第1回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年5月13日(金)14:00~16:00

場所

オンラインにより開催
(労働委員会会館講堂(7階))
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. 3.議 題:
    (1)建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正について
    (2)個人事業者等に対する安全衛生対策について
    (3)今後の進め方について
    (4)その他
     

議事

議事内容

○船井安全課長補佐 それでは、定刻を過ぎておりますので開催させていただきます。ただいまより、第1回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を開催いたします。本日の検討会は、会議の資料及び議事録は原則公開となりますが、写真撮影はここまでとさせていただきますので御協力をよろしくお願いいたします。 本日は初回となりますので参集者の皆様を御紹介させていただきます。資料1の2枚目に「参集者名簿」を付けさせていただいておりますので、こちらの順番で御紹介させていただきたいと思います。お名前を御紹介させていただきますので、簡単に一言、お願いいたします。(一般社団法人)住宅生産団体連合会環境・安全部長 青木様。

○青木参集者 住宅生産団体連合会の青木と申します。住宅生産団体連合会と申しますのは、いわゆる大手のハウスメーカーの集まり、それから中堅どころ、更に、小規模、零細、工務店の団体、そういった生産者、企業だけでなく団体も集まった中でまとまった団体というような立場になります。したがって、同じ住宅と言っても、いわゆる大手のハウスメーカーの立場、いわゆる零細の工務店の立場、いろいろな立場をにらみながら住宅行政、労働安全行政について、厚生労働省様、国土交通省様といろいろ打ち合わせをさせていただければという状況でございます。今日はよろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。続きまして、(一般社団法人)建設産業専門団体連合会副会長 大木様。

○大木参集者 建専連の大木でございます。我々の団体は、各専門職の方、建設業はいろいろな職種が入っておりますが、大工・鉄筋・とび職・硝子屋とか、消防施設など、いろいろな専門工事事業者の団体でございます。そして、今回、テーマになっております個人事業主に関しても直接接する経営者の集まりでございますので、この検討会で大いに討論していただきまして、新たな個人事業主に対する安全対策を進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。続きまして、(株式会社)運輸・物流研究室取締役フェロー 小野様。

○小野参集者 運輸・物流研究室の小野と申します。初めまして、よろしくお願いします。私どもとしては、トラック運送事業、これを中心に話をさせていただければと思っております。よろしくお願いします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。鹿野先生につきましては欠席の御連絡をいただいております。続きまして、東京工業大学名誉教授 日下部様。

○日下部参集者 御紹介いただきました日下部でございます。現役時代は土木工学、特に地盤工学を専門としておりましたので、そういうことでお手伝いできればと思います。よろしくお願いします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。続きまして、日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法政局 小菅様。

○小菅参集者 連合の小菅です。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。続きまして、(一般社団法人)日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木様。

○鈴木参集者 経団連の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。続きまして、(一般社団法人)ITフリーランス支援機構代表理事 高山様。

○高山参集者 ITフリーランス支援機構の高山でございます。当団体は、ITフリーランス、ITエンジニアの中でも企業に雇用されずフリーランスとして活躍をしていきたいとという方々、そういったITフリーランスの方々をご支援する団体です。どうか、よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 続きまして、Webで参加していただいております陸上貨物運送事業労働災害防止協会埼玉県支部朝霞分会長 清水様。

○清水参集者 朝霞分会長の清水です。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 ありがとうございました。続きまして、同じくWebで参加していただいております全国建設労働組合総連合労働対対策部長 田久様。

○田久参集者 全建総連の田久です。建設職人、主に一人親方や中小・零細事業主の組織で、62万人ほどで組織している団体です。そういった意味では、この個人事業主等のあり方についての検討会で積極的に発言をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 ありがとうございました。続きまして、(一般社団法人)全国建設業協会労働委員会委員 出口様。よろしくお願いいたします。

○出口参集者 全国建設業協会から選出されました株式会社奥村組安全品質環境本部の出口と申します。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 ありがとうございました。続きまして、東京大学大学院工学系研究科教授 土橋様。

○土橋参集者 東京大学の土橋でございます。安全工学を専門でやっております。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 ありがとうございます。続きまして、東京工業大学環境・社会理工学院特任教授 中村様。

○中村参集者 中村でございます。今、中災防の労働安全マネジメントシステムの審査の認定審査委員を努めております。また、厚生労働省の仕事では、設備の経年化と労働災害との関係の調査をやらせていただきました。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 ありがとうございました。続きまして、(一般社団法人)日本建設業連合会安全委員会安全対策副会長 本多様。

○本多参集者 日本建設業連合会の本多でございます。私どもは、日建連と申しまして、全国で元請事業を営む会員130社の建設業団体です。どうぞよろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございました。続きまして、近畿大学法学部教授三柴様。Webでの参加となっております。よろしくお願いします。

○三柴参集者 よろしくお願いいたします。安全衛生法、労働法を専門としております。この課題については、海外で、ある意味で積極的な規制を設けている国もあるので、追い追い御紹介できればと思っています。理念的に参考にはなるでしょうけれども、要点を押さえながら、日本は日本の事情に応じた調整も必要と感じております。また、日本の関係法令の趣旨にも触れてまいりたいと存じます。よろしくお願いします、以上です。

○船井安全課長補佐 ありがとうございました。続きまして、産業医科大学産業生態科学研究所教授 森様。

○森参集者 産業医科大学の森です。参集者の中で労働衛生又は産業保健の分野の専門家は私だけということなので、その立場からいろいろ貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。参集者の皆様の御紹介は、以上になります。

続きまして、事務局側も御紹介させていただきます。まず初めに、武田安全衛生部長でございます。

○武田安全衛生部長 武田でございます。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 続きまして、小宅計画課長でございます。

○小宅計画課長 小宅でございます。

○船井安全課長補佐 続きまして、釜石安全課長でございます。

○釜石安全課長 釜石です。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 続きまして、石川労働衛生課長でございます。

○石川労働衛生課長 石川です。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 続きまして、安井化学物質対策課長でございます。

○安井化学物質対策課長 安井と申します。よろしくお願いいたします。

○船井安全課長補佐 中村産業保健支援室長でございます。

○中村産業保健支援室長 中村です。よろしくお願いします。

○船井安全課長補佐 私は安全課の船井と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

それでは、まず初めに、開会に当たりまして武田安全衛生部長から御挨拶を申し上げます。

○武田安全衛生部長 改めまして、安全衛生部長の武田です。本日は、皆様大変お忙しい中、また、本日は大変お足元の悪い中、御参集いただきまして本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。

今回の検討会の冒頭に、私の方から一言御挨拶を申し上げます。改めて申し上げるまでもないのですが、労働安全衛生法が制定されまして、本年でちょうど50年目を迎える年でございます。これまでの間、労働安全衛生法の目的にもございます「職場における労働者の安全と健康を確保する」と、そういう方針の下、労働安全行政は労使関係の下での労働者の安全衛生の確保を実現するために、皆様方の御協力の下、様々な施策を講じてまいりました。

このような中、令和3年、昨年の5月に出されました石綿作業従事者による国賠訴訟の最高裁判決におきまして、有害物質による健康障害の防止措置を事業者に義務付ける労働安全衛生法第22条の規定につきまして、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者も保護する趣旨との判断がなされまして、これを受け、請負人や同じ場所で作業を行う労働者以外の方に対しても、労働者と同等の保護措置を講じるということを事業者に義務付けることを内容とする改正が11の省令について行われたところです。令和4年、本年の4月に公布されたところでございます。

しかしながら、これまでの労働安全衛生法の対象としてこなかった個人事業主や中小企業主等につきましては、就業に伴う災害が多く発生している状況にございまして、今般、一部につきましては省令改正により保護措置を拡大したものの、安全衛生分科会におきましては、法第22条以外の規定に基づき、制定された省令の規定に基づく保護措置、それから注文者による保護措置のあり方、また個人事業主自身による事業者としての保護措置のあり方等につきましては別途、検討の場を設けて検討すべきとされたところでございます。

このような状況を踏まえまして、公労使の皆様に参集をお願い申し上げまして、本検討会を開催し、個人事業主等に関する業務上の災害の実態を踏まえ、災害防止のために有効と考えられる安全衛生対策のあり方などについて専門的な見地、現場の視点から活発に御議論いただければというように考えてございます。

また、御議論を通じまして、個人事業者等に対する安全衛生対策のあるべき方向性をおまとめいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○船井安全課長補佐 それでは続きまして、座長の選出に移りたいと思います。事務局といたしましては、土橋先生に座長をお願いしたいと考えておりますが、参集者の皆様、いかがでございましょうか。

(異議なし)

○船井安全課長補佐 どうもありがとうございました。

それでは土橋先生、どうぞよろしくお願いいたします。座長席に御移動をお願いいたします。

(座長席に移動)

○船井安全課長補佐 それでは、以降の議事進行につきましては土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○土橋座長 ただいま御指名いただきました土橋でございます。是非、よろしくお願いいたします。

部長からもございましたが、個人事業者というのが労働者の定義に入らないということは、以前から問題だということはあったかと思うのですが、ここで最高裁の判断というのもあり、法令改正を一部行ったということですが、まだやはり働く人の安全を守るという意味ではいろいろ検討すべき点があるというように思います。

