36回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和4年5月30日(月)15:00~17:00

場所

厚生労働省職業安定局第一会議室(WEB会議併用)

議題

  1. (1)企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて
  2. (2)公共職業訓練の効果分析(報告)

議事

議事内容

○武石分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第36回労働政策審議会人材開発分科会」を開催します。本分科会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づき、一部オンライン会議の開催といたします。
本日の出欠状況ですが、公益代表の玄田委員、橋本委員、労働者代表の小倉委員、篠原委員、使用者代表の増田委員、渡邉委員が御欠席です。なお、御欠席の増田委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部課長の清田様が代理出席されております。それから、議事に入る前に、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。鶴谷訓練企画室長です。
○鶴谷訓練企画室長 よろしくお願いします。
○武石分科会長 それでは、議事に入ります。議題1「企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて」です。資料1について、政策企画室長より説明をお願いいたします。
○黒田政策企画室長 政策企画室長の黒田です。議題の(1)「企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて」について、資料1を用いて御説明します。資料1を御覧ください。
 本日は、ガイドラインの骨子案といたしまして、3月23日の分科会でお示しした第Ⅰ章の「基本的な考え方」については、前回、委員の皆様から頂いた御意見、また分科会が終わった後に頂いた御意見も踏まえて、修正をさせていただいております。加えて今回は、第Ⅱ章の「労使が取り組むべき事項」の内容を御提示させていただいております。さらに、第Ⅲ章の「国等の支援策」については、項目例をお示ししています。本日は、これらについて御意見を頂ければ幸いです。
まずタイトルですが、引き続き、「社会人の職業に関する学び・学び直し促進ガイドライン(仮称)」とさせていただいております。本日は、このタイトル案についても御議論いただければと考えます。
 続いて、中身に入ります。「Ⅰ 基本的な考え方」について、前回からの修正点を御説明いたします。1ページ目の「1 はじめに」の部分です。3か所修正をしています。いずれも平田委員からの御意見を踏まえた修正です。その下の2で「業務命令に基づき、」を追加しておりますのは、能力開発基本調査におけるOJTの定義に合わせる形で事務局が修正をしたものです。
 2ページ目です。上段の「組織のフラット化や」の所を修正しているのは、分かりやすさの観点から事務局において修正したものです。中段の「OJTは、実際の業務に即した実践的な学びという観点から重要性は変わらないが」については、前回、平田委員と宮田委員の御意見を頂きましたので、それを踏まえた修正です。その下の「大幅に充実・強化する必要がある」については、平田委員の御意見を踏まえた修正です。その下の「正解が見通せない」については、滝澤委員の御意見を踏まえた修正です。
 3ページ目です。「OJTやOFF-JTにも自律的・主体的な取組を促す要素を取り込む」については、もともと役割を再定義すると書いていましたが、それだけでは分かりづらいと思いまして事務局において追記しました。この部分は、例えば第Ⅱ章で記載させていただいているのですが、OJTの中にシステム化されたOFF-JTを組み込むことや、社内公募制などの形でOJTにも自律的・主体的な要素を入れ得ることを念頭において追記したものです。
 続いて、中段の「労使が」としておりますのが、平田委員からの御意見を踏まえての修正です。直後の「協働して取り組む」は、学び・学び直しの必要性を労使が共有した上で協働することが重要なので事務局で追加させていただきました。また、このページの一番下の「学び・学び直しを」については平田委員からの御意見を踏まえた修正です。
 4ページ目です。「学びのプロセス」の②については、教育訓練プログラムの開発だけでなくより広い取組を含むよう、事務局において修正させていただきました。また、その下は事務局において、字句の適正化を行ったものです。4ページ目の下ですが「雇用形態等にかかわらず、これまで以上に」は、前回、松浦委員、渡邉委員、冨髙委員からも御意見を頂きましたので、それらの御意見を踏まえた修正です。
 4ページ目の一番下から5ページ目にかけて、「伴走支援」の部分の位置を変えておりますが、これは第Ⅱ章の記載順に合わせて場所を移動したということです。
5ページ目です。2つ目の○ですが、前回、座長の武石委員から、副業・兼業は学びの場や実践の場としても重要との御意見を頂きましたので、それを踏まえた修正です。
5ページ目の5にまいります。まず表題で「管理職等の」を落とす修正をいたしました。管理職ばかりに目がいくとミスリードがあるということもありますので、事務局において修正をしております。その他、文中も表現の適正化を行っております。
 6ページ目です。「これにより」は事務局で追記をいたしました。「エンゲージメント」につきましては、前回、滝澤委員の御意見がありましたので、「働きがい」に修正させていただいております。第Ⅰ章は以上でございます。
続いて、7ページからの「Ⅱ 労使が取り組むべき事項」について御説明申し上げます。 本章におきましては、最初のリード文ですが、第Ⅰ章の4に掲げました「学びのプロセス」や、5に掲げた「現場のリーダーの役割」を踏まえまして、労使が取り組むべきと考えられる事項を①~⑬に分類して整理させていただきました。8ページ目以降では、各項目についての取組の考え方・留意点という部分と、推奨される取組例という部分に分けて記述しております。取組の考え方・留意点は、その項目に取り組む理由ですとか、取り組む際の留意事項を記載しております。推奨される取組例につきましては、中小企業から大企業まで様々な企業があることも念頭におきつつ、労使の取組の参考になりそうな事例を様々記載させていただいています。
 それでは中身に入ります。まず8ページ目の「1 学び・学び直しに関する基本認識の共有」の①経営者による経営戦略・ビジョンと人材開発の方向性の提示、共有です。取組の考え方・留意点の1つ目の○ですが、労使間での学び・学び直しに関する基本認識の共有を図る観点から、企業が経営戦略・ビジョン、人材開発の方向性を提示することが重要であるということ。2つ目の○は、こうした方向性の提示は労働者の学びへの内発的動機付けの促進や、企業内の学びの風土の形成等の効果が期待されるということ。3つ目の○は、全ての労働者に発信することが求められるということを記載しております。取組例につきましては5つ紹介しております。
 次に「2 能力・スキル等の明確化、学び・学び直しの方向性・目標の共有」です。まず②役割の明確化と合わせた職務に必要な能力・スキル等の明確化ですが、取組の考え方・留意点としては、1つ目の○で、学びの目標等を設定しやすくするため、役割明確化と合わせ、職務に必要な能力・スキル等を明らかにすることが重要であるということ、2つ目の○は、これらの明確化は学び・学び直しの起点となるものであることから、できる限り積極的に行うことが望ましいということを記載しております。9ページ目には取組例を5つ紹介しております。
 続いて、9ページ目の中ほどの③学ぶ意欲の向上に向けた節目ごとのキャリアの棚卸しです。取組の考え方・留意点として、1つ目の○ですが、キャリアの棚卸しを行って、自身の今までのキャリアを振り返り、今後どのようなキャリアを歩みたいか、そのために何を学ぶべきかを考えることが必要であるということ。2つ目の○は、労働者本人のやりたいこと・できること・やるべきことの重なり合いの状態を確認・改善するために、キャリアの棚卸しを行うことが望ましいということ。3つ目の○は、キャリアコンサルティングやジョブ・カードも活用しつつ、キャリアの棚卸しを行うことで、内発的動機付けや自律的・主体的なキャリア形成につながることが期待できるということ。4つ目の○は、キャリアが長い労働者ほどキャリアの棚卸しの効果が期待できるということ。最後の○ですが、次のページにかけて、今般の職業能力開発促進法改正の趣旨を踏まえまして、節目ごとのキャリアの棚卸しを行う仕組みを整備することが望ましいということを記載しております。10ページ目には取組例を5つ紹介しております。
