2022年6月6日 第11回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG議事録

日時

令和4年6月6日(月)13:00~15:00

場所

オンライン開催

出席者

菊池座長、岩崎委員、新保委員、平野委員、藤森委員

議事

 

○室長補佐
定刻になりましたので、ただいまから第11回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様、マイクの音は聞こえておりますでしょうか。皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力を頂きまして感謝申し上げます。今回はオンラインでの開催となりましたので、御不便をお掛けすることもあるかと思いますが、会議の途中で不都合が生じた場合には、WEBEXのチャット機能又は電話にて事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
本日は、厚生労働省における政策評価に関する基本計画が第5期になって初めての会議で、委員の皆様の改選も行われましたので、まず、福祉・年金WGの委員の先生方を御紹介させていただきます。前期から御継続の委員の方について、50音順で御紹介させていただきます。岩崎香委員、菊池馨実委員、平野隆之委員、藤森克彦委員、また、第5期から新たに御就任いただきますのが新保美香委員です。当WGの座長につきましては、当省より菊池馨実委員にお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議に当たり御注意いただきたい点を申し上げます。本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りしました会議資料を使い、議事を進めさせていただきます。会議中は御自身が御発言される場合以外はマイクをオフにして、音声をミュート状態にしていただくとともに、ビデオは停止状態にしていただくようお願いいたします。御発言の希望がある場合には、WEBEXの挙手アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後に、発言者を座長が指名いたしますので、座長からの指名を受けましたら、ミュートを解除して御発言ください。発言に合わせて御自身の映像を表示される場合には、ビデオを開始というボタンをクリックいただければ、皆様の画面及び会場のモニター上に画像が表示されます。御発言が終わりましたら、お手数ですが再度マイクをミュートにするとともに、ビデオも停止していただくようお願いいたします。会議に先立ち、参事官の山田から御挨拶を申し上げます。
 
○参事官
参事官の山田でございます。有識者の皆様におかれましては、日頃より厚生労働行政の推進に多大な御協力を頂いておりますことに厚く御礼申し上げます。また本日は、第11回厚生労働省における政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGにお集まりいただき、ありがとうございます。
国民の皆様の厚生労働省の政策への関心は高く、政策の評価を客観的に行い、実効性の高い政策に向けて改善を続けていく、このことの重要性が増していると考えております。厚生労働省では、本年3月の政策評価に関する有識者会議におきまして、それまでの御議論を踏まえまして、政策体系の改定とあわせまして、有識者会議、WGの運営上の工夫、評価書の分かりやすさの向上、分野横断的な課題の評価の実施、こういった見直しを行うことについて御議論をいただきました。そして、4月から第5期に入りました。有識者委員をお務めいただくこととなりました皆様、ありがとうございます。
本日は、令和4年度の実績、この評価を行うこととなる4つの政策につきまして、事前分析表の御議論をいただきます。本日も忌憚のない御意見を賜り、当省における政策評価を推進していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○室長補佐
それでは、具体的に事前にお送りしている概要資料でも記載させていただいておりますが、今回の事前分析表から概要という資料を作ることになりまして、議論の際に確認すべき主な事項という点を事務局からお話させていただきます。まずは現状分析に基づいて、どのような課題があるのかというような点を過不足なく記載できているかどうか。また、課題に対応した達成目標を設定できているか。達成目標の進捗度合を測定する指標として、合理的な指標が設定されているかどうか。目標と指標との関係性が明確かどうか。更には測定指標がアウトプット、アウトカム双方を設定されているか。
また、主要な指標というものを選んでいただいておりますが、主要な指標とする理由が明確か、また妥当かどうか。最後に目標値は過年度の実績や、最終目標年度の実績値を踏まえ適切な水準に設定されているか。また、現状把握のために必要な参考指標が設定されているか等でありまして、詳しくはそれぞれの概要の2ページ目に記載されております。事務局としては、こちらのような点を中心に今回御審議いただければ幸いです。それでは、議事を進めますので、本日の議事進行については、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
委員の皆様、御参加いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。本日は議事次第にありますように、令和4年度実施施策に係る政策評価の事前分析表案を中心に、皆様の御意見等を頂きたいと思っております。それでは、本日の具体的な進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
それでは、参考資料3の政策評価実施予定時期を御覧ください。この表は令和4年度から始まる、第5期の基本計画期間中の5年間の評価実施時期の予定を示したものです。本日は、令和4年度事前分析表案のうち、来年の夏令和5年度に実績、評価を行うものについて評価書を議論いただく施策目標の事前の段階で、事前分析表の御意見を頂きたいと考えております。
具体的には、議事次第に記載されております4つの施策目標について、御議論を頂きますが、本日は説明者の都合等によりまして、①の障害関係の施策と③の国際関係の施策の順番を入れ替えて、③「国際機関の活動への参画・協力等を通じて、保健・労働等の分野において国際社会に貢献すること」、施策番号で言いますとⅩⅡ-1-1を最初に議論するテーマとさせていただき、①「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築すること」、施策番号で言いますとⅠⅩ-1-2を3番目に御議論いただきたいと思います。あらかじめ御了承ください。
なお、テーマごとに担当課の入れ替えを行い御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず担当課より10分程度で説明を行い、その後、15分程度で御議論いただく形で進めていただければと思います。なお、会議資料の概要(事前分析表)のポイントの中に、事前分析表の確認すべき主な事項、先ほど私が読み上げたような部分にまとめておりますので、そちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様から御意見を頂ければ幸いです。事務局からは以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、まず順番が入れ代りましたけれども、施策番号ⅩⅡ-1-1「国際機関の活動への参画・協力等を通じて、保健・労働等分野において国際社会に貢献すること」について、担当課から10分程度で説明をお願いいたします。
 
○国際課
国際課の岡田と申します。皆さん、本日はよろしくお願いいたします。我々国際課のほうからは、今、御説明がありました国際機関への活動等に参画をすること、協力をすることを通じて、国際社会に貢献するという点での政策の御説明をさせていただきます。我々としましては、現在の国際化時代において様々な課題がありまして、それを4つの課題、目標として分けて、それぞれ政策を行っております。
まず、目標の1つ目としては、国際的な保健問題、特に現在のパンデミック等に対する貢献、それ以外にも非感染性の疾患、メンタルヘルスなどに対する貢献について目標を立てています。目標2としまして、OECD加盟国共通の課題への対応。目標3として、ILO等の国際機関を通じたディーセント・ワークを実現するという目標。目標4として、国連開発計画(UNDP)等への協力として、こちらは特に、現在のパンデミック等を踏まえて、ワクチン開発、医薬品開発等をメインに進めています。
具体的な中身を御説明いたします。まず、目標1です。国際的な保健問題解決に向けた貢献ということで、我々としましては、WHOをはじめ、様々な国際機関に対する支出や人材的な交流、知的貢献、様々な貢献をする政策を行っています。その中でも、新興感染症・再興感染症に対する貢献としまして、新型コロナウイルス、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等への対策として、先進国での様々な医薬品等の開発、それから途上国等への人材的な協力等も行っています。それ以外に、薬剤耐性(AMR)菌の治療、医薬品等の開発です。それから結核対策等にも事業を行っております。
2つ目に、パンデミック等に対応する基盤の強化として、現在、世界的にインターナショナル・ヘルス・レギュレーションズ(IHR)の改定等が行われており、こちらに対する国内の体制整備等をしっかりと行うために、予算を付けて施策を行っております。それ以外に、高齢化、認知症対策等も必要になってきています。世界的に高齢化が進む中で、特に日本の高齢化はリードしているところですので、しっかりと基盤を作った上で、国際的にも日本の知見を共有できるような施策を行っていくことを実施しています。それ以外にも、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成ということで、感染症だけではなく、生活習慣病等について、特に途上国に対して人材育成を行うなど、保健システムの強化をしっかりしていく、医薬品の安全対策等をしていく事業を行っています。また、全体的なWHO等が行っている事業に対して、それぞれWHO等が様々な国に対して行う支援、プロジェクトに対しての支出や、それぞれの専門家を提供したりして、協力を行っています。こちらが国際的な保健課題に対する当課の事業になっております。
もう1つ、先ほどまで申し上げている「人材」というところに関してですが、国際保健政策人材をしっかり養成していくことが重要になってきますので、そういった国際機関等でしっかりと活躍できるような人材を育てていく事業も同じく行っています。人材戦略センターというものを設けまして、そういったところに興味がある方を募集して、国際機関等で働くために、どういった能力が必要かを、しっかりと教育していくことを実施しています。こちらが目標1に対する施策です。
順番が前後しますが、目標4について御説明をさせていただきます。目標4は国連開発計画です。途上国等に対する支援を行っています。特に、今回はコロナ等を踏まえ、ワクチン、医薬品等の開発の支援を具体的に行っています。その中でも、世界抗結核薬基金(Global Drug Facility)にお金を支出しており、そちらで様々な国際機関と協力をして、結核の医薬品、検査機器等の開発、販売等を進めています。これは特にアジア地域で結核が脅威となっていまして、人材の交流が増える中で、世界的な結核の収束に寄与することで、翻って日本に流入してくることを防ぐことを目的に行っております。
また、結核以外にも、先ほど申し上げました、ワクチンのGaviワクチンアライアンスへの拠出を行っています。こちらも、開発途上国の予防接種率を向上させる目的で拠出を行っています。Gaviアライアンスについては、日本は、令和2年から理事代理を務めていまして、ワクチンプログラム、予防接種制度等に投資をしており、こういった途上国に対してワクチンをしっかりと普及させる、接種を普及させることを通じて、翻って日本への流入を防ぐことを目的に施策を行っております。目標1と4については以上です。2と3については、また別の者から説明をさせていただきます。
 
