することだと思うので、これは非常にすばらしいことだとは思います。ただ、これは基本的に本薬剤を含めて、ほぼ全ての薬剤に当てはまることかなと思っております。
それから、今回、PMLのリスクに関して強調されましたけれども、前回のお話等々では、PMLが発症するかどうかは別にほかの免疫抑制剤やステロイド等を比較しても別に高いというお話ではなかったと思うので、あえてPMLのリスクを強く鳴らすこと自体が薬剤にとって、本当に得になるのかという言い方はあれですが、デメリットにならないのかということを思うのですが、その辺、会社としてはどのようにお考えでしょうか。
○申請者
既に承認段階でPMDAとの交渉の中でも、添付文書においてはPMLリスクの喚起が行われている以上、私どもとしてはそこが一切起こらないような活動を全社挙げて取り組むことが大事な条件だと捉えております。
○薬価算定組織委員長
分かりました。
そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、特にありませんか。
○事務局
事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
いかがでしょうか。
○事務局
先ほど□□先生から御指摘いただいた点をお話しさせていただいてもよろしいでしょうか。
○薬価算定組織委員長
どうぞ。お願いします。
○事務局
御指摘いただいた剤は□□□□□□ではないかと思いますが、算定方法を確認いたしましたところ、こちらは原価計算ではなく類似薬効比較方式で算定されておりまして、薬局への情報提供活動分を積んだか積んでいないかは、分かりませんでした。
○委員
多分、私達が使っているような薬ではそういうことは全くやっていないですよ。つまり、医者の努力というか、それに任されているということなのだろうと思います。
この薬の類似薬であるタイサブリという薬もナタリズマブですね。ナタリズマブもPMLのことがすごく大きな問題になったのですけれども、実際にはそれほど頻度が高いわけではないですし、恐らく消化器の先生ですから、さっきの話を聞いていて、何かすごく未知のものに対する恐れが強いのではないかという気はしますが、それはもちろん、注意喚起することは大切だけれども、こういうシステムが本当に全ての薬についてできたらいいと思うのですが、この薬だけにこういうシステムをつくることが果たして効率としていいのかどうかというのは分からないような気がします。企業努力でやっていただくのはいいとは思うのですけれども。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
□□先生、何かございますか。
○委員
あくまで可能性の問題としてのよさではございましたので、それを加算とか、そういう形で評価するところはなかなか難しいかなと感じました。
○薬価算定組織委員長
その他、よろしいでしょうか。
何か、企業もすごいところというか、こういうところをついてくるかという感じで、あまり皆さんも今まであまりこういうものはなかったと思うので、対応が難しいところはあるのですけれども、この薬剤だけではありませんし、あえてこういうところにつける必要はないかなというのが皆様の御意見かなとは思いますが、事務局、いかがですか。特に何かありますでしょうか。
○事務局
今、おっしゃっていただいたとおりかと存じます。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


タブネオスカプセル10mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
タブネオスカプセル10mg、特に意見を伺う委員として、眞野先生、谷本先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、御説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
このまま事務局案が妥当だと思いますが、例えば、英国の外国価格が「□□」とされています。実際の価格が何か示されて外国価格の写しが提出されていないとなっていますけれども、そういうものが提出されていれば、外国価格の調整の計算をする可能性があることになるのですね。これはどうして提出されなかったか、分かりますか。
○事務局
申請者から聞いているところによりますと、収載が間に合わなかったということでございます。
○委員
分かりました。
結局、タイミングが悪いのですね。それであれば、これはどうしようもないと思いますので、このままの案でいくしかないかなと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
一度検討していただいて、ほぼ何も変化がないということで、確かに外国価格を待てなかったということなのだと思うのですけれども、企業はそれでも出してきたということで、恐らくこのままで受け入れる覚悟で多分出してきているのだと思いますので、特に御意見がなければよろしいかなとは思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
事務局、特によろしいですか。
○事務局
特にございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


セムブリックス錠20mg、セムブリックス錠40mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
セムブリックス錠20mg、セムブリックス錠40mg、特に意見を伺う委員として、下井先生、谷本先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も、RCTで既存薬に対する優越性が示されていることから、事務局案に全面的に賛成です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、その他の委員の先生からいかがでしょうか。
特にありませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、特に意見もないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


バビースモ硝子体内注射液120mg/mL
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
バビースモ硝子体内注射液120mg/mL、特に意見を伺う委員として、田﨑先生、堀先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
今、事務局から説明があったとおり、最類似薬のとおりといいますか、事務局案でいいと思います。このAng-2作用は、説明のとおりなのですけれども、特に何か明確な薬効が出ている、これがあるからというものではないので、事務局のとおりで、類似薬効比較方式、3剤あるということで、みんな違うということで、問題ないと思います。
一日薬価合わせもこれでよろしいと思いますし、先ほどの薬理作用の点からいっても、これで妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も最類似薬、それから、算定方式とかは事務局案が適当と考えております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の先生方から御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。特にございませんでしょうか。
これは事務局に伺いたいのですけれども、この薬剤は今後、適応拡大するとか、そういうことは想定されている薬剤なのでしょうか。
○事務局
企業からの回答によりますと、本剤は今後、網膜静脈閉塞症に関する効能追加を予定していると聞いております。
○薬価算定組織委員長
比較的高額というか、300億円以上の企業予測なので、こんなものなのでしょうね。
その他、御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


サムタス点滴静注用8mg、サムタス点滴静注用16mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
サムタス点滴静注用8mg、サムタス点滴静注用16mg、特に意見を伺う委員として、諸井先生、樅山先生にお願いしております。樅山先生は退室委員となっております。
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
これは、価格に一番大きく影響しているのは最類似薬の選定だと思うのですが、これは特に同じ製剤の注射薬ですので、特に御意見等はないですか。
事務局、その他、剤形間比に関しては1以外に何か考えられることはあるのですか。様々な例があると思うのですけれども。剤形間比に関しては、今回は適切なものがないから1とされているのですけれども、何かほかに、様々な例があると思うのですが、適切な剤形間比が取れる品目がないから1でよろしいのでしょうか。
○事務局
本剤は注-1、比較薬は内-1であることを踏まえ、次のとおり、剤形間比については検討しておりますので、その内容について御説明させていただきます。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
また、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。
このため、剤形間比を1として御提案させていただいたところでございます。
○薬価算定組織委員長
よく分かりましたけれども、結果として1というものが何となくどうなのかと思っただけで、そこに根拠はあまりないですね。今回、こういうことでほかに例がないので1としたということで、今後、こういうもので1とするものを基本とする感じになるのでしょうか。
○薬剤管理官
補足いたします。
委員長がおっしゃるとおり、他に適切なものが何かあればそれを使えればと考えてはいたのですけれども、なかなかいいものがない場合には基本は1になると考えていますので、今回はこのような形で算定案をお示ししているものでございます。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
ないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