 今御説明した②と③を行った上での話ですが、④学び・学び直しの方向性・目標の擦り合わせ、共有です。考え方・留意点の1つ目の○は、企業が求める学び・学び直しの方向性・目標と、労働者が求める学びの方向性・目標との擦り合わせが必要であるということ。1つ飛ばして3つ目の○は、擦り合わせた方向性・目標は必要に応じて見直すことが必要であるということ。4つ目の○は、擦り合わせを行う主体は、現場に精通した現場のリーダーが望ましいということ。次のページ、11ページ目の一番上ですが、擦り合わせはあらゆる労働者を対象とすべきであるということなどを記載させていただいております。取組例は6つ紹介しております。
 次に3つ目の柱の「3 労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの機会の確保」です。まず、⑤学び・学び直しの教育訓練プログラムの選定・確保です。1つ目の○は、教育訓練プログラムは多様な形態で行うことが必要であるということ。2つ目の○は、外部機関の活用も検討することが望ましいということ。3つ目の○は、労働者が自ら選択したプログラムについては、企業が業務に資すると判断する場合は、それを受講できる環境整備を行うことが望ましいということ。4つ目の○は、企業が訓練プログラムの情報リストや検索サイトを情報提供することも望ましいということを記載しております。取組例といたしましては、その下から12ページにかけて記載しています。12ページの2つ目の○に、ポリテクセンターが行う在職者向け職業訓練の受講、3つ目の○に、大学等が自社向けに開発したプログラムの受講、4つ目、5つ目に生産性向上人材育成支援センターの活用の話、その他文部科学省ですとか経済産業省など、関係省庁の政策も記載させていただいています。
 続いて、⑥労働者が相互に学び合う環境の整備です。1つ目の○は、労働者が互いに学び、高め合う環境を確保することが重要であり、企業が労働者同士の学び合いの場を整備したり、労働者が自主的に勉強会を開いたりすることが考えられるということ。13ページ目ですが、2つ目の○は、個々人が得た知識や経験について共有することが望ましいということ、3つ目の○は、勉強会の参加等が使用者の指揮命令下にあると評価された場合は労働時間に当たるというような留意点についても記載しております。そして取組例につきましては、自主的な勉強会の開催ですとか、その際の会社による場所の提供や費用の助成などの便宜といった7つの例を紹介させていただいております。
 続きまして「4 労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを促進するための支援」です。ここには各種支援が入ってきます。まず、⑦学び・学び直しのための時間の確保です。1つ目の○は、労働者が学び・学び直しを効果的に行うためには時間の確保が必要であるということ。2つ目の○は、自己啓発であっても業務に資するものについては、時間的配慮を行うことが望ましいということ。3つ目の○は、OFF-JTの時間は労働時間となるということを記載しております。取組例は4つ紹介しております。
 続いて14ページ目、⑧学び・学び直しのための費用の支援です。1つ目の○は、OFF-JTの費用は基本的には企業の負担であるということ。2つ目の○は、自己啓発のうち、業務に資するものについては経済的支援をすることが望ましいということを記載しております。取組例としては、受講費用の補助ですとか、有給の教育訓練休暇の例を紹介しております。
 次に、⑨学びが継続できるような伴走支援です。1つ目の○は、雇用形態等にかかわらず、最後まで教育訓練プログラムを修了できるためには、定期的・継続的な助言や精神的な支援を行う「伴走支援」の仕組みを設けることが望ましいということ。2つ目の○は、その際にキャリアコンサルタントをはじめとした支援人材の活用を検討することが望ましいということを記載しております。取組例といたしましては、現場のリーダーによる声かけ等、5つの例を紹介しております。
 続いて15ページ目、「5 持続的なキャリア形成につながる学びの実践、評価」です。まず、⑩身に付けた能力・スキルを発揮することができる実践の場の提供です。1つ目の○は、企業は、労働者が学んで身に付けた能力・スキルを業務として活かすことができる実践の場を提供することが重要であるということ。2つ目の○は、本人の意欲・意思を尊重した多様な実践の場を提供することにより、自律的・主体的な学び・学び直しを促し、持続的なキャリア形成につながることが期待されるということ。3つ目の○は、副業・兼業や在籍型出向は、能力・スキルや経験の獲得や実践の場となることが期待されるということを記載しております。取組例といたしましては、1つ目の○の、本人の希望に基づき、学んだ内容に関連する部署への異動を実現することですとか、16ページ目の一番上の○の、本人の意欲・意思・学んだ内容を尊重した多様な実践の場として、社内公募制度、社内副業制度、社内ベンチャー制度、社内フリーエージェント制度などを導入することなどを挙げさせていただいております。
 次に、16ページ目の⑪身に付けた能力・スキルについての適切な評価です。考え方・留意点の1つ目の○は、学び・学び直しにより得られた能力・スキルをしっかり評価し、労働者に成功体験や振り返りの機会を与えることにより、新たな目標が生まれ、更なる学び・学び直しにつながることが期待されるということ。2つ目の○は、労働者が得た能力・スキルが社内でどのように活かされたか等について、関係者内で評価を行うことが重要であるということ。3つ目の○は、学び・学び直しを企業内でスタートさせ普及させていく局面においては、学び・学び直しを行ったこと自体を評価することも考えられるということを記載しております。取組例は7つ紹介しております。
 続いて17ページ目を御覧ください。「6 現場のリーダーの役割、企業によるリーダーへの支援」です。まず、⑫学び・学び直しの場面における、現場のリーダーの役割と取組です。1つ目の○は、顧客と直に接して現場の課題を把握し、経営者と労働者との結節点となっている、管理職等の現場のリーダーの役割が鍵となるということ。2つ目の○は、現場のリーダーには、個々の労働者の学び・学び直しの方向性・目標の擦り合わせと、労働者へのサポートが求められるということ。3つ目の○は、擦り合わせについては、現場で必要となる能力・スキルや現場の課題を把握した上で、労働者の学び・学び直しの意向と調整していくことが期待されるということ。4つ目の○は、キャリア形成のサポートについては、労働者への声かけや励まし、学んだことの実践への支援を行うことが期待されるということを記載しております。取組例は5つ紹介しております。
 最後に18ページ目です。⑬現場のリーダーのマネジメント能力の向上・企業による支援です。考え方・留意点の1つ目の○は、現場のリーダー自身のマネジメント能力の向上の必要性を掲げております。その上で、2つ目の○は、企業は、現場のリーダーがマネジメント能力を向上して、求められる役割を果たすことができるよう、十分な配慮や支援を行うことが必要であるということ。3つ目の○は、企業は、現場のリーダーが労働者のサポートに注力できているか、その状況を確認し、過度な業務負担となっている場合には、現場のリーダーの負担を軽減する等の措置を構ずる必要があるということを記載しております。2つ目、3つ目の○につきましては、前回の分科会での岡野委員の御意見を踏まえた記述です。そして取組例を4つ紹介しております。第Ⅱ章は以上です。
続いて19ページを御覧ください。第Ⅲ章の「国等の支援策」(項目例)です。この章では、第Ⅱ章の「労使が取り組むべき事項」に掲げた様々な取組について、労使が推進していくに当たって活用することができる、国等の支援策を一覧で示していきたいと考えております。本日お示している項目ごとに、1枚程度の資料を作成して、そこに支援内容ですとか、申請手続や問合先などが分かるように、URLとかQRコードなどを付した形の資料を作成していきたいと考えております。ここに、文部科学省とか経済産業省といった関係省庁の施策も今記載をしているところです。
 最後に20ページ目ですが、一番下に「コラム(企業事例)」(作成中)としております。これまで当分科会において紹介させていただいた企業事例などの中で、現場での取組の参考になりそうなものを、第Ⅱ章の各取組との対応関係が分かる形で幾つかコラム形式で紹介することを考えております。私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○武石分科会長 ただいまの御説明に対しての御質問、御意見を頂戴したいと思います。こちらの会場で参加されている方は挙手をしていただきます。またオンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを推していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をしていただくようお願いします。それでは御意見、御質問のある方はいますか。
