第5回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ (議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和4年6月15日(水)
12:00~14:00

場所

主婦会館プラザエフ クラルテ

議事

下記のとおり
2022-6-15 第5回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ
 
○土屋専門官 ただいまから、第5回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点を踏まえまして、公開の検討会として実施、従前どおり、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、ただし傍聴については、事前に御希望があったマスコミの方については、体調不良がないことをあらかじめ御申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の傍聴者はなしという形での開催とさせていただくこととしております。構成員の皆様におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
また、今回は会場にお越しいただいた構成員の方と、ウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には遠藤構成員が参加されており、そのほかの構成員の方にはウェブで御参加いただいております。
本日は、坂本構成員から欠席の御連絡をいただいております。また、オブザーバーとして総務省消防庁救急企画室救急専門官の小塩専門官に御出席をいただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いします。「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどの表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1から4、参考資料1をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○土屋専門官 それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日は12時から開催という、やや変則的でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。議題は1つでございまして、「第8次医療計画策定に向けた救急医療について」でございます。
それでは、まず、資料1と2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○土屋専門官 事務局でございます。
それでは、資料1、2について御説明させていただきます。
資料1を御覧ください。資料1は、前回いただいた主な御意見を事務局で整理し、まとめさせていただいたものです。全体の構成として、「1.救急医療機関の役割」「2.新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療」「3.その他」として整理させていただきました。
まず、「1.救急医療機関の役割」についてです。
【三次医療機関・二次医療機関の役割】
二次救急を担う医療機関では、救急医療だけを提供しているわけではなく、1つの医療機関で全てに対応することが現実的かどうかは地域によって異なるため、地域で今後どうあるべきかという発想が必要。初期・二次・三次という既存の立てつけは残したとしても、内容・役割は地域の実情に応じて考え、幾つかのモデル・パターンを厚労省で示すのがよい。
役割分担・連携という観点では、今回の新型コロナウイルス感染症対応の中でできた、医療機関の役割についての会議体や仕組みが活用できる。
二次救急から三次救急まで対応する病院がある地域もあるが、高齢者が増えるにつれて増加する脳梗塞、骨折、肺炎などの疾患は、都会では二次救急でほとんど診られている。高齢者救急の中においては、これから三次救急がどういう役割をするのかもう一度検証しないといけない時期に来ている。
三次救急も重要だが、そこに人数を集めるよりも、やはり二次救急、初期救急等に職員を集めていかざるを得なくなってくるのではないか。三次救急をどんどん充実させていくことが本当にいいのかというところはしっかり議論していくべき。
重症が減っているというよりは、もともと複数の疾患を持っていて、たまたま新しい疾患等の発症によって救急搬送が必要になって搬送された場合に受け入れが困難となる、または診断自体が難しいケースが多い。障害者、高齢者施設、外国人、無保険、合併症、認知症などが救急の発端となった病気と別の理由で対応困難となる事例が多く、二次救急機関での受け入れが難しい場合は三次救急医療機関でバックアップしてもらうことになる。重症だけではなく、多様化する複数疾患合併例または診断困難事例についての対応が課題。
三次救急機関の件数の中に二次救急と思われる件数がかなり含まれており、三次救急の病院に対しての負荷は、その二次救の部分であるとするならば、救急としての搬送の仕分けの仕方が大事。
初期・二次・三次の救急医療機関の在り方については、都市部と非都市部では大きく違ってくる。重症者を含め幅広く救急患者を受け入れることに関しては下り搬送の促進が不可欠だが、現場で救急隊が幾ら重症度を判断しても、病院に到着してみないと本当の重症度は分からないし、実際に重症であってもその患者が高度の医療を望むのか、あるいは無理のない医療を望むのかによって、その後の治療を高度な救急医療機関で行ったほうがいいのか、二次救急医療機関で行ったほうがいいのかも分からない。下り搬送は誰が担うのかが課題。通常であれば消防機関の本来の業務ではないため、病院間の搬送システムの構築と、病院間の日常の連携が必要。
三次救急医療施設の適応となるような重症患者の数からいって、これほど多くの患者を救命救急センターが重症患者として受け入れているというのは少しデータがおかしい。このデータを基に救命救急センターの在り方や果たしている役割等を検討されるのは注意してほしい。
救命センターの充実段階評価の中で重篤患者数を出しているので、三次救急を要する患者をどうするかということに関しては、その数値を見ることがよい。
二次と三次の役割分担をしていくためには、補助金が出るのであれば、充実度を評価し、体制の整っている医療機関に何らかの財政的な支援をする等して、二次病院に対する何らかのインセンティブを与えるべき。
【人材の活用】
患者がいても医療者がいない。医療従事者をどうしていくのか、増やしていくのかどうなのか、しっかり考えていかないと、夢みたいなことを語っていたら絶対に無理である。本当に医療者がどれくらいいるのかと考えていかないと、医療は成り立っていかないのではないか。今後、医療従事者、特に医師・ナースがどういう人数になっていくのか、データで出していただきたい。
働き方改革が地域格差を考えないで強行されると、医師不足の地域では救急の確保・維持ということが非常に難しくなる。
総労働時間を減らしていくと、生産性を上げた医療をしていかなければならず、タスクシフト・シェアもあるが、やはり集約ということも考えていかざるを得ない。
専門性の高い看護師を含めた看護師の配置に関する基準等の議論。
【高齢者と救急医療】
2040年に向け、どのような疾患の救急患者が増えるかという予測データを地域に提供していくことが重要。どのようなことに対応可能な医療機関が望ましいのかを地域医療構想や医療計画で考える必要がある。
地域医療構想というのは病棟単位だが、救急搬送するに当たっては、病院単位。
高齢者施設からの救急患者が一番の検討課題。特に介護保険施設や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などをも含めた高齢者施設の関係者の連携が必要であり、救急医療の会議体と、地域包括ケアの会議体で、関係者がお互いの会議体に参加するなど、歩み寄りが必要。
高齢者医療をどうするかというのが今後の救急のポイントであり、高齢者をどこで診ていくのかを検討すべき。
高齢者が、入院ではなく、自宅または施設に移っている中、救急搬送の依頼が増えているのは仕方のないことだが、救急車は依頼があるとそれを全て医療機関に搬送するということになる。在宅の段階でもう少し選別できるようにすべき。
療養施設やホテルに医師が出向いて医療を行った実態もあり、救急診療所や在宅の救急医療といった活動も解決策の一つとして検討すべき。
救急現場に近いようなところで救急にならないようにする必要があり、プライマリ・ケアを充実させていくことが大事。
亜急性期を診るような救急という概念も今後は必要。
急性期医療機関と介護施設の間で患者さんが宙に浮いてしまうことも多く、その連携を考えることが地域包括ケアの中でも重要。
在宅看取りについては、今後に向けてさらなる体制の整備を目指していくべき。
帰宅する高齢者に対して看護師が療養指導等を行い、さらに必要な患者については社会的リソースにつなぐ体制を構築していくことが、生活上または社会的な問題を解決し、地域における療養生活の継続を支援し、ひいては度重なる救急搬送を防ぐことにもつながる。
【本人の意思に沿った救急医療】
ICTを情報共有などに活用しているところもあり、そういった好事例を展開すべき。
肺炎になったら人工呼吸器をつけるかどうか、腎臓の機能が悪くなったら透析までするのかどうかなどを日頃から考え、いざ、そのような状況になったときに救急医療をどこまでするかは、単に心停止時に心肺蘇生をするかしないかということ以上に大きな問題。
かかりつけ医が出したDNARの指示書がいつまで有効なものなのかといったことを議論しないといけない。一定のルールやモデルを作る必要。
施設入所者、特に施設の管理者等、かかりつけ医、救急隊、受け入れ側の医療機関が一緒になってACPについて対応ができる体制をつくっていくことが必要。
次に、「2.新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療」ついてです。
【体制整備】
通常の救急医療への負担を考慮すると、あくまで災害的なものとして、通常の仕組みに災害対応的な仕組みを上乗せするという考えが必要。
コロナの重症者に対応しつつも、日常の救急医療体制をどのように維持していくべきかを考えないといけない。
急激に感染者数が増加するときには、大規模な感染症専門病院があることは地域にとって負担が減って、患者にとってもいいのではないか。感染症専門病院である程度急激に多くの患者が発生したときに吸収できるようなシステムがつくれないかどうか。そこで働く医師や看護師を普段から育ててキープしておく。