アロカリス点滴静注235mg
日時:令和4年4月19日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
アロカリス点滴静注235mg、特に意見を伺う委員として、下井先生、森山先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
回答にも書かせていただいたのですけれども、有効性に関しては既存の標準治療であるホスアプレピタントに対する非劣性が示されておりますが、プラスで注射部位反応が少ないこと。また、点滴の際、ほかの制吐剤との配合が可能になるということで、利便性は上がるということはあるのですけれども、では実際、注射部位反応の低減がそのまま有用性加算の対象になるかという点からしますと、この注射部位反応がそれほど薬剤、この制吐剤を使えなくなるような問題であったりとか、臨床上の問題点としての大きさがそこまで言い難いところ。もし、注射部位反応の難しい患者さんは今までは内服薬でホスアプレピタントを使っていたところでもありますので、そこからすると、臨床上すごく問題になっているポイントではないこともありまして、補正加算の該当にはならないと判断いたしました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の先生から何か御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、企業からの意見の聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、アロカリス点滴静注についての御意見を5分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、回答をお願いいたします。
○申請者
ありがとうございます。大鵬薬品の□□でございます。意見陳述の機会を賜り誠にありがとうございます。
本日は、アロカリス点滴静注235mgの製品プロファイルにつきましては弊社□□□□□□□から、そして、注射部位反応の安全性面からの重要性につきましては臨床医の立場で□□□□□□□先生に御説明をお願いしております。
それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いします。
○申請者
では、次のスライドをお願いいたします。
私からアロカリスの概要について説明させていただきます。
治験成分記号はPro-NETU、本剤は選択的NK1受容体拮抗作用を有する制吐剤となります。剤形は注射剤、効能・効果は抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状の適応で、本年3月28日に医薬品製造販売承認を取得いたしました。
次のスライドをお願いいたします。
国内の制吐薬ガイドラインにおけるNK1受容体の推奨に関しまして説明させていただきます。高度催吐性と一部の中等度催吐性の抗悪性腫瘍剤投与での使用が推奨されております。本邦で唯一使用可能なNK1受容体拮抗薬の注射剤はホスアプレピタントのみになります。このホスアプレピタントに関しましては、これに起因する注射部位反応に対して課題が報告されておりまして、この左下に示してありますように、添付文書及びガイドラインにて注意喚起されております。
次のスライドをお願いいたします。
国内では第Ⅲ相試験を実施いたしまして、シスプラチン投与患者を対象とし、本剤とホスアプレピタントの有効性と安全性を比較しております。
次のスライドをお願いします。
有効性に関しましては、プライマリーエンドポイントをCR率、嘔吐なし、救済治療なしの割合を指標といたしまして非劣性が検証されております。
次のスライドをお願いいたします。
安全性に関しましては、主な副作用として便秘としゃっくりで、ここで注射部位反応の発現割合も確認したところ、ホスアプレピタント群に対しまして本剤群で有意に低いという結果がここで確認されております。
次のスライドをお願いします。
国内で別途、AC/EC投与患者に関しても安全性を確認する試験を実施いたしました。この試験では参考群としてホスアプレピタント群を設定しております。
次のスライドをお願いいたします。
この試験の結果の中で注目しておりますのが注射部位反応になりまして、副作用に関しましてはホスアプレピタント群が10%に関しまして、本剤群では発現が認められておりません。
次のスライドをお願いいたします。
こちらが最後のスライドになります。有効性に関しましてはホスアプレピタントに対する非劣性が検証され、安全性に関しまして血管痛の発現リスクはホスアプレピタント群と比べて低い。あと、投与時の利便性に関しましても本剤はあると考えておりまして、ホスアプレピタントの課題、血管痛を改善した薬剤と考えております。
以上です。
□□先生、よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
□□□□□□□□□□□□□□□□と申します。私は臨床家の立場から今回の製剤の利便性を御説明させていただきます。
私は今、□□□を専門に診療を行っておりますけれども、□□□□は広く固形腫瘍を中心とした臨床に携わっております。
これまで化学療法剤でキードラッグとなるプラチナ製剤や、あるいは肉腫などを含む乳がんなどで用いられるアンスラサイクリンの薬剤を投与する際に、化学療法による誘発性の嘔吐のリスクが高かったため、制吐剤は患者さんの診療の中では非常に重要な支持療法として位置づけられております。
この支持療法なしには今、有効なキードラッグでありますこれらの抗がん剤を使うことは非常に難しいということでありますが、臨床の場でなかなか、やはり患者さんにとっては苦痛な問題として抗がん剤の血管痛あるいは注射部位反応がございまして、特にホスアプレピタントを使用した際に、事前に抗がん剤の前に投与した際に本体の化学療法が始まったときに血管痛が起こりやすいことが以前から我々の悩みでありました。
過去に行った□□□□□□□の臨床試験におきまして、特にアンスラサイクリンを中心とした薬剤で現在承認されているプロイメンドの注射部位反応が非常に問題を起こしたことがありまして、点滴で抗がん剤、アンスラサイクリンとプロイメンドを併用すると、どうしても患者さんに血管の痛み、あるいは違和感、投与後に血管の色素、色が変わったりということが注目されておりました。
そこで支持療法をしますと、それ以降の治療に非常にネガティブに働きまして、抗がん剤治療ができなくなることもありまして、今、代替療法としてプロイメンドに代わる飲み薬のアプレピタントをそういった場合には使用するのでありますけれども、やはり利便性であったり患者さんの服用を忘れるということがありますので、できれば点滴でこのプロイメンドに代わる制吐剤を一括して点滴の日に注射として使用することは非常に重要であります。
また、点滴を避けるようなルートの制吐剤を使う場合に末梢の点滴を中心に、ポートというものを用いてデバイスで投与することは可能でありますが、かなりコストや、あと、挿入に伴うリスクなどを患者さんに強いてしまうこともありますので、できれば注射部位反応の極めて少ない今回の製剤を臨床で高く御評価していただきたいというふうに我々、臨床の立場の者も考えております。
今回の試験はプラチナとアンスラサイクリンでありますけれども、これらのキードラッグは乳がんや消化器がんだけではなくて、様々な臓器横断で用いられる抗がん剤で、固形腫瘍ではほぼほとんどの疾患に適応のある薬剤と考えておりますので、今後、この点滴製剤の支持療法としての国内における患者様の治療に与えるインパクトは極めて大きいと私は考えておりますので、何とぞ、その点を御考慮いただき薬価を選定していただければと思います。
ということで、私の臨床家としての立場としてはそういう考えであります。ありがとうございます。
○申請者
ありがとうございます。
以上でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方から何か御質問があればお願いします。
□□先生、お願いします。
○委員
分かりやすい御説明ありがとうございます。
お伺いしたい点が2点ございまして、1つ目がCONSOLE試験の有害事象の副次評価項目としての検定に関してなのですけれども、こちらの統計学的な検定は多重性の調整はされているものなのでしょうか。それで有意差が出ているということでよろしいでしょうか。
○申請者
大鵬薬品の□□と申します。私のほうで回答させていただきます。
こちらのCONSOLE試験の注射部位反応の部分に関しましては、あくまで副次評価項目ということもありまして、多重性の調整はしていないところになります。
○委員
ありがとうございます。
2点目は、臨床的な注射部位反応の問題点に関して少しお伺いしたいのですけれども、ホスアプレピタントで2割程度は有害事象として注射部位反応が出るということがございましたが、それが原因でこのアプレピタントもしくはホスアプレピタントが使用できず、HECとしての十分な制吐剤の治療ができない。先ほど□□先生がおっしゃっていたように、内服に切り替えて何とかしている例も多いのかと思うのですけれども、そもそも点滴剤が使用できなくなる頻度はどのぐらいあるのでしょうか。
○申請者
今回、研究では、もちろん、適応の患者さんは全て点滴を使用して治療されていますので、私の臨床の今までの経験からお話ししますと、□□□□□□□□□□□□□□□患者さんのうち、やはり注射部位反応のために4サイクルもしくは6サイクルの治療が最後まで点滴のホスアプレピタントで完遂できない方は少なからず2割ぐらいはいるというふうに私の過去の経験では感じます。そういった方は、繰り返しになりますけれども、途中からアプレピタントの内服に変更して治療を行っているのが現状であります。
○委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員から質問はいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
企業の方、この市場規模予測はどういうところから対象薬というか、今回の類似薬からの変更というか、使用頻度に関しては大体、どのように考えておられるのでしょうか。
○申請者
御質問いただきありがとうございます。
今の御質問は、市場規模予測について、どのような根拠で立てているかということでしょうか。
○薬価算定組織委員長
そうです。
○申請者
御質問いただきましてありがとうございます。大鵬薬品の□□でございます。
私どもとしましては、これまでのホスアプレピタント製剤とアプレピタント製剤、内用と注射剤がございますけれども、そういった製剤が類似すると考えていますので、そういった類似する製剤の□□□□□□□□□□□□□に、これまでのほかの□□□□□□と呼ばれる薬剤がありますが、そういった□□□□□□□□□に見ながら、今回、市場規模予測を予測したということでございます。
○薬価算定組織委員長
これはどれぐらいのシェアを期待しているのかなというのは。
○申請者
獲得のシェアに関しましては、□□□□□□□□□を予測しております。□□□□□□□□□になるというふうに予測しております。
○委員
もう一点、□□先生にお伺いしたい点がございます。本品の長期に使ったときの何か、ホスアプレピタントと比較した問題点と申しますか、懸念点と申しますか、そういった点はあり得ますでしょうか。
○申請者(専門家)
長期というのは、通常の場合、今回の試験は4サイクルから6サイクル使用された患者さんで、その後の経過は試験に入られた患者さんで、私が知る限りでは、ホスアプレピタントと比較して特に大きな問題はないと思っておりますのと、あと、試験の中では特に大きな副作用の増強、例えば抗がん剤の併用薬の増強であったりとか、これまで報告のないような有害事象、SAEも含めて経験されておりませんので、安全性上は極めて、これまでの従来の薬剤を超えるような懸念点はないと理解しております。
○委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、その他の委員の先生からいかがでしょうか。
特にないでしょうか。
事務局、特にありませんか。
○事務局
ございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、ないようですので、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。
企業の方々は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、皆様から意見を聞きたいと思いますが、□□先生、いかがですか。
○委員
注射部位反応に関しては、副作用としてホスアプレピタントがはっきりと明確に問題になっているのは3.6%という企業側の説明もありましたように、最終的にホスアプレピタントを投与できない問題になるかというと、そういう状況でもない中で、それが解消できることは非常によいことなのですけれども、あえて加算をつけて、評価するほどではなく、市場で評価されていくべきものかなと感じましたので、加算の対象ではないと感じました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
そもそも、なぜ出現率が低いのかという機序もよく分からないですし、加算対象として評価するべきものではないかなと私も思いますけれども、事務局、いかがですか。特に何か御意見はございませんか。
○事務局
御議論いただいたとおりかと思います。
○薬価算定組織委員長
それでは、ないようでしたら、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