○海老原委員 OFF-JTが盛んになるように頑張った良い案だと思います。私の危惧のある所だけお話させてください。教育というのは、仕事というのはちょっとずつ難しくしていけば、仕事はどんどんうまくなるわけです。任された仕事の中で少しずつ難しくしていけば、いつの間にかスキルというのは上がっていくものだと思うのです。日本はそれができるからOJTだけで済んでいたと思うのです。欧米の場合は、要するにパッケージワークで決まった仕事しかさせないから、ジョブ型になっているから、それ以外のディスクに……ない仕事をさせないから、だからOFF-JTが必要になると。欧米の仕事を見にいくと、OFF-JTと言って結局はOJTをさせているパターンが非常に多いので、その辺は余りにもOFF-JTを過信しないほうがいいというのが1つ目の私の話です。
 2つ目は、自律的・主体的な学び直しはとてもいいことですが、逆にこれだけのせいでキャリアがかえって閉ざされる可能性があるというので、そこを注意しておきたいと思います。なぜかと言いますと、例えば、子どもがチョコレートを好きだからといってチョコレートばかり食べさせていたら駄目な子どもになりますよね。やはり、栄養があるから、食べたくないものも食べさせるのが親であり、教育者だと思うのです。そうしますと、企業というのは、ある面、食べたくない非自律的な仕事も、これがキャリアのためになると言うのだったらやらせなければいけないと思うのです。そういうような文章を入れてほしいのです。例えば、「労働者の希望しない内容でも、キャリア形成に資する職務であれば、説明し、納得を得た上で取組を促す」とか、いわゆる自律だけに任せておいたら、チョコレートを食べたいという子どもだけになってしまう。ここだけは注意を入れておいてほしいことです。
 3つ目は、マネージャーの役割が超人的なのです。マネージャーというのは神でもない限りそこまでのことはできないから、良い会社というのはなぜマネージャーが活きているかというと、会社のほうがもう絵図を持っているわけです。どの年代だったらどういう経験をして、どういう役割になって、そのためにはどういう能力とスキルが必要で、そのためにはどんな仕事を任せるべきかまでのロードマッブがあるわけです。そのロードマップがあるから、それと見比べて、今の若い者たち、27歳なのにこのレベルでは駄目だねとマネジメントするわけなのです。そうすると、先にあるべきはマネジメント能力ではなくて、企業側にしっかり成長のためのロードマップを作らせることが必要だと思うのです。この件に関しては、努力目標としてでもいいから入れてほしいです。よろしいですか。
○武石分科会長 海老原委員、御意見よろしいですか。ありがとうございました。では、事務局から御説明いただきます。
○黒田政策企画室長 政策企画室長の黒田です。海老原委員、ありがとうございました。3点いただいたと思います。1つが、OJTの重要性。一つ一つ、ちょっとずつ難しい仕事をやることで、OJTで成長していくことが重要だという御指摘は、そのとおりかと思います。OJTの重要性については認識しておりまして、今回の第Ⅰ章の修正でも、OJTについては重要であるということを入れさせていただき、その趣旨については、前回の分科会でも御議論があった所なので、踏まえさせていただいているところです。
 もう1つ、キャリアのためになるものは本人が嫌がってもやらせるという話があって、それもOJTやOFF-JTに関連する話だと思います。企業が準備する教育研修とか、そういったものは業務命令でやるものということで、そういうことはあろうかと思います。例えば、今回のガイドラインの中でも、第Ⅱ章の④で、学び・学び直しの方向性・目標を労使で擦り合わせていくという話があります。労働者がやりたいという方向性を尊重しつつも、企業もこういう能力とかスキルを身に付けてほしいということを提示しながら、両者で擦り合わせていくということも書かせていただいていますので、そういったことで一応表現しているところがあります。
 3点目は、マネージャーの役割が超人的だという話があって、実はこれは前回の分科会でも同じような議論があって、マネージャーの方にしわ寄せが行き過ぎることを懸念する声が委員の先生方からあったところです。そういった意味で、マネージャーについては、会社がその成長のロードマップを作るべきという先生の御意見はそのとおりかと思います。②、③、④のような取組をマネージャーについても実施していくということも含めて、検討をさせていただきたいと思います。先生の御意見を3つ頂きましたが、ガイドラインの中でどのようにに反映していくかということを検討させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○海老原委員 1点だけいいですか。2つ目の点の所で、つまりやりたくない仕事でも、これは本当に役に立つのだったらやってもらわなければ困るというのは、企業としての重要な権利だと私は思うのです。しかし、今まではそこのところを、必要がないものかもしれないし、必要かどうかも分からないのに無理矢理やらせていたという問題は、ブラックな所にあったと思うのです。そうすると、そこに対して、説明して納得を得た上でという合意要素、合意形成という話をもう少し強く入れて、その代わり、企業は権利を持っているのだよという、この両方のトレードオフをしっかりしたほうがいいのではないかと私は思ったのです。
○黒田政策企画室長 そこも含めて検討させていただきたいと思います。
○海老原委員 よろしくお願いします。
○武石分科会長 要素としては、今の文章にも入っているのですが、もう少しきちんと明確にするとか、そういう表現の問題もあるかなと思いましたので、検討させていただきます。ありがとうございます。それでは清田代理、お願いします。
○清田様(増田委員代理) 日本商工会議所の清田です。本日は増田委員の代理として発言させていただきます。第Ⅰ章の基本的な考え方に加えて、第Ⅱ章の労使が取り組むべき事項について取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。効果的な学び・学び直しの取組について、体系的に整理をされておりまして、大変分かりやすく取りまとめられたものではないかと思います。ただし、実行に際してですが、企業がこうした一連の取組を推進していく場合には、経営者が強いリーダーシップを持って従業員に働きかけていくことが非常に重要ではないかと感じております。
効果的な「学び・学び直し」の取組について体系的に整理されており、大変分かりやすく取りまとめられたものであると思います。ただし、実行に際して、企業がこうした一連の取組を推進していく場合には、経営者が強いリーダーシップを持って従業員に働きかけていくことが非常に重要であると感じております。
 一方で、今、中小企業では、人手不足への対応や目の前の事業運営を優先せざるを得ない状況にあることから、経営者がこうした「学び・学び直し」が事業経営に対して効果がありあって、優先すべき取組であると認識することが必要ではないかと思います。したがって、中小企業の経営者に対して、「学び・学び直しの事業経営に対する具体的な効果」という視点をキーにして、取組への意欲が醸成されるようなアプローチが有効であると考えます思います。今後、ガイドラインで事例を記載されるとのことでしたので、そうした事例紹介での記載ぶりや、ガイドラインを周知する際の広報方法・ツールなどを検討いただく際に、事業経営に効果があるという視点を盛り込んでいただければと思います。
 最後に第Ⅲ章の国の支援策について、企業・従業員双方にとって大変参考になるものと思います。中小企業の従業員の学び・学び直しを促進していく上で、資金面が課題となるケースが多いことから、助成金の利用促進や支援策の強化がこのガイドラインで進むことを期待いたします。私からは以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。事務局からお願いします。
○黒田政策企画室長 御意見ありがとうございました。2つあったかと思います。1つが、ガイドラインを通じてかもしれませんが、中小企業の経営者の方々を中心に、学び・学び直しの重要性自体を認識していただくようにどう働きかけるかという御提起かと思います。それについては、皆様方とも協力しながら、このガイドラインができたら、まずはそれを周知する過程において、しっかり学び・学び直し自身が非常に大事だということを分かっていただけるように、どのようににやっていくかということだと思いますので、そこは広報の仕方とか、そういったこともしっかり考えていきたいと思います。
