2022年3月11日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和4年3月11日(金)17:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(20名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 他参考人1名
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  関野秀人(医療機器審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻の5時になりましたので、これより薬事・食品衛生審議会の医療機器・体外診断薬部会を始めさせていただきます。本日も先生方におかれましては御多忙の中、特にオンサイトでメイン会場の方に大勢お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、やむを得ずリモートでの御参加の先生もいらっしゃいますけれども、大勢の先生方に御出席いただきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告をいたします。現時点であらかじめ欠席という御連絡を頂いておりますのが、大島先生、河野先生、森田先生の3名です。それから齋藤先生におかれましては少し遅れるということで、後ほどリモートでの出席との御連絡を頂いております。したがって、本部会の委員は全員で23名で構成しておりますけれども、現時点で19名の先生に御出席いただいており、定足数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことをまず報告申し上げます。
 それから、本日の審議に関係して参考人の先生に来ていただいております。議題2の関係で後ほど議論に参加していただきますが、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の中村正人先生に、本日御予定を頂いております。リモートでの参加となります。
 次に、議事に入る前に、いつものとおり所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回全ての委員の先生方に、薬事分科会規程第11条に適合している旨の御申告を頂いておりますので、報告をさせていただきます。
 委員の皆様方、先生方におかれましては、会議の開催の都度このような形で書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしているところではありますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、事務局から本日の議題の公開、非公開の取扱いについて、説明をさせていただきます。お願いします。
○事務局 本日の議題の公開、非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。
 それでは、続いて配付資料の確認をいたします。会場の皆様のお手元には資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~6、及び昨日メールにて追加送付しました資料をお手元に御用意ください。タブレットの操作について御不明点等ありましたらお近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 また、会場で御参加される委員の先生方へお願いがあります。発言の際、マイクをオンにしてから御発言いただけますようお願いいたします。御発言されないときは、ハウリング防止のためマイクのスイッチをお切りください。次に、Web会議で御参加される委員の先生方に注意事項を説明いたします。審議中はマイクミュートでお願いいたします。御発言される際には画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただけますようお願いします。また、接続トラブルが発生した場合は、シャットダウンを御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。特にないようでしたら、以後の進行については荒井部会長にお渡ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ここまでの事務局からの説明について、何か御質問などよろしいでしょうか。よろしければ、これから議題に入らせていただきます。まず、議題1です。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二十三条の二の五第一項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する体外診断用医薬品の一部改正について」を始めます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1について事務局から御説明します。資料1を御覧ください。体外診断用医薬品については、疾病の診断に使用した際、その診断情報のリスク等に応じてクラス分類が設定されています。製造販売するに当たっては、それらに応じて厚生労働大臣の承認、登録認証機関による認証又は厚生労働大臣への届出が必要となります。
 今回改正予定である、標題にある告示により定められた一般的名称の体外診断用医薬品については、疾病の診断に使用した際、その診断情報リスクが比較的低く、告示が定める機関が供給する較正用標準物質又は基準に適合するものとして供給される較正用標準物質を用いて性能を確認している場合には、厚生労働大臣に製造販売の届出を行うことで厚生労働大臣の承認は不要とされています。較正用標準物質とは、一般的にある化学物質の濃度が確定された物質のことです。較正用標準物質により検量線の作成や分析方法の妥当性を検証するために用いられます。
 2ページ以降に改正後の告示の別表1の一部を示しています。参考として、告示自体には含まれていませんが、改正に関わる一般的名称の定義を併記しています。別表第1の第2欄に、届出の対象となる体外診断用医薬品の一般的名称、第3欄に較正用標準物質を供給する機関又は較正用標準物質の基準が定められています。今回この内容を改正したいと考えています。
 1ページに戻っていただきまして、今回の改正については、1ページの「2.改正の概要」に記載しています。具体的な改正内容は2ページ以降の表に示していますが、2ページ以降の下線部分が今回追加する事項となっています。
 まず既に指定されている体外診断用医薬品3件、血液検査用総蛋白キット、血液検査用総ビリルビンキット、血液検査用コリンエステラーゼキットについて、新たに較正用標準物質を供給する機関をそれぞれ追加します。
 また、新たに6件の体外診断用医薬品、血液検査用アルドステロンキット、血液検査用サリチル酸キット、血液検査用ビタミンB12キット、血液検査用25-ヒドロキシビタミンDキット、血液検査用葉酸キット、薬剤感受性検査キットを指定し、それらの較正用標準物質を供給する機関又は較正用標準物質の基準を指定します。
 この改正については、既にパブリックコメントを終了しています。パブリックコメントの結果、特に御意見等はありませんでした。今後の予定としては、この部会で御了承いただいた後、告示の改正手続をしたいと考えています。事務局からの説明は以上となります。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問等ありますでしょうか、いかがでしょう。
 よろしいですか。ありがとうございます。特に御意見がなければ、これで議題1を終了させていただきます。
