第4回健康・医療・介護情報利活用検討会医療情報ネットワークの基盤に関するWG議事録

日時

令和4年5月16日(月)15:00~17:00

場所

Web開催
(事務局のみAP虎ノ門Cルーム)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)
高倉 弘喜
中島 直樹(主査)
長島 公之
松村 泰志
宮田 裕章
山口 武之
渡邊 大記

議題

  1. (1)全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○島井補佐 事務局、厚生労働省です。ただいまより、第4回「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。構成員の皆様におかれましては大変お忙しい中、本ワーキンクグループに御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とし、報道関係者や傍聴希望者に関しましては、事前に御案内いたしましたYouTubeからの傍聴としております。また、議事録作成や御意見等を賜ったときの整理を事務局等で正確に行うため、録画をさせていただきますことも御承知おきください。
なお、会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、中島主査の御指名を受けてから、マイクのミュートを解除し御発言のほど、よろしくお願いいたします。また、御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますよう、お願い申し上げます。
まずはじめに、先日開催された本ワーキンググループの親会に当たる「健康・医療・介護情報利活用検討会」において、本ワーキンググループの構成員に御提案を頂き、本日より新たに2名の構成員の方々が追加されたので、御紹介させていただきます。
お手元の参考資料1の開催要綱の別紙に基づき、御紹介させていただきます。是非一言、賜れますと幸いです。日本歯科医師会の山口武之構成員様です。
○山口構成員 日本歯科医師会の山口と申します。よろしくお願いいたします。
○島井補佐 よろしくお願いいたします。続いて、日本薬剤師会の渡邊大記構成員様です。
○渡邊構成員 日本薬剤師会の渡邊です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
○島井補佐 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。それでは次に、本日の構成員の出欠状況について申し上げます。本日は宍戸構成員、松田構成員より、御欠席の御連絡を賜っております。次に、本日の資料の確認をさせていただきます。議事次第並びに資料1と2及び参考資料1等を事前にメールで送付しております。Web会議の画面上が見えにくいときなどがありましたら、当該資料をお手元で御覧いただければ幸いです。事務局からは、以上となります。それでは以降の議事進行については、中島主査にお願いを申し上げます。
○中島主査 中島です。今日から、日本歯科医師会の山口構成員、それから日本薬剤師会の渡邊構成員に御参加をいただきます。どうぞ、よろしくお願いします。
○中島主査 それでは早速、議事に入りたいと思います。まず、議事(1)「全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤について」、資料1に基づき事務局から説明をお願いします。
○田中室長 事務局です。それでは資料1「全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤について」御説明させていただきまます。2ページは「基盤の基本的な考え方と考えられる実装方法」ということで示しています。3ページですが、「データヘルス改革に関する工程表(抜粋)」です。「医療・介護分野での情報利活用の推進」という中に、「医療機関間における情報共有を可能にするための電子カルテ情報等の標準化」という項目があります。この中で2021年度、2022年度に「全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤のあり方をIT室(デジタル庁)とともに調査検討し結論を得る。主体、費用、オンライン資格確認等システムや政府共通基盤との関係、運用開始時期、医療情報の保護と利活用に関する法制度の在り方」を考えながら議論を進めていくということが、データヘルス改革に関する工程表に明記をされています。
これを受けて、本ワーキンググループでは今まで3回議論を行ってまいりました。それらを踏まえ、4ページに「考えられる実装方法(イメージ)」を示しています。具体的には第2回の議論の中で、共有・交換する手続きと方式という資料を準備し、皆様に御意見を頂いたところですが、その中で、オンライン資格確認等システムのインフラを使うということについて、ある程度皆様から御理解を頂けたと認識をしております。
今回御提案させていただいているのは「新規部分」と書いてある青い破線枠のところです。既に御存じのとおり、保健医療情報標準化会議において、3月22日に左上にある3文書と処方情報について、厚労省標準規格ということで会議を通過し、厚労省標準規格となりました。この3文書、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書、これらに含まれる6情報についてはHL7 FHIRの交換規格を用いて電子的使用が定まったというところです。この情報をやり取りするために、オンライン資格確認等システムのネットワークを使い、医療機関等の間で既存のネットワーク上で相手先の医療機関等に送信し、相手先の医療機関等において本人同意の下で同システムに情報を照会・受信できるようにしてはどうか、とまとめております。
第2回の議論の中では、まさにオンライン資格確認等システムの普及状況であるとか、セキュリティの問題、そういったことも皆様から御意見を頂いたところですが、そういったところも踏まえて、まずは、このネットワークを使うということで本日お示ししております。
右側の「既存部分」というのは、電子レセプト、薬剤情報や、今後この夏に拡充が予定されているレセプトから抽出した情報はオンライン資格確認等システムで、支払基金、国保中央会のほうで運用していただいておりますが、これらの情報を閲覧できる。それから特定健診等情報についても既に情報共有が始まっているところです。これらの情報は、併せて、マイナポータルを通じて患者様御自身で情報を確認できる仕組みというのが、既に既存部分として構築が進められているところです。
5ページ目は、全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤の構築に当たって、オンライン資格確認等システムの基盤を活用することについて、どのように考えるか。これまで、オンライン資格確認の導入と被保険者記号・番号の個人単位化を進めるとともに、これら既存インフラを最大限に活用し、オンライン資格確認等システムにおいて、レセプトに基づく全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大(薬剤情報に加えて、医療機関名、透析情報、医学管理等の対象情報の拡大)、それから電子処方箋の仕組みの構築等に向けた準備を進めているところです。医療機関等の間でやり取りする文書情報を送信し、本人同意の下で照会・受信できることを実現するため、効率・効果的なシステム開発の観点からオンライン資格確認等システムと連携し、その基盤を活用することとしてはどうか。今後、上記を踏まえ、議論する対象を整理し、内容に適するべく構成員を見直した上で、改めて議論を行うということとさせていただいております。
