視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第5回)議事録


1.日時

令和2年2月26日(水曜日)14時00分~16時00分

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2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

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3.議題

1.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る基本的な計画の策定について
2.今後の関係者協議会について
3.その他

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4.議事録

【中野座長】 それでは,定刻になりましたので,ただいまから,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会第5回を開催させていただきます。
本日は2つの議題を進めてまいります。まず前回の会議で提出された基本計画素案に追記,修正を行った基本計画素案(修正版)を事務局において作成しておりますので,こちらについて確認を進めてまいります。なお,前回の会議で積み残しとなった部分については,その確認を進める中で時間をとって御意見をお聞きしたいと思います。
そして,次に,2番目に,こちらも大切な議題なんですけれども,今後の本協議会の進め方などについて意見交換を行いたいと思います。昨年11月に始まりました本会議も年を越えまして,そろそろ年度末を迎えることとなっております。皆様の御意見を丁寧にお聞きすることと同じく,この施策を前進させることも重要だと思いますので,できましたら,本日の会議で基本計画に関する協議を終了させていただきたいと思います。当然議論をしっかりとしながらということでございますので,皆様におかれましては,御協力と御理解等をお願いしたいと思います。
それでは,これより始めたいと思いますが,まず事務局より,配付資料の確認と委員の出欠について確認をお願いしたいと思います。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 本日の配付資料ですが,議事次第に続いて,資料1として基本計画素案の修正版をお配りしております。こちらは前回の第4回の会議と2月12日を締切りとしていた追加の意見照会において出された御意見を踏まえて,事務局で新たに作成したものです。次に資料2としまして,今後の本協議会について意見交換を頂くために,事務局で作成した資料を1枚お配りしております。その他,机上資料としまして基本計画素案と修正版の新旧対照表,そして,委員より事前に御提出していただいた御意見をお配りしております。こちらは前回会議で配付したものに,その後,追加で頂いたものを加えております。不足がございましたら,事務局までお知らせください。
続きまして,委員の御出欠についてですが,本日の会議は,近藤委員,長尾委員が御欠席で,小林委員は代理として篠田様が御出席されています。また見形委員は遠隔での御参加になりますので,パソコンの操作は事務局で行います。また,阿部委員と河村委員が少し遅れての御到着となります。
以上でございます。
 
【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,初めに,配付資料に関して竹下委員より,前回の御議論を受けて若干の補足説明があるということですので,御説明を最初にお願いしたいと思います。
 
【竹下委員】 ありがとうございます。全視情協の竹下です。きょう,この後の最終文案の確認でも出てくると思うんですけれども,私の資料は,お配りした資料が全国の点字図書館におけるボランティアの登録者数の資料と,それからもう1枚,全国の点字図書館におけるICTサポート等の実施状況ということで資料を付けさせていただきました。繰り返しになりますが,きょうの最終文案でこのことはある程度盛り込まれていると思うんですけれども,それについて,私どもの全国の点字図書館の実態について確認をしていただきたいと思って付けた次第です。きょう,配られた私の第5回の意見のところにもそのことの説明が書いてあるので,また御参照ください。
まずボランティアの登録者数ですけれども,最初から,第1回から,私の方では全国点字図書館における点訳・音訳ボランティア等が今,だんだんと減ってきて,これから先,増えることが難しいということをお伝えして,それに対する対応を強くお願いしたところですけれども,それの証拠とまではならないわけですけれども,2013年度から2013年度,5年間の全国84館のまず活動別のボランティア登録者数,これを見ますと点訳者が2013年,5,600人から,2017年,6,100人,音訳者は同じく4,900人から6,300人,デイジー編集者は1,270人から1,670人と増えてはいるわけです。これは当然,毎年,全国で講習会をしておりますので,だんだんと累積して増えてくるということは言えるんですけれども,ところが,ここで見えない数字が横に書いてございまして,点訳講習会,音訳講習会,デイジー編集講習会の受講開始実人数とその修了者数,これを見ますと,点訳では2013年,1,200人だったのが2017年,1,030人,そして,認定者は726人が560人,音訳講習会でも,受講者は1,285人が1,090人,認定者は890人から577人,デイジー編集者も似たような数字ですけれども,じわじわとやはり受講者も,そして,認定者も減ってきているということがあります。
この裏には,1つは,新規に新しくボランティアを始める方々が減っているのと,それから,ここには出てきませんけれども,活動開始後,以前のように続けて活動してくださる方が減ってきているということがありますし,それから,全体の登録者数では,登録はしているんだけれども,当然,年々ベテランになっていらっしゃいますので,20年,30年,40年たって,実際の活動がなかなかできない休会状態の方々も含んでいるということで,1つ,見て取れるかなということで,今後の指標として付けさせていただきました。
それから,もう1枚の全国の点字図書館におけるICTサポート等の実施状況ということで,これがレクリエーション等の行事,点字講習,歩行訓練等あって,特に今回のテーマであるパソコン講習が全国で44館,行われている。電子機器操作説明講習が64館,行われている。関連するところでは,盲人用具のあっせん販売等も35館で行われている。そして,パソコンボランティアの養成派遣も独自に15館が行われているということで,これは後ほど出てきますICTサポートセンターとの絡みがあるんですけれども,これまで全国の点字図書館では,とにかく自分たちが率先して視覚障害の方々に情報通信機器,特に1990年代のWindowsパソコンですとか,それから,デイジーの登場に伴って,そういう機器の操作説明,あるいはパソコンの使い方のサポートをしないと視覚障害の方の読書が進まないということで,例えば都道府県の単独の予算でそれをしたりとか,あるいは,ちょっと言いにくいところですけれども,ほかの事業の予算を回してしたりとかいう形で現実にやってきているところです。ですから,これが今後,基本計画以降,ICTサポートセンターですとか,あるいは公共図書館なんかと連携して,こういう実態的なサポートを本当にどのように進めていくかということで,ここの具体的な支援,できれば予算なんですけれども,のところも御検討いただきたいということで付けさせていただきました。
以上です。
 
【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは,議題1から議論をスタートしたいと思います。基本計画素案について確認をしながら進めてまいりたいと思います。事務局より,議事の進め方と,それから,資料の御説明をお願いしたいと思います。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 資料1をごらんください。前回の第4回会議でお示しした基本計画素案については,会議とのその後の意見照会で多くの御意見を頂きました。これらの御意見について関係省庁等で検討して,素案に追記・修正を行ったものが今回お配りした素案の修正版となります。これから追記・修正を行った主な部分について御説明してまいります。軽微の字句修正等は省略させていただきます。
まず,素案(修正版)の4ページとなりますが,項目としては1の「はじめに」の2の基本計画について,(4)の基本計画の対象,こちらの2つ目の文章に,「具体的には視覚障害者ディスレクシアと呼ばれる」といった文書を追加しております。趣旨としては,啓発の観点からディスレクシアという文言を本文に入れてほしいという御意見がありましたので,マラケシュ条約の第3条に基づいて追加をいたしました。また,マラケシュ条約の該当部分を脚注2で新たに示しております。
続きまして,同じく1の「はじめに」の3の意義と課題。1段落目の2つ目の文章を追加いたしました。「特に,学校教育段階においては」という文章については,学校教育や受験,資格取得,就労,職業生活等で必要となる参考書類も対象となるということを示すべきだという御意見を頂きましたので明記をいたしました。
また,次のパラグラフになります。「一方で,我が国において視覚障害者等が利用しやすい書籍等はいまだ少なく」とございます。この「視覚障害者等」に脚注の6をもともと示しておりましたが,脚注の中で,修正前の素案ではディスレクシアのことが正確に把握されていないと記載しておりましたが,これについてももう分かっている範囲で明記するよう御意見を頂きまして,通級指導を受けている学習障害のある児童・生徒数の文科省調査の結果を明記しました。
続きまして6ページ,同じく意義と課題のところで,6ページの真ん中あたり,「『借りる』に関しては」というパラグラフがございます。前の素案では,最初の「『借りる』に関しては,点字図書館と一部の公立図書館が,ボランティア・図書館協力者等の協力を得つつ,アクセシブルな書籍等の製作や貸出し等に取り組む」と記載しておりましたが,製作とそれ以外のサービスは並列ではないという御意見がありましたので,それを踏まえて分けるなど,書きぶりを工夫いたしました。
また2段落目,「一方で,これらのアクセシブルな書籍数が,ニーズに対して不足して」いて,「アクセシブルな書籍等の製作等に協力する人材の確保が難しくなってきており」のところですけれども,もともと「ボランティア人材が減少している」と書いておりましたが,竹下委員の御意見を踏まえまして,人材の確保が難しくなっていると修正をしました。
また,続いての同じパラグラフの最後に一文,追記をいたしました。「さらに,今後,アクセシブルな電子書籍等の販売が促進されるにあたり,視覚障害者等がそれら公立図書館で利用できるようにする観点も重要である。」というふうに御指摘を踏まえて追記をいたしました。
続きまして,2の基本的な方針の2,アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上,ページで言いますと9ページ目の3行目になります。この3行目の「特に,教育や研究に必要とされる」というような文章を追記しております。趣旨としましては,前回の御議論で,教育や研究に必要とされるような書籍が特に不足しているという御意見があったため,その点も進めていくように明記をいたしました。
続いて3の視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮の2段落目になります。障害者等が特定書籍等の利用を図書館で希望する場合の障害の確認については,御議論を踏まえまして,発達障害の方は手帳を有していないことも多くあるということを想定しまして,手帳や診断書によらず,柔軟な対応により障害の確認を行うということが適切であることを明確にいたしました。
続きまして,10ページ,3の施策の方向性になります。1の第9条関係の(1)アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実の4つ目のポツ,施策になります。こちらについて記述を充実させました。趣旨としては,国立国会図書館と日本点字図書館が現在,連携して,インターネット上で関係者の方が参画しながらアクセシブルな書籍を作るという取組を試験的に実施しておりますので,それにより得られた知見を活用した取組を行っていくということを明記いたしました。
続きまして,11ページ目,項目としては(2)の3つ目の施策になります。こちらは御意見として,特別支援学校以外の学校にも発達障害のある児童・生徒や学生が多く在籍しており,インクルーシブ教育システムの理念に沿って,それらの学校での読書環境を保障することが重要であるという御意見を頂きましたので,もともとあった記述を含め記載を充実いたしました。具体的には,1で点字図書館と公立図書館が学校図書館と連携を図り支援していくこと。そして,2は,もともと特別支援学校で視覚障害のある児童・生徒が図書館の利用方法について学ぶことができるように周知していくという内容で指摘でしたけれども,インクルーシブ教育の理念を踏まえて,特別支援学校に限らず,あらゆる学校で取り組んでいくように修正をしました。
また3と4は高等教育機関に関係することになります。3は,大学等が作成し,保有するアクセシブルな書籍等の所在情報を共有するためのリポジトリを国立情報学研究所において,現在,整備していくという計画がございますので,その取組を進めていくことを明記しました。また,国会図書館のデータベースとの一元化についても御意見を頂いておりましたが,それぞれ大学と国会図書館で収集する資料の基準が異なるため,国会図書館のデータベースとは別のシステムとはしながらも,両者で連携方策があるかどうかということを検討していくこととしておりますので,その趣旨が分かるように明記をいたしました。
続きまして,同じく(2)の最後の施策になります。下から4行目,点字図書館の利用対象者についての記述があります。こちらは,もともとは,点字図書館等の利用対象者の拡大について検討していくという記述でしたが,前回,点字図書館の名称の在り方についての御意見もあり,また,それに対して,この名称の在り方に関しては,協議の場としての検討事項ではない,時期尚早であるというような御意見も同様に頂きましたのでこちらでは,点字図書館等の利用対象者について,アクセシブルな書籍等を必要とする方が利用できるように制度面を含めて検討を行うという記載に留めております。
続きまして,2のサピエの第10条関係,ページとしては13ページで,項目としては3つ目になります。「このような取組を進めていく中で」という施策ですけれども,国会図書館とサピエ図書館のサービスに関して一元化が必要という御意見も頂きましたが,まだ一元化に関して関係者間で議論が進んでいないということもありますので,まずは,一義的には利用しやすいようにすることということを第一に考えながら,システムやサービスの内容を,改善を考えていくということが分かるようにいたしました。
続きまして,3の第11条関係の(2),ページとしては14ページの1つ目の施策になります。こちらは2行目,2文目を追記しました。「その際,視覚障害となる児童生徒及び学生等の」というところですけれども,趣旨としましては,児童・生徒や学生の研究や教育に関わるアクセシブルな書籍のデータ提供が特に課題であるといった御意見を頂きました。また,障害当事者である学校教員に対しても指導書等のデータ提供が一部に留まっているというような課題もあるということで,教育関係者や図書館関係者等,働く障害当事者への観点も入れるべきという御意見を踏まえて追記をしました。
また,2つ目の施策は新たに追加をいたしました。電磁的記録の提供については,流出の防止,作成に係る費用負担や,管理する仕組み等の様々な課題がございますため,出版関係者との検討の場を設け,電磁的記録の提供に関する課題や具体的な方法について,引き続き検討していく旨を明記しました。
続きまして,4の第12条関係ですけれども,変更点としましては,(3)出版者から書籍購入者に対する電磁的記録の提供促進,こちらについても,今,御説明した第11条と同じ趣旨で,同様の文章を追記しております。(3)の1つ目の施策で,「その際,視覚障害等のある児童生徒」といった文章を追記しております。また,2ポツ目に,引き続き検討していくという文章を追記しております。
金原の方に代わります。
 