 それでは、以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍聴の方は恐れ入りますが御退席ください。お願いいたします。準備が整ったところで非公開案件の議題に入らせていただきます。 
○医療機器審査管理課長 これより再開いたします。
○事務局 本部会の利益相反について報告いたします。資料7、競合品目・競合企業リスト等一覧をお開きください。まず1ページに「C2コロナリーIVLカテーテル」及び「IVLジェネレーター」について、3ページに「ゴア カーディオフォーム セプタルオクルーダー」について、その他4ページ以降に一般的名称に係る影響企業のリストがありますので、必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料7に示す企業について、委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく議決に参加できない委員はいませんでした。以上報告いたします。
 以降の進行についても、荒井部会長、どうぞよろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ここまでの事務局の説明はよろしいでしょうか。よろしいですか。
 それでは議題2に入ります。「医療機器『C2コロナリーIVLカテーテル』及び『IVLジェネレーター』の生物由来製品並びに特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、並びに使用成績評価の要否について」を始めます。本議題については先ほどお話がありましたように、中村正人先生に御出席いただいています。それでは、機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。医薬品医療機器総合機構より御説明します。資料2の最初のページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、兵庫県立淡路医療センターの岩崎正道先生、松波総合病院心臓疾患センターの上野勝己先生、東邦大学医療センター大橋病院の中村正人先生、計3名の専門委員から御意見を頂きました。
 以降の説明ですが、次のページの審査報告書に基づいて御説明いたします。以降、ページ番号ですけれども、審査報告書に黒色で記載してあります審査報告書のページ番号と、左側に記載しております行番号を用いて御説明します。なお、事前に配付しております審査報告書の8ページに誤字があり、正誤表を当日資料として配付しています。本件のお詫びを申し上げます。
 初めに本品の概要を御説明します。審査報告書の7ページ「1.審議品目の概要」を御覧ください。審査報告書の7ページで、緑色の通し番号ですと8/413ページになります。「C2コロナリーIVLカテーテル」「IVLジェネレーター」は、新規の冠動脈石灰化病変を破砕するために使用するカテーテルと装置です。カテーテルは図1の左上に示しますように、一般的なPTCAバルーンカテーテルと外見は類似していますが、バルーン部の拡大図に示しますように、バルーン内部に音圧パルスを出力するリソトリプシーエミッターがあります。図1の右上は装置側のジェネレーター本体とコネクターケーブル、付属品等を示しています。カテーテルをコネクターケーブルを介して装置と接続したものが下の図になりまして、以降、カテーテルと装置の組合せを「本品」と呼びます。
 次の8ページを御覧ください。この図2に本品を用いた石灰化病変の破砕プロセスの概略図を示しています。まず、カテーテルを標的病変部に留置し、推奨拡張圧よりも低圧でバルーンを拡張させます。この状態で装置からリソトリプシーエミッターに直流パルスの電気エネルギーが送達されると、音圧パルスに変換され、バルーンを介して標的病変部に伝達され、石灰化病変を破砕します。音圧パルスの伝達後に、バルーンをコンプライアンスチャートを参照して拡張させ、病変状態をX線透視下で確認し、必要に応じて追加の音圧パルスの伝達の処置を行い、病変を十分拡張させます。
 次に、開発の経緯を御説明します。次のページ、審査報告書の9ページの1行目からお願いします。冠動脈石灰化病変は、高齢者集団及び動脈硬化性疾患が進行している患者集団で特に多く見られます。現在、冠動脈石灰化病変に対して一般的に行われている経皮的冠動脈インターベンションは、アテレクトミー、バルーン血管形成術及びステント留置術です。しかしながら、石灰化病変は拡張不能、バルーン破裂、血管解離などの発生頻度が高くなることが報告されていて、PCIにおける残された課題の一つとされています。
 次に、同ページの22行目からになりますが、本品はこういった石灰化病変の課題を解決すべく、パルスで結石を破砕するリソトリプシー及びバルーン技術を用いて開発されました。本品は石灰化病変の切削を行わず、また従来の高圧バルーンよりも低圧力で血管を拡張することから、血管解離、血管穿孔等の合併症リスクが低減される可能性があります。また、本品は血管周囲に対し全方位に音圧パルスを放出するため、病変部の偏心性によらず治療効果が期待されます。
 本品の開発に当たり、米国IDE試験としてDisrupt CAD III試験及びDisrupt CAD III試験の本邦への外挿性を確認することを目的として、国内でDisrupt CAD IV試験が実施されました。申請者はこれらの臨床試験の結果に基づき、本申請に至っております。
 次に、外国における使用状況について、審査報告書の10ページに記載しています。本品は、米国、欧州及びその他地域において販売されている状況です。
 続いて本品の非臨床試験についてですが、特段の問題は認めませんでしたので、臨床試験成績について御説明します。少しページが飛ぶのですけれども、審査報告書の17ページを御覧ください。審査報告書の17ページ、通し番号ですと18/413ページになります。こちらの21行目からになります。本品の臨床評価資料として、先ほど申し上げましたDisrupt CAD III試験及びDisrupt CAD IV試験に関する試験成績が提出されました。
 Disrupt CAD III試験は、新規の冠動脈重度石灰化病変に対するステント留置前に行う本品を用いた処置の安全性及び有効性を評価することを目的とした、多施設共同前向き単群試験です。ページを進んでいただきまして、審査報告書の19ページ2行目からお願いします。Disrupt CAD IIIの試験デザインですが、本品と同様に重度の石灰化病変の前処置を行います既承認品「Diamondback 360 Coronary Orbital Atherectomyシステム」、こちらはダイアモンドでコートされたチップの回転により、病変の切削を行うデバイスですが、そのピボタル試験でありますORBIT II試験と同様の試験デザインとされました。また、本試験における主要評価項目に関する性能目標は、このORBIT II試験の成績を基に設定されました。
 試験結果について御説明します。審査報告書の21ページを御覧ください。16行目からの主要評価項目について説明します。
 安全性の主要評価項目は、「手技から30日以内の主要有害心血管事象、MACEの非発生率」でした。MACEの非発生率は92.2%、片側95%信頼区間の下限は89.9%であり、性能目標である84.4%を上回りました。
 有効性の主要評価項目について、次の22ページに示します。有効性の主要評価項目は「ステント送達後の残存狭窄が50%未満かつ入院中のMACEの発生なしと定義する、手技の成功」でした。手技成功率は92.4%、片側95%信頼区間の下限は90.2%であり、性能目標である83.4%を上回りました。
