2022年3月16日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

日時

令和4年3月16日(水)16:00~

出席者

出席委員(21名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  髙橋暁子(安全使用推進室長)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会を開催いたします。本日の御出席の先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどをお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。今回もWeb開催としておりますので、対面での進行と一部異なる部分があります。議事に先立ちまして、進行方法等について、事務局より説明させていただきます。
○安全使用推進室長 それでは、御説明申し上げます。まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問を頂く際は、ミュートを解除し、始めにお名前をおっしゃってください。御発言のタイミングが重なったりした場合は、部会長から順に発言者を御指名いただきます。会議中、マイクの調子が悪かった場合などは、音声の代わりにメッセージに御記入いただくようお願いをする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡ください。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。
 また、今回より、委員として御参画いただくことになりました先生を御紹介いたします。公益社団法人日本歯科医師会理事でいらっしゃいました征矢亘委員の後任として、同会理事の森末裕行委員が御着任されました。森末先生、もし差し支えなければ、一言御発言いただけないでしょうか。
○森末委員 こんにちは。日本歯科医師会の森末でございます。皆様とまた御意見を伺いながら参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○安全使用推進室長 ありがとうございます。それでは、以降の議事進行は荒井部会長にお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、議事に入る前に、委員の方々の出欠の状況、審議の参加等について、事務局から説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。脇田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、城守委員、中川委員、水上委員が遅れて御参加との状況でございます。本部会の委員22名中、現時点で18名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により定足数に達していることを御報告申し上げます。
 続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条には「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員より適合している旨を御申告いただいております。報告は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、御意見や御質問はよろしいでしょうか。よろしければ、次に、事務局から配付資料について説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 資料はあらかじめ郵送及びメールにてお送りさせていただいております。議題(1)に関して資料1-1~1-14、次に議題(2)に関して資料2-1~2-3-2、議題(3)に関して資料3-1-1~3-2-2、議題(4)に関して資料4があります。このほか、議事次第、資料一覧、委員一覧をお送りしております。お手元に御用意のない先生がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせください。なお、本日の議題は、全て報告事項となっておりますのでよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、議題(1)「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」を始めます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。事務局より、議題(1)「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」御報告いたします。まず初めに、前回の部会以降、約半年間のうちに医薬安全対策課から発出した、医療機器及び再生医療等製品の安全対策に関する通知等を御紹介いたします。資料1-1~1-13にお示ししているとおり、約半年間で13本の通知等を発出しております。会議の時間の都合上、各通知の詳細な説明は割愛させていただきますが、特に重要なものとして、資料1-2及び資料1-12について御説明いたします。
 資料1-2と資料1-12を御覧ください。「ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼)」について御説明いたします。乳房インプラント関連未分化細胞型リンパ腫、BIA-ALCLと称しますが、こちらの疾患については、乳房再建術又は乳房増大術で乳房インプラントを挿入してから、一定期間経過後に発症する可能性がある細胞性非ホジキンリンパ腫の一つです。本邦においては、令和元年に1例目となるBIA-ALCLの発症が報告され、同年、ゲル充填人工乳房及び皮膚組織拡張器の自主回収が行われました。過去に乳房インプラントを挿入した患者さんについては、症状のない段階でのインプラントの予防的除去は、世界的に見ても現時点では必要がないとされていることから、定期診察、自己検診が重要となっております。
 医薬安全対策課としては、令和元年の本邦1例目の発症報告を受け、令和元年6月7日の通知にて、本品の添付文書の警告欄に、「BIA-ALCL発症のリスク等について患者に十分に説明すること及び本品の埋入時には、継続的なフォローアップを行うこと」等を要求しており、自治体等にも周知依頼するとともに、その後も三度、学会作成の情報提供文書を周知するための通知を発出し、定期診察、自己検診の重要性の再周知を行ってまいりました。
 そうした状況の中、本邦2、3、4例目となるBIA-ALCLの症例が報告されたことを受け、再度、定期診察、自己検診の重要性を再周知するために、令和3年7月30日及び令和4年2月18日に発出した通知が、今御覧いただいている資料1-2及び資料1-12です。先ほど御説明したとおり、症状のない患者さんに対するインプラントの予防的除去は必要がないとされていることから、今後も症例発生が見込まれておりますが、今般発出した資料1-2及び資料1-12の通知においても、改めて新たな対応を患者さんにお願いしているものではございませんので、今後は学会が推奨する定期検診の頻度等が変更されるなど、改めて周知すべき新たな事項が発生した場合にのみ通知を発出することとし、新たな症例発生に伴う再周知を主目的とする通知の発出は、今回を最後にすることを予定しております。今後も引き続き、関連学会及び製造販売業者と連携をして、本品の安全対策を実施してまいります。資料1-2及び資料1-12についての御説明は以上です。
 続いて、資料1-14について御説明いたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より、資料1-14について御説明します。医薬関係者からの不具合等報告の電子化についてです。医薬関係者からの不具合や副作用等報告については、従来、医薬関係者において規定の報告様式に御記入いただき、機構宛てにファックス、郵送又は電子メールへの添付により、予防接種後副反応疑い報告についてはファックスにより御提出いただいておりました。昨年の令和3年4月には、これら従来の報告方法に加えて、医薬品副作用報告と予防接種後副反応疑い報告について、報告対象となる情報をWebサイトにおいてオンラインで直接入力いただき、機構へ電子的な報告を提出できるようシステムを構築して御利用いただいているところです。
 この度、令和4年4月からは医療機器、再生医療等製品、また、医薬部外品・化粧品の不具合や副作用等報告についても、同様にWebサイト上での電子的な報告が可能となります。システムの概要は資料にお示ししているとおりです。医薬品の副作用等報告のシステムを踏襲しており、報告書の一時保存機能や、御報告済みの症例について新たな情報を得た場合、以前御提出いただいた報告書の情報を利用して、追加の報告を作成いただくことも可能となっております。報告項目などは、現行の報告様式と同様となる予定です。引き続き、本システムによる電子報告に御協力をお願いいたします。資料1-14については以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。内容としては1~14までということで、かなり項目が多く、その中からかいつまんで1-2、1-12、最後に1-14について説明いただきました。まず、今説明していただいた点について、御意見や御質問等はいかがでしょうか。宮﨑委員、お願いいたします。