【金原自立支援振興室長】 6以降でございますけども,前回の積み残しの部分でございまして,前回の協議会でも若干説明を加えて,次回に再度説明をしていただきたいというお話もございましたので,私の方から説明をさせていただきます。
6の端末機器及びこれに関する情報の入手支援,情報通信技術の習得支援につきましてです。記載ぶりにつきましては,委員から頂いた意見を踏まえて修正を加えたものと,あと,主に3でございましたが,この部分を本当に必要な方に支援が行くようにということ,御意見がございました。全て1,2,3含めてだと思いますので,まず一番上の文章で「支援の必要な方が必要な支援を受けられるよう」という文章を入れております。
それから,中身を簡単に説明しますと,点字図書館が今やっている事業,先ほど竹下委員からも御説明がありましたが,それと地域のICTサポートセンターというものがございます。それと,より地域密着の公立図書館というここが,3者が連携してやっていこうという事業でございますが,まず,ICTサポートセンターにつきましては,11ページの下の脚注にちょっと説明をさせていただいております。これは厚生労働省,我が部屋が持っている事業でございますけども,補助事業になります。15番の脚注でございますが,障害者等の情報通信技術の利用機会の拡大や活用能力の向上を目的としたICT機器の紹介,それから,貸出しとか利用に係る相談を行う事業をやっている。また,サピエ図書館などのインターネットサービスの利用支援等を行うパソコンボランティアの養成・派遣等の事業を行う。こういった事業を展開しております。ただ,現段階で言いますと,これは全ての都道府県と指定都市,中核市に対しての事業でございまして,今の状況ですとまだ27県市でございますので,そういう意味でも,16ページの2ポツ目にございますけども,このセンターの普及の支援ということもやりながら,先ほど言った3者の連携,役割分担,まだ今の段階でこういう役割分担というところは今後,検討だと思っておりますけども,有機的に連携をしていって,それぞれの端末機器の情報の支援ですとか,インターネットでの利用の仕方,こういったところを支援していこうと。加えて日常生活用具も,先ほど申したとおり,支援の必要な方が必要な支援を受けられるようというふうな形で何らか,この計画ができた段階で自治体に御配慮をお願いする通知等も考えております。
ただ,一方で,予算のお話もございましたけども,予算につきましては一応,政府における手続の中でやっていくということですので,この基本計画の中で,ここの部分で予算をというところはなかなか記載ができないということでございますが,この基本計画を参考にして,各省庁が予算要求をしっかり財務省にしていくということになると思っております。
それから,次のページになります。8番の製作人材・図書館サービスの人材の育成等というところでございます。まず(1)でございますが,ここについては,標題についても司書・司書教諭,教員等の資質向上ということで,文章についても御意見のとおり修正をさせていただいております。
それから,(2)番目の今度は製作者の方の人材の養成の話になります。18ページの2ポツ目の下のなお書き以降でございます。ボランティアのみに頼ること,ボランティアだけで今までやっていたところを,もう少しそこを考えた方がいいという御意見,いろいろございましたので,ここにつきましては,「ボランティアのみに頼ることなく,様々な方策を関係者間で検討していく必要がある。」という言いぶりにしておりますのは,まだ我々の方でも,どういう手を打って,あるいはどういうことをやっていったら,この人材確保ができるのかというところまで答えが出ているわけではございませんので,関係者の皆様,竹下委員も先ほどの状況,ボランティアの状況を御報告いただきましたけども,どういう形でこの人材確保をしていくかというのを皆さんと,きょう,お話をしながら,関係者とお話をしながら考えていきたいと思います。
その次のポツについては,こういう新しいアクセシブルな書籍等の製作を行う人材というところも,大きな人材の柱であるということで,御意見のとおり記載をさせていただいております。
それから,「おわりに」というところでございます。2段落目でございますけども,ここも御意見を頂いたとおり,地方公共団体や関係機関,当事者など,多くの関係者の理解が必要で,丁寧な周知を行うというところを追記させていただいております。これについては本当に,我々国としてもしっかりやっていく部分もあると思いますけども,当事者団体の方々についても,こういった理解,周知を積極的に協力いただきたいと思っております。
それから,18ページの一番下の段落でございますけども,「対象者である」というところからですが,視覚障害者等は,記載のとおり様々な特性があるということを付け加えているのと,ここは二分することなく,聴覚障害者や知的障害者の方々,高齢者や外国人の方々についても,しっかりとした配慮というのは施策を進める上で考えていかなければいけないというところを追記をさせていただいております。また,加えてアクセシブルな電子書籍,端末機器については,ユニバーサルデザインの実現を目指すということも重要というところを追記させていただいております。
以上でございます。
 
【中野座長】 どうもありがとうございました。全体の皆様から頂いた意見に基づいて修正された基本計画案を御紹介いただきました。
これからの議論ですけれども,前回と同じように,1章ごとに議論をしていきたいと思います。ただ残り時間が少なくなった場合には,前回積み残しのところから重点的に議論をさせていただきたいと思いますので,御了解いただければと思います。
それでは,まず最初に,第1章の「はじめに」の部分について御意見を頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。
この部分は前回もかなり議論をさせていただきましたし,先ほど説明していただいたように,基本的には皆様から頂いた意見を採用させていただいておりますので,特に問題がなければ次へと進ませていただきたいと思います。
では,第2章の基本的な方針について,御意見がありましたらお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。河村委員,お願いします。
 
【河村委員】 河村です。意見書でも出していることなんですが,やはりこの修正案もを見ましてもかなり気になるので,一言,意見を申し上げたいというふうに思います。まず全体を通じて,マラケシュ条約の対象者が,読書バリアフリー法によって私が懸念しておりますように,対象者を二分するということの弊害です。何でこういうふうに二分するのかなというふうにずっと考えてみたんですけれども,マラケシュ条約に対する理解について,私がずっとマラケシュ条約の成立以前からWIPOの会議等に出ていて考えてきたものとずれがある,というふうに思いましたので,その点についてまず一言,申し上げたいと思います。
具体的に申し上げますと,文書上では,ワールド・ブラインド・ユニオンというマラケシュ条約の交渉主体の中核の団体が今,WIPOのウエブサイトで公表しておりますガイドがあるんですね。ワールド・ブラインド・ユニオンのマラケシュ条約に関するガイドというものがございます。これをごらんいただきますとお分かりになるんですが,PDF版で言いますと46ページと91ページ,2か所にわたって,聴覚障害者あるいはデフの方々は対象に含まれると明確に言っています。
ところが,第1章の対象者を限定しているところでは,視覚障害者等という書き方があり,最終章では,視覚障害者等以外というところに聴覚障害者,知的障害者等というふうになっております。これについては,少なくとも交渉当事者として一番中核であるワールド・ブラインド・ユニオンの解説の考え方とも異なっておりますし,私がずっとWIPOの交渉の過程で考えてきたこととも異なっているので,もう一度,マラケシュ条約を根拠にする際にも,「紙で出版したものについて読書に支障のある障害のある人々は全部対象になる」という認識に基づいてこの法律の実施を考えていただきたいというところが最大のポイントでございます。
そのことのもう一つありますのは,マラケシュ条約の最終理念というのは,前回,私の発言に対して,それは理想であるというふうに皆さんおっしゃっていたんですが,やはりアクセシブルな出版が根本的に課題を解決するので,出版をアクセシブルにしていくということにおいて,これまで障害者セクターが蓄積してきた知見も提供するし,出版者も協力をして,全ての人が読める出版をしていく,そのことによって著作権の制限も最終的にはなくしていく,そこに大同団結した形で国際的な合意ができたのです。そこに至るまでのプロセスを具体的にどうしていくのかというところで,個別の障害に対していろいろな言及がされるわけですが,その際にも聴覚障害,知的障害は明確に範囲に入るということなんです。
よく誤解がありますのは,動画のアクセシビリティーというのはマラケシュ条約の対象でないというのは確かです。でも,紙で出版されたもの,あるいはウエブサイト,そういったものを読むことに支障がある,普通の読み方が難しいということが障害に起因している場合には,全ての障害のある人が対象になっているのです。だから,その第一義的に視覚障害者等があり,そのほかが対象ではないが配慮するというように障害者を二分するのではなくて,やはり最終ゴールに向けて,基本法としてはしっかり,対象者を二分することなく,それぞれの困難の障壁を具体的に解決しながら最終目的を目指すという理念を,やはり前文と同様にはっきり掲げていただきたいというのが私の意見でございます。