 続いて国内のDisrupt CAD IV試験について御説明します。審査報告書を進んでいただき、26ページを御覧ください。Disrupt CAD IV試験は、Disrupt CAD III試験の国内外挿性の確認を目的に、Disrupt CAD III試験と同様の適格性基準を用いて本邦の被験者を組み入れた多施設共同前向き単群試験です。Disrupt CAD IV試験の安全性及び有効性の主要評価項目を、傾向スコアマッチング解析を用いてDisrupt CAD III試験と同様の被験者集団と比較しました。
 Disrupt CAD IV試験の試験結果について御説明します。審査報告書の28ページを御覧ください。7行目からとなります。安全性の主要評価項目である「手技から30日以内のMACEの非発生率」は93.8%であり、マッチングしたDisrupt CAD III試験コホートに対する非劣性が確認されました。有効性については次のページ、審査報告書29ページの8行目からになります。有効性の主要評価項目である手技成功率は93.8%であり、マッチングしたDisrupt CAD III試験コホートに対する非劣性が確認されました。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について御説明します。審査報告書の35ページの20行目、「本品の臨床的位置付け」の所を御覧ください。本品使用後のインターベンション治療についてです。先ほど申し上げましたように、実施した臨床試験では、新規の冠動脈重度石灰化病変に対して、ステント留置前に行う本品を用いた処置の有効性及び安全性が確認されており、その成績も特段問題ないと判断しています。
 なお、本品の海外における使用目的ですが、ステント留置前に使用する内容となっています。一方、近年のPCIは薬剤溶出ステント、DESによる治療が国際的にも一般的ですが、2剤抗血小板剤の併用による副作用とのバランスを考慮して、薬剤塗布型バルーンカテーテル、DCBによる治療も行われています。
 本邦におきまして、冠動脈石灰化病変に対して使用される既承認品のバルーンカテーテル、アテレクトミーデバイスの使用目的では、デバイス処置後の治療については規定されておりませんで、これらのデバイスによる石灰化病変の前処置後にDCBの使用が選択されることもある状況です。このことを踏まえて、本品使用後のインターベンション治療については、ステント留置以外も使用可能とすることが適切と考えると、申請者は説明しました。
 次のページ、審査報告書36ページをお願いします。本品使用後のステント以外の治療選択肢における有効性及び安全性について、主に二つのポイントから説明されています。
 まず、本邦における冠動脈石灰化病変を有する患者に対し、アテレクトミーの有無にかかわらず、DCBで治療された患者の報告では、予後不良な合併症は示されておらず、DES留置が不向きな状態の患者に対して有用であることが示唆されています。なお、これまで実施されましたDisrupt CAD I~IVのプールデータ解析から、本品処置後の最小内腔径の増加及び径狭窄率の減少が確認されており、合併症については低率であったことから、本品使用後のステントレス治療のリスクは、既存の手技と比べて悪化するとは考えにくいということが説明されています。
 次に、本品使用後にステント以外の治療が行われた報告の文献検索を行った結果、本品とDCBの併用に関する公表論文から、本品の適応対象となる新規病変に関する報告において、特段問題ないことが確認されたと説明しています。
 機構は、本邦における現在のPCIでは、DESが第一選択とされており、申請者からの説明にもあるように、基本的にはステントを用いた治療が行われていますが、小血管や分岐部等の病変においては、ステントを留置せずにPOBA又はDCBを用いるステントレス治療の方針も支持されていると考えています。本品使用後の血管造影上の重篤な合併症の発生頻度は低率であり、ステントレス治療のリスクとしては急性閉塞が挙げられますが、当該リスクについては既存手技と同様に重度の血管解離がないことをIVUS等で確認検討を行うことにより、リスクコントロールは可能と考えられます。
 これらのことから、本品使用後の治療は、医師の判断に基づき選択できることが適切であり、本品の使用を既承認品のアテレクトミーデバイスと同様に、ステントの留置前に限定しないことが妥当であると、専門協議の議論も踏まえ判断しました。
 このような背景を踏まえまして、使用目的についてですが、次のページ、審査報告書37ページを御覧ください。本邦における使用目的は、ステント留置前の使用に制限しないことが妥当と判断しており、また重度石灰化病変を対象とすることが適切と判断し、9行目から記載する使用目的とすることが妥当と判断しました。
 続いて、製造販売後の安全対策について御説明します。同ページの16行目から御覧ください。使用者及び施設の要件、トレーニングについてです。
 申請者からの説明になりますが、まず使用者について、本品は従来のPTCAバルーンと同様のプラットフォームを使用するため、PCIに精通した医師が使用することが前提となります。また、特別な設備の必要性はなく、通常のPCI治療と同様に、適切な緊急外科支援又は緊急外科手術に対応するための設備が整った施設で行うことで安全性上の問題はなく、これらの体制は、欧州、米国とも同様であることが説明されています。なお、同ページの表28に、臨床試験におけるRoll-in症例とピボタル症例の成績を示していますが、成績に差はなく、本品のラーニングカーブはほとんどないことが示されています。
 続いて次のページ、審査報告書38ページ上から、トレーニングについてです。申請者は、トレーニングについては、本品は既承認品とは原理が異なるため、臨床での使用に先立って本品の特徴の違いを正しく理解し、安全に使用するためのトレーニングが必要であり、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)と協力して検討、実施を行うと説明しています。トレーニングの前提として、術者はCVITの専門医などが要件となり行われる予定です。また、安全性を考慮して、製品導入は○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○計画で、段階的に行うこととすると説明しています。機構はこれら申請者の対応について、特段の問題はないと専門協議の議論も踏まえ判断しました。
 最後に、本品の使用成績調査について御説明します。同ページの19行目から御覧ください。申請者は、主に三つの理由から本邦における使用成績調査は不要と説明しています。一つ目は、これまでに海外及び本邦で実施された臨床試験において特段の問題は見られていないこと。二つ目は、海外における豊富な使用実績があること。三つ目として、本邦で実施した治験においても術後1年を含め良好な成績であったことが確認されていることです。
 機構は、申請者の説明に加えて、本品は通常のPTCAバルーンと同じプラットフォームを使用することから、手技の新規性は高くないことや、石灰化破砕を行う原理に新規性が認められますが、この原理の特徴や非臨床試験成績、臨床成績を踏まえますと、本品使用後のステント以外の治療デバイス使用時においても、既存手技と比べて本品で新たなリスクが生じるとは想定しがたいと考えました。
 したがって、通常の市販後不具合報告を含む安全対策の下で、既存手技と同様にリスクコントロールが可能であり、市販後のトレーニングを十分に行うことにより、使用成績調査を実施せずとも、本品の本邦における市販後の有効性及び安全性は確保可能であると、専門協議の議論も踏まえ判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、審査報告書の40ページ19行目から記載している使用目的で、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えます。また、使用成績評価の指定は不要であると考えます。なお、薬事分科会では報告を予定しています。機構からの報告は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、参考人として参加いただいております中村先生、恐れ入りますが何か追加の御発言を頂けますでしょうか。