○宮﨑委員 今の登録システムのことについて教えていただきたいのですが、一般からWebで情報を入力できるということで、非常に有効でいいと思います。一方、この情報が集まったときに、どのような情報が有意な情報かというのを判断していくというのは、かなり難しい作業かなと思うのですが、集まった情報を、どういうようなフローで振り分けて重要なものを選んでいくかというようなことに関して、何か決まっていることがありましたら教えていただけますか。
○安全使用推進室長 安全対策課です。今回御説明させていただいたものは、従来から医薬関係者から、紙でのみ不具合報告等をお受けしていたのですが、4月から電子的にも御入力いただけるということです。こちらの扱いとしては、紙のときと扱いや処理の仕方は同じで、不具合報告としていただいた情報等を基に必要なものがあれば対策をしていく、中身をよく確認させていただいて対応を検討するということです。何か、機構側の処理というのが変わるというものではありませんが、御報告いただく先生方において、紙だけではなくて、電子的にも御報告いただけるようになるということです。
○宮﨑委員 ありがとうございました。間口が広がるということですね。
○安全使用推進室長 はい。是非、電子化の方を進めてまいりたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
○荒井部会長 そのほか、御意見や御質問はいかがでしょうか。
○西澤委員 インプラントの所でちょっと伺いたいのですが、これは乳癌の手術をした女性にとっては、乳癌の手術だけでも非常に不安なところに、更にインプラントの問題が出てきています。これを読むと定期検診は2年に1回という、つまり通常の乳癌の検診と同じ頻度で問題ないと私は理解しました。これは、全て、乳癌の専門の先生や様々な病院の方を通して、患者さんには周知されたのでしょうか。
○事務局 事務局です。御質問いただきありがとうございます。定期診断の頻度については、2年に一度の画像診断を推奨している旨、学会においても情報提供文書が公表されております。その文書は、患者様向けのものと、学会会員向けのものがありまして、患者様自身がこの情報を入手することも、先生経由で患者様に対して情報がいくことも、二通りの周知ができているかと考えております。
○西澤委員 分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 そのほか、御意見いかがでしょうか。
○外園委員 インプラントに関して美容外科学会も一緒に名前が入っていましたので、美容目的のインプラントの方というのはいらっしゃるのかなと。そういう方は多分フォローアップされてない可能性があって、だからと言って、インプラントにリスクがあるということが余り言われてしまうと、自分のインプラントの種類は、一般の方は分かられていないという中で、どうやってそういった方に情報を届けるのかというのはなかなか難しいところがあると思うのですが、例えばそれを美容外科学会の方、美容的な目的と乳癌の整容的な目的の割合や数は分かっているのでしょうか。どうやったら周知できるのかなと、非常に難しいかなと思いました。
○事務局 御指摘いただいた点ですが、厚生労働省から発出している通知は都道府県向けに発出させていただいており、自治体から、例えばSNSなどを用いた形で広く周知をしてほしいという旨を、通知上でも記載しております。
 また、本件BIA-ALCLについての通知となっておりますが、そのBIA-ALCLが確定した症例については、自費診療、保険診療にかかわらず、全て、速やかに日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会に、重大な有害事象については報告することを学会経由で、そういうような取組をいただいているところですので、このBIA-ALCLの事象については、学会に直ちに情報が入る体制になっているかと考えます。
○外園委員 なかなか周知は難しいと思うのですが、乳癌の検診というのはかなり普及していて、乳癌検診のときに、乳癌がなくても、そういうインプラントが入った人を見付けた場合に、こういうリスクがあるということをお知らせするとか、何かもうちょっとプラスアルファの周知方法というのがあってもいいのではないかなと。実際、乳癌のインプラントで発生しているので、乳癌の検診の方を引っかけてというやり方はあるかもしれないなと思いまして。もうちょっとアクセル入れてもいいかもしれないなとは思いますが。
○安全使用推進室長 安全対策課です。最初の説明のときに、少し省略してしまったかもしれないので補足いたします。もともと令和元年に回収対象になったものは、表面がざらざらしたもので、今はざらざらしていないものが普及されています。BIA-ALCLの可能性があるのは、どちらかというとざらざらしたものですが、基本的には、学会の先生方が御自身の患者さんをフォローアップしていただいていると考えております。もちろん先生がおっしゃるように、検診のときにもというのはあるかもしれませんので、今日頂いた御意見を、また学会の先生方とも相談したいと思いますが、基本的には、この手術をされた方には、まず主治医の先生がフォローアップしてくださっていると認識しておりますので、引き続き、しっかりと周知をできるように学会の先生方と協力してまいりたいと思います。
○荒井部会長 この問題に関しては、まず、もうちょっとベーシックなデータ、要するに今現在、発売が中止になる前に既にインプラントを受けていた方がどのくらいおられ、個人情報も入ってくるでしょうが、それを誰が把握しているのかという点が気になります。今、いろいろ御意見頂きましたが、要は、情報を提供されている人はいいのですが、提供を、何かの都合でされていない人がどのくらいいるかという点が一番懸念される点だと思います。そこについての情報は何かありますか。いかがですか。
○安全使用推進室長 例えば、当初、回収となったときの患者様の数については、そのときの出荷数と回収の量からの推計ではありますが、最大で約4万人の患者様に埋入されている可能性があると考えております。それについては、学会と連携してやっており、学会の先生方と患者様のフォローアップをしているという状況です。
○荒井部会長 そこなのです。4万という数は決して小さい数ではありません。学会のフォローアップといっても、学会がどれくらい完全にフォローアップできているのか。学会の先生方以外は多分この器具は使わないのでしょうが、それでも埋め込んだ医師がどのくらい患者さんを把握できているのか。時間が経過していますから、患者さんの住んでいる場所やかかっている施設が変わっていることも当然あると思います。そういったことも含めて、要は本当にこれで漏れがないのか、この点が一番心配なのですが、そこについてはいかがでしょうか。
○事務局 事務局です。患者の情報が、どの程度把握できていて、どの程度の情報提供ができているのかというところですが、本品については、まず、適正使用指針が作成されており、その指針に定められている認定基準を満たした施設、基準を満たした医師によってのみ使用されることとされております。また、適正使用指針上、症例の登録を求めており、実施施設の責任医師は年度ごとに、この手術を実施した患者の情報を学会に登録することとされております。ですので、学会において、どの程度の数の手術が行われたか、どのような転帰になっているかなどの情報が蓄積されている状態です。
○荒井部会長 ありがとうございます。要するに、埋め込んだ医師の側、所属している学会がグリップしている。すなわち埋め込んだ医師の側、学会の側、施設の側からきちっと経過を追えているという認識でよろしいのでしょうか。
○事務局 そのとおりです。
○荒井部会長 ありがとうございます。ということですが、今お二方から御意見を頂きました。情報の提供が漏れがないようにしなくてはいけないということでしたが、埋め込みっぱなし、インプラントしっぱなしという状況ではなくフォローされているということですから、取りあえずここで、行政からのアクセスについては終了する、継続しないということでよろしいでしょうか。この点について、更に御意見等はありますか、いかがでしょうか。
○外園委員 ちょっと追加で、もし、そちらが安いものだとすると、やはりその4万人の中の美容との割合というのは非常に気になっていて、美容で使われた方は通っていない可能性があるので、そこのフォローアップの率などもちょっと見ておいたほうがいいのかなというか、美容の方というのは、全然乳癌とは認識が違うかなというところで気になるところです。フォローアップされていないと、仕方がないみたいなことで終わっていて漏れる人がいないかなということです。
