第5回がんの緩和ケアに係る部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年4月13日(水)16:00~18:00

議題

  1. (1)「治療期の緩和ケア」について
  2. (2)その他

議事

議事内容
 
○岩佐がん対策推進官 定刻となりましたので、ただいまより、第5回「がんの緩和ケアに係る部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、健康局がん疾病対策課の岩佐です。よろしくお願いいたします。
なお、本部会につきましてはYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
本日は、全ての構成員が御出席です。
また、本日、参考人といたしまして、埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科教授の髙橋健夫先生、それから、中部徳洲会病院疼痛治療科統括部長兼麻酔ペインクリニック部長、服部政治先生に御出席いただいております。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料は、厚生労働省のWebサイトに掲載してございますが、議事次第、資料1から4及び参考資料1から5がございますので、御確認いただければと思います。
なお、参考資料4につきましては、本年3月に公表されました最新の遺族調査に関する概要の資料となっております。時間の都合上、説明は割愛させていただきますが、議論に際しまして適宜御参照いただければと思います。
また、参考資料5につきましては、第2回、第3回の当部会での議論の中から、拠点病院の整備指針の見直しに関連した内容をまとめたものとなっておりますので、こちらも議論の際に適宜御参照いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
以降の進行につきまして、中川座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○中川座長 皆さん、お疲れさまです。それでは、よろしくお願いいたします。
まず、前回の部会で、木澤構成員からでしたが、緩和ケアチームの評価のために、コンサルテーションがあったケースを追跡することで、診療の質の評価を行う仕組みが必要であるという御提案がありました。これに関してまず、木澤構成員から、資料1を用いて御説明をお願いいたします。
木澤構成員、よろしくお願いいたします。
○木澤構成員 ではよろしくお願いします。皆さん、資料1を見ていただきまして、私、画面共有をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
皆さん、見えていらっしゃるでしょうか。大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。それでは、海外でこの専門的緩和ケアの患者登録システムというのが行われていますので、簡単にいうと、患者さんのデータを取ることが目的ではなくて、質の改善活動、いわゆるPDCAサイクルの確保というのが一番大きな目標になるのですが、どんな取組がされていて、日本緩和医療学会としてどのようにこれについて考えて取り組んできたかということを少しお話をして、それを通して今後どんな方向性がいいのかということを少し御提案させていただこうと思っています。
まず、専門的な緩和ケアが日本のがん患者さん、どれだけの患者さんを診ているかという簡単なデータだけお示ししたいと思うのですけれども、一言で結論だけヘッドラインでお話しすると、約半分のがんで亡くなる患者さんについて専門的緩和ケアサービスが利用されているのではないかということですが、あくまで予想ですが、そんな状況であるということで、先ほどもお話しされていましたけれども、患者体験調査及び遺族調査で、その評価、質はどうなのかということが昨今問題になってきていると理解しています。つまり、専門的緩和ケアサービスもそうですけれども、緩和ケアの、ケアの質をどう担保していくかということが大きな課題になるかと思います。
世界中で実はこの緩和ケアの質評価、どうやって評価して改善するかというのが大きなテーマになっていまして、10年ぐらい前からテーマになってきています。各国、様々な取組がなされているのですが、ここでは、オーストラリア、アメリカ、デンマーク、スウェーデンという4つの国についてどんなことが行われているかということを簡単にまとめているものであります。
オーストラリアとアメリカでは、患者さんが登録され、患者さんが緩和ケアサービスに入ってきた時点で症状などをまず最初に評価して、それを経時的に評価して中央登録するというシステムが行われています。デンマークも、中央登録がされているのですが、経時的な評価まで十分にされているかどうかは分かっていません。スウェーデンは、亡くなった後の患者さんに、死亡前、1週間前の治療・ケアを登録するという形で行われているということであります。
この中で世界的に注目されているのが、オーストラリアの、PCOCと一般的には呼んでいるのですが、取組であります。なぜかということは後でお話ししますが、とにかく参加率が高いというのと、後でお話ししますが、この取組を通じて専門的緩和ケアの質が改善しているというのが、PCOCが世界的に注目されている大きな理由です。
国の資金で運営されていて、年間の予算が大体3億程度と言われています。実質的に専門的緩和ケアサービスが参加しまして、これにはいわゆる緩和ケアチーム、病棟、在宅という3つの部門をカバーしていて、全ての死亡、これはがんだけではないわけですが、全死亡の25%を、専門的緩和ケアサービスの8割をカバーしているという状況です。毎日測定・入力して、定期的に中央にデータを転送し、フィードバックする。これは測定、データ収集から、ここにサイクル書いてあると思いますが、データ収集だけではなくて、データ収集すると、その施設のデータが全国と比較してどんな位置にあって、どんな結果になったかということを各施設にフィードバックして、こういう努力が必要なのではないかというフィードバックがされてということが繰り返されて、最終的に質の改善につながるということが大きな目的のプロジェクトであります。
実際にどんなことが取られるかというと、英語で申し訳ないですけれども、これはPCOCのデータ収集の一部を示しています。これは2013年の記録ですけれども、1月5日から1月11日まで、毎日患者さんが記録されていて、1月11日に亡くなっています。症状の評価項目については、不眠、食欲、吐き気、便通の問題、息苦しさ、倦怠感、痛みという、非常にコモン、よくある症状が毎日取られていて、患者さんの状況の変化ですね。Phaseと呼んでいますけれども、今安定しているのか増悪期にあるのか死亡直前期にあるのかというようなPhaseが書かれるというような形になって、毎日登録される仕組みがつくられています。
何がすごいかということですけれども、PCOC、15年ぐらいの歴史があるのですけれども、最初はボランタリーに始めた、今でもそうですが、本当に参加したい施設が始めた、数施設で始めたものがどんどん増えて、現在では、先ほども申し上げたとおり、全死亡の25%をカバーするというような大きなまとまりになっています。
そして、これが特記すべきものだと思いますが、10年間にわたって患者さんのアウトカムが改善しています。今お示ししているのが患者さんのつらい症状に医療従事者がすぐ対応したかという指標であります。2009年には全体で50%にも満たなかったものが、9割程度まで10年間徐々に改善するという形になっていまして、このPDCAサイクルを確保し、回すことによってこういうアウトカムが出ているということが言えるのではないかと思います。緊急のニーズに3日以内に対応した割合ですね。
そして、これは痛みです。エピソードの最初診たときに重度から中等度の痛みだったものが軽度以下になった割合を取っているのですが、当初は、2012年の時点で50%に満たなかったこの改善率が、10%程度改善するというようなデータが出ていまして、ベンチマークは6割というのが一つの指標になっているのですけれども、年々改善する傾向にあるというのが非常に注目されている点であります。
これは施設間比較も可能でして、フィードバック、例えば私、今、筑波大学にいますけれども、筑波大学で例えばこのデータですよというふうに表したら、自分は全体のここにあるのかということが分かるという形になっていまして、施設がいい順に並べてあるという形になっています。
この赤いのは国の暫定的な目標、これを満たすことが目標だよとベンチマークの値が書いてあって、自分がどこにあるのかということが分かるというような形で施設にフィードバックされるという形になるかと思います。
国際的に、例えば台湾とか韓国もかなり興味を持ってこれを国全体で取り組もうとしているわけですけれども、日本緩和医療学会も、やはりこれは取り組むべきだろうと、質の改善に取り組むべきだろうと考えています。
学会としては緩和ケアチーム登録というのが行われておりまして、緩和ケアチームの体制であるとか、紹介された患者さんの認証情報を登録しておりまして、2020年度で500以上の施設、そして10万人の患者さんが登録されているということで、これががんで亡くなる患者さんの25%をカバーしているということですが、ただし、先ほどのような経時的な患者データは登録されていませんし、フィードバック等も行われていないだろう。これを何とかしなければいけないだろうということで、昨年、10歳以降、このようなものが実施可能かというパイロットスタディを8施設で行っています。1か月の間、全ての介入患者さんの症状を1週間ごとに緩和ケアチームがアンケート記入、患者さんに依頼したり聞き取ったりして実際にフィージブルかどうか調査したという、調査進めることをしたのですけれども、そして中央登録するというのを実際やってみました。
介入初日に、患者さん御自身が評価が可能だった割合は約6割で、これはPCOCのデータと余り変わらない。PCOC、オーストラリアでもやはり代理評価が4割程度ありますので、余り大きく変わらないというデータでありました。
これが、1週間後に患者さんの重度から中等度の症状が軽度以下に改善した割合です。先ほど、PCOCで6割に痛みを置いていたので取りあえず6割に暫定的に置いて皆さんにお示ししていますが、多くの症状の改善度、1週間後に改善した割合というのは6割以下の状態でした。これが最初の調査で、まずはベースラインデータと考えていただくのがいいのかなと思います。
ただし、参加施設はかなり意欲があって、僕らとしては割と質が高いだろうという施設が集まってきているので、国全体のベースラインになるのかどうかは分かりません。
実際やってみた結果ですけれども、先ほどもお話ししたとおり、1週間以内の症状改善、重症のものが軽度以下になる改善率は6割以下であった。メリットとして、私も実際施設の責任者としてやったのですけれども、患者さんは御自分の体調を把握できたり自己効力感が向上するというメリットがあり、医療者は包括的に患者さんの評価が可能で、紹介理由以外の症状を発見したりコミュニケーションが非常によくなったりというメリットもある一方で、デメリットとしては、医療者の負担が非常に大きかったです。
