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第43回 社会保障審議会生活保護基準部会議事録
日時
令和4年4月27日(水) 15:00~17:00
場所
AP虎ノ門11階B室(オンライン)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)
出席者(五十音順)
- 阿部 彩
- 宇南山 卓
- 岡部 卓
- 小塩 隆士 (部会長)
- 新保 美香
- 栃本 一三郎
- 山田篤裕
- 渡辺 久里子
議題
- 令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方について
- 過去の生活保護基準見直しによる影響分析について
- その他
議事
- (議事録)
- ■小塩部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第43回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
事務局より、本日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いいたします。また、オンラインで出席されている委員の方がいらっしゃいますので、会議での発言方法等についても改めて御説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 本日の委員の出欠の状況でございますけれども、宇南山委員が少々遅れての御出席となります。その他の委員の方は全て御出席をいただいてございます。なお、新保委員が途中で御退席をされる予定と聞いてございます。また、本多審議官、駒木総務課長は他の公務のため欠席となってございます。
傍聴につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本日は一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。
議事録につきましては、後日ホームページに掲載をいたしますので、御承知おき願います。
続きまして、本日の資料でございます。
議事次第に続きまして、資料1「令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方」。
資料2「過去の生活保護基準見直しによる影響分析について」。
参考資料1「被保護者調査(概数)の結果(令和4年1月分)」。
参考資料2「第42回基準部会における委員の依頼資料」となってございます。
資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
会議の進行に当たりましては、お手元の資料を御覧いただきながら御参加いただければと思いますけれども、事務局からの資料説明の際はZoomの画面上にも資料を表示するようにいたします。
また、会議中、発言を希望される際は、カメラに向かって挙手をお願いいたします。部会長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言をいただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。
それでは、これからの議事運営につきましては、小塩部会長にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
■小塩部会長 分かりました。
それでは、恐縮ですが、カメラ撮影の方々は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
■小塩部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
事務局から関連する資料について御説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 資料1「令和4年度における生活保護基準の検証作業の進め方」を御覧ください。
この資料は、前回の第42回基準部会において資料2として案をお示しさせていただきましたけれども、当日の議論を踏まえまして、部会長に修正の御指示をいただきましたので、その修正後のものを本日の資料といたしてございます。第42回部会の資料からの変更点をピックアップして御説明をいたします。
3ページを御覧ください。前回の部会では、生活保護基準が他制度に参照されることで、生活保護基準の見直しが間接的に一般低所得世帯の生活に影響を及ぼしているのではないかという懸念が指摘をされたところでございます。これを踏まえまして、一番下の※書きを追記しています。「生活扶助基準の見直しへの他制度の対応自体については、生活保護基準部会の審議事項ではないが、関連する情報として、事務局において参考となる資料の収集に努める」、こちらを追記してございます。
4ページでございます。「(1)基本的な考え方」の3つ目のマルの後段6行目、ただし書きの中で「生活保護基準の改定が間接的に一般低所得者の生活に影響を与えた懸念があるとの指摘があることに留意しつつ」、この部分を追記してございます。
5ページでございます。前回の部会では、最低生活費に関する試算結果についてどのように取り扱っていくのか議論しなければならないといった趣旨の御指摘がございました。これを踏まえまして、2つ目のマルの5行目の途中からになりますけれども、「これまでに報告された最低生活費に関する研究結果等を、消費実態に基づく検証結果との関係において、補完的な参考資料としてどのように参照することが可能か検討する」としてございます。
6ページ以降は、具体的な作業内容の記載になりますけれども、御説明した内容を踏まえて同様の修正をしてございます。
資料1の説明は以上になります。
■小塩部会長 ただいま事務局から資料1について御説明がありました。今後、この進め方について検証作業を進めていきたいと思いますけれども、もし何か補足事項や留意点等がございましたらよろしくお願いいたします。
岡部委員、お願いいたします。
■岡部委員 私から確認をさせていただきたい点があります。
最初に5ページの最後のマル、8ページの最後のマル5に当たる新型コロナの感染症による影響に関する記述について、1点確認をさせていただきます。新型コロナによって消費生活が大きな影響を受けています。また、近年の物価高騰による影響もあり緊急対策が講じられています。この点、5ページと8ページに、基準策定について、今後どのように評価すべきかということが記されておりますが、これは検討に入ると理解してよいのでしょうか。
とりわけ近年の物価の高騰です。物価の伸び率を考慮してどの程度行うかどうか。物価が高騰すれば当然消費が萎縮しますので、この点も含めて検討に入るということで理解してよろしいかどうかを確認させていただきます。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
今、岡部委員が御質問された点について、いかがでしょうか。事務局から御回答いただけますでしょうか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 ありがとうございます。
今回の検証作業の進め方にも記載しているところでございますけれども、この基準部会においては2019年以降の消費動向を確認いただいた上で、現在の生活扶助基準についてどのように評価をすべきかということを検討いただくことになってございます。その上で、厚生労働省において検証結果等を踏まえて社会経済情勢等、先生がおっしゃったようなことも当然入ってくるかと思いますけれども、そういうものを踏まえまして、総合的に勘案をした上で基準額を設定する流れになっているところでございます。
■岡部委員 ありがとうございます。
そうしますと、消費者物価指数みたいなものをどこまで加味するのか、あるいはそういうことも念頭に置きながら、総合的評価でとおっしゃいますが、そういうことも考える。またどのように考えるかはこれからということでよろしいでしょうか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 そのとおりでございます。
■岡部委員 どうもありがとうございます。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
山田委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
■山田委員 岡部委員が指摘されたことに関して、今、急激に例えば燃料などが上がっていて、色々と現時点で足りなくなるなどというのを懸念しておりますけれども、このように基準改定前に実際に起こったような燃料の高騰、色々と冬季加算が足りているのかなどが気になるわけですが、それについては現時点でどう対応されているのかも今後の議論に重要な情報ですので、今日でなくても結構ですので、どういう取扱いをされているか教えていただければと思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
今の山田委員の御発言ですけれども、もし資料等が用意できるようでしたら、また次回以降、御説明をお願いしたいと思うのですが、現時点でよろしいですか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 先生の指摘を踏まえまして、対応を検討させていただきます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他に御意見、御質問はございますでしょうか。資料1についてですけれども、よろしいですか。
それでは、今日も御意見を頂戴いたしましたので、それを踏まえてさらに検討して参りたい参りと思いますけれども、この方針で進めていくということでよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