○荒井部会長 ありがとうございます。この点については何かデータはありますか。
○安全使用推進室長 安全対策課です。今、何名の方が美容で何名の方が乳癌というデータは持ち合わせていないのですが、フォローアップに努めるように、また学会の先生とも連携していきたいと思っております。また、ちょっと補足ですが、患者さん御自身にということで、医療機関を通じて携帯できるカードを企業の方からお配りさせていただいております。こちらは、どういったインプラントを埋め込まれているかという製品の情報や、検診をやってくださいという啓発をするといったようなカードを患者さん御自身にもお配りしていて、例えば、患者さん御自身がもし、ほかの医療機関に掛かられることがあれば、それを持って行っていただくということをお願いしているという状況です。補足です。
○荒井部会長 ありがとうございます。個人的な意見で申し訳ないのですが、御指摘のように、乳癌と比べると、コスメティックの目的で埋め込まれた方の場合には余り触れてほしくない場合もあるでしょうから、情報提供が難しい可能性がありそうです。がんではなくて使われた患者さんについてのフォローが抜けないように学会の方にも詰めていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 この項目は、今、二つだけ項目をかいつまんで御説明いただいて、ちょっと議論をしていただきましたが、そのほかの項目も含めて、全てで14もありましたので、何か御意見や御質問などはありますか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 一応前に進みますが、いつも申しますが、何かお気付きになったことがあれば、また戻りますので、そのときは挙手をしていただければと思います。それでは一応、議題(1)の報告を、一度ここで区切らせていただきます。
 次に議題(2)に入ります。「医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について」を始めます。では、事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題(2)の医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について、資料2-1から順に御説明させていただきます。 資料2-1の1ページを御覧ください。令和3年度の上半期である、令和3年4月1日から令和3年9月30日までの6か月間の不具合等報告の報告状況について、御報告させていただきます。
 続いて2ページを御覧ください。不具合等報告の全体の概要となります。医療機器及び再生医療等製品の不具合等報告制度は、製造販売業者等からの報告である企業報告制度と、医療機関等の医薬関係者からの報告制度の二つから成り立ち、1.につきましては、医薬品医療機器等法第68条の10第1項に基づく、製造販売業者等からの不具合等報告について、3ページの2.については、医薬品医療機器等法第68条の10第2項に基づく、医薬関係者からの不具合等報告になります。それぞれについて御報告させていただきます。
 まず、2ページの1.の「製造販売業者等からの不具合等報告」ですが、医薬品医療機器等法第68条の2の5第1項において、医療機器及び再生医療等製品の製造販売業者又は外国製造医療機器特例承認取得者等は、医療機器及び再生医療等製品の有効性及び安全性に係る事項、その他製品の適正な使用のために必要な情報について、能動的に収集するよう規定されております。
 国内にて、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因又はその不具合が原因と疑われる死亡や重篤な健康被害が発生した場合、又は不具合によりそれらが発生するおそれのある症例が発生した場合、製造販売業者等がそのことを知ったときには医薬品医療機器等法第68条の10第1項に基づき、厚生労働大臣に報告する義務がございます。報告の対象や情報を入手してから報告するまでの期限については、医薬品医療機器等法施行規則第228条の20により定められております。
 また、海外で使用される医療機器又は再生医療等製品にて、死亡又は重篤な健康被害が発生した症例、又はそれらのおそれがあると判断された症例に関する不具合に関する情報については、医療機器等が使用されている国の規制に従って各国の規制当局に報告等されることとなりますが、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる医療機器については、それらの海外における医療機器の不具合等に関する情報を日本の製造販売業者が入手したときには、日本においても外国症例の不具合報告として、不具合報告の対象となります。この場合の報告者は、日本の製造販売業者となります。
 今回の資料では、令和3年度の前期である令和3年4月1日から令和3年9月30日までの医療機器の不具合等報告について、各項目の報告件数を示しております。1.(1)1)の不具合報告の件数については、国内と外国の合計が6万6,633件でして、前回の令和3年7月の部会で報告いたしました、令和2年度後期である令和2年10月1日から令和3年3月31日の件数と比較して、約7,700件の減少となっております。今回の6万6,633件の内訳ですが、九つの製品の分類で言いますと、多いものは分類3「処置用・施設用機器等」の2万2,862件と、分類4「生体機能補助・代行機器」の3万8,988件で、この二つで全体の約93%を占めております。
 国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が1万3,632件、外国報告が5万3,001件となっており、前回の国内報告である1万3,669件から37件の減少、外国報告については前回の6万632件から約7,600件減少となっています。
 また、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合報告は、国内報告が720件、外国報告が1,639件の計2,359件ありました。また、再生医療等製品の不具合報告は、国内報告173件、外国報告が1,055件の計1,228件の報告がありました。
 続いて、「2)感染症報告」は、医療機器、コンビネーション医薬品では0件、再生医療等製品では1件でした。なお、再生医療等製品で報告があった1件につきましては、今回の集計期間(令和3年4月1日から令和3年9月30日)の後に、感染症報告に該当しないことが判明しておりますので、感染症報告は取り下げられ、不具合報告として報告される予定でございます。
 3ページに入りまして、(2)の海外の規制当局や外国製造元等が行った措置を報告する外国措置報告については、医療機器が672件、再生医療等製品は4件でした。
 「(3)研究報告」は、医療機器について1,872件、再生医療等製品は0件、「(4)感染症定期報告」は、医療機器について34件、再生医療等製品は47件でした。感染症定期報告の詳細については、次の議題で御説明させていただきます。
 また、「2.医薬関係者からの不具合等報告」は、医療機器では190件、コンビネーション医薬品では9件、再生医療等製品では2件、「3.副作用救済給付又は感染救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告」は、医療機器、再生医療等製品ともに0件でした。
 次に、全体の報告件数の推移等について御説明させていただきます。4ページを御覧ください。4ページ、5ページには、過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフ及び表で示しております。こちらは国内報告と外国報告を合わせた件数となります。
 医療機器不具合報告の全体の報告件数の傾向としては、令和2年度後期の7万4,301件から、今回の報告までで7,668件減少の6万6,633件となっており、報告数全体としては減少しております。
 この傾向は、グラフの上から3番目の折れ線グラフである分類3(処置用・施設用機器等)の外国報告件数が減少していることが主な要因です。特に、「メドトロニックミニメド600シリーズ」(分類3)の不具合件数が、前回と比較して約7,700件減少しています。この理由は、部品の損傷に関する情報提供を開始した以降、当該不具合の検出力が向上し、不具合の報告件数が高い値で推移していたのですが、改良後の製品への交換が進み、報告数が減少したと考えております。
 続いて5ページのコンビネーション医薬品については、平成29年度前期から2,000件前後の水準となっており、報告件数に大きな増減傾向は認められません。
 再生医療等製品については、ページが飛びまして、12ページに記載のとおり前回の報告期間から横ばいであり、令和2年度の後期と比較して、国内報告は約40件減少、外国報告は約40件増加しております。平成31年度前期から前回報告期間まで大きく件数が増加しており、平成30~31年に薬事承認された製品が上市され、特にその製品の海外の不具合報告件数が上乗せされたことが要因と考えられましたが、今回報告期間については、新たに上市された製品による不具合報告が少なかったことで横ばいとなったと考えられます。一方、市販後において新たに確認された不具合については、添付文書改訂指示を行う等、引き続き対応してまいります。具体的な再生医療等製品の品目別不具合発生件数の推移につきましては、今御覧いただいている12ページに記載しておりますので、適宜御参考ください。