特にどの患者さんに評価が必要で、取り漏れがなく、ちゃんとできているのかということをかなり一生懸命やると大きな負担になっていく。そして、毎日毎日患者さんに聞き取ると、患者さんも実は負担になって、また聞くのかと。つらい症状を聞かれるのはいいのだけれども、毎日様子を聞かれたり、ない症状を聞かれて、また同じ質問されたなという反応があったりということで、デメリットも存在するということが分かりました。
今後どうやって続けていったらいいかということですけれども、これから学会としても治療登録の任意参加項目として全国展開していこうと思っています。もう一つは、やはり項目を厳選したり、医療者及び患者の負担を軽減するシステムをつくらないと継続が難しいだろうと。あとは、フィードバックのシステムをつくらないと、ただデータを取るだけでは意味がないので、どうやってそれを施設にフィードバックして教育していくのかという仕組みづくりが大変重要だろうと思っています。
まとめです。今もお示ししたように、世界的に専門的緩和ケアの質の評価は大変重要な課題で、各国が取り組んでいます。成功例として、一番世界的に注目集まっているのが先ほどお話ししたオーストラリアのPCOCなのですが、これによって、質指標、質が年々高まるということが分かっているのですけれども、国レベルの取組が必要で、ある程度のコストが必要。これについては、国レベルでの取組のためには、少し工夫が、項目を厳選したり、医療者、患者の負担を減らすような継続可能なシステム構築が必要ということが今のところ明らかになっています。
以上です。ありがとうございます。
○中川座長 木澤構成員、ありがとうございました。木澤構成員に対する質疑はまた後ほどさせていただきます。
それでは、これに関連して、事務局より、資料2を用いて説明をお願いします。
○加賀谷課長補佐 では、資料2「治療期の課題:専門的な緩和ケアについて」を用い、前回の当部会での議論の整理と対応方針の案について御説明をさせていただきます。
2ページ目を御覧ください。本部会では、がんの治療の段階ごとに、検討すべき緩和ケアの課題について御議論いただいております。今回も、「がんの治療期」の課題について御議論いただきます。
3ページ目を御覧ください。前回に引き続き、「治療期の緩和ケア」の議題として表記の議題1から3について、対応方針の案を御議論いただきます。
4ページ目を御覧ください。1点目の議題は、緩和ケアチームの技術、提供するケアの質を向上させ、均てん化を図るべきではないか、についてです。
5ページ目を御覧ください。まず、前回にお示しした会議資料から一部を再掲いたします。こちらは、がん診療連携拠点病院等の整備指針より、緩和ケアチームの医師に関する要件を抜粋したものです。特に専門資格に関して、身体症状の緩和に携わる医師については、専門資格を有する者であることが「望ましい」とされており、精神症状の緩和に携わる医師については、専門資格に関する規定はなく、共に必須とはされておりません。
6ページ目を御覧ください。これら、緩和ケアチームの医師の配置に関する状況を、令和元年度の現況報告書より集計したものです。左上の円グラフでお示ししているとおり、身体症状の緩和に携わる医師のうち、専門資格を有する者は約6割であり、前回の部会では特にこの点について御意見を頂戴しました。
7ページ目を御覧ください。こちらが、がん診療連携拠点病院等の整備指針より、緩和ケアチームの医師以外の診療従事者に関する要件を抜粋したものです。薬剤師、医療心理に携わる者、相談支援に携わる者については、その配置及び専門資格の有無については共に「望ましい」とされており、必須とはされておりません。
8ページ目を御覧ください。令和元年度の現況報告書より集計した、緩和ケアチームの薬剤師、医療心理に携わる者、相談支援に携わる者の配置状況を上段に、専門資格の有無について下段にお示ししております。左上と右上の円グラフでお示ししているとおり、薬剤師は全ての、相談支援に携わる者については96%の拠点病院の緩和ケアチームに配置されており、前回は主にこれらについての御意見をいただきました。
9ページ目を御覧ください。がん診療連携拠点病院の整備指針では、緩和ケアの提供体制について、院内の医療従事者と緩和ケアチームの連携に関して、院内の医療従事者が、緩和ケアチームへがん患者の診療を依頼する、という観点で記載されており、緩和ケアチームが院内のがん患者の苦痛や、それに対する緩和ケアの提供についての状況を把握し、必要に応じて主体的に診療へ関わっていく、という観点での記載はありません。
10ページ目を御覧ください。こちらは前回の部会資料で、1点目の議題に関する検討の視点として挙げさせていただいたものを掲載しております。
11ページ目を御覧ください。1点目の議題について、前回の部会での主な御意見をまとめております。まず、緩和ケアチームの医師の要件について、身体症状の緩和に携わる医師については、専門資格を必須とすべきであるが、専門医の数が十分育成されていないことから、5年程度の経過措置が必要であるとの御意見がありました。
また、要件を厳しくすると満たせなくなる病院が出現する可能性があり、拠点病院があることが地域のレベルを上げる側面もあることから、総合的に考えるべきである、という御意見もいただきました。
一方、身体症状の緩和に携わる医師については、現時点では専門資格に関する規定がないことは大きな課題であり、専門資格を規定に加えるか、あるいは診療科を規定する等の対応を検討する必要があるとの御指摘をいただきました。
12ページ目を御覧ください。緩和ケアチームの医師以外の診療従事者の要件については、緩和ケアチームに協力する薬剤師と相談支援に携わる者の要件について、検討する必要があるのではないか、との御意見をいただきました。
また、緩和ケアチームについては、緩和ケアチームから積極的にアプローチすることが理想であるが、全員に目配せすることは難しく、抜本的には緩和ケア医の数を増やすべきという御意見や、緩和ケアチームの質を評価するには、コンサルテーションがあったケースを追跡し、それぞれの病院の診療の質を評価する仕組みをつくる必要があり、検討が必要である、との御意見をいただきました。
13ページ目を御覧ください。1つ目の議題に対する対応方針の案をお示ししています。がん診療連携拠点病院等の整備指針の見直しが今年予定されており、この要件については「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」で議論が行われます。この見直しに対して、当課のそれぞれの会議体より議論の内容を踏まえて提案することを予定しており、当部会からも緩和ケアに関連する内容について御提案できればと思っております。対応方針案のうち、この整備指針の見直しに関する内容を下段に、それ以外の内容を上段に記載しております。
まず、緩和ケアチームの医師の要件については、身体症状の緩和に携わる医師について、将来的には専門資格を有する者が必ず含まれるようにするべきではないか。ただし、現時点では医師の数が十分ではないことから、一定の経過措置が必要、としております。
また、緩和ケアチームの技術、提供する質の評価については、チームの構成との関係等も含め、厚労科研で研究を行ってはどうか、としております。
下段の指定要件の見直しに対する提案としては、
・精神症状の緩和に携わる医師について、精神心理的な苦痛の緩和に関する専門資格を有する者であることが望ましい、としてはどうか。
・緩和ケアチームの医師以外の要件については、薬剤師及び相談支援に携わる者について、それぞれ1人以上配置していること、としてはどうか。
・院内の医療従事者と、緩和ケアチームの連携については、「緩和ケアチームは、院内をラウンドする等により、依頼を受けていないがん患者も含めて苦痛の把握に努めるとともに、必要に応じて、主体的に助言や指導等を行っていること、としてはどうか。」としております。
続いて14ページ目を御覧ください。2点目の議題は、主治医等の対応と、麻酔科医・放射線治療医との連携について、です。
15ページ目を御覧ください。議題2でも、まず前回にお示しした会議資料から一部を再掲しております。こちらは、「がん緩和ケアガイドブック」において示されている疼痛への対応をもとに、事務局で作成したものです。このガイドブックの中で、放射線治療や神経ブロックなどについては、薬物治療のSTEPに関わらず考慮すること、とされております。
16ページ目を御覧ください。前回の部会でも御紹介した、厚労科研の里見班の研究結果に関するスライドの一部を再掲しております。専門的な疼痛治療のうち、膵がんの痛みに対する腹腔神経叢ブロックについて、ペインクリニック専門医やIVR専門医の多くが有用であると考えている一方、5割前後の専門医が、適応のあるがん患者が治療可能な時期に紹介されていないと考えていることが分かります。
17ページ目を御覧ください。拠点病院に対して、膵がんによる痛みに対し、腹腔神経叢ブロックをどのように実施しているかを調査したところ、自施設で実施している割合は約半数にとどまっており、1割が他施設へ紹介して実施し、約1割は実施していないという結果でした。
18ページ目を御覧ください。拠点病院において、腹腔神経叢ブロックを実施、または他施設に紹介して利用する上で障壁になっていることを調査したところ、主に実施できる医師がいない、または少ないこと、または、医師はいるが、勤務状況のために実施できないことなどが挙げられました。
19ページ目を御覧ください。次に、非拠点病院や在宅療養支援診療所に対して、鎮痛を目的とした放射線治療をどのように実施しているかを調査したところ、自施設で実施している非拠点病院は16%、他施設に紹介して利用している非拠点病院や在宅療養支援診療所は約3割、という結果でした。
20ページ目を御覧ください。非拠点病院や在宅療養支援診療所において、鎮痛を目的とした放射線治療を他施設に紹介して実施する上での障壁を調査したところ、適応が判断できないことに加え、それを相談できる窓口が分からないこと、実施可能な施設についての情報や紹介先とのつながりがないこと、などが挙げられました。
21ページ目を御覧ください。こちらは前回の部会資料で、2点目の議題に関する検討の視点として挙げさせていただいたものを掲載しております。
22ページ目を御覧ください。2点目の議題について、前回の部会での主な御意見をまとめております。
・緩和的放射線治療について、患者だけでなく、医師への啓発も必要ではないか。
・拠点病院の指定要件に、神経ブロックの実施状況など、麻酔科医との連携を入れることで、コンサルテーションする相手を明確化しておき、それが活用されているか検証してはどうか。また、その連携状況を各施設のホームページで公表してはどうか。
・神経破壊薬を用いる神経ブロックが実施可能な医師は限られており、処置が可能な施設をセンター化し、拠点病院はどこかのセンターと連携できるようにする必要があるのではないか。
・都道府県がん診療連携拠点病院が、その地域の緩和ケアがどのように提供されているのかを図式化することは難しいことではなく、これをホームページ等で周知することはできるのではないか。
・治療期の課題として、疼痛だけではなく、不安や抑うつ、せん妄、倦怠感などの苦痛に対する対応も議論しておくべきではないか。
といった御意見をいただきました。
23ページ目を御覧ください。
2点目の議題に対する対応方針の案をお示ししています。先ほどと同様に、がん診療連携拠点病院等の要件の見直しに対して、当部会から提案する案を下段に、それ以外の内容を上段に記載しております。