事務局から説明をお願いいたします。
■安西社会・援護局保護課長補佐 続きまして、資料2「過去の生活保護基準見直しによる影響分析について」、御説明をいたします。
1ページを御覧ください。前回第42回基準部会においては、過去の生活保護基準見直しによる影響分析について、集計結果のイメージも含めてその方針を御議論いただいたところです。その議論を踏まえまして、資料1で作業内容として掲げています5つの柱で、本日9点の資料を御用意する予定でしたけれども、作業で間に合わないものが1点ございましたので、本日は8点の資料をお示しいたします。
1ページの上段は1つ目の柱「生活扶助基準見直しによる影響額の把握」ということで、マル1「生活扶助基準見直しによる基準額の変化の状況」、マル2「生活扶助基準見直しによって金銭給付がなくなる世帯の推計」の2つの資料を作成してございます。いずれも平成30年7月末時点の被保護者調査の個別世帯のデータを基にして、世帯の増減や世帯人員の構成、世帯の年齢が変わらないという前提を置いて、基準見直しの前後として平成30年4月時点と令和2年10月時点の基準額を推計したものになります。マル2の金銭給付がなくなる世帯の推計については、マル1に加え、さらに調査時点の収入が変わらないという前提で最低生活費全体と収入充当額の丈比べを行い、その差額の金銭給付が発生する世帯数や、そのうち基準見直しにより金銭給付がなくなる世帯数を推計したものになります。
下段は2つ目の柱の「生活保護受給世帯の家計に与えた影響の把握及び消費支出の変化の分析」といたしまして、マル3「生活保護受給世帯の収支の状況及び一般世帯の消費支出の状況」をまとめております。こちらは生活保護受給世帯については「社会保障生計調査」のデータを、一般世帯については「家計調査」のデータを使いまして、平成29年度から令和元年度までの生活保護受給世帯の収支の状況や一般世帯の消費支出の状況を示したものとなります。
2ページを御覧ください。上段は3つ目の柱の「生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識に与える影響の把握」といたしまして、マル4「生活保護受給世帯と一般世帯の社会的必需項目の不足状況」となりますが、今回は作業が間に合いませんでしたので、この資料については次回以降の部会においてお示しをいたします。こちらは平成22年7月、平成28年7月、令和元年7月の「家庭の生活実態及び生活意識調査」のデータを用いて、先行調査で社会的必需項目に該当すると判定された項目を選定した上で、その項目について経済的な理由により「保有していない」「実施していない」と回答した世帯の割合を示すものとなってございます。
下段は4つ目の柱の「保護の開始・廃止・停止の状況の分析」といたしまして、マル5「保護の廃止世帯数の推移」、マル6「保護の停止世帯数の推移」、マル7「保護の開始世帯数の推移」となります。こちらは平成24年度から令和2年度までの被保護者調査を用いて、各年度・各月の保護の廃止・停止・開始の状況をまとめたものとなります。
3ページになります。5つ目の柱の「有子世帯の扶助の見直しによる影響分析」として、1つが、マル8「教育扶助及び高等学校等就学費に係る基準額の変化の状況」をまとめた資料です。こちらはマル1、マル2と同様に、平成30年7月時点の被保護者調査の個別世帯のデータを基に、世帯の増減や子の就学状況が変わらないという前提を置いて、見直し前後として平成30年4月時点と令和2年10月時点の基準額を推計したものになります。
2つ目は、マル9「学習支援費の支給状況等」をまとめた資料です。こちらは前回の部会でも御説明したとおり、学習支援費の目的や支給方法を見直しているため、見直し前後で比較をするという作業にはなっておりません。各福祉事務所から報告があった教育扶助、高等学校等就学費、さらに両扶助の学習支援費の支給状況について実績を積み上げるとともに、日々の業務の中で把握をしている運用実態の概況について、令和2年度の状況をまとめたものとなります。なお、児童養育加算と母子加算の見直しの影響については、(1)から(4)までの柱の資料において、生活扶助基準本体と一体的に確認をすることとしてございます。
4ページを御覧ください。ここからは具体的なデータを御紹介していきます。まず、マル1「生活扶助基準見直しによる基準額の変化の状況」といたしまして、生活扶助本体と加算の影響について、見直し前の生活扶助基準額からの増減割合の分布を世帯類型別に示した資料となります。4ページは高齢者世帯になります。先ほども申し上げましたとおり、平成30年10月の世帯の状況が変わらないという前提で、基準額を単純に置き換えた場合の変化率を推計したものとなります。また、令和元年の消費税率の引上げによる基準改定、具体的には生活保護基準でプラス1.9%、生活扶助基準本体でプラス1.4%となりますが、こちらも含めたものとなります。左側の表が該当する世帯数、右側の表が構成比となり、全世帯の状況と比較するため、それぞれの表の右側に全世帯の数字も記載をしてございます。前回の基準見直しでは、年齢別・世帯人員別・級地別に消費実態との乖離を調整しておりますので、結果として世帯ごとに影響の状況が異なっています。前回の基準見直しの概要を参考として26ページから28ページに掲載をしてございます。高齢者世帯全体で一番該当する世帯が多い変化率の区分は、マイナス4%以上マイナス3%未満というところで、約3割の世帯が該当してございます。また、表の右下に再掲として変化率がプラスとマイナスの世帯の割合を掲載してございますが、約35%がプラス、約65%がマイナスとなってございます。
5ページを御覧ください。同様に母子世帯の変化の状況でございます。一番該当する世帯が多い変化率の区分は5%以上、3割強の世帯が該当してございます。表の右下の再掲では、母子世帯全体で8割強がプラス、2割弱がマイナスとなってございます。
6ページを御覧ください。傷病者・障害者世帯の変化の状況です。一番該当する世帯が多い変化率の区分はマイナス4%以上マイナス3%未満という部分で、約4分の1の世帯が該当しております。表の右下の再掲では、傷病者・障害者世帯全体で約4割がプラス、約6割がマイナスとなっております。
7ページを御覧ください。その他の世帯の変化の状況です。一番該当する世帯が多い変化率の区分はマイナス4%以上マイナス3%未満で、約4割の世帯が該当しております。表の右下の再掲では、その他の世帯、全体で約4割がプラス、約6割がマイナスとなってございます。
8ページ、9ページを御覧ください。マル2の「生活扶助基準見直しによって金銭給付がなくなる世帯の推計」として、基準の見直しにより最低生活費が収入充当額を下回ることによって金銭給付がなくなる世帯を推計したものになります。世帯の状況が変わらないという前提で生活扶助基準額を推計し、さらに調査時点の収入額も変わらないという前提で基準の見直しの影響を推計しております。なお、この最低生活費には、医療扶助費、介護扶助費は含まれません。8ページが、総世帯、高齢者世帯、母子世帯、9ページが同じく総世帯、傷病者・障害者世帯、その他の世帯を記載しており、それぞれ世帯類型ごとに該当する世帯数と割合を記載してございます。
まず、世帯数については、一番左側、平成30年7月の被保護者調査による受給世帯数、その次の欄が、そのうち金銭給付の保護費がある世帯数で、最低生活費全体と収入充当額の丈比べを行って、最低生活費が収入充当額を上回り、その差額として金銭給付がある世帯の数となります。先ほどの受給世帯数との差は、最低生活費が収入充当額を下回り、医療扶助や介護扶助など現物給付の扶助だけが適用されるケースと考えられます。その次の欄が、金銭給付の保護費がある世帯数のうち令和2年10月の基準額を基に計算すると金銭給付がなくなる世帯数ということで、平成30年7月には金銭給付がありましたが、基準の見直しによって最低生活費が減少したことにより、金銭給付が0円になる世帯数となります。割合は、見直し前に金銭給付がある世帯、マル1のうち、見直しにより金銭給付がなくなる世帯数、マル2の割合となってございます。該当世帯数は総世帯で2,810世帯0.181818%、高齢者世帯で1,943世帯0.23%、母子世帯で25世帯0.03%、9ページに移りまして、傷病者・障害者世帯で334世帯0.08%、その他の世帯で508世帯0.21%となってございます。
10ページからは、柱の2つ目「生活保護受給世帯の家計に与えた影響の把握及び消費支出の変化の分析」といたしまして、マル3「生活保護受給世帯の収支の状況及び一般世帯の消費支出の状況」の資料になります。左側が社会保障生計調査のデータを基にした生活保護受給世帯の家計収支、右側が家計調査のデータを基にした一般世帯の消費支出になってございます。平成29年度から令和元年度までのデータについて、平成30年度の生活扶助基準の見直しの実施時期が10月でございましたので、ここを境として4~9月と10~3月というスパンで平均消費支出額を示したものとなってございます。
留意点としましては、まず生活保護受給世帯の社会保障生計調査においては、被保護者調査で全数を把握している被保護世帯について、世帯類型別・級地別の世帯数を母集団とする拡大乗数を設定して集計をしてございます。また、社会保障生計調査は2年に1度調査対象自治体を入れ替えていて、平成30年度と令和元年度の間で調査対象自治体が入れ替わっておりますので、連続した調査になっておりません。このため、地域構成の違いや経年の世帯類型・地域構成の変化による影響を除去する観点から、世帯数の構成割合等は令和元年度のもので補正をしてございます。さらに、一般世帯の家計調査については、生活保護受給世帯の集計結果と比較可能なものとするため、令和元年被保護者調査による世帯数の構成割合等で補正をしてございます。