オンデキサ静注用200mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
オンデキサ静注用200mg、特に意見を伺う委員として、諸井先生、樅山先生にお願いしております。
また、幸原先生には退室をお願いすることになっています。
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
使用頻度に関しては、なかなか推定は難しいですけれども、私の印象としても、企業の提示したものとはそんなに差があるようには思わないかなと思います。必要な薬であって、高価な薬ではありますが、算定の方式としましては特に事務局案で特に異論はないと私自身は思っております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
これは③-bの標準的治療法として位置づけられるかどうかですけれども、実際、現場に出てみないとなかなか難しいですが、確かに消化管出血があって、このDOACとかを飲んでいる場合に使う可能性は結構あるかもしれないですし、でも、標準的なものであるかどうかは、やはり基本的には止血処置が多分、最初に挙がってくるかなとは思います。
○委員
ダビガトランであっても思っているほどは使われないような印象がありますし、今、結構、このお薬もいろいろ結構使われてはいますが、出血したからすぐにこの中和剤を投与するかというと、そこまではいかない。要するに、標準的であるとまでは日常臨床でもいかないような印象を私自身は持っております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
特に意見もないようですので、市場規模予測も事務局も企業もよく調べていただいて、あまりこれに外れないだろう。実際に現場に出てみないと本当には分からないとは思いますけれども、実際にはそこまで使われないのではないかということと、標準的治療という位置づけが確立しているとはまだ言えないのではないかということでありまして、事務局の案でよろしいのではないかということでございますが、よろしいでしょうか。
特に意見がないようでしたら、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


メプセヴィ点滴静注液10mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
メプセヴィ点滴静注液10mg、特に意見を伺う委員として、齋藤先生、石原先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
論点に関しましては事務局と企業と全く違いがないので、あとは査定の方法だと思うのですけれども、査定につきましてもこれまでの方針と一貫性もありますし、事務局の査定は妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も、しっかり査定も入っていますし、よろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の先生から御意見があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。
これに関しましては特に大きな論点もないと思いますので、御意見がないようでしたら薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


ゼンフォザイム点滴静注用20mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
ゼンフォザイム点滴静注用20mg、特に意見を伺う委員として、齋藤先生、石原先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、説明をお願いします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
こちらも先ほどとよく似ておりまして、論点で大きな違いはないと思いますが、ただ、有用性加算で③-bは該当しないという事務局の判断は妥当だと思います。そういうガイドラインになるような位置づけではないと思います。査定も妥当な査定だと思います。
事務局にそもそものことをお伺いして申し訳ないのですけれども、これは開示度が低いから「掛ける0」ですが、有用性加算に該当するかどうか、きちんと評価した上で0を掛けるというやり方になるのでしょうか。
何を言っているかというと、今の有用性加算の妥当性について委員として意見を述べることが薬価に反映する場合と反映しない場合は同等ということでよろしいのでしょうか。
○事務局
先生御指摘のとおり、この4月からルールが変わりまして、開示度が低い場合に加算係数0ということで、実質的に薬価に対しては影響しないということになっておりますけれども、それぞれの医薬品の有用性度合いがどのぐらいのものかということの分析等にも使いますし、また、本剤の場合、希少疾病用医薬品に指定されておりまして、別な要因で新薬創出等加算に該当するのですが、剤によってはこの有用性加算がつくかどうかで新薬創出等加算に該当するかどうかにも影響してきますので、算定薬価に影響しないところではありますが、引き続き先生方にも御確認いただければと思っております。
○委員
よく理解できました。ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
よろしいかと思います。やはり標準治療ということはまだ言えないと思いますので、このような形でよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、他の委員の先生方から意見があればお願いいたします。
特にございませんでしょうか。
事務局、これは対象患者が3人ですか。これはほぼ決まっている人数なのですか。これ以上増えないということなのでしょうか。
○事務局
本剤につきましては極めてまれでして、企業としても本剤の開発を数年、7~8年ぐらい前から始めているけれども、□□□□□□□□□□□□□□□□ということで、□□□□□□□□□□□3人で、今後もそのぐらいの推移なのではないかということでございました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、よろしいでしょうか。
ほかに御意見がないようでしたら、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


