第151回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和4年5月25日(水)10:00~12:00

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.オンライン資格確認等システムについて
  2. 2.全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について
  3. 3.医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について
  4. 4.医療費の動向(令和3年度4月~1月)について

議事

議事内容

○榊原課長 定刻になりましたので、ただいまより第151回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、内堀委員、羽田委員、本多委員、前葉委員より御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいています。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○榊原課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理として熊耳参考人、本多委員の代理として井上参考人、前葉委員の代理として鎌田参考人、以上3名の出席につき、御承認いただければと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」を確認)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ります。
本日は、「オンライン資格確認等システムについて」、「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について」、「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」、「医療費の動向(令和3年度4月~1月)について」を議題といたします。
初めに「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。資料1「オンライン資格確認等システムについて」御説明申し上げます。
おめくりいただきまして、2ページ、オンライン資格確認の導入状況でございます。5月15日時点で顔認証付きカードリーダーの申込み施設数は約57.9%、準備完了施設数は約5.7万施設、24.7%、運用開始施設数は約4.4万施設、19.0%となってございます。
その下に昨年10月20日時点、本格運用開始時点からの比較を書いてございます。準備完了施設でプラス15.8%ポイント、運用開始施設数でプラス13.9%ポイント、それぞれ増加をしておりますが、導入の加速化に向けた取組支援が必要な状況と認識をしてございます。
3ページにお進みいただきます。オンライン資格確認の利用状況でございます。本格運用開始から4月末までの期間でオンライン資格確認等システムを活用した資格確認、これまで累計で約1.6億件行われてございます。下の表を御覧いただきますと、4月、1か月の間で約4,018万件の資格確認が行われているということでございます。月当たりのレセプトの取扱件数が約1.7億件でございますので、単純に計算をいたしますと24%程度でございます。先ほど申し上げました運用開始施設数ベースの数字よりは、実際のレセプト件数に占める割合で言うと、もう少し大きくなっている状況が見てとれるかと考えてございます。
4ページにお進みいただきます。特定健診・薬剤情報の閲覧件数ということで、上の表は医療機関・薬局において実際に閲覧いただいた件数でございます。4月分を御覧いただきますと、特定健診が1か月で約2.1万件、薬剤情報が約6.4万件となってございます。下の表はマイナポータルで国民の皆様お一人一人で特定健診・薬剤情報を閲覧いただいた件数の推移でございます。
6ページにお進みいただきます。導入の促進に向けた今後の取組方針ということでございます。今年度中に概ね全ての医療機関・薬局での導入を目指す、こうした目標を掲げて取組を進めてございます。こうした目標の達成に向けては、遅くとも9月頃までにカードリーダーを申し込んでいただいていない施設に申し込んでいただくことが必要になると考えてございます。これは※のところに書いてございますが、カードリーダーは受注生産となってございますので、申込みから配送まで4か月程度が必要になります。配送された後も当然、院内のシステム改修等が必要になってまいりますので、そうしたことも踏まえると、遅くとも9月頃までにお申し込みいただきたいと。
そうしたことを踏まえまして、次の○でございますが、今年度上半期に導入加速化が図られるよう集中的な取組を行っているところでございます。このマルの1、2、3は下のグラフの1、2、3とそれぞれ対応してございますが、1、現時点でまだカードリーダーをお申し込みいただいていない施設につきましては、個別の施設に対しまして架電、ダイレクトメールによる周知、地域単位での説明会、システム事業者を通じた働きかけ、引き続きこうしたことを行ってまいります。
それから、カードリーダーはお申し込みいただいているのですが、まだ改修工事の完了まで至っていない施設につきましては、個別の導入状況、それぞれの施設がどういった段階にあるかということを私どもは承知をしてございますので、そうした状況を踏まえた個別のメール送付等による働きかけを行っているところでございます。
それから、改修工事は完了しているのですが、運用を開始していない施設。これは私ども、運用開始施設数のカウントはシステム上、運用開始日を入力いただいた施設数をカウントしてございます。運用開始日を入力していただいて運用を開始していただくよう、これも引き続き周知をしてまいりたいと考えてございます。
7ページは、先ほど申し上げましたカードリーダーの申込みから配送まで4か月程度必要であるということの補足資料でございます。
8ページにお進みいただきます。オンライン資格確認につきましては、来年3月末までの目標だけでなく、その到達点、マイルストーンみたいなものを置いてPDCAサイクルで検証していくべきだ、そうした御指摘をこの場でもいただいてまいりました。そうした御指摘を踏まえまして、中間到達目標といたしまして、本年9月末時点で概ね5割、11.5万施設程度を中間到達目標として置いてはどうかということを記載してございます。
下のグラフを御覧いただきますと、4月の導入ペースが今、月9,000施設程度でございますが、仮にこれで単純に機械的に推移した場合を下の棒グラフで描いてございます。これで機械的に試算いたしますと、来年3月末時点の導入率は約6割、13.5万施設、病院・薬局は100%となるわけでございます。これに来年3月末までに概ね全てということを勘案いたしますと、もちろんこれから環境が整うことで、よりこのペースが累積的に増加していくことも念頭に置きながら、こうした中間到達目標を設定してはどうかというものでございます。こうした場合、9月末までの平均の導入ペースが月1.5万施設程度、それから10月以降、来年3月末までの平均の導入ペースが月1.9万施設程度になるということでございます。
9ページにお進みいただきまして、導入加速化に向けた課題と対応ということで、医療機関・薬局からはシステム事業者の対応の遅れを指摘する声もいただいてございます。一方で、事業者側では、医療機関・薬局から申込みがあれば対応可能ですとか、申込みが増加すれば対応を強化する、そうした事業者も多いという状況でございます。まさにどちらが先かということではなく、医療機関・薬局からの改修ニーズが増加する、あるいはシステム事業者において医療機関・薬局への営業を強化していただく、あるいはそれに対応できる体制を強化していただく。こうしたことが相まって、導入加速化に向けた好循環の状況をつくり上げていきたい。そうしたことで私どもとして医療機関・薬局側、そしてシステム事業者側の両方に支援、働きかけをしているという状況でございます。
10ページ以降、具体的な取組の内容でございます。
11ページを御覧いただけますでしょうか。左に青と緑と赤で描いてございますが、青の段階がまだカードリーダーをお申し込みいただいていない段階。緑の段階がカードリーダーをお申し込みいただいてから実際の導入作業の段階。そして、赤が導入作業が完了した後、運用開始に至るまでの段階ということでございます。詳細は省略いたしますが、青の右のほうを御覧いただきますと、架電、リーフレット、個別ダイレクトメール、システム事業者を通じた働きかけ、地域単位での説明会、医療関係団体推進協議会と連動した取組をしているということ。緑のステージにおきましては、赤の米印で書いてございますが、状況調査により進捗状況を把握している。それから、メールアドレス等を原則把握している。こうしたことを踏まえて重層的な取組を行っております。赤のところは、先ほど申し上げたとおり運用開始日の入力、こうしたことを引き続き依頼してまいります。
12ページでございます。オンライン資格確認推進協議会、これは日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会により立ち上げていただいた推進協議会でございますが、去る5月11日に開催をされたところでございます。導入促進に係る各会の取組状況、課題等を共有し、議論されたところでございます。また、この会の中で合同説明会の開催等につきましても御議論いただき、検討がなされたということでございます。
資料につきましては、日本医師会のホームページに掲載されてございますが、各会による取組ということで主なものを抜粋したものでございます。各会におかれましては、文書発出、機関誌による周知広報、様々なルートを通じた会員への周知、会議での説明、啓発活動、研修会、あるいは導入に関する相談事例の収集、質問対応、こうしたことを行っていただいているところでございます。
一方、提起された課題とございます。この推進協議会にはオブザーバーとして厚生労働省のほか、オンライン資格確認の実施機関である支払基金・国保中央会、それからシステム事業者として保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)も御参加いただいてございます。提起された課題といたしまして、イニシャルコストが補助金の上限額を超える場合がある。ランニングコストが発生する。マイナンバーカードの普及率が低い。マイナンバーカードを持参・利用する患者さんが少ない。セキュリティー対策、マイナンバーカードの情報取扱い、情報漏えいがあった場合の責任の所在等が不安。問合せ対応の増加等、医療機関・薬局側負担への不安。資格確認端末やそのほか必要な機材が入手できない。依頼してもなかなか事業者が対応してくれない。ネットワークの環境設定等に時間がかかる。こうした現場の声をまさに集めていただきまして、私ども、こうした課題も一つ一つ解決しながら前に進めるようにしていきたいと考えてございます。
13ページでございますが、システム事業者のほうの導入促進協議会、これは2月25日に主要システム事業者20社、関係団体を構成員として開催をさせていただきました。私どものほうからは、先ほども御説明申し上げました、令和4年度前半までにカードリーダーに申込施設への導入の働きかけを行っていただきたいことなどをお願いしてございます。主要システム事業者からは、資格確認端末・ルータの不足の問題ですとか、あるいは導入作業時間の短縮に向けた課題、中小システム事業者に対する働きかけについて御議論をいただきました。
14ページでございます。都道府県別の運用開始状況ということで、これはホームページ上でこれまで都道府県別の状況を掲載してございました。47都道府県の情報を実際に参考資料として19ページにつけさせていただいてございますが、ここではトップ5、ワースト5の形でお示しをさせていただいてございます。例えば病院で御覧いただきますと、トップの岩手県と一番下の茨城県との間では40%ポイント以上の差がございます。こうした状況を見える化しながら、また、都道府県単位でも導入加速化に向けた取組を強化していきたいと考えてございます。
15ページ、公的医療機関等における導入状況でございます。私どもとして関係省庁とも連携し、早期の導入を依頼してまいりました。ここで黄色で書いてあるところを御覧いただきますと、今、足元でこれだけの運用開始状況になっております。一方で、6月末まで、9月末まで、12月末まで、来年1月以降、どういう見通しで導入していくことにしているのかということも併せて聴取し、整理をさせていただきました。引き続き前倒しを依頼するとともに、遅れが生じないよう、関係省庁と連携をして対応してまいります。
