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- 第14回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
第14回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
日時
令和4年6月3日(金) 10:00~12:30
場所
web会議
(AP虎ノ門:東京都港区西新橋1丁目6-15 NSC虎ノ門ビル11F)
(AP虎ノ門:東京都港区西新橋1丁目6-15 NSC虎ノ門ビル11F)
出席者(五十音順)
- 朝比奈 ミカ
- 池永 彰美
- 内堀 雅雄
- 浦野 正男
- 大西 豊美
- 大森 雅夫
- 岡﨑 誠也
- 岡部 卓
- 奥田 知志
- 勝部 麗子
- 菊池 馨実
- 五石 敬路
- 駒村 康平
- 佐保 昌一
- 生水 裕美
- 新保 美香
- 竹田 匡
- 堀 有喜衣
- 松本 吉郎
- 宮本 太郎
- 宮脇 正道
- 渡辺 由美子
議題
(1)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しについて
(2)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」報告書
(2)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」報告書
議事
- (議事録)
- ○唐木室長 定刻となりましたので、ただいまから第14回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催します。
私は生活困窮者自立支援室長の唐木と申します。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
これまで部会長をお務めいただいた宮本委員におかれましては、社会保障審議会委員の任期満了に伴い、部会長を御退任されることとなりました。
本日は、新しい部会長を選任するまでの間、私が進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日の委員の皆様の出欠状況ですが、宮本委員及び内堀委員については途中退席される予定とお伺いしております。
続きまして、委員の異動について御紹介をさせていただきます。
前回の令和2年12月の第13回の開催以降、小杉委員、福田委員、吉田委員、吉村委員が御退任されまして、新たに福島県知事内堀雅雄委員、岡山市長大森雅夫委員、大阪公立大学大学院都市研究科准教授五石敬路委員、独立行政法人労働政策研究・研修機構人材育成部門副統括研究員堀有喜衣委員、鳥取県湯梨浜町長宮脇正道委員が任命されています。
出席委員につきましては、22名全員出席となっており、社会保障審議令に定める定足数3分の1を満たしておりますので、開催の要件を満たしております。
続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
本多大臣官房審議官、駒木総務課長、池上保護課長、田仲地域福祉課長、金原自立推進・指導監査室長、平川職業安定局訓練受講支援室長、私、生活困窮者自立支援室長の唐木です。
なお、山本社会・援護局長、進士保護事業室長は、他の公務のため、遅れて出席する予定です。
続きまして、本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事については公開となってございますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、本部会の部会長の選出に移らせていただきます。
参考資料1を御覧ください。
社会保障審議会関係法令を取りまとめて抜粋したものでございます。
社会保障審議会令では、第6条第3項で「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」と規定されております。
本部会には、社会保障審議会の委員として、菊池委員、岡部委員、新保委員及び内堀委員がいらっしゃいます。部会長はこの4名の委員の互選により選任することとなります。あらかじめ御相談いただき、菊池委員に部会長をお願いすることになりました。これにより、互選により菊池委員が部会長に選任されたということにさせていただきます。
それでは、これからの議事運営につきましては、菊池部会長によろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ただいま御紹介にあずかりました菊池でございます。
皆様御案内のとおり、国の審議会の委員には10年ルールというものがございまして、どんなに余人をもって代え難くとも10年が任期となってございます。そして、部会長は審議会委員が就くというルールです。
今般、この分野の研究者として第一人者であられ、政策に対しても大きな影響力を持ってこられた宮本太郎先生が引かれることになり、たまたま審議会委員として残っていた私がその後任として大役を仰せつかることになりました。まさに身の引き締まる思いでございます。
ただ、これまでも、宮本先生、駒村先生をはじめ、委員として御一緒させていただいてきた皆様には、理論的にも、また、実務面におきましても様々なことを学ばせていただいてまいりました。これからもその関係性は変わらず、引き続き御指導をお願い申し上げますとともに、私の任務としては、制度改正に向けて、限られた時間の枠の中で皆様の御発言の機会をできるだけ確保することだと重々心得てございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、まず部会長代理を指名させていただきます。社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されております。
そこで、部会長代理を新保委員にお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
ここで、宮本前部会長、駒村前部会長代理、そして、新保新部会長代理に、恐れ入りますが、一言ずつ御挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
それでは、宮本先生からお願いいたします。
○宮本委員 ごく簡単に御挨拶させていただきます。
早いもので、2012年に特別部会という形でこの審議会が立ち上がってから10年間、本当に真摯に議論を重ねていただいた構成員の皆様の御協力、それから、休み時間も削って緻密に会議を御準備いただいた事務局の御尽力で何とか部会長を務めさせていただいてまいりました。
振り返ってみますと、本当に印象深い会議でございまして、世間一般のこうした審議会に対するイメージというのは、シナリオができているというように思われてしまっているところがあるのですけれども、この会議に関して言う限りは押しつけられた筋書きのない議論の場でした。しっかり準備はされていますけれども、それがあらかじめ何か結論をつくっておくということではなくて、しかも、構成員も本当にいろいろな立場の方が集まっているわけなのです。そうした中で緊張感のある議論が積み重ねられ、事務局もその一つ一つにしっかり耳を傾け、真摯にそれを受け止めてくださったという中でこの制度の新しい形ができてきたと思っております。
そういうことが可能だったのは、構成員と事務局の間に一つ確信が共有されていたということだと思います。それは、こうした厳しい時代の中でこの生活困窮者自身制度を必要とする人たちのために、一歩でも二歩でも前進させる。あるいは、向かい風が吹いているならば後退させないということ。そのためにはしっかり議論すれば必ず合意はできるという確信だったと思います。
この核心に裏づけられてこの制度は本当に大きく発展してきて、10年前は生活保護を受けさせないための制度なのだということを言う人もいたのですけれども、今、そう言う人はいません。ゼロとは言いませんけれども、いない。それくらい確固たる制度としてここまで発展してきたと思います。
この先もなおのこと、新しいステージにこの制度を引っ張り上げることが重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
菊池馨実先生という私のような慌て者と違って沈着冷静で信頼も厚く、かつ専門的な知識という点でも本当に秀でた先生にバトンタッチできて、これでお役御免と安堵していたら、もうちょっと委員としてここにいろというお達しを受けまして、やらせていただきたいと思っております。
何とぞ今後ともよろしく御指導のほど、お願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、駒村先生、お願いいたします。
○駒村委員 ありがとうございます。
宮本先生とペアを組んで、特別部会からずっと代理という形で務めさせていただきました。宮本先生が非常に立派なすばらしい議事運営、取りまとめをされますので、ほとんど出ることもなく、そういう意味ではかなり楽をさせていただいた部分も多いのかなと思います。
新体制になるということでございますけれども、よく創業は易く守成は難しと言われるように、この制度をつくるときは非常に勢い、迫力もありましたけれども、どうしても守りに入ると中だるみも隙も出てくるのかなと思いますが、非常に幸いなことに、この制度は常にバージョンアップをしていくという性格のものでありまして、現在はまさに横展開とさらに進化をしようというところで、第2、第3の創業をしていくという性格のものだと思います。
新部会長、新部会長代理の両先生におかれましては、この制度のさらなる進化を、私もメンバーで共に進めていきたいなと思っております。
研究者としては、実証をやっている人間として見れば、今後は、今、宮本先生がお話しされましたように、この制度が本当に人々の助けになっているのだということをきちんと実証していく必要があると思いますし、さらには、今日議論があると思いますけれども、KPIと言われているものですが、きちんとこの制度に合ったKPIを開発するということも大事な点なのではないかなと思っておりますので、そういう面からも、今後も本部会に可能な範囲、何かできることがあれば貢献していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、新保委員、お願いいたします。
○新保委員 明治学院大学の新保と申します。ふつつかながら、部会長代理を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
生活保護制度も、生活困窮者自立支援制度も、コロナの状況が続く中では、人々の命と暮らしを守る大切な役割を果たす制度として、一層の期待が寄せられているところではないかと思います。
こういう状況下で、委員の皆様とも各地離れたところからオンラインというような形で議論を進めていくことになりますけれども、心を合わせてよりよい議論ができますことを願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
宮本部会長には、これまでの審議会でもいつ当てられるかと常にびくびくしながら身構えていたという先生と生徒的な関係性がずっと変わらずにございますので、それから、駒村先生もいろいろなところで御一緒させていただいていて、その両先生が引き続きいてくださるのは本当に心強く思ってございます。どうぞよろしく御指導のほど、お願い申し上げます。新保部会長代理とともに、できるだけ皆様に御発言いただけますように努めたいと思います。
それでは、今回が初回になりますので、他の委員の皆様にも一言ずつ御挨拶をお願いできればと存じます。
名簿順で恐縮ですが、指名をさせていただきます。
まず、朝比奈委員からお願いいたします。
○朝比奈委員 千葉県市川市で自立相談支援事業、就労準備、家庭再生、一時生活を一括して委託を受けております市川市生活サポートセンターそらの主任相談支援員の朝比奈と申します。前回に引き続いて議論に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
次に池永委員、お願いいたします。
○池永委員 皆様、おはようございます。全国民生委員児童委員連合会副会長の池永彰美と申します。高知県民事連の会長をしております。
私はこの部会では2回目になりますが、前回は委員の皆様の熱心な討議に圧倒される思いがいたしました。
私たち民生委員、児童委員は、専門職ではありませんが、広く浅くではありますが、高齢者や児童だけでなく、地域の住民全ての方が見守りの対象者と考えて活動しています。活動の中で、課題のある方に気がつけば関係機関につなぐなど、地域に住んでいる地域住民としての立場で発言ができればと考えております。
どうかよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、内堀委員、お願いいたします。
○内堀委員 ありがとうございます。全国知事会の社会保障常任委員長を務めている福島県知事の内堀雅雄です。全国知事会の代表として、地方の声をしっかり届けていきたいと考えています。
人口減少や地域でのつながりの希薄化が進み、社会的孤立や生活困窮など、複雑、多様な課題が生じる中で、新型コロナウイルス感染症の影響も重なり、これらの課題がより一層顕著になっています。法的な整備、安定した財源の確保、生活困窮者等の自立に向けた支援体制の充実を図ることが重要となります。このような観点からこの議論に参加をしていきたいと思います。
皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、浦野委員、お願いします。
○浦野委員 よろしくお願いします。全国社会福祉法人経営者協議会の浦野と申します。神奈川県で、児童養護施設、養護老人ホームをはじめとして、福祉施設を幾つか運営する社会福祉法人の理事長をしております。
前回に引き続いてこの会に参加させていただいておりますけれども、生活困窮者自立支援法ときびすを接するようにして社会福祉法人制度改革が行われて、社会福祉法人による公益的な取組、地域における公益的な取組の推進ということが一つの柱になってきたわけです。
おかげさまで、少なくとも全国社会福祉法人経営者協議会の会員法人に限って言えば、9割以上の法人が何らかの形で制度外の地域における公益的な取組を実施しているというところまで成果が上がってきました。その中で、今後は、さらに市町村域で社会福祉法人が連携して地域の課題に取り組んでいくということが必要なのではないかなと思っております。個々の法人がそれぞれというだけではなくて、各法人が力を合わせてやっていくということが必要なのかなと思っております。
そういった観点から、さらに社会福祉法人の力を発揮するためにどうしていくかという観点からこれからも議論に参加させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、大西委員、お願いいたします。