○国際課
目標2と3について、猿渡から説明させていただきます。目標2については、OECDの関係の拠出です。OECDについては、経済成長、開発途上国援助等の拡大を目的としまして、1961年に設立されました。また国際社会の経済の多様化に伴い、雇用労働、社会問題、保健医療分野の様々な課題に対する研究分析等を実施することになっています。
我々の拠出としましては、3ページの事前分析表の達成目標2の(6)、経済協力開発機構拠出金事業としまして4,500万。幼児教育・保育国際調査分担金として500万を拠出しております。最初の経済協力開発機構拠出金事業については、厚生労働省が労働、移民、医療等の分野のプロジェクトに対して拠出を行っているものです。本プロジェクトで作成されたデータについては、国ごとの取組、政策等を比較するために必要なデータとなっていると高く評価されております。目標ですが、先ほどの、事前分析表の達成目標2の(5)、今は実績値が5点中4点と高水準を維持しており、目標値を上回っています。
続きまして、幼児教育・保育国際分担金です。こちらは、幼児教育の質に関して、質の高い幼児期の教育の提供を基本理念とする、「子ども・子育て支援新制度」の開始、幼児教育・保育の無償化の実施に向け、令和2年9月、G20教育大臣会合において、質の高い幼児教育のアクセスの重要性が宣言されるなど、国内外において関心が高まっております。このため、質の高い幼児教育の提供に向けた施策の展開に資する基礎情報を得ることを目的として、幼稚園を所管する文科省、認定こども園を所管する内閣府とともに、OECDに設置された幼児教育・保育ネットワークが実施する、国際比較調査等に参加しております。本ネットワークにおいて、現在進行している国際比較の調査の内容は、幼児教育、保育従事者の勤務環境、研修の素質向上に関する取組の状況等の実態、幼児教育・保育に関するデジタル技術の活用の2テーマです。こちらについても、引き続き健全な育ちを支援する社会を実現することに寄与していきたいと考えております。
続きまして、達成目標3です。こちらも事前分析表の4ページの上です。ILO関係の拠出でして、まず拠出の中身としては、(8)国際機関分担金として3,910万円、(9)国際労働機関拠出金事業として7億4,800万円(令和4年度)程度を拠出しております。ILOについて、全ての人々のディーセント・ワーク、いわゆる働きがいのある人間らしい仕事の実現に向け、世界中の地域、国において開発協力等の様々な支援を行っています。
厚生労働省においても、これまで50年近くにわたり、ILOの実施する開発協力事業への拠出を通じ、労働分野における支援を行ってきております。こうしたことを踏まえ、ILOを通じたディーセント・ワークのための協力においては、ディーセント・ワークの実現に向けた各事業の目標の達成を課題として、達成すべき目標としてILOが行う各事業に設定されている計画を達成することで、アジア・太平洋地域のディーセント・ワークの実現に寄与することを掲げており、指標としては、先ほどの事前分析表の上にあるとおり、6の「各プロジェクトの当該年度における事業の達成状況」、7の「ILOの職員数(専門職以上)に占める日本人職員の人数」の2つを設定しております。
まず、6については、実は令和2年度に関しては、コロナの影響もあり、61.4%と、目標の65%を下回っております。令和3年度についても、引き続きコロナの影響があった南アジア等では、なかなか事業の達成が低かったのですが、目標値の65%を超え、68%と達成をしております。7については、ILOより提示される分担金を基に、望ましい職員数を割り出しています。この割り出した数字は43人なのですが、日本人の割合は33名ということで、目標を下回っております。是正するための取組が必要であることについては認識しており、様々な機会、協議の場を通じて働き掛けを行っていきたいと思っております。ILOが行う各事業が効果的、効率的に実施されるかを、しっかりと確認するとともに、効果を最大限に発揮するためのよりよい事業実施の指標等について、ILO側と適切に対応を重ねることなどにより、引き続き本事業を実施していきたいと考えております。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございました。基本的には、会場にお越しいただいて御説明いただくことを原則と認識していますが、原局のしばりがいろいろあり、どうしても会場にお越しいただくことが難しい場合には、オンラインで御説明いただく方針と承っています。それでは、委員の皆様から、ただいまの説明について、御意見、御質問などがありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。平野委員、お願いいたします。
 
○平野委員
恐れ入ります。先ほどのILOの測定指標の6に関しての質問です。パワーポイントのページ数で言いますと、15ページにディーセント・ワークの推進の内容が出ていますが、主要な実施事業の内容として、ここに5点ほど列記されていますが、この内容と、先ほどの測定指標の6でおっしゃられた各プロジェクトが、対応しているという認識でよろしいのでしょうか。
 
○国際課
国際課猿渡から回答させていただきます。基本的には重なっていますが、実はこのパワーポイントの下の2つ、グローバル・サプライチェーンにおける労働者のディーセント・ワークの実現については、令和4年度から始めることになっており、こちらについては指標の中に入っておりません。その下の、アジア地域における脆弱な労働者に対する社会的保護政策等に係る支援事業についても、令和4年度からで、ここには含まれておりません。実は、こちらにも載せてない事業も数本あるのですが、基本的には対応しております。2番目のアジア地域における労働安全衛生開発支援事業については、国ごとにプロジェクトが分かれていまして、この中で3本ほどのプロジェクト、一緒になっているプロジェクトもあります。以上です。
 
○平野委員
その上でなのですが、達成目標自体が何%という形で達成率が出ていることと、ここに出ている事業の、個々の達成率の平均値のような形で出されているのでしょうか。
 
○国際課
そのとおりです。平均値で出しております。
 
○平野委員
そうですか。できれば、プログラムの重要度など、何かそういうことも含めて、必ずしもそこは加重平均とか、そういうことは取る必要はないという理解でよろしいでしょうか。つまり、個々の事業がおおむね同じような金額であるとか、ウェイト付けであるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
 
○国際課
我々といたしましては、全ての事業が本当は目標を満たす形が必要だと思っておりますが、今はそういう形では、なかなか加重平均は難しいこともあるので、事業ごとに平均をさせていただきますが、もちろん、予算の規模なども含めまして、もう少し違うことがあれば、それは考えたいと思っております。現状は、事業ごとの重要度を比較することは難しいことから、全て同じところで、平均という形でやらせていただいております。
 
○平野委員
それぞれの達成度が大幅に異なる場合は、何かそういうことも集計の中で示していただけるといいかなと思いました。以上です。ありがとうございました。
 
○国際課
ありがとうございました。検討したいと思います。
 
○菊池座長
ありがとうございます。今のお話は平野委員からの重要な指摘だと思います。今、御説明の中で、重要度を測るのが難しいとおっしゃいましたが、そういう担当課としての認識でいいのかどうか、どれも重要なのでという説明でしたら合理的に理解できますが、政策の重要度の評価が難しいと、担当課自身がそう認識しているとすれば、それでいいのか、政策の評価は、やはりその担当課が、何が大事かを示していくのが政策評価の1つの役割ですから、その点はどうですか。
 
○国際課
すみません。我々、事業を出すものについては、重要なものにしか出しておりませんので、認識としましては、全てが重要だと思っております。こちら、私の言葉が少し悪かったです。先ほど申したかったのは、予算などは各事業によって異なりますので、それで加重平均という形はあるのかもしれないと考えて、そう発言させていただきました。失礼いたしました。
 
○菊池座長
それであれば、平野委員もおっしゃられましたが、その中で達成度が低いものがあった場合には、重要であるにもかかわらず達成度が低い事業があるという、それが表に出ないような形になっているのは問題だと思いませんか。
 
○国際課
その出し方については、検討したいと思いますが、具体的に言うと、私が説明させていただいたとおり、実はこの中でいうと、2つ目の所の指標が低かったりもしましたので、そういったことについては、口頭で補足させていただきたいと思っておりました。
 