それから、16ページでございます。オンライン資格確認に関する診療報酬上の評価。これは本年4月からスタートしてございます。これにつきましては、様々な御指摘がございます。私どもとして、マイナンバーカードで受診するとより良い医療を受けることができることを丁寧に御説明してまいりたいということ、これは私どもは国会答弁でも御説明をさせていただいてございます。まさに御本人に同意をいただければ、今までに使った薬の正確な情報、過去の特定健診結果を医師・薬剤師等と共有することで、より多くの情報に基づいた、より良い医療を受けることができる、そうしたことでございます。
下の2つ目のQのところでございます。自己負担が増えることにつきましては、我が国の医療保険制度の仕組みとして、より良い医療を受けることで、患者の皆様にもその分一定の御負担をいただいている。そうしたことについて引き続き丁寧に周知、説明を図ってまいりたいと考えてございます。
17ページにお進みいただきます。今まで申し上げてきたことでございますが、オンライン資格確認につきましては、来年3月末までに概ね全ての医療機関・薬局へのシステムの導入を目指して取組を進めてございますが、運用開始施設は2割弱にとどまっている状況でございます。オンライン資格確認は、今後のデジタル社会におきまして医療機関・薬局が患者の医療情報を有効に活用して安心・安全でより良い医療を提供していくためのデータヘルスの基盤となるものだと考えてございます。このデータヘルスの基盤となるオンライン資格確認の導入目標を達成するための「更なる対策」として、以下の1から3を実施することが必要ではないかと考えてございます。
1つ目が、令和5年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化をするということでございます。原則として義務化をするということの中身としては、保険医療機関及び保険医療養担当規則等の改正を行うことが考えられます。いわゆる療担規則等でございます。義務化の内容につきましては、中医協で御議論いただくこととしたいと考えてございます。
2つ目ですが、医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する財政措置を見直すというふうにしてございます。これは医療機関・薬局へのシステム導入の支援として、医療情報化支援基金による補助を行ってございます。そうした内容について、これは医療機関・薬局でのシステム導入が進むよう、財政当局としっかり調整してまいりたいと考えてございます。それから、括弧書きで診療報酬上の加算の取扱いについては中医協で検討としてございます。先ほども御説明申し上げましたとおり、この4月からスタートしている加算措置は、より良い医療が受けられる、そうしたメリットがあることが評価をされたものでございます。この加算の取扱いについては中医協で検討してまいりたいと考えてございます。
3つ目でございます。マイナンバーカードの保険証利用を進めていくための「更なる対策」として、私どもとして目指す姿は大きく2つのステップで考えてございます。1つ目のステップは、令和6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指すとしてございます。現行法令上、被保険者には被保険者証を交付しなければならないという法令上の義務が課せられているところであります。マイナンバーカードの保険証利用登録をしている加入者の方など、必要のない方々もいらっしゃる。そうした方々には保険証の交付を原則として行わない、そういうことを保険者が選択できるようにする。これが保険者による保険証発行の選択制ということで内容として考えていることでございます。
その上で2つ目のステップといたしまして、「さらに」以下でございますが、上記以外で保険証を利用している機関、訪問看護ですとか柔道整復、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう等、そうしたもののオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。ここで保険証の原則廃止と書いておりますのは、私が申し上げました保険者に課せられている法令上の義務、被保険者に被保険者証を交付しなければならない、そうした法令上の義務がなくなる状態ということでございます。
ただし、※のところに書いてございますとおり、マイナンバーカードの取得はあくまで任意でございます。加入者の方から申請があれば保険証が交付されるということは言うまでもないことでございますので、まさに被保険者の方に不利益が生じないような形で進めていくことが重要と考えてございます。
駆け足でございますが、この後は参考資料でございますので、説明は省略させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。法政大学の菅原でございます。
まず、現状の御報告、オンライン資格確認の導入目標を達成するための「更なる対策」として、事務局のほうからさらに一歩踏み込んだ御提案をいただいたと思っております。この間、コロナ禍という厳しい状況の中で、関係者の甚大な御尽力にまず心から敬意を表するとともに、より細やかな今後の対応が出されたことをまずは評価したいと考えております。
オンライン資格確認は医療機関・薬局の事務コストの削減が見込めるだけではなくて、患者の医療情報を有効に活用して、先ほども御指摘がございましたけれども、安心・安全でよりよい医療を提供していくためのまさにデータヘルスの基盤になるものと認識をしております。
昨年12月の医療保険部会で私は申し上げたと思うのですけれども、オンライン資格確認については、医療機関・薬局、保険者、それからシステム事業者、ベンダーさんなど、みんなでデータヘルスの基盤をつくり上げていくという意識をまず全体共有することが重要だと考えております。保険医療機関・薬局への導入を原則として義務化すること、導入が進むようにするための財政措置の見直し、さらには保険証発行の在り方といった詳細の項目は、御説明にあったように、これから中医協、医療保険部会や厚生労働省、財務当局との調整に委ねられていくことになるのだと思います。しかし、やはり重要なのは、ここに関わる関係者間の一体感かと思います。医療機関・薬局が単に頑張ればいいというふうに突き放すのではなくて、改めてみんなで基盤をつくり上げていくという認識と、何よりも社会的意義を再確認、共有した上で、特に負担のかかる医療現場に混乱を来さないようにしていただくことが大事だと思っております。その上でシステムの導入にはずみがつき、強力に進んでいくような措置の在り方を具体的に現場レベルで議論して、前向きな提案がなされていくことを期待したいと思っております。
最後になりますけれども、委員の先生方御承知のように、オンライン資格確認というのは大きく言えばこれからのデジタル化社会の基盤整備の一貫でありまして、まさにその呼び水としての役割を担っていると考えております。このようなデジタル化の基盤整備は、今、他国に比べて劣後しているという我が国のデジタル化の状況の改善だけではなくて、高齢化社会対応、あるいは次世代に向けた広範な社会経済活動にも大きく寄与するものと確信をしております。本事業がこのような重大な社会的意義を有することに思いをいたしまして、目先の難題、課題に屈することなく、事業目標の達成のために今後も尽力していくことを心から期待申し上げたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。今までも申し上げたことがあるのですが、少なくともオンライン資格確認システムを活用した医療情報等の整備については、医療の質の向上、また効率的な医療の実現に向けて大変重要であって、推進する方向はもちろん賛成でございます。
また、マイナンバーカードの普及、さらにオンライン資格確認の普及は、そのためのインフラの基盤として極めて重要であって、私どもとしても従来から特に3点要望申し上げてきたところでございます。1点目は、やはり基盤整備に時間がかかり過ぎているということで、スピードアップが重要だということ。2点目については費用負担。これについては運用開始後、稼働率が一定割合に達するまでの間は保険者負担だけではなくて公費投入もお願いをしたい。3点目はオンライン資格確認、またマイナンバーカード保険証を利用することのメリット、これの周知、さらには拡大をお願いしたい。この3点を主張してまいりました。そういう観点で申し上げますと、本日示していただいた導入促進策において、中間到達目標を置いて集中的な取組を進めるという方針を示されたこと、また「更なる対策」として医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化といったことを打ち出されたことは、先ほど申し上げた要望の1点目の基盤整備のスピードアップにつながることであって、大賛成でございます。
さらに、今日も資料がございましたけれども、地域別に大分格差があるようですし、地域別の分析、また取組状況を含めて、ぜひ国のほうとしても強力に、かつ、きめ細かい対応をお願いしたいと思っております。
それから、要望の2点目の費用負担でございますけれども、これについては今後とも新たに計画されている事項もございますので、やはりこの体制整備期間の費用負担の在り方については、引き続き検討をお願いしたいと思っております。
また、要望の3点目でございます。オンライン資格確認を利用することについてのメリット、特に利用者である国民にとってのさらなるメリットの拡大をお願いしたいと思います。健保組合の中には、早期に保険証廃止を希望している組合がございまして、そういう面で今回示されました保険証発行の選択制の導入や保険証の原則廃止といったことは、保険者の負荷軽減ということを含めても大変メリットがあると思っております。
いずれにしても、オンライン資格確認システムは患者の皆さんによりよい医療を提供するための情報基盤であって、先ほど菅原委員もおっしゃっておられましたけれども、やはり国、国民、保険者、医療機関が一体となって進めていくべきものだと考えております。保険者としても今後とも加入者のマイナンバーカード保険証利用の拡大促進に向けた活動をやっていきたいと思っております。
私のほうからは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
オンライン資格確認の基盤整備に関しましては、推進していくべきと考えております。その上で、5月11日に第1回の推進協議会が開催され、12ページに記載されていますように、多くの取組や課題が掲げられております。課題といたしましては、コストの問題は個人率が多い歯科医療機関では極めて問題意識が高く、イニシャルコストのみならず、今後発生するオン資端末のハード保守料や電子証明書代金など一定程度のランニングコストに懸念が生じております。そのような中で、17ページに記載されている「更なる対策」ですが、令和5年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入を原則として義務化するということに具現性があるのか疑問視せざるを得ません。
また、令和6年度中を目途に、保険者による保険証発行の選択制を導入し、保険証の原則廃止とのことでございますが、オン資確認システムが全ての医療機関や薬局で対応できていない状況下で保険証の原則廃止は受診医療機関を制限し、地域医療に混乱が生じることは容易に想像できます。
また、これら原則義務化がオンライン請求義務化の問題と峻別されているのか。また、紙ベースにおける請求に影響はないのか。原則における例外の配慮はどのように考えていらっしゃるのか、明確に教えていただきたく思っております。引き続き、導入できない医療機関への配慮を含めて、丁寧に進めていっていただきたく要望いたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。以前の医療保険部会においても意見を申し上げたのですけれども、オンライン資格確認という基盤は多くの利用者が活用できて初めてそのインフラとしての使命を果たすことができると思います。これまでの本部会、また本日の御説明をお聞きして、保険医療機関・薬局、そして患者側にもマイナンバーカードの利用を促す取組が様々に行われ、増加傾向が確認でき、関係者の方々の御尽力に感謝を申し上げる次第です。