【中野座長】 どうもありがとうございました。これは第1章に関する御意見ということでございますね。ありがとうございます。
ただいまの御意見に対しまして,何か関連するような御意見があれば頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。宇野委員,お願いします。
 
【宇野委員】 後段におっしゃったユニバーサル的な出版というものが全ての読書困難者に対して有効である。これはそのとおりだと思うんですね。例えば子供のために全てにルビを振る,それが結果的に外国人で漢字の読めない人に役に立っていくとか,弱者のために大きな文字の本を発行する,それが高齢によってちょっと視力が下がった人にも有効である,こういうようなことはあり得ると思うんです。そういう意味では,この法律に縛られず,出版者がより多くの読書障害者を対象にユニバーサルな出版を目指していく,これは特段その法律でどうこうということではなくても,目指すべき方向で,そうなっていけば,こういう議論をしなくてもよいようになるのかもしれないと思うんですね。
前段におっしゃったことで,逆に教えていただきたいのは,WBUが出している解説書というものとマラケシュ条約の3条が提起している受益者,ここに聴覚障害者は現に入っていないわけですね。この3条に基づいて,その後,日本の著作権法においても,それまで視覚障害と発達障害,プラス肢体不自由の人とか,眼球使用困難者を37条3項に入れるという法改正が行われた。と同時に,その受益者や権利制限対象者というふうに流れてきていますので,それに基づいて読書バリアフリー法の対象者というのも進んできているわけです。
ですので,マラケシュ条約との3条,マラケシュ条約の3条の受益者について,そのWBUの解説とのそごがあるんじゃないかと思うんですが,そこはいかがなんですか。
 
【中野座長】 河村委員,お願いします。
 
【河村委員】 先ほど申し上げましたように,3条の解説のところでオーディトリ・インペアメントという言い方をしております。つまり,聴覚障害が含まれるということをWBUの解説書では91ページで明確に言っております。そのほかのところでも,1つ,デフネスという言葉を使ってリファーしています(※最下部に注釈あり)。
もう一つ,宇野先生がおっしゃった後段のことですが,日本では,大規模な著作権法改正は2010年1月1日施行の改正で行われておりまして,そのときに図書館関係の協議会が結束しまして,それの法解釈のガイドラインというものを設けて,これも公表して,その中に幅広い,今回,新しく入ったというふうに解釈される方もおられると思うんですが,本を持てない方とか,幅広い様々な障害で読書ができない方というのは明確に含まれるという解釈を37条の3項についてしておりまして,それに基づく公共図書館等のサービスは定着をしております。
従いまして,今回のマラケシュ条約の批准というのは昨年の1月1日ですが,それ以前から,既に日本ではマラケシュ条約のレベルの広い意味での読書障害者に対する図書館のサービスは,法令上もまた実践上も十分ではないとは思いますが,始まっていたし,定着しつつあるという認識をしております。
 
【中野座長】 宇野委員,よろしいですか。
 
【宇野委員】 はい。
 
【中野座長】 続いてお願いします。
 
【宇野委員】 これは専門的にちょっと第三者的な弁護士の先生とかにお伺いしたいなと思うんですが,ガイドラインの扱いというのは,確かに2009年の著作権法改正で対象が視覚障害プラス発達障害の人も含まれた。いろいろな解釈においてグレーなところもあったので,日本図書館協会を中心に権利者側,著作権者とか出版者側と,そのグレーラインをもう少し明らかにすべくガイドラインを,いわば民々の関係で作ったということは,その締結に含まれる公立図書館とかは当然ながら,当時の37条3項の権利制限以上の幅広い人を対象に複製等ができる,これはもう権利者側が認めているガイドラインなので,そうなったんだと思います。
その締結に加わっていない,例えば点字図書館とか,そういうところが同じように,日本図書館協会が作ったガイドラインで全てのことが全ての対象者にできるかというと,やはりそれは締結の当事者になってない限り法律上の枠組みでしかできなかった。それが2018年の改正によって,日本全ての人たちに対して権利制限の対象が広がったというふうに私は理解していたんですが,このあたりは本当に法律の専門家にちょっと聞いてみたいなというふうに思うところです。
 
【中野座長】 ありがとうございます。事務局から何かございますか。特にありませんでしょうか。
いかがいたしましょう。「はじめに」のところがここで平行線になってしまうと,議論そのものが進んでいかないという話になってしまいますが,全体的にはもちろん,ここにおられる皆さんは障害を二分するという考え方はもちろん持っていないということは,河村先生も御理解いただいてるんだと思います。全体を通して,視覚障害等ということで,バリアフリー法の趣旨にのっとって今回の計画というのを構築させていただいているというのが現段階で,様々な障害についても,それぞれのところでそれなりの配慮というのをした上でまとめさせていただいている。特に最後のところでは,そのことを明確に位置付けるというようなこともさせていただいているわけです。
これは今,ここで宇野委員からも,法律上の解釈も含めて考える必要があるんじゃないかという御提案が出てきましたけれども,ここに法律の専門家を今すぐにお呼びして議論を進めていくというのはちょっと難しゅうございますので,一旦,この問題は最後にもう一度議論をさせていただくことにさせていただいて,具体的な内容の方を先に詰めさせていただきたいと思いますが,河村委員,そういう進め方でよろしいでしょうか。
 
【河村委員】 結構です。
 
【中野座長】 御了解いただきましたので,それでは,第2章のところでの御意見を改めて頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。第2章は基本的な方針ですね。よろしいでしょうか。
では,時間も押しておりますので,第3章に進ませていただきたいと思います。第3章は施策の方向性ということでまとめさせていただいてますけれども,この点について御意見ありましたら,お願いしたいと思います。この部分は前回の積み残し部分というのもございますので,よろしくお願いいたします。
 
【竹下委員】 よろしいですか。
 
【中野座長】 はい。竹下委員,お願いします。
 
【竹下委員】 3章は幅が広いので,私の言いたいことが後ろの方なので,言っていいかどうかと思ってちょっと躊躇したんですけども,この前の積み残しということで触れさせていただきたいと思います。
場所としては,基本計画案の16ページですか,6の端末機器等及びこれに関する情報の入手支援,情報通信技術の習得支援ということで,これについては,最初に私から補足説明させていただいて,金原室長さんからも御説明を頂いたんですが,念押しということで恐縮ですが,させていただきます。
この6の端末機器等のところでは,1つ目は,点字図書館と公共図書館が地域のICTサポートと連携して情報入手の支援を行う。2つ目は,点字図書館と公共図書館が,公立図書館が連携をして,特にサピエ図書館や国立国会図書館のシステム等について,その利用方法についての習得支援をするということで,支援,支援と書いてあるわけですね。支援について,繰り返しになって恐縮ですけれども,この最終案では,かなり私がお願いしたことは最大限に取り入れてもらっていると思うんですけれども,やはり具体的な支援をとにかく国あるいは関係省庁からお願いをしたい。現実にこれが非常に大きな課題です。
ちょっと話が脱線しますけど,この協議会でも何度かお話ししましたが,昔の例えば点字図書を読む,あるいはカセットテープで録音図書を聞くというのに比べて,今は本当に情報機器の操作が高度化をして,多様化をして,複雑化し,そして,しかもどんどん変わっています。私は,例として点字図書館はこれだけやっているということを申しましたが,読書バリアフリー法に基づいてどんどん利用対象者を広げていくときに,とても点字図書館では視覚障害以外の方の専門性を持ち合わせていませんので,実際には十分カバーできません。ですから,ICTサポートセンターが出てくると思うんですけれども,そういう意味で,ここのところ,本当に具体的な支援をしていただかないと,使える人はどんどん使えるけれども,使えない人はどんどん取り残されていくということが今後生じると思いますので,そのことを,繰り返しで恐縮ですが,お願いをしていきたいと思います。
以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございました。竹下委員,今のお話は具体的に何かここ,今回,この会議での議題1では,この基本計画素案というのを,案を取って,これを基本計画としていくというのがきょうの議論の目的でございますので,委員がおっしゃられたように,頂いた意見というのは最大限に取り入れて,この中に掲載させていただいているつもりではあるんですけれども,具体的にこの部分をというようなものがもしあればお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
 
【竹下委員】 気が小さいので,言うのに気が引けるんですが,要は財政的,予算的なところになかなか踏み込めないというお話がどうしても全体にあって,それを理解した上でですけれども,その支援というものが,本当に支援という言葉は意味合いが広くて,気持ちの上で応援しても支援ですよね。実際に具体的な支援策をとらないとここに書いたことが実際には進んでいかないということを是非お考えいただきたいということです。
 
【中野座長】 ありがとうございます。きょうの議題2のところで今後の進め方とも関わる話になるかと思いますので,今の御意見ですと,特段どこかの文章を修正するということではなくという理解でよろしいでしょうか。
 
【竹下委員】 はい,それで結構です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。では,手を挙げていただいた藤堂委員が最初,それから見形委員という順番で御意見をお願いします。藤堂委員,お願いします。
 
