第4回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会 議事録

日時

令和4年5月26日(木)

場所

オンライン会議

出席者

委員(五十音順)

議題

1.福祉用具貸与・販売種目のあり方について
2.その他

議事

第4回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会

○高齢者支援課長
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」を開催させていただきたいと存じます。
 構成員の先生の皆様方におかれましては、御多忙の中、また、新型コロナウイルス感染症に関する御対応等の中、非常にお忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は、これまでと同様に、従来の審議方式ではなく、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただいております。また、動画配信システムでのライブ配信も行わせていただいておりまして、一般公開する形を引き続き取らせていただいてございます。
 まず、本日は構成員の交代について事務局よりお伝えさせていただきたいと思います。日本介護支援専門員協会の濵田構成員に代わられまして、同じく同協会の副会長でいらっしゃいます七種秀樹様に御就任していただくこととなってございます。七種構成員、引き続きよろしくお願いいたします。

○七種構成員
 よろしくお願いします。

○高齢者支援課長
 また、本日は石田構成員が御欠席でございます。石田構成員からは意見のペーパーを頂戴しておりますので、後ほど事務局から御紹介させていただきます。
 また、事務局でございますが、出席者といたしまして、土生老健局長のほか、堀内審議官、橋本総務課長、笹子認知症施策・地域介護推進課長、登内同課課長補佐、高齢者支援課長の当方、須藤及び長倉福祉用具・住宅改修指導官となってございます。
 なお、土生局長におかれましては、今、他の用務の関係で、11時頃をめどに遅参させていただくこととなってございますので、御了承のほど、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認と、オンライン会議の運営方法について確認等をさせていただきたいと思います。

○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
 では、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第がございます。
 次に、資料1-1「開催要綱」
 資料1-2「構成員名簿」
 資料2「論点の整理について2」
 続いて、参考資料1「各種調査研究事業等による数値」
 参考資料2「施策関係参考資料」
 参考資料3「令和3年度老人保健健康増進等事業で作成された各種様式」
 岩元構成員提出資料がございます。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードしていただくなどの対応をお願いいたします。
 次に、オンライン会議における発言方法等について確認させていただきます。
 オンラインで御参加の構成員の皆様、画面下のアイコンのマイクについては基本的にミュートにしていただきますが、御発言される際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックしていただき、検討会座長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。御発言が終わりました後は「手を降ろす」をクリックしていただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 発言希望の御意思が座長に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては「手を挙げる」機能にて意思表示をお願いいたします。チャット機能等で記載していただいた内容については、オンラインの画面に表示されますので、御承知おきください。

○高齢者支援課長
 それでは、以下の進行につきましては野口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野口座長
 皆様、どうも、おはようございます。お忙しいところを御参集いただき、どうもありがとうございます。
 それでは、議事次第に従って進めさせていただきたいと思います。
 本日は「主な検討事項」の議題2「福祉用具貸与・特定福祉用具販売に係る適正化の方策」、議題3「福祉用具貸与・販売に関する安全な利用の促進、サービスの質の向上等への対応等」についての議論となります。
 また、次回以降は、本日の検討会の議論を含め、4回にわたる検討会でのこれまでの皆さんの議論を踏まえながら、中間的な取りまとめに向けた議論をしていければと思っております。
 それでは、事務局様より資料の説明をよろしくお願いいたします。