一方で、現時点では、水準で見ると依然、運用開始施設数が限定的であり、導入を加速するさらなる取組が必要であることが明らかではないかと思います。17ページ目に記載されている「更なる対策」につきまして、今後の方向性としてその対策の推進に期待したいと思います。
また、オンライン資格確認等システムというのは、国民に対して医療情報提供の観点を含め大きなメリットを持つという理由で導入されているわけですけれども、その利用が今後、現状のように完全に任意の選択制を基本として行われていくのかどうかということは、システムの位置づけに関わる問題ではないかと思います。利用できる場所が限定されるということがあれば、それはシステム利活用上でのメリットを存分に生かし切れないことにもつながるわけです。オンライン資格確認の位置づけを明確にして、そのメリットを全ての国民が享受できる体制を整えるという意味でも、国としてシステム導入の原則義務化、保険証の原則廃止等の対策でリーダーシップを取っていくことが必要ではないかと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。かねて申し上げているとおり、医療保険財政はもちろんのこと、医療従事者の負担軽減に向けて、自分の健康は自分で管理するセルフメディケーションの推進が重要であります。そのためには、医療履歴や薬剤情報等を我々自身で閲覧できる環境の整備が必要であり、オンライン資格確認等システムの有効活用の重要性は論を俟ちません。今年度末までにおおむね全ての医療機関・薬局で導入するという目標の達成に向けて、残された時間は限られております。厚生労働省のリーダーシップの下、関係者が集まる協議会でのコミュニケーションを密にして、連携をより深めるとともに、先導役となるべき公的医療機関等での導入のさらなる前倒しに向けた取組をお願いいたします。
加えまして、資料1の16ページにマイナンバーカードの健康保険証の利用について、国民の意見と政府の考え方が記載されております。メリットが分かりやすくまとめられておりますので、この内容を広くぜひ周知していただきたいと思います。加えまして、このマイナンバーカードを持たないことのデメリットについてもぜひ触れていただけると、必要性をより身近に感じていただけるのではないかと考えております。
また、ここに記載されている「自己負担の増加」について、患者が享受するメリットに見合うものかどうか、さらなる検討をお願いいたしたいと思います。
なお、「より良い医療」という表現がございますが、マイナンバーカードの利用によって医療行為の質が上がるということではないわけでありますので、「より適切な医療」としたほうがよいのではないかと考えます。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。オンライン資格確認等システムは、この後の議題にもあります全国で医療情報を確認できる仕組みの構築でありますとか、データヘルス改革を進めるに当たっても、その基盤として不可欠なものでございます。また、悉皆性を持つ医療保険とマイナンバーを接続するということは、日本全体のデジタルトランスフォーメーション、あるいは今後の高齢化の下でのよりよい社会保障制度の構築という観点からも避けて通れない重要な課題であると思います。この観点から、今年度中におおむね全ての医療機関・薬局で導入という目標をしっかりと達成していただいて、広く活用されるように対応していくことが重要だと思います。したがいまして、17ページに記載されております「更なる対策」につきましても、しっかりと進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。本日の資料1の説明では、カードリーダーの普及をどう進めるかというところにウエートがあったように思いますが、やはりなかなか広がらないのは、マイナンバーカードの普及率が低いということにかなり帰せられると思うのです。私としては利用者の立場から申し上げたいと思うのですが、1つは、マイナンバーカードを保険証代わりに使うことのメリットをもうちょっと懇切丁寧に、そして分かりやすく説明する必要があると思うのです。私の周囲なんかを見ても、こういう制度を取り入れることによって何か個人情報が取られてしまうのではないかという不安感もあります。よりよい医療というお話がありましたが、医療情報とか薬剤情報については、ふだんはかかりつけ医とかかかりつけ薬局があるので、個々人にとってどれだけメリットがあるのか疑問です。というのは、交通事故にでも遭って救急搬送された場合は大変ですけれども、日常的にはあまりメリットがないのではないかな。
ですから、例えば保険証を持って歩かなくてもいいとか、あるいは確定申告のときの医療費控除の計算が楽になる。これはなかなか面倒くさいですね。毎年領収書を集めて、ああいうのもマイナンバーカードで保険証が対応できればかなり簡単になる。医療費限度額について今は事前申請しなければいけないのですが、これもしなくてもいいというような話を聞いておりますので、いろいろな面で利用者にとっても利便性があるということをもうちょっと分かりやすく説明してほしい。医療機関とか薬局についてのメリットはかなり言われておりますが、個々人にどれだけメリットがあるかということをもうちょっと分かりやすく説明する必要があると思います。
2番目に個人負担の問題ですけれども、マイナンバーカードを使ったほうが個人負担が多いわけですね。私は保険証を使ったら無料かと思っていましたが、保険証を使っても個人負担は発生するようです。それでもマイナンバーカードを使ったほうが負担が多いということになれば、それは嫌だなと思う人がかなりあるのではないかと思います。
3番目ですが、マイナンバーカードを保険証代わりにする手続が面倒ですね。私はスマホでやりかけて挫折してしまったのです。この辺のところをもうちょっとデジタルに弱い人たちにとって簡単な方策はないのかということです。私は区役所の出張所でチラシか何かを見たのですが、セブン銀行でかざせばできるとかと書いてあったのですが、セブン銀行ってどこにあるのか分からなくて、昨日厚労省の方に聞いたら、セブン-イレブンの中のコピー機の隣にありますよというのだけれども、そんなこと書いていないわけですよね。お役所仕事ではないですけれども、本当にいまいち不親切ですね。この辺のところはぜひ分かりやすい説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
17ページ目のオンライン資格確認の「更なる対策」についてです。現在、オンライン資格確認の基盤により、保険資格の確認にとどまらず、特定健診等情報や薬剤情報等の閲覧も可能となっており、薬局では電子処方箋の運用開始や今後のさらなる展開を見据えて積極的に導入に取り組んでいるところです。令和5年4月からシステム導入について原則義務化とする方向が示されています。本基盤は今後の医療情報連携にとって極めて重要なものであると認識しておりますけれども、一方、導入に当たっての課題も現状幾つかあるものと考えております。1つは、処方箋受付が少ない薬局や高齢な経営者の薬局で、そもそもレセプトの電子化やオンライン請求に対応していない薬局があります。2番目に、財政措置の見直しについて触れていただいておりますけれども、補助をしていただいたとしても、それ以上にシステム改修費用がかかることや、その後のランニングコスト、機器・システムの更新等により経営資金等の体力がない薬局はどうしても躊躇せざるを得ない状況です。
また、令和5年4月から原則義務化となっていますが、9ページ目の早期導入に向けた課題と対応の中にもありますけれども、現状、システム事業者と日程の調整がなかなかつかず、既に申込みをした薬局でも設置工事までたどり着いていない薬局が相当数ございます。申込みの約半分の2万5000薬局しか準備ができていない状況です。今後、電子処方箋の運用に向けての準備もあり、申込みをしても物理的に間に合うのかという懸念があります。多くの薬局が導入することでメリットが大きくなると理解しております。そのため、導入したくても対応が難しいこれら薬局への配慮をどのようにするのか。費用の在り方、費用補助をどうするのか。これらについて具体的な検討を行い、対応案を早期に示していただきたいと思います。
それとともに、現場への働きかけを丁寧に実施していただくことが必要と考えますので、厚生労働省におかれましては、日本薬剤師会はもちろん、関係団体との密な連携を引き続きお願いできればと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。オンライン資格確認や全国で医療情報を確認できる仕組みについて、導入に向けた対策や進捗状況を御説明いただきまして、誠にありがとうございました。いずれにしましても、オンライン資格確認のさらなる導入が制度普及の鍵となると認識しておりますので、関係者と連携した取組の推進や医療機関等への個別の働きかけの強化といった様々な観点からの対策を実効的、複合的に進めていただき、令和5年3月末までにおおむね全ての医療機関・薬局で導入という目標が実現できるように、引き続き集中的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
一方で、国民のマイナンバーカード取得のさらなる促進並びに保険証利用の初回登録につきましては、6月末から実施されるマイナポイント第2段の実施に伴い、我々保険者である協会におきましても、加入者の皆様への広報活動をさらに強化していきたいと思っております。
その意味で、17ページに掲げていただいた「更なる対策」の1のシステム導入の義務化につきましては、データヘルスの基盤づくりに係る国の本気度を感じることができました。ぜひ実施していただきたいと思っております。
一方で、2に関してでございますが、義務化を前提とするのであれば、その導入費用につきましては、全て国で補助を行うということにしてもよいのではないかと思っております。また、診療報酬の加算の取扱いについての詳細は中医協で検討することとなりますが、その加算の大方針に関する議論は医療保険部会で行ってもよろしいのではないでしょうか。なお、財政措置の見直しについては様々な財政措置が設けられていても、なかなかシステム導入が進まないのはなぜなのか、これまでの利用状況等をよく踏まえてしっかりと議論を深めていただきたいと思います。
3につきましては、賛成でございますが、各保険者の実態も踏まえまして、進めていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。今回、オンライン資格確認システムの導入状況についてお示しいただきました。そうした導入状況を見てみますと、導入目標の達成はこのままでは大変厳しい状況にあると思います。利用できる医療機関が少なければオンライン資格確認システムの普及は進まなく、また、そのために導入が進んでいかない、利用しないという悪循環につながることを懸念しております。
菅原委員も御指摘されておりましたけれども、今回のマイナンバーカードと健康保険証をひもづけるということは、政府のDX政策の一環として掲げられておりまして、大変重要な施策だと考えております。これをきちんとやっていくということを関係者の皆さんで合意し、進めていく必要があると思います。そういった観点から、本日お示しいただきました「更なる対策」として、原則として義務化するといった3点の施策が示されておりますが、この内容を着実に実施することが必要だと考えております。
また、その実施に併せまして、国民に対して、利用者に対してメリットをきちんと周知していくことは大変重要だと思っています。先ほど袖井委員が御指摘されたことはまさにそのとおりだと思っておりまして、例えば、「よりよい医療」というだけではなかなか患者のほうからの理解が難しいのではないかというところもございます。費用負担もかかるということになると、ますますこれをやってみようという気持ちがなかなか湧かない、インセンティブとして働かないのではないかということも考えておりますので、しっかり見直しもしていただきたいと思っております。
また、マイナンバーカードに関しましても、情報を抜かれるのではないかという懸念の声は私どものところにも来ておりまして、そういったことにつきまして、やはり誤解がないようにその懸念を払拭し、マイナンバーカードの普及促進に向けた取組をさらに進めていくことが重要だと考えております。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私のほうからは、各委員からの御意見と重なる部分もありますけれども、意見と質問を1点させていただきたいと思います。