今回、こういう場が設けられまして、いろいろな立場の方に御参加いただいておりますので、是非とも活発に御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入る前に、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○船井安全課長補佐 よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。タブレットに表示されているものを見ていただければと思います。まず、はじめに議事次第がありまして、1 開会、2 議事ということで何点か述べさせていただいており、3 閉会とあります。1ページ送っていただくと、資料1~資料6まで格納されています。

資料1を見ていただければと思います。今、土橋先生からもお話がありましたとおり、労働安全衛生法については、労働者と使用者という労使関係の下での労働者の安全衛生の確保を目的としていろいろな取組を講じてきたという状況があります。個人事業主等の安全対策については、関係省庁、業所管官庁を中心としてではありますが、連携しながらデリバリーサービスにおける交通事故防止対策などについて、個別分野で対策に取り組んできた状況です。

しかしながら、昨年5月に出された建設アスベスト訴訟の最高裁判決においては、労働安全衛生法第22条の規定について、労働者と同じ場所で働く労働者以外の方も保護する趣旨であると判断がなされました。これを踏まえまして、11の省令について省令改正を行って4月に公布されたところです。この省令改正を行った際に、労働政策審議会安全衛生分科会における議論において、御説明しました法第22条以外の規定について労働者以外の方に対する保護措置をどうするべきか、注文者による保護措置のあり方、個人事業者自身による事業者としての保護措置のあり方、こういったものについて別途に検討の場を設けて検討するべきであると御指摘を頂きました。本日の検討会は、この別途の検討の場ということになります。

こちらの検討会で御議論いただきたいと思っております検討事項は、2番の所にあります。まず(1)として、個人事業者等に関する業務上の災害の実態に関すること。この個人事業者等ということについては、建設アスベスト訴訟は建設業ということなので、そういったような方が思い浮かぶと思うのですが、それ以外にも建設業以外の業種の方々も当然含まれるわけで、例えば中小企業の役員さんやフリーランス的に働いて依頼に来られるような方なども対象になってくるということで、御理解いただければと思います。

(2)は、個人事業者等の災害の実態を踏まえた災害防止対策のあり方に関すること。(3)は、個人事業者自らによる安全衛生確保措置の必要性やその促進。これを業務上と言っていいのかあれなのですが、業務上の災害の把握・報告等というもの、これは労働者では既に制度があるのですが、同じような形でやる必要があるのではないか。それ以外にも、どうしても個人事業者の方や中小企業の方というのは、規模が小さく自分たちには十分なリソースがないわけなので、安全性水準の向上のための支援に関すること。こういったことを御検討いただきたいと考えています。以上です。

○土橋座長 御説明ありがとうございました。それでは、本日の議事に移っていきたいと思います。まず、議事(1)「建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正について」ということになりますが、まずは事務局から御用意いただいている資料を御説明いただきたいと思います。

○船井安全課長補佐 それでは、資料2を御覧ください。パワポの資料になっています。建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正についてという資料です。

スライドの1ページ目を御覧ください。これは今、実施要項について御説明させていただいたことと重複する部分があるのですが、従来、安衛法の規定は、事業者に雇用されている労働者を保護すべき対象ということで運用していました。しかしながら、最高裁の判断については、労働安全衛生法第22条についてはアスベスト関係の規制の論拠になるのですが、労働者だけではなく同じ場所で働く労働者でない方も保護する趣旨であると判断されたということです。次のページに参考として付けさせていただきましたが、最高裁判決の要旨です。

今の判断を踏まえまして、計11の省令改正を行いました。その大きな考え方としては2点ありまして、労働者以外の方に危険有害な作業を請け負わせる場合は、請負人に対しても労働者と同等の保護措置を実施する。2点目は、同じ作業場に一緒にいる労働者以外の方、これは請負にかかわらず、例えば資材の搬入などで出入りしているような業者の方、そういった方も含まれるかと思いますが、こういった方に対しても労働者と同等の保護措置を実施する。こういった形になっています。これを簡単に図にしますと、下にありますように黒い部分が従来、事業者に義務付けていた措置です。これと同等の内容については、赤い矢印で書いていますように、①の部分であれば下に矢印がありますように、請負人に対して、②の矢印であれば、請負に関わらないのですが同じ場所にいる他社の労働者とか、資材搬入などの出入り業者等、こういった①、②の部分についても新たに義務付けるという内容の省令改正を行いました。

省令改正をするときに、建設業などは重層下請になっており、事業者、請負人というものは複数いますので、では誰が誰に対して、この新たな措置を義務付けられるのかということがちょっと輻輳してきます。そうしないように、直接請け負わせている方に対して、この措置が必要になる形で整理をしていくと思います。

今回、見直した大きな観点というものが5つあります。1点目が安全確保のための設備設置関係の規定ということです。この設備の関係については、要は労働者が作業に従事する時点で一定の安全確保のための設備を設置するという義務が課されている部分があるのですが、こういったところについては、ハードの措置ですので労働者以外の方にその効果が比例するということで、改正の必要がないというものもあります。ただし、設置した設備を作業するときに稼働させるといったような作業環境の改善のための措置については、請負人だけが瞬間的に作業するようなケースもありますので、状況に応じて取り得る方法というのが他にもあり得る。いわゆる事業者さんが持っている設備を稼働させる以外に、その稼働を請負人の方に許可する、請負人がポータブルのものを持ってきて対応するというようなことも考えられますので、そういうケースに対応するため配慮規定を設けるという形で対応させていただきました。

2番目については、作業方法や保護具の使用に関することです。作業の実施上、安全確保に必要な措置という部分があります。こちらについては、労働者であれば、作業方法や保護具など、事業者は指揮命令に基づいて使用させるということはできるのですが、作業を請け負わせる請負人に対しては指揮命令関係がありませんので、これらの措置が必要なことについて周知させるという義務を新たに設けました。また、作業に従事する者に限定された措置ではなく、ある一定の場所について、全ての労働者に保護具の使用等を求めているという規定もありますので、そういう範囲については現行のものを、その作業場で他の作業に従事している人も含めて全員を周知の対象にすることと、改正しています。

3番目が、場所の使用や管理権原等に基づく安全確保、具体的には退避や立入禁止などが関係してくるものですが、こちらは指揮命令関係に基づくものではなくて、場所の使用や管理権原等に基づく措置ということになりますので、労働者以外の方で、何らかの作業に従事する方ということで、請負関係に限定することなく措置対象に追加することとしました。この際、立入禁止や例えばタバコを吸ってはいけないなど、そういった行為の禁止については、事業者が当該作業場で常に管理・監督等を行っているとは限らないので、表示による禁止ということでもよいということを条文上で明確にしました。

4点目は、有害物の有害性等を周知するための掲示に係る規定です。この有害物の有害性等を周知するための掲示については、労働者以外にもその周知効果を得られるので、周知対象を労働者ということに限定しないで労働者以外の方も対象にするというような改正をいたしました。それに加えまして、この有害物の有害性の周知のための掲示については、石綿則や有機則、特化則には、こういった規定が存在したのですが、鉛則や四アルキル鉛則、粉じん則、安衛則(ダイオキシン関係)については、同じ有害物なのですが、この規定は存在しなかったので、その差を設ける合理的な理由もありませんので、これらの省令についても同様の規定を新たに設けることとしました。

5点目は、労働者以外の方による遵守義務ということなのですが、特定行為の禁止、退避、立入禁止の措置について、労働者に義務が設けられているものについて、例えば、ある場所に入ってはいけないとか、ある場所ではタバコを吸ってはいけないということを事業者に禁止しろという義務が課されているときに、労働者もその場所では立ち入ってはならない、タバコを吸ってはいけないなど、反射的に事業者が明示した措置を守らなければいけないという規定があるものもあるのですが、そういうものについて、労働者以外の方にも範囲を広げるという際は、罰則付きではありませんが同様の遵守義務を設けることとしました。ただ、労働者以外の方に対して事業者が行う周知については、その周知を受けた情報に基づいて取るべき措置というものが一義的に決まるわけではありませんので、何をしたら遵守したとみなせるのかと判断するのがなかなか難しいので、労働者以外の方に対する遵守義務というものは設けていません。

次のページは再整理した形になりますが、例えば①の表にあるのは、請負人に対する保護措置の主な内容ということです。例えば、有害物の発散防止の装置等の稼働については配慮義務とする。あと、マスク等の使用、作業方法の遵守、汚染の除去等については、周知義務を新たに設けたということです。

また、②の表ですが、同じ作業場所にいる労働者以外の方に対する保護措置としては、危険場所への立入禁止や喫煙・飲食の禁止、危険物に関する掲示、事故発生時の退避という部分については、労働者に限定することなく、労働者以外の方も対象とするというような措置を新たに設けるというものです。