○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
 資料の説明に入らせていただきます。それでは、資料2の「論点の整理について2」を御覧ください。
 まず、1ページを御覧ください。本日は3つの主な検討事項のうち、座長より御説明がありました2と3につきまして御議論いただきますよう、資料の御説明をさせていただきます。
 2ページ目になります。2つの検討事項につきまして、それぞれに着目すべき2つの論点をお示ししています。
以降のページでは、4つの論点ごとに、現況、これまでの検討会での御意見、関連するデータ、特に御議論いただきたい点を記載させていただいております。また、関連データに記載しておりますページ番号は参考資料1のページ番号を示しております。
 3ページを御覧ください。検討事項2の論点(1)としまして「貸与時等における福祉用具の適切な選定の促進・利用について」です。
 現況でございます。介護保険制度の給付対象となる福祉用具は、種目、種類を告示と通知によって定めており、個別の製品の指定等は行っていないところです。介護支援専門員は、利用者の能力、置かれている環境等のアセスメントに基づき、サービス担当者会議の開催により、各担当者から、専門的な見地からの意見を求め、ケアプランの原案を作成しております。ケアプランに福祉用具貸与を位置づける場合、ケアプランに福祉用具貸与が必要な理由を記載することとしていることや、福祉用具専門相談員は、ケアプランを踏まえ、利用者等の状態の把握、機能や価格の異なる複数の福祉用具に関する情報提供、実際の福祉用具を使用させながら使用方法の指導等を通じて、個別の福祉用具の選定・提供を行い、福祉用具貸与計画書を作成しています。
 しかし、福祉用具の選定に際して、介護保険法の理念である自立支援の趣旨に沿わない事例があったことから、要介護者等に適正に選定されるよう介護支援専門員等に活用されるため、平成16年に「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」を作成しております。
 4ページに続きます。
 なお、福祉用具の給付種目の追加等の検討につきましては「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」で議論を行っているところですが、既存の給付種目(種類)の見直しについては議論したことはございません。
 続いて、これまでの検討会等での御意見ですが、福祉用具の選定の判断基準について、平成16年の策定以降に追加された福祉用具もあるため、判断基準の見直しは必要であり、適正化の方策の一つになり得る。また、選定基準については、判断基準内容の細分化、業務別の取扱いの注意事項の明記、多くの関係者が選定基準を活用するための再構築等、必要な改正を実施するべき。また、介護保険創設時は福祉用具の量や種類が十分でなかったが、現在は豊富な中で評価検討会で対象とする福祉用具を検討しており、種目の在り方についての範疇を明確にしておくことや、二十数年経過して、どこまでを13種目の種類に入れるのかといった点について、議論が必要であるのではないか。既存の福祉用具についても、一定期間が経過した場合には再評価するべきではないか。また、介護予防福祉用具貸与の種目については、比較的軽度者の方の利用が増えている中にあっては、より重要性が増しているが、その対象種目についてきちんと検証すべきであるといった御意見がございました。
 5ページを御覧ください。関連するデータについてです。
 公益社団法人テクノエイド協会が運営する福祉用具情報システムに登録されている福祉用具の状況及び一般社団法人日本福祉用具・生活支援用具協会の調査から福祉用具の市場規模の増加についてお示ししております。
 また、介護保険制度の福祉用具の種目・種類の追加状況については、福祉用具貸与の種目は自動排せつ処理装置で、種類におきましては移動用リフトに階段移動用リフト、歩行器に自動制御等による利用者の移動を補助する機能が付加されたものなどの追加がされております。特定福祉用具販売では、令和4年度に排せつ予測支援機器の種目を追加した以外にも、種類の追加として、入浴補助用具に入浴用介助ベルト、腰かけ便座に水洗ポータブルトイレなどがございます。
 また、福祉用具の希望小売価格の平均値との比較では、歩行器、手すり、歩行補助つえでは平均値より低い製品も多数登録されておりますが、スロープについては満遍なく登録されている状況にあります。福祉用具貸与の受給者数は20年間で5倍に増加しており、特に要介護1・要支援の方は7倍と増加、令和3年度では全体の41%を占めております。
 6ページを御覧ください。特に御議論いただきたい点としましては2点。
 給付対象となる福祉用具の種目・種類の拡大、市場に流通している商品の多様化、要介護1・要支援の方の割合の増加等を踏まえ、貸与時等における福祉用具の適切な選定の促進や利用のために、どのようなことが考えられるか。介護保険の福祉用具の特定の種目や種類を見直すことについては、種目等のカテゴリーの中で市場等の選択がなされている点なども踏まえつつ、どのようなことが考えられるかについてでございます。
 7ページは、同じく検討事項2の論点(2)としまして「貸与決定後等における給付内容の検証の充実について」です。
 まず、現況です。福祉用具は貸与決定後も、介護支援専門員や福祉用具専門相談員が利用者の状態や福祉用具の使用状況を把握し、見直しも検討しているところです。報酬上の取扱いとして、居宅介護支援事業所においては、前の6か月間に作成したケアプランに位置づけられた訪問介護サービス等の提供総数のうち、同一の訪問介護サービス等に係る事業者によって提供されたものの占める割合が80%を超えた場合は、特定事業所集中減算が適用されます。また、介護給付等に要する費用の適正化のための市町村の取組では、地域支援事業の任意事業である主要介護給付等費用適正化事業に、福祉用具購入・貸与調査を含む住宅改修等の点検やケアプラン点検がございます。住宅改修費、福祉用具購入・貸与調査については、点検等が実施されていない保険者は、住宅改修では32%、福祉用具購入は49%、福祉用具貸与は72%となっております。一方、ケアプラン点検は85%の市町村で実施されています。
 8ページを御覧ください。
 貸与決定されたものを種目ごとに見ると、平成23年と令和3年を比較した場合、手すりは給付費が5.2倍、他のスロープ、歩行器、歩行補助つえが1.7倍~2.9倍となっております。手すりは、介護保険における住宅改修でも給付対象となっていますが、福祉用具貸与との優先関係はございません。また、福祉用具貸与では、同一種目の複数個支給については告示や通知等で制限をしておりません。
 次に、9ページを御覧ください。
 これまでの検討会等での御意見として、福祉用具が状態に合っていない方に給付されてしまうと、状態の悪化を招くことになるので、アセスメント、選定相談、適合確認、貸与後の福祉用具の使用に関するモニタリングが適正かどうかという点から、しっかりと見ていく必要がある。福祉用具貸与のみの場合のアセスメントやケアプランの作成、モニタリングや給付管理等、ケアマネの業務がどのようになっているのか、他の利用者との差が大きくなることはないのか。また、ケアマネに対する指摘もあることから、どういう状況であるのか、チェック機能等についても議論していく必要がある。また、実務者研修や更新研修等において、多職種連携のポイントを学んでいる。福祉用具だけのケアプランでも、ケアプラン点検の実態を把握して、どういったことができるのか。ケアマネ自身も問題意識を持って取り組んでいくことが重要。また、手すりについては、工事前の暫定的な手すりの貸与や住宅改修以外の方法でも必要であり、メーカーの開発努力によって製品が充実した結果、使用も増えている点も踏まえるべきであるといった御意見がございました。
 10ページを御覧ください。関連するデータについてです。
 保険者における福祉用具購入・貸与調査等の実施状況については、点検を実施しなかった理由として多いのは、いずれも平常業務多忙、担当職員の不足、専門的な知識を有する職員がいないというもの。福祉用具貸与調査の結果、改善指示及び過誤申立てにつながったのは41保険者であり、過誤申立て金額の合計は約406万円となっております。ケアプラン点検におきましても、実施しなかった理由は同様であり、点検対象は全事業者の一部のケアプランを点検が39.1%、次いで、一部の事業者の一部のケアプランを点検するが36.2%、全事業者の全てのケアプランを対象としている保険者は20.0%となっております。点検の結果、改善指示を行ったケースは6.6%であり、事業の実施により、過誤申立てにつながったのは106の保険者であり、過誤の申立て金額の合計は約1億2364万円となっております。
 11ページ、続きでございます。
 住宅改修等の検討状況におきまして、住宅改修をせず3年以上手すりを貸与している理由として「住宅改修では対応できない場所・用途」が多く、その判断は「利用者・家族の希望の聞き取り」、次いで「継続的な利用が見込まれるか福祉用具貸与で確認した上で、住宅改修も提案する」となっております。複数個支給の状況は、車椅子、歩行器、歩行補助つえの貸与については、1か月に2個以上が10%、手すりについては46.3%、スロープは43.2%となっております。住宅改修の給付状況は、要介護度に関係なく、6万円以下が多く、種目別では7割以上が手すりの取付けとなっております。
 次に、12ページを御覧ください。
 特に御議論いただきたい点としましては、貸与決定後等における給付内容の検証の充実について、市町村における適正化事業の実施状況、貸与決定された種目のうち手すりの伸びが大きいこと等も考慮しつつ、これまでの取組に加え、さらにどのようなことが考えられるかについてでございます。
 13ページからは、検討事項3の論点(1)としまして「福祉用具利用による事故を未然に防ぐ取組の促進、事故情報等の活用について」となります。
 現況です。福祉用具利用による事故を未然に防ぐため、福祉用具専門相談員は貸与時に使用方法の指導等を行うとともに、貸与後も福祉用具の使用に関するモニタリングを実施しており、また、利用によって事故が生じた場合は福祉用具貸与事業所等から市町村に報告することとなっております。令和3年度の調査研究事業では、自治体や事業所等が把握している事故やヒヤリ・ハットの内容、原因や事故防止に資する必要な情報等の整理を行ったところです。
 また、他省庁・他団体の取組として、消費者庁や独立行政法人製品評価技術基盤機構、あるいは公益財団法人テクノエイド協会などの取組があり、厚生労働省におきましても、令和4年度には委託事業により、検討委員会を開催し、必要な整理等を行うこととしております。
 続きまして、14ページです。
 これまでの検討会等での御意見として、誤操作の可能性の高いものについては、福祉用具専門相談員の福祉用具の使用に関するモニタリングが大事ではないか。販売への移行の検討に当たり、安全な利用、誤操作等のリスクをどう考えるのかというのも一つの視点としてあるのではないか。福祉用具の重大な事故を防ぐには、製造事業者が製品の安全性を高めるとともに、使用時のリスク低減が重要であり、ハード・ソフトの両面から対策が必要。ヒヤリ・ハットの情報収集を積極的に行い、公表するとともに、予防するための研修を構築し、実践することで事故を抑制すべき。様々な事故情報を提供する仕組みはあるが、末端の事業者や福祉用具専門相談員にまで情報が行き渡りにくく、リスクアセスメントとしての機能は十分でないので、事故防止、安全利用のための情報の提供体制を検討するべき。事故等の状況については、保険者においても十分に把握すべき事項であり、安全使用や不適切な利用方法などの情報は、市町村関係者への速やかな提供が重要であり、どのような連携が効果的であるのか、検討を進めるべき。製品に起因しない事故の事例について、どのように収集・発信し、リスクアセスメントに生かしていくのか、業界を含めて考えていかなければならないといった御意見がございました。
 続いて、関連するデータです。昨年度の調査による福祉用具の事故の報告件数については、事故情報を収集している都道府県を見ても、市区町村、いずれも0件が最も多い結果となっております。特定福祉用具販売に関する事故報告の把握状況について「把握している」と回答したのは、都道府県では41.4%、市区町村では29.9%であり「把握している」場合においても、事故報告は福祉用具貸与と同様に0件が最も多い結果となっております。
 15ページを御覧ください。
 事業所から報告された事故情報の集計・分析の有無は、都道府県では「内容や件数を単純集計している」が48.3%、市区町村では「集計や分析は行っていない」が54.7%、また、集計・分析結果の活用については、都道府県も市町村も「研修会等の資料に活用している」が最も多くなっております。福祉用具貸与事業所の事故情報の連携については、事故把握後の情報連携先については、介護支援専門員や家族が80%を超えていましたが、レンタル卸は54.1%、福祉用具製造事業者は33.8%となっております。福祉用具貸与事業所における事故情報の分析については「分析している」が62.0%、分析の結果は「利用者・家族への説明・報告」が89.4%と最も多く、次いで「事業所内での再発防止策検討」が85.1%となっております。しかし、事故情報の分析については「介護事故として認識する範囲が福祉用具専門相談員ごとに異なる」が事故報告の課題となっております。
 16ページを御覧ください。
 ヒヤリ・ハットの取扱いについてです。これに対しても「把握している」が55.9%となっております。ヒヤリ・ハットの報告に当たっての課題についても事故報告と同様の結果となっております。
 そして、特に御議論いただきたい点としまして、福祉用具利用による事故を未然に防ぐ取組の促進、事故情報等の活用について、どのようなことが考えられるか。特に、製造事業者やレンタル卸等の関係者も関わること、事業者等が見ていないところで事故が発生していることなど、福祉用具特有の事情を踏まえ、福祉用具貸与(販売)事業者や関係者がそれぞれの役割に応じた取組を促進し連携を強化するため、どのような対応がより必要となるかについてでございます。
 17ページからは、同じく検討事項3の論点(2)としまして「サービスの質の向上に資する福祉用具専門相談員等に係る取組について」となります。
 現況としまして、サービスの質の向上に資する取組では、例えば福祉用具貸与計画の作成、介護支援専門員をはじめとする多職種連携の推進が主なものとして挙げられますが、介護支援専門員への交付が義務化されている福祉用具貸与計画書が、多職種連携を強化するため、調査研究事業により、計画書等に記載する情報を整理し、評価の視点や記載の基準を明確にし、様式等の改訂案が作成されたところです。また、多職種連携に向けては、令和3年度介護報酬改定では、居宅介護支援の退院・退所加算等に福祉用具専門相談員等の関係職種の関与を明示したところです。福祉用具専門相談員の知識・技能の向上については、指定する講習を受講した福祉用具専門相談員が約8割となっておりますが、令和3年度報酬改定の審議報告では、さらにカリキュラム等の必要な見直しを検討していくべきとされたところです。さらに、事業所における研修機会の確保について規定しているほか、福祉用具専門相談員の知識の習得及び能力の向上等の自己研鑽について努力義務を課しているところです。
 18ページを御覧ください。これまでの検討会等での御意見です。
 ケアプラン、福祉用具貸与計画、サービス提供、福祉用具の使用に関するモニタリング、メンテナンス、提供されるサービスのチェック、適切な評価といったPDCAを担保する具体的な仕組みの導入、義務づけが必要ではないか。LIFEのように適正な評価を通じてPDCAサイクルを行う仕組みを構築することが重要であり、貸与計画書に加えて福祉用具の使用に関するモニタリング書式も充実させるため、評価項目、評価基準づくりに取り組むべき。福祉用具の選定基準について、必要な改正を実施すべき。ADLや社会参加に資する有効性と安全性を踏まえた福祉用具の最適性の担保が不可欠だが、定期的に、または状態に変化が見られた場合に、主治医、もしくはリハビリ専門職等が必要な視点に基づいて評価を行う仕組みを検討するべき。定期的なPDCAサイクルとして、医師の関与、リハ職、看護職、介護職も含めて、チームの中で議論して、福祉用具の選定・適合確認、貸与後も福祉用具使用に関するモニタリングを行うプロセスがあるが、適正に行われているかどうか、検証すべき。また、平成25年12月に介護保険部会でまとめられた介護保険制度の見直しに関する意見では、人員基準2人のうち1名の福祉用具専門相談員について、よりアップデートするための現任研修等について、制度化する必要があるのではないかといった御意見がございました。
 次、19ページ、関連するデータでございます。
 介護支援専門員による福祉用具サービス計画の活用について、20%程度の介護支援専門員が分かりづらいとの回答があり、さらに福祉用具の機種と当該機種を選択した理由や機種別の特徴や違いが簡易に把握できるとよい。事故の危険性の注意事項の記載を求めるなどの意見が多くなっております。貸与後の福祉用具の使用状況に関するモニタリングにおいては、報告書等の作成は規定されておりませんが、参考にしている点として「福祉用具サービスの見直しを提案する理由」であり、さらにモニタリングシートに加えるとよいと思われる項目については「利用者・家族が使用中に困ったこと等の聞き取り内容」となっております。また、退院・退所時カンファレンスへの参加状況もお示ししているところです。
 20ページになります。続きです。
 福祉用具貸与事業者に配置されている福祉用具専門相談員の資格、あるいは貸与事業所における研修等の実施についてお示ししております。自己研さんの機会の情報提供、補助・支援を行っている事業者はそれぞれ30%台となっている一方、特に行っていない事業所も約30%程度となっております。法人内や事業所内の研修における課題についてもお示ししております。
 最後に、21ページを御覧ください。
 特に御議論いただきたい点としまして2点、サービスの質の向上に資する福祉用具専門相談員等による取組について、福祉用具貸与計画書の作成の義務化や様式の再検討、介護支援専門員をはじめとする多職種との連携等といった取組も踏まえつつ、積極的な取組を促す、あるいは評価する仕組みも含め、どのようなことが考えられるか。2点目、研修等を通じた福祉用具専門相談員の知識・技能の向上について、近年の介護保険制度の改正や介護現場における課題、過去の調査研究事業の結果等を踏まえ、指定講習のカリキュラムや、現に従事している福祉用具専門相談員の知識の修得及び能力の向上に向けた取組で対応すべき事項などとして、どのようなことが考えられるかについてでございます。
 以上となります。

○野口座長
 長倉様、どうもありがとうございました。
 続きまして、本日も構成員より参考資料を提出いただいております。構成員より御説明をいただきたいと思います。
 資料を御提供いただいた岩元構成員、御説明をよろしくお願いいたします。