6ページ目は、今後の検討会のイメージを併せて示しています。本日が「第4回の基盤に関するワーキンググループ」です。明日は、「第9回健康・医療・介護情報利活用検討会」が開催予定です。本日の議論も御報告させていただく予定です。また、このネットワークを使って電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤を作ることなどについては、必要に応じて関係部会等に御報告をさせていただく予定です。また、今後、第5回以降、先ほど申し上げました構成員の見直し等行った上で、改めて議論を開始したいと考えております。事務局から、資料1の説明は以上です。
○中島主査 ありがとうございました。ただいまの内容について構成員の皆様から御意見、御質問をお願いします。長島構成員。
○長島構成員 はい。日本医師会の長島でございます。日本医師会は以前からオンライン資格確認等システムは資格確認だけではなく、むしろそれ以上に全国の医療機関が安全なネットワークでつながる基盤となることで、患者、国民の皆様に安心安全でより質の高い医療提供を可能にする、そのための基盤であるということが非常に意味があると考えておりましたので、今回のオンライン資格確認等システムを基盤として活用するということに関しては賛成いたします。
またその点で2つ御質問があります。一つは来年1月から稼働予定の電子処方箋のシステムとはどういう関係になるのでしょうか。もう一つが、この3文書、特に診療情報提供書とか退院時サマリーというのは既に全国の地域医療連携ネットワークでは、もうやり取りはされているものなのですけれども、この現在既に稼働している地連ネットワークとの関係はどうなるでしょうか。以上、教えていただければ幸いです。
○中島主査 ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。
○島井補佐 お世話になっております。事務局の島井と申します。2点の御質問に関してコメントさせていただきます。1点目の、来年1月稼働の電子処方箋との関係に関しては、まさに電子処方箋もこのネットワークのインフラで稼働されます。また、皆様御存じのとおり、電子処方箋そのものの発行といったものでは、電子カルテが導入されていたり、オーダリングが稼働しているところに関しては、そのオーダリングとこのオンライン資格確認等システムのネットワークが連携して、データが送受信されると承知しておりますので、まさに今回、このワーキンググループでこのオンライン資格確認等システムのネットワークインフラを使うということを踏まえ、コラボレーションを更に密にできることと期待しております。
2点目のところに関してです。3文書で挙げられています中の診療情報提供書や退院時サマリーは、地域医療連携において重要な情報交換に使われております。既に地域医療連携の中で、様々なネットワークで密にされているところに関しましては、この基盤のネットワークとコラボレーションという形で進めていくことになるかと推察しております。
従前よりあります地域医療連携ネットワーク以外のところに情報を届けるという際には、例えばこの基盤を御活用いただき、地域医療連携ネットワーク内でより密な連携に関しては既存のものを御活用いただくなど、様々な形態があるかと思います。以前長島構成員から、地域医療連携ネットワークに様々な濃淡があるという御指摘も賜っておりましたので、そのような御意見を踏まえ、今後、この基盤とのコラボレーションの在り方を入念に協議させていただき、設計を進めることができればと思っております。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。長島構成員。
○長島構成員 ありがとうございます。特にこの電子処方箋との関係で申しますと、そのシステム開発する側、例えば電子カルテベンダーなど、あるいは医療機関側にとりましても、まず電子処方箋を導入し、その後また別のものを入れるのにすごく手間とか費用が掛かるというのは困りますので、コラボレーションということを最初から想定しているのであれば、その開発とか導入に関しても、その辺もきちんと踏まえて進めていただければこの負担が非常に減ると思います。
もう一つ、地域医療連携ネットワークとのコラボレーションという将来像を想定して、両方からお互いに歩み寄るような仕組み、流れというのを是非考えていただければと思います。
続けて、2点ほど要望があります。医療現場の先生方にとっては、一つはセキュリティの問題、もう一つは費用負担が大変心配な問題かと思いますので、そちらのほうも丁寧に医療現場の声をきちんと聞きながら進めていただければと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。
○島井補佐 御指摘ありがとうございます。まさに今回、オンライン資格確認等システムに加え電子処方箋が稼働し、医療機関並びに薬局の皆様も接続され、その中に電子カルテ情報等もうまく稼働するとなりましたら、本当に機微な情報でもありますので、その辺りは安全性並びに実際に稼働した際の可用性、言わば稼働性能の担保など、バランスを取りながらきちんと支えられる基盤となれるよう考えていこうと思っております。また費用負担のところに関しては、今回のワーキンググループの中で、先ほどお示しさせていただきました資料にもありますが、やはり今後運営の主体や費用負担のことは、より綿密に協議していく必要性があるかと考えております。ですので、また引き続き本ワーキンググループ、並びに親会の健康・医療・介護情報利活用検討会等で、引き続き議論ができればと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。恐らく長島構成員からは、費用負担だけでもなく、二度手間といいますか、複雑にならないことも含めて整合性を求められていると思いますので、その点もよろしくお願いします。
ほかに何かありませんか。それでは松村構成員、よろしくお願いします。
○松村構成員 よろしくお願いいたします。私からは、考えられる実装方法(イメージ)の図を見ながらの質問です。今回新たに取り組もうとしているシステムで、この「電子カルテ情報交換サービス」が、システム上かなり重要な位置付けになるかと思います。このサービスの運営主体はどこになるのかということを質問させてください。
○中島主査 はい、ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。
○田中室長 運営主体も含めて今後新たにワーキンググループのメンバーを改組して議論をさせていただければと思います。現時点でこの運営主体について具体的にこのワーキンググループにおいて議論をしてはおりませんので、今後の議論ということで御承知おきいただければと思います。
○松村構成員 分かりました。そうすると本当にこれに関しては、これからどういうものにしていくかということを、このワーキンググループ、あるいはどこかのワーキンググループで議論していくということなのですね。