○大西委員 ありがとうございます。社会福祉法人みなと寮の大西でございます。
今、浦野委員からお話があったように、社会福祉法人の一つの責務である、また、私が属します生活保護の救護施設の行動指針を立ち上げておるのですが、その背景には、地域における公益的な取組というのは大きな柱になっております。その柱を広げていく中で、今般、生活困窮者自立支援法、また、生活保護に絡むほとんどの事業に何らかの関与をさせていただいております。
なかなか実績が上がらぬところもあるかと思いますが、今般も皆さんの御意見を伺いながら、しっかり勉強させていただきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、大森委員、お願いいたします。
○大森委員 おはようございます。岡山市の大森でございます。
私は、政令指定都市の総務部会長として指定都市を代表させていただいて出席しております。
岡山市は72万都市でありますけれども、5万人近くも新型コロナの感染者になっております。そういうこともあり、この2年半続く中でやはり経済的な疲弊がございます。格差の拡大もあるはずなのですけれども、生活保護の申請は増えていません。また、企業の倒産件数は逆に減ってきているところであります。これは助成金、貸付けが機能しているということではありますが、これが返済に移行していくと一体どういう状態になってくるのか、非常に不安なところであります。それらの対策をこの審議会で議論させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、岡﨑委員、お願いいたします。
○岡﨑委員 高知市長の岡﨑でございます。前回の会議に引き続いて、また皆様方と議論できるのを楽しみにしております。
私、若い頃にケースワーカーの経験がありますので、全国市長会、特に生活保護の改正、また、生活困窮者の支援の会等にはずっと私が出席をさせていただいております。
先ほどお話がありましたとおり、コロナ禍の中で、今日は各社協、また、関係団体の方々もおられますが、生活困窮者の支援の自立法がなかったら、ある意味もっと大変で悲惨なことになっていたと思いますので、生活困窮者自立支援法と、また、宮本太郎先生、奥田知志先生と一緒にやっています生活困窮者の全国のネットワークがありますので、全国のネットワークをある意味つくっておいて本当によかったとつくづく感じたところです。
新しい課題がそれぞれありますので、皆様方と議論しながら、よりよい方向に、また、できるだけ共生社会に向けた構築ができればと思っています。今日はよろしくお願い申し上げます。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 明治大学の岡部です。前回に引き続いての出席となります。皆様と活発な議論をできることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員 NPO法人抱僕の代表で奥田と申します。
私は、80年代の後半ぐらいからホームレスの支援から始まりまして、一人の税から何が必要かということを考えて、今、法人としては27ぐらいの事業になっているのですが、まさにこの法律もそうで、出来事とか出会いの中でどんどん形を変えていくのだろうなと思っています。
特にこの間のコロナの経験は大きかったと思いますので、今回、生活保護との一体的な部会ですから、その部分を含めて、全体的にセーフティーネットの在り方をどう考えるかというところを私はすごく期待しながら、皆さんと一緒に議論させていただけるのをありがたく思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 おはようございます。この春から大阪の豊中市の社会福祉協議会の事務局長になりました、勝部です。よろしくお願いいたします。
私はコミュニティソーシャルワーカーということで、制度のはざまの問題を住民の皆さんと一緒に発見し、解決を行政などと一緒にやっていくということを平成16年から進めておりまして、前回の特別部会から御一緒させていただいております。
当時は制度のはざまとかごみ屋敷、8050やひきこもりというクエスチョンがいっぱい飛び交うような状況だったものが、今やそういう課題は全ての自治体が困窮者支援の中で受け入れて、そして、受け止めて、住民の皆さんがそのことを理解できるように地域づくりに働きかけるという形ができたこと、それから、社会的孤立ということが大きく皆さんの中のテーマに位置づいたことは本当に大きな成果だったように思います。
コロナの影響を受けて、外国人の問題や子どもにしわ寄せがたくさん出ているということも実感しています。さらなる発展に向けて貢献していきたいと思います。
皆さん、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、五石委員、お願いいたします。
○五石委員 おはようございます。大阪公立大学の五石と申します。よろしくお願いいたします。
私は社会人大学院で社会政策を教えております。社会人大学院では、主に自治体職員、議会議員が多いです。
私の主な問題関心は、生活困窮者支援をより一層包括的なものにするためにどうすればいいかというところにあります。民間委託が増えますと、行政の施策、事務がより一層分断される傾向があって、それは国際的にもあります。それを自治体のリーダーシップの下でいかに包括的なものにしていくか。そこに問題意識を持っております。
どうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 日本労働組合総連合会、連合で社会保障担当の総合政策推進局長の佐保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私、この連合に来るまでは、町役場、市役所の職員で30年以上勤務してまいりました。また、4年ほど社会福祉協議会、社協のほうにも出向して働いておりました。いろいろな仕事の中で、地域包括支援センターの介護支援専門員の仕事も5年ほどさせていただきましたし、その中で生活困窮の方、生活保護の方ともいろいろな関わりを持ってきましたので、そういったことでは、また議論に参画できることをうれしく思います。様々な分野で働かれている方の立場、それから、生活者の立場で議論に参画していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 皆さん、こんにちは。生水裕美です。
私は今年の3月末で野洲市役所を定年退職しまして、4月からは一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターに所属しまして、リモートワークで滋賀県で勤務しています。主な業務は自殺対策を担当する自治体への支援ですが、生きることの包括的支援を推進するため、自殺対策と生活困窮者支援の連携が図れるように頑張りたいと思っています。
また、野洲市役所の非常勤職員としても週1回出勤しておりまして、生活困窮者支援、重層的支援体制整備事業に携わっておりますので、引き続き現場からの思いを伝えていきたいと思っております。 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、竹田委員、お願いします。
○竹田委員 前回に引き続き参加させていただきます。北海道釧路町役場、竹田匡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は日本社会福祉士会の理事としても活動しております。今般のコロナ禍の状況ですとか、さらに世界情勢もかなり混沌としており、生活にもかなり大きな影響が及んできているような状況にあります。
ソーシャルワーカーの視点からお話などをさせていただければと思いますし、また、皆さんの御意見を伺いながら、私も勉強させていただきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、堀委員、お願いいたします。
○堀委員 労働政策研究・研修機構の堀と申します。初めての参加になります。どうぞよろしくお願いいたします。
私は教育社会学の研究者で、ふだんは学校から職業への移行についての研究をしております。この検討会に関連したところですと、就職氷河期であるとか、フリーターやニート、若者の就職等が研究課題でございます。
とはいえ、今回の検討会に直接関連した分野の研究者ではないので、この領域についての私の理解というのは十分ではないのが本音のところでございます。ぜひ委員の皆様から多くのことを学んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、松本委員、お願いします。
○松本委員 日本医師会の松本でございます。
この部会には平成29年5月から参画しております。当時は部会の下部組織である生活保護受給者の健康管理支援に関する検討会の構成員を代表して出席いたしておりましたので、検討会の審議状況をその都度紹介したり、健康診断等のデータのインフラ整備などについて意見を申し上げたと記憶しております。
現在は、医療保険に関する検討会において、医療扶助や健康管理支援事業などについて、次期制度改正に向けた対応策や一定の方向性をまとめる審議に参画しているところでもあります。
医療現場からの意見を率直に発言させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、宮脇委員、お願いいたします。
○宮脇委員 全国町村会の立場で参加させていただきました。初めて参加させていただきました。鳥取県湯梨浜町長の宮脇でございます。
湯梨浜町について少し触れさせていただきますと、はわい温泉と東郷温泉の2つの温泉を有すること、20世紀梨の日本一の産地であること、それから、白砂青松の美しい砂浜を有していること。これらのことから、平成の合併の際に住民の投票によって名前を決めたところでございます。町の体をよく表してくれていると思っております。また、グラウンド・ゴルフの発祥地でもあります。
この審議会はとても重要な課題を議論する場だと認識しておりまして、よく勉強させていただきながら、地方の声をお届けできればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、最後になりますが、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 認定NPO法人キッズドアの代表をしております渡辺です。今回もよろしくお願いいたします。
コロナで浮き彫りになったのが生活困窮、子育て家庭ということで、非常に厳しい実態になっていると思っております。コロナの状況は少し落ち着いてきましたけれども、私たちが支援している子育て家庭はまだまだ大変でございまして、満足に子どもに御飯を食べさせられないという状況が続く中で、わずかな貯蓄もなくなってしまって、子どもの進学に頭を悩ませていたり、保護者の方がメンタルを悪くするという状況がたくさん出て、結果、ヤングケアラーが生まれていくという非常に悪い循環がまだまだ続いております。
実は、コロナの前から子育て家庭、子どもの貧困ということは非常に重要だったのですけれども、そこのところで生活を支えるような支援というものがあまり議論されていなかったからかなと思っておりますので、これから困窮子育て家庭の目線で、子どもに貧困を連鎖させないですとか、安心して子育てができるような社会となっていけばいいかと思っております。
少子化の中で、誰もが安心して子育てができる、万が一生活困窮に陥っても子どもが飢えるようなことがないような社会をつくっていくことは非常に重要だと思いますので、そういう中で微力ながら現場の様子を伝えさせていただければと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
委員の皆様のお話をお伺いしていく中で、まさに各界の第一線の皆様と共にこれから制度改正に向けた議論をしていくのだという思いを新たにした次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
本日の議事は2つ、「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直し」、「『今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究』報告書」の2つでございます。主として前者を中心に議論させていただきたいと思ってございます。
進め方としましては、まず事務局から1つ目の議事について資料に沿って御説明をいただき、質疑及び意見交換の時間を設けたいと思います。その後、2つ目の議事につきましても同様の流れで進めさせていただきたいと思います。
2つ目については今後本格的に議論していく回がまた別途設けられるということで、まずは1つ目について中心的に議論することになるかなと思ってございます。よろしくお願いいたします。
それでは、1つ目の議事につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○唐木室長 それでは、困窮室長の唐木及び保護課長の池上から、資料1から6までについて30分ぐらいで御説明をさせていただきます。
非常に大部にわたりますので、適宜説明は割愛しながらの部分がございますけれども、御了承いただければと思います。
それでは、資料1を御覧ください。
「今般の制度見直しの検討について」という資料でございます。
まず1ページを御覧ください。
こちら、前回の困窮法、保護法の改正の概要をおつけしております。困窮法におきましては生活困窮者に対する包括的な支援強化、保護法におきましては大学への進学支援等の改正内容を措置したものになっております。
続いて、2ページから6ページまでは、その法改正の審議の過程におきまして、国会で衆参の厚生労働委員会の際に行われました附帯決議をおつけしておりますので、御覧いただければと思います。
続いて、7ページを御覧ください。
こちらはいわゆる骨太方針でございます。2021年のバージョンでございまして、本年度の骨太方針については現在調整中でございますので、取りまとまりましたら御紹介をさせていただきたいと思っております。
前回の骨太の方針におきましては、4番のところにありますけれども、経済好循環の加速。拡大のところで、住まいの確保を含めた生活を下支えする重層的なセーフティーネットによる支援に万全を期す等、困窮に関する課題に触れられているところでございます。
続きまして、8ページ、9ページは、経済諮問会議の下の新経済・財政再生計画改革工程表におきまして、様々な諸課題についてのKPIを設けているところでございますので、こちらについても現在のバージョンを付記させていただいているところでございます。
続きまして、10ページを御覧ください。