○菊池座長
検討をお願いいたします。
 
○国際課
補足させていただいてもよろしいですか。
 
○菊池座長
はい。
 
○国際課
今回、達成度が低かったのは、ミャンマーにおける事業でして、クーデターが起きて、行動がままならなかったというところ、あと、アジア地域ではコロナ禍の影響が残っておりまして、特に令和3年度ではひどくなりましたので、ベトナム、スリランカなど、そういった所については事業の結果が悪く出ていました。ただ、それ以外の事業はおおむね我々の目標以上の達成状況は達しております。そういう状況です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。達成していないことが責められるべきという、そういうものではなくて、達成できなかったのは、こういう事情があったという、そこをきちんと明らかにすることに意味があるわけですからね。ですから、口頭では分かりましたので、どうやって、それをお示しいただくかは、また御検討いただければと思います。藤森委員、お願いしてよろしいですか。
 
○藤森委員
藤森でございます。私からは、測定指標についてお伺いしたいと思います。例えば、2ページ、測定指標の達成目標1の測定目標の3は、世界で新たなHIVにり患した人数等々、それを減らしていくことが目標になっています。お伺いしたいのは、これは日本の努力のみによって達成できる指標ではないと思うのですが、これを測定指標として挙げていくことが妥当なのかということをお伺いしたいと思います。ほかの指標もありましたけれども、例えば4ページ達成目標3の測定目標の6、各プロジェクトの当該年度における事業の達成状況。それから、達成目標4の非臨床試験及び治験等の実施及び完了件数、それから9の選考委員会の開催回数ですとか、これらの指標は、日本の努力の意味では、必ずしも達成できるかどうかとはならないもので、これも測定指標に挙げることに意味があるかどうかということもご教示ください。
 
○国際課
藤森先生、御指摘ありがとうございます。国際課の岡田です。おっしゃるとおりで、これらの指標については、本当に日本の努力だけで何とかなるものではないと、私たちも承知しております。この指標が適切なのかについては、確かにおっしゃられるとおりですので、もしかしたら少し見直しが必要かなと、今、御指摘を頂いて感じております。我々としましては、ダイレクトに、我々がやっていることがしっかりと効果が見えるというところで、指標を作りたいと考えておりまして、その意味で、特にUNエイズのところでやってきた各プロジェクトの中で、日本が特にお金を出しているプロジェクトでどういった効果が出たのか、そのプロジェクトの中でどれぐらいの方が治療の効果が出たのか等、もう少し細かい指標の出し方ができるのではないかと考えておりますので、御指摘いただいた所は修正したいと思います。ありがとうございます。
 
○藤森委員
よろしくお願いします。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ただいまの藤森委員の御質問は、たしかに外在的な要因でアウトプットが左右される面が大きいように思われます。担当課の努力の範囲を超えた、この分野の指標の設定、そのものにも関わるかもしれないと思うのですが、その辺りは事務局としてどうですか。
 
○室長補佐
ちょうど今、国際課の担当者からも説明がありましたし、藤森委員からも御指摘がありましたとおり、国際分野や国際連携という所は、なかなか日本の努力だけでは、また、厚生労働省の施策としての最終的なアウトカムというところに対する外部要因が非常に大きい分野ですので、政策評価としての適切なアウトカムの設定が、施策の評価上難しい分野ということは当然あると思います。そのような分野を、今のようなスキームで評価することが、妥当かどうかという点についての御指摘なのかなとも受け止めましたので、今後、総務省なり、原局なりと御相談しながら、この施策の妥当な評価方式とは何かも含めて、今後、検討していきたいと考えております。事務局としては以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、ただいまの議論を踏まえ、事前分析表への反映をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
○国際課
ありがとうございました。
 
○菊池座長
それでは、少しお待ちください。今、入れ替わっていただいております。
(説明者入れ替え)
 
○菊池座長
続きまして、「総合的な認知症施策を推進すること」、施策番号ⅩⅠ-1-3です。まず担当課から10分程度で説明をお願いいたします。
 
○老健局
老健局の認知症総合戦略企画官の菱谷と申します。概要のほうから御説明させていただきます。ポンチ絵ですが、基本目標としては高齢者ができる限り自立し、住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らせる社会づくりを推進することという中で、総合的な認知症施策を推進していくことを、基本目標として掲げています。
現状としては、認知症高齢者数が2025年で700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人、これは年齢階級別でもまた異なってまいりますが、高齢の方が増えるにつれて、認知症高齢者が増加していくということが見込まれております。
こういった中、我が国では3つ目の国家戦略になりますが、令和元年6月に認知症施策推進大綱を掲げ、共生と予防を車の両輪として、5つの柱、普及・啓発、予防、医療・ケア・介護サービス・介護者への支援、認知症バリアフリーの推進等々、研究開発等の5つの柱に即して、施策ごとにKPI、目標を設定し取組を進めております。
そうした中で施策評価におきましては、課題として2つ掲げています。認知症は皆にとって身近であることの普及・啓発、あるいはバリアフリー社会、共生社会に向けた対応ということが課題の1です。
課題2は、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるようにするためには、医療介護等が有機的に連携し、認知症の容態の変化に応じて、適切に切れ目なく提供される仕組みをどう構築していくか、こういったことで達成目標としては、普及・啓発の推進、認知症や介護者への地域ぐるみの取組をどう進めていくか。あるいは認知症の容態に応じた、適時・適切な医療介護をどう提供していくかということになっています。
課題1の目標としては、これまで取り組んできております認知症サポーターのニーズであるとか、チームオレンジ、これはサポーターが地域の活動を進めていくものですが、こういったものの設置自治体数、あるいは認知症カフェの設置自治体数、ケアパスの自治体数などとなっています。
医療・介護提供体制の話としては、医療・介護関係者の対応力をどう向上させていくかということで、キーになっておりますのが研修ですので、医療・介護関係者の研修修了者数などが、アウトカムになっているほか、結果として予防というのがもともと大綱の目標の1つにもなっておりますので、要介護度の日常生活自立度がⅡ以上の認知症の高齢者の年齢階級別割合がアウトカムとして設定されています。
ポンチ絵を進めさせていただきます。3ページ目です。先ほど申し上げた予防と共生、2025年までの目標を設定しており、5つの具体的な目標を設定しております。KPIも設定しております。
4ページ目が年齢階級別有病率となっており、認知症だと85歳ぐらいから急激に増えてくるということになっておりますので、人口構成としては、団塊の世代が2025年に全員75歳以上になるわけですが、2035年には、この方々が半分近く認知症になる可能性が高くなっているということです。
そういった状況の中で、かつて認知症は何も分からなくなる病気というように思われていましたが、そうでもなくて、実際はきちんと意思も思いもあって、社会参加をされている方々もたくさんいらっしゃいます。そういった認知症に対する正しい知識を、どのように普及していくかということで、認知症サポーターの養成等も進めており、目標を2つ掲げておりまして、1つ目の認知症サポーター数を1,200万人というのは既に達成し、1,380万人まで達成しております。
それから、2025年に向けては、地域の対応を向上させていこうということで、企業・職域型の認知症サポーターを400万人というのを掲げております。こちらについては288万人というのが実績になっていまして、進捗が少し遅れているところがあります。これはコロナの影響もあると思います。引き続き、頑張ってまいりたいと思っております。
認知症施策推進大綱の中で1つ掲げられたものの中で、高い目標かなと思っておりますのが、チームオレンジの取組です。認知症サポーターを養成しておりましたが、その方々が実際に地域で活動を始めてもらうということに、どう取り組んでいくかということで、認知症施策の中では、コーディネーター養成研修というものをやっており、それを通じて全市町村でチームオレンジの設置を目指しておりますが、令和2年度の実績は138市町村となっておりますので、1,741市町村に比べると、まだ一割弱となっております。まだまだこれから頑張っていかなければならない施策ということです。
7ページ目です。認知症カフェです。これは認知症の方、あるいはその認知症の家族の方が様々な悩みを共有し合うような場、ピアサポートなどにも使えるような場ですが、こちらについては全市町村での設置となっていますが、現在1,518市町村、87.2%の自治体で設置が進んでおります。まだ全市町村というところには至っていないところですが、こちらも残っている自治体に対して、都道府県を通じた設立支援の取組を進めています。
8ページ、認知症ケアパスです。こちらについては、認知症の方々は症状の変化に応じた医療、あるいは介護が受けられるかを、地域ごとにパスとして整備していくものです。こちらについても全市町村の作成を目標にしておりますが、現在実施率は88.6%となっています。こちらについても都道府県を通じて、一生懸命底上げの施策を進めているところです。
9ページ目です。早期診断・早期対応のための体制整備ということですが、認知症については、まず早期に発見をしていくということ、その進行の度合いに応じて生じてくるBPSD、行動・心理症状などの対応について、非薬物療法、あるいは関わり方などについて、適切な医療介護の対応が求められるわけですが、これについてかかりつけ医、サポート医などの医療従事者の対応力向上研修を進めているところです。それについて着実に目標を進めているところです。
医療の関係は以上ですが、12ページは介護の側の対応です。介護の側の対応については、ピラミット型の3研修、実践者研修、実践リーダー研修、指導者養成研修というのがあります。この中で指導者養成研修については、令和2年はコロナもあって、なかなか伸び悩んだところもありますが、大体は着実に進んでいます。またこの3研修以外に、認知症介護基礎研修につきましては、介護分野で認知症に関わる可能性のある現場の職員について、無資格の方に必ず受けてもらうとなっておりまして、これは令和3年度の省令改正によって義務付けたところです。こういった形で着実に進めているところでございます。
事前分析表について少しだけ言及をしますと、認知症の方々のアウトカムのところで、日常生活自立度についてどうなったかということについて、4ページ目の7と書かれているところです。日常生活自立度がⅡ以上に該当する、認知症高齢者年齢階急別の割合ということで、平成30年度と比較して減少という目標ですが、こちらについては、85歳以上は少し下がっていますが、それ以外のところはなかなか結果が見えにくいということです。私からの説明は以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見、御質問などありましたらお願いいたします。平野委員お願いします。
 