タクザイロ皮下注300mgシリンジ
日時:令和4年4月19日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
タクザイロ皮下注300mgシリンジ、特に意見を伺う委員として、田﨑先生、山口正雄先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
作用しているという、この状態が低分子かどうかといったことはありますけど、今の事務局案でいいかなと思うのです。
あとは企業の意見を聞いて、違いがあるのだということであれば、そこはもしかしたら認めてもいいのかもしれないのですけれども、基本的には同じ作用点ということでいいと思います。あと、小児加算はこのとおりでよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も事務局案でよろしいと考えております。外国のガイドラインも確認しましたけれども、C1インヒビター活性がないので疾患が起こる、そしてC1インヒビター補充の治療として一つの薬が加わったという位置づけだと思います。全く新規の存在ということではないと感じます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
委員の皆様から何か御意見はございますか。
それでは、企業の意見を聞きたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、タクザイロ皮下注についての御意見を5分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
武田薬品でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。タクザイロの薬価算定に当たり、意見陳述をさせていただきます。
2ページを御覧ください。
初めに、御検討いただきたい内容をお示しいたします。
本剤は抗体製剤であり、活性型のpKalに特異的に結合するため、高い有効性・安全性が確認されております。また、複数のガイドラインで既に第一選択薬として推奨されております。よって、本剤は臨床上有用な新規の作用機序を有しており、また、治療方法の改善を示していると考えます。以上より、本剤は有用性加算(Ⅱ)の要件を満たしており、適用を希望いたします。
3ページを御覧ください。
まず、HAEの重篤性と治療の目標を確認させていただきたいと思います。
HAEは致死的となり得る大変重篤な疾患でございます。特に咽頭部の発作は窒息死を引き起こすことがあります。これは決して珍しいことではなく、HAE患者さんのうち50%もの方が生涯のうちに咽頭発作を経験すると言われております。一方で、HAE発作の部位やタイミングを予測することは不可能であるということもございます。このことから、HAEの治療については発作が起きないようにコントロールすることが大変重要なことと考えられます。
また、HAEの治療の目標はガイドラインでも定義されております。世界的なガイドラインであるWAO/EAACIでは、HAEの治療目標は「病気を完全にコントロールし、患者の生活を正常化すること」とされております。HAEの重篤性やガイドラインの定義を鑑みると、発作をいかに引き起こさないかが重要であると改めて考えることができると思います。
4ページを御覧ください。
このような治療目標がある中で、本剤が提供できるベネフィットについてお話しいたします。
本剤は臨床試験にて、発作抑制率が86.9%、無発作達成患者さんの割合が44%と、これまでの治療薬よりもさらに一段高い有効性が確認されております。この結果から、本剤はHAEの治療のレベルをより高いステージに引き上げ、治療の目標である患者の生活の正常化を実現することができると考えます。
なお、本剤は国際共同治験を開始した頃は、他剤に先んじた開発であったために、直接比較試験ができない背景があったことを申し添えさせていただきます。
5ページをお願いいたします。
本剤の高い有効性は、完全ヒト型モノクローナル抗体がもたらす特異性の高さが要因と考えております。
本剤は標的分子である活性型のpKalのみに結合することから、血中でフリー体が多く存在することができるために、持続的にpKalを阻害することができると考えます。
6ページをお願いいたします。
本剤のHAE治療での位置づけについて述べたいと思います。
本剤は、記載しております3つのガイドラインにて既に第一選択薬として推奨されております。特に1つ目のWAO/EAACIは先ほど御紹介しました世界的なガイドラインであり、最も重要なものでございます。その中で、本剤は第一選択薬として推奨されているのみでなく、その推奨度がStrong recommendationとされており、他剤よりも強く推奨されております。
なお、WAO/EAACIの作成には□□□□□□の□先生も御参画であり、日本のHAE治療の御意見もしっかりと反映されているものであると考えることができると思います。
希少疾病では、各国ごとにガイドラインを充実させることは難しく、世界的なガイドラインを共通して参照することが多いと聞いております。WAO/EAACIで他剤より強く推奨されております本剤は国内でもHAEの第一選択薬であり、標準治療薬であると位置づけることができ、治療方法を大きく改善すると考えます。
最後のページをお願いいたします。
御検討いただきたい内容を再度述べさせていただきます。
本剤は臨床上有用な新規の作用機序を有しており、また、HAEの標準治療薬として治療方法の改善を示していると考えます。以上より、有用性加算(Ⅱ)の適用を希望いたします。
以上です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
まず、作用機序のことでお伺いしたいのですけれども、本剤は抗体製剤で、カリクレインに広く結合する。これは多分、参考資料にあったと思うのですが、広く覆うように結合していて、オラデオは□□□□□□□□□□□というお話だったのですけれども、この広く覆うことによって作用が強くなるとか、そういったデータとかはあるのでしょうか。
○申請者
お答えいたします。
本剤はそもそも、ファージディスプレー法という手法を使いまして、ヒューマンのCDRからスクリーニングしてきたものです。その際に抗体医薬品の特性を生かしまして、活性型のカリクレインのみに結合するCDRを取ってきていますので、先生がおっしゃるように、抗体医薬品で広く覆うように結合するのは、プレカリクレインには結合せずに、活性化されたカリクレインのみに結合するところに大きく生かされていると思います。
ですので、潜在的にリスクとなるようなベースラインのプレカリクレインを下げてしまうとか、そういったところを安全性として考慮したデザインとなっております。
○委員
では、オラデオのほうはどっちにもくっつくということですか。
○申請者
そのように考察しております。
○委員
分かりました。
もう一つお伺いしたいのは、ブラジキニンの生成を阻害する阻害活性に関してはいかがでしょうか。
○申請者
ありがとうございます。
阻害活性といたしましてはKiで示されていると思いますが、オラデオと比較しても、これはなかなかvitroでの比較になりますので、直接的に臨床的に結びつけた値ではないのですけれども、遜色ない特異性と結合、それから、インヒビションの強度はタクザイロでも認められております。
○委員
遜色ないというのはどれくらいですか。
○申請者
数字は、すぐには手元にはございません。
○委員
分かりました。結構です。
この作用機序の安全性のところなのですけれども、アナフィラキシーに関してはいかがでしょうか。安全性のところに本剤とオラデオの比較があるのですが、オラデオの安全性における懸念はそこに書かれていますけれども、アナフィラキシーはそれほど本剤では問題にならないだろうという見解でしょうか。
○申請者
御指摘ありがとうございます。
弊社は海外、それから、国内でそれぞれ治験を実施してまいりました。その中でアナフィラキシーが問題になったという、これは治験の中では出ておりません。免疫系で申しますと、中和抗体が一部見られてはいたのですが、臨床的に阻害要因となるような中和抗体は治験の中では認められておりませんでしたので、完全ヒト型のモノクローナル抗体であるところも加味して、全般的に安全性にはかなり考慮したデザインで、治験でもそのような結果が出ていると考えております。
○委員
分かりました。
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
本剤はガイドラインでStrong recommendationと確かに書かれておりまして、すごいなと説明を聞かせていただきました。
ほかにもファーストラインのロングタームの薬としてC1インヒビター製剤も書かれています。そこにはstrongとは書かれていないのですが、この違いはどういう理由でしょうか。血液由来の製剤と比べて安全性が理由なのか、それとも、効果も含めて判断されたのか、その辺を教えていただけませんか。
○申請者
ありがとうございます。
WAO/EAACIのガイドラインメンバーの中でどのような結論に至ったか、過程も含めて我々は把握できていない部分が大部分ではございますが、恐らく我々の予測といたしましては、先生がおっしゃられたように、有効性と安全性の両方を総合的に検討してくださって、その上でStrong recommendationという文言をいただいていると考えております。
○申請者
付け加えさせていただきます。
WAO/EAACIの詳細を見てみますと、本剤がStrong recommendationと推奨されている背景が少し書かれておりました。それは右側に「詳細」として記載しておりますが、有効性の高さであること、皮下注射であるという利便性、それから、プラセボ並みの安全性があること。そして最後に、本剤は2週間に一度投与が原則でありますが、患者さんの状態によっては4週間に一度まで投与間隔を延ばすことができることになっています。その点が評価されていたようで、投与間隔の延長で患者さんの負担を下げられるところが記載されておりました。
以上でございます。
○委員
利点があるということですね。
ガイドラインにおいては、C1インヒビター製剤と並んで、この製剤が書かれていて、この製剤の利点がどのくらいあるのかを知りたかったので、御説明ありがとうございました。
もう一つ教えていただきたいのは、米国のガイドラインではプロフィラキシス、ロングタームの薬の治療自体、ちょっと引き気味の記載になっているのです。プロフィラキシスのオプションは考えてもいいというぐらいの感じで、治療の重みがやや低く書かれている印象を持ちました。ガイドライン同士の違い、あるいは今後のガイドラインの見通しなどがもし分かれば、教えていただけますか。
○申請者
医師の□□と申します。よろしくお願い申し上げます。
まず、アメリカのガイドラインは、私も詳細は把握しかねるのですが、恐らく国での事情でしたり、薬価のこととかもあってのことなのではないかと考えております。
ちなみに、このWAO/EAACIのガイドラインが出る前に専門家の、こちらは恐らく全世界の、それぞれの国が入った専門家になるのですけれども、その専門家の方でのコンセンサスのレポートが発表されております。そちらでは基本的に、HAEの治療のゴールとしましては発作をできるだけなくして、それで患者さんが正常な健常者と正常な生活をできるようにすることという記載がありますので、それが世界的な一応、コンセンサスということで弊社では考えております。
したがって、タクザイロは世界的なコンセンサスのNear-Normal Lifeに患者さんを近づけるために大変大きく寄与できる薬剤であると考えております。
以上です。
○薬価算定組織委員長
その他の委員から質問はいかがでしょうか。
特にありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
市場規模予測でピーク時180人と書かれてありますけれども、これは全体のどれぐらいに当たるのでしょうか。
○申請者
現在のところ、我々で提出させていただきました市場規模予測でHAE患者さんが今年で□□人というふうに推測させていただきました。ピーク時の10年後は□□人増えているということで□□人くらいを推計しておりますので、182人ということになりますと、□□□□ぐらいの患者様に御使用いただけるのかなと考えております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局、よろしいですか。
○事務局
はい。
○薬価算定組織委員長
それでは、これで企業意見の聴取を終了いたします。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
効果自体は高い有効性があるように見えますけれども、この補正加算のイに該当するような新規の作用機序と言えるほどのものではないのかなという印象を持ちました。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も同意見です。日本で長期投与する薬剤はそもそもなかったところに今回の薬剤が出てきたということになるので、選択肢がなかったと言われればその通りです。しかし従来CIインヒビターがもともと使われてきました。例えば出産前とか歯の治療など、発作が出やすい前には結構、CIインヒビターが使われて、1~2週間の予防効果がありましたので、もともと使える薬剤はありました。
今回の薬剤は長期的にずっと抑え込める、そして完璧に抑え込める患者さんも確かにいると思いますが、一部症状が出る方に関しては恐らくCIインヒビター製剤とセットで、あるいはオラデオとセットといった形で従来の薬剤と合わせながら使う場面も多いだろうと思います。作用機序的にも従来のものと比べて全く新しいわけではありません。有用性加算まではつけなくてもいいのではないかと感じました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
そのほか、御意見はいかがでしょうか。
大体、今の御意見でよろしいでしょうか。
副作用が少ないのはなぜなのかという理由がよく分からないのですけれども、やり過ぎたという感じなのですか。やはりもともとから予測されたのですか。かなり副作用的なものが減っているような気がするのですが、なかなかよく分からないです。
作用点がそんなに違うのかと言われると、ほとんど同じような気がするので、なぜかというのが不思議だなと思いましたけれども、事務局、何かございますか。特にありませんでしょうか。
○事務局
事務局からは特に補足事項はございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