○医薬品医療機器総合機構 続きまして、6ページ以降の、製品の分類ごとの不具合について、機構から説明いたします。6ページ以降においては、のちの資料2-2-1~2-2-2の膨大なラインリストより、主要なものをピックアップして説明いたします。
 まずは、6ページを御覧ください。「2.令和3年度前期の不具合報告の概況」の「2-1各分類における国内不具合報告」には、各分類における国内の不具合報告件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称、その主な不具合又は健康被害状況をピックアップして記載しております。
 表の「一般的名称等」の列には、一般的名称ごとの不具合等報告の件数について、多いものから順に第1位から第3位までの一般的名称を掲載しております。また、「主な不具合又は健康被害状況」の列には、それぞれの一般的名称の製品群で報告された不具合又は健康被害の件数について、多いものから順に第1位から第3位までの事象を記載しています。なお、同数で同順位となる一般的名称や事象名についても、全て掲載しています。
 分類(1)の「画像診断用機器」として、循環器用超音波画像診断装置、多相電動式造影剤注入装置等、合計16件報告されております。
 分類(2)の「生体監視・臨床検査機器等」として、再使用可能な高周波処置用内視鏡能動器具、再使用可能な内視鏡用能動処置具、硬性手術用ランバースコープ等、合計664件報告されております。
 分類(3)の「処置用・施設用機器等」として、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材、ポータブルインスリン用輸液ポンプ、バルーン拡張式血管形成術用カテーテル等、合計5,299件報告されております。
 続いて7ページを御覧ください。分類(4)の「生体機能補助・代行機器」として、大動脈用ステントグラフト、脊椎内固定器具、植込み型心臓ペースメーカ等、合計6,367件報告されています。
 分類(3)と(4)についてはリスクの高い医療機器が多く分類されているということもあり、報告件数が多くなっています。
 分類(5)の「治療・鋼製機器等」として、脊椎手術用器械、骨手術用器械、関節手術用器械等、合計1,138件報告されています。
 分類(6)の「歯科用機器・材料」として、粘着型義歯床安定用糊材、歯科用インプラントフィクスチャ、歯科用骨内インプラント材の、合計で8件となっております。
 分類(7)の「眼科用機器」として、多焦点後房レンズ、後房レンズ、挿入器付後房レンズ等、合計113件報告されています。
 続いて8ページを御覧ください。分類(8)の「衛生材料・避妊用具・家庭用機器等」として、子宮内避妊用具、骨固定型補聴器、天然ゴム製手術用手袋等、合計で5件となっています。
 分類(9)の「プログラム医療機器」は、ホウ素中性子補捉療法用治療計画プログラム、及び遺伝子変異解析プログラム(がんゲノムプロファイリング検査用)の、合計で22件となっています。
 なお、これらの国内での不具合の報告及び外国での不具合の報告については、資料2-2-1にまとめておりますので、後ほど説明いたします。
 続きまして、9ページを御覧ください。9ページでは、平成30年10月1日から令和3年9月30日までに、新医療機器として承認された品目の国内での主な不具合報告の状況について説明いたします。各承認年度において、不具合等報告の件数のうち、多いものから順に第1位から第3位までの品目を掲載しており、平成30年度~令和3年度までで、分類としては分類3、4、5、9です。多くが添付文書に記載されている既知の事象となっております。また、未知の事象については、今後も注視し、必要に応じて添付文書を改訂するとともに、医療現場への情報提供を行ってまいります。引き続き、不具合・健康被害の情報を注意深く収集しております。
 続いて10ページを御覧ください。コンビネーション医薬品の医療機器部分不具合報告として、国内報告は720件となっております。これらの不具合報告の詳細については、「資料2-2-2 コンビネーション医薬品不具合報告」に別途まとめております。
 続いて14ページを御覧ください。こちらは、国内での過去5年間の不具合報告の公表状況についてまとめたものです。こちらは年度単位での集計になっております。報告された不具合報告は、公表するとともに最終的に転帰が死亡として報告された症例については、製造販売業者による調査が全て完了した後に、事象と製品との因果関係について評価を行い、評価が終了したものからその結果についても随時公表しているところです。死亡との因果関係が否定できないものをA評価、死亡との因果関係が認められないものをB評価、死亡との因果関係が評価できないものをC評価としています。
 続いて、15ページから18ページには、死亡症例のうち、死亡との因果関係が否定できない、すなわちA評価とされた医療機器の一般的名称別の件数を示しております。こちらの表の報告件数については、一般的名称で分類していること及びそれぞれの分類における製品数や使用者数も異なることから、この資料により、個々の製品の不具合発生率の傾向等について議論ができるものではありませんが、御参考として御覧いただければと思います。
 主に、大動脈用ステントグラフト、経カテーテルウシ心のう膜弁、経カテーテルブタ心のう膜弁、冠動脈ステントなどの、リスクの高い症例での治療に使用される分類(3)と分類(4)の医療機器の件数が多い傾向にあります。
 医療機器に関する資料2-1の説明は以上となります。
 続きまして、資料2-2-1~2-2-2ですが、先に御説明させていただきましたとおり、資料2-1の中で主要な不具合について説明いたしましたので、内容の御説明については先の御説明をもって資料2-2-1と資料2-2-2の御説明に代えさせていただき、ここではラインリストの見方についてのみ紹介いたします。
 まず資料2-2-1の1ページ目を御覧ください。「注意事項」として、この不具合報告リストの見方を記載しております。このリストについては、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告された内容を基に記載しております。また、報告に関する分類は(1)~(9)まで9分類に分類されていて、次に「目次」が記載されており、その次から表の下にページ番号を記して一覧を記載しております。一覧の掲載順については、医療機器の一般的名称、販売名、企業名の順に五十音順に掲載しております。それぞれの件数については、提出された報告書の件数を示したものであり、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがあるため、このような場合には同一の症例を重複してカウントしております。したがって、報告件数がそのまま症例数にはならない場合があることに御留意いただければと思います。また、報告症例の中には、不具合状況がなし又は不明であり、かつ、健康被害状況が不明のケースがあります。これは、健康被害状況が不明で、現品調査を実施できない、得られた使用状況の情報が限られているなどの理由から、機器との因果関係を否定できないと判断するだけの情報が得られなかったため、不具合報告がされたものでございます。
 表の右端の「対応状況」欄に、報告症例に対する対応措置の項目として、原則として報告期間対象期間の末日である、令和3年9月30日時点での措置の内容を簡潔に記載しております。「回収(改修)」と記載しておりますのは、製品を医療現場等から引き上げる「回収」をした場合、または、修理や検査の実施等を行った「改修」の措置をとったことを示しています。「情報提供」と記載したものは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの措置をとったものです。この中には、既に添付文書等で、関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでおります。
 資料2-2-1の医療機器の不具合報告のまとめと同様に、資料2-2-2ではコンビネーション医薬品の医療機器部分に関する不具合、資料2-3-1では再生医療等製品に関する報告をそれぞれ一覧表でまとめております。
 続いて、資料2-2-3について説明いたします。資料2-2-3の中身も適宜御覧ください。医療機器に関する外国措置報告については、企業が外国でも同一性を有する製品、つまり、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器を製造販売している場合に、外国の規制当局などでとられた措置について、日本の行政当局にも報告するというものです。令和3年度前期では672件の報告がなされております。資料の一番右の2列には国内外での対応状況について記載しております。外国で措置を行った結果について、日本の対象製品がない場合を除き、おおむね日本においても同様の対応をとっている状況です。