○平野委員
概要のポイントのほうで、今まで新しい大きな動きは余り理解していなかったのですが、チームオレンジというのは大変興味深い取組かなと思ったのですが、これはどちらかというと概要の一枚目にあります、課題のほうからすると、どちらかというと普及・啓発系の取組に近いかなというようにも思うのです。今日、もう1つのどちらかというと、切れ目のないという方向で触れられなかったかもしれないのですが、初期集中支援チームの同じチームなのですが、それで触れられなかったというのはちょっと意識されたのですが、そういう意味ではこの課題の1と2というのが、例えばこのチームオレンジ、あるいは初期集中支援チームのような形で、両輪のような形で、それだけで進むわけではないのですが、1つの進め方かなという感じはいたしました。
その際に、両方においても、やはり目標に言われている総合的という意味では、コーディネートを担う役割が非常に大きいかなということで、どちらかというと認知症の地域支援推進員でしたかね、市町村に設置するものが、それぞれの説明の中にも出てくるという感じなのですが、そこで最初に書かれていた課題1の②のほうに、自治体間の格差の話が少し出ていたかと思うのですが、そういう意味では両方、切れ目のない支援のほうも、啓発のほうもいろいろな意味で格差があるのだろうと思うのですが、その場合に、例えば少し細かな話になるかもしれませんが、こういう2つのチーム自体の普及のようなことを相対化する中で、それぞれの市町村が啓発系に力点があるとか、あるいは先ほど言った切れ目のない支援というか、そういう仕組みの構築のほうに力点があるとか、何か自治体間の格差、あるいはウェイトの置き方みたいなものを強化するような方法というか、そういうものを拾うということはできないかということを、ちょっと関心も含めてですがあったわけなのです。その場合に今回、余り触れられませんでしたが、以前こういう指標の際に、地域支援推進員の設置状況とか、かなりの高い率で設置されていた記憶はあるのですが、コーディネーターのウェイトの置き方といいますか、どちらかというと割に啓発的な取組というか、サポーターを普及させていくとか、あるいはこうした初期集中支援チームの仕組み作りを強調するとか、何かそういう地域支援推進員等のコーディネート的な機能を分解するような方法みたいなもので、どちらに力点があるか、あるいは両方ともうまくいくとか、何か市町村のうまくいっている展開を、測定するようなことというのはできないものかなということを、自身の関心もあって質問してみたいと思いました。もう1つあるのですが、まずすみませんが、よろしくお願いします。
 
○菊池座長
すみません。時間がありますので、もう1つのご質問も先におっしゃっていただけますか。
 
○平野委員
分かりました。もう1つは、職域のほうにも力点が置かれているというのが最近ありまして、これは恐らく介護離職等を想定した政策の展開かなと思っているのですが、そういう意味では介護者支援ということが、もちろんこれは認知症に限りませんが、認知症の大綱の中で本人支援に準じて、介護者支援というのが出てくると思うのですが、それはやはり認知症支援の中で政策的に強調されていくべきなのか、介護保険全体の中でかということはあろうかと思うのですが、認知症施策のほうで推進できるというような方向で測定するような指標化というのは、可能なのかどうかもお聞きしてみたいということです。以上です。
 
○老健局
御質問ありがとうございました。以前の説明でありました初期集中支援チームについては、引き続き重要な役割を担っておりますので、目標としてここに掲げるべきだったかもしれませんが、チームオレンジの取組とはまたちょっと違っていて、認知症の早期対応、とにかく早く関わらないといけないということで、その取組も非常に重要だと思っております。
啓発系と切れ目のない支援どちらがというのがありましたが、どちらも重要な取組ではありますが、それのウェイト付けということではどちらも大切だと思いますが、可視化ということにおきましては、厚生労働省のホームページなどで取組状況などを、もうちょっと分かりやすく示していくということが、非常に重要だと思っておりますし、その市町村間の格差なども踏まえ、都道府県に基金の取組など底上げ事業という形で、施策を底上げするような取組をビルトインしているところでございます。そういったことで市町村間のばらつきをなくしていきたいと考えております。個別に見ると、何をやっていて何をやっていないかというのは、こちらのほうでは把握はできております。
それから、認知症地域支援推進員につきましては、どれぐらいということですと、今、大体7,000人ぐらいおりますので、1,741市町村に対しては、人数としては人員的には整備されていてはおります。その方々がどのような取組をしているか、地域差などもありますが、引き続きしっかり見ていきたいと思っております。
職域の認知症サポーターにつきましては、介護離職の問題ももちろんありますが、企業も地域社会を作る一員ですので、そういった意味で介護離職だけではなくて、認知症バリアフリーの取組を推進していくための、職域の関わりというのは非常に重要だと思っております。介護者支援を認知症施策でやっていくのかということについては、全体として地域包括支援センターも含めた介護者支援というものを、次の部会の先生もいらっしゃいますが、1つの議題にしていく必要があるかと考えております。以上です。
 
○菊池座長
平野委員、いかがでしょうか。
 
○平野委員
ありがとうございます。ほかの方を先にお願いいたします。時間があればまた触れたいと思います。
 
○菊池座長
いかがでしょうか。ほかに御質問は。藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
藤森でございます。今、平野委員から御指摘のあった点と少し関連するところなのですが、2つあります。1つ目は、先ほど課題の所に上げられていた自治体間の格差の点なのですが、こちらが達成目標の表、あるいは測定指標になると記載されていないように思うので、こちらは入れなくていいのかなと思いました。特に大綱の中で5つの柱があってそれぞれ施策が上げられますが、その後の進捗が、今、自治体間で格差があるものになっているかどうかと、実態も含めて、実態分析などもされた上でのことになるかもしれませんが、そこが格差是正のところの目標施策というものが必要だというのが1つ目です。
それから2つ目なのですが、目標の設置の仕方なのですが、例えば達成目標1の測定指標の①は、前年度以上という形で目標が設定されています。一方、大綱の目標だと思いますが、令和7年末に400万人というような目標が設置されていますので、前年度以上ではなく、令和7年度をにらんだ上での逆算した目標の設定の仕方というものを検討する必要があるのではないでしょうか。以上二点です。
 
 
 
○老健局
御質問の一点目、自治体間の格差でどういった取組かということで、測定指標には入っていないことがございました。確かに目標として、目標の設定の仕方としては、そういう自治体を減らしていくのも1つの目標の設定の仕方かもしれませんが、個別的になるところもありますので、国としての政策としてマクロ的に設定してしまっております。例えば初期集中の実績や、あるいはケアパスの策定状況といったもの、それから認知症カフェの設置などにつきまして、やはり小さい自治体でデコボコがあるところがございます。例えば、北海道みたいな所はなかなか難しかったりする実態も出てきております。目標の設定が全市町村は結構最後にいくほど、だんだん厳しいハードルになってくるところもございますが、目標としてどう掲げるかということと、それをしっかり理由もなく駄目なのかをよく見極めて、しっかり対応してまいりたいと思っております。
それから、先ほど認知症の職域サポーターの人数について400万人というのだったら、もう少し逆算して補完した目標の設定の仕方もあるのではないかという御指摘だと思うのですが、そのとおりだと思いますので、全部がそれになじむかはありますが、目標の設定の仕方について前年度以上よりも工夫できるものがないかについては、また引き続き検討したいというふうに考えております。
 
○菊池座長
ありがとうございます。藤森委員、いかがでしょうか。
 
○藤森委員
1つ目のところも御検討いただければと思います。2つ目のところは、先ほどの認知症のサポーター数のみならず、達成目標の2番。達成目標の5ですか、3ページの所。ここも同じように逆算して計算できるところではないかと思いますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。平野委員何か、先ほどの回答について何かございましたら追加でどうぞ。
 