 2点目は、資金面に課題がある中小企業に対して、現場で役に立つようなものにということで、これから第Ⅲ章を作成していきますが、助成金の活用についてという話もありましたので、今、項目例にも人材開発支援助成金ということで何箇所かに載せていますが、単に人材開発支援助成金を載せるわけではなくて、第Ⅱ章に紐づく形で、時間の確保の場合はこういうコースが活用できるとか、費用であればこのコースが活用できるということで紹介できればと思います。そういう意味で、第Ⅲ章は、今の御意見を踏まえて、助成金の活用も含めて、分かりやすいものにしたいと思います。
 1つ目の御意見について、補足ですが、コラムで中小企業の事例の紹介をして、中小企業の方々にも届きやすいようにしたいということですので、事業経営に対する具体的な効果なども含めて、コラムで紹介させていただければと思います。それも検討したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○武石分科会長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは宮田委員、お願いします。
○宮田委員 ANAの宮田です。今回、このような取りまとめは、皆さんのこれまでの議論を含めてまとめていただき、ありがとうございました。その上で、先ほどもありましたが、基本的な考え方に、第Ⅱ章のほうで実際に取り組むべき事項、あと制度という流れで作っていただいているので、企業の立場として、正にこれを使って進めていくという1つのガイドラインになるというふうに思っています。そういう意味では、これがきちんと使われることが重要だということと、少し先ほどの御意見もありましたが、企業として、嫌な仕事とか、いろいろな仕事も含めて、その人の成長に資するものであればというところは、いかにこの文書にどれだけ書けるかですが、双方向のコミュニケーションがあって、何のためにそれが必要だということをきちんと伝えられるということ、これが正にあって成り立つものだと思っていますので、そういう双方向のコミュニケーションの観点が一つ重要だと思っています。
 あとは現場のリーダーへ求める役割については、確かに現場のリーダーは育成する立場でもあるのですが、反対側では育成される立場でもあるので、そういうリーダーが力を発揮できるような育成を、今度はもっと上のトップが経営としてやっていくという、この正に循環かと思っておりますので、この辺も含めて、改めて労使双方の中で目的とこれを使ってきちんとやっていくところを落とし込んでやっていく一つの大きなきっかけかと思います。内容自体は非常に丁寧にまとめていただいて、本当にありがとうございました。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。御意見ということでしたので、承りました。それでは田村委員、お願いします。
○田村委員 国公連合の田村です。御指名ありがとうございます。私からは、ガイドライン案15ページ⑩「身に付けた能力・スキルを発揮することの取組の考え方・留意点」の部分で、「副業・兼業や在籍型出向は」と記載されていますが、この部分は実践手段の例示であり、推奨される取組例の記載で足りるのではないかと思っております。
 また、その取組例の「副業・兼業」については、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を踏まえた対応が記載されておりますが、長時間労働に留意するといった旨を是非追記いただきたいと考えております。私からは以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○黒田政策企画室長 田村委員、ありがとうございました。副業・兼業、在籍型出向について、【取組の考え方・留意点】から【推奨される取組例】に下ろすという話だと思います。検討はさせていただきたいと思いますが、一方で副業・兼業、在籍型出向の役割と言いますか、例えば経験を獲得できるのか、実践の場となり得るのかということについては、【取組の考え方・留意点】のほうで言及してもいいのかなと思ったりする部分もありますので、事務局のほうでそこは考えさせていただきたいと思います。
 また、取組例のほうで、副業・兼業について、長時間労働の懸念があるので、そこに言及をということがありましたので、そこは検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○武石分科会長 田村委員、よろしいですか。
○田村委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 それでは滝澤委員、お願いします。
○滝澤委員 御指名ありがとうございます。全国中小企業団体中央会の滝澤です。この度は、ガイドラインの第Ⅰ章のこれまでの議論を踏まえた修正、並びに第Ⅱ章の具体的事項について新たに書き下しをしていただき、誠にありがとうございます。全体的には大きな異論はないのですが、中小企業経営者の立場として、今回、第Ⅱ章で新たに示された文章について、3点ほどお願いと意見を申し述べさせていただきます。
 まず1点目は、資料の8ページの、学び・学び直しに関する基本認識の共有の①です。①経営者による経営戦略・ビジョンと人材開発の方向性の提示、共有という所で、時代の変化に応じて、仕事に必要となる知識を学び直すことは、従業員の能力を最大限に活かすことにつながると思いますが、全ての従業員が重要性を認識しているとは限らないと思います。この推奨される取組例の上から3つ目の「1回だけの発信にとどまらず、十分に浸透するよう粘り強く発信する」という項目は非常に重要であると感じております。更に言えば、例えば、「自社が学び直しを重要視しバックアップしていることを、1回だけの発信にとどまらず、十分に浸透するよう粘り強く発信する」など、更に一歩踏み込んだ表現にしてはどうかという提案です。
 2点目は、9ページの、③学ぶ意欲の向上に向けた節目ごとのキャリアの棚卸しという部分ですが、キャリアコンサルティングによって、労働者自身のキャリアを社外に求めてしまうということは、残念ながらあり得ることだと思っております。この取組の考え方・留意点の一番上の○の中に、これは中小企業経営者の立場としては、例えば文中で、「自社の中で自身のあるべき姿、ありたい姿をイメージし」など、人材定着につながるような方向の表現を加えていただけると大変有り難いです。
 最後の3点目は、16ページの⑪身に付けた能力・スキルについての適切な評価という部分については、当然、労使双方が納得感のあるものにすることが重要であると考えます。昨今、中小企業においてもテレワークが随分浸透しました。テレワークであっても適正な評価を行うため、考え方・留意点にもう1項目、例えば、「社内で働く労働者とテレワークを行う労働者とで評価項目に違いがないよう、評価方法を統一するなどの仕組みづくりが重要である」というような項目を1つ追加してはいかがかと考えました。私からは以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。3点の御意見を頂きましたが、いかがですか。事務局、お願いします。
○黒田政策企画室長 滝澤委員から3つ頂きました。1つ目については、①の推奨される取組例の所に、例えば、「自社が学び直しを重要視しバックアップしていることを、1回だけの発信にとどまらず」というような、何かそういう例示を追加するという御意見だったと思います。これは今後検討させていただきます。
 2つ目については、キャリアの棚卸しの所で、9ページの③の1つ目の○で、自社の中での活躍のような形で、人材定着につながるような表現をということだったと思います。どういう表現ができるかというのは直ちに思いつかないのですが、それも含めて検討させていただきたいと思います。
 3つ目は16ページで、評価は労使で納得感のあるものにするようにという話で、テレワークであっても、テレワークでなくても、評価に差が出ないようにという御指摘だったと思います。この点については、⑪の評価は学び・学び直しに対する評価であり、いわゆる一般的な人事評価を表現するわけではないので、そこをどう表現するのかは考えなければいけないとは思いますが、御趣旨は踏まえて、学びの評価のときにどういう表現があるかという観点で考えさせていただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。検討させていただくということで、滝澤委員、よろしいですか。
○滝澤委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 では冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 連合の冨高です。今回、ガイドラインのⅠ、Ⅱに記載のとおり、学び・学び直しの促進に当たっては、非正規を含めた全ての労働者に対して、スキル、キャリアの向上に資する学びの機会が平等に提供されることは重要であり、その点が本ガイドラインで記載されていることは適切だと考えております。
