第16回 厚生科学審議会健康危機管理部会 議事録

日時

令和4年3月22日(火)13:00~15:00

議題

  1. (1)危機管理対応者の健康管理について
    (2)東京オリンピック・パラリンピックにおける危機管理対応について
    (3)国際保健規則に基づく国家連絡窓口機能の強化に関する令和4年度予算事業について
    (4)危機管理関連研究について
    (5)健康危機管理調整会議の開催状況について
    (6)ワクチン戦略における重点感染症の考え方について
    (7)その他

議事

 
2022-3-22 第16回厚生科学審議会健康危機管理部会
 
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 大変申し訳ございません。
Youtubeの配信がうまくいっていないので、録画させていただいて、後日、数日間配信可能という形にさせていただきたいと思っております。
それでは、定刻をかなり過ぎてしまいましたが、ただいまから第16回「厚生科学審議会健康危機管理部会」を開催いたします。
厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室長の鷹合と申します。
委員の皆様には、本日は御多忙のところお集まりいただき、御礼を申し上げます。
本日は、電気が逼迫しているということで、暗くして対応させていただいております。よろしくお願いします。
本日は、合田委員及び長島委員から欠席の連絡をいただいております。
また、佐藤委員からは途中から参加いただく旨御連絡をいただいています。立崎委員は遅れているようです。委員13名のうち、出席委員は過半数を超えており、会議が成立しておりますことを御報告いたします。なお、清古委員は、所用のため途中退席される予定ですので、御承知おきください。
また、本日は参考人として、国立感染症研究所感染症危機管理研究センターセンター長の齋藤智也先生。
国立保健医療科学院健康危機管理研究部部長の冨尾淳先生。
産業医科大学産業生態科学研究所災害産業保健センター教授、立石清一郎先生の以上3名に御出席いただいております。
また、先ほど申しましたが、Youtubeのライブ配信は、調子が悪うございまして、後日配信させていただく形としていただきますが、説明、回答は、できるだけゆっくり、はっきりと御発言いただくようにお願いいたしたいと思います。
また、資料は随時投映させていただきますが、本日は通信環境が悪いようなので、通信負荷軽減の観点から、資料の投映を途中で中断する可能性もございます。御了承ください。
それでは、これより議事進行につきまして、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、皆様よろしくお願いします。
感染研の脇田です。
議題に入ってまいりたいと思います。
議題1です。
健康危機管理対応者の健康管理について、事務局から趣旨の説明をお願いします。
○鷹合健康危機管理・災害対策室長 鷹合です。
近年、災害の激甚化により、復旧対応が長期化する傾向があります。
また、今般の新型コロナウイルス対応においては、保健所職員をはじめとする対応者の業務負担が増え、災害健康危機管理時における対応者の健康管理が今後の大きな課題と考えております。
本日は、健康危機管理対応者の健康管理をどのように確保するかについて、産業医科大学の立石先生と、保健所の現場の視点について清古委員から御知見をいただきたく存じます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、参考人として参加していただいた産業医科大学の立石先生、続けて清古委員から御説明していただきます。
まず、立石先生、よろしくお願いいたします。
○立石参考人 御紹介いただきました産業医科大学産業生態科学研究所災害産業保健センターの立石でございます。
当センターは、災害時の労働者の健康確保を目的に、令和3年に設立されたところでございます。
今般、既に御説明があったとおり、災害の激甚化等による労働者の健康管理の重要性が増してきているところで、私から説明させていただきたいと思います。
それでは、資料1-1を御覧いただければと思います。
1枚めくっていただきまして、「危機管理対応者の健康管理の必要性」で、3つの視点があると私たちは考えております。
1点は、対応者そのものの健康障害のリスクが非常に高いことです。
一番よく知られているのは、9・11の粉じんによる慢性呼吸障害等がございます。
様々な健康障害があると言われておりまして、それ以外にも、工場の中で爆発事故等が起こったときの有機溶剤等の暴露とかがあると言われております。
一番多いと思われているのが、過重労働等による脳心疾患・メンタルヘルス不調の問題かと思っております。これは急激に災害が起こったときに、今までやったことのない災害対応の業務による負担から発生するものでございます。
このような視点とは別に、重大な健康障害の発生時には、復旧作業が遅れることがございます。
私たちが支援しております福島第一原発におきましても、平成27年に災害がたくさん発生いたしました。安全総点検という対応をいたしまして、作業全体を止めて、もう一度安全の見直しみたいなことを行うことがございました。結果的に、復旧が遅れることにつながる懸念が見られます。
もう一点は、災害時であっても、使用者の責任を免れることは、一般的にはできないと言われております。
例えば新型コロナウイルス感染症等において、保健所の職員等は非常に負担の大きい対応をしていると言われております。
その中でも使用者は、行政の方々の指示命令系統がある状況においては、そこで働かせてしまって、体調が悪くなったことに関しては、一定の責任が負われるのではないかと言われているところでございます。
次のスライドをお願いいたします。
「災害発生時に発生する健康影響の相違点」で「住民」と「健康危機管理対応者」という視点で分けて、私たちで一覧表にしたものがございます。
一般的に、両者において「事前の評価」は「困難」であると言われております。
というのも、災害は、どのような災害が起こるのか分からないので、その対応は容易ではないところです。
また「指揮者」に関しましては、住民は「行政」にありまして「健康管理の責任所在」も一般的に「行政」にありますが、健康危機管理対応者は「使用者」で、消防等でございましたら消防庁そのものとか、その労働者を使っているところが責任の所在というところがありまして、当然、指揮者にございます。
「初期対応」に関しまして、住民は、基本的には「避難」を原則といたしますが、危機管理対応者は、危機が起こっているところにそのまま飛び込んでいかなければいけないところがあります。
ですので、現場での対応をしなければいけない可能性があること、災害等に関する外傷等の様々な健康障害の影響に関しまして、住民は「災害そのものによる曝露」でございますが、危機管理対応者は、災害対応時に災害が起こっているところの近くに行かなければいけないので、さらに暴露する可能性が高い、その健康影響を受ける可能性が非常に高いという関係性があるところがございます。
「健康障害リスクへの近接」という意味においては、住民は基本的に「退避」が原則ですが、健康危機管理対応者は近づいていかなければいけない。
「影響の期間」としては、住民は、災害が収まればある程度収まりますが、健康危機管理対応者は、その復旧作業において、ずっと関わっていかなければいけないと一般的に言われます。
ここから先は、私たちの研究の結果でございますが(社会の目)といたしまして、健康危機管理対応者に関しましては、むしろ時にバッシング等の厳しい視線がやられる。災害の復旧がなかなか進まないのは、健康危機管理対応者の対応によるものだというところで、時に社会的に厳しいバッシングを受けることがあったり(医療)も住民の目があるところで、なかなか受診し難い関係があると。
さらにもう一つ忘れてはならない視点は、健康危機管理対応者は、被災している住民そのものであることも結構多いところで、このような方々の健康管理の重要性が必要ではないかと私たちは考えております。
次のスライドをお願いいたします。
○立石参考人 健康危機管理という視点におきまして、縦軸に「安全」と「保健・衛生」で取っております。
「安全」は、転落したり、転倒したり、火災が起こったり、災害そのものによるけが等の問題でございますが、健康危機管理は、様々な暴露要因みたいなものがございます。ハザードと私たちは呼んでいるのですが、物理的健康障害要因、化学的健康障害要因、生物学的健康障害要因、人間工学的健康障害要因、心理社会的健康障害要因がございます。
例えば放射線という災害が起こったときには、当然、放射線人材が非常に有用でございます。
しかしながら、放射線の災害が起こったときは、周辺の別の問題も出てきます。例えば私たちが福島原発の支援を行ったときに関しましては、感染症が併発する可能性や、そこで発生する様々な化学物質の問題、腰痛等の人間工学的な問題やメンタルヘルスの問題と様々な問題が出てくるところがございます。
このような健康障害の全体的な要因を横串に見ていく視点を、私たちは災害産業保健と呼んでおり、労働者の健康リスクを総合的に下げていく役割を担うことが必要なのではないかと考えております。
次のページの「福島原発事故支援の経験から」というタイトルのところを見ていただければと思います。
災害時における労働者の健康問題の解決が必要で、一般的にはリスクマネジメントとクライシスマネジメントは違うと言われております。
災害が起こらなくても、健康障害の問題は常に存在しています。このブルーのところにあるものがそうだと理解していただければと思います。
しかしながら、災害が発生したときは、急激にたくさんの健康障害の要因が出てきます。災害に由来する健康障害対応は、クライシスマネジメントと呼ばれるものでございまして、その時々に対応できる人材の養成が必要であると言われております。
しかしながら、この分野に関する研究が非常に少なくて、私たちがここに発生する健康障害の影響をある程度類型化し、事前に予測することによって、どのような健康障害があるのかを示しておくことで、対応を容易にすることができるのではないかと考えており、その研究結果が次のページにあるものでございます。
6ページでございます。
「産業保健ニーズリスト」と書いてあるものでございまして「フェーズ1」「フェーズ2」「フェーズ3」と書いておりますが「緊急対応期」「初期対応期」「復旧計画期」等のそれぞれのフェーズごとに起こってくる災害時の健康障害のリスクをマトリックスの一覧表にしたものでございます。
この表を見ることによって、労働者の健康問題がどの時期に発生するかということを一覧的、網羅的に把握することによって、労働者の健康管理に事前に対応できるような一覧表を作成したものでございます。これは様々な災害における事例を集めたことによって、100個のニーズを収集することができたものでございます。
ちなみに、この資料に関しましては、アメリカの産業衛生学会等で生涯教育の資料として取り上げられるに至っております。