タクザイロ皮下注300mgシリンジ
日時:令和4年4月26日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
タクザイロ皮下注300mgシリンジ、特に意見を伺う委員として、田﨑先生、山口正雄先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定組原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
基本的に事務局案に賛成なのですけれども、事務局にお伺いしたいのは「③-b 対象疾病に対する標準的治療法として位置づけられる」というのは、ほかのベロトラルスタットとかよりもよくないといけないということで間違いないでしょうか。
○事務局
そうです。基本的に、明確に区別される治療法として上位の治療法として存在する場合がこちらに該当すると考えております。
○委員
ありがとうございます。それであれば全く問題ないかと思います。
○薬価算定組織委員長
標準治療であっても同列ではいけないということですね。
○事務局
はい。治療選択肢の一つであるという並びでは認め難いと考えております。
○薬価算定組織委員長
その他、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、タクザイロ皮下注についての御意見を10分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
武田薬品でございます。2度目の意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。
2ページを御覧ください。初めに、御検討いただきたい内容をお示しいたします。
本剤は、HAEの世界的なガイドラインであるWAO/EAACIにて、唯一、Strong recommendationと最も強く推奨されている世界的なHAE標準治療薬と考えております。また、有効性・安全性の面で高いエビデンスがそろっており、HAEの治療方法が改善されることを示しております。
このため「ハ 対象疾病の治療方法の改善」の項目のうち「③-b 対象疾病に対する標準的治療法として位置づけられる」。この項目に該当すると考えるため、有用性加算(Ⅱ)の適用を希望します。
3ページをお願いします。後のスライドで御紹介しますが、本剤は箇条書きにしておりますような様々なエビデンスから、HAEの治療方法の改善を示します。
これらのエビデンスが評価され、世界的なガイドラインであるWAO/EAACIにて唯一、Strong recommendationとされております。このことから、本剤は既にHAEの標準治療薬であると言えると考えております。
4ページを御覧ください。本剤がHAEの治療方法の改善を示している点について詳細をお話しいたします。
本剤は、26週の評価試験の結果のみでなく、最長132週にわたる長期試験の結果があり、長期間の有効性・安全性が既に確認されているという特徴がございます。これは同効薬にはない本剤のみの特徴でございます。
有効性については、前回紹介しましたとおり、主要評価項目で発作抑制率が86.9%と高く、HAEの治療をより高いレベルに引き上げます。
5ページをお願いします。本剤は発作を86.9%とほとんど抑えるために、残る発作はわずかでございます。本剤はそのわずかに残る発作について、重症度の改善が確認されております。
重症な発作を経験する患者さんの割合はプラセボ群で34.1%であったところ、本剤群では7.4%と大幅に減少いたしました。
また、特に致死的となると言われている咽頭部の発作は、本剤群では59%減少いたしました。強い発作抑制効果があるために、そもそも発作はわずかにしか残りませんが、そのわずかに残った発作は軽症化しており、致死的となり得る状況が大きく改善されることが確認されております。
6ページをお願いします。本剤は長期試験での有効性・安全性のデータが既に存在しており、これは他剤ではない本剤の特徴です。
評価試験を延長し、最長132週間にわたる長期試験を完了し、既にデータ提供ができます。
本剤はグローバルで、他剤に先駆けて開発を進めてきましたために、日本には収載の当時から長期データを届けることができました。HAEのような症例数の少ない疾患において、治療を検討するのに大変有効なデータになると考えております。
7ページをお願いします。こちらは本剤が定常状態となって以降の発作抑制効果です。
本剤は10週で定常状態に達するため、このデータでは最長122週にわたる定常状態での発作抑制効果を表しております。発作抑制効果は中央値で98.2%であり、一層高いものでございました。
本剤は、定常状態到達後は一層高い発作抑制効果を示し、患者さんの半数が98%以上、発作を抑制できています。これはHAEの最終目標である患者の生活の正常化を長期間にわたり達成できていることを示しております。
8ページをお願いします。加えて、長期試験中には完全なる無発作状態の達成期間の調査もしております。
6か月以上の完全な無発作状態を確認できた患者さんは81%以上いらっしゃり、12か月以上の完全な無発作状態を達成できた患者さんは68%以上いらっしゃいました。
試験に参加している患者さんは、本剤での治療前は平均的に月に2~3回以上、発作を起こしていた生活だったと考えられます。そこから半年や1年という長期にわたって無発作で過ごせる治療方法の改善を本剤であれば実現することが可能です。
9ページをお願いします。本剤は安全性の面でも治療方法を改善いたします。
オラデオは特定の背景を有する患者に関する注意が添付文書で定められているため、不整脈、虚血性心疾患、低カリウム血症、肝機能障害等の患者さんに対しては慎重な取扱いが必要となります。
一方、本剤はそれらの患者さんへの注意事項はありませんので、オラデオを使えない患者さんにもお使いいただけます。これはオラデオがhERG等のイオンチャネルに影響するのに対し、本剤は標的分子にしか影響しないためであると考えられております。
また、本剤は治療継続の障害となるような消化器症状の副作用の指摘がなく、副作用のために治療を継続できないことが少ないのではないかと期待できます。
10ページをお願いします。ここまで御紹介したとおり、本剤は有効性・安全性の面で既に高いエビデンスがそろっております。そのために、世界的なガイドラインであるWAO/EAACIでは競合品の中で唯一、Strong recommendationと最も強く推奨されております。
ガイドラインの文章中の評価として、オラデオと本剤の違いは安全性の面に少し記載の違いがございます。本剤は有害事象発生率がプラセボ群と比べて高くなく、安全であると記載されております。一方、オラデオは肝障害や薬物相互作用の懸念が明記されており、消化器症状はプラセボより頻発すると記載されております。
また、広島市民病院の秀先生の論文では、日本アレルギー学会は2012年に発表されたWAO/EAACIのガイドライン以降、学会で日本語に翻訳して、日本国内に紹介してきたと記載されております。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□であるため、臨床においても最も参考にされるものと考えられます。
このように、WAO/EAACIの評価の詳細は本剤とオラデオでは異なっており、さらに本剤はStrong recommendationとして□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と考えます。さらにアメリカやカナダのガイドラインでも本剤は第一選択薬として評価されております。本剤は現在、既にHAEの標準治療薬であると考えられます。
11ページをお願いします。オーストラリアのポジションペーパーにおいても本剤は紹介されており、これまでのHAE治療を大幅に変える薬剤として言及されております。
さらに、NICEのガイダンスでは費用対効果的にも受入可能と評価されており、また、NICEが独自に行った比較では、同効薬に比べ、臨床的に本剤が有効であると結論づけたという記載がございました。
このように、ガイドラインのみでなく、世界の様々な評価機関で高い評価を受けております本剤は世界的にもHAEの標準治療薬であると位置づけられていると考えます。
12ページをお願いします。最後に、本剤の有用性加算(Ⅱ)への該当性を確認させていただきます。
本剤は、高い発作抑制効果があること。わずかに残る発作の重症度が改善していること。長期の有効性・安全性がある唯一の薬剤であること。定常状態では半数の患者さんが98%以上、発作を抑制できること。6か月、12か月の長い間、完全な無発作を確認できる患者さんが大半であること。さらに、QT延長や消化器症状にてオラデオが使用できない患者さんにも使用可能なことと、様々な面からHAEの治療方法を改善します。
このような高い有効性・安全性のエビデンスがあることから、日本のドクターの意見も反映されている世界的なガイドラインであるWAO/EAACIにて、唯一、Strong recommendationと最も強く推奨されております。本剤はHAEの世界的な治療薬であると言えます。
これらの点を総合して考えれば「ハ 治療方法の改善」のうち、③-b、対象疾病の標準治療である。この項目に該当すると考えますため、有用性加算(Ⅱ)の適用を希望いたします。
いま一度、御検討をよろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見をお伺いしたいと思います。
□□先生、何か御意見はございますでしょうか。
○委員
お伺いしたいところがありまして、世界的ガイドライン上でベロトラルスタットにはないStrong recommendationだというところはよく理解できたのですけれども、ガイドライン上でベロトラルスタットに先んじて本剤を推奨するとか本剤を先に使うべきだという表記といいますか、推奨がなされているのかをお伺いしたい。このWAO/EAACIだけではなくて、ほかのガイドラインについても、直接、ベロトラルスタットに比べてよいという表記があるかどうかを教えてください。
○申請者
ありがとうございます。
ベロトラルスタットについては、御存じのとおり、先駆け審査指定制度の下、去年の4月に発売したばかりというところもありまして、世界中にもまだ存在している国が少ない特徴がございますので、各国のガイドラインにそもそもベロトラルスタットは登場していないという背景がございます。
その中で唯一、WAO/EAACIであればベロトラルスタットの言及もあるガイドラインということになります。その中で本剤との使う順番の優先順位が書いてあるかというと、書いていないかと思いますが、推奨度には明らかに違いがあると思います。本剤は89%の同意で推奨されておりますが、オラデオは81%の同意という差がございます。
以上です。
○委員
高い効果があるとか安全性が高いという話がありましたけれども、特に直接比較したものはないということでよろしいですか。
○申請者
ありがとうございます。
それについても、オラデオの開発のタイムラインと本剤の開発のタイムラインが大変影響しておりまして、直接比較した試験があるかないかというお答えについてはないということになります。
しかし、本剤が開発中、オラデオも同じく開発中でありまして、直接比較試験をできるようなタイムラインではなかった状況がございますので、いま一度、御検討いただければと思います。
○委員
ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
結局、今、御質問があったように、オラデオ錠と比較して、より上を行っているかどうかが恐らく結構、論点になると思うのですよ。多くは並行して試験が行われたので、なかなかヘッド・ツー・ヘッドの試験はないことと、あと、ガイドラインでStrong recommendationが89%と81%の差がどこにあるのか、我々としても評価がなかなか難しいのですけれども、その辺の差は会社としては、この89%と81%にどういうところに差があると考えているのですか。
○申請者
ありがとうございます。
WAO/EAACIのオラデオと本剤の詳細の部分を見てみますと、1回目の意見陳述でもお話ししたところがありますが、本剤については有効性・安全性のところでプラセボ群と遜色ないとはっきりと記載があります。一方でオラデオのほうは肝障害であったり薬物相互作用があることが明記されておりまして、安全性についてはガイドライン上でも本剤のほうが評価が高いのではないかと考えております。
また、広島市民病院の秀先生の論文を見ておりますと、WAO/EAACIのガイドラインの推奨度の作成の方法がグレードという方法を用いられているそうで、その中では臨床的に推奨度を決定するのはエビデンスのみではなく、個人の価値観や希望、臨床の事情や専門家の意見を尊重して総合的に決めたものであると記載されておりますので、この89%と81%の差はエビデンスが違うところはもちろんだと思いますが、専門家の方の御意見の差であったと弊社では考えております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の皆様から何か御質問、御意見はございますでしょうか。
事務局からよろしいですか。
○事務局
事務局からはございません。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、これで企業意見の聴取を終了いたします。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
□□先生、よろしいでしょうか。
○委員
効果とか安全性とか、確かに高そうに見えるのですけれども、やはり比較していないところが評価しづらいかなと思います。
それと、安全性のところで、確かにアナフィラキシーは治験では起こっていないのですが、審査報告書には注意喚起が必要であると書いてあって、RMPにも特定された情報だと書いてあるにもかかわらず、それを出さずに議論されているところがいまいちかなと。前回も指摘させていただいたのですけれども、今回も同じ表だったので、もう少し、その点は注意したほうがいいのではないかと感じました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
メリットだけというか、長所だけを売っている感じは拭えないという感じですか。
その他、いかがでしょうか。
事務局、いかがでしょうか。特に意見はないでしょうか。
これは89%と81%と言われて、Strong recommendationとEvidence level Aを比較しろと言われてもなかなか難しいのですけれども、81%と89%だとそんなに差がないのではないかと一般的には思ってしまうかなと思うのです。
なかなか、この辺の評価は難しいですが、事務局としても特にそれ以上の何かコメントはないですか。
○事務局
追加はございません。
○薬価算定組織委員長
あとは臨床現場でどれぐらい、どちらがどういうふうに使われるかということで評価になるのだと思いますので、よろしいでしょうか。
それでは、特に意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