○岩元構成員
 ありがとうございます。岩元でございます。パワーポイントの資料と、参考資料としてパンフレットをおつけしてございます。パワーポイントに従ってお話を進めさせていただきます。
 まず、次のページですが、更新研修が設立された経緯でございます。
 今ほど長倉指導官からの御説明の中にもありましたが、平成25年12月、社会保障審議会介護保険部会において、福祉用具専門相談員の専門性向上に関する意見が出ました。このときには結果として人員基準の見直し等も行われたところですけれども、福祉用具貸与事業所の人員基準2名のうち、1名の福祉用具専門相談員について、より専門的知識及び経験を有する者の配置を促進することの検討が求められたということがございました。
 これを受けて「専門的知識を有する福祉用具専門相談員の養成に向けた研修内容に関する調査研究事業」。これが平成26年度の老健事業。そして「専門的知識、経験を有する福祉用具専門相談員の配置に向けた研修カリキュラム等に関する調査研究事業」。これが平成27年度の老健事業。そして「福祉用具専門相談員の適正配置に関わる養成モデル事業」。これが平成28年度の老健事業。これらの老健事業が実施されたところであります。
 この老健事業の検討結果を基に、私ども福祉用具専門相談員協会の自主事業として「福祉用具専門相談員更新研修(ふくせん認定)」を平成29年度より実施しております。
 ごめんなさい。資料では「本年度」となっておりますが、これは「令和3年度」でございました。令和3年度末からオンライン形式でも開催できるようになりまして、受講機会の公平性も担保されている現状であります。
 次のページです。更新研修の位置づけでございます。
 これは一定の経験、つまり、ここでは3年の実務経験を想定しておりますが、経験を有する専門相談員が「より専門的知識および経験を有する者」として、実践の場で専門性を発揮すること。このために必要な知識・スキルを定期的に確認、取得、更新することを目指したものでありまして、具体のカリキュラムは別紙パンフレットに記載がございますので、後ほど御確認いただければと思います。
 福祉用具の安全な利用の促進の観点において、一定期間ごとに知識や情報を更新することが必要であろうと私どもは考えております。事業所にはこれまでも研修機会の確保が求められており、また、自己研さんの努力義務も私ども福祉用具専門相談員には課せられておりますけれども、最新の知見をキャッチ、更新することが安全利用のためにも必要であろうと考えております。
 地域包括ケアシステムにおいて多職種との連携の中で専門性を発揮するためには、高い専門性の確立が必要と私どもも考えてございます。
研修のイメージについて、次のページにグラフでお示ししてあります。
 上のグラフは、日常業務を通じて、日々、スキルが上がっていくでしょうということ、熟練度が上がっていくでしょうということは容易に想像ができます。ただ、自己学習をしない場合に、既に持っている知識が陳腐化していって、最新の知見との間にギャップが生じる。これについては、やはり一定期間ごとの更新研修が必要だということを考えてつくられた研修でございます。
 本日、主な検討事項の3において、御利用者の利用安全、あるいは福祉用具専門相談員に関わる取組が取り上げられますけれども、この点で十分にお役に立てる。そのような研修だと考えております。
 説明の時間をいただきましてありがとうございました。以上です。

○野口座長
 岩元構成員、大変ありがとうございました。
 事務局及び岩元構成員による資料の御説明がございました。議論に入る前に何か簡単な御質問点とかはございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、資料2に基づいて、2つの論点、これまでの検討会等での御意見や関連データから、特に議論いただきたい点について、さらに踏み込んだ議論に向けて、御意見を聴取したいと思います。
 本日も御発言の際は、着目すべき論点として示されております2つの論点のどの点についての御意見かを先に明示していただき、できるだけ多くの構成員の方に御発言いただくように御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まずは、本日御欠席の石田構成員より御意見を提出していただいておりますので、事務局より御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○高齢者支援課長
 本日御欠席の石田構成員から意見を頂戴しておりますので、全文読み上げですと時間の関係もありますので、石田委員から特に強調すべき点、下線部を引いた形でいただいておりますので、その部分を中心に御説明申し上げたいと思います。全体版は会の終了後、速やかに各委員の皆様に電子媒体等で送らせていただきたいと思います。
 石田委員からいただいておる意見といたしましては、まず2の「(2)貸与決定後等における給付内容の検証の充実について」の部分に関する御意見といたしまして、やはり歩行補助つえなど、価格の比較的安価なものについては再評価を行うなど、見直す必要があるのではないかと考えられる、福祉用具貸与等について特定福祉用具販売の種目の選択制や切替え制についてもしっかりと検討していくべきではないか、その上で、特定福祉用具販売につきましては、貸与との選択制を考える上でも、事務負担の軽減も含めて検討していただきたい。このような御意見を頂戴しております。
 また、もう一つの論点であります3の「(2)サービスの質の向上に資する福祉用具専門相談員等に係る取組について」で2点ほど御意見をいただいております。
 まず、1点目といたしましては、福祉用具専門相談員の研修等におきましては、やはり一定期間ごとにアップデートのための研修を行う仕組みがあってもよいのではないか、先ほど岩元構成員からも御紹介があったかと思いますが、そういった御意見をいただいております。その研修の際には、地域の保険者がしっかりと支援・協力することが有益ではないかと考えているという御意見でございます。
 同項目・同論点につきまして、もう一点の御意見で、やはり福祉用具専門相談員が中心となってPDCAサイクルを運用することは大事ではあるが、新たな制度の創設ではなくて、既に地域で構築されている多職種連携、地域見守りネットワーク、こういったことを活用しながら、福祉用具専門相談員がこれに積極的に関与できるようにするなど、保険者が関与した地域ごとの取組の強化をしっかりと進めるのがよいのではないか。このような御意見を頂戴しておるところでございます。
 事務局より以上でございます。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、御出席の構成員の皆様、御発言をよろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。
 別所構成員、よろしくお願いいたします。

○別所構成員
 意見というより質問があるのですが、2の(1)の特定の種目や種類を見直すことについてはというところです。これは個別の品目というか、製品を指定しているわけではないという御説明だったので、種類や種目を見直すことにどんないいことがあるのかがぴんとこないので、何でこういう必要があるという議論になるのか、御説明していただけると、説明できる方がいらっしゃればしていただけるとありがたいと思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 取りあえず、事務局の方、いかがでしょうか。

○高齢者支援課長
 事務局でございます。
 今、別所構成員から御質問がありましたように、確かに福祉用具自体は国としては種目・種類を告示等で定めておるところでございます。さらに、実際の適用に当たっては、自治体において、品目まで指定して実際の保険給付適用を行っているということから踏まえますと、まずは品目のほうで本当に使われているのかどうかとか、そういったところをしっかりと見るべきであって、いきなり種目・種類の見直しではないのではないか、そのようなことも含めて、別所構成員からの御指摘かなと理解しております。
 究極的には、その品目自体がほぼ使われていないとか、ニーズに合っていない、利用者さんの状態に全く当てはまるものがない、ひいては種目・種類まで全く、その部分が、ある意味、空になってしまう、それに係る種目・種類を置いておく必要があるのか、究極的には、そこまで議論が跳ねることも考えられなくもないことも含めて、種目・種類を見直すと書いてございますが、今、別所構成員からも御指摘がありましたように、いきなり種目・種類ということではなくて、まず、品目も含めた見直しという点で御意見をいただければと事務局としては考えるところでございます。

○野口座長
 別所構成員、いかがでしょうか。

○別所構成員
 分かりました。

○野口座長
 どうもありがとうございます。
 それでは、東畠構成員、よろしくお願いいたします。

○東畠構成員
 ありがとうございます。私は2の適正化の(2)と(3)について、少し意見を述べさせてください。
 まず、適正化の手すりの件なのですけれども、手すりの5.2倍という伸びのお話ですが、自立生活支援の利用に対しては大変資するという思いはあります。さらに手すりというものは場所別によって複数の利用も考えられます。
 しかしながら、参考資料1を見ますと、手すりや場所別の中で1~5個までの利用で95.6%、6個以上では4.3%、10個以上というものもあるのです。確かに大きなお宅においてはそういうこともないことはないとは思いますけれども、さて、10個以上とか8個、9個というところの必要性はどこまでなのかという点で考えてみると、上限という使用個数の設定もあり得るのではないか。
 今回、資料にはありませんでしたけれども、前回の韓国におきましでは、韓国は年によっての個数という上限を手すりにおいては設けております。このあたりは上限ということも一つのアイデアではないかと思ったのが一点になります。
 続きまして、3の(1)と(2)に関しまして、安全な取組と質の向上ということで、特に事故防止に関しましては、介護施設におきましては委員会形式とかがありますけれども、貸与事業所におきましては過去の調査、これまでの御説明でも全てにそういうものがあるわけではないです。
さらに、事故とヒヤリ・ハットが数多くないということは、情報を収集する、把握する仕組みが必要なのではないかと思います。介護サービス情報の公表という制度がありますが、ここにおいては事故の防止等々については項目にありますけれども、収集あるいは把握する仕組みがあるということを入れることにおいて、専門相談員、貸与事業所が積極的に把握することの促しになるのではないかと考えます。
 また、本日の資料の中に調査研究資料の中で全国福祉用具専門相談員協会によるモニタリングシートが入っておりまして、そこの中に新たに入れた項目として、事故、ヒヤリ・ハットの有無とその内容というものを入れてありますが、例えば今ほどの介護サービス情報の公表の確認項目の中で、事故、ヒヤリ・ハットの有無の確認の記録があるモニタリングシートで確認しているかなどというものがあったとしたら防止策の前提としての収集をより促すことになるのではないかと考えました。
 なお、収集に関連して、本日御出席の日本福祉用具・生活支援用具協会のホームページの重大製品事故情報を見ると、電動車椅子、電動ベッドが多いのですが、ここに歩行器・歩行車が8件という累計であります。これは転倒事故です。そうすると、物の安全というのもありますけれども、転倒に関するリスクアセスメントが必要なのではないかと考えます。
 さらに、この日本福祉用具・生活支援用具協会のホームページの中の備考欄を拝見すると、この報告事項は消費生活用製品安全法に基づく重大事故の公表ですけれども、その備考欄では、業者が重大事故報告を知らずに報告が遅れたというふうに書かれる項目もございます。そういうふうに書かれるということは、やはり業界、製造メーカー、卸を含めて、さらなる報告の義務化の啓発、努力義務の啓発が必要ではないかと考えます。
 あと2点ほどです。
 福祉用具専門相談員の指定講習のカリキュラムの中に、前回の介護給付費分科会の宿題事項で事故防止の検討がありますけれども、この指定講習のカリキュラム50時間の中に「福祉用具の活用」が8時間ございます。これは現状において、物別においての活用ということになっていますが、その中に物別の、物としての事故、リスクマネジメント、事故発生の事例や転倒リスク、アセスメントシートということの講義・演習も入れたらいかがかと、今、私が思っていることでございます。
 最後になります。この専門相談員の質向上に関連して、サービスの見える化というところでPDCAサイクルが従前、今も言われていますけれども、その専門相談員がプロセスとして入り口のアセスメントからモニタリングまでのプロセスはそれぞれの計画書やサービス内容において大分見えていますが、では、個々の専門相談員の職業能力評価となったときに、このできることの細分化したときにどうなのかは、残念ながら、専門相談員はなされておりません。
 これは今回ではすぐにはできないのかもしれませんけれども、現在、厚労省のホームページには訪問介護や訪問入浴の職業能力評価シートが既にございます。キャリア段位という仕組みもあります。そういうところから考えると、その読替えにより、今後、専門相談員、しかも10年以上の専門相談員というふうに長く従事されている方が多い業界の中において、そして、職業能力評価を個別に細分化して、搬入の際の説明ができる、リスクについての説明ができる。こういうことをシートとしてやり、自己チェック、さらに現任研修ということで行うのも方策ではないかと思った次第です。
 以上です。