【藤堂委員】 藤堂です。2のインターネットを利用したサービスの提供体制というのと,今,竹下委員から御指摘のあった件に連動していると思うんですけれども,サピエ図書館というのを使うというのが大前提になっているようなんですけれども,竹下委員がおっしゃったように,私たちディスレクシアの人たちが使い勝手のいいものを所蔵されているわけではないと,もともとの目的からいって違うということで,それが大変な負荷になられるという提供側の御意見だったんですけど,今度,利用者側から言うと,ここにもサピエ図書館をそことするというふうに限定されてしまうと,なかなか私たちとしては利用が難しいということがありますので,ここに全て国会図書館とサピエ図書館のサービスというふうに限定しているような書きぶりというのをちょっと改めていただきたいなと思うんですね。
サピエ図書館にその機能を本当に求めるのか,それとも,よりよい,もっとこの受益者が広がったところで,それに応えられる機能を持ったものを新たに作るのか,又は,うまく融合していくのか分かりませんけれども,そういうものを検討するということを入れていただかないと,現在のサピエが所蔵していらっしゃるものでは,所蔵するのに1つの標準があるわけですね。こういうものしか集めないというのがあるので,それでは十分に私たちのニーズに応えることはできないと思いますということです。
 
【中野座長】 ありがとうございます。これは今のこの計画の書き方でも,サピエ図書館だけではなく,国会図書館や,それから公立図書館等を併置する形で書きながら,サピエ図書館に限定的な部分というのもあるというふうなまとめ方になっているかと思うんですが,藤堂委員の御意見では,それを具体的にどういうふうに変えるというような御指摘はございますでしょうか。
 
【藤堂委員】 例えば12ページの一番下のところから,このような取組を進めていく上にというところで,国会図書館とサピエ図書館のサービスについてと言い切ってしまっているんですけれども,そこに何かもう一言,検討対象としてより受益者が増えたところでサービス提供,インターネットでのサービス提供がしやすいものを検討するという,この2つに限ることはないのではないかということです。書きぶりに一言,何らか,私は日本語力がないので何という言葉を加えたらいいか分かりませんけれども,検討事項としてこれだけでいいのか,それとも,ここのサピエの機能を増やすんだったらば,それなりの人が必要だろうし,予算も必要だろうけれども,ただ,ここに限定する必要がありますかということだけです。なので,そこが伝わる日本語があってほしいなと思ったんです。
 
【中野座長】 ありがとうございました。これは事務局から説明がありましたように,現在取り組まれているサピエと国会図書館との取組をここで具体的にまとめていただいたというものかと思いますが,事務局の方で何か修正の可能性というのがございましたら,御意見を頂きたいと思いますが。
 
【金原自立支援振興室長】 事務局です。今段階でサピエと国会図書館以外で新たにというサービスを直ちに考えていくというのはなかなか難しいのかなと思っており,サピエ図書館,竹下委員としっかり話し合っているわけではないんですけども,今,藤堂委員が言われたように,サピエ図書館の今のデータ所蔵の部分というのは当然,視覚障害者のための施設だったわけなんでそういう部分はあるんですけども,例えば12ページの上のポツでございますけども,いわゆる点字図書館等の利用対象者について,アクセシブルな書籍等を必要とする方が利用できるような制度面を含め検討を行うと,その次の文章でも,受入れ環境の整備・アクセシブルな書籍等の充実,その検討結果を踏まえということなので,今の所蔵のデータのままではない形で考えていくというのをここでも検討をしていこうと思っております。
また,そのシステムの部分につきましても,例えばサピエ図書館については今,当然,視覚障害者の方以外も登録をされているということがございますから,そういう会員の方のニーズにも応えていくというふうなことを我々は考えていこうとは思っております。ただ,今どこが,言われたように,全く新しい何かを作り上げるということをここで今,考えていくというのはなかなか計画上では厳しいのかなと思っておりますけども。
 
【中野座長】 藤堂委員,いかがでしょうか。
 
【藤堂委員】 計画の中にやはり新しい取組を含めて考えていただきたいと思うんですよね。検討事項の中にです。それが,例えばこれが何年間になるかとか,今後の取組というところでの話になると思いますけれども,この枠組みじゃなくちゃいけないんだということを前提にしないでおいていただきたいなと思います。
 
【中野座長】 今のお話ですと,今のこの原案だとすごく限定的なものなので,それ以外の検討も行ってほしいという御意見ということで,藤堂委員,よろしいでしょうか。
 
【藤堂委員】 はい。
 
【中野座長】 事務局の方でちょっとこれは考えていただいて,現在,事務局案は皆様から頂いた御意見及び,この計画というのは5年間で実現していくということを目標にしておりますので,実現可能性のあるようなものというのを根幹に置いて計画案というのが立てられているかと思います。その意味で言うと,これから具体的に例えばどういう取組をするかというのが明確でないものに関しては,ここには必ずしも書かれていないというところがあるかと思いますので,そういった書き方というのができるかどうかというのは,ちょっと御検討いただくということでよろしいでしょうか。
 
【金原自立支援振興室長】 はい,検討させていただきます。
 
【中野座長】 藤堂委員,それでよろしいでしょうか。
 
【藤堂委員】 はい。ありがとうございます。
 
【中野座長】 ありがとうございます。では,見形委員,お願いします。
 
【見形委員】 皆さん,こんにちは。聞こえますか。DPIの見形です。よろしくお願いします。きょうはスカイプで参加なので,済みません。最初の方がちょっとよく聞こえていなくて,的外れなことを聞いてしまうかもしれません。その際は失礼します。私の意見を,意見書の方のところが,前回,途中だったということを聞いていたので,その旨を申し上げてもよろしいですか。
 
【中野座長】 お願いします。
 
【見形委員】 意見書その1とその2で,皆さんお手元に資料がありましたら,見ていただきたいです。上肢障害の者の立場として該当箇所がP12と書いてあります。(2)のところなんですが,やはり電磁的記録の提供を促進するために,阻害要因を検討し,改善する検討会を立ち上げてということで,行動計画を策定するといった趣旨の文言を入れないかということが書いてあります。これについても,もう先ほど検討済みという形になっていたのでよかったでしょうか。
それから,意見その2もP13と書いてありますが,出版者から書籍購入者に対する電磁的記録等の提供と促進のための環境整備に対して,これは上も下も経費に対する国の助成についてということで明記していただけないかということ,おそらく,出版業界もテキスト化に協力していただきづらいということを聞いているので,その辺は検討課題として入れていただけているのかという確認をしたいです。いかがでしょうか。
 
【中野座長】 ありがとうございます。では,事務局より御返答をお願いします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 経済産業省様からお答えをお願いします。
 
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】 経済産業省です。前回,たくさんの先生の方から,この電磁的記録の提供については御意見を頂きまして,今回,今後その出版,いろいろな,ここにも,基本方針で言うと14ページの(2),(3),そして,11条の関係ですと同じ14ページの上段の部分にも書かせていただいているんですけれども,いろいろテキストの流出の防止とか,今,委員からあった作成の費用の在り方とか,その管理というのは,課題があるというのは今,聞こえております。これ以外にもちょっとまだいろいろ課題もあるというところもあるかと思いますので,まずは出版関係者との検討の場というのを設けて,まず何が課題があるのか,その中でどういうふうにしてここを達成していくのかという具体的な方法を検討していきたいという形で,今回,記載させていただいています。
見形委員からお話があった財政的なものというのも含めて,この辺は,財政的な支援がいいのかどうかも含めて,この出版者の検討の場の中でいろいろ考えていきたいなと考えております。
以上です。
 
【中野座長】 見形委員,今の御説明,いかがでしょうか。
 
【見形委員】 ありがとうございました。補足なんですけれども,これは前回意見に通じると思うんですけれども,やはり一般化していくというか,この制度が生きたものになるには,こういった障害をお持ちの高齢者の方や,高次脳機能障害の方も入っていらっしゃいます。いろいろな人が使える制度にしていかないといけないと思うので,できるだけ一般化というか,特別な法律ではないというふうな感覚を持ってもらえるような位置にしていかないといけないのではないかと感じています。是非このためのテキストデータだとか,出版者の方たちとの協議は是非早急にやっていただきたいなと思います。
以上です。ありがとうございます。
 
【中野座長】 ありがとうございます。現在の計画案にも,検討の場を設けていくということについては書き込ませていただいております。予算については,先ほど最初の説明にありましたように,予算を付けるとかというような書き方はなかなかできないということですので,必然的に検討の中でこういうことが必要であるというような御意見が出ていけば,それを実現するために各省が財務省に対して予算の請求をしていきながら,それを実現していくというような流れになるという御説明でございますので,ここで検討はしっかりと行うというふうに考えていただいてよいかと思いますが,見形委員,よろしいでしょうか。
 
【見形委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【中野座長】 ありがとうございます。
それでは,ほかに御意見ありましたら,お願いしたいと思います。もう最後のところまで全部でございますので,お願いします。では,お願いします。
 
【髙橋委員】 16ページの3,地方公共団体による端末機器等の給付についてでございます。前回も要望という形でお願いをしたのですが,これは国のこの基本計画を基にこれから地方公共団体が計画を立てる際に検討してもらいたい項目でございます。今のこの表現のままでは,従来の日常生活用具給付事業の域を出ない可能性があると思います。それで,前回は支援の必要な方が必要な支援を受けられるようにということでお願いをしまして,その言葉は確かに冒頭に入れていただきましたが,この給付のところに書かれていないので,果たしてこれで地方公共団体の方が気付いてくれるかということもあります。もしできれば,端末機器等の給付制度の弾力的な運用のような形に書き加えていただくことが可能かどうか。
そしてまた,細かい点では,給付対象者の拡大ですとか,給付品目の拡大ですとか,耐用年月の縮小ですとか,そういった運用の弾力化についての具体的内容は先ほどご説明のあった地方自治体への通知で補完していただくということでよろしいかと思いますが,いかがでしょうか。
 
【中野座長】 事務局より御回答をお願いします。
 
【金原自立支援振興室長】 すいません,もう1回確認なんですけど,弾力的な運用については,先ほど私の方でお話ししましたその通知なりでという形で,支援の必要な方が必要な支援をというのは丸3のところにしっかり記載をしてくれというような,今,御意見だということで。
 