11ページの母子2人世帯、母子3人世帯については、家計調査による一般世帯においてデータを級地別・世帯類型別に区分をいたしますと、一部の級地においてサンプルが欠落する月が生じましたことから、当該月のデータに代えてその前月のデータを使用するという処理を行っているところでございます。
12ページ、13ページ、その他の世帯についてでございます。前回の部会では、生活保護受給世帯における傷病者・障害者世帯とそれ以外の世帯を合わせて高齢・母子以外の世帯として集計することについて、違った世帯類型を合わせてしまう部分に検討の余地がある旨の御指摘を頂戴したところでございますが、事務局で検討しました結果、一般世帯の家計調査において、傷病者世帯や障害者世帯の切り分けが難しい現状においては、一般世帯との比較を前提とした場合、高齢・母子を除いた世帯の区分で比較を行うことが妥当ではないかとの考えに至りまして、引き続き前回の部会でお示しした区分で資料を作成してございます。
数字を評価する上での留意点といたしましては、生活保護受給世帯における消費支出は、様々な要因により変化をするものであり、表中の消費支出等の変化は、必ずしも生活扶助基準の見直しによる変化を示すものではないことに留意することが必要であると考えてございます。また、これらの集計結果には、集計世帯数が僅かな世帯類型も含まれることから、数字の評価を行うに当たっては、相当程度の幅を持ってみる必要があると考えてございます。その上でどのような評価等が行えるのか御議論をお願いできればと存じます。
また、費用別の内訳の数字を示した資料を、参考といたしまして29ページから323232ページに記載をしてございます。また、13ページの下段に、同時期における消費者物価指数の推移を参考で掲載をしてございます。
本来であればこの後ろに3つ目の柱の「生活保護受給世帯の生活実態及び生活意識に与える影響の把握」としまして、マル4「生活保護受給世帯と一般世帯の社会的必需項目の不足状況」の資料を御用意する予定でございましたけれども、これは次回以降の部会においてお示しをいたします。
続きまして、14ページから16ページを御覧ください。4つ目の柱の「保護の開始・廃止・停止の状況の分析」として、まず、マル5「保護の廃止世帯数の推移」の資料になります。平成24年度から令和2年度までの廃止世帯数を世帯類型別・月別で示したものとなりますが、こちらの廃止世帯数には、転出によるものや一時的性格を持つ扶助のみを受給していた場合の廃止は含まれません。このため、参考資料1につけている「被保護者調査(概数)の結果」の数字とは異なるものとなってございます。これまでの検証結果を踏まえた生活扶助基準の見直しは、平成25年8月、平成26年4月、平成27年4月、平成30年10月、令和元年10月、令和2年10月に実施をされてございますが、保護の廃止世帯数の増減は生活扶助基準の見直し以外の様々な要因を含んだものとなってございます。また、現在の被保護者調査では、生活扶助基準の見直しによる最低生活費の減少を理由として保護が廃止となった世帯を把握することができない設計となってございますので、今回の推移はあくまで全体の傾向としてお示しをするものと考えてございます。先ほど8ページから9ページで生活扶助基準の見直し後に金銭給付がなくなる世帯の推計について御説明をいたしましたが、統計調査ではなかなか把握が困難な部分について、これに代わる数字として補完的にお示しをするものと考えてございます。
なお、資料の最終ページ33ページに、参考といたしまして、保護の停止・廃止の法律の根拠でありましたり、その運用を定めております実施要領を掲載してございます。
17ページ、マル6の「保護の停止世帯数の推移」の資料になります。こちらも平成24年度から令和2年度までの月別の数字になりますが、世帯類型別の数字は取っておりませんので、全世帯のみの数字となってございます。上段の左側の表は、各月の保護停止中の世帯の数、ストックの数となり、下段の左側の表は、対前年同月比の増減割合を掲載してございます。また上段右側の表は、保護停止中の世帯数の前月からの増減数となっており、フローの数となってございます。なお、廃止世帯数と同様に、保護の停止世帯数の増減も生活扶助基準の見直し以外の様々な要因を含んだものとなってございます。また、被保護者調査では、生活扶助基準の見直しによって最低生活費の減少を理由として保護が停止となった世帯を把握することができない設計となっておりますので、今回の推移はあくまで全体の傾向としてお示しをするものと考えてございます。
18ページから20ページ、マル7の「保護の開始世帯数の推移」の資料になります。こちらも平成24年度から令和2年度までの世帯類型別・月別の開始世帯数で、転入による保護の開始の場合は含まれないという数字になってございます。廃止・停止と同様に、保護の開始世帯数の増減は生活扶助基準の見直し以外の様々な要因を含んだものとなってございますので、今回の推移はあくまで全体の傾向としてお示しをするものと考えてございます。保護の廃止世帯数・停止世帯数・開始世帯数についてどのような評価等が行えるのか、御議論をいただければと思っております。
21ページを御覧ください。5つ目の柱であります「有子世帯の扶助の見直しによる影響分析」として、マル8「教育扶助及び高等学校等就学費に係る基準額の変化の状況」をまとめた資料になります。表中に「教育扶助の基準額+高等学校等就学費の基本額」について「見直し以前」「見直し後」の額を記載してございますが、これは一般家庭の平均的費用の実態を踏まえて支給額を改定したものでございます。一番左の欄で世帯ごとの子供の人数や就学状況を示しており、世帯数は平成30年7月時点でそれらに該当する世帯数を記載してございます。これらの世帯の状況が変わらないという前提で基準額を単純に置き換えた場合の見直しの影響の金額と変化率を推計してございます。子供の人数別の平均、「小計」ということで書いてございますが、その欄で見た場合、子供1人から子供5人以上まで、いずれの世帯においても見直しの影響額がプラスとなってございます。
22ページを御覧ください。5つ目の柱である「有子世帯の扶助の見直しによる影響分析」として、マル9「学習支援費の支給状況等」をまとめた資料になります。学習支援費につきましては、児童養育加算の見直しの趣旨を踏まえ、これまで家庭内学習費用や課外クラブ活動等の費用に対応していたものを、課外クラブ活動等の費用のみの対応とし、支給方法について、月額で定額を支給する方法から、年間の上限額を設定した上で必要なタイミングで必要な額、実費を支給する方法に見直しております。また、運用面においては、課外クラブ活動に要する費用が確認できる資料によって事前給付を認めるなど、できる限り被保護者の負担とならないよう対応したところでございます。学習支援費については、見直し前後を単純に比較して評価することが難しいことから、既存の統計調査のデータを用いて見直し前後で比較するという資料ではなく、全国に1,250か所ある福祉事務所のうち1,230か所から日々の業務の運用について令和2年度の状況を御報告いただき、その結果を積み上げたものとなってございます。
まず、学習支援費の支給割合について、令和2年度末現在の教育扶助、高等学校等就学費の受給人員数に対する学習支援費の受給実人数の割合ですが、小学生が2.6%、中学生が18.7%、高校生等が16.2%となってございます。資料にも記載しておりますけれども、扶助受給人員数には学習支援費の対象とならない課外のクラブ活動へ参加していない小学生、中学生、高校生等も含まれていますので、留意が必要となります。
また、前回、阿部委員から、クラブ活動への参加状況について一般世帯と比べてみることについて御提案をいただきましたので、右下に参考として「一般世帯における部活動の所属状況」を記載してございます。留意点といたしましては、スポーツ庁で実施をする「運動部活動等に関する実態調査」は不定期調査で、令和2年度の実施がなく、記載は平成29年度の調査の数字になります。このため、新型コロナウイルス感染症が流行する以前の数字ということになりますので、単純な比較は難しい部分があるかと考えております。また、小学生の学習指導要領には課外クラブ活動が位置づけられていないということでございまして、スポーツ庁の調査の対象になっておらず、小学生の比較ができないということになってございます。さらに、学習支援費の受給者には、実際にはクラブ活動に参加するも学習支援費の支給を受けていない者が含まれないことに留意をする必要がございます。
学習支援費の支給状況については、見直し後の学習支援費の1か月当たり支給額が見直し前の水準を超えている頻度が大体2回に1回となっておりまして、その支給額の平均は小学生で4,993円、中学生で8,711円、高校生等で1万1637円となってございます。
23ページを御覧ください。学習支援費の実際の運用状況についてまとめたものになってございます。上段の左側の表、学習支援費について生活保護受給世帯に事前案内(周知)を行っている福祉事務所が85%という数字になってございます。下段の左側の表では、生活保護受給世帯から物品等の購入前の相談の頻度をお尋ねしてございまして、「ほとんどない」というものが約3割、10件中1~2件だというのが約2割、10件中半数、8~9件、全部というものがそれぞれ1割ございまして、福祉事務所によって対応にばらつきがあるというところでございます。上段の右側の表、事前給付をされている頻度でございます。「ほとんどない」が6割弱、10件中1~2件が2割弱という一方で、10件中8~9件や全部という福祉事務所もあり、こちらも対応にばらつきがあるというところでございます。下段の右側の表、事前給付ではなく精算給付の申出があった要因として考えられるものとして、こちらは複数回答で聞いてございますが、事前に必要額を把握することが困難であったり、物品が高額ではなく事前に見積りを入手する手間をかけないと、そのような回答がそれぞれ7割となってございます。