以降は参考ですが、改正省令が既に交付されておりますが、このように改正したというものを幾つか御紹介させていただきます。

これは局所排気装置に関する規定で、石綿則にもある条文ですが、右側が改正前のものです。局所排気装置又はプッシュプル換気装置については、石綿等に係る作業が行われている間、厚生労働大臣が定める要件を満たすように稼働させなければならないという規定がありました。こちらについては、左側の改正後のように、労働者が作業している間は、事業者の責任で稼働させなければならない。第二項として、作業の一部を請負人に請け負わせる場合は、労働者が作業に従事するとき以外、労働者が作業に従事して請負人が存在していれば第一項のほうで担保されますので、そうではなくて瞬間的に請負人だけでやっているような場合については、必ずしも「稼働させなければならない」ではなくて、「稼働させること等について配慮しなければならない」ということで、新たに配慮義務を設けています。

また、マスク等の保護具の使用についてです。改正前については、マスクを使用させなければならないとなっていたのですが、第2項を設けてマスクを使用する必要がある旨を周知させなければならないというような形に改正しています。作業方法の遵守、汚染除去についても同じようなつくりとなっています。

あと、同じ作業場所にいる労働者以外の方に対する保護措置ということで、労働者の立入禁止というものを規定している条文がありました。ここについては、立入禁止の対象を労働者に限定しないで、燻蒸したサイロに作業する者が立ち入ることを禁止するとあり、

しかも禁止する方法については、見やすい箇所に表示するということを書いています。飲食・喫煙の禁止についても同様です。

危険性等の掲示の部分については、石綿則で掲示すべき内容が定められていて、「人体に及ぼす作用」という部分について中身を充実させるなど、「作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示」ということを書いてあったのですが、労働者に限定する必要はないので、「見やすい箇所に掲示」ということに改正しています。

こういったような形の改正を行わせていただきまして、今年の4月15日に改正省令の交付、来年の4月1日からの施行ということを予定しています。

今、申し上げました内容を労働政策審議会安全衛生分科会で御議論いただいた際に、こちらの資料は分科会の資料から抜粋したものですが、今回の改正対象とはせず、中長期的な課題として別の検討の場を設けて改めて検討すると言われた事項が幾つかあります。(1)として、労働安全衛生法第22条や第57条以外の規定のあり方、(2)として、労働者が作業に従事しない場合の事業者(注文者)による措置のあり方、いわゆる作業の一部を請け負わせるということではなくて、作業の全部を請け負わせるような注文者についてです。

(3)として、労働者以外の方が立入禁止などの措置をされたときに守るべきという義務を、先ほど労働者以外とはいえ、罰則なしで新たに義務を課したところもあると申し上げましたが、そういった部分については罰則付きで担保する必要があるのかないのか、そういった部分についても御議論していただきたいと思います。(4)は、個人事業者(一人親方やフリーランス等)による事業者としての自分で自分の身を守るといったような観点での措置義務のあり方です。

(5)については、今、申し上げました具体的な被害防止措置ではなくて、リスクアセスメントにおいての自主的な管理についても、労働災害防止の観点からやっているものについて、労働者に限らず労働者以外の方も対象として、くくるような観点で措置の必要があるかないか。こういったところを別途に検討の場を設けて検討するとされました。それを受けて、今回は御議論を頂きたいと考えています。以上が建設アスベスト訴訟最高裁判決を踏まえた一人親方等の保護に関する法令改正の内容と安全衛生分科会における指摘です。以上です。

○土橋座長 御説明ありがとうございました。ここまでの説明について何か質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。中村委員、お願いします。

○中村参集者 東工大の中村です。今の説明で大変よく分かったのですが、実際に私が工場とかの現場で個人事業主とトークをしていて、いつも感じることは、まず、災害に対する基礎的な安全教育等が全く不足していると、それが1点目に感じました。

それから今度は、実際の指導等の問題として、特に個人を相手にしたときに、それは安全指導なのか、場合によっては業務指導に関わってくるところも出てくるわけなので、それを分かりやすくしてあげないと、なかなか実際に指導といっても難しいのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○船井安全課長補佐 御指摘ありがとうございます。教育の部分については、教育なのか自己研鑽なのかというのは位置付けが難しいところで、正におっしゃるとおりでして、労働者であれば、例えば雇入れ時の安全衛生教育や、危険有害作業について、特別教育などが施され、それは事業者の責任として施されるということです。それが、個人事業者の方は、そういう機会が得られないというのはおっしゃるとおりだと思います。この部分については、例えば注文者の方が何かする機会を与えるか、若しくは一人親方の方が自分でやるのか、その辺のバランスがあると思うのですけれども、やっていかなければいけない話だと思います。そこには、もしかしたら行政、国としての支援とか、そういうのも必要になると考えていますので、どういうバランスでやればいいのかというのを是非、御議論いただければと思います。

あと2点目の、安全指導なのか業務指導なのかというのは。

○中村参集者 これは偽装請負との関係もあって難しいと思いますが。

○船井安全課長補佐 なかなか難しいと思うのですが、その辺についても現行法の請負関係に着目した安全衛生法に違反しないような指導を義務付けていて、労働安全衛生法第29条にありますので、その辺の規制などを踏まえて、バランスのよい対策となるようご検討いただければと思います。

○中村参集者 ありがとうございます。特に2点目については今お話のとおりで、個人事業主とか、中小になってくると、自主的な管理はなかなか自分で勉強しろといっても難しい部分があるので、その辺の支援をどうするか、あるいは発注者が関係請負人教育に支援するなど必要なところを、ある程度義務付けしていくのか、その辺を踏まえて考えていく必要があるのではないかと思っております。

○船井安全課長補佐 ありがとうございます。

○土橋座長 それでは森委員、お願いいたします。

○森参集者 今回の審議会のほうの資料で、第22条及び第57条以外となっているのですが、22条に関わること、化学物質などの健康障害要因に対して、今回の規制強化で本当に十分なのかという議論も、本討論会で扱うという理解でよろしいですか。例えば、化学物質を取扱う際、保護具をつけることを周知しなさいということだけでは十分ではありません。どのような保護具をつけさせるか、そしてフィットテストをどうするか等の指導が必要になります。現在、化学物質管理のあり方の見直しで議論されており、今後はこの辺りの部分が強化されるということなので、保護具をはめることを周知するということで責任が果たせたとは思えません、そのような、もう一歩進んだ対策をどうするのかということも、この議論の範囲という理解でよろしいでしょうか。

○中村産業保健支援室長 今、冒頭に御説明させていただいたのは、取りあえず最高裁判決を踏まえて、急いでできることということでやっていますので、今回のこの検討会の議論には、特にここは議論して、ここからは議論をしないという枠をはめる予定はありませんので、御指摘を踏まえて、先生方の御議論を是非いろいろ頂ければと思っています。

○森参集者 分かりました。

○土橋座長 すみません、Webからの質問があったようで、まず、Web参加の田久委員、お願いいたします。

○田久参集者 聞こえますでしょうか、大丈夫ですか。

○土橋座長 はい、聞こえております。

○田久参集者 2つです。1つは確認ですが、4ページの「保護対象の見直し方針」の図式の参考の部分で、「元方事業者」があり、その下に「義務措置」が、新たに請負人や一人親方に加わったという図形にしていただいている部分があるのですが、その元方の所には、そうした指導の措置とかはないけれども統括管理的なものとしてあるから、あえて書いていないのかというのが1つ、確認です。

それと16ページの(2)労働者が作業に従事しない場合の事業者(注文者)による措置のあり方の所では、ここに書かれている所で言いますと、労働者に限らず、一人親方や個人事業主、中小零細事業主等を対応として入れていかないと、安全衛生対策としては不十分ではないかとも感じますので、そうした点でも、この31条に関しても、そうした検討を進めていただけるようにしていただきたいというのがあります。最初に質問があった教育の部分でも、もちろん個人事業主や一人親方の経営の人たちも含めて、きちんと教育を、自ら教育を学ばなければいけないことは重々あると思うのですけれど、なかなかそういう場ができないこういうことも考えられますから、そういうところに対して国の支援などを積極的にしていただいて、より安全に対して、労働者も一人親方も個人事業主も関係ない、全てが同じようなレベルで安全対策ができるような仕組み作りを、是非この機会に検討していただければと思っております。私からは以上です。

○船井安全課長補佐 4ページ目の参考の図ですが、元方事業者の所の下に矢印がないという御指摘かと思います。ちょっと簡略に書いていまして、本当であれば、元方事業者の下にも労働者がいて、そこには黒い矢印が引かれて、そうではない請負人の所に対しては赤い矢印が引かれていて、そういうことだったと思います。

○中村産業保健支援室長 ちょっと補足しますと、おっしゃっているのは、元方事業者による統括管理の部分だと思うのです。今回、請負人に新たに労働者に対する義務以外に、自らが一部発注する下請に対する義務も加わることになりますので、いわゆる元方事業者による統括管理の中には、その請負人に新たに加わる義務も含まれてくると、そのように理解していただければと思います。

○土橋座長 先にWebで質問がありましたので、三柴委員、お願いいたします。

○三柴参集者 発言に1、2分いただければと思います。すみません、声がやはり遠隔でオンラインだと割れて聞こえにくくなってしまうので、なるべく現地参加がいいなと思っています。