【髙橋委員】 本文の方に「給付制度の弾力的な運用」という形で書き加えられないかということが質問です。
 
【中野座長】 3の部分ですよね。
 
【髙橋委員】 はい。
 
【中野座長】 いかがでしょうか。
 
【金原自立支援振興室長】 若干その「弾力的な運用」というのがどういうことなのかという,逆にそういう懸念も出てくるのかなと思いますけども,ちょっとそこの書きぶりといいますか,いかに通じるかというのも考えさせていただきたいと思いますけども,先ほど若干説明をしましたけども,この基本計画が出た段階で,厚生労働省とすると,こういうことというのは,これはこういうことですという形で自治体にお示しをする,基本計画の段階なのか,あるいは先ほどもちょっとお話もしましたけども,場合によってはここで予算要求みたいなところも今後検討していくとするとなると,その予算の段階で言うということもあると思っています。
どちらにしても,今,髙橋委員言われたように,何らか自治体にしっかり伝わるということは今後計画策定後を含めてやっていきたいと思っております。
【中野座長】 髙橋委員,よろしいでしょうか。
 
【髙橋委員】 はい。では,国の費用負担も含めて御検討いただければと思います。
 
【阿部委員】 関連でいいですか。
 
【中野座長】 では,関連してということですので,阿部委員,お願いします。
 
【阿部委員】 ただいまのお話との関連なんですけれども,地方公共団体ではというか,それぞれの市町村では,来年度,まさにもうすぐ来年度には,障害福祉計画及び障害児福祉計画の策定という作業に入っていくわけですけども,その重要性がアピールできれば,まさに先ほどの委員のお話のように,地域生活支援事業の中の日常生活用具であれば,やはり地域でアピールしていかなければ,なかなか実現性が難しい。そのほかに財源が付くことというのはすごく有り難いことですけれども,もうその作業に入っていくという段階でありますので,その辺のところ,例えばですけれども,社会保障審議会の障害者部会の基本指針の中ではこの辺のところには触れることはあるのですか,ないのでしょうか。その辺について確認お願いします。
 
【金原自立支援振興室長】 障害者部会でやっています障害福祉計画の基本指針の方は,今年度中に策定という形で自治体の皆さんにお示しすると。どちらかというと,いわゆる法定の福祉サービスの方の需要みたいな部分で,余り補助金の部分というのは細かく積み上げたりというところは,正直言ったら,ありません。ですから,障害福祉計画の基本指針の方に余り反映というのはできないと思っていますけども,この読書バリアフリー計画という,まだ障害福祉計画の基本指針法に基づく基本計画ができるので,そことの,それもしっかりと認識した上で基本計画を策定していただきたいというような文言については入れると思っております。
 
【阿部委員】 と申しますのは,今年度というのはもうすぐ終わりであって,まさに4月から計画策定です。地方公共団体の施策策定委員には障害当事者も,障害当事者という言い方が言葉を選ばずに言ってよかったかどうか分かりませんけれども,自分たちもしっかり発信していく必要があるということです。そうでなければ,裁量的経費の中でですから,そういうことを確認して自分たちも取り組みたいと思います。以上です。
 
【金原自立支援振興室長】 ありがとうございます。なるべく早く自治体が計画を作り終わる前に,この読書バリアフリー法の基本計画も自治体にお示しして,そういう意識を高めていきたいと思っていますので,是非御協力をお願いしたいと思います。
 
【中野座長】 非常に積極的な御意見ありがとうございました。
河村委員,お願いします。
 
【河村委員】 今のと非常に関連しているんですが,GIGAスクールの構想で,あと数年で一人1台,小中学校に端末が入るという構想が予算化もされているというふうに伺っておりますが,そういったものを,読書障害者のニーズに応えられる端末機器として活用していくというのは非常に効果的だと思うんですね。
ですから,せっかく文部科学省で進める施策ですので,そういったものとの連携というのを書き込めないものだろうかというふうに特に端末機器のところでは思います。具体的にここの文章をこういうふうにしてというのは今,思い当たらないんですが,このGIGAスクールの構想をみすみす見逃す手はないんではないかというふうに思います。
 
【中野座長】 河村委員,具体的にというのは明確にはないとおっしゃられたんですが,どのあたりにというふうにお考えですかね。それから,GIGAスクールも今後,今回の基本計画というのはもしかしたらGIGAスクールよりもっと息の長いものかもしれないので,余り短期的な目標のところに縛られてしまうのも,もしかしたら基本計画としてはそれに縛られてしまう可能性も含むかもしれないので,これ書き込む際にはかなり慎重に考えて,縛られてしまわないように書く必要性があるかなと思うんですが,例えばどのあたりに書き込んだらよいかとお考えでしょうか。
 
【河村委員】 具体的には,16ページの一番下のところの丸ポツに学習指導要領のことが触れられているんですね。ここでは一般論として触れているんですが,ここに例えば例示として,GIGAスクール等で導入する端末については,ここで掲げているような配慮を持って行うこととするというふうにしていいのか,そこが分かんないんですけれども,そこの表現はお任せしたいんですが,それを参照しておいて,見ていますよというのが重要ではないかと思います。
 
【中野座長】 この件に関しまして,ほかの方で何か御意見ございますでしょうか。植村委員,お願いします。
 
【植村座長代理】 植村です。私も河村委員が指摘されたGIGAスクールのことについて別な観点から考えておりました。,14ページの4番にアクセシブルな電子書籍等の販売等の促進とあります。アクセシブルな電子書籍が増えることが実は一番いいわけです。ですが,ここを読んでいますと,この促進に関しては,1番が技術の進歩に関する規格の促進で,2番が著作権者と出版社の契約とあり,何か物足りなく感じます。具体的に出版社がアクセシブルな電子書籍をどんどん作れるのが一番いいわけで,そのためにもっとできることがあるはずです。
一例をあげれば,15ページの4,その他に,図書館で導入を支援しろというのがあります。同様に,小中学生が電子端末をみんな持つのだったら,そこを受け口としてアクセシブルな電子書籍がより増えるような方策が,あっていいんじゃないか。
例えば,子供たちが国家の経費で買う端末ですので,これは政府調達でもあります。思いつきですが,そこにアクセシブルな電子書籍が増えるということが書けないでしょうか。電子書籍の増加策がちょっと足りない。単に促進するのが,規格の普及と著作権者との契約だけじゃないだろうと思った次第です。
 
【中野座長】 ちょっと大きな話がこの段階で出てきているわけですけれども,端末の話,私も個人的にはすごく難しい問題だと思っているのは,これ日進月歩で変わっていきますので,例えばGIGAスクールで縛ってしまうと,そこで配付されるものがアクセシブルなものであればよしとなると,更新ができないという問題等を抱えてしまうかなという,そういう危惧というのも考えるところでございまして,一番重要なことは,その時々で提供されるアクセシブルなものが,ストレスなく読むことができるような端末が必要だというのが,どこかに書き込むか,若しくはそういう検討をちゃんと続けていくというようなことがどこかに記載されている,若しくはそれが読み取れるというふうになっていればよいのかなというふうには思うんですが,これ議題2とも関わる話だと思うんですが,ここで細かなところまで全部計画ができるかというと,それをやっていると,どんどんこの計画の立案が遅くなってしまいますので,先ほど阿部委員からのお話もありましたが,これがずっと延びていってしまうと,自治体等でのスタートが遅くなってしまうというもう一つの問題がありまして,これもともと短い期間での議論ですので,この議論を踏まえて基本計画が作られて,実際にそれを実施しながら,検討も加えながら回していくというようなことも考えておく必要性があるかなというふうに思います。
その中で,いや,それでもなおかつこの基本計画のところに今記載しないといけない項目であるかどうかというところで,皆さんの御意見というのを集約することができればというふうに思いますが,植村先生,そういう観点で見ると,いかがでしょうか。
 
【植村座長代理】 はい,具体的にちょっとだけ修正していただきたい点についてですが, 14ページの2ポツ目,新たに「電磁的記録の提供については」の書き加えがあります。これはこれで重要な書き加えですが,ここを読むと,提供できない課題が書き込まれています。
いつも文言の解釈でもめるのは,この「や」の使い方です。2ポツ目の3行目,「電磁的記録の提供に関する課題や具体的な方法」ですが,「提供に関する具体的な方法」と読んでいいのでしょうか。課題というのは提供に関する課題だけで,それ以外ざっくりと具体的な方法について検討していくと読み取られると,かなり引けた印象です。修正案としては「電磁的記録の提供に関する課題や,促進に関する具体的な方法について検討していく」というふうにしていただけないでしょうか。
 
【中野座長】 今,14ページの上から2ポツ目についての修正の御意見というのがありましたけれども,事務局の方で何か御回答ございますか。
 
【冨田コンテンツ産業課課長補佐】 経済産業省です。植村先生から頂いた意見ですけど,確かにこの中に電子書籍の促進というところがまず入っていないというのは御指摘のとおりだと思います。電書協さんもいらっしゃるんですけれども,電子書籍自体のカバー率というのも,シェアというのも増やしていくというのは一方であると思います。なので,その御意見については,はい,それも含めて検討していくということだと思います。
 
【植村座長代理】 今のところは15ページの2ポツ目も,同じ文書ですので,同様に,とにかく促進について検討していくということを明記していただきたいと思います。
 
【中野座長】 御意見ということで,ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では,竹下委員,見形委員という順番で手が挙がりましたので,その順番で御意見をお願いします。
 
【竹下委員】 そろそろ時間がなくなりそうなんで慌てているんですけど,前回の積み残しのことで,また繰り返して申し訳ありません,ボランティアのところです。記載修正案の18ページのところにまとめていただいております。私,前回第4回のところに意見その1として出したんですが,時間切れで発表する時間がなかったんですが,全視情協,あるいは点字図書館として,改めてこの問題についてボランティアをいかにして支援を得つつ,しかも今後の体制を考えていくかというときに重要だと考えたのが,専門職員を配置すること。ボランティアの方々を本当に専門的に更新もし,サポートもし,いろいろアドバイスもしていく専門職員が要るだろうということです。
それからもう一つ,形はどうあれ,やっぱり有償化をとにかく何らかの形で進めていかなくちゃいけないということを強く要望したいと思っているわけです。
これについて,そのことを踏まえて,最終文案,例えば点訳奉仕者,音訳奉仕者を点訳者,音訳者,アクセシブルな電子データ製作者等の人材の養成ということをしていただいたり,あるいは点字図書館と公立図書館等が人材の募集や養成活動支援等に計画的に取り組むことができるよう支援を推進する。それから,そもそも読書困難な方々の読書というのはボランティアに依存するものではなくて,国や社会の責任であるということについては,最後に「ボランティアのみに頼ることなく,様々な方策を関係者間で検討していく必要がある」ということで,恐らく最大限,できる限り入れていただいたと思うんですが,改めて,くどいですけど,私どもは今後これから5年間かけて,ボランティアの方を本当に支える。当面ボランティアの方なしには視覚障害者,読書障害者の方々の読書が成り立たないということで,そういうボランティアを支える専門職員の配置と,それから,とにかく何らかの形で専門的な技術に対するやはり有償化ということをお願いしていきたいというふうに思っています。これは意見です。
もう一つ,すいません,時間切れになるかと思います。修正案の10ページ,施策の方向性の1番のところで,アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実と,円滑な利用のための支援の充実というところがあります。私,この前,前回,郵送の問題が少し出たと思うんです。この前も出たと思うんですが,今,視覚障害の方はもちろんですけれども,これから身体障害とか高齢の方々の,いわゆる電子化されていないアクセシブルな書籍の利用については,本当に有り難いこと日本郵便によって支えられている第四種郵便の無料郵送できることは非常に大きいと思っているわけです。
ただし,非常にこの先について不安がありますので,この本文の2番の円滑な利用のための支援の充実のところで,提供方法について,そういう障害のある方の本を利用する上での提供の方法についても検討するというようなことが,多分ここに書かれていないと思うので,書き加えていただきたいなということが要望です。以上です。
 