こちらは地域共生社会ということで、政府のほうで制度・分野ごとの縦割り、支え手、受け手という関係を超えて、地域において住民一人一人が暮らし、生きがい、地域をともにつくっていく社会というものを構築するためのイメージ図になっております。
続いて、11ページを御覧ください。
先ほど御説明しました内容につきましては、平成27年から政府の中で検討が進められておきまして、下のほう、令和2年に社会福祉法の改正を行ったところでございます。
続きまして12ページ、今御説明しました社会福祉法の改正で、重層的支援体制整備事業という制度を創設いたしました。一番上のカラムにありますけれども、地域住民が抱える課題というのは近年複雑化・複合化しておりまして、従来どおりの縦割りの対応ではなかなか難しいというようなことがありまして、それを解決する1つのツールとして、真ん中にありますような重層的支援体制整備事業というものを創設したところでございます。相談支援、参加支援、地域づくり支援という事業を一体的に行う事業を創設して、準備ができた自治体から任意事業として手を挙げてその事業を行っていただく。それを一体的に執行できるような交付金を交付するというような仕組みを設けたところでございます。
続きまして、13ページを御覧ください。
こちらはまさにこの部会に至るまでの仕組みを表したものでございますけれども、上のところにありますように、前回の法改正のときに困窮法、保護法の附帯決議で施行後5年後めどの検討規定というものが設けられておりました。その検討規定に基づきまして、検討の場として困窮では論点整理検討会、保護のほうでは国と地方の実務者協議というのを昨年から本年3月、4月までにかけて複数回設けておりまして、本日御説明させていただく内容のものが取りまとまった次第でございます。それで、6月、本日以降、困窮保護部会における議論に場を移しているということでございます。
14ページを御覧ください。
こちらは生活保護基準部会についてでございます。生活保護基準につきましては、5年に1度実施される全国消費実態調査の特別集計データ等を用いまして、保護基準の定期的な評価・検証を御審議いただく場になってございます。
続いて最後のページ、15ページでございますが、困窮保護部会の当面のスケジュールでございます。本日6月3日から8月下旬にかけまして、そこに掲げられているような主な議題について議論をしていくというような予定になっております。9月以降は、前半の議論を踏まえて、各テーマについてさらに検討を進めるというような形で2巡目の議論を進めていくというようなスケジューリングになってございます。
続きまして、資料2を御覧ください。
こちらは、新型コロナウイルス感染症への対応について、困窮、保護それぞれについて資料をつけさせていただいております。
まず、困窮のほうのパートを私から説明させていただきます。
2ページを御覧ください。
支援現場への影響でございますが、コロナが発生して以降、支援現場は相談件数が非常に増加いたしまして、例えば新規相談の受付件数でございますと、令和元年の3.2倍になります約78.6万件の相談が行われたという中で、特例的な経済支援策、冒頭の委員の皆様からのお話にも出てきましたけれども、緊急小口資金の特例貸付けや住居確保給付金、自立支援金などの支給を行ったところでございます。
一方で、新たな相談者ということで、個人事業主やフリーランスの方など、相談窓口にあまりつながっていなかったような方が顕在化したり、複合的な課題を抱える方が増加したりというような傾向がございました。
支援現場への主な影響を下に書いていますけれども、従来想定してなかった特例的な給付貸付事務に連日対応いただくなど、これまで行ってきた伴走型支援の実践がなかなか困難であるようなケースや、そういったものへの対応で労働環境が悪化したり、人手不足になったりというような副作用があったという次第でございます。
続きまして、次のページを御覧ください。
支援現場におきましては、そうした中で、相談員の加配などによりまして自立相談支援体制の強化を図っていただいたり、コロナの感染防止ということで電話、メールやSNSなどを活用した相談支援などにも取り組む自治体が非常に増えてきたということでございます。
国のほうの対応策を次のページ以降で紹介させていただきたいと思います。
4ページ目ですが、緊急小口資金の特例貸付けでございまして、申請受付期間につきましては令和4年の8月末まで延長しているところでございます。
これまでの予算措置の額は2.1兆円に上っているところでございまして、こちらは令和5年1月から償還開始の予定でございます。
5ページは申請件数の推移になっておりまして、コロナ発生の令和2年の春と再貸付けを行いました令和3年2月ぐらいに申請のピークが来ているということが御確認できるかと思います。
続いて、6ページを御覧ください。
こちらは住居確保給付金の支給になっております。特例措置といたしましては、令和4年8月までの申請においては、3か月間の再支給とか職業訓練受講給付金の併給というような措置を行っております。
7ページ、8ページは受講給付金の決定件数、推移などをおつけしておりますので、御覧いただければと思います。
続いて9ページですけれども、コロナの自立支援金になっておりまして、特例貸付けを終了した方に対する給付金というのを再支給まで含めて最大6か月支給する形になっておりまして、今、8月末まで申請期間を延長してございます。
10ページに申請決定件数をつけておりますが、申請件数は20万件強、これまでの支給済み額は271.3億円となっております。
11ページは、こういった支援策につきまして、情報発信をリーフレット、SNS、厚労省の特設ページなどを作りまして発信させていただいております。
そのほか、12ページは新型コロナウイルスのセーフティーネット強化交付金ということで、人員の加配であったり、新たな相談者への対応というようなこと、また、4月の予備費を用いまして、国10分の10でプラットフォームを整備するということや、あとはNPO法人に対する活動支援も行うような仕組みをつくっているところでございます。
その他支援策も行っておりますけれども、時間の関係で飛ばさせていただきまして、生活保護のほうの説明に移らせていただきます。
○池上課長 保護課長の池上でございます。
私のほうから生活保護関係の御説明をいたします。
18ページ以降が保護に関する資料になっておりますけれども、まず18ページがコロナ感染の前後における保護の申請・決定の動向でございます。
上のほうの棒グラフが申請件数の動向ですけれども、緊急事態宣言が出ました2020年4月に対前年同月比でプラス25%と非常に大きく増加いたしましたが、その後、雇用調整助成金や貸付けなどの対応もあって、逆に5、6、7、8月と対前年と比べると申請件数が減少したということがございました。ただ、その後9月以降、申請件数が増加に転じています。直近では上がったり下がったりということはありますけれども、一番最近だとマイナス13%ということで、今、足元では落ち込んでいるような状況でございます。
下のほうが保護開始世帯数ですけれども、若干のタイムラグがありますが、大体同じような動きをしてございます。
それから、20ページに行っていただきまして、こちらが被保護実人員の対前年同月比と失業率について折れ線グラフで表記させていただいています。世界金融危機時と比べまして、失業率の上昇はその当時ほどは上がっていないのかなと思っております。被保護人員の増加についても、当時と比べるとそこまでの増加になっていないという点が特徴的かと思います。
続いて、21ページです。保護開始世帯数の構成割合を円グラフでお示ししています。
赤い囲みをつけているのがその他世帯、高齢や母子、傷病、障害以外の世帯で稼働年齢層を含むような層になりますけれども、その割合が増加しているのが見てとれるかと思います。
22ページも同じような資料ですけれども、こちらは保護開始世帯の保護開始の主な理由が何であったのかということでございます。こちらも赤枠をつけていますけれども、働きによる収入の減少・喪失は、令和元年度にかけてずっと減少してきたところですけれども、令和2年度には増加している様子が見てとれるかと思います。
それから、23ページ以降は、今度は福祉事務所のほうに聞いてみたデータでございます。
23ページは、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前後で相談者の属性がどう変わったかということです。福祉事務所が上位3項目として選択した割合を、青がコロナ前、赤がコロナ後ということでお示ししていますけれども、感染拡大後は、赤枠で囲んでいますように若年の単身、中年の単身、それから、夫婦と子どもから成る世帯が上位3項目に顔を出してくる割合が高まったという点が特徴的かなと思っています。
その後も同じような資料が続きますが、25ページを御覧ください。
生活保護を受ける前に利用していた支援としてどのようなものがあるかということです。感染拡大前後とも自立相談支援機関での相談が最も多くなっていますけれども、それについて、感染拡大後では社協での貸付け、住居確保給付金からのつなぎが大幅に増えていることがうかがえるデータとなってございます。
それから、28ページを御覧いただきたいと思います。
今度は生活保護を利用なさらなかった方についてのアンケート調査でございます。自立相談支援機関につながった利用者へのアンケートということですけれども、左下の円グラフにありますが、生活保護の利用について「今後利用したい」「利用する必要がない」に対して「利用したいが抵抗感がある・利用したくない」が半分を超えているような状況でございます。
その理由としては、右側の棒グラフですけれども、資産の保有に関する懸念。それから、御自分の力で頑張りたいというのもあります。利用できないと思っているから、家族に知られるのが嫌だからといった理由が挙げられてございます。
29ページからは、コロナを受けての生活保護における対応について資料をおつけしています。
29ページが概要資料ですけれども、黒い四角で書いてありますが、申請権の侵害の防止ということで自治体に対しては強くお願いをしております。それから、スムーズな就労再開のため、資産の保有等の柔軟な取扱いについてもお示ししております。就労の場がない場合は稼働能力の活用の判定を留保すること、それから、扶養照会の運用の弾力化なども行ったところでございます。
その後、少し詳しい資料もおつけしていますが、34ページまで行っていただきまして、こちらは新型コロナウイルス感染症に伴う対応と世界金融危機のときの対応の比較ということでつけさせていただいています。今回、コロナの対応ということで様々な弾力化の措置を講じているということを対比する形でお示ししております。
それから、35ページは政府全体で個人や世帯に対する経済的な支援策はどのようなものが行われたのかということでお示ししてございます。世界金融危機のときには雇用調整助成金の特例措置など講じられました。ただ、その後、この間の支援策の見直しに書いてありますように、求職者支援制度の創設、生活困窮者自立支援制度の創設と改正といった大きな動きがございました。その上で、新型コロナについて個別的な対応も様々講じられているということで、生活保護の申請件数が急増していない背景の一つとしては、こうした様々な支援策が集中的に講じられた影響もあるものと考えてございます。
その後ろは福祉事務所の体制強化に関する資料をおつけしていますが、説明のほうは割愛させていただきます。
○唐木室長 続きまして、資料3「生活困窮者自立支援制度の現状について」を御覧ください。
1ページ目、2ページ目は制度の概要とこれまでの実績状況につきましてなので、説明は割愛させていただきまして、4ページを御覧ください。
こちらは新規相談受付件数の変化でございますが、左のグラフを見ていただきますと、令和2年度の新規相談受付件数は令和元年の3.2倍となっています。右は月単位で見た推移でございますけれども、1回目の緊急事態宣言発令されました5月、また、2回目の緊急事態宣言が発令された1~3月についても、2月以降の相談件数が急増しているというのがお分かりになるかと思います。
続きまして、5ページを御覧ください。
こちらは相談者像の変化を示したもので、性別や年代別でございます。
左側を御覧いただきますと、性別につきましては、コロナ影響下では男性の割合が増加してございます。
また、新規相談数の年代ですけれども、20~30代の男性の増加幅が最も大きく、次いで20代の女性、40代の男性が増加しているという形になってございます。
続きまして、7ページを御覧ください。
相談者の属性でございますが、相談件数の増加につきまして自治体にアンケートをしたところ、9割以上が増加しているというような回答でございまして、特に非正規労働者、個人事業主が増えたと感じている自治体が8割を超えてございます。
続きまして、ちょっと飛びまして10ページを御覧ください。
こちらは相談者像の変化につきましての自治体区分別でございます。都道府県、一般市、町村に比べまして指定都市、中核市、特別区において増加幅が大きく、コロナの影響が大きく出ているということがうかがえるかと思います。
続きまして、11ページを御覧ください。
課題の特性でございますが、特に増加している課題につきましては、経済的困窮、住まい不安定、ホームレス、ひとり親、外国籍などが大きく増加しているということがうかがえるかと思います。
続きまして、13ページを御覧ください。
こちらはプラン作成者の課題の男性別をコロナ前、コロナ後で比較をして見たもので、コロナ後に出てきた課題に赤枠をつけておりますが、10代において社会的孤立、20代において住まい不安定やホームレスといった住まいに関する課題が多く見られるようになっております。
続いて、14ページを御覧ください。
こちらはプラン作成者の女性のほうでございますけれども、10代においてコミュニケーションが苦手、20代において住まい不安定という課題が多く見られるのと、30~40代にひとり親というような特性も増加してございます。
続きまして、「2.法定事業の利用状況と支援効果」についてですが、16ページを御覧ください。
自立相談支援事業ですけれども、就労支援対象者というのは増加傾向にございますが、他方で就労・増収率というのは年々低下しておりまして、令和2年度、コロナ禍の影響では約27%となっております。
続きまして、18ページを御覧ください。
こちらは住居確保給付金の利用状況でございますが、利用者につきましては、休業等の者が6割、離職・廃業等の者が3割強となっております。また、住居喪失のおそれのある者が利用のほとんどでございまして、約100%、99.6%となっておりまして、年齢別で見ますと30歳から39歳というのが最も多いボリュームゾーンになってございます。
続きまして、20ページを御覧ください。
こちらは任意事業の実施状況ですが、令和3年度の任意事業の実施状況につきましては、前年度と比較しまして徐々に増加しております。特に努力義務化しております就労準備、家計改善の実施率は令和2年度に60%を超えてございます。