○中村参考人 東邦大学の中村です。今、機構の方から御説明がありましたけれども、冠動脈インターベンションはかなり進歩していまして、あらゆる病変に対する初期成績並びに遠隔期成績は改善してきています。そういった中で、現在なお問題点であるとして指摘されているのが、石灰化病変並びに血栓性の病変、この二つを挙げることができると思います。この石灰化病変に対するアプローチとしては、先ほど説明がありましたようにアテレクトミーといった切削するデバイスが現在用いられていますが、このデバイスには固有の合併症があります。冠動脈の穿孔と削ったものが塞栓を起こし、末梢に流れることによって血流の途絶えが起こる現象ノーリフロー、スローフローです。決して多くはありませんが常に合併のリスクがあります。そこで、より簡便で、そういった合併症のリスクが小さいデバイスの開発というものが待ち望まれているところです。このデバイスは正にそういったコンセプトのデバイスであろうと思っています。特に高齢化社会を迎え、そういった病変を有することが多い患者さんが日本にはたくさんいらっしゃいますので、本邦において利益をもたらすものと考えています。
○荒井部会長 中村先生、よろしいでしょうか。
○中村参考人 結構です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御質問等がございますでしょうか。いかがでしょう。小西先生、お願いいたします。
○小西委員 プレゼン、ありがとうございました。よく分かりました。いい機械だと思いますので認められると思います。問題ないかと思いますけれども、1点教えていただければ幸いです。この石灰化を破砕した場合、石灰化病変はどういうふうにばらばらになるか教えていただけますか。縦に亀裂が入るのでしょうか。かなりばらばらになるのか、どういう状況になるかということだけ知りたいです。教えてください。
○中村参考人 東邦大学の中村でございます。よろしいでしょうか。
○荒井部会長 中村先生、どうぞ。
○中村参考人 大きな亀裂が入るというよりは、むしろ組織の性状が変わり、柔らかくなるというイメージだと思っていただいたほうが、よろしいかと思います。
○荒井部会長 細かなひびが入るという感じですか。
○中村参考人 そんな感じになると思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。小西先生、よろしいでしょうか。
○小西委員 ありがとうございました。
○荒井部会長 そのほか、委員の方々から御質問ございますか。永井先生、どうぞ。
○永井委員 京大の永井です。一つ教えていただきたいのですが、海外ではステント留置の前処置ということに限定されているわけですね。今回、それをなくすということですが、21ページとか27ページの表を見ますと、IVLだけで結構広がっています。そうであるならば、ステントを入れなくて済む。すなわち抗血小板剤も使わなくて済むということで、メリットがあるのかと思って拝見したのですが、このIVLだけでどの程度効果が持続するのかという点と、なぜ海外ではステント留置を前提とした承認しかないのかという点を教えていただければ有り難いです。
○荒井部会長 2点御質問いただきました。機構の方からいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 永井先生、御質問ありがとうございます。まず、IVLだけでといったところで申請者にも確認したのですが、基本的にIVLだけで終わったという報告はございませんで、ステントでしたり、海外でも少数ですがDCBを用いた治療が行われているところです。おそらく、ある程度血管を広げることはできるのですが、やはりステントだったり、さらに拡張圧が高いもので十分広げるというのがファイナライズデバイスとして使用されているという認識です。それが一つ目の質問の御説明になります。続けてよろしいでしょうか。
○荒井部会長 はい。
○医薬品医療機器総合機構 2点目の海外の状況ですが、米国と欧州で状況が違うところもございますので、分けて説明させていただきます。基本的に臨床試験で本品処置後にステントを使った治療成績を確認したというのが、一つ大きくあります。次に、米国においてDCBは新規病変で承認されていなくて、基本的に米国ではステント治療になるといったところが一つございます。一方欧州では、DCBも新規病変で使用できるのですが、マーケットシェアが基本的にステントが主流になりますので、DCBはマーケットの観点からも使用頻度が低いことから適用拡大には至っていないと、申請者からは聞いています。
○荒井部会長 ありがとうございます。中村先生、今の点で何か追加の御発言はありますか。
○中村参考人 ありがとうございます。中村です。今、御指摘がありましたように、このデバイスだけでも、ある程度の血管径が得られるということは間違いなかろうと思います。ただ、バルーンだけですと、血管のリコイルで慢性期になるとまた元に戻ってしまう現象が起きるため、薬剤のテクノロジーを利用したDCB又はDESのいずれかが必要になるのではないかと考えています。本邦においては、PCI時にイメージングが98%、ほとんど100%近く使用されていますので、DCBがいいのかDESがいいのかという判別が可能ですが、海外ではイメージングの使用率が10%を下回る程度であり、安全性が一番高い、確実なDESが選択されていると理解しています。
○荒井部会長 ありがとうございます。永井委員、よろしいですか。
○永井委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 一色委員、どうぞ。
○一色部会長代理 今の点と関連するかもしれないですが、一応DCBは、私が資料を拝見した限りは欧米でも○例しか実績がない。特に新規病変はですね。なので、今回機構としては非常に英断だと思います。要するにエビデンスがないものを、一応認めた形になるので、それの妥当性についてはかなり自信を持っていないとそういう判断はできないと思っていますが、この辺をもう1回、再確認させていただきたいというのが1点です。
 もう一つは、添付文書案も拝見したのですが、適用について全く触れていなくて、重度の石灰化病変と書いてあります。重度の石灰化病変というのは非常に曖昧な表現なので、これが治験のときに行われた厳しい基準に沿って行うべきなのか、術者が重度だと言えばそれでいいのかというところの、規定は不要なのかどうかというところが一つ。
 それから、治験のときに外されていたことで幾つかありますが、病変長が40mm、急性冠症候群、CTOなど全部除いてありますけれども、これについての規定が全く書いていないので、そういうものを含めて全部オーケーにして、エビデンスがないDCBも可能と判断していいのかについて、御見解を頂ければと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 一色先生、ありがとうございます。DCBについて、重複してしまうかもしれませんが、審査報告書の36ページからになります。現在行われている石灰化病変に対する前処置デバイスの状況、次に本品の臨床試験の状況、最後に先生から御指摘の文献報告、主にこの三つのところから説明させていただければと思います。現在、冠動脈石灰化病変に使われているカッティングバルーンや高圧拡張するバルーン、また、ローターブレーターやダイヤモンドバック等のアテレクトミーですが、そちらは処置後のインターベンションについては規定されていませんので、これらの既存品のデバイスも、処置後にDCBなども使用可能な状況で、本邦においても幾つか報告等が学会や文献等でもされているところです。なお、既存のデバイスは、承認時にPMSは課されていません。このように、既存のデバイスは使用目的において処置後のインターベンションは規定されていないこと、それで現状DCBも使用可能であり、文献でも1年ないし2年近くの臨床フォローアップデータが報告されていて、DESとDCBで長期成績は大きく変わらない、特段問題がないといったことも報告されている。それが今の既存デバイスの使用状況です。