○平野委員
恐れいります。格差是正の関連ですが、これは指標化するのは大変難しいかと思うのですが、どちらかというと人材育成はかなり量的なことも整理されていますが、県や市町村、それから包括支援センターあるいはケアマネージャーのレベル、それぞれの一定の役割がある関係について、何か例えば格差の背景のようなことで、都道府県の優先度が低い場合に、市町村が余り進めないとか、何か重層的なそれぞれの機関の関係において、何か生じる問題があるのではないかということを以前から考えていたものですから、そういうことの先ほど藤森委員が実態調査とお話もされましたので、やはり格差が生じる背景と言いますか、少しそういうことの体制の見直し等、今後検討いただければなと、少し指標から離れるかもしれませんが、そういう意見を持っていたので、この場を借りて申しました。以上です。
 
○老健局
今年、ちょうど中間の見直しをするというか、中間的な進捗状況を確認する年度でもございますので、御指摘のようなことも踏まえ、検討してまいりたいというふうに考えます。以上です。
 
○菊池座長
ほかにはよろしいでしょうか。私から、藤森委員からもありましたが、この大綱はやはり非常に重要なものですよね。そこからこの達成目標が導かれるのかなと思うのですが、施策を推進するに当たっての重要な達成目標ですね。この1、2があり、これが5つある大綱は、どう対応関係があるのか。目標1が柱の1、あるいは1、3ですか。目標2が2、あるいは2、4なのか。そうすると、5番目はどこに行っているのか。この5つの柱と達成目標の2つの対応関係。そして、その5つの柱を実現する、見ていくための指標が適切に配置されているかについての御認識を伺いたいのが1つです。
それから、アウトカムはとても難しいのですが、ただその中でもこれは指標そのものの設定の仕方にも関わりますが、例えばチームオレンジ設置自治体数や認知症カフェ設置自治体数、全自治体で100%ということですが。例えば小規模市町村において置かれるのと、政令市で1個置かれるのと全く意味合いが違うと思います。特に後者の場合は、200万人都市で1つをどう見るか。それは、どうプラスの評価になるのか、ならないのか。これは指標の設置の仕方そのものに関わると思うのですが、ここで100%と言ってしまうと、もうこれ以上推進力としては働かないことになるのではないかという点です。
最後ですが、指標の最後の7の、年齢ごとに細かく丁寧に決め細かく見られるのはとてもいいと思うのですが、これが評価の段になると達成している部分としていない部分がある場合、全体としての評価はどうなるのか。やはり1か所でも達していない部分があれば、これはやはり全体として達成していないという評価になるという理解でよろしいかという。すみません、三点なのですがお願いしてよろしいでしょうか。
 
○老健局
まず1つ目でございます。この5つの柱との関係性でございます。結びを申しますと、大綱は非常に広範囲に渡っており、研究開発、産業展開、国際展開などになりますと、例えば認知症の治療薬、弛緩収縮薬の治験等、いろんな目標が立っております。それこそバイオマーカー等いろいろなものが入っており、それは政策的なものもあるし、ここの目標には掲げていないところでございます。それから、大きな関係性で申しますと、この1番と4番が結構近しく、これが課題1に近いと思います。それから3番が、課題2に近いところになっており、予防は実はいろんな意味があり、認知症の予防のことについて予防そのものもありますが、発症しないものもあれば進行を遅らせる、そういった2次予防、3次予防といったもの、重症化を予防するものもあり、それも課題2に近いかと思います。そういった関係性かと思います。
それから、2つ目の小規模自治体も含めた形の100%について、そもそもどうなのだというところと、大規模自治体においてはそもそも達成した後はどうなのだという御指摘でした。認知症カフェなどの取組については、区ごとや、いろいろ政令市などでも1個だけ作って終わりとしている自治体はないかと思いますので、そういう意味では、自治体の大きさに応じた形での設置は進んでいますが、目標の設定の仕方としては、まず何を優先したかという、少なくとも大綱策定時のときには、全市町村という面的な対応を強調したところもございました。ひょっとしたら、もっとその先には日常生活平均ごとにとか、次の目標の設定の仕方があるかもしれませんが、現時点においてはそこまでということでございます。
それから3つ目の日常生活自立度Ⅱ以上の所の評価の仕方です。認知症の予防については、フレイルの予防よりも若干難しい要素がいろいろ入っているかと思っております。そういった中で1個でも達成していない場合に、達成していないと見るかどうかも含めて、全体としてどう見るかはまたこれからの議論かなと思います。認知症の大綱の策定のときには、70歳代の発症を一歳遅らせるという、10年間で一歳遅らせる目標を掲げようとして、結構認知症の予防は本当に可能なのかという議論が巻き起こった記憶があります。大綱そのものの目標に入って、それはKPIには結局設定しなかった経緯がございます。そういった経緯も踏まえながら、どういった目標が掲げられるかというところは、よく考えていきたいというふうに考えております。
 
○菊池座長
御検討いただきたいと思います。1つ目に関しては、5番は難しいのは分かりましたが、あとは大体拾っているということでよろしいということかと思いました。2つ目に関しては、令和7年まで全市町村でいいのか。やはり、政策評価の意義として、それを国民に対して厚生労働省が何をやろうとしているのか、何を重視しているのかを見せるのも政策評価の1つの重要な役割なので、それが達成されたかどうかはまた次の話で、それはこういう理由でなかなかそこまでは行けませんでしたというように、しっかり説明できればそれでいいわけですから、その辺も御検討いただきたいと思います。ほかに、委員からいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて事前分析表への反映をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、次のテーマに移らせていただきます。少しお待ちください。
(説明者入れ替え)
 
○菊池座長
続いて、施策番号Ⅸ-1-2、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築すること」について、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○障害保健福祉部
よろしくお願いいたします。精神障害保健課長の林と申します。概要資料となっている横の紙を中心に御説明させていただきたいと思います。精神疾患の現状として、精神疾患を有する患者の数が非常に増加傾向にあります。国民の中の420万人が患者調査で現在、受診されているといったことが分かっています。また、他の調査では、我が国の精神障害に関する生涯有病率、一生に一度は経験される率で22.9%といったデータも出ています。さらに、精神保健に関する課題が他の福祉分野の相談や困り事、そういったものの背景にあるといったことも、最近よく言われるようになってきており、母子保健・子育て支援、高齢・介護、生活困窮・生活保護、こういったことと精神保健に関する課題との関係というのも非常に深いところです。依存症の部分については、後ほど依存症室長からまとめて御説明したいと思います。
全体としての取組の方向として、精神障害の特性は、疾病と障害が併存していること、また病状が障害の程度に大きく影響するという、こういったことの中で医療、介護、様々なサービスを地域で切れ目なく利用できるようにするということが、1つの大きな方向性になっているというところです。このため、課題1ですが、地域における精神保健医療福祉体制の基盤を整備するため、行政と医療、障害福祉サービス、介護サービス等の多職種、多機関の顔の見える連携に向けた取組をしていくということです。その達成目標として、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築というものを、大きなミッションとして掲げております。もともと精神疾患の分野は、医療と福祉の連携の包括的なケアということを長年にわたり施行して取り組んできた分野です。そういった中で、高齢・介護の分野を中心に、地域包括ケアシステムは非常に大きな取組がなされるようになり、非常に大きな進展もあったところでして、精神障害の分野もそういった大きな地域包括ケアシステムというものの中で、精神障害も含めて対応できるということを大きな目標にしているというところです。
アウトカムの目標として5つ掲げておりますが、入院1年以上の長期入院患者数が減っていくこととか、精神病床から退院後1年以内の地域での再入院なしに生活できる日数が増えていくこと、こういったことを大きな目標として挙げています。それと近しい評価領域になると思いますが、入院後3か月時点の退院率が上がること、入院後6か月時点の退院率が上がること、入院後1年時点の退院率が上がること、入院しても長期入院が長期にならずに退院できるということについても、アウトカムとして評価していこうという考え方です。
こうしたアウトカムを得るために行われている行政の事業が本当にたくさんあるわけですが、ここで当課として現在取り組んでいる内容をアウトプットというように掲げさせていただいています。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業という事業を、自治体、特に都道府県、政令市、保健所設置市、特別区に取り組んでいただいています。こうした事業はいろいろなメニューがあります。家族支援とか住まいの確保支援、ケアサポーター、アウトリーチ、あるいは入院者の退院後の医療の継続支援とか、精神医療相談といった様々なメニューを掲げておりますが、こうした事業を実施する自治体数とか、その自治体の中でも様々な事業に取り組むと事業数が増えてきますので、そうしたものをアウトプットとして掲げさせていただいています。
8、9、10については、こうしたことを進めるに当たっても、国民の皆様の心の問題に関する理解を深めていくことが重要です。また身近な方に、ごく小さな心の悩みを相談しやすい、そういった状況を作ることも普及・啓発として重要であると考えており、そうした観点から、心のサポーター養成研修というものを行っていこうと考えています。現在は試行的な実施をしているところですので、現時点で実施自治体数、受講者数等が国民の数や自治体の数に比べて多いわけではないのですが、今後これを延ばしていくことで、国民の皆様に精神疾患に関する理解、認識を普及・啓発していきたいと考えているところです。依存症については、依存症室長から御説明させていただきます。
 