アメリカの産業衛生学会等では、災害時の労働者の健康確保は、産業保健の重要なコンピテンシーの一つと捉えられておりますが、今、日本の産業保健においては、そのような重要なコンピテンシーとして取り上げられていないので、産業保健業界においても、災害時の労働者の健康確保を引き続き私どもが発信していかなければいけないと感じている次第です。
次のスライドをお願いいたします。
「災害産業保健における健康障害予防戦略」ということで、私たちがこのような予防戦略が必要なのではないかと考えているのが次の表でございます。
三次予防、傷病者の対応や職場復帰の支援、再発/重症化予防に関しましては、既にDMAT等の既存の組織等が力を入れ、対応されているのではないかと思っております。
しかしながら、予防は、二次予防から一次予防という全体の予防戦略の中で行われることによって、労働者の健康障害のリスクを最小化することが理想的だと思っております。
二次予防は、早期発見・早期治療という視点です。そこにはスクリーニング戦略が必要だったり、個人や組織に介入することによって、ハイリスク者のリスクを低下させる対応が必要ではないかと思います。過去の災害対応の支援等の経験を踏まえまして、まずは二次予防の体制を示していくことが重要なのではないかと私どもは考えております。
それとともに、当然、一次予防(未然防止)という視点も重要で、事業継続計画や事業継続計画の中に健康管理の必要性みたいなことを載せていくこと。
そして、先ほどの健康障害の産業保健のニーズリスト等をお示しいたしましたが、研究結果により、事前にハザードを見いだすことにより、その対策を立てていくような一次予防の面も重要でございまして、一次予防実現のために、厚生労働省の健康危機管理部局や、労働衛生部局、内閣府の防災等関係部局で連携して、BCPの策定や防災計画に盛り込むことで、労働者の健康管理、災害対応者の健康管理がなされるのではないかと私たちは感じているところでございます。
一つ例を示して、皆様と議論できたらと思っています。
二次予防の例といたしまして、人吉球磨地区の研修会を実施いたしました。これは、そもそも健康障害はどのようなことが起こるのかということと、そのときの対応みたいなことを研修会で理解してもらうというプロジェクトを行いました。
そのときに、10地区の市町村が参加していただいたのですが、そのうちの4市町村ぐらいから要望を受けまして、質問紙による組織介入を行いました。それが9ページのスライドでございます。
9ページのスライドを御覧いただければと思うのですが、所属部門ごとに「K6」と記載されている鬱病や不安障害等に関するスクリーニングに関する問題。
そして「Wfun」労働機能障害等を部署ごとに見ていくことをやってまいりました。
そうすると、1つの部署、これは土砂災害等に直接的に対応しなければいけない部門だったのですが、ここに関してだけK6と言われる鬱や不安障害等が疑われるスコアが極端に高く、Wfunと呼ばれる労働機能障害も極端に高いところがありまして、ここには負担がかなり集積していることがデータとして示されました。
ですので、ここの部署に関する重点的な措置に関しましては、面談等による負担の軽減とともに、人を少し当てるみたいな組織的な介入等を含めて減らしていくことを行いました。
しかしながら、このような対応をしても健康障害が出てくる方はいらっしゃいます。健康障害が出ている方をできる限り最小化して、復旧活動において健康障害を起こさないこと、復旧活動そのものに遅れが出ないことをしていくことが災害産業保健であると思っております。
次のスライドをお願いいたします。
「災害時の健康確保フローチャート案」でございまして、私どもが災害対応を行うときのフローチャートとしては、基本的にはこのような視点で考えております。
まず、一番右側でございますが、暴露がたくさんある方に関しましては、何らかの面談対象。
暴露以外にも、一般健康状態ということで、少し健康影響が出ている方に対応していくこと、すなわち、災害における負担が大きい方と、健康障害上の問題という方に関しまして、一定のスクリーニング基準をかけまして、その方々の負担軽減というところから医療的介入を行っていくことに関して重要なのではないかと私たちは考えております。
あとは、個人的な介入以外にも、先ほどお見せしたような集団分析等をすることによりまして、負担が大きくかかっているところに関しましては、組織等にフィードバックすることによって負担を軽減させるような3段構えの対応が必要なのではないかと思っております。
次のスライドをお願いいたします。
ある都道府県から頂いた保健所の職員のデータの一部解析結果をお示ししているものです。
全職員で214名いらっしゃるのですが、第六波において、全30日間のうち、休息が1日も取れなかった職員が6人いらっしゃると。そして、1日しか取れなかった方が3人、2日取れた方が6人と、休息がなかなか取れない従業員がそれなりにいらっしゃったと。
災害が発生したときは、休息が取れない職員がいらっしゃって、健康障害のハイリスク群になり得るところが一つの論点でございます。
また、最近、勤務間インターバルが重要視されておりますが、9時間未満が20%以上ある方が21名いらっしゃったり、11時間未満が40%以上ある方が50名いらっしゃったり、人によっては、11時間未満の勤務間インターバルが全てであった労働者の方もいらっしゃったりということがございました。当然ながら、そのような方々は、労務負担がかなり集中しているところがありますので、健康障害のハイリスク群であると考えております。
それ以外にも、残業時間という視点で見た場合においては、ある都道府県においては、残業時間が200時間近いような方々もいらっしゃったりというところもございますので、そのような方々の健康を守っていくことの重要性が必要だろうと。そこには追加的な健康確保措置等が必要なのかと考えております。
次のスライドをお願いいたします。
そのようなことを解決するために、私たち産業医科大学の中で災害産業保健センターを昨年設立いたしましたが、災害産業保健外部支援チームをつくりました。このような大変な事業所、自治体等に関しまして、何らかの支援ができるようにというところで、まだ45名しかメンバーがおりませんが、これを徐々に拡大していって、10倍、20倍の人数で全国的に支援できるような枠組みを今、緒に就けたところでございます。
最後のスライドの「まとめ」でございます。
災害対応者の健康障害リスクは上昇しますが、一般的には保護の対象にならないことが現状でございます。災害時には「仕方ない」という理由で、無理して対応して、長期的に健康影響が出る可能性がございます。災害対応者の健康障害リスクの管理は、本人のみならず、災害復旧にとって必須なものであろうかと思います。二次予防の健康評価方法の策定のみならず、一次予防のための連携・計画の策定等の必要性があるのではないかと感じております。以上です。
○脇田部会長 立石先生、どうもありがとうございました。
続きまして、清古先生に御説明をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○清古委員 全国保健所長会から出ております、東京にあります葛飾区保健所の所長の清古と申します。
資料1-2になります。
よろしくお願いいたします。
もう丸2年を突破しまして、大分慣れてきた部分とそうでない部分もあるのですが、まだまだ終わらないことと、なかなか先が見えないということで、職員の健康管理の面ではかなり大変ではないかと思っております。
まず、保健所の業務のことを御説明したいと思います。
最初は、全て保健所を経由してということが多かったものですから、全てのことを保健所でやっておりましたが、だんだん業務の切り分けができるようになってきております。
「1 業務の切り分け」ですが、保健所によって違いますし、都道府県によっても対応は違いますが、これは葛飾区ということで説明したいと思います。
「(1)委託化が可能となった業務」では「電話相談業務」は、最初は区民からの相談を職員が交代で受け付けておりましたが、コールセンターに委託化できております。
でも、かなり個別の事例とか家族からの相談で、まだまだ保健所に直接電話も入っております。
それから「検体採取」ということで、PCR検査が重要であったのですが、2年前はそれを保健所が直接取ることをやっておりましたが、それについては医師会にお願いして、地域外来・検査センターを設置していただいて、そこでやってもらえるようになりました。
今はかなり医療機関でやっていただけるようになったので、大分よくなりましたが、施設でクラスターが起きますと、施設に行って検体を直接取るような保健所もまだ見られております。
それから「検体搬送業務」ということで、最初は地方衛生研究所に持ち込まないと検査ができない状況でした。それは今も時々ありますが、バイク便でお願いすることができまして、医療機関で検査をやっていただければ、そのまま民間の外注にという形に流れは変わっております。それから「患者の移送業務」がありまして、最初の頃は全て入院でしたので、全て移送をやっておりました。今は重症化の方のみになりましたので大分違いますが、最初の頃は保健所の職員が車で運んでおりましたが、それを民間救急に委託できております。
「(2)東京都での広域的管理、調整」ができるようになりました。
夜間・休日の自宅療養者相談センターができましたので、夜間・休日はそちらにお電話してくださいということでお電話番号をお知らせすると、そこにかかるので、夜間・休日はそちらで対応してもらうようになっております。
それから、入院調整がかなり大変でしたが、それも一括して都のほうでやってもらうとか、夜間についても、最初の頃は、夜間だけは保健所でということがありましたが、今はそれも委託で、何とか病院を探してもらうような仕組みになっております。
それから、高齢者の入所施設でのクラスターはまだまだ多いのですが、それについては、最初は保健所の保健師が現場に入ってということも多かったのですが、今は都からDMATの看護師を派遣していただいて、一緒に入る形に変わってきております。
それから、健康観察のフォローアップが必要なのですが、それも年齢によってフォローアップセンターで対応という形で拡大していただいております。
それから、食料の配送やパルスオキシメーターの送付があるのですが、これについては、食料は都で一括でやっていただいているのですが、パルスオキシメーターは、すぐに届けないといけない場合がまだありまして、それは当日、職員が手分けしてお届けというのがまだ一部ありますが、あとは郵送で送るようになっております。
(3)に就業制限書とか療養証明書がありまして、最初の頃は、入院になったら必ず就業制限をかけたり、家にいていただくことがありまして、全ての方に就業制限書を送っていたのですが、最近は希望者に変更しております。事務的な手間が結構大変ですので、そのように変えております。
療養証明書は、療養期間の証明になりまして、いつからいつまでということで民間の保険請求に関わるもので、お金に関係するもので結構大変なのですが、希望者に変更して、オンラインでホームページから申し込むように変えております。この辺は、いつ出してもらえるのかとか、いつまでかということで結構苦情につながりやすい要素がありました。
「(4)医療機関に依頼」が最近増えております。
濃厚接触者のPCR検査もお願いできるようになりましたし、発生届のHER-SYS入力もお願いできるようになりました。