発言なのですが、本当に安衛法が労使関係前提の法と言い切ってよいかというところは、ちょっと注意が必要だと思っています。というのも、例えば公害防止規定などがあって、要するに汚れた汚染物をそのまま垂れ流すなというような規制も安衛法の中に入っているわけです。たとえ、労働者を守るのが第一義だとしても、事業者規制だけでは労働者は守れないから広くそれ以外に種々の義務を課してきたということも、のは御案内のところです。いわゆる場の管理ですが、現場でうまく労災防止を果たしていた方法や秩序を取り込んで、元方事業者に、関係請負人の労働者らの安全の統括管理を図らせたり、関係請負人らに違法がある場合の指示を義務づけた規定もあります。

派遣労働者と契約がない派遣先にもかなり安全衛生責任を負わせてきた経緯もあります。法の一般規定では、事業者に労働者を守らせると書いてあるのですけれども、個別の規定ではあえて名宛人とか、保護対象を書いていない規定も結構あります。要するに、誰なら労災を防ぎやすいかを考えてきた法だという面があって、だからこそ、機動的に規制ができるように労基法から分かれたという経緯もあると理解できます。判例を振り返ると、足場の安全を図る安衛則540条などについて、労働者を守る規定だから、社外工を守れなくても仕方がなかったという判断もあるのですが、一方で、建設中の支保工の安全について、元請の現場監督者に広く社外工の安全衛生管理の刑事責任を科した判例もあります。ということで、安全衛生の分野では、やはりリスクを作り出す者、これには情報を持っている者とか、管理できる者も含みますけれども、そういう人に管理責任を負担させるという原則が理念的には基本だろうと思います。しかし、リスクの関連情報や管理権原を持っているかとか、就労管理は誰がしているかとか、指揮命令関係はあるかとか、契約のあり方はどうか、業界関係者の意識はどうかというところを総合考慮する必要があると考えています。長くなりました。失礼しました。

○土橋座長 ありがとうございます。一応、この場では、まずは御質問をお受けしようかと思っていますが、本多委員も何かございますか。

○本多参集者 日本建設業連合会の本多でございます。質問ではなくてもよろしいですか。

○土橋座長 分かりました、次の段階でフリーディスカッションにはなるのですが、先ほどの説明に関係することであれば結構だと思います。

○本多参集者 建設現場における労災とか安全管理の実情のところをちょっと御報告したいのですけれども。建設現場には、多くの一人親方、個人事業主の方が働いていますけれども、工事全体の安全管理について総括責任を有します元請としましては、数多くの専門工事業者の従業員である一般の作業員いわゆる労働者と、それから今回の検討対象の一人親方等につきまして、両者は同様に、私どもからすると工事施行を支え、携わっている同僚、仲間であることには変わりません。その中で、安衛法で規定します事項とか、個々の企業、現場雇用による要請や指導管理について、一人親方、中小事業主といえども、労働者の方々に対する内容に全く相違がないのはもとより、区別していないのが実情であることは是非御理解いただきたいと思います。すなわち、元請である我々としましては、労働者も一人親方も同様の立場で同様の対し方をしておりまして、一緒に働く仲間の一人一人が毎日毎日、けがなく無事に家族のもとに帰ってもらうことをビジネス以前の大事なことと認識して工事に当たっていることを是非とも御理解いただきたいと思います。以上でございます。

○土橋座長 日下部委員、お願いいたします。

○日下部参集者 ごく簡単に御質問させていただきます。御説明はよく分かったのですが、3ページの保護措置の所の赤い字の所で、「同じ作業場所」という言葉が、どこまで明確に定義できるかというところが、建設現場を考えたときに、例えば斜面の崩壊の所の補修をするとか、そういうときに明確に客観的な形で作業場所というのが確定できるかどうか、この辺りがもう少し明確にしておく必要があるという感じがいたします。コメントです。

○土橋座長 事務局から何かありますか。

○中村産業保健支援室長 なかなか同じ作業場所の範囲がどこまでなのかは、様々なケースがあるので、ここまでですと明確に示すのは難しいのですけれども、考え方としては、この危険を生み出す作業によって、その危害とか有害が及ぶ範囲ということで合理的に考えられる範囲という考え方をお示ししています。例えば、建物の工事をやっているから、その建物全部ですということではなくて、危険が及ぶ合理的にここまでだろうというように考えられる、部屋での作業であれば同じ部屋の中とか、そういう考え方になるかと思います。

○土橋座長 追加の質疑等があるかと思いますけれども、次のところでフリーディスカッションになっています。そこで質問も可能ですので、次の課題に移らせていただきたいと思います。

続いて、議題(2)「個人事業者等に対する安全衛生対策について」です。今回は、第1回目の検討会ということもあり、フリーディスカッション形式で御議論いただきたいと考えています。内容が安全衛生全般にわたりますので、まず、事務局から議論のきっかけとなる資料を説明いただき、その後その辺りをもとにフリーディスカッションをしたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○船井安全課長補佐 それでは、資料3-1を表示していただければと思います。これから御検討、御議論いただくに当たりまして、労働者については、災害の発生状況はいろいろな形で公表させていただいているのですが、個人事業者等に関する業務上の災害ということについては、労働者と違って報告制度はありません。強制加入するような保険制度もありませんので、網羅的に把握する仕組みというのは、実はありません。労働者以外の者については、任意ではありますが、労災保険制度に加入できる特別加入制度というものがあって、特別加入者が被災された業務上の災害については、支給状況を見ることによって把握することが可能であるという状況です。

ただ、この数字をそのまま労働者のものと比較するというのは、なかなか難しいことであり、一番下の○に書いてあるように、労働者を使用する事業の労災保険の事業場というのは事業場という単位に適用しておりますので、直接、例えば建設業だったり、建設作業に従事する労働者以外にも、例えば設計や現場事務所で働かれているような内部事業に従事する方も含まれてきます。

ただ、特別加入制度の対象というのは、特定の規模の事業、作業に限定されておりますので、いわゆる本当に工具を持って作業している方というのが対象になるという状況ですので、災害発生率等を労働者と一概に比較するというのはなかなか難しいということを御理解いただいた上で資料を見ていただければと思います。

資料3-2です。表が2段になっておりますが、上の表が労働者についてのデータです。就業労働者についてまとめられています。①が死亡者数、②が休業4日以上(死亡を除いております)、③が、死亡と休業4日以上を足したものです。これは件数ベースです。これを就業している労働者の数で割ったら、一番右の欄にある⑤労働者1万人当たりの災害発生率ということになります。林業が221.0、建設業は36.2といった数字になります。

これと同じ業種の特別加入の支給状況に基づいてやったのが、下の表になります。これは特別加入の加入者の中では、一人親方や特定作業従事者の方と、中小企業の人という方ですので、これは一緒くたにするのは少しおかしなことになりますので分けて書いてあります。こちらも同じように、死亡者と休業4日以上(死亡は除く)というのを、特別加入している方の数で割った1万人当たりの災害発生率ということで出しております。

御覧のように、特別加入は任意ですので、先ほど申し上げたように、個人事業者全体を表わす数字ではないということを御理解いただいた上で労働者と比較すると、いろいろな業種に対して高くなっています。例えば建設業では、労働者が36.2であるところに対して、特定作業従事者は119.1であるとか、中小事業主のところは60.8と言った形で表われています。ほかの業種についても同じようなことです。

今、御説明させていただいたのが、いわゆる災害系のもので、それ以外にも石綿や粉じん、職業がんといった遅発性のものもあります。こちらについても、次にお示しさせていただいておりますが、御覧になっていただくと分かりますように、特別加入は数が非常に少ないのです。ですので、災害系のもののように、率でやるというのは少し控えさせていただきました。純粋に把握している件数ということで、データをお示しさせていただいております。脳・心臓や精神についても同様です。

資料3-3については、同じ集計方法でやった令和元年度のデータになっております。傾向としては同じような形ですので、省略させていただきます。

続いて、資料4については、これは特別加入ではなくて、「一人親方等の死亡災害発生状況」ということで、我々の出先機関の都道府県労働局や労働基準監督署が業務の中身の中で把握したものを本省で集計したものとなっております。

したがって、特別加入しているかどうかは、ここでは直接の関係はないというものです。このグラフの点線は、労働災害、労働者の死亡災害です。建設業における労働死亡災害ということで、これは300件前後で推移しているという数字です。この数字の外側の数字として、太い実線の数字にあるように、400人前後で推移しているのが、一人親方等の死亡災害というものがあります。これらについて、我々は把握して、監督署なりが調査に行って、一定程度の詳細を把握しておりますので、それを分析しますと、労働災害と比較しますと、墜落・転落災害の割合が高いことであるとか、土木工事の割合が低いことです。鉄骨・鉄筋コンクリート関係の建築工事の割合が低いことです。そういった傾向が見られると。被災した方が、どういう位置付けで工事をしていたのか、どういう請負状況だったのかというのを見てみますと、大体3割~4割、元請として、自ら発注者から仕事を受注しているという状況です。このように直接受けているということは、自分が元請になりますので、この一人親方の方も保護措置をとれるような、しっかりした組織を持った元請というのが重要になります。

あと、先ほどの特別加入とも少しリンクしますが、5.の表の一番右下を見ていただきますと、この死亡された一人親方等について労災の特別加入をしていたかどうかという確認をした項目で、加入者が49、未加入者が45という数字で、大体半分ぐらいが加入しているという状況となっております。今、申し上げたのが一人親方等の災害の状況です。これは網羅的に把握したものではありませんが、議論の材料にしていただければということで、我々のほうで集計させていただいたものになります。