○田中室長 冒頭で御説明したデータヘルス改革の工程表では今年度中に運営主体も含めて費用負担なども含めて一定の結論を得るとさせていただいたというところで、さらに今後の議論というふうにお考えをいただければと思います。ただ参考に、今右側に既に稼働が予定されている、若しくは稼働しているオン資の仕組みを使ったものについては、運営主体として支払基金・国保中央会が現状のシステムで行っているということを、参考に既存分として記載をさせていただいているものです。
○松村構成員 分かりました。交換システムと書かれているので、データの蓄積はしないというイメージをお持ちなのかなと思いましたが、そういうイメージをされているということですね。
蓄積することであると、EHRのイメージになりますし、交換ということであれば、トランスポートの役割をするものであって蓄積するものではない、つまりEHRではないと、厳密な意味ではなると思って聞いていたのですが、それでよろしいでしょうか。
○中島主査 はい、事務局いかがでしょうか。
○田中室長 基本的に現時点では、この文書をやり取りするということはある程度決まってきているので、交換サービスというふうに記載をしております。今後の運営主体も含めた議論、この中に医療機関間でこの3文書だけをやり取りする仕組みが、本当に国民若しくは医療機関、そして保険者等、皆にとって、このサービスだけでよいのかというのも議論があるところだと思っておりまして、その中で、この交換サービスの在り方というのも併せて議論していただく必要があるものと考えています。
○松村構成員 なぜこういう質問をしたかと申し上げると、もし交換サービスをやりましょうということになると、国民としては、蓄積型のEHRであるとか、あるいはそれを個人が閲覧し、生涯にわたる自分の情報をクラウド上で管理しておく、いわゆるPersonal Health Recordというものに対する期待もあるかと思うのですが、それと今回検討しようとしているサービスとの関係がどうか、どういう位置付けになるのかということを理解しておきたかったのです。
○田中室長 ありがとうございます。まさにその電子カルテの情報を、患者様に例えばマイナポータル等を経由して閲覧できる仕組みにするということについても、今後の議論というふうに思っておりまして、更に今まで医療機関間でやり取りする情報は、まずはこの3文書が有用であろうというお話、その中のこの6情報について、様々なワーキンググループ等の議論で決まってきたところと認識をしておりまして、その中で患者様にどの情報を返すとか、その返し方みたいなところは、今後の議論かなというふうに思っているところですので、それを排除するものではありませんが、まさにどういったサービスやどういった機能をこの実装の方向の中で実現していくことが、より国民のためになるのかという観点から今後議論していく必要があるものと承知をしております。
○松村構成員 分かりました。気になるのが、既に民間事業者がこういった連携システムをイメージしながら準備しているところもあるかと思います。既にID-LinkであるとかHumanBridgeであるとか、いわゆる地域医療連携システムは、地域によっては非常にしっかり運営されて動いているところもあると聞いています。それに代わるシステムができるというメッセージになると、今まで頑張ってこられているところが、じゃあ退散しようかという雰囲気になってしまいますし、逆にこれを使うと、更にそういう仕組みも発展しますよというイメージになるのであれば、じゃあ頑張るかということになるだろうし、そこのメッセージの発し方によって、こういう事業に関わっている人たちの心意気、モチベーションが上がったり下がったりすると思います。ですので、こういう資料の出し方について、そこを配慮して出していくべきではないかと思った次第です。
○中島主査 ありがとうございます。大変重要な御示唆ありがとうございました。まだ運営主体から機能、さらにその内容まで、これから決められるとなると、ちょっと急いで決めないといけないと思うのですが、今日は重要な提案をしていただいたということで、御理解をいただければと思います。ほかに山口構成員よろしくお願いします。
○山口構成員 日本歯科医師会の山口です。もう既に各論の議論に入っていますけれども、総論的な話も少しさせていただきたいと思います。歯科の電子カルテというのは歯科特有の診療体系であるとか、診療報酬算定のルールの問題も絡んで普及が遅れていましたが、ようやくベンダーも含めて体制が整ってきています。現在こうした本ワーキンググループであるとか、様々な場で電子カルテの議論が行われていますので、これらを追い風として日本歯科医師会としても、電子カルテの議論を加速させたいと考えています。それから先ほど長島先生の御意見と全く重複するのですけれども、電子カルテを用いた情報共有というのは、歯科医療機関同士の連携に限らず、医科歯科連携、将来的な介護との連携、それからPHRなど、有用性が高くて国民への安全安心な医療提供に資するものとしてメリットは大きいと考えています。
オン資の基盤を活用することや、その他4ページですか、ここに出ているHL7 FHIRの実装イメージに全く異論はありません。むしろオン資の基盤を使うのが当たり前だろうというふうな認識でおりました。ただし、このシステムを構築する上でテクニカルな課題も非常に多く出てくるだろうというふうに思っています。電子処方箋も議論を進めているうちに多くの課題が出てきましたので、多分こちらのほうも同じような議論になっていくのだろうと思っています。その中で医療機関が使いやすく将来の発展性であるとか導入コスト等に十分配慮して、システム設計をお願いしたいと考えています。以上です。
○中島主査 それでは渡邊構成員お願いします。
○渡邊構成員 ありがとうございます。今回のシステムの中で診療情報提供書等3文書という部分なのですけれども、診療情報提供書等に関しましては、薬局においても在宅等の中でドクターとの情報交換、情報共有という部分で使われてくるということになりますけれども、当該システムにおいても薬局へもこのシステムで診療情報提供書が提供されてくると考えておいて良いということでしょうか。確認です。
○中島主査 ありがとうございます。事務局よろしくお願いします。
○田中室長 現状この青い部分も医療機関等というふうにお示しをしております。どの情報をどの対象の所に送るか、今、まさに介護との連携というようなお話もありましたが、そういったことも一つ一つ丁寧に議論することは必要だろうとは思っております。患者様の同意の下にということになっておりますが、現時点でこのオンライン資格確認等システムの様々な情報共有においても、薬局も含まれていると認識していますが、今後しっかりとそういったところも含めて議論をしていくということだと思います。
○渡邊構成員 ありがとうございます。
○中島主査 続いて高倉構成員、よろしくお願いします。