それから、自宅療養者の健康観察は、一部ですが協力医療機関にやっていただけるようになったということで、全てが保健所という形ではなくなっております。
「事業所等への依頼」で、濃厚接触者の特定についても、最初の頃は保健所が全部聞き取りをして、この人とこの人をお願いしますということでお願いしていましたから、それも事業所にお願いするようになりました。
(6)は残された業務ということで、この辺は引き続きということで、広報活動とか届出の受理。
まだファクスでの届出がありますので、入力作業、調査結果の入力。
入院勧告は必要になりますが、この作成とか医療費の支払い。
それから、今、連絡会が重要でして、医師会とか病院、いろいろな関係団体との連絡会を定期的にZoomでやっております。
それから、福祉施設からは個別に相談が入ります。
それから、緊急の入院調整が入ります。急に具合が悪くなって救急車を呼ぶとか、その場合に入院先を探すとか、その辺がばたばたしたりとか、そういうことはまだまだあります。
それから、施設の方は、全て入院はできませんので、その間の健康観察とか、在宅で寝たきりの方の健康観察、その辺のハイリスク者の健康観察は保健所業務として残っております。
次のページをお願いいたします。
「保健所業務での課題」がありまして、そもそも保健所は従来、大体平日業務が主体でして、夜間・休日の連絡通報受理業務は、一括して東京都が委託している形ですので、そこから連絡があったら対応する形だったのですが、今回は土日も発生届が来ますし、健康観察も続きます、入院調整もあります、相談もありますということで、土日がないことと、年末年始もないということで、その辺でシフト体制が必要になったことがすごく大きいと思います。この辺は健康管理でも大きな問題かと思います。
時間外勤務となってしまったということで、葛飾区保健所は、夜の10時になるとガードマンさんがいなくなるので、閉まるようになっているので、何とかそこまでに終わらそうということで大変なのですが、ほかの保健所では夜中まで対応したとか、そういったこともよく聞いております。
「医療への関わり」です。
今までは、感染症医療では医療機関での外来治療で、必要時に入院ということが多かったのですが、今回は自宅療養者の健康観察を全て保健所が担うということで、症状悪くなったときには入院調整しないといけないとか、夜間に救急要請があったときに、救急車を呼ぶと、救急本部から連絡があって、どうするかとか、入院させるかとか、どこに入院させるかといった判断を求められる。それが夜間ということもありまして、それがなかなか大変だったことがありますが、今は協議の結果、その辺は改善されております。
「3 健康危機管理対応者の健康管理等」ですが「(1)特定の職員への負担軽減」で、対応がずっと続いておりますので、一部の職員だけではなかなか難しいので、全ての職員を兼務体制にするところが多いかと思います。
それから、担当の職員、特に保健師なのですが、早期の配置換えということで、最初の頃は1年を待たずに異動させて、ほかの方から入ってきてもらって、異動した職員は応援でまた入ってもらうといった形でやっております。
それから「全庁的な応援体制」ということで、フェーズごとに1週間の感染者数が何人になったら、全庁的にお願いしますと計画的に決めまして、その場合は全庁的な応援をやってもらうように、区役所と連携を取ってやっております。
「(2)事務の効率化」で、今回はデジタル化がかなり有効な対策だったと思っております。今までファクスが多かったのをHER-SYS入力にしてもらったとか、ずっと電話で聞き取りをやっていたのですが、第六波になってとても人数が多くて、ショートメールでの情報提供に切り換えております。それから、一々全部電話で聞き取って対応していましたが、そういったこともできなくなりましたので、ホームページから電子申請ということで、ホームページを充実させてそういった御案内をしております。
「環境の整備」ということで、これもなかなか大変でして、まず電話回線が足りないということで、拡大がすぐにできないことがあります。工事が必要だということで、携帯電話のレンタルで大体対応しております。
「勤務場所」は、保健所が狭いところはほかの場所を借りてとも聞きますが、うちの保健所では、大ホールと講演会をやるような部屋がありましたので、そこは専用の場所ということで、そこでずっと勤務しております。
でも、なかなか休憩場所が確保できないとか、お昼御飯は密になってしまうということで、その辺の確保が課題となっております。
「(4)受援体制の計画」ですが、全庁的な応援を受け入れるためには、受援体制ということで教えないといけないということで、固定の人が応援してくれるといいのですが、毎回日帰りで来られると、毎回最初にオリエンテーションが必要で、そういったことも負担になってしまうことがあります。そのため、保健所の中の職員からリーダーを養成して、そのリーダーの人が指導を行う体制を取っております。
「(5)職員の健康管理」ですが、土日が必ず入りますので、ローテートの当番体制によって、何とか週1とか週2は休日を確保するように変えております。
それから、時間外勤務は、最初の頃は、土日に出てきたら、振替休日ということで、きちんと平日に休むようなこともやっていましたが、なかなかそれもできなくなると、時間外勤務が増えまして、その場合は時間数をきちんと記録して、産業医の面接を入れております。
それから、その前に管理職でも面接をしたり、相談に乗ったりといったことで対応しております。
次の「課題の早期把握と対応策の検討」ですが、最初の頃は毎日ミーティングをやっていまして、その後は慣れてしまいましたが、今回の第六波は、かなり量が大変ということもありまして、第六波になってから平日毎日夕方の16時半から30分程度、ミーティングを必ずやっています。
管理職、対応者の係長級の職員に出て報告してもらって、毎日のように課題が出てきますので、すぐに対応策を決めて、その課題の解決のためにどうするかというのを協議するようにしております。
それから、土日も管理職1名を当番で勤務させて、連絡を必ず取る。なので、保健所の管理職は全てラインでつながっているような感じです。何かあったら、すぐにラインが入って、情報を共有するといった形になっております。
先ほど立石先生からもお話がありましたように、苦情対応が一番ストレスでして、家にいてもらうとか、家族内皆さんが感染してしまって仕事に出られないといった面でかなり苦情になったりとか、療養証明によってお金のことが係ると、かなり苦情が続いたり、救急病院に救急外来で来て、検査を受けて陽性だった場合に、そこから家に帰る方法がなくて、民間救急でお金がかかってしまったとか、そういったお金に関係することがすごく苦情になります。
うちの職員を攻撃するような形で、人が代わって対応するとか、そういったことで対応しておりますが、ほかの大阪の保健所でもかなり苦情が強いとか、そういうことはよく聞いております。
最後に、次のページになりますが、全国保健所長会で総会が12月20日にありまして「健康危機管理の体制整備に関する提言」をここで決めまして、ホームページで公表しております。
この中で、7番に「職員の心身の健康管理と持続可能な業務体制を構築する」ことが載せてありますので、参考にしていただきたいと思っております。
以上でございます。
どうもありがとうございました。
○脇田部会長 清古委員、どうもありがとうございました。
自然災害よりも感染症による災害は、今はコロナでもう2年以上続いているということで、かなりその影響が大きいことがよく分かりました。保健所の先生方は本当に大変だと思いますが、これは保健所の職員の方だけでなくて、病院であったり、自治体の職員の関係者、感染研もそうなのですが、大変な状況にあるということですね。
そういったところでの危機管理対応者に対する健康管理をどうするのかということに関して、今後の進め方等について皆様から御意見、あるいは今の御発表に対する御質問等があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
竹内先生、お願いします。
○竹内委員 横浜市大の救急医学の竹内ですが、まず、総論としては、全く同感だと思います。まず、災害時に関して(音声中断)東日本大震災、あるいは熊本地震のときには熊本県庁に入って、DMATの部長として国の方々と一緒にやってきて、確かに不眠不休でみんな頑張っていたということで、その中で、立石先生がおっしゃったような健康管理に気を配っていくのは非常に大きな進歩で、今後も大事だと思います。
今、脇田座長がおっしゃったように、コロナは2年を超えましたので、我々はダイヤモンド・プリンセスのときから横浜は地元でしたので、今もECMOに通じて、2年間やっているわけなのですが、私がここで一番お聞きしたいのは国なのです。国家公務員は、(音声中断)基準法は、時間法はもちろん適用されるにしても、労働基準法は適用されない。
今回のダイヤモンド・プリンセス、この2年間を見ても、厚労省の現場の方々が不眠不休に近い状態で、この2年間でやっとよくなったと思ったら第五波になり、オリンピックが終わったと思ったらオミクロンになって、大丈夫かなと。正直、僕自身としては、まず、国、厚労省がちゃんと管理できているのだろうかと。
その一つの背景として、このまま続くと、労務負担が強過ぎて、官僚に優秀な人材が来ないのではないかと。
今回のコロナに関しても、国の肝は厚労省の現場の方々で、コロナ対策室だけではなくて、ほかのところもそうだし、福島のときは原子力規制庁もだったし、そのような労働基準法が直接適用されないところが、多分、今、結構ブラックボックスになってしまっている気がしますので、ぜひ今回、ここであえて議事録に残していただいて。
国家も産業保健という考え方をしっかりと入れて、持続的なことをしていただき、かつ、優秀な人材がしっかりと官僚として入って、我々救急の現場とかと一緒にこれからもやっていただくようなことをぜひつくっていただきたいとお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。大曲先生、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。国際医療センターの大曲です。
立石先生にお伺いしたいのですが、ありがとうございました。大変参考となりました。
僕は病院で働く医療者ですが、病院でも全く同じ問題があって、何とかできないかなと思っています。
僕は感染症指定医療機関で勤務しているので、有事があると、それこそ二、三日寝ないで仕事することは当たり前だったのですが、それでいるとよくないのが今回、コロナでよく分かりました。実際、仲間にも大分潰れた者がいます。これはもうあってはいけないと思っています。
そういうことで、早速、病院でやりたいと思っているのですが、お伺いしたいのは、こういうプログラムを病院で展開するときに、専門職としてどういう方がいていただくのがいいのか。リーダーは管理職、病院管理者がやるとかにしても、専門の方々が必要であれば、どういう方々がいらっしゃるのがいいのかというのが一点。あとは、実際に病院レベル、要は事業所レベルで遂行できるように、例えば手順やマニュアルとかが既にあれば、教えていただければと思いました。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。重村先生。お願いします。