地域によって感染症が災害レベルになるかどうかで、救急の対象になるかどうかという考え方になる。
【人材育成】
人材の育成は重要だが、感染症対策の医療人材育成であり、必ずしも救急の課題ではないため、分けて考えるべき。
救急患者を受け入れるときの感染対策をきちんとやれるために必要な人材を育成する。
平時から重症患者対応が可能な看護師の育成は必要。
三次もしくは重症のコロナ患者を診る病床数が、結局は重症患者を管理できる看護師の頭数で決まってしまうため、ICUで働ける看護師を増やすことが重要。
【精神科における感染症対応】
精神科病院、いわゆる障害者施設等にどのようなサポートをしていくのか。
最後に「3.その他」についてです。
入院する患者は中等症、重症は3週間以上入院の患者であると意味を取り違えないように認識して、救急に関して考えていかなければならない。
基礎データとなる救急搬送患者の重症度というのが、入院が3週間以上だと重症だとか、外来で帰れたら軽症というのは、ミスリードしてしまうと思う。
千葉市のデータによると、コロナの搬送は全体の1割以下であり、コロナ以外の救急患者を日本はしっかり診られていたことを示すものであり、欧米と比較して日本がうまくいっていたことを示している。
このような御意見をいただいております。
資料の御説明は以上です。
次に、資料2「追加説明資料」についてです。
2ページを御覧ください。三次救急医療機関の整備についてです。
救命救急センターは、当初、増大する救急医療需要に対応するため、おおむね100万人に1か所を目標に整備がなされてきましたが、現在300施設まで増加が続いております。
医療計画の「救急医療の体制構築に係る指針」では、「一定のアクセス時間内に、適切な医療機関に到着できる体制を整備する必要がある」としつつも、新たに救命救急医療施設等の整備を進める際には、「一施設当たりの患者数を一定以上に維持する等して質の高い救急医療を提供することが重要である」とされております。
3ページを御覧ください。救命救急センター1施設当たり、所管人口10万人当たりの年間救急搬送件数の推移です。
救命救急センター数が増加している中においても、救命救急センター1施設当たり、所管人口10万人当たりの年間救急搬送件数の中央値は増加している傾向があります。
4ページをごらんください。救命救急センター1施設当たり、所管人口10万人当たりの年間重篤患者数の推移です。
救命救急センター数が増加している中においても、救命救急センター1施設当たり、所管人口10万人当たりの年間重篤患者数の中央値は増加している傾向があります。
重篤患者数の定義については、5ページに掲載しております。
6ページ、御覧ください。救命救急センターにおける専従医数・専門医数の合計数の推移についてですが、どちらも増加しております。
7ページ、御覧ください。救命救急センター1施設当たりの専従医数の推移についてですが、中央値は増加している傾向があります。
8ページ、御覧ください。救命救急センター1施設当たりの専門医数の推移についてですが、中央値は増加している傾向があります。
次に、「コロナ禍におけるECMO治療」についてです。
10ページ、御覧ください。横断的ICU情報探索システムによると、2020年2月9日から2022年6月12日にかけてECMOによる治療を受けた総ECMO患者1287名のうち、ECMOを軽快離脱できた患者は814名、死亡した患者は466名でした。6月12日時点でECMO装着を継続している患者は7名でした。
次に、「医師の需給推計」です。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 11ページの「3.医師の需給推計」のところから御説明させていただきます。医政局医事課でございます。前回の検討会において、医師の養成ですとか需給の考え方といったものについてデータをお示しするということになりましたため、今回、医師の需給推計について御説明申し上げます。
12ページを御覧ください。12ページは、過去の医学部臨時定員の増員に係る方針について、過去の閣議決定文書など、関連する文言について御紹介させていただきます。
まず、上の四角のマル1を御覧いただければと思います。医学部の養成数、医学部の定員ですけれども、医学部定員は恒久定員、臨時定員といったものの中から構成されておりますが、平成20年から、医師不足が特に深刻と認められる県において、暫定的に増員するという取扱いが始まったところでございます。その後、都道府県ですとか、その人数について、段階的な取扱いが行われまして、臨時定員の増員が認められているという状況でございます。
そうした中で、マル5を御覧いただければと思いますけれども、2022年度以降の医学部定員について、定期的に医師需給推計を行った上で、医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針について検討するといったところが書かれております。
しかしながら、下の四角を御覧いただければと思いますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえまして、定員の設定に向けた準備期間を十分に取るという観点も含めまして、2022年度以降の医師養成数に関しましても、基本的には具体的な上げ下げには至っておらず、前年度と同様のところで今、進んでいるという状況でございます。
13ページを御覧いただければと思います。医学部入学定員の年次推移を示したものでございます。先ほど申し上げました、地域での従事要件を課する地域枠というところ、棒グラフの赤色の部分でございます。平成20年度以降、医学部の入学定員を過去最大規模まで増員して、医学部定員に占める地域枠といったものも増加しているというのが現状でございます。
続きまして、14ページを御覧いただければと思います。様々な偏在対策が打たれている中で、直接的な評価ということはなかなか難しいところでございますけれども、一例としましては、この14ページでお示しいたしますように、過去と比較しますと、特に平成20年度の入学者の方が医師になる26年以降、特に医師少数都道府県においての医師数が増加しているというデータがございます。
15ページを御覧いただければと思います。様々な偏在対策を講じながらも、医師の需要、それから供給がどのようになるか、マクロでの需給推計を定期的に行っておりまして、これが最近のものですので、御紹介させていただきます。医師の需給に関しましては、労働時間を週60時間程度に制限する仮定を置く需要ケース2、この緑色の部分ですけれども、において、2023年度の医学部入学者が医師となると想定される2029年頃に均衡されると推計されております。様々な需要のパターンが想定されますけれども、いずれにしろ、マクロで見ますと、2032年前後に需要と供給が交わるだろうと見られております。
続きまして、16ページを御覧いただけますでしょうか。こうしたマクロでの偏在対策あるいは需給の推計に関しまして、医師需給分科会、過去、約40回にわたり議論されておりまして、今年初めのほうで医師需給分科会の第5次中間とりまとめというものがまとめられました。これを御紹介させていただければと思います。
今、申し上げましたように、需給分科会におきましては、はじめにのところでございますけれども、人口構造の変化、それから地域の実情に応じた地域医療提供体制を構築するため、将来の医師需給推計とか偏在対策等について検討を重ねてこられました。過去4つの中間とりまとめを公表し、これらのとりまとめを踏まえて、様々な取組が行われている中で、第5次中間とりまとめとして、令和5年度の臨時定員を含めまして、今後の需給の考え方について整理が行われたものでございます。
2番の医師養成数と医師需給推計でございますけれども、平成20年度より、地域枠等を中心に段階的に医学部定員を増員することで、全国レベルで医師数は毎年3500から4000人程度増加している。中長期的な医療ニーズや医師の働き方改革を織り込んだ医師の需給推計を踏まえると、令和11年度頃に需給が均衡し、その後、人口減少に伴い、将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加のペースについては見直しが必要であると書かれてございます。
また、3番目にこれまでの偏在対策といたしまして、2つ目の文章からですけれども、都道府県においては、改正医療法・医師法に基づきまして、医師偏在指標による医師確保計画の策定が図られていること。また、医師少数区域での勤務に対するインセンティブの設定や外来医療機能の不足・偏在に対する対策も講じられてきた中でございます。
4番目が全体的な将来の医師需給に関します医師需給分科会の考え方でございますけれども、中長期的なマクロ医師需給の見通しに大きな変化はないと考えられるが、新型コロナウイルス感染症の流行のような事態にも対応できる医療提供体制の構築が求められるというところでございます。そのため、今後は地域医療構想の推進及びマクロ需給推計に基づく医師養成数の見直しに加え、改正医療法により位置づけられた新興感染症対策が盛り込まれた医療計画と、その一部を構成する医師確保計画等の策定を通じて、適切な医療提供体制や適正な医師の配置について議論を深め、必要な措置を講じていくことが重要と書かれております。
そうしたことも踏まえまして、令和5年度の医学部定員、これは臨時定員でございますけれども、臨時定員の中にございました歯学部振替枠という、かつて歯学部定員として置かれたものについて、その定員数を医学部の定員として振り替えるという枠が各地でございまして、その枠を廃止しまして地域枠臨時定員として、地域医療や社会におけるニーズに対応するための枠組みを充実するために活用することとしたことが1つ。
それから、令和6年度以降の医学部定員は、医療計画の策定を通じた医療提供体制や医師の配置の適正化とともに検討する必要があるため、「第8次医療計画等に関する検討会」における検討状況を踏まえ、検討する必要があるということでございます。
5番目の今後の偏在対策に関する提言の下線部を中心に御説明させていただきますけれども、そうした地域における医師の確保を図るため、恒久定員を含む医学部定員については、地域の実情に応じて設置・増員を進めていく必要があること。
それから、少し重なる部分でございますけれども、これまで需給分科会で議論を進めてきました医師確保計画、それから外来医療計画については、「第8次医療計画等に関する検討会」において、医療計画や地域医療構想と一体的に議論されることが望ましい。こうしたことについて、第5次中間とりまとめで取りまとめられております。