 また、やはり企業が学び・学び直しの促進に向けて、どのようなロードマップを描いて進めていくのかという部分は非常に重要だと思いますので、8ページなどにそのような内容をもう少し丁寧に書いていただきたいと思います。同時に、経営者自らが、雇用形態に関わらず、自社の人材育成ビジョンを踏まえて、学び・学び直しの方向性を掲示していくことを強く発信することは非常に重要だと思いますので、是非、その点についても記載いただければと考えております。
 次に、19ページにおいて、国の支援の記載がありますが、今後さまざまな支援メニューを提示されるかと思います。本ガイドラインは労使を中心にしたものであるため、国の支援については、最後にメニューを記載するような形をとっているのだと思いますが、国としての人材開発に関する考え方や姿勢のような内容も、この中にエッセンスとして入れていただくことは必要だと考えておりますので、その点も御検討いただきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。1番目と2番目は御意見で、多分、先ほどの御意見と重複するので大丈夫かと思います。3つ目の、国の支援策として、国の人材開発に関する考え方、姿勢を説明できるかどうかですが、いかがですか。
○黒田政策企画室長 政策企画室長の黒田です。御意見ありがとうございます。冨髙委員から御意見を頂いた最後の点ですが、御指摘のとおり、このガイドラインは労使向けのガイドラインということもありますので、そういった流れで書いております。国としても、支援等に力を入れていく旨を、どこかに入れられないかという御趣旨かと思いましたので、それを受け止めて、どのように書いていくかということは、また検討させていただきます。
○武石分科会長 ありがとうございます。もしかすると、最初のⅠの基本的な考え方の所で少し触れるというのはありかもしれないという、Ⅲに書くのは難しいかもしれないと。
○冨髙委員 お任せいたします。
○武石分科会長 それでは御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。早川委員、お願いします。
○早川委員 今回の案は、内容も充実してきて、分かりやすく納得感のあるものになってきていると思います。私のほうからは、Ⅰの3ページの1つ目の○、女性活躍など、ダイバーシティの項目について意見があります。ダイバーシティの中には、職場の国際化、つまり外国人の従業員の職業能力開発も中に入っているものと思いますが、そういった外国人のことが文面に現れていないのを残念に感じています。また、それに対応するⅡの取組として、12ページの3の⑤の推奨される取組例の最後の○にそのダイバーシティに対応する方々として障害者や育児・介護中の従業員が入っているわけですが、この○かこの次に新たな○を作るかして、外国人労働者に対する能力開発も、国の取組の中に入ってきてほしいと思います。外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の案が、最近、パブリックコメントに提示されており、まだ、最終公表にはなっていませんけれども、その中で厚生労働省が上げた項目に、定住外国人を対象とした日本語能力に配慮した職業訓練の実施が入っています。そういった外国人への施策も、こちらに取り込んだものであっていただきたいと思って申し上げます。
それと、些末なことですが、14ページの⑧の「企業」という言葉は、「事業主」のほうがよいかもと思いました。よろしくお願いします。
○武石分科会長 早川委員、ありがとうございます。外国人の点を中心に御意見を頂きましたが、いかがですか。
○黒田政策企画室長 早川委員、ありがとうございます。外国人については、私どもとしては、これは入っていると思っておりまして、ご指摘いただいたダイバーシティの所や、早川委員からおっしゃっていただいた⑤の取組例の一番最後の○の、いろいろ並べたあとの「等」の中には当然入ってくるかと思います。外国人についてどう表現するか、出して表現するのか、「等」で含めると考えるかについては、そこはまた検討させていただきたいと思います。
 もう1点、少し細かい話ですが、定住外国人の日本語能力に配慮した職業訓練については、それは離職者向けの訓練ですので、今回、労使で、企業内で、という形のガイドラインの中では少し違うフェーズの施策ではないかと考えております。以上です。ありがとうございます。検討させていただきます。
○武石分科会長 14ページは「事業主」で。
○黒田政策企画室長 「事業主」の所も含めて検討させていただきたいと思います。
○武石分科会長 分かりました。ありがとうございます。早川委員、よろしいですか。
○早川委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 こちらの会場で平田委員、お願いします。
○平田委員 大きく2つ意見を申し上げます。まず1つ目は、今日修正案を提示していただいたⅠの「基本的な考え方」についてです。具体的には6ページ、学びの好循環の所で「エンゲージメント」という言葉が削除されて、「働きがい」に変更されました。そういう意見があっての修正と思っておりますが、経団連では、「エンゲージメント」という概念を、働きがいだけではなくて、働き手にとって、組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢という、より広い概念として整理しております。このガイドラインにも書いてあることですが、企業と労働者双方の持続的な成長に向けては、企業の経営戦略に基づく人材開発方針と、個々の労働者の学びの方向性を擦り合わせることが重要だと考えております。修正の仕方は事務局にお任せしますが、エンゲージメントは非常に重要な概念だと思っておりますので、両方書いていただくなど、少し工夫をしていただけないかと思います。再検討をお願いできればと思っております。
 2点目については、今日御説明いただいたⅡの「労使が取り組むべき事項」についてです。非常に網羅的に取りまとめていただいて、大変ありがとうございました。その上で、幾つか意見を申し上げたいと思いますが、今日は細かい点を申し上げるような場ではないと思っていますので、重要な所だけを申し上げます。
 先ほどどなたかからも御指摘があったかと思いますが、事業が大変で人材育成などは考えられないといったいう経営者にも手に取っていただくのであれば、より分かりやすい内容であることが必要だと思います。こういうふうに人材育成を進めていこうよと、よりポジティブなメッセージが出るといいと思っています。細かいな留意点を書くよりも、こういう方向性でということが浮き上がってくるといいと思っています。
その上で、細かいことですが、例えば8ページの①の3つ目の○ですが、ここだけ「正規雇用か非正規雇用か」と書いてあって、他の所では「雇用形態にかかわらず」と書かれていたりいます。その下の推奨される取組例では、「経営者自ら、方向性の提示」とあるありますが、何の方向性なのか、少し言葉が足りないのかなと思っています。細かい点は改めて事務局にお伝えしたいと思います。
 それから12ページ、⑥の上の○の所ですが、労働者から意見を聞く機会を確保するのは非常に重要なことでです。冒頭で申し上げたとおり、方向性を擦り合わせるために、労働者から意見を聞く機会を確保することは、推奨される取組例としては非常に良いと思います。「漏れることのないように」と書いてあって、これはこれで正しいと思っていますが、もう1つ、労使で意見を擦り合わせるために労働者から意見を聞く機会を確保するという観点も、追加して書いたほうが、より分かりやすいのではないかと思っています。置きどころがここではなくなってしまうかもしれませんが、御検討いただければと思います。今日は回答は要りませんので、意見として受け止めていただければと思います。以上です。
○武石分科会長 御検討いただくということで、よろしいですか。
○黒田政策企画室長 検討させていただきます。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見等いかがですか。
私からですが、副業に関して、私が入れてくださいということで入れていただいているのですが、副業・兼業が、学びを活かす場として、学びの結果という所に書かれているのですが、私の意図としては、そういうことをすること自体が学びの機会であるという趣旨だったのです。したがって、Ⅰの5ページに社内公募制とか副業・兼業があって、それから後ろの、学んだ結果の発揮の場としてということで15ページにあるのですが、学んだことを副業で発揮してくださいというのは、事業主としては目的が違うのではないかと思います。むしろ、ほかでいろいろな経験をしたことを、我が社の仕事に活かしてくださいということでの事業主の副業促進というか、副業を認めていくということだと思いますので、そういう意味では、学びの機会という所に位置付けていただくほうがしっくりするという印象を持っています。