○重村委員 重村です。私は精神科医師でありますので、そのような観点から興味深くお話を伺っておりました。福島第一原事故もCOVIDもそうなのですが、目に見えない災害のときは、目に見えない災害の性質上、そのような社会的な中傷が非常に大きくなることがどうしても起こり得ることです。
例えば福島原発でしたら、目の前で爆発したとか、被曝するか分からないとか、様々な職業衛生上の脅威があるわけです。ですので、そのような様々なストレス、私たちは惨事ストレスと呼んでいるのですが、いわゆるトラウマとなるようなレベルのストレスまで含めたメンタルヘルス対策を健康危機管理レベルにおいて盛り込むことが重要ではないかと思います。
立石先生は現在、それに取り組んでいらっしゃると思いますが、ぜひその方向を進めていただけたらよいかと思います。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。委員として私からも。
保健所の先生方のお話を伺っていると、職員のローテーションもかなり重要だと思うのですが、それに加えてローテーションがあまりできない人々がいるわけですね。
特に管理者の方、所長さんとかはなかなか代わりがいないということで、過重な労働が続いていくということですので、そういったストレス、あるいは労働時間が軽減できない人たちにも対策が必要ではないかと思いましたというのが私のコメントです。
それでは、まず、大曲先生から立石先生に御質問がありました。
病院でも同じような問題があって、プログラムを展開するときに、どなたに頼むのが適切か、あるいはマニュアル等があれば、共有は可能なのでしょうかというお話で、立石先生、よろしいでしょうか。
○立石参考人 ありがとうございました。
病院等に関しましては、現在、既に病院等の医師の働き方改革において、いろいろなところで対応の議論が進んでおります。
その中で、A水準、B水準、C水準と決めていて、B水準、C水準の方々に関しましては、暫定的に残業時間を1,860時間までという上限をつくることがありました。
年間1,860時間の残業時間が本当に適切かどうかは、私がそこまで申し上げるようなところではないと思いますが、まず、さすがにこのラインを超えることは認められないのではないかという何らかのラインを決めるところにおいては、重要なことだったのではないかと思います。
それとともに、もう一つは、健康障害が既に出ている、もしくは出ることが明らかに目に見えている方々に関しまして対応していく、いわゆる二次予防、三次予防に関するケアという体制が重要であると思っております。
そのことを考えたときにおいては、病院に産業医がいるかとか、衛生管理者がいるかどうか、そして病院長等がそのような労働者というか、病院の職員の健康負担をきちんと理解しながら運営しているかということを勘案してやっていくような体制が必要なのではないかと思っております。
先ほどおっしゃっていただいたとおり、危機のときに一生懸命に頑張った方々が、現場から離脱して職場を辞めていく話はよく聞いております。頑張った方々が報われないのもあまりよろしくないかと思いますので、あまり極端に1人の人に負担が集中しないような枠組みのようなものを提案できたらと思っております。
私どももまだ始まったばかりと思っておりますので、これからぜひ一緒に大曲先生等と御協力しながら事例を積み重ねていくことによって、社会発信できればと思っておりますので、今後とも御指導いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ぜひ大曲先生と立石先生で協働していただいて、マニュアルといったものもつくっていただければ、広く使えるものができればと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
ありがとうございました。
それでは、そのほかに事務局に御質問等がございましたので、その点は鷹合さん、よろしいですか。
○岡田国際健康危機管理調整官 今、鷹合室長が公務で離席しておりますので、国際健康危機管理調整官の岡田から御説明させていただきます。
御説明、御議論を大変ありがとうございました。
竹内先生からいただきましたとおり、我々国としても、こういう危機対応をしていく人が健康障害、精神的なストレスなどで前線から離れていってしまうこと自体は、本人の健康管理もそうですし、我々国としての危機対応としても大変問題であると感じておりまして、今回、この議題を御議論いただきました。
事務局としましては、引き続き省内外の関係部局と連携しまして、健康危機の対応者の健康管理の在り方について検討を継続してまいりたいと考えております。
また、立石先生から御説明いただいた資料にもありますが、災害産業保健の外部支援チームに実績を積んでいただきまして、これが世の中に認知されてくるようになりましたら、防災基本計画などにしっかりと記載するように要望していきたいと考えております。
御議論いただきましたとおり、実際の有事になってしまうと、目の前の対応に追われてこういったことを準備、議論することはなかなか難しいと考えておりますので、こういった計画にしっかりと盛り込んで、現場を指揮する首長等が平時からしっかりとこういう対応をできるように準備していく、要支援者をしっかりと拾い上げていく体制を整えられるように、我々としても準備していきたいと考えております。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかに委員の先生方、いかがですか。大丈夫ですか。そうしましたら、事務局から、今後の進め方についての御説明をお願いしてもよろしいですか。
○岡田国際健康危機管理調整官 ありがとうございます。
先ほど少しお話しさせていただきましたとおり、我々としては、今後の方針としては、この議論をしっかりと継続しつつ、各先生方にもまた御意見をいただきつつ、国としての方針をしっかりと固めていきたいと考えております。最終的には、どういった体制を整えるべきかという在り方についてしっかりと固めた上で、基本計画などに盛り込んでいくことで進めていきたいと考えております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、議題の1番目はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
次に進みまして「東京オリンピック・パラリンピックにおける危機管理対応について」であります。まず、事務局から報告をお願いいたします。
○岡田国際健康危機管理調整官 事務局です。
まず、東京新聞の佐藤委員と放射線医学研究所の立崎委員が御入室いただいておりますので、御報告いたします。
議題2について御説明いたします。
東京オリンピック・パラリンピックについては、大きな事件もなく、皆様のおかげで成功裏に終わることができました。誠にありがとうございました。厚生労働省としましても、セキュリティーの確保、テロ対策に万全を期すために、体制を整えて対応してまいりました。その内容について、当室の原子力災害対策調整官の上杉から御説明いたしたいと思います。
なお、今回、議題がかなり多くなっておりますので、この先は、最後の議題まで、まず順次説明、発表させていただいた後に、全ての議題についてまとめて質疑応答という形を取らせていただきたいと思います。適宜、メモ等を取っていただきまして、後ほどまとめて御質問等をいただければと思います。
○上杉原子力災害対策調整官 厚生科学課の上杉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。「東京オリンピック・パラリンピックに向けた危機管理対応について」御説明させていただきます。東京オリンピック・パラリンピックに向けた政府全体・厚生労働省の体制といたしましては、当時の菅元総理を本部長とする東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部が設置されまして、その下に関係省庁連絡会議、セキュリティ幹事会が設置されております。
厚生労働省におきましても、セキュリティ幹事会と対応する形で、厚生科学課長を議長とする厚生労働省東京オリンピック・パラリンピック健康危機管理連絡会議を設置して対応いたしました。
厚生労働省の取組でございますが、医療とか検疫、水・食品の衛生管理の強化等を行いましたし、あとは医薬品の適正管理、テロ対策といったものにも取り組んでまいりました。
厚生労働省は、先ほど御説明した東京オリンピック・パラリンピック健康危機管理連絡会議でございますが、一番上に記載させていただいているとおり、2017年に第1回を開催いたしまして、本番直前の第13回まで、大体月に2回ぐらいのペースで連絡会議を開催いたしました。
その会議の中で対応を協議いたしまして、例えば先ほどお話しさせていただいた医療の問題、テロの問題等でここに書いてあるような通知を発出しております。
また「感染症サーベイランスの取組強化」といたしまして、強化サーベイランスを国立感染症研究所の先生方の御協力の下に実施しております。
続きまして、医療の側面でございますが、テロ災害発生時における情報収集体制及び医療提供体制の点検のところで、広域災害・救急医療情報システムを活用した情報収集の体制の強化とか、救急医療体制及びドクターヘリの管理体制の点検を行っております。
また、今回、幸いながらにして外傷外科に活躍していただくことはありませんでしたが「外傷外科医養成研修事業」といたしまして、爆発物、銃器、刃物などによる創傷の対応というところで、医師・看護師の技術向上のための研修事業を行っております。
最後に、NBCテロの対策でございますが、厚生労働省で国家備蓄しております化学テロ等対応薬品をいかに活用していくかという体制の構築、また、現場で活躍される消防職員、警察官、自衛隊、海上保安官の皆様に神経剤解毒剤自動注射器をいかに活用していただくかという観点にいたしました準備及び体制構築を行ってまいりました。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本中毒情報センターの取組につきまして、遠藤委員から御説明をお願いいたします。
○遠藤委員 日本中毒情報センターの遠藤と申します。よろしくお願いいたします。
最初に、日本中毒情報センターについて御説明申し上げます。
資料2-2になります。
1ページの下段のスライドを御覧ください。
中毒情報センターは、日本救急医学会が中心となって設立された財団法人です。
「事業内容」は、ここにお示ししましたように、マル1の化学物質による急性中毒の問合せに対する回答を中心に、6つの事業を行っております。
問合せ対応は、実際に急性中毒事故が発生している緊急時に、薬剤師が365日24時間対応しています。
次のページをお願いいたします。
上段のスライドを御覧ください。
ここに示しました連携モデルは、国が策定したモデルであり、日本中毒情報センターは、化学テロ、化学災害時に、消防等と連携する専門機関に位置づけられております。
ページ下段を御覧ください。