○高倉構成員 国立情報学研究所の高倉です。私のほうからは、セキュリティは言われてしまったので、セキュリティに関連するのですけれども可用性についてちょっと指摘をさせていただきます。ちょうど先週でしたか、オンライン請求システムでレセプトが送れなくなるというトラブルが起きたりしていますけれども、今回機能拡張していく、特に画像を含めていくという話になっていきますと、当然システムの負荷がかなり上がってくるだろうということは、容易に予想されます。その点とこの手のシステムは人が均等にアクセスすることはまずなくて、大体休み明けとか連休の直前に大量のアクセスが発生しますので、そういう可用性を考えたシステム設計をしていただきたいと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。それでは長島構成員、もう一度手を挙げています。
○長島構成員 長島です。現在既に稼働中の地域医療連携ネットワークは確かに濃淡がありますけれども、濃のところも非常によく使われています。その中では、例えば先ほど御指摘のID-LinkやHumanBridgeなどを使って、全県域、都道府県範囲において医師の診療記録だけでなく、例えば看護記録も全て、あるいは各種文書、更にCT、MRIなどのほぼ全ての画像も実際に既に共有されている。
あるいは地域連携パスをそこで動かしていたりとか、医療介護連携にも実際に使われているというところで、極めて有用に使われていますので、これが現在よりも質が低下するようなことが絶対あってはならないと思っています。
一方淡、薄いというところで、まだそもそもこのネットワークがないというところもありますので、この淡のところにおいて、まずはこの3文書6情報の情報が共有されるだけでも極めて有用かと思います。さらに将来的にはこの基盤を使って、現在稼働している地域医療連携ネットワークが、更に現場の負担が減るような形で融合していくというのも、極めて有用かと思います。したがって濃のところが絶対機能の質が低下しないように、ここのところは是非お願いしたいと思います。
もう1点、この電子カルテの情報ということですけれども、例えば今回提言されている3文書6情報というのは、必ずしも電子カルテでなければ絶対情報が出せないというものではありません。そういうことを考えますと、例えば御高齢の先生のところなどで、本格的な電子カルテの導入は極めてハードルは高いけれども、ここで示されたような情報であれば、例えばレセプトシステムの機能を少し拡張するだけでも提供が可能になるということもありますので、まず段階的には現場の負担がなるべく早く、しかも有効な情報が共有できるシステムというので、本格的な電子カルテに必ずしも限定しないという選択肢も是非考えていただければと思います。私からは以上です。
○中島主査 ありがとうございます。今日新しい構成員も加わりまして、非常に建設的な意見、あるいは新しい課題を頂きました。先ほど言いましたように短期間でこれから運用あるいは運営主体などを考えていただかないといけません。一遍にはできないとは思うのですけれども、着実に、特に電子処方箋の部分と、先ほどのEHRになるのかトランスポートだけなのか分からないですけれども、その主体と運用をどうするか。あるいは歯科クリニックや、今長島先生がおっしゃられたクリニックをどうやってつなげるか。つまり地域医療連携をどうやって活用していくか。さらには、このワーキンググループは介護はフォーカスから少し外れるのですが、介護と連携する際には、別のものを見にいかないといけないということでも困りますので、その辺りの整合性が非常に重要になると思います。その点よろしくお願いします。
ただ、今回の御提案は、基本的にはHL7 FHIR規格を3月に3文書を厚労省標準として頂いて、基本的にこのオン資ネットワークを使ってHL7 FHIR規格をやり取りするということですので、例えば外の地域医療連携ネットワークとの出入りとしてはTLS1.2以上を使い、認証にはHL7 FHIRで推奨されているトークンを使ったOAuth認証を使うなどをやっていけば、十分にこのHL7 FHIRが効率的に運用できると思います。是非御検討をお願いします。
この件について他に何か御意見、御質問はありませんか。松村先生どうぞ。
○松村構成員 ひとつ気になっていた点での御提案です。こういうシステムを作るときに、インフラとして認証基盤をどうしていくかが非常に重要になると思います。患者さん本人に関しては、マイナンバーカードを使っていくことで、ある程度コンセンサスができてきていると思うのですが、利用者である医療従事者について、まだ少し曖昧なところがあると思います。医師についてはHPKIという方法が一つ候補になると思いますが、それ以外の職種についてどうするかを解かないといけないと思います。
それから医療機関の指定方法ですが、システム的に医療機関を指定するのに、OIDなどをシステムの場合よく使うのですが、それを日本で統一的に振るのかどうかです。これは是非振ったほうがいいと思うのですが、そういった部分での基盤整備も必要になってくると思います。そういうところも是非検討いただければと思います。
○中島主査 ありがとうございます。今の件、事務局から何かコメントはありますか。
○島井補佐 御指摘いただきましたように、認証といったところは、電子の世界のネットワークを通じて情報をやり取りするとなった際に、かなり肝になってくる基盤として持つべき機能だと思っております。まさにそういった意味では、情報やデータへのアクセスコントロールをセキュアに担うためにも、システムを利用されている方々、並びにどういった経路でシステムを利用して何にアクセスしようとしているのかなども踏まえた上で、認証基盤としてセキュアなデータの流通、情報へのアクセスなどを担保できるように必要かと思っております。この基盤ワーキンググループや、又はそういった御専門の方々は各業界にもいらっしゃるかと思いますので、その辺りの方々の知見や技術等の情報を頂きながら、設計をしっかりできればと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。ほかに何かございませんか。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 今の話にも関連するのですが、例えば、文書に対してタイムスタンプが必要だということが出てくるかもしれないので、もしそういうことがあれば、このシステムの中でタイムスタンプを置くということも考えられるので、御検討いただきたいと思います。
○中島主査 事務局、いかがでしょうか。
○島井補佐 ありがとうございます。電子処方箋などの情報を実際にやり取りするところで使われているノウハウですとか、ほかの業界でもあります、情報をドキュメントの形でやり取りする際に、タイムスタンプや署名、又は改ざん防止を確認する、担保するためのものをどのようにするのかなどがかなり参考になるかと思っておりますので、その辺りも含めて、認証のセキュアな基盤を意識しようと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。同様に、こういうオン資ネットワークの基盤に、やってくるHL7 FHIR文書には、HL7 FHIR規格に基づいてるかどうかをバリデートするようなバリデータなどを付けておくと、問題なくHL7 FHIR規格の文書が流通するということもあります。いろいろと工夫ができると思いますので、是非よろしくお願いします。ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、次に進みたいと思います。議事(2)「その他」について、資料2に基づいて事務局から説明をお願いします。