まず、12ページ、オンライン資格確認推進協議会の開催の中で提起された課題の抜粋ですけれども、この中で解決できそうなもの、例えばイニシャルコストが補助金上限を超える場合がある。これは私自身も県の医師会を通じて確認しています。それから、まだまだ端末が十分そろわない、入手できないということもお聞きしています。これについてどこまで事務局の皆さんが把握しているか。そして、特に端末の入手は今もう十分可能な状況になっているのかどうか。それを1点質問させていただきたいと思います。
その上で、13ページにありますように、これはそろえる側、事業者側ということで、事業者側も大手20社を中心にこういう協議会を開催されているということですけれども、先ほど言いましたように、やはり端末のイニシャルコストが高いというのは、むしろここに入っていないような小規模事業者からの請求があるということを各医療機関側としても確認していますので、そういうところの働きかけで、よりそこがしっかりできるような対応が必要ではないかということを考えます。
一方で、17ページにあります3つの方針は、義務化も含めてある程度、これは本当にスピードアップをするためにはやむを得ない対応ではないかという気もしています。先ほどありましたように、IT化、DX化については日本は周回遅れということは十分、多分ここにいらっしゃる方は皆さん感じていらっしゃると思います。特にこのコロナ禍においていろいろなことが、例えばワクチンの接種対応、あるいは補助金の交付等も含めて、これがもう少し進んでいれば、もうちょっと俊敏にできたのではないかと考えることはたくさんあるかと思います。
ですから、この周回遅れに近い日本のDX化をより促進するという意味では、私ども医療従事者も含めて、国民、そして提供者側、支払い側も含めて、それぞれのステークホルダーが少しずつ痛み分けをしながら進めていかなければいけないのではないかという気がしています。そういう意味で、メリットは今何があるかということを言い出すと、なかなかそう大きくないよねというところも出てくるかと思いますけれども、これは今のメリットではなくて、近い将来のメリットを考えると、非常に大きなものがあるということをみんなが共有して、そして、みんながそれぞれ痛み分けをして進めていく事業ではないかという気がしています。そういう意味で、ぜひ前向きに進めていくことに関しては大賛成です。
その上で、くしくも安藤委員がおっしゃっていただいた原則義務化にするのであれば、イニシャルコストぐらいは全額補助を出してもいいのではないかという力強い御支援をいただきましたので、私もぜひそういう形で、できることは全てやっていくという体制で、ぜひスピードアップをしていただければと思っています。
最後ですけれども、義務化をするということは、私は最終的には必要ではないかと思っています。そうしないとなかなか進まない、100%に持っていけないということはあると思いますけれども、一方で、マイナンバーカードは任意になっています。ここを義務化するのは非常にハードルが高いかもしれませんけれども、ほとんどの方、9割以上の方々がマイナンバーカードを持ちたいと思うような環境づくりを併せてやっていかないと、端末だけ義務化してもなかなか進まないということにつながると思いますので、その辺は各委員がおっしゃったようなことをそれぞれ取り組みながら、みんなで考えていければと思っています。
以上です。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
1点、端末の供給状況に関して御質問がございましたので、事務局、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。御質問ありがとうございます。
まず、イニシャルコストについて御指摘を頂戴いたしました。資料1の35ページに現行の医療情報化支援基金による補助制度の概要を書いてございます。皆様御案内のとおり、補助上限額を設けまして、それに対して2分の1ですとか、4分の3ですとか、そうした割合で補助をさせていただいているということでございます。ここの上限額につきましては、現在どういった形で行われているか。そうした状況も踏まえながら設定をしたものということでございます。個別にそうしたものを超える事例があるというお声、それは私どもとしても三師会のほうから、そこはまさに現場の情報を収集していただいて個別に情報を頂戴しているところでございます。私どもとして個別の価格設定のよしあしまで何かしら言うとか、そういう権限とか立場にはないわけでございますが、一方で、そうした情報を把握した場合に、そうした価格について事業者側がきちんと説明責任を果たせるような状況になっているか。そういうことについては私ども、個別に注意喚起をさせていただく。そうした対応を行っているわけでございます。
実際、個々の医療機関・薬局とシステム事業者とのやり取りの中では、オンライン資格確認の導入に係る経費だけなのか、あるいはそれ以外の部分も含めたものなのかといったことも含めて、個別の事例はやはり状況が様々だと思いますが、私どもとしてこうした医療機関・薬局とシステム事業者との間の契約が価格設定を含めてより透明な形で行われるように、引き続き支援をしてまいりたいと考えてございます。
それから、機器についての御指摘がございました。私どもとして、これは資料で申し上げますと13ページでございますが、資格確認端末あるいはルータの不足ということにつきましては、これまでも経産省あるいは関係団体と連携をしながら供給事業者への協力依頼を行っているということ。それから、厚労省のホームページ上におきまして、それぞれの供給事業者ごとにどういった見通しであるか、供給の見通しを公表することでシステム事業者と供給事業者、メーカーとのマッチングを支援したり、あるいはさらに新規供給事業者の開拓等も取り組んでおります。
私どもとして、全体として資格確認端末とかルータについて一定の供給がある状況と思っておりますが、一方で、システム事業者によっては特定の社の端末あるいはルータを扱っておられるところがあって、そうした事業者の中には、そうしたところの供給が滞っていることがネックになっているという状況もあるやに承知をしてございます。私どもとしては、全体としてまずそういう供給のキャパシティーが確保されるように取り組むとともに、ほかの事業者も含めて、システム事業者のほうにも御紹介をしながら取り組んでいるという状況でございます。
以上です。
○田辺部会長 それでは、鎌田参考人、よろしくお願いいたします。
○鎌田参考人 ありがとうございます。全国市長会の立場にある前葉に代わりまして出席させていただいております、三重県津市健康福祉部保険医療助成担当参事の鎌田と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、資料1の16ページのオンライン資格確認に関する診療報酬上の評価につきまして、市町村の立場から意見を申し述べさせていただきたいと思います。マイナンバーカードの活用につきましては、市町村にとりましても積極的に推進する立場にあります。国におかれましても、ポイント付与で加速化しようという取組がなされているところで、その活用のメニューの一つとして健康保険証がございます。この活用策につきましては、マイナンバーカードが健康保険証として使えることで国民がその利便性を純粋に享受できるよう制度設計されたものでありますので、引き続きマイナンバーカードの利活用が促進されますような観点を折り込んだ制度設計をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。全国後期高齢者医療広域連合協議会から参加させていただいている横尾です。多久市長でもございますので、行政、デジタルガバナンスの重要性を日々感じているところです。そういったことも踏まえまして、今日お示しになった方針は、ある意味でこれまでのいろいろな課題を克服していこうという厚生労働省をはじめ政府の本気度が伝わる内容だと受け止めています。示された方針につきましては非常に重要なことでありますし、基本的には賛成を表したいと思っています。
また、課題としてなかなかマイナンバーカードや資格認証用のリーダー端末の普及が進んでいないということが出ました。お話を伺い、それぞれ医療機関においても大変御苦労があると思っています。しかし、全ての医療機関においてこのシステムが導入されることは、患者の皆さんの利便性の向上、そしてよりよい医療アクセスに通じます。ご意見では、「よりよい医療」というのは何かという議論も一部ありましたけれども、医療へのアクセスが大変便利になるということ、それを享受できるということにつながるものでありますので、ぜひ医療機関の皆さんをはじめ関係機関、そして厚生労働省においても、財政措置等の意見もございましたが、それぞれ是非ご協力いただいて、これらが推進できるように頑張っていただきたいと心から願っています。
特に、今回取り組まれているオンライン資格確認に伴う様々な今後の展開については、マイナンバーカードを健康保険証として利活用することを義務化するということまで明記されました。これらは考えてみますと、政府がかつて示されたデジタルガバナンス、デジタルガバメントの推進において非常に重要なことであります。私自身はこのことはまさに入口の入口と思っているところです。
全国民の皆さんが利用できる情報インフラとしての確立は、いわゆるSociety 5.0、あるいは世界的に進むDXデジタルトランスフォーメーション、デジタル化、デジタル社会の実現に向けて、その着実な推進に向けて不可欠なものでありますので、ぜひこれらについてはやっていくべきと認識しています。
その意味では、関係される全ての主体、関係機関の連携、協力が重要です。このことは、ほかの委員からもございました。やはり一つのビジョンを目指してお互いに協力をして、よりよい行政の実現に向けて進めていただくことがとても大切だと思っているところです。
また、17ページで具体的に3つのことが示されまして、たくさんの委員の方から多様な意見も出てきたところでございます。是非とも一つ一つ受け止めていただいて、課題は全て克服するという前提で推進していただきたいなと改めて思います。「システム導入の原則義務化」や「財政措置の見直し」、これについては新たな支援も考えてほしいという意見もございました。また、「健康保険証の原則廃止」と「選択制の導入」ということまで、これまでにない新たな展開を目指されていると受け止めているところです。
また、12ページで示された、今の17ページの内容に至る前の推進協議会での様々な課題は、なるほど、もっともだなと私自身も拝見し、本日の説明を聞いて、そう思いました。ほかの委員の方々も、特にそこの部分で言われた意見の趣旨としては、やはり広報と啓発の重要性ということがどうしてもあると思います。より分かりやすく国民の皆さんに示す必要があります。また、「より良い」だけでは分からない、分かりにくい面もあります。例えば確定申告における医療費控除手続きの対応が非常に便利になるようにするという具体的な例も言われました。あるいはまた、現状の制度を見ても、顔写真なしの保険証というのは誤用や悪用などのリスクも当然片方にあるわけですが、これについても解消することもできます。さらに、自分自身の医療健康データを逐次見ることもでき、仮に医療機関で詳細な情報や説明を求められても、このシステムが活用できれば、必要なデータを速やかに共有して、適切な医療を受けることにつなげることができるなどなど、いろいろ効果があると思います。ぜひこれらを具体的に、かつ分かりやすく国民の皆さんに伝えていただくことがとても大切だと思います。それらを、細かに、また丁寧にやることでよりよい理解が広がっていくと思いますし、もともと目指されたデジタルガバナンスやオンライン資格確認、あるいはこれらを基として、医療や健康について、国民の皆さんへの行政サービス充実にもつながりますので、ぜひこれを進めていただきたい。今回、普及率について中間目標も設けられたりしていますので、ある意味で医療現場は大変かもしれませんけれども、ぜひとも医療機関の皆さんには頑張っていただきたいなと期待を寄せています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 突然義務化の話が出てびっくりしているところであります。1のところで保険医療機関・薬局におけるシステム導入を義務化すると、できないところは保険医療機関をやめなさいということでしょうか。そういう意味で保険者さんはおっしゃっているわけですね。実際のところ、今回、コロナのために丸2年半、かなりいろいろな対応を私どもはしなければならなくて、予防接種したり、発熱外来やったり、できる機関とできない機関がございます。できるところは目いっぱいやっております。私自身も土日を潰してずっとワクチンを打っておりました。そういったところで、これに手が回らない上に、コロナのせいで機器の製造が難しくなって、機器の中のICチップが足りなくなって大変高くなったり、来なかったりして苦しんでいるところでもあります。