 本品はどうなのかといったところですが、本品の臨床試験のCAD III、CAD  IVは、最後ステント留置が行われていますけれども、ステントを入れる前の本品処置後の血管造影評価でも、特に重篤な合併症の発生率は低い状況です。こういった本品処置後の所見を見ますと、既存デバイスと比べてリスクが悪化するとは考えにくいという形で、専門協議においても議論しました。加えて、確かに本品でのエビデンスは少ないですが、少数ですがDCB治療が確認されています。また、長くて15か月のフォローアップで臨床的に安定したことが報告されています。先ほど中村先生からもありましたが、ステントレス治療のリスクについては重度の血管解離がないといったことを、きちんとイメージングデバイスで確認等を行うことでリスクコントロールは可能と考えます。今使われているバルーンやアテレクトミーデバイスと比べて、本品でリスクが増すとは考えにくいので、適応として含める、そこを制限しない、というのは妥当と判断したのが一つございます。
○荒井部会長 まずエビデンスのところですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○荒井部会長 それではポイントを分けて進めましょう。一色先生、いかがでしょうか。
○一色部会長代理 成績が非常に良いので、皆さんが納得していただけるのであればそれはいいかなと思って、一応確認をさせていただいたことです。むしろ後半の方がちょっと気になっています。
○荒井部会長 後半の所、添付文書の適応等、あるいは病変の細かな状況についての記載が抜けているという点ですね。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。使用目的は今回、重度石灰化病変としていまして、内容としては既承認のダイヤモンドバックと同じ文言を使っています。ただ、先生が御指摘のように、解釈に幅があるのは確かです。こちらについてですが、トレーニングの中で病変の扱いを決める予定で、OCTなどでカルシウムの厚さ、角度、長さなどをスコアで標準化し、本品の適応を決めるといったところをCVITの先生方で検討してくださっています。実際本品を使うときには、そういった画像所見のところからきちんと使われることが予定されています。
○荒井部会長 いかがでしょう。
○一色部会長代理 適応三つについてはいかがでしょうか。病変長とACSとCTOです。
○医療機器審査第一部長 機構からお答えさせていただきます。確かに御指摘のとおり、急性冠閉塞やCTOなどに対しての十分なエビデンスはまだない状況だと思っていますので、添付文書には、そういったところはまだ十分な安全性や有効性が評価されていない、あるいはエビデンスがまだ十分ないというような使用上の注意の整備を、事務局で検討したいと思います。いかがでしょうか。
○一色部会長代理 御配慮いただくということで、ただもう一つ確認ですが、先ほどからローターブレーターあるいはもう一つのデバイスとの兼ね合いでほぼ同じ扱いにするということですけれども、機序が違う点と、結構細い2.5mmまでのバルーンというと、びまん性のカルシウムの石灰化がある症例で末梢まで入れてしまう先生が必ずおられると思います。その場合に、今までローターブレーターなどでは余り奥までは入れないというルールでやっていたと思いますが、そういう場所まで届いてしまって、複数の衝撃波を出してという治療を繰り返してしまうリスクがあると思っています。それで、びまん性の病変が特に日本人は多いので、そういう病変に対してもまだ証明されていないのではないかと思って伺ったところです。
○荒井部会長 参考人の中村先生が手を挙げていらっしゃいます。今の点についての御発言でしょうか。
○中村参考人 はい。
○荒井部会長 では、お願いいたします。
○中村参考人 一色先生、ありがとうございます。一色先生の御指摘のとおりで、エビデンスに関しては十分ないことになろうかと思います。一方、実臨床においては、急性冠症候群の患者さんでもローターブレーターが必要な症例も存在します。本来、ACSではローターブレーターは禁忌ですが、再灌流を得ることが優先されます。このデバイスを用いたほうがむしろリスクが低下する症例も考えられますので、いろいろな状況で経験のある医師の判断で使えるようにしておいていただいたほうが、現場ではやりやすいかなと思います。しかしながら、無秩序に使用することは望ましくございませんので、石灰化病変に対するアテレクトミーの経験がある施設から始めて、適切な使用をトレーニングして学びながら適応を拡大していく方法の方が合理的であり、エビデンスを積み重ねながら学会と協調して指導していくと聞いています。
○荒井部会長 ありがとうございます。一色先生、よろしいでしょうか。
○一色部会長代理 そうすると、仕組みとして考えていただきたいのは、何か不具合があったらというのが学会任せになっていていいのかというところだけで、PMSとして全例の登録は求めなくてもいいと思いますが、例えばエビデンスが少ないDCBを使用した症例に限定して報告していただくなり何なり、ちょっとした工夫はあってもいいのかなと思いました。以上です。
○荒井部会長 これは結構大事なところですね。PMS、市販後調査ということになってくると、結構、企業にも負担が掛かりますが、そこと今のエビデンスがはっきりしていないところをどうするか。これについて機構から意見を頂けますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今回の導入自体も、アテレクトミーの使用経験がある程度ある施設からきちんと行うということ、かつ、そこで成績を積み重ねながら広げていくということがありますので、ある程度使用経験が蓄積されてきましたら機構に報告いただくなど、そういった対応でこちらも確認できると思います。この点は確かに大事な点だと思いますので、そういったところを、学会、申請者に協力を願おうかと思います。
○荒井部会長 今の一色先生の御指摘ですが、最近は「結構学会任せ」と言うのが、表現は適切ではないかもしれませんが、案外多いように思います。もちろん、ある程度学会に委ねざるを得ない部分もあるとは思われますが、それでも、「まるっきりお任せでいいのですか」という御指摘かと思います。ここは確かに大切な部分だと思います。御検討お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 承知しました。ありがとうございます。
○荒井部会長 宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。今、一色委員のおっしゃったことを私も言おうと思っていました。エビデンスがないということは一側面から見れば非常に重要なことで、積み上げていくことをしっかりとしていかなければいけないことは事実だろうと思います。先ほどの3要件に関しても、しっかりと検討していかなければいけないとすれば、実際に38ページの36行目から37行目、トレーニングを十分行うことはいいのですが、「使用成績調査を実施せずとも」と書いてしまっています。きちっとした報告ないし検討を行っていくことはしていかなければいけないと考えます。今、部会長がおっしゃったように、常にこの頃は学会任せが非常に多いのです。それは風潮として好ましくはありません。機構としては最初からそのようなことがないように、ただ専門家協議の中で行って学会に委ねればいいんだという指導ではなく、しっかりとした使用後の調査というものの実績を出して、しっかりとした報告になるように指導していただきたいと願っています。いろいろなデバイスが出てきたときに問題になるのではないかと思いますので、是非、そこのところは強調したいと思います。以上です。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございます。