このモデルにおける中毒情報センターの役割は、原因物質の絞り込みとその中毒情報、毒性や治療情報の提供です。
次のページをお願いいたします。
この役割を果たすために、上段に示しました4種類のデータベースを整備いたしました。
下の図を御覧ください。
消防等の現場対応機関と情報交換して、発生状況、起因物質、被災者等に関する情報を収集し、その他の関係諸機関、専門家とも連携して、起因物質もしくは推定起因物質等に関する情報を関連機関へ提供できる体制を整えております。
次のページをお願いいたします。
厚労省から委託を受けて、これまでに「国際会議における首脳等に対するテロ対策」を2000年の九州・沖縄サミットから2019年のG20大阪サミットまで行ってまいりました。
また「教育活動」として、そこに挙げましたような毒劇物テロ対策セミナーをはじめとするセミナーの開催、各種研修会での講義、教育・啓発系資料を作成し、公開してまいりました。
次のページをお願いいたします。
上段を御覧ください。
東京オリンピック・パラリンピックにつきましても、厚労省から委託を受けて、量子科学技術研究開発機構、国立感染症研究所の御協力の下、東京オリパラ競技⼤会災害医療体制確保事業を行いました。
事業の概要は、オリパラ開催期間中において、NBC事案に対して、24時間体制で都市オペレーションセンター(COC)、消防等からの求めに専門的支援、助言を行うこと。
多数傷病者事案、NBC事案疑いの情報がもたらされた際は、NBC班内で情報共有し、COC、厚労省とも連携して対応することです。
次のスライドをお願いします。
下段になります。
化学テロ対応のC班としての助言の主な内容は、ここにお示ししましたマル1からマル4であり、マル2の解毒剤自動注射器の使用の可否に関する助言は、薬剤師では行えないため、専門の医師が日勤帯は情報センターに待機し、夜間・休日はオンコールの体制を取りました。
次のページをお願いいたします。
この図に示すとおり、事案発生時は、関係機関からの入電にNBC本部またはN、B、C各班にて対応し、NBC班内での情報共有の下、助言を行う連絡体制といたしました。
また、定時報告を毎日メールにより行いました。
下段を御覧ください。
「活動結果」を示します。
NBC本部及びC班として、NBC事案に関する情報収集・提供を行いました。
COC医療統括班から毎日活動報告を受け、その対応状況を把握しました。
定時報告にて、中毒情報センターで把握した集団中毒事例について、NBC班内で情報共有いたしました。
期間中、Cテロ活動を示唆する所見は認められませんでした。
最後のページをお願いいたします。
まとめになるのですが、この表は、国際会議開催中の化学テロ対策のために準備した資機材を示しております。
「検知」「除染」「解毒・拮抗薬」に分けてお示ししております。
下段には、化学テロ対策における今後の課題を挙げました。
化学テロの被災者の救命には、一つには、検知までの時間短縮。
次に、救出・救助までの時間短縮。
そして、医療を受けるまでの時間短縮が重要となります。
検知までの時間短縮には、表に示しました2019年のG20大阪サミット時に準備したCBRNクラウドシステムのように、どこでも持続的にモニター結果が共有できるシステムを全国各地の検知器や監視カメラを保有する関係機関と構築する必要があります。
次に、救出・救助までの時間短縮には、迅速な除染が必要になり、これに必須の拭い取り除染剤が安全に、安心して使用できるよう薬事承認が必要と考えます。
また、医療を受けるまでの時間短縮には、解毒剤自動注射器の薬事承認が課題と言えます。
上段の表になりますが、2000年当時は未承認であった解毒剤を赤字で示しております。
近年では薬事承認されており、準備も比較的容易になりました。
しかしながら、発生現場においても早期に治療を開始できる自動注射器型の解毒剤は薬事承認されておらず、今後の課題と言えます。
最後の課題ですが、専門家の確保です。
医師、看護職員でない現場対応者に解毒剤自動注射器の使用の可否を助言する専門家を国の施策として確保することが課題と思われます。
以上、日本中毒情報センターにおけるオリパラ対応について御報告いたしました。
ありがとうございます。
○脇田部会長 遠藤委員、ありがとうございました。
続きまして、国立感染症研究所の取組について、斎藤センター長、御説明をお願いいたします。
○齋藤参考人 よろしくお願いします。
感染研より、東京大会での感染研の取組ということで、まとめて御紹介します。
次をお願いします。
危機管理研究センターについて簡単にお話しさせていただきますと、感染研では、旧来、公衆衛生系を担うセンターは、感染症疫学センターが1つあっただけだったのですが、2020年4月に、疫学と実地疫学を担当する部門が感染症疫学センターに、ラボを担当していた部分に危機管理の専門部署を新設して、感染症危機管理研究センターが設置されました。
その後、昨年4月に、さらに実地疫学センターが独立いたしまして、疫学センター、危機管理研究センターそれぞれで部門を拡張して、この3センターが公衆衛生系を担っております。
今回、危機管理研究センターが設置されまして、最初に緊急時対応センター(Emergency Operations Center)を運営することになりました。
これまでもマスギャザリングと呼ばれる大きなイベント、ラグビーワールドカップ、サミットなどがございますが、そういうところでは「サーベイランス&アセスメント」部分と「発生時対応」については常に準備しておりましたが、今回、これらの機能的なユニットに加えましてロジ的なサポートをすることで、よりサーベイランスや発生時の対応を円滑化していく仕組みができたと言えるかと思います。
感染研の東京大会での活動をまとめております。
まず「事前のリスク評価」から始まります。
これは2017年に、外国人の方が多く来られることで、キャンプ地やホストタウンなどいろいろなところに海外からの方がたくさんいらっしゃるようになるということで、まず、それを前提とした感染症のリスク評価を行って、準備を行う方針で示したものでございましたが、新型コロナの発生によりまして、特に新型コロナ対策が一番のメインテーマになりまして、開催直前の6月の終わりにも、再度このリスク評価を出しております。
そして、一番の中心は、評価サーベイランス「発生動向調査」になりますが、まず、サーベイランス強化疾患がございまして、麻疹、風疹、EHEC、COVID-19、MERS、侵襲性髄膜炎菌感染症の7疾患を特に大会関係者に注力して、サーベイランスを行っております。
「イベントベースドサーベイランス」という形で、国内外の情報から関連する怪しい感染症の発生等、何か問題がありそうな、対処すべき感染症を検知する活動を行っております。
何か事態が起きたときには、個別にリスク評価を行って対応を決めていく。
日々の状況について、日報を作成して、関係機関に配付していくというのがございます。
今回、大会関係のコロナ感染者がいらっしゃいますので、それのフォローアップをしていくといったところが主な活動でありました。
危機管理研究センターとしては、特に対応のクロノロジー(時系列)の記録、あるいは情報共有、意見交換を促進するというところで、関係団体である省庁、組織委員会などと定例のウェブミーティングを開いたり、関係自治体とのグループミーティングを開いたりという形でサポートする、あるいは組織委員会、東京都への支援、東京都以外の自治体への支援、技術的な支援を行っております。
今回の教訓ですが、このようにたくさんの関係者、そしてふだんはない組織委員会、時限的な企画を含む対応のときには、関係機関と事前に合同でリスク評価を行っていくところから始めて、対応の内容に合意していくことは非常に重要です。
また、開催前から関係者間の情報共有を定期的に行うのは非常に重要で、これが大会期間中に実際に生きてくるのを実感いたしました。
「オペレーション」については、ガイダンス、SOPなどを事前に準備すること。
法に基づく対応、どういうことができるのかを事前に確認しておくことが重要だと考えます。
そして、今後もマスギャザリングはいろいろとあるかと思うのですが、その際に主催者との連携をしっかりとしておくのが非常に大事だと考えております。
特に主催者サイドとチャンネルを確保する上で、例えばリエゾンを置くのは非常に有効でありますし、会場などにアクセスするためのアクレディテーションを確保することも重要です。
そして、事例対応の際には、主催者側の担当者も巻き込んで一緒に活動する。
そして、コミュニケーションについて、きちんとワンボイスで発信していくといった協調、連携した取組は非常に重要だと考えます。
感染研の対応というよりは、研究班での対応ですが、厚労科研の指定研究で大規模イベント時の健康危機管理対策の研究班がございます。
今回、東京大会が終わって、1月に国際シンポジウムという形で、オンラインで大会の取組に関する振り返りのシンポジウムを行いました。
また、オリパラでのコロナ対策について、記述的にまとめたものを中間報告として現在作成しており、今月末までに仕上げる予定になっております。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
議題2から議題の8までまとめて発表していただいて、最後に質疑ということにいたしますので、少しメモと記憶をとどめていただいてということでお願いしたいと思います。
次に、議題3です。
IHRに関する予算事業について、事務局から御説明をお願いいたします。
○岡田国際健康危機管理調整官 事務局です。
IHRの国家連絡窓口機能の強化に関して、令和4年度予算案について御説明させていただきます。
資料3を御覧ください。
昨年度も御説明させていただきましたが、簡単に国際保健規則(IHR)についての御説明をさせていただきます。
国際保健規則(International Health Regulations)は、世界保健機関憲章の第21条に基づく国際規約でありまして、国際交通に与える影響を最小限に抑えつつ、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的としてつくられております。
全てのWHO加盟国が拘束下にある国際法となっております。
IHRの要点を記載しております。
まず重要なのは「WHOへの通報」になります。
原因を問わず、国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成するおそれのある全ての事象を対象に、WHOへ報告する義務がございます。
また、WHOへの通報だけでなく、各国への情報共有などを行うため、24時間いつでもアクセスできる国家連絡窓口を設置することが求められておりまして、厚生労働省厚生科学課が窓口となっております。
新型コロナウイルス感染症の流行下においても、IHRが重要な役割を果たしてまいりました。まず、初動における対応ですが、中国武漢市での肺炎が多発したことについて、第1報が入ったのもIHRですし、日本における第1例についてもIHRを通じてWHOに通報しております。
また、各国における症例数、死亡者数、疫学情報等についても、IHRに基づいてWHOと情報共有をしております。これは毎日、厚生科学課の担当者からWHOに報告しております。