ただ、コロナが収束すれば、そういったことは改善しますし、私どももワクチンを打たなくて済みますので、かなりこういったところに手が入れられるのではないかと期待しているところであります。
ただ、そういったところで突然義務化と言われますと、何のことかなと思っている医療機関がかなりございます。先ほどお話がありましたように、現場を預かっている薬局の方々、あるいは歯科の先生たちも大変当惑しているところであります。やり方が拙速なのではないでしょうか。
17ページの2番目の医療機関のシステム導入が進んだら、さらにマイナンバーカードの保険証利用が進むように財政措置をすると、これはぜひやっていただいてもいいと思いますが、こういった仕組みについては、導入するときと、ランニングコストがかかりますので、そこのところを適切に対応していただきたいと思います。ランニングコストについては中医協で十分議論できる話でありますので、そこで議論していただきたいと思いますし、導入に関しては、国が補助金を十分に出せればいのですが、先ほど話がありましたように、非常に高い導入コストを要求されているという現実もございます。対応していただいているとは思いますけれども、引き続き努力をお願いしたいと思います。
もう一点は、これを始めるときに、義務化はしない、そして、健康保険証は残しておくという約束をされたように私は記憶しています。保険証は残していただけるのですねということを私は質問した記憶がございます。そのときはそのとおりですという返事だったと記憶しておりますが、突然、健康保険証をやめたいといった形でしますと、かなりお年の皆さんが受診できなくなります。その方たちにとってデジタル化というのは、今のところは例えば実印を持っていけと言われているのと同じように感じる人たちもいらっしゃいますし、なかなか難しいわけであります。認知症のある方が持ってこられて、保険証がなくなったといって大騒動になるのはしょっちゅうであります。そういったことの現場の苦労も分かっていただきたいと思います。
そして、何よりもこれを始めたわけですから、医療機関でこの仕組みは大変よい面があるという意見もありますし、これを実際使ってみられて、患者さんが皆さん、これはいい仕組みだねと思えば自動的に増えてまいります。大病院についてはまた別費用がかかりますけれども、フリーアクセスの中で患者さんが選んで医療機関に行けるという仕組みを確立されていますので、その中で信頼できる先生に、ぜひこれを入れてほしいというふうに患者さんも話すと思います。そういったメリットが明らかになってくるのにはやはり時間がかかります。そこを拙速に机上の空論でこうあるべきというので義務化するのは非常に違和感を覚えます。
ただ、これが始まりました。必ずこれは進んでまいります。そして、いろいろな障害を取り除けば、日本の国のデジタル化においてはこういったことをもっと進めることができると思いますが、あまりにも拙速に、義務化という単語が出ますと、信頼関係が壊れたと思われる医療機関もかなりあります。そこのところを御注意いただきたい。そういう点から、今こういった義務化については、私は反対であります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、菊池部会長代理、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。データヘルス改革につきましては、よりよい医療を実現するために、国、保険者、医療機関・薬局、患者さんをはじめ、全ての関係者が連携して進めていく必要があることは言うまでもないところであります。とりわけオンライン資格確認は、最初に菅原委員からもお話がありましたし、その後も多くの委員からお話がありましたが、今後のデータヘルス改革に当たっての非常に重要な基盤となるものです。保険者・審査支払機関における基盤の整備と併せて、医療機関・薬局で問題なく円滑に利用できることが普及の前提条件となります。田辺部会長と私が委員を務めております全世代型社会保障構築会議が先週5月17日に取りまとめた中間整理でも、「国、公的主体によって統一的に管理されるデータ、事業者等が管理する規格化されたデータの活用に向けてオンライン資格確認等の環境整備を着実に進めるとともに、健康診断等で得られる個人の医療情報を自分で管理・活用することができる将来像を見据え、個人、患者の視点に立ち、ブロックチェーン等の技術を活用したデータ管理の議論を進める必要がある」とまとめられております。関係者の皆様には既に大変な御努力をいただいていると承知しております。導入時あるいは過渡期にはどうしても諸々の御不便をおかけしたり、あるいは不都合もあろうかと思います。しかし、日本の医療をさらによいものにしていくための重要な取組として、医療機関、薬局の皆様におかれましてもさらに取り組んでいただければ幸いでございますし、また、国、保険者、ベンダー、その他の関係者の皆様におかれましても、医療機関・薬局任せではなく、導入に向けた支援サポートをしっかりしていただくなど、一丸となって進めていただければと念ずる次第でございます。そういう観点から、私個人的には、先ほどの池端先生の御発言に率直に感銘を受けた次第でございます。
事務局には、引き続き関係各所の意見を丁寧に聞き、調整を図りながら目標に向かって推進してただきたいと思います。
また最後に、これは事務局のみならず政府全体に対してですけれども、先ほど袖井先生が随分ヒントをくださったように思いますが、マイナンバーカードの普及拡大に向けた特段の御努力をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、2巡目ですけれども、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 2回目で申し訳ございません。先ほど来、皆さんの話を聞いていて、やはり17ページの義務化というところは相当スポットライトが当たっていると思っているのですけれども、そういった中で、いま一度本件の取組の目的を明確にする必要があると思っております。当然ですが、義務化は目的ではないと思います。当たり前ですけれども、このオンライン資格確認制度の実効性を確保するために、可能な限り早期に全ての医療機関、薬局でのシステム導入をしてもらうこと、これが極めて重要なのだろうと思っています。
そういった中で、現状、残念ながらその目的が達成できていない、もしくは実現が極めて厳しい状況にあるというのは間違いないと思います。今日の資料の具体例で申し上げれば、システム導入の第1ステップとなるべきカードリーダーの申込み率がいまだ60%に達していない。4割以上の機関が申込みすらしていないという状況だと思います。しかも、この申込み率は、これまでもこの部会でも報告をされていますけれども、ここ1年あまりほとんど増えていないという状況です。この現実はやはりきちんと受け止める必要があるのだろうと思います。
そういった中で、繰り返しますと、可能な限り早期に全ての医療機関・薬局でシステム導入をしてもらうためにどうすべきかと。しかも、本件は国の施策として進めているので、既に相当なコストが投入されているわけでして、やはりこの目的を達成するための手段、方策として義務化を打ち出すのはある意味当然ではないかと思います。
ちょっと言い方はよくないかもしれませんが、極端な話、義務化する前に導入率が100%になればベストなわけです。そういう面で、先ほども申し上げましたが、本件は、当事者全てが目的達成に向けて努力していくことは不可欠だと思いますので、医師会をはじめ、医療界の皆さんにおかれましてもぜひともご協力をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。私も今の佐野委員と同意見なのですけれども、やはりこのオンライン資格確認等システムの活用に関しましては、関係者の皆様は同意されていると思います。そして、これが今後の日本という国のデータヘルスの基盤になるということについても、皆様異論はないと思います。ですから、これを推進するためには、各委員の皆様もおっしゃっていますけれども、各関係者の方たちの協力なしには進まないと思います。今後の日本の医療保険制度の5年後、10年後、そして20年後、将来にわたっての非常に大事な節目であると思っていますし、大げさかもしれませんが、今回はその最後のチャンスというふうに捉えていますので、やはり関係者が協力して進めていただけるように、私としては切にお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 先ほど申しましたように、私どもはオンライン資格確認を進めていきたいと思ってるところであります。ただ、義務化というのは強制でございます。そういったものを持ち出されるとかなり反発が出てくるやに思うので、申し上げているところであります。
そして、先ほど申しましたように、地域を守っている、特に僻地を守っている先生にとって、保険医を辞めろという話を持っていくというのは、私はできません。やはり現状に合わせてみんなで力を合わせて、皆さん日本の国のデジタル化は了承しているところでございます。現実問題として問題が起きているところはうまく回避しながらするのが当然であって、一方的に高飛車に義務化だというのは、何度も申し上げますけれども、私は反対であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
ほかに御意見がないようでございますので、本議題につきましては、これまでとさせていただきます。本日の意見も踏まえまして、オンライン資格確認等システムの導入、それから、デジタル化の推進に向けまして、政府において適切に対応していただきたいと存じます。
次に、「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について」及び「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」を議題といたします。それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○田中室長 医政局医療情報技術推進室長の田中でございます。
それでは、資料2「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大の進捗について」御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして、2ページでございますが、先ほど来お話が出ておりますが、全国の医療機関等でレセプトの情報を基に医療情報を確認できる仕組みとして令和3年7月からは特定健診情報、同年10月からはレセプト記載の薬剤情報を確認できる仕組みの運用が始まっております。現在、医政局におきまして、この情報に加えて、この表の1、2の情報につきまして、さらに確認できる情報を順次追加のシステムを構築しているところでございます。
この内容につきましては、3ページにございますが、令和3年6月18日に閣議決定をされております成長戦略フォローアップの中でも、手術の情報など対象となる情報を拡大し、2022年夏を目途に確認できるようにすると記載がされているところでございます。本部会におきましても、この仕組みにつきまして、以前にも御説明をさせていただいております。
4ページをおめくりいただきまして、今回の医療情報の拡充に当たっては、先ほど来、国民の皆様への理解を進める周知が非常に大事であるという御意見をいただいておりますが、このACTION1につきましても、どういった情報が共有されるか十分な周知を行うことに加え、機微情報として手術情報の共有について特段の配慮が必要との指摘をいただいたところでございます。このため、以下にございます措置を講ずる方向で検討をしております。医療情報を患者や全国の医療機関等で確認できる仕組みのうち、手術情報の医療機関や薬局での情報共有については、個別に同意を得る仕組みを構築した後に開始する。これは、現在システムを構築しているものは薬剤情報と診療情報という形で拡充する情報を含めて一括で提供する、しないの同意画面をつくっているところでございましたが、手術情報につきましては、新たに画面をつくり、個別に同意を得る丁寧な進め方をさせていただきたいと。このシステム改修に伴いまして、手術情報の共有については令和5年5月目途にずれこむということでございます。