続きまして、21ページを御覧ください。
就労準備、家計改善の実施見込みですけれども、令和元年度から3年度につきまして集中実施期間という形で完全実施を目指しておりまして、都道府県に専門スタッフの派遣等を活用いただきながら実施率の増加に取り組んでおります。その結果、両事業とも令和3年度の実施率は70%、令和5年度には約85%に達する見込みになってございます。
続きまして、23ページを御覧ください。
こちらは就労準備支援事業の利用状況ですけれども、利用者は年々増加しておりますが、令和2年度はコロナ影響によりまして横ばいとなってございます。
続きまして、26ページを御覧ください。
こちらは家計改善支援事業の利用状況ですけれども、左側、新型コロナウイルスの感染関係から、利用者数は令和元年と比べて約1.36倍の増加という形になってございます。
続きまして、29ページを御覧ください。
こちらは一時生活支援事業の実施状況ですけれども、利用人数は平成30年度をピークにやや減少傾向にありましたが、令和2年度は男女ともに利用人数が増加してございます。
続きまして、30ページは地域居住支援事業の実施状況になっております。平成30年の法改正で創設した地域居住支援事業につきましては、実施自治体数50にとどまっております。対象となる利用者数がいないということで実施しない理由に挙げたところが半数に上っております。
また、子どもの学習・生活支援事業につきまして31ページに挙げております。事業の対象世帯数は自治体によって様々ですが、参加の属性別では生活保護世帯が3割になっておりまして、学年別では中学生が非常に多くなっております。
続きまして、36ページを御覧いただければと思います。
こうした困窮のプログラムを使った上でのプラン作成者の変化ですけれども、一般就労開始や自立意欲の向上については2割以上の対象者に変化が見られなかったということで、ほとんどのプラン作成者の方に何らかの変化が生じているということがお分かりになるかと思います。
続きまして、「3.平成30年改正を踏まえた動き」のところですが、40ページを御覧ください。
支援会議の設置状況でございます。4割の自治体で設置済み・設置予定ありの状況になっておりまして、効果としては、関係機関間の情報共有や、それによる役割分担の促進が挙げられております。
続きまして、42ページを御覧ください。
都道府県による市等への支援事業の創設でございます。平成30年の困窮法改正前後と比較しますと、都道府県による支援の数というのは増加をしておりますが、一方で、まだ支援が低い数にとどまっているところもございますので、都道府県の底上げというのも必要かと考えてございます。
最後43ページですけれども、福祉事務所を設置していない町村における相談ですが、都道府県が設置する自立相談支援機関においては約7割の町村において設置をしておらず、相談事業を実施している町村は約4割という形になってございます。
以上、資料3の説明でございますが、資料4、論点整理の概要についての御説明をさせていただきます。
総論部分、新型コロナ感染症の影響の部分ですけれども、先ほども御説明したように、特に新たな相談者層からの相談が増加したとか、困窮法が生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たした一方で、従来の伴走型支援の実践が厳しくなり、法の理念が揺らいでいるのではないかというような御意見をいただきました。
また、地域共生社会等の関連施策につきましては、法の考え方と他の福祉分野の政策領域の考え方を合わせて共通理念化したもので、市町村の包括的な支援体制整備の重要な基盤となり得るというような御意見をいただきました。
個別の論点整理の部分につきまして、主立った部分だけを紹介させていただきます。
(1)生活困窮者自立支援の在り方のところでは、相談支援という法の理念を堅持するということや経済支援の在り方については、相談支援を切り分けた上で、法の枠組みを超えた社会保障制度全体の枠組みの中での検討が必要ということ。
(2)自立相談の関係につきましては、相談支援機関の機能強化であったり、人員体制の強化を検討すべきというような論点をいただきました。
就労支援の関係につきましては、就労準備の必須事業化等の御意見をいただきました。
家計改善の関係につきましては、こちらも同様に必須事業化すべきということや、生活福祉資金貸付けの際の家計改善の利用を条件化すべきというような御意見をいただきました。
続いて(5)ですけれども、居住支援の在り方については、全世代において住まい不安定の問題が生じていることや、居住支援事業の再編を必須事業化すべきということ。
(6)の子どもの部分につきましては、学習支援だけでなく生活支援を併せて実施することが重要ということ。
(7)生活保護の部分については、重なり合う支援についてより一層の連携方策を検討すべきというような御意見をいただいております。
以上になります。
○池上課長 続きまして、資料5と資料6について御説明いたします。
資料5は、大分時間もたっておりますので、駆け足で御説明いたします。
2ページが被保護人員、保護率、被保護世帯数の年次推移でございます。被保護人員については減少傾向が続いていますけれども、コロナの影響でその下がりがやや鈍ったというような状況、それから、被保護世帯数については増加しているような状況でございます。
3ページ、構成割合としては高齢者世帯が多くを占めているという状況は変わりません。また、その他世帯が世界金融危機のときに増えて以降、現在でも同じような水準が続いてございます。
それから、8ページ以降が30年の改正後の状況でございます。
11ページからが自立支援と就労支援の関係でございます。
12ページを御覧ください。
就労支援策について図示してございますけれども、右上のほうに参加状況をお示ししております。参加人数としては9万人、参加率としてはおよそ50%となってございます。
それから、少し飛びますけれども、22ページからが子どもの貧困への対応でございます。
24ページに生活保護受給者に対する子どもの貧困関連施策をお示ししてございます。
それから、30ページからが被保護者健康管理支援事業と医療扶助についての資料でございます。
31ページが健康管理支援事業についての御説明ですが、これは令和3年1月からスタートした事業でございますので、まだ統計的な数字などは出てきていませんが、自治体における取組例などをその後ろに添付させていただいております。
それから、37ページを御覧いただきたいと思います。
医療扶助に関する検討会でございます。こちらは先ほど松本委員からも御紹介いただきましたけれども、医療関係の方にもお入りいただくような形で検討会を設けさせていただいております。
左下に今後の進め方が書いてありますけれども、次期制度改正に向けた医療扶助等に関する方向性や対応策について議論を行い、夏頃までに一定の方向性を取りまとめるとなっておりまして、夏以降、こちらの部会の方でもそれらを受けての御議論をお願いしたいと考えてございます。
それから、39ページからは居住支援でございます。
40ページに保護施設の概要がございます。最後のセーフティーネットとして様々な課題を抱える方を受け入れていただいている救護施設などについて御説明をさせていただいてございます。
それから、46ページ以降は事務負担軽減、適正支給についての参考資料をおつけしました。
資料6のほうにまいります。
自治体の方と実務者協議というものを行ってまいりました。その議論の整理でございます。昨年11月から6回にわたって議論を行い、4月にこれまでの議論の整理ということで取りまとまったものでございます。
2ページを御覧いただきますと、まず基本的な方向ということですけれども、受給世帯の高齢・単身化、その他世帯が小幅な減少にとどまっている状況等踏まえた対応が必要であること。それから、コロナの影響等も勘案して、困窮者自立支援制度との連携により、生活保護を必要とする方が速やかに保護につながり、自立できるような適切な支援が必要ということで書かせていただいています。
ここから先は各論になりますけれども、包括的な自立支援としては、被保護者の抱える課題が多様化する中で、ケースワーカーを中心に、包括的な自立に向けた支援を行っていくことが重要ということで、ポツの1つ目にありますが、例えば複数の関係機関による支援が必要となる被保護者について、会議体において自立支援に向けた計画を作成することなどを通じて関係機関との役割分担を明確にし、連携する仕組みを検討すべきといった御意見もいただいております。
そのほか、就労支援、子どもの貧困など御意見を頂戴しております。時間が長くなってしまいましたので、また後ほどお目通しいただければ幸いでございます。
私からの御説明は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ここで、内堀委員がそろそろ退席御予定ということを伺っております。もし何か御発言がおありのようでしたらこの段階でいただきたいと思いますが、お手が挙がっております。それでは、内堀委員、お願いします。
○内堀委員 菊池部会長、ありがとうございます。
公務の都合で途中で退席するものですから、簡潔に発言をさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、住居確保給付金、新型コロナウイルス感染症、生活困窮者自立支援金等の重層的なセーフティーネットによる支援の結果、特に住居確保給付金の申請決定件数に大幅な伸びが見られます。
一方で、現在のところ、生活保護受給者数は減少傾向にありますが、様々な困難に直面された方々の自立に向けた支援のさらなる充実、強化が求められています。
平成30年度に改正された生活保護制度や生活困窮者自立支援制度の施行状況を踏まえ、実効性のある貧困対策をより一層推進するため、財源を確実に確保するとともに、制度の見直しに向け、このような場で議論を深めていくことが重要です。
特に生活保護制度については、全国一律のセーフティーネットとしての機能が十分発揮されるよう、生活保護基準の見直しによる生活保護受給者の生活に対する影響に加えて、今般の原油価格高騰による影響を検証するなど、不断の見直しをお願いいたします。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、皆様の御発言をいただきますが、その前に、山本社会・援護局長が到着されておりますので、ここで御挨拶をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○山本局長 社会・援護局長の山本でございます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
また、今回新たに御就任いただきました5名の委員の皆様におかれましては、快くお引き受けいただきましたこと、改めて御礼を申し上げます。
生活困窮者自立支援法及び生活保護法につきましては、平成30年の改正法附則の規定において施行後5年を目途とした検討が求められており、その検討を行う時期が来ているところでございます。
平成30年改正後の施行状況につきましては、生活困窮者自立支援法においては、就労準備支援事業及び家計改善支援事業の努力義務化等により、その実施率は着実に増加してきております。
また、生活保護法においては、令和2年10月から日常生活支援居住施設における委託費の支給、令和3年1月から健康管理支援事業による支援を新たにスタートしています。
一方で、コロナ禍においては支援者像や支援ニーズが多様化し、それに伴う特例的な給付、貸付事務への対応等は支援現場に大きな影響をもたらし、本来生活困窮者支援児自立支援制度が目指すべき制度の在り方が問われているところであります。
また、地域共生社会の実現に向けた取組を一層促進するため、令和3年度から重層的支援体制整備事業が開始されておりますが、地域におけるより一層の包括的な支援体制の整備を進めるには、生活困窮者自立支援制度の強化が必要だと考えております。
さらに、生活保護制度において、コロナ禍における様々な御意見も踏まえ、必要な方に支援が届くよう、生活困窮者自立支援制度とのより一層の連携を含め、自立支援の基盤を強化していく必要があると考えております。
このような状況も踏まえまして、厚生労働省においては、昨年秋より生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに向けた検討を開始し、先ほど御説明させていただきましたように、本年4月に取りまとめを行ったところでございます。
これらの内容も踏まえまして、本部会において、両制度の見直しに向けて活発な御議論をお願いしたいと考えております。委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 山本局長、どうもありがとうございました。
それでは、これより皆様から御意見等をいただきたいと思います。御発言がおありの方は挙手ボタンでお知らせください。
なお、あらかじめ資料を御提出いただいた方は、資料についても簡潔に御発言をいただければ幸いでございます。
この議題については12時10分をめどにしたいと思います。
それではまず、松本委員、お願いいたします。
○松本委員 ありがとうございます。日本医師会の松本です。
今回がキックオフということで、次回以降数回に当たる各論の審議を行って、9月以降の第2ラウンドで深めて、年内に報告書を取りまとめるという流れにつきましては了承いたします。ただし、現場の関係者が混乱をしないように丁寧に議論を進めていただきたいと考えております。
また、先ほどの報告にもありましたとおり、新型コロナウイルス感染症が全てにおいて大きな影響を及ぼしております。生活保護におきましては、さらにこの影響を十分に考慮、加味した対応を検討していく必要があると考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡﨑委員、お願いいたします。
○岡﨑委員 恐らくたくさん発言があると思いますので、私からは2点だけ申し上げておきたいと思います。
まず、生活保護の実施機関として、級地見直しの話が資料6の最後にあります。現在、生活保護基準の級地区分は、その資料にもありますが、もともとの3区分に枝番をつけて、もう少しきめ細かく6つの区分に分かれていますけれども、全国チェーンの店舗も増えていますので、これを3区分に整理し直すという方向性については異論はありません。
ただ、高知市の場合は、高知県内で唯一の2級地の基準なので、高知市以外は3級地の基準になっていますので、例えば2級地の基準を下げるとかということになりますと、生活保護受給者の方々の生活に直接逼迫を与える形になりますので、厚生労働省のほうも「現行の水準を維持しながら」という文言をあちこちに入れていただいていますので、基本的には現行基準を維持していただきたいというのが私のほうの実施機関としての要請でございます。