資料5については、労働安全衛生法の構成ということで細かい内容は割愛させていただいておりますが、条項のつくりとして、項目、目次的なものを列挙させていただいたものです。

既に、昨年来、検討して先般、省令改正を行った22条関係というのは、上から3つ目の労働者の危険、又は健康障害を防止するための措置というものの中に入っており、20条や21条もこのカテゴリーに入っています。それ以外に、機械に着目した規制や、労働者に対する教育や各種機械の運転等に関する免許関係、あとは健康の保持増進のためのもの、そういったものが条文に書かれているという状況です。

今、申し上げた災害の発生状況、若しくは現行法の安衛法のつくりを踏まえていただきながら、今後、本日ディスカッションしていただきたいと思っておりますが、その際に検討の論点・ポイントということで、事務局のほうで、もちろん、これにとらわれていただく必要は全くありませんが、議論のきっかけとして、資料6を付けさせていただきました。

まず、1点目ですが、個人事業者等の災害について、これは何度も繰り返しになりますが整備された統計等は存在しないのですが、この現状を、どう評価するのかと書いております。2点目については、個人事業者等の災害を防ぐために、何らかの対策が必要だという認識で良いか。3点目は、個人事業者等の安全対策について、どのようなことが課題になっているか。

また、4点目は、個人事業者等の災害を防ぐためには、どのような対策が必要かということで、(1)~(4)まであります。(1)災害を防ぐために、現行の安衛法はどういう体系となっていて、その体系の中で個人事業者等はどう位置付けるべきか。(2)個人事業者自身による対策はどうあるべきか。(3)労働者とは違う立場にある個人事業者の保護のためにはどういう対策が必要か。また、(4)経営基盤・体制が脆弱な個人事業者や中小企業も含めてですが、こういった方々に対する支援はどうあるべきか。こういったものを御議論いただきたいということです。その他、労働者や個人事業主等の災害を防ぐ観点で、何か検討することはないかということで、論点を整理させていただいたところです。私からは以上です。

○土橋座長 本日の資料としては全て説明いただきましたので、この後は、第1回ということでフリーディスカッションの形にさせていただきたいと思います。ただいま説明のあった資料6の論点・ポイントも参考にしていただきながら、皆様から御意見、御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。中村委員、お願いいたします。

○中村参集者 私は製造業に関わることが多いのですが、今回のデータを見ると、製造業のデータに全部斜線を引いてあるので確認させていただきます。製造業の場においては、余り個人事業主はいないということなのか、それとも実際の場を考えたときに、例えば化学産業などの場合、定修工事等もやるのですが、その場合は一次請負の下、もっと下二次請け、三次請けにいくと個人事業者がいるように思いますが、そこまで把握しきれなかったということで、製造業に斜線、バーを引いてあるのでしょうか。データ欄に斜線が引いてありますよね。

○船井安全課長補佐 例えば、定修工事は建設業に含まれますが、そうではなくて、いわゆる製造業としての届出があった場合は中小企業主の所に入っているものもあります。

○中村参集者 いわゆる定常的な業務をやっている中での分類としては個人にないけれども、特殊な定修工事、その他のときは個人事業主もいると。ただ、それは建設業の中に含めてカウントしたと理解してよいでしょうか。

○船井安全課長補佐 はい。

○中村参集者 分かりました。

○中村産業保健支援室長 補足しますと、今回は特別加入制度の対象になっているものについてしかデータが取れなかったもので、その範囲で御用意させていただいているのですが、製造業の方々と意見交換などをしておりますと、製造現場にも一人親方や個人事業主の方はたくさんいるという話は聞いておりますので、データが出せるかどうかというのは検討させていただきたいのですが。

○中村参集者 分かりました。私もデータとしてまとめるのは難しいという感覚をもって質問しました。ただし、製造業に係る個人事業主は建設業に含めている等の注釈がいる。

○土橋座長 それでは、日下部委員、お願いします。

○日下部参集者 資料6の1番目の所です。御説明いただきましたが、エビデンスのベースで議論するには、もう少し情報が必要かなと思います。ですから、今の段階で、統計等が存在しないという立場ではなくて、更に努力をする必要があるかなという気がします。

いろいろ御検討されているのだろうと思いますけれども、私が多少関係した厚労省の科研がございます。そこでいろいろな方がいろいろな統計をお使いになった研究の事例があると思っていますので、その辺をもう一度見直して、御専門の方に情報を頂いたらどうでしょうか。当然データがはっきりと分かれば、何が優先順位で、何が大事かというようなことで規制の議論ができると思いますけれども、今のままでは、どうしてもエビデンスベースの議論ができないなというのが、私の印象でございます。

もう1つは、一人親方等の死亡災害のデータがございましたが、なぜ、一人親方のほうは災害事例が多いかという分析も含めて、まず最初に、この検討会の検討事項1と検討事項2を、もう少し踏み込んでやるべきかなというのが私の印象でございます。

○土橋座長 更に掘り下げるためのツールはあるのでしょうか。

○船井安全課長補佐 御指摘、ありがとうございます。個々の災害について、死亡災害については事例を把握できる部分もあると思いますので、掘り下げて、なぜということが分かるかどうかを引き続きやりたいと思います。

あと、それ以外の厚労科研なども当たってみたいと思います。我々も、この開催に当たっていろいろなものに当たったのですが、なかなかいいものがなかったということがありました。1つのアイディアとしては、いろいろな業界の一人親方なり個人事業主が働いている業界に対して、状況をヒアリングするということも1つの手ではないかと思っておりまして、どういう業界、集まりに対してお話を聞くのがいいのかなということも検討しております。また、次回以降に御相談させていただければと思っております。

○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。大木委員、お願いします。

○大木参集者 今の御質問に関連するのですが、整理された統計がないということですが、死亡災害に関しては出るのですが、それ以外の4日以上の災害に関するデータがないということです。これを見ただけですと、分母が小さいからということはあるのですが、個人事業主の災害発生率は多いです。でも、実態は報告されないだけで、もっと多いかもしれません。その辺をどう把握するかということが大事だなと思います。それに対して、墜落災害も個人事業主のほうが多いということです。データの統計をきちんとすることによって、対策もまた変わってくるのではないかと思っております。

また、先ほども御意見がありましたが、個人事業主に対する教育についてです。労働者であればいろいろな教育を受けているのですが、個人事業主は教育を受けないで現場に出てしまうということもあります。それを、先ほど業者のほうで教育を支援するというお話がありましたが、支援よりも更に突っ込んで、強制力までは持たないまでも、労働者に対しては雇入れ教育をしなければいけないという法的に強制力があるのですが、個人事業主は無教育のままで現場に出てしまうことに対して、支援以上に突っ込んだことを検討していただけないかなと思います。

ただ、余り規制してしまうと、個人事業主はその日の作業工程や作業時間・休暇の取り方など自由な働き方ができるメリットがあることもご理解をいただき、働き方の自由ということと、災害を起こしてはいけないので、災害防止ということのバランスを考えてこの検討会で議論していただければいいなと思います。よろしくお願いします。

○土橋座長 Web参加の田久委員、お願いします。

○田久参集者 先ほどからありますように、災害の実態把握の部分での情報が足りないという御意見が出ていたと思います。実際に、全建総連の中でも、最近、一人親方等の関係での死亡の調査が出てきていますが、私傷病の関係で出せないものかという要請も、この間もしてきました。

全建総連としても毎年調査をしていまして、全建総連内に、先ほど言った特別加入団体が400近くあることも含めて、そういった団体の力を借りながら、数字としては、2000年では中小零細事業主が1,539、一人親方では3,605、全体の労働者を合わせると7,252という報告ももらえているのです。それは内訳も含めてもらえている状況もありますから、まずは実態把握をしていかなければ、どういう安全対策を講じていかなければいけないのだという議論にもならないかなと思います。そういった意味では、特別加入団体は安全措置をするというのが設立の目的にありますから、そういう部分では、そういう統計を取らずに安全措置の計画などは立てられないというように考えられますので、そういったところの力なども借りながら実態把握をするということも進めていく方向を是非、検討していただけないかなと思います。全建総連内としても、安全対策の措置をしていないような団体も見受けられますので、そういうことも含めて、是非統計の部分はそういう力を使ってもいいのではないかと感じているところです。

○土橋座長 ありがとうございます。御意見を頂きました。ほかにはいかがでしょうか。小野委員、お願いします。

○小野参集者 運輸・物流研究室の小野でございます。基本的に、私の所の一番詳しい分野としては、トラック運送業について今回の対象となっているということです。多少、建設業とは異なる部分ですので、初回につき、簡単な御紹介をしておきたいと思います。

トラック運送業、日本においてドライバーだけでも80万人を超える従事者がいまして、かつ企業としては約6万社を超えます。中小企業を合わせて、それだけたくさんの会社があるわけですが、ほとんど中小企業です。