また、手術以外の情報につきましては、予定どおり本年9月から運用を開始します。マイナポータルを通じて患者さんが自身の保険医療情報を閲覧できる仕組みについても、手術情報を含めて本年9月より予定どおり運用を開始する。このような丁寧な進め方をさせていただきたいと思っております。
5ページ目でございますが、従前より説明をしておりますACTION1の資料に、左下のほうにございますが、医療機関・薬局の手術情報につきましては赤字で補足を付け加えておりまして、今申し上げたように個別に同意を得る仕組みを構築した後に運用を開始するということで追記をさせていただいております。こちらの内容につきましては、既に健康・医療・介護情報利活用検討会のほうでも御議論をいただいた内容になっております。
資料2については以上になります。
続きまして、資料3「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおける議論について」を御説明させていただきます。こちらのワーキンググループでございますが、主に全国的な医療情報ネットワークの基盤に関する議論を行うため、健康・医療・介護情報利活用検討会の下に設置されたワーキンググループでございます。
この中で2ページ目にございますけれども、電子カルテ情報等の標準化の進め方という全体的な表の中の真ん中辺りにございますが、電子カルテ、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書、その下にございます6つの情報につきましては、この3文書を厚生労働標準規格と昨年3月に定め、標準的な電子的仕様が定まったところでございます。既にHL7 FHIRという交換方式を用いて異なる電子カルテの間でも情報のやり取りができるような仕組みが立ち上がったと、整備ができたというところでございます。今後、これらの情報を共有するための基盤としてオンライン資格確認等システムのネットワークを使って、こういった情報のやり取りを進めるということをワーキングで議論をいただきました。
3ページ目がその表になっておりますが、ブルーのところ、新規部分とございますが、先ほど申し上げた3文書につきまして、医療機関間でやり取りをするためのネットワークとして、仮称とございますが、電子カルテ情報交換サービスというサービスを介して医療機関間で御本人の同意の下、こちらの3文書についてやり取りするネットワークを仕組みとして構築するべきという議論をいただいたところでございます。
既に赤字の既存部分というところでは、支払基金・国保中央会にオンライン資格確認等システムの中で電子レセプトから抽出した赤い部分の情報や特定健診情報など、既に運用が始まっている部分がございます。今後、このネットワークを使うことはこのワーキングで御議論いただきましたが、開発主体や運用主体、運用費用の負担について、さらなる議論が必要ということでございます。
4ページ目にございますが、今後、全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤構築に向けた議論の進め方についてということで、FHIR準拠の文書を共有するための情報基盤の整理、共有するべき情報の整理、電子カルテの普及、大きくはこの3つを現状の課題と認識しております。これらの内容につきましては、その下にございます会議体として利活用検討会の下に設置しております医療等情報利活用ワーキンググループでは、この情報拡充の計画の策定など、また、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループでは、先ほど申し上げた基盤の開発、運用主体、費用の負担などについてに加え、具体的な仕組み、ガバメントクラウドの活用、基金の要綱などについて議論をしていただくということで、利活用検討会のほうで御了承をいただきました。
なお、この基盤ワーキングにつきましては、現在、技術的な議論をするという形で専門的な先生にお入りいただいておりますが、今後の上記課題の検討に当たって、構成員の見直しも行うということで御了承をいただいております。
以上、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループの現状についてお話をさせていただきました。医政局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等があればよろしくお願いしたいと存じますが、まずは資料2に関連して、参考資料1として日本医師会より要望書が本部会宛てに届いているところでございます。松原委員よりコメント、御説明等をいただければ幸いに存じますけれども、よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会の副会長の松原でございます。この会でも何度か御説明しましたように、患者さんにとって医療データには機微性の高いものが多々ございます。そういったものを守っていくのが私ども医師の役目でもございます。そういった観点からお話をさせていただいたところであります。特に手術については病気を類推できるものが多々ございます。リンパ節の郭清という単語が出たら、これは悪性腫瘍でかなり進んでいるものだということがすぐに類推できます。そういったことから考えても、やはり手術歴については、大変大事な機微性を持っているものだと私どもは思っております。そんな中で、これを見られるようにするということは非常に危険であると申し上げたのですが、振り返って考えますと、このシステムを使うときには最初に包括的な同意、つまり、「使っていいですよ、ほかの方も見ていいですよ」ということを了承するわけでありますけれども、それでは危ないと思います。日本国民は政府を信じておりますので、自分の不利なものが外に出るようなことをするはずがないと思っております。
それと、医療機関におきましては、医師は刑法で守秘義務が課せられております。要するに、刑事問題が起きるわけでありますので、国民の皆さんも医療機関においては自分の状況をいろいろ話す。個人的な秘匿しておきたいところでも、医療のためには必要であれば仕方がないということでお話しいただくわけであります。
そういった中で、やはりこれは個別に了承を取らねばならないのではないかと何度も申し上げていたところでありますが、そこのところを厚生労働省さんにも御理解いただいて、少し改修をして時間が延びるかもしれないけれども、やはりこういった機微に準じたるものは個別に了承を取るべきだということを御理解いただきましたので、これをさらに後押しすべく、私どもも文書を出したところであります。
これも手術歴だけではなく、例えば放射線療養も放射線を当てたら当然、悪性のものであるというのが類推できます。あるいは化学療法も、ある薬剤を使ったらがんであって、これはもう長くないのだなというようなことを思われることもあります。こういったことも含めてでありますが、今回はまず手術について国民の皆様がどのように考えるか、どのようにリアクションされるかということを踏まえた上で、どのような形に拡大していくか、あるいはこれでいいのかということを判断したいと思います。まずはこの形で御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。コロナ禍によりまして、我が国の医療分野におけるデジタル化、ICT化とその活用が極めて重要であるということが明らかになっておりまして、今後、国を挙げて「医療DX」を強力に進めることが不可欠な課題となっております。
医療DXを進める際、データの標準化を図った上でのカルテや処方箋の電子化は必須でありまして、これにより医療機関・薬局の間での情報共有化の道筋が開けるとともに、国民によるデータの閲覧、活用の利便性が高まることにより、PHR、パーソナル・ヘルス・レコードの取組が広く普及し、セルフメディケーションを実践する国民が増えることが期待できます。その意味で、電子レセプト、電子カルテ、電子処方箋といった診療・投薬情報の共有に向けた取組が、資料3の2ページ目の工程表に基づいて進展することを強く期待しております。その際、大病院だけではなく、中小規模の病院や診療所における電子カルテの導入促進や、ともに地域医療を支える薬局や介護関連施設との情報の共有といった視点も必要だと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。まず、資料2については、医療情報の拡充は極めて重要だと思うのですが、今お話がありました手術情報について、やはり機微情報であって、患者同意を厳格に行う必要があるということについては理解できます。ただ、それによって医療機関等での情報共有が遅れるというのは若干残念であるなと思います。
いずれにしても、医療情報の拡充は医療の質の向上、また効率化につながるものであると思いますので、これ以上遅れることのないように着実に実施をお願いしたいと思います。また、それ以外の情報共有やマイナポータルでの閲覧については、予定どおりに9月からしっかり実施をしていただきたいと思っております。
それから、資料3のネットワーク基盤の関係ですけれども、今、お話がございましたように、今後こういったものの運営主体や費用負担をどうしていくのかということは相当慎重に検討すべきだろうと思います。そういう面で、今回、資料でも、ワーキングの構成員の見直しを行うと言われておりますけれども、こうした検討の場には保険者もぜひ参加をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
資料2の5ページについて1点質問です。手術情報以外の医療機関・薬局への共有は令和4年9月より開始し、手術情報の共有は令和5年5月を目途に開始とのことですけれども、訪問看護のオンライン資格確認においてはいつからそれが可能になる見込みかということと、共有する情報の範囲が同一かということ、この2点を確認させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○田辺部会長 では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。訪問看護におけるオンライン資格確認の、開始時期や仕組み等については現在検討しているところでございます。訪問看護のオンライン請求につきましては、この医療保険部会において昨年7月だったかと思いますが、令和6年5月から開始ということで進めさせていただくことを御報告させていただいてございます。そうしたことも念頭に置きながら、できる限り早期に開始できるよう検討準備を進めてまいりたいと考えてございます。
また、情報につきましては、患者の同意の下、訪問看護ステーション等において薬剤情報等の医療情報を閲覧できるようにする方向で私どもとしては考えてございますが、これにつきましても、またきちんと御議論をいただきたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○秋山委員 ありがとうございます。時期についてはできるだけ早期に開始できるよう検討準備を進めていただきたいと思います。共有情報の範囲につきましては、訪問看護においても同様の情報が共有される必要がありますので、ぜひその方向で検討していただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。今後、基本的にはオンライン資格確認等システムの枠組みを活用する方向性で検討が進められるものと認識しております。オンライン資格確認等システムのさらなる活用につきましては賛成でございますが、これまでの議論でも繰り返し申し上げてきましたとおり、追加される情報、またその活用方法によって受益者は異なるものであると認識しております。
その費用につきましては、保険者のみではなく、受益者の間で応分に負担すべきと考えておりますので、今後の議論においてその点を踏まえて十分な検討を尽くしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。資料3についてです。佐野委員の御指摘に重なる部分でございますが、全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤構築に向けた議論の会議体といたしまして、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループが挙げられております。この検討に当たって「構成員の見直し」を行うとございますが、どのようなタイミングでどのような見直しを行うのかということについて確認をしたいと思います。早期に保険者が参加することが必要だと考えております。