また、下の囲みになりますが、WHO参加国の間でも情報共有を行っております。
患者や濃厚接触者が国際渡航するといった場合や輸入感染症の発生、各国の政策等について、加盟国間で情報共有をしております。
感染症の増加により、情報共有の量が急増しますので、今回、オミクロンの変異株の対応では、我々IHRとしても業務が急増しました。このようなこともありまして、引き続き24時間体制での情報処理の体制をしっかりと強化していくことが重要と感じております。
次のページを御覧ください。
令和4年度の予算案については、本日採決されると聞いておりますが、本予算案についても、IHRの強化についての予算を計上しております。
資料が少し変わりますが、参考資料2を御覧ください。
昨年度の部会において、長島委員より御指摘いただき、部会としてのご意見をいただいておりましたので、こちらのご意見も参考に、我々の予算を計上させていただいております。
資料3にお戻りください。
5ページ目に戻りますが、今回も24時間365日体制の常時連絡可能な専任スタッフを継続して配置する予算を確保することができました。
また、定員要求で国際情報係長が認められまして、4月から新たに採用いたします。
体制については、こちらをもちまして強化されたと言えると思っております。
2ポツ目ですが、国内外の健康危機管理情報を集約して、分析、情報発信をするポータルシステムを令和2年度に補正予算で確保しておりましたが、令和3年度は予算が認められず、運用できておりませんでした。
しかし、令和4年度の予算で運用経費を確保することができましたので、来年度からこちらのシステムを運用してまいりたいと考えております。
最後になりますが、これはIHRとは少し異なるのですが、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえまして、厚生労働省にも災害健康危機管理のオペレーションセンターを設置する必要があると考えて、予算要求をしておりました。
残念ながら、こちらは予算が認められませんでしたが、政府としては、次の感染症危機に備えて、本年6月をめどに、危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化、感染症法の在り方、保健・医療体制の確保など、中長期の観点から必要な対応を取りまとめることになっておりますので、その取りまとめも踏まえまして、改めて令和5年度に予算要求をするかどうかということを検討してまいりたいと考えております。
説明は以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、また次の議題に移ります。
健康危機管理研究についてでよろしいですか。事務局から説明をお願いいたします。
○岡田国際健康危機管理調整官 事務局から御説明いたします。
資料4-1を御覧ください。
2ページ目を御覧ください。厚生労働省では、医療、福祉、労働分野における課題について、科学的根拠に基づいた行政施策を行うために、厚生労働科学研究活動を推進しております。厚生科学課においては、2018年に行われました国際保健規則(IHR)の合同評価において、我が国の公衆衛生事案に対する予防・検知・対応能力について、お手元の資料にあるような指摘の事項をいただいております。これらの指摘事項に対して、厚生科学課として体制強化を図るために、科学研究を実施しております。
赤文字になっております課題は、既に研究を実施しているもの。
青文字が令和4年度から研究を開始するものとなっております。
3ページ目に具体的な研究課題名、研究の実施年度の一覧を掲載しております。
厚生労働省としましては、新型コロナウイルス感染症等のパンデミック、国際テロ等の健康危機のリスクが高まる中におきまして、こういった研究を進めながら、最新の知見を集約させて、施策に十分に反映させることで、国家の健康危機管理体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
私から以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
続けて、オールハザード・アプローチの手法につきまして、国立保健医療科学院の冨尾部長から御説明をお願いいたします。
○冨尾参考人 よろしくお願いいたします。
国立保健医療科学院健康危機管理研究部の冨尾と申します。
令和3年度の指定研究「オールハザード・アプローチによる公衆衛生リスクアセスメント及びインテリジェンス機能の確立に資する研究」についての研究の概要と得られた知見の一部について、御報告申し上げます。
まず「研究の背景」ですが、先ほど御説明がありましたように、2018年に実施されましたWHOの合同外部評価で、こちらにお示しした「リアルタイム・サーベイランス」「報告」「準備態勢」といった技術領域に対して、こちらにお示しするような個別の提言が示されました。
これを受けて総括した形で「オールハザードの情報集約体制」「公衆衛生リスクアセスメントとリソースマッピング」の実現に向けた知見の構築が必要であろうと言われましたので、本年度から2年間の予定で研究を開始しております。
次をお願いいたします。
次に、研究の背景を踏まえて、目的と体制ですが、本研究班は「オールハザード・アプローチによる公衆衛生リスク分析・アセスメントモデルの作成」「平時から事案発生時にシームレスに稼動するインテリジェンス機能の提案」の2つの目的を設定して、右にお示ししたような公衆衛生、災害医療、工学系の専門家を中心とした研究班体制で実施しております。
目的1については、ハザードや脅威に対するリスク分析とアセスメント手法の情報収集・整理、先行事例の分析。
目的2については、国内外の好事例や課題の分析、事案発生時の迅速なリスクアセスメントとコミュニケーションに資するような情報収集や分析システムの構築の検討を行います。
また、以上で得られた知見を基に、ケーススタディーやシナリオシミュレーション等を実施して、我が国の現状に即したリスクアセスメントのモデル等の検証を行うことを目指しております。
ここで、本研究班が重視しているオールハザード・アプローチについて、簡単に概要をお示ししますが、私たちの社会は、左側に色分けされているように、多様なハザードの影響を受けますが、ハザードの種類が異なる場合でも、準備や対応、復旧等に当たっては、共通して必要とされるような能力があると言われております。したがって、あらゆるハザードに共通の能力を構築して、効果的かつ効率的な対策につなげることが重要になります。
ただ、それだけでは十分ではなく、同時に、国や地域において特に大きなリスクとなり得るものについては、これを見極めておいて、それらに固有の能力を構築して対策を講じることも必要となります。この両輪を備えて、オールハザード・アプローチという考え方と思います。
こちらは参考情報になりますが、2016年にOECDの加盟国を対象として実施された調査の結果になりますが、自然災害やテロ、パンデミック等の重要リスクに対して、オールハザード・アプローチによる国家戦略を取っていない国、むしろ日本はそれに該当しますが、少数派であることが示されております。
ここから海外の事例について幾つかお示ししたいと思います。
こちらの表は、日本と同様に、WHOの合同外部評価を実施した主要国のレポートから、本研究と関係する技術領域について、各国の強みとして挙げられていた取組を抜粋したものになります。
例えば「リアルタイム・サーベイランス」については、カナダやオーストラリアでは、イベント・ベース・サーベイランスが行われております。
シンガポールでは、電子カルテ情報を用いた早期検知、あるいはオープンソースデータの継続的な監視によるホライゾン・スキャンなどが挙げられております。
「報告」については、シンガポールのワンヘルスの枠組みでの報告体制。
「準備態勢」については、米国の連邦省庁間業務計画や戦略的国家リスクアセスメント。
オーストラリアでは、学際的な専門家でリスクアセスメントの委員会機構を構築し、また、国家医療備蓄配備計画などの案が策定されております。
シンガポールでは、リスクマッピングや事前準備の結果、進歩的な取組が行われていることが挙げられておりました。
ここから幾つかの個別の国の事例についてです。
まず、アメリカですが、National Risk and Capability Assessmentという標準化された枠組みで、国と地域のそれぞれのレベルでリスクアセスメントが実施されています。
具体的には、こちらにお示ししているようなThreat and Hazard Identification and Risk Assessment(THIRA)と呼ばれるプロセスによって、地域社会あるいは国に影響を与える可能性のある脅威やハザードは何か、発生した場合、どのような影響があるのか、それらの影響を踏まえて、地域社会ではどのような能力を備えておくべきかといった観点から、地域や国のリスクを評価して、対策につなげています。
保健医療の分野においても、THIRAのプロセスに準じた地域レベルのリスクアセスメントが実施されておりまして、例えばHospital Preparedness Programという地域の災害健康危機管理の充実に向けた連邦の助成プログラムがありますが、こちらの需給要件ともなっております。
続いて、イギリスの状況ですが、イギリスでは、2004年民間緊急事態法に基づいて、国民保健サービス(NHS)の傘下の医療機関は、右上にお示ししたEmergency Preparedness, Resilience and Responseという枠組みに従って、緊急事態への準備、訓練等を実施することが定められています。
医療機関には、AEOと呼ばれる危機管理責任者の設置が法的に義務づけられていまして、この担当者が自治体や警察、消防等の関係機関と連携して、地域のリスクアセスメントを原則2年ごとに実施しております。
以下の文章は、これをイングランド全体でまとめたNational Risk Registerと呼ばれるもので、2~3年おきに発行されております。
少し小さいですが、左側の図が、2020年のNational Risk Registerに掲載されていたリスクマトリックスになります。
38項目のハザードについて、横軸に推定される発生確率、縦軸に影響の大きさをそれぞれ5段階で区切ったマトリックスで評価しております。
例えば今回の新型コロナの前の段階ですが、パンデミックは、赤丸で示すように、頻度は1~5%程度で、インパクトはかなり大きいと想定されておりました。
なお、イギリスでは、昨年11月に、英国の会計検査院から新型コロナのリスクアセスメントに関する調査報告書がまとめられておりまして、現行のリスクアセスメントに対して、こちらにお示ししたような課題や提言も示されています。
例えば不確実性の高いリスクであるとか、所定の時間枠を超えて発生し得るリスク、複数のリスク事象が同時に発生した場合の影響といったものが十分に検討されていないといった指摘も行われておりました。
時間もありますので、少し割愛したいと思いますが、オーストラリアとかその次のオランダでも、例えばオランダではNational Risk Assessmentという枠組みが国レベルで取られておりまして、向こう5年間の国家リスクをシナリオベースで評価したりということが行われております。