○障害保健福祉部
失礼いたします。依存症対策推進室長の小沢と申します。私からは、依存症対策の部分について御説明させていただきたいと思います。概要の1ページの真ん中、2.の依存症の部分の現状(背景)を御覧いただければと思いますが、ここに記載されていた依存症患者の方の外来患者数について、事前にお示しさせていただいた数値が平成29年のものということで古いものでしたので、概要の8ページの資料と併せて令和元年の新しい数値に変えてお伝えさせていただければと思います。申し訳ございません。現状(背景)ですが、医療機関を受診しているアルコール依存症者の外来患者数は約10万人でして、薬物依存症の外来患者数が約1.3万人、ギャンブル等依存症の外来患者数が約0.4万人と令和元年度はなっております。一方で、依存症に関する一般住民の方に対する意識調査では、病気になったのは本人の責任であると思うという方の割合が、アルコール依存症で60.7%、ギャンブル等依存症で72.6%という結果でして、多くの方に患者さんの自己責任の問題だという、そういった意識があるものと考えているところです。
しかしながら、依存症は本人がなりたくてなっているものではなくて、その点を理解いただくのがなかなか難しいという点があります。そういった点を踏まえて課題2ですが、二点掲げさせていただいています。依存症と疑われる方やその家族が相談支援につながりづらく、十分な治療・支援が受けられていない場合があること、2つ目として、医療機関での治療を中心として、相談などを含めた切れ目のない支援が必要であるということを掲げさせていただいています。このような課題に対して、達成目標2に書いてありますが、アルコール、薬物、ギャンブル等ゲーム依存症対策の推進ということを達成目標とさせていただいており、このための施策として自治体における相談とか、医療体制の整備を進めていくということを進めているところです。
これに関する測定指標としては、11と12ということで2つの指標を定めております。1つ目が、アルコール、薬物、ギャンブル等の3つの分野で依存症に関する相談拠点機関、専門医療機関、治療拠点機関をいずれも設置している都道府県、指定都市の数を指標としております。都道府県、指定都市において、それぞれの分野で各機関の選定を進めていただいていますが、3つの分野で全ての機関を選定するというのが、なかなか難しい部分もあって、事前分析表にもありますけれども、現状では34自治体となっております。私どもとしては、全ての都道府県指定都市で設置することを目標として、達成指標に記載している事業と併せて引き続き都道府県、指定都市に働きかけていきたいと考えているところです。
2つ目ですが、精神保健福祉センター及び保健所の依存症に関する相談件数を指標としております。より多くの方が適切な支援につながることが重要であると考えていますので、相談件数を指標として、目標としては前年度以上とすることと設定しているところです。私からは以上です。よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問などがございましたらお願いいたします。岩崎委員、お願いいたします。
 
 
○岩崎委員
御説明ありがとうございます。達成目標1の所で、精神障害者の精神病床から退院後1年以内の地域での平均生活日数をアウトカムとされるという点は、すごくいいと思うのです。ただ、前年度以上という目標値で達成したかどうかを判断するという点は、再度御検討いただければと思います。また、構築推進事業の実施自治体数とか、実施事業数をアウトプットとするということですが、実際に構築を推進するということに関するアウトカムが明確に示されていないように思います。実際に達成目標がすごく大きいので、何をアウトカムにするのかという点が難しいと思うのですが、地域包括ケアシステムが構築されていくという変化に関して、退院者のカウント以外にも何らかの形で指標として示していただくと有り難いなと思います。
公表資料とかを拝見しますと、具体的なビジョンの設定とか評価、見直しというような、そういったプロセスが示されておりますし、具体的な推進事業ごとの数値目標例とか、そういったものも示されていると思うのです。そこにノルマにならないことが重要というような、ただし書もされているので、なかなか難しい点があると思いますが、参考指標でも結構ですので、何らかの具体性のあるアウトカムをお願いできればと思っています。
長くなって恐縮なのですが、依存症に関してなのですけれども、本人が病気であるという認識が持てなかったら、治療へのモチベーションがなかなか継続できないというような難しさがあって、おっしゃっていたような自己責任という考え方がなかなか納得しづらいという現状はあると思います。事前分析表には、先ほど御説明があったように、やはり普及・啓発ということが強調されているのですが、測定指標としては、相談とか医療の拠点、設置対象とか相談件数しか挙げられていないように思うのです。最近では若年層、若い方たちの薬物とかギャンブルの問題というのが大きな課題になっているのではないかと思うのですが、そこを何とか医療につながっていくというような、普及・啓発はよくされていると思うので、具体的な指標として是非取り上げていただければと思います。
最後ですが、御家族などが相談というようなもの、目標としては前年度以上ということで測定指標とされていますけれども、相談が増えるということが一概に適切な支援につながっているのかというのは、現場感覚で言うとなかなか評価が難しいように思いますので、そこら辺は再考していただければと思います。以上です。
 
○菊池座長
いろいろ御提案を含め、お尋ねもございましたが、いかがでしょうか。
 
○障害保健福祉部
御指摘ありがとうございます。まず、1つ目の退院後の地域での平均生活日数ですが、この目標については、医療計画の目標と一致する形で掲げさせていただいています。医療計画は都道府県に作っていただきますので、各都道府県においては、医療計画を策定する際に上位10%の都道府県、全国で言うと上位4位から5位ぐらいの都道府県の数値を目標に掲げてほしいということをお願いして、やっていっていただいているところです。そうしたことから、取組の成果が出てくれば、そこに向かって成果が出てくるということだと思います。医療計画の6年というスパンの中で、1年ごとに細分化した数字をお示しするということが、なかなかしにくい事情もありますので、こうした形でここには記載させていただいているという事情があります。
もう1つ、推進事業のアウトプットから、もっと中間的なアウトカムを幾つか掲載できないのかという御指摘であったと思います。私たちもなるほどなと思うところもありますし、いろいろやっていくと相談の件数とか、あるいは受診患者数とか、医療機関の数とかいろいろな目標設定が考え得るものだとは感じるところです。その一方で、全国でその数値を集計することの困難さとか、地域ごとにいろいろ事情が違うこととか、そういった中で全国一律の目標として、どれが一番全体を代表するのかというところで、いつも悩んでいるということです。また御指摘も頂きましたので、そういった中で何か作ることができるかどうかということについては、改めて見返してみたいと思います。
 
○障害保健福祉部
依存症対策室長です。普及・啓発の関係で御提案を頂いたところだと思っています。普及・啓発の関係は、事業としては行ってはいますが、実際に指標とするに当たって、普及・啓発が進んだかどうかというのを、評価するのがなかなか難しいというところを悩ましく思っているところです。どれだけ人々の間で、そういった依存症に対する理解が進んだかということを、毎年調査をしているわけではありませんので、そこの評価の部分はなかなか難しいのかなと思っていますが、先生から頂いた意見を踏まえて、どういうことができるのか考えてみたいと思います。
それから、御家族への相談支援などが適切かどうかということをお話しいただきましたが、その点も確かに、相談支援はどれが適切かというのは、なかなか指標にしづらい部分があるかなと思っています。ただ、我々としては保健所や精神保健福祉センターにつなげるということが、まずは重要かと思っていますので、その点でのそういった依存症が疑わしい方が相談に来て、いろいろと相談を受けていただけるということを、環境づくりと併せて相談件数を増やしていくということを、まずやっていきたいと、このように考えているところです。以上です。
 
○菊池座長
岩崎委員、いかがでしょうか。
 
○岩崎委員
是非、前向きにもろもろ御検討いただければと思います。ありがとうございました。
 
○菊池座長
ありがとうございます。平野委員、お願いいたします。
 
○平野委員
先ほど岩崎委員が御指摘になった構築推進事業に関連して追加なのですが、幾つかのメニュー、ここには14事業というような書き方があろうかと思いますけれども、私も何か具体的な事業をリスト化して、評価指標に加えていただくのが重要ではないかなと思っています。もちろん、先ほど御回答された全体を代表できるのかというのは、ちょっと無理があると思うので、私としては精神のほうの地域包括に特徴的というか、重要だというような研究が出ているものを取り上げるのはどうかなと思っています。具体的に言いますと、1つは居住支援というか、住居支援のことは実際の数量としてもカウントしやすいのではないかなと思っています。これは、様々な研究の中でも精神障害者の方が地域で生活するための第一歩として、住居支援を行うというのが1つの重要なルールというか、原則になっているような文献のようなものがありますが、そういう点で住まいの確保というか、居住支援というのは結構、特徴的なのではないかと思っています。
もう1つは、当事者が担うピアサポートへの認識を深めるということも含めて、そういう個別的な事業がどの程度の自治体で取り組まれているのか、あるいはその実績はどうかということは、1つの指標になるのではないかなと考えています。この14事業の中に、家族支援のメニューが入っているかどうか確認が十分にできていないのですが、やはり精神や薬物依存の問題は、家族支援が重要だという御指摘も研究でもあるように聞いていますので、少しまたそこで御示唆があれば、伺えればと思います。以上です。
 