 それに関連して言いますと、11ページ、3の⑤の所が、「⑤学び・学び直しの教育訓練プログラムの選定・確保」となっていますが、これが少し狭い感じがしています。教育訓練プログラムの選定というよりは、様々な機会を提供して、環境整備、情報を提供していく、プログラムと言ってしまうと非常に狭いイメージがあるので、ここは幅広くイメージしていただけると有り難いと思いました。以上です。御検討いただければと思います。
○黒田政策企画室長 検討させていただきます。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、ほかにないようであれば、この議題についてはここまでとさせていただきます。今日もたくさんの御意見を頂きましたので、皆様方の御意見を踏まえて、事務局から次回の分科会に向けて修正案を作成していただき、次回提出していただくことにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、次は議題2「公共職業訓練の効果分析」の報告になります。資料2について、政策統括官付統計・情報総務室政策企画官より御説明をお願いします。
○戸田政策統括官統計・情報総務室企画官 政策企画官の戸田と申します。本日はこのような機会を頂きまして、ありがとうございます。私のほうから公共職業訓練の効果分析について、御説明をさせていただきます。まず資料の説明に入る前に、今回の分析を行った背景について、一言申し上げます。政府全体でEBPMを推進しているところですが、昨年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2021において、「雇用保険の業務データ等を用いて公共職業訓練等の効果の分析を行い、今後の施策に反映させる」と明記されたことを受け、厚生労働省において分析を進めてきたところです。この度、分析結果が取りまとまり、結果を御報告するとともに、施策への反映を検討しておりますので、皆様より御意見を頂ければと存じます。
 今回の分析で行った主な内容です。まず、一般的に公共職業訓練の受講により、再就職の効果があるかどうかという分析を行いました。また、訓練分野別の分析も行い、今後労働力の需要が高まる分野と言われている介護・福祉分野、IT分野といった訓練について、訓練を受けた場合に当該産業へ人が移動しやすいか、また前職との関係などから、どういった人に訓練を行うことが効果的か、訓練内容に関する課題等について考察を行いました。
 はじめに、分析に使用したデータセットについて御説明いたします。資料の後ろのほう、14ページを御覧ください。今回の分析においては、雇用保険の得喪情報、職業紹介、職業訓練データの3つを主に使用しました。これらのデータの結合には、雇用保険の被保険者番号や求職者番号を用いて、重複のないようにデータセットを構築したところです。職業訓練の再就職に及ぼす効果を分析するに当たり、訓練の受講の有無及び再就職の有無によって、4つのグループに分ける必要があります。分析の都合上、まず雇用保険データにより、2020年の1~6月の間に前職を離職した者のデータを抽出しました。これが396.7万人ということで、およそ400万人ほどいらっしゃいます。このうちハローワークに求職申込をした者、つまり職業紹介データとマッチングできる者で、かつ重複を除いたところ、約119.7万人となりました。これを訓練データとのマッチングの可否によって、訓練の受講者と非受講者に分け、受講者が約3.5万人、非受講者が約116万人となりました。
 これらのグループについて、それぞれ雇用保険の新たな資格取得日があるかどうかによって、再就職したか否かに分けることにして、グループA~Dという4つのグループに分類しました。データセットの構築に当たっては、例えば就職の有無を雇用保険得喪情報の有無で判定するので、雇用保険の非適用の仕事に就職された方などは、こちらのデータから捕捉できないといった限界がありますが、利用可能なデータの範囲内で最大限の捕捉を試みたものです。以上がデータの説明です。
 続いて、データの分析結果を御紹介しますので、資料の4ページを御覧ください。こちらはいわゆるサバイバル分析の手法を用いて、訓練の受講者と非受講者のそれぞれについて、前職を離職した日からの経過日数に応じて無業者の割合の推移を見たものです。100%から始まって、下に行くほど就職をした人の割合が増えていくようになっております。最初はいずれのグループにおいても100%辺りにありますので、就職していないという状況が続いております。当初は、訓練受講グループは訓練を受講している関係で再就職をする傾向は見られませんが、訓練を終えてから徐々に就職をしている方が増えて、途中で非受講のグループの就職率と逆転し、最後は受講者の方の再就職の割合が大きく上回っていることがうかがえます。
 同じページの右の表は、再就職率に与える訓練受講者と非受講者のバイアスを取り除くため、傾向スコアマッチングという統計的な手法を用いて分析した結果です。技術的な話は、時間の関係上省略いたしますが、左の傾向スコアマッチングを用いていない場合と、右の傾向スコアマッチングを用いた場合のいずれにおいても、訓練受講者がより就職しているという状況がうかがえます。
 続いて5ページは、先ほどのサバイバル分析を訓練の種類別に行ってみた結果です。訓練の種類別によって、再就職の状況に違いが出るかを見たものです。再就職の速度に多少の差はある状況ですが、いずれの分野の訓練も再就職率は順調に高まっていることがうかがえます。以上の結果から、まず訓練一般の再就職への効果については、分野を問わず、ある程度の効果があるのではないかと考えております。
 続いて6ページは、訓練の分野別にその効果や課題を見たものです。このページにおいては、新職の産業・職業に就いた者について、当該産業・職業に関連する分野の訓練を受講していた場合に、訓練を受けていない場合や、その産業・職業と関係のない訓練を受けた場合と比較して、他の産業・職業から移動してくる割合がどう違うかを見たものです。ここでは幾つか分析しておりますが、代表的な結果として、医療・福祉のサービス職や、情報通信の技術職などの結果を載せております。
 これによると、左側にある医療・福祉のサービス職では、介護や保育サービスなどを想定しておりますが、医療・福祉のサービス職については、関連する分野の訓練を受講したグループにおいて、他の産業・職業から移動してくる人の割合が高いという結果が出ております。ほかの医療・福祉の事務職や情報通信業の技術職については、他産業・職業からの移動割合が特段高くなるという結果はうかがえませんでしたが、介護・福祉分野においては、受講した場合に、他産業・職業からの移動を促す効果があると考えております。
 次の7ページからは、視点を変えて、代表的な分野と先ほど申し上げた介護・福祉分野やIT分野の訓練について、少し深掘りした分析を御紹介したいと思います。7ページは介護・福祉分野です。これまで見たように、介護・福祉分野以外を含め、訓練を受けた場合の再就職の効果や他産業・他職業からの労働移動を促す効果が介護・福祉の訓練にはあるという可能性を示しているところですが、7ページの左側の図にあるように、介護・福祉分野は応募倍率や定員充足率が他の訓練に比べて低いというところからうかがえるように、そもそも人が集まりにくいといった課題があります。この課題に対し、訓練受講のターゲティングを改善する余地があるのではないかと考えております。
 具体的に申し上げますと、どういった方が介護・福祉分野の訓練を受けると介護・福祉分野に就職しやすいかを分析して、そういった方に重点的に受講を呼び掛けるといったことが考えられるのではないかと思っております。その上で、介護・福祉分野については、対人サービスやホスピタリティのような要素が強いと思われますので、そうした介護・福祉職で求められている仕事のタスクの性質が近い職種の経験者、例えば飲食・宿泊サービスや生活衛生サービス職の方々は、比較的なじみやすいのではないかという仮説から、前職と介護・福祉職のタスクの距離を日本版O-NETのデータから算出し、これと介護・福祉分野への就職割合の関係を見た分析を行いました。