○医療機器審査第一部長 御指摘ありがとうございます。企業にPMSを課すのか、それとも学会の先生方にも協力いただいて適正な使用をしていただきながら、その中で生じた不具合などのイベントを医療機関から機構にダイレクトに報告していただく制度もありますので、そこを我々うまく、学会、企業と行政が連携して不具合報告の収集に努め、リアルタイムに安全性情報などを出せるような体制で考えていますので、御指摘のとおり十分注意して対応していきたいと思っています。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。片方だけに偏ってしまうのは危険ですし、かと言ってPMSが重くなり過ぎれば新しいデバイスが日本に入って来ないという面もあり、バランスの問題かとは思いますが、非常に重要な点を御指摘いただいたと思います。今後、この点は重要という認識で進めていただければと思います。
 そのほか、委員の方々から御質問等はございますか。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 特に御意見はこれ以上ないようですので議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「C2コロナリーIVLカテーテル」及び「IVLジェネレーター」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品としては指定しないということで、よろしいでしょうか。ありがとうございます。また、使用成績評価は不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告をさせていただきます。これで議題2を終了させていただきます。中村先生、ありがとうございました。
○中村参考人 失礼します。
○荒井部会長 議題3に進ませていただきます。「医療機器『ゴア カーディオフォーム セプタルオクルーダー』の使用成績評価の要否について」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題3「ゴア カーディオフォーム セプタルオクルーダー」の使用成績評価の指定の要否について御説明いたします。資料3を御用意ください。
 1ページを御覧ください。今回御審議いただく医療機器の品目概要を示しております。販売名は「ゴア カーディオフォーム セプタルオクルーダー」、申請者は日本ゴア合同会社です。概要ですが、本品は、卵円孔開存を介した奇異性塞栓によるものと推定される潜因性脳梗塞の既往のある患者に対し、脳梗塞の再発リスクを低減する目的で使用される、経皮的カテーテル卵円孔閉鎖機器です。
 卵円孔閉鎖デバイスといたしましては、既に「AMPLAZER PFOオクルーダー」が承認されており、現在使用成績評価期間中です。本品とこの既承認品は、実質的に同等な構造を有しており、同様な原理で脳梗塞の再発リスクを低減させるデバイスであることから、本品についても、この既承認品と同様に、使用成績評価の対象とすることが妥当と考えております。調査期間については、この既承認品と同様の考え方に基づいて、販売準備・症例登録期間○年、症例追跡期間3年、解析期間○年の計7年とすることが妥当と考えております。
 御説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の方々、御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。よろしいですか。
 特に御意見がないようでしたら、議決に入らせていただきます。医療機器「ゴア カーディオフォーム セプタルオクルーダー」の使用成績評価は、今お話がありました、期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告をさせていただきます。これで議題3を終了いたします。
 続いて、議題4に入らせていただきます。議題4「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定並びに特定保守管理医療機器の指定の要否について」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題4に入らせていただきます。資料4を御覧ください。
 既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際は、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について御審議いただいております。
 今回は医療機器の承認等に際し、新設が必要と考えられる一般的名称が4名称あります。
 まず、1ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「電磁波式体成分分析装置」です。本名称の定義は「電磁波を用いて臓器の水分(細胞内外液)量等を測定する装置をいう。」です。本品はクラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器への指定については、必要と考えております。
 次に4ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科用硬度測定器」です。本名称の定義は「口腔内に挿入するセンサーを用い、何らかのエネルギーを人体に伝達することなく、エナメル質や象牙質等の硬度を測定する機器をいう。硬度の測定に関して光学的原理を利用するものもある。」です。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器への指定については、必要と考えております。
 次に6ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「骨盤底筋訓練器具」です。本名称の定義は「家庭において、腟内に挿入して、尿漏れの改善等を目的とした骨盤底筋の訓練を行うための装置である。ただし、低周波や電気刺激等のエネルギーを与えるものを除く。圧力センサーや訓練内容を表示するプログラムを備えるものもある。」です。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器への指定については、不要と考えております。
 最後に10ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「家庭用腟洗浄スポンジ」です。本名称の定義は「腟分泌物若しくは精液を吸収し除去するために腟内に挿入して用いる、スポンジ形状のものをいう。」です。本品はクラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器への指定については、不要と考えております。
 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。いわゆる箱を作る作業なのですが、四つの品目です。特に御意見、御質問いかがでしょうか、委員の方々から。よろしいですか。久保庭委員どうぞ。
○久保庭委員 歯科用の硬度測定器の名称なのですが、測定対象が象牙質、エナメル質等ということであれば、歯科用硬組織硬度測定器というような名称の方がよいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。御質問ありがとうございます。本品ですが、歯の根元のう蝕の硬さを測定するために用いる予定で新設予定のものなのですが、エナメル質や象牙以外に、セメント質等の露出してしまった場合の硬さも測る予定で、このような名称とさせていただいております。いかがでございますでしょうか。