まず、神経ブロックや緩和的放射線治療について、当部会で検討された内容を関係者が理解できるような形で周知してはどうか。
また、難治性疼痛に対する神経ブロックについて、自施設で実施している場合にはその実施者が誰か、外部の医療機関と連携して実施する場合には、その連携先がどこであるかを現況報告書で報告することを求めてはどうか、としております。
また、下段の指定要件の見直しに対する提案として、麻酔科医との連携については、整備指針において「難治性疼痛に対する神経ブロック等について、自施設における連携等の対応方針を定めていること。また、自施設で実施が困難なために、外部の医療機関と連携して実施する場合には、その詳細な連携体制を確認しておくこと。また、ホームページ等で、その実施者や連携医療機関名等、神経ブロックの実施体制等について公表していること。」としてはどうか。
放射線治療医との連携については、整備指針において「自施設の医療従事者に対し、緩和的放射線治療の院内での連携体制について周知していることに加え、患者の紹介等について、連携する医療機関に対して周知していること。また、ホームページ等で、自施設における緩和的放射線治療の実施体制等について公表していること。」としてはどうか、としております。
24ページ目を御覧ください。3点目の議題は、緩和ケア外来、外来医療における緩和ケアをさらに充実させるべきではないか、です。
なお、3点目の議題については、前回、時間の都合上御議論いただけておりませんので、前回の資料を全て再掲しております。
25ページ目を御覧ください。がん診療連携拠点病院では、整備指針において、外来における専門的な緩和ケアを提供する体制の整備が求められております。
26ページ目を御覧ください。拠点病院における緩和ケア外来の設定の有無、及び他施設でがんの治療中もしくは治療していた患者の受入状況について、令和元年度の現況報告書より集計したところ、全ての施設が、緩和ケア外来を設定していると回答しておりました。また、約9割の施設が、他施設でがん診療を受けている、または受けていた患者の受入を行っていると回答しております。
27ページ目を御覧ください。一方、平成28年度及び令和元年度の現況報告書によると、緩和ケア外来の年間新規診療症例数が10件未満であった施設は3割弱ほどあり、平成28年度と令和元年度では大きく変わっていないことが分かりました。
28ページ目を御覧ください。令和元年度の現況報告書によると、42%の施設において、地域の医療機関からの年間新規紹介患者数が0件であるという結果でした。
29ページ目を御覧ください。3点目の議題について、検討の視点として、以下のものを挙げております。
・がん診療連携拠点病院等の指定要件において、外来における専門的な緩和ケアを提供する体制の整備が求められております。
・全ての施設が、現況報告書において、緩和ケア外来を設定していると回答しており、また、多くの施設が他の施設で治療中のがん患者の受入を行っていると回答しておりました。
・一方で、年間の新規診療症例数や、地域からの紹介患者数は極めて少なく、外来での緩和ケアの提供が十分に進んでいない可能性が示されました。
対応方針案として、外来での緩和ケアの提供がさらに充実するよう、がん診療連携拠点病院の整備指針において、「自施設の患者に限らず、他施設でがん診療を受けている、または受けていた患者についても、緩和ケア外来で受入を行うこと。また、神経ブロックや緩和的放射線治療等の専門的な疼痛治療が必要な患者の受入を含め、緩和ケア外来への患者紹介について、地域の医療機関に対して広報等を行っていること。」としてはどうか、としております。
以上が資料2の説明でございます。
○中川座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの木澤構成員と事務局の説明を踏まえて御議論をお願いしたいと思います。今日は、参考人お二人にも加わっていただいておりますので、お二人にも、もし御意見があれば頂戴できればと思います。それでは、3つに分けて進めたいと思います。まず1点目、緩和ケアチームの技術、提供するケアの質を向上させ、均てん化を図るべきではないか。スライドで言うと1から13ですね。まず、この緩和ケアチームの技術や提供するケアの質を評価するための患者登録システム、木澤構成員から御説明があった件ですが、木澤構成員の御発表に関して、質問、コメントがあればまずいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
林構成員。
○林構成員 林です。
とてもすばらしい情報、ありがとうございました。3億円のコストでやっておられるということだったのですけれども、医療者のインセンティブはどうなっている、単にこれはボランティアというか、プロフェッションだけで登録されているのか、その3億円が配分されているのかというのはちょっと教えていただきたいと思いますが。
○木澤構成員 私の知る限りは、医療者に配分されているということはないと思いますし、オーストラリアは基本的に、医療は国営なので、NHSに近いシステムだと理解していますので、そのように理解していただければいいのかなあとは思っております。
○林構成員 そうすると、3億円はシステム構築とかそういうことに使われているということでしょうかね。
○木澤構成員 そのとおりだと理解しています。
○林構成員 ありがとうございます。
○江口構成員 大阪大学、江口ですが、私も教えてほしいことがございます。
木澤先生に大変海外の先進的なことを教えていただいて勉強になったのですが、先ほどの林先生の御質問にも近いのですが、医療者のメリットとして、包括的な評価が可能ということ、あるいは症状の発見ができるということ、メリットだということを教えていただいたのですが、一方で、評価については、各施設でいろんな評価をしている、ペインのスケールを見たりしているというのはもちろんあると思うのですが、評価をすることと、評価をした者を登録することとは大分手間が違うといいますか、登録することが評価とは違うとは思うのですが、医療者に対するメリットといいますか、モチベーションといいますか、これはどういうもので海外は動いているか。先ほど、インセンティブはないということでしたので、そうなるとますます、モチベーションというのがちょっと見えにくくなってきてしまったのですが、この辺について、もし何か御存じでしたら教えていただけますでしょうか。
○木澤構成員 ありがとうございます。一番はやはりケアの質の改善につながるというところが大きなことになっています。ですので、他施設と比べて自分たちの施設がどういう位置にあって、それに対して、例えば里見班の先生方が難治性疼痛に対してこういうアプローチがいいのではないかというようなアルゴリズムをつくっていらっしゃったりすると思うのですけれども、そういうものを提示しながら、各施設でどういう改善方法があるのかということを教育スタッフがコンサルティングしたり、様々な方法を通して教育することで、やはり質の向上を目指せないかと考えている医療機関にとっては非常に願ったりかなったりなので、そこがうまくマッチして、このプロジェクト回ってきていると理解しています。
○江口構成員 ありがとうございます。
○中川座長 このインセンティブについて。
どうぞ。
○橋口構成員 先生の後でもよかったのですけど。聖マリアンナの橋口です。
これはたしかパイロットスタディが行われたときに緩和ケアを組織的に結構やっていらっしゃる施設でデータを取って、症状など改善があるかどうかを1週間後に改善した割合を見たという資料を提示いただいたのですけれども、割と組織的にやっていらっしゃる施設においても、1週間後の改善が余りよくなかったというのはどのように解釈されたのでしょうか。フィードバックがなかったからこの程度の改善にとどまったということでしょうか。それとも、症状についてきちんと患者さんの聞き取りまでやったにもかかわらず改善がこの程度だったということなのでしょうか。
○木澤構成員 先生、これは解釈幾つもあるので、本当に難しいところかと思います。1つは、かなり実践している施設で難しい症状が紹介されてきている可能性は1つあるもので、そもそも改善しにくかった可能性というのは1つあると思います。
それともう一つ、PCOCの最初のデータを見ていただければいいと思いますが、改善率は同じぐらいなのですね。最初は、50%切っている、4割台なのですけれども、PCOCについても最初の施設は先進的な施設があり、恐らく意欲もあって参加されたと思うので、やはり改善の余地がある程度あるのだろうと理解はしています。
○橋口構成員 ありがとうございます。緩和ケアの質を良くしていこうと思うと、どっちかというと追随するような施設において余り負担をかけずにできるようなシステムというのをつくってあげないと、負担ばかりかかるけれども、余り改善もしないというような結果にもなるかもしれないというところでしょうか。
○木澤構成員 そうです、そうです。なので、橋口先生、そこはやはり恐れていて、ただ、いっぱいの項目のものをやれといっても、負担だけかかって、改善につながらないものであれば意味がないので、普及できるよい方法は、国なりのいい方法を見つけなければいけないだろうと思っています。ありがとうございます。
○橋口構成員 ありがとうございます。
○中川座長 ほかにいかがでしょうか。
ちょっと言いかけましたけれども、このインセンティブを含めて、我が国の場合、これからですから、やはり十分な議論が必要だと思うのですね。資料2の13ページにもあるように、厚生労働科研というような枠組みの中で十分議論して方向性を探っていただくという必要があるのではないかなと思います。
ほかに何かございませんでしたら、ちょっと先へいかせていただきます。緩和ケアチームの医師の専門資格、それから、チームに協力する薬剤師、相談支援に関わる方の配置など、指定要件についての議論です。これについては、何か御意見ございますでしょうか。
岸田構成員、お願いします。
○岸田構成員 ありがとうございます。岸田でございます。
ちょっと木澤先生に質問も兼ねるのですけれども、13ページの緩和ケアチームの医師の要件について、身体症状の緩和に携わる医師は、現時点で十分ではなく、一定の経過措置が必要になっているとあると思います。また、前回の議論のまとめの御意見からも、これが5年程度必要という話もあったかと思いますが、この5年をどう捉えるかにはなるのですけれども、5年あったら状況も結構変わっている可能性もあるかなと思っていて、この5年間の間にできることというのは、何か、小さくてもなかったりしないのでしょうか。少しでも、今苦しんでいる患者さんに何か有益なものになればいいなと思っているのですが、木澤先生、こちらはいかがでしょうか。
○木澤構成員 岸田さん、ありがとうございます。私も本当にそう思います。何か考えないといけないと思いますし、今すぐに何かするべきだと思うのですが、要件で縛ることについては、ちょっと逆に、今急造しても、質が悪くなってしまうという状況もありますので、今すぐに、この要件について急に医師を増やすということは、残念ながらできないかなあと思っています。