 こちらが今御覧になっている7ページの資料の右側の図のグラフです。色を付けており、緑色の介護・福祉職との距離が近い職種に関しては、ある程度介護・福祉職に関連した就職の割合が高いというのが見える一方で、このグラフの右側の赤く色付けしている介護・福祉職との距離の遠い職種においても、ある程度、関連就職割合が高いというのがうかがえるところです。この結果から、タスク距離が近い職種では、仮説どおり介護・福祉分野に受講しやすい傾向があるのではないかと思われる一方で、仮説に反して、距離が遠くても、介護・福祉分野に就職できる可能性があるのではないかというインプリケーションが得られたところです。
 続いて8ページに移ります。では、実際にどういう方が介護・福祉分野の訓練を受けているかを示したものです。介護・福祉分野の訓練を受けている者の割合が高い職種には、医療・福祉系など、タスクの距離が近い職種も多いのですが、ビル・建物清掃員や事務員といった赤く色付けしている所、介護・福祉職種との距離が遠い職種もある程度含まれることが分かります。
 続いて9ページからは、IT分野の訓練を見た結果です。IT分野の訓練について、いろいろとデータを見ている中で見えてくる状況としては、IT分野の訓練を受けているからといって、必ずしもIT技術者になるとは限らないということです。9ページの左側のグラフを見ていただきますと、こちらはIT分野の訓練受講者のうち、新職の産業・職業の分類です。最も多い就職先としては事務職となっております。また、同じページの右側の図においては、IT分野の訓練を受けて就職した者について、「今の仕事と訓練内容が関連している」と答えた者の割合を示しています。情報通信業の専門技術職などはもちろん高いのですが、事務職の者においても、一定程度はIT分野の訓練が役に立っていると感じていらっしゃるという結果になっております。
 続いて10ページを御覧ください。こちらは9ページに関連して、更に回帰分析の結果で示しているものです。左側の図は、IT分野の訓練受講者のうち、新職がサービス業・事務系職業になる確率について回帰分析を行ったものです。前職が派遣や事務職であると、新職が事務職になりやすいということで、やはりIT分野の訓練受講者については、事務職の方がITスキルを身に付けて新しい仕事で事務職として、そのITスキルを活用している可能性があるのではないかと考えております。また、右の図は少し観点が変わりますが、IT分野の訓練を受けて情報技術者になる可能性について回帰分析を行ったものです。こちらは女性や年齢の高い層でIT技術者になりにくい傾向が見られております。このうち女性が情報技術者になりにくい傾向について、以下でその要因を少し深掘りして分析をしております。
 続いて11ページを御覧ください。IT分野の訓練の中には様々な内容・レベルのものがあることから、IT分野の訓練のうち訓練科を更に細かくして、その内訳を見たものです。男女ともにITのユーザーレベルのスキルを学ぶ情報ビジネス科の受講者の割合が最も高く、特に女性で高くなっているという現状です。
 この11ページの結果を踏まえ、IT分野の訓練の細目によって、訓練が情報技術者として再就職できるかに対して及ぼす効果を検討したものが、12ページです。結果としては3点あります。①は、先ほどお示しした内容に関連しますが、訓練分野にかかわらず、女性は男性よりも新職は情報技術者になりにくい傾向がうかがえます。②として、情報ビジネス科以外のIT分野の訓練を「IT専門訓練」と呼ぶこととし、その効果を見たところ、性別にかかわらずIT専門訓練を受講した場合は、非IT分野の訓練を受講した場合と比較して、情報技術者へ再就職しやすい傾向がみられます。さらに③として、IT専門訓練のこうした効果が、性別で違いがあるかを検討しました。その結果、性別での違いは統計的には見られず、女性であってもIT専門訓練を受講した場合は、情報技術者として再就職しやすくなる傾向があります。
 このように、女性であっても、ITの中でもIT専門訓練を受講した場合は、情報技術者に就職しやすいとすると、女性のデジタル人材の課題として、そもそも女性で情報技術者を希望する方が少ないことがあるのではないかと想定されます。この点を確認したのが、次の13ページのグラフです。上側の①のIT分野の訓練を受講された方の、ハローワークにおける求職申込時の希望職種を見ますと、左側に男性、右側に女性とありますが、男性においては、情報ビジネス科の受講者では一般事務の職業が多い一方、IT専門分野受講者については情報処理・通信技術者が多いという状況です。それに対して女性は、情報ビジネス科受講者、IT専門分野受講者のいずれにおいても、一般事務の職業を希望されている方が多いという状況です。
 先ほど御紹介した12ページの回帰分析の結果では、女性においてもIT専門分野を受講することで、情報技術者になりやすくなるという傾向を御紹介いたしましたが、IT分野の訓練を受講する女性のうち、多くが一般事務の職業を希望されているため、新職職業の構成比、13ページの結果では事務職が多いといった結果になっております。以上が分析の結果です。
 以上の説明を踏まえ、2ページに戻って分析の概要と政策課題について申し上げたいと思います。まず訓練全体の再就職への効果については、訓練の種別にかかわらず、一定程度はあるのではないかという示唆が得られました。介護・福祉分野の訓練については、労働移動の促進など、訓練自体の効果はあるのではないかと考えられる一方、そもそも受講者の確保という点に課題があると思われます。この点は、前職とのタスク距離を用いた分析によれば、距離の近い職種や遠い職種など、幅広い職種の経験が受講対象となり得るのではないかと考えております。
 また、3ページに書いてありますように、介護・福祉分野については、あまりタスク距離が近くない職種の方でも、より受講しやすくなるよう、例えばコロナ禍で実施している訓練の短期間、短時間のコースを継続的に実施するなどの措置が考えられるのではないかと思っております。サービス職などのタスクの近い人に関しては、積極的に訓練の受講を呼び掛けるなど、募集の重点化も考えられるかと思っております。
 IT分野については、他の職業から情報技術者への移動を促進しているというエビデンスは確認できませんでしたが、一方で、事務職の方がIT技術を身に付けて、事務職に関連就職しているという傾向が見られました。また、女性はIT技術者になりにくいという傾向も見られました。女性の就職の希望として事務職が多く、IT専門訓練の訓練効果が認められたとしても、結果として事務職に就職している傾向がうかがえます。最後のポツに書いておりますように、女性が情報技術者として働くことに関心を持てるような支援、例えばIT専門訓練受講後に応募可能な求人の情報提供や、企業実習を通じた働くイメージの醸成などが必要ではないかと考えております。報告は以上です。ありがとうございました。
○武石分科会長 エビデンスベースの政策立案ということで、非常に詳細な分析をありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見がありましたら、こちらで参加している方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能の「リアクション」から、手を挙げるマークを押していただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。海老原委員、お願いします。
○海老原委員 非常に面白い分析で、しかも効果があるということは、非常に良かったと思うのですけれども、一方で、やはり女性は本格的なIT職に就かないし、その資格勉強もしないという話のところは、非常に残念に思いました。何らかの社会のアンコンシャス・バイアスがあると思うのです。それは教育や社会が、女性がエンジニア職に就きづらいような、何かしらのバイアスが掛かっていると思うのです。それを払拭するためにも、ここは明らかになったことだから、アファーマティブアクションを是非とも考えていただけないかと思います。IT職に女性が就いた場合に助成金を出すとか、本人にもお金を出すような誘導策を是非やってほしい。これは厚労省の審議会なので、それ以上のことは言えないけれども、本当だったら大学の学部でも理系に関しては、特に理工の工学部の機電・情報に関しては女性枠とか、女性が入りやすい仕組みを何かしら作ってほしいし、そういう発展的なことを是非ともお願いしたいと思います。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは松浦委員、お願いします。
○松浦委員 私から2点、意見を述べさせていただければと思います。まず今回の調査結果によって、公共職業訓練は離職者が早期に就職する上で重要であり、効果が高いということが示されたものと理解しております。それを踏まえますと、コロナ禍による影響から離職せざるを得なかった労働者も、多数いらっしゃいますので、引き続き、離職者のニーズを踏まえた早期の安定的な雇用の実現のため、適宜、効果の検証を行っていただき、今後の運用や必要な改善を図っていただければと思っております。