24ページを御覧ください。23ページの回答で、事前の案内や周知を行っていない福祉事務所が15%あったことを踏まえて、事前の案内を行っている福祉事務所と行っていない福祉事務所で支給状況に差があるかどうかを示した資料になってございます。
資料2の説明は以上でございます。
続きまして、参考資料2「第42回基準部会における委員の依頼資料」について、簡単に御説明をいたします。
2点用意してございまして、1つ目「生活扶助基準の見直しに伴い他制度に生じる影響について」、2つ目として「生活扶助基準の改定状況」になります。前回の部会では、少し長期的に基準額の見直しの影響を確認したいとの御意見もございましたので、平成22年度、平成27年度、令和2年度の基準額と、平成25年8月から平成27年度にかけての基準の見直しの影響についてお示しをさせていただいております。
1ページを御覧ください。前回の生活扶助基準の見直しの際は、平成30年1月19日の閣僚懇談会において、できるだけ基準見直しの影響が他制度に及ばないよう対応することについて申合せを行っております。その上で、実際の他制度による対応についてですが、まず、個人住民税の非課税限度額の取扱いについては、平成30年10月からの生活扶助基準の見直しに係る対応結果として、平成31年度税制改正においては、基準見直し前の現行どおりとされ、以降、令和3年度分の個人住民税まで基準見直しによる非課税限度額の変更はされていないという状況になってございます。これによりまして、住民税非課税を所得区分として用いております介護保険制度や公的医療保険制度においても、基準見直しの影響は生じていないということになろうかと考えてございます。
なお、中段の※の2番目として記載をしてございますが、平成25年8月からの生活扶助基準の見直しについても、平成26年度税制改正において「平成26年度分の個人住民税に係る非課税限度額(均等割・所得割)については、現行どおりとする」とされてございまして、以降、平成30年度分の個人住民税に係る非課税限度額まで基準見直しによる非課税限度額の変更はされていない状況でございます。
2ページを御覧ください。生活扶助基準額を参考に、例えば生活保護世帯や要保護世帯の負担をなしとしたり、支援の対象として生活保護世帯や準保護世帯を含めていたりする国の制度についても、基本的には見直しの影響を受けない形で対応している状況でございます。主な制度といたしまして、上から医療、福祉、教育、年金と代表的なものを掲げてございます。例えば3番目の「就学援助制度における学用品費等の支給」におきましては、平成30年度当初に要保護者として就学援助を受けていた者について、引き続き特に困窮していると市町村が認めた世帯について国庫補助申請を認める取扱いとしておるというところでございます。また、4番目の「国民年金保険料の免除」につきましても、「法定免除」から外れる場合でも保険料を納めることが経済的に困難な者については「申請免除」という形で対応することが可能となってございます。
次に、地方単独事業につきましては、自治体に対し、数次にわたり、国の対応を御説明させていただき、趣旨を理解いただいた上で、自治体で御判断いただくよう依頼をしておるというところでございます。
3ページを御覧ください。地方単独事業の主なものといたしまして、準要保護者に対する就学援助の状況になります。令和3年度の文部科学省の調査結果によりますと、マル1の「生活保護基準の見直しの影響が生じない」とした市町村が87%、マル2の「生活保護基準見直しの影響が生じる可能性がある場合に、何らかの対応を行っている」とした市町村が7.6%で、ほとんどの自治体において見直しの影響が生じていないという結果になってございます。マル1の「生活保護基準の見直しの影響が生じない」とした市町村においては、準要保護者の認定に当たって生活保護基準を参照して判定する基準を用いていない場合、生活保護基準を参照して判定はしていますけれども、見直し後の基準を反映させない場合、さらには準要保護者がいない、または基準見直しの影響を受ける所得層に準要保護者がいない場合などがあったというところでございます。マル2の基準見直しの影響が生じる可能性がある場合に何らかの対応を行っている市町村には、見直し後の生活保護基準に基づく準要保護者の認定基準で否と認定される者について、改めて見直し前の生活保護基準に基づく認定基準により再認定を行うという対応がなされておるところでございます。
4ページを御覧ください。こちらは「生活扶助基準の改定状況」になります。前回の平成30年10月の見直しだけではなく、もう少し長期的に基準額の見直しの影響を確認したいという御意見を踏まえまして、平成22年度、平成27年度、令和2年度(10月以降)の世帯類型別の基準額の改定状況についてまとめさせていただいてございます。
また、6ページ以降は、参考として前々回(平成25年8月)の見直しの影響分析をお示ししてございます。こちらは前回の平成29年の検証時に平成25年8月からの見直しの影響を推計した資料になってございます。
参考資料2の説明は以上でございます。
■小塩部会長 ありがとうございました。
今回審議の対象といたしますのは、資料2でございます。意見、御質問がございましたらお願いしたいのですけれども、併せて参考資料2の「生活扶助基準の見直しに伴い他制度に生じる影響について」に関しましても、何かコメントがありましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。
阿部委員、お願いします。
■阿部委員 沢山の資料をありがとうございます。
教育加算のこともお聞きしたいのですけれども、最初に全体の生活扶助の基準額の変化について腑に落ちないところがありますので、どのように解釈すればよいか教えていただきたいのですが、マル1の推計において、母子世帯においては、例えば2人世帯の母子世帯は97.4%は基準額が上がったと推計されるわけですね。これは5ページの数値を見ております。全体で見ても母子世帯の81.7%は、もし同じ世帯が受給していたのであれば基準額が上がっただろうと推計されることですね。単純に世帯タイプなどを固定したままで新しい基準の体系を当てはめたら、基準額が上がっているはずであるということかなと思います。この結果と、例えば実際の消費実態の支出がありますけれども、これがマル3の消費支出の状況といったところになりますが、ここでの母子世帯が11ページにございます。この11ページで平成29年から令和元年までの消費支出額を見ていきますと、例えば母子世帯の2人世帯で見ても、一般世帯に比べて生活保護受給世帯は消費支出額が下がっているように見えます。例えば4~9月で見ますと、2017年は18.3万円だったものが令和元年には16万円まで下がって、2万円も減しているということなのですね。
この2つは両方とも、これは数値の取り方の違いだと思うのですけれども、違いがどこから出てくるかということなのですが、そうしますと、こちらの下の消費実態のほうは、母子世帯の2人世帯の内訳が、内訳というのはその母子2人世帯という以外の内訳ですね。級地など色々あるかと思いますけれども、それが変化したことによって実質的には保護基準、生活扶助も下がったような例えば地域に住んでいらっしゃるとかといったところが多くなったと考えるべきということなのでしょうか。単純に同じような属性の世帯がこの母子2人世帯の中に入っていれば、生活扶助基準と消費支出額は同じ動向を示すと思うのですけれども、なぜここで違う動向を示すのかということについて、どのように解釈すればよいか教えていただければと思いました。まずそれをお願いいたします。
■小塩部会長 今、阿部委員から御質問がありました、マル1、生活扶助基準見直しによる基準額の変化のベクトルとマル3、収支ですね。これの変化のベクトルにやや違いがあるのではないかという点なのですけれども、これをどう解釈すべきかということについてなのですが、事務局から御回答をお願いいたします。
■森口社会・援護局保護課長補佐 阿部先生、御意見ありがとうございます。
2点に分けて御説明をさせていただきたいと思います。まず資料2の一番初めのほうのマル1などでやっております基準額の変化の状況についてでございますが、そもそも生活扶助基準額の設定がどう行われているかということにつきましては、御案内のとおりかもしれませんが、まず、夫婦子1人の標準3人世帯の基準額の水準を設定して、この標準3人世帯を基軸として年齢別、世帯人員別、居住地・級地の別という基準体系に展開していくこととなってございます。そうした中で、この資料2の26ページから28ページに参考として、平成30年10月以降の生活扶助基準の見直しの概要をつけておりましてして、この中で基準体系については、平成29年検証の結果を踏まえまして、消費実態との乖離を是正するように見直しを行っているところとなってございます。
この中で、母子2人世帯などで基準額が上がっている結果となっていますね、ということで御指摘いただいたかと思いますが、27ページの基準体系の検証結果を見ますと、例えば年齢に応じた第1類費の状況などを見ると、消費の実態としては、当時の年齢別の基準体系に比べて11歳以下の子供にかかる費用が相対的に高いといった結果となってございますし、世帯人員別で見ても1類、2類ともに消費実態との乖離が見られたことから、是正をするといった見直しを行っているところでございます。
■阿部委員 今の色々な子供の年齢などにより基準を動かしたということですね。その影響はマル1の推計の中に出てこないのですか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 要因を分けて出てくるかという御質問でしょうしょうか。
■阿部委員 要因を分けてではなくて、全体としてなぜ母子世帯の子供1人世帯の90何%がアップになるとなるのかが、その中はもちろん最初のベースラインのときの母子2人世帯の子供の年齢の分布などを変えずに基準体系だけを変えているのですね。なのに、なぜ全部アップになるのかが分からないのです。