ミチーガ皮下注用60mgシリンジ
日時:令和4年4月19日(火)※企業陳述あり

○薬価算定組織委員長
ミチーガ皮下注用60mgシリンジ、特に意見を伺う委員として、小方先生、古田先生となっております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
事務局案が正しいと思いますけれども、企業側が有用性加算の□%を申請しているのがゼロ、それから、新薬創出等加算もゼロということで、企業が納得するかどうか。IL-31の阻害ですので、新薬創出等加算のほうは認められるのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○薬価算定組織委員長
事務局、いかがでしょうか。
○事務局
新規作用機序の新薬創出等加算の該当性に関するご質問と思うのですけれども、ここも新規作用機序であったとしても一定の要件を満たす必要があるということでございまして、具体的には既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示した、あるいは同じような効能を有するほかの医薬品が存在しないという点で企業が主張してきているのですが、本剤の場合、デュピクセントという医薬品が存在するので、デュピクセントで効果不十分な患者さんに有効性を示したものではありません。
デュピクセント以外にもJAK阻害剤もありますけれども、いずれにせよ、そういったところまで既存治療として含めて効果不十分な患者さんに有効性を示したわけではないですし、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」と、そう痒に限らず承認を受けている医薬品もあるということで、いずれも厳しいのではないかというのが事務局の見解でございます。
○薬価算定組織委員長
これはアトピー性皮膚炎そのものの適用も取ろうとして取れなかったということなのですか。それとも、IL-31はいわゆるかゆみだけがターゲットになっているのですか。
○事務局
企業の正確な開発の過程までは承知しているわけではないのですけれども、試験をしていく中でかゆみに対する効果が示され、また、逆に言えばかゆみに対する効果しか示されなかったということかもしれないです。そういうことをもってかゆみを主要評価項目にして、第Ⅲ相試験を実施して承認申請をした。そのような経緯ではないかと認識しています。
○薬価算定組織委員長
アトピー性皮膚炎というものとアトピー性皮膚炎に伴うそう痒というものが疾患として違うものなのかどうかというのもあるのだと思うのです。普通に考えるとアトピー性皮膚炎の中に含まれているものかなという気がするので、なかなか、いろいろ加算を取るのは難しいかなとは思うのですけれども、企業の意見を聞いてみたいと思います。その他の委員から、まず、企業陳述の前に何か御意見、御質問はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、企業からの意見聴取を行いたいと思います。事務局は企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、ミチーガ皮下注についての御意見を5分以内で御説明ください。続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いします。
○申請者
承知いたしました。
マルホ株式会社の□□と申します。本日はミチーガ皮下注用60mgシリンジの薬価算定における新薬創出等加算該当性について意見陳述をさせていただきます。
□□□□□□□□□□□□□□の□□□□□先生より、新規作用機序医薬品であります本剤の革新性及び有用性について御説明いただきます。
○申請者(専門家)
□□□です。それでは、簡単に御説明させていただきます。
スライドを1枚おめくりいただければと思います。
アトピー性皮膚炎のそう痒についてですけれども、アトピー性皮膚炎は非常にかゆみのある強い疾患である。それで、炎症を伴うのですが、かゆみがあるとひっかいてしまう。?破により、さらに皮膚の炎症が悪化する。イッチ・スクラッチサイクルの増悪によって患者さんは難治化・重症化しますし、患者さんのQOLも非常に下がる疾患でございます。
このように、かゆみと皮膚の炎症は連動することが多いのですが、しかし、今、デュピクセント等の新しいお薬が出て、そういった患者さんを診てみると、皮疹が改善してもそう痒が残るような患者さんも若干いらっしゃいます。したがいまして、アトピー性皮膚炎の治療をターゲットという、かゆみを止めにいくのか、炎症を止めにいくのか、もしくはその両方を止めにいくのか。そういう作戦があるのですけれども、このミチーガというお薬はかゆみに特化した薬剤でございます。
スライドをお願いします。
ミチーガは、ここに書きましたように、IL-31の受容体に対する抗体製剤。これは世界初でして、これはメード・イン・ジャパンです。世界に先駆けて本邦で承認された、このような作用機序を持つお薬はありませんので、新規作用機序を有する医薬品でございます。
それで、IL-31のシグナルを主に遮断することによってかゆみを改善させる。したがって、?破行動を抑制する。それで、皮疹が改善します。既存治療を実施したにもかかわらず中等症以上のそう痒を有するアトピー皮膚炎患者さんを対象とした試験では、かゆみのVASスコア及び炎症をEASI変化率のプラセボに対する有用性が検証されております。
スライドをお願いします。
本剤の革新性・有用性について述べますが、もともと、このアトピー性皮膚炎の既存治療とは、我々の認識では、ステロイド外用薬、タクロリムス等の抗炎症作用を持つ外用薬と保湿剤の外用療法。それに、必要に応じて補助的に使う抗ヒスタミン薬の内服を指します。本剤はこれら既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に伴うそう痒に対する有効性が示されました。
現在、デュピルマブ皮下注とか経口JAK阻害剤があるわけですけれども、これらもここに書きましたような既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者さんに用いられます。加えて、本剤の効能。これらの薬剤はアトピー性皮膚炎が対象なのですが、アトピー性皮膚炎のそう痒という1文字が入っているので、そういった意味で同一の効能・効果を有する既収載品は存在しません。
では、次をお願いします。
○申請者
スライド、次をお願いします。
ただいま□□□先生からも御説明いただきましたとおり、本剤は日本で創製された新規作用機序の医薬品でありまして、私どもは今回の比較薬とされておりますデュピクセントに後れを取ることなく開発を進め、世界に先駆けて日本で承認を取得いたしました。それがゆえに、デュピクセントの承認時には本剤は既に第Ⅲ相試験に入っておりましたので、現時点で同剤との直接比較試験の結果や同剤の効果不十分例に対する有効性を示したデータをお示しすることは不可能です。
過去にもこうしたケースはございましたが、例えば昨年11月に薬価収載されておりますサフネロー点滴静注300mgは比較薬とされたベンリスタ点滴静注用400mgを既存治療とはみなさず、ベンリスタ以前のサフネロー開発時点での標準療法を既存治療として、それに対する有用性によって新薬創出等加算の適用を受けているものと見受けられます。決して不可能を求められたりはしておりません。
にもかかわらず、本剤についてはあえてデュピクセントを既存治療と位置づけ、これに対する有用性の立証ができないがゆえに新薬創出等加算の対象外とする。このようなことは制度運用の恣意性の排除や予見可能性の観点から、およそ理解に苦しむところでございます。今後も本剤のような新規作用機序医薬品が世界に先駆けて日本で開発され続けるためにも、ぜひ本剤に対して新薬創出等加算の適用をお願いいたしたく存じます。
ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
それでは、委員の先生方から御意見、御質問があればお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
では、質問させていただきます。
ミチーガですけれども、かゆみに特化したということなのですが、炎症に対する効果は全くないと考えてよろしいでしょうか。