 2点目は、この1月にまとめられた雇用保険部会の報告において、教育訓練給付の指定講座に関して、雇用の安定性、労働条件向上の効果等も踏まえ、内容の充実を図るということが示されたと承知しております。今後、公共職業訓練における職場への定着や、賃金上昇の効果も含めて分析していただき、本分科会の所掌ではないかもしれませんが、関連する審議会において、その効果の検証の結果についてもお示しいただくように御検討いただきたいと思います。以上、よろしくお願い申し上げます。
○戸田政策統括官統計・情報総務室企画官 御意見、ありがとうございました。1点目も2点目も双方に関わる話なので、まとめて回答させていただきます。今回、こうしたEBPM的な取組をして、いろいろと御意見を頂いている中で、一つ多くの方から言われていることとしては、今回お示しした結果は、いわゆる公共職業訓練の中でも離職者訓練の効果というところですが、訓練においては、それ以外にも求職者支援訓練といった雇用保険の受給対象でない方を対象にした訓練もあります。今後はそうした求職者支援訓練についても、分析をさせていただきます。国が持っているデータとしては、雇用保険との組合せで分析できるというところがありますので、訓練を受講して、再就職されて、その後も安定的に雇用が続いているかどうかもデータで見ていくことも可能なので、今後はそうした分析を進めていきたいと考えております。以上です。
○武石分科会長 よろしくお願いしたいと思います。松浦委員、よろしいでしょうか。では岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 岡野です。私からは3点、意見させていただきたいと思います。まず1点目です。今回の調査は主な種別とのことで、人材不足が喫緊の課題である介護・福祉分野関連、並びに成長分野であるIT関連に特化した調査結果を御報告いただきました。その上で、今後は様々な他の分野の訓練に関しても、効果分析をお願いしたいと思います。
 また2点目となりますが、医療・福祉分野の考察に関して、意見を述べさせていただきます。主に他産業からの離職者の再就職率が高いという傾向が得られた一方で、訓練の定員の充足率が低い結果となったと認識しています。今後、訓練内容の改善等が図られると思いますが、それだけにとどまらず、医療・福祉分野の賃金の低さなど、処遇面からの敬遠も考え得ると思いますので、訓練受講促進とともに、介護人材の処遇改善や、その後の定着支援も含めて、一体的な推進を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に3点目となります。今後、DX人材の確保が求められる中で、IT分野への女性の参画が重要であると思います。他の委員からご意見がありましたけれども、こちらの観点も重要だと考えます。今回の調査においては、女性に関して、訓練受講後は事務職への就職ニーズが高いという結果でした。今後、技術職や情報技術者としての就職を後押しするため、御記載いただいた専門訓練への受講促進や、求人情報の提供などにとどまらず、情報技術者の労働条件の改善や、就業環境の整備の支援など、情報技術者を希望する方を増やす取組そのものが重要ではないかと思いますので、そちらも併せて御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○武石分科会長 非常に詳細な分析なので、いろいろな御注文も出てきますが、ほかの分野もということで、今後もお願いしたいと思います。
○戸田政策統括官統計・情報総務室企画官 御意見、ありがとうございました。3つの御意見を頂いておりましたが、1つ目の点について御回答申し上げます。他の分野についても、おっしゃるとおり重要なところです。統計的に分析をするといったときには、サンプルサイズの大きさが重要なので、今後データが蓄積されるに伴って、そういうところも検討していきたいと思っております。
○宇野人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官です。2番目、3番目をまとめてお答えさせていただきます。御指摘のように、今回はこういうデータで、充足率が低いとか、就職の効果などを分析しました。訓練に関しては年末に、この人材開発分科会で建議をまとめていただき、職業能力開発促進法の改正に伴い、新しい協議会を作ることになりました。協議会の中では、地域のニーズ、特に産業界などの人材ニーズに合わせた訓練が重要ですが、求職者に希望していただくような訓練の設定も重要だと思っております。
 今回の協議会の仕組みの中では、ハローワークとの連携が非常に重要だと思っています。そういう意味では労働局が主になって実施するということで、都道府県の職業訓練部局や民間教育訓練機関などが一堂に会して、その中で今回のITないし介護というのは、どうやって訓練を促進すればいいかを検討していきたいと思っております。海老原委員からお話のあったような、女性のアファーマティブアクションというところまで行けるかどうかはあれですけれども、今回、政府では内閣府の男女共同参画局が中心となって、女性デジタル人材育成プランを、厚生労働省も関与してまとめさせていただきました。そういった中でも女性のデジタル人材育成は重要だと言われていますので、我々としては今回の効果分析を踏まえ、より効果的な政策をどうやっていくか、引き続き検討していきたいと思いますので、御指導いただければと思っております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは堀委員、お願いいたします。
○堀委員 堀です。本日は大変興味深い御説明、誠にありがとうございました。本日の内容を、例えばハローワークの受講指示のとき、あるいは訓練実施機関の担当者が使えるように、よりかみ砕いた形で整理をしていただけると、より有用ではないかと思いますので、是非御検討いただければと思います。
 1点質問です。本日のデータについては、先ほど内容の御説明があって、希望職業を取っておられるということでしたけれども、どの時点で、どのように希望職業を取っておられるのかを教えていただけないでしょうか。
○武石分科会長 では、御質問とハローワークの点を。
○宇野人材開発政策担当参事官 人材開発政策担当参事官です。1点目のほうは、全くおっしゃるとおりです。我々は今回こういうデータを頂いて、正に示唆に富んだ内容ですので、現場でもどう使っていけばいいか、また訓練機関でもどういうように使っていけばいいかというのは、前向きにいろいろな仕組みを通じて検討したいと思っております。ありがとうございます。
○戸田政策統括官統計・情報総務室企画官 続いて、御質問について御回答申し上げます。職業に関しては、訓練を受けられている方は基本的にハローワークに求職申込みをされているわけです。その際にいろいろとお伺いをしており、希望されている職業も伺っております。ハローワークに求職申込みをされる時点での職業ということです。
○堀委員 分かりました。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございました。平田委員、どうぞ。
○平田委員 詳細な説明をありがとうございます。今回の分析によって、一部ですが、介護・福祉分野やIT分野への労働移動促進に向けた、課題の一端が見えてきたと思っております。その上で意見ですが、そういったものを今後の施策に活かしていただきたいと思っています。特に人材開発施策においては、限られた財源を効果的・効率的に活用していくことが求められているのであれば、データの分析を通じた通じて施策の効果を検証し、改善を図っていくことは不可欠ではないかと思っております。EBPMの重要性はますます高まっており、今後もこのような取組を進めていただきたいと思っております。以上です。
○武石分科会長 引き続きお願いしたいということなので、是非、よろしくお願いしたいと思います。
○宇野人材開発政策担当参事官 協力していきたいと思います。ありがとうございました。
○武石分科会長 ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、この議題は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
 議題については以上となりますが、全体を通して委員の皆様から何かありますか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、本日は以上とさせていただきます。次回の開催日程については決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。以上をもちまして、第36回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。