■森口社会・援護局保護課長補佐 御指摘、承知しております。その中で母子世帯が引き上がるところが多いというのは、まず、相対的に基準額が上がった子供の割合が多いという点、それから、人数別で見ますと、標準3人世帯を基軸として展開がなされておりますが、が標準の3人世帯から相対的に2人世帯などは基準額が引き上がっている状況となってございますので、結果的に母子世帯などでは基準額が引き上がる世帯が多かったということとなっていると承知しています。
■阿部委員 なぜそれが消費に反映されないのかということなのです。
■森口社会・援護局保護課長補佐 御指摘のところでございますが、それが一方で社会保障生計調査の結果の動向とは違うのではないかということで御指摘いただいていると思いますが、まず、こちらの社会保障生計調査でございますけれども、注釈には書かせていただいているところではございますが、集計世帯数自体があまり多くないという部分はございますので、どうしてもその部分である程度幅を持って推移などを見ていただく必要があるというところでございます。また、基準が変われば消費もそれに連動して変わるのではないかということで阿部先生から御指摘いただいたかと思うのですけれども、こちらに掲載させていただいております実収入のうち、当然なのですが、生活扶助以外での収入もこの中に含まれておりますことから、その状況によっては、この集計結果が全く同じ動向を示すかというと、必ずしもそうではない結果が出てくるようなこともあるかと思います。ですから、どうしても幅を持って見ていただかないといけなくて、なかなか解釈が難しいのではないか、というところでございます。
■小塩部会長 よろしいでしょうか。
この点、もし必要でしたら後でまた議論したいと思うのですけれども、宇南山委員はいかがですか。
■宇南山委員 ありがとうございます。遅れてきて失礼いたしました。
第1点に、この影響分析のところで、今回の影響分析についてどうこうしてほしいという話ではないのですけれども、中長期的な課題として、今は類型ごとにルールを当てはめてこういう額が増えた、減ったというのを計算しているわけですけれども、生活保護は完全に行政が把握して実際に支払っているものですので、実際の生の状況と支払額というのは、行政情報として管理されているはずですし、すべきものだと思います。ですから、政府のDX化みたいな観点からいっても、さらに最後のほうに出てくる教育扶助や学習支援費のようにケース・バイ・ケースになるために試算ができないような金額もあるということを考慮しますと、実際に支払っている額を行政情報から持ってきて、それを集計するような形に中長期的には、次回も難しいかもしれませんが、次々回の改定のときなどには対応して、行政情報から実際に支払った額をはかれるような体制をぜひとも整備していただけたらなと思います。
先ほどの阿部先生の質問とも絡むのですけれども、その意味では実際に支払った額が増えているのか減っているのか、ここで考慮されたもの以外で増えたのか減ったのかもよく分からない上に、消費の部分が何度も事務局も御指摘いただいているように、幅を持って見ないといけない状況になっているのですけれども、この幅がどれぐらいなのかというのは統計的に示す必要があるかと思います。生活保護受給世帯の社会保障生計調査のデータを使って、ぜひともこれらの消費支出や実収入などの調査結果に対する標準誤差のようなものをつけていただいて、マル1で見た結果とマル3を比較できて解釈できるような、これは統計的には無視してもいいねとか、統計的に違いが出ているのに整合的ではないねという議論ができるように、標準誤差のようなものをつけていただければと思います。
最後、学習支援費の支給状況について、24枚目のスライドが非常に興味深いものだと思います。この学習支援費というのが申請に基づく支給になったということで、非常に大きな変化だったと思いますが、事前に周知を行った福祉事務所と行っていない福祉事務所が実際には存在してしまったと。最終的にはきちんと周知していただいて改善していただこうというのは重要なことだと思いますが、現に生じてしまったこの差をきちんと解釈しておく必要があるだろうと思います。学習支援費の受給者の割合みたいなものを比較してみますと、事前に周知を行っていない福祉事務所ですと、中学生で見ると5%近く受給者の割合が違っていますし、高校でも3.5%ほど違っている。1か月当たりの支給額などを見て、事前に周知を行っていない福祉事務所のほうの額がすごく大きくなっていることを考えますと、急に今まで定額でもらっていたものが止まってしまったと。その結果、支払えなくなって困ってしまった人は、恐らく福祉事務所に相談するなりして、こういう制度がありますよということで支払いを受けたのだろうと考えますと、非常に大きいところは周知しなくてもカバーできた可能性はあるのですけれども、申請割合にこれだけの差が出たということは、制度の変更として特に生活保護の受給者のような世帯類型に対して何かを申請して渡すというのは、かなり厳しい制度変更なのではないかという意識があります。
実際に、例えば精算給付にした世帯が23ページに出ているのですけれども、額が小さいと申請する手間が多くて事前に申請しません。さらに恐らく額が小さければ、そもそももらうことすら断念してしまうということが発生すると思われますので、この学習支援費というのは原理原則としては柔軟に対応ができるようになったし、一遍に多額のお金が必要なら出せるようになったよという意味では改善になったのだと思うのですけれども、申請に頼るという部分が大きい制約になっている可能性がありますので、何らかの例えば固定的な支給プラス柔軟な部分のような対応が今後の課題としては検討の余地があるのではないかなと思いました。それは必ずしもこの基準部会のテーマではないかもしれませんが、影響分析としてはここの部分は結構慎重に見ていく必要があるのではないかなという感想を持ちました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
ただいま宇南山委員から幾つかコメントをいただきました。まず行政記録ですね。行政統計を使った評価ができないかというコメントです。2番目は、結果の見せ方において標準誤差等幅を持たせて見せるという工夫ができないかというコメントでした。3番目は、学習支援費の支給の仕方について評価をどうするかという問題があるという御指摘もありました。現時点で事務局から回答していただくことはできますでしょうか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 宇南山先生、御指摘ありがとうございます。
1点目、中長期的に生活保護の行政情報をデータベース化して、ちゃんと細かい分析までできるようにしてはどうかという点かと思いますけれども、こちらは、データを管理するシステム的な課題もございますので、今すぐにということではないのですが、今後どのようなことが可能なのか検討させていただきたいと思っております。
2点目でございます。消費支出の金額の動向につきまして、標準誤差を併せてお示しするということで、こちらは誤差の程度を確認させていただいて、次回以降の基準部会で資料として示すことができるよう検討させていただきたいと思います。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 続いて、学習支援費についてですけれども、原理原則の話については非常に御理解いただいているということなのですが、改めて御説明しますと、学習支援費につきましては教育費用の使途という点、その部分につきまして、支給方法の在り方の検討を前回しておりまして、その中で特に家計のやりくりがうまくできる世帯だけではないと。また、行事や年度初めに購入するものなど、随時一定の金額がどうしても必要になる場合があると。また、そういったものの中にはクラブ活動のようなものもあって、こういったものに対して、クラブ活動等の状況に応じて必要なタイミングで実費の支給が柔軟にできるように見直しを行ったという考え方に基づいていまして、実際、今回、福祉事務所から報告をいただいた内容を見ますと、見直し前であれば家計のやりくりで必要であった学習支援費の支出のようなものが約2回に1回の頻度で実費対応されているというような、実際に見直しを行ってよかったという部分も非常に見てとれるところです。
その中で、宇南山委員から御指摘のあった申請制度に頼ると難しい面があるのではないかという問題提起につきましては、我々としては今回、こちらは基準部会ですけれども、むしろ生活保護の運用として、いかに運用を改善できるかということを考えておりまして、厚生労働省としては福祉事務所で学習支援費の申請が漏れなく行われますよう、小学校から高校までの児童生徒がいる生活保護の世帯に対しましてしっかり周知を行うと。また、福祉事務所による日頃のケースワークにおいて、実際にクラブ活動への参加状況の把握に努めると。その上で、必要な費用が生じた場合にちゃんとその福祉事務所に相談がされるような助言指導を行うなど、まさに運用の面でさらなる改善を図っていくという中で努力していきたいなと思っております。
以上です。
■宇南山委員 ありがとうございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員、岡部委員、お手が挙がっています。順番にお願いいたします。
まずは山田委員、お願いいたします。
■山田委員 本当に詳細で膨大な資料を御準備いただきまして、ありがとうございます。
4ページから7ページまで見て分かることですと、母子世帯については、特に例えば5ページの構成割合で0%以上と0%未満を比較すると、8割の母子世帯が生活扶助基準としてはプラスになっていると。一方で、障害者や傷病者世帯については、6ページを見ますと6割がマイナスになっていると。しかも、これは生活保護を受給している全世帯の162万からみて、このマイナス2%以上引き下げている世帯を見ますと、全世帯の1割以上を占める、傷病者・障害者世帯の特に単身世帯を引き下げているというのが分かったりとか、さらに高齢者世帯についていえば、同様に2%以上引き下げているのが、生活保護を受給している全世帯の2割に相当する。かなりこれを見るだけで大きい引下げがあったなというのが分かりました。