【中野座長】 御要望ということで承らせていただきたいと思います。ありがとうございます。見形委員,お願いします。
 
【見形委員】 DPIの見形です。幾つかあるんですけれども,1つが,今後のことで確認です。この法律,この協議会が終わった後も継続して会議を行っていくということですけれど,障害当事者の参画というのは必ずしていただきたいということを,再度お願い致します。例えば図書館とか,そういったところの人たちのサポートというか,障害当事者の声を直接届けられるようなシステムの構築も是非。読書障害者の立場の人たちが関われるようなものもできることだと思うので,この法律を応援していけないのかなと思っていること。司書さんの資質向上というところもあると思うんです。そういったことも検討していただけるのかということとか,今後障害当事者がもう少し盛り上げていかないと,この制度はうまくいかないと思うので,その辺が私たちの課題かなと感じました。
それから,サピエの皆さんがおっしゃっていますけれども,ボランティアがかなりの部分支えていらっしゃるという現実があるので,その方たちのサポートはもちろん継続していかなければならないと思いますし,専門性の高い仕事というところで安定した雇用契約とか法制度とか,きちっとやっていかないといけないと思います。その辺もしっかりサポートしていける体制作りが重要かと思っています。
最後に,この問題が先に進んで,まずこの法律案を通していかないと次に進めないのかなと思っています。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございました。非常に積極的な御意見を頂いてとても心強く思っています。「おわりに」のところには当事者の役割というのも書かせていただいているわけですが,これ計画を立てて実現していく上では,見形委員から今御指摘いただいたように,当事者団体も積極的に関わりながら,これを内容のある実行力のあるものにしていくということは重要だと思いますし,この後の議題2で議論をさせていただきますが,これはここで議論をしておしまいではなく,この後に続いていきますので,今後の展開については議題2の方で取り上げさせていただきたいと思います。
今の御意見で,事務局の方から何か補足することがございますか。特にないですか。はい,ありがとうございます。見形委員,よろしいでしょうか。
 
【見形委員】 ありがとうございました。
 
【中野座長】 ありがとうございます。そろそろ時間が厳しくなってきているんですが,今,手が挙がっているお三方にそれぞれ御意見をまず頂きたいと思います。安形委員,上田委員,宇野委員という順番でお願いします。
 
【安形委員】 安形です。7ページ目の真ん中あたりに「電子書籍の市場規模は2018年時点で2割弱に留まり」とあるんですけれども,私自身がタイトルベースで調査をした電子書籍がどのぐらいのタイトルが出ているかという調査によれば,2017年の出版物36.6%が電子化されていると。ただし,その多くがコミックや小説であるというところですので,これ自体は間違いではないんですけど,2割弱と36.6%ですと大分印象が変わるかなと思いますので,何ていいましょうか,この現状認識の正確性の意味でちょっと指摘させてください。
 
【中野座長】 事務局より何かございますか。これ,今回は多分根拠が明確なものだけを掲載しているというふうに理解しておりますが,いかがでしょうか。
 
【金原自立支援振興室長】 ありがとうございます。ここで書かせていただくとなると,何らか公的な調査といいますか。今ここで書かせていただいているのは,下に7ページの脚注にありますけども,公益社団法人全国出版協会の発表されているものという形で,こういう公的な機関から発表されたという形で記載をさせていただく形になるんですけども,どういう形で書かせていただければ。
 
【安形委員】 例えば,市場規模では2割弱にとどまりなんですけれども,2017年の出版物に関してタイトルベースで見ると36.6%という調査もあるみたいな,何ていうんでしょうね,つまり2割弱と36.6%という数が大分認識として違うのかなというところで,何がしかの配慮をしていただけると。
 
【金原自立支援振興室長】 何かしら公的な数字を頂ければと思っておりますので,是非御協力いただければと思います。
 
【中野座長】 関連したところで吉澤委員。
 
【吉澤委員】 今,その数字のところなんですけど,実は紙の出版物は出版科学研究所とかやっていますけど,電子書籍に関しては,実は正確な数字はないというところで,多分,この市場規模というのは同じところから取っているのであるんですけれども,おっしゃられたそのタイトル数ということで考えると,非常にこれも難しくて,何をもって電子書籍のタイトル数かという,出版物のは大体出ていますよね,年間8万とか。この数字に関してはまだ定まっていないというのが事実です。
 
【安形委員】 安形です。私自身が調査をしたのは,国会図書館に納本された資料のサンプルを,サンプル5,000ぐらいのタイトルがどのぐらい電子化されているかということに関して調査をしましたので,基本的には,何といいましょうか,正確な数字だと思います。以上です。
 
【中野座長】 これはいかがいたしましょう。個々のデータに関して言うと,多分これ以外のところも私を含めて様々な研究が行われているので,その類を全部載せていくとなると,かなり膨大なものになってしまうかと思いますので,例えば,この2割というのが不適切であれば,この引用そのものを削除するとか,そういうやり方にしていかないと,ほかのところも,このデータもこのデータもというふうになっていくかなと思うんですが,安形委員,いかがでしょうか。
 
【安形委員】 その方がいいと思います。以上です。
 
【中野座長】 ここを削除する。
 
【安形委員】 はい。2割弱という認識が多分ちょっと不正確かなと思います。市場規模が2割弱なら正しいんですけれども,タイトルベースで見ると,またもうちょっと違うということです。
 
【吉澤委員】 これは,でも,売上げじゃないんですか,市場規模って。
 
【安形委員】 市場規模は売上げなんで,いいんですけれども,つまり,特に教育や研究において求められる電子書籍は極めて少ないことの根拠にはなっていないですよね。
 
【吉澤委員】 それとは違いますね。
 
【中野座長】 植村委員,お願いします。
 
【植村座長代理】 最後は座長と事務局にお任せしたいと思いますが,市場規模のあとに括弧書きで金額ベースでと入れたらどうですか。それ以上のことはちょっと触れない方がよろしいかと私は思います。
 
【中野座長】 よろしいでしょうか。では,関連してですか。小池委員,お願いします。
 
【小池委員】 同様の話になるかと思うんですけれども,きょうの資料でいえば5ページの,引用のところの6ですね。国会図書館のことを持ってきて,国会で行った障害者サービスに関する調査研究から持ってきた数字と,国会図書館の蔵書が4,400万点ということを比較しているようなんですけど,そもそもこれベースが違っている話なので,例えば,ここでこの根拠にしているところが,「視覚障害者等が利用しやすい書籍等はいまだに少なく」のところなんですが,ぼやっとした感じでも確かに少ないというのは分かるんですが,ここに4,400万と調査研究で得た数字を重ねること自体が,そもそも根拠が違っているので,ちょっと持ってくるとすればおかしいんじゃないかと。4,400万というのの根拠がちょっと,国会の方はすぐ分かるのかもしれませんけど,感覚的に4,400万点,本を持っているかと言われると,違うというのは思っているので,ここら辺,もし持ってくるんであれば,別のものを持ってこないといけないかなと思っています。以上です。
 
【中野座長】 では,このあたりのデータに関しては精査させていただいて,それぞれ関連する専門家の皆様にはまた確認はさせていただくということで,少なくとも誤解を生むようなそういうデータは掲載しないという考え方で整理をさせていただければと思います。
では,上田委員,お願いします。
 
【上田委員】 オーディオブック協議会の上田でございます。14ページ目の4の(3)に関連する内容になるんですけれども,皆さん余りコメントされていないので一応確認ということで,著作権法第37条第3項で,要は障害者さんのために視覚著作物を音声化したり,複製,公衆送信を行うことができるというような文言もございますけれども,その一方で,ただし,当該視覚著作物について,著作権者又はその許諾を得た者若しくは第79条の出版権の設定を受けた者若しくはその複製許諾若しくは公衆送信許諾を得た者により,当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合には,この限りではないという文言があって,要するに,既に音声化されているものが提供ないしは提示されている場合には,無償許諾の対象外となってしまうということが書かれているんですね。
具体的に,恐らくオーディオブック化されているタイトルについて,オーディオブックを使いなさいというようなことになるのかなと考えておるんですけれども,そういう形で導入されるとすると,図書館ですとか公共機関ですとか,そういうところに導入されるに当たって,多分オーディオブックを購入なり導入する予算が必要になってきちゃうのかなと思っています。
恐らくそれが,この3の2ポツ目ですかね,電磁的記録の提供について云々というところの検討の場とかの課題に入ってくるんじゃないかなと思っていまして,恐らく何らか導入の補助金等の支援が政府からあるとか,そういう話になるかもしれないんですけれども,そのあたり,一応懸念というか,確認というか,意見として述べさせていただければと思っています。
 
【中野座長】 ありがとうございます。大切な確認事項であったかと思います。今回のこの具体的な原案についての修正ということではなく,それを含んだ上で今後議論をしてくださいという御意見ということでよろしいですか。
 