○野口座長
 東畠構成員、どうもありがとうございました。
 次は、田河構成員、よろしくお願いいたします。

○田河構成員
 ありがとうございます。健保連の田河でございます。幾つか御意見を申し上げたいと思います。
 まず、2の(1)の適切な選定の促進・利用についてでございます。用具の選定に当たりましては個人の状況によって判断が必要だと思っておりますが、しばらく見直されていない判断基準の見直しとともに精緻化を図り、判断基準や利用事例、さらに介護分野のデータの蓄積も進んでおりますので、そうしたものを活用して選定を補助する、支援するようなシステム、ツール等も開発できないかと考えております。
 また、先ほども複数個支給の状況について、手すりについて御意見がありましたが、車椅子、歩行器や歩行補助つえなどについても2個だけでなくて3個以上支給されているものもございます。どのような状況・理由なのか、もし分かれば、データなどがあればお示ししていただきたいと思います。やはり状況や理由も勘案する必要はありますが、一定の制限も検討が必要ではないかと思っております。
 また、貸与・販売の考え方、種目の整理についてでございますが、これは当然、実態を踏まえながら、保険給付範囲の考え方も含め、検討することも必要かもしれませんが、前も議論になりました貸与・販売、自己選択の考え方はどういうふうに考えるのか。あるいはモニタリングとメンテナンスの問題の対応。そういうことも含めて検討していくべきではないかと思っております。
 そして、2の(2)の給付内容の検証の充実でございます。ケアプラン点検もそうでございますが、福祉用具貸与計画、貸与状況の点検も必要だと思っております。データを見ますと、職員不足、業務多忙等々の問題もあると思っておりますが、やはり適正な使用の観点から、データ等もうまく利用しながら検証・点検は充実・強化していくべきだろうと思っております。また、法律的な点検が行われるよう、点検マニュアルの見直し。そうしたことも必要ではないかと考えております。
 次に、3の(1)の事故情報の活用でございます。事故情報は事業者に対して市町村への報告の徹底を図り、都道府県・国において、さらに情報の分析、また、現場にフィードバックしていく流れを構築し、事故を未然に防ぐ体制をさらに強化していただきたいと思っております。
 また、ヒヤリ・ハット事例。これも非常に重要な点で、今、検討も進められておりますが、事故情報と別のルートで報告を聴取されているようにも見えます。報告先を一元化するなど、収集の工夫も検討すべきではないかと思っております。
 最後に、3の(2)のサービスの質の向上、あるいは福祉用具専門相談員による取組のところで、福祉用具貸与計画については、17ページにありますように、調査研究事業を実施予定でございます。PDCAを回す具体的な仕組み・ツールの検討を進めていただきたいと思っております。
 また、福祉用具専門相談員の研修につきましては、指定講習以降の必要な知識の習得及び能力向上等の自己研鑽。現在、医療機器もございますが、指定講習のカリキュラムの見直しとともに、やはり一定期間ごとの講習は義務づけていいのではないかと思っております。先ほど議論しました事故情報などの情報はこうした研修でもぜひ活用していただきたいと願っております。
 以上でございます。

○野口座長
 田河構成員、どうもありがとうございました。
 次は、田中構成員、よろしくお願いいたします。

○田中構成員
 よろしくお願いいたします。論点の2の適正化について発言させていただきます。
 ケアプラン点検について、もろもろお話がございましたが、厚生労働省から出ているケアプラン点検支援マニュアルが平成20年7月18日、老健局振興課様から出ております。その中に、このケアプラン点検支援マニュアルは保険者がケアプラン点検する際のマニュアルになっているのですけれども、この中の107ページに住環境についての項目がございます。その中で、この福祉用具の選定に関してであったり住環境のアセスメントについては、自らの判断のみならず、病院関係者、理学療法士、作業療法士、看護師等や訪問介護、通所系スタッフ等の意見も伺いながらアセスメントに生かす視点が大事だというふうに記載がございます。
 さらに、自治体が行う実際のケアプラン点検においても、特に同一品目においてのケアプラン点検の指摘を受けることが多々ございます。例えば室内・屋外で使うような車椅子、つえ、歩行器が必ず室内・屋外で分ける必要があるのか。同一のものであるならば、例えばタイヤを拭くなり足を拭くなりして同じものを何とか活用できないのかという御指摘を受けることもございます。
ただ、手すりについては複数品目を借りている場合でもなかなかケアプラン点検の際に指摘を受けた実態が、もしかしたら、そういう調査研究結果が出ているかもしれないのですけれども、私の現場感覚として、あまり、そのあたりは追求されることは少なかったかなと。もしケアプラン点検支援マニュアルを見直すことがあるのであれば、そういった視点も盛り込みながら適正化に図れればいいのかなと思っております。
 また、ケアプラン点検だけではなく、地域ケア会議の活用においても、この際にもケアプラン点検など、実証を行うことがございます。例えば訪問介護においては、訪問介護の生活援助の回数が要介護1で27回とか、ある程度、上限値が決まっているところでございますが、これを超える際には、保険者にケアプランを提出した上で、さらに地域ケア会議でこのケアプランが適正かどうかを協議する、議論するというものが盛り込まれておりますので、同じような形で福祉用具貸与についても何か地域ケア会議を活用して議論する必要もあるのではないかと思った次第です。
 以上です。

○野口座長
 田中構成員、どうもありがとうございました。
 次は、花岡構成員、よろしくお願いいたします。

○花岡構成員
 日本福祉用具・生活支援用具協会の花岡です。意見を2点述べさせていただきます。
 1点目は、3の(1)福祉用具の使用に関する事故情報等の収集・分析・活用についてです。
 現在、福祉用具の事故、ヒヤリ・ハット情報や注意喚起の情報が行政や様々な団体から発信されており、事故対策に熱心な福祉用具貸与事業所や施設が情報収集する際に非効率となっております。その対応として、福祉用具に関する安全情報が集積されたプラットフォームの構築を行い、情報の収集を効率的に行えることを提案いたします。
 プラットフォームに掲載する情報は大きく3点を考えております。1つ目は、福祉用具の製品に関する情報などのハード情報です。具体的には、福祉用具JISなどの製品標準化情報やメーカーが発信するリコール情報など、製品の安全性に関する情報です。
 2つ目は、福祉用具の事故情報やヒヤリ・ハット情報などのソフト情報です。事故情報として消安法で公表されている福祉用具の重大事故や、事業所単位では情報収集が困難なヒヤリ・ハット情報を掲載します。さらに、ヒヤリ・ハット情報を事故予防に結びつけるために、例えばKYT即ち危険予知トレーニング等の手法の紹介を行い、全国統一された事故予防研修を実践できるようサポートしてはいかがでしょうか。
 3つ目には、注意喚起の情報です。ここには様々な団体が作成した種目ごとの利用時に気をつけたいポイントを示したパンフレットや動画などを掲載し、福祉用具導入時の利用者説明に活用します。さらに、日本では大地震や大型台風など大規模な自然災害が多く、その際、停電のリスクが発生します。当協会では、会員企業の電源を利用する福祉用具、エアマットレスや電動ベッドなど、停電時対応方法をホームページに掲載しておりますが、大型台風の接近時にはアクセスが一日数千件に及ぶことがあります。停電時対応の情報も現場の方々には有効情報です。
 そして、掲載重点種目として、車椅子の電動・手動、特殊寝台と附属品、手すり、歩行車の4種目の情報掲載を優先してはいかがでしょうか。介護給付費等実態統計月報令和4年1月審査分では、貸与総件数約1000万件のうち、この4種目で85.8%を占めております。また、2007年から消安法が公表されている福祉用具重大事故は、この4種目で82%を占めております。まずは、この4種目の情報発信に注力し、プラットフォームの構成を考えます。
 2点目は、2の(1)、貸与時における福祉用具の適切な選定の促進・利用についてです。
 前回、前々回にて選定の判断基準の見直しを提案させていただいておりますが、福祉用具が安全な状態で利用できているか、種目ごとの製品のチェックシート表を追加してはいかがでしょうか。内容は、目視で確認できる破損や調整の不具合などです。この製品のチェック表は、サービス担当者会議等で専門相談員からケアマネジャーや他職種の方に説明し、認識を共有していただくと、多くの目線で福祉用具の状態を確認することができると考えております。
 そして、製品のチェック表を先ほど提案したプラットフォームで公表し、随時、内容を更新し、誰でもダウンロードして活用できるようにします。そうすれば、特養・老健等の施設においても福祉用具の安全利用確認にも活用できるのではないでしょうか。
 当協会では、福祉用具の事故情報や各種の取扱説明書を基にリスクアセスメントを行い、貸与種目ごとにパンフレットなどの注意喚起ツールを作成しております。この当協会の活動が製品のチェック表の作成や運用方法について御協力できるのではないかと考えております。
 以上です。