さらに、これについても私は注に入れる重要な情報だと思ったのですけれども、口頭では消費税の改定のために引き上げた分を含めて、要するに引き下げた部分を相殺した分でこちらの表の値が出ているということは、実質的な消費についてはかなり引き下がっていることが容易に想定できるわけですね。しかしながら、不思議なことに、これは阿部委員と同じなのですけれども、高齢者世帯の生活保護受給世帯を社会保障生計調査で見ると、なぜか生活扶助が引き下がっているにもかかわらず消費支出額は上がっているように見える。実収入も見ると、実収入が引き上がっている。これはどう考えたらいいのだろうと。なかなか難しい。整合性をどう考えたらいいのだろうということで、宇南山委員からもありましたけれども、もう少しデータをきっちり整備する。これは前々から私は申し上げていることなのですけれども、このように生活保護受給世帯で大きな割合を占める人たちの引下げの影響を検証するには、データが非常に足りないと。
廃止理由についても、この廃止の中には死亡なども含めた廃止理由が全部入っているのですか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 死亡等も含まれます。
■山田委員 失踪等も含まれるということですね。
■森口社会・援護局保護課長補佐 はい。
■山田委員 ですから、こうした理由を聞くのであれば、データとしてそもそも保護基準額が引き下がったから生活保護受給が廃止になったというのが、このように改定を定期的に行うのであればその質問項目は当然入れないと、こうしたときにきっちりその効果を確認できない。
非常に膨大な資料をつくっていただいて、申し上げたように、非常にここまで大きな変化があったのだと、引き下がっている割合が高齢者世帯と障害者・傷病者世帯では多かったのだと分かる一方で、サンプルサイズが少ないとか、肝心の引下げの影響がどうもよく分からないと。ただ、政策評価というのは今、どこの省庁でも必ず行わなくてはいけないということが課せられているわけですので、データの整備が難しいではなくて、政策評価はやらなくてはいけないのだという前提がありますので、政策評価が実際にできるような体制を至急整えていただきたいなと思いました。膨大な資料を用意していただいたのですけれども、なかなかこれに基づいて何かこうだったと言うのはそういった面で難しい状況があるということです。
付け加えまして、宇南山委員の御発言で申請のお話がありましたけれども、これはあくまでも感想ですが、そもそも申請を、生活保護を受給している世帯の中でやってもこのような取りこぼしがあるのであれば、この部会の範疇の外になりますけれども、生活保護制度自体が急迫保護を除いて申請主義になっているのをどう考えるのかという投げかけにもつながるかなと思いました。
私からは以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、岡部委員からも御意見を頂戴いたします。
■岡部委員 私は、阿部委員、宇南山委員、山田委員から出されたことをもう少し限定しお話をさせていただきます。
学習支援費の関係です。この導入のときに私は基本部会の委員をしておりました。実費支給の前提として、生活保護制度を利用に当たっては制度の説明をしっかり行う。その上で、必要な方については適用していく。このことは制度運営の根幹に関わることです。せっかく生活保護の基準部会の中で議論をして、学習支援費について弾力的に運用をしていくことが生活保護の有子世帯の子供の利益に資する仕組みだと基本部会で合意をした経緯があります。その観点からしますと、このデータからは結果的には十分周知がされず、かつ事前給付または精算給付の運用に課題があるということになります。基本部会のマターではありませんが、各種扶助、とりわけ生活扶助基準について経常的なまた臨時的最低生活費に関わる部分を検討していますので、この点について、このデータは重く受け止めなければいけないことではないかと思います。
もう一点、お話をしますと、申請主義で行うということは、これは極めて権利性の高い、申請して権利を行使できるという側面があります。制度周知がされていない、申請について十分な対応をされていないことがあれば課題として考えていくことが必要と思います。これも基準部会そのもののマターではありませんが、基準部会で議論することは、制度運営をどうするかということにつながりますので、制度運営に関わる行政や他部会でもその辺りは周知徹底していくことが必要と思います。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他、いかがですか。事務局からもコメントをいただきたいと思うのですけれども、他に委員の方から御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局、いかがでしょうか。お願いします。
■池上社会・援護局保護課長 保護課長の池上でございます。
今、岡部委員から非常に重要な御指摘を頂戴したと思っております。実費を支払わせていただくというように制度改正をしたわけでありますけれども、それがうまく機能するためにはきちんと申請していただくことが重要だということは言うまでもないと理解しております。そういった意味で、今回、この調査をして15%程度の福祉事務所において事前の周知がされていないという結果が出たのは非常に残念な結果だったなと我々としても認識してございます。この点については、運用の改善を福祉事務所設置自治体に求めていく必要があるとも考えておりまして、しっかりと福祉事務所でこの問題を受け止めていただいて対応していただくように、我々としても努力したいと考えてございます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他の点につきまして、いかがでしょうか。
渡辺委員、お願いいたします。
■渡辺専門委員 ありがとうございます。
他の先生方のご意見と重複しますけれども、基準改定が被保護世帯にどういう影響を与えたかということの分析では、生計調査と被保護者調査が使われるわけですけれども、被保護者調査は全数調査になっていますので、本来だったら被保護者調査を使えば宇南山先生御指摘のように支給保護費総額みたいなものが出てくるはずですが、現行そうなっていない。これは被保護者調査においては現金給付のみしか記入されておらず、さらに現金給付の中でも一部は除外されてしまっているためです。現物給付分が分からないので最低生活費が計算できず、その結果、影響分析をしようとしても現金給付のみの影響しか分析できないということになってしまっています。調査票上の問題なわけですね。各世帯の最低生活費すら計算できないのが、今の被保護者調査なわけですね。これは調査票を変えればいいだけの話です。学習支援費は実費になっていますけれども、これも被保護者調査で分析できず、特別に福祉事務所に調査をかけなければいけないのは、実費負担のところの調査項目が漏れてしまっているからだと考えますので、給付体系を変えるときには、調査票も変える、改正するときは調査票の調査設計までやるというところで1セットだというところで、次回以降の基準改定の見直しがされるときに一緒に進めていただきたいなと思いました。
生計調査はサンプル調査だから平均値自体をそのまま比較できないということが事務局から御説明がありましたけれども、標準誤差で平均値を出してそれで検定をしたら別にサンプル調査でも統計的なことは言えますので、家計調査ももちろん標準誤差を出す必要がありますけれども、そこは追加的にやっていただいたらいいのかなと思います。
ただ、気になったのは、家計調査と生計調査を比較する分析の中で、10ページのところに点線の枠囲み注書きがであるわけですけれども、拡大乗数というか、ウエートづけの方法がどうしてこうされたのかを御説明いただきたいのですが、3つ目の※です。被保護者世帯と一般世帯の世帯類型・地域構成の違い及び経年の世帯類型・地域構成の変化による影響を除去する観点から、被保護者調査と一般世帯のいずれの集計も、元年度被保護者調査における世帯類型・級地構成により補正しているということなのですが、生計調査を被保護世帯の分布に合わせるように補正するというのはいいと思うのですね。つまり、母集団が被保護者世帯ですので、生計調査でのサンプルを被保護世帯の母集団に合わせるように補正をするというのはやらなければならないことと思いますけれども、一般世帯を被保護世帯の世帯類型・級地構成に合わせることがなぜ必要になってくるのか。一般世帯の家計調査もナショナルリプレゼンタティブになるように拡大乗数を作成しているものと思いますので、家計調査の拡大乗数を使うことで、全国での集計結果を算出し、生計調査と家計調査で比較すればいいのではないのかなと思いました。あえてこうせねばならない理由は何だったのだろうと思います。
それから、各先生方、学習支援費について御指摘されていますけれども、実費負担分がカバーできるようになったということは、被保護世帯における子供が社会・学校活動をするに当たっての経済的な制約が緩和されたという意味で、評価すべきと思っていたのですけれども、実際に蓋を開けてみたら受給者数が著しく少ないわけですね。部活動の所属状況を「一般世帯における部活動の所属状況」から見ると、中学校、高校だけで比べても5分の1ぐらい、4分の1ぐらいになってしまっています。本当に被保護世帯の中学生が所属していないのか、所属することを諦めたのかというのはこのデータだけでは分からないわけですけれども、仮に諦めてしまっているのであったら、これは問題だろうと思います。