2点目は、恐らくたくさん意見が出ると思いますが、先ほども一部発言が出ていましたが、資料2の中、これは市社協が窓口になって貸し付けていますので、市社協の方々が一番危機感を持っておられると思いますが、緊急小口資金は見たこともないような2兆円近くの貸付けを行っておりますので、一部住民税の非課税については償還免除という政府の方針を決められましたけれども、ここだけではカバーできないということが大きな社会問題になると思います。今回はいろいろ話もありましたとおり、例えば店舗の経営者とか、ふだん借りない方がどんどん借りていますので、ここをどうやってクリアしていくかというのは社会的な大きな問題になるので、ここの出口をさらに考えていく必要があるというのは恐らく全員の共通の課題だと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。生水です。
私は今回の審議会においてたくさんの論点があるのですが、特に注視していることを4点お伝えさせていただきます。
1点目は住居確保給付金です。令和2年3月から現在まで様々な改正等が行われました。これらは現場の実情に即したよい対策だと思うので、コロナ禍にかかわらず、恒久的な位置づけということの検討が必要だろうと思っております。また、解雇以外は人生1回しか利用できないという期限であること、求職活動要件、常用就職の規定、収入要件の基準、こうした様々な課題の検討や、また別途検討されるであろう恒久的な住宅補償制度を踏まえて、住居確保給付金については、よりよい制度になるよう、しっかり議論できることを望んでおります。
次に2点目ですが、家計改善支援事業と就労準備支援事業の必須化についてです。
家計改善支援事業につきましては、先ほど岡﨑委員からも御発言がありましたが、特例貸付の償還が来年1月から始まることを踏まえると、家計に関する相談が急増すると推測できます。今でも野洲市の相談現場では、借りた方から、償還が始まっても返せそうもない、返せなかったらどうなるのかという相談が増えています。滋賀県では、6月に県社協から償還、免除に関する通知が債務者に送られていますので、これからも相談が増えると思います。こうしたことからも、償還、免除等の相談体制について具体的な対応策を早急に構築することが必要だと思います。
また、就労準備支援事業については、特定求職者雇用開発助成金の改正を受けまして、雇用側の受入れの裾野が広がることにつながりますので、交通費の支給等の改善が求められます。
これら事業の必須化の実現に向けて、必要な人材の配置、育成強化などの課題を具体的に検討したいと思います。
3点目は、生活保護制度との連携の在り方です。
第3回目の検討会におきまして、生活困窮と生活保護の一体的な支援について、両制度の切れ目のない支援の実現とあるが、切れ目がないだけではなく、もっと踏み込んで、重なり合う支援の実現が必要ではないかと意見を述べさせていただきました。
例えば家計改善支援事業、就労準備支援事業については、生活困窮者と被保護者を分けて別々の事業として予算化し、実施はできますが、予算上、被保護者と生活困窮者を明確に分けて支援することが難しく、運用上に支障があるところから、対象者を一体的に支援できるように財源を一つの財布にするなどが求められます。よって、学習支援事業と同じく、被保護者も利用できるように検討が必要ではないかと思います。
それと、生活困窮者支援担当が生活保護につないだら終わりという紹介で終わるのではなくて、生活保護につないで、被保護者になった後も生活困窮者支援担当が生活保護ケースワーカーとともに支援を担うことが可能となる仕組みの構築など、重なり合う支援の在り方についてしっかり検討できればと思います。
あわせて、参考資料2にあります論点整理の50ページには「両制度での『重なり合う支援』の実現のためには、相互理解を深め、共通する理念の下で支援が実施されることが不可欠である」ととても重要な論点が提言されておりますので、この提言を踏まえて、しっかり議論することが必要だと思っております。
最後に、4点目は町村における相談体制の強化についてです。
改正後の生活困窮者自立支援法第11条において、福祉事務所を設置していない町村において相談事業ができるとされましたが、あくまで実施主体は都道府県で、町村が実施するのは一時的な相談窓口であって、事業の内容は都道府県との連絡調整、自立相談支援事業の利用勧奨と規定されています。
資料3の43ページには、福祉事務所を設置していない町村による相談支援の内容があり、訪問による相談支援、就労支援、緊急的な支援、関係機関への同行支援などが挙げられています。これは連絡調整や利用勧奨だけではない、まさに現場における相談支援ではないかと思うのです。
また、生活保護においては、福祉事務所を設置していない町村では、被保護者の相談を県福祉事務所のケースワーカーに対応を求めるのに、福祉事務所が遠いなどの距離的なこと、ケースワーカーが忙しく連絡が取りにくいなど人員的なことで、町の窓口に相談者が来られても迅速な対応ができず困っているとの悩みを町の職員から聞きました。
これら町村における生活困窮者、被保護者への相談支援については、地域住民にとっては身近な存在である町村が主体となって相談支援に取り組める仕組みが必要ではないかと思うので、町村における相談ニーズ、課題の整理、そして、重なり合う支援の議論も踏まえて、生活困窮者自立支援事業の実施の在り方、属性を問わない重層的支援体制整備事業等を含めて、町村における相談体制について検討ができればと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
本日のキックオフに当たり、私ども連合の考える目指すべき社会的セーフティーネットの在り方について資料を提出いたしました。今日は時間の都合がありますので、それぞれ詳細に説明することは省略したいと思いますが、皆様方におかれましては、資料8の内容をお読み込みいただければ幸いに存じます。
その中で、生活困窮者自立支援制度について4点、生活保護制度について2点、簡潔に意見を述べたいと思います。
1点目は、生活困窮者自立支援制度における任意事業について必須事業化するとともに、事業の質を改善すべきと考えます。また、自治体間格差を是正するため、好事例の横展開などで平準化を進めるべきと考えております。
2点目ですが、住まいは生活の基盤であることから、誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国は、住居費の支援など、生活困窮者に対する恒常的な居住保障の仕組みの検討を進めるべきと考えます。
3点目は、生活困窮者が抱える家賃負担や連帯保証人などの住まいをめぐる課題の解消に向け、住居確保給付金の支給期間の延長や一時金の支払い、機関保証の活用を行うべきと考えます。
4点目は、緊急小口資金の特例貸付けについて、住所などの貸付要件を緩和するとともに、生活福祉資金貸付制度の周知を徹底すべきと考えます。
次に、生活保護基準につきましては、消費水準などに着目して改定し、安易な引下げをするべきではないと考えます。また、生活保護基準の新たな検証方法の開発、正確な捕捉率の把握などを着実に実施すべきと考えます。
最後に、生活保護受給者が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入すれば、地域医療提供体制の整備に責任を有する都道府県等、自治体のガバナンスが医療扶助に及ぶと考えます。さらに、頻回受診、長期入院への対応が強化され、医療扶助費の適正化につながることから、生活保護受給者の国保などへの加入について検討を深めるべきと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
生活保護についてですけれども、資料2の34ページ、今回、特例運用の一時的な工夫がいろいろ行われたということでございました。あと、生水さんからお話ありましたように、住居確保給付金についても幾つか特例的な措置を行っているということでありますけれども、本当に特例的な一時的な措置でいいのかどうなのかということはちゃんと考えなければいけないのかなと思います。
経済成長はこれからあまり高い成長は期待できない。それから、戦争も含めて、また、パンデミックも含めて、世界的なリスクの多い時代に突入していくということ。今回のパンデミッククラスのリスクというのは、疫学の研究によって60年に一遍ぐらいは来るのだと。ただ、そのリスクは温暖化の関係とかで今後2~3倍に上昇するのではないかということを考えると、リーマンショックも思い出すと、大がかりな景気後退が10年間隔で来る可能性もできている。
一方で、社会全体の格差が拡大している。それから、就労形態としてはギグワーカーのようなセーフティーネットや社会保険の提供が不十分な方も増えている中で、生活保護のいろいろな課題も今回明らかになってきた。それを特例措置的に対応されたということですけれども、本当に特例措置的な対応でいいのかどうなのか。住居確保給付金も含めて、生活保護の機能強化をもう少し本格的に考えていく必要あるのではないかと。今、自治労の佐保さんからもありましたように、医療扶助のことも含めてそれこそ骨太の話を本当はしなければいけないのではないかなと思っております。
それから、これは事務局から説明があった資料5の16から17にかけてのところで、厚労省がどう認識されているかという定義の確認をしたいのですけれども、16ページでは分母を調整したと。このKPIそのものは少し議論する必要があると私は思うのですけれども、分母を少し調整されて、新しい分母、さっきの文中の表現だと下線部で参加する余地のない者を調整したということですけれども、誰がどうやってこういう調整の判断をしているのか、客観的に一義的にできているのかということを確認したいと思いました。
というのも、その次のページでかなり都道府県差があるようにも思えるのですけれども、この差を厚労省はどう評価しているのか、何によるものなのかということについてお聞きしたいなと思いました。
まず最初ですので、以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ただいまお尋ねがございましたが、事務局からお願いします。
○進士室長 御指摘ありがとうございます。保護事業室長の進士と申します。
今、駒村委員から就労支援事業関係のKPIの関係でお尋ねが2つあったと思っています。
まず一つは、参加率を算出するに当たっての分母ということなのですけれども、これまでは基本的に稼働能力を有している方を分母に入れてきたということなのですが、ただ、例えば16ページのリード文の1つ目の○の下2つのところに※があると思うのですけれども、就労支援事業に関して稼働能力を有しているということだけではなくて、そこに括弧書きがありますけれども、そこに参加する余地のない方というのも実は以前含まれていたということがあって、この括弧書きの部分を抜いて改めて算出することとしたということでございます。
詳細については少し確認をさせていただいて、改めて報告をさせていただきたいと思っています。
それから、もう一つは地域差の話で、例えばその次の17ページに、県別に就労支援事業等の実施状況の地域差ということで、参加率、就労増収率について、そこのリード文にございますけれども、まさに参加率については、県別に見ると高い県、低い県というところで約60ポイントの差があるというようなデータがございます。
この要因についてでございますけれども、我々も取組状況をこれからよく確認していくことが必要だと思っていますが、まさに1点目の御指摘であった、例えば事業参加の対象者の考え方というのも自治体によって少し異なっていると聞いておりますので、そういったことも含めて、今後、取組状況についてよく確認をさせていただいて、分析をさせていただきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 駒村委員、よろしいですか。
○駒村委員 分かりました。
前半部分は少し後でまた補足で、後半部分は今おっしゃるとおりだったら比較するにはなかなか悩ましい部分があると思いますので、そこも今後精査の作業が必要ではないかなと思います。
ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、大森委員、お願いします。
○大森委員 資料3の10ページを御覧いただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症による相談者の像の変化ということであります。指定都市が非常に高くなっているということでありますが、我々、指定都市として、非常に密度が高い、そして、緊急事態宣言も行われた。そして、事業者数も多いといったところから、こういう数字が出てきているというのは十分分かります。
したがって、今後の対応を頑張っていかなくてはならないという認識を持っていますが、1点だけ皆さん方ないしは事務局に申し上げたいと思うのですけれども、実は税財政であります。ここに出てきている特別区、中核市、一般市、我々指定市でありますが、民間の預金に当たる基金でありますけれども、特別区は1人当たり22万円、指定市を除く市は1人当たり10万円、それに対して指定都市は3万7000円ということで、特別区が6倍、一般市が3倍となっているところであります。
また、借金に当たる地方債、起債でありますが、特別区は1人当たりの地方債約5万円、そして、政令市を除く市は地方債39万円、それに対して指定都市は65万円となっております。それぞれ令和2年度の数字であります。
非常に行政需要が大きくて、税財源がそこまで整備されていないという根本的な政令指定都市をめぐる問題があり、こういう事態が生じているところであります。
この10ページから見ても、これからの行政需要は政令市に相当集中してくるということがあり得るのではないかと思うのですけれども、そういう面で、背景となる税財源をどうするか。その点については、厚労省、事務局のほうでも十分詰めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 ありがとうございます。
私のほうからも4点ございます。
まず1点目、皆さんがおっしゃっているように、住居確保給付金につきましては非常に有益だったと思っています。コロナの後で私どものほうにもいわゆる非正規のひとり親家庭の方、例えば第1回の緊急事態のときは2か月間仕事にも行けないということで、収入が止まるので家賃が払えなくなるという中では、保護者の方から私はこのまま子連れホームレスになるのでしょうかという御相談が来るような状況で、住宅給付金とか生活保護の制度を御案内したのですけれども、そういう意味では、貸付けには非常に慎重な方々も、給付に関しては非常にぜひ利用したいという利用意向が多いので、住宅給付金の認知度を上げることはすごく重要だなと思っております。生活保護に関しては皆さん知っているのですけれども、住居確保給付金についてほとんど知っていらっしゃらない中で、御案内を差し上げて初めて知って利用したということがあったのですが、子育て家庭に関しては万が一家賃が払えなくなっても家を追い出されることはない、使える制度があるのだということをまずは知ってもらうということはすごく安心感につながると思いますので、ぜひこれはできればいいなと思っております。