その中において、仕事のやり方としては、建設業と少し似ているところが多層化ということです。お客様がいて、その下に元請がいて、下請がいて、孫請けがいて、曾孫請けということで、直接お客様と取引をして、直接運送をするケースもあるのです。そういった戦力構造もありますので、お互いの企業の助け合いによって成り立っている貨物運送業でございます。

最大に考えれば、例えばメーカーがあって、その下に荷主の物流子会社があって、元請があって、下請があって、孫請け、曾孫請けとなって、最大で5段階の取引構造の中で、実際に実運送が行われるケースがありますので、ある意味で元請の責任というものが、本当に運送の契約をした瞬間にほぼ消失するという現実もあります。

更に、もう1つ、日本の場合の一般貨物運送事業者は、皆さんも御承知のとおり、特別積合せあるいは宅配便も含めて、基本的には一般貨物運送事業は5両以上の場合にしか許可が下りませんので、そういった点で見ると、個人事業主はいないという、一部、軽貨物運送事業者、軽トラックですね。軽トラックを一人で、つまり一人親方、言葉としては一人車といった形の個人事業主はいないことはないのですが、大半は労働者であるということが前提でございます。

もう1つ、今回のポイントである個人事業者等の業務上の災害をどうやって調整して、検討するということは是非検討願いたいのですが、もう1つの特徴としては、業務上の災害という観点で見れば、正にトラック運送業という仕事の中身を想像するとおり、例えば走行中の追突のような交通事故、これが最大に多いわけです。ですので、現場での事故もないことはないのですが、現場としては道路上になりますので、そちらのほうは今回には載らないのではないか。

現場であるということで、トラブルの中に貨物を積み込む、積み込んだものを持っていき、荷を下ろすといった作業は必ず現場で起きます。これは、ある意味では農作物の出荷団体もあれば、製造業の工場もあれば、お客様が倉庫業というケースもありますので、そういった物流事業者のケースもあります。そういったところで、実際にトラック運送でドライバーの業務上の災害としては、プラットフォームからの転落、積込み時に車両から転落する、あるいは積込み時の貨物を落としてしまって足の指を骨折するとか、もう1つは、フォークリフトを自由に使っていいという倉庫業などのお客様がありますので、フォークリフトの作業中に事故を起こすというようなことが、実際の契約をしていないようなお客様の所で起きるケースがありますので、そういったところも是非、今回の個人事業者ではありませんけれども、そういったところもしっかりと面倒を見られるような仕組づくりを是非やっていただきたいと思っております。

○土橋座長 事務局、先ほどの災害発生率の表を見ると、運輸業の一人親方の所は斜線になっていますが、運輸業で個人事業主は中小事業主のほうに入っているという理解でよろしいですか。

○船井安全課長補佐 運送業はそういうところで、あと、下の段に、「個人タクシー、個人貨物運送業者」というカテゴリーがありまして、この個人貨物運送業者が一人親方のカテゴリーがあるということです。

○小野参集者 そうしますと、トラック運送を行っていても、営業車ではないトラックがあります、いわゆる緑ナンバーではないトラックです。建設現場で、砂利や砂等を運んでいる白ナンバーのトラックがあります。あるいは一般運送事業ではなくて、国土交通省の管轄外です。そういった形だと、自分で砂利を買って販売するという形なので、運賃を取っているわけではないので、そこには個人事業主はいます。

○土橋座長 ほかはいかがでしょうか。高山委員、お願いします。

○高山参集者 頂いた資料の中にはIT業界で就業する人材に関するデータがございませんので業界実態を理解いただきたいかなと思っています。

IT業界で就業する人材には、ITエンジニアがございまして、ITエンジニアは労災状況は、厚生労働省等が把握されておられますが、建設業界等の状況とはちょっと異なっております。フリーランスの方々が、いわゆる危険な場所で作業をするということは、特殊な例を除いて、ほとんどなくて、実態としては企業のシステムの開発現場にてPCを使っての開発作業が中心となります。そうしますと、長時間労働による影響とか、心的ストレスといったことの理由による精神疾患、脳・心臓疾患といったことが中心になります。それが厚生労働省から出していただいている労災実態のデータもそのようになっております。

では、IT企業の人はどうかと言いますと、ほぼ同じような働き方になっておりますので、恐らく同じような傾向にあるのかなと思っています。ただ、データはないのです。昨年の9月か10月に省令改正がありまして、特別加入のほうは、IT関係のフリーランスもできるようになりましたので、今後データが出てくることになればいいと思っておりますが、予測としては、実態としてはそういった心的ストレス、長時間労働による様々な疾病といったところが実態かなと思っております。

業界の規模としましては、これも推測になるのですが、IT分野の人は日本全国で20万人から30万人がいると言われておりまして、当支援機構での推測でも、大体その辺りの数字が出ておりますので、日本の中で、そこそこの規模の団体になってくるのかなと思っておりますので、ここも皆様の業界と共通点がある部分もありますし、特有の部分もあります。しっかりとした安全衛生対策の議論をこの機会に考えていければと思っております。情報がないところですので、御理解をいただくために発言させていただきました。

○土橋座長 私も認識が不十分なのですが、いわゆる労災保険の特別加入のようなものは、余り使われていないという感じでしょうか。

○高山参集者 特別加入は実現したばかりで、私ども支援機構の関連団体が特別加入団体になっておりますが、100数十名が入ったというのが現状です。これから、どんどん広がっていけばいいかなと思っています。

○土橋座長 Webから三柴参集者、お願いいたします。

○三柴参集者 所どころで聞こえないので、タイミングのずれ等はご容赦いただきたいと思います。まず、論点の1点目ですが、災害データに関して言うと、数だけ見ていいのかという問題があると思うのです。確かに、労災では「けがと弁当は手前持ち」が批判されて規制などが育ってきたわけなのですけれども、特に健康問題になると、本人や組織の生き方や考え方、自己決定の問題が出てくるということは事実なので、尚更だろうと思います。

そうすると、データを見るときも、例えば商店主とか、従属的とは言えないと整理される自営業者と従属的な面が強い個人事業主とを比べたときに、後者の方数が本当に労災の数が多いかなどが多分問われてくるわけです。しかし、これらの数字というのは取りにくいから比較も難しいと思います。科研の研究の成果とか、非職域の健康保険とか、可能であれば、今後は参集者の助力を得た調査などが必要になってくると思います。

一方で、確かに日本でもイギリスでも、安全衛生の管理体制を整備して労災が減ってきたという経緯があります。そうすると、管理しないといけないけれども管理されたくない事情もあるという中で、落としどころのライン取りを考えなければいけない。国内の既存の法の場合にモデルになるのは、恐らく家内労働法、それから中小企業等協同組合法、そして民事の安全配慮義務等に関する裁判例だろうと思います。それらを踏まえると、デフォルトとしては、やはり労災を減らすとなると、健康対策も考えると、ステイクホルダー全ての関与、それから一般的、個別的なリスク調査と情報提供、それから集団的交渉で、これらが基本になってきます。それから、広い意味で予防の一貫と考えると、労災補償などの補償の充実というのも大事は大事なので、そういうことも考えないといけません。

最後に言いますと、中小企業共同組合などで産業医を選任して、委託者等に健康管理に必要な就業上の措置等を働きかけるといったスキームも考えられると思います。

○土橋座長 それでは小菅委員、お願いします。

○小菅参集者 2つ目の論点について当然、個人事業者の災害を防ぐために何らかの対策が必要だという認識ですが、ここで言う個人事業者等が何をさすのかに関して、資料2の3ページにあるように、同じ作業場にいる働く全ての者を含めることを基本にすべきです。就業形態によって、命や健康に格差が生じるということはあってはならず、全ての労働者が同様に保護されるべきです。是非この検討会でも、資料2の3ページにある基本的な方針を踏まえて、どのように全員を保護していくかということを検討していただきたいです。

その際、先ほどから個人事業者や、フリーランスという名称が出ていますが、連合としては様々な所で申し上げているのですが、個人事業者やフリーランスの中には、そもそも労働者性が高い者が少なからず存在しています。そのような人たちの実態をしっかりと精査して、労働者と判断される場合には、契約の形態にかかわらず、労働関係法令が確実に適用されるように改めて周知徹底し、適切な指導と監督体制がとられることが大前提です。

その上で、個人事業者を安衛法の体系の中にどう位置付けるかという論点がありますが、現行の安全衛生法上では、個人事業者が労働者にも請負人にも含まれていません。安全衛生分科会では安衛法第22条について議論してきましたが、それ以外の条文も含めて、個人事業者を保護の対象に含めていく議論が必要です。また、安全衛生法上の労働者の定義自体の見直しも議論していく必要があると思います。

○土橋座長 ほかに御意見はございますか。森委員、どうぞ。

○森参集者 労働衛生の立場からお話をします。労働災害の話が主に話題となっていますが、労働災害は、業務起因性、業務遂行性が比較的はっきりしています。目の前で事故が発生したということであれば、それは問題だねという話になるわけです。しかし有害要因に対するばく露による健康障害というのは、どこで業務起因性があったか、業務遂行性があったかと判断するのが非常に難しいわけです。

