第6回職業情報提供サイト(日本版O-NET)普及・活用の在り方検討会

開始日
令和4年3月17日(木)
終了日
令和4年3月31日(木)
(持ち回りによる)
 
(委員)
阿部 博司(日本経済団体連合会労働政策本部上席主幹)
伊藤 芳彦(株式会社三菱総合研究所執行役員 デジタル・トランスフォーメーション部門長)
大藪  毅(慶応義塾大学大学院経営管理研究科専任講師)
木下  学 (パーソルホールディングス株式会社グループ経営戦略本部本部長)
小菅 元生(日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長)
田中 歩(労働政策研究・研修機構キャリア支援部門統括研究員)
千葉 吉裕(前公益財団法人日本進路指導協会理事・調査部長)
野原 正和(アデコ株式会社キャリア開発本部本部長)
藤田 真也(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会副会長)
星野 亜弓(立川公共職業安定所雇用開発部長)
山本 賢司(認定特定非営利活動法人育て上げネット執行役員) 
(オブザーバー)
島津 裕紀(経済産業省経済産業政策局産業人材課長)
山本 康(厚生労働省デジタル統括アドバイザー)
(五十音順 敬称略)
 
【議事概要】
持ち回りにより第6回職業情報提供サイト(日本版O-NET)普及・活用の在り方検討会が開催されました。
 
【議事について】
各委員より、以下の意見があった。
(※意見内では、「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」について、愛称である「job tag」と記載)
 
○阿部委員
・ハローワークインターネットサービスとの連携ができたのはよかった。
・仕事の内容や性質で細かく分解して職業をみていくことで、違う職種でもノウハウを活かせるなどの高度な分析ができるようになると思う。
・賃金の情報について、賃金構造基本統計調査の全国と都道府県別の年収の平均が掲載されているが、賃金は、入職直後とベテランではだいぶ違う。年齢階層別や勤続年数別などで掲載すると参考になるのではないか。
・job tagの普及のためには、大学生などへの周知広報が重要。就活のときに使ってサイトの存在を認知していれば、その後、転職を考えたときにもjob tagを使って情報を調べようとするようになると思われる。
 
○伊藤委員
・ページビュー数が倍増し、お気に入りからの流入数も増加するなど、順調にインフラとして定着してきている印象。職業情報を調べる機能に加え、客観的に自分の立ち位置を調べる機能や他の労働系のサイトとリンクする部分など、当初の課題が反映できてきている。
・運用していく中で、利用頻度や利用実態をリアルに補足して課題を把握し、アジャイル方式で柔軟に改善を進めていくことが大切。
・広報を実施する際に、アンケートなどとリンクさせ、どのメディアからどういった年齢層の利用者が誘導されてきたかといったことを把握することも有効。
・職種や業種については、例えばデジタル人材については人材不足が言われているが、政策的にどの層の人材が必要とされているのかということも踏まえ、どの職業領域を延ばしていくか、注力する部分に濃淡をつけて戦略的に取り組む必要があるのではないか。
 
○大藪委員(座長)
・閲覧の回遊性が低いのは気になる。個人は自分の興味がある特定の職業を調べるので、回遊性は低く出る。企業やエージェントは複数の職種を調べるので、次は彼らの活用をいかに増やすかが課題と考える。
・例えばエマージングな業界やホットな職種など、今どういった仕事の需要が増減していて、そこでの労働条件はどうかについて特集を組むなど、労働市場のトレンドと押さえるべきトピックを把握できる工夫が必要。令和3年度改修で、労働者過不足判断(厚生労働省「労働経済動向調査」)、法人企業景気予測(内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」)などの情報が一定掲載できたのはよかった。
・ハローワークインターネットサービスの求人情報に連携できたのはよい。さらに民間のサイトにもつながれば、情報の精度も高まり、個人・企業・エージェントすべてにとって相乗的に利益が高まることをもっとアピールする必要があるのではないか。
・外部労働市場の発展のためには、まずジョブ化になじみやすい専門的職種や新興の職種、現業的職種などから進めていくのが現実的と考える。
 
○木下委員
・着実に情報や機能の充実を進めている点は評価できる。
・まずは求職者や支援者の活用促進に力を入れるべき。求職者が使うようになれば、求人者も自然に使うようになる。
・求職者への活用促進の観点からは数分程度の短い使い方動画などは有効。その他、「こういう使い方が良かった」という具体的なユーザーの声の掲載なども考えられる。
・キャリアの棚卸し、キャリア開発を進めていくという観点から、キャリアコンサルタント等の支援者の存在は重要。job tagはキャリアコンサルタントの支援の価値を高めるツールとして活用できるものであり、個人へのガイドと同時に支援者向けへのガイドを充実させていく必要がある。
 