医師の需給につきまして、過去の施策、それから需給推計といったものも踏まえました第5次中間とりまとめについて御紹介させていただきました。以上でございます。
○土屋専門官 資料2の御説明は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ただいま、事務局から資料の説明がありましたが、前回は救急医療機関の役割ということと、あとは新型コロナウイルス感染症のまん延時における救急医療の在り方を中心に御議論いただいたということなので、その御意見をまとめたものについて御報告をいただいたと同時に、関連する資料を新たに追加して報告をいただきました。今回も前回同様の議論をしていただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。ただいまの報告内容についてでも結構ですし、新たな観点からでも結構でございます。御意見等いただければと思います。
それでは、長島構成員、お願いいたします。
○長島構成員 日本医師会の長島でございます。
総論として、まず広い視点で様々な御意見をいただいて、しっかり議論していくということは重要かと思いますが、今後、進めていく上では、これが実現に結びつくためには3つに分ける必要があるのではないかと思っています。1つ目が、本ワーキンググループ内部で対応可能なもの。2つ目が、ほかのワーキンググループや会議体、検討会などとしっかり連携が必要なもの。その場合、連携のタイミングとか、どんな仕組みをつくるかということが重要。3つ目が、ほかの会議体が主体となるが、そこに対して当ワーキンググループがしっかりと意見・要望、情報提供まで行う。あるいは、そちらから逆に情報提供いただくもので分けていく。それぞれ必要な仕組みとかタイミングがあれば、それを検討していくということが重要ではないかと思っております。
次に、各論に関して言いますと、追加資料の中の医師需給推計がありますが、今、最も喫緊の課題は、医師の働き方改革が地域の救急医療にどのような影響を及ぼすか。ここがまだよく分かっていないけれども、場合によっては、地域医療・救急医療が崩壊することさえあり得るという非常に重大な問題かと思っております。
ただ、その影響がどうかということはまだ把握されていませんが、これは各地域によって、例えば大都市圏とか都市部あるいは地方で大きく違う。各地域において、この医師の働き方改革で、その地域の救急医療にどのような影響があるのか。最悪の場合、どうなってしまうのかということをしっかり把握され、もしそのことで崩壊があるような危険性がある場合、そこに関して、例えばしっかりと国などに要望を出していくということが重要ではないかと思っております。
私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
御意見ではありましたが、前半は会議の進め方ということで、関連する会議体との連携の在り方をどう考えるかということの御提案でありました。後半は、働き方改革が地域医療に及ぼす影響について検討するべきだというお考えだったのですが、運営の仕方も絡んでおりますので、もし事務局に何かコメントすることがあれば、お願いいたします。
○吉田参事官 長島構成員から3つに議論の仕方を分けるべきではないかという御指摘をいただきました。本救急・災害ワーキンググループだけでは議論し切れない課題が多くあるのも事実です。本ワーキンググループでの議論につきましては、親会である「第8次医療計画等に関する検討会」、これは遠藤座長にやっていただいておりますが、ここへ報告する機会を設けたいと思っていますし、また関連する分野として、例えば在宅ワーキンググループでも、本ワーキングの資料と同じものを使って議論しております。
こういうふうに連携を図ることをしっかりやっていきたいと思っておりますし、例えば他のワーキンググループが主体となるものとしては、新興感染症対応、これは6事業目として医療計画の指針を作らなければいけないわけですが、この側面でも救急というものをどういうふうに考えるかというのが大事なテーマになっていきます。こういうところもどういうふうに議論していけばいいか、秋以降になるかと思いますが、具体的に考えていきたいと思っております。
以上です。
○遠藤座長 働き方改革の影響について何かありますか。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 医政局医事課でございます。
働き方改革でございますけれども、各医療機関が、例えば労働時間短縮の取組を進めるため、診療の規模が縮小したり、あるいは、ある医療機関から他の医療機関へ派遣を行うことで保たれていた医療が、縮小されることによって医療提供体制が損なわれるのではないかといった御懸念の声があるものと承知しておりますし、そういったものを把握し、適切な対応をすべしというところについて、長島構成員からの御意見だったと思っております。
まず、医政局医事課といたしましては、医師の働き方改革に関しまして、各医療機関、それから都道府県がどのように準備しているかという状況について、しっかり把握したいと考えております。先般、各医療機関、都道府県に関する調査を行いましたけれども、今後、また進捗については把握する予定でございます。そして、議論が必要な場について、具体的にはまた御相談、検討させていただければと思いますけれども、必要な議論をできるような情報をそろえた上で議論する場を検討したいと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 医師需給分科会の第5次中間とりまとめ、15ページの3番の医師偏在対策の概要についてというところで、医師偏在指標による医師確保計画の策定ということを各都道府県で行うようにと書いてあるわけですが、この医師偏在指標というものが、東京周辺の関東地方においては、厚労省がそこをモデルにしてつくったためだと思うのですけれども、当てはまるのかもしれませんけれども、静岡県では全く役に立ちません。ただ、県はこの偏在指標でいろいろな計画を立てているという弊害が出ています。
静岡県は、浜松医大が新設医大としてできたのですが、ここの卒業生は、初期の頃、ほとんどが開業医さんになっているわけです。非常に早期に開業しています。これは、静岡県の各病院が既存の大学の関連病院ですから、浜松医大の卒業生がポジションを上げていくことができませんので、開業医も少なくて、開業すると収入も多いということで、勤務医が全然増えなかった時代が非常に長かったわけですね。それで、その後、新臨床研修制度ができた時も指導医の数も少ない状態でした。
そういったこともあって、静岡県の勤務医の不足というのが非常に顕著なのですが、医師偏在指標で判断すると開業医さんの数が入ってきますので、働き方改革等に影響する勤務医の不足というのが隠れてしまうといった問題点があると思いますので、偏在指標だけを余り実態に合わない県で使うのは危険だと考えています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
偏在指標の中で、勤務医と開業医が合算されているということに対する御懸念をされておりますが、何か事務局ありますか。お願いいたします。
○鷲見課長 地域医療計画課長でございます。
田中構成員から御質問がございました医師の偏在指標の関係についてお答えいたします。現在、医師確保計画につきましても並行して議論を進めているところでございまして、開業医と勤務医が混在した偏在指標になっているという同様の御指摘を受けているところでございますので、どういった形で検討できるのかということについて、今後、そうしたワーキングの中でもしっかり検討していきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
田中構成員、よろしゅうございますか。
○田中構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、お待たせしました。野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 ありがとうございます。
それでは、2点、お話ししたいことがあります。
今回、資料が出た部分で、三次救急が増えて病院数が増えて患者数も増えたという話が出ていましたけれども、病院数が増えたら患者さんが増えるのは当たり前の話で、それも救急が増えたから患者が増えた。増えていなかったら困るわけであって、それはちょっと愚論だと思うのですね。それよりも救急の中で一番大切なのは、患者さんのニーズにどう応えていくかということだと思うのですね。
実は、私の孫がぜんそくみたいな症状になりまして、これはおかしいぞということで、小児の病院、どこがあるのかということを聞いて、病院を何か所か教えてもらって電話しまして、対応してくれる病院が1か所。それで、症状を話したら診てあげますよ、すぐ来てくださいと言われて、じゃ、車で行きます。いや、救急車で来てくださいと言われました。救急車をすぐ呼びました。救急車を呼んだら、救急車は5分ぐらいで来ました。5分で来て、うちの孫を乗せて病院に行こうとしたら、どこの病院が取ってくれると言いましたかという話をされるのですね。ここの病院に頼んで、救急車で来てくださいと言われましたと伝えると、じゃ、確認を取りますということで、自宅前で20分ぐらい停車したままの状態だったのですね。
それで、確認が取れましたので、すぐ行きますという形で行って入院したのですけれども全くうまく流れていない。何で患者さんが病院を予約して救急車を呼んで、救急隊はそこの病院に確認して、取ってくれるかどうか調べてから行く。これはちょっとおかしいなと、そのときに思いました。症状が重い、軽いにかかわらず、救急隊がすぐトリアージして、どこかにトリアージセンターみたいなものがあって、この人はどこに送るべきかということをしっかり見た上で送っていくことが大切なことであって、空いている病院に行くというのは、それが初期なのか、二次なのか、三次なのか分からないですけれども、はたして今の救急がスムーズに動いているのかなという印象を持った次第です。
これは、救急隊が早く送れるように、トリアージをしっかりして、どこの病院が空いているということを救急隊で見られるようにするべきではないかという印象を1つ持ちました。
それから、先ほど田中構成員もおっしゃいましたけれども、医師の需給の問題に関しましては、薬剤師さんも同じだと思うのですけれども、結局、人数が増えても病院にはいないのですね。薬剤師さんはみんな薬局に流れて、うちも薬剤師さんを1年以上募集していますけれども、都会ですけれども、全く来ない。お医者さんも一緒だと思うのです。言うと怒られるかもしれませんけれども、開業される先生も多いので、結局、勤務医はほとんどいない。うちは精神科ですけれども、今、大阪の精神科でも医師は取り合いです。何十年と取り合いです。全然増えていないです。