○島井補佐 それでは、資料2に関して御説明申し上げます。こちらは、以前、過去のワーキングでも御指摘等頂きました、今後の電子カルテ情報等の標準化に向けた進め方という所で御議論がありましたSS-MIX、並びにHL7 FHIRなどの整理をさせていただいた資料になっております。
まず、2ページ目です。先月、4月末の医療施設調査で、令和2年の電子カルテ並びにSS-MIXの導入状況等の調査の結果が公表されました。こちらの表は、調査結果に基づいて医療の情報化の状況の資料をアップデートさせていただいております。資料を御覧いただきまして、令和2年の電子カルテ導入の状況に関しては、400床以上で91.2%、200~399床においては74.8%、200床未満においては48.8%となっています。また、有床並びに無床の診療所においての電子カルテの導入状況は、49.9%という調査結果となっております。
なお、こちらの調査の中で、SS-MIXの導入をしている、していない等の調査も併せてされておりますので、その導入率も御紹介いたします。大規模の400床以上の医療機関においては59.4%で導入されている状況です。同じく200~399床では33.4%、200床未満では14.7%、一般診療所においては3.5%という集計結果になっています。
次のページで御説明いたしますが、先ほどありました、地域医療連携の中でも使われていますSS-MIXの仕組みに関しては、データを提供する側と閲覧する側の役割分担がしっかりされることもあるかと思います。400床以上の規模の医療機関等に関しては、データを提出する際にこのSS-MIXのストレージを活用し、200床未満や一般診療所においては、それらを参照するのみ、閲覧する形で参画されているのかと推察されます。
次のページです。それぞれの規格の背景等を整理いたしました。まず左側の青枠の所、SS-MIX並びにSS-MIX2といったものが整備、検討されてきたときの、本ワーキンググループでも議論しております、医療機関間でどのように医療情報を共有するのかの背景です。基本、このSS-MIX等を検討していた頃、医療機関は外部と診療系のネットワークとの接続は原則しない、基本、外から見た際には診療系のネットワークはオフラインになっているのが常だったかと思います。また、そういったこともありまして、データを医療機関間で共有する際には可搬メディア等にデータを出力し、患者さん等にお持ちいただきながら、ほかの医療機関に情報を共有していく形態を取っていたかと思います。
その際にどういったデータのフォーマットを使うのかに関しては、医療機関の内部で電子カルテ、オーダーリングシステムと部門システムとの間で情報の連携のときに使われていた、HL7 Ver.2.5形式のメッセージデータを使う形で、こちらを実際にファイルとしてフォルダ構成で格納して、先ほど申しましたCD等の可搬メディアに出力して運搬する形式を取っていたのがデータのやり取りの主なところかと思います。
以上から、その下にあります全体的な概念図になりますが、電子カルテ等のシステムから、実際にこのSS-MIXの形で定義されているストレージのフォーマットにデータを出力し、そしてそれをメディア又は断続的にオンラインで出力する形式を取り、共有を図る形になっていたかと思います。医療機関においては、こういった共有された情報を何らかのビューアの形で参照する。また、中身に格納されているデータの種類によって、参照だけではなく取り込むなどもエリアによってはされているのが、基本的な現状の構成かと思います。
他方、HL7 FHIRに関しては、置かれています医療機関間での情報の共有の部分においては、この医療機関の診療系のネットワークと外部のネットワークがセキュアな形で接続する前提、つまり医療機関外から見ますとオンラインであるのが常であることが基本になっているかと思います。そういったことから、データというものは、オンラインで、適時、送受信をするのが共有のコンセプトのベースになっていると承知しております。
そういったことから、データのやり取りに関しては、一般的にWebの世界でセキュアにデータをやり取りするところで採用されている技術、また、そういったときの交換方式、そしてファイル自体に関しては、やはり受け取ってから、その後、御自身、各医療機関等で変換しやすいフォーマットで送受信をする形式を取っているのが、HL7 FHIRで承知しているところです。
以上から、HL7 FHIRにおいてのデータの流れになりますと、医療機関の中の電子カルテ情報、また、先ほどありました地域医療連携等で稼働している何らかの共有している情報があれば、その情報からAPIを介してデータ変換し、標準的な規格に基づきデータを流通させる。その際には、従来いろいろな形で整備されてきた標準コードなどを用いた形で変換して、外にデータを流通させる流れになるかと思われます。
このようなに、SS-MIXは基本的にストレージのデータのフォーマットに主眼を置き、HL7 FHIRはデータを交換するところに主眼を置く、というそれぞれの特性があると承知しております。
そういった中で、今後どのように進めていくのかに関して、時系列で過去からの流れや社会背景等をまとめさせていただきました。最下段の所ですが、HL7 Ver.2系統は1980年代後半に設計され、整備されつつありまして、一般的な情勢では、World Wide Web、人類初のWebページが公開されたのが1990年の末になっており、まさにWebの世界がない頃に整備されていた規格となっております。そしてインターネット、Webページを参照する代表的なブラウザなどが公開されてくるのも1990年代の中盤というようなとき、そういった流れを受けて、HL7においてはVer.3といわれている、HL7 FHIRでも使いますXML系、Webの世界での書き方に準じているようなファイル形式で医療情報を記述・設計され、コンセプトが描かれ始めました。こういう時系の流れかと思います。
社会一般的にインターネット等でデータを流通させるのが主眼となってきたとき、クリニカルドキュメントといったドキュメントを、HL7 Ver.3系統の形式で記述する形でデータを流通させるといったものが2000年以降に表に出始め、SS-MIXは、平成18年度の厚生労働省の事業で、情報の交換といったときに、実際に流通をさせるものを考えていたかと思います。
また、社会全般的には、厚生労働省の平成20年の「安心と希望の医療確保ビジョン」で述べられていますが、旧来の病院内完結型医療の形から地域完結型医療、地域包括ケアという形で医療の提供の形が変わってきたというのが医療の置かれている情勢かと思います。
そういうことから、旧来、病院・医療機関間での情報の連携が、それなりのドキュメントにまとめて共有できていたフェーズから、密な地域医療連携の形の社会になったことから、日々、医療機関の中で発生しているホットな情報を早いうちから共有する、交換できる流れが徐々に起きてきているのかと思います。そういった流れも踏まえ、2010年以降にHL7 FHIRと、まさにネットワークを前提にしてデータを交換するのに主眼を置いた規格が出てきた流れが、今のおかれている状況かと思います。
ということから、本資料の最上段にありますが、インターネット環境で広く浸透しているWeb技術と、また、様々な情報の形態を柔軟にデータ形式に変換可能な形でやり取りをするという、このHL7 FHIRでの交換環境整備に主眼を置きながら、データに格納すべき標準コードの普及等も図り、今後進めていってはどうかと資料をまとめさせていただきました。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。大変詳しく、かつ分かりやすく説明いただきました。御専門でない方は少し分からないこともあるかと思いますので、何か御意見、御質問があればと思います。長島構成員、よろしくお願いします。