以上です。
○田辺部会長 では、この点、よろしくお願いいたします。
○田中室長 医政局でございます。こちらのワーキングの見直しでございますが、次回のワーキングの開催の前に構成員の見直しを行いたいと考えております。データヘルス改革工程表の中では、今年度中にこちらの運用主体や開発主体などについて結論を得るとされているところでございますので、速やかに構成員の見直し行い、議論を再開したいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
それでは、引き続き、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
先ほど藤井委員からも、薬局等を含めた情報共有も重要だというお話をいただきました。薬局でも電子薬歴を導入する薬局が増加して、今たしか6割ぐらい導入が進んでいると認識しています。そうした中、今、電子カルテ情報の標準化に関しては検討が進められているというお話を伺いましたが、電子薬歴に関しても同様に標準化等の検討を進めることが必要であると考えます。今後広く医療情報連携の観点から薬局が有する情報を共有することも重要で、そのため、薬局のデータの標準化、薬局の関わり方等について関係部局での検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 医療情報の共有について質問したい。医療情報はどういうものを共有するかについては本人同意がまず優先されるのですが、認知症の人とか知的障害の人の場合にどうなるのかということをどこかで議論されているのでしょうか。成年後見人は医療同意、予防接種とかそういう軽いものはできますが、大きなものについてはできないことになっていますよね。医療情報の共有に関する同意についてどこかの委員会とかで議論されているのでしょうか。あるいは厚労省として何かその辺を考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○田辺部会長 大切な問題だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中室長 非常に重要な御指摘をありがとうございます。すみません。医政局のほうで明確に今いただいた内容について審議をしているワーキンググループ等はございません。ただ、いただいた御指摘を踏まえて、非常に重要な課題と感じておりますので、今後、どのような方法で議論ができるか検討させていただきたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私のほうは資料2の4ページの中で、現状の課題ということで、今、各委員からもお話がありましたように、今後、まだ電子カルテを導入されていないところに対して普及して100%化を目指すということだと思いますけれども、ここで1点御質問させていただきたいのですが、御承知のとおり、電子カルテというのはかなりいろいろなメーカーがいろいろな電子カルテを既に導入されていて、そこを標準化するのは非常に大変で、今回、HL7 FHIRを標準化しようということですが、これから導入する電子カルテは、最もそこが共有しやすい電子カルテを求められるし、一方で、今、各病院・診療所が常に診療報酬改定、あるいは数年に1回のバージョンアップのたびに相当な金額のコストを要求されて、変な言い方をすれば、一旦そのメーカーで導入すると、もう言いなりにお支払いしながらバージョンアップしていくしかない現状があります。それをもう少し、これから特に小規模の診療所、中小病院で未導入のところが導入するときに対しては、少しその辺は企業とも十分話をしながら、より効率的で費用負担も少ない、そして利便性、共有しやすい電子カルテの普及に対してアプローチしていただければなと思いますけれども、それについての方向性とかお考え等がありましたら、お聞かせいただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 いわゆるベンダーロックインだと思いますけれども。
○田中室長 ありがとうございます。まさに様々なメーカーがあるというのが大きな課題ということ。それから、それでも今まで電子カルテを導入してきていない医療機関が今後より安価に、そしてランコス少なく電子カルテを導入できる仕組みをつくることは非常に重要だと認識しておりまして、こちらの課題につきましては、私どものほうでもベンダーとお話をさせていただいておりますし、費用をいかに下げられるかということでいろいろな手段を国も考えていくということで取組を進めているところでございます。
電子カルテが普及しないと、まさにこの医療情報の基盤をつくっても医療情報が共有されないということでございますので、併せて、引き続き一生懸命進めていきたいと思っています。
○池端委員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、菊池部会長代理。
○菊池部会長代理 菊池です。袖井委員の御質問はとても重要だと思うので、私からも確認したいのですけれども、日々の医療現場でまさに判断能力不十分な方の医療同意をどう考えるかというのは、日々悩みながら診療されていると思うのですが、議論されていないということは、そこはもう日々の医療現場で行われている取扱いというか、現状というか、それをこの場面においても前提として議論してきたという理解でいいでしょうか。
○田中室長 基本はそういう理解でございますが、実際には、オン資の仕組み自体はまさに受診をする資格を確認する際に様々な医療情報について同意を取るというふうになっておりますので、そもそもの仕組み自体の中で明確に本人同意ではない場合、本人がなかなか同意できない場合、そういったときの仕組みについて、現状では救急の場面で、まさに御本人に意識がないような場合において医療情報の共有は非常に意味があるという御指摘を様々なところからいただいておりまして、救急の場面の考え方というもの、まさに仕組みを今つくっているところですが、同様のお話かなと思っております。
そういった部分も含めて、いわゆるオン資の情報共有の仕組みの中でどのように扱うかというところは、議論をまだしていないということでございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。まず、資料2、全国で医療関係情報を確認できる仕組みについてです。4ページにもありますように、本年9月から予定どおり運用を開始するなどの記述がございます。また、患者も患者自身の保険医療情報を閲覧できる仕組みも「本年9月から予定どおり開始する」という記述があるのですが、こういったことは意外とまだ広く知られていないので、より効果的な情報として、広報を積極的にやってほしいなと思います。こういったものも基本的なマイナンバー情報との連携になっていきますから、こういうメリットがあるのだなということも分かってきますので、ぜひ必要だと思います。
2つ目は、資料3、「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキングにおける議論」についてです。どういった方々が新たなメンバーになるか私も興味があるところですが、ぜひ海外の先進事例を知っている人に情報を聞く、世界の状況について情報を得るということをしていただく必要があるのではないかと思います。海外は様々な面で先に取り組んでいる部分が結構あるのです。例えば、考え方、フレームワーク、つくり方、そしてその広め方、実際の実装とかです。これらのことについてぜひ情報を得ていただいて、それも参考に議論していただくのがとても大事ではないかと思います。
今あるメンバーの、あるいは今日本の中にあるこれらに関する考え方という知見を集めて未来を描くこともいいのですが、それだけでは限りもあると思います。山で言うならば先に登山のピークに行ったことのある人たち、その中腹まで行ったことのある人たちの話も聞かないと、本来目指すべき大きな山のピークは目指せなくなってしまうかもしれないと思えるのです。さらに、ぜひ海外情報についても積極的に入手していただくことが必要ではないかと思います。調査やヒアリングについて、以前なら会うのが難しいとかいろいろありましたけれども、もうオンライン活用のやり取りで可能になってきましたので、趣旨に賛同いただいて、同じ志の下に協力しようという研究者や知見をお持ちの識者がいらっしゃったら、ぜひ積極的なアプローチも大事ではないかと思います。
併せて、このことに関して2点目で思うのは、国家としての情報の活用戦略もぜひ一方ではしっかりつくっていかなければいけないのではないかなということを感じます。以前お話ししたかもしれませんけれども、エストニアはその辺についてはX-Roadを基に全ての情報をリンクさせてやっていくとか、さらには万が一の国家の危機のために五大陸にデータセンターを持ったりしているのです。これは国としての情報戦略がはっきりしているからなのです。この辺は厚生労働省からすると管轄外かもしれませんが、しかし、とても大事なことなので、ぜひ併せて検討もお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見もないようでございますので、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
次に、「医療費の動向(令和3年度4月~1月)について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○西岡課長 調査課長でございます。資料4を御覧いただけたらと思います。医療費の動向、MEDIASについて、令和3年度4月から1月の10か月分の集計ができましたので、報告いたします。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、医療費の動向は大きく変わっておりまして、令和2年度に関しては適宜、月次のデータでもこの医療保険部会で説明してきたところでございます。令和3年度の状況を見ると、依然としてコロナ前の状況に戻っているとは言えませんけれども、令和2年度と異なって、各月ごとに見て特別に大きな変化が起こっているとはいえないのかなと思っております。このため、現時点でこの直近までの10か月分をまとめて報告するということで、各月の詳細につきましてはホームページで公開しておりますので御覧いただけたらと思います。
資料の2ページを御覧ください。令和3年度の4月から1月までの概算医療費は36.7兆円となっておりまして、対前年比でプラス5.1%となっておりますが、対前々年比を見るとプラス0.8%となっております。以下では、新型コロナの影響を大きく受けた令和2年度との対比ではなくて、コロナの影響を受ける前の対前々年比を中心に説明していきたいと思います。ここに書いております診療種別で見ると、対前々年比で入院がマイナス0.9%、調剤がマイナス0.2%とマイナスになっているのに対しまして、入院外はプラス1.9%、歯科4.3%とプラスになっております。
3ページを御覧ください。医療費の対前々年比プラス0.8%につきまして、稼働日数の影響を補正しますとプラス0.1ということで、マイナス0.7%の補正となります。また、それを要素分解として受診延べ日数を見るとマイナス5.8%、1日当たり医療費はプラス7.1%となっておりまして、医療費の水準はほぼ令和元年度の水準に戻ってきているのですけれども、受診頻度は低く、1日当たり医療費が高い傾向が続いており、引き続きコロナによる受診行動の変化は起こっていると言えると思います。
現時点での集計につきまして御留意いただきたい事項として、小さいのですけれども、※3のところを御覧いただけたらと思います。MEDIASでは公費負担医療についても集計対象としておりまして、医療保険公費併用の場合は保険優先のため、システム上、医療費の全額が集計対象となりますが、医療保険併用ではない公費単独の場合ではシステム処理として公費負担分医療費のうちレセプトに記載される1つ目のみが計上されることとなっております。
しかしながら、新型コロナウイルスの対応で感染症法による公費負担を受ける人が増加して、医療扶助の者がコロナ医療を受けた場合に、レセプト上、1つ目にコロナ医療分の医療費が記載されて、医療扶助分が2つ目に記載されるということで、医療扶助分が統計に計上されないという事象が発生しており、今回お示ししている医療費はその分やや小さめの表示となっております。