○申請者(専門家)
いえ、かゆみを抑えることによって炎症もよくなるのですよ。イッチ・スクラッチサイクルを止めることによって炎症も止まっていきます。もちろん、いろいろなミチーガのIL-31に対するブロックの作用がかゆみだけというふうに言い切ることもできなくて、若干、炎症に対する影響もあるかと思いますけれども、少なくとも第Ⅲ相臨床試験では、このEASIスコアがプラセボに対して有意に改善していますので、皮膚の炎症に対する有効性も示されています。
ただ、そこのところの多くは、やはりかゆみを止めた結果、炎症が収まってくることも考えられるのではないかとは思います。
○委員
かゆみが止まった結果、患者さんがそこに触れなくなるからという意味ですか。
○申請者(専門家)
そういう面はあると思います。要するに、アトピー性皮膚炎はかかなければかなりよくなるのです。例えば、ちょっと話がずれてしまいますけれども、アトピー性皮膚炎のひどい方が骨折して腕にギプスなどをしてしまうとかけなくなってしまうのですが、ギプスを1か月ぐらいやって、そのギプスを取ると、その後、すごく皮膚がきれいになっているなどという経験もあって、かかないことは非常に大事です。
○薬価算定組織委員長
よろしいでしょうか。
その他、いかがでしょうか。
なかなか、この効能・効果の、やはり今の御質問と同じように、アトピー性皮膚炎ではなくてアトピー性皮膚に伴うそう痒という、これは最類似薬をデュピルマブでお出しされているので、恐らくアトピー性皮膚炎の治療の一環なのだと思うのですけれども、基本的に、先ほど説明でもありましたように、疾患概念というか、疾患としてはアトピー性皮膚炎とそう痒は別だと考えるべきなのか。やはりアトピー性皮膚炎の中の一つの症状なので、これを全部ひっくるめてアトピー性皮膚炎の治療とするべきなのか。その辺はどのようにお考えになっているのでしょうか。
○申請者
本剤もデュピクセントも基本的には既存治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎の治療を目的としていると考えておりますが、先ほど先生からもお話がありましたように、特に本剤はそう痒の面からアトピー性皮膚炎の症状を改善することをターゲットにしておりますので、いずれも、デュピクセントもミチーガも、両剤とも既存治療の効果が不十分なアトピー性皮膚炎に対する寛解を目的としているところでは一緒でありますけれども、どちらから治すか。そう痒の程度がひどい患者様にはミチーガが、皮疹を早期に改善したい患者様にはデュピクセントが使われる。臨床上、そのように使い分けされるのでないかとメーカー側としては考えております。
○薬価算定組織委員長
この既存治療がやはりそう痒に対して、かゆみに対してもデュピルマブなどが既存治療になるのですか。それとも、既存治療というものはいわゆる抗ヒスタミン薬とかかゆみ止めと言われているようなものが既存治療になるのですか。
○申請者(専門家)
既存治療で一番大切なのは、先ほど申しましたように、外用療法です。ステロイド等の抗炎症外用薬に保湿剤を併用するのがスタンダードで、抗ヒスタミン薬の内服はあくまでも補助的な治療法です。ただ、そこまでを既存治療というふうに我々は解しておりまして、それによって効果不十分なケースは、以前はほとんどいないのではないかと考えられていたのですが、30年ぐらい前ですか。実はそういう患者さんも結構いらっしゃる。そういうことで、こういった薬の必要性が最近出てきて、開発されるに至ってきたと理解しております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それから、市場規模予測に関してなのですけれども、3,000人程度ということなのですが、大体これぐらいというのは何か臨床的に経験値なりデータなりがある上での数値なのでしょうか。アトピー性皮膚炎の患者さんはかなり多いと思いますので、その中で対象となる患者さんの数はこれぐらいなのかなというものが何かデータに基づいたものなのでしょうか。
○申請者
市場規模予測のほうは根拠も提出させていただいていますけれども、アトピー性皮膚炎のそう痒が例えば中等症以上の患者様がどれぐらいいるかといった疫学調査は、例えば文献等ではございませんでした。ですので、アトピー性皮膚炎のガイドラインに有症率とアトピー性皮膚炎の中等度割合が疫学調査で調査された結果が載っておりまして、そちらを基に患者数を算出しております。
基本的には、皮疹の重症度とそう痒の重症度は相関しているのではないかというところで、アトピー性皮膚炎の皮疹が中等度以上の患者様がそう痒のほうも中等度以上のそう痒を有しているのではないかというところで患者数を算出しております。その中で、本剤は抗体医薬品というところで高額な薬剤になりますので、そのような高額な薬剤を選択される患者様の割合等、また、処方割合、処方意向の率を掛けまして本剤の市場規模予測を算出しております。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
その他、委員の先生からいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局、よろしいですか。
○事務局
はい。
○薬価算定組織委員長
それでは、これで企業意見の聴取を終了したいと思います。
企業の方は御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見も踏まえ、御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
質問したいのですけれども、再算定がなされた場合、そこに書いてあるとおり、また安くなるのでしょうか。
○事務局
もし再算定がなされれば比較薬の薬価が下がるので、本剤の薬価も下がり、安くなります。
○委員
分かりました。
企業が納得するかどうかが、特に新薬のところですね。事務局案でいいと思いますけれども、それが問題かなと思いました。よろしくお願いします。
○薬価算定組織委員長
企業があくまでアトピー性皮膚炎の治療の一環だということで主張しているので、そう痒というものがついていますけれども、これはそう痒とついているだけで、多分、別疾患だという主張ではないので、別疾患だという主張があれば原価計算でもありなのかなとかと思うのですが、やはり一貫した中での治療だとすると、最類似薬はこれになるのだと思いますし、実は原価計算にしたほうが安くなるのかもという気もするので、何とも言えないですけれども、事務局、ほかに何かありますか。
○事務局
まさにおっしゃっていただいたとおりで、本剤、比較薬と承認の範囲が、効能が違っていて、本剤のほうがより限定的ですので、それを比較薬にして同じ薬価がつくのが評価し過ぎているのではないかという思いもあるのですが、とはいえ、抗体製剤でして、ほかになかなか適当な類似薬もない中で、比較薬をデュピクセントとする申請者の主張に関しては妥当と言えなくもないという考え方でございます。
確かに原価計算もあり得なくはないかなとも思いますけれども、本剤に関して特に申請者とそういった相談はしておりません。
○薬価算定組織委員長
いかがでしょうか。その他の先生から意見がなければ、よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
○事務局
最後に一点補足させてください。先ほどの企業の主張の中で、新薬創出等加算の適用で恣意的なのではないかというコメントがあったのですけれども、それに関して、確かに昨年11月のサフネローの例で、既存治療と言えるような比較薬があったのですが、サフネローの臨床試験の開始時点では承認されていなかったということもあり、新薬創出等加算に該当するとした例はありましたけれども、いずれにしても個別判断になると考えております。本剤についても、先ほど申し上げたような比較薬としてデュピクセントという、本剤よりも広い範囲で承認されている薬を取っていることも踏まえて、さらに新薬創出等加算という評価をするのが適当なのかということも考えて、個別に検討し、事務局算定案をお示ししているということで、見解を述べておきたいと思います。
○薬価算定組織委員長
よろしいかと思いますが、皆さん、よろしいですか。
ありがとうございます。