それから、2点目、これもずっと申し上げておりますが、出ている特例貸付けは、本当に大変な方は利用している方も多いと思うのですけれども、子育て家庭も他と一緒に住民税非課税世帯で返済させるというのは、子どもの貧困の連鎖を逆につくっていくことになると思いますので、ここに関しては子育て家庭に関しては返済の基準を別で設ける。例えば願わくば児童手当を受けるぐらいまでとは思うのですけれども、少なくとも私立高校無償化ラインの590万ぐらいまでにならなければ返済は免除するよということにしていかないと、結局、住民税非課税をちょっとだけ出たという家庭が少ない収入から1万円を返済していくことで子どもに大きなダメージが出ます。それがあれば十分な御飯が食べられたかもしれないのに栄養を損なうとか、好きな部活ができたかもしれないのに部活に行けないとか、塾に行って勉強ができたかもしれないのにできないとか、それをためておけば大学進学や専門学校に行けたかもしれないのにそれができないという状況になりますので、子育て家庭に関してはこの貸付けの返済免除ということをこれからずっと本当に考えていく必要があるのではないかと思っております。
それから、3点目は子どもの学習支援生活支援事業で、これ自体は非常にいい事業だと思っております。子どもにとっては本当に暗い家ですよね。お金がなくて困っているお母さんとか、例えばメンタルの状況が非常に悪いだとか、お金のことでずっとけんかしている両親みたいなおうちから出て、勉強を教えてもらって将来を紡いでいくというふうな、ここがあるから何とか未来に向かって進んでいけるという非常に貴重な事業だと思っています。
そういう中で、実施率が6割を超えていかないというのは、一つは補助率が2分の1ということで、他の事業に比べて補助率が少ない。やりたい自治体はたくさんあるのだけれども、なかなかそこに予算を振り向けられないということがあるかと思いますので、ぜひこれについては補助率を上げていただいて、やりたい自治体が前向きにもっと進んでいくということで、実施率が上がるようにしていきたいなと思っております。
それから、4点目は高校生への支援が非常に重要ではないかと思っておりまして、現状、学習支援生活支援事業というのも中学生が主体となっている。実施主体が基礎自治体でございますので、どうしてもそこになるのですけれども、実は一番大変なのは高校生で、義務教育でもないので大変な状況で、例えば勉強が分からないけれども誰も教えてくれないと赤点を取って中退せざるを得ないとか、アルバイトとかでいろいろ困っているのだけれども相談するところがないということがございますので、高校生の支援をもうちょっとやっていく。支援をしていくと、私どもはずっと長年やっているのですけれども、生活保護家庭のお子さんたちも前向きに見て、大学に進学したり、工業高校を出てちゃんと会社に勤めたりということで、出口として高校生の支援をやっていくのがすごく重要だと思っています。ここも取り組んでいただいている自治体も少しずつ増えてきているとは思うのですけれども、こういった面でもやはり財源といったことの支援が必要ではないかなと思っております。
もう一つは、そうは言っても、高校生の支援は、大学受験の勉強は誰が教えるのだとか、数3を誰も教えられないぞみたいなこともある中で、私どもでは、今、民間の御支援、御寄附とかをいただいて、オンラインで全国の高校生の支援をするということを始めておりまして、これが子どもたちにとっては非常にいい状況になっていますし、勉強を教えるだけではなくて、そこで例えば奨学金のことをお伝えするとか、自立するためのノウハウをどんどん伝えていくということをやっておりまして非常によいので、こういったものを広域連携でデジタルを活用しながら利用ができるような仕組みになって、今、民間の御寄附をいただいてやっているものが、もう少し行政の施策の中で利用できるようになるといいのではないかと思っております。
それも含めて、やはり高校生とか高校生世代をどうしていくのかということを、学習支援生活支援事業といいますか、子どもの貧困連鎖の防止事業として考えていくことが重要ではないかなと思っております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、勝部委員、お願いします。
○勝部委員 それでは、私のほうからも4点ほどお話をしたいと思います。
まず、貸付けです。緊急小口資金、総合資金の貸付けの返済について、6月に入りまして、それぞれの自治体で非課税ですかということについてのお問合せが来て、返済免除ができるかどうかの手続が今始まり出していますが、本当に手続できない人がいっぱいです。一体何の文書が来ているか読み解けない。そして、来ていることに対して、どこに行っていいのか分からないということで、大阪ではオレンジの封筒が行っているのですけれども、毎日のようにオレンジの封筒を持った人がどんどん社協に来られています。
何が言いたいかというと、生活困窮者自立支援法という制度ができたことで、生活に困窮していることをもさることながら、情報や手続が苦手な人たちが相談できる、伴走してもらえる人たちと出会ったことで、貸付けはこの後どうしたらいいのか、奨学金をどうしたらいいのか、それから、新しい制度が始まっているけれども、そのことはどうやったら手続できるのかということを聞いたり、相談できる相手ができたというのは本当に大きかったように思います。
生活保護が増えなかったというのも、実はまだまだ使える制度があっても、本人たちがそういうことを知らないために、そこに行きつかなかった人たちがこれまでにもかなりいたのではないかと思われます。そういう意味では、この制度が困窮の予備軍、あるいは困窮している人たちに対して寄り添ったり、伴走できたことの評価というのは非常に大きいなと思いますし、こういう体制が即生活保護の窓口ではなくて貸し付けというところから入ったことが、きっと皆さんにとってはスムーズに相談できたのではないかなと思っているところが一点です。
もう一つは、資料2の25ページでは貸付けの話がたくさん出ていますし、28ページには生活保護を受けたくないという人たちがたくさんいるということなのですが、この間ずっと議論してきていますが、生活保護はいろいろと制度を打っていただきましたけれども、やはり入りにくい。そして、出にくい。この仕組みをどうやって入りやすくて出やすいものに構築し直していくかということが、今回の見直しの中でも大きなテーマではないかなと思います。バッシングの問題もありますし、扶養照会の問題もありますし、そもそも社会的に生活保護、やり直すということに対しての寛容さみたいなことを地域全体で理解していけるような地域づくりのテーマが求められているなと思っています。
その中でも、特に子どもの貧困の問題が今回のコロナで浮き彫りになりましたが、教育機会の均等ということで、学びたいと思っても、家庭が厳しければ学ぶことができない子どもたち、そこがまた貧困の連鎖につながっていくという部分に関しては、生活保護の中で大学進学を諦めるようなことがやはりないように、ここについてもさらなる強化をしっかり制度上で支えていきたいなと感じています。
それから、重なり合う支援に関しては、実は前回の論点整理のところでも随分議論があったのですが、私はこの中で2つのことがあって、一つは、就労に対する生活保護の理解と生活困窮の理解は随分違っていて、いわゆる就労というのは社会参加の一つで、就労もあればいろいろな参加の形があるという理解をするのか、働けない人は就労不可だから家でじっとしておきなさいみたいな形になってしまう今の生活保護のありようだと、就労不可になったらずっと家にいるので、お酒を飲んでしまったり、病院に何度も通うようなことで医療費が上がっていくということになっている実態もあるように思いますので、就労だけではなくて社会参加という視点の重なり合う、いろいろな自立に向けての考え方みたいなことが共有できていかないかなと思います。きっとこの辺りのことがまた今後の大きな論点ではないかなと思います。
最後ですが、住居確保については皆さんおっしゃっていましたが、単給でいわゆる生活保護をゼロか100かという発想ではなくて、住居のところだけ助けてもらえば何とかなる人、それから、医療のところだけ助けてもらえば何とかなる人というのはかなりおられまして、その人たちが身ぐるみを全部剥がさないと受け入れないという仕組みになっている限りはなかなか立ち上がっていけないということがありますので、住居確保にありましたような給付の制度をまた新たに構築していくことが立ち直りやすい、さらに、また元に戻りやすいとなっていくのかなと思いますので、今回の議論をしっかりと頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、浦野委員、お願いします。
○浦野委員 今日は2点だけお話を申し上げたいと思っております。
生活困窮者の支援というのは、この法律のみならず、あらゆる社会資源を動員してやっていかなくてはならないことなのだろうなと思っております。
その中で、まず1点目は、そもそも日本の福祉が長年培ってきて整備してきた社会資源そのものをちゃんと活用しているのかなと最近私は非常に疑問に思っております。
例えば私の経験で申し上げますと、養護老人ホームという施設を数十年にわたって経営してきております。二十数年前には、全室個室でトイレもついている、洗面所もついているというぐらいの養護老人ホームを整備しました。
ところが、2つの転機があったと思うのですが、1つ目は介護保険制度が導入された時点、2つ目は交付税措置に伴って養護老人ホームの入所措置が自治事務になったこと。この2つの時点で養護老人ホームの入所者ががたがたっと減ってきたという状態があります。
私が生活相談員などをしていた若い頃には、福祉事務所のケースワーカーは、私から見るとこの方はさすがに特別養護老人ホームではないと難しいだろうなと思うような方を、いや、何とか養護老人ホームで見てくださいと。どういうことかというと、養護老人ホームのほうが措置費が安く済むからという話です。ところが、介護保険制度になると、介護保険適用で特養に入ってもらえれば一般会計は痛まないという発想になる。なるべく養護老人ホームに入れない。
さらに、交付税措置に伴って市の自治事務になったということで、交付税の裏づけはあるとは言われながら、お金に名前は書いていませんから、市が全額負担するという格好になるというようなことで、現実に全国の養護老人ホームは相当の空き部屋を抱えているのろうと思います。
一つは、それが現に空いていても養護老人ホームを必要としているような生活困窮高齢者はいないのだ、減っているのだということであれば、では、その資源をどんな形で活用するかということは政策として考えるべきですし、あるいは、そうでなくて、クライアントの皆さんの生活像とは関係のないところで、財政の論理などによってせっかくある社会資源が活用されていないということであれば、これはやはり見直すべきだろうと思っております。そういったせっかくある既存の社会資源、ひょっとしたら生活保護施設なども、これは後で大西委員にも聞かせていただければいいと思うのですが、十分に活用されているのかということは考えるべきだなと思っております。それが1点目でございます。
もう一つは、先ほど冒頭の御挨拶でも申し上げましたけれども、社会福祉法人による地域における広域的な取組は90%を超えて取り組んでいますようなことを申し上げました。次の課題は、これを生活困窮者の自立支援と結びつけていくために、やはり市町村の単位で社会福祉法人が連携をしということが必要なのだろうと私は思っております。そのためには、やはり市町村の社会福祉協議会非常に重要だろうと思っております。
もちろん、勝部委員のように大変すばらしい実践をされている市町村社会福祉協議会があることはよく知っておりますけれども、全体を見ると、市町村社会福祉協議会が住民主体、この言葉自体は大変すばらしいことなのですけれども、住民主体という言葉の陰で社会福祉法人、社会福祉施設をどことなく遠い存在と考えてしまって、これを活用していこう、社会福祉施設が持っている資源を活用していこうという意識をさらに喚起していかなくてはいけないのだろうなと思います。
これは社会福祉協議会に限らず、市町村でも、社会福祉施設と言えば介護保険制度のサービスを提供してもらうところ、保育サービスを提供してもらうところと、それぞれ保育所なら保育所、介護施設なら介護施設という形でしか見ていなくて、いかにこの困窮者自立支援法に生かせるような資源をどれだけそこから導き出してくるかという発想を持つことが必要なのだろうなと思います。これはもちろん社会福祉法人の側も、自分たちにこんな資源があるから、こんなことになれば貢献できますよということをより積極的に言っていかなくてはいけないと同時に、市町村行政や市町村の社会福祉協議会のほうからも社会福祉法人にアプローチをしていただくということが必要なのかなと思っております。
以上、2点申し上げました。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あと4名の委員の皆様がお手を挙げていらっしゃいますが、ほかに御発言を御予定の方がいらしたら、今の時点でお手を挙げていただければと思います。奥田委員からお手が挙がりました。大西委員からも挙がりました。
ほかはよろしいですか。分かりました。
それでは、五石委員、お願いします。
○五石委員 ありがとうございます。
短めに申し上げたいと思います。
先ほど勝部委員がおっしゃったいろいろな点に大賛成だったのですけれども、そのなかでも最後におっしゃった、今、生活保護がゼロか100かになっているので、単給化を検討すべきではないか、特に医療、住宅、それから、私は教育もだと思いますけれども、それの単給化をもし検討できるのであれば、ぜひ検討していただければと思います。それから、大学を含めるという点も、私はぜひそうすべきではないかと思います。
それから、駒村委員がおっしゃっていたKPIについてなのですけれども、私はそもそもこのKPIの法的根拠は何なのかということがずっと気になっております。生活保護法の第27条の2の自立支援事業、55条の7の就労支援、これらは自治事務ですし、生活困窮者自立支援もそもそも自治事務です。それに対する厚労省あるいは政府のKPIはあくまでも技術的助言なのであって、法的拘束力がないのではないかなと思います。
それで、ぜひ確認できればなと思っているのですけれども、であるならば、これは技術的助言であるということを明確にして、必ずしも法的拘束力はないということを示すべきではないかと思います。生活困窮者自立支援では、当初は目安値という控え目な言葉であったものを、いつしかKPIになり、あたかも守らなければいけない目標であるかのように示されているように私には見えます。もし技術的助言であるならば、そのように明記すべきだと思います。