○野口座長
 花岡構成員、どうもありがとうございました。
 次は、五島構成員、よろしくお願いいたします。

○五島構成員
 どうもありがとうございます。まず、事務局、厚労省の方々だと思いますが、今回の資料は前回の議論も踏まえて分かりやすく論点のいろいろな資料を集めていただいて本当にありがとうございます。
 私からは2点です。一つは大きな論点の2の適正化の方策で選定の促進や利用についてと製品の安全利用について、お話させていただきたいと思います。
 まず、2の適正化の方策の適切な選定の促進・利用についてのところなのですけれども、平成16年にできた判断基準については、やはり当時、まだ軽度者を想定していないことも踏まえると、この時期に見直すべきではないかと思っております。
 一方で、種目の見直しについては、まず、前回からの議論でも出ていますように、福祉用具自体が利用することを目的ではなくて、生活機能の一部として、生活機能を維持・向上するところに着目した場合、非常にそこは慎重に種目の在り方を検討する必要があるのではないか。
 具体的には、離島や山間・島嶼部、独居の高齢者、軽度の方の重度化の防止、安全の確保など、様々な理由の下、福祉用具を使っていらっしゃる方が多くいらっしゃると思いますので、相対的に見ることももちろん重要なのですけれども、福祉用具を活用することによって重度化を防止している観点もあろうかと思いますので、慎重にそこは見ていく必要があるのではないかと思います。
 ただ、全く見直さなくてよいということではなくて、以前もお話ししましたように、極めて安価なものであったりとか、あるいは現行、機能的に介護保険の種目にあるもののほとんどが実態として実績がないものも幾つかあるわけです。こうしたものを新しく評価していくところと併せて、現在、あまり出ていないものをどうするかという問題は評価の基準になるかなと思います。
 一方で、種目が増大化してきたことによる判断の不明確さというか、困難さが今、生じているという、厚労省様の資料でもありましたけれども、そのあたりについては、適用の条件であったり、利用の範囲であったりとか、あるいは不適切な事例みたいなものをきちんと整理した上で、ガイドラインで整理していくのか、給付種目の見直しのほうで整理していくのか。いずれにしても、福祉用具自体は生活機能を維持・向上させる、維持することの重大な役割を果たしていると思いますので、慎重に種目の見直しについては費用対効果も含めて見ていく必要があるのではないかと思ったところでございます。
 それに関連しての話なのですけれども、適正化が進んでいないということで(2)にも関連する話なのですが、事前の調査の結果、平常業務が多忙であったりとか、担当職員が不足している。さらには、専門知識が不足している背景もあるわけです。今日、更新研修のお話がありましたけれども、これは我々の協会の手前みその話になってしまいますが、当協会では福祉用具プランナーを養成しております。これは福祉用具法ができた平成6年から検討に着手しておりまして、今の形になったのは平成9年からなのですけれども、現在1万5000人ぐらいの人が福祉用具プランナーとして資格を持っています。
 主には福祉用具の選定・適合から実際の利用に当たっての評価、さらにプランの見直し。そういうことができるような人材が今後必要ではないかということで、平成9年から自主的に養成しているものなのですけれども、こちらについては介護保険に特化した話ではないのですが、高齢者・障害者、在宅・施設を問わず、また、職種についても専門相談員に限らず、セラピストの方、建築の方、エンジニアの方。そういう方々も受けられるような仕組みになっておりまして、今、大学や介護実習・普及センターなどでも全国で養成していただいているところでございます。そうした人材も活用するようなことも視野に入れて検証も拡充していくということも必要ではないかと思ったところでございます。
 最後に、3点目の論点で、特に安全性のところで未然に防ぐ取組の話なのですけれども、先ほど来、種々、いろいろなお話が出ておりますが、まず、事故とヒヤリ・ハットでなかなか医療機器のような仕組みがない中で処方の責任であったりとか目的の明確化が不明確。実際の今の福祉用具の利用の状況を見てみると、どこに事故やヒヤリ・ハットの原因や要因があるのかというのはなかなかつかめるような状態ではない。今、NITEの情報を見てみましても、原因不明であったり調査中という案件が5割以上あるわけで、そうしたあたり、どう情報をうまく共有していくのかはやはり私も課題ではないかと思っております。
 そのあたりを整理すると、まずは今、昨年、厚労省様で、これは事故の情報ですけれども、報告していただく標準的な様式をつくったわけですが、そうした報告があった場合の対応を全国で共有できるような、そういう報告した後の共有していく仕組みをどうするのかが重要ではないかと思っているところでございます。
 もう一つは、専門相談員の研修カリキュラムの中に、先ほど来も話がありましたけれども、やはりヒヤリ・ハットも含めてリスクアセスメントをきちんとしていくことが重要ではないか。どうした原因でそういう事故が起き得る可能性があるのかということをきちんと共有して、重大事故を未然に防いでいくような働きかけをしていかないといけないのではないか。
 やはり現状、事故情報はなかなか現場は報告しづらいと思うのですよ。そうではなくて、むしろ共有して、重傷事故をみんなでなくしていく風土をつくっていかないといけないと思うのですよ。様々なステークホルダーが福祉用具は関与してくることだと思います。
 厚労省様の先ほどの資料の中で専門相談員やメーカーという話がありましたけれども、私はこれからの時代、そこに限らない話だと思うのですよ。ヘルパーさんであったり、家族・介護者の方々でもこんなことが起きる可能性があるのだというレベルまで落として情報をどんどん発信していくようなことをしないと重傷事故が、報告が現在上がってきていないだけで、恐らくヒヤリ・ハットとするような、ハインリッヒの法則でいうと重大事故につながるようなおそれの事故は起きているのではないかと思うところでございます。そうしたことをなくしていくような情報発信の在り方を検討していくことが必要ではないかと思ったところでございます。
 以上です。

○野口座長
 五島構成員、どうもありがとうございました。
 次は、岩元構成員、よろしくお願いいたします。

○岩元構成員
 ありがとうございます。
 まず、2番の(1)適切な選定の促進・利用について意見を申し上げます。
 特に御議論いただきたい点の1つ目の○でございます。私ども専門相談員協会が行いました令和2年度の老健事業におきまして、福祉用具貸与計画あるいはモニタリング記録に記載されている情報の収集・分析を行いました。結果、サービスの質の評価を検討するに当たって、様式において自由記述が多いこと、記入充足率にばらつきがあることなどの様々な課題が浮き彫りとなったところであります。
 それを受けて、令和3年度の老健事業において、記録項目・記載内容の標準化、そして、福祉用具専門相談員の提供実務に関わる思考プロセスの可視化、貸与計画とモニタリングの連動を見据えた様式の改変を行いました。これは参考資料3にお示しいただいているところであります。
 そして、この改変案を用いた試行運用の取組を通じたサービスの見える化とPDCAサイクルの推進に関する研究事業。これが令和4年度の老健事業公募テーマにも位置づけられているところであります。
 適切な選定の促進・利用をさらに推し進めるためには、アセスメント、そして、選定過程、利用後のサービスの見直し。ここまでを一連のプロセスとして、一体的に貸与計画として位置づけることも必要になってきているのではないかと感じます。
 また、2つ目の○でございますが、既存の福祉用具についての再評価。これについては、このような再評価が行われる際には、検討の場として「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」などの活用も検討できるのではないかと感じております。
 次に、貸与決定後における給付内容の検証の充実についてであります。
 参考資料によると、点検を実施できなかった理由の中に、専門的な知識のある職員がいないという理由が挙がっております。それぞれの保険者で既に地域ケア会議という仕組みが運用されております。この地域ケア会議の場に貸与・販売に関わる福祉用具専門相談員を招集できる仕組みをつくって、それを活用することも検討できるのではないか。聞くところでは、一部の保険者においては福祉用具専門相談員もこの構成メンバーに入っているといった現場の運用もあるようでございます。
 さらに、この論点で貸与の手すりの伸びについても触れられております。貸与手すりの伸びが多いことについては、これまでも私はこの会議で発言してまいりました。参考資料1の12ページにも示していただいておりますけれども、住宅改修の工事では対応できない場所・用途、賃貸住宅、同居家族の都合、あと、急ぎの事案、がん末期、退院に間に合わない、あるいは施設入所待ちで在宅の期間の予定が短い等々、条件がある住環境整備を行うケースが多くあることを認識した上で検討を進めていただきたいと思います。
 そもそも、住宅改修の手続については特有の手続がございます。さらに、それに加えてローカルルールも現場にはございます。一般的に住宅改修においては、訪問による家屋調査から始まりまして、見積書、図面、施工前の写真、住宅改修が必要な理由書、そして、住宅所有者の承諾書といった提出書類を全てそろえた上で事前の申請を行う。今、2社見積りもございますので、ここまでに1週間ほど時間がかかります。
 さらに、保険者窓口での質疑応答、施工許可までの時間、許可が下りた場合にその後の商品の手配、施工日程の調整等々を含めますと、完了まで1か月を要するケースも珍しくない実態があります。また、施工完了後も工事代金に関わる領収証、工事費内訳書、完成後の写真など、一式をそろえて保険給付に係る事務手続を行っている実態があります。
 これら一連の手続に加えて、ローカルルールによって保険者によってはさらなる対応が必要なケースもございます。保険者によっては施行後の確認を役場の担当者が現場で全件行うといった運用をされている保険者もございます。
 また、ある保険者では国の共通書類であります住宅改修費支給申請書とは別に住宅改修実施報告書の提出を義務づけている保険者もございます。この報告書では、実際の施工に関する報告に加えて、モニタリングの結果も一緒に報告する。改修箇所と、それぞれの改修を行ったことによる効果を細かく記載するように求める。そのような住宅改修実施報告書を義務づけている保険者もいらっしゃる実態がございます。このような事務作業や関連する附帯作業の負担軽減策を検討していただいた上でレンタルとの調整は検討願いたいということをお願いしておきます。
 最後に、安全な利用の促進、サービスの質の向上でございます。
 ここについては、先ほど更新研修について説明させていただきました。更新研修は事故情報を含めた最新の知見をアップデートする仕組みとして私どもも用意しております。先ほど田河構成員からもおっしゃっていただきましたけれども、指定講習のカリキュラムの見直しが行われる際には現任の福祉用具専門相談員に対する追加的な研修も同様に必要であるところから、今回、論点にございますが、初任者研修の指定講習のカリキュラムの見直しと併せて、現任者への定期的な研修機会の確保、さらには更新制といったことも検討願えれば幸いかなと思います。
 ありがとうございました。