最後になりますが、国の事例をお示ししましたが、非常にタイムリーな形で、WHOが昨年、こちらにお示しするようなリスクアセスメントの実施を支援するツールキットを作成しております。
オールハザードの健康危機・公衆衛生リスクアセスメントについて、こちらの6つのステップによる手法を提案するものでして、本研究ともかなり関係が深い文書となります。
今年度に日本語訳を作成して、次年度に我が国での活用の可能性についても検討したいと考えています。
新型コロナの経験を踏まえて、各国でもリスクアセスメントの見直しが行われる状況ですので、引き続き最新の知見を収集しつつ、我が国のリスクアセスメントの在り方に資するような成果を示していきたいと考えております。
以上、研究班からの報告となります。
ありがとうございました。
○脇田部会長 冨尾先生、どうもありがとうございました。
次の議題にまいります。
議題5「健康危機管理調整会議の開催状況について」であります。
事務局から御説明をよろしくお願いします。
○岡田国際健康危機管理調整官 事務局です。
資料5を御覧ください。
毎年報告させていただいておりますが、厚生労働省では、月に2回健康危機管理調整会議を開催しており、省内で健康危機に関する情報の共有を行っております。
資料は、今年度省内で共有した内容になります。
「食品、水道関係」では、昨年6月にありました富山での食中毒事案、10月の病院での水道水を原因とするメトヘモグロビン血症の発生。
「感染症関係」では、引き続き新型コロナウイルス感染症の情報を共有しておりまして、そのほかにもエボラ出血熱や鳥インフルエンザの情報など、新しいところでは、アメリカで発生しました類鼻疽、欧州における超多剤耐性の赤痢菌の発生などについても情報共有を行っております。
そのほかにダニの媒介感染症、エゾウイルスの感染症などについても共有しております。
また、健康危機管理とは異なりますが「災害関係」の情報についても共有させていただいております。
さらに、参考資料1としてつけておりますが「国内でのテロに対する健康危機管理について」という通知を、東京オリンピック・パラリンピックに対応するために更新いたしましたので、その通知の共有なども行っております。
引き続き、省内の情報共有にしっかりと努めてまいりたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
それでは、議題6、重点感染症の考え方について、事務局から説明をお願いいたします。
○岡田国際健康危機管理調整官 御説明いたします。
資料6を御覧ください。
感染症の危機発生時の対応手段となる重要な医薬品等を確保するために、重点感染症の指定や医薬品の確保の在り方についての検討会を実施しておりますので、そちらの現在の状況について御報告いたします。
1ページ目を御覧ください。
新型コロナウイルス感染症の流行、その対応を踏まえまして、新たな感染症の発生にも備える必要性を強く感じているところです。
今後、流行し得る既知の感染症や未知の新興感染症に対しまして、感染症危機管理体制を強化する必要があると考えております。
このため、感染症危機発生時に、その対応手段となる医薬品等を感染症危機対応医薬品、Medical Countermeasures、MCMと呼んでおりますが、MCMの利用をしっかりと確保することが非常に重要でありまして、平時のうちにMCMの利用可能性をしっかりと確保するために、感染症の指定、その確保の在り方を検討する必要があると考え、感染症危機対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会を厚生労働省健康局に設置しました。
2ページ目を御覧ください。
感染症危機対応医薬品等(MCM)とは、公衆衛生危機管理において救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品・医療機器等と定義されております。
具体的には、ワクチン、治療薬、診断キット、検査などの診断技術などが狭義のMCMとされておりまして、それに加えて人工呼吸器、個人防護具なども広義のMCMと考えられます。
また、ある感染症に対して利用可能なMCMが存在する場合には、そのMCMを適切に確保することが必要になります。
また、利用可能なMCMが存在しない場合には、そのMCMを研究開発する必要があります。
全ての感染症に対してMCMを確保することは難しいですが、MCMの確保・研究開発上の優先順位をしっかりと設定するために、重点感染症を指定することが必要になっております。
3ページ目を御覧ください。
重点感染症の指定につきまして、昨年6月に閣議決定されましたワクチン開発・生産体制強化戦略に記載されております。
4ページ目になりますが、上の囲みの真ん中辺りで「厚生労働省において国際的に脅威となりうる感染症について、国内外における流行状況を把握し、我が国においてワクチン等の確保・研究開発が必要な感染症を特定する必要がある」と記載されており、重点感染症の指定をするようにということになっております。
5ページ目を御覧ください。
重点感染症に対する医薬品等の要件設定は、アメリカでは、保健福祉省のASPRという組織が行っておりまして、欧州では、欧州健康危機管理機構が担っており、日本では、この部分がまだ十分に整理されていないことが分かります。このため、速やかに重点感染症を指定する必要があると考えております。
本日、この部会の後、夕刻に感染症危機対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会の第3回が開催される予定となっております。本日、その検討会において、重点感染症の暫定リスト、重点感染症の該当性を判断するに当たり、考慮すべき事項についてのたたき台がまとめられる予定となっております。
こちらの暫定リスト、考慮すべき事項につきましては、4月以降も精査されていきますが、まず、3月時点のもので関係部会にお諮りして、了承いただきたいと考えております。
感染症の危機対応時の医薬品等の利用確保のための重点感染症の指定となり、こちらは健康危機管理の問題でありますので、本健康危機管理部会においても、委員の皆様にお諮りしたいと考えております。
本日の検討会を踏まえて、重点感染症の暫定リスト、重点感染症の該当性を判断するに当たり、考慮すべき事項についてのたたき台ができましたら、そちらを速やかに委員の皆様に送付させていただきますので、御確認いただきたいと思います。
健康危機管理部会、感染症部会、研究開発及び生産・流通部会の3部会合同の会議を持ち回り開催という形にさせていただきまして、こちらを進めていきたいと考えております。
説明は以上になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
資料については、一応、これで全て御説明が終わったということですね。
そのほかに何か報告事項等はありますか。大丈夫ですか。
そうしましたら、先ほど議題2から議題8と言いましたが、議題2から議題6までについて、まとめて質疑応答したいと思います。
竹内先生、お願いします。
○竹内委員 横浜市大の救急の竹内ですが、最初の議題2のNBC事案のことなのですが、早く言うと、地下鉄サリン事件は、平成7年から27年たちましたが、それがもう一回日本で行われたらどうなるかというので、いろいろな人々が全然進歩していないのではないか。つまり、もう一回同じことが起こったら、死者が倍増どころか、3倍、4倍になってしまうのではないかということが一つの懸念です。
オリンピック前に、厚生科学審議会健康危機管理部会で、それではまずい、東京オリンピックに向けて実効性ある対策を取らなくてはということで了承いただいて、この会の下部組織の化学災害・テロ部会ということで、私もそこに入って、消防とか自衛隊、警察、行政の方々と一緒に審議をしてきました。
それによって、医師以外のNBC部隊の隊員は、そのようなことがあったときに、自動注射器を現場で打っていいと国として認めることがぎりぎりオリンピックに間に合いまして、結果的に、幸い、そういう事案はもちろんなかったわけなのですが、僕が指摘したいのは、そのようなことが25年ぐらいかかって、やっと大きな進歩があったところなのです。
でも、これはどうしてもオリンピック前に、日本の危機の前にしっかりとやろうということが背景にありました。
ということで、オリンピックが終わった後も、当然ながら、化学テロがもう一回起こる可能性はゼロではないわけですので、ここまでしたことがしっかりと実行されるものにしなくてはならない。
このためには、一つは、簡単な条件が整えば、現場の指揮者の判断で打っていいとなっていますが、具体的には、検知管でサリンが検出されれば、自動注射器を現場の指揮官に打たせるとなったのですが、状況は怪しいけれども、検知管で確認できない場合は、専門家に相談する流れとなっています。
その専門家が、先ほど遠藤先生が言っていただいた中毒情報センターなのですが、これも夜間とかの場合や、24時間体制で中毒情報センターだけに頼っていいものかどうかというのが、今後、恒常的なものをつくっていく上で一つだと思っています。
我々横浜の横浜消防とか横浜のメディカルコントロール協議会に関しては、中毒情報センターと、ふだんから救急・消防体制を一緒にやっている地元のMC(メディカルコントロール協議会)の会長もその責任を半分負うということで、迷ったときには、僕の携帯電話にかかってくるようになっています。
ということで、多分、それは今後のモデルケースの一つだと思うのですが、現場でいざ事案が起こった、ただ、そのときに責任ある医師が打てというところに万が一つながらなくて、今まで25年ずっと審議してきたことが打てないということはあってはならないと思いますので、この点では、ここに電話がかからなかったら、中毒情報センターが何らかの理由で時間がかかった場合には、次とか2番手、3番手みたいな形で、化学テロに対する実効性を今後、国としても担保していく必要があるのだろうなと、ここだけは指摘させていただきたいと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、古米先生。
○古米委員 東大の古米です。
どうもありがとうございます。
資料2-3の国立感染症研究所の御報告の中で、COVID-19パンデミックにおけるマスギャザリングにおける公衆衛生ということでお話があったと思うのですが、私の知る限りにおいては、独自の動きかもしれませんが、分野横断的な研究チームで、MARCOというチームがマスギャザリングに対してどうすればいいかという活動をされておられるように知っております。
今回の取りまとめの中で、よい機会なので、感染症研究所ではなくて、全国的にマスギャザリングでいろいろとやられた成果をまとめていただくこともいいのかなと思いますが、そのようなお考えがあるかをお聞きしたくて、質問させていただきます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
大曲先生、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。
簡単に2点ございます。
1点目は資料3です。