そういう現状があるということで、今日、いろいろな資料を出していただきましたけれども、もう少しどこの部署にどれぐらい医者がいるのかということをはっきり出していただかないと、医師のバランスが取れているといっても、全然バランスが取れていないという状況は続くのではないかなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。救急搬送時の課題の御提案ということだったと思いますが、御意見として承りました。重要なことを御指摘いただいていると思います。手を挙げている方がかなりいらっしゃいますので、次に進ませていただければと思います。
続きまして、大友構成員、お願いいたします。
○大友構成員 私から2点の質問と1点のお願いでございます。
1点目の質問は、資料2の14ページでございますけれども、このグラフでは、医師が少数の都道府県でより医師の数が増えているということが示されておりますけれども、これは医師の医学部の地域枠の増員の効果が現れていると考えていいのか、もしくは違う要因があるのか、そこをお願いしたいと思います。
2点目、15ページでございます。これは、これからの医師数の均衡ということでございますけれども、ケース3、つまり、年間時間外労働を1860時間まで許容した場合にはという前提のものですけれども、これを見ますと、既に2022年の段階で均衡していると読めるのですが、これは本当にそういうふうに考えていいのか。
つまり、先ほど長島構成員からの御指摘もありましたけれども、働き方改革を進めると、恐らく地域・地方の医療、それから、特に救急医療は破綻するのではないかと思われるのですが、均衡しているという認識でいいのかということでございます。もしくは、1860というのは、診療科のところをうまく調整した上での話なのか。時間外がほとんどない診療科と過重な診療科とあると思います。そこを調整した結果のグラフなのか、その辺のところも確認させていただきたいと思います。
3点目は御相談なのですけれども、「医師需給分科会」、様々な視点から検討が進められて、医師の地域偏在、診療科偏在の解決のために提案がされておりますけれども、今回、私は災害医学会の立場で参画させていただいておりますけれども、救急医学会の理事の立場かお願いでございます。日本病院会の調査で、全国の病院の常勤医確保に関して、政令指定都市もしくは県庁所在地の病院は明らかに医師が増員している。一方で、それ以外の地方の地域にある、特に公的病院は医師が減少しているところが多いという結果でした。
特に、公的病院というのは地域住民サービスとして救急医療は必ず提供しなければなりません。この救急医療の負担の大きさのために地域の公的病院は医師の獲得に苦戦しているという現状があります。日本救急医学会がアンケート調査をいたしましたところ、地方の公的病院、つまり苦戦している病院でも、救急科専門医が5人以上いる病院では、明らかに医師が増加している。つまり、地域的に不利な病院でも、救急科専門医を増やすと医師獲得がうまくいくというデータがございます。「医師需給分科会」のほうにも、ぜひこういうデータを日本救急医学会から提案したいと思います。先程、各部署連携していくということがございましたので、日本救急医学会からもそういうデータの提示ということに関して機会をいただければと思います。
2点質問と1点お願いでございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、事務局、質問のほうからお願いいたします。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 事務局でございます。
まず、14ページのグラフについて御説明させていただきます。この変化が地域枠の効果によるものなのかどうかという御趣旨だったかと思います。ほかの偏在対策ですとか、様々な要因があるため、直接的な因果関係を証明するのはなかなか難しいところではございますけれども、まず、平成20年に地域枠の臨時定員が増員されたという形になっております。そうしますと、平成26年度以降から、地域枠出身の医師の方々が実際に医師として地域で働かれ始めるという形になります。
そうした目でこういったグラフを見ていただくと、地域枠の方々が実際に現場で働かれる時期以降を見てみますと、少数都道府県に勤務する医師が増えているという動きが見てとれますので、地域枠の方々が活躍される効果も一定あるのではないかという受け止めは、我々のほうでしております。これがまず14ページのところでございます。
それから、15ページの需給推計についてでございます。これは、需要ケース1、2、3とありまして、3であれば需要と均衡に達しているのではないかというところだったかと思います。まず、需要推計に関しましては、特に労働時間とか行われている診療の内容から、どれくらいの医師の需要があるのかというのを、日本全国、診療科も含めて押しなべて推計しているものでございます。そうした中で、幾つかの条件を設定してケースを分けているという形で推計しております。
そのため、そういった条件設定に基づいて推計すると、ケース3では、こういった均衡に達するというものになりますけれども、あくまでもマクロのものでございますので、例えばこの地域あるいはこの診療科で実態に即していないのではないかといったことも恐らくあるだろうと思っております。
それから、推計は絶対的なものではございませんので、我々も16ページのところでも書かせていただきましたけれども、定期的に見直しをする必要があるのではないか。こういったところも御意見として当然あるところでございますので、絶対的なものではないと考えております。
2点、以上でございます。
○遠藤座長 それでは、3番目の御要望でございましたけれども、その辺についてのコメントをいただけますか。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 需給分科会につきましても、医事課と地域医療計画課で担当しておるところでございます。今後の予定については、具体的なところはまだ立っておりませんで、検討させていただきたいと思っております。
○遠藤座長 大友構成員、いかがでしょうか。御質問と御要望に対するコメントをいただきました。
○大友構成員 そうすると、15ページの話というのは、バランスというか、各診療科の要素も考慮したものであるということですけれども、地域によってはうまくいかないところもあり得るだろう、今後の調整も必要だろうと受け止めました。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口です。どうもありがとうございます。
前回いただいた意見というところで見てみますと、二次救急、三次救急の話のほかに、高齢者救急、それからプライマリ・ケアといったお話が出ていると思いますけれども、医療全体、プライマリ・ケア、入院医療、高齢医療といった階層を持って考えたときに、一次救急の部分の言及がちょっと少ないと思います。今、地域で行われている一次救急と呼ばれるものは、休日診療とか、そういうところで特定的な救急が行われている、夜間診療などが行われているのが現実ですけれども、プライマリ・ケアの段階で、救急に行く前、二次救急などの救急車に乗せる前の段階をしっかりつくり上げていくということがすごく大事だと思います。
救急の増加を防ぐためには、この高齢時代、それから感染症においてもそうでしたけれども、在宅とか、そういうところでのプライマリ・ケアで、救急になる前の予防的な段階のものを提供していくことが大事かなと思って、提案させていただきます。
それから、2つ目なのですけれども、先ほど来、病院のほうに医師は非常に少ないのだという話は、私も言おうと思っていたところですけれども、感染症対策をしての経験からしますと、外国との比較をしてみると、急性期病院の医師の数が少ないという印象を持ちますので、この偏在に関しましては、早急に急性期医療のほうに医師が集まるような対策を取るというのは、大事なところかなと思います。これは希望というか、どういうふうにしたらいいのか、ちょっと分からないところではあるのですが、そういう考え方が1つ必要だと思っています。
私のほうは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として承ります。一次救急についても検討するようにということと、特に救急病院の勤務医対策についてということだったと思います。ありがとうございます。
続きまして、加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。
まず、今、猪口先生がおっしゃったところに加えて少し、前から思っていることなのですが、例えば前回の資料1ですと、三次医療機関、二次医療機関の役割という形になっているのですが、確かに三次医療機関の役割をしっかり調べることは非常に大事だと思うのですが、これは順番も一次、二次、三次というのが本来の形でありますし、絶対数もそちらのほうが多いわけなので、こういった形で三次だけの話になってしまうのは、ちょっとおかしいのではないかなというのは私も思っております。
特に在宅に関しましては、今回、かかりつけ医の話がいろいろ議論されている中ですけれども、コロナ禍においても、在宅のコロナ患者さんの対応という面では、我々、二次救急がもっと何かできたのではないかなという思いがあります。チームで送れる、自院の救急車で訪問してあげるとか、いろいろなことが考えられたと思うので、そういったものも含めて議論できるような場をぜひともつくっていただきたいかなと思っております。これは意見でございます。
続けて、資料2のほうをちょっと確認したいと思うのですが、資料2においては、三次救急が非常に増えているということです。三次救急が増えている中で、今回も資料にはないのですけれども、三次救急の中でどういう疾患を扱うかというのが非常に大事だと思っております。それも含めてですが、この資料2の4ページで見ますと、所管人口10万人当たりの年間の重篤患者数、例えば令和3年度でいきますと244名と書いてあるのですが、これはどう理解すればいいのでしょうか。前のページもそうなのですが、1189名ということであります。
人口10万人当たりということでありますと、これは上段に書いてある298施設掛ける1189にはならないわけですか。1つのセンターで1189名を診ているような資料になっているのですが、これの正確な1施設当たり診ている数というのは、この数字からは我々、なかなか想像しにくいのですけれども、人口10万人当たりとなりますと、どういう形でこの数字を見ればいいのかというのをちょっと説明していただきたいなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。前半は意見ということ。