【上田委員】 おっしゃるとおりです。
 
【中野座長】 ありがとうございました。では,宇野委員,お願いします。
 
【宇野委員】 最後の方に子ども読書推進法の基本理念の引用があるかと思うんですが,条文では「あらゆる機会とあらゆる場所で」という言葉が入っていたかと思います。これ,何か意図があって抜かれたのかなと思ったんですが,実は,このあらゆる機会とかあらゆる場所というのはこの読書バリアフリーの理念とも相通ずるものなので,これはきちんと引用していただければというふうに思いました。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。これは正確に引用する必要がありますので,別に意図があって抜いた訳ではないかと思いますので,正確に引用するということで変更をお願いしたいと思います。
大部時間が超過しておりまして,議題2があるんですけれども,いかがいたしましょうか。これ,まだ河村委員から最初に御指摘いただいた大きな問題についても十分に議論できていないところではございますけれども,事務局の方から何か,これを今後,この場で最初の議題1についてどのように収れんさせていくかということについてのお考えがあれば,お教えいただきたいと思いますが,御提案いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
 
【金原自立支援振興室長】 事務局です。一番最初にあった河村先生の御意見につきましては,我々の方でもマラケシュ条約の中身をもうちょっと精査,しっかりと勉強させていただきながら,「はじめに」のところでどういうふうな書きぶりができるかというのはひとつ考えさせていただきたいと思いますので,またいろいろお知恵を頂きたいと思います。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 その他,頂いた全体的な御意見等々,検討できるものは検討しつつ,ちょっと時間がかかるものですとか,今の時点で結論を出すことが難しいもの,ちょっと議題2にも関係するんですけれども,継続して協議していくということで,余り基本計画の文章に時間を割いてしまうと,現在,当初の年度内というところから5月頃をめどとして策定時期を変更しているところでもございますので,議題の2つ目で長期的な観点に関しては対応させていただくという方向性で御了解いただければと思っております。
 
【中野座長】 議題2についてこれから説明があるわけですけれども,前倒して申し上げると,この基本計画で策定して終わりではなく,その後さらに議論を重ねていきながら,これを具体化していくというミッションも考えていこうという話でございます。
それを踏まえた上で,議題1に関しては,基本計画,まだ御意見があるかもしれませんけれども,それをこの後も,この会議は終わった後も御意見は頂きつつ,事務局の方でまとめさせていただくというふうな進め方をしてよいかどうかということを,今,御提案いただいたかと思います。
これ,議題2とリンクしている話なので,御決断は,議題1の進め方,今後の進め方を,今の事務局提案でいいかどうかは,議題2を諮らせていただいて,その後でもう一度皆さんに確認をさせていただきたいと思いますので,まず議題2の方に進めさせていただいて,今後についての計画について事務局より御提案をしていただきたいと思いますが,そういう進め方でよろしいでしょうか。
では,議題2にまず一旦進めさせていただきます。事務局より説明をお願いします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 ありがとうございます。それでは,資料2の1枚ものの方をごらんください。資料の下の方に法令を記載しておりまして,法の7条4項に記載しておりますが,基本計画の策定に当たって視覚障害者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされていることから,今年度,協議の場を設置して御意見をお伺いするということをしております。
一方で,この協議会が18条の規定に基づいて,読書バリアフリー法に関する施策の円滑な実施のために,関係省庁と関係団体,視覚障害者等の連携協力を目的として設置されたものでございますので,引き続き,基本計画策定後も本来の目的として施策の円滑な実施に向けて連携協力を促進していくための協議の場を運営していくという必要があるということで,こちら資料2に御用意しておりますのは,次回の開催の日程と今後の協議会の在り方について,意見交換のための素案を御用意させていただきました。
本日,全ての検討事項を決めることは難しいと思いますので,次回以降,円滑に議論が進むように,今回,委員の皆様より自由に御意見を頂く機会としたいと思っております。
次回の関係者協議会の開催については先に決めておく必要があるかと思いますので,この点については,資料2に記載のとおり,基本計画の策定後速やかに開催することとしまして,基本計画の策定後,日程調整の期間を含めて,1~2か月以内に開催することを提案したいと考えております。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございました。この基本計画で全てをこの会議の中で盛り込むのはなかなか難しいと思いますし,余り先取りし過ぎても本当に実効力のある,内容のあるものにはできないと思いますので,次回,それをさらに審議をしていくというような計画を今示していただきました。
まずは,次回の関係者協議会,基本計画策定後1~2か月以内に行うということについて御意見を頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。宇野委員,お願いします。
 
【宇野委員】 是非その方向で進めていただきたいと思います。やはり基本計画は基本的にこの5年間の道しるべというか,方向性を示しているものですので,この中で「今後検討していく」というような文言については,やはり具体的な検討を進めていくべきだと思いますので,来年度,協議会を継続開催していただいて,具体的な検討事項一つ一つ詰めて,一歩でも二歩でも進めるような推進につながっていけばというふうに思います。
 
【中野座長】 大変心強い御意見ありがとうございます。
ほかに御意見ございますでしょうか。見形委員,お願いします。
 
【見形委員】 DPIの見形です。さっきも申し上げたんですけれども,当事者が参加者というか,この継続審議の中で障害当事者の力がやっぱり大変重要なところだと思います。宇野先生もおっしゃっていましたけれども,この5年間の中でどれだけ浸透させられるかということがものすごく重要だと思うので,私たちが力を合わせてやっていけたらいいなと思っています。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。ほかにはございますでしょうか。特に反対の御意見はないようでございますので,資料2の1にある次回の協議会というのも継続していくということで,基本計画策定後1~2か月の間に実施するという進め方で進めさせていただきたいと思います。
事務局案を作らせていただきますので,次回,この関係者協議会においてどんなことを議論していくかという議論していく内容について,次に御提案を頂いて,その御提案に基づいて議論をさせていただきたいと思います。では,事務局よりお願いします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 2点目に,今後の関係者協議会の進め方ということで,1点目に,丸1で主に検討すべきと考えられる事項。丸2に,仮に個別の課題についてワーキンググループ等を設けることが必要かどうか。また,丸3に開催時期や頻度。丸4にその他の事項ということで列記させていただいておりますので,これらについて御意見を頂きたいと思っております。
 
【中野座長】 ありがとうございます。今,事務局から提案していただいた,次回話し合う内容,主な検討事項を議論したりとか,ワーキンググループが必要かどうかという議論や,それから,その後の開催を,これ継続を前提にしているということで今事務局より説明をしていただきましたので,その時期だとか頻度というのを決めるというのが次回の議論の内容になるということで原案を提案していただきました。
何かこの点に関しまして御意見があれば,是非自由にお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。では,小林委員,お願いします。
 
【篠田(小林委員代理)】 長野県の篠田です。小林委員の代理として出席させていただいていますが,主な検討事項の部分ですけれども,これで国の基本的な計画が策定されますと,先ほどもお話ありましたけれども,今後,各都道府県ですとか市区町村がまたそれぞれに合った基本計画を作っていくということになりますので,この検討事項が遅くなればなるほど参考にするものがなかなかないという状況になってしまいますので,できるだけ早急に,主な検討事項のところですけれども,具体的な取組ですとか数値目標のようなものを取り込んで検討していっていただけると有り難いなというふうに思います。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。できるだけ早くに開催するということを御意見として頂きました。ほかいかがでしょうか。では,植村委員,お願いします。
 
【植村座長代理】 関係者協議会では一堂に会しているわけですけど,実際幾つかの論点があると思います。先ほど指摘しました,アクセシブルな電子書籍等の販売促進については,出版社と関係者で検討するのがよいと思うので,ワーキンググループを作って案を出していただいた方がよろしいかなと思います。
 
【中野座長】 ありがとうございました。事務局案にもワーキンググループ等の開催についてという議題を上げていただいていますが,ワーキングは必要不可欠ではないかという御意見を頂きました。これ,実際に次回開催する前に,どんなワーキングがどういう理由で必要であるか等というのを出していただいて,議論が進められると非常にいいのではないかなというふうに思います。
そのほか,いかがでしょうか。では,小池委員,お願いします。
 
【小池委員】 小池です。開催時期,頻度に関してなんですけれども,国の予算があり,地方の予算がありというふうなことで1年ローリングしていくことを考えると,先ほど来財政の話というんですか,財源と言ってもいいんでしょうけど,お話が幾つかあったかと思いますので,この会を進めるに当たって少しそれも意識した準備とかをされていた方がいいのかなと思っています。
現在,文部科学省の方で令和2年度予算の枠組みは大体示されていると思うんですけれども,この関係の事業についても幾つか用意されていたかと思いますので,次回開催するに当たってはそれの成立状況というんでしょうか,あるいは進捗状況みたいのも併せて,あるいはこういうプランも持っているというのも出しておいていただくと,進めやすいんじゃないかなというふうに思います。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。では,見形委員,お願いします。
 
【見形委員】 見形です。質問なんですけど,開催時期は,実質,私も今回コロナの関係でここに来れなかったので,その辺を鑑みていただいて,考慮していただけないかなということと,またスカイプ参加で,今回みたいにやっていただけるようでしたら,是非早めに開催していただけたらなと思っています。
それから,あともう一つ質問で,今後の協議のメンバーは今回の皆様と同じというふうに考えてよろしいでしょうか。以上です。
 
【中野座長】 では,今,最後にあった質問については事務局より御回答をお願いします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】  協議会のメンバーにつきましては,最初2年の任期ということでお受けいただいていますので,基本的には引き続きお願いすることになります。
 
【見形委員】 ありがとうございます。
 
【金原自立支援振興室長】 あと,開催時期についてでございますけども,きょう頂いた意見でまた踏まえながら,座長にも相談しながら,意見を頂いた委員の皆さんにも相談しながら,さらに案を作って,パブリックコメントを掛ける予定でございますので,すかさず来月という形にはならないと思いますので,5月ぐらいに案といいますか,基本計画がしっかり策定したその後という形になると思いますので,それ以降になると思いますので。
 
【見形委員】 ありがとうございます。それからもう一つ,1個だけいいですか。
 
【中野座長】 どうぞ。
 
【見形委員】 すいません,お時間がない中。以前に私が申し上げたかもしれないんですが,民間事業者との連携というか,例えば携帯会社や民間のお店とか,そういったところとの連携を,今後の協議で模索していくようなことは考えられるんでしょうか。
 
【中野座長】 事務局,お願いします。
 
【金原自立支援振興室長】 今ここでどういう形というよりは,今,見形委員が言われたやつはしっかり意見として取り込みながら,今後のどういうふうな進め方をしていくかを考えていきたいと思っております。
 