そのかわり、今、力ある医師が何らかの形で、例えばコンサルテーションを受けて、少し、言葉はよくないですけれども、力が不十分な医師を助けるような仕組みづくりというのはありかなと思うので、地域全体で、優秀とか力のある緩和ケアの専門医を生かすような仕組みづくりというのは、代替措置、代替としてあり得るのかなと思いますし、この間、服部先生も御提案いただいたような、センター化して、非常につらい苦痛に対応できるような仕組みづくりと全く同じような考え方かと思いますけれども、何らかの形で、今あるリソースを最適化することで、ここが何とかうまくいかないかと思っている次第です。あくまで個人的な意見です。すみません。
○中川座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
○木澤構成員 中川先生、ちょっと1点いいですか。
○中川座長 はい。
○木澤構成員 私、心配しているのが精神科の医師の部分なのですが、精神症状の緩和に携わる医師について、専門資格を有する者であることが望ましいというのは、もちろん望ましいのですが、ちょっと心配していることが幾つかありまして、それは、特に地方の総合病院の精神科医の不足であります。これは総合病院精神学会等が調査をしていると思うのですが、有床の総合病院精神科は複数の医師が配置されているのですが、多くが1人長の先生方が非常に多くて、非常に労働が過重になっていて、バーンアウトされたり退職されたりする医師が非常に増えていると伺っています。そういう方々が多分、この文書が出ると、場合によっては緩和ケアチームへの参加というのがかなり義務づけられ、また労働過重になりはしないかというようなことを非常に心配します。もしこれを何らかの形で出されるのであれば、関係学会と調整をされる、もしくは何らかの影響を調査されてから提案を出されないと、影響が大きいのではないかということを大変危惧するのですが、そこのところは御検討されていらっしゃいますでしょうか。
○中川座長 これに関して、何か御意見ございますでしょうか。
小川構成員。
○小川構成員 ありがとうございます。多分、今、木澤先生がおっしゃったように、1つは、この辺の人の配置。実際に精神科医が少ないという、そこのところは1点あるのですけれども、また一方で、拠点病院に対してこの辺の必要性というのをアピールしていくというところのバランスで出てくるのかなあと思っております。実際に、まずこれが必須というよりは、まだ望ましいというところですので、こういうのがある程度、総合病院、特に大学の医局に関しては、こういう緩和ケアチームの精神症状緩和の必要性というのが十分アピールできていないという面がありますので、その辺りに関しても1つ示すという点ではありなのかなとは思っております。実際のこの辺の影響というのを見ていく上では、総合病院、精神学会とか、多分、関係のところのいろいろなヒアリングみたいなのはあったほうが望ましいというのは御指摘のとおりかなと思いました。ありがとうございます。
○中川座長 ほかに御意見ありますでしょうか。
林構成員、どうぞ。
○林構成員 ありがとうございます。木澤先生のおっしゃっていること、すごいもっともだと思います。特に地方では、最初に精神の緩和に関わる方、精神科医でそろえるのは本当に大変だったと思うのですね。ただ一方で、私はこれは別の意味もあるかなとも思っていて、何か要件でちょっと明記することで、逆に精神科の先生たちを守る意味もないだろうかと。緩和を志すような方々が大手を振って、例えば何か活動ができるとか、研修に出られるみたいなこともあるのかなともちょっと思ったりします。
拠点病院でも、例えば大学病院とかがんセンターのようなところと、市立病院なんかでぎりぎりでやっておられる先生方は全然立場も違うと思うので、例えば市立に拠点病院というのがなくて、例えば都道府県の拠点病院から始めるとか、大学病院とかは必ずマストにするとか、何か少し色分けがあってもいいのかなと。それで、そういうところから普及を促していけばいいのではないかなと感じました。
以上です。
○中川座長 前田構成員、お願いします。
○前田構成員 ありがとうございます。前田です。
スライド13の、医師以外の医療従事者の要件に関することで質問があります。ここに「相談支援に携わる者」という記載があるのですが、事務局にお尋ねしますが、これは具体的にどういった職種を今想定されているのでしょうか。
○加賀谷課長補佐 事務局です。
一応想定としては社会福祉士や精神保健福祉士などということになっていますが、あくまでこちらは専門資格を求めているわけではないので、そちらは一例になります。
○前田構成員 ありがとうございます。配置状況を見させていただくと、社会福祉士や精神保健福祉士が9割配置されている状況があります。病院内では看護師さんも多く相談支援を受けていらっしゃると思うのですが、緩和ケアチームの場合、リソースナースの皆さんが既にチームに配置されていますので、チーム内で多職種協働でより質の高い支援と考えたときに、「相談支援に携わる者」については福祉の専門資格である社会福祉士や精神保健福祉士という資格を明記いただくことも必要ではないかと意見したいと思います。
以上です。
○中川座長 ありがとうございます。
前川構成員、手挙がっていましたね。
○前川構成員 先ほど木澤構成員が、精神科医が疲弊するとか、何かそういう意味のことを、おっしゃったと思うのですけれども、患者の立場から言うと、やはり精神科医の存在というのは非常に心強いものがあります。ですから、この「望ましい」というのはぜひ外さないで、あったほうがいいと思います。その辺りを考えていただきたいなと思っております。
○中川座長 江口構成員、どうぞ。
○江口構成員 江口でございます。
私も、「望ましい」というのはもちろんそうだと思うのですけれども、一方で、この「精神症状の緩和に携わる医師については」ということは、5ページに、精神に携わる医師は、「専従であることが望ましい」とたしか書いてあると思うのですね。そうなってしまいますと、この精神科の専門資格を持っている方が、専従というのは50%以上だと記憶しているのですけれども、業務の50%以上をこれに関わらなければならないとなると、木澤先生がおっしゃったように、一人精神科医の場合はかなり大変なことになるのではないかなとちょっと危惧されまして、例えば専任の方がいらっしゃる上で、精神症状の緩和に関わる方に適宜相談できるような体制があるとか、そういうことであればまた別かなとは思うのですけれども、その辺りがちょっとやはり関係学会との相談が必要かなと感じました。
以上でございます。
○中川座長 精神のほうは専任ですね。
○江口構成員 はい、専任でございました。50%ですね。
○中川座長 これは50%ですか。特にそこは。
○加賀谷課長補佐 専従の場合は就業時間の少なくとも8割以上、専任の場合は5割以上となっております。
○中川座長 伊東構成員、お願いします。
○伊東構成員 恐れ入ります。資料の13ページに、やはり同じような質問になりますが、緩和ケアチーム以外の診療従事者の要件に関しては、従前は、薬剤師の部分になりますけれども、専門資格について触れておりますが、この一人配置の記載は、従前の記載に追加するというような理解で、事務局、いいですか。
○加賀谷課長補佐 書き換えるという形に恐らくなると思います。今の場合ですと、7ページ目のスライドになりますが、「緩和ケアチームに協力する薬剤師、医療心理に携わる者及び相談支援に携わる者をそれぞれ1人以上配置することが望ましい」というように横並びで記載されておりますので、この部分の薬剤師と相談支援に携わる者と医療心理に携わる者は別々に記載をし直す必要があると思います。
○伊東構成員 そうですね。薬剤師の記載の部分は、1人以上配置はマストにしていただくことは重要かなと思っています。
また、この7ページに記載の「なお」以下の当該薬剤師の専門資格の規定については、やはり1と同じように、どの程度の補充というか、充足に関しては時間がかかるかなというところが正直な印象です。
ただ、現在のところ、緩和医療薬学会のほうで全国調査をした、まだ未発表データのところによると、緩和ケア診療加算ないしは緩和ケア病棟への薬剤師の配置に関してはかなりの点で充足しているような状況が一方ではあります。ありますが、他の職種と変わらず、算定に至らないようなケースが散見するということも事実で、ただ、認定の資格、あるいは専門資格を持って緩和ケアに携わっている薬剤師の数は非常に多いということがデータとして出てきていますので、ぜひこの辺りは、1人以上の配置を「望ましい」から、「必要」だということでデータの記載を改めていただけることは重要かなと思っております。
現在、緩和医療薬物療法認定薬剤師、かつ、緩和薬物療法専門薬剤師、それから、5年後には恐らく、緩和薬物の指導薬剤師、こういった専門資格を、緩和医療薬学会のほうで順次育成を続けておりますので、ぜひこの点は改めていただけると、診療の支援、あるいは患者さんの症状緩和に寄与できるものと推察いたします。
以上です。
○中川座長 なかなか難しいですね。「望ましい」ではだめという意見と、「望ましい」でもだめという意見もあって。ただ、精神面については、当初から緩和ケアチームの要件になってきて、それに対する資格というのが全くないまま来ているということは、少し議論の余地はあるだろうなと思います。
患者の構成員として、岸田構成員、何かこの点、患者の立場で御意見ありますか。
○岸田構成員 患者の立場で、記載するといったところに関してですか。「望ましい」といったところの。
○中川座長 「望ましい」というのは、やはり望ましいのだとは思うのですよね。実は放射線治療もこういうことがありましてね。拠点病院のとき。「望ましい」を取ったのですよ。望ましいから。それによって、実はかなり医者の数が増えました。そういうこともあって、徐々にいい方向に進める第一歩なのかなという気はするのですね。ただ、木澤構成員おっしゃるように、調査のその影響の評価というのは必要だとは思います。「望ましい」という言葉を仮に残した上で、その影響を十分に評価するという方向で、事務局と私のほうで検討した上で最終的な表現を考えたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○岸田構成員 すみません、そこに付随してですけれども、患者のほうからすると、一般の人たちはそれが、専従なのか専任なのかだったり、資格を持っているか持っていないかといったところは、僕たちには分からないのです。そのため、緩和をちゃんとしてくれるなら、正直、誰でもやっていただきたいというのはあります。なので今、中川座長おっしゃったように、必要であればつけて、それを調査すればいいと思いますし、患者の今の緩和ができるような配慮をしていただけたらなということを思っております。
○中川座長 ちょっと時間があれですので、ちょっと先へ進ませていただきます。それから、緩和ケアチームが依頼を受けていないがん患者さんを含めて、必要に応じて主体的に助言や指導を行うということ、これに関してはどなたか御意見ございますでしょうか。
では、これはまた資料4のところで議論が出てくるかと思いますので、2番目、主治医等の対応と、麻酔科医・放射線治療医との連携について、スライドでいうと14から24ですけれども、ここに関して、実は私と小川構成員で資料3を用意させていただきました。この部分に深く関わるところですので、小川構成員、少し御説明いただけますでしょうか。
○小川構成員 ありがとうございます。小川です。
資料3につきまして、多分こちらの議論の中でもんでいただくことになるかと思うのですけれども、前回、構成員の先生方からいただきました意見をベースに、特に教育も大事ですけれども、まず現場に周知をしたほうがいいのではないか。その辺りを酌んで、前に出ましたような拠点病院への案内というような案でこちらは1つ出させていただいております。