 続いて、資料2-2-4について説明いたします。こちらも中身を適宜御覧ください。医療機器研究報告は、不具合の発生頻度、発生条件などの疫学調査や集計・分析等に関する内容の文献報告等があった場合に報告されるもので、今回は文献数にして1,872報ございました。なお、今回報告により、安全対策上の特段の措置が必要になったものはございません。
○医薬品医療機器総合機構 続きまして、再生医療等製品について御説明させていただきます。資料が戻りまして恐縮ですが、資料2-1の11ページを御覧ください。11ページの2-3-1に再生医療等製品の主な国内不具合報告をお示ししております。再生医療等製品は国内報告全体で173件報告されております。お示ししております表に関しましては、期間中の不具合報告件数が多い3品目についてお示ししております。また、主な不具合又は健康被害状況の欄につきましては、報告件数上位3位の事象を記載しております。これらの報告に関しましては、「資料2-3-1 再生医療等製品不具合報告」にまとめておりますので、そちらも御参照いただければ幸いです。
 続きまして、2-3-2を御覧ください。こちらは、平成30年10月1日から令和3年9月30日までに、新再生医療等製品として承認された品目の国内不具合報告についてお示ししております。こちらの表には期間中に国内不具合報告があった品目をお示ししておりまして、主な不具合又は健康被害状況の欄につきましては、それぞれの品目における報告件数の上位3位までの事象をお示ししております。こちらの表にお示ししております3品目以外に、承認された品目といたしましては7品目ございますが、これらの品目については期間中に不具合報告はございませんでした。
 続きまして、19ページを御覧ください。こちらでは、再生医療等製品の国内での過去5年間の不具合報告の公表状況についてまとめております。こちらの表の見方につきましては、先ほど医療機器の方で説明させていただいたものと同じとなりますので割愛させていただきます。令和2年度では、令和元年度と比べて公表件数が増えております。こちらは新たに承認された再生医療等製品の不具合報告件数が増加したためであると考えられます。
 続きまして、資料2-3-2について説明させていただきます。こちらは再生医療等製品に関する外国措置報告をお示ししたものです。期間中4件ございまして、ゾルゲンスマ、イエスカルタにつきましてそれぞれ2件ずつとなっております。
 ゾルゲンスマに関する報告のうち、1件はTMA(血栓性微小血管症)に関する検査、ステロイドの使用方法等に関する欧州添付文書の改訂に関するものでしたが、これらの内容につきましては既に国内の添付文書に記載されている状況です。ゾルゲンスマに関するもう1件につきましては、こちらも欧州のRMPが改訂されておりまして、患者向け資材が新たに作成されておりますが、国内におきましては承認時から患者向け資材が提供されている状況です。
 イエスカルタに関する報告ですが、米国のサイトカイン放出症候群及び神経系事象の管理アルゴリズムの改訂に関するもの、及びステロイドの使用方法に関する改訂の報告でございました。これらにつきましては、現在、製造販売業者より相談を受けており、検討しているところでございます。
 なお、当該期間中に再生医療等製品に関する研究報告はございませんでした。
 御説明は以上になります
○荒井部会長 本当に膨大な量です。毎回申し上げていますが、この部会に上がってくる資料には、母数についての情報がありません。その製品がどのぐらい使われているかが分からないまま、生じた不具合だけが上がってきます。その情報から、この対応でよかったのか、あるいは今後の対応はどうしたらいいのかということの議論をするわけですから、とてもとても難しいわけです。実際、母数を明確には示せないということで、本日もこのように上がってきた事象についての説明をしていただきました。
 まず、個別に入る前に全体の増減について、数についての説明を冒頭にしていただきましたが、こちらについては、なぜ増えたのか、なぜ減ってきたのかということに関しての、私はある程度明快な説明をしていただけたかなと考えておりますが、この辺の数の推移について、何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 今度は個別の方に入ってまいります。数が多いので、御指摘いただく場合には、どの資料のどの部分ということを御指摘いただいて、御意見を頂ければと思います。御意見、御質問はいかがでしょうか。
○正宗委員 国内不具合報告の分類9の「プログラム医療機器」に関してですが、BNCTに係るソフトのプログラムについての健康被害状況というのが、合併症とか副作用とかそういったものなのか、既知のものなのか、未知のものが上がってきているのかについて、御存じでしたらお教えいただければと思います。このプログラムが原因ではないかもしれないと思いながら聞いておりました。
○医薬品医療機器総合機構 まず、医療機器の不具合報告の対象については、製品の機器自体に不具合があった場合以外に、おっしゃるように製品との因果関係が否定できない、合併症のような健康被害も報告の対象となっております。
 御質問いただいた、ホウ素中性子捕捉療法用、BNCT用の製品については、特にプログラムに異常があったというわけではありませんで、BNCTをしたことによって発生したという可能性が否定できないものを業者が報告してきたものになります。
 中に書いてある事象については、今、個別にどれがという御説明は難しいのですが、各製品の添付文書に合併症として記載があるものは既知事象として報告されてきますし、そうでないものは未知事象として報告されているということになります。御回答になっていますでしょうか。
○正宗委員 既知のものまで書くと、すごくいっぱい出てくるのかなと思って伺った次第です。これは両方あるという認識で承知いたしました。ありがとうございます。
○荒井部会長 これは結構未知のものが入っているのですか。基本的には、ここに出てきているのは放射線の障害としては、私のレベルでも知っているものですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 細かいデータは後ろに付いておりますので、必要であれば。
○荒井部会長 今、調べていただいていますが、もし分かるようでしたら教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。例えばになりますが、未知事象として確認できているものについては、咽頭粘膜炎は未知であることは確認できております。高アミラーゼ血症が多く報告されていると思うのですが、こちらに関しては添付文書に記載があるということで既知事象ということになっております。
○正宗委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 そのほかはいかがでしょうか。
○齋藤委員 東邦大学の齋藤です。詳細な御報告を本当にありがとうございます。一覧表を見ていて膨大だなと思ったところで、資料2-1で非常に分かりやすくまとめていただきました。
 御質問なのですが、この不具合の報告は、開けてみると、三つのサブグループに分けられるような気がします。医療機器の不具合によるもの、治療を受けた患者側のバックグラウンドによるもの、若しくは治療を行った医療側に関連するもの、この三つに大きく分けられるように、ぼんやりと見えてくるのです。例えば残留のおそれ、脱落のおそれというものは機器の不具合によるものなのかなと思います。ただ、それ以外のものに関しては、例えば血管損傷などは、ひょっとしたら機械の不具合だけではないかもしれない。そういった観点から、この不具合報告というものは、分析して、また該当する委員会などで検討したりはしていらっしゃるのでしょうか。
○医療機器品質管理・安全対策部長 先生がおっしゃるようにいろいろな要因がありまして、手技によるもの、患者のバックグラウンドもありますし、機器の問題もあります。不具合報告はそれぞれ、不具合用語集という国際的に統一された用語集で報告いただいていまして、そういった共通用語で不具合を分類して、機構の専門の先生方で構成される検討会でも評価いただいている状況です。
○齋藤委員 そうしますと、ここの委員会では機械の不具合に、主に注目して報告をお聞きしていけばよろしいのでしょうか。それとも、全体を報告として全貌をお聞きしていけばよろしいのでしょうか。
○医療機器品質管理・安全対策部長 先生が御指摘のとおり、全体を報告として資料に掲載させていただいております。
○荒井部会長 機構の方で、特に死亡例などについては専門の委員会がありまして、それぞれの機器に合わせて幾つかのグループがあります。そこで簡単に言うと機械が悪いのか、患者のバックグラウンドがやむを得ないものなのか、あるいは使い方とか適応とか、いわゆる使う側が問題なのかということを、ある程度区別の付くものはきちんと判定していて、それが先ほど示されたものです。残念ながら、情報が完全に開示されずに判断が付かないというものが半分近くあることが、以前からの問題だと認識されております。