モイゼルト軟膏0.3%、モイゼルト軟膏1%
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
モイゼルト軟膏0.3%、モイゼルト軟膏1%、特に意見を伺う委員として、深山先生、古田先生にお願いしております。
事務局は、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明してください。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
申請者もなかなか奥ゆかしい申請の仕方をされていて、事務局案もほぼ同じと考えると、妥当な申請かと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
小児加算を5%としました事務局案は妥当なものと考えます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、その他の委員の皆様から御意見はございますでしょうか。
特にございませんか。
事務局見解と、申請者がよく内容を理解されて5%とされていると思いますけれども、特によろしいでしょうか。
事務局、特にありませんか。
○事務局
ございません。
○薬価算定組織委員長
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同300mgペン
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
次は「市場拡大再算定の要件該当性等について」ですけれども、デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同300mgペンについてです。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、御出席の委員でほかに意見があれば御発言をお願いいたします。
□□先生、よろしいですか。
○委員
このとおりだと思います。□□円ではなくて外れ値のところも、考え方によると思いますが、いつもどおりの計算の仕方でやっていると思いますので、このとおりでよろしいかと思います。
○薬価算定組織委員長
事務局、年間販売額の令和3年12月のNDBデータを使うのは、企業は分かっていないのですか。それとも、わざとこれをやってきているのですか。
○事務局
企業も承知はしているものとは思いますが、彼らは彼らとして数字を出してきているということかと思います。
○薬価算定組織委員長
あえて1年間のとか、その販売額で出してきているのですか。
よろしいでしょうか。
特に御意見がないようでしたら、よろしいですか。御発言はございませんでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
資料の事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


ボカブリア錠30mg、ボカブリア水懸筋注400mg、ボカブリア水懸筋注600mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
ボカブリア錠30mg、ボカブリア水懸筋注600mg、同400mg、□□□□□□□□□□□、□□□で、□□□□といたします。特に意見を伺う委員として、眞野先生、弦間先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
事務局の案でよろしいかと思いますけれども、せっかくコメントを書きましたので、確認しておきたいと思います。
③-bのところで、ほかにも治療方法が複数存在することから「本剤のみ」が標準的治療法として位置づけられるとは言えないと書いてありますが、これまでもこのように判断されていたのか確認しておきたいので、コメントをよろしくお願いします。
○事務局
先生が御指摘いただいた点につきましては、まず、海外ガイドライン等で本剤以外にも同じ位置づけとされた薬剤がある場合においては、国内においても本剤のみが標準的治療法として位置づけられるとは言えないため、該当しないと今回は判断させていただきました。
また、御指摘のとおり、過去にも同様の判断といたしまして、例えば□□□□□□□□□□の際にも同じような理由で要件該当性がないという判断をさせていただいているものでございます。
○委員
よく分かりました。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も、これは非劣性ですし、基本的にこの状態なので、有用性については事務局案でいいのかなと思っていますし、ほかのところもそうかなと思っているのですけれども、細かいところですみませんが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○事務局
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○委員
細かいところですみません。
私は事務局案でいいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。
特にないですか。よろしいでしょうか。
特に意見がないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。


リカムビス水懸筋注600mg、リカムビス水懸筋注900mg
日時:令和4年4月19日(火)

○薬価算定組織委員長
□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□、□□□、リカムビス水懸筋注900mg、同600mgで、□□□□といたします。特に意見を伺う委員として、眞野先生、弦間先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の意見も含め、簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
□□先生、いかがでしょうか。
○委員
事務局の案でよろしいかと思いますけれども、せっかくコメントを書きましたので、確認しておきたいと思います。
③-bのところで、ほかにも治療方法が複数存在することから「本剤のみ」が標準的治療法として位置づけられるとは言えないと書いてありますが、これまでもこのように判断されていたのか確認しておきたいので、コメントをよろしくお願いします。
○事務局
先生が御指摘いただいた点につきましては、まず、海外ガイドライン等で本剤以外にも同じ位置づけとされた薬剤がある場合においては、国内においても本剤のみが標準的治療法として位置づけられるとは言えないため、該当しないと今回は判断させていただきました。
また、御指摘のとおり、過去にも同様の判断といたしまして、例えば□□□□□□□□□□の際にも同じような理由で要件該当性がないという判断をさせていただいているものでございます。
○委員
よく分かりました。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○委員
私も、これは非劣性ですし、基本的にこの状態なので、有用性については事務局案でいいのかなと思っていますし、ほかのところもそうかなと思っているのですけれども、細かいところですみませんが、③-bの否定するところがありますけれども「本剤とリカムビス注の併用と同様」との説明は正しいでしょうか。
○事務局
失礼いたしました。ここは「本剤とボカブリア注の併用と同様」でございます。大変失礼いたしました。
○委員
細かいところですみません。
私は事務局案でいいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。
特にないですか。よろしいでしょうか。
特に意見がないようですので、それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。