今回は、たまたまアスベストで、アスベストによる健康障害の場合は悪性中皮腫という非常に特異得意的な悪性腫瘍の発生ですし、肺がんであっても、アスベスト小体というもので、アスベストのばく露が分かる検査法があり、だからこそ明るみに出たという話です。しかし、多くの発がん性物質の健康障害には、このような特異性がない場合がいいので、発生したがんが、本当にばく露によるものなのかどうなのかを明らかにするのは難しい場合が多い。たまたま多発したからこそ、ジクロロプロパンによる胆管癌などは分かったということなので、そのような発見ができない場合が多いのだと思います。そうなると、恐らくばく露がどの程度あるのか、今は作業環境測定が中心なので、働いている環境はどうなのか理解したうえで、議論する必要があると思います。すなわち、一人親方が働いている環境の実態が、ばく露レベルでの実態把握しないと、この問題点はどこまで大きな問題なのかすら分からないという状態があるので、有害物質によるばく露は、ほかの災害とはちょっと違う、何件起きたかというところではないレベルで実態を理解する必要があるかなと思います。

先ほどの、定期修理のときの石油化学みたいな所だと、ばく露は恐らくあるのだろうと思うのです。ただ、実態として分からないのです。そういったところも、データを取れと言っても難しいと思うので、これからヒアリングなどをされるときに、そのような状況で実際に一人親方は働いているのかとか、そういったところを確認いただければなと思います。

○土橋座長 中村委員、お願いいたします。

○中村参集者 今のお話に関係するのですが、先ほど製造業の実態をお聞きしたのは、企業の事業所の所長などと話をしていると、このことに関して、大体3つぐらいのことが出てくるのです。

1つは、先ほどの最後の説明で、棒線があったというけれども、各企業主の認識としては、たとえ下の三次請負であろうが何であろうが、事故が起きたら自分の会社の責任だと思っているし、実際に社会の扱いもそうなると思うのです。そこで、ちょっと気になったのは、ああいう棒線にしないで、何らかの格好で、実はこの部分は含まれていないとか、そこをきちんと書いてあげないと、実際に事業主が注意していくときに、あちら側はここは関係ないと思われたら困るので、実際にはそういうものも扱っているのだということをきちんと書いていただきたいというのが1点目です。

2点目は、実際に話をしていると、先ほどの構造図があったときに、左と右があって、右の図は一次、二次、三次までありました。そのときに、実態としては、一次までは何とか管理できるが、二次、三次までを元請負人としてきちんと管理できるかと言うと、なかなか難しいところがある。だから、一次に対しての言い方と、二次、三次に向かって言う言い方をきちんと区分してくれないかと。そうしないと、三次などはほとんど手が届かない範囲で実際の仕事はやられているとなってくるので、そこを何とかしてほしいと思います。これが2点目です。

3点目は、実際の教育の話になってきます。多くの事業主が言うのは、実は安全教育と言ってもかなり共通する部分があると。それは、それぞれの会社によって特別のプロセスがあるから、その部分の説明を当該企業はしなければいけないけれども、いわゆる基礎的な安全衛生に関する教育とは基盤的部分だと。本当は、そういう部分を何らかの形での教育をきちんとやってほしいのだと。そして、先ほどから「支援」という言葉で出ているのですが、支援の中身という部分について、私は、例えば2つあると思うのです。個人事業主は自分でやるということはできないから、そういうことを教育しようという所があったら、そこを支援するというやり方です。もう1つは、実態として言えるのは、仮に講習に参加しようと思って、体験教育しようと思ったとしても、中小とか零細になってくると、参加費そのものの負担もできない。言えることは、だからと言って安くしろと言ったら教育事業は成り立たないので、実施した所に対して、国から何らかの格好で、そういうことを評価してあげると。例えば受講料の半分ぐらいは負担するとか、そういう格好のものにしないと、実際の個人事業主とか、中小企業に支援がいかないのではないかという気がしましたので、一言、お願いしたいと。よろしくお願いします。

○土橋座長 ありがとうございます。では、出口委員、お願いします。

○出口参集者 出口です。よろしくお願いします。先生方からのお話を聞きながら考えていたのですが、詳細な統計等のデータがないということでは、現状の評価ができないと思います。どのようなデータを統計して評価するかというのは今後の話ですが、データを見ていて感じたのは、資料4の3ページ、一人親方等の死亡災害発性状況のところです。労災保険特別加入に入っておられる方が49名で、未加入者が45名ですが、この数字が全てではないとはないと思います。厚生労働省で「建築工事に従事する一人親方の皆様へ」というリーフレットがあります。その中で建設業一人親方のうち、労災事故に遭った被災者の約45%は労災保険特別加入していなかったとのコメントがあったと思います。実際に特別加入に入られて適正に処理されている方々は、講じられる安全対策についても遵守していただける方々ではないでしょうか。

この45%の方々というのは、管理されたくない方々ではないかと考えています。その方々に我々はどういうように対策を進めていくのか。また、国交省でも、社会保険の下請ガイドラインが今年の4月1日に適用されている中で、本当の個人事業主として適正な一人親方、また、社会保険関係でや特別加入していない、一人親方化している部分も含めて、今後の進め方、我々が講じる対策はも異なるのではないでしょうかデータの取り方、評価すべき情報等難しいとは思うのですが、できるだけ我々が評価しやすい資料をよろしくお願いいたします。以上です。

○土橋座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。小菅委員、お願いします。

○小菅参集者 個人事業者自身による対策はどうあるべきかという論点に関して、個人事業者は、自ら安全確保を行うことが求められており、それが前提だと思います。しかし、そのためには安全に必要な情報がしっかり伝わってり、個人事業者が自ら適切な災害防止策を講じることができる環境をつくる必要があります。そのための支援が必要だと考えます。また、労働法関係だけでなく、契約環境などの整備も必要です。

連合が2021年の秋に行ったフリーランスの調査では、主要な取引先事業者から、きちんと書面で契約内容を明示されているかという質問に対して、必ず明示があるという回答が3割程度にとどまっています。労働法の話でとは別に、契約関係の明確化は、個人事業者として働くための1つの前提ですから、整備が必要だと考えます。

○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。本多委員、お願いします。

○本多参集者 日建連の本多です。2、3点お話させていただきます。この場で申し述べるのがいいかどうかは分かりません、まずは個人事業主等に関することです。本来は個人事業主が中心かもしれませんが、それを含めた本当の対策のあり方を検討していただきたいと思っている次第です。と申しますのは、先ほど運輸業の御説明がありましたが、建設業にも同様に重層構造というものがあり、二次、三次、四次、設備に至っては四次、五次という場合も時々あります。元請によっては、見える安全管理をきちんと実施していくためには、二次までにしなくてはいけないということでチャレンジしている会社もあるのですが、非常に難しいです。

例えば1年くらいの工期のビルで、どれくらいの会社が入っているかというと、恐らく300社ぐらいは入っています。一次、二次、三次を含めて、1年の間に業者が入れ替わります。その中で下に二次、三次と入りますので、300社ぐらいが入ったり、もっと規模が大きくなると800社、1,000社が1つの現場に入ります。その中で日々働いている方々というと、数百人はざらですし、かなり大きな現場になると1,000人、2,000人という方々が1つの現場で働いています。その中に個人事業主もたくさんいらっしゃって、安全管理を一体的にやっているというのが実態です。そういうところをどうするかということが、私どもとしては一番頭の痛いところです。

一方で、先ほど運輸業の話がありました。運輸業の場合は荷を積み込むとき、荷を上げるときや下ろすときに非常に災害が多いということですけれども、恐らく納期や工期が非常に厳しいのかと思います。建設業の労働災害の背景の多くに、やはり工期の逼迫というのがあります。こちらも今回の議論ではないかもしれませんが、個人事業主御自身あるいは注文者に加え、本来は発注者の議論が必要なのかというように思います。本当に工期の設定のあり方が正しいのかどうか。ビジネスなので、工期で競争する場合もあります。そうすると、出来もしないことで受注することはありませんけれども、非常にチャレンジして取っていくということがあります。適正工期のあり方で、もちろん発注者の罰則は必要ありませんけれども、何らかのものがあってもいいのかなという感じはしている次第です。

先ほど船井安全課長補佐から、個人事業主に関しては非常に難しい統計ですし、労働者と個人事業主の一人親方等の比較は難しいという話がありました。この数字だけを見ると、一人親方の災害発生が2倍、3倍という見方で見られがちですが、それはやはり正しくないということも、我々は認識しなくてはいけないと思っています。御承知のとおり、建設従事者の中には、いわゆる作業者もいらっしゃいます。しかし、その統計の中には専門的・技術的職業の従事者、管理的職業、事務的従事者、販売従事者も入っていることもあります。建設は、一般的に500万人と言われていますけれども、実際に建設作業をやっている方は300万人ぐらいしかおりませんから、統計との違いも考えながら、個人事業主だけがものすごい数で災害が発生しているということは、考えなくてもいいのではないかと思います。