○加納構成員 あと2つだけ質問がありますが、よろしいでしょうか。
○遠藤座長 加納先生、続けてください。
○加納構成員 その点が1点でございます。
それを後で説明していただいた中で、例えば5ページに、こういった疾患が重篤患者の定義であるということが示されているのですけれども、これはさっきのページで、これだけたくさんの患者さんが出ている中で、果たして三次救で診なければいけないものはどういうものであったのか。また、例えば病院が心肺停止を蘇生したことによって、ずっとセンターのほうで診ていたとか、そういった症例もあるかと思うのですけれどもね。
私が何を言いたいかといいますと、二次救急で診られる患者さんが三次救へ流れていないかというのは、それぞれの疾患ごとの数字をまた表していただくことによって分かるのではないかと思います。そういう数字的な分析が可能なのかどうか、お聞きしたいと思っております。2つ目の質問でございます。
3つ目が、8ページですか、今回、専門医の数を出していただきました。専門医の数も着実に増えているということで、このデータを見ますと、令和3年度には各施設に6名の専門医がいるということで、掛け合わせますと、298掛ける6で1788名となりますが、6ページでいきますと1865人しか、今、専門医はいないわけですね。ということならば、今、救命センターに専門医の96%が働いているということになるかと思うのです。実は、私も専門医なのですけれども、救命センターでは働いていませんし、私の知っている方でもセンターで働いていらっしゃらない方がおります。この数字が本当なのかなというところで、どう解釈していいのかなと思っております。そこをもし説明していただけるならありがたいと思っております。
もう一つは、10ページですが、ECMOの患者さん、確かにこれを見ますと、コロナ禍で1287名の方に対応なさったということであります。これは2年間ぐらい続いているわけですから、1日にしますと全国で1名か2名のECMO患者の対応になるかと思います。。時期的に重なったということは理解できるのですけれども、そのために、今後の新興感染症に対してECMOの施設をもっといっぱい造れという議論になるのでしょうか。これを見ていますと、助かった方が、この2年間で全国で800名ほどですから、ここに力を入れるのかということになるかと思います。私が考えているのは、今回、人工呼吸器を使った対応で多くの方が助かったかなと思うのですね。ECMOで助かった方は、あくまでも1287名をやって800名ということですから、その数字とほかの形で重症患者で助かった人がおります。
なぜこれを言うかといいますと、大阪では重症患者を二次救急が人工呼吸器を使うのに慣れているといったらおかしいですが、二次救急で結構多く診たわけです。この議論の行き先が、ECMOを使えるような大きな病院ばかり造ろうという話になると、間違った方向にいくのではないかなと思っております。今後のコロナや新興感染症の対応施設に関して、規模ばかり大きなものを造る必要があるという議論にはならないのではないか。実際のところは、中小の二次救急病院でもしっかりと診て活躍したのです。そういうことを含めて今後の新興感染症対策を考えていただきたいかなと思っております。これは意見です。
最後にもう一つ、これは質問なのですが、今回、第5次の中間とりまとめということで医師需給の話が出ていたのですが、たしか医師需給を取りまとめた時点で、1つ大きな問題になっていたのが、女性の入学定員の増加なのですね。ついこの前まで、我々の時代だともっと少なかったのですが、今、女性入学者の割合というのが3割から4割へ移行しようとしていますし、多分、このままでいきますと、5割を超えるのはもう時間の問題かなと思っておるわけです。
ずっと議論しているのですが、例えば救急現場で頑張っていただく女性医師の数は確かに多いわけですが、どうしても年齢的に出産とか教育、いろいろなものが絡む年齢でもありますので、そういう意味で非常に大きな影響があるということは考えられます。この第5次中間とりまとめに関しましては、現在、問題になった女性入学者の今後の増加に対する影響というものは考慮されたのでしょうか、それを教えていただきたいと思います。
幾つか質問、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
いろいろと御質問も出ました。データの読み方が中心だと思いますけれども、回答できるものに関しては、事務局、コメントをお願いしたいと思います。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 それでは、事務局から、まず資料2の救命センターの人口10万人当たりの年間救急搬送件数の表の見方についての説明をさせていただきます。こちらにつきましては、救命救急センター1施設当たりの所管人口というものを求めておりまして、もし県の人口が例えば200万人いたときに、救命センターが2つあった場合、単純に言うと1つの救急救命センターでの所管人口は100万人という形で、その県の救命センターの数によりまして、県において救命センターの所管人口を決めております。
その人口当たりに救命センターがどれほどの救急患者を受け入れているかということを、こちらの数値は示しているものでございますので、救命センターの所管人口によって、実際に救命センターが受けている救急搬送患者の人数というものは変わるというデータでございます。また、こちら数値として出しておりますのは、全国の救命センターの中央値でございます。
続きまして、専門医の数が増えているというグラフについての説明でございますけれども、6ページの資料は、救急救命センターに勤めている専従医と専門医の数を示したものでございます。下のグラフは中央値を示して、それが8、7、9、10というように、専従医師数としては推移しているというものでございますので、ここのグラフ上、中央値10なので全部が10ではないですけれども、これを合計したものが6ページの資料の和になるということでございまして、先生おっしゃいましたように、救命センターで働いておられない専門医の方は、こちらのデータには含まれていないものでございます。
以上でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 今のところですが、勘違いしまして、ちゃんと書いてあったのですが、そうすると、平成24年のときの数字を見ますと、1091名が働いていらっしゃるということなのですが、8ページの平成24年は3名という人数に施設数を掛け合わせると、741名になって68%という数字になってしまうのですね。さっきの96%だとセンターの数字で理解できるのですけれども、この矛盾はどう考えたらいいのでしょう。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 こちらにつきましては、この3名という数字が中央値でございまして、分布のばらつきが多くて、こちらのグラフでは、最大は1施設当たり14名いるというところでございますので、その施設数が247ではあるものの、一部、中央値からするとかなり高い人数、かなり多くの人数が働いている救命センターがあることによって、その中央値を救命センターで掛け合わせたものと、実際の合計の人数が異なってしまっているということでございます。分かりにくくて大変申し訳ございません。
○加納構成員 いえ、よく理解できました。ありがとうございます。
最後の質問に関しましてはどうなのでしょうか。第5次の一次救の。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 事務局でございます。ありがとうございます。
需給分科会、それから親会のほうでも御指摘いただきました点かと思います。需給推計に関しましては、過去の医学部定員の男女比率などを基に一定の割合で計算しておりますため、先生が今、御指摘いただいたような、今後の女性医師比率の変化といったものについては、現時点のものは見込めていないというのが直接的なお答えになります。ですので、様々な課題、あろうかと思いますけれども、今後、マクロ需給推計を行う際のポイントの一つとして検討が必要な点と考えております。
以上でございます。
○加納構成員 ありがとうございます。
お礼と意見をもう一つだけ追加してよろしいでしょうか。
○遠藤座長 お願いします。
○加納構成員 すみません。1点、お礼を申し上げるのは、今回、働き方に関して、我々の病院側、二次救急にとって一番大きな問題は、宿日直基準が取れるかどうかということで、当院は年間5000台近くの救急車の受入れをしている二次救急なのですけれども、3人の当直医で対応しております。これに関しまして、先週の時点で宿日直基準が取れました。これは厚労省のほうで頑張っていただいて、いろいろな形で地域の労基のほうに指示していただいているのかなと考えておりますし、また我々の相談にも乗っていただいた。そういう窓口が4月1日以降、厚労省に設けられたことに対して非常に感謝申し上げたいと思います。
その点が感謝なのですけれども、もう一点、大きな問題が起こってきました。救急体制というのは医師と看護師だけじゃなくて、薬剤師さん、レントゲン技師さん、検査技師さんといった方の当直、当院は1名ずつやっているわけですが、これに関しまして労基のほうから、当院では宿日直基準を取っていないから全部時間外で払いなさいという話になりまして、月200万円程度の負担を言われております。これらの職種に関しても、宿日直基準をしっかり取らないことには、二次救急を地方で守っていけないなという認識でいますので、この点に関しましても、今後、厚労省のほうでぜひともいろいろな形での考慮をお願いしたいかなと思っております。
これは感謝と要望でありました。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。
では、本多構成員、お待たせしました。
○本多構成員 ありがとうございます。埼玉県の本多でございます。大きく3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、1点は、資料1の1ページの下のほうに前回の意見を載せていただきまして、ありがとうございました。もともと救急については、大きなけがとか災害とか重大交通事故といったものを念頭に置いていたものと思いますけれども、最近の傾向として、治療受入れ困難な事例というのは、別の視点で、もともと基礎疾患があったのに新たな疾患が生じたとか、障害の問題、高齢の問題、外国人の問題、無保険の問題、合併症、特に感染症・精神等かと思いますけれども、こういった視点の問題を述べさせていただきました。こうした新たな治療受入れ困難な課題について、最後のとりでとして三次救急医療機関が役割を担うのだという辺りを今後とも考えていく必要があると思いますので、繰り返しになって恐縮ですけれども、コメントさせていただきます。