【見形委員】 ありがとうございます。以上です。
 
【中野座長】 ありがとうございます。これ次回はここで議題をしっかりと決めないといけないというわけではありませんので,それから,その議題以外の提案はしちゃいけないというわけでありません。ちゃんとその他がございますので,大体,今,様々な御意見を頂いたところで,次回はどんな検討していくかとか,それからどんなワーキングが必要かというようなこと等について議論をしていくということで,次回を進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
特段,この件に関してほかに意見がないようでしたら,議題1の最後のまとめに戻らせていただきたいんですが,今のように,この基本計画策定後に議論が続けられるということを前提としていただいた上で,基本計画についてどのようにするかというところを最後,御決断を頂きたいところでございますが,この時点でもしお許しいただけるようであれば,例えば,皆さんのきょう言えなかった意見というのも再度もう一度出していただきながら,それを事務局と座長の方でもませていただいて,これ作業としてはできる限り皆さんの御意見というのを採用させていただく形で,その方向性でまとめさせていただいて,そのまとめたものを皆さんに再度諮らせていただいて,問題がないかどうかを確認した上で,最終的な基本計画というふうに定めさせていただく,そういう流れでよろしいか,それとも,まだまだこれは議論が足りないので,これは事務局・座長一任にはとてもできないので,もう少し議論が必要であるというふうな話になるかというところの御意見を頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。河村委員,お願いします。
 
【河村委員】 私が待ったを掛けているような印象を持たれるかと思うんですが,具体的な提案といたしましては,文章は私それほどこだわらないんですけれども,実はこの協議会の構成がちょっと気になっておりまして,結局,私が申し上げているところは,構成に聴覚障害者,知的障害者の団体を含めるか,含めないかというところに影響するんですね。
ですから,私としては,聴覚障害と知的障害のそれぞれ障害者政策委員会には代表者が出ておりますので,どういった団体かというのは事務局の方でお調べいただければすぐ分かると思います。それから,これまでもヒアリングもしていただいておりますので,この団体を含めるということで御検討いただけるんであれば,私としては,文章そのものはこの後の協議の中でみんなで考えていけばいい。
ただ,その「みんなで」というときに,先ほど見形さんがおっしゃられたように,本来当事者でありながら当事者が含まれていないというのはちゃんとした議論になりにくいので,そこは考慮していただきたいなというふうに考えております。
 
【中野座長】 とても重要な提案をしていただきましたが,事務局としていかがでしょうか。これまで河村委員から御指摘のあった団体に関しましては,ヒアリングも事務局の方でしていただいているかと思いますが,もし何かお考えや御回答があればお願いしたいと思いますが。
 
【金原自立支援振興室長】 今ここでというよりは,ちょっと相談させていただきたいと思いますので。
 
【中野座長】 ほかに御意見いかがでしょうか。見形委員,お願いします。
 
【見形委員】 今の河村委員の補足ですけど,盲ろう当事者の意見を是非聞いていただきたいので,ここに参加していただけたらいいのかなと思いました。

【中野座長】 ありがとうございます。併せて事務局の方で検討,調整をしていただくということでよろしいでしょうか。
今,河村委員から御発言ありましたように,河村委員としては,今後より広い当事者に参加をしていただいて,議論が進められるのであれば,文言としては,この基本計画の内容については御了解いただけるという御意見だったかと思いますけれども,この件に関してほかに御意見ありますでしょうか。宇野委員,お願いします。
 
【宇野委員】 中野先生の質問に答えますと,この基本計画についてはこれまでの議論を踏まえ,もう趣旨としてはほとんど文章に盛り込んでいただいているかと思いますので,これで議論はおおむね大きなところはほぼ尽くしたかなというふうに思います。
あと,先ほどちらちらと出ていたデータのこととか,若干の字句修正はもちろん座長や事務局の方にお任せして,この時点で基本計画はおおむね了解したというふうな感じだと思いますので,あと最後のところはお任せするということで,私は次に進んでいっていただければというふうに思います。
 
【中野座長】 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。
特段なければ,今,宇野委員から非常に心強い,それから今後進めていくことが大切であるという御意見を頂きましたので,皆様から頂いた御意見,それから,きょう十分に御意見を述べていただくことができなかった御意見もあるかと思いますし,それから,きょう,他の団体から出た御意見の中で,修正が必要だというふうにお感じになられているところというのもあるかもしれませんので,そういった御意見に関しましては事務局の方にまたお寄せいただいて,その御意見も踏まえた上で,事務局と座長,それから副座長にも御協力を頂いて,まとめさせていただいた上で,皆様に再度確認をさせていただいた上で,大きな問題がなければ,それで基本計画とさせていただくという流れで進めさせていただいて,なるべく早くにこの基本計画を成立させていただいて,パブリックコメントを頂いて,そのパブコメをまとめながら,次のこれを推進するための協議会というのに臨んでいきたいというふうに思いますが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,本日議題として用意されているものは以上でございます。その他,特になければ,これで議題を終了させていただいて,進行を事務局の方にお返ししたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。三宅委員,お願いします。
 
【三宅委員】 日本視覚障害者団体連合の三宅です。基本計画案に関してはもう議題は終わりましたので,何も意見は特にないんですけれども,確認の意味で,今後の次の協議会が開かれるまでのスケジュール感をちょっと知りたいと思いまして,今の段階で結構ですので,分かっている範囲で教えていただければと思っております。お願いいたします。
 
【中野座長】 では,事務局よりお願いします。計画ということでお願いします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 今後のスケジュール感ですけれども,今,座長にお示しいただいたとおり,事務局から計画の最終調整のための御連絡を締切りとともにさせていただいて,意見を集約して,その後は座長一任ということで御了解いただいたので,事務局と座長で相談させていただきながら,計画案を準備し,パブリックコメントが1か月ほどかかりますので,5月頃に策定をできればというふうに考えております。
その後,基本計画の策定後1~2か月以内に協議会を開催するというふうに御了承いただきましたので,基本計画の策定後に日程調整の御連絡をさせていただければと思っております。
 
【中野座長】 三宅委員,いかがでしょうか。
 
【三宅委員】 ありがとうございました。
 
【中野座長】 どうもありがとうございます。ほかにございますか。
ほかになければ,進行を事務局に戻させていただきます。御協力ありがとうございました。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 御協力ありがとうございました。
それでは,基本計画の策定に係る協議会としては,一旦ここで一区切りとなりますので,関係省庁等を代表しまして,文部科学省と厚生労働省よりそれぞれ御挨拶をさせていただきます。
まずは,文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官の寺門より御挨拶を申し上げます。
 
【寺門社会教育振興総括官】 一言御礼を申し上げます。本協議会におきましては,昨年11月以来,ヒアリングを3回,また2回の協議会ということで,精力的に御議論を賜りまして本当にありがとうございました。この間,中野座長また植村座長代理におかれましては御尽力いただきまして,また,委員各位にも御熱心に御意見を賜り,厚く御礼申し上げます。
先ほど来いろいろ出ておりますとおり,計画は作っただけではだめでございますので,しっかりと計画を作り,着実,誠実に実現をしてまいりたいと思いまして,引き続き皆様方の御指導,御鞭撻をお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 続いて,厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長の橋本より御挨拶を申し上げます。
 
【橋本障害保健福祉部長】 厚生労働省の橋本でございます。委員の皆様方には,この基本計画の策定に当たりまして真摯に御議論を頂き,また,大変貴重な御意見を賜り,感謝を申し上げたいと思っております。
この基本計画,まさにこの読書バリアフリーということに向けました第一歩でございますので,むしろこれからの議論や取組ということが大変重要というふうに考えております。私ども厚生労働省といたしましても,この基本計画を踏まえて,また,これまで様々頂いた御議論,御意見ということを踏まえて,今後の予算その他の施策の具体的な推進ということに全力を挙げてまいりたいというふうに考えておりますし,また,公立図書館や学校図書館,出版業界など,どちらかといえば,これまで余り私どもと接点の多くなかった関連する分野の方々とこれまで以上に緊密に連携しながら,いろいろなものの取組を進めてまいりたいというふうに考えております。今後とも協議会が続くと思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 最後に,本関係者協議会の総括としまして,中野座長より御挨拶を頂ければと思います。中野座長,よろしくお願いいたします。
 
【中野座長】 力不足の座長で大変申し訳なかったんですが,皆さんから非常に積極的で,それから建設的な意見をたくさん頂いたおかげで,何とか基本計画の案を策定することができて,ありがとうございました。
これからが一番重要なところかなと思います。それぞれ,今回の読書バリアフリー法に関しましては,関係者がずっと望んできて,特に当事者団体の皆さんが力を合わせてこういった制度というのを後押ししていただいて,これが実際に実効力のあるものにしていくということが真にこれから大切なことで,そのためにはやはり当事者の皆さんの働きというのがすごく重要な部分になるかなと思います。
先ほど来,阿部委員や見形委員からお話がありましたように,この制度というのが本当に障害のある当事者にとって意味のあるものになっていくためには,具体的に一つ一つの課題というのを解決していく必要があるんだと思います。その意味で,この計画は立ちましたけれども,立った後でそれぞれのところで,特に当事者の団体の皆さんに中心になっていただきながら,この共生社会を実現するための基礎的な環境の整備というのを推進していっていただければなというふうに思います。
社会のノーマライゼーションに貢献する非常に重要な一歩がここからスタートするんではないかなというふうに思いますので,今後も是非ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 
【小林障害者学習支援推進室長】 ありがとうございました。
最後にちょっと補足事務連絡になりますけれども,スケジュール,簡単に御説明しましたけれども,今後,最終意見の調整のための締切りを御連絡いたします。案がまとまりまして,その後パブリックコメントに掛けて,文部科学大臣と厚生労働大臣の決裁が終了しましたら公表となります。
法律で基本計画を策定したときには,遅滞なくこれをインターネットの利用等により公表するとされておりますので,速やかに公表し,委員の皆様にはメール等でお知らせをさせていただきます。また,次回の関係者協議会もその折に日程調整をさせていただきます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 
【中野座長】 どうもありがとうございました。これにて閉会いたします。
 
※事務局注釈:マラケシュ条約の「受益者」については、第3条において、1.盲人である者、2.視覚障害又は知覚若しくは読字に関する障害のある者であって、印刷された著作物をそのような障害のない者と実質的に同程度に読むことができないもの、3.身体的な障害により、書籍を持つこと若しくは取り扱うことができず、又は目の焦点を合わせること若しくは目を動かすことができない者のいずれかに該当する者であると定義されている。

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