○長島構成員 長島です。現在、この地域医療連携ネットワークではSS-MIX2を基本に情報連携をしていって、連携という観点からすると何も困ってないです。非常に上手に使えています。当然、将来を考えると、この新しいフォーマットが重要かと思いますが、そこに移行していく間、営業、あるいは融合が非常に重要になりますので、是非、現在の地域医療連携ネットワークのベンダーにしっかりとヒアリングをしてもらって、現状の状況と課題なり将来性について、あるいは将来、例えばこのHL7 FHIRの融合とかに関して、どのような課題を感じているのか、どのようなことが必要かということ、その辺の情報共有をできるだけ密にやっていただくと、現在、活発に使っている所も将来に不安を感じないと思いますので、その辺りは是非お願いいたします。
もう一つが、情報共有で非常に役に立っているのが血液生化学などの検査データです。これに関しては、特に診療所等は自分の所では検査してないので、外注の検査会社から、そこのデータサーバーから地域医療連携ネットワークのほうに、医療機関の同意を得た上で提供していただくことで、非常に有効に動いている地域医療連携ネットワークがあります。これを考えると、今後も、医療機関から直接というよりは、そのような検査会社からデータを、医療機関の同意を得た上で、出していただいたほうが非常に効率的かと思いますので、そこの所のデータの標準化が非常に重要かと思います。その辺りも丁寧に進めていただければと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。いかがでしょうか。2点ありましたが、事務局からよろしくお願いします。
○島井補佐 ありがとうございます。今回、HL7 FHIRへの転換のところでも電子カルテ等をはじめ、ベンダーさんの方々の御意見を賜ることもありますが、長島構成員からも御指摘を賜りました、既存の地域医療連携ネットワークを支えている各ベンダーさんにおいて、濃淡のそれぞれを支えているベンダーさんにも、いろいろとお考え等もあるかと思いますので、そういった辺りも教えていただきながら、今後の時代の流れへの転換、並びに順応といったところを協議させていだくようにしようと心掛けます。
また、2点目ですが、まさに御指摘のとおりで、医療機関等からデータを入出力する際に、先ほどのように外注検査会社さんから一旦、医療機関に返し、また出したほうがいいのか、または先ほど御指摘賜わったように、既に外注検査業者さんのほうから、この基盤の中に流通させるほうがいいのかなども、データの経路も含め、データ自体の標準化など、引き続き、きちっと整理していこうと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。私から先に。我々もSS-MIX2は随分使ってますが、やはり7、8年ぐらい前までは、ベンダーごとに本当に色が違うといいますか、言わばベンダーごとのSS-MIX2があって困っていたのですが、今は仕様がしっかりして標準化されていますので、先ほどの御説明にもありましたように、役割が違うので、必ずしも置き換わるだけではなくて、それぞれの役割を持って、うまくお互いを補完する形で使われていくのかと思います。
重要なことは、今まで発展してきたシステム、あるいは運用体制を持つ地域医療連携ネットワークがこれからうまく融合していくことが重要だろうと理解しました。ありがとうございます。高倉先生、お願いします。
○高倉構成員 高倉です。私からは、先ほど説明いただいた最後の図がまさに言いたいことなのですが、HL7に関していっても、正直7年ぐらいでバージョンが上がっていくのを繰り返しています。HL7のFHIRについても、今はリリース4ですかね。少し遅れていますが、5が出るとか出ないとか、今、ごたごたしているわけです。言いたいことは、IT屋さんはこんなことを言うから困るのだと言われる方もおられますが、徐々にバージョンが上がっていって、仕様が微妙に変わっていく、これはITの宿命なのですが、それを考えたときに、最初から決め打ちでこういうシステムにするのだといって作ってしまうと、後々痛い目を見るというのが一つ気になっています。
それからもう一つが、先ほどSS-MIXの普及率と一般の電子カルテシステムの普及率を見てますと、やはり大きな病院さんは、今からすぐに変われと言われても移れないだろうというのが分かりますので、ある程度、時間を掛けて、あまりのんびりするのは困るのですが、時間を掛けてなだらかにシステムを入れ替えていくやり方を取っていかないと、先ほどの一つ目の資料にも出ていましたが、費用が掛かって仕方がなくなるのを気にしています。そういう意味では、何年かという目標を定める必要はあると思いますが、例えば、今日、明日でやれというのはなしにしていただきたいと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。事務局、コメントをお願いいたします。
○田中室長 ありがとうございます。なだらかなシステムの移行ということを、先ほど長島理事からもお話があったかと思います。まさに今、医療情報の基盤を医療機関間にやり取りする一番の基本的な仕組みを、今日、お示しをしたところです。どういった機能にするか、オン資との関係もそうですが、地連との関係もしっかりと議論していく必要があると思っています。最後に、高倉先生、強制力を持ったような話は避けていただきたいという、そういうコメントでよろしかったでしょうか。
○高倉構成員 1年以内にやってくださいとか、2年以内にこれも全部載せ換えろというのは、なしにしていただきたい、でないと、とてもじゃないけどついていけないのと、あとHL7 FHIRでもリリース4がバージョンが上がったときに、また変わるのですかというので、多分、医療の方々から、もう付き合いきれないと言われるのを懸念しています。
○田中室長 ありがとうございます。まさに各システムが医療機関において更新の時期なども異なるということで、今、令和4年度の診療報酬改定において、診療録管理体制加算の中で、HL7 FHIRの導入の予定について、7月に届出を提出いただくことを新たに求めています。我々もこの1年だけでということを言うつもりはありませので、しっかりと現状を確認しながら、適切に進めたいと思っております。
一方で、やはり医療情報の問題は、コロナなどで課題も多いと指摘を受けておりまして、いつまでにどこまでやるのかについては、目標を定めることは皆が同じ方向を向いて進めるためには非常に重要なことだと思っていますので、その辺りの兼ね合いについては、現場の先生方の御意見を聞きながら、目標はしっかりと持った上で進めていきたいと思います。そこについては皆様の御理解を頂きたいと思っております。以上でお答えになっていたでしょうか。
○高倉構成員 はい。
○中島主査 ほかにございませんか。長島構成員から手が挙がっています。