○久保庭委員 ありがとうございます。「歯科用」のあとに、なぜ「硬組織」を入れたほうがいいと思ったかといいますと、エナメル質、象牙質、セメント質等をまとめて硬組織と表現しますので、今の表現ですと、歯科用硬度といいますと、軟組織等も測るのかというような曖昧な表現ですので、ちょっと申し上げた次第です。
○荒井部会長 どうしましょうか。せっかくこういう御意見を頂いて、検討の余地があるようであれば、いかがでしょう。
○事務局 御指摘どうもありがとうございました。こちらは再度検討させていただきたいと思います。
○荒井部会長 申し訳ありません。この領域はさすがにこれだけ委員の方々がお集まりになられても、それほど詳しく知る方がおられないと思いますので、今、久保庭委員から御指摘いただいた点については、ちょっと検討していただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほかの委員の方々よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議決に入らせていただきます。最初のは「電磁波式体成分分析装置」。これを管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。次は2番目のものです。「歯科用硬度測定器」ということであったのですが、これの名称については少し検討していただくということで、これを一般医療機器として指定し、特定保守医療管理機器として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。その次は三つ目ですね。「骨盤底筋訓練器具」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。最後の四つ目です。「家庭用腟洗浄スポンジ」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて、これは文書の報告をさせていただく予定です。これで議題4を終了いたします。
 それでは、議題5に移らせていただきます。議題5「医療機器の再審査結果について」です。説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から説明させていただきます。議題5「医療機器の再審査結果について」を御報告いたします。お手元の資料5をお開きください。本日は4品目あります。まず再審査について御説明いたします。再審査は、平成25年改正前の薬事法第14条の4の規定に基づき、新医療機器等を対象として再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて、有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 それでは1ページ、資料5-1を御覧ください。初回承認時の販売名は「メドエル人工内耳EAS」、現在は「メドエル人工内耳E」となっており、申請者はメドエル・エレクトロメディツィニッシェ・ゲレーテ有限会社です。
 この品目は、補聴器装用では効果が十分に得られない低音域に残存聴力を有する高音急墜型感音難聴の患者の聴覚路に、音響刺激と電気刺激を与え聴覚の一部を回復させるという使用目的で、平成25年9月20日に初回承認されております。
 本品の使用成績調査は、製造販売後の有効性と安全性に関する情報を収集すること、及び長期成績の確認を目的として3年の再審査期間が課され、調査契約締結施設40施設のうち22施設から56例が登録され、うち55例が評価対象となり、各症例について24か月の追跡がなされました。本品の有効性及び安全性について確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の再審査結果の区分は、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。
 なお、本品の承認時には、高音急墜型感音難聴に対し十分な知識と経験を有する医師が、講習等により本品の治療に係る知識を得た上で本品が用いられるよう、関連学会と連携し必要な措置を講ずるよう承認条件が付されておりました。今般の再審査において、当該承認条件は満たされていると判断するものの、引き続き継続されることが妥当であると判断しております。
 続いて2品目目です。12/53ページを御覧ください。資料5-2になります。販売名は「HOYAシーティーアール」、申請者はHOYA株式会社です。
 本品目は、白内障手術の際に、チン小帯の脆弱、断裂が疑われる又は観察された患者に対し、水晶体嚢の安定化のために使用する眼科用嚢内リングであり、平成25年12月20日に承認されております。
 本品の使用成績調査は、本品の使用実態下における安全性、有効性等を確認することを目的として行われ、全国27施設346症例が登録され、観察期間は術後1年とされました。提出された資料に基づき、本品の安全性及び有効性を確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の再審査結果の区分は、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。
 なお、本品の承認時には、本品の適用に関連する十分な知識、経験を有する医師が、適応を遵守し、講習の受講等により、本品を用いた治療に関する技能や手技に伴う合併症等に関する知識を得た上で本品が用いられるよう、関連学会と連携の上で必要な措置を講ずることが承認条件として付されていました。本承認条件については、申請者が適切に対応していたことを確認しておりますが、再審査期間終了後も引き続き遵守を求めることが適切と判断しております。
 続いて、資料の23ページを御覧ください。資料5-3です。販売名は「VEPTR(ベプター)システム」、申請者はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。
 この品目は、骨格未成熟な胸郭不全症候群患者における胸郭変形を機械的に安定、矯正する目的として使用する、金属製インプラントで構成された体内固定システムであり、平成20年12月22日に承認されております。
 本使用成績調査は、本品を使用した際の不具合等による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性、安全性に関する情報の検出又は確認を目的とし、再審査期間中に登録された全症例について、追跡期間5年を予定として実施され、56例4施設が登録、評価対象となりました。本品の有効性及び安全性について確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の再審査結果の区分は、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。
 なお、本品の承認時には、三つの承認条件が付されております。一つ目は、本品を用いた胸郭不全症候群患者に対する治療に関する講習の受講などにより、本品の有効性及び安全性を十分に理解し、手技及び当該治療に伴う合併症等に関する十分な知識、経験を有する医師が、適応を遵守して用いられるように必要な措置を講ずること。二つ目が、胸郭不全症候群患者の治療に関する十分な経験のある医師を有し、本品を用いた治療に伴う合併症への対応を含めた十分な体制が整った医療機関で、本品が使用されるように必要な措置を講ずること。三つ目が、再審査期間中は、本品全症例を対象に使用成績調査を実施し、適正使用に必要な措置を講ずること。なお登録症例については、留置後一定期間の長期安全性及び有効性に関する情報を収集すること、です。