 ただ、そういった努力と言うか、解析については進めているわけで、この部会では、最終的にそれらも併せて、全体としての安全対策としての対応がこれでいいだろうかという点を御審議いただいていると御理解いただければよろしいかと思います。私の説明でよろしいでしょうか。
○齋藤委員 ありがとうございました。もう一つ追加でお聞きしたいのですが、中には重大な事故につながっている、例えば死亡というのもあったと思うのですが、重大な事象につながったものに関して、事故調査委員会が介入するまでに及んだような事象はありますでしょうか。
○荒井部会長 私もその領域を担当させていただいてきた者ですが、実際には病院で事故調査委員会が立ち上がっている場合には、後で情報が上がってくることもありますが、まだ検討中ということで時間がかかることがありますし、機構の委員会の方である程度ジャッジをさせていただくこともあります。
 ただ、これも先ほど申し上げましたように、いわゆる係争事案で警察が介入しているような場合には、情報がもらえない、病院側も出せないということがあり、ある程度集計の時点で情報がなければ、「判断できない」という分類になってしまうことが実際にはあります。そんな状況かと思います。
○齋藤委員 ありがとうございました。
○荒井部会長 そのほかはいかがでしょうか。
○中川委員 横浜栄共済病院臨床工学科の中川です。今の齋藤先生の内容に関連して質問させていただきます。医療機器の不具合報告、私自身も今年度、4月から3月の間に3例の不具合報告をいたしました。1例は死亡事例です。
 それに対して機構からは「受け取りました」というような回答のみで、その後メーカーの方の調査に協力して、院内の事故調査委員会で報告をして、再発防止策というものを採りました。その後、メーカー側から、若しくは機構からの指導や指摘、情報等の開示というものはありませんで、その後の対策についてどうなっているかということが、各医療機関で恐らく混乱している部分の一つになるのかなと思います。ですので、1点まとめると、不具合報告をした後のフィードバックはどうなっているのかということです。
 もう1点は、これは話が変わるのですが、プログラム医療機器の方で不具合報告を同じくさせていただきました。プログラム医療機器に関しては、様々な手技があるのですが、そのプログラム医療機器のプログラムの内容に、今回不具合が見付かった事例も報告させていただきました。
 プログラムというのは医療機器からすると、医療とプログラムという、完全に独立したもので医療機器というものが動く形になっていますので、プログラム医療機器の不具合というものがソフトウェアによるものなのか、人によるものなのかというのは、すごく切り分けが難しいところで、今後、プログラム医療機器というものが世の中にどんどん出てくると思います。そういった中で、今後プログラム医療機器というものに関して、取扱いをどうされるかということをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。2点御指摘いただきました。まず、第1点の機構に上がってきた不具合報告に対してのフィードバックに関して。
○医療機器品質管理・安全対策部長 個別の医療機関報告について、毎日数件届いておりまして、機構で評価させていただいております。医療機関から御報告いただいた不具合報告は、製品の製造販売業者にフィードバックさせていただいて詳細な調査をしているというのが、安全対策の流れになっております。
 御報告をいただいた個別の医療機関に対して結果がどうしたというのは通知しておらず、製品の安全対策を採る、例えば通知を出したり、医療安全情報を出すとか、添付文書を改定するといった形で、全体の安全対策として対応を採らせていただいているというのが実際です。
○荒井部会長 中川委員、最初のフィードバックについては、今の説明でよろしいでしょうか。
○中川委員 医療安全の啓蒙につながるということで承知いたしました。ありがとうございました。
○荒井部会長 もう一つ御指摘いただきましたが、これは大変重要なことで、プログラム医療機器についての対応方針、方向性についての御指摘でした。
○医薬安全対策課長 御回答申し上げます。プログラム医療機器について、先生の御指摘のとおり、プログラムが原因のものなのか、それともほかの原因のものかというのは当然混ざってくるものだと思っています。
 ただ、これはほかの医療機器でも同じようなことが言えることも事実であり、また、先ほどBNCTの御指摘もありましたけれども、BNCT本体のものか、BNCTプログラムのものなのかというのは、なかなか見分けが付かないと言うか、それも含めて報告を頂いているということになります。
 現時点では、プログラム医療機器に特化した不具合報告を創設することは考えてはいませんけれども、ただ、プログラム医療機器自体はまだまだこれからのものとは言いませんけれども、これからいろいろと考えていくべきものだと思っていますので、まずはほかの医療機器と同じ並びでやっていくのですが、今後については御意見を踏まえながら考えていくということだと思っております。
○中川委員 プログラム医療機器に関しては、今、現場の最前線で処置をしている者として、今後注目していかなければいけない分野になってくると考えています。それなので、機構や関係者の方に対して、今後の医療機器の承認状況に合わせまして、新たな、そういったプログラム医療機器に関するものも、是非御検討いただきたいということを提案させていただきます。ありがとうございました。
○荒井部会長 大変貴重な御意見をありがとうございます。私もそばで見ておりますと、行政側もプログラム医療機器に関しては、格別の注意をはらって対応していると感じています。これから動く部分もあるのかもしれませんが、今後もこの点につきましては、御指摘頂きましたように十分に注意して進めていってもらいたいと思われます。
 城守委員、どうぞ。
○城守委員 一つ前の御質問のときに、この不具合報告によって死亡に至った事例に対して、事故調のときに同時に載っているのかどうかという御質問があったと思います。それに関連した御質問を一つと、要望が一つです。
 まず、不具合報告において、死亡に至った事例は機構に報告されてカウントされるのだと思いますけれども、その計ですが、予期せぬ死亡事例であるかどうかというものは基本的にその医療機関の管理者が判断をして、最終的に支援センターに報告するという立て付けになっていたと思うのです。その情報というのは、医療機関と御遺族の方と支援センター以外には、基本的には開示されていないと思いますので、機構と支援センターが情報を共有するということは、現時点ではおそらくないのではないかと思うので、その点に関してコメントを頂ければということが1点です。
 要望に関しては、今、御質問があった点と同じでして、プログラム医療機器の場合は審査に関しても大変難しい問題もありますし、これを診療報酬で評価するということになって、更に困難を極めているという現状があろうと思いますので、機構において特殊な部署を設置して、数名で審査をしているとお聞きしておりますが、この不具合報告等、これは恐らく審査をしておられる方にも非常に貴重な情報になるのではないかと思いますので、その辺りの情報共有をよろしくお願いしたいと思います。
○荒井部会長 二つの御指摘を頂きました。一つ目は、いわゆるセンター報告になったような事故に関しては、その情報共有は機構との間では実際はできないのではないかという指摘で、これは御指摘のとおりですね。
○医療機器品質管理・安全対策部長 先生が御指摘のように、事故調と個別の症例について共有するということはございません。ただ、我々も死亡事例などのラインリストを公表させていただいているので、必要に応じてセンターの方でも見ていただくことは可能かと思います。
 あと、先生から御要望いただいたプログラム医療機器の審査室との情報共有ですが、特筆すべき事項等があれば、すぐ隣の部屋ですので、そういったことは可能かと思っております。
○城守委員 よろしくお願いしたいと思います。
○荒井部会長 そのほかの委員から御意見、御質問はよろしいでしょうか。
○外園委員 最初に分母が分からないというお話を伺っていて、私は前回その質問をして、詳しく御説明いただいたのですけれども、高額の再生医療製品が含まれていて、私も詳しくはないので調べさせていただいたのですが、今回、ゾルゲンスマが非常に高くて、薬価が1億6,700万円です。非常に注目されていて、公開されている資料では、年間25人というような情報が出ています。ですので、高額医療は高額医療の制度を使って、詳しくは知らないのですが、国の税金で補填されるので、このように高額医療で患者数が少ないものの不具合は、注目されますので、頂いた資料では、余り重篤ではない感じもするのですが、そこを注目されたときに、安全性ということに関して、皆さんの一定のコンセンサスを得たお返事を用意できたほうがいいのではないかと思うのです。