それから、三次救急が最後、きちんとバックアップできるためには、医療資源も医師も限られる中で、加納構成員も言っていらっしゃいましたが、二次救急の方々にこういった部分を含めて御活躍いただいているわけですけれども、さらに三次に行くまでもなくなるよう、増えつつあるこうした問題について、連携して対応いただけるような体制をどのように充実させていけるかという辺りも今後の課題ではないかと思います。最近、診断がつかない事例とか高齢者が多いとか、前回資料で出していただきましたけれども、その辺を踏まえて、二次と三次の役割分担について、考えながら整理していく必要があるというのが1点目でございます。
2点目ですけれども、コロナと感染症の関係です。これも前回、コメントさせていただいた部分と重なって恐縮ですけれども、今まで新型コロナの6波まで見てきて、特に第5波、また第3波辺りで見ていますと、日頃から感染対策をICNなどを中心にきちんとやっている医療機関では、そんなに極端な大規模クラスターというのは起こっていないのですけれども、日頃、専従のICNが確保できてはいるものの、病棟とどういうふうに連携が取れているかといったことも含めると、ちょっと心配だなという病院では大規模なクラスターが起こってしまったりという傾向があったように思います。
大規模クラスターが起こってしまうと、結局、コロナに対してもそうですし、その地域のコロナ以外の救急医療についても悪い意味で影響が出てしまいましたので、日頃の院内感染対策を担う看護師や医師の育成とか研修とか、この辺の体制の強化という辺りは、救急医療の分野としても大事なポイントになるのではないかと考えますので、コメントさせていただきたいと思います。
最後、3点目になりますが、先ほど議論が出ておりました医師の働き方改革の関係の問題でございます。埼玉県では、令和3年度、12月頃だったかと思いますけれども、県内の190の病院、二次・三次救急医療機関も入っていますし、地域の中核病院とか医療計画に出てくる役割を担う、周辺地域の救急拠点となるような病院などを対象にアンケートをしておりまして、そういう病院に対して、現在、年間960時間以上の時間外勤務を行っている医師が在籍していますかという質問をしております。全体の傾向として、三次救急とか300床以上の病院、特に300床から700床未満の病院で、こうした年間960時間以上の時間外勤務を行っている医師がいると答えている割合が高くなっております。
先ほど事務局の御説明にありましたけれども、こうした病院からは、二次を担っている病院も含めほかの病院に対し、当直等で救急の役割を担う非常勤の医師が派遣されている場合が結構多い状況です。統計のカウントとして、非常勤として派遣されている医師の場合は、派遣元の病院の時間外勤務という形で統計が整理されています。この辺をうまく考えて配慮しないと、時間外労働の影響が、医師の働き方改革で将来どのように出てくるのかどうかというあたりが非常に気になるところでございます。結果として、三次のほうの自分の病院は何とか体制を維持できたとしても、二次救急等への派遣に影響が出てしまうと、救急の医師が不足しがちな地域については、二次救急にも影響が出てしまうことが心配されます。
先ほどのマクロの全体の需給推計では、ある時期に需要と供給が均衡するのだというお話がありましたけれども、地域の偏在や救急医療も含めた診療科の偏在の視点で、こうした分野で本当に不足が生じないのかという辺りは、慎重な検討が必要ではないかと考えられます。
また、救急医を確保する上で、研修医を迎え入れたときに、きちんと余力があるのだよということも含めて伝えながら研修していただくということも、救急の医師を確保していく上で1つの大きな力になると思います。そうした指導をするには人手がきっとかかると思いますので、そうした観点も含めながら、働き方改革の影響を、医師の偏在対策等も含めまして、慎重に検討しながら方向を探っていく必要があると考えます。
長くなって申し訳ありません。以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘をいただいたと思います。
それでは、お待たせいたしました。溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 臨床救急医学会の溝端でございます。3点ございます。
まず、1点目は、前回のときの議論にも出ましたけれども、特に高齢者が地域に戻って生活されるような状況になってくる。そういった中で、救急車が呼ばれて、救急医療機関が対応しないといけないという状況が今後増えてくる。もう既に増えているという状況だろうと思います。その中で、救急医療機関側の対応だけではなくて、救急を受診しないで済むような日頃からの医療といったものについての検討というものを、しっかりと進めていただきたいと思っています。これは、1つ要望でございます。
今回、頂いた追加資料の14ページでございますけれども、医師が少ない都道府県の伸びが、医師が多い都道府県より多い。地域枠を設けたことによって一定の義務年限、その地域に継続して勤務を続けないといけなというルールの中で、こういう効果が得られるというのは、予測として出しても恐らくこのような数字が出てくるだろうと思います。
ここには、35歳未満の医療施設従事医師数と書かれておりますけれども、35歳を超えた後、こういった方々がその地域に残って偏在を是正できているのかどうか。あるいは、義務年限として、決められた人数以上の効果で、少数の都道府県の医師増加というものの効果が出ているのかといったことが、もし分かるのであれば教えていただけたらと思います。
あと、15ページの医師の需給の均衡の部分ですけれども、既に何名かの構成員の方が御指摘されているように、診療科や地域あるいは医療施設のばらつきを考慮して、大きなマクロのものであるというのは同じなのですけれども、この均衡の計算の仕方、どういうふうにして、この年度になって、どれだけの時間外勤務時間で、このようなグラフになるのかというところの計算元がないと、このグラフが一人歩きしてしまうような気がいたします。特に、2029年、2032年といった年度のことだけが出てしまうような気がします。勤務時間というものを基に、時間外勤務時間が720、960、1860と増えていったときに、ケース1、2、3のように必要な医師数が減っていくのだというのであれば、トータルとしての医師の勤務時間というものが正確に評価できているのか、医師の必要業務時間をどのように評価して、このグラフが作られているのかということも含めて説明いただきたいと思います。その説明がないと、このグラフを見たときの印象だけで医師の需給バランスというものがこの辺りで大丈夫になるのだなと思ってしまいますので、算出基準というものを御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
後段のほうは若干質問があったかなと思いますが、少数地域の増加については、35歳以上の動向であるとか、地域枠以上の人数が行ったのかとか、その辺のお尋ねでしたので、その辺について何かあればお願いします。
○福田医師等医療従事者働き方改革推進室長 14ページの図でございますけれども、申し訳ありません。現時点でお示しできるものがないという状況でございます。今回お示ししましたのは、地域枠の効果を一定お示しするものの一つとしてお示ししたものでございます。申し訳ございません。
それから、需給推計について、これは需給分科会と本検討会の役割分担の形にもなるかなと思いましたけれども、需給推計をやるに当たっては、細かい推計方法を需給分科会で議論して、結果として算出されたものを本日お示しさせていただきましたというのが現状でございます。プロセスについては、十分議論されたものであることについて申し添えさせていただきます。
○遠藤座長 何かの機会にそのときの資料で分かりやすいものがあれば、計算の基本が分かるようなものを出していただくということで御対応いただければと思います。
それでは、御意見が大体一巡いたしましたので、もう一つアジェンダがございますので、次の議題に移りたいと思います。資料3と4につきまして、事務局から説明をお願いします。
○土屋専門官 事務局でございます。
それでは、資料3、4について御説明させていただきます。ドクターヘリ・ドクターカー、救急救命士についてです。医療計画の指針の中にも記載されているものであり、今回、資料として準備させていただきました。
資料3「搬送手段の多様化について」です。前半はドクターヘリ、後半はドクターカーについてです。
2ページ、御覧ください。ドクターヘリとは、救急医療に必要な機器及び医薬品を装備したヘリコプターであって、救急医療の専門医及び看護師等が同乗し救急現場等に向かい、現場等から医療機関に搬送するまでの間、患者に救急医療を行うことのできる専用のヘリコプターのことを言います。
3ページ、御覧ください。ドクターヘリの目的についてです。
ドクターヘリ導入促進事業を行っておりますが、この事業は、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法の趣旨に基づき、救命救急センターにドクターヘリを委託により配備し、救急患者の救命率等の向上、広域救急患者搬送態勢の向上及びドクターヘリの全国的導入の促進を図ることを目的としております。
4ページ、御覧ください。1999年からドクターヘリ試行的事業を開始し、2001年にドクターヘリ導入促進事業開始。令和4年4月の時点で、46都道府県、56機の配備が完了しております。
5ページ御覧ください。56機の配備状況です。京都府が未導入ですが、関西広域連合として一体的にドクターヘリが運航されております。
6ページ、御覧ください。ドクターヘリの実績の推移でございます。平成30年度の時点で約2万9000件の出動件数となっております。
7ページ、御覧ください。都道府県境を越えた広域連携の協定締結状況です。40府県において28の協定が締結され、ドクターヘリの都道府県境を越えた広域連携が行われております。
8ページ、御覧ください。災害医療体制とドクターヘリに関する議論の経緯です。
2011年の東日本大震災を経験し、ドクターヘリの災害時の運航要領や全国規模での運用体制が確立されていないことが課題となり、平時における消防機関等の依頼、または通報に基づかない運航や災害時の運航について、航空法施行規則の一部を改正する省令及びこれに関する通知が発出されました。