○野口座長
 岩元構成員、どうもありがとうございました。
 次は、七種構成員、よろしくお願いいたします。

○七種構成員
 ありがとうございます。私からは2の(2)と3の(1)と(2)について発言させていただきます。
 まず、給付内容の検証の充実につきましては、やはり月1回、介護支援専門員はモニタリングを行っております。利用者の実態把握だけではなくて、そこには事業者の専門職との意見交換、または専門的見地からの意見を聴取することになっています。その結果を支援するチームで共有していくことで検証として機能していると考えていいと思います。本当に利用者の実態を熟知している専門職が相互に検証する仕組みが本当の意味の検証としてはリアリティーではないかと思います。
 やはりその人がどういう環境で、どういう心身の状況でということを押さえておかないと、なかなか検証を外部の人がやるのが厳しいのかな。そういった意味で月に1回、そういったモニタリングがありますので、そこでしっかり福祉用具専門相談員さんとか、そういった方々と連携を取りながら情報を共有させていく。そういったことが非常に大事かなと考えています。
 それから、もし、その中で万一、モニタリングでの検証プロセスが十分に機能できていない介護支援専門員がいた場合は、ケアプラン点検とか地域ケア会議で気づきを促しながら、かつ事業所の管理者をしっかり押さえながら、そこと連携してケアマネプロセスの機能が十分に発揮できるような支援を行う。そういった仕組みが必要ではないかと思います。
 もう一つ、我々、協会としてもケアプラン点検は介護支援専門員の質の向上にとっては非常に重要なツールの一つと考えています。ただ、資料2の10ページに書かれていますとおり、保険者における福祉用具購入・貸与調査等の結果からいくと、点検が実施できなかった理由として、やはり平常業務が多忙であるとか、担当職員さんが不足している、または専門的知識を有する職員がいない。こういった行政側の人に大きな負担という問題が包摂されているのかなと考えます。
 こういったことを考えていくと、やはりケアプラン点検とか地域ケア会議だけに負担を求めるのではなくて、地域にある職能団体としっかり連携を取りながらやっていくことが大事かなと思います。実際、地域によってはケアプラン点検を職能団体と共同して、職能団体に所属する役員とか介護支援専門員がこのケアプラン点検に同行したり、地域ケア会議にも以前、2SDプランのときに検討の在り方を厚生労働省でつくっていただいたときに、そこにも主任介護支援専門員の立ち位置を入れていただいたのですけれども、やはりそういったところで、保険者だけに負担を負わせるのではなくて、地域全体でそういったことを見守っていく体制づくりが非常に重要になるかなと考えます。
 また、地域で職能団体とか、本当に関係者で定期的に研修会を行っていますけれども、そこに保険者の方も参加されて意見交換も行われていますので、そういった地域全体での取組、そして、先ほどから御意見がありますが、やはり新しいものをつくるのではなくて、既存のものをいかに生かしていくかが非常に大事になるのかなと思います。
 新しいルールをつくって縛ってしまっても、実際に介護支援専門員の中でほとんどの介護支援専門員または専門職の方たちは一生懸命やっているのです。本当に利用者本位でやられています。その中で、なかなかうまく理解できていなくて、例えば外部から圧力を受けて不必要なサービスを入れていってしまっている。そういった不適切な事例が出た場合でも、やはりそういったところをしっかり周りがサポートして、そういう環境をつくっていくことが非常に大事かなと思いますので、そういった仕組みづくりが必要ではないかと考えています。
 次の3の(1)で事故についてなのですけれども、本当に製造事業者の方が事故の実態を把握する仕組みは非常に大事だと思います。そこに届いていないのはやはり仕組みを考えるべきではないかと思います。
 それと、事故の報告件数が0件という回答が圧倒的に多いのは、やはり対応した後のフォローアップの成果、それから、福祉用具の精度が向上しているという、この要因が考えられるのかと思います。特に事故が起きた場合、報告先となる市町村のスコアが都道府県よりも非常にいいですので、そこは評価すべきなのかなと考えます。
 注目したいのは、貸与と同様に、販売の事後報告も同じような結果で、事故を防いできている。これは単に販売後のアフターフォローをしっかり福祉用具専門相談員さんとか介護支援専門員さんたちがやってきた成果もあるのかなと。寄り添っていることが事故を未然に防いでいる。
 ただし、ここは前回の検討会でも発言させていただきましたけれども、本当に報酬を度外視してやっている部分はあるのです。だから、そういったところの評価もしっかり考えていくべきではないか。やはり利用者さんが安全に生活できることが一番大事なのかなと思いますので、そういったところを検討いただければと思います。
 最後に、サービスの質の向上に資する福祉用具専門相談員に係る取組についてなのですけれども、これは介護支援専門員にも言えることだと思うのですが、やはり経験が浅い福祉用具専門相談員さんとか介護支援専門員が参考にできる評価基準。これは評価基準と言っていいのかどうかなのですけれども、評価のポイント、またはプロセスの要点が必要かなと思います。
 個々の福祉用具の選定における判断基準は既に示されていますが、やはりそこの評価のプロセスを、ある程度、参考例としてつくっていく必要があるのかなと思います。実際に今回、資料の19ページにありますけれども、福祉用具貸与計画について、介護支援専門員が20%程度が分かりづらいと回答していますが、これは裏を返すと80%の介護支援専門員は理解できて活用できていると読めるのです。だから、やはりそういった意味では、この80%を逆に注目したほうがいいのかなと思います。
 やはりそういった多くの介護支援専門員が計画の意義を理解して活動していますので、そういったところをどういうふうに活動しているのかを集めていく。そういった好事例とかガイドラインみたいなものを作成してもいいのかなと考えます。それを教材として、この20%の理解できていない介護支援専門員に伝えていく、教育していく。それは恐らく福祉用具専門相談員さんのところもやれると思いますし、協会としても法定研修では5年に1回という時期的にタイムリーな指導に限界がありますので、やはり法定外研修の中で取り組んでいいと思います。
 そういった中で、こういったガイドラインとか好事例集があれば、協会でも生涯学習体験の教材に反映したり、協会で行う研修の中にそういったことを、これを教材として研修を行う、または協会がつくっているケアマネジメントの自己点検表の中にも反映させることで、協会としてもできるだけ協力しながら活用場面を広げていけるのではないかと思います。
 以上でございます。

○野口座長
 七種構成員、どうもありがとうございました。
 次は、小野木構成員、よろしくお願いいたします。

○小野木構成員
 ありがとうございます。私から適正化の件と安全の件と、2点のお話をします。
 その前に、田河構成員から先ほど、なぜ、歩行器などでも複数の利用があるのかというお話がありましたので、そこの部分で少し私の意見をお話しさせていただきます。
 軽度の方々については、やはり行動範囲が広いです。家の中の部分と屋外で、屋外の部分については、例えば近所のスーパーに行くであったりとか、あるいは自分のかかりつけのクリニックに行くとか、そういう部分を何とかほかの人の手を煩わせずに行きたいという思いがあります。
屋外については、どうしても例えば横断歩道のところであったりとか、いろいろなところで段差がございます。その段差の部分をクリアするためには、ある程度、大きなタイヤといいますか、輪が要るのです。一方で屋内については、そんなに幅が広い部分だと逆にいろいろな部分でつかえてしまう。だから、幅の狭いものが要る。屋内で使う場合にはバリアフリーという部分の住宅改修をしてから使うという形になっていますので、そういう部分ではタイヤの部分については小さくてもいい。そして、幅も小さくないと困るという部分で、少し状況が違いますので、そういう部分で複数の歩行器を使われているということがあるかなと思います。
 重度化されると屋外の需要が減っていくかと思いますけれども、逆に軽度の方ほど行動範囲が広いという部分で複数の歩行器が必要になってくると思っています。
 それでは、私からお話をさせていただきます。私は、軽度の方が大幅に増えている。特に手すりが増えているという部分に対して皆さんからいろいろな問題意識があるかと思いますので、少しその点についてお話をさせていただきたいと思います。
 手すりの部分で、なぜ、住宅改修ではなくて我々の福祉用具のレンタルのほうの手すりを使うかという部分で一番多かったのが、用途あるいは場所で使えないという部分が61%ありました。これはどういうことかといいますと、寝室から廊下を伝ってトイレに行きたいというふうになったときに、寝室の部分から、まずはベッドから立ち上がるときにはサイドレール等はあるのですけれども、サイドレールだけではどうしてもしっかりと立てない。そういう部分で、まずはベッドのすぐ横に立ち上がり、立位を確保するための取っ手といいますか、そういう部分が欲しい。
 それと、寝室等では、和式の家屋ですとよくあるのが、ふすまであったりとかたんすであったりとか、壁の部分には、木の壁のところにはたんすとかテレビが置いてあったりとか、結果としては壁の部分に工事をして手すりをつけたいという思いはあるわけですけれども、ふすまだったり障子だったり、あるいはそこにタンスがあったりしますと結局は使えないので、和式の住環境ですとほとんど、この住宅改修での壁に手すりをつける部分ができないということがあります。そこら辺は、この手すりが増えている一つのポイントかなと思います。
 もう一つは、玄関に手すりを使う部分については、ここ4~5年の中での一つの流れになってきています。それまではこのような商品がございませんでした。極力、住宅改修の部分でやりたい思いはあったのですけれども、ただ、住宅改修で玄関の手すりの工事をやりますと、最低でも10万円、下手したら15万円、20万円かかってしまうのです。そうしますと、住宅改修は上限が20万円ですので、20万円の部分だとどうしてもそこの部分ができない。まずは屋内の住環境を整備したいということになりますので、結果としては玄関の部分の手すりについては諦めていた。それが、そのような商品が出てきましたので、これはありがたいという部分でこの外部の手すりが増えてきたという部分です。
 ただ、これはやはり、先ほども言いましたように、軽度の方々は行動範囲が広い。自分で買い物にも行きたいし、自分でクリニックにも行きたいという要望がありますので、そういう部分ではその需要に合わせて、この手すりが増えているということですから、不適切かどうかという点はぜひとも「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」という基準が平成17年につくられています。このときには、このような手すりはございませんでした。ぜひとも、この選定の判断基準、あるいは福祉用具・住宅改修の評価検討会がございますので、そちらの中でどういうものが適切か、どういうものが不適切かという観点で検討いただきたいと思います。持ち家の部分であったりとか、賃貸の部分であったりとか、いろいろな状況がございますので、一概に本数の制限というのは、私は決して適切ではないのではないかと思っています。
 それと、軽度の受給者数が7倍増えているということなのですけれども、もともと、この予防支援という部分が入ったのは、私は一つの考え方として、団塊の世代の方々がこれから大幅に75歳以上になっていく。2025年にはほとんどの団塊の世代の方が75歳以上になる。それによって、何らかの病気であったりとか何らかの介護支援が必要になる。そのときに一遍に重度化してしまうと、一遍に施設に入る需要が増えてしまう。そんなことは国としてはできない。だからこそ、施設から在宅へという話になったと思っています。
 また、予防支援という部分を入れることによって、重度化する方を分散化することによって、何とかこの団塊の世代の人たちが高齢者になってもそんなに介護費用が増えないようにということでこの予防支援が入っていると思うので、私は予防支援の件数は増えても、重度化する人たちの件数が増えなければ、それは介護保険制度としては正しい方向であって、一概に軽度の方々が増えることが問題ではない。かえって、それはいいことだと思っています。ぜひとも、そういう観点で、住環境の整備という点では手すりは施設から在宅へと進めるためには大変重要だということを御理解いただきたいと思っています。
 それと、安全の部分なのですけれども、日本福祉用具供給協会では福祉用具選定士認定研修会を平成17年からやっております。これは2年以上の実務経験がある方がさらにレベルアップするためにということで5日間30時間の研修をやっておりまして、今まで2,852名の修了者を輩出しております。この研修会を我々としてはしっかりとやりながら、新しい用具に対しての理解であったりとか、お話がありましたようなヒヤリ・ハットであったりとか、事故防止であったりとか、そういう点の研修もやりますし、実地研修を必ずやらせていただいておりますので、そんな意味では各福祉用具専門相談員のレベルアップという部分には資していると思っております。
 また、お手元の資料の中の部分の参考資料1の29ページですけれども、福祉用具のレンタル業者が研修会をどのようにやっているかというデータがございます。こちらでも新任だけではなくて相談員全員が、72%はメンテナンスに対しての問題点等もやっておりますし、また、新しい福祉用具であったりとか安全・事故防止という観点では83%が研修をやっているという部分でございます。そういう点で、各社は一生懸命努力しているのですが、ただ、我々が感じますのは、一つは我々で事故情報については保険者さんにお伝えするのですけれども、その保険者さんからのフィードバックはないのです。結果として、自社の情報しか持っていない。ですから、自分の企業でより多くの情報が得られるところはいろいろなレベルアップができるのですが、小さな事業者はなかなかそういう点でレベルアップができていないということがあります。
 保険者さんに集まった事故情報等を、逆に我々の日本福祉用具供給協会であったりとか、我々の事業者にフィードバックいただければ、それを我々で事業者同士で共有しながら、どういうことをすればいいかというレベルアップができるのではないかと思っております。
 日本福祉用具供給協会としては、事故の防止に向けた福祉用具専門相談員の留意点のアセスメント編という事故防止対策資料をつくっています。これはアセスメント編ですので、最初の部分でどういう用具を使っていただくか。そのときの部分で、用具の選定で間違うことによって事故が起きるかどうか、事故が起きないためにどうするべきかという部分です。今年はそれのモニタリング編ということで、実際に使ってもらう中でどういうふうにすれば事故を防止できるかという部分も今期はやらさせていただきます。そういう部分で各社の事故防止のレベルアップを進めていきたいと思っております。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 では、江澤構成員、よろしくお願いいたします。