学習支援費の目的が見直し前後で変わっているということで、見直し前後の水準を単純に比較することはできないという留意はありつつも、ただ、単純に予算総額を受給者数と支給月数と平均支給額から出すと、定額給付だったときと比べると10分の1ぐらいになっているのですね。定額給付だったときが60億ぐらいで、実費支給になった場合は5億弱ぐらいになっているのです。目的が変わったといいつつも10分の1ぐらいになるまでこの内容が見直されたとも思われないわけです。周知を行っていない福祉事務所は15%程度ということで、きちんと行っている福祉事務所のほうが多いという結果ですけれども、実際にお子さんがいらっしゃる被保護世帯において知っていたかどうかが重要なわけです。ケースワーカーの方は周知を行ったと思っているかもしれないけれども、実際に利用される方が知らなかったということであっては意味がないわけです。ですから、この周知徹底ということについては、結局最後は利用される方が知っていたかどうかが重要になってくるわけで、できるのでしたらお子さんがいらっしゃる被保護世帯において知っていましたかという調査をされたほうがいいのではないかと思います。知らないと出てくるのだとしたら、この実費負担の在り方は見直されなければいけないと思います。実費負担を知らなくて申請していなかったということであるのだとしたら、定額給付のほうがよかったのではないかという話にもなります。この辺り、もう少し詳しく調査して実態把握をされるべきなのではないかなと思いました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございました。
渡辺委員から御質問がありましたけれども、後でまとめて事務局から回答をお願いしたいと思います。
阿部委員もお手が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。
■阿部委員 学習支援費については、もう皆さん発言していらっしゃるので私からは言いません。私がお聞きしたいのはその1ページ前の高等学校等就学費なのですね。高等学校等就学費の基準額の変化をここで整理してくださっていますけれども、つまり、小中学生はプラスになったけれども、高校生はマイナスになっているのです。150円というところではあるのですけれども、この基準額の変化が何か、もしかしたら以前の委員会であったのかもしれませんが、なぜ高校生のところが下がったのかが、今、全体の国の動向として高校進学、大学進学を推奨するように子どもの貧困対策法で生活保護世帯の指標も決めておりますが、ここで高校生に対する支援が減った理由が分からなかったので、そこをお聞きしたいというのが1点。
2点目は、基準額の見直しによる影響ではないのですが、開始世帯の推移を見ていきますと、その他世帯では令和2年度、コロナの最初の年について、やはり開始が増えているのが分かるのですが、それが例えば4月、5月ですと非常に多くて4割近くも前年に比べて増えているのですけれども、母子世帯や障害者世帯は令和2年度でも開始世帯数がマイナスなのですね。この時期、国としても大変な方は積極的に生活保護を受けるようにということをおっしゃってくださっていたと思うのですが、2019年の景気のよかったときに比べても減っているというのは一体どういうことなのか、もし何か御存じでしたら教えていただきたいというのがあります。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他、いかがですか。
それでは、今、渡辺委員、阿部委員から御質問がございましたけれども、事務局でお答えできるような状況であれば御回答をお願いいたします。
■森口社会・援護局保護課長補佐 渡辺先生、阿部先生、どうもありがとうございます。
幾つかコメントさせていただきます。まず、渡辺委員からありましたところからでございますが、被保護者調査の調査票の設計について、制度の見直しに応じて変えていただきたいという御趣旨でご意見があったかと思います。こちらにつきましても、今後できる対応を検討させていただきたいと考えております。ただ、この調査の報告がどうなっているかというと、実際には福祉事務所がそれぞれ持っているシステムで、その実態を報告していただくこととなってございますので、どうしてもそれぞれの福祉事務所等でシステムを改修しなければならないという課題がございまして、今日、明日という対応はどうしても難しいところはございますので、引き続き今後我々のほうでは検討させていただければと考えております。
また、誤差の検定の話でございますけれども、家計調査のほうもということで、こちらも併せてお示しさせていただくように考えているところでございます。
3点目、今回お示ししました家計調査の結果について、被保護者世帯の分布に合わせている理由でございますけれども、こちらにつきましては、まず、5年前の生活保護基準部会において示されている分析においても同じような処理をしていたかと承知しています。これの趣旨としましては、私のほうでは、一般世帯と被保護世帯の地域構成の変化の違い、それぞれ別々の動きであった場合に、その影響を除去できるように、一方の分布に合わせているという理解でございます。渡辺先生がおっしゃったような方法は標準的な方法としてもちろんあることは理解した上で、地域構成の変化みたいなものの影響を除去するような観点からやっている補正だと理解しているところです。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 まず、渡辺先生から御意見をいただいた点なのですけれども、学習支援費の周知状況について、子供のいる世帯に調査をしてはどうかということでございます。実際に自治体が子供のいる世帯に対して直接確認したり、もしくは子供のいる世帯にアンケートを取ったりということなのですけれども、こちらについては双方ともに非常に事務的な負担がかかることもございます。今回、クラブ活動の実施状況も、事務的な負担も含めて色々検討した結果、取れなかったという事情もあります。そういうことも含めて、事務的な負担なども考慮しながら考える必要があるので、できるかどうかも含めて検討かなと思っております。
阿部先生からお話がありました高等学校の基準額の話なのですけれども、今、細かなデータを持ち合わせていないのですが、私の認識としては子供の学習費調査でたしか金額を検証したと認識しておりまして、今、そこは手元にデータがないので具体的にこの金額になったというところを確認はできていませんけれども、何の調査を基に検証したかというと、学習費調査だったと認識しております。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。追加のコメント、御質問等はございますでしょうか。
渡辺委員、お願いします。
■渡辺専門委員 御回答いただいて、ありがとうございます。
分布補正のところですけれども、地域構成の違いを反映するというのは直ちに理解が追いつかないのですが、前回検証でもそうされたということで、前回検証は何でそうされたのかも経緯を調べていただけたらとは思います。地域構成の違いというのは、被保護者世帯は全国に等しく散らばっているわけではなく、1級地-1と都市部に集中する傾向があるから、その分布を加味するためということなのか、ちょっと直ちには理解できませんでした。
学習支援費を利用される方々が本当に御存知かどうかを調査するというのは、福祉事務所にも御負担をおかけしますし、被保護世帯の方々にも御負担をおかけしますしので、調査票を配って回収して集計することについて様々な御負担があるというのは重々承知しておりますけれども、サンプル調査でもいいので趣旨を御理解いただけているか、どれぐらい御理解いただいているかを知る何か資料があるといいのではないかなとは思いました。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
事務局からコメントがありますので、山田委員、お待ちください。
■森口社会・援護局保護課長補佐 先ほど阿部先生から御質問のありました保護開始世帯の母子世帯や障害・傷病世帯の動向につきましては、そもそも世の中でのこの世帯類型の世帯全体全体の動向の影響ももちろんあるとは思いますし、現時点で何が要因でそうなっているか、というお答えを持ち合わせていないものですから、この場では分からないということでお答えさせていただきます。
■小塩部会長 ありがとうございます。
山田委員、お待たせいたしました。お願いします。
■山田委員 ありがとうございます。
先ほど参考資料2についても発言をということで、そちらについてまだ残しておりましたので、改めてコメントさしあげます。
まずは資料1の3ページの最後の※に書き加えていただきましたように、生活扶助基準の見直しの他制度の対応自体について、参考となる資料の収集を早速始めていただきまして、ありがとうございます。非課税限度額がずっと生活保護基準が引き下がったにもかかわらず変化がないとか、それによって他制度に変化はないということについては理解することができました。
その上で、参考資料2について教えていただきたいのですけれども、4ページ以降に「生活扶助基準の改定状況」があります。こちらについては1級地-1と2級地-1と3級地-2ということで、従来、特定の級地や特定の世帯類型のみ示していると。例えば若年単身世帯でも、もう少し若い人については示されていないということなのですけれども、質問ですが、教えていただきたいのは、示されているものと示されていない世帯類型や級地はどういう判断基準で示されていないのかということですね。