2016年熊本地震を経験し、ドクターヘリの大規模災害時の参集方法や被災地内での活動について、十分な取組がなされていないことが課題となりまして、新たに大規模災害時におけるドクターヘリの運用体制構築に係る指針について通知が発出されました。
9ページ、御覧ください。大規模災害時のドクターヘリ運用体制構築に係る指針についてです。
東日本大震災において課題とされた大規模災害時の全国規模でのドクターヘリの運用体制の整備について、全国のドクターヘリが被災地に参集する仕組み、被災地における活動時の指揮命令系統等を示しております。
ドクターヘリ基地病院地域ブロック、被災地における活動時の指揮命令系統の検討、大規模災害時の参集方法について提示されております。
次に、ドクターカーについて御説明させていただきます。11ページを御覧ください。
ドクターカーは、過去の研究において「診療を行う医師を派遣するための緊急走行が可能な車両」と定義されており、医師が病院到着前に早期に診療を開始することができ、また、搬送中の診療の継続を可能とするものです。
ドクターカーの運用事例は多岐にわたっており、こちらでお示ししているように、現場に医師が急行するもの、転院搬送に医師が同乗するもの、医療機関が保有する車両を使用するもの、消防機関が保有する車両を使用するもの、傷病者搬送用ベッドの有無など、地域の実情に応じて運用されております。
今後、どのような患者に対してドクターカーが運用されているか。また、時間帯、気象状況、地理的条件による運用方法等について、令和4年度より実施する「ドクターカーの運用事例等に関する調査研究事業」におきまして把握・分析し、活用方法について検討していく方針となっております。
12ページを御覧ください。厚生労働省として、医療提供体制推進事業費補助金により、お示しさせていただいたように支援を行っております。
13ページ、御覧ください。ドクターカーの実績推移を、救命救急センターの有するドクターカーと、消防機関の有する救急車等を活用したドクターカーと分けてお示ししております。
14ページを御覧ください。資料3の論点といたしまして、2点挙げさせていただきました。
ドクターヘリについては、実質的な全国配備が完了したところであり、ドクターヘリの広域連携を一層進めていく必要があるのではないか。
2点目、ドクターカーとドクターヘリの連携について、どのように考えるか。
こちらの2点について御議論いただければと思います。
続けて、資料4の御説明をさせていただきます。資料4「救急救命士について」です。
1ページを御覧ください。
救急救命士とは、医師の指示の下、重度傷病者が医療機関に搬送されるまでの間又は重度傷病者が医療機関に到着し当該医療機関に入院するまでの間に救急救命処置を行うことを業としております。
2ページを御覧ください。救急救命士の年度別国家試験合格者数をお示ししております。
次に、3ページ、こちらは平成30年の厚生労働科学研究のデータになりますが、救急救命士免許登録者数の内訳をお示ししております。
4ページ、御覧ください。「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」において取りまとめられた「救急救命士の資質活用に向けた環境の整備に関する議論の整理」の概要です。救急医療をとりまく現状と課題、基本的方向性について、お示ししております。
基本的方向性のマル1として、「救急外来」における看護師の配置状況や業務実態の調査研究を行い、その結果を踏まえて、「救急外来」等への看護師の配置について検討し、必要な措置を行うとされております。
マル2として、救急救命士が救急医療の現場において、その資質を活用できるよう、救急救命士法の改正を含め、具体的な議論を進めるとされており、こちらの方向性を受け、令和3年に救急救命士法が改正されました。
5ページを御覧ください。救急救命士法改正の概要です。
救急救命士法の改正により、「病院前」から延長して「救急外来まで」においても、救急救命処置の実施が可能になりました。
後段部分では、医療機関に就業する救急救命士の資質及び当該救急救命士が行う業務の質を担保する仕組みの整備として、実施可能な救急救命処置の範囲等に関する規定の整備等を行う委員会の設置が求められ、医療安全、感染対策、チーム医療が必須となる研修として位置づけられております。
6ページ、御覧ください。現在、救急救命士が実施可能な救急救命処置について、一覧でお示ししております。医師の具体的指示が必要な処置と、医師の包括的な指示が必要な処置に大別されております。
7ページ、御覧ください。救急救命処置については、こちらでお示しさせていただいたように、平成3年の救急救命士法施行以来、徐々に業務拡大してきたところでございます。
8ページ、御覧ください。前回の措置拡大の経緯を詳しくお示ししております。
平成20年に構造改革特区の提案において、3処置が提案されました。これらの提案を受け、「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」が立ち上げられ、並行して救急救命処置に関する厚生労働科学研究も開始されました。
平成22年4月には、当該検討会の報告書において、3処置について実証研究を行って、有効性・必要性・安全性、必要となる体制等を分析・評価する方針となり、引き続きの厚生労働科学研究で実証研究実施のための体制整備が行われました。
9ページに移ります。実証研究のため、体制の整った消防本部を指定し、1年間限定の省令改正を行って、129の消防本部で実証実験が開始されました。結果としては、「重症喘息患者に対する吸入ベータ刺激薬の使用」については、対象症例数が少なく、有効性・安全性の評価ができませんでした。
そのほかの2処置については一定の効果が確認でき、平成25年8月の検討会報告書において、効果のあった2処置について救急救命処置に追加する方針となり、平成26年1月に省令・通知を改正し、同年4月から運用が開始されました。
10ページ、御覧ください。救急救命処置の範囲の見直しの経緯をお示ししております。表にお示ししたように、契機、検討の場、こちらは様々であり、一貫性のある評価方法を検討する必要があるのではないかとの御意見を受け、平成27年度から「救急救命処置検討委員会」を設置いたしました。
11ページには、当該検討会の委員をお示ししております。
12ページ、御覧ください。当該委員会における救急救命処置の検討状況をお示ししております。
当該委員会においては、救急医療部門の有識者が、新しい処置の要望・提案について、安全性、必要性、難易度、必要となる教育体制等の視点から、救急救命処置に追加すべきかどうか、さらなる検討が必要かどうかについて評価を行い、表のように、カテゴリーIからIIIに振り分けております。
救急救命処置として追加するために、厚生労働科学研究等による研究の追加、または厚生労働省の検討会等による審査によるさらなる検討が必要と判断されたカテゴリーIIに、現在4処置が振り分けられており、令和3年度から、これら4処置について厚生労働科学研究において研究が継続されております。
また、令和4年3月10日の「国家戦略特別区域諮問会議」においても、カテゴリーIIを対象として、国家戦略特別区域において先行的な実証を実施し得るものを検討の上、同区域で先行的な実証を開始することについて、2022年度中に一定の結論を得るとされており、検討の継続が必要となっております。
13ページを御覧ください。今後の対応として、3点お示ししております。
「救急外来」における医師・看護師等の配置状況や業務実態の調査研究を行い、「救急外来」における多職種の配置、連携等について検討する。
令和3年10月に改正救急救命士法が施行され、いわゆる救急外来における医療従事者の負担の減少の状況を含め、法改正の効果の検証を行う。
救急救命処置への追加・除外・見直しに向けて、必要な実証研究の検討を含め、厚生労働科学研究班が研究を継続している処置について、救急救命処置への追加の可否について結論を出す。
これらを踏まえて、病院前から医療機関内に至る救急医療を一体的に議論するため、救急医療を担う多職種が参画した新たな検討の場を設置することとしております。
資料4の御説明は以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料3、4に関連しまして、御意見、御質問等をいただければと思います。
長島構成員、お願いいたします。
○長島構成員 長島です。
まず、ドクターカー・ドクターヘリに関して、4点について意見を述べます。
ドクターヘリに関しては、1機だけ所有というところが38都府県ということで、ほとんどということですが、恐らく人材・財源の確保が困難なので、これが複数持つというのは極めて困難だろうと思います。したがって、有効活用のために広域連携を一層進めていくということで、例えば好事例等を集めていただいて、それを横展開していくということが重要ではないでしょうか。また、同様に、ドクターカー・ドクターヘリも地域特性がかなり影響してくると思うので、これも全国の状況を把握して、好事例を集めて横展開していくことが重要だと思います。
次に、救急救命士について、一番最後のページ、今後の対応ですけれども、1つ目の多職種の配置、連携と、2つ目の救急救命士のことは、一体的にしっかりと検討していくほうがいいのではないかと思います。つまり、救急外来において、1つは救急救命士の法改正で場所の拡大がありましたが、それ以外の職種もタスクシェア・タスクシフトということが進んでいますので、そのような変化・改革によって、どのような変化があったのか、どのような実態であるのか。そして、どのような効果があるのかということ。特に、配置・連携に関しては、好事例があれば、それを紹介していただくということで、救急救命士が主体にはなると思いますが、それだけではなく、一体的に多職種について検討するとすれば、一度で済むということで、それはいいのではないかと思います。
私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。今後の進め方に対する貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。事務局、十分参考にしてください。
続きまして、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 田中でございます。