 今般の再審査により、これらの実施が確認されておりますが、一つ目、二つ目の承認条件については引き続き適切に対応することとし、三つ目については解除を行うことが適切と判断しております。
 最後に、45ページ、資料5-4を御覧ください。販売名は「Brio Dual8ニューロスティミュレータ」、申請者はアボットメディカルジャパン合同会社です。
 この品目は、脳深部を電気的に刺激し、パーキンソン病に伴う諸症状、ジストニア症状、若しくは本態性振戦の緩和を図ることを目的として使用する植込み型振せん用スティミュレータ及びその付属品であり、平成25年9月30日に承認されております。
 本使用成績調査は、本品をジストニア症状に使用した患者全例を対象として、臨床使用実態下における不具合事象の状況を把握すること、及び安全性と有効性に影響を与えると考えられる要因を把握し、本品のより適切な使用を図ることを目的とし、再審査期間中に登録された全症例について、1例当たりの観察期間を術後12か月として実施され、7施設28例が登録、評価対象となりました。本品の有効性及び安全性について確認したところ、特段の問題は認められませんでした。
 以上より、本品の再審査結果の区分は、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。
 なお、本品の承認時には、ジストニアの治療に関する十分な知識、経験を有する医師が、適応を遵守し、講習の受講等により十分な知識を得た上で本品が用いられるよう必要な措置を講ずることと、本使用成績調査を実施し、適正使用に必要な措置を講ずることについての承認条件が付されておりました。
 今般の再審査により、双方の実施が確認されておりますが、前者については引き続き適切に対応することとし、後者については解除を行うことが適切と判断しております。以上、再審査の報告です。
○荒井部会長 ありがとうございました。再審査についての報告です。何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか、委員の方々。どうぞ。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。資料5-3の承認条件の所、3項目おっしゃいましたか。
○事務局 はい、3項目申し上げました。
○高松委員 その3項目、総合評価の下の、こちらの資料の承認条件は2項目までになっていましたが、加わったということですか。
○事務局 事務局より御説明させていただきます。作りが2ページにわたっていて分かりづらいのですが、緑の字の43ページの6に「本品は承認時に以下の三つの承認条件が付されている」とあり、当初付された承認条件が1、2、3と記載されております。説明がありましたとおり、今回、使用成績調査については解除されますので、今後の承認条件については、44/53ページにあります承認条件、7.総合評価にあります承認条件1、2のみが残るということで記載させていただいております。
○高松委員 では、継続されるのは、この1、2で間違いないと。
○事務局 そのとおりです。
○高松委員 分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。
 つまらぬことを申しますが、会議のときページですが、今は緑でやっていただきましたが、前半の機構からの御説明では黒い小さな字の方が使われていました。特段、やり方が違っているわけではないのでしょうが、大事なことですので、資料のどこを見るかの表現については統一していただけると有り難いということをお願いしておきたいと思います。
 何か御意見はありますでしょうか。特に御意見がありませんでしたら、これは報告事項ですので、議題5を終了させていただきます。
 最後に、議題6部会報告品目を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、横向きの資料6を御覧ください。こちらの資料では、令和3年7月1日から令和4年1月末までの7か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 医療機器については137品目が該当しております。まず1ページ、臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認された医療機器24品目について、それらの一般的名称、販売名、クラス分類などとともに概要をお示ししており、8ページまで続いています。次に9ページからは、臨床試験成績を必要とせず、審査・承認した110品目の一覧で、36ページまで続いています。37ページでは、再製造単回使用医療機器の2品目をお示ししています。38ページでは、臨床試験成績の提出があったプログラム医療機器1品目になります。最後に39ページから、該当する体外診断用医薬品46品目をお示ししています。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等に該当するものについては、一般的名称欄にそれらの別を記載しております。
 これらの報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。資料6の説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。かなり品目は多いのですが、委員の方々から御質問等は。梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 私は人工臓器学会に属しているのですが、今日の15番のIMPELLAに関して、本日学会からメールが来ました。その内容は、出血の問題がすごく出ているので、機構から取扱説明書の変更の指示があり、内容変更しましたが、その後もまだ問題が出ているので、皆気を付けなさい、というものでした。
 この部会で承認されたものが、その後何か問題が起こった時に、どういう形でこの部会委員が知ることになるのか、今回の資料からだけでは、ちょっとイメージが湧かないので質問させていただきました。
○荒井部会長 これはどなたにお答えいただければいいかな。では、お願いいたします。
○執行役員(機器審査等担当) 機構でございます。今後の市販後の件については医療機器・再生医療等製品安全対策部会の方で取り上げられておりますので、そちらで御報告はされるということになっております。
○梅津委員 分かりました。せっかくここで承認したのに、何か問題があったというのは、何となく気になったものですから質問させていただきました。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないようですので、これで議題6を終了させていただきます。
 本日の予定しておりました議題は以上です。事務局から何か連絡事項はありますか。
○事務局、本日も円滑な御審議、活発な御審議をどうもありがとうございました。特に追加のコメント、連絡事項等はありませんが、いつものように、次回の御案内だけさせていただきたいと思います。既に御予定を先生方からあらかじめ確認させていただいて、御案内をしているところですが、年度を越えまして4月11日、約1か月後に予定しておりますので、また御予定を調節いただきまして、できるだけ多くの先生方に御参加いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。毎度、この次は全員対面でやりましょうと言いながら、なかなかそういう状況にならなくて残念なのですが、今日も最初に関野課長からお話がありましたが、多くの委員に直接御参加いただき、本当にありがたいと思っております。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会とさせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)