○菊池座長
お願いいたします。
 
○障害保健福祉部
現在の目標設定については、事業の延べ数ということで書いておりますので、14事業、合計で基準値が204事業、目標値が750事業という形になっております。御指摘は、この事業の中で住まいの確保支援に係る事業や、ピアサポートの活用に係る事業が特に重要であるので、そういったものを特出しした目標値の設定をしてはいかがかという御指摘であったと認識しています。少し検討させていただきたいと思います。家族支援に係る事業についても、14事業の中の3つ目に精神障害者の家族支援に係る事業というのを設けていますので、こうした事業についても取り組んでいただくように、自治体に促しているところです。
 
○菊池座長
平野委員、いかがでしょうか。
 
○平野委員
是非よろしくお願いしたいと思います。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。藤森委員、お願いいたします。
 
○藤森委員
今の14事業に関連した所なのですが、現状の所ですかね、実態分析の所に参考値のような形で、それぞれ14事業の中でそれを実施していると退院の割合がどれだけ違うのかといった、そんな簡単な話ではないと思っていますけれども、もし示せるのだったら、何か目標に至る前の所の参考数値のような形で示すというやり方があるのではないかと思いましたので、その上で、代表的なこの数値を目標に掲げていくというような方法があるかもしれないなと思いましたので、またその点も御検討いただければと思います。
 
○障害保健福祉部
最初のほうが、ちょっと音が悪かったせいもあって、十分に理解できていない部分があるのですが、事業の実施の有無で何かアウトカムに違いがあるかどうかというようなことを、おっしゃってくださっていますか。
 
○藤森委員
各14事業の、どの事業がどれだけ効果があったのかというような、そういう荒い数値というのはなかなか出すのは難しいのかもしれませんが、何か今回の退院というところに関わる事業との関連性のようなものを、実態として参考値として示すことはできないかと。その上で、代表的に目標を考えるというような方法もあるかなと思いました。
 
○障害保健福祉部
御指摘は理解させていただきました。アウトプットとアウトカムとの関係というのを、もっと明確に示していけるといいなというのは、私どももそう感じています。データの測定の可能性、あるいは、しっかりそこが直接的にアウトカムに結び付くのかということについても、なかなか難しい部分もあるかなと思いますので、引き続き勉強しながら考えさせていただきたいと思います。
 
○藤森委員
よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
ほかにはよろしいでしょうか。今、3人の委員から重なった御指摘があったと思いますが、正に地域包括ケアシステムの構築が施策目標であるのに対して、具体的な指標としては入退院に関わる部分と、心のサポーター養成に関わるものしかないと。あとは、この事業の実施自治体数で全部受けているのだけれども、正に地域包括のポンチ絵にあるように、様々な要素が地域包括ケアシステムにはあるのであって、住まい、社会参加、地域などですね。数値設定がなかなか難しいというのはそうだと思うのですが、そこを捉えるというか、正にそこをどう施策として進めるかというのが所管課としての力の入れどころですよね。だから、そこをこのようにやっていきたいという、そういう方向性を示す意味でも、難しいであろうけれども、少し具体的な指標としてお考えいただけないかという、各委員の御示唆だと思いますので、是非、御検討いただきたいということです。
それと関わりますが、施策目標が精神障害に対応した地域包括ケアシステムを構築することであって、現状分析があって課題が挙がっていて、達成目標がまた地域包括ケアシステムの構築で、施策目標と同じになっているのです。これはどうかなと思うのです。課題があって、その課題に対応するために更に具体化させた施策目標が幾つか設定されるという、そういう流れだと思いますから、そこでまた抽象度が増した施策目標に戻ってしまうというのは、ちょっとあり得ないように思うのです。依存症が地域包括ケアの中で課題として発生してくるというのは理解できるのですけれどね。だから、この達成目標の立て方を、そこで幾つか医療提供体制とか住まいとか、地域とか社会参加とか出てくるかもしれませんけれども、それがあって、それぞれの指標が立てられるということになると、また測定指標の立て方の考え方も随分違ったものになるのではないかと思います。この辺も含めて御検討いただくとよろしいのではないかと思います。ひいては精神分野の地域包括ケアシステムを、国がどう進めようとしているのかというのを具体的に示すことになりますので、非常に前向きな発信にもなりますので、御検討いただきたいと思います。
よろしいでしょうか。それでは、本日の議論を踏まえて、担当課におかれましては、事前分析表への反映をお願いいたします。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
それでは、次のテーマに移ります。少しお待ちください。
(説明者入れ替え)
 
○菊池座長
続いて、施策番号ⅩⅣ-1-1「行政手続のオンライン化を推進すること」について、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○情報化担当参事官室
情報化担当参事官をしております山内と申します。よろしくお願いいたします。私から基本的には概要に基づいて御説明いたします。1枚おめくりいただき、概要の1ページです。上の囲みに書いてありますとおり、この事業の基本目標は、国民生活の利便性の向上に関わるICT化を推進することです。施策大目標は、デジタル政府・デジタル社会形成に向けて、厚生労働分野における情報化を推進することです。施策目標としては行政手続のオンライン化です。
背景のところに書いておりますが、利用者中心の行政サービス改革・行政手続のデジタル化と書いております。厚生労働行政は様々で分野も幅広く、いろいろな事業があります。そのような中でいろいろな課題に直面しているわけです。こうした課題に対して、従来からICTを活用して国民生活の利便性向上を図りたいという問題意識はあり、これまでも年金・雇用・労働、ほかにも健康・医療・介護・福祉等、行政サービスの各分野で情報化推進に取り組んでいますが、この事業は、そうした取組の柱の1つとして行政手続のオンライン化を進めたいというものです。
行政手続のオンライン化は、真ん中に囲みで書いてありますが、左側の囲みの中にデジタル3原則が書いてあります。右側に※として重点計画の意義を書いております。現在の行政全体の情報化の行政手続のオンライン化推進については、1つは令和元年に大幅な改正が行われたデジタル手続法、そして、デジタル社会の実現に向けた重点計画を基本に取り組んでいくということです。
真ん中に書いてあるデジタル3原則は、①デジタルファースト、個々の手続サービスを一貫してデジタルで完結しましょう。②ワンスオンリーは、一度提出した情報は二度提出することを不要にしましょう。③コネクテッド・ワンストップは、民間も含めて複数の手続やサービスを、ワンストップで実現できるようにしましょうというのが基本的な考え方で、3ページに概要を付けておりますが、デジタル手続法の中で示されています。
さらに、それを具体的に示したものが「デジタル社会の実現に向けた重点計画」です。これについては、4ページに概要を示しております。この「デジタル社会の実現に向けた重点計画」は幾つかの側面があり、基本的にはデジタル社会形成基本法に基づくものではありますが、併せてデジタル手続法の中で示されている、情報システムの計画を受けた計画という側面もあるということです。
行政手続のオンライン化については、基本的には全ての手続がオンラインで完結できれば良いということだと思います。また、そのオンライン利用率が100%に近づいていくことが、目指す方向ということで考えるわけですが、厚生労働行政の行政手続の中には、資格証の返還といったもののようなオンライン化が難しいものもあり、オンライン化に馴染まないものもあります。それから、地方公共団体が受け手になるようなものもあり、それは、その地方公共団体の環境整備が必要となってきます。どのような手続を対象として、どのような目標を設定して進めていくかということです。
課題1に書いてありますとおり、この事業では重点手続(※2)と書いてありますが、これは※2にありますとおり、平成20年に策定されましたオンライン利用拡大行動計画において、国民が広く利用するオンライン化された手続のうち、国民や企業によって利用頻度の高い、年間申請等件数が100万件以上のもの、及び100万件未満であっても、主として企業等が反復的又は継続的に利用する手続ということで位置付けられている、21の手続を対象に事業を見ていくことで考えております。
課題1に書いてありますが、この21の重点手続については、資料の最後のページ、5ページに21の手続を示しておりますが、基本的には、労働雇用、年金や健康保険といった社会保険で多くの手続が行われるものということですが、これが平成28年頃の実績です。この事業自体、この形で目標設定をして始めているのは令和元年度からですが、当時、実績のあった平成28年度のオンライン申請率が12%、分母が全ての手続のうちオンラインで行われた手続の割合が12%ということでしたので、利用者の視点に立ったオンライン申請の利用を推進することが必要と考えているところです。
達成目標は、オンライン化に向けた取組を計画的に進めるということで、指標としては、太字で書いてありますが、こちらがポイントだと思っております。この21の重点手続に関するオンライン申請率、実際にどれぐらい申請されたか、使われたかということが1つのポイントということで、これをアウトカム指標としております。
もう1つは、オンライン化できるようになっているかどうかで、こちらをアウトプット指標ということで2としております。実際の分析表を御覧いただければと思います。下に表がありますが、①重点手続に該当する厚生労働省所管手続のオンライン申請率をアウトカムとして、基準年度の平成29年度、先ほど平成28年度の始めた当時のデータで12%と申し上げましたが、平成29年度の16%から、その後、推移をしております。今年度は、この形で観察を始めて令和4年が4年目になります。現在、令和2年度の実績まで出ておりますが、オンライン申請率が38%まできており、令和3年度の実績については、現在、集計中です。
2つ目は、アウトプットということで設定しているのが、デジタル手続法において、オンライン実施原則化の対象となる手続ということで、具体的には、先ほど少し御紹介したデジタル手続法に基づく計画として作られている、一昨年度まではデジタル・ガバメント実行計画でしたが、昨年度はデジタル社会の実現に向けた重点計画ということで、その中に、この手続はオンライン化を進めていってはどうかが示されていて、そのうち、実際にオンライン化ができているものという、その比率を見たものです。
これは、令和元年度は78手続が計画で示されており、そのうち12手続についてはオンライン化ができている。令和2年度は136手続で、そのうち26手続はオンライン化ができているという指標になっております。計画であり、計画策定時の状況により、分母や分子が若干変動してしまう扱いづらさがあるところは、少し悩ましいところではありますが、これまでのところ、なかなか、ほかに代わるものが見当たらないということで、この2年間はこれを使ってみているということです。
最後に、先ほどの概要資料の5ページに戻っていただき、21の手続がありますが、これでかなり社会保険や労働保険、つまり厚生労働省自身が運営している仕組みについての手続がカバーされております。例えば、一番数が多いのは⑫賞与支払届です。これは厚生年金や健康保険の被保険者の賞与支払実績を報告するものであり、大体、被保険者自体が3,000万人、4,000万人ぐらいいらっしゃるので、その方々が毎年2回ぐらい賞与をもらうと考えれば、大体この⑫の手続が年間6,000万件ぐらいあります。
次に多いのが⑥被保険者報酬月額算定基礎届です。これは、大体毎年1回、厚生年金や健康保険の標準報酬の決定が行われます。その届出は全ての被保険者について毎年行われるもので、これが大体、年間4,000万件ぐらいあることになります。あとは、③雇用保険被保険者資格取得届や④雇用保険被保険者資格喪失届があります。これらは、サラリーマンの方が職に就かれるとき、職から離れられるときには行われるものでありますので、これらがそれぞれ700万件、800万件、大体そのような規模感です。
ですので、私たちとしては、従来からこの厚生労働分野の行政手続のオンライン化については、特に、事業主の方々の要望等もあり、雇用や労働、社会保険の手続を中心に進めてきております。データとしても最近、オンライン化率を実績として取れるようになってきているので、今回のような指標を設定し、令和元年度から今年で4年目を迎えているということです。少し長くなりましたが以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明について御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。新保委員お願いします。
 