○長島構成員 例えば標準化されたとしても、医療機関が電子カルテを導入するかどうかというのは、やはり実際に診療現場にメリットがあるかというのは極めて大きいかと思います。単純に情報が閲覧できるというだけであれば、今でもそんなに困っていない。特に地域医療連携ネットワークが進んでいる所は全然困っていないし、紙のやり取りというのも、実はそんなに困っていないということだと、それだけではなかなかメリットとしては感じないだろう。そうするとやはり例えば診療支援機能、電子カルテの標準機能の中に診療を支援するような機能がちゃんと入っているとか、あるいは例えば電子処方箋の対応機能が入っているとか、何か現場にとってこれを使うと実際の診療の役に立つとか、業務負担が減るとか、明確なメリットがないとなかなか導入が進まないと思いますので、そういう観点で是非、標準化というのが規格とかの内容だけではなくて、そういうような機能の全体を向上させるというような標準化であってほしいと思います。
その点からいうと、例えばセキュリティに関しては、この基盤を使ったほうがセキュリティが安全ですよというようなもの、そのような位置づけで進めていただければと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。機能の向上については必ずしも全てが厚労省の役割ではないとは思うのですが、診療報酬だとか、そういうものに対することもできると思うのですが、事務局さん、コメントがあればよろしくお願いします。
○田中室長 電子カルテの普及状況で、今回新たなデータをお示しをしておりますが、診療所並びに小規模な病院等においては、まだ十分な普及ができていない。ここについては医療機関が余りメリットを感じていないということが、まさに普及が進まない理由だと思っております。そこにどう応えていけるかということが、基盤を活用するに当たっての根本的なところ、この電子カルテをしっかりと普及していくことが、基盤を機能させるためには一丁目一番地というようなところだとは思っておりますので、頂いた御意見は非常に重大なことだと思っています。
もう一つまさに規格の内容だけではなくというお話だったのですが、このワーキンググループのほうでも、例えば構造の標準化であるとか、規格の実装みたいなところが、厚労省がいくら標準規格を作っても守っていないと。それを実装するような形が取られていないというところが、特にコードについては非常に大きな課題と。ここについては、やはりある程度先ほど中島先生からバリデーションする機能みたいなお話もあったかと思うのですが、やはりある程度少し実装をする仕組みをしっかりと考えていくことは必要だと思います。厚労省の標準規格を守ってください、皆さんが守っていただけるような仕組みを作りますというところまではできるのですが、電子カルテでどういった診療支援ができるかというような部分について、厚労省のほうでお示しするというのがなかなか難しい部分がございますが、そういった先生方のお声に、ベンダーがしっかりと答えられるような、そこで費用が課題にならないような、そういう仕組みを厚労省も併せて考えていくことが非常に重要という認識でございます。
○中島主査 ありがとうございます。ほかに何かございませんか。
私から一つ。この図の中に、文書はこれでいろいろと流通すると思うのですが、医用画像はかなり重いです。それについての運用はまだこれからだと思うのですが、今回の構成であれば、HL7 FHIRの診療情報提供書を頭にして、その下にIHE規格、これも標準規格ですが、この画像情報を持てばいいということがHL7 FHIR規格で定められていますので、ちょっと重くなる可能性はありますが、そういうこともこの今の図の中でも考えられます。先ほど松村先生が言われたように、溜めるのかあるいは流通するだけなのかという問題はあるのですが、やはり画像が流通しないと機能しないと思いますので、是非御検討をよろしくお願いします。
○田中室長 ありがとうございます。現在、厚労省標準規格の退院時サマリーの中には、キー画像、診療情報提供書の中にも、画像を添付する機能が含まれているというのは承知をしておりまして、まさに基盤の情報量が増えること、やり取りする情報量が増えることで、どれぐらいシステムの負荷になるかというようなことは、より精緻な試算というか、そういったことが適切にこういったシステムを起こすためには必要だと思っておりますので、十分な試算をした上で、安全にそして確実に実装ができるように努めてまいりたいと思います。
○中島主査 よろしくお願いします。ほかに何かございませんか。
○渡邊構成員 ありがとうございます。先ほど長島先生が言っていただいた普及に関して、薬局も、レセコンだけの普及に関しては98%近くいっていますが、この電子薬歴の普及については、情報を共有するシステムの中に、電歴が入っていけることで、普及率に影響が出てくると思いますので、是非データを電子カルテとやり取りするという部分も併せてしっかりとみていただきたいと思います。
それとHL7 FHIRにおいては、処方の書き出し、処方のルールにおいて、現在の記載方法と少しずれているところもあるかと思いますので、しっかりこのAPI連携等の中で、データにずれが生じないように、特に処方を扱うことの部分というのは、データの中で齟齬が生じ、見読上の誤認fが生じるといけないと思いますので、その辺はしっかりとお願いしたいと思います。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。事務局何かコメントございますか。
○島井補佐 ありがとうございます。今後は医療機関等との間でのやり取り、確かに薬局の方々とやり取りするときの窓となるシステム、先ほどありました電子薬歴システム等とのコラボも引き続き進めていきたいと思いますし、そういった中で御指摘いただきました2点目のHL7 FHIR、やはりベースは米国のものがベースだったりします。しかしそういった、御指摘賜りました処方のところに関しましては、記載の仕方だったりとか、それを受け取った業務の流れといったものが各国それぞれ文化もあるかと思いますので、そういった中で医療安全面にリスクが生じるということがないように、十分な配慮が必要かと思いますので、その辺り引き続き御指摘等賜りながら、日本での標準規格の在り方などの御議論等を一緒にさせていただければと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。
○長島構成員 以前から中島先生も私も繰り返し言っているのは、標準化というときに内容、あるいは質とか、単純に規格だけではなくて、むしろそっちのほうが重要だというようなことを何回も申していましたが、今後そのようなこともこの検討会の中の対象になるのかどうかというところはいかがでしょうか。
○中島主査 ありがとうございます。私からも是非聞きたいところであります。
○田中室長 非常に重要な御指摘だと思っています。例えば診療のある程度標準化であるとか、電子カルテの記載の標準化というようなことに結び付く内容だと思っておりますが、まずは先ほどお話したような、データヘルス改革工程表に基づいて、しっかりと議論を進めるところは進めさせていただきたいと。先生方の御意見につきましても、例えば学会の先生方などと意見交換をする場というのが必要だと思っております。どのような場がふさわしいかということは、また改めて御相談をさせていただきたいと思いますが、まずは本ワーキンググループにつきましては、データヘルス改革工程表に基づき、やるべきことをしっかりと進めるということで御理解を賜れれば幸いでございます。