2点目としては、先ほどの基準改定の検証ができるようなデータ整備をということで、システム改修云々については、前回の検証についても同様のお答えが返ってきたところであります。非常にシステム改修は難しいとは思うのですけれども、先ほども申し上げましたように、前回の改定でどうしてもこれだけ高齢者、特に単身や障害者・傷病者世帯で引き下がっていると。消費税の引上げ分を除けばもっと実質的に基準引下げが及んでいる世帯は多いところについて、どうしても検証していかなくてはいけないところで、それがないと言われると、我々も十分な資料がなくてどう判断すればいいのか非常に困ってしまうので、なかなか難しいことは分かるのですけれども、少しは漸進していただきたい。検討中ではなくて今回どこまでできるのか。先ほど渡辺委員からもありましたように、小規模なテストをしていただけないかとか、今回の資料1の最後に福祉事務所にヒアリングは難しいということでありますけれども、何らかの形でアンケートをまいて、特に基準額の引下げが大きいような地域、福祉事務所については、どういう影響があったかという傍証となるようなデータを集めて、少しは漸進していただけないかというこれはお願いです。それについて可能かどうかをお答えいただきたいと思います。
非常にマイナーな点なのですけれども、先ほど少しテクニカルなところで聞き漏らしたところがございまして、社会保障生計調査を使った消費実態、消費支出額の変化のときに、前の月が不明な場合には埋めるとか何とかという操作をされたという話なのですが、下の囲み枠の中にはどうやら入っていないので、もう一度そこを教えていただきたいということです。
以上、よろしくお願いいたします。
■小塩部会長 山田委員、ありがとうございます。
岡部委員、お手が挙がっていたようなのですが、よろしいですか。
■岡部委員 後で時間があれば発言します。
■小塩部会長 承知しました。
それでは、山田委員から御質問があったのですけれども、事務局、いかがでしょうか。前の月の数字がないときの処理と。
■森口社会・援護局保護課長補佐 山田先生、御指摘ありがとうございます。
まず、最後の点の当月分が不明であった場合の補正についてですが、これは資料2の11ページの母子世帯のところに、該当箇所がこちらだったのでこちらの脚注に書かせていただいているところですが、※の3点目の後半のただし書きに、「母子2人世帯、母子3人世帯については、一部の級地においてサンプルが欠落する月が生じたため、当該月分の家計調査の結果はその前月のデータを使用している」ということで、家計調査のほうでどうしても母子世帯のサンプルがない月が生じましたので、そこについて前月分で埋めているという処理をさせていただいているものでございます。
■岡本社会・援護局保護基準検証専門官 答えになっているか分からないのですけれども、山田委員から質問ということでいただきました4ページと5ページに書いてある世帯であるとか、級地の出されているもの以外を示さない何か理由があるのかということでございますが、生活保護の基準がそもそもいわゆる世帯類型ごと、年齢など色々な属性によって異なるということで、我々としても対外的に説明する際にある程度代表的な世帯を決めまして、それで色々毎回違うような数字が出てしまうと一般の方も金額がすごく分かりづらいので、ある程度一定の世帯を今まで決めて外向けにお示ししてきたということでございます。こちらの3つに分かれているものにつきましても、これが6区分ですと非常にボリュームが出てしまいまして、特に生活保護の見直しなどをした際には、上と下と真ん中という形でこのような形でお示しさせていただいていると理解しております。
■小塩部会長 事務局、よろしいですか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 それから、システム改修など漸進していただきたいということにつきましては、御意見、承知いたしました。今、この場でどういうことがいつまでにできるということはなかなか把握できていない部分がございますので、これは検討させていただきますということで回答させていただければと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他、いかがでしょうか。よろしいですか。
山田委員、お願いいたします。
■山田委員 御回答ありがとうございました。
あとは福祉事務所を通じたアンケート調査の可能性についても御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
■小塩部会長 承知いたしました。
他に御意見、御質問はよろしいでしょうか。
渡辺委員、お願いいたします。
■渡辺専門委員 ありがとうございます。
今後のスケジュールがどうなっているのかを改めて確認させていただきたいと思います。今回の検証では、これまでの部会ではまだされていなかった級地指定の見直しも進めてきたところかと思います。その結果を踏まえて、その後、従来の生活扶助基準の検証が入るのだろうと承知しています。そのため、前回よりも作業量が多い。それから、下支えとなる水準の検証もさらに必要になってくることを考えると、あと8か月、年内ぐらいに取りまとめをするのであれば、結構タイトになってくるのではないかと思っております。ですから、級地については昨年度議論したように思いますけれども、級地指定見直しの結論がどうなったのかというところとか、今後の検証のスケジュール等をお伺いできたらと思います。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他に御意見、御質問はございませんか。
山田委員、お手が挙がっています。
■山田委員 何度も申し訳ございません。今のことに関して、地方に何かアンケートを取ったということをニュースで拝聴しておりますので、そちらについても適宜資料をお示しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
■小塩部会長 ありがとうございます。
今、渡辺委員、山田委員から御質問、御要望がございましたが、事務局からコメントはございますでしょうか。
■森口社会・援護局保護課長補佐 渡辺委員、山田委員、御意見をありがとうございます。
まず、スケジュールに関してなのですけれども、今後のスケジュールにつきましては、都度、部会長と相談の上、進めさせていただければというところでございます。
その上で、級地の話について御意見を頂戴したかと思います。級地制度の在り方に関しましては、御認識のとおり、昨年、基準部会において統計的観点から御審議いただきまして、昨年の9月には分析結果のまとめを示していただいたところでございます。これを受けまして、現在、厚生労働省において級地の階級数、個別の級地の指定の在り方について、自治体等と調整しながら検討している段階でございます。引き続き検討の段階となり、まだ自治体との調整は終了したというものではございません。先週、国と地方の実務者協議から一定の議論の整理が出たところではありますりますが、引き続き自治体との調整は終了していない状況でございまして、そういった状況の中で基準部会に現時点で何か報告をすることは考えていなかったのですが、御依頼ということであれば、部会長と相談して対応させていただきたいと考えております。
■小塩部会長 ありがとうございます。
他、よろしいでしょうか。
岡部委員、お手が挙がっています。御発言をお願いいたします。
■岡部委員 今日は貴重な資料を提供してくださいましたこと、御礼申し上げます。とりわけ生活扶助基準の見直しによって金銭給付が受けられなくなる世帯がどれだけいるかについて算出されている貴重な資料だと思っております。これが1点目です。
それに関連して、生活扶助基準そのものに関わるということで生活保護の開始・停止・廃止のデータも出していただきました。これは色々な見方があり、基準だけでは決まらない側面がありますので、この点は慎重に取り扱う必要があるのではないかということです。これが2点目です。これは、経済・雇用要因以外に、制度的な要因、行政的な要因や社会的な要因が規定要因としてあるということです。
3点目について、有子世帯の学習支援費等で子どもの教育・学習支援に関する様々な制度があります。それが十分活用されているかどうかということになります。私が関与している自治体ではマニュアルを作成し点検・実施を行っています。子どもの学齢期や、年間の時期に合わせてどの制度を利用できるとかを説明し実施しなければならないことを定めています。具体的には生活保護の担当者と関係部署が協力し書類を月別に教示や申請・決定し利用できる制度資源いてを記しており、それが実施されているかどうかもチェックしています。制度の周知をしていないと、当然制度の必要性も申請についても分からないということになります。これは相当自治体格差がありまた行っていると答えたところでも、積極的に行っているかどうかということがあります。これらのことを含めて渡辺委員、山田委員からもお話がありましたが、何らかの形でヒアリング等やデータを取ることが可能であれば行なっていただいたほうがよいのではと考えます。
以上です。
■小塩部会長 ありがとうございます。
岡部委員からも貴重な御意見を頂戴いたしました。数字の解釈、それから、制度運用についての追加的な情報収集が必要だという御指摘もありました。他の委員の方々からも多くの意見を頂戴いたしました。
今回委員から御指摘のあった内容につきましては、事務局で対応できるかどうかぜひ検討していただいて、それから、本日、積み残した部分がございますね。4番目かな。意識に及ぼす影響ですね。これにつきましては、今回紹介していただくことはできなかったのですけれども、そういう積み残しの分も含めて次回以降の基準部会について引き続き議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局から御連絡等はございますでしょうか。
■安西社会・援護局保護課長補佐 次回の開催スケジュールでございますが、現在調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。
■小塩部会長 どうもありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。