それから、そもそも法の趣旨にこのKPIが合っているのかというのも疑問に思っております。就労準備支援事業というのは一般市場での就労から遠い人々に対する支援ということが趣旨ですが、ところが、就労率という指標が非常に目立っています。それが本当に法の趣旨に合っているのか、適切なのかということはぜひ検討すべきであって、もし法の趣旨に合っていない、現実に合っていない、適切でないのであれば、もっと適切な指標を考えるべきではないかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
KPIについての御意見がございましたが、KPIというのは生活保護に限らず自治事務に関わる多くのいろいろなところで出てきておりますので、こちらだけでKPIの意義とか、それに対して物申すというのは、ほかの様々な政策との絡みでは難しいと私は思うのですが、事務局から何かあればお願いします。
○進士室長 御指摘ありがとうございます。事務局でございます。
今、五石委員から御指摘がございました。
まず、KPIの関係について法的根拠ということなのですけれども、これはまさに御指摘のとおり、法的根拠というものはございません。あくまでも例えば資料1のいわゆる改革工程表にそういったKPIの指標が載っております。これは必ずしも生活保護、生活困窮の分野だけではなくて全体ということになりますが、あくまでもその中での会議決定という中での位置づけということになります。したがって、それを自治事務と呼んでいいのかどうか分かりませんけれども、性質としては少なくとも法的根拠があるものではありません。
あともう一つ、法の趣旨に合っているのかということについてでございますけれども、これが全部かと言われたらそれはそうではないのだろうと思っています。今、生活保護の関係につきましては、いわゆる事業参加率というものとまさに御指摘いただいた就労増収率というものを定めていますけれども、ある種、これは全部ではないというか、とある一面なのであって、また別の側面というものも当然あるのだろうと思っています。
あと、技術的助言という言葉を添えてはどうかということがございましたけれども、あくまでも改革工程表は政府全体のものになっていますので、その辺の並びとの関係というのも少しあるのかなと思っています。
以上です。
○菊池部会長 五石委員、よろしいでしょうか。私は心情的にというか主観的には五石委員と全く同じように、かえってこういうものを持ち込むことでいろいろな弊害すらあるのではないかと思うのですけれども。
○五石委員 後々議論ができればと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 すみません。余計なことを申したかもしれません。
ありがとうございます。
それでは、朝比奈委員、お願いします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
重複しますが、2つの点について申し上げたいと思います。
前回の生活困窮者自立支援法をめぐる議論の中で、正攻法にもうちょっと武器が必要ではないかという議論がありました。私は武器がないほうがいいという立場で、武器がないがゆえに、生活困窮者自立支援法だけで解決しない。必然的に様々な制度、インフォーマルな地域の力を含めて、様々な人たちの力を頼らざるを得ない。結果としてそこが孤立の解消に向かうということになったと思っております。
ただ、今回、コロナ禍を経験いたしまして、先ほど勝部さんがお話をされておりましたが、住居確保給付金や貸付けがあるがゆえにつながった人たちが大変多くいらっしゃる。ただ、そこで終わりではなくて、そのことによって制度へのアクセス、つなぎのところを自立相談支援や社協さんの職員さんがつないだことによってその後の関わりに展開していく。そこは非常に重要だったなと思っております。
そういう意味では、これは特例の貸付けや給付だけに関わることではなくて、それぞれの制度、生活保護しかり、それから、児童や障害しかり、生活困窮者自立支援法が現役世代を中心的なターゲットとした法律であるがゆえに、様々な仕組みへのアクセスを保障する一つのツール、窓口になっているのではないかという考え方も必要で、現役世代の方々は様々な地域に動いていきますので、市川の現場でも他市に移っていく人たちに現地でのつなぎをするということもあって、そうすると、例えば生活保護の窓口のありようも、それから、障害の基幹相談支援センターの働きも各地によって様々で、場合によってはなかなか硬直化している面もあるなと。そこをアドボケートとしていく役割が生活困窮者支援法にあるのだろうと思っています。
そういう意味では、KPIという枠組みを使うかどうかはともかくとして、この制度や事業の評価について、この法律だけを見た評価にとどめてしまってはいけないのではないかと思っています。地域共生社会を目指すのは、何も重層事業をやる自治体だけではなくて、全ての自治体に共通した目標だと思いますので、その全体的な視点からこの法律の位置づけや在り方、効果などを取り上げていく必要があるのではないかと思っているのが一つです。
それから、先ほど渡辺さんが子ども、子育て世帯のこと、それから、高校生の支援について、触れられていらっしゃいました。千葉県では今年度から中核センターの事業に付帯させる形で、高校の校内居場所カフェについて県内5つの高校で予算化をされまして、中核センターを中心に取組が進んでおります。私の地域でも取組が始まっているのですけれども、以前から感じていたことですが、やはり子どもから入る相談はその後の展開がすごく難しいなと思っています。子どもの状況について、子ども自身が問題意識を持ったり、気づいたり、場合によっては周りの大人が気づいて何とかしたいと動き出したときに、親御さんにどういうふうにアプローチしていくかというところはもちろん、子家センを含めてチームを組みながらやっていくわけですけれども、大変難しいなと。そういったときに、今回の児福法改正の中で、子どもがショートステイを利用したいといったときに、それができる仕組みが位置づけられています。そこと、もちろんこれからという話ですけれども、以前から私が主張していた合法的な家出というのが制度化されると理解しているのですけれども、子どもの学習支援や子どもの居場所関連の取組とこの児福法改正の動きがやはり連動していかないといけないと思っておりまして、そうした点も含めて、やはり正攻法の議論が全体に通じるということをもう一度確認し、そこを含めて議論をしていきたいなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、宮脇委員、お願いします。
○宮脇委員 湯梨浜町長の宮脇でございます。
まずは、新型コロナウイルス感染症やウクライナの情勢に伴います原油価格、物価高騰等の影響で依然として厳しい状況の中、生活困窮者自立支援及び生活保護に係る対応について、様々な取組を行っていただくことに対し、関係部局の皆様に心から敬意を表させていただきます。
この部会の議論に対して、3点申し上げたいと思います。
一つは、人材支援についてでございます。コロナ禍により、生活困窮に関する新規相談件数が増えておりますが、役場では通常業務に加えてワクチン接種などに多くの人員が割かれ、職員不足となっているところもございます。また、社会福祉士やケースワーカーなどの専門職の確保ができず、十分な支援を行うことができないというところもございます。このようなことから、国におかれましては、人材確保のための十分な措置をお願いできればと思っております。
2点目、小さな自治体単独での支援には限界があります。また、そういった地域では社会資源が少ないことから、都道府県単位など広域的な対応を行っていただき、各市町村の取組を支援していただくなどの対応ができないかと思っております。
最後に、子どもの学習、生活支援について、現場では関係機関との連携の難しさを感じているという現状がございます。教育機関と必要な情報の連携が取れず、十分な支援が行われていない現状がございます。現場で円滑に事務が行えるよう、基礎自治体としても努力しますが、国、都道府県から各機関への事業の周知や働きかけを進めていただければと思っております。
以上でございます。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。
私からは1点だけお話をさせていただきます。
基本的に今のコロナ禍の状況ですとか、世界情勢による物価高騰の影響が果たしていつまで続くのかなということで、本日のこの議論についても、ゴールの位置というか議論の在り方も変わってくるのかなと感じています。
本日の資料1の7ページ、経済財政運営と改革の基本方針に生活困窮者のデジタル利用等の実態を把握し、必要な支援策を検討するという記載が実際にあります。委員の皆さんからも出ていましたとおり、コロナ禍における感染防止の観点から、実際にアウトリーチ、訪問をしてニーズを把握したり、支援をするですとか、または対面による情報交換など、そういったところの難しさというところにも直面したなと思っています。SNSの活用の事例ですとか、本日の会議のようにZoomを活用した会議というのも実際に行われているわけですが、本日出された論点も含めて、さらなるデジタル化によって問題が解消できたり、解決できるものも少なくないのかなと感じています。単に業務の効率化だけではなくて、真に必要な生活の面で、実際に生活に困っている方のいい方向に向かうような個人情報の取扱いに含めて、デジタル技術の活用というのも併せて検討していく必要があるのではないかなと考えております。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
奥田委員、お願いします。
○奥田委員 今回もよろしくお願いします。
私は3点ほどなのですが、まず、根本的な話かもしれませんけれども、生活困窮者自立支援制度の強みと弱みとは何だったのだろうと。最初の頃からずっと私は関わらせていただいていましたので、やはり強みは人が人を支える、言わばソフト中心でやってきている。給付ではなくてソフト中心でやってきている。相談支援相談支援というものに非常に重心を置いたものとして成立した。
逆に、弱みは、給付がないということもよく指摘されてきたということなのですが、さっき朝比奈さんがおっしゃったことは私も本当にそうだと思って、私は前から自立支援制度と言うけれども、これは非自立的制度ですよと、何かに依存しないと成り立たない構造を自ら持っている制度、つまり、様々な他制度とか地域資源、これは支援会議もそうなのですけれども、そこは弱みと言われてきたけれども、やはりそれも強みだったのではないかと。非自立的という言葉です。
それに対して、生活保護の強みはやはり給付がある。非常に実行力があって分かりやすい。ただ一方で、自立支援制度と比べると何が弱みかというと、自己完結型だということです。保護の中で全部できてしまう。これは、ひょっとしたら大西さんのところも救護施設もそうかもしれない。どうしても他制度が使えない設定になっているわけですよね。そこで全部やりなさいと。それは非常に分かりやすいのだけれども、やはり今みたいに孤独や孤立の問題や地域の問題が出てきたときに、そこが強みであるけれども、保護の弱み、自己完結型であるということがやはりあるのではないか。
そうなると、私は生活保護と自立支援制度が重なり合う派なので、そこは一体的に切れ目がない、切れ目なく引き継ぎましょうではなくて、重なり合うというやり方、本当に一体的にやっていくというのがやはりあるべき姿なのではないか。それは、保護にとってもソフトの部分が強化されるわけですから、生活保護のケースワーカーさんと自立支援の相談員さんが一緒になって多角的な視点を持ってやっていくというのはさらなる強みなのではないか。
それで振り返ると、この制度が最初に立ち上がったときからだと思いますけれども、間違っていたら、厚労省の方、訂正ください。これは子どもの支援の部分だけが対象者が重なってきたのではないのかなと。就労準備の場合は、現場は重なっていますけれども、先ほど生水さんがおっしゃったようにから予算別立てで一体的な運用をしているというだけですから、ただ、子どもの支援事業に関しては対象者は保護世帯の子どもさんというのが最初から前提とされていたと思うのです。だから、よく見るとこの部分だけがある意味既に一体的に重なっていたのではないのかと。だったら、ここのところの評価をちゃんとすることによって、他の部分においても重なるということの意味を検証していけるのではないのかと思います。
2つ目としては、一時生活支援事業の在り方なのですが、事業の中で36%と何で一番低いのか。今回の資料は前回からの論点整理からも出してもらっていましたけれども、自治体がやらない理由が挙げられていて、これが答えなのですよね。対象者がいない。これはなぜそうなるかというと、2002年のホームレス自立支援法以来、例えばホームレス自立支援センターなりシェルターなりをやってきたわけで、2015年に実質政策的にはそれをほとんど合流させた。厳密に言うと、ホームレス自立支援法は生活保護と一体的にやれと法の中で書かれていますから、そこはスタンスが違うのですけれども、だから、ホームレス支援法のほうが幅が広いわけです。
だから、何が言いたいかというと、生活困窮に移行したのだけれども、やはりあれはかつてからホームレス施策だという認識が自治体は強過ぎて、けれども、実際に蓋を開けたら、住居確保給付金をはじめ、自立相談に来た相談の第2位あたりに住まいの不安というのがずらっと並んだというのがこの間の様子だったのです。そうなると、従来、いわゆる野宿者ということで考えてきただけの自治体は、本当の意味でちゃんと対応できていない。お金だけ出すという話になっていたのではないかというところで、例えばやれない理由としても、居住支援関係機関と連絡が取れていない。それはなぜかと言ったら、居住支援と思っていないからです。ホームレス支援だと思っているからです。あるいは地域の保証人や緊急連絡先、低廉な家賃等の物件が見つからない。これもやはり居住支援のベースにあるテーマなので、ホームレス支援ではないわけです。
そこで、ホームレス支援でこれから必要な枠としては、とはいえ、今回、相談件数でホームレスが上がってきていますから、2002年の枠組みでつくってきた、例えばホームレスで支援センター等の在り方も含めて、ホームレス支援とは何ぞやということをもう一回きちんと、建物も十数年使っていますから物すごく老朽化していまして、北九州も大変なのです。
そして、2つ目としては住居確保給付金の在り方です。条件を今回の特例だけではなくてあれ、そもそも住居確保給付金は就労支援とひもづけた成り立ちからできていますから、それをもうちょっと純然たると言ったら語弊があるかもしれないけれども、居住支援ということで住居確保給付金をきちんと位置づけ直す。