○新保委員
御説明いただき、ありがとうございました。やはり、このICT化の推進はとても大切で重要な課題だと思いますので、今の状況がよく分かりました。ありがとうございました。現在、手続が12%ということですが、この背景はどのように分析されていますか、教えてください。
 
○情報化担当参事官室
概要に書かせていただきました12%というのは、令和元年にこの形でこの事業の評価を始めるときに見た平成28年度の実績です。現時点の一番直近のデータは、分析表の中にありますとおり、令和2年度に38%というのが①の欄にあると思います。12%から平成29年度に基準値の16%になり、その後、平成30年に22%、24%、38%と上がってきているということです。
雇用・労働社会保険の分野は、デジタル化について、いろいろと課題が従来から指摘されてきていましたが、ここ数年、政府全体の取組もあり、フロントといいますか入口ですね、手続をする入口のe-Gov(イーガブ)やマイナポータル等、そういったものが段々整理されてきたり、オンラインでいろいろと申請するときには、認証といいますか、IDがポイントになってくるわけですが、それも「GビズID」という無料で使えるIDが作られてきたなど、いろいろと環境が整ってきたことや、これらの社会保険、雇用、労働関係の部局の取組自体も進んできており、例えば、令和2年4月から大きい企業は原則オンラインでお願いしますというように、省令改正等も行って取組を進めてきていますし、勧奨もしています。いろいろ動画を作成して配信したり、いろいろなことをやって、一応、ここまで辿り着いているという状況です。
 
○菊池座長
新保委員、よろしいでしょうか。それでは、ほかにいかがでしょうか。
 
○新保委員
続けてよろしいでしょうか。
 
○菊池座長
どうぞ。
 
○新保委員
申し訳ありません。38%になっているということで、よく分かりました。いろいろと努力もされていると思いますが、この取組、このような政策評価が可能かどうか分かりませんが、利用者の多いものから、例えば、アンケートを取られて、どこが課題になっているかを明らかにされて、満足度等で図るというのも1つあると思います。課題として上がってきたことに対して対応がどれだけできたか、そのような観点で利用率を上げていくこともそうですが、上げていくために課題になっていることを、どう解消できたかというところも評価されるべきところなのかなと思いました。意見は以上です。
 
○情報化担当参事官室
ありがとうございます。いろいろ利用者の声やオンラインを使っていない方に、どうして使わないのですかといったような、お尋ねみたいなものは、いろいろな窓口等も含めて、いろいろな機会を捉えて実際は行っており、系統立ったアンケートではありませんが、そのような声はなるべく丁寧に聞かせていただき、日々、改善に努めていきたいと思っております。以上です。
 
○菊池座長
ほかにはいかがでしょうか。藤森委員お願いします。
 
○藤森委員
御説明ありがとうございます。利用率が38%まで上がってきたということで、とても大切なことだと思います。一方で、目標値のところが前年度以上で目標年度が毎年度という形になっておりまして、例えば、5年目に利用率何%という形で記載することができないのかなと思ったのですが、この辺はいかがでしょうか。
 
○情報化担当参事官室
ありがとうございます。書くことができれば、確かに何%と書いたほうが分かりやすくはあると思います。ただ、具体的にどの数字を置くかといったことは、いろいろ考えてはみても、今のところ、そこまでは至っていないということかと思います。各パートではそれぞれ、それなりにもっと進めたいということで考えてはいるわけですが、この21事業をトータルの評価として何%と置くのが良いかというのは、ここまでのところは思い当たってはいないというところです。御指摘も踏まえてどのようなことができるかは、まだ38%なので、これで良いということではないと思っていますので、取組を進めながら、いずれ何か数字が置ければということは考えていきたいと思っております。お答えになっているかどうか分かりませんが。
 
○藤森委員
是非、御検討していただければと思います。
 
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。藤森委員からありましたが、やはり前年度以上というのではなく、何か主体的に次はこれとこれをやっていこうとか、それは難しいですかね。
 
○情報化担当参事官室
すみません、少しこの事業とは違うのですが、オンライン化の取組自体は、規制改革等そういった流れの中でも、当然、議論は行われており、そういったものからも背中を押されて取り組んでいる面があります。そちらはそちらで、別途、計画を作っています。この21事業と全く重なるところではありませんが、そこでは、この21事業をもう少しブレイクダウンした形のところで、これは何%ぐらいまでのような、そのようなものは作って、お示ししているものはあります。ですので、そういったことも、これ以外にも幾つか計画がありますので、そのような中で、また引き続き総合的に考えてみたいと思います。本当は数字があったほうが良いとは思います。
 
○菊池座長
よろしいでしょうか。それでは、今の点も含めて担当課におかれましては、事前分析表に反映できるかどうかを含めて御検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。どうも御苦労様でした。
(説明者退出)
 
○菊池座長
それでは、本日、予定しておりました議事は全て終了いたしました。熱心かつ有意義な御審議を賜り、誠にありがとうございます。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
本日頂きました各種御意見等についての取扱いですが、まず、事前分析表の記載に関する御指摘については、担当課において必要な修正をいたします。また、その後、当室で取りまとめの上、総務省への通知、また厚生労働省ホームページへの公表の手続を進めさせていただきます。取りまとめをいたしましたら、皆様にも最終版を送付いたします。また、本日の会議の中で伝えきれなかった御意見等がございましたら、6月10日金曜日までに事務局まで御連絡ください。本日は第5期の新しい概要を中心とした政策評価の御審議をありがとうございました。説明は以上です。
 
○菊池座長
政策評価はいつも難しい議論だなと思いつつ、私も参加しておりますが、新保委員は今回からということで、いきなり各論的な話に入ってしまいましたので、とまどわれたのではないかと思います。本来、政策評価は何なのかというような、そのようなところから入っていきたいと、私は前年度の会議でも申し上げたのですが、日程的にこのような形でワーキングからということになり、その点はお詫び申し上げます。
それでは、これをもちまして本日の会議は終了いたします。どうもありがとうございました。