詳しくはこちらの資料3を御覧いただければ結構ですけれども、前回のこの部会の議論で出ました痛みへの対応、特に緩和的放射線治療、そして神経ブロック等の扱いについて、知られてはいるけれども、実際それがどのように活用されるのか、特に服部構成員のおっしゃっておられたように、意外にこの辺りが、オピオイドの教育は進む中で、一方でこの扱いというのが余り十分に認識されないままいたのではないか、その辺りに関する補足をという意味合いで出させていただいております。
表には一般的なもので、裏には、前回のこちらの部会で厚労省より提示されました痛みへの対応の流れ、そして、緩和的放射線治療の適応、神経ブロックの適応を挙げるような構成になっております。
こちらについては、本当にまずは現場でしていただくというところがメインになるかと思います。当然、これだけで全てが変わるというものではなくて、やはりそれぞれの拠点病院の中で、実際に痛みへの対応、どのようにするのか。恐らく対応のプロであるとか、あるいはスタッフへの教育、そしてもう一つは地域の医療機関への様々な方法と連携方法の確立、その辺りが課題になってくるかと思います。というふうな対応の一環として御検討いただければと存じます。
簡単ですけれども、以上です。
○中川座長 これは、私を含めまして、お二人の参考人の先生方にも大変御尽力をいただきました。提出しているほうが言うのもあれですが、かなり完成されていて、また、学会との連携も十分にできておりますので、これを拠点病院等に配布するということは大変意義があるのではないかなと思います。
これを今細かく議論する時間がございませんので、もし何か、ここだけはということがありましたら、事務局に。
前川構成員。
○前川構成員 この紙というか、痛みの対応についてですけれども、とてもすばらしいのですが、一番上、「全ての医療従事者の方に御理解いただきたい内容です」というのが何かしっくり来ないのですね。厚労省が配布するのですから、ここまでへり下るというか、そこまで言わなくて、端的に「全ての医療従事者の方へ」のほうが心に届きやすいと思います。すっきりと。その辺り、いかがでしょうかということを意見として出したいと思います。これは400施設の国指定のがん診療連携拠点病院に配布だと思います。ここだけではなくて、ぜひ地域のがん診療病院にも配布をお願いしたいなというのが私の意見です。よろしくお願いいたします。
○中川座長 これは、かつても、診断時からの緩和ケアのところで同じような二枚紙をつくりまして、同じにしています。恐らく送る際はセットで送るということになるので、この表現をとらせていただいたという次第です。どこまで送るかということは、ちょっとこれからの議論で、私は、いわゆる国指定の拠点病院はもちろん、県指定の拠点病院についてもこれは送るべきだと思います。
その他、御指摘がありましたら、また事務局にお願いしたいと思います。
岸田構成員。
○岸田構成員 ありがとうございます。
最終的には事務局が検討されることかと思いますけれども、ここにつきまして、まず、中川座長と小川構成員、参考人の2人が中心に御作成いただいたということで、ありがとうございます。痛みへの対応について、緩和的放射線治療や神経ブロックの専門的な治療がこの資料で認知が広がればと思っているのですけれども、全ての医療従事者向けということで、上から3行目にも、現場で実践していただきたいことも記載されています。手にとってくださるのは医療従事者であって、僕たちのような患者でないと思います。今回、資料2のP23のところで、今後、自施設のホームページ等々で実施体制などが公表されていくということがもしされていくのであれば、連携するのが大事なのだなというところで、手に取った医療従事者が次、どうしたらいいのだろうというときに、今回の議論で、もしホームページといったところが追記されるのであれば、その趣旨の文言も入れてもいいのではないかなと思いました。ただ、実際は現場にいらっしゃる皆さんが使われるものだと思いますので、皆さんの御意見を伺いたいなと思いました。
○中川座長 すみません。ちょっと聞き漏らしました。何を追記ですか。
○岸田構成員 ホームページなどで実施体制について公表されるということを資料のP23の対応方針案で書かれているかと思います。それは麻酔科医との連携についてや放射線治療医との連携について。こちらに公表されていくのであれば、ホームページを見てもらえると連携先が分かるよという形にもなるのかなと思ったのですが。
○中川座長 これはまた後で、資料の4を使って議論させていただきますので。そのことは必要だとは思います。
○岸田構成員 ありがとうございます。
○中川座長 参考人のお二人からもしあれだったら少し短いコメントをいただくといいと思いますが、服部構成員、何かこのことについて特に神経ブロックに関して御発言ありますか。
○服部参考人 服部です。
神経ブロック等、今回これでつくらせていただきました。里見先生のデータでは腹腔神経叢ブロックがフォーカスされていますが、実はいろんな神経ブロックとか専門的治療というのはありますので、そういった治療へもアクセスできるような形でつくらせてもらいました。
それと、先ほど前川さんが言われた、これを配布するに当たって、タイトルの、「全ての医療従事者の方に御理解いただきたい内容」というのは、確かに私もすごく弱いように思えます。やはり医療従事者の方へしっかり、この下を読んでくださいねと体裁をそろえるよりは、強いメッセージとして伝えたほうがいいのではないかなと思いました。
○中川座長 検討させていただきます。
○服部参考人 お願いします。
○中川座長 髙橋参考人、何か。
○髙橋参考人 髙橋です。
緩和的放射線治療のところは、非常にコンパクトに要件を書かせていただきました。非常に分かりやすい内容になったかと思います。適応とか、あと線量分割が痛みに関しては1回照射でもいいということも強調していますし、あと、麻痺等に関しては時間的なことが非常に重要で、早く対応すると。一目で分かるような形になっているのと、あと、ここに出ているデータは皆、緩和ケア研修会で使っているピースのスライド等々も整合性がとれておりますので、非常に各がん拠点病院の先生には理解しやすい内容になっていると思います。
○中川座長 ありがとうございます。この二枚紙について、ほかに御意見ありますでしょうか。
今、髙橋参考人から緩和ケア研修という話も出ましたが、この緩和的放射線治療と神経ブロックについては、ぜひ緩和ケア研修の中でもしっかり取り上げていただければと思いますし、また、座長としては、これから策定される第4期のがん対策推進基本計画の中にも記載が入ればいいなと思っております。よろしいでしょうか。
林構成員。
○林構成員 今ここでちょっとフォーカス違ってしまうかもしれないですが、服部先生が御提案されているような治療をするドクターが圧倒的に不足しているという状況で、これだけ言っても、本当に実際に運用できるような、最初に木澤先生がおっしゃったような、地域で全体で動くようなシステムとか、あるいは教育のシステムがないと、何か形だけになってしまうのではないかという危惧をすごい感じるのですけれども、例えば今後、長期的な目標も含めて、服部先生が、こういった技術を持った医者がどんどん少なくなって、絶滅危惧種だとおっしゃっていましたけれども、このままだと絶滅してしまうのなら、絶滅しないように教育していくシステムなり、あるいは一種の強制力みたいなものは必要なのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○中川座長 服部参考人、いかがですか。
○服部参考人 林先生のおっしゃるとおりですね。これはそもそも、中川先生の時代には、麻酔科にしても、ペインクリニックにしても、皆できていた方法です。前にも話しましたが、依頼されなくなったというところが一番の問題で依頼する医師の教育というのも大事だと思います。依頼されるようになれば必然的にトレーニングというのはせざるを得なくなりますので、今回のこのメッセージがしっかり伝わります。依頼する側が、麻酔科に限らず、ペインクリニックの医師にも依頼をしてくるという状態が必要なのではないかなと思います。
トレーニングについては、指導できる先生はどんどん人を育てていかなければいけませんが、依頼されなければトレーニングのしようもないというところがあるのではないでしょうか。
○林構成員 トレーニングするならば、施設なりを全国に具体的に、ここでトレーニングしますよとか、例えば拠点病院の中で本当にそういう先生がいるところはトレーニングプログラムをつくりますよとかやっていただかないと、実際に今本当にコロナ禍で忙しい中で麻酔科のドクターがそういうことを研修するということは不可能なのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○服部参考人 難しい問題ですね。でも、拠点病院に限らずできる先生がちゃんと分かるような形にして、こういうのがトレーニングできるというのを医療者に分かるような、そういう啓発活動というのは大事になってくるのではないかなと思います。自然にそういったところには人が集まってきて、そしてトレーニングすることもできるようになるという構図になっていくのではないかと思います。
例えば沖縄で言うと、うちの中部徳洲会病院では、日本全国の年間の腹腔神経叢ブロックの5分の1から4分の1の数を実施しています。ですから、十分トレーニングはできるということになります。こういったことを啓発・コマーシャルしていくということが大事になってくるかもしれないですね。
○中川座長 橋口構成員、麻酔科医として、この問題、何か御意見ございますかね。
○橋口構成員 服部先生がおっしゃるように、確かにトレーニングできる施設というのが最近すごく減っているというのもあります。ただ一方で、中部病院などもそうですけれども、トレーニングができるというところが地域にそこそこありますので、そういうところに研修に出ることができるようにするためにも、ブロックなどの特殊な鎮痛の方法があるということを治療医の先生方に認識していただかないと、本当に依頼も来なければ件数もないので、トレーニングそのものができませんし、最初はセンター化したところでトレーニングしていただくというところから始めるしかないと思います。
○中川座長 分かりました。ほかにいかがでしょうか。
○伊東構成員 1点だけよろしいでしょうか。
○中川座長 はい、伊東構成員。
○伊東構成員 前にもお伝えしていると思いますが、そのブロックに使う薬の適応に関して、十分整理をする必要があろうかと思います。現状で、無水エタノール、それからフェノール水、フェノールブロック液等に関しては、特にフェノールに関しては上市されておりませんし、無水エタノールに関しても適応はないような状況ですので、この点についても併せ整備を進められたほうがよろしいかと思います。
以上です。
○中川座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
では、この資料3に関する表現については事務局と相談させていただきます。何か特段の御意見がありましたら、また別途いただければと思います。
それでは、先に進ませていただきまして、前回の積み残しの部分ですね。「緩和ケア外来、外来医療における緩和ケアをさらに充実させるべきではないか」という点、資料2のスライドの24から29です。この点について、御意見ありますでしょうか。