○中島主査 ありがとうございます。高倉先生が言われたように、全部一遍にできない。少しずつ進めないといけないということですね。そのとおりですが、これが一丁目一番地とすれば、そこが本丸と私は思っていますので、是非継続してよろしくお願いいたします。
ほかにございませんか。
○長島構成員 画像の件ですが、例えば診療所の私からすると、膨大な画像を送られるよりは、キー画像をきちんと送っていただいて、その説明があるほうが、毎日の臨床の中では非常に役に立つ。ただ、そこの中で、じゃあ、やっぱり元のデータが見たいということもあるので、それは場合によってはまた別のシステムを考えるというような考え方もあるかと思うので、そのような幾つかの選択肢の中で御検討いただければと思います。以上です。
○中島主査 これも事務局よろしくお願いいたします。ほかにございませんか。
私からもう一つ。先ほど少し言いましたが、これから介護連携が非常に重要になると思うのです。親委員会では、健康・医療・介護情報利活用検討会がありますが、介護情報をどのように扱うかということは、このワーキンググループにとっても非常に重要だと思います。今日は難しいかもしれないのですが、今後できれば、方針など決まっているところまででも紹介をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○田中室長 承知いたしました。利活用検討会の事務局とも相談をし、情報共有が可能となるようにしたいと考えております。
○中島主査 ありがとうございます。よろしくお願いします。ほかに御質問、御意見ありませんか。
○松村構成員 今、中島先生がおっしゃった件は、非常に大事な点だと思います。今まで、大きな病院にある電子カルテの情報を、いかに標準化して他から見えるようにするかということに注力されてきたと思うのです。これが介護等と情報連携する場合は、もともとのフレームが違ってくると思います。HL7 FHIRの規格で申し上げると、リソースの種類が違ってくるかと思います。
入力テンプレートを使うのであれば、Questionnaire Responseというのも一つですし、文書の規格を使っていくというのもあるかと思うのです。いずれにしても、今まであまり検討してこなかったこともしっかり検討した上で、標準化して交換するという考え方が、これから必要になるだろうと思います。
○中島主査 ありがとうございます。事務局から何かございますか。
○田中室長 どのような情報をやり取りするかということで今まで議論しているのは、まずは医療機関間でということで、この3文書が決まったところでございます。
一方で介護の情報につきましては、介護事業者が医療機関との間で、どういった情報を必要としているかというところの議論ももちろん必要だと思いますし、また受け取る介護側のシステム、そのシステムを使う方たちについても、医療とは少し異なる環境ということがあるかなと思います。そういったことも踏まえて、しっかりと運用していかないといけないので、医療もだいぶ医療機関の規模によっても、電子カルテの導入率も違いますし、必要なサービスの内容も多分違う。その中で領域が違う、介護と医療という分野の中で、一番効率的という言葉がいいのか分かりませんが、どちらにとっても必要な情報、そして負荷になり過ぎないシステムを、どこを見据えてやっていくのか、非常に多くの議論が必要なのではないかと思っております。
もちろん医療はしっかりと進めていく一方で、御指摘のあった介護との連携も次にならないように並行して進めていくことが、ワーキンググループの皆様から頂いた御意見と、親会にもお伝えしたいと思います。
○中島主査 ありがとうございます。長島構成員どうぞ。
○長島構成員 医療介護連携に関しては、日本医師会の日医総研が毎年、地域医療連携ネットワークの調査をしていますが、その中で医療介護連携でどのようなシステムが使われているか、あるいはどのような内容が共有されていて、どのような内容がよく使われているかという調査もしていますので、御希望があればそのような情報もきちんと提供したいと思っています。
もう一方、医療介護連携での標準化、例えばケアマネージャーと医療機関の間で、あるいは医療機関と訪問看護ステーションの間でどのような情報の共有が有用かというのは、厚労省のほうで研究もされていると思いますし、その成果もある程度あると思うので、そちらも是非活用されればいかがかと思います。以上です。
○中島主査 いかがでしょうか。
○田中室長 ありがとうございます。老健局にも情報提供をお願いしながら、情報収集したいと思います。
○中島主査 ありがとうございます。高倉先生どうぞ。
○高倉構成員 高倉です。少しセキュリティの話に戻らさせていただくのですが、この交換サービスを介して、今回データを送受信するという形になりますので、この交換サービスの部分で確実にセキュリティを担保していただきたいというのが一つお願いしたいことです。
もう一つは、今回、議論の俎上にまだ載っていないので、今言うのが適切かどうか分からないのですが、ユーザーの認証ですね。誰が誰の権限で、何をどこまで共有していいのか、送受信していいのか。患者さん御本人もあるだろうし、ドクターの判断もあるだろうし、あと医療機関の判断もあるだろうといったときに、かなり許可認証の範囲が複雑に絡み合ってくると思います。そこをきれいに整理しておかないと、必要なデータが出せないとか、必要ではないデータを共有してしまうという事故が起こりかねませんので、そこは是非検討していただければと思っています。以上です。
○中島主査 ありがとうございます。事務局よろしくお願いします。
○田中室長 頂いた御意見を踏まえて、実装方法を、どのように具体的に要件として、システム要件定義をしていくかは、今後、実際にこの基盤に備えるべき機能、サービスを、しっかりと議論し終わったあと、2023年からシステムの課題整理や開発というような矢羽根になっておりますので、頂いた認証の話、範囲とか、非常に重要な要素と認識をしておりますので、システムを作る議論の中で、そういった御意見も踏まえて、しっかりと取り組みたいと思います。
○中島主査 ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。以上で本日の議題は終了となります。まだ時間が少し余っていますが、ほかに最初の議題も含めて何かございましたら手を挙げていただいても結構ですが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御意見がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。事務局からそのほかに何かありますか。
○島井補佐 ありがとうございます。本日も活発な御議論いただきまして誠にありがとうございました。議事録に関しましては、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局としましても校正作業等進めてまいります。構成員の皆様におかれましては、御多用、御多忙中とは存じますけれども、また御協力のほどよろしくお願い申し上げます。次回のワーキンググループ等に関しましては、改めて御連絡させていただきますので、またよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○中島主査 これで閉会といたします。活発な御議論ありがとうございました。