3つ目としては、住宅そのものの確保、マッチングです。空き家等の物件とどうマッチングさせるかという物の問題は大きい。これは居住支援のベースになってきます。何よりも大事なのは、日常生活支援です。これは、貸してくれる大家さんの安心も、入居者本人の安心も含めて、日常生活支援や見守りがつくかどうかが勝負で、そうなると、地域居住支援事業の今後の在り方が相当大きなテーマになると私は考えています。
ですので、この地域居住支援事業というものが、さらに言うと、今後これから単身高齢がどんどん上がってきますから、単身で日常生活、見守り等が必要だという生活保護の方々のニーズも相当出てくると思うので、例えば先ほど言いました重なり合うで言うと、地域居住支援事業の対象者を自立相談からの流れだけではなくて、生活保護世帯で単身で地域で暮らしていて、なかなかケースワーカーさんの目も届かないという方々にこの地域居住支援事業なりを対象として重なっていくということをやると、保護のケースワーカーさんも相当助かるのではないかということです。ですから、私は今回の議論の中でそういう重なるという議論が相当皆さんといろいろできればなと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。今のお話、重なり合うというのは生活保護と困窮者支援の重なりだけではなく、ホームレス支援施策、そして、住居支援確保施策という幅の広いお話で、全世代型社会保障構築会議の議論との兼ね合いもあるなと思って聞いておりました。
それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
2回ほど私の名前を出していただきましたので、少しだけお話をしたいと思います。
多くの委員、それから、奥田さんが言われているとおり、私も同じように思っているわけなのですが、まず、多くの委員が従来の社会資源があまり活用されていない。養護老人ホームを挙げて、そのようなお話だったと思います。まさにそのとおりで、それは財源的な問題であるのか、入所期間の問題であるのか、はたまた社会福祉法人の見える化が進んでないのか、やっている事業の見える化が進んでいないのか、また、ニーズに合っていないのか、いろいろな視点があるかと思うのですが、奥田委員から出ていましたような一時入所とかといったいろいろなニーズを、今の既存の施設で何とか取り入れてやっていくしかないのではないかなと。自治体には積極的なそういった活用を国のほうからしっかり促進をしていただけないかなというような思いを私も以前から強く持っています。
生活保護の範疇でも更生施設というものがあるのですが、その施設などもほとんど定員が割れているような状況で、事業内容については奥田委員がやられているのは日常生活支援住居施設とかと大差ないわけなのですが、ニーズがないという観点から欠員になってしまうのかも分からないですが、既存のそういった施設が活用されていないということは、やはり引き続きしっかり見守って、運営している社福側もしっかりやっている仕事の内容について見える化をしていかなければいけないのではないかなと思いを持っています。
それから、社協とか社福との協働というようなことを浦野さんはお話しになっていましたが、これは大阪の話ではございますが、大阪府内の41市町村の37市町村、勝野委員も御存じかと思うのですが、そこに社協の拠点として地域貢献委員会というような組織、施設連絡会というものを立ち上げて、そこでまさに行政を巻き込むような形で、今言われた重層的な支援体制を構築して、ひいては横断幕の地域共生社会を目指しましょうというはしりは、地域の広域的な取組の思いを持った社福の集まりがそういった協働をしているというようなこと。これが全国にもっと広がればいいかなと思いを持っています。
最後、奥田委員の言われる重なり合う支援は、前の審議会でも私はお話ししておったと思うのですが、当然のことで、これは生活保護、これは困窮者支援というようなことに切り分けられるのはほとほと難しいなと初めから疑問に思っております。ただ、生活保護のケースワーカー、また、困窮者支援の支援員、どちらがイニシアチブを取るのかというようなことも現場ではあるかと思いますが、福祉事務所によっては、その対応が難しい福祉事務所も二、三散見されるような気がしておりますので、これはしっかり議論しながら整理できればなと思っています。
社福の見える化で言えば、私の法人で困窮者の相談窓口やっているわけなのですが、大阪市内の新規受付の15%ぐらいは私の法人でやっています。そういうのもあまり見える化されていないというような思いを持っていますので、社会福祉法人の見える化というようなところも永遠の課題かなと思いを強く持っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
一通り御発言いただけたかと思います。今日のところは幅広い見地から様々な御意見を賜りました。これらを踏まえて、事務局には今後の進行、内容に関して御検討いただきたいと思いますが、何か事務局からコメントなどございましたら。
池上課長、お願いします。
○池上課長 1点だけすみません。
佐保委員から生活保護の基準についてのお話をいただきました。それから、岡﨑委員から級地の見直しについてもお話をいただきました。生活保護の基準につきましては生活保護基準部会で5年に1度の水準検証をしていただいておりまして、それを受けまして厚生労働大臣として基準を定めるということになっておりますので、基本的にはこちらの部会との射程との関係ではちょっと外れてしまう部分にはなりますけれども、御意見については受け止めさせていただきます。
それから、級地区分についても、基準部会で一定の検証をした後は、今、地方の皆様との御相談をさせていただいているところでございます。個別の市町村の級地への当てはめについて、現行の当てはめを基本的には維持しつつ、統計データに基づいて見直し得る個別の市町村とお話合いをさせていただきたいと思っているところでございます。
それだけ補足させていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、唐木室長からもお願いします。
○唐木室長 1点だけ、奥田委員から先ほど御発言がありました子どもの学習生活支援事業が被保護者の児童の方が使えるかどうかということですが、御指摘のとおり、貧困の連鎖防止ということ、また、対象が子どもであるというような観点から、被保護世帯の児童も活用可能という形になってございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
よろしいですか。ありがとうございます。
かなり時間が押してまいっておりますが、もう一つ議題がございます。調査研究報告書につきましてです。
事務局から御説明をお願いいたします。
○池上課長 保護課長の池上から資料7-1について御説明いたします。
こちらは報告になります。
表題「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究 概要」となってございます。これは令和3年度の補助金の事業としてPwCコンサルティングのほうで実施いただいた内容でございます。
背景といたしまして、事業目的の1行目に書いてありますけれども、令和元年度の地方分権改革に関する提案募集においてケースワーク業務の一部外部委託化の提案ということがあり、御検討いただいたものでございます。
事業概要にありますように、研究会に様々な先生方、それから、自治体の関係者の方にも入っていただいて研究を検討していただいたところでございます。
3ページ、生活保護に関わる業務の負担軽減方策の全体像ということで図示していただいております。外部委託の活用という切り口ではありますけれども、生活保護に関わる業務の負担軽減方策、それ以外にも様々ありますので、その全体像をまず描いてから議論をしていただいたということと承知してございます。
その上で、4ページ、5ページで報告書の内容を簡単にまとめさせていただいています。
4ページの上のほう、業務負担軽減に関する基本的な考え方のところで非常に重要な点を御指摘いただいています。生活保護業務に関わる業務の見直しに当たっては、要保護者の生活状況や困難な状況をよりよく理解し、より適切な支援や助言を行うというケースワークの質の向上の観点から議論する必要があるとおっしゃっていただいています。
それから、○の2つ目、特に専門的な問題等を解決するためには、他機関との連携で有機的にそれらが有する専門性を統合し、支援に活用されることが望ましいとされているところでございます。
その上で、5ページ目、外部委託についての活用の検討ということで、3つの類型について御検討いただきました。助言支援に関する業務については、今でも多様な内容の業務が外部委託可能となっておりますけれども、それを充実していくことはあり得るということでございます。
それから、次の○、定期訪問系業務については関係機関との連携を活用するという観点で、専門機関との情報連携を効果的に行うことにより、支援の質を維持しつつ、業務負担の軽減を図ることができるものと考えられるとされています。
一方で、窓口対応業務については間接的でも保護の決定に関わるものなので、なかなか望ましいとは言えないのではないかという御報告をいただいています。
こうした報告を受けまして、厚生労働省といたしましても次回以降御検討いただきたいと思っておりますけれども、分権提案の関係もございますので、すぐに対応できるものはすぐに対応しつつ、しっかり議論していくものについてはしっかり御議論をいただきたいと考えてございます。
御説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
詰めた議論をする機会は次回以降設けるということでよろしいですか。
○池上課長 はい。そのように考えておりまして、今回は御報告ということで御報告させていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ということでございますが、この点を確認したいとか、そういった御質問などがございましたらお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか。
岡﨑委員、お願いいたします。
○岡﨑委員 1点だけですが、ケースワークの経験がありますので、駒村先生等が入っていますので、そこを慎重に多分取りまとめておりますが、ケースワーカーというのは、今、仕事はかなり増えていますけれども、一番大事なところは、保護者に寄り添っていろいろな相談を受けながら、それぞれの人の尊厳を大切にしながら解決策を探るというのが本来のケースワークだと思います。ただ、ここで出てくるように、ケースワーカーはいわゆる事務的な仕事も相当増えていますので、一定軽減をしていく必要はあると思いますし、ケースワーカーに対する支援員も、就労関係でも様々な形で支援員が入っていますので、そこをやりながら、ただ、本来のケースワークを生かすというところのコアはやはりケースワーカーが担うべきだというところがあると思いますので、そこをまた大事にしていく議論なのかなと思います。
あと、また次回以降また議論させてもらいますけれども、特に財務省とか経済財政の諮問会議で医療扶助のところの方々を国保に入れたらどうかという議論がよく出てきます。基本的には反対なのですが、生活保護は直接的に国が責任を担うということで4分の3の国費があって、4分の1が地方負担なのですが、4分の1も地方交付税でかっちり見ていただいていますので、国保へ入るとそこの財源が非常に不透明になる話なので、それがいいのかどうかというのは我々もまた慎重に議論させていただきたいと思います。
それ1点だけ申し上げておきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
勝部委員、お願いします。
○勝部委員 これから議論をしっかりやらないといけないということで、生活保護の外部委託というのはとても大きなテーマだと思いますが、外部委託ありきなのかというのはそもそもあるのですけれども、高齢の分野も児童の分野も障害の分野も相談機関をかなり外部委託したことで、生活実態というのを自治体自体がなかなか見えにくい状態が広がっていると実感しますので、命を支えるセーフティーネットの分野までもが外部委託になったときに、自治体そのものの在り方はどうなのかというところも併せてしっかりと考えていかないといけないなと思って、今回のこの部会の責任の重さを改めて実感したところです。
どうもありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
様々御意見はあろうかと思うのですが、今日のところはよろしいでしょうか。
駒村座長からも、今日のところは何かよろしいですか。
○駒村委員 では、一言。
まず、岡﨑さんが御指摘された部分でありますけれども、やはりおっしゃったとおり、ケースワークの質の向上のための負担軽減というのが一番大事で、目的はケースワークの質の向上のためにいろいろ工夫する必要があるということが一つあるかと思います。
それから、勝部さんからの御指摘の点も議論になりまして、漫然と外部委託をすることによって実態が分からなくなるというおそれもあるので、そこはかなり慎重に厳格に議論をしていたつもりです。
その上で、いろいろな手法を使って、ケースワーカーさんの負担を軽減することがひいては質の向上につながる。こういうものについていろいろ積極的に応援する必要があるのではないかというお話をさせていただいておりますので、また報告書をぜひ読んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、この点に関しましては、また改めて議論をさせていただくということにしたいと思います。
ちょうど予定の時間となりましたので、この辺で本日の議事については終了とさせていただきます。
最後に、次回の予定につきまして事務局から連絡お願いします。
○唐木室長 次回につきましては、6月下旬にオンラインでの開催を予定してございます。正式な開催通知につきましては別途御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 今回、そして、次回も全面オンラインということで、今日は新保代理はいらしていますが、画面での会議ということになりました。これも今後のコロナ次第ということになるのだろうと思いますけれども、私としては、前回改正の際にいいものをつくろうではないかという委員の皆さんの熱気に満ちた会場の雰囲気が今も感覚として残っておりまして、今後、どのような形態になるか分かりませんけれども、これから年内にかけて次期制度改正に向けて密に議論を重ねていきたいと思ってございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、今日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。