○谷口構成員 島根県の谷口ですが、よろしいでしょうか。
○中川座長 はい、お願いいたします。
○谷口構成員 この外来緩和ケアのところですけれども、資料を見ても、平成28年度から元年にかけて、ほとんど状況として変わっていないという状況がある中で、これは恐らく、最初、木澤先生の話でもありましたけれども、なかなか緩和ケアが十分できていないと、病棟とかチームで45%、あとは外来とかそういうところがあるのだと思いますけれども、この辺りを増やすためにどうしたらいいのかというのを、実際現場でやっておられる先生方にもちょっと聞いてみたいと思ってちょっと発言させていただきました。もう少し、何かこういうことをやれば増えるのではないかみたいな提案ができないのかなと思って発言させていただいたところです。
○中川座長 ありがとうございます。現場の先生方にということですが、いかがでございましょうか。
木澤構成員、何か今の、どうすれば増えるか。
○木澤構成員 ありがとうございます。これはほかの先生の意見もぜひ伺いたいのですが、私の見解を述べさせていただきますが、外来で緩和ケア外来を毎日開くのと、今、治療中の患者さん、例えば化学療法されている患者さんの化学療法、室に行って私たち診療しているのですけれども、そういうことをすると、コンサルテーションどんどん増えてまいります。オンデマンドでどんどん診るということになりますと、それは恐らく求めていると思いますし、いわゆる治療と緩和ケアの統合、インテグレーションとずっと言われ続けてきていると思いますが、それを理想形とすると、完全に1人取られてしまうのですね。日中、外来に。それを許容できる病院というのが非常に限られているというのが現実かなあと思います。
したがって、依頼はしたいのだけれども、医師がそこに対応できない。ましてや緩和ケアに専従している医師ばかりではないので、そこもなかなか難しいということで、緩和ケア外来やりたいけれども、なかなか進まないという状況が実際にはあるのではないかと推定しております。
加えて言うと、診療報酬制度でも、緩和ケアの外来への評価というのは非常に薄くて、ペイできるような、人を雇って、外来に1人充てればいいというような評価ではない。疼痛がある方だけ、しかも麻薬が処方されている方しか、緩和ケア診療加算、外来では算定できませんので、実際治療中の患者さんで、痛みを理由に外来診療されるということはもちろんありますけれども、そうではない理由のほうが多いなあというのが私が拝見しているところです。ですので、やはりなかなか、この緩和ケア外来、充実していかないと私は個人的には分析をしています。
すみません。もうちょっと頑張りたいと思っているのですが、なかなか進まない現状があるかなと思います。
○中川座長 ありがとうございます。ただ、木澤構成員御指摘になられた、診療報酬における条件面の整備ということは検討に値すると思いますし、とりわけ、今回、神経ブロックや緩和的放射線治療、これを議論したわけですけれども、こういう専門的な治療を必要とする患者さんの受入窓口という意味もあるので、そうなってくると、必ずしもオピオイドを使用していないというケースでも加算されるというのは合理的なのではないかなと個人的には思います。
ほかに、緩和ケア外来に関して。
橋口構成員、お願いします。
○橋口構成員 緩和ケア外来に関しては、これまでも御意見があったとおり、これだけ外来での化学療法の件数が増えていますし、内服での治療というのも増えている中で、外来で緩和ケアを受けることができないというのは大変大きな問題だと思います。人がいないと言われてしまうとそれまでなのですが、外来の化学療法のところには必ず緩和ケア外来のブースを設けるとか、患者さんたちがアクセスしやすいような工夫というのもある程度要件、必ずそうしなさいと言うと、拠点の要件とかにも関わってきてしまうかもしれないのですけれども、ちょっと縛りを設けるというか、そのように動かしていくような工夫というのも行政としてはやっていただいたほうが私たちも取り組みやすいですし、もちろん診療報酬がつけばそれはそれでありがたいのですけれども、やはり外来の化学療法の要件の一つとして、緩和ケアに関連した部署を外来化学療法の近くに設けるとかいうのをしていただくだけでも大分違うのではないかなと思っています。
○中川座長 なるほど。
服部参考人、お願いします。
○服部参考人 素朴な疑問なのですけれども、今までの話を聞くと、緩和ケア外来に人が殺到してくるのだけれども医療者を配置できないという感じですが、実際、現場ってそんなに緩和ケア外来が予約待ちでしようがないという状況なのですか?
○木澤構成員 人が配置できていないと思いますね。
○服部参考人 外来にそれほど。人が配置できていれば、いっぱい地域からも参加してくるのではないかと。
○木澤構成員 先生、地域からは分からないですけれども、大概、今治療中の方の症状緩和というのは、依頼たくさん来ますし、多くの依頼がやはりやってくると思います。それは地道な外来での診療を続けていたらやはり年々増えていくものなので、それは確実かなと思います。
○服部参考人 需要はすごくあるのだけれども、供給が追いついていないということなのですね。
○木澤構成員 そう思います。
○中川座長 橋口構成員、お願いします。
○橋口構成員 押すな押すなの大盛況というわけではないですけれども、外来の化学療法のところに、緩和ケアという看板があるブースがあるだけでも、寄ってくださる方というのはやはりいらっしゃって、もちろんその中でオピオイド使ったり使わなかったりしますし、そのブース自体は、日によって精神科がやったり、それ以外の身体の専門医がやったりしますが、患者さんの目につくところに緩和ケア外来があるというところからまずやっていかないと、今だと、緩和ケア外来というのは一応あることにはなっていますけれども、バーチャルというか、これだけ緩和ケア外来あります、100%ありますという中で全く利用されていないというのは、その緩和ケア外来が全く患者さんの目に触れないことのほうが問題なのではないかなと思っています。
前任地では、緩和ケア外来というのがブース外来化学療法のエリアの中にあって、そうすると、ちょっとかかってみようかなという人がやはりいて、特に予約がなくてもかかれるようにはしてあったのですけれども、そこそこ利用していただけて、それが患者さんの拾い上げとか、ちょっとした相談窓口にはなっていました。目に触れるところに、バーチャルではなく、ちゃんとした形でまずつくっておくというのは割と大事なのではないかなと。そういう意味では、箱もやはり形の一つだと思うのですね。でないと、全てがバーチャルになってしまって、あるはずと思って探しにいけばあるけれども、そうでなければ、もう全く目にも触れないというような状況になっているかと思います。今まではバーチャルな形での緩和ケア外来というのが多分ほとんどだったと思いますが、一歩進める意味でも少し縛りをつけてもいいのではないかなとは思っております。
○中川座長 ありがとうございます。
それでは、羽鳥構成員、お願いします。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。
28のスライドで、半数近くの施設が地域の医療機関からの紹介がゼロであったというお話が書いてあります。地域で緩和ケアが必要な患者さんは、多くの先生が在宅されている先生です。在宅の先生は麻薬を上手に使っている状況だと思います。ただ、常に最新情報をリフレッシュすることも必要なので、地域のがん拠点病院などで講習会を開いていただいております。聞いたようなお話の放射線治療、それから麻酔治療、そういうことも手段としてあるのだよということを知らしめるためには、連携をよくしなければいけないのだろうと思います。
先ほどの、座長、小川先生がおつくりになった二枚ものの資料は、ぜひ医師会の配布物の中にも入れさせてもらえないかなと思います。要するに、在宅されている先生ももしかしたら知らない方があるかもしれないということも含めて、入れさせていただきたいなと思います。
それからあと、麻薬の量が増えてしまうがために、もしかしたら少し寿命短くしているという面もあるかもしれないので、緩和ケアに様々な手法があるということを教えていただくための手段としては、この外来の宣伝、そしてパンフレットの配布、そして地域での講習会のこの三本立てでしっかりやっていただければと思います。
以上です。
○中川座長 ぜひよろしくお願いいたします。もともとこの資料3は、2ページ目、「痛みなどへの対応」のこのステップの図ですね。ちょっと出していただけますか。
これはもともとは医師会が監修された「がん緩和ケアガイドブック」が出発点なのですね。したがって、これをぜひ日本医師会においても広く配布していただくというのは大変ありがたい話です。どうぞよろしくお願いいたします。
○羽鳥構成員 ありがとうございます。また厚生労働省からも医師会に説明来るときに、配れというふうに言ってくださるようにお願いします。
○中川座長 きっと言われると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
ほかにありませんでしょうか。資料2、あるいは資料3に関して。
前田構成員。
○前田構成員 ありがとうございます。
先ほど橋口先生のお話を伺っていて、確かに自分のところのがん相談支援者の中で、緩和ケア外来があるかと尋ねられること自体が非常に少ないということに気づきました。緩和ケアに関する相談をされる方、非常に多いのですが、どちらかというとホスピスを探す、そういった相談が主です。自組織もそうですし、私の地域もそうなのですが、緩和ケア外来のことをどこまで、患者さん自身が自ら相談できるような周知ができていたのか少し不安になりました。「私は緩和ケア外来でフォロー受けたい」と患者さんが自ら発信できることが必要です。患者さんが自ら発信できるような情報提供がどこまでできていたかということに関して、緩和ケア外来の認知度みたいな調査はあったでしょうか。それがないのであれば、一回その調査も必要かと思いますし、実際知られていないということがあるのであれば、広報に関しての何か取組みたいなことも必要ではないかと感じました。
○中川座長 そうですね。広報は必要ですね。
お二人、手が挙がっています。髙橋参考人。
○髙橋参考人 ありがとうございます。
先ほど化学療法の話が出ましたけれども、放射線治療も非常に外来、重要でありまして、特に緩和照射の場合、照射装置のない施設からの紹介で緩和照射やると、やはり外来での診療というのは鍵になります。そのときに緩和ケア外来で形がしっかりあると非常に連携しやすいということと、あと、窓口としてもいろいろ様々機能する可能性高いと思いますので、非常に重要な課題かなと、放射線治療側は考えております。
○中川座長 ありがとうございます。
前川構成員も手挙がっていますね。
○前川構成員 さっき、調べたことがあるのかとどなたかおっしゃったのですけれども、私が以前厚労省の緩和ケア関係での部会で訪問した病院で、緩和ケア外来という看板だけのところを多く目にしました。私たちがん経験者、がん患者さんから見ると、緩和ケア外来を受診したいけれどもどこにあるかわからなかったりしてすごく敷居が高いのです。がんの患者さんが気軽に行ける緩和ケア外来をつくってほしいなと思います。橋口先生のお話がすごく心にしみました。
以上です。