 次はキムリアです。キムリアが承認されたときもニュースになっていて、私の記憶が正しいかどうか分からないのですが、年間に数百人ぐらいということだったと思いますので、この二つは格別に高額ですので、不具合に関しても見解が求められないかなと思いましたが、いかがでしょうか。
○安全使用推進室長 先生がおっしゃるとおり、そういった注目というのがあるのかもしれませんけれども、一般論にはなってしまいますが、再生医療等製品も含め、いずれも報告があって必要であれば、例えば添付文書を改定するとか、何らかの情報提供をするという対策をしていくということで、基本的には情報をしっかりとお示しして、使っていただくということかと思います。現時点で使ってはいけないとか、そういった状況ではなく、必要な不具合、副作用等を添付文書等で情報提供していくという状況であります。このように認識しております。
○外園委員 不具合が報告されているけれども、安全性に問題はないということで理解して、そのように発信するということですね。
○医薬安全対策課長 全く問題がないかと言われると、なかなかそう断言するものではないのですが、ゾルゲンスマにしろ、キムリアにせよ、確かに患者数は少ない、いわゆる分母は少ないというように理解しています。一方で、こういう高額なものについては海外も結構注目していますので、海外措置報告も含めて、我々としては注視していきたいというように思っています。
○外園委員 ありがとうございました。分かりました。
○佐藤部会長代理 今のコメントについてなのですが、副作用の内容とか件数、薬価の問題なのですが、薬価の高いものというのは、得てして重篤な疾患であって、治療法の選択肢がないものなので、薬価と副作用の関係だけではなくて、選択肢がなくて、患者が重篤だというところも含めて、それは厚生労働省側から説明していくというのが重要ではないかと思います。
○医薬安全対策課長 全くそのとおりでございます。
○荒井部会長 そのほか、委員の方々から議題(2)について、御質問、御意見等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題(2)の報告についての御質問、御意見をお受けするのはここで一回区切らせていただきます。
 次に、議題(3)に入ります。医療機器再生医療等製品の感染症定期報告です。よろしくお願いします。
○事務局 それでは感染症定期報告について、御報告いたします。資料は資料3のシリーズになります。
 まず、感染症定期報告について制度の概要を説明いたします。ヒトや動物等に由来し、保健衛生上特別な注意を要するものとして、厚生労働大臣が指定する生物由来製品については、その原料が細胞組織等であることから、未知の感染因子(である細菌、ウイルス等)を含有している可能性が否定できません。また、感染症につきましては、一般的な医薬品・医療機器の副作用、不具合等と比べ、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に感染が進行するおそれがあり、さらに感染した後は、時間の経過に伴い軽減することなく、一定期間経過後に顕在化するおそれもあります。このような背景を踏まえ、生物由来製品については、医薬品医療機器等法において、製造販売業者等に対し、製品への直接的な影響がまだ不明の原料動物等の感染症に関する最新の知識、知見を常に把握し、それを集積した上で感染症のリスクを多角的に評価、検討し、その結果を報告するよう義務付けております。これが感染症定期報告となります。
 感染症定期報告で寄せられた情報につきましては、本部会も含めた薬事・食品衛生審議会に報告し、措置が必要ないか御検討いただいております。以上が、感染症定期報告の概要となります。
 それでは、資料3-1の説明にいかせていただきます。資料は、資料3-1と資料3-2に分かれておりまして、資料3-2は、重複を含む期間中の全ての報告です。そのうち、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものが資料3-1になります。また、資料番号の末尾が1の3-1-1及び3-2-1が医療機器、末尾が2の3-1-2及び3-2-2が再生医療等製品の報告をまとめたものになっております。
 それでは、資料3-1-1医療機器の報告を御覧ください。今回は、2021年4月1日から2021年9月30日までに報告されたものをまとめております。こちらにつきましては、今回、新たに報告された文献は36件ございまして、詳細な説明は省略させていただきますが、全体の傾向としましてはインフルエンザウイルス関係の報告が20件報告されております。
 次に、資料3-1-2再生医療等製品の報告を御覧ください。こちらにつきましては、今回、新たに報告された文献に関しましては、COVID-19に関しての報告が1件ございました。
 以上、これらの報告につきましては、国立感染症研究所の脇田委員、宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に御確認いただいております。この場で御紹介すべき御意見は、特段頂いておりません。
 報告(3)の感染症定期報告に関する説明は以上でございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。議題(3)感染症定期報告ですが、何か御意見、御質問、あるいは御専門の方々もおられますので、追加の御意見等があれば伺いたいと思います。よろしいでしょうか。
 議題(3)についての説明並びにそれについての質問等につきましてはこれで終わらせていただきまして、議題(4)に進ませていただきたいと思います。議題(4)はその他です。事務局から説明をお願いします。
○医薬安全対策課長 それでは、「医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律の概要」ということで、いわゆる薬機法の改正であります。資料4を御覧ください。
 今国会において、厚生労働省から法律改正案を国会に提出しておりますので、その関係を簡単に御説明申し上げたいと思います。
 資料1ページ、薬機法の改正です。その趣旨につきましては、緊急時において、安全性の確認を前提に、有効性が推定されたときの条件・期限付きの承認を与えるための仕組みを整備するということ。それから、オンライン資格確認を基盤とした電子処方箋の仕組みを創設するということが、改正の趣旨です。
 その改正の概要でありますが、緊急時の薬事承認につきましては、適用対象となる医薬品の条件については、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品等」ということで、この「等」につきましては、医療機器、再生医療製品も加えています。また、ほかに代替手段が存在しない場合という前提も付いています。
 運用の基準につきましては、安全性の確認を前提ということで、従来と同じように安全を確認する。再生医療等製品の期限・条件付き早期承認と同じでありますけれども、医薬品等の有効性が「推定」ということで、その場合に薬事承認を与えることができるという規定。
 承認の条件・期限については、承認に当たっては、必要な条件及び期間の期限を付すこととするということです。
 それから、迅速化のための措置ということで、GMP、国家検定、容器包装についての特例を措置する。
 二つ目は、電子処方箋については、医師等が電子処方箋を交付することをできるようにするとともに、電子処方箋の記録、管理業務につきましては、支払基金等の業務に加えるということと、その経費負担や、厚生労働省の監督規定を整備するということであります。
 資料の3枚目に、厚生科学審議会医療機器制度部会のまとめがあります。その中に、ほぼ中身は同じですが、その右上の市販後の安全対策という所です。今回は法律事項ではありませんが、緊急承認された医薬品等については、リスク管理計画等において監視計画等を策定し、リスクを最小化するということ。それから、現在、コロナワクチンでもやっておりますが、高頻度に審議会を開催することによって、専門家の評価も踏まえつつ安全対策を行う。それから、リアルワールドデータの活用についても、十分対応していくということです。
 6)ですが、健康被害の救済についても、通常の薬事承認と同様に医薬品副作用被害救済制度の対象とするという予定です。以上が薬機法の改正です。
 電子処方箋の関係ですが、その概要が8ページにあります。現在、紙で行っている処方箋の運用を電子で実施する仕組みです。オンライン資格確認等システムで閲覧できる情報を拡充し、患者が処方や調剤された内容の閲覧を出来るようにして、また、医師、薬剤師等がデータを活用した重複投薬チェックを可能にするということで、令和5年1月からの運用を開始する予定です。本人確認・同意をできるとともに、医療機関からは重複確認、過去に処方された医薬品のチェックとかができる。薬局側も同様にできるということでありますし、その患者自身もマイナポータルから情報の閲覧ができるというシステムを考えております。