これにつきましては、NDBを集計して得られる医科MEDIASではこの事象は起こらないので、これを用いて評価をいたしますと、さきに0.8%と説明した概算医療費のほうはプラス1.4、あと0.1と説明したほうにつきまして、稼働日数補正後の医療費はプラス0.7となっておりまして、0.5%ぐらい乖離が出ます。この影響は必ずしも小さくはないので、現時点で修正が必要と考えておりまして、今後、システム改修により、この少なくなっている分を集計対象に加えられるようにする予定です。年度版の公表時には修正されたものを公表したいと考えております。
あと、※4でございますけれども、主傷病をCOVID-19とする医療費を集計したものは、令和2年度で1200億円という形で公表しておりますが、令和3年度に入ってその額は増えておりまして、4月から1月の10か月分で3300億円、医療費全体の0.9%となっているところでございます。
4ページを御覧ください。以下、要素に分けて対前々年比を基に説明していきます。右側の括弧の中のほうの図表を説明いたします。
まず、診療種別では、入院と調剤がマイナス、入院外と歯科がプラスになっておりますが、いずれも受診延べ日数が減少する一方で、1日当たり医療費が増えております。入院外と歯科は1日当たり医療費の増加が9%台なのに対して、入院と調剤はそこまで高くないことが医療費がマイナスになっている要因と考えております。
5ページの右側の図表を見てください。年齢別に見ても傾向が異なっておりまして、75歳以上では1人当たり医療費はマイナス1.4%でまだ戻っておりませんが、75歳未満ではプラスになっております。これは、75歳以上の方が1人当たり受診延べ日数のマイナスが大きくて、まだコロナによる影響が続いているのに対して、未就学者についても、令和2年度で受診動向に大きな変化が起こり、その戻しはあるものの、対前々年比で見るとマイナス14.2%と下がっています。一方で、1日当たり医療費が大幅に高くなっております。19.3%と出ておりますけれども、これは小児科をはじめとして診療報酬上の加算を行った効果もあると考えております。
続いて、診療科別に見たものでございます。医科診療所ではプラス0.9が総計でございますが、診療科によってこの傾向は異なっております。小児科はプラス7.7%となっておりますが、患者は戻りきっているわけではなく、加算の効果が大きいと見ております。外科と耳鼻科は引き続きマイナス傾向が続いております。
7ページを御覧いただけたらと思います。都道府県別の傾向を見ると、全国計で0.8%のところが、千葉県3.4%、神奈川県3.3%、埼玉県3.2%と都市部での戻りの傾向が強いのに対しまして、青森県、福島県、北海道などでは令和2年度に引き続きマイナスになっております。
続きまして、9ページに飛んでいただけたらと思いますが、電子レセプトによる集計である医科MEDIASで年齢階級別の状況を見たものです。入院が左側ですけれども、こちらは引き続き多くの年齢階層でマイナスになっているのに対しまして、入院外、右側の一番右です。こちらは若年層を中心にプラスになっております。特に20歳代の伸び率が高いということが分かります。ここは、平時は1人当たりの医療費が一番低いところが、この間、第4波、5波、6波という形でコロナの患者が増えた時期に、比較的若い年齢層でコロナにかかった人が多くて、この年齢層の医療費の伸びが大きくなっていると見ております。
10ページでございますが、疾病分類別に入院医療費を見たものです。令和2年度から確認されておりますが、呼吸器系の疾患の減少がこの棒グラフの青い部分でございますが、マイナス1.1%となっております。これがマイナス要因で、一方でオレンジの部分ですが、特殊目的用コードという部分でプラス1.5となっています。この特殊目的用コードというものが現状、コロナ分の医療費がほぼ反映された結果でございます。
11ページが入院外の疾病分類別の状況でございまして、呼吸器系疾患の減少によるマイナスが1.2%なのに対して、特殊目的用コードで1.0%押し上げて、さらに新生物でプラス1.1%押し上げている。この新生物の外来医療費は、近年、平時から増加傾向でありまして、これについては令和3年度になって多少戻ってきていることが確認されております。
続いて、12ページでございますが、診療内容別の入院医療費でございます。DPC包括部分が、これも一番右のグラフです。灰色のところのマイナス2.1%ということ。あと、手術、麻酔がマイナス0.3%、これらで医療費を押し下げておりコロナの影響によって従来の水準には戻っておりません。一方で、入院基本料、特定入院料等で1.6%押し上げているほか、検査、病理診断もプラスに寄与しております。これらは入院患者に対するPCR検査の影響などが考えられます。
13ページ、入院外の診療内容別のところでございます。初診、投薬がマイナスで、患者がまだ戻っていない一方で、検査・病理診断がプラス1.3%、医学管理がプラス1.1%押し上げる効果が出ております。これもコロナのPCR検査の費用が影響していると見ております。
15ページを御覧いただけたらと思いますが、調剤MEDIASに関して、調剤医療費はマイナス0.1%となりますが、その内訳として技術料はプラス0.5%、薬剤料はマイナス0.6%となっております。薬剤料そのものの伸びはマイナス0.7%でして、処方箋枚数の減少幅はマイナス5.0%、1枚当たりの薬剤料の伸びはプラス4.5%ということで、こういう結果で要素分解がされます。受診頻度が落ちて1回で処方される量は増えているものの、令和3年度の薬価改定やジェネリックの新規収載の影響で単価の伸びは抑えられている状況なのかなと見ております。
16ページ、薬効分類別に見たものでございます。プラスに寄与しているのは腫瘍用薬とその他の代謝性医薬品、マイナスに寄与しているのは中枢神経系用薬、循環器官用薬、ビタミン剤というものが一番右のグラフのところにあります。
17ページでございますが、後発医薬品の割合でございます。7月以降、81%後半で推移しております。過去のトレンドに比べてここ数か月の後発の上昇が見られないのかということが確認されております。
18ページでございますが、これら後発医薬品割合を都道府県別に見ると、1月の部分ですけれども、沖縄県が89.1%と最も大きく、徳島県が78.2%と最も小さくなっております。昨年3月との対比で見ると、福井県がマイナス1.0%で最も減少している状況でございます。
以上が令和3年度、現時点で把握できているこの期間の医療費の動向を概観したものでございますが、令和3年度に入ってからも引き続き受診頻度が少ない傾向が続く一方で、コロナが第4波、5波、6波という形で感染者が増加するような時期には医療費が一定程度抑えられるような状況があります。一方で、若年層を中心に医療費が伸びているところもあります。今年に入りまして第6波の影響もまだこの2月、3月は大きく影響する部分もありますので、年度版の取りまとめに向けては引き続き精査をして、分析を進めていきたいと思っております。
MEDIASの報告は以上でございます。
○田辺部会長 御報告ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、森委員、よろしくお願いします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
資料の17コマ目、後発医薬品割合の推移を御覧いただきたいと思います。先ほど事務局からも、このところ後発医薬品割合が上がっていないという説明がありました。これまで後発医薬品の新規収載があるときはどうしても一時的に割合が下がり、その後、現場での努力によって割合が上がっていく傾向が見られていました。令和3年7月にも後発医薬品の新規収載があり、割合が下がりましたが、通常であればそこから徐々に上がってくるものですが、今回は上がってこない状況となっています。これは、後発医薬品の昨今の供給不足問題に起因するものと考えます。現場ではいまだに出荷調整等の影響で思うように医薬品を提供できない状況が続いており、何とか頑張って水準を維持している状況です。後発医薬品の供給問題については解決を早めるための何らかの措置が必要ですので、厚生労働省におかれましては、関係部局とも連携しながら引き続きの対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 今の点ですが、私も現場の医療を預かる者として非常に危惧しております。現状では、もう後発品だけではなくて、そこで先発品に切り替えるとその先発品そのものがかなり汎用されている、重要な薬が次々と不足問題を起こしていて、一説によると戻るには数年かかるのではないかということもお聞きしています。その辺についてもぜひ、少しでも改善できるような取組をしていただきたいと思いますが、現状について、事務局が何か把握されていることがあればお教えいただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 特にコメントはございませんか。
では、管理官、よろしくお願いします。
○紀平管理官 医療課薬剤管理官でございます。ただいま御指摘いただきましたとおり、後発医薬品につきましては、現状、供給のほうがかなり逼迫している状況、それから、先発医薬品も含めて供給については各企業さんのほうで調整されていると伺っております。医政局経済課のほうでも今後の供給の安定化に向けていろいろな取組を業界のほうとも話を続けておると承知しておりますので、今後ともこういった医薬品の供給状況については適宜情報をお出しできるところはお知らせできるようにしていきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。1点質問させてください。4ページの、入院外の1日当たりの医療費が9.1%とかなり伸びているのですが、これの原因は何か事務局のほうで把握していますでしょうか。
○田辺部会長 この点、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○西岡課長 調査課長でございます。安藤委員の御質問に対しましてですけれども、通常、今コロナで起こっているような形で受診頻度が下がる、受診延べ日数が減るというのは患者さんが減るわけですけれども、その際、比較的軽度の人が受診しなくなったり、あとは一度の受診で多くの医療を施されることになりますので、構造的に1日当たりの医療費が増加するというようなことが起こるものだと認識しております。また、今回、呼吸器系疾患が大幅に減ったということで、それは医療全体の中で比較的軽度な集団が減っているということになるので、これも1日当たり医療費を押し上げるような要素になるのかなと思っております。
その他で言いますと、新型コロナの感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い、加算をしたことだとか、入院外のほうではそういったものが要素として考えられるのではないかなと考えておるところでございます。
○安藤委員 ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございます。
では、引き続き、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。あまりメーカーの立場で発言すべきではないというのは分かっているのですが、一言言わせていただきたいのは、薬価というのは非常に精密につくられているわけなのですが、それがどんどん毎年薬価が下げられるようになってしまって、(メーカーは)非常に苦しい立場に追い込まれている。加えて、コロナになりまして、国際物流がかなり滞っているわけです。(海外原料の輸入遅延、海外製造不能)結局、基礎的な医療のかなりの部分が海外に依存しているというのが明らかになってしまったわけでございまして、たとえこれが(コロナ禍が)復活しても、コストは上がっているのです。御存じのように食品なんかはどんどん値上げしていますけれども、どうなのでしょう。医薬品は今まで値上げしたことはないのですね。値上げできない代わりに作れなくなったというのが現状でございますので、ぜひそこら辺も、多少はメーカーのことも考えていただきたいというのが切実なところでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
それでは、ほかに御意見等もないようでございますので、本日の審議、議論はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。それでは、散会いたします。