○中川座長 この緩和ケア外来ではナースの役目も非常に大きいと思うのですけれども、森住構成員、何かこの緩和ケア外来と看護師の辺り、御意見ありますでしょうか。
○森住構成員 ありがとうございます。
看護師では、がん看護外来とか、結構化学療法だったり、緩和ケアだったり、放射線であったり、専門分化した看護外来というのが開かれていて、それは全国でされていると思うのですけれども、そこと緩和ケア外来がうまくつながるような形のシステムがつくれればいいのかなあと、聞いていて思いました。ちょっと具体的なイメージはないのですけれども、意見です。
○中川座長 伊東構成員、お願いします。
○伊東構成員 今の森住構成員と同じです。薬剤師も、他の化学療法の部分では、診療のときに主任にその症状を聞いているので、そこから緩和ケア外来の専門的外来につなげられるような仕組みができ上がるとなおいいのかなと思っています。現在は、恐らく、主科、あるいはその担当される先生に、こういう疼痛があるのでこういう薬を載せていただいてはいかがでしょうかということを結構ちまちまやっているのが、薬剤師外来でもかなり数多く広がってきておりますので、同じような仕組みができるとなおいいかなと思います。
○中川座長 ありがとうございます。
江口構成員、お願いします。
○江口構成員 江口でございます。
緩和ケア外来で、患者さんを紹介してもらって、ブロックだとか治療的放射線、きちんとした治療を提供するというのが非常に大事だと思います。一方で、非常に緩和ケアの先生方も忙しいということ、特に緩和ケア外来で、もしかして患者さんが逆に集まり過ぎたときに、また元の病院に戻っていただくようなメッセージは要らないのかどうかということがちょっと気にはなったのですけれども、患者さんの利便性とかを考えると、ブロックとかが終わった後、また元に戻るというメッセージは要らないのかどうかということをちょっと検討する必要があるのかどうかということがちょっと気になりました。
以上でございます。
○中川座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、先に進ませていただきます。続きまして、事務局から資料4を用いて御説明いただきます。
○加賀谷課長補佐 では、資料4について御説明させていただきます。
資料4は、今年予定しております、がん診療拠点病院の整備指針の見直しに対する当部会からの提案内容をまとめた案となっております。
こちらの内容をまとめ、親会に当たる「がんとの共生のあり方に関する検討会」へ御報告し、必要に応じて御議論いただくとともに、検討会からの提案と併せて「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」へ提出し、御検討いただく予定です。
本資料には、今回御議論いただいた内容だけではなく、これまでの部会で御議論いただいた内容からも、整備指針の見直しに際して盛り込める内容を記載しております。
まず、第2回の部会において、「初診時からのがん相談支援センターの活用推進」に関する議題について御議論いただいた内容から、
・全てのがん患者に対してがん相談支援センターの周知が行われるよう、告知を行う場面や、Patient Flow Managementに組み込む等、システム化が図られていること。
としております。
また、第3回の部会において、「医療従事者によるがん患者の苦痛の把握」に関する議題について御議論いただいた内容から、
・全てのがん患者に対して苦痛の把握と適切な対応がなされるよう、自施設における仕組みを検討・改善する場を設置し、その詳細が定められていること。また、自施設において苦痛が十分に把握されているかについて、患者からPROを用いる等によりフィードバックを受け、それを踏まえて自施設において組織的な改善策を講じる等、PDCAサイクルを確保していること。
としております。
第5回の部会に関しては、先ほど御議論いただいた資料2の内容を抜粋しております。修正等については、座長と事務局とで御相談させていただいて、適宜こちらに反映するようにいたします。
2ページの中段、その他というところですが、地域における緩和ケアの提供体制について、を御覧ください。
今回の整備指針の見直しに対して、当部会から御提案が可能な内容は、今回の部会での御議論の内容までになりますので、これまでに当部会では御議論いただけていないものの、整備指針の今回の見直しに関して提案すべき内容について、座長らと御相談し、2点記載しております。
まず、地域がん診療連携拠点病院の要件として
・がん診療連携拠点病院等は、地域において緩和ケアを効果的に提供するための体制について、地域の医療機関や在宅診療所等と検討する場を設置していること。また、緩和ケアチームが地域の医療機関や在宅診療所等から定期的に連絡・相談を受ける体制を確保し、必要に応じて助言等を行っていること。
としております。
また、都道府県がん診療連携拠点病院の要件として
・緩和ケアセンターは、都道府県と協力する等により、県内の各がん診療連携拠点病院等が、緩和ケア提供体制の質的な向上や、地域単位の緩和ケアに関する取組について検討できるように、支援を行っていること。
としております。
資料4の御説明は以上となります。
○中川座長 ありがとうございます。今、事務局からお話があったように、今回の部会がこの指針の見直しに間に合う最後の会合ということになりますので、基本的にはこの場をもって、この資料4に関しては合意を得たいと思っております。また、細かいところについては事務局と私のほうで修正もできますが、基本的には皆さんの意見もいただきたいと思いますけれども、これまでお話しいただかなかった高野構成員、これまでの議論を含めても結構ですけれども、御意見頂戴できますでしょうか。
○高野構成員 今、この資料4について、我々で議論していないけれども、加えた点というのも十分理解できるところ、先ほどの議論と通じるところかと思いますけれども、全てこのままでいいかなと思って聞いておりました。ありがとうございます。
○中川座長 ありがとうございます。高野構成員、資料3についても、特に何か御意見はないですかね。
○高野構成員 資料3も、これでよろしいかと思います。
○中川座長 ありがとうございます。
岸田構成員、お願いします。
○岸田構成員 ありがとうございます。
今の資料4についてなのですけれども、今回議論していない中の2ページ目の地域がん診療連携拠点病院の要件について、1つあります。地域がん診療連携拠点病院に限らずだとは思うのですけれども、こういった設置が、地域の医療機関や在宅診療所等と検討する場を設置していることと書かれているかと思います。前の指針にも書かれていたと思いますが、そういったところを設置していても、まだまだ地域の医療機関と連携が不十分、機能しているところや機能していないところがあると思っています。
前の指針の参考資料3のがん診療連携拠点病院などの指針では、8ページ目の(6)のクの部分に、地域の医療機関や、診療所等、ちょっと長いので省略すると、「議論する場を年1回以上設けること」と書かれているのですね。これが本当に年に1回で十分なのかどうかだったり、コンサル等々どれぐらい行われているのか、やはり連携が大事と言われているのに全然連携の場がないというのはちょっと患者としてはどうなのかなと思っていて、こういったところを、このぐらいしていますよだったり、こういう体制でしていますよみたいな、ここのページなり何かしらで公表されていることで、患者も、ここはこの医療機関と連携してくれているんだ、だったら安心だねと思えるようになっていくと思うのですね。なので、そういった要素、ちゃんとこれぐらいやっていますよと公表されるような要素というのを盛り込んでもいいのかなあということを思った次第です。
以上です。
○中川座長 重要な点ですね。ありがとうございます。
林構成員、お願いします。
○林構成員 ありがとうございます。
緩和ケアチームの、私、自分でやっていたときを思うと、立ち位置というか、院内で何か存在する居場所をちゃんと明確にしてあげないと、何か、あいつら、趣味でやっているなあみたいな批判があったこともあるのですね。それで、例えば第5回の中で、院内ラウンドをすること、確かに院内ラウンドをやってきましたけれども、院内といっても、室や外来はできていなくて、病棟だけだったとは思います。その病棟の中でたくさんの情報をいただいたという経験もありますし、あるいは、治療のカンファレンスなんかに関して、キャンサーボードなんかにも、緩和ケアチームの方々、出ていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、キャンサーボードなんかとの関わりみたいのは緩和ケアチームと明確に明文化してある場所がほとんど見たことがなかったと思うのですけれども、その辺も少し絡めていただけると、存在、立ち位置をつくってあげやすいのではないかなと思いました。
以上です。
○中川座長 林構成員、それは資料4の1ページ目の第5回のところの「院内の」。
○林構成員 「院内の医療従事者と」というところで、院内といっても、外来は行っていなかったから、皆さんやっていらっしゃったのかもしれないですけれども、病棟ラウンドがメインだったなと思いますけれども、そこで確かにいろいろ絡めたと思いますし、私は、キャンサーボードはすごく重要だったと思います。たくさんの患者さんの御相談をいただいて、情報がどんどん入ってきて、要するに、いろんな情報を主治医からいただけるような環境にしておかないと、決まった方から決まった情報を得るだけのラウンドになってしまうので、その辺は有機的にしたほうがいいのではないかなと思って意見した次第です。
○中川座長 そうすると、「院内の医療従事者と、緩和ケアチームとの連携について」のところで、ラウンドのほかに「カンファレンス」という言葉を入れたほうがいい。
○林構成員 ごめんなさい。個人的な意見ですけれども、例えばの話ですけれども、キャンサーボードみたいなもの、治療カンファレンスみたいなものから、何か情報をいただくと、より総合的な診療につながるかなと思って発言した次第です。
○中川座長 それはそうだと思いますね。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
現在、整備指針の中には、キャンサーボードに対する定義としまして、「手術、放射線診断、放射線治療、薬物療法、病理診断及び緩和ケアに携わる専門的な知識及び技能を有する医師、その他の専門の医師等々により実施するカンファレンス」という形で記載してございますし、また、これらについては緩和ケア担当医師や病理医についても参加することが望ましいというふうな記載にはなっております。
○林構成員 緩和ケアいいというのはもちろんなのですが、緩和ケアチームの話をしているのです。チームというのが割と何か居場所がないような病院が多いのではないかなと思って、そのチームということで関連づけていただけたらなと思った次第です。
○中川座長 推進官の御指摘は、ここにカンファレンスを入れてもよいということですか。
○岩佐がん対策推進官 現時点で既に、少なくともその緩和ケアを専門とする医師等によるカンファレンスということで、キャンサーボード自体が定義されておりますので、一応、少なくとも緩和ケア医ということに関してはこの中にいるというところだという認識でおります。
○中川座長 ただ、キャンサーボードだけでないので。カンファレンスの場はですね。