 最後の10ページは法改正事項です。医師法及び歯科医師法、それから支払基金業務の規定の整備ということで、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律を改正して、今回、電子処方箋についての法改正を予定しているということです。説明は簡単ですが、以上であります。
○荒井部会長 薬機法の改正ということで、一番のポイントは今お話いただきましたように、COVID-19のことがあり、緊急時の薬事承認をどうするかということが議論されました。一番違うのは、今までは安全性と有効性を確認していたが、緊急時の場合には安全性は確認をしなければいけないが、有効性に関しては「推定」で、取りあえず承認しましょうという点です。ただし、市販後の、承認後の安全対策に関してはきちんとやっていくわけで、その辺が一番大きな相違点ではないかと思います。
 この安全部会では、このように制度が変わったときに、その制度の変更を正しく知っておかないと、対応ができないものですから、特に時間を取って御説明いただきました。何か御質問等はございますでしょうか。後段にありました電子処方箋のところ等も含めまして、何か御意見、御質問等はございますか、よろしいでしょうか。佐藤先生どうぞ。
○佐藤部会長代理 佐藤です。御説明ありがとうございます。確認なのですが、緊急承認の審査の期間というのは、緊急だから2年ぐらいというようなお話だったと思いますが、それと比較して再生医療等製品の条件・期限付き承認の場合の期限は、確か最高で7年ぐらいだったと思います。この差は緊急だからというよりも、個人的には、再生医療等製品の場合は患者数が少なくて、使用施設が少なく、臨床上シングルアームのデザインしかとれず、コントロールのデータを取りづらい状況下にあり、さらには製品が不均一なので7年ぐらいに設定されているものと考えていました。緊急承認では2年と最初に聞いたときは、こういった問題が余りないから2年なのかなと思ったのですけれども、これらの要素は余り考えられていなかったのでしょうか。
○医薬安全対策課長 先生が御指摘の再生医療等製品の条件期限付き承認とは別のものでありまして、今回の法改正による緊急承認は、いわゆる緊急時のものだということであります。御指摘の再生医療製品については、均質性の問題だとか、確かにプラセボ投与もできないとか、いろいろな問題があるのだと思います。それで7年で、延長もできるという規定だと思っていますけれども、今回は緊急時ということで、緊急時ですので、だらだらと長く使うということもどうかという御指摘もあるので、例えば2年とか、この期間はまだ確定したわけではありませんけれども、通常からパンデミックというのは大体2年程度ということで、そういう議論があったということになります。
○佐藤部会長代理 分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほかの委員から御質問、御意見はいかがでしょうか。岩﨑先生が手を挙げておられますので、お願いいたします。
○岩﨑委員 御説明どうもありがとうございました。緊急時の承認制度というのはこれまで特例承認制度で、日本企業の開発品が使えない環境であったことを大きく改善するような、極めて重要な取組だと思っております。今日の御説明の中で、健康被害の救済のところですが、医薬品とワクチンでは御存じのように、ここに書いてある「等」というのは医薬品に対しては医薬品副作用被害救済制度の「等」ということで、ワクチンに対しては、ワクチン予防接種法とか、別のところでやるのかという点についてはいかがでしょうか。
○医薬安全対策課長 少し詳細に説明させていただきますと、医薬品については、副作用被害救済制度になります。ワクチンについては、予防接種法に基づいて実施されるものについては、予防接種法に基づく救済制度になります。一方で、医療機器については、現在、今、医療機器に対する救済制度というのはないという状態でありますので、今回、緊急承認についても医療機器については対象には入っていないということになります。以上です。
○岩﨑委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見のある方はおられますか。よろしいですか。そうしましたら、一応ここまで議題が四つありました。冒頭に申しましたように、今日も本当にWebでやっておりますので、一応終わらせた議題につきまして、議題(1)、(2)、(3)に戻って、ここだけはもう一度確認したいということがあれば、今、手を挙げていただいても結構ですが、いかがでしょうか、よろしいですか。
○西澤委員 西澤です。先ほどのインプラントのところで、もう一度伺いたいのですが、先ほど美容整形外科学会のWebを見ると、学会の一番のホームページの所に非常に大きく書いてあって、注意喚起がしてありました。そこで厚労省の方にも伺いたいのですけれども、美容整形の目的でインプラントをした後に、どれぐらいの頻度でそのフォローアップというか、チェックというのをしていくのでしょうか。そういう制度というのはあるのでしょうか。
○安全使用推進室長 安全対策課でございます。制度という意味では、行政側から美容のフォローアップを規定しているというのはなかなかないのではないかと思いますが、基本としては、まず主治医の先生が何か患者さんにお知らせいただいているという可能性はあろうかと思います。今、それ以上の情報はありませんが、いずれにしても今回のブレストインプラントにつきましては、基本的には施術された先生が、基本的にはフォローアップしてくださいというお願いをしていただいているものと認識しております。
○西澤委員 なるほど。つまり、制度というか、自主診療だと思いますので、豊胸手術をしてからその後はどのようにやるのかは、恐らくその先生との関係とか、その患者さんによるのではないかなと、想像ですが。そうすると、先ほど別の委員がおっしゃっていたように、周知から漏れる方が出るのではないか。もう一つは、乳房の豊胸手術などの場合には年齢層が若い人もいると思うので、乳癌のチェックの年齢層とかぶらないところもちょっと懸念しております。情報提供をどうするのかというところは、是非、厚労省さんの方でフォローアップしていただいて、教えていただきたいと思います。
○安全使用推進室長 承知いたしました。もともと回収当時から基本的に学会医か、学会員の先生が基本的に手術されているということで、学会もかなり取り組んでくださっておりますので、今回、部会で頂いた御意見を踏まえて、また何か新たにできるのかどうか、今のことをしっかり継続していくのかどうかというところも含めて、関係学会の先生方とも御相談したいと思います。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員の方で御質問、佐藤先生どうぞ。
○佐藤部会長代理 今のお話で、思い付きなのですけれども、SNSなどで厚生労働省さんが流すと、若い人などは直接的・間接的にたどりつけるのではないかという気がします。余りお金も掛からないし、そういうことを御検討いただいたらいいのではないかと思います。ただの思い付きですが。
○安全使用推進室長 安全対策課です。ありがとうございます。私どもがやるという方法もあるのかもしれませんが、これまでも通知等で自治体の方にも周知の方法ということで、SNS等も使ってやっていただくということも、一つの案としてお示ししているところでございます。いろいろな形で何ができるかということも含めて、また考えてまいりたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。いろいろ御心配もあると思います。私も実は懸念しておりましたが、豊胸のためのインプラントについては、実際には医師免許を持っていれば誰でも使うという類いのものではなく、使用する医師側についてはしっかりグリップできているようです。おそらく学会が中心になるのでしょうが、そちらの方へのアクセスというか、情報提供と協力の依頼については行政ができるわけですし、これが本道というか、基本的な行き方ではないかなと思っております。ただ、今、御指摘いただきましたように、こういう時代ですので、あらゆる手段を使って、とにかく漏れを極力なくす方向で御検討いただければと思います。そのほかの御意見はよろしいですか。
 予定しておりました議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○安全使用推進室長 次回の部会の日程でございますが、例年どおり、本年7月頃を予定しておりますが、また別途、部会での審議等が必要な議題が生じた場合には、予定が早まることもございますので、御承知おきをお願いいたします。また、日程調整につきましては、事務局より改めて先生方の御都合を伺って決めさせていただきたいと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして、令和3年度第2回医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会させていただきます。長時間、どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬安全対策課 安全使用推進室 医療機器情報専門官 松浦(内線2751)