○小菅委員
・サイトについて課題だと感じた点は2つある。1点は、支援機関等が支援をするために利用するページと、個人が直接アクセスするものが同じでいいのか、という点。もう1点は、学生などが将来の夢として職業を探す場合に利用するものと、すぐにでも就職したいという人が利用するものが同じでいいのかという点である。
・このような診断を踏まえて職業を選択していけるようなサイトはこれまでにはないものだが、利用目的や就業意識が大きく異なる者が利用するので、それぞれのニーズに合ったものにしていく必要がある。
 
○田中委員
・「情報量・機能が多過ぎる」という指摘があったことについて、米国版では別サイトMy Next Moveで簡略化した情報提供を行っている。そういった方法での情報提供も一つの解決策になるかもしれない。
・障害者については、職業に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせていく部分も大きいので、職業情報とのリンクは難しい印象。一方で障害者を支援する側にとっては、job tagはタスクの切り出しなどで活用できると思う。
 
○千葉委員
御欠席
 
○野原委員
・ハローワークインターネットサービスとの求人連携についてはあるとよいと思っていた機能であり、実現できてよかった。
・最近の若者からは、SDGs関連の仕事をしたいといった声をよく聞くため、17の目標ごとに関連する職業を提示するなどの情報提供があってもよいかもしれない。どの職業が該当するかというのは、企業などによっても違うため、難しい面もあるかもしれないが、職業に興味を持つきっかけになるのではないか。
・デジタル人材、ITリテラシー情報については、IT職種の経験がなく、IT職種の就職という選択肢がない方に、少しトレーニングを受け、この程度のスキルを身につければIT職種への就職の可能性が開けるといったことがわかるような情報があるとよい。
 
○藤田委員
・キャリアコンサルティングにおいても、ポータブルスキルを中高年の方々の定年後などのセカンドキャリア支援に活かしていく技能や、企業とのマッチングに活かしていく技能が必要。ポータブルスキル見える化ツールが搭載されたことでそういった場面で活用できるのではないかと考えている。
・情報量が多いという意見があるが、情報やツールの充実が必要なことは間違いない。ただ、一人で使っていると、様々な側面の情報を統合していくのが難しいため、その点について、キャリアコンサルタントが支援できるとよい。そのためには、どのようにjob tagを活用するのが有効なのか、事例などを積み重ねていくことが大切。
・来年度、ジョブ・カードのサイトと連携していくのはよいと思う。
 
○星野委員
・ポータブルスキル見える化ツールは職種転換を伴う転職場面などで使えるツールであると感じている。支援者が支援しつつ訓練の相談場面などで使えると有効だと思う。
・求人の業務内容とjob tagのタスクを見比べてみると、業務内容がほとんど書き込まれていないことがよくわかり、job tagの情報を参考にして求人票を改善する余地はあると感じる。
 
○山本委員
・サイト自体が着実に進んでいるという印象。
・改修で搭載された簡易版職業適性テスト(Gテスト)は、コロナ禍であり、オンラインでしかカウンセリングができていない人も増えている中で大変有り難い機能。来年度の充実にも期待したい。あわせて、支援者なしでGテストのようなものを利用した場合のケアについて、結果の説明をしてもらい得る相談機関の情報提供などがあっても良いかもしれない。
・job tagの仕事の内容を求人票に落とし込めるとよい。中長期的には、企業側でも人材の要件定義をして、求職者側でもプロフィールを作って、マッチングというようなことも考えられるのではないか。
・情報量が多いという意見があったが、情報量は多い方がいい。キャリコンなど支援者がサイトに求める情報は網羅されてきていると思う。ユーザーのニーズにあったものを提供するという意味では、支援者なしで使うユーザー向けにチャットボットのようなものも考えられるかもしれない。
 
○島津オブザーバー
・職業訓練校での評価は低かったということであるが、訓練を選ぶ段階、何を勉強するかというのがぶれている方にとっては有効なのではないか。
・経済産業省の関連制度やサイトとしては、第四次産業革命スキル習得講座認定講座や巣ごもりDXステップ講座情報ナビ、また、今年4月に、デジタル人材育成の観点からDX関係の講座情報などを集めた学びDXもオープンする。マナパスとも連携し、マナパスの講座のうち該当するものは見られるようにして利便性を高めていく。今後、連携を検討する余地があるかもしれない。
 
○山本オブザーバー
・広報については、どういう検索キーワードが使われているかを分析し、その周辺のワードなどを使用していくと効果的。また、SNSでの広報はコストパフォーマンスがよいが、拡散されるような工夫をしていくことが必要。
・IT業界の職業について、「プログラミングができないと無理」といった世間一般のイメージの誤解を解いたり、クリエイティブな仕事やコンサル的な仕事など、いろいろな職種があるといった情報を伝えていったりする必要がある。具体的なキャリアアップのストーリーなどもあるとよい。
・運営方針書に記載があるサービス設計12箇条の「自分で作りこみすぎない」という点からは、厚労省が提供するjob tagの情報を使って民間でサービスを立ち上げてもらうなど、民間連携を進めることが考えられる。