○江澤構成員
 ありがとうございます。私からは主に2の(1)について意見をさせていただきたいと思います。その後に、3の(1)と3の(2)について簡略に申し上げたいと思います。
 まず、2の(1)につきまして、見出しが「福祉用具貸与・特定福祉用具販売に係る適正化の方策」となっておりますが、前回も申し上げましたように、最適化が前提にあって、その後に適正化は議論すべきではないかと思っています。あくまでも福祉用具を使われるのは利用者本人、人でございますので、用具ありきではなくて人ありき。まず、使う利用者の方に、その状態に常にふさわしい福祉用具の使用が当然、理想的でございます。その際に、過不足のないことが重要であります。したがって、自立支援を阻害するような過剰な貸与・販売は慎むべきでありますし、一方で不足によって活動や参加が制限されるのはあってはならないと考えています。
 福祉用具の適切な選定の促進や利用のためには、以前も申し上げましたが、当然ながら医学的判断が欠かせません。また、本人自身の状態の変化やリハビリテーションの目標設定や目標達成度の効果によっても大きく左右されます。リハビリテーションも、口腔、栄養、リハ・機能訓練と、一体的な取組が推奨されて進化しています。したがいまして、さらなるリハビリテーションの効果、特に廃用性症候群は十分に改善が期待されます。したがって、疾患や解剖生理学に基づいた医学的判断によって精緻な福祉用具の選択がなされるし、そして、フォローアップも可能となると考えております。
 さらに、全体像の把握に関しましては、さらなる研究事業等による現状データの把握が必要ではないかと思っております。これまでも要支援・要介護と福祉用具の利用状況等の相関は示されておりますけれども、それだけでは不十分だと思っています。特に疾患別、要介護の原因の半数は上位から脳卒中、認知症、高齢者の虚弱、いわゆるフレイルでございますし、どういった疾患の方がそのときの状況の、例えばADL、あるいは認知症の種々のアセスメントツールがありますから、そういったアセスメントツールの評価と福祉用具の相関が現在どうなっているのか。あるいは、それに伴う利用期間がどうなっているのか。そういったところのデータがないと、なかなか種目の見直しにつながっていかないのではないかと思っております。
 特に、私も関節リウマチを専門としておりますけれども、近年、リウマチの治療が飛躍的に進化したおかげで福祉用具の活用が昔に比べてかなり激減しておりますが、その治療状況によって福祉用具の使用するものも変わってきますし、あるいは卒業できる方も大勢いらっしゃいます。そういった中で、医学的な見地からの見直しによって妥当性のあるものを見いだしていく。また一方で、見直しによって不具合がある、落ちこぼれる方が決してあってはならないと思います。そういった点を踏まえた上でガイドライン作成が必要ではないかと思っています。
 具体的な方策としましては、例えばかかりつけ医療機関。これは皆さん必ずいらっしゃるわけなので、かかりつけ医療機関と連携して福祉用具の適切な選択や定期的評価につなげることも考えられます。また、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションを利用していれば、事業所の医師やリハビリ専門職と連携して、そこの部分を担保することも可能だと思います。特に通所リハ、訪問リハにおいてはリハビリテーションマネジメント加算が設定されていて、すなわち、本人・家族も参加して、その方を支える複数の地域の事業者が同時に参加して、いわゆる地域にフィッティングしたリハビリテーションカンファレンスという構図で今、全国各地でそういったものが展開されています。ぜひ、そこに福祉用具専門相談員の参加をしていただけると、かなりこういったサービスの質も高まっていくと思っています。
 簡略に、3の(1)と3の(2)について申し上げます。
 3の(1)につきましては、これは以前の他の介護の社会保障審議会等でも発言させていただいておりますけれども、福祉用具に限りませんが、全国の市町村には膨大な量の事故報告書が蓄積されています。市町村のインセンティブ交付金の評価項目にも入っておりますけれども、その内容は事故報告書を十分、データを分析して、現場へ事故防止のためのフィードバックを行うものでございますが、その活用はまだまだ不十分だと認識しています。
 したがいまして、データの分析・公表をして利用者の安全を確保するための施策につなげることも重要だと思います。併せまして、事業所はデータを提出する。これは先ほど構成員の方がおっしゃっていましたけれども、ちゃんとデータを提出する仕組みもまた十分検討していく必要があると思います。
 最後に、3の(2)でございます。医療・介護は、御存じのように、日進月歩でございます。今日、冒頭に御提案がございました、岩元構成員から資料が示されておりましたけれども、質の向上のための更新研修については賛成でございます。
 その際に、座学のみならず、実地研修も不可欠ではないかと思っております。また、医療機関や介護事業所の各種カンファレンスへの参加の実績を評価していくのも方策ではないかと考えています。併せまして、福祉用具専門相談員の資質向上は前提として、配置を厚くするよりも、地域の専門職と連携して質を担保していくことが重要ではないかと思います。それによって、おのずと最適化も進んでいくと思います。
 最後に、貸与か販売かの議論がこれまでもなされてきておりますけれども、やはりここには専門職の関与は避けて通れないものであると思います。そのことによって、きめの細かい対応が必要であって、いろいろ資料に示されている、いろいろなパーセントとか数字が躍っておりますけれども、その数字のみではなかなか判断が難しく、特に公的保険方式において見直しをするのであれば、特にこういう分野においては非常にきめ細かく精緻な対応をしていかないと、数字のみでばっさりと判断するのは非常に危険なものだと考えます。
 発言は以上でございます。ありがとうございました。

○野口座長
 江澤構成員、どうもありがとうございました。
 それでは、渡邉構成員、よろしくお願いいたします。

○渡邉構成員
 よろしくお願いいたします。給付の適正化及び安全な利用、サービスの質の向上について、意見を2つ述べさせていただきます。
 1つ目は、資料2の18ページの4つ目の○にもありますが、作業療法士、理学療法士等のリハ専門職の関与。もう一つは、福祉用具専門相談員の質の向上のための研修についてでございます。
 利用者のニーズの確認、適合評価、使用訓練、モニタリングといった福祉用具の供給プロセスにおいて最も重要なのは、利用者の心身機能、住環境、介護者の状況を評価して、生活の自立を支援する目標に合った福祉用具を選ぶことです。次に、心身機能の変化を捉えて生活の目標を変更し、より自立した生活を支援するモニタリングです。いずれも適切な福祉用具を選定し提供するために必要な心身機能の状況や変化を捉える技術が必要となります。
 生活機能の向上のための心身機能の評価は、理学療法士、作業療法士等のリハビリテーション専門職の専門分野であります。福祉用具貸与のPDCAサイクルでの利用者評価、福祉用具の選定及びモニタリングにおいて、リハ専門職の関与を進め、より自立支援に資する福祉用具貸与サービスとすべきと考えております。例えば、心身機能や生活機能の変化が多い脳血管障害や骨関節系疾患の入院加療後、つまりは、退院時あるいは状態の変化で身体機能に適した福祉用具の選定が難しい進行性疾患の方については、心身機能の評価や福祉用具を用いた機能訓練に基づく生活機能の予後予測が必要となります。
 また、要支援者への給付である介護予防給付においては要介護状態にならないように予防するサービスを提供することが目的であり、必要であり、利用者のできることを増やし、生活を活性化させて、心身機能や生活機能を向上させる必要があります。
 参考資料2の5ページに、保険者による介護給付の適正化の取組の一つであるリハ専門職の関与の実施状況が示されていますが、低い状況にとどまっております。これは実施することへのインセンティブが低い、あるいはリハ専門職の事業への参画が困難であるからだと推測されます。利用者の実際のケアチームによる給付プロセスの中に、全ての利用者とは申し上げませんが、リハ専門職の関与の仕組みをつくる必要があると思います。
 適切な福祉用具の選定、使用訓練を行うことは、ひいては福祉用具使用時の安全の確保にもつながるものです。ただし、給付プロセスにリハ専門職を取り入れることによる費用と労力に見合った適正化が本当になされるかどうかの研究は不可欠だと思います。
 2つ目の、福祉用具専門相談員の質の向上についてです。
 現状の貸与における福祉用具は、たとえ今回の議論の対象となっている要支援・要介護1の状態であっても要介護度の悪化防止の効果はありますが、より効果を上げる観点、つまりは、利用者のできることを増やす、より自立を支援するためという観点からは福祉用具専門相談員による人的サービスの質の向上が必要だと思います。具体的には、新製品を含む多様な福祉用具に関する知識、的確なアセスメント能力、利用者・家族とのコミュニケーション能力、サービス担当者会議での発言・説明・提案能力とともに、介護技術やケアマネジメント技術の向上に対する知識や技術を習得する仕組みが必要だと思います。例えば、資料にもありましたように、現任研修の充実であるとか資格更新制の導入などはぜひとも必要だと考えております。
 以上です。

○野口座長
 渡邉構成員、どうもありがとうございました。
 それでは、安藤構成員、よろしくお願いいたします。

○安藤構成員
 よろしくお願いします。私は2の(1)と(2)について、1点だけコメントします。
 これまで何人かの方が議論されていますが、手すりやスロープの数の上限を設定することに関しては、私は慎重に考えるべきだと思います。
なぜかというと、参考資料1の14ページにデータが載っていますが、例えば手すりであれば11個以上貸与は7,402人で0.6%、スロープであれば11個以上貸与は235人で0.1%と記載されているわけですが、そもそも、利用者数が少ないイコール無駄遣いというわけでは当然ないわけですし、レアなニーズがあってそうなっていると解釈できます。手すりであれば、特に退院初期は動線上にたくさんつけなければならないとか、スロープであれば、家の事情でがたがたしているところが多くて結果的にこうなったというケースもあるはずです。そこを一律に、10個以下にしましょう、としてしまうと、例えば11個以上必要な人にとっては非常に不便な事態を招く可能性もあり、あと1個2個あればというところで不合理にもサービス提供がちゃんとできないという残念なことも起こり得るわけですし、保険としての機能も果たせないということにもなります。
 また財政的に考えても、例えば福祉用具12個、13個を10個に利用抑制しましたといっても、対象となる人数もそんなに多くなく、大きな財政的インパクトもないわけです。そんなに大きな財政抑制効果もないのに、ニーズを抑制する形で事前に上限設定して利用を抑制しようという発想は慎重に考えるべきだと思います。
 ではどうしたらいいのかというと、これもいろいろなお話がありましたが、モニタリングなどの事後チェックは必要に応じてきちんとしていくことはやはり重要だと思います。本来、ケアマネ、PT・OT、リハの専門家、福祉用具の相談員など、いろいろな人がチームを組んで効果的で適切な福祉用具活用を模索するというもう少しポジティブな話をどんどんしていくべきで、その先に、事後的なモニタリングもしっかりして不適切事例を抑制するという議論があるのが筋かと思います。ですので、事前に数を一律に制限するという発想は、財政的な観点からも保険給付の効果という観点からもあまり筋がよい話ではないというのが私の意見です。
 以上です。