ドクターヘリに関して、14ページ、最後の論点で、ドクターヘリの広域連携を一層進めるということは大事だと思うのですけれども、私共の県立総合病院は非常に古い病院で、災害拠点病院で三次救急ではあるのですが、実はヘリポートの能力が余り高くなく、ヘリコプターが大型化すると使えなくなるという問題点があります。全国のそういう災害拠点病院とか三次救急のヘリポートの能力が、どのぐらいの重さのヘリコプターまで対応できるかということに関して、厚労省は何かデータを持っていらっしゃるのでしょうか。
以上です。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 御質問いただきました、ドクターヘリのヘリポートのキャパシティー、どの程度のレベルまで対応できるかということにつきましては、現時点、把握しているものはございません。それが現状でございます。
○遠藤座長 田中構成員、よろしいでしょうか。
○田中構成員 ヘリコプターのことは詳しくないのですけれども、広域や災害時に長距離を飛んだり、高性能になるとヘリコプターが大型化し、ヘリポートの負荷が大きくなるのではないかと思いますので、そういったデータも必要かなと感じました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。もし機会があれば、そのようなことも調べていただければと思います。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
ドクターヘリに関しましては、1999年以来ですから、本当に充実してきたなということを感じます。
ドクターカーについては、提案なのですが、ドクターカーというのは救命センターに所属して、ドクターが行って救命処置をするというのが主体と考えておるわけですが、先ほどちょっと申し上げましたように、今後、在宅医療を救急で支えていくに当たっては、在宅の医師と密に連携している地域の二次救急病院とかがしっかりとこれを支援する意味で、ドクターカーという形での視点もあるのではないかと考えております。その点、考慮していただきたいかなという提案でございます。
もう一点が、救命士であります。救命士に関しましては、今後、活躍を期待しているところでありますし、今後、さらなる処置の範囲の見直しについて、11ページですか、「救急救命処置検討委員会」というものが設けられているわけです。我々の現場でも、病院の中でも働いていただくということもありますので、御専門の先生方が連ねて御議論されている委員会だと思うのですけれども、ぜひとも病院団体からのメンバーの追加をお願いできればありがたいと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見、御要望として承りました。
それでは、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
資料4の4ページに「救急救命士の資質活用に向けた環境の整備に関する議論の整理」の基本的な方向性が示されております。「『救急外来』における看護師数の配置状況や業務実態の調査研究を行い、その結果を踏まえ、『救急外来』等への看護師配置に関する基準等について検討を行う」ということが、昨年までの検討会で宿題として残っているところでございました。今般、方向性として、こういったことを示していただいて、ありがとうございます。
先ほど来、資料1についても議論がありましたけれども、これから医師の働き方改革が進められる中で、また高齢者が急増する中で、救急医療を維持するために看護師は役割をしっかり担っていかなければならないと思っております。この検討では、多職種等の配置・連携に関する検討の必要性も承知しておりますが、まずはこちらに示されていた救急外来の看護師の配置基準について、ぜひ早急に御検討いただきたいと考えております。意見でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として承りました。
それでは、猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 ドクターカーについて意見させていただきます。
先ほど加納構成員からもお話がありましたけれども、ドクターカーは地域医療においては、在宅医療だけではなくて、転院搬送などでも使っているところはかなり有効に使っております。ドクターカー、三次救急にしか補助が出ていませんで、二次救急が地域医療という点ではかなり有効に使っておりますので、ぜひ二次救急も視野に入れる。ドクターカーとして使うだけではなくて、病院の外来まで救急救命士が配属されることが可能になりましたので、この救急車の活用方法が非常に広がっておりますから、ぜひ二次救急の使用するドクターカー、もしくは病院救急車という視点も入れていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。御主張として承りました。どうもありがとうございます。
ほかにございますか。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 ドクターカーの救命救急センターの補助金の状況を拝見しますと、12ページで、103か所ということで、100か所を超える救命救急センターに補助金が出ているということでございますが、一方、病院前診療医学会が全国の消防本部に管轄地域におけるドクターカーの運用状況のアンケート調査をして、100%の回答を得ており、日本全国で397か所の病院でドクターカーを運用していることが分かったのですが、実はそのうちの274病院、67%では、3か月間、1回もドクターカーを出動させていないとの結果でした。アクティブに使っている病院というのは、実は86病院しかなくて、3か月に10回ぐらいというのが50病院ということです。
アクティブに使っている病院というのは、救急救命センター以外も含めて86しかないわけですけれども、この100以上の救急救命センターに補助金が出ている。実態を把握した上での補助金の支給ということになっていますでしょうか。確認でございます。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 補助金の支給要件というものについては、別途定められているのですけれども、こちらを実態としてどれくらいやっているかということ自体は、また別の調査で確認しているものでして、支給そのものにつきまして、その実態がどれくらいやっているから幾ら払うという構成にはなっておりません。
以上でございます。
○遠藤座長 大友構成員、そういうことでございますが、いかがでしょう。
○大友構成員 休止中のところにも、もしかしたらドライバーとか、そういう人件費が払われているかもしれないという、すみません、可能性の話ですけれどもね。
○遠藤座長 よろしゅうございますか。
それでは、野木構成員、お待たせしました。どうぞ。
○野木構成員 ありがとうございます。野木です。
今、大友構成員もおっしゃったと思うのですけれども、ドクターヘリもドクターカーも、増えれば増えるほどいいと思うのですけれども、先ほど言われたように、例えば大学病院で救急やっていたら、ドクターカーを持たないと恥ずかしいという感覚だけで持つようであれば、余り意味がないと思いますので、それをどういうふうにいかに活用していくかというのが重要なところで、最初にも言いましたけれども、救急の中で一番大切なのは、ニーズのある人を素早く病院に運ぶというところが大前提になってくると思いますので、全体の連携がうまくいくというところを考えていただくのが一番いいんじゃないかなと思います。
だから、先ほど言いましたけれども、救急車が来て、家の前で20分ぐらいずっと止まっているというのは、何となしにいかがなものかなという気がしますので、その辺り、救急隊もそれであれば本当にしんどいと思うのですね。ニーズのある人をニーズのある病院に持っていけるという連携をしっかり考えていくべき。その上で、猪口構成員の言われているプライマリ・ケアの部分も含めて、そこをどう連携していくのかをしっかり議論していかないと、救急は今後成り立っていかないのではないかと思います。
意見として言わせていただきました。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。貴重な御意見、ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
○大友構成員 もしなければ。
○遠藤座長 では、大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 救急救命士、職域拡大ということで、病院においても救急救命処置の実施が認められてございますが、一方、今、各病院において、救急救命士ごとに実施可能な救急救命処置、特に特定行為の認定というものをしていかなければいけないのですけれども、実は気管挿管等の高度な救急救命処置に関しましては、地域のメディカルコントロール協議会の認定を経ないと、その実施を認可できないということになっておりまして、要するに、地域のメディカルコントロール協議会の動き待ちということになっております。せっかく病院で働くようになっても、救急救命処置の中の重要な特定行為の実施に関して、なかなか認定できないということになっております。
この点に関しまして、地域のメディカルコントロール協議会に対して、厚生労働省のほうからも働きかけを行っていただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 御意見、御要望として承りました。ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
それでは、本日は大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日の議論はこれぐらいにさせていただければと思います。事務局におかれましては、本日の意見を整理した上で、今後の方向性について、改めてお示しいただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、最後に事務局から何かありますか。
○土屋専門官 本日は一般傍聴の制限をしていることから、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。構成員の皆様におかれても、御多忙中とは存じますが、御協力をいただけますようお願い申し上げます。
次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。
○遠藤座長 それでは、これにて終了したいと思います。本日は長時間どうもありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 土屋(2597)