最後に教育の件ですが、建設現場でいろいろな災害が発生している中で多いのが、やはり墜落や転落、挟まれ、巻込まれ、あるいは倒壊、崩壊というところで重大な災害が発生しております。その原因として、もちろん設備上の欠陥というのは一部にはありますけれども、そのほとんどが高所作業であるにもかかわらず安全帯をしていなかったとか、立入禁止の措置がしてあるのに重機に近づいてしまったとか、吊り荷があるのにその下に入るということで、不安全行動と本当に言っていいのかどうか、要は危険感受性が非常に下がってきているのです。全体的に事故が下がっているのはいいのですけれども、現場のプロの職人でさえ危険に遭ったことが少ないので、全体的に危険感受性が下がっており、その危険感受性を高めるための教育も考えなくてはいけないのかなと。これは個人事業主だけでいいのか、あるいは労働者も含めてやっていくのかということも、広い意味では必要ではないかと思います。

申し訳ありませんが、最後に一言申し上げます。建設現場の特徴というのは、初めての場所で初めてのことを初めての人たちとやることで完結するものなのです。非常に安全管理が難しいのです。ですから、労働者に関しての安全管理をしっかりしていくだけでも、ものすごく大変なのです。これに個人事業主等まで含めて元請の規制とか、いろいろな義務化をするという議論もあるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、建設現場というのは本当に逼迫しながら仕事をやっておりますので、ただ元請に規制をかけるだけでは何の解決にもならないと思います。やはり広く、いろいろなことを検討していかなくてはいけないかと思います。

例えば、一人親方の組合です。建設業と言うと全建総連があります。その中での教育を充実するのはもちろんですけれども、政府として、そういうものも必要なのかもしれません。欧米では、教育を受けていない人が建設現場に入ることはないと聞いております。日本の場合は労働者であっても、余り教育をしないで入っているケースもあります。そういうところも含めて、本当は議論が必要ではないかと思っている次第です。以上です。

○土橋座長 ありがとうございました。時間も迫ってきておりますが、特に御発言いただいてない方、各お立場から何かありましたら、どうぞ。では、青木委員、お願いいたします。

○青木参集者 住宅生産団体連合の青木です。同じ建設業界といっても、住宅業界は顔の見える職人がいるということで、いつも知っている親方が1か月、2か月で建物を造ってくれるのです。その親方というのが大工で、工務店に雇われている社員の場合もありますし、それとは別に、いわゆる一人親方的な大工にお願いしていることも結構あります。そういった中で、顔が見えるということもありますけれども、いわゆる雇っている労働者と一人親方の大工の区別を余りしていないというのが現状です。そこを意識せずに、いつもお仕事をしていただいています。

私ども住団連では、大分前から低層住宅の労働災害のアンケートを毎年取っております。3,00社弱で、現場数でいくと12万、13万件ぐらいになりります。そうした方々の中から、実際には休業1日以上の労災を全て書き出します。また、表やグラフの統計は休業4日以上を中心にとりまとめていますが、1日以上のいわゆる軽微なものも含めて、どのような原因でこうなったかということをデータ化し、ホームページにも挙げています。そういった中でも、一人親方かどうかという区別としては、差が余り見えないような気がします。もちろんアンケートの中で、被災者が社員なのか、一人親方なのか、外国人なのか、若しくは経営者なのかという区別はしていますけれども、一人親方だからということが、突出して見えたということはないのが現状です。

ですから、今回のテーマの一人親方だからどうこうというところを考えられるとすると、住宅業界の場合は余り意味がない。やはり全てが労働者と言いますか、職人に対して、死亡者だけではなく軽微なものも含めて、どうやって労災を減らしていくか、そういった形で見ていく必要があると思います。

蛇足かもしれませんが、林業の死亡者の1万人当たりの災害の発生数が、非常に突出しているというのが資料3-2にあります。実は、住宅業界では、ある意味、林業というのは建設業界みたいなものになります。林業は、丸太を切り出す所もあれば、それを製材にする所もあります。それらを材料として木造住宅などが造られるわけです。そのおおもとの国内の林業における死亡者数は、1万人当たり221人です。これは死亡者しか見てないので何とも言えませんし、多分労働者だと思いますが、建設業の36人に対し、はるかに多く、7倍ぐらいの数になっているのです。多くてびっくりしました。やはり、それだけ林業の世界というのは、もしかしたら建設業以上に劣悪な危険な現場で作業をしているのかというように見えたのです。特に木造住宅の現場にとっては、林業においての安全管理又は労災の削減についても考えていけたらと思っております。以上です。

○土橋座長 ありがとうございました。それでは、鈴木委員、何かありますか。

○鈴木参集者 経団連が当検討会に呼んでいただいたのは、、建設業だけでなく、運送業やIT産業の職場も含め、一人親方の安全衛生対策が求められ、実効性の高い取り組みについて企業にに協力を求めていくことが課題になっているからと理解しています。すでに皆様方から御指摘を頂いていますけれども、一人親方等においてどのような災害の実態があり、その原因・背景として何が考えられるかについて、本日は建設業のデータのみをお示しいただきましたが、原因分析も十分ではありませんので、幅広い産業・業種の実態を把握し原因分析とともに、データをお示し閉めしいただければ幸いです。事務局から、なかなか難しいというお話もありましたが、何卒よろしくお願いいたします。

○土橋座長 ありがとうございました。清水委員、何かありましたらお願いします。

○清水参集者 ちょっと声が割れていて分からないのですが。私たち運送事業者の問題としては、注文者側から、下ろす場所を指定されたり、下ろす作業を指定されたりすることです。これについては今、実運送事業者とメーカーと共同で改善を図っているのですけれども、得意先であるというところから、メーカーからは強く言えないし、その下請である物流事業者からは、附帯作業も拒めないということです。

1万人当たりの災害の発生率で見ると、運輸業というのは労災の発生率がすごく高いのです。高い所というのは、やはり受渡しの現場なのです。その受渡し現場の所で誰も介在しないというか、ジャッジをしないところで、行ったドライバーはもうやらざるを得なくて作業をする。作業をして事故を起こしたり、けがをしたりしても、そこで労災として認めるのはどちらが認めるかということで、もめることがよくあります。発注者側の権利が強く優遇されていて、荷主だったりメーカーだったり実運送事業者の意見はなかなか通らないというのが現実的な問題です。こういった問題を徐々に取り除いていきたいところですけれども、やはりこれは政府や行政の力を借りていかないと、なかなか難しいのかなと思っております。以上です。

○土橋座長 清水委員、ありがとうございました。何か、ほかに御発言はありますか。小菅委員、お願いします。

○小菅参集者 先ほどの本多委員の発注者のお話や、今の清水参集者のお話と、私も同様の問題意識を持っております。安全衛生法第3条「事業者等の責務」では、建設工事の注文者等に、施工方法や工期等について、安全で衛生的な作業をそこなう条件を附さないよう配慮を求めています。これを建設工事のみならず、他人に仕事を請け負わせる者全てを対象にする議論をすべきです。先ほどのような過重な労働や長時間につながることも含めて、そのような議論を進めていけるとよいと思います。

○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。中村委員、お願いします。

○中村参集者 先ほど議論が出たのですが、個人事業主あるいは中小企業者の死亡災害発生率は、非常に高いということが出ています。やはり今回の調査の中で、どういう作業をしているから個人事業主や中小企業関係で事故が多いのかというのが要るような気がしたのです。例えば、建設業一つ取っても、建設業では個人事業主の6割ぐらいが死亡していますよね。しかし、全体から見ると、そこまでいってないと思うのです。これは昔からで、厚生労働者の調査で「元方事業者・関係請負人との安全衛生管理マニュアル」をまとめた時も、関係請負人の方が災害発生率が高かった。関係請負人がより危ない作業をしているから、その関係上で大きいということがあったので、実際にはどのような作業をしているので、こういうデータになったということを示せると、調査内容を説明するときに理解しやすいと思いますので、お願いしたい。

○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。まずは統計、あるいは事故分析というところを、もう少し充実できないか、災害を防ぐ体制ということで、個人事業主の法的な位置付けと、責任体制というところで元方事業者も含めてどう考えるか、教育の問題、あるいは支援の問題等々、皆様からいろいろな御意見を頂いたかと思います。今日はもう時間になってしまいましたので、この辺をまとめて次回に向けて議論を深めていきたいと思います。

続いて、議題(3)「今後の進め方について」です。事務局から説明をお願いします。

○船井安全課長補佐 資料は特に準備しておりませんが、本日、御議論いただいた内容を踏まえて、この課題について引き続き御議論を頂きたいと思います。本日、参集者の皆様から共通して、データはもう少し掘り下げた内容を示すべきではないかとか、なかなか難しいのは分かるけれども、実はほかにまだ調べ切れてないものが存在するのではないかという御意見がありました。そういった部分をもう少し調査させていただいて、お示しできる部分は追加データとしてお示しした上での議論ということで考えております。よろしくお願いいたします。

○土橋座長 そういうことが今後の進め方になると思います。事務局においては、本日の整理と統計の更なる調査をお願いしたいと思います。最後に、事務局から連絡事項はありますか。

○船井安全課長補佐 2点あります。本日の議事録については、まとめた上で参集者の皆様に御確認いただいた上で公開することにさせていただきたいと思います。御相談させていただきます。また、次回は6月28日の火曜日の10時から開催を予定しております。近々に正式な御案内をさせていただきたいと思います。以上です。

○土橋座長 本日は長時間にわたり、活発な御議論を頂きましてありがとうございました。それでは以上で、第1回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。ありがとうございました。