○野口座長
 安藤構成員、どうもありがとうございました。
 東畠構成員、田中構成員、五島構成員、初めて発言される久留構成員を先にさせていただいてもよろしいでしょうか。

○東畠構成員
 お願いします。

○野口座長
 では、久留構成員、よろしくお願いいたします。

○久留構成員
 すみません。もっと早く手を挙げておけばよかったのですが、申し訳ございません。私は2の(1)、2の(2)、3の(1)について御意見を申し上げさせていただきます。
 まず、2の福祉用具貸与・販売における適正化ですけれども、貸与時等における福祉用具の適切な選定の促進・利用について、前回の報告で3万4000人の福祉用具専門相談員が現在、1事業所当たり4.2人従事されている。それから、介護保険が始まってから二十数年たっているわけですから、福祉用具専門相談員の皆さんのこれまでの経験値の蓄積はものすごく大事な情報だと思っておりますが、本日、小野木構成員、岩元構成員も業界団体、職能団体の代表として御参加いただいておりますけれども、それぞれの団体としてもこのような経験値の蓄積をいかに共有化していくかということだろうと思います。
 このためには、まず、言語化する、数値化する、それを共有化する。そして、体系化し、標準化する。先ほど江澤先生がおっしゃったような最適化と、また、効率化、高度化もこれに続いてくるのだろうと思いますけれども、やはりそれぞれの福祉用具専門相談員なり福祉用具貸与事業所の経験値をいかにきちんと記録として残して、それを分析していくか。まさに現在、厚生労働省で取り組まれておりますLIFE、科学的介護の基本的な考え方だろうと思っておりますので、そのためには、「どのような状態像の方にどのような福祉用具をどういう判断の下に提供しているのか」の記録がきちんとなされて分析ができるような状態に供されなければならないと思っていますので、そこはやはり職能団体、業界団体としてもきちんと取り組んでいただく必要があるのかなと思っております。
 それから、種目の見直しについてですけれども、私が従来申し上げておりますのは、先ほど課長もおっしゃられたように、種目・種類を見直すことの前に、この制度が始まりました当初のカテゴリー分けから機能が多様化・細分化されてきておりますので、これに対して対外的にも分かりやすい整理・体系化が必要ではないかということを申し上げているところでございます。車椅子という一言で種類がくくられていますが、その中に多様な車椅子が入っておりますし、これがもう少し分かりやすくなっていくのが必要かなという気がいたしております。
 それから、介護保険制度の指定基準を改めて見直しますと、基本的には介護保険はPDCAサイクルが組み込まれております。特に福祉用具については新たに「福祉用具貸与サービス計画」の立案なども盛り込まれておりますので、計画の客観性、適合性、妥当性やサービスの実際の適合性、妥当性。評価をする際の適時性、いつ評価をするのか。それから、指標の妥当性、効果の検証。こういったことを踏まえて、そのプロセスの中にはサービス担当者会議や、先ほど江澤先生もおっしゃったように、医師をはじめ、また、渡邉構成員もおっしゃったように、リハ職も含んだ多職種共同という仕組みの中でそのプランを見直す、検証していく仕組みが既に組み込まれているわけですから、適正化というからにはそれをまず適正に機能させることが重要かなという気がいたしております。
 次に、3の(1)の事故でございますけれども、事故の件数そのものは少ないという御報告もあるのですが、一方におきまして、介護保険の下で損害保険会社の損害賠償責任保険の支払いはどんどん増えているわけです。ということは、事故が顕在化はしていないけれども、実際の事故支払いについては伸びているということでございますから、これはデータの蓄積や分析という点では非常に残念なことで、保険会社は「事故の原因究明」責任の所在、どのような対応が必要だったかという点について、プロとして分析しているわけですから、リスクアセスメントとして、こういった情報をいかに事業者にフィードバックするか情報の共有化が重要となります。
 先ほど小野木構成員がおっしゃったように、事業者にどうフィードバックするかの情報のツールは市町村だけではなくて保険会社にも情報として蓄積されていることも一つ考えておくべきかなと。そして、それを介護保険。これは福祉用具貸与事業者だけではなくて、施設・在宅の事業者においてもフィードバックできるような仕組みは今後考えていく必要があるのではないかと考えております。
 最後に、福祉用具専門相談員の資質向上でございますけれども、先ほど岩元構成員、また、小野木構成員からも各種団体で取り組まれている研修の御報告がございました。非常に重要な取組だと思いますが、いかんせん、申し訳ないですが、受講者数がまだ十分ではありません。これは業界としてリーダーシップを取っていただいて、少なくとも会員は皆さんが受けていただけるような、そして、それを業界として3万5000人をリードしていくような形でお取り組みいただくのが必要かなと思っておるところでございます。
 以上でございます。

○野口座長
 久留構成員、どうもありがとうございました。
 今からセカンドラウンドに入りますが、この時点で御発言を希望される方は挙手をお願いしてよろしいでしょうか。
 お三方だけでよろしいでしょうか。
 それでしたら、大変申し訳ございませんが、時間を延長させていただきますので、東畠構成員、五島構成員、田中構成員におかれましてはなるべく短めに御発言をよろしくお願いいたします。
 それでは、東畠構成員、よろしくお願いいたします。

○東畠構成員
 ありがとうございます。簡潔にいきます。
 先ほど言えなかった2の適正な利用のところで、前回も申し上げました福祉用具選定の判断基準、いわゆるガイドライン。これは先ほど来、地域ケア会議や点検ということが出ていますけれども、地域ケア会議にしても点検にしても、指標、手がかりになるものとして選定の判断基準、いわゆるガイドラインに、これまでは要介護度と物別だけですが、それと認定調査項目で構成されていましたけれども、疾病・疾患、例えば日内変動があるとか、いつアセスメントをするとか、そういう点検のチェック項目みたいなものも入れた上で、それが適正かどうか。適正というのは利用者にとってメリットのあるという意味で、利用者にとって適切な利用につながるかというガイドラインのつくり替えがあってもいいのではないかと思いました。
 2点目、既存のものをできるだけ活用という意味で、先ほど安全のためのプラットフォームの構築はありましたけれども、既にテクノエイド協会でヒヤリ・ハット情報をホームページ上で公表されています。また、私は個人的に十数年前に関わらせていただきました福祉用具の危険予知トレーニング、安全確認トレーニングをつくって出していただいた経緯があります。ただ、それから十数年たってどれだけ活用されているのかになるとどうなのか分かりません。そうした既存のものの活用も、そして、ヒヤリ・ハット情報のさらなる把握という意味では、専門相談員の事故、ヒヤリ・ハットが少ない実態ですが、今ほどの久留構成員のように、顕在化していない可能性は十分に考えられます。そういうことから、先ほど申し上げた介護サービス情報の公表において、マニュアルや事故防止の仕組みだけではなくて、積極的に把握する仕組みがあることで記録の活用であったりモニタリングシートの活用があるということを申し上げさせていただきました。
 最後になります。福祉用具の重大事故情報で、消費生活用製品安全法に基づく重大事故ではポータブルトイレの事故も3件あります。うち1件は死亡事故でございます。そういうことから考えると、私、今回の福祉用具の貸与はPDCAサイクルが回っていますけれども、販売においての指定基準においてもやはり事故防止のためにメンテナンスが必要なのではないかと思った次第です。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、田中構成員、よろしくお願いいたします。

○田中構成員
 手短に、事故と、あとは適正化にも関わってくるのですけれども、なかなか、事故報告書であったり、ケアマネジャーをつくるアセスメントシート、もろもろ、福祉用具の計画書もそうなのですが、文字データがかなり多いので、例えば動画であったり、画像・写真をうまく活用することで、よりデータの蓄積もできますし、どういう方にどういったものが必要なのかも客観的に出てくるのではないかと思っております。
 あと、事故に関しても、転倒歴であったり、ここら辺を深く共有して、それこそ、どこの段差でどのように転んだかとか、そういったことも蓄積して共有することで事故の再発を防いだり転倒の再発を防ぐこともできるのではないかと思っております。
 ただ、動画であったり写真の活用に関しては、プライバシーであったり本人の拒否であったり、あとはセキュリティーの管理面の問題もあるかと思いますので、慎重な議論が必要かなと思っておりますが、ICTの活用を一層進めることの観点の上ではこういった考えも必要ではないかと思いました。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、五島構成員、よろしくお願いいたします。

○五島構成員
 すみません。2回もありがとうございます。2の(1)で、先ほどの判断基準の見直しと種目の見直しのところで1点だけ補足させていただきます。
 先ほど小野木構成員からも話がありましたけれども、特に手すりが今回大きな議題になるのかなと思いながら、この議論に参加しているのですが、床置き型の手すりです。小野木構成員がおっしゃるように、介護保険を創設した2000年にはほとんどというか、全く世の中に多分なかった製品だと思います。それが、ガイドラインができて、また、給付制限とかがあったりして、ベッドが要支援とか要介護で受給されなくなって、床からとか畳からの起き上がりのときに使う利用が最初ではないか。だから、平成16年とか平成18年ぐらいから飛躍的に床置き手すりは伸びているのです。
 当時の使われ方はやはり床や畳からの立ち上がりのときに使って起居していくという使い方が多くなって、ところが近年の使い方を見てみると、やはりベッドに取り付けるタイプのものもあるのですけれども、ベッドの脇に置いて、そこから起居を支援して使って、さらにそこから台所であったり洗濯場に行ったりとかという複数の使い方をなされているという実態がありますので、本数の問題が一つありましたし、ガイドラインの中で安全に利用するためにそうした手すりをどういうふうに使っていくのかという安全面などに関する記述などもガイドラインの中に盛り込む必要があるのではないかと思ったところでございます。
 昨年の日本福祉用具供給協会様が行った老健事業の報告書を読ませていただいたのですけれども、ヒヤリ・ハットの情報もあれば提供してくださいということで、その中身を見てみると、床置き手すりとベッドの間に挟まってしまってヒヤッとしたケースも散見されているので、床置き手すりを多数使うようなところで、非常に重度化の防止には資する一方で、そういう安全に利用していくところも伸ばしていかないといけないと思いますので、ガイドラインの中でそういう部分も検討していく。また、見直しのところでもきちんとその辺を踏まえて、昔と違うことを踏まえて検討していく必要があるのではないかと思ったところでございます。
 以上です。

○野口座長
 五島構成員、どうもありがとうございました。
 最後にもう一度お聞きしますが、ほかに御意見のある方はいらっしゃいませんでしょうか。
 すみません。私のタイムマネジメントが悪くて、時間が長引いてしまいましたが、活発な御議論を大変ありがとうございました。
 それでは、今後の予定について、事務局より何かアナウンスメントとかはございますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○高齢者支援課長
 本日は、御議論のお時間も延長していただき、また、先生方からその上で貴重な御意見等を賜りまして誠にありがとうございました。
 今後の予定でございますが、これにつきましては、また事務局より追って御連絡等をさせていただければと考えております。ありがとうございました。

○野口座長
 それでは、本日も大変、皆様から貴重な御意見を多々いただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
 誠にどうもありがとうございました。これで失礼いたします。