○木澤構成員 ちょっと発言させてください。
○中川座長 どうぞ。
○木澤構成員 キャンサーボードに関しては、既に緩和ケアチームが参加しているという、義務づけられているとみんな位置づけていると思いますので、参加しているのではないかと思っています。
もう一つは、これは御存じかと思うのですけれども、週1回以上、多職種カンファレンスをするということになっていますので、そちらは実践をしているという事実がありますので、そこのところは分かっていただければと思っています。
以上です。
○中川座長 ラウンドだけでいいですかね。ここに「カンファレンス」という言葉を入れたほうがいいのではないかというのが林構成員の意見だと思いますけれども。入れてもいいのではないかなあという気がします。
○木澤構成員 カンファレンスであれば、病棟それぞれにカンファレンスやっていますので、すごく件数が多くて、全部出るということは不可能だと思いますので、もしカンファレンスを入れるのであれば、「必要に応じて」と1つ入れていただかないと厳しいかなと思います。
○中川座長 分かりました。
○林構成員 カンファレンスも、自分が全部参加するのではなくて、そちらから情報いただけるような環境にしておくという意味です。
○中川座長 ラウンドですごく情報が、例えば病棟にいるナースから担当していない患者さんの情報が入りますよね。あるいはカンファレンスなんかもそうだと思いますけれども、ちょっと必要に応じて、「カンファレンス等」というような言い方を含めて、事務局と調整させていただきます。
○服部参考人 すみません。シンプルに「院内カンファレンス等」とついているから。「院内カンファレンス等」でいいのではないでしょうか。
○中川座長 そうですね。事務局、いかがですかね。
○岩佐がん対策推進官 この辺りについては、御指摘の問題意識も踏まえた形での表現となるように、実際に現時点でもそういった表現は一定あるというところではございますけれども、それらを踏まえた上での表現にするという方向で構わないかなと思っております。
○中川座長 よろしくお願いいたします。ほか、あるいは全体を通して。
伊東構成員、お願いします。
○伊東構成員 ありがとうございます。
2点ほど確認なのですが、事務局、よろしいでしょうか。この資料、がん診療拠点病院ということで位置づけられておりますが、国が指定していただけるがん診療支援病院もこの中に含まれるという理解でいいですか。
○岩佐がん対策推進官 はい。地域がん診療病院についても、この「等」の中に含められているところです。
○伊東構成員 という理解でいいですね。
○岩佐がん対策推進官 はい。
○伊東構成員 また、この中で、「連携する医療機関」とありますが、一昨年のことになりますが、薬機法が改定されて、地域連携薬局、それから専門医療機関連携薬局等ができておりますが、この定義もこの中に含まれるという理解でよろしいでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 すみません。これに関しては、あくまでもがん診療連携拠点病院等の整備に関する指針に関するものになりますので、その範囲内になります。
○伊東構成員 いやいや、その他の「地域における緩和ケアの提供体制について」の部分で、「地域の医療機関や在宅診療所等と検討する場を設置していること」になっておりますが、この地域の医療機関の中に含まれるかということを問うています。
○岩佐がん対策推進官 すみません。そういった意味では、当然含まれると思います。
○伊東構成員 ありがとうございます。
○中川座長 前田構成員、お願いします。
○前田構成員 ありがとうございます。前田です。
1枚目の下のほうに、例えば麻酔科医との連携であったり、あるいは次の放射線治療医との連携などに関して、いわゆる実施体制等に関して「公表していること」という文言になっておるのですが、患者さん等が理解しやすくて、地域の機関も分かりやすいということを考えるときに、よく、要件で「公表していること」とされていてもその病院のホームページに充分な情報が入ってこないことがあったりして、ネット上では全然見つからないこともざらですので、例えば現行の指定要件の中に、PDCAサイクルの確保等に関しては、「地域に対して分かりやすく広報すること」という文言が既に使われていますので、そういった文言に修正できないものでしょうか。
○中川座長 いかがでしょうか。それは書きぶりだと思いますね。ただ、やはりホームページは必要なのではないでしょうかね。
○前田構成員 ええ、必要なのですが、分かりやすくというところをすごく強調していただきたいという思いです。
○中川座長 それはぜひ分かりやすくホームページ等で公表という形にしていただければいいのではないでしょうか。でも、確かにそうですよね。非常に深いところにあったりするということがありますからね。
前川構成員、手挙がっていましたか。
○前川構成員 挙げていましたけれども、話がもうほかの話になったから。
○中川座長 いや、いいですよ。
○前川構成員 では言わせてください。先ほどの林先生のお話ですけれども、林先生が言われたように、「院内ラウンド等」よりは、「病棟ラウンドやカンファレンスなどで情報の提供を受け」に修正をしていただければいいなと思います。
○中川座長 「情報の提供を受け」ですか。
○前川構成員 はい。
○中川座長 情報の提供を受けるわけだから、それはいいのではないですかね。
○前川構成員 はい、お願いします。
○中川座長 ほかいかがでしょうか。全体を通しても結構でございますので。何せ指定要件に関するところは、今日が最後です。
○前川構成員 中川先生、指定要件のところで、参考資料のところで意見を言いたいのですけれども、その時間はありますか。
○中川座長 手短にお願いできれば。
○前川構成員 分かりました。
○中川座長 参考資料の幾つですか。
○前川構成員 参考資料4です。小川先生のお名前もある遺族調査についてなのですけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。
15ページとか19ページ辺りに、亡くなる前の1か月間の痛みについて、痛みなく過ごせたと思うのは47.2%、亡くなる1週間前には、強い痛みを感じていた患者さんは28.7%とあります。2006年に成立したがん対策基本法に緩和ケアが盛り込まれて、約15年たちました。いまだに痛みに苦しむ患者さんの存在を、私はどう捉えればいいのだろうと思っています。私も、患者さんの傍らでお見送りした多くの経験があります。患者・家族の立場はすごく弱いので、面と向かっては言えないのですね。辛いとか痛いとか、言えない部分があるのです。でも、今回のこの遺族調査で、数字は正直だなあと思いました。もちろん取れない痛みもあるかもしれません。でも、放射線やペインクリニックで取れる痛みも、先ほどお話に出たようにあると思います。
放射線もペインクリニックも、依頼される側なので、依頼されないと手も足も出ないかもしれない。なので、要は、依頼する側、がん治療医がしっかり認知して、少し厳しい言い方をすれば、依頼する側、がん治療医、緩和ケア医の教育を今後していただければいいかなあと思います。
木澤先生にお尋ねします。緩和ケア研修会でのこういった専門的な治療はどうなっていますか。研修会では、痛みを緩和させるための放射線治療とかペインクリニック的な治療法について、今出てきた話なので、まだ教育はされていないかもしれませんが、今後される予定はありますか。何コマぐらいかなあとか、そのように思いました。国民が苦しんでいるのはやはり調査結果からすごく明らかになりました。痛みを取り除くべく施策をぜひ実行していただきたいと思います。
あえて過激な発言をします。まずは、依頼する側の教育を考え直すべきではないかなあと思っております。最後に、次にもし遺族調査があったときには、よい数字が、痛いという数字が少なくなる、そういう数字が出るそうなることを心から祈っております。
以上です。ありがとうございます。
○中川座長 木澤構成員、行われているのだと思いますが、お答えいただけますでしょうか。
○木澤構成員 まず、今も教育は行われています。今後どのようにしていくかということは、十分に意見を伺いながら改定時に対応したいと思います。
もう一個、専門家の集団として、この遺族調査の結果は真摯に受け止めて、どう対応するかは考えないといけないと思います。で、これは非常にコンプレックス、複雑な問題だと思っていて、一つの介入で改善するような単純なものではないとは思いますが、それはあるので、さっき言ったような質の評価と、こういう継続的なフィードバックで、何か、複雑な問題を解決できないかと思うに至っています。ともかく、学会として、この遺族調査、そして患者体験調査の結果を重く受け止めて、つらい苦痛を改善できるようにさらに努力をしていきたいと思っています。ありがとうございます。
○前川構成員 よろしくお願いします。
○中川座長 私からもどうぞよろしくお願いします。この遺族調査については小川先生が関わられていますので、何か追加のコメントがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小川構成員 ありがとうございます。
追加ではないのですけれども、今、木澤先生がおっしゃったように、痛みに関して、この苦痛に関してはやはりコンプレックスというのがやはり大きな課題になっているのかなと思います。今までは本当に、オピオイドをまず投与する、始めるというところで来て、恐らくその次の段階というのでしょうかね、痛みがどんな要因なのかとか、あるいは高齢者の背景、がん以外のもの、そして、このような放射線、あるいは神経ブロックのように、その病態に応じて提案ができるようになっていく、多分そういう次のステップが求められてきているというのはこの形で出ているものなのかなと感じております。
以上です。
○中川座長 ありがとうございます。この結果はやはり非常に重大だと思っています。痛みだけではなく、穏やかな気持ちで過ごせたということもそうですね。木澤構成員おっしゃったように、質の評価やフィードバックということ、これもぜひ厚生労働科研等で検討していただければいいと思いますし、また、拠点病院の整備に関しても、やはり患者さん中心に変えていく。結果的には、次の遺族調査では、数字が改善したなあというふうにしなければ、部会をこれまで開催してきた意味がないと思っていますので、またぜひ構成員の皆さん、あるいは参考人の皆さんにお力をいただければと思います。
それでは、時間が迫ってまいりましたので、今日の議論はここまでとさせていただきまして、もし必要がありましたら、事務局に追加の御意見をいただいた上で、最終的には、もうこれが最後の部会ということですから、この後の調整は座長と事務局とにお任せいただきたいと思います。どうぞ御了承いただければと思います。
それでは最後に、事務局から連絡事項等があればお伝えください。
○岩佐がん対策推進官 本日は活発な御議論等いただきまして、ありがとうございます。
次回の部会の開催等につきましては、追って連絡をさせていただきます。お忙しい中、大変恐れ入りますが、日程の調整等、ご協力をよろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議を終了いたします。構成員の皆様方、長時間にわたりまして、誠にありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線4608)