IHRに関連する準備のところで、JEEでも指摘されているところで、大事なところで、ぜひお進めいただきたいと思っておるのですが、5枚目に情報基盤とあります。
これは大事なことだと思うのですが、どういったものを情報源にして、どういった方法で収集されているのか、デジタルなのか、どうなのかとか、少しイメージが分かるようなことで補足いただければと思ったのが一点です。
2点目は、資料4-2で、冨尾先生に御紹介いただいたところです。
これもすごく大事なところで、準備という観点では非常に重要なところだと思うのですが、要は、諸外国では、こうしたリスクアセスメントは、恐らく行政機関の中にチームをつくってやられるのだろうと思うのですが、そういう理解でいいのか。つまり、言い方を変えれば、第三者機関的にやられることはあるのかということ。
あとは、一般的にそうしたリスクアセスメントに基づいて、準備のための計画が練られていくものなのか、一応確認だけさせていただければと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
五十君先生、お願いします。
○五十君委員 ありがとうございます。
私は、資料6の5枚目の図なのですが、重点感染症の考え方の全体像を拝見しておりまして「日本の現状」の中に、アメリカや欧州で食品医薬品局(FDA)、ヨーロッパではEMAが挙げられているのですが、日本の場合は、このところに薬事・食品衛生審議会というニュアンスの違う表現が採用されております。
感染症関係となりますと、医薬品食品衛生研究所は、食中毒を感染研と一緒に対応するぐらいの位置関係になると思います。国立の研究機関として、医薬品食品衛生研究所がこの位置に入ってもよろしいのではないかと思いましたので、コメントを入れさせていただきました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
レギュラトリーの部分の国衛研の位置づけということですね。
では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 この間、コロナ渦でのオリンピック開催など人が集まる場での感染症対策についてはよく分かりました。しかし、先日も地震がありまして避難が必要になりました。
ほかにもコロナと水害の複合災害などで、例えば避難所に集まってしまう場合などは、通常よりも人が密になる状態が発生しますと感染症のリスクを高めてしまうのではないかと心配になるのですが、どのくらい高めてしまうのか、そのような影響評価は国としてはなされているのでしょうか。
その点をお聴きしたいと思っておりました。いかがでしょうか。○脇田部会長 ありがとうございます。
先ほどの冨尾先生のところで、リスク評価で、複合的な災害の場合のリスクはどのように変化するかというところにも関係するかと思いました。
それでは、今いただいた御質問、御意見に事務局から順番にレスポンスをいただけますか。
○岡田国際健康危機管理調整官 事務局です。
委員の先生方、大変ありがとうございます。

まず、竹内委員から御指摘いただきました、自動注射器の注射判断を相談できる場所をしっかりと確保していくべきというお話ですが、全く御指摘のとおりでして、我々としましても、実際にしっかりと打てるよう体制を継続的に整えていくことは重要だと考えております。
今、中毒情報センターにお願いしているところもあり、研究班として自動注射器の体制を整えてきた状況もありますので、そういった専門家の先生方と一緒に相談をしながら、どういった体制を整えるべきかということはしっかりと考えていきたいと思います。
御指摘ありがとうございます。
それから、古米委員から御指摘いただきました、マスギャザリングの取りまとめをしっかりとやるべきではないかという点に関しまして、我々としまして、今回、オリンピック・パラリンピックは何事もなく終了できたのですが、これは本当に幸いだったと思っております。
ただ、そのためにいろいろな準備をしてきたのは、自分たちの一つの資産になると思いますので、これをしっかりと振り返りながら、次のマスギャザリングイベントにつなげていくことが重要と考えております。
今回、オリンピック・パラリンピックに向けて、感染症研究所やいろいろな機関と協力、連携してやってこられたことが一つ大きな財産になっておりますので、それぞれの機関と協力しながらしっかりと振り返りをして、次につなげたいと考えております。
3番目は、大曲委員からIHRの件につきまして、情報基盤のお話をいただきました。
簡単に御説明さしあげますと、我々が今イメージしているものは、世界中のいろいろなオープンソース、各研究機関、大学、保健当局などが出している情報をしっかりと集めてきて、それを専門家の先生方にしっかりと分析していただいて見える化していく。
特に、見える化するときにしっかりとリスクコミュニケーションをやっていかないといけないと考えておりますので、どういった出し方をするべきか、どういった情報を集めてくるべきか、どのように分析するべきかについては、今後、研究等を行いながら、しっかりと検討して進めてまいりたいと考えております。
○佐々木課長 佐藤委員、厚生科学課長の佐々木です。
避難所といった、予期せずに人が集まる状況についての点です。
これは2つ考え方があると思います。
まずは条件設定で、その避難所がどれぐらい換気できているかとか、どれぐらい人と人の距離が取れるかということなので、条件設定がどうかという点での研究設計は、多分、避難所だからという要因によらずに、既に幾つかデータがあると思います。
ファクト、今までの実態はどうかと申しますと、この2年間で最初に遭遇したのは、7月2日未明の熊本の大雨のときだったと思います。あのときは、感染研や科学院からも人を出してもらって、感染予防は相当徹底しました。
年度が明けた4月ぐらいの段階から、内閣府防災部局と厚生労働省で避難所における感染予防策については相当やり取りをしていました。
結果として、御案内のとおり、避難所だからという感染事例はなく、応援に来てくださった自治体の方が、別の理由で感染報告があったということです。
その後も、直近でいうと、福島県沖を震源地とする地震もありまして、ここはまだ数日なので、発症したかどうかは分かりませんが、避難所で大規模な感染、クラスターが起きた事例はこれまでにないのがファクトでございます。
以上です。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○岡田国際健康危機管理調整官 それから、五十君委員から御指摘いただきました国衛研の位置づけについてですが、我々としても、いただきました御指摘を健康局と共有しながら、資料について検討してまいりたいと思います。御指摘、誠にありがとうございます。
○五十君委員 ありがとうございます。
○佐々木課長 あと、熊本は、国衛研も人を派遣していただきました。補足です。
○脇田部会長 多分、五十君先生がおっしゃった国衛研の関与は、薬事承認のところは審議会とPMDAで承認されていくのですが、もうちょっと前の段階、開発のところで国衛研に関わってもらったほうがいいのだろうと私は理解しています。
それから、オリパラの報告のところで、感染研の報告と、MARCOは、たしか東大の先生方が中心になってやられていた取組だと思うのですが、それのまとめはどのようにするというのは、事務局から何かございましたでしょうか。
○岡田国際健康危機管理調整官 ありがとうございます。
いただきました御指摘を踏まえて、我々としましても、今回、オリパラに向けていろいろな準備、対応をしてまいりましたので、そういったものをしっかりと次に引き継ぎながらできるように、まずはしっかりと振り返りをやっていきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
すみません。僕の接続が落ちていてよく聞こえなかったので、確認させていただきました。
あと、大曲先生が御指摘になった、冨尾先生のリスクアセスメントをどこがやるか、行政機関がやるのか、あるいは第三者機関がやるのかという御指摘は、何かお考えはございますか。これは冨尾先生に聞いたほうがいいのかな。
冨尾先生、いかがですか。
○冨尾参考人 よろしいですか。
○脇田部会長 お願いします。
○冨尾参考人 大曲先生、ありがとうございました。
私の知っている限りですが、第三者機関が設置されているところもあるようです。オーストラリアやオランダとかは、そういう形でコンソーシアム的なものが設置されているということです。
あとは、イギリスやアメリカとかであると、地域で他機関が連携してリスク評価を行うというところで、リスク評価に必要な情報は、1つの機関だけからは入手できないところで一つ大きいところがありますので、公的機関、民間企業、様々なところが一緒になってやっていくことが大切になるかと思います。
例えばアメリカの病院とかでも、例えば今年は近くのスタジアムでスーパーボウルが開催されるから、それに備えてリスクを改めて評価し直さないといけないみたいな取組も行われたりということがされております。ただ、それに当たっては、どこまでの情報を誰が把握できるのかというセキュリティに関する部分もあります。
その辺りは、イギリスなどはきちんと法的にも定められているようですので、今後、その辺りも把握して、還元していく必要があるかと思っております。
もう一つ、対策につなげるかどうかというところですが、もちろん、リスク評価の結果は、対策につなげて初めて効果を発揮することですので、評価されたリスクに対して、地域や関係機関がどのくらい対応能力を持っているのかを踏まえた上で、そことのギャップをはかって対策につなげる活動は取られています。
よろしいでしょうか。
○脇田部会長 冨尾先生、どうもありがとうございました。
いただいた御意見、御質問に対しては、大体レスポンスできたかと思いますが、そのほかに追加で御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
準備された議題と議論は、一応、以上となります。
それでは、事務局にお返ししようと思います。
○岡田国際健康危機管理調整官 ありがとうございます。
最後に御説明させていただきました重点感染症の指定については、本日18時30分からの検討会で考え方が示された後に、健康危機管理部会、感染症部会、研究開発及び生産・流通部会の3部会の合同会議を、3月中に持ち回り開催をさせていただきたいと思います。こちらで御承認いただく流れにしたいと考えております。
持ち回りの開催につきましては、追って委員の皆様にメールで御連絡させていただきたいと思いますので、御確認をお願いいたします。
また、本日は、通信環境が大変悪く、御迷惑をおかけしました。
Youtubeでの配信のために録画しているのですが、時々途切れてしまっておりまして、編集などを試してみたいと考えておりますが、どうしても配信できない状態については、議事録をもって対応させていただきたいと考えております。大変申し訳ございませんでした。
本日は、大変活発な議論を誠にありがとうございました。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。それでは、これで閉会とさせていただきます。今日も本当に、ありがとうございました。